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26回国会参議院1957/02/28

農林水産委員会 第11号

発言数
151
登壇者
13
会派数
4
開催日
1957/02/28

会議録

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) それでは開会いたします。  農林水産基本政策の件を議題にして、引き続き農林省の各局長及び長官の説明を聞くことにいたします。なお本日は、できれば午前中に畜産局、水産庁及び蚕糸局関係を、また午後に食糧庁、振興局及び農地局関係を聞いて、この件は本日をもって終りたいと存じておりますから、よろしくお願い申し上げます。  では、畜産局長から説明をお願いします。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) お手元に畜産局の大体の様子を書いておきましたパンフレットをお配りいたしておきましたので、それによりまして御説明さしていただきたいと思います。  畜産局の現在の予算は一番終りに一括表を掲げておきましたけれども、三十一年度におきまして十九億一千五百万、三十二年度の予算といたしまして二十億五千八百万をお願いいたしております。その内容その他につきまして御説明を申し上げたいと思います。  畜産局の行政といたしましては、生産面におきまして、無畜農家の解消を目的としましての有畜農家創設事業、あるいは集約酪農地域の建設事業、それからジャージー種の乳牛を導入いたして参るというような事業を実施してきておりますが、そのほかに従来から、種牛といたしまして、基本的な問題としての改良増殖の問題、あるいは飼料自給度の向上の諸施策等を考えて参っております。また流通面におきましては、これは少し全体の施策から申しますとおくれていっておりますが、昨年制定していただきましたところの家畜取引法の施行をはかっております。そのほか枝肉取引につきまして、市場取引の公正な取引ができますように、補助金あるいは見返円等の導入をはかりまして、行政的指導を現在いたしておるような状況であります。そのほか、濃厚飼料につきましての需給調整対策等をいたしております。  三十二年度からやります新しいものといたしましては、従来の施策に引き続きまして、寒冷地の畜産振興対策のための家畜導入、あるいは輪作形態の確立というような問題、あるいは中小農家の経営の安定を目標といたしました中小家畜を中小農の所に貸与いたす方法等を考えております。  この別表に掲げておりますような機構を持ち、全国に種畜牧場十五を持ち、そのほかに家畜衛生試験場、動物薬品検査所、さらに、それぞれの港あるいは飛行場等に動物検疫所を所管いたしております。  畜産の現状を申し上げまするというと、三十一年二月現在の一番新しい数字で申しますと、乳牛が約五十万頭、役肉用牛が二百七十万頭、綿羊が九十万頭、豚が百二十万頭、大体の数字でございますが、その程度に達しております。これは戦前の昭和九—十一年に比較いたしますと、乳牛が三倍、役肉用牛が一・八倍、そのほかのものに関しましても二、三割の増加を示しておりますし、綿羊に至りましては戦前の二十倍に達しております。  さらに、これを畜産物の状況から考えまするというと、枝肉の生産量が二十七万トン、牛乳の生産量が六百十五万石、鶏卵の生産量が六十六億個に達しておりまして、ことに問題になりますのは、畜産の動物家畜の増殖比率に比しまして、それから生産されまする畜産物の生産量の増加の比率が高い状況になっております。これは、各家畜の個別の品質の向上がこの間に行われておるということに相なろうかと存じます。  これらの増産の状況に相対応いたしまして、消費も今のところごく順調に増加をいたしておりまして、昭和二十六年の畜産物の一人当りの消費量を一〇〇といたしますと、三十年度におきましては肉類が一六七、牛乳乳製品が一九六、鶏卵が一六七というような状況になっておりまして、魚類の増産、消費比率に比べますと、一一三という魚貝類の状況に比較しまして、著しい増加を来たしております。しかし、これは基本的な基礎になります数字等の大小の問題もございますので、何でございますが、これらの比率といたしましては相当大きな状況を示しております。今後の見通しでございますが、これはいろいろとその線に上り下りが、従来の例から見ましてもあるのでありますが、基本的には、今後も国民総所得が増大いたして参るでありましょうし、また国民の食料の嗜好といたしましても、畜産関係に対しまする嗜好が増大いたしておる現状でございますので、そういう基本的な態勢に対応し、さらに畜産物の流通過程におきまする合理化を通じまして有効需要を喚起して参りたい、かように考えております。  さらに、これは畜産面からだけの議論でございますが、最近特にこの畜産が、農家経営との結びつきの問題が非常に重要視されて参っておりまして、これらの点からも今後施策を進めて参りたい、かように考えております。  従来やっておりまする畜産政策の概要の個所について申し上げたいと思いますが、その中のおもなものについてだけ申し上げたいと思います。  畜産技術指導の点でございますが、これは昨年度、昭和三十年度から、畜産会という畜産関係の諸団体を統合いたし、その諸団体みなが会員になりましたものを作りまして、そして、そこで全国二千三百人程度の各加盟団体からの技術者に集まっていただきまして、その諸君により畜産農家の経営診断の事業を開始いたしております。まだ一年の経過しかたっておりませんし、そのやり方等につきましても、難易それぞれの問題がございますが、今後これらの畜産経営の技術診断をいたしまして、農家経営の中に入りまする畜産技術の向上あるいはそれに対します指導の助けにいたしたいと考えております。  さらに、三十二年度から、乳牛を中心といたしました栄養障害防除事業をいたしたいと考えております。これは乳牛を飼養いたしております場合に骨軟症の状態でありますとか、あるいは乳質の下落の問題でありますとか、あるいは不妊牛——受胎をいたさないような状況というような栄養障害の牛が、かなりふえて参っております。これを数年来診断等をいたしまして、あるいは原因等を追及いたしまして、試験研究を進めて参りまして、割合に簡単な方法でこれらのものの診断が可能になって参りましたので、これらの方法を用いまして、全国において乳牛が非常に栄養障害を起しておりますような地区に対しまして、全国五百五十カ所の家畜保健衛生所を中心といたしまして、栄養障害の診断をいたしたいと思います。その診断の結果に基きまして、これらの牛の飼養状況の改正と申しますか、改革を各農家に対して指導して参りたいと思っております。これが三十二年度からいたしまする新しい事業の一つでございます。  それから家畜の改良増殖の問題でございますが、これが従来やっております畜産の一つの基本のテーマでございますが、これは現在全国に十五の国営種畜牧場を持っておりまして、これらの牧場はそれぞれ専門の、鶏なら鶏、乳用牛なら乳用牛というように、専門の家畜を持っております。これらの所で改良用原種の家畜を作りまして、これらを計画的に配付いたしております。さらに各県に対しましては、地方庁におきましての種雄畜の設置をいたします場合に、半額補助を与えまして、これらを各県へ設置いたす。それと先ほどの種畜牧場から配付いたしましたところの種畜とあわせて、改良増殖の基本的な種畜態勢を整えておるわけでございます。これらの経費としまして、三十二年度におきまして三千三百万円を要求いたしております。さらに、このほかに改良増殖をいたします種畜の検査をいたしております。繁殖用に予定いたしております種畜の検査を現地につきまして毎年実施いたしまして、不良でないもの、繁殖に不適当なもの等を検査いたしております。  それから数年来家畜の人工授精のやり方が非常に普及して参っておりますが、それらのものも引き続いてやって参りたいと思っております。また全国に五百カ所の家畜人工授精所を設置いたしまして、さらにメイン・ステーション——県の種畜場を一つ考えておりますが、これらの整備をはかっております。  それから家畜導入の事業でございますが、これは酪農振興法に基きまする集約酪農地域の設定という方式をいたしますものと、有畜農家創設事業という形におきまして導入いたしますものと、さらに集酪地帯へジャージ一種の導入事業をするというように、事業が分れております。  集約酪農地域は、すでに全国五十六カ所の地域を指定いたしておりますが、来年度におきましても三十地域程度の指定をいたしたいと考えております。  それから有畜農家の創設事業でありますが、これも法律に基きまして二十七年度から実施されておりましたものを、二十八年法律にいたしたものでございますが、過去五カ年におきまして八十五億程度の融資をいたしております。そのために利子補給といたしまして七億程度の経費を出しております。三十二年度におきましても、引き続きこれらの事業をやって参りたいと考えております。三十二年度におきましては、乳牛二万頭、役肉用牛一万六千六百頭、馬が二千四百頭、綿羊三万頭、輸入いたしまするジャージー種の乳牛二千五百頭を予定いたしております。  それからジャージー種乳牛の導入でございますが、これは二十八年度に始めました事業で、この場合は、政府におきまして豪州、ニュージーランド等からジャージー種の導入をいたしまして、それを特定な集団地域に国から貸付をいたしております。これで三十一年までに大体四千五百頭のジャージー種乳牛を入れましで、大体試験的な段階を終りましたので、三十一年度からは世界銀行からの借款によりまして、農地開発機械公団が資金の融通を受けて、この事業を引き続いて行なっております。これは毎年約二千五百頭ずつのものを入れて参りたいと考えております。  それから次は中小農の畜産振興の問題でございますが、これは新しく三十二年度からいたしたいと考えておりますが、今まで中小以下の農家に対しましての家畜導入というものの実態が必ずしも十分にいっていないようにも思いますし、さらにこれらの方々のところで、やり方によりまして、十分に中小家畜が入り得る余地があろうと考えておりましたので、こういうような経営規模が小さい、あるいは営農開始後日が浅いために十分なあれがやれない、開拓農家になっておるのですが、それらのものに家畜を導入して参って、現金収入の増加をはかると同時に、総合的な経営能力を高めたいという考え方でございます。これは農業協同組合がこれらの中小農家に対しまして家畜の現物貸付を行い、そして肥育されました家畜あるいは卵、綿羊の場合はあるいは毛になると思いますが、そういうもので売買いたしまする生産物の販売によりまして資金を償却する。それと同時に、農協の方から考えますと、畜産物の共同販売体制が進むということになろうかと思いますが、そういうやり方の方法をとって、その場合の補助金といたしまして、これらの原畜を入れます約二割の補助を与えるという考え方でございます。これで二千七百八十万程度の経費を要求いたしております。この対象といたしますのは、短期肥育のための和牛、それから豚、綿羊というものを考えておりまして、肥育用の和牛三千頭、豚一万頭、綿羊六千頭程度のものをそれぞれ集団的に入れる。和牛ならば一グループ二十頭、豚ならば百頭、綿羊ならば八十頭程度のものを集団的に入れまして、技術的な指導をいたしますと同時に、これらのものの生産物を出荷いたしまする場合に、一つの出荷の単位に十分なり得るように考えてやっていきたいと思っております。  それから、これは農地の開拓関係でやっておられるものでございますが、家畜の問題からいいますと同様の問題が生じますが、開拓者資金融通特別会計によりまして家畜導入を考えておられる。これに対しての利子等の補給、低利の資金を貸付するという形をとっております。それで三十二年度は乳牛六千頭、和牛三千四百頭、馬一千頭の計画でやっていくわけであります。  次は草資源の対策の問題でございます。草資源の開発対策の問題は、特に当参議院農林委員会におきまして非常に強力に唱道していただき、推進していただいておるわけでありますが、どういたしましても、家畜の飼料を濃厚飼料だけに依存するわけには参りませんし、またそういうことは邪道でございますので、従来ありまする、全国で約百十四、五万町歩といわれておりまする牧野を改良いたしまして、そうしてそこに十分な優良な草を作って参りたいという考え方でございますが、それの対策といたしまして、一応牧野の対象を、農家の集落に近く、大体二キロ程度の近くのことを考えておりますが、そういう所で十分に家畜の飼料として利用度の高いものを高度集約牧野と考え、それらは牧草を植えるという考え方、さらにもう少し遠い所のものは、これは自然にはえておる野草の生産量をふやしていく、こういう考え方で、改良牧野と称しておりますが、さらにいろんな地方と申しますか、土壊侵食等を防ぐための保護牧野等に分ちまして、特に高度集約牧野、改良牧野の改善をはかりたいと考えておるわけであります。  これは、この事業は二十八年、二十九年から特に行われておりますが、高度集約牧野におきまして六千五百町歩、改良牧野におきまして二万九千九百町歩程度のものを、二十八年、二十九年で改良いたしておりますが、三十年度からは、さらに集約酪農地域指定地内のこれらの草地を改良いたしまするために、それぞれトラクターの設置を各県に補助をいたしておりまして、この草地の開発をはかっております。  三十一年度からは四カ年計画で、これらの草地改良の計画に先行いたしまして、牧野の土壊調査をやっております。さらに牧野改良のやり方を若干変えまして、高度集約牧野、改良牧野について県が直接設計指導監督をいたします展示圃を設置して、実際にその効果を発揮する方法をとっております。これは三十二年度も引き続きやって参りたいと考えておりますが、三十二年度からは特に北海道の湿地牧野の改良、牧野の中の湿地におきまするものの改良をテスト的にはかって参りたいと考えまして、その地点に新しい展示圃の計画を考えております。で、これらの計画を進めておるわけでありますが、国の種蓄牧場にはこれらの牧野改良のセンターといたしまして、現在八カ所に牧野改良センターを三カ年計画で設置いたしまして、三十一年度におきまして大体この設置を完了いたしました。三十二年度におきましては若干の機械等の整備をいたして参りたいと思います。これらのものは牧野改良のセンターとなりまして、県の指導をし、さらに委託がありますれば出て参りまして、実際の改良に従事いたしていく。  さらに、自給飼料の問題でございますが、この問題は、飼料作物種子の確保がまず第一に問題になると思います。現在国立の種蓄牧場の中に、飼料作物の種子の原種圃を作成いたしております。大体二百五十町歩に達しておりますが、この施策を三十二年度も引き続いてやって参りたいと思います。ここらでできました優良な原種は地方の採種圃に行きまして、そして採種圃から作成されました種子がそれぞれ農家に渡る、こういう形になっております。採種圃設置等につきまして、補助金を出しておる現状であります。三十二年度からは、従来この牧草の研究は非常におくれておりまして、不満足の点が非常に多いのでありますが、三十二年度からは種畜牧場におきまして、その地方の適当と思われる牧草の系統比較試験を行いたいと考えております。それから飼料作物の増産をいたしまする場合、その耕地の利用が問題になって参ると思います。今まで草のはえておりました草地の牧野等を改良いたします場合は問題は少いのでありますが、従来の畑地にえさを植えます場合には、これは農業経営の基本的な変換になると思いますが、その点の問題をも解決しなければならないのでありますが、そのために、あるいは牧野の改良をも含めまして飼料の自給度を高める必要がございますが、集約的な酪農の行われておるような地帯、またそういう余裕のあるようなところに、二十九年度以降に飼料自給経営施設の設置をいたしまして、これを助成いたしております。三十一年度までに百七十五カ所に及んでおりますが、三十二年度におきましても二十五カ所の新しい設置をいたして参りたいと考えております。これらは単に草をはやすというだけではなくて、それの利用、貯蔵のためのサイロの建設、カッターの購入、あるいは簡易な乾燥施設等の指導も同時にやって参っておるわけであります。  それから次に、家畜の病気の対策の問題でございますが、これは家畜伝染予防法に基きまして、海外から参りますものには、それぞれの動物検疫所を港あるいは飛行場等に設けまして、海外からの防疫の事務に従事しております。国内的には、都道府県が予防注射あるいは検査を行う等、あるいは屠殺命令を出すというようなことをやるわけでありますが、それらに対しまして経費を負担いたしてやって参っております。昭和三十二年度におきましては三億八千万程度の経費を要求いたしております。さらに、これらの動物用の医薬品の検査機関といたしまして、動物医薬品検査所を新しく昨年度、三十一年度から独立いたしまして、これら動物に使いまするいろいろな薬品の検査とその品質の維持に努めて参っております。  次は、家畜及び畜産物等の流通対策の問題でございますが、この部面は、ほかの特に穀物等の状況に比しますと、非常におくれた部門がある状態でございまして、これらに対しましての対策はいろいろと今後ともに考究していかなければならぬと思いますが、前の国会で成立いたしました家畜取引法に基きまして、全国の家畜市場のやり方を、せりあるいは入札というような、いわゆる明示の方法でやる制度をとったわけでございます。さらに家畜市場の登録をいたしますとか、あるいは生産地におきまする家畜市場の再編整備というような点につきまして、この法律に基いて運用をいたして参っておるわけであります。  さらに、ここらで取引されましたものは生体の、生きた家畜でございますが、この家畜が肉となりまして取引される場合におきましても、これらの改善の余地はまだ大きいと考えておりますが、大都市におきまする市場のやり方を改善いたしたいと考えまして、東京都におきます芝浦屠殺場に付属いたしております施設等、このやり方を改善し、その施設を拡充いたしますために、補助金を出しております。さらに三十一年度の余剰農産物の見返り資金の中から二億七千万を融資いたしまして、横浜、名古屋、大阪等の大都市約六都市に対しまして、枝肉の取引市場の設置をいたして、その融資をはかっておるわけであります。さらに食肉処理加工施設につきましても、まだ改善の余地が多いと考えられますので、主として生産者団体がやりまするところの食肉処理加工施設の大規模なるものに対して融資をいたして参ったわけでありまするが、これらの融資をいたしましたものはまだ実現をみておりません。これは現在、それぞれ計画をいたしあるいは建設途上にあるわけであります。  それから乳製品の需要増進の対策でございますが、現在のところ、乳製品の需給関係はむしろ好調な状況を呈しておるわけでありますけれども、この脱脂粉乳あるいはバター等につきましていろいろ問題が生じる可能性がございますので、昭和三十二年度におきましては、従来脱脂粉乳のみやっておりましたもののほかに、新たにバターを対象品目といたしまして、学校給食あるいは病院等の特殊な用途に対しましてそれらのものが向けられる場合、一定の補助金を出して参りたいとかように考えまして、三十二年度約一千万を要求いたしております。  それから流通飼料の需給及び価格安定の問題でございますが、これらは飼料需給安定法に基きまして操作をいたしております。三十一年度におきましては大体順調に推移しておったのでありますが、昨年の十一月ぐらいから、ふすま等が急激に高騰いたしましたのは、はなはだ残念でございますが、それに対する対策といたしまして、漸次民間に売り払い、あるいは海外からの輸入を鋭意はかっておる現状でございます。三十二年度におきましても、引き続きまして、ふすま八万トン、トウモロコシ及びコウリャン九万トン、小麦十四万トン、大豆七万トンの買い入れ計画のもとに、需給安定をはかって参りたいと思っております。これらはそれぞれ、三十二年度におきましても約七億円の差損が予定されるわけでございます。これらは現在食管予算の中で、これらの差損を計上いたし、これらの食管特別会計におきまして計上運用をされておる状況でございます。  それから飼料の品質改善の問題は、昨年の国会に品質改善に関する法律の一部改正が通りましたので、それに基きまして、品質の悪いものに対しましての検査等を行なって参っております。  それから新しい対策といたしまして、寒冷地における畜産振興の問題が三十二年度新しく提起されております。これは、畜産は何も新しく今言わなくても、寒冷地に対しまする対策として重要な対策でございますが、特に北海道等の冷害、東北等の冷害等にかんがみまして、寒冷地帯に対する農業経営を確実なものにいたしまするための対策の重要な一つとして、畜産の導入をはかって参りたいと考えております。これは国有貸付の方法で、乳牛三千、和牛二千を農家に与えたいと考えるわけですが、これは従来のやり方と目標は少し異なりまして、その農家経営の中における飼料の自給度を高くして、従って、輪作体系と申しますか、そういう一種の経営内容の転換を強力に行おうという、そういう意図を持っておりますが、農家の一定の集団に対しまして補助と、貸付をいたしまして参りたいと、かように考えております。これをそれぞれのグループに考えておりますので、乳牛三千を、二十頭を一つのグループと考えて百五十群、和牛につきましては、同じく二十頭で、百群の農家群を設定いたして考えております。このための経費二億四千五百万円を三十二年度の予算としております。さらにこれらの農家におきまする労力の問題、あるいは土地振興による改良をいたしまするために、これらの貸付の制度と貸付のやり方と両々相待つ意味におきまして、営農機械の貸付をやって参りたい。これは機械センターを作りまして、やって参ることに相なっておりまして、振興局の予算として一億六千万程度が別途要求されております。もちろん、これらの農家群に対しましては、サイロ・カッター、畜舎等の施設の融資を考えておるわけであります。  そのほか、畜産関係の金融につきましては、畜産共同利用施設としての酪農施設、家畜市場、食肉加工施設等々につきまして、それぞれ融資がございます。さらに、牧野の改良に関しましての融資等、新農村の対策としての中にもそれぞれございます。  畜産に関する試験研究と畜産統計の問題でございますが、これは農林省の中のやり方といたしまして、畜産試験研究は、家畜衛生の関係を除きまして、従来振興局の方で扱っておられたのでありますが、昨年の六月に畜産局におきましても、振興局と並びまして、発言をすることになって参りました。これは農林水産技術会議で今後統括をとられることとなりますが、畜産の試験研究の分野におきましては、ますます重要度を加えて推進して参りたいと考えております。今考えておりまして、農林水産技術会議の方でやって参りたいと考えておられますのは、草地造成に関する研究、家畜の栄養に関する研究、家畜の育種に関する研究等がテーマに上っております。具体的には、従来農業技術研究所でやって参りました家畜の人工受胎の研究、それからえさの品質改善の問題、それから種牡畜の精子をマイナス六十度くらいのところの超低温で処理いたしまして、かなり永続的に保続する研究、ミツバチの生産性向上等の研究等が予想されております。家畜衛生試験場におきましては、家畜の栄養障害の除去、パラチブスあるいは馬の伝染性貧血の研究、あるいは国際的のブルセラアジアセンターの拡充等を考えております。種畜牧場におきましても、従来試験研究という形に少し縁がなかったのでありますが、家畜の飼育でありますとか、あるいは草地草生研究というようなことを、今後やっていくようにいたしたいと考えておりまして、さしあたり寒冷地の畜産振興の一つとしまして、福島の種畜牧場で、役肉牛、豚、めん羊等の放牧をいたして、それの保育の程度で草地の改良程度というものの実地試験をして参りたいと考えております。  それから統計の問題でございますが、従来畜産の統計としまして、家畜の基本調査、牛乳生産費調査、畜産経営調査、家畜及び畜産物取引調査というようなことをやって参っておりましたが、まだまだその精度におきましても、規模におきましても、不十分な点が多くありますし、乳牛及び牛乳の製品のこれらの需給関係を考慮いたしまする上において、必要なる牛乳の生産量の予想調査を三十二年度からいたして、どの程度の牛乳が生産されるかという予想をいたすようにいたしたいと考えております。さらに牛乳生産品の調査の対象を従来非常に百七十戸程度、非常に少なかったものをもっと多くいたしまして、四倍程度に増加いたしまして、もう少し詳しい調査をいたしたいと考えております。さらに三十二年度におきましては、全体的な調査をいたすために畜産センサスを行うことになっておりまして、これらは別途統計調査部の方で予算を計上してやっていただくように相なっております。  その次に掲げましたのは大体の予算の概要でございまして、一番当初に御説明申し上げましたことであります。  以上畜産局の大体のやっております仕事の概要を説明いたしました。

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) 以上の説明に対して御質疑の向きは、御質疑をお願いいたします。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 畜産局全体については、なおあらためてお聞きしたいと思いますが、この際、ちょっと簡単な事柄で、文部省との関係についての問題をお聞きしたいと思います。それは例の学校給食の問題、いなかを回わってみますると、学校給食というのがなかなか伸びない。その理由にはいろいろあるようでありますが、とにかくパンというものは、味の悪い大きなものを配って、子供は残して帰る。これが第一点。それからもう一つは、脱脂粉乳がどうも子供の腹にうまくぴったりこない。よく下痢をする。これはまあいろいろあるのでしょうが、こういうようなことが言われておる。まあ畜産の方に直接関係のある仕事は、要するに畜産の改良をやるのも、まあ取引の改善とか、でき上ったものをうまくこれを消化していく。少し生産過剤になれば、すぐ頭打ちになるというようなことが、よく考えられるのです。そこで非常な地味な話ですが、やはり学校給食というものができた以上、これをうんと伸ばしていかにゃならぬと思うのです。その場合に結局、今申し上げたような簡単な例ですが、基本的に学校の方では、どうも給食に対しては、他の副食物は別としても、主食になるパンと牛乳の問題について非常な隘路であるように聞かされておる。私は、これは文部省をこの農林水産委員会へ呼んで、畜産局の方とあわせてお聞きしたいと思っておるのですが、そういう問題について、簡単でよろしいから、一つ御意見を聞かしていただきたい。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) 学校給食の問題は、御指摘の通りに、私たちは実は非常に重要に考えております。と申しますのは、これは今後どうなるかわかりませんが、やはりあれだけのところで、乳というものに親しんで、そういう食生活ができる、食習慣ができるということ、これは将来非常なやはり潜在的な新しい需要の関係になると思います。さらに、外国の例でもございますが、牛乳の過剰問題が起きました場合におけるやり方はいろいろあろうと思いますが、その際における学校給食というものの存在は、これは相当大きく考えられる余地があるわけで、これは外国の例もあるわけですが、そういうようなことから考えましても、学校給食に対しまして私たちは実は重要な関心を払っておるわけであります。で、御存じのように、学校給食で作りまする脱脂粉乳というものはほとんど全部、主としてアメリカ、今年度はオランダから若干入れました。そういうような状況でまかなわれておりまして、これは今のところ非常に安い価格で入っております。これに対しまして国産の脱脂粉乳は若干高いのでありますが、とにかく国産脱脂粉乳を若干でも使おうということで、二十九年、三十年、三十一年に続けて参っておりますし、これは三十二年度においても若干のものを補助を出しましてやって参りたいと考えておりますが、今のところ、幸か不幸か、国内生産によりまする脱脂粉乳の需要というものが非常に学校の給食以外に強いものでありますから、品がすれのような状況であります。従いまして、実情を申しますと、年度当初に予定いたしましたような国内脱脂粉乳が学校給食の方に行かない状況になっております。値幅が非常にあるものですから、それだけ業者が、補助金を与えましても、自分のところで負担をする段階になっております。そういう関係から、あまり大きく伸びておりません。これは今後の問題といたしましては、やはり学校給食のところにそれぞれのものを供給するほど、生産が伸びなければならぬと思いますが、現在のところ、そういう状況でございます。  さらに、去年だったと思いますが、いろいろ国会の御要望もありまして、高温殺菌の、牛乳の殺菌処理の機械設備の補助を出すということになって、文部省の方からそういう補助が組まれたことがございましたが、これもそれぞれ行われておると思いますけれども、現場における要求は現在それほど強くはないような状況でございます。今のところは、大体そういう関係でございます。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 現状を承わるというよりは、学校給食をもっと伸ばすという点の隘路をどうして打開するかと、こういう問題について、これは畜産局にも私は大いに責任があると思う。そこで来年度は、余剰農産物の関係で、脱脂粉乳があまり入ってこない。しかし、まあ要求がないからと。これは言葉尻をすぐ取り上げるようですが、パンの問題でも、今申し上げた通り、それから牛乳の問題になると、生乳を、出たそのいいものを、水の入らぬそのものを飲ませば、これは子供は非常に喜んで飲む。ところが、今学校でやりよる脱脂粉乳は、これは非常に子供が好かない。だから、私はその生乳の問題をもっと増殖とあわせてもう少し研究してもらいたい、こういうことを希望申し上げたいのです。これは一ぺん機会を設けて、委員長にもお願いをして、文部省との間でともどもにもっと研究を進めるということに、ぜひお願いいたしたいと思います。同時に、他の省の所管といわずして、やはり畜産の問題は、せっかくできておるのですから、この辺から打開していく。同時に、牛や小家畜についての飼育の研究を学校にもやらせるというようなところが、将来畜産を大いに伸ばしていくということじゃないか。  それからついでですが、先般スコットランドの畜産の増殖計画を見て参りまして、とにかく力の入れ方というものが、イギリスのごとき工業立国であっても、思い切った増殖計画をもって補助金も出す。まあわれわれの認識の足らぬところもあったのですが、もっと、国民の栄養の点からいくと、本年度はまあ畜産に相当力を入れておられますけれども、この予算を見ても、どうもトンボの尻冷しのような感じがあって、ちょぼちょぼやって、少し色をつけたというくらいな程度で、これではなかなか伸びぬのじゃないかと思うのです。まあカロリーを基準にした畜産政策というものをぐんと立てて、そうして増殖してもらいたい。この基本はやはり、子供の時分からの隘路から打開せぬと、あれはもう父兄から、畜産に対しては、どうもパンも残すんだと、牛乳も下痢するのだというような考えを持たしたのでは、畜産は伸びようとしても伸びぬと私は思うのです。そういう問題を今後御考慮願いたいと思うのです。時間の関係もありますから、本日は答弁よろしい。希望だけ申し上げておいて、あらためて一つ文部省とお立ち会いで、御意見を聞かしていただきたいと思うのです。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) 簡単に一つだけ。実は酪農に対しましては、今乳牛の生産は、私たちの技術的な観点から見ますと、フルに伸びております。九七%程度のものを、受胎させまして、これはフルに伸びております。これ以上に伸ばすということになれば、海外から乳牛を持って来る方法をとるか、それとも別途の方法をとるかということになるかと思います。で、海外から入れる方法は、今二千五百頭のジャージーを豪州より入れておるわけでありますが、これをさらに入れるということ、ホルスタインでも何でもよろしいですが、入れるということ、これも一つ今後研究すべき問題だと思います。しかし相当な、船腹等の問題等でコストがかかることは、覚悟しなければならぬと思います。  それからもう一つは、和牛に乳牛を産ませる方法はないかという問題でございます。これが今畜産試験場でずっと引き続いてやっておりまする人工受胎の方法でございますが、これはまだ実用の域に達するにはかなり遠いのでございます。しかし、これも可能性がないわけではないのでありまして、研究を続けていかなければならぬと思いますが、乳牛につきましては、今のところそういうふうに、生産するというだけの観点から見ますと、フルにやっておる現状でございます。ただ、質のいい種付をいたしまして、乳牛その他優秀な子供を産むということにつきまして、これは従来ともにやっておりますが、ますます研究しなければならぬと思います。  絶対頭数の問題につきましては、国内の生産に関しまする限り、今のところ大体フルの状況になっておると思います。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 そういうと、いろいろ研究を進めれば、だんだんほかに申し上げることもあるのですが、ただ乳牛の問題でも、農業経営自身からいきますと見方もありましょうが、たとえば私は内閣委員会で出先の統計事務所へ行って調べてみると、農業経営は、相当乳牛が伸びておる所であっても、一年間の農業経営の安定性からいきますと、酪農農家というものはやはり乳の工程が非常に長い。そこで三年ほどの平均をとってみると、必ずしも酪農経営者というものが安定農業経営だということはいえないという結論が出ておるのが、これは農家経営調査をごらんになれば、一律じゃないと思いますよ、しかしそういうようなことはやはり、これはフルに伸びておっても隘路があるのだろうと思います。  それから乳牛の話がありましたけれども、食生活の改善からいえば、たくさんの問題がある。これは戦後の情勢は御存じの通りですから、これは取引改善のこともお考えになっておりますが、もう少し、ちょっとお考えぶりが、大蔵省——あなた方のお考えはそうでないかもしれぬが、大蔵省の認識も足らぬのじゃないかと思う。豚の問題でも、取引で行き詰まる。品物がそろわないで、飼育してみたがどうもうまくさばけぬ。さばけても、やはりたたかれる。そこでしっかり飼うのには、委託ででもやったらいいという考え方を持つ人もあるということなんかも、一つ基本的にもっと積極的にやってもらいたいということを希望を申し上げまして、ほかにもあるようですから、きょうはこの程度にとどめたいと思います。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 今の枝肉の取引所を置くということは、具体的にだいぶ進んでいるのですか。何か新聞なんかで見ますと、行き詰まってどうもうまくいかないらしい、こういうお話を聞いておりますが、この取引方法、これはどういうような方法になるのだか、ちょっと……。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) 枝肉の取引、この東京の芝浦市場等の問題に限定して申し上げますと、一つは、現在の屠殺能力と申しますものが、大家畜で三百五十頭程度がフルの状態であります。豚は相当な数になりますが、大家畜でその程度です。東京の人口の消費増に比べますと、とにかくそれだけの屠殺能力では少くなっておりますので、これを拡大する必要があると思います。これは芝浦だけでなく、ほかにもできてもけっこうですが、その点が一つあるわけです。  それからあとは取引の内容の説明ですが、取引の内容といたしまして、現在行なわれておりますのは、屠場から出ましていわゆる骨付の大きな肉——枝肉と称しておりますが、になって参りまして、そこで仲買と卸、小売と仲買というものが取引しておるわけであります。これは慣習上、いわゆる昔のふところの中でやる取引になっております。相対取引で、ポケットの中に手を突っ込んだり、すその中に手を入れてやるやり方であります。このやり方は、やり方としては一つの意味はございますが、産地の家畜市場が相対取引から、せり、入札の公開取引に昨年の法律できまったわけでありますが、それと同様に、枝肉の取引に関しましても、やはり公開の取引がされて、その相場というものがはっきり明示されることがやはり非常に重要なことではないかと思います。これは単にそれだけではないと思いますが、やはり取引のやり方としてはそこが非常に大切な一つの行き方ではないか。で、さらに、そういうことで、生きたままの家畜を東京に運ばないでも、枝肉の取引とかそういう取引でも、公開取引で行われるということになれば、各産地で倒しまして、冷凍施設その他の、冷凍列車あるいは冷凍トラックというようなもので、どんどん産地から枝肉としての肉が東京に入ってくることが当然考えられるわけであります。そういたしますと、輸送能力の上からいきましても、あるいは輸送中生きた物でありますれば、当然やせて参ります。そういうようなことであります——というようなことも解決されるのじゃないかというような観点から、そこの取引と同時に、それを受け入れる施設等を拡大してゆく必要がある、こういうところが問題点であろうかと思います。  現在芝浦では、そういう観点から、貯蔵庫の拡大、あるいは取引場、あるいは屠場の拡張が行われておる実情でありますが、その取引のやり方というものを、今のようなせりあるいは入札、これは大体中央市場法によりますと、そういうことに原則としてなるわけでありますが、そういうやり方、あるいは中央市場法に基いたようなやり方をやることについて、従来のやり方と相当変りますので、いろいろと関係の間で検討が行われておる、こういう実は段階でございます。  各大都市におきましても、この見返りで融資をきめました大都市のこういう市場取引、屠場、あるいは屠殺場設備、これも所々にありますが、そういうやり方でやれといっておる所が大部分来ております。しかし、これはまだ建築の設計中であります。今のところそういう状態に推移いたしております。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 その場合、今、中央市場でやっておるように荷受機関というものを作って、ああいうものでしないで、市場経営者自身が荷受機関になるという方法をとられる考えですか。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) 現在のやり方で参りますと、現在の屠場のやり方自体は、産地からだれが持って行っても屠殺を引き受けなければならぬという原則で貫かれておるわけでありますが、現実にはいわゆる卸問屋と申しますか、通常つぶし屋と申しておりますが、それが現地の方からの荷を引っぱってくる、あるいは現地から東京で受け取って、そこで仕切ったりいたしまして、その処分が、屠殺を依頼して、屠殺そのものはこれは都の係員がいたしますが、そうしてばらしましたものをそれぞれ処分して、枝肉は枝肉として先ほどの所で相対取引をしている、こういう状況になっております。まあできればこれを、家畜市場と申しますか、中央市場的にやっていただくことが私たちはいいのではないかと思っております。そこらのところは、いろいろと問題がありまして、東京都の方が中心になって案を現在練っておる、こういう状況でございます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 そうすると、まだその案はできないわけですね。案を作る段階にある……。そこで、また私たちは、これは結局生産者と消費者の問題が中心になると思うのです。肉の融通機構としてどういうものを作るかということになりますと、今のようなつぶし屋が博労から牛を買う、それを自分のところで枝肉にする。それは実際あなたの言っておる通り、せり市などは立っていないで、大体は金融関係で小売に配付している。まあそういうような関係で、非常に不合理な行き方でやっておるわけです。従って、今度枝肉市場ができるとするならば、今までの権利者はどうなるか。枝肉を扱っている旧権利者はどうなるのですか。しいて言えば、いわゆるつぶし屋さんなるものがあるいは権利者になるかもしれませんけれども、これはやっていいことになっているのでしょうか。両建になるのでしょうか。経営者即卸売の者が行なっても、これは問題はない。二重に出す必要はない。中央市場ができたときは、市場経営者は幾ら、卸売業者は幾らと、歩合を取られる。これは昔から舟板だとか何だとかというような、長い伝統を持った取引関係から、ああいうふうな複雑なものができたと思うのですけれども、これだけではどちらかが被害を受ける。今のつぶし屋さんなるものが、卸売業者としての建前をとっていけば、問題はない。何かそういう工合な一つの考え方を農林省が固めていかれるということがいいのではないかと思いますが……。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) 現在の実態は、いわゆる卸問屋と申しますか、いわゆるつぶし屋さんというものは、つぶしもするし、それから仲買もするし、あるいは小売も若干やっているという形態のものが、ある程度あるわけであります。相当あるわけです。そこらのところは、中央卸売市場法の適用をいたしますと、やはり問題は生じると思います。そこらのところをどういうふうに割り切るかというようなことは、いろいろとやはり問題が多かろうと思いますが、これはずいぶん前から議論をいたしております。都庁が今中心になって、いろいろと具体案そのものを考えておられます。もちろん、そういうようなことは、施設がありませんとできません。現在のところでは、なかなか十分できません。施設拡張が進行できる見込みと同時に、そういうことをやるという方向で考えておられると思います。具体的にどの程度のところまで話がきまっておりますか、そこらのところはまだはっきりいたしておりません。

千田正無所属クラブ

○千田正君 本年度の予算と昨年度の予算とを対比してみますというと、減額したわけですね。特に有畜営農の確立とそれから草地改良、牧野改良センター、こういう基礎的な問題の点において、昨年度に比較しまして本年度は減っておる、この表では。何かの点で調整されたのか、あるいは総括的な一応のワクをはめられた範囲内で予算の割り振りをしなければならなかったために、この面が減額したのか、その辺のところを一つ、はっきりとしてもらいたい。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) これは別に、予算のワク等の問題はございません。有畜農家創設の問題は、これは今までの利子補給が減っておるわけであります。去年でしたかの一割一分幾らでしたか、それに対して五分の金額を補給いたしまして、七分五厘という利子にして出すということになっておりましたものが、抵当金利が減りましたために、三分の補助でいいということに相なっております。そこらの計算上から参りまして、今言ったような有畜農家の方の金額の減が出てくるのであります。実態の上には問題はございません。むしろ全体の融資から見れば、若干ですがふえております。  それから牧野改良センターの問題でございますが、これは三カ年計画で八カ所の牧野改良センターの設置を完了いたしております。三十二年度におきましては、若干不足の機械を余分に実は要求いたしましてございますが、若干出ておりますが、本筋は三十一年度に終っております。そういう減が出ております。それから県に対します機械貸付の問題でございますが、これはセット数その他は同じでございますが、単価が若干減でございます。この単価減は、実際調べてみますと、今までの単価が少し、大蔵省に言わせれば、甘かった。私たちも今度大蔵省と相談しまして、若干単価を下げておりますが、それで十分に実は現品としては入手可能でありますが、そういう点で若干これは減っております。また草地改良の経費が減になっております。  そういうようなことで、若干のところで問題があるいはあるかもしれませんが、今御指摘の重立ったところにあります減は、差しさわりはないと考えております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 もう一点は、畜産会は非常に活動しているようでありますが、畜産会と畜産協同組合、この関連。地方においてはどうも、畜産会の会長というようないわゆるボス連中がはびこって、末端まで十分に農林省の親心が到達しておらないようなうらみが相当ある。これは多分に政治的な配慮が相当加わっているがごとく、われわれはそういう感がするのですが、この点は一体、将来とも今のようなままで行ったならば、あまり私は感心しない結果が出てくるのではないかと思います。ある人たちは、これは畜産会というのは結局ボス連中のトンネル会社と同じじゃないか、農林省からの金の助成なんかはみなここを通じなければ、ボスに頭を下げなければ、われわれは牛一匹も買えないじゃないかという、こういう声がある程度聞えるのですが、この点どうなんですか。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) 畜産会は、御存じの通り、一昨年の秋でしたかにできたものでございますが、御承知の通り、畜産関係はいろいろな団体が分立をいたしております。でありまして、これはやはりまずいのでございまして、何らか畜産関係の諸団体が一つのところに固まっていって、そうして畜産の振興に当ってもらいたい。それぞれ、おのおの分野があることは当然でございまして、そういうようなところから、ほとんど全部の畜産団体の者を会員にいたしました民法上の団体ができているわけであります。  そこでやっております現在までの仕事は、政府の方から補助などを出してやっておりますのは、先ほどの有畜農家の経営診断ということでございまして、これはいろいろと会員になっておられる各団体から理事者の方に集まっていただきまして、そこで診断方法などを相談しやっていただいている。その畜産会自体の職員という形ではなく、各団体から供出していただいた人が何日か働いてやっていただいて、そうしてその結果を持ってきていただく、全体がそれを利用などできる、こういう考え方でやっておるわけであります。  従いまして、三十二年度も三十一年度に引き続きまして、全体の、各県の畜産団体を含めまして、三千万円ぐらいの補助を出すことにいたしておりますが、そこを通じなければ、たとえば有畜農家の創設の補助金にいたしましても、その他の補助金にしても、出ないということは、これは全然ございません。経営診断の事業自体がはなはだむずかしい事業でございますので、それぞれの、各県の状況によって非常にうまくいっているところと、足が弱くてそこまで所期の成果を達していないところ、これはございます。御指摘の通りございます。これは引き続いて、十分にやれるようにやって参りたいと思っております。そのほかいろいろと、こういう畜産関係の全体の一つのまとまりの団体にやってもらった方がいいような仕事は、今後もやっていってもらうようにしたいとは思っておりますが、今のところこういうような、ほかのいろいろな助成措置というものが、その団体を全部通らなければならぬというようなことではございません。

千田正無所属クラブ

○千田正君 これは権力でも握ったような感を、今までの人たちは……。われわれを通じなければお前たちには助成金も何にも出してやれないのだ。ところがこういうようなのは、非常に、昔の博労関係の人たちがみんな幹部に入っているわけであります。非常に、単純な農家からいえば、牛の売り買いから馬の売り買いに至るまで、この人たちに頭を下げなければ、自分らの方で優秀なる牛も馬も買えないというような、そういう観念の誤謬があるわけであります。そういうことのないように、指導をしていただきたい。これは要望をしておきます。

東隆日本社会党

○東隆君 私は実は、畜産の関係は、安い飼料とそれからできた畜産物をスムーズに処理する関係が確立すると畜産は発達する、こういう考え方を持っておったのです。しかし大勢を考えてみると、やはり酪農にしても、その他のものでもですが、農家は卵も、あるいは牛乳の一滴も、これを金にかえて、そして結局腐った魚を買って動物資源を、蛋白を求める、こんなような形が、これが全体の状況でないかと思うのです。そういうような意味で、やはり農家の食生活を改善するということを根本に置いて、酪農の振興を考えていかなければならぬのじゃないか。それによって初めて国民の体位も向上するし、その他各般の問題が解決されていく。そういうような関係で、先ほどの島村さんの問題にしても、たとえば脱脂乳やあるいはバターに補助を与えるかわりに、生乳そのものを飲ましたものに補助を与える、こういうような形でやれば、農村においては農業協同組合その他を通して出せば、農家は一応売った形の形態をとって、知らず知らずの間に乳を飲むという習慣もできてくる。こんなような関係で、考え方が少しそれておるのじゃないかと思います。  従って、やはり農家が畜産物を、自家生産の畜産物をできるだけ食べる、こういうような態勢でもって考えていかなければならぬ。それからこれを中心に考えてくると、枝肉の市場の問題等にしても、まず考えなければならぬのは、簡易屠殺場であるとか、そういうようなものをやはり相当普及させることによって、地方におけるところの枝肉を集める、こういうような態勢も確立していかなければならぬ。そしてその上で、集まったものの余剰を中央に持ってくる、こういう形態で進めていくことによって、初めて枝肉市場の体系が確立をしていくと思う。中央ばかり整備して、そして地方の方を整備しないのでは、問題にならぬと思う。  そこで一つの提言なんですが、農家に、それならば牛肉を食わせる、それから豚肉を食わせる、こういうことは、これは今の機構では絶対にできないわけです。豚肉ぐらいは簡単だろうと思うけれども、牛肉を食わせる方法は、おそらく農家が食べるのは一番高いやつを食わされるわけです。そこで、先ほどの簡易屠殺場のようなものを持って、そして協同組合がかりにそれを中心にして考えてきた場合に、農家にちょうど貯金をするように、肉の貯蓄をさせるような形態をとる。これは農家が出荷すれば、その出荷をしたものたちでもって一応計算をして、そのうちから肉を何貫目なら何貫目というものを帳簿につけておいて、そして農家のほしいときにはそのうちから、市街地の店を通してでもいいのですから、肉を持って帰れる、こんなような態勢を作っていけば、自分のところで飼ったものを食うわけじゃないけれども、同じような態勢ができてくる。そういうような形式をとって、そして地方的にまとめていき、それから中央に持ってくる。こんなような態勢ができていくならば、その過程において、もし中央に持っていくよりも、肉をカン詰やその他の加工品にする方がいい、こういう態勢ができるならば、それもできるわけです。そんなような考え方で、できるだけ農家に食わせる、食生活を改善させる、こういうところに中心を置いて、市場関係その他を考えていけば、もっと違った形式のものができ上るのじゃないかと、こう考えるのですが、その点はいかがですか。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) それはもう御指摘の通り、農家が食べてくれないと、実はほんとうの有畜農家でないので、食糧を売ってしまって、よそから買っている農家というのは、ほんとうをいうと、やはり従来の副業畜産の流れだろうと思います。今おっしゃいますようなやり方は、私たちとしても十分にやりたいと考えております。  ただ、現在のところでは、この畜産面に対しまする農民の組織と申しますか、協同組合と申しますか、そういうものの働きがまだ程度が低いように思います。たとえば乳の問題にいたしましても、あるいは簡易屠場の問題にいたしましても、それが成功して、今のような格好でやっているところは、ごくきわめてまれであります、従来の経験から申しまして。これはしかし、当然に今後そういうように進んで行くべきだと思いますが、それには一つ、ぜひ農家の食生活自体も変えるし、また協同組合等がそういうような共通の、食肉銀行と申しますか、そういう食肉のストックがし得るような施設経営をやっていく必要があるのではないかと思います。これはまだまだ序論のところで、今後そういう方向に進んでいくことは、私たちも非常に強く実は期待いたして、話し合いもやっておる状況でございます。

東隆日本社会党

○東隆君 私は、もしそういう点がはっきりお考えになっておるならば、やはり食肉銀行みたいなものを経営するとか、あるいは簡易屠殺場を持つとか、そういうようなものに対して、国がやはり大きく施策を講ずべきでないか。それによって初めて進んでくることであって、協同組合や、それからその他の関係の発達を待ってやるというのは、これはなかなか問題がこんがらがってくると思います。だから、はっきりその方面にお考づきになるならば、私はそれを強力に進めていかれる方がいい、こういう考え方を持つわけです。私は、それはそういうふうに一つお考えを願いたいと思うわけです。  その次に、もう一つもし申し上げたいのは、畜産の指導機構ですね、これは私は、振興局の中にある改良普及員の中にも畜産関係の指導員がおると思うのです。これが非常に少いと思う。そこでこの部面を将来どういうふうに考えられておるか。それからまた共済組合関係には、獣医がおそらくまとまっておるのじゃないかと思いますが、この獣医をどういうふうに使っていくか。私はかえって、新しくこしらえた畜産会等におけるところのものよりも、現存しておるところのものを有効に使うと同時に、農業経営とマッチさせた形でやっていく形をとらなければ、畜産だけ孤立した形でもってやっていくことは、問題になろうと思う。そういうような意味で、指導機構のうちにおける技術員などをどういうふうにお考えになっておるか、それを一つお聞きしたいのですが。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) 簡易屠場、あるいはその他の畜産品の処理に対します施設は、これは現在のところ、農林漁業金融公庫等による低利融資が、これは道が開かれておるわけであります。それ以上のことにつきましては、私たちまだ十分に、実現をいたすところまでの検討はいたしておりません。従来低利融資の道は開かれておるわけであります。  それから御指摘の畜産関係の技術指導をやる場合に、現存の農業改良普及員制度というものを十分に使えという点、あるいは獣医の活躍を十分はかれというような点、全く御指摘の通りの問題がそこにあると思います。これは畜産局だけがやっているわけではございませんで、振興局の方とも十分御相談をいたしまして、現在の普及員の講習、畜産関係に対しまする十分な啓蒙をいたしまするための講習等も行なって、あるいは今後欠員が生じますような場合に、畜産関係の技術員を普及員として入れていくというような形で進めていくように、振興局当局とも話をしております。  また共済問題におきまする獣医の活動の問題でございますが、これももちろん現在非常によく働いております。これらの点につきましても、今後十分に考えていかなければならぬと思いますが、しかしその点だけでも不十分だろうと考えております。畜産会の活動は活動として、十分に活躍分野があるものと考えております。

東隆日本社会党

○東隆君 今の畜産関係の技術員は、何ですか、欠員はできたら補充するという程度でなくて、もっと寒冷地農業だのその他の形でもって、あるいは酪農化を進めるとか、そういうふうに大きな施策としてやっていく。試験場だの何だの、そういうものももちろん必要ですが、やはり技術員の拡充強化ということをやらないと、本物にならぬと思う。これは特に畜産であるとか、あるいは農業土木であるとか、そういうような関係のものは、振興局という名前のもとになっておるために、私は多少セクト的に虐待をされていると思う。農業土木関係の技術員であるとか、畜産関係の技術員を、ウエートを大きくするために、畜産局の方の関係の予算がとれないというような考え方じゃなくて、振興局は大きく予算をこのためにというような意味で、定員もとるし、予算もとる、こんなような考え方を持ってくるべきじゃないか。それによって私は相当開発されるべき面があると思います。今のままで、単に普通の農事の人を畜産の方を勉強させてそうしてやらせるとか、あるいは農業土木の関係のことを勉強さしてそっちの方をやらせるんだ、こんなようなことでもって、これからの開発の問題であるとか、土地改良の問題であるとか、それに関連して有畜農家を創設するとか、そんなような問題はなかなか進むものではないと思います。そういうような地帯があり、そういうような農村があるんですから、そういうようなところに、施設に配置をする、その定員を獲得する、こういうようなことを一つ十分考えていただかないと、私はほんとうの地についた発達はしないと思う。  それは結局、先ほどの食生活の問題にしてもどういうことになっているかというと、家畜を導入しなければならないような地帯というところは、売れば結局、一番安い値段で売らなければならぬ所なんです。距離は遠くて、ともかく輸送費ばかりかかって、そうしてしかも工場に持ってくる際に品いたみがして、そうして安く売らなければならぬ、こういう態勢のもとに置かれているんですから、従ってほんとうに酪農を振興きせなければならぬ地帯というものは、いつも置き去りにされている。それを考えて、国が大きく力を注いでやっていくということは、私はそういうような点でもって普及をしていかなければ、有畜農業の創設という仕事はなかなか進むものじゃない。近い所でもって、購入飼料でもってそうしてやって、市乳でもってどんどんさばいていった方がずっと得なんですから。従って、脱脂粉乳とバターを分離したりしなければならぬような地帯は、永久に発達しないわけです。そういうことを一つ考えて、指導の面を強化することを考えてやらなければ、私は畜産の発達ということはなかなかむずかしいと思います。  それから農家に食わせることという、そういう点です。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) 普及員の普及制度の問題は、確かに御指摘の通りの問題があると思います。これはしかし、振興局とも十分に協議をいたしてやって参ってきたわけでございますが、畜産だけの普及員という形では増員ができなかったのでございまして、普及員の現在の制度の中に当然入った形で、畜産の普及に当らねばならぬと思いますし、そういう点で大蔵省ともいろいろと交渉をされたと思います。今後ともに、その点についての強化は絶対に必要だと考えておりますので、運用の上からもそういうふうにやっていきたいと、振興局とも相談をいたしたいと思います。

田中啓一自由民主党

○田中啓一君 今日、御質問のところを拝聴いたしておりますと、大きく問題を分けまして、現在をどうしていくかという問題と、それから根本的には日本の畜産というものはどうしていかなければならぬかということについて、両面の御質問であったと思います。まあ私もむろん時間があれば両面大いにやりたいのでありますが、根本的な問題というのは、どうしても一面は国民の栄養、食生活の問題に関連し、他面は私は農業経営の中における畜産というもの、つまり他の作物と畜産とのバランスの問題で、これはまことに大ざっぱな話でありますけれども、田畑合せて日本は約五百万町歩で、一町に一匹大家畜がおると考えても五百万頭になると思うし、私はどうもその辺にこのごろ興味を持ちまして、実際農家経営の中に取り入れて酪農等をやっている連中に、片っ端から聞いておりますと、大体乳牛にして五反歩に一頭いればいい方だ、飼料もおそらく八、九割は自給できょうし、そうして出た有機質肥料というものは大へん生産力を増加する、こういうようなことで、これなども一応御見解をただしたいのでありますけれども、むしろ、ただそういう問題があるということだけを申し上げて、先ほど島村さんの御提言もありましたし、私はこの際一応本日はこの程度で打ち切って、そういったような流通の問題から、指導機構の問題から、その他いろいろ、減税の問題もございますし、根本的な問題は申し上げた通りでございますから、どうか一つ、なお残っている水産庁あるいは蚕糸局等の一応おそろいになった上で、当委員会はこれらの問題を取り上げて、そうしてとにかく一日くらいは一つやっていただく。  それには農林省の関係の局長も出ていただくとともに、あるいは文部省なり、あるいはこれは国民経済計画にも関連することでありますから、厚生省がまたいろいろな関係もありますし、食生活の面を持っているわけです。また国民経済計画の関係からいえば企画庁、そういった人たちもおいでを願って、一つじっくり腰をおろしてやる。その上でさらにまたいろいろ論議の方向をきめまして、さらに発展させていったらどうか。とりあえず、とにかくこの各局別の説明、質問会に続いて、今申し上げたような問題をお取り上げを願いたい、こういう一つ動議を提出して、御賛成を得たいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)

河野謙三緑風会

○河野謙三君 今の田中さんのお話、けっこうですが、私はこの際、もし私がお願いする資料ができましたら、ちょうだいしたいんです。それは、多少振興局の方の部類にも入るかもしれませんが、政府で正式に発表した畜産の何カ年計画というものは私はないと思うんですが、ただ、あなたの方で腹づもりで、今後五カ年なり三カ年の間に、現在の約五十万頭の乳牛を何頭にふやすか、役牛を一体ふやすのか、減らすのか、これは機械化との関係で。馬も漸次減りつつありますが、これは向う五カ年なり三カ年の間に、どういう形に馬を持っていくのか、そういう資料がございましたら、ちょうだいしたい。  それからもう一つは、乳牛の経済価値について、何か調査がありますか。経済価値というのはおかしいのですが、要するに、乳牛を農家が手に入れて、それから三年なり四年乳をとって、そうして今度売る、その間の収支計算が、現在の段階ではどういうふうな農家の黒字になっておるかという調査も私はあると思う。同時に、役牛においてもあると思うのです。そういう農家の経済から見た、特に牛ですね、役牛、乳牛に分けての経済価値、そういうものは現在どこまで高くなっておるかという調査がございましたら、それをいただきたい。  この二つですが……。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) 五カ年計画と申しますか、この資料は私たちの手元にございます。ただ、だいぶ改訂を要すべき問題が今後残っておりますが、一応見通しを立てたものはございまして、この前結論だけ出しましたあの五カ年計画の内容として、私たち持っております。これは御参考に出せると思います。  あとの乳牛の資料あるいは役牛の経済全体の見通しの問題については、少し検討さしていただきたいと思います。一部々々のものはございますが、全体としてのそれがありますかどうか、検討さしてもらって、ありますれば、すぐ出したいと思います。

河野謙三緑風会

○河野謙三君 五カ年計画というのは、過去に発表されました五カ年計画でなくて、ただいまを起点にしました向う三年なり五年の間に、たとえば畜産局長の腹づもりで、どういう方向にどの程度まで引き上げていきたい、こういうものがあるんじゃないですか。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) これは、今のところの大体の見通しは、この前の五カ年計画、大体あれで実施計画を立てております。個別の家畜につきましては、御指摘の通り、ことに乳牛につきましては、計画よりも一年くらいスピードが現在のところ早まっております。大体全体の計画は、計画と実績というものが今のところほぼ見合っております。二%くらいの違い方で、全体の計算数字も出ておるのでありますが、個々の家畜の問題につきましては、ことに乳牛の問題につきましては、異動がございます。この問題については、実は私たちの方で、部内でまた寄り寄り全体的な数字の改訂をやるべきかどうかということを議論をしておるのでありますが、今までのところは、そういう数字はございません。全体を通じましての数字はございません。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 田中さんお一人で集約してしまったんですが、私はその前に聞くことがあって、さっきから発言を求めております。田中さんの御意見のような問題については、私も全く同意見です。それはあとでやっていただきたいと思うのですが、きょう説明になった部分だけについて、お伺いいたしたいと思います。  いろいろな施策が行われますが、ある地域からこの施策を見れば、集約酪農の指定を受け、そこで援助、助成も受け、有畜農家の創設事業というのでも援助を受ける、酪農の指定地域内ではジャージーの購入もできる、それが東北において寒冷地帯であれば、寒冷地における家畜の導入が行われる、あるいは開拓者は開拓の面においてやはり家畜の導入が行われる、その当該地域の中小農家はやはり中小家畜の導入が行われる、こういうふうになるのだろうと思いますが、それらを何か全般的に統合調整して、当該地域の農家経済を高めていくというようなことについては、特にこの集約酪農の指定を受けておる地帯などは、ほんとうに総合的に仕事が実施されるということを必要とすると思いますが、これは県の畜産課あたりが全体をたばねてやっていくということになるんですか。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) こちらで説明いたしますと、それぞれ若干の目的その他が違っておりますので、いろんな導入方法があって、混乱があるように印象があるかも存じませんが、今御指摘のように、それぞれのところで地元に入りましての、集約酪農なら集約酪農の地域で考えますれば、集酪の地域の中にはそれぞれ特別の指導所を持っておりまして、全体の集約酪農地域の中のいろんな動き、家畜だけではございませんし、それぞれ草地の利用とか、開発の利用とか、そういうことが総合統一された形で進めるような仕組として考えております。それでございますので、そういう指導所、あるいは県庁へ行きますれば畜産課ということになろうと思いますが、そこらに行きますれば、今言ったような調節ができておると考えております。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 一例として、寒冷地の方で百五十群三千頭の牛を貸してある。これを指導するのは、経営管理指導するのはどこなんです。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) この寒冷地の対策につきましての県におきまする組織形態というものは、もう少し、私たちの各局の関係がございますので、局内におきましてだけではなく、各局の話し合いをしまして、官房等で今度できまする寒冷地の農業対策室がございますから、そこで最終的な決定を見ることになると思いますが、私たちといたしましては、これは機械との関係もあれば、あるいは輪作形態をどういう形にするかという問題もございますし、等々の問題がございますので、できれば県に、各関係のところの方々お集まりになったところの、そういう組織を、委員会といいますか、室といいますか、そういう組織を作っていただく方がいいのではないかというように、私たちは考えております。ただ、これは農林省といたしましても、官房の方に各局関係者が集まりまして、そしてそこで対策室を設けて出発するということにいたしております。そこにおいてきまることと思いますが、県におきましても、大体そういうような形でやっていくことが基本になるのではないかと考えております。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 こういう仕事がふえて、しかも県の方の指導する技術スタッフというものがふえていくのですか。今でさえも、集約酪農の指定を受けておる各農家の巡回指導その他、乳牛を導入しておる有畜農家の指導、それらにおいても技術陣が少いということで、非常に困っておるというふうに聞いておるのですが、特にこういう積極的な施策を行うに当って、技術スタッフのための人件費その他というものが見られておるわけですか。また、あとでお尋ねしますが、土地改良の方でも機械が入る、また集約酪農でも機械が入る、今の寒冷地の関係でも機械が入ってきますが、この機械が入っていくための技術員の増、これらの手当も十分できておるのですか。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) 技術員そのものの増員の経費は、今度の寒冷地対策の問題といたしましてはございません。その諸君の指導いたしまする機動費というと変ですが、指導費といいますか、動きます旅費、経費というようなものは計上してございます。従いまして、県内におきましての対策としては、やはりそういう施設に対する重点的なやり方をとるということになろうかと思いますが、人件費そのものの補助とかそういうことは、三十二年度予算には計上されておりません。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 次に、機械化センターといいますか、相当数の機械が各県に入ってきますが、土地改良を除いて、畜産関係の機械の方の予算は、集約酪農あるいは寒冷地の方の関係で、全体で幾らになりますか。振興局の方で入っているのも合せて、寒冷地のものは幾らになるか。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) 振興局の方の問題は振興局の予算に一応なっておりますが、国有の営農トラクターの大体におきまする経費は、一億六千万になっております。それから私たちの方は、これはどっちかといいますと、新しく草地の開墾をやるわけですが、この経費は三十二年度にいたしまして、全国の三十個所に新しく作りますから、一億五、六千万の経費が計上してあるということです。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 それの維持管理や経営は、どうやらせようという指導方針を持っておるのですが、各県に。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) この振興局計上予算の方は新しい問題でございますので、あるいは振興局の方からお答え願った方が適当かと思いますが、牧野改良の方でいたします機械は、これは県に対しまして、設置いたしまする半額、補助を与えておりまして、県の補助はそれぞれ、各草地を改良いたします地元からの要望に基いて出ていっておる、その委託いたしましてやる場合の経費が出ていく、こういう格好に相なっております。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 むろん畜産局の関係ではないと申しますか、振興局の方に一応は入っておるという、そういう機械の問題でもありますが、当初あなたの方の要求では、寒冷地の場合四千頭、二百群というような要求が出ておったと思いますが、それが結局三千頭百五十群ということになれば、寒冷地域の各郡一カ所ぐらいずつに当らぬようになるものと思われますか、しかし、一つの県内では相当数の地域が設定されると思います。その機械が入っていくのと、牧野改良の従来の機械とが、全然別個なのだ。県には県として持っていくのだけれども、県の方で別個にいかように扱ってもいいのだというような、そういう考え方なのですか。  私はこの点は一例として申したのですが、田中君がさっき言うておるような、日本農業の近代化というような立場からいって、酪農を取り入れる、あるいは機械化、共同化という重要問題の序論的なものとして、こういう施策が次々と打たれている。それなのに、こういう機械化センターというものについて根本的なお考えをお持ちになっておらぬのですか。総合的にやるというようなお考えがないのでしょうか。むろん、これは土地改良の方に行っている機械等も相当あるわけですが、それらを全体として共同管理する、集中的に使っていく、そういうような施策をお考えになっておらぬのですか。  私は暴論であるかもしれぬけれども、あとで委員会における総合的な意見発表をするときに申し上げたいと思っているのですが、今の農林省の畜産局とか、農地局、経済局、振興局、こういう割り方が、個々のこういう問題がみんな、末端現地において総合的に集約されない、そういう弊害があるものではないかというふうに、農林省機構そのものについての意見を持っているのですが、ここにさまざまな局でさまざまな問題を聞くと、農家経済の安定とか、向上とか、それが農林省の目的なんだと大臣の方針では述べておられても、やることなすことがみんな、別々の角度で、縦割りと申しますか、そういう形で、一戸の農家なり一つの地域に施策が行われて、そして全体的な調整というか、総合するというか、集約するというような点に欠ける、そういうようにさえ思っておる。これは話は余談ですが、この機械化のことだけでも、どういう構想をお持ちになっておるのか、お伺いしたい。これは別々ですか。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) 現在、県にはおそらくトラクターは、土地改良関係のトラクターもありましょうし、それから草地改良の、開墾関係のトラクターもありましょうし、今度新しく入りますものは、これは営農用のホイール・トラクターでありますが、そういうものもありましょうが、いろいろな機械が従前からあり、あるいは今後入ってくる、こういうことになろうかと思います。これは確かに一つのところで動かした方がいいじゃないかということは、一つの私たちは研究すべき問題だと思っているのです。今度も実は議論をいたしたのです。ただ現在のところ、実はトラクターの大きさなりあるいは性能なり、それからやはりやっていきまする目標なり、これは大体みな違っておると思います。この営農用に入れまするホイール、トラクターは、どっちかと申しますと、機械そのものも開墾用に使いますような大きなものとは性格は違っておりますし、またそれにつけまするアタッチメント、付属の器具も、その用向きによりましてみな違って参ります。というようなこともございますので、現在の段階におきまする問題としましては営農用のトラクターに関して、これは数地区入っていくことが考えられるわけでありますから、これは一つのセンターでやるようにしたらどうか、こういう考え方でございます。  将来の問題として、それではそういうような大きなものも、トラクターという名のついたものを、とにかく一つやったらいいじゃないか、機械化の舞台を作ったらいいじゃないか。これは一つの私たちの検討すべき研究題目だと思います。今のところ、私たちの考え方としましては、この草地改良をいたしておりますものは、草地改良のシステムなり機械なり、あるいは一年中動いておるというようなことでやっておりますので、そういうことでやっていったらいかがか、かように考えておりますし、営農用自体の問題につきましては、これはトラクターを使って、こういう形でいきますのは実はあまり今まで経験がございません。これはいろいろの問題が実はあるわけであります。少しやってみましたあとで、今の運用の問題等は考えるべき必要があるのではないか、こういうところで、今申しましたような形において運用いたしたい、かように考えております。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 時間がないようですから、小さなものをお尋ねしますが、この百五十群三千頭というものを入れる対象になる農家群というのは、どういうものか。というのは、従来やはり乳牛を入れて相当やっているところに、加えて入れていくのか。全然入っていないしろうとの農家にこれを入れて指導していく、そういうのか。それからこの三千頭は、開拓農家と申しますか、その方にも分けて入れてやるのか、一般農家だけか、この点お尋ねしておきます。

谷垣專一農林省畜産局長

○政府委員(谷垣專一君) この乳牛の問題は、三千頭でありますが、これはもちろん開拓地に対しましても入れて参りたいというように考えております。それで、これを入れますのは、そこの土地の自然条件あるいはそこの状況がどうしても必要だと。必要だと申しますのは、そこの畑作転換と申しますか、輪作形態と申しますか、そういう作付転換ということをどうしてもやらなければならぬという、緊要度の高いものということになりましょうし、またそういう受け入れの態勢ができておるものというようなことに相なろうかと思います。さらに、これは決してそういうことも期待いたしまする全農家に行くわけではございませんので、初年度におきましては、やはり展示的な効果を考えなければならぬと思います。そういう面も考え合せましてやっていく必要があろうかと思います。  大体、今私たちの考えておりますのは、少くとも飼料の自給率というものは八割以上の自給ができるような形において設計をすると。これは一年こっきりではもちろんいけませんので、何年かの計画を立てて、そして固有のタイプはそういう各戸に一頭ずつくらいにいたしましても、今後の見通しとしては、何カ年で固有のこういうふうな格好になる、あるいは七年輪作のようなところもありましょうし、あるいは六年輪作の格好になるところもありましょうし、いろいろなところがある。そういう設計をやらして参りたい。またそういうような農家には、やはりいろいろな一種の試験的な形になっておりますから、それぞれの経営の状況等を報告してもらうために、記帳の義務を持ってもらいたいと考えております。あるいは必要なサイロでありますとか、貯蔵施設というようなものにつきましても、指導をいたしまするし、またそこで融資等の方法によりまするところのやり方で、それだけの施設をある程度持ってもらいたい、こういうことにもあるいはなろうかと思います。そういう条件を満たしていく農家群を選びたい、こういうふうに考えております。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 そうすると、一つの郡に一カ所などというような、そういうやかましい原則ではなくて、やはり環境諸条件の整ったところには逐次その県内で総合的な按配の上にやる、こういうふうに了解してよろしいのですね。

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) 本日は、この問題はこの程度にとどめまして、田中君の発言もありましたし、他日機を見て質疑をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) では、さよういたします。  それでは、これで休憩いたします。    午後零時三十八分休憩    —————・—————    午後二時一分開会

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) それでは委員会を再開いたします。  引き続き農林水産基本政策の件を議題にいたします。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 資料としてお手元に「水産庁の部」農林省という薄っぺらいものと、それから昭和三十二年度の予算の説明書が参っておると思いますが、この両方につきまして説明申し上げます。予算の説明書が参っておりませんでしたら、その内容を口頭で補いつつ御説明を申し上げたいと思います。  まず第一は、漁業生産というものがどういう状況に相なっておるか、また、水産物の消費、融通というのがどういう状況にあるか、漁家経済の様相はどうであるか、漁家経済の基盤でありまする水産業協同組合というものがどういう活動をしておるか、まあこんなふうなことを総論として申し上げなければならぬのでございますが、時間の関係もございまするので、これらに関しまする内容は、お手元にお配りいたしておるものでまた別にごらんをいただくといたしまして、ごく簡単にかいつまんだ総論だけを申し上げるようにいたします。  日本の漁獲量がどのくらいであるかということを、第三ページの表2に出ておるのでありますが、十三億貫という日本の最近の漁獲量というのは、これは世界一でございます。FAOの一九五〇年の統計によりますると、日本、アメリカ合衆国、ソ連、中国、ノルウエー、英国、こんなふうな順序に相なるのでありますが、日本は第二位のアメリカ合衆国の二百六十八万トンというものをはるかに引き離しまして、四百七十二万トンという漁獲高を上げておるのであります。しかしながら日本の水産の現状と申しまするものは、生産性が非常に低い。また、地方的に業態の間において明暗の差が著しいということを申し上げざるを得ないのでございます。生産性に関しましては、日本の漁船の一隻当り漁獲量あるいは一トン当りの漁獲量は、これはアメリカの約四割でございます。また従業者一人当りの漁獲量ということに相なりますれば、約三割くらいに相なっておろうかと、かように思うのであります。また、漁獲の内容となっております漁類が、これが昭和九—十年ごろに対比いたしますると、だいぶ変遷いたしております。たとえばイワシがその当時の三割ぐらいしかとれなくなった。これに対してサンマあるいはイカ、そんなふうなものが非常にたくさんとれるようになった。イワシの漁獲の激減は漸次回復しつつありますけれども、これが要するに日本の、ことに本州の沿岸漁村を一般的に潤しておりました漁獲が非常に減って、そうして東北海区に季節的に殺到する魚がふえた。これは必ずしも沿岸漁村にとっては喜ぶべきことではないと、こういうことに相なるのであります。三ページのこの表でごらんいただきますればすぐおわかりいただけるように、大体漁獲の状況を沿岸漁業、それから沖合い漁業、遠洋漁業、この三つのカテゴリーに分けて比較をいたしてみますと、昭和九—十年ごろは、沿岸漁業の漁獲が全体の七七%を占めておりました。それが昭和三十年におきましては四七%、こういうことに下って参っておるのでございます。こういうことが漁村窮乏の一つの大きな原因になっておるのでございます。しかしながら一方におきまして、生産性の向上ということについては、漸次進歩をいたしているのでございまして、この一ページの表1をごらんいただきますれば、漁船の中で無動力船と有動力船の比率がうかがえると思うのでありますが、とにかく、毎年動力船の割合が非常に高くなって参っております。また漁船が無線電信を備え、あるいは魚群探知機を備え、冷凍設備をいたしまするものも、これも漸次その割合は高くなっているのであります。ところで、こういうふうに漁船が大型化し、操業能力を増し、漁法が改善されていくということが、一方におきまして階層の分裂というものを激しくいたしておるのであります。この漁業相互の間の調整ということには非常に苦慮をいたしているのでございます。たとえば、昨年はサンマに関しまして、大型の船と小型の船との間の対立、また北海道と内地との間の対立というようなものを、トン数によって、解禁日を大きいものほどおくらせることによって、とにかく一応暫定的な解決をいたしたのでございますが、今年は、まき網漁業と沿岸漁業との間の調整をどうするかということを解決をしなければならない時期に相なっておるのでございます。これは同時にまた山陰、山口あたりと長崎あたりとの間の地域的な調整をどうするか、こういう問題もからんでおりますような状況であるのであります。そこで、そういう漁業の間の調整をいたしまするために、漁業法及び水産資源保護法というふうなもので漁業許可の制度をしき、あるいは漁業権の免許をして調整をいたしておるのでございますが、漁業許可というものについても、また改善をしなければならないいろいろな問題が出て参っておるのでございます。  次に、漁家経済がそれではどういう状況にあるかということに関しましては、第七ページから若干ページにまたがってごらんをいただきたいのでございますが、漁家経済は、漁家経済調査の最近のデータによりますれば、若干その間に所得が伸びて参っておるのでございます。しかしながら、これを農業部門に比べましても、さらにまた都市の勤労生活者の所得の伸びに比べましても、非常におくれておるのでございまして、漁家の生活のエンゲル係数というものは、これは、都市生活者が四四・五%、あるいは農家が四九・七%、こういうふうな状況であるのに比べまして、五〇%以上を占めておる、こういう次第であるのでございます。  そこで、一体漁業者の組織いたしまする漁業協同組合というものがどんな状況にあるかということに関しましては、第十一ページから簡単にこれをしるしてございますが、全国で四千と言われておりまする単位の漁業組合の中で、経済事業を行いまする漁業組合が約八割五分あるのでございます。その平均の出資が九十万円。農協の平均出資が百四十万円見当だと思うのでありますが、その出資額が示すように、経済協同組合としての活動状況は、まだまだこれを活発に促進しなければならない状態にあるのであります。八割五分の経済事業を行いまする漁業協同組合の中で、講買、販売、利用、信用等の総合的な経営をいたしておりまするものが、約四割見当と、かように思うのであります。この漁業組合の作興を、金融の円滑化その他の面においてなお今後努力しなければならない問題が残っておるのでございます。  そこで、生産なりあるいは漁業者の問題はその程度に簡単に申し上げておきまして、水産物の流通につきましては、どういう状況であるか、これは前に返りまして非常に恐縮でございますが、三ページから六ページにかけて、これについての記述をいたしているのでございますが、水産物のなま魚としての消費というものは、これは目下停滞をいたしております。水産物の今後消費の伸びていきまする面は、カン詰なりあるいは塩蔵品というものについての、農村及び都市における消費は非常に増大しているのでありますが、しかし、とにかく加工面において、新しい水産物の利用の用途を開拓していく。その最もいい例は、マグロのソーセージでございまして、そういうふうな新しい用途を開拓していくということ以外には、どうも水産物の消費を大きく伸ばすということはなかなか困難である。ことに都市の消費状況の調査によりますれば、畜産物、乳製品等との間の消費の関連があるのでございまして、最近酪農製品の消費が非常に伸びている反面において、水産物の消費が伸び悩んでいる、かように考えるのであります。水産物の流通面におきます価格の支持というものにつきましては、水産物の商品として性質上、間接的な価格支持しか現在は行い得ない状態にあるのであります。すなわち、産地に大衆魚が一どきにたくさんとれるということに対しまして、冷凍、冷蔵の施設をふやしていくとか、あるいは輸送が非常に大きな隘路になっておりますので、これについていろいろ手配をしていくとか、あるいは昨年サンマについてやりましたように、臨時に大会社の冷凍母船を産地に派遣をして、産地の品物の保存能力を強めていくとか、そんなふうな間接的な価格支持政策の程度にしか、現在はまだ国の施策としては具体的には動いておらないのでありまして、この辺に今後われわれが御指導いただいて努力をしなければならない幾多の問題がある、かように思うのでございます。  概況は以上の程度にとどめまして、次に、沿岸漁村対策というデータのもとに、どういう問題があるかということを申し上げたい、かように思うのであります。そのために、昭和三十二年度の水産関係の予算に関連しながらお話しを申し上げたい、かように存ずるのであります。  四十一ページをおあけをいただきますと、昭和三十二年度の水産庁の予算がここに載っかっておりますが、一般行政の面におきまして、四十一ページの下から二行目の欄をごらんいただきますと、前年度二十三億でありましたものが、明年度は二十五億足らずに拡張されたのでございます。また、公共事業費の漁港に関しましては、北海道と内地と両方を合せまして、前年度漁港の修築費——災害復旧を除きました漁港の修築費といたしましては、前年度二十三億見当でありましたものが、明年度は三十一億というふうな額にふくらんだのでございます。  そこで、そういう予算が一体沿岸漁村対策としてどういう内容を持っておるかということを申し上げたいと思うのであります。で、まず第一は、水産増殖でございまして、これは内容といたしましては、内水面の孵化放流の事業及び沿岸におきまする魚礁、一立方メートルのコンクリートのブロック百個一セットといたしまして、海に沈下さして、魚のアパートを作っていく、あるいは海岸に投石し、また岩を削り、海底を掻破する、そういうことによってつきいそをやりまして、貝なり海草類をふやし得る状況を作っていく、そんなふうな仕事を毎年やって参っておるのでございます。水産増殖といたしまして、この三十七ページの一の欄に掲げておりますのは、それ以外にいろいろな費目が一緒になっておりますので、非常におわかりにくくなっておりまするが、前年度一億四千五百万円ばかりでありました経費が、明年度は二億一千万円、その経費として超過をいたしたのでございます。それは四十ページの十一、水産増殖一億九千一百万円が前年度の事業、この中で四千八百万円が有明海におきまする今年度限りの経費でございましたので、それを差し引きました残りに比べてみますれば、相当金額がふくらんだのでありまするが、その結果、魚礁につきまして、たとえば従来毎年三百カ所やっておりましたのを、明年度は五百三十カ所にふやすとか、あるいはつきいそを三十万坪の需要量を四十万坪にふやすとかいうふうな仕事の拡充が見られたのであります。ところが、一方において増殖をこういうふうに拡充をいたしまするとともに、同時に、非常に今後施策の強化をはかって解決していかなければならない問題は、三十七ページの一の(C)の欄に掲げてありまする水産業の技術改良普及であるのであります。で、増殖を進めていく、あるいは漁船を機械化し、あるいは漁類探知機等の新しい漁法を導入する、そういうことをいたしまするのには、技術の改良普及ということが相待っていかなければ、その徹底を期することはできないのであります。ところが、農林省部内におきまして、農業、林業については、御承知の通りでございまするが、水産面におきましては、専門的な技術普及員が県の試験場に配置されておりまするのが。百名足らずあるだけでありまして、ほかの部門にありまするように、地区を担任いたしまして、そしていろいろ普及上の問題の仲立ちをする、いわゆる地区普及員に相当するものはまだ全然置かれてない、こういうふうな状況にあるのでございます。そこで、今日助成職員をふやすということが非常に困難ないろいろな環境でございまするが、水産としましては、地区普及員に関する面は、研究グループを地方へ、試験場のもとに自主的なそういうグループをつけていく、そうしてその活動をつちかっていく、あるいはそれが、先達漁船という言葉を使っておりますが、試験場から魚探等の進んだ器具を貸して、そうしていろいろ研究をそこでやらすとか、そういう形で進んでいかざるを得ないのではないか、かように考えて、おるのでございます。で、人をふやす努力は、要するに専門技術普及員という程度の高いものの段階において今後努力をいたして参りたい、かように考えております。  次は、漁港に関して申し上げたいと思うのでありますが、いろいろ前後して恐縮でございますが、三十一ページに、漁港に関することがここに若干取り上げられておるのでございます。で、漁港として指定されておりますものは約二千六百ございまするが、その中で六百四港につきまして、漁港法に基きまする漁港整備計画というものを作っておるのでございます。そして、これを毎年できる限り早期に実施するということで努力をいたしておるのでございます。で、本年度の予算の状況によりますれば、一港当りの平均工事費は五百七十万円であったのであります。ところが、幸い予算が増額されまして、一港当りの工事費が大体、今年程度の新規着工で押えるといたしますれば、大体六百九十万円見当に引き上げることができたのでございます。現在六百四港の漁港の整備計画で考えておりまする事業分量は、事業費といたしまして五百十三億、国費として三百四十八億の金が要るのでございますが、今の状況でありますれば、今後、本年度の予算ベースでは九カ年でありましたものが、明年度の予算ベースでは六年見当で大体漁港の整備計画が完遂できる程度に短縮し得る見通しが立った次第であるのでございます。  漁港の話はこの程度にいたしまして、あちらこちら飛びまして恐縮でございますが、三十九ページの五に、漁業共済制度ということがそこに書いてございます。明年度は漁業共済の試験的実施をする、こういうことを心組んでおるのでございます。どういうことをするかということを申し上げますれば、農業について農業共済がまあいろいろ問題はありながらも、とにかく軌道に乗って実行をされておるというのに比べまして、自然条件に制約されることのよりはなはだしい漁業について、そういう意味の共済制度が従来なかった。ところが、この漁業共済の非常なむずかしい点は、先ほども申し上げましにように、価格の支持ということが、水産物についてはまだまだ徹底しておらない。従って、漁獲量がこれだけ減ったということを共済の事故として取り上げても、それは必ずしも漁家の収入の因子にはならないのであります。従って、正面から漁家がどれだけ収入を上げたかという、そういう問題を共済の事故として取り組んでいかなければならないというところに漁業共済の非常にむずかしい点があるのでございます。で、過去三カ年予算を計上いたしまして、最近八カ年の間におきまする漁業の経費に対しまして収入がどれだけあって、それが一体経費のどのくらいな比率になるか、こういうふうな調査をいたして参っておるのでございます。そこで一応漁業経費の八割という線で押えるとすれば、危険率は安全率を見越して大体五%程度の危険率だ、漁家収入はそういうふうな一応の計数は出ておりますけれども、これを実行するということに相なりますれば、最も困難な問題は、具体的な場において果して漁業の経費というものが把握できるかどうか、また漁家収入というものが的確につかめるかどうか、こういうことが非常に実行上の困難な問題であるのであります。そこで水産庁としましては、事務費を全部国が負担をいたしまして、委託事業として大体本格的に漁業共済を実施した場合の、地帯の約四分の一から三分の一ぐらいの見当の地方におきまして試験的な漁業共済事業をやって、漁業共済事業の実施に伴う問題点を実験によって究明していきたい、かような考えを持っておるのでございます。これが実施の主体といたしましては、まあ漁業共済の実行を非常にかねてから熱心に運動して参りました全国水産協同組合共済会——全水協という名前で呼んでおりますが、その団体に委託をして実験をさせたい、かように考えておる次第でございます。  沿岸漁村に関連いたしますもう一つの問題は、これは予算の上には頭を出しておりませんが、水質汚濁の問題があるのでございます。水産資源保護法の条文の上におきましては、水産動植物に有害なるものの放出に対しまして、これを規制し得る根拠の規定はあるのでございます。しかしながら、水質汚濁の問題は、実はこういう法律上の権限の問題で解決し得る問題ではないように思うのであります。と申し上げまするのは、一つには、どれだけの汚染された水を流せば水産動植物に対しまして有害であるかという科学的な基準というものがまだ究明をされ、結論が出されておりません。先ほどお話し申し上げました有明海の農薬の被害の問題にいたしましても、果して農薬で漁業上の被害があったのかどうかということについては、試験研究機関の結論がまだ出てない、こういうふうな状況にあるのであります。しかも、各地におきましてパルプ工場等を建設し、沿岸漁村との間にいろいろな問題を巻き起しておるというのは、これもまた現実であるのであります。この問題は水産庁、厚生省、それから通産省、建設省も何か河川法の関係でおれの方にも権限があるのだというようなことも言っておるように、関係省にいろいろまたがっておりますので、そこで、土地調整委員会のようなはっきりとした権限を持つかどうかは、これはなお今後検討するといたしまして、水質汚濁の問題を各省の上に立って、そうしてこれが具体的な場における解決の方法を示し、また紛糾についての調停、あっせんをする機関をどうしても作らなければならない、こういう考えに大体関係省の意向がまとまって参りまして、そういう方角で水質汚濁の問題の解決に一そう努めて参りたい、かように考えております。  なお、沿岸漁村の問題の最後に一言つけ加えておきますれば、沿岸漁村の振興ということは、漁業の面だけでは解決しない、また、漁業の面におきましても、個々の部門々々の技術的な改善ということでは改善し得ないのでありまして、あくまでもそれらの総合的な経営の合理化ということを考えなければならないのであります。そういう意味におきまして、漁場の総合生産力の調査というようなことで、わずかに新しい予算もとれておるのでありますが、新農村建設というものと漁村の振興ということは非常に深い関係がある。村作り計画の上から、その漁村の経営状態を改善するために最も必要な施設をしていくということを考えなければならないと、かように考えておるのであります。今年度におきましても、そういう意味で約一億足らずの助成費が、新農山漁村総合建設の助成費の中から漁村に対して出されておるような次第であるのであります。この点については、今後ともわれわれも十分注意を払って参りたいと、かように考えておるのであります。  沿岸漁村に対する問題はそういう程度にとどめまして、次は、海洋漁業対策の問題をお話し申し上げたい、かように思うのであります。われわれは常に公海自由の原則というものを強く国際場裏において主張をし続けて参ったのでございます。ただ、今日の段階におきまする公海自由の原則というのは、沿岸領海の外において、漁業上の先進国がその持っておる漁獲能力というものを自由に発揮し得る、こういう意味においてはとうてい主張し貫き得ない情勢に相なっておるのでございます。あくまでも利害関係国との間におきまして資源の保続的生産を維持するために、科学的な基礎の上に立って、関係国それぞれ、沿岸国も非沿岸国も平等の立場において協調して漁業をしていく、こういうことに今後の日本の漁業の海洋面において進んでいく道がある、かように考えておるのであります。そういう意味におきまして、まず第一に取り上げなければなりませんのは、日米加三国の間の漁業条約でございまして、これは昭和二十七年に三国の間で締結をいたしまして、日本及びカナダそれぞれに、公海上におきまする漁業の抑止線を作って、公海上の漁業を抑制いたしまするとともに、その間に資源の研究、サケ、マスの——アメリカ系のサケ、マス、あるいはアジア系のサケ、マスというふうなものの回遊の経路についての研究等を含めました全体の資源の研究をしていく、こういうふうな条約を結んでおるのでございますが、目下、この条約に基きまする共同調査を関係国それぞれが協調して実行しており、この科学的な調査についての会議がこの三月に東京で行われるというふうなことに相なっておるのでございます。  第二は、日ソの問題でございますが、これについては、もう御説明は省略をいたしたい、かように考えております。  第三は、日中の間の問題でございまして、東シナ海及び黄海、さらに一部南シナ海は、これは日本のトロール底びき網の漁場といたしまして非常に重要な漁場であったのでありますが、それが中共が立国いたしましてから、日本の漁船を拿捕する等の事件がしばしば起っておったのであります。一昨年、日中漁業協定が、民間協定として締結されまして、昨年さらにその協約が更新され、本年第三次の日中漁業協定の交渉をしなければならない段階に相なっておるのであります。で、この協定によりまして、中国の沿岸に日本漁船の立ち入れない禁止区域を作りますとともに、さらに、その沖に両国の入漁区域を設定いたしまして、そしてそれぞれそこに入漁いたします隻数を協定しておる、こういうことであるのであります。この協定ができましてから、われわれ以西漁業という言葉で呼んでおりまするが、あの方面に出て参りまするトロール底びきの経営が非常に安定をして、漁獲量も非常に増大しておる、こういう状況にあるのであります。この協定は、先ほど申し上げましたように、民間協定でありまして、政府間の協定にするには、目下国際情勢が許さない事情にあるのでありますが、ただ、政府としましても、また関係の漁業者としても考えていかなければならないことは、中共側が非常に好意的な態度をもってこの条約に対する態度を示してくれておるのであります。で、われわれは、この好意に対してあぐらをかかないような誠意をもって日本の漁業の自主的な条約の趣旨に沿った規律をはかっていかなければならないと、かように考えておるのであります。  次に日韓の問題でございますが、これに関しましても、さらにここで御説明をいたすということを省略をいたしたいと、かように考えます。  で、次にアラフラ海の問題でございますが、アラフラ海で日本の漁船が、高級ボタンの原料にいたします、材料にいたします真珠貝の採取を戦前からずっとやって参ったのであります。昭和二十八年にオーストラリアがアラフラ海、オーストラリアの主権の及ぶ大陸だなだという宣言をいたし、オーストラリアの単独の法律を定めまして、ここで漁業をするものはオーストラリア政府の許可を受けなければならないということを規定いたしたのでございますが、二十九年に、日本とオーストラリアとの間に暫定取りきめを結びまして、そうして同年は二十五隻、千トンを目標に漁場を日本に割り当てるが、その後は毎年漁場の割当について協定をしていく、こういうことで今日に至ったのであります。ところがオーストラリア側は、オーストラリア側の漁獲量は漸次上って参っておるのでありますが、日本に対して割り当てます漁場が非常に悪い漁場でありまして、二十八年が千トン目標で九百五十七トン、二十九年が九百五十五トン、三十年が七百五十一トン、昨年は六百十一トン、こういうふうに、今割り当てられる漁場では、これはとうてい日本として希望するような漁獲を上げることができない、こういう状況にあるのであります。そこで、目下キャンベラにおきまして、本年割り当てます漁場について、通産省からも人を派しまして両国政府間の折衝をいたしておるのでございますが、それぞれの希望、あるいは割り当てようとしております漁区の操業上の価値について、いろいろ議論を交換をいたしておる、こういう状況に現在あるのでございます。まあオーストラリアとの間の全体的な国交改善ということの中で、何らかこれについての打開の道を見出さなければならないと、かように考えておるのでございます。  捕鯨の関係につきましては、日本のように鯨の肉を食う国はないのでありまして、そういう意味で日本の捕鯨船というのは、外国に比べて非常に有利な条件を持っておるのでございます。で、今年は、南氷洋に日本の捕鯨船が五隻操業いたしておるのでありますが、世界で一番多数捕鯨母船を出しておるのはノールウエーでありまして、これは九隻出しておるのであります。ところで、外国では捕鯨をやるよりもむしろタンカーとして運営する方が有利だと、そんなふうなことから、その捕鯨母船を日本に売ろうというふうな動きがだんだん出て参ったのであります。明年は確実に一隻日本の捕鯨母船がふえる、かように考えております。二隻を、心組んでおったのでありますが、そのうちの一隻については、会社側の準備が足りませんので、先に延ばしたような次第であるのであります。そこで、日本の進出及びソ連の進出に対しまして、ノールウエ一等の諸国においては非常に神経をとがらしておるような状況であるのでありますが、日本といたしましては、あくまでも現在ある捕鯨母船の譲り受けを受けても、新しくそこに捕鯨母船の積極的な進出はやらないと、こういうふうな立場をとりまするとともに、国際捕鯨条約で定めておりまする頭数及び鯨の体長制限等の条約の規定は忠実にこれを実施して参りたい、かように考えております。  最後に、日本のマグロの漁業に関しましては、これは西はインド洋、マダガスカルのあたりから、南は南太平洋サモア、フィージー島あたりまで、最近にはまた大西洋にまで進出してマグロの漁業をいたしておるのでございます。最近、大西洋でやります分は、これはイタリーに陸揚げをするのでありますが、今はとりましたマグロを全部日本へ持ち帰って、そして日本で販売し、あるいは加工をしておる、こういう状況であるのであります。で、大体八千万貫カツオ、マグロの漁獲がありますが、その中の三割は、要するに輸出用のカン詰の原料あるいは冷凍原料になるのであります。しかもその輸出の中でカン詰の八割五分、冷凍の九割五分は、アメリカの市場に依存をいたしておるのであります。で、カン詰につきましては、アメリカのカン詰の生産量の五分の一までは安い税率で入れさせるという協定ができておるのでありますが、常にアメリカの漁業と摩擦を起しますのは冷凍物の輸出でございまして、アメリカの漁業が好調である間は、日本の冷凍物はなかなか伸びにくいということでいろいろ苦しんでおるのでございます。しかし、マグロに関しましては、一方において、われわれはアメリカを刺激しないように輸出の規制をして、そしてアメリカに積極的に日本側においても消費の宣伝をしていくということとともに、アメリカ以外の市場にも日本のマグロ製品が進出することの努力をいたさなければならない、かように考えておるのでございます。  そのほかいろいろ問題がございますが、この程度にいたします。

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) 以上の説明に対して御質疑のある方は御質疑を願います。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 先ほど御説明の漁港整備に関する予算の問題ですが、予算の説明によると、継続分の三百六十五港に対して補助するということでございますが、そうすると新規分はこの予算の中にはないということになるのですか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 漁港整備計画で六百四港についての整備計画を立案いたしております。要するに、この六百四港についての仕事をいたすのでございます。その中には前年度から継続しております漁港もございまするが、なお、その年に新規に取り上げる漁港もございます。今年度は、内地につきまして二十五港、北海道五港、三十港取り上げたのでございます。明年度新規にどのくらい取り上げるかまだきめておりませんが、ある程度のものはやはり新規も取り上げていかなければならない、かように考えております。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 三十二年度で完成する見込みの漁港は幾らあるのですか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 三十二年度で幾ら完成するか、ちょっと私今ここで予測申し上げかねるのでありますが、三十一年度で完成いたしました数字を申し上げて、大体それに近いくらいのものが三十二年度にもできるとお考えいただきたいと思いますが、三十一年度で竣工いたしました漁港は九港でございます。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 そういうやり方でいって、今後六カ年間に仕上る、こういうことですね。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) その通りでございます。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 それから北海道の分は、北海道開発という形で予算が出るのでしょうが、本土分と北海道分との漁港の整備に関する費用のバランスは、これはどういう根拠をもってこういうバランスができたか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 漁港整備計画で取り上げておりますところに従いまして、それぞれ北海道にも、それから本土にも予算をつけておるわけでございます。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 そうすると、漁港整備計画で北海道、本土分を含めて整備すべき漁港について、個々に積み上げたものの積算額がこういう形に出てくるということであって、北海道開発法に基く特定な考慮は払っているのではない、こういうことですか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 北海道に対しましては、北海道は非常に立ちおくれておる、そんなような状況から、助成率の上におきましては、内地本土の漁港よりもやや有利な取扱いをいたしております。しかし、事業量の上におきましては、特に内地と北海道におきまして差等を設けるというようなことはいたしておりません。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 それに関連してですが、北海道が立ちおくれている、未開発後進地域として、こういう北海道開発法等によって援助をしなければならぬ、よくわかる。内地の方でも、総合開発法による特定地域の指定があって、漁港の整備計画というものは、それぞれ関係地域においては確定事業として決定しているけれども、予算のつけ方は、特定地域とそうでない所で、何ら促進するとか、強い助成を与えるとかいう形が現れていないように思う。東北だって、今騒がれているように、未開発後進地域としての地方が多い。漁港についていうなら、北海道と兄たりがたく弟たりがたいような現況なんです。こういう点については、やはり特定地域なり、あるいはそういう未開発後進地域というようなものが、もっと早く漁港が整備せられ、経済効果がすみやかに上るということで、特段な考慮を払うというような部分は全然ないのですか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 漁港が非常に立ちおくれておる地方はだんだんございます。そこで、そういう地方に対しまして、漁港が比較的整備しておる地域よりも手厚く予算の配分をするということによって、後進地域のレベルを引き上げるということを、予算の配分の上でいろいろ工夫をいたしております。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 予算の配分の上で工夫しているということは、個所別に多くするということではなくて、その整備の仕上りを早くするというような意味合いで年度予算というものを、補助費というものを割合大きく見るということですか。具体的にはどういうことですか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 水産庁の立場といたしましては、漁港の工事をする個所をいたずらに広げるということは、これはとるべきことではないと、かように考えております。できる限り一港当りの工事費を多くする、こういうことで仕上りを早めるということに努めたい、こういうふうな考え方で、できる限り新規も押えるようにいたしておる状況でございます。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 今やっておる漁港整備の事業関係では、衆議院の選挙のたびによけい金が出るとか、ちょっと休むとか、そういう政治的な配慮は一切今日はないわけですね。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) できる限り漁港を早く仕上げるという技術的な観点に立って審査をいたしておるつもりであります。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 ぜひそういうふうになってほしいということを考えますが、次に、海岸保全施設整備事業費補助というのが新しく出ていますが、これは内容としてはどういうものですか。また次の地方財政再建団体補助率差額というものも出ていますが、これは北海道あるいは本土を通じてのことであるのか、これも本土分だけのことであるのか、どういうことを期待しているのか、御説明願いたい。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 海岸保全施設整備事業に関しましては、海岸法ができまして、漁港区域の海岸保全につきましては、漁港の管理者がその工事に当るということに相なったのでございます。そこで、漁港区域の中におきまして、海岸を保全するために、堤防を作らなければならぬ、それ自身は漁港の機能施設とは言いがたいが、しかし、海岸を保全するための堤防工事をしなければならぬ、そういうものに対しまして、ここに予算を計上いたした次第でございますが、実は、まだこの配分等については、額が、その当初われわれの考えておったよりも少額であります。どういうふうに使っていくかというのは目下検討いたしておるところであります。それから地方財政再建団体補助の問題でございますが、これは地方財政の再建整備法、あれに基きまして、国が特定の指定された地方団体に対して特別なる率の引き上げをしなければならぬ、こういうことに相なっております。これは本土だけで、北海道は今これに該当していないように私の方は考えておりますが、なおよく調べまして御返事いたします。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 小さいことですが、海岸保全の堤防、この工事の方法は、これは水産庁の方で設計してやらせるのですか、あるいは建設省等のやっておるものでやるのですか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) これは水産庁で指導をいたしまして、工事の実施主体に設計をさせるわけでございますが、もちろん建設省が一部分やっておりまして、そしてまだ残っておる分が漁港区域の中にある、そういう場所があるようでございます。そういう場合におきましては、建設省の設計等も十分参酌したい、かように考えております。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 四国などの地盤沈下のための海岸堤防、あるいは漁港等の関係を見ましても災害復旧のための海岸等で見ても、施工せられた年度年度によって工法が違うようですね。従って、石積みで裏打ちしていないとか、あるいはコンクリートに継ぎ目があって、パラペットがひっくり返るとか、よくよけいな問題があるようですが、そういう点は十分な施設をせられるように、余談でありますけれども、希望しておきたいですね。  それからお尋ねしたいことは、これは全くしろうと流の質問ですが、漁港共済をやるという場合に、不漁対策としてのことにウエートがあるようですが、しかしまた、魚価という問題、魚価の変動に伴う損害という問題もあるようでありますが水揚げ漁港における価格と末端の価格とが豊漁であれ不漁であれ、その差額というものは非常に大きい、そういう流通面について改善していくということで魚価を安定させる、あるいは水揚げ港等における冷凍あるいは加工設備等を拡充して市場をコントロールする、そういうようなことについて、まあいろいろございましょうが、そういうことについて、水産庁として御研究になられて、その部面から漁民の生活安定というような形を考える、そういうような何か御調査がございますか。  それからもう一つお尋ねしたいことは、海洋漁業、あるいは沖合い、沿岸等、その状況によって漁船の大きさも違う、経営の規模も違う、そういうようなところから漁業労務者と申しますか、関係労働者の賃金は非常に大きな格差があると思うんです。また、漁法だけは科学的にすばらしく近代化しておるが、雇用、賃金の関係というものはもう旧態依然たるものなんです。こういう点について、水産庁として基礎的な御調査をやっておられますか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) ただいま漁業共済と関連しまして、魚価対策が非常に不十分で、それが同時にこの漁業共済をこういう形で実験的実施をするということにも相なったことを、私も申し上げておるのでありますが、先生からもただいま御指摘をいただいたのでございます。で、私は魚価対策が確かに非常に貧困であるということが、これが次の水産行政改善の最大の問題点だと、かように考えておるのでございます。で、これに関しましては、まず第一は、産地の市場というものを、これを生産者が、要するに漁業協同組合あるいは同連合会が市場を管理経営する主体になって、そして生産者の立場において、公正にそこにおける価格の形成を見守らせるということがまず第一の出発点であると、かように思うのでありますが、今日、いずれまた詳細は、数字についてはこまかく話もありますが、省略いたしますが、個所数としては、産地の共同販売所あるいは市場はほとんど生産者の団体が握っております。しかし、その取扱い業の上においてはやはり会社、個人の経営のものがまだまだ個所数の比率以上に高いものを占めている。  それから次は、ただいま御指摘のありました輸送面の問題でございます。これに関しましてはわれわれ不断に、ことに今日大衆魚が出回りまするのが、東北地方がまあ比較的——大衆魚とは言えませんが、割合質のいい魚でございますが、九州、関門地方、ここに魚がたくさん集まりまして、これの輸送を円滑にするということのために、国鉄との間に不断に協議会を持っていろいろ折衝をいたしておるのでございます。今回の運賃問題も、実はそういう観点からいろいろな問題を詰め寄っておるようなことでございます。  ただいま冷凍、冷蔵のお話が出ましたが、今日大体漁獲物の三一%見当を収容し得る冷蔵、冷凍施設がとにかくでき上っておるのでありますが、最近のこういう施設の伸びは、消費地よりもむしろ生産地に非常に伸びてきております。そういうふうな意味において、徐々に改善はされておるのでありますが、しかし、何分にも価格の形成は、大きな魚の流れになりますれば、大都会の市場で価格は形成されて、それが生産地の市場の価格を仕切る、こういうことに相なりまするので、その方面にも何らか対策を講じなければならないと、かように考えております。ただいま調査資料があるかというお尋ねでございますが、これにつきましては、われわれの方でもいろいろ調査をいたしております。  それからなお、漁業労働者に関する調査資料があるか、こういうことに関しましても、われわれの方も相当な調査資料を持っておりますので、御希望によりましてはお届けいたします。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 東北関係……本年度の予算では北海道東北開発金融公庫ですか、そういうものができて四十五億かの東北分の金が出るということですが、今お話の根拠地、そういう所に冷凍その他の施設を拡充するというような意味合いでこの金を回して使うとか、あるいは水産関係の問題に大きく金を使っていく、そういう計画は水産庁の方にございませんか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 東北開発のための計画が立案されました当時におきまして、水産庁は東北開発会社との間に、水産に関しまする総合的な冷蔵加工等の施設を東北地方にふやしていくということについて、いろいろ相談をいたしたのでございます。しかし、結局最後に、予算のワクが非常にしぼられまして、これが実施は三十二年度では困難だと、こういうふうなことに相なりまして、三十三年度からの実施に備えて、こういう方面について、さらに立地的な調査を一緒になってやるということに相成っております。そこでその他の方面におきましては、漁業協同組合等の共同施設といたしまして、農林漁業金融公庫にもワクをとっておりますし、産地において、できる限り需給調整の安全弁をふやすために、そういう施設には融資をいたして参りたい、かように考えております。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 東北興業でどこかにそういう施設を持とうという計画、があったように聞いたのですが、それが今あなたのおっしゃっている部分に該当するものですか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) ただいま会社の名前を間違えましたが、東北興業でございます。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 そうすると、開発公庫の方の金を使って積極的な施策を、どこかの県、どこかの根拠地にやらせるという水産庁の計画は、本年度においてはないということですね。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) われわれは、まだ開発公庫の金の使い方について十分なる情報を受け、あるいは検討をいたしておる次第ではございません。われわれとしましては、日本の大衆魚の出回るのは東北だ、こういうことで、その地方におきまして、ただいま一つの例として農林漁業金融公庫のことを申し上げましたが、なお、その他の資金についても、こういう施設ができることを促進いたしたい、かように考えております。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 次に話は変りますが、イギリスのクリスマス島における原爆実験の問題に関して、岸臨時総理代理は、その中止方を要請する、いれられなければ損害の補償をさせるということを、再三申しておりますが、二回も向うに申し入れ、その返事はないが、おそらくは実験実現という運びになるのでしょう。その際における損害の賠償と申しますか、補償を要求するということについては、水産庁として調査しておられますか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) ただいまお話がありましたように、われわれとしては、この実験が中止されることを、衷心から希望しております。また、どうしてもやる場合においては、損害の補償を要求することは、第一回の申し入れにおいても留保いたしておるはずでありまして、そこで、目下どの程度の影響があるかということを調査をしておる最中でございます。昨年あたりの情勢から見ますれば、影響を受ける漁船の数が、大体百隻くらいであろうかと思っておりましたが、しかし、南太平洋の漁場としての必要性というものが、インド洋方面が次第に開発されてくるに従いまして、高まって参っておりまして、いささかでも漏れるものがないように、目下調査をいたしておるのでございます。

小笠原二三男日本社会党

○小笠原二三男君 百隻としてですね、今までの漁獲高等から見れば、大体どの程度の金額になるものですか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) まだ調査の中間でございますので、お答えいたす材料をまだ持っておりません。

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) ちょっと小笠原君の御質問の漁港に関連してのお答えに、ちょっと関連して……。三十年度に完了をしたものが幾らありますか。それから三十一年度に、今年度に着手した漁港が幾らあるか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 三十年度に完了いたしましたものが、六港でございます。それから三十一年度に着手いたしましたものが、先ほど申し上げましたように、三十港でございます。本土が二十五港、北海道が五港でございます。

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) そのときに、着手したものを、できるだけ早く完成する方面に、予算は向けたいとおっしゃったが、それは当然だろうと思うのだが、三十二年度の漁港の予算は、相当ほかの予算に比べて増額になっているように見受けるのです。しかも、三十二年度に三十一年度の完了が九つもあるということになると、これは相当に、ある程度の数はやはり新しい。最小限に考えてみても、完成したものの九つは、三十二年度に新しくやるということが言えるのだが、三十一年度の、昨年の着手した三十港というようなことを考えてみると、相当やはり着手するのですね。そう考えていいのですね。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) ただいまお話しのありましたように、とにかく新規にどうしてもやらねばならぬというような緊急の事態に迫られている港も、これも無視はできないのでありまして、ある程度のものは、三十二年度において着工をいたして参らなければならない、かように考えております。

秋山俊一郎自由民主党

○秋山俊一郎君 漁家の経済という問題につきまして、いろいろ御説明ございましたが、私どもは、同じ原始産業である農業と比較してみますと、これに対する政府の施策が非常に立ちおくれているような感じがするのであります。技術指導の面におきましても、これは性格はだいぶ違いはしますけれども、農業の面から見ると、指導員の数にしましても、指導の方法にしても、まことにりょうりょうたるものである。それからまた金融の面におきましても、零細な漁家に対する金融というものは非常に不円滑で、なかなか思うように改善をするといっても、資金も回りかねる。いろいろな面において漁家経済を向上せしめる、あるいは改善するという点で、私は物足りなさを感じているわけであります。特に、そういうふうな積極面ばかりでなく、消極面と申しますか、いわゆる漁家の生活改善という問題、これは私どもは漁村一を回ってみまして、非常に何というか、全くそういうものに触れてない。もちろん、半農半漁のところでは、あるいはあとへ残っている家族が農業に従事する面もございますけれども、主として漁業をやっているところでは、その細君なり、あるいは年をとった人なんぞが、ただぶらぶら遊んで暮しているという面がかなりあるのであります。そこで、私は漁村に対して、生活改善の指導をしていくことが最も必要ではないか。亭主が魚を取ってくる、それを待って食事の用意もするというような零細な漁民も、いまだにあるわけであります。そこで、そういったようないわゆる遊んでいる労力というものを何か活用する、あるいはまた、その主婦たちの教養の面、その他について向上をはかるといったような面について、生活改善の指導員を置くということが、私は非常に必要じゃないか。ほとんど水産関係においてはそれはないのじゃないか。私はかつて長野県あたりへ参りまして、農業の、農家のいわゆる生活改善の努力を見まして、実に驚いたのでありますが、なかなかあの域までは、漁村では達しないとしましても、ある程度のモデル、ケース的なものでも作って、そうして漁家経済の一助にするといったようなことが非常に必要ではないか。そうして水産、漁業者のレベルがまた上ってくるのじゃないか。現在の状態では、まことに下の方にありまして、低級と言っちゃ何ですけれども、農民から比較しますと、非常にレベルが低い。ほとんど一番低いのじゃないかというような感じもするのであります。これは水産政策、漁業政策の中でも水産政策の上に、どうしても私は今後取り上げにゃならぬ。こういうふうに考えますが、水産庁としてそういう面についての何らかの計画がありますか。本年の予算については、何らそういうものが見当りません。また、将来それについて、どういうお考えを持っておりますか、一つ御意見を承わりたいと思います。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) ただいま漁村の生活改善の問題について御指摘をいただいたのでありますが、私が先ほど説明の中で申し上げましたように、漁村の問題は、漁業の中だけでは解決しないということを申し上げたのも、実はその点を頭に置いておったのでございます。私、地方へ参りまして、従来漁業一本であった漁業部落がイモを作り出した、そういうことによって、その生活態度の改善も期待でき、非常に漁村の作興に役に立ったというふうなことも承知をいたしておるのでございます。そこで、今年度新農山漁村作興の計画の中で、漁村が取り上げられておりまするのが、特別助成町村五百三十二の中で百十一漁村取り上げられておるのでございますが、その中で、増殖あるいは共同作業、共同加工等の面と並びまして、漁村の生活改善という問題が七件含まれておるのでございます。で、私は、ただいま御指摘のありましたように、漁村をよくするためには、その漁業経営の中でも考えにゃならぬ総合化なり、あるいは個別の改善なりございまするが、生活あるいは農業とのからみ合せ等において、ぜひとも何らかの前進をはからなければならない、かように深く信ずるものでございます。  ただ、明年度の予算といたしましては、水産庁といたしましては、そういう面につきましては、新農山漁村の計画の中で、これから出てくるもの以上には、格別の予算は持っておらないのでございますが、振興局とも十分連絡し、生活改善指導員の今後の活動の上において、漁村の問題を十分配慮させるということに努めまするとともに、全漁連等の啓蒙宣伝の中でも、この問題を強く打ち出させるように配慮いたしたいと、かように考えております。

秋山俊一郎自由民主党

○秋山俊一郎君 ただいまの御説によりますと、新農村建設の一環として、そういうふうな生活改善の指導をしていくというような御意図のようであります。また、一面農家の生活改善をやる人にもこの仕事をやらせようというような御意向のようでありますが、これは現在の漁村の実態と、また農村の生活改善をやっておる実態からいたしまして、とうていものにならぬと思います。そういう考え方は。どうしてもこれは専属的なものを置かなければ、よそにたよっておっても、これはできるものじゃありませんし、農村生活改善と、また漁村の生活様式とは、だいぶん違います。それを両方兼ねてやるということは、人手の上からも、また実際の問題からも、これはちょっと望みが薄いと思う。どうしてもこれは非常な熱心な指導をしていく人がなければ、これはもう、ただ唱えておっても、何にもならぬと思うのです。そこで今日人員をふやすということについては、非常にむずかしい時代ではありますけれども、これだけ立ちおくれておるのでありまするから、一挙に何百人も置けとは申しませんが、重要な漁村——まあ重要といいますか、そういう必要な漁村について、何%のものは逐次やっていくというふうな考え方から、もう今日ではちょっとおかしいのですけれども、もうすでに、また三十二年度の予算の編成にもなろうと思いますが、そういう際に、ぜひこれは一つ取り上げてもらいたい。そうしてこの立ちおくれを直していかなければ、漁村はいつまでたっても、なかなか浮ばれないと思うのです。そうして生活の向上ということにも、主婦自体が目ざめてこなければ、なかなかいかぬのです。そういう面に私は特に御注文申し上げておきます。  それから海外漁業の問題ですが、これは先ほど御説明がありました通り、遠洋漁業が非常に発達して参りまして、沿岸の漁獲高と、遠洋の漁獲高と、従来とは逆の形になりつつあるというふうに進展しつつあります。しかし、これが今のところ、漁船がもうその鼻の向いた方へどんどん、どんどん行くということで、すでにもう大西洋まで進出し、その陸揚げするところが、イタリーだというようなことが、構想のうちに入っておりますが、同時に、それが私は資源的な研究が非常に必要じゃないか。いつでも行き詰ってから、あたふた騒ぎをするのでありますが、そういう漁業をやると同時に、一つ資源的な漁業について調査をしておきませんと、すぐに行き詰まってしまう。もうすでに行き詰まらんとするところもあるようでありますが、この資源的な調査を、現在は行なっておるかどうか。直接水産庁の調査船、あるいは試験船が調査をしている分があるか、また試験所あたりの試験研究調査が進まれておるか、あるいはまた、民間に対してそれらの調査の一端を依頼して資料を整えておるか、その点はいかがでございますか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) ただいま試験的な調査についてどういう状況かと、こういうお尋ねでございましたが、明年度におきましては、水産資源調査については、相当程度の私は拡充を見得たのではないか、かように考えております。で、北洋に関しましては、従来サケ、マスに関して資源の調査をやっておったのでありますが、カニについては、まあ非常に不十分でありました。明年度はこの方にも相当手を回して調査をし得る、また、そのために特別なる配置をするというふうなことにいたしたのでございます。また東支那海及び黄海方面におきまする資源の調査に関しましては、目下ブラジルへ参っております東光丸と申します官船が帰って参りますので、それをして明年度中一ぱい、各方面の資源調査の活動をさせる。さらに、カツオヘマグロに関しましては、今年建造いたしました官船を使いまして、さらにインド洋、あるいは南太平洋の調査を進めていく。また大西洋方面の資源の調査に関しましても、目下官船を中南米方面に派遣をいたしておるのでありまして、そんなような態勢で、水産に関しまする資源調査を一そう強化をいたして参りたい、かように考えておるのでございます。

秋山俊一郎自由民主党

○秋山俊一郎君 だんだん資源調査が進んでおられるようでけっこうでありますが、北洋における資源調査は、日米加の協定、あるいは今回の日ソ漁業協定等によって、どうしてもこれは強力にやらなければなりませんが、私の最も必要と思いますものは、南太平洋及びインド洋方面、この方面の資源調査であります。もうすでに北洋の方は、大体見えてしまっておるのであってこれは当然やっていかなければならないし、また、ある程度従来も資料はあったと思います。ところが、今申しました南洋方面からインド洋方面についての資料は、あまりないはずなんであります。カツオ、マグロ漁業が、ああいうふうに進出していって、そうして至るところで、いろいろトラブルを起すようなことになっては、非常に遺憾である。そういう面から、私たちは資源調査を十分し、また同時に、その関係国との間の情勢などをも、十分調査をする必要がある。これは私は前にも申し上げたのでありますが、関係国にやはり水産関係に駐在員を置くとか、あるいは大使館、公使館にそういうものを置くことによって、その国の水産に関する状況をよく把握してからでないと、ただ進出していって、一方でばたばた規制を受けるようになっては、これは大へんだと思う。そういう意味から、資源調査の拡充を期待したわけであります。どうか一つ、新船一そうぐらいでは、なかなか思うようにいきませんので、私はできれば民間の漁船にも、それぞれの調査を委嘱するといったような方法もとって、なるべく早く海洋における資源をつかんでもらいたい。これは非常にむずかしい問題でありますが、やらなければ一切わかりませんから、一歩々々これを早く進めてもらいたいということを希望を申し上げておきます。  それから最後に、先ほどちょっと問題になりました漁業共済の問題でありますが、これはまだ、いろいろ作業をなさっておられると思いますが、漁業共済という中に、漁具の問題に全然触れておらないようでありますが、これをやろうとする全水共等においては、漁業共済等も一緒にやるといったような構想を持っておるようでありますが、この水産庁としては、漁具の共済というものをどう考えておるか、どういう形で考えるか、この点を一つお伺いしたい。私どもは漁具共済というものは、物に対する保険であるから、いわゆる国の再保険をつけてやらなければ、なかなか成果は上らない、かように考えて絶えずこれを主張して参っておりますが、やはり再保険制度をとらず共済制度でやって、これがものになり十分に成果が上るというお見通しがありますかどうか、その点を一つ。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 漁具に関しましては、水産庁も、予算の立案の過程におきましては、国の再保険によりまする定置等の漁具の保険事業をやろうということを研究いたしたのでございます。しかし、機運が熟さず、ついにこれを見送ったのでありますが、漁業共済の一部として、漁具の共済事業もやりたいというふうな希望は、民間にもあるようであります。ただ、民間の考えておりまする漁具の共済というのは、きわめて付随的なものでありまして、しかも聞くところによりますると、化繊で作りました何年も置ける漁網程度のことを考えておるようであります。しかし、漁業共済の実行に当りましては、まだわれわれもいろいろ検討中でございまして、漁具の問題もその中の一環といたしまして、よく研究さしていただきたいと思います。

東隆日本社会党

○東隆君 先ほど秋山さんの質問になった生活改善の技術員、それから農業の方にある改良普及員、これに相当する者の設置の問題は、私は水産庁が実は出しおくれてしまって、これができなかったんじゃないかと思うんです。それでどうしても必要なということを、もう少し強調された方がいいんじゃないかと思うんです。専門の技術員を置くことは、これは私はもちろん必要でありまして、試験場とそれから漁業協同組合の間における関係なんかは、これでいいと思いますけれども、漁業協同組合を中心にしての場合には、やはり農業の方の改良普及員に相当する者を設置する必要がある。北海道では、国でありませんので、道費でもって七十名ほど出ておる。これは非常に成績を上げておると思いますが、実は国でもってこういう制度を早く作ってもらいたい、こういう前提で、なけなしの金を出して置いておるわけです。そういうような意味で、時期を失したというような考え方でなしに、私は強力に一つ生活改善について、それから漁業の方の改良普及員について、これの設置を一つ計画をしてもらいたい、こう思うわけです。私は実情はそういうところじゃないかと思いますが、そうじゃありませんか、出しおくれになったんじゃないですか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 御指摘の通りに、もっと早く解決しなければならなかった問題だと思います。そこで、普及事業については、実は水産には、その技術員が漁師を教えるものはないんだという通俗的なものの考え方があるわけです。それは魚をとることは、漁師の方がはるかに上手だ、役人がそれを教える何ものもないんだ、実はそういう大ざっぱな考え方が、水産の普及事業を伸ばすのに非常なじゃまになった、私はそう思っております。水産につきましても、たとえば沿岸のノリあるいはカキその他の貝類をふやす、これは普及と結びつかなければ絶対にふえない。あるいはまた、することは漁師の方が上手かもしらぬが、いかにして魚を見つけ出すか、いかにしてえさを合ったものを持ってくるかとか、そういう点になれば、やはり高いレベルの技術的なやはり指導が要るのであります。ところが、農業の方の普及体制は、御承知のごとく、専門技術普及員が一方におって、それでそれぞれの地区の普及員が下におって、地区普及員がいろいろな問題をこなして上に上げ、さらに上から下げる、こういう体制であるのでありますが、水産に関しましては今地区普及員の増員を要求しても、これはとうてい通り得ない。従って専門技術普及員をふやして、地区普及員に相当するものは、研究グループというものが今だんだんにでき上っております。そういうものを育成して、そういう方法によって、足らないところを補ってゆきたい、こういうことにしたい。  それから生活改善の問題につきましては、これは確かに御指摘の通りでありまして、まあ、今の段階といたしましては、生活改善普及員の意識の中に、農村だとか漁村だとかいう意識を払拭して、そうしてとにかく、それぞれの場に、立地に応ずる生活の改善に努めさせる、こういうことにいたさなければならない、そういうふうに努力をするつもりであります。

東隆日本社会党

○東隆君 今のお話で、漁家の方が技術が上手なんだと、これは農業の方でも同じことなんです。百姓の方が、昔の中等学校程度の農家が、ずっとおれの方が上なんだ、こういう考え方は農村も漁村も同じなんです。ただ沿岸の漁業そのものについて、農林省はどちらかというとあまり力を注がなかった。かえって遠洋漁業とか、あるいは北洋その他の企業的な漁業、そういうふうな方面には非常に熱心であったけれども、沿岸の方については、在来のままを押し通してきておる。そういうような面が私は非常に多いのではないか。そういうような面から、私らは積極的に技術普及の面において人員をとるとか、そういうような面については、私は与野党おそらく通してみんな強力に支持をするのではないかと思う。従って、水産庁でもってなかなか大蔵省を屈服させることができない、こういうような考え方ではなくて、もっと強力に、そういうものは必要とするのだと、こういう立場でもっておやりになった方がいいじゃないか、こう思うのですが、弁解をされるよりも、私は強力に主張された方がかえっていいじゃないかと思うのですが、そういう点ですね。これは私は別にお答えをいただかなくてもいいのですが……。  もう一つ、私は協同組合の関係、これは部落協同組合が非常に多いわけです、漁村の場合。従って、あの程度のものでは、私は仕事らしい仕事はできないと思う。で、やはり町村の合併等も行われたし、一村区域ぐらいの漁業協同組合をこしらえると同時に、今までのものは部落的な協同組合としてやっていく、こういうような体制でもってやっていけば、冷蔵庫等も持ち、そして価格の維持その他においても、ある程度の問題を解決していけるのではないか。そういう問題がほとんどなかなかできないような体制にあって、産地の価格をいつも安くさせられておる、こういうような問題が非常に多いと思う。従って、協同組合に対する指導の配意ですね。それはどういうような考え方でやっておられるのか。もし、積極的に合併その他の問題をお考えならば、私はそういうような方向が多少は現われてもいいと思います。予算の面でいかがですか。

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止〕

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) 速記を始めて。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) ただいま協同組合の合併の問題のお話が出ましたが、水産庁は、実は現在の協同組合の地区は確かに狭過ぎる、かように考えております。この狭過ぎることについては、漁業権との関係がございます。しかしながら、経済的活動を伸ばすのには、確かに今のお話のように、少くとも町村ぐらいの広さにまで、協同組合の地区は広がっていくべきではないか、かように考えております。しかしながら、これに関しましては、合併奨励の助成的な措置をも考究いたしたいというふうにも、研究をいたしたのでございますが、機が熟さず実現いたしませんでしたけれども、ただいまお話がございましたように、合併を奨励をするということを指導上の方針として、できる限りやって参りたい、かように考えております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 さっき秋山委員からの質問で私も関連質問をしたかったのですが、海外の調査その他はある程度進んでおる。現段階において、北洋漁業の問題は、日ソ漁業委員会の今までの状況を見るというと、決して日本側が主張するような方向にまで必ずしも行きそうにも見えない。もしも、この問題が解決がむずかしくなった場合、相当これは波乱を呼ぶことは当然でありますが、そうした場合、北洋へ進出して行ったところのある程度のものは、将来海外、たとえば南米であるとか、あるいは中米であるとか、もしくはインド洋とか、そういう方向を、水産行政の大きな転換の一つとして考えなければならないのじゃないか、私はそう思っているのです。そのためには、今までのような程度の調査船、あるいは調査機関程度では、私はむずかしい。そこで、新たに私は構想を、水産庁はここで持たなければならないのじゃないか。北洋でとれなくなった、北洋へいけなくなったからといって、沿岸漁民の方へはね返ってきたのでは、とてもこれは沿岸漁民は成り立つものではない。それでこういう点を考えておるかどうかということです。  もう一つは、小笠原委員がさっき質問しておりましたが、クリスマス島を中心としたイギリスの原子爆弾の実験、さらに、アメリカは一週間前にはビキニやネヴァタ等において、将来とも原子爆弾の実験を継続するということを宣言しております。そういうわれわれの周囲に幾多の国際問題をはらんだ漁業の問題が出てくるのですが、これに対処して、ただいまの程度の調査船その他、あるいは指導船程度では、水産庁としては物足りないとわれわれは考える。そこで、この事業費の拡大強化を、われわれは考えなければならないのじゃないか、この点について私はきょうあなたから伺っておいて、なおこの次に、大臣なり何なりに、もう一度この問題をお聞きしたいと思っておるのですが、あなた自身のお考えはどうか、この点だけはお聞きしておきたいと思います。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) ただいま海外に北洋その他の日本の漁業を進出させるということの必要性のお話が出たのでありますが、私たちもまさしくその通りに考えておるのでありまして、そのためには、従来の海外進出の最大の欠陥でありました進出する中小漁業者に対してよく海外の事情を調査し、その間の不必要な摩擦を押え、そうして海外における契約あるいは操業についての指導をする、こういうサービス機関を作らなければならない、こういうふうに考えております。そういう意味におきまして、現在発足しておる団体もございますが、さらにこの団体の活動を強化するということに、いろいろ工夫をこらしたい、かように考えておる次第であります。  そこで、水産庁のこの資源調査、ことに、海外進出ということを背景にして、水産庁の資源調査をもっと拡充しなければならぬじゃないか、こういう御意見に対しましては、私もまことに賛成でございます。明年度予算におきましても、相当程度の資源調査費の拡充を見ております。しかし、なおこれをもって十分であるとは考えておりません。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 今の問題に関連してお伺いしたいことは、漁業転換促進として十六万六千円、そのほかに何かあるのですか。今御説明あったようなものだけで、ちょっとやっていくとしても、あまりどうも予算面が少な過ぎるのじゃないかと思いますが……。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) この漁業転換促進の金は、これは機船底びき網等の漁業が転換していくに当りましての、いろいろな指導旅費等の金であります。ただいま私が申し上げました点は、この予算の上には、まだ具体化はいたしておりません。ただ、今後こういう団体を育成強化していく手があるんじゃないか、まあこんなふうに考えておるのでございます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 今千田さんが言われたことは、北洋漁業がなくなった場合という大規模の転換ですね。これが実施せられるときは、相当な予算が要ると思いますが、現に衰退しつつある沿岸漁民等の、私はやはり転換方も考えなければならぬ。これを見ますと、中小企業体の転換として機動船を与えるとかなんとか言われているが、それにしてもあまり少な過ぎる。ほとんど考えておらぬのじゃないか、こういうふうに考えますが、どこかこの項目のほかに、まだ見積ってあるのがありますか。そういうものに使われる部分がなければ、あまり少な過ぎる。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) むしろ、ただいまのお話の点は、海外におきまする資源状況を調査するというふうなことが、また同時に、そこへ日本の漁船を進出させるための基礎的なデータにも相なるのでございまして、そういうふうな意味の予算は、これは別なところに掲げてあるのでございます。二十二、それから二十四、この辺の費目の中にそういう金が包含されておるのでございます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 沿岸漁民はどうですか。これは現に没落しつつあって、場合によっては、漁業から離れなければならないような状態の人もあるですから、そういうような分はどう考えておるか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 沿岸漁民を作興させるということに関しましては、先ほど申し上げましたように、この水産庁の予算全体の中に、いろいろな点においてそれぞれの対策を考慮いたしておるような次第でございまして、御了承いただきたいと思います。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 どうも、今のお話では、納得がいきかねるが、あとお急ぎのようでありますから、次にいきますが、その次にお伺いしたいのは、十二、十三と結んで内水面漁業調整が行われる。この経費としては、高はよくわかりませんが、調整とはいかなることをやられるのか。  いま一つは、日光養魚場及び十和田湖孵化場を持っておられるが、それの金が五百三十四万となっておりますが、この区分、日光養魚場はどれだけ使い、十和田湖孵化場がどれたけ使う——まあ十和田湖は、新聞等で見ますと、だいぶ寒中漁業等で活躍しているようでありますから、わかりますが、日光養魚場等は今どういう働きをしているか、この点をお伺いしたい。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) まず、日光養魚場及び十和田湖の孵化場の経費でございますが、この三十二年度の予算のうちにおきまして、事業費としまして、日光養魚場の関係が三百四十九万、十和田湖の孵化場が百四十八万、それから施設費としまして、日光養魚場が九万、十和田湖孵化場が十二万、こういう区分に相なっております。日光の養魚場は、日光におきまして陸封性のマス類、これは過般カナダから紅ザケの卵を入れまして、あすこで孵化をいたしましたのでありますが、そういうことも、これの資料の一つに利用しておるのでありますが、陸封性のマス類をあすこで孵化いたしまして、これを周辺の東北からあるいは関東、中部あたりの河川湖沼に配付をしておる、そんなふうな仕事をいたしておるのでございます。  それから内水面の漁業調整に関しまする費目についてでございまするが、これは漁業の操業上の内水面におきまするいろいろな摩擦を調整いたしまするための必要な庁費及び取締費等の費目でございます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 その日光の孵化マス種は、代金を取っているのですか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 県に配付いたすのでございますが、ほとんど無料だと考えております。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 そういう場合に、どこへ申し込めばいいのですか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 水産庁へお申し込みいただけば、お回しいたします。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 農業災害補償制度の調査研究という題目で出ておりますが、補償対象は、今どういうものを補償の対象としてやっていこうと考えておられますか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 漁獲収入を的確に把握するということが一番大事な要件でございますので、そこで、漁業協同組合に完全に共同販売を委託する漁業に限ると、こう考えております。どのようなものが主として登場してくるかと申しますれば、漁業組合において自営をいたしておりまする漁業、これは定置、あるいは網の漁業等あるのでありますが、漁業組合の自営漁業、それから地元の定置漁業、あるいは養殖漁業、さらに小型の漁船を一つの集団としてまとめまして、そうして確実に共同販売所に持ってくるという要件において、こういう小釣りの漁業者をも、できれば包含いたしたいと、こういうように考えております。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 これは今お答えをもらわぬでもよろしいが、資料で出していただきたい。大体一年に漁民が——これは船主まで全部まぜて、漁業に関する者が生命を失うのがどのくらいあるか、相当の量あると思うが、生命を失う人が大体どのくらいあるのか、それらのものが現在何もない様子ですが、何か考えておられるか。もしないとするならば、個人が生命保険等に入って自分を擁護していくのか、そういうような点を、資料がありましたら、この次でいいですから、ちょうだいいたしたいと思う。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 資料でお届けいたします。

秋山俊一郎自由民主党

○秋山俊一郎君 実は、この問題とは全然関係ありませんが、奥原次長とお約束しておりましたインドネシアの賠償の問題、これはもうすでに御報告いただくはずでありましたが、実は私は非公式には説明を聞いておりますけれども、その後の情勢、水産庁及び大蔵省、外務省との交渉の結果はどういうふうになっておりますか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 過般お尋ねのありました問題につきまして、外務省と話し合い、また、その話し合いに基きまして、大蔵省とも相談いたしました結果、実は、本日もお答えしなければならぬと、かように考えておったのであります。それで、インドネシアの問題について申し上げますれば、国が支出する見舞金の問題と、それから立てかえ金の問題とに分れるわけでございます。見舞金に関しましては、戦争その他の事故によりまする漁夫の死亡、あるいは抑留された漁夫の家族の生活援護というふうな漁夫に関しまするものについては、御承知のごとく、それぞれ実行をいたして参っておるのでございます。しかし、経営上の問題に関しましては、実は国としましては、どこで線を引くかということを、いろいろ苦慮いたしたのでございますが、一方におきまして、こういう経営上の損失に関しまして、特殊保険等の制度もひいておるような次第であるのでありまして、従って、見舞金として、善意無過失の非常にお気の毒な事情にあるのでありますが、これに出すということになると、実は線の引きょうがない、とめどなくいろんな問題をあわせて解決しなければならぬ、こういうような事情にも相なりますので、今ここで、事情は非常に御同情申し上げますが、見舞金を差し上げるというふうな結論には、三省とも到達いたしかねておるのでございます。なお、外国が支払いまする補償に対しまして、立てかえ払いをするという問題につきましては、これは外務省はもう少しインドネシアとの間の交渉を、この間アジア局長がお約束いたしましたように進めていただきまして、その上で、国が適当な措置を講ずるように配慮いたして参りたいと、かように考えております。

秋山俊一郎自由民主党

○秋山俊一郎君 もう一年半も交渉しておって、一向めどがつかないのでありますから、今後交渉するにしても、従来のような交渉方法を外務省がとっておったんじゃ、相変らずまた堂々めぐりになるかもわからないので、今外務省はお見えになっておりませんが、この間のお約束では、こちらから人を派遣して交渉に当らせるというような御説明もありましたので、その線に沿って至急に人をやってくれ、そうしてできるかできぬかを突きとめて、それでもいよいよ急速に運ばないということにれば、立てかえ払いの方式をとってもらいたい。水産庁でも、いろいろこれをやるというと、韓国の問題があり、中共の問題があり、台湾の問題があり、ソ連の関係があるということを御、心配になっているようでありますけれども、かようなケースは一つもない。みなそれぞれ漁業に出向いて行って、漁をしていてつかまったのであります。こちらは、漁に行く途中において、大きな損失を覚悟しながら、人命を救助している。しかも、そのお礼として抑留されたという、こんなケースはほとんどないのです。ですから、これは特別なケースとして扱っても、何ら国民からは批判を受けないと思う。そういう観点に立って、今お説のようであれば、外務省は至急に人を派遣して、そうして直接交渉に当られて、その結果いかんによっては、そういうふうな立てかえ払いの方式をとるようにお進めいただきたい、こう考えるわけですが、いかがですか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) お話の趣旨は、この間アジア局長も、特別な措置を講じなければならないということを申し上げたような次第でありますので、なお、外務省の方にも十分御趣旨を伝えるように努力いたします。

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) 速記を始めて。

安部キミ子日本社会党

○安部キミ子君 下関の吉見の水産講習所の予算は、この中でどれに入っておりますか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 四十一ページの34、水産講習所、前年度は一億三千五百万円でありましたものが、三十二年度は三億八千三百万円、これだけにふくらんでおります。

安部キミ子日本社会党

○安部キミ子君 資料を出していただきたいのですが、吉見の水産講習所の来年度の予算の資料と、それから三十一年度の予算ですね。決算はまだ出ておりませんから。資料を出していただきたい。  それから委員長にお願いします。きょうは、私は質問しようと思ったら、すでに牽制するかのような態度であのように言われましたので、私は、たくさん質問を持っていますけれども、保留します。そのかわり、この次は大臣と水産庁をお呼び下さいまして、私はトップに質問を許していただきたい。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 資料は提出いたします。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 今秋山さんから出されたから聞きますが、インドネシアの問題などは、あの際SOSをかけられた場合に、知らぬ顔をして通ってきたらどうなります。救済しないで知らぬ顔をして行ったら、これはどうなる。これは何か国際法とかあるいは海洋の何とかという法律のようなものがあるでしょう。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 道義上の非難をこうむるだけであります。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 道義上だけですか。何か船舶協定のようなもので、責任を負わせられているのじゃないですか。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) 格別そういうものがあるようには承知いたしておりません。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 していない……。

奧原日出男水産庁次長

○政府委員(奧原日出男君) ええ。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 それを一つ調べてみて下さい。それは、その観点に立てば、非常に重要性があると思いますがね。おそらく私は人命に関する限りにおいては、何かそういう救助協定のようなものがあるじゃないかと思う。その点お願いしたいと思う。

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) この問題は、この程度にとどめて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) この程度にとどめることにいたします。  次に、蚕糸局。

須賀賢二農林省蚕糸局長

○政府委員(須賀賢二君) それでは、だいぶおそくなりましたので、できるだけ簡単に、蚕糸局関係の問題につきまして御説明申し上げます。  お手元に資料を差し上げてございまするが、初めに、現在の蚕糸業というのはどういう姿になっておるかということをかいつまんで申し上げますと、大体ここ一、二年の繭の生産高は、大よそ三千万貫という数字になっております。戦前の一番多かった時期に比べまして、大体三分の一程度の規模になっているわけでございます。戦時中から戦後にかけましての食糧増産その他の関係で、非常に大きく転換をいたしましたことと、戦後の繊維の需給の関係がいろいろ変って参りました結果、こういう格好になったのでございまするが、大体、ここ数年の傾向を見ますると、ほぼ、他の作物に転換をいたしまして、その後復活をいたさないものは、もう将来においてもおおむね復活をしないのではないか。その反面、養蚕によりまする収入を主たる収入としなければならぬ地帯につきましては、それなりに定着をいたして参ったような格好になっておるわけであります。従いまして、大体西の方の、九州、四国、中国方面は大幅に減りまして、関東、東山地区、いわゆる群馬、埼玉、山梨、長野、それから東北の一部、福島、新潟といったような所が、現在主産地になっておるわけでございます。なお、これらの地帯につきましては、養蚕収入が主たる現金収入になっておりまして、それ以外に適当な作物がない。特に最近は、関東あたりの一部の地区につきましては、イモの価格がだんだん下って参りましたような関係、それから陸稲あたりを自給の建前から作っておりましたものが、食糧事情の緩和によりまして、繭の方に力を入れたいというような傾向も若干出て参りまして、最近では、やや桑園面積等もふえていく傾向にあるのでございます。  一番初めの所に、桑園面積の数字が出してございまするが、三十一年では約十九万三千町歩になっておりまして、前年度に比べまして四千町歩ばかりふえているのでありますが、これは、ここ数年ほとんど桑園面積というものは統計面では変っておらなかったのでありまするけれども、最近、ややこれがふえるような傾向が出ているのでございます。一面、蚕を飼います農家の方は、若干総農家戸数としては減っているのでありますが、これは、一つの見方といたしましては、専業的に飼う農家がふえていくような傾向を見せているのではなかろうかというふうに考えております。  それから、現在大体三十万俵程度の糸が年々生産をされておりますが、これは、大ざっぱに申し上げますと、このうち四割が生糸及び絹織物の形で輸出をされておりまして、六割が内需に回っておるという格好になっております。昔は、七割が輸出に回りまして三割が内需に回っておったのですが、ちょうどその関係がむしろ逆になりまして、現在では、内需の方が若干多いのであります。  それから、繭の値段は、大体一千五百円から一千六百円くらいの間に近年はあるわけでございまするが、これはあとでも出て参りまする問題でございまするが、よく繭高糸安ということを言われるのでありますが、繭の値段そのものを見てみますると、他の農産物収入に比べまして、決して高いものではないわけであります。大体、今日本の繭の反当収量の平均は、十六貫くらいが平均になっておるのでございます。主産地におきましても、平均二十貫くらいのところでございまするので、相当集約的に作っております所でも、反当三万円くらいの収入になっているわけでございます。  それから糸の値段でございますが、これは二十九年ごろから糸値があまりふるわないのでございまして、大体二十万円前後で横ばいをいたしておる状況でございます。現在、糸価安定法によりまして、最低十九万円、最高二十三万円の幅で維持をいたしておるのでございまするが、おととしの暮あたりから十九万円で政府が買い上げたような場合も出て参ったようなわけでございまして、その安定帯価格の中ほどのところで持ち合っておるというような状況でございます。  それから日本の生糸の売り先でありますが、特に海外関係につきましては、依然としてこれはアメリカ市場がその大宗でありまして、約五万俵から五万五千俵くらいがアメリカに行っております。それからあとはヨーロッパその他に行っているわけでございます。去年の輸出量は七万五千三百俵でございまするが、その前年は八万六千俵、これが戦後一番多く出た年でございまするが、その年に比べまして、約一万俵ばかり逆に減っております。これは、あとでも出て参ります、ヨーロッパ市場において特に最近中共糸の進出が相当活発でありまして、それらの影響も若干受けておるわけでございます。その次のページに、中共糸のヨーロッパへ出る状況を御参考までに書いておいたのでございまするが、去年の状況で見ますると、中国糸のヨーロッパ市場への進出は、一万二千四百俵でありまして、その前年に比べまして、三千俵ばかりふえております。その反面、日本糸が若干減っておるというような格好になっておるのでございまして、中共生糸は、価格操作なども、日本生糸の値段をにらみまして、二、三%日本生糸よりも安く売り出しておるというような徴候も見られます。それから品質等も、なかなか中共の糸はいいものが出ておるようでありまして、将来の問題といたしましては、この中共糸と日本糸との市場におけるせり合いという問題は、相当日本の蚕糸業としては今から対策を考えなければならない問題であろうと考えておるわけでございます。中共糸の生産状況等は、詳しいことは確実に入手しにくいのでございますが、いろいろな方面から調べてみますと、大体中共の今の生産の模様は戦前の約半分ぐらいのところへ来ておるように見受けられます。大体十三、四万俵作っておるようでありますが、五カ年計画でいろいろ計画を立てまして、増産に力をいたしております結果を見ますると、年々それは早いテンポで増産をいたしておりまして、また製造設備、技術等の面につきましてもいろいろ改良を加えまして、非常に力をいたしておることがうかがわれるのであります。われわれもいろいろ、これからの日本の蚕糸業を着実に伸ばしていくために考えなければならない事柄を考えておりまするが、それらにつきましても、先方においても相当手を打っておるような面があるのでありまして、われわれも油断ができない問題でございます。  それから絹織物は一体どういうふうに出ておるか、その状況を簡単にここに数字を出してございますが、大体、糸に換算いたしまして三万四千五百俵程度のものでございます。最近、絹織物の輸出が非常に好調であるということが新聞等にも出ておりますが、これは上にありまする一次製品、いわゆる生地物の輸出が非常によいということをいっておるわけであります。二次製品、いわゆる最終製品になりましたスカーフ等の種類の輸出は、逆にかなり減っておりまして、両方合せますと、一割程度しかふえておらないわけでございます。  大体こういうような状況になっておりまして、これを一口に申し上げますと、一応戦後の蚕糸業といたしまして、農業の立地条件なりあるいはその他の面から見ますると、戦後の姿としての蚕糸業というものは、大体ここ一、二年に現われますところが一つのベースであると考えるのでございます。  それで、これを今後どういうふうに伸ばしていくかという問題でございますが、蚕糸、いわゆる生糸の消費というものにつきまして、ときどき生糸消費そのものの将来性という問題につきましてのお尋ねを受けるわけでございますが、この点につきましては、われわれといたしましても、いろいろ新しい繊維等も豊富に出て参っておりますし、そういう環境の中で、天然繊維の中でも特に値段の高い生糸が将来どういうふうに使われていくだろうかということは、基本的な問題でありますので、いろいろ調査をいたしておるわけでございます。その結果から申し上げますと、非常に大幅に急速に、この消費を伸ばすということは困難でございますけれども、徐々に消費量そのものをふやしていくということにつきましては、十分期待が持てるわけでございます。その使われ方も、すでに御承知のように、現在の生糸は昔のように靴下用の繊維ではないわけでございまして、ほとんど全部が織物用の繊維に変っておるわけであります。靴下用にはほとんどゼロに近い程度になっておりまして、ごく特殊の場合のほかは、靴下用には現在生糸は使われておりません。全部ナイロンその他のものに転換をいたしておるのでありますが、そのかわりに、織物用の繊維として使われておるわけであります。  最近の海外における消費の傾向を見ますると、いわゆる好況というようなことにも起因いたしまして、漸次消費の内容が高度になってきておるわけでありますが、それに応じて、徐々にふえつつあるわけでございます。アメリカにおきまする生糸の機屋に渡りました数字等を拾ってみましても、昨年の実績は一昨年に比べまして約七割ふえておるわけでございまして、日本からの積み出しは減っておりますけれども、現実に機屋に回されたものは一割程度ふえておるわけでございます。ヨーロッパにおきましても、消費の徐徐に伸びつつある実勢にありますることは同様でございます。  従いまして、所得の伸び等と見合いまして、潜在購買力としては、なお相当のものが控えておるという見方ができるわけでございまして、われわれといたしましてもそういう面から、アメリカにおいても調査機関を使いまして、いろいろ調査もいたしておりまするが、人間の消費の性向からいたしまして、人工繊維が相当豊富に出回って参りましても、こういう高級消費財としての需要というものは、なお今後に控えておるというように見ておるわけでございます。それにつきましては、ただ黙っておったのでは売れぬわけでございまして、あとでも申し上げますように、いろいろ実際の有効需要を引っぱり出しまするために、いろいろ工夫をして参らなければならない。そのためには、いわゆる商業宣伝はもちろんでありますが、いろいろ技術的に、もう少し生糸が使われるように、工夫して参りたいと考えておるわけでございます。  それで、先ほどちょっと触れました繭糸価格安定制度の現在の状況につきまして、簡単に申し上げておきますと、これは、生糸は現在、十九万円と二十三万円の幅の安定をさすようにいたしておるわけでございまするが、これは総資金量は特別会計に約六十億の資金があるのでございまして、そのうち現在十億ばかり使っております。従いまして、なお今後の買い入れに当てられます金が四十八億円ばかりあるのでございます。これで十九万円の糸を買いますると、二万六、七千俵買える勘定になりますので、現在のところでは、資金量に当座不足はないものと考えておるわけでありまして、別に現段階では、この特別会計による生糸の価格維持制度につきまして、運営上特に問題になるところはないと考えておるわけでございます。なお、政府が現在買って持っておりまする数量は、約五千四百俵であります。これは、糸が二十三万円に上りましたときにそれを売り出して、それ以上の価格の暴騰を押える場合に使われるわけであります。  それから三十二年度の予算のおもなものにつきまして簡単に申し上げますと、第一は、生糸の需要増進費の補助金でございますが、これは特にアメリカを中心といたしまして需要増進をはかりますために、アメリカに特に事務所を置いて調査宣伝活動をやっておるのでございますが、来年度二千万円を今年度より増額いたしまして、特に来年度からはシルク・ファッション・センターを一つ日本の金で常設をいたしまして、向うの衣料品を扱いまする業者のいろいろ新しいデザインの展示でありまするとか、季節々々に行われまするファッション・ショー等の場所を提供いたしまして、そういう面からも販売活動をもっと充実をしてもらう助けにいたしたいと考えておるわけでございます。なお、この事業につきましては、蚕糸関係の業者からも相当の金を負担いたしておりまして、大体年間一億程度のお金を、製糸業者、輸出業者等が積み立てまして、アメリカ及び欧州に送りまして、宣伝活動に使っておるわけでございます。  それから次に、増産対策の面から考えますると、今後の方向といたしましては、桑園の能率を上げるということに増産対策の重点はしぼられると思うのであります。先ほども申し上げましたように、現在は、平均いたしますと、反当り十六貫乃至十七貫ぐらいの繭しかとれていないのでありまするが、これも非常に多くとれておりまする事例等を見ますると、日本で最高は反当り七十貫ぐらいまでの現に記録がありまするし、またその程度の反収をほとんど経常的に上げておられるような農家もあるんです。山梨あたりのある地区に参りますると、五十貫から六十貫あたりの反収はざらにある。そういうところの桑園を見てみますると、全くそれはみごとなものでございまして、同じ桑畑といっても、これだけの違いがあるかというぐらいの差があるわけでございまするが、今後は桑畑の面積をふやすということよりも、桑園の能率を上げるということに重点を置いて参りたい。その方法といたしましては、やはりこれにつきましても有機質の増強が必要なんでありまするが、一面、もう相当老朽をいたしておりまする桑園を新しく若返らせますために、改植をいたすというようなことがぜひ必要なわけでございます。桑園能率増進費補助金といたしましては、来年度一千四百万円を計上いたしております。  それから蚕糸関係で一番こわいのは凍霜害でございますが、昨年も五月に晩霜がありまして、非常に大きな被害を受けたわけでございまして、去年の産繭額が約二千九百万貫にとどまっておりまするのも、去年凍霜害がありましたために百何十万貫減収をいたしまして、そういう結果になったわけでございます。  これは、いわゆる凍霜害そのものを人工的に防ぐということは、たとえば重油の燃焼でありますとか、いろいろ方法があるのでありますけれども、なかなか経費等がかさみまして十分普及いたさないのでございますが、これを避けまする一つの方法として、凍霜害対策用の稚蚕の共同桑園を作るということが考えられるのでございます。これは凍霜害の実際の状況を見ますると、相当ひどい晩霜を受けました場合でも、地勢でありますとか、風向きというようなものに影響を受けまして、常にそこの地域だけについては霜がおりないというような地域が探すとあるので、いわゆる霜道を避けたというようなことを言っておりますが、霜道を避けたような場所があるのでありまして、そういう所に稚蚕の共同桑園を作っておきますと、かりに晩霜がありましても、そこの桑で一齢、二齢の間を飼っております間に、あとの新しく芽を吹いた桑でそのあとをつないでいけるというようなことになりまするので、この凍霜害対策用の稚蚕共同桑園の補助をいたしております。これは去年の春の凍霜害のときに予備金で一応出たのでありますが、さらに今年度もこれを継続いたして参りたい、さように考えておるのであります。  それから蚕業の技術指導の関係につきましては、指導所、それから蚕業技術員の設置費があるのでございます。ただ、大体前年並みの規模で続けていきたいと考えております。  それから三十二年度からの新しい仕事といたしまして、製糸業の合理化対策を考えておるのでございますが、これは今、製糸が原料と設備との関係が非常にアンバランスになっておりまして、原料に対しまして設備が多過ぎる、その結果、一台当りの能率も非常によくありませんので、これを向上させて参りまして、繭の加工販売費を切り下げていきたいと考えておるわけであります。  養蚕はそういう状況でございまするが、今後の振興対策としてどういうことを考えて参らなければならないかということにつきまして、三、四簡単に申し上げておきますと、第一は、先ほど申し上げましたように、一応戦後の蚕糸業のベースとしては固まって参りましたが、今後どういうふうに伸ばしていくかということにつきましては、いろいろ基本的な問題を十分練り上げまして、具体的に手を打って参らなければならぬわけでございます。それにつきまして、新たに蚕糸業振興審議会を来年度から設けまして、具体的な対策を十分、各界の有識者の御協力をいただきまして、練り上げまして、実施面に移して参りたい、さように考えておるわけでございます。  そこで取り上げられると考えております問題は、ここに項目だけ拾ってございまするが、これにつきまして簡単に申し上げますと、第一は、生糸の輸出振興対策でございまして、これは先ほど来申し上げましたように、国内の農業経営の状態から見ますると、どうしても養蚕そのものは今後もある程度拡大して参らなければならないのでありますが、現実にそれが売られる売り先というものを広げていかなければならない。これにつきましては、特に私どもの今後の考え方といたしましては、商業活動、宣伝活動というものを充実いたしますとともに、それと相伴いまして、いろいろ今後生糸の消費が伸びていく技術的な研究の積み上げをやらなければいけないと思うのでございます。と申しますのは、現実にアメリカ等の機屋さんで生糸を使う場合におきましても、日本の生糸は、御承知のように、昔ながらのかせによります包装の形態をいたしておるわけでございますが、これらにつきましても、もう少し近代的な施設にそのままかかるような研究ができないか。それから交織等につきましても、いろいろ新しい化学繊維等のいろいろなものをまぜた使い方によりまして、非常におもしろいものができるわけでありまするので、そういう点につきましても、いろいろその国の、直接アメリカの現場においてやります研究と、国内でやります研究と、両方並行いたしまして、今後進めて参りたいと考えておるわけでございます。  それから第二の問題といたしましては、日本はまあ生糸をそのままの形において輸出をいたしておるのが大部分でありまするが、特に戦後のイタリー等の状況を見まするというと、織物にして出すということが、ほとんどもうイタリーの絹輸出の大部分、ほとんど一〇〇%近いものになってきておるわけでございまして、戦後のイタリーの絹織物業の躍進というものは、非常に目ざましいものになっておるわけでございます。日本におきましても、繊維産業というものは非常に、日本の歴史と伝統のある産業でございますので、絹織物にして輸出するということは考えられないことはないはずのものであります。今までいろいろな事情がありまして、なかなかこうした面がはかばかしく進んでおりません。今後の問題といたしましては、高級絹織物を作りまして外へ出すという問題を、真剣に取り上げなければならないのではないかと考えております。  それから増産対策につきましては、先ほど申し上げました通りでございますが、これは一口に申し上げますと、いわゆる集約的な飼い方によりまして反当の能率を上げて参りますように、いろいろ措置をとって参りたいと考えておるわけであります。  それから、その次は蚕糸の技術指導体系の問題でございまするが、蚕糸関係の技術指導体系は、現在一般農事とは別に組み立てまして、一般農事の技術員、改良普及員のほかに、蚕糸関係だけで蚕糸の指導所、それから蚕業技術員を置いておるわけでございます。ただ、これが分離をいたしました、独立にこれを設けました戦後のいろいろな事情がありまして、現在の置いてありまする予算等も、毎年、予算の時期には非常に折衝に手間がかかるというような状態を繰り返しておるわけであります。何とかこれを適当な形において再編成をいたしまして、安定した形において技術指導がやって参れますように考えなければならない問題  でございます。なかなか、いろいろな実情からきておりまするいろいろな問題がからんでおりまするので、なかなか単刀直入にいかない点があるのでございますが、ぜひこの問題をこれからの問題として取り上げなければならないと考えております。  それから次に、蚕繭処理調整対策でございますが、これは現在、先ほども申し上げましたように、繭の供給と製糸設備との不均衡というような問題も加わりまして、今、繭取引というものは、相当混乱を来たしておるのでございます。いわゆる繭の争奪が行われている現状でございまして、この面からも製糸経営も必ずしも安定しない。輸出を伸ばそうと考えてみましても、いろいろと現実にコストがかさみまして、なかなかうまくいかないという実情になっておるのでございます。私の方で先般、繭が今どういうふうに動いておるかということを、府県に照会いたしまして調べた、府県が取り得るだけの材料で調べたものがあるのでございまするが、これはちょっと見にくいのでありますけれども、今繭はこういうふうな動き方をしておるわけでございます。たとえば埼玉でありますが、埼玉県の繭はこういうふうに広範な地域に流れておる。逆に埼玉からこれだけの繭が出ます反面、外から埼玉へこれだけの繭が入ってきておるという、非常に交錯した関係になっておるのでございます。そういう現状になっておる次第でございます。御参考までに。これはどういうことからこういうふうな動きが出るかと申しますと、要するに、繭の争奪が産地において行われておる。これを正常化いたします問題といたしましては、昔のように——昔は製糸業者がそれぞれ地盤を持ちまして、その地盤を確保いたしまして、繭の供給をはかったのでありますが、戦後はそれが相当大幅に変ったわけでございます。それらもある程度、今後はしばしば購繭地域の確保というようなことも考えて参らなければならぬ。それから農協、いわゆる養蚕農協におきまして繭を集荷しておるのでございまするが、どうもなかなか一本にまとめることがむずかしい。現実にはいろいろな窓口から抜けていくというような格好になっておるのでございます。これらを今後どういうふうにして建て直していくかという問題があるのでございますが、ただ、これはいずれも独禁法でありますとか、あるいは農協法の問題でありますとか、いろいろそういう基本法との関係がありますので、そう簡単には参らないのでありますけれども、産繭の処理を正常化して参る方法は、どうしても工夫をして作らなければならぬわけでございます。  それから最後に、製糸の合理化対策につきまして一言申し上げますと、これは先ほども申し上げましたように、現在原料と設備が非常に不均衡になっておりまして、製糸経営全体といたしましては、非常に能率の悪い運営をいたしております。今後の中共糸あたりとの対抗策等を考えます場合に、どこを切り詰めていくかということになりますと、繭の代につきましては、先ほども申し上げましたように、現在の繭の水準というものは、他の米なりあるいは畑作に比べまして、相対的に非常にいいという水準にはないわけでございます。従いまして、繭価というものを今後切り下げていくということは、現実の問題としてむずかしいと思うのでございまして、やはり加工販売を合理的に圧縮をしていくということによって、生糸生産費の合理化という問題を考えなければならない、かように考えておるわけでございます、今回私どもが製糸業の合理化対策という問題に手をつけましたのも、その角度から、製糸の能率向上ということによりまして、加工販売費の合理化によって生糸の生産費というものをもう少し合理的なものにして参りたい、いわゆる今後の海外競争の力もそういう面からつけて参りたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、企業整備につきましては、近く生糸製造業設備臨時措置法、いわゆるこれを共同行為でやらしますためには、ある程度法律的な裏づけが必要になりますので、臨時立法でございまするが、単行法を御審議願いたいと思っておるわけでございます。  非常に、時間の関係もありまして、とりとめもなく申し上げましたが、以上であります。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 時間がだいぶこえておりますから、簡単に一言だけお伺いしておきたいと思います。  今、地域繭の確保ですね、購繭地域の確保という表現で、これがもし県内等に製糸所がありますと、そこに運賃等を軽減する関係上、出すと、こういう格好をしておりますがね。そうすると、県内の繭価協定ですかの際に、非常に差異がある。それが撹乱のもとになる。これをどういうふうに、あなた方お考えになっておるかね、この問題が一つ。  それから、あらゆるものがそうじゃないかと思われますが、大体繭糸価安定というのは、われわれが言って繭糸価安定しましたが、現在の取扱い方は、生糸を通じて繭の値段を安定しようと、こういうようなやり方が結局混乱を起すのじゃないかと、こう思われます。繭の直接の安定策を講じていけば、おのずからそこから生糸の安定も出てくるのじゃないかと思うのです。昔やりましたような乾繭処理のようなものを農民にやらして、それに一応の繭価の安定性を持たせる、こういうことをすれば、割合にこういうような問題の解決が楽になるのじゃないかと、こう思われますのと、それからいま一つは、この繭価協定の繭の値段の中に、一応農民、生産者から見ますと、買上げた繭のうちから製糸業者が一貫目幾らという割戻金が出る、それは指導費か何かに充てられておる、こういうものが出ております。これは全く、いかなる養蚕家といえども納得しておらないですね。損するか得するかわからない繭を買って、果して現代の資本主義生産をやっている中で、そういうものが出せるだろうか。それは、結局自分らの繭の中からごまかして出されているのじゃないか、こういうような一つの観念が出てくると思いますが、とりもなおさず、なんなら抜け買いにきているのだから、取引所が指定取引所でさえあれば問題ないのだ、だれに売ってもいいのだ。これを売るのにだれにやれという、今は取締りがないので、こういうことから抜け買い、抜け売りの大混乱になる。だから、農民を中心にした、もう少し安定策を考えられるか考えられないか、これはできるものかできないものか、こういうことなんです。

須賀賢二農林省蚕糸局長

○政府委員(須賀賢二君) いわゆる今の糸価安定は、ただいまお話しになりましたように、生糸を通じての安定でありまして、繭そのものの安定という面からは、必ずしもお話の通りにはなっておらぬわけでございます。ただ御承知のように、昨年度から繭そのものの安定につきましても、乾繭共同保管という制度を設けまして、繭の値段がなま繭で一貫目千四百円を割るおそれが出て参りました場合には、乾繭の共同保管をいたしまして、農協で持っている。その間の金利、倉敷は国で補助いたしまして、繭の値段が回復いたしましたときに、それを手放すという形によりまして、いわゆる生糸だけで価格安定をやります措置のほかに、直接繭につきましても、最低値を保証するという制度を開いたのでございますが、これはまだ実際に運営をいたしたことはございませんので、一応その制度は開いたのでございまするけれども、幸いにしてまだ繭値が千四百円を割るという事態が出ませんために、現実には発動をいたしたことがございませんので、これが現実に発動されました場合、どういうことになるかということにつきましては、今後の実際の運営を見てからでないと、はっきりしたことは申し上げられないのありますが、ただ、この繭というものは、御承知のように、非常にその扱いの厄介なものでありまするので、これを国なり農協なりの手によりまして、直接共同保管等の形において価格支持をするということは、あまり大きな規模で考えることにつきましては、実際面からかなり無理があるのではなかろうか。やはり私どもの現在の考えといたしましては、糸価安定を通じまして、繭の生産者価格も保証されるという形において、基本的な運営をして参りたいと考えております。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 それは、県内に製糸会社等がありますとき、繭価協定がありますでしょう。なるべくここへ出すと、非常によそから見ると低い場合が出てきましょうね。それで結局は抜け買いもするし、抜け売りもする。そこに不満があります。こういう点が出ていると、これが地域確保の非常な障害になる。

須賀賢二農林省蚕糸局長

○政府委員(須賀賢二君) その点は、御指摘のように、今の現状は、主産地の繭価格というものが、そうでない地域に比べまして、相対的に非常に高いという現状になっております。たとえば群馬でありますとか、山梨でありますとか、長野でありますとか、そういうような所が、非常に、繭の掛目協定に現われている数字で見ましても非常に、高い。これは御承知のように、いろいろ県外からの買付がありまして、それも正常なルートに乗りましたものだけでなしに、いろいろ抜け売り、抜け買いというような形においての不安がありますことが、相当影響しているわけでございます。従いまして、そういう所の製糸業者というものは、むしろ繭の生産が少い所の製糸業者よりも、経営そのものがかえって苦しいというような事態も出ているわけでござ  いまして、そういうようなことも、これは現実の取引でありますから、なかなか、われわれの考えをもちまして、すぐにどうするというわけにも参らない点が多々あるようでございますが、先ほど来申し上げておりますような買手側をまとめていくような形において、今後繭の買付につきましても、一種の調整行為というようなものも、多少今後の問題としては考えて参りたい。それから繭を農協を通じて需要家に供給いたしまする体制につきましても、今後もう少し現在よりもまとまりがつきますような方向に工夫して参りたい、さように考えているわけであります。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 いま一つ、買い上げ価格の中から、製糸家が指導費を出していますがね、あれなどは、すっきりと、やはりそういう農民の考え方があれば、その分だけ高く買ってやって、農民からとるような方法は考えられないのですか。

須賀賢二農林省蚕糸局長

○政府委員(須賀賢二君) この点はまさに御指摘の通りでございまして、製糸家が一貫目幾らの形において集荷費を養蚕団体に出すという形は、まことに合理的でないと考えます。生産者、需要者の間におきまする取引の関係からいきましても、そういうことでない方が望ましいことは、私も十分承知をいたしておるのであります。現在の養蚕団体の実情等から考えまして、それを本来の姿に切りかえるようなふうに、私どもいろいろ指導はいたしておりまするけれども、現実の場面では、なかなか思うようにいっておらぬのでございます。これは本来の姿に持っていくように、私は、ある程度時間がかかっても、指導をしていかなければならないと思います。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 この問題は、全くそうまで悪いなら、あと言うことありませんがね、これは一日も早く改正した方がいいと思うのですよ。いろいろな解釈を下して、いろいろな疑心暗鬼を生んで、いろいろな不平を持つ。まるきり、政府と製糸家がぐるになって、農民を何かかすめ取るごとく考えるようになってるのですね、わずかなもので。こういう感情は、一つ取るべく、ずいぶん長い問題になってるのでありますから、一つ御努力願いたいと思います。

田中啓一自由民主党

○田中啓一君 簡単に二点だけお伺いしたいと思うのですが、農林省なり、また生糸業界の方々は、非常に輸出振興ということを熱心にやっておられる。けっこうだと思いますが、消費量からいいますと、輸出は大体生産量の三分の一、三分の二は内地消費になっておる。で、農民の立場からいえば、要するに、生糸がたんと売れることが望ましいのですね。何も輸出であろうが内需であろうが、それはかまわない。農林省としても同じような立場にあることだと、私は思う。でありますから、何かこう、絹というものはぜいたくで、あまりどうも絹を消費してくれと言うことは気がひけるようなふうの観念が、何とのうあるんじゃないかというふうに私は、邪推か知らぬけれども、思われてならないのです。どうもそれは遠慮要らぬことじゃないかと。もっとやはり日本は、まあそれは国内だけでできる合成繊維の類などはけっこうでありますけれども、羊毛であれ綿であれ、輸入しておる。でありますから、何も絹を使ってくれと言っても、ちっとも悪くないのじゃないか。一体そういうような方面、今度せっかく審議会をお作りになるのですが、若干そういったような御説明を伺ったのですけれども、徹底しませんでしたが、その辺の考えを聞かして下さい。

須賀賢二農林省蚕糸局長

○政府委員(須賀賢二君) これは、ただいま御指摘のように、まあ内需であろうと外需であろうと、売れさえすれば、農家の側から見れば、みな生産をする裏づけはあるわけでございまするから、どちらでもいいんじゃないかという御指摘だと思うのでございまするが、これは私ども、こういうふうに考えております。もちろん内需、輸出を通じまして、両方の面から需要が拡大をしていくということによりまして、日本の蚕糸業全体がささえられているものだと考えておりまするが、内需につきましては、実際のここ数年来の趨勢から見ましても、これはまあそれほど、政府自体が特段の措置をとりましたり、いろいろ助長策をとりませんでも、順次拡大をしつつあるわけでございます。それで私どもといたしましては、内需の振興につきましては、業界自身の企業努力によってやってもらっておるわけでございます。で、一面輸出の方につきましては、現在の生糸の輸出を扱っておりまする商社の力にいたしましても、また現実に生糸を扱った場合のもうけ等を見て参りましても、非常にそれほどのものになっておらないのでありまするし、またその製糸家自体の力が、自分で海外の需要を開拓していくというほどの力を個々の企業が持っておりませんような関係もありまして、われわれといたしましては、国の予算的な面なり、あるいは国がいろいろ手伝いまする施策の面につきましては、輸出に最重点を置いて考えておるようなわけでございます。しかし、日本の蚕糸業全体がささえられて参ります姿といたしましては、輸出、内需を通じての需要の増進等によって、今後伸びていくことになるという考え方につきましては、私、田中先生と同じように考えるわけでございます。

田中啓一自由民主党

○田中啓一君 まだ私、ちょっと御答弁、不満なんでありますが、それは押し問答になりますからやめまして、先ほどの桑園の問題ですね。つまり今、日本の農業というのはやはり反当りの収量を上げるということが、これは非常に一つの眼目じゃないかと私は思う。農業生産性の発揮というものは、もっぱらそこが重点——日本としては何しろ土地は限られておるのですから、だと思うのです。そこで今山梨県の桑畑の例をおあげになりましたが、私も実は耳にはさんでおるのです。非常にすばらしいものだそうであります。さりといって、別段品種の違ったものを作っているわけでもございません。もっぱら作り方がいいと思うのです。蚕糸の方は特別の技術者も持っておられるのでありましょうし、どうも技術者諸君が桑畑よりも蚕飼いばかりの方に熱心で、あまり桑畑は知らぬのではないかと、農事試験場の方では笑っておる。あの人たちはだめですよという調子です、ざっくばらんなことを申しますと。でありますから、これは米でありますと、とにかく平均が二石五斗くらいまでです。そして多収穫の表彰を受けられる人が六石前後ということですから、倍くらいなんです。ところが、桑の方は四倍、五倍ということです。あまりにも差は激しいのですから、それはもう桑を作っておる人の手心によると。手先の技術によるというよりも、やり方の問題だと思うのです。  もう一つ、私はやはり何か関連しているものがあると思う。要するに、肥料、有機質の肥料等を、非常な多量な投じ方をしておるだろうと思うのです。酪農をやっておりますか、あるいは近所にいい草を入れる資源の道かありますか、何か総合的な関係もあるだろうと思う。そういうような見地から一つ——何しろ桑畑の面積というものも相当とっておるのでありまして、とにかく二十万町歩近くあるのでありますから、これが倍の生産量を上げるとか三倍上げるとかいうことは、非常に日本にとって大事なことです。そうすれば、実を申しまして、絹の値段も下げられるだろう。妙なことを言うようだが、木綿に対抗して生産、消費を増加することができるのではないか。ところが、昔ながらの、絹はとうといので平民は着てはならぬというような、何かとらわれておるようなものがある気がするのと、それから生産面ももっとベースを広くした指導ができるように指導者をお作りになれば、いけるのじゃないかというふうに思われますので、これは桑畑を反当り収量を上げるということを、そもそも具体的方策がもしありますならば、あるいはまたそれに対するお見込み等を一つ聞かしていただきたい。

須賀賢二農林省蚕糸局長

○政府委員(須賀賢二君) お話のように、昔の蚕糸指導というやつは、例の養蚕教室といったような言われ方をした当時から見ましても、いわゆる屋内におきまして仕事をしております技術についての指導が中心だったのでありますが、最近の傾向は結局、今後の養蚕経営というものに対する総合指導の重点としては、反当の能率を上げるということに重点を置きかえるべきである。しかも、その技術的な方法としては、いかに能率のいい桑畑を作るかというところに主力を注がなければならぬという考え方に、これは現実に、末端指導の人間あたりの頭も順次切りかわりつつあります。現に、群馬県あたりは主産地であるにかかわらず、反当の収量はあまり高くない。そういうところにつきましては、山梨あたりの技術を積極的に導入したいというようなことで、現実に末端の指導の担当者らもそういう気持で動いておるわけでありまして、必ずしも昔のように蚕の病気だけを、手をとり足をとって指導するというような指導の仕方は、現在はやっておりません。  なお、先ほど御説明申し上げますときにも申し上げましたように、さような観点からいたしましても、今の増産関係の補助金というものは、桑園能率の増進のところにしぼられておるわけでありまして、緑肥を増段いたしますとか、あるいは先ほどの稚蚕共同桑園でありますとか、あるいは先ほど説明を省略いたしましたけれども、改良資金なども桑園改植に主力を注いで出しておるわけでございます。そういう方法でやっておるわけでございます。

島村軍次緑風会

○島村軍次君 昔の乾繭倉庫ですね、これは現状で、昔の制度そのままというか、そういう設備が残って、繭の方に使われるという設備がどのくらいあるか。それからこの今お話しになった繭処理 についての改善とか、いろんな面から考えなければなりませんが、乾繭処理に対してはどういう方針で進められますか。  それからもう一つは、今度出される法律は、説明によりますと、二つになっておったようですがね。製糸業の整備と調整組合ですか、蚕糸審議会となっておりましたが、両方出されるのかどうか。

須賀賢二農林省蚕糸局長

○政府委員(須賀賢二君) 乾繭倉庫の現在の状態につきましては、今資料を手持ちいたしておりませんので、調べまして、別の機会に差し上げることといたしたいと思います。  それから蚕繭処理の指導方針でございますが、これは私自身といたしましても、はっきりと具体的に申し上げるまでの実は十分の用意もないのでございまするが、過去におきまする乾繭共同保管のような形において、農協側の責任で繭を処理いたしました事例等もいろいろ検討いたしておるのでございまするが、私が現在考えておりまする考え方といたしましては、なるべく乾繭保管の形において農協に持たして、それから需要家の手元へ昔の平均売りのような思想で出ていくという考え方よりも、やはりなまで需要家の手元へ渡しまして、その渡し方につきまして今後しかるべき調整対策を考えていくというような方向で、考えていきたいと思っております。  法律につきましては、蚕糸業振興審議会を作ります関係で、蚕糸業法の一部改正をお願いいたしますことと、それから生糸の企業整備の関係で臨時措置法をお願いいたします。あわせて二つの法律を考えております。

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) この程度にとどめて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重政庸徳自由民主党

○理事(重政庸徳君) では、この程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十六分散会

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