農林水産委員会 第10号
- 発言数
- 200 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1957/02/26
会議録
○委員長(堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開きます。 横浜市鼻風浦、根岸湾及び本牧沿岸漁場の埋め立ての件を議題にいたします。 この件につきましては、すでに御了承のことと存じますが、問題の発端は、昨年の十一月二十七日に横浜市鼻風浦漁業協同組合長、同根岸湾漁業協同組合長、同じく本牧漁業協同組合長、埋立反対期成同盟連合会実行委員長、神奈川県漁業協同組合連合会長及び全国ノリ貝類漁業協同組合連合会長の連名をもって、漁場埋立反対及び桜大線路線の変更の陳情がなされたことに始まったのでありまして、その際、陳情の要旨は横浜市が臨海工業地帯を造成し、かつ国鉄桜木町—大船間の桜大線を誘致するため、市の一方的な意図によって横浜市庭風浦、根岸湾及び本牧各地先の漁業の埋め立てを計画し、その実現に努力しているが、埋立予定地はノリ及び貝類の養殖を行い、神奈川県内湾随一の好漁易であり、埋め立てによって沿岸漁民は生業を奪われ、その生活は永久に根底から抹殺されることになるので、漁業の埋め立てに絶対反対であり、また埋め立てと相関連する桜大線の路線は、これを変更して、陸路線とせられたいということであります。 当委員会におきましては、この陳情を受けて、直ちに現地調査を行うようにとの御意向の向きもありましたが、現地調査を行う前に、地元関係者から事情を聞き、その上で現地調査を行う方がよろしいということになりまして、昨年十二月二十日の委員会におきまして、この問題について地元関係者を参考人として意見を聞くことに決議され、その人選及び時期等については、委員長に御一任を受けていたのであります。その後、諸般の事情から今日に至ったのでありますが、去る二月十九日の理事会のお打ち合せに従いまして、二十一日の委員会で御了解を得て、本日この会を設けることになった次第であります。 参考人各位におかれましては、御多忙中をお差し繰り御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。ただいまからお手元にお配りしておきました順序に従って、順次御意見を承わりたいと存じますから、よろしくお願いいたします。 なお、委員各位にお願い申し上げますが、委員各位の御質疑はなるべく、参考人の陳述が一通り終ってからにお願いをいたします。また、本日政府からは、水産庁の漁政部漁業調整第一課長丸山君、日本国有鉄道常務理事の藤井君が見えております。あと、運輸省からも今見えることになっておるのであります。 では、ただいまから参考人の御陳述を願います。どうぞ、お手元に差し上げております順序に従いまして、まず横浜市助役田中省吾君からお願い申し上げます。 なお、ちょっと申し上げますが、なるべく皆様方の御陳述は、せいぜい十分ないし十五分以内にとどめていただくように、お願い申し上げます。
○参考人(田中省吾君) 私、横浜市の助役の田中省吾でございます。横浜市の根岸湾埋立問題につきましては、先般来当委員会の皆様にも、非常な御迷惑、御配慮をわずらわしておりまして、まことに恐縮に存じております。この点厚くおわびを申し上げる次第であります。 ごく簡単に、根岸湾埋め立ての沿革とでも申すことを申し上げたいと存じますが、根岸湾埋め立てという問題は、実は古い問題でございまして、さかのぼりますと、明治四十四年の横浜市の市会におき失して、根岸湾埋め立ての議決をいたしまして、その一部は、昭和五年の八月に、約三万坪の埋め立てを実行いたしたのでございます。これはもうほんの少しでございます。それからさらに昭和二十六年に、二万九千坪余りの埋め立てを完成したような沿革もあるのでございます。 そういう古いことはさておきまして、それ以来、歴代の市の当局は、何とかこの根岸湾の埋め立てを実行いたしまして、工場地帯を造成いたしたいという念願を持ち続けておったのでございます。御承知のように、横浜には、神奈川、鶴見地区の大きな埋立地がございまして、そこは現在横浜市における大工場地帯を形成いたしておりますし、これはまあ日本全体から見ましても、大きな工場生産の基地になっておるというようなわけでございまして、横浜市といたしましては、さらに根岸湾の埋め立てを実行いたしまして、ここに第二の横浜港湾というものを作りたいという念願をもって、引き続いてずっと研究をいたしておりました。 それから最近になりましては、昭和十六年にやはり埋立計画を立てまして、市会の議決を経て、九十七万坪の埋め立てを計画いたしました。その当時、地元の漁業組合に埋め立ての同意を求めまして、そうして漁業組合に対しても十分の了解を求めて、覚書の交換もいたしました。漁業権については、漁業組合は漁業権を放棄する補償として、埋立面積の六十六万九千坪余りに対して、七万二千百九十一円支払うものとする、それから海面浚渫に対する慰謝料として五万円を支払うというような覚書を交換いたしまして、この六十六万九千坪余のうちで、まず五万坪を埋め立てするということになりまして、その五万坪の補償といたしまして六万五千百五十円、慰謝料として二万円、合せて八万五千百五十円の支払いを了しまして、その埋め立てにかかったのでございます。これがまあ漁業組合の方に、よく納得をして、了承を得て行いましたのでありまして、その後その五万坪のうちの約半分は竣工を見ておるのでございます。 そういうような沿革をたどっておるのでありますが、最近になりまして、何とか本格的な、五万坪や六万坪じゃなしに、何十万坪という大きな埋め立てをやりたいという希望で、いろいろ研究をいたしておりましたが、何しろ埋め立てには大きな金がかかりますし、その金策もなかなかむずかしい。かりにそれができましても、工場を誘致しても、工場が来てくれるかどうかという問題もありますし、最も大きな問題としては、漁業組合との了解がつかなければ、これはうまくいきませんので、そこでまだ実行をするという決心に立ち至らずに、まあ研究の程度で推移して参ったのでございます。 そういう沿革でございますが、実は昨年の初めになりまして、根岸線延長の問題というものが起って参りました。これはこれまた古い問題でございまして、国有鉄道が桜木町でとまっておりますのを、桜木町から延長してもらって、横浜市を貫通して北鎌倉駅に接続するという問題が、これは昭和十二年、鉄道建設法に根岸線の延長ということで載っておるわけでございまして、この鉄道の延長は、当時一部土地の買収もして、まさに着工しようという段階にまで立ち至ったのでありますけれども、戦争が起りましたために、中止になってしまっておるという問題が一つ、これは別の問題としてございます。 ところが、横浜市としては、やはりこれを実行いたしてもらいたいということを多年の念願としておったのでございます。しかるところ、昨年の初めになりまして、どうも桜木町から鉄道を延ばして北鎌倉に継ぐというのではおもしろくない、延長するならば大船駅にこれを接続するのがよろしいというようなことで、俗にこれが桜大線、桜木町の桜と、大船の大をとりまして、桜大線という名前でこれが問題になって参りました。正確の法律上の名前はやはり根岸線でございます。そこで昨年の二月に、鉄道建設審議会におきまして、根岸線の延長について、調査すべき線ということにお取りきめ願いまして、横浜市としては非常に喜んでおる次第でございます。 そこで、だんだん鉄道当局において御調査をなされ、市の当局としても、その御調査に対して全面的な御協力を申し上げて、今回に至っておるのでございますが、その初めのうちには、この根岸線、すなわち桜大線というものは、東海道線の現在の交通を緩和するということが非常に大きな理由になっておりまして、根岸湾の埋め立てということは、これはあればまことにけっこうだ、しかしまあその重みはむしろ東海道線の交通緩和ということにあるというような考え方であったのでございます。しかるに、漸次研究をして参りますと、この桜大線をやりましても、なかなか東海道線の交通緩和には、役立つには役立つけれども、十分でないということになりまして、東海道線の交通緩和にはまた別途の方法を講じなければならぬというような模様にだんだん変って参りました。 そこで私どもは、それはもう鉄道専門家の御研究に待つということにいたしまして、いずれにいたしましても、桜大線が敷かれるということになれば、根岸湾の埋めめ立てということも、これと並んで実行をいたしまして、ここに大工場地帯を作りまして、横浜港の第二港湾というようなものを作りたい。そうしてこれは横浜にとりましては非常にもう市の性格を変えるほどの大問題でございまして、御承知のように、横浜は戦災をこうむりました上に、その心臓部と申すべき部分を接収をいたされて、復興が非常におくれております。これを神戸、大阪、名古屋等に比べますれば、遺憾ながら非常に復興がおくれておりますので、この桜大線を敷設していただいて、そうして根岸湾を埋め立てて、横浜の性格を変更するような大事業をやっていただいて、そうして復興のおくれを取りもどしたい。これが横浜市の百年の大計として最も根本的な重要施策であり、これがまた日本の国の再建、復興に役立つものであるという信念を持ちまして、それに熱心にまあ研究をいたしておったわけでございます。 ところが、初めのうちはあくまでも研究をいたしておるというような状態でございました。そこへもって参りまして、昨年の八月、地元の鼻風浦の漁業組合で、この地元約二千坪を埋め立てたい、漁業組合の用に供するために二千坪を埋め立てたいという出願が出て参りまして、市長に対してその同意を求めるということになりました。これは法律的に申しますと、免許は知事に免許が申請されまして、知事から横浜市会にその意見を問われたわけでございまして、市会といたしましても、よく研究をいたしました結果、これに同意をしようということで同意を与えましたが、その際、漁業組合とよく懇談をいたしまして、一つの覚書を交換いたしたのでございます。 その覚書の内容駅で詳しく申し上げませんけれども、要するに、市はこの覚書に、漁業組合の二千坪の埋め立てに同意する、しかし、将来市が大きな埋立計画をやる場合に、これが支障になっては困るというので、その土地については、漁業組合において、市の方からかえ地を上げるとか、あるいはこれを市に売ってもらうとかということにしてもらいたい、というのは、将来本埋立地を市が必要とする場合は、組合はこの埋立地を適正な価格で市に譲渡するか、または適当な市有地と交換することに同意するといったような覚書を交換して、二千坪の埋め立てに同意をいたしました。そこは文言には現われておりませんけれども、まあ大きな埋め立てをするときには、漁業組合も同意してもらいたいという含めは十分あるつもりで、市の方はおったのでございます。 それからそのときにまだ、この根岸湾の埋め立てを本格的に実行するという決心は、市にはついておりませんでした。ついておりませんでしたけれども、決心をつけるためにいろいろな調査をいたさなければなりませんので、その調査をすることについて、まあ同意してもらいたいというお話もいたしたのでございまして、市の方としては、漁業組合の同意を得て、水面に入って、深さをはかってみたり、あるいはボーリングをやってみたりするということを、その後やりましたわけでございます。その後わかりましたところによりますと、どうも漁業組合においては、そういう漁場に入って深浅をはかったり、ボーリングをするということについて、完全な了解を与えていないのだということを、漁業組合の方で申しますので、そこにまあ一つの食い違いが実は起ったのでありまして、まことに残念でもあり、恐縮にも存じておるところでございます。市の方では決して強引にそういう調査をしたわけではないつもりであるのでございまして、まことに遺憾に思っておるところでございます。 そういう推移をたどりまして、昨年の十一月の初めに、国鉄当局の方から、だんだん調査研究の結果根岸線を延長……。ええ、もうすぐしまいにいたしますが、根岸線を延長するためには、やはりこの埋め立ということが非常に、絶対というほど必要であるというような意味で横浜市は本腰を入れてこの埋め立てをやるのかどうかというお問い合せがございまして、そこで市といたしましては、ほんとうに決心をいたしまして、これはすぐやらねばならぬという決心をいたしまして、市会の全員協議会にも諮りまして、御同意を得て、全会一致、政党政派を超越した御同意を得て、国鉄当局に、これはいたしますという回答をいたしました。 それから今年の一月十日には、市の内部に、埋立事業局という一つの新しい局を作りまして、そして自治庁等にもお願いをし、起債を認めてもらうという運動をして、これを実行するという段階になってたのでございます。そのためには、どうしても漁業組合に御同意を求めなければなりませんので、しばしば御同意を求めるために、地元の県市会議員、その他各種の方に御協力を得て、同意を求めるための努力をいたして参りました。そこで昨年の十二月二十八日と、本年の一月二十八日と、それから一昨日——日曜でございますが、三回にわたって漁業組合と折衝をいたして参りました。第二回目は地元の漁業組合は出席していただけませんでしたが、一昨日は皆さんおいでを願って、そこでお話し合いをいたしまして、それでは協議会を作って折衝をしようという段階にまで、おかげさまで到達いたしましたので、私どもの方としてはぜひともこの埋め立てはいたしたいという決心をいたしておりますし、そのためには漁業組合の同意をどうしても得なけりゃならぬ、最善の努力を尽しまして同意を得るつもりでございます。そうしてそれは漁業組合の方にとっては生活権の根本に触れる問題でございまして、非常に重大な問題でございますので私どもは漁業者の方々の身になってその補償等については最善の方途を講じたいというつもりでおるのでございます。 以上概要を申し述べまして、いろいろ行き違いもございましてまことに恐縮でございますが、そういう点についておわびを申し上げますと同時に、将来は責任をもって漁業組合と話し合いをつけて、漁民の生活については保障をいたしたい、こういうつもりでおりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げる次第であります。
○委員長(堀末治君) 次に埋立反対実行委員長の大須賀金太郎君の御発言をお願いします。
○参考人(大須賀金太郎君) お許しをお願いいたします。 横浜市屏風浦の漁場埋め立ての件に関し、地元漁民を代表しまして、以下率直に意見並びに問題点の概要を申し上げます。 まず、私ども地元漁民は終始一貫して本埋立を実施に絶対反対であることを申し上げます。 その理由は、申すまでもなく、われわれ漁民の生活権擁護のためであります。現漁場は屏風浦、根岸湾、本牧の地元三組合のほか、関係五組合が入漁しており、一千五百六十五世帯の漁家が本漁場により生活しているのであります。 この漁場に操業いたします業種は、ノリ養殖業を主体として、貝類養殖、ます網、打たせ網、延べなわ、一本釣り、潜水器等多種類に上り、東京湾西海区における沿岸漁場の中心漁場となっております。しかして本漁場における水揚総額は現在七億円をこしておりますが、さらに近年における浅海増殖技術の画期的進歩に伴い、近い将来においては十億円の水揚げも十分予想し得る全国屈指の優良漁場であります。また本漁場は、その生産高のみならず、製品の品質の優秀性においても、古くより内外の業界によく知られているところであります。 なお、特にここで申し上げたいことは、漁業生産の特質についてであります。すなわち、委員各位にはすでに十分御承知の通り、稚魚、稚貝はすべて沿岸の磯より発生いたします。私ども漁業者が日でろ磯々と申して大切に考えるのはそのためであります。従いまして、たとえ沿岸をわずかでも埋め立てされましたならば、この稚魚、稚貝の発生が根絶し、ために沿岸一般の各種漁業が壊滅するのであります。 以上本漁場の実情についてその概要を申し上げたのでありますが、結論として、本漁場の埋め立てが寸土といえども行われた場合は、優良漁場は壊滅して沿岸各種漁業が永久に根絶するのであります。また地元三千人の漁業者はその生活を根底から抹殺され、さらに入漁関係五千人の漁業者の生活にも死活に関する重大なる影響を及ぼすことになるのであります。 そこで、今かりに他の方法による生活権の確立を考えるとします。まず、今後もし私ども漁業者が未知でありしかも無経験である職業に転業いたしたとしても、とうてい長続きするとは考えられません。また生活を維持する収入においても、現在の収入もしくはそれに近い収入を得ることは不可能と断じ得るのであります。このことは、私どもは戦時中、徴用等による苦い経験をなめておるのでございますので、はっきりと申し上げ得るのであります。特に比較的漁業者には年長者が多いのでございまして、なかなか転業の道とてございません。祖父より受け継いで年少のころより就業し、さらに子孫代々にまでも残し得るこの安定した現職業を考えますときに、何人といえども私どもの生活権の代かえが絶対に不可能であることを御承知願えると信じます。従いまして、一般に考えられる一時的な補償のごときは、とうてい問題にはならないのでございます。 もとより私ども漁業者にとりまして、永年の漁場を失う悲しみと申しますか、万感胸に迫り、断ち切れざる哀愁は、よろしく御推察願えると存じます。しかしながら、私どもが断固として全員一致して埋め立てに絶対反対するその根底は、さような感傷的なものではありません。以上申し上げました通り、私どもは本埋め立て実施によって、将来あるこの優良漁場と、沿岸各種漁業の根絶を憂うるからであります。さらに私どもの生活権の確立、擁護を深刻に考えた上でありまして、しかも現在その代かえが絶対不可能であるとの観点に立って申しているのであります。この点は、私どもの意のあるところを十分御推察願いたいと思います。 第二に、この屏風浦一帯の沿岸地域は、横浜市有数の景勝の地であります。また住宅、観光地区としてはむろん、市民の健康を維持する衛生地帯としても、横浜市としてはなくてはならない所であります。この点はすでに広く内外によく知られております。従いまして、本埋め立ての、実施につきましては、漁業者のみならず、地元市民においても反対しておるわけであります。 時間の関係上大要にとどめますが、要するに、私ども漁業者としても、工業地帯造成の必要性は一応了解できるのでありますが、前述の通り、一体善良なる市民であるわれわれの絶対に代かえのない、しかも安定した性活権までも犠牲にして、埋め立てを実施する必要があるのかどうか。また、二度とかえがたい優秀なる漁場と沿岸漁業を永久に壊滅してまで、実施する必要があるかどうか、さらに、古来からの風教、景勝の地を永久に喪失してまで、実施する価値があるかどうか。むしろ他の陸上地区に求めた方が合理的ではないのか。こうした点を強く横浜市当局に再検討願いたいと思います。またそうした再検討による工業地帯造成の可能性をかたく信ずるものであります。 次に申し上げたいのは、今日の事態を招いた横浜市当局の本産め立てに対する施策並びに私ども漁業者に対するあり方であります、 大要を述べますと、昭和二十八年の八月、横浜市船引助役が屏風浦漁業協同組合の総会に出席されましたときに、全組合員の前で次のようなことを言明されたのであります。すなわち、現在埋立計画はない、また今後そのような計画があれば、事前に地元漁業者と協議する、さらに、もし私が漁業者の立場に立てば、埋立実施は死活問題である、との発言を行われております。この発言は去る昭和三十一年十二月に、地元県、市議団、県当局立ち会いの上で、横浜市首脳部と漁業者側が会見したときに、同助役も認めております。このときに確認書として、田中、船引両助役、八木、蔵原両県会議員の記名捺印した書類も提出されております、従いまして、純真なる漁業者は、一切この発言を信じて今日に至りましたことは当然のことであります。しかるに、昨年の九月ごろに至りまして、新聞紙上で、しきりに横浜市に埋立計画があり、しかも近く実施される旨の報道がありましたので、地元漁民は吃驚いたしまして直ちに市当局に面接いたしましたが、言を左右にしてなお要領を得なかったのであります。ところが、その後調査いたしますと、すでにそのときには組合に無断で埋め立ての現地調査を行なっており、市会においても埋め立てを前提とする根岸線の誘致を上提、可決しており、さらに各方面にも働きかけておったのであります。かくして正式に漁業者に埋立計画を示してきたのは去る十二月の会見の後でありまして、その間一切を頬かむりし、漁業者の存在を無視して、今日に至った市当局の態度は、私どもとしてまことに理解に苦しむところでございます。 次に、根岸線と本埋め立ての関連でありますが、元来この二つの問題は別個のものであろうと考えます。事実横浜市当局にしても、また調査に当った国鉄にいたしましても、私どもが九月及び十月に陳情いたしましたときには、常に根岸線の延長と埋め立ては別だ、埋め立てとは関係がないという回答であったのであります。むろん漁業者としても、市の発展上、鉄道の延上そのものにつきましては、反対できないことは御了解願えると思います。ところが、昨年の十二月末の会見のときに至り、埋め立てと鉄道の延長は切り離せなくなったと言い出してきたのであります。ところが、この点もあとでよく調査しますと、当初より、埋立地に鉄道を延長する案で、調査、準備を行なっており、当然まず考えるべき陸路線については本格的な検討を行なっていないのであります。しかも一方では横浜市は中央及び県に対し猛烈なる運動を行なっていたのであります。 こうした横浜市の地元漁業者並びに漁業を無視した動きに対しては、去る十二月の会見のときにも漁業者側から鋭く批判され、市当局も、その非を率直に認めておるところであります。こうしたことは、私どもとして決して感情論で申し上げているのではありません。こうした横浜市当局の態度、また漁業に対する軽視並びにその実情に対する認識不足、さらにまた調査計画の不備が、今日本問題を一そう紛争せしめている事実を御承知願いたいと思います。私どもは、当初申し上げた通り、本問題は絶対に代がえ不可能な生活権の擁護のためでありますがゆえに、現在家族ぐるみ、漁村の全組織をあげて埋立絶対反対の態度を持しており、今後もこの態度は絶対に変りございません。また昨年の十月における第五回の神奈川県水産大会及び内湾漁民総決起大会の決議の通り、県下全漁業系統団体、県下全漁民の総力をあげて戦っております。私どもは、横浜市当局がまず漁業の実態と、市民である漁業者の実情を十分に御了解の上、当然のことではありますが、まず第一歩から順序を立てて、陸路線による鉄道の延長及び内湾における工業地帯の造成について、本格的なる御研究をなされんことをお願いするものでございます。 最後に申し上げたい点は、最近沿岸漁場の埋め立てに関する問題が全国各地に起っておりますが、その根底は漁民の蔑視、沿岸漁業軽視の観念から生ずるものであります。私どもが沿岸漁業者として一歩も譲ることができません。さらに本埋め立ての件は、戦後までに埋立権を設定済みの所、あるいは漁場価値の比較的希薄な所とは異なって、戦後における新たなる優良漁場の埋め立てという全く新しい型の問題でありますので、この影響するところも重大なものがあると考えます。その意味におきまして、本常任委員会が慎重審議され、沿岸漁業百年の大計をはかられんことを心からお願い申し上げる次第でございます。 まことに恐縮でございました。 今、田中助役さんから、先般、二十四日の会合のときにおきまして、議決会を設置するという問題がございました。私どもは議決会に列席するものでございませんで、今後のことは相談をするというだけに承認いたしてあるのでございまして、決して同意をするということに賛成いたしておるのではございませんので、この点は常任委員の各先生方に、かくとお願い申し上げる次第でございます。まことに失礼いたしました。
○委員長(堀末治君) 次に、神奈川県漁業協同組合連合会長奥村伊三郎君。
○参考人(奥村伊三郎君) 神奈川県漁業協同組合連合会長の奥村でございます。今回横浜市が根岸湾を埋め立てることによりまして、これが漁業者の漁業を奪う、生活権を脅威するということで、重大なる問題が起ったわけでございます。以下私は、この根岸湾で行われますところの漁業の実態、並びにこの漁場を失うことによって何らか他の産業あるいは他の漁業に転換することができるかということにつきまして、私の見解を述べたいと思います。 この根岸湾で行われますところの漁業は、ノリの養殖業、それから貝類の養殖業が主たる漁業であります。そのほか零細なる沿岸の漁業があります。それでこのノリの養殖業と貝の養殖業、ことにこのノリの養殖業というものは非常に効率性の高い漁業であります。中小業者が大都市におきまして生活を維持しますることは非常に困難であります。これは漁業ばかりでなく、一般の企業についても思われることでありまするが、この横浜市の漁業者が今日この困難な中に生活を維持しておるということは、このノリの養殖業並びに貝の養殖業をやっておるから、これが生活がやっていける、こういうことであるんであります。さように重大なることの養殖業であります。ここに地元の漁業者がこの漁業を行い、また他の組合からも多数これに入り込んでおるわけであります。まことにその点から見ますると、けっこうなる職場であり、農業でいえばこれが農地である。そういたしまして、この漁業者が他にほかの仕事をやっておるかというと、これは何にもやっておらぬ、農業をやるにしましても、農地がない。多少、ノリをほすぐらいのほし場は持っておるんですが、農地はない。ほかの中小企業でもやっておるかというと、やっておらぬ。百パーセントこの漁業に生活を依存しておるわけです。 そういたしまして、横浜市今回の埋立計画は、漁場、そのノリと貝の養殖場を埋め立て、その前面を掘るわけであります。十メートルぐらいに掘るわけです。そういたしますると、漁場を全部失うわけであります。そういたしまして、漁場を埋め立てた結果、漁民の全員が完全失業するというわけであります。その点は農地とかあるいは中小企業の場合とまるで違います。ここに鉄道を敷くとか、何か学校をやるということでありますれば、その場所だけが失うわけでありますが、漁業の場合はほとんど全部失う。それでそれに従事しておる人間が全員これを失う、失業すると、こういうわけであります。そういたしまして、この漁場は父祖伝来の、継承したところの大切な漁場である。この漁場を自分らの意思でなしに、他から強制されてこれを失うということに追い込まれると、こういうわけでございます。そこに大きな問題があろうと思うわけであります。 それから、これらの業者が他の漁業に転換できるか、その可能性があるかないか、こういう問題でありますが、このノリだとか貝をやっておる漁業者というものは、水中の農業者、ほとんどこの沿岸のほかの漁業をやるというような技術もない。また今日は沿岸漁業と申しましても相当漁業が専門化しており、だれでもやれるというものではありません。また相当それをやるにつきましても、五十万円なり百万円なり、ちっちゃな漁業でも今日ではやるにつきましても資本が要ると。それを人を雇うてやっとったということじゃあ、これはとうてい間に合わぬ。それでありまするから、他の沿岸漁業に転換ができるか、これはできない。ほかの専門の漁師がやっておるその場所でやるということは、これはできない。そういうわけであります。それで、しからば、まあ他の陸上のほかの産業にこれが転換できるかということも、これはなかなか、この漁師なんというものは海のことばかりやっておる、それでありまするから、ほかの商売にかわるとか、あるいは工場の労働者になるとか、だいぶ自由業をやっておるものでありますし、それからまた老人もおりますから、ほかの仕事にこれが転換するというようなことは、なかなかこれは困難であります。そういうわけでありまして、以上申し上げましたところによりまして、この漁場を失うことがほとんどこの関係漁民のもう致命的の打撃でありまして、またこれがほかに転換する方法がまず困難であるというのが私の見解でございます。 で、最後に、今回のこの埋め立てに対する横浜市の態度に一言触れておきたいと思います。横浜市がこれをやられるということにつきましては、十分理由のあることだと私は考えますが、最初これをやられますときに、一向その相手方の最も利害の関係の深い漁民側には、あまり交渉はなかった。それで漁民側は、何か埋め立てができるそうだ、鉄道がかかるそうだというようなことが新聞に続々載ると、載りまするから、これは大へんだということでだんだん探りを入れてみると、どうやらそういうことがあるらしい、こういうことで、非常にまあ感情的にもけしからぬというように考えておるわけでありますが、これは決して感情的で終るものではない。横浜市がそうしたところの市民の、善良なる市民の一員であるところの漁民に対して、そういうような不親切な態度をとられることは、将来横浜市がこうもする、ああもするとおっしゃるけれども、果してこういう当局が、こういう良心的でないような——良心的であるかもしれませんけれども、その態度とやり口がです、良心的でないやり口をされるところの当局者が、将来いかなることをされるか、ますますわれわれを不利益な立場に追い込むのじゃないかと、かようなことにつきまして非常なる不安を持っておる。これはまあだんだん本日は助役さんも見えておりまして、さようでないとおっしゃって、そのように私は考えておるわけでありますが、これまでの横浜市の態度はその点にまことに遺憾であったと、かように思うのでありまして、まことにこの問題につきましては困難な問題でありまして、私どもその対策がむずかしいということを考えておるわけでございます。よろしく御判断あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(堀末治君) ありがとうございました。 次に、神奈川県内湾漁業協同組合連合会長済田平寿君にお願いします。
○参考人(済田平寿君) 私が済田でございます。本問題につきまして、皆様に一言反対の理由を簡単に御説明申し上げたいと思うのでございます。 本問題のこの漁場は、内湾と申しまして、結局川崎から横須賀の境までと、こういう水域でありまして、沿岸水域の一部分でありまして、ここには、漁場の広さも持っておる関係上、五組合が入漁しておるのでございます。それで直接の関連性は、今申し上げました通り、五組合の相当数の家庭がこれに入漁して、冬季のノリ採取をしておると、いま一つの半面には、浅海アサリ養殖の漁場であると。これも何十万坪かの漁場でございます。これに依存して一年の生計を立てておる組合もございます。直接関係といたしましては、以上のような理由で反対するものでございます。 また間接には、われわれが皆様に御説明するまでもないと存じますが、大体漁業というものは、ほかの農地と違いまして、一つ所を強制収用されますと、非常に広範囲にわたって影響を及ぼすということなんでありまして、その内容は皆さんも御承知と存じますが、漁類の繁殖場所はごく浅海で、繁殖保護というような状態でございまして、相当の範囲の百何十万坪かの沿岸がつぶれますと、これに及ぼす影響は川崎から横須賀の境の方まで影響するというのが大きな理由でございます。 そういう理由でございまして、内湾連合会といたしますと、この十一組合がこの問題については再三協議いたしまして、この問題をどういうふうに考えていこうかと協議をいたしましておりますが、影響は非常に大きいので、どうしてもまあ地元の意向、三組合の意向は十分尊重するが、地元の意向ばかりでなく、自主的に各組合ともこの問題には側面から、いろいろな理由で損害をこうむるのだから、反対していこうという現段階でございます。いろいろわれわれといたしましても、市の発展——一市民であれば、市の発展ということも全然考慮に入れていないわけではございませんが、しかし、われわれ漁業者の代表といたしますれば、いかにして漁場を守り、漁業を永続させるかということにわれわれ責任を感じておりますので、本問題は、ぜひ賢明な皆様の御判断によりまして、この問題を一つ処理していただきたい、こういうふうに考えるものでございます。 はなはだ簡単でございますが、どうかよろしくお願いいたします。
○委員長(堀末治君) 次に、神奈川県議会議員八木邦継君。
○参考人(八木邦継君) 八木でございます。私は、県会議員としての立場から参考人として呼ばれたわけでありますが、県会議員という立場と同時に、ただいま供述しました内湾漁業の関係で、その相談的立場にありますので、二つの立場に立って、実は本問題が昨秋来きわめて先鋭化しました時期から、この円満処理に何らか寄与できたならばというわけで、協議整うべくこのあっせんに乗り出したというのが私の立場でございます。 これを私どもの県議会の立場から申しますると、いわゆる横浜市の終戦後から今日までの現状は、何と申しましても、貿易港本来の使命が壊滅に瀕しておるといってもひとしい、そういうことが言えると存じますけれども、そういうことから、今後の横浜市の発展策をどうしたらいいか。そうすると、やはり工業都市化しなければならない。工業都市化するためにはどうしたらいいか。埋め立てして、臨海工業地帯の造成ということに相なるわけでございます。この臨海工業地帯の造成ということに相なりますと、当然問題となるのが、いわゆる漁業者との大きなギャップをどういうふうに調整するか。この点では県議会にも、実は本委員会に請願されておりますと同様の趣旨の陳情が出ております。ところが、現在までの段階におきましては、県議会は、請願をしておる、何らか横浜市の当局とそして漁民との間に話し合いがととのわないことはないだろうというような考え方から、目下地元でもって直接話し合いをするようにというような態度をとっております。これが私の県議会議員としての立場であります。 同時に、たまたまこの問題に対してあっせんに当っておるという立場から申し上げますと、正直に申して、奥村県漁連の会長の話はまさにその通りであろうと思います。横浜市の従来の水産行政、いわゆる産業、経済行政に対する態度と申しますか、これは私から批判しますと、全くゼロにひとしい。ことのほか水産業に関しましては、あまり関心がなかった。そういうところから、本問題が非常に紛糾をして参りました直接の原因があったわけであります。ここようやくにして、一、二年来、水産業に対する視野を市の行政の面で向け出したというのが現状でありまして、いわゆる水産業に対する基本的な認識が欠けておったことが、この問題がかようになった原因でございます。そこで漁民の立場から申しますと、勢い、横浜市は親子の関係だといいますけれども、親がたよりにならぬから、従って参議院の本委員会の方に請願を持ち出した。この事情は私は当然ではないかと思います。 ところが、まあ当然とはいいながら、やはり横浜全市的な関係から考えて参りますると、この直接当面しておりまするいわゆる根岸線の建設問題、これが、臨海工業地帯の造成が不可能である、こういうことになりますると、勢い、一番肝心かなめな、いわゆる根岸線の建設が御破算になってしまう。これを、全市民的視野から考えますると、非常におそれております。直接この根岸湾の関係で、磯子区、中区という所なんでありますが、選出しております県、市会議員団としましても、今日の段階ではきわめて苦境に立っておる。私は、その隣接の地帯に住んでおりますけれども、地元の県、市会議員団も、去る二十三日でございますが、漁民の方々と会いまして、そして何とか話しの結着をつけたい熱意に燃えて、会見はいたしておりますけれども、結局のところ、その中区、磯子区の選出されております県、市会議員団は、漁民の諸君に、率直に、これまでのいきさつに対して、何らか漁民だけはつんぼさじきに置いたような形になっている。これに対して明確な釈明をいたしまして、陳謝の意を表明しておる、そして今後寸土といえども、この埋め立ては、漁民の理解と納得のない限り、断じて埋め立てをさせないという申し合せを行なったわけであります。これは、私がその会議に臨んでおりまして、直接関連をしておりまする地元の県、市会議員というものが、そういう考えになっておる。あくまでもこれを納得づくで解決しようじゃないか、こういう傾向でございますが、それが、そういうわけでございますけれども、たまたま本年に入りましてから、新聞報道等が、きわめて漁民を刺激するようなやり方である。刺激をしようとしまいと、漁民の立場は、生活権を奪われるのですから、そんなことはどうでもかまいませんけれども、これがさらによけいな騒動の原因になった。そして、これを第三者の立場から見ますると、何か横浜市がそういう放送をして、新聞に書き立てさして、そして漁民だけが悪いのだ、根岸線の建設問題ができないということは、漁民が納得しないから、漁民が無理解だからできないのだ、そうなってしまうのだというような、そういう非常に世論から、横浜市の世論からいって追い詰められている。私は漁民の立場を率直にくみますると、まことに現状に追い込まれましたことに、窮鼠ネコをかむような気持でございます。これは、やはりくんでいかなきゃならぬ。このことを横浜市の当局に対しましても、強く認識をするように要請はして参りました。 そこで、一昨日、二十四日の日に、漁民の全部の方と横浜市の理事者並びに議会の代表との会見を持ったわけでありますが、これが、まあ私、奥村さん、済田さんという形であっせん役を買いまして、会見が行われました。この会見の席上におきましても、横浜市から発表されまする意見の内容が、水産業に対する考慮、配慮というものが何らなかった。これは、もうきわめて遺憾である。これは、私がきわめて厳正、中立に司会しなければならぬ立場でありますけれども、第三者の立場でも、その点は遺憾であった。それから、漁業者がきわめて激高する状況にあった。とどのつまり、そういう大衆討議ではいけないから、いずれにしましても、漁民の立場から申しますると、横浜市の最高首脳部に対して、もう少し水産業に対する根本的認識を改めてほしいという気持から、横浜市の方では、この話を何とか円満に終止したいという気持から、協議会を持つことになりました。これは、さいぜん実行委員会の委員長が申しました通り、必ずしも現段階におきましては、漁民の方が賛成するための協議機関を設置するわけではありません。いずれにしても、横浜市と横浜市民との関係でございますので、地元でもって十分に静かな形で一つ話し合いをしてみようじゃないか、こういうわけで、近々この協議機関なるものは持つことに相なっております。相なっておりますけれども、必ずしも、この協議機関を設置することに結論が一応出たからといって、直ちにこの問題に対して漁民の方で賛成するんだという意味ではありません。 これが現状のままを私から申し上げさしていただいたわけでありまして、私自身は何らかこの最大の横浜市の問題に対して円満な線が現地で局地的に解決ができればよろしいのではないか、まあそういうことが望ましいのじゃないかというふうに考えておりまして、必ずしも埋め立ての問題に対して賛否ということは、現在の私の立場からは申し上げません。
○委員長(堀末治君) 次に、神奈川県農政部長鈴木重信君にお願い申し上げます。
○参考人(鈴木重信君) 鈴木でございます。すでに五人の方々からそれぞれお話がございましたので、それぞれのお立場は違うと思いますけれども、なるべく重複を避けまして、簡単に申し上げます。 県の立場でございますが、神奈川県は農業、水産ともに、大都市の必然的な膨張発展ということと、第一次産業——農業、水産業の保護育成という点と、この両点が時として矛盾を生じて参るのであります。農業におきましても年々約三百町歩ぐらいのものが、都市の膨張発展のために、壊廃されつつある。ことに今日問題になっております漁業につきましては、特に沿岸、内湾等の漁業は、大都市の膨張発展のために、次第に埋め立て等によりまして壊廃する傾向にあるのであります。 本件の特色といたしまして、これらの市の経済、あるいは市民の交通というようなものが当然に発展して参るということの必然性と同時に、住民としての漁業ないしは農業ということの生産の向上、生活の向上ということの矛盾をいかに調整して参るか、こういうことにつきましては非常に苦慮いたしておるわけでございます。従来までもそうしたことがあり、現に県におきまして、川崎市の大師河原のノリ漁場の、百六十万坪の工場地帯の埋め立てということは、数年来計画が立てられ、昨年から、漁民との間の交渉に入りまして、昨年の暮に補償の妥結を見まして、本年から実施に移る、こういうことに相なったわけであります。こうした事態が起きて参ります場合に、常に相互の深い理解、またことに埋め立てによる被害を受けます側の納得というものを得られまして、それが第一段階であり、その次に権利、あるいは生活権の保障ということに入るのが当然なのでございます。 今般の事態を見ておりますと、その点は、市当局のお話によりますと、計画の実現が非常に急速化して参ったというような内部の諸般の事情がおありになったようでございますが、そうしたことが原因でありましたと思いますが、漁民の側との話し合いの機会を持つチャンスというものが非常におくれた、その機会を持たないうちに反対運動が起きてきた、こういうふうなことでありまして、事態を見ておりますと、反対運動が熾烈になってから話し合いを持つようになった、非常に不幸な立場にあったのではないか、かように思われるのであります。これにはやむを得ない事情もあったと存じますが、そのうちに世の中の世論というものが、市の発展という方向を正当づけ、その必然性を説くというような形になりまして、次第に漁民の諸君の反対運動が世論から孤立をしていくというふうな傾向があったわけであります。 これが事態の推移でございますが、県といたしましては、昨年の十月の二十九日に漁民の諸君が反対の大会を行われ、そのあげくに、市並びに県に陳情に見えたのであります。この問題につきまして、初めて漁民から反対の意思を県が聴取いたしたのでありますが、当時はまだ市の計画の内容等についてつぶさに県は市からの説明を受けておりませんので、ただ一応陳情を受けた次第であります。こえて十二月の上旬になりまして、市の首脳部から県の知事を初め、関係者に正式の埋め立てに関するところの客観的な御説明があったわけであります。すでにそのときには反対も熾烈になり、また一方世論も起きて参る、かようなことでございまして、われわれ見ておりますと、先ほど申しました都市を発展させよう、工場地帯を作ろうという線と、これを反対する線が平行いたしておりまして、どこまでも平行線でありまして、話し合いの機会がないのはまことに不幸なことである、かように存じましたので、当時埋め立て反対の実行委員長でありました済田竹次郎君がたまたま県にたずねてこられましたので、これはどうしても一度冷静に向うの代表者とよく話し合いをするという機会を持つ方がよろしい、そうでないならば、いわゆる時流というものから孤立をしていく、こういう不幸なことになる、諸君は会津の白虎隊のような形になっては不幸なんだから、冷静に両者が話し合う機会をまずお持ちなさいと、こういうことを勧告いたしたのであります。その後、県会、市会等のあっせん、あるいは内湾漁連、あるいは全県の漁連の会長等のあっせんもございまして、押し詰まりまして、十二月の二十八日に最初の話し合いをお持ちになって、私も同席をいたしたのでありますが、そこから両者の理解納得の端緒と申しますか、相互に話し合いの機会が初めてそこに開けた、かような経過になっておるのであります。 こえて、ことしになりましてから、また陳情もあり、また先ほどお話のありました去る二十四日に第二回の話し合いが開かれる、かような経過になっておりまして、これはこの席上今後委員会を設けて両者で話し合おう、こういう形になったのであります。それは反対あるいは賛成ということでなく、まず話し合いを冷静に持っていこう、かような形になったのであります。 県といたしましては、こうした矛盾を生じております中に、市と市民、市と生産者との間に冷静な話し合いが続けられまして、なるべく円満な納得、理解が得られますように希望しておるような次第であります。 まことに簡単でございますが、県の立場と現在までの経過措置を、簡単に申し上げました。
○委員長(堀末治君) 以上で参考人の陳述が終った次第でございますが、それに関連して御質疑がございましたら、順次御発言をお願いいたします。
○田中啓一君 ちょっとおくれて参りましたが、この横浜市でお出し下さいました根岸湾埋立基本計画書の十九ページの、根岸町地先公有水面埋立経過概要という所を拝見いたしますと、ずいぶん前からの問題であるように思われます。そうして大正十五年には根岸町の漁業協同組合、昭和三年には本牧の漁業協同組合が同意書を提出しておられます。昭和十五年に至りまして、補償金額もきまったように見え、かつまた、内払い金をお支払いになっているように見えるのでございますが、これは事実でございます。どちらからでもよろしゅうございますから、お答えを願います。
○参考人(田中省吾君) 先ほど最初に陳述申し上げましたように、この根岸湾の埋立問題というものは、古くから問題になっておったのでありまして、ここにも記録してありますように、明治四十四年に最初手をつけまして、そのうち三万坪ばかりがもうできておる。さらに二万余坪ができておる。それから今お尋ねの点は、戦争中にやはり埋立計画を立てまして、そしてそのうち五万坪を埋め立てるということになりまして、その実行に着手いたしまして、現在その半分ぐらい竣工いたしております。そうして、漁業組合との話もつけてやったのでありますが、内払い金を払っておるのでございまして、先ほど申し上げた通りでございます。
○参考人(大須賀金太郎君) この埋め立てにつきましてお話し申し上げたいと思います。実は、この埋め立ては、昭和町と申しまして、鼻風協同組合の漁場の一番由の発端でございます。それを軍の圧力によりまして、当時の組合長さんが、ここに軍のために工場をこしらえるんだこういうようなことで、同意は確かにいたしたということは聞き及んでおります。そこで、横浜市は、この埋め立てを、権利はなるほどとりましたんですが、施行しないんでございます。そして、ある二万坪ぐらいの地所を埋めまして、会社にこの地所を売っちまったんでございます、水の上を、そういう不可解なことを今までやっておるのでございます。埋め立ての権利というものは、施行してからこそ初めてあるのじゃないかと思います。水の上を売るという権利はどこにあるんです。私は不可解になる。しかし先代の組合長さんがやられたことでありますので、実はわれわれは涙をのんで今までがまんしておったわけであります。その当時、返してくれ、売ってくれと、再々その当時の組合長さんがお願いしたのだが、何としても売らないで、二、三年持っていて、二百九十万という膨大な金をもうけたということを現在まで聞いております。
○田中啓一君 要するに、大正十五年から昭和十五年、これは戦争前の話でありますが、もっとも支那事変中ではあったのでありますが、これは横浜市でお立てになっております第一期埋立計画並びに第二期埋立計画、合せまして約百八十万坪ばかりになるのでございますが、それ全体のことではなくて、きわめて一部分の、今お話にあったようなことだけの折衝で、約一万坪でありますか、二万坪でありますか、それほどのごく一部のものであって、全体とは必ずしも関連がないと、こういうように解してよろしゅうございますか。これは助役さんからお伺いします。
○参考人(田中省吾君) ただいまお話しの通りでございまして、戦争中にやりました埋め立てというものは、きわめて一部分でございまして、ただ沿革として申し上げたのでございます。そうして、ただいま実行委員長から申しましたように、その埋め立てば、市が埋立権をもらいまして、それをある民間人に埋立権を譲渡したという事件はございます。これは私どももまことに遺憾至極であると思っております。(「けしからん」と呼ぶ者あり)そういう事態はございまして、今度の第一期、第二期の大きな埋立問題は、全然別の大きな計画でございます。
○田中啓一君 これは両方から伺った方がいいのかも存じませんが、大体ここは漁業というものは、ノリと、それから貝の養殖と、それから沿岸漁業、こう三つの構造のように伺いました。そこでそれぞれの金額をお伺いしたいことと、それからもう一つは、今の三つの漁業組合から出しておられる陳情書を拝見しますると、関係したこれら三つの漁業をやっている漁民の数が千数百戸であるように書いてございますが、要するに、この横浜市の約百八十万坪の埋立に関連して、まあまことにおっしゃる通り、漁民にとっては死活問題であると存じますが、その関係漁民の戸数は千数百戸でございますか。その二点をお伺いいたしたい。
○参考人(大須賀金太郎君) ただいまお尋ねの点につきましてお話し申し上げたいと思います。千五百五十五世帯で、そのうちには、船をやっておる方が二百十五隻ございます。
○田中啓一君 何がですか。
○参考人(大須賀金太郎君) これは漁業の打瀬をやっておる方でございます。
○田中啓一君 打瀬網……。
○参考人(大須賀金太郎君) ええ、打瀬網でございます。それから無動力の船が八百八十五隻ございます。それでノリの入漁者の世帯数が千五十八世帯でございます。川崎、柴、富岡、生麦、本牧の五組合でございます。それから屏風ヶ浦、根岸、本牧の、入漁でなく自分でもって営業しておるものが五百七世帯でございます。これを合せまして千五百六十五世帯でございます。これは重複いたしまして、打瀬をやっておる方が先ほど申しました数字でございます。
○青山正一君 ちょっと関連質問。千五百世帯というのは、一軒の象に漁業者は一人という意味合いですか。
○参考人(大須賀金太郎君) そうでございます。
○青山正一君 そうならば、一体何人くらいおるのですか。
○参考人(大須賀金太郎君) 全部で……あとは金高でございますが、金高の報告をいたしてよろしゅうございますか。
○委員長(堀末治君) ええ。
○参考人(大須賀金太郎君) 七億二千二百三十四万四百五十円でございます。分けて申し上げますと、ノリの場合には五億一千百六十五万五百円ということでございます。
○田中啓一君 今伺いますると、一番ノリの養殖というのが大きなものであり、これに貝の養殖が続くように言われます。そこでただいまお話を伺いますと、川崎の組合ほか五組合が入会で、千五十八世帯利害関係になっておるというお話でございましたが、この入会権というものは非常に古くからのものでございますか、比較的新しいものでございますか、それらの年代を伺いたいことが一つと、それからもう一つは、他人の水面へ来て商売をするのでありますから、どうしても地元に何らか入会料みたいなものを払うのが当りまえであろうと私は思うのでありますが、これはどのくらいそこから来られる方は納めておられるのでありましょうか。そういうものはなしで、昔からの入会権だから、もうそんな年々入会料を納めるようなことはないのでありますか。それらの歴史的かつまた現在の経済関係というものを教えていただきたい。
○参考人(大須賀金太郎君) 入漁の関係は古く、約二十年近くのように考えます。今の協同組合になりましてはほんとうのわずかでございますが、昔からやはり全般的にこれだけの漁夫が入漁はいたしておりませんでございますが、最近協同組合になりまして入漁権を設定されてから、これだけの方々は変りなく入漁しております。それで、さくに対しましては一さく約五百円の入漁料をいただいておるわけでございます。
○田中啓一君 総額は幾らになりますか。
○参考人(大須賀金太郎君) 入漁の総額はここに出ておりませんが……。
○田中啓一君 出ておらぬから伺っておる。
○参考人(大須賀金太郎君) これは五百円のうちで、つまり入漁者の方が参りますと、その網へ張るところの竹を割ってさく割りをしたり、それから抜けたらそれを補充したり、いろいろな費用がかかっておりますので、全体が収入というわけには参らぬのであります。そのうちにはノリも盗難によってとられる場合がございますので、番人を九人つけまして、そうして一万八千円の月給を払ってずっと管理さしてございます。全額組合の収入というわけには参らないのであります、ですから、それがためにここには金額は出ておりませんので、この点は御了承願いたいと思います。
○参考人(田中省吾君) ただいま漁業者の戸数とか、人口とか、あるいは生産量についてお尋ねがございまして、漁業組合の方からお答え申し上げましたが、市の当局といたしましてもそういう調査はございます。地元の組合は三組合でございまして、入会権を持っておる組合は五組合ということは、ただいま漁業組合から申し上げた通りでございます。ところが、その漁業者の戸数とか、人口とか、あるいは生産量とかいうことになりますと、これは今後漁業組合と市当局がよく話し合いまして、そうしてはっきり基礎を固めて、幸いに漁業組合が埋め立てに賛成して下さるということになれば、補償料をきめるという段階になろうかと思いますので、多少今漁業組合から申し上げました数と私どもの数とは違いますけれども、まだそこまでここで申し上げてはいかがか。将来漁業組合と私どもの方と話し合いの上できめるということにしていただければ、まことにありがたいと思うのでございます。
○田中啓一君 それはそれでもけっこうでございますが、そうしてまたそう何も立ち入って伺わぬでもよろしいと私どもも思うのでございますが、最後に一つお伺いしておたきいのは、要するに、入会の五組合が地元の三組合に対していかほど入会料を払っておられるであろうか。それはみながみな地元の組合のふところには入らぬで、経費もかかるというお話はよくわかる。その通りでございましょうが、とにかく五組合は幾ら払っておりましょうか。それからごく大ざっぱな話ですが、入り会っておる人たちのノリの生産額と地元の人のノリの生産額とは、およそどれくらいの割合でございましょうかということを、お伺いいたします。
○参考人(大須賀金太郎君) いかがでしょう、この点は、私前からずっと実行委員長を続けて参っておりませんので、まことにこの説明に対して不備な点があったように私深く感じておりますが、しかし、御案内の通り、私委員長をやりましたのは十二月の二十八日でございます。この書類を作成したのが前のことでございますので、前の委員長も本日伺っておりますので、前の委員長からこれは聞かれたらいかがですか。(「そんなこといいよ、こっちから調査にも行くでしょう」と呼ぶ者あり)
○委員長(堀末治君) 申し上げますが、今の田中さんの御質問に対して、お帰りになってよく調査をして、これは間違いがないという数字をよくお調べの上、お出し下さい。
○参考人(大須賀金太郎君) じゃ、そういうように一つお願いをいたしまして、さっそく帰りましてそれの書類を提出いたします。その点は御了承を願います。
○青山正一君 横浜の助役にお伺いしたいのですが、先ほどからここにおられる県漁連の会長なり、済田さんなり、あるいは八木さんから、いろいろお話を承わっておりますと、利害関係に最も深い漁民に市が何ら交渉していない、あるいは非常に不親切な態度であった、良心的でなかったという態度、こういった態度は、将来いかなることをするかわからないというような言葉もあったように思われるし、またその結論として、この問題は非常に困難な問題である、対策がむずかしいと、こういうようなお言葉があったわけでありますが、そこで助役にお伺いしたいことは、現在まで漁民に同意を求めずに計画を進めてきたということは、これは事実なんですか、その点をお伺いしたいと思います。
○参考人(田中省吾君) 横浜市当局といたしましては、漁業組合の人も大切な市民でございますし、それから先ほど横浜市当局は水産業に対してまことに認識が薄かったというようなお話もございましたが、これは弁解になりますから詳しくは申し上げませんけれども、やはり広い地域を横浜市は持っておりますので、商工業と並んで、なり水産業なりに対しても、私どもはできるだけのことはやってきたつもりでおります。 それから、この問題についての漁業組合との交渉も、私どもは誠意をもって、ある場合には了解を求め、了解を求めては調査をするというようにし、もっと近寄って、ひざを交えて、よく事業の内容も了解してもらって、賛成してもらって補償の問題に入りたい、こう思って、最善の努力は尽してきたつもりでございますが、一番初めに申し上げましたように、どうも手違いがあったり、行き違いがあったりして、思うようにいきませんでして、そこで皆様にもこういう御迷惑をかけ、漁業の業者諸君にも、市は誠意がないじゃないかというような声を起させたりいたしましたことは、まことに私どもの不手際でございまして、この点については深くおわび申し上げる次第でございます。まあ、こう申し上げれば弁解になりますから、これ以上申し上げませんけれども、とにかく市の当局として、こういう地元の問題を中央にまで持ち出して、皆様に御迷惑をかけるというようなことにいたしましたことは、まことに申しわけないことで、今後は、要するに市長と市民のことでございますので、先ほど八木県会議員から申されましたように、話せばお互いによく話がわかる、みなここに来ておる人も顔知りでございますので話はできる、私ども誠心誠意全力をあげて最善の努力をすればできる、こう思っておりますので、よろしく御判断を願いたいと思います。
○青山正一君 もう一点、お許しを願いまして。漁民の一番問題にするのは、これは誠意という問題だろうと思うのですが、その漁民の誠意というのは、今後の生活権をどうするかということが、これが一番の問題だろうと思います。たとえば先ほど助役が水産業者あるいは農業者に対して今まで誠意をもってやっておったと、こういうふうに言われておりますけれども、たとえば当委員会で前国会に検討いたしました中央市場法、この市場法に載っている横浜の市場というものは、これは一番不備である。ほかの都市では局長級なりあるいは助役級のお方が市場長となって、そうしていろいろ市場の市民に供給する魚なり、あるいはいろいろな果物とか食料品を、非常に誠意をもって扱っている。横浜市は、聞くところによると、課長以下の者がその中央市場長になって、それを按分している。こういう事実から見ましても、漁業者とか農業者に対して非常に不誠意であるというように、私は断定しているわけなんです。 そこで、私どもが特に問題にしたいのは、漁民に対する生活権、この生活を一体どうするか。たとえば私の国の内灘に対する補償などは、この漁業者一はおそらく根岸湾におる漁業者よりはるかに数が多い。その数が多いのにもかかわらず、一年間七千万円から六千万円の補償をやっている。そういうふうな点を考えてみますると、横浜市にそういうふうな採算が立つかどうか。そういった問題は、これはまあ皆さんによく御研究願えばよくわかることでありますが、とにかく漁民の言う誠意とは生活権の確保である。そういった点を今まで十分に調査しておりますかどうか、その点を承わりたいと思います。
○参考人(田中省吾君) 私どもは、ただ口の先だけで誠意、誠意と申し上げるのではなく、事実において漁民の生活権の保障をして、将来とも生活の不安を来たさないようにいたしたいというかたい決心を持っております。そこで、どういう方法でそういうことを表わしたらよろしいかということは、これは先ほど実行委員長が申しましたように、ただ一時金を上げたらそれでいいというような考えは持っておりません。やはりこれは漁民の方の希望を聞いて、そうしてその希望を十分取り入れて、いろいろな方法を組み合せて将来の保障をいたしたい、こういう考えを持っているのでございます。 まあ、中央市場のことは別問題でございますが、私の方の中央市場も、局長に準ずる者を所長にいたしております。今度は大拡張をおかげさまでやっておりますので、どうぞ御了承願いたいと思います。
○清澤俊英君 助役さんに一つお伺いいたしますが、この御説明の中にあって、ちょっとさっき田中さんも言われたが、過去のいろいろ埋め立てを計画せられて以来、二十四年以来の経緯をお話しになりましたが、まあ、これはほんの話のついでの経緯であって、それとは全然切り離して、今度の大計画による埋め立てというものを新らしい立場に立って考えておられるのかどうか。前のものはもうほんの、ここで言うたきりで二度と考えない、こういう観念があるのかどうか。どうしても前の方のこういういきさつがあるのだからという観念をずっと続けて、新しい事態に関連していくのかどうか。その点を一つ、あなたの考え方の基本をお伺いしておきたいと思います。
○参考人(田中省吾君) 私が先ほど申し上げましたのは、根岸湾の埋め立てという問題は古くから考えられておったという沿革を申し上げましたので、今度の計画は、私どもの市長になりまして、新たな新構想に基いて計画をいたしましたもので、過去のことについては沿革として申し上げたにとどまるのでございます。
○千田正君 これは、委員長及び同僚議員の皆さんがあなた方をお呼びしたということは、おそらくわれわれの一致した意見といたしましては、できるだけ円満にこの問題を解決したいという意図以外に何ものもないのでありまして、昨年以来陳情を受けて、いろいろただ事情を聞くだけではいけないし、当事者の皆さんから十分に御意見の発表もしていただきたいという意味で、開いたのだろうと思います。それで私の聞くことは、はなはだ失礼な聞き方をするかもしれませんが、意図するところは、皆さんが円満にその問題を解決してもらいたいということ以外に何もないのでありますから、冒頭にその点は申し上げておきます。 そこで、私のお伺いしたいのは、戦前からの問題もあるようでありますけれども、われわれが取り上げて、ここで皆さんのお話を聞こうという理由は、申すまでもなく、日本が新しい憲法をしいてから、日本の、少くとも日本国民の持つところの生活権、財産権、そういうものは憲法第二十九条において明かに定められておる。いわゆる主権在民であるという立場から、そうした根本的な思想のもとに、われわれは国会においてもいろいろ皆さんのお話を取り上げてきたわけでありますが、今までのお話を承わっておりますというと、助役さんが先ほど遺憾の意を表されましたが、実に遺憾であったと私どもも思うのであります。 まず第一に、この地区におきまして生活保護を受けておる人たちが、その漁民の中に何人くらいあるか、何世帯くらいあるか。これを聞くということは、これは田中さんが聞いているのと結局同じことで、ただいま御返事できないとすれば、あとから書面でもけっこうです。 それから一体こういう問題が起きた場合に、横浜百年の計を立てるために、全市民の利益のためには、一部のこうした人たちもある程度犠牲になってほしいとするならば、それに対する生活権の擁護、あるいは将来の生活の方法、そういう問題について十分に、市会当局なりあるいは市当局なりにおいて、御検討なされたかどうか、その点まず承わっておきたいと思います。
○参考人(田中省吾君) 生活保護法の適用を受けておる者が何人おるかという問題は、実はただいまその資料を持ち合せておりませんので、後ほど書類でお届け申し上げたいと思います。 それから埋め立てをやりますということは、先ほど来お話がありましたように、ほんとうに漁民の生活を根底からくつがえすということになるという認識は十分に持っております。容易にこれは他の漁業に転換できるものでない、こう思って、私どもは涙なしにはこの問題を取り扱うことができぬ、こう思っております。そこでどういう方法で生活の保障をしたらよかろうかということについては、内々私どもも研究はいたしております。研究はいたしておりますが、これは漁業組合の諸君の希望も聞いていて、たとえば埋立地の一部をもらいたいという話があれば、これにも応じよう、あるいは他の漁業をやるために漁港を作るという希望があれば、それも考えてみようといったような、いろいろな案が出てくる、希望が出でくると思いますので、そういう希望も聞いた上で、話し合いの上で、納得づくの補償方法を講じたい、こう思っておりまして、まだ確定案というところには至らないのです。これはいろいろ研究はいたしておるが、希望を聞いておる。こっちできめて、一方的に押しつけるという気持は持っておりません。そういう次第でございまして、市会においても同様でございます。市会も全員一致、政党政派をこえて埋め立てには賛成いたしておりますが、この補償については全面的にやれ、こういう希望でございます。
○千田正君 私のお伺いする点は、その点が逆じゃないかということなんです。まず、そうした実際の漁業協同組合の人たち、あるいは漁民の方々の意見を聞き、その地区におけるところの住民の意思を反映して計画を立てて、しかる後に市会は進むべき問題じゃなかったか、あるいは市当局が成案を出して市会に協賛を受けるべきではなかったか。できてしまって、こういう問題が起きてから、われわれまでこういう問題を聞かなければならないというところに持ってきたところに、私は非常に遺憾だと思うのですが、これは容易じゃない問題だろうと思います。 その前に、鉄道を持ってくる、鉄道を敷設するというような問題に対しては、これは一応国鉄なり、あるいは運輸省当局と十分にこの問題を話し会って、もう敷設することに決定したわけですか。
○参考人(田中省吾君) 今の生活保障の問題は、なるほど、こちらで案を立てて、これでどうだといって相談するのも、ごもっともな御意見だと思います。ところが、先ほど来お聞きの通りでもあるし、一昨日の会議も、生活の保障なんぞという問題はわれわれは聞きたくないのだ、埋め立てに反対なんだという立場を漁業組合がまだとっておりますので、まあ、そう言わぬで賛成してくれと言っている段階でして、生活保障の問題をまだ今日は持ち出す段階まで現地では行っていないわけです、そこで私は、まあ、話し合いをして案をまとめていきたい、こういう立場をとっているわけでございます。 それから鉄道については、私どもは鉄道の当局者に陳情をいたして、ぜひ敷いてもらいたいという陳情を十分いたしておるのでございます。
○小笠原二三男君 田中助役にお伺いしたいのですが、この埋め立て計画を見ますと、第一期の工事の実施計画としては、実施の時期を三十二年度からというふうにしておられるようですが、従って三十二年度の予算にある種の埋め立ての特別会計というものを作って予算化せられるという御用意を進めておられるわけですか。
○参考人(田中省吾君) なるべく早く漁業組合の同意を求めまして、三十二年度の予算にはこれを計上いたしまして、実施に移したいというつもりでございます。
○小笠原二三男君 それはこの二月の定例市議会に提案するお考えでございますか。
○参考人(田中省吾君) その予定にいたしております。
○小笠原二三男君 そうすると、知事に対する免許はもうもらっているわけでございますか。
○参考人(田中省吾君) 御承知のように、漁業組合の同意書がございませんと免許を申請するわけに参りません。そこで、まだ免許の申請をいたしておりませんが、まあ、そのために急いで漁業組合と話をまとめたいといって努力中でございます。
○小笠原二三男君 この、こういう水面の埋め立てについては、横浜のような、こういう大きなものであれば、知事の免許なり、あるいは主管大臣の認可を必要とする。従ってその免許以前に一方予算化して、しかも当事者である漁業権者の同意は得られない。それでやっていくという市当局のお考え方に、私は疑問を持つのですね。あなたが非常に漁業権者なり入会権者に対して御同情のあるお考え方を持っておられながら、一方は既成事実として予算もとる、こういう考え方はどうも矛盾しているように思われる。 これについての意見も伺いますが、しかし知事なりあるいは主管大臣に対してこの埋め立ての目的として出すものは、工場敷地の造成による臨海工業地帯というものを設定したいのだと、これだけ一本でございますか。鉄道敷地としても、これを必要とするということも入って、目的が二つあるわけでございますか。上に出す免許の目的というものは、工場敷地の造成のためということですか。その点はっきりお示し願いたい。
○参考人(田中省吾君) ごもっともな御意見と思いますが、予算を一方言い出しませんと、補償の話など進める場合に、予算もないじゃないかというふうな議論も起きますので、予算は予算として出し、一方、免許は免許として進めたい。両方並行して進めたい。 それから埋め立ての目的は、工場敷地の造成と鉄道敷地に供するためという、両方の目的にいたしたい、こう考えておる次第でございます。ちょっとお考えになりますと、漁業組合と話もつかぬうちに予算を通しちゃって、ぎゅうぎゅう一方的に押しつけるのはひどいじゃないかというようなお感じだろうと思いますが、それはまあお考え方でそうにもなるかもしれませんが、私どもはまあ手ぶらで交渉したところで何にも手ごたえないじゃないかというので、予算もこういうふうにとったと、そこでまあ話に応じてくれと、こう言っていきながら一方やりたいと、こういうような考え方になっており、まして、もしどうしてもできなければ、予算は通しましてもこれは執行できないという羽目に陥るかもしれませんけれども、まあそういうふうにならぬように努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
○小笠原二三男君 そうすると、まあ二つの目的を持って出されると、建設大臣あるいは運輸大臣、それぞれ所管の問題になって、むろん国会の問題にもなろうと思いますが、その前の問題としては、市議会なり県議会なりが参画せらるるか、どちらにしても知事の職権ですから、議会が参与するかどうかはわからぬのですが、しかしまあそれはそれとして、ちょっと保留しておきますが、その免許を受けるためにと申しますか、あるいは受ける過程において、甲種港湾の指定なり何かということについても、やはり市はその希望を持っておられるのですか、この地域について。
○参考人(田中省吾君) その港湾区域の問題に触れますと、また問題が非常にこんがらかりますので申し上げませんでしたが、実は横浜の港湾区域というものは、昭和二十六年に国から横浜市長に港湾管理権が移りましたときに、横浜の海面全体を横浜港の区域にいたしたかったわけです。ところが、まあその当時は、この図面で申しますと、本牧という所がございますが、その本牧のはなまでが港湾区域だったわけです。本牧から根岸湾の、今問題になっておりまする屏風浦及び金沢区域というものは港湾区域になっていませんでした。そこで二十六年以来全面的に港湾区域にしてもらいたいという交渉をいたしておりましたところが、ここに一つ問題がありまして、横須賀市と横浜市との境界がはっきりしないという問題が一つある。これは今でも係争中なんです。そこで埋立地について、陸地ははっきり横須賀市と横浜市の区域がきまっておりますが、その先に、海軍が戦争中に埋め立てた場所がございます。その場所が一体、どこが横須賀と横浜の境かというところが、今なおきまらない。両方とも主張して相護らない。知事が中へ入って調停しようとしてもできないという問題がありまするので、そこでさしあたり富岡のはなと申しますと、今度の屏風浦の埋立地が入るわけなんですが、そこまでを横浜の港湾区域ということに決定になりました。
○小笠原二三男君 どこでそんなことをきめたのですか。
○参考人(田中省吾君) それは運輸省で、運輸審議会にかけて決定になったわけです。そこで港湾区域になりますと、埋め立ての免許というものも港湾管理者がする。しかし運輸大臣の認可ですか、承認を得るという建前になっておるわけでございます。
○小笠原二三男君 そうすると、これは富岡町まで、今度の第一期、第二期の埋立計画を持っている地域まで、港湾の指定を受けている。そうなると、知事から出る許可ですね、大臣許可の、主管大臣は運輸大臣になる、港湾の関係ですから。そうなれば、運輸大臣は国有鉄道の監督者でもある。やはり鉄道を敷くための埋め立てだという目的ももってこれを出す。そうすると、国の方としては、何らこの埋め立ての許可については問題はない、そうなっていくと思うのです、これは従来の例でいえば問題なく大臣は許可をしておりますから、そうなれば結局、これは市街身はやりたいと言っているのですから、神奈川県知事の動向が非常に大きいことになると思うんですね、まず第一として。 それで、まああとで御答弁願いたいのですが、神奈川県当局としては、この埋め立て問題については、この紛争事件についてはどういうお考えを持っておられるのか、率直な御意見を承わりたい。結局市といい、県といい、臨海工業地帯を造成し、工場を誘致することによって経済発展を願いたい、そのことは水産事業の発展のため、あるいは一部の業者の犠牲をしていてでも、これは市あるいは神奈川県のために有利である、こういうふうな判断に立てば、法は許しているものですから、その通り処理されることについてわれわれの立場でかれこれ申し上げることはないと思うのです。どっちにせよ、これは判断の問題だと思う、われわれは。 ただしかし、助役さんが言われる通り、漁業権者が同意を与えないときには、この埋立事業計画というものはどうされるつもりですか。漁業権者が同意しない限りは、この埋め立ての問題は実現しないのです。実現させる方法はない。こういう水面について権利を持っておる漁業権者が同意を与えないで、どういう方法をもって埋め立てをやるか、この点を伺っておきたい。
○参考人(田中省吾君) お説のごとく、漁業権者が同意してくれなければこの埋め立てはできないと思います。法律的に申しますと、ほかの方法もないではないと私は思いますけれども、市の当局としてはそういうことはやりません。やはりあくまでも漁業権者の同意を求めて、納得づくでこれをやるということに最善の努力をいたしたい、こう思っております。
○参考人(鈴木重信君) 今の前段でおっしゃいました件でございますが、港域が拡張になりました場合においては、その地域における埋立権につきましては、港湾管理者である者が免許をする。それについて運輸大臣の承認を得るということでございますので、県には免許の権限がございません。またこれを内申し、あるいは同意を得るということも必要はございません。しかしまた後段で仰せになりましたこの点について、県としてはどう考えるかという仰せでございますが、先ほど私が申し上げました通り、都市の経済、交通というような点から、膨張して埋め立てをやられるということの必然性は、これは当然認めざるを得ないと思いますが、ただし、それといたしましては、地元の生産者の方々の同意をやはり得られるということが前提になる、かように考えておるのであります。
○小笠原二三男君 今の助役さんのおっしゃられた他の方法も法律的にはないでもないかということですが、どういう方法をさしていますか。
○参考人(田中省吾君) 私どももまだ詳しくは研究いたしておりませんが、絶対にできないわけではないというふうにまあ感じておりますが、しかしそういうことは、先ほどお話のございましたように、主権在民の時代にそういうことは私はやりたくない、市長としてもやりたくない。そこで漁民の同意をあくまで求めてこれを実現いたしたいという考えでございます。
○小笠原二三男君 それで、私はそのやれという側でも、やるなという側でもない、国会議員です、私は今の段階では。(笑声)それで、反対なさっておられるこの同盟ですか、の方々、三つの漁業協同組合になっておるようですが、その漁業協同組合が同意さえ与えなければ、この埋め立てばできないのです。どこへ行って反対だの、何だの言う必要はない。(笑声)いやだといっておったら、それで終りなんです。(笑声)それを反対だといっておるのは、何か押しつぶされてやむなく、心にもない判を押させられるという、何かの危険を感じて皆さんはこういう運動をしておられるのですか。御自分の気持でどうにでもできるし皆さんの方が主人公なんです。
○参考人(奥村伊三郎君) ただいまはけっこうなお話……。先ほど県議会議員の八木さんからお話がありましたが、浜横市百年の大計のために、この埋め立ての具体線を引くことが必要だということを、世論的にだんだんと漁業者はいろいろと責められておるのであります。これに反対するというのは、漁業者はけしからぬというような態度にますます追いつめられておる、こういうわけであります。 そういたしまして、残っておる問題は、ただいまも問題になりました現在の根岸湾は、これまでは横浜の港域は、これまでは横浜の港域ではなかった。ところが、最近これを港域にされる、そうしてこの埋め立ての認可権を市長の手中におさめられる、かようなことをされた。そういたしまして、私どもの公有水面興立法の解釈によりますれば、これは必ずしも漁業権者の同意がなくてもやれる、かように解釈いたしておるのであります。そうでありますから、今までの横浜市のこの強硬的な態度を強行される意思があれば、これはやれるのだ、世論を背景にしてこれをやれるのだ、ここに私どもの不安がある。漁業者が反対すればそれはできないじゃないか。ただいま助役さんが同意がなければならないとおっしゃるから、私は大へんその点安心をしたのですが、やろうとすればやれる。そこにこの漁業者の立場の弱さがある、そうでありますから、この問題が白熱化するわけであります。新聞紙にこういう問題が出ておるところに、また港域の拡張を申請をされることが新聞に載りました。それで、まあ漁業者は横浜市の意中をはかりかねて心配をしておった。さらに私が申し上げますように、公有水面埋立法によりますれば、同意がなくてもやれるという方法が残されておる。それまで横浜市が強行されるのではないか、かように考えまして、大へん心配しておるようなわけであります。
○参考人(大須賀金太郎君) よろしゅうございますか……。ただいま先生から、かなり詳しく横浜市助役さんにお尋ねがあったわけでございます、そこで助役さんのおっしゃられるには、漁業者の同意がなければやらないというような、はっきりした確答を私も聞いておりますので、私どもは、助役さんに確認ができますれば、決して反対運動も何もいたしません。この点は公衆の大面前で助役さんがおっしゃったのですから、あくまでも御承認願いたいのであります。ほかに何も申し上げることはありません。ありがとうございました。
○小笠原二三男君 あなたが申し上げることがなくなれば、私も聞く必要がなくなるわけですが……。
○参考人(八木邦継君) 関連して……さいぜんからの御質疑でもって、実は私協議を整えるべくあっせんをするという気持でございますが、これはさいぜんも申し上げました通り、当初は地元の県市会議員団としましても、市の臨海工業地帯の造成というものは至上命令である、まあこういう考え方であったわけです。そこで、漁民の方には何ら相談するところなくして、市会におきましては満場一致で同意したというわけです。その遠因するところが、十一月二日の日に、国鉄当局から市の方に公文書が参りまして、根岸線を建設するためには、重大な理由として、臨海工業地帯を造成するということが裏打ちされると、きわめて都合よく運ぶ。そこでにわかに市の理事者としましては、計画を設定する必要に迫られた。そうしてその後、三日後の十一月五日の市会全員協議会でその意思を決定した。ここに問題がある。そこで全然漁民の方へはつんぼさじきで、地元の市会議員としましても、本来ならば当然こういうことだ、どうだということで、一応相談があればよかったが、これがなかった。そこでこの間いろいろと話し合いをすべく機会を設定するように私も努力をしたのでございますけれども、これはようやく去る二十三日の日に地元の県市議会議員団も、まことに従来の態度は相済まなかったと、これは公式に表明したのであります漁民に。そうして寸土といえども皆さんの理解と納得とを得ない限り断じてさせませんということを誓約したのです。これは私があっせん者の立場から、そういうふうにしてもらったのです。これは確認したのです。そこで田中助役のさいぜんの発言になったわけでありまして、横浜市としましても、この、法律によって強行すればできるということはございました。ある程度補償金も供託しまして、やればできるんです。しかし、そういうことは断じて非民主的だからやれない。また横浜市当局も、そのような意思になったように私も聞いておりますが、このような事態になったことはまことにもって遺憾でございますけれども、ただいま実行委員長もはっきり申しておりますように、今の先生方の御指示によって、サゼストによって、漁民が反対しておれば埋め立ては寸土といえどもできないと。そこでおのずとこれは、話し合いは局地的に現地で、横浜市と横浜市民の関係でございますから、この話し合いは何らかの形でできるんじゃないかと。 そこで私ども県議会としましては、さいぜんお話がありました通り、この臨海工業地帯の造成ということは必要であるという立場において、私個人は県議会議員として本日呼ばれましたけれども、別の立場がありますけれども、この問題はいずれにいたしましても強行すべきでない、県議会としましてもさような考え方によって、これと同じ陳情が出ておりますが、農政常任委員会におきましてはいまだに静観の態度をとっております。こういうわけでございますので、重ねて申し上げます。
○清澤俊英君 議事進行について。大体参考人の御意見はだいぶ聞いたようです。あと残っているのは、関係当局の意見を聞かなければならない。時間はだいぶ過ぎているのだから、あまり当事者に深くわれわれは質問していることは、何か紛争の中へ委員会が飛び込むような非常に印象を受けて、危険だと思うのです。われわれはまだ是も非もない、全く中立の立場で両者の陳情を聞いておるので、その紛争の過程において不当なものが出てくれば、初めてわれわれの見解というものは表明せられると思うが、せっかくの陳情を大体僕は終ったと思いますので、できますれば、委員長しかるべく取り扱って、関係当局に一、二聞きたいこともありますので、そういうふうに一つどうかお諮り願いたいと思います。
○委員長(堀末治君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(堀末治君) 速記をつけて。
○小笠原二三男君 助役、さっき港湾の港域を広げることをした、指定を受けているということを仰せになりましたが、それはいつ富岡町までの港域を広げたのですか。
○参考人(田中省吾君) 日にちははっきり覚えておりませんが、たしか昨年の十二月、運輸大臣が港域を拡張することを御決定下さったと思います。それがまことに不幸なことでございます、私どもにとりましては。昭和二十六年からそれをお願いしておりながら、この紛争が起っておる最中に港域拡張が決定になりましたので、先ほど奥村さんからお話があったように、何か埋め立てを強行するために港域を拡張したようなふうにまあ漁民が何か考えられるということは、無理もないことです。無理がないことですけれども、その点はまことに不幸でございますが、これは全然別個の問題であると考えております。
○小笠原二三男君 これは普通の公有水面の埋め立てとなれば、知事なりあるいは建設大臣の所管ということになってきますよ。ところが、港域を広げて港湾の指定を受けておれば、港湾管理者である、埋め立てをしたいという横浜市長が運輸大臣の承認を得ればいいんです。しかも、その運輸大臣は国鉄をここへ、桜大線を通せ、通すためには臨海工業地帯というものが裏打ちされておって初めて桜大線というものも通る可能性が出てくるのだ、こういうサゼスションが昨年の十一月かいつかに市に対してあったということは、八木県会議員が先ほどおっしゃっておられる。そうすると、国鉄当局と運輸当局と横浜市というものが、港湾の指定の中に、港域の中にこの埋立地域を引っくるんだというところで、この埋め立ての可能性と申しますか、容易さというものを考えられたろうということは、これはちょいとこう聞いておっても、漁業権者でない私、国会議員の立場でやっぱりやったなという感じを持つわけです。(笑声)それが不幸でございましたという助役さんのお話は、私はちょっと聞きとれないが、これはさっき清澤委員が言う通り、いまだ中立の立場ですから、これ以上申しませんが、なぜそういうふうに二十六年から願っておるものが昨年の暮になって突如として承認を受けられたのか、二十六年以降どういうふうに運輸当局に手順を踏んでおられたのか、もう少し経過を御説明願いたい。
○参考人(田中省吾君) そういう疑いを招きますことはまことに遺憾でございますが、先ほども申し上げましたように、横須賀市と横浜市の境がもっと早くきまっておれば、もっと早く全面的に横浜港の港域になっておったはずです。ところが、その境ですったもんだしてなかなかきまりませんので、やむを得ず問題のないところだけできめようということになりまして、たまたま時期がこういうことになりましたので、別に他意はないのでございます。
○秋山俊一郎君 実はさっきから伺いたかったのですが、今の港湾区域にこの根岸湾は入っておるということでありますが、私は鈴木さんにお尋ねいたしますが、この地域における漁業権は区画漁業権じゃないかと思います。漁業権は期限があります。その期限はいつになっておりますか。そう長く何十年という期限はないわけであります。従って、その期限が来た場合に更新することになるのですが、港湾区域内における漁業権の更新ということは、漁業権はもう少し早くからもらっている。ところが、港湾地区において最近になって今度漁業権を更新するとき、一体どちらが優先するのか、その港湾管理者はその漁業権待ったということが言えるものであるかどうか、県当局はそれについてどういう考えを持っておられるのか。
○参考人(鈴木重信君) この地域には共同漁業権と区画漁業権の両者があります。共同漁業権につきましては、御承知のように、十年間の期間がございます。これは二十六年の九月一日に免許になりましたので、共同漁業権につきましては、三十六年の八月三十一日まででございます。それから区画漁業権は昨年の八月三十一日をもって切れるわけでございます。そこで九月一日をもって更新をいたしまして、その際に漁業調整委員会等の諮問も得まして、向う五カ年の免許をいたしておるわけでございます。当時は港湾管理者であります横浜市長には免許権はございません。また市当局に諮問いたしました際にも、これについての制限の要求はなかったわけでございます。従って、免許は五カ年間で、三十六年の八月三十一日まで権利があるわけでございます。 もし、今後におきまして、港湾の管理者において免許権を得て埋め立ての権利をお持ちになった場合、これはおのずからそこに話し合いがあり、同意を得た場合に権利の補償、こういう形になって参るわけでございます。
○秋山俊一郎君 そこの点ですが、一方港湾の管理者というものがその地域を管理している。そこにまた漁業権を持ったはっきりした権利者がある所で埋め立てする問題については、非常に管理者が強い立場に立つのではないかと思う。将来これを再び更新する場合に、この港湾管理者の逆に同意を得るのか、埋め立てと同じように、その漁業権を更新する場合に、その港湾管理者の同意なり何なり必要になってくるかどうか、この点を伺っておるのです。
○参考人(鈴木重信君) これは漁業権の更新の際に、埋立権者が別にある場合は、埋立権者の同意を得なければなりません。
○秋山俊一郎君 埋立権者じゃなく、港湾管理者がですが。
○参考人(鈴木重信君) 港湾管理者でありましても、港湾管理者が埋立権を持っておる場合は、その同意を得なければなりません。それからちょっと条文を忘れましたが、港湾管理者であります場合にも、おそらく同意を得なければならぬという条文があったと思うのでございますが、ちょっと記憶を失念いたしております。
○秋山俊一郎君 そこに非常に漁業者の弱さが出てくるのです。将来のことをそこに考えてくると、漁業者は非常に弱い立場になる。しかも、先ほどからのお話のように、世論で盛り上げてきて押しつぶされるという気配が非常にあるが、そこに漁業者が数代あるいは今後も生活を立てていくところの重要な漁業というものを守るためには、何らか十分両者の話し合いが必要だと思いますが、私はこの問題は今後どういうふうに推移するか、私の方も今もってどっちというわけではありませんけれども、今までのお話を聞きますというと、漁業者のこれから移るべき道がなかなか見出せないように思うのです。単に金だけではなかなかいけないと思うので、県当局におきましてもこれは十分一つ考えてやっていただく必要があると思うのです。私どもはできれば現地も拝見いたしまして、そうしてどういうふうに今後変るべきかということを考える必要があるのじゃないかと思っておりますが、今の漁業権と港湾管理者との関係は非常に微妙でありますので、この点は県の立場においても考えていくことが必要じゃないか、こういうふうに考えますが、県はどうでございますか。
○参考人(鈴木重信君) この点は、十分考慮して参らねばならぬと思うのでございます。ただ、従来の県内におけるところの条件におきまして、一方においては都市が発展して埋め立てをやっていくというような場合も、間々あったわけでございます。こういう場合におきましても、十分地元の意見を尊重して、両者の納得がいく場合においてのみ行なってきたということでございますし、今後におきましても、十分その点は留意いたして参りたいと思っております。
○委員長(堀末治君) まだ参考人にお尋ねするものがありますか。
○河野謙三君 先ほど清澤さんから議事進行について御発言がありましたように、もし大体参考人の方の意見を徴することが終りましたら、あと清澤さんも私も、運輸当局、農林省に多少聞いておきたいことがありますから、参考人の方はお忙しいでございましょうから御退席願って、まだおいでになるとおっしゃればおいでになってもけっこうですから、ここらで区切りをつけたらいかがでしょうか。
○参考人(済田平寿君) 参考人として私申し上げますが、実は先ほどの助役さんがおっしゃった港域拡張の問題なんでございますが、これに関しましては、実は本月の初めだと思いましたが、海運局長の名をもって港域拡張に対する関係組合の意見を求むるという書信をいただきました。これに対しまして実は内湾的に検討いたしまして、これはどうもわれわれ知らなかったことだ。しかし関東海運局から関東海運局長の名前で書簡が参りまして、それに対するわれわれの議決しました反対陳情を海運局に出してあるような次第でございます。おそらくまだこの問題は、その後、大臣の名前が違っておりましたもので、実はその大臣の名前を変えなければいけないということで書類の書き直しが最近催促がありまして、その書き直しをしたような次第でございまして、運輸大臣の方から、地元の意向をただせということで、関東海運局長のもとに書類は来ておる、こういう話でございました。一応参考までに申し上げます。
○参考人(田中省吾君) ちょっとそれについて私から申し上げます。誤解があるようですから。港域拡張はもう済んだのです。関東海運局長から来ましたのは、港湾の区域における取締りの問題について御照会があったわけでございます。港湾区域の拡張の問題とは違いますから、それだけを申し上げて、またその問題については漁業組合の方と私の方とで話し合えばわかるのです。
○河野謙三君 私、運輸省に伺いたいのですが、だれが来ているのですか。
○委員長(堀末治君) 運輸省は、鉄道監督局施設課長の田中君が来ております。
○河野謙三君 それでは運輸省にまず聞きたいのですが、桜大線といいますか、根岸線といいますか、これの価値というかこれを運輸当局から一つ御説明願いたい。というのは、時間の関係で、私が聞きたいことをはっきり申し上げますと、横浜市から要請されたから聞いてやるという態度なのか、あなたの方で運輸の行政の立場から必要であるからこれをどうしても聞こうというのか、そこらのところを、必要であるからやるというのならどういう効果があるのか、それを一つお聞きしたいと思います。
○説明員(藤井松太郎君) 国有鉄道の藤井理事でございます、ただいまの御論議の中心になっております根岸湾の埋め立てに関連しまして、桜木町から根岸、滝頭、磯子を通って大船付近に至ります鉄道計画がありますが、これははっきり申し上げておきますが、これは調査線でありまして、国有鉄道はすぐ着手するという段階にはまだ立ち至っていないということであります。御承知のように、鉄道の建設路線につきましては、各地から熾烈な御要望がありますので、建設線も漸次竣工して、三十二年度か三十三年度におきまして、大体新しい路線を入れなくちゃいかぬだろう。皆様の御要望にこたえるために、入れざるを得ないだろう。それには大体十一線くらいの路線が考えられますので、この経済価値いかんということの調査をせよということになって、国有鉄道で調査をいたしております。その中に、ただいま申し上げました桜木町から大船付近に至る路線が入っております。 ただいまの御質問の、この路線は一体何のためにやるのだというような御質問に伺ったのでありますが、この路線を作りますと、御承知の横浜市内の旅客交通の非常な混雑が緩和されるということが第一点で、それからただいま御論議になったような工業港がかりに実現するとなれば、その工業港の造成に寄与するという点に相当の価値があるということが第二点、第三点が、高島付近の貨物をこの路線を通すことによって大船ないし、その付近の操車場に入れるということで、現在の東海道線が若干緩和されるという点、これが第三点でございますが、まだ論議の途中でございまして、こういったことを詳細に検討いたしまして、あるいは御承知かもしれませんが、着手をきめるのは建設審議会という各党の首脳の方々のお加わわりになっている審議会でございますが、この審議会で御論議を願って御決定を願うということでございますので、私ども国鉄並びに運輸省当局といたしましては、本委員会のただいま御論議になったようなことを十分伺いまして、この路線をやるかいなかということをきめたい。かように存ずる次第であります。
○清澤俊英君 今の答弁の中で、まだ調査中だと言われるが、横浜の助役さんの話を聞きますと、何か鉄道の方で、運輸省ですか、公社の方かわかりませんが、御要求によって、埋め立てをしろ、こういう条件がつけられたので、急速にこの計画は進んできた。こういう説明がありましたが、あなたの方でそういうあれは出ておりますか、埋め立てをやれという条件として。
○説明員(藤井松太郎君) ただいま申し上げたように、横浜の旅客交通を緩和することと同時に、かりに埋め立てができて工業港が生まれるということになれ、この線の価値はそれだけふえるということになりますので、私どもとしては、その計画が皆様の御賛同を得て行われるかどうかということは、この線の価値を考える段階においてきわめて重要なんで、その計画が御確定になったかどうかということを伺ったはずでございます。
○河野謙三君 調査線——調査という言葉を使っておりますが、あなたの方の事務当局として審議会にかけるということは、事務当局の段階においては、これは非常に国鉄としては価値があるものである、こういう事務当局の一応ラフな調査は終っておるわけですね。そうじゃないのですか。
○説明員(藤井松太郎君) 大体そういうところでございます。
○河野謙三君 そうしますと、これは単に横浜市だけの利害の問題ではなくて、大きく背後で、もっと大きくいえば、国全体の運輸行政からいって、必要な路線である、こういうことですね。そういうふうに解釈していいですか。
○説明員(藤井松太郎君) お答え申し上げます。第一段におきまして、私は国鉄でございますのであるいはおしかりを受けるかもしれませんが、お断わり申し上げたいことは現在の建設路線と申しますのは、いかに皆さんがお考えになって輸送量が多いだろうと想定される線路におきをしても、大体その収入の一倍半くらいないと運営できないと思います。かたがた国鉄は非常に御承知のような状態でございますので、こういう路線は必要であるけれども、現段階としては、なるたけ国鉄の現存設備を増強する方に力を向けたいということで、国鉄だけとしては建設線としてやりたくないということを言えば、はなはだ語弊があるのでございますが、あまり積極的にやる意思がないのです。しかるに、そういう議論をしておっては、国家の開発とか何とか、工業港の造成にしても、これが緒につかぬという意味におきまして、広い面から御検討を願って、国鉄は損でも、どれをかかるかという御検討を願って、かかるべしというものをかかっておるということでございます。
○河野謙三君 まあ独立採算でやっておる国鉄でございますから、これは非常にそろばんにシャープであることはわかるとして、そこでかつての陸路線を埋立線に一応変更するという場合に、これはその両者における利害得失、特にあなたの方では建設費等において、かりに計算をしてみて、どのくらいの差異があるのですか。
○説明員(藤井松太郎君) 例の建設予定線、と申し上げても、はっきりはおわかり願えないかも存じませんが、将来国が建設する路線は、敷設法という法律によって決定されまして、桜木町から北鎌倉に至る予定線がございます。これはあくまでもこの地帯の近くを通るのだというのが法の精神でございまして、果してどこを通るかというようなことの検討は、いまだに出ていない。しかし、これは現実の問題とすれば、工費並びに利用価値の面からにらんで、これは利用価値のできるだけ高い所を通るのだ、それから同じ価値であれば、技術的にも金の上から考えましても、安い所を通るのだということになるのは、これは自然でございまして、かりに横浜の場合を考えますと、埋め立てを通らずに、陸路で通るということに相なりますれば、およそああいう民家がたくさんある所でございますのでその立ち退きの犠牲であるとか、そういうものを考え、またおよそ全部山の中はトンネルになるような格好になりまして、はなはだ技術上困難になるのじゃないかと、かように存じておるのでありまして、これは不可能とかこれだけ金がかかるということだけは、申し上げる段階に至っておりません。
○河野謙三君 大体の見当が、かつての計画陸路線よりも、今度の埋め立てができて、埋め立ての地域を通した方が、あなたの方では経済価値も大きいし、従って収入も非常に増すということだけは、はっきり言えますね。
○説明員(藤井松太郎君) お答えいたします。収入の点に関しましては、先ほども申しましたように、相当そういうものができて輸送がふえるだろうということを考えに入れましても、先ほど申しました同じ表現をいたしますと、路線は収入一〇〇に対して大体一三〇くらいかかるのだ、こういうことでございまして、陸路を通ったら一体どんなふうになるのだという御議論でございますけれども、敷設法にきめられた予定線というものは、全国に五千キロもございますので、現実にこれを通ってみた、通ったら幾らになるというような検討は、いまだいたしていないことと、並びに工業港の造成というのは、かくのごとき重大な問題があるのだということも、われわれはかほどには存じておりませんが、工業港の造成がされるということになれば、これは鉄道の価値がふえるだろうと考えている。しからば現在の路線で幾ら金がかかるのかということは、これも復線で考えておりますので、相当の金額になる。相当の金額とは幾らになるかというと、七十億とか何とか、それくらいの金になると思います。
○河野謙三君 ただ、これだけはあなたの方で言えるのじゃないですか、運輸省だけの立場からいけば、横浜市なり漁業組合の利害関係は別にして、運輸省だけの立場からいけば、陸路線よりも、埋め立てしてその線を通してもらう方が、運輸省としては非常にベターだという考え方で、横浜市の方もこの鉄道を選ぶべく、あなたの方で慫慂しているということじゃないのですか。
○説明員(藤井松太郎君) 先ほど申し上げましたように、調査線は十一線ありますけれども、現在国鉄の予算から考えますと、そのうち何線着手できるかということは、非常に楽観的希望が持てませんので、私の方から、そういった国家計画に寄与しないとか何とかと言うと、言いようが悪いのだが、そのうち最も価値の多いようなものを選んでいこうというようなことでございまして、おれの方はここまで行くのだから、工業港を作りなさいというまでの段階には立ち至っていないのでごごいます。
○河野謙三君 私が伺っているのは、そうじゃない。陸路線と埋立線の二つの場合、あなたの方としては、この点埋め立ての方を選ばれるのだろうと聞いているのです。それと、調査の段階において、その二つ、さらにはその中間のもの、いろいろなものを調査されるのか、調査ということになれば、埋立線そのものだけの調査ということになるのか、それを伺っているのです。
○説明員(藤井松太郎君) 埋め立てが実現いたしますれば、先ほどもるる申し上げましたように、工業港の造成にも相なりますし、かたがた工費の点から申しましても、山の中が全部トンネルになるという路線は決して好ましい路線ではございませんので、埋め立てにのっていくということに相なります。
○河野謙三君 非常に何か失礼な言い方になるが埋立線を通るのだ、それをやるのだということは、埋立線を選ぶということは、すでに陸路線の方と大体の比較ができていると思う。あなたの方で、ただばく然として、市街地を通ると補償費が高いとかいうことよりも、もう少し、片方は九十億とか、片方は七十億で済むとか、この程度のものはあるのじゃないですか。
○説明員(藤井松太郎君) 申し上げます。陸路線を敷くということになりますれば相当トンネルを掘っていきますので、トンネルはおそろしく金がかかる方法でございますので、埋め立てができて、そこを通ることが可能であるということになりますれば、常識的に、トンネルは掘らないのだというのが常識でございますので、実はまだ比較もいたしておりませんし、こういうことを申し上げると、またおしかりになるかもしれませんが、そういった大きな国家施設が生まれてくるからこの線の価値も相当高く評価できるじゃないかという段階でございまして、これは是が非でも国鉄がこれを作ろうという、意思も決定もみておりません。調査線で、こういう本委員会の御意向がなおよく伝えられて、最後的に、先ほど申し上げました建設審議会で御決定を願いたい。それにはどういう路線を作るかということによって、価値が生まれるかということを、われわれは調査しているということでございます。
○河野謙三君 最後に私は、この問題は単に横浜市並びに漁業組合の問題ではなくて、大所高所から見た運輸行政の一環として、必要に迫られて私はやるべきものだと、こう思っているのです。それにしても、運輸省の態度というものはあまりにもずる過ぎると思います。向う河岸の火事を見るような、そういう態度でなく、もっと積極的に両者の調整なり何なりに入って、そうして私はいくべきじゃないか、こういうふうに思うのですよ。あなたの方では採算々々といわれるけれども、過去においては、初めから赤字ときまったような、国策の上からいってやむを得ないけれども、線をどんどん敷いた過去の例がある。今度の場合、われわれしろうと考えで考えたって、作れば黒字になるにきまっている。横須賀線の緩和になり、東海道線の緩和になるといっているのだから、単に横浜の利害だけの問題じゃなくて、冒頭にあなたもお認めになったように、国全体の運輸行政としてももう少し積極的に、私はこの横浜市の問題についてあってほしいと思うのだが、私の誤解かもしらぬけれども、従来どうもあまり変に言い出すと、今度は地元負担やなんかの問題でこれは損がいくから、こっちは黙って見ている方が得だと、こういうふうなことじゃないかと私は思っているのだけれども、もっと積極的にいきませんかね。
○説明員(藤井松太郎君) 過日来、御承知のように、運賃値上げとか何とかでおしかりがありましたが、全体から申しますと、激増してくる貨物量をいかにして産業の発達を阻害しないよう代増強していくかということと、戦争中に非常に弱まった施設をいかにして宵さんに御安心して御利用願えるかという、施設の取替をやるということが第一義でございまして、かくのごとき、建設線のごときはいかにこのこと自身が価値があっても、現在の国鉄の状況としては、それに第一義的に乗り気になりやすいという段階じゃございません、ということをまずおわび申しまして、従ってその観点から申しますし、あなたは黒字になるとおっしゃるので、これは将来私どもも黒字になるのだろうと思います。われわれのそろばんではじく限りにおいては、収入百円に対して百十円なくちゃ運転できない線である。従って、そういう小さい線が許されるにしても、現在の国鉄はできるだけ現在の施設を丈夫にして、一つ輸送を阻害しないということを第一義に考えておるのでございまして、御了解を願いたいと思います。
○小笠原二三男君 あなたのおっしゃることはその通りです。けれども、この問題に関してはもっと突っ込んだ話を、市当局の陳情なり要請がある場合に、国鉄当局としてはサゼスションしているのじゃないか、こう思われる。そのことは、この路線がこの港湾の埋め立て、臨海工業地帯の設定ということで、会社、工場が設置せられるということであれば、路線を通すのに経済効果がずっと高くなり、経済価値が高くなる。従って、全国的に競合しておる調査線の中から、建設路線として建設審議会に持っていく順位はずっと高くなる。従って、早くこのことが着工されるという望みが出てくる。従って、前提条件はこの港湾の埋め立てにあるのだ。しかも、埋め立てられたものについて鉄道路線を敷くまた地元の方からその敷地を出させる、こうなれば、経済的にこの路線もちっとは可能である、こういう話が関係者との間にあって、そして市当局なりあるいは関係者がぜひこれはすみやかに港湾の埋め立てをやらなくちゃならぬ、こういうことになってきているのじゃないかと思う。何にもサゼスションしない、そして地元は地元の計画として、ただ孤立してこの問題を進めているというふうには、私は思わない。 で、こういう点はどうなんですか。あなたの言うような御主張であればあるほど、国鉄当局はなるべく路線はふやしたくないのだ、こういう建前でなお調査線として調査を進めておる。将来は建設線として着工も、順位はあるだろうが、しなくちゃならぬ、こうなれば、どうせやろうという限りは、やはり臨海工業地帯というものが前提条件なんです。そして工場等に対する引込線その他ができていく。そしてまあ貨物運賃の収入もはかられるし、また当該工業地帯に対しても寄与することができる。なおかつ、そのことのためには工場敷地に近い方がいいのだから、埋立地に対して鉄道を敷くのだ、こういう考えはもう当然起ってくると思うのです。そういう意味で国鉄当局としては早くやれということであれば、そういう条件を具備せられる方がいいであろうというサゼスションは関係者にしておられるのでしょう。
○説明員(藤井松太郎君) ただいまの御質問を伺いますと、国鉄があの路線をやる、それには工業港を造成した方が、決定するのに有利であるから、決定しなさいというふうに国鉄が話しただろうというふうに受け取ったのでございますが、全国に十一線ございまして、この線だけ問題にいたしますと、これをやるかやらぬかということはきわめて重要な問題でございすけれども、全国の十一線をにらみますと、必ずしもこれに匹敵する路線がないわけではございませんので、十一線のおのおのを建設する必要はあるだろうということでございますので、われわれとしてはむしろ、かくのごとき産業が興り、かくのごとき国家的に見ても有利な条件が生まれるということを受身的ににらんで、最も効果の多いものからやっていこうということでございまして、かりに不幸にしてこの港湾の造成ができないということであれば、やらぬとは決して申しませんが、それだけこの線を利用する何と申しますか、価値と申しますか、評価と申しますか、それが減るだろうということははっきり申し上げます。
○小笠原二三男君 私の質問にそのままお答え願ってけっこうです。それでもっとはっきりお尋ねしますが、やはりやるとすれば、ここは埋立線でやるのだというふうに一応推定して間違いがないと思いますが、どうですか。
○説明員(藤井松太郎君) その通りです。
○河野謙三君 そうしますと、ただ一点、もう一つ聞きたいのですが、かりにこれが埋め立ての問題等で紛糾して解決がつかないという場合に、そうすると、残る線をもしやるとすれば、陸路線でしょうね。その場合には、鉄道から見て価値が下る。これはその際、今の埋立線さえ鉄道審議会にかけてどうなるかわからぬというときに、陸路線に再び変更するということになると、この審議会がこれを取り上げるかどうか、非常にこれは絶望的になるというふうに見ていいんですか。逆に言うと、陸路線を埋立線に変更したことによって、可能性がやや増してきたということになる、この比較はどうですか。
○説明員(藤井松太郎君) 先ほど申し上げたように、工業地帯が減るということは価値が減るということになる。工業地帯ができなければやめるのかと申しますと、これは先ほど申しましたように、旅客の緩和とか何とかございますので、ほかの十一線の比較においてどうするかということを審議会でおきめ願うので、それだけ価値が減るということははっきり言えます。
○河野謙三君 この二つの場合、二者択一ということになれば、埋立線の方が有利だということは言えますね。
○説明員(藤井松太郎君) それは可能であるということならば、埋立地がいい、しかし埋め立てなければ鉄道は絶対通らぬのかというと、そうでもない。それは一線だけなら二者択一になりますけれども、十一線もあるのですから、有利なものから……。
○河野謙三君 横浜の場合、この二つあって審議会にかけた場合に、審議会がのむのはこっちの方がのみいい。こっちの方が順位が下なんでしょう。こののみいい順位の際もこの審議会にかけてどうなるかわからぬというならば、審議会ではよけいこの問題が残るということでしょう。
○説明員(藤井松太郎君) その通りです。
○河野謙三君 わかりました。
○小笠原二三男君 運輸当局から来ていますか。
○委員長(堀末治君) 運輸当局から施設課長が来ていますが、施設課長でもいいですか。
○小笠原二三男君 港湾関係者は来ていませんか。——港湾関係者は来ていませんね。
○委員長(堀末治君) 鉄道監督局施設課長が来ています。
○小笠原二三男君 それでは私、委員長にお願いしますが、運輸当局から横浜市の港域の拡張について指定をしたその経過がわかる資料を、今日までの経過がわかる資料を出していただくようにお願いしておきます。
○説明員(田中倫治君) 私、委員長から先ほど申されましたように、運輸省の鉄道監督局の方のものでございますので、港湾局のおそらくこれは計画課でおやりになっていると思いますので、計画課の方に連絡いたしまして、その点につきまして委員長の方へ資料を出すように連絡いたします。
○委員長(堀末治君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(堀末治君) 速記を起して。
○清澤俊英君 漁業権と、埋立するときの第一条件としては漁業者の同意がなければ許可できない、こういうまあ初めは説明であったが、それが港湾地区に編入せられると事情は全く別になる。そうして、逆に、この次に五カ年見ますれば、結局漁業権を設定して業務につこうとする場合に役に立ちます、こういう説明なんです。これに対してまだ漁業者の権利を保留するものが何か残っているのじゃないかとわれわれは考える。全く消滅したものではないと考えます。そういう点がありますれば、お聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(奧原日出男君) 漁業権の存続期間が満了いたしました際におきまして、形式的には新規の免許が行われることに相なるのでございますけれども、前の漁業権というものが全くその際にななってしまう、こういうことは考えておりません。漁業権は、ことに共同漁業権は共同漁業権なりに、零細な沿岸漁村民の共同の生活の基盤である。また区画漁業権はそれなりに、漁業権者のやはり経営の基盤にも相なっておりますので、これはそのまま新しく免許をさるべきものである。こういうふうに考えております。
○清澤俊英君 その場合にね、われわれが考えることは、農地法等によって、まあ契約は一連の契約等になりますが、その場合どうしても継続耕作の意思を持つ場合に、民法の規定によって、耕作者がこれを放棄しなければこれを取り上げるわけにいかない、こう農林当局ははっきり言っておるので、それと同じ権利が残るのですね。それと同じ解釈において、簡単に取り上げられない、こういうことを確認してよろしいですか。
○政府委員(奧原日出男君) その通りでございます。
○千田正君 今の問題に関しまして。さっき秋山委員から神奈川県の農政部長に質問しておりましたがそういう際に折衝しなくてはならない点が法規上どうなっているかということをお調べ方を願っておったのですが、お答えできますならば。
○参考人(鈴木重信君) 漁業法の第十三条、私も先ほどちょっと条文を失念しておりましたので失礼いたしました。「免許を受けようとする漁場の敷地が他人の所有に属する場合又は水面が他人の占有に係る場合において、その所有者又は占有者の同意がないとき」には漁業権が認められない、こういう法が第十三条の一項五号にあります。従って、従来とも漁業権の切りかえないしは免許の際には、埋立権を持っている人、あるいは港湾を管理している人の意見を徴して、その上でそれを付して調整委員会に諮ってやっている。ただし、その際に場合によりますと、制限あるいは期間の短縮等を加えた例がございます。その点ございますので、免許以前に、いろいろな埋め立てその他の点につきましては、先ほどの秋山委員からのお話のように、慎重にわれわれは考えておる、こういう次第であります。
○青山正一君 横浜市の港湾地区の指定を受けた際に、水産庁の方へ横浜市とか、あるいは運輸省から何かそういううふうなお話があったかどうか。
○政府委員(奧原日出男君) 何も連絡は受けておりません。
○小笠原二三男君 公有水面に対して権利を持っている者のある地域の港湾の指定なり、港域の拡張については、運輸大臣は農林大臣と連絡をするとか、あるいは内面的な話し合いをして承認を与える、そういうふうな何の根拠もないのですか。
○政府委員(奧原日出男君) 港湾指定地域内におきまして漁業権の免許をいたします際に、ともすれば航行との間に摩擦の問題が起りますので港湾管理者の意見を、免許をいたしまする。知事が聞く、こういうふうな行政指導はいたしております。しかし、今御指摘のように、湾港地域にこれを指定するにつきまして、当然実質的にはいろいろな御連絡をいただくべき筋合いだと思いますが、私は実はその連絡をいただいたことを承知しておりません。
○青山正一君 こういうふうな漁業者が失業した場合に、たとえば都会地において、まあ今後は水産を営めないというふうなことになりまして、そういう連中に水産庁あたりとしては転業の道を講ずることができるかできないか、その点を一つ。
○政府委員(奧原日出男君) 一般的な問題といたしまして、こういう際に漁業権を失い、生活の基盤の崩壊いたしました者に対する転業につきましては、公庫融資その他いろいろな面において、われわれ優先的に考慮いたしております。しかしながら、ただいま問題になっておりまするこの横浜の案件、ことにこういう都市区域のノリ、貝等の定着性の漁業に従事しておりまする諸君が、その産業の基盤を失った場合どうするかということについては、これは非常に困難かつ深刻な問題があると、かように思うのであります。われわれは常に、補償は金では解決しない。で、金で解決すると考えれば、その金は個人に渡れば次の生産手段の基盤として投下されないで、往々にしてその金が無意味なことに浪費されるという傾向が顕著にあります。補償を受けたために村を離れた者が、都市に出て五、六年で無一文になって帰ってくる、こういう例は顕著であります。で、この場合は、この貝なりあるいはノリの漁場を全然失ってしまうのでございます。最近川崎におきまして、やはり同じような問題が起り、双方の妥協によって解決したのでありますが、この場合においてはノリの漁場は沖合いに延ばし得る余地があったのでございますが、本件の場合においては、おそらくそういう余地はない。そういたしますると、おそらく漁業に転換するということは、これは今までの業態から見て非常に困難であります。従って、それぞれ一軒一軒について、その生活の所を得させなければ、そこまでめんどうをみなければ、この問題は解決しない、かように存ずるのであります。現に川崎の場合におきましては、関係の県の係員は、それによって補償を受けた漁家の娘さんをバスの車掌に世話する、そういうところまでめんどうをみて解決をした、こんなふうな事実があるのでございます。
○千田正君 だいぶ時間もたちましたが、今水産庁次長がおっしゃられる通り、この問題は非常な重大な問題でありますので、下手にその処置が間違えば国の予算を配分しなければならない問題にまで来る。いわゆる国の財政の一端にかかわる問題でありますので、きょう参考人としてお見えになりました特に横浜市の助役さんとしては、当委員会として取り上げるのは、そうした問題として波及するおそれもある。そこで先ほどあなたが御明言になりましたけれども、漁業団体とも十分打ち合せた上でなければ、この問題の解決はしないという御発言にはまさに間違いないと思いますけれども、間違いございませんでしょうね。
○参考人(田中省吾君) その通りです。
○千田正君 その通りだとするならば、私はきょうお見えになりました参考人の方々は十分に本委員会の情勢を御明察になされまして、再び国会においてこの問題の解決をしなくちゃならないような難解な立場に落ち込まれないように一つやっていただきたいということを特にお願いします。
○重政庸徳君 この問題、じっと聞いておると、結局漁業権者の同意なくして港湾の拡張の認可を運輸大臣がした市議会の決議に基いて、ということになるのだが、そうすると、水産庁は、農林大臣は、そういう手続をとった場合には、農林大臣は漁業権者を保護する道がないということになるのですか、今の場合のようなケースならば。
○政府委員(奧原日出男君) 運輸省の方から……。今の公有水面埋め立ての場合についての同意のお尋ねだと思いますから、運輸省の方から……。
○重政庸徳君 いや、そうじゃない。漁業権者の同意なくして、そうして港湾区域拡張の認可をした場合には、今じっと聞いていると、今後埋め立てをやる場合に、港湾管理者は漁業権者の同意なくしてこれを履行できる、やろうと思えば、ということになると、こういうケースの場合には、農林大臣は漁業者の権利を擁護する何らの手段もないということになる、今の法律によると、これは非常に欠陥じゃないか。
○政府委員(奧原日出男君) 港湾区域が拡張されまして、現在ある漁業権が港湾区域の中に包含されました場合におきましても、その漁業権自身は何らの制限を受けないわけであります。ただ航行その他の関係で、公益上必要がある場合に、その漁業権を変更する行政処分をするということは、これは法律で規定がされておりますが、しかしながら、これはその場合におきましても補償する、こういうことが絶対の要件に相なっておりおります。従って、港湾区域が拡張されたということで、直ちに漁業権者の方々が損失をこうむる可能性を非常に加えたということには、私は相ならないかと思うのであります。問題は、どういたしましても漁業権者自身の同意及び権利放棄ということがなければ、この権利を失うことはない、かように考えております。
○重政庸徳君 今の継続でしょう、これは。しかし、これはちょっと違うですよ、水産庁次長、ね。今までの経過からみると、とにかく漁業権者の同意なくして——もちろん補償は問題じゃないのだ、同意なくして、この港湾管理者は埋め立てをやることができるというふうな説明をなさっておる。もちろん補償は、これは補償なくしてできるものじゃないですよ。それだから、まるっきり僕の質問に対する答弁からはずれておるのですがね、
○政府委員(奧原日出男君) ただいまのお尋ねは、港湾区域に指定されたものの中にこれが包含された場合のお尋ねでありましたので、そうお答えしたのでございますが、公有水面埋め立ての問題は、これは全然別個の問題でございます。これは先ほどもお話がありましたように、同意なくしては埋め立てばできないということで、問題は進行いたしております。
○重政庸徳君 そうすると、田中さんにこれは聞くのですがね、あなたの御回答では、できる。何らかの方法でできると。だけれどもが、結局同意を得ねばやらぬというのだが、できるのですか。その点は何に根拠をおいてできるのですか。
○参考人(田中省吾君) 私の申し上げたのは、港湾区域を拡張して、根岸湾の屏風浦を港湾区域の中に編入するということについては、漁業組合の同意を要せずということでありますが、しかし囲め立てをやる場合は、漁業者の同意を得なければまず第一段にできないというので、漁業者の同意がどうしても得られない場合は、法律によりますと、たとえば埋め立てをすることが漁業をそのまま存続するよりも非常に大きな利益があるというような場合には、漁業者の同意なくしてもできるという法律の条文もあります。ありますが、私どもは市民の利益を侵害して、そういう法律をたてにとって埋め立てを強行するというような考えは持っておりません。やはり大切な市民でありますから、よく納得してもらって、これをやっていきたい、こういうことを申し上げたのでございます。
○重政庸徳君 そうすると、やはり僕の考えておる通りで、港湾区域に入れた以上は、これは漁業権者の同意なくしても、管理者はできる。そういうことになると……。
○参考人(田中省吾君) いや、それは違うのです。それは港湾区域に入れようと、入れまいと、公有水面の埋め立てをやる場合には、港湾区域外であっても、法律には漁業者の同意を得なくてもやれる道は開かれておる。それは港湾区域に関係なく……。けれども、そういうことはやりませんということを私は申し上げておるのです。
○重政庸徳君 しかし港湾区域の問題ははずして、この漁業権者の同意なくしてやれるのですか。何の法律によってやれるのか。僕は、水産庁次長、そんなことがあるのですか。(小笠原二三男君「僕も聞きたい、それは。」と述ぶ)
○政府委員(奧原日出男君) 問題は二つに分れると思うのでございます。港湾区域に編入されるということは、港湾管理権、管理の権限を持っておる港湾管理者が、その水面におきまする船舶の航行等、港湾の管理についてのいろいろな調整をするという権限を与えられるだけなんでありまして、その区域の中におきまして漁業をすること自身は、これは漁業権に基いて保障をされておるのでございます。 ところで、今度はその水面を埋め立てて、土地を造成していくということに相なれば、これは公有水面埋め立てということによって、全然別個な法律的な問題に相なるのでございます。公有水面埋め立てにつきましては、今助役さんが収用的な考え方をお話しあったのでございますけれども、この問題の進行は、ただいまお聞きの通り、進行いたしておるわけであります。
○小笠原二三男君 今、田中さんは、私のさっきの質問に答えた答弁とはまた違って、水産庁次長がお答えになったように、公有水面の埋め立てば埋め立、港城の拡張は拡張、別個の問題だ、こういうふうにはっきりおっしゃられた。そうなれば、先ほど農政部長は、知事は関係しないのだ、この問題には関係しないのだ、ただ港湾管理者と運輸大臣との関係なんだ、そう言いましたが、そうなれば、これは知事の方が免許をしなくちゃならぬことになる、それでしかも甲なり乙なりの港湾指定を受けておるものについては、その港湾の利用に著しい影響を与えるときだけ運輸大臣の許可が必要なので、そうでない限りはもう建設大臣の所管ですよ、これは。そうなれば、先ほどの答弁は、私がやはり指摘した通りのことの方が事実なんで、真実なんで、あなたのおっしゃっていることは違ってくるというふうに思われる。公有水面の埋立法の第四条では、漁業権者なりその他の同意がなければ、もうできないようになっている。ただし書きも何もないのです。それから運輸大臣の関係してきておるのは、三十二条——先ほど言うたような場合だけなんで、五十町歩以上の埋め立てをするのですから、そうなればこれは知事は、知事だけの権限ではなくて、建設大臣の許可をもらわなきゃならぬようになっておる。それでこの点どうもはっきりしませんので、田中さんには、この第四条について、例外規定がどこにあるのか、お伺いするし、農政部長には、先ほどのお話の通り、これは知事の問題でもあり、ひいては公益、公共団体としての民意を代表する神奈川県議会においても問題となるべきものであろう、こう思われるのですが、この所見をもう一度ただしておきたい。
○参考人(田中省吾君) 先ほど申し上げたことは間違いがございませんので、公有水面埋立法の第四条によりますと、一には、その公有水面に関し、権利を有する者が埋め立てに同意したときに、埋め立ての免許ができる。それから二には、その埋め立てによりて生ずる利益の程度が損害の程度を著しく超過するときにも、埋め立ての免許ができる。それから三には、その埋め立てが法令により土地を収用、または使用することを得る事業のため必要なるときは、埋め立ての免許ができる。こう三項目ございます。その第一が漁業組合の同意を得なければ免許ができないということでございまして、私どもはこの第二、第三によって埋め立てを強行しようというつもりはない。第一の条項によって、あくまでも漁業組合と話し合いをしてやりたい、こういうのでございます。
○小笠原二三男君 この各号というのは、並立されて、漁業権者が同意を与えない、困ったことだ、そのときには第二号なり第三号の規定を使って強権的にやれるのだ、こういう規定だというふうにあなたの方では解釈しているのですね。
○参考人(田中省吾君) そうでございます。
○小笠原二三男君 その点については、あとで法律解釈を、この場でなく、私伺っておきたいと思います。こういう規定の性質上、私には疑義がある、この点は。
○参考人(鈴木重信君) 私の先ほど申しましたのは、埋立権の免許権をだれが持つか、その手続の問題を申し上げたのでありますが、港湾区域として認定せられておらない地域におきますところの公有水面の問題につきましては、知事に御指摘の通りあるわけでございます。従って、港湾区域が拡張せられまして、港湾管理者の管理範囲内に入るまでは、神奈川県の知事がその免許権を持っておったわけであります。ところが、これが港湾区域が拡張になりまして、港湾区域になった地域における免許権、こういうことになりましたので、市の方におかれましては、その免許権を管理者である市長みずからがお持ちになり、そしてそれの同意を運輸大臣から得る、こういうことになった、こういうことでございます。
○小笠原二三男君 そうなれば、先ほどの水産庁次長の答弁とはまた違うのです、これは港湾として指定を受けているものの中でも、その区域の中においても、公有水面というものの埋め立ては、公有水面埋立法によってだけこれはやり得ることなんです。ところが、こちらのは、その公有水面埋立法によらざる港湾管理者において権限を持ち、運輸大臣の承認があればいい。それで広域公共団体としての知事の許可は要らぬのだ。それは何の法律であなたはおっしゃっておるのですか。私は今公有水面埋立法によって申し上げているのです。どっちかが間違っているにきまっている。
○委員長(堀末治君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(堀末治君) 速記を始めて下さい、
○重政庸徳君 水産庁次長に、埋立法の三十二条の二号、三号、いわゆる強権によって埋め立てをやる場合に、その場合には、運輸大臣にしろ建設大臣にしろ、関係省から農林大臣に何か協議があるんですか。
○政府委員(奧原日出男君) 当然農林大臣にも協議があると、かように考えております。また農林省の方からも積極的にそういう御相談を受けるように進めて参りたい、かように考えております。
○重政庸徳君 これは好意的に協議があるとか何とかいうことでなしに、何か法律に基いた権限を農林大臣が持っていなければいかぬと僕は思うんです。そうでなければ、要するところ、農林大臣は漁業権者に対する保護というものはできないことになるんだがね。好意的にではなく、当然農林大臣にそういう場合においては協議があるんだということでなければいかぬのじゃないか。そこはまだわからぬのですか。
○政府委員(奧原日出男君) その点はよく一つ研究いたします。
○委員長(堀末治君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(堀末治君) 速記を起して下さい。
○参考人(田中省吾君) 先ほど、公有水面埋立法の一号、二号、三号を申し上げまして、これについて全国の例を見ますと、どうしても漁業組合の同意が得られなかったために、二号もしくは三号を適用してやった例が一、二あるようでございます。しかし、横浜市はそういうことはやりませんということは重ねて申し上げます。 それから、港湾区域に編入になりますと、公有水面埋立法による知事の埋立免許の権限が、港湾管理者たる市長に移る……。
○小笠原二三男君 港湾法の方ですか。
○参考人(田中省吾君) 港湾法の五十八条の二項に、「公有水面埋立法の規定による都道府県知事の職権は、港湾区域内については港湾管理者の長(河川法第二条第一項の規定による河川の区域内における港湾区域内については都道府県知事及び港湾管理者の長)が行う。」こういうことで、港湾管理者の長が、府県知事にかわってその職権を行うという規定になっておるのでございます。
○小笠原二三男君 そうであれば、水産庁次長、この点は訂正しておかれたらいいと思います。あなたの方は、公有水面埋立法によってだけやるのだということですが……。
○政府委員(奧原日出男君) 私は、港湾管理の問題ということは、要するに、港域指定の問題と、それから公有水面埋立の問題は、全然別個だと。それで港湾区域の中に編入されたということによって、漁業権の運営ということは、何らの障害を受けない。公有水面埋立の免許があれば、これは当然漁業権に対する補償と、こういうふうな問題がそこに起ってくる、こういうことを申し上げたのでございまして、今の田中さんのお話と、私の話とちっとも食い違っていないと、かように考えております。
○参考人(田中省吾君) ちょっと補足いたします。ただいま水産庁次長のおっしゃった通り、私と水産庁次長の申しましたことは少しも違いがないのでありまして、実例を一つ申し上げますと、横浜港の、前からの港湾区域内において埋め立てをやっております。それについては、やはり港湾管理者たる市長が免許をいたしました。そして運輸大臣の承認を得てやっております。そうしてそこに漁業権がありまして、その漁業権についての補償もいたしました。そういう実例がございますので、御参考までに申し上げたいと思います。
○小笠原二三男君 そうすると、やっぱりあなたの側としては、漁業権者から……。この埋め立ての問題が急速に具体化する、それに付随して港域の拡張の指定が出てくる、こういうことが起ってきたことは、あなたが言う通り不幸であったことはですね、私は率直にやっぱり不幸であったと思うんですね。誤解を受けますよ、あるいは正解かもしらぬけれども。その点は、私はこれ以上は申し上げません。よく事情はわかりました。
○参考人(田中省吾君) ありがとうございました。
○重政庸徳君 そうすると、今言う港湾管理者が埋立地の認可をすることができる、知事にかわって。そういうことになると、しかも、その埋め立てをやるんではないけれども、港湾を拡張すればその権利が生ずる。そうすると、農林大臣は何もそういうことを知らぬ。港湾管理者が漁業権を……。この地帯を埋め立てをやるという場合には、漁業権者がどうしてもいかぬという場合に、農林大臣には何ら連絡もなしに法律上はやってもいいことになるんですか。
○政府委員(奧原日出男君) ただいまお話しのように、港湾管理者が埋め立ての認可をしたと、こういう場合におきまして、漁業権との関係につきましては、当然漁業権者の権利放棄を求めなければならないと、かように考えます。で、そのためには、漁業権者が当然、話し合いによりまして、金では私は解決しないと申し上げましたが、それはやっぱり補償を受けなくてはならない。ところが、その権利放棄を求めることができない場合においては、ただいまお話しのように収用の問題が起ってくるわけです。で、これは当然収用する。事業をいたしまする者は、当然その補償をしなければならぬ。こういうことに相なってくる。そこで、その間に処しまして、一体水産庁はどういう立場をとるか。こういうことにつきましては、実はこの問題のみならず、こういう種類の問題については、問題が起りますれば、必ず水産庁にはそういう情報は全部あがって参っております。この問題につきましても、市側からも、また市側からお話を伺うずっと前に漁業者側から、水産庁は十分なる連絡をいただいておるのでございます。その際の漁業権者の権利を毀損されないようなその措置は、十分その間において水産庁として講じ得る機会がある、かように考えております。
○委員長(堀末治君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(堀末治君) それじゃ、速記を起して。 本件については、本日はこの程度にとどめて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀末治君) それじゃ、本件については本日はこの程度にいたします。 なお、参考人の方に申し上げますが、まことにお忙しいところ、長時間にわたっていろいろ御意見を承わりましたことを、非常にありがたく重ねて御礼を申し上げます。どうぞお引き取り下さい。ありがとうございました。 なお、委員の諸君は、あとの処理について少し御相談したいと思いますから、ちょっとお残りを願いたいと存じます。 それでは、きょうの参考人のこの問題をどういうふうに取り扱いますか、それについて御意見を承わりたいと思います。
○小笠原二三男君 私は、歯に衣着せないで申し上げたいと思うんです。先ほど来参考人の公述を聞いていますと、横浜市と漁業権者との間の問題であって、それに対しては今後港湾管理者としての市長の職権にも属することであって、横浜市を包括する地方公共団体としての神奈川県さえも、法律的には、関与し事を処理する権限を持っていない。まして国会としては、行政当局がそれぞれ手順を踏んでやっておることであって、われわれこの請願を受けたからといって、直ちに本問題についてとやこうと発動し得る権限は、権限と申しますか、それはあり得ないように思う。問題は当農林委員会としては、鉄道路線が敷かれるとか敷かれないとか、埋め立てが行われるとか行われないとか、この問題は法律的にいえば極端にいえば、所管外のことで、そのことによって起る漁業権者の生活権の問題という事態が起ってくれば、当農林委員会としてはこれら漁業権者の権益を守ってやるということで進まなければならない、そう思います。で、この地域に臨海工業地帯を設定するのがいけないとか、国鉄路線を敷くのがいけないとか、そういうような判定を下す権限はわれわれ当委員会にはないように私は思うんです。 そういう意味では、私は市当局と漁業権者とが今後において話し合いをせられるという、何と申しますか、一つの組織をお持ちになられたということでありますから、自主的に話し合いを進められて、その経過いかんということによって起ってくる問題が、当農林水産委員会に関連してくる事項が起ってくるなら、私は積極的にこの問題は処理もし、この沿岸関係漁民の利益を守るということで事を進めなければならぬと思うのです。ところが、県議会も知事も関与していない現段階で、国会の農林水産委員会が発動して、現地調査である、何であると、こういうことになれば、あるいは円満妥結をお互いが希望し、あっせん者も希望しておられるその真意に、あるいはそむくおそれが起ってくるかもしれないということを心配します。そういう意味においては、私は沿岸漁民の方々の深刻な、熾烈なこの反対の声というものは、率直に身にしみて受けたものでありますが、しかし当農林水産委員会としては慎重な考慮の上に、配慮の上に、この問題を処理しなければならぬと思いますので、現段階においては、当事者の自主的な話し合い、関係地元の方々の自発的なこの交渉によって了解点に達せらるることを見守っていきたい、私はそう考えます。軽々に国会における調査権を発動してどうこうということについては、必ずしも現段階では賛成できない。
○河野謙三君 私は、この今小笠原さんが申されたことを大体趣旨は同じようなことですが、きょうこの参考人を呼びまして、われわれの一番おそれておった、横浜市側が、従来の態度等から見て、最終的には権力によって漁民を抑えつけるのじゃないかという懸念を持っておりましたが、市の役助がこの速記をとった上で、どこまでも漁民の納得のいかない場合にはやらない、どこまでも納得の上にやるのだ、同意の上にやるのだということを言明されましたので、それで漁民が心配し、われわれの農林委員会が心配しておることは一応解消したわけです。しかし、今後なお残る問題は、果して漁民の納得なり同意を得られるかどうかということについては、まだ問題があるわけです。だから、助役がああいう言明をされましたけれども、必ずしもあの言明の通りいくかいかないか、今後もう少し推移を見て、その上で、場合によったらわれわれはまた意見も聞けばいいのであって、今私は、小笠原さんがおっしゃったのと同じように農林委員会としては、とりあえずはこれ以上介入すべきじゃない、こういうことには全く同感です。 それから現地調査に行くということは、私は、今後また問題が同意を得られずして紛糾するというようなことも予想されなくもないので、それに備えて、一ぺん時間をさいて現地を見ておくことも、将来に対してはむだではない。これは決して今後これ以上問題に介入しようという意図ではなくて、ここまで取り上げた問題でありますから、一応現地を見られるなら見てもむだではないのじゃないかと、私はこう思います。
○重政庸徳君 これは、大体漁業者に非常な影響があるということは、第一点で、わかった。それから市も強権ではやらぬ、必ず話し合いのもとにやるという第二点、そういうことです。それでまあ見て悪いことはないけれどもが、とにかく、これ、来週なり今週なり至急に行くということは、やはり一歩介入のおそれが僕はあると思うのです。だから、これはそうあせって、これの現地視察に行く必要はない。必要がないどころじゃない、この際は、私はもう少しじっと形勢を見た方が、委員会としてとるべき道であろうと思うのです。
○青山正一君 河野さんがおっしゃったように、河野さんの理屈もはっきりわかっておるわけなんだからして、問題の推移を見て、そういうふうな、どうしても横浜市の方の側で漁業者を無視したり何かしたりする場合があったら、そのときにはまたそのときで考えていこうということで、その場合に現地視察を譲っちゃって、小笠原さんの意見で進んでいった方がいいのじゃないか。
○小笠原二三男君 速記をとめられて。
○委員長(堀末治君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(堀末治君) それじゃ速記を起して。 島村さん、もう一ぺんさっきの発言して下さい。
○島村軍次君 先ほどの小笠原氏の御意見の通り、この問題は、当分のうち推移を静観すると同時に、現地調査もやらない、こういうことに御決定願いたい。
○委員長(堀末治君) 御異議ございませんか、
○小笠原二三男君 私それについて全然異議がございませんが、何とぞ皆さんの賛成を得て、将来において関係漁民が著しい影響をこうむる、不幸を見るという事態については、今日まで関係した当委員会の経緯から見ても、十分な好意をもって、円満に問題が処理せらるるようにやっていこうということについてだけは、各委員においてお申し合せを願っておきたい。
○委員長(堀末治君) 今の小笠原先生の御発言に御異議ございませんな。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀末治君) それじゃ、さよう決定して、本日はこれにて散会いたします。 午後二時十七分散会