農林水産委員会 閉会後第8号
- 発言数
- 56 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/09/10
会議録
○委員長(堀末治君) ただいまから委員会を開きます。 まず、派遣委員報告の件を議題にいたします。 先般農林水産事情調査のため、北海道及び南九州に御出張をわずらわしたのでありまして、派遣委員におかれましては遠路まことに御足労、ありがたく存ずる次第でございます。ただいまからその御報告を願うことにいたします。まず、北海道班をお願いいたします。
○柴田栄君 北海道班といたしまして、堀本、清澤両委員とともに、私と三人で、七月十四日に上野を出発いたしまして、二十一日まで八日間現地を視察いたして参りましたが、北海道では特に東委員の御参加をいただきまして、御案内をもかねるというようなことで、非常に大きな応援をいただきました。 十五日正午には札幌に到着いたしまして、午後道庁において、副知事を初め関係部課長から道内の農林水産事情につきまして説明を聞きました。 御承知のごとく、北海道は開道以来九十年の歴史を持ち、昨年第一期開発計画を終りまして、本年より第二期開発計画を進めております。また昨年はまれに見る冷害でありまして、関係各位の御協力によって諸対策を推進してきましたが、幸いに本年は気温も高く、平年作には達するであろうとのことでございました。 目下道といたしましては、寒冷地農業の振興、農家の負債整理、試験研究と営農指導の充実強化を推進しており、今日まで畑作農業の研究がなお不十分であるので、濃霧地帯をも含めた国立の畑作農業研究所を設置してほしいという要望がありました。また開拓については、機械開墾による。パイロット・ファーム方式を中心として、不振開拓地区の営農振興、土地改良事業の推進をはかっているが、畑地灌漑については水田並みに補助率を引き上げてほしい、また斜里地方の防風林造成に補助の道を考えてほしいという要望がありました。林務関係については、林道網の強化、造林事業の補助、近代林産工業の振興助長等に力を入れているが、道内の治山治水事業は、二十九年九月の大風水害により異状を呈しているにもかかわらず、なお六〇%の計画量が承認されたにすぎない状態であるから、一そうこの面の助成措置を講じてほしいとのことでありました。水産関係といたしましては、何よりも北方近海漁業の安全操業に対する広急措置、春ニシン、イカ地帯の漁業振興、漁港整備促進等について要望があり、道水産会より、至急日ソ間に暫定漁業協定を結び、海難救助対策の促進、抑留漁船船員の早期送還を実現してほしいという陳情がありました。また北海道木材協会より、木材の滞貨が著しいので、青函航送貨車の増配、滞貨一掃の処置を講ずるとともに、木材金融についても特別の配慮をお願いしたい旨の陳情がありました。 道庁を辞して、午後は市内の雪印乳業を視察、さらに郊外にある宇都宮牧場を視察、北海道の酪農について種々有益な示唆を得ました。 翌十六日は旭川郊外のアイヌ館を訪れ、後、永山町一帯の上川平野の作況等を巡視し、石狩川をさかのぼって上同時に着き、直ちに営林署で風倒木の処理状況について説明を聞きました。北海道では、去る昭和二十九年の台風によりまして、約八千万石の被害木を出し、うち七千万石が国有林の風倒木で、そのうちの六千万石を利用して、いまだ一千万石が未利用の状況にあります。関係七十六営林署のうち、七十営林署がほとんど処理を終り、全体の八一%を利用して参りました。しかし、昭和三十二年度になお処理作業の残っているものが六営林署ありますが、最近現地移動チッパーによりチップ等にして搬出しているので、処理率はさらによくなるものと見られております。これら風害木の丸太のうち約四十万石は水中に貯材し、また昭和三十年には百六万石、三十一年には百五十五万石、本三十二年には六十万石を内地に輸送いたしております。これらの風害木については極力その効率的利用に努めているが、現在処理中または処理後の虫害防止、山火事防止の予算が年々減少されつつありまするので、これらの予算について特に考えてほしいという要望がありました。また道庁でも話がありましたが、風倒木等のための最近がけくずれが多いので、治山事業、特に砂防工事を急速に実施し、このため事業の多い営林局等には内地並みに治山課を設置する必要があるという点が力説されました。 風害木の処理状況の説明を聞いた後、現地視察のため層雲峡に入り、風害の最もひどかった大雪山麓の作業現場まで登って見ました。この山頂に立って見ると、台風の過ぎた山々の原始林が見渡す限り被害を受けており、当時の被害の規模の大きいことに驚いたのでありますが、その後三年ほどの間にかなりよく片づけられており、気候の寒いせいか腐敗も少く、今もなお相当りっぱな丸太がどんどん搬出されておりました。新しい試みでありまするチエーン・ソウによる末木等の処理、チップ材搬出の現場等も見学いたしました。層雲峡から留辺蘂に出る新しい道路ができて、当時まだ開通式をやっておりませんでしたが、特に通してもらい、沿道の風害木の処理状況等を見ながら、武華峠の一番乗りをして、温根湯に着きました。途中、わが国水銀生産の九割を生産しているイトムカ鉱業所を見学しました。 翌日留辺蘂の三井木材工業のオートメーション工場を視察しましたが、この地方の木材資源の豊富なことと、自動ケーブルやコンベア・システムによりまする製材工場の近代化とあわせて、廃材がすべてチップにされまして麻袋に詰めて出荷されておりまして、余すところなく木材が完全に利用されておる状況を見まして、大へん心強く思いました。 後、北見市に入り、網走支庁管内の農林水産事情について説明を聞き、北見市初め関係町村から各種の陳情を受けました。網走管内の年産額は農林水産物が最も多く、農産物百二十億円、畜産物三十億円、水産物六十億円、林産物二十五億円であります。従って、管内の農林水産業の発展のために、重粘土、火山灰土地帯の土地改良事業の推進、寒地農業振興対策の確立、開拓事業の拡充、未完成漁港の早期完成、帆立貝、カキ人工養殖事業、コンブ礁構築費等の助成、奥地林道の開設、造林事業の拡大強化、森林組合の育成、山林維持資金の増額、藻琴山麓国有林の開放等、農林水産業全体の発展策推進につき要望がありました。また北見市からは、国立北見測候所の設置、相内地区の国有林払い下げ等について、また津別町からは、国有林材の特売制、木引税の存続が強く要望され、新農村建設事業の期限の延長、不振開拓地の再検討等について陳情がありました。また清里町、常呂町からも、製紙工場誘致、林道改修、国有林開放、山林評価税、木引税等について同様陳情がありました。次いで、北見市内の豊浦製糖工場と北連のハッカ工場を視察いたしました。製糖工場は余剰農産物の見返り円資金等で新設された問題の工場でありまして、ただいま八〇%完成いたし、十月には操業の予定であり、日産百二十トンの製糖能力を持つ膨大な工場で、西ドイツから輸入いたしました機械等を目下盛んに据えつけておりました。またハッカ工場は当時操業いたしておりませんでしたが、前農林委員の加賀さんからいろいろ説明していただき、製糖工場とともに、農業と工業との結びつきの重要なことをあらためて認識いたしました。 北見を辞し、美幌町を通り、美幌峠に向いましたが、途中でこの地方の経営モデル農場でありまする三上勇氏の農場を視察いたしました。この農場では、耕地九町歩、山林三町歩、乳牛四頭、馬二頭を、ほとんど夫婦二人の労力で経営せられておりまして、この付近のモデル経営農場とも申し得ると思いますが、昨年度の冷害による影響はほとんどなかったという話でございます。 屈斜路湖を経て弟子屈に入り、釧路支庁長から管内の概要を聞き、特に管内の開拓営農の問題につき実情を聴取いたしました。釧路には既存農家が五千三百三十九戸あり、約七万町歩を耕作利用いたしており、これに開拓農家二千三百七戸の開拓地三万九千町歩、さらに未入植の七万町歩を加えまして、現在十八万町歩を七千六百四十二戸で利用しておりまするが、なお七万町歩、二千八百十六戸分の開拓予定地が残されております。しかし濃霧地帯で作物はあまり育たず、牧草がよくできるので、どうしても酪農中心の農業を確立する必要があり、畑作物二割、酪農八割という収入構成を適当とされています。昨年の冷害について見ましても、農作物の収入は半減あるいはそれ以下でございまするが、酪農収入は若干増加しているほどでありまして、酪農に凶作のないことははっきり資料に出ているのであります。従って、昭和二十五年から乳牛貸付制度を道で実施し、二十九年から国で行われるようになりまして、非常に喜ばれております。現在平均乳価は農家手取り約四十三円くらいでありまするが、この地方の生乳は、農協経済連を通じて、九九%までクローバ乳業に出荷されており、一部明治、森永に売られております。各農家の負債は二月当り平均二十六万円程度でありますが、何よりも乳牛を入手して完全な酪農農家となりたいという希望を持っております。従って、開拓関係といたしましては、開拓基準の改正、機械開墾の拡大、特に抜根だけは機械でやってほしいという要望が強いのであります。三万町歩にわたる泥炭地の開発を行なってほしいという要望もありました。農業関係では、濃霧地帯を対象とした特殊気象地帯農業振興法の制定、国立農業試験場の設置、湿地牧野の土地改良事業の促進等が強く要望されました。 翌十八日は弟子屈にある道立開拓実習場を視察し、自動車で標茶町虹別の新潟開拓部落を訪問いたしました。ここの開拓者は終戦後満州から引き揚げてきた新潟県出身の開拓者で、二戸平均農業収入二十八万、農外収入約五万、償還金を含めた農家支出三十万円で、差引二万七千円の黒字を出しておることになっております。中標津町当幌の鈴木農場にも参りましたが、本農場はさらによりよい成績を上げまして、りっぱなブロック建築の住宅を新築しておりました。 広大な根釧原野を突っ切って春別に入り、機械開墾事務所でパイロット・ファームの現況について、その概要の説明を聞きましたが、機械開墾の事業は、道路、水路、防風林等の建設工事を開発庁の機械開墾事務所が、整地、機械開墾の仕事を機械開発公団の北海道支所が、さらに開墾後の営農指導を道庁の根釧開拓営農指導所がやっておりますので、それぞれの係から所管事項の概要について説明を聞きました。 まず、建設事業について、現在完成を見つつあるのは、床丹第二地区の四千六百十九町歩の事業でありまして、第二期として東部の床丹第一地区の建設事業が予定されています。建設工事の総事業量は三億七千万円でありまして、昭和三十年度五千万円、三十一年度一億六千九百万円、三十二年度一億五千余万円となっております。入植戸数は三カ年で二百八戸、増反三十九戸分で、入植者二月当り配分は、畑十四町四反、防風林七反、採草地一町八反、薪炭林一町六反、宅地三反、計十八町八反であります。またこれに導入いたしまする家畜は、ジャージー十頭、馬二頭、綿羊二頭、豚五頭、鶏五十羽の計画であります。この地方の土壌は酸土が強いので、町当り石灰二・六トン、燐酸一トンを投入することになっております。ブルトーザー、キャリオール等の建設機械をフルに利用いたしまして、三カ年で建設工事の全部を終了いたしまして、その経験で第一床丹の工事も三年でやり上げる自信があるとのことでありました。ただ道路に敷く砂利がなく、十里も離れた土地からたくさんのトラックで運ばれておる特殊な現状がございました。 開墾事業については、公団のトラクターが二十一台ございますが、その他の耕転整地機械を駆使いたしまして、昭和三十一年度には実に予定計画以上を耕起いたし、三十二年度は抜根七百四十六町歩、耕起七百六十四町歩、砕土や土壌改良を終って、すでに三百三十町歩の播種を行なっているようであります。また入植は、三十一年に五十八戸、三十二年に五十六戸が入っておりまするが、三十三年度九十三戸入りまして、完成後に二百八になる予定であります。住宅はすべてブロック建築でありまして、家族数に合せていわゆる百三十一型、百五十二型、百七十二型の三種の形態のうち、一種を選択いたすことになっております。そのほかサイロ、畜舎、尿だめ、堆肥舎、農舎を三カ年計画で逐次建設する予定になっております。営農は酪農を主といたしました主畜経営とし、完成時の農業収入は年百十二万円、支出八十三万円、償還金二十二万七千円を支払ってもなお六万三千円の余剰が予想されております。ジャージーの乳量も、心配されておりましたが、土地になれた内地出産牛の乳量は年々増加し、明るい見通しが立っております。 後、地元の別海村から陳情があり、開拓に伴う医療機関の整備、漁港整備の促進、簡易軌道の改良延長、未開発地域の機械開墾促進、北海道でもジャージーを国有貸付牛の対象にしてほしいとの要望が述べられました。また中標津町からはパイロット・ファーム方式による開墾の拡充、根北産業幹線道路の開発、西竹開拓地に上水道路設置等について、特別考慮してほしいとの陳情がありました。 事務所を辞し、直ちに開墾地区に入りましたが、第一に、道路がよく整備されていてまことに整然としたものがございます。既開墾地には燕麦や牧草もよくできており、新築の開拓住宅が点々と見られ、新しい村という感じがよく出ておりました。百七十二型の住宅や畜舎、サイロ、尿だめ、農舎等がほぼ完成している渡辺さんというお宅に立ち寄って見ましたが、従来の開墾住宅に見られる暗さがなく、文化住宅の感があり、これからの開拓はこれでなければならないということを痛感いたしました。 道庁の営農試験地や、現に開墾作業機械の動いておりまする地区などを見て、根室に向いましたが、途中西別海にある新しい雪印乳業の工場を見学いたしました。一日の製乳能力二百石、バターと脱脂粉乳を作っておりました。また和田村の別当賀の開拓不振地区に立ち寄り、武隅さんの農場などを見せてもらいました。この根室半島の不振地区は、自給作物としてはバレイショだけといってよく、最初から乳牛の導入が考えられていなかったところに欠陥があり、農外収入の労賃収入でようやく生活している状態であります。このような従来の入植者と比較して、機械開墾入植は断然まさっており、資金の貸付だけを比較してみましても、従来の開拓は一戸当り二十二万円に対し、パイロット・ファームでは二百三十万円で、十倍となっております。食うことに追われて開墾もできない従来の開拓方式から、今後は機械開墾方式に改める必要があると同時に、この著しい新旧の開きを埋めるために、既入植者にも機械開墾の恩典に浴せしめる何らかの方法を考える必要があるということを痛感たいしました。 翌十九日は、根室支庁舎で管内農業水産団体の懇談会を開き、また関係町村の陳情を聞きました。根室における最大の問題は、ソ連領への接岸漁業の問題で、日ソ交渉がこの段階まできているとき、領土、領海の問題と一応切り離し、漁船の安全操業を確保するため、早急にソ連側と暫定協定を結んでほしいという主張が圧倒的でありました。その他、日ソ平和条約の促進、歯舞、色丹等への接岸漁業の承認、貝殻島の灯台の点灯、千島、樺太の避難港設置、抑留拿捕船、漁夫の早期送還等が強く要望されました。また農業関係では、根釧地域機械開墾の促進、根北鉄道建設の推進、知床半島の開発、草地改良試験場の拡充等が要望されました。また根室町長からは、歯舞、色丹住民の帰農対策、授産場の設置等について、また、標津村からは標津漁港、和田村からは落石コンブ盛漁港の早期完成、国有林道、幹線道路の建設促進等がそれぞれ陳情されました。また、南千島からの引揚者代表の、生活を保障してほしいという叫びや、旧和田村長の、林業と酪農とを結合することが根室半島農業に最も必要であるという意見等には、深い印象を与えられました。 後、花咲港を訪問、多くの漁船が塩マスの陸揚げを行なっている実況を視察、北洋鮭鱒漁業の重要性を痛感いたしました。さらに、濃霧の中を納沙布灯台まで参りましたが、沿道はすべて草原で、乳牛や馬が放牧されているだけ、沿岸の漁民もコンブを採取して生活している状況にあり、この資源の少い日本のさいはてに立って、もの哀れな灯台の霧笛を聞いていますと、この地方の発展のためにも、日ソ間の漁業の暫定協定だけは早急に何とかしなければならないという感を深くいたしました。 かくて、同夜根室を立ち、夜行で帰って参りましたが、北海道の機械開墾と同時に、青森県の上北の機械開墾も勉強してみたいと思い、幸い日程がありましたので、野辺地から上北地方を見て参りました。ここでも、建設工事は建設省で、機械開墾は公団で、営農指導は青森県でやっていますので、まず馬門採石場を視察、直ちに機械開墾の現場を見せてもらいました。ここでもすでに六〇%は開墾が終っており、道路、上水道等もほぼ完成しておりました。この地区は、入植者二戸当り耕地五町歩から六町歩を与え、ジャージーは三頭の予定で、開墾地は炭カル町当り四トン、溶性燐肥一トンを施し、その四分の一は地元負担となっているようであります。機械開墾の終った耕地には、もうりっぱな作物が育ってましたし、ブロック建築の住宅が点々と建って、ほんとうの新しい村が建設されつつありました。りっぱな中二階の居室や台所を備えたこれらの開拓農家の内部も見せてもらいましたが、内地でも今後の開拓はかような方式でなければならないし、この機械開墾方式と従来の入植地との著しい開きをどう埋めるかが今後の問題になると思いました。 こうして酪農を中心とした新しい開拓が進行して参りますと、近い将来直ちに集乳の問題が起って参りますし、新しい営農指導が問題になって参ります。そこで天間林の県営放牧場や三本木の営農指導所を視察、国営貸付牛となっているジャージー飼育農家や、尻内の雪印酪農工場、八戸の明治乳業工場等を視察、二十一日現地で解散いたしました。 長くなりましたが、以上北海道班の報告を終ります。
○委員長(堀末治君) まことにありがとうございました。 続いて九州班、お願い申し上げます。
○東隆君 南九州班は、青山委員、島村委員と私の三名でありまして、去る六月三十日から七日間の日程をもって、宮崎県及び鹿児島県を視察いたしました。 視察並びに訪問個所を申し上げます。宮崎県においては、宮崎県庁、日南市役所、油津漁港、大堂津漁港、日南市細田地区、都城市役所、都城市荘内地区、同取添地区のシラス地帯、飯野町役場、同町シラス地帯及び小林市役所等であります。鹿児島県では、末吉町高松谷地区のシラス地帯、福山町牧之原地区のボラ地帯、国分市のタバコ耕作地帯、隼人町の干拓事業、鹿児島県庁、鹿児島中央卸売市場、鹿児島漁業協同組合連合会、東市来町役場、東市来町江口漁港、市来町酪農地帯及び串木野漁港等であります。 これらにつき、それぞれ県市町村当局および現地関係者から説明及び要望を聴取し、また実地につき視察を行う等の方法により、調査を行なったのであります。その詳細につきましては、別途資料をごらん願うこととし、各事項別に現地の状況及び地元からの要望等の概略について御報告を申し上げることにいたします。 まず、新農山漁村建設総合対策について申し上げますと、宮崎県においては昭和三十一年度に十一地域が特別助成対象地域となっておりますが、われわれは、そのうち日南市細田地区及び飯野町を視察いたしたのであります。細田地区におきましては、水稲早期栽培モデル施設、簡易索道施設及び大堂津漁港における共同給水施設及び生活改善展示施設等を視案いたしましたが、水稲早期栽培につきましては、宮崎県が台風常襲地帯であります関係上、その災害を免れるため、ここ二、三年急速に普及して参ったものであります。われわれの視察した地区でも、その普及ぶりは目ざましく、その成果は防災営農の見地からも注目に値すると思われました。また大堂津漁港におきましては、生活改善展示施設が目立ったのでありますが、これはほぼ完成に近づいておりまして、完成の際は相当有益なものになろうと思われるのであります。 鹿児島県におきましては、昭和三十一年度に十三地域が特別助成対象地域となっておりますが、われわれはそのうち市来及び東市来の両地区を視察いたしたのであります。市来においては共同作業場及び漁巣施設等、また東市来においては共同作業場及び共同巻揚施設等、各地域それぞれの必要に応じ、着々事業を進めている段階であります。 本総合対策についての地元の声は、一般的にはきわめて好評のようであり、宮崎県当局からは本対策の恒久安定化をはかるために法制化し、政局の変動に左右されることなく、着実に本対策が所期の目的を達成できるよう措置されたいとの要望がありました。 次に、酪農について申し上げます。これについては都城市、小林市及び串木野市等、各所において説明聴取及び懇談を行い、市来町においては飼育農家及び集乳施設等を現地視察いたしました。まず、宮崎県においては、同県農業の最も大きな障害である台風を初め、その他の災害を防ぎ、健全な防災営農を確立するため、酪農の振興に力を入れ、特に西、北両諸県郡は霧島集約酪農地域として指定を受け、着々建設計画の完成に努めております。 私どもの訪ねました小林市においては、指定前のホルスタインのみ四百頭が、指定一年後の昭和三十一年十二月現在ではホルスタイン五百十四頭、ジャージー百九頭となっております。ジャージー種については導入当初若干あった不評も、土地になれ、乳量が増加するにつれ漸次解消し、現在これに対する不安は皆無とのことであります。また、この地域の集乳組織は、地域内の二十一総合単協をもって霧島酪農協同組合連合会を組織し、地域内生産牛乳の一元集乳共販事業を実施し、成果をあげております。 鹿児島県においても、酪農が防災営農の確立を目指す同県農業に果す役割は、宮崎県と同様きわめて重視されており、県の奨励策により相当の活況を呈しておるとのことであります。私どもが視察いたしました市来町は、ホルスタイン種二百七十三頭を擁する地帯でありますが、経営上、集乳方法等、各種の改善の余地はあるものの、ほぼ順調な過程をたどりつつあると見受けられました。なお、この地区では、飼料として冬期五カ月間はしょうちゅうかすが豊富にあり、酪農家に益するところが大であるとのことであります。東市来におきましては、今後の酪農対策として家畜及び畜産物の流通部面についても、すみやかに強力な施策を推進されたいとの要望があり、いわゆる環境衛生法の成立には強い遺憾の意を表しておりました。 次に、特殊耕作物の耕作状況について申し上げます。宮崎、鹿児島両県ともに、タバコの生産には力を入れており、特に宮崎県においては知事を会長とする葉タバコ増産審議会を設置し、指導体制の確立を期しております。昭和三十二年度の耕作面積は、宮崎県が約二千二百五十町歩、鹿児島県が約五千四百三十三町歩となっております。本年の生育状況はいまだ台風に見舞われない関係もあり、相当良好で、反当収量も優に二百キロをこす所もあるのではないかと思われるとのことであり、われわれの視察した範囲でもこのことはうなずけたのであります。 次に、特殊土壌地帯の状況について申し上げます。これについては両県においてシラスの崩壊状況、ボラ地帯及びこれらに対する対策事業を視察いたしました。まず、シラス地帯については、宮崎県の都城市荘内地区、回収添地区、飯野町及び鹿児島末吉町高松谷地区を視察いたしましたが、いずれもシラス台地が、シラスの水に対する脆弱性のため、大規模ながけくずれ、地すべりを発生したものであり、そのあるものは一夜にして広い耕地あるいは人家が流失し、また数十万立方メートルの流出土砂により、下流において甚大な被害をこうむったものであります。私どもの視察した地区においては、農地保全事業等が完成し、台地の崩壊を防止し、あわせて台地下の耕地及び公共施設の土砂流出による災害を防止することに著しい効果をあげておりました。 これにつきまして、宮崎県当局から次のような要望がありました。すなわち、きわめて大なる経済効果を持つ同県のシラス対策事業の実績は、計画地区六十四地区のうち、現在継続実施地区を含めても約三三%であり、残事業はなお十七億八千余万円に上る膨大な数字が残っておるが、これを期限内に執行するためには、毎年三億六千万程度必要とするにもかかわらず、三十二年度の国の予算を見ると一億七千八百万円程度で、とうてい期限内完了が不可能となる状況にあるので、国庫予算の増額と国庫補助率の引き上げ等について考慮されたいというのであります。 ボラ地帯といたしましては、鹿児島県福山町牧之原地区のボラ層排除事業の状況を視察いたしました。同地区は関係面積三十三町五反歩中、排除された面積は二十七町五反歩であり、残り面積六町歩は排除されたボラを堆積して防風林の敷地となっておりますが、排除されたボラの堆積が列を作り、長くつらなっておるのは一大壮観であります。本事業の効果としては、陸稲の反当収量は施行前に比し一躍三倍となっておるとのことでありますが、二割の耕地がつぶれ地になることは問題であります。 次に、沿岸漁業等の水産関係について申し上げます。まず宮崎県においては、日南市の油津漁港及び天堂津漁港を視察いたしました。油津漁港は往年カツオ、マグロ漁業において、非常に繁栄していたのでありますが、現在水揚高は著しく減少し、また漁船も戦争及び台風により甚大な被害をこうむったが、着々その回復に努めておるとのことであります。さきの国会において問題となりました国鉄の貨物運賃値上げについては、実際は五割以上の値上げともなると思われ、その影響はすこぶる大きいとのことであります。大堂津漁港については、さきの新農山漁村建設総会対策の項において触れましたので、省略いたします。 なお、油津漁業協同組合及び日南市役所において次のような要望がありました。すなわち、一、特殊漁船の遺族援護については強力に推進するを要し、ぜひ国会において取り上げてほしい。二、油津港の修築計画は年次計画をもって実施されているが、本地方は年々台風による漁船の被害が相当隻に達している現況であるので、当港湾改修の早急な完成につき配慮を願いたいというものであります。 鹿児島県において現地視察を行なったのは東市来町及び串木野市であり、別に日程に追加し、鹿児島中央卸売市場及び鹿児島漁業協同組合連合会を視察いたしました。東市来の漁業は旧式の漁撈方法を主とした零細な沿岸漁業であり、今なお、きんちやく綱による雑魚類の漁獲によって経営をわずかにささえている実情であります。同漁港において年間生産額五千九百万円をあげている雑魚の八〇%は、カツオのえさに使用されるタレクチ雑魚でありますが、生けす施設がないために、イリコに加工して販売しているとのことであります。これは生けす施設を設置することによって、生産額も増し、鹿児島県の南方漁業にも多大の寄与をなし得ることと思われます。なお、東市来町において、同町江口漁港の海岸堤防災害復旧工事が会計検査院農林課の意見により保留となっていると伝えられるが、きわめて緊急を要する工事であるので、特に配慮願いたいとの要望がありました。 串木野市では、串木野漁業協同組合において、市当局及び現地の水産関係者等との懇談会が行われ、活発な質疑応答がかわされた後、漁港を視察いたしました。串木野港は、東支那海に面した鹿児島県において有数の水揚高を示す第三種漁港であり、主としてカジキ、マグロ、イワシ漁業の根拠地となっております。 次に、串木野漁業協同組合における懇談会の席上、要望のありましたおもな点について申し上げます。すなわち、一、日韓会談を早急に再開し、李ライン問題の根本的解決をはかり、抑留漁船船員全員送還の即時実施、留守家族の生活補償の改善及び帰還後の措置につき早急に具体策を講じられたい。二、串木野市並びに日置郡沖合の漁場は往年より多種の沿岸漁民の生活安定の漁場であり、底びき網禁止漁区であるが、近年底びき網漁船の密漁により魚族が急激に減少しているので、取締船を増強されたいというものであります。 また鹿児島漁業協同組合連合会を訪問いたしましたが、その際次のような要望がありました。すなわち、鹿児島の魚市場は現在荷受機関が六社の多数に及んでいるので、ぜひ適正数に統合したいが、自主的解決はなかなか困難であるので、行政庁の強力なる指導が望まれること、及び鹿児島県の沿岸漁業は年々沈滞し、そのためこれに従事する漁民の貧窮は人身売買さえ行われる状況に陥っているので、沿岸漁業振興のため強力な施策を実施されたいというものであります。 以上が事項別の御報告でございますが、終りに、両県を通じて特に訴えられたことは、両県が台風銀座の異名さえある全国有数の台風常襲地帯であり、かつ豪雨地帯であり、その頻度は年平均五ないし六回に達していること、及び中央から遠隔の地にあるため、国の強力な施策を仰ぐのに多大の不利不便を招来していることでありまして、私どももこのことは、両県の農林水産事業の認識に当って欠くべからざる要素であるということを印象づけられたのであります。 以上をもって御報告を終ります。
○委員長(堀末治君) どうもありがとうございました。 何か派遣委員諸君に御質疑がありますか。——委員諸君に御質疑がなければ、政府当局に対して。
○重政庸徳君 今九州、鹿児島県並びに宮崎県の報告を承わりましたが、私がこれから質問せんとするのは、幸い水産庁長官も見えておりますし、鹿児島の問題ではありませんが、同じ九州であるし、有明湾の農薬と漁業に対する問題について、簡単に水産庁の御意見を承わりたいと思います。 有明湾の農薬と漁業の問題は、三十一年度に当委員会でも相当議論の中心となったように記憶いたしております。有明湾の農薬と漁業の問題は、これは特殊な問題でありまして、同じく三十一年度に問題になった東京湾における油とノリの問題とは、おのずからその性質が異なる。油とノリの問題は、その原因が除去せられればそれで一時に解決すべき問題であろうと思うのであります。ところが、有明湾の問題は、その原因は有毒農薬の散布にあるので、これはおそらくその有毒農薬の散布を禁止せられたということは、私どもはまだ承知をいたしておらない。なおかつ、これは非常なる問題で、農業の大きな問題で、そう簡単にそういう禁止の命令を出すことも私はできぬのではないかと思う。そういうことになると、やはりその原因は、三十一年のみならず三十二年も、三十三年も、その原因は継続する性質のものである。従って、漁業に対する被害も三十一年から三十二年、三十三年と、これは農薬を禁止せぬ以上は、継続すべき性質のものであろう。これは理論的にそういう結論になる。 ところが、幸いに三十一年度には、政府もその被害を認められまして、予備金から四千数百万円の支出をしてある。これは私どもはなはだ当を得た問題であると、こういうふうに思っておったのでございます。ところが、このいわゆる有明海漁業対策費補助金として四千数百万円出ておるこの補助金は、漁民とすると、いわゆる漁業の転換におそらく私は使用したものであろうと考えております。なお請願書にもそういうふうに書いている。これはまた当然だろうと私は思っているのでございます。 ところが、三十一年度には出して、三十二年度にはそういう転換資金を出しておらない。これは私は水産庁の一つの誤まりじゃないか。三十一年にその損害を認めて、そういう補助金を支出した以上は、その原因が除去せられておらぬ以上は、私は三十二年度に補助金を停止したということは理屈に合わないと思うのでございます。それで、結局三十二年度、今はもう三十一年度も終りに近くなっておりますが、三十三年度にはやはり忘れ放しでやっていくつもりか、三十三年度には予算をやはり、その原因、理論的には三十三年度には転換資金を予算に組むつもりかどうかということを、一つお聞きいたしたいと思うのでございます。今直ちに、水産庁長官、この間長官になったばかりで、今直ちにその答弁ができぬといたしますれば、よく研究調査せられて、しかるべき次の委員会には、明確な回答をこの委員会にしてもらいたいということを願っておきます。今のまま答弁ができるか、ここではっきり答弁ができるかどうかということを一応お伺いいたします。
○説明員(奥原日出男君) はっきり私の知っておる限りのことにつきまして御答弁申し上げ得る、かように考えておりますが、何か関連した御質問もあるようでございますから、このあとで……。
○秋山俊一郎君 関連した問題でありますが、今重政委員から、るるお述べになりましたので、詳しいことを申し上げる必要はありませんけれども、有明海における農薬被害というものは、何も昨年から始まったわけじゃない、もっと前から始まっております。それが昨年ようやく政府がこれを認めて、わずかばかりの予算をどこからか捻出して出された。これで幾分の助けにはなっておりますが、今お話しのように、農薬を使用する限りにおいては、年々これは継続されて被害が続出してくるということであります。特に被害の多いのは甲殻類、エビだとか、アミ、カニ類というものに著しい減収が現われております。特に有明海はそういう漁業が零細な漁業者によって営まれておりまして、重要な水産物となっておるのであります。それがだんだん減少していっておりますので、ほとんど商売ができない。そこで転換の問題が起ってきておりますが、これらの漁業者、あるいは魚類についても著しい減収のあるものもございます。これらを転換せしめるとすれば、相当大きな金額——相当大きなといったところで、国の予算から見ればわずかなものであります。この辺の水産関係から見ますと、相当な価格に上る。陳情、請願書には約八億円と出ておりますが、少くとも数億の金が要るのじゃないかと思います。これらを一気にやってしまうということもなかなか困難であろうと想像されますので、順次これらの最も困窮している者から転換させるということが必要じゃないか。そういう意味からいって、引き続き予算に計上されて、あすこの窮迫した漁民を救うていただきたいということでなければならぬと思います。 新長官は前から次長をしておられまして、全く新しいとはいいながら、この辺の事情はよく御存じのはずでありますので、三十二年度においても、少くとも三十一年度以上の経費を捻出されまして、引き続き三十三年度以降何年間かの間に、これらの漁業者が転換して生活の道が得られるような方途を講じていただきたい、こういうことをお願いするわけでありますが、しかし今御答弁もあるようでございますから、これに対する御意向を一つ伺いたいと思います。
○青山正一君 ちょっと関連して。ここへ永野さんも漁政課長をしておられますが、その当時私どもの委員会で漁業法を作った際におきまして、瀬戸内海とこの有明海だけは、これはどうしても水産庁の調整事務所を置かなければ工合が悪いのだというふうなことで、日本でたった二つ、瀬戸内海と有明海は非常に漁業上問題のある所だということで、調整事務所を漁業法の中にはっきり織り込んだわけなんです。そこで、先ほどから重政さんなり、あるいは秋山委員からお話のあったように、この加害者のはっさりわからない、そういう被害は、これは当然国家の予備費から計上すべきだ、こういうふうに私どもは考えておるわけなんですが、今日急にそれをどう返事しろというても、なかなかむずかしい問題ですから、これは委員長さんにお願いもしておきますが、この次の委員会に結論の出得るように一つお願いいたしておきたいと思います。また、この点についてもあわせて御質問したいと思います。こういうふうに考えております。
○説明員(奥原日出男君) 昭和二十八、九年におきまして、有明海の雑漁業、たとえば、ただいま御指摘のありましたように、エビ、アミ等の漁業について、漁獲が急に減って参ったという事実があったのであります。この原因が農薬の被害によるものかどうかということにつきましては、専門家にも調査を求めたのでございますが、農林省として、まだこれについて省全体としての被害の原因についての結論に到達し得ない状況にある次第でございます。 しかしながら、現実の問題といたしまして、この地帯において雑漁業がきわめて、その漁獲が減って、沿岸漁民に対して不利な影響を与えているという事実に対処いたしまするために、昭和三十年から三十一年度の予算にまたがりまして、ノリの人工採苗施設、あるいはノリ、カキ、モガイの種苗の購入及び採苗事業、また漁場の底質の改善、そういうふうなことについての対策を講じて参ったのでございます。このノリ、カキ、モガイ等の増殖に関しましては、当初予測しておりましたと同じ程度の具体的な良好な成果を、今日三十一年度中についておさめておりまする次第でございます。昨年あの地方に風水害がありました際に、これらのカキあるいはモガイの増殖がすっかり壊滅したのではないかということが懸念されたのでございましたが、しかし事実はその被害をも乗り越えまして、相当よき漁獲の増をもたらすことができた、こういう状況にあるのでございます。 そこで、今日農薬の被害というものが、あの地帯の雑漁業について、なお継続してあるかどうか、こういう問題に関しましては、実は農林統計等で調査をいたしましたが、三十一年に至りまして、若干それらの漁獲の増加をも統計上は認めておりまするような状況にあるのでございます。 そこで水産庁といたしましては、有明海に対します特殊な対策といたしましては、三十一年度に対処いたしましたものをもって必要な相当程度の成果をおさめた、かように考えるのでありまして、これは三十二年度以降において継続することは困難である、かように考えるのでございます。しかしながら、水産庁の持っておりまする水産増殖に関しまする予算の運用の上におきまして、有明海の実情に合う増殖及び漁家経済安定上の対策を、現地とも相談し、また県の意見をも取り入れて、十分今後とも実現を期して参りたい、かように考えておる次第でございます。
○秋山俊一郎君 ただいまお話の中に、前に著しく減少しておったものがまた幾らかふえておるというようなお話がございましたが、これはよく調査をしてみなければならぬことは、農薬を散布しても、それが著しく海に流れ出なければ害はないわけです。散布した時分の降雨の状態によって、海に影響が相当あるかないかということが出てくるわけでありますから、必ずしもそれをもって農薬の被害はないのだという断定には私はならぬと思う。これは非常に今研究もされておるのでありましょうが、今後私どもは、いわゆる水質汚濁防止法といったような法律まで出さなければならぬといったことを長年考え、今かなり進行しておりますから、そういう問題にもこれは触れてくる問題でありますが、結局はこの農薬というものがそういう水族に影響するかどうかということの研究は非常に必要だと思います、今後におきましても。それで現在までの状態では、九大あたりの研究によりますと、非常に重要な影響があるということを言っておるし、また水産試験場等でもそれを認めておるが、農事試験場はそれを認めておらぬということは、これはやはりセクションにおけるいろいろな考え方があると思うのです。だから、もっとこの点は真剣になって将来の対策として考えなければなりませんが、それは単に水産庁がやるとかじゃなくて、技術面からも掘り下げて研究していただかなければなりませんけれども、現実の問題は、御承知のように著しく減っておる。それで昨年の程度によってこれがすべて転換され、解消したと私は絶対考えておりません。これはまだまだ漸次、そういったような不漁なものに従事して困るようなことではいけまんから、それを水産増殖の面なり、あるいは少し沖に出て、はえなわなり一本釣なり、その他の漁業によって生計を立てられるように、転換に導くということが必要だと思います。 そこで、今のところ農薬被害による補償的なものはできないとするならば、今申し上げたような、そういう非常に困った零細な漁業者を指導していき、そうして水産増強をはかるといったような意味から、何らかの措置を講じていただきたい。それは幾らかの予算によって講じるというお話でありますが、それらも現在の予算では非常に貧弱でありますから、来年度の予算においては特に考慮をして、それを裏づけていただきたい。今の幾らか出ておるとかいうようなことは、あるいは部分的にはそういうこともあるかもしれませんが、それはよほど慎重に考えないと、農薬の被害がないというような断定になるかもしれないから、この点を私は非常に懸念しておるわけであります。特に考えて下さい。
○説明員(奥原日出男君) ただいま若干、私の説明が言葉が足りなかったと存じます。水産庁といたしましては、もちろんいわゆる農薬被害の問題につきましては、試験場を動員し、なお現地の実情もよく掌握いたしまして、引き続き研究を進めて参るということが、ただ有明海の問題のみならず、全国の沿岸漁村を守るためにも絶対に必要であると、かように考えておるのでございます。しこうして有明海に関しましては、何分にもこれらの地方が非常に零細な漁村地帯でございまするので、水産庁といたしましては、その転換につきましては、一応打ちましたノリあるいは貝類への転換の手のみならず、総合的にいろいろな問題を取り上げて参りたい。また水産庁の持っておりまする増殖面におきまする今後の対策につきましても、明年度の水産行政の中における最も根幹的な問題といたしまして、その拡充及び浸透を容易ならしめるような筋道をつけて参りたい、かように考えております。
○清澤俊英君 この問題は、水産庁だけの問題じゃないと思う。まあ有明湾の漁業という問題ばかりでなく、内水面における漁業に対しては、確かにこれは問題が起きてくる。試験結果がどうとかこうとかいう問題でなく、異口同音、農民自身がこれはどじょうが取れなくなる、あれが取れなくなってくると、これは影響しておることは事実です。条件が違うから、ここまでいってない。有明海の問題をかれこれするというわけには、それをすぐもってきて結論を出すわけにはいかぬと思うが、少くともここに非常に陳情書の中で重大な問題は、「九大及び各県水産試験場に於いて実施された数次の試験は何れも、極めて重大な事実を確認して居るのであって、」、こう陳情者は言っておる。これはいろいろまだ、農事試験場関係においては確認しないだけで、この食い違いは非常に重要だと思う。これはひとり水産庁だけでなく、農薬のあり方について振興局長、一つどう考えておるか。これは重大な問題だと思うのです。水産庁は何とか理屈ばかり言っておって、問題にならぬ。
○説明員(永野正二君) 最近農薬が、非常に農薬の面からの発達をいたしまして、その反面、ただいまのように他の生物にいろいろな影響があるという一問題が出て参っておるのでございます。この点は、今後営農を指導していきます上に非常に大きな問題でございまするので、農林省といたしましては、単に農民の立場だけでなく、また単に漁民だけの立場でなく、こういう最新の農薬がどういう影響があるかということを調査をいたしますために、農林技術会議におきまして計画を立てまして、片方農薬を使用する側のいろいろな、農薬が流れ出ることの防止の方法はないか、その場合に営農上はどういう影響があるか、あるいは片方水を検査いたしまして、どういうふうに農薬がどの程度の率に流れ出ておるかというような研究を、総合的に、計画をきめまして、応用研究費を使いまして研究をいたしておるわけであります。 ただいま問題になっております農薬のうち、パラチオンにつきましては特に、私どもといたしましては、共同防除という建前で、個人々々が勝手な使用をいたさないように、厳重に注意をいたしております。ただ、このパラチオンの使用が現実に有明海においてどういうふうな濃さで流れておるかという点につきましては、ただいま御指摘のございました九州大学の教授の発表があったのでございます。これ自体には、実はその後いろいろ検討いたしました結果、非常に問題があるようでございます。パラチオンの濃度を、単にその化学的な成分であるパラニトロテノールの活性炭素吸着法というような方法で試験をされたのでありますが、これは現在の化学的な結論から申しますと、不完全ではないかということでございまして、もう少し正確な方法でその分量を検討すべきではないかというような点が明らかにされておるのでございます。こういう点はなお、十分化学的な資料に基いて、ほんとうに農薬の被害が現実に有明海であるのかどうか、その方面にはいろいろ染料工場でございますとか、そういう化学工場もございます。また最近のように風水害がございますと、泥が流れ込みまして、海の底質が変る、そのために魚が減るというような、いろいろな総合的な問題がございますので、そういう研究も進めて参りたい。また、特に今、そういう内水面等に非常に影響を及ぼすと思いますエフェドリン等につきましては、これは畑地だけに使用する、水田には使用させないという指導をいたしております。今後ともこの方面につきましては、日本の農民とその以外の漁業の方々との利害の調整につきましては、十分試験研究で裏付けながら指導をしていく。こう考えております。
○清澤俊英君 その御答弁で、大体わかりました。そこで、水産庁長官ですね、この問題の起きたとき、海水汚水の問題が出ておったと思うのです。この農薬でなく、工業用水等が流れ出て、大阪湾などは漁業はほとんど壊滅した。それらの問題は今どうなっているのでしょうか。こればかりじゃない。そういう問題も現実に起きているのです。沿岸漁民全体としての空気は、農薬というよりは、むしろ沿岸海水の工業の発達による汚水の問題が非常に取り上げられておる。これは今何かやっておられるのか、通産省との関連において、浄水装置とかその他のものが交渉せられ、研究せられているか。これと同じように、国家全体から見たら問題が生じていると思うが、その点はどうなっているか、ついでだから、お聞きしておきます。
○説明員(奥原日出男君) ただいま工業廃水の問題につきましては、その具体的な事件ごとに水産庁も相談にあずかりながら、それぞれ解決に努力をいたしておる次第でございます。しかしながら、これに関しましての法的の規制というものについては、現在まだその発動をいたしたケースはございません。そこで、根本的には、水質汚濁防止につきましての法的な基本法を作るということが、これが非常に肝要なことであるのであります。これにつきましては、内容を御説明申し上げますことは、まだ時間がかかりますので省略いたしますが、目下政府部内におきまして、ぜひとも次の通常国会においては、現状よりも実際的な前進をはかるという線で、話し合いを取り進めております次第でございます。
○委員長(堀末治君) 本件は本日はこの程度にして、後日あらためて取り上げることにいたします。 —————————————
○委員長(堀末治君) そこで、本日日程になっております鮮魚保存用のオーレオマイシンの件を議題にいたします。 この問題については、かねて非常に問題になっておったのでありますが、厚生省の告示改正が行われたのでございますから、それらについて当局から説明を求めることにいたします。 なお、きょうは十二時半ころに終りたいと思いますので、あともう二つの問題があるのだから、どうぞそのおつもりで、なるべく急速にお取り計らいを願います。
○説明員(尾村偉久君) 以西底びき網につきましての、オーレオマイシンの使用問題につきましての経過を御説明申し上げます。 先般の当委員会におきまして、食品衛生調査会でこの問題を議しているということを御説明申し上げました。その後七月二日に食品衛生調査会のこの問題に関する特別部会が決定をいたしまして、答申が出まして、これに基きまして急遽告示改正等を予定いたしまして、この食品衛生調査会の正規の決定につきまして相談いたしましたところが、食品衛生調査会としては、特別部会には衛生調査会としての最終的な決定権がない、こういうことでございました。これは総会に諮るか、あるいは衛生調査会の常任委員会、これに通過をするか、この二つしかないことになりますので、至急常任委員会を招集いたしまして、これに諮問をいたしまして、若干の追加訂正がございましたが、常任委員会は七月十八日に議決を終りまして、二十日に正式に調査会長より政府に対して答申がございましたので、これを直ちに行政の方に移して実施するために、告示の改正並びにこれに基く通牒の案文の作成にかかったのでございますが、 これはあくまでも、本問題は学術的な問題でございましたので、調査会の方の答申の趣旨に、発付する告示等の案が違背はないかということで、これを調査会の方の関係者と十分練り、さらに食品衛生法に基く省令、告示等は、従来も非常に案文の解釈で後に疑義を起しまして、しばしば混乱を起す例が多いものでございますので、十分当省内の法律関係の各部局に相談いたしまして、この審査に非常に時間がかかりました。当局といたしましては、これの内容が答申があった以上急いだのでございますが、やはりあとから業界、あるいは国民側、あるいは取締りに当る府県側に混乱を起してはいかぬということで、これに時間がとられまして、八月十四日に官報に告示になりましたわけでございます。もっともこの間、官報の順番がつかえておりまして、約一週間、原稿を持ち込んで十四日に告示になりますまで、時間をやむを得ず要したわけでございます。さような意味で、八月十四日に改正の告示になったわけであります。 現在はこの告示に基きまして、オーレオマイシンを底びき網の魚類、練り製品に使う魚類の保存氷として使うということが、正式に進行していただけることになったわけであります。なおその際、氷の保存用に使うという答申を受けたのでございますが、これは正規の告示に直します場合に、その趣旨から見まして、食品衛生法の規格、基準の中には、必ずそれと関連する食品等の部分がございますと、これは並列してそこまで全部網羅しませんと、これは価値がございませんので、従いまして、氷によって冷やされた練り製品に使う魚体の中に、どういうふうにこのオーレオマイシンを規格として許されるかということが、必然的に出て参りまして、これは保存氷の中に入れるときの調査会の議論の中にも十分尽されておりました。その結果、五ppm以下のオーレオマイシンを有する氷を使った場合に、当然魚体の中へ移行して許されるものは〇・一ppmであるということが論議の途中で十分尽されておりますので、それによりまして魚肉の方の告示内容にも入りまして、並列してこれは告示されたわけでございます。 以上が現在までのこの問題の経過でございます。
○秋山俊一郎君 この問題は、御承知のように、この委員会でも四月の二十五日に取り上げまして今日に至っておるわけでありますが、漸く今お話しのような経過をたどりまして、先般告示が出たわけであります。ところが、その告示をよく見てみますというと、そのうちにどうも、この告示を厳守するということになりますと、非常に実際上困難な問題が出てくるという点がございまして、その後にも私は当局に対してお尋ねもし、希望もしたのでありますが、本日あらためてもう一回当局の意見を伺い、なおまた考慮を願う点もあるのでありますので、二、三点についてお伺いをしたと思います。 その第一点は、今度の告示の中に、氷の中に含有するところのオーレオマイシンは五ppm以下である。しかもこの五ppmというのは氷のどの部分においてもまんべんなく五ppm以下でなければならぬというふうに規定してございます。これは厚生省においてもおそらく御承知であろうと思いますが、氷を作る場合に、こういうふうな水以外のものが入った場合に、実際どんなにしましても、氷のどの部分においてもまんべんなくこれが五ppmということは事実上不可能であります。この不可能をしいるということは、これはいたずらに違反者を出すということにしかならないだろう、この点は特に一つ考慮を願いたい。これはもう氷を衛生的な見地からお考えにっても、製氷というものについてはある程度の知識は厚生省の方は持っておられるはずであります。それがどの部分においても五ppm以下でなければならぬということは、これを入れる場合製氷上困難であります。ですが、しかし実際問題としましては、これを魚に使用する場合には、あの角氷をそのまま利用しません。砕氷に砕いて小さくしてこれは箱に詰めるのでありますから、多少そこにむらがありましても、実際に使用する場合には、薄いところと厚いところとがごっちゃになりますから、平均して入れると私はまあ考える。それを角氷の中に、どこにでもまんべんなくということになりますと、製氷上の技術上の面から、これは不可能であります。この点は一つ何らかの方法で直してもらいたい。これを厳守していったら、どの氷を調べてもおそらく合格しないのじゃないか、多少厚薄があると思います。この点を一つ特に、私どもは厳格にこれを検査されるということになりますと、使えないということに結論はなるのであります。実際問題としましては砕氷してありますから、何も固まったものだけを使うということにはならないのでありますから、実際の効果は何も不都合はないと考えますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
○説明員(尾村偉久君) 実はこの問題も、調査会の二回、三回目の論議のときに問題になりまして、製氷上可能かどうかということでございまして、水産の方の御指摘も願いまして、御意見を伺いました。厳格に全部が平等になるなんというのは、だんだんまん中に固まっていく状況から困難でありますが、大体は、ある程度はそんな非常な差はないということでございます。従いまして、その結果全部平等ということは困難でありますが、これは五ppm以下であるから、一番濃いところの最高のところでも五ppmで押えればいいのではないか、こういうことで、全部一律に五ppmでなければいかぬと、そういう使い方はないであろうということでございまして、しかも効果のほどが、必ず五以下になりますと無効になるというようなものでなくして、一応この安全性の方から見まして、五を最高にしたのでございまして、そういうことで、大体の当時の見通しとしては、最高を押える、不平等な一番濃いところ、こういうことでこれを決定したわけでございます。従いまして、今のように製氷上いろいろとまんべんなくはできなかった場合にも、一番濃いところがそれでなければいいと、こういう見解で進んでいるわけであります。
○秋山俊一郎君 そういたしますと、濃いところが最高五ということになりますと、今あなたのお話のように、どうしても製氷をやると、まん中の方が濃くなってくる。そうすると、五ppmの、あるいは四・五ppmのオーレオマイシンを投入して製氷した場合に、まん中の方は五ppmを上回ることがあり得ると考えられませんか。他の方は三になったり、二になったりという場合も、もうそんな開きはないにいたしましても、多少片方の方が集約してくると、五ppmのものをかりに出たとした場合には、それ以上のものが一部分にはできてくるというおそれがありませんか。
○説明員(尾村偉久君) 今まで製氷の方から見ますと、若干のむらはございますが、今のたとえば三と五というふうな、二倍もそういう溶解分——これは固型分でございますので、溶解分がなるようなことは、事実問題としては今までの製氷の中ではないようでございまして、若干の差はこれはもうできますが、それほどの差があるとなりますと、こういうような、氷にいろいろなものを含めるということが根本的にまた問題になるわけでございます。差がありましても、何%かということでございますので、この効果のほどは最高のところを押えましても、現在までの研究の結果では、保存用に薬の効果を発揮さすには差しつかえない、こういう結論をいただいているわけでございます。
○秋山俊一郎君 私の今申し上げたのは例でありまして、五というものを標準にして業者は入れる。そうすると、一方には五より低いものも出てくる。そうすると、五より高い部分もできてきやせぬか。それが三とか五とかいうのじゃなくて、あるいはわずかのものかもしれませんけれども、少くとも五ppm以上のものがあってはいけない、それがまんべんなく全体に回っておらなければいかぬということは、非常にむずかしいことであるから、そこの点は検査の場合にはある程度考えてもらわなければならぬのじゃないか。実際問題として、もしそうであるならば、五ppmというものを投入することはできない。一体幾ら投入をしたら最高五ppm以下に押え得るかということは、いろいろやってみなければならぬ。五ppmというものをきめた以上は、五ppmの量を入れて、そうして氷を製氷して作るという場合に、多少の厚薄はあっても、これは砕氷した場合に損害はないんだから差しつかえないと、こういうふうな解釈にしてもらいたいと思うが、いかがですか。
○説明員(尾村偉久君) 実は今度は最高をきめましたので、もう最初から、氷を作る場合に、その最高の標準でもって五を最初から計算して、最高量を投入するということは規定しておらないのでございまして、これは製氷技術の、それぞれの装置の、厚薄にもよると思いますけれども、やはりこれは少し内輪にしないと、今のようにバリエーションがありますと、最高の五をこしますので、五はやはり最高の限界ということを考えておりますので、投入する場合には、その製造する工場ごとの氷のバリエーションの標準値の、まん中のところをやっていただくというつもりで進んでおります。
○秋山俊一郎君 そうしますと、一体どのくらい入れればいいんですか。
○説明員(尾村偉久君) これは今申しましたように、氷の大きさと、それから攪拌装置等の関係で、まあ個々の工場の製氷施設によってバリエーションというものがあることは、もうきまっているものと思います。これはもう当然そういうことでありませんと、製氷技術としては、これはもう根本でございましょうから、その差でのまん中を取ってもらえれば万一にも五をこさぬと、こういう少し内輪で計算していく、こういうふうに努力しております。
○秋山俊一郎君 そういたしますと、工場によって五ppmのものをどうしても、極端に言えば、工場によっては四くらい入れなければいけない、こういうふうな解釈でございますか、その数字は別として……。
○説明員(尾村偉久君) 今の製氷の工程の良否によると思いますが、結果からいいますと、全然平等にできるという自信のある製氷ならば、今のお話の通り、そういうところについては五でも全部平等にいきますが、今バリエーションができるような自信のない所ですと、その、バリエーションのワクの中でまん中の量を入れていただければ、最高の五をこさぬ、こういうことです。
○秋山俊一郎君 バリエーションは多かれ少かれ、どれでもあるのですよ、全部平等にやれといったって、これはできないです。そこで、私は実際の効果からいいまして、砕氷して使う場合には、多少そこに五あるいは五・一とか二とかというものが、多少上回ったといたしましても、実際上の効果はそんなに危ないものではない、こう考えますので、この点はあまり厳格な取扱いをしますというと、非常に困る。その点は特に私は要望しておきますが、取締りに当って考慮していただきたい。実際危険のないものならば、何も差しつかえないのじゃないかというふうに考えますので……。ただ、氷を作る場合にも、むやみに余計入れれば、氷の価格も高くなりますから、必要以上のものはおそらく業者も入れないと思います。小売価格がきまっておりますから。この点は非常に議論があるところでございますから、取締りに当って、もうしゃにむに五ppmというものを主張していくと、実際効果よりも……。 何か研究するようにしなければならないと思う。
○青山正一君 関連して。今秋山さんのおっしゃったことなども、この委員の皆さんも、非常に大きな問題として考えておるわけですからして、一つ、私の方もまたさらにいろいろ研究しますけれども、あなたの方でも一つ十分研究をなさっていただいて、この次の委員会のときに十分結論ができ得るように、一つお取り運びを願いたいと思います。
○秋山俊一郎君 第二点についてお尋ねしたいのは、この魚肉の中に含有しておるところのオーレオマイシンの量が〇・一ppmということに規定がなっております。ところが、今回出されました通牒と、それから前の告示と食い違った解釈上の疑義がございますが、この点ははっきりさしていただきたいと思いますのは、前の告示によりますと、「一の食品の部の食品一般の項の(1)に次のように加える。」という中に「以西機船底びき網漁業に従事する漁船により採取された魚類であって魚肉ねり製品」云々、「採取された魚類」、こうなっております。ところが、通牒のところにおきましては、「魚体内への浸透量」と、こうあります。これは私はかねて強く意見を申し上げ、御考慮願った結果によく合致しておりますので、通牒の通りでありますれば、その魚体の中の含有量、ところが、前を見ますと「採取された魚類」、こういう魚類は、裸のままで、そのまま取った場合と、こう二つに解釈されるので、おそらくこの第一の告示の面をもっとはっきりと、「魚肉」ということに告示でなぜしなかったかと思いますが、さように解釈してよろしゅうございますか。
○説明員(尾村偉久君) 今のお話のように、あくまで魚体内でございますから、魚肉でございます。魚体ではこれは氷が触れておりますから、その液はもっと濃いはずでございます。これは洗い流しますと、カマボコ等の練り製品の中に入ってこない。これは水産関係の方のお話に基いてきめました。その点はお話の通りであります。
○秋山俊一郎君 そこで、最後にお尋ねしたいのですが、この問題は、先ほど申しましたように、四月の二十四日から問題となりまして、そうして七月の二十日に食品衛生調査会の答申がなされた。そうして告示が出たのが約一カ月近くたった八月十四日でございます。ところが、まだ告示が出ても使用ができないでいると聞いておるわけです。そうしてようやく通牒が出されたのが九月六日でございまして、これももうすでに半月以上たっている。ところが、通牒が九月六日に出ましたが、いまだにこの使用ができない。なぜできないかといいますと、このオーレオマイシンそのものの規格がむずかしくなっております。実際に入手ができない。業者の話では、まだ一カ月もかからなければ手に入らないのじゃないかというように言われております。われわれは、この夏の最も腐りやすいときに、これを保存したいということを念願してお願いしておったのが、秋風の涼しくなった今日に至っても、いまだこれが使えないということは、一体怠慢じゃないかと私は考えます。何とかして早く使えるように、厚生省は努力ができませんか。
○説明員(尾村偉久君) ただいまの薬剤が入手できないという点、実は私どもちょっと初耳でございまして、この点製薬会社の方はどうなっておりますか、至急調べてみます。
○秋山俊一郎君 検定の手続が済まぬのです。この薬事法によりますると、純度が非常に高いのですね。九九・八%というようなオーレマイシンでなければいかぬ。ところが、従来業者が使っでおりますのは八八%から九三%程度のものを使っておった。これがアメリカとかカナダでは九三・三%程度使わしておる。日本では九九・八%、ほとんど一〇〇%のものでなければいかぬというような、非常に厳重な検定をするために、なかなかこういうことが運ばない。従って、まだ当分使えないのじゃないかというような憂いがある。
○説明員(尾村偉久君) これは抗菌性物質製剤基準に適合する品種ということでございまして、これは国内で使用量の大部分が、これによって全部流布しているわけであります。わが国では今まで抗生物質が、国内で実際生産されて出ている大部分というものが、従来この規格のものがもう大部分を占めております。従って、製薬会社の製造設備というものは、これを目標に全部できているわけでございます。従いまして、今のお話でございますと、あるいは許可をされたストック品がない、検定通過のストック品を持たぬというふうな事情じゃないかと思いますが、この点はわれわれの方でも至急これを調査いたしてみたいと思います。
○秋山俊一郎君 なるべく早く使えるようにしてもらわぬと、もう時期を過ぎてしまったのです。これからも必要でありましょうけれども、ほんとうに必要な時期は過ぎてしまった。早急に一つ、これが市販のできるようにお手配を願いたい。 なお、この問題につきましては、非常に極限され、以西底びき網漁業の船内で使うものであって、しかも、練り製品に使う場合に限られている、こうなっております。これはまあこれでよろしゅうございますが、実際熱を加えて食する食品については差しつかえないはずなんでありますから、こういう点は今後一つよく研究されまして、なるべく危険のない、いわゆる腐敗の危険のないものを国民に供給されるように、研究を、われわれもいたしますが、厚生省でも考えていただきたい。なるべく差しつかえのないものは、鮮度を新しくして国民に供給するという熱意を持ってやっていただきたい。われわれが今までのお取扱いを見ていると、何とかしてこれを使わせないようにしようということで、押えて押えて押えつけたという感じをもって、非常に遺憾だと思う。どうか、せっかくここまで出た以上は、何とかしてこれをスムーズに使わしてやろうという心持でお扱いをいただかないと、これはせっかく出したものが何の役にも立たないことになって、罪人を作ることになると思うので、特にこの点を私は一言申し上げたいと思います。
○説明員(尾村偉久君) その点について、一言お答えさしていただきたいと思います。私の方といたしましては、一方では国民が安んじて食品がとれるという食品衛生の安全性の確保ということと同時に、国民の栄養を確保するということも、これは栄養課というものまで局の中にございまして、これも任務でございますので、この有効な食品、ことに蛋白源等を確保する線と、今の衛生保持の問題と、これは十分両方勘案いたしまして、有効なものが安全に使用できるという方針で進むつもりでございますので、決して一方に偏して今後進むということはいたしませんので、その点御了承をお願いいたしておきたいと思います。
○秋山俊一郎君 どうかまあ、そういうようにお願いいたします。
○委員長(堀末治君) 他に御質疑がなければ、本件は本日はこの程度にとどめることにいたします。 —————————————
○委員長(堀末治君) 次に、富津地区沿岸廃油ノリ漁業被害の件を議題にいたします。 この件につきましては、青山委員から発言を求められておりますので、青山君。
○青山正一君 時間がありませんので、せっかく議題になっておりますので、問題の所在点だけをはっきりいたしまして、明日の委員会か次の委員会にはっきり結論を出していただく、こういうような行き方で進んでいきたいと思いますが……。 一昨年の二月、この千葉県の富津より君津町にかけて、地崎海面でノリ養殖場一帯に多量の廃油が流れてきまして、関係の六組合が全滅のような状態になった。千五百軒の漁民はひどい被害を受けまして、この問題に関しまして数回にわたって、地元なりその他から陳情をいたしたのでありますが、この漁業者の窮状に対しまして、県当局なりあるいは国家の方も、何ら救済の手を打たず、事件後の一年後になりましても、漁業者は今なおその当時の痛手から立ち直ることができないような状態でございます。被害も一億五千万円となっておりますが、その後各組合ともに、それぞれこの漁業者の資材購入資金の大幅貸し出しを行なっていろいろ操業しておるわけでありますが、現在組合の存在さえむずかしいような状態であります。 そこで、いろいろお尋ねいたしたいのは、農林省でこの問題に関して千葉県当局から何らかの陳情なりあるいは相談があったかどうか。あったとすれば、どういう施策を国家が考えておられるかどうか、その点を一つ承わりたいと思います。
○説明員(奥原日出男君) 千葉県当局から内々、農林省の浅海増殖の予算に乗る線において、この災害地方のノリの振興についての対策の相談が参っております。そういう状況でございます。
○青山正一君 これは非常に大きな問題だろうと思います。先ほどの農薬の被害と同様に、その前だったか、やはり同じような被害が東京湾内にあったわけでありますが、そのときにおいては、国家の予備費から相当出したようなわけでありますが、今度の場合も、私ども委員の連中がいろいろ調べた範囲内におきましては、加害者と称するものは外国船の下請のまた下請であるというようなことで、なかなかこの補償を講ずるにしましても、そういうところから補償の道を講ずることができないというような状態でありますからして、これはもし県からそういうふうなお話があったりするならば、積極的に一つ農林省が出て、そうしてこういったものをどういうふうなことで施策を講ずるか、あるいは予備費からこういうものを出すかどうか、そういった問題を相当これは研究していくべき筋合いだろうと思います。本日はまだほかに案件もありまするので、時間がないので、他日にこの結論を延ばしたいと、こういうふうに考えておりますが、その点だけを特にお伺いしたいと思います。
○説明員(奥原日出男君) 今千葉県から御相談を受けておりますのは、明年度の予算の上におきまして、みお作りその他ノリ漁業振興についての対策を講じてもらいたい、こういう話であります。今年度の問題といたしましては、すでに既定予算は配付をいたしておるのでありまして、これの不使用のものが出てこない限りには、乗っけることはなかなか困難であろうかと考えるのでございます。予備費の問題につきましては、実際の問題として、本件についてなかなかこれが獲得については困難があろうかと、かように考えております。
○青山正一君 いずれこの問題につきましては、またこの次の委員会にはっきりいたしたいと思いますからして、一つ農林省の方でも十分にお考えおき願いたいと思います。そうしないと、この問題はあちらにもこちらにもいろいろ影響してくる問題があろうと思いますから、その点特に御留意願いたいと思います。
○委員長(堀末治君) 本件は、本日はこの程度にいたします。 —————————————
○委員長(堀末治君) 次に、非常勤米穀検査員の給与の件について、清澤委員から発言を求められておりますので、この際発言を許します。
○清澤俊英君 最近農林省の方から、米の出荷時期に際して、適正検査をやることについては、一人大体八百俵を適正検査として、それを中心にして予算の配分を行う。それで新潟県で起きました問題につきまして申し上げますと、昨年六百三万円かの非常勤の予算が、今年それが大体三百五十万円か、三百三十八万円か、三百三十八万四千円くらいに減らそうという情報が入っているらしいので、これが非常に刺激となりまして、食糧庁の労働組合の方では、指定せられたる適正検査を実行するのだ、こういう態度を明らかにして参りましたので、先般来、これは殺到する出荷期に対して、非常な混乱を起すであろう。第一、これを適正にやられますると、非常にたくさん最盛期には未検査のものが出てくる。特に早場米の検査等につきましては、適期間に検査が終了しない等の問題も出てくる非常に重要な問題でありますので、そういうことを排除しまするために、農業団体、われわれ農民組合と、それに労働組合とが、この問題の解決についていろいろ合議しまして、その結論として、昨年並みの予算をつけていただきたいと、こういうので、先般来農林大臣に、衆議院の石田宥全君が農林委員をやっておりますが、農林大臣に会ってこの話をしました。予算は三十二年度も前年並みに獲得しているのであるから、間違いなしにこの予算は新潟県へ回す、こういう言明を得た、こういうまあ新聞報道が出ておりますし、石田君からもそういう手紙が協議団体の方へ届いておりましたが、まだ食糧事務所の方では、そういう話はあってもお説の通り、予算は昨年並みに取れていることは事実だが、実際問題として、食糧事務所長としては、どうも三百何十万円を固執しているらしい。これだと、当然摩擦が予想せられて、実際問題としてできやしない、検査がスムーズにいかぬと、こういうようなことも考えられますので、ごく簡単でありますが、一つ安心のいきますように、予算が昨年並みにくれると、こういう御答弁を一つお願いしたいと思います。
○説明員(武田誠三君) 今清澤先生からのお話の点につきましては、今年の米の最盛期におきます検査員の予算でございますが、これにつきましては、いわゆる検査が殺到いたしますので、業務旅費の予算、それから臨時に非常勤の職員の雇用をいたしますその関係の予算と、おもにこの二つが問題になるわけでございます。で、本年の予約の数量が全国で三千万石近い数字になっております。この予約数量といったようなものを基礎に置きまして、特に早場米地帯の、例の早場米格差の期末に殺到いたしますので、その時期に混乱を起しませんように、現在予算の配分につきまして検討中でございます。これは一日も早く現地の方へ通達をいたしたいと思っておったのでありますが、予約数量の取りまとめでありますとか、そのほか各種の検査が秋ありますので、殺到いたします。それらのバランス等も考慮いたして、検討いたしておりますので、ちょっと時間がおくれましたのでございますが、少くとも昨年の検査体制程度のものはととのい得るように処理をいたしたいというつもりで、今検討中でございます。御了承願います。
○清澤俊英君 まことにありがたい御答弁で、これで済ましたいですが、それが欠けるようなことであったら、重大問題です。約一割を、三百万石近いのが予約済みでありますから、これはぜひ獲得していただかなきゃならないし、 その次に、ついでにおんぶするというのもおかしい話ですが、大体八百俵を非常勤にやらせると、こうしまして、拘束労働時間が大体八時半から五時まで、これは拘束時間としましては八時間半、まあ一時間お昼を休んで、午前午後十五分ずつ休みますと、約一時間半取りますから、実働七時間で八百俵をやるということになりますと、大体一分間に一俵ずつやりましても四百二十俵、八百俵というと約三十秒で一俵という勘定になります。これは非常に過労になっておりますものを、その上給料は、手当はこうなりますと、非常勤なんか大体六千円が予算になっておる。これだけでは、大体済まないということ。まあこれは農業団体の人もきょうは御陳情申し上げているが、そばで見ておっても、まことに気の毒だ。数量の確認、証票の発行、帳簿の記載、その他の残務整理をせねばならぬ。どんな早い目にやっても、九時まではかかる。こんなことがはっきりわかっておるのに、これの超勤手当が出ない。それで定員の正検査員ですか、これらがようやく一カ月に三百円くらいの超勤手当をもらう。これでは、どうもあまり無理な労働条件に置かれるのじゃないか。わしらはまあそう思うのです。 だから、結局しますると、これは非公式に交渉を続けられているそうですけれども、三カ月の非常勤の一カ月分は農業団体で持ってくれというような話も出ているそうでありますが、こういうことは、国のやり方としては、あまりに不合理なやり方じゃないかと思われる。それで、私はきょうは局長、長官にぜひ出てもらいたいと思ったのだが、あなた方もこれは不合理だということはわかっておるのだから、何か特別の手当を一つ談判してもらう方法はないですか。今のこれだけはしてもらうというのですから、これだけははっきりもらえるものとして、農林委員会から承認したことにして、県へ報告して、紛争を起すなということは申しますが、そのあとのものを何か部長さん、考えることはありませんか。これは重大問題だと思う。私は人権じゅうりんだと思うのだ。三十秒で一俵ずつやれ。その上、超勤が今一銭もくれない。これはいかに非常勤といっても、しかも給料は六千円で一日二百円。女の手内職よりも少いということは、大問題だと思うのですがね。 そしてこれは労働的に見ても、石田君もここに出てもらって、一戦やらなければならないと思う。それで労働慣行は、正しい労働慣行を作りますのハチの頭だのと言ったって、作られるわけはない。人間を酷使していて、正しい労働慣行ということはあり得ない。これはあなたに言うことではないが、努力していただかなければならないと思う。
○説明員(武田誠三君) ただいまのお尋ねの点でございますが、末端の非常勤の職員につきましては、これはいわゆる検査の際の事務をとります女子職員もございますし、それから現実にまあ新潟県等では、期末に検査の数量が非常に多くなりますので、従来検査員をやっておられた方で、すでに退官をした方でありますとか、そういったような方にこれは特にさしを持っていただいて、検査をしていただくというようなことも出て参るわけでありますが、それぞれの方の現在の、何と申しますか、臨時非常勤の方については、給与のいわゆる号俸がないわけであります。正規の職員ないし常勤労務者の給与のベースに基礎を置きまして、その上でそれぞれの方の能力で差をつけて、実は給与の水準をきめておるわけであります。これが非常に低い高いという問題があるのですが、今のは日々雇用、日雇いの形で実はやっておるわけであります。そこで、その臨時非常勤の方を一カ月三十日雇用するということでなくて、その間に非常に忙しいときにおいでいただくというような形になっておりますので、一カ月六千円とか七千円とかいう形では必ずしもないように思うのでございます。 いずれにいたしましても、お話の点につきましては、私どもも今後できるだけ改善の措置を講ずるように努力をいたしたいと思いますが、なお検査の最盛期のときには、特に業務旅費等の支給を増額をいたしまして、それによりまして仕事の繁忙に対する、何と申しますか、給与の改善というような意味も多少は持たせておる。運用しておるというつもりでございます。
○清澤俊英君 それでは、これで終りますが、どうも新潟の食糧管理所長さんは、人員のやりくりで何とかするのだと言う。これは絶対できない。そこで、きょうも農業団体の人が来ておるが、その反面には、一カ月分何とか農協で考えられぬか、こういうような話が実はあるのです。そういう話をしていて、やりくりをやりますというのもおかしいし、実際に最盛期には千五百俵、これは人間一人の能力にすると、一分間で何俵ということになる。約四俵。これは人間としてできないので、それで新潟県の検査が疎漏だのと無理なことを言われても、これはちょっと言う方が無理だと思いますので、十分一つ御検討をお願いしたいと思います。 予算は大丈夫ですね。労働組合は責任をもって摩擦を起さぬでくれというのですから、それが違ったなんて言われたら困ります。もう六日もたてば始まります。
○説明員(武田誠三君) 重ねてのお尋ねでございますが、今検討中でありますから、昨年と全く同額となりますかどうかということは、今ここで申し上げるわけには参りませんが、私どもの気持といたしましては、早場の最盛期、それに特に集中いたします地方に手厚く考えて参りたい。少くとも昨年の検査態勢に準じた態勢は整えられるようにいたしたい、こういうふうに考えております。
○委員長(堀末治君) 本日は、これにて散会いたします。 午後零時四十二分散会