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26回国会参議院1957/05/13

地方行政委員会 第34号

発言数
90
登壇者
7
会派数
2
開催日
1957/05/13

会議録

本多市郎自由民主党

○委員長(本多市郎君) それでは、これより委員会を開きます。  まず、本日午前に開会いたしました委員長及び理事打合会の経過について御報告いたします。第一に、前回の委員会において協議を願いました環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律案に対する問題でございますが、本件につきましては、当委員会において決議を行い、社会労働委員会に申し入れを行うということに意見がまとまりました。従いまして、本件につきましては、後ほどこの委員会においてお諮りして、御決定を願いたいと存じます。第二に、本日の議事でございますが、先般質疑を行いました佐賀県における行政整理問題について、検察庁、文部省及び自治庁の各当局者の出席を求め、さらに質疑を行うということに決定いたしました。  以上、御報告いたします。

本多市郎自由民主党

○委員長(本多市郎君) それではまず、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律案に対する決議の件についてお諮りいたします。  お手元に、決議案文を配布いたしましたが、念のため朗読いたします。    決議案   環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律案は、その内容を見るに、地方行政に関係する事項につき、同業組合の設立単位を都道府県に限るとともに厚生大臣の権限を知事にのみ委任することができるものとしているが、さきに地方自治法の改正により、五大市については、知事の権限を大巾に市長に委譲された経緯にかんがみ、これと歩調を合せた取扱いを考える必要はないか等の点について十分検討を要するものと認める。   右決議する。  以上の案文でございます。  本決議案を委員会の決議とし、社会労働委員会に申し入れを行うこととして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

本多市郎自由民主党

○委員長(本多市郎君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  委員長より、社会労働委員長に対してこの決議文を手交し、善処方について要望いたします。   —————————————

本多市郎自由民主党

○委員長(本多市郎君) 次に、地方行政の改革に関する調査として、佐賀県における行政整理問題に関する件を議題に供します。質疑のおありの方は、順次御発言願います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 先般、当委員会でいろいろ質疑をしたのでございますが、その際、時間がございませんで、質疑が中途になってしまいましたので、あらためて続いて伺いたいと思いますが、その前に、先日の委員会でいろいろ論議されました点の確認をいたしたいと思うのでございますが、最初に、事実の認定でありますが、第一点といたしまして、これは警察庁関係のお述べになったことばかりではございませんが、警察庁の御見解として、佐賀における教職員のみにとどまらず、他の職員も含めまして、勤務条件が国や他の府県に比して、はなはだしく劣悪な条件にあった。これは、地公法の二十四条の三項の違反とまではいわないにしても、この精神にははずれるような状態にあった。こういう点は、自治庁も認めるようになったのでございますが、警察庁としても、この勤務条件が他の団体に比して非常に過酷であったという点については、お認めになられておりますね。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 佐賀県以外の都道府県の職員の待遇状況がどうであるかということにつきましては、私ども、事警察に関する以外のことは、権限外でございますので、資料もございませんし、正確なことを承知をいたしておりませんので、そうした全般の問題について、私どもの立場からこれをかれこれ批評がましいことを申し上げるのは、むしろ僣越かと思うのでございますが、自治庁当局の方々のいろいろ話し合いを私ども聞いておるところによりますれば、佐賀県は、県財政が全般的に非常に苦しい。全国的にも非常に苦しい中のまあ第一位に位するといいますか、Aクラスに位する県財政であるということは、聞き及んでおります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 第二に、問題になりました労基法三十九条三項の有給休暇の問題でございますが、この有給休暇の法律的な解釈については、必ずしも定説的なまとまりというものは今ない。今ないというのは、少し言葉が強ければ、許可がなければ休暇が与えられないものなのか、あるいは届出だけでもいいものなのか、これらの点については、法律的な解釈については、まだ疑義が残っておる。こういう状態にある。この点はお認めになりますか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 最終的には、裁判の決定に待つべきものであろうと思いますが、私ども行政官庁のものといたしましては、先般来お答えいたしておりますように、私どもの解釈は一定しておるつもりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなた方の解釈はそのような御解釈に立ちましたから、この問題の捜査、摘発という行為が行われたことになりましょうが、この前あなたが御説明になった中にも、警察庁としては今のような解釈をとっておりますけれども、解釈については別な解釈もあるということは、お認めになっておられましたが、この点は、前におっしゃったことが正しいのじゃございませんか。あなた方の解釈が正しいか、別の解釈が正しいかということじゃなくて、有給休暇の解釈については異説がある。異説があると言って悪ければ、裁判所なり、あるいは判例の上では、まだまとまった結論というのは出ておらない状態にあるという事実は、 お認めになられると思いますが、いかがですか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 私が前回、どういう表現でその問題についてお答えいたしましたか、正確な表現を今記憶いたしておりませんが、私どもの解釈は一定いたしておるのでございますが、あるいは民間というか、広くわれわれ以外の方に異説を立てる方もあろうかと思いますので、そういう意味においては、あるいは申し上げたかとも存じますが、判例については、私の現在記憶するところでは、まだないように思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 第三点といたしまして、あなた方の言葉をもってすれば、争議行為あるいは一般に言われる争議類似行為といったようなものが、佐賀県と似かよったような問題が幾つか今までもあったわけでございますが、これらに対しては、最高検あたりからも、何ら正式の見解は表明されておらない。あるいは警察庁自体も、佐賀県と似たようなケースの問題に対しても、今まで特別な行動というものは起しておらなかった。この点は、お認めになりますか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 過去におきましても、類似の容疑のある状況は、絶無ではなかったのでございますが、当時検討いたしましたが、これらは、事件として取り上げるのに十分な証拠資料がなかったということで、一応そのまま見送りましたというのが実情でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、今の点でもう一点伺います。事件としては成立しないから、捜査はしたけれども、取りやめたということであるならば、それが事件として発展するおそれがあるからというので、あるいは特殊な、特別な行政指導は行いませんでしたか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 捜査というのじゃなくて、事案の検討をいたしたのであります。過去において類似の事案を検討いたしたことがございますが、先ほど申し上げました通り、これを刑事事件として取り上げるだけの十分なる証拠資料がないということで、そのまま見送っているのが今までの状況であります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 第四でありますが、これは、山口さんが鈴木委員の質問に対してお答えをした点でございますが、今度の佐賀県教組の容疑というものは、大会を決定する前に、大会の決定に持ち込むような相談、協議をしたということが一つ問題である。第二番目には、決定内容が違法な行為であるという点に問題がある。第三には、大会の実施というものを説得したという点が問題である。従って、鈴木委員の質問の中に、いわゆる休暇闘争といいますか、休暇戦術といいますか、この三、三、四の休暇によるところの大会を決定するということが、大衆の意思によって決定されたとしても、教唆なり扇動なりという事実というものが、存在するべき容疑というのが当然あると、こういう御説明でございましたが、これはこの通り受取ってよろしゅうございますか。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) 大体それでよろしいと思います。私の申し上げましたのは、大会で事前に各人々々が秘密投票をされましたところを、大会において発表されて、教職員組合としての意向を表明されたものと思います。今回のような休暇闘争をやるということについて、その大会の事前においていろいろと協議がなされておれば、その点。さらに何月何日を期してどういうようにしてどこそこへ集まるようにと言って、具体的に休暇闘争についての指令を出された点。第三は、その休暇闘争の前後において各分会を回られまして、学校の先生方に対して、直接大会を完全に遂行するように出席方を慫慂された点。この三点であります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 事実の解明についてもう一点伺いますが、佐賀教組は、先ほど長官もお認めになったように、相当逼迫した財政状況にあるし、教育条件という点では非常に過酷な条件にあったので、これについて地公法の四十六条なり、あるいは五十二条、五十五条というものの適用された範囲においていろいろと折衝をしてきた。しかし、その折衝をしてきたけれども、その折衝というものは教職員の要求するような形においては具現をされておらなかった。もっと率直に言うならば、非常に要求が、単に教職員のみにとどまらず、PTAその他一般の県民を集めての熾烈な要求であったにもかかわらず、財政的にはこれらの問題は何ら未解決のまま残っておった、この事実はお認めになるか。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) 佐賀県の教育の問題に関していろいろと折衝があったということは、私どももある程度承わっております。ただ、われわれが今回の問題を地公法の三十七条の違反、あるいは六十一条の違反として取り上げましたのは、

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それはいいです。そういう事実は、それはお認めになられたようでございますから、そこで、それらの前提というものの認識においては、私どももあなた方もその差はないと思うのです。そこで今度は警察の行為そのものに対する考え方でございますが、警察ではこの大会というものを問題にはしないで、あるいは大会を決定した、大会にかわるべき組合の組織の規約による意思の決定というものは、問題にしないで、この意思の決定をさせた前後というものを問題にしているわけであります。今山口部長の御説明をそのまま受取ったとして、この大会の決定が教唆扇動によるものではなくして、教職員の大衆の意思によって決定されたというものであるとしたならば、あなた方はやはり処罰の対象にいたしますか。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) その大会の決定というのは、要するに組合員の意思の表明であります。その大会に持ち込むまでにいろいろな協議その他が行われております。さらに、かりにそういう大会の決定が行われましても、もしそれが違法な行為にわたる場合には、これをそのまま指令されるということでなしに、やはりその間に慎重な御考慮があってしかるべきではなかったかと思うのであります。具体的に何月何日を期して、こういうようにして大会に参集するように、という指令をお出しになった点がやはり問題が残ると、かように思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 大会が、その組織できめてある最高の決議手続をとって決定をされ、その大会において、事務的な前後の処置というものを、執行部に委任をするという形がとられたとすれば、その大会という行為そのものは、違法行為というものが成立するかもしれませんけれども、少くともその大会が教唆扇動によって行われたという容疑をいうものは薄らいでくると思う。この事実の認定というものは非常に重要な問題でございますので、その点をどういう御見解をとっておられるのか、伺いたい。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) その大会で決定されますまでには、いろいろその前における段階があるわけであります。いろいろな準備的な相談その他がある。それがやはり、私としましては、今回の三十七条違反の一つの問題になって参ると、かように思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなたのおっしゃるように、三十七条違反であったとしても、その三十七条違反の容疑の事実行為が、教唆扇動によって行われたのか、あるいは組織によってきめられておる正式な決議機関によってきめられたのか、このことは非常に今のお答えだけではまだ解決がついておらないと思う。私がなぜこういう問題を出しますかと申しますと、あなた方もお認めになりましたように、長い間組合の要求というものが何ら認められない、こういう状態にありまして、これは教職員組合の幹部の威令というものはもう一般にはなかなか及ばないのであります。具体的なことを出しまして恐縮でありますが、あなたも御存じのように、千葉も同じように再建団体であります。今年度、佐賀のようなケースから見るとはるかに軽い県ではありますが、臨免所有者だけを試験をして何名かを落すということがありました。私どもは仲に入りまして、一応試験というものはさせて、試験によって成績がとやかく言われても、なるべく勤務成績その他総合点というものを勘案して、救済をする方がよろしいのではないか、試験をやるなといっていろいろの行為をするということも、なかなかむずかしいだろうというふうに、いろいろ折衝をしたわけでございますが、なかなか私どもの折衝というものや、われわれの説得というものでは、一般の教職員というものは納得をいたしません。県からいえば、最小限にしか整理ができなかったということになるししておるのでありますが、私どもは一身に今もって怨嗟の的になっておる。それは数人の者であっても、何人がやめるということになりますと、そのまわりの者が同情いたしますし、それを聞き伝えた同じ身分の者は結束をいたしまして、なかなかこれは幹部の説得などでは、現状の教職員の整理問題、教育の過酷な条件をある程度復元をする要求というものは、押えようとしたって押えられないのであります。私は自分の体験などを申し上げて恐縮でありますけれども、そういう事態から私はこの佐賀の問題を考えましても、ただ警察庁長官のおっしゃる御説明のように、教唆扇動をしたのでこういう三、三、四という休暇が行われたのだと、それのみでは解決がつかないのじゃないか。そうではなくて、教唆扇動がなくてもこういう行動が行われたのではなかろうか、という一体事実というものをどれだけ御調査になりましたか。確かにこれは教唆扇動によって行われたのだ、一般の人々は三、三、四の休暇などしょうという意思は毛頭なかった、こういう一体結論は、はっきりと確証をお持ちであるのか、この点はどうでしょうか。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) これは佐賀県の警察でやはり問題点として調査いたしておると思うのであります。その大会の前に開かれました中央委員会等でどういうことが相談をされたか、という実情を明らかにしていけば、お話のような点は明確になるものと思っております。なおこれは直接三、三、四割そのものの問題には関係ございませんが、三、三、四割を実施する前に二、二、三、三という休暇闘争の案を討議されたこともあるようにお聞きいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それはわかりました。そこで、二、二、三、三でも三、三、四でもいいですが、そういう一つの決定というものが一般教職員の全体から起って、そういうことをしなければならないという点に進められてきたのか。そうでなくて二、二、三、三すらもやらないという意思であったけれども、教職員の執行部が強引に教唆扇動をたくましゅうして無理やりにそういう決定に押しつけたのだ、こういうことなんですか。その事実の確証というものを一体お握りになっておるか、その点をもっと明細にお答えをいただきたい。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) その点は現在佐賀県の警察で調査をいたしておる点であります。私どもには具体的にきわめて詳細にまだ報告は参っておりません。これは当然佐賀県警察として調査を進める、またそのためにもいろいろな関係中央委員の方々などにもお尋ねをいたしておるわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それは逆じゃないですか。そういう事実の確認ということが一応警察なりにははっきりとつかまれた。確かに教唆扇動であるかといって、逮捕、召喚という事実行為になって現われる。ということでなければおかしいじゃないですか。つかまえてきて、そういう事実があるかないかということを捜査をする、こんなばかな話がありますか。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) その前の段階が全く白紙であって、つかまえてきて調べるということでなしに、もちろんその大会の前に準備段階において、中央委員会その他が開かれておるわけで、そこで今度はこういうことをやろう、これについては組合員全員の意向も聞いてみようという、いろいろな相談のもとにそういう大会が持たれていったわけであります。そうして私は先ほど申し上げましたように、そういう具体的な日時、場所を指定した指令が出されておる点等、その休暇闘争自身の前後に、いわゆるオルグ活動といいますか、休暇闘争についての指令を完全に実施するように、みんなが予定通りに休暇をとって、そうして総決起大会に集まるようにということをされておった、この点が問題があると思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると伺いますがね、投票によって決定をするという手続をとっておるわけです。投票によって大会をやらないという決定が出ても、その事前のオルグその他の活動というものは、教唆扇動ということになりますか。あなた方の言う争議行為というものがなかったとして、教唆扇動というものが成り立ちますか。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) 三十七条の解釈としましては、これは、あおりそそのかしというのは、法律上いわゆる独立罪というのが通説になっております。従って、あおりそそのかされた者がそういう争議行為を現実にやっておらなくても、やる具体的な危険性がある場合には、あのあおりそそのかすという罰則のついております事件は成り立ち得ると、こういうのが一般の通説でございます。独立罪というような形でございます。もう一度繰り返して申しますと、あおりそそのかされた者が現実に争議行為を実行しなかった場合におきましても、実行する具体的な危険性のあるようなあおりそそのかしをやれば、三十七条二項の違反、六十一条四号の違反は法律上の問題としては成立すると、こういうのが一般の通説でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 犯罪ですから重いの軽いのということはありませんけれども、事実として地方公務員法違反というものが行われなくても、教唆扇動だけの事実があったからといって、教唆扇動によって六十一条の四というものを適用するということができますか、具体的に。これは国務大臣一つお答え下さい。これは公安委員会として重要な問題です。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) その前にちょっと。法律上の解釈としては、私が申し上げましたように、あおりそそのかされた者が現実に争議行為をしなくても、三十七条二項の違反は成立するという法律上の解釈でございます。ただこれを具体的に事件として検挙する場合には、これは実施状況その他いろいろな事情を考えてやりますから、それじゃ具体的にやるかということは別としまして、法律上の解釈としては、そういうふうに一般的に通説として認められておるということを申し上げておるわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 全組合員の無記名投票によって、あなた方の今問題にしておるような行為をするかしないかということをきめたわけです。そして、するということになって、あの行為が生れたわけです。私の質問しておるのは、逆に、しないということにきまって、あの大会というものが、三、三、四という休暇が行われなかったときでも、事前にオルグをしたからというので、その執行部を教唆扇動としてあなた方は検束したり、あるいは処罰をすることになろうかと思いますので、そういうことも起り得るかということです。これは刑事局長の井本さんがいらっしゃいましたので、あらためて伺いますが、こういう問題です。佐賀県教組の問題ですが、警察庁の御説明によりますと、三、三、四という休暇が行われた。この休暇というものは地方公務員法三十七条の違反だと、そこで、三十七条の違反であるので、これについて教唆扇動をした者は組合の幹部であるから、これを逮捕し、捜査をしておるんだと、まあ概括に言えばこうだと思うのです。私の質問をいたしておりますのは、どうして三、三、四というのが決定されたかといいますと、全員に無記名投票をさせて、三、三、四という休暇、警察の言葉でいうならば闘争をやれということがきまりましたので、そして、その大会の前後の、いわゆる休暇闘争の前後の事務的な処理というものを執行部がやったと、しかしその前後の処理というものは、結局警察側に言わせれば、それは大会が行われるように持ち込んだんだ、大会が行われるように計画をしたんだ、それからさらに大会が具体的に実施されるように持ち込んだんだ、それで教唆扇動が成り立つ、こうおっしゃった。それはそれでいい。それで私が逆に伺いたいのは、その大会というものが、執行部の教唆扇動というものには何ら関係なく行われたときでも、教唆扇動が成り立つか。もっと言うならば、大会を開くということが全員の投票によって否決された場合でも、教唆扇動というものが成り立つか。もっとはっきり申し上げるなら、佐賀県教組で三、三、四という休暇はしないということを一般の先生方がきめたときでも、しろ、しろといって事前にかけ回ったのだからお前らは教唆扇動だということが成り立つか、いかがでしょうか。

井本臺吉法務省刑事局長

○政府委員(井本臺吉君) 純粋の法律理論的にお答えいたしますと、地方公務員法三十七条、六十一条のあおり、そそのかし、共謀しというのは俗にこれは教唆犯独立罪説と言っております。教唆扇動した結果、同盟罷業的なことがなくとも、同盟罷業すべきことをあおりそそのかすということがあれば、それだけで犯罪が成立するということになります。ただし、これを刑事事件として取り上げるかどうかという実質的な問題は、また別個でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私の聞いておるのは、あとの御説明の、そういう場合でも刑事事件としてこれを取り上げるか。検察庁の御態度というのはそういう御態度か。

井本臺吉法務省刑事局長

○政府委員(井本臺吉君) 具体的な事件の発生を見るとわかりませんが、おそらくかけずり回って、休め休め、職場放棄しろということを教唆扇動いたしましても、実際に職場放棄がなかったということになりますれば、法律的にそれはかりに犯罪であったといたしましても、これを検挙するということはあまり適当でないというふうに考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そこでこれは法務省と警察庁にお伺いしたいのでございますが、それでその大会に持ち込まれるまでの意思決定がどういう形で行われたかという、この事実認定というものは刑事対象にするかどうかというので、私は非常に大きなこれはポイントになると思う。警察のように、初めから教唆扇動によってやったのだから、この教唆扇動をした者たちを逮捕するのだということの前に、そこまで刑事対象として発展をさせるなら、その大会を開催するという意思決定が、どういう事実によって行われたかという点を、もっと確認しなければならないだろう。私の経験からすれば、再建団体などでは、非常に財政的にも身分的にも圧迫をされておりますから、大体幹部の立案とか幹部の説得などというものでは、大会あるいは大衆の意思というものが納得をしない。もっと強いもの、もっと強いものというものを要求しているのが現状です。佐賀の事実は知りませんが、しかしながら私どもが再建団体についていろいろ聞き知っている範囲においては、まるで執行部はもう不信任同様に、大会ごとにつき上げて、何か会合があれば、再建計画が許されないじゃないか、昇給、昇格は一年間もストップしておる、こういう問題はどうかということで、あらゆる角度からつき上げられる、こういう事実です。佐賀においても私はほとんど同じだと思う。そうなってくると、三、三、四の休暇でも何でもやれということで、幹部の意思というよりは一般の先生方の意思としてもり上ってくる公算が非常に強いのです。事実というものの認定を確かめないで、教唆扇動によって三、三、四の休暇が行われたということは、非常に軽卒ではないか。この点確かにこれは教唆扇動によってこういう行為が行われたのだ、一般の大衆、組合員によっては、むしろもう休暇戦術などということはとらないという意思が強かったけれども、こういう教唆扇動があって、こういう行為が現われたのだという事実の確認というものがなければ、刑事対象とじての行為はできないだろう、この一体確認をどれだけ警察は握っているか、こういうことを伺っておるんです。  これは刑事局長にもお答えいただきたいと思いますが、その確認の仕方によって、これは刑事罰を適用する対象にするか、あるいは刑事罰の対象にするのは無理かという問題も生じてくると思うんです。抽象論でありますが、それは私はそう考えてよろしいのじゃないかと思いますが、その点は井本さんに伺います。警察は一体それをつかんだのか、つかんでないのか、この際事実の確認がなければ問題にならんのじゃないか、こういう点を一つつぶさにお聞きしたい。

井本臺吉法務省刑事局長

○政府委員(井本臺吉君) 地方公務員法の六十一条には「第三十七条第一項前段に規定する違法な行為の遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者」というように書いてあるわけでございます。そこでこれは純法律論的に申し上げますと、「そそのかし」ということは俗に言う教唆でございますが、これは犯罪の意思がないのに、わきからいろいろやれやれということで犯罪の意思を生じて、犯罪を行なったという段階にあるものが、これが教唆でございますが、「あおり」はおそらく扇動に当る言葉だと思います。これは、特別に犯罪の意思がないにかかわらず、これをそそのかして犯罪の意思を生ぜしめたという程度よりも、もう少し程度の弱いものであって、すでに犯罪の意思があって、それをさらに中正判断を失わしめて犯罪をするような気持にさしたということも、ここに入ると思うのであります。それから「共謀し」というようなのは、これは二人以上の者が、お互いに犯罪をやろうじゃないかという意思を通じて、犯罪に出たというものが、この罰条に触れるということになると考えるのであります。かような犯罪行為はすべてこれは独立犯でございまするから、そのあおる行為あるいはそそのかす行為、もしくは共謀する行為などは、それだけで一応犯罪になるわけでございます。本人がそそのかした結果、そそのかしを受けた者がストライキをしなくても、その者が犯罪になるということが私は言えると思うのであります。これは純粋な法律論でございますから、そそのかしあるいはあおっても犯罪をしなかったという者、犯罪というかストライキ、職場放棄をしなかったという者を検挙することが、適当であるかどうかということは、これは別問題でありまして、法律論的にはかような六十一条の四号の罪は独立犯でございますから、その行なった結果において、職場放棄が行われたかどうかということは、直接この犯罪の成否とは関係がないというように考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 山口さんのお答えはあとにして。それは裁判所がそういう御見解をなさるのはけっこうです。しかし、あなたは刑事局長ですから、検察庁もあなたのような御見解で動いたかどうか知らぬけれども、実際に動いておる。あなたの前の説明によれば、法律論ではそうだ、しかし、刑事事件にするかしないかということでは、当然これはまた別な考えを持たなければならないということをはっきりなさったわけで、佐賀の問題は、刑事事件としての対象になるかならないかということの判断は、教唆扇動の強度といいますか濃度といいますか、それが非常に刑事事件としてやらなければならないほどなのか、あるいは法律論として成り立つけれども、今までも同じようなことが見のがされておったのだから、どの程度に見のがされるべきものなのか、あるいは行政処分だけにとどめられるべきものなのかということは、これは検察庁の考え方によって私はきまると思う。そこで、今のあなたの後段の御説によりますと、どういう行政的な事情があろうとも、どういう事実があろうとも、法律論としては教唆扇動というのは独立罪だと、教唆扇動のかけらでもあればいつでもこれを逮捕してもいいと、こういうことでは、これは暗黒政治です。少くも法務省としては、そういう御見解で警察行政というものを指導するとは考えられない。私が伺いたいのは、犯罪の意思の有無ということもあとで問題にいたしますけれども、一体刑事事件の対象とすべきなのか、あるいは刑事事件の対象からはずされるものなのか、情状としてはずされるものなのか、そういう事実というものを、これは警察庁もそうですが、検察庁もどれだけ一体確実に資料を集めておられるか、こういう点が非常に抜かっておると思いますので今のような質問をしておるわけです。

井本臺吉法務省刑事局長

○政府委員(井本臺吉君) 具体的の佐賀の教員組合の事件によりますと、これはただいま捜査中でございまするから、われわれの方が捜査の結果の報告を待たずに結論を出すことは、軽率に過ぎると思うのであります。冒頭にお尋ねのような、あおりそそのかし行為があっても、別に何ら職場放棄の処置に出なかったというようなものにつきまして、法律的にそれが地方公務員法第三十七条、六十一条に触れるからというて、それを直ちに犯罪として検挙を、取締りをするということは、まだいろいろこまかい問題を検討いたしませんければわからないと思いますけれども、原則論としてあまり適当ではないというふうに考えます。考えますけれども、それでは本件の、佐賀の教員組合の職場放棄と私ども考えておりまするが、この事件が、検挙をいたしましたことが適当ではないのではないかというお尋ねに対しましては、われわれといたしましては、まだ十分な材料を持っておりませんので、何とも結論を出しかねますが、今までの検察庁などの報告を見ておりますると、先ほど来十数名の方を取調べをしたというやり方につきましては、私ども別に不当な検挙をしたというふうには考えておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 井本局長忙しいようですから先にお伺いしますが、不当であるかないかというのは、おやりになった警察当局が自分で御判断してもきまらないことだ。人権擁護局長が、佐賀の教組に対する逮捕、捜査全般について、人権擁護局の立場から、不当な干渉であるということを衆議院ではっきりとおっしゃった。人権擁護局長が不当な干渉であるとおっしゃっておるのですから、私は、これは少くとも不当な干渉と思われる節があったと考えなければならないと思うのです。しかし人権擁護局長もおりませんから、ここでこの問題をあなたと論争しようとは思いません。  そこで一つ突っ込んでもう一つ伺いますが、犯罪の意思というものがない場合に、犯罪の意思を構成させるような場合、あるいは犯罪の意思が薄かった場合に、この犯罪の意思というものを強くする、こういった点が教唆扇動であるという御説明が前になされたわけでありますが、そうすると、犯罪の意思というものが行為者に全然ない場合はどうなります、これは法律論的な解釈として。

井本臺吉法務省刑事局長

○政府委員(井本臺吉君) 私の説明がちょっと足らなかったかと思いますけれども、職場放棄の行為も、この法律でいいますると三十七条に書いてあります、「同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。」と、こう書いてございまするが、これは、別にそのものは犯罪とはいっておりませんのです。私は刑事事件をしょっちゅう扱っておりますから、先ほどの説明に、かようなこの同盟罷業のようなことを、犯罪というような表現をしたかもしれませんが、これは別に犯罪になっておりません。ただしただいま申し上げたのは、この同盟罷業をするつもりがない方に対しまして、早く休めと、職場放棄をせよというようなことを言うて、そのようなつもりにさしたということがあれば、それがあおりそそのかしに当るというふうに考えられるのでありまして、先ほどお尋ねの点は、それらの点でいま一度お尋ねいただければ、また御返答したいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 事実についてお伺いした方がはっきりすると思いますから、私どもの調査と認定を許していただけるならば、佐賀の教員組合におきましては、非常にこれは自治庁も認めているわけでありますが、教育条件や勤務条件というものが過酷でありましたから、数年にわたりましてこれが改善というものを県教育委員会に折衝しておったわけでございますが、何らこれはますます過酷になろうとも緩和されるという形はとられなかった。そこでですね、幹部に対しあるいは組合自体に対するところの不信の念というものが、下部から相当盛り上ってきて、そこで特に再建計画の変更というものを、PTAも一緒になって初めから強烈にやっておったわけでありますが、県の予算の事情が許さないということになりましてから、他の働きかけもあって、PTAというものがだんだん去っていった。そこで三、三、四休暇戦術でもやらなければだめじゃないかという意見が下部から盛り上ってきた。で、犯意の問題でありますけれど、これを争議行為として初めから考えているならば、あなたのおっしゃるような問題になる。ところが三、三、四の休暇戦術というものは、三十一年の十一月かに福岡で行われている。つい隣りの福岡で。そうすると一般の人々は、福岡で行われて当然それが検察庁からも警察からもとがめられなかったことでございますから、(「行政罰」と呼ぶ者あり)行政罰も何ら行われないわけでございますから、そこで福岡でやられたような三、三、四の方式で、これは休暇願を出して、大会をやって盛り上げようじゃないかということに発展をしてきたわけであります。その間における事情は、幹部の交渉に対する不信と、全員の盛り上げた実力交渉をしなければだめだ、こういう傾向になってきたそうです。そうなって参りますと、この三、三、四というのがかりに違法行為であっても、この違法行為を計画したものは、これは執行部ということにはならないじゃないか。そういう事実の認定で、一つ問題点があるのじゃないか。六十一条の四は行為の遂行を共謀し、行為を企てた者ということでございますから、これはもちろん執行部も入っておりましょうけれども、行為の遂行を共謀し、行為を企てた者は、大会に持ってゆくように意思決定をした個々にあるという認定も成り立つのじゃないか、こういう状況というものを厳格に調査をして、ほんとうに教唆扇動というものによってこの三、三、四というものは行われたか、あるいはむしろ執行部は全体の決定に従って、事前事後の事務的な委任された任務だけを行なったのかという点を、やはり明確に調査をし、確認をしていただかなければならないのじゃないか。そこでその執行部においても、教唆扇動の刑事対象になっている執行部においても、一般においてすぐ隣の県で、すぐ前年の、半年もたたない先に、三、三、四の同じような方法が行われているのですよ。行われて、警察の説明を借りるならば、これは校長が許可したか拒否をしたかというのはあいまいであるから、問題にしなかったというけれども、そういうこまかいことは一般はわかりません。三、三、四というものをやって行政処分をされなかったのだ。まして刑事対象などになるだろうということは露毛頭思っておらなかった。それをやった。こういう事実関係が佐賀の問題であります。そこで、犯意というものはないんじゃないか。その決定というものは、むしろ事前にしたか、事後に学校にかり出しをしたかということよりも、全員無記名投票でこういうふうにやらなければならないという、そういう一般をかり出す客観情勢というのはすでにあったんじゃないか。三、三、四という事例もすぐ隣にある。こういうことになってくると、教唆扇動で執行部をつかまえるということだけでは、この事件の本質をきわめるということにはなるまいと思う。それは、警察庁でございますから、あるいは検察庁でございますから、犯罪容疑があれば当然捜査をし、あるいは逮捕しなければならないということは私も認めます。しかし、教育条件や勤務条件は、同じ地方公務員法の二十四条の3によっても、あるいは四十六条によっても、あるいは五十二条、五十五条によっても守られておる。同じ地方公務員法で守られなければならないことは理事者の方で守ってやろう。そこで、こういうふうな事実関係にかり立てられてしまった、その事実行為というものは、すぐ隣でやっておる。こういう客観情勢を検討したら、容疑があるから逮捕して、あるいは人権擁護局長が不当な干渉と国会で説明をするような行為というものを行なってまで、刑事捜査をしなければならないということが果して妥当であろうか。こういうことを私どもは感ずるのです。争議行為があっても罰するなということは、われわれは毛頭申しておらない。今まで類似行為があったのに、一つも罰しなかった。行政罰もしなかった。突如としてこういうことをして、人権擁護局長の言明のようなことがもしあったとすれば、これはどうも、行政措置としては、はなはだ当を得ていないということになるのではないか、こう思うのですが、いかがですか。

井本臺吉法務省刑事局長

○政府委員(井本臺吉君) 人権擁護局長の御答弁のときには、私わきにおりましたが、私の受け取り方といたしましては、一般的な形式犯というような言葉を使っておりましたが、あとで訂正されて、行政犯というように直したのであります。さような犯罪につきましては、原則として身柄の拘束とか行政処分をやるというのは適当ではないと思うが、本件につきましては、いろいろ事情があるようですから、十分取調べをしてから結論を出すということで、私は結論を留保されておったように考えるのであります。従って、ただいまお尋ねのような説を人権擁護局長が御答弁申し上げたというふうには考えしおりません。私、わきで聞いておりましたから、さようの趣旨の御答弁というふうに私は受け取ったのであります。  それから、隣の県でやっておった休暇戦術というか、賜暇戦術を、佐賀でやった場合に検挙したのはおかしいんじゃないかというお尋ねでございますが、これは、今まで調べましたところでは、従来さような賜暇戦術などがとられておりましたけれども、大体校長先生もしくは教育委員会がこれをお許しになった、承認されたやにうかがわれるのが大部分でありまして、本件  の、佐賀の事件のように、多少の御承認があったようでありまするけれども、大部分が承認されていないにもかかわらず、賜暇を取られて、一つの闘争方法に出られたという点が、私は地方公務員法に触れる容疑があるというふうに考えるわけでございます。また、お尋ねのように、各人が初めからさような措置に出たいと考えていたので、執行部などがこれに対して大した影響力がなかったのだから、その執行部を問題にするのはおかしいではないかというようなお尋ねでございますが、今までの調べでは、私どもといたしましては、執行部の方々が主としてこの休暇闘争を組織されておったように聞いておりますので、あるいは調べの結果、だんだん諸般の状況がわかりますると、また結論が違ってくるかもしれませんが、ただいまのところでは、大会の結論によって執行部がされたのかもしれませんけれども、一応地方公務員法の三十七条、六十一条に書いてありますような、争議行為をそそのかしたという当面の責任者は、執行部の方方ではないかというように考えまして、かようなお取調べが応妥当であるというように考えておるのでございます。ただし、ただいま申し上げましたように、これは、調べをして、その調べの詳細な結論が出て参りますると、また変ってくるかもしれませんので、その点はあらかじめ御了承をいただきたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 人権擁護局長の説明は、速記録を十分調べまして、もし私どもの申し上げたことが違っておりましたら、あらためて訂正することにいたすとしても、今おっしゃったような結果になるかもしれないというおそれのあるものを、一体今まで類のない逮捕という行為までも伴って、千名に余るものを捜査をする、こういったようなことが妥当かどうかという問題もまだ残っております。そこで、もしも十何名を逮捕して、千何名というものを捜査しなければならないというほどの事件になる、これは、明らかに争議行為というものであるならば、同じようなケース、類似ケースが幾つか出てきたのです。ぽんと佐賀で出たわけじゃない。なぜ一体、最高検なりあるいは検察庁なりというものは、この地方公務員の類似争議行為というものに対して、厳格に声明をするなり、あるいは忠告をするなり、勧告をするなりという事前の措置というものをしなかったか。これを一体どうお考えになりますか。一般の識者は、こういうふうに検察庁が行動する前に、最高検責任者で法的な見解というものを明確に打ち出すのが妥当だと思うという意見も強いのです。これに対して局長は、どうお考えになりますか。

井本臺吉法務省刑事局長

○政府委員(井本臺吉君) 私どもは、賜暇をもらって大会を開かれるということがありましても、教育委員会なり校長さんが承認をされれば、それを犯罪として扱うというのは、どうかと思っております。犯罪としても成立しないのじゃないかと思っておりますので、あらかじめ検察庁が、犯罪にならぬかもしれぬものを、場合によっては検挙するというような、ある意味からいえば、どうかつ的なというふうなおしかりを受けるのじゃないかと思いますので、さようなことを言うのは、ただいまの気持としてちょっと適当でないのじゃないかという考えを持っております。そうして、教職員組合の方々も、いろいろ法律解釈もございますけれども、教育委員会なり校長さんがこの賜暇を承認しないということになれば、それにもかかわらず休暇を取る、そうして大会に参加するということになれば、これは何らかの問題が起るのではないかというように、常識的にお考えになっても、私はある程度おわかりになるのじゃないかという感じがするのであります。ただ、不幸にいたしまして、隣の福岡においても似たようなことがあり、他にもかようなことがあるので、ばく然と、ある程度の賜暇戦術が別に違法ではないというようにお考えになったとすれば、非常にお気の毒だと思いますので、この点を十分考えまして、処理したいというように考えます。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 今の刑事局長のお話を聞いておりますと、初めのときは、教委あるいは校長が承認したものは、有給休暇あるいは一斉早退等が行われても争議行為ではない、こういうふうな断定的なことがあった。次には、思うというふうにぼかされてきたんですが、少くともこの問題については、警視庁並びに検察庁は、十分打ち合せられて、慎重の上にも慎重な行動をされたもんだと思っている。ですから、校長が許可をしておれば三十七条違反でない、こういうふうに断定されておるかされておらないかを明確に一つしていただきたいと思う。

井本臺吉法務省刑事局長

○政府委員(井本臺吉君) 校長が承認しておれば、犯罪にならぬというように考えます。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 これは、一つの最高検とそれから検察庁と合議された結論であるというふうに了解して差しつかえございませんですか。

井本臺吉法務省刑事局長

○政府委員(井本臺吉君) 行政官庁一致した見解であるというふうに考えられて差しつかえないと思います。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 それに関連してですがね、二月六日の日に、高教組が御承知のように一時から一斉早退をやって、臨時大会を持っております。これは、あなたの方の調査でいくと、校長等の許可があって行われたもんだと、こういうふうに調査ができておりますか。

井本臺吉法務省刑事局長

○政府委員(井本臺吉君) あまりはっきりいたしませんが、校長もしくは教育委員会が正式に承認されたか、あるいは暗黙裡に承認されたか、とにかく承認されておるので、犯罪にはならないという結論に達したと思います。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 警察庁の方はどうですか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) ただいま御指摘のありました二月六日ですか、佐賀県高教組の方が、私の聞いておるところでは、午後二時ごろから五時ごろまでの間の大会を持ったというふうに聞いております。この件に関しましては、私ども現地からの報告に接しておるところによりますれば、校長さん方はこれを承認されて、そのかわり、翌日、翌々日の二日に、その日にやるべき予定の授業の振りかえ授業をやる、そういう処置をとった上で承認をされたと、こういうふうに聞いておるのであります。そういたしますと、ただいま刑事局長が御答弁になりました、校長さんの承認のもとに、早退といいますか、休暇を取られて、そういう大会に参加をされたということであれば、これは何ら違法ではない、こういうことになると考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 井本局長、あるいは検察庁もそうでありますが、これは当然のことだというふうにお考えになっておられるようであります。今度の検察庁なり、あるいは警察庁本部のとった態度は当然のことだというような御見解のようであります。五月七日の朝日新聞の夕刊には、こういう論文が出ております。広島大学の研究を発表されまして、一学級の児童数の多いのと少いので、たとえば五十人の一学級の組と三十人の組と、同じ先生が一定時間持って差を出したら、平均点が五点以上も違ったと、こういうようにすし詰め教室というものは、教育に大きく影響する。学力低下の原因は、新教育の未熟の点もあるかもしれないけれども、事実としては、地方財政の逼迫のために、児童生徒というものを一応たくさん詰め込む、こういうことにも原因があると、いわゆる定員過剰のための学力低下、教育低下ということが事実として現われている。こういう点からみれば、先生を増員しさえすればすぐ解決する問題だけれども、それもやらないで、教員の整理をやって、警察の介入まで起している有様では、国や、あるいは地方公共団体は、一体教育というものを、あるいはこの児童生徒の学力の低下というものをどう思っているのか、疑いたくなる、こう出ている。週刊朝日にも、警察官の介入は遺憾であると、PTAまでも問題にしている。PTAとか一部の識者が、今度の問題についてこういうふうな見方をしている。こういう見方が正しいかどうかということよりも、こういう見方があるということは、これは当事者としては、当然耳を傾けるべきだと思う。そこで、事実行為が行われてから刑事対象かどうかということをやるのではなくて、争議行為というものが行われるのではないかというときにも、当然これは、あるいは争議行為と目される事件について法律的解釈がどうもいろいろかたまっておらないようなときには、検察庁として、あるいは最高検としては、この法律はこう解釈するという見解は、私は、とうにこれは表明されるのが当然であろうと思うのであります。しかし、まああなたは、そういう必要はないということを言っておられますが、ここで国務大臣に伺いますが、警察法の二条によりますと、警察の責務という内容で、犯罪の予防ということが大きくうたわれて、警察の責務は、第一に犯罪の予防ということが掲げられている。今刑事局長に聞いたように、問題が犯罪——違法行為が行われるというようなことであるならば、犯罪の予防という見地からも、警察は、事前に相当これは注意、勧告というものをすべきだと思いますけれども、どういうようにこの点は、佐賀の問題ではとり行われておったでしょうか。

大久保留次郎自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(大久保留次郎君) 犯罪の予防につきましては、尽しているわけでございます。一般論としては、やはり予防のために尽すのが本筋だと思います。しかし、ただ佐賀県の場合におきまして、成り行きがどうなるかということが全く見当のつかぬうちに、犯罪になるぞと言ったならば、これは必ず一部の人から非難されることはさまっております。警察は出過ぎている、警察は介入し過ぎる。現に今度の検挙についても、警察は介入し過ぎると言って、攻撃を受けているのであります。そこは非常に考えものであると思います。要は、はっきりしない限りは、私は慎重を要すると存じます。けれども、さきに申しました通り、原則として予防に尽すのは、私は警察の責務であると思っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 今度のことで出過ぎるということは、出過ぎるような行為があったから出過ぎるということで、予防の措置というものを警察が十二分にやって予防することまで、出過ぎるとはだれも一般は思わない。そこであなた方は、二カ月かかって、一体これは犯罪行為であるということを認定したのではあるまい。こういう行為が喧伝されているときから、すでに犯罪容疑はあるのではないかという、これは対象として考えたと思います。それならば、当然このような行為というものが行われれば、これは地方公務員法違反として処罰をしなければならないからという警告が、警察としてはなされなければならないはずであります。これは、一体どういうふうにしておやりになりましたか。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) その点は、これは昨年の年末のときも、ことしの佐賀の場合も、昨年の暮れの場合は、たしか文部大臣が談話を発表されましたし、教員組合に対して警告も出されたように私は記憶いたしております。今回の佐賀県の場合は、教育委員会として、そういう行為は違法な争議行為となるおそれがあるから、取りやめてもらいたいということは、これは、正式に警告をお出しになっているように思うのであります。そういう場合に、お話によりますと、警察が、これは違法行為である、やれば刑事事件として処罰されるかもしれぬぞというようなことをするのが、予防的な措置として適当ではないかというように拝聴いたしましたが、当面のまあ責任を持っておられる文部大臣なり、教育委員会において、そういう意向を明らかに表明しておられるのである、さらにその上警察が事前にあまりそういう問題について見解を表明するということは、これはまた一方におきまして、大臣がお答えしましたように、労働運動に対する不当な介入であるという、また御批判も考えなければならない。私は、今回文部省あるいは教育委員会が、そういう正式の許可をお出しになっておられるのでありますから、さらに重ねて警察当局としてそういう見解を表明しなかったということは、これは妥当な措置であったと思うのであります。警察がそうむやみやたらといろんな問題について、事前に警察当局としての見解を明らかにするということは、これはよくよくの場合でなければ差しひかえるのが正しい行き方である。なおこの問題につきましては、せんじつめれば、有給休暇を教育委員会あるいは校長さんの承認なくしてとられたかどうかという点が問題なんです。でわれわれは有給休暇というのは承認がなければいけないと思っておりますが、一方におきまして、有給休暇というのは承認を得られない場合には、届を出したたけでも違法でないのだというような御見解が示されておるわけで、この点は常識をもってお考えになれば、教職員の方々は私どもはおわかり願えるものだとこういうように思って、実際にどういうような状況になるか拝見をいたしておったのであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 非常に私はおかしいと思うのです、常識を持てば。法律には二つの今解釈があるのだから、今まで警察庁でも検察庁でも類似行為があっても行政罰の対象にもしなかったのだから、それほど今度のような刑事事件としての対象とする警察行為が行われるということは、予期しないというのが普通なんです。そこで初めから警察庁のような法律的な解釈を持っておるならば、こういう解釈で臨むのだということをはっきりするのが当然なんです。変なところへだけ何といいますか、言い逃がれをなさっておらないで、事前にこれは法的解釈を発表するのが、妥当と思ったら妥当という点を、はばかることなく私は初めから表明するのが当然だと思う。あなた方は法律の解釈や法律の運営についても、一般のものよりもすぐれているはずなんで、それでわれわれとしてはこういう解釈だ、あるいは政府としてはこういう解釈だということを表明しなければおかしいですよ。しては、そういう態度は直接みずから表明いたしておりませんが、昨年の年末闘争につきましては、公務員のいわゆる休暇闘争については、官房長官が政府の見解を正式にこれは表明しておられまして、新聞にも出ておったと私は思うのであります。しかしこれは政府の官房長官が発表された御見解でありまして、しかしながら今回の問題につきましては、佐賀県の教育委員会が正式に見解を表明されて警告を出しておられるのでございます。なお隣りの福岡県でやらなかった類似の事件を、なぜ佐賀県でやるかということでございますが、これはやはり事件として取り扱うかどうかということは、やはりその実際に行われた状況をよく見て行うべきことは、先ほど刑事局長が言われた通りであります。今回の佐賀県の場合は、県の教育委員会、市町村教育委員会、校長さん、PTAの方々全部がこぞって、そういうことはされないようにということを強く説得されたにもかかわらず、全部の教職員の方々の八七・九%という多数の方が、一斉に休暇を承認なくしておとりになったという点は、これは福岡の場合と事情が若干違っておる点があろうとこういうふうに考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 官房長官がどういう発表をされようとも、類似行為があっても行政罰の処罰の対象にもなっておらなかったということは、この法に対するあなた方のような解釈というものが、まだ一般には、あなた方と同じような感覚をもって受取っておられないというのが事実です。そこで行政指導の必要が当然佐賀の場合にもあったと思うが、警察権の介入についてもPTAは反対している、自分の都合の悪いところだけ、介入ということを忘れてPTAをよりどころにしちゃ困る。  次に公安委員会にはお諮りになっておられるのでしょうか、佐賀県の警察本部は。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) これは当然国家公安委員会にはお話をしている、なお事件検挙の当日早くから緊急の公安委員会も開かれたということであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 国家公安委員会は、この前の委員会でも質問があったと思いますが、ちょっと聞き漏らしましたので。当然緊密な連絡を保つという条項があるわけですから、連絡があって国家公安委員会としての見解もきまって、こういうことになったと思いますが、そういうように解釈してよろしゅうございますか。

大久保留次郎自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(大久保留次郎君) 佐賀県の問題につきましては、ときどき状況の報告を伺いました。また検挙については直接は話はしておりませんけれども、事後その経過を承わりました。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、あんな捜査行為というものが行われるということは、国家公安委員会としてはおきめになったわけではない、事後に御承知になったのだ、こういうことですか。

大久保留次郎自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(大久保留次郎君) 国家公安委員会はきめません。きめて断行いたしましたのは佐賀県の警察であります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それはそうですよ、だけれども、警察法によりますれば、これは当然国家公安委員会に連絡があってるから、御連絡がないはずがない。御連絡があれば政府としての態度も、この国家公安委員長としては、要路との打合せもあるし、国家公安委員会の態度も検討されるはずだ。検察庁の検事正は、暗にこれは中央からの指令によってやったんだと言わぬばかりの御答弁を、会談の中でなさっていらっしゃる、それを国家公安委員長が事後に聞いたというふうなことはあり得ない。国家公安委員会なり、公安委員会に限定しましょう、国家公安委員会では全然事後の御報告だけで、この問題の処理について、意見を聞かれるような打合せというものは、佐賀県の委員会からなかったのですか。

大久保留次郎自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(大久保留次郎君) 公安委員会は決して意見は申し述べません。先ほど申しました通り、佐賀県の事件についての情報は聞きましたが、公安委員会は一週間に一回しか開いておりません。毎日開いておりませんので、ときどきその情報を聞いただけであります。決してこちらから指図をいたしません。警察庁の話を聞きますと、佐賀の警察では法の解釈についての参考意見を求めてきたということであります。けれども、これは私どもの方の委員会に向っては何ら相談がないことであります。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 これはちょっと別な話になりますが、労働基準法というものがございまして、女子は四十八時間です、四十八時間働いた場合は、次の日に休代を与えなければならないということが、労働基準法の第六十一条にございまして、罰則が第百十九条についておりまして、六カ月以上云々となっておりますが、大体女の先生たちは全部それに違反して使われているわけだ。こういう問題について、今後警察はその勤務命令を出した校長を、第百十九条違反で全部罰するつもりなのかどうか、全員を罰する用意があるのかどうか。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) 労働基準法の超過勤務を違法に命じたことについての罰則もございますが、これを具体的な事件として検挙するかどうかということは、これは実際の状況、やり方を検討して具体的な場合に応じてやります。もちろん仮定の問題として、校長先生がきわめて非常識な超過勤務を命ぜられた、それが非常に問題を起して支障があるというような場合には、これはやはり校長さんのそういう行動は問題になる場合があり得ると思います。ただ、法律に違反するから全部が全部事件として検挙するということでなしに、やはりその前後の具体的な事情というものは考えて参りたいと、私どもはそう考えております。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 女子は、御承知のように、週四十八時間働いたら、次に代休を与えなければならないと、こうなっております。そうしますと、日直の勤務はやらなければならないことになっている、校長が命じているわけです。十年間やってきたわけです。だから、今度女の先生に出てこいと校長が言う。今までずっと出てきておるわけです。そういうものを状況に応じてと言う、あなたが状況と言うのはどこを言うのですか。本人がだまって出て来さえすればいいというのか、校長が、あなたは代休だから出てこぬでもいいよと、こう言ったら、校長がとめなかったら、本人の意思によって出て来さえすれば差しつかえないのだと、こういう解釈なのか。事情々々とおっしゃるけれども、それはわからない。明確に一つ答弁を願いたい。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) 私が申し上げましたのは、これはひとり労働基準法だけでない……。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 私は女子の場合の労働基準法の六十一条の四十八時間の問題に限定して聞いているわけです。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) そういう場合におきましても、法律に違反したすべての場合に、警察として、これを刑事事件として検挙するかどうかという問題、これはやはりすべての問題を一律的に検挙するということでなくて、その具体的な事情をよく調べて、そうして、まことに情状の重いと言いますか、はなはだしく不法、不当であるというようなものは、これはやはり当然警察として私は取締りをやるべきものだと考えております。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 あなたがおっしゃるのは、一つも私には納得がいかないのです。法律に違反しているのですよ。不法なんですよ。どこにその情状酌量があるのですか。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) それは、法律に違反しておるすべての場合を、警察が一から十まで刑事事件として検挙しなければならないというお考えではないだろうと思うのであります。私の申し上げているのも、一から十まで全部、法律違反となるものはどんな小さなことでも、またどんなことでもやらなければならない、こういうことを申し上げているわけではないのであります。その前後の事情をよく検討して、警察としては事件処理をやって参ります。従って、おあげになりましたような例について、これはひどいというものがあれば、これは警察は当然事件として取り扱います。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 あなたの解釈は、不法であっても、これはひどくないとか、ひどいとか、あなたの方の主観的な判断によって逮捕したり、検挙したりするということになるのですか、あなたの主観的な判断で、ひどいとか、ひどくないとか、そういうものでやるというのですか、そういうものを考慮してあるわけなんですか。全国ですよ。一県だとか、一都道府県の問題じゃないのですよ。全国の情勢として、こういう問題が出ておるわけです。御答弁願います。

山口喜雄警察庁警備部長

○政府委員(山口喜雄君) ただいま申し上げましたように、その状態が前後の事情を調べてきわめて不法であり、不当であるということがあれば、われわれとしましては、どこの問題であろうと、これは事件として処理しなければならない、かように思っております。ただ、法律に違反する状態があれば、それを一から十まで全部警察が事件として検挙せねばならぬというようには私ども考えておりません。こういうように考えております。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 この問題については、どうもおかしくて、非常に不満なんです。しかし、私が言いたいのはここなんですよ。高教組の方は一斉早退をやって、そうして学校長が許可をし、そうして教育長まで出て激励をやっておるのです。なぜそういうことをやらしたかと言えば、佐賀が、たとえばずっと前から考えてみれば、六人いる教育委員の中から四人も辞任をして、あの再建計画というものに反対をしてずっとやってきたのです。そこで高教組の方も、校長が許して一斉に早退をやって、この問題について反対をしなければならない、そういう情勢にあったのです。これもわれわれは認めなくちゃならない。ところが小中の方は校長がたまさか認めなかった。だから不当で、これを検挙しなければならぬという、何か政治的配慮だとしか思えない。佐賀全体の実情というものはそういうものなんです。ただ単に片方は、校長が許したか、せなかったかということだけなんです。だから今言ったように、片方にはひどい不当なものとか、ひどい不法なものとかいうような政治的配慮をやりながら、事これに関しては何か政治的配慮はやっておらない、こういうようにしか解釈ができないわけです。情勢としては、くどいようですけれども、ああいう再建計画というものに対して反対しておるわけです。全員投票しても、やはりそういう方向が出ておるわけです。高教組の方は、校長さんまで含めてやったわけです。ところが小中の方は切りくずしで、校長さんに出すな出すなということで、ああいう形になったということも、われわれは了承するわけなんです。ところが、大きな政治情勢の中で考えれば、やはり小中の方の教組がそこまで客観的に追い込まれておるという事実も、私はそういう政治的な配慮もここで考えなくちゃならぬと思う。少くとも検察庁というものは、そういう政治的なことも考慮して、たとえば、先ほど加瀬君も言ったけれども、不党不偏、公正でなければならぬ、こういうことも第二条の第一項に規定されておるわけなんです。そういう点についてどういうふうにお考えになっておるか、一つ長官からお考えを承わりたい。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 二月六日の佐賀県高教組の件につきましては……。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 私は法律論を言っておるわけではないのです。政治論として……。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) まあお聞き取り願いたいと思います。二月六日の件につきましては、先ほど加瀬委員のお尋ねの際にお答えした通りでありまして、校長が承認をされたということであれば、これは合法的なものであると、こういうように私は申し上げたのであります。問題の二月十四日から十六日にわたる三日間の小学校、中学校の関係の先生方の大会、これはほとんどの方が承認なくして休暇を求められて大会に参加をされたと、こういうことになっておるのでございまして、全くその事実関係が異るのでございます。その背景としての佐賀県の県財政が悪いということが県当局に影響しておる点においては、これは相通ずるものがあるでありましょうが、今御指摘になりました二月六日の高教組の大会と、二月十四日ないし十六日の三日間にわたる小中学校の先生の大会とは、その大会の態様が違うのでございますので、おのずから取締りの対象としても異ってくるのは、これは当然であると思うのであります。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 背景は同じことなんです。そうして、やったことも同じことなんです。ただ違うことは、片方の校長が許可をしたか、せなかったかということなんです。そうなんでしょう。そういうものが同じだということだけはお認めになる、どうですか。ただ違うのは、あなたが御指摘になっておるように、ただ校長が承認をしたか、せなかったかという、その違いだけなんです。そういうふうにお考えですか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 最も大事なポイントである校長等の承認がなかったか、あったかという点の相違は、これはもうきわめて大きなポイントであることは当然でございます。さらに、二月六日の高教組の大会は、私の承知いたしておるところでは、午後二時から五時ごろまでの約三時間にわたるものである。片一方の二月十四日から十六日の三日間にわたる大会は、三日間ほとんどの先生が休暇をとられたために、スケールにおいてももちろん違うと申しますか、期間的にも長い。それだけの三日間にわたる長い期間、先生方の八、九割に及ぶ者が休暇を承認なくしてとられるということが、学校の正常なる授業というものに著しい影響を起してくるということは、これは当然考えられることであります。そういうふうに態様がきわめて大きく異なっておるということが言えるのではないかと思います。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 そうすると、スケールが大きいからいいとか、悪いとかいうのが一つの理由になっているが、たとえば岸さんが今度お国入りすると、小学校の生徒が全部授業をほっぽらかして旗行列か何かやって迎える。そういうことは一向差しつかえないのかどうか、私は差しつかえないと思う。しかし、スケールのかれこれではなくて、根本的な問題は、やはり法律に反するか反しないかということが一番問題になってくる。しかし、私はそういうことが小学校まで追い込んできた情勢は認めなければならぬと思う。そういうときにこそ、やはりこの労働基準法の六十一条違反、そして百十九条の罰則適用に対して政治的な考慮がなされておるように、こういうところの政治的な配慮がなされても同じじゃないか。片一方に政治的な配慮をしながら、こういうところに政治的配慮をせぬということは、何かあなたの方に政治的な意図があるようにしか受け取れない。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 私ども警察事務当局といたしましては、政治的意図は何ら持っておりません。警察は政治から中立しなければならぬことをわれわれは信条といたしておりまして、それに基いて行動いたしておるつもりでございまして、現地の佐賀県本部長におきましても、その点につきましては十分承知をいたしておるところでもございますし、この問題の県教育に及ぼす影響、児童、生徒に及ぼす心理的影響等も十分考えまして、慎重の上にも慎重を期した上に処分するのであります。二月中旬に発生いたしましたにもかかわらず、二カ月有余経過した四月十四日に初めて取締りを開始して検挙したというような実情になっておる点から考えましても、県警察本部長としましても、きわめて事務的に慎重に事を進めて参ったわけで、決して政治的に外部から圧力があり、そのためにそういう措置をとったということは全然ないということを一応御了承願いたいと思います。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 あなたは正面からそうおっしゃいますが、われわれも検察庁等へ行ってきまして、この問題は下からこういうふうに上へ行って、そして上からまた下に戻ってきた問題か、上からこうなってきた問題かということは、検察庁に行って十分調査団が調査してきて大体わかっているわけです。われわれも裏話は聞いておる。私がそういうことをこういう公開の席上では言えないので、言ってもその方に御迷惑でもあろうし、そういうことはしたくない。しかし、正面から言えば、あなたのようなそらぞらしい答弁しかできないと思う。また、それは当りまえだと思うのです。しかし、少くとも警察がほんとうに不倫不党に公平にやっていただかなければ何にもならない。こういうことで政治的に及ぼされては大へんなことになると思う。少くとも高教組が先にやれば、今度は小中もやらなくちやならない。そうすると、小学校の方に圧力をかけて、校長さんの許可を出させないようにする。そうすれば、小中の教組がどういうところに追い込まれてくるか、執行部のすでに威令が行われないところに、全員投票とか、一斎闘争の問題が起きてくるわけなんです。ですから、あなたのそういうそらぞらしい答弁では、ああそうですかと引き下るものではない。しかし要望を、やかましいことをおっしゃるから大がいにやめなければならぬと思うが、少くとも警察法の第二条に書いてあるようにしっかりして下さいよ。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) おっしやるまでもなく、私どもはしっかりしているつもりでございまして、警察が政治的に中立を守らなければならぬということ、警察のあり方が中立であることは、私を初め第一線の幹部諸君も十二分に承知をいたしております。その心がまえのもとに指導をいたしておるのでございまして、今回の事案について、事、警察に関する限りは、われわれ中央から第一線の方に圧力をかけて云々、また中央のわれわれが、政治的に政府なり、あるいは与党から圧力を受けて態度を決したということは、これは絶対にございませんので、その点は御安心を願いたいと思うのでございます。佐賀県の高教組、あるいは佐賀県教組に対して、警察以外の者から何らかの圧力があったかどうかは、私どものかかわり知るところではございませんので、その点に関しては、私はあえて言葉を差し控えさせていただきたいと思いますが、事、警察に関する限りは、先ほど来申します通り、決して外部の圧力によって態度をきめたというようなことはございませんし、また、今後もそういうことは絶対にないようにいたして参りたいと思いますので、どうぞ御了承をいただきたいと思います。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 まことにごりっぱな御答弁をいただきました。しかし、私は石井長官の御答弁をいただきますことで了承し、安心するものではありません。それは今までの実績、たとえば砂川に現われた例、今回の事例等を見れば決して安心はしておりません。しかし今後、りっぱな御答弁をいただきましたから、そういうことがないだろうという点について期待をして、よく私らも注意して行きたいと思いますから、十分一つ、検察ファシズムにならないように、あるいは警察と国家権力とが結びつくと完全なファシズムになるから、そういうことに陥らないように、一つ十分警察運営については御留意願いたいと思います。

本多市郎自由民主党

○委員長(本多市郎君) 他に御質疑はございませんか。……本件に対する質疑は、この程度で終了することとして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

本多市郎自由民主党

○委員長(本多市郎君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  次回は明十四日午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後三時十六分散会

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