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26回国会参議院1957/02/05

商工委員会 第2号

発言数
23
登壇者
9
会派数
2
開催日
1957/02/05

会議録

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) これより委員会を開きます。  本日は休会明け再開後初めて委員会を開くのでございますが、前回の委員会で決定いたしました委員派遣の件も、三班出張いたしましたが、滞りなく一月中に終りましたので、その御報告をお願いしようと思っております。しかし、順序といたしまして、ただいま通産大臣、政務次官が就任されましてお見えになっておりますし、衆議院における質問等の関係がございまして、本日はごあいさつだけにとどめて退席されたいというお考えでございますので、この際水田通産大臣からごあいさつをしていただくようにいたしたいと思います。

水田三喜男自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(水田三喜男君) それでは一言ごあいさつを申し上げます。今回新内閣の成立に際しまして、不肖私が通商産業大臣を拝命することになりました。  御承知のように、私はその方面の行政には全く未経験者でございますので、今後十分職責を果せるかどうか、みずから危ぶんでおる次第でございますが、要するに行政府なるものは、立法府によって認められ、きめられた方針を忠実に実行していけばいい、同時にその実行の仕方も、常に立法府により監督され、是正されていくということが正しいあり方であると存じておりますので、今後私の担当する部分に関する限り、重要な問題は常に当委員会に御報告し、また御相談を願って、そうしてこれでよろしいというようなことは勇敢に行政としてやっていくというふうにやっていきたいと存じます。  なお、今国会におきまして御審議を願うべき法案も非常に多数あるように予定しておりますので、どうか今後よろしく御叱正、御協力のほどお願いいたしたいと存じます。(拍手)

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) それでは政務次官に長谷川四郎君が御就任になりましたので、御紹介申し上げます。

長谷川四郎自由民主党通商産業政務次官

○政府委員(長谷川四郎君) 長谷川四郎でございます。私も大臣のおっしゃるように、長い間国会には来ておりますけれども、通商産業というようなこんな幅の広い面に携わって真剣に勉強したこともないのでございまして、この点皆様方の御協力を得まして、この自分の役員を果したいと、こう考えております。どうぞ今後とも皆様方のより以上の御協力を、切にお願い申し上げまして私のごあいさつにかえる次第でございます。(拍手)

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) ただいま宇田経済企画庁長官がお見えになりました。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(宇田耕一君) 御紹介をいただきました宇田耕一でございます。  私は国務大臣として経済企画庁とそれから科学技術庁、そうして科学技術庁の長官の関係で、原子力委員会の委員長を兼ねることになっておりますが、それぞれの関係個所から、いろいろの新しい計画に基きまして、法律案その他が御審議を願うことになっております。何と申しましても、新しい計画で、特に科学技術関係におきましては、従来自分たちに経験のない案件の御審議を願うことが非常に多いわけでありますので、その衝に当る者といたしましても、十分慎重に検討相いたしておりますけれども、なお未熟な点がずいぶん多いと思いますから、ぜひとも十分の御審議を経て、そうして万全を期すように配慮いたしたいと存じます。  どうか今後ともよろしくお願いいたします。(拍手)

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) それでは先ほど申しげましたように、これより派遣委員の御報告をお願いいたしたいと存じます。  第一班は西川、阿具根、大谷各委員、第二班が小幡、高橋、阿部名香員、第二班は藤田、平井各委員によって調査が行われました。順次その班を代表いたしまして御報告をお願いいたしたいと思います。

西川彌平治自由民主党

○西川彌平治君 それでは東海班の視察について簡単に御報告を申し上げます。  派遣委員は大谷贇雄君、阿具根登君と西川でございます。近藤信一君が現地参加で、愛知県下の視察に私たちと行を供にされました。  去る一月二十一日に東京を出発し、まず電源開発会社の秋葉発電所の建設工事現場及び昨年竣工した佐久間発電所を視察し、後名古屋に参り、中部電力本社で中部地区の電力事情等の説明を聴取し、名古屋木材の工場、日本ハード・ボードの建設現場、瀬戸地区の陶磁器工業、尾張一宮地区の毛織工業、豊和工業、四百市の大協石油製油所並びに昭和石油製油所の建設現場、中部電力の三市火力発電所等を順次視察し、その間名古屋で当面の中小企業問題に関する懇談会を開き、各界代表者の意見を聴取して、五百問の日程を終り、二十五日に帰京いたしました。  まず電力関係から申し上げます。秋葉発電所は、天龍川本流を利用し、佐久間発電所で負荷に応じて調整放流する川の流量を下流の遠州平野の海溝、治水に悪影響を与えないように正常な河川の流量に戻すことを目的とする、いわゆる逆調整発電所であって、佐久間発電計画の一環をなすものであります。従って秋葉発電所の完成によって、佐久間発電所の完全な利用ができるのであります。  去る昭和二十九年に着工し、工事費二百二十億円の予定で、すでに移転を要する家屋百五十五戸及び宅地、耕地、山林等の補償問題も大部分解決し、下流の秋葉第一発電所(出力四万五千三百キロワット)は本年十月に、また第二発電所(出力三万四千九百キロワット)は明年の三月に、それぞれ運転開始ができるよう目下工事が進められておりました。  佐久間発電所(出力三十五万キロワット)は、現在わが国最大の貯水池式発電所であり、去る昭和二十八年春に着工し、三カ年回の年月と、三百六十億円の巨額な工事費を、要して昨年五月末に完成し、電力不足の打開に寄与していますことは御承知の通りであります。  ここで発電されました電力は、冬期四ヵ月の間は東京、電力へ四〇%、中部電力へ六〇%の割合で、その他の期間は半々の割合で両社へ送電されており、両社の供給力不足を補なっている現状であります。  電源開発会社の永田理事を初め、関係者から建設経過等について種々説明を聞きましたが、佐久間発電所の今後の運営等に関連して、大要次のような意見が述べられました。  「現在の九電力心礼は、自社の管内の需給均衡を考え、自社のみの経済性を考慮して、その水火力の設備を運転している。従ってある地域では、設備の利用が経済的に行われている場合もあるが、隣の地域では、不経済な設備の利用を行わなければならない状態も生じ得る。しかしこのことは、独立採算制をとる私企業である電力会社の立場から見れば、きわめて無理からぬところであるから、全国的視野から電力需給の均衡をはかり、しかも経済性を保持するには、もっと広域的な立場から、電力供給を行い得る電源開発会社の電力を活用することが最も適当であり、また必要であろう。従来から各電力会社間で電力融通が行われているのでありますが、各地区ごとに独立採算制をとる私企業では、自社の電力不足を押して、すなわち自社の需用家に迷惑を及ぼしてまでも、他の地域への電力供給を考えることは容易でないと思われる。従ってこの解決は、全国を一丸として一地区の利害にとらわれずに、より高い見地からなすことが必要であります。そこで電源開発会社によって発電される電力は、一地域で局部的に消費されることなく、各地区の需給状況に応じて全国的に配分されることが最も望ましくもあり、国家的に経済的でもあります。從って佐久間発電所はもちろん他の大発電所の設計規模も、このような広域需給の観点から定められており、しかも、その発電所はいずれも多額の国家資金によって建設されているので承るからかような役割を果すには最も適しており、国策会社に課せられた使命である。また、電源の所在する河川の流量は地域により河川によって相当の違いがあり、貯水池の容量もまた異なっておる。従ってかように河川の流量あるいは貯水池規模等を異にする大発電所を総合的かつ経済的に運転するには、需用中心地を通って、これらの発電所を相互に連繋する超高圧送電線を建設し、運営することが必要となる。大発電所を超高圧の送電線で連繋しておけば、各発電所を単独に運転するときに起るであろう発電量の変動を小範囲におさめることが可能で、年間を通じて安定した電力を需用者に供給することができるのである。また、このような大貯水池式発電所を直接送電連絡することは、各地方の電力系統の事故、あるいは異常渇水等の場合における共通予備電源ともすることができ、全電気事業、ひいては全産業に与える効果は大きい。」という趣旨であります。  次に、中部地区の電力需要計画と電源開発計画について申し上げます。中部地区は工場の立地条件に恵まれて、紡績、化学、機械、金属等の諸産業の発展は著しく、電力需要も昨年まで全国一の高い増加率を示しております。従来この電力需要は、毎年約五億キロワット・アワーの増加となっておりましたが、三十年中ごろから、以前よりも活発な増加を示し、販売増加量は年十億キロワット・アワー、最大出力では約二十万キロワットの伸びでありまして、今後も十七ガキロワット程度は、毎年増加するものと考えられるのであります。  電源開発関係としては、需要の激増等で従来の開発計画のままでは、今後の需給の均衡をはかることが困難となってきましたので、緊急対策を講ずるとともに、長期的には水力、火力の組合せを適切にして、原価が最も低廉になるように計画を再検討したのであります。  緊急対策としては、工期を極端に短縮し、また、容量も大きいことが望ましいので、追加分は火力発電所によることとし、三重火力発電所に七万五十キロワット(三号機)一台を、来年に脚に合せるように手工しております。三十四年度には、新名古屋発電所の二号機(二十万キロワット)を完成する計画であります。また、水力発電所については火力との経済的組合せを検討して、開発の順位を定めておりました。  昭和三十五年度までに完成する水力発電所は、井川ほか五発電所で、その出力の合計は二十二万キロワットで、火力発電所は新名古屋発電所、三重火力の三号機も含めて六十三万キロワット、それに宮川第一発電所等よりの受電三十万キロワットを加えると、三十五年度末の設備は増強分水火力合計で百十五万キロワットとなり、既設の百七十六万キロワットに合せて二百九十  一万キロワットになる予定であります。かように電源の拡充と受電計画とに相待って、送電線、変電所の拡充整備をして供給の安定をはかり、一般設備については、稼働率の向上、電力損失の軽減に努め、長期安定をはかっております。なお、これらに要する資金は、本年から三十五年までの間に千三百八十億円を要するとのことで、この調達について極力努力するが、毎年の工事規模が三百億円程度となり、従来の百五十億ないし二百億円に比して相当の増額となるので、開銀資金等の財政投資も現状より大幅に増額されることを希望し、少くも毎年全国四百億円程度の財政投資を期待しておりました。中部地方は、石炭産地から最も距離が遠いので、石炭単価は輸送費がかさんで、全国平均よりも約二〇%商いので、極力効率のよい発電所を建設しておるが、今後の火力用燃料は増加するので、ふえた分の一部を重油に切りかえることを希望し、特に三重火力の三号機は、石油工場が隣接していて、地理的に好都合であるから、重油専焼として、建設費等の軽減をはかるために、目下関係方面に申請中とのことでありました。  次に、中小企業関係について申し上げます。瀬戸に参りまして、陶磁器工業を視察いたしました。一メーカーとしての形態を整備し、主として高級のディナー・セット類を大量生産をし、その製品の大部分を対米輸出に向けている三郷陶器を初め、ノベリティと称するきわめて手工芸的な輸出向きの人形等の置物玩具を製作している工場等を視察いたしました。陶磁器工業も、輸出向きを主体とする洋飲食器、ノベリティ、内需向きを主体とする和食器類等は、いずれも輸出の増加、内需の好調などから、全般的には生産も、出荷も活況を呈しておるため、好景気は全般的に波及しているように見受けられました。しかし、洋飲食器、ノベリティ部門では、輸出の好調が景気のささえになっておりますが、やはり安値輸出が問題となっており、また、生産輸出の増大によって、各企業間の競争が激しくなっていることも見逃しがたいところでありました。  尾張一宮では、渡玉も織工場等を視察いたしましたが、尾西毛織工業協同組合から、   一、中小企業向けの設備近代化の補助金は、企業者個々にでなく、協同組合三本にして貸し付けるようにしてもらいたい。   二、従業員の福利厚生施設として、寄宿舎等の建設費を主宅金融公庫から融資してもらいたい。この点は瀬戸でも同様の希望がありました。   三、海外における展示会等に人を派遣する場合に、県では助成金を出しているが、国からも助成金を出してほしい。  等の要望がありました。  この尾西の組合は、組織の強固なる組合で、組合員に対して、組合の保証で糸商への支払い等に充てるための融資を行なっており、また、組合員が、設備合理化のための織機の入れかえ、更新する場合の費用を組合が貸し付け、この場合、貸付資金は、商工中金中小企業金融公庫及び組合の取引銀行から組合が借り入れて、これに充てているのであります。  中小企業に関しては、陶磁器毛織関係を視察したにすぎませんが、中小企業対策の一つとして昨年の中小企業振興審議会の答申の趣旨に沿って、今後の国会に提出を予想されております中小企業組織法案等に関する現地の意見を聴取することも、今回の視察の目的の一つでありましたので、名古屋商工会議所で各界の代表者の参集を願い、この問題を中心に懇談会を開催いたしました。この組織化の問題は、中小企業とって今年最大の課題でありますので、非常な関心をもって法案の成否を案じておりました。中小企業の地位が不安定なのは、大企業と経済的に太刀打ちができない。これに対抗するには組織化、団結を強固にして大企業と公正な競争ができるようにするほかには道がない小企業の宿命でもある過当競争の防止、価格の安定等についても、組織の強化によって解決をはかりたいために、強力な組織法の成立を待望する声が聞かれました。ただ、陶磁器業界は、零細企業が多く、資本力も薄弱であるために、過当な内部競争を起し、業界の健全な発進を阻害する一因ともなっているので、業界の安定と発展のために、輸出陶磁器工業安定法という単独法の制定を要請しておりましに。その他、中小企業関係政府金融機関に対する資金源の増強、中小企業信用保険制度の強化に関する要望も多く述べられたのであります。  次に、その他の産業について申し上げます。  紡織機メーカーである豊和工業を視察いたしました。ここでは現在国内繊維機械設備の整備拡充が一段落を告げ、さらに繊維工業設備臨時措置法が施行され、精紡機の新増設は停止され、わずかに更新による入れかえが認められるにすぎないので、国内需要は減少してくるために、輸出に重点を置いて生産を行なっているのであります。従って繊維機械設備の更新を奨励する方策の樹立並びに輸出振興に関する強力な施策の樹立を望んでおりました。  ハード・ボード工業は、比較的新しい産業で、木材をこまかい木片にし、合成樹脂を加え、熱と圧力で厚手な板にしたもの、これはチップ・ボードといっております、と、木材をパルプにしさらに加工して板にするもの、これをファイバー・ボードといっております、等の種類がありますが、ともに硬質の板で、建築材料や家具等に使用されております。私たちが視察いたしました名古屋木材は、チップ・ボードを生産しており、日本ハード・ボートの方は、ファイバー・ボードを生権する計画で、目下工場を建設中であり、近く機械の輸入を終り、五月から操業の予定でありました。このハード・ボードは、木材の合理的利用の面で大いに貢献しているわけで、今日まで各民間企業が努力してきたところでありますが、最近東北興業がこのハード・ボードを生産する計画があるとのことであるが、もし、それが実現したならば競争が一そう激しくなるものと心配いたしておりました。  最後に、石油国係及び四百市関係について申し上げます。四百市の大協石油製油所は、アラビア原油を輸入し、その精製に当っており、現在の原油処理能力は、日産一万二千バーレルであります。大部分の石油精製会社が何らかの形で外国会社と提携しておりますが、ここは、将来の問題は別として、現在は、資本、技術の面で外国と提携せずに民族資本のみで経営していることが特徴でありましょう。昭和石油は、旧海軍燃料廠の一部の土地の払い下げを受けて、目下原油処理能力日産四万バーレルの製油所を建設中であります。四日市港を中心に理想的立地条件によって化学工場が建設され、すでに大協石油、石原産業、三菱化成、モンサント化成、東海硫安を初めとし、今昭和石油が建設中であり、近く三菱油化が建設される予定で、一大総合化学工業地帯となっております。従って県並びに市当局は港湾の改修、整備、工業用水の整備、産業道路の建設、鉄道施設の拡充等、工業立地条件の整備改善に関し、非常な熱意を示しており、四日市市の飛躍的発展に関し、種々国会の援助を要請されたのであります。  最後に、今回の視察に当りまして、現地における通産局並びに関係会社その他の関係の方々の非常に熱心なる御配慮を得て、便宜を供せられましたことを、ここに深く感謝いたしまして私の報告を終ります。   —————————————

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) ありがとうございました。  なお、ただいま皆さん御承知の新任経済企画政務次官の井村徳二さんがお見えになっております。

井村徳二自由民主党経済企画政務次官

○政府委員(井村徳二君) 簡単にごあいさつさしていただきます。  今回はからずもきわめて重要なポストであります企画庁政務次官を拝命いたしました井村でございまして、よろしくお願いいたします。  突然の拝命でございましてきわめて不用意でございますが、一生懸命に勉強させていただきまして、各位の御期待に沿いたいと思います。  最後に、委員会は平素非常に親しみの多い方々で構成される委員会でございまして、今日まで賜わりましたより以上の一つお引き引き回しを賜わりたいと、あわせてお願い申し上げまして、簡単でございますがごあいさつにかえる次第であります。(拍手)   —————————————

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) それでは第二班、引き続いで御報告願います。

小幡治和自由民主党

○小幡治和君 それではこれより近畿班の視察報告を簡単に申し上げます。  派遣議員は阿部竹松、高橋衛の両君と私の三名でございましたが、神戸及び大阪の一部では松澤委員長が参加されました。  日程は一月二十三日東京湾、大阪、神戸、大津及び京都の産業貿易事情を順次視察して、二十八口帰京いたしました。視察個所は関西電力尼ヶ崎第二火力発電所、大阪ソーダを中心とする尼ヶ崎の工場地帯陥没状況、神戸の阪東調帯ゴム工業、新三菱重工神戸造船所、神戸製鋼所本社工場、神戸市長田区の公設、私設市場、大阪の通産省輸出工業品検査所、スケーター万年工場、島野工業の自転車部品工場、鈴蘭ミシン製造工場、十津市の東洋レーヨン滋賀工場、それから京都の西陣織物会館及び西陣の零細織物工場、清水の藤平陶器有限限会社等であります。これらの視察に当っては、それぞれの個所で説明を聞き、種々質問を試みましたが、中・小企業に関しては、特に神戸、大阪、京都でそれぞれの府県の主催で中小企業者との懇談会を開いていただき、業界の代表的地位にある数十名の方々と意見を交換して参りました。  今回の視察は関西の産業貿易の実情をつぶさに見てわが国経済の発展のためにとるべき方策を考えることにありましたが、第二十六国会の休会開けを控えまして話題の中心は予算案と法律案に毛として集中いたしたのであります。従ってこの報告もそれを中心にすべきでありますが、その前に全体としての感想を申し上げたいと思いまする  まず第一に、現在の関西財界は、旅行者の目にも、いわゆる神武以来の好景気の影響を受けてきわめて好調に推移しているということであります。しかし、この好景気にも階層がありまして、一分間に一万円ずつもうかるという東洋レーヨンのごとき大企業に比較いたしますと、中小企業、特に零細企業の受けた景気の恩恵はすこぶる小さなものであったようであります。小売商の中には、神代景気の好影響はないというものもあり、京都西陣の一角には経験三十年の熟練工が月収一万五千円で働いていたり、長尾の奥に半分地下に繊機を埋めて一日十五、六時間も働きながら、繊賃はわずかに三、四百円にしか当らないという主婦や娘さんがいるのであります。しかし、これらもおそらく数年前よりも景気がよいことは事実であり、下請業者なども支払遅延防止法のおかげもありましてか、最近芝払いが実によくなったと申しております。そこで中小企業が大企業並みの生応力なり好景気なりを受け得るようにするにはどうしたらいいか、それが中小企業一般の希望でありましてそういう意味で私どもはいわゆる中小企業組織法案とか中小企業振興助成法案をぜひ成立させてほしい、また中小公庫並びに商工中金の資金源増加に努力を望むという要望を多く聞かせられたのであります。同じ中小企業でも小売商では業者周の過度の競争があり、ことに小売市場の乱立には地方庁なども非常に心配しておりまして、小売商振興法案に期待をかけておるように見受けられました。  第二には、この好景気の中に鉄鋼、石炭、電力等の原材料動力に不足が現われてきておることであります。関西では幸いに今まで電力の使用制限を実施するまでには至っておらないのでありますが、それでも濁水のために火力をフルに稼働させて休電日設定など対策に腐心しておる状態であります。ところが、肝心の石炭の着荷は、いつも予定よりおくれがちで、貯炭が激次減少していくという心配があるようであります。関西電力では現在大いに水火力とも増設を急いでおりますが、その結果はやがて水主火従の発電政策を火主水従に切りかえていくとのことでありました。そうなれば石炭の需要も安定するので、供給する炭鉱側も電力用炭に特に力を注ぐようになると思います。しかし、もしこれが現在のように渇水とあわせて電力需要の異常なる膨張の時期であるために考えられただけで、やがて豊水の年には依然として水主火従にならぬとも言えませんので、それだけに石炭生産の安定をも考えて、電力、重油等と関連して総合的にエネルギー対策の樹立が必要であると痛感された次第であります。  鉄鋼不足に対しましては、私どもの視察した工場では、幸いにまだそれほど痛切なものとはなっておりませんでしたが、それでも新三菱重工でさえ、造船以外の鋼材は全部建値で入手できるとは言えず、その半分は市価で購入、せざるを得ない状態で、鉄鋼需給安定法、案の成り行きには大きな関心を寄せておりました。  このような動力資材の充実、いわば産業基盤の育成強化ということを痛感した次第であります。ところが、尼ケ崎や大阪では、工場の地盤そのものが沈トしていくという問題があります。工業用水を地下水に頼っておりましたために、地面が年々沈下して高潮を防ぐ堤防を高くしていかなければならぬのであります。対策として現地では工業用水法に感謝するとともに、鉱工業地帯整備法案に大いに期待いたしておりました。  第三に、わが国の産業界は今や大きな変にの時期に際会しておるということであります。関西電力では尼崎火力よりもはるかに能率のよい多奈川火力を新設し、十年先の日本のエネルギー資源を考えて、原子力発電に大きな熱意を示しております。東洋レーヨンはレーヨンからナイロンヘ、さらにテリレンヘと触手を伸ばして人造繊維工業の発展をはかっております。阪東ゴムはビニール工場へ大きく進出し、新三菱重工では、新船の建造に当り船台にある期間を半分に短縮し、また、神戸製鋼所では線材装置にスエーデン、米国、ドイツ等の最新設備を輸入して高能率化した実情を見て参りました。設備の更新、近代化に飛躍的進歩を遂げなければ、国際競争の落伍者になる危険があり、日本が商工立国で行こうとする以上当然のことであります。  税制問題で各種の議論が出ました中で、東洋レーヨンを初め各会社で機械の耐用年数が長いのは、この日進月歩の産業界の実情に沿わないものだとの意見が多かったのも、この点を強く見たからだと存じます。  このような進歩の中に中小企業の世界では、十年一日のごとく古い型を守っておるのが多いのでありまして、この点に大きな問題があり、中小企業の振興助成法案の成立を希望するのもうなずけるわけであります。それと能率化という意味で今一つ官庁事務、ことに通商関係事務の簡素化、認許可事務の出先官庁への権限委表の問題がありました。  さて次に、予算案、法律案に関連する諸問題で、前と多少ダブリますが、まず最初は先国会を通過しました工業用水法及び今国会で問題になると思われますところの鉱工業地帯整備についてであります。  尼ケ崎には関西電力の第一、第二発電所があり両者の出力は、六十万キロワットをこえる大発電所でありますが、この発電所は丈余の頑丈なコンクリートの塀に囲まれています。この地帯一帯が地面沈下のため高潮のおそれがあるからであります。大阪ソーダ会社には地面沈下状況を示す標柱がありましたが、昭和十四年から約二メートル余も地面が沈下し、この地帯は年々平均八・九センチぐらいずつ沈下しており、また、尼ケ崎の対岸には大谷重工が煙突だけ残して水没した跡が見えて居ります。沈下の原因にはいろいろあるでしょうが、地下水を汲み上げることが主要なる原因と見られ、この対策として、尼ケ崎市では、先国会通過の工業用水法による国庫補助を得て月下工業用水道の建設に努力しております。この地帯が工業の立地条件に好適であることは申すまでもなく、その好適地が漸次水没していくことはゆゆしき問題で、従って工業用水法に対し、現地では大いに感謝しているとともに、さらに神戸、大阪においても鉱工業地帯整備のため、できれば立法によって道路、港湾等が整備されてゆくことに大きな期待を寄せて居りました。  次は、鉄鋼需給、安定の問題ですが、鉄鋼と石炭が関西地区で一般に不足していることは、今後の日本経済の躍進に一つの暗影を投げているようでありまして、新三菱重工でさえも、建値で入手できるのは船舶建造用だけで、陸上諸機械の鋼材は建値で半分、市価で半分受入れている由であります。下請業者はほとんど建値で入手できないので、その点に不満がありました。今後日本は機械工業の発展によって、設備の更新、近代化に進まねばならず、オートメーションを取り入れることも必然の勢であるから、それだけ鉄鋼の需給と価格には留意する必要があり、時機を失しないよう措置されたいとのことでありました。  次に、輸出品取締法については、神戸の貿易会で、その強化が要望されて居りましたが、大阪で検査所を拝見し、万年筆工場を見ますと、わが国では安い物であるがために輸出が伸びる、従って安物の輸出を全面的に禁止する方が果してよいのかどうかには、疑問を持たされました。しかし、これは検査そのものをずさんにしてよいというのではありません。また、船積の関係から、検査はどうしても月末に殺到しがちで、少い検査員では手が回りかねるようでありますから、この点も何とか考慮しなければならぬと存じます。北京の見本市で不良品が出たことには、この船積についての粗漏もあり、また、先方が安物を要求してきたことも一因で、今後大いに研究を百要する問題と思いました。  貿易に関連して、神戸税関の事務輻輳の状況も視察しましたが、一般に貿易手続の簡素化が強く要望されており、特に神戸通商事務所に大幅に権限委譲をしてもらいたいとのことでありました。  今回の視察で、最も問題になったのは、中小企業関係の問題であります。さきにも申しました通り、三ケ所で懇談会を開き、工場や小売市場も視察しました。  いわゆる中小企業組織法案については、何はともあれ本法案は成立させてほしいというのが大多数の声でありました。業者の自主的組織だけでは、アウト・サイダーがいて生産の調節も、価格の安定も望めないから、これを適切に規制できるようにしてほしいというのであります。これは三つの懇談会を通じてほとんど共通の声であったと申して差しつかえなく、また、このアウト・サイダー規制については、大阪のミシン工場を視察した際にも、調整組合の効果は、かなり認められるようでありました。下請業者としては、本法案によって親会社に対する発言権が強くなることを期待していました。ただ、団体交渉という文字は、どぎついから、「取引上の共同交渉」という文字位ではどうかとの意見もありました。  しかし、組織法に対し、批判的な声も皆無ではなく、大阪ではある協同組合の理事長が中小企業に必要なことは合理化で、協同組合こそ合理化を推進する機関であり、新たに作ろうとする商工業組合では、合理化はできない。組織法案のごとき制度いぢりは危険で、協同組合の重要性を忘れてはいないか、と心配しておりました。そして協同組合強化のためには、商工中金こそ最も弧化すべき金融機関である、とも言っておりました。しかし、大多数は組織法を成立させてほしいと言う声であります。  組織法に次いで多く聞かれた意見は、小売商振興法案であります。これはもちろん、商業者の声でありますが、消費生活協同組合、購買会等の脅威を緩和すること、登録制による同業者過多の抑制、百貨店の月賦販売禁止、小売市場の設立規制等を期待しているようで、あります。  小売市場については、神戸で現状を視察しましたが、きわめて接近した地域に乱設して、とも倒れになった例もあり、また、現存の市場の隣りに設立することにして既存の市場に対し新市場中止を条件に何ほどかの金銭を強要して失敗したというような例もあったようであります。現在、確かに小売商には乱立、過度競争の弊害が顕著となって、児や市の当局は非常に頭を悩ましているようであります。  中小企業振興助成法案については、格別の意見もありませんでしたが、中小企業対策の予算と関連して当初近代化補助金と全く削ったごとき、はなはだ不当であるとか、近代化のための設備金融を低利長期にせよとか、地方の試験研究機関を活用せよとか、機械の償却につき耐用年限を大幅に短縮せよとかの意見でありました。機械の償却については、大工場も全く同様でありまして、東洋レーヨンのごときも、現在の日進月歩の世に、二十余年も使用に耐える機械はほとんどなく、僅々五年位で更新していかなければ、世界の進歩におくれてしまうと印しておりました。  金融については、信用保険法を改正して地方の信用保証協会に国庫の助成を望む声もありましたが、立法問題よりはむしろ財政投融資により政府の中小企業金融機関の資金の増加を希望する者が多く、その中でさきに述べましたように、商工中金の拡充を強く希望する者もありました。  税法の改正については、所得税の減税は、サラリーマンだけのもので、中小企業者に無関係であると言う者もあり、また、自然増収と政府が期待しているのは苛酷な徴税になる危険がありはしないかと心配するものもありましたが、概して、より強度の減税を希望する声が多く、中には減税を思い切って実行すれば、それだけで何らの中小企業助成策も不要と言う者もありました。  企業組合を特別法人とすること、小法人の減税とさらに強化すること、小法人の範囲を所得五百万円まで拡張すること等が税と関連して主張されておりました。  次に、労働関係については、中小企業者が団体交渉に当って、不なれのために生ずる摩擦について訴える者もありましたが、主として、中小企業に適する労働左準法の制定、ことに季節的繁閑に応じ得るような法制を望む声がかなり聞かれました。なお、京都で技能者養成予算を削ったことに不満が訴えられたことなど、注目すべきものと存じます。  なお、中小企業の問題として、京都府当局から中小企業対策が主として地方庁の施策にまかせられ、その地方庁が赤字に悩んでいて、十分な施策を行い得ないと訴えていた点は、大いに考慮すべき点かと存じます。  以上で一応報告を終りますが、さらに詳細な点については入手した資料など調査室に取りそろえてありますから、ごらんのほどをお願いします。なお、今回の派遣に際し間に日曜がはさまったにも拘らず現地の通産局、府県商工部、業界各位から少からぬ御便宜を賜わりましたことは、感謝にたえません、ここに謝意を表してこの報告を終ります。

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) どうもありがとうございました。第三班でございますが、白井君。

白井勇自由民主党

○白井勇君 中国班の視察報告を簡単に申し上げます。  派遣委員は藤田進君、相馬助治君の両君と私の三名の予定でありましたが、相馬委員が出発当日、急病のために御参加できなかったことは非常に残念に思っております。  日程は一月十日の夜、東京を出まして、広島県、山口県の産業事情を順次視察をいたしまして、十六日の朝帰京いたしました。訪問先は中国電力本社、広島通産局、万国製針、セーラー万年筆、壷万鑢、広島県鑢工業協同組合、日石精製下松製油所、日本精蝋徳山工場、出光興産徳山建設部、中電小町田火力発電所、新宇部火力予定地、宇部興産、小野田市周辺の鉱害地帯及び電源開発株式会社の調査河川となっております江川等でございます。これらの個所でそれぞれ説明を聞くとともに種々質問をいたしたのでありますが、特に中小企業の問題につきましては広島通産局で、また、中小炭鉱問題につきましては宇部興産本社において懇談会を開きまして、業界の代表者の方々と意見を交換いたしました。また、電力問題につきましては各地で、鉱害問題については小野田市におきまして、地元民及び関係者から熱心な陳情があった次第であります。  それでは視察の順序とは前後いたしますが、問題を大きく分けまして電力の問題、石炭、石油、中小企業の諸問題につきまして、順次現地の事情を御報告いたしたいと存じます。  まず、電力の問題でありますが、全国的に見て、最近の電力事情は産業界の活況により、需用の伸びが大きいため供給力が不足し、開発が需用を追いかけているといった傾向が著しいのでありますが、幸い中国電力におきましては、電源開発の進度が他の地方より進んでおりましたため、この冬場は他の地区に見られるような極端な電力不足に見舞われるようなことがなく、需給のバランスを維持できる見通しのようでございます。しかしながら、中国地方は、気候が温暖で天然の良港に恵まれ、水陸の交通の最もよい工業発展の必然性を持った地方でありますので、鉱工業生産の上昇速度も、他の地方に比べまして著しく、電力需用の伸びも最近の実績から見て、全国平均を相当上回っておる状態であります。特に化学繊維、ソーダ、セメント等、これからの発展速度の大きいと思われる電力消費産業が多く、さらに国鉄の山陽線電化計画等もありますので、今後の電力需用は著増が見込まれ、生産が現在のテンポで上昇を続けた場合におきましては、明年度以降には相当深刻な電力の需給逼迫を来たすものと予想されるのであります。従いましてこれをまかなうため、電力供給力の半期増大をはかることが焦眉の急になっておりまして、この際、どうして低コストの電力を確保するかが、大きな課題となっているのであります。この目的を達成するためには、経済的に開発ができまする電源開発工事を速急に着工すること、巨額の建設資金を低利でまかなうため国家資金を導入すること、また新鋭火力の比重の特に重くなっておりまする中国地方におきましては、これに伴いまする燃料確保の問題等、多くの問題があるのでありまして、この中には政治的解決に待たなければならない問題が、幾多残されているのであります。  中国地方の電力需用を過去の実績で見ますると、年々一〇%以上の伸びを示しておりまして、常に全国平均を上回っているのであります。特に今年度は産業界の好況によりまして、需用の増加率は一七%をこえ、来年度もほぼ同程度の増加が見込まれているのであります。三十一年度を初年度といたしまする中国地区電力増強五カ年計画によりますると、最終年度の昭和三十五年度の需要想定は四十六億キロワット・アワーで、昭和三十年度の実績に比べまして、五カ年問に実に七〇%の伸びが予想されるのであります。この急激な需用の伸びに対処いたしまして、これをまかなう供給力といたしましては、中国電力といたしましては、現有の発電設備八十七万キロワット、水力五三%、火力四七%でありますが、これに加えまして三十五年度末までに水力二十万キロワット、火力二十五万キロワット、合せまして四十五万キロワットを増強する予定でおりまするが、これをもっていたしましても、大幅な需用増加はまかない切れないのでありまして、同社においては、また同地方の需用家も、電源開発株式会社の江川水系の早期開発によりまする江川発電所の三十五年度中の完成を強く期待をいたしているのであります。  江川発電所と申しまするのは、電発の計画によりますと、最大出力が九万二千キロワット、年間発生電力量三億キロワット・アワーと予定され、完成の暁には、中国地方最大の水力発電所となるものであります。中電策定の五カ年計画によりますると、ただいま申しました通りに、開発計画が順調に進展をいたしました場合には、三十二年度、三十三年度の約二億キロワット・アワーの電力不足も、三十五年度に至りまして江川の発電開始によりまして、需給を再びバランスさせることができるとなっているのであります。この目標を達成させるに当りまして、二つの大きな難関がありまして、この一つは水力の面におきまして、電発の江川開発が鉄道新設と一般補償問題で難航をいたしておりまして、いまだに開発準備地点としての指定がない。従いまして着工の見通しがつかないということと、もう一つは、火力の血におきまして燃料用炭確保の点で、先行きが非常に不安であるという点であります。特に第一の江川開発の促進問題につきましては、このたびの視察先の宇部興産を初めといたしまして、ソーダ、紡績、機械等の各電力需用者団体からなる協議会からも、特に要望があった次第であります。江川が早期に開発されないと、今後の中国地方の電力事情は非常に悪化をいたしまして、同地方の産業発展にゆゆしい影響をもたらすものとしまして、各地で陳情があったのであります。現地の産業界が江川開発を切望いたします理由といたしましては、需給面よりいたしまする必要性のほか、江川地点の発電所建設費が比較的割安であり、特に電発建設資金の大半が国家資金で金利が安く、現在最も電力料金の高い中国地方の産業界といたしましては、低コストの電力確保の意味からも、電発によりまする江川開発を望んでいるように見受けられたのであります。  このように電力業界、産業界の熱望をいたしておりまする江川開発が、いまだに着手の見通しがつかない理由は、高梨というところに築造を計画されておりまする堤高八十六メートルのものでありまするが、そのダムによりまする水没地域が広範な区域にわたりまして、水没いたしまする家屋が約七百二十六戸に及ぶ上、さらに大きな問題といたしましては、国鉄三江線の新設と設計変更の問題があるのであります。三江線と申しまするのは、広島県の三次と島根県の江津という両地区を結びまするものでありまして、現在工事中の山陰、山陽を結びまする最短の線であります。これが貫通ということは、地元民の長い間の念願であったのであります。この三江線の予定路線が江川筋の渓谷に沿って計画されておりまするため、高梨に大きなダムが築造されまする場合には、計画路線の相当な部分が水没をするということになるのであります。三江線の敷設計画には、今年度分といたしまして約三億円の工事費の予算が計上されておりまして、式敷・口羽村江平間は現在工事が進められておるのであります。  この三江線水没問題と、水没家屋及び田畑、森林等の補償を、めぐりまして、地元ではダム建設に賛成派と反対派の意見が分れておると聞きましたので、現地の実情を私たちは一月十五日に調査をいたしたのであります。島根県の邑智郡都賀行村のダム工事地点まで実地調査をいたしました。両者の意見を要約して申し上げますというと、次のようなことになります。  まず、賛成派の論拠といたしましては「江川沿岸の立地条件を見ると、将来、この地では満足できるような経済生活を営むことができない。よって国家目的たる電源開発に進んで協力し、適当な代外地の補償を受けて集団移住した方が得策である。三江線は、予定路線を若干変更すれば高梨ダム建設と両立できる。」これが賛成派の言い分であります。次に、反対派の論拠といたしましては、「水没家世が千戸に近く、これだけの移転は困難であり、町村寺の自治体は水没により寸断され、自治体は完全に麻痺して崩壊する。三江線を標目百五十メートル以上のところにつけかえれば、ダムと両立するという考え方もあるが、これでは山陰山陽連絡の最短路線としての経済価値を喪失する。」これが反対派の言い分であります。  中国地方の産業開発のために、江川電源開発早期実現の必要性は、私ども各地の産業を見て痛感をしてきたのでありますが、江川筋の住民及び高根、広島町県民の三江線の貫通の希望も数十年来のものであります。この希望を達成せしめつつ、かつ電源開発を進めまする必要があり、また、種々の資料、情報等を検討いたしました結果におきましても、その可能性があるものと認められた次第であります。中国地方の産業界では、おそくもこの四月に開かれます電源開発調整審議会におきまして、電発の開発準備地点に指定を受けますることは望んでいるのでありますが、三江線予定路線の一部は、現在も工事が進行中でありますので、大局的な国家政策の見地から、大至急両者の調整をはかりまして、江川早期開発の実現をはかることが必要であろうと考えられた次第であります。  次に、石炭の問題でございますが、石炭につきましては、通産局の宇部石炭支局で説明を聞き、宇部興産の沖ノ山炭坑を視察の後、本社におきまして中小炭鉱業者と懇談会を行い、小野田市の鉱害地を視察して参りました。山口県の宇部炭田は、その埋蔵量の九割以上が海底に賦存しておりまして中火部では宇部興産が海底鉱脈を大規模に採炭しております。中小炭坑は陸上をやっているところが多いのでありますが、陸上は片から採掘されておりまするために、現在稼行印の炭坑は、そのほとんどが残炭採掘を行なっているにすぎず、数年後には終掘になるところが大部分であると考えられるわけであります。  当地区の出炭状況は昭和三十一年において、有煙炭二百三十万トン、無煙炭七十九万トンで、合計三百十万トン、前年に比べて二十万トン程度の増産となりました。石炭生産量は全国の八%くらいでありまするが、無煙炭の出炭量が全国の五、六〇%を占めているのが当炭田の一つの特色でありまして、家庭用の宇部煉炭、豆炭は全国的に販路を持っておるのであります。  当地の炭況も一般的好況の波に乗って、きわめて活況を呈しており、ことに、私ども一行が訪れましたころは、中国地方は百日近くも雨が降らないという異常渇水の時期で、火力用炭需要に応じ切れないといった状態でありました。しかしながら、中国電力の火力用炭需要は、豊水期、渇水期によって大へん不安定で、昨年の四月と十二月と比べますと、四千トンと十一万トンといった大きな開きがあり、このように月々に浮動があっては生産調整ができないから、火力発電所に大規模の貯炭場を設ける等、豊水期にも平均した発注を受けられるような措置がほしいとの要望がありました。当地区の石炭は低品位炭、微粉炭が多く、運賃の比率が高くなって遠隔地へ送れないので、地元山口県で七〇%を消費している実情でありまするので、ために特に地元の火力用炭に安定した需要を期待する声が強いように見受けられました。  山口炭田で現在稼働中の有煙炭関係の中小炭坑は三十六ありまして、海底での採炭は三八%、陸上六二%となっておりますが、陸上では残炭掘り程度なので、今後の発展は望めない状況であります。そこで海底へ出なければならないわけでありますが、海底に進出するには、膨大な設備資金が要るのでありまして、中小炭坑ではまかない切れないため、政府の資金援助を仰ぎたいとの希望がありました。また、海底炭田の埋蔵量等の調査、探鉱も、私企業の経済ベースでは困難なので、国の手で調査を、行う等、抜本的対策を望む声もあったのであります。  さらに当地百区にはパルプ業者が多く、木材の大口買い占めが行われるため、坑木の値上りが激しく、炭坑川資材としては、坑木の入手困難が大きな隘路になっておるのでありまして、坑木確保につきましての措置も特に配慮してもらいたいという希望があったのであります。  次に、鉱害地の状況でありまするが、山口県下の陸上炭田は鉱脈の深度が浅いため、鉱上は全地域に分散をいたしておりまして、特に小野田市周辺におきましては、田畑の浸水、家屋の倒壊が著しく現われております。地の鉱害復旧実績は、昭和三十年末までで六億六千万円で、全国比の約五%に当っており、他はすべて九州となっております。最近の地方公共団体、団体の財政逼迫は、当然鉱害復旧事業にも影響をもたらしておりまして、特に山口県は三十一年より地方財政再建整備法の適用県となりましたため、国の補助額に見合う県のそれさえも予算化が困難となっておりまして、これらの状態からいたしまして、復旧工事も法律制定当時の計画を下回らざるを得ない状態となっておるのであります。現地においては、小野田市関係の方々から陳情があり、国の強力な財政措置と、現行鉱害関係法規の改正により、復旧事業の遂行が可能になるような対策を望むという要望がありました。  小野田市議会は、昨年十二月、鉱害関係法規の改正につきまして十項百日にわたりまして決議を行なっておりまするが、そのうちおもなものをあげますと、   一、鉱害認定及び紛争調停のための強力公正な機関の設置を望む。   二、加害者不明の鉱害及び資力喪失炭坑の加えた鉱害の国庫負担による解決。   三、臨鉱法によりまする復旧対象に家屋と墓地を加えること。   四、鉱害賠償引当金制度の創設及びこれを課税対象より除外する税制上の特別措置。  その他六項目でありますが、今国会に鉱害関係の改正法案が上程されることと思われますので、その際十分検討いたしたいと思うのであります。  次に、石油についてであります。日石精製下松製油所、日本精蝋徳山工場を視察いたしました後、旧徳山燃料廠跡の払い下げを受けて現在出光興産が製油所建設工事を行なっております現場を見て参ったのでありますが、石油業界もタンカー・レートの高騰、揮発油税引き上げ、スーパー・タンカーの出現によります港湾整備の問題等、種々問題をかかえておるのでありまするが、日の当ならい中小企業地帯を視察いたしました直後に石油工場を訪問しただけに、代表的近代産業としての石油精製業に働きまする従業員の恵まれた雇用条件、労働環境等が印象的に残って参りました。  当地区の問題といたしましては、旧徳山燃料廠に付属いたしておりました  大浦油槽所の一部敷地約八万三千坪の払下げをめぐりまして、出光興産と昭和石油糸の日本精蝋の間に競願の問題があります。大浦油槽所はかつて海軍が燃料廠を運営いたしておりましたころ、旧徳山燃料廠の関連設備として扱われていたのでありますが、出光興産といたしましては、二十九年にすでに中国財務局より大浦のタンクと土地の一部使用を許可されております上、三十年夏には燃料廠跡十二万坪を公式に払い下げを受けた関係から、当然出光興産に払い下げられるものと期待せられておったようであります。そこへ大浦付近に工場を持っております日本精蝋が精製工場新設の計画を持って同油槽所の払い下げを申請したために、競願の形となったわけであります。現地におきましては、両者の立場よりそれぞれ説明を聞いて参りましたが、この問題は現在国有財産中国地方審議会にかかっておりまして、経過についての報告は以上にとどめたいと思いま  ただ、この種の問題につきましては、単に一地方の問題として取り上げるべきものではなく、国家的見地よりする百石油政策、石油化学育成策等の立場から慎重に検討をしなければならないものであろうという感じを受けて参ったのであります。  最後に、中小企業問題でありますが、中国地方には中小企業は全産業で約二十六万ありまして、製造業約一割五分、商業が五割、サービス業二割五分となっております。当地方の中小企業事情は、一般的好況が漸次中小企業にも波及しつつありまして、特に最近京阪地帯におきまする造船の下請の関係が手一ぱいとなりまして、漸次当地方の造船所の下請業者が繁盛して参っておりまして造船ブームの影響で下請企業というものは、かなりの活況を呈しているように見受けられました。一面、特産企業であります縫針、やすり等は現在は活況でありましても、長期的に見れば、いわゆる斜陽産業とでもいいましょうか、業種転換を行なっている向きも多いというお話があったのであります。戦災都市におきましては流通部門の零細企業に多くの人口が吸収されていくのが特長でありますが、全国的に見まして、小売商の数は人口五十六人に一人という数字に対しまして当地方の広島におきましては四十人に一人の小売業者を持っておるということで、原爆都市広島の生態の一面が見られるように思ったのであります。広島県におきましては、通産局で中小企業関係機関の方々と懇談を行なったのでありますが、その後、万国製針、セーラー万年筆、壺万鑢の各工場、二工業協同組合の共同施設等を逐次視察いたしました。  懇談会を通じて受けました印象は、いわゆる中小企業問題と申しますると、従来金融問題が中心となっておりましたものが、漸次最近におきましてはその重点が税制、さらに経営、組織の問題に移行してきているという点であります。懇談会の席におきましては、中小企業の組織の強化につきまして法的措置を要望する意見が強く出ておりました。すなわち他の階層の人たちというものは、あるいは資本の力、あるいは労働組合、あるいは農業協同組合のような組織の力、法の保護を受けているのに、中小企業は何らの自衛手段を持っていない。何もかも国の保護を受けようというのではないが、せめて中小企業も他の階層並みと同じレベルに立たせて競争をさせてもらいたい、こういう主張であります。その他、金融問題に関しましては、資金量の増大、貸出金利の引き下げ、保証料の引き下げ等につきまして、さらにまた、設備の近代化、企業診断等の問題に関しまして清澄な意見やら要望があったのであります。  以上が視察先の概要でありまするが、なお、このたびの視察に当りましては、広島通産局、県南工部、関係各社の皆様から種々御便宜を賜わりましたし、おかげさまをもちまして、の目的を達して帰ることができました。ここに関係各位に厚く御礼申し上げまして報告を終ります。

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) ありがとうございました。  以上で派遣委員の報告を終りますが、御質問がございましたら……。

藤田進日本社会党

○藤田進君 私どもただいま白井委員から報告されたように、委員会の決議を通じて調査を進めましたが、さらに他の班の報告もあり、種々国政運営に関する質疑があるわけであります。本日のところ衆議院の施政方針演説に対して質疑が続けられていて、事実上困難であるようでありますから、機会をあらためてお願いいたしたいのでありますが、特に私どもの班に関する調査について申し上げますと、かなり国政のそごを来たして、ことに、電源開発に関連して猶予を許さない事態も出てきております。これにはいろいろな意味で不明朗な一部の動きもあるようであります。議会としてただすべきはただし、国政の円滑な運営を期待しなければならぬと思うわけでありまして、私これから申し上げる方々について、ぜひ委員会の出席を願ってただしたいと思います。その日程等については、いずれ理事会等におかれて一つ日程を立てていただければ幸いだと思います。政府提出の諸案件もこの資料を見ますと、すべて法制局審議すら未定、従って国会提出の時期というものは、五里霧中の関係のようであります。これは官房長官を議運に呼んでただしました際にも、全然これら提出案件のスケジュールを持っていない状況でありますから、そういう実態から見ると、会期末にかなり錯綜した審議になってしまうおそれもありますから、よほど委員長におかれては手順よく進めていただきたい。その意味では私がこれから申し上げる調査について早い機会にこの法案が提出をされるまでにおやりいただいた方が至当ではなかろうか。ことに他の委員の皆さんからも予算に関連する問題、中小企業に関する問題等々あることと思いますから、できるだけ早い機会に調査、審議を一つ先議するように手配をお願いしたい。  そこで、私が要求いたしたいのは、事務局等を通じて手配をしていただきたいと思うのですが、まず通産大臣、企画庁長官、鉄道電化その他に関連して運輸大臣、それから建設大臣、並びに同じく河川局長、それから鉄道審議会の会長、電源開発審議会の会長、なお参考として電源開発会社の代表、中国電力の代表、電気事業連合会の代表、こういう人々について大臣並びに政府委員、参考人という形で適当な時期に日程を持っていただきたい。以上です。

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) 承知いたしました。ほかに御質疑はございませんか。

西川彌平治自由民主党

○西川彌平治君 今の藤田さんの御意見を敷衍するわけでありますが、そのほか聞くところによりますと、この法案などがたくさん出ないうちに、東京都内におけるいろいろ中小企業その他をピックアップして視察をしたらどうかというような声があるようでありますが、そういうことを一つお考えおき下さいましてやっていただきたい。これをお願い申し上げておきたいと思います。

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) その点につきましては、調査室で用意いたしました、たとえば横浜地区では日産自動車、日本石油横浜製油所、川崎蒲田地区では東芝柳町工場、あるいは各務クリスタル本社工場、あるいは板橋地区では志村化工、理研電具、江東地区では服部時計というようなものを大体リストとしてあげてございます。  なお、先般来いろいろ御希望がありました東海村の視察ということも日程に組んでおりますので、あまり忙がしくない時期に御相談の上、これらの地区に日帰りでもって視察するような計画を立てたいと存じます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 ぜひそうしていただきたいと思うのですが、どの委員も出席があまりないようでありますから、局長以下政府委員についてはさしてそう事前にきめなくても、そう言っちゃなんだが、予定はつくと思うが、大臣については衆議院の先議案件も相当あるでしょうししますから、それぞれの調査せられようとする場合の案件との関係で、各省の大臣なりなんなりの要求はできるだけ早めに出しあってそれをどう組んでいくかということをやはり急いでいただきたいと思うのです。

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) 速記をとって下さい。  それでは次回の委員会は、大体来週の火曜日に開くことにいたしまして、特に通産大臣、経済企画庁長官を中心として審議をいたすことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) ではさようにいたしまして、なお、詳細は委員長におまかせ願いたいと存じます。  ほかに御発言ございませんか。———なければこれで散会いたします。    午後三時三十一分散会

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