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26回国会参議院1957/08/10

社会労働委員会 閉会後第4号

発言数
165
登壇者
16
会派数
4
開催日
1957/08/10

会議録

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 開会いたします。  派遣委員の報告を議題といたします。  去る八月一日、舞鶴に上陸いたしましたソ連地区引揚者実情調査のため派遣されました委員から御報告をお願いいたします。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 状況について御報告を申し上げます。  今度の引き揚げは、第十二次ソ連地区引揚者実情調査たのめに、野本、藤田が当委員会を代表いたしまして、参議院を代表いたしまして、鶴舞に派遣されました。  今般の引き揚げは樺太の真岡からでありまして、興安丸は七月二十九日午前十時、真岡を出港し、八月一日午前七時五十分、予定よりやや早く舞鶴に入港いたしました。私どもは、まず、援護局におきまして、援護局長より今般の引き揚げの概況につきまして説明を聴取した後、ランチにて興安丸を訪問し、無事輸送の大任を果されました船長以下船員の労苦に対し謝意を表した後、野本委員が、参議院を代表いたしまして、引揚者の人々に対しあいさつを放送いたしました。さらに、引揚者の上陸用ランチヘの移送を見送り、次いで、船内で今般の引き揚げをもって無事その職務を終了いたしました興安丸の表彰式に参列いたしました。午後は、政府側興安丸乗船者から説明を聴取し、さらに、引揚代表者より、種々現地の状況、今後の引き揚げの見通し、要望等を聴取いたしました。  以下、簡単にその状況を御報告を申し上げます。  今般の興安丸乗船者は二百十九人で、おとな、男六十二人、女四十五八、計百七人、子供、男四十一人、女七十一人、計百十二人で、非常に子供が多く、また、未復員者五人を除き、すべて一般人であります。  また、引揚地点は、シベリア十二世帯十二人、樺太五十三世帯、二百七人で、シベリアからの引揚者もすべて樺太を経由して引き揚げて参りました。樺太からの引揚者を見ますと、ほとんどの者が西海岸のへんぴな地方から帰ってきているようでありまして、残留邦人の比較的多い豊原、敷香、真岡等からは全然引揚者がないのであります。  引揚者を国籍別に見ますと、日本人三十一世帯、八十五人、朝鮮人三十四世帯、百三十四人で、昭和二十八年の引き揚げ再開から前回までソ連より帰った朝鮮人は二十三人であるのに比して、今回の大量引き揚げは非常に注目すべきであります。これは、日本婦人で、樺太で朝鮮人と結婚し、その夫及び子供とともに引き揚げた者が多いためであります。  引揚者は、担送患者二名を除き、きわめて健康でありました。また、持参金は、二千ルーブルを限度に持ち帰りが許され、一世帯平均約三万八千円でありまして、この点については、今までの引揚者に比して比較的恵まれていると思われます。  今般の引揚人数とソ連政府より通告のありました人数との関係を見ますと、ソ連がいつでも帰せる状態にあると通告して参っております四人中二人は自己の意思でとどまり、二人だけ帰っております。また、三月二十一日のいわゆるテボシャン名簿に載っております日本人二百二十五人、朝鮮人百四十六人、計三百七十一人中、日本人五十六人、朝鮮人九十六人、計百五十一人が帰っており、予告を受けることなく引き揚げた者は六十六人でございます。  今般の引き揚げが、当初予定の五月より約二カ月おくれたこと、また、テボシャン名簿に通告された引揚者数より少くなっていることについてソ連当局にただしたのでありますが、何ら回答が得られなかったとのことであります。  しかし、引揚者より事情を調査いたしましたところ、豊原において日本の放送により、テボシャン名簿によって、日本婦人と結婚した朝鮮人家族も引き揚げが許されていることを知った朝鮮人の多くの者が、ソ連当局に引き揚げを申し入れ、五月下旬ころ連日ソ連の外国人相談所に押しかけて騒いだという事態があり、それの事後処理のためおくれたのではないか、豊原地区等中東部よりの引揚者のほとんどないことも、これの影響ではないかと思われるのであります。  また、七月十三日、ソ連より配船の通告と同時に、引揚者として知らせて参りました二百五十八人よりさらに三十九人の者が現地にとどまったのでありますが、これは、自己の自由意思によりとどまった者のみのようであります。しかし、その中には、身辺整理、病気、自己負担の旅費不足のため、やむを得ずとどまった者もあるとのことであります。  また、引き揚げが当初五月に予定されていたため、職をやめ、家を売り払って、引揚船の到着を待っていた人が多く、七月に延期となったため、引き揚げてからの更生資金を使ってしまった人もあるとのことであります。  今般の引き揚げの特徴の第一は、昭和二十四年七月二十三日白龍丸が真岡より函館に入港して以来、八年間の引し揚げ空白状態であった樺太地区在住者の引き揚げ再開であることであり、このことは、最近ほとんど引揚者のないことにより、未帰還調査の盲点となっておりました樺太地区の調査の好機が与えられ、また、この方面の引き揚げを今後も続行せしめるための道を開いたものであります。  第二の特徴は、朝鮮人家族が非常に多く、引揚者の三分の二以上を占めていることであります。これは先述いたしましたごとく、日本婦人で戦後現地で朝鮮人と結婚し、混血児をもうけた人々で、昭和二十二年から二十四年まで行われた引き揚げには、朝鮮人家族として残された人々でありまして、今般南北朝鮮の対立続く夫の国を避けて、妻の国日本に永住を希望した人たちであります。従って、多くは真岡出港まで落ち着き先も未定であったほどで、船内ですべて一応の落ち着き先を決定いたしましたが、身寄りのない者が非常に多く、今後の日本における生活の上に非常に困難が予想されるのであります。  終戦以来今回まで、樺太からの正式引き揚げによる帰還は二十九万二千余でありますが、今なお樺太に残留しております日本人の数は千人を上回っているようで、その過半数は婦人で、大部分は朝鮮人またはロシヤ人の妻となっており、その夫、子供を入れますと、四、五千人に上るものと思われます。その多くは、農業、林業、労務者であるようで、平均千二百ルーブルぐらいの収入を得て、家族四、五人ぐらいの者が多く、最低生活を営んでいるようであります。  次期引き揚げについては、ソ連当局より公式には何ら確認を得られなかったようでありますが、引揚者より聴取した模様では、比較的近い時期に行われるのではないかと想像されます。ソ連当局は、現在でも引き揚げ希望者を募っているようでありますし、先述いたしましたような帰国をおくらせる事情が解消されますれば、近いうちに行われる可能性は強いようであり、今後の外交交渉に期待するところ大であります。  在ソ邦人の大部分は帰国を希望しているようでありますが、日本の状況が正確に把握できないため、帰国後の生活状況等を考慮して、やむなくとどまっている者が多いようでありまして、日本の現状を十分理解させるとともに、帰国後安心して生活できるような処置を講ずる必要があると思います。  また、今般の引き揚げは、朝鮮人家族が多く、今後も樺太地区よりの引き揚げが行われますれば、この種の引揚者が多いものと思われますので、これに対する処置を十分考慮する必要があろうかと思います。特に、その子弟は、朝鮮語による教育を受けているようでありますので、今後この方面にも十分な考慮を払う必要があります。  一般に、今般の引揚者は、縁故者がない者多く、これらの引揚者に対する住宅、就職、生活保護等の援護処置に万全を期する必要がありますので、政府の善処を要望するものであります。  なお、昭和二十八年三月第一回の引揚航海以来、今回まで実に二十二回の引揚業務を行い、その間、引揚者約二万人を祖国に迎え入れた帰国船興安丸は、今回をもちましてその業務を終止いたしました。同船長玉有勇君を初めとし、その業務に精励されました船員諸君の労苦を深謝するものであります。  以上、簡単ではありますが、報告を終ります。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) ただいまの報告に対しまして御質疑はございませんか。——御質疑もないようですから、本報告はこれにて終了することにいたしまして、次に移りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。   —————————————

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 次に、厚生労働行政実施状況調査の派遣委員の報告でございますが、その調査は、かなり広範にわたっており、報告の内容も複雑をきわめておるので、便宜上、口頭報告を省略して委員会会議録に掲載することにいたしてはいかがかと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 社会保障制度に関する調査の一環として、厚生行政の基本方針に関する件を議題といたします。  堀木厚生大臣から意見の発表を願います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 一言ごあいさつをさしていただきます。  今回、岸内閣の改造に当りまして、厚生大臣の重任をになうこととなりましたが、何分にも経験に乏しく浅学非才の身でございまして、内心危惧の念を禁じ得ないものがございます。幸いに、各位の御指導御鞭撻を得て、その任を果したいものと考えております。  さて、昭和三十二年度におきましては、第二十六回国会におきまして、当委員会に御審議を願いました諸法律、予算等につきまして、御審議の過程を通じまして明らかになりました各位の御意見を十分尊重し、誠実に実行いたす考えでおりますとともに、昭和三十三年度におきまして具体化すべき厚生行政の重要施策につきましては、法律面及び予算面の各般の角度から目下鋭意検討中でありますが、何分にも広範、かつ、多岐にわたっておりますので、遺憾ながらいまだ御批判を仰ぐ段階に立ち至っていない次第でございます。しかしながら、内閣の改造にあたりまして、総理がいわゆる三悪追放を掲げ、経済の繁栄を通じて民生の安定をはかり、社会保障体制を整備し、福祉国家を建設いたしたい考えを表明いたしておりますので、私もまた、あらゆる障害を克服いたしまして、社会保障その他厚生行政の前進をはかり、もって、国民生活の安定と国民の福祉の増進とに寄与いたしたいと存ずる次第でございます。微衷をおくみ取りの上、重ねて御鞭撻のほどをお願い申し上げます。  なお、この機会に、七月二十五日九州地方に発生した豪雨による災害について一言申し上げたいと存じます。御承知の通り、今回の災害は、長崎県を初めとして、相当な被害を生じました。特に一千名になんなんとする死者、行方不明者を生じましたことは、まことに痛ましい出来事として遺憾にたえないところでございます。  現地におきましては直ちに災害救助法を発動いたしまして罹災者の応急救助に万全を期している次第でございますが、政府といたしましても、係官を現地に派遣いたしまして対策に当らせますとともに、すでに去る七月二十七日中央災害対策協議会を開きまして、関係各省、関係団体等の連係のもとに全般的な救助対策の確立をはかるとともに、その後も関係各省との連絡を密にいたしまして、救助対策の実効を期している次第でございます。私も一日も早く適切な救助措置の万全を期したいと存じまして、七月二十八日岸総理とともに、とりあえず、現地を視察して、被害の現状と災害対策の状況を見て参りました。災害の実情と、当省のとりました措置につきましては、昨日事務当局から御説明申し上げましたところにより御了解を願いたいと存じます。  以上、簡単でございますが、ごあいさつを申し上げました次第でございます。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 大臣に対しまして、行政問題につきまして御質疑のある方はお願いいたします。

山下義信日本社会党

○山下義信君 きょう初めて堀木厚生大臣と公式の席でお目に当るのでありますが、久しく本院で議席をともにしておりました同僚堀木君が厚生大臣になられましたことにつきましては、心から祝意を表するのでありますが、議員としておつき合い申し上げておる間に、堀木厚生大臣の練達たんのうな手腕、政治的な識見というものはよく存じておる。従いまして、おそらく私どもと申し上げても過言ではないと思うのでありますが、深く新厚生大臣に期待しておるわけであります。その期待の第一は、おそらく本日のごあいさつに当っては、厚生行政の基本方針を相当腹を打ち割って本委員会でお話し下さるものと予期いたしたのでありますが、あにはからんや、かようなきわめて御丁重ではあるが、しかし、ほんとうの文字通りのごあいさつにとどまったということは私としては非常に遺憾に思います。かつ率直に申し上げて不服であります。こういうごあいさつをいただきますよりは、私どもはそのあなたのごあいさつが固まっておろうといないにかかわらず、長い間のなじみを御利用下さって、もっとぶちまけて御所信を表明になってしかるべきではないかと思います。私は第一国会以来本席に連なっておりますが、歴代の厚生大臣が、就任早々公式の委員会に御列席下さってかような簡単なごあいさつを承わったというのは今回が初めてであります。昨日社労委員会が開かれて石田労働大臣からあいさつがありましたが、労働行政に対する所信を詳細にかつ具体的に披瀝されました。従いまして委員は喜んで労働大臣の所信をただしたのであります。引きかえまして、本日はこういう簡単なごあいさつにおとどめになったということは、私は深く遺憾とするものであります。しかし、おそらく私どもが尋ねたならば、ここで十分御披瀝下さるという思いがあって、一応のごあいさつにとどまったのじゃないかと善意に解釈いたしますが、今後ともどうぞ一つ本委員会にお臨みになりまするに、あなたのお心がまえといたしましては、どうか一つこの形式的なよそ行きの官僚的陋習に陥らないで、一つ民主的に御臨席を願いたいということをまず最初に申し上げておきます。  大へん失礼なことを申し上げましたが、厚生大臣はなかなかユーモリストでいらっしゃるので、私もざっくばらんにお尋ねいたますが、あれこれお尋ねしたいと思いますが、しかし、他はすべてはしょりまして、いずれお手並み拝見した上でお尋ねすることにいたしまして、本日は、私は、何と申しましてもさしあたっては単価問題でございますから、これ一つ御所信を明確に承わりたいと思う、それで、私のお尋ねする気持を若干おくみ取り下さらぬといけませんから、ちょっと簡単に前奏曲を申し上げますが、私、最近のこの問題をめぐってのいろいろ政府当局の動きといいますか、関係諸団体の動きといいますか、そういうものを見ていて、実にどうも理解に苦しむのですね。端的に申し上げますと奇々怪々である。そろそろ夏でございますから妖怪談もよろしゅうありますが、何だかいろいろ妖怪まじりの不気味な様相がただようておるような気がするのです。  第一は、今回日本医師会の委員、これが臨時医療保険審議会の委員を脱退した 続いて日歯の委員が脱退した私は経緯は存じませんが、しかしながら、何か裏にひそんでおるものがあるなという感じがします。何か裏にひそんであるなと——ただ議事の進行が気に入らないからということだけじゃなく、何か裏にひそんでいるなという感じを、私は率直ながら受けます  話は変りますが、第二は、あなたが厚生大臣に御就任になりますと、日本医師会へのこのことお出かけになりましたってね。しかも自由党の大幹部を御同行に相なりましてのこのことお出かけになりましたってね。これはなかなかいんぎんな御態度でありまして、御丁重なことです。これも前代未聞ですね。  それで私率直に申し上げますと、さぞかし武見会長は気持がよかったろうと思うのです。厚生大臣がひざを屈して来るのですから、御丁重なことですね。  私どもかねて、健康保険の審議の際に、厚生省と医療団体とが対立してはいかぬのだ、大いに胸襟を開いて意思疎通する方がよかろうということをしばしば申し上げた。おそらくそれを御実行なされたのでありましょうが、しかし、御丁重なことで、のこのことお出かけになった。こえてしばらくしてその御答礼でありますか、日医の会長、幹部諸君が、あなたの方のお役所を訪問になって、厚生省の大幹部ぞろりとおいでになってお話になったですね。意思が疎通しましたか、どうなりましたか。そうういうことがあって一日か、二日か、三日たって、このたびのような委員が引き上げるというような、突如としてああいう行動が行われたということ、これはどういう平仄がどこで合うのですかね。私はまことにこの辺の模様を見ていますと奇々怪々なものがあると思うのです。そこで私は日医の行動をここで批判しようとは思いませんが、どうもその辺に政府と日医との間にこういうことは八百長でも話し合いでなすったのじゃないかと思うのです。そうでも見なければ解決がつきませんが、まあそういうことは別としまして、どうもこの前後の模様は私どもは奇々怪々に思う。何がためにああいう行動に出たか。私はおそらくああいうようなしちめんどうな経過をたどるよりも、手つとり早く取引した方が早いのじゃないでしょうか。私はそういう行き方は実に不明朗きわまるものであると思うのですよ。保険医の待遇改善はけっこうです。大まかにいって私どももそれを主張してきた。しかし、これは公然とガラス張りの中でやらにゃいかぬことであって、裏の方からこそこそと博労の馬の相場をきめる取引じゃあるまいし、お互いにそでの中で二本か三本か指を握り合うようなやり方は、これは一つ厚生大臣は断固としてそういう行き方は廃止してもらわなければなりません。  単価の問題は日本医師会と自由民主党だけの取引じゃありません。これは健康保険の改正案を通じて、ここ両三年、ことに第二十六回国会においては当院においてもわれわれは力を尽して当局の真意をつい先だって追及したところなんです。問題点を明らかにガラス張りの中で出して下すって、国民の批判の前に立って公明正大な解決のルートを歩んで下さい。私はどうもそういう裏の方にいろいろな政治の取引というふうにだんだん舞台が近づいて、そうして表ではどんどん、裏ではこつそりというような行き方は、これは新厚生大臣において断固としてそういうやり方をやめて、そして合理的にいこうじゃありませんか。明朗にいこうじゃありませんか。国民に利害の関係がある問題でありますから、私は第一にそういう御方針をとって下さるかどうかということを承わりたいのです。それからいきましようか、ぼつぼつ。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 山下委員から、私のとりました行動につきましていろいろ御質問がございましたが、私は厚生大臣に就任いたしましてから、部内の各事務当局から所管事項について説明を聞きますと同時に、外部の厚生省の仕事と関係ある各種の団体とは、ずっとプログラムを組みましてお目にかかっております。その一環といたしまして、日本医師会の評議員会でしたか、理事会でございましたか、正確に記憶いたしておりませんが、その会合に出席いたしましたことは、ほかの団体の会議に出席いたしますと同様の意味で出席いたしました。  それから武見会長以下厚生省に参られましたのは、私か外部の役員の方を更生大臣室に皆御足労を願いまして意見をさらに聞いております一環として当初からぜひ出て来て考え方を表明してもらいたいということで出てこられましたので、その間にいろいろの風評はたちましたが、決して裏で取引したようなことはございません。また、今後の問題につきましても山下委員のおっしゃる通り、これら公けの問題につきましてはそれぞれの場がございますので、公明にそうして大っぴらに何も隠すところなくやって参るつもりでおります。その点は御心配をかけることのないようにいたしたいと思っております。  日本医師会、歯科医師会もそうでございますが、臨時医療保険審議会を脱退いたしましたその声明書も読みましたが、真意を捕捉するのに実は非常に困っておるような次第でございます。で脱退後の状況につきましてはいまだ正式には関係者の来訪を求めてはおりませんが、不日これも来訪を求めまして、少しも隠すところなく、公けの場で御意見を伺いたいものであると、こう考えておるような次第でございます。

山下義信日本社会党

○山下義信君 厚生大臣の基本的御所信は明確にただいま承わりました。私はあなたが裏でこっそりと取引しておるとは申し上げておりません。あなたは取引なさらない。しかし、他に取引する者があって当面の所管大臣たる厚生大臣を圧迫するがごときことがあっては、これは奇々怪々な行動でありますから、私どもは容赦なりがたいということを申し上げたのでありますが、あなたは問題を公明正大に処理する方針だということでございますから、この点私は了といたします。  さて具体的に伺うことにしたいと思う。新聞紙上で拝見しますると、去る六日の日でございますか、記者会見をなさいまして、単価問題の解決については、点数と単価とを同時解決をはかる方針だと、こういう御所信のようでありました。内容はわかりませんが、しかし、その御方針はかねてわれわれが主張しておるところでありまして、当委員会におきましてもずいぶんそういう点をつついて論及したのであります。もとより今日の十二円五十銭、十一円五十銭をそのままこれを引き上げるということはナンセンスである。右側の点数表をこれを合理化しないで、どういうことで十二円五十銭、十一円五十銭をそのまま値上げするか、そんなばかげたことはあろうはずはない。こういうことは、これはもう今日通説なんです。今日の点数というものが非常に不合理であって、もうあなた方の方もしょつちゅう不合理でございますから改めたい、改めたいと年中言っていらっしゃる。一昨年からそれでとりかかっておる。もう足かけ三年に及んでおることは、ここで繰り返すまでもありません。しかも、ついこの間一部手直しして暫定的にやっている。その暫定的にやったというのは不合理の上に不合理を重ねたことだ。それもあなた方の方でも白状してござる、できるだけすみやかにこれは合理化せなければならぬということをおっしゃっているのです。そういうことはもうここで言うまでもありません。三つ子でも知っていることでありますから、繰り返すのはそれは時間のむだですから省略しますが、その不合理な点数を改めなくちゃあ、あなたがこのままの単価の引き上げということはナンセンスであるということは言うまでもないことであります。ことに今の十二円五十銭、十一円五十銭というのは昭和二十六年に、ここに御出席の谷口さんが日本医師会長であった当時の暫定的なものだ。なるほど暫定的である、その点はわれわれも認める。従って、これを改めるということはわれわれも大局的には同意なんです。しかし、その十二円五十銭、十一円五十銭のそのきめ方というものにも不合理な要素が多分に含まれていることは、これももう天下の通説なんです。ですから、この際は、ただ単に左側の単価だけをこれをひねくるという、それだけを値上げするがごときことは暴論と言わねばならぬ。そんな不合理なことがありますか。不合理の上に不合理を重ねることになって、今の診療報酬制度のこの不合理性をますます強化するということになってしまう。そんなことをやっていたら何もできぬでしょう。国民皆保険も何もできないでしょう、と私は確信する。私は診療報酬の引き上げ、保険医の待遇改善に反対しているのではない。合理的にやらっしゃいということです。合理的にやってもらわなければ一番迷惑するのは国民です。一部の利益のために、国民の利益を犠牲にするというようなことは断じて許されぬ。私はそういう点について非常に心配しておったところが、私の期待通りに、さすがに堀木厚生大臣は点数と単価と同時の解決と、こうおっしゃったので、いささか頼もしいと思っているのですけれども、しかし中身がわからない。どういうお考えかということがわからない。この際、一つ大体の構想を明確にして私どもを安心させていただきたいと思うのです。御所信を承わります。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 先ほど実はおしかりをちょうだいしました最初のあいさつが、非常に官僚的で形式的であるとおっしゃいましたが、私もそういうおしかりを受けるだろうという心配をしながら、できますならば、当委員会が開かれますまでに各種の従来疑問になっております問題について方針を明らかにして臨みたい、こういうふうに考えておりましたが、そのために実は日夜事務当局を督励いたしますと同時に、私も毎日それらの問題について推敲を重ねておる次第でございますが、これは山下委員のもうよく御承知の通り、すべて長年の懸案になっておりますもので、微力なかなか早急に解決方法を見出すことが困難のために、おしかりを受けたようなごあいさつをいたしましたような次第でございます。  なお、今端的に御質問になりました点数と単価の問題、診療報酬の問題に関しましても、実は私も理論的にはどうも点数を考えない単価というものが、合理的な観念からは納得できないのでございますと申しますと同時に、  一方におきましては、単価だけをいじりたいという考え方も相当強くございます。その説は長い間この単価というものを一つの基準にしてきた以上、現実に理論的にどうあるかということは別にして、それによって診療報酬がはじき出されている以上、単価だけを考えても、現実的には妥当な線が出るのでなかろうかというふうなお考えの方もあります。さらに突き進めて言えば、現在の単価、点数ともにどうも現実から見ていろいろな弊害が生じておるという御意見もございます。私は過般の新聞記者会見では、率直に申しますが、点数、単価ともにいじらないのはどうも私の合理的観念からは納得できにくいところがある。しかし、一方におきましてこの問題を実は長い間暫定的方式としてとられて参りました以上、早急に解決しなければならぬことは一つの至上命令であろう、で、いずれを採用するかに現在の段階では実は迷っているところである、こういうことを言ったのが真相でございます。と同時に、実は昨晩もおそくまでこの問題を論議しておりましたのでありますが、今はっきりした御答弁ができない状態で、はなはだ申しわけございません。もう少し時日をかしていただけませんでしょうか。と申しますのは、大体新内閣といたしまして、新しい政策を八月中にはなるべくまとめ上げようという基本方針で動いておりますの一で、そう長くお待たせするつもりはございませんが、もう少し推敲させていただきたいというのが、私の偽わらざる感情であり、現存の心境でございます。  以上、御答弁になっておりませんことは非常に遺憾でございますが、以上の点で御了承を願いたいと思います。

山下義信日本社会党

○山下義信君 せっかくのお話でございますが、こういう重大な段階で、当面の責任者であるあなたが迷っているなんということをおっしゃっては困るのですね。これはもう事態はますます紛糾ならしめることでありまして、三案、五案、十案がある、幾ら案があるか知りません。しかし、こういう重大な問題を短い間に何か案を作って結論を出せ、そんな注文はだれもしておりません。これは長い間の準備ができているはずです。早急に断を下さなければならぬ問題でありますが、しかし、こういう方式によるか、かりに点数の配置でもどうやるかということは私は知りませんけれども、そういう事情には通じませんけれども、しかしながら、おそらく事務当局がのうのうと惰眠をむさぼっておらぬ限りには、いろいろな勉強して、この数年の間にあなたに提示してどれをおとりになりますかというA案、B案、C案くらいの合理的ないろいろな案ができているはずです。私は方針としては、あくまで不合理は許さぬということの毅然たる方針をどうしてあなたは御断言ができないのですか。点数、単価を両方いじらなければ合理的にはならぬか、自分は不合理の方をとろうか、合理の方をとろうか、一方では不合理だということをおっしゃったね。合理的な方針をとるのか、不合理的な何といいますか、政治的取引の方をとるのか迷っているとおっしゃったのじゃ、これは答弁にならぬどころじゃありません。これは失礼でありますが、あなたのお顔にかかわります。お取り消しになりますか、あるいはあらためて、正しいその方針だけをお示しになりますか。これは具体的に何円にするか、点数の配置はどうやるかということの内容を聞こうとするのじゃございません。何としても国民はあなたを頼りにしておるのです。そのあなたが迷っているとおっしゃったのじゃ、私はそうですかといってまかり下るわけにはいきませんが、基本的な方針だけは明確にお願いしたい。これは御無理でございましょうか。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) まことに申しわけないのでありますが、この何と申しますか、単価だけをいじって、政治取引の具に供するような気持は全然ございません。御承知の通り、これらの問題は、やはり法律に基きます中央医療協議会がございますが、いずれその場におきましては、厚生省としての意見を一応出す必要があります。しかし、その中央医療協議会の答申を待って、最後の断を下せば、私としてはいいんじゃなかろうかというふうに考えておりますので、今申し上げましたような御答弁をいたしました。迷っているという言葉はお気に召しませんようですし、私自身も、省みて迷っているという言葉は適当でないというふうに考えます。しかし、今申し上げました方針で参りたいと思っております。

山下義信日本社会党

○山下義信君 単価だけをいじるという方針はとらないということだけは明確になりましたので、その点だけは明らかになったということにしましょう。その中央社会保険医療協議会におかけになることは当りまえのことです。その答申を待つ、これも当りまえのことです。常套語であります。ただ私はこの際申し上げておきますが、いつもこの責任をほかになすりつけて、あなたの方では具体案を示さないで、いわゆる諮問的な原案というものを出さないで、そして何か診療報酬の改善について諮問するというようなことをみくだり半で、向うの方でいい案を、結論を出してみい、いい知恵を出してみいというふうに、他力本願——これは私のことになりますから工合が悪いけれども、これは一つ、こういう際にはよくても悪くてもようございますから、支離滅裂でも手直しされてもいいから、一つ厚生省の原案をたまには出して、これを諮問するがいかんというぐらいのことをやっていただくようにしなければ、まああすこを逃げ場所としないことにしてお願いします。  私はさらに進んでお尋ねするのですが、衆議院で答弁したり、新聞に出ているような程度のことをおっしゃる、ね、衆議院に行って答弁したようなことも参議院では言わない。新聞ですでに出ているようなこともここでは慎重な態度で言わないというようなことは侮辱です。おっしゃい。それで私は、不合理の最もはたはだしきことは、医者の待遇改善をなすべし、薬の待遇改善は不必要である、もう一言にして明瞭です。今日の診療報酬制度の不合理性、あいまいもうろうたるところの、奇々怪々たるところはそこにあるのです。しばしばあなたがメスを入れようとして、合理化しようとして幾度かやっていると思うのでありますから、こういう待遇改善の際に、医師の待遇は改善すべし、薬の待遇は改善する必要はない、そうじゃありませんか。従って、これは、高田保険局長は衆議院でこういうことを言ったの。場合によっては、単価は金額表示式な単位でよろしいのであって、まるであればいいのですから、そういうような方式も、いわゆる金額表示方式のようなことも、あるいは一案ではないかというようなことを考えているようなことを言ったのか、一つの構想を、事務当局の作業の中の一種類を示したのか、その辺もどういう方針かお話なさい。私はこれはきわめて適切だと思う。私は前からそう思っている。単価の十二円五十銭か十一円五十銭か、これをいじりたいと思うならこれは一〇でもいい、二〇でも何でもいいから、片方は適正に評価した医師の技術点数表をずらっと出して、二倍でも三倍でもいいから技術の評価をしてあげなさい。私はそういうことは惜しみません。命にかかわることですから、安かろう悪かろうじゃ困るのですから、これは医師の技術表をずらっと表示しなさい。そうして片一方の薬の表示は、金額でほんとうに小分けなさる点数料だけそこに含めて、市の薬価が変動するごとにスライドすればいいのであって、きわめて簡単明瞭な合理化だ。これはやりなさい。この際何の手間ひま要りますか。従って、それは薬を通じても、金額表示式でもいいから、今のような数字の魔術で、自他ともに困るようなこの点数単価方式は、このたびほんとうに合理化しなければいかぬに抜本塞源的なものがすぐに打ち出せないにしても、少くともそれに近ずいた解決点を求めるべきであります。私は世論が許さぬと思う。日本医師会が政党幹部と妥協して、博労の馬買いじゃありませんが、そでの中で二本か三本かと言って、二円引き上げなら、三百五十億円をどうするかということをやって、その上で甘茶でかっほれ、特別租税を二六%にするなど、まるで両方のほっぺたをなでるようなことを言ってるようなことでは国民が許さぬ。被保険者も許さぬ。労働者も許さぬ。一体ふろ代の値上げだって許さぬじゃありませんか。合理性がなければふろ代の五円の値上げさえも世論が許さぬじゃありませんか。それを一たび数字をいじくれば三百億、五百億という数字がとんで、社会保障制度を進めなければならぬと言って、朝野が心血を注いでいるその前にふさがって、不合理の値上げなんということがどうして許されますか。もしこれが許されるならば、堀木君、あなたの所管のふろ代、牛乳代、みんな総値上げである。合理的もへったくもれもあったのじゃない。どんどんやらせなさい。こまいものをいじめておいて、大きな勢力の前にひざを屈する、そういうことはわれわれはやめなければなりません。そうでありましょう。私は今のような、高田保険局長が衆議院で答弁したのか説明したのか知らぬが、私は新聞で見たのですが、少しでも合理性に近ずくという考え方を漏らしたのか、どういう説明をしたのか、これは一つ当委員会で明らかにしていただきたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 山下委員のお言葉でありますが、私は中央社会保険医療協議会がいよいよ開かれる段階になりましたら、厚生省の試案を作成して、広く批判を受けるという根本対策については、はっきり申し上げることができます。この問題は国民の医療に重大な関係と申しますか、ほとんど国民の病気に直接の関心のある問題でありまするから、決して官僚的に自分の当初の案を作成して、そのままでうまく通すというようなこそくな考え方は持っておりません。従いまして、医師会その他とそれらの問題につきましては、裏で取引するようなことはないことをはっきり言明いたします。日本医師会の方でも、おのおのの立場からこれは見方によって異なるでしょうから、お出しなさい、そうして広く世論の帰趨を見ようじゃありませんかということは申し上げているような次第でございます。保険局長が衆議院で何と申しましたか存じませんが、ともかくも今申し上げましたような基本方針については、山下委員の御趣意に沿うような私は行政方針をとっていると確信いたしていることを表明いたします。

山下義信日本社会党

○山下義信君 大へんけっこうな答弁をいただきました。今度の中央医療協議会には厚生省としての試案を出してその答申を求める、これは非常にけっこうであります。ぜひそういうふうにお願いいたします、  いつごろその中央医療協議会をお開きになりますか。いつごろそういうふうな正式な諮問をお出しになりましょうか。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 先ほどから申し上げましたように、早急に開かなければならない。私どもの立場と申しますか、問題が長い間懸案になっておる問題でございますから、私どもも皆さんにこたえてなるべく早くやりたいという考え方を持っておりますが、今幾日に開くかということについてはまだきめておりません。しかし、間に合って開くことだけは確かであります。

山下義信日本社会党

○山下義信君 当局の御希望としてはいつごろに開きたいという御希望がありますか。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 私どもは大体事務的な整理が本月中か来月、おそくとも来月初めまでにはそういう段取りをいたしたい、こう考えております。

山下義信日本社会党

○山下義信君 私はそれまでに日時等も話し合いがつきまして、委員がそれぞれ所定の審議会にカムバツクされまして、十分御検討の機会を得られるように念願してやみません。  高田保険局長の先ほどの私の質問について御答弁願いたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○説明員(高田正巳君) 単価の端数の問題につきましては、これは衆議院の小委員会でございまして、自分の希望はこの際単価をまるくしたい、これは事務簡素化の観点からも、また、物事かわかりやすくなるという観点からもそういうことでありたいと私は思っております。こういうことを申し上げました。ただこの、まだ厚生省の案が目下取りまとめ中の段階でございまするので、厚生省がさようなことを決定したという意味じゃなくして、私の希望はそういう希望を持っております、というふうに申し上げました。

山下義信日本社会党

○山下義信君 その単価をまるめる、端数をまるめるということと値上げとの関係はどういう関係にあるんですか。またあなたの方のいろいろの作業を進めておられる、……私が厚生大臣じゃありませんからそれを一々聞こうとはしませんが、大体どういう方向で作業しておるか、作業の段階はどうあるかということをここで御報告願います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○説明員(高田正巳君) 私どもの考え方と申しますか、作業の方向でございますが、医療の値段といいますか、医療費の値段というものはどの辺が適正であるかということをまず求めたいと思っております。そうしてこれが各管掌の保険にどういうふうに響くかということを検討いたしまして、かりに現在の医療の値段が安過ぎると、もう少し上げなければならぬという結論がかりに出たといたしますれば、そのために医療費というものはふくらがるわけでございます。そういうところをまず第一段階として求めたい。しからばそのふくらがつた総医療費をだれがどういうふうな形で負担をするかという問題が次に出て参るわけでございます。さらに先ほど来御指摘になっておりまする、それを配分いたしまするにはどういう形で配分をいたしたならば合理的であるかという問題が出て参るわけでございます。大体さような大きく分けますと三つの観点から物事を考え、それに関する私どもの考え方を取りまとめたい、かように努力をいたしておる最中でございます。以上でございます。

山下義信日本社会党

○山下義信君 私が——厚生大臣も御心配していただいておるわけでございますが、いかに合理化して、いかに理想的な方式で算出いたしましても、これは言うまでもないこと、財源という絶対的な制約というものがあるのでありますから、いくらお互いに、理想的な合理的な結論をやってみたいのですけれども、そうはいかない場合がある、従って、問題は、帰するところは国がどの程度負担していくかということにまあ大体ワクがそこにどうしてもぶつかってこなければならぬと思うのです。そういう点に対して厚生大臣は、どういうお見通しあるいは御方針を持っておられるかという、こういうことをこの際承わっておかなければ何を聞いたかわけがわからなくなってきますので、これを一つあなたの御覚悟といいますか、御方針を承わけたい、それについてこれは御相談ですが、健康保険の最近のバランスがどうなっておるか存じませんけれども、まあ大体順調にいっていると思うのですが、私は大体健康保険の方から出てくる黒字、これは何といっても保険原理からいって、こういうものを、いわゆる医療報酬の値上げの財源に回すべきではない、健康保険の財政に余裕が生じたならば、第一になすべきは給付の改善、言うまでもないことです。これは幼稚園でもみんなやる、いの一です。第一は、医療設備、福利設備の拡張をやらなければなりませんことは当然であります。ですから、医療費の値上げに保険財政から出てくる黒字をそれに振り向けるというなんて、そういう私は考え方は保険原理における邪道だと思うのです。全然回してはいけないとは言わないけれども、これは当然な合理化でありますから回さなければなりませんが、それをねらうということは邪道である、だからどうしても重点は国庫の負担というものをこれにもしやるならば求めなければならぬ、あまり国庫に負担をかけまいとするならば、いろいろなおもしろい案もあるかもしれないけれども、証文でも書いておくという出世払い式のやり方もあるかもしれぬ、とにかく一応の筋としては国庫の負担を求めなければならぬ、それでそれを従来、たとえば去年、ことしまで三十億、今度あなたは一割の定率を要求しようとなさっているのですけれども、それをもってあてがおうというのでは意味をなさぬのでス。その一割の定率ですから、一割の定率フラス今度診療報酬の引き上げに見合うところの、見合った財源の負担を国がするという覚悟がなければこれはできぬですよ、私はそう思うのでありますが、そういう点の大体この診療報酬の引き上げの財源をどこに求めるかという基本的な方針、それに対して財政当局にこれをどういうふうに要求していこうという考えを持っておるかということなんです。これは厚生大臣としてその方針をお持ちになって、大いに閣議で勧誘これ努めて、一つ政府の方針として出さなければならぬことでありましょうけれども、これは一つこの際あなたの御方針を承わっておきたいと思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 実は山下委員が私に、今の御質問の形を通じて私を教えて下さるよりな方針が出てきたように思うのであります。ただ一番問題にしております最後の決心をつけます問題は、おっしゃる通り、一体国がどう負担するか、国の財政上占むるこれらの社会保障的な経費、ことに医療給付に対してどう考えるかという問題が、おっしゃる通り、私は最後の何と申しますか、口で何を言っても、そこで物事がはっきりしてくるという点につきまして全く御同感であります。今率直に申して各種の問題を研究しながら、一体国としてどこまで負担させるべきかという問題がまあ一番悩んでいる問題であって、私としてはそのけじめが相当つかなければ責任のある御答弁でないというふうに考えますために、非常に発言が消極的と申しますか、とかくはっきりしない部分が出てくる。それらにつきましてはまだまだ一般の国の財政をどう切り盛りするかという基本方針自身がはっきり見定めがつかない状態でございます。御承知の通りに、経済界はいろいろな問題に当面いたしておりますため、はっきりけじめがつきにくい。ただ私として言い得ることは、われわれが政治をあずかっている以上、これらの社会保障制度の後退があってはならない。必ず前進をしなければならぬ。それが新しい国家社会の作り方でなかろうかというふうに考えまして、せっかく努力する決心を持っておる次第でございます。  今、健保その他の財政状態がややいいということから、それを診療報酬に充て、お医者の待遇改善に充てるのじゃなかろうかという危惧を持って御質問になりましたが、私どもとしては、医療の給付の内容が各保険の業態におきまして異なっている。しかもその差が非常に高低があるということを考えますと、国保を進めて参ります上におきましては、医療内容の充実、医療内容の公平化ということが一番大切な問題だということだけは考えております。

山下義信日本社会党

○山下義信君 いろいろ伺いたいと思うのですが、私はまあ他の諸君の御質問がありますからこの程度にいたしたいと思うのですが、私はせんだっての国会の末尾に、健康保険の審議の際に、衆議院の付帯決議がついてきたことについて、あまり前厚生大臣が安易なことを言うて、まるで甘茶を進上というようなことを言うたから、そういうことを言っておっても実際にこのことは根本的に合理化しなければならないと繰り返し巻き返し、繰り返し巻き返し申し上げて、私の質疑応答を通じて政府の診療報酬の改善ということは、単価の引き上げということは、すべて根本的に、総合的な、合理的な改正の上に立ってでございますということが確約されております。でございますから、大へん御多忙中恐縮でございますが、事務当局に前国会の審議の状況は、一つその筋だけは一応厚生大臣はごらんおき願いたいということをここで私は念を押しておきます。  それで、診療報酬の引き上げをやって下手なことをやると、私は国民皆保険はできぬと思う。いわゆる国保の大拡充は私は不可能に陥ると思う。重大な問題だと思う。厚生大臣が診療報酬の引き上げ、単価の引き上げをやりながら、いわゆる国民皆保険の計画をスムーズにやり得る。いわんや新聞紙上で拝見すると、従来の念願とするところの国庫負担をやりたいのだという、そういうことが果してパターと大砲じゃないが、その両方をやり得るかどうかということを私は非常に危惧するのでありますが、御所信はいかがでしょうか。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 過般新聞に出ました厚生省の事務当局でせっかく努力いたしております案というものにつきましては、おっしゃる通り、実は今ぶちあけた話をしますと、一体金が幾ら要るのだか、金をもらわないでは考えられないというふうな点から、今整理中でございます。それらにつきまして、いずれ私自身の責任において、これを方向、重点をどこに置くか、どう向くかということをきめなければならない段階は近いことだと考えております。

山下義信日本社会党

○山下義信君 最後にお尋ねしますがね、何か保険局長、あなたへ質問するのじゃありませんが、あなたの所管事項に非常に重大な事項で主務大臣に質問しておる。お聞きにならなくていいから、私用があったら外で私語して下さい、私は一生懸命やっておるのですから。つまらない質問であるかもしれないが、一生懸命でやっておる。こういう質問をいたしますと一部の人にはお気に入らない。気に入るような質問をやる方もあります。しかし、私はお気に入らないことを承知の上で、私の申し上げることは正しいと思って言っておることなんです。  私は厚生大臣に伺いますが、一体単価の引き上げということで、診療報酬のつまり引き上げということは、この状態で進んでおりますと、私はこの実現が少し、すぐにはやりにくいようなことになるのじゃないかと思う。端的に申し上げますと、来月からでも実は待遇の改善をして上げたい。いい工合に話し合いがついてすぱっと、いい、明朗な診療報酬制度がそこででき上ったら来月でもすぐ実施してあげたいと思うのです。あなた方はどう思われるかもしらぬけれども、しかし、もたもた、ごてごて無理なことを言ってやっさもっさやっていると、そうすると、私は今年中にも間に合わぬし、来年の一月からにも間に合わぬし、まあやっとこさ新年度の三十三年度の四月からやっとこ間に合うか間に合わぬかわからぬようなことになりはせぬかと思う。あなたも一日も早く実施してやりたい。三十二年度の途中からでも方法がつけば実施してやりたい。やりたいと言うと言葉が悪いかもしらぬけれども、実施してやりたいお考えもあろうが、私は何と言いますか、解決がいろいろな故障によって長引くというと、その改善の実現が本年度内に実現することがおぼつかなくなるのじゃないかと思う。  厚生大臣は一体診療報酬の改善というものを単価の引き上げ、わかりやすく言えば単価の引き上げ、これは三十二年度の年度内でも結論さえ出ればやるという腹ですか、それともどうです、新年度から実施するというお考えでありますか、その方針を承わっておきたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) まず基本的に考えておりますことは、国民の福祉を増進する事柄でございますから、私としては一日も早く実現したいという希望を持っております。ただ山下委員も十分御承知のように、何と申しますか、診療担当者側の考えもありましょうし、被保険者の考えもありましょうし、いろいろな考え方があって、その調和が非常にむずかしいために暫定処置で参ったものでなかろうか。そういたしますと、微力を傾けまして早急に解決すると申し上げても、それは私にそれだけの能力があるとは思いませんが、しかしながら、多少の支障は起るのはこれはもう過去の経緯に見ましてやむを得ない事柄でございまして、そのために全体の推進がおくれることは絶対にないようにいたしたいとひそかに決心をいたしておりますような次第でございます。  予算的処置をどう取りますかという問題につきましては、御承知の通りに、一般財政との切り盛りと合せまして考えていきたい、こういうふうに考えておるのでございます。

山下義信日本社会党

○山下義信君 いずれにいたしましても、三十三年度からでなければこれは実施できないものと了承してよろしゅうございますね。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) おそくとも三十三年度予算には計上いたしたい、こう考えております。

山下義信日本社会党

○山下義信君 私の質問は終ります。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 私は前の厚生大臣のお話でも単価が上って医療費が上るというようなことははっきり言っておられたと思います。それから新しい大臣も言葉の端々から言えば、改正すれば医療費は上るものだという認識のもとにお話をしておられるように考えておりますが、これは話の過程であったが、高田保険局長の先ほどのお話の中にはいろいろ作業してみて安過ぎるという結論が出たならばという言葉がありますが、あれは誤まりであると思うのでありますが、堀木厚生大臣は、今度の改正によって医療費はとにかく上るということをお考えになっておるものと認めてよろしゅうございますか。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 私どもとしては、今回の改正によりましてお医者の待遇も改善できることが、やはり国民皆保険を進めて参ります上において必要であるという考え方を持っております。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 はっきりさせておきますが、待遇という言葉の解釈を一つお願いします。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) お医者さん自身が自分の生活はもとより、最近の医術の進歩に即応した必要な報酬を受けることが必要である、こう考えております。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 わかりました。待遇というと、たとえばいろいろ言葉を丁寧にしてちやほやすることも待遇であるし、現実にお金の面で報酬をよけいにやるというのも待遇ですから、あるいは医師会法というようなものを作って身分の保障をするんだというので縛り上げるという手もありますから、一応その待遇という言葉をはっきりさしておきたいと思いましたところ、施設の面の改善ができるとか、生活の面が向上される面に待遇を持っていくということでございますから、はっきりいって金銭をもととした報酬が上る方向に話を進めておるというふうに私は受け取っておきます。また、そのように大臣も言われたものと皆さんも御承知になったものと思うのであります。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 関連して……。今まで何っておりますと、厚生大臣のお言葉はすべて医師の待遇改善、その他のことをやるという前提のもとにお話になっておるようでありまするが、私は新聞ではそういうことをちらほら拝見しておりますし、過去においてそういういきさつがなかったではないということは知っておりますが、きょう大臣からそういうことをあまりはっきり言われるということは実は意外に考えるのでありますが、さようなことは御決定になっているのでございまするか、閣議でも決定されているのでありますか。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 私が申し上げておりますのは、前の大臣が国会においてすでにその問題について方向を明らかにしております。私としては前任者といえども、一たん大臣が明らかにした方針は踏襲いたしたい。また、私自身の考え方もその方向に誤まりがないと考えておりますので申し上げておるような次第でございます。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 事のいいとか悪いとかいうことは別問題なのでありますが、そういうことは閣議の議を経ておいでになっておりますか。あるいは前の内閣ではそういうことがあっても、次の閣僚の場合にまた変る場合が終始ある、でありますから、そういう点を私はさもきまったかのごとくお話しになっていることは少々軽率に考えるのでありますが、それでよろしいのでありますか。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 御注意を受けまして大へんありがたいと思っておりますが、前の内閣が国会でお約束をいたしましたことは私としてはやはり考えるべきだ、ただ、今おっしゃいましたように、閣議決定は新内閣といたしましてはいまだいたしておりませン。先ほどから申し上げましたように、大体新内閣としては、本月中に重要施策の方針をきめたい、こういう考えでおりますから、早急にきめなければならない事柄でございます。すでに下交渉は党ともいたし始めておるのでありますが、閣議決定については、念をお押しになれば、事実は閣議決定はいたしておりません。ただ、厚生省を受け持ちました大臣としては、私はその方向は変えたくないと考えまして申し上げているにすぎないのでございます。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 その程度で……。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 そこで、今度大臣が、新聞に報道されましたことなんですが、先ほども質問がございましたが、単価の改正だけでなくして、あわせて点数を改正するという考えであるということがはっきりしてきたわけでございます。この点数の改正というのは、もう数年前から新医療費体系という名前で数回世の中に出ようとしては日の目を見なかった。その日の目を見なかったというのは、今までの点数改正の考え方が非常に誤まりが多かった。であるから、いつの場合にもこれはたくさん批判を受けてとうとう葬りさられているというのが今までの状態でありましたが、新しい大臣は今度は点数もいじるのだと言っておられますが、そのいじり方の思想の方針はどういう方針でいじるつもりをしておられるか、その大綱を伺いたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 点数問題をどこまでいじって、どういう方向でいじるのだというお話になりますと、実はまだそこまでこまかく研究をいたしておりません。率直に申して、私の確信としては、どこまでいじるかという問題につきましては結論を出す段階に至っておりません。しかし、本来一番医療費の内容が単価と点数によってきまりますので、これはよほど慎重に考えていかなければなりませんし、どこまでいじるかという問題も具体的な問題に入って考えなければならぬと思うのであります。それらの点につきましては、私としては今後の研究に待ちたい、こう考えておるような次第でございます。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 点数の改正というのはこれは大へんな問題であることは大臣もおそらく御存じだと思うのですが、まあ点数表というのをもうごらんになったかとも思いますが、改正の爼上に上ってくる点数表の個々の問題というものは一体どれぐらいあるというようなことぐらいはお考えになっておるでしょうか。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) はなはだ申しわけないのですが、いろいろ説明を聞きながら見たことは見たのでありますが、もう少しそういう点については時日をかしていただきたい、こう考えております。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 これは私の質問がまあ新しい大臣に無理でしたが、そういうことだから、私はあの新聞報道はあれは大臣の腹の中からのお考えではなくて、高田さん初め事務当局からいろいろ教え込まれたことをうのみにして言われたのじゃないかというような気がするのですが、大臣はほんとうにその点数改正をしなければならぬということを本気で考えて、そうして今早急にそれができるという確信を持っておられるかどうかということをちょっと伺います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 私の考え方は、先ほど山下委員に申し上げました通りがきょう現在としては、何と申しますか、まあ私の今の考え方を事実として申し上げただけでございます。ただ実際に診療内容を両方、単価だけできめるのがいいかという問題について今疑いを持っている。合理的な考え方からいえば、点数もあわせて考えることが実際の医療の内容、技術の点等を考えますと必要でなかろうか。ただ御心配になっております事務当局の説明を聞いて、事務当局の言うことをそのまま大臣が移し考えておるというふうなお考えもあるかと思いますが、それらにつきましては、私が最後は私の決心おいてきめたい。決して事務当局をないがしろにはいたしませんが、事務当局だけで物事のきまることは私としては極力避けるつもりでおります。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 今だんだん話を聞いておりますと、単価だけいじってはいけない。同時に点数をいじることが合理的であると思うというようにとれますが、大臣は今度点数をいじることが合理的だと思うから、その方向に研究を進めるというのですか。もう点数もいじるのだという決心をしておられるか。それをはっきりしてもらいたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 正確に申しますと、点数をいじることも一ぺん見てみたいという考え方でございます。それで最後はどういうふうな案でいくかを自分できめたい。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 それではまだその点数をいじるのだというようにきまったわけではないというように理解しておきましょう。  そこで、今まで点数のことはいろいろ数回、厚生省ではすでにもうずいぶん費用とそれから年数をかけて調べておられますが、今までの点数改正の欠点はたくさんの点があると思うのです。それは、これは決してひが目ではなくて、従来年々健康保険が赤字であったということ、その赤字を解消するという意図のもとに点数が考えられるという傾きが非常に多い。これはないと言われても事実はそうであった。何とかして健康保険を黒字に持っていきたいという意図が表なり裏なりに動いておったわけです。その意図が制限診療となってきましたり、あるいは監査とか審査が強行されるということになってきて、それがだんだん徹底していったら、この間までは六十六億の赤字だといったのが現在は四十億の黒字になりそうだ、黒字だ、そういうことでプラス、マイナス百六億、概算百六億という倹約ができたということなんです。こういうふうに監査とかあるいは審査、この間の保険の改正というようなものはこれほど響いてきて、徹底してきたということが言えるわけですが、大臣はこういうふうに保険の財政が今までとは様相が変ってきた、赤字が今度は黒字財政に変ってきた現在においても、従来の点数改正の方針と同じように、今までの方針をそのまま踏襲して、点数改正の方向をとるつもりであるか、あるいは新しい大臣になられて、今までとは違った方向で点教の改正をするというようなお考えがあるか、その点を一つはっきりしていただきたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 実は内輪話でございますが、先ほど山下委員から追及された、日本医師会の方にお目にかかりましたときに、点数の問題はお医者さんが一番よく知っておられるでしょうから、日本医師会の方の意見もございましたらぜひ至急教えていただきたいということを私は言っているのでございます。今お尋ねの赤字、黒字にかかわらず、本来何と申しますか、適正な医療報酬を決定する場合に、単価だけでいこうということ自体が果して一番いいのだろうかどうかということを、今私は疑問に思っている。こういう点を申し上げ、山下委員にも申し上げたわけでございます。まだ今後残された日数のうちに、せっかく検討いたしましてきめてみたい、こう考えしいるわけでございます。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 従来そうでございましたが、点数の改正のおもな行き方は、私は物と技術を別にするのだというこの思想がその中核をなしておった、こういうふうに思うのです。それで物をきめることは非常にやすい、しかし、技術料をきめるということには相当の困難があるのじゃないか、相当の困難どころではない、今までの厚生省のやり方でいけば、この原価を計算するたのに、工場で物を作り、生産するそのときの原価計算の方法でストップウォッチを持って、あるいはガーゼについた塗布薬の目方をはかって、そういうことで技術の原価計算をしておられたということが事実でございますが、私はそういうことでは医療の技術の原価計算はできない、技術料算定はできない、これはもうだれでもそう思うだろうと思う。人間の命を貨幣で幾らに見積るかということができないし、人間の苦痛というものが、一体その苦痛は幾らの値打があるかというようなことがきまらない以上、医者の技術料がお金でどれくらいと表されることはむずかしい、私は不可能だと思うのです。一体その技術料を厚生省はどういうふうな方向で、その不可能と私が言う方法をどういうふうにしてきめようとしておられるかということが私は伺いたいのですが、私の考えでいえば、これはもういろいろ理屈をいうて、電子計算機を持ってきて計算してもできないかと思うのです。不可能だと思うのです。それは、それを可能にするにはどういうことがあるかとすると、これは諸外国の現在の技術料の状態、医療費全体をくるめた技術料の現在の状態、その国の経済規模、あるいは生活水準、歴史的な変化というようなものを吸み取ってそれを世界的の規模においてわが国と比較して、日本の現状にはこのくらいであろうということを推定していくほかには僕はないだろうと思う。これをそろばんではじいて、アメリカ人の命は幾らだけれども日本人の命はどうだというようなことでは計算できぬのですかち、医者の技術料をそろばんではじくことはとうていむずかしいと思うのでございますが、こういう点について大臣はどういうふうにお考えですか。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 木下さんからたびたびのお話でございますが、結局まだ結論というものは出しておりません。しかし、事実点数と単価を掛け合して一応医療をきめよう、適正医療を発見しようとすることが行われて参りました以上、私どもとしては、より少しでも合理的な面を発見いたしたいという考えにほかならないのでございます。今おっしゃったように、非常に技術を算定することはむずかしい。それは同じ病気でも個々の人によって千差万別でありますし、それに対するお医者さんの技術というものを点数でもって考えるということが困難である。私もよく言うのでありますが、これをほんとうに正しいかどうか、絶対的な眼で正しいかどうかということを考えて現わすことは神さんしかできないかもしれない。しかし、ともかくも双方によって適正医療を算出しようとして参りました現実から見ますと、一応この問題について考慮するのは当然でなかろうかというふうに考えておるのであります。で、そういう意味からいたしましても、私はお医者さんが一番よく知っているのじゃなかろうかというので、実はお医者さんには、あなた方が一番医療方法のウエートについては御承知なはずだと思うし、われわれ自身が独断の立場に立つことも非常に危険であるからぜひ考えていただけないかということを申したことがあるような次第であります。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 今のお話聞いていますと、私はこういうふうに考えていいでしょうか。大臣は、技術料の算定には工業方面で用いるような原価計算方式をとるのじゃなくしてお医者さんが一番よく知っておるというようなことを言われますから、慣例上あるいは通念上の技術料というものは常識的に、良識的にきまってくるものだ、それを自分は勘案していきたい、こういうふうに考えている、こういうふうに承わってよろしいでしょうか。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) その常識的にというのが問題だと思うのです。場合によると常識的ということは、非常に科学的な基礎がなしに常識的と言われるという場合もあるのですが、そういう考え方ではございません。できるだけ科学的に、より実際に適切な道を発見するということでございます。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 それじゃ大へんおそれ入りますが、今最後に言われました科学的算定の、科学的という方面の一端を一つ示してもらいたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) そこまで私研究を積んでおりませんので、はなはだ申しわけありませんが、私にそれを御質問願ってもどうもまだ準備不足だと考えております。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 それは悪気で言うのじゃございませんが、工業方面による原価計算のような方式で技術料をきめる気か、あるいは先ほど申しましたように、世界の水準を考えていろいろのことを勘案し、歴史的にも見て、あるいはあなたのおっしゃるように、お医者さんが一番よく知っておる、そういう考えで人間的な考えを多分に盛り込んでおやりになるかということを言いましたら、あなたは常識ということに引っかかって、常識でない、科学的にいくのであるという仰せだったから、言ったけれども、科学的ということはどんなことか知らぬということじゃちょっと工合が悪いと思うのです。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) はなはだ申しわけありません、言葉が足りなくて。要するに、科学的にと申しましたのは、今おっしゃったようなデータ、いろいろな、従来おそらく世界各国でもそれらについて研究しておる。現にこの保険制度をやっていく以上は研究したものが相当あります。それから今おっしゃいましたような技術のいろいろなウエートの置き方というようなものも、これは専門家の常識というものも出て参ると思うのです。すべての要素を総合して考えるべきでなかろうか、こういう考えにすぎません、私の考えは。それではお前算定してみろといわれると、どういう要素をどういうふうにウエートを置いてやるのか言ってみろとおっしゃると、実は私専門家でもなし、従来の経験からもそこまではお答えすることができないという状態でございます。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 それでは、新しい大臣にまたその面の専門家でもない方に私の質問の仕方が非常に無理だと思いますから、これから手控えして御質問いたすわけですが、一体大臣は、適正な医療費というものはかくあらねばならないということを算定して、そうしてしからば予算措置はどうしようか、こういう方針でとにかく適正な医療費というものをまずきめてみたいというお考えなのか。日本の現状においてあるいは予算の規模において、この程度までは今金はどうにかなる。その範囲内においてこの点数をいじろうというよなおぼしめしであるのか。その行き方が全く反対の方向でございますから、そのどちらをとろうとしておられるのか、その点一つはっきりしていただきたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 今おっしゃいますように、私は、今の私として考えておりますことは、合理的なかなかあらねばならぬということを一つ考える。それから全体のワクから見まして、現実的に国民経済、一般財政、保険財政等から考えましてもう一つ考える。そうしてそれはかくあらねばならぬ、これは理想でありましょうが、現実の問題としてはやはり現実の諸条件、現在日本のおかれております国民経済の問題あるいは一般財政の問題から詰まって参る。そこにどこまで行かなければならないかという将来の方向だけははっきり持っていきたい。社会保障の問題を研究いたしますのには、どうしても理想は高く持ちますが、制約は今おっしゃったような諸条件によって制約を受けつつ、しかし、国民経済の繁栄とともに、国民所得の向上とともに一歩々々解決してゆくのが当然でなかろうか、こういうふうに考えております。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 その点わかって参りました。ただし、あなたの所管であるところの国立病院におきましてもあるいは公的性格の病院におきましても、現在すべてが一つ残さず赤字に悩んでいるということは、もう医療費が非常に安い、これではまかなえないということははっきりした事実でありますから、この際私は希望を申し上げるのは、一体適正な単価というものはあるいは医療費というものは幾らでいいかということをまず出すことが必要だと思う。予算の範囲内でということを頭に最初おかないで、ほんとうは幾らならりっぱな時勢に沿うた治療を受けられるかという価格を出しておいて、これが相当であるけれども、そうはいかないからここは一つもう少し一応しばらくはがまんして、低い治療でがまんし、ようじゃないかというようなことはそのあとで考える。まず適正な単価あるいは医療費というものをきめてもらいたい、私はそういうふうに考えるものであります。どうかそういう線で大臣は将来動いてもらいたいと思いますが、最後に私は、先ほど山下議員とのやりとりの中で、この医療費の改正は三十三年度になってはじめてその効果を現わしてくるだろうというようなことをちょっと私耳にして、はっきり聞きませんでしたが、そういうようなことを話しておられたように思いますが、それはとんでもないことと思うのですが、大臣、あなたは三十三年度に医療費の改正が実現されるということを本気で考えられたのかどうか、それなら私はまた考えを直して一つ話を進めなければならない。これは間違いであろうと思うのですが、この点はっきりして下さい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 山下委員にお答えいたしましたのは、なるべくわれわれとしては早くやりたい。しかし、一般財政の問題とにらみ合さなければなりませんから、おそくとも三十三年度の予算には間に合わせていたしたい、こう申し上げたんでございます。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 それはとんでもないことなんですよ。従来それは高田保険局長もおられたが、三十三年度という声を聞いたのは初めてです。衆議院においてもそういうことは一ぺんもだれも言っていない。前の神田厚生大臣も、簡単にいいますと、単価の値上げ、医療費の改善というものは少くも八月初旬中にはできるだろうと思わせるようなことを言っておられる。この間の衆議院においても岡田局長は八月一ぱいにはぜひこれをやりたいという意思で十分努力するということを繰り返し言っておられる。それとは半年以上も先になって三十三年度、おそくも三十三年度からこれがやれるようにというようなことでは、それはまことに気の長いことであるし、今、前大臣の考えておったこととあなたの考え、そういうことが全然違ってくるわけですが、これは一つ訂正しておかれた方がいいと思うのですが、これは大へんなことなんですよ。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 今申し上げましたのは、私どもは一日も早く実施に移したいが、おそくとも三十三年度の予算には間に合わせてやりたいと申し上げましたような次第で、今お話に、御質問になりましたように八月中にやりたいということは、私も衆議院の社労の委員会で申し上げました。これはわれわれの案を作業として出すのがおそくとも八月中一ぱいは完成したい、そういう意味で申し上げたのでございます。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 現在公的病院におきましても、従業員のべースアップができないで困っておるのです。かつて八月というような声がかかったとき、やれやれ八月になれば診療報酬が幾らかでも上ってくるから、そうなれば君たちにも多少ベースアップできるのだということをただ一つの希望としてやってきておる、今に及んで三十三年度からということになってきますと、今まで据え置きになっていた医療従事者の低いベースというものは、そのまま本年もずっと持続していかれる。今になってそういうことを言われることは、けしからぬことだと思う。この数年町医療従事者というものは看護婦、医員、事務系統に及ぶまで、非常に低いベースでやっておることはあなたでも御存じだろうと思う。ここにきて三十三年度にはおそくともということを一ぺんそう言ったら、こういう席で言ったら、あのとき三十三年と言ったからということで通りそうになってしまいますから、これだけは一つ八月一ぱいには……、かつて衆議院でも高田さんも言われたように、八月一ぱいには自分たちの作業の結果をお目にかけるのだ、そうして一日も早く、できれば即刻にこれを実施するようなふうに持っていくというように発言を訂正してもらいたい。三十三年度という声を一つこの席から消していただきたいということを私はお願いします。三十三年というようなことを一ぺん言われたらばこれは延び延びになっても、三十三年というようなことは努力したけれども、三十三年の予算しかできなかったというようなことになったとき、大へんな騒ぎになるおそれがあるから、これだけは一つ私は取り消しを要望します。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 私が申し上げたのでも、木下さんの御希望とそう違わないと私は思うのであります。一日も早く実施に移したいがということは申し上げておるのでございます。ですから、おそくとも三十三年度の予算には、すべての社会保障の一環としての問題を予算上考えるのであるということは、私としてはそう木下さんのおっしゃることに差がないように思うのでございますが、いかがでございますか。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 ことによってはそういうことも言えますけれども、早急に実施したいというのと、三十三年というような数字が一ぺん出るということは、これは受取り方に重大なる違いがあるわけなんです、だから、この三十三年ということは初耳でもありますし、また、そう長延びてもらっても困ることでもあるし、第一この点数改正というようなことは、非常に重大なまた困雑な仕事であるから、手間取ることは承知しておりますけれども、それも勉強して八月一ばいには必ず出すために努力するのだということをはっきり言っておられたのだから、そこまで述べておけばいいはずのものを、三十三年度からおそくもということを言われたのでは、これはどうしても工合が悪い。そこだけは、三十三年だけ取消してもらって、八月一ぱいには出るのだから、その先はぜひ一つ期待に沿うように一生懸命努力するのだというくらいな、それくらいなことを言わなければ、これはどうしてもだめですよ。三十三年の声だけはどうしてもこれは取り消していただきたい。これはいつまでたっても水かけ論になるかもしれませんけれども、皆さんにお気の毒だけれども、三十三年という声だけはこれは引っ込めてもらわなければならぬ。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 木下委員、私はむしろ木下委員の御質問がいつから実施するか、で木下委員が早急に実施するという私の答弁だけでとめておくということを御希望なら、私はその点は一向差しつかえないのですが、あなたがあまりに時期をはっきりさせるとおっしゃったと思いますから、今言ったような御答弁をいたしました。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 私が言ったのじゃない。これは非常に巧妙な山下さんの質問にあなたが引っかかって三十三年というのを言ったので、私は山下さんのようにそういう巧妙な手であなたを引っかけようとはしないから……、私が時効を迫ったから三十三年と言ったのでと、そういう誤解を、たった三十分の間にそういう間違いをするようじゃ困る。僕が言ったのじゃありませんよ、山下さんにあなたが答えたので、私は一体いつごろその作業が終って、いつごろから実施されるということを考えておるかといったら、三十三年にはおそくもということを言われたから、私は実はびっくりしたのです。それですぐ尋ねたかったけれども、話が長くなりそうだから、これはきょう一日かかっても、三十三年では話し合わねばならぬから最後にとっておいた。

山下義信日本社会党

○山下義信君 私は厚生大臣を引っかけた覚えはございません。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 私も山下さんに引っかけられたとは今でも思っておりません。その点は木下さんの、作業がいつ終るかという点には、これは私どもできるだけの、全力をあげても今のところ八月一ぱいはかかるだろうということを考えております。なるべく早急に実施の時期がくることを希望いたしております。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 私はあくまでも三十三年ということは、きょう取り消しができなければ、この次の委員会でも取り消してもらうということを申し上げておきまして、質問を打ち切ります。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は先ほど大臣のごあいさつにありました、非常に簡単にお述べになりましたが、いつもこういうことは聞くわけなんですが、具体的にたとえば社会保障体制を整備し、福祉国家を建設するとかということがよく述べられておるわけですが、どういう工合にして社会保障をやっていくのかという総合的、具体的な解明とか御意思というものが一つもここに出ていない。私は今日、今の内閣がお述べになっております民生の安定であるとか、貧乏をなくするということであるとか、たとえば国民皆保険の問題であるとか、結核対策であるとか、いろいろ言葉の中には出てくるわけです。それではその今の現状を見てみますと、たとえば今度の予算の面から見ましても、片方では二千億も税増収があった。それでだんだんこの前の大臣に追及していきますと、今守らなければならぬ生活保護法の対象、あわせてボーダー・ライン層は九百七十万もおる。こういう方々の生活を保護したり、ほんとうの社会の仕組みの中でこういう方々を守っていくというところに思いを中心にいたさない限りは、私は社会保障という口では簡単に言えても、実際の現れとして出てこない。そういう問題が簡単に——社会保障の整備、福祉国家の建設をいたします、あらゆる障害を克服してという簡単な言葉で言われているのですが、この点について大臣の——厚生行政というのは非常に広いと思うのです。日本の九千万の国民の人間生活を一手で引き受け、非常にたくさんのものを持っておられる厚生行政ですから、私はある程度のアウト・ラインだけでも、この問題にはこうするのだ、この問題にはこういう考え方だということを一つお聞かせを願いたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) ごあいさつを非常に簡単にしましたので、実はどうせ予算の時期になりますと、私どもがその予算の御説明とあわせて、こういたしたい。そして御審議をわずらわす機会があるし、私自身が就任早々であって、実は皆さんのような専門家にいろいろ今まで、今おっしゃるような形で羅列いたしました方針を申し上げてもどうかというふうに考えまして、ごあいさつを非常に簡単にいたしましたので、今おっしゃるように、要するに生活保護法の対象になるあるいはボーダー・ラインの対象になっておる人、これらの人に対して救済の手を伸べなければ、それと国民保険とどういう関係があるかというふうな御質問の要旨だと思うのでありますが、要するに、生活保護法の問題は過般御審議をわずらわしましてややその内容を改善いたしました。しかし、全体としてこれらの人の生活態様を見ておりますと、やはり病気というものによって非常に影響を受けている。で、そういう関係から見ますると、この際私どもとしては既定の国民皆保険という——四カ年でこれを達成しようという考え方は当然出て参ると思うのであります。さらにこれらの病気の内容を見まして、結核がおもなる地位を占めておるという点からやっぱり結核の根本的対策を樹立しなければならないという問題が出てきて、それらが結局社会保障制度審議会におきましても、その他の委員会におきましても、この問題が取り上げられるようになったということは当然のことでなかろうかと思うのであります。そうなって参りますと、さらにそういう構図を書きましても、実質的にお医者様がいない地区があったり、お医者様がいない村があったりしたら、これを解消しようじゃないかという問題も当然出て参るわけであるし、さらに医療内容について向上を期したいという考えも出て参るであろう、こういうふうに考えまして、私はこれらの点につきましては、方向的にはひとり厚生省のみならず社会保障に関心を持つ学者及びすべての人々の考える当然のところでなかろうか。ただ私どもがこれをいかに充実発展させるかが行政機関として必要なことである、こういうふうに考えておるような次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 今のお話ではなかなか私は抽象的と申しましょうか、なかなかつかむことができぬ、今のお話だけでは。それでは今の問題点をあげてお話をしていきたい。  第一にお尋ねしたいことは、国民皆保険の問題、要するに国民健康保険の問題です。これは四年間で実施をする、本年度から実施されるわけだが、国民健康保険の内容を少し分析してみますと、保険者が全体の七割を持って、国家が二割を持って、病気になったときに治療費の半額を持つということでありますから、理屈の上では十割以上になるということなんだが、実際問題として七割という保険料を負担し切れない要素の人がたくさんおるという状態にある。それから病気になっても半額を負担しなければならぬということで、病気になってもたやすくお医者さんに見てもらえないという状態にある。しかし、病気というものは生命に関する問題だから、これは待ったなし。そこで治療はしてもらったが、金が払えないという人が多い。そういうことになって、結局今の国民健康保険の運営というものはどこにしわ寄せがいっているかというと、地方財政にしわ寄せがみんなかぶっていく。大体に地方の財政というものが買い切れない限り国民健康保険というものは実施できないというのが今日の実情じゃないか。で、今日何の医療制度もない三千万の国民の方々をこの四年間に分けて国民皆保険を実施するというのでございますけれども、実際この状態では強制実施ということにならざるを得ないと思う。そういう場合の具体的に地方の赤字財政の負担を軽減する、または今日の、要するに国民がこの負担の軽減によってやはり健康や病弱を社会の政治の仕組みの中で守っていくという考え方が具体的に出てこなければお題目に終るんじゃないか。国民皆保険というものはお題目に終るんじゃないかということがここに出てくると思う、これが第一点だと私は思う。  それから第二点の問題は、健康保険でもそうでございますけれども、この国民健康保険のやはり中心になって大きい問題になってくるのは結核予防の問題じゃなかろうか。結核予防の問題が結核予防法の処置として、予防処置、診療処置、こういうものは行われておりまするけれども、なかなかあれでは十分でない。根本的にここにその結核予防対策というものを確立しなければならぬという事態に来ているんじゃないか。  まず二点について先にお尋ねしたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) お前は国保の推進をはかるというが、地方財政の現状から見ると、この問題について、なかなか進行はむずかしいであろう、おっしゃる点については私どもも確かにその点があると思います。従いまして、その地方財政の負担を軽減する措置が必要だというふうに考えることも当然の帰結だと思うのであります。結局まだこまかいことになれば、さらにいろいろあると思いますが、それらの点についてもやはり解決をはかるということは必要である。ただこの際申し添えておきたいことは、むしろある面におきましては、国保の問題は六大都市の進捗状況が非常に悪い。しかし、最近の情勢では、やや国保の被保険者の数は大体予定の通り増しておりますが、それにもかかわらず、私は地方財政の赤字と申しますか、財政負担を軽減ならしむる処置及び給付の内容について考慮することが必要であって、その問題の解決をはかりたい、こういうふうに考えております。  それから結核の問題とつきましては、確かによほど抜本的な処置をこの際に考えないと、なかなか結核の根本的解決はできないだろう、お題目だけでなしに、さらにこれをほんとうに推進する、それこそ具体的な方策をはっきりさせるという方向でものを考えなければならぬ。ただ結核の問題につきましては、将来に対して、最近の医術の進歩から非常にそういう行政方針を出して将来希望をつなぎ得る、しかもこれが解決すれば保険財政の問題についても非常に寄与することが多い、こう考えまして、結核対策につきましては、渦般の国会におきましていろいろと御審議をわずらわした点よりもさらに数歩を進めて参らなければならぬ、こういうふうに考えております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 そこでちょっとあとへ戻りますけれども、先ほど大臣は、社会保障の研究家、学者その他の方々の意見を聞いて社会保障の実現を期していきたい、こういう工合におっしゃったと思うのです。ところが、私はこの前の国会で非常に奇異に感じたのは、厚生省がおかかえ、というのは失礼かもしれませんけれども、主として厚生省の相談にのっておられる社会保障の大家と言われる方々が、健康保険一部改正の問題をめぐって、保険料を出している、健康保険に加入している人は健康な人も病弱な人もある。病気になってお医者さんに見てもらうと利益を受けるのだから受益負担を出すのだということで、あのような改正の一部負担の理論がそういうところから生まれてきた。私はそういうものの考え方が社会保障の基礎であるのかどうかということに大きな疑問を持ち、非常に私もそこで意見を述べたのであります。問題は、近代社会において失業や貧困というものが自分の怠惰や自分が怠けるとか、または自分が求めてそういうことになっているのじゃない、働く場所がなくなる、生活ができなくなってくる、こういう形の状態が生まれてくる、そういうものを社会の仕組みで直していくというところに政治責任体制というものがあるのであって、慈善や恩恵ということじゃなしに、そういう形のものが社会保障という制度として出発しているのだと私は思うのであります。そういう形がはっきりせないと、またまた、今のような国民皆保険の問題、その他の問題について医療機関の適用を受け、医師の診療をしていただく人は利益を受けるから受益負担を課さなければならぬというような思想が根本にあるとしたら私は大へんなことだと思う。そこらあたりがもやもやしているから、国民皆保険の問題についてもすっきり割り切れない私は非常に不安を持つのです。そこのところあたりを厚生大臣一つお聞かせを願っておきたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 私さっき学者の意見を聞いてと申さなくて、大体学者の従来いろいろそういう方面の考え方を述べたものがそうだと申し上げましたのですが、決して一部の都合のいい学者の意見だけを聞くつもりはございません。、今おっしゃったうちで、どうお答えしたらいいのか、非常に広範にわたったお考え方なんでありますが、むろんこの保険の問題につきまして社会保障の大きな一躍として考えますときに、生活保護法によるのは、病気にかかりましたときに御承知の通りの給付がございます次第であります。これはもう御承知だと思う。むろん万御承知で御質問になっていると思う。ボーダー・ラインの医療についても貸付制度がきまっているというのも、皆さんは御審議を願いましたのですから御承知の通りだと思う。ただ保険財政を持って参りますときに、国家が何でも全額公費負担だという考え方のみでいけるかどうかと言いますと、今の日本の国民経済なり、あるいは財政の状態から言えば、実際問題としてはほとんど解決が困難な問題にぶつかって参るということから、被保険者の一部負担の問題が出て参るのもやむを得ないのじゃなかろうか、こう私は考えております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 いや私は何でもかんでも国家で医療の関係のものを全部負担してやれというようなことを、これは理想でありますけれども、今それを実現せいというような発言はしていない。たとえば社会保障を進めるという物の考え方が、今の学者の関係においてこういう発言があった、そういう学者の意見を基礎にして社会保障を進めてもらっては困るという意見を出した、これが第一点なんです。そこで、国民健康保険に帰りますけれども、今のような格好で国民皆保険をやっていくということに根本に私は無理があると思う。だから一〇〇%とか八〇%ということじゃなしに、国の補助率をどれだけふやして保険料を逓減するとか、または病気になったときに治療費の五割を負担するということでなしに、もっとたやすくお医者さんに見てもらえるような状態を作ろうとすれば、負担率を私は五割を二割にするとか、段階として無料になるのが一番いいことですけれども、そういう問題が考えられてこなければ、それが回り回って地方財政の負担ということになってくる。そこを聞きたい、そういう点についてどういうお考えを持っているのか。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 今おっしゃったような給付率につきましてはわれわれも何とか、方法は私はそう違わないと思うのでありますが、しかし、一体それをどの程度に負担するかという問題がいつも問題になる。その点につきましてはやはり具体的な結果を待って皆さんに私の考え方を申し上げるのがほんとうじゃなかろうか。今直ちに幾らの何割でなければならないというふうな考え方でもって研究をやっているわけではございません。それらにつきましては、今後の問題としてもう少し御猶予を願いたい、こう考えております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 それじゃ、第一点の質問の結核予防対策の、根本的な改正のために努力するというお答えが、国民健康保険の具体的な問題については、もうしばらく時間的の間に研究をして、大体希望に沿うように努力するという工合に、私は御答弁をいただいておると理解して、ここのところは打ち切りたいと思うのです。  次の問題なんですが、今の医療の設備の問題で、医療担当者の待遇の問題も一つの問題点でございましょう。しかし、たとえばこの医療担当者が大都会中心に偏在している、こういう問題が一つございます。それから医療扶助を受けてる方々の、入院中の生活の問題が一つございます。それからまた、その方々の日々の生活する扶助料をどうするかという問題もあるわけです。もっと進んで看護婦の看護体制の問題がここに出てくると思うのです。看護体制の不足、欠陥、こういう問題が出て参ります。私はこういう問題は、この前の国会でもいろいろ論議をして、医務局長ですか、できるだけ、たとえば食費の問題なんかについても期待に沿うようにしたい。看護体制の問題についてもやりたい、扶助料の問題についてもやりたい、こういうことが出ておるのだが、結局突き詰めていくとなかなか実現の域にまで入っていかない。私は公正、新鋭な厚生大臣として、堀木さんがおいでになったのだから、今までのたくさんの懸案を、がっちりと取り組んで解決していくという心がまえを作っていただかなければいかぬのじゃないか。そうでなければ、口では社会保障とか、たとえば福祉国家と言いましても、たくさんの貧困者をかかえておってその処置が十分にできてないで、私はなんぼ言ってみたっても、できないのじゃないかと私は思う。  もう一つつけ加えたいことは、今度の予算を見ましても、大臣が、新内閣になられたのだから、うんとうんと研究されて処置をされると思うのですけれども、私は二千億からの税増収があって、二兆からの投資経済が生まれてくる時代、拡大生産だと言われているのだが、その中で人間の生活を守るという、または医療、病弱、その他健康を守るという予算がどれだけその予算の中からあたたかい手が伸べられたかというと、これは僕等があきれるような状態なんです。だからそこらの問題も十分に勘案してもらって、きょうのようなあいさつを述べてもらわないと、またおざなりのごあいさつが始まったとしか考えられない。だからそういう点を、一つの全体の問題と、個々の問題について御意見をお伺いしたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) おっしゃることはその通りでございます。皆保険と口に言っても、あるいは貧乏を追放すると言っても、具体的に一つ一つがその方向で具現して参りませんことには、から念仏になります。がっちり組めとおっしゃるのですが、ありがたいお言葉ですが、がっちり組みたいのですが、あまりがっちりして、長く延ばすわけにもいかぬようにたくさんの問題が現在の私に押しかけてきております。今おっしゃったような問題がすべてそうでございます。これらの問題をがっちり組みながら早急に解決しなければならない。そうなると、予算というものも、希望も大体頭の中に入れると考え方が浮んで参りますが、要するに、人間の生活を守るということは、われわれとして当然考えなければならぬし、今の予算上占めるこれらの処置がいいのかどうかという問題と、基本的に組んでいかなければならぬと思います。ただあの際には、私内閣におりませんから何でございますが、しかし、ともかくも二千億のうちで一千億は減税に充てろという声が、大体私は天下の声で、これも一つの、やはり生活を守る問題であったと考えざるを得ないのじゃなかろうか、こう思います。藤田さんの御趣旨に沿うようにせっかく努力をいたしたい。それによって私の品定めがきまるのだろうと私は思っておりますので、せっかく努力いたしたいと思っております。なお、個々の問題につきましてはお差しつかえなかったら政府委員から答弁さしていただきます。

小澤龍厚生省医務局長

○説明員(小澤龍君) 先ほど御指摘のありました患者の食糧費の問題、これにつきまして来年度予算におきまして現状よりも改善する方向に進んでいきたい、かように考えまして、目下案を練りつつございます。看護体制の同順も同様でございますが、来年度において若干でもこれを改善していく方向に進んでいきたいと考えて、目下いろいろ検討しておる最中でございます。  それから医師等の都市偏在の問題、これは非常に大きな問題でありますし、非常に困難な問題でありまして、一種の職業の自由という憲法によって定められましたところの基本的人権にも関する問題でございますので、にわかにこれを適正配置に変えるという方法も困難なのであります。何とか行政指導その他の方法によりまして、できるだけ僻地にも医師が勤務していただけるような体制を作っていきたいと考えておる次第であります。本年度から実施しておりますところの僻地医療対策につきましては、僻地診療所と親病院との結びつきによりまして、親病院から交代制で医師を派遣してもらうということによりまして、現在この方面の仕事はうまく進捗しておるのでありまして、漸次こういうふうな方法も考え、また、行政指導によりまして、できるだけ偏在を避けていく方向に進めていきたいと考えておるのであります。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 今、小澤さんに重ねて私は質問したいのですが、生活保護法、医療扶助の対象になっておる医療扶助のやり方について、一般健康保険その他との医療の仕方と差異をこしらえておるようなことを最近またまた聞くのですが、生活保護法の医療扶助を受けておる人は、何かいろいろ問題が粗末に扱っておられるような感じを持つのですが、結局気分ですが、そういうことはあるまい、大臣はございませんということだったんですが、これは安田さんですか、医務局長ですか、どちらでもけつこうですから、そういうことは明確に、そういう差別待遇をしておるのかいないのか、指示しておるのかいないのかということを聞かしておいてもらいたい。

小澤龍厚生省医務局長

○説明員(小澤龍君) 診療担当者の側におきまして、被保険者と生活保護法による医療扶助との間に、個々におきましても、実地におきましても、差別的待遇を与えるということは絶対にないと承知しております。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 非常に時間がございませんから、簡単に二点だけお伺いいたしたいと思います。御了解を願います。実は端的に申し上げます。前国会で、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律というのが通過成立しております。ところが、これについて、いろいろ利用者の側から強い反対がございまして、非常に困難をしたことと思います。しかし、いずれにせよ、通過成立を見たので今、何をか言わんやでありますが、ただ法律の施行に伴う問題として浮び上っておりますのが若干それよりも大きな問題が浮び上っていると思うのです。  その中でまず第一点としてあげたいのは、十幾種の業種に関してそれぞれ同業組合を作り、そうして同業組合が組合員の利益を守るという形で、いわゆる不当な競争を避けるという名において、価格の適正化とか、いろいろな問題が取り上げられている、そうして業者そのものの利益が守られる。それで、これに関係のある業者が全国で六十五万といわれる。ところが、この業者の下で働いておる従業員といわれるものが、推定でありますが、大体二百二、三十万に上るだろうといわれております。ところが、この二百二十万の従業員なるものは、現在は健康保険法の適用を受けていないわけなんです。そこで当面の問題として、まず第一点伺っておきたいのは、先ほど厚生大臣は新任の最初のごあいさつとしてお話になりましたように、福祉国家なりあるいは社会保障制度の確立を念願するという非常にけっこうなお話をいただいたわけなんです。ところが、これはいわばおざなりの歴代厚生大臣のきまり文句のような印象を受けますけれども、しかし、私どもは強力にこれを推進しなければならぬという立場にあると思うのです。ところで、この二百数十万に上る環境衛生関係営業の運営適正化に関する法律の中に包括される従業員、つまりサービス業といいますか、こういうものに対する健康保険の適用をなさるお考え方があるかどうか、この点をまず第一点として、厚生大臣並びに保険局長の高田さんにお尋ねしておきたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○説明員(高田正巳君) 今日健康保険法の建前は、たとえばサービス業とか、農林漁業とか、こういうふうなもの、かような業種はその対象にいたしておりません。それから健康保険の対象業種でございましても、この中にも、こういうふうな環境衛生法の中に包含をされまする業種でも、適用の対象の業種はございますが、その際には、今日の健康保険では、常時五人以上を雇用しておるという場合が、強制適用の対象となっております。従いまして、今の御質問は、さような今日強制適用の対象になっておらないものについて、健康保険を拡充をしてそこまで持っていく意思があるかないかという御質問であろうと存じます。その問題は非常に重大な問題でございまして、これは事務の能力の点とか、あるいはまた、保険財政そのものの点とか、諸般の観点から慎重に考えなければならない問題でございまするので、私どもさような点につきまして研究を進めておりますけれども、今日この席で拡張をいたして参りますということをお話を申し上げるまでには至っておりません。今後の研究問題といたしまして考えていきたいと、かように存ずるわけでございます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 今の局長のお話、私どもそれで一応わかるわけなんです。ただ健康保険の被保険者として十三条の規定にある業種の中に入っておらないこと、並びにその事業所における常時従業者が五人以上であるという点をよく存じておるわけなんです。ところが、ここでは、そういう種類のサービス業とか、あるいは五人未満のところ、あるいは五人以上であって、この種の、ここに掲げた以外の業種については適用してはならないという規定はないのです。しかも第十四条にはこの任意包括の規定も載っている。ですから行政的にも研究をし、努力をされれば、開拓される余地があるのではないかということが考えられる。さっき申し上げたように、実に全国で二百二十万ないし三十万といわれる多数の人々が非常に念願をしておるけれども、安い給料の中で医療を受けるに際しても非常に困窮をしている、この実情がおわかりになれば、これは積極的な打開策を一つ講じてもらわなければ、大臣のお話になった福祉国家になってこないと思う、あるいは社会保障制度の拡充にはなってこないと思うのです。その辺の所信を今度は大臣の方からお伺いをしておきたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 実は今その問題を私どもどう解決するかということをやっておるのでありますが、今おっしゃった任意包括加入の問題もあることを……今実はここで局長にも、その問題を御答弁すべきじゃなかろうか、こう言つたくらいでございまして、私どもとしては、なるべく健保という方向でものを処理するのが合理的であるというふうに考えつつ、実際問題としては国保の問題でゆかざるを得ないかどうかということを今考えている最中なんです。で、その点についてもう少しの間、答弁をはっきりすることを御勘弁を願いたいと思います。せっかく研究いたしておるところでございます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 大臣に多少無理かと思いますが、特に私は一つの実例をあげておきたい。これは先日私九州の別府市で開かれた旅館従業員組合の会合に出席いたしました。その際、旅館の中にも、自主的に業主と従業員との間で話し合って、健康保険に加入しておられるのもあるのです。ところが、ある所では同じ市内にある同業者の仲間で健康保険の加入を申し込んだけれども、県当局の方は断わったということなんです。それはどういうところに原因があるかというと、保険料が、先ほど局長の言われたように事務的に徴収が困難であるとかいろんなことがあるらしいのです。あるいはまた、赤字が出はせぬか、こういう心配のゆえに、大きな観光旅館では、従業員が五十人も六十人もおる、あるいはホテル等におきでも、相当数の従業員がおるわけなんです。当然強制適用にならなければならぬはずのものがなっていない。なっておらぬ理由が、むしろ厚生省の方から指示されておると聞いておるのですが、都道府県の健康保険課に対して、そういうものを加入さしてはならぬ、また、赤字が出る、こういうことを言っておるやに聞いておるが、そういうことは少くとも厚生大臣のさっきのごあいさつの趣旨からは大きくはずれておると思う。その点もう一ぺん御答弁を願っておきたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○説明員(高田正巳君) 任意包括——今の、何人いましょうと、サービス業でございますれば、今日では強制適用の対象ではないわけでございますが、従って、任意包括の問題になって参るわけでございますが、私ども任意包括をむげに認めないようにしろという方針ではございません。現に任意包括で現在の健康保険に加入しておる被保険者の数も、ただいま正確な数字を忘れましたけれども、相当数あるわけでございます。従いまして、むげに何でもかでも断われというふうなことは申しておらないのでありますが、さような、特にサービス業なんかでございますると、雇用契約の内容等が非常に区々でございまして、たとえば報酬の払い方等が、御存じのように非常に区々でございます。さような点で、その報酬を押えて保険料を取るというふうな、どうしても一つの画一的な制度になりますわけで、さような点で非常に困難が伴いまするので、それぞれの事業体々々々を個々にケース・バイ・ケースで審査をいたしまして、そうして何と申しますか、十分健保の中に包括をしてもやっていける、ということは同時に、強制適用の人たちに非常な迷惑をかけるということでもこれは困りまするので、さような点を個々にケース・バイ・ケースで審査をしてやるのだということを申しておるわけでございます。しかし、先ほど大臣もちょっとお触れになりましたように、国民皆保険という観点から申しまして、その任意包括の制度をさらに積極的にこれを活用していくかどうかという点につきましては、国民健康保険の問題もございまするので、それらとよく調整をとりつつ、ただいまどういうふうにしていったらいいかということについて、検討を加えておる最中でございます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 局長のお話は、私どもわからぬことはないのですよ。ただここでお話申し上げておることは、少くとも今ここで直ちに健康保険の適用をするかどうか、ただいま申し上げた業種については……、という問題を、結論を得ようとしているのではない。少くとも次の国会ではこれは十分検討して戦わなければならぬでしょう。おそらく問題となると思うのですが、そこで今局長のおっしゃるお話は、より改善し、発展させ、しかも困っておるこれら業種のもとで働いている従業員に対して、あたたかい親心を示して健康保険の恩典に浴するというための努力なんですか。そうでなくて、ただ一応調べて見てみようというだけなんですか。その点はどちらかはっきりしておいてもらいたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○説明員(高田正巳君) 何と申しますか、被用者でありますれば、できるならば一つ被用者保険ということを私ども考えておるわけでございます。ただ御存じのように、事業所の数も非常に多うございますし、それから各事業の継続性と申しますか、そういうふうなものも非常に区々でございます。さらに雇用関係の内容というものも非常に区々である。そういうふうなものを一体どうして健康保険というふうな被用者保険の制度の中に取り入れていけるかということについていろいろ検討をいたしておるわけでございまして、ただ健康保険につきましては被用者保険に入れなければ、その人はもう全然保険の恩典に浴す方法がないのかということになりますと、この面はそうじゃございません。御存じのように、国保を全面的に普及をいたしまして、その国保の中には特別国保という制度も認められておるわけでございます。従いまして、国保の方の手当というものがどういうふうにできるか。まあ一口に申せば、国保の内容というものも改善をいたしたいという希望はわれわれ事務当局は持っております。そういうようなものともにらみ合せて、どちらがどういうふうにやっていくことが、一番それらの方々を早く皆保険の網の目に入れていけるか、という具体策について、目下大臣仰せのように検討中でございます。いずれこれらにつきましては、私ども結論を出したいと、かように考えておるわけでございます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 局長のお話はちょっとおかしいのですよ。それはたとえば先ほど冒頭に私申し上げたように、旅館に一例をとりますが、旅館業法なりあるいはまた今度できた環営法に基いて同業組合が作られ、非常に強力なものだ。しかも適正化基準というものが作られて厚生大臣の認可を受けていろんな業務の推進をはかる。そしてさらにこの組合は資金についても営業者の、つまり参加組合員の資金についてもあっせんをしたり、調整をしたりする役割を持っている。ですから、非常に強大な組合ができるわけです。従って、私は今まで単なる弱い零細企業であるというだけの形ではなくして、相当強い同業組合という組織の中で守られていく、ですからそうなりますと、従業員という立場もおのずからその線に並行して従業員の組織ができていくと思うのです。これは歴史の示す通り社会の自然の流れなんです。そうなりますと、対象は単に個々の企業の、零細企業者のみではなくて、その組織された団体であると思う、私はそうすると、局長のただいまの御意見は非常に狭い健保法のワクの中でいう解釈だと思います。そうでなくて、抜本的にこれらの因った人々を助け、救い上げていくということが基本的にとられなければ、厚生大臣のおっしゃる御趣旨に一致しないということを申し上げるのです。ですから、むしろ今のように、消極的な御意見であれば期待するに足らぬと私は率直に思うのです。そうではなくて、これは少くとも国民健康保険のワクの中に入れるのだというお話があっても、先ほど言われたような被用者であるという関係を考慮になっていない、雇われているということ、この関係が明白でない、ただ保険の中へ入れればいいというのではなくして、被用者としてわずかばかりの手当、給料を支給されて非常に苦しい労働と生活にあえいでいるものでありますから、私はやはり被用者という線においてあるいは雇われて働いている労働者という立場において、はっきりと保険の恩典に浴していいと考えるのです。しかもそのことは悪いことだと言っていないのだから、これが実現のために努力をしてもらいたいということを要望を含めて申し上げ、その間について私は大臣の御答弁を求めておるのですが……。

尾村偉久厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(尾村偉久君) 環営法の問題からこれが論及されました問題で、環営法が近く実施を見まして、この業界が適正な衛生措置をやるという点はございますが、同時に営業の安定を期するということで発展しますので、そこに使われます従業員の健康福祉の問題も確かに重大なことでございますので、その点を御説明させていただきます。  実は今度の環営法が実施になりますと、一番強大な力を得ますといいますか、実施について相当進みますのが料金、ことに最低料金の規制の問題、それから営業方法の規制の問題で、ただいまの従業員の健康福祉の問題になりますと、両方とも関係がございまして、非常に今まで料金あるいは価格等で従業員のいわゆる賃金のダンピングというか、非常に犠牲において競争しておったというようなことは、これはある程度妥当な、消費者の適正な価格を守りながら妥当を期せられたということになりますと、営業も若干安定してくるということも考えられます。そうなりますと、今度今のこの安定した結果をどういうところに生かすかという問題になりますと、たとえばすべて衛生に関係がありますので、消費者に売ったりあるいはサービスをする衛生内容を適正にしていくということが一つと、もう一つはやはり従事する経営者並びに直接タッチする従業員の福祉の方にもこれは役立つ、よってサービスなりあるいは価値の内容を高める、こういうことになるのです。それからそうなりますと、当然今の健康保険法の被用者として入り得る可能性はうんと伸びております。その標準料金等が相当に上る、あるいははっきりする。ところが、先ほど保険局長が御説明いたしましたように、たとえば旅館でありますと、客引き等は固定給を今まで出しておらんで、いわゆるチップ中心とか、あるいは客引きをやった数に応じて歩合制度でやるというようなものが相当まざっているために、今言いましたような持け高でもいろいろな基準に合わぬということがあったのが、今度営業方法の規制を組合の方で相当強力にやるということになりますと、従業員との雇用契約あるいは雇用内容まで相当程度同業組合で規制ができる、正々堂々とあまりおかしくない形でやれる、これは当然従業員側の福祉にも反映してくると思いますので、これによりまして環境営業法が適正にこれがわれわれも指導いたしますから、動いていきますと、今までの問題が自発的に大部分解消してくるのではないか。ただし、今言いました方向にこの同業組合の動き方がいきませんと、全くこれは世間から非難されているような方のみが実施される、こういうことになりますので、これは今度厚生大臣の権限が相当地方にも委任されてくることと思いますが、業者の指導が非常に大事だ、さような関係にありますので、改善は相当自発的にみる、従って、その方向にいくように同業組合の方の法的指導はぜひやっていきたい、かように関係者としては存じております。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 今案は関係があったから尾村部長の御意見を伺ったのですが、厚生大臣に伺っておきたいのは、やはり先ほど申し上げたように、今お聞きの通りであって、確かに環営法の通過成立によって同業者の組織ができ、それらの業者が非常に強い組織の力で守られていく、しかも賃金その他労働条件等についても明白になってくるということを現にお話になっている、そうすると、高田局長のおっしゃるようないわゆる事務的な問題で、保険料の徴収あるいはその他実態の把握等も困難だということは解消してくると思います。そうすると、次の問題はどうやって被用者としてのこれらの人々を健康保険の恩典に浴させるかということになってくる、これは努力をされるお考えがあるのかどうか、大臣に伺っておきたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) むろん私としては、国民皆保険という大きな目標を持っております以上、努力するというつもりでおります。山本さんがおっしゃいましたように、どうするということをきょう返事しなくてもいいとおっしゃいましたが、むろん私どもとしては、りっぱにこの問題を何と申しますか、非常に考えるべき大きな問題だ、解決策に向って努力するつもりでおります。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 今の保険問題は一応この程度で打ち切って、また、次回ないし機会があると思います。それからまた、臨時国会、通常国会等もありますから、その際に詳細にその点、論議を尽したいと思います。そこで今問題になった環営法の実施に伴う問題が問題になっている、私は実際に地方に帰りますというと、あの法案の成立当時前後から非常に責め立てられて因ったのですが、今の組織の問題をめぐって紛叫が続けられておる、そこでこの委員会におきましても、二回か三回要望を申し上げておったと思うのです。第一あの法律が施行されるに必要な政令の内容はどういうものであるのかということ、もう一つは、この法律を施行すると同時に出される施行通牒が、これは実際は非常に大事なかぎを握っていると思う。今非難の焦点になっているのは、価格の規制が最低線と言われるが、最低線でなく最高線になりはせぬかということを消費者、利用者は心配して猛烈な反対運動をやっておる。こういう実情であり、さらに何らかの別の政治的意図があってなされているのではないかという懸念すらあるのであります。ともあれ法律になったから実施に移されるということは当然でしょう。ところが、実際はこの環営法が生かされるのは、かかって同業組合の構成それから同業組合が中央で連合会を作って、そうして厚生大臣の認可を求める適正化基準なるもの、こういう点が非常に重大な問題であろうと思う。そこら辺について政令の内容なりあるいはまた出されるであろう施行通牒の内容を輪郭的にお話を伺っておきたいし、また、衆議院の方では常に小委員会等も設けて、そこで掘り下げて検討をされるというふうにも聞いておりますが、そういうふうな経過等について、私はきょうはこまかなことは申し上げませんが、一応御説明を伺っておきたい。

尾村偉久厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(尾村偉久君) 環営法は先般成立いたしましてからこれは三ヵ月以内に施行しなければいかぬことになっておりまして、九月二日が大体その予定日であります。従いまして、その間に法律に条件がつけられております施行に必要な約五つの政令を確定いたしまして九月二日までにはおそくとも発布せねばいかぬ、そのほかに施行に必要な幾つかのこれは事務的な施行省令がございます。これはあくまでも一般的な慣例的なものでございます。従いまして一番の中心は、差しあたりこの政令の制定にございます。そのうち今御指摘のような内容に関係のある政令が三つございます。  一つが、今のお話しの通りに、いかなる同業組合の種類ができるかという、法の三条にあります政令をきめることが一つと、それから第二番目が、今の料金規制とそれから営業方法の規制をそれぞれ同業組合がやりますが、その場合に、それが果して利用者や消費者の利益を侵さないかということを民主的に審議するというためにできます中央並びに地方の審議会の構成をきめます政令、それからいま一つは、厚生大臣が全部やるように、成立いたしました原案では権限がきまっておりますが、実際問題といたしまして、今予想されております十数種類の同業組合が、四十六都道府県にそれぞれ一つ最低できるということになりますと、数百以上の同業組合がそれぞれ今のような規程をそれぞれ承認を求める、しかもその背後には原価計算等非常に消費者の利益に関係あることでございますので、その実態調査、あるいは実情を知らないとこれは判断できないということで、大部分の権限が厚生大臣からそれぞれの都道府県知事に実際問題としては委譲しなければならないということになっております。この委譲を規定している法に基いての権限委譲り政令、この三つが一番内容にも関係あることでございまして、このほかの二つは、施行期日をきめる政令と、それからいま一つは、登記の内容事項、いわゆる法人としての組合としての内容をきめる政令、この五つが今のところ必要な政令ということになっております。  このうち今実質に関係あります三つの政令問題の進行状況を申し上げますと、これはもちろん厚生省の責任で原案を作って、形式的にはそれぞれ閣議に諮って政令が発布されるということになるわけでございますが、実際には、これが立法の過程におきましていろいろな御意見もございましたので、それをできるだけ盛り込まなければいかぬけれども、その場合に法に違反するようなことを政令をもってしてはできないということで、これは法制的な意見が最も中心になりますので、法制局と十分これは相談をしながらやっていく、この作業を時々刻々続ける。いま一つ、あの法案は衆議院で最終的に成立いたしたのでありますが、衆議院の社労委員会の環適法に関する小委員会で、この法律事項について条件がついておりまして、政令を作る段階では必ず小委員会と相談をしなければいかぬ、こういうことになっております。これに対して政府側は必ずそういたしますという返答をいたしております。従いまして、それのお約束に基まして、大体われわれの方でできました原案を、去る七日に衆議院の社労委員会の小委員長の御招集になりました小委員会に提出をいたしました。自社両党のそれぞれの小委員の方が御参集になられまして審議をいただきました。大体のところ、線がきまりましたその内容について申し上げるのが一番今の段階の最終案でございます。  大体、法律の二条で十種目に規定されております営業種目を、さらに最も適切なように、三条によりまして政令で業種を規定する。今大体進んでおりますのは飲食店営業というものを大体六種類に分ける、それから食肉販売業というのを二種類に分ける、それから旅館業を三種類ないしは四種類に分けるということ、それから喫茶店営業がこれが一種類ないし二種類に分ける、これが複数に分ける予定のものでございます。その他、氷雪販売業、理容業、美容業、興行場営業、クリーニング業、それから公衆浴場、これはいずれも名の通り一種目にする。こういう原案にする。  それで今問題になりました複数の問題で、飲食店営業は、大体、小委員会で御承認を得ましたのは、すし屋営業、そば屋営業、ただし、そば屋営業というのはただし書きがつきまして、めん類営業を含む、これは関東はそば屋、関西はめん類でございます。こういうことでカッコ付きになります。それから料理屋営業、四番目がカフエ、バー、キャバレー営業、それから五が第一種一般飲食店、六が第二種一般飲食店、こういう工合で六種目に飲食店を分けております。  第一種、第二種といいますのは、第二種の方は、いわゆる栄養をとりにいくといいますか、大衆が食べに行く。食事として食べに行く。従って、大衆的なもの。上の方は、少しごちそうとして楽しみながら食べると、こういう高級飲食店、こういうもの。それから食肉販売業は、これは鳥肉だけを売っている方と、牛豚肉ないしは牛豚鳥肉を売っている業態とは古来全然別な営業業態を持っている。一方は神代からある。一方は明治以来できたもので、これは一緒になれぬということでございまして、これは食鳥肉販売業とその他の一般食肉販売、この別々な同業組合を作ると、こういうことで大体きまってきております。  それから旅館は、これは旅館業法に基きますと、基本法の方ではホテル、旅館、簡易宿所——簡易宿所というのはいわゆる木賃宿、それから下宿、この四種類に法では分けてありますが、実際には今度の同業組合が一県に最低二十軒ないと、これが同業組合設立の要件に達しません。従いまして、ホテルは全国で百十しかない。二十以上あるのは東京だけでありますから、これは無意味でありますので、旅館と一緒にしてホテル、旅館、それから簡易宿所、下宿と、この三つに分ける案と、それから全国に約五千軒ある温泉旅館、温泉地で温泉浴室を持っている温泉旅館がある程度共通な特殊性があるというので、温泉旅館営業と一般旅館営業それから簡易宿所と下宿、この四種類に分けるという一案がございまして、今度の法律はできるだけ業界の現実にやりやすい組合を作る——種類に関してだけでありますが、それは自主的な意見をなるべく尊重すると、それから古来の歴史を尊重すると、こういうことになっておりますが、ただし、消費者に非常に迷惑をかける場合にはそういうことは無視いたしますが、そうでない限りは尊重するということでありますが、今のところ一般旅館と温泉旅館が一本になろうという意見と、一緒じゃいやだという意見が全く対立をいたしておりまして、収拾がつかぬということで、われわれの方でも、これはどちらでなければ国民の利害が侵されるということがあまりないものでありますから、これはまだ政令の最終作成の日まで、御意見が業界全体まとまれば、それまでは白紙にして待っている。どちらかにきまれば……一時間できまりますので、ここだけを空文にして待っている。こういうような形で進んでおります。  それから残りの複数の問題は、喫茶店営業でございまして、これは大体一種類でわれわれの方は原案を作っておりましたところが、一昨日の小委員会で、社会党の方の方々から、これは氷菓すなわちアイスクリームの製造を兼ねて喫茶店をやっている、アイスキャンデーでありますが、これが全国一万八千軒あって相当協同組合を作っておる。これは別だというお話しで、分けたらどうかということで、小委員会で研究した上で、一種にするか、二種にするか、厚生省できめろうと、こういうことになりましたので、今検討中でございまして、両方のそれぞれの関係者を呼び出しまして、実態を聞いておるのでありますが、非常にこれはむずかしいのでありまして、夏は明らかに分れる。ところが、冬になりますと、全国一万八千軒もアイスクリームばっかりじゃ成り立たぬというので、これはしるこ屋等に転業するといいますか、内容が変るということになりますと、夏分けたのと混同してしまう。同業組合は一々変えられませんから、その点は今割り切れませんので、なお一そう詳細に調査中であります。  以上が複数に分けたところであります。  その他は一種類で今のところ問題もなければ実態にも合う、消費者側、業界側も特別な意向はないということで、この政令は進めております。  それからもう一つの大事な点は、ことに参議院の社労で御審議のときに問題になりました中央環境衛生適正化審議会の地方審議会の構成の問題、すなわち今度の、同業組合が料金並びに営業方法を自分でいろいろと規制をしてくる、これを許可いたしますと、アウトサイダーにまで十万円の罰金つきで強制がいくということで、これは非常に慎重に審議しなければならぬということのための、重大な審議会でありますが、これもいろいろとわれわれの方で、前の国会の答弁の内容等も十分参考にいたしまして、それからほかの委員会の希望等も参考にいたしまして、一応中央は二十五人以内、それから地方は十五人以内という案を今の小委員会にお持ちしたところが、以内ということであいまいになって、滋賀県等のような小さい県では、おそらく人口が東京の何分の一であるからこれは三人、四人になる可能性がある。それでは目的を達しにくいということで、二十五人ジャスト、地方は十五人という、以内をとるということに修正をされまして、さように進めております。ただし、東京並びに六大都市を含む県は大きくて、また、例の五大市側の意見を尊重しなければいかぬということで、委員の数がふえるだろうということで、これだけ二十人という条件付きできまりました。  大体この点はわれわれの方も、例の、国会審議中にも五大市の、市側の意見を尊重せぬと実態に合わぬということで、ここも尊重していくという意味をもちまして、この六大都市の県だけは二十人ということで、特別に直しまして進めております。それからこの構成内容の一番大事なことでありますが、いわゆる四者構成という、これは非常にむずかしゅうございまして、最初われわれの方の原案は、国会の御意見通り官庁代表、それから学識経験者、それから消費者代表、業界代表ということで案を作りまして、法制的な意見をそれぞれ相談いたしましたところ、消費者の代表という者が第一問題でありまして、全国民が消費者であり、それからそば屋の業者の家族は同時にすし尾の消費者、あるいはほかの業界の消費者というので、これは混淆してしまってこれはこういう言葉ではあいまいであるということで、これは業界の側も同様でございまして、さようなことで最終的に、今法制的に通過するという自信を得ました表現の仕方は、消費者の意見を代表すると認められる者、それから営業者の意見を代表すると認められる者、これが最終的に、法制的に今度の法律に関する限り通り得ることになりました。これ以外のことでは基礎があいまいで、選挙するということになると全国民が選挙しなければならぬ。それからどうやってこれを法令に合わすかという問題になりまして、今のようなことで、ただ認めるものという、この認める、だれが認めるかというのが問題になるわけです。この認める人が妙なふうに認めますと違ったものになる、こういうことになるわけでございます。これは厚生大臣ないし県知事になるわけでございますが、その場合に、さらにこの審議会の委員を選出する、もう一つまた選出委員会みたいなものが要るんじゃないかという御意見も、われわれの方にもありましたし、小委員会にもありましたが、そうなったら行く先々で切りがないということで、これはですから認める側が、やるときには厳重な通牒等で内容は規制していく。例示も十分していく、こういうことでお話し合いがつきました、すなわち、消費者の意見を代表すると認められる者の中に、たとえばという例示で主婦連のこれこれの人、あるいは組織労働者を代表しては組合のこういうような人ということで、例示をしていったらいいだろう、これが最終的の意見であります。  それからあとは審議会に専門委員を置きまして、そば屋のことを議するときにはやはりそばの専門家を若干呼ばぬと、ほかの床屋(笑声)……しかし、これは非常に真剣に議論されまして、ほかの床屋の人は業界の代表であるが、同時に反対に消費者である。床屋に関してはそば屋の代表も安い方がいいと言うかもしれない。ということで、それぞれの専門委員を置くということになりまして、それぞれこれを政令で専門委員を置くことになると思います。もちろんこれは普通の審議会のように部会も置くわけでありますが、以上のような四項目が審議会の内容になるということで、大体お打ち合せを進めております。  それから権限委譲に関する問題でありますが、これが最後の大きな問題でございますが、これは先ほど御説明いたしましたように、大体この法律を適正に運行するためには、現地の実情をもっと把握することが適正に運用する根本になるものでありますから、東京におりまして、全国七百有余の同業組合、鹿児島の端まであるものを、料金が高いか安いかを測定することができませんので、ほとんど全面的に地方の県知事に権限を委譲する。ただし、組合に入っておらぬアウト・サイダーにまで罰金つきで規制がかかる部分だけは厚生大臣に協議しなければ物事が進まぬようにする、いわゆる五十七条一項の大事な規制命令、これだけを厚生大臣に権限を条件付きで保留いたしまして、その他は全体に落す。もっともその場合にはいずれに、いたしましても、地方の知事に落ちましても、全部料金の問題については公正取引委員会と協議等の各条項がございますから、これは問題ありません。  それから指定都市五大市の問題は、これが最後まで国会の審議でも問題になりましたし、小委員会でも勧告に入っておりますので、これはきめる前には必ず知事が五大市長の意見を求める。それから意見がととのわなかったときには厚生大臣の承認を求める。こういうことを政令にうたうことがようやく可能になりましたので、これによりまして五大市問題は大体解決するということになりまして、この間、五大市の衛生局長等も呼びまして、いろいろ御相談いたしました。それから五大市側から出ておられる国会の方々の代表意見も小委員会で伺いまして、大体これでうまくいくのではないかということで、以上がこの政令の大体今最終的にきまりつつある問題でございます。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 速記を始めて。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 今のお話で、大体の政令の内容等についてわかりましたが、ただ審議会の構成ですね。総数二十五名ジャスト、地方十五名、六大都市二十五名、こういうふうに押えられておる。ところが、その構成については官庁関係、学識経験者、それから業者、消費者、表現は多少違いますが、そういうことになる。ところが、その人員の割当がはっきりしない。これが結局は重大なかぎになっていると思う。本来から言うと、ここの委員会で審議した際にも問題があったのですが、大体四者構成というよりも、三者構成でいいのではないかという話が出たと思う。それは直接利害関係のある業者と消費者の立場、これに第三者という立場で学識経験者を加えたことが、常識的にも筋の通った話だというお話が出たと思いますが、何せその人員の構成なんです。学識経験者というものは比較的重要なかぎを握っていくと思いますが、その人は一名であって、その他は業者や何かが多いということになりますと、委員会でも協議会ですから、おのずから意見のおもむくところ押してはかるべきであると思います。そこでその割当はどういうふうにお考えですか。

尾村偉久厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(尾村偉久君) 今のお話の通り、人数の方は次官通牒で出しますが、必ず消費者の側と業界側とは同数。それから従って比率は二十五名になりますと、七名、七名にいたしますと、残りが六名になります。ですから七、七、六、というのを一案に考えております。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 官庁七名。それからどういうことですか。学識経験者七名ですか。

尾村偉久厚生省公衆衛生局環境衛生部長

○説明員(尾村偉久君) 業界代表七名。消費代表七名。学識経験者六名。官庁五名。そういたしますとちょうど二十五名院なると思いますが、ただこの最初の三十五名案を一ぺん考えたときには、割合と割り切れるちょうどいい数があったのでありますが、学識経験者と官庁代表入れて十五名、両わきが十名ずつという案がありましたが、非常に数がしぼられましたので、今の案のようなのを考えた。いずれにしてもこの構想は破れませんで、地方にも及ぼすと、こういうことでございます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 質問はこの程度にして、一言簡単に御要望を申し上げておきたいと思います。  これは最初に私ども申し上げるように、この委員会で非常に慎重審議を遂げて、しかもかなり大幅な修正案を出したが、遺憾ながらこの修正案は通らなかった。その中で特に大きく取り上げたのは消費者の問題です。国民生活に重大な影響を及ぼすと考えられるこの種の一番日常普通に利用しなければならぬもの、あるいは必需品を買い入れなければならぬものを対象にされておるから、今、同業組合の組織をめぐって地方では今までの既成組織が新しく改組されて、こういう問題から紛争が起ったり、いろいろややこしい問題が起っておる。そうすると、地方組織ができて、全国組織ができてそれが初めて全国組織として、たとえば適正な基準の意見を出して、そしてそれがまとまって大臣に認可を受けるということになってくるのですから、そういう取扱い等についてもう少し私どもは実態を把握する必要があると思っております。だから、この委員会でどうこう今さら法律そのものを言うわけではありませんが、政令なり、申し上げるように、施行通牒の内容については、今までの国会の審議の経過もありますから、十分われわれの意見を取り入れてやっていただかないと、実際法律はできたが生きていかないということになりますから、あるいは極端に悪用されて、消費者大衆の不利益になると、こういうこともないとは限らない。ことに公正取引委員会等の意見については、せんだって消費者団体が厚生省当局を招いて説明会をやったようです。その際に、この委員会で議論があって、公正取引委員会の同意を要するものであるというふうに、その点も取り入れてやられるやに承わっておりますが、だからその点を強調しておきたいし、われわれもさらに直接関係がありますから、十分実情を調査した上でまたこの委員会で論議することが必要であると、こういうふうに思っておりますので、十分その点、われわれの意のあるところを取り入れてやっていただきたい、かようなことを御要望申し上げておきます。

竹中恒夫無所属クラブ

○竹中恒夫君 時間がないので簡単に御質問申し上げますが、単価問題にあと返りしてはなはだ恐縮ですが、医療報酬金が現行に比較をしますと、もちろん点数、単価の相乗積であるということでございますので、ただ片っ方の単価だけをさわってはいけないという御議論はよくわかるのです。あくまでも点数の合理性を求め、同時に、単価の合理性を求めた相乗積のものだということは、冒頭の山下委員の御意見に私は基本的には賛成するのです。ところが、そのときの大臣の御答弁を総合して考えますと、考え方の相違なんだが、なおいまだはっきりと割り切れないで、点数、単価を、両方やるともきめておられないように私は拝聴したのです。ところが、事務当局はそうではなくして先般、衆議院におけるところの御発言あるいは新聞紙等によりますと、割り切っておられるように私は承知しておるわけです。それで大臣並びに事務当局の方にお聞きするのですが、前国会におきましても、厚生大臣のお考えと事務当局が答弁において相当私は感じの上において食い違いがあったように思う。厚生大臣は率直に単価をおっしゃったわけですが、事務当局は点数を含めた待遇改善ということで御説明なさったのが前国会でございます。そこで、私はこの機会に最初局長にお聞きしたいのですが、基本的に私はよくわかるのです、点数と単価をさわらなければならぬということは。しかし、点数と単価をさわるということはあくまでも医療報酬金の合理性を目的にさわられると思うのですが、そうした場合に、点数の改正は八月末までに結論を出せるようなきわめて容易なものではないと思う。もう二、三年前から新医療費体系における中央医療協議会ではずいぶん議論が戦わされまして、結局点数の構成要素であるところの技術の難易差というものについてはなかなか結論が出ない。私は当時相当そうした点につきましてもいろいろ議論をした一人でございまするが、なかなかこれは結論が出ないということと、各科別のバランスが合理的に出していない。そのためにあれはたな上げになったと私は承知しておるのです。にもかかわらず、この八月末までの短時日の間に正しい意味の点数の合理化と単価の合理化をなさって、国民が納得し、同時に医療担当者が納得し得るような果して医療報酬金というものが出し得るのかどうか。あるいはそうでなくて比較的な意味における合理化を考えておるのだと、こういうふうなお考えであるのか。その点が私としても非常に疑点を持つわけです。その点まず第一にお聞きしたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○説明員(高田正巳君) 点数の改正ということは、これは今竹中先生御指摘のように、われわれは一つの案をすでに世に出しておるわけでありますが、いろいろそれについて論議がある。それほどむずかしい問題でありまして、従ってまあこれが最善だというものはなかなかできにくいと思いますが、私どもとしましては少しでも正しい方向に向つたものはぜひとも作りたい。かような考え方をいたしておるわけであります。

竹中恒夫無所属クラブ

○竹中恒夫君 そういたしますと、医療協議会では御諮問に応じた答えがで答申できないむずかしい問題であるが——当局は当局なりの点数改正の構想でこの際単価とをにらみ合せてやるのだ、こういうことでございますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○説明員(高田正巳君) 点数の基本的な改正につきましては、今御指摘のように御審議中でございます。専門部会の各部会の御審議も相当進捗しておるようもに私承わっておるのであります。もちろんこれらが早く出て参りますれば、非常に私どもとしましては作業の上に都合がいいわけでございます。それが出ませんでも、今までの審議の過程におきましていろいろな意見の開陳があったわけでございます。私どもさようなものをできるだけ取り入れて当局の案というものを一つ考えてみたい。かようなつもりで作業をいたしておるわけでございます。

竹中恒夫無所属クラブ

○竹中恒夫君 時間がないので、その点もう少し突き進んでお聞きしたいのですが……。  次は大臣にお聞きしたいのですが、今当局のお考えのように点数単価方式でこの方もいこうとした場合に、大体おっしゃるように、点数は各医療行為のバランスなんですね。内科、外科、歯科、あるいは内科のうちでも注射とその他の処置とのバランスがとっている。これは物価にスライドすべきものでなくて、あくまで一たんきまればこればコンスタントのものと考える。単価は当然これは物価指数によってスライドすべきものだ。二十六年以来スライドしないところに問題があると思う。そこで米価審議会と同じように、点数単価方式で今後も医療報酬金を行うのだということであれば、私は当然半年に一回とか三回単価審議会のようなものがなければ、お説の合理性ということは持てないと思うのですが、そういうことに対するお考えはどうでしょう。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) その問題も実は臨時医療審議会自身で、ことにあの審議会そのものがお医者さん方の御要望によってできたその経過を考えてみ、今おっしゃったような内容についての問題をするならば、本来常時的に何らの偏見なしにあそこに専門家の意見が結集すると申しますか、具体化するということをわれわれ希望しておったわけでございます。しかし、事実日本医師会が脱退され、そうして歯科医師会も脱退されるような状態になりましたので、今後そういう問題の研究——常時研究するのをどういうふうな方法でするかという問題を考えなければならぬかもしれないのでございます。あるいはまた、現在としては私どもはなるべくあの審議会を活用したいという考え方は依然として変りがございませんので、できますならば、日本医師会なり歯科医師会の御翻意をわずらわしたい、こういうふうに考えておるような次第でございます。

竹中恒夫無所属クラブ

○竹中恒夫君 今の御答弁なんですが、臨書は単価のそういう数字を決定する機関ではないように私承知をしております。そういう数字を表わすものは医療協議会でやって、臨審は単価構成の要素とかいろいろなものさしをきめるような御諮問しかいただいておりません。私の言うのは、むしろ医者が集まったりそういうようなところでなくて、公平な——と申しまするか——立場におけるあらゆる分野から出た、経済学者等を含めた第三者的な立場において公平にそういうことを当然に審議すべきである。あるいは国会議員の方々も入って、良識によってすべきである。医者と保険者——出す者と取る方がこれを審議せいというような考え方自体がすでにうまくいかぬと私は思う。そういうことを懸念しまするので、あえて御質問したわけなんです。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) むろんあの臨時医療審議会は、そういう何か単価そのものを、点数そのものを出すところではないようでございます。その方針をどうしたらいいかという方向を、基礎的ないろいろな形式で方式を考えるという方向で作業をしていただいておりましたことは確かでございます。今おっしゃいましたような点が私もう少し研究さしていただかなきゃならぬと思いますが、今おっしゃったような方式で、いかにも第三者だけであると公平なように見えますが、第三者だけでほんとうにそういう問題が現実的にうまく解決するのかどうかという点をもう少し研究してみないと何ともお答えできない。三者構成でも、何と申しますか、率直に申せばいろいろな従来の経緯がなければ——もう少し合理的に共通の広場でもってお話し合いができないものだろうかということも考えられる問題でございますので、もう少し研究さしていただきたいと思います。

竹中恒夫無所属クラブ

○竹中恒夫君 私申し上げたのは、第三者だけということは、専門知識の要る点数をさわることは医療協議会で医療担当者がなすべきだが、純然たる経済問題はむしろ第三者的な構成がいいんじゃないか、こういう気持を持っておるのです。  続いて局長にお伺いするのですが、局長は端数整理によって事務の簡素化をするということを衆議院でおっしゃっております。これは非常に考え方としては私もけっこうだと思うのですが、それを行うときに二、三の問題が出てくると思う。それはなるほど端数整理をして五十銭だとか何というようなことは今日の通貨の何から言うとおかしいのだ。また、事務も非常に複雑だということはわかるのですが、合理化を求める場合には、では単価の方は十円なり二十円とした場合に、点数を一点区分りできざんでいって、果して合理化ができるかという問題。当然医療報酬金の合理化を考えれば端数が出るのが正しいのであって、端数が出ないのが不自然だ。その点がどういうような説明を加えれば国民が納得し——特に医療担当者が納得しなければ、おっしゃるように医療報酬金はうまくいかないのですが、こういう点について医療担当者を納得させ得るような説明がどうして加えられるかという点をお聞きしたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○説明員(高田正巳君) 個々の医療行為でこの数が非常に多ければ——今御存じのような七百程度がきめてあるわけでございますが、この数が非常に多ければ多いほど何と申しますか、そのものぴたりの評価ができるわけでございます。それで、しかしながら、それも非常に事務が繁雑になる。今日の七百程度のものでもかなわぬという声もあり、その問題が今の問題に関連をして参りますが、単価の方をまるくすれば——私はまるくすると申したわけではありませんし、まるくしたいという希望を持っておるということを申し上げて、結論的にはどうなるかまだ研究中であるということでございますが、そういたしますと、かりにまるくするといたしますと、どうしても先生の仰せのように、点数の方で端数がついてくるわけです。ところが、今の医療行為の分け方の数にも関係いたしますが、端数というものは、これは非常にこっちの方に端数がつきますと、まためんどうになるわけでありますので、できるだけ端数をつけない方がいい。しからば、その場合に、その端数をどういうふうにして整理するかということになるわけでありますが、一つ一つの医療行為ごとでは、若干の端数の整理によって不合理があっても、全体として、あるいは各科別、あるいは病院、診療所別とじて見れば、全体とすれば、こちらで端数が切られたものがこちらに移って、そうして、全体としてはバランスがとれるというふうなことも、これはできるわけでございます。従いまして、そこは事務の簡素化、それから個々の医療行為についての評価の適正というものとかね合いの問題でございまして、どの程度にそれを、片一方の要請を貫き、片一方の要請を引っ込めるかという、このかね合いの問題であろうかと思います。従いまして、単価をまるくいたしました場合におきましても、点数の方で必ず端数をつけなければならぬものだというふうには私考えておりません。しかし、点数が全部きれいに端数をつけないでおさまるかどうかという点については、もう少し研究してみたいと思います。

竹中恒夫無所属クラブ

○竹中恒夫君 それは当然端数がつくべきものであると私は思うわけであります。  そこで、これはまあ、私は、お聞きのようなことを仮定において質問してはなはだ恐縮なんですが、昭和二十六年の十二月にあの単価をきめたときこれは、隣りの谷口先生がおきめになったのですが、そのときはあくまでも暫定単価であった。暫定単価というものでありまして、この単価は近い将来、われわれ側からすれば、七年度に変ると期待したのですが、それは時期的に問題は別として、近い将来変えるというときの、あのときの話し合いでは、点数をどうこうして変えるのじゃなかったのです。あの点数が合理性があるかないか別として、あの点数を基礎として、この単価では安いから暫定だ。四つの付帯条件をつけてしんぼうしろということであった。従いまして、今日その条件と違った形において点数を定めれば合理性があるということはわかりますが、医者の感情から言って、そこに私は割り切れぬものがあると思うのです。私はこれは納得さすということで、医療協議会に協力させるということからすれば、非常に大事なポイントだと思うのです。そういう点については、よく理解のいくような方策をとっていただきたいということ、これは私の要望でございます。  それからもう一つ、最後に時間がないので簡単に申し上げますが、これも山本先生がおっしゃったことなんですが、三十一年度の保険経済が四十億円ばかり黒字になる。これは非常に喜ぶべきことであろうと思うのです、当局としては非常に心配しておられたのですから。ところが、四十億の黒字が出るということについては、六十六億、あるいはそれ以上の赤字が出るのだということによって、そういうことを背景にして、健康保険法が国民の世論となって改正されたということがある。そうしますと、六十六億の赤字予測が、四十億の黒字になりますと、百億以上の黒字が今日、出たということになるのですが、私はそのことの責任を追及するというのじゃない。私の申し上げたいこと、お願いしたいことは、その赤字を予測された昨年、一昨年当時において、医療協議会等においては相当医療内容を自粛の線において制限した例がございます。先ほど山本委員がおっしゃったように、この黒字は単価の値上げの材料にすべきではないのでありまして、当然医療内容は医療担当者が協力して赤字克服に協力するためにある程度の窮屈な思いをして内容をセーブしてきた。これに復元さすべきである。医療内容をもと通りに復元さすべきであるという感じを持つわけなんですが、その点は厚生大臣はどうお考えでしょうか。一応お聞きしたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 確かに、私もまだその時分は党におりまして、幾分タッチしたわけでございますが、赤字になるというふうなことがしきりに言われたこともよく存じております。ただわれわれとして考えますことは、ここに黒字ができたのが、この医療担当者の当然の持ち分だというふうな考え方はないのでございます。実はその問題だけを解決するのは皆保険だと思っておりませんので、全体の一環としてすべての方面から考えて、そうして金を使おうというふうな考え方でございますので、率直に言えば、ここに黒字ができたその分を、何と申しますか、医療担当者のために使うということのみに限局して問題を解決して参ろうという気持ではない。やはり国民皆保険全体の一環として大きな見地から考えて参りたい。ただに四十億とかいう黒字の問題だけを問題として考えておるのではないということを申し上げることができると思うのであります。

竹中恒夫無所属クラブ

○竹中恒夫君 大臣は非常に私の質問を誤解されたのか、あるいは誤解でなく、そういうような考え方をしておられるとあれば私は非常に遺憾に思うのですが、四十億円の黒字が医療担当者の取り分だから返すべきだ——医療担当者を基準に私は申し上げておるのではない。私は国会議員の立場において申し上げているので、決して医療担当者の代表として申し上げておるわけではない。黒字が出たのは医療内容が相当制限された。これは被保険者にとっては当然の権利だ。特に人命尊重の見地から、医療担当者の取り分をふやすとか減すとかいうことで申し上げているのではない。当然あるべき姿の内容をゆがめられておるのだから復元すべきである、結果的には報償金が増収になるかもわかりません。しかし、私の質問の要点はそういう意味なんですから、どうか誤解のないように御答弁願いたい。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) いや、まことに誤解したような答弁を申し上げて申しわけありません。実は、先ほど御質問の中に、そういう問題に関連したものがあったもんですから、ついそれに関連してかと、早のみ込みをしただけでございます。なるほど医療担当者が医療内容について赤字ということを頭に入れながら努力された結果、医療の内容に幾分の変化が起った。それについてどう考えるかというお話しでございますれば、われわれはやはり医療内容の向上ということを一つの目標にいたしておりますから、そういう趣旨に従って全部のこの医療内容の向上という問題について努力いたしたいということでございますから、実はどの程度制限されたのか、まだ私よくしろうとでわかりませんが、私どもとしては、医療内容の向上ということを心がけるのが当然の責任だと、こう考えております。

竹中恒夫無所属クラブ

○竹中恒夫君 了解いたしました。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 本問題に関する本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。   —————————————

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 次に、優生保護法の実施情況に関する件を議題といたします。御質疑を願います。  政府側からは法務省、鈴木人権擁護局長、渡部矯正局長、横井刑事課長がお見えになっております。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 私からただいまの問題についてお伺いいたしたいと思います。  わが国の人口情勢が、最近、受胎調節の普及の結果、出生率は著しく逓減いたしまして、昨年度において、人口の自然増加は百万を割るというような状況になってきました。一方、死亡率もだんだん低下して参りました結果、わが国の人口は、昭和六十五年ごろが最高であると言われておるのですが、私どもの最も心配しておることは、最近、精神異常者がだんだんとふえておるという事実でございます。また一方、有識者の方におきましては、しきりと受胎調節などをしますので、出生率が非常に滅って参ります。それにもかかわらず、精神異常者の方、特に精神薄弱者などにおきましては、相変らず多数の子供を出生しておりますので、今の状況がもしも続くならば、必ず、日本の民族は、いわゆる優秀化どころか、逆淘汰の状況になるということを非常に心配いたしておるのです。従って、この逆淘汰にならぬように、いわゆる民族優秀化に努めるように大いにこの際は、厚生省あるいはその他におかれましても、努めていただかんければならぬと存じておりますので、一応それにつきまして、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

堀木鎌三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(堀木鎌三君) 就任日が浅うございますが、今谷口委員の言われましたことにつきましては、私も深い関心を持ちまして、今後の厚生行政に当りたいと思っております。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 それでは、続いて国民の優秀化をします上におきましては、どうしても精神異常者の出生を防止することが必要でありますから、この際、優生手術を徹底的に大いに進めていかんければならぬと思うのでございます。優生手術を行わなければならぬような階級の推定されますところの人口は、現在どのくらいになっておるのでしょうか。公衆衛生局長の方でお調べがあると思いますから。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) ただいまお尋ねの数字は、非常に推定がむずかしい問題でございます。私ども、優生手術を、先ほどからお述べになりましたような趣旨で進めて参りますのに、その基礎資料としてぜひ必要でございますので、いろいろ調べているわけでございますが、昭和二十九年に実施いたしました実態調査の成績と、それから諸学者の専門家の出されておりますいわゆる精神病患者の遺伝の可能性というようなことから考えますと、ごくこれは大ざっぱな数字でございますが、十万ちょっとでございます。というようなところが推定されるわけでございます。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 ただいまのお話によりますと、その該当者は十万というようなお話でございましたが、私どもが二十九年の精神病その他の調査を見てみますというと、その優生手術をせんければならぬような方々、しかも生殖年令に達しておる方々だけでも四万くらいを越えておるということを聞いておるのですが、今の十万というのはいつごろの統計でございますか。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) 昭和二十九年の実態調査の成績から見ました生殖年令層の推定がただいまお述べになりましたような数字でございますが、さらに、これは精神病の専門家の方々の御意見、遺伝濃厚と思われるものを一部係数を掛けますと、先ほど申し上げたような数字になってくるわけでございます。その係数につきましては、学者によっていろいろ説があるわけでございますが、私どもの得ておりますきわめて濃厚と思われる、かなり狭く考えました場合に、そういうふうな十二万六千というような概数が出てくるわけでございます。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 ただいまのお話によりますと、遺伝性の精神病の非常に濃厚な方が十二万ぐらいあるということでございますが、実際におきましては、優生手術を国がやらうという、毎年予定数をお出しになっておりますが、その数は、昭和三十二年度におきましても、千八百そこそこでございますが、この十二万の人間を千八百そこそこの数でやっていきよったら、こういう連中は、ほとんどいつまででも相変らず多数に存在しておるから、十万、十二万もおるならば、もっと多数に優生手術ができるように国が補助するような手段をおとりになることが必要じゃないかと思いますが、それについてお話しいただきたい。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) 御指摘のように、優生保護法によりまして、国が全額費用を持って実施いたしますいわゆる優生保護法第四条に基いてやります優先手術の数は、一応予算上、三十二年度千八百というふうに見込んでおるわけでございますが、どうしてそれがそういうふうに少い数かと申しますと、これは、単に予算上の問題だけでなしに、実際上の医師の届け出でというような、医師からの申請というようなことが十分にまだ現在行われていないというようなことも関係いたしまして、そういうふうな数字でございますが、なお、そのほかに、第三条によりまして、優生手術を行われております数が、これはまあ母体保護が非常に大きな理由になっておりますが、四万あるということは御承知の通りでございますが、悪質遺伝防止からの優生手術は、御指摘のように非常に少いのであります。この悪質遺伝防止という建前から、この数はもっとふやさなければならぬ、それには、先ほど申し上げました医師からの申請が十分でないというよう点もございます。また、遺伝歴の調査というような調査を十分にいたしませんと、人権の問題もからんで参ります。そういういろいろな点をこれから解決して、御指摘のように、国民優生の立場からできるだけ合法的な優生手術は促進していかなければならぬ、そういうふうに考えております。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 ただいまのお話のように、国が優生手術をやってやろうというて予算をおとりになっておる、これが、私の調べたところでは、昭和二十四年から三十年までにおきまして、総数六千百五十人の方に優生手術をやろうとされて、予定人員というのを出されたのでございますが、その実施はわずかに三千八百四十三人、言いかえれは六二%だけしか実施されておらぬのでございます。また、ただいまお話しの、医者の認定による優生手術におきまして、一年四万からの優生手術があったのでございますけれども、実際には、その中には精神異常者は三百そこそこしかおらぬのでございます。従って、精神異常者に対する優生手術というのは非常に少いのでございますが、これは何に原因するか、その隘路はどこにあるかというようなことについてはいかにお考えになっておりまするか。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) 先ほども申し上げましたように、医師からの申請が割合少い。たとえて申し上げますと、昭和三十一年度の統計でございますと、医師からの申請が千四百七十件、その中で都道府県の審査会を通過いたしましたものが千三百八十件、九割は通過いたしているわけでございます。従いまして、医師からの申請が十分でないということが第一の原因だと思います。なぜ医師からの申請が割合少いかという点につきましては、これは精神医科の専門の方々からもいろいろ伺っておりますが、やはり人権の問題など関連して、遺伝歴も十分わからないというのをむやみに申請をするわけにもいかぬということでちゅうちょをしておられるというように聞いております。これは私ども精神医科の専門の方々とよく話し合って、もっと申請がよけい出るようにしなければいかぬというように考えております。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 ただいまのお話によると、医者からの申請が比較的少いというのが隘路の大きなところという御見解でございまするが、私どもといたしましては、これの非常に少い原因は二通りありはせぬかと思うのでございます。その一つは、優生保護審査会におけるところの審査が、いわゆる遺伝性のものにおきましては、家系の遺伝を調べなければならぬ、これが審査会の非常に重要な役目に一つなっておりますことと、第二には、国庫から補助するのが、単にいわゆる優生保護法の別表に掲げておるところのものに限られておるというような関係から、非常にこの優生手術の数が少いのではなかろうか。  それに対しまして、私どもは、ここまで進めてみてはいかがであろうかということを考えておりますので、これに対しての御意見をお伺いしたいと思います。その第一は、国庫補助をするという線を、別表に掲げるもの以外におきましても、精神病者、精神薄弱者などに対して、あの優生保護審査会にかけ得る、いわゆる優生保護法第十二条に掲げるものもやはり国がある程度補助してやる必要がありはせぬか。とにかく優生手術なるものは、現存は何ら苦痛のない、あとのことを考えてやるという程度のものでございますから、自然怠りがちになるとも思いますし、また、優生保護審査会なども大体二カ月に一ぺんぐらいしかないというようなものでありますからして、よく時期を失して、精神病者、精神薄弱者の申請をおくらしたり、やらなかったりする例も非常にあると思いますので、国庫補助の線をもっと広げていただくことはできぬかと……。それから第二には、今のような優生保護審査会の審査の方法を少し緩和していただきたい。もっと詳しく申し上げますというと、濃厚な遺伝性の精神病というような場合であっても、保護義務者が同意をして、そうして精神衛生鑑定医二名ぐらいがこれは遺伝性の精神病であるという診断をつければ、そういう方は優生保護審査会の審査を省略することもできる。そうしてこの保護義務者からの届け出がない、同意がないものに限ってのみ優生保護審査会で審査するというようになったら、簡単にその審査の決定が下されるので、非常にこの方面の手術数を増すことができはせぬかと思うのでありますが、いかがでございますか。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) 現在の国庫補助と申しますか、全額国庫でいたしておりまするのは強制的に手術するものばかりでございます。御承知の通りでございますが、十二条のように遺伝性でない精神病について同意があってやる場合にも費用を見てやったらどうかという御意見は、私もいろいろ伺っておるわけでございますが、ただ、その際に、四条と同じように全額国で見るという筋はなかなか通りにくいのではないか、そうなればどうしても費用の負担にたえないような者だけをどうこうするということになるのではないかということで、この問題については従来もいろいろ検討いたしておりまして、私どもまだ今でも検討を続けているわけでございますが、ともすればいろんな費用の負担能力のある人はそれで同意するのだからそれでやればいいんじゃないかというような御意見が強く出て参りまして、なかなか奨励的な補助というようなものは出しにくいというようなのが現在までの結論でございますが、優生手術を奨励して多くやっていく、必要な者に対する手術を多くやっていくという観点から、この問題はさらにできるだけそういう方面に向って努力してみたいと思っております。ただ審査会の開催回数等に関係して、審査会にかけることを省略するというようなことにつきましては、これは非常に人権問題にもからんで参りますので、そう軽々しく結論を出すわけにはいかないのではないかと思うのでございますが、ただいまのように、鑑定医二名以上の意見をつけてどうこうという御意見につきましては、さらに私どもの方で検討してみたいと考えております。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 なお、別表に掲げてあります遺伝性の身体疾患、または奇型を理由にしておる者でございますが、こういう方は大体自分の精神は当りまえの人が多いのでありますからして、こういう場合には本人が同意して、しかも二名くらいの医者が、これは遺伝性の奇型あるいは遺伝性の障害であるというような診断がついた者を、同様に審査会を省略することができるというところまで進めてみたらいかがかと思いますが、これに対して……。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) 御指摘の点につきましても法務省の方とよく相談いたしまして、そうして検討したいと思うわけでございます。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 なお、ついでに。最近高周波焼灼機——電気焼灼機をもって子宮腔の方から卵管の出口の所、いわゆる卵管の子宮口の所を焼灼して、そうしてそこを閉鎖して不妊術を行なっておるというのがかなりあるのですが、これは優生手術では、いわゆる不妊手術に対しては卵管を結さつするとか、剥奪するとかという二つの方法のみをあげて、そういうようなのはあげてないのでありますが、これに対していかにお取締りになっておるのでしょうか。あるいはそのままほっておられるのでしょうか、その点について。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) 御指摘の手術の方法につきましては私も承知いたしておりまして、婦人科の専門の先生方がそういう方法でやり得るのだということをお述べになっていることも私承知いたしておりますが、現実にそれでおやりになる場合には現行法ではいけないわけでございます。それでやられた方を現在どういうふうに取り締っているか、あるいはそれの実例がどうであるかということは現在私つまびらかにいたしておりません。ただ現行法では優生手術は法に定められました輸卵管結さつ、輸精管結さつ、この二つだけしか認めておりません。その違反例がどれくらいあるかということは、遺憾でありますが、ただいまつまびらかにいたしておりません。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 ただいまのは、なおまだ問題になっておらぬようですから、ぜひ一つこれは中央優生保護審査会においても御検討願ってこれをその中に入れるかどうするかということの御検討をぜひお願いしたいと思います。  なお同時につけ加えまして男性の方の優生手術をやりますのが、とにかく優生保護法の指定医という方々が優生手術をやった場合には、必ず翌月の十日までに届出をしてもらう。また、届出をしないなら一万円の罰金とかというのが二十五条にあるのでありますが、普通の外科医、あるいは泌尿科の方々などが、特に男性の方の優生手術をかなりやっておるようでございます。なおまた、聞くところによると、集団的にある会社などにおいても優生手術をおやりになっておるというのですが、これが全部届けておるのでございましょうか。あるいは届けてはおらぬのじゃないかと思いまするが、もしおらぬ場合には、そういう方々にも届けさせるような方法をおとりいただくようにしていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) 本法に基きまして手術をやりました場合には、御指摘のように、当然届け出なくてはならないわけでございます。もしもそういう届出を怠っているという事実が判明いたしますれば、それは厳重に注意して届出を励行させるようにしなければならぬと存じます。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 人権擁護局の方に一つ、二つお尋ねしておきたいと思います。  先ほど来申しますように、正常な精神保有者におきましては、しきりと子供の将来などを考えまして、そうしてあるいは子供をたくさんに持てば、子供の養育、教育上にも困るというので、かなり最近には受胎調節その他の方法をやっておるのであります。ところが、精神異常者におきましては、それらの考慮が全然払われておらぬと思うのです。もちろん人権の尊重という点からいたしましても、国民に対して受胎をしてはならぬとかあるいはぜひ抑制しなければならぬとかということは言えないかもしれませんけれども、しかし、精神薄弱者などに対しましては何とか法の制裁でも加えて、受胎を抑制する、防止するとかというようなことをさせたいものと思うのですが、人権擁護の立場からみますというと、これらに対してどういうような御見解がございますでしょうか。

鈴木才藏法務省人権擁護局長

○説明員(鈴木才藏君) 今の御質問はなかなかむずかしい問題でございまして、まだその点については十分な検討を加えておりませんが、やはりそういう受胎調節をあまり刑罰等で強制するというようなことは相当問題になると思うのであります。よくその点は研究したいと思っております。人権擁護の方ではやはり相当問題ではないかと思います。なぜかと申しますと、精神薄弱者であって子供がたくさんある。で養育なんかに困る。これはやはり普通の貧困者の場合と同様な場合ではないかと思います。これは別個に生活の社会保障的な方面で解決すべき問題ではないかと思います。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 もう一つ人権擁護局にお尋ねしたい。精神異常者でございまして、その人が殺人をやる、あるいは放火、強盗などをやりました場合に、その犯罪者が心神喪失のため不起訴になるというような者がかなりあると聞いておりますが、しかもその中に生殖年令者も大いにまじっておるということでありますが、こういう方に何とか優生手術などを行うというようなことをやれば、あるいは人権擁護の方でやかましく調べるとおっしゃられるかもしれませんが、これは国の将来を考える上においてきわめて必要なことと考えますが、一つ擁護局の方の御意見を聞かしていただきたい。

鈴木才藏法務省人権擁護局長

○説明員(鈴木才藏君) その点については少し考えて参ったのでございますが、今お尋ねのようなケースの場合におきましては、優生保護法のもとに手術ができる場合も想定されるわけであります。お尋ねの場合はその優生手術の対象外の精神異常者ではないかと思いますが、いかがなものでございましょう。御質問の御趣旨が……。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 対象外というのもありますが、とにかく精神病者、精神薄弱者というのは審査を受けることもできるのでありますけれども、しかし、特にこれを法的にやるのはどうか。

鈴木才藏法務省人権擁護局長

○説明員(鈴木才藏君) 私ども人権のことを考えておりますので、優生保護法のもとにおきましては相当広範囲に優生手術ができるようになっておると解釈をしております。優生保護法の対象外の精神病者でございます。まあ特に四条のもとになされます優生手術、その適用のないようなものにおきましては、強制的に優生保護法のやはり優生手術を行うということは少し考えものではないかと思うのであります。それはそのときに刑法上精神異常のもとに心神喪失者であるとして無罪となりましても、必ずしもそれが遺伝性のものであると認定もできませんし、そうして一たん優生手術を行いますと、永久にその人は生殖能力は絶たれるわけであります。しかし、その犯罪のときには精神異常者でありましても、やはり回復することも可能だと思いますので、一がいに今お尋ねになりましたような場合に、強制的に優生手術を行うということは、やはり人権上考えなければいけないのじゃないかと私ども思うのでございます。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 それでは法務省の方にお伺いしたいと思うのでございますが、過去三年間ぐらいにおける犯罪者の中で心神喪失または心神耗弱にかかっていた者というのはどのくらいおりますですか。

横井大三法務省刑事局刑事課長

○説明員(横井大三君) 御案内の通り、刑法では心神喪失者については処罰しない。耗弱者は減刑するというふうになっております。統計的に統一した統計が実は現在ないのでございます。検察庁法の方の面から見ますと、心神喪失者につきましては、それを理由に起訴いたします。従いまして、検察庁統計では心神喪失者の統計が出て参ります。もっともこの中には、一時性の心神喪失者、例のアルコールの問題でございますが、それも入っております。  それから心神耗弱者につきましては、不起訴にいたします場合と起訴する場合とがございまして、起訴いたしますと、裁判所の方で刑を減刑いたします。そこで、心神耗弱者につきましては、裁判所の方の統計で減刑した数から推測するということをやらざるを得ないのでございまして、その結果出ました数字をここで申し上げますと、まず、昭和二十九年度において、全国検察庁で処理いたしました人員は約二百六十七万人でございますが、そのうちで心神喪失という理由で不起訴になりました者が五百名、三十年になりますというと、全処理人員の三百十四万中、心神喪失を理由として不起訴にいたしました者が四百五十六名、三十一年は全処理人員三百一万のうち心神喪失者は三百四十五名、こういうふうになっております。  それから心神耗弱の点でございますが、これは裁判所の統計でこれを理由に刑を減刑した者の数を見たわけでございますが、昭和二十八年において裁判所が刑法犯として裁判をいたしました人員約十一万名のうち、心神耗弱として法律上の減刑をいたしました者が四百五十八名、二十九年にはその数が四百十四名、昭和三十年になりますというと、三百二十七名と、こういう数になっております。  裁判所の統計は三十一年度がございませんので、三十年度まででございますが、これによりますというと、大体検察庁におきまして、心神喪失として不起訴にいたします者が年間約三百名ないし五百名、裁判所におきまして心神耗弱を理由にして刑の減刑をいたします者がやはり三百名ないし四百名余りになっておるという状況でございます。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 精神障害者であるところの犯罪者に対しては、特別に何かの措置をなされておるのでございましょうか。

横井大三法務省刑事局刑事課長

○説明員(横井大三君) 現在の法律におきましては先ほども申し上げましたように、心神喪失者につきましては起訴できない。裁判所も有罪にできない。また心神耗弱者につきましては刑を減刑するということになっておりますので、現在の取扱いといたしましては、事件が検察庁に参りますというと、こういう疑いのある者につきましては必ず鑑定をいたします。鑑定の結果に基きまして、心神喪失者ということになりますというと起訴いたしませんで、これは精神衛生法に基きまして通報をいたします。心神耗弱者につきましてもやはりその結果によりまして起訴して裁判所の裁判を仰ぐか、あるいは起訴猶予をいたします。起訴猶予をいたしました場合には、やはりこれは起訴処分でございますが、精神衛生法に則りまして通報いたします。こういう取扱いをやっております。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 ただいまの精神衛生法が施行されましてから、同法の第二十五条によりますところの検察官、あるいは第二十六条によりまする矯正施設の長が精神障害者に関する通報をお行いになるということでございますが、その通報された数はおわかりになりますか。

横井大三法務省刑事局刑事課長

○説明員(横井大三君) 二十五年、二十六年の実は統計がよくわかりませんですが、二十七年から三十一年までの数を申し上げますと、二十七年に通報いたしましたのが二百八十五名、二十八年が二百七十七名、二十九年が三百八十五名、三十年が三百九十五名、三十一年が三百十六名、二十七年から三十一年までを合計いたしますと千六百五十八名、これだけを通報いたしております。

渡部善信法務省矯正局長

○説明員(渡部善信君) ただいまお尋ねの点でございますが、矯正施設の方から通報いたしました数を申し上げます。  昭和二十五年から申し上げますが、昭和二十五年は刑務所、少年院、少年鑑別所を通じまして七十三名ということになっております。二十六年は三百五十八名、二十七年は四百十四名、二十八年は四百十三名、二十九年は四百八十七名、三十年は四百六十六名、三十一年は五百五十九名、三十二年——今年の六月末でございますが、二百九十三名という数字に相なっております。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 ただいまこの数字を示していただきましたが、その通報によりまして精神衛生法によって都道府県の知事はどういうようなふうの措置をいたしておるのでございましょうか。  これはどちらに、厚生省でしょうか。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) 知事は通報に基きまして鑑定医の鑑定を受けさす、そうして精神障害者として鑑定されまして、また、その結果、措置入院を必要とする者につきましては措置入院をし、精神障害者とされましても措置入院までも必要としないというような者につきましてはそれに必要な指導をする、精神障害者でなかった者はなかった者として措置をするというようなことをいたしておりまして、たとえば昭和三十一年でございますと、これは分解して申し上げます。ちょっとあれでございますが、三十一年だけの状況を申し上げますと、二十五条で通報されました者は三百十六名のうち鑑定を受けた者は二百二十八名、措置入院をさせました者が百十六名、それからそのほかが百十一名。二十六条に基きましては先ほどお話がありましたが、四百五十名、二百三十名を鑑定させ、六十九名を措置入院させ、その他が百六十一名というようなことで、精神衛生法に基いていろいろの措置をいたしているわけでございます。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 もう一つ最後にお尋ねしたいと思いますが、今後こういう精神障害者が犯罪をした場合には特別の何か保安処分をするというようなお考えがありますでしょうか。これは法務省の方に……。

横井大三法務省刑事局刑事課長

○説明員(横井大三君) この刑事手続上、あるいは刑事法上、精神障害者をどう扱うかということは非常に重要な問題でございまして、前々からわれわれも検討を続けておるわけでございますが、御承知の通り、昭和十五年にできました刑訴改正の仮案におきましては監護処分というのをすることになっております。これは保安処分の一種でございまして、野放しにいたしますと社会に不安を与えるというような精神病者の犯罪者でございますが、これにつきまして、ある程度の監護をいたすということを考えておるわけでございます。しかしながら、これは刑法全体に非常な影響を及ぼしますので、われわれの方では現在刑法の全般的な改正を考えておりまして、ただいままでのところ、大体各則の検討を終りまして、この保安処分等を含めます総則の部分につきましては、この秋から検討を加えて参る予定になっております。その際には当然この問題も審議の対象になろうかと思いますので、お話の点につきましては、なお、その際に考慮したい、こう考えております。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 本問題に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて閉会いたします。    午後二時五十一分散会

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