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26回国会参議院1957/08/09

社会労働委員会 閉会後第3号

発言数
153
登壇者
15
会派数
3
開催日
1957/08/09

会議録

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) ただいまから委員会を開会いたします。  委員の異動について報告いたします。七月の二十六日付をもって高野一夫君が辞任され、その補欠として、野本品吉君が選任されました。   —————————————

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 社会保障制度に関する調査の一環として、西九州地方の水害対策に関する件を議題といたします。本件について厚生当局から概況の御説明を願います。その前に、厚生政務次官の米田吉盛君から一応ごあいさつがございます。

米田吉盛自由民主党厚生政務次官

○説明員(米田吉盛君) このたび私まことに不肖でございますが、厚生政務次官の重職をになうことになりました。皆様方の絶大なる御援助を得なければ、職責を全うすることができないと考えております。どうぞ一つよろしくお願いを申し上げます。  西九州の水害による災害の救助の状況を申し上げたいと思います。先般、厚生政務次官と社会局長と帯同いたしまして、現地でどういうような災害救助の状況があるか、こういう点を調査に参りました。つぶさに現状を調査いたしました。  御承知のように、今回の災害は非常に局地的ではございまするが、その被害はすこぶる深いのでございます。全然予想できなかったような豪雨が一時に参りまして、今までの考えでは、予防できない程度の域をこしたものでございます。このために御承知のように、長崎県は四市十カ町村、熊本県は二市九カ町村、佐賀県が二カ町村という範囲にわたりまして災害救助法の適用をいたしました。私らは主として長崎と熊本の最も災害のひどかったところを調査いたしたのでございます。長崎で最もひどいのは御案内と思いますが、諌早、大村次いで島原でございます。これらの地域は先ほど申しますように、非常な雨量が相当長い時間にわたって降りまして、今までわずかに用水路程度に考えておりました三尺、四尺という程度の幅の溝が大河のごとく一度にはんらんをして参りまして山間部からは幾かかえもあるような大きな岩石が怒濤とともに押し流されて参りました。これが瞬時にして市街を襲いましたために、思わぬ実は被害が出たわけでございます。その詳細につきましては、お尋ねがありますれば局長をして説明をさせますが、大体の被害の状況は、今申しましたように、あまりにその雨量が多かった、もうこれだけの雨量が降りますればおそらくこれを防ぎ切るだけの備えをするということは不可能ではないかというように考えたのでございます。  まず、この災害が起りまするや直ちに厚生省としては連絡員を派遣いたし、防疫官を派遣いたしまして現地し協力いたしましてその指導に当らせたのでございます。これは相当効果があったやに考えております。  物資関係は、災害直後に長崎県から毛布の一万枚急送してくれという要請がございまして直ちに手配をいたしまして、福岡県にとりあえず依頼をいたしまして二十八日に五千枚、二十九日に四千枚、三十日に残りの一千枚が現地に到着いたしております。私参りましたときに、現地ではあちらこちらにそれらのものが配付をされているような状況を見て参りました。さらに舞鶴の引揚援護局に保管をしておりました三千五百枚の毛布を防衛庁の船舶に頼みまして、長崎に急送いたしまして、これは二十九日に現地に到着をいたしております。厚生省関係以外に、日本赤十字社でありますとか、キリスト教奉仕団などによりますところの救援物資が相当多数に現地に到着しておるのを私は拝見いたしました。まあ物資関係ではその後全国から非常な御同情をいただきまして、相当たくさんの救援物資が集まりつつあることを感謝する次第であります。  財政関係といたしましては、大蔵省と協議をいたしました結果、おそらくただいまの閣議でかかっておると思うのでありまするが、災害救助の予算は、御承知のように七千万円であります。で今回の救助費といたしましては、長崎県に六千七百万円、熊本に千九百万円、これは大体国庫補助額の八割に当るものでございまして、これだけのものをとりあえず支出をする、こういうことが本日の閣議で決定を見る見込みでございます。従って、予算が足りませんために、一千六百万円は予費費から支出をするような計らいを与えております。  今回の災害につきましては、外国からも大へん同情をいただきまして、各国から金品の救援をいただいております。エチオピア皇帝からは英貨五千ポンドの慰問救済資金の御寄贈がございました。これは厚生省におきまして毛布を購入いたしまして、八月十五日ころまでに長崎、熊本、佐賀の各県あてに送付する予定でございます。インド西ベンガル州首席大臣から寄贈のキニーネ五百ポンド、サルファ剤若干量は、八月六日飛行機で到着をいたしまして、直ちに日赤に交付いたし、罹災者に無償配付するよう措置を講じております。在日ハンガリー人三名より三万円の寄贈がありまして、この資金を罹災者救援金品に充てるように、直ちに日赤に交付いたしました。シンガポール赤十字社から寄贈品がございまして、新しい夏服地十九箱、その他衣類二十九箱合計一トン半が、シンガポールを五日発の那智山丸に託送されておりますので、十五日には大体福岡八幡港に入港する予定でございます。この点が外務省から連絡がございましたので、日赤に手配をいたしてございます。  罹災県に対する救助対策といたしましては、災害発生後、直ちに各県は県本庁に災害救助対策本部を設置いたしまして、具体的救助計画を樹立するとともに、救助隊を動員いたしまして救助活動に入っております。特に長崎県におきましては、諌早市におきまして、農林部長を主班といたしまする現地対策本部を設けまして、救助隊の指揮に当つております。災害救助法の発動は、被害の状況によりまして情報を収集いたしまして、判明いたし次第に逐次災、害救助法の適用を決定いたしております。長崎県におきましては、さき申しましたように、四市十カ町村、これは七月二十六日に諌早市外五市町村を決定いたしました。続いて二十七日には島原市外四カ町村を決定いたしまして、七月二十八日には飯盛村外二町村を決定いたしました。熊本県におきましては二市九カ町村でございまして、七月二十六日に熊本市外八市町村を決定いたし、七月二十八日には玉東村外一町を決定いたしました。佐賀県におきましては二カ町を決定したのでございますが、七月二十六日に北方町を決定し、七月二十七日に白石町を決定いたしたわけでございます。  救助の措置といたしましては、まず第一に罹災者の救出でございます。死者、行方不明者等の人的被害が今回は非常に甚大でありましたために、自衛隊の出動を要請いたしますとともに、警察、消防団関係の協力によりまして、全力をあげて人命の救助、死体の捜索、収容に当つた次第でございます。  次に避難所を設置いたしました。寺院、学校、公共建物等を避難所に充てまして、罹災者をとりあえず収容いたしましたが、今日はいずれも閉鎖する段階になりました。諌早市、大村市等の被害の最も甚大な地域につきましては、長崎県から食糧を輸送いたしまして、救助に万全を期しております。現地では水道が破壊されて、たき出しができない状態の地域が相当ございますので、これは長崎市から大体たき出しを送つておる、こういうような状態でございます。  たき出しにつきましては、法の正面に掲げられております従来は六日以内でありましたが、それでは少し被害が深刻で、打ち切られては困る。六日で打ち切られたのでは——六日間では短か過ぎると、こういうような要望がございましたので、実情に即しまして、十分遺憾のないような取り計らいをいたしておるのでございます。  医療関係といたしましては、日本赤十字社あるいは国立病院、国立療養所、大学付属病院、医師会、自衛隊等によりまして医療班を直ちに編成しまして、これが救援に当つております。特に諌早市を中心とする地域につきましては、七月三十日現在十カ所の救護所を開設しまして、二十三名の医師、三十八名の看護婦を配置して、鋭意治療に当つております。診療人員は二千五百人に上っておるわけでございます。諌早市において入院を必要とする患者は五十人ほどございまして、これは長崎市、多良見町等の病院に収容をいたしました。  被服であるとか、寝具、生活必需品の給与の点でございますが、これは先刻申しましたような毛布あるいは肌着、なべ、かま、バケツ、その他必要物資につきましては、県の備蓄物資を急送いたしまして、これを給与いたしました。特に交通途絶の地域が今回は非常に多いのでございますが、自衛隊のヘリコプター、米軍のヘリコプターなどの活動を要請いたしまして、空中からこういうような物資を輸送して、遺憾なきを期した次第でございます。  給水に関しましては、諌早市は御承知のように、給水設備の被害が最も激しかったのでございます。二十七日からその復旧作業班を派遣いたしまして、復旧に当りました。当時は自衛隊の濾水器、あるいは福岡県から送りました濾水器等によりまして給水の努力をいたし、また、水道のポンプも三基あるうち、一基だけは回復をいたしまして、私、一日に参りましたが、そのときには一基のポンプは活動を始めておりまして、辛うじて飲料水だけは一日にはまあ遺憾なきょうにできておったようでございます。その後、情報によりますると、平常時給水状態に復したということでございますが、なお一部、夜間のみの給水をしておる地域も、小部分でございまするが、現在なおあるようでございます。これらの地域には、特に防疫に対する注意を怠らないように努力をいたさしております。  防疫対策といたしましては、被害の最も激しかった諌早、大村、島原等には、検疫所でありますとか、自衛隊の防疫班、あるいは自衛隊の衛生作業班、福岡、兵庫、岡山、山口の各県から派遣されましたところの防疫班が活動をしておりまして、万全を期しておる次第でございます。なお、熊本、佐賀県につきましては、災害地に対する防疫作業は一応完了したようでございます。  流行病でございますが、諌早には今日、赤痢患者が六名出ました。大村にも一名、島原にも一名出まして、これはいずれも隔離をいたしまして、必要な措置を講じております。  消毒につきましては、八月一日までに島原市は二回、大村市は一回、諌早市はなかなか家屋の中まで泥土が堆積いたして、非常に、四尺ぐらい堆積をいたしておるところが多いのでありまして、なかなか実施困難でございまするが、それを冒しながら大体全市の三分の二については、八月一日までに実施をいたしました。八月十四日までには完了する予定でございます。長崎県から厚生省に対して消毒用の石灰六十トンの送付要請がありましたので、熊本県からこれを送りまして、八月一日には長崎市に到着いたしております。なお、諌早市におきましては、予防薬ビタクリン、クレオソートを全戸に配付いたしまして、用いさしております。米軍の申し出によりまして、この十三日にそれを実施するという予定でございます。もっと早く実施する予定でありましたが、風向きの関係で十三日まで延びておりまするが、諫早市、大村市には空中からDDTを撒布する、こういうような措置も講じられておるわけでございます。  いろいろ申し上げましたが、厚生省といたしましては、できる限り適切な実は努力を目下いたしておる次第でございます。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 次に、一昨日の岐阜県及び愛知県における豪雨による災害の状況をお知らせ願います。

米田吉盛自由民主党厚生政務次官

○説明員(米田吉盛君) 岐阜県、愛知県におきまする災害の状況を御報告申し上げます。  七日から八日にかけて、これまたこの地方に豪雨がございまして、相当の被害が発生いたしました。愛知県守山市、坂下町、高蔵寺町、瀬戸市春日井市、品野町、ただいま判明いたしておりますのはこの三市三カ町が愛知県でございます。  岐阜県は多治見市、瑞浪市、土岐市、この三市がただいままでに判明いたしました。  死傷者被害状況は、目下報告が参りつつありますので、刻々実は動いております。けさ私が役所を出ますときの報告では、守山市に死者一名、高蔵寺町に死者三名、瀬戸市十六名、品野町一名、死者は岐阜県の方はまだ判明いたしておりませんが、愛知県の方は合計二十一名の死者が出ました。行方不明が瀬戸市九名、品野町九名、合計十八名でございます。負傷者は守山市五名、高蔵寺町十二名、瀬戸市十四名、合計三十一名、全壊が守山市九一尺坂下町二戸、高蔵寺町七戸、瀬戸市十八戸、合計三十五戸、流失は愛知県全体で七十二戸、半壊が三十里戸、床上浸水が二千二戸、床下浸水が七千六百三戸、こういう報告が参りました。岐阜県の方からは多治見市だけの報告が参っております。ほかは未着でございます。多治見市は死者がなくて、行方不明四、負傷三、全壊六、半壊九、床上浸水千百三十五、床下浸水五千二百六十、こういう報告が参りました。瑞浪市、土岐市は目下調査中でございまして、到着次第皆さんに御報告を申し上げます。で、これらの災害地域のうちで、守山市、坂下町、高蔵寿町、これはいずれも愛知県、ここには災害救助法の適用が決定いたしました。岐阜県の多治見市、ここも災害救助法の適用が決定いたしました。以上四つ、二市二カ町にわたりまする災害救助法の適用が決定いたしました。  以上概況を御報告申し上げます。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 御質疑を願います。質問のおありの方はどうぞ。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 今度の西九州の被害なんですが、私は根本の問題を一つただして、それからお聞きしたいと思うのです。諌早を中心にして、七百ミリから島原にかけて八百ミリという雨が短時日のうちに降った。だからこの対策そのものは、厚生省の関係する対策というものは今、次官からお聞きをしたのですが、総合的な災害対策というのには、たとえば一定の地方に雨量がどれくらい降ったらどれくらいの水が出てどうなるというような事前対策というものが必要じゃなかろうか、こういう統計や必要手段というものが私はあるはずだと思うのです。これをまずお聞かせ願いたい。平生二百ミリ、三百ミリというものが、たとえば時間を長くして降った場合にはそう災害がない。しかし、短時間に降る場合には、一度に水が出て災害が出てくる。こういう場合に、やはりそういう対策の限度というものは、おのずから今までの財政施策、見通し、そういう中からそういう対策が私は政府にあるのじゃないか。その点を一つまず最初にお聞かせ願いたいと思います。

米田吉盛自由民主党厚生政務次官

○説明員(米田吉盛君) これはもっぱら厚生省としましては、災害が発生しまして、直接その災害を救助するという職責と、防疫関係でございます。この方面としましては、過去の経験を大体土台といたしまして対策が立てられております。その他のたとえば河川はどれくらいの水量を受け切れるというようなことになりますと、御承知のように、建設省その他の所管になります。この方面も漏れ聞くのでありますが、今回にかんがみて新たなる対策を立てつつあるやに承わります。で、従来といたしましては、まあ大体百何十ミリとか、二百ミリ前後とかいうような、わが国の経験を土台といたしまして、対策が立っております。今度のようなことで、これが全国に七百四十ミリ、八百ミリというものが、短時間に降つてくるということになりますれば、これはおそらくそれに対処するところの予算は、私はなかなかやれぬのじゃないかと、実は心配するぐらいでございます。全くこれは想像を絶する、もう行ってみましたけれども、こんな小さい、まあわれわれの庭のみぞぐらいの小さいものが、大河になって、そうしてその沿岸に——沿岸というのは事が大きい。家の下に小さく流れているといった方が実感が出るくらいの川が、逆にその家を何軒も何軒も押しつぶして流してしまつている。こういうような状況で、水は魔ものであるということの実感を初めて体験いたしました。ですから、過去におけるところの考え方をもってこういうものに対処するといたしますれば、これはこの際根本的に考え直さなければならぬ。しかし、そこまで一体国の力というものが、考えるのは考えても、やれるのかという点に、実は迷つているような次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は八百ミリ降ったときの対策を政府に立てよという質問をしているのじゃない。今までの経験からして、どれくらいのところまでならばできるという、災害対策本部を政府が作つてやつておられる。今までもそういう例なんだから、きょうは厚生省の関係で、今おっしゃったような関係の御報告があったわけなんですが、政府として、まあ次官に聞くのは無理かもわかりませんけれども、そういう状態については、今までの経験から、どの程度の災害救助対策というものが立っておつたかどうかということをお聞きしたわけであります。

米田吉盛自由民主党厚生政務次官

○説明員(米田吉盛君) 政府委員から答弁いたさせます。

安田巖厚生省社会局長

○説明員(安田巖君) 私どもでは御答弁は無理かと思いますけれども、たとえば諌早市の場合には、市内を流れております本明川というのがございますが、これが割合に短かい川でありますけれども、やはり雨が降りますと、いつもはんらんするというようなことがございますけれども、建設省の方では川幅をある程度の計算によって広げなければならないといったような復旧の計画を早く立てないというと、今度の町のとりあえずの応急の復旧にも差しつかえができるということで、さっそくそういう点を計算いたしまして計画を立てると言っておりましたが、大体そういったようなことで、常識的にそういうところを応急的に復旧するような計画をいたしております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私がなぜこういうことをお尋ねするかというと、この前の熊本の水害のときに、私は現地をずっと回って見てきたわけです。そうすると、あの町の主要な部分に、ほとんど火山灰といいますか、それが家の中に入ってしまってどうにもならない状態であった、今度は、諌早、大村というのは今まで歴史的にあまりなかったというようなところで、特に雨量も多かったわけだが、たとえば熊本の河川対策、治水対策ということと関連して、同じ轍を——今度はまだ行っておりませんからわかりませんが、そういうような状態になっているのじゃないか。それがまあ治水対策、水害対策の根本じゃないかと私は思う。だから熊本の状況について少しお話がありましたけれども、この前以上の状態になっているのじゃないか。そうなりますと、今まで経験したところ——ないところは別といたしまして、熊本という九州では福岡に次ぐ大都市だと思うのです。その大都市のまん中を流れている川の対策が立っていないようでは、やはり今度も復旧対策本部でその対象になっていることは結局同じことを繰り返しているのじゃないかということになるわけです。相当治水の関係で、堤防の改良とか、いろいろと施策が講じられているところがあるわけです。しかし、熊本のような都市に、普通の川なら泥が流れてきて云々ということはないのだが、特に熊本地方の水害になつたら泥土というか、火山灰の土というか、あれが実際全市に入ってしまうと異常な状態が生まれてくる、それとあわせて厚生行政からする防疫の問題というものと私は非常に関連があると思うのです。ですから厚生行政の立場から防疫の問題や病疫その他の伝染病問題の処置、それから人間生命に関する保養の問題があるのですが、根本の問題は私はその問題に非常に関係があるのじゃないか、そういう面から考えてお尋ねしでおるわけです。熊本の状況をもう少し……。

米田吉盛自由民主党厚生政務次官

○説明員(米田吉盛君) お説ごもっともだと思います。この前の災害は、阿蘇山系に非常な降雨がありまして、御承知の火山灰が降ってきた、今度は幸いにあの方面はよかったようであります。そこで白川といいますか、その川はこの前非常にはんらんいたしましたが、今度は大体よかった。今度は井芹川、と坪井川、この二つが最もひどくはんらんいたしました。それは分水嶺が違っております。そこでお話のように根本対策は、今度阿蘇山にあれだけの雨が降ったら、お考えの通り私は白川は大へんな泥が入ってくると思う。従って、熊本の被害はより大きかったろうと思うのです。この点は私はあなたと同じ考えでございますが、これは根本的に——厚生省の分野としてはある程度の対策をいたしておりましてもその治山治水の対策ということは、あなたと同じ考えでございますが、どこまでやつたらそんなことが万全を期せられるかという限界が非常にむずかしいだろうと思いますし、その金が伴うかという問題です。私は熊本のことをちょっと聞いたのでございますけれども、どうも今やっておるのは白川という川を掘つて流水をよくするとかいう、まあまあという程度のことをやつておる程度じゃないか。その山の上の方をどんどんダムでも作つて土砂をせきとめるというような所が何カ所もあれば、同じ土砂が流れるにしてもこれは漸次流れてくるわけで、予告があつてから流れますから人も避難できるというようなことになると思いますが、それまでの完全な対策ということには私は乏しいのではないかと実は考えております。これはわれわれ厚生省だけの問題ではございませんので、皆さんとともに一つ根本的のことはこの際、すぐできる、できぬはともかくといたしまして、計画をもって、年次計画で逐次やっていくと、ことに九州は災害引受所でありますから、この地域については相当のことをやらなければならぬのじゃないかと私は実は考えておるわけであります。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 それで諫早、大村、特に諌早の町が災害がひどかったようでございます、新聞、ラジオ、その他でお聞きすると。それで、今のような処置を次官、局長まで行ってやられたということは御苦労でありましたと私は思っておるわけですが、その写真、ニュースその他で見ますと、もう家財道具一切が水づかりになってしまって処置がないと、ここで毛布の一枚という問題が出てきたり、見舞金その他の問題が出てくるわけですけれども、実際問題として、学校とか、お寺その他に収容をしておられるようですけれども、どうなんですかね、ここの見通しとして。雨もちょこちょこあれから降つておりますし、だからその災害のもと通りの復旧ということなんかは、これはとてもなかなか短時日でできるものじゃありませんけれども、一応防疫上から衛生的に考えていつ時分になれば……。大体そういう危険度といいますか、危険状態を脱するというのはいつ時分までかかりますかね、今の状態から見ますと。

米田吉盛自由民主党厚生政務次官

○説明員(米田吉盛君) 私が一日に参りましたときは市中はまだ泥がうんと堆積しておりました。交通はとにかくできませんような状態であります。われわれゴム靴をはきましてじゃぶじゃぶとやりながら行ったようなわけであります。しかし、これはごく局地的にそうであります。それから川の沿岸は何十戸というものがごっそりと流れてしまつておる、その家屋の跡は大きな岩石が一ぱいであります。こういうものをのけてもとのように家を建てる、敷地を整理するという段階になると、これは相当私は日にちはかかると思っております。しかし、まあ仮バラックをあちらこちらのあき地に建てたり、さしあたっての困っている状態をとにかく過ごすというようなことは、これはかれこれ一カ月になると私は見て参りました。御承知のように、仮住宅の建設は災害救助法で二十日以内に着手しなければならぬということになっております。当該市町村長にもそのことをよく申しまして、二十日以内にできるだけ着手して下さいと、万一おくれても一日や二日なら何とか取り扱うように努力いたしますと、こういう気持で向うへ申しておいたのです。これなんぞも、今度の災害の状況から見まして、あれは全壊は三〇%ということになっておりますか、これではどうも気の毒だな、何とかしたいなという気持で実はやつておるわけであります。まあ一カ月くらいはたたないと……。一応は安定しておりました。私どもが参りましたとき一応は安定して、ぼつぼつお医者さんなんかも開業を始めるような格好で、あしたにも始めるなという工合に見えましたけれども、しかし、大体においてノーマルな生活に入る、全市民が残らず入るのは、まあ大体一カ月近い。今度の災害の結果、生活困窮者が相当出やせぬか、これらの対策も、厚生省としまして頭をひねっておるところでございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 だから私は災害対策本部を政府がお作りになって、積極的にこの対策に当っておられるわけでありますが、実際問題として、千人近い人が、一時のこの水害のために死なれて、その他のたくさんの被害があるわけで、私はやはり根本的な、総合的な対策を立ててもらうということが必要である。これはまあ厚生省直接の担当じゃありませんけれども、厚生省からやはり強く政府に反映してもらつて、努力してもらいたい。それからもう一つの問題は、この現地における、諫早市は水道があると思うのですけれども、私は今度の災害を受けた関係市町村ですね、そういう所に雨が降って、いろいろの状態の中で、飲み水の問題その他が非常な問題になっているんじゃないか。水害のあと、必ずそういう問題が起きるので、だから簡易水道とか、それから今度の上水道とかを、特に災害地に積極的にやろうという考えがあるのかないのか。その点をお伺いしておきたい。

米田吉盛自由民主党厚生政務次官

○説明員(米田吉盛君) ごもっともでございます。今度も割合にまあ不幸中の幸いといいますか、流行病はまだ蔓延いたしておりません。おそらく大したことはないだろうと予想しております。それは全部飲料水を濾過器で濾過したものを飲ますとか、相当な努力をしたことにも原因があると思っております。ある村のごときは、昨年、たしか熊本の吉野村、本村は昨年厚生省でも相当補助金を出しまして、簡易水道をこしらえて、それがごっそりやられている、こういう所もあります。これらの地帯は、農村ではありますけれども、柑橘栽培で非常に潤つておる村であります。なかなかテレビの塔が百五十も立っているというほど裕福な村です。そこがごっそり実は簡易水道がやられたということで、またさらにやらなければならぬからよろしくという話もございました。これらの点を考えまして、まあできるだけ優先的に、まあこれだけの災害地をなるべく今のような流行性のものから防ぐために水道ができまするように努力いたした。  それから前段の、政府にいろいろの施策の根本策を大いに浸透さすようにやれという御説、ごもっともでございまして、まことに微力ではございますが、当然御説のようにいたさなければならぬと思っておりますから、しかるべくできるだけの努力をいたしたいと思っております。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 防疫のことでちょっとお尋ねしますが、この書きものの一番終りに、防疫薬に、「予防薬ビタクリン、クレオソートを全戸に配付した。」とありますが、ビタクリン、クレオソートというのは、何の予防薬でありますか。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) これは現地で私どもの方に要請がございましたのは、抗生物質を早期に使用することの可否について相談があったわけでございますが、これはまあ体質の問題等もございますので、やたらに一般の人に使うということは差し控えた方がいい。ただし、下痢患者なんかありまして、早期に治療するというために使うということは、これは適当であろうという指示をしたわけでありますが、お手元の資料にございますクレオソート、ビタクリンというようなものは、現地におきましてこれは厚生省の指示ということでなしに、現地の考えで、一応整腸剤というような意味で使用したものだと、そういうふうに考えております。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 もう一度、ビタクリンというのは何ですか。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) 内容については、私どもの方によく報告がございませんが、ビタミンの合成剤のようなふうに私承知しておるわけでございます。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 それはどこのお金でお買いになつたんですか。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) これは県自体で購入して配付しておるわけでございます。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 そうしますと、「全戸に配付した」というのは、厚生省の手で、厚生省が金を出して配付したというのではなくして、県が配付したのを書いてあるわけですか。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) さようでございます。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 そうすると、これは厚生省あるいは国の金でないから、よその金でやつたんだからいいようなものだけれども、あなたもピタクリンというのは何か御存じないわけですね。それからクレオソートが何の予防になるかも御存じない。私これは変に思うんですよ。私らもビタクリンというのは何の予防薬か知らない。クレオソートというのは、日露戦争のころは、征露丸というものを使つておりましたが、今ほこれが何か予防薬になるというような科学的な根拠を知らない。こういうものが常時災害対策のために厚生省にたくわえてあるのか、あるいはこういうふうな事態が起ったときには、いち早く業者からこれを買い求めて送るというような仕組になっているのか。もしも送るとすれば、もっと何か昭和三十二年にふさわしいものがありそうなものだと思うが、ビタクリンは、まあ近代的な名前で、あるいは私の方が知識が少いかもしれませんけれども、クレオソートに至っては、これを予防薬といわれるのは、非常に私は日本の厚生省が出したこの紙に書くにしては、ちょっとおかしいんじゃないか。しかし、こういうことはございましょう。ああいう大水害などで、みんな人心不安を起しているときには、何か送ってやると、そこで安心するというようなことがあるから、取りあえず何でもかまわぬ送れというようなこともあるかもわからぬけれども、私はそれがあとで、大衆に、クレオソートというのは予防の特効薬だなんという印象を与えるということは、まことにこれはおもしろくない結果にもなる。私はみんな書いて報告していただくのはありがたいわけでございますけれども、このような、あまり適当な方法であるとも思えないし、また、国の名誉であるとも思わないし、そういう種類のものをこういう場合にどんどん使われるということは、これは私考えものだと思いますが、どうですか。御見解を伺いたい。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) 木下先生のおっしゃる通りでございます。厚生省として、今度の災害の際に準備いたしましたのは、抗生物質はサルファ剤というようなもの、それからいろいろな血清類、あるいはワクチン類というものを用意いたしました。あるいはそのほかの消毒薬、DDTなり、あるいは石灰というようなものを用意いたしまして、そうして必要があればすぐ輸送するという手配をしておったわけでございますが、現地におきまして、ただいま木下先生も御指摘のように、やはり人心安定という意味もあったかと存じますが、何か整腸剤のようなものを飲ませたいというので飲ませたんだというふうに私も解釈いたしておるわけでございまして、厚生省としては、先ほど申し上げましたような対策を立てて手配をしておりましたわけでございます。

竹中恒夫無所属クラブ

○竹中恒夫君 こういう水害のあとでは、当然伝染病が生ずることも予想されますし、また、負傷者の方々も、傷の化膿ということも考えられるわけでございますが、今医療救護班というものが引き揚げたあとの問題をわれわれは懸念される。被害状況の中に、医療機関、病院、医院等の被害状況の御報告がないわけですが、その医療機関の被害状況その他について、あるいは案外復興が早くはかどりつつありますならば、その復旧の状況並びにまだ復旧しておらないという場合において、そういう土地の医療機関、必要な医療機関に対する復旧の促進と申しますか、援助と申しますか、何かそういうことをお考えになつたか、あわせてちょつとお話し願いたい。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○説明員(山口正義君) 医療機関の損害につきましては、不幸中の幸いと申しますか、比較的大きな病院、あるいは伝染病院というようなものは今回損害を受けませんでした。また、現地の保健所も大村の保健所は一部床上浸水いたしましたが、直ちに水が引きましたので活動を開始いたしております。諌早の保健所はやや高台にございますので損害を受けておりません。それで、そういうものがとりあえずは施療機関としては活動いたしました。また、臨時に日赤その他から出動いたしました救護班が応急救護をいたしたわけでございます。ただ市内の一般の開業医の方々は相当これは私手元に正確な数字を所持いたしておりませんが、損害を受けられまして、一時機能が停止したわけでございます。それに対して応急救護班が出て救護に当つたわけでございます。先ほど政務次官の御報告にもございました通りに、逐次それが復旧されつつあるということでございますが、これらの方々に対して損害を受けられたのに対して、どういうふうに政府として援助するか、これは再三の災害に際してもしばしば問題になるところでございまして、融資を心配してお世話してできるだけ早く復旧されるように厚生省としてお世話すべきではないかというお説があるのでございます。これは私直接の所管ではございませんが、そちらの方で心配しなければならない、そういうふうに考えております。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 一、二点お伺いしておきたいのですが、先ほど次官のお話を伺っておりますと、生活困窮者も相当出るだろうという予想をお話になった、それで今までの調査の範囲では、そうした水害に伴つて特に生活困窮者が現われたということはないのですか、具体的に。

安田巖厚生省社会局長

○説明員(安田巖君) まだ応急救助をいたし、避難所でありますとか、あるいはたき出しをいたしておるような段階でございますので、そういったような具体的な話はないわけでございまして、それから後にまたいろいろ経済調査をいたしまして、そういう問題が出てくるわけでございます。まあ私見まして非常に大ざっぱな議論でございますけれども、今度の災害は割に局地的でございますので、そういったような生活保護法の人員にまで大きい影響があると、全般的に見ましてそういう工合に考えておりません。もちろんそういったことで生活できなくなるといったようなことがありますれば、これは私どもといたしましては法の適用をすべきものだと考えております。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 この報告書の中には出ておらぬのですが、学校等の被害はなかったのでありますか。

安田巖厚生省社会局長

○説明員(安田巖君) 学校の被害もございまして、これは私今手元に持ち合せておりませんけれども、文部省といたしましては、この程度の被害があったからこの程度の復旧費がほしいという資料を作って大蔵省の方に出しているわけでございます。なお、学用品その他につきましては災害救助法にもございますので、必要なものはその方から出す。なお、その後におきまし、れ、生活保護の必要があればそれを適用いたしたいと考えております。

米田吉盛自由民主党厚生政務次官

○説明員(米田吉盛君) 熊本でございますが、教科書が流れてなくなっちまった、こういう訴えがあります。それで新学期が始まるまでに間に合すように文部省に取り次いでくれという話がありましたから、先日文部省にこの点は十分間に合せるようにということを伝達しておきました。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 どなたでもけっこうですが、住宅復旧状況はどうなんですか。住宅の復旧状況はここには災害等応急措置が載っておりますが、その後の救助の実際上の進行状態というものは載っておらぬのです。なかんずく困るのは住居だろうと思います。住宅についてわかっておりましたら、なるべく具体的なお話を聞きたいと思います。

安田巖厚生省社会局長

○説明員(安田巖君) 住宅の復旧といたしましては、これは災害救助法では応急の仮住宅というのが、これはバラックでございますが、これも実は私ども参りましたときにはまだ混乱をいたしておりまして、仮住宅を何戸、どのくらい配付して、それをどこに建てるという計画ができておりませんので、ちょうど六日か七日に、長崎といたしましては被害の市町村を集めまして仮住宅の方をやっと何戸どこに建てるという計画をしたという報告が来ております。それからその他の住宅の復旧の問題は、建設省関係で、災害の応急復旧の住宅というのがございますが、その方を現在調査をいたしておりますし、それから災害のための住宅の金融があるのでございますけれども、その方は住宅金融公庫の理事が現地へ参りまして相談所を設けて当っておるという報告を建設省がいたしておりますので、いましばらくたちますというと、そういう問題がさらに具体化するというふうに考えております。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 これは直接所管でないから御無理かとも存じますが、今のお話のように、流失家屋、それから全壊家屋というものを合せますというと、一千戸をこえていますね。だから仮住宅にしてもずいぶん大きな仕事になってくると思うのですが、これはやはりなるべく早く、可及的すみやかに作らんというと大へんな問題だと思うのですが、そういう状況については、やはり現地の御調査になった当時から見ましても、すでに一週間経過しておる。その間、現地との電話その他の通信機関を利用しての連絡状況というものがとれると思うが、そこら辺もう少し現実的なものになってこないと、数字的にも新聞に出た程度の数字しか載っていない。だから実際の復旧状態というものが、あるいは応急対策の進行状態というものが判断ができぬ状態である。これは早急に、どれくらいかかると大体の進行状態がわかるのか、あるいは今日でも対策本部に御連絡になれば現在の状態はこれだということを明日でもお知らせ願えるか、その辺。

安田巖厚生省社会局長

○説明員(安田巖君) 先ほど申し上げましたように、災害救助法に基く応急仮設住宅というのは、これはできるだけ早く建てなければならないのでございまして、避難所というものを設けまして、避難所の段階が終りましたならばすぐそれが仮設住宅にいくのが普通でございます。ところが、避難所の方の設置を普通の基準より延してくれ、こういうのが諌早でありますとかあるいは森山村でありますとかあるいは千々石町というものがそういうことであります。それで、八月の六日ごろにやっと避難所を建てたという段階でございます。そういう段階でございまして、その後報告によりますと、七日に長崎県ではそういったような割当をしたということでございますが、数といたしましては一応全体として戸数の三〇%というものが割当て戸数になるわけでございますので、それをフルに活用して一応やってみたいという報告がありましただけでございます。そういうわけで、徐々にそういうようなことをやってこちらにも御報告をよこしておるわけでございます。

勝俣稔自由民主党

○勝俣稔君 医療救護班は現在の状況はどうなっているのですか。

安田巖厚生省社会局長

○説明員(安田巖君) 医療救護班はもうほとんど全部私ども引き揚げたように聞いております。先ほどもちょっとお話がありましたけれども、たとえば一番ひどかった諌早あたりが、三十一日には病院が一つと、それから診療所が七つ開所して活動を開始した。民間のは全部で四十三カ所あるのでございますが、三十一日にはそれだけ回復いたしましたから、私どもが通りました場合でも、もう泥を出したり、跡始末をしておるような病院、診療所がございましたから、おそらく現在はそういった他県からの応援というものはもちろんございませんし、それから中の診療班の方々も一応打ち切ったものだと思っております。それで、たとえば島原地区でございますけれども、この地区も、まあ非常に報告が、ああいうふうに隔離された地区でございますのでおくれまして、相当被害がひどいだろうと思いましたが、まああけてみますとそれほどでもなかった。たとえば島原市の向うの方の国見町でありますとか、あるいは吾妻とか、いろいろ町、村がありますが、そろいったところも、診療機関が割合しっかりしているものですから、それを、応援の診療班は要らないというようなことがわかりました。しかし、日赤の福岡からわざわざ国見町まで参りました診療班がございましたから、それは国見の多比良という港に配備いたしました。それもたしか二日か三日にはもう引き揚げたはずでございます。

勝俣稔自由民主党

○勝俣稔君 あの診療所で、諫早あたりでこの水害のために機能を失った診療所はどのくらいありましょうか。

安田巖厚生省社会局長

○説明員(安田巖君) その総合的な調べは今持っておりません。

勝俣稔自由民主党

○勝俣稔君 私は、これは変なことを申すかもしれませんが、診療所の機能を失ったその診療所の先生に、この災害地の診療を引き受けさせてやらせるという方法は、一面においてその先生の生活を保護するような意味合いにもなるのでありまして、とてもこの日赤であるとか、国立の病院とかなんとかいったところは急の間に来るところのものであつて、長い間、一週間以上置くということは、自分の病院の診療にも支障を来たす。私はやはり災害地においては、災害地のお医者様が災害地の治療を受け持ってくれるというような線をお出しになるということがふさわしいのじゃなかろうか。今後まあ伝染病はどういうように発生してくるかもしれませんが、赤痢なんか最初に出るのじゃないか、あるいはあとから腸チフスなんかのようなものが出るのじゃなかろうか。東京のあれは大正十二年の大火災のときは、ほとんどその土地における燃えた人々の診療に充てる。そうすると患者さんはそのお医者さんに親しみを持ち、非常によかったのですが、まああの時代と今の時代とは違いますし、火事と水害ではまた事柄が違いますけれども、まあそういったような事柄があるいは行われておるだろうかということと、もしそういう場合に、そういうことも一つの方法じゃなかろうかと思いまして、私のちょっとした意見を申し上げたような次第でございます。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) ほかにございますか。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 ただいま勝俣さんの御質問に関連してですが、実はこの諌早市は災害が非常に強い——私の方の大学からも二十六日から一日までに一班、二日からまた第二班を出しておるのです。その報告によりますというと、非常に皆われわれ同僚の診療所のごときは、看護婦、患者が十数名も流失してしもうたというようなところもありますので、とにかく資材がないから、たとえ一応はずっとおさまりましても、なかなか品物に困る。ぜひ一つ品物を学校からもどんどん送ってくれというような頼みを受けて、第一班が行っております。従ってただいまのお話のように、現在いろいろ前からおりました者には、一つ資材もぜひやっていただくし、なおまた、これは建設関係もありましょうけれども、医療関係の者には、特に融資の方面に対しましても、特別御考慮を願って、前回の四年前のあの大水害と同様に、一つ特別法でも御利用いただいて、ぜひともこういう方面に力を尽していただきたいと、こう思うておるので、どうぞよろしくお願いいたします。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) ほかにございませんか。  ただいままでの各委員の御質疑を聞いておりまして、このかかる突発事故につきましては、非常に国民の同情もございますし、対策も迅速に行われますが、その後国民の同情がさめた時分に、非常に被害者が苦しむ、こういう点について非常な御心配もあるようでございますが、当局においては、十分その点注意して対策を立てていただくように、強く要望いたしておきます。  本件に関する本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  休憩いたします。    午前十一時四十六分休憩    —————・—————    午後一時四十一分開会

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 再開いたします。  参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。社会保障制度に関する調査の一環として、健康保険法改正が大学の教育及び治療に及ぼす影響について、八月の十日午後一時、参考人から意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 御異議ないものと認めます。参考人の人選、手続その他につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 労働情勢に関する調査の一環として、労働行政の基本方針に関する件を議題といたします。  石田労働大臣から意見の発表をお願いいたします。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 私このたび皆さん御承知のごとく、労働省を担当いたすことになりました。全くしろうとでありまして、まだ勉強中でございます。従って、本日皆様方に、私の労働行政についての基本的な考え方をこれから簡単に申し上げてみたいと思うのでありますが、これについてあらかじめお断わり申し上げておきたいことは、この基本的な考え方は、まだ内閣として正式に決定を見たものでもございません。さらに与党との間の意見の調整を目下進めつつある段階にございますので、若干の変更を見ることがあるかもしれないということを御了承いただきたいのであります。  私は労働省を担当いたしたのでありますが、先ほども申しました通り、全くのしろうとであります。しかし、基本的には、労働問題というものは人間と人間との関係でございますから、友情と忍耐と誠意をもって対処いたして参りたいと思います。  具体的な施策といたしまして、まず第一に、雇用の問題について具体的な施策を進めたいと思っております。  第二は、大企業と、あるいは公企業と中小企業との間の賃金格差が年々拡大しつつある傾向にございますので、この格差の縮小を第二番目の目標といたしたいと考えております。  それから第三番目は、労使の間にいい、そうして安定した慣行を作り上げるために、努力をいたしてみたいと思っているわけでございます。  以上の三点を私は労働省を担当するに当りまして、現下の主要な目標として考えたいと思っているのであります。  まず、雇用の問題について申し上げるのでありますが、現在は約六十万と称せられる完全失業者がございます。もっとも本年五月の調査によりますると、漸次これが縮小して、五十万を割ってきておるようにも思えるのでありますが、しかし、なお目下講ぜられつつありまする緊急経済施策の影響等がございまして、若干の増加も覚悟しなければならないような状態にあるかと考えております。しかしながら、他の面におきましては、特殊な職種、職域においては、逆に人が、そういう技術を持っておる人が不足しておる状態も見受けられますので、まず総合的な職業訓練制度を創設をいたしまして、そうして、こういう技能者あるいは技能労働者の不足に対処いたしますとともに、近代産業における技術の進歩に応じまして、技術水準の向上をはかり、技能労働力の需給を、円滑化を促進いたしますために努力をしてみたいと思っております。そのためには、冒頭に申しましたように、現在の技能者養成、あるいは職業補導、あるいは監督者訓練等の制度に検討を加えました上、総合的な職業訓練制度を創設いたしたいと思っておる次第でございます。  第二は、日雇い労働者の常用化の促進をいたしたいと考えております。どうも最近との日雇い労働者が漸次固定化いたしておりまして、これを、更生意欲を喚起いたしまするとともに、この乗用化をはかる。なお、あるいは社外工あるいは臨時工等の問題につきましても、労働者諸君の生活の向上と安定のために適当なる施策をとりたいと考えておるわけでございます。  それから基本的な問題といたしましては、今日までの長期経済計画を樹立するに当りまして、その計画が往々にして物及び財政の面からのみ先に作られて、それに雇用の問題が合せられていくような傾向がございますので、経済企画庁とも密接な連絡をとりまして、まず政治の要諦は完全雇用を目ざすことにあるのでありまするから、従って、これから先の労働人口の動態を的確に推定いたしまして、雇用の増大をはかることを主目的として経済計画をこれに合せるように努力をしていきたいと思っておる次第であります。  第二番目に、賃金問題についてでありますが、先ほど申しましたように、大企業及び公企業の勤労者諸君の賃金と中小企業の賃金の格差がだんだん開きつつございます。従って、その格差縮小の下からのささえといたしまして、現実に即した最低賃金制度を実施いたしたいと考えておるわけでございます。この最低賃金制度は、現在も業者間の協定に基きましてこれを実施せしめるように、行政的に措置はいたしておるのでありますが、なおその基礎を強固ならしめるために、適当な立法措置を講じまして、低賃金労働者諸君を保護いたしまするとともに、賃金格差の縮小に資し、あわせて企業間の公正な競争を確保し、かつ国際信用を維持し、雇用の近代化に資したいと思っておる次第でございます。  その次には、現在のわが国の賃金制度が生活給に偏し、職務の内容へ職務の相違、あるいは勤務成績、あるいは労働の量質というような要素を無視している傾向がございますので、職種別あるいは職能別の合理的賃金体系を確立いたしたい。これは統計調査部をして各国の例を検討いたせしめまするとともに、わが国にふさわしい職種あるいは職能、あるいは労働の量質に応じた賃金のあり方を確立いたしたい、こう考えておる次第であります。  それから、中小企業労働者の諸君の福祉の増進のためには、失業保険制度の適用範囲の拡大を考えたいと思っております。また、現在の労働者住宅、あるいは婦人労働者あるいは年少労働者に対する各種の施設は、どうも大企業に偏して行われておるのでありまして、中小企業のように散在しておる場合におきましては、どうも成績が上っていないように思われまするので、この中小企業労働者の住宅を確保することにこれから労働者住宅の建設についての施策の重点を向けて参りたい、こう考えているわけであります。要しまするならば、産業労働者住宅資金融通法、あるいはその他融資条件の緩和をはかることによりまして、その建設数量の増大をはかつて参りたいと思っているわけであります。  最後に、労使関係の、いい、健全な慣行を確立することでありますが、私は戦後十年余りの労働運動の経過を見ておりまして、全体として見まするときには、漸次健全化されつつあると思うのでありますが、現在、なお労働組合の一部には、いわゆる階級主義的立っ場に立て、いたずらに対立抗争に終始し、労使協力の面に欠けるものがありまして、労使の紛争処理に当りましても、力のみによって解決をしようとする傾向が強く、平和的、合理的解決の努力が行われていないばかりでなく、労働組合運動という名前のもとに違法な行為をさえ行う矯激なものも少くないのであります。従って、私は、まず労使のよき慣行を作り上げまするために、その基本的なルールとして、現行法規の労使双方に対する順守を要求し、それを基本的な方針として貫いて参りたいと思っているわけでございます。特に、公企業体に対しましては、政府は仲裁裁定を完全に実施する方針を堅持いたしまして、それと同時に、労働組合の諸君に対しましても、法律を守って、いやしくもみずから調停あるいは仲裁を申請していながら、法に禁ぜられた争議類似行為を行うことがないようにしてもらうことを呼びかけなければならないと思っておるのでありますが、不幸にしてそういう事態が生じました場合には、一時的な、あるいは筋の通らないその場限りの妥協に終始することなく、基本的な建前を貫くことによって、将来にわたってよき労使の慣行を作り上げる土台を築いていきたいと考えているわけでございます。また、それと同時に、現在使用者側におきましても、特に中小企業等におきましては、現在においてもなおいわゆる前時代的な労働問題に対する考え方を持っておる人が相当多いのでありまして、この方面に対しましては、労働問題に対する理解を深め、そうして、勤労者の善意と協力を得ることが経営の安定と発展をもたらす唯一最大の道であるということを理解せしめるために必要な措置をとらなければなりませんし、それと同時に、労働者諸君に対しましても、労働条件の向上と生活の安定は、やはり生産性の向上を通じ、企業の安定を通じでのみ得られるものであり、なおかつ、労働者諸君の生活の向上は、社会の他の条件と遊離してはあり得ないものであるということをよく周知徹底いたしめまするために、労使双方に対する労働問題についての教育宣伝活動を活発ならしめたいと考え、民間団体としての労働問題教育機関の設置を目下準備中でございます。  最後に、労働法規に対する私の考え方を申し上げておきたいと存じます。私は、労働問題は、冒頭に申しました通り、人間関係を扱う問題であります。従って、単に法律による強制や、刑罰による威嚇によって解決し得るものではなく、常に友情と忍耐とをもって労使双方の健全な良識と自覚を促し、そうして民主的な労働慣行の確立をはかっていくのが基本的な方向でなければならぬと思っております。同時に、これは、一般法規も同様でございますが、法律の改正を考える場合におきましては、まず、その法律が正しく解釈され、正しく施行せられているかどうかを十分検討した上で考えらるべきものと思っておる次第でございまして、以上のような考え方から努力をいたしまして、しかる後必要と認められる場合に法改正を研究すべきものであると考えておる次第であります。  以上、きわめて簡単でありますが、私が現在考えておりまする労働行政に対する重要な点についてのみの御説明を申し上げた次第であります。どうか今後ともよろしく御協力のほどをお願い申し上げる次第であります。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 次に、二階堂政務次官よりごあいさつがあります。

二階堂進自由民主党労働政務次官

○説明員(二階堂進君) 今回、政務次官を仰せつかりまして、労働行政に携ることに相なりましたが、勉強も不十分であります。今後一そう勉強をいたしまして、また、委員の皆様方の御協力をいただきまして、職責を果したい所存でございます。どうかよろしく御指導を賜わりますようにお願い申し上げます。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) ただいまの石田労働大臣の発言に対して御質疑がございましたら、お願いいたします。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 労働大臣にお伺いをいたしたいのですが、歴代労働大臣の表看板といいますか、第一番の政策の基本になる看板は、完全雇用という言葉であったと思うのです。そこで、もとより完全雇用は望ましいことでありますし、憲法が保障するように、好む職場に好む条件でもって働いて生活を安定するということが念願でありますから、当然なことだと思うのですが、ただ、口で完全雇用と言えば、非常にりっぱなことですが、中身はさっぱりない。今日まで私どもとの委員会でしばしば論議を重ねたことでございますが、遺憾ながら完全雇用の具体的事実あるいは発展というものを見ておりません。そこで、石田労働大臣は、新進気鋭でもって、しかも、有能な政治家として労働行政を担当していただくのでありますから、しかも、御承知のように、労働省設置法第三条に規定しておる問題は、基本的に労働省が何をなすべきかということの基本方針を示しておる。ですから、その線にのっとって当然やっていただくことと信じ、大きな期待を実は持つわけです。ですからここでお話をいただきたいのは、完全雇用をどういう方法で推進するのか、今まで私どもしばしば質疑等で聞いたところでは、単に経済規模の拡大によって労働者に職場を与えるのだと、こういうような抽象的なことしか聞いておりません。しかしながら、申し上げるように、石田労働大臣はこの点について明快にお答えをいただけるものだという絶大なる期待を持っておる。そこでお願いしたいのは、完全雇用をいかにして実現するかという計画についてお考えをお伺いしたいのであります。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 基本的はにやはり御満足はいただけないと思うけれども、経済の規模の拡大を目ざしてその拡大に沿って解決していくということは、やはり基本的な考え方でございます。しかし、わが国の実情におきまして、これを短期間に、いわゆる西欧的な完全雇用の実現ということをはかることはなかなか困難でございます。従って、先ほども申しましたように、まず順次なし得るものから、現在のわが国の雇用状況の中でわれわれの努力によって解決し得るものからこれを増加せしめていきたい、解決していきたい、こう思っておるのでありまして、職業訓練制度を総合的に設置いたしたいと考えておりますのもその一つの施策でございます。今さしあたって手をつけ、さしあたってやって参りたいと思っておりますることは、先ほども申しましたように、多くの失業者をかかえておりながら、他の面におきまして特殊な職域、職能を要する技能労働者の面におきましては不足を来たしておる状態もある。そこを埋める努力をすることによって逐年これを解決して参りたいことが一つと、もう一つは、基本的なことに関連があるのでありますが、経済の拡大に沿って雇用の問題を解決するということよりは、これから生ずる労働人口の伸びというようなものを的確につかみ、そうしてそれと雇用量との差を縮小していくことを基本的な柱といたしまして、長期計画をこれに沿うように樹立してもらわなければならないと思っておるわけでありまして、この長期経済計画の建て方につきましては、経済企画庁長官の同意を得て今そういう方向で御努力を願っておる次第でございます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 大臣のただいまのお話を伺っておりますと、やはり今までとほぼ変りがない状態で非常に失望するのですが、そこで私具体的にちょっとお伺いしておきたいのです。総理府統計局の資料によりますというと、大体農林、非農林を含めまして本年の四月現在で四千二百八十七万人という就労実績が報告されておる。その中でいわゆる自営業者やその他を除いて雇用者といわれる者がここでやはり労働者として問題になる。その数は千人百五十五万人である。これが一応就業して、ることになる。その中でいわゆる雇用関係を一線にしまして、雇用線上にある労働者が大体八百方見当と推定される。そうしますとあと一千万という労働者が一体何をしてどうするのかわからない。完全雇用といって政策を基本的に打ち出す以外は、少くとも完全雇用をしなければならぬ人員がどこにどうして存在するのかという具体的な把握ができておらなければ私は不可能だと思う。この点について私は大臣の所信なり、どういうふうにしてこういうものを把握して、どういうふうに配置するのかというところまでお話しいただかぬと納得がいかないわけです。お願いいたします。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) とりあえずの対象とするのはいわゆる完全失業者であると思っております。それからその完全失業者の次に不完全失業者といわれる階層の人たちの処理、さらに同時的に考えなければならないのは臨時工や社外工の処理であると思っております。的確な、特に不完全失業者についての的確な数字的な把握はまだできていないようでありますが、これはなかなか実態的にとらえることもむずかしいのでございますけれども、もとよりお説のように、鋭意その把握に努めまして、ただいま申しましたような順序で、順次年々この解決に努力をして参りたいと思っております。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 今大臣のお話にもありましたように、大体完全失業者を一応六十万と押えて、あるいは五十万を割っているというのは本年の五月現在の数字だと言われたのですが、ともあれその完全失業者というものが一応の対象になる。そうすると五十万とかりに推定いたしましても、これに一応完全雇用という線で職を与えるということは、単なる職業の補導というようなことでは間に合わぬのではないかと思うのですが、その点について石田労働大臣の構想をお知らせ願いたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) それを一挙に解決するということは、私は現状においては非常に困難であると思っております。従って逐年かつ順次解決する方法として、最も効果的なものの一つが私は今の職業訓練制度を拡充するということであると考えております。それだけで足りるとは思っておりませんが、他の方法につきましても鋭意研究をいたしたいと存じております。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 先ほど長期計画というお話があったが、経済の長期計画ということは当然必要なことだし、私どももぜひ協力してやっていかなければいかぬ点だと思う。ところで、その長期計画というものもかつてから五カ年計画あるいは六カ年計画、こういうものが言われている、ところが、さっぱり実績が上らない。しかも長期計画どころでなくて、ちょうど今の岸内閣が発足しました当時、経済規模が拡大した、神武以来の好景気だということで、いわゆる一千億減税を主とした施策を打ち出された。ところが、一カ年の月日の経過を見ないうちにその方針は変ってきた。ですから長期計画そのものが非常に私どもたよりないわけです。しかも経済長期計画というものは当然必要ですし、また、雇用量の増大をするためには必要な措置であると考える。そうであればあるほど、長期計画の具体的な内容、一応石田さんの現在の構想、さらに経済企画庁その他関係閣僚の間で話し合いをなさらなければならぬでしょう、そこで具体的な対策が考えられるかと思いますが、一応大臣が私はここで所信を表明される限り構想があると思う。その御構想を一つお聞かせいただきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 長期経済計画はこれは御承知の通り、経済企画庁で立案しておるのでありますが、私どもの方からの要求あるいは私どもの考え方は、先ほど申しましたように、完全雇用を目標とし、国民生活の安定をはかるということがその最終的目標でございますから、労働人口の伸びあるいはそれと就業の状況というようなものを的確にとらえまして、そうしてその差を逐年縮小いたしまして、完全雇用の状態を達成するということを柱として経済計画を作ってもらいたい。今までのように、物の面あるいは財政の面からだけの計画を作り、それに雇用の問題を合せていくというようなことでなく、建前を逆にしてやってもらいたい。そうしてそれをすることが私は現内閣の今目下考究中の、研究いたしておりまするところの長期経済計画の新しい点であると考えておりまして、その方針については、企画庁長官の同意を得ておるわけであります。具体的計な構想その他、あるいは経済の伸びをどの程度に見るかということはまだ検討しておる段階でございますので、本日はお答えを申し上げるわけに参りませんし、また、私の所管でもございませんので、責任者からお答えいただきたいと存じます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 今のお話非常に重要な問題だと思うのです。従来はいわゆる経済規模の拡大に伴ってその中で発展的に伸びが含まれ、その伸びの中に吸収していくといういわば便乗的な労働雇用問題の政策であったと思うのです。そこで、大臣の言葉をかりるというと、つまり雇用量を増大するに必要な、いわゆる経済の規模の拡大をはかる、こういうように受け取ってよろしいですか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) そういう建前で計画を立ててもらいたいということを申し出、経済企画庁長官の同意を得ておるということであります。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 一応この点はまだ最終的な成案でもないようですから、いずれまた、あらためてこの委員会で、お伺いすることにしますが、基本的な今の考え方は非常に私どもけっこうだと思う。ところが、まだほんとうに実がなってみないとあてにならぬから、これに私ども全面的な信頼をかけることはできませんですが、まあ一応その問題に対する質問はこの程度にいたしまして、先ほどお話になったよき労働慣行の確立ということは必要なことだと思います。そとで、いろいろな構想を大臣もしておるようで、かねがね就任当時から、新聞記者会見等においてもしばしば御発表になっておるということを承わっておる。ですから、よき労使関係というものは、私はどうしても労使間の話し合いが基礎になると考えます。しかも私の経験では、少くとも労使間の話し合いというものは、二つの意見が対立するのは当然ですから、そこで、それにそばから力を加えるのでなくて、ほんとうに民主的な話し合いによって解決する場をどこまでもしんぼう強く——先ほども大臣がおっしゃった忍耐、そこに忍耐というものが必要だと思うのです。忍耐強く話し合いを進めて、民主的な話し合いによって解決する、しかもそれを慣行化さしていくということが望ましい、これは仰せの通りなんですが、そこで、最近起っておる状態は、ややもするとそういう形でない。しかも中小企業の中ではいろいろ問題があることは大臣も指摘されておりますが、そうしますと、労働関係は、いわゆる現在の機構からいいますと、労働関係調整法やあるいは労働組合法の規定するもろもろの機関がある、そうした機関が、労使間の紛争についていろいろな点で世話をする、こういうことになっておると思うのですが、こういうような機関も実は十分には活動しておらぬ、その原因になっておるものは予算にあるというふうに考えるのです。  いま一つの問題は、たとえば中小企業における労働基準法のいわゆる監督行政、こういう面でいろいろ手心をなさっておることも私どもよく存じております。また、ある場合にはやむを得ぬこともあったと考える。ところが、いわゆる雇用関係以前の、あるいは労働関係以前の問題としてあるほどの原始的なこの何といいますか、労使関係というものが伏在し、そうしてまた、労働基準が守られておらない実情がある。ところが、実際にはこうした実情を十分に監督機関を働かせて、そうして指導するということが実はできぬような実情にあると聞いておる。ですかち、たとえば労働関係の調整なりあるいは労働基準、監督行政の問題で大臣としてはどういうようにお進めになるお考えがあるのか、その点をこの際承わっておきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 労働組合法やあるいは労働法等に設けられております機関の活動について、不活発な原因の一つは予算にあるということは、これは私どもも認めなければならぬと思っております。従って、予算面におきまする解決もこれは努力をしていかなければなりませんし、それと同時に、その制度あるいは運用等についての労使双方のやはり知識が欠けておる点も十分認めなくてはなりませんし、また、当方の、私どもの方の役所の一人々々の、まあ活動の意欲と申しますか、モーラルの面もやはり重視しなければならないと思っております。従って、前者に対しては労働教育の徹底、後者に対しては、やはり官紀の振粛等によりまして努力をして参りたいと思っております。  それから基準法に関しての御発言でございましたが、そういう実情が方々にあることは私も承知いたしております。ただし、わが国の現在の実情におきましてはこれを処罰し、あるいは摘発するということに重点を置きますよりは、指導、啓発によりまして漸次認識を高め、実情を改善していく方が適当であろうと考えておりますし、労働問題懇談会等の御意見もそうであるように承わつておるわけでございます。従って、そういう方向でなお一そう努力をして参りたいと存じております。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 もう一点お伺いしておきたいと思うのですが、最近、これは最近といってもごく最近ではなくて、歴代労働大臣のおとりになっておられる方針ではないかと思うのですが、失業対策の問題で、特に職業安定所の窓口を通して日々雇い入れられる労務者が全国に約四十数方ですか、四十五、六万、これを非常にワクをしぼる傾向がある、こういう傾向は石田労働大臣が就任をされて、もっと改善をされると期待しているのですが、しかし、実際はたとえば窓口に登録をするように要請をしても、なかなか審査期間が長引いたり、あるいはまた、ある一定の期間がたつと、四年なり三年なりたちますというと、再登録という形で再審査をする、あるいは家族に働く者があればそれは切って捨てるというようなことがなされるというふうに聞いている。ですから、先ほど申し上げました完全雇用の問題とも重要な関連を持つと思うのですが、まずさしあたっての問題は、失業している人々に応急の対策が必要なんですから、そこでこれらの職安の窓口を通して日々職を求めている不安定な労働者の要請なり要望なりを基礎として、もっとワクの引き締めをなさぬ収容を考えられるかどうか、その点を一つ伺っておきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 実はそういうお話も聞いておりまするし、私もまだ就任間がないので実情をよく把握いたしておりませんので、明日適当な職安所を選びまして、実情を自分で見てみたいと思っておりますが、御指摘のような状態が実際ございましたら、そういうことの改善にはもとより努力をいたして参りたいと思っております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 先ほど労働大臣のお説をずっと承わりますと、まず第一に完全雇用の問題が出て参りました。私はそれはそういう方向で努力をされるのでしょうけれども、今日、昨年の今労働白書をいただきまして、三十年度六十九万、三十一年度が六十四万という平均の失業者がある。そこで自民党、要するに今の政府は三十二年度の予算を立てられるに当って産業投資、産業拡大ということを非常に大きな課題として主張されている。たとえば政府の投資、民間の投資、合せて二兆からの投資形態の中で、今繰り延べ、財源停止された分だけを見ましても三千億以上の、これは財源停止というものが行われている。これからくる要するに失業者というものはどういう工合に見ておられるか、まずそれから開きたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 現在まだ調査不十分でありまして、全体的にどういう見通しであるかということは今役所の方でも調べさしておりますが、その実態をつかみまして、そうしてこれに対処しなければならぬと思っておりますが、漸次引き締めの影響が現われている実情は承知いたしております。今それに対する予算措置、あるいはその他の対策を考究中でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 大臣は、今度大臣におなりになる前は政府の官房長官として、内閣の重要な役割りの中心におられた、だから私は今の経済政策を聞いていると、労働雇用というものを中心にして経済政策を立てるような心がまえにしていきたいし、それも企画庁等に要求し、話し合いを進めているといろお話がありました。そこで問題は国民生活向上の問題、または中小企業の賃金格差の問題、そういういろいろの問題が出てくるわけですけれども、問題は、私は中心は国民の購買力をいかにして上げるかということは、ひいては、これは日本の経済改訂にどう響いてくるか、こういうことと、雇用拡大の場を作っていくというところに完全雇用の道というものが開けてくるのじゃないか、私はそう思う。ところが、そういう施策というものは、今の内閣ではおとりになっていないように私は感じる。たとえば、片方では機械化、オートメーション化によって、人が、労働者が余っている、工場において。そういうものに対しては、私らの目から見れば、その企業の利潤追求という立場から首切りの問題が起きているところもありますけれども、自然減に対する補充をしないという形で、生産が上るというのとは反比例的にその労働所が減っていっているという状態が出ている、それは大臣もよく御存じだろうと思います。そういうものを拡大産業、生産という形で就労の機会を作っていくというお話なんだと思うのですが、今度の投資計画がいろいろの面から一割五分から二割も停止される、そうなってくると、たちまち政府の経済政策の、私らから言うと、欠陥から生まれてきて、それは勤労国民が全部いつの間にかしわ寄せをおっかぶらなければならないという、こういうことに私は相なると思います。  そこで、私たちの考えていることは、何といっても今の状態の中で、たとえば河野企画庁長官、河野さんは物価の一割値上げということを打ち出されております。まあ、どういう工合におやりになるのか私自身もよくわかりませんけれども、大臣にお尋ねするのは私は無理だと思うのですけれども、しかし、今日の日本九千万の国民の中で、四千万以上の労働力人口があるわけですが、こういう人の身体、生活、環境を守っていくという施策ならば、そこに私は過重労働というものに対するセーブの問題、例えば時間短縮という問題からくる労働者の保護、そういうところから国民の購買力を上げていくという道がとられなければ、私は完全雇用の道につながらないのじゃないか。片方では利潤はどんどんと追求して、機械化によってむろん投資の問題、設備改善の問題もありますけれども、そこで労働者は減っていく、そういう格好で失業者はどんどんふえていっている、そういう形の中で完全雇用をどうしておやりになるかということは、先ほどのお話を聞いていて、技術者が不足するのは工業力が不足していることにおいてそういう問題が起ってくるわけでしょう。しかし、根本の問題というものは、そこに置かなければならぬと思いますが、大臣はどういう工合にお考えですか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) わが国の経済規模の拡大あるいは雇用の増大、生活の安定が国内の購買力を増大することはもちろん非常に大きな要素ではございますが、日本のような原料を外国から輸入していかなければならない状態の国におきましては、国内の購買力を増大することだけで解決する問題だとは思っておらない。従って、国内の購買力を増大せしめることは一つの要素でありますが、その前提として、やはり原材料、資材等の国全体としての購入する力を常に保持していかなければなりませんから、国際収支の関係に留意していかなければならないことも御了解いただきたいと思います。  そこで、生産力過剰に伴いまするオートメーション化、その他に伴いまする労働問題の処理についてでありますが、私は必ずしも生産力向上に伴う利潤の分配が資本の利潤追求だけに終っているとは思っておりません。完全な形ではございませんけれども、やはり生産力の向上に伴って勤労者諸君に対する分配もやはり行われ、収益、収入の増加もみられていると考えておりますが、しかし、これは完全な形であるとは思っておりませんし、十分だとは思っておりません。従って、それに対して生産力の向上に伴う利益の分配の問題につきまして適切なる機関あるいは制度の研究は必要であると思っております。  それからオートメーション化、その他によって起る労働力の過剰を解決するためにどうするのだ、やはり私はお説の通り、これは労働時間の短縮というようなことで解決していくべきものであつて、その結果、就労の機会を少くするようなことになってはならない。それもやはり日本のように労働力人口が非常に多い国におきましては、特にそういう社会政策的な意味を含めた生産力の、生産性の向上でなければならないと考えております。  それから逐年完全失業者がふえているような御発言でございましたが、統計が示しますように、わずかではありますが、順次完全失業者は減少しつつあると考えておるわけでありまして、技能者養成、あるいは職業訓練等も、それは一ぺんに大きな数量を期待はできませんけれども、やはり漸進的に順次問題の解決には役立つものと考えている次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 いや、私は単純に機械的に、失業者がふえているという表現を取り上げたのじゃない、確かに三十年から政府の統計を見ますと、六十九万から六十四万になって減っている。今日の五月には、私は各省は知りませんけれども、五十万平均になっている、こういうことをおっしゃいました。しかし、神武以来の景気だという宣伝で、一応七千四百億というような民間投資、三千二百億というような政府投資の中で出発した中では、なるほど幾らか失業者の減少の傾向をたどっていたかもわかりませんけれども、今日の外貨の問題なんかからきて、繰り延べ、停止という問題からくる、さしあたって今われわれの今のつかんでいる範囲内でも、三千何百億とか四千億近くの操り延べ、または停止というものが行われている。それに合せて赤字破産や黒字破産という問題まで今日の新聞をにぎわしている。こういうことになりますと、私は、いかに今までの統計を並べて、傾向的に減っているのだ、少し減っているとおっしゃいましても、今日から先の日本の失業問題というものは、私は重大な問題が出てくる。それだから一番最初にその問題をお尋ねしたのだが、まだつかんでないということであります。非常に私は残念でございます。  そこで私は、考え方として、完全雇用を中心にした経済政策という問題をお出しになる、そういう考え方で進めて、経済政策を立てようとおっしゃるなら、なぜ、たとえば今の現実、だれが見てもわかるような状態の中で、雇用を拡大するのはどうしたらいいかという私は施策というものが、労働大臣の口から私はここで言われなければならぬと思う。そうでなければ、われわれなかなか納得できない。オートメーション化や破滅化においてはどんどん労働者は減っている。生産は上っているけれども減っている。おそらく、この問題は、二年ほど前のように操業短縮という結果になるでしょう。私は、だから貿易の問題を見ましてもフィフティ・フィフティという原則を貿易の基礎としまして国内の経済繁栄という場合に進んでいかなければならぬ問題も頭の中に描かなければならぬ。そういうことになってきますと、私は国内の購買力をどうして上げるか、国民生活をどうして守るか、こういう施策の中に今の積極的な政策が出てこなければ、私はわれわれはなかなか納得できない。この前の国会の厚生白書の問題を見ますと、生活保護百五十万、ボーダー・ライン九百七十二万という数字を出して、その人に積極的な保護の手が与えられたかという問題になってきますと、われわれの納得するような御返事が、これは労働大臣じゃございませんけれども、厚生大臣からいただいていない。それからもう一つ、労働大臣にお尋ねしている神武以来の景気というが、中小企業に潤っているかどうかという問題を追求しますと、いや、残念ながら潤っていませんという返事だった。そこで、今度労働大臣がおかわりになって構想をお立てになって、現実の問題を直視して、われわれは失業対策、雇用問題をどうするかということを検討してみますと、今の労働大臣の御発言だけでは、まあ、ほかの理解する人があるかもわかりませんけれども、私はちょっと理解しにくい、それをお尋ねしている。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 確かに三千億かあるいはそれを上回る投融資の繰り延べが行われている。しかし、これは経済の拡大の速度を落したというのであって、今までのやつをさらに縮小するというわけでは私はないと思います。しかし、それでもその影響が及んできつつあることは御指摘の通りでございますから、それについては的確な数字をとらえつつ具体的な措置を研究したいと思っておるわけでございます。しかし、全体として見まして、やはりこの秋を過ぎますと、漸次回復していくものだという見通しの上に私どもは立っているわけでございます。従って、その短かい期間に生じました相当な犠牲はあると思いますが、それは先ほど申しましたような措置をとりまするし、経済の状態が改善せられました後におきましては、その速度あるいはその幅は別といたしまして、やはり拡大の方向へ今度は現実にたどっていけるものと考え、従って、雇用の問題もそれに従って順次解決し得られるものと考えております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 そこでお尋ねしたいことは、お話になりました大企業と中小企業、その他の賃金格差の問題、これも私はどうも労使間の安定、よい慣行を作っていくというお話に通じているような感じがするのですけれども、中小企業と大企業の賃金格差をほんとうにどういう工合になくしていくかという具体的なお話がなかったように私は思うのです。それを少しお話し願いたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 先ほども申しましたように、下からのささえとしてはやはり最低賃金制というものは実施しなければならないと思っております。その内容等は今中央賃金審議会で御研究願っておりまするし、労働省としても検討中でございますが、業種別のあるいは地域別の事情を勘案いたしまして、かつ現実的な中小企業の経営の支払い能力を賦与する実効的な措置を伴いつつやる方法をとりたいと思っております。  それからいま一つは、これは成案を具体的にどうしたらいいかということはなかなか見当がつきかねるのでございますが、やはり系統産業、関連産業におきましては、親産業の理解と協力がどうしても必要じゃないか、それを具体的に実行し得られる方策を考究したいものだと思っておる次第であります。たとえば中小企業団体法等が通過いたしました際におきましては、やはりそういう点についても労働省として役立ち得るような措置を考えなければならないと思っておる次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 どうもよくわからぬのです。最低賃金制が必要なんだ、最低賃金立法を出したいと思っておる、こういうお話が今のお話の中の中心を私はなしておったと思うのです。それじゃその最低賃金制の問題、業者協定の問題について私は一、二お尋ねしてみたい。ではその業者協定によって賃金の額を上げようとしておられるのか、そこらあたりが少し明確でない。たとえば業者同志協定をして、政府に届けるという形において最低賃金を払える賃金というもの、もう一つの面を見ると、労使協定によって結局払える賃金を届けてきたら最賃法の仲間入りをさしてやろうというような感じを受ける、私は政府の出しておられる業者協定からくる最低賛金立法という考え方の流れには。それでは根本的には中小企業、零細企業を保護育成していくという中でも——一つの保護育成していくという重要な問題が一つございます。しかし、労働者の働いておる者の生活をどの程度に守って、生活水準を上げていくという肝心のポイントが私はどうも業者協定から、それにつながる最賃法の流れを見てみますとないように思う。どういう工合にそこのところをお考えになっておるか、ちょっと御説明を願いたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) それはもちろん勤労者の賃金の上昇を目的とするものでありますから、現状をそのまま認め、固定化させるという考え方ではございません。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 上昇するというお気持はよくわかります。お気持はよくわかりますけれども、今日のたとえば低い賃金の中で、その日の生活にあえいで労働についておられる方々の生活を、どの辺まで上げればどれなりの生活ができるかというもののポイントというものが出てこなければ、気持の上で上昇をするということはわかっておるが、どういろ水準まで上げていくというポイントというものは、どういう形で押えられるか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 一ぺんにはむずかしい問題でありましょうが、将来にわたっての目標としては、大企業、公企業の賃金水準まで上げていくということが目標でなければならぬと思っております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 将来の問題はよくわかりました、大臣のお考えは。しかし、今度最賃法を実施しようというお考えのときに、それでは最低はどれくらいの生活を守ろうというお考えをお持ちなんですか、その点は。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 全国画一的に一定の数字を出してそれを基準とするというようなことではなくて、それぞれの実情に応じて、地域的、職種的な実情に応じて、その数字はやはり一応検討していかなければならぬものだと思っております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 よくわかりました。そこで私は大臣にお尋ねしたいのだが、今家内工業その他において、相当高いところもございます。ありますけれども、月に働いて二千円とか、小づかいだけもらって働いておる労働者がたくさんおるということを私は大臣御存じだと思うのです。そういう千円台とか二千円くらいで一人前の人が働いている人がたくさんあると思うのだが、そういうことを私は大臣御存じだと思う。そういう層の人をどういう工合にしてそれでは、まあ百パーセント公務員の八千円とか九千円とかいかなくても、どの程度までそれではこれを最低賃金立法で、生活を守っていこうというのかが最低賃金法の根本精神ですから、そこらあたりの層に対してどういう工合にお考えになっておられるか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 具体的な数字は申し上げる段階ではございませんけれども、御指摘の通り、千円、二千円というものが、他の給付を伴わないであるかどうか、これは別の問題でございますが、非常に低い賃金で働いておる人がたくさんあるという実情はよく知っております。従って、そういう人たちの生活向上を最低賃金制によりまして下からささえていく、しかし、それが企業の本態を脅かさないようにするためには別途の措置を考究しつつ行わなければならないと思っておるわけであります。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 お話よくわかりました。

大矢正日本社会党

○大矢正君 先ほどの大臣の説明された中の第一番の雇用の増大と申しますか、まあ完全雇用まではいかなくても、雇用の増大をはかりたいという労働政策の考え方について、実は承わってみたいと思うのでありますが、大臣は雇用の増大をするんだということを盛んに先ほど来言われておりますけれども、一体何によって雇用の増大ができるのか、私はどうも不可解でならない。まあ長い説明をすれば、私は私なりにいろいろ意見も持っておりますが、かりに今の日本の経済の現況から考えてみましても、今日の状態ではやはり漸次また失業者がふえつつあるということは大臣自身もお認めになっておる。また、大臣はこの日本のいわゆる財政投融資の繰り延べを中心とした各民間産業のこれまた投融資の繰り延べ、こういう一切のものの影響というものは、大体ことしの秋にはある程度改善をされて、まあもとへ戻るのじゃないかという説明がありますけれども、私どもがいろいろ検討しております段階においては、大体ことしの十月になってほんとうに日本の外貨というものが底をついてしまって、それからむしろ本格的な不況の波が日本のあらゆる産業分野に襲いかかってくるのではないかとすら言われている。大臣が言われるように、秋になったら日本の経済は好転をするなどということは、私どもにはとうてい考えられない。おそらくアメリカから借りてくる三億ドル、それからまた、インドネシアを初めとする焦げつき債権等を除いてしまうと、日本の外貨というものは、この十月になったらほとんどなくなってしまうのじゃないかとすら言われいる。大臣の見通しと、私があらゆる経済方面の方々の意見を拝聴したこういう意見の内容では、そこに食い違いがある。私はそういう点の食い違いが根本的にあればいたし方ない問題でありますけれども、とにもかくにも日本の経済がそういう方向にすでに進みつつある中で、雇用の増大がはかられるなどということは考えられない。大正年代やあるいは不景気の昭和の年代の初めのああいう時代を基準にして、その時代よりは就業入口をふやすのだというお考えであればいざ知らず、今現在の就業入口を増加させるという点においてあるいは失業者を減らすという、こういう点から考えれば、大臣が言われている雇用の増大などということは今日考えられない。二年か三年後、日本の経済が完全に外貨の問題から切り離してみても独立できるような、こういう立場になったならばいざ知らず、今日ではそういうことは一切考えられないのじゃないかと私は思うのでありますが、大臣の御見解を承わっておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 今の緊急経済施策の影響、さらに経済界の見通しについては、これは見解の相違でございまして、私どもは秋になれば漸次安定してくるという考え方に立っておるわけであります。しかし、それまでの間に失業問題が発生して参りますし、特に米軍の引き揚げ等に伴います集団的の失業問題もございますが、そういうものは応急な問題として適切な措置を別途考慮しなければならぬと思っておりますが、やはり雇用の増大をはかって参りますのは、大きくは経済の伸びをはかりつつやっていかなければならない問題であります。それから具体的にはやはり個々の例をとらえての手まめな懇切の指導によって解決していかなければならぬと思っておりますので、先ほど申し上げましたような方法をその一つとしてやって参りたいと考えておるわけであります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 大臣が言われる雇用の増大と、それから大企業と中小企業との間における賃金の格差を縮小するという問題やあるいはよき労働慣行を作って、そうして日本の労働運動、あるいは労使関係というものが安定するということに対する意見というものは、社会党といえども、これは反対する何ものもないと思います。ただ問題はこれを実施する場合の基礎的の考え方が一体どこにおかれるかという問題と、それから果してそういう考え方の中に矛盾がないかどうかということが問題点だと私は思うのであります。そこで、雇用の増大の問題については、今当面する日本の経済の先ゆきがどうなるかということに対する大臣の見解を承わりまして、私はその点につきましてはまだまだ私は私なりの意見もありますが、そのことを今とやかく言って、それがどんな失業対策に結びつくかということを検討しても、これはお互いに基本的の考え方が違うのでありますからして、せんかたない問題だと思うのでありますが、それでは角度を変えて別に私は今日の失業の問題、ないしは雇用の増大の問題と関連して、大臣の見解を承わっておきたいのでありますが、それはたとえば最近の企業を検討してみますと、これはもう私が申すまでもなく、あらゆる産業というものは合理化をされ、そうしてまた、オートメーションを完全実施をいたしております。そのためにたとえば石油の精製工場なんかを見ましても、四十億の投資をして、企業形態ができた場合に、その企業に働く労働者一体何人かと言えば、わずかに私が知り得た範囲で百五十人しか人間を実際的には使わない。だからこそこの企業がまたもうかるという理論が生まれてくると思うのでありますが、このようにして現実的にはいかにして人間を使わないようにして企業を運営するかということに重点をおいたいわゆる政策が経営者の方で考えられ、また、それに対して政府が協力をしているのが今日の実態だろうと思うのであります。政府は今日まである労働組合がオートメションに対して、あるいは生産性向上運動に対して反対をすれば、これは前時代的な感覚しか持っておらぬということで、盛んに批判をされておるということも私は承わりました。私はオートメーションや生産性向上運動そのものについて否定するわけではありませんけれども、かりにオートメーション、生産性向上運動で人員を削減することによって、高度な利潤がその中から生まれてくる。しかし、これはあくまでもその会社、その企業の中に働く労働者や、あるいは資本家を潤すだけで——これは外部に出ないというのが今日の実態であります。こういうものがあらゆる企業の中で行われた場合に、政府のいう生産性向上運動に対する協力や、それから政府のいわゆる手入れ、こういうようなものは結果としてはますますこれは雇用を減少するという結果にしかならないのであって、あなたが先ほど言われている雇用の増大には、こういう生産性向上運動というものは、具体的にはむしろ反対の効果 逆効果しか生まれてこないような結果が出てくるのではないか。そうして参りますと、こういうような生産性向上運動に対する判断とか、運営というものは、もっと労働省自体として十二分に検討して、そうしてこれに対する態度を打ち出されてしかるべきじゃないかと、私はこのように思うのでありますが、こういう生産性向上運動、それからオートメーションに伴う人員の削減、高利潤、さらにこういうものにつながる雇用の増大等についての労働大臣の御見解を承わっておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 生産性を向上をしてわが国の経済の国際競争力を増し、ひいては国富を増大するということと、それから労働問題、あるいは雇用の問題の解決とは、私は別に考えなければならぬ問題だと思います。雇用の問題がからんでいるから生産性向上に反対するという考え方は、私は間違いだと思うのでありますが、しかし、生産性の向上に伴って整理とか、あるいは首切りというようなことが、現在現実に起っているという報告を私はまだ承わっておりません。むしろ部分的には労使の話し合いによって時間の短縮が行われたというところも聞いているわけでありますが、この利潤の分配、あるいは働いている労働者諸君の手が余ってくる問題の解決は、私はやはり別途にこれは考慮しなければならぬ問題でございまして、具体的には、そういう状態が生じて参りますならば、労働時間の短縮、その他によって解決していくのが、私は適当な方法じゃないかと思っております。しかし、全体的には生産性を向上させていきつつ経済の拡大をはかって参りますれば、やはり私は雇用の増大をもはかり得るものと考えられるものと思っている次第であります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 私は生産性向上運動の可否についての大臣の御見解を承わっているのではなくて、労働省などでは非常に生産性向上運動については経営者以上に積極的に力を入れておられるようですから、結果としては、このことはむしろ何と申しますか、その企業として利潤が上り、政府も税金をよけいとれるかもしれませんが、結果としては失業者が出るということになります。しかし、近代社会においては機械化、あるいは生産性向上というものは必要であることは私どもも認める。しかし、結果としてそういうことになると、当初考えられた基本的な目標と非常に違ってくるので、こういう中で幾ら労働省が雇用の増大をやろうと考えられても、結果としてはできないのじゃないかという疑問がある。こういうものを大臣はどうして解明していくかということを実はお伺いしているわけであります。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 私は先にも申し上げました通り、生産性の向上に伴って馘首、その他、その企業の中からの失業の問題の発生ということは、まだ報告を聞いておりません。そういうことはないと思っております。また、そういうことをあらしめてはならないと思っております。  それからもう一つ、その生産性向上、オートメーションが普及して参りますと、そうでない時代よりは産業の規模が拡大しても、雇用の増大の速度が鈍るということはあり得るとは思います。しかし、それは失業を増大するということではないと私は考える。従って、近代的な規模における経済規模の拡大をはかっていくことが私は必要である、それは雇用の増大にも役立つものと考えているわけでございますが一しかし、生産性の向上ということについて現在政府は、労働省及び通産省及び経済企画庁が関係しておりますが、具体的には予算その他の指導接触は通産省がおもにやっております。従って、そういう点から今御指摘のような問題の解決がどうも雇用の面で薄くなってくるということは考えられまするので、先般来関係省と協議をいたしまして、これをもっと生産性の向上を総合的に取り扱うようにいたしたい、そういう具体的な方策を現在研究中でございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 次に、大企業と中小企業との賃金格差の縮小という問題に関連をして承わってみたいと思うのでありますが、この中で述べられている大臣の縮小の趣旨というのは、最低賃金制というものを作り上げるのだ、そういうものを法制化するのだということに私は尽きているように思うのでありますが、そのように解釈してよろしゅうございますか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) それだけでなくて、たとえば福祉の面におきましても具体的な措置を考究しなければならぬと思いまするし、さらに大企業につながる中小企業につきましては、その大企業との利益分配と申しますか、大企業とのつながりのあり方においても具体的な方法を研究しなければならないと思っております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 大企業と中小企業の賃金の格差というものを縮小するという意味は具体的にはどういうことをさしておるのか。これはローラーでもって地ならしをして、高いところは低いところに埋めて、そして格差というものをなくする、あるいは完全にそれが平にならなくてもある程度の傾斜を持ってそのようにしていわゆる賃金格差というものを縮小していくという考え方なのか、あるいはそうじゃなくて低いところには土を盛って下の方を上に上げてきてやるという構想のもとにこういう考え方が生まれてきておるのか、この点について大臣の見解を承わっておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 高いものをローラーでならすということはこれは実際問題としてできることではございませんし、また、なすべきことでもないと思います。労働省は労働者諸君の福祉の向上を第一に考えなければならない役所でございますから、高いものを下げるという、労働者諸君の収入を下げるということはいささかでも考えるべきものでないと私は思っております。従って、基本的には下からのささえを強くして盛り上げていくということでなければならぬと思いますが、先ほど私は大企業との関連を持っている産業においてはそういう点を考慮する措置を考えてもらいたいと申しますことは、大企業が、まあ具体的に申しますと、下請等に物を注文いたします場合においてその原価計算は非常に低い労働力で見ておる。それはやはり自分のところの労働賃金と同じとは言わなくても似つかったもので見るようにならなければならないということを私は申し述べたのであります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 私はこういう格差の変更と縮小というもりが、かりに高いものが低いところに縮められることによってなされるとすれば、これは相当重要な問題だと思いまして、実は念のために見解を今大臣に承わってみたのであります。まあ高いととろを下げるわけではないという御趣旨のようでありますから、ある程度安心をいたしましたけれども、これは実際問題としてあなたの言われたように系列の中にある下請機関、あるいは中小工場等、こういうものに対して大企業が徐々にではあっても力を貸していくという、こういう姿というものは一体だれがこれをなされるのか、私はこの辺がどうも疑念となって残るわけでありますが、大臣はこれは純粋な労働問題の解決、労働問題というよりもむしろ中小企業に働く、あるいは下請工場に働く労働者の生活水準を中心として考えられておるようでございますけれども、その中には当然経営という問題に関連をしてくる問題でありまして、大臣が言われているように簡単な問題ではないと私は思うのでありますが、非常に問題点があるのではないかと私は思うのでございます。  それからいま一つは、これは邪推かもしれませんけれども、昨年だと思いますが、ある政府の重要なポストにおられる人が今日大企業の労働者が非常に高水準の賃金を取るために、そのために結果としては中小企業の労働者が低賃金で甘んじなければならない結果が出ておるということを言いまして、大企業の労働者と中小企業の労働者と相反目をさせるような言辞が吐かれたととがあります。こういうことを私この際翻って考えて、大へんどうもそのような意図がこの中にまださらにあるのではないかという気もするのでありますが、これが私の邪推や誤解であるかどうか、念のために二点大臣に承わっておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 大企業の労働者諸君の高賃金が直接的に中小企業の労働者諸君の低賃金を要求する結果になっておるとは私は申しません。しかし、労働者の賃金だけを切り離さなくて、大企業自体のあり方が沖小企業に低賃金を要求している状態である、こう思っておる次第であります。従って、それを改善しなければならない。その具体的な措置はなかなかお説の通り簡単でない、かつむずかしいし、法律的にやるといっても非常にむずかしい問題でございます。従って、具体的な措置をそれでは今持っておるかというと、的確な具体的な措置を持っているわけではございませんが、そういう問題の解決を考究したいと申し上げているのであります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 時間があまりないということで、早くという回覧が参りましたので、あと二点ほど簡単に質問したいと思います。  大臣の先ほどの御説明の中で、日本の労働者の賃金体系というものが、生活給的要素が非常に濃いので、これは是正しなければならないということが言われている。どうもその点これを百パーセント大臣の御説明を受けて全くそれが、今日の段階といえども好ましいのだということを申すわけには私は参りません。なぜかというと、これは世界各国の賃金水準を見ましても、アメリカにおいては十数倍、また、ヨーロッパにおきましてはイタリーというようなのを一部を除きまして、これまた数倍の賃金水準をこの国の労働者の人たちは、わが国の労働者と比べて、取っているわけでございまして、こういう高い賃金の賃金労働者と同一な目で見て日本の賃金というもの、給与体系というものが比較的生活給的要素の中からこれを直ちに是正しなければならないという考え方には私はどうも納得するわけには参りません。まだまだ日本の総体的な働く人々の賃金水準を引き上げることによって、その以降において検討さるべき問題ではなかろうかという気がするのでありますが、この点についての御見解を承わりたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) アメリカはもちろんのこと、西欧の相当多くの国と比べて日本の賃金水準の低いことはその通りでありますが、それは経済の規模も違い、それからそれに伴って生活費も違うわけでございます。しかし、それだからといって、日本の賃金水準が現在、今のままでいいのだ、あるいは高過ぎるということを申すわけでは決してございません。しかし、私は今の段階に見ますと、労働の量と質あるいは職能、職種というものによる賃金のあり方を研究する段階にもう来ているのではないか、従って、そういうものを役所としては、調査いたしまして、その合理的なあり方というものを作っておきたいと、こういうことを申し上げたのであります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 時間がありませんので、最近非常に問題なのは特に大臣等が盛んに新聞あるいはラジオ等で申しております官公労の人々の争議の問題については具体的に触れることができませんので、私はここで一言ここに載せられていない、意識的に載せられておらぬのか、あるいはそうでなくてお忘れになっておるのかわかりませんが、法律の実施の問題について、私は一つ大臣の見解を承わっておきたいと思います。表の面だけが見られ、とかく見られるわけでありますが、実際的にはその裏の面についても、相当今日、日本の労働者があえいでいる面がある。それは基準法の完全実施を初めといたしまして、労働者に関係のある法律、労働者を保護する法律というものが、必ずしも完全実施をされていない。このことについては、前々から論議されておりますし、労働省もよく知っておることだと思う。ところが、その一番知っておられることが問題にされないで、先ほどちょっと山本委員に対する質問の答弁としかなされておりません。これはまことに遺憾なことでありまして、今日、日本の経営者は意識的にか、あるいは企業の内容から押してかわかりませんが、基準法の違反を各所でいたしております。単にこれは基準法だけではなくて、その他の労働関係諸法規を非常に多く違反しておるものが数々ございます。このためにある面においては、経営者が法律を守らないために、自分の大事な命というものを失う場合も今日まで多く見られました。新潟の国鉄の紛争に対しましては、スイカ二百貫が腐ったから、これは公共の福祉に重大なる影響がある。だから労働大臣という立場においては、国鉄の労働者に対して法を守れと説かなければならぬと、あなたは盛んに言っておられます。ところが、ほかでは基準法やその他あらゆる法律の実施を経営者がやらないために、人命が失われておるという場合があるのであります。スイカが腐ったことと、人間の命が失われるということでは、これは私は比べものにならない比重があると思うのであります。大臣はスイカが百貫腐ったから、公共の福祉に反したということばかりを考えないで、もっと裏の方面にあるところの問題、経営者が法律の実施をしないために人命が失われるような、こういう現況も十二分に判断をされて、今後この、裏の面にある基準法を初めとする各種の労働者保護の法律の完全実施に、今後とも力を私は注いでいただきたい。かようにお願いをいたしたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 基準法につきましては、今日特に中小企業の実情に合わないから、実情に合うように改正しろという議論も相当ございます。しかし、私は実情に合わない面は指導啓発によって、順次高いレベルまで経営者の意識を上げていくことが必要と考えますので、基準法は実情に合わないのだから、これを改正するというのではなくして、指導啓発によって時間をかけてやっていきたいと思っておりまするが、しかし、指導啓発という手段のために、あるいはそういう程度の処置のために、人命等に影響を及ぼすようなことがあってはなりませんから、そういう点については御指摘の通り、万般努力をして参りたいと思っておる次第であります。ただ御言葉を返すようでありますが、新潟の問題はスイカが百貫、二百貫腐ったということでは私はないと思っております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 この際私は、きょうは大臣がわれわれにとって初めてなんで、完全雇用の問題をここでお述べになったので、私は違った角度から一つだけ構想を聞いておきたいと思う。日本には非常に多くの農業労働者がおると思う。農業労働者は、日本の農家六百万戸のうち、五反以下の農家が三百万戸という工合に統計で出ておる。そうすると、五反以下の百姓というものは、これは五反、または三反というような百姓、その次男坊という格好で、農民全体がやはり貧困化の方向に押し込まれていく、もう一つは私は零細企業の貧困層が厚生白書に出ておるような状態もある。問題は国では機械化、オートメーション化という工合にして生産増強が行われていく、今までとられてきた政府の措置としては操業短縮という格好で処理をされておったと私は思うのです。政府はよくアメリカのことを言われるが、たとえば一九二九年から三〇年、三一年にかけたアメリカのパニックに対するニュー・ディール政策というものが、当時の政策として労働者保護、購買力を上げて、あのパニックを救ったという一つの例があるわけなんでありますが、私はここで今直ちにこれを実施云々という問題じゃなしに、そういう工合に貧困農村にも零細企業にも、今日の労働者の中にも失業者がある、半失業者も出ている状態の中で、今後の労働配置、国民購買力、要するに国民の生活を日本の生産力に応じて、上げていくという形における雇用対策の問題の構想、これを一つ最後にきょうは初めてですからお聞かせ願いたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 日本の農業労働者を初め雇用の状態は、おっしゃる通りの実情にあると思っております。従って、まず当面は、完全失業者の対策を行うことになりましようが、順次御指摘のような不完全失業者に手をのべていかなければならぬことは申すまでもないのでありますが、これは先ほどから申します通り、やはり経済の拡大とともに考えるべき問題であると思っております。しかし、経済の拡大がオートメーション化その他によって、予期したような、投下された資本にふさわしいような雇用の増大が行われないというようなことに対しましては、やはり総合的な別途の処置を考えなければならぬと思っておりますが、やはり基本的には先ほどから何度もお答え申し上げている通りであります。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 今までの質問で、雇用問題、非常に懇切に御説明いただいたのですが、ここで大臣に具体的な問題についてお伺いをしておきたい。  先ほど大臣もちょっとお触れになったのですが、すでに米軍の撤退に伴う駐留軍関係の労務者が、昨年の六月までに全国で六万六千人という大量の離職者を出すことになる。これはもう私が申し上げるまでもなく、大臣御承知の通りなんであります。そこで、この職者の問題については、かねがねこの委員会で、しばしば論議を重ねてきたことなんであります。なかんずく従来ありました政府とこれらの労務者との間で取りきめております退職金の規程、これは一応あるのですが、本来退職金の規程の根本的な精神といたしましては、少くとも自分の都合でやめたのじゃなくて、いやおうなしにやめさせられるという現実の場合、国家公務員にいたしましても、地方公務員にいたしましても、あるいは民間企業でも同様なんですが、そういう場合の取扱いを、特別退職金もしくは、あるいは退職金と銘打たなくても、何らか別途、のいわゆる退職に対して手当を支給してやるというのが実態だと思う。そこでこの委員会でも、しばしば論議になってきたことは、政府は基本的には、つまりこういう状態で駐留軍を離職する場合には、公務員に準じた取り扱いをするという考え方については了解をされておった。ところが、話は話なりでおさまって今日に至っておるのでありますが、いずれにせよ、駐留軍が全部撤退するときがくる。でありますから、現在国が雇用して労働を提供しているのであるから、雇用主としての国が、これらの労務者に対する特別の退職金といいますか、何らかの方法を講ずべきであるということは、しばしば申し上げたように論議されておる、しかも基本的にそういうことは認められている云々ということで、事案遷延され、今日に至っていると思う。そこで今、すでに大臣もしくは調達庁、直接は所管の問題ですが、労働問題としては、労働大臣の方の関係にあると思う。ですからここではっきりとお伺いしておきたいのは、これらの、しかも大量の、しかものっぴきならぬ理由、本人は働きたいと言っても働くことができなくなる、しかも雇い主は国である。でありますから、この際こういう事情によって、米軍の撤退、従って離職という事態が発生するのですから、少くとも特別の支給金といいますか、離職金を支給する何らかの具体的措置を講じてもらいたいと思う。このことについてはすでに大臣の手元にも関係組合の方から要望が出ておると承わっておりますので、先ほど大臣がお話になったように、いわゆるこれは離職です。ところが、完全就労、完全雇用を目ざす政策の推進を基本的にお考えになっており、しかもそれは今までのような状態ではなくて、経済規模を拡大してその中に吸収するという行き方ではなくて、その離職する者、あるいは職を求めている者を対象にして、そこに事業を起すなり、直接適切な措置を講じたいというのが石田労働大臣の考えているこの完全雇用の方法であるとするならば、この際、私はこの問題について具体的な方法の御検討、あるいは考え方を、これをはっきり御説明をいただきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) この駐留軍の撤退に伴いまする失業問題は、お説の通り国が雇って労務を提供しておるといろ条件、それから地域的、時期的に集約して発生するという条件から考えまして、一般の失業問題と同じようには扱えない、特別に考えて処置しなければならないものだと考えております。ただ特別支給金に関する問題につきましては、御趣旨はよくわかるのでありますが、直接担当をいたしております調達庁等、あるいは財源等についての考究をも必要といたしまするし、ただいまここで明確にお答えは差し控えなければならぬと思っておりまするが、御趣旨はよくわかっております。  それからこの問題の終局的な解決策といたしましては、やはり私は当該地域に対する企業の誘致、産業の振興ということを目ざして参らなければならないと思っておる次第であります。しかし、応急的にはあるいは失業対策事業、特別失業対策事業、あるいは公共事業の繰り上げ実施、あるいは企業組合等の育成、その他の方法によりまして、適時適確にやって参らなければならぬと思っておりまするが、幸い私も官房長官に就任いたしますまでの間、呉に発生をいたしました国連軍撤退に伴います失業問題を取り扱って参りました。呉におきましては、約九千名前後の失業者に対して現在企業の誘致によって二千五、六百名程度は解決いたしておるように承知いたしております。数字は若干違うかもしれません。しかし、現在なお職業安定所に来ております数が三千名くらいではないかと存じております。残余の者は自家営業、あるいはよそへ、他の地方へ出たとか、あるいはまた、その他の方法で——明確にはなっておりませんけれども、そういう状態になっており、なおかつ現在企業の誘致を進めつつある施策によりまして、残った三千名近くの者も相当程度就業の機会を得られる話が進んでいるように聞いております。従って、その企業の誘致を行いますために必要な措置、呉の場合におきましては、あるいは工業用水の工事を起しますとか、その他の産業条件の整備をいたしまして企業の誘致を逐次行なっておるわけでありますが、今度の場合におきましても、それぞれ当該地域の実情に即した企業誘致の方法表関係省と連絡をとりましてやって参りたいと思っております。  また、企業組合等につきましても、これもなかなか、まだ未経験な人が多くて、私どもの方から具体的な問い合せをいたしますると、的確なお答えをいただけないことが多いのでございますが、これもよく協議、協力をいたしまして、何とかいたしたいと思っておる次第でございます。  なお、直接担当いたしておりまする調達庁の長官も見えておりますから、そちらからも具体的なことはお聞きいただきたいと存じますし、それから職業安定局にもいろいろ研究さしておりますから、そちらからもお答え申し上げたいと存じます。

上村健太郎調達庁長官

○説明員(上村健太郎君) 今回の駐留軍引き揚げに伴います労務者につきましての退職金でございますが、これは建前といたしまして、御承知の通り給与全般につきましては米軍が支払いするということになっておりますので、私どもといたしましては、米軍に対しまして先般来退職金の増額を要請いたして参りまして、お聞き及びの通り約七%近くの増額を認めてもらったのでございます。この増額につきましては退職の時期をさかのぼらせまして支給してもらうように折衝中でございます。特別退職金につきましては、日本側でこれを支出すべきやいなやということについてもただいまのところ、今すぐにお答え申し上げるわけにいかないと存ずるのであります。なお、研究いたす余地はあろうかと存じます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 続いてお伺いしたいのですが、今のお話ですと、調達庁の長官の方では今すぐにお話を申し上げるわけにいかない。たとえば要求が出ているその実情はわかるが、このことは労働大臣の方のお答えも同じようなことなんです。ところが、労働大臣並びに直接関係りあります調達庁の長官もお見えになって、どちらも今すぐにお答えができないということではこれは全くたよりない話だと思う。これは失業者の失業対策の前に、現に政府が雇用している政府の雇用者なんです。それも首を切ろうというのです。ですから従来あった一定の退職金の支給というのは当然なんです。ところが、先ほど申し上げたように、公務員に準じたものとして取り扱いをしなければならない。公務員の場合には定年で退職する、あるいは自己希望で退職する場合ではなくて、やむにやまれずに、希望があって働きたいけれども、事業が縮小するなり何なり、あるいは行政計画の中で減員等の問題でやめなければならぬ、こういう事態が発生したときには特別退職金が支払われているのですから、もし今までの政府の考え方が変っていないとすれば、今度の場合、米軍の撤退に伴い、いやおうなしに職場を離れる、政府の雇用者が失業するのですから、その者に対する特別支給金というものは両方が責任の転嫁のし合いという形ではうまくないと思う。少くともどっちか一方積極的になっていかなければならぬ。特に直接関係のあるものは調達庁、しかも調達庁の出先は都道府県にある。そうした直接雇用関係を持っている国の責任において、特別支給金に何らかの、たとえば要求の部分がどうか、あるいは金額の支給の方法には先ほど労働大臣からお話があった予算の問題を含む資金の、原資の問題があるとすればそれはどういう方法で話し合いを進めるとか、具体的お答えがなければだめだと思う。特に労働大臣のお話は、初めからいろいろと懇切なお話をいただいているのです。ですから、その趣旨から言いましても、当然何らかの具体的方法を講じなければならぬが、特にここではこの特別退職金というものは少くとも今度における場合、職を求め、生活を守るということのために必要な資金になっていくわけなんです。ですから、そういうものをどうするかということ、あるいは少くとも両関係当局の中ですみやかに話し合って、あるいは必要な原資の問題等をどうするかということを話し合って、何とかそこに具体的話がありそうだと思う。ところが、ここのところで申し上げるわけにはいかぬと両方とも言われる。そういうことではこれは具体的にはならないと思う。少くとも明年の、期間は漸次明年の六月までに解雇になるということですから、十分その間に手は打てると思う。もう一度私は労働大臣から、労働問題という視野に立ってお答えをいただきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 六万何千人の数が六月までに一ぺんになくなるか、なくならないか、六月までに解雇される数がどのくらいいるかということは調達庁の方でお調べをいただいて、御報告をいただかなければならないのでありますが、相手が軍のことでもあるので、まだ的確なそういう見通しを承わっておるわけじゃございません。  それから特別支給金についての問題は、やはり直接扱っておいでになる調達庁の方の御意見、これを承わりまして、私どもの方の意見を、あるいは私どもの方でお手伝いをしなければならぬときにはお手伝いをするということになると私は考えておりますが、基本的に、先ほども申しましたような事情で、この問題は他の一般の失業問題とは違って考えなければならないという心がまえでおります。ただ関係省との間の話合いがまだ終了いたしておりませんし、米軍撤退が原則としてきまりましたのは、日米会談であり、それからそれが具体的にきまりましたのがごく最近でございまして、離職者の数等のつかみ方がまだ完全にできていない状態でございますから、今まだ明確なお答えを申し上げる段階ではない、こういうことで御了解いただきたいと存じます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 ただいまの労働大臣のお話、調達庁の長官お聞きの通りです。そこで、調達庁は直接雇用主として責任があると思うのです。そこで要求はこれまた出しておると聞いておりますが、一人当り五万円の特別支給金をよこせとこういう要求が出ている。この取扱いをどういうふうになさるお考えなのか。調達庁の長官の方から責任のある御答弁を願いたい。

上村健太郎調達庁長官

○説明員(上村健太郎君) 私調達庁へ参りまして突如ああいう発表がございまして、目下組合側からの要望も数日前に詳細に承わりました。なお、特別退職金の問題ばかりでなく、その他の各種の措置と合せまして、今労働その他の各省と協議中でございますので、今直ちにここですぐ特別退職金の支給ができるかどうかということについてほお答えができないのでございます。御了承願いたいと思います。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 私が申し上げているのは、調達庁長官御理解願っていないのかもわからぬのです。たとえば組合が六万六千人を対象にして一人当り五万円の特別支給金を出してもらいたい、こういう要求を出しておるわけです。ですから、雇用主であるあなたはこの組合と交渉なさらなきゃならぬ。あるいは協議をなさらなければならぬ。その協議と同時に並行して、関係閣内の閣僚の皆さんと御相談になるでしょう、そういうようなスケジュールなりあるいは自分が努力せにゃならぬという立場でありながら、ただ最近調達庁に赴任したばかりで十分に知っておらないというふうなことで逃げてもらっては困るのです。これは行政上の責任としては当然調達庁の長官の方にあると思う。ですから、そういう意味におけるまず長官自身の心がまえをここでは伺うのであって、金をあす、あさってに出すとかということはなるほどこれは相当額の金が要るのですから、閣内で協議をなさることも必要でしょう。しかし、そういうことでできれば皆さんの方から直接何ぼ何ぼ出しましょうとか、よろしい、要求は引き受けたとか言ってもらいたいが、そう簡単にはいかぬでしょうが、少くともこういう期間にこういう努力をして解決をつけたい、何とか私はもっとまじめな御答弁がありそうなものだと思う。そういう意味で長官の再度御答弁をお願いします。

上村健太郎調達庁長官

○説明員(上村健太郎君) 今回の労務者の離職の問題につきましては、先ほど労働大臣からお話がございましたように、非常に地域的にも、かつ量的にも、時期的にも多数の者が一ぺんに離職いたしますので、私どもといたしましては、できるだけのことをいたしまして就職のあっせん、あるいはその他今後の生活が成り立ちますように努力をいたしたい覚悟でおりまするけれども、何分にも予算措置その他で大蔵省その他と協議をいたさねばならないので、その結果を待ちまして申し上げたいと存じます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 そういうことでは調達庁長官、これは問題にならぬと思うのです。すでに要求が出ている。あなたは現在雇い主である。そうすると、組合から要求が出ているのですから、交渉をなさらにやならぬ。つまり特別退職金を出してもらいたいという組合の要求に対して協議をなさる立場にある。しかも問題の解決をせにゃならぬ当面の責任者である。しかしながら、今変な言葉でお茶を濁して済むような事態ではないですよ。職を失う、生活問題です。生きるか死ぬかの問題が六万六千八という生命にかかっている。そうすれば調達庁の長官として、最高責任者である雇い主である。その問題で、しかもこれは私はささやかな要求だと思うのです。たとえば企業合理化等によって、民間の会社が、従業員を自分の事業上の都合によって解雇するときは、少くとも普通退職金の二倍に近い支給金を出している。しかも国が雇うて、そうして退職金はなるほどあるが、しかしこの場合、個人々々の労務者が自分の都合でやめるんじゃない。職場を失うということは生活に連なるのですから、決して失いたくはない。ないが、やむにやまれずやめなければならないということが、しかもまた、先ほど言うように、時期的にまた量としても、集団的に大量に離職しなければならぬという現実ですから、それに対するもう少しあたたかい親心というものは、私は調達庁の長官としてなければならぬ。そこで、私は今すぐにその五万円の金額を、全額出すとか出さないとかということを、困難であれば、言ってもらわなくてもこれはやむを得ぬと思う。少くともこの組合員の要求に対して交渉されるあなたの心がまえをここでは私は伺っておる。もう少し私は納得がいかんので御説明を願いたい。

上村健太郎調達庁長官

○説明員(上村健太郎君) 先ほども申し上げましたように、組合側の意見はよく聞きまして、そうして私といたしましては私だけでできることならいたしまするけれども、私の方の役所だけではできないことが多いのでございます。できるだけすみやかに具体的な結論を出したいと思っております。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 私の言っているのは、あなたは努力するつもりなんですか。あるいは事務的に一応相談をいたしました、できませんでしたという程度で断わるつもりなんですか。その腹がまえを伺っておる。

上村健太郎調達庁長官

○説明員(上村健太郎君) できるだけ努力をするつもりでおります。もちろんするつもりでおります。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 つまり五万円の要求について、この要求は五万円と一口に言えば高額のように見えますけれども、これは離職する者にとってはささいな、しかも私は謙虚な要求だと思う。働く者の立場に立って言えば言えると思うのです。その要求に対して、交渉の相手をするあなたは、責任を持って善処をするとか何とかという、そこで言いようがありそうなものだと私は思う。こちらから知恵をつけて、それに乗って答えるというようなことは、私はどうも責任のある長官の立場ではないと思う。それでいやしくも委員会ですから、ここでお話しいただいたことは、少くとも今後話し合いの筋を軌道に乗せていくためにも重要なことであろうと思う。その点はどうなんですか。

上村健太郎調達庁長官

○説明員(上村健太郎君) 五万円の問題につきましては、やはり先ほど申し上げました通りに、私だけで申し上げるわけにいきませんので、関係各省と相談しまして申し上げたいと思います。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 それはいつごろになりますか。

上村健太郎調達庁長官

○説明員(上村健太郎君) 大体予算編成の時期ごろだろうと思います。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 予算編成の時期というのは十一月ころですか。

上村健太郎調達庁長官

○説明員(上村健太郎君) なるべくすみやかに考慮いたしたいと思います。予算編成の時期は九月ころじゃないかと思っております。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 そうすると、こういうふうに受け取ってよろしいですか。調達庁長官は、要求が無理なものだとは思わんから努力はする。しかしながら、これは予算を伴うので、閣議で関係閣僚間と話し合わなければならない。そこでその時期として予算の編成時期、すなわち九月ころ、こういうふうに一応受け取ってよろしいですか。

上村健太郎調達庁長官

○説明員(上村健太郎君) 五万円の問題につきましては私どもまだたとえば調達庁で予算を組みますか、あるいは労働省の方で立ち上り資金で組んでもらいますか、そこのところ、私としてはちょっと今のところわからないのです。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 そういうような状況では、実は長官、全くこれは困りますわ、なるほど六万六千人は何月何日に全員一ぺんに離職するという意味ではないでしょう。しかしながら、逐次やはり縮小していくのだろうと思います。来年の六月ごろまでだと大体言われておりますが、それまでに逐次離職をしていくものだと私は判断する、そうしますと、すぐに起るのは生活問題です。それで少くとも雇用主という立場にある、雇用主ですよ、日米行政協定に基く労務提供の規定に基いて国が雇用している。関係閣僚間で話し合われるということは当然だと思う。あるいは大蔵省とも相談して予算措置を講じなければならぬでしょう。しかしながら、その努力をすることは一応わかるが、しかもそれが五万円の、ときどきうしろの方から入れ知恵されては予算措置については何とも言えぬというようなことで、あいまい模糊とした話をなさっては困る、委員会ですからね、ここは。ですから、私は先ほどの努力をするというお言葉、これは非常に期待を持つわけです。非常に事情がおわかりでないために、あるいは調達庁が今日までいろいろとこの委員会で意見を述べ、報告をなされあるいは省議をなさってきた実情を私はよく存じておる。ですから、その状況から言いますと、国が雇うたものであって公務員に準じて取り扱うものという考え方さえ一時持っておったが、最近そのことはどうやら雲隠れしたようだ、消えたようだ。しかも基本的には先ほど労働大臣から言われたように、十分責任ある重大問題である。しかも一般失業問題とは別個に考えるという考えを持っておる。そうするならば、労働大臣なり、関係閣僚間で話し合われて、すみやかな、具体的なこの要求に対する答を出してもらわなければならぬ。そこで私はついでに申し上げておきますが、すでにこれも要求が出ている、調達庁長官の方に要求が出ていると思いますが、関係都道府県に離職対策本部というものが、その機構が設けられておるけれども、金がないためにさっぱり動きがとれぬということを聞くのですよ。あるいは離職者がみずから職を求めて企業組合等を作って、自分の生活を守ろうという悲壮な努力をしておる。そのために国有財産を利用させてくれという要求が出ている。ここではっきりしておるのは横須賀の協和ブロックという建築材料の製造をしている工場なんですが、これが国有地の二千坪の払い下げを要求しておるが、三カ月、四カ月たったが、いまだに認可が下りぬ。あるいは赤羽の王子に紙の器を作る紙器工業というのが、これらも離職者が作っておる。この工場を拡張し、そしてそこに多数の失業者を 離職者を収容するために五千坪の国有地の払い下げを要請している、これがいわゆる聴問会というようないろいろな形で意見を聞いているがさっぱりきまらない、こういうことを聞いておる。こういうことを聞いてみると、当局側はさっぱり、サボって努力をしておらぬとしか受け取れぬ。先ほどの五万円の問題と同様にあいまい模糊としておる。こういうことでは私はいかぬと思うが、離職する者の立場に立って長官何かお考えにならないのか。そういう意味で一つこれらの取扱い、あるいは現に要求されておる諸問題、離職前の職業補導の問題についても同様だと思う。そういう点を一つ総括的に長官の方から御説明いただいておきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 国有地の問題は、前にも実は呉なんかの場合にも起り、いろいろ法規上むずかしい問題がありましたが、内閣にこしらえてあります特需等対策協議会に、これは各省関係官が集まって作っております。そこで調査をいたしまして解決をした例もございますので、政府といたしましては、もうすでにこの特需等対策協議会は二回ばかり開きました。従ってここにおいてそういう関係各省間の事務の渋滞による不便はなくするようにやりますとともに、総合的な、具体的な施策を早く立てさせていきたいと思っております。ただし、国有地の払い下げの問題は、単に離職者の企業組合だから、それだからそのまま国有地が無条件で貸せるとか、払い下げられるとかということではないのでありまして、やはりその企業をやろうとする人たちの実態、あるいはその能力というようなものから判断していかなければならぬ点が多かろうと存じますが、しかし、事務の渋滞によって御不便をかけるようなことはなくさなければならないと、こう思っている次第であります。  それから、先ほどから御発言のありました五万円の問題等につきましても、これは法規上は果して公務員として取り扱えるものであるかどうか、あるいはまた、それに準じてそういう措置を取り得られるものかどうか、あるいは次に財源上どういう措置を取り得るものふということを検討いたします場合には、やはりその生じまする失業状態の発生の速度というようなものも承知をいたしておかなければなりませんので、これは調達庁と連絡を取りまして、その速度をつかみつつ処置をしなければならぬと思っておりまするが、先ほどから繰り返して申し上げます通り、非常に特別の場合であり、それから事柄の発生の事情が事情でございまするから、政府といたしましては、誠意をもって、特に労働大臣といたしましては、この急に離職された人たちの生活が立ちゆきますように努力をしたいと存じております。ただ、具体的なお返事をここで申し上げますることは、今、まだ関係各省間の協議も進まず、特設いたしておりまする機関において研究中でございまするので、本日申し上げることは差し控えさしていただきたい、こう思うのでございます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 大体今の労働大臣のお話でわかるのですが、わからぬのは、調達庁の長官のお話ですが、問題は直接関係があるからと、単にきめつけるわけじゃない。もしそれならどうしたらいいか、お前たちに意見があるかと言われれば、組合の方も私どもも参画して、協議して何らか解決しなければならぬ。ところが、そこへ戻って行けないのです。長官のお話では……。問題はやはり直接責任あるお立場にあられるのだから、少くとも誠意をもって推進されることは言うまでもないのですが、そういうふうにお話にならない。ここで即座に解決をつけよと言っているのではない。もしできれば、そういうことが望ましいけれども、しかし、そういうことは不可能であるということは私どももよく存じている。  そこで、最後にこれは長官の方にお願いなり、御意見なり、考え方を承わっておきたいのは、たとえばこの離職者に対する取り扱いが、実際は調達庁長官が直接手をかけて指導するわけじゃない。都道府県がやらなければならぬと思うのです。広島県、あるいは呉市の当局は熱心に国会に出てきて、この委員会に出て、失業対策をやられた。あるいは青森においても同様、あるいは新潟においても同様です。そういうふうにしてやられた。ですから、むしろ調達庁が頭の方でどうこう言っても、現場には手が届かない、これはわかっている。ですから、各都道府県に設けられておりまする離職対策本部というものがあるが、これが一つの機構になってしまって居眠りをしておる。働こうにも、動こうにも、活動しようにも資金がない、こういう現実に追いつめられておる。起るのはその地域に起る。たとえば福岡で起る、兵庫で起る、あるいはまた何々で起ると、こういうことですから、その地元の機関が十分に動けるようにしてやらなければならぬ。こういうことは調達庁の責任だと思う。こういう点について、常に切実なる要求が訴えられていると思うのであるが、長官はこれに対してどういう処置をされるつもりであるか、これを私は伺っておきたい。

上村健太郎調達庁長官

○説明員(上村健太郎君) お説のように、離職対策につきましては、各都道府県にお願いいたしてやっております。この予算は、昨年は全然なかったのでありますが、今年約一千六百万円の予算をとりまして配賦をいたしております。なお、先ほど横須賀、赤羽等で非常にうまくゆかないというお話がございましたが、これも今大蔵省と折衝中でございます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 これはもう今の国有財産の利用に関する問題は、申し上げたように、今二件ですか、出ている。それからそのほかにハイヤー業、つまり全駐労関係の労務者は自動車運転手の技能を持った人が多いのです。これはおよそ一万数千人に上ると聞いておりますが、そうした人々は離職した後に自分でささやかな営業を営むことによって生活ができる場合が多いのです。でこれらの人々が営業の認可を、事業主体を作って申請する。ところが、同業者、他の一般の営業者であるトラックあるいはタクシー、ハイヤー等の業者が横やりを入れて聴問会でどうしてもうまくいかない、こういう事態が起っておる。こういうことは私はそう金をかけぬでも行政的に私はできることだと思う。なぜそういう点を具体的に長官は手を打ってくれないのですか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) ちょっと委員長、さっきこの問題については私申し上げたので、あなたから御了解を願っていただきたいと思います。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 あの大臣、これは具体的には聴問会とか何とかやるのですね。そうして同業者を集めてそうしてそれらの意見を聞き、そうして認可をするのは陸運局の手続です。これはやはりこういう場合にもそうですよ。特別な優先的な取扱いができて私は当然だと思うのです。それができぬとなれば、それができぬ理由をまた聞かしてもらわにゃならぬのです。私は陸運局でやっておることは業者とのつながりで、それこそ腐れ縁を作ってやっておる。そうして同業者がふえて競争が激しくなることは不利益にきまっておる、しかし、そういうところへ国が雇うておる駐留軍の労務者が離職したために事業主体を作って営業をやろうとする認可の申請には、特別な取扱いがあってしかるべきだと思う。一々同じ営業、タクシーあるいはトラック等の運送業と同じ取扱いを受けてしかも同業者の横やりによって認可が阻止されるということは私はどうかと思う。それですから、そういうところで調達庁長官なり、あるいは労働大臣は運輸当局の方にしかるべく政府の一環として働きかけていただいて指導なさる、こういうことをなさらぬのでしょうか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) その問題は私は実はよく承知しております。よく承知しておりますが、しかし、ただ建前としてそういう制度になっておるものをこの場合だけ変えるということにはなりませんが、よく承知いたしておりまするし、具体的な問題として処理いたして参りたいと思いまするし、参っているつもりでございますから、一つその程度で御了解をいただきたいと存じます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私も一、二伺っておきたい、労働大臣に。先ほどのお話にありましたよい労使慣行を作って、そうして労働者を守っていきたいというようなお話がありました。ところが、私一例を申し上げて御見解を承わっておきたいと思います。日本バルブという会社が争議をやって、御存じだと思うのですが、これは会社更生法にかかって裁判所が中に入って、そうして中山製鋼というのがその引受手として全員解雇をして、八五%まで直ちに雇う、退職金云々ということで、その保護処置は講じないで、それでそれにいろいろと組合の方から意見が出たら、ロック・アウトしていまだに営業開始していない。もう一つ不思議なことがそこに起きているのは、たとえば健康保険の関係なんかでも、雇用関係があってその給料から六〇%ですから、ロック・アウトの休業補償の問題が、会社の休業補償で賃金の補償があるのだが、そこで健康保険の掛金をとりながら健康保険の適用からはずしておる。これは次官通牒が出ておるのだというようなことを言うのですが、私もよくそこのところがわからぬので、日本バルブのような労使関係に対する御見解と、そこに起きておる現象というような問題について、労働大臣の見解をこり際、承わっておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) はなはだうかつでございますが、その争議を存じませんので、できるだけ早く調べましてお答えを申し上げたいと存じまして、書面か何かですぐにお答えを申し上げます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 非常にこれは残念なことなんですが、一月十五日からロック・アウトを食らって今日までおる。それで非常に多くの人が首切りされて、まだ争議中ですから首のつながっている人でも、掛金は取っているけれども、健康保険の関係を、雇用関係があっても使用関係がないから、健康保険という保険制度がそこに発生しないのだという理屈がついているというのだから、こういうことが実際にあるのかということを私は聞きたかったのだが、残念ですから、これは至急に私はできるだけ当局から具体的に聞きたい。

大矢正日本社会党

○大矢正君 公労法の第十六条の問題について大臣にお伺いいたしたい。衆議院の社会労働委員会で、自民党の中川委員から、大臣に公労法の第十六条の考え方と申しますか、運用と申しますか、そういう点についての質問をされておるわけでありますが、ここで私は念のために、大臣の見解をこの際確認をしておきたいと思うのでありますが、仲裁裁定を完全に実施するという、この考え方というものは、公労法において、スト権を労働組合から奪っておるという限りにおいては当然なことであるという解釈に基いて判断をしていけば、将来においてどういうかりに仲裁裁定が出てくるかは別として、この第十六条があるごとによって、政府みずからがこの仲裁裁定の実施に対して、すべてを国会に、まあ何と申しますか、持ち込むというような格好で、みずからの責任のがれをするというような形は今後生まれてこないのではないかという判断を私はするのでありますが、この点に対する大臣の御答弁を私はお伺いしたいと思う。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 公労法の十六条は、私は例外規定だと思っております。よほどの場合において、特別の場合において適用されるものである。それから国会の持っておりまする予算審議権、それから政府の予算編成権というようなものとのかかり合いにおいて書かれたものだと、こう考えております。原則的にはお説の通り、公共企業体から争議権を取っておるわけであります。その代償として、仲裁裁定は完全実施すべきもの、原則的にはすべきものだと思っております。私の考えを申し上げます。私がこの任務におりまする間は、私は例外規定を適用する意思はございません。

大矢正日本社会党

○大矢正君 それではもう一つ、別な点でお伺いをいたしたいのですが、給与担当の大臣として。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) いや、違うのです。きょうからはずされたのです。

大矢正日本社会党

○大矢正君 それでは実は人事院の勧告その他についてお伺いしたいと思ったのですが、そういうふうになりますと的はずれになりますからこの点はやめにして、それでは仲裁裁定を除く、かりに勧告その他についての尊重の度合と申しますか、そういう勧告が出た場合なんかに対する仲裁裁定以前の勧告の段階、こういうものに対する大臣の現在のお考えを私承わっておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) やはり法に設けられた機関の勧告等のものは尊重していかなければならぬと思っております。しかし、政府は一方におきまして、やはり納税者の立場を考え、あるいは国の財政全体を考えていかなければなりませんから、やはり最終的な段階の場合におきましては、これは法に従ってこれを実施するというつもりでございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 委員長から四時にやめるというきつい指示でございますから、四時にやめたいと思うのでございますが、そこで、これは大臣に直接今直ちに承わりましてもどうかと思いますが、もしそういう点で問題がありましたならば、基準局長の方から一つお述べいただいて、その点の結論を大臣にどうか承わっていただきたいと思うのですが、これは話は全然別になります。と申しますことは、けい肺の問題について一点だけ基本的な考え方を承わっておきたいと思うのです。おそらく大臣はけい肺という言葉も初めてじゃないかと思うのでありますが……。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) いや知っております。(笑声)

大矢正日本社会党

○大矢正君 失礼いたしました。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 私は病院を建設する委員長をやったことがあります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 実は先日の新聞で、鬼怒川のけい肺病院の療養者が自殺をしたということが出ております。私どもはこの法律ができました当時から、実はこういう事態がなけりゃいいがなということを考えておったのであります。なぜそういう考えが生まれてくるかといいますれば、あの法律、けい肺法という法律の中には、まだまだ罹病者を救わなければならない、あるいはそういう不幸な人々に救いの手を伸べなければならない問題点があるという実は考え方をしております。このたび私は一人の自殺者を出すことによって、ほんとうにその意味の深さを実は痛感をしたのでありますが、友情と誠意をもって今後労働行政をやっていかれると思う大臣に、私はこの際特にお願いをしたいと思うのでありますが、あのような自殺者がなぜできたかといえば、それは言うなれば法律にまだ不備があるからである。完全に罹病者を救えないという点が法律の中に多々あるからであると私は思うのであります。一つはあの病気にかかったらなおらないという前提があるということと、それからいま一つは、これはかりに五年間たって打ち切り補償をもらった場合に、自分が生きているということになりますると、当然家族に迷惑をかける。せっかくもらった打ち切り補償も、これを家族に与えて家族の将来を救うのじゃなくて、自分だけのために使わなきゃならぬという、こういう悲惨な状況から、経済的な問題として自殺をするということが考えられるのであります。これはたまたま自殺した人は気が小さいから自殺したという問題じゃなくて、かりに打ち切り補償をもらってみても、結果として自分が生き長らえておった場合には、その打ち切り補償が家族に対しては何ら影響しない。それからまた、自分はもうかりに生きていても、生きていてもといっては語弊がありますが、必ずこれはなおらない病気で、いつかは死ぬのだという、こういう二つの問題が、罹病した多くの人々をそのような心境に追い込んでおります。おそらく私はこういうような心境はこの人だけでなくて、まだまだ多くのなおる見込みのない人々、そしてまた今月かもしくは来月あたりに切られるであろうと目される四十数名の、打ち切り補償を支給されるであろう四十数名の人々の心境も、多かれ少かれこういう心境にあるのじゃないかと思います。私はこういう面から考えて、この際労働省としては、こういう不備な内容の法律をいま一度検討し直して、自殺者が出ないような法律に作り上げてもらえるような努力をこれからできないだろうかどうかということに対する大臣の御見解を実は私はこの際、承わっておきたいと思うのであります。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) さっき不規則な発言をいたして申しわけありませんが、けい肺は実はどういう病気であるか、私は実はよく承知いたしております。それから非常に気の毒な状態であり、しかも今日では発生する場所は方々にありながら、病院が遠くに離れて数が少いために、しかも長期の療養を要するというような状態で、家族の面会も思うにまかせない。従って、けい肺については特別の措置を講じなければならないと思っておるわけでありますが、御指摘の事件は、私も非常に気の毒な事件と思っておるわけであります。法律の改正ということも、これはもとより検討をいたきなければならない一つでありますが、法律の改正を待たずとも、そういうことにならないような方法を実態的にやりたい、こういうふうに考えて、基準局長の方には、さっそくそういう方法の研究をお願いしておるようなわけであります。詳しくは基準局長からお答えをさせます。

堀秀夫労働省労働基準局長

○説明員(堀秀夫君) 今回、鬼怒川けい肺病院におきまして、お尋ねのような事件が起きましたことは、まことに遺憾に存じ、お気の毒に存じておる次第でございます。法律の問題については、今後けい肺審議会、その他関係の方々の御意見もまたよく承わりまして、将来の問題としてさらに研究したいと思うのでございます。さしあたり、けい肺等特別保護期間の満了に伴うこの種の方々の措置につきましては、これはさしあたりの措置が必要なのでございます。当面、社会保険、これは健康保険あるいは国民健康保険というようなものでございます。あるいは生活保護による医療扶助、こういうような現行の社会保障制度の対象になり得る方に対しましては、それに移り変ることが円滑に行われまするように、関係者の事前連絡をよくいたしまして、その遺憾なきを期すると同時に、また、これらの対象にならないような方につきましては、ほんとうに事情がお気の毒な方につきましては、これは労災病院等におきまして、さしあたり事実問題として療養継続ができますように善処する考えでございます。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 本問題に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。   —————————————

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) この際、お諮りいたします。参考人の意見聴取について先ほど御決定願って、明日午後一時出席方を連絡いたしましたところ、予定いたしました参考人の大部分が、都合つかないとのことでございますので、期日をあらためてこれを行うことといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします    午後三時五十八分散会

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