決算委員会 第22号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1957/04/05
会議録
○委員長(三浦義男君) ただいまから第二十二回決算委員会を開会いたします。 まず、委員の変更を御報告いたします。三月二十七日、近藤鶴代君、久保等君の辞任に伴いまして、谷口弥三郎君、松浦清一君が補欠として選任せられました。三月二十八日、松浦清一君、中野文門君の辞任に伴いまして、久保等君、野本品吉君が補欠として選任せられました。三月二十九日、野本品吉君の辞任に伴いまして、中野文門君が補欠として選任せられました。 —————————————
○委員長(三浦義男君) ただいま御報告申し上げましたように、理事でありました久保君及び中野君が一時決算委員を辞任せられましたが、再び決算委員となられましたので、再び久保君及び中野君を理事に互選することにいたしたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三浦義男君) 御異議ないと認めまして、久保君及び中野君を理事に互選いたしました。 —————————————
○委員長(三浦義男君) 昭和三十年度一般会計歳入歳出決算 昭和三十年度特別会計歳入歳出決算 昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書 昭和三十年度政府関係機関決算書 昭和三十年度国有財産増減及び現在額総計算書 昭和三十年度国有財産無償貸付状況総計算書 を議題といたします。 本日は総括質疑を行います。ただいま御出席の方は、岸内閣総理大臣、宮澤運輸大臣、運輸省細田鉄道監督局鉄道部長、運輸省山内自動車局長、人事院職員局長、東谷会計検査院長の御出席がございます。 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(三浦義男君) 速記入れて。 御質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
○片岡文重君 せっかく出席されました総理がわずか三十分そこそこで御退席になるのだそうですから、私は簡単に一つ二つお尋ねしたいと思うのですが、政府が国民に対する最も重要な責任は、申し上げるまでもなく、税金をいかにして出してもらうかということにあると思うのです。で、この国民から納められた税金をいかに良心的に、国民の納得するように使うかというところに政府の責任があると思うのですが、予算の編成に当っての政府の態度というものはきわめて真剣であり、慎重であります。しかし決算ということになると、その予算をいかに使ったか、この使われた税金が、果して国民の納得するところであるかどうかというこの決算という問題になると、はなはだ熱意の足らないものがあると私は思います。二十九年度の決算議決に当って出席された大臣は一体あったのだろうか。たまたまようやくにして議決の終了まぎわに宮澤運輸大臣がかけつけられた程度です。こういうことでは、いかに政府が決算に力を入れておる、税金の使い方に関心を持っておると言われても、そのままには私どもとしては受け取れない。でき得るならば、今後決算の少くとも審議に入るとき、またそれを承認するかいなかの議決が行われる際には、全大臣が、予算委員会と同様に出席をして、その責任を負う態度を明らかにすべきではないかと私思うのですが、こういう点について総理はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(岸信介君) 御指摘のように決算の重要性については、もちろん非常に重大な意義を持っております。従って会計検査院というような特別の制度も作られて、政府の予算の実施についての何は検討することになっております。また、政府としても、それは当然重要視して考えなければならないと思うのであります。従って両院における決算委員会におきましても、関係各大臣、まあ総理大臣自身も時間の許す限りできるだけ出席して、御意見を聞き、御審議を進行さすために協力すべきことは言うを待ちません。特に今お話がありましたように、決算のこの最後の承認されるか否かというようなことが決定されるような場合におきましては、政府はできるだけ出席するということは、今後特に私も閣僚の注意を喚起して、そういうふうにいたしていくのが適当であると、かように考えております。
○片岡文重君 極力一つ今の御答弁が空文にならないように、誠意ある御努力を特にお願いをいたしたいのでありますが、たまたま、今御答弁の中に、会計検査院等の制度があってというお話でありました。で、昭和二十九年度の会計検査院指摘による不当件数、これは御案内でしょうが、二千二百四十六件に及んでおります。費消された金額が七十三億、で、国会の調査局から出されている調書によって見ますと、二十九年度の国民一人当りの国税負担額は一万六百十円だそうです。そうすると七十三億という金は、実に六十八万八千三十人分の税金が不正不当に費消されたことになるのです。これは泣く泣く税金を納めている国民大衆にとっては泣き切れないような私は残念な事柄だろうと思うのですが、こういう不当な事項が起っておって、しかもこれが氷山の一角だといわれております。この莫大な不正不当金額を指摘しておるところの会計検査院が、一体どの程度の処遇を受けておるであろうかということを見ますると、三十二年度に計上された会計検査院の予算というものは、実質的には前年度、三十一年度とほとんど変っておりません。こういうことでは、これは相次いで起っておるところの不正不当事件、これを一そう厳格に検査をし、匡正していく、批難していくということは、おそらくでき得ないと思うのですが、一体、会計検査院ですら前年度とほとんど変っておらないような処遇をしておいて、そのほかにこの不正不当事件を根絶せしめるような具体的な努力というものは、一体どういうところに払われておるのか、内閣としての努力を具体的にどういうところにされたのか、三十二年度の予算を通して見ても、私どもにはさっぱりわかりませんけれども、これを具体的に一つお示しをいただきたいと思うのです。
○国務大臣(岸信介君) 会計検査院の制度の整備充実については、政府としても、もちろんこの仕事は大事な仕事でありますから、必要な整備充実については考えて参ることは当然であると思います。なお、会計検査院から批難されました事項につきましては、それぞれそれに対する処置を講ずるとともに、翌年度、この予算の編成に当りましては、会計検査院の検査の結果を十分頭に置いて、予算の編成というものを考えていくべきじゃないか。あるいは、たとえば補助金等が、いろいろと法規上から考えてみて適正な支出がされておらないという批難をされる非常に多いものの一つは、補助金の制度があると思います。で、これらにつきましては、やはり三十二年度の予算を編成する場合におきましても、従来の補助金というものに対して相当な検討をして、そうしてこれが整理をするとか、あるいはこれの効率化を考えるというふうな点で、予算の編成をも考えております。あるいは繰越金が非常に多くあって不使用のものがある、特に防衛庁の費用についてそういうことが従来も批難されており、また国会におきましても論議があった問題でありますが、三十二年度の予算編成に当りましては、防衛庁の実際消化し得る—日本経済や各般の事情も考慮して、繰越金を生じないような措置をとるというふうに、われわれとしては十分、検査院の機能の充実についても、必要に応じて考えて参ると同時に、その結果に対しましては十分に反省し、将来を戒めて、事態を繰り返さないように努力をいたしておるのであります。しかし結果から見まして、年々歳々検査院の批難事項というものが決して減ぜないというような事態を見まするというと、なお一そう政府機関としましては反省をし、十分将来に対して考えて参らなければならぬ、かように考えております。
○片岡文重君 私のお尋ねしておるのは、年々多額に不正不当に費消されておる国税—国民の税金、これをもっと納める者の身になって、正当に良心的な使い方をしてほしい、いわんや不正不当に使うというがごときはもってのほかである、そういうもってのほかに使われるような事態が少しも減っていかない、これを消極的ではあるけれども、防止する一つの方策としては、会計検査院等の制度をさらに強化して、常に監視し、匡正し得る事態に置かなければならぬであろう。たまたま内部監査等の制度もあるにはありますけれども、たとえば、同じ監査が行われても、検査が行われても、内部検査—今はどういつでいるか知りませんけれども、以前の委託検査です、これはまあまあ委託検査だからというので、受ける方の気の持ちようは違うわけです。会計検査院から四年に一ぺん検査が来るということになれば、これは本検査だからというので、検査を受ける方の態度は違うわけです。こういう点から見ても、会計検査院等の制度というもの、機構の内容というものは、もっと充実しなければならないと思うのですが、三十二年度の会計検査院の予算を見ると、前年度が四億五千万円で、三十二年度は五億六百万円です。一割程度の増額になっておりますが、これは国鉄の運賃の値上り、物価の値上り等を考えていけば、全然実質的には増加しておらない、職員も一人としてふえておりません。こういうところを見れば、政府が真剣にこの不正不当事項の根絶を期して努力をしておるということは、義理にも私はいえないと思うのです。これでもなおかつ、しからば会計検査院はそのままにしておいたけれども、それ以外にこういうことをやりました、こういう制度を作りましたという具体的な努力の現われがあるとするならば、その具体的な点をお示しいただきたい、こういうことをお尋ねしているわけなんです。
○国務大臣(岸信介君) こういうことを、決算上不当な支出等が、あるいはさらに極端に言えば、不正な支出が行われるということは、これは防止しなければならぬ、問題はこれをなくするということを努力することが、政府として努めなければならぬ何だと思います。それがために制度を拡充する必要があれば、これは制度を拡充することも必要でありますが、何といっても必要なことは、そういう事態を繰り返さないようにする、またその現実に生じたところのものに対して、適正な、国に損をかけるようなものについては、かけないような方法でこれを賠償せしむるとかというような方法によって、その現実に与えた損失なり個々の事件に対する処置と、将来そういうことを繰り返さないようにするということが、私は眼目であろうと思うのです。従いまして、制度の点につきましては、今いろいろ御指摘でありますが、あるいは会計検査院の院長も来ておられますから、その方の御意見も、意見を述べたらいいかと思いますが、十分であるとは私は申しませんけれども、必要なものは拡充していく、要はそれを繰り返さないようにする、それには今申したように補助金の点であるとか、あるいは繰り越し使用の点であるとか、大きく批難され、妥当ならざるところのものを取り上げて、予算編成に当ってもわれわれは意を用いていく、こういう措置を講じておるということをお答え申し上げたわけであります。
○片岡文重君 抽象的な御説明は、これは今までもしばしば私は伺っております。この委員会でも、また予算委員会等においても伺っておりまするし、しかも石橋内閣成立に当っての施政方針演説の中にも綱紀の粛正ということが一項目大きく取り上げられておったはずですから、抽象的なお題目については、私ども今さらここでわずかな時間を割いてまでお尋ねしようとは思っておりません。ただしかし、くどいようですが、こういうこの不正不当事項を根絶するためには、内部における、公団その他、総理が指摘せられるような新しくどんどん今公団も作られつつある、こういう公団におられる者も、あるいはまた一般公社におられる人々も理解して、こういう批難を受け、指摘されるようなことのないように努力をしていくべきであることは当然でありますけれども、これは年々の指摘事項が物語っておるように、なかなか根絶することはできません。まさに浜の真砂と同じことでありましょう。従って自粛自戒だけでは根絶することはできない。少くとも激減せしめることができないとすれば、外からの手段によってこれを抑制し、減少せしめていくことより仕方がないと思う。そういう場合に最も中心となるべき会計検査院が少しも進歩のあとがない。現職員千百七十四名、これは三十一年度から少しもふえておらぬはずです。予算の額も今申し上げた通り四億五千万円が五億六百万円になっているだけである。この内容をしさいに検討してみれば、ほとんどこの検査を厳格にする、あるいは積極的に一そう乗り出していくというようなところに計上されているとは思えない。会計検査院についてなお前年度と変りないということであるならば、ほかにも何かなければ、今まで総理が言われておるような抽象的な御答弁では、中身というものはまるっきりないじゃないですか。そこで私のお尋ねしているのは、そういう不正不当の防止のためにどういう具体的なことをされたのかということなんです。すでに、つい先だってですか、この福島県に、昨年の十一月に完成したダムがもうことしの三月の初めには決壊をして、流失家屋二戸、その他数十町歩に及ぶ被害を受けておる。堺では先だって新聞にも載っておりましたが、住宅公団の建てた建物がもう雨漏りがして入っておられない、こういう事態が続々発生しておるのです。こういうことが将来発生しないように、少くとも根絶することができないならば、激減しなければならぬという覚悟が真におありになるならば、少くとも会計検査院等についてはもっと思い切った予算措置を私は講ぜらるべきであったと思う。会計検査院等についてそれができないというのならば、さらにそのほかに、行政管理庁等における監察部の予算をさらに増額をして、制度等を充実せしめにていくとか、あるいはこれに携わるところの職員をさらに特別な教育を施していくとか、あるいは会計経理に携わる一般の職員、あるいはこの公団関係の職員等についてそういう不正不当な事態に陥らないように具体的な措置を講ぜられるとか、何かありそうだと私は思うのです。しかし、今までの御答弁のような、全然これを具体的な問題に触れないで、ただ努力をいたします、不正不当事項のなくなるように努力しますということだけでは、これは大きく綱紀粛正を掲げられた石橋内閣並びにその延長である岸内閣は、今までの内閣と何ら変らないじゃないか、看板だけではないかということを私はお尋ねしているわけです。従って具体的なものがもしおありとするならばぜひ一つあげてほしい。ないというのなら、将来においてどういう構想をお持ちになっておられるか、この点を一つお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 先ほど来申し上げている通り、私は不十分ではあるけれども—十分とは申し上げませんけれども、会計検査院の制度については、その必要に応じてその整備充実をはかっている。それを具体的に言えとおっしゃれば、三十年度にはこの会計検査院の一局をふやしている。あるいは三十一年度には調査官制度を新設して、そうして調査するところの、こういう検査、調査をする人々の内容を充実している。また実際検査院において検査されるところの方法として、今のお取り上げになりましたような土木やあるいは建築等のものはでき上ってから検査するという、あるいは雨漏りや水漏りがする、こわれるということでなしに、工事施行の、ある意味からいったら事前検査といわれているような、すなわち、ある程度の、施行の前に計画が立てられ、実施に当る際に一つの検査が行われるとかいうふうな方法において、具体的にそういう事実をなくするように努力いたしておりますし、また予算の編成に当っても、今申すように会計検査院の検査の結果、監査の結果、この不正な不当な支出の多いと思われるような補助金制度については、これを整理していくところの法律を出して、そうして現実に予算編成の際において整理もしているし、また、さらに批難されている翌年度の繰り越しというようなものについては、それをなくするように予算を編成していって、そういう不当な支出が行われないような、行われるところの原因をなくするということに政府としては努めていっているわけであります。もちろん制度の充実につきましては、現在の状況は、これで十分とは申せませんけれどもそういう方向で具体的なものを考えているわけです。
○片岡文重君 少い時間で私一人の質問では恐縮ですから、早々に打ち切りたいと思いますが、最後に二つほどお伺いしておきます。一つは、三十年度の決算を見ますと、不用額として、予算不用額が二百二十七億をこえております。この中にはもちろん平和回復善後処理費、その他のやむを得なかったものもありましょうし、インドネシア賠償等を考慮されて計上されたものもありましょうから、二百二十七億全額とは申しませんけれども、少くともこういう大きな金額が不用額として年度を越えるに当って計上されるということは、これは予算の編成に当って非常に当を得なかった部分が相当あるということが私は指摘されてもやむを得ないと思う。これは三十年度の予算編成ですから、岸総理として責任がないとおっしゃられればそれまでですけれども、この不用額二百二十七億に対してどういうふうに一体お考えになっておられるか。 それからいま一つは、今、運輸大臣もここにおられますから、あわせてお尋ねしておきますけれども、例の造船疑獄に関係された人々の中で、この被告となった者が、刑の判決を待たずして、判決前に依願免の形で退職をして、しかも相当な縁故のあると思われるような、少くとも関連の深い会社に幹部として行っております。こういうことは高級官僚としてあるまじき姿ではないかと私どもは考えますが、一体総理はこの点をどうお考えになっておられるか、以上の二点についてお尋ねいたします。
○国務大臣(岸信介君) 不用額の二百二十七億の内容は、御承知のように、防衛庁関係の費用と、それから賠償関係の費用、平和回復善後処理の費用等が大部分でございまして、これは今後、この防衛庁の費用につきましては、そういうことのないように予算編成でも考えております。ただ平和回復善後処理費及び賠償費用につきましては、外交の進展とともにある種の余裕は取っておかないというとならぬという関係がありまして、こういうものが生じておると思います。しかし、不用額が非常にたくさん出るということは、これは予算の編成に当りましても、今御指摘になったような批評が出ると思いますから、私どもは、その大きな額であるところの防衛庁の費用については、特に今年の予算編成については意を用いたわけであります。 それから第二の点につきましては、ここでしばしば御質問もありましたことでありますが、従来起訴されて、その判決があるまでの間は有罪か無罪かわかりませんので、休職にして、そうして判決を待ってこれに対する処置を講ずるということが、原則としては私は望ましい方法であると思います。ただ実際の扱いで、あるいは非常に長くかかるというふうな点から措置される場合もあるかと思いますが、これは公務員の処分の意味から申しましても、将来については十分一つ考慮していかなければならぬ問題であろうと、かように考えております。なお、具体的の事例につきましては、あるいは所管大臣からお答えした方が適当かと思います。
○大倉精一君 関連してお伺いしたいのですが、ただいまの質問は、私は非常に重要だと思うのですが、国家公務員法第七十九条という法律は、どうも私は底抜け規定のような気がするのです。それで、休職になるということは、刑事事件に関連をして起訴された場合という、その起訴ということが前提になっておるわけでありますが、それ以外においては、辞表が提出されれば、それは依願免官ということになるわけです。壷井さんの場合もあるのですが、依願免官にして退職金を払う、それから有罪が決定して、いよいよ賠償せいとか何とかいうことになる。あるいは退職金返せ、こういうときにはびた一文もない。こういうような結果に私はなるのではないかと思う。そこで、時間がありませんから、端的にお伺いするのですが、会計経理に関連する不正不当の跡を断たない現状を改善するには、ただ抽象的なことでは私は解決はできないと思うのです。従って、これをやる一つのポイントというものは、やはりそういうものに関連する公務員に対しましては、一罰百戒の実をあげるような、そういう措置をみずからしなければならぬということが私は大事じゃないかと思う。そこで、こういうような場合におきましては、刑事上の犯罪の成立等とは別個に、何らかの行政官としての責任追及のための行政処分手続法というようなものを作るとか、あるいはまたそれと同時に、刑事事件にさえかからなければよいということをやめて、いわゆる不正はなくとも不当な事件、特に不当なる役得というものもあります。そういうものに対しては、懲戒委員会なり何なりの手続を経て、行政処分をみずからやる、こういうような手続上の系列というものをこの際作る必要があるのではないか。私が一番心配しているのは、刑事事件にはかからないが、いわゆる公務員としての地位を利用して役得を平気でやる、この役得に関して不感症になっておる。ここに私は、不正不当あるいは綱紀紊乱の根源があると思います。そういうような不当役得、こういうものに対しては、みずから懲戒委員会等を設けて、その議を経て懲戒の手続をとる。あるいはまた、刑事事件に関連するというような者に対しましては、刑事上の犯罪成立とは別個の立場から、行政官としての責任追及のための行政処分手続の何らかの法令をきめる。こういう工合にして、懲戒系列というものをこの際再検討する必要があるのではないか。これを断行しない限りにおいては、法律は全部抜け穴である。どうとも情状酌量の余地があって、何とでも裁判できる、こういうことでは官紀の粛正はできないと思うのでありますが、この点に対して総理大臣の御所見を承わりたい。
○国務大臣(岸信介君) 戦後の公務員制度、公務員全体に関する何は、私が古く役人をした経験の、当時の官吏に関する規定とだいぶ違っておりますが、一面において、これは言うまでもなく、民主主義の制度として非常なよさを持っておるわけであります。と同時に、いろいろな面において、これは一般の行政機構にも関係があると思いますが、責任の所在が明確でないとか、あるいは責任に対して信賞必罰の何がはっきりしていないというような点も確かにあると思うのです。今の制度におきましても、懲戒ということはもちろんできることになっておりまして、任命した直属の長官がやるということになっておりますが、昔のような懲戒委員会というような特別の制度にかけてやるというのではなしに、今の制度はそうなっておりません。従って懲戒制度というものはできており、やり得ることになっておりますけれども、実際はもとのように明確にいかない点が私はあるように思います。従いまして、一般公務員制度の全体の検討とあわせて、今お話のような点も当然検討していかなければならぬと思います。なお、今の制度でも、人事院は各任命権者とは別に調査を進めて、懲戒の手続に付することができるようになっておるそうでありますが、いずれにしても、全体として一つ十分検討して、責任の所在を明らかにし、そうしてこういうことが跡を断つように考えていくというのには、公務員の今の紀律といいますか、公務員の職務執行に関しての責任感を明確ならしめるような措置を講じていく必要があると思います。
○大倉精一君 私の言っているのは、かつて造船疑獄等の場合においても、政府の答弁というのは、これは裁判所の決定を待って、白い黒いが明らかになってから、裁判所が今やっているのだから、裁判所がそれをきめるべきことであるからという、そういう答弁をしばしば聞いたのであります。そういうことによって事態があやふやに流されてきておるのでありますから、今、私の申し上げておることは、そういう刑事事件に関連した部分につきましては、刑法上の決定とは別個に、行政官庁みずからが責任を追及する、懲戒をするという手続規定というものをみずから考えていく必要があるのではないか。いわゆる公務員の責任追及をみずからやっていく、こういうような手続法というものをこの際検討をする必要があるのではないか。と同時に、今度役得というものについてはまことにルーズである。いわゆる懲戒委員会というものはあるそうでありますけれども、しかしながら役得……そういうものの上に立つ人がこれまた大きな役得をやっておる。この役得というのは当りまえに考えておる。たとえば、この前の住宅問題にいたしましても、確かにあれは不正ではないでしょう。不正ではないが、不当なる役得である。刑事事件にはもちろんかからない、これは普通の手続でもって普通にやっているのだからということでありまするが、これは明らかに常識からいきまして不当な役得である。そういうものに対しましても、やはり何らかの行政措置を講ずるというような、そういう方法を考えないというと、こういう問題が解決つかないのじゃないか、こういうことを私はお尋ね申し上げておるのであります。こういう点につきまして、さらにもう一回所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 御指摘のように、不正として刑事事件を生じない問題であっても、不当なものに対し、また官吏としてふさわしくない、公務員としてふさわしくない、公務員の公僕としての義務を遂行する上において遺憾とするような行為なり処置が行われておるという場合におきましては、やはり公務員のこの責任と規律を明確ならしめる意味におきまして、私は懲戒等の行政処分によってそれの反省を求めるという考え方は正しいと思います。それもまた考えなければならぬと思います。今でもできることになっておるのでありますけれども、それが非常に制度として十分に活用されるのには、もう少し明確にする必要があると私も考えております。刑事事件と、それからこういう行政処分の懲戒の問題は、これは別の問題でありますから、並行してやってちっとも差しつかえない問題でありますが、ただ実際問題として、刑事事件にかかっておるところの者は、やはり有罪、無罪の判決があるまで行政処分を一応延ばしておくということの方が、実際問題としては、刑事問題についてはやはり有罪、無罪の判決がいずれあるのでありますから、それまで待つということに実際はなるのじゃないかと思います。しかしこれは性質上は別個ですから、公務員の懲戒処分として別個にやるということは、もちろん今でもこれはやろうとすればできないわけではない、できるようになっておりますけれども、実際問題としては、今のような刑事事件については、有罪、無罪がきまるのを待ってやるということになるのじゃないかと思います。
○岩間正男君 先ほどから綱紀粛正の問題が出されているのですが、私はこの問題を特に総理にお伺いしておきたいと思いますのは、会計検査院の指摘がなされ、この当委員会でいろいろな警告の決議を出され、そしてこの問題は政府でもこれに対しては善処するということを言われながら、しかも依然として事件は少しも解決しない。件数からいいましても、金額からいいましても、ほとんどこれはやはり同じようなことを繰り返しておる。それどころじゃない。むしろ拡大されておるといっていいと思うのであります。従って、私はここでお伺いしたいのですが、このような不正腐敗の問題が起るところの根源というものは、一体どこにあるか、この根源をはっきりやはりえぐり出して明確にすることなしには、この問題を根本的に私は解決することができないと思う。従いまして総理としては、このような不正腐敗の現在起っております、目に余るたくさんの事実の根源を、どのようにお考えになっておりますか、この点をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) これはなかなか原因は一にして足りないのでありまして、いろいろな点に私はその原因はあると思います。特に施政方針においても明らかにしておるように、これはわれわれとして非常に考えなければならない、まず改めるべきことは政治であり政府であるということを申しておりますが、政治の中枢に当る者が、この綱紀について国民から疑いを持たれるような行動があるということは一番いかぬことでありまして、その点において政府としては特に意を用いなければならぬと思います。さらに進んで、今申しましたように、公務員制度そのものにつきましても、私は公務員全体の人々が、民主主義の、国民の公僕としてその職務に当っておるのだ、自分たちの扱っておる金は、国民の出しておる税金であって、これをむだづかいしたり、不正不当に使用してはならぬという一つの道義が確立されることも、これも最も必要なことであると思います。そういう意味におきまして、この各種の制度なり、あるいは政府の政治のやり方なりというものを考えていくことが、何というても根本であろうと、こう考えております。
○岩間正男君 今のお話の中に、やはり政治であり政府である……私もやはり根本をたださなければ、これは問題にならない。従って、日本の今の政治のあり方というものが、このような現象を生んでおるところの一番大きな原因じゃないか。そういう点から考えまして、私たちが今この行政協定、安保条約、こういうものに縛られて、不平等条約に縛られて、そうしてアメリカの軍事基地が、日本に御承知のように七百有余の軍事基地が日本に置かれておる。そうしてまた日本の経済面、政治の面も外交の面も非常に大きくやはりアメリカの拘束下にあるということは、くどくど申し上げる必要はないと思うのでありますが、そういういわば占領政策時代の継続のようなこの形で、日本の真の独立というものは確保されていない。一方におきましては、従ってこういう点から、経済関係におきましてもいろいろ市場が混乱させられるような問題が出ておるのです。あるいはまた自衛隊に対しましてアメリカの中古エンジンを押しつけられる。あるいはまたC46のような古い飛行機を押しつけられる。また占領時代から起っておりますところのコンミッションというようなかようなやり方が、日本に戦後とうとうとして入ってきた。こういういわばアメリカの占領時代のこの政治のあり方の残根がいまだ日本から抜け切っていない。そうしてそれが腐敗を非常に促進しておる面があるので、この大本をたださなければ、絶対にやはり、われわれがここで不正腐敗の問題をいかに論及しても、依然として同じことが繰り返されるのじゃないか、こういう感を非常に深くする。従いまして、このような根本に向って政治を正す点において、総理としては今までも、この国会になりましても片々的には伺っておるのでありますけれども、これについての御覚悟をお伺いしたいと思うのであります。
○国務大臣(岸信介君) いろいろな社会悪、あるいは社会情勢の全般を見てみまして、戦争に敗れて長い間占領下にあったということ自体にその禍根のもとがあるようなことも少くないと思います。また日本はサンフランシスコ条約で政治的の独立を得たとはいいながら、ほんとうの独立という独立の完成はできておらない。精神的にも物質的にも、あるいは制度の上においてもないということは、これは私どもとして非常に遺憾に思うのでありまして、どうしてもそういう点に関して、私がしばしば申し上げておるように、独立の完成、また自主独立の立場から、日本の運命を開いていくという決意のもとに、政府も立ち上って、あらゆる施策をし、また国民もそういう気持で立ち上ってもらいたいというのが私の考えでございまして、従って今申した根本の考え方に基いて外交上の施策を進め、また国内におけるところの諸施策を進めていくということが必要であろう、こう思います。
○岩間正男君 近く総理は渡米されると伺っておるのですが、この六月の渡米に当りまして、今の総理のお話からしますと、当然アメリカ側との交渉の一番中心点はこういうところになければならないんじゃないか。つまり政治の大本を正すために、アメリカとのゆがんだ関係を、これは正しき態度なり立場に押し戻すというところに、今度の少くとも渡米の最も大きな私は任務がなければならないというふうに考えるのでありますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(岸信介君) 私は渡米に際しましては、アメリカの首脳部との間に基本政策の考え方についての問題、日米協力の基本的な問題の考え方について、十分一つ率直に腹を打ちあけて話し合ってみたいと思っておるのであります。今お話しになりましたような諸点につきましても、当然そういう心組みで話します関係上、これらの諸種の問題にも触れて、そうして日本の独立の完遂、自主独立の立場をもって日米の間の将来の友好関係を築き上げていくということに努力したいと思っております。
○岩間正男君 この問題でアメリカ上院の外交委員会におきまして、日本の、対日援助並びに今後の方針につきましてのいろいろの報告がなされておると思うが、たとえばハンナ報告のようなものを見ますと、依然として日本の立場というものは、アメリカの原爆戦争体制におけるところの尖兵的な役割を務めさせる、その一環として踏み台的な役割を努めさせる、そういう範囲内でこの日本の性格を規定しているようであります。従いまして、総理のただいまの御所信をこれは貫くということは、非常に大へんな心がまえが要ると思うのでありますが、こういう問題についてはどういうふうに腹をきめてここを進められるお考えですか、この点をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 先ほどから申し上げているように、私はあくまでも日本の独立完成という意味におきまして、私自身の信念をアメリカ側の首脳部に率直に明確に述べて、話し合いをしたいと思っております。
○岩間正男君 外務委員会でありませんので……実はこれは根本の問題なんですから、その点は譲りますけれども、もう一つだけお伺いしておきたい。 それはもう一つ、日本の不正腐敗を今日社会層の中に浸透させておる一番の大きな原因とも見られるのは、日本のやはり戦争体制、アメリカとの戦争政策との関連におきましてこういう問題があると思う。その中でやはり原爆ですね、原水爆の与えておる影響というものは非常に見のがすことのできない問題じゃないか。つまり原水爆によってもう前途に対する希望というものが、なかなかこれは日本人だけじゃなくて、人数としても持てないような、こういう問題が最近非常に起ってきていると思います。これは最近のマクミラン・イギリス首相の議会におきまするところの報告によりますと、大した被害はない、クリスマス島の原爆実験のごときは大した被害はない、こういうことを言われておるようであります。けれどもこれはもう一九五五年あたりの資料によってなされておるのです。しかもその後これに対する、松下特使について行かれたところのこれは学者の資料によりましてもはっきりしておる。こういうところから非常に人心が光明を失ってくる可能性が出てくる、そうしてあすがわからない、従ってせつな主義になり享楽主義になっていく、つまり原爆の、放射能の被害は人命に対して直接大きな被害を与える、こういう問題もありますけれども、同時に精神的なものに対しましても灰色の、全くの希望を失った状態を大きく、これはまるで入梅の雨のように食い込むところがあるのじゃないか、放射能の被害はそういうものだと私は思う。従って日本が、原爆の被害を三度にわたって経験した日本人としては、そういうところに落される可能性があり、そうして不正腐敗と結びついておる。無軌道になってきておる。こういう点は非常一に重大なる問題と思いますので、今これは対する全面的な全国民の反対運動が展開されておるのでありますが、この点について、こういう面からも政府はもっともっとこの原爆禁止のために徹底的に努力すべきじゃないかと考えるのですが、この点についても御所見を伺っておきます。
○国務大臣(岸信介君) 原水爆の使用禁止、使用、製造を禁止するということを目的として、この実験を中止せしめ、禁止するということにつきましては、従来も私はあらゆる機会に明らかにいたしておりますように、日本としてこれは人道的見地から強くこれを要望し、各国の反省を求め、また国際的世論を作り上げて、そうしてこれが実現をはかりたい、こう思っております。従って今後におきましても、それに対しましてはあらゆる努力を続けていくつもりであります。
○大竹平八郎君 私は具体的の問題を、時間がございませんからごく簡単に一点だけお尋ねいたし、同時に総理に一つ御相談をしたいと思うのでありますが、というのは、当委員会におきまして決算の審議をするときに当りまして、いろいろ要望事項があって、その後の処理の状況につきましてはいろいろ答弁があるのでございますが、必ずしも答弁とマッチしない点があるのでございます。そういう点で私が取り上げましたのが、例のこの委員会でしばしば問題になります病変米の処置の問題なんであります。歴代大臣がたびたび御答弁なすっておりますけれども、いまだにこれが全面的な解決をされていないので、これは総理がモデル・ケースとして、一つこういうものを処断せられたということができますならば、私ども一はまことにいいのじゃないかと、かように考えて、あえて質問をいたし、また断行を願いたいと思う問題でありますが、御承知の通り、現在二月一日におきまして病変米というものが十一万七千トンあるのであります。そしてこの病変米が現在ではもう肉眼で仕分けることができるほど悪くなってきておるのです。しかし食管当局といたしましては、例の赤字問題におびえるあまり、これに対する何か緊急措置を怠っておるという感じが非常に多いのでありまして、今までに処分せられたものを見ましても、わずかに一万一千トン程度なのであります。こういうことで倉敷料も莫大なものを払っておりますし、このまま推移して参りますというと、まさか捨てるようなことにはなりませんけれども、非常に国に与える損害というものが大きくなっていくんじゃないか、かように考えるのであります。それでいろいろただいまのところでは、あるいは飲用アルコールに一部をするとか、あるいは「のり」にするとか、そういうような工合に売却はいたしております。しかし何といいましても一番大きく使い得るものは、工業用アルコールというように考えるのでありますが、これも例のカンショ等の関係もありまするので、値段の点ということになるのであります。しかし値段の点ということを固執をして参りまするというと、いつまでたってもこの病変米というものは解決をいたしません。そうしてこれによってまたわが国といたしましては無形の損失を受けるわけであります。御承知の通り、オープン・アカウントの東南ア諸国との貿易というものは、日本が米を買わなければ、日本の輸出というものはできない制度になっておりますることは、総理の御承知の通りであります。このために、ただいま日タイ貿易などというものが、わずかに五万トンの米を買うか買わないかで、往復二億ドルにも達するような貿易というものが宙ぶらりんになっておる、こういうような状態なんでございまして、無形な貿易上の大きな損失も、この病変米というものによってあるのであります。これはもう幾年がかりで問題になっておるのでありまして、ぜひ一つこの際、この病変米の緊急処置について総理の御処断を得たいと思うのでございますが、御意見を拝聴したいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 病変米の処置が非常におくれておるということは、御指摘のごとく、私も非常に遺憾と思います。そこで、これの調査をいろいろ進めて参っておったのでありますが、最近において大体これを三段階に分つ、病変のないものと、それからとうてい食用に供することのできないもの、その中間的なものとに分けることに相なりました。そうしてそれぞれの目的に従ってこれを急速に処分するように処置することにしたいと思っております。今日まで非常におくれましたこと、それからまた、それの処分につきまして、いろいろな価格その他の点において困難のあることも承知いたしておりますが、しかし、今御指摘になりましたように、これをいつまでも一このままにしておくということは、無形の損害もありますし、有形的に申しましても、倉敷料、金利等、不必要なるものを要するわけであります。これはぜひ今、そういう基礎的の調査ができましたので、急いで処置することにいたしたいと思います。
○委員長(三浦義男君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(三浦義男君) 速記を始めて。
○久保等君 それでは時間がないようですが、時間の許す限り若干御質問申し上げたいと思いますが、ついでに、今の病変米の問題が出ましたから、一つ総理になお念を押して、ちょっとお尋ねしておきたいと思うのでありますが、ただいまお話しにありましたように、病変米はここ数年非常に大きな政治問題化しておる問題なんですが、しかし、あまりにも数量が膨大過ぎて処置に実は手を焼いておるという実情ではなかったかと思うのでありますが、農林大臣もしばしば言明をされておるのですが、一向に結果から見ますると進捗いたしておりません。それで今総理が三段階に大体区分けをして、それぞれの用途において処理したいというところまで、総理自体が御承知の問題でありまするから、私はよほど具体的にも進捗しておると存じます。そこで早急に早急にということで実はここ数年経過しておるいきさつがありますだけに、私はどの程度の見通しの中でこれを処理される御方針でおられるのか、総理より非常に具体的な御答弁がありましたくらいですから、時期的な問題として、大体どの程度の範囲内で御処置をなさる御方針か、その点だけ承わっておきたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 今、急速にということを申し上げましたが、何の方から聞きますというと、一年半ないし二年のうちには全部処置するという計画のもとにやっております。
○久保等君 それでは、その問題はその程度にしまして、先ほど来総理の御答弁を伺って、私どもやはり非常に遺憾に存じますことは、綱紀の粛正の問題について、一体岸内閣はどういう具体策をもって国民の信頼にこたえようとしておられるのか、私はこの点は一つとくと御考慮いただきたい問題だと思います。昭和三十年度の決算報告では、件数にして二千百八十五件、金額にして六十六億円余の会計検査院の指摘事項並びに金額が上っておるわけですが、これは御承知の通り、第二次鳩山内閣以後の問題であるわけです。しかも、今日いろいろ継承せられて岸内閣に及んで、私は果して先ほど来の御答弁をもってして、この三十年度における決算報告書に指摘された—これもすべてではないわけでありますが、六十六億円、二千百八十五件という、こういうきわめて具体的な問題そのものについても、今後の予算執行面において、こういう具体策をもって、ぜひ一つ全滅とまではいかないまでも、激減さしていくつもりであるというような、何かもう少し具体的な御答弁をぜひいただかなければならぬと思うし、これはひとり決算委員会における決算報告の問題として出しただけではなくて、私は、岸内閣というもののあり方としても、政権を担当したやはり責任者として、こういう問題についての根本的な具体策をお示しを願いたいものだと、実は思うわけなんです。ところが先ほども御指摘になっておられた会計検査院の機構強化の問題、これらについても、実は当委員会が一昨年あたり非常にやかましく申しまして、検査を的確に、しかもできるだけ早期に、問題を事前に発見をするということが必要だという観点から、当委員会がきわめて熱心に取り上げまして、それに対して政府の十分な御尽力をいただいて、検査院の一部局の増置という問題も実現したわけです。これも決して、政府当局が積極的に、独自の立場から会計検査院の強化をはかられたという経過には遺憾ながらなっておらない。従って私は、先ほど来総理の御答弁では、これは一つの熱意といいますか、積極性といいますか、そういうものに、非常にどうも具体性がないだけに、私は欠けておるのじゃないかという感を非常に深くしておるわけです。それで私、この前の決算委員会でも指摘をいたしましたように、ごく最近行われておる責任者の処分の問題、これを一つ例にとって考えてみても、実は何かほうかむりをして、適当にその高級官吏を横滑りでもって民間会社に就職のあっせんをする——あっせんをしたかどうかは別として、とにかく民間の有力会社に就職をしておるという処置が最近とられておるということは、私は国民はとうてい納得できないことではないかと実は思うわけです。そういう点について、ぜひ一つ綱紀の粛正問題について、私は、ただいまここで即答願うことが非常に困難だと思いますならば、一つぜひ早急の機会にもう少し熱意のある具体策をお示し願いたい。この点は一つ特に要望申し上げて、先ほど来の質問に、ダブって御質問申し上げることは差し控えたいと思いますので、ぜひ一つ御銘記を願いたいと思うのです。 それからもう一つ、実はこれは総理が今度アメリカにおいでになる関係から、時期的な問題もありますので、ぜひお聞きを願って、しかも総理の御答弁をお伺いしたいと思うのですが、決算報告をずっと私どもながめて参りまして、昭和二十九年度、それから昭和三十年度、これはそれぞれ防衛庁関係の問題ですが、防衛庁関係において約二百八十億程度の不用額並びに繰越額を出しているわけです。さらにその前にさかのぼっても同じようなことが言えるのですが、具体的に申し上げまして、二十九年度、三十年度、約二百八十億にそれぞれ上る多額の予算上のそごを来たしておるわけです。さらにまた三十一年度におきましても、今の見積りでいって、やはり二百億前後の繰り越しが出るのじゃないかと言われておるのです。これは防衛庁の説明によってそういう結果に相なっているのですが、そういう次第で、今度三十二年度の予算が通過をいたしたわけです。確かに昭和三十二年度の予算編成におきましては、一昨年あたり一萬田当時の大蔵大臣がアメリカに行かれたときにも、いろいろ話し合いをされたようですが、その結果として三十二年度の予算の金額を、ある程度政府としても年々歳々ふやすという考え方から、この点を押えられたという面を私どもも一応認めるわけなんですが、しかしそのかわりとして、継続費なりそれから国庫債務負担行為、この面の金額は、明らかに昭和三十二年度においては、昭和三十一年度に比較して約七十数億円ふえておるわけです。金額にして七十三億円ぐらいでありますが、とにかくふえておるわけであります。しかもその上、三十一年度から三十二年度への繰越額は約二百億と見積られるわけです。そうすると今までの防衛庁における予算執行の実績から考えますならば、私はやはり三十二年度においても相当多額の不用額なり、あるいはまた繰越額というものが出て参るのじゃないか、かように考えておるのですが、これはしかし三十二年度の結果の問題については今とやかく申しませんが、とにかく、私の今までの実績を考えての見積りからするならば、百億ないし二百億程度の繰越額が出るのではないかという私は判断をしておる。先般、防衛庁長官は、そういう繰越額は出ないという御答弁があったのですが、これは三十二年度の予算案を提案しておられる責任者の立場から、まさか繰越額がありますという答弁はできないはずですから、一応は私はそういう答弁をせられることは納得といいますか、理解できるのですが、しかし、実態はそういう実情ではないと思うのです。しかも、そういう多額の不用額なり繰越額を出しておる半面において、非常に実は御承知のようにむだ使いをやっているというのが、これまたすでに指摘されておりまするように、二十九年度においては約五億二、三千万円、それから三十年度におきましても四億数千万円、こういう不用額を出しておるのですが、こういう点は、明らかに私は、防衛庁がむしろ非常に予算を消化するために無理をして金を使っておるということが、今の金額の面からも察知できるのですが、その上加えて、先ほど来申し上げるような不用額なり繰越額が多額に出ておるという実情にあるわけです。私は、ぜひ一つ、総理がおいでになった際に、この問題についても、防衛庁の予算も、残念ながら日本の独自の考え方で予算が編成されておらない、これはもう現実の事実として私はそう言わざるを得ないと思うのでありますが、そういう実情にありますだけに、今度向うへ行かれた際には、私はぜひ一つ、昭和三十三年度の予算というものについては、予算の執行の面において再び今までと同じようなことを年々歳々繰り返すことがないような予算の執行が行われるように、大幅な押えといいますか、削減ということをお考え願いたい、かように実は考えるわけなんですが、総理として、一体、こういう繰越額が多額に上るというようなことが、もし三十二年度の予算執行の面においても出てくるようなことがあるとするならば、また、そういうことが予想されるとするならば、三十三年度の予算編成に当っては私は、十分に一つ予算総額の面について考え直すという御配慮をされる一体お気持があるかどうか、この点一つ、時間がないようですから簡単に御答弁をいただきたいと思うのです。
○国務大臣(岸信介君) 三十二年度の予算を編成するに当りましても、先ほどから申し上げておりまするように、特に防衛庁費につきまして、年々多額の不用額を計上し、これを繰り越すというようなことになっておりますので、この原因をいろいろ突きとめてみまするというと、本来この防衛庁の予算を、消化能力もないのに計上されておるものが相当にある、これは間違いである、また、そういうことをするために、無理に何かに使用しようとする努力のために、不当な支出等が起る原因にもなるという見地から、私は、三十二年度の予算を編成するに当りましては、そういう点を十分見て実はあの額を編成いたしたのであります。今、この予算外の国庫負担になるべき契約だとか、あるいは継続費についての問題がありましたが、これは防衛庁のいろいろな事業の性質上、数年にわたるような契約をしなければならぬ場合もこれはあるのでありまして、そういう点を考慮して、実際の必要なものはこれは認めるけれども、ただ、三十二年度の予算として計上しておいて、不用になれば翌年に繰り越すのだと、実際は計上しておるけれども消化能力がないというような点は、今度は思い切って削減したのであります。従いまして、あるいは従来この予算の編成に当りましては、日米間におけるところの防衛分担金の額をきめるというようなことに関連して、アメリカ側の意向を聞かないというと防衛庁費が組めないというような現状にあったことも、過去においては事実であります。しかし、防衛の問題はあおくまでも自主的にやるのであるからという意味におきまして、わが内閣におきましては、三十二年度の予算の編成に当っては、私の方からそういう意味の何をきめて、必要なものだけを計上して、いわばアメリカ側へ通告して、これはどうしても共同防衛の関係がありますし、分担金の関係がありますから、全然何らの通告もせずにきめるというわけにはいきませんけれども、従来のような防衛折衝ということは、予算の編成に当っては、これは日本の独立の立場からいってもやるべきものでないという立場を堅持して、実は三十二年度の予算を編成したのであります。三十三年度以降におきましても同じ方針で参るつもりでおります。
○久保等君 ただ、私が申し上げることは、三十二年度の予算編成に当って、そういうお考え方で予算を編成せられたことは私も認める。しかし、それが非常に私自体が、今まで数年間の防衛庁の予算執行の面をながめてきた立場から考えて、まだ非常に手ぬるいといいますか、徹底しておらないというわけなんです。それはなぜかといえば、三十二年度においては、明らかに先ほども申し上げたように、七十数億の継続費なり国庫債務負担行為という形でそういう方向へ回した金額は非常にふえているんですから、当然本来の、私はその年内だけで使うと予定されている予算は相当大幅に減少せしめ得たのではないか。というのは、年々二百億から三百億程度の繰り越しの金額が実はあるのだから、そういう観点からすれば、金額は前年度と大して変らなかったということだけでは、まだ私は非常に徹底しておらない。債務負担行為なり継続費という方面でも、三十一年度よりも三十二年度は多く計上しているんですから、当然、私は今までの繰越額ということを勘定に入れるならば、相当思い切った削減がなされてしかるべきであったのじゃないか。これは昨年度よりも八億程度ふえているんですから、従ってそういう観点からすれば、私は三十一年度の予算編成より以上に三十二年度においてもむしろ私は額の面において思い切った削減がなされてしかるべきじゃないかという実は感じがするわけです。しかも今までの予算消化が適正に行われたとは、これはお世辞にも言えないのです。数億—四億、五億、六億といった、きわめて莫大な、これはもう完全なむだ使いです。むだ使いと言われる金額がそういう多額に上るような予算を編成して、しかもその上非常に多くの、数百億に上る繰り越しを出すということですから、継続費という形で何年かに私はわたるような経費は、当然国庫債務負担行為なり継続費という形で計上できるのですから、そういう方向で計上できるのですから、本体の予算というものは大幅に削減できるのじゃないか。実はかように考えますので、この点については、いろいろ防衛関係の問題という立場で関係があるとするならば、特に総理が渡米をせられようという状況にありますだけに、私はそういう問題についてもぜひ一つ、再びこういうことが私どもの委員会で、三十二年度の予算執行の結果についてもまた論議が出てくるというようなことのないように、一つ事前に私は十分総理に御銘記を実は願いたいと思っておるわけです。
○国務大臣(岸信介君) 今、久保委員のお話につきましては、十分私も御趣旨には同感でありますから、意にとめておきます。
○岩間正男君 繰り越しは三十二年度はやらないと、こういうお考えですか。
○国務大臣(岸信介君) 私ども予算編成に当りましては、過去において同様な意味において不用額を計上し、繰り越しをするというような額は出ないようにという配慮のもとに作ったのであります。
○岩間正男君 今年度は実質的には自衛隊費は二百二、三十億ふえるということになりますね、三十二年度は……。
○国務大臣(岸信介君) 今までのように、当然あの中から不用額が出て、使わないものがあるという考えを持ちますというと、ことしは予算に計上したものは全部正当にこれを支出してもらうという意味において作っておる予算でありますから、実質的に申せばあるいは岩間君のような議論が出るかと思います。
○岩間正男君 そうすると、これは相当重大な問題じゃないかと思うのです。約二百二、三十億今年度はふえると、実質的な問題を言っているんです。予算の計上の扱い、帳面づらを私は申しておるのではない。これはどういうところにふえることになっておるんですか。これは重大な問題じゃないですか。巷間伝えられておるところでは、アメリカの会計年度との食い違いの、つまり日本の三十二年度の会計年度が終った後半において、これは一万名ないし一万五千名の自衛隊をふやす、こういうことがこの前の防衛費の向うとの折衝の間に暗黙の約束があるんじゃないか、これは巷間にも言われているところです。この問題と関係があるんですか。
○国務大臣(岸信介君) 一応今度の防衛庁の費用は海上自衛隊やあるいは航空隊の関係において相当の程度の拡充を見ております。詳しいことは大蔵大臣から……。
○国務大臣(池田勇人君) 先ほど久保君の御質問、岩間君の御質問、総体でお答えいたしておきます。 御承知の通り二十八、九年度から繰り越しは最高二百八十億円、あるいは最近でも、三十年度でも二百数十億円の繰り越しが出ておるのであります。この点は国会におきましてもたびたび指摘せられまして、適正化を強く要望せられたのであります。三十二年度の予算編成に当りましては、こういう繰越額を十分検討いたしまして——これは防衛庁のあり方として一般官庁のように繰越額の全然ないというふうなことはなかなかむずかしいのでございます。それは予算外契約を御承認受けたり、あるいは継続費、繰り越し明許の関係がありますと、いろいろ防衛庁として繰り越しはこれはやむを得ぬと思います。しかし従来のように二百数十億も繰り越しするというようなことはよくございませんので、大蔵省で十分検討いたしまして、やむにやまれぬような繰越額はこれはいたし方がございませんが、原則として繰越額をうんと減らすように、理想としてはなくする程度にまで予算を切り詰めました。 従いまして昨年度に比べて八億円の増加になっておりまするゆえんのものは、これは御承知の通り防衛隊の定員の増加でございます。海空を通じまして七、八千人の人員の増加がございます。それからまた給与単価が上っております。こういう関係で七十億円近い予算の増加が人件費だけでもあるのでございます。もちろん陸上自衛隊の一万というのは、これは行いませんが、こういう海上、空におきまする定員の増加が七十億もありますのを、これを中へ入れてしまう。そうしてまた繰り越し明許とかあるいは継続費の年割額を、やはりこれに相当する程度のものを減らして、そうして三十三年度には従来とはまるで違ったような状況にもっていきたいと、こういうのでいっておるのでございます。
○委員長(三浦義男君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(三浦義男君) 速記をつけて。
○岩間正男君 ただいま大蔵大臣からの御答弁あったのでありますが、海上自衛隊その他七、八千人ふやすと。先ほど総理の答弁によりますと大体繰り越しはなしに今年は使う。従ってこれは二百数十億の繰り越しでありますから、実質的には昨年よりそれだけふくらんでおるわけであります、繰越額だけ。そういうことになりますと、なお百四、五十億のこれはふくらみがあるわけなんです。私はこの問題と関連してお聞きしたいのでありますが、先ほど、六月の首相の渡米に当りましては、今の不平等条約のアメリカとの関係をほんとうにただす、このゆがみをただすところに第一の任務を持って渡米するんだというお話しでありましたが、同時にまた日本の防衛計画の案を持って渡米するんだと、こういうことが巷間に言われておるわけなんであります。従いましてこの問題と、ただいまのこれは自衛隊費の問題、ことにその中のふくらましの問題と、非常にやはり国民はその点に懸念を持っておるだろうと思うのであります。私たちはあくまで日本国民の意思に従って—日本を戦争体制の方に追い込んでいくという形でアメリカとの折衝をやってもらうということは、だれも一望んでいないと思う。あくまで日本の戦争体制をやめる、そうして原爆をやめ、平和体制を、平和共存の方向に日本の政策を大きく転換するために、これはアメリカと交渉してもらいたいと、だれでも全国民望んでいると思うのであります。そういう点からいいますと非常に今の御答弁、大蔵大臣並びに岸総理の御答弁の間にはどうも一貫したものがないし、その間の事情がよくわからない。従いましてこの点をやはり国民の前に明らかにしてもらいたいと思うんです。そうでないと非常に疑惑があります。あらためてこの点に対するあなたの御所見を伺いたい。
○国務大臣(岸信介君) 私が先ほど来申し上げておるように、日本の独立完成、また私が外交の方針として述べておりますように、平和外交の推進という見地から、日本を戦争に巻き込まないように、そうして世界の平和を増進するために日本が努力するという信念を明らかにいたしておりまして、これは日本の進んでいく国策の根本である、従いましてその根本についての私の信念なり考え方というものは十分に明らかにするつもりであります。
○岩間正男君 自衛隊の案はどうです。日本の防衛体制の案は……。
○国務大臣(岸信介君) 防衛体制の問題は、これは別に、私は世間で質問を受けておりますが、国防会議において日本のこの防衛の基本及び長期防衛計画を立てるということに法律はなっております。国防会議が設置されてから二回ばかり会議はされておりますが、まだこういう問題が実際は討議されており乗せん。しかし事務局その他関係方面においては研究をいたしております。これは将来の予算編成に当りましても、日本が防衛の長期計画を持たないということは、私は適当でないと思います。従ってできるだけ早くこの国防会議においても、そういう問題が取り上げられて、この結論が出るように運営していきたいと、こう思っておりますが、それは私が訪米することは直接の関係のない問題でありまして、別個に私は考えております。
○岩間正男君 案はお持ちにならないで……。
○国務大臣(岸信介君) 別に案を持っていくつもりはございません。
○高田なほ子君 議事進行について。
○委員長(三浦義男君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(三浦義男君) 速記をつけて。
○国務大臣(宮澤胤勇君) 先ほどの片岡さんの御質問についてお答え申し上げます。この壷井元官房長の依願免官の処置につきましては、この委員会においても申し上げました通り、事件後数年をたちまして、ことに裁判の見通しもまだ容易につかない、御本人の生活も非常に耐えられなくなってきた。従って裁判の結果が最も悪かったときには退職手当やその他のこともできない徴戒になるわけでありますが、退職手当その他もすべて辞退せられるから、まあ自由——世の中に出て働ける身にしてもらいたいと、こういうことがありましたので、お気の毒だという考えから、そのことを聞きまして依願免官の処置をしたんであります。法規的にはまあそれは禁止されておることではないそうでありますが、その後当委員会その他において御指摘もこうむり、また人事院の方でも実情を伺ったりいろいろしまして、やはりもう少しこれは考えて行わなければいけなかったことだったと、こう実は感じておるわけであります。御本人もやはりそれに気づかれまして、このたびその会社の役員をやめられることになりました。そういうので、はなはだ不手ぎわで申しわけなかったんですが、そういうコースをたどって処理されつつある次第でありますので、御了承願います。
○片岡文重君 私の質問がちょっと言葉が足らなかったかもしれませんが、壷井さんがおやめになられて、今大臣がおっしゃったような経過をおとりになっておるということも私はかねて伺っております。そしてこの委員会でもこの問題は取り上げられて、運輸省についても善処を要望しておったやさきに、また運輸省の、あえて私は名前は申し上げませんが、これは新聞にも出ておることですから御承知になっておられると思うのですが、元部長をしておられてこの問題に連座された方が、判決を待たずして依願免という形でおやめになって某会社に幹部としてお入りになっておられるということです。つまり真実に前措置が誤まれりというお考えがあって、この善後措置を講ぜられるとするならば、同一事件に連座された幹部の方が、その他の方も同様に謹慎といいますか、世間の納得する行動をおとりになるべきではなかろうか、しかるにそういうことなくして、今申し上げましたような道をお選びになられ、当局としてもこれは依願免という措置をおとりになったということは、むしろとられた方よりも、当局自身が改悛の情ないと思うのです。そこで、しかしですよ、私は決してこの壷井さんに恩怨があるわけでもなければ、今後やめられる方に恩怨があるわけではありません。むしろこの方たちに対しては、個人としてはこういう事態が—どういう原因かあったかしりません、それはあるいは私腹を肥やされた、この事情やむを得ずしてこういう事情に立ち至ったか存じませんが、少くとも世間に大手を振って歩くことのできない事態に立ち至られたことについては、私は衷心から同情申し上げます。しかしそういう個人的な同情をもってしては、規律というものは維持し得ないと思うのです。ほんとうに運輸当局がこの壷井さんに対する措置はあやまれりと考えられるならば、再びこういう事態を繰り返すことがあってはならないと思う。それをあえてされたのはどういうわけなのか、その点をお聞きいたしたいのであります。
○国務大臣(宮澤胤勇君) ただいまの部長というのは、國安誠一氏だと思うのであります。これは二十九年にされた措置であります。壷井氏のことより三年前にその措置がとられておったわけであります。従ってことにこの方はやはり運輸省に幾らか関係のある仕事ですけれども、その仕事は自分がやめてから、その会社を自分で新たに作られ、なっておるというので、まあこの壷井氏のこととはおのずから大へん違った点がある、こう思うのであります。
○片岡文重君 事態をなるべく明瞭にしていただきたいと思いますから、今すぐでなくてもけっこうですから、この事件に関係をされた方々のおやめになられた時期等については、後刻資料として私は出していただきたいと思う。 そこで一つお尋ねしておきたいのですが、この規律の保持に当っては、かつてこの委員会でもたしか岸総理が信賞必罰という言葉をお使いになったと思う。この信賞必罰について私は同感ですが、とかく罰することについては論議もなされ、追及もなされるようでありますけれども、私どもの承知する限り、運輸省にしても、国鉄にしても、あるいはその他の官庁にしても、信賞の方が、賞を行う方についてはあまりにも軽微ではなかろうか。特に発明、発見、特許等についての買い上げというよりも、むしろ職員のそういう発明や発見、実用新案等を国が利用する場合には、ほとんど時価による特許権の買い上げではなくしてむしろ取り上げるといってもいいくらいな安い値段で国が利用しておる。こういうことでは私はいかぬと思うのですが、これは先ほど私はむしろ総理大臣に伺いたかったのですけれども、時間がないというので割愛したのですが、運輸省としてはこういう問題等があって、いろいろ世間から批判をされております。運輸省としては必罰の方は、この際おくとして、信賞の方は一体どういうふうにやっておられるのか。この点を一つ具体的にお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤胤勇君) ちょっと今の問題、私もよくわきまえておりませんので、政府委員の方から……。
○政府委員(朝田靜夫君) 発明改良等につきましては、その特許権等が役所あるいは私どもの方で申し上げますならば、付属機関でありまする運輸技術研究所等においてその例が多いのでありますが、そういうところへ帰属するという今の制度の建前になっておりまして、ただいま御指摘のようなことで、信賞の方が薄いのではないか。私どもといたしましてもそういうふうに考えております。ただ運輸省といたしましては、発明改良に貢献をいたしました者につきましては、運輸省の設置記念日あるいはその他の機会におきまして、運輸大臣が表彰をいたしておる、これで十分とは申し上げられないのでありますけれども、そういう措置は不十分ながらとっております。
○片岡文重君 たとえば発明発見、実用新案等についてということを申し上げたのであって、こういう目の前に具体的に問題が提示されておるものには、そういうこともよろしいでしょう。しかし、たとえば事務能率の向上に非常な貢献をしておるとか、あるいは計理制度の上に非常な貢献をしているとか、あるいは日々の業務に非常に努力をし、その成果が上っているとか、いろいろとあると思うのですよ。そういう面に対して信賞というものがうまく行われておらないではないか。特に今そういう規則になっておるというお話でしたけれども、別に言葉じりをとるわけじゃありませんが、そういう規則一をすみやかに改めて、むしろ信賞の方に重きを置きすぎるくらいにやっても、私は決して誤まりではなかろうと思うが、運輸省当局としては今後そういう方針にいかれるお考えはないのかどうか。
○国務大臣(宮澤胤勇君) 御趣旨を一つ十分になにしまして、ごもっともなことと思いますから、そういうことに考慮してやっていきたいと思います。
○委員長(三浦義男君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(三浦義男君) 速記を始めて。
○大竹平八郎君 私は運輸大臣に質問をいたしたいのでありますが、これは運輸省の総合交通政策の全体に関連しておることと存じますから……。約七、八年間にわたりまして紛糾をいたしておりまする天下の国立公園でございます箱根山における両会社の紛争の事件でございます。これは私ども議員といたしまするというと、両会社からしばしば宣伝的ないろいろな報告書あるいは声明書等を手にいたすのでありますが、実にそれを見まするというと、まことにその書き方といい、その論調と申しましても、とうてい私どもの常識では考えられないというようなところがあるのでございます。従いまして、七、八年間もかかりまして、貴重な運輸行政費というものを使っておきながら、この問題がいまだに解決をしないということ、ことに箱根は御承知の通り国立公園であると同時に、今日はもう世界の箱根でございます。そうしてまた外貨獲得の非常に重要なところでございます。こういうところがほとんど雲助の張い合いのような葛藤を続けておるということはまことに遺憾しごくにたえないのであります。おそらく、私ども記憶をもっていたしますならば、二十四、五年あたりからこの問題は始まっておるのだろうと思うのでございますが、どういうことか、歴代の運輸大臣はこれを解決しようとはしていないのであります。それから私どもがいろいろ書面等を見まするというと、現役運輸省の幹部等に対しましても、ずいぶん露骨な攻撃をいたしております。われわれ国会議員といたしまして、そういうものを見るたびに、一そう何か国民に対して責任を感じ、相済まぬような気がいたすのでございますが、特に昨年の八月と記憶しておりますが、この問題につきましては、公聴会も開かれたように聞いております。二日にわたってこれの公聴会というものが開かれた。従いまして、運輸審議会はおそらく大臣の決裁を私は待っておるのではないかと思うのでありますが、この両大会社がいろいろなかりに政治的な行動をとられましても、私はこの際は、断固として運輸省は公平無私な立場からこれを解決すべきではないかと思うのでありますが、まずこの問題につきまして、概念的に運輸大臣からその所信のほどを伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤胤勇君) お話しの通り、この問題は非常に世間を騒がしております。いろいろ個人的な利害から訴訟などの問題はたくさんあったのだそうでありますが、しかし世間に具体的に現われましたのは、昨年の七月からでありまして、その後公聴会もありましたが、運輸審議会はまだ審議を継続してやっております。それから、なるほどこういう問題をそのままにして長くすてておくということはよくないことと思っておるのでありますが、私が就任いたしましてから事情を聞きますと、ちょうどその争いの直接の問題が、つまりあそこの一般自動車道路を通す、通さない、契約が切れたから通さないという問題が裁判になり、その上にそれが仮処分の決定を受けておるというようなことで、その裁判の成り行きだけは一応見なければいけないのじゃないかということで見ておるのでありますが、そのうちにこの国会が始まり、予算の編成から、運賃値上げで、ほとんど一日も寧日なく実は落ちついて両方の話を聞く時間もないというようなことになっておりますので、裁判の結果も近くきまると思いますから、そういう模様を見まして、一つ話をよく聞いた上で、これはただ責任をのがれるためにすてておくということはお話しの通りによくないと思いますので、何とか道を開いていきたい、かように考えておる次第であります。
○大竹平八郎君 いや、あなたが御就任せられてはわずかでございますが、国民全体から見ますれば、十年に近い争いなんですよ。そういうことをいまだに七、八年にもなって片づかない。そうして今頃訴訟の問題を云々せられるとは、実に私は驚くべきことだと思うのであります。日本の訴訟などというものは、御承知の通り非常な時間を食うものであります。それで私はこの問題について、自動車局長がおられると思うのでありますが、この自動車行政というものについて運輸省の方針を承わりたい。
○政府委員(山内公猷君) この問題、私といたしましても非常に責任を感じておる問題でございますが、十年にわたりまして全然処分がなされなかったわけではないのでありまして、そのときどきにおいて処分がなされて参りまして、その処分についての、何と申しますか、訴訟、あるいはいざこざが続いておるということでございます。現在起っております小湧谷—湖尻間の乗り入れ協定がいわゆる契約を解除いたしまして、箱根が今まで運行しておったのが入れなくなったのであります。それに対しまして箱根登山の方がその契約解除は無効であるという訴訟を提起しておるのであります。片方はそれが有効であるということが争いになっておりまして、仮処分の結果、駿豆の言い分が通りまして、箱根登山が入ることができなくなったのであります。それに対して箱根登山がさらに控訴いたしまして、抗告審ではいわゆる原審差し戻し、またあらためて裁判をし直すという格好になって参ったわけでございます。そこでただいま大臣が御説明いたしました訴訟の結果を待ってということは、仮処分でございます。仮処分についてはそう長くなく結果が出るというわけでございますので、一応それを見た上で、われわれの方の結論を出すということでございます。もちろんわれわれといたしましても、十分この点につきましては公聴会も行いましたし、現在運輸審議会で審議中でございますので、解決の道をはかって参りたいと思っておるわけでございます。またこの運輸行政の根本につきましては、道路運送法の第六条に、免許の基準というものが示されているわけでございまして、それによりますと、いわゆる経営者について適正であるか、緊急的な輸送の要請があるかどうか、また輸送要請に対して現在の輸送力が十分であかるどうかというようなことが審議の対象になるわけでございまして、それらの点につきまして、現在十分な調査をいたしているわけでございます。
○大竹平八郎君 自動車行政について、はっきりした一つの見通しさえもっておれは、一方的にこれが訴訟を起して仮処分をするというように、大事な行政上の問題に法的なこれが加わるとは私どもは考えられないのでありますが、その点いかがでありますか。
○政府委員(山内公猷君) 私どもの方もそういう点につきましては十分審議をいたしているつもりでございまして、そういうものの訴訟が起るということにつきましては、今後もそういうことのないように努めたいと思います。
○大竹平八郎君 今お話の箱根登山の早雪山—湖尻という問題でありますが、これとにらみ合せて、たしか駿豆鉄道の方に対しまして、運輸省としては箱根から小涌谷、さらに小田原までの乗り入れというものを許可しているように聞いているのでありますが、これについていかがでありますか。
○政府委員(山内公猷君) 経過は非常に長いわけでございますが、相当長年月にわたりまして、個々にそういう認可の内容が変っておりますが、現在ではいわゆるお話のような免許の権利を駿豆は持っております。
○大竹平八郎君 この法律的措置は措置として、行政的措置として今押えられている箱根登山の早雲山—湖尻間に関する路線について、あなたの方の約束もあるのでありますが、方針としては御許可せられる御方針なんですか、その点伺いたいのです。
○国務大臣(宮澤胤勇君) これは自動車道路の方は駿豆が持っているわけであります。そこで一応駿豆の持っている一般自動車道路に他の会社との契約によって乗り入れておったものを、片方が契約を拒否した、期限がきて拒否した。そこであらためて乗り入れの許可をしてきているわけであります。ところがこの乗り入れの許可を、一般道路ですから、運輸省として人の持っている土地の中の道路に乗り入れをさせ得るか得ないかという法的な根拠につきましては、一応どうも運輸省としてはいいようには思っているのであります。ところが法制局その他に聞きますと、これは非常に重大な問題ですから、裁判にいってひっくり返ると困りますから、政府の決定的な意見はというと、一年ぐらい研究させてくれ、こういうのです、この問題について。ですから一年も研究しておって、それを待ってというわけにも参りませんし、そこで問題は、それじゃ私運輸大臣一個の見解において、法的解釈を下して許可していいとなれば、すぐ訴訟になると思うのです。訴訟は何年かかるかわかりませんが、また仮処分というような問題も起きると思います。そういう紛争を重ねないで、やはりはっきりしたものにしなければいけない。これに学者の意見も二つ対立しております。相当な大学の教授も、それは人の所有地で人の作った道の中に運輸省といえども許可できないという意見と、これに一般道路だから許可していいという意見と、それもごく一部ではなくして、相当なこういう道の大家に意見の対立があるのです。それですからそれらも一ついろいろ考慮しまして、その学説の対立があれば、いつまでも捨てておくというわけにはいかないと思いますから……、そういう事情にあるのです。
○委員長(三浦義男君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(三浦義男君) 速記を始めて。
○久保等君 私この前資料を出していただくお願いをしておいて、出された資料に基いてお伺いをしたいと思うのです。それは例の先ほども問題になった刑事事件によって起訴せられた人たちに対する扱い方の問題でお聞きしたいと思うのですが、運輸省関係のものとして出された起訴者の中に、収賄あるいは収賄幇助という、いわゆる汚職関係の問題で刑事容疑でもって起訴されておる人たちなんでして、計三十五名あるようです。そのうち依願免が二名あるいは失職が九名というような説明になっておるのですが、扱い方が非常にどうも何かまちまちというか、どういう一体考え方で、あるときには依願免にしてみたり、あるいはまた懲戒免も行なっておるようであります。果してこれを何人あるのかよくわかりませんが、出された資料の中で収賄関係だけにしぼって質問をいたしたいと思うのです。運輸当局の三十五名現在起訴せられておる人についての一体扱いがどうなっておるか、依願免が幾らで懲戒免が幾らで、それからあるいはそのほかの理由でやめたりなんかしておるのもあるかもしれませんが、そういう点について一つ基本的な方針をお伺いしたいし、それからただいま申し上げた点についてお伺いしたいのですが、これは同じやはり国鉄の場合におきましても、全部で二十一名起訴せられておるようであります。これは特に収賄だけです。収賄容疑でもって起訴されておるのが二十一名、しかもそれについては全員休職になっておるというような報告が出ておるのですが、これも一体全部そういうことになっておるのかどうか。これは最近行われておりまする、まだ起訴せられるまでいかない事前において、何か依願免の措置をとったというようなことも伝えられておるのですが、一体国鉄の場合においては依願免という扱いをしたのを、起訴前と起訴後に分けて一つ御説明を願いたいと思います。運輸省と国鉄それぞれですよ。
○政府委員(朝田靜夫君) ただいまの御質問にお答えいたしますが、提出いたしました資料で、現在昭和二十八年度以降に訴起をせられました者がそこにあります四十七名でございます。で、失職九名と申しますのは、これは有罪の判決がありまして、当然法律で失職になるものが九名でございます。依願免は先ほど御指摘をこうむりました国安、壷井両氏の問題でございまして、病死が一名でございますので、全部そのあとは休職中でございますのが三十五名でございます。従いましてその他におきましては失職九、依願免二を除く。以外においてはやめさした者はない、こういうことで現在三十五名が全部休職中でございます。
○説明員(吾孫子豊君) 国鉄の関係の御説明を申し上げます。国鉄の関係ではただいまお話のございました通り収賄でもって訴起されました、現在起訴されております二十一名の者は、全部休職にいたしておるわけでございます。これはもう規定によってそういう扱いをしておるわけであります。それから起訴前において依願免等の取扱いをしたという者は、実は最近の例といたしましては、御承知の東鉄の高架下の事件に関連いたしまして矢野照雄という元職員を依願免の取扱いを最近いたしましたが、実はこの者につきましては、はなはだうかつと申しましょうか、つまり起訴になるというふうには私ども考えておりませんでした。本人が非常にその部下から容疑者を出したということについて、非常に責任を感じましてやめたいという申し出がございましたので、私どもといたしましては、当時いろいろな事情から考えまして、警察の方の取調べも別に令状執行して逮捕するとか何とかというようなことはないように思っておりましたので、依願免の退職発令をいたしました。ところがその後に至りまして、当初は任意出願というような形で召喚されて調べられたのでございますが、結局任意出頭で召喚した者をその場でさらに逮捕状を執行するというようなことになりました。実はそのことがもしはっきりわかっておるような事態でございましたらば、そうあわてて取り急いで行政処分をするというようなことはやらなかったはずでございますが、本人が非常に責任を感じましてやめたいということを申し出て参りましたので、その気持をくみ、また起訴になるというようなことは万々なかろうというふうにも当時の事情としては思われましたために、依願免の取扱いとしたという事情がございます。そのほかのことといたしましては、これは最近にはそういうことはほとんどございませんのですが、何か事件が発生いたしましたような際に、そのときの状況によりまして起訴されるという程度に及ばないというものについては、過去においても依願免の取扱いをしたというようなことはございますが、今回の東鉄の例はこれは全くのそういうような事情で、実は依願免の発令をしたあとで逮捕状を執行された、こういうような実情にございます。
○久保等君 国鉄の場合に、起訴せられた年度別のところで、三十二年度に収賄一名それからまた業務過失傷害致死六名というふうになっておるのですが、えらい新しい昭和三十二年度にこういう事件があったのでしょうか。
○説明員(吾孫子豊君) これは二年度ではございませんで、歴年の三十二年こういう意味でございます。そうして収賄の三十二年のこの一名は、ただいま申し上げました木藤、東鉄の高架線に関係しております木藤の起訴でございます。
○久保等君 それでお尋ねしたい点は、運輸省の場合において、私が質問いたしておりますのは、起訴せられた全部の人についてじゃなくて、具体的に収賄並びに収賄幇助という問題だけについて、実は質問をいたしておるわけですが、先ほどの御答弁は全部についての御答弁であったように思うのですが、それで先ほどの御説明からすると、この収賄並びに収賄幇助の三十五名は、二名を除いて全部休職扱いになっておるという結論になるのじゃないかと思うのですが、一体運輸当局として、私は大臣がお出でになりますから、基本的な方針を一つお伺いしたいと思うのですが、この前の決算委員会では、非常に気の毒だったから気の毒だったからという説明だけで、依願免にしたというお話があったのです。ところがこの三十五名がどういう具体的な人たちかは知りませんけれども、全員起訴せられ、しかもその内容は収賄並びに収賄幇助といったような、いわゆる汚職に関係した刑事容疑をもって起訴せられておる人たちなんですよ。それに対して二名は先ほども具体的に名前をあげられた方々が、最もその清状において気の毒だったという判断をせられておるのですが、私は少くとも刑事事件になっておる問題について、一体情状酌量できる余地があるかないかという問題は、これこそ裁判において最終的な結論が出ない限り、事務当局においてそういう判断ができっこないと思うのです。たまたま家庭の事情がどうであった、こうであったということを考慮せられるならば、私はこの三十五名という中には、そういう非常に有力なポストにいた人より、むしろ一般の職員の諸君もこれはおるのだろうと思うのですが、一体どういう方針でこういう問題を扱おうとしておられるのか、私は非常に、運輸大臣のこの前の御答弁では、最も悪質と目される刑事容疑でもって起訴せられておる人に対して、行政的には最終的な措置をとってしまう。従って結果的には全くどろぼうに追い銭という形になってしまう場合がむしろ多いと思うのです。要するに黒と出た場合には、これはもう明らかに私はどろぼうに追い銭だと思います。そういう観点から非常に問題が多くて、毎会計年度指摘事項の多い運輸並びに国鉄を指揮監督する運輸当局が、こういう問題に対する方針が非常に明確でないというよりも、非常に国民の疑惑を招くような形で処理をされることは、非常に遺憾だと思うのです。この前の大臣の答弁は答弁としては全然なっておらないと私は思うのです。どういう方針で一体おられるのか、先ほどの御答弁のあった問題は、これはたまたま行かれた会社の就職先のところが、これまた国家公務員法に引っかかるので、あいはこれに対しては、その就職をさらにやめられるというような措置になったのだろうと思うのですが、そういう問題よりもさかのぼって、要するに依願免という扱いをどういう考え方でやられるのか、私は少くともこういう問題について依願免にするがごときはもってのほかだ。もし長きにわたるからということで言われるならば、この収賄並びに収賄幇助の中にも、七年以上にわたる人が三名、五年から六年の人が四名というようなことで、非常に長期に、七、八年にわたる長期にわたって起訴せられ、いまだに有罪か無罪か刑の最終的な決定がなされないという事態も具体的に資料によると出ているのですが、どういう一体方針なのか、この点を一つ納得のできるような形でぜひ一つ御答弁を願いたい。
○国務大臣(宮澤胤勇君) これは本人から申し出があったのについて事情を考えてするのでありまして、他の三十幾人については全然申し出がありませんので、そのままにしておるわけであります。
○久保等君 そうすると申し出があれば依願免の扱いをするという考え方なんですね。
○国務大臣(宮澤胤勇君) 申し出がありますれば、それについていろいろ考慮を加える、それはやっぱり特別に一人だけとか二人だけというわけにいかない、十分考慮を加えて処置をしなければならぬ、ただいまのお話のどろぼうに追い銭という意味も、判決があって黒になりましたら、退職手当その他はやらないし、これらの方もそれを辞退して、もらっておらないのでありますから、その点は同じ結果になるわけであります。
○久保等君 私は一体そういう方針ですべての問題を処理せられようとすることについては、これはもう重大な一つ何らかの方法を考慮して考えていかなければならぬ問題だと思うのです。そういう答弁だけで、答弁を聞き流して済まされる問題では私はないと思う。一体こういう扱いについては人事院の方面に対して何か御相談をせられたり、そういうことをやっておられますか、やっておられませんか。
○国務大臣(宮澤胤勇君) これはやっぱりそういう処分をするときには、人事院に皆連絡をしてやるのでございます。
○久保等君 それでは先ほどの二件の問題については人事院に相談をせられて、人事院と運輸当局の意見というものも一致せられたのですか。
○国務大臣(宮澤胤勇君) 連絡はいたしますが、懲戒処分をするときは、はっきり人事院の承諾を得てやるのだそうです。その他の処分はやはり運輸省だけでやるのだそうでございます。
○久保等君 だからただいま私がお聞きしているのは、依願免の措置をとった二名については、人事院と連絡せられて意見が一致したのですかとお尋ねしているわけです。
○国務大臣(宮澤胤勇君) これは連絡しただけでありまして、決定は運輸省だけでやったのであります。
○久保等君 そういうのは私は相談した中に入らないと思う。相談をせられるということならば、私は十分に連絡をして相談もせられ、結論として、かりに意見がどうしても一致しないというときには、意見が一致しないということについての、十分にわれわれにも、第三者にも、国民にもその経緯を発表して、なるほど運輸当局のいうのはもっともだ、人事院の方が間違っておるというような特異な場合においてはあるいは運輸当局独自の判断をもってやられることも、これは私絶対あり得ないとはいえない。しかし今運輸大臣の言われるのは、人事院に相談するという限りは、私は人事院と、少くとも見解を人事院からも十分に聞き、そういう両者の考え方というものを十分に検討した上に立って、初めて措置をせられるべきだと思う。それは相談の中に私は入らないと思う。どうですか。
○国務大臣(宮澤胤勇君) 先ほど申し上げましたごとく、それらの点についてもっと慎重にやらなければいけなかったと今考えておるわけであります。
○久保等君 慎重という言葉だけでは私ははっきりしないと思う。一体人事院に、今までやったことがまずかったというふうにお考えか、私はそういう反省の上に立って、今後の措置を明確にすべきだと思う。慎重にやるべきだ。前についても慎重にやったのだが、相談も十分にされなかったというのでは、慎重に扱ったことにはなっておらない。どういうふうに扱おうとしておるのか、今までやったことが、ずさんであったなら、ずさんであった、今後はぜひ一つ相談をするからには、やはり私は人事院の考え方というものと少くとも一致した形において措置をせらるべき問題だと思う。事は非常に厳格に扱うべき問題なんですよ、私の申し上げているのは。そう軽々に適当にやられては困るのです。適当にやられたから、こういう問題が表面に出て、刑事事件にまでなるのですから、それに対する最終的な扱い方というものは私は厳正にやるべきだと思う。そういうことなくして、何十万という大組織を持つ役所の機構の粛正というようなことは、とうてい期待できないと思う。一体そういう反省の上に立っておられるのかどうか。
○国務大臣(宮澤胤勇君) ただいま申し上げましたごとく、今度のことは慎重を欠いておったと、こういう意味です。慎重にやったという意味じゃありません。慎重を欠いておりましたから、これからもっと慎重に考えて処置しなければいけないと今考えております。こう申し上げたのであります。
○久保等君 もう一つ念を押しておきお話があったのですが、私はそうでないものこそ非常に重要だと思うのです。懲戒免をやらなければならぬというように判断せられる場合は、これは刑事事件がどう出ようが、結果がどう出ようが、とにかく行政的な処分としても最高の懲戒免で扱わなければならぬという判断の上に立って、懲戒免職という措置をとられるのだと思う。ところが依願免という形をとることについては、これこそ私は十分にあらゆる角度から検討を加えなければならぬと思うし、従って人事院等の意見は十二分に私は意向を参酌して参らなければならぬ問題だと思う。だから懲戒免職をする場合には、むしろそれこそ事後通告であっても、私はおそらくそう大した過ちを犯す場合はないと思うのですが、そうでない場合の方がより重要じゃないかと思うのですが、その点についてどう運輸大臣お考えですか。
○国務大臣(宮澤胤勇君) 法の建前は、懲戒処分をする以外は、運輸大臣だけでできるのだそうでありますが、ただいまこういう事態を生じましたにかんがみまして、これからは人事院と懲戒処分以外のものも相談していきたいと考えております。
○久保等君 私の申し上げている問題は、非常に具体的な問題なんですよ。一般的に何か病気の都合か家庭の事情等でやめるという場合に、これは人事院に相談しなくたって私はいいと思う。だけれども問題は刑事事件という事件で起訴をせられたという、そういう場合に限っての扱い方については、特にこれを依願免にするがごときは、私はきわめてけしからぬと思うのですよ。だからそういう点について申し上げているのですから、一般の依願免でやめるという場合の問題を問題にしているのじゃないのですよ。刑事事件という問題、それについての問題ですから、一つぜひその点については、まあ誤解がありとすれば誤解のないようにしてもらいたいと思うのです。そういう点について一つもう少し厳正に扱ってもらいたい、このことを繰り返して申し上げるのですが、ぜひ一つ大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(宮澤胤勇君) もちろんその一般的の問題でなく、こういう事件の関係の問題については、今後人事院とも十分連絡しまして、そうしてその意見の一致の上に、かつまたこの賞罰両方につきまして、今度の問題にかんがみまして、もっとほんとうに慎重に考えて行なっていきたいと、こう考えております。世間の納得のいくような処置をしていくようにいたしたいと考えております。
○久保等君 国鉄総裁がお見えですから、国鉄の方へお伺いをしたいと思うのですが、三十年度の決算報告書は、非常に個々の問題については今後慎重に審査をして参りたいと思うのですが、総体的にながめて、二十九年度の決算報告書と三十年度をながめた場合、異常に実は件数もふえておりますが、そういう点で一体どういう感じを総裁としてお持ちなのか、金額の点においても約二億数千万円、二十九年度は申し上げるまでもなく四、五千万円程度の金額であったと思いますが、三十年度の場合においては二億五千万円前後の金額に相なっておるわけです。それで一体ほんとうの国民の要望に沿い得る国鉄の再建を考えた場合に、現に決算報告に出ておるごく最近の傾向としても、ただいま申し上げたような傾向にある。私はもちろん単なる現象的だと目される問題をとやかく申し上げようとは思いません。これは特に今総括的な点についてお尋ねを申し上げておるのですから、総体的な立場で一つ総裁のお考えを承わりたいのであります。昭和三十二年度からは特別にまた今度は建設工事も非常に大幅にやられようとしておるのだし、三十一年度よりも、約倍額程度の金額において、工事幅において、そういう大工事をやられようとしておりまする国鉄であります。しかるに二十九年、三十年というごく最近における両年度を比較してみても、飛躍的な何かむだ使いというものがふえてきているような経過を辿っておる。先般私が予算委員会でちょっとお尋ねをしたことで、工事の請負業者の指定なりあるいはまた工事請負業者の選考なり、まあそういったことに対する措置としても、まだ十全の措置がとられて三十二年度に臨まれておるようでもないようであります。こういう点を考えますると、ますます工事幅が大きくなる、消化する予算が大きくなるというような形になりますると、この調子で、三十年度の決算報告書の調子で参りますると、これはまたさらに大きくなっていくのじゃないかという危惧を持つのですが、こういうことに対してどういう感じを持っておられますか、どういうまた決意を持っておられますか。
○説明員(十河信二君) 二十九年度より三十年度にかえって件数がふえておるという御指摘でありまして、私もまことに遺憾にたえないと、こう考えております。従ってこういうことを将来は根絶しようと、こう考えまして、三十年度の決算で検査院から指摘されました事項について、その事情を検討いたしまして、それぞれ局長以下処分をいたしております。これも将来こういうことがあってはならぬということをいましめるつもりで、早く処分をいたしたような次第であります。三十二年度におきましては、今お話のありましたように、国民の皆さんに御迷惑をおかけして、なお、輸送力の増強あるいは保安を維持しなければならぬというようなことがありまして、やむを得ず運賃の値上げをお願いしたのであります。その結果、工事量も今お話の通り非常にふえました。今度はそういうことがあっては国民に申しわけがない、四月一日に特に私は綱紀を厳正にしなければならぬ、いやしくも不正不当の処置をしてはならぬ、皆さんから指弾を受けるようなことがあっては相ならぬということを四月一日付で厳正にいましめる訓示を出しておるような次第でありまして、私は固い決意をもって、そういうふうな点に十二分に努力をいたしたいと覚悟いたしておる次第であります。
○委員長(三浦義男君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(三浦義男君) 速記を始めて。 本日の質疑はこれでやめます、日程はいずれ理事会に相談の上で申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十一分散会