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26回国会参議院1957/04/04

外務委員会 第13号

発言数
31
登壇者
9
会派数
3
開催日
1957/04/04

会議録

笹森順造自由民主党

○委員長(笹森順造君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  本日は国際情勢に関する調査を議題といたします。まず最初に原水爆実験禁止に関する件について、井上政務次官から発言を求められておりますのでこれを許可いたします。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 政府から御説明けっこうなんですが、大体各委員は書類をいただいておるので、総理は大体一時間半ぐらいしかおられないので、はなはだこういうことを申し上げては恐縮ですが簡単にお願いします。

井上清一自由民主党外務政務次官

○政府委員(井上清一君) 先般参議院におきまして原水爆禁止の決議があったのでございますが、その決議文を国連、アメリカ、英国、ソ連に対しまして伝達した次第でございますが、その後の経過につきまして私から簡単に御説明を申し上げたいと存じます。  三月十五日参議院におきまして原水爆の禁止に関する決議が採択されました。三月十八日に右決議文を伝達する岸外務大臣の書簡を加瀬大使より国連事務総長に提出いたしました。国連におきましては、右決議を岸書簡とともに関係国に対して回章をいたしました。三月十九日右決議を在ソ門脇大使よりソ連フェドレンコ外務次官に伝達いたしましたところ、同外務次官はさっそく政府に伝達し、政府において検討の上回答をすべしと申述べました。三月二十日右決議文を在米谷大使よりシーボルト国務次官補代理に伝達いたしましたところ、同次官補は原水爆禁止問題については十分検討すべく、決議に対しては十分考慮を払うべき旨を申し述べました。また右決議文を在英西大使よりへーター外務次官代理に伝達いたしましたところ、同次官代理は関係当局ととくと研究をいたしたい、ただし今次の実験を中止するわけにはいかぬということを申しました。三月二十三日英国政府は右決議文伝達及びわが方の累次の実験中止申し入れに対する回答を西大使に手交し、その中でわが方の申し入れ及び右決議について考慮を加えていること、自由世界防衛の目的から実験は決行すること、補償要求につき検討の用意があること、英国政府は十分なる危険予防措置を尽すつもりであり、予防の警告を無視する場合以外損害の惹起はあり得ないと思う旨を通告して参りました。三月二十四日アイゼンハワー米国大統領とマクミラン英国首相は、バーミュダにおいて共同コミュニケを発表いたしまして、その中で原水爆実験制限ないし自粛に努力し、放射能による危害防遏措置に万全を期し、かつ実験を予告し、またソ連が同調するにおいては、実験の国連登録制に応ずる意思ある旨を宣言いたしました。この宣言は日本側の申し入れを十分考慮に入れた上作成されたものであります。三月二十六日ソ連外務省新聞部長は記者会見におきまして、一般の原水爆兵器禁止の問題を離れ、実験についてのみ期限つき原水爆実験禁止協定の締結の用意ある旨を言明したというモスクワ放送がございました。三月二十七日外務省情報文化局長は右放送にコメントを加え、人類福祉のため原水爆実験禁止の立場を堅持し努力を続けているわが国としては、ソ連がこの努力を認め、実験禁止の実意を持つならば、右のため英米両国と同調できる仕組みで現実的かつ実効的手段をとる必要がある旨の談話を発表したのでございます。  以上従来の経過の概要を御説明申し上げた次第でございます。

笹森順造自由民主党

○委員長(笹森順造君) ただいま政府側から岸内閣総理大臣、井上政務次官、法眼参事官、高橋条約局長、湯川経済局長、宮崎国際協力局長、近藤情報文化局長、中垣厚生政務次官が出席しております。御質疑のある方は順次御発言を願います。

竹中勝男日本社会党

○竹中勝男君 時間が制限されておりますので要点だけを御質問申し上げます。原水爆実験禁止に対して政府がはっきりした態度をもって臨まれておることについては非常に心強く思っております。吉田内閣当時は原水爆実験に協力するという態度をとり、鳩山内閣の時代になりますると、非常に消極的ではあるけれども禁止に対しては賛成の態度をとっておったようであります。岸内閣において、はっきり全面的にこれを禁止する国会の決議並びに総理の決意を世界に示されたことについては、実にわれわれは心強く思っております。ところが三月二十七日及び四月一日に、核実験中止に関するソ連に対する申し入れに対する回答並びに放送に対して、外務省情報文化局長の談として発表されたものの内容を検討しますと、必ずしも、それは岸総理や外相あるいは国会の決議から、むしろ後退したような消極的な態度が示されておることははなはだ遺憾であります。そこでどういう事情であるかをお伺いしたいんですが、第一点は、ロンドンで開かれておる軍縮委員会における、核実験の登録制に関する三国提案の討議については、国民は全神経をもって注視しておると言っております。登録制の実施は当然実現さるべきであると申しております。しかしながら登録制ということは実験を前提としておる考え方であります。むろん全面禁止のための登録制ということは言、えるでしょうけれども、少くとも国際情勢の側において、被爆国であるところの日本でなくほかの国が登録制を言うならわかる、しかしながら、日本がこれを全面的に出して問題の中心のように今世界に印象づけておるということは、非常にこれは国会並びに岸総理の決意とは反する述べ方であると私は考えざるを得ない。これは日本人はもう原水爆が人間の生命にかかわわのあるところの、世界の人類にかかわりのある重大な問題であるという経験を経ておる国民なんです。それはたとえば例は悪いかもしれないけれども、メチール・アルコールのある飲料を飲めば目が見えなくなるとか、死ぬようなことになるとかいうことはわかっておる。これはわれわれ日本人、経験者が知っておる、だからこれは飲むな、やめろと言うことが正しいと日本人は考えておる。その実験経験者が、しかしながらメチール・アルコールの飲料を、登録さえしておけば飲んでもいい、一升ぐらいは飲んでもいい、五合ぐらいは飲んでもいいというような考え方は、これは非常に危険な、少くとも日本人にとっては危険千万な考え方だと考えざるを得ない。そういう点について、この情報局長の談と総理との考え方の間に食い違いがあるのではないか。少くとも世界に対する印象に対しては消極的な印象を与えたということは、われわれは遺憾に考えております。  第二点は、こういう立場は、局長談によりますと、実際の効力のある方法は、米英両国と同調できる仕組みであることが必要である、ということを強調しておるのであります。米英と同調できる仕組みで日本はやるのだとこういう声明であります。これははなはだしい国際政治における偏向の立場を日本は示しておると私は考えざるを得ないのであります。日ソの外交交渉が必ずしも円滑にいっておりません。そういう際に依然として日本が英米偏向の立場で、この原水爆禁止の問題の解決をしようとしておることについては、私はこれは日本の国民のほんとうの意思を代表する外交方針ではないじゃないかと思います。それには国内で実験しておるものに対して、登録をしろと日本は要求しております。声明の中でも要求しております。それならばですね、アメリカ自国内で原水爆実験が行われた場合、そのつど事前にあるいは事後にわが国にどのように通告しておりますか。それも外務省から御回答を願いたい。第二点はそういう点です。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 原水爆の問題に関しましては、これが実験の禁止ということに対して一貫して日本としてはその主張を貫いております。ただすでにイギリスもそういう意向を示しておりますが、ソ連もまたこの対立した国際情勢のもとにおいて、いわば相手がやめない限りにおいてはソ連はやめられないのだ。これはやめないということがむしろ平和を維持するところの一つの道であるというふうに、お互いに対立関係からくる競争的立場からそういう態度をとっておるわけであります。従って今日この原水爆の実験を禁止せしめて、これが人類に及ぼすところの惨害を防ごうとするのに、これらの大国である三国が、何らかの形でこれをやめるということが実現されない限り、一国はやめないということを明瞭に意見を発表しております。そこでむしろやめないことは自分の方の罪じゃない、相手方の罪であるというふうな言い方で、すべての何を貫いておるということが、現在の国際情勢からきておるのでありますが、私は非常に人類のために遺憾とするものであります。そこでどうしてもこれが実験をやめる方向に持っていくとすれば、三国の間に少くとも自制の道が講ぜられ、さらに禁止への目的が達せらるるような方向に私は進んでいく以外には方法はないと思うのです。そこでこの実験の登録制という問題は、これは理論的に言えば今竹中委員のお話のように、理論的にはそこに徹底しないものがあるということは私も認めます。しかし現状からいって、それではソ連が禁止ならいい、というふうに言っておりますが、それじゃ禁止ができるかというとできない。そして無制限に行われつつある実験というものが人類に及ぼすところの、少し長い目で見た被害というものを考えてみると、実に身の毛もよだつような、私は状態であると思う。それでこれを制限し、これの自制及び禁止への目的を達する方法としては、実は登録制というものが考えられた。現在クリスマス島におけるところのイギリスの実験に対して、これほどの世界の世論が上り、そして少くともイギリス政府としても、今度の実験はやめないにしましても、相当にこれについて考慮しなければならない状態になってきておるということは、これが事前にああいうふうに発表され、これに対する何があるからここに自制なり何なり起るのでありますが、一国が全然無警告で、自分の領土内であるからといって勝手に自分の方でやっておる、というようなことである限りにおいて、私はとうてい世界的世論を起し、またこれに対してその国の反省を促し、将来について少くとも考えなければならぬ、というふうな方向に持っていくということはとうていできないのであります。この問題は何といっても国際的世論によってこれを当該国をして反省せしめる、やめさせるという方向に持っていく以外には現在のところ道がない。その何から申しますと、登録制というものによって事前にこれを明らかにし、あらゆるこれに対する方面からの批判なりあるいは考慮なりが払われるということになりますれば、自然禁止の道というものに近づいてくる、こういう見地から実は登録制というものの議論が出ておるのであります。従ってソ連の回答のごとく何か登録制をやって、そういうことを日本が言うことは矛盾じゃないかとか、あるいはただその点を攻撃して、みずからの無警告でやることを合理化しようとするような結果になることは、原水爆の問題と真剣に取り組んで人類のために考えている者から言うと、私はやはりこれに対する明確な日本の考え方を述べておく必要がある。表現等につきまして、あるいは情報局長の談話の中に十分な点がなかった、あるいは十分ではないというような御批判も出るかもしれませんが、考え方自身としては私はそういう考えに立っているのであって、従って情報局長の談話というものも、根本の考え方において私の考えとほ矛盾しておるものではないとかように考えております。

竹中勝男日本社会党

○竹中勝男君 岸総理の御説明についてやはり日本の立場としては、理論的には実験の全面的な禁止を強く要望するということが、妥当ななすべき態度であるという点については私は了承しております。しかしながらそれを効力的に現実的に進める手段として、登録制ということが考えられると言うのですけれども、ここは考え方の違いとなるかもしれませんけれども、日本のような立場にあるところの被爆国民が、世界に向って最大の集中をしてやるべきことは、一日も早くこれを禁止するという方向に持っていくことでなければならないと思います。そのために総理は特使をロンドンに派しておられる。こういう回りくどい道をして、徐々に人類が死滅に近づきつつあるような実験を、まず登録制というものに持ち込むということよりも、日本の外交方針は、どこまでも全面禁止をもっと強く、世界に盛り上りつつある世論に向って、さらに集中的にここに織り込んでいくということが、日本の世界史のこういう段階に立った一つの使命であると私は考えております。  そこでお尋ねしますが、原水爆禁止の日本協議会が原水爆の実験阻止に対して、国際抗議船団を派遣しようという動きを持っております。これは過日予算委員会で質問された人がありますが、誤解して質問しておりますので、総理のお答えもその誤解の質問に対するお答えであったので、あらためてお尋ねいたします。この船団の目的と性格は、決していわゆるすわり込み船団のような、無謀なあるいは生命の危険を及ぼすような意味のものではありません。これはむしろ日本国民が世界の世論とともに外国からの人も乗せて、今のところでは約六十人そのうちの半分は国際的な代表もすでに申し込みがあります。そうして東京を出航してハワイ、シドニー、バタビア、サイゴン、こういう各地、危険区域外を回りまして、世界の国民に向って、太平洋国民に向って、この原爆実験禁止に対する世界の世論、その世論を代表するところの日本の世論を太平洋諸国に向って訴える。続いて世界の原爆保有国に向って訴えるという意味のきわめて慎重な態度を持ち、慎重な計画に基いたところの国際抗議船団というものであります。デモンストレーション・フリートといいますか、プロテスト・デモンストレーション・フリート、こういうような意味の世界の世論に真実に、最も効果の上る方法で、人命の危険を避けて、そうして訴えていこうという計画でありますが、これについて政府は了解していただきたいと考えております。これを阻止しないでいただきたいと思っております。総理のお考えを伺いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 今の竹中委員の御質問でありますが、お話の通り、衆議院でしたか他の委員会で同種の質問があり、従来言われておったすわり込み船団のようなお話でございましたので、私はその考え方は良識に反しておるから、良識に基いて、その気持はわかるけれどもそういうことは方法として適当でないだろう、というお答えをしておいたのであります。今御指摘のような方法であって、良識から見ても、良識に反するものじゃないのじゃないかという、御説明のような趣旨のものでありますれば、私のこの前答弁いたしました趣旨とは違って考えなければならない。よくその内容を検討いたしまして、もちろんこれらのなににつきましてはわが方の考え方もございますし、またこれらの国々の大体の意向というものを全然無視して、日本から非常に押しつけがましくやることも外交上考えなければならないことでありますから、私は検討して参りたい。決して初めから頭から阻止とか、さっきの良識に反するというような、従来の答弁のような気持ではなしに、そういう計画等も十分に検討いたしまして措置いたすことにいたしたいと思います。

竹中勝男日本社会党

○竹中勝男君 もう一つの問題に触れていきたいと思います。それは日中の関係の問題なのであります。  只今の岸総理の御答弁は大へんありがたいと思っております。これをさらにわれわれは慎重に計画をいたして進めていき、さらに政府にも十分御了解を得たいと思っております。できればさらに国会からも各国に一つ原水爆禁止に対しては、人を派してこれを了解させる、あらゆる団体からもそういうようなふうに持っていかれるように希望しておきます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 関連して。今の御答弁を聞いておりますと、登録制問題について明らかにならないまま進もうとしている。ちょっとその点、私伺いたいのです。岸総理の言明と、国連での登録制提案が食い違うのではないか。こういう疑問もございますが、それは他の委員から御質疑があるだろうと思います。私がお尋ねをしたいのは、登録制問題について、これは情報局長の言明でありますが、それを肯定するような総理、外相の答弁でございました。ところがクリスマス島での実験を中止させたいということで、あらゆる努力を今されておる。さらに中止させるべきだという決意をしばしば表明されました。そういう中では今国連なりその他で、登録制の問題を進めて参りますことは、今のクリスマス島での実験を中止させるのに私役立たぬのではないか。従って中止についていろいろ議論が出ておりますが、これは関係者の中で、オーストラリアの労働党首からも話が出ておる。あるいはイギリスの労働党からも話が出ておりますが、さしあたり米ソ英三国で首脳会談を開いて、中止について直ちに協議をすべきではないか。こういう具体的な提案が、私は中止させるのに一番有効な方法ではないかと考えておるのですが、さしあたりこの問題について、クリスマス島の実験中止の方法には登録制の問題は役立たぬ。それにはそういう提唱がありますから、これについて総理としてどういう方法を講じたら中止をさせることができるかという点に考慮がありましたら伺いたい。  なお付け加えて伺いたいが、この空中の放射能の危険について、日本の学者その他からずいぶん言われているのですが、現状で放っておいて、ストロンチウム九〇の増加率は三年後にはこれは限度をこえる、特に実験を続けるならば五百をこえると、こう言われている。今日その点については、政府としてもこの空中放射能の危険性の増大、それから人体に及ぼす影響等も強く訴えて、即時実験が中止されるように努力せらるべきだと思いますが、それらの点についてどういうふうになさっておるか。その二点について伺いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 登録制の問題はわれわれは先ほどから申し上げているように、国際情勢として、少くともその第一歩としてこういう制度を作るという将来に向っての問題でございます。しかしクリスマス島については、われわれは終始一貫その中止を要望いたしまして、あらゆる方法において、英国政府の反省を促す方法をとっておるのであります。しばしばわが方の正式機関からその抗議を申し込んでおることも御承知の通りであり、また近く松下特使を派して、マクミラン首相とも会っております。マクミラン首相も、日本の国民の感情といいますか、考え方に対する根本につきましては、自分はよくわかるということを申しておりますが、なかなか今度のクリスマス島の実験を、しからば中止するという結論が出ないことは、私ども非常に遺憾とするところでありますけれども、しかしわれわれとしては、あくまでもクリスマス島に対しては実験を中止せしむべきわれわれのこの要望というものを、強く英国政府に求めておりまして、英国政府も決してそれに対して、お前の方は登録制を言っているからやってもいいじゃないか、われわれの方は通告しているからやってもいいじゃないかというような意味において、日本に対して応酬は一切いたしておりません。ただ自分の方としては、あくまでも自由主義を守る方法としては実験を中止するわけにはいかないという一点張りでございまして、しかも日本国民の何に対しては相当に私は理解をいたしておると思うのであります。これはなお私ども特使を送ったからそれでもういいんだ、向うはやめないと言うたからそれでいいんだとは絶対に考えておりませんで、なお合理的な方法によって、あらゆる方法によってイギリス政府の反省を求めることは続けてやろうと思います。  ただ登録制の問題は、少くとも全体的に見て、国際情勢から見て、さっきも申し上げましたように対立しておってその罪を相手方に帰して、そうして自分のやることを当然であるというふうにしておる現在におきまして、どうしても三国がなんか一致してその方向に一歩でも二歩でも進ましていかなければならぬ、というのが現状であるとこういう意味において、登録制というものを将来の制度として、一応の禁止への第一段階として提唱しているわけでありまして、その点におきましては、イギリスに対する関係は、別に今申しましたようにあらゆる方法をもって中止の方向に、できるだけの努力を今後いたしていきたい、かように考えております。

竹中勝男日本社会党

○竹中勝男君 中国における行方不明者、未帰還者の調査の問題についてお尋ねいたします。  終戦後すでに十二年たっておりまして、まだ中国における四万人ほどの日本の同胞が生きておるのか死んでおるかもはっきりしないという状態、留守家族に対して知らせることができないという状態に置かれております今日、政府がいよいよ責任を感じて、従来の態度を一擲して北京に向って腰を上げるというようなふうになってきたことは、私は大へんいいことだと考えております。まさにすべきことだと考えております。すでに人道上の協力を先方に求める岸総理は、この未帰還者調査については中共政府と直接交渉をする考えがあると、個人的にそういう考えを持っておるということを、未帰還者留守家族大会の代表に対しても答えられているし、また参議院の予算委員会におきましても、人道問題から善処したい、中国に引揚促進に努力しておる国会議員の派遣、さらに必要に応じては政府の役人をも派遣することを考えておるというように答弁せられております。一昨年以来ジュネーブで田付総領事と沈平総領事とが、未帰還者の問題については交渉を繰り返しておりますけれども成功しておりません。むしろ失敗いたしております。それは日本の立場、総理の確固たる立場、人道上の協力を先方に要請したい、で、人道上の上からこの問題を解決して行きたいと言われておるが、この立場と多少ジュネーブの交渉の立場が違うように思われるのであります。というのは日本軍国主義者が中国に侵略戦争をやりました最中に、一千万人以上の中国人を殺傷しております。百億元以上の中国の公私財産を奪っております。また外務省の調査によりますと、戦時中に三万八千三十五人の捕虜を日本に連れて来ております。そうして日本の鉱山や炭坑や埠頭の荷揚げに奴隷のように使いました。そうしてそのあげくのはてに一部は死んでしまい、一部はむしろ虐殺のような形をとって死亡しました。その数が六千八百三十人と報告されております。こういう問題について日本が人道上の義務を十分果さないで、先方に人道上からこれを調査してくれということは、やはり沈平総領事がこういう事実を指摘して日本の要求に応じないという事実に照らしても、相当考えなければならない点だと思います。  そこで、われわれ民間人が政府にかわりまして、すでに六回にわたりまして、この六千八百人の日本における捕虜の死亡者のうちの約四千体の遺骨を向うへ送還いたしました。そうして第七次の遺骨をすでに四百体ほど安置してこれを送還しようといたしております。これに対しまして中国は、日本がこのように人道的な配慮と努力をしておるということに対して感謝を表わしたいと申しております。中国紅十字会が来たるべき最近の機会に、日本に感謝使節を送りたいと申し入れてきております。これはほんとうに人道的に問題を解決するための唯一の窓口であると私は考えております。そこで、過日私どもが属しております慰霊実行委員会の幹部が厚生省に参りまして、中垣次官にお目にかかりましてこの事情を申し述べました。何とか政府においてこの遺骨の問題を取り上げてもらいたい。そうしてこれを契機にこういう人道的な処置を政府がしているということを通して、それによってさらに先方に対しても人道上の問題であるから、四万近いところの日本人の行方不明、未帰還者の調査に当ってほしいというふうに、そこで交渉の窓口を開いていただきたいと私はお願いしたのですが、政務次官は非常にりっぱなそれに対する態度をもって、大体原則的にその問題を了承されておりますが、この点につきまして総理にあらためてこの委員会で所信を御表明願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 従来この中国人の労務者の遺骨を本国に還送することにつきましては、遺骨慰霊実行委員会という団体において非常に努力をされまして、今日まで相当な結果を得られておるのでありますが、今お話の通り、人道的立場からこれらを丁重に本国に還送することは、私は日本として当然やるべきことである。政府としてもできるだけそのことを完全に、かっできるだけ早く実現できるようにこの上とも同団体とも連絡をとりまして、政府としても積極的にやって参りたいと、かように考えております。

竹中勝男日本社会党

○竹中勝男君 一言最後に。国交回復前のことでありますからして、民間の団体が政府にかわっていろいろそういうことの折衝に当ってきておるわけです。この未帰還者調査、あるいは日本人の遺族巡拝、日本人の遺骨を送還してもらうという問題につきましても、政府がだだ事務的にそれをやるというような立場でなくて、平和三団体あるいは慰霊実行委員会と十分にやはり懇談の機会を持たれまして、またその上に先方についても、中国の当事者、紅十字会に対しても、慰霊実行委員会の今までやっておった仕事を日本の政府がさらに力を入れて、政府みずからこの人道的な責に当りたいということについては、十分向うに了解さす必要があると思います。そこで、私どもは、第七次の四百体の遺骨をなるたけ早く、これは日本人の誠意を表わすために向うに届けたいと思っておりますが、これにつきましてその機会に、向うの紅十字会当局に向って、日本の政府の誠意を十分われわれの口から向うに了解をつけていきたいと思っておりますが、こういう点についてお伺いをしたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 十分一つ今までこの仕事をやっておられました民間団体とも協議をいたしまして、またこの四百体の現在あります遺骨を向うへ届けることにつきましても、政府としてはできるだけお力添えをいたしまして、これが実現をし同時に、今後における人道的立場からのわれわれの気持ちも、十分に向うに理解してもらい、また人道的立場からわれわれの方から向うの協力を求めることについても、理解を深めて参るというふうにいたしたいと思います。

石黒忠篤緑風会

○石黒忠篤君 原水爆に関しましては、先般の参議院の決議の際に、私はきわめて概略を申し述べて賛成を表したのでありますが、その後政府におかれては、松下特使を派遣されて非常に努力をされ、松下特使も非常な決意をもって当っておられることを私は感謝申し上げます。ことに原水爆禁止の問題を一般軍備縮小の問題と切り離して、より高い問題といたして取り扱おうとせられておるやに拝することは、私は最も同意を表するところであります。政府のそういうような態度でこれをお取り扱いになることを、私は熱心に希望をいたすものであります。段々総理のお話にもありますように、各国がそれぞれ国家的見地もしくは国家群的見地に立って、ただいま交渉をしておる際に、原水爆の実験禁止ということを直ちに実現するということは、事実上むずかしいということは私も了解をしております。しかしそのむずかしいことをやるためには、いろいろな方法を用いなければなりませんので、特使も派せられたことと思うのでありますが、私は、一番根本的な問題は、原水爆の実行ということはむろんのこと、実験ということも、これを回を重ねると、取り返しのつかない人類衰滅の方向に一回々々近づけつつあるのだということ、及びこれが人類の遺伝に対してどういう効果を持つかということを、実証をもって大国の首脳者に良心的に考えるように仕向けて行くということが、根本において一番大事じゃないかと私は思うのであります。その意味において、原子力関係において、どうしてもネグレクトされがちの、つまり原子力関係のマイナスの面の調査研究ということに、日本国は唯一の被害国である、またこれの禁止を熱心に主張する国であるのであるから、国の財政の方面のみならず、厚生の方面から行きましても、力を尽すべきだと私は思うのであります。原水爆実験の結果が、人体の個体に対して直ちに及ぼす影響に関する医学的の問題の研究も必要でありまするし、平和利用に進みましての取扱者の衛生の問題も大事でありますが、人類の将来に対しまする遺伝学的の研究、ことにそのマイナスの方面、遺伝の方面に対しまする研究というようなことは、原子力平和利用の盛んになって参ります今日におきましては、非常に必要なことであるにかかわらず、プラスの積極面の方の施設だの、調査だのの方面に金が行ってしまって、その方面がなおざりになるということは非常に注意しなければならぬことだと思う。ただいま日本の国立遺伝研究所に対しまして、国家がどれだけの力を入れているかということに想到いたしますと、はなはだ私は不満を感じるのであります。もっとこれに対して財政的に援助をいたして、援助をいたすのではない施設をいたして、こういう方面をすみやかに研究させなければならぬ。ことに遺伝の研究というものは時をかけなければならぬ。ショウジョウバエの実験であるとか、二十日ネズミの実験であるとか、こういうものにつきましてできるだけ早く結果を出すために、数ゼネレーションを一年に試験してみることのできるものをとってやっておりますけれども、その規模はきわめて小さく、しかもこれをもって実証をして行くという純アカデミックな研究をやるためには金が要るのであります。しかし国家財政の全体から見れば大したものじゃないのであります。ゆえにこれらの研究者を督励をいたして、積極的にそういうことを早く実験してみて、その純学術的結果をもって大国の政治的首脳者を説伏をする、説き聞かせるということが非常に大事だと思う。そこで私は先ごろからこの方面について連絡をさせ、また研究をしてもらうように努力をしておるのでありますが、ここに申し上げたいことは、その結果をできるだけすみやかに出すということは、日本国といたしましては特殊の地位を持っておるのであります。何であるかと申すと蚕を供試動物に使うということであります。蚕は一年に七ゼネレーションくらい飼うことができるのであります。そこでこれを利用をして、すみやかな期間において数ゼネレーシロン、十数ゼネレーションの後にはどういう影響が現われるかということを実験をし得る国は日本以外にはないと思います。で、これらの点を十分に総理はお考え下さって、そうしてこれらの方面で実証的の純アカデミックの研究の結果を携えて、そうして世界の政治家を説いて、現代の人類が後代の人類に対して罪を犯すことのないように、この原水爆実験を禁止しなければいかぬということに、強い主張の根拠を得られるようにしていただきたいということを私は要望いたしたいんであります。で、それは一年をゆるがせにしちゃいけないのであります。本年の遺伝研究所の拡張はわずかに二十日ネズミを五万頭飼うだけに対しまして、九百五十万円ぐらいの予算の拡張を認められているにすぎないんであります。そこで蚕の飼育のごときは旧態依然たる一棟の養蚕室があるにとどまっておる。農林省の蚕糸試験場あたりの方と連絡をとられて、急速に本年から一年のうちに七世代も飼えるというものについての実験を進めてもらうように、私は慫慂して回って歩いておるのでありますが、それのためには将来の予算の拡張ということはむろんでありますが、本年度の予算については相当の流用を認めなきゃならぬと思うのであります。こういうことについても十分にお考えを願いたい。なお人体に入りましたところのストロンチウム九〇といったようなものを検出するがために、あるいは私は将来火葬の骨の灰というようなものの一部分の提供というようなことを命ずる等の法制的の整備もするというようなことにして、純学術的に研究をしていただくというようなことをいたして、原爆をこうむったわが国、水爆実験をもこうむったわが国の示し得る実際上の影響というものを、学術的に調査することに対して財政的、法制的方面を十分に考慮していただきたい、こう思うのであります。これらに関しまして岸総理のお考えを伺いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 原水爆の実験禁止の問題に関しまして、これを科学的な見地から世界に訴え、また各国の首脳者に対して、被害というものを科学的に実証して反省を求めるということはきわめて必要であると思います。今石黒委員のお話の具体的の遺伝上の研究であるとか、その他あらゆる方面からの国家研究機関が、これをできるだけ早く有効にその試験研究をすべきであるという御意見に対しましても、全然同感でございまして、関係の方面と御趣旨のような点においてできるだけ研究が促進されるように、私としても努めて参りたいとかように存じます。

石黒忠篤緑風会

○石黒忠篤君 もう一点。ソ連は原水爆実験の即時禁止を主張しておるのであります。今回の回答にも、これに関しまして、わが国に対しましてさらにこの主張をするから同調をしてほしいという要望をしておるのであります。私は原水爆禁止をなるべくすみやかにやるという主張に対しましては、その申し出が裏にいかようなことがあろうとも、これを全面的に言葉通りにとって同意をする、疑わない、こういう態度でいくことが原水爆を持っておる国々の、それについてのこだわりを解いていく上において必要な段階だと考えるのです。この問題は近い将来において必ずまた出てくる問題だと思うのでありまするから、それに対しましては岸総理の深い御考慮をお願いをしておきたいと思います。私の質問はこれで終ります。

野村吉三郎自由民主党

○野村吉三郎君 時間もありませんから簡単にお尋ねしたいと思いますが、私は大体岸外交の理想はけっこうだと思っております。反対すべき理由はないと思います。また総理大臣がアメリカ、東南アジアその他の国へお出かけになるということも、これも御苦労であるけれどもけっこうなことだと思っております。国際連合を中心として外交を進めていくということもけっこうですが、今の国際連合はまだ発達の道程にあって、その中にはいろいろのブロックもある、それで日本の安全保障のことを一つどういうお考えでおるかをお尋ねをしたいのですが、中ソ同盟があって、それが日本及び日本と結びついておる国を目標として、日本ということを明らかに書いて、そうしてこれができたのでもあるでしょうが、これに対するために、日本国とアメリカとの間には保障条約ができておる。これで私は国際連合の根本方針から少し離れておるように思うけれども、今のまだ発達せざる世界においてはバランス・オブ・パワーということは旧式の言葉で、なるべく世界からはなくなるようにならなならぬのですが、実情はバランス・オブ・パワーでいって、おる。それで朝鮮事変のようなことが日本では起らないんだということを言っておるのであります。そうすればこういう観点から見ますと、安全保障条約の内容には改善すべきところはあるでしょうが、大体その根本方針は当分維持せなならぬのである。この方面における安定を保つために維持せなならぬのであるというように思うのです。そうすればそれに対する日本の義務として、直接間接の攻撃に対する日本の兵力、自衛力ができたら、アメリカは引き揚げるようになっておるということを考えてみますと、これがいっそういうふうになってアメリカが日本から退却するのであるか。私は横須賀、佐世保、ここの府中、横田あるいは名古屋の小牧だとか、福岡の近所における板付とかいうような所は、これは当然アメリカが日本に自衛する力があると認めたときには退却すべきものであって、その時期は独立国家日本としてなるべく早く実現するように努力するのが当然というふうにまあ感じておるのですが、十年ぐらいかかるであろうと初めのうち私は思っておったのですが、今の状態は、今日からでもやはり十年ぐらいそれにかかるのじゃないだろうかというふうに感ずるのであります。まあだんだん自衛隊もそろりそろりとできていますが、海空の方を見ても、日本の領土を守り、領海を守り、日本人が必要とする食糧、原料の一年に四千万トンにも達しておるこの船舶、シッビングを守るためには、これでは今の力ではとても話にならぬ。そういうような事態であれば、この保障条約から見てアメリカの退却がだんだんおくれるのじゃなかろうかというふうに感ぜられるのでありますけれども、近く総理がアメリカにもおいでになる。アイゼンハワーその他の政府当局は自由諸国の安全保障というようなことに対しては非常な関心を持っておるのでありまして、当然そういう問題に触れると思うのでありますが、その御準備かとも思うのですが、国防会議も近いうちにお開きになるというようなことを新聞に報ぜられておる。そういうときに、総理は議長でいますし、どのくらいの見当をもってアメリカが横須賀、佐世保を退却する、空軍基地から退却してもらう、日本が自主独立でみずから助けて、大体当面の問題については日本が大丈夫だと、大きな問題になれば集団保障ということはこれはやむを得ぬでありましょうが、当面の問題については大丈夫だという御見当をおつけになることだと私は想像するのでありますが、横須賀、佐世保あたりをいつごろまでに退却してもらうかというようなお考えを、これはおいでになる前にそういうことまで、こまかいところまでお伺いするのは無理かとも思いまするが、どういう大筋か、どういうふうにお考えになっておるのか、それを伺っておきたいのでありますが、御答弁も事前にそういうことをいろいろなことを話をするということもいろいろ無理な点もありましょうから、ごく簡単で、大体のところでけっこうでありますから。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 言うまでもなく、日本国民がこの国際情勢の中にあって安全であるという安全感を持ち得るようにすることが、あらゆる面においてこれは根本であると思います。ところが、そのために自衛隊というようななにもだんだん今国力に応じて漸増して参っておりますが、現在の国際情勢から見て、日本の自衛隊だけで日本の安全が保障されるとはだれしもが、まだ国民の大多数というものはそう考えないという場合におきまして、日米共同防衛によって日本の安全が保障されていくという現状につきましては、根本はそういう仕組みを考えなければならないと思います。ただこの安全保障、日米共同防衛の関係上各地に基地があり、また安全保障条約等による日米の関係というものを考えてみると、これまた国民の気持からいうと、こういう状態をそのまま長く続けていくということはだれもがこれを望まない。従ってその間における調整をどの点においてやっていくかということは、日米両国の関係を調整する上から申しますと、私は最も重要な点であると思います。今日において日本においてはまだ長期防衛計画も立っておりません。こういう状況の下において、日本の将来の防衛力の漸増というようなものを考えるという事柄につきましても、非常に私は薄弱な状態にあると思うのです。そこで国防会議法が設けられ、国防会議というものによって国防の方針及び長期計画というものを立てるということになっておりますから、これは私がアメリカに行く行かないにかかわらず、できるだけ早くそのことを検討して、その長期計画を持って、そうして年々の予算というものがその線に沿って編成されていくようにし、また日本の防衛計画について、国民も十分に理解とそうして協力と決意とを持ってこれに当るというふうに努めなければならないのでありますが、その計画の基礎がまだ固まっておらないというのが実は今までの状況であります。それは私の訪米のいかんにかかわらず、日本としては当然責任をもって政治を行います以上は、それを考えていかなければならない。そうしてアメリカとの関係において、防衛問題というものが日米の関係を調整していく上において、非常な重要な一つの問題であることも当然でございますから、こういう問題に触れてもアメリカの首脳部との間に話し合いが当然行われることも、私はそういうことに触れることは当然と思います。しかしやはり日本の国防計画というものは、日本が自主的に独立の立場から考えるのであって、また日本の独立を完成する意味から申しましても、従来のようにアメリカによってアメリカのために、何か防衛力を増強しておるような気持を国民に与えておるということは、私は非常に根本的に間違っておるという見地に立ってそのものを検討して参りたいと、こう思っております。具体的に今お尋ねになりました、何年ぐらいすれば横須賀やあるいは佐世保等の基地のアメリカの駐留を撤退させることができるかということにつきましては、今具体的に私は意見を申し上げることも適当でないと思うのみならず、先ほど申しましたような、長期防衛計画が日本にまだ樹立されておらないときに、そういうことを具体的に言うことは実際上できない、こう思っております。

野村吉三郎自由民主党

○野村吉三郎君 私どももそういうふうに思いますが、独立国として自助の精神をもって国民が自分の国を守るのだという観念を持つ上からも、いつまでもいつまでも無期限に横須賀、呉、呉は少し返ってきましたけれども、佐世保、すべてこれはアメリカが持っておる、航空基地を彼らが持っておるというのでは、両国のほんとうの親善のためにも好ましからざる形じゃないかと思います。ある一つの建設的な案を立てて、何年後には大体自主的にやれるのだ、必要の折はまた条約によって両国共同をするというようなところまで持っていかなければならぬと私は思っておるのでありますが、フランスはブレストをアメリカに貸しておったことがあるのですが、これは戦争の期間だけで、日本は戦敗の結果無防備になったのですからして、これがずっと長く続くというような感もあって、どうも独立国として自立するという国民の意思がだんだん消えていくというような感も抱きますので、そういうところで大体の見当を御検討になることも、国防会議を主宰なされる上において必要なことではないかと思っておりますので、一つお尋ねしたのであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 国連の外交について六つばかりお伺いしたいと思います。  第一点は原水爆の事前登録制について。これはどうも原水爆を持っている大国のような顔をして、非常になまぬるい案だと思うのです。これの直接の批判は竹中委員その他からありましたから、国連における取扱いについてお伺いします。この問題を沢田代表が取り出したときには、その会議のしょっぱなでソビエトが実験の即時禁止を提案した。それがためにどうもソビエトに同調するのはおもしろくないから登録制の案を出した、こういうふうに考えてよろしいかどうか。  第二点は、沢田、佐藤、ここにおられる佐藤代表などが行かれたのは去年の暮で、会議の始まったのは一月の十六日ごろ、第一政治委員会が開かれた。石橋内閣ができて、総理は内閣ができてごたごたをして岸総理大臣も忙しかったと思うのですが、どうも国連代表部におけるところの代表の活動は、政府が、サル回しのサルを動かすように緊密な連絡があったと思えない、むしろ代表部は独断で動いているような感じをすら受けておる。政府は果して訓令をしっかり持たしてそしてやったものか。あるいは内閣交代のごたごたのために、外交というものは継続してやるからふらふらと手放しにしておいたのか、この二点。  第三点は委員会。国連におけるこの問題の取扱い方について、日本の代表部はこれを総会であくまで問題にしていく、軍縮問題に関するからというので、軍縮小委員会とかあるいは軍縮委員会に下げてしまわぬ、総会でたくさんの国の中で一つやっていきたいというのが方針で、そのように演説をしておったようですが、アメリカは、日本の主張をいれるから一つ共同提案国になってくれないか、こういうことを申し入れてきたようです。そこで代表部はこれに賛成したが、アメリカの、案というものは、やはり軍縮小委員会に持ち込もうとした。そこで代表部はそれでは困るというので断わって、ノルウェー、カナダと一緒になって、三国共同提案ということで案を出した。ところがいよいよ表決にしたいという日本政府は態度で臨んだ。そういうことは三分の二以上の賛成が取れそうだというので、大へん張り切っておったようですが、アメリカ側からまた今度は、それは表決に付さないでくれ、こういうことを持ち込んだ。そうするとお隣りのカナダはまつ先に承知しましたと承知し、ノルウェーが承知する、日本は承知したくなかったんだが、ついに折れてこれを軍縮小委員会に下げさせられた。こういうところは非常に不明朗なのですが、一体アメリカの腹はどういうところにあるか。国際会議ですからいろいろかけ引きもありましょう。しかしなんとも不明朗なので、その間の事情を承わりたいことが第三点であります。  それにこの問題の取扱いについては、政府には大体準備が不足のようであるということは、登録制ということの一方に即時禁止、この禁止ということも準備をしておったようでありますが、政治委員会にかけるだけの資料、その他の整備が整わないために、登録制だけで終っちゃったというようなことにもわれわれは見ております。  それから本国政府の方は何か気乗り薄で、たとえば表決の問題でアメリカはそれをやらないでくれというようなことを言うと、本国政府の方は当時岸外務大臣はどうもソ連の方に賛成しがちで、出先の方を支援するというような強い態度が見られなかったことであります。それから、もう一つは、東西のかけ橋と言いながら、加入早々に東西間の対立に巻き込まれた感があると思う。こういうことを私は国連における取扱いに感ずるのです。四点になると思いますが、御答弁をお願いいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 国連の加盟は御承知のように昨年の暮できまして、本年第一回の総会にこれは参知したわけであります。いろいろこの第一回のわれわれが加入した最初の総会の各般の事情につきましては、詳細にわれわれも今検討をいたして、今後の総会に臨む態度なり、あるいは議事に対する処置なりというものを考えていかなければならないいろいろな点があると思います。お話のごとく十分な準備と十分な連絡、その他あらゆる国連に加盟して後の日本の活動が、われわれが期待しているように十分にいかなかった点は、確かにいろいろな点においてあると思います。しかしこの原水爆実験の登録制の提案についてのいきさつにつきましては、これは決して今お話のようにソ連が提案したから、それに対抗する意味においてするというようなことを考えたわけじゃございませんで、むしろ国連におけるところの一般の空気なり、あるいは各国の意向等も打診して、この問題についての処置をきめたわけであります。われわれ日本の意思は、あくまでも実験禁止に対してこれを実現することに向ってあらゆる努力、またそれを実現するようにあらゆる機会に日本の意向を示すということが、いうまでもなく根本の考え方であります。で、この実験登録制の問題につきましてはいろんな御批判もあるようでございますけれども、代表の演説にもはっきりいたしておるように、われわれは実験禁止ということをあくまでもこれを目標にし、またこれを実現しなければならぬが、今の現状から見て、その第一歩として登録制をわれわれは提唱するという意味のことが明らかにされておると、そういうつもりでございます。  また議事の取扱いにつきましては、代表その他が一々本国政府とすべての問題について打ち合わすということじゃなしに、相当な程度において代表が独自の判断でやり得るところのものを認めておることはこれは当然だと思うのです、こういう会議の何から申しまして。しかして今の御質問の御意見によりますと、主として日本がアメリカの意向を伺うことによって行動がきわめて不明朗である、というふうな印象をもって御質問になっているようでありますが、私どもは代表からの報告その他会議の模様についての報告によりますれば、やはり会議国の全体の意向というものを十分に、この代表及び日本のスタッフにおきましては検討して、これに対して議事を進めていくということに努めたわけでありまして、決してアメリカの意向によって左右されたというふうには私どもは考えておらないのであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 時間がありませんから追っかけてこの問題はやりませんが、東西のかけ橋と言ったんですから、東西の対立に巻き込まれないようにきぜんとして一つやっていただきたいと思います。  あとの二点を一括して御質問しますが、一つは国際司法裁判所判事の選挙の問題、もう一つは国連分担金の比率の問題でございます。国際司法裁判所の判事の選挙がありまして、日本では栗山さん、それから中国からは顧維鈞が出馬してとうとうこちらは負けてしまった。一体この判事の後任を見つける場合には、徐謨という人が死んだので、その人の後任ならばそのやめた国から出すというのが大体まあ慣行であったようでありますが、あえて栗山さんを立てて戦った、しかも負けてしまったんですが、どうしてもそんなにせく必要があるのかどうか。ことし秋の選挙まで待ったっていいんじゃないか。出ればこれは選挙と同じで、やはり勝たにゃだめだ。そこらの点ではなはだ手ぬるかったと思うのですが、どうでしょうか。  第二の点は、国連の分担金ですが、日本は国民も政府も御存じのように入れてくれ、入れてくれと泣き事をいって入った。入ったとたんに分担金の比率になったら、対外債務がある、賠償金がある、国民所得を計算されたんじゃかなわない、新加入国が多くなって八十カ国になったから各国の分担率は八十分の一になるのが普通なのにおれのところは多いという言い方は、これは醜態じゃないか。というのは、分担金は機械的なものできまっていないと思う。国民政府やインドの分担金は少し政治的な配慮があるとみえて、日本より少し上五、六倍にあると思います。この際過去のお願いの因縁、また日本をりっぱな大国の風格を持っている国としてみんなが認めてくれるのですから、金のことで済むならばおおらかに応じてよかったと思うのですが、御意見を伺いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 国際司法裁判所の判事の選挙の問題につきましては、今お話のようにやめて欠員を生じた国の人がなるという先例もありますし、そうでないことも先例としては、必ずしもそれにきまってないわけであります。結果において選挙に負けたということは、これはどうもはなはだその結果だけからみると、まずいじゃないかといわれれば、これは一言もないのでありますけれども、われわれとしては、栗山君が非常に適任であり、また国際的にも相当に同君に期待するところもありますので、今回立候補していただいたのでありまして、先例としてはそういうふうに両方があると思います。  それからこの分担金の問題につきましては、もちろんわれわれは単にこれを値切るということだけが目的ではないのでありまして、もちろんわれわれとして適当な分担額につきましては、国際的の機構に入っていったわけでありますから、日本にふさわしいものは分担することにやぶさかでない、かように考えております。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 私は三点だけ御質問したいのであります。第一は原水爆実験禁止の問題についてでありますがこれはあとで申し上げます。これはきょうお答えを得ておく必要がある。第二は、いわゆる抗議船団といいますか、すわり込み船団に関する法律問題、これはまあきょう直ちに、法律問題ですから、最終的な御返事はなくてもけっこうであります。御質問だけしておきたいと思います。第三は沖繩問題、これも法律問題ですから突然で恐縮ですが、あとでお答え願ってもいいと思います。  このまず最初の実験禁止の問題ですが、ソ連の主張、イギリスの主張、さらにはこのバーミューダ会談における米英の首脳部の発表等を見て感ずることは、先ほどからずっときょうの委員会で議論になっておりました登録制度の問題、あるいはこれは当面の実験の禁止、あるいは中止に間に合わない感があることはおわかりの通りであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)そこで、しからばどうしたらいいかということで考えてみると、ソ連の言っていることにも納得できない点が多々あるのでございまするが、まあ石黒委員が指摘されたように、とにかく禁止協定を作ろうじゃないか、こういつているわけであります。従って、禁止協定というものについてまだ交渉に入りもしないのに、あるいはバーミューダ・コミュニケ等にもあるように、実際は実効が上らない、あるいは協定を作って違反があった場合にこれを検知できない、ディテクトできないということを頭からきめつけて、そうして話を進めていかないのでは、これは全く行き詰まりになるおそれが非常に大である。そこでソ連に対しては協定々々とばかわいわずに、協定を作るに当ってね、どうしたって協定を守るについての若干の、どうしたならば協定を守られるかという問題について、どれだけの準備と誠意があるかということを突きとめるために交渉を持っていく、こういうことが必要ではないか。また米英に対しては、先ほど私がすでに言った論点ですけれども、要するに、とても今の進歩からいえば、小規模の爆発をやってもこれがなかなか探知できない。しかもソ連はどうせ協定々々と言っているだけなんだろうから、だから協定の交渉にも入らない。この態度でいく限りこれは米英側の立場にかりに立っても、それはソ連の言ういわゆる平和攻勢に負けた形になる。それに対しては少くともイギリスにおいては、協定の交渉に入るべきだというまことに公正な議論がある。従って私の結論は、まあ国際連合の総会で、ああいう登録制度にきまったことは私は不幸なことだと思います。今実験禁止あるいは中止を叫ばなければならないときに、軍縮委員会の一つの課題としては、一つの試案であるかもしれませんが、当面性の乏しい、あるいはむしろ逆効果の考えられるようなそればかり追わずに、もう少し新たな観点に立ってイギリス、アメリカに対しても、ソ連に対しても十分に、この理窟のある点はこれは何といっても協定を作る、これはまあ先ほど吉田委員から頂上会談のお話がありましたけれども、頂上会談でもいいですけれども、むしろそういう協定を作る具体的の努力が一つもなされていない。そういえば軍縮小委員会においては、この問題に触れているではないかと言われるかもしれませんけれども、軍縮小委員会から切り離してでも、この実験禁止の協定を作る真剣なる努力と交渉を、双方に向って強く叫ぶことが最も適切と思うんですが、この点は非常に緊急性があるので、ぜひもっと、今までの既定のコースを追っているだけでは打開はできないので、その点について真剣なる考慮とすみやかなる御処置を願えるかどうかを伺いたいわけです。  第二の点はいわゆる抗議船団、すわり込み船団と言われていますが、私は、ヒュウマニズムを貫く見地から、どなたもほんとうに危険区域に入って身をさらしてやるということではないと思います。かりにそういうことがあった場合に、一体イギリス側は公海において彼らの警告を無視して飛び込んだ場合に、これを実力をもって追い払う権利があるのかないのか、私は国際法上権利はないと思います。またそういう場合に日本政府としては法律をもってこれを禁止することは、私はできない問題の深刻さというものがここにあると思う。そこで今原水協が考えているものは、今竹中君が言われたようにいわゆる危険区域に入ったすわり込みではないということで、私は、まさにそういうことでなければならぬ、大きな抗議の一つとして、あるいは中止するためのあらゆる抗議の一つとして考えられているだろうと思うのです。一つの法律論として考えた場合、一体、公海における実験について立入り禁止ということを、権力をもって排除できるものでは私はないと思う。これがまたイギリスにおける一つの大きな世論の自省という、私はプラスの面もあると思うが、法律の面についてどうお考えになるか、あとでもいいですから十分の御研究の上にはっきりした御見解を承わりたい。  第三は、沖繩の問題で施政権の返還についてでございまするが、一体、平和条約の趣旨というものは小笠原、沖繩等、当時はまだ奄美大島も入っていたわけですけれども、これの処分について第三条の趣旨というものは信託統治にする、これが趣旨であったわけですね。従って信託統治にするのですが、信託統治にするまで若干時間がかかるかもしれないから、その前において立法、司法、行政の三権の全部または一部をアメリカが施行、行使することを認める。すなわち現在の事態のように施政権の行使が行われているのは、一つの目的が達成するまでの単なる一時的経過規定としての効果しかなかった。ところが何人も承知しているように、現在不幸にして冷戦が続いておる限り戦略信託統治である。これらの地域を国連の安保理事会において戦略信託統治にすることは、事実上不可能です。そうするとこの三条の規定そのものが置かれている基本というものが完全に法律的にくずれてくる。従ってそうなればその経過規定である施政権を持っておることが、そう無期限にいつまでも合理づけられることはあり得ないと思う。従って施政権を持っていることは、アメリカから見た場合戦略上のいろいろな考慮はあるでしょう。しかしそれは法律的に条約的にはむしろ根拠を失ったと言っても過言でないような、きわめてその根拠の薄弱なものであるということは、法律論として私は論議の余地はないと思う。この点についてどうお考えになるか、以上三点についてだけお伺いいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 原水爆の実験禁止の問題につきましては、先ほど来申し上げているように、私はあらゆる合理的方法によって世界の世論を高めること、及びこれを持っておる三国の間における三国の反省と自省とをわれわれは要望して行くつもりでおります。つきましては、登録制というものに私どももこだわって考えてはおりません。もちろんこの前の総会のなににおきましてはそれを第一歩として提案し、これが軍縮小委員会において、ロンドンにおいて議論されておることは、考究されておることは当然でありますが、しかしこの原水爆の実験の問題は、非常に一年たつと一年の間に相当大国がやはり無警告で、あるいは警告をして大小の実験をやっておって、人類に対する危険は刻々加わっていっておる。こういう状況でありますから、この状況に応じてさらにわれわれはこれを禁止するために必要な、また有効な手段をとっていかなければならぬと思います。従って今お話のように三国の間にこの実験を制限し禁止するということについての、何かの話し合いなりあるいは協定ができるということは望ましいことであり、従ってそういうことに対して日本として今後有効な手段とまた強い努力をやらなくちゃならぬ、かように考えております。それから今度の実験について、果して、法律的にすわり込み船団が入って行ったような場合において、追っばらら権利があるかという問題につきましては、これは法律問題でありますから、なお深く研究してみなければならぬと思いますが、一体こういうふうな公海に広く禁止区域を作って、それを長期にわたってなにするということは、従来の国際法の慣例からいっても私どもいまだかって知らないところでありまして、従って公海自由の原則から見て、これは私どももああいうことがされることは、決して従来の国際法の慣例からはこれを正当づけることはできないだろうと思います。それからこの沖繩の問題につきましては、今御指摘のように、私も実は、この沖繩に持っておるアメリカの施政権を、これは国会の意思でもございますし、またわれわれの強い国民的希望でもありますし、これを返還せしめるということをできるだけ早く実現しなくちゃならぬと思っていろいろ研究をいたしております。従って今曾祢委員のおっしゃるように、あの三条の規定というものの根拠は、どうもあれを作られた当時の事情を考慮してみると、無期限に永久に施政権を持っているというのじゃなしに、あの前段の委任統治にするかしないかということは、あのときにはきまらぬが、そういうことをきめるまでの暫定措置として施政権を持っているという解釈をすべきものではないか。従ってよほど時間もたっており事情も変っておる今日とすれば、三条の条約の解釈としても私も少くとも疑義を持っておる。なおしかし法律的の研究につきましては、一段と研究をしていきたいと思っております。

笹森順造自由民主党

○委員長(笹森順造君) 本日はこの程度にとどめたいと思いますが、御異議ございませんか。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 先ほど私は関連で質問を申し上げました点について、御答弁で若干触れられましたけれども落ちておりますので、それに関連して一つだけお伺いしておきたいと思います。  一つは、これはきょうの外相の答弁でクリスマス島の実験を中止させる、これからさらにやられるということについて、全然とにかく新しい構想が述べられませんでしたから、そこでなお最後に念を押しておきたいのですが、二つの先ほどの関連質問のほかに、こ点はぜひ明らかにしておいてもらいたいと思います。それは日本のカツオ・マグロ漁業協同組合から送られた中止の要請に対する回答の中に、実験が行われる水域は日本漁夫の伝統的な漁場ではないと、こういう言葉があります。これに対しては、これはおそらく政府として何と申しますか、取り消すと申しますか、抗議と申しますか、イギリスの考え方を直させるべく努力がなされるだろうと思います。それをどういう工合になされるか、それを一つ。  それから禁止のための三国首脳会談を開くということについては賛成だと、こういうお話がございましたが、それでほそういう首脳会談を三国の間に開かれるようにどういうように御努力なさるか、その点を先ほどの質問に関連をしてお伺いをいたしたい。  それからもう一つ、先ほどお伺いをいたしましたのは、石黒さんからも遺伝学会等についての助成に関連して御質問ございましたが、特使を派遣された、それから三回にわたって取り消しを要請された、その取り消しの努力は続けていくということですが、アメリカの動物学会からも、日本の遺伝学会に対して放射線の人類に及ぼす影響は重大であるから、最初の原爆被災国の日本の遺伝学会から世界に警告してもらいたい、こういう要望もございまして、日本遺伝学会あるいは日本人類遺伝学会から、それぞれ声明が出されようとしております。で国連にも都築博士等出発をせられたようでございますが、実験を続けることがどういうように人類にとって脅威的な危険をもたらすかという点は、これは岸外務大臣も御存じのようでありますが、そうした今の実験による放射能の弊害が人類にどういう危険をもたらすかということを世界に訴えることは、これからの実験禁止、クリスマス島の実験禁止を実現するために大きなこれは足がかりになる、世論の喚起になると思うのであります。従ってそうした遺伝学会等の、あるいは原子物理学者その他の声明あるいは調査の結果等を、政府として禁止のために大きく御利用になるというか、国際世論に訴えるということが必要だと思うのであります。その点について外務大臣に、積極的にどういうようにこれから禁止のために御努力になるか、その三点について御答弁を願っておきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(岸信介君) 第一点のあの地域が伝統的漁場じゃないという反論がされておりますが、これは実はほとんど揚げ足取りみたような何であって、十分に日本のあの地域における漁場としての価値及び何は、イギリス側に対してわれわれの考えを十分に理解せしむるように努力をいたします。  それから第二の、こういう問題が、これを持っておる三国の首脳部等の会談によって、何らかのお互いが協定に達し、制限され禁止されるということが望ましいということは、私もそういうふうな考えを持っております。しかし、これがために三国の何が今直ちに会同してそういう会談をするとか、それによって制限、禁止の協定をするとかというまだ機運には、実を言うとなっておらぬと思います。しかし先ほども曾祢委員からお話がありましたように、私はやはりこの問題は、これを持っておる三国が何らかの協定によってこれを禁止するということでなければ、今までの声明を見ましても、また実際の実情を洞察してもできにくい問題でありますから、こういうことができることは非常に望ましいことであり、またその方向にわれわれは努力を今後していきたいとこう思っております。  それから最後の点は、これは十分あらゆる機会に、日本の科学的な研究に基くところの資料また証明というようなことは、あらゆる機会にこれをやらなければならぬと思います。またその実験につきまして足りないところをさらに補完する研究を続けていくという意味において、先ほど石黒委員もお話になっておりますように、遺伝の問題等については、日本は蚕というようなものをもとにすると、さらに日本が独特の研究をして、人類にその危険を実証的に説明できるような立場にありますから、そういう実験、試験の研究につきましては、政府としてもさらに力を入れて、その成果についてはこれを世界の人々に訴えて、またこれら主要国の首脳部の人々に反省を求める非常ないい材料だと、また足場だと思いますから、そういうものを十分に利用してこれらについて世界の世論を盛り上げる、それからそれらの当該国の人々に反省を求めるというようなことをいたしたいと思います。

笹森順造自由民主党

○委員長(笹森順造君) 次回は来たる十一日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十四分散会

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