外務委員会 第11号
- 発言数
- 34 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1957/03/28
会議録
○理事(佐野廣君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 千九百四十六年十二月二日にワシントンで署名された国際捕鯨取締条約の議定書の批准について承認を求めるの件、北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約の批准について承認を求めるの件、国際原子力機関憲章の批准について承認を求めるの件、三件いずれも予備審査、以上を一括して提案理由の説明を聴取いたします。
○政府委員(井上清一君) ただいま議題となりました千九百四十六年十二月二日にワシントンで署名された国際捕鯨取締条約の議定書の批准について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 御承知のように、捕鯨の国際取締りについては、わが国も参加いたしております国際捕鯨取締条約がございまして、捕鯨の具体的な規制措置は、この条約に附属する附表に定められ、この附表の規定は、国際捕鯨委員会が修正する権限を持っております。 今回の議定書は、昨年十一月十九日にワシントンで作成され、わが国も同月二十九日に署名を了しているものでございますが、これは条約による規則範囲を一部拡大いたしますとともに、将来条約の附表に新しい規制措置を規定するための前提として必要な二つの改正を条約に加えるものであります。すなわち、第一に、現在、ヘリコプターその他の航空機は探鯨等にのみ使用されており、捕鯨条約の規制の範囲内に入っておりませんが、将来これによる鯨の無秩序な殺害等が行われるおそれもありますので、条約第二条の捕鯨船の定義にヘリコプターその他の航空機を加えることによって、ます捕鯨船に適用がある規制措置をヘリコプター等に及ぼしますとともに、将来必要がある場合にはこれに関する別個の規制措置を附表において定めることができるようにするものであります。第二の改正は、第五条の国際捕鯨委員会が附表修正権限を有する事項中に、「監督の方法」を加えるものでございますが、これは次の二つの理由から必要となったものであります。すなわち、まず、わが国等が主として使用する鯨肉の冷凍塩蔵船は、定義上は第二条にいう母船に含まれると解されるのでございますが、これには通常の母船に適用される監督官その他の規制措置とは異なるものが適用されてしかるべきでありますところ、現在の委員会の附表修正権限中には監督に関する附表の規定を修正する権限がございませんので、まず委員会の権限を規定する条約第五条を修正することが必要となりました。次に、最近において捕鯨の国際取締りを強化するため、従来の自国籍の監督官のほかに公平な第三者としてのオブザーバーを母船に乗船せしめようとの提案がなされたのでありますが、これに関する規定を附表に設けるためにも、さきの冷凍塩蔵船の場合と同様第五条の改正が必要となったのでございます。 わが国としては、以上のいずれの改正も時宜に適したものと認められますので、ここにこの議定書の批准について御承認を求める次第でございます。 右の事情を了承されまして、御審議の上本件につきすみやかなる御承認を賜わらんことを希望いたします。 次に、北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約の批准について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。この条約は一昨年の十一月からワシントンで日米加ソの四カ国代表参集して北太平洋おっとせい会議を開催し、長期にわたり交渉を行いました結果、去る二月九日に至りようやく署名の運びとなったものであります。 この交渉におきましては、まず、北太平洋のおっとせいを海上猟獲していいかどうか、猟獲していいといたしますれば、どの限度まで行えるかということにつきまして激しい議論が戦わされたのでございますが、結局、現在関係国が有する資料をもってしてはこれらについて明確な結論を出すことができず、その結果、暫定条約という名前が示しておりますように、北太平洋におけるおっとせいについて十分な資料を得るための科学的調査の実施を主たる内容とする現在の条約案に落ちつくことになったのでございます。この科学的調査のなかには、各加盟国が一定数のおっとせいを海上で猟獲して行う調査も含まれておるのであります。このほか、この条約には、一九一一年のおっとせい保護条約におけると同様、米国及びソ連が陸上で猟獲した獣皮を一定の割合でわが国及びカナダに配分する旨の規定、科学的調査の期間中商業的海上猟獲を禁止する旨の規定等が含まれております。 わが国といたしましては、科学的基礎による漁業の国際的規制という原則に対しては、もとより異存はないのであります。また、わが国はこの条約に参加することによって条約に定める調査を行い、その結果おっとせい資源の実態をつまびらかにし、また、同資源と他の有用な漁業資源との関係を明らかにした上で、おっとせいの最も適正な猟獲方法の決定とその恒久的な保存と活用とを期することができるわけでありますので、この条約は、大局的に見てわが国の利益に合致するものであると考える次第であります。よって、政府はこの条約の批准につきまして御承認を求める次第であります。 右の事情を了承されまして、御審議の上本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたす次第であります。 次に、国際原子力機関憲章の批准について承認を求めるの件につきまして、その提案理由を御説明いたします。 原子力の平和的利用を促進するために国際機関を設置するという構想は、一九五三年の国連総会におけるアイゼンハワー米国大統領のいわゆる原子力国際プール提案に端を発し、その後国連を中心に折衝が続けられました結果、昨年十月二十三日に至り、米ソを含む八十一カ国の国際会議において、この憲章が正式に採択され、同二十六日から署名のため開放され、わが国も同日これに署名を了しております。 この機関が行う事業のおもなる内容は、加盟国が提供する物質、施設、役務等を、機関が、直接にまたは仲介者として、援助要請国に対して供給するといういわば原子力の国際銀行の役目を果すところにあります。憲章には、また、機関がその役目を最も有効に果すために必要な保障措置の規定、原子力に関する情報交換の規定、その他機関みずからの組織、運営及び機関と国連その他の機関との関係についての規定等が設けられております。 憲章案に対しては、すでに米ソ等世界の主要国を網羅いたしました七十八カ国が署名を了しており、また、米ソ英等原子力先進諸国は、この機関に対して必要な特殊核分裂性物質を提供する用意がある旨を表明いたしております。他面、機関発足の準備を行う準備委員会も、本年夏機関の第一回総会をウィーンで開催することを目途として準備促進中でありますので、この憲章は近い将来に必要な十八カ国の批准を得て発効するものと期持いたしております。 わが国は原子爆弾の唯一の被災国であり、またようやく原子力平和利用のための研究、開発に乗り出した段階にもありますので、この機関の設立に対しては当初から深い関心と熱意を示して参りましたところ、昨秋の憲章採択会議において、わが国は機関の準備委員会の一に選出され、また機関発足の上は理事国として選ばれることがほぼ確実となっております。 わが国は、この機関に参加することによりまして、原子力の平和利用の促進という人類の福祉に重大な関係のある国際協力の分野に積極的に参加協力することができるとともに、機関が活動を開始した暁におきましては、機関から物質その他の援助を仰ぐことによりましてわが国自身の原子力関係部門の発展に資することができると考えられるのであります。 なお、機関の第一回総会は、国連総会の会期その他を考慮の上、一応本年八月おそくも九月初めには開催することに予定されており、また、このため本年六月ごろには準備委員会による一部理事国の指定が行われることになっておりまするから、わが国としても、おそくも五月中に批准書の寄託を了していることが必要であると考えられます。よって、政府は、この憲章の批准につきまして御承認を求める次第であります。右の事情を了承せられ、御審議の上本件につきましてすみやかに御承認あらんことを希望いたす次第であります。
○理事(佐野廣君) 以上三件につきましての質疑は後日に譲りたいと存じます。 ちょと速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(佐野廣君) 速記をつけて下さい。
○石黒忠篤君 新聞の報ずるところによりますと、ソ連から水爆禁止に関したことについて回答があったように承わっております。また、それに関して、外務省が外務省の見解を公表せられたようでありまするが、御承知の通りに、この問題に関しましては、参議院は特に先般決議をやったようなことでありまして、関心のきわめて深いものがあることは御承知と思います。それらの文書を新聞に発表せられる以上に、すみやかに本委員会にお出しを願いたいと思うのでありますが、これらに関しまして、外務省のお考え及び御用意はどういうことになっておりますか。
○政府委員(井上清一君) お答えを申し上げます。英国に対しまする原爆実験禁止に対しまして、数回にわたりまして、わが国政府として、これが中止方を申し入れましたことにつきましては御承知の通りであります。なおまた、先般参議院におかれまして水爆実験禁止の決議がなされ、そうしてこれが決議を、現在原水爆を持っておりまする、また原水爆実験を行わんとしておりまする英国、米国、ソ連に対して、この伝達方について御要望があった次第でございまして、さっそくこれが手続をとりまして、それぞれの各国に対しまして参議院の御趣旨をお伝えをいたしたわけでございます。その後バーミューダにおきまして、英国の首相マックミランとアメリカの大統領アイゼンハワーが会談をされたのでありますが、これらの問題についてもいろいろ話し合いがあったものと存じますが、ちょうどそれと軌を一にいたしまして、ソ連が、この参議院の原水爆実験禁止の要望の決議を援用いたしまして、ソ連は、原水爆実験を中止することに対して、その方向に協力する用意がある、というような声明を出しましたことも御承知の通りであります。この声明に対しましてまた英米の当局がそれぞれの見解を発表をいたしました。軍縮の問題とからんでまた軍縮の問題と合して、これらの実験禁止の問題を考えなければ意味がない。むしろ実験の登録制と申しますが、実験そのものに規制を与えることによって、将来実験禁止の方向に進んで行くのが当然の道筋である、というような見解を発表したことは御承知の通りであります。これらのいろいろな原水爆実験をめぐりましての国際間におきまするいろいろな交渉、そしてまたこれによりまするやりとりと申しますか、そうしたことにつきまして、ただいま石黒委員からこれらに関するいろいろな資料の提供方について御要望があったわけであります。これは参議院とされまして、先般の御決議が世界的な反響を呼んでおるわけでありまして、これに関するいろいろな事情につきまして、詳細な資料を御要望に相なりますことは、まことにごもっともなことで、私どもとして、外交上許せる限りの資料をいろいろ集めまして、そうしてまた公表できる限りのものはできるだけ一つ公表、公表というよりも本委員会に提出するように心がけて参りたいとかように思います。
○石黒忠篤君 私は非常に不満に思うのです。本委員会が中心となりまして、先般の決議をやったことは十分御承知であって、それに関しまして世界的の影響がある。それらについては御承知の通り、御承知の通りとおっしゃるけれども、承知をしたのは新聞によって承知をしているのでありまして、もっと外務省としては当委員会のこれに関する関心の深いことを十分に御了解になっておるんでありまするから、進んで外務大臣からそれらについての緊要なる報告もあってしかるべきことと思い、また今日の新聞等においては、ソ連の意見に対する外務省の意見を発表しておられるのであります。重大な事柄がそのうちにあることを私は考えるのであります。これらに関しては外務大臣から、もし外務大臣ができなければ外務政務次官から進んで御発表になり、委員会の了解を求められることが当然だと思うのでありますが、何らそれらのことのないことを私は非常に遺憾、不満に思っておりますことを御伝達をいただきたい、こう申し上げておきます。
○政府委員(井上清一君) 石黒委員からお叱りをちょうだいしてまことに何とも申し訳ありません。ただ私どもとして申し上げたいことは、実はソ連からは何らまだこれに対して正式な回答と申しますか、正式な外交的な手続きによる書面等が実は参っておるわけじゃございませんで、新聞の報道を通じて実は私どもいろいろソ連の考え方を知っておるようなわけでございます。で、もう少し事態がはっきりいたしまして、十分一つソ連の意向というものをはっきりつかみました上で、いろいろこれについてのわが政府としての考え方を申し上げたいとかように存じておったような次第でございます。昨日新聞に出しましたものもまあ公式な見解とは申しますものの、相当重大な問題でございますので、たしか情報文化局長代理というようなことで、まあ一応の事態に対する考え方を申し述べたというようなことなので、いずれ出先の機関からもこれについての詳細な報告も集まってくると思います。十分一つ事態を明らかにいたしまして、できるだけ早い機会に本問題についての御説明を申し上げたい考えでございます。御了承願いたと思います。
○石黒忠篤君 私は、ソ連に関するものはソ連に大使館もできたことでありますからそれらの方から、ソ連政府の回答がなくても報告があって、それに対しての外務省の意見として発表になったことと思うのであります。ただいまの外務政務次官のお話だと、新聞によって出たのに対して情報局の主任の方から外務省の意見をとりあえず出したので、これもまだ確定のものでないというようなことでありますが、そういう事情は進んで当委員会には御発表になって、われわれ委員といたしましても、報告による外務省の意見であるか新聞による意見であるか、というようなことについて正確な観念を持たないと間違いが起る。現に私は間違えておったのであります。そういう誤解を生ずるようなことをなるべく避けるためにすみやかに進んで、この程度までのことは発表してよろしいというものは、進んで御発表になった方が重大なことに関する誤りがないと思うのであります。どうぞ正確々々ということで、こういう緊要な問題をおくらせていくことのないようにお願いをいたしておきます。
○政府委員(井上清一君) 御意見の点十分一つ拝承いたしました。
○竹中勝男君 ただいま石黒委員の御質疑及び要望に関連して、私ども同じ点を強く外務当局に要望するものですが、ことにこの委員会において決議案が取り上げられましたときには、クリスマス島実験すなわち英国に対してだけでなくて、ソ連に対してもアメリカに対しても同じく原水爆実験の禁止を要請するという決議をわれわれはしようということで一致したわけでありますが、その後私知りたいことは、参議院の決議に基きまして、どのような通告を日本政府としてはこれらの三国に出されたか、それに対する回答はどのようになっておるか、それらの点についてもあわせて御報告を承わりたい。これについては相当重大な意味を現実に持ち今後に持つと思いますので、なるだけ早い機会に外務大臣自身でこの委員会に御説明を願いたいし、またわれわれの質問や意見を十分聞いてもらいたいと思います、ではいつごろ大体外務大臣はこちらにこられますか、お伺いいたします。
○政府委員(井上清一君) 竹中委員の御質問、先ほど石黒委員にお答えを申し上げました通りでございますが、御意見の点十分拝承いたしまして、できるだけすみやかな機会におきまして、諸般の御報告並びに政府の所信を明確に申し上げたいと、かように考えておる次第でございます。 なお外務大臣の御出席について御要望がございましたが、私ども、今予算の審議中でございましたために、どうも十分に委員会に出席できなかったことにつきましてはまことに遺憾でございますが、来月に入りましてできるだけ早い機会に本委員会にも出席をしてもらいまして、この問題についてまた諸般の外交の問題につきまして、外務大臣の所信を表明さしていただく機会をできるだけ作りたいと、かように考えております。
○竹中勝男君 なるだけ早い機会に、先ほどお話がありました情報文化局長の談としての意見の公表された事情及ばその内容についても御報告願いたい。
○政府委員(井上清一君) 承わりました。 —————————————
○理事(佐野廣君) 次に、日本国とチェッコスロヴァキア共和国との間の国交回復に関する議定書の批准について承認を求めるの件、日本国とポーランド人民共和国との間の国交回復に関する協定の批准について承認を求めるの件、以上二件を一括して議題といたします。両件について御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○森元治郎君 ユーゴスラビアとは早く国交を回復したのですが、ポーランドも昭和二十九年の暮に日本に対して国交を回復したいと申し入れをしてきたのですが、これを取り上げなかったその間事情を、ちょっと条約局長から。
○政府委員(高橋通敏君) お答え申し上げます。ポーランドは今御指摘の通り昭和二十九年十二月三十一日でございますか、パリにおいてわが在仏西村大使に対しまして国交回復についての公式の申し入れをしてきたことがございます。ただ当時まだ日ソ間の国交が成立していなかった状態でありましたので、わが政府の政策といたしましてもまず日ソの国交回復してから漸次これら諸国にも及ぼしたい、こういう方針でございましたので、一応見送りまして日ソ間の国交回復の方に主力を注いだわけでございます。
○森元治郎君 そういうことは外務大臣も政府もかねがねおっしゃるのですが、よく国交というものを考えてみると、やはりポーランドはソビエトの子分でもないし、ポーランドという一つの国である。一つ一つの国との国交を考えていくべきで、親分のソビエトと話がつかなければ子分どもとは話をしないというようなことは非常にまずいと思う。それが証拠に外務省の中でもやったらいいじゃないかという議論があったことは条約局長も御存しだと思う。外務省の中ですらそういうことがあったのですが、最近、去年の十月革命、あるいはそれ以前のポズナンのごたごたその他から振り返ってみると、やはり国際関係というものは微妙ですから、よく世界の動きを見るためにももっと洞察力をもって早い機会にこういう関係が打ち出されたならば、いろいろな面で非常によかったんじゃないかというふうに考えます。で、どうしてということはきわめて微妙ですから申し上げませんが、その方がよかったと思うのですが、もう一ぺん条約局長に伺います。
○政府委員(高橋通敏君) 確かにわが方といたしましても国交の回復でございますから、これになるべく多くの国と国交回復いたしまして大公使を交換し、そこの事情をできるだけ早くお互いに理解するというのが、まあ一般的な方針としては確かにそのように考えましたのでございます。ただ当時何と申しましても一番御承知の通り懸案や問題が多かったのはソ連だと思うのでございます。そこでここにございますように、ポーランドやチェッコとはほとんど実際の現実の戦闘も行われなかった。従いまして実際上の国交回復と申しましても懸案というものがほとんどないという状況で、従いましてまず当時の、まあ繰り返しになるようでございますけれども、一番問題のあったところをまず解決する。これがまた直面した一番問題でございました点もございますので、ソ連をまず先にして、先にしたと申しましてもほとんど何と申しますかポーランド、チェッコの国交回復というのはしないというわけでございませんで、もし回復をするとすればこれは問題なくいつでもできるというような気持もあったのだと思うのでありますが、一番問題になるソ連とのまず懸案を解決しようというところに主眼を注いだ結果そうなったのであります。
○森元治郎君 それではいわゆる共産圏との国交に対する日本側の基本的態度ですが、通常共産圏の何々国、チェッコ、共産圏のポーランド、そういうふうに呼びなれておりますが、最近ポーランドの記者が日本に来ましていろいろ現地の事情を聞き、あるいはその他の情報によって判断をしますと、相手国はそういう中の一つだと言われることを非常に快く思っていないようであります。しかし外務大臣の国交回復協定調印に当っての談話には、やはり東欧共産圏諸国のというふうにしていつでもこの諸国が入って来て、その一つ、何分の一と、こういうふうな行き方は将来大きく見て行った場合に決していいことではないと思うのですが、どういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(井上清一君) ポーランドにつきましては、昨年の政変までは相当共産圏の中におきましてもソ連的色彩が濃厚であったように私どもも了承いたしておりますが、しかしその後大そう独立性というものが非常に強まって来た。将来の動向というものが相当注目すべき動向にあるという事情が考えられるのでございますが、まあそうした際に共産圏というような言葉で何と申しますか、片づけるというようなことは、私はやはり御指摘になりましたように適当な言葉の言い表わし方ではないのじゃないかという感じを持っております。今後十分そういう点につきましては言葉の使い方には気をつけて行かなければならぬとかように思っております。
○森元治郎君 それでは国交回復するときには、おのおのげすな言葉できわめてわかりやすい言葉で言えば、下心というかねらいがあると思うわけですが、向う側のねらいは国民生活がだいぶくたびれておるので貿易ということにだいぶ力を入れておるようであります。しかし過去の貿易を見れば大したことはなくて、百万ドルをこしたのが五四年、五五年ぐらいで、あとはほとんど少いようであります。百万ドルこしたというのは日本の輸出ですけれども、この貿易に対する一体見通しはどういうものか、政府の筋あるいは業界筋ではどうも商品の見合うものがないのでということを言っておりまするが、昨年エカフエの代表で日本に来た、また初代の大使になるだろうと言われている外国貿易会議所会頭であるスタニスラフ・ガル博士という人の新聞談話によれば、われわれのほしいものは第一に船舶である、それから綿製品、カメラなどの光学機械、ラジオこういうような日本でも何とかできそうなものがあるようでありまするが、どの辺に一体期持を持たれているのでしょうか。船舶の点についても特に御答弁を願いたいと思います。
○政府委員(佐藤健輔君) お答え申し上げます。実はただいま御指摘のようにポーランドとの間の貿易につきましては、過去の実績は日本からの輸出が五四年、五五年に百万ドルをたまたまこえておりますが、この内訳を見ますと、それの大部分が銅線の輸出でございます。しかしまた輸入の方を見ますとほとんど取るに足らない輸入でございまして、わずかに五一年に四十万ドルの輸入があった。その四十万ドルは全部カリでございます。従いまして今御指摘のように、今後のポーランドとの貿易の行き方といたしましては、あるいは民需物資を相当日本に期持し、またただいま御指摘のように船もほしいという話を聞いておりますが、今後の話し合いの問題としては、おそらくポートランドといたしましては、日本と同額の貿易をしたいというふうに考えておるのではないかと思いますので、ただいま申し上げましたように、先方からどれくらいの輸入物があるかということによって、今後の貿易の規模はきまってくるであろう。ただもし先方が現金で日本からどんどん買ってくれるということでありますならば格別、もし向うの外貨事情からいたしまして、日本と同額大体一対一の貿易をやりたいということになりますと、輸入物資のいかんによって相当制約を受けてくるのではないか、こう考えております。
○森元治郎君 あと二、三点簡単にスピードを早めてお尋ねいたしますが、もう一度経済局次長にお伺いしたいのですが、ガル博士は商品クレジットを日本が供与してくれるならば、まことにありがたいということを言っておるようです。この点について伺いたいことと、それから通商協定ないしは条約を結ぶ交渉を批准書交換後にすみやかにやりたい、こういうのを特にこの第五条に入れたというのは、向う側の強い希望に応じた程度のものですか。
○政府委員(佐藤健輔君) 第一点の日本からクレジットをほしいという点につきましては、確かにそういう意見もあったということは承知しておりますが、まだ国交も正引には回復されておりませんために、向うから何ら正式な申し込みがきておりませんのでございます。具体的にそういう話があったときにはいろいろと関係省とも打ち合せなければならぬ問題がございますので、ここではっきりただいま向うの条件もわかりませんときにお答えするのは、いかがかと思いますので留保さしていただきたいと思います。 それから貿易条項をどちらの希望で入れたかという点でございますが、確かにポーランド側といたしましては、これはチェコも同じでございますが、日本との貿易を拡大したいという強い希望を持っており、また日本側といたしましても輸出増進が叫ばれております際、できる限り貿易を拡大するということはけっこうなことでございますので、卑近に申し上げれば両者の希望が一致した、ただポーランド側としては相当強い希望を持っておるということは申し上げられると思います。
○森元治郎君 それでは文化関係について伺いますが、私は現在、日本ポーランド協会、昔あったところの白波協会というものの会長をやっておるのですが、この会を始めてみると驚いたことには山口県、新潟県、京都、仙台、東京、そういう方面の学生あるいは個人で、向うの国の学生、学者などと引き続き文通をしている方が六、七人おられるのであります。向うからも向うのワルシャワ大学に日本文化研究所がありまして、ここでもだいぶ日本のことをコタンスキーという教授のもとで勉強しているのですが、こういう手紙が書けるくらいにまあ日本語はすばらしいものになってきたわけです。そしてまた私の所でポーランドへ留学したいというような人もおるし、向うからも来たいという者がおるのですが、いずれ国交回復後に文化協定なり文化交流うの話はあると思うのですが佐藤君という京都の学生は、すでに政府が滞在期間中の小遣いまで一切見るからこいというのでこれはきまりました。それで今度は君の方も一つそのように扱ってくれないかと言われても、こっちは国柄が違いますから、民間ではそういう機関もできていないので困りますけれども、向うはどんどん希望があれば滞在費は見てやる一切小遣いまでということになっているんですが、この学生交換とか、図書の交換というようなことを、その他一般についての政府の心がまえでけっこうですから伺いたいと思います。
○政府委員(井上清一君) お答え申し上げます。国交を回復いたしますれば、当然文化的な文化交流ということは生じてくると思います。ただ、ただいまお話しになりましたように、ポーランドでは日本との文化交流に非常に積極的で、全部費用を向うで持って留学生等を受け入れてくれるということでございますが、どうもわが国といたしましてはまだそこまでお世話するというような仕組みにはなっておりませんので、十分一つ今後いろいろこれらの点については研究しなければならぬと思いますが、国交回復に伴いまして、両国間の行き来も大いに盛んになりましょうし、従いましてまたそれに伴ってあるいは大使等の交換とか、あるいはまた学術その他の研究等の相互の交流と申しますか、そうしたことはこれは相当私どもはひんぱんに行われる、ただまあ文化協定があるとかないとかいうことは別問題といたしまして、国交回復自体がそうしたことに非常に期待ができるというふうに私どもは考えている次第でございます。
○森元治郎君 それじゃ最後に一点だけ伺いますが、一つは専任大使を置くのですか。隣近所の人を当分兼任をさせる御予定か。第二点は、ツィランケヴィッチという総理大臣が現在東南アジアを回って北京を通って帰るようです。ところがパリの西村大使に対してポーランドの大使が、日本に一つ呼んでくれないかという話を持ち込んだように聞いておりますが、どんなふうにお答えになったのか、拒否したのか、返事をしないことによってノーの意思を表明したのか、あるいはノーとするならば、どういうふうな理由をつけて話されたか、そういうことが伺いたいと思います。
○政府委員(井上清一君) ポーランドの総理大臣を日本に呼んでくれという話が西村在パリー大使にあったということでございますが、私はその当時のいきさつは存じておりません。しかしいまだ国交が回復していなかったという事実から、これはおそらく国家回復まで待ってもらいたいというふうにお答えをしたものだと私は思います。 なおまた第一点の御質問でございますが、日波協定及び日本、チェコ間の議定書におきましても、いずれもその第二条におきまして、国交回復後大使の資格を有する外交使節を遅滞なく交換するというふうに書いてあります。そしてポーランドにおきましても、チェコにおきましても、できるだけ早く議定書または協定を両国間とも早く批准をして、そしてポーランド、チェコといたしましては、まあ四月あるいは五月にでも、できるだけ早い機会に東京に大使を送りたい。そしてまたその送る準備もしておるようでございます。これは当然先方がそうした意向でございますので、わが方といたしましても大使をできるだけやりたいと考えでございますが、実は今度の予算では、大使館はポーランドにもチェコにも置く、けれども、兼摂にするということに相なっておりまして、ポーランド、チェコ両国の期待にどうもやや反することになっておりまして、まことにこの点は遺憾に思っておるのでございますが、実はこうしたことにいたしましたことは、ちょうど予算編成期にぶつかっておりまして、チェコ並びにポーランドに出します大使館経費というものにつきましての計上が、ちょうど予算編成、また大蔵省との折衝の途中においてこの交渉が行われました関係から、どうも三十二年度の予算にははっきり現わすことができなかったのでございます。なお、もう一つは、ポーランド、チェコの事情がわが国にどうもはっきりしていなかったことであります。それはアイアン・カーテンの中にありまして、チェコなりポーランドにおきますところの物価の状態とか経済状態とか、またそこに大使館を置くにはどんな点に経費が必要なのか、また人件費なんか、在勤加俸なんかを算定いたします場合には、ポーランド、チェコにおきます生活費の指数とか、生活費の状態というものがどんなであるかということについてもよほど知っていなければ、実は組めなかったのでございまして、そうしたことも一つの理由にはなっておるわけでございます。しかし幸いに今度の協定なり議定書の御承認が願えますならば、先方は非常に大使交換について熱意を持っておりますので、わが国もこれにこたえなければならない。どういうようなことで予算には計上いたしておりませんけれども、三十二年度に入りましてから、予備金なり何なりの操作をもちまして、実際に一つ兼摂でなく具体的に大使館を任命して、在外公館としてのりっぱな役目を果すように一つ取り計らいたい、さように考える次第でございます。
○森元治郎君 それではもう一つ。ツィランケヴィッチ総理大臣の日本訪問について伺いますが、先ほど西村大使と申し上げましたが、最近かわられたから元NHKの古垣氏だと思います。そういう今の井上政務次官のお答えだと、国交も回復していないからというので、はっきり断わられたようなお話だったのですが、さように了承してよろしいかどうか。 もう一点は、外務省に行きますと驚くことには、ポーランド語のできる人が私の知っている限りではおらないようです。できる人もありますが、現在外国に行っておって本省にはおらないように聞いておりますが、かりにおったとしても非常に、一名とか一名半ぐらいのところだろうと思うので、これからチェコとかハンガリーとかという国々と交際する場合、どうしても人を養わなければならにいのだが、この辺の準備はどういうふうになっておりますか。昔は文部省の留学生もありましたし、外務省の書記生もあって、あそこで言葉をやった人もありますが、おそらくフランス語か何かを通じてハンガリー、ポーランドとも話をしておると思うので、独立国同士のおつきあいとしてはちょっと醜態だと思います。しかもハンガリー、ルーマニア、ポーランド、あの辺のことに関する地名の読み方から、人の名前から、ほとんど違って日本では掲載されておる。私などもいろいろ見るわけですが、そういう場所がどこにあるか発見できないような間違いがハンガリーなんかにもたくさんありますがこれに対する準備はどうされているのか……。
○政府委員(井上清一君) ポーランドの総理大臣の御招待ということにつきましては、先ほど申し上げたのは私の推測、たぶんそうであろうということを申し上げたわけで、確実なことは調査をいたしました上でお答えを申し上げます。 なおポーランドとかハンガリーの言葉、これは非常に特殊な言葉でございますので、従来ともどうも特殊な語学としていろいろ研修所において勉強さしておりますが、実際にやっている人、そうしてまたできる人はきわめて少いのでございまして、今後こうした特殊な語学の知識というものは非常に必要なわけでありまして、研修所におきまして、こうした方面の人を養成すべく、今着々努めております。御説のようにポーランド、ハンガリーというような言葉のできる人は、実は遺憾ながら少いことはまことに残念でございますが、ぜひとも一つこうした方面も今後力を入れていかなければならないところではないか、かように思っております。
○杉原荒太君 ただいまの森委員の御質問に関連することですが、ポーランドとチェッコの日本側の大使館の設置のこと、ただいま御質問に対してお答えがあって、大体はわかりましたが、先方の態度にこたえてとかいうこととはまた別に、日本独自の立場からして、ポーランドだとかあるいはチェコだとかいう所が、日本にとって情勢判断の材料を得る根拠地というような点からいたしましても、きわめて重要なことは申すまでもありません。そういった点からいたしまして、これは実は今までもこういう点の東欧諸国ないしソ連などの的確な情報を得るという点について非常に欠けている。これは非常な欠陥ですから、そういう点から見ましても、きわめてこれは大事な点だろうと思うのです。この間の在外公館の設置に関する法律の審議の際の御説明にもありましたが、これはとりあえず今も申されたような事情によって、ただ兼任でとりあえずはやるということでありますけれども、これはすみやかに実際にここに本任の大使を置いてやることがきわめて必要だと私は思うのです。そうしてさらにフィンランドはこの間の在外公館設置法のときの説明の際、公使館に昇格といいますか、公使館を設置するという、フィンランドだとかあるいはポーランドだとか、あるいはチェコだとか、あるいはユーゴだとか、こういう所は相互に関連をもって機能を発揮していくという非常に大事な点だと思うのですが、そういう点から見まして事務的な準備のために、ある程度の時間を要することはよくわかりますけれども、これは一つなるべくすみやかに予備金の支出等の措置によってでもやられることが必要だと思うのです。そういう点外務省でもおそらくお考えになっていると思いますけれども、念のため御意向を承わりたい。
○政府委員(井上清一君) お答えを申し上げます。まことにごもっともでございまして、先ほど申し上げましたような事情で、三十二年度の予算に計上できなかったことはまことに私どもも遺憾に存じておる次第でございます。してまたただいま御指摘になりましたように、ソ連をめぐっております東欧諸国間の情報の収集というところからいうと、これは実に大事な事柄でございまして、そうした点からも私どもといたしましてはできるだけ早く、十分な活動のできる大使館にしたいというふうに念願をいたしておる次第でございます。来年度に入りましてから、予備金等の操作によりましてできるだけ早く御期待に沿うようにいたしたい、かように考えております。
○理事(佐野廣君) 他に御質問はございませんか。……では本日はこの程度にいたしまして次回は四月二日の午前十時に開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十一分散会 —————・—————