外務委員会 第6号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1957/03/05
会議録
○委員長(笹森順造君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 日本国とインドとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件、日本国とドイツ連邦共和国との間の文化協定の批准について承認を求めるの件、以上二件を一括して議題といたします。 まず政府から提案理由の説明を聴取いたします。
○政府委員(井上清一君) ただいま議題となりました日本国とインドとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件及び日本国とドイツ連邦共和国との間の文化協定の批准について承認を求めるの件の二件につきまして、一括提案理由を説明いたします。 まずわが国とインドとの間には、歴史的に深い文化的つながりがあるのでございますが、戦後インドが独立するに及んで、ともにアジアにおいて重要な地位を占める両国の間に文化協定を締結したいという要望が両国において漸次高まって参り、昭和三十年十一月以来東京において協定締結交渉を行なって参りましたその結果、協定案文につきまして意見の一致をみるに至りましたので、昭和三十一年十月二十九日に在京インド大使と重光前外務大臣との間にこの文化協定の署名調印が行われたのであります。 次に、ドイツ連邦共和国との協定につきましては、近来わが国とドイツ連邦共和国との間の文化交流が次第に活発となるに従い、伝統的に深い文化関係を有する両国間に文化協定を締結せんとする機運が次第に熟し、昭和三十年十一月以来東京において協定締結のための交渉を行なって参りましたところ、本年二月に至り両国政府の間で協定案文につき意見の一致をみました。よって、たまたま来日したハルシュタイン西独外務次官と岸大臣との間で二月十四日この協定に署名調印を了した次第でございます。 この二協定は、さきに国会の御承認を得て締結いたしました日仏、日伊、日メキシコ及び日タイ等の文化協定とおおむね同様の規定を内容とし、わが国とそれぞれの相手国との間に伝統的に存在いたしております密接な文化関係を一層緊密なものとし、また、その文化交流を一層活発にすることを目的としておるのでございます。これらの協定の実施によりまして相手国との文化関係を通じて両国民間の相互理解は一層深められ、ひいては両国間の政治的及び経済的友好関係の増進に資するところ少くないものと確信いたすのでございます。 よって、ここに本件二協定の批准について御承認を求める次第でございます。なにとぞ慎重御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○委員長(笹森順造君) 両件についての御質疑は後刻に譲ります。 —————————————
○委員長(笹森順造君) 次に、航空業務に関する日本国とスイスとの間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国とブラジル合衆国との間の航空運送協定の批准について承認を求めるの件、以上二件を一括して議題といたします。 前回に引き続いて両件について質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。外務省からは井上政務次官、高橋条約局長、運輸省から吉行監理部長が見えております。——ちょっと申し上げますが、吉行監理部長には今連絡しておりますから、外務省側の方に先に御質疑のある方は御質疑願います。
○梶原茂嘉君 あるいはこれは運輸省関係かもしれませんが、ブラジルとの関係の面においては付属書で指定路線に大阪が入っているのですが、もっとも準備のでき次第という趣旨の注釈がついておるわけであります。これによると近く大阪が国際運輸空港として登場することになることが予想されるのであります。大阪というのはおそらく伊丹であろうと思いますけれども、これは現在アメリカとの間に折衝は進んでおるのかどうか、その点を一つお伺いしたいと思います。
○政府委員(井上清一君) ただいまの問題につきましては、いずれ航空局から参りましてお答えを申し上げたほうが適当かと存じます。
○森元治郎君 まだ飛行機もそろわない。乗っていく貨物、お客さんも格別予想されないけれども、相手国から話があれば、あるいは自分の方からでも航空路の開設をどんどん進めていくのですか。準備もできない、乗る人も物も格別に予想されない。それからDC7、DC8が来ない。まだ四、五日かかるけれどもその間に話し合いがあれば路線だけは設定してしまう。協定を結んでいくというようなことになるのですか。
○政府委員(井上清一君) 実はブラジルとの定期航空につきましては、ただいま仰せのようにまだ飛行機がそろっておりません。がしかし明日たしか一機日航機が試験飛行と申しますか、ブラジルに向って参ります。一ぺんにというわけには参りませんが、日航の飛行機がそろい次第、相当量の旅客または貨物もあるというふうに私どもも考えておるのでございますが、加えて、せっかくの機会に航空協定を結んでおきますことは、今後準備でき次第、早急に航空業務を開始するというような場合に非常に利便である。また先に航空協定を結んでおきますと、向うが開設をいたしましても、今後日本が航空路線を設定いたしまして、業務を開始するというような場合にも、諸種の点において利便があるというような点から結ぶ手続をとったような次第でございます。
○森元治郎君 これまでの航空協定で改訂しなければならぬというような条項が出てきておるかどうか、既存の航空協定。
○政府委員(井上清一君) 既存の航空協定で、現在までに改訂を要するというようなことはございません。
○委員長(笹森順造君) 梶原君に申し上げますが、運輸省の吉行監理部長が見えております。
○梶原茂嘉君 ブラジルと航空協定の附表に、路線の中で国際空港として大阪が掲げられておるわけです。この注には、「大阪空港は、同空港が国際航空業務に提供される準備ができたときに使用される。」という趣旨の規定があるわけでありますが、これから見ますると、大阪の空港が国際航空業務に提供される準備が進められつつあるものと思われるのでありますが、果して準備が進んでおるのかどうか、特にアメリカ軍当局との間の話合いがこの点について行われておるのかどうか、それらの点についてお伺いしたいと思います。
○説明員(吉行市太郎君) 大阪空港につきましては、将来の東南アジア大陸方面との比較的近距離国際線の起点という意味で、その将来の開設が予想されるわけでございますが、ただいまのところ、大阪が直ちに国際航空業務に提供されるようなまだ準備はできておりませんのでございます。
○梶原茂嘉君 ブラジルとの協定に大阪が出たのは、移民等の関係が考えられていたのじゃなかろうか、これは私の想像であります。スイスとの関係においては、あの方の路線は、東南アジアを通って行くのですから、距離からいえばスイスの方に入ってしかるべきもののように思われる。ところがスイスの方にはそれが入っておらない。ブラジルの方には特にそれが入っておる。それはどういう事情によるのでしょう。
○政府委員(高橋通敏君) この点につきましては、やはり日本からブラジル向けに参ります場合に、ただいまのお説の通り、移民とかその他の関係が、スイスに参りまするよりも、そちらの方がより需要が多いというようなこともございますので、将来の目標としてそのようにしたわけであります。
○委員長(笹森順造君) 御質疑のある方は続行をお願いいたします。 それでは両件についての御質疑は大体尽きたように思われますので、討論採決は次回に行いたいと存じますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(笹森順造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕 —————————————
○委員長(笹森順造君) 速記を始めて。それでは先刻政府当局から説明のありました日本国とインドとの間の文化協定、日本国とドイツ連邦共和国との間の文化協定、これの批准について承認を求めるの件について、御質疑のある方は御発言をお願いいたします。
○森元治郎君 日本が国交を開いている国で文化協定のない国はどういう国、何ヵ国ございますか。
○政府委員(田中三男君) 文化協定を開いてない国というよりかも、開いておる国を申し上げた方が簡単なんでございますが、現在文化協定を作っておりますのは、フランス、イタリー、タイ、メキシコ、ブラジル、この五カ国でございます。ここに御承認を求めておりますインドと西ドイツ、これは調印済みでございます。さらに、目下交渉中でありますのが、エジプト、イラン、及びセイロンの三カ国がございます。特にエジプトの方はごく最近カイロで調印されることになって目下準備を進めております。
○森元治郎君 ソ連との文化協定なんですが、一昨年のロンドンにおける第一回日ソ国交回復の交渉に当って、政府は、文化協定は結ばないという腹ぎめで出かけたように聞いておりますが、今日政府はソビエトとの文化協定についてどんなふうにお考えになっておりますか。
○政府委員(田中三男君) ソ連が現在自由主義国と文化協定を結んでおりますのは、フランスとシリアとの二カ国でございます。共産圏も相互間には結んでおるようでございます。たとえばユーゴなどもソ連と文化協定を結んでおりますが、ソ連との間に文化協定を結んでおる国は今申したフランスとシリアの二ヵ国だけでございます。ただベルギーが昨年文化協定を結んだのでありますが、ハンガリーの問題が起りまして、この協定は実施困難であるということで、ベルギー側が一方的に廃棄を通告したという情報を持っております。こういうわけで、自由主義国でソ連との間の文化協定を作っておる国はきわめて少いのであります。われわれといたしましても、もう少しソ連の文化政策の内容、目的等を調査研究し、何がゆえに多くの自由主義国がソ連と文化協定を結ばないか、それらの理由、さらに、現在結ばれておるフランス、シリア等とソ連との間の文化協定がどのように運営されておるか、これらの点をさらに検討した上でわれわれの最終的な態度方針を決定したい、かように考えております。
○森元治郎君 現在日ソ間にはいろいろな音楽家の演奏会とか、展覧会、時に科学的、教育的映画の交換、書籍、定期刊行物なんかの出版物が絶えず自由に活発に動いているようですが、事実上はこれは協定がなくても大いに動いておるように思うのですが、政府はどういうふうにこれをお考えなんでしょう。
○政府委員(田中三男君) 文化協定は、お説の通り、なくても文化交流は十分やれるわけでございまして、たとえば現にアメリカ、イギリス等との間には文化協定を結んでおりません。と申しますのは、イギリス、アメリカ等は文化協定を結ぶ方針をあまり持っておらないようであります。そういう意味で文化協定を作っておらないのでありますが、事実上多くの交流が行われておるのであります。そういう意味でソ連との間にいろいろの計画があるということは、われわれも新聞その他の情報を持っておるのであります。また現に新聞社等の主催で音楽家を招くとか、あるいは民間の手で図書の交換が一部で行われておる。こういうことは事実でありますが、先ほど申しましたように政府としてこれをどの程度取り上げるべきか、また民間のやりますいろいろな文化交流に対して政府がどの程度援助するかということは、もう少し検討した上で態度をきめたい、こういうふうに現在のところ考えておる次第であります。
○森元治郎君 ソビエトは、文化協定を結びたいということを、国交回復後引き続き主張しておるのでしょうか。その点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(田中三男君) 国交回復後は、まだ正式に文化協定を作りたいという申し入れば受けておりません。
○森元治郎君 それから予算の関係ですが、新聞紙上では大いに文化活動をやるとか、二、三日前の新聞なんかでは、外務省の情報文化局に文化参事官というものを特に置いて文化活動をやるということですが、予算面では三十二年度は三千万円くらいと聞くのですが、それで十分な活動が一体できるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(田中三男君) 外務省の文化関係の機構、予算が、正直に申し上げましてきわめて貧弱でございます。これはいろいろな事情で思うような機構なり予算が取れておらないのでありますが、私ども文化関係の仕事を担当しておるものといたしましては、もう少しこの機構なり予算をふやしてもらいたいという希望を持ちまして、今年度の予算要求につきましてもかなりのものを出したのでございますが、今御指摘のように、実際の予算は全部で五千万円ばかりの予算になっておるのであります。しかし、この文化関係の仕事は多種多様でございまして、国もたくさんございまするし、初めから計画を立てて、今年度はこの国との間にどういう文化交流をやるかという予算の予定を立てることが非常に困難な事情もございます。もちろん、文化協定等を作りました国との間には、今後委員会等を設けまして、話合いの上で、予算その他とにらみ合せて、もう少し組織的な文化交流を進めたいと考えておるのでありますが、その他の国は必ずしもそういう計画が立たないような点もございまして、予算を取る上において困難があるわけでございまするが、幸いに外務省には報償費がございまするので、今年度も実は三千万円ばかりの予算でございましたが、さらに、一千数百万円の金を報償費から出していただいて、この文化交流をやって参ったのであります。来年度も五千万円ばかりの予算でございますが、さらに三、四千万円の報償費を文化関係の費用に回していただくように省内で打ち合せをいたしておるわけであります。こういうわけでもちろん乏しいのでありますができるだけのことをやっていきたいということで努力をいたしておるわけでございます。
○森元治郎君 文化関係の予算が貧弱だというお話はよくわかりましたが、その貧弱な予算から、たとえば国際文化振興会といいますか、外務省の外郭団体のようなものにいろいろ補助をしておるように聞いております。そういう外郭団体は幾つくらいあるでしょうか。またその外郭団体の活動が、予算も少いせいでしょうがきわめて不活発であるし、それを運営している人も、どうも外務省のお役人の大先輩で活動力もないように見えますが、もう少し、少い金を動かすのですから、仕事本位に一つ運営するようにしたらどうかと思うのです。外務省の御意見を伺います。
○政府委員(田中三男君) 外務省が文化関係で補助をいたしておりますのは、国際文化振興会のみでございます。われわれは、文化関係の仕事はこの国際文化振興会のみを援助し、またこの協力を得て仕事を進めたいと思います。目下、ことしは二百万円でございましたが、来年度は約三百万円の補助金をこの国際文化振興会に出すことになっているわけでございます。三百万円の金というのはきわめて少額でございまして、戦前には当時の金で数百万円の補助金が国際文化振興会に出ておったわけでございまするので、今日の貨幣価値を考えてみますると戦前の数百分の一という程度で、きわめて貧弱なものでございます。ところがこのKBSの補助金のほかに実は私どものやっております仕事は、先ほど申しましたように文化関係の機構が外務省自身もきわめて貧弱でございまするので、KBSに依頼し協力を求めてこの文化関係の仕事をいたしておるのであります。そういう意味で外務省で使っておる文化関係の費用の相当の部分が、KBSを通じてこの金を使っておるという格好になっておるのであります。KBSはさらに民間から約一千万円の寄付を求めまして、これと今申しました外務省のわれわれの事業費とで事業を進めておるわけでございます。陣容は今御指摘のように非常にKBSも予算の関係で貧弱なのでございますが、しかしここに働いておられる方はいずれも非常に優秀な識見なり手腕のある方で、そういう意味でわれわれとしては非常な協力を得ておるわけであります。しかし御指摘のように、さらにもっとこれを補助金をふやすなり、またスタッフを強化することを考えるべきだという御意見に対しては私も同感で、今後そういうふうに努力を続けたいと思っております。
○鹿島守之助君 この日本とインド、日本とドイツの文化協定を比較してみますと、第二条に、インドの方には、相手国の政府職員が自国の科学的、工業的機関において訓練を受け得るための便宜を与えることを定めているようです。この規定は西独にあってもいいのじゃないか。ことに日本はドイツの工業的機関に学ぶところが非常に多いのですから、どういうわけでインドにあってドイツの方にはないのでございましょうか。その点伺います。
○政府委員(高橋通敏君) お答え申し上げます。なるほどインドの第二条第二項にこのようなことがございます。ドイツの方にはないのでございますが、これはやはり特にインドに関しましてはそのような特殊事情と申しますか、実はインドの方面の技術者を日本側に呼びまして、いろいろ訓練する。特に政府の委嘱を受けた者の訓練というのが目印関係の方がより切実に現在もございますので、特にインド側においてはこれを置いたという次第でございます。もちろんドイツの方にもあれば越したことはないかと思うわけでございますが、ドイツの方は、これはインドにもございますが、第四条におきまして、奨学金その他の方法によりまして修学研究または技術を習得するという可能性が、一般的には四条にも置かれておりますので、一応ドイツの方からは削除し、インドの方だけに置いた、こういうわけでございます。
○鹿島守之助君 実は元のドイツ大使、なくなった加瀬君ともいろいろ話したのですが、日本では最近日進月歩の科学技術に対しまして、主としてアメリカから技師を雇ったり、それからこちらから向うに行って教育さしておりますが、技術者はアメリカから来てもらっても大体一月に千二百ドルくらい、ドイツだったらほぼその同等の技術者がその半分かあるいは三分の一くらいで雇える。それからまたある種のものによるけれども、アメリカよりもドイツの方が進んでいる。そこでアメリカ一辺倒の技術を西ドイツに振りかえると、非常に経費やそれからそのほかそういう点で国費の節約になるだろう。また一般にアメリカに行ったら資源が非常に豊かで、すべてがぜいたくにできている。節約だとかそれから廃品を利用するとかそういうことは全然ない。それがドイツを初めヨーロッパになりますと、そういう点で日本のような資源のない国にぴったり合っている。そういう点で何とか将来この文化は単に芸能文化的なものじゃなしに、やはり生活文化といいますか、生活に即するような文化、そういう科学技術を含めまして、そういう方面の文化交流ということが将来非常に必要じゃないかと私は思いますが、何かその点につきまして外務省の方で考えておられないでしょうか。
○政府委員(田中三男君) 今お話の通りでございまして、単に音楽とか美術とかによる文化交流でなくて、もっと科学とか技術による交流に重点をおくべきじゃないかという御説は、われわれも同感でございます。のみならず相手国も、たとえて申しますとフランスなどもまあわれわれ俗に見ますと、どうも音楽とか美術のようなものに日本との文化交流の重点をおいているように一般に思うのでございますが、実はそうでなくて技術の交流に重きをおきたいということをフランスは申しておるのでございます。そういうわけで相手国ももっと技術なり科学なり、そういう面の交流をやるべきだという考えに最近なっておるわけでございまして、われわれも今お説のような考えで今後それらの方面により重点を移していくというふうにこの文化交流を運ぶべきである、そういう考えでおるのでございます。まだ具体的にはドイツ等とも話合っておりませんですが、今後はお説のような心掛けでやって参りたい、こういうふうに考えております。
○鹿島守之助君 国によりましては技術アタッシェ、そういうものを置いている国はございませんか。外交官だけでなくて、技術アタッシェを置いている、そういう国はございませんか。
○政府委員(田中三男君) ちょっと私の今存じておる範囲では、そういう技術アタッシェというものは記憶にないのでございますが、さらに取り調べましてお答えをいたしたいと思います。
○梶原茂嘉君 あるいはこれは外務大臣にお伺いした方がいいのかもわかりませんが、昨年ソビエトとの間に国交が回復され、近く東欧諸国の共産圏の国とも国交が正常化されることが期待されているので、このドイツとの文化協定は、もちろん西独との関係でありますが、東独に対して今後どういうふうな態度をわが方としてとるか。これはひとり文化交流の問題だけじゃなしに、経済面その他の関連において東独というものに対して日本側はどういう態度をとるか、その点を一つお示しを願いたいと思います。
○政府委員(井上清一君) ただいまの梶原委員からお話がございました通り、昨年はソ連との間に平和条約が締結され、今度また共産圏でありますポーランド、チェコとの間に平和回復の条約を締結することに相なっております。ただまあ今後共産圏の国と申しましても、逐次その状況によりまして平和条約を結んでいくことに相なるのでございますが、ただ、一つの国が二つに分れておるというような国につきましては、これはいろいろな問題を考慮しなければならぬわけでございます。ことにドイツは、西独とは元来国交を結んでおるわけでございまして、従って、東独と国交を回復する状態に入るということは非常に複雑な問題を含んでおるわけでございまして、いろいろ今後の国際情勢の推移等十分見きわめました上でないと、国交回復という問題を取り上げるわけには参らないと、かように考えておるわけであります。十分一つ今後の成り行きを見詰めつつ考慮していきたいと思います。
○梶原茂嘉君 東独との間に国交回復とか、そういう事柄を考えることは、お説の通りに簡単な問題じゃなし、またそういう時期でもあるまいと思いますけれども、いわゆる貿易関係、あるいは文化の交流とかいうものについて、他の共産圏の場合と同じような考え方をもっていかれるのか、あるいは東独、西独の関係の特殊性といいますか、等からみて、それは全然考えないと、ドイツについては西独というものだけを対象にしていくというふうな態度をとっていかれるのか、その点に対して……。
○政府委員(井上清一君) 現在のところ、政府と政府との間の協議とか、あるいは交渉によりまして文化の交流とか貿易というようなことについては現在は考えられないと思うのです。また実際問題として民間の手でやるというようなことにつきましては、これはあるいはできることでございましたら、それは私どもとしても別にかれこれ申す筋合いではなく、できることはけっこうだと思います。しかし実際問題として、現在東独との間に貿易とか、あるいは文化の交流はできがたい状態にある、かように私どもは判断をいたしておる次第であります。
○梶原茂嘉君 実際問題としてなかなか簡単ではないということは、これはお説の通りだと思うのです。しかしながら、ソ連、それからポーランドその他東欧諸国との間の物資の交流等が行われていく段階になれば、私はその問題が出てくるのではなかろうかと思います。その際に西独との関係で相当微妙な関連性を持ってくるようにも思われるのであります。そういう点について、やはり他の共産圏と同じように東独を考えていくのか、ドイツの統一といいますかそういうものを念頭において、あくまで西独一本でいくのかの点であります。……。先ほどの御答弁でけっこうです。
○政府委員(田中三男君) 先ほど梶原委員からの御質問に対しまして、わかりました点だけお答えをいたしておきます。技術アタッシェを置いている国はないかという御質問なんでございますが、イギリスはデンマルクに農業や漁業のアタッシェを置いておるそうであります。なおわが国としましてはワシントンに科学アタッシェを一名置いております。さらに来年度ヨーロッパ方面にも一、二名の科学アタッシェが置かれるようになると聞いております。技術アタッシェという名前じゃないようでございます。科学アタッシェでございます。
○鹿島守之助君 それは大へん私はいいことだと思って、西独あたりにもやはり科学アタッシェを置かれることを希望いたしておきます。
○海野三朗君 私がお伺いしたいのは、このインドとの文化協定を結ぶに当りまして、見のがしていけないのは、その国のつまり主義方針といいますか、インドは御承知の通り、釈迦、ガンジー、今日はネール首相一本の国是を持っている国である。その国とのこの文化協定を結ぶに当っては、向うのつまり仏教国であるということを常に念頭におく必要があると私は思うのでありますが、その点については東南アジア全体、国をあげてこの仏教二千五百年を、国是をもって祝賀している。そういう際に外務省としては過日三笠宮がセイロンにおいでになった際には、日本として外務省の方からどういう態度でセイロンに接しているのか。同様にまたインドに対してもどういうふうな態度をとっておられたか。その点私はお尋ねいたしたい。セイロンには何でも向うに一千万円ほどの金をこちらで何かに寄付をしたという話を私は聞いているのでありますが、その辺の消息を伺いたい。
○政府委員(井上清一君) 昨年から始まりましたセイロンの何といいますか、仏誕二千五百年、またセイロンの建国二千五百年のこのお祝にわが国から三笠宮殿下御夫妻でお出かけになりまして、日本とセイロンとの間の国交の親善に非常に御貢献あそばしましたことは、先ほど海野委員のお話があった通りです。その節に昨年の春でございますが、そうしたまあセイロンの国家的な祝典の機会に、わが国としてたしか三千万円だったと記憶いたしておりますが、仏塔を寄贈することについて協力しようということで、政府としても資金を出しましたし、また民間側からもその資金を集めまして、セイロンのお祝に対しても日本としても慶祝の意を表したいということで、いろいろ計画を進めているような次第でございます。いまだ進行中でございまして、まだ結末までに至っておりませんけれども、そうした計画を政府といたしましても、また政府として民間の協力を仰ぎまして、着々進めているということを御了承願いたいと思います。
○海野三朗君 それにつきまして私はお伺いいたしたいのは、インドに対してはどういう態度でおりますか。一昨年私インドに参りましたときに、あの王舎城、仏陀伽耶というわきには五千坪ほどの土地を差し上げる、ただで。そこに日本の仏教国としての足場を設けたらいいではないかという正式な申し入れがきておったのであります。全日本仏教連合会にその土地をただ提供しようというところまで向うでは好意を示しておった。従って私はこの文化協定を結ぶに当っても忘れてならないのは、そういう方面のいわゆる親しみと申しますか、国民やインド政府の好意というものに対して、常にわれわれは心に用意がなければならないと思うのでありますが、あの五千坪の土地を無償提供いたしましょうということに対しては、外務省当局はどういうふうにお考えになっているか、それを御存じなかったかどうか。全日仏にはそれは五千坪の土地を無償提供するからということでありましたが、なんとかそこに日本人の足だまりを一つ設けたいという議が起っていた。それに対しては外務省は御存じなかったわけでありますか。その辺のことについてお伺いをいたします。
○政府委員(田中三男君) 今御指摘のように日本とインドとの間には、両国の歴史的な、伝統的な関係を特に考慮すべきであるという点、われわれも全く同感でございまして、その点はインド側もそういう考えを持っているので、その結果インドとの間の文化協定の前文にその趣旨が特に入っているのでございます。これは日独の場合も文化協定にはそういう言葉は入っておらないのでありますが、インド側の場合は特に「両国間の幾多の世紀にわたる文化関係を認識し、」こういう特別の前文が入っているのであります。これはインド側とわれわれとが話し合った結果特に両国間の伝統的な関係を全面的にうたおうというわけで、そういう規定を設けたわけでございます。そういう心がまえで今後ともこの協定を運用したい、こう思うわけであります。ただ今のお話の五千坪日本側に提供しようということは実は私は聞いておりません。あるいはアジア局方面でそういう話を聞いているかと思いますが、情報文化局としてはまだ何も承知いたしておりません。
○海野三朗君 セイロンに対しては仏塔を立てるということに寄与をする、そういう際にインドの方に対しては、何かお祝で日本からあまたの代表者を呼んでいる、あの好意に対しては何か日本からおみやげでもやりましたか。そういう際に、そう何千万円とはいかなくても一千万円、二千万円でもやはりこちらから持っていって、そうしてその国交を新たにし、すべての点についてこれがエビでタイを……といっては過言かもしれませぬけれども、あの国をあげてのお祝の際に、外務省としてはどういうふうにお考えになっているのでありますか。その辺の御決意を一つ承わりたい。同様にまたインドネシアに対してもそうであるし、ビルマにしてもそうである。そういうものに対してちょっぴりでもやはり日本が好意を示してやるということが最も大切なことじゃないか。東南アジアはあげて皆仏教国である。この仏教国が、国費を投じてあの二千五百年を祝している際に当って、日本も幾らか御祝儀を出すのが常識であると私は思うのですがね。お祝があれば御祝儀を多少包んで持っていくのはこれは常識である。この常識でわかり切ったようなことに、ただセイロンにだけ包みを出して、あとインドあたりに何もしないでいるというのは、私は実に片手落ちであると考えるのですが、いかようにお考えでございますか。
○政府委員(田中三男君) インドとの間には、御承知と思いますが、昨年田中耕太郎最高裁判所長官がインド側から国賓として招待されておいでになったことがございます。同時に外務省といたしましては、インドの副大統領ラダクリシュナンを、これは世界的な哲学者、そういったりっぱな方でございますが、この方をお礼と申しまするか、国賓として外務省はお迎えをしたわけでございます。おいでになっている途中で御不幸がありまして、予定通り滞在はできなかったのでございまするが、こういうわけで、すでにそういう文化協定に表われているような気持で、文化交流は始めているわけでございまするが、今後協定が効力発生いたしますればさらにこの協定の精神に基いて、積極的な文化交流をいたしたい、かように考えております。
○海野三朗君 私はただいま伺ったその要点を申し上げますと、セイロンは仏陀二千五百年であのお祝をやっている。三笠宮も行かれたし、本願寺の法主も行かれた。また重ねてあまたの国賓として日本からの代表者を呼んでいる、その好意に対して包みを持っていった。インドも同様にこの間はたくさんいった、そういうことに対してのお包みを包む気がないかということを私は伺うのです。包みを包んでいかないじゃないか。その際に私はこの前のインド大使のセンさんに会った。今本国に帰っておりますが、セイロンのことをちゃんと聞いて、インドにはどうしてくれるのだろうかということを私はいわれたのですが、センさんにいや日本としてはそれは考えておりましょう、私はこういったのですけれども、インドとしては仏教国としてはセイロンよりは先だとこう見ているのですね。本家本元はインドだ。そのセイロンには仏骨を分けて上げることをやったのだけれどもセイロンに包むのだからインドにも多少包みをもらえるだろうと考えているわけです。そういう動きは外交関係には微妙に働くし、またこの土地五千坪を無償提供しようというのは全日仏にきているのです。本部でそれに対して御存じないということはないのです。私は悪く言いますれば外務省はほおかぶりをして知らぬ顔をしていると私は見ている。無償提供しよう、そこに仏教徒の足場を作ったらいいじゃないかという向うの要求であったわけでありますから、私はその宗教によらずに考えてみて、日本人がいくところの足場を作るなら表面は何としてもいいのだ、とにかく一つの日本人の将来インドとの交流の上において足場を作る土台を作ったらいいのじゃないか、私はこういうふうに思うのであります。その点については外務省はもう少しその点を考えていてもらいたいと私は思うのですけれども、あなたはどういうふうにお考えになっておりますか。お包みを包まなければいかんじゃないかというのだ、私は。多少にかかわらずお布施を出せというのです。みんな各国にもそうあるべきなんですけれども。
○政府委員(井上清一君) 海野先生からいろいろのお説を拝聴いたしましたわけでありますが、適当な機会がございましたら、ぜひとも一つ先生のおっしゃるような計画に政府もできるだけの協力をするように考慮いたしたいと思います。
○海野三朗君 最後にもう一つ。私はこれはちょっと外務委員会ではおかしいかもしれないのだけれども、この東南アジアとの交流におきまして私は全く政治を離れたような、いわゆる宗教親善使節というようなものを、政府の方でやるお考えはないのか、東南アジアに対しまして。
○政府委員(田中三男君) 来年度の、実は文化人の交流の一つの計画としまして、私の方ではおっしゃるように仏教関係の学者を、この仏教国の方に随時回っていただき、大学あるいはその他の集まりで講演等をしていただこう、こういう計画を進めておるのであります。
○海野三朗君 わかりました。
○加藤シヅエ君 このインド、ドイツ以外にも文化協定を結んでいる国々と、いろいろ文化的な交流をするためにそういう目的で海外に行きたいという企てがございましたときに、一々政府からお金を出すというようなことはこれはむずかしいと思いますけれども、外務省において外貨獲得のワクをとるためにいろいろ協力して下さると、そういうようなことは今後していただくことはできるのでございましょうか。いかがでございましょうか。
○政府委員(田中三男君) この文化協定に基いて学者あるいは学生の交換をすることになりますれば、その範囲では当然われわれは外貨の面も協力をしなければならぬ、こう考えております。
○加藤シヅエ君 そういうような場合に、今までどういう方面にはどのくらいのワクとか何とかということは外務省であらかじめきめていらっしゃるのですか。それともそのつど、そういうようなことで内容が、これは非常に趣旨がいいというようなときにはいつでもワクをとるために協力して下さるのでしょうか。
○政府委員(田中三男君) 今までのところ、全体のワクとしてそういう外貨のワクを外務省はもらっておるわけではございませんので、そのつどわれわれの方もお口添えをしてこういう協定による文化交流の実施を進めておるのでございます。今後もそういうふうにやる考えでおります。
○加藤シヅエ君 今後もどうか、そういうことがございますときには外務省において十分に大蔵省との折衝に力を入れていただきたいと思います。
○竹中勝男君 これはまだちょっとあれですけれども、次回にも質問の時間はいただけますか。
○委員長(笹森順造君) そのつもりでおります。
○竹中勝男君 できれば、できるだけやはり大臣に出席していただきたいと思いますけれども。
○委員長(笹森順造君) 承知いたしました。連絡いたします。
○海野三朗君 私もう一つお伺いをしたいのでありますが、外務省といたしましてはこういうような協定を次々と結んでいかれるのは非常にけっこうであるけれども、どうもビルマに対する賠償なんぞは遅々として進んでいないのじゃないですか。どうなんですか。
○政府委員(井上清一君) ビルマの賠償は、交渉が決定いたしました当時におきましては非常に進む度がおそかったようでございますが、最近は賠償の実施計画も軌道に乗りまして非常に進捗し、所期の計画通り最近は進んでおりますというような状況でございます。
○海野三朗君 しからばあのビルマにこちらからの商品のセンター、つまり農機具を向うに持って行って一般大衆に見せたりなんかするところのステーションを、たしか通産省を通して交渉しておったと思うのですが、あれについては外務省はどの辺まで関与しておられたか。ところが一昨年でありましたか、これをやかましく国会で言って、そうして今度は政府から金を出して、向うに土地を借りて建物を建てて、日本から品物をそこに飾って、そうして向うの人によく見せるという段階になっていたのでありますが、それがビルマの方とうまくいっていない。まだうまくいっていないのでその予算はどこかにとってあるはずだ。それに対しては業者はどうかというと、もうビルマに送るばかりにして大阪までやっていたが、倉敷料で業者がさんざん苦しんでおる、損をしておるということを考えてみますと、ビルマの方ではこの日本の賠償が円滑にいっていない。賠償することはするけれども、なるべく先へ延ばそう延ばそうとする日本の態度ではないのか、というふうに私は曲げて考えるのでありますが、その辺はどうなっておるのですか。ビルマの賠償と、それから土地を借りてラングーンにそういうステーションを設けるということはどんなふうになっておりますか。私はその日本の賠償がはかばかしくないというので、向うの人の感情上のこじれがあって、その土地を提供することを、いわゆる貸すことが円滑にいっていないのじゃないか、こういうふうに私は案ずるのであります。で、どうせ賠償してやるのであるならば、日本は気持よくしてやらないと、向うでありがたいと思うようにしてやらなければ、くれるくれると言っていてちっともうまくやってくれぬというようなことであると、それが他の方に影響する。で、今度日本がつまりラングーンにステーションを設けて、そうして日本の品物を展示しようというので土地の交渉、建物の交渉をしようとしているのにそれがねっから進んでいない。その辺はどうしたものでしょうか。
○政府委員(井上清一君) 賠償は計画通り進めていかなきゃならぬということはお説の通りでありまして、最近は先ほども申し上げましたように、非常に順調に推移をいたしておりますことを申し上げたいと思います。 なおまたラングーンにおきます賠償のいろいろな品物を展示するステーションでございますか、そういう計画について、実は私はその話はわれわれは聞いていない。これはたしか通産省の計画じゃないかと、かようにまあ思いますが、よく取り調べました上でお答えを申し上げたいと思います。
○海野三朗君 そういうこともやはり外務省が関係して口火を切っておるのではないかと思いまするから、外務省の方でもお調べを願いたい。
○委員長(笹森順造君) 本件に関しては質疑はなお次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(笹森順造君) さよう決定いたします。ちょっと速記をやめて下さい。 午前十一時三十八分速記中止 —————・————— 午後零時一分速記開始
○委員長(笹森順造君) 速記を始めて、本日はこれにて散会いたします。 午後零時二分散会 —————・—————