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26回国会衆議院1957/02/11

予算委員会第二分科会 第1号

発言数
79
登壇者
10
会派数
2
開催日
1957/02/11

会議録

坂田道太自由民主党

○坂田主査 ただいまより予算委員会第二分科会を開会いたします。  本分科会は昭和三十二年度一般会計予算並びに昭和三十二年度特別会計予算中、文部省所管、厚生省所管及び労働省所管の審査を行うことになっております。  この際一言ごあいさついたします。今回私が当分科会の主査に指名されました。何分ともふなれでございますので、各位の御協力によりまして分科会の議事を円満に議了いたしたいと存じます。よろしく御協力をお願いいたします。  なお予算委員会理事会の申し合せにより、分科会の議事は来たる十四日に一応議了することになっております。審査日程はお手元に配付してある日程表に従い、文部省所管より順次行いたいと存じます。  なお資料の御要求はできるだけ早く私までお申し出をお願いいたします。  それでは昭和三十二年度一般会計予算中、文部省所管について説明を聴取することにいたします。灘尾文部大臣。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 昭和三十二年度文部省所管の予算の大要につきまして御説明申し上げます。  昭和三十二年度文部省所管の予算額は、千四百四十四億五千七百九十九万七千円でありまして、これを前年度予算額千三百五億三千四百八十三万八千円に比較いたしますと、百三十九億二千三百十五万九千円を増加いたしております。  なお文部省予算額を一般会計総予算額に比較いたしますと、その比率は前年度同様一三%弱となっております。  次に昭和三十二年度予算のうち重要な事項について申し述べたいと存じます。  第一は、教育委員会の育成強化に必要な経費であります。改正後の教育委員会制度の円滑な運営をはかるため、教育委員会関係職員の研修を行い、また国、都道府県、市町村間の指導、連絡を緊密化するために必要な経費として千四百二十一万五千円を計上したのであります。  第二は、義務教育費国庫負担制度の実施に必要な経費であります。義務教育の機会均等とその水準の維持向上とをはかるため、公立義務教育諸学校の教職員給与費の実支額の二分の一、及び教材費の一部を国で負担するため必要な経費でありまして、給与費としては本年度約十一万人の児童生徒の増加に伴う教職員約一千四百人の増加と、給与改訂に伴う必要額を含めて八百三十三億八千七百万円、教材費として十三億千三百万円を計上したのであります。  なお、昭和三十二年度においては政令第百六号の適用を受ける団体は、東京、大阪及び神奈川の三団体と見込まれますので、他の四十三道府県については実支出額の二分の一を負担する建前で必要経費を計上したのであります。  これに関連しまして、第二十四国会で成立いたしました公立養護学校整備特別措置法に基き、昭和三十二年度より実施の公立養護学校教職員給与費の二分の一及び教材費の一部の国庫負担金につきましては、その所要額三千三百万円を計上いたしました。  第三は、文教施設の整備に必要な経費であります。国立文教施設の整備につきましては、戦災を受けた施設の復旧、老朽校舎の改築等前年度よりの重要工事の施行を続けるとともに、学術の進歩に即応する文教施設の整備には特に重点を置き、その所要経費二十九億八千百二十七万四千円を計上したのであります。  公立文教施設につきましては、これが必要な経費五十七億八千二万円を計上したのであります。  特に本年度においては学校統合に対する補助金を七億千四百八万四千円を計上いたしましたが、これは町村合併等による学校統合を促進することにより、学校経営の合理化及び教員の適正配置等を促進し、教育水準の向上をはかるためであり、また不正常授業の解消のために五億九千百二十七万四千円を計上して、特に児童の社会増に伴う教室の不足の解消をはかる考えであります。  なお小学校校舎の戦災復旧費につきましては、一応完了したものと考えてこれを打ち切り、なお残余のものについては不正常授業の解消の経費の中に含めて処置する考えであります。  第四は、科学技術及び科学技術教育の振興に必要な経費であります。初等中等教育については、理科教育及び産業教育の振興に留意し、それぞれ三億八千四百十五万円及び七億二千四百十一万八千円の経費を計上してこの面での基礎的充実をはかり、国立大学においては理工系学部の八学科増設等により約八百人の学生増募を行なって技術者の養成に備え、また五大学、三研究所において原子力に関する講座または部門の増設を行い、新たに物生研究所の創設、研究用原子炉の設置をはかるなど、科学技術の進歩に即応した学術の振興に特段の措置を講じました。これに関連し、講座研究費及び教官研究費について一割、学生経費について二割の増額を行なって基準経費の充実をはかり、また在外研究員の派遣に必要な経費を増額して一億円を計上したのであります。  また私立学校についても同じ趣旨に基き、理科特別助成費として五千万円及び研究基礎設備補助として八千八百万円を計上いたしました。  なお本年度は国際地球観測年の本観測の年に当っておりますので、前年度の予備観測に引き続き南極地域の観測を含め八億五千万円の経費を計上したのであります。  第五は、教育の機会均等の確保に必要な経費であります。義務教育の円滑なる実施をはかるためには経済的理由により、就学上困難な状態にある者に対して特別の対策を講ずる必要がありますが、これがためいわゆる準要保護児童生徒に対する教科書費及び給食費の補助を充実し、新たに中学校の生徒をも、これが対象に含めることといたし、教科書費については一億九千八十八万八千円、給食費については一億百五十八万九千円を計上いたしました。  次に僻地教育の充実をはかるため従来の施策を続けるとともに、新たに無電灯地帯における発電設備の補助として一千万円を、また特殊教育の振興をはかるためには特殊学級を整備充実することが必要であるので、その設備費の補助として八百万円をそれぞれ新たに計上いたしました。  さらに、勤労青少年教育の振興は社会教育の推進と相待って行われなければなりませんが、特に定時制高等学校に対する国の財政援助として第二十四回国会で成立しました夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律に基き、夜間給食の施設、設備の補助千三百十万九千円を計上するとともに、新たに学校の施設費の補助五千万円を計上したのであります。  第六は、社会教育の助成及び芸術文化の振興に必要な経費であります。従来に引き続き青年学級の充実のため六千万円、社会教育施設の施設整備に一千万円、設備整備に千八百万円をそれぞれ計上するほか、青少年教育、婦人教育等、社会教育として特別に助成を必要とする事項を一括含めて、社会教育特別助成費としてこれに七千万円を計上し、また旧松方コレクション受け入れのために新たに西洋美術館を創設することとし、これに必要な経費一億五千万円を計上したのであります。  第七は、スポーツの振興に必要な経費であります。国民の各層にわたってスポーツの振興をはかるため、地方スポーツの振興及び指導に必要な経費を新たに二千万円計上し、また国民体育大会の補助七百万円のほか、新たに日本体育協会に対する助成金一千万円を計上し、また昭和三十三年に開催のアジア・オリンピック大会に備え、国立競技場の設置に必要な経費十二億七千六百七十六万八千円を計上したのであります。  第八は、国際文化の交流に必要な経費であります。国費による外国人留学生、特に東南アジアからの留学生の招致は、わが国の今後の国際関係の観点からもきわめて重要な問題でありますが、昭和三十二年度は、留学生の増募をはかるとともに、これら留学生の宿舎の建設及びその管理運営に当る団体の助成等を含めて五千八百十二万一千円を計上したのであります。  第九は、文化財保護に必要な経費であります。文化財保存事業は、逐年その成果を上げてきておりますが、昭和三十二年度は、特に建造物の保存修理及び防災施設の整備に重点を置くとともに、文化財としての法隆寺の維持管理に新たな措置を講じ、文化財保存事業費として四億三千六十万八千円を計上し、また国立劇場の設立強備のため千七百万円を計上したのであります。  第十は、国立学校運営に必要な経費であります。国立大学七十二、国立高等学校八、大学附置研究所五十七、大学附属病院二十二を維持運営するために必要な経費でありまして、昭和三十二年度におきましてはさきに申し述べましたように、科学技術教育振興に主眼を置きまして、東京大学に物性研究所を創設するほか、北海道大学、東北大学、山形大学、山梨大学、静岡大学、九州大学、千葉大学工業短期大学部及び名古屋工業大学短期大学部にそれぞれ理工学系の学科を新設し、東北大学、東京大学、東京工業大学、京都大学、大阪大学に原子力研究に関する講座または部門を増設する等の措置を講ずるため必要な経費を含めまして三百六十九億二千六百六十四万五千円を計上したのでありますが、このうち二百六十九億二千二百三十七万四千円を国立学校の項に、七十二億二百三万六千円を大学付属病院の項に、二十八億二百二十三万五千円を大学付置研究所の項にそれぞれ計上したのであります。  以上、文部省所管に属する昭和三十二年度の予算の大要につきまして御説明申し上げた次第であります。  何とぞ御審議の上御賛同あらんことを希望いたします。

坂田道太自由民主党

○坂田主査 これより審査に入ります。質疑を許します。辻原弘市君。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 分科会でございますので、できるだけこまかい点をお聞きいたしたいと思いますが、最初に二、三大臣から承わっておきたいと思います。  その一つは教科書法案の問題であります。これは前国会に流産をいたしまして、その後政府の方でも、当初はこれを提出するという方針をおきめになったようでありますが、その後さらにこれを撤回いたしまして、提出をいたさないということに何か決定を見たようであります。このことは正式な決定であるかどうか、それからもしそれが正式なものであり、政府の態度であるとするならば、当初どうしても提出しなければならぬという空気から、このたび撤回を見合せるに至ったその主たる理由というものは何であるか、それを簡単に承わっておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 教科書の問題はまことに重要な問題でございますので、これの取扱いにつきましては、政府といたしましても常に検討しなければならぬ問題と考えておる次第でございます。今度の国会に教科書法案を出すか出さないかというような問題につきましては、文部省としては、率直に申し上げまして教科書法案を事務的には出すつもりでいろいろ準備もいたしておりましたが、まだ政府部内におきまして、また党との関係におきまして、いろいろ意見の調整を要する点もございますので、目下検討中と、お答えを申し上げたいと思うのでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 さよういたしますと、先般新聞等に出ておったのは誤報だということに解釈せざるを得ぬのでありますが、そうだといたしますと、一言だけ申し上げておきたいと思いますが、これは予算委員会議場等においてもしばしば言われております通りに、今国会はほとんどいわゆる重要法案というのはございません。政府としても重要法案を提出する場合には、国会正常化の建前から十分野党側とも話をするのが必要である、こういうことを積極的に委員側からも発言があり、また政府を代表して、岸さんからもその点に対する率直な見解が述べられておるわけであります。それを前提にいたしますと、すでに二月も半ばを越しまして、予算審議も大体中間どころに差しかかったと見ておるわけでありますが、そういう段階においてすら、なお結論が出ていないというような法案であるならば、これはおそらく国会正常化には全く相反する取扱いをしなければ、今国会に提出することができないというふうに私どもは考えるわけなんです。そういうことを十分御考慮に入れられて、願わくは、今ほのかに伝えられる教科書法案提出不必要なりという点をすみやかにお取りきめになることが、灘尾文政初めてのりっぱな業績ではなかろうか、かように考えますので、その点は決定いたしていないということでありましたならば、要望いたしておきます。  次にこれも大臣から見解を承わっておきたいのでありますが、近年一部に学制に対するいろいろな考え方が生まれております。その中には六・三制について相当の再検討を加え、メスを入れなければならぬとする意見もありますし、あるいは六・三を基本にいたしまして、足らざるところを補うようにすべきであるという見解も言われております。六・三制が過去十年にわたってやってきた実績等から考えまして、いずれにいたしましても、その効果というものを十分しきいに検討して、さらに学制そのものを補備強化していくということには、これは何人も反対するものはないと思います。  その中で特に今爼上に上っている問題を一、二あげますと、一つは大学教育の問題であろうと思います。一つはいわゆる実業教育というか、技術教育というか、産業教育といいますか、こういった方面についてであろうと思います。その大学教育の中で、従来われわれは、しばしば文部当局からその大学の設置についての御意見を承わってきました。なお大学の学部のあり方、こういうものについても意見を承わってきましたが、大臣御就任早々、おそらくやいろいろな御見解をお持ちになっていると思います。一部には大学が多過ぎるという議論もあれば、日本の人口から見て必ずしもそうではないという議論もあり、要するに大学の充実が今日期し得られていないから、そういう議論が出るのだという、私どもの考えに似た意見も意見の中にはあるわけであります。ともかくも今日の大学は、足らざるところが非常に多いように思います。そういう中で、一体今後この日本の大学というものをどういう方向に大臣としては持っていかれようとするのか、その根本的なことを一つお伺いをいたしておきたいと思います。と申すことは、これはいろいろ現実の問題に関係が出てくるわけでありますが、まず従来大学院を持っている大学についての強化方針、それから新制大学等に対する強化方針、それから教員養成を主とするところの学芸大学あるいは教育学部、こういったものに対する方針、それから短期大学に対する方針、それらについて御構想を一つ承わっておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 大学を中心といたしましての学校制度の問題につきましては、ただいま辻原君からお話のございましたように、いろいろな意見を伺っておる次第でございます。私も就任早早この問題につきましていろいろ各方面からの意見もまた伺っておる次でございますが、これをどういうふうに今やっていこうかというような事柄につきましては、ただいまはっきりとお答えを申すだけの考えを持っておりません。今後十分に一つ検討して参りたいと思っております。ことにこの六・三制とか六・三・三・四、そういうような制度の根幹に触れた問題につきましては、よほど慎重に検討する必要があろうかと考えております。今日までの実績ということについても、十分検討をいたしますし、社会の変遷に伴う社会の需要というようなことにつきましても、深く研究してみなければならぬと思いますが、今こうしたい、こういうふうにするというようなことについて確たる意見を持ち合わしておりませんので、いろいろまたお教えを受けまして、今後十分に一つ検討いたして参りたいと思います。ただ問題といたしまして、お話にもございましたように、短期大学を一体どうするか、あるいはまた学芸大学をどうするかというふうなことが、やや具体的な課題として与えられているように実は思っているのであります。そういうような特に短期大学等につきましては、御承知のように中央教育審議会からもすでに答申もあるようなわけでありますので、私といたしましては今これをどうするというようなはっきりした考えを持ち合わしておりませんが、与えられた課題といたしまして、皆さん方の御意見も伺いつつ、慎重に検討を進めて参りたいと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 具体的に一つお尋ねをいたしたいと思いますが、まだ構想をお持ちになっていないとおっしゃいますが、私見でもけっこうですが、私見を申し上げるわけにはいかぬということでありましたならば、それでもけっこうであります。  まず今まで各大臣がいらっしゃったので、ある大臣は、ともかく現在日本の大学は数が多過ぎるという意味において、全然大学の数をふやさぬのだ、こういう見解をおとりになってきた大臣もあれば、さほどにその見解を強く進められないで、先ほど私が申し上げましたように、まだまだ日本の今後の文化の発達、大学そのものの今後のあり方をきめていくならば、必ずしも多きに失するというようなことはない、こういう見解をとられてきた方もありまするが、あなたはこれに対してどういうようなお考えをお持ちになっておられますか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 大学の数が多過ぎるじゃないかというような御批評も確かに伺っております。私といたしましては、せっかく今日できておる大学につきましては、これは必ずしも数が多いという問題ではないので、むしろその内容を整備充実することに努めまして、特にまた各地方にそれぞれ存在しておるわけでありますので、地方の特色というふうなことも十分に取り入れまして、特色のある充実した大学を作り上げていくということに努力してみたいと考えておるのであります。今大学をふやすということでありますれば、その問題につきましては、ふやすという考えよりも、むしろ現在あるものの充実に努力すべきじゃないか、こういうふうに考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 あるものを充実していくということで、ふやすということは従に考えていきたい、しかし地方の特殊性を生かしていきたい、こういうお話であります。私も確かに大学の設置から見まして、地域にマッチした大学の育成というものをやはり強く感じておるわけであります。特にこの機会にお伺いいたしておきたいのは、教員養成等の大学に関してでありますが、これはその他工業、農林、水産関係等の各大学も、その地方の産業とマッチした特殊性のあるものを作っていかなければなりませんが、教員養成大学というのはまた一般総合大学等と比較してみますと、若干目的も違えば、またその大学を形作っている内容、地域とのつながり、こういうものも異なっておる。そういう意味において、あなたの今おっしゃった特色のあるものを作っていかなければならぬ。裏を返して見れば、地方のよりよき協力を得ていけるような、そういう形の大学にすべきだ、こういうふうに私は相なると思う。そういたしますると、この教員養成の大学等については、これはずいぶん長い問いろいろ議論を重ねられてきておると思います。私は、分科会でありますので、そういう個々の問題には触れませんけれども、文部省の旧来の方針としては、やはり戦後の各改革によって、そのまま分校等に設置してある問題は、すみやかに一つにまとめることが強化なりという形で推進して参っておると思う。またそのように取り扱われてきたと思う。ところがそのやってきた経過のあとを振り返ってみますると、必ずしも当初文部省が述べましたような形には私はいっていないと思う。ただ教員定員に幾分かの節約ができた、あるいは施設の面において若干の効率が上ったという、いわゆる主たる問題は経費であって、果して地方の教員養成というものを十分に満足さすだけの効果を上げ得たか、また地方住民の協力をよりよく高めるような形になったか、その他、そういう要素を考慮してみれば、あながち私は、そういった政策はよかったとは認定できない面があると思う。そういう意味において、この機会に、この教員養成等の大学については、これの充実をするために、さらにその地方の協力を得られるような措置において、大学のあり方、設置というものを考えていくことが、私はきわめて重要ではないか、こういうふうに昨今考えてきたのであります。ただここで警戒すべき問題は、御承知のように教員養成大学は、かつてのいわゆる一都道府県内における二つの師範学校から成り立つというようなことからの学閥の争いが起って、これが非常に問題をかもしたこともわれわれは聞いておりまするが、そういうことは厳にこれを排除しなければなりません。しかしながら、そのことが排除されるなれば、十分地方の要望を入れて、いわゆる地域に満足のゆける、またきわめて教員養成に適所的な大学の配置というものも考慮していくべきではないか、こういう点についてすでに大臣も現地の意見等も聞かれておると思うのでありますが、一つ御見解がありますればこの機会に承わっておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 教員養成の教育施設につきまして、大へん示唆に富んだ御意見を伺ったのでありますが、この問題はもうすでに辻原さん十分御承知のように、いろいろ各地において現実問題として地方の人たちのいろいろな要望があるということも、私よく承知いたしております。と同時に、教員養成の問題につきましては、今のままでよろしいのかどうかということについて、私多少は、疑問というとおかしいのでありますが、検討する余地があるのではないかというような気持もいたしておりますので、ただいまお話しになりましたようなことも、実は私の頭の中を往来しておる問題でございますが、この問題については特にすみやかに何らかの考え方をまとめて、また御批判も受けたい、こういうように考えておる次第であります。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 次の問題は、日本の各大学の講座のあり方について一つ大臣の御見解を承わりたいと思います。それは昨今、と申しましても昨年の暮れから日本が国際的なヒノキ舞台にも参加し得る態勢になった、また各アジア・アラブ諸国との友好関係も、政府の施策として今後大いに進めていくということであるし、また東南アジア等の賠償の問題も逐次解決の曙光が見えてきておる、またわれわれがそういった国々に行って現地の意見を聞いてみても、日本に対する期待というものは、もちろん貿易その他いろいろあるだろうと思いますけれども、最も大きくアジア諸地域から日本に寄せられておるのは、何といっても日本の高度な文化、技術、あるいは芸術、こういうものの一つの交流、また指導という点であろうと思います。ごく最近においても、インドからも農業技術の派遣を日本に要請してきておる、東南アジアにもそういう空気がございます。  そういうことを考えて、日本のいわゆる大学教育等の現況を見てみますると、そこにどうもぴったりいっていないものがあるように私は見受けるのです。それは何かと言えば、もちろん大学教育だけではありませんけれども、現在の中心点はやはり大学教育にあると思います。大学教育を見てみますと、これは大学創設以来日本の教育は文科偏重であります。学部を見たって、おおむね文科が六割以上、理科系統が三割弱というような傾向にあるのではないかと思います。それを国内だけにとってみましても、大体ことしの三月卒業者の見通しとして、理科系統の者は一〇〇%、それ以上求人者があり、就職が決定しているのに対して、文科系統はそれも六割程度、こういうような現況にある、そうしていわゆる文科系統の者は自今何年来かの浪人生活をしなければならぬ、ここにも大学は出たけれども就職口がないという労働過剰人口を生んでいるわけであります。そういうことから考えてみますると、ここらあたりで、非常にこれは思い切った施策がなければならぬと思いますけれども、大学の創設に対する一つの根本的な考え、同時に既存の大学に対する学部のあり方、こういうものを相当積極的に改めていく必要があるのではないかと私は考えるわけです。むしろ今の文科理科の配置から見て、それを逆にするくらいの意気込みでもって施策を断行することが必要じゃなかろうかと思うのです。これは先般イギリスにおいてもその問題を取り上げて、積極的に手を打とう、こういう試みが行われておる、ひとり日本だけが旧態依然たる大学教育というものをやっていって、果してそれによって諸外国との間の文化の交流あるいは後進地域に対する技術の指導開発、こういうことが行われていけるかどうか、非常に心もとない点があると思う。そういったことについて何か大臣、あなた御就任の機会に一つ積極的な手のうちをお見せになるようなお考えがあるかどうか、承わっておきたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 御質問の御趣意につきましては私大体同感でございます。今日の大学の状況から申しますというと、だんだんと理工系の方に少くとも国立大学におきましては力が入っておりまして、学生の数から申しましても国立大学におきましては理工系の学生の方が六割四分ですか、その程度にまではなってきておるというふうに承知しておるわけであります。私は国立大学のあり方といたしましては、お話の通りに国内の状況もございますと同時に、国際関係もございますので、それらの面に対応いたしまして、今後理工系の整備充実に特に力を入れていかなければなるまいかと考えております。具体的にどういうふうにやっていくかということはこれから検討させていただきたいと思いますけれど、方向といたしましてはそっちに向って参りたい。  また東南アジアその他との関係につきましても、これは確かに考えて参らなければならぬ点でございますので、十分に今後そういう方面のことにつきましては研究させていただきたいと思います。同時に東南アジアそのものにつきましても、もっと日本はよく知らなければならぬということもあろうかと思います。はなはだ不十分なことでございますけれども、来年度の予算におきましては、これは理工系じゃございませんけれども、東南アジアの歴史的な研究といいますか、東南アジア史の講座を設けるというようなことも考えておる次第であります。漸次そういうことについても大学その他の研究機関におきまして、基礎的なりっぱな知識を日本で持つように持っていかなければならぬ、こういうふうにも考えておる次第であります。大体の考え方といたしましては辻原さんと全く同じような考え方でございますので、今後具体的に検討させていただきたいと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 次に技術教育についての大臣のお考えを一つ伺いたいと思いますが、昨年日経連、経団連が技術教育委員会なるものを内部に設置いたしまして、その構想を発表しております。これは相当反響も呼んでおりますし、現に文部省の関係の方々もその内容にタッチせられておるというようなことも私聞いておるのであります。そこで出てきておる一番の問題は、技術教育を重視せよということはだれもが異論のないところでございますが、そのやり方として、問題になっておる定時制高等学校、これを主たる中間的な技術教育の場に切りかえて、そこで各企業のブーム状態にマッチするような形に持っていきたいというのがねらいであるように私は見たのであります。そこでそういう見解が場合によっては非常に簡便であり、また非常に運営の困難な定時制に一つの活の入れ場だということで、ある一部に歓迎せられるような向きもあるようでありますが、これは私は定時制を設けたそもそもの趣旨と全く異なっておりますし、さようなことであるならば、今日まで勤労青少年という対象を求めて機会均等を大きく打ち出した従来の文部省の施策というものが、全然なっていなかったということにもなるわけでありますから、大臣はこういう形の技術教育について一体賛成でありまするか、反対でありまするか。一つお考えを承わりたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 今の学校制度の上からも、これはまことにしろうと考えなので、当らぬことがあればお教えを願いたいと思いますが、何か高等学校というところにかなり問題があるんじゃなかろうか、こういうように私は思うのであります。特にまた定時制高等学校については、いわゆる勤労青少年のために、よほど文部省といたしましても力を入れていかなくちゃならぬ部面ではないかと私は考えております。その教育のやり方の問題につきましては、もちろん教育の機会均等ということを中心にして考えなくちゃならぬと思いますけれども、同時にここに学ぶ人たちの境遇その他のことを考えましても、やはり技術教育と申しますか、職業教育と申しますか、そういうようなことについても相当な配慮がなされなければならぬのじゃないか、かように考えておる次第であります。詳細なことにつきましては、まだ十分に承知いたしておりませんので、的確なお答えを申し上げかねるのでありますけれども、私は定時制高等学校における職業教育、技術教育ということについても、さらに検討を加えまして、ある程度のことはここでやった方がよくはないか、こういうような気持を今持っておる次第であります。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 定時制高等学校の中で、教科として技術教育あるいは職業教育というものを強化していくという程度の話ではないのであります。結局定時制高等学校自体の存続の意味合いというものを、主として産業予備員を養成するという目的を持って、ほとんどそれが単なる一般的な職業教育じゃなしに、技術教育、今の各企業体がやっているような、直ちに間に合うような技術教育、こういうものを主としてやって、そこに産業予備員を求めよう、こういうねらいなんです。そういたしますると、いわゆる全日、通常一般の高等学校の目的とは非常に異なったものが出てくる。従ってわれわれは、さような方向を定時制高等学校に求めることには、まっこうから反対である。少くとも目的は、通常の形で勉学できない者に対する、そういった勤労青少年に対する教育の場を与えるということが目的であって、技術教育を盛んにしなければならぬということとは、また別個な問題であります。そういう点に割り切っておられるかどうかということを、今大臣にお伺いしたのです。その見解をお答え願いたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 定時制高等学校というものを、御質問になりましたような方向に切りかえていくというような考えは持っておりません。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 あまり時間もありませんので、少しこまかい点に入りたいと思います。義務教育国庫負担金の問題であります。ここに資料をいただいておりますが、まだこれに十分目を通す時間がありませんので、あるいは研究不十分の点はお許し願いたいと思います。  まずその算定の基礎を見ますると、ちょっと疑問がありますのは、定期昇給の率を二・〇八八%という形に書いておられますね。こういう一つの昇給原資の組み方というのは一般的でしょうか。この点を担当者の方から承わりたいと思います。どこでもそういう形に組んでおるのでしょうか。これは教員だけにそういう形を組んでいるのじゃないかと私は想像いたしますが……。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 ただいまの御質問は昇給原資の問題と思いますが、昇給原資につきましては、三十一年の十月一日を基礎に二%の昇給原資を見ております。従って御指摘のような二・〇八八という数字は、何かあなたの御質問はちょっと違うんじゃございませんか。あなたのおっしゃるのは、二十億何がしと……。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 二%が一般公務員に対する昇給率として組まれた。その昇給率と合致しておるかどうか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 大体国家公務員につきましては、年間四%の昇給率を見ておりますので、従って昇給原資として二%。これは推定でございますから多少増減はあるかと思うのでありますが……。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 その二%というのは年間の率でしょう。一般国家公務員は四%でしょう。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 昇給の幅は四%年間に昇給するという想定でございますので、一度に昇給するわけじゃございませんので、昇給原資としては二%を組めばいい、こういう考えで、他の国家公務員の方もそういうふうにしておりますので、それに準じておるわけであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 次に定員の問題ですが、今年は全体で千四百六十五人の増加となっていますが、これは小学校においては生徒数の増から事実上若干ふえるようでありますけれども、中学校の場合には非常に減ってくる。そういう問題がある。ここで少し数字を離れて申し上げると、ここしばらく中学校の生徒が減るという傾向があるようです。そうすると生徒数が減れば実際の教員の数が動き、また実際配置される教員の数が、相当各都道府県でも減らさなければならぬ、こういう実情になって、御承知のように、相当無理な退職勧告あるいは補充のストップ、こういうことをやって、各府県ではかなりこれらの首切りの問題が起っておるのですが、こういうような予算の組み方、算定の仕方というものが、果して一定のレベル、水準を確保するという行き方から見て、合理性があるのかどうかという点に、私は最近少し疑問がある。というのは、現在の算定の基礎になってる学級数というものも、このいただいた資料を見ますると、やはり児童、生徒の増減に見合って増減しておる。それに見合って教職員の数が増減しておる。ところが実際の場で動かないものは何かというと、教室なんです。教室というものは、実際はそう簡単に動かせるものじゃない。五人減ったからすぐ教室がどうこうというわけに参らない。五十人から四十五人に減ろうが、三十人に減ろうが、一応一学級の体裁をなしておる。こういうことから考えれば、そこに実態と合わない一つの教職員の増減が行われる。こういうことが、地方財政の現況から見て、苦しい地方公共団体にとっては好個の材料になって、この際教員を減らせ、あるいは学級定員を減らせ、こういうような形になって現われてくるのじゃないか。もちろんひとり文部省にその責めを着せるわけに参りませんけれども、しかし全般的な負担金を総括する文部省にあっては、そういうことにならないように、これがふえていくことはまことにけっこうですけれども、減る段階に対しては、やはり一応の水準を確保するような算定方針というものを、賢明なる文部事務当局においては案出される方が、私は地方の教育のレベルをこれ以上ダウンさせない方法だと思う。そういう意味において、もっと学級の実態というものを基礎にしたような合理的な算出方法、そうしてちょっとやそっと動いても減らぬというような押え方はないものかどうか、ここらあたりを内藤局長から該博な意見を聞きたいと思います。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 ただいまの御質問につきまして、義務教育費国庫負担法は、御承知の通り実績の二分の一ということになっておりますので、この負担法に関する限りは、従来の実績、現員、現給の上に来年度増減する生徒によって予算を組むのが至当ではないかと思うのであります。ただお話のように、これでは地方の実態に合わぬじゃないかというような面もなきにしもあらずであります。これは特に生徒が減少するような場合に教員をなかなか整理できないという面もありますし、同時に非常に過剰学級をかかえているというようなところは、むしろ過剰学級の整理に向わなければならぬ、かように考えておるわけであります。そこでこの面につきましては、国庫負担の問題と直接は関係ございませんが、地方財政計画の中で義務教育費をいかに確保するか、こういう問題にむしろ関係があるのではなかろうかと思います。ですから、地方財政計画の中で標準定数とか、あるいは標準給与というようなものを今検討しておりまして、お話のように、もっと合理的な線を地方財政計画の中には織り込みたい、こういうことで今折衝をしておるところでございますが、これも急にどの程度完全なものができるかどうか、これは疑問でございますけれども、できるだけ地方財政計画及び基準財政需要額の中でそういうような算定の仕方を試みたい、かように考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 ちょっと問題を変えまして、大臣に、教職員の定年制という問題についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、ちょっと伺っておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 これは教職員だけの問題ではないと考えるのでありますが、地方の公務員につきまして定年制をしこうという問題がございますことは御承知の通りであります。私といたしましては、教職員につきましても同じように取り扱ってしかるべきものではないか、そういうふうに考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 今大臣の御答弁の、同一に取り扱ってしかるべきものという見解は、私は一考を要すると思うのです。もちろん定年制の本質的な問題についての議論は別といたしましょう。教職員のみならず、その他にもたくさんあると思います。その職種によっては、必ずしも現在法律に予定されているような年令においてやめるが至当であるというふうな形に持っていくことが適当ではない職種はたくさんあると思います。例をあげれば、たとえば守衛さんのごとき、これは大体その年令が適当であるというわけじゃありませんけれども、社会通念として、かなりの高齢にあっても十分その任が足りる。もちろんこれと教職員を同一にするわけではありませんけれども、教職員の職務内容、任務、こういうものから考えた場合に、年令によって厳密に規定するというようなことは、ある場合には非常に支障を来たすというようなこともあると思います。従って定年制について、財政的な見方からいえば同一にすべきが正しいというようなことも議論としては出てきますけれども、そういう財政的な一方の見方のみでは実際の職務効率を上げるという目的がそこなわれる。定年制の施行ということは、現政府もそうであるらしいのでありますが、それは私はその目的にも反すると思う。そういう立場からいって、多くの議論は申し上げませんけれども、やはり五十五ないし六十においてほんとうに円熟した教育効果を上げる先生が今日幾多もあるわけであります。従ってそういう教育効果というような面から、一律にこれを定年制のワクに入れてしまうということは、角をためて牛を殺すのたぐいになる危険性が多分にあると思う。そういう意味で、一つこの点は大臣にも慎重に今一度お考えをいただきたいと思います。私は今なぜそういうことをこの問題に関連してお尋ねしたかというと、先ほど申し上げました昇給率の問題で、一般公務員と同じだと内藤さんは言われましたが、必ずしもそうではない。一般公務員と若干違うと私は見ている。それから定員の問題にいたしましてもそうです。そこからずっと割り出されてきている。率直に言うと、実際の給与単価等においても若干のそういう配慮なきにしもあらずであります。言いかえれば、これはあながち悪いこととは言いませんけれども、かなり老齢者を予定して、給与の低い人に振りかわるような形に持っていこう、あるいはこれはひがみかもわかりません。しかしそういうにおいがこの一つの積算の基礎等から十分うかがえるのであります。またこの一つの国庫負担金の算定基礎が原因になって、地方においてそういうことが遠からず、三月末を中心にして起ってくるということを私は予想いたしますので、あえて大臣に定年制についての見解も伺ったのであります。ですから、私は文教だけが、あるいは教職に携わる者だけがそういうらち外になければならぬという極端な議論は申しません。しかしそこにはやはり文教教育というものの一つの現状、任務、そういうものからいって、やはり所管大臣としての特別の配慮が行われなければならぬ。そういう意味でこのことを申し上げたのであります。  それから局長から伺いましたけれども、定員の問題については非常に重大な問題だと思う。減らしておいて、ふえてきたからまたふやす。一たんやめさせておいて、また別の者を入れる。あるいは一たん学級を解かして、減らして、生徒数が今度逆にふえてきたから、また入れる。これは統計でも明らかなように、いつまでも中学校の生徒が減るわけではありません。またふえてくる。そういうことを考えると、一定のスタンダード、最低のスタンダードというものをきちっとそろえて、それ以下に下らないということは、行政的に非常に必要なことであると考えますので、この点はあまりこまかに申しませんけれども、十分お考えおきをいただきたい。  それから順次申し上げますが、広報活動費が二百万円ありますが、これは何に使うのですか。

天城勲文部事務官(大臣官房会計参事官)

○天城政府委員 従来文部省の広報活動経費として約四百万ほど計上をしているのでございますが、これは御存じのように文部広報発行の経費でありますが、このたび二百万を追加いたしましたのは、予算でありますとか、あるいは法律改正、あるいは新しい立法等に当りまして、平常の文部広報以外に特報的なものを出そうという考え方で計上をしたのが二百万であります。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 これは毎国会絶えず問題になることであります。おそらくこれは文部広報をよけい出す、あるいは今お話を承われば速報を出す。従来の文部広報を見ますと、これは実に問題が多い。ずいぶん今までの大臣がぬけぬけと言い抜けてきておりましたけれども、実際はだれが見たって公正妥当ならざる文部広報がずいぶん出ております。世論のきびしい反対がある法案についても、審議さなかにじゃんじゃん文部広報で宣伝して、世論の喚起に努めている。これは当然だという一つの議論も議論としてはあるかもわかりませんけれども、少くとも社会通念上常識をもって考えれば、そういうことは政府としては妥当ではないとだれにでも言われる。そういう文部広報をさらに強化して、この上に速報を出すなんということは、私は一考を要すると思うのです。だから文部広報でもって紙数が足りなければ、もう少し編集を研究すればよろしかろう。そのほかに速報をもって——大体こういうことは政党あたりではどんどんやるべきことだし、あるいは将来こういうものは宣伝かつ活動に努めなければならないけれども、しかしながら国会の議決を経て行う一つの政府の執行機関が、あえて各省々々ごとに宣伝これ努めなければならぬというようなことは、私は大いに考える必要があると思います。体のいい言葉でいえば一般の啓蒙宣伝だ、宣伝じゃない、啓蒙だとおっしゃるが、啓蒙も宣伝も、裏をひっくり返せば似たり寄ったりです。宣伝というのは、言いかえればよきにつけあしきにつけ、世論がどうあろうと、これは政党内閣ですから、その意を受けた執行機関がその出先を勤めるということに事実はなってくる。従ってこういうことは私は好ましくないと思うのです。大臣も就任御早々でありますので、あるいは文部広報の従来累刊された内容を知悉しておられぬかもしれませんけれども、そういう点について一ぺん御意見を承わっておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 問題は、その広報というものの内容いかんということになるのではないかと思うのであります。政党内閣のことでありますので、政府の政策を宣伝し、流布するとか、あるいは何か特別意図するところがあって出すというようなことになりますれば、これは政党方面にお願いした方がいいと思う。しかし事実を事実として正確に知ってもらう必要があります場合には、政府としてもそれぞれ相当の措置をとらなければならぬと思う。政府の意図するところと全く違った事実が世間に誤まり伝えられるということになっても、これは困りますので、内容については十分検討を要すると思いますけれども、私はある程度の広報活動費は、これはお認め願わなければならぬと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 これは見解の相違になりますので、議論はこの場合適当でないと思いますから、大臣の御所見だけを承わっておきますが、後日今大臣もおっしゃられたように、内容はきわめて重大であるということもありますので、もし後刻さような文部広報が出たときには、一つただいまの大臣の御所論をもってこの問題を具体的にお尋ねいたすことにいたします。  次に先刻概略お伺いした国立学校についての具体的な問題ですが、本年度国立学校——口悪く言いますと、増すということをしないで、とにかく充実をしていくのだということでありますが、実際予算内容を見ますると、これは必ずしも大臣の御意図のごとくにはなっていないようであります。というのは、私も折に触れて国立大学の現状を見さしていただいておりますが、どの大学を見ましても、もちろん施設の充実ということは、今日の日本の財政力をもってこれでけっこうなんということはあり得ませんけれども、しかし少くとも大学らしき大学というものは、指を屈しましてもそう多くにはならぬのであります。そういう面からいいまして、やはり国立大学の施設充実ということには、私はかなり思い切った施策をする必要があると思うし、また実際の研究の環境を見てみましても、これは他の産業等における研究所その他と比較してみましても、てんで問題にならない貧弱な内容しか持っていないのであります。なかんずく必要であろうと思いますのは、教官研究費ないしは講座研究費だと思います。ことしは教官研究費を増しておりますが、これも多々ますます弁ずるでありますが、この使い方をどういうふうに考えていられるか。それから同じく講座研究費でありますが、従来旧大学院を持つ大学に対してのみやられておったのを、これを増額された機会に、もちろん地方の各大学にも行き渡るような方法をとられるのでしょうか、その点が一つであります。これはたしか教官研究費の内容であったと思うのですが、各大学にわたる、普通でいえば需要費ですね。こういうものが研究費の名目で配られておる。これは便利のいいこともあるし、便利でないところもある。これは実際予算の編成上、一般の人が見た場合に当然教官研究費としてまるまる渡る。あるいは講座、その講座に当っておる教授が、全部それをもらうのだというような印象を与えがちです。ところが実際に使途されておる内容は必ずしもそうでない。需要費が込みにされて使われておるのが現状だと思います。こういう点についてはもう少し分けて、需要費は需要費、研究費は研究費、こういうふうにしてあてがうことが適当じゃないかと思うのですが、実際大学当局あたりの運用から申すと、その方が便利だと考えますが、研究を主体にする教官個々から申しますと、やはりその名目としてとられたものが研究費に渡るような措置が望ましい。その予算の立て方。それから先に申しました地方の大学に対する強化、この点を承わりたい。

天城勲文部事務官(大臣官房会計参事官)

○天城政府委員 研究費の予算の問題につきましては、明年度は御指摘のように従来の大学の講座研究費、それからそうでないところの教官研究費、これは同じように同じ比率で基準費の引き上げをいたしました。  それから研究費の使い方と申しますか、使途の問題でございますけれども、これは大学の本来の使命として、教育研究というものが中心になっておりますので、学生を対象にして一応学生経費というものを計上いたしますし、教官を中心に教官研究費なり講座研究費というものを計上いたしますが、これは御指摘の中にもありましたように、それが必ずしも学生一人当りに幾らで使われなければならぬ。教官一人一人が幾らで研究しなければならぬという研究費でなく、大学の基本的な研究費の基準経費になっております。実際問題といたしましても、研究室における経費の支出の仕方が、ある研究室においては光熱費、水道費が非常にたくさん要るとか、あるところでは消耗品が非常に要るというような形で研究費が使われて参りますので、かなり弾力的な支出もございますし、そういうような結果から、共通的に光熱、水道費を払ったりいたすために、個々の教官に積算通りにいかないという点があるかもしれませんけれども、今の研究の行き方からみますと、ある程度の弾力性のある経費の積算の仕方で研究費を支払う方がいいんじゃないか、こうわれわれは考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 教官研究費は、教官一人に計算いたしますと、どのくらいの額になりますか。

天城勲文部事務官(大臣官房会計参事官)

○天城政府委員 教官研究費は、講座、実験によって違いますし、教授、助教授、助手によって異なっておりますが、一例で申しますと、教官研究費におきましては、教授一人当り七万六千円という積算でございます。実験は二十一万二千円、そいう数字になっております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 次に定時制高校で先ほど方針を伺ったのでありますが、大臣の御方針によりますと、従来の機会均等という立場における定時制高校の振興をおやりなさろうという御意思と承わりました。そこで施設費について本年度新規に補助をするように出ておりますが、今まで定時制高校の最も問題点は、給与費の国庫負担が打ち切られた関係にあったんじゃないか、それが昨今の地方財政の中で非常に問題となって、施設そのものよりも、むしろ私は人件費にあると思う。そういう意味で何回となくわれわれもこれを復活すべきである、こういうことを主張してきたのです。ことしの予算の中にはそれが出ていないのでありますが、出せない理由、それから大臣は将来どういうふうに取り扱われていくか承わっておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 率直に申し上げますが、この問題につきましては文部省といたしましては、出したいと思っていろいろ財政当局とも折衝いたしましたけれども、今年はこれを実現することができなかったわけでございます。今後とも一つ努力を続けて参りたいと思っております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 これは私は一つ執拗におやりを願いたいと思うのです。これなくして定時制教育の振興なんということはお題目です。この人件費の負担によって定時制は活を入れられるのであります。勤労青少年の教育ということは、これは国家的見地に立ってやらなければならない。本来これを地方にまかしておくという根本的考えが間違いだと思う。少くとも勤労青少年を対象にして、それに教育の機会均等を与えるということは、これは当然の国家の責務であり、重要な政策でなければならないと思うのであります。その最も大きな具体的政策でありますから、非常に遺憾に存じます。  それから次に特殊教育について少しお伺いいたしますが、ことし新しく養護学校の国庫負担が設けられまして、養護学校に関する施策は一歩前進をいたしておりますが、全体のあれから見ますると九牛の一毛で、モデル・ケースを作る程度にしかすぎないと思います。われわれも非常にそういう点についての知識は乏しいのでありますが、間間こういった気の毒な学童、生徒に触れまして、その施策の足らざることを内省するのです。たとえば例を盲ろうあ学校にとってみましても、ほとんど各都道府県単位に設けられ、私の県を申し上げてはなはだ恐縮でございますけれども、私の県は県庁所在地が一番北の端になっております。山岳重畳として交通は開けず、全くのいなかでございまして、こういう地域において存外こういう不自由な子供があるわけであります。調べてみますると、現在就学の機会を持っている者がたった三割、その他は全部進学をいたしておりません。その原因も私はいろいろ調べてみましたが、一番大きな問題は、たとえば盲ろうあ学校に行きたいけれども、貧困な家庭ではとうてい一番北の端の県庁所在地の学校にまでやる経費が続かない、いたし方ないからやれない。もう一つの原因は、こういった子供を持つ親に対する啓蒙が不十分だということです。それはかたわの子供を持っていることを恥としておる、こういったような父兄が今日なおあるわけです。ですから幾ら文部省が上から教育委員会に調査をやれ、町村役場に調査して資料を提出せよと言っても、なかなかその実数が明らかにならない。だからあなた方が持っておられる今の資料においては、全体のまず七、八割程度しか実数が上ってきていないと思うのです。あるいは実際の数はもっと多いかもしれない。それほど隠れているわけです。ですからほんとうの実数をつかんでみた場合には、相当われわれが考慮しなければならぬ点があります。  そこで私は具体的なこととして、ここで一つ管理局長あたりにも十分御検討願いたいと思うのでありますが、一番いい方法は、これはそうむずかしいことはないんです。こういう盲ろうあの学校——そういってはしかられますけれども、全然字が読めない、全然耳が聞こえない、しゃべれない、こういう者にも幾分でも言葉が言え、聞き取れ、点字が読める程度にしてあげただけでも、どれほど社会的にその子供が有利に立てるか、ハンディキャップを少くすることができるか、広く考えたならば最低の目標をその程度に持っていってもいい。こういうようなことを考える場合に、一般のスタンダードというものをそこらあたりまで上げるということを考えたときに、多少不備であっても、そういう教育機関にともかく入れてやる、そうして親も啓蒙し、子供も啓蒙する。そうして単に体の不自由だけでなしに、そういう肉体的な不自由からくる精神的なひがみ、こういうものを矯正していくのが特殊教育のねらいではないか、こういうことを考えると、都道府県に一つというような教育機関では少いと思うのです。また今日の地方財政から、県の方だって比較的数の少いこういうものに対しては、率直に申すと心ならずも、比較的忘れられがちなんです。でありますから、施設費に対して半額の補助をやるから作りなさいといっても、実際作れるところは少いのです。補助をみんな返してきておる。そんなことで特殊教育の振興はできない。ここになまぬるさがある。やろうとすれば徹底的にやるのが、補助を講ずるのが文教政策です。これは大臣もよく聞いておいていただきたい。ですから、たとえば私の県のように県庁の所在地が北の端にあって、交通が不便で経費がかかってとても行けないというようなところでは、何とか分校でも作ってほしい。県を二つに割って、南にも一つあってもいいのではないか。そういった関係の人たちなり住民が希望し、またその地域の人々が協力するならば、そういう施設をどんどん作らせていくべきである。そうすることによって、今まで就学できなかった者に就学の機会を与えることができる。ところが実際にこれをいろいろ当てはめてみると、基準があるとか何とかがあるということで、なかなか思わしくいかない。そこにそういう一つの特殊教育の現況から、規定があり規則がありますけれども、必要があるならばそういう規則も改正し、またそのつど現場に応じたような行政執行を考慮してやれるような態勢を整えるということが絶対必要であると思う。どうでしょうか、非常に抽象的過ぎましたけれども、ひとつ大臣、管理局長にそういう面についての御意見がありましたならば承わりたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 特殊教育がわが国といたしましてはよほどおくれておるように私は考えます。なかなか振興の必要のある問題でありながら、思うように施設が延々になってできていないというのが現況だろうと思います。お話の御趣意につきましては全く同感であります。具体的な方法等につきましては、私といたしましてはさらによく実情等も取り調べまして、できるだけ御趣意の方向に向って今後の努力をいたしてみたいと思っております。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 お尋ねの盲ろうあにつきましては、私どもの方も建物の場合にも半額国庫負担をしておりますし、人件費の場合にも半額の実績負担をいたしております。そのほか教材費等について、特に今お尋ねの進学奨励の面においては、生活困難な者に対しまして教科書、給食、寄宿舎の雑費、面会旅費、通学費等できるだけの処置を講じて、就学奨励の徹底を期しております。なお問題点はおそらく地方財政が困難なので教員の増という点にもあるのではなかろうか、それから建築費の方は予算に一応計上しておりますが、ただ非常に僻村等の場合には、今後特殊学級のようなものを一つ研究してみたいと考えております。

小林行雄文部事務官(管理局長)

○小林(行)政府委員 施設の面につきましては、これは従来から二分の一の補助をやっておるわけでございますが、昨年御承知のように養護学校の推進に関する法律もできたわけでございますので、予算のワク等につきましても、今後できるだけ努力して参りたいと思っております。ただいま御指摘のように、養護学級等につきましては、予算がとれましても必ずしも十分消化していない実際の状況もございまして、それを特殊学級の方へ回しておるということもありますので、将来それらの点についても十分研究したいと考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 施設の面等で補助率を引き上げるような、そういう将来に対する考え方もあなたはお持ちになっておられますか。それと分校等に対する設置については、基準を緩和する一つの考え方もとられるお考えがあるかどうか。抽象的なことはお伺いしなくてもわかる。特殊学級等は皆さん御熱心におやりになっておることは私もよく知っておりますので、具体的な施策についてどの程度の腹を持ってやっておられるか。ここは分科会でありますので、そういう点について率直にお伺いしたい。

小林行雄文部事務官(管理局長)

○小林(行)政府委員 特殊学級の施設に対する補助率は現在二分の一でございますが、ただいま申し上げましたような実際の施設の普及状況で、しかも実際要望はあっても財政上の点から建築ができないというような実情もございますので、私どもといたしましては、できれば補助率を引き上げるということも研究したいと考えております。しかし現在の財政の実情からはなかなか困難ではないかと思っております。なお分校等の基準の点につきましては、専門のこまかい基準があるわけでございますが、もし府県内に分校を認めるというようなことになりますれば、当然ある程度の緩和も考えなければならないと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 次に、教科書と給食費、これで本年度準要保護児童に対する補助金を昨年より増したということで、これもけっこうだと思います。しかしその数字を見てみますると、あまりほめたしろものではない。給食の方ではたしか一%ですか、教科書の方では何%ですか、そんな程度だと思うのですが、これは昨年度も出し、ことしは中学校へ及ぼすような計画になっております。私は昨年実施するときにも意見を申し上げておいたのでありますが、これが五〇%とか六〇%とかいうのならまだ話はわかります。ところが給食の方は一%でしょう。百分の一です。私は子供のころを想起してみましても、お前のうちは貧乏じゃから先生が鉛筆をくれるんだ、こうういことを——私は幸いさまでの部類に入っておりませんでしたけれども、そういうなにがしばしば見受けられる。子供心というのは敏感でないようにしてきわめて敏感であって、そういうことの及ぼす心理的影響というものは教育的に非常に大きいということを申し上げておる。もしこれが事実ほんとうに適否を判断して、いわゆる養護の度合に応じて、保護すべきやいなやの厳密の度合においてこれが配分されておるということでありますならば、おそらくやそういうような傾向が出てくると思う。ところが私は寡聞にしてまだ実際を知らないのです。ということはまだそういう声を聞かないのです。私が申し上げるような意見を聞かない。ということは、この配分が果して予算に組まれたような配分通りで分配せられておるかどうかということに私は疑問を持つのです。これは文部省の見解はどうでありましょうか。昨年の実際の配分等を一つ承わってみたいと思います。

小林行雄文部事務官(管理局長)

○小林(行)政府委員 これは御承知のように、本年度から初めて学校給食につきましては準要保護児童の制度ができたわけでありますが、大体三十一年度は五千万円の補助金でありまして、年間の給食費を大体二千八百円と見て人数をはじきますと、これに該当する対象人員が五万一千人ということになっております。この各府県への配分の方法は、大体年度当初に給食を実施しております児童の数をとりまして、それに比例して一応の配分をいたしました。また実際金を配分するのは、九月の実施の対象数をとって配分をしておるわけでございます。三十一年度は、ただいまお話のございましたように一%足らず、〇・六三%という非常に低率でありまして、給食をやっておる関係者の要望には沿うていない低いものだったわけでございます。三十二年度にはこの率をやや引き上げて一・〇五%程度になるかと思いますけれども、ただこの実際の補助金を配付いたしまして、それが給食費に転化していく状況につきましては、なるべく子供の気持をそこなわないように、童心をそこなわないように、できるだけ設置者である市町村あるいは学校の先生方が気を配ってやってもらうようにという点では、私どもといたしましてはできるだけの指導をしておるつもりでございます。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 教科書につきましては、本年度中学校に延ばすことと、新たに比率を前年度の小学校一・七%を一・九%として、これを通じて小学校にいたすことになりましたが、この点特に先ほどお話の、非常に生活困窮している者は御承知の通り生活保護法の方で救われておりますので、なおかつこれでも完全に十分だとは申しませんけれども、一歩前進しておりますし、できるだけ御趣旨に沿うように配分いたしております。特に教科書の経費などに流用されているようなことはございません。大体私の方としては児童数によって按分し、都道府県の方では生活保護の人員と同時に児童数と双方の要素を加味しまして、適正を期しておる次第でございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 私は今の程度の形であるならば、これはあまり題目に比較して内容がさびしいと思います。またやり方も私は変えていただきたいという希望を年来持っております。これは生活保護法の適用を受けた者は、法によってはっきり生活が困窮しているということをみずから認めているわけです。ところがそうでない者は、かりに困窮の度合いが実際保護法の適用を受けている者以上であっても、場合によればそういうことを辞退してがんばっている母子家庭もある。そういうところに情だとして——私は先刻管理局長も申されたように、実際のそれに当られる人は配分の方で特段の配慮をされておると思います。だからいいようなものでありますけれども、しかし本来の趣旨として、私は一面社会保障、社会政策としてはけっこうであるが、一面教育的に考えて非常に何らか考えるべき点がある。こういう意味合いで、おやりなさるならば相当思い切って諸外国の例によるように、たとえば教科書なら無償給付の線か、あるいは貸与の方式によるか、なにがしか教育費を全般的に軽減できるような形に早く持っていくことが正しいと私は思うのです。そうでなければ、一般の一つの社会保障政策として貧困家庭を直接援護する、このことに努力しておくことが私は政策のあり方として正しいと思う。教育の中でその社会保障をごっちゃまぜにして、そうして教育的な意味合いにおいて——なければけっこう、しかし出てくる可能性を持つような政策は十分考慮の余地がある。一般にはこれはけっこうだ、これをやれという議論が多いのでありますけれども、私はあえてそういう見解を年来持っております。これは将来にわたって十分御検討願いたい、給食においてもしかりだと思います。その点は以上であります。  次に文教施設の問題で、これは一つ大臣に承わっておきたいと思います。昨年の通常国会でありましたか、町村合併促進法の適用について、実際合併町村は恩恵を受けていないという声がしきりであり、しかも町村合併に伴って学校の統廃合が必然的に行われる地域も少なしとしない。ところがそれをまたいわゆる予算寡少による適正ならざる基準によって、この実際の町村合併が学校統合という面において非常に停頓している、こういうような意見が非常に地方から多い。これは与党の諸君も十分その点を認められて、むしろ与党側から積極的にそのことの話しがあって、私の記憶によりますと、当時文教委員会においては、満場一致、町村合併に伴う学校施設の統廃合については特段の措置をすべし、そうしてこれは具体的には別途一般基準から切り離して、特別な項目によってその助成の方法を実施すべしという決議があがっておったのであります。そうして私の記憶によりますと、たしか昨年の三十一年度予算で約三億が見込まれ、その後これの配分方法を見ておりますと——三億でありますから、これは私が計算するまでもなく、実際実施に移すまでもなく、足らざることは言うまでもない。そうして実際おやりなすったあとを見ますと、大体都道府県で一つであったと思います。ところが合併は、これは申し上げるまでもなくほとんど進捗いたしまして、昨年の九月一応の完了を見ておるわけです。そうすると、実際町村合併促進にいかほどこれが効用があったがということについてはまことに疑わしい。また政策的な面から見て、政務次官にも十分この点はお聞き取りを願いたいと思いますが、いわゆる政策はタイムリーでなければならぬ。少くとも町村合併の進行過程においてそういうような援助方策が講じられたならば、町村合併というものはきわめてスムーズに行われますし、またその合併の結果によって、地方住民にかくかくのりっぱな教育施設ができ、かくかくのいわゆる教育環境の配置が適正になった、こういうことが言われる。ところがすでに町村合併がある段階を過ぎた今日、ようやくその施策も緒についた、こういうところにもズレがあるのです。しかしそのことの議論は、これはすでにおそいのでありますから、もう申し上げません。ただその後、町村合併がまだ行われておりますし、現在町村合併の進んでいる地域において、なおかつかかる政府の一つの援助方策が講じられたということは非常にありがたいことなんです。それならばわれわれのところもそういう一つの計画を進めようというのが全国的にほうはいとして起っている。その実際の数を見てみますると、最低十二、三、また予算の僅少からおそれをなしてひっ込んだところまでを入れますと、これは優に二十くらいに達すると思う。議決いたしました当時も、来年度は一つ思い切ってやりましょう、いわゆる適時適切な政策として、年次的なものじゃないが、思い切ってやりましょう、そういう裏づけをもってこの決議がなされた。ところが私は詳しくは知りませんが、予算編成の過程を新聞によって拝見しますと、当初は去年通り据え置きで三億、その後与党内部の関係者の非常な御努力によったのでありましょうが、四億の増加を見て七億ということになっております。しかしこれを算術的に計算いたしますと、三億でもって都道府県一つということになれば、七億でもって都道府県に二つ強なんです。それで町村合併促進のために、政府も積極的にこれを施策として学校統合を推進していくその裏づけとなるものに、これは果して足りるかどうか。額も倍以上にしたのだから、これは画期的なあれだと自画自賛されるかもわかりませんけれども、しかし予算というものは実情に沿って立てなければならない。その実態から見ますと、おそらくことしも管理局長は非常な苦労をされると私は思う。苦労をされるということが目に見えておるのです。こういう点について一つの適時適切なる政策として、大臣におかれてももっと本格的な努力をなさらなかったか。同時に私は当時決議に参画された与党の諸君にも申したいのでありますが、極言すれば、これは当時のあれからいいますと、公約違反ともいきませんけれども、全く公約の半分くらいは違反しておると思うのです。大臣はこれをどういうふうにお考えになりますか。一つ来年度で思い切ってやるとでもおっしゃいますか、その辺のところをお答え願いたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 非常に御熱心な御意見を伺ったと思います。私といたしましてもこの予算が十分であるとは決して考えておりません。残念ながら財政の都合上この程度で交渉を妥結せざるを得なくなったのであります。実はかなり努力はいたしたつもりでおりますが、思うようには参りません。これは決して自画自賛しようという考えはございません。今後ともに大いに増額をはかって参りたいと考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 私はこれは国務大臣として灘尾さんに一つお願いしておきたいのでありますが、これは政務次官もいらっしゃいますし、われわれは単に名目的な補助金を常に要求するのではございません。不必要な補助金があれば遠慮なしに切って捨つるべきだと思います。しかし補助金を当てがう以上、中途半端な政策にならないような配慮で補助金を創設すべし——それは先刻私が申し上げました特殊学校のあれについても、地方から返還されるような補助金ならばやめた方がよろしい。喜ばれてほんとうにその施設のできるような補助の体系に改むべきだと私は申し上げる。だから特殊学校にしてもせめて三分の二まで引き上げれば、幾ら貧乏な地方財政だといってもそのくらいの親心はある。また地方の協力態勢もそのくらいのところはできる。それが、もう少しでくつを脱いでかゆい足の裏をほんとうにかくというところに行きかけておるのに、そこらあたりで居眠りをしておる。こういうことだから実際の効果がなかなかあがらない。私は少し言葉が強過ぎるようでありますが、実際そうであります。そういうことをなぜ申し上げるかというと、今のせっかく作った町村合併に伴うものも、私の実際の見通しから申し上げますと、これは実際は非常に助かるのですけれども、地方財政との関連、あるいは父兄負担というようなものの関連から申し上げていきますと、やはり中途半端に終るから、その大半は地方財政なりあるいは町村出費なり、またPTA負担が累増される。もうはっきりしております。七億でしょう、そうすると各都道府県平均十の町村の統廃合が行われるとして、その要請が出たときに、もしかりに都道府県に対して概略でもってこれを当てがおうとするならば、その二つのものを十にしなければならない、こういうような一つの欠陥が現われる。しかしそれは基準その他の関係で遺憾だ。そうすると甲のところはやれるのだけれども、乙のところはやれない、そういうような行政上の不均衡もできる。勢い何らかの形で、補助単価を薄めるか、あるいは対象坪数、認承坪数をずっと減らして、あってもなくても大してかまわぬくらい、これは呼び水だという話で当てがわなければならぬという実情が、必ず本年も起ってくるということなんです。これはせっかくいい政策として盛られたのですから、せめてこれくらいのものは本格的な一つの援助費として、単なる文教費ではございません。一つの大きな地方の振興費、町村合併といういわゆる国の政策に準拠した文教費なんです。そういう意味合いからも、これは大臣としては大っぴらに主張してしかるべきものだ。むしろ自治庁あたりに頭を下げてもらわなければならぬ経費だと思う。そういう意味で大臣の御努力を多といたしますが、なおかゆいところまで手が届かなかったといううらみがあることだけは十分御記憶になっていただいて、近い将来にこの計画が伸張していけるように一つ特別の御努力をお願い申し上げておきます。  次にこれも施設の面で一つ御参考までに承わっておきたいと思いますが、本年度の予算の折衝の過程を見ますと、いわゆる寒冷積雪地帯に対する屋内体操場については、大蔵省が非常な異論を唱えたということを私は仄聞いたしておるのであります。大蔵省としての見解は別といたしまして、一応各方面の努力によってこの予算が継続してとられております。こう言ってはあるいはしかられるかもわかりませんが、私は屋内体操場の必要は、もちろん雪国においてこれは最優先であろうと思います。しかし相当古い年次から例年これをやって参りまして今日に至っておりますし、また文部大臣も先刻の予算委員会でも御答弁になったように、いわゆるわが国におけるスポーツ体育の振興というものを大きな項目として取り上げられておる、そういう意味合いから申しまして、単に雪国ではなくともかなりの降雨地帯、あるいはこれは寒地と全く逆ないわゆる炎熱身をやくというような酷暑地帯においても、私は屋内体操場というものの設置は必要と見るのであります。しかも昨今集合教育というかそういう形のものもいろいろ行われておって、いわゆる屋内体操場兼講堂の効果というものも見直されてきている時期であろうと思います。ですからこれも一つ政策を一歩前進させて、中学のみならず小学校等にもそういうような方針を及ぼすようなお考えがないか。それと指定地域外等においても、いま少しこれをやり得るような形に持っていかれるような心組みがないかということを、これは大臣でなく管理局長でけっこうでございますから一つお答え願いたいと思います。

小林行雄文部事務官(管理局長)

○小林(行)政府委員 義務教育学校の屋内運動場の問題でございますが、従来はこれは御指摘のございましたように、中学校の、しかも積雪寒冷湿潤地帯だけに限っておったわけでございますが、三十一年度から、もちろん従来と同様にある程度積寒地帯を重点的にはいたしますけれども、それ以外の地域外の中学校についても予算を組むことになったのでございます。三十一年度は大体一府県一校程度に予算の関係上限局されたわけでございますが、私どもといたしましては、できればそれ以外の地域にもできるだけ順を追うて拡大していきたい。だんだん積寒地帯の要望に対する需要もある程度満たされてきましたので、将来は地域外の方にできるだけ重点を置いて——重点を置くといいますよりは、むしろ積寒地帯とそれ以外の地域の差別を撤廃するような方向に持っていきたいというふうに考えております。  なお小学校の屋体でございますが、これは新学制に伴う屋体ということとちょっと問題が違いまして、従来小学校では戦前でも屋体というものを保有しておったわけでございますので、この中学校の屋体が片づいてしまったあとでなければ特に国が補助金を組んで推進するという段階には至らないのではないかと思っております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 施設についてもう一点。それは本年度から戦災学校に対する補助は不正常の方でやるようになっておるようでありますが、これは本来不正常が最もはなはだしい地域といえば都市に大体限られていると思うのですが、それだけに施策としてはもう少し考えてみたらどうかということを私は最近に至って痛感いたしております。これは大臣も御承知のように、特に東京都における人口増というものは著しいものがあります。それに伴う生徒の増というものも、いわゆる社会増というものは、これは全くちょっと想像外のものがあります。そういう地域と、それから一般的に言われる自然増、これに伴う不正常とはおのずから私は性質も異にするし、取扱いも違わなければならぬと思う。ですから、もちろん普通の形でおやりになっていないとは私も存じておりますけれども、もう少しそういう点を重点の置き方をはっきりして、取扱いを異にした方が適当なのじゃないかと思うのです。これは私はいわゆる弱小県ですし、大都会出身ではございませんけれども、最近のいろいろな都会地の様子を見てみますと、ともかく不正常が解消したというのは年度の初めだけ、それから年度の終りにくればまた不正常、ですから同じことを繰り返しているのですよ。だから不正常なんというものは、これでいきますとちっとも解消しません。解消したという報告が出るのは、五月一日には出るかもしれませんけれども、しかしそれは十二月を過ぎて三月ころには、また不正常に戻っておるのですよ。ですから、いたちごっこですよ。そこで抜本的な政策をやる必要がある。だから何かこれは私は特別な一つの方法をおやりにならなければ——またそれと区制をしいている東京都のごときは、実際の地方住民の協力から申しますると、いなかとはだいぶ趣きが違います。やはりいなかでは人口の移動というものはそう大きくはございませんし、みな大体において先祖代々というようなことで、ともかく大体その地域に住んで、地域性を高めるというか、その地域に対する協力というものは非常なものです。ところが大都会になりますると、一軒おいて隣りの人は何兵衛かわからぬというような、そういうところがある。そういうような傾向で、やはり都会地はいなかの町村のように、たとえば文教施設に対する協力というものもなかなかそう簡単には参らぬ点がある。そういう現況から言いますると、それを一番一般的に知ろうとするならば、いなかと都会との学校施設を見れば一目瞭然です。昔都会の学校というたら鉄筋で、そうして実にりっぱなもので、ああ都会の学校に通わしたいという親心があった。近ごろは東京の学校を見ますと、これは東京に限らず、周辺の都会、それからその他の市でもそうだろうと思うのですが、いい学校は顕著にいい。しかし中心地からはずれた周辺の学校を見ますとよくわかる。それは学校が社会増というものに追いつかない。去年の暮れは一つここへぺたっと教室をくっつけたが、ことしはどこへくっつけようにも土地はない、買うにも買えない。そういうことで学校だか何だかわからぬようにくっつけさせる。ですから、これは施設が悪くなるのは当然です。ですから、ここらで特に都会地における発展していく地域の周辺、こういうところを十分考慮して、そうしてこの不正常を解消する。それにはもちろん人件費の面もありましょうが、この施設の面についての配慮というものを考える必要があると思うのです。これは管理局長どうでしょう。

小林行雄文部事務官(管理局長)

○小林(行)政府委員 本年度からこの小学校の戦災復旧を、まあ予算要求いたしませんかったのは、御承知のように戦後十年戦災復旧をやって参りまして、九割以上の小学校の戦災復旧が完了いたしましたのと、それから実際最近の戦災復旧の実施の状況を見ますと、戦災当時の状況が必ずしもはっきりしてなかったというような関係から、補助金を交付して補助事業を実施いたしましたその結果、台帳等の照合をした場合に超過交付になっておる、あるいは不当な交付になっておるといったようなことから、会計検査院等で批難される事項が非常に多い実情でございます。またただいま御指摘のございましたように、大都市、戦災小学校は都市が多いわけでありますが、そういうところは実際救おうと思えば、不正常授業で救うことができるというような観点から、戦災小学校の復旧費に対する補助金をやめまして、それにかわるべき要求を不正常の方に私どもとしては持っていったつもりでございます。  なおただいま大都市及びその周辺と農村その他のいなかの地帯との校舎の建築状況の差異ということから、抜本的な方法を講じたらどうかというお尋ねでございますが、大体の見当といたしましては、私どもとしては、大都市及びその周辺地帯におきましては不正常授業等で措置をしていく、それからいなかについては大体老朽校舎あるいは学校統合等でこれを整備していくというように考えております。また大都市につきましては、その他の地域に比べて起債の能力もあることでございますので、起債の条件に合します限り、できるだけ補助金と合わして起債並びに自力でやっていくように文部省としても推進していきたいと思っております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 概略のことはわかりました。  私がもう少しつっ込んで考えていただきたいという点は、単に不正常という取り扱いじゃなしに、これがいいか悪いか、実際にそういうことの区別が厳密にできるかどうかは別としまして、一つの私の考え方です。これはやはり予算においても実際の取り扱いにおいてもも社会増に伴う一つの不正常というもの、それから自然増に伴う不正常というものがある。その社会増に伴うものというのを一つ分けておやりなさるということになれば、それを重点におやりになれば、都会地の問題はそれで大体解決つくのじゃないか。もっとも若干ずつ自然増というものはもちろん入ってくるわけなんだけれども、主たる問題は社会増に伴うものという形に限定して、そうして計画を立ててやるというような形でやらなければ、都会地のこの問題はちょっと解決の見通しがないんじゃないかと私思うのです。  それからいま一つの問題は、校地の買収の問題なんです。これは私は都会、農村と限ったことはないと思うのですけれども、その比率はやはり都会において著しいと思います。しかしいなかの場合に、その買収費を認めず、都会地において認めるということでありますれば、これは実際の配分に当って問題が起ってきますから、そういう局限はできません。しかし昨今土地の値上りというものは申し上げるまでもないことなんです。そして用地の入手ということは非常に困難になってきております。これはいなかでも、都市周辺の農村は別としまして、山岳地帯へ行きますと、都会地とまた違った別の意味において用地の問題は非常に困るわけであります。いわゆる土地自身がない。だから土地を造成しなければならない。非常な経費が要る。私は極端な例を知っておりますが、土地の造成だけで約二千万円くらいかかるある中学校を知っております。それで結局行き悩むということでできない。ですからここらで、これはかつて二十八年災の特別立法のときに初めて用地の経費というものを見込んだ例が一つだけあったと思うのですが、最近の実際の建築促進という意味合いから申しますると、この用地の問題の比重が非常に高まってきていると思うのです。ですからこれは用地買収費として認めるかどうかは別として、やり方としては単価に織り込む方法もあるでありましょうし、いろいろあると思うのです。そういう点が技術的に考慮されて、やはりこの点について相当量の配慮が加えられた方が実際の効果が上るのじゃないか。特にこれは町村合併なんかの場合には、危険校舎なんかとまた違った意味合いを持っていると思います。ですから、危険校舎などについては、ほとんどは現在地ですから、拡大拡張する場合においても大したことはない。実際の買収費は大した率にならない。ところが町村合併あるいは都会地における社会増、これなんかは学校を新設しなければならぬという状況が相当出ている。そういう場合に用地買収することは容易じゃない。一区において、東京あたりでも八十も学校をかかえているところが相当ある。そうすると、どの学校もどの学校も社会増、どんどんふえる。その中で、一年に二つも三つも新設の学校を作るわけにはとうていいかない。だから無理して五十八も六十も六十五も七十もこれに詰め込んでやらなければならぬ、こういうような状況があるのです。だから、私は、不正常の中の社会増、それから町村合併についての用地買収というものをやはり考慮すべきではないか、かように考えるのですが、いかがなものでしょう。

小林行雄文部事務官(管理局長)

○小林(行)政府委員 不正常関係の中でも特に社会増に伴う不正常を別扱いにしたらどうかという御意見だろうと思いますが、最近特に顕著な傾向といたしましては、都市の周辺あるいは都市の中に大規模な集団住宅ができてくるというようなものもございます。これは普通の不正常のやり方ではなかなか措置が講ぜられないと思いますので、文部省といたしましては、現在の不正常授業の解消促進法を改めまして、児童数をとる五月一日という日付をある程度おくらせまして、それによってふえてくる児童を収容するような措置を講じたいと、考えておりまして、現在大蔵省とその点について話し合いをいたしております。  なお土地の購入費に対する補助金の制度を初めて作ったらどうだという御意見のように承わりましたがこれはここ数年非常に大きな関係者の間の問題になっております。ことに大都市のありますところの京浜地帯あるいは阪神地域等におきましては、なかなか土地も得られない。それからただいまお話しのようにいなかの特殊な例といたしましては、新たに土地を獲得するための経費が要るというようなことで、関係者の間には補助制度の創設の要望が強いわけでございます。ただ私どもといたしましては、現在まだ実情の調査が十分できておりません。それからこの制度を作ります場合に、技術面の研究がこれは非常にむずかしいのじゃないかというように考えられるわけでございます。私どもといたしましては、この三十二年度中に実態の調査をいたしまして、ある程度この補助制度の創設に関する要望について結論を出したい、こう考えます。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 問題を少し変えまして、社会教育についてちょっと伺ってみたいと思います。これは予算委員会、本会議でも大臣から御答弁がありましたので、それでけっこうだと思いますが、前国会の末期に例の太陽族映画が問題になりまして、その後文部省では非常に意気込んで立法化をされておる、こういう過程がありましたので、おそらくや本国会には大臣も正面切ってこれら重要法案をひっ下げて相まみえるであろうと思っておったのでありますけれども、本国会は見合せられたという賢明な御措置に私ども敬意を表します。しかしながら、問題は私はそれだけではないと思います。いわゆる角をためて牛を殺すたぐいはやるなというのがわれわれの主張であって、現実にエログロ文化あるいは生徒児童に悪影響を及ぼす不良映画、演劇などがあるということは私どももしばしば申し上げて、適切な措置が講じられておったのであります。夏場にならぬと、いわゆる太陽族映画というものは文部省あたりからやかましく言われぬというわけで、今は冬場でありますから鳴りを静めておるのかもしれませんけれども、夏になってくるとまたやかましくなってくるかもしれませんので、あらかじめ申し上げておきます。そこで実際の映画そのものの取締りについて、新映倫の自主制にまかせてやるということはまことにけっこうだと思いまするし、その後の映倫の方向から見ましても、従来加盟してなかったものも入って新しく組織がえされたようでありますから、期待をするには十分であろうと思います。しかしこのいわゆる太陽族映画という、そういったもののほかに、最近粗製乱造と言ったら映画会社にしかられるかもしれませんが、まあ俗にいうチャンバラ映画に類似したものが横行しているんです。そして大体場末の常設館に参りますと、その大半を占めるものは小中学校の生徒児童、映倫はよくぞここまで野放しにしたものだなという気に打たれたのであります。親は、これは私はあながち責めるわけにはいかぬと思う。大体非常に家庭の忙しい、子供のたくさんある、もしくは夫婦が共かせぎしている、これはあり得ることだと思う。うちにおってもぎゃあぎゃあ兄弟げんかばかりする、物をねだる、やかましい、それよりも五十円持たして映画でも行ってこい、それで映画館にとじ込めておけばそのうちは安心だ、極端に言えばそういう心理状態もあると思う。ですからこれは親にそういうことを考えなければいかぬじゃないかと言ったところで、生活の実際というものはそういうものだと思うんです。そういうこともあり得る。ですからやはりこれは社会的に何か考えなければならぬ、また教育的に何かの方法を考えなければならぬ。しかしそれをこの映画は見ていい、この映画は見て悪いというような主観による取扱いは逆に弊害が起る、ということは、いわゆる映倫の考えた審査によるセレクトという問題と別の問題が起るのです。そこで積極的な何かそういう子供たちのよりよい環境というものを作ってやるための一つの対策というものが最も必要なんです。じゃ一体何か、こういうことです。そうすると文部省は答えていわく、おそらくよい映画の奨励です、予算はかくかくに計上いたしておりますとお答えになるに違いないと思うんですよ。私はそれでは三年、五年続けていっても、今の傾向はあらたまらぬと思うんです。これはあらたまらぬのです。ですからここらにも一つ大臣が新機軸を出されて、何か手を打たれてしかるべきじゃないかと思うんです。私は国立劇場を、また国立の競技場を作られることが、これが無形の国民に対するスポーツ振興になると思う。千七百万とられるということ、あるいは千五百万円ですか、それぞれ充てられるということは、それだけでも非常な芸術意欲あるいはスポーツ意欲を与える。それと同じように、こういう一つの文化の方向というものは、これは一つの流れです。とうとうとした流れの中にさおをささないような、それをいい方向に導くような一つの政策というものが、それが正しいやり方だ、正しい政策だと考える。  そこで一つの手としては、私はこれも参考にそういう一つの考え方があり、研究してみようということであるならば非常に仕合せだ、そういう意味で申し上げるのですが、かつて申し上げたのでありますけれども、ともかく今常設館というものは、これは子供もおとなもみんな見に行くようになっておるし、みんな入ってもらわなければ映画館が成り立たない。大体、子供にみな映画に行くなと言ってとめてごらんなさい、場末の映画館は成り立たない。ですからそういうことになれば、やはり常設館の興行主は猛烈に反対をします。そうでなくて、もう少し映画興行主の方の声も聞かないと協力は得られないから、逆に協力を得るような環境を作っていくというような方法はないか。これは外国にもありますし、かつてそういう意見を申し上げて賛成をされた方もありましたが、学校でいい映画、これをやることも一つの方法でありましょう。これは現にやっておる。しかしそれだけでは効果が上っておりません。やはり学校で安く見せてもらって、先生に静かにしろ、静かにしろと言われている映画ではどうも子供の心理というものは満足しないらしい。やはりちゃんと窓口でお金を払って中へ入るという雰囲気を好く、これは子供心に持っている。そういたしますと、学校だけでの映画教育ということだけでは、学校は学校で見るが、また常設館は常設館で見るということであって、これでは結局効果が上らない。そこで、いい児童映画館というものを作るために国が奨励をする、こういう御構想を持たれたらどうかと、私は考えるのです。たとえば東京の周辺の非常に子供たちがたくさん行くような映画館の近くに子供映画館ができた、それもやはり興行主が何してやるという一般の常設館程度のものであるならば、おそらく私は、全部とは言いませんけれども、現在の子供の大半、親は安心して行かせられる——親の立場になって考えると、決して野放図に子供をやっているとは思わないけれども、無神経になっている。それが、そういういいものができたならばそっちへ行くよりもこっちへ行きなさいというような形のセレクトが行われる。しかもその常設映画館等においては、昔からの教育映画というものではなしに、もっと子供にもある種の娯楽性を持たし、文化性を持たし、国際性を持たせるというような一つの形ができれば、興行主というものはどんどんそういう形にやっていくと思うのです。また実際の映画製作者も、こういう常設館ができれば、今のような状態では幾ら作っても採算が合わぬというので、それを作るよりもこっちのものを作ろうということではなしに、教育用の価値のある、文化性を持つ映画の製作というもの、これは民間からどんどん起ってくると思う。そういう口火というか、そういうものを文部省あたりで文化政策としておとりになってはどうか、こういうふうに考えるのですが、これは日ながの聞き流しではなしに、一つ大臣もしっかりお考えいただいて、御見解を承わりたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 いかがわしい映画と申しますか、子供に悪影響を与えるような映画が跡を断たない、これにつきましては、辻原君と全く憂いを同じくするものであります。さりとて、これが取締りということになりますと、お話にもありましたように軽々にやれない、角をためて牛を殺すというような結果になってもいけません。よほど慎重に考えていかなくちゃならぬ問題です。私の申し上げたいことは、全部辻原さんがおっしゃったような気がするのでありますが、できるだけ優良な映画を見せるということも確かに一つの方法で、現にそれを実行いたしておるわけであります。あるいはまたほかに何か子供の楽しみになるようなものを考えるということも一つの方法だろうと考えます。スポーツの奨励というふうなことも何がしか、その方面の役にはあるいは立つのではないか、こういうふうにも思います。しかし結局なかなかうまい方法は見つからない、そこに問題があるわけでございます。  今お話の子供専門の映画館を作るということは、私、きょうここで伺ったわけでございますから、直ちにそれはけっこうですと言うことも、いかにも軽率のような気もいたしますけれども、非常に示唆に豊んだ御意見のように伺います。ただ単に伺いおくということではなしに、一つ将来の問題といたしまして検討させていただきたいと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 大臣から非常に誠意のある、率直な御意見を伺って、私も喜びにたえません。これはなかなか妙案がないので、サル知恵をしぼってみても大体まあまあというところで、結局今やっているようなことに落ちつきがちなんですけれども、これは将来の子供のために、また社会環境の浄化ということのために、一つ積極的にお考えを願いたいと思います。必ず何かの成案が得られるに違いないという、自分である種の確信を持っておりますので、これはお願いをいたしておきます。  大体予定の時間が参ったようでありますのであと二、三問にとどめますが、文化財についてお尋ねいたします。  これは文化財保護委員会にお尋ねするよりも、むしろ私はこの機会に大臣から所論を承わった方がいいと思いますが、現在文化財保護法が制定せられて、そして文化財保護委員会というものが所管し、大臣がこれを所轄するというか、所管でありますか、ともかく一応大臣の間接的責任ということになっておるのであります。ところが従来の運営の実態を見てみますと、関係者は非常に御苦労されておりまするが、なかなら実の上らない点があります。それは、昔と比べまして文化財はずいぶん保護せられておりまするし、相当額の国費を充てております関係から、従来の文化財の施設状況は目に見えて改善せられておることは事実であります。ところがここで問題は、既設の、たとえば国宝であるとか重要文化財として指定せられた建造物であるとかいうような、はっきり日に見えるものはいいのでありますけれども、たまたま山林の中に昔墳墓があったとか、この木は何年来の由来を持っている木だとかいうような形で重要文化財というものが発見された場合、これは非常に複雑な関係が生じてくる。まずその所有主から、重要文化財として指定して取り上げなければならね。そうすると、所有主に対する補償の問題、しかしそれは、取り上げるといったって所有権が移動するわけではないので、丁寧に管理しろということなんです。ところが山の木が値上りして、周辺を売り飛ばしてしまった。買った者は丸太を買ったというふうに考えるけれども、その中に文化財があったのを知らずに切っちゃったというような問題が、私はしばしば起っておると思います。これは何に由来するかといいますと、結局、文化財を指定し、保護の責任を負わすけれども、その補償の裏づけがないということ、これが非常に紛争を巻き起しておる問題であります。ですから、自今文化財についてかなり明確な保護と責任をしょわせようとするならば、何がしの補償というものを私は必要とすると思うのでありますが、そういう点について大臣はお考えになられるかどうか、この点が一つであります。  それからもう一つは、これは例をあげたらすぐ御了解がいくと思いますが、先般起りました問題で、よく調べてみまするとこういうことなんです。指定地域のそばに道路ができる、あるいは指定地域内に道路ができる。そこへバスを走らせよう。そうすると、道路を作ることにおいて建設省、バスを走らせることにおいて運輸省、文化財の関係で文部省、保護委員会、この三者の関係が出てきておる。その取扱いの実務は、まず都道府県の関係から始まる。すると、バスの賃金協定の認可、それから建設関係の道路着工に対する認可、こういうのはいち早くやられておる。ところが文化財については、これはいわゆる条件に適合しない、条件を履行しないということで一時お預けをした。ところが片方の二つが先に認可をせられておるために、おれの方は当然認可せられておるのであるからバスを走らしてもいいのだ、道路着工の計画を承認せられておるのだからやっていいのだ、こういうことになって押し問答をする、そういうような三者の間の問題が出ておる。それを、明確に保護法に違反するから徹底的にやるのだというような、その押しがなかなか出ない。私は、この種文化財ともなれば、当然他のいろんな行政に関係してくると思う。その間における各省間の連絡提携というものはきわめてずさんであると、その事件を見て思ったのであります。その後相当改善せられたようでありますが、しかしこれもその当事者がお互い謙虚に、各省間の所轄争いをせず、なわ張り争いをせず、謙虚に話し合えば、事なく解決しますけれども、現状は担当者である建設、運輸ともそういうことでおやりになっておるようであります。中に、そんなことは知らぬ、おれの方は建設関係だけだ、おれの方はバスの方だけだ、こういうことでそれぞれなわ張りをもってやるようなことになりますと、保護行政なんというものは宙に飛んでしまいます。ですから、何か保護法等において少し改善を加える必要があると私は思うのですが、こういう点についてお考えになっておるかどうか。

小川半次自由民主党

○小川(半)分科員 関連して。大体今と同じことなんですが、これは特に私は京都に住んでいる関係上、京都、奈良ではやはり文化財の対象の施設物が多いのですね。ところがこれは昔できたものであって、要するに狭い道路の上に建っているとか、道路の横に建っていて、今日すでに近代国家を建設していくにはこれは幅の広い道路を作らなければならぬ。都市計画がだんだん起きてくる。しかし広い道路を作ろうとしても、これがあるためにできないのですよ。そうして発展すべき都市が発展しない。ところがここの委員というのはまたどうも話がわからぬ委員が多いらしい。とにかく自分たちの関所を守って、実にがんとしているらしい。そういうわけのわからぬ委員は、ここであなたが大臣の間にかえた方がいいと思う。僕はそう思うのだ。絶えず問題が起っています。今の辻原君の意見と同様の意見を僕は持っているから、そういう場合に今後どうするかということをこの際はっきり聞いておきたい。要するに、都市計画関係とか観光事業の関係上、この文化事業の対象の施設物等について争いが起った場合に、どちらをとるか。われわれは近代国家を建設していくには、やはり新しいシステムでいきたいと思う。多少建物ぐらい古いものをどっかへ移転したっていいんだ。それを動かすことはできぬと言ってがんばったって、そんなことをしたら国家は発展するわけはないと思いますから、この際明らかにしておいてほしい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 なかなかむずかしい御質問でございます。具体的な個々の問題もその間にあるようにも考えられるのでありますが、具体の問題につきましては事情をつまびらかにいたしておりませんので、関係の政府委員からお答え申し上げたいと思いますけれども、いずれにいたしましてもお話の点は、辻原君の御質問もまた小川君の御質問も非常にむずかしいところに触れての御質問のように思うのであります。  最初の辻原君の御質問の私有の文化財と申しますか、それに対する補償の問題、確かに考慮に値する問題だと考えます。それからまた関係各省間の連絡提携、これはもう当然なさなくちゃならぬ問題でございますので、今までもしその間に不十分な点がありますれば、今後十分に気をつけて参らなくちゃならぬと思っております。  それから小川君の御質問、これは私は非常にむずかしい、お答えのしにくい問題だと思うのでありますが、やはり個々のケースについて考えていく以外にはない。その文化財の価値と申しますか、そういうものと、また他の価値といいますか、それとの間の比較考量の問題になってくるのじゃないかと思います。同時にまた、一方を立て一方をつぶしてしまうというふうに直ちに簡単に結論も下し得ない。それを他のために若干犠牲にするとすれば、今度はこれをどういうふうにやっていくかというような問題として処理していかなくちゃならぬ問題ではないかと思うのであります。いずれにいたしましても、それぞれの場合に応じて適当な結論を見出す以外には、ちょっとお返事のしようがない問題だと思うのであります。

岡田孝平文部事務官(文化財保護委員会事務局長)

○岡田政府委員 最初の、文化財の指定に伴いまして何らかの補償等の裏づけが必要じゃないかということでございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、保護法は元来公益上の必要から文化財を指定いたしまして、それに必要ないろいろな義務を関係者に課する法律でございます。従って、初めから一定の制限が加えられるというのはこれは当然のことであります。しかしながらその際に、同時に個人の所有権その他の財産権の尊重も十分しなければならないということで、法律にはその旨の規定がございます。しからば具体的に補償はどうかということになりますが、補償につきましては、現在補償の規定がありますのはわずかの場合でございまして、たとえば文化財の環境整備、指定区域そのものではございませんで、そのまわりの文化財の環境を整備するために、命令を出し得るのでありますが、そういう場合には所有者等の通常受ける損失を補償する規定がございます。また国営の発掘をいたします場合に、埋蔵文化財の発掘をいたしますが、そういう場合にやはり土地の所有者等に対しても通常の損失補償をする、あるいはまた博物館等に公開の出品命令をして所有者から文化財を出させて一般の展観に供せしめるのでありますが、そういう際には展観中に損害を受けた場合はその損失を補償をするというふうな規定でございますが、一般に指定したために直ちにすべての場合に補償をするということは、なかなかこれは根本の立て方もむずかしゅうございますし、また文化財の数も非常に多うございますので、これは非常にむずかしい問題でありますから、将来十分研究をいたしたいと思います。ただ裏づけといたしましては、修理の場合には相当の補助をいたしまして、文化財の保護にわれわれは努力いたしておる次第であります。またこの規定にはございませんが、現状変更の許可あるいは不許可というような処分に対して、もし不服があればその関係者は文化財保護委員会に訴願を提起することができるという規定も二十九年の法律改正の際に新たに設けられたのであります。文化財委員会は文化財の価値を判断いたしまして、それに基きましていろいろな保護行政をいたしておる委員会でございますので、訴願というようなことを審査するのが適当であろうという趣旨によるものであります。この場合には公開の審査をすることになっております。なおまた裏づけといたしまして、私どもはできるならば所有者に対して税金の免除をいたしたいと考えております。現在では固定資産税としては、指定文化財の建物及びその敷地については免税になっておるのであります。私どもは、できるならばその敷地全体に対しまして固定資産税を免除したいと考えております。将来関係方面と折衝いたしたいと思っております。  その次に関係各省との協力の問題でございますが、これはお話の通り、文化財の区域にわたってあるいは道路の問題あるいは。ダムを作るとか、工場を建設するとかいろいろな問題がございまして、いわゆる他の公益との調整の問題がございます。これにつきましては、私どもの専門審議会に関係各省の局長、課長等を委員にいたしまして、重要な問題については関係省の立場も十分に述べてもらって、そこで専門審議会で慎重に審議いたしまして、さっきの大臣のお話の通り、ケース、ケースに応じまして、あくまでも文化財の基本的価値は守るという立場をとる。しかしながら他の公益も十分考慮いたしまして、場合々々に応じて何らかの調整をする。現在まではとにかくそういう措置をとっております。ただお話の正倉院の道路でございますが、これにつきましては、確かに関係省との間に、ことに関係省の方が私どもの方からみますならばうなずけない態度があった、しかしながらその後におきましては、十分関係者とも協議をいたしております。今後十分遺憾のないようにいたしたいと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 局長が今説明されましたのは、補償といっても結局保護を加えるための必要上からの補償であって、財産権に対する主たる補償ではないわけであります。私が申し上げるのは、やはり十分一般に協力してもらって保護行政をやるためにはどうしてもそういう財産権に対する特別の配慮がなければならぬということを申し上げておるわけです。これは小川さんの御意見もありましたが、やはり重要な文化財を保護していくということは、これは非常に文化水準を高める意味において必要だと思う。しかしさりとてその文化行政をやるために他産業との間にあつれきだとか、それから一般民衆が文化財保護に対しては迷惑千万だというような印象を与えたのでは効果が上らないと思う。そこでやはりそういう隘路になっている問題についてはこれを適切に解決することが保護行政を全からしめる道であると思います。今一番の問題は、やはり財産権に対する何らの補償法が具体的にないということ、これは金の裏づけの問題もあります。ですからそういう点について自今相当の検討を要してしかるべきだろうと思います。お話しの免税措置等については、これは私は積極的におやり下さるのがよろしいと思います。当然だと思います。取り上げられるというのは語弊がありますが、指定をされて、自分がままにならぬものについて税金を払っていくというのは矛盾もはなはだしい。当然国がかわってそれに税金を納めるというのが理論の筋だと思います。だから国が取るならば免除するのも当然だ、そういう意味において十分御研究を願いたいと思います。  時間も過ぎて参りましたので、最後に一つお尋ねをいたします。それは大臣の文教行政のあり方というか、文教行政の重点というものについては、これはまた文教委員会等でおやりになると思いますので、本日はそういう点については触れられませんけれども、予算面より見ました一つの事項としまして、国際的な文化の交流ということについて若干意を払われているように思います。昨年度の予算の立て方から見ますると、少しばかりこれは配意があったということがうかがえるのでありますが、ここで国際的な文化交流というものをほんとうに国際的な立場からおやりになる心組みがあるかどうか。というのは従来見てみますと、これはやはりアメリカ圏ないしは東南アジア、こういう方面との交流については考えられておるようでありますが、すでに日本が昨年の暮れにはソビエトとの国交が回復し、引き続いて東欧ブロックとの国交回復が日を追うて進捗をしておるのであります。やがて近い機会にこれら東欧ブロックとの間には全部国交が回復すると思います。俗にいわれる東西文化の交流などということも、東欧ブロックを除いて私はあり得ないと思います。これはイデオロギーの問題は別といたしまして、日本が科学においてあるいは一般的な文化水準において高い面もあるが、総じて西欧東欧に比較いたしますとやはり低いのであります。だから東南アジアに出かけていって、日本の持っておる高度な技術を向うに伝えるということも東南アジアとの協力において欠くべからざるものであると同時に、日本みずからが今度は各国から学ばなければならぬ点については、そういう意味においては文化交流ということはより盛んにしなければならぬということも論を待ちません。  そこで私がお伺いしたいのは、国際文化の交流というものが、具体的にそういった東欧ブロックとの間の一つの文化交流というものを文部省では考えられて予算の措置をしておるかどうか、この点を最後にお伺いをいたしまして、なおその他重要問題がたくさんありますが、これはまた予算の本委員会その他の機会に譲ることにいたしまして、その点を最後に大臣から明らかにしておいていただきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 国際文化交流ということは非常に大切なことだと考えております。日本の置かれておる国際的地位ないしは日本文化に、何と申しますか今後世界性を与えていくというような意味から申しまして、十分に心して参らなければならぬと考えております。お話のソビエトとの関係ないしは東欧諸国との文化交流の問題、従来ともに学術、芸術、スポーツ等につきましては純粋に文化の向上に役立つものについては交流も若干行われてきておるように承知しております。これは今後ともに継続して交流が進められるものと私ども考えております。今具体的に何か計画でも持っておるかということになりますと、まだそこまでは参っておりませんけれども、いずれにいたしましても純粋の文化の向上に役立つものについては私は国境なしと考えて交流してよろしいと考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 よろしゅうございます。

坂田道太自由民主党

○坂田主査 小川半次君。

小川半次自由民主党

○小川(半)分科員 ちょっと二、三の問題についてお尋ねしたいと思います。まず産業教育の振興の項目についてお伺いいたしますが、本年度においては前年度よりも二千五百万円の増で、私たちとして大へん喜ばしい思いを持っているのでございますが、御承知のように、昨年来から本年にかけて日本の経済事情は非常に好調を来たしまして、これを契機といたしまして日本の産業は非常に躍進していくということは明らかであります。大体そういう見通しがついておるのでございますが、そうした日本の躍進していくところの日本産業に比較いたしますると、こうした中堅の産業人というものは比較的少いのです。そういう立場から私たちは、高等学校の産業教育というものを盛んにしなければならぬというので、今日まで絶えず主張してきている。そうした声がこの予算に現われてきたものと思うのですが、しかしヨーロッパ、アメリカその他の各国から比べれば、日本の中堅産業人を養成するという点においては非常に劣っております。欧米はもちろん日本よりもはるかにこういう点には重きを置いておりまするが、たとえばソビエトでも、あるいは最近においては中国においては、日本の旧中等学校にありましたような、ああいう工業学校程度のものに非常に力を入れて、そうしてそういう教育の課程を経た人たちを大体産業人の中堅として育てていこうというもくろみを立てております。そこで日本の場合、この産業教育を対象とする高等学校は、数は大体どれくらいあるか、それは普通高等学校に比較してどういう数が現われておるか、まず伺っておきたいと思います。全国の普通高等学校の数と、産業教育を対象とする高等学校の数をちょっと明らかにしていただきたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 普通教育課程の大体四分の一ぐらいになっていると思います。

小川半次自由民主党

○小川(半)分科員 それでは一つの高等学校に対して、本年度の予算のうちから補助金はどれくらい見当で回りますか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 これは一がいに申せませんけれども、施設と設備とがありまして、私の方では一応基準を設けております。農工商それぞれに基準を設けまして、その基準の七割から、一応現有の保有量を差し引きまして出すことになりますので、具体的に幾らということはちょっと申しかねるわけですが、たとえば工業課程の場合には百万円とか、あるいは商業の場合には三十万円とか、そういう基準をきめております。

小川半次自由民主党

○小川(半)分科員 全国の高等学校数の四分の一に相当するところの産業課程の高等学校があるようですが、その数に比べて予算を割り出してきますと、やはり日本の場合は非常に少いですね。ですから、本年は一応二千五百万円、前年度よりも増になっておりますけれども、特にこの点に将来ともに重点を置いてほしいと思います。  それからたとえば商業学校の場合にも、これは商業学校ですから、珠算などにかなり力を入れておりますが、一般の高等学校の場合でも、すぐ社会人として出る場合には、非常に珠算などがないためにおくれておりますね。ですから、たとえば珠算塾などに参りまして、そういう珠算の、何級とか、ああいう級をとるべく勉強している子供たちもかなり多いのです。ところが、文部省で公認している珠算の検定試験というのは、商工会議所がやっているあれしか大体認めておらぬようです。ところがあの主催地でないところの高等学校の子供たちは、その試験を受けたくとも行けないところがある。そういう点などを考えて、最近全国珠算連盟などというものができた。そうして私は現にその検定に出席をしてみたことがありますが、それは商工会議所が主催でやっておったあれよりも権威を持って、相当な成績をあげております。ところがその検定などに対して文部省は全然力を入れていない。従来からあるもののみにこだわって、そして新しく生まれてきたところの、しかも相当力を持ち、全国的に組織を持ち、そしてとにかく最も手近な付近の学校から集まってくる、そのものに対して、従来からあるものにこだわって、何か従来からあるものの権益を侵されるような狭い根性で、それを見捨てるというか、認めないというような態度などをとっているように私は聞いておりますが、そういう狭い考え方では実業教育というものは伸びませんから、その点なども特に考慮しておいていただきたいと思う。  次に外国人留学生宿舎建設補助費が二千七百万円見積られておりますが、これはどこにできる宿舎に補助されるのですか。おそらく東京からも設置の請願が出ているはずですし、大阪からも出ているし、京都などからも出ておりますが、どこに建てるものに補助されるのですか、ちょっと伺っておきたい。

北岡健二文部事務官(調査局長)

○北岡政府委員 これは大体人数にしまして五、六十人分でございますから、現在東京に四十数名おります。来年度入って参りますのが、四十名近く入って参ります。一応東京が一東多いというので、東京にこれを持って参りたいと考えております。

小川半次自由民主党

○小川(半)分科員 留学生は、東京だけでなく、大阪にも京都にもいるのですが、ここからもぜひ外国人学生のそうした宿舎を建設したいという強い要望が出ているわけです。やはり国会におきましてもその請願が通っているわけですが、従来から国会の請願といえば、当然そんなことはあり得ることだというので軽くあしらってしまう。しかし私は、いやしくも国会の請願というものは相当尊重しなければならぬと思う。そういうところにやはり議会政治を重く見るか軽く見るかの違いがある。いやしくも国会議員が国会の請願で相当論議をして通したものは、尊重して、それを実現さすべく、具体化すべく、やはり政府も協力しなければならぬと思う。大阪あるいは京都その他からも、すでに二、三年前から、やはり外国人学生宿舎の請願が出て、通っている。ですから、たとえば今度の場合、東京だけにこれの助成金を出すということになれば、一体請願の通っている大阪、京都はどうするのかこいう問題が必然起ってきますが、こういう場合どうしますか。要するに東京でなくちゃだめなんだということに文部省当局はきっぱりと割り切ったお答えをなさるわけですか、その点ちょっと伺っておきます。

北岡健二文部事務官(調査局長)

○北岡政府委員 現在この予算に計上しております補助金で考えておりますのは、国費で呼んでおります留学生の問題でございます。この国費によって呼んでおります留学生は、先ほど申し上げましたような数字になりまして、東京に非常に多いから、まず東京で建てまして、そうして来ましてからかなりの年数がたちますので、東京にずっとそれがふえるというような関係から東京のことを考えております。このほかに、一般に外国からこちらへ派遣する留学生なり、私費で来る留学生などもありまして、その方の収容施設につきましては、すでに従来から国際学友会というものがございます。これに国庫補助が出ておりまして、そちらの方でやっております。昨年は国際学友会の関係では関西方面に新たに宿舎を建てることにいたしました。さしあたり大阪に昨年から開設されておりますので、国費の留学生であっても関西方面におります者については、そこの宿舎へ頼んで入れてもらうというふうなやり方をしております。もっとずっと離れたところに一名、二名点在しておる者もございますが、そういう者については学校当局から宿舎等のあっせんをして入れてもらうというやり方をとっております。

小川半次自由民主党

○小川(半)分科員 大体請願が通っておりますから、その請願の趣旨に沿うて建設していただくように計画を立てておいて下さい。  それから、それとよく似通ったことですが、来年アジア・オリンピック大会が開催されるので、国際競技場の予算が出ておりまするが、この場合の選手たちの宿泊所なんですが、御承知のように、東京はどのホテルも宿泊所も、現在でも満員です。そこへ多数の選手団が入ってくるわけですから、その宿泊所を今から準備されて、別なものを建てられるか、あるいはどこかのホテルをはっきり契約しておきませんと——私もかつて選手団について行って非常に困った経験も持っておりまするが、そういう手配は大体今から準備ができておるのですか、どうですか。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。これはアジア大会組織委員会というものができておりまして、その組織委員会では万般の準備を進めておるわけでございます。従って今おっしゃいました選手村の点につきましては、選手の宿泊する期間というものは非常に短かいものでございますから、あとでこれを利用する方法を考えまして、一応現在のところは住宅公団に話をして、住宅公団で必要な選手村を作りまして、そこを選手が使ったあと一般の住宅として利用するという方法を考えております。従ってこの計画はかなり現在進捗いたしております。

小川半次自由民主党

○小川(半)分科員 これは文部省の予算ではなくて、内閣所管になっているのですけれども、その指導方針が文部省にあるようですからお伺いするのですが、例の新生活運動ですね。どうもわれわれが見てもそう思うし、国民全部が見て、前政府が鳴りもの入りで新生活運動を唱えたのであるが、一向に実効が上っておらぬじゃないか。それらしい形は何ら国内に現われておらない。料理屋、待合などは減るどころかふえる一方だ。どこに新生活運動があるのだ——私たちも大いに反省しなければならぬわけですけれども、しかし実際どこに新生活運動の実効が上ったのか。一つでも私は見たいのですが、残念ながらそれらしいものがないわけです。どうです、文部省の人たちは、一体何か数字的にでも実効の上った実績を持っておられるのですか。この機会に聞いておきたいのですが。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣・労働大臣臨時代理

○灘尾国務大臣 新生活運動の状況につきましては、私あまりつまびらかにいたしておりませんので、関係の政府委員からお答えをさしたいと思いますが、いずれにいたしましても、実際問題としてやりますと、こういう運動というものはなかなか実効の上りにくいものでございます。ことにこれは政府側がかれこれ一切口を出さないで、民間の方の自発的な運動として展開されているような状況でございますので、私どもといたしましては側面からわれわれの御協力のできる点についてはもちろん十分に御協力を申し上げたいと存じますが、お話の通りに目に見えて何がどうなっているかというふうなことになりますと、歯がゆいような気持が実はせぬでもない。率直に申し上げまして、そういう気持をいたしております。今後ともに十分連絡を密にいたしまして、御期待に沿うように、その当該の段階において働いていただくようにやって参りたいと思います。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田政府委員 ただいま大臣から申し上げた通りでございますが、これはいろいろその効果がどの程度あったかということを測定することは、非常に困難な問題がたくさんございます。従ってこれを数字的にいろいろ申し上げることは不可能でございますが、一例を申し上げますと、たとえば門松廃止運動というようなものは、新生活運動の中に取り上げられて相当各地で普及しておりますので、これは一例でございますけれども、そういう面については相当効果を上げたというように考えられています。

小川半次自由民主党

○小川(半)分科員 これは文部省の人に非常にいやなことですけれども、だれかが一応言うておかなければならぬので、憎まれ口を私は申し上げますが、これは私清瀬文部大臣にも申し上げておいたのですが、大臣がかわりましたので、特に現大臣に強く要望しておきます。これは官庁間のうわさ話ですが、朝の出動でも、各役所の中で文部省の役人は一番おそい。他の省の連中が、何が新生活運動だと笑っているんだ。文部省ほどずぼらな役人はおらぬ、朝の出勤は一番おそいと言っているんだ。党の総務会でも、一つ小川君、お前はいつも憎まれ口を言う選手だから、一ぺん文部大臣に言うてくれと言うものだから、私は人前で言うのもどうかと思うて、個人的なような立場に立って清瀬さんに、こういううわさが高いから、一つぜひ部内の幹部を集めてよく話をしておいて下さい、こういう工合に私は申し上げておいた。ところが間もなく清瀬大臣はやめましたので、特に現大臣に申し上げておきます。ちょうど大臣、幹部諸君が並んでおられるときですから、ぜひ一つあしたから時間励行でお願いします。  それじゃこれで終ります。

坂田道太自由民主党

○坂田主査 ほかに御質疑ございませんか。——ただいま辻原委員より資料の要求がございます。文部省が所掌する公益法人について、名称、補助金交付の有無、その目的とするところ、三点について資料の提出をお願いいたします。おもなものだけでよろしゅうございます。  これにて文部省の所管に対する質疑は一応終了いたしました。あすは厚生省所管に関する質疑に入りたいと存じます。  本日はこれにて散会し、明日午前十時より開会いたします。    午後四時三十分散会

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