予算委員会 第24号
- 発言数
- 380 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/04/26
会議録
○山崎委員長 これより会議を開きます。 昭和三十二年度特別会計予算補正(特第2号)及び昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第1号)を議題といたします。 質疑を続行いたします。池田禎治君。
○池田(禎)委員 私は、この際岸総理大臣に若干の質問をいたしたいと思うのであります。岸内閣は、この国会の途中ではからざりき石橋前首相の不慮の病気によりまして新任されたわけでありますが、岸総理はその所信の表明におきまして、前内閣の方針をすべて踏襲をするというところから、三十二年度予算案におきまして、あるいは法律案におきましても、全く独創というようなものは見受けられないのであります。これは総理大臣みずからが、前内閣の方針をことごとく踏襲する、そのまま責任を負う、こう申されたのでありますから、ある意味におきましてはむべなるかなと思いますが、しからば今後あなたはこのままこの方針でいかれますか、それとも岸内閣固有の性格をどういうふうに出していこうとするのか、もっと言葉をかえて言いますならば、内政上あるいは外交上の岸内閣の特徴というか、そういうものについての所見をお伺いしたいと思うのであります。
○岸国務大臣 私は、今御指摘になりましたように、総理大臣として所信を国会に表明するに当りまして、石橋前総理が病気で御承知のような隠退をされました跡を受けておるのでありますから、また私自身が石橋内閣の閣僚の一員として石橋内閣の方針というものを立てて参った関係上、この国会はすべて石橋内閣の政策を踏襲し、人事等におきましても一切それをそのまま受け継いで国会に臨み、そしてその成立を期するという態度で参っております。言うまでもなく政党政治でありますから、その根拠とする政党を代表して内閣を組織する場合において、その墓表方針というものは、その政党の基本的政策、方針によるべきことは言うを待ちません。しかし同時に、だれが首班であるかということは、やはりその人の持っておる持ち床と申しますか、その人の一つの考えというものがいろいろな面に現われるということもこれまた当然のことであると考えます。それをいかなる時期にいかなる形で現わすことが適当であるかということは、これは十分各般の政治情勢とにらみ合せて考えなければならない問題だと私は考えております。私は今申した見地におきまして、党とも緊密な連絡のもとにおいて、この二十六国会を終った後に、さらにわれわれの政策を推進すべき新しい政策ないしはこれの実行に必要なる体制につきまして、いろいろと党とも連絡をとって考慮検討をいたしておる段階でございます。
○池田(禎)委員 あなたは国会の終了後東南アジアの各国を歴訪される、これにつきましては参議院の予算委員会等におきましても所見のほどを申し述べられておることは了承しておりますが、あらためてこの際これがどういう目的であるか、ただいまあなたのお答えになった二十六国会終了後にあらためて新しき政策を推進する方法を考えているようなものもありますが、こういうこととも関連をするのでありましょう、その目的と将来への岸内閣固有の政策を推進するというところの礎石にもなるのであろうかどうか、そういう点の所見をお聞かせ願いたい。
○岸国務大臣 私は国会が終了いたしましたら東南アジアを歴訪するということを考えまして、いろいろと相手国の都合等も問い合せをいたし、また私の訪米の日程ともにらみ合せまして、今回はタイ、ビルマ、インド、パキスタン、セイロン及び台湾の六カ国を歴訪する考えであります。この詳しい日程等につきましては、なお相手国の都合もございますので詳細はまだ明確にいたしておりませんけれども、国会の終了後これらを歴訪する考えております。 その考えは私がしばしば国会でも御質問に応じて所信は述べておりますが、何といっても日本はアジアの一国であり、アジアを離れて、アジアと無関係に日本の発展というものは期せられないと思うのであります。しこうしてこれらアジアの諸国は、あるいは去る戦争中において日本が相当迷惑をかけた地域もございますし、これらの国国が戦争後日本に対して友好関係を回復し、これらの国々との間の将来の友好親善を深めて参る意味におきましても、今日まで日本を代表してそれらの国をそういう意味においてたずねた者もありませんので、特にたずねて日本国民の気持を十分に述べて、そうしてこれらの国々と永久的な友好親善関係を深めるということが第一であります。将来国際的のわれわれの活動の上において、アジアに共通する一つの考え方やあるいは共通するところの利害問題についてさらに提携を強めていく必要もございますし、またこれらの国国がいずれも政治的な独立の裏づけたる経済基盤の確立につきまして、いろいろな開発計画あるいは産業計画等を持っておるのでありますが、これに対して日本がその国民的な努力にわれわれとして協力のできる点におきましては協力をして、そうしてこれらの国々の真の独立の完成へわれわれが協力するということは、アジアの一国として、先ほど申しました戦争中にこれらの国々に与えた犠牲に対して報いる道としても、われわれはやらなければならぬ。こういう点に関してこれらの国国の首者脳と親しく胸襟を開いて話し合いをして、将来の今申しましたような目的を達成したい、こう考えております。
○池田(禎)委員 この中でインドネシアを除いているのはどういう意図がございましょうか。あるいはまたこれは先般総理大臣は参議院でもお答えになっていますが、これを機会にあなたは中共に行くという御意思はありませんか。あるいはまた自分が行かなければ何らかのあなたの特使を差し向けてでも、この善隣関係を何らかの形において打開をする、こういうことの御用意はありましょうか、どううですか。
○岸国務大臣 今回の訪問において、インドネシアに参りませんことは——実は今回の東南アジア訪問におきまして仏印三国、フィリピン、インドネシアまた濠州、ニュージーランド等を歴訪することができないのでありますけれども、私はさらに時期を見てこれらの国々を歴訪する機会を持ちたいと考えております、インドネシアにつきましては賠償の問題が多年の懸案でありまして、これを解決することが私は急務であると思います。インドネシアにおきましては御承知のような政変もありましたが、新しいジュアンダ内閣は十分日本と話し合いをしてこの問題を解決する強い希望を持っていることが明らかでありますので、なおそれらの点につきましても十分話し合いをして、両国の将来の関係を正常化することに努力をしたいと考えます。 中共に対する御質問でありますが、この点に関しましては実はわが党としては、われわれの基本方針は、今日の段階において国を承認し、これとの間に外交関係を開くのはまだその段階でない、という見地をとっております。従ってこの国との間におきましては私は貿易を増進する、経済関係を増進することによって、さらに両者の間に理解を深めていくということは必要であると思っておりますが、そういう段階であって、今日政治的な承認もしくは外交関係の設定ということを考えておりませんので、従って今日の段階において、私がこの中共を訪問するとか、あるいは私にかわっての特使を派して同様な考え方を持つということは、私としては考えておらないのであります。
○池田(禎)委員 中共問題につきまして総理大臣が今お答えになっていることは、今までも述べられたところであるが、これは何といいましても一衣帯水の地帯にある日本として、六億数千万の人口を打ち、あの資源とあの広大な土地とそうしてまた両国の善隣友好の関係をながめますならば、これは好むと好まざるにかかわらず、両国の提携を深めて、そしてそれがひいてはアジア全体の地位を高め、平和への大きな推進力になるということは、否定できない事実であると思います。その事実を政府なり自由民主党が、あくまでも国連に加盟しておらない、国連が認めておらない。台湾政府との間に日華基本条約があるから二つの政府を認めることはできないというような観念論で処置する限り、これはいつまでたっても解決つかない。そこで歴代の内閣におきましても岸さんのような特異な、特にあなたは進歩的保守政党の育成ということを大きなスローガンにされておるのですから、これは一つぜひとも考え直されて、党としてもあるいは政府としても、独自の見解とその意図を持って、両国の関係を貿易関係だけでなくてさらに推進していく、こういうような決意を検討される用意がありますかどうでしょうか。
○岸国務大臣 この中共に対する問題は、御承知の通り日本は国連の一員として、私は国連中心に世界の平和政策を推進するということを外交の基本と考えておるのでありますが、現在の中共は国連に代表権を持たないし、また国連としては、これを侵略国と規定した決議というものが取り消されてもおらない状況になっております。また言うまでもなく台湾にある国民政府との間には日華条約があり、正式に友好関係が作られております。われわれの国際的信義の上から申しましても、これらの事実を無視して——池田委員はわれわれの考え方を観念論とお話しになりましたが、私の見方をもってすれば、むしろそういう現実の事実を無視してこうあるべきだと考えることの方が観念論のように思うのです。しかしその観念論がいずれであるかということは、これは言葉の問題でありますから別といたしまして、少くともわれわれが責任を持って日本の外交方針を推進していく場合においては、国際的なこれらの具体的事実、現実というものを全然無視することはできないと思うのです。 しかし池田委員の御指摘になったように、日本と中国大陸との関係は歴史的にも地理的にもまた経済的にも非常な深い関係にあって、こうした現在の状態が望ましい状態であるかどうか、このままずっと推移することが望ましいかどうかということにつきましては、私は決してそれが望ましいとは思っておりません、これは改善されていかなければなりませんが、これには今申したような基礎的に工作すべきまた解決さるべき幾多の問題が解決されずに一足飛びに直ちに中共を承認し、これとの間に外交関係を開くということこそ、責任ある政府としてはとうていできないことである、かように考えております。
○池田(禎)委員 あなたがおっしゃっておられる、これはひいては世界の今日の様相が二つの陣営に分れておるということは、これは否定できない。しかし二つの陣営ありといえども、この陣営をいかに調和していかにして再び世界の平和を乱さないようにするかということは、今日人類の大いなる宿願でなければならない、その点について総理大臣がこの事実を——私自身も一足飛びにとは申しておりません。しかしこの事実に目をおおうということは、私は日本の将来の国際的な外交計画としては、はなはだ短慮ではなかろうかと思う。 そこででわが社会党は、先般淺沼書記長を団長とする訪中親善使節団を派遣いたしまして、御承知のように共同コミュニケを発表しておるようなわけです。しかるところ政府においてもあるいは与党においても、これは外交権のない社会党のやり方であってこれはけしからぬ、一言にして言えばこういうようなことを表現されておるが、これは私どもから見ますと、まことにおかしなことであって、野党たる社会党が、立場を異にするといえども、大きな国際的な環境において、この両国の親善を深め、ひいては経済的に政治的に文化的に寄与せんとする行為であるということで、私ども自身としてはこれを大いに歓迎しておるのですが、政府はこういうことにつきましては迷惑と思っておりますか、それともこれは承認すべきことなりと思っておりますか、いかがでしょうか。
○岸国務大臣 今回の社会党の訪中親善使節団が向こうに行かれることにつきましては、社会党の首脳部との間におきましても、私もお会いをしておりますし、また党及び私にかわって官房長官もしばしばお会いしまして、その目的がどこにあるかという点につきまして相当に話がされたのでございます。私は社会党の首脳部なりあるいは有力な方々が日中の理解を深め、親善を増進する意味におきまして、中国を訪問されるということにつきましては賛意を表し、またそういう意味において政府としてもこの今回の訪中の問題を考えておるのであります。ただその際においてわれわれが従来中共に対して考えておる根本的の考え方、すなわち現在はこれを承認するとか、両者の間に政治的な関係を生ずるということは、いまだその段階でないという方針、これはわが党が政局を担当し、全責任を持って日本を代表してやっておるのであるからして、社会党としての御意見は別として、この点に関してあるいは国際的な疑惑を生ずるようなことがあると、いかにも日本が国論が分れており、また日本の国際的の方向について、いろいろな疑念を持たれるということは国のためでないがゆえに、そういう政治的の問題にまでは触れないようにしてもらいたいという話をしておったことも、あるいは池田委員も御承知であろうと思います。そういう意味におきまして、今度の社会党の一行が中国を訪問されて、さらに両国の間に理解を深め、その親善を増進することに努力されたことに対しては、私は満腹の賛意を表するものでございます。ただ共同声明とされておる事柄につきましては、新聞等でわれわれが見ただけでありまして、内容の不明確な、明瞭にし得ない点もございますが、その内容についてここでいろいろな意見を申し上げることは適当でなかろうと思います。またあの形式も決して中国政府との間における共同声明の形でもなく、一つの学会みたいな団体との間の話し合いとして、共同声明が出されておるというような関係もありますので、私自身としては、さっき言った意味における今度の訪中団の努力並びにその効果に対しては敬意を表するとともに、あの共同声明自体につきまして、内容的にはそういうふうないきさつからしまして、私は多くの重要性実は置いて考えておらないのであります。なお訪中団の方々がお帰りになりますれば、行く前にそういう話があったわけでありますから、どうせ詳細にご報告も得ることと思います。その上におきまして政府としての意見は申し上げたいと存じます。
○池田(禎)委員 私はこう思うのです。日本では歴代の外務大臣といえば、おおむね外交官僚というか、そういうものが大臣に就任して、いわゆる紋切り型の儀典的、軌道的外交方針というものが長年行われておった。あなたのような人が外務大臣になられて、日本の外交の基本というものを国策と世界の平和という大きな観点から見て、そして外交権をあなたが統率されておる。そういう場合においては、与党、政府をもってなし得ざるところを野営をもって行わしめる、これはイギリスの伝統でありますが、日本においてもそういうことをもはやあなたがみずから率先して、大きな外交方針、外交ルートをおきめになることが急務ではなかろうかと考える。それにはあなたが常に口にする国会の正常化、二大政党対立下におけるところの日本の国政の審議というもの、国政の迷宮というものはできるだけ話し合いをもって解決をしていきたい、こういう日ごろの主張からしますならば、社会党の委員長はもちろん、領袖を入れて、国際外交上におけるところの胸襟を開いた話し合いというものを、外務大臣みずからが進んで吐露するというような御見解をもっと広くすべきではなかろうかと私は思いますが、この機会に大臣の所見を伺いたいのであります。
○岸国務大臣 私の外交演説において、私は内治外交の一体を唱え、また国民世論の支持による国民外交を強く唱えております、今池田委員の言われるように、私がいわゆるしろうと外相として就任したから、今までのオーソドックスの外交のやり方に対して、すべてこれを変えるとかいうような考えは、もちろんありませんけれども、しかし同時に国内の政治、また国際的のさらに広い情勢について、十分に国民に認識を深めて、その世論の支持の上に外交を推し進めていかなければならぬという考えの上に立っております。内治外交を通じていわゆる二大政党の運営を考えてみますと、私はやはり基本的なことについて、今池田委員の御指摘になったように、両党の首悩部の間において十分に隔意のない話し合いをしていくということ、またお互いが立場は違い、主張は違いますけれども、いずれも国の繁栄を考え、国民の福祉の増進をかえておるのでありますから、意見が対立し、あるいは立場が違うからといって、同じく国を思い、国民のためにわれわれが政治をりっぱなものにしようという考えの上においては、言うまでもなく共通しておるのですから、そういう大きな広場において話し合い、少くとも、ことに国際問題に関して——私は今日まで社会党とわれわれの党と世界観においても違っていることは、非常に遺憾であります、しかしまた同時に、これはもう少し話し合ってみると、ある程度の了解なり、あるいは協力の場もでき得ると私は信じております。そういう意味において、両党の首脳部において時々重要な問題について隔意のない話し合いをするということは、二大政党の運営からいって、また民主政治の完成の上からいって、非常に必要である。私もできるだけそういうふうに心がけて進んで参りたいと思います。
○池田(禎)委員 日本の戦前の封建的な時代においても、元老なんというものは、非常に内政に心配をすることはもちろんだが、特に外交については非常な注意を払って、刻々の情報をとり、あらゆる推移というものを瞬時のうちにとらえておった。これは西園寺公望の手記を読んでみても十分にうかがわれる。今日日本にそのような元老という制度はないけれども、あなたのような御主張からいけば、野党の委員長くらいには外交文書、刻々の推移というものを提示して、これに処するところの判断の基礎的知識というものを与えるとか、そういうお気持が今日おありになりましょうか、いかがですか。
○岸国務大臣 外交上のいろいろな文書等を一々そのつど、たとい野党の領袖もしくは首脳者でありましょうとも、これを見せるということは私は適当でないと思います。これはただ野党のなにだけではなくして、ある場合においては自分の属しておる党の人々にも、これはそのつど示すべきものではない。しかしまず根本的には先ほど申しましたような考え方に立って、根本的な問題を適当な機会において話し合うということ、これは私はやらなければならない、こういうふうに考えております。
○池田(禎)委員 総理は、中共は国連が認めておらないということから、中共への訪問だとか特使というようなことは考えられないと言っておりますが、それではあなたはソ連について訪問される用意があるかどうか。たとえばアメリカに行ってからでも、そのあとでも将来、この世界の一大威力であるソ連に対しては、どういうように親善を深めていこうとお考えになっておりましょうか、この際伺っておきたいと思います。
○岸国務大臣 すでに国交を正常化し、正式に国交の開けておる国に対しましては、私は時間の許す限り、適当な時期にできるだけ広く訪問したい意図を持っております、たとえば中南米の諸国のごときに対しましては、特に移民等日本にとって非常に緊切な問題もありますし、またそれらの国々の日本に対しての非常な好意ある取扱い、また将来ますますこれを拡大し、同時にこれらの国の繁栄に協力しなければならぬという立場から申しましても、中南米に行かなければならぬということも考えております。またヨーロッパの諸国につきましても、いろいろな関係において考えておりますし、今御指摘になりましたソ連に対しましても、ソ連なるがゆえにたずねないというような気持は毛頭持っておりません。適当な時期に、また適当なたずねなければならぬような事態が起れば、私は喜んで訪問する考えであります。また日ソの間の国交が正常化せられましたけれども、まだ御承知の通り平和条約はできておりません。これにはむずかしい領土問題というものの解決がされないと平和条約はできないという状況にあります。しこうして南千島に対して、われわれが固有の領土として日本の所属を強く主張しておることは、幸いにわが党のみならず、両党ともその考え方については一致をいたしております。これは全日本の国民の要望であります。しかもその要望が過去におきましても、二回の会議においてなかなか頑強に意見が対立しておるという状況でありますので、どうしてもこれを将来われわれの主張通り解決していく上におきましては、せっかく開けたところの国交正常化による友好関係を積み重ねて、両国の理解、特にソ連側が日本国民の強い要望の根拠について十分な理解を持ってこられることを、私は強く念願しておるのであります。そういうふうにあるいは漁業問題、あるいはあそこに残っておる残留者の調査の問題、あるいは貿易協定の問題等々、私は両国の間の友好関係を深めていくことを積み重ねていきまして、究極において領土問題を含む平和条約を締結するということに進んで参りたいと考えております。
○池田(禎)委員 総理大臣のただいまの御答弁を承わりまして、私はこう思うのです。鳩山さんがあの病駆を押してモスクワに乗込んだ。そういうことは確かに国民の期待にこたえたものであって、今あなたが仰せられるように、両国の平和条約あるいは領土問題の解決は、国民あげての念願でありますから、私は必ずしも適当な機会というあなたの言葉をとらえて、言うわけではありませんけれども、できるだけ早い機会に、あなたがみずからモスクワに乗り込んで、両国の親善を深め、多年の懸案であるところの領土の閥越の解決、平和条約の締結等についても推進をなさるということを、一つ本年じゅうにでもやるという決意をなさるわけには参りませんでしょうか、その辺のことはいかがでしょうか。
○岸国務大臣 時期的にいつということを今申し上げることはできませんけれども、先ほど私が申し上げましたように、また幾たびか申し上げておるように、日ソのこの関係は、いろいろと積み重ねていきまして、そうして領土問題を解決すべきであると今考えておりますので、必ずしも本年じゅうにその時期が到来するとも、今私は判断し得ないような状況であります。従って訪ソを本年じゅうにやるということは、今は考えておりません。
○池田(禎)委員 東南アジア訪問から、こういう話に分れたわけですが、東南アジアの諸国を訪問するに当って、この数日来の新聞を見ますと、自由民主党では総理大臣に随行を願い出る人が六十人もあるとかで、一つの国に一組だけやって、国々をかえてやらぬと、どうもしょい切れぬという、これはまことに恥かしい話でございますけれども、数日来の新聞はことごとくとらえておるところであります。総理大臣と一緒に行って箔がつく、これもその心中を察しないわけではありませんが、これはどういう資格でお連れになるのですか。やっぱり政府の任命する全権とか、あるいは外交上の一つの役職員として連れていかれる考えでありましょうか。
○岸国務大臣 私が東南アジアを訪問するということを決定いたしまして、私と一緒に、もしくはその前後に東南アジアを訪問しようという希望者がたくさん出ましたことは、私は、これだけでも東南アジアに対する関心を深めた意味において相当な効果があると考えております。しかし現実に私が行く場合に、どういうような人が一緒に参りますか、党としてこの際派遣するということは、党においていろいろ考えておるようであります。私は、私の随員として必要なものは主として外務省の役人あるいは財界等から考えております。しかしその際、党が私に随行して人を派するということにつきましては、飛行機の関係、その他許します限り、たくさん行っていただくことは差しつかえない、こう思っております。
○池田(禎)委員 事はまことに小さいことのようでありますが、私はこう思うのです。国会議員が総理大臣に随行していって箔がつくならば、それもけっこうですが、いやしくも国権の最高機関に参与する議員たる者が行くならば、当然国会の承認を得て行くべきだ。これなくして総理大臣の随行ということになれば、これは立法府が行政府に隷属するごとき感を与えるものであって、まことに国会の権威を冒瀆するものである。これを政府においておやりになるならば、正式に国会の承認を得てやるべきであると思いますが、その点はいかがですか。
○岸国務大臣 申し上げるまでもなく、政府が国会議員の中から全権であるとか、随員であるとか、あるいは顧問であるとか、いろいろな名目のもとに政府の一員として海外に行く、あるいはその他の行動をする場合におきましては、国会の承認を経なければならぬことは言うを待ちません。議員をそういう機会に党として派遣するという場合におきましても、たとえば過半の社会党の中共訪問団というようなものにつきましても、議運その他においての国会のなににつきましては話し合いがあると思います、そういうような手続は要ると思いますが、先ほど申し上げているように、私自身の考えは、私が今度訪問します政府の正式な随員なり、顧問なり、もしくはほかに全権というようなものは、もちろん必要のないことでありますが、そういうものは外務省の役人やその他のところから選考いたしているわけであります。従いまして今御指摘になりましたような、国会が送るというのではなしに、政党が適当な人を一緒に行ってもらうという常としての考え方である場合においては、今言ったような慣例に従ってやっていいのではないかと思っております。
○池田(禎)委員 あなたは総理大臣であられるが、同町に自由民主党の総裁でもあられる。社会党はなるほど訪中親善使節団を現に派遣しております。これは党としてやったのですから、もし自由民主党として代表を東南アジア、あるいはアメリカへおやりになるのはけっこうなことで、他党がそういうことをしようということはちっとも妨げない、与党の責任においでおいでになることはけっこうですけれども、総理大臣が行くときに、党代表という名目はつくかもしれませんけれども、いかにも金魚の何とかでついていくということは、国会の権威上はなはだ好ましからぬことでありますので、この点は特に御留意を願いたい。別に答弁は求めませんけれども、総裁であり、総理大臣であるあなたが、国会に席を持ち、行政府の長官としての立場からこの点はよく御判断を願いたい。 次に、これもすでに幾たびか記者団会見におきまして、あるいはここにおきましてあなたが答弁されておりますが、この際東南アジア歴訪の後、渡米されるその目均等につきまして、一つ忌憚のないところを率直に御意見を表明願いたい。私は特に項目をおげて、こういうとを話をするのかせぬのかということは申し上げませんけれども、あなたの見解を十分に御表明願いたい。
○岸国務大臣 私は外交方針にも述べているように、日本——またこれは私の信念であり、わが党の基本の外交方針でありますが、本日は民主主義国家として世界の平和に貢献するという日本の国の建前から申しまして、国連を中心としてわれわれが今後世界平和の外交を推進する上におきまして、自由受好国との間の親善協力関係というものは、一そう深めていかなければなりません。またそういう見地から申しましても、アメリカとの間には特に緊密な関係が必要だと思いますが、さらに御承知の通り、日本はアメリカとの同に安保条約が結ばれており、各種の軍事援助を受け、また経済援助も受けている。今日の日本の防衛体制、また経済の復興につきましても、いろいろな意味におけるところのアメリカの援助の力があずかって大なるものがあるという、この関係から見まして、日米関係の間において完全なる理解——何らの誤解や、あるいは多少でも不十分なアンダースタンディングに立って物事を考えるということがあってはならぬ、こうかねがね考えておるわけであります。そういう意味から申しますと、現在日米の間には御承知のようないろいろな問題がございます。これらの問題を解決する上におきましても、今申したような両者の完全なる理解、相互の信頼というものが必要であり、またそれは日本のために必要であるばかりでなく、日米両国のためにも私は必要であるとかように考えまして、この根本の考え方、日米のわれわれが望ましいと思うところの協力関係の基礎となるべき考え方や方針について、十分に一つ意見を吐露し合って、そして了解を得ていくことはぜひとも必要であるということを考えておるのであります。こういう意味におきまして、今日日米の間に存在しておる幾多の解決をされておらぬもの、また特に日本側から見て望ましくないと思われるところの状態を改善する、また改善していかなければならないのでありますが、それには今申したような基本的な話し合いを十分しておく必要がある、こういうつもりで、訪米の最も大きな問題は、今申したところにあるわけであります。個々具体的なものを両国の間において交渉して、これをこうするのだとか、ああするのだとかいうふうな妥結が、短かい訪米の間にできるわけのものでもありませんし、私はそういうことをこの際期待もいたしておりません、しかし今言ったような基本的な問題を話し合う上から申しますと、必然的に幾多の問題となっておる具体的の問題につきましても、これに触れて話がされることは当然であると思っております。
○池田(禎)委員 私は、個々の問題につきましては、わが党の委員が、安保条約にしてもあるいは沖縄施政権の問題につきましても、すでに幾たびか触れられておるところでありますからあえて申しませんが、今世界民族のうちで、被圧迫民族の共通している念願は完全なる独立なのです。これは別の意味から申しますれば民族の悲願でもあります。従って今日本の領土内において多くの基地を持ち、軍事的な独自の権能を持ち、あるいは日本の主権を認められながら、その施政権をことごとく沖縄においては剥奪されておる、こういう姿は日本民族としては耐えがたきことであります。あなたは、そういう点につきましては十分一つ腹を据えて交渉なさるという決意がありましょうか、どうですか。
○岸国務大臣 もちろんアメリカと話す場合におきましては、日本の独立の完成、また日本の自主独立の立場から、すべての考えを吐露していくべきことは言うを持ちません。ただ、今日本に外国軍隊が駐留し、たくさんの基地を持っておるということに対する民族的なわれわれの確信なり念願というものについてお話がありましたが、私もその点については全然同感であります。と同時に一挙にしてそういうことを解決することのできない国際事情、また国内における防衛体制というものもわれわれは現実の問題として忘れてはならないのであります。しかし方向としては、今の池田委員のお話の方向に向って考えなければならぬ。私はあくまでも日本の独立を完成し、日本の自主独立の立場から、日米間の了解なりあるいは調整というものを十分話し合って参りたい、かように考えております。
○池田(禎)委員 総理大臣や与党の方方は、特にみやげを持って帰ることを望んでおらない。ということは非常に遠慮といいますか、先をおもんばかった点もあろうかと思いますが、私がこの際もう一点お尋ねしたいことは、あなたは一国の総理大臣であるが、同町にわが国の外務大臣である。国際外交上におきまして、外務大臣が池田を訪問するというときに、やはり特定の項目を持たずして行くということははなはだ少いと私は了承しておる。従いましてあなたの渡米される目的が、両国の親善を深めるということにおいて大きな貢献をするところがあるのはよろしいのですが、一面において外務大臣たるの資格を持つあなたが、アメリカに何らの交渉案件を持たずして行かれることは、私はいかがであろうかと思う。従いまして、特定のものを幾つかでも持って、それに対する下交渉というようなことはなさっておりませんでしょうか。そうしてその用意、準備をしていかれることについて、もしここで公表できるならば、私は国民のためにも表明を願いたい、かように思います。
○岸国務大臣 私は、総理大臣兼外務大臣という二つの資格を持っておりますから、ある場合には総理、ある場合には外務大臣というような使い分けも考えられ、また、この地位に対していろいろな今の御批判のごとき考え方も出ると思いますが、私の今回の訪米に関しては、正式に申しますと、アメリカ側のアイゼンハワーの招待のもとに三日間アメリカの国賓として参ることになっておりますが、これも、この招請並びにこれにこたえた両国の発表は、具体的の問題に関しての交渉ではなくて、基本的な問題に対する両者の意見の交換であるということに了解がついております。もちろん、今申しましたように、この基本的な意見の交換の際には、日米両国の間に懸案となっており、あるいは解決をしなければならぬ、もしくは改善をしなければならぬ具体的の問題等に触れることは当然であります。当然でありますが、その問題をひっさげていって、それをわれわれの考えるように解決する交渉をするために実は参るのではないのでありますから、その点に関しては、私はむしろ今回の訪米は総理大臣として訪問するつもりでございますし、またそういうふうにアメリカ側でも考えておりますし、一般にも私はそういう印象のもとに今回は参りたい、こう思っております。
○池田(禎)委員 総理大臣は何か時間があるようでありますから、私は多少端折りますが、あなたがアメリカに行かれる大体の日程はどういう予定でありますか。
○岸国務大臣 正式には十九、二十、二十一日アメリカ大統領とワシントンにおいて、いわゆる国賓の待遇のもとに、両国の首脳部が話し合いをするということが公けの日程の中心であります。そのあとで私はニューヨークにおもむきまして、財界の人や、あるいは外交界の人々と意見の交換をいたしたいと思います。それが済めば直ちに日本に帰ってくるつもりでありまして、大体七月の初旬、特に五日前に日本に帰ってくる、予定でおります。
○池田(禎)委員 そこで、あなたの渡米をめぐって、ないしこの国会の終了を待って、この二十六国会の終了後に岸内閣の一つの独自性というか、それの推進をはかりたいというお考えがあるか。世上もっぱら評判になっております内閣の改造については、あなたは渡米前に改造を断行する意思がありますか。それとも帰国後になさろうとするのであるか、あるいはまた改造はやらないのであるか、その点の見解はいかがでありますか。
○岸国務大臣 改造につきましてはいろいろな御質問もありましたが、今日はっきりしておることは、国会開会中は改造をしないという決意だけは私においてはっきりいたしておりますが、それ以上はいろいろ考慮中であります。
○池田(禎)委員 あなたはそういう答弁をなさる以外に今日できないかもしれませんが、もう改造の評判のある役所では仕事が手につかないので、たまってしまっておる。うちの大臣は去るか去らぬかというのでみんなふわふわしている。こんなことでは国家の行政上大へんですから、あなたにいろいろなお考えがあるにしても、まあ公平に見て、渡米前にはさようなゆとりがないということは大体私どもにも察しられるが、総理大臣としてはいかがですか。この際一つ明らかにしていただきたい。そうすれば、それだけでも能率の増進ということが十分行われるものと思うのですが、いかがでしょうか。
○岸国務大臣 改造につきまして、特に重要人事に関連をしておりますから、非常に興味ある問題として新聞等がいろいろと取りざたしていることも私はよく承知いたしております。そうして私は、改造をしようと決意するならば、ごく短時日の間に改造のでき得る党内情勢であることもよく承知いたしております。しかし、この問題を扱うにつきましては、私は、各般の政治情勢とにらみ合せて、適当な時期においてやるべきものであるという考えでありまして、今は、渡米前にやるとか、あるいは渡米前はやらぬとかいうことを申し上げる時期でもないし、また私自身か、さっき申しましたようにもほんとうに腹をきめておるのは、国会中はやらぬということだけははっきりしておりますが、それ以上は——実はいろいろと研究をし、考慮をいたしておいるというのが偽らない心境でございます。
○池田(禎)委員 次に、与党の一、二の人か見解の表明をしたことでありますが、小選挙区制というものを考えておるよりであります。これは政府としてはどういうような心がまえを持っておるのでありましょうか。この際お聞かせを願いたい。
○岸国務大臣 小選挙区の問題につきましては、根本的の考え方から申しますと、二大政党をほんとうに健全に発達せしめ、ともに国民政党として、民主的に、政権が平和のうちに移動し、そうして国の進んでいくところのものが、国民の大多数の支持を受けておる方向に進んでいけるように二大政党が発達をするという上からいって、私は、実はあくまでも理論的にいって、二区一人の小選挙区制が理想に近いものであると考えております。これは小選挙区制の根本の考え方であり、また多くの小選挙区論者の共通した考え方であり、私自身が二大政党論者であり、また二大政党のもとに、そういう民主主義のルールによって政権の移動が行われて、国が繁栄していくということを念願している上から申しますと、当然小選挙区制を二つの基本の考え方として持っておるわけであります。 ただ、御承知の通り、この小選挙区制につきましては、区制をどうきめるかということは現実の問題として非常に幾多の困難があります。理論は今も私が申し上げたようであっても、さて現実にそれを当てはめてみるといろいろな困難がある。それはあるいは政党内の内部的事情もありましょうが、そういうものを度外視しても、いろいろな交通とか、あるいは地理的関係とか、あるいは歴史的関係から、もしくは人口の分布の状況から見まして、かりに二区一人が理想であるとしても、その例外は一つも置かずにやり得るものかどうかということも考えなければならぬし、また具体的に、大体国民の大多数が納得するような区割をどうして作るかという問題も十分考えてみなければならぬと思います。こういう幾多の問題について、高い見地から、超党派的に——二大政党になったのでありますから、わが党だけじゃなしに、社会党のうちにも、従来私の承知しておるところによれば、小選挙区論者もおられるのでありますから、そういう人々とほんとうに超党派内に考えて、一つ公正な区制を設けて、小選挙区制の理想を実現したいと私は考えております。しかしてそれには今申しますような事情を十分に考慮して、公正な、国民の大多数が納得するような小選挙区制にして、実行上も多くの支障を来たさないような区制を考えていく必要がある、かように考えております。
○池田(禎)委員 先ほどからあなたの御答弁を伺っておると、やはりこの国会終了後は、岸内閣としての特異なる、いわゆる独自性を生かそうというお考え方は随所に見受けられるのであります。従って社会党は早くから保守党の政権たらい回しということに対して反対をして参っております。あなた自身のだんだんのお話を承われば、やはり岸内閣の独自の構想のもとにおいて多数を率い、国民に相まみえようという気があるのではないか、この際一つ国民に信を問うために解散をするというお考えがありますかどうか、腹蔵のない御意見を聞かせていただきたい。
○岸国務大臣 解放につきましては、言うまでもなく、国民経済の上に、また国民生活の上に重大な影響を持つものであります。同時に民主政治の運営から申しても、政治的に重大な意義のあることは、言うを待ちませんしこういう意味において、われわれが一つの考えを持つとともに、その考えに対して、国民世論の動向というものも非常な重要な意義を持っておることは、私は当然であると思います。私はこの国会を通じまして、解散に対する質問に対して、解散する意志はないということを申しておりました。それに対して、国民の世論が、この予算が成立するまでは仕方がないが、予算が成立したら解散しろという国民の声は必ず大きく出るから、そのときは解放するかとか、あるいは国会が済めばやるかとかいうようないろいろな御質問もございましたけれども、私は実は日本の現在の国情から考えて解散をすることは適当でないという信念に立って、解散をする意思はないということを申してきたのでありますが、その後の経緯を見ますと、幸いに国民の世論も私の考えを支持しておるがごとく、現在は、予算が通ったら解散をしろという世論の声が大きくなるというような議論にむしろ逆行しておる状況であって、こういう状況のもとにおいて解散をすべきものではないという信念をますます固めております。
○池田(禎)委員 総理の時間がないようですから、私はもう一点だけ申し上げます。先般のいわゆる春闘は三・五波と申しますか、これは従来に例のないことでありますが、社会党は政府に申し入れをいたしました。そうしてあの事態を防止することにいたしました。また政府もそのときに、これは調停に疑義があるから、仲裁に持ち込んで、仲裁の裁定が下ったならば完全実施する、尊重するということで、いわゆる岸・鈴木会談なるものが行われました。そうしてわれわれは空前な事態というものを阻止することができた。ところがはからずも二十三日にああいうことが起きた、これはまことに遺憾なことでありまして、私はあのことなかりせば、今年のいわゆる春季闘争なるものは、ここ数年見られないような形で、両者の話し合いにおいて解決ができるという大きな希望と期待を持っておったにかかわらず、あの不測の事態を起したことは返す返すも残念でなりません。しかしながら、この問題についてその後勘定が出て、今日現実の問題としては——これは後ほど関係閣僚にお尋ねをいたしますが、総理大臣としてお答えを願いたいことは、岸・鈴木会談の精神によりますならば、この千二百円アップの問題は、事実上は突き詰めていきますならば、何がしにもならない。この事態については多くの労働者に不満が出て、これは政府としてもどうしてももう一ぺん考えろということが今結論するところであります。さらにまた処分の問題につきまして、労働大臣の昨日あたりの答弁を見ると、やることをやったのだから責任を負うてもらう、これでは、私は、この内閣が——歴代の内閣は調停案をことごとく実施しなかったがゆえに、今回のようなふんまんが起きたのである。この内閣において初めて、裁定が出たならば、措置し、実施をするといったことは、私は激賞してけっこうだ、ほめてもいいと思う。しかしそのあとはあなた方がやっていることは、処分するのだ、しかし実際調べてみたら違うのがあったからこれだけしか出さぬ。これでは私は龍を描いて雲を描かず、画龍点睛を欠くきらいがある。総理大臣の大きな見地から私はこの問題についてあなたがあくまでやはり両党首会談の異議を十分尊重していただきたいと私は思いますが、総理大臣の所見を伺いたいのであります。
○岸国務大臣 私は今回の春闘の処理に関しまして問題となりました、この調停案を中心としての問題につきましては、これを仲裁裁定に譲る、仲裁裁定が下れば政府はこれを誠意をもって尊重するということを鈴木委員長にもはっきり申し上げますし、また国民にも政府の意見としてはっきり申しておるのであります、従って仲裁裁定が出ました後において、われわれは仲裁裁定のその趣旨を十分に検討して、ほんとうに誠意をもって、私どもはこれが実現を期しまして今回の追加予算を出しておるのであります。ところが仲裁裁定の内容自体の解釈につきまして、あるいは多少の議論があるようであります。私どもは、これはいろいろな点からごらん下すってもわかりますが、私どもは誠実に、ほんとうにこの仲裁裁定を完全に実施する意図のもとに、今回の何を出しておるのでありまして、あるいはこの裁定自体にやや解釈的に幅のあるような点がありますので、意見の多少の相違を来たしておるということは、はなはだ遺憾でありますけれども、これは正真正銘、政府としては誠意をもって実現するということを国民に公約し、また有力な野党の委員長と会談した場合に、私は総理大臣としてお話し申し上げたことに対しては、誠意をもってこれを実現しておるつもりであります。ただ問題の、いわゆる処分問題ということに関しましては、その際におきましても鈴木委員長の御意見もございました。しかしその点に関しては、よほどこれは鈴木委員長に、あなた方の方でお尋ねになりましてもなんでありますが、この点に関しては今申しました仲裁裁定を私が誠意をもって尊重し、実現するという私の強いお約束を申し上げたのとは違って、両方の間におきましては、この処分問題については強い御希望はありましたけれども、私どもはやはり国鉄その他公共の国民の利害にきわめて重大な影響のある仕事に従事しておる者が、法規を逸脱したり、あるいは本来の公労法やその他の規定にもとり、いろいろとこれによって国民に迷惑をかけたということに対しては、私は十分な反省をし、またそれに対する責任は明らかにするということが、これは建前からいって当然であると私は最初から考えておりますし、またそういう意味においてはこの問題を処理しなければいかぬ、これがまた国民大多数のこの問題の処理に関して要望しておるところであるということも、私どもはっきりそういう認識に立っております。従いまして一方においては仲裁裁定を誠意をもって私どもの考えからいえば、完全実施をすると同時に、今申しましたような行き過ぎや、あるいは違法な行動や、国民に対して非常な迷惑をかけたことに対しては、私はやはり責任を明らかにして、そうしてそういう事業に従申しておるところの人々が国民から信頼をされ、国民から愛され、国民から協力を受けるような状態にすることが望ましい労使の関係である、かように考えます。
○池田(禎)委員 今の総理大臣の御答弁でいきますならば、この内閣はせっかくの今度の春闘に対するあるいは調停仲裁に対するところの歴代の内閣になかったところの一つの進歩的な態度をとったことが、最後に至っては何にもならない。それでは今までと同じことだ。法に違反する者は首を切る、賃金はとまっておって、片方は不平が出て、そういうことの繰り返しをしたのじゃないか。私は将来労使の間においてこういう事態の発生なからんことを考えるということが、総理大臣あるいは政治末たる者の任務でなければならぬ。同時にこれはまた私ども政治家といたしまして当然そこに思いをいたさなければならない。従いまして私は将来こういうことのなからんとするために、いかなる措置をすることが大事かということをお考え願いたいのです。 そこでわれわれといたしましては、この裁定の実施に当りまして、実質上の手取りというものがあまりにも希薄である。そういう事態というものはこれは私は理論を越えて、ということは労働問題というものは、必ずしも法律だけをもってすべてを律すべきものにあらずして、たとえば二尺三寸で切るとか、二尺五寸で切るとかいうものならばこれはまことに簡単であります。しからずんばこれはまことに社会の総合的な複雑な面を反映するものであって、法律によってのみ解決すべきものにあらずして、そこに私は政治的な配慮が出てくるものだと思っております。従いまして私はこの状態で参りますならば、この第二次補正につきましては、社会党は大きな一つの疑義を持つと同時に、実質的な手取につきまして、こういう状態で解決を迫られるならば、重大決意をせざるを得ないことはわれわれの常にはあるのであります。従いまして私は今日の紋切り型の言葉でなく、この最後の収拾をはかるためには、もう一度わが党の委員長と総理大臣と会見なして、そうして事態の収拾をはかるということで、私どもとしては総理大臣にお考えなきやいなや、この一点をお尋ねしてみたいと思うのです。
○岸国務大臣 私は今御審議を願っております特別会計の追加予算につきましていろいろな御議論がかわされております。従ってその審議を通じて政府側で考慮すべきものがあるならば考慮をするし、またこれに対する意見の調整をはかるべきものがあるならば意見の調整をはかって参るのが適当でありまして、特にこの問題に関して今鈴木委員長と私がお目にかかりましても、事を解決することには私はならぬと思います。またその必要を今は考えておりません。十分一つ審議を通じて事態を明らかにし、また結論を作る上におきまして十分に一つ御審議を通じて議論を戦わしていただきたい、こう考えております。
○池田(禎)委員 お時間がないのに恐縮ですが、これは後ほど関係閣僚にはお尋ねするつもりでありますが、総理大臣に一言だけお尋ねしておきます。数日来の新聞に散見をいたしておりますいわゆる全購連の汚職事件、現内閣の閣僚に二名あるということが新聞紙上には伝えられておりますが、総理大臣はこの事実を御承知であるかどうか、総理大臣よりこの点だけ御答弁をお願いいたします。
○岸国務大臣 全購連事件につきましては、目下警察及び検察当局におきまして調査中でございまして、まだもちろん事実が明白になっておらないことであります。新聞等にいろいろなことが出ておりますけれども、私はまだその事実につきまして明確なる報告を受けてはおりません。
○池田(禎)委員 法務大臣にお答えを願うのが適当であるかどうかわかりませんが、本日の新聞によりますと、全購連のいわゆる汚職与件で国会議員の二十数名に、選挙のときに陣中見舞あるいは海外渡航のときにせんべつ、そういうものを贈ったものがある。今取調べ中の者は二十名ということで氏名も公表されております。これは公表と申すべきでありましょうかどうであろうか、新聞に明らかに掲載されております。これはあにきょうのことではありません。ここ当分の間所々に散見するところでありますが、その内容について、どういうような状態であるか、末席におきまして表明を願いたい。
○中村国務大臣 御承知の通り、全購連関係の事件は、警視庁及び検察当局相連携をいたしまして、目下捜査中でございますから、その捜査の段階で、われわれがたといある程度承知しておりますことでも、申し上げることは差し控えたいと思っております。ただ新聞紙に、今朝の朝日新聞でありますか、全購連関係の事件に関した記事が出ておったようであります。私も見まして実は驚いたのでありますが、どこからそういう取材をされたのか私どもにもわかりませんし、その内容がどういうものであるか、果して真か疑かも私どもにはよくわかりません。ただ問題は、事件の関係は政治論と違い幸して、同じ金銭の遺贈等がありましても、それが犯罪的性格があるかないかということが捜査としては重点でございまして、犯罪的性格のあるものとしからざるものとが、いろいろ混淆して捜査段階では出てくると思うのであります。従いまして、私どもとしましては、中傷的に、人の名誉にも関係することでありますから、捜査段階で犯罪的性格のあるものあるいはしからざるもの、そういう区分が明確にならないうちに、事件の捜査の内容が外に漏れるようなことがあってはいけないから、さようなことのないようにということは、厳に捜査関係の者に慎しむように十分言うて、あるのでありますが、どうしてああいうような記事が取材されたか、あるいは想定で書かれたか、そういう点につきましては、私どももつまびらかでない次第であります。
○池田(禎)委員 ただいま法務大臣のお話では、犯罪事実を構成するかどうかもいまだわからぬと言う、あなたはしかも捜査中だからということで申し上げられないと言うが、そういうものが一方においてどんどん出るのです。これは邪推をすれば政治的な何らかのたくらみがあって出ておりはしないかという疑いすら生ずるのであります。一方においては捜査中だから言われない、一方においてはどんどん出るじゃありませんか。警察担当の大臣はおりませんか。これはどういうことでありましょう、そんなことを、一方においてしりを抜かしておいて、片一方においては言えない、こういうことではは、責任はどなたがおとりになるのですか。これを明らかにしていただかなければ、私どもといたしましては、こんなはかな話はない。捜査中だから言われない、一方においてはいまだ犯罪を構成するやいなやもわからざることがどんどん暴露されていく。どこに責任があるのですか。それはどなたにありましょうか。御答弁願いたい。
○中村国務大臣 もちろん捜査関係の者が公表したものであるとするならば、おそらく各新聞紙に報道されておると思うのでありますが、一新聞だけがそういう取材をどうして行われたのか、とにかく捜査関係も、ことに警視庁に至りますと相当大ぜいの人が関与いたしておると思いますので、どういう事情でそういう記事が出ておるのか、またその取材された記事が真相に合致するかしないかということも私どもにはわかりません。御指摘の点は、全く私も慎しむべき事項である、厳に戒めなければならない事項である、かように考えますので、いかなる経過をたどってけさの新聞のような取材が行われたものであるか、私どもといたしましても、これは捜査に関係のあることでございますから、十分調査をいたしたいと、かように考えます。
○池田(禎)委員 国会議員であろうが何であろうが、犯罪を構成したらどんどんおやりになってけっこうです。やるべきです。しかしそういうものは捜査中だから言わないといって、一方においてけつを抜かしてやるということははなはだけしからぬ。さらにまた、法務大臣はこの点についてどうお考えですか。新聞紙上の発表するところによりますと、第十九国会、ただいまの農林大臣井出一太郎君が農林委員長のときに、肥料需給安定法外一件が委員会にかけられた。この肥料二法案をめぐって、多くの黄白がばらまかれたということが新聞紙上においていわれておるのであります。この事件を検察の当局あるいは司法の当局はどういうふうにお取扱いになっておるのでありましょうか。この点の御所見を伺いたいのであります。
○中村国務大臣 今池田委員のお話しになりましたようなことは、多分報道機関としての一つの感覚から書かれた記事であると思いますが、肥料法案の審議等をめぐってどういうことがあったかは、捜査当局、検察関係として、かりにあっても言うべき時期ではありませんし、あるかないかすらわからないのでありますから、おそらくそういうようなことは、報道機関が一つの想定に基いて書かれた記事であろう、かように考えます。
○池田(禎)委員 農林大臣もお見えになりましたが、本日の朝日新聞に「国会議員廿氏の名を挙げる」として、全購連の政治献金について二十名の名前をあげて、そして選挙のときに陣中見舞、あるいは海外渡航の折にせんべつ、こういうようなものを贈ったことが堂々と出ております。そこで先ほど法務大臣にお尋ねをすると、捜査中のことであるからそれは言われない。捜査中のものがどんどん出る。しかも犯罪を構成するやいなやもまだわかっておらぬ。これはどこから出たのですか。検察庁と警視庁でお取調べになっておるようですが、こういうものをお出しになるということは、公表したものではないということをもしお述べになるとしても、これは大へんな問題です。あなた方の監督不行き届きです。私は、国会議員であろうが何であろうが、事実において犯罪を構成するものならば、正当な手続をして正当になさることはけっこうです。どの程度のものであるか、あなた方のわかっておる範囲でも表明していただきたい。
○大久保国務大臣 全購連事件についての御質問でありますが、今日朝日新聞を見て私も驚いたのです。驚くと同時に、非常に残念に思ったのです。私は、事件発生以来、関係警察官を戒めて、決して警察官の口から出してはいかぬ、人の名誉を尊重していかなければならぬということをかたく言って、おそらく警察官はそれを知っておるはずです。にもかかわらず、今日朝日新聞社が名を出されたということは、ほんとうに遺憾であります。私は、事件の内容は、法務大臣の言われる通り捜査中でありますから、申し上げにくいのでありますが、この新聞の記事の問題については、将来出ませんように、さらに一そう警察官を督励して、骨を折りたいと思っております。
○池田(禎)委員 大久保国務大臣の御答弁はまことにナンセンスです。私もかつて新聞に職をはんだことがあります。これは公表しなくても、取ろうと思って一生懸命やっている。それが出るというのは、これはやはり明確にある意図がある、私はここまで考えざるを得ないのです。しかもこれだけのものが出て、これからはもう厳重にしまして言いません、そういうことはナンセンスです。犯罪を構成するやいなやは、将来検察当局においてこれは処断することであるし、裁判することでありましょうが、ここに出た以上は、あがっている人の名前を公表することは、今日政治道義の上から当然じゃないか。あなたは今日捜査中のものだから言えぬと言うが、それが犯罪人であるかどうか、これはあなたのところで確定することでなく、法務当局においておきめになる。だから現在あがっている人の名前だけは全部御公表なさるべきが至当である。いかがでしょう。
○大久保国務大臣 私は関係者の名誉を尊重いたしまして、決して私の方からは今後といえども申し上げないつもりであります。
○池田(禎)委員 そうすると、これはまたこの国会で衆人環視の中でこの問題が取り上げられる。あなたがもしそういう方針でおやりになるとするならば、くさいものにはふたをしろというそしりを免れません。のみならずいろいろの憶測を生みまして、だれがおるんじゃないか、かれがおるんじゃないか、大物がおる、閣僚がおる、これは話の尾ひれがどんどんついていきます。これだけのものが明らかになった以上は私は犯罪を構成するかいなやということを言っておるのじゃないのですから、やはり国民の疑惑を解くためにも、これ以外の者、さらに二十数氏といこうとがあがっておりますが、あなたの今までの方針はそれでよかったけれども、これはやはりこういう事態になるならやむを得ないじゃないですか。私は国会の権威のために名誉のために一つ御公表なさることを特にお願いしたいのですが、いかがですか。
○大久保国務大臣 さき申しました通り、各関係者の名誉を尊重して、私から進んでこれを公表する考えはございません。はなはだ遺憾でありますけれども、それが私どものとるべき方針であると存じます。
○池田(禎)委員 法務大臣にお尋ねをいたしますが、この案件というものは、私どもの、寡聞なところではありますが聞くところによりますならば、井出農林大臣がそこにおられるが、あなたが第十九国会か、肥料需給安定法外一件の肥料関係法案の国会の通過をめぐって多くの黄白がばらまかれたということが、新聞紙上で発表になってからであります。さらに三十の年八月、十二月に東ドイツのカリ肥料輸入をめぐって、こういう事件に発展をしたものであると私どもは寡聞ながらも聞いております。この本拠、本体はどこにありますか。正体はいずこにありますか。その事実をあなたとしては当然ここで表明していただく以外にないと私は思うのですが、いかがですか法務大臣。
○中村国務大臣 先ほど申し上げましたように、捜査過程にございますから、われわれから、捜査の内容をある程度承知いたしておることはおりましても、申し上げることは差し控えたいと思います。なお先ほど来朝日新聞の記事について御質疑がございましたが、一般論として申し上げますと、先ほど私が申し上げたように、朝日新聞だけがどういう取材をされましたか記事を書いておりますので、その点から見ましても、係官等が公けに公表したものでないということは御推定をいただけると思いますが、なおわれわれとしては非常に遺憾なことでありますから、どうして取材をされたかということは、今後十分調査をいたしたいと存じますが、一般論として申し上げますと、この島田、宮下の勾留以来もう約十五、六日を経ております。それから立岩という経理部長は勾留以来二十日を経過いたしております。そういう相当期間にわたっておりますから、その間弁護人等が被疑者に対する面会の申請がありますと、おそらく何回か弁護人の要求に応じて面会を許しておるのじゃないかと思いますが、そういうような事実を調べてみますけれども、もし面会を許しておりますような場合には、取調べしておる捜査官の方から漏れませんでも、他の方からどういう関係かを経て漏れる場合も私は絶無ではないと思います。従いましてわれわれとしてはそういう関係を今後注意を一そう払いまして、また今朝の朝日新聞の記事がどういう取材をされたものか、われわれのわかる範囲で最善を尽して調査をしてみたい、かように存じております。
○池田(禎)委員 あなたのわかる範囲で調べると言うが、もし漏らした者があるとするならば、大臣がこの席でこういうことを言っておるのですから、それは処断を受けなければいけない。処罰すべきものです。新聞社は出所をどこから聞いたか言うはずがありません、そんなことを言う新聞記者は、これは軽べつすべきもので、断じてこれは言いません。ニュース・ソースを言うような記者はおそらく私は権威ある新聞社にはおらないと思う。そういうことの答弁は、これはナンセンスなのです。あなたはしかしそういうことを言わぬというが、私どもも一方における多少の推測のできることはある。これは私は明らかに政治的の意図があると断じます。その政治的の愚図というものは私どもとしては別個の表現をもって現わしたいと思います。 そこで農林大臣にお尋ねいたしますが、こういうものの根拠というものが第十九国会における肥料関係二法案の国会審議をめぐってであるということを私どもは聞いておりますが、肥料二法案をめぐるときのあなたは委員長として当時のことを御説明願いたい。
○井出国務大臣 お答え申し上げます。肥料二法案と申しますのは、臨時肥料需給安定法、それから日本肥料輸出会社法、この二つであろうかと思うのでありますが、この二つの法律は昭和二十八年、今言われる第十九国会でございますか、これに提案をせられて継続審査になって、成立しましたのは二十九年の五月であったかと記憶をしております。当時の事情はまだ肥料が不足の状態でありまして、といって肥料の増産もしなければならない。そういたしますると、これを海外へさばかなければならないというような場面に置かれまして、内地の農民に提供する肥料価格よりも海外へ輸出するものの方が安いというような現象があったわけであります。そこでこれを規制をいたしますために、まず国内を優先させるということから、国の権力をもって肥料メーカーの生産費の調査をする権限をこの法律によって与えることになるわけであります。そうして生産費の安いものから積み上げて、これを国内需要量にまず優先的に振り向ける。そして余った分を、これは一番生産費が高い、これを海外へ向けるのでありますが、輸出会社というものを作りましてここへプールをいたして操作をする、こういう仕組みの二つの法律であるわけでございます。 この法律を審議いたしまする際に私衆議院の農林委員長をいたしたわけでございますが、非常に熱心に委員諸君が審議をされまして、継続審議中もこれはずいぶん苦労をされましてでき上った法律だと思うのであります。これをめぐって何か全購連側からどうこうというふうなことは、私の記憶する限りにおいては、ときに会合とか陳情とかいうふうなものはあったと思いますけれども、本来全購連はこういうふうな統制をされるというふうなことに対してあまり望ましく考えておらなかったというふうに私はその当時判断をしておりました。そのような関係をもちまして、この法律を通すために特に新聞紙上に伝えられるような問題があったとは、私にはどうしても考えられないのでございます。 大体そんなふうに記憶をしておるのでお答えを申し上げました。
○池田(禎)委員 これは法務大臣と大久保国務大臣はもう一度一つお打ち合せを願いたい。そうして私は、今日この事態になったならば、重ねて申します、国会の開会中に国会の権威にかけて、もはや伏せるべきものと思わない。すみやかに現にあがっているものだけは公表なさるべきだ。そうしなければ、これは不公正なものであると同時に国会のためにとるべき手段でない。あなた方も国務大臣であるならば、議員たるものの身分もお考えになって——これは罪になるかならぬかわからぬ先にどんどん出る。片方においては、それでは国民の疑惑を解くためにすみやかにこれは公表すべきだということに対しては、捜査中だから言われません、これでは政治の平仄が合わない。あらためてわれわれといたしましても、もちろんそれぞれの党の機関をあげまして適当な措置を講ずることは言うまでもありませんけれども、私はすみやかに両大臣のもとにおいて意見の調整をはかられると同時に、これに対する適切な公表を要求しておきます。いかがですか。
○中村国務大臣 いずれ捜査が結了いたしますれば、もちろん検察及び警察関係は厳正に捜査しておるはずでありますから、適当の順序を追うて起訴をすべきものは起訴をされると思います。そういう段階になり、さらに公判の過程になりますれば、事件の真相というものは分けの公判廷で審理が行われますので、いずれ明確になる時期があろうと思います。ただここに一言つけ加えて消極的の面だけ申し上げておきますと、私ども報告を聞いておりますところでは、先ほどお話のありました肥料二法案の審議中及び肥料二法案の前後に関しては、当時全購連は財政状態不如意の状況でありまして、贈賄あるいは献金等が行われている事実はないように承知をしております。それだけ申し上げておきます。
○池田(禎)委員 そういうことを私は言っておるのじゃないです。これはもっと極論するならば、この名前はどこで出したか、私その政治的の意図を考えている。私はもっと申し上げることを持っております。こういうようなものが出ておって一方においてあとのものは名誉にかけて言わない、そんなことはないのです。それこそ政府与党の意図あるところの表現の方式を言われてもやむを得ないのじゃないか。それならば、むしろ全部出しなさい。それの方が国民にとっては晴れ晴れするのです。どこかくさいものだけにふたして、わかったものは仕方がない、出すという考え方ではいけないのです。政治の要諦は常に国民をして安心をさせるところにあるのです。ですから大久保国務大臣のごときは、まことに意外だとおっしゃるけれども、意外じゃないのです。これはほんとうに私は疑いたくなる。だからあなた方は結論として起訴すべきは起訴し、公判に回った上でというが、国会議員たる者はこういうもので公表されて、これは自分が罪になるならぬは別といたしまして、重大な名誉に関することであります。もしその犯罪事実があるならば処断するだけでなく、わが社会党のごときに至りましては、犯罪を構成するやいなやは別といたしまして、それぞれの機関におきまして調査の対象となるべき事犯であります。それをあなた方がただ捜査中だから言われない、出たものは仕方がない、そんな考え方で部下が監督できるのですか、重大な責任だと私は思います。そういうことがもしあなた方の一方的な見解においで許されるなら、私どもは独自の見解においてこれを公表しなければならぬということになる。私は犬糞的なことはやりたくない。しかるところ、あなた方自身が自分たちの方は伏せておいても、こういうことをなさろうというならば、これはそういうふうにならざるを得ない、大久保さんどうですか。
○大久保国務大臣 私は先ほど来しばしば申し上げました通り、名誉を重んずるのあまり決してそういうことを公表すべきでないと考えております。また今後もその方針は正しい方針である、こう考えております。私の力としては、さらに一そう警察関係の人を督励して、かかる行為のないようにしていきたいと存じております。政治的意図云々というお話でありますが、私は至公至平、こういうものに処しては、ことに冷静公平に事件を処さなければならぬという信念を持っております。この点を一言つけ加えておきます。
○山崎委員長 吉田賢一君より関連質疑の申し入れがあります。この際これを許します。吉田君に申し上げますが、関連質疑でございますから、なるべく簡潔にお願いいたします。
○吉田(賢)委員 警察担当の大臣に伺います。先刻池田君から質問いたしました、きょうの朝日新聞の朝刊の記事の問題であります。これについてまず伺いたいのでありますが、申すまでもなく捜査は密行であることは言うまでもないことであります。そこで捜査段階において被疑者もしくは被疑者と疑われるような記事が出るという場合、これは捜査を取り締り、監督し指導する立場からいたしまして。どこの責任に帰するということになるのでありますか。特にこれが警察の段階におけるあなたのご意見を聞きたい。
○大久保国務大臣 責任の所在の問題でありますが、ただいまの投降におきましては、けさの新聞の記事に現われておりましたが、これを検討する時間の余裕がありません。どこから出ましたものか、どういう経路をとって記事に現われましたのか、その経路がはっきりしない以上は、どこに責任があるかということを断定するのはちょっと困難かと思います。
○吉田(賢)委員 あなたも新聞記事をごらんになったと思うのだが、かなり具体的な経過、今後の進み方あるいは国会に席を置く人々の名前、あるいは前閣僚の経歴を持ったような人々の名前、こういったようなことは容易ならざる事実であります。検討の時間が要るとおっしゃるけれども、これは即刻判断して、あなたはこの出所を明らかにする責任があると思うのですが、それはいかがですか。
○大久保国務大臣 今の点はできるだけ調査してみたいと考えております。
○吉田(賢)委員 警察の段階におきまして、刻々とあなたの方はその捜査の椎移については、責任をもってこれを知っておらねばならぬと思うのであります。知らずにあなたは記事を見たのかどうか。こういったことについては相当な程度の捜査ができて、その上でどこからか漏れたあるいは漏らした、あるいは通謀したあるいは誇大な宣伝をした、こういういろいろな場合が想定されるのであります。いやしくもこれは国会の権成あるいは国会議員の名誉等に関しまして、きわめて重大なことである。まだあなた自身としては調査もしない、これに対する所見もきまらない、こういうことなのですか。このこと自体、こういうことについてはあなたは報告も聞いておらないのかどうか、それはどうですか。
○大久保国務大臣 この問題についての報告はまだ受けておりません。これは時間がないのです。けさからわずか半日の間の問題であります。それを検討する時間の余地はない。
○吉田(賢)委員 冗談おっしゃいますな。全購連問題はすでに国会で問題になり、すでに法務大臣も相当な言明をし、検察庁並びに警視庁がこれが捜査に当っておるということは公知の事実なのです。全購連事件について報告を受けておらぬというのですか、それはどうなのですか。
○大久保国務大臣 いや全購連事件の概要の報告は受けておる。主として新聞記事の問題を私は言ったのです。(「全購連の問題ですよ」と呼ぶ者あり)全購連の問題は先ほどから法務大臣が申し上げました通り、過程の途中でありますから、これを申し上げるのは不穏当であります。
○吉田(賢)委員 それじゃ全購連問題は報告を受けておるというのですね。それは毎日受けておるのですか。どういう状態ですか。
○大久保国務大臣 その点はときどき報告を受けて、決して毎日刻々は報告は受けておりません。
○吉田(賢)委員 事の重大性にかんがみて、あなたはきょう行われております捜査の段階、捜査の経緯、捜査の結果への推定等は、時々刻々その事態はつかんでおらなければならぬ責任のある大臣だと私は思う。ときどき報告を受けておる、よく知らない、新聞に出たけれどもわからぬ、一体そういうことで警察担当の大臣が勤まるのでしょうか。これはほんとうのことを言うてもらいたい。それとも今池田委員も申しましたごとくに、なるべく都合の悪い人の名前は出さないようにする、都合の悪い人の名前は出さないような工作をする、こういうことでもお考えになっておるのだろうか、どうだろうか、それはどうなのですかい。
○大久保国務大臣 警視庁からの報告はときどきでありまして、これも一々こまかく報告を受けておりません。それは先ほど申し上げました通りであります。なおこの事件は重大でありますから、御希望に沿って捜査してみたいと存じます。しかしその結果どういうことになりますか、今から予断は許しません。
○吉田(賢)委員 あなたは警察の大臣として相当な決意を今表明せられた、これはおそらく責任の立場におるからそう言われたのだろうと思う。そこでこういうような記事が、これは捏造されたとお思いになるのかどうか。あなたも刻々は受けていないけれども、相当報告を受けておるとおっしゃる。こういう記事は偶然には書けない。捏造された記事だとお思いになるのかどうか、あなたの所見はどうですか。あなたも相当報告を受けておられるのだし、相当知識を持っておられると思う。捜査段階における状況は御存じのはずなのであります。つかんでおられるはずなのであります。それから判断いたしまして、これは推進された記事なのですか。それとも漏らした記事なのですか。それとも通謀した記事なのか、それはどうなんです。
○大久保国務大臣 私は決して通謀もいたしません。先ほど申し上げました通り、私の心境は冷静、公平、決して野心を持ってそういうことに過誤を計画するようなことは断じていたしません。
○吉田(賢)委員 あなたは潔白かもしれない。あなたはまた通牒し、あるいは漏らすという行為をしなかったでありましょう。それならあなたが所管しておるところの警察官がこれを漏らした、こういうことになるのか、それはどうです。
○大久保国務大臣 それは警察官にだけそう言われるのも少し無理じゃないかと思う。どういう経路で漏らされたか、それはよく調査の上でなければ断定ができぬと思う。軽々に断定は困難と思います。
○吉田(賢)委員 一体警察官が捜査をしておるときに、これは秘密でなければならぬと思う。そこで警察官だけを責めるのは無理だというお考え方なのです。それならば外から何か魔術でも使って中に入って取るというような推定でもあなたはするのかどうか、あなたとしてはこの警察官の捜査の密行については責任がある立場にある。警察官だけ責めるのは無理だろうと思うけれども、それならば警察官というものは自己で秘密を保持する能力がないということなのですか。
○大久保国務大臣 警察だけ言われるものもはなはだ迷惑であります。私のさっき申した態度は終始一貫して秘密保持をせよ、ことに関係者の名誉を尊重する上において、決して警察が漏らしてはいかぬということを、事件の初めから言っておるのであります。この点から考えて警察官から出たとは信じない。
○吉田(賢)委員 警察官に対して秘密を保持せよと言っておる。終始一貫そういう態度で秘密を保持せいと言っているけれども、秘密がばれた。秘密がばれて、重要な国会議員の名誉が棄損されている。こういう事態に立ち至っているのだが、あなたはそれでも、自分はこれらの事件については直接漏らしたとは思わぬ、あるいは通謀したとは思わぬ、こういうようになおここではっきり言い得るのですか。
○大久保国務大臣 私はそう考えております、しばしば申し上げました通りに、警察官は決して進んで漏らしてはいかぬとやかましく言っておりますから、そう信じております。しかし皆さんのせっかくの御希望でありますから、どういうところから漏れたのか、できるだけその経路を捜査してみたいと思います。
○吉田(賢)委員 これは何も国会議員のせっかくの希望だからあなたが捜査——そんな問題でない。あなたらの責任を追及しているのです。秘密で、密行で、名誉を守らなければならぬ人間を捜査しつつあるあなたの部下です。その部下の方から漏れている。漏れてしまったことについてその責任を追及しているのです。希望によって調べてほしいというのでも何でもない。あなたはどうしてこれを漏らしたのかというのです。私は漏らしませんというのなら、どうしてあなたの部下は秘密保持しなかったかというのです。
○大久保国務大臣 それは警察官が漏らしたという前提のもとにあなたは御質問になっているのですが、これは少し早過ぎるのではないか。もう少し冷静に平作の真相を把握してからお願いしたいと思います。
○吉田(賢)委員 それは論理的に考えても、漏らすことがないとしたらどういうことが一体想像し得るか。あなたはたくさんな警察官を監督する立場にある。ところがこれは密行されて、漏らしてはいかぬと、従来とも秘密を保持せよと言ってきている。ところがでかでかとこういう記事になっている。漏らすことなくしてどうして一体、こういう記事になるのです。それなら推進だというのかどうか。あるいはどろぼうにても入って紙を取っていったというのかどうか。どういうことなんです。あなたの力でもこれを論理的に考えてごらんなさい。冷静に考えてごらんなさい。大へんなことであります。大へんなことをあなたとしては、自分は秘密を保持せよと言ってきて終始一貫している、そんなことでこれは通り抜けばできません。私はむすこにどろぼうしてはいかぬと言うて聞かしているにかかわらず、どろぼうの疑いがかかったときに、そんなはずはないのだというのでは済まされぬのであります。だからあなたの方として秘密を内輪から漏らすことなくして、一体こういうものが出るのかということですしその点についてはあなたとしては相当思い当る節もあろうし、またいろいろと考えなければならぬ点もあるだろうし、そういう点をはっきりしてもらいたい。
○大久保国務大臣 私は警察官が漏らしたという心当りは全然ございません。いずれ捜査の上にはっきりさしたいという希望を持っております。
○吉田(賢)委員 それならばいつそれをこちらへ報告します。あしたでも報告しますか。こんなことは時間の問題ですよ。あしたは予算委員会が終了するのではないかと思う。だから本日から明日にかけて調査し、あした本委員会に報告することを約束できますか。
○大久保国務大臣 世の中は非常に複雑になって参りまして(笑声)そう思う通りに参りませんが、できるだけ調査をいたします。
○吉田(賢)委員 そういうことで逃げることは無責任な警察大臣の態度です。 法務大臣に伺います。あなたも厳正公平にこの事件の捜査を指揮していく立場にあります。このことは他の委員会におきましてもあなたの決意を聞いておりました、ところが不幸にして捜査上、あなたらの反対党の議員の名前がここに出てきている。こういうことについて捜査当局の司法の責任者といたしまして、責任をお感じになりませんかどうか。それとも今の大久保大臣のごとくに、どこからか出ていって、人知の及ばぬところででも出た、そういう想像のもとにいろいろな意見をはくような、そういうことはあなたにはなかろうと思う。こういうことになりましたのは一体どこの責任ですか。これは厳正にやって下さい、
○中村国務大臣 先ほども申し上げましたように、どういうことでそういう取材が行われたか、私の方としても十分調益をいたしたいと思います。もし万一私の監督下にある者が漏らしたとするならば、適切な処置を行いたいと思います。ただ一般論として、吉田委員おいでになりましたかどうか、先ほども申し上げましたように、この被疑者らも相当長期にわたって勾留をいたしておりますので、この勾留期間中に弁護人等の面会申請がございますれば許さないわけにはいきませんし、多分許しておることと思うのであります。従いまして先ほど来警察当局に対しても御追及がありましたが、検察並びに警察関係以外からも、報道関係があらゆる手を尽して何かの取材をしたいという活動をしております段階で、どういうことでそういう取材がされる場合もあるかもしれませんので、これはがいに検察及び警察関係だけを御追及になるのも今の段階ではどうかと私は実は考えます。しかしながらわれわれとしてはこういう話中が出ますことは非常に遺憾に考えますので、十分注意をし、なお厳重に調査をしてみたい、かように考えます。
○吉田(賢)委員 この点はあなたも事の重大性にかんがみまして、本日中にしかるべき調査の結論を——最終結論でなくても中間報告でもいいと思います。われわれの納得し得るように、明日の朝早く当委員会に向って御報告していただきたいと思いますが、いかがです。
○中村国務大臣 いつまでと言われましても、十分に調査してみないと、どこからそういうことになっておるかわかりませんが……(吉田(賢)委員「中間報告でいいというのです」と呼ぶ)中間報告でしたら適当の機会にいたしますが、(吉田(賢)委員「明日」と呼ぶ)十分調査をいたしまして、適当な機会に、また適当な方法で御説明申し上げることにいたしたいと思います。
○吉田(賢)委員 適当な機会に適当な方法でということは、これはまことに当委員会の審議権を軽視なさるあなたの態度と申し上げなければなりません。この種の問題は即刻調査し、直ちに適当な中間報告をするという態度が公明正大であり、そうでなかったらいたずらに糊塗せんとするためにあなたの方は作意をなさる、こういうふうにわれわれは考えざるを得ないのであります。あいまいな、抽象的な適当な方法とか適当な時期というのではなく、もう会期も余すところわずかなのでありますから、他人に迷惑をかけっぱなしにするというような態度は断じて黙過できません。これは必ず明日ある程度の報告は中間的にしてもらわなくちゃならぬと思います。ぜひ一つ、最終的でなくてもいいですから、こちらへ適当な報告をしていただきたいと思いますが、重ねてこの点についてあなたに確約を願いたい。
○中村国務大臣 誠意をもってその運びにいたしたいと思います。
○吉田(賢)委員 私は今の警察大臣の答弁において特にそう感じ、法務大臣の答弁が究極求めるものに対するお答えとしてまことにあいまいであります。これはやはり今の捜査の根本方針というものが相当政治的意図を持ってなされるのではないかということをおそれるのであります。もし公明正大な態度をもって臨むというのであるならば、幾多の疑惑に対しましてほんとうに公正に捜査は進めてもらわねばならぬ、こう思うのであります。ところがこういう点について今の数個のお言葉でありますけれども、私は非常に疑惑を深くする次第であります。 そんなら伺いますが、かねて問題になっております全購連が利益をあげましたのは、主として輸入カリによる利益、これをめぐっての利益、こういうことは農林大臣の御答弁によっても大体明らかになっております。そこで特に輸入カリにつきましては、相手は東独が最も重要な交渉の対象であったろうと思うのであります。ところが東独に対する輸入カリについての各般の交渉はおととしできております。農林当局の説明によりますと、八月には河野農林大臣、今収容されております海内肥料課長補佐、これらが同行いたしております。ところでこの東独へ参りましたカリ肥料の輸入に関する各般の交渉が幾多の疑惑を生んでおることは御承知と思います。つきましてその方面に対する捜査が相当されねばならぬとわれわれも考えるのです。国会の答弁によっても疑惑が生じている。ことに海内君も行って相当な謝礼であるかせんべつであるか何か知らぬが受け取ったというようなことにもなっております、こういうことになって参りますと、東独へカリ交渉に行ったという案件につきましては、あるいはある方面の最も重大な事実が伏在しておるかもしれない。こういう方面にほんとうにメスを入れていくということが、綱紀の粛正の重大なことであろうと思うのであります。相当捜査されたと思うのだが、一つこれに対する御報告をしてもらいたい。
○大久保国務大臣 先ほど来法務大臣からも答弁しておる次第でありますが、今のお話はやはり結局捜査の内容に入ると思います。この内容を一々ここで申し上げることはいかがかと存じまして、この点は一つ差し控えたいと思います。ただ私の心境はしばしばさっきから申しております通り、至公至平、まっすぐな気持でありますから、この点だけは重ねて御了承願います。
○吉田(賢)委員 あなたの心境がきょうの空のように晴れておるか雲っておるか、そんなことはこの際問題ではないのであります。客観的に、東独へのカリ交渉に行ったということは、農林大臣もきわめて重要な契機になったということはお述べになっておるのであります。これは少くとも肥料業界におきまして、また全購連事件を少し調べた者はもう公知の事実なのです。それを伺っておる。どこまで調べたか、捜査の内容になるか知りませんけれども、かなり詳細なことが新聞にはすでに発表されておる。新聞には発表し、漏らして、国会には知らぬ存ぜぬとほおかむりをしておる。新聞によっていろいろと被害を受け迷惑をする者がある。けれども国会には口を緘して報告もしなければ答弁もしない、それでいいのでしょうか。どこまで捜査した、詳細なことの経過を報告してくれと申しません。概要でよろしいから述べてもらいたい。少くとも重要な肥料課の幹部が重大な疑いを受けて現に拘束されておる事件が起っておる。さらにその上役も疑いをかけられておる。こういう事態が客観的にはもう明らかになっておるのであります。でありますから東独へのカリ交渉というものがどういうふうに行われたのかということは、もうすでに十分わかり切っておるはずなのです。どの程度に捜査をされたのであろう。ことに前大臣の名前までが出ておる。それが犯罪になるかならないか。道徳的な問題かどうかということは、これはまた別個の問題であります。そういうような法律的な価値の判断は別といたしまして、東独問題は重大な問題を生む契機になったということは、これはもう顕著な事実なのです。一体どの程度までお調べになったということ、これは詳しいことは聞こうとはいたしません、概略くらいはお述べ下さる必要があろうと思う。
○大久保国務大臣 捜査の経過をお話しいたしますれば、それにつれて勢い人の名が出てくるのはやむを得ないと思います。人の名を出しますことは、先ほど来しばしば繰り返して申します通り、今日の現況においては非常に御迷惑なことである、名誉に関することであるから、これは申し上げられないのであります。どうぞあしからず御了承願います。
○吉田(賢)委員 けれども、犯罪の疑いがかりにないというような場合であるならば、これは道徳の世界かわからない、あるいは経済の世界かわからない、そういうものも多分にあると思うのであります。そのうち突き詰めていくと犯罪性を持ったものがあるかもわからない。それは、一応かりにあなたのお説によれば別問題にいたしましょう。けれども、それ以外の領域におきましては、これを述べるということは、ちっとも私は差しつかえないと思う。よしんば人間でありましても、むしろその人間は、人間が調べられて、遺徳の世界の問題であったとするならば、むしろその人のためにも幸福であります。そういうことさえわれわれは考えざるを得ないのです。だから犯罪性ありとしての内容、それは一応別といたしましても、それ以外がたくさんにあるはずなのですから、お述べになることはちっとも差しつかえない。そんなことまで述べないということは、これはやはり答弁を拒否するということなのです。答弁を拒否するということは、いろいろと重要な前閣僚などが疑いを持たれながら拒否するということになるので、これまたまことに罪な話であります。これはひいきの引き倒しになります。すみやかに冤をそそぐ、こういうような態度が、これは同僚として望ましいことでなくちゃならぬと思う。そういう角度から考えましても、あなたが今それを述べないということは、これはもうまことに人情を離れたことではないかと思うのですが、いかがですか。
○大久保国務大臣 せっかくの御希望でありますが、目下捜査中でありまして、これがほんとうに犯罪になるかならぬか、はっきりまだいたさない点がございますので、この際これをぶちまけてお話しするということは、私はいかにも情において忍びないのです。人の名誉を重んずるあまり私は申し上げにくいのであります。
○吉田(賢)委員 あなたは人情大臣と聞いております。情において忍びない、これはまことにごもっともなことのようでありますけれども、事を明らかにして冤をそそいで、そうして晴天白日にしてあげるということは、むしろ情において推奨すべきことでなければなるまい、こう思います。あなたはやはりそこまでお言いになるのだから、ずいぶんといろいろ詳しく報告を受けて御承知らしいのであります。そんなら伺いますが、三十年の八月にカリの交渉を東独といたしました際に、元の河野農林大臣は行かれましたか、どうです。
○大久保国務大臣 その点に触れますと、やはり捜査の内容に入りますから、私は申し上げない方がいいと思います。
○吉田(賢)委員 一体これは、そうすると河野前農林大臣は犯罪のために東独へ行ったという前提にでも立っておいでになるのだろうか、そういうふうにとらざるを得ないのですが、どうです。大久保さん、これはほんとうに協心たんかいに言って下さいよ。前にも農林大臣も言ったのです。前閣僚の問題を取り上げますことは私も情において忍びません、ただしかしこれを明らかにすることによって国会も審議権を全うできるし、よいものはよい、悪いものは悪い、取捨選別いたしまして、白黒を明らかにするということがわれわれの使命であります、こういうふうに言っておるのであります。でありますから、あなたがそこまでおっしゃれば、これはやはり述べてほしいのだが——何も河野さんも犯罪するために行かれたのじゃなしに、やはり国益、日本の肥料業界のために、あるいは政治家として、大臣として、それぞれの担当大臣の職責もありますから、東独へ行かれたに違いないのであります。行かれたこと即犯罪性は何もありませんよ。われわれはむしろそういう場を明らかにしていただくことによって、東独問題というものが、一体どこに問題点があるのかということがはっきりするのでありますから、このぐらいのことをお述べになっても、別に同僚を傷つけるのでも何でもないと思います、あなたは人情に厚い人と思うのでございますが、どうでございますか。
○大久保国務大臣 先ほど申しました通り、事件の内容はまだ発表する時期になっていないのでありまして、私は申し上げない方がいいと思います。
○吉田(賢)委員 事件の内容を聞くのではないのです。東独に八月に行かれたかどうかということです。そして河野前農林大臣について海内課長補佐も行きましたかどうか、その点どうです。そんなことも知らぬ存ぜぬとは言えぬでしょう。
○大久保国務大臣 あなたの方が私より詳しいようであります。私が申し上げなくてもよく御承知と思います。私の考えとしては、そこまでいきますと捜査の内容に入ると思いますから、申し上げない方がいいと思います。
○吉田(賢)委員 捜査の内容に入る——これはおかしなことをおっしゃるですね。こういうことになりましたら本末転倒でありまして、捜査の内容に籍口して一切の答弁を拒否するという煙幕を張っていなさるのと同じだ。こんなばかばかしい質疑応答のあり方はない。農林大臣に伺いますが、一体あなたも当時農林委員長でおありになったと思います。重要なお立場におありになりました、そこで伺いますが、やはり東独へのカリ交渉は当時の情勢にかんがみまして、相当重要な肥料行政上の、また需給上の問題であったろう、こう思うのであります。その三十年の八月のときに行きました人の名前を言ったからといって、直ちに犯罪性の曝露、捜査密行の曝露になるとは思わないのであります。これは純然たる行政上の問題であります。あなたは当時直接国会の立場から御監督になっておりましたのですが、一体当時行ったのはだれだれなのです、おっしゃって下さい、行政の立場から言って下さい。
○井出国務大臣 私が農林委員長をいたしましたのは二十八年、九年でございまして、三十年当時は、予算委員でございました。それからカリの問題はせんだって決算委員会におきまして吉田委員に申し上げた通りでございます。
○吉田(賢)委員 今私の伺いましたのは、東独へカリ交渉に行ったのはだれでありましたかというので、それ自身は別に犯罪の問題では私はないと思います。そんなことまで犯罪性があるから答弁できないというようなことでありましたら、これは全く国会の審議権をじゅりんする結果になります。そう断ぜざるを得ません。 そこであなたに伺いますが、あなたは、肥料行政のお立場から、公明正大なお立場から、前閣僚とはいえ、前農相の肥料行政のあり方については関心を持っておられることはもちろんでありますし、また今回の事件以来特にこれらの点につきましては、詳細内部的な御調査も進んだことと思いますので——人間の名前を言ったからといって別に秘密の曝露でも何でもない。捜査の妨害でも何でもないのであります。これはもうどこから見ても、たとえば旅費関係を調べてもわかるわけであります、だれが行ったかは大蔵省の為替局長を呼び出してもわかるのでありますが、そんなことまで、つまり言いかえますと、各管掌の関係官庁におきましては、行った人間につきましては公知の事実になっておる。そんなものを言えないというのは、そんなはずはありません。一体、法務大臣に聞きますが、外国に行った人間の名前を言うということが刑事訴訟法上の捜査の秘密を漏らすことになるのでしょうか、どうですか。そんな非常識なことはないと思いますが、あなたの所見を聞いておきます。
○中村国務大臣 お答えいたします。外国へ旅行した者の氏名等を申し上げることは一向差しつかえないと思います。なお農林大臣から詳細お答えがあるかと思いますが、河野前農林大臣は東独へカリ交渉に行ったことはないようであります、私の聞いておるところでは、アメリカへ河野農林大臣が旅行せられるときに、海内が途中まで同行していって、それから海内が東独へカリの交渉に行かれたように私は聞いておるのでありますが、私は直接の所管でございませんから、そういうような行政上の動きにつきましては、所管大臣からお聞き願いたいと思います。
○吉田(賢)委員 そうしますと、やはり河野農林大臣は、三十年にカリ交渉に東独へ足を入れなかった、命を受けて肥料課長補佐が東独へ行った、こういうことなんですか、それとも、それ以外の用で東独へ入ったけれども、直接カリ交渉には触れなかった、そういうのであるか、あるいは外におって東独と交渉したというのか、今国際電話も発達しておりますから、アメリカからでも日本からでも、東独との話はできるのであります。だから、要するにその辺はどういうことが真相か、あなたから述べて下さい。
○井出国務大臣 河野前農林大臣は、東独へは行っておられません。三十年の八月に、海内課長補佐が東独へ参っております、それから十二月に、檜垣肥料課長が参っております。これだけの事実でございます。
○吉田(賢)委員 河野農林大臣は東独へ行かなかった、肥料課長補佐は、河野農林大臣の旨を受けて行ったことには間違いないのですね、それはどうです、それは当然でしょうね。
○井出国務大臣 私の就任以前のことでございますので、つまびらかではございませんが、東独のカリ交渉でございますから、農林省としては、十分上層部と連絡があって行かれたもの、かように思います。
○吉田(賢)委員 そのときに、それじゃ海内課長補佐が行った、それから商社の代表が同行したのは御承知でしょうね。それも知らぬとは言えぬでしょう、それはどうです。どうぞ農林大臣、言って下さい、そのくらいいいじゃありませんか。
○井出国務大臣 商社は同行して行っておりません。
○吉田(賢)委員 そうすると、同行して行っておらぬ、同行でなかったら、向うで一緒になったのでありますか。たとえば例をあげますと、東京食品の肥料課長本田、あるいは伊藤忠の肥料課長岩田、あるいは東海硫安の営業部長、こういうような人は、一緒にそれに同席したかどうかは別でありますけれども、ともかく社会常識で、同行しておるということはお認めになりませんか、同行といっても厳密な意味の、一緒に宿屋に泊って、行を一切ともにしたという趣旨が当るかどうかは別といたしまして、ともかくこのような重要な肥料交渉で、東独へカリの輸入商社の代表が一緒に行ったということは、お認めになるでしょう、それはどうですか。
○井出国務大臣 東独のカリは、先方のカリ公団が一手に扱っており、それと日本政府の交渉でございます。従いまして、その商社関係のことは、ただいま私、わかりかねる次第でございます。
○吉田(賢)委員 商社関係がわかりかねるとおっしゃいますけれども、一体何のために行ったかということは、私が申し上げるまでもなく、当時カリ輸入によって、輸入同社が莫大な利益をそれぞれあげておりまして、そして全購連も、多くの外貨のカリ輸入への割当を希望し、あるいはこれらの輸入商社が猛烈な競争をしまして、東独の輸入権をよけいとろうとしたことは公知の事実であります、これはいろいろな文献にも、当時の実情に参画した人も、常識的にみな語っておるところであります。だから、あなたは何のために行ったのかということは、今さらしらを切る必要はないと思う。要するに輸入同社は、カリ価格の引き下げにいたしましても直接利害関係があります。でありますから、東独への輸入交渉につきまして、輸入権の獲得ということは、これら商社の猛烈な競争であったことは間違いないと思うのです。 そこで、それならば聞きますが、あなたはその際農林委員長でなくても、農林行政界及び国会のその方における権威者であります。だから、この方面は特にお詳しいのでありますが、東独カリ公団からスイスのサデスを通じまして、日綿が当時日本にほとんど独占に近い権利を持っておった、もしくはこの問題をめぐりまして、商社間の相当猛烈な競争があって、そして商社は、海内について一緒にそれぞれ東独交渉に参加しておる、こういうことはお認めになっていいのではありませんか、別にこれも犯罪と何の関係もないことなのであります。その辺の消息はどうです。これはあなたの方が詳しいのだ。
○井出国務大臣 あまり詳しくないのであります。今の吉田委員の具体的に御指摘になった点につきましては、私としてはつまびらかにしておりません。さよう御了承願いたいと思います。
○山崎委員長 吉田さんに申し上げますが、関連質問ですから、なるべく一つ簡潔に……。
○吉田(賢)委員 できるだけ答えを簡潔にしてもらうように、あなたから御注意下さい。 法務大臣に伺いますが、農林大臣は、東独のカリ輸入につきまして、商社関係はつまびらかにしておらぬというような事実はお答えなのであります。ところで何のことはない、足元から海内課長補佐が汚職の疑いで今つかまっておるのでありますが、東独のカリ輸入というものは、当時のカリ輸入権争奪の中心点であります。カリ輸入というものが、当時の日本の農林行政及び全購連等へ及ぼしましたいろいろな罪悪は、大へんなものであります。 そこで、東独カリの輸入問題及び輸入値段の交渉、こういうものをめぐりまして、河野農林大臣が直接自分で行ったか、行っておらぬという今の御答弁でありますが、かなり疑惑をかけられておるということである限りは、やはり東独の問題は、積極的にあなたの方で捜査をして、そして黒白を明らかにし、事態を明確にするという必要があろうと思います。すみやかにこれは捜査当局に指揮をして、事態の真相をきわめるということを最も早くおやりにならねばならぬと思いますが、いかがでございますか。
○中村国務大臣 ただいまの点は、私の方から特別の指揮をいたしませんでも、目下カリ肥料関係、その他肥料関係は、捜査事局では綿密に調査をいたしておるようでございます。従いまして、いずれ適当な時期が参りましたら、事態が明確になり、もしその中に犯罪的性格のもがありますならば、そはれ当然事件として進展するかと思いますが、まだ現在の段階では、海内自身にまつわる問題につきましても、どういう問題が犯罪的性格になるか、十分しぼれていない段階のように承知いたしておるのでございますが、もちろんこういう点は十分取調べはされるもの、かように考えております。
○吉田(賢)委員 大久保大臣に聞きますが、警察当局の今後の捜査の御方針でありますが、東独のカリ輸入の問題をめぐりまして、一、二にとどまらず、たくさんな商社が相当贈賄をしておるというような、こういう事実がもしありとするならば、これを粛正するということが、ほんとうの抜本塞源的な行き方の一つの重点であろう、こう思うのであります。そこで、この点につきましては、商社関係に向って相当捜査の手を進めていくという決意は、あなたの方にありますかどうか。あなたの方といたしましても、部下とそれぞれの警察当局を督励して、この方面の捜査を進めるかどうか、これについて、一つあなたの決意を伺っておきます。
○大久保国務大臣 捜査当局としては、ほんとうに捜査中でありますので、どの程度まで伸びますか、予断は許しません、しかし、私から断言はできませんが、言われましたような事件があるとすれば、当然調べるべきものと考えております。
○吉田(賢)委員 当然調べるべきものであるということを聞くのではなしに、このような発言もあり、このような幾多の疑惑が紙上伝えられておる折柄であるので、あなたの方で進んで捜査の指揮命令をするという態度をあなたに求めておるのであります。それに対する答弁を要求するのです、あれは当然するだろう、そんなことを聞いておるのではないのです。それは、職責上当りまえなことなのです。特にあなたの決意を聞いて、おるのでありますが、どうでありますか。
○大久保国務大臣 東独の問題は、犯罪になるかならぬか、私どもまだはっきりしていないのです。これは、無理にやらせるというのは少し無理であろうと思います、当局としては、あれはやるものと思います。
○吉田(賢)委員 けれども、ひとり海内に責任をおっかぶせるという態度は、私はよくないと思っております。これは一般論であります。でありますので、そういった海内に責任をかぶせて、呑舟の魚が逃げるというようなことにもしなりますならば、これは国民が失望するのであります。ですから、海内がどんな心臓の強い人か存じません。どんなにえらい人か存じません。ともかくなかなかの人らしいのでありまするが、なかなかの人に一切を求めるというのではなしに、やはりこういう人間が動くに至ったについては、相当大きなものが関連がなければならぬという角度から物を考えることも、これもまた捜査をする人の重要な職責であろう、こう思うのであります。でありますから、あれば調べますというのではなしに、これだけ世論が沸騰している折柄、その方面に向って鋭くメスを振っていくということが、捜査の重要な基本的な方針であろうと思うのであります。それで、あなたにそれを伺っているのであります。あなたにその決意がなければならぬと思うのであります。いかがでありますか。
○大久保国務大臣 先申しました通り、事件になるかならぬかわからぬうちにこれをやれというのは、少し私の方は越権だろうと思います。これは捜査当局を御信頼になって、もうしばらく時期をかしていただきたいと存じます。
○吉田(賢)委員 十九国会に例の肥料二法案が通過いたしましたときに、このときにおきましては、何らの買収的な行為がなかったかどうか。これも、やはり国会の立場からしましても、明確にしておいてもらわねばならぬ重要な点であるのであります。紙上伝えるところによりますと、この点、やはり大きな疑惑がかけられておる。国会議員数十名が、何か収賄したかのような記事さえあるのでございまして、まことにこれはまた遺憾千万であります、この点につきましては、当時の農林大臣、あるいは当時の農林委員会等は、相当それぞれの審議におきましては重要な責任があったわけであります。いずれの方面かは別といたしまして、ともかく全購連事件というものが発展するその過程におきまして、はしなくもまたこの問題が表へ出てきたのでございます。これがなければまことに仕合せであります。あればこんな不幸なことはありません。この点につきまして、これは、当時農林委員長でおありになりましたから、あなたが一番よく知っておられると思うのであります。当時のこの肥料二法案、十九国会におきまして上りましたあとさき、審議過程におきましてそういう買収の事実等、国会議員ろうらく事実等、そういうことについてあなたの御所信、あなたの御経験、あなたのご見解を一つはっきりと聞いておきたい。
○井出国務大臣 この点は、先ほど池田委員にもお答えをいたしましたし、また先般決算委員会でも申し述べたところでございますが、昭和二十八年から二十九年にかけまして継続審議に相なり、この間きわめて熱心に法案の成立に努力をいたしたのでございます。その間を通じまして、今御指摘になるようなことは、私としては全く考えられません。以上お答えを申し上げます。
○吉田(賢)委員 全購連の前の幹部は、この点につきましては、そういうことは私は全然ありません。なかった。そんならほかのものがということにつきましては、どうも明快な答弁が実はないのであります。ないのでありますが、あなたは全くそういう事実はない。あなた自身がない場合にも、ほかの人についてもそういうことは言い得るのかどうか。もしくはないとしても、そういう気配でもあったのかどうか。あるいはこれは未遂に終ったのかどうか。類似のことがあったかどうか。その点はどうなんですか。
○井出国務大臣 私、この法案の成立には終始関係をして参ったのでありますが、その間においては、私にはどうも気配も感ぜられませんでした。
○吉田(賢)委員 大久保さんに伺います、警察大臣に伺いますが、この点について捜査をした事実はありますかどうか。
○大久保国務大臣 それははっきりと捜査の内容に入りますから、さっきからたびたび繰り返して申し上げるように、その点は申し上げない方がいいと思います。
○吉田(賢)委員 こういう答弁をなさるので時間を食っておるの、であります。つまり賛同に対して答えていただけばいいのであります。私は内容を今聞うとしておるのじゃないのであります。捜査した事実があるかないか聞いておる、それだけなのです、——捜査の内容を開こうとしておりません、どうです。——答弁してもらって下さい。
○大久保国務大臣 これはやはり申し上げぬ力がいいと思います。
○吉田(賢)委員 捜査したかどうかを聞くだけなんです。法務大臣に聞きます。肥料二法案が通過した当時の事情、これを捜査したのかどうかを答弁して下さい、捜査の内容を言えと言うのじゃないのです。内容ということならば、それは言えないということになるかもしれない。内容を聞いておるのじゃない。捜査したかどうかを聞いておるのです。
○中村国務大臣 私も国会議員の一人として議席を持たしていただいております。国会の法案審議をめぐって、もし不幸なことがあってはいかぬと思いまして、その点は十分注意を払って捜査関係を確めてみました。もちろん捜査の過程におきましては、肥料二法案の審議の当時の事情、並びにその前後における全購連の動きにつきましては、捜査いたしておるはずでございます、その結果を先ほども一応申しましたが、消極的な面ありでますから申し上げて差しつかえないと思いますが、肥料二法案の審議中及びその前後にわたりまして、国会関係に贈賄あるいは献金等の事実は全くないようであります。
○吉田(賢)委員 そうしますると、それは警察で調べたのですか。あるいは検察庁が面接調べたのですか、そしてこれは消極的な結果に一応なっておる、こういうことなのか、それはどうなんです。なぜこういうことを聞くかと申しますと、もし捜査が二途に出ておりまして、検察庁で調べて何もなかった、警察は手をつけていなかった、あるいは警察が手をつけて、これもないというふうな判断に至った、こういう辺が二途に出ている場合と、警察が調べて検察へ報告した結果、そうなったという場合と、われわれの受け取り方が違ってくるのであります、それを肯定するような新聞記事もあるわけなのであります、またきょうも、犯罪になるともならぬともなしに、国会議員の名前がずらずらと出るような記事もあるわけなのであります、まことに錯綜いたしておりますので、はっきりと捜査をしたところを明らかにしておきませんと、われわれとしては受け取り方が違って参ります。検察庁が直接調べたというのか、あるいは警察で調べたというのか、どっちなんですか。
○中村国務大臣 具体的な調べ方の内容にまで私ども立ち至っておりませんから、私わかりませんが、もちろん検察当局と警視庁が協力、一体になって捜査をしておることと思います。なお全購連関係につきましては、表の帳簿関係のみならず、実帳簿関係、あらゆる資料は押収されてきておりますから、それらに基いて全購連関係の支出関係を綿密に調査した結果、肥料二法案の審議中及びその前後に全購連からそういった支出はない、こういうように目下の捜査段階ではなっておるようでございます。
○吉田(賢)委員 これに関連しますが、大久保大臣に伺っておきますが、警察で調べを受けた結果、自殺した一件が起っておりますしこれは人権擁護上きわめて重大なことでありますので、今後の捜査段階上、また自殺者が出ても大へんであります、それほど世道人心に重大な影響を与えつつある案件なのであります。この自殺問題につきましては、責任の所在等は明らかにいたしましたか、どうですか。
○大久保国務大臣 この捜査は、なるべく短かい間に片づけたいと思いまして、せいぜい督励しているのであります。とにかく一件の範囲が相当広く、材料も集まっておりますので、いつまでという断定はできませんけれども、なるべく早く片づけて、はっきりさせたいという念願でございます。
○吉田(賢)委員 そういうことを聞いているのではないのであります。警察の調べを受けた結果自殺した人が出ている、そうして、その上役の意見によると、かなりきつく調べた、こういうことを言われているが、捜査問題について自殺者行が出たということについて、責任の有無、所在、そういうものについて、あなたの方は調差したことがあるかどうか、こういうふうに聞いている、これに答弁してもらいたい、
○大久保国務大臣 自殺者が出ましたことは、まことに遺憾であります。本人が死んでしまったのではっきり経過はわかりませんが、われわれ遺憾に思っております。
○吉田(賢)委員 遺憾だけでは済まぬ、遺憾々々では済みません。人命が断たれて、さらにその人によっていろいろと捜査が進められるということになりましたならば、そういうことについて、責任の所在を明らかにしておかぬといけません。こういうふうに考えます。 法務大臣にちょっと伺っておきます、これは大久保国務大臣でもいいでしょう、世上いろいろな、たとえば重要な閣僚の名前なんかが出ますことは、まことに遺憾であります。私の考え方によりますと、国政に影響するような重大な記事が出ましたならば、直ちに事の真偽を明らかにする。もしそういう事実があるならば、それぞれ適当に処置をする、ないならば、処置をする。そういうことがあるかないかはいずれにいたしましても、直ちに明らかにするという方針がなければ、いたずらに社会を混乱さす結果となります。これを放置しておいて、国会では答弁はしないわ、次から次といろいろなことが出てくるわということだったら、大へんであります。それに対するあなたの基本的な方針と態度を聞いておきたいのであります。これは一線の現場の捜査当局を指揮、監督する上において重要なことであります。大久保さんどうでございますか。
○大久保国務大臣 ただいま御質問の点は、重々心得ております。さきに申しました通り、なるべく早く片づけて、なるべくはっきりして国民の了解を得たいという考えはやまやまでありますけれども、今日は人権を尊重するあまり、そう無理な捜査はできません。従って、多少時間がかかりますけれども、心得としては、せいぜい早く片づけて、早く国民に知らしたいという念願に燃えております。
○山崎委員長 午後二時五分より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。 午後一時三十八分休憩 ————◇————— 午後二時三十八分開議
○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。横山利秋君。
○横山委員 いろいろとお伺いしたいことがございますが、瞬間も必ずしも豊富でないようでありますから、問題を整理してお伺いをいたしたいと思います。 運輸大臣にちょっと最初にお伺いをいたしますが、業績賞与というのは、一体どういう意味で労働者に支給されていますか。
○宮澤国務大臣 大体そのときの業績に見合って、業績の上った状況に応じて支給する、こういうことであります。
○横山委員 日鉄法によりますと、四十四条の二項で「前項後段の規定は、能率の向上により、収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減した場合において、その収入の増加額又は経費の節減額の一部に相当する金額を、予算の定めるところにより、運輸大臣の認可を受けて、特別の給与として支給するとき」は適用しない、こう書いてあるわけであります。つまり収入が予定より上った、節約が予定よりも多く節約された、こういう場合に業績賞与が支給される、この通りに行われておる、こう理解してよろしゅうございますか。
○宮澤国務大臣 その通りであります。
○横山委員 そうしますと、運輸大臣にお伺いしたいのですが、何のためにこういう規定があるのかということであります、もし運輸大臣がおわかりにならなければ、法制局長官でもけっこうでありますが、どういう意味で四十四条の二項が設けられたか、お伺いをいたしたいのであります。
○宮澤国務大臣 これは、鉄道が御承知の通り一つの企業体としてやっておりますので、そのときの好況不況、並びに従業員その他の——好況であれば輸送量がふえまして努力をいたします、それに応じて、その経費のうちから適当に従業員に割っていく、こういう建前であります。
○横山委員 そうしますと、公共企業体の特殊性にかんがみて、一つ一生懸命に働け、そうしたら、もしもうかったならば特別な給与をふやすから。また一生懸命に節約しろ、そうして銭が生み出たら特別の給与として支給する、こういうふうに労働意欲を平素から増進せしめるために設けられた、こう理解してよろしゅうございますか。
○宮澤国務大臣 大体において、経営と労働と両方見合って、そういう意欲を高めていくためにやっております。
○横山委員 まことによくわかりましたが、そういたしますと、経営者の立場、これは何も国鉄ばかりではございませんが、電電にしても専売にしてもそうでありましょうけれども、経営者の立場として、この精神及び公共企業体の精神に即応して、平素からとにかくこういう意味をもって経営に当る、また労働者に当る、一生懸命に働いて金が生み出たら、その一部が特別な給与として支給されるんだぞ、こういう意欲を持って経営者が労働者に当ることは差しつかえございませんか。
○宮澤国務大臣 それにもおよそ限度はありますけれども、大体において差しつかえないと思います。
○横山委員 どういう意味で限度とおっしゃるかわかりませんが、そのように全努力を上げる。運輸大臣としても、この法律精神を一生懸命に伸ばすために、国鉄公社を鞭撻されると思うのでありますが、公社としても、成績を上げるために大いに努力をする、そうして労働組合に協力を求める、その協力に労働組合なり労働者が順応する、そういう約束をした場合、ことしこれだけもうかったらこれだけ何とかしよう、できるかできぬかしらぬけれども、双方努力をしようという目標を立て、それに努力をすることはどうでしょう。
○宮澤国務大臣 業績手当支給の問題にからんでのお話と思いますが、これはその通りであります。しかしながら国鉄当局者としては、そういう場合には、やはり運輸大臣の許可を得てやるということだけはやる、それが必ずしも国鉄当局者を縛る、拘束するという意味でなくて、その範囲内においては、その手続をしてやらなければいかぬ、こういうことになっているわけであります。
○横山委員 運輸大臣の許可を得るか得ないかということは、これは法律上の問題でありますが、少くともこの四十四条の精神というものが、経営者と労働者の平素の努力を期待ずる、その平素の努力を期待し、その結果を求める、その結果が出た場合においては、これを支給する、こういう立場におることについては御異議がないと思いますが、いかがでしょう。
○宮澤国務大臣 お説の通りであります。
○横山委員 そういたしましたら、業績の向上が不明確ではあるけれども、しかしお互いに努力して、これだけは一つことしやろう、やって、その成果が現われたならば、予定よりも上った場合においては、これだけ金を支給しよう、こういう協定を業績向上のために結んだ場合においては、運輸大臣はどうでございますか。
○宮澤国務大臣 その予算並びに国鉄の実態を見まして、それが適当であるとすれば、それに許可を与える、こういうことであります。
○横山委員 許可を与えるということではなくして、法律はそれを許しておるかどうかということであります。私は、運輸大臣に、当面の問題を離れて、一つ率直に考えてもらいたいと思うのです。私が今言いたいことは、今こういう現象がある、今話題になっているこういう現象がある、その現象のために、逆に反動的にものを考えて、四十四条二里の精神を没却してしまうことをおそれるのであります。四十四条の二項は、第一次仲裁裁定から始まりました。第一次仲裁裁定で賞与制度、これを確定しろと裁定がなって、それから国会で議論になり、法律になり、そういう転化をしてきて、そうして労使の協力というものを、業績向上のための協力を法律は要請しているのであります。従ってたとえば年度初めに、一つ大いに働いて、予定よりも節約ができ増収ができたならば、その分の一部を支給することができるという四十四条二項の規定を援用して、協定をしたとします。そういう協定は、違法でもございませんし、法律は、それを実は要請しているのではないか。かりにこれがそうでなくして、とにかく一生懸命働け、もしも節約になったら、そのときに、その分配については大いに議論をしようということでは、これは、ほんとうの意味の労働者の意欲というものは出てこないのではないか、こう私は考えるのですが、いかがでありますか。
○宮澤国務大臣 お話しの通りでありますが、つまり業績が上って、ちゃんと確定してからなら、一向差しつかえないと思います。
○横山委員 あなたを、私は非常に今度の春闘を通じて尊敬しているのでありますが、ただ考えてもらいたいのは、この法律の趣旨とするところは何であったかということであります。たとえば、年度末にこれだけもうかった、さあどういうふうに分配しようかということでは——この法律の立法の趣旨、つまり一生懸命に働いてもらいたい、働いてもし銭が余ったら、収入が増加したら差し上げましょう、と書いてあるこの立法の趣旨というものは、年度初めからその努力をさせる、そこにあるとわれわれは理解しているのです、そこにある。年度初めから一生懸命にやって、そうしてさあという場合においてはこのくらいの支給はできるのだというふりに、初めから労働者と経営者にその意欲を持たしめるというところに問題がある、この法律の趣旨とするところがある、そう理解しないと、この法律の趣旨というものはなくなるのではないか、私はこう言っているんですよ。年度の一番最後になって、さあこれだけ増収があった、節約があった、これをどういうふうに分けようかという議論では、平素から経営者と労働者に努力をせしむるという効果というものは、半減され三分の一にもなってしまうのではないか、この仲裁裁定第一の趣旨は、そういうところにあったのではないか、こう言うのであります。
○宮澤国務大臣 そのお考えは、私は普通の社会通念とは違うのじゃないかと思います、どこでも、一生懸命働け、それが三年も五年もということでない、わずか半期働いて、その結果が上ったらそれで賞与をもらうというのが一般の社会的の普通のやり方であります。それを、どうももうかりそうだから、初めから分けておこうかというのでは、かえって不安になるわけですから、大体期末に当ってその業績の計算をして分けてやる、これでいいのじゃないかと思います。
○横山委員 初めから分けろと言うているのではないのですよ、一番初めに、お互いに努力しよう、そして業績が上ったならば——予定が確定しますね、この法律にいう予定よりも最終的に業績が上ったならば、その上った部分のうち一部と法律に書いてある、その一部を支給することができる。普通の給与ではありませんよ、特別の給与として与えることができると書いてある、それをやるために、一番最初から労使が努力をするということを法律が求めているんでしょうし一番初めから努力をする、もしもこれだけ上ったらこれだけこれだけ上ったらこれだけと、こういうふうに一つの基準を定めて、それに向って一生懸命にやってもらうということを法律は要請しているのではないか、こう言っているのであります。
○宮澤国務大臣 大体はお話しの通りの筋だと思います、私の申し上げていることとそんなに違ってないのじゃないかと思います。
○横山委員 それでありましたら私は了解します。私の言うような意味であったとしたなら了解します。そこで、大臣に、翻って私の漏れ聞いたことを一つそういう意味で質問をしたいのでありますが、この九日の閣議で、こういうことが議論されておるそうあります。それは、業績の向上がはっきりしない場合には、給与の増額の黙約を取りかわしてはならない、第二番目に、業績の見通しがはっきりしない段階で、弾力条項の適用と、業績の向上を見通して基準内給与の実質的増加をはかってはならない、こういうことが議論されたということを聞いておるのであります。これは角をためて牛を殺すといいますか、今日の問題を議論して、せっかくの日鉄法四十四条の規定というものを殺してしまう、こういう結果になるのではないか。ここは一つ運輸大臣ばかりでなく、皆さんも冷静に、公共企業体について日鉄法四十四条を置かれた立場というものを、あらためてお考えになる必要がありはしないか。今の私の質問に対して運輸大臣が、大体においては御趣旨の通りであるとおっしゃるならば、この閣議で議論された点については、実質問題としては——これは確実にきまったかどうか知りませんけれども、お考えになる必要がありはしないか、こういう感じがするのであります。
○宮澤国務大臣 私は、その申し合せは、四十四条の精神に基いておると思うのであります。
○横山委員 それでは大臣、先ほどのお話と違うようであります。私が先ほど申し上げたのは、最初から努力をさせる、最初から努力をして、たとえば協定をしたとする。四月にまさか協定をするものもないかもしれないが、業績の向上がある程度見通しがつき始めたころに、じゃこの分でいけば何とかなるから、それがもし何とかなったら、一つ特別の給与として支給しようということを協定する。もしそれが実現できなかったら、それは支給されないことは当りまえでもありましょう。実現されたらそれを実施するということは、法律の趣旨とするところである。そこのところが、大臣としては当然お考えになるべきところではないか、こう考えるものであります。
○宮澤国務大臣 私は、どうも違ってないように思うのであります。たとえば、まあ具体的に言えば、国鉄の当局者を金縛りにして、政府の許可がなければ何にもやらせないという意味ではなくして、国鉄の当局者がその見通しをはっきりさせて、確実な計数の上に立って物事を処理していけ、ただの見込みではやるなということだけでありますから、それはもう当然の事柄ではないかと思います。
○横山委員 大胆、あなたのおっしゃる確実な見通しということが生まれるような段階なら、差しつかえないではないですか。
○宮澤国務大臣 これはもう常識的に考えて、そういう生まれる段階なら、それでちゃんと案を立てて政府の方へ許可を求めてくれば、政府がそれを見通して相談に乗る。それを何でも拒絶するというようなことは、その申し合せの趣旨でもないわけであります。
○横山委員 あなたのお気持のあるところは、ほぼわかったような気がいたします、念のためにもう一ぺん言いますけれども、結局この日鉄法四十四条の精神というものは、一番最後になって、年度末に計算をして、これだけもうかったからという議論でなくして、一番最初からその方向に向って努力をさせるというところに起点があるということは、大損も先ほどほぼ同感だとおっしゃったと思うのです。しからば問題は、その途中に確実な見通しがつくに至った、そういう場合においては、大臣も今おっしゃったように相談に乗って、この業績賞与の問題については善処し得る、こうおっしゃるわけでございますか。
○宮澤国務大臣 どうも、私がお答えすることとあなたの御質問は、私は合っておるんだと思っておるのですが、その間に疑問はない。こまかく申しますれば、確実な見通しといえば、年の初めには立ちようがないわけでありまして、少くとも中ごろから過ぎて、秋にでもなられなけばおよその見当はつかない。それを、およそ大丈夫というので、年の初めとかその他にやらないようにして、一つ今度は経理をもっと確実にしていこうという趣旨でありますから、政府は何も出し惜しみとか業績の上ったものを出さないとかいうのでなくて、そういうことから今度は、世間でいわれるようないろいろな問題が起らないようにしていこう、そうして計算を確実にしていこうというんですから、これでもって職員もしくはその他の給与を減らそうとか、どうしようとかいう意図では決してないわけでありますし
○横山委員 法制局長官はお見えですね。この四十四条の二項の特別な給与、それは一体どこから出てくる金であるかということを、法律上聞きたいと思うのであります。もう一ぺん読みますが、「収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減した場合において、その収入の増加願又は経費の節減額の一部に相当する金額を、」「特別の給与として支給する」というのは、法律は、その財源をどこに求めておるかということをお聞きしたいのです。
○林(修)政府委員 ちょっと御質問の趣旨がのみ込めない点もございますが、これは法律に書いてあります通りに、収入が予定より増加をしたその増加分、あるいは経費を予定より節減したその減少分、そういう予算と実際の支出との差額、こういうものが財源となるのではないかと思います。
○横山委員 その財源は、収入が予定よりも増加した、それから節約が予定よりも多かったというものをもって充てるとするならば、それは給与総額外から来るのが普通じゃありませんか。
○林(修)政府委員 これは給与総額外として、いわゆる業績賞与は認められておるものと考えます。経理上のことは私はよく存じませんから、大蔵省の方からお答えするのが適当かと思います。
○横山委員 そうすると長官のお話は、この業績賞与の財源というものは、給与総額外からこれを求め、それから特別な給与でありますから、決算は給与総額の外として、特別給与として決算する、こういうのが至当であるとお考えですか。
○林(修)政府委員 決算で、給与総額あるいは給与総額外というような科目が出てくるかどうか、私よく存じませんけれども、経理の方法としては、今おっしゃったように、給与総額のワクの外で出し得る、かように考えます。
○横山委員 そこで、今度は大蔵大臣に順番が回ってくるのですが、池田さん、今度の補正予算ですね、これを見ますと、第二項確定分、いわゆる六百円というのがここにございます。この六百円は業績賞与だと言われるのですね、業績賞与で、今の話によれば、給与総額の外から出てくるのが当然である、給与総額外から出てきたこの財源を、いかにも給与総額の中にあったごとく、今年度これをこの既定予算の中から引くということは、論理が矛盾しはしませんか。
○池田国務大臣 今回の予算措置は、仲裁裁定の趣旨に沿ってやっておるのでございます。私は予算の基準額に千二百円を出しました。そうしてそれから今まで出しておったものを引いておるのであります。
○横山委員 池田さん、あなたは私の質問がおわかりにならぬようですから、もう一ぺん言いますよ。この第一項確定分六百円、年間平均して三百円、それをこの予算書は、所要額は千二百円まるまる見つくろっている。ところが、財源として、今節一項確定分六百円、年間平均三百円を認めないからというて、既定財源の中から削っている、削ることは、理屈がある程度成り立つようにも見えるけれども、実はこの既定財源の中で、この第一項確定分は支払われなかったと見るのが今の話で、至当ではないかし既定経費になかったものを、いかにもあったごとくして三百円の予算を引くということはおかしいではないかと私は言っておるのです。
○森永政府委員 国鉄の基準外給与のうちで、一時金的な系統のものを合計いたしますと、三・二ヵ月分出ておりますことは御承知の通りであります。これを財源的に分析しますと、その中には、弾力条項で出ましたものもありますし、業績賞与で出ましたものもあるわけでございます、弾力条項で出ましたもの、あるいは業績賞与で出ましたものは、三十二年度の業績がどうなるかということによりまして、三十二年度の姿がきまるわけでございまして、これはしばらく論外といたしたいと思いますが、それを差し引きました残りの一時金的な給与がたしか二・五、六ヵ月分あったと思います。そこで第一項確定分の六百円がどの財源で出ておるか、これは金には色がございませんので、考え方によっていろいろな考え方ができると思いますけれども、業績賞与という、将来も本年度の業績のいかんによって考えられる制度を一応除外して考えます場合には、その一時金が二・〇をこえて出ておるといたしますれば、その中でまず第一項確定分が出たというふうに観念するのが至当であると思います。あるいは逆に、業績費与は、もう次の年は確定分だけは減らすんだという考え方もできると思いますけれども、しかし、これは業績のいかんによって変るわけでございますから、そういう将来の業績いかんによって変るものから差し引くということは意味がないわけでごいざます。しかも二・〇をこえる若干の一時金が出ておるわけでございますから、その中から出ておるというふうに観念するのが論理的に当然であると考えるわけでございます。業績賞与は、業績がよくても悪くても出るというものではございません。業績がよい場合に出るわけですが、その業績がよい場合に出る数字の中から、あらかじめこの分を控除するわけには参りませんので、幸い国鉄の場合は、一時金の支給額が二・〇という期末手当の予算額をはるかに上回っておりますから、その中から第一項確定分が支給されたというふうに財源計算上はどうしても考えざるを得ないわけでございます。そういう計算をいたしております。
○横山委員 きわめてあいまいですよ。あなたの独断が強過ぎる。いいですか、もう一ぺん言いますよ。池田さん、あなたはどうも答弁ができないようですけれども、あなたに聞いてもらいたいのですよ、この年間平均して三百円の業績賞与が、給与総額の中から支払われたか、給与総額の外から支払われたか、だれもそうだというものはないのです。森永さんだってごらんなさい。森永さんだって、まあそう見るのが正しいんでしょうという議論なんです。本来、これは長官がお答えになったように、給与総額の中から業績費与を払うというのはおかしいのですよ。おかしいけれども、現実として私は肯定しようと言うのです。現実として肯定したところで、この三百円の予算というものが、給与総額から払われたのか、給与総額の外から払われたのか、だれも確定するものがない。これを確定することができないのに、給与総額から払われたんだから、あれはとってしまうから、今度の予算で削るとは何事だと言っているのです。池田さん、言ってみなさい。
○森永政府委員 先ほどの計算をもう一ぺん詳しい数字で申し上げたいと思います。 国鉄の予算には、期末手当の予算は二・〇しか計上してなかったわけでございます。しかるに実績といたしましては、三・二の一時金、期末手当類似のものが出ておるわけであります。その内容を分析しますと、〇・五八が業績賞与を財源として出しております。〇・二四が第一項確定分に相当するものであります。〇・三が弾力条項によるものであります。そのほかに一時金を、期末手当のほかに〇・〇八よけい出したということに相なっておりますが、業績賞与というのは、私の方といたしましては、これだけ特殊の手当に回される財源が賦与せられるという意味でございますので、あくまでもこの〇・五八というものは、やはり予算総則第十七でしたか、あるいは日鉄法第四十四条第二項の特殊の手当というものに充てられたというふうに観念すべきでありまして、これは業績によって将来浮動する要素になるわけであります、その場合に残ります手当は二・六二ぐらいになりますか、その中に期末手当をこえるゆとりが〇・六二ぐらいあったわけでありまして、その中からこの第一項確定分が出された、新しい財源計算をいたします場合には、当然そう考えなければならぬわけでございますしおっしゃるように、この業績賞与がすなわち第一項確定分であったというふうにお考えになるといたしますれば、三十二年度の業績賞与を、それだけ減らさなければならぬわけでありますが、その点は先ほど申し上げましたように、三十二年度の業績賞与は出るか出ないか、あるいはもっとよけい出るか、少いか、そういった要素が一切不明なわけであります。この問題は、業績賞与として、給与総額外の問題として処理することが必要になるわけであります。第一項確定分は財源に余裕があったわけであります。その中から支弁せられたということで財源計算をいたすべきだと確信いたします。
○横山委員 その最後のはっきりとしております点が、非常に小さい声だったのです。そんなに長い時間しゃべらなければわからぬ。おそらくこれを聞いていらっしゃる皆さんも、どうもわからぬという顔をして見える。まあ数字もややっこしい数字があるからわからぬのですけれども、実際問題として、業績賞与は給与総額の中から出るのはおかしいのですよ。日鉄法のとの精神から言っても、法制局長官が答えた通りです、しかし、それは超過勤務の予算が余っておるから、業績賞与に少し回すという現実の問題を肯定してもよい。けれども、よそからもきておるかもしれない、よそからもきておる、内からもきておる。そうして給与総額からも業績賞与という特別な賞与に回したとする。一体どこからきたのか、あなたの言うように油がついておるわけではないし、自札がついておるわけではない、これは給与総額の中から回したのだといって断定し得る客観的資料はないではないか。そうすると、この財源措置の中で、第二項確定分が半年分、年間三百円を引くべき正当な客観的な理由というものは見当らぬではないか。あなたは国鉄の例をおっしゃる、しかしそれでは専売はどうです、電通はどうです、みんなその給与総額の中から引かれたのだ、支給されたのだ、こういうことを証し得るきちんとした証拠書類が出せましょうか。そういうことができもしないのに、こういうことをやるということはどうかと私は思うのです。従って、そういう角度から、一体この予算書を見るのが至当であるかどうかというところに議論がある。これは池田さんに聞いてもらいたいのだが、この予算書を見ますと、所要額は千二百円になっておりますね。いわゆる支出額は千二百円になっております、それから財源措置として、財源はどうかというと、タコの足がまあ三五%くらいになっておる。自分の足を食うのが三五%、だから、この間の社会労働委員会でもそうですが、口の中には千三百円入った、しかし三五%ちぎれるのだから、ほんとうに腹の中にたまるのは、目方としては六五%しかない、こういう議論がされておるのです。世間でもそうですよ。千二百円上るそうだと言う。ところが公労協の労働者は何と言うか、いやそうじゃないのだよ、おれのところは四百円だとか、おれのところは三百円だとか、いや労働大臣の話を聞くと八十円だそうだと、これじゃほんとにタコの足なんです。私が聞きたいのは、なぜこの千二百円を所要額とせずに、かりにあなたの方の議論をもってするならば、千二百円から第一項確定分なり第二項確定分を差し引いた額を所要額として予算を組まなかったか、なぜこういう表現になったか、それを大臣にお伺いいたします。
○池田国務大臣 仲裁裁定には予算単価に千二百円を加える、こういうことになっておるのであります、予算単価に千二百円を加える方式でいっておるわけでございます。しこうしてその財源をどこから持ってくるかということになりまして、今までの予算総額内にあったものをこれに充てたわけでございます。だから、仲裁裁定通りにしておるのでございます。しこうして今の業績手当というものにつきましては、これは法制局長官のお話しの通りに、給与総額以外から三十二年度は出るでしょう。それで、三十一年度には、期末手当の二ヵ月分をこえて三・二出しておるしその一・二の間に、三十一年度はいろんなものが入っておったでございましょう、しかしわれわれは、それは今問いません。仲裁裁定通りに予算単価に千二百円加える、そうして今までの予算単価以上の財源をこれに充てたわけでございます。しかし予算総額内全部を充てますと、千二百円を予算単価に加算するということだけでは実際上あまりふえない。そこではみ出しておった分の三分の一程度を財源に都合しよう、こう言っておるのであります。あなたの質問の、業績手当は将来給与総額外から出すかという問題になりますと、外から出すことに総則十七条できめてあるのでございます。
○横山委員 私の言っておる意味とあなたのお答えの間にまだ何かあるようです。私は労働者が、あるいは国会の審議がすなおにできるという意味において、この所要額千二百円、それを財源としては、タコの足が三五%、外から入ってくるのが六五%、こういうやり方をしないで、所要額は千二百円マイナス三五%、第一項確定分も第二項確定分千二百円からマイナスという、普通みんながわかるようなやり方がなぜできなかったか、こう言っておるのです、あなたの方は千二百円払うのだと言うのだけれども、なるほどあなたのおっしゃるように、仲裁裁定には予算単価に千二百円と書いてあるが、内容をここでずっと議論してきたように、手取りというものが少いわけです。しかし手取りが実際の所要額なんです。これは常識上ですよ。そうでしょう。手取りが実際の所要額じゃないですか。それを予算上いかにも所要額として千二百円が分けられるというような言い方をせぜるを得ないという理由は何かと言っておるのです。
○森永政府委員 ただいまの御質問の趣旨、どうもはっきりいたしませんので、あるいは見当違いのことを申し上げるかもしれませんし先ほど来の問題をもう一度要約いたしますと、職員の方の手取りから考えますれば、これは、一項確定分の六百円は、千二百円に含まれることは明瞭でございますしそこで今度は、その財源がどうなっているかということですが、私どもは、その六百円を半年分まかなうに足る財源は国鉄の現在の給与総額の中のゆとりから捻出できる。それはなぜかと申しますと、先ほど来申し上げておりますように、二・〇の期末手当のほかに、一・二の手当が出ておる、その中で、〇・五八は業績賞与でございますから、これはもうことしの業績を待たなければ何とも言えないものでございますから、これは除外いたしますが、それを除外いたしましても、二・六二分の期末手当は出せたわけです。予算上は、期末手当といたしましては二・〇分を予定いたしておりますところを、それを上回ること〇・六二の期末手当類似のものが出せたわけでございますから、その中から六百円という半年分の財源は優にまかなえたわけでございます。現実にこの一項確定分がどれから出たということを議論いたしましても、これは金には色がないわけでございますから、あまり実益がないわけでありまして、財源全体を洗って余裕があるかどうか、そういう計算をすればいいわけであります。そういたしますと、組合員の手取りの面からいいますと、六百円は千二百円の中に含まれるわけでございますし、また財源的にも、その程度のゆとりは優にあったわけでございます。その分につきましては、既定の財源を振りかえて充当するという計算になるわけであります。その点につきましての合理性は何ら疑いをいれないと思います。
○横山委員 大蔵大臣にお伺いしたいのですが、こういうものは、つい先日衆参両院が一般予算を通したばかりであります。特別会計の予算も通したばかりであります。今森永さんの話を聞きますと、あの通ったばかりの予算にえらい余裕があったという話だそうであります。たとえば専売を例にとってみましょう。第一項確定分は一億三千七百万円余裕があった。それから第二項確定分は、一億六千八百万円余裕があった。休職者給与は五千万円余裕があった。超過勤務手当等の所定外支出額は一億一千万円余裕があった、そういうことでございますか、大臣にお伺いします。
○池田国務大臣 大体そういうことでございます。
○横山委員 そうしますと、今度は国鉄でございますが、第二項確定分は十六億、第二項確定分は十二億、それから休職者給与三億八千五百万円、定所外支出が四億四千万円、これも国会を通った直後であったのですが、余裕があった、こうおっしゃるわけですか。
○池田国務大臣 大体その通りでございます。
○横山委員 さらにお伺いしますが、電電についても、総計十八億、郵政においても九億九千万、これだけ余裕があったとおっしゃるわけですか。
○池田国務大臣 さようでございます。
○横山委員 そうしますと、三公社五現業総計いたしまして七十億円、国会が一生懸命に審議して妥当なりとし、またあなた方が国会で強力に主張し、与野党の間に論戦があった予算の中に、七十億余裕があったとあなたは今おっしゃるわけですか。
○池田国務大臣 これは、三公社五現業の給与総額を一般会計の公務員のようなやり方にいたしませんので、そういう含みがあることは、従来からもあるのでございます。それが、今回のように予算単価と実行単価の差に起すもとになっておるのであります。
○横山委員 そうは言えませんよ。あなたは大蔵大臣で、もう数字には明るい人ですよ。そうして国会で、何度も何度も予算委員会において、あなたを初め、部下一同打ちそろっておいでになって、この予算というものは科学的であって、またこの予算というものは正しいものであって、絶対に池田勇人の名にかけてとはおっしゃらなかったけれども、自信をもって予算を国会を通して、何月になりますか、きょうは何日ですか、まだ四月二十六日ですよ。国会が予算を通したのは三月三十一日でしたか、二十六日の間に、あなたは七十億、これだけの余裕があったと今大手を振っておっしゃるつもりでありましょうか。不識見もはなはだしいと思わなければなりませんが、いかがでありますか。さらに加えて言うならば、こういうような休職者給与とか、超過勤務の所定外支出の議論をするならば、ただに三公社正現業ばかりではございますまい。私はこの議論を敷衍いたしますならば、あなた方が国会でこの予算、自分の出したものが全く間違いがないとおっしゃりながら、二十六日かそこらの間に七十億の余裕があった、そういう議論をされるならば、今まであなたが論じてこられた予算の内容というものは、全く支離滅裂で、基礎がこわれていくいいかげんなものだという印象を国民に与えるがいかがでありますか。
○池田国務大臣 三公社五現業の予算につきましては、一般の公務員の場合と違いまして、給与総額というものがいろいろな今までの調停その他でできてきておるのであります。しこうして基準内賃金と基準外賃金との区別も、流用その他で大蔵大臣の目の届かぬと申しますか、相談を受けなくて移用流用する場合があるのでございます。従いまして三公社五現業につきましては、給与総額内に相当なやはり欠員とかあるいは振りかえ等が行われておるのであります。それはわれわれとしてもある程度のものは、公社の本質からいってやむを得ぬと認めておったのであります。しこうして今回におきましては、基準内、基準外をはっきり分けると同時に、予算単価につきまして、千二百円を加えたところ、こういうことに出ましたものでございますから、今までの実績をずっと再検討してみたらそういうふうに相なったのでございます。それなら初めからなぜ再検討しないか、こういうことでございますが、それは繰り返して申し上げますが、三公社の給与総額というものではっきりそれをつかみ得ないような実城からきた結果であるのであります。
○横山委員 それは少し遁辞というものです。あなたはきのうの多賀谷委員の質問に答えて、第二項の確定分はわしゃ知らなんだ、こうおっしゃった。あの六百円という問題は知らなんだとおっしゃるけれども、どういうつもりでおっしゃったか知らぬけれども、去年の暮れでありましたか、国鉄の〇・一六を中心にして閣議で大問題になりましたね、その以前に知らなんだとおっしゃるならまだいい。しかし今、きのうは四月二十五日です。その予算委員会の公けの席であなたが第一項確定分は私は知らなかったということは、それは言わせませんよ。同時に今カリにあなたの言うベースに乗ってみて、とにかく給与総額という特殊な事情にあるのであるから、自分も知らぬことがある、こうおっしゃる点はごもっともだとしましょう。それは法律で許しておることですから、運輸大臣に許しておることですから、また公社の自主性に許しておることであるから、これは適法であるからあなたが知らないというのは当然でもあります。しかしながら予算はつい先月あなたが確信を持って国会を通したばかりです。通したはかりの予算——運輸大臣もそうでありますけれども、確信を持って大蔵省と折衝されたばかりの予算、その予算が運輸、大蔵、逓信、それから電電、専売、一連のところ、並びに四現業、そういうようなところから七十億も不用分があった、余裕があった、こういうことを堂々とおっしゃる度胸のよさに私は驚嘆するのであります。そういうことであるならば、何もこれに限ったことではないという感じが出て参りますのをいかにしましょう。こればかりじゃあるまい、まだまだ国会を愚弄したと私は思うのでありますが、国会を愚弄して予算の中にいろいろなものがあるのじゃないかという疑念を持たれたら何といたします。これは偶然だ、偶然裁定が出たから、あなたは調べたところ不要があった、こうおっしゃるかもしれませんが、それならばそれでまたあなたの責任を追及しなければならぬ。運輸大臣もまたそうでありましょう、運輸大臣としても、法律上あなたに認められた自主性というものがあるはずであります。その自主性の中であなたは数字をつかんでいく、自主性の中で大蔵省と交渉をなさったでありましょう、そうして通ったばかりの予算に、国鉄には合計三十六億ですかの不用分があるとあなたはここでたんかを切るつもりでありましょうが、だから私はこの予算の立て方が大体おかしいじゃないかという当初の議論にも戻ってくるのであります、この辺をどういうふうに——私にではない、国民にどういうふうに解明をなさるつもりでありましようか。端的に言って、森永さんのようなくどくどした数字では国民にはわかりませんよ。森永さん、お断わりしておきますけれども……。国民は国会を通ったばかりの予算の中で七十億の余裕があったという話を聞いてびっくりするのです。そのびっくりしている者に対してどういう回答を与えるか。私が百歩も譲って言うならば、先ほど言ったように、この所要額というものが、大体この表の立て方がおかしいのではないか、所要額というのは労働大臣が言うたように千二百円から六百円を引き、そうして政府の言い方によれば、五百二十円を引いて八十円にしかならぬ。八十円を所要額として見る、こういうやり力の力がさっぱりよくわかると私は言うのだ。それならばまだ予算書を見ても国民は納得する。それを先ほど言ったように、第一項確定分、給与総額から出てもしないお金であろう、出てもしない金を給与総額から去年出したごとく見せかけて給与総額からことし引くというのがおかしい。まるきりおかしいことばかりではありませんか。何から答弁してもらったらいいかわからぬくらいです。まず運輸大臣からそういう国民の心配に対して答弁をしてほしい。
○宮澤国務大臣 これは予算がルーズにできておったというわけではありません、予算が成立してから後に裁定がありました。その裁定の趣旨に沿うのには国鉄といたしましてとにかく三千六百億の一年の予算ですから、そのうちの基準外のものからできるだけ基準内に入れてきた、こういう次第であり
○池田国務大臣 今の問題についてお答えをいたしまするが、第一項確定分というのは仲裁裁定が出まして大蔵省は知ったのでございます。仲裁裁定が出来ましてそれを見ますると、これはベース・アップのような格好に相なっておるのであります。そこでわれわれはベース・アップのようなものならば、しかもこれは仲裁裁定の方が御存じのことでございますので、そこで予算単価に千二百円を加えて出すというときに、どこから財源を持ってこようか、こういうことなんです。その財源に今まで実質的に予算総額内でした金がありますから、それを使おうというのでございまして、決して不必要なものを組んでおるとかなんとかいう問題ではない、これは公社の給与総額というところからきまして、そうしていろいろな超勤等を流用せられましておやりになっておるから、こういうような結果が出てきたのでございます。これは決して予算をごまかしたとかなんとかいう問題ではございません。超勤その他の方からベース・アップなんかも出ておるのであります。しこうしてそれでは超勤の見方が多かったのじゃないか、こういうことになりまするが、実際超勤その他の計算につきましては応は実績その他をもってやりまするけれども、おおむねこれらはわれわれは予算総額内で適当におやりになるということを言っておったわけなんであります。その制度がいいか悪いかは別でございます。しかしわれわれはその制度はよくないというので、今度予算総則に基準内と基準外を分けて、そういうことの起らない、もし起る場合におきましては大蔵大臣に相談していただくように、こう言ってやったのでございまして、決してごまかしとか不用額をそこに置いておるものではない。これは公社、現業官庁の特殊性からきたのがこういうふうになったのであります。
○横山委員 そういうことをおっしゃるなら、私にはさらにあなたのあれを追及しなければならぬ、先ほど言ったように節二項確定分の内容はあなたは知らぬとおっしゃった。ところが去年の暮れに国鉄が〇・一六を出したというてあなたの方で怒って、閣議の問題になった。運輸大臣も熟知の通り相当閣議の問題になった。それが去年の末の騒動の一つの要因であったわけであります。今になってあなたはそれを知らぬ、それはあなた少しどうかしていやしませんか、何か勘違いしていやしませんか。
○池田国務大臣 あの募れに出しましたのは、ダイヤ改正に基く特別の手当として、第二項確定分とかなんとかいうことは、裁定があるまで大蔵省は存じないのでございます。この詳しいことは主計局長からお答えいたします。
○横山委員 第一項確定分というのは、業績賞与として今話題になっている六百円の問題ですよ。その六百円の問題は、業績賞与なんですよ。そうでしょう、そしてその業績賞与は、今私のずっと議論でもしてきたことなんです。その業績賞与のうちの〇・一六というのが問題になって、閣議で議論になって、あなたが大いに突っぱられた問題じゃないですか。それを今さら知らぬとか言って、そんな遁辞はだめですよ。
○池田国務大臣 あなたは業績賞与と断定せられますが、われわれは業績賞与とは断定していない。これはどこから出たのかわかりませんが、あるいは超勤からも出ておりましょう。あるいは業績賞与と言い得るかもわかりませんが、われわれは超勤から主として出たと心得ておるのであります。しこうして、その分は特別手当として出したということは知っております。しかし、一項確定分とかなんとかいうのは、仲裁裁定の文句で、少くとも私は初めて知ったのでございます。これはどうだといったら、主計局の方も、一項確定分ということは裁定が出るまで何ら通告はありません、こう言っております。主計局長からお答えいたします。
○横山委員 運輸大臣にお伺いしますが、大臣はその第一項確定分六百円はどういう性格の給与として支払われたか、それをあなたにお伺いをいたしたい。
○宮澤国務大臣 お答えいたします。いろいろの手当として出しました分は、年度米までの——途中で二、三回になって出ておりますけれども、前のはつまり時刻改正のときから。それからしまいには業績手当と、手当は全部で合せて三・二ヵ月分となっております。
○横山委員 そうしますと、大蔵大臣の答弁と少し違うようでありますが、重ねてお伺いしますが、その六百円の給与の性格は、これを業績手当としてあなたは認められますか。いかがです。
○宮澤国務大臣 それは一部は業績手当もありますが、基準外というか、今になれば基準外に当るものから流用して出しておるわけでありますから、それを合せて六百円です。
○横山委員 それは当然業績手当じゃありませんか。森永さん、何か言いたそうな顔をしておりますが、何か言いたいことがあったら言いなさい。
○森永政府委員 業績賞与というのは法律にもございますし、予算総則にもございますし、給与総額外に出される特別な手当なんでございます。一項確定分と申しますのは、調停案にもごらんいただきますように、一項というのは、公社職員の賃金は実態に照らして適当ではないから、業績その他も考えて協議するということになっておるわけでございまして、これは一時金の性質のものではなくて、むしろ恒久的な賃上げの性質を有するものであるわけでございます。現に電電公社あたりでは、これは給与総額内ももちろんでありますが、基準内賃金でまかなわれておるのでございます。国鉄の場合には、それが一時金の形をとっておるのでございますが、これはやはり業績に応じてその上で年々浮動するという形のものではなくて、むしろ賃確、確定分という言葉が使われておりますが、その言葉からもわかりますように、業績によって左右される性質のものではなくて、むしろ賃上げに相当する部分を一時金で出したという性格のものだと思います。財源的に考えてあるいは時期的に考えて、業績手当が認められた時期にそれが出たということはあったかもしれませんが、私どもといたしましては、財源関係を詳細に分析いたしました結果、その余裕財源はむしろ給与総額の中にあった、そういうふうに判断せざるを得ないことは、先ほどの計数で申し上げた通りでございます。
○横山委員 大蔵省の見解とそれから運輸大臣の見解とは明らかに違いますね。この辺はきわめて将来の問題に尾を引くことだと思うのです。私の先ほどから言ったことを簡単に申しますと、運輸大臣に聞いてほしのいですけれども、この第一項確定分というものを、森永さんは給与総額の中にあったのだから、給与総額の中から出したのだから、ことしの予算でそれは要りようがないからもう引くのだとおっしゃる。ところがあの人一人が一生懸命がんばっておる話であって、客観的な科学性というものはないのですよ。しかも法律の要請するところは、業績手当というものは、あなたが言ったように、収入がふえた場合、節約がたくさんあった場合に、給与総額外から出すのがほんとうである。けれども、給与総額の中から出してもいい、そういうものであるとするならば、いかにも給与総額の中から去年出したごとくして、そしてことしの国会を通った予算の中からそれを差し引いて、タコの足を食わせるということは、大臣として何とお考えになるでありましょうか。私はこれは明らかに誠実な運輸大臣が大蔵省のインチキな数字にどうもやられてしまったのではないかという感じもする。一番いけないことは、根本的に千二百円いかにも出すような顔をして、三割五分の、タコの足を食わして、そうして予算書を出しておることが一番いけないのです。具体的に問題になるのは、今言ったようにゼロのところから、ありもしない給与の総額の中から、あったがごとく見せかけて引いてしまうということがいけないのですよ。そこのところが何ら科学的に解明されない。森永さんの数字からいうならば、数字から推していくとそうなると、こういうだけであって、給与総額のどの財源から、いつ、どういう名目できちんと出したか、これは給与総額の中から出した、これは給与総額外から出したという点についての説明がないのであります。 〔委員長退席、重政委員長代理着席〕 こういうふうに検討していきますと、第一項にしても、第二項にしても、それから、休職者給与にしても、所定外支出にしても、ずいぶんこの予算の組み立て方に問題がある。そうして労働者の実質的の手取りをここに減らしてしまう、そういう結果になるのであります。この点について今まで黙って聞いておられた労働大臣に、一つ所見を承わりたいと思います。
○松浦国務大臣 第一項第一号に掲げてある六百円は、われわれは仲裁裁定の裁定を尊守したものであります。
○横山委員 あなたとしてはまことに名答弁のつもりであるらしいのでありますけれども、それはまことに不親切な答弁だと思う。大臣としては不親切であります。私はそういう不親切な大臣に、それじゃ今から一つ聞いてみましょう。あなたについての一番中心的な問題は、何といっても第二項確定分五百二十円のうちの二分の一を引くことか、引かないことか、その焦点は何かということであります。そのものずばりと私は申し上げたいのでありますから、そのものずばりとあなたも答えてもらいたい。念のために、五時ごろから藤林先生がおいでになるそうでありますから、その前に一つあなたと意見を十分に戦わしたいのであります。そういう意味合いにおいてあなたもお聞きになっておられた社会労働委員会の速記録をまず読み上げて議論をしたい。社会労働委員会で私がこういうことを聞きました。「先生、一ついろいろなことを抜きにして最終的にお伺いをいたします。この文書は先生もちろんごらんになっていらっしゃると思うのでありますが、この文書は、労働委員会の委員長藤林敬三氏から日本国有鉄道総裁十河信二あてに出された公式文書です。おそらくきのう出されたのも公式文書であろうと思うのです。」これは公労協に対する文書です。(「藤林参考人「そうです」と呼ぶ)公式文書によって予算単価と実行単価の格差の問題、しかもこの格差は、質問書で明確でありますように、昭和二十九年度の調停案に基いて二万八十円の給与是正を実施した額、第二番目は、昭和三十年度の調停案に基いて定期昇給を増額実施した額、この二つの額の合計額を一体引くのか引かないのかという質問に対して、公式文書は、将来の問題として措置すべきである、こう言っている、従って将来の問題ということは、先ほどお答えになったように、ことしの問題を含まない、こういうふうに労使双方はこの文書を常識的に理解しておる。その理解で差しつかえないかということを私は最終的にこの問題でお伺いしたい。従ってイエスかノーかという点を、仲裁委員会の権威にかけて明確にしていただきたい。」これに対して藤林参考人は、「それはその通りなんです、今横山君がこれを僕が見ておるかなんて変なことを言われたが、私が見ておるどころじゃない、私が相談をいたしまして、やっておるのでありまして、私が見ていない回答なんというものはどこへも出しておりません。」横山委員「失礼しました。それでは本問題については完全に了解をいたしました。」これが、あなたがおられたときの速記録であります。私が最初質問のときに、いろいろなことを抜きにして最終的にお伺いをいたしますと言ったゆえんのものは、あたなも御存じのように、十河信二あての公文書が仲裁委員会から出た、政府あての公文書が出た。その二つの公文書のどちらをとるかということで議論が分れた。そこで藤林参考人を呼んで、一体どちらをとるのが正しいのかという意味で議論を重ねた結果、いろいろなことを抜きにして最終的にお伺いをする、こう言ってこの五百二十円の三分の一をあなたの方はお組みになったのであるけれども、ことしの問題として引くのか引かないのかと言ったら、ことしの問題としては引かない、これは公文書で明らかになったところであると答えられた、そこまではあなたも認めておるし、認めざるを得ないところでしょう、そこで今度はあなたはきのうも、この回答のほかに藤林さんは仲裁委員会の予算については政府は尊重してやってくれた、こういうふうに答えたんだからこれでいいのだ、こういうふうにあなたはおっしゃったようです。けれどもそのときの藤林さんのニュアンスというものは違うんですよ。あなたに藤林さんがそのとき答えたことは抽象的な意味として言ったのであります。ところがこれは具体的な問題として一時間にわたる質疑応答の結果、最終的に藤林仲裁委員長として五百二十円の三分の一はことし引いてはならぬ、引くべきものではない、こう答えたのであります。その点について労働大臣はいかがお考えですか。
○松浦国務大臣 お説のようにお答えになった点もあります。また藤林さんのお答えになったのには、大体要約して申し上げますと、この主文第二項及び理由第一によって給与改善後の差については縮小すべきである旨の勧告をなしたのであるが、主文第一項からいくと格差はまるまる入ってしまうことになる、それでもよいかということになると、現実の労働問題を解決するについて、やはり相当額と言ったのであった。 〔重政委員長代理退席、委員長着席〕 この基準額を明示しなかったのは、予算措置は政府のなすべきものであるからである、こうおっしゃった。それはこの点であります。きのうもこの言葉を私は読んでおる、先ほどあなたが大蔵大臣との質疑応答の中に仰せになっておられますように、主文第一項及び理由第一によっていけば、そして格差のないようにするということでいけば、先ほどお話があったように、藤林さんも言っておられる八十円ないし九十円しか渡らぬ、これでは労働問題の解決にならない。だから政府が問うた解答に対しては、今次の裁定は千二百円が理由第二に述べるように必ずしも実行単価にそのまま積み上げられるものではないが、しかし相当程度の現実的給与改善を企図しているものであるしこれが藤林さんの言っておられるところなんです。そこで先ほどの質疑応答の中で、結局六百円は超勤手当並びに業績手当の中から出しておったから、千二百円の中の六百円は一応そのままにすることにして、あとの残りの六百円というものを全部見るか、それをどのくらい見るかということが問題なんです。そこでわれわれは残る六百円の中で国鉄の場合において四百二十円を見た。これをわれわれは相当額だと思っておる、でありますから、私どもは今おっしゃったような点も、あなたの誘導的な、こうでしょうということに対して、そうだと言われたのだけれども、そのあとでさらに滝井君が問うておる問題を二、三紹介いたしますれば、滝井君の場合にもこの五百二十円の問題にいろいろ言っております。全部入っておるとも言えないということも委員会としては言えない、こういう意味なんであります。この千二百円の中に五百二十円が全部入っていると言ってもいけないということも委員会としては言えない、こういうふうに言っておる。それで最後に滝井君は、先ほどいろいろお話があってわれわれの雲が晴れた、それで今日政府の行なっておるところの予算査定に対してはどうお思いになるか、いわゆる誠意をもって尊重するということに当てはまるかどうか、こういう質疑に対しまして、それは誠意をもって善処しておると思う、こう言われたところが、滝井君の言は、今まで雲が晴れたと思ったらまた雲がかかったと言われた。これは速記録の中にありますからよく御存じだと思います。それでありますから、われわれはこの裁定は誠意をもって尊重しておる、総理は誠意をもって実施しておる、こう言っておられますが、われわれはそう思っておる次第であります。
○横山委員 労働大臣、今のあなたの答弁は失礼な話ですれども、どうかと思うのです。なぜかといいますと、今のあなたの答弁は何か水かけ論をふっかけられたという感じが私はするのです。お読みになったところを聞きますと、野党の委員が、雲が晴れたと思ったらまた雲が出てきたというような妙なところを取り上げようとしたり、何とおっしゃったかよくわからぬのですけれども、千二百円の中に入っておるとも言えるし、入っているとも言えないとか何とかややこしい言葉の端々を取り上げられておやりになるのはどうかと思いますよ。最終的な意味でお伺いをする、こう私は言って、最終的に引くか引かないかということを、日にちと協定の名前もきちんと言い、ことしの予算も含むか含まないかということをはっきりさして答えを求めた、そうしたらその通りだと答えられた、あとのあなたの滝井氏の引用については、必ずしも問題の所在を明確にして議論をしていない。滝井氏の質問は、政府は誠意をもってやっておるかというのに対して、善処をしたいと思う、藤林先生が答えたのはその通りであります。しかし私はあなたが労働大臣をしていらっしゃるから特にお伺いをするのであります。これは議論の分れるところかもしれませんけれども、元来仲裁委員会の仲裁裁定に対する一貫した理論というものをこの場合藤林仲裁委員長も答えました。それはどういうことかというと、仲裁の実施というものは一〇〇%やって初めて実施である。それを値引きしたり、月をおくらしたりすることは、別な角度による給与の改善である。これは仲裁委員会で一貧した理論であると言っておる。藤林氏は五百二十円から三分の一引くということはことしの問題としてはこれはしないのだということをその部分について明確に答えたわけです。ところがもし今度の予算はその意味では仲裁の実施にならぬかもしれぬけれども、これは尊重することになったんだ、九五%なら九五%だから、尊重したことになるから了解を願いたい、こういうふうにあながおっしゃるならば、これは議論の分れるところで、ある程度、私はしようがないと思うけれども、こういうように明確に仲裁委員長が答えて、なおかつあなたがそれは認めない。この部分を認めないとおっしゃるわけでもありますまいが、この部分はお認めになるんですか、ならぬのですか。ほかのいろいろな引出を避けて、この部分を、委員長のこの言を認めるのか認めないのかということを私は聞きたいのであります。
○松浦国務大臣 末梢なものにとらわれた返事はいけないとおっしゃるならば、あなたの御指摘になっているのも末梢なんですよ、藤林さんの二時間にわたるお話を縦貫しておる問題は、文書をもってわれわれにお示しになったものと同じようなことを言っておられるしでありますから結論として、私は相当程度の給与改善を企図しておる。その相当程度というものは、六百円の中の四百二十円が、われわれは相当程度と思った、こう答えておるわけであります、従って縦貫した話を簡単に言えと言われれば、私はこれ以上言いようはないと思います。
○横山委員 元来委員会が公文書を出したのは国鉄の総裁と政府と、それからこの仲裁を受けた労働者側、この三つに出しておるのであります。三つに出した中の二つは、五百二十円から三分の一を引くことは妥当でない、こういう結論になったわけであります。政府に対する回答は、相当程度という抽象的な回答が出ました。これは事実でありまして、あなたのおっしゃる通りであります。そこで政府が相当程度とはいかなるものであるかということを判断する場合に、もしも政府が仲裁をこの際完全実施にするという決意とそういう態度があるならば、二つのところへ出された公文書を尊重する気になれないんですか。私はそれを言いたいのであります。もしも政府が、この際はいろんな経緯があったけれども、仲裁裁定を実施するということであるならば、イデオロギーや政治論は離れて、仲裁裁定を実施するという腹があるならば、この百二十円の三分の一、一人についてわずか、百七、八十円ですよ、この百七、八十円というものを、あなたがどうしても、労働大臣としてこれはいかぬのだと言ってがんばらなければならないかというのであります。私が言いたいことは、金額としては百七、八十円である。けれども政府の言うところを聞けば、三年間かかってこれをなしにするというのであります。そのことは言いかえて言うならば、これが基礎になっている団体交渉によって締結された労働協約、協定というものが、三年間のうちにその権利を消滅するということになるわけであります。ですから私は金の問題ならば、労働大臣や運輸大臣に迫る。けれどもこれが公労法による権利から生まれたものであるがゆえに、特に労働大臣に私は迫るのです。金の問題じゃない。公労法を守る立場にあるあなたが、この百七、八十円の問題でなぜもう少しがんばり切れないだろうかということを、私はあなたに訴えたいのです。私の言う点について、どうしてあなたが納得できない点があるならば、私はこうまであなたにあなたの人間性について訴えないのです。けれどもまたかりに百歩譲って、私の言う論理もあなたは認めるとおっしゃる。しかしおれの言う論理も認めてくれ、こうおっしゃる。そういうような言い回し方だ。それであるならば、ここに仲裁裁定の最後に当って一点の問題がある。その一点の問題は、金額としては非常に少い。この金額を実施すれば、仲裁裁定における雲は、ほんとうの意味で晴れる。あなたの立場もここにきぜんとなる。あなたが労働大臣に就任最初の仲裁裁定が、ここに日が輝くわけです。従って労働大臣として、右にもとれる、左にもとれる、しかし右の僕の意見についても、仲裁委員会がその科学性を立証したじゃないですか、それだったら労働大臣として百尺竿頭一歩を進めて、公労法の立場からこの実現に努力をなさるべきではなかろうか、こう思うのであります。
○松浦国務大臣 横山さんの熱心な労働大衆の権益を擁護される態度に対しまして、敬意を表するものであります。また私も労働行政をあずかっているものといたしましては、ただ単に使用者の便利だけを考えるのではなく、労働大衆の生活安定ということについては、身をもってやはり協力いたさなければならぬ自覚を持っております。しかしながら、先ほどからの論争でありますが、今度の裁定はできるだけ格差を縮めていかなければならぬということにあるのでありまして、きのうもここで議論になったけれども、四現業は取り下げたじゃないか、それならば最初から出さなかったらいいじゃないか、十日間もかからなければ財源措置がわからなかったか、こう御指摘になったのですが、それほどあの裁定の判断にわれわれ苦しんだんです。そこでわれわれが最後に労働次官名によって問い合せました問答は、十日過ぎにきたんです。皆さんの今主張される国鉄総裁の方にきたものは、それ以前なんです。それでその回答を見ると、初めてわれわれの困難な状況にあることがわかった。それはやはり先ほどから申しておりますように、これは理由第一の問題が法律的に重点であるから、あとは政府に対する警告なんだ、そう解釈するというと八十円、ないし九十円上げればいいんだ、こういう議論が政府内でも相当強くなりました。私は先ほど来申しておりますように、宮澤運輸大臣と協力いたしまして、できるだけ多く労働大臣の方に支払わせるように努力いたしました。実際私どもはこれをやったんです。けれども幾らかやはり引かなければこの裁定をのむことはできないという議論になりまして、われわれもそれに共鳴したのであります。でありますから、私は今どうおっしゃっても、私の気持は勤労大衆の生活安定を擁護しなければならぬということは忘れません。しかしながら、いろいろ大ぜいでやっておる仕事でありますから、仲裁裁定の精神を無視することもできない。そこがわれわれの非常に困難したところであります。今いろいろ私の立場についてお話があったのですから、くだいて申し上げますが、そういう意味で相当というものの解釈が六百円と四百二十円、これが六百円に対して百円か百五十円ならば相当でないと言われますけれども、四百二十円。お話のように、あと五七、八十円というものが残るのでありますが、これは可急的にはやはり縮めていかなければならぬ。また今年のようにベース・アップするときでないと引きにくかろうから、将来縮めていこうとするならば、今年のベース・アップのようなときにやった方がいいというような議論になりまして、われわれは努力しましたが、結局政府全体の意向は四百二十円ということになったのでございますから、この点御了承願いたいと思います。
○横山委員 あなたの御努力には敬意を表するにやぶさかではありません。しかしあなたの立場は、たとえばそこにいらっしゃる運輸大臣の立場とは違うかと思います。たとえば、例に出してまことに恐縮でございますが、運輸大臣なりあるいは郵政大臣なりという立場は、何といいますか、なるべく労働者の生活安定をよくするという意味で、銭をふやすという立場であるとしましょうか。ところがあなたの立場としては、そのほかに、公労法により許された労働者の権利、団体交渉の権利というものをあなたは守らなければならぬ立場にあります。この将来の問題として格差を縮小しろといっても、格差縮小の措置というものは二つあります。一つは実行単価を予算単価に詰める、つまりベース・ダウンをするという措置です。もう一つは予算単価を実行単価に引き上げる、つまり予算編成のときにその権利を生かすという道です。まさかあなたはこのベース・ダウンをざせるということをお考えではありますまい。予算編成のときに、その格差を予算を上へ持っていってそれを詰める、こういうことがあなたの立場として私は正しいと思う。もしそうだとするならば、将来の問題ということについては、今を含まないということを少くとも藤林委員長が国会で証言をしたならば、なぜあなたはその立場、客観的な発言を引用されないか。それによって公労法の上にできた協約と協定というものを生かし得るのです。私ども野党あるいは労働組合が言ったことではありませんよ。仲裁の委員長が言ったことをなぜあなたとしてはこれを活用できないか。またそれによってできるものをでかせられないか。それがあなたの一番の根本的な労働大臣としての職務ではなかろうか。強いことを言うようでありますけれども、労働省として最もあるべき本然の姿ではなかろうか。ほかの人が言うなら三分の一も相当程度だ、三分の二も相当程度だ、それは言える。けれども今は仲裁委員長が公式の場面で発言をしてそう言っておるのでありますから、大臣としてここは最も主張し得るところである、こう考えておるのでありますが、重ねて一つあなたの誠意のある答弁をいただきたい。
○松浦国務大臣 藤林委員長はあなたの発言に対してそうだとおっしゃったのですが、その前のやりとりの八割までは、将来、今後、将来、今後と言っておられるのです。そこであとでおいでになるからここでこの問題については論争しなくても、もう一ぺん聞けばいいのであって、私は藤林さんの言っている八割以上の言葉は、文書をもって発表されたことの裏書きをされただけのことである、こう解釈しているのです。でありますから労働大臣として労働者の立場を守らなければならぬけれども、一方に仲裁裁定の趣旨を尊重しなければならぬということが、最初から岸内閣のとった態度でございますから、それを忠実に守っておるのであります。しかしながら、少しでも勤労者の生活安定の方向に努力はいたしでいきたい、その気持は忘れられませんが、われわれは政府部内におきまして、いろいろ論議を戦わした上において今日の予算を提案いたしておりますから、この予算の出し方が悪いということは自分としては言われません。
○横山委員 労働大臣の今の最後の言葉で、あなたの心境がわかりましたけれども、大臣にお願いしたいのは、手算はまだ審議中であります。国会は議決しておらないのであります。提案者としてこの案が悪いとは言えないという点について、もし幾ばくかの心境があるならば、最後の最後まで政府の内部において努力をされんことを私は衷心より望んでやまないのであります。このことは繰り返し申しますけれども、金の問題であなたに言うのではありません、金の問題ならば大蔵大臣に私はあくまで迫る。それから運輸大臣にあくまで迫る。しかしあなたに特に社会労働においても、ここにおいても執拗に言うゆえんのものは、これは団体交渉によって結実した問題である。しかも政府が言うようなやみではない。堂々たる賃金の確定によって生まれたものである。それを三年かかって権利を消滅してしまう可能性がここに現存しておる。もしもそうでなくて、あなたも先ほどうなずかれたように、予算編成のときに予算単価を実行単価の方に切り上げるようにうなずかれておったのだけれども、そういう方向に三年かかるならば私は了といたします。けれどもその最初のときはそうではない、今やろうとしておることはそうではないのでありますから、この点について重ねて労働大臣として努力をお願いしてやまないのであります。 それから、あわせて運輸大臣に所見を求めたいのであります。今の私と労働大臣との質疑応答を通じて問題の所在は明らかになりました。労働大臣も、藤林先生ももうじき来るからそのときにもう一ぺん確かめようということをおっしゃった。私も藤林先生が見えたらもう一ぺん念を押して政府当局にも聞いてもらおうと思うのでありますが、運輸大臣として、あなたの傘下にある労使双方、あなたばかりでなく、専売も電電も郵政もみなそうでありますが、その間には明らかに団体交渉権に基いた協約、協定がここに厳存し、それは仲裁委員長も認め、そして仲裁裁定書の中にうたい、その回答書において三分の一を引くということは妥当でないという回答を出し、国会で証書せられた。この事実に立って、もう一度政府部内においても検討する必要があるのではないかと思うのでありますが、いかがでありますか。
○宮澤国務大臣 この問題は私はこういうふうに考えております。一つ私の考えを答弁になるかならないか知りませんが申し上げてみたいと思います。 私は、結論において、今度の予算に出た国鉄に関する措置は、仲裁裁定の形も精神もくんでこれで完全実施したものと思っております。その理由を申し上げますれば、仲裁裁定が下りまして、下ったところがわからない点がある。そこで今あなたのお話の通り、国鉄と労組と政府と三つの質問をいたしました、その間労働省その他にもいろいろ質問をいたしましたが、どうもわからない点が、文書によって出て参りましたら三様に変っております。こういうことになると、私は一体仲裁裁定のどこを信用したらいいのか、そこでこれは最初に出た裁定の案文をわれわれが読んでそれを信用するよりほか仕方がない、あなた方は藤林委員長を呼んでお聞きになりましょうが、はなはだ失礼な言葉であるかもしれませんが、あの仲裁委員会の構成になっておる学者の方々は、これは学者として権威者でありましょう。しかし大学を卒業して、優秀な秀才で温室の中で先生になって、そうして理論はやっておりますけれども、あなた方のような百練の士の方から質問をされれば、強い質問にあうと変ってくる。質問する人によってみな返事が変ってくる。私はそう思います。ですから、そういうお聞きになることは参考であって、やはり公式の委員会の決定というものをわれわれが見て判断するより仕方がない。質問がみな変っておって返答が変っておれば、私は最初の裁定を見てそれを信用するよりほか仕方がない、こう考えますので、その最初の案文に戻ってそうしてこれを考えますと、われわれは今日これをもって完全実施と考えておる、こういう考えでございます。
○横山委員 運輸大臣、今あなたとしてはきわめて常識的な立場でお話になったかもしれませんが、これはきわめて重大な発言であります。今日までわれわれは、国会に出た裁定を中心としてあらゆる議論をしてきた。その議論の中心になるものは、おれの方は裁定をこう解釈する、おれの方はこう解釈する、その議論は争いはあるけれども、仲裁委員会の権威と仲裁の裁定書及びその出した人々を尊重して、それが共通の土俵場としてわれわれは審議をしておるのですよ。しかもその共通の土俵場は公労法というものに立脚点を置いて、そうしてやっている。今のあなたの発言はその仲裁委員を侮辱し、それから仲裁委員会を侮辱し、出た裁定を権威なきものとしてこれを判断をしておるところに、きわめて私は法律の軽視、国家機関の軽視というものがあるような気がしてなりません。おそらく私はあなたの真意ではないと思いますから、一つこの際率直にお取り消しを願った方がいいと思います。
○宮澤国務大臣 私は仲裁委員会の決定を尊重をいたしておりまして、決してこれを侮辱も——仲裁委員会そのものの決定はどこまでも政府が尊重しなければならぬ。従ってそれを正当に解釈して尊重する、またその答弁に対してそれぞれ違ったという点は現実の事実であります。また個人に対して私は決して侮辱も何もいたしません。いわんや仲裁委員会を侮辱するというようなことはもちろん考えておりません。もし私の言葉のうちに侮辱したようなことがありとすれば、それはむろん取り消します。私はそういう気持はありません。けれどもみんな変っておるというところに、これは変っておるから、それならば一番最初に出てきたものを権威あるものとしてこれを尊重していくより仕方がないじゃないか、こういうことであります。
○横山委員 日ごろ尊敬をいたします運輸大臣でありますが、私は譲ることができません。あなたは今、仲裁委員は大学を出て、世なれていない、そういう学者先生である、そういう人が出したものは、ということを発言されました。かりにもとへ返って、本来の仲裁裁定書を尊重するとおっしゃっても、そういう世なれない学者先生が出したものであるという論理を展開いたしますならば、これ仲裁委員会の権威というものが私は失墜することをおそれるのであります。従ってこれは、私は日ごろ尊敬しておるところの運輸大臣でありますから、これを深く追及しようとは思いませんが、どうぞ一つ先ほどのお言葉を全部撤回するように望んでやみません。
○宮澤国務大臣 いや、そういう誤解の点がありましたらそれは取り消します。
○横山委員 それでは今大臣が御撤回されましたから私はこの問題についてはもうやめます。 それで労働大臣にお伺いいたしますが、先はど労働大臣との質疑応答では、藤林委員長がここへ来られて、そうして重ねて双方ともいろいろここで仲裁委員長に質疑をして、そうして仲裁委員長の言葉がどういう結論が出るか知りませんが、その結論が出ましたら、政府側として、もし再考する必要がありましたら御再考願えるでありましょうか。
○松浦国務大臣 先ほどからもいろいろお話があったのですが、ここまで参りました重要な問題でありますが、私どもは皆さんの方面にも、各方面にも回答を文書あるいは言葉によって、裁定が六日の日になされましてから以来は、いろいろ言っておられると思うのですけれども、中心は狂っていないという確信を持っています。十年以上も委員長としておやりになって、日本の労働問題全体を把握して今日まで回答を出しておられる老練の藤林さんでありますから、私はそういう狂いはないと思うでありますから私は藤林さんがここへおいでになっても、今までお出しになった文書とは変りはない、こういうように信じております。私はこれによって予算を提案いたしております。でありますから私どもは自分の提案いたしました予算を、まだ審議の過程において、これは悪いから少し直しますとは言えないのです。私はそれが政府の生命だと思います。われわれは藤林さんに何回も問い合せてしまいには文書をもって問い合せた、それにはこういう相当な給与改善を企図している。この相当に該当したものをここに提案いたしておりますから、私は藤林さんがここにおいでになっても、この文書は間違ったとはおっしゃらないと思います。
○横山委員 そういうことを聞いているのではないのであります。あなたは藤林さんがここへ来てもそうおっしゃるとは思わない、こう言われた。それからさっきはさっきで、水かけ論になったんだから、藤林さんがあとからここへ来るから、そのときやったらいいでしょうと言われた。その藤林さんが来て言うたら、あなたの言うた基礎がくずれたら、あなたは率直に再検討をなさるはずになりはしませんかと聞いているのです。そういうことについてお答えを願わなければなりません。
○松浦国務大臣 裁定は私はあくまでも尊重いたします。
○横山委員 私はこれで質問を打ち切るつもりなんですよ。それが全然とんちんかんな答弁をされては困ります。あなたの言う裁定とは仲裁委員会の指示する意味、それが裁定なんですよ。この仲裁委員長が言うたこと、これが裁定の内容になる、そのことにあなたは基礎を置かれるというならば、藤林委員長が言ったことについて尊重をする、こういうことになりますかと聞いているのです。
○松浦国務大臣 私は藤林さんが委員会を代表しておいでになる以上、われわれのところへ文書をもって回答されたものと、ここへおいでになって返事することとは違わないと思っております。でありますから裁定は尊重いたします。
○横山委員 それでは私の質問は終りますが、大臣のおっしゃったことを本委員会として確認をしなければなりません。藤林委員長は違ったことを言わいなと思う、こう労働大臣は答えました。違ったことを言った場合にはどうなるか。これは明らかに労働大臣のよって立つ基盤がくずれたことになる。そういう場合においては政府側としては当然再検討する義務があると思うのであります。この点を特に私は発言をして、強調をいたしまして私の質問を終ります。 藤林委員長がおいでになりましたならば重ねて私から質問をいたしたいと思います。(拍手)
○山崎委員長 片島港君。
○片島委員 総理大臣にお尋ねいたします。仲裁裁定が出まして今度実施案が提出せられておるのでありますが、この仲裁裁定の実施案を立案する主管大臣はどなたでございましょうか。
○岸国務大臣 予算に関する問題で、主管大臣は大蔵大臣であります。
○片島委員 予算は主管大臣が編成しなければなりませんが、仲裁裁定はそれぞれ、たとえば郵政従業員については郵政大臣、電電公社については電電公社総裁、国鉄は国鉄の総裁に、こうやりなさいといって仲裁裁定が下ったわけなんです。ところが御承知であるかないかわかりませんが、総裁なり主管大臣に裁定が下ったならば、少くとも総裁なり主管大臣がこの裁定を解釈をして、その解釈のもとに、労働大臣を中心として実施案の原案を作成して大蔵大臣に提示して、それから大蔵大臣が予算編成の準備をする、これが私は順序であろうと思うのでありますが、ところが、このたびの裁定案は大蔵省から発表せられて、主管大臣も国鉄の総裁も電電の総裁もあけてびっくり、こういう数字は一体どこから出たんだろうといってびっくりしたわけであります。 そこで私はお尋ねするのであるが、大蔵大臣は予算編成はやりますけれども、実施案の原案は主管大臣なり総裁を中心として労働大臣が取りまとめて作るべきじゃないか。それを、知らない間に大蔵省で数字をはじいて、お前のところはプラス四百十円だ、お前のところはプラス三百八十円だというようなことを出すということは、私は非常に不思議でならぬのでありますが、これはどうでありましょうか。
○岸国務大臣 それの詳しい経緯につきましては労働大臣その他からお答えをしますけれども、この最後の予算編成された内容の数字につきましては、それぞれの所管省におきましてそれぞれ十分調整をいたしまして、これらの関係省が一緒になって最後にきまった数字でございます。その経緯につきましては、それに関係いたしました労働大臣から御報告させます。
○松浦国務大臣 この問題が起りまして以来、政府は、関係各次官及び労務関係の人々、給与関係の人々が集まりまして、常に検討いたして参りました。また関係閣僚として今申しました者が五、六回集まって、それぞれ検討いたしております。大蔵省の方も入ってもらいまして、その結論は、先ほど来横山委員と質疑応答いたしましたような結論に到達したのでございます。
○片島委員 私はそういうことを聞いておるのではないのです。この実施案が各企業別、各省別に出された場合、主管大臣なりまた三公社の総裁——三公社においては、その算定根拠がわからないで迷ったのですよ、大蔵省に聞きに行って初めてわかった。そこでも非常にむずかしい。それで私は、残念ながら算定根拠についても三公社の総裁あるいは主管大臣に聞かないで、きょうは大蔵大臣にお聞きをしなければならぬような始末になっておる。これではまるで自分のところに従業員をかかえて給与に関する権限を持っておる者が大蔵大臣に——原資がないとか予算がないとかいうときは大蔵大臣が査定するのは当りまえです。それはあなたの権限です。一番最初からそういう案を作るという権限があなたの方にありますか。
○池田国務大臣 一番初めから作ったのではございません。大蔵省は大蔵省の見るところで研究はいたしておりますが、あくまで所管の大臣が各国鉄、電電等の総裁と相談せられまして、そうして大蔵省に持ってこられるのであります。われわれは、持ってこられた場合についての大蔵省の考え方をきめるのに、自分では勉強いたしておりますが、あくまで所管の各大臣と大蔵大臣と相談して、そうして閣議の決定をして出しておるのであります。
○片島委員 大蔵省が主になっておりますから、この問題についてはあとで関連してお尋ねします。先に総理の方にお尋ねをしたいと思います。 三公社というものができて、一応政府から引き離したわけでありますが、公共企業体の自主性と申しますか、政府から切り離して公社として持って参りまして、そこに公社自体の自主性というものが生まれてきたのだと私は思うのでありますが、公社は政府各省と比べてどのような特別な自主性を持っておるか、御見解を承わりたい。
○岸国務大臣 公共企業体の本旨については、昨日もお答えを申し上げたのでありますが、従来の政府直接の事業から切り離してこういう企業体を設けましたのは、その経営を能率化するという、その能率を上げて本来の目的を十分に発揮せしめるという趣旨から出ているものでありまして、そういう意味におきましては、この公共企業体が自主性を持つと申しますか、もちろん政府の一部としてやるのじゃなしに、公共企業体自身のいろいろな、独立採算の問題やその他の見地から自主性を持つということは、これは当然であろうと思います。
○片島委員 労働問題で紛争が起きましたときに、その当事者に対して処分の問題が起るわけでありますが、公社の場合は総裁、あるいは現業の場合は各省主管大臣、これが人事権を持っておりますから、処分権も持っておると思うのであります。ところが、事前に閣議において処分の問題を議論して決定されるというのは、公社の自主性からいって、総裁の当然の人事権から見て、公社の内部に政府が干渉するということになると思うのでありますが、いかがでありましょうか。
○岸国務大臣 処分の具体的の内容等につきましては、直接その人事権を持っている者がこれをやることはもちろん当然であると思います。しかし政府としては、この公共企業体の本来の性格から申しまして、これに対する経営の基本的な方針やあるいはいろいろな処理の基本的方針について政府としての考えを持つことは当然でありまして、いろいろな意味において自主性は持っておりますけれども、同時に政府も監督権を持っているわけであります、ただ、具体的の内容等につきましては、人事権を持っている人の人事権の内容にまでタッチするということは適当でないと私は考えております。
○片島委員 閣議などで、このたびは厳重に処分をしなければいかぬとか、あるいはこの範囲に処分をやらなければいかぬというようなことを事前にきめられるということは、これは公社に対する大きな、圧迫になると思うのです。それはなりますでありますから、どういう処分をやるかということは、三公社なりあるいは五現業なり、そういうところでまずきめて、そうしてそれをどう取り扱うかということが順序であろうと思う。前もって閣議においてこのたびはどういう処分をやらなければいかぬ——官房長官がなかなか景気のいい発表をしておりますが、そういうことになると、公社の独立性、自主性というものが人事権にまで介入せられてくる、これは人事権の介入ばかりでなく、私は今度大蔵大臣にお尋ねしようと思うのでありますが、予算総則などにおいてまたこの総裁の権限を剥奪していく、そういうようなことになりますと、公社としての自主性が非常に削られていくと私は思うのであります。労働問題というものは、少くとも企業を経営する上においての一番重要な問題でありますが、この労働問題において、人事権と給与の問題について政府がこのような介入をしてくるということは、公社としての特殊な性格から見て、これはますます政府直接の事業と何ら変らない方向に持っていっておるように私は思うのでありますが、いかがでありますか。
○岸国務大臣 今申し上げました通り、私は、一方において自主性を認めて能率を上げなければならぬと思いますが、同時に、それは完全に自主性があって、政府が何らの監督権のない、また政府が何らの方針を示すことのない、自由にこれができるという公共企業体の性格ではないと思うのであります。従いまして、今申しますように、具体的に何の某をどうしろ、これをどういうふうな処分をしろとかいうようなことは、もちろんその公共企業体の人事権を持っておる者が決定するのでありますけれども、方針について、われわれが閣議においてこういう重大な問題を取り扱う場合においては、政府としての考えを協議し、またこれをあらかじめ当該企業体にその政府の意思を通告するということは決して不当ではない、かように考えます。
○片島委員 それは程度によるのであります。 私は、それでは人事の問題は本日の議題ではありませんから、予算の問題について大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。昨日主計局長がるると述べられたのでありますが、御承知でありますように——これは労働大臣も一つお聞きを願いたいと思うのであります。公労法の三十五条が昨年改正せられまして、この実施は今年の四月から実施せられることになっております。御承知でありましょうけれども、「委員会の裁定に対しては、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならず、また、政府は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。」こういうのが、昨年公労法が改正になりまして、それに伴いまして、公社法の第七十二条がまた改正をせられております。これは全部は読みませんが、「及び公共企業体等労働委員会の裁定があった場合において、その裁定を実施するために必要な金額を、予算の定めるところにより、郵政大臣の認可を受けて、給与として支給するときは、適用しない。」、「適用しない。」というのは、この前の第七十二条で、これは長いですからもうやめますが、要するに公労法三十五条を改正して、そうして公社法は、国鉄もまた電電もこういうふうに改正をされたわけであります。裁定を尊重するという意味から、郵政大臣の認可を受けて実施をするということになったのであります。また予算総則もそれが実行できるようになっておったのでありますが、今度の改正によりますれば、予算総則第二十五条の改正によりまして、実は大蔵大臣と協議をしなければならぬ、こういうようなことに相なっておりますが、昨日私が主計局長の説明を聞いておりますと、公礼法第四十三条に基く第七号の「その他予算の実施に関し必要な十項」という、「その他」なんとかいうものを適用して予算総則を変えた、こういうふうな御答弁でございます。これはまことに重要なことでありますが、この四十三条には、予算総則には収入支出予算、継続費、債務負担行為、こういう主文において三つの大きなものをちゃんと掲げておりまして、そのほかに一、二、三、四、五、六と具体的なる予算総則に盛り入れるべきことが掲げられて、もう何も書くことがなくなって、七として「その他予算の実施に関し必要な事項」、こういうものがあるのであります。ところが大体いろいろな法規を調べてみますと、いろいろ並べられたあとの「その他」「というのは、これは雑務であります。いわゆる庶務事項であります。大蔵省設置法を見ましても、大臣官房のところで、たくさん並べたうしろの方に、いわゆる十七並べた一番最後に「その他」とこういって、何が出てくるかわかりませんから、主計局とか理財局とかいうところには書かない、いわゆる他村及び他の機関で扱わないものという、いわゆる雑務、庶務を「その他」の項できめるのが法令の建前でありますが、主計局の主管事項を見ましても、やはり一番目にある総務課というのが八つの具体的な項目を掲げて、そうして九つ目に「その他」として雑務、庶務を担当するところに入れているのが、あらゆる法律の建前になっております。これもまた、公社法の第四十三条には書くことがなくて「その他」と、この「その他」というのは雑務が出てくるかもしれぬ——これは三公社における最も重要な問題ですよ、その他どころの騒ぎではない、どうでもいい、例外の雑務、こういうようなことを言うのでなくして、きわめて重要な問題でしょう。二十五条の改正によりまして、基準内と基準外とをこれは今まで流用しておったのです。予算総額内において流用しておったのですが、それをその他の事項によって流用ができぬようにきめるということは、公労法の精神から見ても——また三十五条はこの四月から実施されたばかりなのです、それに伴って公社法の七十二条が改正されておる、そして予算総則にはまたそれに適合するようになっておりますのを、今度の改正によってその他の事項で処理するということは、私はきわめて法を曲げるものと思うのでありますが、大蔵大臣いかがでございましょう。
○池田国務大臣 先ほど来お話がございましたが、一般会計のいわゆる国家公務員の給与に関するきめ方と、三公社五現業におきまする給与のきめ方とは違っております。一般公務員の方は給与法に基き、定員によって予算を組んでおるのであります。しかし三公社等につきましてはそういうことをせずに、給与総額で行っておるのでありまして、基準外賃金、基準内賃金は公社自体で適当に割り振ることができておったのでございます。しかるところ今までの実績から見ますると、基準外と基準内が往々にして——往々どころじゃない、ほとんど一緒のような考え方で使われておる。従いまして今度の裁定におきましても予算の基準額に千二百円を加える、こういうふうにやってみますと、実際予算単価というものと実行単価は違いますので、そこに非常にめんどうな問題が起っていることは、今回の仲裁裁定から見てもわかるのでございます。従いましてわれわれが予算におきまして給与総額はきめまするけれども、そのうちを基準内と基準外を分けて一応そこできめて、今後は基準内から基準外へ行く場合におきましては——これを認めぬというわけじゃございませんが、大蔵大臣と協議していただくように予算を作ったがいいだろうというので、御審議願っておるわけであります。それでは基準内と基準外を何の条文によってやるか、こうお聞きになりましたら、それが公社法四十三条の七号でやるといっておるのであります。
○片島委員 大蔵大臣が自分の都合のいいように予算総則を変えたいという気持はわかりますよ。しかし公労法によって団体交渉権というものの成果をさらに確実にするために、公労法が改正されて、今度の四月から、実施されるわけなのです。それに伴って公社法もまた改正をされておるのです。それが実行されたばかりのときに、あなたは基準内と基準外をやりくりしておって非常にめんどうで困る、実行と予算が違うようになるからと言われるが、最も団体交渉の成果を上げ得るのは、基準内、基準外をも流用する予算総額制度というのが公社におけるほかの官庁、たとえば郵政省あたりとは変った、ほかの公務員と変ったたった一つのよりどころなのです。これを流用することができるからこそ団体交渉というものが非常に効果があるわけなのです。それをあなたの方で都合がいいからといって、大臣と協議をしなければならぬ——あなたはそうやりたいでしょう、あなたの方に言ってきた方が都合がいいし、あなたの権限も強まる、ところが公労法の精神からいくならば、これは公労法の精神に違反をする、そこでそういう法的措置を講ずる場合には、その他の事項というようなことでこのような重大な問題を規定改正をするのは、法の精神からいって私は間違っておると思うが、法制局長いかがでございますか。
○林(修)政府委員 その点については、昨日もお答えいたしましたけれども、今仰せられましたことは予算総則としてきめ得る事項であるということを申しました。法の精神には差しつかえない。(片島委員「公労法の精神からいって」と呼ぶ)これは公労法等から考えましても、結局これは団体協約そのものを制限しておるわけじゃございませんで、要するにそういうことについては、大蔵大臣あるいは運輸大臣と協議をして当局者は団体交渉をすべきである、こういう趣旨の規定でございます。そういう意味から申しまして適当、不適当の御批判はあるとしても、法的には差しつかえないと私は考えております。
○片島委員 法律的に差しつかえないにしても、私は先ほどからるる説明したのですが、「その他」というのは、ごみみたいなものを「その他」というのです。主要なものはみな掲げ尽してしまって、あといろいろあるだろうけれどもなかなか考えつかぬが、まあここに入れておったらいいというのを、あらゆる立法の場合の一番最後に「その他」としてやっておくのが、普通の立法の慣例でしょう。その「その他」を引き出して、これは今までの団体交渉の広場なんです。ここがなければ実は団体交渉の成果というものは上らぬのです。今国家公務員に団体交渉権をやってみたところで、やっただけではだめなんです。職員の給料あるいは超過勤務手当、期末手当と各科目別に分類をされておりますが、もし大蔵大臣が科目の流用を認めなかったら、何ぼ団体交渉をやってもだめなんです。だから団体交渉でわれわれが戦うただ一つのここは大きな争い場です。交渉の一つの場です。それを「その他」というごみごみしたこの規定でやるということは、私は公労法の精神を無視しやしないか、こう言っておるのですが、労働大臣どうでしょうか。
○松浦国務大臣 今の問題に対しましては、専門家の法制局長官も言っておられますように、これはこの基準がきまらないうちに約束したって、またいかに広場があってもそれはものにならぬと思うのです。
○片島委員 基準内と基準外の流用の問題だけ言っているんです。
○松浦国務大臣 だからそのあとにおいて損失ということになればこれは何にもならぬことになるのです。だからはっきりとこれだけの場合を認められるようになったらやれるということを言っただけであって、私はこれは差しつかえないと思います。
○片島委員 これは前の倉石労働大臣がだいぶん苦労をして、仲裁、団交の成果を期するために、この公労法を改正をしていただいたんです。それを次の大臣がそのようにごみの規定で一番の争いの場、交渉の場を無視するような答弁をされるというのは、私は基準内と基準外との流用の問題が、今までの団体交渉におけるただ一つの利益であった、こういうことを言っておるのです。これがなくなると、これから団体交渉をやっても大した成果はないんですよ。 それじゃ労働大臣にお尋ねしますが、一般公務員と五現業公務員と三公社職員との労働問題、特に給与問題についてどういう点が相違しておるか、この三つの職種について特徴のあるところを御答弁願いたい。
○松浦国務大臣 局長から答弁いたさせます。
○中西政府委員 国家公務員につきましては、御承知のように、人事院の勧告もございます。それを尊重し、あるいはこれを考慮しまして、法律によってきまることになっております。それから三公社五現業につきましては一応団体交渉、調停、それから最後は強制仲裁ということできまることになっております。
○片島委員 一般公務員と現業公務員と三公社公務員とは給与の問題で予算的にはどういうことになりますか。
○池田国務大臣 予算的には、一般公務員の給与につきましては、給与法並びに定員のあれがございまして、はっきりきまっております。それから三公社五現業の方におきましては、給与準則がありまして、各公社の総裁その他が団交によって一応きめて、予算的には予算総額が一応きまるわけでございます。しこうして今回は予算給与総額だけきめてあったのを、先ほど来申し上げましたごとく、この内書きとして基準内と基準外を分けたのでございます。しこうして三公社五現業におきまして、五現業の方の基準内、基準外の分は目できめておりますから、従来も大蔵大臣に協議があったと思います。三公社の方は昭和二十七年にはやはり基準内と基準外に分けております。その後給与総額だけになっておったわけでございまするが、今回は裁定の趣旨算から考えまして、今後予算につきまして、その適正を期すると申しますか、はっきりさせたい、こういうのでやっておるのでございますし従いましてわれわれといたしましては、あくまで公労法の趣旨、また公社の特質から考えまして、一応大蔵大臣に協議するということになっておりまするが、やはり、公社自体の特殊性から考えまして、十分その相談には応ずるつもりでございます。従って今度明確にするという意味におきまして予算総則で、そういうふうにおきめ願いたい、こう御審議を願っておるわけでございます。
○片島委員 一般公務員については給与法できめ、また保護機関としては人事院の勧告があるわけであります。それから五現業三公社については団体交渉によって調停、仲裁という案が示される、しかし人事院勧告も仲裁なり調停も、これは実効力はないのであって、これをそのままやらなければならぬということではなく、政府はこれを尊重しなければならぬ。尊重しなければ同じであります。予算的にはどうなっておるかというならば、科目の流用をあなたの方が認めるか認めないか。科目の流用を認める認めないということと、基準内、基準外を認めるか認めないかということは、これは協議と言いましても、あなたの方で認可ということにいたしましても、これは大臣の権限でありますから、協議でやっても、協議が整わなければだめです。あなたの方がいやだと言えばそれでおしまいです。結局は認可とか協議とかいうことになり、どちらも人事院の尊重、裁定の尊重ということになって、このように予算総則を改正することによって、実は公務員も公社も実質的には何ら変らないということになりますが、気持の上で三公社についてはこのように改正はするけれども、課目の変更のような強い考えはなくて、きわめてゆるやかな気持で——ひょっとしてあなたが気が強くなってだめだと言えばおしまいですが、あなたのおる限りは一つ気持の上で、ずいぶんやわらかに取り扱う、その点だけが変るのだ、こういうことになると思うのですが、いかがでしょうか。
○池田国務大臣 従来のように、財政当局に報告も何もなくて、そうしておやりになるということでは、先ほど来申し上げましたようないろいろな点が起って参りますので、今回そういうふうに分けたのでございます。しこうしてわれわれ財政当局といたしましては、各公社の実情を十分勘案いたしまして、決定いたしたいと思っておるのでございます。
○片島委員 特別にあなたの方が権限を取り上げられたということは、今後私は一般公務員とほとんど変らないようなことになってくるということで、今後の団体交渉等を、さらに労使の関係を複雑にし、また困難にする。紛争の原因を新たにまた予算総則において作り出したという感なきを得ないのであります。 そこで裁定案について私は質問を進めたいと思うのであります。あなたの方では実行人員かける千二百円ということで実はきめられておる、私は予算定員かける千二百円というのが基礎になっておりますから、それから六百円引くとか三百円引くとかいう話が出てくるならば別でありますが、一番最初の算定が、いずれの公社、国鉄も電通も同じでありますが、実行人員かける千二百円が基礎となって出ております。そういたしますと、予算定員ということについて私はお尋ねしなければならぬのでありますが、予算定員というのはどうしてあなたの方では予算編成の当時、どうして決定をせられるのでありますか。
○池田国務大臣 事務分量を考えて予算定員をきめるわけであります。
○片島委員 それでは、予算定員だけは実在人員がおってもよろしい、こういうことになりますか。
○池田国務大臣 予算定員までは実在人員はおっても差しつかえございません。
○片島委員 それでは、実行人員に千二百円をかけておられるが、これは欠員が相当あるということでありますから、欠員がかりにここに七千名あるいは五千名おり、そして予算定員までは埋めていいのでありますから、三千名だけまたその欠員を補充いたしましたときには、かける千二百円の補正を出されるつもりでございますか。毎日毎日変るのです。私は一名や二名変ったからといって、千二百円千二百円と言って補正予算を出せとは申し上げませんよ。しかし二千名も三千名も予算定員まではあなたの方は実在人員はあってもいい、これはいいのです。事務分量によってきめたのであります。そのときの実況において、あるいは採用ができないとか、あるいはまた原資を幾らかでも節減しようとか、いろいろな原因から欠員というものが出ておるわけでありますが、しかし今大蔵大臣がおっしゃったようにいつでもこれは穴を埋めていいのでありますから、実在人員がふえたたびごとに最低千二百円ずつは開きが出て参りますから、その人たちが困ります。一種のべース・アップですから、全体的に上らなければなりません。三千人ふえた場合には、三千人のべース・アップをやられますか。補正予算を細まれますか。
○池田国務大臣 各公社、各特別会計によっていろいろ違っております。ある公社ではあまり欠員がございません。あるいはある公社では五、六千名も欠員を持っておられるところもあるのであります。しこうしてわれわれが今回補正予算を作りますに当りましては、大体欠員というものはこの程度あったらやっていける、こういう認定をいたして、そうして今回の補正予算を作ったのでございます。
○片島委員 それは私が電電公社について調べたところは、公社で実際調べ、また組合でも実際調べて、三月末の実在定員が出ておるのです。ところが実在定員が出ておるのを、なおあなたの方のかける千二百円の基礎になっておるのは、その数字よりももっと下なんです。それは私は何も言いません。いくら下であってもかまいません。かまいませんが、私が申し上げておるのは、その予算定員まで埋めることができるのであるから、そのまん中くらいのところまで定員をまた埋めた場合には、相当の予算が要るわけなのです。これは補正予算を納まれるつもりであるかどうか。組まなければこれは不公平です。
○池田国務大臣 われわれは実際の状況を見まして、今度の予算を作ったのでございます。しこうして、この予算で給与総額がきまって参りますから、急にあなたのおっしゃる通りに実人員をふやせばまた補正予算を作るか、こういうことには参らないと答えざるを得ません。
○片島委員 予算総額は、実行人員かける実行単価によってきまるわけなんです。それはちょうど予算定員かける予算単価、これと同額になるのが基準内については筋でありましょう。実行単価かける実行人員、予算単価かける予算人員、これが予算総額なのです。それであなたの方は、今実行人員を基礎として千二百円というものをはじいたから、それによって今度の補正後の予算総額が決定をしたわけなのですよ。そのワクができたわけなのです。その中には何千名という欠員があるのでありますが、その欠員を穴埋めする場合には、相当人員穴埋めをするときには、あらためて千二百円の補正を提出せられますかどうか。しなければそういう算定をした価値がないことになります。
○池田国務大臣 三公社の給与総額をきめます場合は、従来の予算単価というものに昇給その他新陳代謝等を考えましてやっておるのでございます。実行単価というものはございません。実行単価というものは、結局において予算総額を実人員で割った一人当りのものが実行単価ということになるのであります。予算単価の方は、従来からの予算単価に昇給あるいは新陳代謝等を加味してやっておるのでございます。しこうして今回の補正予算を作ります場合におきましては、欠員の非常に多いところは必要な欠員率だけを見まして、そして今回は補正予算を作ったのであります。従って今後におきましては、給与総額の規制を受けますから、今まで五千名、六千名あったところで一応のそれの目安で見ておる。しかし規定上はまだ欠員があるからもっと実人員を埋めろ、こうおっしゃっても、それは給与総額で縛られますから、実際はできぬと思います。ただ問題は、高給行をずっとうんと首切って、そうして初任給の安い者を採用されるということになれば、これは別でございます。予算審議を願いましたら、給与総額で拘束を受けることになります。
○片島委員 給与総額は、あなたの方が実行人員かける千二百円というものを出して、それによって補正後の給与総額が今度きまったわけなのです。しかしそれは実行人員とか実行単価というものはないとおっしゃるが、実行単価というものは、実行人で割ったやつを実行単価というのですから、現実にあるのです。電電公社の場合は人員で割れば一万八千六百三円、これが実行単価になっておるのですよ。そうすれば、この際いろいろな理由によって人員を穴埋めした場合には、当然原資が足らぬようになるのです。あなたは予算総額で縛られているからできぬだろうと言われるけれども、それは無理な話ですよ。今の実行人員が少いから、それであなたの方も予算が少い。大体補正予算を出す場合でも、ほんとうを言えば実行人員というものを基礎とすべきではないのです、そこに実行単価と予算単価との間に非常な開きができておって、予算上、資金上、あなたの方は財政的に見て、それで予算人員にかけてやったのでは、どうにも多過ぎるからという配慮のもとに、実際は実行人員かける千二百円を出されたわけなのです、そういたしますならば、実行人員がふえる、これはふやしていいのですから、定率は減るかもしれません、もちろん実行単価は減ります、新陳代謝によって実行単価は減っていくのですが、それはかまいません、新たに穴埋めをした人たちは、たとい新陳代謝で入ろうと何で入ろうと、予算総額としては千二百円というもの——その千二百円の以前の予算単価とか実行単価とかいうことは私は申し上げません。付加すべき千二百円だけは補正をすべきものと認めるから、私は聞いておるのであります。
○池田国務大臣 おしまいになって、ちょっと御質問の点がわからぬようになったのでございますが、たとえば電電公社で見ますと、六千人の欠員を置きまして、そうして予算総額内でできるから、給与総額内でできるからというので、われわれの考えておる予算単価よりも相当実行単価が上っておるのでございます。そういうふうになっておるのでありまするから、今回の裁定の場合におきましても、予算単価を基準にして千二百円を加える、こう言っておられるのであります。そこで今実際人員によらず、六千人もある欠員に対して千三百円をかけていくようなことがあったならば、他の公社と比べ非常な不権衡がある。そういうことはわれわれとしてはできません。従いまして、適正な欠員はこれは見なければいけませんが、裁定の趣旨を尊重して、必要にして十分な財源を得るために、各公社、現業官庁を通じまして、適正な欠員は認めますけれども、主として実人員という考え方で、予算を編成したのであります。
○片島委員 あなたの答弁は私の質問とちょっと変っておるのです。実人員にかけて千二百円ということをやっておられるのは、これはもういたし方がないのです。私も予算人員に千二百円をかけろと言っておるのではないのです。実人員にかける千二百円でけっこうなんです。ただあとでこの欠員を埋める、新陳代謝によるか何によるか、いろいろの原因によってあとの穴埋めをして、欠員が六千名というのは多過ぎましょう。そこで四千なり三千なりにするために、事務量によってこれはきめられた予算人員でありますから、必要人員です。そこで二千名か三千名をふやした場合に、もとの予算単価なり実行単価を上げてくれとは言わないが、プラスすべき千二百円だけはこれは補正を見なければならぬと思うがどうか、こう言っておる。きわめて明快なる質問ですよ。
○池田国務大臣 そういう御質問ならば、先ほど申し上げましたように、今回の補正によって御審議願いました給与総額できまってきますから、給与総額の拘束を受けるわけです。給与総額を作ってあなたたちの御審議を経て、これは確定するのでありますから、その後におきましてたとい欠員がありましても、給与総額内で欠員の今まで多かった分をお食いになるなら、これはいたし方ございますまい。しかし給与総額を越えるようにどんどん欠員をお埋めになるということは、私は予算の建前としてできませんということを申し上げておるのです。
○片島委員 そのようにあなたは自分で作った予算総額が——私はその予算総額の袋に入れられないようにふくれてくるから、そのときに補正をすべきじゃないかと言っておるのを、あなたは袋ががっちりとしておるから、もうその中で増員はできないだろう、やるならばその中でやるのだから、そうよけいはできないだろう、こういう考えです。私は新たに入ってくれば、これはほかの従業員との関係上千二百円をプラスしてやらなければならぬ、そうすれば袋に入らぬからふやすべきである、ところがあなたは袋ががっちりしておって入り切らぬだろうと言う、私は入り切らぬから、ここにこぶをつけなければならぬじゃないか、こう言っておるのです。
○池田国務大臣 定員に重きを置くか給与総額に重きを置くかという問題です。われわれは給与総額に重きを置いていきたい、こう言うのです。
○片島委員 そうなるとこれはいろいろと問題が起きてきますが、昨日総理は予算は予算単価と実行単価の差をだんだん広めていくことは望ましくない、これは仲裁裁定でも言っております。ところが実行単価と予算単価は開きをだんだんと見ていくのですけれども、これは団体交渉によるばかりでなく、あなたのところでは今一般公務員——各省によって多少違いましょうが、あるいは公社の職員、五現業の職員の今の昇給率は、年間何%になっておるとお考えになっておりますか。
○池田国務大臣 これは一般会計の方におきましても、構成人員によりましてある程度違って参ります、しかし大体は四%を原則といたしておるのであります。
○片島委員 一般公務員の場合でも公社職員の場合でも、欠員による給与原資の余剰は、現在おる実際人口に対して昇給原資として使うことは認めておられるのでございましょう。今各省ともやっておりますから、三公社もやっております。
○池田国務大臣 実際問題としましては、欠員に対しましての財源をある程度見ておるということは、われわれも認めております。
○片島委員 これは予算上も同じ科目の中の俸給ですから流用できるのです。各省ともやっております。そうしますとあなたのところは昭和二十九年は五%、三十年には四・五%、三十一年は四%、三十二年は四%と、こうやっておられるが、現在の実行昇給率を見ると、実は電電公社において大体五・二%、そうしてほかのところを私調べてみましたところが、ここは大体低い方です。この低いということは、すでに仲裁委員会でも認めております。そうすると五・三なり五・四というものが実はここで認められておる。そうしますと、原資としては四%しか認められておらないのに、欠員等による給与原資の残をもって、この昇給原資に充てておると見なければならぬのであります。特に科目の変更をあなたの方が許されない以上は、一般公務員においては必ずや欠員による俸給残を使う以外には、この四%を上回る昇給ができないということになりますから、実際においてはこの給与原資を使っておる。そういたしますと欠員の穴埋めをしようといいましてもあなたのところでは予算額を縛られておりますから、今後欠員はあるが欠員の補充はほとんどできない。そういうふうにしてあなたの力で四%の昇給率を見ながら、実際五・二%なり五・三%の昇給をやっていけばいくほど、実行単価と予算単価の開きはだんだん開いてくるという結果になりますから、これはお認めでございましょう。 四%の昇給原資をやっておる、しかし実際には欠員の俸給財源をもって五・何%の昇給をやっていくということになるならば、残だけをとって持っていくのですからベース・アップがない以上予算単価は据え置き、実行単価はあなたの方は四%しかふくらまさぬのに毎年五・何%ずつ上っていくのですから、黙っておっても予算単価と実行単価というものは開くという道理になっておるのですが、これはお認めになりますか。
○池田国務大臣 その間にいろいろな問題がございますが、理論的にいえばあなたのおっしゃる通りでございます。しかしそれは昇給率を四%にするかどうするかという問題です。昇給率というものを四%ということで押えてしまう、欠員の方は昇給率に入れさせないということにすればそういうことにならない。今までは定員につきまして考え方が割にルーズにやっておりましたので、今回はそういうことをでき得るだけ避けるように定員も人事のやりくりで必要な限度にいたしまして、補正予算を作っておるのであります。
○片島委員 私は予算総則を言っておるのではないのですよ。一般公務員についても同様のことが言えるのです。欠員の俸給を食っていけばだんだんふえていくのです。だから四%よりも、五・何%という昇給の原資よりも高くなっていきます。これは必然にだんだんと開きが出てくるじゃありませんか。
○池田国務大臣 これは欠員がありましてそれで昇給率を予定よりもふやしていけば、違ってくることは当然でございます。しかし一般公務員の分につきましては十分の調査をいたしまして、昇給率は先ほど申し上げましたように、各年度再検討してやっておるのであります。 それからまた公社の方におきましても、給与総額内でおやりになることはいたし方がございません。しかし給与総額内でいろいろなファクターがありますので、基準外と基準内と分けてできるだけ差の起らないような方法を講じようとするのが、今回の予算総則の考え方であります。
○片島委員 郵政大臣に一言、電電公社の業績手当というのはどういう財源から出されることになっておりますか。
○平井国務大臣 業績が上った場合と、いろいろ事業をやって節約ができた場合に業績手当として出しております。
○片島委員 その節減をして余った金という中には、人件費の場合は欠員の不補充による俸給残も入っておりますか。
○平井国務大臣 それは入っておりません。
○片島委員 それはおかしいじゃないですか。物件費の節減だけですか。そういうことは書いてありませんよ。電電公社法の七十二条には「能率の向上により収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減した場合において、その収入の増加願又は経費の即減額の一部に相当する金額を、予算の定めるところにより、」云々とあり、予算総則においても同様のことがやはりうたわれております。予算総則の第二十二条の二によって、やはり経費の節減額ということがうたわれていますが、これは物件費の節減額ということは書いてありませんが、いかがでしょう。
○平井国務大臣 給与総額外が業績手当でございまして、物件費の節減と業務の増加、いわゆる業務成績が上った場合を考えるのであります。
○片島委員 大蔵大臣、この業績手当というのは、予算総額内において節減をしたものは振り当てるわけには参りませんか。
○森永政府委員 予算総則に書いてあります規定から申しますと、給与総額外にこれこれかくかくの場合に特別の給与を支給することができるということでございまして、原則としては給与総額外ということになると存じますが、お尋ねの点は、おそらく経費の節約の中に人件費の節約も入るかということであろうと思います。観念的には入り得ると思います。その場合には、給与総額内の節約額が、業績手当の支給の原因になる場合もあり得ると思います。具体的に電電の場合がどうであったかということは、今ちょっと資料を見ないとよくわかりませんが、観念的にはかような場合もあり得るかと思います。
○片島委員 観念的にあり得るでなくて、予算の——実際は使っておるかもしれませんが、観念的じゃないのですよ。これは理論的に物件費と書いてないのだから、予算総額内における節約、特に基準内の給与の節約、そういうものも、そこに余りがあれば業績手当として出してよろしいか、こう言っている。
○森永政府委員 基準内の人件費の節約で使わなかった余りが出たという場合にもいろいろありましょう。経済界の推移から当然それだけの人件費が不用になった、たとえば、専売公社で申しますと、製造本数が減ったという場合で申しますと、節約には入らぬわけです。しかしほんとうに能率を上げて、超勤時間が少くて済んでだという場合に、業績手当支給の一つのファクターになり得ると思いますが、しかしそれは給与総額の中にそういう原資があるわけですから、観念的にそういう場合があるということでございまして、実際出たものが給与総額の中から支弁される場合、それを業績手当というかどうかということは、これは言葉の問題でございまして、業績手当といってもいいかもしれませんし、あるいは給与総額内のことですから、予算総則の第何条でございましたか、あそこにいわゆる給与総額外の特別手当ということにならぬという見方もございましょう。その辺は結局観念上の問題になるかと思います。
○片島委員 これは非常に重要なことで、昨日からの質問でも、業績手当は本俸に入れられるか入れられないかという問題が、国鉄当局についてあったわけなんです。そこで私は、観念的とおっしゃるが、実際そういう節減額があった場合には、業績手当のこれがファクターになる。そうなるのならば、その業績手当のファクターになっている分は、基準内の残でありますから、それを業績手当に回しておる、業績手当というものの中身というものは、はっきり言えばはっきりわからないのです。増収分と節減額とこれだけですから……。そうするとこの業績手当の一部をもって基準円の方に——基準内にもいろいろありますが、本俸の昇給原資にこの業績手当の一部を使うこともできる、こういうふうに解釈していいですか。
○池田国務大臣 そうは参りません。それは広い意味の業績手当はほんとうに業績がよくなった場合に出すのが、いわゆる予算で考えております業績手当でございます。そうしてまた片一方で、予算総額内で能率を上げた分、これは全体の経理から申しますと、業績手当という広い意味の中に入るかもわかりませんが、その中でお出しになる分は、私は他の業績手当とは観念上区分すべきものではないかと思います。給与総額内からお出しになる、それは給与総額内の分であって、われわれは、三公社に特別に認めておりますところの業績手当として予算上当然出す分とは、区分して考えなければいかぬと思います。
○片島委員 それでは能率を上げて、予定よりも増収を上げたということがなければ、業績手当は出ない、こういうことに解釈していいですか。
○池田国務大臣 それは業績手当を設けました本旨からいって、そうでございます。しかし片一方で事務分量がふえたり、経費を節約した、物件費を節約したということがなくて、業績手当としては出せぬけれども、給与総額内において非常に働いたというのでお出しになるのは、それは業績手当というか、給与総額内でおやりになることでありますから、これはお出しになってけっこうだと思います。
○片島委員 給与総額の外で、能率を上げて増収がなかった場合には、業績手当は出ないのですか。
○池田国務大臣 予算で想定いたしておりまするいわゆる業績手当は出ませんし従いまして今お話のように、狭い意味の業績手当というものが発生した場合において、これを給与総額の中に入れて、これは給与の一部だとしてお出しになることは適当でございます。
○片島委員 もし能率がそれほど予算上予定しなかった、この業績を上げることができなかった場合に、国家公務員は期末手当が二・四で、公社及び郵政事業は二・〇ですが、この〇・四の差額はどういうふうにして処理をされますか。
○池田国務大臣 お話の通り、一般公務員は二・四になっております。三公社等は二・〇になっております。しかし実績におきましては、国鉄におきましては三・二出ておるのであります。電電公社も二・九くらい出ておると思いますが、それはいいときも悪いときもございます。しかしわれわれはなるべくいいように願っておるのであります。
○片島委員 時間がありませんから、次の問題で、裁定理由書によりますと、実施後の予算単価は一万八千四百三十円、これは電電公社の場合ですが、この裁定を実施すれば、実施後の予算単価は一万八千四百三十円となる、こうなっておる。政府補正後の基準内の予算総額は、三百八十八億四千八万円となっておりまして、これを予算定員の十八万千九百五十四人で割ると、二万七千九百十円という単価になりますが、補正後の基準内総額の算出根拠はどういうところから出たのでありましょうか。
○森永政府委員 予算の説明にも書いてございますが、千二百円に、推定実員——これは従来の欠員率によりまして、三十二年度の実員を推定いたしました実員でございます。従いまして三十二年度は三千六百人でございましたか増加することになっておりましたので、その増加員数の平均額を加えたものに対して、ただいまの欠員率を乗じて、三十二年度の推定実員を出しております。その実員を千二百円に乗じましたものをプラスいたしまして、他方におきまして、確定一号分の財源となっておりました金額あるいは格差の三分の一に相当する金額、あるいはそのほかに休職者給与等の不用額あるいは超過勤務手当等を所定以外に支出いたしました金額、そういった余裕財源を洗いまして、それらは給与総額内で充当することといたしまして、この不足分を他の経費等から削減充当をいたしておるわけであります。ちなみに予算単価プラス千二百円で計算いたしました裁定基準内予算単価を二万八千四百三十円ということにいたしますと、十七万五千六百二十五人の職員がまかなえる次第でございます。ただいまの推定実員十七万三千二十七人よりは二千五百九十八人程度の余裕欠員を残しておる、さような結果になっております。
○片島委員 裁定理由書には実施後の予算単価は一万八千四百三十円となる、こうなっておりますね。そうしますと、予算単価と予算定員をかけたものが予算総額でなければならぬのであります。そうならないのですよ。裁定理由書では実施後の予算単価が一万八千四百三十円となっておる。一万八千四百三十円に予算定員をかけたものが予算総額でなければならぬのに、政府の補正後の基準内予算総額は三百八十八億四千万ですから、予算単価と予算定員をかけては四百億越すのです。でありますから、予算単価と予算定員をかけたのが予算総額でなければならぬのに、あなたたちが実行人員を基礎にしたから、今後は予算単価と予算定員の合計が予算総額に合わぬようになりませんか。
○森永政府委員 実員に対して千二百円を乗じたものをプラスするという、そこから、すでにお話のような事態が起ってるわけでございます。そのほかに、既定の財源で一方確定分をまかなっておったという事実があるのでございます。その分のゆとりは今度の千二百円アップ財源に充当せられるわけでありますから、予算定員に千二百円をかけたという結果には必ずしもなりません。結局私が先ほど申し上げましたように、現在の欠員は五、六千人あろうかと存じますが、そのうち二千五百九十八人を残した十七万三千二十七人に新予算単価がかかっておる、さような結果に相なっておるわけでございます。
○片島委員 あなたの方が持っていった算定の道順はわかるのです。ところが裁定理由書では実施後の予算単価は一万八千四百三十円となる。予算定員は変りがないのですから、現在の予算定員はそのままこの補正予算でも残っておるのですから、実施後の予算単価は一万八千四百三十円となる。それに予算定員をかけたものが予算総額でなければならぬのに、あなたの方のような道順で行ったから三百八十八億何がしで、実は予算単価と予算定員との横が、そのまま総額にならぬということを私言っておるのです。結果論から見て……。
○森永政府委員 予算上当初予算に予定いたしておりました人員計画そのものについては、今回は手を触れておりませんが、しかし欠員が相当あるというのは事実でございますし、今回の予算措置を講ずるに際しましては、欠員分の余裕をもって今回の裁定の一部をまかなったという結果になっておるわけでございます。従いまして予算角貝そのものについて、予算単価プラス千二百円を乗じたものをかけるというのが、今度の予算の補正の趣旨ではないのでございまして、欠員率による推定人員、それに若干のゆとりを見てそういう調整をいたしました。欠員率を織り込んだ人員に対して予算措置を講じておる、こういうことでございます。
○片島委員 今までの御答弁ことごとく不満でありますけれども、時間が参りましたので、私は松浦労働大臣に一言だけお尋ねをして、私の質問を終ります。 あなたはさきの内閣委員会において、われわれの質問に答えて、ただいま仲裁裁定に持ち込まれておる三公社五現業の裁定案が出た場合には、国家公務員の給与についてはどう考えるか、こういう質問に対しまして、出てみなければわからぬ。この前の公務員の給与引き上げは、三公社五現業との均衡をも考慮して、人事院勧告にのっとって大体ああいう是正をなされたわけですが、そのときに、現在の三公社五現業とは別に、国家公務員については、また仲裁裁定が出たときに見なければならぬのじゃなかろうかという質問に対して、出もしないのにそういう御答弁はできない。ところがいよいよ出ました。ここに出ております。そうしたらあなたは今度は答弁しなければなりませんね。
○松浦国務大臣 昭和三十九年一月の人事院勧告に基く予算単価に比して、一二五・五%になっております。これは一般公務員の方であります。国鉄その他の三公社五現業は昭和二十九年一月の裁定に比較いたしますと、一二三・五%と裁定をいたしておりますから、これを見ますときにおいて、今度の裁定を実施いたしましても、そうひどい差がないと思いますから、私は三公社五現業が上りましても、一般公務員の方はそのままでいいと思います。
○片島委員 それでは、千二百円裁定がここに下ったわけですが、国家公務員はこの前の改正で、大体もう裁定が下ったあとの三公社五現業程度に上げておいた、こういうことになりますか。
○松浦国務大臣 三公社五現業と一般公務員は、学歴その他の関係において多少見方が違いますけれども、今度六・二%上げることによって今度の裁定と見合っていけば、そう大きな開きはないと思います。
○片島委員 あなたは内閣委員会においては、違った趣旨を説明しておるのですよ。仲裁裁定の千二百円が下るということは、全然あなたは予測しないで、三公社五現業や民間との均衡上、国家公務員、一般公務員については上げなければならないのだ、この前の内閣委員会ではあなたはこういう答弁だった。だからこれが出たから千二百円——千二百円といえば大きなものです。この前の六・二%でも平均千二百円くらいじゃないか。この前千二百円上けたときには、あなたは現状における三公社五現業や民間との均衡をはかるために上げるのだ。そこでわれわれがお尋ねしたときには、今度千二百円ばかり三公社五現業の裁定が下りますよ、下ったならばどうしますか。下らぬうちは答弁できません、今度出てきたから、聞いてみたところが、いや大体もういいのだ。大体よくありません。千二百円こっちは上げたのですよ。それならば、向うの公務員は上げ過ぎておったのですか。そうでなければ均衡がとれているとはあなたの口から言えないはずです。これは三公社五現業に少しでも近づくためにと、あなたは説明されておる、ところが今度は出てもそれはいいのだということになると、あなたは前に上げ過ぎでおった、あなはうそを言ったということになるじゃないか。
○松浦国務大臣 決してうそを言ったのではございません、この六・二%は平均額を上げたのであって、片一方は学歴、勤続年数別、その他実態を比較すると、比較がいろいろむずかしいのであって、各役所の中においても、三公社五現業と相当違う役所もあるし、われわれは裁定を見れば、二十九年の一月は、両方とも調べてみると先はどのような率を仲裁裁定は出しておりますから、片一方の平均額が六・二%上ったことによって、たしかはね返りを入れて千三百七一円ぐらいになると思うのです。でありますから、今度千二百円予算単価が上ったことによって、そう大きな開きはないと、私は常識上考えております。
○片島委員 いろいろと都合の悪いところは、へ理屈をもってそのときそのときをしのいでいかれるので、非常にわれわれとしては不満足でありますが、時間も参りましたし、藤林さんがお見えになったそうでありますから、私の質問はこれだけにしまして、次に護ります。
○山崎委員長 藤林参考人がお見えになりましたので、この際藤林さんに対する質疑を許します。小坂善太郎君。
○小坂委員 藤林先生には非常にお忙しいところを恐縮に存じますが、あなたは公企体の労働委員長とされまして、今回の裁定には非常に御苦心になりまして、この点われわれも敬意を表するにやぶさかでございません。ただ今日おいでを願いましたのは、実はあなたのお出しになりました裁定の内容につきまして、あるいはその解釈につきまして、若干本院で疑義が生じておるというものもあるし、またわれわれは明確であると考えておるのでありますが、その間に統一されたものがいまだに見出せないものでありますから、一つ直接お願いできればと思うのであります。 まず第一に、裁定というものは、これはその性格上、政府においては誠意を持ってこれの実行に当らねばならぬということでありまするから、この委員会においての政府の答弁も、誠意を持ってこれを実行したのであるし、あなたのお出しになりました裁定の線に沿いまして完璧なものであるということを言っておるのでありますが、野党側においては、さようでない、こう言っております、私ども見ますと、これは主文第一項で明らかだと思っております。なおそれについておりまする理由書の三にございまする、将来予算単価と実行単価の格差をなくさなければならぬ、この格差が合理的に縮小さるべきだと書いてあるが、この将来という文字がどう解釈さるべきかという点に一番問題があるように聞いておる。われわれこの委員会における論議を聞いておると、そうとれる。そこでこの二つの点を中心に、時間もないようですから、簡潔に一つ御質問をさしていただきたいと思います。 まず第一点としてお伺いいたしたいのは、裁定書を拝見いたしますと、主文がございますが、この主文をそのまま読みますと、予算単価に千二百円を足せばよろしい、こういうふうに読める。ところがそのあとでいろいろ理由書がございますが、法律解釈としては、この主文の解釈が裁定である、かように読めるのでありますが、先生はどうお考えでございますか。
○藤林参考人 その通りです。
○小坂委員 そういたしますと、その理由書にいろいろ書いてございます。これは私どもの解釈は、今申し上げたように、法律的には予算単価プラス千二百円、これで尽きておるのでありますが、この理由書を読みますと、なお相当程度の改善をすべきであるとか、あるいは各関係機関がよく協議をして話を進めろというような理由が書いてございます。しかしこれは理由とはなっておりますけれども、これは何か今の主文がきわめてはっきりしておって、現実に国鉄の例をとりますと、すでに六百円という第一項確定分というものがその中に認められている。千二百円の中から第二項確定分と昇給分を引いたその残りということになりますと、八十円しか残らないというような考え方になって参りますから、これではあとの理由書というものが少し読みかえられるように思う。これはやはり別個の解釈のようにもとれるのでありますが、その点どうでございましょうか。
○藤林参考人 今の御質問の点でございますが、実は裁定が出されましたいきさつを一つ御勘考願いたいと存じます。御承知の通り、裁定はこの前に調停案の取扱いがございまして、その調停案では問題がおさまりませんでしたあとに、仲裁裁定の審議が始まっております。調停と仲裁はまるきり別でございますけれども、しかし問題の連続から言いまして、一応われわれは実質的にはかなり関連を持たせておりますことが一つと、それからさらに仲裁委員会は——調停委員会の場合でも全般的には同様でありますけれども、仲裁委員会は同一人が十件の仲裁をいたします。案件は一つずつ違うのでございますけれども、よしあしはともかくといたしまして、労働問題の解決としては、公社及び現業おのおの特殊事情があって、当然出される内容が異なっておってしかるべきだというのも一つの考え方でございますけれども、ことに日本の労働問題は、横をにらむ、また横をにらまなければ問題の解決にならぬという面がかなり強うございます。そういう面もございますので、それらの点を御勘考下されば、おのずから——予算単価に千二百円を乗せる、仲裁裁定としては、これが乗せられる、そういうふうな措置が講ぜられる限りにおいては、それでよろしい、先ほど簡単に御返答申し上げましたように、その通りでございます。ただし現実の問題は、今申しましたような二つの点を御勘考下さればおのずからわかっていただけますように、その結果、極端なことを言いますと、裁定主文第一項及び理由第一に従っていけば、国鉄の場合に例をとりますと、予算単価と実行単価との間の差五百二十円は、まるきりゼロになってしまっても差しつかえないようにも読めるわけでございますが、しかしそれでは先ほど申しましたような状況の中での労働問題の解決にはなりません。そこで仲裁委員会といたしましては、労働次官の名前で政府から質問を出されましたのにお答えをいたしまして、相当程度云々というお答えをいたしたゆえんでございます。率直に申しますと、若干不分明の点もあることは、仲裁裁定の中にも文言をもってしるしました通りでありまして、一般的な趣旨から申しますと、そのようなことになろうかと存じます。
○小坂委員 御苦心の点はよく拝察できますし、仲裁をなさいます立場からの性質上、相当程度の現実的給与改善の措置に望まれているお気持もわかるのであります。なお今後段のお話にもありましたが、この仲裁の中に着手不分明の意がある、これは私どももさように思いますが、決してそのことをもって私はどうこうと言うつもりはございませんで、その不分明な点のよってきたるゆえんは、三公社五現業の給与の実態そのものが実は不分明であるということからきているのでありましで、これは明敏な藤林委員長としても、なかなかつかみにくい問題についてそのものずばりの裁定を出すということはなかなか困難だろう、これは十分わかるのであります。 そこで次にお伺いいたしたいのは、こういう裁定を出すからには、それについていかなる財源措置もをするか、こういうような点についてはお触れになっておられないように読むのであります。これは当然のことでありまして、そうした予算措置あるいは財源措置というものは、政府ないし国会のやるべきことである、かように心得ておるのでありますが、これはいかがでございましょうか。
○藤林参考人 お説の通り、裁定の中に、予算措置につきましていろんなことを申し上げてはいないのでございます。というのは、申すまでもなく、予算措置は政府がおやりになることでございまして、仲裁委員会がおこがましくもこういう点について指示を申し上げる筋もないと思っております。そして、政府で予算編成をなさいましたものを国会がおきめになるわけでございますから、そういう政府の予算編成、国会の議決をなさいますことにつきまして、仲裁委員会はどうこう申し上げる筋は毛頭ないということであります。
○小坂委員 そういたしますと、今回の裁定を具体的に実現しまする措置というものは、政府当事者にゆだねておられる、かように解しましてよろしゅうございますか。
○小坂委員 その通りでございます。
○小坂委員 政府は、この仲裁の解釈についていろいろと協議をいたしまして、明確でない点につきましては、文書をもって問い合せておるのでありまするが、この文書で問い合わせたものにつきまして御返答があり、その結果に基いて政府が今回の予算措置をしたのでありまするが、これをごらんになりまして、仲裁委員長として、非常にあなたの意思が曲解された、ないし不十分であるというふうに思われる点はございませんでしょうか。
○藤林参考人 一昨日、衆議院の社会労働委員会に参考人として参りまして、その際に、今回の借款裁定に関する予算措置は果して誠意をもって行われたものかどうかという御質問がございました。その際、私は、相当誠意をもって政府は御善処なさったものと考えるという答弁——答弁と言いますか、意見を申し上げました。果して誠意をもってなされたか、非常に不誠意であるかどうかというような御質問に対しては、決してそういう不誠意でもってやられたものとは思っておりませんということをお答えいたしました。
○小坂委員 相当程度の誠意をもって実行されたものと考える。すなわち相当程度満足すべき結果であると委員長としてはお考えになっていると思うのでありますが、これにつきまして、予算の定員について増額するというような財源措置を示されておらない。これは、先ほど財源措置の点についてはお触れにならぬということでございますからもその点もさように了解して差しつかえございませんか。
○藤林参考人 その通りでございます。
○小坂委員 なお今度は、私自体が考えたというよりは、先ほどちょっとお話しになりました、社会藤堂委員会の質疑を通じて問題になっておる事項に触れたいと思いますけれども、ここで一番問題として取り上げられていい問題は、理由書の第三項に書いてありまする、予算単価と実行単価との差はできるだけ将来において合理的に縮小するような措置をとるべきだ。またそのことは制度上または実行上関係当局者において留意をする必要がある、こう言っておられる点でございまするが、私はこの理由書を拝見いたしまして、こうした委員会の討論を聞くまでは、きわめてすなおにこれをそのままに読み下しておりまして、将来と書いてある以上、将来できるだけ早い機会にこの格差の縮小ないしは格差をゼロにするということを政府はやるべきだというふうに読み下しておったのでございますが、そういうふうに私が読むのは間違いでございましょうか。
○藤林参考人 実は一昨日も将来が問題になっていたのでございますが、仲裁委員会が裁定書に書きましたところの将来というのは、きわめて常識的な意味で書いておりまして、言葉をかえて申し上げますと、今直ちにその一部ないし全部を措置するという意味には——そういうつもりでは仲裁裁定の理由書第三なるものを書いているのではなかった、そのことはきわめて明確でございます。
○小坂委員 委員長のお話ですと私の読み方が悪いかもしれませんが、今直ちになるということは、そうすると無理に格差を縮小して、その結果減俸になる、こういうような場合を含んで委員長はお考えになって、うっかりそんなものに返事をすると、それじゃ減俸でもいいと委員長が言われた、こういうふうに言質でもとられるといけないと御警戒になっての御答弁でございましょうか。私はそういう意味でなくして、将来できるだけ早い機会にやれということであるならば、できるだけですから、今できるものなら今からやってもいい、今やることを拒否するというものじゃない。今できるなら今やってもいいし、格差というものは本来あるべきものじゃないから、できるだけ早い機会に調整しろ、こういう趣旨に読み下しているのですが、どうですか。
○藤林参考人 お答えをいたします。確かにその部分は、予算単価と実行単価との間に、国鉄について例をとれば五百二十円の差がある。これは私がしろうと流に考えても、どうもこういうことが持続的にあることはおかしいのではないか。従って、合理的に将来これが縮小するような制度上、実行上の措置をおとりになることがいいのではないかという意味の、いわば希望的な言辞というか、勧告的なことを期待して申し上げたのであります。従いまして、この部分はそういう性質のものでございますので、将来が今日を含むかどうかという問題でなくて、政府はこれを一日も早くやるべきだというよりに御処置なさることにつきましては、私は理由第三の今申しましたような性質から申しまして、それがはなはだけしからぬものである、いけないのであるという仲裁委員会の立場ではないということを申し上げます。
○小坂委員 非常に明瞭に御答弁いただきまして、これなら問題はないと思いしますが、なぜこういうようなことが問題になったかと思って、先ほどからここで傍聴しておりますと、実は横山委員の質疑というものが、速記録を読んでおられたので、聞いて初めてよくわかったのでありますが、何かこの裁定理由書を藤林先生がごらんにならなかったかもしれぬということの御質問で、私も藤林先生の生一本な性格をよく知っているつもりであるますから、そこでこの方をむしろ主として反駁された、常識的な、将来には現在を含むか含まぬか、将来と書いてあるから、現在やることは間違いだというような、そういう自明のことに対する質疑は、もとより将来にやってくれということは、常識的に、今回できるものもあれば今回やってくれ、しかし今回一ぺんじゃ——格差が、五百二十円も開いている、こういう大きな格差を一ぺんにやっては無理だから、できるだけ早くと言ったんだという意味を明確に答えられないうちに、あなたがこれを見なかった、これは仲裁委員長の非常な責任だと言われたので、そちらの方に重点を置かれてされた答弁が、何か新聞にも非常に大きく取り上げられて、あなたが、あたかも今の御答弁に相反するような答弁をされたように伝えられている、この点どうですか。
○藤林参考人 ちょっと今のお言葉は——私は口下手でございますのであれでございますが、重ねて恐縮でございますけれども、私の見解を申し述べさしていただきたいと存じます。先ほども申しましたように、将来措置するということは、仲裁委員会としては、その文字通り将来のことを申し述べているつもりでございます。しかし、これはそれじゃ今やっては絶対にいけないのかと言われますと、そのものの性質上、われわれはこういう不合理と考えれらるようなことは、将来合理化するような御努力をなさる方がよろしいのではないかということを付帯的に申し上げているのであります。従って、これを今直ちにやってはいけないかと言われると、それはいけないとは私の方でも申しかねております。それは、政府が御自由になさったことについては、どうこう言う筋はありません。しかし仲裁委員会としては、その趣旨はどうだと言われるならば、仲裁委員会の希望なり趣旨なりは、文字通り将来御措置なさるのがよろしいのではなかろうか、こう申し上げたということでございます。 それからこれは実は御質問にならないのをお答えするのもどうかと思いますけれども、例の国鉄についていえば、五百二十円の三分の一を引くとかどうとかいう問題とからみ合っての問題でございまして、このからみ合いの問題につきましては、一昨日も私がお答えいたしましたように、これは私の推測でございます。と申しますのは、予算措置について詳細な説明を私は公式に聞いておるわけでもございませんし、その結果、計算上どのような数字がここに現われるかは明確には私も知っておりません。従いまして、三分のなのかどうなのかというようなことも、私は今日明確にわかっておりませんが、しかし問題になっております部分は、おそらく主文第一項及び裁定書の理由第一に従って、この点にウエートを置いてということと、それから先ほど来繰り返してお答えいたしましたよりに、不合理な開きの部分は将来合理的に云々という趣旨がそこにあるから、その将来を今日も含めて政府が措置をなさったのだ、こういうことではなかろうか。その将来云々については、裁定の全体の趣旨から見まして、これは勧告的な部分であるので、政府がそうなさったから、私たち仲裁委員会としては、それは間違っておりますとかどうとかいう意見を申し上げる筋はありません、こういうことでございます。
○小坂委員 理由書は勧告的な部分であるということをまた重ねておっしゃいましたから、勧告的な部分については、いろいろ議論するつもりはございませんけれども、今のお言葉ですと、何か現在やることは別に禁止的な意図は含まぬが、将来に向っての方をより多く希望しておるようなちょっと語感があるのですが、もしそうだとすると、理由書の第一項にございます今度の改訂後の給料は、公務員については一万九千二百三十円となり、人事院勧告の二十九年度の予算単価に比して一二五・五%アップする。国鉄の仲裁裁定の単価は一万九千二百九十六円となり、仲裁裁定の予算単価に氏しやはり昭和二十九年一月を基準として一二三・五%となって、やや低めになるから、人事院勧告の趣旨にも反しない、こうおっしゃっておることと少し違うように、大へん失礼ですが、私はそんな感じがいたすのですが、どうでしょうか。
○藤林参考人 その点にお答えするつもりで、先ほど仲裁裁定が行われました二つの事情を申し上げたわけでございます。紋切り型に考えますと、そのような御質疑と申しましょうか、御主張と申しましょうか、御意見が生れてくることも十分知っております。
○小坂委員 仲裁をなさる立場は、紋切り型ではできぬのでございますから、その御苦心はよくわかる。しかし政府の立場もございますし、財源全体の立場もございますし、国会としての考え方もあるわけであります。そこで先生の御意図も、もとより政府のやった措置も勧告を含めて相当誠意が認められるし、仲裁をやったものとして相当程度満足である、かように私ども考えますが、さようでよろしゅうございましょうか。
○藤林参考人 それでけっこうでございます。
○小坂委員 最後に時間があまりないようですから、一問だけ申し上げますが、欠員の問題でございます。これは実行定員と予算定員とにこうした差があるということは実にわれわれ考えるとおかしなことだと思う。これは予算の査定をする私どもの責任でございますが、これは非常に技術的な部門に関係があると思う。たとえば電気器機を扱う電電公社の場合などを考えてみると、これはマイクロ・ウェーブというような非常に革命的な機械操作が導入される。そうすると、従来の予算定員の頭というものは相当変っていいわけですね。そういう頭でなく審議をしていたわれわれは愚かであったと思いますけれども、今回を機会として、やはり定員というものを、ある程度実際と予算とが合うようにしていかなければならぬというふうに思うのでございます。そこで今度の裁定をめぐって、予算定員を基礎として、それに今裁定のあったこの金額を全部かけて、それで総額を出さなければ完全実施といえないじゃないか、こういう議論も一方にあるわけです。しかし、これは実際問題として、今言うたようなべらぼうに食い違ったものを縮小するという建前からいって、実際の欠員を調べて、それに裁定の単価をかけていくという政府の措置は、これは私も議員として参考に伺わしていただきたいのですが、妥当なものではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○藤林参考人 先ほどもお答えをいたしましたように、仲裁裁定は、予算の組み方について何事も申し上げておりませんし、また実は予算を御編成なさるのは政府の御責任においでなさるのでありまして、仲裁委員会がどうこう言う筋は毛頭ございません。ただ、今おっしゃいましたように、参考のために意見を求めるとおっしゃいますから、一昨日も多少のことは申し上げましたので、若干申し上げますと、今回の仲裁裁定の中で、理由第三に、予算単価と実行ベースが著しく差のあることはおかしい、これは将来合理的に縮小されることが望ましいという文章をそこへ書きましたのは、やはり全体としての公社及び現業の給与予算が合理化されるということの方が、私たち今後公社及び現業の給与問題を取り扱っていきますものからいいますと、好ましいことは申すまでもないのでございまして、今おっしゃいます定員問題その他の問題も、広い意味で給与予算の合理化という線に沿っておられると私も思いますが、そういう工合に政府が御処置下さるならば、われわれもこれを大いに歓迎して考えなければならぬ、そういうことであります。
○小坂委員 時間がもうわずかですから簡単に申し上げますが、その定員の点では、ある部門では予算定員と実行定員とに非常に差がある、欠員がうんとある。そこで国鉄などの方は、むしろ定員が乏しいから基準外の超勤その他で埋める、こういうことになって、今政府の措置を非難している人たちの言うごとくに、実行単価に千二百円、千二百円の中からもちろん第一項確定の六百円は引くのでありますが、そういう考え方でいきますと、さらに三公社五現業の格差がはなはだしくなる。ということは、さらに次の裁定をむずかしくする。そういうことで、各公社の間に実際の給与の格差がさらに開くということは、今度はまた来年でもごやっかいになることだと思いますが、今度裁定なさる場合、さらにこれをむずかしくするということの意味から、政府のやっているこういう措置は、現実的に見て万全ならざるも、これが最善ではないかというふうに考えるのでありますが、先生の御感想を承わらしていただきたいと思います。
○藤林参考人 感想とおっしゃいますから感想を率直に申しますと、私は調停にいたしましても、仲裁にいたしましても、いろいろ労使双方及び政府で御配慮下さることははなはだありがたいのでございますが、将来の問題に関しましては、こういう争議の調整者は、現状ありのままでやりますから、どのような現状がございましてもけっこうでございます。
○小坂委員 なかなか名答弁で弱りましたが、将来のことで、私一言だけ希望いたしておきます、将来の問題としては、今度は一つ裁定は実行賃金プラス幾らというふうにやっていただきますと、われわれもこういうところへ先生をお呼び出ししなくて済むのでありますから、どうぞそのようにお願いしたいと思います。御返事があれば承わりますし、そうでなければ、私も与えられた三十分がちょうど終りましたから、これでやめます。
○藤林参考人 今回予算単価を用いましたのには、これはここで申し上げないでおきますが、いろいろ理由があったわけでございますが、今後このような著しい開きが縮小されていきましたあとにおきましては、お説のようなことも容易にできるかと存じます。しかし、またそれがあまり開かないということになれば、予算単価も開いてもよいということになると思いますが、開かなければ問題がなくなりますから、いずれでもよろしいかと思います。
○小坂委員 予算単価と実行単価が開かないように私どもも努力いたしたいと思います。 私の質問はこれで終ります。(拍手)
○山崎委員長 横山利秋君。
○横山委員 先生には何回も何回もおいでを願いまして、まことに私ども恐縮でございます。先ほどからの先生の御説明を聞いておりまして、先生のお立場もよくわかる気がいたします。ただ私どもが審議をするに当って、一体労働者に賃金が幾らいくのか、幾ら裁定は出せと言っておるのか、そういう点を明確にいたしませんと、予算を審議するのに非常に困るのであります。ですから、私は今先生がおっしゃったように、予算については私のあずかり知らぬところだ、こういうような意味をおっしゃったのでありますが、別な角皮から、それでは仲裁裁定は労働者に幾ら金を出すのか、幾ら支払えと命じておるのか、こういう観点からお伺いをしたいと思うのであります。 この間、私は社会労働委員会で先生にお伺いをいたしました、今小坂委員が見ておる、見ておらないということが、何か逆な立場で言われたようでありますが、これは誤解であります。私は、今そこに先生は見ていらっしゃいますかと言って聞いたのですが、先生はちょっと誤解なさったのですが、それは別としまして、私の質問はいろいろなことを抜きにして、最終的にお伺いをするいろいろなことを抜きにしてと言ったことは、政府にも文書が出た、組合側にも文書が出た、国鉄側にも文書が出た、この三つの文書か境にして問題がいろいろ輻湊したから、その三つの文書が出たということを中心にして、最終的にそれではお伺いをするというわけで、公文書でも明らかなように、昭和二十九年度の調停案に基いて二百八十円の給与是正を実施した額、第二番目には昭和三十年度の調停案に基いて定期昇給を増額実施した額、この二つの額の合計額を一体引くのか、引かないのかという公文書に対して、将来の問題として措置すべきである、こう書っておる、従って将来の問題ということは、先ほどお答えになったように、ことしの問題を含まない、そういうふうに労使双方は文書を理解しておる。その文書の理解で差しつかえないかということを最終的にお伺いしたい。従ってイエスかノーかということを、仲裁委員会の権威にかけて明快にしてもらいたい。言うなれば私の賛同は、労働者はこの三分の一引かれて給料をもらうのか、三分の一引かれないで給料をもらうのか、こういうことを最終的にお伺いしたのであります。先生はそれに対して、それはその通りなんですということをお答えになりました、その点を実は本日もっと明らかにいたしたい、こう考えているわけでございますが、いかがでございましょうか。
○藤林参考人 今の御質問の本筋にお答えする前に、若干誤解されておるようなところがございますので、その点を一言申し上げておきたいと思います。私は、先ほど、仲裁裁定は政府の措置をされます予算関係の問題については何も申し上げる筋はないと申しましたが、それは、小坂委員の御質問にありましたように、予算定員がどうであるとか、あるいは千二百円を基準内賃金の予算に乗せるのにどこからその原資を持ってくるのか、こういう問題について仲裁委員会が何も具体的に答える筋はありませんということを実は申し上げておるのでございまして、仲裁裁定第一項の基準内賃金の単価に千二百円を乗せるという予算措置だけは、これはぜひ講じてもらわなければならぬということは、もう当然のことであります、その点、一つ誤解のないようにしていただきたいと思います。 さて今の問題でございますが、国鉄当局の質問に対し答えましたのは、昨年の二、三月に行われました調停の第一項確定分及び今後の昇給原資は千二百円の原資の中に入っている、それ以外のものは入っていない、御質問の趣旨は、それ以外のものは入っていない、そしてこれらは予算単価と実行ベースとの開きを構成している部分だけれども、この部分は将来において漸次これを合理的に縮小するようにするというのが、先ほど来小坂委員の御質問に対して私がお答えをいたして参りましたように、この点は仲裁委員会としてはきわめて明瞭であります。ただ結論的に、しからば今回国鉄、電電、その他専売及び他現業の場合に一体幾らベース・アップになるのかという計数の問題になりますと、政府の質問に対してわれわれが答えましたように、相当額と言っておりますのは、一つは先ほど来こまかい予算措置の結果一体どういうことになるのかもよくわかりませんし、それから一昨日は申し上げませんでしたが、率直の話、実行ベースというのは、人員構成が若干幅広く変動でもすれば、すぐにベース・ダウンになるようなことも、これは民間の労働組合の場合などにはありまして、われわれがしばしば遭遇することでございます。従って四月の状態において一体どれだけの実行ベースになるのかということは、私たちも容易に推測し得ない点でございます。それから予算措置そのものも明確にわれわれは聞いておりません。新聞でわれわれ知っておる程度でございますので、果してこの両者をかみ合せれば、今度の場合は国鉄、電電その他の公社現業について一体何千何百円ベース・アップになるのか、あるいは何百何十円のベース・アップになるのかということは、私たちにきわめて明瞭に計算ができないということで、相当額とかなんとか、若干印象的には仲裁委員会がごまかしておるのではないかという工合にあるいは思われるかもしれませんが、実は率直に申しましてそういうことでございますので、明確には申し上げかねる。 それからもう一つは、先ほど来お答えして参りましたように、これは組合側の方々といえどもそういう点がはっきりしていないだろう、大筋のことは申しても、実際に一体何日何十円上るのかということは、そう容易にわからないだろう、もちろんこれを具体化される場合に、労使双方御相談、御協議をなさるその結果、どうも意見の食い違いが多少あって問題がおさまらない場合には、仲裁裁定の第四項に書いておきましたように、仲裁委員会は何らかの仲介の労を場合によってはとらざるを得ないというような事態も、往往にして発生するかもしれないが、そういう場合にはそういう労をとることによって仲裁委員会として締めくくりもできようか、こういう工合に思っておるのでございます。
○横山委員 おっしゃることごもっともでございますが、私がお伺いしたい点は、先ほど小坂委員にお答えになったように、五百二十円のうち三分の一は——先生は、先ほどこれは仲裁委員会の見解として問われれば、三分の一は将来の問題としてさしあたりは引かない方がいい、しかし政府のやったことについては、第二次分については私は言おうとはしない、こういうお話でございました。私が今お伺いしておるのは、また国会があなたにお伺いしておりますのは、その三分の一を仲裁委員会としては引いた方がいいと思っておるのか、引かない方がいいと思っておるのか、こういう見解を一つ明快にぴしりとしていただくためにおいでを願ったわけであります。仲裁委員会としては、三分の一を引くべきであるか、引かざるべきであるか、この点を先生に重ねて御明確に願いたいのであります。
○藤林参考人 明快にお答えしますが、(笑声)べきであるかどうかということは仲裁委員会としては言いたくもありませんし、また言うべきではないと実は思っておりまして、先ほど来そういうお答えをしたわけでございますし仲裁委員会としては将来こういう問題は措置をされるということを期待いたしておりまして、きわめて明瞭でございます。しかし政府がそういう措置を今から実は部分的にやっていこうという御措置をおとりになることについて、それはべからざることであるのだということは、仲裁委員会としては申し上げかねるということでございます。
○横山委員 重ねて恐縮でございますが、私は今先生に政府の措置をお伺いしているのではないのであります。これは仲裁委員会が裁定をお出しになって、それに若干の疑義が生じて、この意味はどういう意味ですかという質問が出た、それに対して先生が公式文書でお答えになった。その公式文書について社会労働委員会でもう一ぺんお伺いをしようということになった。そして先生がお答えになったことは、将来というものはことしを含まないということをお答えになった。それで私がお伺いしているのは、重ねて言いますが、仲裁委員会としてはことしを含まないという公式文書が出た事実を私どもは重視しているわけであります。そこまでが国会が先生に求めておる答えでありまして、その以後の問題、この中から計算をしてどれくらいの財源が要るかどうかということは、先生のおっしゃるようにわれわれもまた一生懸命計算をすることになるわけであります、何か私どもが先生に政府の態度をどう思うかと言って聞いているように、先生が誤解していらっしゃるとするならば、これは別でありまして、私どもが聞いておりますのは、公文書として出ました文書では三分の一をことし引くか引かないか、どちらとしてお答えになっておられるのかということをお聞きしたいのであります。
○藤林参考人 お答えをしました文書の中では、三分の一はことし引いてもいいという意味は入っておりません。 いま一つついでに申しますと、予算単価と実行ベースの開きを将来合理的に縮小すると言っておりますことは、労働問題の取扱いの立場にあるわれわれから言うと、文字通り将来漸次縮小していただくというのが当然の趣旨でございます。そうかといって政府が将来を来年からというのでなく、今から幾分ずつおやりになるということについて、それははなはだいけませんからやめなさいということを、私の方ではその部分に関する限りは言えない、こういうことでございます。
○横山委員 将来格差縮小の措置をとれと言っていらっしゃる、こういう格差を縮小する措置というのはどういうふうにお考えでございましょう。予算単価と実行単価が食い違っておる、これは現実であります。いい悪いの問題については大いに議論がありますが、事実として予算単価と実行単価が食い違っておる。この実行単価は先生の非常なごあっせんによりまして調停に出、調停案が出て、労使が団体交渉をして、調停案に基いて妥結をした結果として実行単価ができておるのであります、公労法に基いて実行単価ができておるのであります。これの将来の格差縮小の措置は二つあると思います。一つは実行単価を予算単価に落すことであります。もう一つは予算単価を実行単価にさや寄せさせる道でありますしそのどちらを格差縮小として仲裁委員会としては理解していらっしゃいますか。
○藤林参考人 結果的には同じことじゃないかと私は思います。問題は実行単価が一万九千五百円、それを突如として三百円差し引いて実行ベースが一万九千二百円になるんだということで、予算単価に実行ベースをさや寄せするんだということは、労働問題から言うときわめて不穏当でございます。従って将来合理的に縮める場合にはどうするんだといえば、予算単価と実行ベースと二つの場合があると思いますが、どっちから申しましても結果としてくっつくことは事実なんです。今私が例にあげましたように、労働問題はベース・ダウン——物価が一割も二割も下ったということが万一あれば別問題でありますけれども、そうでない以上は事実ベース・ダウンが行われることは労働問題の処置ではないと私は思います。
○横山委員 ごもっともであります。特に私が先生にお伺いしたがったゆえんのものは、実行単価というものは調停案に基いてでき上ったものなんです。調停案に基いて協約、協定ができ上って、それが実行単価になっていったものであります。それは公労法に基いて行われたものでありますから、公社と労働者の間に御存じのように債権債務が生じているのであります。債権債務の生じたものをなくしてしまう、こういうことは考えられないように私は思うのであります。予算編成のときに、その協約、協定に基いて予算単価を修正していくということが、本来的な立場ではないかと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
○藤林参考人 そのものだけを言われますと、その通りだと私は思います。予算単価の方が実行ベースに近づくのが当りまえであります。ただしかしこれは具体的な当面の問題といいますか、私どもが問題を投げ出しました予算単価と実行単価の差を合理的に将来縮小する、一体どういう工合にこれを縮小するのかという問題がここにあるのですが、その際に、先ほど私が例示しましたように、突如ほんとうのベース・ダウンになるような措置はとれない、従いまして来年ベース・アップについてどう措置するかということを、ここで私が口約束を申し上げることも不穏当だと思いますから、そういうことは一切口にはしていないのですけれども、今申しましたようなベース・ダウンになるというような措置をしないで、予算単価と実行ベースがくっつくような措置が当然将来においても出てきて、そしてそういう形で両方がくっつき得る、いろいろな方法がその際にも私は具体的にあると思います。
○横山委員 先生はもうすでに十年くらい調停委員長をやり、あるいはまた今度は仲裁の労をおとりになるわけでありますけれども、国鉄、私鉄そのほかずいぶんの調停あっせんの御苦労をいただきました、先生の労働法学者としてのあり方、並びに実際に調停をおやりになった立場で、しばしば御意見を拝見、拝聴したのでありますが、今日の国鉄について、先生が公労法を改正すべしと御主張なさったことや、あるいは公社の当事者の能力がないという御主張をなさったことをしばしば私は拝見しているのでありますが、公社の公共企業体の自主性、それから公社当局の能力性についてどういうふうに今お考えでございましょうか、参考のために拝聴いたしたいと思います。
○藤林参考人 これは実は非常に大問題でございまして、計画的な観点から申しましても、産業企業等のあり方から判断をいたしましても、しごく大問題でございます、公社のあり方がどうであるベきかなどという問題に、そう軽々に意見を述べるのは適当であるかどうかと思いますけれども、事、労働問題に関する限りについて言えば、一応公社ということになっている以上は——かつて私はもっと激しく言ったこともありますので、これを御指摘にたったのだろうと思いますが、今日といえども仏はやはり公社の給与問題の措置については相当自主性があってもいいのじゃないか、もしも自主性が完全な意味の——と言うのは少し語弊があるかもしれませんが、相当程度自主性があればこういう予算の問題につきましても、もう少しすっきりしたものがかえって現われてくることにあるいはなるかもしれないというような、若干希望的な観測は持っております。
○横山委員 先生のお話は私もきわめて同感でありますが、今の第一次確定、第二次確定分、いわゆる俗称やみ賃金といいますか、国会においても政府機関はやみ賃金はないということを全部強調して言われたのでありますが、こういう問題が生ずるゆえんのものは、先生のおっしゃるように、自主性がないためにかえってまずい点がここに出てきてたのではないかという判断と、もう一つはこういう問題が出てくるからもっと締めつけなければならぬという判断と両方あるわけであります。今度予算総則で、御存じかもしれませんが、給与総額を基準内と基準外の二つに分けて、その移流用は主管大臣なり大蔵大臣の承認を得なければならぬ、こうい予算総則案が出て、参っておるわけであります。こういたしますと、国鉄、電通、専売公社等の総裁はますます当事者たるの能力、団体交渉の当事者たるの能力というものを失ってくる結果になる。かりに先生がごあっせんをなさり、調停をなさり、仲裁をなさり、仲裁をなさるときに、公社の総裁は一ぺんこれは運輸大臣、郵政大臣、大蔵大臣に聞いてこなければ何とも言えません、こういう返事が必ず出るだろうと思うのでありますが、こういうあり方については、ただいまお話を聞いて、やっぱり好ましくないと思うのでありますが、いかがでございましょう。
○藤林参考人 まさに先ほど私が申しました意見からいうと、悪循環だ、逆行だというような感じがいたします。ただしおのずからそのことが起きてくるのには、火のないところに煙が立たぬというので、理由があるわけでありますから、私らこういう労働問題の中に入ります者から言えば、今後公社の労使双方が私らの言うことをもう少しよく聞いて下されば、だんだんよくなるのじゃないかという希望を持っております。
○横山委員 先生のおっしゃるもう少しよく聞いて下さればという意味が、どういう意味だか私にはよくわかりませんが、結果的に申しまして、今回問題になりました協定、協約は全部先生のごやっかいになったものであります、御存じのように、今度問題になりました協約、協定は調停を通じ、仲裁を通じて出てきたものであります。先生のごやっかいになって出てきた協定なり協約はかりであります。二十九年度賃金、三十年度賃金、それが片づかなくて一年も延び、二年も延びて、そうして最終的に協定となって現われたものであります。私は別に先生に責任を転嫁する気持は毛頭ございません、ただ事実として先生のごあっせんによって出てきた協約、協定というものは、今日話題の中心になっておるのであります。先生のお出しになった調停案というものは、もちろん確たる金額を明示されたものではございません。こういう方向で団体交渉しろとかいう内容も含まれております。しかしそのお作り下さったベースで労使が団体交渉をして、そこで協定が生まれておるのであります。そういうような点から考えますと、これによって生じた協約、協定が三年間で烏有に帰そうとしておる。この点は非常に公労法上重要視される問題だ、これは言うならば今日までの調停あるいは仲裁の経緯と申しますか、努力というものを水泡に帰そうとしておるとすら私は思うのであります、これは三分の一の引き方、やり方が問題であります。別に先生に抗議を申すわけではない。格差の引き方がもしもベース・タウン的なやり方をいたしますならば、その間の調停の経緯というものが全然なくなってしまって、公労法上の団体交渉権がここに消え去るという結果になるわけであります。そこのところが私は藤林先生の見解をお伺いしたいところであります。
○藤林参考人 どうも初めの力のお前の世話になった調停でやってきた、それがこのごろおかしくなったのだとおっしゃいますけれども、その点はよくわかりません、思い出せば数年前に公労法が実施されました当時、私は国鉄の中央調停委員長でありました。二年半の間に記憶に間違いなければ合計八回の調停をいたしましたが、八回とも国鉄労働組合は私の調停案をおのみ下さいました、一回も拒否されたことはありません。当局が拒否されたことはしばしばありましたが、国鉄労組は拒否されませんでした。このことは今の御質問とは若干よけいのことでございますが、私は民間労組の調停あっせんも長い間やってきておりますが、この二年半にわたって八回の調停をして、労働組合が一度も拒否されなかったということについては、その労働組合の態度に私は非常に敬意を払っておる。その後はそうでもないので、どうも若干遺憾なような気もいたしております。そればかりでなく、いろいろ問題もあるようでありまして、私も最近の動きは若干遺憾な点もあるような印象を受けております。それはそれといたしまして、今おっしゃいました最後の点で一言申し上げますと、将来の予算単価と実行ベースの合理的縮小云々という問題につきましては、ここで来年、再来年どういう工合にやるのかという具体的なことを、極力言うことを私は避けておりますことは、何か仲裁委員長が予算委員会でこんなことを去年言ったではないか、ということを言われますと困るから言わないのですけれども、かりに例として言えば、実際のベース・ダウンになるような措置はいけない。しかしいろいろな措置はある、たとえば問題が調停、仲裁を経て、かりに五百円のベース・アップをすべきだ、しかしその五百円の中には従来の三百円だけは入っておるんだという仲裁裁定がもし出れば、そこでも措置ができるわけです。要するに何か給与改善が行われる際に、こういうことが行われていく、今回も形からいえばそういう形なんです。実際のベース・ダウンというような措置は、これはもう繰り返して申しましたように、労働問題の措置としては非常に不穏当であろうと私は思います。
○横山委員 それでは質問も終りに近づきましたので、最終的に先ほどの問題を、重ねてえらい恐縮でありますが、お伺いしたい。本日先生においで願って、小坂委員と私とが二人して別別な角度から質問をいたしました。小坂委員と私とに共通にお答えになったことは、仲裁委員会としては五百二十円の三分の一を今直ちに引くということは好ましくない、こういうことに理解してよろしゅうございますか。
○藤林参考人 繰り返して申しますと、好ましくないという工合におとりになってもよろしいと思います。というのは将来やって下さることを本来は庶幾いたしております。しかし政府が御措置をなさったことにつきましては、それがけしからぬのだ、いけないのだというようないことは、私の方で言う余地はないということを申し上げます。
○横山委員 わかりました。国会が客観的な立場にある仲裁委員会の皆さんの努力を高く評価しておるわけでありますから、その仲裁委員の皆さんに、政府のやったことに対していいか悪いか言えということは無理でございますし私どももそのように求めてはいないのであります、私どもの求めておりますことは、仲裁裁定の意味はどういう意味か、仲裁が出された文書の意味はどういう意味か、こういうことを承わって、そしてその自余の問題については、その材源の政府のとった措置は適当であるかということを私どもの議論としてするべきであろう、その意味では先生が仲裁委員会としての見解は五百二十円のうちの三分の一を今直ちに引くということは、これは好ましいことではないという証言をして下さったことを多として私の質問を終ります。(拍手)
○山崎委員長 明日は午前十時より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十分散会