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26回国会衆議院1957/04/23

予算委員会 第22号

発言数
133
登壇者
10
会派数
2
開催日
1957/04/23

会議録

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 これより会議を開きます。  昭和三十二年度特別会計予算補正(特第1号)を議題といたします。  質疑を続行いたします。吉田賢一君。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 防衛庁長官に伺いますが、受託調達の契約は、主管大臣はどこになり、またどの省が交渉してきたのでありますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 これまで防衛庁の方が交渉してきました。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 どこの主管ですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 防衛庁でございます。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そうしますと、受託契約の交渉は、防衛庁の長官がこれを従来もなし、また今後もなす、こういうふうに了解したらいいのですね。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 その権限はこれによって防衛庁長官に与えられました際、それを部下の職員に委任さしてやるということを考えております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 大体この契約は、いつから、どこで交渉を開始せられたのでありますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 駆逐艦の提供を受けたいということは、かねてから先方に申し入れておりましたが、本年の一月になりまして、域外調達で駆逐艦二隻を提供しよう、こういう意向が明らかになったのであります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そこであなたの方の交渉の経過からかんがみまして、これは契約の当事者はだれになるのですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 当事者といたしましては、私契約的な性質のものでございまして、日本政府を代表する防衛庁長官の委任した者と、アメリカ政府を代表する先方の契約担当官がする、こういう段取りになっておるのであります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 もう少し正確には、日本では政府を代表した防衛庁長官でめり、先方国はアメリカの政府を代表した何省ということになりますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 海軍省の契約担当官でございます。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 これは期限でもつけるのですか。もしくは名称は何という契約になるのですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 艦船調達契約というふうな名称に、たしかなっております。期限はございません。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 これは一種の請負の契約になるわけですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 一方で物資を調達するという意味におきましては、請負的な性格を持つようにも考えられるかもしれませんが、しかしこれは、その間に利益をとるというようなことのないものでありまして、一つの委任であるというように私ども解釈いたします。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そうすると、アメリカの政府が日本の政府に向って、艦船建造を委任する、こういう趣旨になるのですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 その通りでございます。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 臨時受託調達特別会計法案の附則によれば、防衛庁設置法の一部の改正があって、そうして私契約をする権限を防衛庁に授権するという趣旨が改正の文章になっておるわけであります。そこで一つあなたのお考え方をはっきりしておきたいのですが、もしきのう来の御答弁のごとくに、この日米の契約が私契約であるとするならば、これは今あらためで防衛庁の設置法を変えて権限を拡大して、つまりこういう趣旨の契約をする授権的な改正は必要でないのではないだろうか。授権立法は必要でないのではないか。必要であるというならば、やはりこれは相当重要視いたしまして、公けの性質を持っておるのでないか。こう思うのですが、その間どうも矛盾を感ぜられるのだが、防衛庁長官の御所見はいかがですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 この契約を、一体どこが主管するか、これについてその他のいろいろな事項をやるものは内閣であるということも考えられるのでありましょうが、この仕事そのものが防衛庁の行政事務に非常に関係が深いので、この事務を特に防衛庁において取り扱わせるという趣旨を明瞭にするために、この附則が作られた次第でございます。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 問題はそうではなくして、アメリカとの間にこの種の契約をするということが、単に土地の一部の賃貸借のような私契約の性質を持つておるのならば、かくのごとくに授権的な立法措置は要らぬのだろう、こういうのが私の考え方なのであり、よす。これはあとに回すことにいたします。この点はもっと明らかにしておかなければなりませんので……。  そこで進んで伺いますが、私契約であるとすれば、この結ばるべき契約の効力を決定する準拠法は、国内法によるのですか、あるいは国際法によるのですか。その点どうですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 御承知のように、外国との契約については、この契約そのものに準拠法を規定することもあるのですが、そうでない場合におきましては、国際私法の原則により行われることと考えます。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そうするとこの契約の内容として準拠法を明記するという方針なのか。その点いかがですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 これまでいろいろ内容について交渉して参りましたけれども、準拠法について特記するかどうかということについてはまだ話し合いがきまっておりませんので、この権限を与えられました際その点ははっきりしたいと思います。もしそういうことを全然書かないとするならば、国際私法の原則によってやる、そうなればその行為地である日本のものということになります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そういたしますと、この契約は、法律行為は日本でする、日本の国内法に準拠する、こういう考え方で進んでいっておられますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 この点はアメリカとの関係もございますので、さらに検討しなければならない点であると考えております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 もし国内法に準拠するということになれば、これはあるいは民法、商法などがあるわけであります。この民法、商法などによってこれを律していくという場合と、そうでなしに国際法的な立場でこれを律していくという場合とは、結果において法律の効力がよほど変ってくると思うのであります。たとえば不履行の場合あるいは紛争を生じた場合、あるいはクレームが起ったという場合は一体どうするのですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 御指摘の紛争については仲裁委を作ってやらせる、こういう考えでおります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 一般的に不履行の場合あるいは危険負担の場合、こういうときにはどうするのですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 私どもは今申しましたように、そういう案件はこの委員会で解決できると思っておりますが、しかし先ほど申しましたように、さらに法的に処理しなければならないという問題が万が一あれば、先ほど申しました国際法の原則というのは、何も国際法という意味でなしに、こういう私契約については準拠法をどこにするかということの場合、普通で申しますならば、輸出入品のような場合、FOBの場合は向うとか、あるいはCIFであれば受け取る側というふうになるのが普通でありますが、この艦船についてはこちらで建造するものでありますから、日本の法律によるということになるわけであります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 仲裁委員会はどこに設置して、構成は日本人だけでやるのですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 これも、これまで話し合って参りましたところでは、双方から委員を出して構成する、こういうことになっております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 日米両国人が仲裁委員会の構成員になるという場合には、もし不履行あるいはクレームなどの場合に、いずれに責任がありやということをきめるようなことは、契約の実行の上において相当重大な影響をすることだろう、こう思うのであります。そういう場合に、一方的に日本の法律のみによってこれを律していくということをあらかじめ予定しておくということは、これは米人が仲裁委員会に入るというような場合には、ちょっと一般的にそう簡単には考えられぬと思うのであります。やはりアメリカはアメリカとしての慣習もあり、また予算を使うのでありますから、予算を使う上におきましては、それぞれの方針あるいはその他対外関係における慣例等もあろうと思います。こういう場合もなおかつ国内法のみに準拠せんとするようなことは少し考え方が甘いのじゃないか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 まことに御指摘の通りでございますので、そういう意味で、私はこの点についてはさらに交渉むいたしましてきめなければならぬ問題が残っておると思います。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 これは文書化する予定なのですか、どうなのですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 契約を作ります。際には、もちろん双方、が署名をいたしまして書面にいたす考えでございます。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 もし国内法のみを準拠法とするということがお互いに合意されるならば、これは紛争、不履行等の解決についても相当根拠が当初から明確になっていきます。しかしそうでなしに、やはりアメリカの慣例、アメリカの法律等も相当考慮せられなければ解決の基準ができないようなことを今日想定するとするならば、もし造船会社、が設計仕様書その他契約の趣旨に違反するようなことがあった場合に、これを解決する上におきまして、今日準拠法がいまだ確定していないのでありますから、どういう方法で解決すべきかはまだはっきりと基本的な態度方針はきまらぬ。それは結局代金の支払いとかあるいは艦船建造の債務の履行とか、そういう上に重大な影響をもたらすことはもちろんであります。ことに代金の支払いという問題は、かかって直ちにアメリカの支出に直接につながっておるわけでありますから、しわはあなたの方は委任を受けておるのだ、防衛庁は委任を受けておるのだ、パイプでありますから、パイプの立場でこれを右する、左するということは、重要な点については困難であろうと思う。そういうときには、パイプを通り抜けた最終の造船所とアメリカとの利害が対立するというような場合、ここに解決の準拠法がまだはっきりしないというようなときには、アメリカの支出に直接影響してくることは当然であろうと思う。そういうことはお考えになりませんか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 今下請と防衛庁の関係に言及されましたが、その点はもちろん防衛庁と下請業者との関係でありますので、これはすべて日本の国内法によって律するわけでございます。そうしてまた支払い等につきましては、すでに御説明申し上げたような方法で行いますので、今御指摘のようなことは万々起らないと思いますが、しかし今の準拠法の点はさらによく検討いたしまして先方とも話し合いをいたしたいと考えております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 私の尋ねる点は、準拠法、が明らかにならない場合に、その影響するところは支出関係に影響してくると思うのであります。なぜならばアメリカの最大の義務は代金の支払いでありますから、代金の支払は直ちにあなたの方の予算の執行にも影響してくるわけなのであります。代金の支払いを左右する根拠法がまだはっきりしない面、がある。国内法に準拠する面もあろうけれども、あるいは仲裁委員会もでき、両国人がこれを構成する限りは、今お述べになり、また検討するとおっしゃるごとく、やはりアメリカの慣例、アメリカの法規、アメリカの調達の方式、そういったものもこれは相当取り入れなくちゃならぬかもしれません。こういうことを考えて参りますと、今の準拠法が明らかにならぬという点からだけでも、かなり今後の歳入の見積りについて確実性を欠く、不確実要素がそこに依然としてある。こう見なければならぬと思うのだが、いかがですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 御指摘の調達方式等につきましては、御趣旨の点は今度の契約に明記いたしたいと考えております。そうして歳入の方は、こちらの方の見積り、設計というようなものに基きまして、米国の方へ通達していくのでありますから、その点については物議をかもすことはないと思います。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 問題は防衛庁だけが仕事をするのじゃなしに、アメリカから委任を受けてこれを造船会社に請負契約をさす。請負契約があらためてできて、その相手方に不履行な事実があった場合は、不履行が問題になるし、紛争が起るし、そこにまた最初の注文者であるアメリカからクレームがくる、こういう場合には、仲裁委員会の活動となると思うのです。そういうときに、やはり日本の歳入その他予算執行上に直ちに影響することは論ずるまでもありません。そこで私が今伺っておるのであります。  大蔵大臣に聞きますが、予算説明に現われております歳入、受託調達契約収入金十二億六千六十七万六千円、これは大体どういう内訳になるのですか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 防衛庁兆間の結びます契約に基きまして年度割に一応仕事の進行状況を見て、そして向うからこちらに支払う金額を見ておるのであります。その内容につきましては、昨日もお話がございましたので、今調査して出すということになっております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 その内容につきまして防衛庁の方から口頭でいいから御説明願えませんか。

北島武雄防衛庁参事官(経理局長)

○北島政府委員 お答え申し上げます。  昭和三十二年度に計上いたしました金額は、十二億六千六十七万六千円でございます。これは二隻の艦船でございますので、一隻当りにいたしますと六億三千三十三万八千円ということに相なっております。この内容につきましては、船体部、機関、武器購入、設計費等に分れておりまして、船体部におきましては、材料費の船体にかかるもの三千六十四万五千円、機関部艤装関係にかかるもの四千五百九万円、電気関係千六百二十万円、船体部の工費及び間接費といたしまして、三十二年度におきましては、さしあたりまだ船体程度の進行でございます。船体部二百九十八万八千円となっております。このほか船体関係といたしまして、直接経費千七百十万円、一般管理費で千三百四十四万二千円、これに保険料三千九百四十万円、合計いたしまして船体部が一億六千四百八十六万五千円ということに相なっております。機関関係といたしましては二億六千七百二十七万三千円、武器購入一億七千八百二十万円、設計費二千万円、合計いたしまして六億三千三十三万八千円ということに相なっております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 防衛庁長官に聞きますが、造船会社との契約は、この代金の支払いは、従来の日本の艦船建造において実施してこられたと同じような方式でお支払いになるのですか、この点いかがですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 支払い方法は、今までの四分の一分制払いというようなのと違いまして、出来高に応じまして大体毎月支払うという方式によりたいと考えております。その出来高に応じまして、それを下請業者の方から防衛庁の方へ出し、防衛庁の方でよくそれを審査いたしまして、これを認証する。そしてそれをアメリカの海軍の代表者で日本におる者に出しまして、そしてそのうち特に米国側において契約担当官、がこれを見て差しつかえないという認証をして証明をいたしまして支出官の方へ回す。それに対してドルで払う、それを防衛庁としては円にかえまして、下請業者に請求額の九〇%、支出いたしましたものの九〇%を払う、そうして最後の引き渡しの際に精算する、こういう方法によるわけであります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 在来の日本の方式は、契約時四分の一、着工時四分の一、進水時四分の一、引き渡しのとき四分の一、かように記憶しておりますが、そうするとその方法はとらないのですか。そうして契約を締結しても四分の一払うことなしに、また着工時四分の一を払うことなしに、従って、着工後毎月計算で一ヵ月ごとに出来高の九〇%を支払う、こういう方式、で支払いを進めていくというのが今日の構想なのですか。そういうふうに理解したらいいのですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 直接着工いたしませんでも、資材の仕入れ、あるいは設計というようなものについて費用がかかりました際には、それについて実際の費用を見まして支払っておる、こういうやり方でございます。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 材料の仕入れをした場合に費用を支払う。そうしますと、材料の手持ちの鋼材が何万トンかかりにあるとする。そうするとこれを当該艦船の建造に充当するという計画が造船所において決定しましたら、そのときその分について相当額を支払う、こういう趣旨なのですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 この請負者の責任において資材を買い入れていくというようなものに対して、それを払うというのでなくて、製作にかかりまして、これは船だけじゃございませんので、武器などもございますから、それが全部完成しなくても、その製造過程において要したものを支払うという趣旨で申し上げた次第であります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そうしますと、材料の手持はない、新たに鋼材等を購入しなければならぬ、そこで鋼材を購入して、これを造船所に運んできても、まだその段階においては支払うことはない、こういうことなのですか。

北島武雄防衛庁参事官(経理局長)

○北島政府委員 お答え申し上げます。材料を入手いたしますれば、そのつど九〇%を支払うことに相なっております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 材料を入手すれば九〇%そのつど支払う。手持ち材料逆当該の船に充当することに決定すれば、これは入手と同じに考えていいのじゃないかと思うが、その場合もやはり支払う、こういうことになるのではないのですか、どうなのですか。

北島武雄防衛庁参事官(経理局長)

○北島政府委員 手持ちの資材をもちまして充当いたしますれば、やはり支払うことになると思います。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そうしますと、厳格な出来高払いというのではないのではないであろうか。もっともこれはやはり当該契約の内容といたしまして、手持ち材料をそれに充当する場合、あるいは材料を入手した場合、あるいはこれに搭載するエンジン等を購入した場合等々は、やはり契約で明記するのでなければ、概括的にあらかじめ出来高払いというふうなことは、それは実施上無理が生ずるのではないかと思うのだが、その点はどうですか。

北島武雄防衛庁参事官(経理局長)

○北島政府委員 その点につきましては、防衛庁と下請業者との間の契約にはっきり明示いたしまして、ただいま申しましたような方法で支払うということになると存じます。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そうしますと、防衛庁と造船業者との間には、そのような明記があれば、これは確実に実施は進むだろうと思うのだが、一体アメリカとの間において出来高払いという原則がある限り、蔵に手持ち材料が山のようにある、それを造船に充てるということにきまったときに、直ちに出来高払いといってアメリカに請求して払うのですか。つまり今お述べになりましたようなことを、完全に当初のアメリカ、防衛庁間の契約の上において確定しておくということの御趣旨なのですか。

北島武雄防衛庁参事官(経理局長)

○北島政府委員 アメリカ政府との下打ち合せにおきましては、ただいまのような方法で支払うことに大体了解がついております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 予定価格はあらかじめこちらにおいては策定しておくのですか、どうなのですか。

北島武雄防衛庁参事官(経理局長)

○北島政府委員 予定価格は防衛庁におきましてあらかじめ策定するわけであります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 国庫債務負担行為の要求もある二隻の船の合計六十七億二千四百八十万円というこの数額は、これは予定価格になるのでありますか、それともどういう趣旨の代金になるのでありますか。その点いかがですか。

北島武雄防衛庁参事官(経理局長)

○北島政府委員 国庫債務負担行為で御承認をお願いいたしております六十七億二千四百八十万円の金額については、米国との話し合いにおける最高限でございまして、この最高限の範囲内におきまして、できるだけ適正な金額において契約をいたしたいと考えております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 最高限である、しかしあと数年かかってこれが完成を見るという場合に、物価の変動も考慮しなければなりません。材料その他の物価が上昇いたしましたならば、建造費が上ってくるわけでありますが、このように物価を主といたしまして経済事情が変更いたしましたならば、それに伴って契約の内容、特に六十七億円という代金は、上下に変更するという条件をつけるという趣旨になるのか、それともそうでなしに、それ以下であるならばそれだけもうけ得、あるいはそれ以上になるならば契約は改訂する。たとえば十億円よけいかかることになった、あるいは十億円少くて済む、こういうような場合が、物価関係とにらみ合せて想定し得ると思うのであります。そのようなときの措置はどういうふうにすることになるわけですか。

北島武雄防衛庁参事官(経理局長)

○北島政府委員 業者と契約いたします場合におきましては、最高限をはっ曇り確定いたしましてそれ以上には支払わないという契約をいたすわけであります。ただいまの物価条件におきましてこの金額では完全にできる、こういうように考えております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 造船業者との間に契約をいたしまして、その金額を動かさないという趣旨はわかります。わかりますけれども、造船業者にしましても、やはり損をすれば仕事を投げるということも考えられぬではありません。だからそういうような事態が生じた場合に、やはり紛争の種になる、不履行の原因が生ずる、こういうことも考えられるのであります。そこで、一応の取りきめはそういうふうにお考えになつているのだが、さかのぼって原始的な調達契約の方におきましては、アメリカとの間に、その結果は何ら条件変更とまで行く余地はないものかどうか、その限度というものを守らねばならぬのかどうか、その辺はどうなっているのですか。

北島武雄防衛庁参事官(経理局長)

○北島政府委員 最高限の六十七億七千四百八十万円の金額は増額になることはございません。この範囲内においてできるだけ適正な契約を結ぶということに相なっております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そうしますと、もし物価が上昇いたしまして、六十七億ではどうしてもできないという事態が招来されましても、それは業者の損失に帰し、アメリカの負担増にはならぬ、こういうことになるわけでありますか。

北島武雄防衛庁参事官(経理局長)

○北島政府委員 総額の千八百六十八万ドルとう金額は、これは動かせない金額でございますので、多少の安全性は見る必要があるかと思いますが、防衛庁といたしましては、この金額の範囲内において十分おさめ得る、こういうふうに考えております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 伝えられるところによると、アメリカの予算は二千二百万ドルとか聞くのですが、そうではないのですか。

北島武雄防衛庁参事官(経理局長)

○北島政府委員 二千二百万ドルかどうかということは承知をいたしておりません。アメリカ側といたしましては、日本政府が調達する金額のほかに、米国におきまして業者に発注しまして、そのできました武器を日本側に供与されることに相なっております。こういう金額がただいまの千八百六十八万ドルのほかにあるわけであります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 完成されました艦船二隻はアメリカの所有でありますか、いかがでありますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 これは引き渡しまして一応米国のものになるわけであります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 引き渡すまで、造船所で完成しまして、防衛庁が一応引き取るのじゃないです。アメリカは引き渡しを受けた瞬間に所有権を取得する。そういたしますと、それまでは造船所の所有なのですか。つまり国内における請負契約は防衛庁と造船所でありますから、請負主である造船所が注文主である防衛庁に引き渡したときは、この船の所有権は防衛庁にあるのですか。

北島武雄防衛庁参事官(経理局長)

○北島政府委員 私からただいまの大臣の御答弁を補足いたして御説明申し上げます。米国との打ち合せにおきましては、初めから船舶の所有権は米国にあるということに相なっております。と申しますのは、これは米国と各国との間の艦船におきましても、そのような形態であるのであります。実際におきましては、米国政府の負担において日本政府がこれを引き受けてやるわけであります。実際考えますと、米国政府が直接発注したと同じような関係にあるわけであります。その場合におきまして、これは防衛庁でもあることでありますが、出来高払いでごさいますと、そのつどその所有権は発注者側にあることになっております。今回の場合におきましては日本政府はいわゆる通り抜け勘定でございます。米国政府が発注いたしまして金額を支払いますと、それにおきまして直接米国側に行く、こういうことに相なっております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そうすると、ただいまの長官の御答弁は間違っておりまして、そうして局長によって訂正せられた、こういうことになるのですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 私が申しました趣旨は、それまで日本政府が占有しておるということでありまして、所有権がこちら側にあるということを申しておるのではございません。今経理局長が申した通りであります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そうしますと、造船所の船台に乗っておる間にも、すでにものはアメリカの所有物である。だんだんと完成に近づき、艤装も済んで、引き渡しのいかんにかかわらず、アメリカの所有物である、こういうことなのですね。その通りですね。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 その通りであります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そうしますとちょっと元に戻りまして、非常に大事な問題でありますので、総理にお伺いしたいのですが、昨日来の問題でありますこの調達契約というものが、私契約であると、ごく簡単にお済ましになっておるようであります。私は、やはりアメリカの所有する数十億円の軍艦を、アメリカの注文によって日本でこれを製造する、防衛庁は単に受任者である、受任者であって、会計も通り抜けである、事務も受任考の位置を守っておるにすぎない。こういうような重要な関係は、やはりアメリカの政府の重要な武器を日本の政府の責任で製造する、こういうことになりますので、これは単なる私契約的性質を持っておるのには、あまりに事が国家権力的要素が多い、こう思うのであります。でありますので、この契約の前提として、やはり何らかの条約が必要でないかという点につきましては一歩を譲るといたしまして、この契約自体が一種の国家間の契約である、国家間を拘束する効力を生ずる契約である、しかも長官の御説明によると、これは文章に明記して、もし紛争、クレーム、契約の不履行等が生ずる場合には仲裁委員会を設定して、仲裁委員会の構成は、アメリカと日本人と両方これに入ってやる、この効力を左右すべき準拠法は、国内法によるべきであるけれども、なおアメリカの慣習、調達の方式、法律のことも今日検討していきます、こういうふうなお話も出たわけであります。そういたしますと、やはりこれは一種の公けの国家間の契約として、広義における国際法的な考えからしまして、条約になるのではないであろうか、こう考えるのであります。もし条約になるとしますならば、これは憲法七十三条の第三号により出して、国会の承認を経ねばなりません。七十三条には「内閣は、他の一般行政事務の外、左に事務を行ふ。」 三号には「条約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。」、こういうことになっております。従ってこういう観点からしましても、やはり一種の広義の条約の体を備えておる、これはやはり国会の承認を経るということが穏当ではないか、承認を経るということが非常に煩瑣な、むずかしい、時間も要し、手数ならばまあともかくといたしまして、何もそういう事情もない、こういう点からも考えられます。のみならずこの改正法律案によりますと、防衛庁にアメリカとこういう受託契約をするという権限を授権するという趣旨の防衛庁設置法の改正法になっております。従って、こういう契約をするのに法律を作って、授権立法をしておるわけなのであります。授権立法をして、その内容たるや、以上述べましたような相当量要な、国家の生活に影響するような両国間の事項が含まれておる、こういうことになりますので、ここはやはり単なる私契約で、法制局長官がきのう例示しましたごとくに、そこらの土地の賃貸借によって賃料を設定するというようなことは全く性質が違うと思うのであります。そこで、これはあまり意地張って固執すべき性質のものじゃないと思いますが、全く内閣におきましても、また戦後わが国におきましても、この種の重要な契約をしたことはこれが初めてだろうと思います。でありますから、やはりこれは公けの契約、条約的性質を持っておるものと見まして、憲法七十三条の第三号のただし書きによる手続を経ることが当然であろうと考えるのであります。もしこれを単なる私契約として、この手続を経ることを必要としないという見解に依然としてお立ちになって、このまま押し通していきなさるとするならば、私はこの契約を取り結ぶということ自体が憲法の今の条章に違反するものでないか、政府のやる行為というものが違憲の行為になるのではないか、こうさえ考えるのであります。これは非常に大事な点でありますので、きのういろいろと法制局長官の御説明がありましたけれども、きょう契約の内容、実行の方法、各般の紛争等までめぐりまして、いろいろな点が明らかになって参りましたので、重ねて総理大臣としての御所信を一つはっきりとしておいていただきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 この契約の内容につきましては、政府としましても十分検討いたした結果、私どもは一つの私契約であるという結論を得まして、これを立案しておるわけであります。国際的ないろいろな請負契約というものを見ますと、私契約であっても、紛争を生じた場合には、両方から出すところの仲裁委員のきめる仲裁に服するとか、あるいはその準拠法としてはどういう法律によるとかいうようなことは、従来も私は、その例は決して少くないと思います。  また日本としてこういう契約を防衛庁がやることは、御指摘のごとく初めての例でございますので授権の問題も、防衛庁がそういう契約を外国の政府とできるという権限を国内的にきめたものであって、あくまでもこの問題は非常に重要な内容のものであるという御説明に対しましては、私どもも、重要な意味を持っておることにつきましては十分に考慮いたしておりますが、しかし性質から見て、いわゆる他の国際条約、国と国との間の公法的な責任、権利義務を負う条約という性質とは違って、やはりこれは一つの請負契約といいますか、要するに艦船の建造を、本来ならばアメリカが直接に日本のなにとやるということも考えられるけれども、実際その間に立って設計とか監督とかいうようないろいろなことを日本政府に委託して、そうして日本政府がアメリカ政府にかわってそういうことをやる、事の性質はあくまでも一つの受託受任契約でありまして、やはり私法的な私契約と見ることが適当である、われわれはこう考える次第であります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 防衛庁長官に伺いますが、公的な性格を持つ契約と私的性格を持つ契約との区別というものは、やはり行政担当者といたしましては、相当明確にしておいていただかなければならぬのであります。そこで、あなたの方と造船業者との契約が私契約的なものであるということについては、異論がないのであります。けれども、いやしくもアメリカの政府と日本の政府が契約書を取りかわして、お互いに国と国と責任を持って行政機関としての行為を実際やるという場合に、これを私契約に扱っていくというような考え方は、これは全く法律の根本を私は混淆してしまうおそれがあると思うのです。現にあなたにお確かめしてみますが、たとえばあなたの防衛庁におきましても、年々の工事請負を多量に建設省に委任をしておられる。建設省の地方の建設局長などが事実上の受任をいたしまして、そうして防衛庁の長官はこの地方の建設省の局長を支出担当官として、あるいは支出官として委任をしておられる、こういうふうに会計法規によってそういう工事をやっておられることは、これは私契約であるとはだれも考えておりません。申し上げるまでもなく、これは公契約であります。公契約であって、国家のあなたの方の防衛庁の支出担当の業務、責任、地位、職務、職権というものは、当該建設省の所管者に受任されておるのであります。これも公契約であることは申し上げるまでもありません。毎年数十億円、あなたの方はこれを繰り返しておるのであります。そういうこともこれを私契約だなんて、それはだれ一人考えておる者はないのです。ところがこれと比べるならば、さらにその内容において、その両者の権利義務の関係において政治的性質において、国際的影響関係におきまして、きわめて重大な関係にある国と国との約束を文書で取りきめて、両方の大臣ないしは担当官がこれに調印をする、そういうふうなものをこれが公契約でないのだ、私契約であります、こういうふうなことは、全くあなたの方が法律を勝手に解釈していなさるというほかありません。法律というものはそんな無権威なものではないと私は思う。法律によらずして行政庁の行為というものはないはずであります。こういうことを考えますと、あなたの方のやっておること自体が、とても大きな矛盾にぶつかるのではないだろうか、なぜそんなことをなさるのだろうか、こういうふうに思うのであります。  これは憶測にすぎぬかしれませんけれども、やはりきのうちょっと触れましたごとくに、アメリカの会計年度がだんだんと終末に近づいておるということも考えて、少し手続を簡略にしてしまおうということが本音じゃないでしょうか、そうしていろいろと研究したあげく、何とか私契約で押し通せるということになったのがほんとうじゃないだろうかと考えるのであります。あなたは会計並びに業務の担当の首長としての重責におありになるのだから、また従来とも防衛庁がそういう公契約の幾多の実例を建設省との間になさっております、そういう責任者でおありであるから、私はなおこれを確かめつつ、あなたの考え方をはっきりと確かめておきたいのであります。いかがでありますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 防衛庁の職員が国に関しまして行動する際、それはもちろん予算関係の法律も適用になりますし、そうした意味においては行政法上あるいは会計法上の責任も持つわけでありますが、しかし御承知のように、防衛庁の方もいろいろ行政事務を執行するに必要な私契約をいたしております。このアメリカとの契約というものは、国民の権利義務を新しく設定するような性質のものではなくて、この調達を行うということについてアメリカの方が支払いの義務を、こちらの方は調達の義務を負うという私的な契約でございまして、その意味においては私は、今総理が申された通りに、この防衛庁の行政事務に関連する私契約を遂行するもの、こういう考えでおるものでございます。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 同僚の岡委員の質問の時間がなくなりますので、これをおそれますから、もう一つだけ簡単に確かめておきます。  あなたになお伺っておきますが、このたびのできるべき契約の趣旨にかんがみまして、防衛庁が造船所に造船請負をさすという契約は、きのうも触れきょうはこれを発展させたいと思ったのでありますけれども、結論だけ聞いておきます。二、三もしくは数個の適格造船所これは五つと説明がありました。さらにまた五つのなにがあるとおっしゃっております。かりに五つの造船所が適格性を持っておる、能力がある、設備等々におきまして適当であると仮定いたします場合に、その競争的な内容、要素をずっと高めていくというお考えらしいのだがこの際は従来の随意契約を放棄いたしまして、一脚いたしまして、少くとも指名競争の段階にまでこれを進めねばいけません。随意契約によって生ずるあらゆる弊害をほんとうに払拭しなければいけません。そしてこれの指名競争によって生ずる弊害は、およそ造船能力はあらゆる意味において高、まってきており、各造船所の技術も目ざましく進歩してきておりますのと、企画、設計、仕様書、図面等はもう相当公けにせられております。かかる段階におきまして、やはり指名競争を躍進しまして、公明正大に日本の造船所のあらゆる能力を発揮きしてそうして契約するというところへ進むべきだと私は思うのであります。こういう方針を持って臨まれるかどうか、進んでいかれるか、これだけを一つ聞いておきます。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 私の考えは昨日申し上げた通りでございますが、ただいま吉田さんのおっしゃいましたことはよく頭におきまして善処いたしたいと考えます。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 これで終ります。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 岡良一君。

岡良一日本社会党

○岡委員 私はこの機会に、政府の原子力平和利用とその開発に関して、特に総理のお口から親しく御抱負を承わりたいと存ずるのであります。  原子力の開発、特に原子核の分裂なり融合なりというものが、実に一トンのウラニウムをもって三百万トンの石炭に匹敵するエネルギーを放出をいたすということですでに実用の段階に入って参っております。このことはかっての蒸気機関の発明によって人類の歴史に資本主義社会が作られた以上の大きな経済的な影響を予想するものがあり、同時にまた原子力エネルギーの人間の力による開放によって新しい物質への認識が生まれております。物質は生々発展するエネルギーそのものであるというこの認識は、これまでの古い思弁的な哲学なりあるいは唯物的な世界観に対しても、きわめて根本的な変革を要求いたしております。このような形で原子力の平和利用の発展というものは世界の経済構造なりまた人間の精神の世界に革命的な変化を及ぼそうとしておるのであります。こういうような事情に加えまして、御存じのように現在東西両陣営の対決の焦点は、原子兵器、熱核兵器の実験に集中されておる。ここに人類が滅びるか繁栄をするかという重大な運命の関頭に追い込まれておる。経済の立場からもあるいはまた世界観の立場からも、また平和の問題としても、原子力平和利用とその開発の持つ意義というものは、まことに歴史的な重要な意義を持っておるわけであります。そういう事情からいたしまして、あらゆる国々も原子力の開発については政策の重点を指向しておることは、すでに政府も御存じの通りと存ずるのであります。ところが遺憾ながらわが国においては、政府はいまだこの問題の本質に対する認識が十分ではない。従って力こぶの入れ方もきわめて低調であると私は感じておるのでありますが、総理は原子力平和利用とその開発の重要性というものについて、いかなる御認識を持っておられるのか、あらかじめその点を承わりたいと存じます。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 原子力の平和利用とその開発の問題は、岡委員の御指摘のようにこれはきわめて重要な意義を持っておりまして、私は新たに発見された原子力のエネルギーを、人類の破滅のために使うところの原子兵器に対して強く反対すると同時に、これが人類の福祉のために利用される平和利用及びその開発については、極力力を入れてやるべきものである、かように考えております。もっとも従来この原子力に対する平和利用、その開発等に対する日本の研究及び施策は、他の先進国に比べまして遺憾ながらまだおくれておる状況にあります。従いまして今後その平和利用及びその開発につきましては、関係諸国及び関係の国際機関等と十分に協力してこれを強力に推進すべきものである、かように考えております。

岡良一日本社会党

○岡委員 総理は大いに力こぶを入れると申されておるのである。なるほど本年度においても前年度に比し相当な予算の計上を見ております。しかし今年度計上された予算でも、その九十億をいかに使いこなすかという点については、まだ本年度の年次計画についてわれわれの納得のできるものが示されておりません。のみならず、原子力開発のにない手である原子力委員会の活動を見てみましても、われわれとしましてはきわめて遺憾なる事例を多々発見するのであります。  まず私は機構の問題として総理の御所信を承わりたいのでありますが、御存じのごとくアメリカの原子力委員会は大統領に直結しており、国内的な原子力問題のみならず、渉外的な事項についても国務省を超えて先決し得る権限を与えられておるわけであります。イギリスの原子力公社はノーベル賞級の科学者を網羅するだけではなく、その最終的な決定の権限は国璽相が持っておる。純粋に平和利用を掲げておる各国におきましても、原子力処理機構というものには大きな権限と、そしてまた責任が課せられておるのでありまして、現に西ドイツの原子力相は副総理級のシュトラウスが当っておる。先般インドの組閣においても、ネール首相はみずから原子力相を兼任するというような処置をとっておるわけであります。こういうような形で、各国とも政府の指導的な地位にある者が責任を持って原子力政策の立案に当り、政府も責任を分ってこれを推進いたしておるのであります。ところがわが国においては、原子力の開発を担当する原子力委員会の委員長は、国務大臣である科学技術庁長官の宇田さんが当っておられます。ところが科学技術庁長官を兼任するばかりではなく、経済企画庁長官も兼任をしておる。過ぐる二月九日の原子力委員会は、英米等との間に動力協定の交渉に入ろうという、日本の原子力開発にとってはきわめて重要な決定をいたしておりますが、所用のために委員長の御出席はなかった。私は委員長の責任とは申しませんが、あまりにも兼職が多く、原子力政策そのものが、岸内閣の政策の全般においては伴食的取扱いを受けておるという結果が、このような事態となって起るものと私は思うのであります。こういう意味において、私は今日国内において原子力政策密強力に推進するためには、何はともあれ原子力委員会そのものの強化というものが至上の要請でなければなるまい、このように信じておるのでありますが、総理の御所信を承わりたいと存じます。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 御承知のように、日本の原子力に関する行政機構というものは比較的新しいものであります。従いましてその中心である原子力委員会の運営もしくは機能等につきましても、私は今後この原子力の問題を、平和利用並びにその開発を強力に推進するという見地から検討をすべきものがあると思います。今直ちにどういう機構にし、どういう権限を持たせ、どういうふうにするがいいかという結論は、なお研究を要する点があると思いますが、そういう意味において検討を加えてみたい、こう思っております。

岡良一日本社会党

○岡委員 私は検討するという段階ではなく、すみやかに原子力委員会の強化にとりかかっていただきたいという強い希望を持っております。私はその希望を持つに至った若干の理由を申し上げて総理の所信をただしたいのでありますが、たとえば去る三月二十九日に宇田原子力委員長はアメリカ、イギリス、カナダと可及的すみやかに一般協定の交渉に入る、さらにソ連圏を含む欧州各国、東南アジアと一般協定締結の可能性について外務省を通じて打診をするということが閣議の了解を得たと発表をされておるのであります。ところが数日を経ての閣議においては、これは岸外務大臣の発言を契機としたと伝えられておりますが、とにもかくにも官房長官名をもってこの言明が取り消されておるという始末であります。委員会を代表する委員長の公表がこのようにして数日にして、しかも閣議了解の事項として公表されたものが、たなごころを返すがごとく次の閣議においてはくつがえされてしまっておる。しかも一般協定を結ぶかいなかという方針というものは、わが国の原子力開発にとってはまことに重要な課題なのでありますが、この問題に対する委員長の言明が事もなげに退けられる、こういうような朝令暮改が続けられるということになりますと、結局原子力委員会の決定というものが日に日にその権威を喪失することは火を見るよりも明らかであります。原子力委員会の決定に対して政府も責任を分たんとする熱意があって初めて委員会の決定も生きてくるのであり、ひいてはまた委員会も責任を持って原子力政策の推進力となり得るのでありますが、このような事例に徴しましても、原子力委員会の決定なるものが単なる諮問的な性格しか持っておらない。原子力委員会の決定というものについて政府も責任を分ち得るところまでこの決定の権威づけをしようとするならば、諮問的な性格からむしろ行政委員会的な性格にこれを高めていく、これが今日原子力委員会強化のための重要なポイントであると私は信じておるのでありますが、この点についての総理の具体的な御所信を承わりたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 原子力委員会に権威を持たして、十分に原子力に関する行政を強力に推進さすべきであるというお考えは、私も先ほど申しましたように原子力の平和利用及びその開発を強力に推進する上におきましては、十分考慮せねばならないことであると思います。しかし今直ちにこれを行政委員会の性質に切りかえることが適当であるかどうかというような問題につきましては、先ほども申しましたように十分に検討を加えた上でその結論を出したいと考えております。

岡良一日本社会党

○岡委員 原子力委員会設置法によってその第二条においては、原子力政策全般について委員会は決定をするということが規定されておる。ところがその決定に対して政府が何ら責任を持たないというような事例がしばしば起り得る。これは別に原子力委員会だけではないのであって、戦後行政の民主化をはかろうという立場から、委員会や審議会が雨後のタケノコのごとく続出をして、しかもこれらの決定というものがともすれば馬耳東風に聞き流されるという弊害が、今日まで日本の行政面には至るところに見受けられる。このままの姿でいくと、原子力委員会もこのような伴食的な機関になり終らんとする危険が、私は多分に看取できることを憂えておるのであります。  同時にまた私はこの機会に総理並びに宇田委員長にお伺いいたしたいのであるが、先ほども申しました二月九日に原子力委員会は、英米がわが方に提供したところの一般協定の草案を検討の上、一般協定締結の交渉に入るという方針をきめられた。ところがこの決定というものは委員会の申し合せによって秘密に付されておる。しかも一般協定を締結をして日本が原子力発電を急ぐか急ぐべきでないかということは、日本の学術会議にとってはまる一日を費して大論戦をかわしながら結論が出ないという学界の重大な関心事である。ところが学術会議に対しては何らの了解も得ておらない。原子力基本法によれば、わが国の原子力の開発は秘密を排除する民主的に運営する、自主性を確保するということが基本法の大原則になっておる。原子力委員会の運営そのものが、しかもきわめて重大な一般協定の問題についてみずから求めてこれを秘密のヴェールのもとにひた隠しに隠し、しかも今後自主的な原子力開発については最も重大な協力分野である学界の意向というものも何らこれを取りまとめ説得する努力を講じておらない。これでは原子力基本法の民主的な運営とか、あるいは公開の原則というものを委員会の運営がみずからじゅうりんをすることであって、私はゆゆしき悪例を残したものと存ずるのであるが、委員長はこの間の経緯についていかなる御所信を持っておられるのか、この機会に責任のある御答弁を願いたい。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田国務大臣 米英との一般協定の締結につきましては、石川委員が昨年調査団の団長となって向うへ参った場合に、向うからドラフトをもらって持ち帰った、こういう報告を受けております。ただしそのドラフトは向うの希望によりまして、厳重に秘密を保ってほしいということでありましたので、従って外交上の相手方の意向を尊重する建前から、これは委員会で公開をしないで検討をすべきものである、そういう性質のものである、こういう考えのもとにわれわれはこれを公表しないで検討をしていこう、こういう方針をきめたのであります。ただ外交問題は外務省がありますから、原子力委員会がそういう考えを持ちましても、これは外交に関する限りは外務省を通じて相手国の意向をも打診すべきである。従って外交交渉に移すべき時期、方法等につきましては、あげて外務省の意向をただすべきであるこういう決定をいたしたのであります。

岡良一日本社会党

○岡委員 その答弁はきわめて的を得ていないし、むしろ私は詭弁と思う。石川ミッションが携えられたところの英米の一般協定草案というものは、国会のわれわれが探知する前にすでに広く流布されておる。原子力産業会議はそれにのっとって昨年からすでに検討を開始し、検討の結果はこれを文書にして配付いたしておる。従って今さらこれを秘密にするというようなことは、何ら事実上筋が通らない。もちろん外交交渉は外務省を通じて行うとしても、米英と一般協定を結ぶということは当然動力炉の輸入を前提としておる。動力炉を輸入するとすれば相当巨額な国費を必要とする。してみれば当然大蔵省当局との間にも十分な打ち合せがあってしかるべきだが、何らなされておらない。あなたの御答弁というものは的を得ないばかりではなくて詭弁だと私は思う。もっと正直に事の経過について、責任があるならば責任があるということを明確にしていただきたいと思う。重ねて一つ御所信を承わりたい。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田国務大臣 昨年の石川ミッションのアグリーメントが一般に配付されて印刷されたということはただいま私は初めて承わりましたが、われわれが石川ミッションの正式の報告を受けましたのは、政府は一月の十七日付の正式の報告であったと思っております。従ってその石川ミッションの報告を正式に受けましてから、われわれは原子力委員会でそれの正式の検討に入ったわけであります。またアグリーメントにつきましては、われわれは石川ミッションの報告を正式にわれわれのアグリーメントの議題に提供するということは尚早であって、むしろわれわれは外務省を通じて正式のアグリーメントあるいはドラフトを受けて、そのドラフトに基いて検討をすべきのが政府の態度と考えております。ただいまもそう思っております。従って外務省を通じて正式のドラフトを受けて、それをわれわれが政府の責任において検討すべきものである。それにつきましては原子力委員会としては二月九日に、われわれは将来のために外務省を通じてそういうふうな検討に入る時期方法等を打診をしてもらうということにすべきである、こういう決定をいたしたわけであります。

岡良一日本社会党

○岡委員 とにかくことしの春の学術会議には、原子力産業会議においてアメリカ側のドラフトを中心とする法規対策委員会が設けられて、岩田宙造博士が委員長となり、きわめて精細にアメリカのドラフトを検討したところの報告書が参考資料として配付されておる、そういう事態であります。とにかく問題はそのようにいたしましても、私は特にこの機会に総理にお伺いをいたしたいのでありますが、原子力委員会の強化といえば、もちろん機構運営のみにはとどまりません。不可分な問題として委員会を構成する人の問題があると私は思うのであります。まことに惜しいことには、世界各国ではその国の一流の専門的な科学者、ノーベル賞の受賞に値するような科学者がほとんど網羅されて、政府と協力脅しながら原子力の開発に邁進をいたしておる実情でありますが、わが国ではたった一人のノーベル賞の受賞者であり、かつはまた世界的なこの方面の権威である湯川博士が六月の改選期を二月前に控えて突如として辞任をしておられる。このことはまことに国内的のみならず、対外的にも私は日本の原子力委員会の権威を喪失するところは少からないものがあると存じます。しかしもちろん私は去り行く人の心事をそんたくをして、この機会にとやこう申そうとは思いません。しかしながらこの六月には原子力委員も二名が新しく選任されるごとになっておるわけです。私はこの機会に特に総理に強く要求もし、お願いもいたしたいのでありますが、先ほど来若干の事例をあげましたように、原子力委員会の弱体性がどこにあるのかという問題、一つは日本の原子力問題の解決は国際的な視野において解決しなければ解決ができません。その意味において原子力委員にはこのような条件を備える達識の士をぜひ加えてもらわなければならぬと私は思う。同時にまた日本の自主的なこの方面の――科学技術の進歩というものは当然必要でありますので、この方面の代表を加えていただくことはもちろんでありますが、今後いよいよアイソトープ、その他応用方面においての分野が広げられてきますので、これらの方面を考えて人選に慎重を期せられたいと思うのであります。同時にまた原子力の平和利用の発展とともに、放射線の障害の防止ということが重大な問題となってきた。特にわが国においては広島、長崎等の苦い経験から、本能的な恐怖があるのでありますが、これが原子力平和利用の開発にとっては、やはり大きなチェックになっておるということもいなめないと思うのであります。そういう意味においてこれらの方面に造詣の深い達識の士を原子力委員に加えることも私は必要であろうと思う。いわんや原子力の開発が当面日本のエネルギー自給の重要なファクターになっておるのでありますから、日本のこうした万般の経済情勢について、これを原子力開発と結びつけて、計画的に推進し得るというような達識の士を迎えるべきだと思う。私はいろいろ条件を申し述べましたが、少くともこれらの諸条件にかなうような構成をもって、原子力委員会が今後のわが国の原子力問題の解決に当り得る、このような構成について私はぜひとも総理の周到なる御配慮を願いたいと思うのでありますが、この機会に御所信を承わりたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 原子力委員の人選につきまして、今岡議員がおあげになりましたようないろいろな観点から、私は達識の士を選んで原子力委員会の本来の重大な任務を遂行するにふさわしい人選をすべきものだと考えております。十分に慎重に選考いたしまして、そういう要望を満たすようにいたしたいと考えております。

岡良一日本社会党

○岡委員 原子力委員については、自薦他薦山のごときものがあるというようなことも巷間伝えられておるのでありますが、どうかそういうことに災いされないで、ほんとうに公明な、そうして国民もひとしく信頼の置けるような、もとより政府も信頼の置けるように、原子力委員の構成については十分な御配慮を願いたいと思います。私は繰り返しわが党の立場からこのような形で運営の問題、機構の問題、人選の問題について原子力委員会を強化すべきであるという観点から、特に以上申し上げた点を繰り返し、首相の考慮を願いたいのであります。  まず原子力委員会は現在の諮問委員会的性格から、行政委員会的な性格に高めていく、原子力行政の民主的な運営のために、総理府に原子力委員会を設置する、これでは原子力委員会の権限というものが非常に弱い、私はむしろ内閣の直属とする国防会議風な原子力委員会を設けるくらいな意気込みがあってしかるべきだと思うのです。また原子力委員長は国務大臣をもって充てるとしても、ぜひともこれは専任にしていただきたい。片手間の伴食的な委員長を迎えたのでは、委員その者も張りが出ません。このことがやはり原子力委員会の決定の権威というものに対して重大な影響を与えておる事例をしばしば見ますので、ぜひとも専任の国務大臣をもって委員長に充てていただきたい。原子力委員会は原子力行政万般について、調査し企画するということが法律の上に規定されております。しかし五名の委員というものではスタッフがありませんから、調査も企画もできません。ぜひとも調査し、企画し得るための手足をつけてやっていただかなければならぬ。少数精鋭でもけっこうでありますから、ぜひとも有能なスタッフをつけて、そのスタッフをもってする事務局が、原子力委員会の調査企画に関する事務について十分な働きを演じてくれる、これによって原子力委員会の決定を権威づけられるような配慮を願いたい。同時に、また委員は言うまでもなく全部これを常勤にいたしていただきたい。片手間仕事ではとてもとても今後の重大な原子力問題というもののさばきは私はつかないと思います。委員会の運営においても、委員会の権威を行政委員会的なものに高めて、大蔵当局なり外務当局なり委員会に随時御出席をいただいて、決定の前には十分相談をしていただく、そしてその決定に対しては政府も責任を分つ、このような運営をぜひ一つ工夫をしていただきたい。このことを私は心からお願いをいたすわけであります。  次に今新聞紙上等を通じて、世論の注目を浴びております原子力発電という方針について、政府の御所信を明らかにいたしたいと存じます。原子力発電に関する最高の政府の御方針は、総理から親しく承わりたいのでありますが、技術的な点については宇田原子力委員長の御答弁をわずらわしたいと存じます。  政府は去る四月五日の閣議了解事項として、原子力の平和利用に関する一般協定に関しては、米英両国と可及的すみやかに交渉に入るため、これに関する基本方針その他所要の国内措置につき、関係各省庁間において協議するものとすると公表されております。そこでまずお尋ねをいたしたいのでありますが、いずれにしろ、一般協定を取り結ぼうというわが方の意図は、動力炉を輸入しようとすることを目がけておることは、これは申し上げるまでもありません。これは自明のことでありますが、そうすると政府はこの際アメリカからもイギリスからも動力炉の輸入をはかろう、こういう御方針であるのかどうか、この点を一つ明らかにしていただきたい。宇田原子力委員長の御答弁をお願いします。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田国務大臣 動力炉の輸入について、どちらから輸入をするかということは石川報告にもありますように、あらためて調査団を派遣をして、そして地震に対する安定性あるいはその他の経済性等問題点が数点ありますが、それを明らかにした後において、いずれを選ぶべきかということを決定する、こういうことになっております。また一般協定を結ぶということは、当然動力炉を輸入するということを前提としたもであることはお説の通りであります。

岡良一日本社会党

○岡委員 それでは、米英両国に対して、可及的すみやかに一般協定を取り結ぶための交渉に入るということは、必ずしもアメリカとイギリス両方から動力炉の輸入をはかるというのではない、向うが提示した草案等を検討の上いずれか一方から動力炉を輸入するつもりだ、こうおっしゃるのでありますか。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田国務大臣 ただいまのところそういうふうに考えております。

岡良一日本社会党

○岡委員 もちろん現在の原子力発電は、その原料として濃縮ウランでいくか、天然ウランでいくかという二本建になっておる。どの国を見たって、天然ウランと濃縮ウラン二つでもってやろうというふうな、ぜいたくな国はありません。いわんやわが国のような財政の貧弱な国で、世界一ぜいたくな原子力発電をやろうなどということは、白日の夢にすぎないのだから、当然いずれか一方から選ぶべきだと思う。しかし問題は原子力発電を、動力炉を輸入してやるとしても、この発電の事業というものが日本の自主的な学術界の進歩と見合わなければならない。だからただ交渉の条件だけを検討して、濃縮ウランでいくか天然ウランでいくかということを交渉の協定の条件から私は勘案すべきものではないと思う。濃縮ウランでいくか天然ウランでいくかということは、日本における自主的な原子力の開発、特に日本の学術界の原子力方面における発展のためにとっては基礎的な重要な点なのです。この点をあなたは全然無視しようとおっしゃるのですか。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田国務大臣 原子力の開発はもちろん国産炉を、われわれは自分らの技術、自分たちの学問の力によって国内に持ちたい、これがわれわれの理想であります。しかし国産炉を持つ前に、われわれの未経験な技術あるいは生産その他の面につきまして、先進国の既存の炉を輸入すること、あるいは既存の技術を導入することによって、国産炉に近づくことが可能な場合には、それを考えなくてはならないと思っております。従ってどういう炉を輸入すべきか、あるいは輸入すべからざるか、そういうことにつきましては、われわれはあらためてその目的のために調査団を派遣をすべきであるという委員会の結論になっておるわけでございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 いずれにいたしましても、先般の原子力委員会に付属する参与会議等によれば、年内にコールダホールの改良型を輸入するというふうなことがかなり有力な意見として新聞を通じて発表されております。これは大蔵大臣にお伺いいたしますが、かりにコールダホールの改良型を輸入するといえば建設費だけでも約五百億近いと私は聞いておる。十年間の契約でありますから、詰めかえの燃料費等を加えれば優に一千億円も突破するだろうと思う。従ってかりに年内に動力炉を輸入する、発注するということになれば、来年度予算においては相当な財政的な措置を講じなければならぬ。少くとも国庫負担における債務というふうなものが来年度予算に出てくるわけであります。大蔵省当局としては財政的な見地から、相当な国庫債務負担行為を伴う動力炉の輸入等については一体どういう見解を持っておられるのか、この機会に一つ明らかにしていただきたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 原子力の問題につきましては、政府においてはその基礎的研究と受け入れ態勢の点に限らるべきだと考えております。今お説のように三十万キロとかあるいは四十万キロの発電の施設は、政府の直接関知するところでなしに、民間においてできることならやっていこう、われわれは基礎的な研究に財政支出を限りたいと考えております。

岡良一日本社会党

○岡委員 大蔵大臣からの御答弁は原子力委員会、参与会議等における委員諸君、参与諸君のまとめられた御意向とは全く違っております。ここに日本の原子力開発というものの大きな不幸な矛盾があるわけです。私どもも池田さんの意見に同調する。日本はこの際、実用動力炉三十万キロワットなどという膨大なものを入れて、しかも天然ウラン黒鉛型というようなもの、これは四、五年もすれば古色そう然たる古い時代のおなごりになるかもしれないほど日進月歩の今日の実情において、日本が真に自主的に日本の――日本にはりっぱな潜在的な原子科学に関する能力があるのだから、これを開発するところに原子力委員会は重点を入れるべきだと私は思う。そういうわけで、民間は知りませんが、政府としてはこの際せいぜい動力炉としても実験炉程度にとどめ、むしろ日本が自主的に設計をし建設をするためには、これに加えて材料試験炉の輸入等にとどめる、これならばそう大した財政負担もないわけなので、こういう形で歩一歩日本の原子力開発を進めるということが、今日の日本の現実においては私は最も正しいことだと思う。この方針について岸内閣総理大臣はいかがお考えになっておられるか、御所信を承わりたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 今日までの日本の原子力平和利用に関する実際の発展過程は、まだ先進国に比べてみましておくれております。またこれを大規模にやるためには非常に財政的の負担も多いし、また同時に原子力科学というものが非常な進歩の過程にあります。そういうような各種の事情を考慮して、究極において日本が持っている原子力科学の力というものをさらに伸ばして、そうして国産の動力炉の建設というような方向に進んでいくのが日本のなすべき道であろうと思います。それについてはやはり現実をにらみ合して、そしてそれを進めていく最も有効な実際的な方法を考えていくというのが、政府としては当然の道であると思います。その意味においていろいろ原子力委員会等においても研究をいたし、またいろいろな方面におきましても検討を加えているわけでありますが、言うまでもなく政府として特にやるべきことは、その基礎的な、また日本が持っている潜在的といいますか、今日の日本自身の原子科学に関する力というものを将来発揮していくべき、その基礎的な研究なり施設なりというものに特に力を入れてやるべきだ。この発電の問題等に関しましてはいろいろ民間のその方面におきまして研究もあります。進んでおります。従ってそれがどういうふうに今後結論が出て参りますかは別として、政府としては今申しましたような方針で進んで参りたい、かように考えております。

岡良一日本社会党

○岡委員 私は総理の御所信を承わって一安堵実はいたしたわけであります。とにもかくにも今日、ただ原子力発電、原子力発電へと草木もなびく姿、しかし今日のこの事態こそ日本のまじめな原子力開発にとっては最も危険な症状といわなければならぬ。そういう意味でじっくりと、大して金のかからない実験炉を輸入して、動力炉の材料や運転についての技術の習熟をする、あわせて国内における潜在能力を開発する積み重ねた方式でもって日本における国産動力炉を――インドのごときでさえも国産動力炉をやるということをすでに声明している状態です。何もそう発注をして、四年後にどうやら建設ができ上る、その時分には古典的な動力炉になるかもしれないなどというような日進月歩のこの時代において、惜しげもなく国費を投ずるのであったら、若い科学者をどんどん外国に出して勉強さした方が、よほど日本のためになると私は思うので、事はじっくりとかまえて進んでいただきたいことをこの機会に宇田国務大臣に特にお願いいたしておきます。  なおこれに関連して、ウラン資源が日本には非常に乏しい。そこで原子力委員会で内定した基本計画というものを見ると、増殖炉、いわゆるウラン二三三やトリウムのサイクルでもって、燃料の効率を上げる増殖炉の建設というものを非常にうたってある。こういう方面に対して最も原子力委員会としては力こぶを入れなければならぬのじゃないかと思う。ところが基本計画が内定をし、内定された計画の中にうたわれているだけで、具体的にこれに対してどの程度の努力をするかということが何らわれわれには知らされておらない。あるいは現在核融合反応の人為的な制御までも実験段階に入ったということを、この間アメリカでストローズ委員長がデモンストレーションサンプルをもって説明しておる。そういう時代であり、日本にもこの方面においては素粒子論グループというようなかなり高度な研究水準を持っておるグループもあるわけです。こういうものをもっと助成して、多角的にしかも日本の能力をもって原子力開発というものをぐんぐん推進せしめていくという施策についての抱負がない。何かと言えば原子力々々で草木もなびく、これでは民間電力資本家の圧力に政府が押されているという印象を受け、健全な日本の原子力政策発展のためにはまことに遺憾千万なことだと思うのです。この素粒子論グループあるいは増殖炉、こういう問題について原子力委員会としてはいかなる積極的対策を持っておるのか、この機会に明らかにしていただきたいと思います。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田国務大臣 学界における貴重な研究をいかに助成していくかということは、原子力委員会としても当然検討いたしております。従ってそういう面につきましては文部省その他とも打ち合せをいたしまして万全を期したいと考えております。  また増殖炉その他の燃料対策というものは非常に重要なことでありますので、国内資源の開発に伴ってその効率の上る方法を積極的に研究し、それにつきましては新たに東海村にもそういうふうな試験設備を設置することになっております。また隣接諸国からトリウムその他が最近輸入されておりますので、そういうものについて隣接諸国、特にアジア諸国には各種の資源があるということがだんだん判明して参りましたので、そういうものに対して積極的に燃料対策の見地から開発ないし輸入対策を講じたいと考えております。

岡良一日本社会党

○岡委員 原子力委員長に技術的な問題について幾多お尋ねしたいと思いましたが、総理が参議院等に御出席のため時間的余裕があまりないので急げという申し出がありましたので、若干総理に基本的な原子力問題についての御抱負を承わりたいと思います。  第一点の問題は、先ほども申しましたように、原子力のエネルギーが人間の力によって開放されたということは、第二次産業革命の前夜というような様相を来たしておるわけです。そこで私は、このような人間の高い英知の力というものは、全国民、全人類の福祉、人類文明の発展に貢献せしめる、こういう大道につくべきだと思います。そういう意味で、原子力発電を中心とする日本の平和利用については国がこれを育成し、また国のできるだけの財政的な責任においてやっていく、原子力発電はフランスにおいても英国においてもその他の諸国においても、すでに公社形態をとってやっておることは御承知の通りです。私はこのような社会化された形で原子力の平和利用に進まなければならぬ、こういう方針をぜひとっていただかなければならぬと思うのでありますが、総理の御所信はいかが、でありましょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 原子力の利用が人類の福祉を増進するために、また従ってその国の国民の生活の向上のために利用されるようにあらゆる面から研究を進めて参り、平和利用を促進しなければならぬということは、先ほど来お答えした通りであります。しこうして事の性質上、今申すように人類全体の福祉に役立つという上におきましては、その研究、運営等につきましてそれを民主的に考えなければならぬということは当然である、かように考えております。

岡良一日本社会党

○岡委員 私が強く申し上げたのは、原子力の平和利用は社会化された形態で、これを一部の資本家の独占にゆだぬべきものではないという御趣旨を申し上げたのであります。  さらに次の問題として私は特にこの際皆さんの注意を喚起し、さらに御所信を承わりたいのでありますが、原子力産業会議あるいは石川ミッションの報告によっても、英国からコールダーホール改良型を輸入しょう、こういう意図を強く出しておるわけなのです。ところがコールダーホール改良型という動力炉は、英国の原子力公社の白書によってもプルトニウムの生産というものを重要目的として建設をしておるということがはっきり言われておる。しかも英国側がわが方に示しておるところの一般協定草案を見ましても、わが方が大枚な国費を投じて動力炉を輸入して、その結果生じてくるところのプルトニウムについては、わが方が利用し得る最小限度はわが方に残すが、あとは英国が返還をしてくれと言っておる。そういうことになれば、われわれは今クリスマス島の水爆実験に反対だ反対だと言っておるけれども、日本は日本の国費でコールダーホール改良型を輸入してプルトニウムを作って、これを英国にやって、英国はクリスマス島で水爆の実験をやって、そしてわれわれが死の灰やかぶらなければならないという、まことにこっけいな不幸が起ってくるわけなのです。こういうことは、すでに岸総理も原子兵器の持ち込みは絶対にやらないという頼もしい言明をこの委員会でなされたのであるが、動力炉の輸入に当っても、このようなことは私は絶対に国としてはとるべき政策ではないと思う。この点について総理の御所信を承わりたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 動力炉の輸入の問題につきましてのいろいろな技術的な研究につきましては、十分に原子力委員会を中心として研究をしてもらいまして万全を期したいと思います。今御指摘の技術的のものにつきましては、私が詳細にこれを知悉しておりませんので、あるいは技術的な内容につきましては、原子力委員長の方から御説明した方が適当かと思いますが、私は十分各種の技術的な研究をして万全を期したい、かように考えております。

岡良一日本社会党

○岡委員 それでは委員長にお伺いいたしますが、わが方は基本法によって平和利用ということの目的にしぼっておるわけです。ところが平和利用の名のもとに原子力発電をする、その結果、その炉の中で生産されたものが協定の相手国の軍事利用に供されるという結果、これはわが方の基本法の精神を著しくじゅうりんするものである、このようなことは私は絶対にやるべきでないと思っておるが、委員長の見解はいかがでしょう。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田国務大臣 プルトニウムができました場合に、これをどういうふうに処理するかということにつきましては、一般協定を結ぶ場合の非常に重要な案件でありますから、条約について先方と交渉いたします場合に、その点につき、決してはなお御趣旨の線に沿ってわれわれは交渉をいたしたいと考えております。

岡良一日本社会党

○岡委員 それから国際原子力機関がいよいよこの秋から発足いたします。この問題は国会に付議されておりますので、委員会等において十分政府の所信を承わりたいと思いますが、しかしこれが発足をいたしましても、とりあえずのところは情報を提供するとか、あるいは若干のリアクターを設け、ここで加盟各国の科学者が訓練を受けるとか、また多少の核原料物質の供与を受ける程度でありまして、実質的な機能は私はいまだしと思うのでありますが、それにつけても二国間協定というものは、その時間的な空白を埋めるためにはわが方としても当然必要なことであります。私はこの機会に特に総理に御所信を承わりたいのでありますが、問題はインドであります。今アメリカあるいはイギリスが対象になっておる。ところがインドはもうことしの春、トロンベイにおいて総合原子力研究所を作りました。その開所式でネール首相は、いかなる国ともこの総合研究所を使って協力することにやぶさかではないという言明をしておる。このネール首相が先般の組閣においては原子力相を兼ねておる。総理も今度東南アジアへ行かれるということでありますが、私はぜひともこのインドとの間に、特に燃料のない日本が増殖炉という方向において原子力発電をやろうとすれば――インドには無尽蔵なトリウムがあるのです。ぜひともインドとの間に二国間協定を結ぶ。私はインドは日本の原子力開発における最も頼もしい、信頼すべき相談相手であると思うのであるが、インドとの間の二国間協定を促進するという御意思がないかどうか。これは外務大臣としての総理の御意思を伺います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 原子力の平和利用に関しましては、一面国際機関を通じてこれ施進めるとともに、さらに必要な国国との間に二国間の協定を設けて、そうして進めていかなければならぬと思います。インドにつきましても、今日までの研究で、今直ちにインドと二国間の協定ができるまでの状態にはなっておりませんけれども、十分私はそういう点を頭に置いて、将来の二国間の協定についてはこれを進めて参りたい、こう思っております。

岡良一日本社会党

○岡委員 私は、もう協定し得る条件は――わが方さえ踏み切ればできると信じておるのです。なるほど国際原子力機関が発足をする。しかし一九五三年の十二月のアイゼンハワー声明で、国際原子力機関が発足するということには相なりましたけれども、この三年越しの間に、ヨーロッパではユーラトムができる。ソビエトはこれを中心とし共産圏八カ国、ほかに、エジプトやインドと協力協定を結ぶ。アメリカは三十八カ国と協力協定を結び、八カ国と動力協定を結ぶ。このような形で、原子力開発は、西ヨーロッパとアメリカを中心とするブロックと、ソビエトを中心とするブロックというふうに大きく分れてしまっておる。これでは国際原子力機関を中心に、日本が理事国となって、その機能の公正な運営と発展のために寄与しょうと思っても、なかなか困難な事態がある。こういう事態を直視した場合、当然私は日本がインドと提携する。――インドはソビエトとも英国ともアメリカとも協力協定をやっておる国なのです。日本がインドと提携をして、アジアにおける原子力開発の後進性を、日本とインドとの大きな結合が克服をしながら、その力を国際原子力機関へ持っていって、国際原子力機関というものに、ほんとうに大国と小国の別なく、この原子力の人類への福祉のための寄与をさせる、こういう方向に私は日本の原子力政策というものはあくまでも進むべきだと思う。東南アジアを訪問される岸首相としては、ぜひこのように原子力問題の国際的な解決の日本における基本的な方法として、こういう点を十分に一つお考えの上、私はいいおみやげを持ってきていただきたいということを心から切望いたします。  次には原水爆の問題でほんの一、二点お尋ねをいたしたいと思います。国際原子力機関ができて、日本が理事国としてその発展のために努力をする、こう首相申されるし、当然そうあらねばならないと思います。しかし何と申しましても、大国が現在のような状態で、理不尽にも水爆実験を競合しておるという、こういう事態の中では、国際原子力機関が、その憲章の第二条にうたわれたような、原子力を人類の福祉に貢献せしめようと百万べんうたっても、なかなかその実効は私は期待し得られないと思う。そこで原水爆の禁止ということは、日本が理事国として間際原子力機関を強化しようと思えば思うほど、われわれにとっては切実な問題になってきておるわけです。ところが今も申しましたようにクリスマス島でやられる、あるいは五月の十五日からアメリカはネヴァダでやる四月に入ってから日本の微気圧計だけでももうすでに三回、シベリアの西南部におけるソビエトの無警告実験というものを確認をしておる。東京ではこの四、五日前に二万五千カウントの雨が降っておる。二万五千カウントといえば、許容量の一千倍です。こういうような状態であります。しかも水素爆弾の実験については、これは言うまでもなく核融合反応です。核融合反応ということは、これは太陽のエネルギーを人間が作ったということなのです。宇宙の生命の根源を人間が作った。宇宙の生命の根源を人間が持ちながら、それをもって人間を滅ぼそう、私はおそらく歴史を通じてこんな大きな悲劇はないと思う。この事実をほんとうにえりを正しくして私どもは正視しなければならぬと思う。そうなってくると、これまで政府が唱えておられたような原水爆実験の登録制とか、査察制などというような、あんななまやさしい問題ではなるまいと思うのです。一九五四年のビキニの水爆実験、前後するシベリアの実験、あれは実験段階でありまして、現在の実験の様相というものは、察するところ水爆は実用段階に入ったということが私どもに予想されておる。戦争防止のため、戦争防止のためというけれども、実に危険な状態に私は人類は追い込まれておると思うのです。二度ならず、三度ならず大きな犠牲をこうむった日本であってみれば――単に人道的な立場から何回通牒を送っても、何んの特使を送っても手ごたえはないではありませんか。手ごたえは、日本の測候所の微気圧計にドカンという水爆実験の確認が三時間後に到着しておるという手ごたえなのです。政府はよろしく査察制とか登録制というような、そういう漸進的な、暫定的な措置でなく、この際思い切って、原水爆の実験の禁止、この旗じるしのもとに立ち上るべき段階にきたと私は思う。これが日本の国民の与えられた崇高な国際的な義務だと私は思う。総理の御所信はいかがでしょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 原水爆の禁止に関する岡委員の御見解は、私も全然同感であります。ただ私は、しばしば申し上げておるように、われわれはいかなる場合にもこの大きな理想を実現するためにあらゆる努力を続けていって、そうして国際的の世論をわき起し、これらの実験をしておる国々の反省によってこれが禁止されなければならない。がしかしさらに進んで今日までの状況を見ますと、お互いに対立しておる国々が、平和維持の名のもとに、むしろ罪が相手国にあるような言い方をいたしておるの、が現状であります。しかも方において全然無警告で行われておるということもこれは国際の現実であります。そういう現実に基いて、われわれはこの大きな理想を達成する理想はあくまでも、われわれの理念はあくまでもこれを明らかにすべきでありますが、これを実現するのに最も有効な、そして最も実際的な方法がどこにあるかということはわれわれも常に考えつつ、またその実行可能なものであり、有効な手段はこれをとるにちゅうちょしないようにして進んで参って、そうして一日も早く原水爆が、この新しいエネルギーが、人類の破滅のために用いられるというようなことのない事態を作り上げなければならない。私も強い決意のもとに今後進んで参るつもりでおります。

岡良一日本社会党

○岡委員 政府は英国に対する文書等においても、常に人道の立場ということを強調しておられる。今総理も原水爆兵器の禁止は理想である――人道主義はもちろん理想主義なのです。しかし理想主義というものにはオール・オア・ナッシングしかありません。人を殺すなということは、これは人道上の至上命令なのです。殺してもいいが、それには届出をしてくれなどということは許されないのです。しかも太陽のエネルギーを人間が握って、これをもって人類を破滅の底に追い込もうとする危険がひしひしと迫っておる。ここに立てばもはやはっきり理想主義の旗を掲げられた方がよろしいのではありませんか。これが国民のとるべき態度ではありませんか。やめろと一吉言うことです。すでにインドのネール首相も先般組閣直後の国会における演説では、非常に激しい憤りを込めて、今日における原水爆実験の競合は大国相互の不信に起っている。大国相互の不信によって、平和を愛好する小国の人民が大きな犠牲を強要されるということは、比類なき悪徳であると喝破しておる。あなたは今度ネール首相に会われたら、このあなたの抱懐せられるほんとうの理想主義の立場から人間の英和の力は必ず人類の福祉に貢献させなければならぬという理想主義の立場から、ネール首相と胸襟を開いて、原水爆実験禁止の問題について何らかの協定を、合意に到達せられるための努力を、ぜひ払っていただきたい、その御決意があるかどうか、私はこれは国民にかわってお願いをするのです。御所信を聞きたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 先ほど来お答え申し上げました通り私はこの原水爆の禁止、すなわち原子力はあくまでも平和利用に向けられなければならぬ、これが人類の破滅をもたらすような武器に使用されるということは、われわれの理想からいって許すべからざることであるという信念を持って、あらゆる機会をとらえて、これが国際的世論の推進またその目的の到達に向ってあらゆる努力をいたすつもりであります。もちろんあらゆる機会をとらえて、あらゆる有効な方法をとるというのでありますから、私が今回東南アジア地方を歴訪するに当りましても、そういう問題を十分に私としては胸におさめて、これらの各国の首脳者とも十分に話し合うつもりであります。

岡良一日本社会党

○岡委員 総理はまた国際的な世論が高まるということについて努力をしようと言っておられる。しかし私は今国際的な世論というものは十分高まっておると思う。それを信じていただきたいと思う。だからして高まった情勢の中で、いかにして原水爆の実験を禁止させるか、これはもう当然原水爆を保有し、実験を競合しておる現在の大国をしてこれを断念させることなのです。その協定を取り付けることなのです。いかにしてその協定を取り付けるか、私は先般も本会議で申し上げたが、国連の緊急総会が私は一番至当だと思う。過半数をもって緊急総会ができるという国連総会か、または今日の状態でアジア、アフリカ、スカンジナヴィア諸国、あるいは独伊等を含めて私はできると思う。先般スエズ問題、ハンガリーあるいはポーランドの問題のとき、たまたま私はヨーロッパの方におりましたが、国連総会が六十五票対七票をもってソビエトのハンガリーからの軍隊を引き揚げよという緊急総会の決議には、心あるすべての国々が賛意を表しておる。大きな世論的反響を私はこの目で見た。スエズの撤兵の決議案のごときも、英仏における進歩的勢力さえも国連緊急総会の決議には拍手をもってこれを歓迎しておるのです。いわんやこの原水爆の問題は、東西両陣営の対立を越えた人類の運命にかかわる問題である。私はぜひともインドのネール首相と、このような具体的な原水爆禁止への運びをお進めになり、大国は当然原水爆の製造、実験、使用、貯蔵等を全部禁止する、それの協定ができるまでの間は実験の禁止をするということを、国連総会というものが勧告する決議案を出す。私はここまであなたの御努力によってできると思う。ほんとうに日本国民だけではない、人類の運命にあなたが思いをいたされるならば、ぜひ東南アジアにおいてはネールとこの問題について突つ込んだ話し合いをし、合意に到達してもらいたい、同時にあなたもアメリカへ行かれたならば、安保条約や行政協定改訂の問題もよかろう、領土の返還問題もいいだろうが、この問題についてあなたはアジアでアジアの指導者と語り、太平洋を越えたアメリカと――バミューダ会談を通じてみても、松下特使の行動を見てもアメリカの意向というものは、クリスマス海域における水爆実験の大きな推進力になっておることは明らかなのです。アメリカの首脳とも、独立国の首相として人類の運命をになうという大きな自覚から、あなたはアイゼンハワー大統領と堂々とこの問題について私は折衝さるべきだと思う。これがあなたの日本国首相として与えられた重大な使命であり、後世に残る重大な功績であると私は思う。今日の段階において私は、これが総理の重大な使命であると思うのであるが、重ねて総理の御決意を承わりたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 岡委員の御意見に対しましては私自身がかねて抱懐しておるこの原水爆の問題に関する私の見解と根本において一致いたしておりますから、十分に今の御議論につきましては胸へおさめて、今後東南アジア、さらにアメリカ等を歴訪する場合において、私としては特に考慮をいたしたいと存ずる次第であります。

岡良一日本社会党

○岡委員 最後に私はこの機会にお願いをいたしておきます。それは人道上人道上と申しますが、とにかく人間の英知の最高の達成と言われておる原子科学の問題、その障害が十年後にはすでに骨の許容量にストロンチウム九〇は達しよう。セシウムが入ってくれば後世の子孫に重大な影響を及ぼすということが明らかになりた。ただどの程度に及ぼすのかということはわかりません。二万五千カウントの放射能が東京の雨において計算せられたというけれども、その中にどのような元素が含まれておるのか、具体的にどのような支障を与えておるのかという科学的な測定というものはない。本年度国の予算では三千三百万円が影響の調査というものに支出をせられることになっておる。気象庁は十五カ所いろいろ測定をやっておるそうですが、測定の結果をどこにだれが取りまとめて、さらにその精密な測定を続けるか、これをどのような形で取りまとめてどこに出すかという、有機的、組織的になされる機構がまだできておりません。原子力委員会がするということになっておるが、まだ打ち合せ程度で一向進行しておらない。私は総理があなたの理想を高らかに人類に訴えるためには、わが国においては、特に両三回の実験によってわが国の科学者は測定についての能力を持っておる。これを十二分に動員をされて、ぜひ一つ科学的な資料を集められ、これを整備するという努力について政府も数段の御努力をいただきたい。ストロンチウム九〇の研究班は先般国連科学委員会に有力な資料を提出しております。予算がないというので、一般科学研究費から予算を出しておる状態なのです。どうか一つ大蔵大臣も御配慮を願いたい。三千三百万円では日本の権威を動員して、国際的な権威あるところの資料を作るのにははなはだ足らないと私は思う。これらの点についてもどうか一つ政府としても十二分な御留意をお願いいたしまして、私の質問を終ります。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 以上をもちまして質疑は終局いたしました。  これより討論に入ります。田原忠次君。

田原春次日本社会党

○田原委員 私は日本社会党を代表いたしましてこの予算案に反対の意思を表明いたします。その理由を簡単に即し上げます。  第一は、原則的立場から反対いたします。わが日本社会党は現行憲法を擁護し、再軍備に反対する態度をとっておるものでありまして、この見地からいたしまして、今回のようなアメリカのひもつきの艦船は辞退すべきものである。進んで東と西とのかけ橋になって平和を維持すべきものであるという立場から反対をするものであります。沿岸警備や密輸の取締り等については、ほかの官庁であります海上保安庁をもって足れるものと考えます。なお六十七億からの金をこれに使うということであるが、もしそれらの金が平和利用に使えるものならば、むしろ駆逐艦を作るのでなくして、移民輸送船を作るならば三ばいくらいはできるものと私は考えております。どうかそういう方面に進めてもらいたいと思うのであります。  次に、第二は方法論からであります。たとえば防衛庁がなしくずしにひもつきの艦船の借用等を考え、あるいは外務省がその省内限りの外交方針を考えるということではいけない。政治というものは皆様も御承知と思いますが、各省の行政の算術的な総和ではないのであります。政治とは各省行政の立体的な総和でなくてはならない。今、わが日本の当面する問題は、いかにしてアジアにおける国際緊張を緩和するかということになくてはならない。私はその点について、つい数カ月前に岸さんに対して質問してある。それはアジアにおける国際緊張の緩和は、大陸中国と、台湾中国との和平統一にある。これが成功するならば、北朝鮮と南韓国の統一も可能である。従ってアジアにおける国際緊張の続く限り沖繩に駐兵する、あるいは日本を軍事基地に使用するとしいう米国側の理由はなくなる。その意味においては、進んで第三次国共合作のあっせん役をすべきものであると私は質問した。当時岸さんは原則的にはこれに賛成したのでありますけれども、賛成しても実行しなければ何にもならない。一昨日北京においてわれわれの同志淺沼団長以下が向うの民間代表と共同コミュニケを発表しているのは御承知の通りあります。これを見ましても、日中間の国交回復は可能である、その段階に来ておると言っておるのであります。しかるに今度岸さんは東南アジアに行くというけれども、台湾には寄るけれども中国には寄らないという。もしもほんとうに国際間の緊張を緩和していくことが日本国民の悲願であり、戦争防止になると考えるならば、私は、進んで今回の旅行でも、たった一日でも北京に寄って、毛沢東と話をするくらいの気魄がなくてはならぬと思うのであります。かく言う私たちも、私を含めて戦前長きにわたって、日本の大陸政策に勇気がなくて反対することができなかった。するずるに戦争に引き込まれた。私たち、今その過去のわれわれの勇気の足らざることを反省し、多くの迷惑をかけました中国民衆におわびをして、そして平和にやっていこうという今回の旅行の中国国際親善使節団の使命に対しても、新聞でごらんの通り、非常におおらかな気持で、先方はこれに応じております。絶好の機会でありますから、政府はこういうときこそ進んで積極的に態度を表明して、そしてこの日中間の国交回復に進むべきものである。しかるにアメリカ側からわずかばかりの金を見せびらかされまして、そして数隻の駆逐艦を貸してやろうという、それにいじきたなくも応ずるというような態度は改むべきものである、こう思うのであります。その意味におきまして、進んで戦争を防止し国際緊張を緩和する上においては、害こそあれ法して利益にならない今回のこの予算は、私どもは賛成することはできないのであります。  以上の二点に立ちまして、私はこの予算は賛成できません。反対いたします。これをもちまして私の反対の理由といたします。(拍手)

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 植木庚子郎君。

植木庚子郎自由民主党

○植木委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題になっております昭和三十二年度特別会計予算補正(特第1号)につきまして、賛成の意見を簡潔に申し述べたいと存じます。  この予算は、日米相互防衛援助協定によりまして、米国政府から日本国政府に対しまして、無償で譲渡される予定の艦船二隻をわが日本の国内で調達いたしますために、新たに設けられます予定の臨時受託調達特別会計に関するものでありますが、まず第一に、本調達事業実施のために必要な予算を追加計上いたしまして、あわせて必要な繰り越し明許及び国庫債務負担行為を補正いたしまして、一般会計と区分経理するために必要な措置を講ぜんとするものでありますが、この政府の計画は事の性質上当然であり、またきわめて妥当なるものと認めるのであります。  次に今回の艦船の供与は、日米相互防衛援助協定に基くものでありまして、日米共同防衛の建前をとっており自衛力漸増をはかっておりますわれわれといたしましては、何らこれを回避すべき筋合いのものではないと考える次第であります。もちろん現在の日米間の関係を、日本の一方的従属と見ましたり、または自衛力の増強を否定されたりする向きもありますことは十分承知いたしておりますけれども、かくのごとき態度意見は、われわれの断じてとらないところでありますことは今さら申すまでもないのであります。  第三に、今回の艦船の供与が、従来の艦船の供与と異なりまして、日本の国内でいわゆる域外調達をせられた後に、わが方に供与せられるという方式をとられておりますことは、わが国の防衛生産の育成のためにも、はたまたわが国の関係産業界の繁栄のためにも、むしろ好ましい影響があると考える次第であります。  最後に、今回の艦船調達が、米国政府の直接調達方式によらないで、日本政府に委託する方式が採用せられ、日本政府がその責任において発注をし、設計、監督、検査を行いますことは、わが方の自主性を尊重せられておると言うことができましょうし、またMSA協定による供与兵器を、わが国の実情に合致せしめるという点におきまして、むしろ好ましいものと言い得るのであります。  以上の諸点から、私は政府提出の昭和三十二年度特別会計予算補正(特第1号)に賛成いたすものでございます。(拍手)

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  昭和三十二年度特別会計予算補正(特第1号)に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 起立多数、よって昭和三十二年度特別会計予算補正(特第1号)は原案の通り可決いたしました。  委員会報告書の作成につきましてはは、先例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  次会は、明後二十五日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会

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