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26回国会衆議院1957/03/18

予算委員会 第18号

発言数
237
登壇者
19
会派数
2
開催日
1957/03/18

会議録

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。委員の異動によりまして理事二名欠員となっておりますので、その補欠を選任いたしたいと存じますが、先例によりまして委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって理事に小坂善太郎君、川俣清音君を指名いたします。     —————————————

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 それでは昭和三十一年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十一年度特別会計予算補正(特第2号)、昭和三十一年度政府関係機関予算補正(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。  まず提案理由の説明を求めます。大蔵大臣池田勇人君。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 政府は今回昭和三十一年度一般会計予算補正(第2号)、特別会計予算補正(第2号)及び政府関係機関予算補正(第1号)を国会に提出いたしましたが、ここに予算委員会の御審議をお願いするに当りまして、その概要を御説明いたします。  一般会計予算補正の追加額は、歳入歳出ともに百四十七億円でありまして、これにより、さきに提出いたしました予算補正(第1号)と合せまして、三十一年度一般会計予算総額は、一兆八百九十六億円となる予定であります。  歳出におきましては、昭和三十一年度の予算作成後に生じました事由により、当面必要とされる最小限度の所要額を計上いたしました。  これを義務教育費国庫負担金について見れば、三十年度における義務教育教職員給与費の実支出額に基く負担額が、三十年度予算計上額を上廻り不足することが確定し、さらに、三十一年十二月第二十五回国会において成立いたしました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律に関連して、教職員の期末手当が増額されることとなったので、三十一年度の国庫負担金を増額する必要があり、そのほか、遺族及び留守家族等援護費、国民健康保険助成費、旧軍人遺族等恩給費、地方交付税交付金などについても、これと同様の趣旨で成立予算に追加して所要額を計上することが必要となったのであります。  また、食糧管理特別会計の損失は、三十年度末において完全に補てんされる予定でありましたが、その決算確定の結果、なお損失を残すこととなりましたので、これを一般会計の負担で補てんするための所要額三十三億円余を計上しております。  なお、沖繩問題については、講和条約発効前における米軍接収による土地等の損失の補償に関する問題は、早急に解決することが困難でありますので、土地等の所有者等の困窮の現状を考慮し、特別措置として見舞金を贈ることとし、その他の対策とあわせて沖繩関係特別措置費十一億円を新規に計上することといたしました。  次に、一般会計歳入についてでありますが、租税及び印紙収入百三十億円を追加計上いたしました。これは三十一年度の税収が、国民所得の予想以上の伸びを反映して、大幅の収入増加が見込まれ、そのうち所得税、法人税につき四百億円を第一次の補正予算に計上いたしましたが、今回の補正を行うに当り、その財源として、さらに、酒税、物品税、関税の増収百三十億円を引き当てることとしたものであります。  なお、租税収入のほか、歳入として雑収入等約十七億円を計上いたしました。  特別会計予算補正としましては、交付税及び譲与税配付金特別会計及び漁船再保険特別会計給与保険勘定におきまして、一般会計予算補正とも関連して必要とされる補正を行い、また、特別会計予算総則の一部を改めて輸出保険特別会計の契約限度額を増額することとしております。  政府関係機関予算補正は、成立予算の予算総則に規定されている国民金融公庫、中小企業金融公庫の借入限度額を増加することを内容とするものであります。  以上、昭和三十一年度予算補正につきまして概略申し述べましたが、なお詳細にわたりましては、政府委員をして補足説明いたさせます。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 次に補足説明を求めます。主計局長森永貞一郎君。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 お手元に、昭和三十一度予算補正の説明という印刷物がお配りしてあると存じますが、この印刷物につきましてごく簡単に補足説明を申し上げたいと存じます。  二ページに、歳出の各項目につきましての説明がございますが、まず遺族及び留守家族等援護費につきまして二十八億円を追加いたしておりますが、これは本年度における裁定件数の増加に伴いまする不足額、二十四億九千六百万円並びに三十年度における不足額三億四百万円、こういった内訳に相なっております。  社会保険費で、十億六千九百万円を追加いたすことにいたしておりますが、これは昭和三十年度における療養給付費の補助におきまして十億四千三百万円、事務費補助におきまして二千六百万円不足をいたしましたので、その分の計上でございます。御承知のように国民健康保険の助成が精算補助に切りかえられました結果に伴う三十年度分の決算上の不足でございます。  次は、義務教育費国庫負担金の追加額十七億四千五百万円でございます。このうち十億三百万円は三十年度の決算上の不足でございます。残りの七億四千三百万円は、昨年末公務員に対して追加支給されることになりました〇・一五分の期末手当の増額に伴う国庫負担の増加でございます。  国立学校運営費につきまして、一億五百万円の追加をお願いいたしてございますが、これは国立大学病院におきまする患者の増加、診療内容の向上に伴う医療費の不足分の計上でございます。他面におきまして約二億七千三百万円の歳入の増加を本補正で予定いたしております。なおこの医療費につきましては別に六千万円を予備費より支出をいたしておることを付言いたしておきます。  旧軍人遺族等恩給費におきまして、二十五億九千百万円を追加計上いたしております。このうち十九億六千百万円は遺族扶助料の本年度の不足でございます。当初裁定受給人員を百六十万人と見込んでおりましたが、裁定が思いのほか進行いたしまして、一月末現在で百六十一万人に達し、さらに年度末までに五千人程度の新規裁定を予想せられますので、これに伴う不足分を計上いたしました。なお一時金につきましても六億二千九百万円の不足が予定されますので、今回追加計上をお願いいたしております。  地方交付税交付金、十億円の追加でございます。これは今回の補正に伴いまして、歳入として酒税四十億を追加計上いたしましたことに伴いまする地方交付税の増加でございまして、これに関連いたしまして、別に交付税及び譲与税配付金特別会計につきましても所要の補正をお願い申し上げております。  食糧管理特別会計への繰り入れは三十三億五千五百万円でございます。三十年度の決算上の損失でございまして、食糧管理特別会計法附則第二項の規定により補てんをいたすことにいたしております。  沖繩関係特別措置費といたしまして十一億円を計上いたしております。このうち十億円は米軍が接収しておりまする土地等の所有者に対し、講和発効前の補償の問題が懸案としてあるわけでございますが、この問題につきましては今後さらに対米折衝が続けられるわけでございますが、早急な解決が困難でございますので、さしあたりの特別措置として見舞金を十億円支給することといたし、追加計上をいたしました。この見舞金につきましては、ビキニ被災者の例に準じた立てかえ金的な性格のものと考えております。このほか外地から沖繩への引揚困窮者等に対し、特別な援護措置をいたすための資金といたしまして一億円をこの補正に際し、あわせ計上いたしております。国庫受入預託金利子六億七千五百万円でありますが、これは国鉄並びに電電公社はその余裕金を国庫に預託することになっておりまして、その際一定の限度をこえました金額につきましては、国庫から利子を付しておりますか、その預金の金額が当初予定いたしました金額をはるかに上回りまして、不足を生じましたための追加計上でございます。  漁船再保険特別会計への繰り入れ一億七千九百万円でございますが、これは普通保険勘定におきますものが八千四百万円、これは三十年度の決算上の不足でございます。給与保険勘定におきますものが九千四百万円ございます。これはいわゆる李承晩ラインの問題がございまして、漁船の拿捕が相次いでおりまして、しかもその抑留期間が相当長期にわたっておりまするため、漁船再保険特別会計給与勘定におきまする歳出権の不足を来たしておりますが、この際その特別会計につきまして歳出権の追加の補正をお願いいたしますと同時に、財源といたしまして損失の確定いたしております金額九千四百万円を一般会計から繰り入れることといたしておるのでございます。  以上歳出を終りまして歳入でございますが、租税収入百三十億円、その内訳は酒税四十億円、物品税三十億円、関税六十億円と相なっております。  一般の収入として官業益金及び官業収入が二億七千三百万円、これは先ほど申しました国立大学病院におきます収入の増加であります。  雑収入といたしまして十四億五千六百万円、これは金融機関再建整備法に基きまする国からの補給金が、その後当該金融機関に利益が出たことに伴いまして、国に利益分配が行われることと相なっておりますが、当初予算に見込みました二十五億に加うるに、さらに十四億五千六百万円納付せられましたので、その分をこの補正に際し追加計上いたした次第でございます。  特別会計につきましては、ただいま一言ずつ触れましたので御説明を省略いたしまして、九ページの政府関係機関につきまして、国民金融公庫につきましては、十五億円、中小企業金融公庫につきましては二十億円、それぞれ借り入れ限度を引き上げることとし、政府関係機関の予算総則につきまして補正をお願い申し上げております。  以上きわめて簡単でございますが、補足説明を終ります。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 これより質疑に入ります。島上善五郎君。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 私はただいま政府から提案されました昭和三十一年度補正第2号に関連いたしまして若干総括的な質問をいたしたいと存じます。  まず総理大臣に伺いたいのですが、総理大臣はアメリカ、東南アジア等へ訪問されると言っておりましたが、その訪問についてだいぶ最近目六体化してきたようであります。そのことをお伺いする前に一つ伺っておきたいことは、今の岸内閣は石橋内閣の上に首だけを取りかえた内閣である。ということは、もう国際的にも国内的にもそう見ておる。つまり本来の安定した岸内閣とは見ていない。暫定的な、一時的な性格を持った内閣である、こう見られておる。そこで私はいずれ遠からず、この今の岸内閣が、まあ俗な言葉で申しますれば、石橋体制から岸体制への切りかえが内閣においても党においても当然行われるものと考えます。近く自民党の大会を開いて総裁にもなられる予定だそうでございますし、きのう佐藤榮作君が旅先で新政策を発表する用意をしておるということを言っておりましたが、これもやはり岸体制の一つの現われとも見られると思う。そこで私は、いわゆる石橋体制から岸体制への切りかえについての構想がおありでしたらこの際お聞かせ願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私は今回の国会におきまして総理に指名を受けたのでありますが、岸内閣を作りまして、この国会に臨む私の所信は当時国会に対して明らかにいたしております。私は、今日の段階におきましては、われわれが石橋内閣を継承して、国会に提案をいたしております予算案初め重要案件の成立に努めることは全力をあげておるわけでありまして、今日の状態におきまして、今御質問のような意味において石橋内閣を継承して参っておる体制をいつどういう構想のもとに変えるかということは、今日のこの段階においては私は考えておらないのであります。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 今の御答弁にもありますように、すでに提案されておりました予算案を年度内に通過させたい、その他法案の通過をはかり、いわば国会乗り切りをしたい、こう考えるのは、それは当然かもしれません。そのために党内にいろいろ複雑な事情もあるし、国会の中途で内閣の大幅改造とかあるいは党内人事を変更するということをしない理由は、私どもにもわからぬことはない。しかし何といっても今の内閣は石橋内閣の上に首をすげかえた内閣なんだ。石橋さんとは、あなたは総裁を争った。総裁を争ったということは政権を争ったということなのです。これはいわば政敵です。同じ党であるからそうではないとおっしゃるかもしれませんけれども、自民党は政策の点においても、ずいぶんこれが一体一個の政党であるかと疑われるような違いがある。私は今の自民党は、正確に申しますれば保守党連合というべきではないかと思う。去年の暮れに例の日ソ交渉の際に鳩山訪ソに反対したり、あるいは共同宣言に反対したのは、ほかならぬ自民党の党内のある相当の一派なのです。こういうような非常に大きな重要な政策について違いがある。私は石橋さんとあなたの間にだって相当違いがあると思う。おそかれ早かれ、当然石橋体制から岸体制への切りかえが行われるものだと思う。私は今、今度の国会中に行われるという返事を期待しているわけではありませんけれども、この外電を見ましても——岸さんがアメリカへ行く、その岸総理を迎えるアメリカの現実ということでワシントンからの電報が朝日新聞に伝えられておりますが、この中でもアメリカは岸内閣を安定した本来の岸内閣と見ていない、こう書いてある。それは当然なのです。そうだとすると訪米しても、あるいは東南アジアへ回りましても、一定の問題について交渉する際にどうしても不利ではないか、十分な信頼を相手に与えないとすれば、不利ではないかということが考えられる。そこで外国へ行かれる前に、岸体制への切りかえが行われることを期待している声もありますし、そういうことに関連して、私は今伺っておるわけです。それをあなたはいつまでも、今の石橋体制に乗っかった状態をそのまま持続されるつもりですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 島上君と私は、政党の本質に関する今の御質問によりますと、見解を異にしておるようであります。私は、自由民主党は一つの政党として、その根本的基本政策につきましては党で定めておる政策があります。もちろん総裁は、われわれは公選するという党則によりまして公選の方法を行なっておりますが、これは私どもは政敵として相争うという考えは、私にも毛頭なかったことでありますし、石橋前首相にもなかったことは明白であります。こういう意味におきまして、もちろん政党は情勢——いろいろな社会情勢や政治情勢あるいは各般のことを考えまして政策を進展さしていくことは、これは当然であります。われわれは一段々々とわれわれの理想を実現するところの政策を行なっております。この意味において内閣の首班がかわり、また政策が前進するということは、これは当然われわれとしては考えておりますが、今お話のように、石橋前首相と私とが対立した一つの考え方を持っておる、政策の根本において非常な違いを持っておるというふうなことは、私ども考えておらないのであります。党そのものにつきましても、党の大会において総裁以下の役員をそれぞれの党規によって選定するという方法によって、われわれはこれを定めて参りますが、今申し上げましたように、私自身としてはこの国会において御指名を受け、その上に私自身が内閣を運営していく根本の方針については、すでに国会を通じて明らかにいたしておりますので、その方針で参りますし、政党の本質につきましては、今、私申し上げたような所信の上に立って、将来自由民主党の政策というものを進展さしていきたい、かように思っております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 私の質問に対して若干的はずれの答弁ですが、私はもう必ずおそかれ早かれいわゆる石橋体制の切りかえが行われるものと信じております。今あなたは答弁しにくいかもしれませんけれども、必ずそうするに違いない。その際に当然国会を解散して国民に信を問う、そういう形を経て体制の切りかえを行われるべきではないかと思う。あなたは国会議員としては山口県の二区ですかで信任されておりますけれども、総理大臣としては信任されていない、こういう点からいいましても解散すべきものだと思う。今までの答弁は、解散を今考えていないという一点張りです。その今までの答弁と同じことを私は聞こうとしない。今までと同じ答弁を私は聞こうとは思いませんが、しかしあなたはこの前のこの委員会の答弁でもはっきりしましたように、東条内閣当時の閣僚であった、それを十分に自己反省をして今後は民主的政治家として立っていこう、こういうことを答弁されておる。それはけっこうです。しかしほんとに民主的政治家として立っていこうとするならば、もし国民の世論の大勢が国会を解散すべし、こういうふうになってきた際には、解散を考えていないという今までの答弁については考え度すべきではないかと思う。国民の世論の大勢が解散を要求して参りましたら、今までの答弁について考え直す御用意があるかどうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 民主政治の運営につきましては、国民世論の動向というものは政治上きわめて重要なものでありまして、政治の責任の衝に当ります者は、常に真の国民世論がどういうことを求めており、どういう動向を持っておるかということを考えていく、これはすべての政治運営の非常に重要なものとして考えなければならぬと私は思います。従いまして、解散という問題に関しましても、もちろん国民世論が強くこれを要望するような事態であるならば、それを無視して政治を運営するということは適当でない、しかし私は現在のところにおいて、そういう解散を要望するところの国民世論が盛り上っているとは決して考えておりません。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 現在そういう世論が盛り上っているとは考えていない、だから解散を考えていない、こうだと思いますが、私はそれについても考えを多少異にしております。しかし政治評論家あるいはその他の大新聞等の論説を見ましても、予算が通過したら解散すべきだという声はかなり前から叫ばれております。かりに百歩譲って、今あなたが解釈しているように国民の世論が必ずしも高まっていないとしましても、もし参議院で予算が通過して、今私が言ったように予算が通ったならば解散すべきだという世論が一段と盛り上って参りましたならば、その際には考え直しますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 今私が申し上げたことは一般的の、民主政治運営の根底に関する私の見解を述べたわけであります。具体的に解散をするとかしないとか、あるいは予算が通過したら解散をするかとか、あるいは国会が済めば解散するかというような御質問は、本国会を通じて幾たびか私になされたのでありますが、私は常に一貫してそういう意思を持っておらないということを申し上げまして、今日も結論としてはそれを変える考えは持っておりません。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 私は今言ったように、この前と同じ答弁を聞こうとしておるのではないのです。あなたは民主政治家として立っていこうというのですから、当然世論を尊重されると思う。私は今言ったように、予算が通過したら解散すべきだという声が前々からありましたが、予算が通過した、つまり四月以後に、その声がさらに一段と高まってくるものと私は予想しておる。そういうふうに世論が高まって参りましたならば、世論の大勢が解散要求ということになって参りましたならば、そのときには今までの答弁について考え直す用意があるかどうか、国民の世論がどうなっても、わしは自分が今まで答弁した通り、その解散をしないという考えで終始一貫する、こういうことであれば何をかいわんやです。それはもしあなたがそういう態度をおとりになるとすれば、かつてのように超国家主義的な、全体主義的な、ファッショ的な考えにまた逆戻りしたと国民は疑うであろうと思うのです。私は国民の世論がそういうふうになってくると思いますが、もしそういうふうに世論の大勢が解散を要求して参りましたならば、そのときに考え直す用意があるかどうかということを伺っておるのです。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私は、先ほど一般に民主政治運営の根本として、国民世論というものに対しては謙虚にこれをとり入れていかなければならぬということを申し上げております。従いまして何事についても国民世論の動向というものに対しては、常に深甚の注意を払って居ります。従って今の御質問のような点でありますが、これは実は今日において仮定を前提として論ずることは適当でない。島上君は国民世論の動向はこうなるんだという一つのお考えをお持ちのようでありますが、国民世論の動向に対しては、今申したように常に謙虚な気持で、自分があらかじめ一つの断定をもって事前に考えるということは、私自身はしたくない。従ってそういう事態を見て私は考えていきたい、こう思っております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 そういうときになれば考え直すというふうに受け取りますが、今度は訪米問題について伺います。  あなたは石橋内閣の外務大臣当時の外交方針演説では、国会が済んだら、なるべく早い機会に東南アジアを訪問したい、こう言っております。そのときに、アメリカを訪問するということは、たしか言っていないはずです。ところが総理大臣になりましてから、特にこのごろは、アメリカへ行くということを言っておられる。最初は国会が済んだら、なるべく早い機会に東南アジアへ行こうとおっしゃる。このごろは、そうじゃなしに、アメリカ訪問をだいぶ急いでいらっしゃるようです。そこで外務大臣当時と総理大臣になってから考えの変化、つまり心境の変化を来たしたのか、それとも国際的な事情が、アメリカ訪問を急いでしなければならぬという理由が発生したのか、何かその間に変化があったのかどうかを伺いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私は石橋内閣が出来ました当時、外務大臣の職につきまして、当時の石橋総理と、私は外務大臣として国際情勢の分析なり、あるいは外交政策の根本について当然のことでありますが、話し合いをしたのであります。その当時、総理としては訪米の意思を明らかにされております。私は外務大臣として外交方針演説で述べておりますような、東南アジア諸国を歴訪する意思を持っておったのであります。ところが石橋総理がおやめになりまして、私が総理で、かつ外務大臣を兼ねておりまする現状におきまして、石橋内閣当時からわれわれが持っておった外交上の何としまして、訪米及び東南アジアをたずねるという二つの目的を私一身においてどういうふうに実現して参るかは、今後の問題でありますけれども、そういう意味において、私としては両方を考えておるというのが私の心境でございます。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 先般、たしか十四日だったと思いますが、マッカーサー大使と首相官邸でお会いになった。その際に新聞に伝えるところによりますれば、首相から訪米の意思を明らかにして、マッカーサー大使からもその時期等についてかなり突っ込んだ話があったようでございます。この内容について、ここで明らかにしていただきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 当日、マッカーサーの私を訪問して参りました主たる目的は、私が総理大臣に就任したことに対するあいさつであったのであります。その際国会の答弁にも触れまして、私に訪米の意思があるかということについて、その訪米問題についても触れて話をしたことは事実であります。しかし具体的の内容について何も話したわけじゃありませんので、これは両国政府の都合のいいときを見計らってそれを実現したいということを申しただけでございまして、それ以上の点は何も具体的には触れておらないのであります。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 しかし新聞にはかなり詳しいことが出ております。アメリカは五月の末から六月の初めごろを希望しておるといったようなことが新聞には出ておりますし、また、きのうの佐藤榮作君の山口での談話では、アメリカでは五月中旬の訪米を希望しているが、その時期は国会開会中であり、六月になれば、アメリカの国会が終るし、それがすめば大統領が避暑に出かけるという工合で、というふうに、時期についてかなり詳しく出ております。これは国民が非常に関心を持っておる問題ですから、かりに話し合いをして正式にきまったのでないにしても、両者の希望が話し合わされたに違いないと私は想像しておりますが、そういう点の内容をお聞かせ願いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私がお答え申し上げました以上は、新聞に出ておりますことや、その他の言動はことごとく推測の記事でありまして、私どもは具体的には何も触れておらないのであります。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 いずれにしても、この問題は非常に大きな問題ですから、国民が関心を持っておる。そこで時期の点についてははっきり相談されないということですが、訪米する目的は、今までの質問の御答弁の限りでは、日米間の諸種の懸案について、あるいは調整を要する点が多々あるから、こういう抽象的な御答弁でしたが、国民は具体的な点を聞くことを望んでおると思う。またアメリカへ参りますからには、単なる儀礼的なあいさつや、あるいは外遊でないことは言うまでもありませんので、一体どういう問題について話し合いをされるつもりであるか。この際もう少しその問題点をはっきりしていただきたい。そうして当然これについては国民からもいろいろな注文や希望がありましょうし、国民の世論をひっさげて交渉する、あるいは話し合いをするという気持で行ってもらいたいと思うので、話し合いをされる問題点について、大よそ明らかにしていただきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私はこの問題についての御質問にも幾たびかお答えしたのでありますが、それは要するに日本と——これは外交方針の根本にも私は明らかにしたように、日米の真の友好関係、協力関係というものを強化することが、日本にとってもきわめて必要である、その意味からいうと、率直にすべてのことを話しあって、十分に理解を深めていく、個々の間にいろいろな誤解が少しでもあるというようなことがあっては、また理解が十分でないというようなことがあってもいかぬという意味において、トップ・レベルで十分に率直に話し合うということが基本的に必要であるということを申し述べております。さらに私は今日の国際情勢あるいは近き将来の見通し等についても十分にこれを分析し、意見を交換して、これに対する見解をはっきりさせておく必要があると考えております。さらにアメリカと日本との関係におきましては、私の外交方針でも申し述べておるように、われわれは真の理解の上に立った協力関係を強めていく上においては、日米の関係においていろいろな問題を調整していく必要があるということを申しております。私はこれらのことに触れて、もちろんあらゆる問題を討議するだけ時日が許されるかどうか、これも両国政府のさらに具体的に都合を明らかにしておく必要があると思いますが、できるだけ今申したような意味において話し合いをしていく。ただ具体的に何の問題と何の問題と何の問題を取り上げてディスカッスするのかということを、今日の状況で申し上げることは私はまだ適当でない、かように考えております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 適当でないとおっしゃいますれども、新聞で伝えられることがもしかりに推測であるにしましても、国会が済んでから五月下旬か六月初めに行かれるということになれば、時期も非常に切迫しておると思う。秘密独善外交をとられるというならば何をか言わんやでありますが、民主政治家として立っていこうとされるからには、秘密独善外交を排するというお考えだろうと思う。そうだとするならば、いろいろな問題といっても、今日国民が解決を欲しておる日米間の主要な問題はおよその見当がつくと思うのです。こういう問題について話し合うということを国民の前に明らかにして、国民のこれに対する注文や希望を聞いていくということが必要ではないかと思うのです。総理大臣は明らかにする段階でないとおっしゃいますが、では私の方から伺います。日米安全保障条約や行政協定の改訂について話し合いをなさるお考えはありますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 日米安全保障条約や行政協定の問題につきましては、これまた私の考えをはっきりいたしておりますが、私はこういう今日の状態において、日米共同防衛の形において日本の安全保障を確保していくことは、これは必要であるけれども、しかしその実施の経過にかんがみ、またわれわれ自身が究極の目的としては、そういう体制でなしに、日本が自力でもって自国を防衛し、また国連の集団安全保障体制によって日本の安全が保障されるという方向へ、日本としては進んでいきたいということを申し述べております。しかし具体的に安保条約やあるいは行政協定を改訂するとか、あるいは改廃するというようなことを論ずる前に、そういう方向への環境を作っていく必要があるということを、私は従来本委員会におきましても、私の所信として明らかにいたしております。従いまして、そういう意味においてこの安保条約や行政協定というものを考えるのであって、今度の私の訪米の題目として直ちにこれを取り上げて、これについて話し合いをするために行くのだということをここで申し上げることは、私はまだその時期でない、かように考えております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 しかしあなたは本委員会の答弁でもそうだったと思いますが、先日たしか内閣委員会で、自民党の福井順一君だったかの質問に答えて、もうすでに条約を結んでから五カ年もたっておるし、国際情勢も変ってきておるし、国民感情等から考えても、再検討する時期に来ておると思う、こういう意味の答弁をされております。再検討の時期に来ておるとしましたならば、総理大臣の訪米などというものは、そうちょくちょく一年に二回も三回もあるとは思われませんし、いわばトップ・レベルで両国間の問題を話し合う絶好の機会であるわけですから、この機会にこそ、こういう問題について日本国民はこの改訂を希望しておるということを伝えて話し合いをすべきではないかと思いますが、全然そういう御意思はないのですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 御意見として特に心にとめて今日は拝承しておきます。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 それでは伺いますが、例の原水爆禁止の問題ですが、これについてはクリスマス島の実験に関する問題もありますが、根本的には原水爆を保有しておる米英ソ三国間における実験禁止の協定あるいは製造禁止の協定といったようなものが、国際的に非常に要望されておる。総理大臣が行かれるのですから、この機会にこういう問題について話し合いをされる御用意がありますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 この原水爆の問題につきましては、すでに国会におきましても幾たびかその国民的な要望が議決されておりまして、そのつど米英ソ等についてこれが通告してございます。また今回のクリスマス島のイギリスの水爆の実験に関しまして、当該国、また一般世界の世論に訴える方法をとっております。私はこの問題は、今日の国際情勢あるいは近き将来の国際情勢の見通しに関連して、米英両国におきましては従来の声明等にかんがみましても、なかなかわれわれの希望を早急に実現することはむずかしい状態であることを、非常に遺憾に考えております。しかしあらゆる機会にこれは国際的世論を盛り上らせるために努力するのが日本政府の務めである、かように考えております。従いまして今度の訪米に際してその話し合いをするかどうかは別としまして、私は国民の意思の表明は適当の方法をもって必ずいたすつもりでおります。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 国民の意思の表明は必ずする、こういう御答弁をいただきましたが、私はもしそうであるとするならば、米英ソ三国の協定を国民が要望しておるということについて、そういう具体的な話をぜひしていただきたいと思います。単に国際的な世論を起すといっても、その世論だけではこの問題の解決はできるものではありません。この世論を背景として、具体的に今言ったように、米英ソ三国間で協定をするとかいったような取りきめを行われなければ、世界の世論の希望する事態の解決にはならぬ。これは抽象的に国民が希望しておる、国会で衆参両院で決議したというようなことは、もうすでに新聞等でも知っておることでしょうから、そういう消極的、抽象的なことでなしに、具体的に国民の意思を伝えてほしいと思います。  それからもう一、二伺いますが、例の懸案となっておりますいわゆるガリオア、イロアの債務問題について、国民は一体これはどうなるかという心配をしておりますし、今後の国家財政とも非常に関係の深い問題ですから、これの解決についてお話し合いをされる御用意はありますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 この問題は、日米両国の間におきまして、根本的な考え方については、私は大体了解がいっているものだと思います。ただそれの具体的な方法、金額の定め方、支払い方法等につきまして、またその基礎をなすところの資料等について、両国政府の事務当局の間で検討をされておる問題であります。これはその検討をもう少し進めていく必要がありまして、今直ちに結論的な話をするべき段階ではまだないように思います。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 今直ちに話し合いしたから結論が出るもの、でないかもしれませんけれども、こういうような両国間の大きな問題は、私は当然話し合わさるべきものだと期待しております。  それから、訪米する時期にもよりますけれども、もし少しおくれて八月か九月といったようなことになりますれば、もう国内では明年度予算の編成について検討を始める時期になると思う。そこで、明年度予算に関係の深い例の防衛分担金の漸減方式ですか、防衛分担金を減らす方式について、かつて鳩山内閣がきめたような方式そのままを承認していかれるつもりか。それともさらにアメリカと話し合いをして、日本の防衛庁費の増額をからみ合せておる今日の方式を改正するために、この問題を持ち出されるという御意思がありますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 防衛分担金の負担の方式につきましては、鳩山内閣時代に作られたものでありまして、実はこれを適用してやったのは本年が初めてでありまして、この協定ができてからの何はまだ一回しかないのであります。従いまして、今日直ちにこれの方式の根本を変えるという時期ではまだない、かように私は考えております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 あとでも少し触れますけれども、今度の予算に沖繩に対する見舞金を計上しておりますが、沖繩問題は単に見舞金を十億やるといったようなことで解決する問題ではなくて、非常に大きな根本的な問題で、国民も何らかのこれが解決に関する希望を求めておるわけです。沖繩や小笠原の問題に対しても、当然アイゼンハワーと会われるのですから、こういう問題を話題に上せられるものと国民は期待していると思うのです。こういう問題を話し合いをする御用意がありますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、具体的に一々この問題はどうだ、あの問題はどうだということを今日お答えすることは、私は適当でないと思います。御希望なり、あるいは国民の要望のことは、よく胸にとどめて参るつもりであります。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 私はこの前も言いましたけれども、最後にこれは訪米についての希望として、あえて答弁はされなくてもよろしいですが、アメリカに先に行って、アメリカといろいろな話し合いをして、それからアジアに参りますと、どうしてもアジアはかつての日本に対する悪い印象もまだ残っておりますし、アメリカの意を受けて東南アジアへ回ってきた、こういうふうに受け取る心配があるのです。私はそうではなしに、ぜひ東南アジアの国々を回って、アジアの平和と繁栄という立場からアメリカとの諸懸案について交渉する、そういう心がまえでやっていただきたいということ、これはこの前も言ったので、強く御希望申し上げておきます。  それからクリスマス島の問題ですが、この前、一度や二度の抗議で引き下るようなことはしません、何度でも今後あらゆる手を打つつもりである、こう御答弁になりましたが、その直後、宗教界の代表を派遣するということを考えられまして、最初の八代さんという人ですか、これは辞退されて、どうやら松下さんという立大の総長を派遣するようになったようでございますが、これは松下さんだけではなしに、松下さんが渡英団団長、こういうふうに新聞で伝えられておりますから、その他何名かの団員をお考えになっているようでありますが、これは団長と予定されている松下さんに一切をまかせるのか。政府としてこういう方面から何名かの団員を送りたいというお考えがあるのか。私はクリスマス島の水爆実験反対の声は、国民各界、各層の声である、こう考えますので、英国へ代表団を派遣する際には、特定の宗教界だけに限定することなしに、あらゆる階層から適当な代表を選んで、イギリスへ参りましてあらゆる階層に訴える、こういう方が効果的ではないか、また日本の国民もそれを望んでいるのではないか、こう考えますが、これに対するお考えを承わりたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 クリスマス島の実験禁止に対して松下氏を特使として派遣するということは、大体同氏の承諾を得ておりますので、準備を進めております。私どもも、宗教界ということに限定をしてではなしにイギリスをたずねる一行の選考なり相談を今いたしておりますが、お話の通り、必ずしも宗教界というものに限定せずに考えたい、かように考えております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 それから新聞では松下さんの談として、アメリカやソ連へも帰りに回ってきたい、こういう意思が伝えられてあります。また石田官房長官の発表によりますれば、米ソに別の特使を派遣する考えがある、こう言っておりますが、それは一体どちらなのですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 まだその最終的決定はいたしておりませんが、私どもとしては、今回具体的に問題になったクリスマス島に対するイギリスに対して特使を送るということを一応きめたわけであります。しかしさらに米ソに対しても、適当な方法をもって国民の意思のあるところを伝え、これらに反省を求めしめる必要があるということは考えております。今日のところで、松下氏に続いて三国に回ってもらうということは、私はまだ決定的に考えてはおりません。さらに適当な機会にそれぞれの国に別の特使を送った方がより効果的ではないか、こういふうに考えておりまして、松下氏には一応イギリスへ行ってもらうことだけをお願いしておるわけであります。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 イギリスは着々と準備を進めて、伝えられるところによりますれば、もうすでに水爆を現地に運んだのではないか、こう言われております。また日本から松下氏らが行っても、おそらく政府は面会を拒むのではないかということさえも伝えられております。そこで、松下特使を派遣することももちろんけっこうですが、それ以外に何らかの手を政府は考えていないかどうか。たとえば先日、日本のカツオ・マグロ漁業協同組合連合会の要請に応じて、ネールがイギリスの大使館に禁止の申し入れをしたという事実が報道されておりましたが、国連へ訴えるとか、あるいは今言ったようなネールその他、イギリスに対して相当影響力を持つ国々に対して要請するとか、そういった他の方法をお考えになっていないかどうか、この際伺いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私が先ほどもお答え申し上げましたように、この問題については政府としてはあらゆる機会にあらゆる合理的な方法を考えて、世界の世論を盛り上げ、この実験が禁止されるという方向に力強く努力をいたしたいと考えております。今、必ずいつ国連に持ち出すとか、どこの国へその協力を求めるとかいうことは申し上げかねますけれども、あらゆる有効、合理的な方法は政府として今後とっていく、こういうことを申し上げておきます。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 イギリスは着々準備しておりますし、あるいはどういう方法をとってもやるかもしれませんけれども、しかし日本の抗議、あるいは抗議船団を派遣するというような運動が、世界にかなりアッピールしていることは事実であって、そのために世界の世論が非常に高まってきておる。ですから、今ここで明らかにすることはできないとおっしゃいましたが、実験の期日がだんだん近づいて参りますし、私はもっともっと他に方法があると思うのです、積極的な方法をぜひ講じていただきたいと思います。  次に、日ソの漁業交渉問題について伺いたいのですが、どうやら今までの交渉は暗礁に乗り上げたように思われる。河野農林大臣が交渉の矢面に立っているようでありますが、いわゆる河野・イシコフ約束なるものが災いをして、ソ連の代表部では河野・イシコフ約束、すなわち八万トンー十万トンの線を越える権限は与えられていないという言明をしております。そこで、総理大臣は二度ほどソ連の大使とお会いになっているようでございますが、この打開について何らかの見通し、あるいは方法をお考えになっておるかどうか、伺いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 日ソ漁業交渉は、東京で開かれました漁業委員会におきまして、両国の代表、もしくはこれに関する代表委員の間に話し合いが進められております。一方科学的の根拠や、各種の資料を十分に検討もされ、この代表委員の間におきましても幾たびか話し合いが進められております、私はその大体の報告を聞きまして、私自身の考えを率直にソ連の政府に伝えることが必要であると考えまして、デヴォシャン氏に外務省へ来てもらいまして、それを話したのであります。と申しますのは、言うまでもなく今回の交渉によって本年度の漁獲高というものをきめることになっております。そして日ソ国交が正常化されて、今後日ソ間の友好親善の関係を推し進めていく上においての第一回の交渉が、実は今回の漁業交渉である。私は、国会において答弁しているように、日ソの間の国交を正常化する、この両国の間の友好親善の関係を進めていくということは、両国もこれを願っていることであって、とにかく相当長い間国交が正常化せられずにおったし、歴史的に両国の商にはいろいろな沿革もある間柄であるから、これが友好親善の関係を今後進めていくということについては、一歩々々お互いが対等の立場に立って、両国の長い友好親善関係の増進に努力し、これを積み重ねていくという心がまえをもって進んでいかなければならないと自分は確信している。この意味において今日行われている漁業交渉の経過を見ると、もちろん各種の資料を純粋に科学的立場から検討しなければならぬことは言うを待たないが、そういうことよりも、日ソ漁業問題に関する昨年の夏以来の経過にあまりにとらわれ過ぎておって、あるいはその関係というものもわれわれの承知している事情とずいぶん違った立場を堅持して、この問題が行き語まっているということは、日ソ両国将来のためにはなはだ望ましくないことになる。従って両国政府においては、今言った根本についてはソ連政府においても私は同感であることを信じて疑わない、そういう見地から、さらに大局的なこれらの解決をソ連政府としても考えてもらいたいということを実は申し出まして、デヴォシャン大使からソ連政府に私の意向を報告して、これに対する何分の返事のあることを私は期待いたしております。そういう現状であります。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 両国の専門家によって科学的に調査参をして根本的な解決をすることももちろん必要ですが、何しろ五月の漁期を控えてこういうふうに話がまとまらぬと、出漁の準備に重大な支障を来たすのではないか、すでに支障を来たしておるのではないかと思う、どうしてもこの問題は早急に何らかの妥結をしなければ、大へんなことになると思う。そこで今のような交渉では打開が困難だということになってきているようですが、最終的に行き詰まったかどうかということについては断定できないにしましても、今までの交渉では打開することが非常に困難であるという気がする。そこでこれを打開するために、次の新しい手をお考えになっているかどうか。たとえば今までの線を譲っても妥結するというお考えなのか、それとも今までの線を堅持しつつ、たとえば特使を派遣して、別の交渉の場で話を進めるといったような、何らかの新しい打開の策をお考えになっているかどうか。今までのようなことでは大へんなことになるおそれが多分にありますので、それをお伺いしたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 まだ私は相当に困難な状況にあることは率直に認めますけれども、今日東京における漁業委員会における同国の交渉を打ち切ってやめてしまって、ほかの手を考えるという時期ではもちろんないと思います、今申しましたように、さらにこれと並行してソ連政府の大局的な、政治的な考慮を私から求めておりますので、これに対するソ連側の返事等ともにらみ合せて、今後の交渉をぜひとも——漁期に間に合うといいましても、これはよほど迫っておることも事実でございますから、今後ともよく私ども承知をいたしておりまして、早く適当な妥結を見るようにこの上とも努力していきたい、こういうふうに考えております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 これもあるいは推測記事かもしれませんけれども、けさの新聞に、ソ連は他の懸案問題の解決とからみ合せてくるのじゃないかという記事が出ております、そういうことになりますと、問題の解決が一そう複雑になり、あるいは困難になると思われますが、今まで二回デヴォシャンとお会いになってそういうことは考えられないかどうか。もしそういうことがありましたら、政府としてはどう対処していかれるか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 デヴォシャン大使と二回会いました。一回は今申しましたことであります。二回は新聞に発表してありますように、日ソ共同宣言に基き、ソ連内において消息不明であった者について、一部明らかになった者についての中間的の報告を受けただけでありまして、何かこれに関連してほかの懸案を一緒に解決するとか、あるいはほかの懸案事項に関連せしめての提案とか話というものは、全然今日のところまではございません、

島上善五郎日本社会党

○島上委員 今度の予算に沖繩の特別措置として見舞金を十億支給するというのが計上されております。この説明書を見ますと、「講和条約発効前における米軍接収による土地等の損失の補償に関する問題は、早急に解決することが困難でありますので、土地等の所有者等の困窮の現状を考慮し、特別措置として見舞金を贈ること」にした、こうなっております。講和発効前の問題ですから、ずいぶん時間が経過しているわけですし、早急に解決することが困難だとおっしゃいますが、一体今までどういうふうな交渉をされたか、私ども寡聞にして聞いておりませんけれども、今まで日本政府は一体アメリカとこの問題についてどういうような交渉をされたか。交渉されましたならば、その経過をお聞かせ願いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 講和発効前の問題につきましては、これに対する補償の問題等について現地民から要望が従来あったことは御承知の通りであります。これに対してアメリカ側の方へその要望が伝えられ、またそれを実現するように私どもも努力をしたのでありますが、条約の解釈につきまして、アメリカと日本側との間の解釈問題がなかなか法律的にも意見が一致いたさないのであります。従いまして、幾たびか交渉もしたのでありますけれども、今日までその条約問題の根拠についての考え方について、両国の意見が一致しないというところが、交渉の長引いておる一番根本の問題でございます。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 両国の解釈が根本的に食い違っている。それが解決の長引いている原因だということでございますが、もう五年も六年もたって、解釈が違うからほおっておくというようなことは、あまりにも日本政府として腰が弱いと申しますか、これは現地の人々とアメリカの交渉によって解決するというよりは、日本が責任をもってアメリカと交渉をして解決をすべき問題だと思う。また従ってこの補償は当然アメリカ側が負担すべきものであって、今回予算に計上をしたものは、まだ解決までに時間があるし、土地の所有者が非常に困っているから、その間の特別措置として見舞金を出すということですが、当然アメリカが支払うべきものを日本政府が一時立てかえておくというものであるか、その解釈をはっきり聞かせていただきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 日本側としては、そういう解釈のもとに立っているのであります。そのことはアメリカ側にもわれわれの意向として通告してあります。ただわれわれとしては日本の民族であり、今お話のようにいろいろな法律問題や、条約の解釈等について意見が合わないというために、あの困窮している状態をいつまでもそのままにしておくことはできませんから、特別措置として今回こういう措置をとるわけでありますが、これはわれわれとしては、われわれの方から出すべき義務があって出しているのではなしに、アメリカ側がこれを支払うべき立場にあるということをわれわれは前提としてこれを出している。従って今お話のように、将来この問題が解決されるならば、またわれわれはわれわれの意図に基いて解決しようと考えておりますが、そういう場合においては一つの前渡しのような形になることは当然である、かように考えております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 こういうように長年の間解決をしないで、日本の予算から立てかえて払わなければならぬというような事態ですが、この問題は当然岸さんがアメリカへ行った際、交渉されると思いますが、いかがですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 この問題につきましては、これを支払うについてすでにわれわれの方の意思はアメリカ側に通告をしてございます。はっきりしております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 通告しておっても、これは一方的な通告であって、アメリカはうんともすんとも言わない。アメリカは全然解釈が違っている、未解決のままです。これを解決しなければならぬが、この解決をするについて絶好の機会ですから、当然話題に上せるべきものだと思うのですが、この点もう少しはっきりしてもらいたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 先ほど申し上げましたように、これはアメリカ側の首脳者の日程も非常に詰まっているようであります。従いまして私自身としては、もう少し全般的な大局について話し合うということで、時間的にいいますと、一ぱいではないかと思いますので、こういう問題につきましては、もう少し事務的のレベルで話し合ってしかるべきものである、かように考えております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 この補正予算に出されました十億円というのは、特別の今年の措置だと思いますが、もし明年も、明後年も解決しないということになりましたならば、明年も、明後年もこのような措置をおとりになる考えですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私どもは今占領中に収用された土地等の補償につきまして、関係の人々の困窮の状況に顧みて、見舞金として出すという意味でございまして、私どもはこれをもってこういう性質のものは最後的なものである、今回限りこういうことをするというつもりで、このものを出しておるのであります。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 今度国会議員団が沖繩へ参りまして、だいぶ詳しく調査してきたようです。私どもまだその詳しい調査の結果は聞いておりませんが、今日沖繩では、今の問題以外にもたくさん深刻な問題があるようです。例の地代の一括払いの問題であるとか、あるいは土地買い上げの単価の問題であるとか、さらに最近では那覇市長に当選した瀬長市長に対する不当、不法な圧迫といったような問題、日本に対する旅券を交付しないといったような問題がありますが、こういうような問題に対して、私は潜在主権を持っておる日本として、もっと強くアメリカと交渉すべきではないかと思いますが、これは、あなたがアメリカへおいでになった際という意味でなくて、当面の緊急な問題ですから、アメリカに対してもっと強く抗議をするとか、あるいは交渉をするというお考えがあるかどうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 沖繩は、サンフランシスコ条約におきましてその地位、立場というものが、われわれはもちろんここに潜在主権を持っておりますけれども、一切の施政権をアメリカ側において持っておりまして、その施政権の作用として、いわばアメリカにおける内政に準じたことをやっておるわけであります。その施政権の作用によるところのいろいろな問題につきましては、これはわれわれがアメリカ側と普通の折衝、交渉とかなんとかいう性質のものではなくして、われわれは、従来もそうでありますが、決して弱腰という意味ではありませんけれども、この沖繩の地位及び性格に基いて、われわれ自身がアメリカの内政に向っていろいろなあまりに突き進んだことを言うということは、従来も言っておりませんし、これはまだ言うことは適当ではないと思います。しかし沖繩住民の要望であるとか、あるいは沖繩についてわれわれがいろいろな方面から知り得たものなり、あるいはわれわれのところへ申し出られたことにつきましては、アメリカ側に適当な方法でもってこれを通じてアメリカ側の反省を求めておることは、従来もいたしておりますし、今後もいたさなければならぬと思いますが、いわゆるそれを受けて直ちに交渉していくということには、沖繩の法律的地位というものがそういうことになっておらない、私どもはやはり国会の意思にも表明されておりますように、そういう状態であるということにいろいろな禍根のすべてがあるわけでありますから、むしろ施政権の返還について機会あるごとに要望するというこの国会の意思の存しているところを十分尊重して、今後沖繩問題の解決に当りたい、かように考えております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 施政権の返還を要求することはもちろん必要であり、われわれも強く望んでおるところでありますが、しかしそれが解決するまでには時間がかかる、そうして今言ったような幾多の問題が今日あるわけです。これの解決は沖繩の住民と米軍当局との間ではなかなか困難な状態にある。それが今度の国会議員団の訪問の際もいろいろな問題について訴えられたようでありますが、沖繩の人々は母国である日本のわれわれに対して、政府に対して非常に大きな期待をかけておる。ですから、これはアメリカの内政の問題であるといったような消極的なことではなしに、かりにアメリカの内政の問題であるとしても、百歩譲ってそうであると解釈するとしましても、かりに日本人がアメリカに旅行しておって不当、不法な取扱いを受けたときには、これに対して抗議をし、あるいは交渉するというのは当然すべきである。ましてや沖繩は潜在主権を持っておる日本人ですから、今日沖繩で起っておる問題に対しては、もっと積極的に取り上げて、沖繩住民の期待にこたえてやる、これだけの親切さはあってもいいのじゃないかと私は思います。もっとこの問題に対しては積極的にかつ強く取り上げていただくことを御要望申し上げておきます。  次に法務大臣にお伺いいたします。去年日ソ国交が回復されますと、たしか法務大臣も——これは当時の法務大臣は違いますが、法務大臣や検事総長等が、日ソ国交が回復すると国内治安が乱れるおそれがある、治安対策を強化しなければならぬというようなことを言っております。しかし私は、日ソ国交が回復したから国内治安が乱れるというようなことは、これはずいぶん古い考えであって、国内治安というものがもし乱れるとするならば、その原因は国内にある、たとえば国民の生活が非常に悪くなって、そこから社会不安が発生する、あるいはその他国民に対する非常な暗然政治のような断圧をするとかいうようなことが原因となって社会不安が起るものだ、一般的にはそうだと思う。神武景気であって、国民の生活がよくなってきた、失業者も減ってきた、生活保護を受ける人も減ってきたというのに、社会不安が増大して治安対策を強化しなければならぬ理由があるのかどうか、この点をまず伺いたい。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 お答えいたします。治安対策の強化という言葉が当るかどうかわかりませんが、日ソの国交調整に伴いまして、その他の諸外国との関係も逐次国交が回復されて参りますと、これに伴います為替関係あるいは出入国の関係等が、まさしく増大をいたして参りますので、日本の治安関係につきましては、十分それらの点に留意をいたしまして、十分警戒をして、治安の確保をはかっていくということは当然必要であるかと考えております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 そのいわゆる治安対策ということですが、これはもっと具体的にいうと、いわば思想対策ということに重きを置いておられますかどうか。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 思想の点につきましては、御承知の通り日本の国は自由主義、民主主義をとっておる国でありますから、それと異なった外国との国交が調整されることは、日本の国際社会に立っていく上において必要ではありますが、そのために日本の自由主義、民君主義の基本をとっておる政治の状態、また日本の憲法にもその基本が明らかにされておるのでありますが、これがいささかなりとも撹乱をされるような場合があっては、これは憲法上もゆゆしき問題でありますから、それらの撹乱の行われるか行われないかは、今後の推移を見なければわかりませんが、これらの点については十分警戒をして注意を払っていく必要がある、かように私は考えます。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 憲法を引き合いに出されましたが、憲法では日本人はいかなる思想を研究しようと、持っておろうと自由になっておる、これに対して干渉するがごときは、それこそ憲法違反だと思う。これは許されぬことだと思う、しかるに最近これに対する思想調査あるいは思想に対する干渉と思われるような事件がひんぴんとして起っておる、昔の特高に似たような政策がとられつつある、これは少し大きく見過ぎるかもしれませんが、そういう傾向が顕著になってきておる。たしか、せんだっても法務委員会でも問題になりましたが、大分県における交番の爆破事件のごときも、明らかに現職警察官を共産党の中に潜入させておる、それから最近千葉県では現職警察官が社会党の会合や、あるいはこれに類似した会合に対する内偵をするために買収しようとした事件がある。要するにスパイ行為をやらせようとした事件がある。こういうことは、私は明らかに憲法違反だと思う。思想は自由なのですから、その持っておる思想が、何らかの行動に現われて法に抵触すれば、これは法によって取締るのが当然ですけれども、行動に現われて、違法行為になる以前に、あの人はどういう思想を持っているか、この人はどういう思想を持っているかということを調査したり干渉することは、明らかに憲法違反だと思う。法務大臣はどのようにお考えですか。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 もちろん御指摘の通り個人が思想を研究する、あるいは思想の自由ということは、保障されているのでありますから当然のことでありますが、それがどういう行動になるか、あるいは日本の憲法において企業の自由なり職業の自由なりその他国民の自由を保障している、そういう基本に反する現象が現われ、あるいは御承知の通り日本には破壊活動防止法という法律がありますが、この法律が施行されております以上は、この法律に触れるような事態がありましたならば、政府としては十分にその法の完全な遂行をはからなければならない、私としてはさように考えております。  今御指摘のありました大分県の事件は昭和二十七年の事件でありまして、その当時いろいろ国内治安が乱れておりまして、あるいは交番の爆破事件でありますとか、巡査の殺害事件等が各地で起りました時代のことで、今日とはよほど世相が違っておると思います。その他にもあるいは実体をつかみたいということで捜査の行き過ぎが起り得る可能性はありますが、この点につきましては、われわれとしては厳に注意をいたしまして、行き過ぎのないように十分留意をして参りたいと考えております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 どうもこのごろは思想の調査、内偵ということをだいぶんやっているようです。今の御答弁にもありますように、それが行動に現われて、破壊活動防止法なりその他の法に抵触すれば取り締るのが当然ですけれども、いかなる思想を持とうと、いかなる思想を研究しようと、その研究の会合に集まろうと自由なのです。それに対して警察官が内偵をする、いなかのごときはそういう調査をしただけであれは大へんなことだということになる。戦争前の特高のやり方をあなたは御存じでしょう。あなたがせんだって近藤日出造との対談で言っていることがあります。共産党員の思想上の内偵をやっているんで、ところがこの予算がたった三億一千万円せいぜいでしてね、せめて五億くらいほしいものです、こういうことを言っている。思想調査をやるために三億一千万円やそこらの予算ではどうにもならない、五億くらいほしい。これは新聞の記事ですからわかりませんけれども、思想調査だといっても個人がどういう思想を持っているかということを調査、内偵するために警察官を使うことは、私は行き過ぎだと思うのです。明らかにこれは憲法違反です。行き過ぎもあり得るとおっしゃいましたが、そういうことは行き過ぎだとお思いですか。スパイを使ってあの人はどういう思想を持っている、あの人のうちにはどういう人が出入りしている、そういうことを調べるのは当然だと思っていますか。戦争前特高がやったことを当然だとお考えになっている分には何をか言わんやです。そういう個人の思想を内偵するためにスパイを放ってやるということは当然だとお思いですか。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 お答えいたします。検察の関係といたしましては、犯罪の事犯が起りましたら、それを検挙し検察を遂行するというのが使命であります。なお同時に法務省といたしましては、破壊活動防止法関係の事項を所管いたしておりますので、さような事態が起ってしまってからではいけませんので、それを未然にある程度の調査をする、個人の思想がどうであるか、あの人はどういう思想を持っておるかということは——そういうあり方については実態を常に把握する必要が当然生じてくるのでありまして、個人々々の、どういう思想を持っておるかということを追及したり、昔の特高のようなあり方は避けるべきであって、私どもとしてはさような考えは持っておりません。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 千葉県でことしの二月にこういう事件がありました。一警察官が変名を使って思想調査をやっておる事件が二つもあるのです。それからさっき言ったように大分県の事件もある。どういう思想を持っておるからといって、その思想が直接犯罪につながっているとは限らぬと私は思うのです。たとえば共産主義の思想を持っている、社会主義の思想を持っている、それが直ちに犯罪につながるとお考えですか。犯罪捜査のためにそういう思想を調査する必要がありますか。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 私は直接警察を担当しておりませんから、千葉県のできごとについては詳しく承知いたして、おりませんが、御指摘のように、もし単なる社会党の会合に警察官が変名をして、その平和な会合にもぐり込んで社会党の動きを探ろうとした事実があったとするならば、それはよろしくないことだと思いますが、果して実態がどうであるか、私、十分把握いたしておりませんので……。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 それじゃもしそれが共産党の会合だったらどうですか、内偵する必要がありますか。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 問題は破壊活動防止法に触れるような暴力主義的なものであるかどうかということによって、具体的に判断がきまってくるのでありまして、一がいには申しかねると思います。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 それでは警察関係所管の大臣に伺いますが、警察としては警察官が変名を使ったり、あるいはスパイを放って思想の調査、内偵をするという方針をとられておりますか。

大久保留次郎自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○大久保国務大臣 ただいまおくれて参りましてその実情がよくわかりませんので、できましたらもう一度お願いいたします。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 最近千葉県において二件、警察官が変名を使って社会党の党員に近づいて、社会党の会合等の内偵をしたり、個人の思想の内偵をしたりしております。そうしてその際に金を渡している事実がある。それからこれは少し古いことですけれども、大分県の例の交番の爆破事件、これなどは現職警察官が変名を使って、共産党に潜入して——もし交番を爆破した真犯人がこれであるとすれば大へんなことですが、戦争前にはこういうことを平気でやったのです。挑発行為——事件を作っておいて、それを口実にして逮捕する、こういったような戦争前に似通ったことを最近どんどんやり出した。現職警察官を変名して社会党や共産党に潜入させて思想調査をしたり、あるいは部外者に金をやって内偵するというような方針をおとりになっておりますか。

大久保留次郎自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○大久保国務大臣 千葉県の実例はよく存じませんけれども、ただいまの警察の大体の方針といたしましては、変名して内偵するというのは行き過ぎであると思います。従ってもしそういう具体的な事実があるといたしましたならば、調査してしかるべく善処いたしたいと思います。  それから大分県の話が出ましたが、これは先般法務委員会で問題になりまして、二時間にわたって非常にこまかな質疑応答が続けられました。私ども警察当局の立場としては、警察官が名を変えて共産党の情報をとるために村の中に潜入しておったという事実は認めております。ただあの当時は御承知の通り昭和二十七年でありまして、六年から七年にかけてはいわゆる火炎びん時代といいますか、共産党が火炎びんを盛んに使って各地方においていろいろな問題を起した当時であります。大分県の菅生村においても、菅生村が中心となってそういう活動の舞台を演じたという前例がありますので、そこに警察官が犠牲になって情報をとったということは、ほんとうに万やむを得なかったことで、平生においてはそういうことをすべきものではないことは、ただいまあなたの御質問の通りであります。平生においては私はやるべきものではないと思っております。  千葉県の事件は調べた上適当な方法を講じたいと存じております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 今、そういう物騒なときであったから内情調査のためとおっしゃいますが、戦争前は、あなたも戦争前の役人ですからよく御経験がおありだと思いますが、戦争前には潜入させてそれが事件を起しておるのです。そしてそれを口実にして弾圧しておる。私はこの大分県の事件もそれではないかと思っている。いずれ時間がたてば明らかになると思いますが、そういうことを平気でやっておった。もし今の状態がこのまま進行していけばそういうことになると思う。思想調査をするのは当りまえだ、そういう感覚を持っている人がいるのですから、こういう事件を起してそれを口火にして人民を弾圧するといったようなことは、もちろんやるべきではありませんし、思想調査も変名していろいろなうそをついて内偵するというようなことももちろん行き過ぎですし、それから部外者に金をやってスパイ行為をさせるということも私は行き過ぎだと思う。そういう点どうですか。

大久保留次郎自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○大久保国務大臣 金を使う場合も慎しむべきものであると思います。私は決してそれに賛成いたしません。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 そこで法務大臣に伺いますが、公安調査官の調査活動費が去年、一昨年に比べて今年は非常に多い。昭和三十年が一億九千二百万円、三十一年も同様一億九千二百万円、本年度はあなたは三億一千万円でも足らない、五億ほしいと言われましたが、本年度は三億一千六百万円。ところが公安調査官の人員は三十年、三十一年、三十三年とも五百九十二名で増減ないはずであります。今年になって急速にふえましたのはどういう理由でどういう方面にお使いですか。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 お答えいたします。先ほど申し上げましたような事情で、増員もわれわれはぜひ必要と考えて、予算編成当時増員の要求もいたしておったのでありますが、御承知の通り各省庁とも増員は行政改革以来見合せておる段階でありますから、増員についてはこの際行わないことになりましたが、御承知の通り公安調査庁といたしましては、全国に公安調査局を持って使命の達成をすべく活動をいたしておるわけでございます。従って増員なしにこの全国の調査局が完全な活動をいたしますためには、従来非常に予算の不足を感じておりましたので、今回増額を要求いたしまして約一億円余りの増額が認められました次第で、われわれといたしましては、この経理を最も適切に使用いたしまして、公安調査庁の本来の使命を十分達成するように努めて参りたい、かように考えております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 増員なしに使命を達成するために最も効果的に使いたいとおっしゃいますが、一体具体的にはどこにお使いになるのですか、たしか公安調査官の人件費は五百九十二名で一億一千余万円です。従って二億五百万円ほどが人件費以外に余分にあります。これはおそらく今あなたの答弁にあった増員しないで使命を達成するために、要するに部外者を情報収集、内偵のために使うということではないかと想像しますが、いかがですか。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 人件費以外の経費といたしましては、先ほど申し上げた通り、全国に調査局を持っておりますのでこれらの庁費が相当にかかります。また広範囲にわたって県庁所在地ごとに大体調査局が設けられておりますので、自分の県下以外の区域にまで旅行し活動をいたさなければならぬので、これらの諸経費に大体充当しておる次第であります。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 今言われたような費用ならば去年も一昨年も同様のはずです。今年急にふえたところがくさいと私は思います。これはスパイ活動を盛んにやるためではないかと思う、これについては私どもいずれ詳細な資料の提出を求めますけれども、つまりこれは、部外者に金をやって買収して思想調査、内偵をするというような、いわゆるスパイ活動をやる費用ではないということをここで言明できますか。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 スパイ活動といいますとそれがどういう範囲になるか、その限定がなかなかむずかしいのでありますけれども、要するに諸般の情報収集をする、あるいは出版物等もできるだけ国内国外等で収集いたしましてこれらを研究させるのもその一部でありますし、あるいは情報収集のために部外の人の協力を得るということもあろうわけでありますから、スパイ活動というのがどういう範囲をいうのかわかりませんが、その限度につきましては、御指摘がありましたように、われわれといたしましては十分注意をいたしまして、あやまちのないように厳に慎んで参りたいと思います。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 時間がありませんから少し端折りますけれども、次に大蔵大臣に伺いたいのですが、いわゆる公共企業体等の争議は、先般岸総理大臣と社会党の鈴木委員長が会談しまして急転解決の方向に向っておる。特に国鉄は当局と労組との間に調印をしました。ところが専売、全印刷、全造幣、全林野等、特に大蔵大臣の所管にかかわるところにおいては、両当市者の間の調印がなかなか進んでいないようです。従って争議というような事態が——争議ということができるかどうか知りませんが、事態がまだ解決していないという状況にある。どうも大蔵省に気がねをしておるのかあるいは大蔵省が圧力をかけておるのか知らぬが、こういうような事態は、国鉄が解決したのですから、急速に両当事者の間で調印をして解決するようにすべきものではないか、こう考えておりますが、大蔵大臣のお考えを聞きたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 大蔵省所管の公社並びに現業関係につきましては、企業体が労務者と話しをしていましょうが、なかなか国鉄とは違って困難のようでございます。従いまして、仲裁裁定を申請しておる状態であります。その間におきましても交渉が進行すればこれは望ましいものであると考えております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 仲裁裁定の申請は国鉄も同様にしております。どこでも全部しておりますが、しかし大体仲裁裁定がおりた場合のことを——これは遠からずおりましょうから、それを予想してすでに最も大きな国鉄が調印をして、事態が円満に解決をしたわけです。私は専売にしましても、全印刷その他にしましても、もちろん国鉄と事情が違うことは、両当事者もよく承知しておると思うのですけれども、しかしこのような事態はなるべくすみやかに解決するように調印を促進すべきものだ、ぜひこれはブレーキをかけるようなことでなしに、調印を促進するようにしていただきたいと思う。  最後に労働大臣に一つ伺いたいのですが、労働大臣は、先般同僚の質問に対して、片手に峻厳、片手に愛情、こういう答弁をされたのですが、峻厳と愛情とは全然うらはらのことだと思うのですが、その峻厳ということは、何か労働者を弾圧するといったような響きが非常に強い。その峻厳の現われかどうか知りませんけれども、今日の新聞では公企労法を改正して、罰則を強化するといったようなことが出ておる。労働大臣はどのようにお考えですか。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 今まだ改正するという考えは待っておりませんが、このような事態はたびたび繰り返すべきものではありませんので、全体が総反省いたしまして、再びこういうことのないように善処することは、国家国民としてのお互いの努めであると思います。今これをどう変えようということは考えておりませんけれども、それぞれ直接、間接に関係のある方面の意見を十分徴しまして、慎重に考慮いたしたいと思っております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 これは私の最後の要望で答弁は要りません。要りませんが、もちろん争議のような事態が発生するには発生する原因なり理由なりがあると思うのです。私は今度の場合は、特に政府のとった態度に遺憾の点が多いので反省してもらわなければならぬと思う。弾圧すればおさまるといったようなことは、昔の特高時代の考えであって、労働者の要求が正当なものであるならば、そして仲裁裁定とかあるいは調停とかいうようなそういう公正な機関の勧告があるならば、それを尊重してすみやかに事態を解決するということに対して、もっと政府が積極的な誠意を示すことが必要ではないかと思う。ですから片手に峻厳といって、峻厳の方にばっかりウエートを置いて、公労法を改悪するとかあるいは処分をするといったような労働政策では、今後はいかぬのではないかと思う。それこそ片手の愛情の方にもっとウエートを置いて、やはり労働者がやむにやまれずして立ち上った事情を十分にくみとってやる、それが労働大臣の任務ではないかと思う。十分その点今後注意してほしい。これを御希望申し上げて私の質問は時間がございませんから終ります。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 午後二時四十五分より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時四十六分休憩      ————◇—————    午後三時十七分開議

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野原覺君。

野原覺日本社会党

○野原委員 私は、昭和三十一年度の予算補正に関連して若干の質問をいたしたいと思うのでありますが、まず大蔵大臣にお尋ねをいたしたいのであります。  それは大臣も御承知のように、昭和三十二年度の本予算が目下参議院で審議中でございますが、私ども本予算の成立には全面的に協力はいたしておりますものの、審議の途中においていかなる事態が起らないとも限らないのであります。そういう場合に本年度の末、三月三十一日までに本予算が成立しない、そういう事態がかりに起ったといたしますならば、暫定予算の必要が当然生じてくるのではないかと考えるのでございますが、この点についてはどのような所見を持っておられますか、承わりたいのであります。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 三十二年度の予算各案が本年度内に審議を終ることを熱望いたしておるのであります。ただいまはそれしか考えておりません。

野原覺日本社会党

○野原委員 それは大蔵大臣としては、あまりにもずさんな御答弁ではないかと思うのであります。私どもはやはり国の予算行使に当っては、いかなる事態にでも対応できるところの心がまえというものが当然なければならないと思う。三月三十一日に成立し得ないという場合に、どういう態勢をとるかということぐらいは、当然政府としては考えておくべきものではないかと思う。その点を尋ねておるのであります。これは総理大臣にもお尋ねをいたしますが、総理大臣としては、そういう場合にはどのように対処されますか、お伺いいたします。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 相当の審議期間もございますので、衆議院で御議決になり、今参議院で熱心に審議せられておりますので、三月三十一日までには私は通過し得るものと願っておるのであります。しこうしてもしどうこうという場合におきましては、それは大蔵大臣としての措置は考えておりますが、今それを私が申し上げる段階ではなく、いちずに年度内の通過を熱望いたしてやまないのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 ただいま大蔵大臣がお答え申し上げたように、総理大臣としても考えております。

野原覺日本社会党

○野原委員 私はこの問題についてしつこくお尋ねしようとは思いませんけれども、政府当局のある者は、こういうことを言っておる。四月三日までに予算が通過した場合には、新たに暫定予算を組まなくてもよろしい、それはすでに先例があるのだ、こういうことを言っておる。私はこのことは重大だろうと思うのであります。どうしても大蔵大臣は御答弁になりませんけれども、もし三月三十一日までに成立しない場合には、どうするかという私の御質問に対してお答えにならぬということは、やはり議員の質問に対する十分な答弁を政府がしないことだ、私はこう思う。いかに仮定でありましょうとも、このような重大な問題は、答弁してしかるべきものなのです。私どもは三月三十一日までに成立しない場合には、当然暫定予算を組まなければならぬと考えておりますけれども、政府の事務官僚でございますが、その一部の人が、四月三日までならばやっていけるのだ、こういうことを言われておりますと、受け取る側でも相当混乱があるわけであります。これらの点について、どのような考えを持っておるのか。かりに四月三日に通過すれば、一体これは暫定予算を組まなくてやっていけるものかどうか、この点について大蔵大臣にお尋ねします。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 三月三十一日までに両院を通過しなかった場合が、前例としてございます。そのときは、一日あるいは二、三日のことだから暫定予算を組まぬという前例は、ないことはございません。しかし、理論的に申しますと、もしそういうような場合におきましては、それは悪い前例でございまして、考慮しなければならぬ問題だと思います。

野原覺日本社会党

○野原委員 従って、悪い前例でありますから——たとえば四月一日に国が支払わなければならぬものもかなりあろうと思う。四月二日もそうであります。従って、そのような悪い先例をおとりになることなく、もし三月三十一日までにいろいろな事態が生じて、予算が通過、成立しない場合には、当然暫定予算を組むところの腹がまえをされてしかるべきである。私ども予算の成立には協力しておりますけれども、どのような事態が起るかは、今ここで申し上げるわけにはいかぬのであります。  そこで、次にお尋ねをいたしたいことは、本日提案説明された昭和三十一年度予算補正(第2号)、この点についてでございますが、この説明書の三ページを拝見いたしますると、国立学校運営費といたしまして、大学附属病院には追加一億五百二十四万三千円を計上しておるのであります。しこうしてその注に、「これに伴う歳入の増加は一億七千三百八万五千円を見込んでいる。」こういうようになっておりますが、歳出に一億五百万円、歳入に二億七千三百万円、こういうことになりますと、その残の一億七千万円というものはどういうことになるか、まずこの点からお尋ねをしたいと思うのであります。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 歳入の方が歳出よりも非常に多い、一億数千万円多いというお話でございます。補正予算ではそういうようになっておりますが、私は今はっきりしておりませんが、今までは予備費で、ある程度出しておるのではないかと思います。数字のことでございますから、主計局長から答弁させます。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 けさほどこの補正予算の説明を申し上げました際にも一言触れましたが、国立大学病院の医療費として不足額の追加計上いたしました金額は、一億五百万でございますが、この補正を待たないでどうしても出さなければならなかった金額が、予備費で六千万ございます。この両者を合せましたものが、年度内における国立大学病院の医療費の不足でございます。  歳入の方は、これは見積りでございますが、ここに書いてございますように、二億七千三百万程度のものが増収を見込まれております。それを今般の予算補正に際し計上いたしました次第でございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 重ねてこの点についてお尋ねをしますけれども、この種の大学病院の会計というものは、増収が見込まれた場合には、たとえば大学病院の施設の改善であるとか、ベッドをふやすとか、あるいは医療費に充てるとか、私はこの種のものは、収益があったら他に回すということでなく、当然病院自体で、大学病院の経費の中に盛り込んでいくような施策を講ずべきではないかと思う。この点いかがお考えですか。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 国立大学病院の経常収入、経常支出、これはいずれも当初予算に盛り込み済みでございます。しかるに、当初予定をいたしましたよりも患者の数がふえ、あるいは医療費が不足する。この場合に、もし予算の補正が行われませんと、どういうことになるかと申しますと、いろいろ弊害があって問題になっておりますが、第二薬局とかいうような問題が起ってくるわけであります。そこで、私どもとしては、歳出面の不足額につきましては補充費的な経費といたしまして、場合によりましては予備費を支出し、また今回のように補正の機会がございますれば、そういう不可欠の医療費はこれを補正予算でお願いをいたす、これがすなわち大学病院の経営の正常化を来たすゆえんであるというふうに考えまして、今回医療費の不足分につきまして、予算措置を講じた次第でございます。  なお、施設費等についてどうかという問題でございますが、これは年度当初の本予算におきまして計画をいたしましたところに従って、計画を実行いたすべきものかと存じます。今回のような年度末が余日幾らもないときに、施設空を計上いたしましても、これを消化するにいとまがないわけでございまして、とりあえず緊急に処理しなければならぬ医療費につきまして措置いたしましたものと、御了承をいただきたいと思います。

野原覺日本社会党

○野原委員 総理大臣にお尋ねしたいと思います。岸首相は、御承知のように二月の二十七日、衆議院の本会議で所信の表明をなされておるのであります。この所信の表明について、予算委員会で、あるいは質問があったかもわかりませんけれども、私としてはどうしても次の点をお尋ねして、岸さんのお考えを、ここで明確に把握しなければならないからお尋ねをするのでございますが、あなたの所信の表明の中で、私どもが特に問題にしておる点がございます。読み上げてみますと、あなたはこう言っている。「今こそ、国民は、民族的団結を固め、自信と希望をもって立ち上るべきであります。とりわけ、私は、わが国の将来をになう青年諸君が、真に国家建設の理想に燃え、純真な情熱を傾けてその使命を達成されるよう、切に奮起を望みたいのであります。」あなたの申されたこのお言葉は、とり方によっては実はいろいろとられるのであります。何となれば、こういうような演説は、軍国主義の最も高調された東条内閣時代に国務大臣が演説しても何ら差しつかえない。今日言っても差しつかえないかもしれません。民族的団結を固めつつ自信と希望をもって立ち上れ、青年諸君よ、国家建設の理想に燃えて情熱を傾けてやれよという演説は、実は軍国時代に演説しても何ら差しつかえのないものであります。そこで岸さんにお尋ねをいたしますことは、民族的団結を囲めるとか、自信と希望をもって国民よ立ち上れとか、こうあなたはおっしゃっておりますが、民族的団結を固めるその目標、国民が自信と希望をもって立ち上るその目的、目標というものはどこにあるとお考えになって、このような所信の表明をなされたのか、お尋ねいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私は所信表明におきましても、石橋内閣の施政方針におきましても、また外交方針におきましても、われわれの進んでいく目的は言うまでもなく民主政治の完成であり、平和国家の建設であるということを強く強調いたしておりますが、われわれの民族的の団結やあるいは希望、自信ということは、要するに日本の国が経済的にも国内において相当な基盤ができたし、また国際連合の一員として、国際的にわれわれが世界平和を目ざして、平和国家として進んでいくべきこの理想に到達し得るような基盤ができた。そこでわれわれがその目的に向って民族的の団結を固め、また国民もその状態を前提として希望を持ち、自信を持って、われわれの使命達成に向って一つ努力していきたいということを申しておるわけであります。

野原覺日本社会党

○野原委員 あなたとしては、私がこういう質問をいたします場合には、そのような御答弁をされるかもしれません。しかし私は、所信の表明をこういう言葉でおっしゃるならば、なぜ次のように言わなかったのかということを疑問に思う。国家建設の理想に燃え——あなたは国家建設とは民主国家建設なんだ、それじゃ民主国家建設の理想に燃えと、明確になぜおっしゃらないのか。それから純真な情熱を傾けて青年諸君がその使命を達成されるよう云々と、こう言われるわけですけれども、その使命とは、あなたのただいまの御答弁によれば世界平和達成なんだ、民主国家を作ることなんだ、こういうならば、私どもはもっと明確に、これは誤解を招かないように、民主国家の達成なら民主国家の達成、世界平和の達成なら世界平和の達成、こういうように申すべきではなかろうか、このように考えておるのです。用語が不十分なのかどうか知りませんけれども、故意にされたわけでは、よもあるまいと思いますけれども、非常に国民は——こう言っては何でございますが、やはり岸さんの過去の経歴等から、ややともすれば、こういうことでも問題にするわけであります。今日非常な責任を負われて、一国の総理に就任をされておるあなたでありますから、こういうことはやはり明確に、国会においてはその言葉等についても注意をして、述べていただきたい。  そこで、続いてお尋ねをいたしたいことは、新日本の建設、世界平和確立のために、民族的団結なり、自信と希望を持てと言ったんだが、それじゃ一体今日の日本は、民族的団結を持つのにどのような障害があるのか、今日日本に、総理大臣のあなたが民族的団結を持てと号令をしても、民族的団結を持つことのできない障害があるかないか、その辺をどのようにお考えでございますか、お尋ねいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私は、われわれが行なっていく政治の目標といたしまして、平和国家の建設であり、福祉国家の建設であるということを、またそれを進めていくところの政策を、予算その他の案に盛り込んでおりますが、われわれとしては非常に遺憾なことでありますが、戦後長い間占領下にあり、そしてサンフランシスコ条約において政治的な独立をかち得ましたけれども、しかし経済生活の面から見ましても、われわれのこの政治的な独立を裏づけるだけ国民が自信を持ち、また団結をして、その理想を達成しようという気魄が生まれてくるのには、そういう点から見ますと、まだ遺憾な点が多かったと思うのでありますが、幸いに過去数カ年における日本国民の非常な努力と、それから民主政治の理想へ向っての各政治家の努力によりまして、その方向に日本全体が進んできたということは、これは国民とともに非常に慶賀すべきことであって、ここでそういうことを十分に自覚して、そういう点を認識して、そして希望と自信を持ってさらに勇往邁進する、こういう一つの気持を持って努力すべきである、こういうのが私の趣旨でございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 あなたは単に岸信介個人ではなくて、あなたが国会で所信の表明をされることは、日本の総理大臣としての所信の表明でございますから、私どもはあなたがどういう信念のもとに、このような所信の表明をされるかということを重大に考えております。今のあなたの御答弁によりますと、民族的団結を阻害しているものはないか、民族的団結を阻害しているものがあれば何だという私の質問に対しまして、経済的な面だ、こういうことをお答えになっておられますが、事実そのようにお考えになっておるのでございますか。戦争中は一応八紘一宇とか、あるいは大東亜共栄圏の盟主になるんだとかいうはっきりした目標というものがあった。なるほどごく少数の一部の者がこれに反対したかもしれませんが、はっきりした目標がありました。しかし今日私どもが民族的に団結しようとしてもできないものが、私は政治的な原因ないしあるいは経済的——単に経済的だけではなしに、いろいろなその要因というものがあるのではないかと思う。だからそれがあるから、あなたとしては特に国民よ、民族的団結ということに十分気をつけてやってくれという所信の、表明になったのではないかと思うのです。  そこで、阻害しているものはあなたの言う単に経済的なものだけなのかどうか、この点をもう少し明確に述べていただきたいと思う。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私は、民族的の団結を阻害している一番大きな問題は、先ほど御説明申し上げましたように日本民族の使命と、そして自分たちのそれに向っていける力についての自信と希望というものの自覚、認識がその根底であろうと思うのです。  しこうして、そういう民族的な団結をするという気魄なりその認識が——これを阻害しておるものが経済的の理由もありましょうし、あるいは政治的理由もありましょうし、あるいは国際的からくるところの各種の問題もございましたろうし、あるいはまた思想上の問題もあるかとも思いますが、各般の社会的の理由、政治的の理由があると思います。しかしその要諦は、今申したようにわれわれ自身の生活がある程度安定をし、そして日本民族の平和国家、民主国家完成への希望が生まれてくるという認識が共通にでき上るということが必要である、こういうふうに思っております。

野原覺日本社会党

○野原委員 はなはだ御答弁があいまいなのであります。政治的な要因もある、外交的な、国際的な要因もあるというならば、一体政治的な、国際的な要因とは何だということまで、私は考えていらっしゃると思う。  私は、なかなか御答弁なさらないから申し上げますが、この予算委員会において同僚の議員諸君から、安全保障条約なり行政協定なり、つまり不平等条約というものについてるる質問があり、また岸総理からも意見の開陳がなされております。つまり日本が完全に独立をしているのかいないのか、日本は完全に独立をしていない、日本がややともすればアメリカに隷属をしておる、そしてアメリカの極東支配、あるいは世界支配といってもよろしい、そういうものに日本がややともすれば利用されてきた、また利用されるような立場に立たされておるということが、この民族の団結に影響があるのかないのか、この点をあなたはどうお考えになっておるか、お尋ねいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 国際情勢の分析なりあるいは認識というものも、これはずいぶん人によって違って従来から説明をされておると思いますが、今野原君の言われるように、アメリカの世界支配の一環として、日本が協力しておるというような考え方自体は、私どもは絶対にとらないのであります。私どもはやはり世界平和を願い、そして人間の自由を確保する自由民主主義の国として、日本がそういう政治を完成し、さらに世界の平和に貢献する、こういう同じ大きな理想を持っておる、認識を同じくするところの国々とは協力をしていくというのが、外交方針の建前であります。しかし、同時に、日米の間にある日米共同防衛の体制において、日本の安全保障をしておるところの安保条約や行政協定、その他の関係というものが現状のままで、私はそのまま永続さしていくことが望ましいとも実は考えておりませんけれども、根本においては、やはり国際情勢の分析、情勢の認識についての考え方というものが、非常に違っているということは、民族の団結に支障を来たすものでありまして、今野原君のお話のようなことは、実は私は考えておらないのであります。

野原覺日本社会党

○野原委員 私は何もアメリカと協力するなということを、強く主張しておるのではありません。そういうことは毛頭申したことはない。ただ私はあなたが自信を持て、希望を持て、こう国民に号令——といえば語弊がありますが、国民の前で所信を表明された。自信を持て、希望を持てとあなたがおっしゃっても、今日国民は踊らないのです。この現実を冷酷に見なければならぬ。国民がついてこないじゃないですか。一部の国民はついてくるかもしれません。あなたも御承知のように、今日、日本が完全に独立をしていない。たとえば砂川の問題一つを取り上げてみましょう。あるいは労働組合の動き一つを取り上げてみましょう。私どもは冷酷に現実を分析してかからなければならぬと思う。一般大衆の全部とは申しません。一般大衆のおよそ大部分の者が、自信を持て、希望を持てと総理大臣が言っても、昔はついてきた。東条さんが演説をしたら、ついてきた。今日はついてこない。その原因はどこにあるのか、これは今総理大臣も、いみじくも国際情勢に対する認識の相違ということも原因であろうということを言われた。率直にただいま言われたことは私どもも受け入れる。そういう点にやはり原因がある。だからして、この民族団結を唱えることは必ずしも悪いとは申しません。しかしながら民族的団結ができるのかできないのか、できないとすれば、どこに原因があるかというところまで分析して、その原因をなくしていく努力が政治ではないかと思う。その点をどのようにお考えになっていらっしゃるか、もう一度お尋ねをしたいと思うのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 今、野原君が言われるように、われわれの政治の進み方といたしましては、国民の間にそういう国際情勢の認識について著しい相違があった、あるいは経済上の状態において著しい不安があった、こういうようなことを除いていくことが、政治の進んでいく道でありまして、そういうことによって、さらに国民的な団結を強めていくというのが、当然われわれがやらなければならぬことであると思います。

野原覺日本社会党

○野原委員 そこで次に今度は外務大臣としての岸さんにお尋ねをいたすわけでございますが、承わるところによれば、あなたの外交方針の中で最も強く主張されておるのは、経済外交、これは新聞、雑誌その他がみな指摘をいたしておるのであります。経済外交でなければならない。私どもはこの点については別に異論を申し上げようとは思いません。今日の国際外交というものが、必ずしも今日の外交専門家だけにまかせて、できるものでもございませんし、日本が今後輸出貿易ということに重点を置いて、どうしてもそういう面で経済的に進出しなければ日本が立っていけないという、今日の日本の置かれた立場なり、あるいは今後日本の進むべき点から考えて、経済外交を主張されることはよくわかるのであります。  そこでお尋ねをいたしますが、経済外交を主張される岸外務大臣が、その経済外交の参謀本部ともいうべき経済外交懇談会を持たれておる。これが新聞の報道によりますと、すでに去る十五日の午後、この経済外交懇談会というものを持っていらっしゃる。この経済外交懇談会なるものは、一体外務省のどういう機関でございますか、お伺いをいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 新聞紙上では経済外交懇談会とかいう名称を使っておりますが、実質は、そういうものではないのでありまして、私が経済外交を進めていく上におきまして、現在いろいろな経済上の問題がございます。それらについて財界や政界の、私が特に意見を聞いてみたいという人々の意見を聞く意味におきまして、過般十五日に、それは主としてヨーロッパ共同市場という問題が、御承知の通り持ち上っております。これが日本の経済に及ぼすところの影響、またこれに対しての対策を、われわれがいろいろ考えていかなければならないのでありまして、従いまして財界その他の各般の見地から、これについて意見を聞きたいと思う人にお集まりを願ったのであります。今後も、あるいはいろいろ具体的の問題について意見を聞く集まりはいたすつもりであります。しかし何も固定した機関として考えておるわけじゃございませんで、そのつど問題をはっきりきめまして、そうして意見を聞くところの人数が、あるいはさらにふえる場合もありますし、少い場合もありますし、いろいろな適当な人と思う人を私が加えて意見を聞く、こういう意味でありまして、外務省に新たな一つの機構を設け、その同定した機構として、いわゆる経済外交懇談会という一つのものを作ったという意味ではないのでございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 そういたしますと、外務省の官制上の機関ではなくて、岸信介個人のブレーンだ、このように承わってよろしゅうございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 外務省の官制、もしくはこれに準ずるようなもので作った機構ではございません。そうして今申し上げましたように、私外務大臣として、この問題については、こういう人の意見を聞いてみることがいいという意味において、そのつど問題と、そうして人とを、適当に集まってもらうということでありますから、そういう意味においては、今野原君が言われるように、岸外務大臣の一つのブレーンといいますか、しかしそれは固定したブレーンという意味ではなしに、その問題についての意見を聞くブレーンだ、こういう意味に御解釈を願います。

野原覺日本社会党

○野原委員 私は所見を異にするのであります。はなはだ潜越な言い方でございますが、あなたが今日経済外交を呼号していらっしゃるならば、外務省の官制に顧問もしくは参与を置くことが規定されておる。これは各省の設置法の中で、特に外務大臣については、そういう機関というものを大幅に、今日設置法は認めておるのであります。これを個人のブレーンということでなしに、外務大臣岸信介、日本の外務大臣の経済外交をやっていく上の諮問機関であるというようにこれを置く方が、むしろほんとうの意見も徴することができるし、力強い動きができるのではないか。今あなたの御答弁によれば、そのつどメンバーも変えるのだ、この前はああいうことであったけれども、今度は新たにすっかり変った人間がなる。東南アジア経済外交ということになれば、東南アジア向きの人間も考えるのだ、こういうことでありますけれども、外務大臣としては、せっかく官制上の機関を置くことを許されておりながら、そういう状態におくということは、私はどうかと思う。そこであなたは今後官制上のこういった強力な——強力といえば語弊がありますけれども、すぐれた機関、経済外交をあなたが推進していく土に適切な機関というものを置く意思があるかないか、出たとこ勝負、きょうはこのメンバー、あしたはこのメンバー、私個人のブレーンだ、お前らは黙っておれ、私どもは、こういう懇談会が持たれたのについては、野人である岸信介が持った懇談会なら問題にしない。やはりあなたが持たれる懇談会というものは、総理大臣兼外務大臣の懇談会なんです。そうなれば、やはり責任というものを明確にする上で、官制上の機関というものを当然考えるべきではないか、このように思うのでございますが、今後あなたはどういう所信をもって、この問題を処理されるか承わりたいのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 この経済外交という問題になりますと、ここで申し上げるまでもなく、世界各地の事情、また時期的に申しましてもいろいろな問題が出てくるのでありまして、なかなかこれらの問題に、一人ですべて通暁しているということは現実問題としてむずかしいと思いますので、やはりそこは私としては、全責任は私がとるのでありますけれども、いろいろ私の方の正式の機関を通じて集める情報なり対策、また具体的にそれらの問題について直接深い造詣があり、また意見を持っておられると思われる人々の意見を徴して、万全を期するということは必要である、私はかように考えておりますので、将来も重要な問題につきましては、その問題について意見を開くことが適当だと思う人に集まってもらいまして、意見を聞くというふうなことを続けて参りたい、かように考えております。

野原覺日本社会党

○野原委員 私はこの問題はそう深くは追及いたしませんが、私の知る限りでは、自民党の中にも良識のある諸君は、この種のものは、これは官制上の機関を持つべきではないか、そういうあいまいもこたるものを置いて相談をしても、あなた個人は知識を深めていくかもしれませんが、やはりこれは問題がある。せっかく法律が予定をしておるのであります。しかも国会議員が四名入っておる。この前集まった中には国会議員が四名入っておる。私どもはこの四名のものはこれは官制上の機関であるということになりますと、御承知のように、顧問、参与は行政省の役人というものに準じて考えられるのでありますから、これは国会の承認を得なければならぬ。私はやはり責任というものは明確にしておくべきではないかと思う。あなたが好きほうだいに、きょうはこれだ、あしたはあれだというふうなことで、それは責任は外務大臣がとるかもしれませんが、せっかく官制がそれを用意しておる、しかもそういうものについては国会が同意をするということにしておる、そういうことをとらないで、抜け道を通られて、何だかえたいの知れない会合を持たれるということは、私はいたずらに国民に疑惑を与え、混乱をさせる以外の何ものでもないと思うのです。しかし、まあこの問題はこれ以上は申し上げません。  そこで続いて自治庁長官にお尋ねをします。田中さん、あなたに質問であります。自治庁長官も御承知のように、都道府県立、あるいは市町村立でもよいのですが、公立大学校の経営というものが非常に困難になってきておるのであります。文部省の意見によりますと、今日文部省に陳情に来ておる——国が引き受けてくれ、都道府県ではもうやっていけない——これは自然科学系の公立大学でございますが、私は無理からぬことだと思うのであります。地方財政逼迫の折に、たとえば奈良県のような地方財政のきわめて貧困な府県に、これは戦争中国が要請をして、奈良県立医科大学というものを立てております。文部省に正式に陳情にきておるものは、岐阜県立医科大学、福島県立医大、三重県立の大学、これは医学部と水産学部、兵庫県立神戸医大、奈良県立医科大学、和歌山県立医科大学、島根県立農科大学、九州歯科大学、山口県立宇部医科大学であります。このことに対して、一体自治庁長官はこの実情を知っていらっしゃるのかいらっしゃらぬのか。私は自治庁のこれらの都道府県の公立大学に対する施策というものは、全く冷淡無知きわまるものがあると、実は憤慨しておる一人でございますが、公立大学に今日びた一文援助をしない、それから大学校舎の改修あるいは運営品費等についても、びた一文起債を許さぬのであります。二万五千人今日在学しておる、しかもこれらの公立大学は、国立の大学以上に——私はあえて以上と申し上げますが、優秀なる人材を今日まで育ててきておるわけであります。一体何がゆえにあなたは起債を許さぬのか、どういう方針で起債を許さぬことに自治庁はなっておるのか、承わりたいのであります。

田中伊三次自由民主党自治庁長官

○田中国務大臣 お答え申し上げます。道府県の設立にかかる大学の経費に充当するための地方起債を認めないのではないかといおしかりでございますが、そうではないのであります。認めない方針ではないわけであります。しかしそれだけでは答弁になりませんので、やや申し上げますと、高等学校以上の府立、県立という場合でございますが、これは御承知の通り、自治体の単独事業として取り扱っておるわけでございます。国家の補助はないわけでございます。そこで単独事業として取り扱います場合は、ほかにも都道府県いずれもたくさんな単独事業をお持ちの場合が多いわけでございますので、勢いこれに割り当てられる金額が少くなりがちであるという事実はございます。たとえば例をあげてみますと、最近におきまして北海道立大学でございますが、これは四千万円の起債を許可しておる事実がございます。それからごく最近には鹿児島であったと記憶しますが、鹿児島県立大学に対しまして七千万円の起債の許可をいたしました。それからもう一口申し上げますと、ただいまちょっとお言葉にも出ましたが、各都道府県立の大学のうち特に医科大学、その医科大学の医学部並びに大学の附属病院につきましては、これは特別の熱意を打ち込みまして、三十一年度におきましても、二億円に上る起債の許可をいたしております。こういう実情でございます。大学だけに限りましてお答えをいたしますとそういう方針で、割合にこれに優先するような単独事業が多うございまして、起債のワクが窮屈であるということは事実でございますが、許さないなどというけしからぬ方針はとっておらぬわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 起債は認めていこう、現に認めてきた学校もあるのだ、こういうことである。そうであればまことに同慶しごくであります。そこで私は大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、これはいかに財布を締めるあなたといえども、公立大学がつぶれるなら勝手につぶれろ、わしゃ知らぬと、そういう冷淡なお考えは、よもあるまいと私は思うのです。先ほど申し上げましたように二万五千という学生を擁して、そうして国の文化水準の向上、特に自然科学系を卒業した諸君は、卒業してから優秀な働き手となって今日社会に出ておる。こういうものに対してつぶれるならつぶれろというようなお考えを、よもお持ちにならないとすれば、ほんとうに経営の困難な大学に対しては、私はやはり経営費の補助くらいは、幾らかでも考えてやるべきではないかと思うのでございまするが、大蔵大臣のこれに対するお考えを承わっておきたいのであります。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 既設の公立大学の経営につきましては、起債その他の点は関係官庁とよく相談し合ってやっておるはずでございます。決してつぶれるものはつぶれろというような考え方をとっておりません。

野原覺日本社会党

○野原委員 そういたしますと、やはり事情を調査して、場合によっては補助金をも考える、このように受け取ってよろしゅうございますか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 府県立のものにつきましての補助ということは、まだ文部大臣からも相談を受けておりませんので、今ここでお約束するわけに参りません。

野原覺日本社会党

○野原委員 文部大臣にお尋ねしますが、あなたは昭和三十二年度の文教要求予算、いわゆる大蔵省に対する要求予算の中で、この問題を非常に御心配になって、当時あなたでなくて、前の清瀬文相だったかもしれないが、とにかく文部当局は大蔵省に対して幾らかの金を要求しておる。この事実をお認めになりますか、承わりたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 お答えいたします。文部省といたしましては三十二年度の予算案編成に当りまして、公立大学に対する補助金を要求いたしております。

野原覺日本社会党

○野原委員 その要求が簡単にあなたの方から削除になっておる。私はこういうような考えというものは、どうしても了解できないのです。文部省の要求した予算がたしか一億であったと思うのですが、文部省としてはこれはどうしてもやらなくちゃならない。特にさっき申し上げました十二の大学は今や廃校寸前にある。やはりこれを助けてやるということは、国として当然なさるべきことなんです。御承知のように、私立学校に対しては私立学校振興会法というものがあって、五カ年計画でこれは五十億を出しておるはずであります。本年度の予算では八億五千万円出しておるはずなのです。国の大学はこれは国の金で見ておりますけれども、一番みじめなのは公立大学なのです。やはりこれに対しても、つぶれるものはつぶれたらよい、わしは知らぬ、そういう考えでないならば、文部当局が要求をされたことに対しては、大蔵大臣としては誠意をもって臨んでいただきたい。私はこれは要望だけいたしておきます。もし来年度あなたがこういうものを冷酷に扱われるとするならば、私どもは徹底的にこれに対して追及をするかもわからないということだけ申し上げておきたいと思うのであります。  次にお尋ねいたしたいのは、いよいよ給与問題について労働大臣にお尋ねをするわけでございますが、あなたも御承知のように、日本の憲法を見ますと、すべての国民は健康にして文化的な生活の保障がなされなければならぬとあります。一体今日の給与が健康にして文化的な生活の保障をなすに足る給与、賃金であるかどうか、これはもう論外です。このことに対してあなたはどういう所見を持っておるのか。憲法はこういうことをうたっておるのだけれども——今日は非常な景気なんです。大蔵大臣の言によれば空前の景気である。神武以来の景気とよく言われておる。そういう景気のときにでも公務員の給与がみじめである。憲法にはああいうきれいなことをうたっておる。そのことに対するあなたの御所見をまず承わりたいのであります。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 お答えいたします。お説の通りでございますから、国家の財政経済の許す範囲においてベストを尽しております。今年も六・二上げましたことについても、国の財政経済の及ぶ範囲において、人事院の勧告を尊重いたしたのでございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 ベストを尽してあの程度だとするならば、やはり現内閣の公務員政策というものは全くなっちゃいない。あなた方がベストを尽されたことに対して、今日官公労、地方公務員を含めて二百四十万人のうちの一人でも賛成をされている諸君がありますか。あなた方のところに、今回のベース改訂はまことに望ましい、やってもらいたいと言ってきたのは、次官と局長と部課長くらいのものでしょう。官公労の八〇%から九〇%の諸君は、罷業権もない、団体交渉権もない、何も戦う武器はないけれども、やむにやまれずしてあらゆる反対の運動を今日続けておるのでしょう。このことをあなた方は十分反省をしてかからなければならない。だから今度の給与改訂がベストを尽した法律なのかどうか。あれでベストを尽したのならば、自由民主党もこれはたそがれの道を歩いておるのじゃないか。(「なまいきなことを言うな」と呼ぶ者あり)なまいきじゃない。私はそう思うのです。岸内閣というものは、全く労働政策というものをどう考えておるか、公務員というものをどう考えておるか、疑わざるを得ないのであります。  そこでお尋ねします。ベストを尽したと称する今回の給与改訂表を私ども見てみますと、現行の給与表と比較をして、いかなる人も断じて損をしていないと、あなたは断言ができるかどうか。今度の政府の給与改訂の給与表による給与は、現行の給与表と比べてみて、何人といえども不利になるものはない、すべてのものが恩典に浴する、何年たってもすべてのものが恩典に必ず浴しておると、あなたは確信を持っていらっしゃるかどうか、承わりたいのであります。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 お答えいたします。先ほど民間給与との関係の御比較論がありましたが、それは人事院の勧告は一一%民間給与の方が上であると言っております。しかし官吏の給与の中には相当高給のものもありますから、一一%違っておるけれども、六%上げればいいというのが、人事院の勧告であります。その人事院の勧告を尊重いたしたのであります。  またただいま御指摘になりました、いかなる号給といえども損はしていないかどうかという問題でありますが、これも従来十五級でありましたものを、人事院の勧告によって、現在の官吏の職務給から見まして、十五級というものがございませんから、七級に統合いたしたのであります。これは基本的な考え方は、人事院の勧告をそのままをやったのでありますが、これをこまかく分類するに際しまして、技術的に、事務的に多少の差異は生ずるのはやむを得ないのでありますが、これはあくまでも従来のものを改善しようという考え方でやったのでありまして、今お話のように悪くしようと思って考えたものでないことは、前提にいたしております。

野原覺日本社会党

○野原委員 改正しようと思ってやった。しかしながら私が尋ねたのは、不利になるものは現実にないかということを聞いておる。悪くしようと思ってやったのではないけれども、やってみた結果、今日不利になるものが生じておるのではないか、このことをどうお考えになりますか、断じて不利になるものが生じていないと、あなたは断言できるかということであります。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 大体悪くなっているものはないと思うのですが、極端な事例があれば、今後実施上調整はできると思っております。また今御指摘になりましたように、今度の改訂に対しましては、あくまでも人事院の勧告を尊重してやったものでありますから、われわれといたしましては、この号給を統合したりいろいろいたします点において、多少の点はあろうと思うけれども、それは今御指摘になりますようなふうなものではありません。従来のものを尊重して、従来の現行の制度を尊重した上に、人事院の勧告を尊重しておりますから、そう変ったものではないと思います。

野原覺日本社会党

○野原委員 なかなか名答弁であります。失礼ですけれども、現行のものを尊重して、人事院の勧告を尊重したのだ、そうして今度こういうものができたのだ、こうおっしゃいますけれども、私はこれはあとで時間をかけてゆっくり、あなた方が出された政府案に対する批判的なお尋ねをして参りたいと思います。そのときに譲りますが、悪くなるものはないかもしれないとは、一体何事ですか。あるかもしれないでしょう。これは現在の給与体系でずっと行った場合、それから今度の政府案の給与で行った場合に、もちろん行政職とか、税務職とか、教育職とか、技能労務職とか、いろいろございますけれども、それを私ども拾って、ずっと比較検討してみると、悪くなるものがあったら、どうします。あなたはないかもしれないと言う、たよりないことでございますが、あなたの御答弁からいくと、確信が持てない、悪くなるものがあるのかもわからぬ、このように受け取ってよろしゅうございますか。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 私ども提案者といたしましては、最善を尽したつもりであります。

野原覺日本社会党

○野原委員 これは御答弁にならぬのであります。私は悪くなるものがあるかということを聞いておるのですから、悪くなるものがあるなら、ある、ないならないと御答弁願いたい。私はしいてこの問題をしつこくお尋ねをする。このことが実は今回の政府案に対する私どもの批判の第一点であるがゆえに、お尋ねをする。悪くなるものがあるのかないのか、これをお尋ねする。この答弁がなければ、私はいつまでも質問は続けませんよ。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 大体俸給制度といたしましては、悪くなるものはないと確信をいたしておりますが、万一あった場合には、実施上直していきたいと思います。

野原覺日本社会党

○野原委員 私どもの検討によりますと、給与の改訂というのでございまするから、人事院の勧告は六・二%引き上げるという勧告である。その勧告を尊重して給与を改正するというのであるから、当然これは常識から考えるならば、悪くなるものがあっては、これは大へんなことなのです。悪くなるものがあったら大へんであるけれども、現に悪くなるものがたくさんある。これは予算委員会で詳細に具体的に申し上げることは省きますけれども、たとえば技能労務職の三等級の者、これは守衛が入るのかタイピストが入るのか知りませんが、そういったものが入るようであります。これが三十四年勤めまして、一万八千七百円である。二十歳から勤めて五十四歳で一万八千七百円、三十四年間ししとして精励恪勤をして、そういうような技能労務職の給与表になっておる。これはとんでもないことなのです。私はその反面、この行政職の一を見てみますと、行政職の一は一等級から七等級まで、十五等級を分けておられる。この三等級に例をとりましょう。一等級は次官だそうであります。二等級は、局長、部長、三等級は課長、この課長にかりに例をとってみますと、この三等級の第一号が三万三百円となっておる。この三万三百円に匹敵をする、これに当てはまるところの現行号俸は、おそらく十一級の三号だろうと思う。これは三万六千二百円です。管理職群に対しては、そこを四千百円の初任給で上げておるのであります。そうして現在の給与体系でいけば管理職群はこういく。ところが今度のは四千円、五千円上回って、はるかに上を行っておる。一方行政職の第一からはずれた気の毒な運転手——国会の運転手に例をとってもよろしゅうございますよ。国会のそこに立っておられる守衛諸君に例をとってもよろしゅうございますよ。この人々は何と言っておるか。この人々は、三十四年勤めて、何と驚くなかれ一万八千七百円であります。ところがこういう三等級の課長は、スタートが三万三百円であります。これは何ということだ、私は健康にして文化的な賃金、健康にして文化的な給与とは、今日の日本では生活給でなければならぬと思うのです。能率給とか職階給というものは、まず生活が保障された上で考えるべきものだと思います。こういう実情に対して、労働大臣は給与担当の責任者として、どのようにお考えになっておるか、承わりたいのであります。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 今御指摘になりました数字のこまかい点については、大山室長からお答えいたさせたいと思いますが、われわれは先ほどから申しております通り、人事院の勧告を尊重してやったものですから、六・二%は大体どの級も上っている。でありますから、これは今御質問になりましたように、前より悪くなっているという点はないと思います。

大山正総理府事務官(内閣総理大臣官房公務員制度調査室長)

○大山政府委員 お答え申し上げます。ただいま御指摘のありました数字の中で、行政職の三等級の三万三百円は十二級の一号に対比する数学でございます。それから運転手につきまして例をあげられたのでございますが、確かに現在の運転手の給与制度はあまりよくないのでございまして、今回政府案におきまして、多少これを改善いたしておるのでございますが、私どもの試算したところによりますと、十年目で現在が一万四百円、今回の改正案におきましては一万二千百円、十五年目で現在か一万三千六百円、今回の案におきまして一万五千七百円、多少ずつ改善されるような形になっております。

野原覺日本社会党

○野原委員 そこで大山室長にお尋ねします。労働大臣は失礼だが私はどうも御答弁が困難のように思う。これは数字的の問題でもありますから、大山室長にお尋ねします。運転手の場合、これは内閣委員会等で専門的に聞くべきであろうと思うので、このようなことはあまり突っ込みたくないのでございますけれども、たとえば運転手の場合は、これは技能労務職の一でいくのですね、技能労務職の何等級にあなたは該当して読んでおられますか、お尋ねします。

大山正総理府事務官(内閣総理大臣官房公務員制度調査室長)

○大山政府委員 技能労務職の一の三等級が自動車の運転手の入る等級ということに一応考えております。二等級が車庫長。

野原覺日本社会党

○野原委員 そうなると守衛の場合は三十四年で一万八千七百円だ、私は運転手と申しましたが、守衛の場合は技能労務職の二の三等級、これは三十四年で一万八千七百円だ。そこでお尋ねをしますが、新制高等学校を卒業した場合は、現行法と、政府案の今度の新らしい給与ベースとは、初任給において幾ら上っておるのか。同時に局長の初任給は幾ら上ったのか、それをお聞きしたい。

大山正総理府事務官(内閣総理大臣官房公務員制度調査室長)

○大山政府委員 ただいま御指摘のありました技能労務職俸給表の三等級は、小使さんの入る俸給と一応考えております。それから新制高校卒の初任給につきましては、今回の人事院勧告は初任給につきましては変更しないという建前になっておるのでございます。今回の政府案におきましても一応これを変更しない建前をとっておりますので、御承知のように現在新制高校卒で公務員試験を合格して採用になりましたものは五千八百円ないし五千九百円、試験以外の採用は五千七百円ということになっておるわけでございます。ただ今回六カ月の昇給期間を、一般の行政職につきましては一年に延ばしました関係で、このままの金額で六カ月を一年に延ばしますと、確かに手取り減になりますので、どうしても俸給金額を底上げと申しますか変えておく必要がございます。その関係で一般行政職の新高卒の初任給は、試験合格のものにつきましては六千円、試験を合格しないその他の採用の場合には五千八百円というふうに考えております。それから局長の初任給と申しますが、局長の給与につきましては結局下から次第に上って参るわけでございまして、現在十四級の一号が大体今度の行政職俸給表の二等級の初号に対比して考えておりますので、現在十四級の一号は四万二千七百円でございますが、今回は号俸構成の関係で四万二千二百円というようになっております。

野原覺日本社会党

○野原委員 いろいろそういう数字をあなたとやりとりしても、実は予算委員会の私の質問時間も制限をされておりますから困るのでございますが、私はここで労働大臣にお尋ねをいたしますが、今回十五等級のものが七等級に制限をされておる。しかも一等級は次官、二等級は局長、三等級は課長、四等級は課長補佐、班長、五等級は係長、六等級は上級係員、七等級は下級係員、こういうように呼ばれるようでございますが、こういう職階的なものと等級を明確に結合をさせた理由、これをまずお尋ねいたします。どういうわけでこういうように職階と等級を明確に結合したのかということであります。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 現在十五級になっておりますが、現在の職務段階は七階級でありますから、七等級にする方が、従来よりも簡素化して便利であるという考えから、かようにいたしました。

野原覺日本社会党

○野原委員 その点は私どもとはるかに考え方が違うのであります。七階級にして簡素化と申しますけれども、こういうように一等級は次官だ、二等級は局長だということになれば、たとえば六等級、七等級の係員というものは、係長にならなければ五等級のところにいけない、こういうことになると、二十年たっても三十年たっても、係長にならなければ五等級にならぬのでございますから、その給与の引き上りというものがどうしてもワク外昇給では三年というようなところに追い込まれて、そうしてやがては首になるという事態に持ってこられる。このことが非常に不公平なやり方ではないかと思うのです。希望がなくなる。次官は一等級、それから局長は二等級、こうなっていきますと、係員というものは全く希望を失ってくるんじゃないか、この辺を一体どうお考えになっておるのか、お尋します。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 職務給になっておりますから、その職務にならなければ給与が上らない、一応そうごらんになるのも当然でありますが、われわれの考え方は、重要な職務をしておる、かりに専門技術者であるとか、いろいろの事務上の重要な仕事をしておる者は、係長にならなくても、係長と同級の支給をしたい。横すべりをする考えを持っております。また今御指摘になりましたように、十五俸で頭打ちになっておる。頭打ちになっておりますが、今度はワク外昇給を認めますから、二万二千六百円からは、年数はかかりますけれども、その職場にずっと長くおられる方は相当なところまで、大体三万円くらいのところまで昇給されるように配慮されております。つまり横にもすべれるし、また年限によっては縦にもいけるという考えであります。

野原覺日本社会党

○野原委員 とんでもないことを言っては困るのです。あなたはこの表を見て御答弁願いたい。六等級の二万一千四百円の者は、これは二十四ヵ月かかる。五等級の二万一千四百円の者は十二カ月で昇給するのですよ。昇給でも半分で五等級はどんどん上っていく。六等級、七等級になると、二十四ヵ月かかるのです。そうしてこの二万二千六百円をこえた場合——七等級が一万五千三百円をこえた場合は、三十六ヵ月かかるのです。ところが五等級になると、それらの者は十二ヵ月、もちろん二万二千六百円の場合には五等級は十五カ月、こういうように等級によって非常に有利、不利の点が、今度のものでは明確にされておるのです。これはあなたがこれをごらんにならぬから、わからぬ。ごらんになってみなさい。そうなると、六等級や七等級に据え置かれておる者は、係長にならない限り、昇給でも非常な不利益を受ける。こういう状態に置くということは、これは明らかに職階的なものがあまりに強く出ているために希望を失わしめて、公務員が、やけになるとは申しませんけれども、全くその仕事に対して熱意を持って当らないという結果になるのじゃないか、私はこう考える。この点はあなたはお認めになりますか。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 まじめに職務している者は、これは係長にならなくとも、係長の線に横すべりすることができるわけであります。つまり重要な職務にある人は、その職制が形式的につかなくても、今御指摘になりましたような横にすべることもできるし、またそこにいかれない人は、縦の十五号俸以上にワク外昇給を認めております。

野原覺日本社会党

○野原委員 これは大臣、ワク外昇給は私も知っている。ワク外昇給は三十六カ月なんだ。ワク外昇給は三十六ヵ月で、等級の上の場合には十二ヵ月で上る、こういう非常に利、不利のものがあるのであります。  そこでこれらの問題は内閣委員会等で、専門委員会で十分私どもは指摘いたしますが、労働大臣は先ほど人事院勧告を尊重されたのだと言われた。ところが人事院勧告で尊重しない面がたくさんあるのです。あなたはそれは御存じですか。どれとどれと、どれが人事院勧告を尊重していないということが指摘できますか。私はこういったことを言っておったのでは時間をとりますから、先を急いで申し上げますが、たとえば行政職を二分割している。行政職の(一)と行政職の(二)がある。行政職の(一)は中央官庁、行政職の(二)は地方官庁、こういうような区別をする必要が今日あるのかどうか。税務職の場合は一本だ。税務職は、都道府県に税務署というものがある。それから国税庁というものがある。それから大蔵省もある、ところが税務職は一本にしておって、行政職は(一)と(二)に分けて、(二)は地方官庁、(一)は中央官庁というような区別の仕方は、人事院は勧告しておりませんよ。淺井さんがいらっしゃるでしょう。こんなものは勧告していない。なぜ政府はこういう区別の仕方をしたのか、どういうわけでこんな区別の仕方をしたのか、承わりたいのであります。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 これはやはり組織の内容、段階が中央と地方と違いますから、分けた方が便利であると思います。またもう一点は、税務職の問題でありますが、税務職も、本庁の方々は行政職の(一)の方になります。税務職俸給表になっている税務職は地方の人でありますから、地方が二つに分れているようでありますけれども、税務職と、地方の行政職と同じような意味であります。

野原覺日本社会党

○野原委員 行政職を中央、地方一本にして不都合であるという積極的な理由があれば承わりたい。行政職を(一)、(二)に分けないで一本にしたら、どうしても困るということがあれば、承わりたいのであります。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 中央と地方の行政上の段階、組織の内容が違いますから、私は二つに分ける方がいいと思いますが、さらに大山室長から詳細に答えさせます。

大山正総理府事務官(内閣総理大臣官房公務員制度調査室長)

○大山政府委員 行政職俸給表を、政府案におきまして、(一)と(二)に分けました理由につきましてお答え申し上げます。  人事院勧告がございまして、政府の案で行政職俸給表の(一)といたしました七段階の等級区分は、中央の各本省庁における組織、段階のちょうどモデル的な段階に相当するのでございまして、本省庁には大体これでぴったり合うように思うのでございます。地方の組織をそれではこの段階で、どうしてもやっていけないかという御質問でございますが、もちろん絶体にやっていけないというわけのものではございませんが、地方の組織段階がやや中央と違いますので、むしろ分けた方が妥当である、適当である、かように考えて立案した次第でございます。どういう点が違うかと申しますと、表でごらんいただきますように、行政職俸給表の(一)と(二)で、七等級と六等級は全く同じでございます。それから行政職俸給表の四等級、すなわち本省庁の課長補佐クラスと行政職俸給表(二)の三等級、標準的には地方の第一線機関の所長でございますが、その俸給は全く同じでございます。結局違いますところは、本省庁の係長の五等級を二分したこと、それから本省庁の三等級の課長クラスを二分した点、この点が違うのでございます。なぜ本省庁の係長のクラスを二分したかと申しますと、地方におきまして(二)の三等級に相当する所長の下に課長、係長、係員というような段階のある場合が非常に多いのでございます。この場合に、本省と同じ区分だけにいたしますと、課長と係長が同じ区分に入るか、あるいは係長を係員と同じ六等級にするかということになりますので、格づけ上も非常に適当でない、かように考えるのであります。むしろ行政職(二)の三等級と一般係員の六等級の間には二つの段階がある方が適当である、かように考える次第であります。  次に行政職の(二)の一等級と二等級を二分いたしましたのは、地方の第一線の機関の所長等におきまして、本省の課長と大体同じ程度の仕事と認められる場合、本省の課長と課長補佐の中間程度と認められる場合という段階がございますので、現在の十五級区分の上から考えましても、この二段階を設けることが適当と考えまして、地力に一等級、二等級を設けてある、かような次第でございます。  なお税務職につきましてなぜ分れないかというお話でございましたが、税務職の俸給表は、租税の賦課徴収に関する事務等に従事する職員を主たる適用人員といたしておりますので、主として国税局並びに税務所の職員がこの俸給表に入りますので、主として地方の組織段階に応じた俸給表、いいかえますならば行政職俸給表の(二)と大体似た俸給表になっております。もちろん本庁のものも若干入りますが、人数がきわめて少いのでございまして、特に二分するということは適当でない、かように考えた次第であります。

野原覺日本社会党

○野原委員 その点は私どもは全く納得できないのです。これはどう考えても、こういうような行政職(一)、(二)の区別をして、(二)は地方だ、(一)は中央だ、こういうようなやり方というものは、地方軽視の考えを助長ずる以外の何ものでもない、私はこう考えるのです。中央が偉いのだという考え方なんです。大学を出た秀才は中央だ、成績不良のものは地方に行くんだ、こういうような給与表のあり方というものはあるものじゃない。行政職を一本にして何の差しつかえないのです。今日までやってきたんです。これをことさらに分けて、あなた方は実情に即したと言うけれども、私どもが言えば、これは国の行政を中央、地方に分断する以外の何ものでもないと思う。これは一つの大きな修正意見として、ここで明確に申し上げておくのであります。  そこで人事院総裁にお尋ねをする。あなたは昭和三十一年七月十六日の勧告において——議会に出しました勧告案の九ページでございまするが、「五現業および三公社の職員の給与は、多少の例外はあっても一般的にいって一般職公務員の給与を相当上回っているものと思われる。」という勧告書を出しておる。一体、これはこのときにどの程度の上回りがあったのか、これをまずお尋ねしたいのであります。

淺井清人事院総裁

○淺井政府委員 お答えを申し上げます。人事院といたしましては、その報告の中に書きました通りしかお答えすることができないと思っております。その理由は、この三公社五現業の給与は、人事院の所管外でございまするので、人事院としては、精密な実態調査をいたしておらないのであります。地方公務員も同様でございまするけれども、地方公務員の方は、自治庁から中間発表がございましたので、それによったのでございまするが、結論といたしましては、相当上回っておるように思っております。

野原覺日本社会党

○野原委員 あなたは、政府と国会に対してこの勧告書を出すのですよ。その勧告書を出すのに、一般職公務員の給与を相当上回っているものと思われる、それからさきには地方公務員の方も書いている、こういうものを書く限りには、何か資料があったのでしょう。上回っているか上回っていないかわからぬのだということを今ごろ言われたんでは、一体この勧告書というものはでたらめなんですか。政府が人事院の意見を尊重したという場合には、この勧告書で尊重していくんだ。一体どの程度上回っているか、確実なものがなくてこんなものを若くということは不見識じゃないか、とんでもない、どうなんです。

淺井清人事院総裁

○淺井政府委員 その報告に書きましたように、相当程度上回っているものと認めます。それははっきり申し上げたいのでございますが、詳細の数字につきましては、むしろこれは政府側からお答えをいたすべき筋合いだと思います。

野原覺日本社会党

○野原委員 自治庁長官にお尋ねをいたします。地方公務員の給与は、国家公務員の給与と比較をして上回っているのか、下回っているのか。前の国会で、太田自治庁長官は、決して上回っていないということを申されたのでありますが、あなたは自治庁の長官としてどのように考えるか。

田中伊三次自由民主党自治庁長官

○田中国務大臣 詳細な数字につきましては、追って正確に文書をもって資料として提出をする用意をいたしますが、概略を一言に申し上げますと、国家公務員の平均ベースと地方公務員の平均ベースは、これは本給と扶養家族手当と勤務地手当の三種類のものを加えたもので、その総額をそれぞれ国家公務員、地方公務員の頭数で割った平均額という意味でございますが、そういう意味のものは、地方公務員の方がやや上回っております。ただ違うところが一つございます。それは、地方公務員は、大きな府県と小さい府県、また同じ地方団体でも、市制をしいております大きな市と府県との関係、それから小さい市というもの、こういう関係においては、高いところと低いところと非常に不同がございます。そういう意味におきます平均をいたしますと、少し高いものと心得ております。

野原覺日本社会党

○野原委員 続いて自治庁長官にお尋ねしますが、地方公務員は、地方財政が逼迫をしているために、その後法律で定めたところの定期の昇給、昇格というものが完全に履行されていないのです、あなたは昨年度の昇給というものが三%であるということも御存じでしょうね。そこで人事院総裁にお尋ねしますが、国家公務員の昇給が、あなたのこの報告書によりますと、約五%上昇している、このことはこの通りでございますか。

淺井清人事院総裁

○淺井政府委員 そこに書きました通りであると信じております。

野原覺日本社会党

○野原委員 そういうところから、太田自治庁長官は、この点を非常に真剣に検討されて、前の国会で、昇給の面において国家公務員の方が五%、地方公務員の方が三%、こういう面において非常にアンバランスがあって、今日は一緒になっているということを申されている。私は今日の時点において、国家公務員と地方公務員と、それから三公社五現業の諸君の給与の実態というものが、どのような状態にあるのかということをまず知らなければならぬと思う。この点人事院総裁にお尋ねします。今日の時点においてはどういう状態でございましょう。地方公務員、国家公務員、それから三公社五現業の諸君の給与三つを比較した場合に、今日ただいまの時点では、大体どの辺に置かれるとあなたはお考えになっておりますか。あなたは給与の責任者でございますから、お尋ねいたします。

淺井清人事院総裁

○淺井政府委員 さいぜん申しましたように、人事院といたしましては、一般職の国家公務員だけを所管いたしておりますので、地方公務員と三公社五現業とに対する比較ということは、人事院としては正確にはいたしかねます。

野原覺日本社会党

○野原委員 それでは労働大臣に伺います。労働大臣はすべての給与の責任者だ。三公社五現業の給与と、それから一般公務員の給与は、今日どういう状態に置かれておるか、お尋ねします。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 御承知のように、三公社五現業の給与につきましては、目下仲裁裁定で検討中であり、紛争中の問題でありますから、今ここではっきり申し上げることはできません。

野原覺日本社会党

○野原委員 とんでもないことをおっしゃる。私は、この問題は、私の質問することが散漫になりまするからあとで触れようと考えておりましたが、仲裁裁定について目下検討中だから言えないんだ、こう申しますけれども、今回の仲裁裁定の出る以前、人事院は三公社五現業が上回っておると報告を出しておる、このことを、あなたは給与担当大臣としてどう受け取っておるか、今回の仲裁裁定とは別なんだ、これは、三十一年の七月十六日の報告書に、三公社五現業の方が高いんだとある。そして今度は、仲裁裁定が積み重なっていくんですよ。この点を一体どう考えるかというんです。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 人事院の勧告当時の状況につきましては、人事院の勧告通りだと思っております。

野原覺日本社会党

○野原委員 そうなれば、今日の一般公務員の給与というものは、現実に人事院の勧告通りなんです。そういたしますと、あなたもお認めになるように、三公社五現業と一般公務員の給与差というものは、やはり依然として政府も人事院勧告通り承認をする。そこで人事院総裁にお尋ねしますが、あなたの方の十九ページを見てみますと、民間給与との差は一一%と報告をいたしております。この一一%というのは、基本給で計算をするというと、一体どれだけの金額になるんでございますか。民間給与との差一一%は、一般公務員の場合、基本給で計算すれば、どれだけになるとお考えになっておりますか、お尋ねします。

瀧本忠男人事院事務官(給与局長)

○瀧本政府委員 お答えいたします。人事院が一一%違うということを申しましたのは、これは人事院の調査方式によりまして、いわゆるキー・ポジションの比較ということをやっておるのであります。これは一般行政職につきましても、大体同様のことが言えるのでございまするが、しかし人事院としましては、あの報告並びに勧告で申し上げておりますように、一般職公務員の中におきましても、たとえば警察職員でありますとか、あるいけ教員、あるいは税務職員のような、いわゆる特別俸給表の適用を受けておる者、あるいは調整額という処遇上の優遇を受けておる者があるのであります。従いまして、そういう人々は高い給与を受けておりまするので、一般職の全平均をとってみますと、これは民同に比べまして大体六%程度高いであろう、こういうことを申しまして、六%程度ということをこの勧告で要求いたした次第でございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 六%程度に、このいろいろなもので修正をして勧告はいたしておりまするけれども、御告書に対する意見の中では、明らかに民間給与との差は一一%とうたっておるのであります。これは何とあなたが抗弁しょうとも、これを読んだら出ておる。なるほど勧告の本文のところでは、六・二%を勧告しておる。これは私も認める。従って私が聞いておるのは、一一%ということになれば、一千九百二十円くらいの開きになる、しかも民間給与というものは、今日の景気から、その後上昇の傾向なんです、これは昨年の勧告ですよ。昨年一月の資料によったはずです。それから一年以上経過しておる、一年以上経過して、民間給与はその後上昇しておるとすれば、一一%の開きがすでに千九百二十円ということになると、これは官公労の諸君が二千円ベース・アップをしてくれという要求は、断じて無理じゃない。これを六・二%で抑えて、しかも下の者は上りが薄い、上の者はよけい上るんだ、ああいうでたらめな給与表を作り、中央官僚主義的なものを作ってたきところに、問題があるのであります。このことは、私ども来たるべき内閣委員会で徹底的にやります。私はこの問題をあえてここで繰り返したくない。  そこで、これは自治庁長官にお尋ねをいたしますが、地方公務員の財源措置についてであります。先般地方財政計画が出されましたが、それによりますと、七百億の自然増収ということがやはり見積られております。従って自然増収七百億ということが前提になって、給与切りかえも可能になるのではないか。これは三月三十一日に切りかえられますから、自然増収というものは先にならないとわからぬわけですから、現実に切りかえはなされるでありましょうけれども、私どもが心配するのは、七百億の自然増収が得られなかった場合に、地方自治団体は積極的な施策もできない、そうしてひいては給与に響いてくる、人件費の圧縮ということになってくる。このことは自治庁長官としてはどう考えておるか、承わりたいのであります。

田中伊三次自由民主党自治庁長官

○田中国務大臣 七百億内外の自然増収のあることは、正確なる計算において見通しておりますので、この見通しに格別の事情がない限り、狂いはないものと存じております。従って、狂いがないといたしますと、国家公務員のこのたびの改訂に当って、まず給与の改訂において六・二%、それから昇給において御承知の四%、ただし義務教育に関係の教員の昇給においては二%ということになりますが、この散種類の大ざっぱに申しまして給与の改訂というものは、そのまま地方公務員に右へならえをさす、こういう方針は貫きまして、財源措置はちぐはぐにはならないつもりでございます。従って、ごらんの通り、私の方からすでに御説明を申し上げました地方財政計画においても、三十三年度においては四千四百三十五億円の給与費を計上いたしておりますが、これは三十一年度と比べますと、四百六億円余りの増となっております。四百六億円余りの増が、今私が申し上げましたこの給与改訂の財源として充当されるわけでございまして、この計算にはちぐはぐはない。同時に七百億円の自然増収は、よほどの天変地変の起らぬ限りは、大丈夫あるものと見通しをつけておりますので、御安心いただきたいと思います。

野原覺日本社会党

○野原委員 あなた方の見通しは必ずしも私ども安心して信頼するわけにいかぬのです。従って、そのことはとやかく申し上げませんけれども、七百億の自然増収がかりに得られないという事態になってくると、あるいは地方財政がうまくいかないということになると、今日まであなたも自治庁長官として、あるいは田中代議士個人としても御承知のように、これが人件費へのしわ寄せということになってくることは明らかです。あなたは自治庁長官として、地力都道府県に昇給のストップ、延伸のあることは御承知ですか。知っておるなら、その実情を述べていただきたい。

田中伊三次自由民主党自治庁長官

○田中国務大臣 地方自治体全般として一口に言うわけにいかない事情と存じておりますが、通常一般の財政状態にある、いわば黒字の関係にある地方自治体においては延伸はいたしておりませんし、給与の改訂はストップ状態になっておりません。なっておりますのは、赤字の団体であります。特に赤字の団体中、再建促進法の適用を受けて、すでに自治庁から指定を受けた赤字団体であります。この赤字再建団体の関係におきましては、最近の例をあげますと、二十九年一月一日が直近のベース・アップの例でございますが、その相当部分は、二十九年一月一日のベース・アップも実は押えまして、実現をせずにがまんをしておる。なお定期昇給につきましても、大体は六カ月程度のものを九カ月程度に延伸をしておるものと見ていいと存じますが、これは平均の見方でございますが、そういう窮屈な延伸を行い、ベース・アップは、国家公務員に右へならえすべきを右へならえせずして、がまんをしてやってくれておるというのが今日の実情でございます。それと、お尋ねはございませんが、そういう実情にありますものを、このたびの給与改訂においての六・二%、そうして昇給率四%、こういう改訂及び昇給率というものは、完全に右にならえをさす、こういう考え方があります。ただし赤字再建団体に限りましては、少し残念でございますが、赤字再建のそれぞれの当該年度の計画がございますので、その計画を根本的に破るがごときことが起らざるような限度において極力右へならえをすべし、そして右へならえをした場合には、私どもの方に持って参りまして、許可を与えないと実行ができませんので、そういう場合には最高限度の許可を与える、こういうふうな方針で極力御意向に沿うて参りたいと考えております。

野原覺日本社会党

○野原委員 あなた自身もただいまお認めになられたように、今日地方では昇給のストップ、延伸は行われておる、そういう実情なんです。それへもってきて、あなた方が予定している自然増収がなければ、また行われるのです。私はそれを言っている。あなたが何と大みえを切ろうとも、地方財政はうまくいかないのですから、人件費にしわが寄ってくることは明らかなんです。あなたはそれを認めたから、私はこれ以上申し上げませんけれども、私どもの調査によれば、完全に昇給が行われておる府県は八県です。あとの三十八県はストップ、延伸されておる。そこで労働大臣にお尋ねをする。今度のこの六・二%の切りかえは、私どもによれば、予算は百五十六億円計上いたしておりますけれども、この切りかえに要する予算は〇・一五を引かなければならぬし、昇給増もあわせて引きますと、二十五億五千百万円が百五十六億から引かれることになるから百三十一億ということになるだろう。この百三十一億の使い方でございますが、政府案では、昭和三十二年三月三十一日現在の俸給を基礎にして一号上げて、直近上位に切りかえる、こうありますね。ところが、これは田中さんがお認きになったように、地方公務員の場合は、今日昇給がストップされ延伸されておる。ストップされた者が三月三十一日にきた。ストップになっていなければ、この者は一号上っているのです。そこから一号上げて新しい俸給表に切りかえるというならば筋が通るけれども、地方財政の困難でストップになっておるために、一号上げてもらったところが、今度の切りかえ案では何ら恩典に浴さない。このことを一体どうお認めなのか。労働大臣は室長と十分相談して下さい。自治庁長官は、そういう事態を地方自治の責任者としてどうお認めになるか。これは現実に起るのですよ。ストップになっておるから、一号上げても一号上げたことにならぬ。前にすでに一号上るべきものが上らないで一号上るのですから、これは何も恩典に浴さない気の毒な公務員が、三十八都道府県にできてくる。これをあなたはどう救済しようとするのですか。

田中伊三次自由民主党自治庁長官

○田中国務大臣 こういうことでございますが、先ほどお話を申し上げましたように、黒字の団体においては延伸はなく昇給ストップはない、あるのは赤字団体で、特にはなはだしきは赤字再建の指定を受けた禁治産者の団体である、こういう趣旨であります。そこで今のお尋ねに関連をして申し上げますと、そういう場合に問題となりますのは、このたびの六・二%を引き上げ、定時昇給四%を引き上げることはそれで話がわかる。しかし今までに上げてないのだから、今までに上げてない過去の分の救済はどうするか、こういうことなんです。それは、お許しをいただきたいのでありますが、赤字再建団体になりますと、その大部分の根源が実は給与費にあるわけです。給与費の単価が高かったということに原因がある場合が多いのです。これはうそではありません。統計にりっぱに表われておりますから、資料として提出いたします。そういう状態にありますので、そこで今まで自主的な再建を行い、あるい指定を受けて、再建団体として再建に苦労して、年々歳々給与費の高い単価を一般の単価にまで切り下げることに努力をして計画を続けてきた、自主的な努力であります。そういう努力でございますから、過去の分をどうするかと仰せになりましても、過去の分はどうかこの際ごしんぼうをいただきたい。このたびの分については、七百億の増収もあることでもあるしいたしますので、そこでこれに右へならえをしていきたい、それは赤字再建団体の分も極力そうさすことにしたい、再建の計画をこわさぬ限り実行に移したいという希望であれば、私の方でオーケーを与える、こういうことにおくみ取りをいただきたいのであります。過去の分はいたし方がないとあきらめていただきたい、かように考えます。

野原覺日本社会党

○野原委員 労働大臣の御答弁は、これはまたあとで問題がありますからお聞きするとして、あなたは、過去のものであるからがまんをしてくれ、こうおっしゃるが、これは二年や三年前のことを言っておるのじゃない。たとえば昭和三十一年度において、この前の昇給期において昇給すべき者、何回もストップされた者はあるのですよ。何回も延伸された者があるわけなんだ。そういう者をずっとさかのぼってやれということを私は言わない。少くとも今度切りかえる場合には、その切りかえの前の昇給くらいは完全に履行させることが、自治庁長官としての思いやりではないか。政府としては、これはとてもありがたいものだそうでございますが、せっかく恩典とあなた方が考えておる給与の切りかえで、何ら一号上らない者が生ずるのですよ。これはお認めでしょう。その点についての配慮は、田中さん、あなたがして上げなければ、内閣でしてやる人はないのです。そのほかの人はぶち切ることはやりますよ。あなたと労働大臣が考えてやらなければならぬ。このことについて、もう一度私は承わりたい。こういうものはできるだけ実情を調査して、救済できる者は救済しようという御意思が私はあろうと思う。これは当然そうなければならぬと思う。その点について、自治庁長官の御所見をお聞きしたいと思う。

田中伊三次自由民主党自治庁長官

○田中国務大臣 地方公務員のために大へん熱心な御意見をちょうだいいたしまして、恐縮に存じます。ただこういうことでございますが、今まで昇給の延伸をしておる公務員はどんな公務員か、これは国家公務員の単価と比較いたしますと、国家公務員よりは高いところが大部分であります。それから一体なぜ今日まで国家公務員が昇給をしておるのに給与改訂をしなかったのか、これも国家公務員のベースと比べてはるかに高いところがしてないわけです。国家公務員と比べて給与も低いし、国家公務員と比べて昇給も右へならえができておらないのに、なおかつそれを押えたという団体は全国に絶無といってよろしい。みんな高い。それで、これを国家公務員に右へならえをして、国家公務員の給与単価に近づくために延伸を行い、ベース・アップのストップを行なっておるということが実情でございます。そういう実情でございますので、今まで高かったものを低くすることに努力をするために今日に及んだ。それはあまりに長過ぎるし、本年は七百億にわたる増収もあることであるからということで、ことしからは右へならえをさそうという事情でございますから、この点はやはりがまんをしていただく以外に道はない。それをがまんをしないということになりますと、せっかくの赤字の再建計画が元に戻ってしまう、再建法の趣旨が貫けなくなる、こういう心配があるわけでございます。しかし、お説はよくわかりましたから、果して具体的にどの県においてどういう事態があるかということを極力早急に取り調べまして、それに対する善後措置は、私の権限で講ぜられるだけは講ずることに努力をいたします。お誓いを申し上げます。   〔「名答」と呼ぶ者あり〕

野原覺日本社会党

○野原委員 名答ということでございますが、私に言わせると、一向名答になっていない。あなたは、赤字団体の国家公務員の給与はすべて高いとは断言しないでしょう。あなたは、赤字団体の給与はすべて高いのだということを前提にしてものを言っておられる。現実にそうでないところもあるのだ。そういうところは低いところに置かれて、地方公務員の給与は国家公務員に準ずるわけでございますから、当然国家公務員がなされた通りに、おそらくすべての都道府県がやられるでしょう。そうなる場合に、やはりこれはあなたがただいま申されたように、親心を持って考えてやらなければ何ら一号昇給にならないということを、私は申し上げたいのであります。これは十分考えていただきたい。  そこで労働大臣にお尋ねをしますが、この民間給与との開き、これは今日あなたが六・二%上げても開きはとどまりません。このことをあなたお認めになりますか、認めないとすれば、認めない理由がお聞きしたい、民間給与との開きはどういうことになると思うか。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 一一%上回っているけれども、官吏の中には高級の者があるから六・二%にするという勧告なんです。そこで民間給与の問題については、比較対象になったものは官吏と同じような相当な仕事をしておるということを建前にしておるようでありますが、中小企業その他国民全般の給与というものを考えれば、私は少し考えなけれならぬものではないかと思うのです。実際中小企業に携わっておる多数の国民は、官吏の給与よりもずっと下回っております。ただこの比較対象になった者は一一%高いのでありましょうけれども、現在の中小企業全体に携わって暮している千七百万の人たちの給与というものは、これは官吏の給与よりも低いと思うのですよ。そこらもやはり政治上勘案すべきものであると私は思っております。

野原覺日本社会党

○野原委員 あなたは中小企業の方の労務者の賃金と比較するというが、中小企業にもいろいろありますよ。私どもが比較対象にするのは、やはり五十人以上の使用場における比較だろうと思うのです。そうしなければなりませんよ。官公吏の給与というものはとんでもない低いところにあってもいいのだというならば、失業者と比較して下さい。あるいは最も給与の低いものは、これはこじきもあればルンペンもある、そういうものをあなたがどんどん切り下げて比較をして、これよりも高いからということは、これは理屈にならない、筋が通らない。そこで私は、あなたが認めたように一一%の開きがあるのだ、しかも今日は、民間給与との開きはだんだんふえつつある。これは、人事院総裁は正確なデータがないからとおっしゃらないけれども、私はどう考えてもふえつつあると思う。そうなると、この一一%の開きを今回は六・二%で抑えておる。しかもこの六・二%の押え方というものは、次官とか局長というような管理職分が三千円も四千円も上って、下のものは百円か二百円だ。これは労働大臣がお調べになったらわかる。私がさっき一番最初にお尋ねしたように、今回の給与法によれば、すべての人が恩典に浴するとは断言できない。不利益なものがたくさん出てくるのです。そういう実情にあるときに、一体この一一%の開きを今後政府はどうしようと考えるか。三公社五現業と比較しただけでも、仲裁裁定が——まだこれは実施にはなっておりません。しかしながら、幾らかアルファを出されるとかりに仮定してみても、仲裁裁定実施以前において人事院は開きがあることを認めておるのでございまするから、三公社五現業よりも低いといわなければならぬ。民間よりも一一%低い、三公社五現業よりも低い、これを今後どう救済しようとお考えになっておるのか、労働大臣の御所見を承わりたいのであります。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 民間給与の問題については、比較対象を五十人とおっしゃったのですが、大体そういうところでやっておると思うのです。私の感じでは、先ほど申し上げたような感じを持っておりますけれども、政府といたしましては、そういうふうになれば、やはり人事院の方からいろいろ勧告があるでありましょうから、その人事院の勧告に従っていきたいと思っております。

野原覺日本社会党

○野原委員 そうしたら、人事院からすみやかに勧告があれば、その勧告に従って考えていきたい、こういうことですね。  それでは総理大臣にお尋ねをいたします。この三月の十六日でございましたか、公労協の春季闘争の終るに当りまして、わが党の鈴木委員長と岸総理が会談をなされております。そのときに、岸総理としても非常に誠意を披瀝されて、総理の誠意に対して、公労協の諸君は実力行使に訴えることを解いたのであります。そこで私はお尋ねをいたしますが、せっかく総理が披瀝いたしましたところの誠意、つまり現業の末端まで政府の正式決定として流すことも政府側は了承する、今回の仲裁裁定を誠意をもって実施するということは、現業の末端まで流すことを私は了承します、こう岸総理は誠意をもってお答えになられたのであります。ところがあなたの誠意が、今日に至るもなお現業の末端まで流されておるのか、浸透しておるのか疑わしい面があるからお尋ねをするのでございますが、その点は、あなたはたとえば専売、アルコール専売、あるいは全造幣、こういうものについてまで、わが党の鈴木委員長と会談をされた、現業の末端まで流すのだ、そういう努力を今日なされてこられたかどうか、お尋ねいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 十六日の深夜に鈴木委員長と私は会談をいたしまして、現在行われており、また行われようとしておるところのいわゆる実力行使という問題については、私ども国民経済あるいは国民生活の全般から見て、これをとどめるようにあらゆる努力をすべきであるという見地に立ちまして、社会党のこの間における御努力を感謝すると同時に、私自身としては、調停案はこれをのむことはできないけれども、仲裁裁定を申請して、それが裁定がきまるならば、これを誠意をもって尊重するということを申し上げた。実施するということではないのでありまして、私は尊重する。これは政府として法律の建前上、私の申す以上のことを責任を持って申し上げることはできないのでありまして、誠意をもって尊重する。それが、現業の末端にまで私の意思が達せられるようにわれわれも努力するし、あらゆる方面においても、ことに社会党方面におきましても一つお力添えを願いたいという話をいたしたのでございます。従って、政府の現業官庁等に対しましても、私の意思を十分に担当大臣に申してありますから、担当大臣がそれぞれ同じ意思でもってこれを徹底さしておると信じております。

野原覺日本社会党

○野原委員 先ほど島上委員がお尋ねをいたしました、三公社五現業の仲裁裁定でありますが、大蔵大臣所管の専売、それから全印刷、全造幣、これはまだ調印するに至っていない。それから農林大臣所管の全林野しかりであります。通産大臣所管のアルコール専売またしかり。それから郵政大臣の所管の電電公社におきましても、まだ調印をされていない。国鉄だけが調印を終了いたしておるのであります。私どもは、この種の問題は、せっかく両党首の会談によって話し合いが妥結した以上は、すみやかにこれが結了しなければならぬと考えるが、まだ妥結されていない調停について、総理はどのようにお考えになるか、承わりたいのです。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 これは申すまでもなく、公社の関係にありますものは、それぞれの企業労使の間の話し合いで調停を結んでおりますが、ただいま聞きますと、専売の方は、本日三時に調停ができたそうであります。それから現業の関係において、担当大臣がそれぞれ話をしますものにつきましても、今私が申し上げた趣旨で担当大臣が交渉、折衝に当っておるということを聞いておりまして、遠からず妥結されるものだと信じております。

野原覺日本社会党

○野原委員 これは、私は一人々々の大臣に重ねてだめは押しませんけれども、岸総理がそういう信念を持たれて、仲裁裁定の結果に関しては誠意をもって応ずると明言された以上は、総理の所管にある各大臣諸公は、自分の所管の問題に対しては、責任をもってすみやかに善処されなければならぬと思う。このことに対して、私はくどくは申しません。これをもって私は質問を終りますが、終るに当って申し上げたいことは、今回政府から出された給与案に対して私どもがとかくの批判をいたしておることは、ただ単に損得勘定から申しておるのではありません。政府から出された給与体系は、先ほども申し上げたように、行政職を二つに分けており、中央集権的なものになっておる。しかも官僚的な色彩が非常に強い、たとえば新制高等学校を出たところの者、あるいは短期大学を出たところの者、そういう者が低く抑えられて、最高学府を出て役人になったところの者だけが高い給与の恩典を受けるというような給与表になっておるのです。七万二千円という最高号俸は次官、大学校の総長は次官と同じ七万二千円、大学校の総長は六十歳ぐらいになってからなるのが普通でしょう。次官は四十五か五十そこそこでなるでしょう。局長と大学院の置かれている大学の教授を比べてみれば、同じ大学を卒業しても、役人だけが高い給与をとるということになっております。しかもその役人は、中央官庁の役人である。これはとんでもないものを作ったものだと、私どもは考えておるのであります。こういう意味で、実は単に金額だけの問題ではなしに、今後の人事管理方式をどうするか、労務管理方式をどうするかということもからめて問題があるわけでございますから、管理職群だけ有利になるようなこういう給与表につきましては、内閣委員会で審議の始まる前に、政府みずからも十分検討をしてもらいたい。鈴木委員長と岸総理が固く約束をされましたように、社会党が具体的な修正案を出して、もし真にとるべきものがあれば、これは真剣に考えてみようじゃないか、このことは、社会党にしゃべるだけしゃべらせて、あとはどうでもなる、多数で押し切るのだということではないと私は思うのであります。従って、詳細な具体的な内容につきましては、来たるべき内開委員会において私どもの所見を開陳することにして、本日はこれで質問を終ります。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 有馬輝武君より、野原君の質疑に関連して発言の申し出があります。この際これを許します。有馬輝武君。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 私はただいまの野原君の質問に関連いたしまして、要点だけを簡単に御質問いたしたいと存じます。  まず第一点でありますが、政府が調停案を拒否しまして、しかも仲裁申請が非常におくれた理由についてお伺いいたしたいのであります。昨日、与党の篠田弘作君と総評の事務局長の岩井章君との放送討論会などを聞いておりますと、あたかも今度の紛争の解決をおくらせたのは総評であるかのような印象の発言を篠田君がいたしているのであります。しかし御承知のように、国鉄を初め——国鉄は十五日に調停申請を行い、政府はこれを拒否して仲裁が出るのを待っている。ところが御承知のように公企体労働委員会は、調停委員会も仲裁委員会も一本立てになり、しかも人的構成は同じであります。調停委からいかなる仲裁が出るかということは、当然予知されるのであって、調停を検討していたのだという理由は理由にならない。当然これは出前に出るべきものを予知して調査、その他もなされておるべきであったと思うのであります。今回の春闘に当って、その解決が遷延し、国民に迷惑を及ぼしたのは、むしろ一にかかって政府の責任であると断ぜざるを得ないのであります。なぜこのようにおくれたのか、この点について岸総理の御見解をお伺いいたしたいと存じます。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 調停は御承知の通り千二百円均一に出たのであります。しかも今回の調停におきましては、この千二百円の基礎としての理由や数字等は少しも明らかにされておらなかったのであります。政府がもしもこれを受諾いたしますと、総額数百億もの負担をしなければならないことになります。もちろんわれわれはこれを支出すべき義務があり、当然しなければならぬことが明白である場合にのみ支出ができるわけでありまして、何らその根拠が明白でないのにそういう金を出すことは、政府の責任においてとうていできない。従ってこれの内容を十分に検討していくということは、私は当然の義務であると思います。そういう意味におきまして、この三公社五現業の——これはもちろん私が申し上げるまでもなく、内容あるいは労務者の構成等もいろいろ違っております。従来におきましても賃金のベースが違っておる、それが一律に千二百円ずつこの際理由も示されずして上げるべきだというこの調停には、われわれはそのままにおいてはとうてい承諾できない、これは私は当然であろうと思う。また、ここで仲裁裁定を申請していくのにつきましても、その千二百円が出ていることに対して、われわれは仲裁裁定を申請するのには適当な、正しい理由をあげて仲裁裁定を求めることも、これは当然であります。そういうことのために数日を要したのでありまして、決してこれを他の意思があっておくらした、あるいは調停を労組の方でのんだにかかわらず政府側の方でのまなかったということが、この争議を長からしめた、そういう責任を政府が負わなければならないという性質のものではない、かように考えております。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 有馬君なるべく簡潔にお願いいたします。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 なるべく簡潔にということでありますから、今の点もこれ以上あえて申し上げようと思いませんけれども、少くとも今の総理の御答弁では、今度の紛争解決がおくれた政府の責任の回避にはならない、この点だけははっきり申し上げておきたいと存じます。  次に全部要約して申し上げますから、労働大臣、それから大蔵大臣一括して御答弁いただきたいと存じます。  先ほども野原委員から公企体と一般職の国家公務員との格差という問題について質問がありましたけれども、明確な答弁がなされない、淺井さんも、勧告に書きながらも、そのよって来たるゆえんを明らかにしない。ところが大蔵次官が発表したものを見ますと、ちゃんと現在の時点においての一般職と公企体職員との格差というものが出されておるのであります。問題は、その責任を云々いたしませんけれども、先ほど野原委員から質問があったように、今具体的な数字を申し上げますが、たとえば電通との差は千四百三十五円、それから専売との差が千四百六十一円、こういう工合にあって、今度の裁定の実施によってそれの格差はさらに大きくなっていくということは当然予想されるのであります。問題は、この格差をどのようにして将来埋めていこうとしているのか、この点がまず第一点。  それからそのような措置を、もし講じた場合に不足する財源についてはどのように考慮しているか、補正を組むのか、この点が第二点。  それから先ほども御指摘がありましたが、今度の昇給財源を見込んでいるものは幾らであったか、少くとも昨年すでに決定されたところの期末手当なり何なりが含まれておったと思うけれども、その点を、この際池田大蔵大臣の方から明らかにしていただきたいと思うのであります。  それと先ほどの労働大臣の御答弁の中で、今度の給与体系ではみんながよくなったのだ、もし悪くなるようなものがあるならば、実施上是正していきたいというような御答弁でございました。しかし今度の給与体系につきましては、先ほど野原委員からも意見の開陳があったように、一般職の諸君は恐怖の報酬と呼んでおります。(笑声)それはむしろ二千円アップを一律に要求しながらも、もしこの給与体系が押しつけられるならば、一銭も上らぬ方がいいとさえ極言するものがあるのであります。で、問題は、この給与体系について内閣委員会で当然論議されるのでありますが、その際に基本的な面について再考慮する余地があるのかどうか、それと実施上是正していきたいというのはどういうことなのか、この点を明らかにしていただきたいと存じます。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 第一点にお尋ねになりました点は、大蔵次官が発表されておるということでありますが、別にこういう議論もあるのです。中山会長の発表された案ですが、この予算単価はあまり変らないというのです。そこで今度の国家公務員の給与を引き上げたことによって、二十九年を一〇〇とすると一二四になっている、ちょうど千二百円上げることによって一二四になるのだから、これは同じことだという議論を持っておられます。それから裁定に対しましては、業績給与というものを五百円払っているから、千二百円にしても七百円払えばいいという裁定をしているという内容の発表をしておられます。これらを勘案して考うべきであろうと思いますが、これは今仲裁裁定になっていることでありますから、われわれは静かに仲裁を待っておるのであります。  またもう一点の補正の問題については、財政当局からお願いいたしたいと思いますが、あとお問いになった分は……。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 不均衡をどのように是正していこうとしておるのか。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 それは先ほど申しましたように大体どの号もよくなっていると思うのです、それは六%上るのですから。そこで最初に一号上げてかかるのですから、かようになると思いますが、どうしても前よりも悪くなったというものについては、実施上考うべきものであろうと思います。それで、私はこれを出しておる責任者でありますから、あくまでもこの案を支持していきたいと思っております。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 悪い点があったら、あなたは実施上直していくと言うが、それを具体的にどのようにしていくのか。法律においてちゃんときまってしまう、それを具体的にどのようにしていくかということを聞いておるのだ。しっかり答弁して下さい。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 ただいま室長から答弁いたさせます。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 それは大臣の答弁だよ。数字の問題ではない。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 先ほど申しましたように、一号昇給と三ヵ月短縮の調整措置を講ずるのでありますから、今よりも不利になることは絶対にないと思うのです。それで先ほど申しましたように、著しい不均衡が生じた場合は、これを調整していく考えであります。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 なるべく一つ簡潔に、だいぶ時間もたちましたし、次に井堀君が……。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 私は簡潔に質問しておるのに、答弁が全然なっておらぬので長くなるのですが、もうこれ以上問いません。内閣委員会でまた詳しくお尋ねいたしますから、その間に勉強しておいて下さい。  大蔵大臣の方から先ほどの答弁を……。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 一般公務員と三公社、五現業との間の実際支給額についての差は、ある程度私は認めております。しかして今回の調停案につきましては、裁定を申請しておるのでありますから、その仲裁裁定の結果によりましては、われわれは十分尊重していきたいと思います。しかしてまだ裁定が出ませんのでございます。出てから後に私は考慮いたしたい、こう考えております。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 まだありますか。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 今の点です。もし実施した場合に、出た財源的な不足というものを、どのように処理するのか、これは幾らになるかという問題ではなく、補正の必要はないのか、こういう点を聞いております。  それで、まず第一点の答弁がなかったのですが、昇給原資というもの、これは期末手当その他が含まっておったのではないか、具体的に今度の給与改訂によるところの昇給原資は幾ら見ておったのか、その点を大蔵大臣にお伺いしておるのであります。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 昇給原資も見ております。どれだけ出るかという数字は、政府委員から答弁いたさせます。  それからまだ三十二年度の予算も通っておりませんし、それから先ほど申し上げましたように、いかなる内容の仲裁裁定が出るか、それを見ないと、数字の問題でございますから、そうしてまた各会計でよほど違っておりますので、今お答えする段階には至っておりません。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 一般会計の人件費の積算でございますが今回の給与改訂に伴うものが百五十六億、そのほかに定期昇給の財源といたしまして年間四%、約四十三億の昇給原資を予算中に織り込んで計上いたしております。

有馬輝武日本社会党

○有馬(輝)委員 私の質問はこれで終ります。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 井堀繁雄君。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 岸総理にお尋ねいたしたいと思います。  さきに石橋内閣成立の当時に、一月八日だと記憶いたしますが、五つの誓いを国民にお立てになっております。その一つは国会の運営の正常化、第二は政界官界の綱紀粛正、三には雇用増大、生産の増加、四には福祉国家の建設、五には世界平和の確立という誓いを石橋前総理大臣はいたしておるわけでございます。岸総理はこの誓いをそのまま踏襲される御所存であるかどうかをこの際伺っておきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 それは私は踏襲継承してやっていくつもりでございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 午前中島上委員からお尋ねがありました山口における佐藤榮作氏の談話の中で、岸内閣は性格がはっきりしていないのではないかという質問に対して、岸首相は近く新政策を発表することになっている。その発表の時期を国会のあとにするかあるいは渡米後にするか、いずれかについて検討を進めている、こういうきわめて重要な談話が発表されているわけであります。考え方によりましては、政党内閣ではありましても、首班者の政治に対する政見あるいは性格が、その政党の政策に対してある程度の弾力性を持っことは世界の通例だと思う。ことに保守政党にあっては、その性格が著しいということも世界の傾向であります。このいう点から判断をいたしますと、この佐藤氏の談話が国民にとっては強い刺激を与えておると思うのです。一方には石橋内閣の方針をそのまま踏襲されるという総理の所見と、これとの関係はきわめて重要だと思いますので、もしそういう新しい政策を発表される所存であれば、この機会にはっきりしていただきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 その問題と直接同じことではなかったかもしれませんが、午前中もやはり同じような御趣旨の御質問に対しまして私は申し上げたのであります。われわれはもちろん政党内閣として、自分の属しておる政党の政策の実現に努力いたしていくことは当然でございます。またわれわれは今回の国会におきまして、石橋前総理を中心としてわが党が考えておった重要なものを予算その他において実現をしようといたしております。これが実現されるならば、さらに同じ内閣が続いておりましても、政党内閣の性質として政策的に前進していろいろと考えていくことは私は当然であろうと思います。今御引用のありました私が新政策を発表するであろうということ、これは私の弟ではありますけれども、別個な人格として、わが党の党員の一人の政治家としてそういうことを申しただけでありまして、それ以上の何ものでもない、かように存じます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 政策は別個のものであるという非常に明確な御答弁をいただきましたので、さように了承いたしたいのであります。  そこでこれから私がお尋ねいたそうとする関係についてでありますが、総理の立場でもう一つはっきりしていただきたい。先ほど私が五つの誓いについてただしましたのは、第二にあげられております官界の綱紀粛正に関連いたすのであります。このことは今度の問題と関係してくるのでありますが、何といいましても政界、官界の綱紀の粛正をやります場合には、信賞必罰を厳にするという基本的なものは、憲法から流れてくる国のいくべき確固たる方針と、それに伴う法律に対する順法精神にあると思うのであります。この点については政府としてはいささかも弛緩があってはならぬことは申すまでもないのでありますが、この予算を通じてわれわれが気づきましたものの中にも違法の疑いがあり、あるいは民主的な憲法の精神を軽んずるような行為が散見できるのであります。しかし私の気のついた二、三の例だけをあげて総理の所見をただしたいのであります。  一つは、今回先ほどの質問にございましたように、公共企業体労働委員会の調停案に対する。それぞれの主宰者並びにそれを監督する地位の大臣の見解であります。これを先に尋ねて、それからあとで御所見を伺うのが順序でありますが、あなたは御多用でありますから、あと先になりますがおわかりいただけると思います。  この調停の精神に、政府がああいう態度で臨むということは労使関係に及ぼす影響がいかに甚大であるかということが一つ。これは公企労法の一条ないし二条の精神を十分理解いたしますならば、このことは重大でなければならぬと思うのであります。  第二にあげたいことは、これは政党政治を施行する場合におきましては特に留意を要すべきことでありますが、民主的な政治を遂行するために、国民の全員をどうして動員するかという立場から、各種の法的な審議会が民主的なものとして作られておるわけであります。その中で五つの誓いにもあげられておりますような社会保障制度を確固不動のものにするためには、政府の政策と国会における審議と並んで社会保障制度審議会という、この機関の立場が非常に重要になってくると思うのであります。このことについて政府は重要な錯誤を犯していると思うのであります。それは前回委員会でちょっとお尋ねいたしましたから御記憶に残っておると思いますが、明白にいたす意味で申し上げますが、社会保障別度審議会設置法の第二条の二項に、すなわち政府が社会保障制度に関係する企画立法等を行う場合にはこれに諮問しなければならないというようなことが規定されておるのであります。ところがこの予算の中にはりっぱに社会保障制度の新しい一つの機構として企画を予算に盛り込んで、提案理由の説明の中でも明確にされておるにもかかわらずこれに諮問しておりません。  第三にあげなければならぬのは、労働基準法の二十八条にあります最低賃銀に関する事項であります。今日、最低賃金の問題がかなり大きな世論になっておるときでありますが、二十八条には最低賃金の必要を行政官庁が認めた場合には、二十九条によって中央賃金審議会に諮問しなければならぬことになっております。この諮問についてはすでに答申が行われておるのでありますが、その答申が今日まだ実施されていないということと、最近の最低賃金に対する問題の政治性から判断いたしまして、ここにも私はこの内閣の大きな過誤があると思うであります。  第四の問題は、これは今法律案として政府がこの国会に審議を求めております、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案についてであります。この法律案の内容は、時間を節約する意味で多くを申し上げませんが、この選挙に要する経費の変更を主とするものでありますが、この中には今回の公務員のベース・アップや、地方公務員のベース・アップを予定いたしまして、超過勤務手当でありますとか、時間外の勤務手当を増額しようとする意向のものが主のようであります。これと並んで人夫という名称を使っておりますが、人夫や嘱託の手当について予算単価を盛り込んでおります。この予算単価は当然既存の法律から言いますならば、緊急失対法の十条二項の規定によりますニコヨンの賃金以下に予算を出してくるというようなことはあり得ぬことだ。この法律によりますと、施行規則八条では、一般の同種、同地域の賃金給与の百分の八十ないし百分の九十をもって算定するという規則があるわけであります。そういう点から換算されまして、PWと申しますか、三百二円の予算単価をこの予算委員会で審議決定をしておるわけであります。しかし片方は二百八十円という単価を持ち込んできておるのであります。こういう点は、私は政府の法律を軽視し無視する態度の典型的な現われだと思うのであります。こういうようなことでありましては、とうてい私は政界、官界の綱紀粛正などを口にいたしましても、こういう点から問題が起ってくる。非常に重大なことと思いますから、具体的な私の気のついた点だけを、しかも当面している問題の中から取り上げたのであります。これに対する総理大臣の所見を一つ伺っておきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 政府が行政を行なっていく上におきまして、法律その他の規則を順奉していくことは当然であります。またその他予算を編成いたしますについても、すべて法規に定めるものを十分に順守しなければならぬことは、言うを待ちません。  ただ今おあげになりました一、二の点につきまして私の所見を簡単に申し上げますと、今回の調停に対してこれを政府が受諾しなかったということは、決して順法精神がないからではなくして、むしろ私から言えば、順法精神があるからこそ、ああいう理由のわからない不明確な、われわれの納得しないものを受諾しないというわれわれの態度はむしろ正しいのである、こういうふうに考えております。  また健康保険法に関連してのいわゆる会社保障制度審議会でありますか、その議を経なかったではないか、それに諮問しなかったではないかという問題に関しましては、すでに社労の委員会において、私並びに政府の所信を明確にいたしておりまして、この点については、質問されてきましたところの社会党の諸君と法律上の解釈の見解を異にするということに言わざるを得ないと思います。  また最低賃金制の問題につきましては、また政府もそう思っておるのでありますが、私は今日の日本の経済、産業の事情、また社会事情から考えてみて、一律に各種の産業に共通している最低賃金制をしくのはまだ実情に適しない、こういう考えに立っておるのでありまして、いろいろ労働省におきましても、あるいは地域別あるいは産業別等において、そういうものを労使の間で自由協定でこういう制度をだんだん日本の産業経済の事情に合わすように持っていくというような研究はいたしておりました。その方向は私はもちろん考えていかなければならぬと思いますが、今日一律に最低賃金制を施行することは実情に合わないという考え方に立っておるのであります。  そのほかにもう一点質問があったと思いますが、私ちょっとその法律論はよく知りませんから、専門の者からその事項については答弁することにいたします。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 総理お忙しいようでありますから続けて申し上げて、あとは専門家に伺うことにいたします、今あなたにお答えいただきまました社会保障制度審議会の議を経なかっという点については、健康保険の問題で社会労働委員会においてあなたに所見を伺ったわけであります。この点については多少問題があると私も思うのであります。この予算の中には厚生省関係のものとほかのものがありますが、厚生省関係のもので、国民年金制度創設準備に必要な経費という項で、「老齢年金及び母子年金制度の創設に必要な準備を行うため必要な調査及び企画を行う経費と年金受給者等実態調査、未亡人母子世帯生活実態調査を行うため必要な経費である。」こういう説明があなたの方から出されておる書類においても明らかにされておるのであります。これは健康保険の問題にも疑義がありますが、言うまでもなくこの年金制度というものは、社会保障制度にとっては厚生年金保険制度以外では全く画期的のものであります。そういう画期的な社会保障制度を政府が国会に出そうとする場合には、これをどう曲げて解釈しようとしても、社会保障制度審議会の議を経て出すべきものである。額の大小にかかわらず、規模の大小にかかわらず、その企画を行うときは当然社会保障制度審議会の議を経て出すべきである。こういう社会保障制度審議会というような民主的な機構を無視するようなことでありましては、現実を全く無視した姿であって抗弁の余地がないと私は思います。  それからもう一つ、あなたがお触れになりました公共企業体等の調停を受諾しなかった点、私は調停を受諾しなかったというそのことを言っておるのではありません。さっき私は時間を節約する意味で公企労法を読まなかったのですが、時間があれば、公企労法をお読みいただいてお答えいただきたい事柄であります。ここで私が質問をしようとする中心はどこにあるかと言えば、今日公企労関係のベース・アップの問題は年中行事化そうとしておる。しかもマンネリズムに陥ろうとしておる。このことは政府とその企業に働く労働者との関係だけではなくて、国民全体に与える影響がきわめて甚大であり、国の経済を左右する上にも大きな事柄である。と同時にこのことは日本の労使関係を一つ規律する大きな目安とも相なるものであります。従ってこの問題については、公企労法の精神というものを熟読翫味して、その精神のあるところを十分に生かしていくということは、政府対労働組合だけではありません。すべての国民がこれに協力しなければならぬ事柄なのでありまして、法律に一貫して流れているものはどこにあるかということが問題なのであります。これは総理は専門家ではございませんでしょうが、しかし少くとも政府の直轄する事業関係における労使関係だけは、やはり一つの新しい模範になるべき労使関係というものを打ち立てていくことが必要で、それなくしては、労働行政などを口にする資格はないと言われても返す言葉がないと私は思うのであります。こういう具体的の事実を結論としてあなたにお尋ねしたら一番よかったのでありますが、逆になりましたので了解がしにくいと思います。私の言っておるのは、この調停をはばむものは当事者でありますから、国鉄でありますならば総裁、あるいは専売公社におきましても、それぞれの責任者において団体交渉をやり、まずそれの調停にかかり、さらに仲裁に移っていくという段階であります。しかしこの公企労法は、一般の民間労組と異なりまして、一貫して流れておるものは、問題を平和的な形において処理しようとするところにあるわけであります。これが主眼点なんです。仲裁裁定に持ち込むということは最悪の場合でなければならぬ。最善を尽すべき場所は何かといえば、団体交渉の場です。しかし、団体交渉だけでは不十分だというので、民主的な機関として——これは先ほど私がお尋ねいたしました社会保障制度を政府が軽視する態度と共通するからであります。善良な第三者を加えた民主的なこの機関にかけて問題を処理するということを軽視するようになりますと、重大な事柄が起るから、この点を実は申し上げたのでありまして、何も形式上のことを言うのではなくて、本質的な問題についてお尋ねしたのであります。この二点については、もう一度所信を明らかにしていただきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 養老年金であるとかあるいは母子年金というものの具体的の案をきめまして、これを実施する場合におきましては、もちろん社会保障制度審議会に諮問しなければならぬことであります。今回出しております予算は、それをきめるべき基礎的のいろいろな調査をし、そうして一つの案を作るということが究極の目的であって、その案ができましたら、その案を社会保障制度審議会に諮問して、そして予算やあるいは法律の形において国会へ提案することになる、そのときはもちろんかけなければならぬが、私ども、今回の何はただ準備のための調査であって、この程度のことはいわゆる企画の大綱あるいは立法の大綱とかいうものにはならぬと思う、こう考えておるわけであります。  第二の点は、もちろん私は、こういう公企業体の公社や三公社五現業等の仕事は、ただ普通の仕事のように労使の間だけにおいてこれが問題になるだけじゃなしに、国民生活やあるいは国民経済にきわめて重要な影響がございますから、それを平和的手段によって解決していくということが望ましいということは言うを待たないのであります。団体交渉も必要でありましょうし、あるいは調停もその間で行われるだろうし、あるいは最後として仲裁裁定という方法も何されておるわけでありまして、私は、この際、先ほども申しましたように、もしも調停が私どもが納得できるような理由と基礎が明瞭にされましておったらば、あるいはそれが適当なものであるということであれば、これを受諾するということももちろんあったであろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、今回の調停というものはその点においてわれわれは納得ができない。そうして、やはり政府としては十分それに納得できることでなければこれは責任が持てない。また、公企業体におきましても、やはりこれを預っておる立場から申しまして、そういう理由ないし基礎が明瞭になって、これはなるほどと、こう納得すれば受諾できるわけでありますから、そういう点においてああいう結果になりましたことでございまして、私は、事態を平和的に処理し、また平和的にこれを解決するということが大事だということは終始考えておりまして、その結果として、社会党の鈴木委員長ともお会いいたしまして、そのごあっせんに大いに期待を申し上げて、この事態を収拾することに努めましたのも、一に、こういう仕事においては平和的になるたけ早く解決するということにあるという法の精神であり、またそういう気持で処すべきだ、こう考えてやったわけでございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 総理の今の答弁では私どもちょっと理解ができないのでありますが、御都合があるそうでありますから、時日がありますので、またいつでも明らかにすることができると思います。  厚生大臣もそこにおいででありますが、今総理の御答弁によりますと、苦しい申しわけになったと思うのであります、調査だからいいと言っておりますが、調査ではないのです。企画に関する予算なんです。これは言葉のあやでどうこう言いのがれのできないことなんです。日本には厚生年金保険以外に老齢年金や母子年金というものはどこにもありません。こういう画期的な社会保障制度というものは、いかに小規模であろうと、それが調査の段階であろうと、一つの企画を盛り込んだ調査であることには間違いがないのであります。その説明で明らかにされておる。こういう問題を社会保障制度審議会の議を経ないで出してくるということは、言うまでもなく社会保障制度審議会というものに対する軽視の現われであるということは争えない。軽視というよりも無視しておる。これは私は、言いわけではない、事実はいかんともできぬのじゃないか。これと先ほどの公企労法における調停の精神とが関連するんです。幾つもそういう問題が出てきておる。口に民主主義を唱えながら、やることは民主主義に逆行する。民主政治のよさというものはどこにあるか。二大政党を志す場合によほど気をつけなければならぬことは、こういう民主的な機構というものを最大限に尊重し、これを活用してこそ二大政党の妙味が現われ、議会制度の本髄が発揮できることは、私の申し上げるまでもないことであります。こういうところに私はこの内閣の正体というものを見ることができると思うのであります。  それから、事柄は小さいようにおとりになるかもしれませんが、これは厚生大臣、労働大臣の方からお答えをいただきたいと思います。緊急失対事業法の中でいう日雇労働者、一般にはニコヨンといわれておる労働者、これがやはり法律できめられた賃金があるわけであります。それは、ことし三百二円に予算単価を上げてこの予算を通過したわけであります。ところが、これは、自治庁長官はおいでになりませんけれども、やはり同じ政府でこの国会に上程されてきておりますこの法律によりますと、三百円と二百八十円と二つにしてきておる。三百円の方は、比較的頭脳的な労働を要する選挙公報の配布等の処理、それから開票場、投票場における人夫は二百八十円、これは説明するまでもありません。八時間の労働時間を基準にして、地方公務員に対して超過勤務手当その他を予算に組んできておると同じ扱いをしてきておる。日曜、土曜日の出勤に対しても手当を同様にしておる。でありますから、これはニコヨン以下にきめるということはどこをついてきてもできない。それを二百八十円にしてみたり三百円にしてくるということは、相手が弱い者であり、相手が政治力を持たなければ何でもやってのけるというこの姿であり、これがこの内閣の姿だと言われて、どうして答弁ができるかということであります。私どもが比較的世論の政治に反映しない部分の人々のことを取り上げて政府に勧告をし、警告をしてきておるが、耳をかそうとしない。それがこういうところに出てきておる。これが今度の公務員のベース・アップに関係してきますから私は取り上げたのでありますが、こういうものは幾つもあると思うのです。この二つの点について、厚生大臣と労働大臣にはっきりした所見を伺っておきましょう。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 ただいまの年金制度調査に関して社会保障制度審議会に諮問しないのは法律を軽視しておる、無視しておるというふうな御非難でございましたが、この点、ただいま総理大臣もお答えいたしましたように、政府といたしましては、社会保障制度審議会は、私が申し上げますまでもなく、学識経験豊富な、りっぱな方々が長年にわたり御調査をなすっておるのでございまするから、この答申を尊重すべきことは当然でございまするし、また、法律に明示してありますことを諮問することは当然でございますが、今回の年金制度の予算を計上しましたことは、社会保障制度審議会に答申を求める原案を作りたい。これは、いろいろの資料を集めまして、そうしてこの諮問に答えるようなお答えしていただくような準備をしようということでございまして、社会保障制度審議会の方にいきなり年金制度を打ち立てていくかどうかというようなことを諮問いたしましても、これはそう手足を持っておるわけでございませんから、なかなかむずかしい問題だと思います。やはり政府といたしまして、年金制度を打ち立てていきたい。これは多年の要望でございますから、打ち立てていきたい。その調査をいたしまして、それならば一体どういったものが国情に合い、国の財政ともにらみ合せて適当であるかというような、何か一応の大綱のめどを立てて諮問をしなかったならば、これはやはり審議会も御迷惑だと思うのでございます。それは今井堀委員の言うように、はなから審議して、その審議の結果に基いて予算の調査費をとるのがいいんだというようにも私伺ったのでございますが、政府の立場といたしましてはむしろ審議会の方の御審議を考えまして、十分御調査をしていただいて、そして審議をしていただくだけの材料を整えたい。その材料の調査を一つやろう、こういう考え方でございまして、諮問はあとでいたしたい、こういう趣旨でございますので、御了承を願いたいと思います。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 ただいまのお問いに対しましては、ニコヨン——屋外に働く人は三百二円でありますが、今お話のありました選挙管理場の人夫という屋内における労働者に対しましては、御指摘のような単価でございます。これについては大蔵省の方から御答弁願った方がいいと思いますが、われわれの方は三百二円一律にやっております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 あまり詭弁をお用いにならぬ方がいいと思う。あなたはただ調査と軽くおっしゃられますけれども、そんなことをどうして総理大臣が施政方針演説の中で堂々とおやりになったのか。母子年金保険をやると言っているじゃないか。それからあなたの出された予算説明書の中にもある。調査じゃありませんよ。さっき読み上げたように、企画を行う経費としてある。私はこういう文字を取り上げて言うのではなくて、りっぱな企画なのです。こんなものを審議会にかけないでいる。私はこの一点をもって、予算というやつはけしからぬということが言えると思う。そういう詭弁をお使いにならないで今からでもおそくありませんから、諮問されたらいい。おくれて申しわけありませんでしたと言った方がいい。私はあげ足をとってどうこう言うのじゃありません、予算をあげたんだから。誠意をもって注意してやるものを、白を黒と言いくるめるような、そんなことをしますと、ただわれわれがあなた方を信用しないだけではありません。国民は、政府なんというやつは三百代言よりもっとずるいのだという印象を受けましょう。事実についてはすなおにお認めになることの方が——私は、総理は事情がよくわからなかったからああ言っていかれたと思うので、時間がありますればこの点だけでも徹底するようにする義務があると思います。私どもは、個人の意見でなくて、国民を代表してお互いに事実を明らかにしていかなければならない大事な点の一つだと思う。こういうことはささいなことであるから、そのうちにかけますからというような社会保障制度審議会ではありません。さっきから言うように、民主政治のあり方、二大政党を中心にする議会政治のあり方——私は憲法の精神を貫くならこういうところにあると思う。民主主義の反面はここから破れてくる。このことを言っているのです。厚生大臣までが総理のしり馬に乗っている。総理はよくわからなかったのです。今から諮問してもおそくありませんよ。そうして衆知を集めて厚生年金制度のようないいものを作り上げていくことは、要するに福祉国家を貫く基本的な制度じゃありませんか。そういう言いのがれは言いのかれになりません。  次に大蔵大臣に今の問題でお尋ねをいたしますが、この選挙費の関係は一般の予算の中には説明としては出ておりません。しかしやはり新しい法律につけて出してきたものなのです。しかしあなたの方と御協議をなさったことは間違いない。三百二円に引き上げるときに労働省との間の折衝を行われたに違いない。どうして公職選挙の場合における人夫賃だけを二百八十円になさいましたか、この点を一つはっきり御答弁願いたい。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 ただいまのお尋ねは、選挙に際しまして、国が地方団体に国会議員の選挙等につきまして委託いたしました場合の人夫賃の基準の法律上の問題でございますが、これにつきましては自治庁から御相談がございまして、二百八十円といたしたのでございますが、その根拠は、三百二円と申しますのは、これは失業対策事業全体の平均的なものを押えておるわけでございます。その中には重作業あり、軽作業あり、いろいろ作業の種類によりまして、基準が異なっておるわけでございますが、選挙の場合の日雇い的な仕事につきましては、その性質上軽作業的なものというふうに考えるのが妥当であると考えまして、さような観点から二百八十円といたしました。なお従来失業対策賃金の改訂にずっとおくれをとっておりましたのでございますから、失業対策賃金の方は七%の引き上げにとどまっておりますが、この選挙の関係の人夫賃につきましては、このたび約二割くらいを引き上げまして、軽作業並みの水準のところまでは引き上げをはかっておるわけでございます。御了承いただきたいと思います。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 そういう御答弁ではだめなのですよ。この際一応大蔵大臣の見解を二つ伺っておきたい。一つはさっき厚生大臣にお尋ねし、厚生大臣からああいう御答弁があったのですが、あなたに、この予算は企画に関する予算であるか、調査に関する予算であるか、このどちらかを明らかにしていただきたい。それから今も一つ事務当局から説明がありました、こちらの方には、予算単価で出ておりますよ。二百八十円の点、どうぞはっきりしていただきたい。予算のことだから大蔵大臣から聞きたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 私は調査に関するものと考えまして予算を組んだのでございます。  それから今の日雇い労務者の関係は、先ほど主計局長から答えた通りでございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 これは調査だとおっしゃいましたね。総理大臣の施政方針がうそになります。それはそれであとで問題にしてもらうことにいたしましょう。  そこでさっきの森永局長の御説明ですけれども、ニコヨンのことはさっき労働省が説明すればすぐわかったのでしょうけれども、あなたの答弁も苦しい答弁だ。失対事業のところを読んで下さい。規則にちゃんと人件費の単価があるのですよ。そうしてあなたの言うようにいろいろ階層をつけているのは、それは労働省がそれぞれ地域差をつけてやっているだけで、予算単価は平均単価を出している。  それからこれは法律で施行規則の八条で、一般より一割ないし二割ぐらい下まできめるということが書いてある。ですからこういう問題は、あなたが言うように種類がいろいろあるからといって、種類はいろいろあるけれども、その種類を問わないところに失対事業の人件費があるわけです。これがその方でも問題になっているわけです。ニコヨンの性格というものは労務の対価であるかないかということで、理論的にも実際的にも今問題が起っている。しかし法律の精神はただ失業救済をやるという当時の社会情勢から、労務の報酬という形式を維持したいという考え方にほかならなかった。これはまあ議論になりますからなんですけれども、そういう大臣の御答弁であれば、これは法律解釈の問題でありますから、そういう解釈は後日自由に行政当局でできる、簡単です。裁判所なんか要りはしません。  それから次に時間がございませんから、三公社五現業の方から。実はみんな来ていただくのは御迷惑だと思いましたから、国鉄と専売公社の総裁においでをいただいておるわけであります。国鉄の総裁にお尋ねをいたしたいと思う。あなたの方は三月の九日付で調停委員会からの書類に対して回答されております。それは読むのはめんどりですから、要点だけを言いますと、御指示の額の算定が明らかでなく、ことに日本国有鉄道法第二十八条に規定せられている給与の原則との関係が具体的に示されてなく、その内容についても問題を将来に残すものと思われるので、遺憾ながら了承しかねますという、文書による回答が行われて、調停拒否ということになったわけです。こり文書について、私ちょっと理解できにくいところがありますので、その点に対する疑義をただしておきたいと思います。ここで言っておりまする指示の額の算定が明らかでないというのは、一体算定とは何を意味するのでありましようか。この調停を私どもが見てみますと、あなたの方に差し出された調停案によると、昭和三十二年度予算単価における基準内貸金額を、一人平均千二百円増額することと、きわめて明確に基準内賃金の額をと、しかも一人当り平均と書いてある。一体これのどこが不明なのでお断わりになったのか。  もう一つは国鉄法二十八条、そのほかの現業庁も同じようなことでありますが、給与に関する規定でありますが、職員の給与、その職務の内容、責任に応ずるという規定、これはどこにもあるやつであります。それから生計費並びに国家公務員及び民間事業の従業員における給与その他の条件を考慮してと、こういう給与のきめ方の基準を示しております。これにどういう悪影響があるか、こういう断わり方をしたのでは、われわれはちょっと理解ができかねますので、この点に対する御見解をこの際明らかにしていただきたい。それによって政府にまたただしていきたいと思います。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 ただいま御質問の千二百円の基礎が明瞭でないということであります。それから内容もたとえば先刻もどなたかから御説明があったと思いますが、四%の昇給というものを見ておる。それをどういうふうに見るかというような、そういういろいろな点に疑義がありまして、よくのみ込めない、将来に問題を残すおそれがあるということでお断わりいたしましたが、三十一年度の分はでき得る限り御趣旨に沿うようにしたい、こういう答弁でございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 あなたの言うのでわかりますように、私どもはほんとうは調停委員会に聞きたいことがあるくらいです。だからそれは団体交渉の席で相当やってこられて、そして三者構成のこの委員会に持ち込まれたわけであります。そこでその基礎が一体どうであるかということは、政府にただしたいところでありますが、今日特に国鉄関係をおあずかりになる運輸大臣にお尋ねいたしたいと思います。毎年予算前後になってベース・アップをやらなければならぬ、しかもそれを最後は仲裁裁定に持ち込むということが、年中行事になってきますと、ことにさっき言うように、調停の段階において、今の総裁の言のような理由で調停が断わられるようになると、仲裁を目安にしてものを考えていくより仕方がなくなる。仲裁の段階というものは、これは言うまでもなく労働法をかじっておる者なり、だれでも理解のできることなのです。一番悪い姿なのです。労働問題を批判できめるなんていうことは民主的なやり方ではないのです。せんないときに行われることであって、労使の良識に訴えて、団体交渉の慣行の中から解決していくというのが、いずれの国もとるべき労使関係の解決の唯一の道なのです。しかしこういう公共関係りものであるから、直接利害関係を持たない第三者、公益関係の者も入れ、あるいは両方の利害関係をある程度理解できる人たちを入れて、三者構成の形でこの案を作らせるという行き方なりです。これがだめなら、しまいに拘束力を持つ裁定を待つということは、よほど不利な場合に追い込まれたときに考えられることであります。そこでせっかくそういうよい法律を作っていても、その法律を今回の場合は政府はこわした。労働組合側がこれをのんだ。公社側がこれを拒否した。拒否するのは、きっと監督者であられるあなたの指示を受けて拒否されたに違いないと思う。指示をおたれになったと思いますが、そういう要するに調停の精神を全く軽視するようなやり方が、——今後の労使関係というものを合理的に、しかもこの法律が言っておるように、経済問題の扱い方は平和的にやれ、それはどこに平和を求めますか。どこに平和のあり場がありますか。団体交渉が一番いい。仲裁へ持ち込むということになったら、平和なんてありませんよ。あるだけの力を働きかけなければいかぬ。そうして結果は運否天賦、賭博みたいに、要するにさいころのように、あけてみて丁か半かということになる。そんな荒いことを考えていいかどうか、こういう大事なところに問題があるわけであります。  そこで、その前に話をちょっと端折ってわかりにくいかもしれませんが、ここであっちこっちに飛びますけれども、二十八条のあなたの方のを見てみますと、職務の内容、責任に応ずるという職員の給与というものは、どういうところに目安がなければならぬかというと、社会通念、それから生計費並びに国家公務員及び民間事業の従業員における給与その他の条件を考慮すると、これは当りまえなことです。賃金をきめる三つの要素なんです。でありますから、少くとも雇い主の立場、政府の立場にあるものとしては、大体賃金がどのくらいが妥当であるかどうかということを持っておらなければならぬ。特に監督の地位にあり——あるいはそれが国の予算や国民経済、国民の福祉に重大影響を持つ事業である場合においては、あらかじめちゃんと予定しておかなければならぬ。ここで私が当局にお尋ねいたしたいと思いますのは、こんなことを繰り返してはいけません。予算の中でいつも政府が都合のいいときには説明しておりますが、一体今の公務員関係、あるいは政府関係の現業員に対する賃金、給与というものは、どこら辺が一体よかろうかという目安をきめるためにはものさしが必要なのであります。そのものさしを、要するに労働者側も持ち、経営者側も持って、そのものさしが甘いとか辛いとか、伸び尺だとか縮んでおるという論議はいいと思う。こういうものをお持ちになって交渉をおやりになったかどうかということを聞く前に、今総裁の答弁で明らかなように、このものさしではかると、この調停はどうもおかしいという質問であればわかる。それが何もわからぬなどということは人様に迷惑だ。調停委員会なんてものは経営者じゃありませんよ。当事者である国鉄とその労働組合との間に判断をし、きめなければならぬことを、ようきめぬから、こっちに持ってくるのです。それにけつをまくるような態度は、一体円満な——あなたの方がけんかを売っておる。労働者にけんかを売っておるのでなく、調停者にもけんかを売っておる。それで平和々々なんておかしくて笑われますよ。もしほんとうにこういうことを繰り返さぬで済むようにするなら、私はさっき大蔵大臣の予算説明あるいは日本経済の見通しなどにそれぞれ使われている言葉の中に明らかなように、もう戦後ではない、安定期に入っているといって、それぞれの指数を示して説明しておられる。日本の昭和九年−十一年がやや安定期で、これを基準年度と統計の中ではいっておるようでありますが、その基準年度に比較して、政府は、三十年度の生産指数は、鉱工業においては一八〇・七、製造業においては一八九・四、生産性においては、鉱工業は一二六・六、製造業は一三一・三という非常に喜ばしい数字だといって謳歌されておる。これを二十八年、九年に比較してみると、ドイツに匹敵するとか、イギリスより上回っているとかいって喜んでおられる。けっこうなことです。こういうように生産なり、生産性が基準年度に比べてこうなっているというときには、少くとも政府がみずから責任を持って経営する事業、そこの労働者の賃金は、基準年度に比較して一体どのくらいが妥当だというくらいのものさしを持っておいでになると思う。このことをお持ちになっていなければ、今の総裁のような答弁はできるはずがない。監督者であります運輸大臣として、一体どのくらいが妥当と考えるか、その点一つずばり聞かして下さい。

宮澤胤勇自由民主党運輸大臣

○宮澤国務大臣 お答えいたします。労使の問題を団体交渉によって解決をつけていく方がいいという御意見は、その通りであります。私どももそれを念願しておるわけであります。しかし、団体交渉による交渉ですから、やはり互譲の精神で、両方が話し合いができる立場で物事が進められなければならぬと思うのでありますが、それが話し合いのできないことは、経営者側だけの責任だということはどうかと私ども考えております。今日の新聞の、わが国における労働界の何といっても第一人者といわれておるあなたの方の松岡君のお話を見ても、こういう定期的な闘争を続けていかせることはよくないということをはっきり言われておるのです。これは両者においてやはり考えなければならない。それがいけなくてついに調停に持ち込まれ、仲裁に持ち込まれるといったことは、非常に残念に思うわけであります。  なお今どのくらいが目安かということを端的に言えとおっしゃられましても、私も今すぐこのくらいの目安だということを申し上げられませんが、最近の人事院の勧告を見ますと、やはり公務員の方が安いのだから、公務員の方を六分上げなければならぬということは、おのずからそこに標準というものが現われておるのじゃないか、かように考えております。社会保障もまだ十分にいかないというような状態において、今日の賃金のあり方というものは、お互いに互譲の精神をもって考えて、だんだんこれを日本の経済拡大、生活の向上とともに上げていくということで、この労使の間をうまくやっていかなければならぬのじゃないかと、こう考えております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 運輸省の責任者としてそういうお考えだということでありますと、これは年中行事を繰り返すより仕方がないということになるでしょう。しかしなるでしょうといって、第三者である国民は安閑としておられませんので、ここで一つ覚悟を変えて——ほんとうは、これは国鉄総裁に聞きたいことではありますが、さっきの答弁の趣きを今までの経過から想像いたしますと、運輸大臣以上の答弁は得られないと思いますが、はっきりしたものがあるなら言っていただきたい。今日政府は、取る方についてはかなりきびしくやっております、税金の方は。大蔵大臣は、川崎君の話では、にこにこっと笑って税を取るが、出すときは苦虫をかみつぶしたようにやっております。ここで問題は、日本の経済はもう安定期に入ろうとしておる。安定期に入ったか入らないかいろいろ議論はあると思いますが、一応戦後が終ったという考え方の上に立って、いろいろな問題を考えるときに来ておる。このときにして給与問題を解決することができなかったら、日本の経済は混乱の中にいつまでも渦を巻いていくと思う。非常に大事な時期だと思う。そういう意味で、どこから解決するかということになると、政府が直接経営するこの事業場において一つの範を示していくことだ。それにはデータはたくさんあるわけです。今度の税制調査会の答申案を読んでみたのでありますが、それによりますと、一体今度の課税最低限度というものは、統計の中でどういう流れを示しておるかという点を指摘されたところが確かに急所だと思います。これを見ますと、昭和十年の課税最低限度が千八百七十五円、ところが現在の課税最低限度は二十四万六千六百六十七円、こういう両方、昭和十年と昭和三十一年とをとって、そうしてここで扱ったのは、総合物価を基準にして、すなわち国民総所得の統数に用いるところの換算率をかけて出しております。それによると六十一万五千円に相当する、こう報告しておる。ここにも一つ示唆されるように、今日の賃金がどうあればいいかということについては、国鉄のように長い歴史を持っておるところでは、昭和十年のときの賃金はどうなっておるか、それは国民所得算出に使用される総合課率によってかけたらどうなるか、CPIにかけたらどうなるかということはすぐ出るわけです。そういうものを持って、この調停が甘いとか辛いとかいうなら、私は調停委員会も首肯されるだろうと思う。労働組合でもそう強がりを言うはずはありません。むしろ労働組合の方でデータを持って団体交渉に臨むのではないかと私は想像しておる。政府の方は、トラの威をかりて、この間の官房長官の声明書では違反したものはすぐ処罰するといっておりましたが、てめえの方で違反を先にやっておるのに、相手の方ばかりを処罰する、こういうことではけんかはおさまりません。ますますはでになる。ここに問題があるのではないかと思うのでありますが、これに対して国鉄総裁は、今私の暗示しましたような点から適当な賃金額というものを——相手方がのむかのまぬかということは、相手のあることですからわかりませんが、そのくらいのお持ち合せがあって団体交渉に臨まれたかどうか御答弁いただきたい。それからそういうことを監督者である運輸大臣に相談になったかどうか、お二人からそれぞれ御答弁をいただきます。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 ただいまお話しのありました数字も一つの標準だと思います。しかしながら労働の質、量、責任を公平に科学的にきめるということは非常に困難であります。そこに争いの原因があり、そこに調停委員の調停の困難さもあるのじゃないかと思うのであります。それで、私は絶えず労働組合と、そういうことについてお互いに平和裏に話し合いによってきめようじゃないか、今調停・仲裁という道が開かれておるのだから、それまで待って、静かに一つ話し合いできめてもらいたいということを再三再四申し入れたのでありますが、不幸にしてそれができなかった。これはまことに私として恥かしいことだと思います。なかなかその決定が困難であります。今後も懸命に努力するつもりでおりますが、どういう標準がいいかということはなかなかきまりにくいと思うのであります。できる限り話し合いによってそういう標準を見出して、平和裡に決定するよう努力いたしたいと存じます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 今の総裁の答弁は非常に重要だと思いますが、そういうことで労働組合に呼びかけたということでありますが、一体数字をお示しになりましたか。国鉄としてはこのくらいが妥当だというような数字をお示しになったことがございますか。その数字は一体どのくらいか。

十河信二日本国有鉄道総裁

○十河説明員 理論上はなかなかその数字が出てこないのであります。そこでそういう数字を話し合いによって、これがよかろうというところにきめようじゃないかというのが、私と労働組合の話し合いであります。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 それじゃけんかになりますよ。ならぬ方が不思議だ。これは何も私がここでなにする必要はありませんけれども、私どものような門外漢でも、こう問題があれすると何か言いたくなる。昭和十年の鉄道の当時と多少形式が変っておりますけれども、予算を見てみると、鉄道手あるいは自動車の運転手、助手、機関車の運転士、えらいこまかに出ておりますが、一例を見ると、鉄道手が一番多いのでありますが、それが当時の月給八十円。それから自動車の運転手が二円三十銭で、三百六十六日で予算を組んでいる。ちゃんと出ています。それから同助手が一円九十銭、これは安いところ。給仕も出ている。そういうようなものを今日の労働組合が調べていないはずがありません、それからさっきも時間があれば人事院の総裁に説明してもらおうと思ったが、私はあなたのは報告書、勧告書を非常に熱心に読ましてもらったが、だからここで、あなたの方もちょっと事情が違いましょうけれども、一体公務員の給料というものを何できめるか。これは生計費という言葉を使っておりますが、標準生計費を出しておる。一体この標準生計費が問題なんです。しかしそういうものを出してくれば、一応足がかりがある。生計費の中にはマ・バ方式のような、あるいは実態生計費にいたしましても、理論生計費にしても、問題はいろいろあるんです。そういうものを持ってくるとか、いろいろそういうやり方はあると思うのであります。しかし、国鉄や専売のような現業庁というものは、今始めたんじゃないんです。長い間やってきている事業でありまして、そうして今度はそういうものを明らかにしないで、この国会に運賃の値上げを一割五分なんて、根拠も何もありゃしない。専売などは大蔵大臣の所管でしょうけれども、問題は税金で幅を持って回る。でありますから、賃金というものについては、ほかの産業と違って一番きめやすい立場にあって、しかも公平を失しないで済む立場にある。そういうところが今言うように何らのものさしも持たないで、相手次第でやっておれば舞台が派手になるにきまっております。切り込んでいった方が勝ちだということになる。そうしておいて、まあお静かに願いますと言うなどは、一体何を言うのかわからない。だから、そういうことでは、これはもうしょせんは解決は望めないと思う。で、ここではっきり数字を私どもは求めることが一番やさしいと思うのであります。今からでもおそくはないと思うのでありますが、たとえばそういうもので課率をしていきますならばどういうことになるか。さっき私はあなたの方の事務当局に言って資料を要求して、平均を出しなさいと言ったところ、いろいろ困難な計算をしていただいたようであります。その計算によりましても、もうそろそろ目安が出てきました。私がこれは調停するようなことになる。大事なところですから、ちょっと聞いておきたいと思います。一切の計算をして国鉄——これは計算の基礎にいろいろ問題があるようでありますが、五十五円九十八銭という平均を私のところに届けてきました。これは昭和十年です。そうすると昭和十年のこの五十五円九十八銭というものを、多少問題があるにいたしましても、それを一応の目安にいたしまして、さっきいう国民総所得を割り出してくるんです。総合課率というもので計算してくると幾らになるか、これはもう数字がここに出ております。私はこう置いてみた。千八百三十六円十四銭、こういう数字が出ます。この数字に対して税金がどうなるかということが多少問題になりますが、これはこの間労働省に計数を出させると、四・八を出してきた。すると、この当時は税がかからない。あの答申案でもって年間千八百七十五円までは税の対象になっていなかったわけであります。これが今日税の対象になるのでありますが、それをぶっかけると、どういう計算になるかということは、すぐ出るじゃありませんか。こんなことを角を突き合せて争わないでも、これは調停をおくらしたり、仲裁に持ち込んだりして、あっちが悪いのだ、こっちが悪いのだというようなことをいって、国民は全く迷惑を背負っていかなければならぬ。国鉄の場合は、私はしろうとで、こういうとり方をしたのでありますけれども、もうきまっておるのであります。汽車の運転士は、昔も今も同じことだ。電車になったら多少違うかもしれません。保線工夫はどうだというようなことはちゃんときまっておりますから、そういうもので計算していきますと、なるほどそういうことになる。相当高いものになりますから、大蔵大臣はいい顔をせぬかもしれぬ。しかしそういうことはやはり筋の通ったものを堂々と出して、そうして相手を納得させるという態度でなければ、これは団体交渉じゃありませんよ。こういうことをやっておいてそうしてすぐ縛るの、違反行為だの、これは処罰だの、処罰するというなら大臣を縛っちゃう。だからこういう点について私は最後に一つ伺っておきたいと思います。そこで大蔵大臣にお尋ねをいたしておきたいと思います。以上の説明でおわかりだと思いますが、あなたの現業関係というものはかなり多いと思いますが、こういう現業関係の人たちというものは——私は労働委員会に何回か出てもらって意見を伺ったことがあります。なかなか発言を慎重にされております。今の総裁の発言でもわかるが、まさかああいうことを考えておいでになるとは思えません。相当識見を持ち、いろいろな見解を持っているものと思いますが、政府の立場をはばかって遠慮されている点があると思いますが、ここでやはり大蔵大臣としては日本経済の全体の見通しの上からこの際、今私の例を申し上げた計数がいいか悪いかは別でございますが、しかし一定の安定期に入った日本経済において、政府関係の業務においてはどの程度の賃金を出すべきであるという、計数の出し方の基礎的なものくらいはお持ちになる必要があると思いますが、その用意があれば説明してもらいたいし、ないとすればこれをお持ちになる考えがあるかどうか伺いたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 三公社五現業につきましては、生計費あるいは民間事業の従業員あるいは国家公務員との比較を考えながら、その他いろいろな物価の点を考慮してきめられることに相なっていることは、法律にきめられてある通りであります。しからば今の現実の賃金をどうするかという問題になりますと、現行の賃金を考え、一般の事情を参酌してきめらるべきものだと思います。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 この問題は私どもも同様責任のある立場でものを考えなければならぬと思うのでありますが、ぜひ一つ三公社五現業のように、政府に直接関係を持つ事業については、最も近い機会に適切な賃金の額というものはどうあるべきか、もちろん賃金でありますから、経営それ自身から割り出されてくる経費の中の問題もありましょう。それから労働者の側から言えば、労働の再生産あるいは生計費として割り出されてこなければならないと思う。あるいは比較均衡の問題もあると思うのでありますが、こういう問題に対して、私は明快な線を出してこなければ、国の予算全体についても正確を期することはできないと思う。一方においては毎年繰り返されておりまするこの労使の全くみじめな姿というものを一日も早く解決して、そうして当然出すべきものは心よく出して、ことに生産性を問題にする時期でありますから、やはり働けるような、すなわら労働の対価として——今までのような生計費ばかりに片寄った行き方でなくて、やはり労働の対価として十分の能率が発揮でき、十分な生産性を上げ得るような賃金形態というものを今日打ち出すべきではないか、こういう問題に対して一つ政府は代案を早く出されるよう切望いたしまして私の質問は終りたいと思いますが、最後に労働大臣の所見を伺いたいと思います。(拍手)

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 明日は午前十時より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十二分散会

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