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26回国会衆議院1957/03/09

予算委員会 第17号

発言数
9
登壇者
4
会派数
2
開催日
1957/03/09

会議録

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 これより会議を開きます。  昭和三十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  内閣官房長官より発言を求められております。この際これを許します。石田内閣官房長官。

石田博英内閣官房長官

○石田(博)政府委員 昨日川俣委員の議事進行の御発言中にございました政府の予算関係法律案の本院に対する提出状況を御説明申し上げたいと存じます。  当初内閣から本院に対しまして予算関係法律案としてあらかじめ御通知申し上げておりました案件は七十三件でございます。そのうち六十八件は本日までに提出済みでございます。残りました五件のうち国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案のうちで、予算に関係のある部分はいわゆる基地関係助成交付金と言われる問題でございますが、これにつきましては法律の形によるか行政措置によって行うかという意を目下検討中でございましていずれにしても、必ずしも法律の形式によらなくとも予算の執行は可能であると考えておる次第でございます。  第二は引揚者等に関する給付金の支給に関する法律案でございますが、これはただいままでにお手元に配付いたしておりまする引揚者等に対する給付金の支給に関する措置要項の内容を法律化するものでございまして、法律案は来週中に提案できる見込みでございます。  残余の道路整備の促進に関する法律案、水防法の一部を改正する法律案及び日本道路公団法の一部を改正する法律案の二件は、その後検討を行いました結果、昭和三十二年度予算とは直接関係のないものであることが判明いたしましたので、昨日予算関係法律案のリストからはずしていただきますように手配をいたした次第でございます。  右御報告申し上げます。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 これより討論に入ります。柳田秀一君。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 私は日本社会党を代表いたしまして昭和三十二年度一般会計及び特別会計予算について反対の意を表明し、わが党のこれに対する基本的態度を明らかにいたしたいと思うのであります。反対の理由は次の通りであります。  第一の理由は、本予算及び財政投融資計画が、内外経済の見通しから見てインフレ要因を包蔵し、今後の経済の趨勢と合致しない、いな、むしろ逆行するのではないかということであります。すなわち政府は二千億の自然増収を前提に、これを一千億の減税と一千億の積極政策に分けて打ち出そうとしておりますが、この自然増収はあくまで三十二年度経済計画を基礎に、世界の好景気がなお続いて、輸入三十二億ドル、輸出二十八億ドル、国民総所得八兆一千八百億の線で拡大していこうという甘い見通しに立っておるものであります。しかしながら本予算委員会公聴会においても、経済団体代表の植村氏さえ認めておるように、国際経済の下期の動向は楽観を許さない、むしろ下り坂に入るのではないかと言われておるのであります。このような諸情勢に際して二千億の自然増を甘く見積り、しかも一般会計、財政投融資計画合せて一千七百億円の財政膨張を行うという点、さらに過年度の食管会計の赤字を持ち越すという点、さらには運賃を初めガソリン税等諸物価引き上げを必至ならしめる諸点におきまして、インフレ要因はもはや日銀当局さえ警告しておる状況であります。すなわち世界経済が下半期において下降に入るという見通しのときに、わが国のみが物価高の傾向になるということは、輸出の不振を促進し、国内需要を拡大し、輸入がふえて国際収支に赤字をもたらすことは必至であります。  さらにまた政府は物価高に対する楽観材料として、輸入原材料の在庫と外貨十三億ドルのみにたよっておりますが、これもまた在庫はどのくらいか、外貨で食いつぶせるものはどのくらいか、政府内部においても確信がないようであります。従って本予算案は積極拡大と称していながら、その実国民経済の前途においてきわめて不安定であると言わざるを得ません。このことは、この国際的すれ違いの悲劇に対して、再び近い将来においてかつてのドッジ・ラインと同じようなデフレ政策の再現を予想せしめるものがあるのであります。これによってもわかる通り、本予算の編成の基礎は、基本的な誤まりを犯していると言わざるを得ません。  次に、本予算は一千億減税において、農工の間において、さらに中小企業と大企業の間において、高額所得者層と低額所得者層の貧富の懸隔と不均衡を拡大し、それを促進しているところに重大な問題があるのであります。  第一に正味七百二十億円の減税であります。その実態は、実効三百三億円といわれるのでありますが、まだまだ疑問は残っておるのであります。すなわちこの減税は、あくまで所得税の減税にすぎません。今試みに所得税を納めていない人と納めている人との比率を見ると、三十一年度ベースで計算して、総人口九千一十万人中、六千五百七十八万人、比率に直して七三%が所得税を納めるに至らない給与所得者であることが明白であります。しかもボーダー・ラインに立つ人の減税はわずかに年七十五円であり、夫婦に子供三人、日本の標準家庭と目される人で、年所得二十五万円以下の人たちに対しましても三百七十五円の減税にしかならないのであります。これに引きかえ、年間所得一千万円をこえる人たちの減税は、実質的に二一・二%すなわち百二十万円の減税となるのであります。この減税がいかに上に厚く、下に瀞いものであるかということは、低額所得者層と高額所得者層の二階層に大別してみるとさらに明瞭になるのであります。すなわち年間所得五十万円以上の人たちは、総所得税納税者の七%にすぎないにもかかわらず、七百億円の減税が約束され、これに反し、五十万円以下の人たちは九三%であるにかかわらず、わずかに三百億円の減税しか予定されていないのであります。このような不公平な減税の一方、国民の七三%、約六千五百六十八万人の人たちは、減税の恩恵に浴さないどころか、国鉄運賃の値上げ、ガソリン税その他の増徴によって ますます苦しい生活に追いやられる結果となるのであります。  さらに一方資本蓄積に重点を置いた租税体系と財政投融資計画は、いわゆる神武以来の好景気で、前年の二倍以上の純利益をあげている独占的大企業の支配強化を、いよいよ野放しに拡大しているという点であります。たとえば租税特別措置法による一千億に及ぶ減免税に対しては、わが党は二、三年前よりこれが撤廃を叫んでおりましたが、最近政府はこの世論の圧力によって、そのうちわずかに二百二十四億円を撤廃したにすぎないのでありますが、なおかつたとえば八幡製鉄のごときは、表面上の収益二十億円と唱えつつ、実際には七十億をこえるのではないかとさえ言われておるのであります。あるいは東京証券取引所で扱われておる上場三百十六社の三月末の純収益が一千百億円と公表され、内輪の見積りではあるが前期収益を入れると二千億をこえるものと見られている点からいっても明らかであります。  次に歳出面を見ましても予算バランスにおいて防衛費をわずか四億しか増額しなかったとは言っておりますけれども、依然として軍事的予算の性格が強いことを指摘せざるを得ません。すなわち三十二年度は国民一人当り税負担額一万二千二十九円の中で防衛費と民生費の比率を見ますと、民生費が一〇・七%の一千三百九円であるのに対して、賠償費を合せて防衛費は何と二千七百五円、二二・七%に上っておるのであります。しかもこの防衛費は、人員増加を一時取りやめたと言っておりますが、その質的内容におきましては、きわめて危険な性質を包蔵しておると言わざるを得ないのであります。すなわち、それは本年当初に出されたアイク・ドクトリン、すなわち世界各国に原子兵器機動司令部七カ所を置くもので、不幸にして日本もその一つに入っておるといわれておるのでありますが、そのような原子戦争体制に即応して、日本を原水爆兵器で固めようとしておる現われが出てきております。すなわち三十二年度予算の中にも、こうした新兵器需品費が二五%も含まれ、三億五千万ドルの誘導弾試作費、七種類の誘導弾供給費などが明らかになっておるのであります。  これに対して国民を保護すべき社会保障の面についてはどうでありますか。公共事業費、道路、港湾費などが増額されて、三千億の自然増がこれら選挙目当てに使われているにかかわらず、減税の恩恵に浴しない約六千万の低所得者に対しまして社会保障費は、わずか九十一億の増額にすぎません。国鉄運賃の値上げだけで大衆は二百五十億の負担をしわ寄せされるのでありますから、むしろ生活が圧迫されることは火を見るよりも明らかであります。  失業対策費については、さらにひどいのであります。すなわち経済企画庁の発表によりますと、完全失業者は三十一年の六十万人がそのままになっているにかかわらず、労働省は失業対象人員を三十一年度二十四万八千人から、三十二年度二十二万五千人に、二万三千人も減らして予算のワクを引き締めたのであります。  最後に、地方財政におきましては、地方財政再建整備法によって各地方自治体の行政内容が著しく低下し、三十二年度予算では憂慮すべき段階に到達したと自治庁すら発表しているのであります。地方交付税につきましても、自治体側の要求が三%引き上げであったのに対し、一%の引き上げしか認められていないのであります。自然増に対して、政府と地方側の見込みは約二百六十億も違っております。その他を合せて、計六百四十億円の差が出てきているのであります。これをいかに調整するかが大問題であります。教育予算についても、自然増程度しか予算はふやされていないのであります。  以上によって明らかな通り、本予算が歳入、歳出両面において国民生活を圧迫するということは疑う余地はありますまい。  わが党はこのような政府予算案に対してさきに予算編成の大綱、すなわち社会党案の基本方針を発表いたしました。すなわち三十二年度予算の編成は、わが党の第一次五カ年計画の第一年度財政計画としての予算とし、その編成の基本方針を特に財政健全化に置いたのであります。その理由は、三十二年度の経済は、消費水準の上昇が続き、依然として七、八%の経済拡大が予測され、下期における輸出の伸びの停滞による国際収支の悪化と、生産隘路を主要原因とする生産コスト高のおそれを警戒して、過度の財政膨脹を予防いたさねばなりません。従いまして、租税収入、自然増加の測定を政府案より引き締めまして、財政規模は政府案より五十億五千四百万円少い一兆一千三百二十四億一千万円に定めたのであります。  租税公課負担の公平化につきましては、減税の目標を、まず低所得者の家計の安定を基準といたしまして、三十二年度は五人世帯年収三十二万円を所得税の免税点とし、一方において不当に租税負担が軽減されております高額所得者や大企業に対しては、正当な課税を徴収いたすこととし、この方針に基きまして低額所得者を中心といたします所得税九百億円の減税と、租税特別措置改廃によります五百四十七億円の増収を行うものであります。  次に、歳出増加をはかる経費項目は、正方年計画の到達目標実現に立ちまして、まず国民生活の安定のために、医療保険に八百万人の新規加入、結核治療の全額公費負担、老齢、母子世帯、身体障害者の無醵出年金の実施、さらに延べ九十万坪の義務教育校舎の新増築、公営住宅二十七万戸の建設、公務員給与二千円のベース・アップ、生産者米価一万一千五百円、消費者米価据え置き等、必要な予算額を計上し、特に社会保障関係の純増額は、政府案に比べ、四百三十四億を確保いたしたのであります。  第二に、経済の自立と構造の近代化のために、おくれた産業であり国が責任をもってその振興をはかるべき中小企業、沿岸漁業、農業一般の近代化、国土総合開発計画に基く土地改良、新農地の造成、道路、港湾の整備、原子力研究の促進などを総合的に一元化して実施するために、一般会計及び財政投融資計画におきまして、必要額を優先的に計上いたしたのであります。  第三に、雇用拡大のために、まず失業対策費は一日当り吸収人員を三十万人分といたしますとともに、公共事業、住宅建設などの事業量の増加をはかりまして、雇用増加のてこ入れといたし、雇用条件の向上につきましては、最低賃金法と家内労働法の実施準備に着手し、中小企業従業員二百万人に対する医療保険加入促進をはかったのであります。  次に、歳出減額につきまして、平和と民主主義を確立し、かつ、以上申し上げました歳出増に必要な財源を確保するために、不生産的な経費を削減したのであります。すなわち、自衛隊は十二万五千人を規模といたします民主的警備に改組し、経費を三百五十億円といたしました。しかしそのうち二百億円は前年度よりの繰越金を充てて、新規計上は百五十億円であります。なお残りの隊員約八万人は、国土総合開発事業に吸収することといたしました。  さらに防衛支出金の項目を廃止しまして、日米行政協定に熱く必要経費は、予備費より支出いたすこととし、アメリカとの交渉によりまして、その漸減をはかり、これに伴いまして、調達庁費より約五億冊を削減いたしました。物件費、施設費、旅費は二五%、約三百八十七億を節約し、また民主主義活動を弾圧する警察関係費、憲法調査会、国防会議等の反動諸機関費、並びに広報宣伝費、合計約十九億七千三百万円を削除いたしました。  また旧軍人恩給費のうち、佐官以上の支給額の階級差を廃止いたし、日本生産性本部、並びに防衛産業に対する補助支出金、約一億八千万円を削除いたしました。  地方財政につきましては、国と地方の財政を総合的に運用いたしまして、その資金の効率化をはかりますとともに、地方の自主財源を強化いたし、地方財政の計画的な再建をはかるために、交付税率を現行の百分の二十五を百分の二十八とし、たばこ消費税率を現行の百分の十七から百分の二十一日に引き上げ、公債費負担の軽減等の応急措置をとることといたしたのであります。  次に、財政投融資につきましては、下期における消費物価の値上りは、政府予測の年間〇・九%の上昇見込を上回り、従いまして郵便貯金、簡保年金等の新規増加は、政府計画によりますとその実現は困難でありますが、わが党案の給与ベースの引き上げ、減税措置等によりますれば、郵便年金等の増加は官十六億となるのであります。  資金配分の対象としましては、電源開発、新農地の造成、輸送力の増強、中小企業、農林漁業、住宅建設、地方債の引き受け等に重点を置き、基礎産業に対する融資は主として民間資金を供給といたし、中型舶の計画造船、国鉄、電発、地方公募債の一部に対しては、一般会計より利子補給を行いまして、基礎産業に対します資金効率の引き上げをはかったのであります。  国鉄の輸送力の増強と赤字解消のために、財政投融資と公募債の増額、及び国鉄内の経理の合理化と、公社切りかえ当時の政府借入金を資本繰り入れ等の措置を行うのであります。  なお産業投資特別会計に対する前年度よりの原資百五十億円の受け入れば、これを行わないことといたし、新たに国土総合開発特別会計を創設いたし、多目的ダム及び特定土地改良工事に対しまする投融資は、すべて国土総合開発特別会計に包含いたすことといたしました。  また住宅公庫と住宅公団とはこれを廃止しまして、分譲住宅公社に包含いたしました。  最後に、予算並びに政策との関連につきましては、まず一般会計財政規模を、政府案よりも約五十億縮減しまして、過度の財政膨脹を予防することに重点を置きまして、財政投融資における原資は、わが党案により、郵便貯金等は百十六億増額いたしますが、産業投資特別会計におきましては、前年度より百五十億の繰り越しを認めないので五十六億円の微増にとどめまして、その配分は民間金融の負損し得ない部門に限定いたしたのであります。  第二に、民間長期資金の配分につきましては、官制による資金計画委員会を新設しまして、重復投融資、不急不要投融資を規制いたし、必要部門に対する資金配分を確保いたしまして、これによって自由放漫な資金需要を計画的に調節し、民間金融の円滑をはかったのであります。  以上二点の財政金融政策により通貨膨脹を抑制し、これをインフレ対策の基本方針といたし、一方民間企業に対しましては独占商品価格の値上げに対します規制を厳重に行い、さらに製品並びに原材料在庫の調査を徹底いたし、流通の円滑化と思惑的貯蔵の防止をはかったのであります。  第三に、基礎産業のうち、特に電気事業に対しては、電気事業法を新しく制定し、電力需給の全国的統一と電気料金の値上げ防止をはからんとするものであります。  第四に、中小企業、農林漁業など、立ちおくれた産業部門に対しましては、財政資金を裏づけとした立法措置を行いまして、その協同化、近代化を促進し、かつ雇用の質的向上をはからんとするものであります。  第五に、国民生活の安定のために、社会保障制度、義務教育施設の充実、公営住宅の大規模建設、五人世帯年収三十三万円までの所得税の免税、最低賃金制度の実施準備等の施策を積極化し、雇用増加のために失業対策費の増額と、産業振興によります計画的雇用の新規吸収をはからんとするものであります。  最後に、国際収支の拡大均衡をはかるために、中国を初めとする共産圏との貿易拡大、新興東南アジアとの経済交流などによりまして、論出額約三億ドルの増額を実現いたし、この促進のために相手国政府との政府間協定、国交回復、アジア経済会議の開催など、各般の施策に全力をあげるものであります。  以上、昭和三十二年度予算に対するわが党の建設的な対案の一端をお示しいたしました。まさに政府原案とは各種各般の方面におきまして対照的であります。(拍手)真に日本の平和と独立のために、国民生活の安定向上と各階層間の不均衡の是正のために、さらに今後の内外経済情勢の推移に対する計画的かつ慎重なる対策を立て直されて、単に一部特権階級に奉仕する予算でなくて、真に九千万国民大衆に直結した予算案を再編成して出直さるべきであると考えるのであります。  以上をもって私の反対討論は終ります。(拍手)

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 小川半次君。

小川半次自由民主党

○小川(半)委員 私は自由民主党を代表して、昭和三十二年度のわが国予算案に対して、政府提出の原案に賛成し、以下これに関連して意見を申し述べたいと思います。  今わが国の国民経済力はすばらしい勢いで伸びており、この好況の波に乗って経済の発展をさらに伸ばし、これにあわせて国民生活を向上させようと意図して編成されたのが、昭和三十二年度の国の予算であって、一兆一千三百七十四億円というわが国初めての大きな数字を示したのも、この国民経済の伸びを的確に反映したものであり、それは立ち上った日本の力の自然の姿であって、決して誇張され、拡大されて描かれた青写真ではないことに大きな期待を持つものであります。  わが国は、ここ教年来一兆円予算をかたく守って今日に至ったのでありますが、その政策が功を奏して、物価は安定し、金の値打は高まり、貿易がふえ、貯蓄も増加し、生産力は向上し、国民所得もすばらしく拡大したのであります。たとえば生産活動指数は、戦前の最良の年といわれた昭和九年ないし十一年の三カ年の平均を一〇〇とすれば、三十一年度には二四〇にまで伸びており、従って税収も三十一年度には当初の見積りに比べて一千億円台もふえるという活況を呈し、このままでいけば三十二年度は当然二千億円からの自然増収が推定できるのであります。  政府において、この二千億円に上ると予想される自然増収を背骨として予算を組み、うち約一千億円を減税に回し、あとの一千億円を国民経済躍進の原動力となる施策の費用に充てたことは、当を得た予算編成であると思うのであります。  この施策の中身としては第一に活況につれて生起する社会的不均衡という悪現象を消すために、社会保障費を思い切って盛ったことであります。第二には、道路、港湾、住宅など産業基礎をつちかう公共事業費の拡大であり、第三には、いつも不遇の存在である日陰の中小企業者に陽光をふり注ぐべく財政融資を大幅にふやしたことであります。そのほか、将来の産業発展に備えて、原子力平和利用の経費を前年度の二倍にふやし、公務員の給与を人事院の勧告に従って是正し、食糧増産費も増すなど、各方面にわたるほか、財政投融資を前年度に比べて約七百億円も増額して、輸送、電力、鉄鋼などに重点的に融資し、国民経済発展のネックを打開することにしたことは、国民のひとしく歓迎するところであります。  このようにして各部門にわたって予算の増額を行うにもかかわらず、防御費を足踏みさせたことは、何としても今回の予算の特色であると申したいのであります。  もちろん私は三十二年度予算を通覧して、ただ手放しでこれを礼賛するものではなく、そこに危惧されるもの、懸念されるものが絶無であるとは思わないのであります。社会党委員からもしばしば質問と攻撃の対象となった食管特別会計の赤字などは、確かに三十二年度予算中の小さなきずの一つであると思うのであります。食管特別会計では、三十一年度末において、三十年度の損失三十四億円をも含めて百九十五億円の赤字が推計され、三十二年度中だけの計算でも百四十二億円の赤字が生ずる予定であり、従って本会計に関しては今後特別の措置を講ぜぬ限り、三十二年度末には三百三十七億円の赤字を計上しなければならないのであります。積極予算を組みつつ、巧みに均衡予算を堅持している中に、ひとり食管特別余計だけが赤字のままに放置されていることは、何としてもほめた話ではないのであります。  三十二年度予算案は、積極予算であるが健全子算案であると呼号しておる池田大蔵大臣とすれば、食管会計の赤字をこのままに放置することは忍びがたいものであると思うのであります。  ところでこれを解決する方法として、消費所米価を上げるか、あるいは補正予算を組んで一般会計から振り込むか、それとも消費者米価の引き上げとあわせて一般会計に振り込むという三つの方法以外に適正な方策はないと考えられるのでありますが、幸いにしてこれの処置については、臨時食糧管理特別調査会の議を経て、後日に講ずることとしたので、一応ピンチを切り抜けたものの、あと味の悪いものがあることを指摘しておく次第であります。  三十二年度の予算はぎりぎりの線ではあるが均衡予算の中で組まれ、経済に対しては積極的な拡大を意図しているものであって、インフレ予算では断じてないのでありますが、この予算の健全性をあくまでも貫くためには、金融の弾力的運用が絶対に必要であると思うのであります。金融の源泉は貯蓄であり、貯蓄のいかんは国民一般の消費態度によって左右されるのであります。三十二年度は、三十一年度に続く国民所得の増加傾向と、一方においては減税、ベース・アップ、社会保障関係費の増額等によって、国民の所得が目立ってよくなるだろうと予想されるのであります。従って、この国民のふところ工合が消費に回るか貯蓄に回るかで、三十二年度の金融条件が大きく変ってくるのであります。ところで、ここにもう一つ大きく金融を左右するものに国際収支があります。輸出が伸びて国際収支に黒字が続けば、外国為替資金勘定を通じて金融はゆるみ、赤字が続くと逆に金融を引き締めることとなるのであります、かかる両者の関係からして、国民のふところ工合が貯蓄に回らずして消費に走り、その消費増のために輸出が減って輸入が増大するようになったときの民間金融機関の金融梗塞状態が生ずる危険性があるのであります。私はこれらの点について、特に社会党委員諸君から掘り下げた質問があるものと期待していたのでありましたが、残念ながら拝聴することができなかったのであります。社会党の委員諸君は、三十二年度の予算はインフレ予算であるといって、一つ覚えのように入りかわり立ちかわり述べられたのであって、インフレになるというその要因は、経済が昨今のように活発化しているときには、財政規模はむしろ控え目な役割をすることが本筋である、また国民所得の比率からしても、三十二年度の予算規模は過大である、しかも財政投融資、公共事業その他から民間の経済活動を刺激するからインフレの要因が強いというのであります。しかしながら予算の規模は経済活動の拡大と見合っており、しかも収支の均衡を保っているから健全であると言えるし、貸し出し資金の面においても蓄積のワク内にとどめているので、決して予算そのものがインフレの要因になるとは思われないのであります。  ただここに懸念されるのは、社会党の諸君も御指摘されたように、物価の一部の中で、一時的にせよ三十一年度を通じて徐々に上昇気配のところへ、国鉄運賃値上げや揮発油税が引き上げられたため、インフレの先走りではないかという錯覚した議論の起つたことも事実でありますが、これらを経済学的に見れば、購買力吸収要因とも見られるのであります。従って物価も長期的に見れば大した上昇率も来たさないことが今や常識論となってきておりますし、経済の一番伸びた三十年、三十一年を含んで現在に至っての卸売物価は、二十八年を基準としてわずかに四ないし六%程度の上昇率で、これは英米とほぼ同様の率であります。このように、物価に対しては、長期的に見れば決して危惧するには及ばないと思うのであります。  また社会党の諸君は、三十二年度の予算中の一千億円減税は、これは中堅層に手厚いものであるが、零細な人々には決して満足すべきものではないと指摘されましたが、一応もっともな意見であります。しかしながら、ここ数年来政府与党は、低額所得者に対する減税を主眼としてきたのであり、基礎控除あるいは扶養控除の引き上げ等がそれであります。また三十二年度に間接税の増徴を取りやめたのも、低額所得者への負担等が考慮されたからだと思うのであります。なお日雇い労働者の賃金引き上げ及び生活保護の基準引き上げや、母子福祉及び世帯更生の貸付資金の増、医療費貸付金制度の創設は、いずれもみな最も零細な階層の人人を対象としたものであって、日ごろわれわれが唱えている社会保障制度徹底への前進を示したものであります。しかしながら、私はこれによって国民すべてが潤いを受けるとは問わないのであります。神武以来の好景気であるといって、銀座あたりの商人が、あまり商品が叱れるので笑いがとまらぬとか、またデパートの売り子も同様なことを言っており、株式市場も空前の売買高で、どの証券会社もほくほくであり、また温泉や旅館は満員で、早くから予約しておかなければとまれぬというほど盛況だと聞くのであります。しかしこのような恵まれた階層とはおよそ縁の遠い、恵まれざる階層もまた国民の一部にあるということを忘れてはならないのであります。神武景気の裏に一家心中があり、娘を売る農家さえあるという悲劇が今もなお跡を絶たないことは、政治の責任であると思うのであります。特に財政投融資の余波として、力ある者はますます強くなり、弱い中小企業にはますます犠牲のしわ寄せがないとは断言できないのであります。政府は特に意を用いて、神武以来の好景気が一部にとってかえって神武以来の冷たい風とならぬように、万全の方途を講ずべきであります。  次に、これは直接予算上の問題ではありませんが、労働対策等の問題について社会党の諸君から、顕在失業者六十万、潜在及び不完全失業者一千万人を見込まれる際、完全雇用とは偽わりではないかとの質疑があり、これに対して松浦労働大臣より、今後国民総生産を年々七ないし八%ずつ伸ばしていけば、大体十年後に完全なる雇用対策の成果を上げ得られるとの答弁を拝聴したのでありますが、完全雇用の定説は、必ずしも一人の失業者もないということを意味するものではなく、今世界の労働学者で言われているのは、必要労働者数の二%ないし二・五%の失業者があっても、それは完全雇用の領域に入るという説であります。労働対策の上から見て、二%程度の失業者、すなわち労働予備人員を有していなければ、新規事業や新しい産業を生み出したとき、労働力下足による支障が起るからであります。すなわち失業者のなかった場合は、新規事業や新産業を運転することが不可能となるからであります。現にイギリスでは、新規事業を興した際、ここに必要な労働者を得られなかった例もあります。それはイギリスには失業者がいなかったからであります。労働対策は、このような見地に立って考えてみるとき、日本の完全雇用は十年という遠い将来ではなく、ここ二、三年の先に解決すると思うのであります。  またこれも直接予算上のことではありませんが、外交問題に関して、特に韓国のわが国に対する不誠意きわまる態度について、社会党委員から悲憤慷慨の意見があり、しかしてこれに対するわが国政府の消極的態度を訪問されたのでありますが、問題はただ悲憤慷慨したからとて解決のできるものではないのであります。血気にはやることも、もとよりその勇気は多とするものでありますが、さらに肝要なものは忍耐であり、また良識を持った理解力こそ必要であります。岸総理が、わが国の将来をになう青年に向って、自主独立の精神に燃え、世界平和の旗手としてと訴えたのも、やたらに血気にはやれという意味ではなく、勇気とともに忍耐力こそ肝要であることを意味していると思うのであります。  三十二年度の予算を通じてそこに流れている岸内閣の性格は、わが国の自主独立と世界平和への熱願であります。私は、今後国際連合の機構を強化し、その権威を高めることによって、世界には戦争という不幸な現象が起らないことを確信し、念願するものであります。しかし、万一世界のどこかにおいて不測の事態から国際的の紛争が起ったとしても、その解決の手段は戦争に訴えることではなく、あくまでも話し合いによるべきであると思います。一日戦争するよりも百日の話し合い、この精神こそ岸総理兼外務大臣が話し合い外交を唱えられたゆえんであると信じ、これを支持するものであります。  以上のように、昭和三十二年度のわが国予算は一千億円減税と一千億円施策、さらに社会保障制度達成への最短距離予算であることに共感し、賛成するものであります。  次に、社会党の態度について少しく言及したいと思います。  議会政治は、政権を握る多数派とその反対派たる少数派とが、平和的に共存する政治制度であるとともに、相携えて政治を行う統治形態でなければならないと思います。従って二大政党存立の意義は、ただ争いと反対にのみ終始するものではなく、互いに意見の歩み寄りが必要であり、特に予算の作成においては、国の経済事情を根本から変革することのないように、共通点を見出すことの良識が必要であります。しかるに社会党においては、われわれの期待していた組みかえ予算案を提出することなく、ただ政府提出の予算案を返上するという態度をとったのでありますが、これは反対せんがための反対であって、無責任もはなはだしいのであります。政府案を返上するなれば、これにまさる具体的な案を提示することこそ責任ある政党のとるべき態度であります。(拍手)特に二大政党対立の場合においては、反対党の掲げる予算案というものはいかなるものであるかを国民は知ろうとするのであります。あるいは社会党では、過日発表した予算大綱案がそれであると言われるでしょう。ただいまも柳田委員からその点の説明があったのであります。従って私はその社会党の案なるものについて以下意見を述べたいと思うのであります。このことこそは二大政党の立場からもきわめて当然であるからであります。  まず社会党案による予算規模は政府案よりわずかに五十億円少いだけであって、一兆一千三百億に対し、わずか五十億程度の増減は実質的にはほとんど同額と言えるのであります。すなわち五十億では〇・三%の差にすぎないのでありますから、これをもって過度の財政膨脹を予防するというような大見得を切られるのは全く当らないことと思うのであります。(拍手)またその内容においても了解に苦しまざるを得ない点が至るところに散見されるのであります。  その第一は、租税印紙収入の見積りでありますが、この社会党案の計算表によれば、所得税三千百二十一億、法人税二千九百二十四億以下諸税の合計が九千八百八十三億六千五百万となっておりますが、試みに私が計算してみましたところ、これは九千八百五十一億となり、三十二億ほど違っておるようであります。これは合計額の間違いかあるいはその内容の誤りか、いずれにしてもどこか間違っておることは明らかであります。この数字は各新聞にも発表されたのでありますから、おそらくミスプリントではなかろうと思いますが、一体どういうことか、全くずさんと申しますか、あまりにも権威のない話と言わざるを得ません。(拍手)三十億からの計算違いでは、予算規模を五十億だけ減らすということ自体が怪しくなってくると思うのであります。(拍手)また一方において給与水準を一律に三千円引き上げ、さらに米価を千五百円上げておられますから当然そのはね返りとして歳入が増加するのであります。従ってこれは明らかに矛盾であることを指摘したいのであります。  おそらく、実際の税収は政府の見積りも内輪であって、さらに相当の自然増収のあることは、よほどの景気変動がない限りまず常識となっておりますが、社会党の見積りは全く現実に反するものと言わなければなりません。その歳入の見積りは、租税改革案並びにたばこの売上計画によって試算してみますと、七百億円の歳入見積り超過となっております。すなわち租税及び印紙収入の見積りにおいて六百五十億円、専売納付金見積りにおいて六十億円の見積り超過額があると認められるのであります。  さらに歳出の面においても約百二十億の計算上の誤まりがあるように思われます。それば失業対策費の計算において約三十億円、防衛庁費を大幅に削減しておきながら、物件費、旅費、施設費の一五%を節減する趣旨において、一度削減した防衛庁費を再び一五%削減するという二重計算分が九十億円、合計百二十億円であります。  要するに社会党は一見収支の均衡を維持し、わずか五十億ではあるが財政規模を政府原案より圧縮して、表面いかにもインフレ防止に熱意を持っているように見せかけているものの、実は八百億円の赤字予算を提案されたものとしか考えられないのであって、これこそインフレ予算と言うべきであります。  次に、社会党案の唯一のみそとも言うべきものは、防衛費を削っておる点でありますが、自衛隊員を十二万五千人に減らし、残り十万を国土総合開発事業に吸収するとあり、その経費は全部で三百五十億となっておりますが、その内容が全く不明であります。国土総合開発事業に吸収すると言われておるが、それに対する予算措置は何らとられておらず、一体どうするというお考えであるのか。もしこの十万人を整理するとしても、四月から首を切るわけには参りません。少くとも半年は余裕を見なければならないから、半年分の経費は当然計上しなければなりません。また解職する場合には退職金を用意しなければならないのに、これに対しても何らの配意がなされていないのであります。自衛隊員一人当りの経費は、空で六十三万円、海で五十七万円、陸で二十九万円となっておりますが、かりに海と空を全部やめ、さらに陸上の装備もやめて、被服と給与だけにしても一人当り最小限度二十万円は必要でありますから、十二万五千人としては二百五十億円必要となります。加えて残り十万人に対して半年分の経費を要するのでありますから、この分が百億、合計三百五十億となるのであります。すなわち三百五十億では動かない自衛隊を維持することすら不可能となるのであります。ことに社会党案によれば、この三百五十億のうち二百億は前年度の繰越金を充てるということになっていますが、この繰越金の中に百四十億は契約済み分であるから、実質的に使える金は六十億しかないことになるのであります。また契約分をかりに社会党内閣ができたとして、これを解除するとすれば、当然政府は通約金を払うか、損害賠償をしなければならないことになるのであって、いずれにしても全く実行不可能と言わざるを得ないのであります。  さらに防衛分担金四百億円は全部削除されておるが、これは全く無謀と言うべきであります。安保条約が現存する限り、社会党内閣といえども条約上の義務を履行しないわけにはいかないはずであります。社会党の諸君は、口を開けば安保条約の廃止を主張されるが、この条約の第四条をよく読んでいただきたいのであります。すなわち日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の第四条には、日本政府の一方的意思だけでは条約の廃棄はできないことになっており、かりにまた廃止したとすれば、国際連合による平和と安全の保障が得られないことになり、いわゆる真空状態を現出して重大な問題となることは明らかであって、防衛分担金の全廃などということは、砂上の楼閣にすぎないと思うのであります。  社会党がいかに非現実的であるかという点は枚挙にいとまありませんが、たとえば公営住宅の建設戸数を、政府原案の四万六千戸から一挙に三倍して十四万戸を建設することとしながら、その予算措置においては利子補給九億を含めて、わずかに二十一億の増額計上にとどめておられるのは、いかなる手品によって実現しようとするものであるか、拝見したいものであります。(拍手)わが党も住宅建設については、鳩山内閣以来きわめて熱心に努力してきましたが、残念ながら幾多の財政需要がありますから、なかなか戸数を急増することが困難でありますが、一つ社会党のからくりを教えていただきたいのであります。察するにそのからくりとは、家賃を上げるということになるのではないかと思うのでございますが、それでは何のための公営住宅であるかと言わざるを得ません。  卓観して、社会党案は防衛庁費を大きく削り、これを歳出にばらまくということになっておりますが、それは国民経済全体との関連を全く無視するものであります。すなわち、公務員の給料を二千円上げて、百億円余りを増額し、米価を千五百円上げて、三百十億円をふやすということは、確かに公務員や農民には福音ではありましょうが、給料が上り、米価が上れば、それだけ消費欲を刺激することとなり、消費者物価を引き上げることになりまして、工場労務者その他国民も自然多くの所得を求むることになるわけで、従って生産財物価は上ってせっかく三年間にわたって引き締め財政策により、わが国の国際競争力を培養し来たった国民の耐乏は、一瞬にして水泡に帰することになるのであります。社会党が日本経済の健全なる発達に対してきわめて冷淡であるやに見受けられることは、まことは遺憾千万であります。  また、この案はきわめて財政的に不健全であり、もっぱら財政負担をわれわれの子孫に残すことによって、当面のことに終始しているのであります。三十一年度の自然増収を財源として産業投資特別会計に繰り入れる処置は、歳入に余裕あるチャンスに出資のもとを確保しておいて、後年度の財政負担を避けるという趣旨であるにかかわらず、これを削除して利子補給でこれにかえようとされているのは、全く不健全の限りであります。このように自然増収の多い機会に将来に備えることがなぜいけないのか、不可解千万であります。  さらに、資金計画委員会を新設して、資金需要を計画的に配分調節し、財政投融資計画において公募債借入金を三百億円増額予定し、独占商品の値上げを規制し、原材料在庫調査を徹底し、思惑的貯蔵の膨脹を防止し、電力需用の全国的統一をはかるとのことでありますが、これを聞けば、国民は今にも国家総動員でも始まるのではないかと錯覚に陥ることは必然であります。社会党の考えておられる統制思想は、国民の気持とはおよそかけ離れたものと言わねばなりません。  さらに続けて指摘したいことは、政府原案のうち物件費、施設費、旅費の総額千九百十五億の一五%に当る二百八十二億を削減せんとされる案についてであります。社会党案によると、結核対策の充実を予定しながら、結核療養所にある結核患者の薬代や食費を一五%削っており、原爆障害者の医療費も同様。科学技術を振興すると称しつつ、最も基本となるべき国立学校の研究費を軒並み一五%削除しておりますが、全く何のことか、社会党の考えに疑問を持つものであります。(拍手)  さらに重い精神薄弱児にして、目が見えないとか、おしであるという二重障害の精薄児の保護指導の施設や、ろうあの指導更生の訓練のための施設が、やっと三十二年度から新設されようとしているのに、長年の懸案であったこれらの施設がまだできもしないうちから、一五%削ろうとされている。  全くのナンセンスであります。これはおそらく何らかの思い違いではありましょうが、いずれにしても、こうしたほんとうの社会保障政策であるべきものについても一律一五%削減されようとしている点、立ち入ってみればみるほど社会党の方針は了解に苦しむものがあるとともに、その勉強の足らざることに驚かざるを得ないのであります。  以上述べました通り、幾多の矛盾撞着を含んでおり、万が一にも本案が実行されるようなことにでもなれば、社会経済にはかり知れぬショックを与え、社会党に対する非難の声はきゅう然としてちまたに満つることは疑いのないところであります。お粗末と申しては失礼でありますが、しかし、いかにもお粗末の感なきを得ないのであります。この際私は社会党が深く反省されて、政府原案に賛成されんことを希望し、討論を終るものであります。(拍手)

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。昭和三十二年度一般会計予算外二案を一推して採決いたします。  昭和三十二年度一般会計予算、昭和三十二年特別会計予算、昭和三十二年度政府関係機関予算、以上三案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 起立多数。よって、昭和三十二年度一般会計予算、昭和三十二年度特別会計予算、昭和三十二年度政府関係機関予算は、いずれも原案の通り可決いたしました。(拍手)  委員会報告書の作成につきましては、先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。  これにて昭和三十二年度総予算に関する議事は全部終了いたしました。(拍手)  この際一言ごあいさつを申し上げます。  去る二月七日総予算の審査を開始いたしまして以来、終始真摯な論議を展開され、本日ここに審査を終了するに至りましたことは、ひとえに委員諸君の御理解ある御協力によるものでありまして、委員長といたしまして心から感謝の意を表する次第であります。(拍手)連日審査に努力せられました委員諸君の御努力に対し、深く敬意を表し、ごあいさつといたします。(拍手)  次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十八分散会      ————◇—————

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