予算委員会 第16号
- 発言数
- 185 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/03/08
会議録
○山崎委員長 これより会議を開きます。 昭和三十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。質疑を続行いたします、成田知巳君。
○成田委員 私は、きょうまでの予算委員会の論蔵を通しまして、政府の答弁で必ずしも明確になっていない点、こういうものを中心にいたしまして、最後の総括質問をいたしたいと思います。 まず最初に岸総理にお伺いしたいのでありますが、石橋さんが不幸にして病に倒れられたために、その跡を受けて岸内閣ができたのでありますが、その石橋内閣ができるときの国民のこれを迎える感情と岸内閣に対する国民の受け入れ方、これには相当感じにおいて隔たったものがある。これは賢明なる岸さんは、すでにお察しになっていると思うのです。これを簡単に申しますと、石橋内閣のときには一種のいわゆる石橋ブームというものが出たわけなのです。しかしながら岸内閣に対しましては、岸さんも御承知のように、岸ブームというものは出ておりません。また将来出る見込みもないと言っても間違いないと思います。なぜそのような結果になったか。これは石橋さんが病気で倒れられて、その跡を岸さんが受け継がれたという、そういう条件にもよると思いますが、それ以外に国民の岸内閣に対して割り切れない気持を持っている原因があるのである。ということは、岸さんが内閣をとり、政治をおやりになりますと、汁の暗い谷間の政治を再び日本にもたらすのじゃないか、こういう国民が不安感を持っているわけなんです。これはもう疑うことができない事実だと思うのでありますが、ではなぜそういう国民が危惧と不安感を持っているかと申しますと、これは率直に申しまして、岸さんの過去の政治経歴、特に岸さんの官僚主義と権力主義のにおいというものを、あなたから体臭として国民が感じ取っているんじゃないか、このように私は感ずるのでありますが、この点については、もう本会議場あるいは予算委員会でいろいろ論議されまして、岸さんも自分は過去については謙虚に反省する、そして民主主義政治家として日本再建に努力するのだ、こう言われておりますので、多くは聞きたくはありません。ただ問題は民主主義の内容、それをいかに実践するかという点にかかっておると思いますので、一、二点だけお伺いしたいと思います。 本委員会における片山さんの質問に対しまして、――片山さんはこういう質問をされた、あなたは憲法改正をお考えのようであるが、憲法のどの条項を改正されようとしておるのか、一つでもいいから最重要点を述べてもらいたい、こういう質問に対して、あなたは憲法調査会の結論を待って考える、こういう御答弁であった。これは議会政治家、政党政治家のとる態度じゃないと思う、やはり官僚政治家の態度であると思うのです。 そこで岸さん個人としては憲法改正の考え方を持っておる、ではどういう考え方かと問えば、それは個人あって、今の自分の立場としては言えない、こうおっしゃるだろうと思う。そこでその点はお尋ねしませんが、あなたは個人としてではなくて公人として、すなわち自由党時代の憲法調査会の会長として、憲法改正に対する試案をまとめてこれを天下に公表されておる。そのおもな点は何かと申しますと、天皇を元首にするということ、これが一つ。内閣総理大臣は国会が指名して、天皇がこれを任命するということ、これが一つ。それから地方自治体の長の選挙は公選制を廃止する。こういう二、三非常に重要な点があるのでありますが、天皇を元首にして、国会から選ばれたところの内閣総理大臣を天皇の任命制にするというのは、主権在民の根本精神に反すると思うのでありますが、このような憲法改正論を岸さんは今もって正しいとお考えになっているかどうか、これをまず承わりたい。
○岸国務大臣 憲法改正の問題につきましては、かつて自由党あるいは民主党、自民党等におきましても、それぞれ研究の機構を設けまして、研究して参っております。私が自由党の憲法調査会長をいたしておりまして、当時大体の最後の結論は私が自由党を除名されましたために、形式的には最後の結論は私の手ではできておりませんけれども、調査会の審議の結果、大体今成田君の言われたような方向における結論を当時の自由党の調査会が得ておったこと、そしてその会長を私がいたしておったこと、これは事実でございます。しかし憲法の問題は、あらゆる観点から、あらゆる方面の議論を十分尽さなければならない問題でありまして、またそれに対するいろいろな批判なり、あるいは一般の国民世論というものも謙虚に受け入れて、そうして自主的憲法を作ろうというのが、実は私自身の本来の念願でございまして、当時の私どもが研究をしました結論というものに、私自身がいつまでもその議論に強く拘泥しておるわけでもございません。私はしかし当時の元首という問題も――言葉だけは今象徴となっておりますが、元首とするという何につきましても、別に天皇の政治的な権能を拡大するという考えではございませんで、ただ国を代表するいろいろな国際的な関係七の他から見て、どこの国においても――いわゆる民主主義の国においても、大統領その他の名において元首として扱っておるところはたくさんあるのでありまして、必ずしも民主主義の何とは相反するものではない。むしろ国民感情からいうと、国を代表する元首という言葉がぴったりくるんじゃないかというのが、当時の調査会の意向であったのであります、しかし今申し上げたようにこの問題はきわめて重大な問題であり、国民としても、この憲法施行後十年、国際情勢も変ってきておりますし、国内においても当時これの制定されたときの事情と非常に違っておりますから、各般の点から考究して、具体的な改正点等についても広く民間有識者の意見を入れて検討しようというのが、憲法調査会法の趣旨である。改正の必要があるかないか、及び改正をするとすれば、どういう点をどういうふうにするかということを広くあらゆる階層、あらゆる意見を取り入れて結論を出そうというのが、憲法調査会の本来のねらいでありますから、私は謙虚にその結論を聞いて、具体的には考えていきたいという持論を、片山さんにお答えをしたわけであります。
○成田委員 自由党時代の調査会の結論に必ずしも拘泥するのではない、世論なり調査会の結論を聞いて善処したい、こういうお考えなのですが、これは当然のことだろうと思います。ただ、拘泥するものではないと言われますが、洋さんが公人として自由党の憲法調査会の会長としてお出しになった結論は、今でも正しいとお考えになっておりますか。すなわち天皇を元首にすること、あるいは総理大臣は国会が指名して天皇がこれを任命する、こういうような考え方、あるいは地方自治体の長の公選制を廃止する、こういう考え方は正しいとお考えになっておりますか。
○岸国務大臣 今申し上げたように、元首という問題は、当時の私どもの研究の結果から申しましても、この考え方は、私はそう間違った考え方ではないと思います。私の考えによれば、それは今申し上げましたように、天皇の政治的な権力とか、あるいは政治に関与する力を加えようというわけではございませんから、そう思っております。 それから地方の公共団体の長の公選制がいいか官選がいいかという問題につきましては、当時もこれも相当な議論があって、そういう結論が出たのでありますが、私はせんだってもここでお答えしたかと思いますが、過去のこの公選制の実績を見ますると、必ずしも私どもが期待しているような公選制によって十分な効果をあげておる面ばかりでもないと思います。うまくいっておるところもありますし、またまだこれにはなれないといいますか、日本の実情に合わないというか、望ましくないところもありまして、これはその後の事情も見て、相当に検討をしなくてはならない問題だと私は思っております。
○成田委員 もう一度お尋ねしたいのですが、総理大臣を国会が指名し、天皇が任命する。元首という言葉の問題じゃなしに、天皇が任命するという問題、公選制を廃止する、こういう結論を正しいとお考えになっておりますかどうか、これを承わりたい。
○岸国務大臣 これは現在の規定におきましても、国会で指名された総理大臣を天皇が任命する、私がもらった辞令も、天皇の名で総理大臣に任命するという、他の認証官のものとは違った形式が今日でもとられております。この点は私は従来の現行憲法と違わないと思うのです。 公選制の問題については、当時これも相当の議論がございまして、私どものほんとうのなにを言うと、どちらとも決しかねる。公選制のいいところもあるし、日本には合わないところもあるし、そうかといって今すぐ公選制を廃止することが適当であるかどうか、これは地方制度全体の道州制やなんかの問題と関連して考えてみたいと思っております。しかし少くとも公選制をそのまま是認するという考え方じゃなしに、検討してみる必要があるということだけは、私も考えてもいいと思っております。
○成田委員 次にお尋ねしたいのは、最近問題になりました在外資産の補償問題に関連いたしまして、最近旧地主の人が、失地回復の意味と申しますか、解放農地に対する政府の土地補償の問題が出ていることは御承知だと思います。この問題は、在外資産の補償と性格を異にするものだと私は考えております。従って、当然合法的に行われました農地の解放、これに対する土地補償を要求する地主連盟の動きというものは是認できないと思うのでありますが、総理の御見解を承わりたい。
○岸国務大臣 これは、御承知の通り、今の農地解放に関する法律で正当にやられたものであります。ただ、その当時の補償価格等について、いろいろ旧地主の間に不満があることは御承知の通りであります。また、その後における農地の移動等に関して、いろいろそこに公正を欠くという議論があることも事実でありますが、しかし、この問題は、政府が当然正当に法律でやった問題でありまして、政府としてこれに対して補償をするという義務は、私はないものだと考えております。
○成田委員 総理は、補償する義務はない、こう言われましたが、それでは、補償という形をとらないで、何らかの形で給付金その他でおやりになる、こういうようなお考えをお持ちなんですか。
○岸国務大臣 この問題につきましては、いろいろ政党内におきましても研究をいたしている点があります。しかし、今私どもは、これに対してはっきりしている答えは、補償の義務はないということでありますが、さらに、補償の義務を負わないけれども、何らかの形でこれに処置をするかどうかという問題に関しましては、私は今これに対して措置をするという考えは持っておりません。が、この問題は、さっきも申しましたように、いろいろ旧地主の間その他において議論のあることであり、いろいろな問題を含んでおりますので、それらの意見に基いて研究していることは、党におきまして、私もかつて党に関係している当時からありますけれども、私自身としてこれに対して何らかの措置をする意思があるか、こういうお尋ねに対しましては、そういう意志は現在のところ持っておりません。
○成田委員 問題を明確にしておきたいと思うのですが、もちろん、旧地主で生活に困っていらっしゃる方、これについては、国家が社会保障その他の手で援護するということは当然だと思うのです。しかし、総理の今の御答弁が非常にあいまいなのですが、補償金額その他について不満がある、こう言われているのですが、それは不満はお持ちかもしれません。しかし、この補償金額が適正な補償であったということは、最高裁判明の判決にも出ているのです。従って、この問題について将来給付金だとかそういう問題を考える余地はないと思う、この点については井出農林大臣も農林水産委員会で明確に御答弁になったと思いますが、井出農林大臣の御見解をもり一度ここで明かにしておいていただきたいと思います。
○井出国務大臣 お答えいたします。ただいま御指摘のごとく、私、農林水産委員会におきまして同様のお尋ねがございましたので、その際お答えをしましたことは、農地改革の方向というもうは、日本の農村民主化のため、また農業生産力増進のため、これは法によってなされた適正なる措置である、かように考えまするがゆえに、その補償価額は適正であり、かつまた、昭和二十八年十二月最高裁の判決もそのようになされたということを申した次第でございます。
○成田委員 そこで、総理にもう一度念を押しておきたいのですが、在外資産の問題につきましても、これは調査会の結論も補償という言葉は使っておりません、給付という形なんです。しかし、その海外におられた方は全く援護措置は受けなかった。これに対する給付措置がとられた。農地補償の問題については法律による適正な補償が行われているのです。従って、今後給付金とか何らかの形で補償的なものをお出しになる必要は全然ないと考えます。生活に困っていらっしゃる方に対しては社会保障その他で援護をすべきである、こういう結論におのずからなると思うのでありますが、明確にしていただきたいと思うのです。
○岸国務大臣 先ほども申し上げしまたように、私は、国家が補償する義務はないし、また今日のところこれに対して特別の給付をする意志は持っておらないということを申し上げたので、御了承願いたいと思います。
○成田委員 それから、自由民主党内部でこれに関する特別の調査会を作ろうという動きがあるそうであります。岸さんは近く自民党総裁の予約済みなんでして、赤札つきでありますから、総裁としてもお考えを願いたいと思いますが、井出農林大臣は、その問題について、そういう調査会の動きに対しては自分は賛成できない、これはやめてもらいたい、こういう考え方を持っておるということを農林水産委員会で表明されたはずなんですが、これについて岸さんはどのようにお考えになりますか。
○岸国務大臣 今成田君のお話しのように、旧地主のうちには農地解放によってずいぶん社会的変革を受けて生活その他についてもいろいろ困っている事情もあることも事実であります。いわゆる広い意味における社会保障制度等によってこれらの者の安定を考えなければならぬことは、これは政治の何として当然だと思います。そういうような問題をあわせて党が研究するということであれば、政党としてはやはりそういう一つの社会問題が起っている以上は考えるべきが当然である。しかし、農地の補償とか、これが不適正であったからどうだというふうな考えに立ってこれに補償を与えるというような考え方は、私としては持っておりません。
○成田委員 この問題に関連して井出さんにお尋ねしたいのでありますが、地主連盟の力で全国的に集団的な小作地の土地取り上げの運動が行われておる、これは相当な件数になっておると思うのでありますが、おもだった件、その件数、政府の取扱いの状況、これを簡単に御報告願いたいと思います。
○井出国務大臣 お答えいたします。農地改革そのものに反対する地主団体の動きは、当初大分県などに発生をいたしました。当時の社会事情からしまして、公然たる活動にはなっていなかったようでございます。その後、講和ができまして以来、昭和二十七年ごろから組織的な活動が表面化して参りまして、二十八年末からは全国各地の地主団体の連絡が行われるようになりました、二十八年十一月には、全国農政連盟、こういう団体が主体になりまして、全国地主団体連絡協議会が開催せられまして、農地法の改廃、あるいは追加払い、こういうものが目標に相なったようでございます。その直後に、先ほど申し上げました最高裁の判決があって、団体の運動も一時難局に立ったという感じがいたすのでありますが、その後さらに全国の地主団体の維持強化、その統一が課題となりまして、昭和二十九年の十二月に至りまして、全国解放農地国家補償連合会というものが設立せられて、昭和三十年の十二月には相当大規模な全国大会が持たれるに至ったのであります。その後、この全国連合会の内部に、あるいは分裂とかいうようないろいろな問題もあったのでございますが、過酷にして不当なる価額の是正ということを目標にいたしまして、今日に及んでおるわけであります。一方、土地取り上げという問題は、香川県下などを中心にして相当活発に行われておるわけでありますが、なお詳細にということでございますならば、数字も申し上げます。
○成田委員 集団的な土地取り上げは大体私は農地法の精神に反すると考えるのですが、農林大臣の御意見を承わりたいと思います。 それから、地主団体の動きといたしまして、小作権を民法上の賃貸借契約に直すということによって小作権を弱くするという動きがあると思う。このことばむしろ逆なのでありまして、小作権は強化し、これを物権化し、その利用権の強化ということを考えるべきだと思うのでありますが、これについての農林大臣の御意見を承わりたい。
○井出国務大臣 もとより耕作権というものにウエートを置いて考えるのが近代的な考え方でございまして、各地に起っております土地取り上げの問題は、個々に検討いたしますとその事情に若干の相違があるかもしれませんが、概括的に申しますならば、好ましからざる事態であるというふうに理解をいたしております。
○成田委員 通産大臣に一つお尋ねしておきたい。通産省ではいわゆる防衛産業の維持管理という意味から、弾薬だとか砲弾の系列化をやるために、こういう産業を保持するような法案といたしまして、防衛産業臨時措置法というものをお出しになる予定だと聞いておりますが、その後の動きはどうなっておりますか。
○水田国務大臣 砲弾工場などを維持する必要がございますので、その維持の措置は今度の予算に盛られておりますが、これを法律による必要があるかどうかという問題になりますと、法律にしなくても臨時の措置としてそういう意味の手段がとれるというような結論に大体なっておりますので、そういう立法をする考えは現在のところ持っておりません。
○成田委員 法律によらなくても、予算は出せる、これはもちろんでしょう。しかし、もともと、通産省のお考え方といたしましては、法律を出しましてその維持に必要な金を予算に計上する、こういう作業をお進めになったはずなんです。通産省の原案によりましても、経費の負担といたしまして、「国は毎会計年度予算の範囲内において、第五条第一項の規定による指示に係る特定施設の占有者が、前条の規定によってする特定施設の維持に要する経費を負担するものとする」ということで、法律によってこの維持費を出そうというお考えであった。ところが、防衛六カ年計画の関係でこの法律は出せなくなった。そこで、七千万円に上るところの経費だけは予算に計上した。これは私は予算の出し方としてはおかしいと思うのですね。もともとそういう補助金を出すのは法律補助と予算補助があると思いますが、通産古自体が法律によってその補助金を出そうと思っていたのが、それが他の関係で出せなくなった、それを予算補助としてお出しになることは、やはり補助金の出し方としては間違っておるのではないか。特に一般の補助ではないのです。防衛産業に対して国民の税金を補助金で出すということについては、国民の間にも相当な異論がある、こういうものは当然法律によって規定して、国会の議決を経て補助金を出すのが正当だと思うのでありますが、いかがでありますか。
○水田国務大臣 御承知のように、国防会議というものができましたが、まだ日本の国防についてのほんとうの計画を現在立てていないという状態でございますので、この計画によって今の遊休の工場が一定数常時必要な生産力になるという場合でしたらこういう補助金は要りませんが、そうでないとすれば、現在仕事が少いからといってこの工場をつぶしてしまったら、将来の計画上どうにもならぬ。従って、現実には維持手段だけは最小限とっておく必要があるという必要に迫られて、その予算は一応私どもは考えておりますが、今申しましたように、ほんとうの国防計画というものができていないのですから、これを維持するような恒久的な立法はむしろ不適当だ、それまでの間法律によらない措置をするのが適当であろうというふうに現在考えております。当初は、あなたのおっしゃられたように、やはり立法によってすべきだろうという考えを私どもは一応持ってはおりましたが、検討の結果、現在そういう考えになっております。
○成田委員 総理に補助金の問題でお尋ねしたいと思うのでありますが、補助金支出については国民の間にも相当な問題があるわけです。従って、現在の補助金整理に関する法律もあるわけですが、現在の補助金を整理すると同時に、それよりも前に、新しい補助金がむやみに出されることを防止する必要があると思う。従って、補助金につきましては、補助金支給の基準というものを法律で大綱を明確にすることが当然だと思うのでありますが、総理大臣の御見解はいかがでありましょうか。
○岸国務大臣 補助金につきましては、ずいぶんいろいろな点から論議がありまして、御承知の通り、補助金等を整理する委員会もできまして、これに関する法制も一応立てられておるのであります。将来補助金を交付することについて基準の法律を作る必要があるのじゃないかというお考えでありますが、私は、やはり、補助金については何か基準といいますか、よるべき法規があることは望ましいと思いますが、しかし、今すぐそういう法律を作ることにつきましては、十分各般の事情を検討していかなければならぬと思いますから、すぐこれを作るのだというわけにはいきませんが、そういう法律ができることは私は望ましいと思う。
○成田委員 そういう法律ができることは望ましいし、また作る御意思がある、――今直ちにというわけにはいきませんが、作る御意思がある、こう了承してよろしゅうございましょうね。 それから、総理にお尋ねしたいのは、ガリオア資金の返済の問題であります。三十三年度予算中に賠償等特殊債務処理費として三百十五億円計上されておりますが、そのうちには米国の対日援助費の返済資金の一部が計上されておるかどうか。
○岸国務大臣 それは含まれておらないはずです。
○成田委員 これは、今まで数年来、賠償費に充てるために、政府としてはこのガリオア資金というものを日本の債務と心得る、こういう形で計上されて参りましたが、今回計上されなかった理由というものはどこにございますか。
○池田国務大臣 ガリオア資金の返済問題につきましては、多年米国と折衝いたしておるのでありますが、まだ額もきまりませんので、今回の予算には計上しておりません。
○成田委員 今の蔵相の御答弁のように多年政府とアメリカとの間に折衝があったわけでありますが、最近アメリカの方からこのガリオア資金の返済に対する申し入れがあったということも聞いておるのでありますが、事実であるかどうか。
○池田国務大臣 ずっと以前からいろいろ話をいたしておったのであります。昭和二十九年ごろから随時話があったと聞いております。しこうして、いろいろな未確定要素が今までございましたので、それを検討しておるような状態でございまして、最近急にどうこうというようなことはございしません。常にガリオアについての解決を向うさんが急いでおられることは承知しておるのであります。
○成田委員 アメリカの要求額というものは十九億ドルだ、こういうことも伝え聞いておるわけであります。この額の問題につきましては、今蔵相が言われましたように、額そのものについての検討がまだ十分にできていないということでありますが、経過を考えますと、昭和二十四年四月に対日援助見返資金特別会計が設定された。その前は貿易特別会計で、ガリオアもイロアも、それから一般物資の輸入も、あるいは純然たる贈与も、全部込みになっておった。その貿易関係を総司令部が管理しておった、そういうことで、昭和二十四年以前の問題については、アメリカの対日援助費が幾らあったかわからないはずです。これをアメリカはアメリカなりに算定いたしまして十九億ドルという数字を出しておると思うのでありますが、ほんとうに援助費として勘定がはっきり出てくるのは昭和二十四年四月の対日援助見返資金特別会計ができたあとだと思いますが、蔵相はいかがでありますか。
○池田国務大臣 お話の十九億何千万ドルという数字につきましても、あるいは二十億ドルとか二十一億ドルとかいう考え方もあるのでございます。従いまして、われわれは、二十億ドル前後の援助資金が日本に来たということは認めざるを得ないと思います。ただ、昭和二十四年の対日援助見返資金ができます前は、アメリカの援助物資というものが日本円に変りまして、その援助物資に相当する日本円というものは、輸入補給金あるいは輸出補助金その他日本政府の関与せざるところにおいて使われたお金であります。従いまして、ただいまはっきり円として残っておるのは、お話の通り対日援助見返資金として皆様方の御審議を得た金が援助費として実質的には残っております。しかし、十二、三億というものは二十年八月から二十四月四月までのまのいわゆる輸入補給金、輸出補助金その他いろいろな点で使われてしまったことは事実でございます。
○成田委員 そうしますと、これも返済するかどうかということは別といたしまして、数字がはっきりしておるのは、見返資金特別会計ができたあとだ、こういうことになると思うのであります。それをどれだけ返済するかという問題につきましても、済返の仕方なのですが、従来賠償等の費用に百億とか五十億とか積み立ててこられたのですが、今度はまだ金額が決定していないから積み立ててなかった。しかし、政府の従来の方針から言ったら、やはり一般会計からこの返済費というものは充当する、こういうことになると思うのです。ところが、この資金の使われたのは、大体公債費の償還もありましょう、しかし、公企業、特に私企業の大企業に対してこの金が回されている、こういうことになりすまと、――援助物資というものはただでもらったわけじゃないのです。適正な価格を払って買ったわけなんです。しかもこの返済について一般会計、税金から支払われるということになりましたならば、国民としては二重払いになる、こういう結果になると思うのであります。むしろ融資を受けました大企業がこの支払いに当るべきだと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
○池田国務大臣 お話の通りに、援助物資は、それが小麦であろうと石炭であろうと重油でありましょうとも、国民としてはその代価を払っておるのであります。従いまして、昭和二十四年までの輸入補給金とか輸出補助金に使われたものはございませんが、二十五年以後におきます援助資金は、ただいまお話しの通り復金債の償還に充てたものもございます。また、対日援助見返り資金特別会計から開発銀行に出しましたお金も二千億ばかりあるの、であります。また、貿易特別会計におきまして、援助物資の売り残りの分を換価いたしましたお金も数百億円、これは外為資金特別会計のうちに入っておるのであります。従いまして、今後ガリオア資金の返済に当りましてどういう方法をとるかという場合において、幸いにして今までガリオア資金の二千数百億円の蓄積がございますので、一般会計から直ちに出すか、あるいはそういう資金を目当てに取るかということは、私は相当考えなければならぬ問題だと思うのであります。
○成田委員 そこで、大蔵大臣に予算の問題についてお尋ねしたいと思うのでありますが、今度の予算案というものを、政府は、一千億減税、一千億施策、こういって自画自賛しておられるのであります。これを額面通り受け取りましても、こういう一千億施策、一千億減税というものは、政府の施策がよかったからできたわけでもないのです。ましてや池田さんの個人的な手腕ではないと思います。これは海外の好景気を二年続きの豊作、これがいわゆる一千億施策、一千億減税を可能ならしめたと思うのであります。しかもそういういい条件にありながら作られた今度の予算、その一千億施策、一千億減税というものが、一体だれのための施策であり、だれのための減税かということについては、私たちは相当問題を持っておるわけでありますが、その前にまず蔵相に、財政規模と収支均衡の問題についてお尋ねしたいと思うのであります。蔵相は、今度の予算案は収支均衡を保っておる、かつ国民所得に対する財政の比率が去年以下になった、経済規模が拡大したのだから、絶対額において予算規模が拡大しても、国民所得に対して去年以下であれば、これは何といっても健全財政だ、こういうような御答弁を繰り返していらっしゃるのですが、まず均衡予算であるかどうかという問題なのです。御承知のように今問題になっております食管の赤字、これは昭和三十年度で三十四億、三十一年度で百六十一億、三十二年度で百四十二億が見込まれておる。私たち社会党といたしましては、少くとも三十年度、三十一年度の赤字は、今回の補正でこれを上段会計から補てんすべきである。こういう当然の主張をして参っておるのですが、政府としてはおやりになろうとしない。そういたしますと、この三つを合わして三百三十七億の赤字がそのままになっておる。こう考えますと、一般会計は確かに収支均衡を得ておるかもしれませんが、一般会計、特別会計を入れましたところの予算としましては、収支均衡予算とは言えないと思うのであますが、いかがですか。
○池田国務大臣 一般会計の収支均衡ということは、成田さんもお認め下さったようでざいます。各特別会計につきまして、全体として見た場合におきましては、産業投資特別会計におきまして三百億円を繰り入れております関係上、しかも半分はあとに残しております関係上、全体から申しますと、私は収支均衡だと言い得ると思うのであります。
○成田委員 産業特別会計の問題につきましては、これはきのうも補正予算の提案理由の説明のときに申し上げたのでありますが、これが財政法上非常に問題になることは当然なのです。従って、産投特別会計の問題は抜きにいたしまして、三百三十七億というような赤字を残した予算をお組みになったとすれば、それだけにおいては均衡予算のあり方をくずしておる、こう言われてもいたし方ないと思うのであります。産投特別会計にお入れにならないで――この問題についてはまた後ほど論議したいと思いますが、この赤字を残した予算を組んでおるということにおいては、正しい意味での均衡予算ではないと言い得ると思うのでありますが、いかがでありますか。
○池田国務大臣 各特別会計全体をひっくるめて申しますと、大体において均衡がとれておるのであります。百六十一億円の問題につきましては、私は将来においてこれを埋めていく。事業会計の借入金でございますから……。そうして他の会計におきまして蓄積を持っておれば、全体としての特別会計の均衡はとれておると考えておるのであります。
○成田委員 そこで、この赤字の問題について二、三日来質疑応答が繰り返されておるのですが、政府の答弁必ずしも明らかじゃない。統一されてない。そこで最後に一点だけ、この問題についてお尋ねをしたいと思います。井出さんも池田さんも三十一年度三月三十一日現在において在庫量の評価をやる。その際には不確定要素があるから、その結果によって評価が変ってくる、従って百六十一億の赤字についても数字の変動がある、こういうことを言われておるのでありますが、不確定要素というのは一体何でございますか、具体的にお答え願いたい。
○井出国務大臣 お答えいたします。これは先般来お答えを申し上げておりますように、昭和三十一年度はまだ年度が締め切られておりません。三月三十一日までに食管会計の中に、あるいは配給の数量の問題等もございましょう。あるいは、その他諸経費というふうなものもいまだ最後の結論が出ておりません。そういう変動の要素というものがあろうかというふうに考えております。
○成田委員 配給数量の問題と言われますが、配給数量をお変えになる、こういう前提なんですか。それから、諸経費と言われますが、もちろん諸経費で、ある程度増減があると思いますが、諸経費というものは一般的に定まったものですよ。これがそう大幅に動くことはないと思う。従って百六十一億の赤字見込みというものは、あなたの言われた不確定要素であるならば、そう大幅な増減があるとは思われない。
○井出国務大臣 配給と申し上げましたのは、御承知のように、ただいま基本配給と希望配給とこういう二本建になっておりますので、これはやはり決算を待ちませんと、その間の動きは予想がつかないということで、不確定要素に相なるかと考えております。
○成田委員 不確定要素というのは――今まで不確定要素でお逃げになっていたのですが、結局、基本配給と希望配給の関係、あるいは諸経費の関係というものは、これは大体の数字はきまって動かないものであって、大きな出入りはない。にもかかわらず、不確定要素があるから百六十一億の赤字については今のところ、どうこうできない、こういうことを言っておられることは全く根拠にならないと思う。しかもそれを逃げる一つの理由として、今まで井出さんは、三十一年度の赤字については特別調査会の答申というものは関係ない、こういうような御答弁を農林水産委員会でやっていられた。ところが池田さんが三十一年度の赤字決定についても調査会の結論を参考にする、こういう御発言があって、いつの間にやら池田さんに同調されているような結果になっているのですが、この三十一年度の百六十一億の赤字、これに対する調査会の結論というものは影響するのかどうか、調査会の結論が不確定要素の一つとしてあるのかどうか、今までの答弁では数量、諸経費で、調査会の結論なんというものは、不確定要素じゃないらしいですが、これはいかがですか。
○井出国務大臣 その点は本委員会において統一的に御答弁を申し上げた次第でございまして、横路議員の御質問にお答えをした通りとお考え願いたいと思います。
○成田委員 私はもう一度言っていただきたいのです。劈頭に申しましたように、私たち聞いておりまして、政府側の答弁は統一がとれてないのです。そこで最後の質問として、この点をはっきりさしていただきたいと思います。調査会の結論が三十一年度の赤出の算定上不確定要素になるのかどうか、参考にすると言われておりますが、不確定要素になるのかどうか、ここを明確にしていただきたい。
○井出国務大臣 その際も申し上げたのでありますが、調査会が出されます結論いかんによりましては、やはり不確定要素として評価の問題に響いてくる場合があり得る、こういうふうに考えます。
○成田委員 調査会の結論いかんによっては、不確定要素として評価の問題に影響してくる、こう言われた。評価の問題に影響するということは、調査会で消費者米価の値上げをやる、こういう結論が出た場合に、これを不確定要素とする。値上げが決定したから在庫量の評価に影響する、こういうように解釈してよろしゅうございますか。
○井出国務大臣 評価の方法は、いわゆる修正売価主義、こういう原則に基いております関係上響いて参る、このように申し上げた次第であります。
○成田委員 そういたしますと、調査会が値上げの結論を出せば、これを参考にして値上げをやる、こういうように結論はなると思いますが、その通り解釈してよろしゅうございますか。
○井出国務大臣 もちろん調査会においてその答申が出ました場合は、政府としてそれを十分に参考にいたしましてきめる、こういうことに相なっております。
○成田委員 参考にしてきめると言われましたが、これが一つの不確定要素なのです。その影響があるということは、参考にしておきめになった結果、その結論として消費者米価の値上げ、こういう結論が出る、その結果在庫量の評価に影響がある。このように解釈していいわけですね。すなわち、簡単に言えば、結論いかんによっては消費者米価の値上げはあり得る、こう考えてよろしいわけですね。
○井出国務大臣 臨時食糧管理調査会におきましていかなる結論を出されますかは、まだ今日予測できないところでありますけれども、その結論が出てそれを政府においていかに受けるか、こういうことに相なるでございましょう。そういう場合においては、響いてくる場合もあるし、あるいはその調査会の結論いかんによっては――まだその結論が出ないのでありますから、響いてくる場合もあるだろうし、しからざる場合もあるだろう、こういうことであります。
○成田委員 結論の結果が響いてくるということは、結局消費者米価に影響があるわけなのですね。それによって百六十一億の赤字に影響がある、こうなるわけですね。
○井出国務大臣 その結論いかんによりまして、これがどういうふうに響いて参るかということはいまだ未確定でありまして、先ほど来申し上げますように、これが消費者米価に響く場合もあるでありましょうし、あるいはその結論の出し方によっては響いて参らない、その点がやはり不確定な要素である、こういうことであります。
○成田委員 あなたの答弁に対して委員長自身が今首をかしげておりましたよ。響く場合もあるということはお認めですね。すなわち結論が消費者米価の値上げという方向にいきまして、消費者米価に響く場合があるということはお認めになりますね。
○井出国務大臣 響く場合もあり得るのでありましょうし、それからしからざる場合もあるということであります。
○成田委員 今井出農林大臣は、響かない場合もあるけれども、響く場合もあると言われた。ところが池田大蔵大臣は、この委員会で勝間田議員の質問に対してこう言っておる。「三十一年度の赤字につきましてわれわれは原則としてこれは一般会計から補てんするつもりでございます。消費者価格の上げ下げによって過去の赤字をとやこうとする考え方は持っておりません。」あなたは消費者価格の上げ下げによって響く場合もある。過去の赤字に影響する場合もあると言っておる。池田大蔵大臣は、消費者米価の値上げによって過去の赤字をとやこうする考え方は絶対ないと言っておる。これは一体どちらがほんとうなのです。
○池田国務大臣 おそれ入りますが、もう一度おっしゃっていただきたいと思います。
○成田委員 今井出さんの答弁を聞きますと、調査会の結論いかんによっては消費者米価に響く場合もある。消費者米価の値上げの場合もある。従って三十一年度の赤字について影響する場合がある、こういう結論なんですね。ところが池田さんは勝間田議員の質問に対してこう言っておる。「三十一年度の赤字につきましてわれわれは原則としてこれは一般会計から補てんするつもりでございます。消費者価格の上げ下げによって過去の赤字をとやこうする考え方は持っておりません。」井出さんは消費者価格の上げ下げによって過去の赤字が動くことはあると言っておる。あなたはないと言っておる。これはどちらがほんとうなんです。
○池田国務大臣 もう一度読んでいただいたのでありますが、私の申し上げることは、過去の赤字を一般会計から負担することはきめております。こういう意味でございます。前後をずっとお読み下されば、赤字を一般会計から入れますことは、もうきめております。決心しております。こういう意味であります。
○成田委員 過去の赤字、すなわち昭和三十一年度の赤字なのですよ。(「そうじゃない、三十一年度はまだきまってない」と呼ぶ者あり)三十一年度とここに書いてあるじゃありませんか。油田大蔵大臣が言っておる。三十一年度の赤字についてはとはっきり言っておる。「三十一年度の赤字につきましてわれわれは原則としてこれは一般会計から補てんするつもりでございます。」これは今あなたが答弁された通りなのです。そのあとが問題なのです。そのあとに、「消費者価格の上げ下げによって過去の赤字をとやこうする考え方は持っておりません。」、こう言っておる。井出さんは、消費者価格の上げ下げによって三十一年度の赤字が動くことがあると言っておる。全く相反しておるじゃありませんか。井出さん、どうですか。
○井出国務大臣 お答えいたします。先ほど来申し上げておりまするように、調査会の決定いかんということによっては、修正売価主義をとっておりまする以上、これが響くこともあり得るであろうし、また、その調査会の結論を受け取りまして、そして政府が結論を出す場合どうなるかということは、まだ未確定の問題でございます。従って、赤字を埋めるということと、赤字が数字の上において動くことがあり得るということとは、別個な考え方であろうか、こういうふうに思うわけです。
○成田委員 赤字を埋めるということと数字が動くということとは別個だと言われる。それは、赤字を埋めるという方針はきまっているのですよ。一般会計から補てんするという方針はきまっている。そこで、赤字が動けば、これは一般会計から補てんする金額に影響するのは当然なんです。そんなものは答弁にならないのです。あなたが言っておるのは、調査会の結論いかんによっては影響があると言っておる。従って、消費者米価の値上げということがあり得る、そのために赤字が影響すると言っておる。ところが、池田大蔵大臣は、消費者米価の値上げによっては絶対に赤字をとやこうしようという考え方は持っていないと言っておる。あなたはとやこうする場合があると言っておる。こちらはとやこうする場合は絶対にないと言っておる、全くの意見の対立じゃないですか。
○池田国務大臣 二、三日来あるいは数日来の私の本委員会における答弁全体をお読み下されば、はっきりわかっていただけることでございます。私は、初めから、修正売価主義によりまするから特別調査会の答申によってはあるいは万が一動く場合もあり得ます、こう言っておることはずっと載っているはずでございます。しかうして、今赤字を埋めるか埋めぬかという問題と別に、米価を値上げしょうが、据え置きにしようが、値下げをしようが、赤字というものは一般会計から補てんいたしますと、こう言っておるのであります。前後をずっとお読み下されば、私は農林大臣と意見が違っていないと思っております。
○成田委員 池田大蔵大臣の意見が統一しているというのは、この二、三日やっと統一したのですよ。この委員会が始まって、特に米価問題が起きてからの統一ではないのです。それから、農林大臣と大蔵大臣の統一はないのです。あまり牽強付会な御答弁はなさらない方がいいと思う。これは、国民ひとしく、この百六十一億の赤字は一般会計から補てんすべきである、――良識ある自由民主党の予算委員諸君もみんなそうお考えになっておると思う。これをあえてやらないのです。岸さん、よくお聞き願いたいと思う。こういうことでは――私たちは国会運営の正常化ということで特に議事運営については協力してきたことは、岸さん自身お認めだと思うのです。ところが、国会運営の正常化のためには、政策の面においてもお亙いに批評し合い、正しいと思うことは受け入れるだけの雅量がなければいかぬ。この百六十一億の赤字補てんについて、これほど条理を無視して頑強に抵抗されております自由民主党では、私たちは、国会運営の正常化と申しますが、政策の面で協力できないという感じがする。今度私たちは、本予算に対する組みかえ動議を出しまして、最小限度自由民主党ものめるような、また国民が納得するような組みかえを出そうと思っておりましたが、こういう自由民主党の態度では、私たちは政策的にまっこうから対立せざるを得ない、こういうことを申し上げておく次第であります。 次に大蔵大臣にお尋ねしますが、財政規模の問題であります。大蔵大臣は、この委員会における和田博雄氏の質問に対しまして、こういう答弁をなさっておる。和田さんの意見は、財政規模というものは一般会計だけではない、特別会計も財政投融資も入れて全体としての財政規模を考えるのが当然だ。これはもっともな議論だと思います。これに対して池田さんはこう言っておられる。財政規模というものは一般会計だけで考えるのがほんとうだ、こういう答弁をされまして、財政投融資の関係は一般民間の金融機関と同じなんだ、金融機関が貯金の増大を投資に出す、これと同じなんだ、こういうような意見を述べていらっしゃるのですが、国民が今度の予算に対して心配をしておるのは、一般会計のみならず財政投融資においても規模が非常に拡大しておる、これではインフレを来たすのではないか、こういうことに国民は不安の感情を持っておると思うのであります。財政の規模を一般会計だけで論ずべきであるという池田さんの議論は、これは全くひとりよがりの議論だと思う。ということは、きょうはお見えになっておりませんが、自由民主党の政調副会長で自由民主党切っての第一の財政通だといわれている福田赳夫さんが、私と葉稻秀三さんとの座談会で稻葉さんの質問に対して福田さんはこう言っておる。稻葉さんは一般会計の問題を論じられたのですが、「それは財政の見方の本質論ですが、稻葉さんは、税金といわゆる財政投融資というものを非常に厳格に区別されているようですけれども、私どもはそう区分して考えないのです。これは性格は違うが、経済効果というような点からいえば、全く同一視していいものであるというふうな考え方をしているのですよ。そういう見地から、財政投融資もまた税金による一般会計の支出も一緒に見ているわけです。」、こういうことで、いわゆる一千億施策というものを宣伝していらっしゃる。同じ自民党内で、一方では一般会計だけで財政規模を論ずべきだと言い、一方では、財政投融資も入れて財政規模というものは考えるべきだ、こう言うのです。一体総裁候補の予約済みの岸さんはどちらが正しいと考えられますか。
○岸国務大臣 私も大蔵大臣の答弁をずっと聞いておりましたが、今お話しのような意味においての答弁ではなかったように思うのです。私どもいろいろな財政の一般に与える影響をいろいろな観点から論ずる場合があると思います。従って、ある場合には財政投融資も一般会計と合算して考えるべき場合もありましょうし、それから、普通、予算と国民所得との比率というようなものを広く論ずるような場合におきましては、多くの場合一般会計だけを論じておる場合もあると思います。従って、いろいろな場合における財政上の論議というものは、ある場合には一般会計だけを基準に議論すべきことが適当な場合もありますし、両方合して論ずることが適当な場合もあるのです。それが矛盾しているとか意見が違うというふうに言うことは、私は必ずしも正しくないと思うのであります。
○成田委員 国民所得との関係で財政規模を論ずるときは一般会計でやるのが正しいのではないか、こういうような御意見で池田さんの説を支持されているのですが、これは私おかしいと思うのです。と申しますのは、政府の出しております予算の説明書、毎年出しておりまして、今度もいただいておりますが、ことしの予算の説明には、財政投融資を加えたところの国民所得との比率というものは出していない。ところが、去年までずっと四、五年間、すべて予算説明書というものは、いかに国の財政が国民所得とのつり合いをとっているか、こういう考え方で、国民所得に対する財政投融資を入れた財政の規模という比率を出している。これだから間違いないのだ、これだから健全財政だ、こういう説明をしておる。これは政府の一貫した方針です。もう四、五年全部そうです。ことしに限って、財政投融資のワクをはずして、一般会計と国民所得の比率だけを出している。これは全くの便宜主義だと思うのです。すなわち、従来政府のやったことは正しくない、こういう御判断ですか。だいぶ自民党の間には今までの鳩山内閣その他の閣僚をされていらっしゃる方が多いはずなのですが、従来のやり方というものは、政府の方で私たち国会に出している予算説明書ですよ、この説明書に、財政投融資を入れた国民所得との比率を出して財政規模というものを論じているのです。これは全く間違いであった、このようにお考えになりますか。
○岸国務大臣 今申し上げたように、私は、いろいろなやり方とか、あるいはいろいろな見方というものが、財政規模を論ずる場合に、国民所得との比較にはあると思う。フォームとしてある一つの、また学説として一定な――私自身が財政の非常な研究家ではありませんけれども、私どもの今までの何から言えば、学説としても一定したものがないのです。いろいろな場合に私どもはいろいろな観点から論じておるという何であって、私は一定のフォームはないと考えております。
○成田委員 一定のフォームはないと言われましたが、今までの予算説明書では、財政の規模というものを一般会計と比較し、さらに一般会計プラス財政投融資を入れた規模と国民所得とを比較して、こういう数字だからこういう予算になるのだ、これが妥当だ、こういう説明を、政府から正式に国会に出した説明書でなさっている。財政が伸び悩んでいるときは、財政投融資まで入れて、これだから積極財政だ、心配ないー。ことしのような拡大予算になると財政投融資まで入れるとあまりに膨大になるものですから、財政投融資をはずした数字を出している。これでは一々そのつど主義の説明だと言わざるを得ないのです。なぜ今まで四年間とってきておった方針を変えてお出しになったのか、今までのやり方は間違っておったのか、これを明らかにしてもらいたい。
○池田国務大臣 財政規模を論ずる場合は、私の考えでは、国民所得の関係等から申しますれば、これは一般会計で財政規模を論ずるのが原則だと思います。もともと財政投融資という関係は、御承知の通り三、四年来設けられたものでございますが、一般原則論といたしましては、国民所得との関係は、私は税金をもってやる一般会計で議論するのが原則だと考えております。しこうして、従来は一般会計と国民帆得との分も出しておりますし、財政投融資を加えた分も出しているのであります。しこうして、今回におきましては、私は自分の信念の原則論に返って一般会計のあれをやっております。なぜ私はこれを出さないかと申しますと、税金で上った一般会計の分は国民所得に非常に重要でございますが、あるいは郵便貯金、簡易保険、こういうふうに経済行為に基くもの、郵便貯金がたくさん集まった場合において、簡易保険がうんと加入されて原資ができたときに、これは国民所得の関係でふくらむから使わぬというわけにいかない。これは純然たる民間とマッチした経済行為でございますから、これをワクに入れるということは一般会計のように重要性はない。参考として考えることは考えてもよろしゅうございますが、私はこれが財政の本則だと思っております。
○成田委員 形式的に一般会計と財政投融資をお分けになって議論なさることは、私は間違いだと思う。有機的な一体として考えるべきものです。そこで、政府のやり方というものは、財政が伸び悩んでいるときは、財政投融資まで持ってきて、これだけの財政規模なんだー。今年のように一般会計が膨脹すると、財政投融資というものははずしまして、数字の上での粉飾をやっているにすぎない。こういうことでは私たちは絶対納得ができないわけ そこで、その予算の内容について御質問いたしたいと思いますが、政府は二千億施策、こう言っていらっしゃる。ところが、今の問題にも関連いたしますが、国の一般会計から積極施策の方向に使われた金が一体幾らあるかと考えてみますと、なるほど道路整備費はある程度ふえております。しかし、これはガソリン税の増徴という犠牲が一方にあるわけです。その他、住宅、港湾等のふえ方は大体百億です。社会保障、文教関係、これも福祉国家の名に値いするようなふえ方じゃないと思う、これを数字的に見ますと、歳出の増千百三十八億、減が百十三億ありまして、差引純増千二十五億なんです。この千二十五億の中に、義務的な経費に属するものが五百五十五億です。どうしても出さなければいかぬものです。それから、政策的な経費というものは五百八十四億。この予算をもって千億施策と言うのは、これは少し看板に偽わりあり。せめて五百億施策なら間違いないと思う。これを千億施策と言っている。あとの五百億は、先ほど問題になりました財政投融資の関係でこれを持ってきて、それで千億施策と言っている。財政規模の問題を論ずるときには一般会計だけでやって、それから、施策の問題を論ずるときには財政投融資を持ってくる、全く虫のいい難航論だと思う。 そこで、この一千億施策の内容についてお聞きしたいのでありますが、労働大臣と厚生大臣いらっしゃいますね。 〔「マイクが直るまで待て」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 それでは、一時二十分より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。 午後零時十八分休憩 ――――◇――――― 午後一時四十四分開議
○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。成田知巳君。
○成田委員 労働大臣にお尋ねいたしたいのですが、日本の不完全失業者というのは、一体どれだけと見込んでおられますか。
○松浦国務大臣 潜在失業の見方はいろいろありまして、週三十四時間以内の労働しか与えられない人たちの数は約一千万であります。三千円くらいの収入しかない者が七百万と推定せられております。いずれもこれは推定でふります。転業可能の数字、これは企画庁の方とも相談いたしておりますが、二百二十万から三百万の範囲である、かように見ております。
○成田委員 そのうち生活保護を受けてなくて、いわゆるボーダー・ライン層に属する者、これは大体どれくらいとお見込みになっておりますか。
○松浦国務大臣 ボーダー・ラインと言われますと、今申し上げましたものと、普通の働いている人との間の話でございますか。
○成田委員 生活保護を受けている人は生活困窮者、本来ならば生活保護を受けるべきなんですが、生活保護が受けられない、その対象には入ってない、しかし紙一重の人たちをボーダー・ラインというはずです。
○松浦国務大臣 その数字は今手元に持っておりませんから、あとでお知らせします。
○神田国務大臣 成田委員に私からお答えいたします。ボーダー・ライン層といわれる層は大体九百七十万、こういわれております。
○成田委員 松浦労働大臣、それでけっこうでございますか。
○松浦国務大臣 正確に申し上げることができないものでありますから、潜在失業者という言葉を使っておるのであって、大体今申し上げた数字がわれわれのところで持っておる統計であります。
○成田委員 そこで、今後の予算に関しまして、まず岸生大臣にお尋ねしたいと思いますが、生活保護の対象人員は、昨年は百八十万だったと思います。今年は百五十万になっております。従って三十万減っているわけなんです。ところが一方、これは政府は声を大きくして宣伝しているのですが、保護基準を上げた。東京で五人世帯で現在八千二百三十三円が八千八百五十円に上ってきた、こういっておられるのですが、今言われましたように膨大なボーダー・ライン層がある。そうしますと、保護基準を上げたら、八千八百五十円に該当する層というものは数百万あるはずです。にもかかわらず、生活保護の対象を三十万落したという理由はどこにあるのですか。
○神田国務大臣 生活保護者の数は、これは月によって出たり入ったりしておりまして、ある数は固定しておりますが、ある数は始終動いている数字でございます。そこで、今御指摘になりました三十一年度の数は百七十六万でございますから、百八十万近くあったわけで、これを今度百五十万にした、基準が上ったのにおかしいじゃないかということでございますが、一昨年、昨年からの特に好況に恵まれまして、大体月一%くらいの割合で要保護者が減ってきているのでございます。これは、要保護者が一%ずつ減っているのでありますが、そのほかに、たとえば被保険者の数なんかは、いわゆる日傭労働者と申しましょうか、これがやはり一%ずつふえているような格好なんです。だから、結局景気がずっと下まで浸透して参って要保護者が減ってきた。この率で参りますと、百五十万をもっと下回るような計算になるんです。しかしそれではどうかということで、大体百五十万見当、こういうことで押えたわけでございまして、景気の浸透によって要保護者が減ってきた、こういうふうに御了解願いたいと思います。
○成田委員 要保護者というのは、その保護基準といたしまして、政府が設定されました今度の六・五%の引き上げ、すなわち五人世帯で八千八百五十円ですか、それ以下で生活している人は、原則として要保護者と考えて保護基準をお作りになった。いわゆる膨大な完全失業者、ボーダー・ライン層がある。八千八百五十円に満たない人がたくさんいる。従って景気がよくなっても、こういう不完全就業者がおるとすれば、五人家族で八千八百五十円の保護基準に達しない人は、当然生活保護の対象になるのが筋じゃございませんか。なぜ三十万も減らしたのか、お伺いしたい。
○神田国務大臣 繰り返すようですが、景気が下まで浸透していって、毎月一%くらいずつ漸減して参っております。だから、私どもこれをどこでつかむかという、いろいろ作業したわけでございますが、今のように一%ずつなお景気の侵透によって減っていくならば、もっと少い人員になるのでございます。しかし今お述べになられたような基準の改訂によって、額も上っております。あるいはまた母子加算等によっても上っておりますから、それらかれこれ加えまして百五十万という数字に抑えたわけであります。実際からいうと、御心配の点はよくお尋ねを受けるのでございまするが、実績をとりました数字からいうと、少し余裕がある、こんなふうに考えております。
○成田委員 一%ずつ減っているのは、生活保護の適用を必要以上に厳格にやっているから減るんですよ。保護基準をとげましたら、八千八百五十円以下の生活保護者が、ボーダー・ラインが数百万いるとすれば、全部入らなければいけない。結局実績々々と言われますが、その実績が間違っておるんですよ。そういう点は、厚生大臣はもう少し親心を発揮されまして、保護基準をお上げになったならば、むしろ要生活保護者は増すんだ、こういう予算をお組みになるのが当然なんです。これも池田大蔵大臣に抑えられたのかわかりませんが、この点は厚生大臣の政治力をもう少し御発揮願いたいと思います。 それから労働大臣と経企長官にお尋ねしたいのですが、経済企画庁の経済計画大綱の十ページに主要経済指標といたしまして、総人口と労働力人口と就業者数が書いてありますが、昭和三十一年の実績見込みは、労働力人口四千三百五万人、就業者数は四千二百四十五万人。ということは、完全失業者が六十万ということになる。それから今景気がいい景気がいいと言っておりますが、三十二年度の見通しはどうかと申しますと、労働力人口四千三百九十四万、就業者数四千三百三十四万、完全失業者は三十一年度の見込みと同じように、六十万です。従って三十一年度と三十二年度は、完全失業者の数において変らない、こういう統計をお出しになっていると思いますが、間違いございませんか。
○宇田国務大臣 その通りであります。間違いありません。
○成田委員 そこで労働大臣にお尋ねしたいのですが、今度の予算を見ますと、失業対策といたしまして、失業者吸収人員については、最近雇用失業情勢が好転しておる云々と言って、三十一年度の対象人員に比較して二万三千の減を見ておる。二十四万八千に対して約一割の減を見ておる。経済企画庁の発表では、完全失業者は変らないと言っておる。三十一年度六十万、三十二年度も六十万。にもかかわらず失業対策の対象は二万三千減らすことになっておる。この根拠はどこにあるのですか。
○松浦国務大臣 われわれの方の考え方は、大体経済が好転いたしまして、民間の方面に相当吸収されておりますし、また失業保険の給付を受ける人々の数も、非常に減って参っております。それで、去年の数は大体二十四万八千人であった。この二十四万八千の消化が、三十一年度中に二十三万ないし二十四万の範囲内であると思うんです。そこで現在の予算は二十二万五千人にしたのです。単価は二十円ふやしまして、三百二円にいたしました。そこで金額はふえておりますけれども、今御指摘になりましたように二万三千人が減っておりますが、これは自然の状況としてそういう状況になっておりますから、そういうことにしたのであります。
○成田委員 今は単価とか金額の問題を聞いてるんじゃないです。金額がふえてるとかふえてないということを聞いていない。経済企画庁の発表では、三十一年度の完全失業者は六十万、三十二年度も六十万の完全失業者が出ると言っておる、これは当然です。経済の成長率が去年より減るんですから当然です、むしろこれは少きに過ぎると思う。それでも経済企画庁はやや良心的に六十万と出しておる。完全失業者が減らないのに、なぜ失業対策の対象人員を一割も減らしたか。そこに問題がある。それを聞いてるんですから、その点を御答弁願いたい。
○松浦国務大臣 その問題は、そういうようにお尋ねになるとすっかり言わなければならぬのですが、完全失業者の数は、三十一年の一月から十一月の平均は六十五万人であります。前年の同期は七十万であります。比較して五万人の減になっております。この失業対策の関係と宇田君のやってる関係の数字は、根拠が違うんです。そこでわれわれは、この基本に基いてやってるんです。先ほど申し上げました問題は、失業保険の問題についても非常な減少をいたしております。この数字が必要でしたら、数字を申し上げます。必要ですか。
○成田委員 私は失業保険のことを言ってるんじゃない。同じ政府で完全失業者の評価の基準が通うというのは、一体どういうことなんですか。完全失業者はあくまで完全失業者だ。経済企画庁では六十万と出している。完全失業者の根拠が違うというのはどういうことなんですか。
○松浦国務大臣 今お尋ねになったのは六十万の問題ですか。大体六十五万人であって、前年から五万人減っているのです。それが現在の状態です。
○成田委員 大体六十五万で五万人減っているというと、結局六十万とお見込みになっているということですか。そうしますと、完全失業者の数が曲年度より減っているとは言えないではないですか。経済企画庁長官は、完全失業者は前年度六十万と見ているのです。労働省は六十五万と見ている。数字が全くふつき合いじゃないですか。どっちがほんとなんですか。
○宇田国務大臣 私の方は、経済の伸び率を七ないし八の間に持っていって、そしてただいまあなたの言われたような経済大綱の中で、就業者数と労働人口との数字を出しております。その三十二年度と三十一年度との私の方の経済の伸び率からいくと六十万人になっております。
○松浦国務大臣 今数字だけ申し上げましたものですから――その月も申し上げたのですけれども、企画庁の方は、三十一年の四月一日から今年の二月三十一日までの分を見ているのです。私の申し上げているのは一月から十一月までなんです。一――十一月とさっきから言っているんですけれども、皆さんがあがあ言ってお聞きにならないものだから、それでこうなるんです。それで実際の数字は平均が六十五万人なんです。それで前年の同期が七十万なんです。そこで五万人減っているんです。それから一番多く減った月は、十月の五十一万になった月もあります。
○成田委員 一月から十一月か十二月まで計算された、こういつておりますが、企画庁はもちろん四月一日から三月三十一日だ。予算というものは四月一日から三月三十一日の実績をとるのが当然なんです。そうすると、昨年度において四月一日から三月三十一日までの完全失業者は六十万と経済企画庁は見ている。この方が正しい。どちらがほんとうなんですか、もう少しはっきりしてもらいたい。
○松浦国務大臣 数字の問題につきましては、局長から答弁いたさせます。
○成田委員 局長から数字を承わってもけっこうなんですが、今申しましたように、予算というのは四月一日から一月三十一日なんです。経済企画庁は、その原則にのっとりまして昭和三十一年度、すなわち四月一日から三月三十一日までの完全失業者は六十万であった、昭和三十二年度も同じ間で見通しとしては六十万だといっておる、これがほんとうなんです。そうしますと、失業者は減ってないんです。当然失業対策費というものは同じであるか、それ以上でなければならぬ。にもかかわらず減らしたというところに問題がある。そんなものは、政府委員の数字を聞かなくても小学生の算術でわかるはずだ。松浦さんも小学校をお出になっているはずです、小学校の算術でわかることです。
○松浦国務大臣 先ほど申し上げましたような数字でありますが、四月から三月三十一日までを見れば六十万になるであろうということであります。
○成田委員 それならば、経済企画庁の発表は正しいということになるんですね、そうすると、一三十一年度と三十二年度は完全失業者の数は変らないということです。なぜ予算で一割も完全失業者の数を減らして予算を組んでいるか、その根拠です。
○松浦国務大臣 けれども、去年の見込みは七十万だったのですから。それからもう一つは、実際に失業保険やその他が減っていっている。それからまた民間の事業も非常に多いのです。それから現実の問題は、二十四万八千人を予算に組んでいるけれども、この三月三十一日までには、大体の見通しは二十三万ぐらいしか使わないだろうと思うのです。それで二十二万五千にしたのです。
○成田委員 現実の問題と申しますが、これは先ほどの生活保護と同じなのです。失業者で登録を希望しても、何とかかんとか、それこそぎゃあぎゃあ言って職業安定所は登録しないのです。そういう間違った、ゆがめられた現実を前提にして議論されることは間違いだと思う。やはり経済企画庁が六十万と出せば、完全失業者はその数に増減がないと見れば、少くとも同じ失業対象人員というものをあげるのが労働大臣としての当然の役目ではないですか。現実はゆがめられている。ゆがめられた現実の上に立っても、まだ経済企画庁は六十万の失業者が出るといっている。去年も六十万、ことしも六十万なら、去年以下の対象人員を想定した予算を組むということは間違いだ。少くとも労働大臣はそんな態度をとるべきではない。これは小学生の算術ですよ。
○松浦国務大臣 誠意をもってやっているのですが、いろいろ御批評を受けるわけであります。それは、今年の予算は財政規模が去年よりも大体一割くらい多いでしょう。一割もないかもしれませんが、まあ一千億多い、あるいは六百七十億財政投融資がある。その他予算規模が非常に多いことが一点。それからわれわれが考えておりますのには、大体七・六%くらいの経済の伸びを見ておるのです。そういうようなことも見合って考えておりますが、実際の問題は、やはり二十四万八千人見ておるものが全部消化できないというところが現実の姿だと思うのです。
○成田委員 その現実の姿というものはゆがめられた姿なのだから、それは問題じゃないと思うのです。今あなたは、経済の成長率を七・六%と見ておる、財政投融資や予算の規模が拡大していると言われましたが、去年の経済の成長率というのは一二・五%、それでも六十万の完全失業者が出た。七・六%の経済の成長率なら、むしろ完全失業者数は上回るはずです。それを経済企画庁では同等に見ている。そこにも問題があると思うのですよ。企画庁長官は経済の成長率を七・六%とお見込みになり、今度の予算の一般会計、財政投融資の予算の規模というものをお考えになって、これで六十万という完全失業者の数をお出しになったと思うのですが、いかがですか。
○宇田国務大臣 そうであります。
○成田委員 だから、あなたのお考えになっている要素は、これは不確定要素かもしれませんが、全部考慮した上で六十万の失業者が出るというふうに数字的に出しているんですよ。去年より減らないんですよ。あなたのお考えになっている要素は、全部取り入れての六十万なのだ。それでなぜ減らす。
○松浦国務大臣 去年一二%の上にさらに七・六%ふえるのですから、合計すれば一八%半になる。だから雇用量が増大されることは当然です。
○成田委員 経済の成長率は七・五%、それは去年の成長率をさらに上回った成長率だ、昭和三十二年の成長率は去年より上回っておる、こういう労働大臣の御見解ですが、それでいいのですか。
○宇田国務大臣 経済企画庁の発表しておる経済大綱は一二・五%で、ただいま成田さんのおっしゃられる通りであります。
○成田委員 昨年度一二・五%の経済の成長率があったにもかかわらず、完全失業者は六十万なんです。今度は七・五%の経済の成長率なんです。むしろ減ると考えるのがほんとうかもわからない。それにもかかわらず企画庁は同じに見ている。なぜ失業対策の対象人員が減るのですか。
○松浦国務大臣 去年の当初は七十万です。それが去年の終りごろには六十五万になって五万減っているのです。しかし一年を通じて見るならば、企画庁と同じくらいの数字になるであろうということで、去年の当初は七十万なんです。そういう関係で、御議論をされますけれども、現実はそうなんです。
○成田委員 予算というのは、一年間を通した数字を問題にするはずなんです。去年の初めがどうであったとか、ことしの最後はどうであるとかいうことでなしに、一年間を通しての数字を問題にしなければならぬ。一年を通して六十万の完全失業者が出ているのだから、三十二年度予算も六十万の完全失業者として計上すべきなんだ。これ以上聞きましてもあれですが、了解を得るような御答弁を願いたいと思います。
○松浦国務大臣 今のお話は同じですがね。去年の予算で二十四万八千人を計上いたしましたものは七十万なんです。ことしは六十万として考えたものですから、そういうことになるわけです。
○成田委員 企画庁長官、今の御答弁について、去年は七十万だと言われているのですが、実際は六十万でしょう、労働大臣は七十万という数字を根拠にされるのですが、企画庁の発表しているのは、実質的な数字は六十万のはずですね。その点はどうなんですか。
○宇田国務大臣 生産年令人口は百三十万人ばかりで、そのうちの六八%ばかりが労働力人口、そういう計算になります。従って一二・五%に対する伸び率は今年は少いのですけれども、経済規模はやはり大きくなっておりますから、生産年令人口に対するところの吸収力はふえておるわけでございます。ただ昨年とことしの見通しが六十万人という数字は発表した通りでございます。
○成田委員 だから吸収率が多くなることは認めますけれども、しかし今の日本の人口構造からいって、あなたのおっしゃっている生産年令人口というのは、現実に非常に急激に増加しておる。従って労働力人口も急激に増加しておる。そのためには七・五%くらいの経済の成長率では失業者を減らすわけにいかない。そういう建前から、企画庁としては六十万をお出しになった。これはいわゆる労働力人口、生産年令人口の関係です。その意味において去年も今年も完全失業者は同じだということになる。
○宇田国務大臣 去年の実績は六十万ですけれども、当初の見込みは、昨年は六十五万で予算を組んでおります。
○成田委員 見込みと実績が違って、平均いたしまして六十万になった。ことしの見込みも六十万なんです。それなら当然失業対策の対象人員も少くとも同じでなければいかぬ。労働大臣いかがですか。企画庁長官も一つ御答弁願いたい。
○池田国務大臣 いろいろ御議論を聞いておりますと、予算の組み方の関係でございますから、私からお答えいたしたいと思います。経済企画庁の統計その他は、一応の経済全体から見ての動き、見通しでございます。従いまして、先ほどお話しの通りに、完全失業者は六十五万と昨年の当初は見込んでおったのであります。六十万というのは実績なんです。しこうして失業対策の方におきます完全失業者及びこれに失業救済事業をやります人員の見方は、もちろん昨年におきましては、企画庁の六十五万ということは参考にいたしますけれども、われわれは労働省のいろいろな統計から見まして、一応の数字をはじき出す。ことに昭和三十一年の後半からずっと失業登録の人口とか、あるいは失業保険の問題とか、あるいは企業整備の問題、いろいろな資料を加味いたしまして、毎月心々の実績の動きを見て、そうしてはじき出すのであります。もちろん企画庁の昨年の六十五万、あるいは今度の六十万という経済の実態の見通しの趨勢は参考にいたしますが、予算を組むときには、労働省の統計を用いて組んでおるのであります。これは完全失業者が六十万、六十五万あるのに、今の失業手当は二十四万とか二十三万とか二十二万とかはじき出すものでありますから、やはり労働省のいろいろな統計、あるいは企業整備、その他のことを見て組むのが適当でありまして、私はこういう場合に、六十万とか六十五万とか言って争うよりも、今の失業の状況を見て、そうして三十二年度は失業対策費としてどれだけ盛るかということが実質的な議論だと思います。そういう関係で、ある程度見通しと実績による分と違うことはやむを得ない。片一方は経済全体の動きを見ていくし、片一方は失業対策費として見ていくので、その間にある程度のそごがあることはいたし方がないと思います。従来失業対策費を組みます場合には、後段の労働省の調査を主として組んでおったのであります。しかしてただいまお話がございましたように、二十四万人程度組んでおったのでありますが、三十一年度の決算におきましては、そこ主では要らないだろう、そこで、いろいろな失業状況がだんだんよくなっていくというようなことから、私は労働大臣の予算見積りは適正だと考えております。
○成田委員 実績ということは、先ほど申しましたようにゆがめられた実績です。それで、この問題については労働省の方の統計が正しいからそれをとったと言われますが、それは正しいのではなしに、たまたま労働省の方が低かったから、金を出すのがきらいな大蔵省は労働省の方をおとりになったのだ、これが逆に企画庁の方が低ければ、企画庁の方をおとりになるに違いない。しかし少くとも同じ完全失業者に対する統計なんだから、政府部内としては統一した数字をお出し願いたい。単なる参考だから間違ってもよい、こういうようなことではいけないと思います。やはり責任のある政府のお出しになっておる数字ですから、この点は統一ある数字をもう一度お出しになるようにお願いしたいと思います。 それから、次に大蔵大臣にお尋ねしたいと思いますが、特に予算とインフレーションとの関係であります。蔵相は、今度の予算とインフレーションとの関係を強く否定されて、決してインフレにはならないというふうに非常に楽観していらっしゃる。二月十一日の記者会見で、蔵相はこういうことを言っておる。インフレを一番心配しておるのは私と山際日銀総裁である、この二人がインフレにならないと言うのだから安心してよい、こう言っておられる、これは蔵相のいわゆる官僚主義というか、自意識過剰を示しておるものだと思います。インフレを心配しておるのは、蔵相も心配していらっしゃるでしょうが、しかし一番インフレを心配しておるのは国民勤労大衆なんです。直接にインフレの被害を受ける勤労大衆です。この勤労大衆がインフレになるのじゃないかということを非常に心配しておる。従って蔵相の言をもってすれば、一番心配しておる者の言うことがほんとうだと言うならば、これを一番心配しておる大衆がインフレになりそうだと言うことになれば、インフレになると言わざるを得ない。これは大衆だけじゃないのです。どちらかといえば、積極的な予算をとることを好感をもって迎える性格を持っている財界が、最近では、今度の財政に行き過ぎがある、インフレの危険があるのじゃないか、こういう警戒心が非常に多いんです。これは、もう財界人の体験に基いた皮膚を通しての実感だと思うのです。大衆もインフレを心配し、財界筋もインフレの危険を感じておるこの大衆の考え方、あるいは財界筋の考え方というものを、そんなものは意に介する必要はない、こういうように蔵相はお考えになるのですか。大衆の気持、あるいは財界の見解に対して蔵相はどのような見解を持っておるか、御答弁願いたい。
○池田国務大臣 私は財政経済の当局といたしまして、インフレにしないように努力いたしておるのであります。しこうして財界の方々もまた国民大衆も、インフレになるとは断定しておりません。インフレにならないようにしてもらいたいのだ、こういうお気持でございます。われわれと同じでございます。私も手放しで楽観は一つもしておりません。一番心配しておるのであります。そういうことを記者会見で言ったのでございます。しからば、インフレになるという情勢がどういうところから出てくるかという問題になって参りまするが、私は……。
○成田委員 その問題については、これから一つ質問いたしましょう。
○池田国務大臣 そうですが、それじゃ御質問によって答えることにいたします。
○成田委員 現在インフレの危険はない、こう蔵相は言われておるのでありますが、そこで現在の景気を、いわゆる俗な言葉で言えば、価格景気じゃない、数量損気だ、こういわれておるのですが、数量景気を支える柱は、私は三つあると思うのです。その一つは、国際収支が黒字であるということ、その一つは、金融が緩慢であるということ、すなわち金利が安いということ、最後の一つは、やはり物価が安定しているということ、これが数量景気を支える三つの柱だと思うのです。ところが最近のこの三つの柱の動きを考えますと、国際収支は必ずしも順調だとは言えない、むしろ逆調だ、こういわれておる。それから緩慢であるべき金利というものは、今超繁忙の形なんです。物価も、企画庁の発表によりましても、昨年は卸売物価は一〇%上っておる、消費者物価は三%上っておる。このように数量景気を支える三つの柱というものが今くずれかかっておる。これで価格景気への移行の心配がない、こう断言できる人はあまりたくさんいないと思うのです。この問題は、一つの常識論でもありますし、問題が問題ですから総理の御見解――この三つの柱のこういう変調、これから考えましたならば、現在数量景気というものについて危機がきている。価格景気への移行の心配があるのではないか、こういうように私たちは考えるのですが、総理としてどのようにお考えになっておりますか。
○岸国務大臣 経済の基盤の拡大、いわゆる積極財政とインフレを防止するという問題につきましては、内閣としても非常に意を用いているところであります。この問題に関しましては、だれもが経済の拡大は望むけれども、インフレはこれを防がなければならぬという最後の願いにおいては、私は一致しておると思う。勤労大衆も、あるいは財界の人々も、その他国民がみんなそうだと思うのです。ただ過去のいろいろな経験に見るというと、拡大なりあるいは積極財政をやる場合においては、ややともするとインフレになるおそれがあるといって、これもまたみんなが心配していることであると思うのです。私は責任ある政府当局として今回の予算を提案いたしまして、日本の経済基盤を拡大しなければならない、しかしいかなることがあってもインフレを起させてはならない。あらゆる面からインフレの防止には努めて、国民のうちに、あるいはまたこれにはいろいろな批判がありますから、そういうことを比較的強く懸念されておる方もありましょう、またそれほど強くは感じておらない人もありましょうが、いずれにしても、政府としてはあらゆる面からインフレを起さないように施策をしていかなければならぬ、かように思っております。
○成田委員 今総理は、積極政策をとるときにインフレの懸念がある、このようにみな心配するのだ、そこでインフレを起さないように善処したい、こういう御答弁なんですが、問題はそういう抽象的な問題でなしに、私が先ほど御質問申し上げましたように、国際収支は、総理も御承知のように、最近逆調になっている。金利は超繁忙なんです。物価もじりじりと上ってくる傾向がある。従って数量景気を支える三つの柱がくずれかかっております。価格景気への移行の危険がここに出ているんだ、この心配をする、こういう見通しを立てることは、あながち心配の行き過ぎではないと思う。こういう現象があるにもかかわらず、総理は、その心配はないとこのように御認定になるかどうか、その点について御答弁願いたい。
○岸国務大臣 国際収支の関係も、これはごく短かい期間をとってだけ非常に楽観したりすることも、私は適当でないと思うのです。しかし今お話しのように、国際収支の黒字であるということが、インフレを防止する上からいって必要である、従って、国際収支についても常にわれわれは深甚の注意を払って、そういう逆調をはなはだしからしめないようにあらゆる面から考えていかなければならぬ、しかしその逆調なり、あるいはやや従来のような順調でないという理由がどこにあるか。一時的にいろいろな、輸出入の関係は時期的にもいろいろな国際収支の問題がありますから、また輸入されている物資の内容にもよりますし、いろいろな点がありますから、これらの点を詳細にやはり検討して、これに対する対策を立てていかねばならぬ。金利の問題もあるいは物価の問題につきましても、それはなるほど金融の関係が、昨年の下半期あたりから、従来の緩慢の程度から緊縮の形に移ってきているということも事実でありましょう。また引き揚げ超過になっている問題につきましても、これも季節的の何もありますし、十分政府としてはそういうことを常ににらみ合せて、今御心配になっているような事態を進行せしめないように処置していくということであって、決して現在のところ手放しで楽観すべき状態だとは私も思っておりません。しかしそうかといって、非常に悲観すべきように日本の経済の前途を私は危ぶんでおらない、こういうことであります。
○成田委員 今総理は率直に、手放しで楽観するような状態ではない、そんなに悲観すべきとは思わないが、手放しで楽観すべき状態ではないということをお認めになったわけでありますが、今総理の言われました国際収支の逆調の問題この見通しについて、大蔵大臣あるいは企画庁長官にお尋ねしたいと思うのです。今度の予算編成の前提といたしまして、国際収支の見通しについて、大蔵大臣は、海外景気に対する判断を財政演説でお述べになっております。その演説ではこう言っておられる。「世界景気の原動力であるアメリカにおきましては、好景気が持続するものと見られており、また、西欧諸国におきましても、経済上の困難を克服しつつ景気の維持に努めておりますことを考えますれば、多少の波動はあるにいたしましても、世界の景況は今後もなお高水準を続けるものと見て差しつかえない」こういう御判断ですね。ところが蔵相の言う世界景気、従って日本の景気を左右するところの特にアメリカの景気が、すでにもう衰えを見せている、これは事実だと思う。ある意味においては転機に差しかかっている。このことはフーヴァー氏も指摘しているところなんですね。アメリカ人自身が指摘しております。それを裏づけるように、これは私が申し上げるまでもないと思うのですが、この二月五日に株式の暴落があった。値下り総額三十億ドル。それから一週間たった十一日には、さらにまた三十億ドルの大暴落をやっている。工業株三十種の平均は、十二月にはアメリカの抵抗線だといわれておるところの四百六十ドルを割って、四百五十四ドルになっております。これが一時的な現象であるかどうか、この判断の問題ですが、この原因は決して一時的じゃないということは、アメリカのいろいろな論説その他を見ましても、こう言っています。一時的でないという理由として、アメリカの設備投資計画が、投資ブームの元行き不安で、五六年よりも増加の幅が非常に減ってきておる。これが一つ。もう一つは、例の自動車の売れ行きが、大体七百万台を予想しておったのが六百万台になっておる。またこれも景気をささえる一つの大きな要素である住宅建設工事が、昨年の一〇%減を予想されている。そのために、製鋼業においても先行き不安が現われておる。企業の利潤率も低下しておる。月賦購買の伸びも速度が非常に落ちてきておる。こういうことを見ますと、現在のアメリカの株式暴落を手始めとして、一つの景気の変動というものは一時的なものじゃない、こういうように見通すのがほんとうじゃないかと思うのです。また西欧経済の問題でありますが、西欧諸国におきましても、これは蔵相が本国会でも言われましたように、西ドイツも英国も公定歩合の引き下げをやっている。経済必ずしも先行きの見通しが明るいとは言えない。むしろ後退したという感じが強いのじゃないかと思うのです。日本は、国際貿易においていわゆる限界供給者の立場にある。だからアメリカだとか西欧諸国の経済というものは、最も敏感に日本に影響してくる。こういうことを考えましたら、今度の予算編成の前提、国際収支の見通しというものは甘きに過ぎるのじゃないか、こういうことを感ずるものでありますが、いかがでございましょうか。
○池田国務大臣 世界経済の見通しの前に、ただいまインフレ論のときに、数量景気は三つの柱に立つ、こう言われましたが、私は、数量景気はやはり物価問題が主でございまして、金利の問題、あるいは国際収支の問題は二の次だと思います。これは物価問題のもとをなすものであります。そこで日本の物価の動きを申しますと、特殊の事情によりまして、昨年の夏ごろから鉄鋼、機械類の異常な高騰がございまして、卸売物価はある程度上っております。しかしここでも、いつかお話し申し上げましたように、三、四年間の数字をとってみますと、日本もアメリカもイギリスも、大体卸売物価で、二十八年を基準といたしますと六%あるいは五%程度の上りでございます。ドイツ、フランスは四%程度でございます。卸売物価の方は、大体三、四年間ずっとおしなべてみますと、各国大した差はございません。卸売物価につきまして日本が六%上っているゆえんのものは、昨年の鉄鋼、機械類の値上り、木材の値上りを主にしたものでございます。この問題は、世界的には今下降の傾向をたどっております。それから消費者物価につきまして見ますと、これは各国に比べて、どちらかといえば、日本は三十一年までは低いくらいではないか。ただ三十一年の暮れから、年未の食料品、あるい木炭、あるいは気候の関係で野菜等に値上りがありまして、ここ二、三カ月は季節的にちょっと消費物価が上りかけております。これはそういう原因でございまして、物価の点はそう手放した楽観いたしておりませんが、大体一時的の現象と見て、これを注視しておる状態でございます。 次に世界の景気の問題につきましては、お話しの通りに、アメリカの景気の悪材料として、設備投資の上昇率が少し減ってきた。あるいは住宅も増築建設のふえ方が減ってきた。自動車も売れ行きがちょっと悪い。自動車は、ことしの初めと終りごろとでは売れ行きがかなり変っているので、昨年も相当動きましたが、そういう景気が頭をついたという理論もあります。しかしまた片一方では、アメリカの歳出予算がふえた、貿易が拡大した、こういうふうな景気上昇の理論もあるのであります。いろいろな説が行われておりますが、アメリカの景気は、本年上半期はやはり上昇の数字をたどっていく、下半期に中だるみになり、来年はまた景気が上向いてくるということが、いろいろなニュース、座談会等からの結論であると見ておるのであります。このことは、昨年の暮れ、あるいは一月ごろには定説でございました。この二月の初めぐらいになりまして、大体今のような、下半期は、中だるみだろうということに変っておりますが、大勢の動きとしては、一九五八年はまた上昇するというのでございます。株式も下りました。しかしこの分で長い目で見て景気の変動の材料にすることは早計でございます。参考にはなります。そういう関係で私は、アメリカの景気は高水準を続けていくだろう、長い目で高原景気が続くと見るのであります。それでヨーロッパの問題につきまして、これはフランスにおきましては、インフレの懸念がここ一、二カ月相当強くなって参りましたが、イギリスあるいはドイツがいまだかってない年五分五厘の公定割引歩合を下げましたゆえんのものは、インフレぎみであるのを押えて、そして投資が相当押えられたのを、この好景気を続けるための金利の引き下げでございまして、これで不景気になると私は考えていない。それは五分五厘といういまだかつてない高金利にいたしました経過を見ましても、急速にどんどん上げていったわけなんです、それで今回下げましたのも、私は不景気になる前提でやっておるのではない、今の高原景気を維持する方法としてやっておると見ておるのであります。従いまして、財政演説のうちに申し上げたことは、私はまだ見方を変えるけどの材料は持ち合せございません。
○成田委員 大蔵大臣は、アメリカ経済の前途に対してまだ楽観論を持っております。あなたの言われるように楽観論をとっておる人はいると思うのです。しかし一方非観論をとっておる人もいるのです。前経済委員長のダグラス氏が最返国会で証言しております。これも先ほど申し上げましたような根拠で、アメリカ経済の前途というものはそう楽観を許さない、こういう証言をしたのですから、日本の大蔵大臣としては、特にアメリカ経済によって左右される日本経済、その動きの総元締めである大蔵大臣としては、やはり安全な道を選ぶというのが見通しとしては正しいのではないか、いたずらに楽観論を唱えるべきではないと私は思う。また西欧経済の問題もお触れになりまして、金利を下げたということはインフレを抑えるためだ、こう言われたのですが、日本の経済もそうでありますけれども、インフレとデフレというものをそう明確に区別して、インフレが長く続く、それからデフレになるのだというのではなしに、やはり経済企画庁の言葉ではありませんが、インフレとデフレの谷間を歩いている。一歩誤まればインフレはすぐデフレに陥る、こういう情勢なんですから、西欧経済について、インフレを抑えるための公定歩合の引き下げなんだ、こういう楽観的な見通しをお立てになることもいかがかと私は考えるのであります。 そこで、同じ国際収支の問題で企画庁長官にお尋ねしたいのですが、今度の経済計画を編成なさいました際に、最初経済の成長率を六・五%と大体企画庁は踏んでいた。ところが例のスエズの問題におきまして、これは好材料だというので、経済の成長率を一%を増加させて七・五%、このように御変更になったと聞いておるのですが、事実はどうでございますか。
○宇田国務大臣 スエズの問題が成長率に変化を加える条件というふうには考えておりません。
○成田委員 スエズの問題が経済成長率の条件になってない、こういう御答弁なんですが、ところがあなたの御編成になった経済計画大綱には、こういうことを書いておりますね。スエズ問題の発生は、地理的関係からもわが国の輸出にとって当面好材料と考える、こういうことを言っておる。だからこれを好材料とお考えになって、今度の国際収支その他の経済大綱というものをお作りになったと思うのですが、いかがでしょう。
○宇田国務大臣 もちろんスエズ問題が好影響を与えた面はありますけれども、昭和三十二年度の予算大綱をきめますときに非常に大きなパーセンテージの影響がある、そうは考えておりません。少くとも六・五%を七・五%以上に変更させた原因の重要なものがスエズの閉鎖に基くものである、こういうことではありません。
○成田委員 重要な要素とお考えになってないと言われるのですが経済大綱に、特にスエズ問題の発生というものは日本経済にとって好材料だ、こういうことをお述べになっているでしょう。従って、一%の問題は別にいたしまして、相当重要な要素とお考えになったんじゃないですか。
○宇田国務大臣 ただスエズ問題の影響の見通しというものについては、軽軽に判断し得ない場合ももちろんたくさんあります。従って東南アジア貿易等につきましては、好影響があるものと初めは判断いたしておりましたが、三十二年度を通じて非常に重要な影響がある、こういう意味の表現ではありません。
○成田委員 東南アジア貿易については好材料だ、こう判断した事実はどうでありましたか。
○宇田国務大臣 スエズ運河の閉鎖に基くところの各国との影響、変化というものの詳細については、もちろんただいまはっきりした数学の検討中でございます。しかしどの国にどういうふうな影響があったかということについては、データをまだ正確に検討いたしておりません。少くともフレート関係等におきましては、非常な高騰がありましたから、ヨーロッパから東南アジアに来る品物の中で、日本がこれに代替をして輸出したものもあります。しかしごく最近のその影響についての各国の状況は十分に調査いたしておりませんから、的確なことは申し上げかねます。
○成田委員 好材料だと見込んだが、事実は見込みはずれであったということになるんでしょう。そうじゃありませんか。というのは、貿易振興会、例のジェトロが最近、スエズ紛争と海外市場、こういうことで報告書を出しております。その中にスエズ運河の影響としまして、東南アジア諸国と西欧諸国は資金関係においても強く結びついておる、技術的にも強く結びついておる、そのほかに代理店制度その他を通して非常な強い結びつきがあったために、スエズ問題による輸送難にもかかわらず、日本が西欧諸国にとってかわるということは事実上できなかった、こういう報吾をしているのです。従って好材料だとお見込みになった前提は、事実と相違したのじゃないか。このジェトロの報告というものを、長官はどのようにお考えになりますか。
○宇田国務大臣 スエズ運河の問題によって、三十二年度全般のわれわれの貿易計画というものが非常に見込み違いであったということではありません。これによって受ける影響は、あるとは思っておりましたけれども、それが少くとも一%にも近いような非常な影響力を持っておるとは考えておりません。
○成田委員 経済大綱でも、長期的な見通しでは、このスエズ問題というのはどう影響するかはわからないけれども、当面これは好材料だと判断された。にもかかわらず、今のジェトロの報告のように、東南アジア諸国と西欧諸国の技術的な、資金的なつながりが強かったために、日本が火事どろ的にここでかせぐことはできなかったという報告になっている。従って、好材料であるということを前提にされて、国際収支の一分をお見込みになったと思うのです。その見込みは、私ははずれたんじゃないか、このように考えるわけです。蔵相、企画庁長官と私の見解は違いますが、世間一般の感じといたしましては、海外経済も下半期はスロー・ダウンするんじゃないか、スエズ問題に対する見通しも甘かった、こういうように前提がくずれたとすれば、国際収支の見通しも相当私は変ってくるのがほんとうじゃないかと思うのです。 そこで企画庁長官にお尋ねいたしますが、この三十二年度の見通しではなしに、すでに昨年の下期ごろから輸出は伸び悩み、輸入は激増しているんですね。特にこの一、二月ごろはその傾向が強いのです。企画庁の二月の経済月報に、国際収支の相当大幅な変調を認められておられる。そうして注意信号を書いておられるのですが、この三十一年度の国際収支の見通しですね、こういう状況であるにもかかわらず、企画庁長官は相変らずとんとんだとお考えになっておりますか。
○宇田国務大臣 二月の経済月報に報告いたしてありますように、貿易収支が逆調を示しておりますが、ただ輸入しておりますところの原材料等の質的内容を検討してみると、これが再輸出に振りかえられるものがかなりありまして、昭和三十二年度の貿易全般を見渡したときに、むしろこの年末から最近に至る輸入原材料というものが新しい輸出源としての在庫残になってくる面が多いのでありますから、そういう面から見ると、昭和三十二年の貿易というものは、必ずしも私は悲観する必要はない、当初の見解に修正を加える段階には至っていない、こう考えております。
○成田委員 そこで三十一年度の国際収支の見込み、あれは大体どれくらいでありますか。大体世間では赤字一億六千万ドルあるいは七千万ドルといわれているのですが、赤字の見込みが強いんじゃございませんか。
○宇田国務大臣 三十一年度の収支の結果はなお検討中でありますけれども、大体一億ドルをこす、こういうふうに思っております。
○成田委員 赤字です。
○池田国務大臣 為替とか、外貨の所管をいたしております関係で私から答えますが、この一月にも相当の輸入が行われました。それから二月にもかなりの輸入が行われました。大体三月も、ある程度輸入超過の傾向があると思うのであります。従いまして、ただいまの見通しといたしましては、昭和三十一年度の実質上の輸入超過は大体一億七、八千万ドルと考えております。しかし外貨に及ぼします影響は、ユーザンスその他がございますので、形式的には三千万ドル程度の赤字になると思います。従いまして今持っておる日本の外貨は、昨年暮れ十四億二千万ドル程度でございましたが、二月末には十二億八千万ドル余りに減ってきております。
○成田委員 そこで三月末の外貨残の見込みですね、これは大体幾らに見ておりますか。
○池田国務大臣 ただいま申し上げましたように、一、二月の輸入が予想以上に多うございましたので、三月は今はっきりは私は申し上げられぬと思います。しかし大体二月末が十二億八千余万ドルでございますから、これがある程度減るのではないかと思います。しかもユーザンスその他の関係がございますので、大体三月末におきましては、形式上の国際収支の赤字は三千万ドル程度と見ております。 お話の外貨の持ち高は、内地銀行の関係、外銀の関係がありますから、外貨の点について幾ら幾らというわけにはちょっといきませんが、収支見込みは、実質的には一億八千万ドルの赤字、形式的には三千万ドルの国際収支の赤字、こうなると思います。
○成田委員 そこで世間では、三月末現在の外貨の手持ち高は大体十二億ドルくらいになるのじゃないか、こういうことを心配しているわけなのです。にもかかわらず、一方積極財政ということで、今度も相当張り込んだ外貨予算というものをお組みになっておるわけなんです。そこでこのように減少している外貨の保有高、一方積極輸入をやる――大体どの程度の外貨保有高が日本としては最後の抵抗線であるか。たとえば英国では二十億ドル、この抵抗線は絶対死守したい、こういう政策がとられていますが、日本の現状からいきまして、今十二億ドルに減るのじゃないかといわれている。外貨最後の抵抗線というものは一体どのくらいだと考えておいでになるか。その前にこの十二億ドルと見込んだ場合――十二億八千万ドルでもけっこうです。そのうち実質の外貨は幾らであるか。ユーザンスとか焦げつきとか、そういうものは別といたしまして、実質は幾らあるか。この実質の外貨に対してどれだけのものを最低線として持つ必要があるか、この御見解を述べていただきたいと思います。
○池田国務大臣 外貨のあり方ということは、一応の指標にはなりますが、私は外貨の手持ちということと同時に、輸入原材料の在庫ということを考えなければならぬと思うのであります。重要品目について見ますと、昨年の三月と今年の三月――これはまだ信用状その他での想像でございますが、昨年の三月の輸入原材料の持ち高と今年の三月の見込みは、大体数量にいたしまして倍程度持つことに相なっております。ただ例外は原油でございます。原油は昨年の三月と今年の三月ではちょっと減るくらいでございましょうが、原料炭、鉄鉱石あるいはくず鉄、原綿あるいは羊毛、こういう重要な輸入物資につきましは昨年の三月現在の倍程度を持っております。これはいろいろな見方がございます。見方がございますが、金額にいたしまして私は三億ドル前後じゃないか、こう見ておるのであります。あるいは一億九千万から二億という説もありますし、また四億ドルという説もございます。なかなかこの統計はむずかしゅうございますが、各方面からのあれを集めますと大体三億ドル近い輸入原材料を持っておるのではないか、そうして昨年の倍近く、こう私は見ておるのであります。しこうして輸入原材料の状況につきましても、輸入した原材料を輸出に向けずに消費してしまうか、あるいは輸出の方面に向けるものとしてとってあるかという問題でございますが、この傾向も私はただいまのところ国内消費に非常に向けられておるとも考えておりません。こういう輸入原材料の消費率につきましても検討を加えておりますが私は国内消費が特にふえておるすとも見ていない。そういたしますと、昨年のそれに比べまして一億五、六千万ドルの外貨の減ということがございますが、これは今の原材料が多いので、そう心配は要らないのじゃないか。先ほどお話がございましたが、高原景気とかあるいはインフレの問題で成田さんと私の見解の違うところは、およそインフレというものは、輸出の場合にはインフレが起る、これは輸出インフレと言っております。しこうして今のように輸入超過になりまして、そうして資金が不足するときには輸入デフレが起る、これは経済上の原則でございます。そこで金利が聞くなる、事業を少し手控えよう、こういう調整作用を持っておるのであります。数量景気のあれとして、国際収支が常に黒字になっていかなければ数量景気は保てぬという理屈は出てこない、私はそういう考えで――物価安定のために輸入をどんどん急いでおるということは、これは最近各国、ことにドイツはひどかったのでありますが、関税を撤廃してまで輸入をやっていってインフレを抑えた。国際収支の赤字かまわぬという政策をとっておったのであります。私はそれにならうわけではございませんが、この際物価の安定のために原材料を十分国内に持っているということは必要であると考えるのであります。次に日本の適正保有外貨はどうかということは、これはなかなか困難な問題でございまして、イギリスであっても、二十億ドルが絶対に必要な最低限とは理論的には言っておりません。ただ従来の慣例上二十億ドルを割るようなときには為替レートを下げていく、あるいは外国からの借款を求めたり、こういうことを二十億ドルでずっとやっているものだから、最低限であると人にいわれておるのでございますが、何も二十億割ったらこれは大へんなことだと考えるほどのこともないと思います。わが国は今三月末までには、私は十二億ドルでなしに、そんなにまで減らぬと思っております。十二億四、五千万ドルか三、四千万ドルと思いますが、その場合においてどこまでが最低限であるかと申しますと、これは輸出入額の三割という人がおります。その三割と国内で言う人のうちに、焦げつき債権を含んでおるかいないかということを聞きますと、含んでいると言う人もおりますし、含んでいないと言う人もおります。せっかくの御質問でありますから申し上げますと、外貨の焦げつき債権として普通いわれておりますのは、インドネシアに対する一億七千万ドル、韓国に対しましての四千五百万ドル、それからアルゼンチンに対しての四、五千万ドルくらいと思いますが、これを合せまして二億六、七千万ドルと思います。これは焦げつきといってわれわれは捨てるわけではございませんし、朝鮮も、あるいはアルゼンチンはもちろんのこと、債権の回収に努めておりますが、私は大体十二、三億ドルで警戒信号というふうには考えておりません。ことに輸入物資が多い場合においてさようでございます。
○成田委員 原材料の在庫数量三億ドル、こう見て安心だ、こういうようなお希なのですが、それだけの手持ちの原材料があるとすれば、当面外貨割当を多くしまして、そう輸入をお急ぎになる必要はないのではないか、少くとも不要不急に類するものについては外貨割当を抑えられまして、手持ち外貨の減少を極力防止する、こういう建前をとるのがほんとうではないかと思います。上期の外貨予算の作業を最近進めていらっしゃると思いますがその総額、おもなる物資別の輸入目標、こういうものを簡単でけっこうでございますがお示し願いたいと思います。
○池田国務大臣 ただいま外貨予算は事務当局の方で作っておりまして、われわれ閣僚は何も指示いたしておりません。少くとも私は指示しておりませんが、今の外貨を減らしても原材料の輸入を十分にしておいた力が、十分以上にした方がいいか、あるいはお説の通りに、相当あるから外貨を銀行に預けておいた方がいいかということは、洋内閣としてはよほど考えなければならぬ問題でございます。私は外貨を銀行に預けておくよりも、これは世界経済のこれからの見通しでございますが、脆弱な日本経済をやっていく上において、しかも輸入原材料によりまして国内の物価が非常に影響される場合においては、税は必ずしもあなたの説に賛成できないのでございまして、やはり外貨も外貨でございますが、経済のもとを厚くしておくことが必要ではないかと考えておるのであります。しこうして上期の外貨予算をどれだけ組みますかということにつきましては、いろいろな点を考慮いたしまして組むのでございますが、今月末でございます。われわれは事務当局でやりました資料を十分検討いたしまして善処いたしたいと思っております。
○成田委員 数字の御発表はないらしいのですが、積極輸入の方向に出られることは大体今の蔵相の御答弁を見てもわかるのですが、そこで問題になるのが外貨の手持率なのですが、世間では焦げつきも含めて二割あるいは三割でいいだろうというお話ですが、蔵相としては、大体外貨の最低限度をどこに抑えた方が日本の現状からいって正しいあり方であるか、蔵相の御見解を承わりたいと思う。
○池田国務大臣 ただいま申し上げましたように、輸入原材料の在庫を考えていかなければなりません。しこうして輸入をどんどんいたしましても、それが国内消費に向けられて再輸出の原材料にならぬ場合におきましては、幾らあってもこれは問題にならぬのであります。しこうして一国の最低外貨がどれだけでいいかということを大蔵大臣が言ったら、これは世界的に、物笑いになると思います。従いまして私は常に外貨を保有すると同時に、原材料を持っていかなければならないが、大蔵大臣としてどれが最低の外貨保有量だということは、ここで申し上げるわけにはいかぬと思います。
○成田委員 この前公定歩合の引き上げの問題のときもそういう御意見があったのですが、しかし今は在庫輸出についても、最低限度の手持外貨の持ち率というものを幾らにすべきかという御意見があるわけなのです。特に大蔵大臣として積極輸入をおとりになるのだというときに、そういう蔵相の考え方に基く原材料の在庫の評価は別にいたしまして、そういう今のお立場で、日本の手持外貨というものは最低限度どれくらいか、こういうことをお考えになっての方策だろうと思うのです。従って英国でさえ、これはきめたわけではございませんが、英国の二十億ドルというのは一つの常識になっている。蔵相のおっしゃるように、二十億ドルを割ろうとしたときにはドル公債も売っているのです。アメリカから借款もやって、この二十億ドルだけは生命線として持ちこたえている。そういうわけで、英国の二十億ドルという意味で言うのです。何もやかましい、むずかしいことを言うのではないのですから、そういう意味での最低の手持量というものは幾らか、この点を一つお示し願いたいと思います。
○池田国務大臣 ただいま英国の例を申し上げたのでありますが、これは大蔵大臣の声明でなしに、慣習から人がそうきめてしまったのであります。しかしフランスにいたしましても、フランスは最近一年間に五億ドルあるいは六億ドル外貨が減っておりますが、いろいろな議論はありましょうが、最低フランスはどれだけだとはフランスの大蔵大臣は言っておりません。ドイツも言っておらぬ。これはそういうことを申しますと、さなきだに外貨がどんどん減るという場合に、外国がこれはユーザンスその他についていろいろな手を打つわけであります。国内の物資がどうあるということが向うではよくわからない場合において……。そこで大蔵大臣がこれこれが最低だ、しかも焦げつきを含むか含まぬかというようなことになって、この数字を言ったら、これは物笑いに私はなると思うのであります。従いまして、せっかくの御質問でございますが、これはごめんこうむりたいと思います。
○成田委員 英国の例は人が作ったと言われるのですが、少くともその標準を維持するために、英国政府はあれだけの努力をやっているのです。そういう標準というものが出ることが、国民にも一つの目安を与えて、ほんとうの貿易収支に対する見通しも立ち、経済の発展に対する見通しも立つのだ、こう思うのですが、どうしてもおっしゃらないというのですから、これ以上申し上げません。 次に数量景気をささえる三つの柱のうち、一番問題は物価だとおっしゃった。物価の前提をなすものは国際収支と金利の問題だと言われたのですが、この前提が私は大切だと思うのです。そこで金利の問題についてお尋ねしたいと思いますが、金融については大体昨年初めまでまだ金融はゆるむだろう、こういう見通しが強かったと思います。ところが昨年の半ばごろからだんだん小締りになって、今年に入って繁忙になり、現在は超繁忙だといわれているのでありまして、今までの見通しは完全に裏切られたと思うのです。そこで金融逼迫、金利の上昇傾向が今あるわけなのです。特にこれは蔵相にお伺いしたいのですが、一昨年の夏くらいから金融は緩慢になって、また大蔵省がたえず警告を発しておった関係上、いわゆる再起、歩積みの制度がほとんどなくなっておった。最近またまた金融の超繁忙の結果、両建、歩積み制度というものは民間銀行で現われております。このことは実質的な金利の引き上げなのです。こういう傾向が出ておるのですが、これに対して大蔵省としてはどういうお考えを持っておるか、両建、歩積み問題についてまず承わりたいと思います。
○池田国務大臣 これは私は以前から、歩積みの制度はよくない、やめなければいかぬと、こう言っておるのでございます。お話の通りに一昨年の夏ごろから金融緩慢になりまして、さしもの四千億近いオーバー・ローンも解消いたしました。これは昭和二十九年あるいは三十年にあわせて八億ドルの輸出過超がありましたがために、金融が緩慢になったのでございます。しこうして今の金融の逼迫は、先ほど申し上げましたように、輸入が非常に超過したから、金融が逼迫いたしたのであります。こういう機会に銀行がまた歩積みを復活しようということは、これはよくないことでございまして、われわれは十分監督いたしたいと思います。
○成田委員 そこで物価安定の問題について申し上げてみたいと思いますが、大体本員会における質疑応答を通してみますと、物価の安定については蔵相の考え方というものはすべて金融に依存しておる、こういう感じを受けるわけなのです。たとえば貯蓄の増強をやらなければいけない、あるいは支払い準備ですか、預金準備制度、この制度も作りたい。融資シンジケート団の問題もお触れになった。ところが融資シンジケート団の問題は、蔵相自身もおっしゃったように、独禁法とも関係がありまして、これは直ちに採用できない。それから預金準備制度、これは今日銀に市中銀行が依存しまして、三月末には約三千億になろうと、こういう状態ではこれまた直ちに実施はできない。結局は預貯金の増強ということになると思うのです。これに対して利子に対する税金の問題も考慮して、預貯金の増強をはかっていると、こうおつしゃるのですが、こう言っておる蔵相が、最近インパクト・ローンの問題について、これを採用する旨の談話を発表され、平田大蔵次官も積極的にその問題を取り上げていらっしゃる。蔵相は健全財政と同時に健全金融でなければいかぬ。預貯金の範囲内での貸し出しだと言われておる。ところがインパクト・ローンというのは、その意味では預貯金の範囲内での貸し出しという原則を破ったと思う。物の裏づけのないところの外貨が入ってきて、それだけ円というものが多くなってくる、こうなりますと、蔵相のいわゆる健全金融という建前に反するのじゃないか、預貯金の範囲内での貸し出しという建前に反するのじゃないか、このように考えるのですが、インパクト・ローンに対する蔵相のお考えを承わりたい。
○池田国務大臣 このインパクト・ローンというものの定義は、いろいろの人によって各様に違っておりますが、従来インパクト・ローンにつきましては、大蔵省の立場としては厳にこれをとめる態勢をとっておったのでございます。しかし実際問題といたしましては、二、三年前からの契約その他がございまして、ある程度――実績から申しますと、昨年じゆうもあったのでございます。しこうしてわれわれは原則といたしまして、預金の増加によって貸し出しをまかなっていくという原則を立てます。しかし日本の経済が急に拡大しなければならぬ場合におきまして、外資の導入によっていろいろな事業をすることは全然いけないというわけのものでもございません。たとえば火力発電等の問題で物資を持って参りまして、日本でやる。そうすると日本でその土地を買い入れる分はインパクト・ローンになる。しかしその部分が非常に少い場合におきましては、これは火力発電が非常に必要であるというときに、他の重要物資も全然抑えなければならぬという場合には、インパクト・ローンも考えていいのじゃないか。日本の経済に影響を及ぼさざる限りにおいては……。しかもまた造船等のごとく、今鉄が不足で鉄を輸入しなければならぬという場合に、何も外国からの船舶の注文を日本の鉄ばかりによってやっていくよりも、金を借りてきて、鉄を仕入れ、機械を仕入れてやるということも、経済の状況から考えては、許し得る範囲があるのじゃないか。今までのインパクト・ローンは絶対にいかぬという考え方はとらわれ過ぎておる。従って必要ありとすれば、しこうして日本の経済に悪影響を及ぼすことがないとすれば、いい影響を及ぼすとすれば、インパクト・ローンはあえて断わるものじゃないということを私は言っておるのであります。金を借りてきて物資がないのにこれを使うということは、これは財政演説で申し上げている通りいけないけれども、今までのようにあまりにとらわれた考え方は必ずしもとらぬというのが私の考え方でございます。
○成田委員 そういたしますと、物の裏づけのない、いわゆる外貨借款、そういう意味でのインパクト・ローンについては蔵相は好ましくない、こうとってよろしゅうございますか。
○池田国務大臣 さようでございます。
○成田委員 そこで貯蓄の増強の問題なのですが、貯蓄の範囲内で金を貸す、投融資をする、こう言われるのですが、自由競争を今建前にしているのです。そうしますと、銀行としては最も安全な道に融資をする、こういうことで系列融資という問題も起きてくるのです。そうしますと現在の金融繁忙の状態においてはその犠牲を受けるのはだれかというと、中小企業だと思うのです。銀行が営利会社としてみずから安全の通を選ぶ以上当然だと思うのです。結局そういう政策をとれば中小企業にしわ寄せが来る。結局池田さん式の中小企業いじめだ、こうならないとも限らないのです。そこでほんとうに金融の問題を解決するとすれば、自由にまかせないで、昔自由党時代にも御構想がありました官制による資金計画委員会、こういうものをお作りになって金融をコントロールしていく、こういうお考えがあるかどうか。
○池田国務大臣 領金の範囲内で貸し出しをするということから、すぐ中小企業が困るというわけのものでもないと思うのでございます。預金の範囲内で貸し出しをしますということは、健全な金融をやっていこうということでございまして、これがどちらに影響があるかということは二の次であります。しこうしてあくまで銀行は公共的な立場によってやっていく、これは大蔵大臣として常に言っておるわけであります。単なる営利会社じゃない、公共的使命を持っておるのだということを言っておるのであります。従いまして、われわれといたしましては、面接に統制しようとはいたしておりません。直接に統制しようとはいたしておりませんが、今お話のように資金委員会というものを設けまして、財政融資はこれだけこういう方面に出します。そうするとやはり民間の投資もこれとタイアップしなければならない。従いまして資金委員会を設けまして常に連絡をとって、政府の金融財政施策に協力していただくように連絡を十分とっております。それから、しいて資金委員会を設けなくても、私といたしましては常に金融界と連絡をとりまして、貸し出しその他資金運用につきましていろいろな意見を聞き、自分の意思を申し述べて、そしてどこにもしわが寄らないように、寄るとしてもそのしわが全部に少しずついくように考えていきたいと思います。
○成田委員 これは大蔵大臣にお尋ねすることが筋か、地方自治庁長官にお尋ねするのが筋かわかりませんが、今の貯蓄の増強ということを言っておられるのですね。そういう貯蓄の増強を主張されておりながら、今度の地方税法の改正で芸者の花代が下ったのです。金額としてはこれは大した問題じゃないと思いますが、国民の心理に与える影響というものは非常に大きいと思うのです。たとえば国鉄運賃の値上げをやる、ガソリン税の引き上げもやる。大衆はその負担をこうむる。芸者の花代の引き下げというものはその逆なんですね。しかもその対象になるのは大体金持ち階級だけなんです。こういうときに徴税が楽になるとか、そういうことを理由にして芸者の花代を引き下げるということは、国民心理に与える影響川が非常に悪いと思うのです。そこで田中さんから御答弁願ってもけっこうですが、なぜ芸者の花代を下げたのか。これは国民に与える影響という点から考えまして、こういうやり方が正しいのかどうか、技術的な問題は別にいたしまして、こういうやり方が政治として正しいかどうか、総理の御見解もあわせて承わりたいと思います。
○田中国務大臣 お言葉のありました芸者の花代でございますが、現行制度のもとでは、芸者の花代は税率三制、芸者に類似するもの、芸者以外の芸当でありますが、これは税率が一割五分でございます。そこで私が就任をいたしまして、このたびの地方税法の改正を志しました第一の改正の大方針としては、遊興飲食税全般に関して、同じ税の中における負担の均衡がとれていない。その不均衡を是正することが公平である。同じような仕事をしておって、芸者と名がつくと三割、芸者以外の芸者は一割五分、これくらいわけのわからぬ不均衡はないわけであります。これの均衡をとるというきわめて簡単な理由でございますが、これによって一側五分におろしたわけであります。これは一つの考え方としまして、芸者以外の類似行為をするものを三割に引き上げることも一つの均衡でございますが、しかし上げて均衡をとるか、おりして均衡をとるかということになると、わが党の政府の方針としましては、おろして均衡をとることが理屈がある、こういう考え方から行いましたことであります。
○成田委員 これはおろして均衡をとると言われましたが、それは悪均衡なんですね。こういう一部特権階級の遊びの対象である芸者の花代なんか、政府の立場としては、禁止的な税金を課すのがほんとうである。こんなものから財源をとろうとするところに間違いがある。そこで岸さん、世間ではこういうことを言っておりますよ。保守党とかけて何と解く、芸者の花代引き下げと解く。その心は符合政治。こういう歌さえはやっているのですね。そこで明るい政党政治をお考えになる岸さんとしては、芸者の花代引き下げについて心から賛成していらっしゃるかどうか、これを一つ御答弁願いたい。
○岸国務大臣 われわれは政治を明るく清くするということは、当然政党政治を明朗ならしめる意味からもわれわれのやらなければならぬことであると考えまして、石橋内閣以来そういう方針できております。ただ今芸者の花代の問題でございますが、これはその政治の根本の問題としては何らの関連はないと私どもは思っております。今自治庁長官が申したような技術的な意味からそういうことが行われているのでありまして、私は政治の根本に対する所信につきましては、政治を明るくする、待合政治というようなものは廃止するという方向を堅持しているものであります。
○成田委員 では最後に総理にお尋ねしたいと思いますが、総理は、石橋内閣の方針、政策を受け継がれた、こういうことで今施政をおやりになっているのですが、そこで解散の問題であります。総理は、解散の意思はない、こうおっしゃっている。ところが石橋さんが組閣されて、記者会見でどう言っているか、今直ちに解散をやるべきじゃない、国民に精神的な準備を与える必要がある。その精神的準備というのは何といえば、二大政党が、自由民主党と社会党が、お互いに政策を出し合って、はっきり政策的な対決をやりまして、両党の政策が国民に明らかになったときこそ、精神的準備のできたときだ、こう言われている。今度の予算案の審議を通しまして、自民党の政策と社会党の政策というものは、はっきり国民にわかったと思うのです。もうすでに精神的準備はできているのですよ。そこで石橋さんの方針、政策をあなたが踏襲なさるとすれば、おそらくとも予算が成立したときに、精神的準備のできた国民に解散をやって、信を問う必要がある。これについての総理の見解が一つ。 もう一つ、これは特に岸さんに申し上げたいのでありますが、戦時中のことはとやかく申しません。しかし国民は今何といっても割り切れない感じをあなたに持っているのです。総選挙であなたは代議士に当選された。その意味において国民はあなたの過去を問わないということになっておると思います。しかしそれは一代議士の問題でありまして、総理大臣として内閣の最高責任をおとりになるこの問題は、まだ解決していないと思う、そこで岸さんとしては、特に総理としての適格を国民に問う、こういう意味においても、総選挙を予算成立と同時にやりまして、この二つの問題を解決すべきではないか、またこれが国民の望んでおるところだと思いますが、総理の御所見を承わりたい。
○岸国務大臣 解散の問題は、私が申し上げるまでもなく、政治上きわめて重大な意義を持つものであります。特に解散をしまして総選挙が行われる、そうして政局が安定するまでの間には、少くとも二ヵ月前後の相当政治上の空白――という言葉は少し言い過ぎかもしれませんが、いろいろな支障があることは当然であります。従ってこの解散、総選挙ということを断行するにつきましては、国民経済及び国民生活に非常な影響のあることでありますから、責任ある考えとしましてはもちろん慎重に考えてこれに処さなければならぬ。従って民主政治でありますから、国民世論の動向ということは私は非常に重大に考えております。またわれわれが政治の責任をとっていく上から申しまして、政治の責任をとる上においてどうしても支障が生ずるというような重大な事態を考えますときにおいては、解散して民意に聞くということもしなければならぬと思う。しかし今申しましたように、いずれにしてもきわめて重大なことであるから、これは本会議等においても申したのでありますが、ただ単に同じ政党内において総理がかわったというような場合においても、政権の移動であるから必ず民意に問えというふうな形式的公式論に、私は必ずしもいかなる場合においても賛成するものじゃないということを申し上げたのでありますが、それは要するに今申しましたような非常に重大な問題でありますがゆえに、各般の政治情勢なり特に国民世論の動向というものを私は重視して考えなければならぬ、かように考えております。 石橋前総理が言われました国民に精神的準備を与える云々ということでありますが、私はもちろん常に国会の討議を通じて二大政党の主張もしくは考え方というものを国民が明確に把握して、そうしてこれに対する批判を持つということは、国会政治における一つの必要なことである。従ってこういう予算委員会や本会議における質疑応答に対しましても、野党の諸君がきわめて真摯な態度を持って質問されておることに対して、私は国会政治のために非常に慶賀するものであるとともに、私自身並びに内閣といたしましても、これに対しては所信をできるだけ詳細に、明確にお答えをすることによって、国民がこういう国会政治に対しての信頼及び批判を持ち得るように努めることは当然であると思っております。これにおいて批判ができ、両方の主張がわかったら常に解散していくということは、石橋総理の真意もむしろそういうところにはなかったのであろう。われわれは解散をするというような場合においては、やはり私が申し上げたように、国民世論の盛り上る動向というものが必要であって、それはただ感情的なことではなくして、十分政策的に両党の主張というものが国民に明確になり、国民がそれに対して正しい批判力を加えて、そして世論として解散を要望する声が持ち上る、その場合においては解散するべきだという考えであったと私は解釈しております。その考えは今日私自身の解散に対する考えでありまして、こういう意味から申しますと、今日予算を成立せしめまして、政府としてはそれを実行するという責任の上に立っておりまして、国民の今日の世論の動向も、私はそれを真剣に検討し、洞察を怠らないようにいたしておりますが、今申したような大きな犠牲を払ってまでこの際解散をしろ、子算が通ったら解散しろというのが、私は国民の盛り上る世論とは実は考えておらないのであります。こういう見地に立って、今日におきましては私は解散する意志はない、また予算が成立してもすぐ解散する意志はないということを申し上げておるわけであります。
○山崎委員長 川俣清音君より議事進行につきまして発言を求められております。この際これを許します。川俣清音君。
○川俣委員 予算審議の終了を間近に控えまして、この際政府の注意を喚起いたしたいと存じます。それは、政府が予定いたしております法律案百九十二件のうち、予算に関係あるものが七十四件、これはいずれも石橋内閣の用意いたしたものを、岸内閣がこれを引き継ぐと言明されておるのであります。それによりますと、昨日までに提案されたものは九十四件、特に本予算委員会と関係の深い法案は六十八件、なお五件ないし六件未提出のようでございます。こうなりますと、予算案そのものを修正されるのか、もちろん予算というものは法律と同様の規範を持つことは当りまえでございますけれども、せっかく予算を組みましても、その基盤となります法律案がなければ予算の執行はできないことになりますので、法律案を出される用意があるのか、または予算を修正されるのか、明日の本予算の討論の前までに、この点明確にしていただかなければならないと思います、提出してあります予算案を修正するつもりなのか、あるいは明日までにこれらの法律案を提出される予定なのかどうか、これはたびたび政府に注意を喚起いたしたところであります、もしも本委員会に法案の提出がなければ審議をすることができないことを警告いたしたのでありますから、明日までにあらためて政府の声明をお願いいたしたいと思います。きょうはこの程度にいたしておきます。十分心得て明日に臨まれることを望みます。
○山崎委員長 以上をもちまして、昭和三十二年度一般会計予算外二案に対する質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○山崎委員長 それでは次に、昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)を一括して議題といたします。 川俣清音君外十六名より提出されました右両案の編成替を求めるの動議及び政府原案を一括して討論に付します。江崎真澄君。
○江崎委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)及び特別会計予算補正(特第1号)の政府原案に賛成し、社会党提出の組替案に対しまして反対するものであります。 この予算の内容につきましては、さきに政府から説明がありました通り、一般会計から産業投資特別会計に三百億円を繰り入れ、三十二年度及び三十三年度の財政投融資の原資に充当いたしまして、これを計画的に弾力性を持たせ、各般の経済情勢に応じて使用しようというものでありますから、わが党が推進しておりまする国民経済の発展、産業基盤の拡大強化等の政策に全く合致するところの措置であります。この繰り入れにつきまして社会党側から財政法違反であるとの意見がありましたが、これは財政に弾力性を持たせるという意味から、財政法四十四条の規定に従い、特別の立法によって繰り入れるのでありますから、何ら疑義を差しはさむ余地はあるものでなく、将来の景気の調節弁としてまことに適切な措置を講じたものとして、むしろ賞賛されてしかるべきものであると考えるものであります。(拍手) また地方交付税交付金としての百億円についてでありますが、国税三税の自然増収による交付率二五%に当る当然の措置でありまして、これによって三十一年度におきまする地方交付税交付金の総額は一千七百二十八億円となり、地方財政運営の円滑化が期待できるのであります。 さて、社会党の組替案を見まするのに、この中には政府が第二次補正予算に予定しているものを入れておる程度のものでしかありません。残念ながらわれわれは傾聴すべき何ものも認め得ないのであります。(「そんなことがあるか」と呼び、その他発言する者多し)あとから申し上げます。補正予算とは申しながら、二大政党対立のもとにおける社会党のためにわれわれは惜しむものであります。(拍手) 第一に問題となるのは、産投会計への繰入金を全額削除して、これを食管の昭和三十年度及び三十一年度の赤字補てん、その他の歳出財源に充てている点でありますが、これは明年度における財政投融資の計画を縮小させるものであり、時宜に全く適せざるものであります。これはわれわれの掲げておりますところの積極政策遂行のためにも支障を来たすことになりますので、とうていわれわれの納得するところではないのであります。(拍手) また、食管会計の赤字補てんにつきましては、政府において三十年度の決算確定分三十四億円を次の第二次補正で措置する、三十一年度の赤字については決算の確定を待って措置しようというものであります。大蔵大臣は、しばしば当委員会において、過去の赤字全部については絶対消費者の負担に帰せしむるがごときことはない、確定を待って一般会計より繰り入れ、これが処理をすると明快なる答弁を繰り返しておるにもかかわらず、その未確定なものをあくまで補てんすべしと幾たびも強弁をなし、さらに産投会計への繰り入れをやめてまでこれに充当しようとするがごときは、国民経済の発展を忘却し、いたずらに行きがかりのみに拘泥した所論と言うべく、私どもは根本的に考えの相違するところであります。(拍手) 次に、沖繩住民への見舞金でありますが、これはわが党としても熱意を持って対処する所存であります。政府においても目下これが準術中でありまして、いずれ近く提出の第二次補正予算の中に現われてくるものであります。 なお国連への分担金が二億円、あなた方の変更案には計上せられておるのでありますが、これは国際条約によりまして、国連からの分担金の割当が参りましてから金額がはっきりするものでありまして、まだその割当の全然ない今日、しかも三十一年度において支払い得る期間内にはおそらく決定を見ないであろうとはっきり見透かされておりますのに、先走ってこれを計上するがごときは、いかなる理由に基くものでありましょうか。残念ながらナンセンスと言わざるを得ないのであります。(拍手)私どもは、国連分担金の割当がはっきりいたしましたとき、その措置を講ずることといたしておるのであります。 次に、社会党は、組替案の中に、農林漁業金融公庫に対する出資として三十八億円を計上しておりますが、年度末のわずかの日数であるのに、これを緊急に計上しなければならぬ理由はないのであります。政府は、三十二年度において前年度より六十億円の大幅増額を予定し、すなわち三百五十億をもって農林漁業の要請に十分応ずる態勢をとっておるのであります。その他遺族及び留守家族等の援護費三十一年度不足額二十八億円の補てん等、並べておられるところの項目は、すべて近日提出を予定せられておりまする第二次の補正予算あるいは三十二年度予算において、きわめて適切なる措置がとられまするので、これまた本補正予算に計上するの必要がないものと断言できるのであります。(拍手) 以上、まことに簡単でありますが、私は本補正予算の政府原案に賛成し、社会党提出の組替動議に対しましては絶対反対をいたしまして、討論を終るものであります。(拍手)
○山崎委員長 森三樹二君。
○森(三)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府提案の昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)に対し反対いたしますと同時に、わが党提出の昭和三十一年度補正予算組替動議に賛成の態度を表明せんとするものであります。(拍手) すでに本日までの本会議並びに各種の委員会におきまして、われわれの同僚委員より明快に指摘いたしました通り、政府提案にかかる予算案の積極財政なるものは、明年度における租税の自然増収約二千億円をもって、一般会計歳出増加に一千億円、並びに減税関係に一千億円を分配したにすぎないものでありまして、かかる予算編成が果して健全なる国民経済の発展に書写し得るやいなや、はたまた財政の過度の膨張によりまして物価の引き上げの直接の原因となり、かつまた金融を圧迫して再び昭和二十八年下期に見られたような、きびしい金融引き締めの状態を起さしむるものであると考えるのでありますが、これに対する政府当局の答弁はきわめて不明瞭であったのであります。特に予算委員会においてわが党の各委員よりするところの質問に対しまして、池田蔵相の御答弁は、御都合主義の言いのがれにすぎなかったと私は断ぜざるを得ないと思うのであります。(拍手) すなわちわが党委員が、明年度の一般会計予算並びに財政投融資を合算した額の国民所得に対する割合は、明らかに昭和三十一年度よりも上向っていると指摘いたしましたるに対し、池田蔵相は、財政の規模については一般会計においてのみ論ずべきものであるという、まことに形式一点張りの答弁をしたにすぎないのであります。国民が政府に聞きたいことは、積極財政はけっこうだが、その結果として物価が上ったり、金詰まりになったり、あげくの果ては不景気になっては大へんであると心配しているからであります。われわれがこのような国民感情を代表して、今年度経済の見通しにつきまして、あらゆる角度から質問しているにかかわらず、政府の答弁がけっこうずくめの楽観論とともに、形式論理によってのみ、インフレにはならないと、かように強弁されるのでありまして、国民の不安はますます高まっていると言わなければなりません。 昭和三十一年度予算補正(第1号)は、形式的には三十一年度予算の補正であるが、実質的に申しますならば、昭和三十二年度予算と全く一体不可分のものであるということができるのであります。すなわち昭和二十九年度以来の好況によって、租税の自然増収が目立って増加いたしました。昭和三十一年度においてはおおむね九百億円と推定されているのでありますが、これは昭和三十二年度予算における租税の自然増収の見積り一千九百億円とは、全くその同一の経済原因によって生じたものであります。従いまして明確なる経済計画を持ち、世界経済に対するはっきりした見通しを持っておるならば、当然三十一年度予算補正と、三十二年度予算とは、緊密一体のものとして編成されるべきものでありまして、社会党内閣ならば、きわめてこれが自然的に措置がとられたものと私は強く確信して疑わないのでございます。 しかるに政府は国民を期待させる何らの経済的見通しを持たずして、三十一年度予算補正並びに三十二年度予算を一体的に運営せんとしているのでありまして、すなわち歳入においては法人税、所得税、各二百億円、合計四百億円の租税収入を計上し、これを地方交付税交付金に百億円、産業投資特別会計資金へ三百億円の繰入れを行なっているのであります。しかもこの三百億円のうち、百五十億円は、明年度財政投融資の原資に充てると説明しているのであります。 しかしながらわれわれの見解からするならば、財政法第十二条には「各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない。」とあります。わが国の財政制度は、単年度制をとっていることが明確に規定されておるのであります。また、第六条には、「各会計年度において歳入歳出の決算上剰余を生じた場合においては、当該剰余金のうち、二分の一を下らない金額は、他の法律によるものの外、これを剰余金を生じた年度の翌々年度までに、公債又は借入金の償還財源に充てなければならない。」と規定しておるのであります。これによって剰余金の処理は法律的に規定されておるのであります。およそ法の解釈には、可能な行為と不可能な行為があると考えるのであります。不可能な行為はもちろん法律で禁じられておりますが、可能な行為の限界におきましても、前例または慣習に従わなければならぬし可能な範囲を広げようとするときには、その理由を明らかにしなければならぬと思います。補正予算において、特別会計に資金を繰り入れた例は、すなわち昭和二十四年度補正において、食糧管理特別会計に対し百七十億円、昭和二十五年度補正において、外国為替特別会計に百億円の繰り入れを行なった前例があります、この二つともいわゆるインベントリー・ファイナンスでありまして、これらの資金は、商品や外貨に見合うものとして、近い将来それに相当する資金が返ってくることが保証されていたのであります。 しかるに今回の補正予算におきまして、産業投資特別会計の明年度原資として百五十億円を繰り入れるという措置は、今日までの政府の答弁によっては、経済の見通しは全く不安であり、資金環流の見込みもきわめて不安定なのであります。従って財政法の範囲における可能な行為として判断する根拠は、きわめて乏しいと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)しかるに池田蔵相は、二月八日の本委員会におけるわが党和田委員の質問に対しまして、これは財政法に何ら抵触する措置ではございません、これを禁止した規定はございませんと言明し、法の解釈について、政府みずから順法の原理をじゅうりんしたものであります。しかるに今年から池田さんはうそはつかないと公約した。しかしその公約をした直後において、ついにこれを自認せざをる得ない。すなわちさすがに心臓の強い池田大蔵大臣もついにその非合法を認めまして、二月十一日、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を提案して、法的つじつまを合わせるという失態を演じたのであります。(拍手)私は池田蔵相のかような論弁に対するつじつまを合せました政治責任は、きわめて重大でありまして、その信任を問わなければならないと考えております。 第二に、私が政府案に対する反対の論点といたしましては、昭和三十一年度における租税の自然増である四百億円の歳入の四分の三は、当然に優先的に産業投資特別会計に充ててしまったのでありますが、自然増収分を何ゆえに国民生活安定のために使わなかったかと言わなければならぬのであります。(拍手) 私は年度末において三十一年度の自然増収分だけを、減税措置によって国民に返せというのではありませんが、少くともこの自然増収は、公営住宅の建設であるとか、社会保障の充実であるとか、義務教育施設の拡充等の、差し迫った必要経費のために充てるべきが当然であったと思うのであります。しかるに政府は、これを優先的に産業投資特別会計の原資に充ててしまって、明年度財政投融資の膨脹の原因を作ってしまった。この財政膨脹の結果は物価の値上り、金融の引き締めとなりまして、国民生活を圧迫することは必然であると思うのであります。 しかも井出農相は、先日来食管特別会計の赤字解消のために、三十二年度予算の補正が必要であると答弁したかと思うと、すぐさま前言をくつがえしまして、三十一年度、三十二度の食管特別会計の赤字処理は、あげて新設の食管制度特別調査会の答申に待つという方針に転換したのでありますが、転換とは言うものの、実は責任のがれでありまして、その実は井出農相が口をすべらしたように、消費者米価の値上げにあることは火を見るよりも明らかであると思うのであります。(拍手) このように政府は予算編成について何らの定見がなく、その欺瞞的政策の破綻を露呈したものであると言わなければなりません、私は食管会計等における処理を明らかにしない限り、政府は、昭和三十一年度予算補正を行う資格は全くないと断ぜざるを得ないと思うのであります。(拍手) 私はこのような本末転倒した補正予算の編成を絶対に承認することができなのいであります。昭和三十一年度予算補正(第1号)は、国民生活をますます圧迫るに足る予算案であると言わなければならぬ。日本社会党はこれに対して絶対に反対するとともに、この四百億円の原資を、先ほど申し上げましたような、国民生活の安定のための経費に振り向けるよう編成されることを要望するのであります。その点わが党より提案されました、昭和三十一年度補正予算組替の動議は、食糧管理特別会計繰り入れ百九十五億円を初め、国民生活安定にいずれも直接関係の深いものであります。詳しいことは昨日成田君から提案理由の説明がございましたが、私は、その項目と金額を、短時間でありますから読み上げてみたいと思うのでありますが、すなわち、わが党の組み替案によりますと、食糧管理特別会計繰り入れ百九十五億円、遺族及び留守家族援護費二十八億円、社会保険費、国民健康保険関係二十二億五千万円、健康保険関係十七億円、次に義務教育費国庫負担金十七億五千万円、国立病院運営費二億五千万円、旧軍人遺家族等恩給費二十六億円、地方交付税交付金百十二億五千万円、沖繩住民見舞金三十億円、国庫受け入れ預託金の金利支払い七億円、国際連合分担金二億円、漁船再保険特別会計繰り入れ二億円、農林漁業金融公庫に対する出資三十八億円等でありまして、国民経済に直接影響するきわめて重大なるところの予算であります。 われわれは、このようなわが党提案の組替動議を、ぜひとも皆さんの御賛成を得たいと思うのでありますが、以上申し上げましたような次第によりまして、政府の補正予算は、まことに無定見きわまるものでありまして、断じて賛成することができないのであります。 私はこの際、わが党から提案されておりますところの組替動議に、何とぞ御賛成あらんことを主張いたしまして討論を終る次第であります。(拍手)
○山崎委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決に入ります。 まず川俣消音君外十六名より提出されました、昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)の編成替を求めるの動議を採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立少数。よって川俣清音君外十六名より提出されました昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)の編成替を求めるの動議は否決されました。 次に、昭和三十一年度一般会計予算補正(第三号)及び昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)を一括して採決いたします。右両案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立多数。よって、昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和三十一年度狩別会計予算補正(特第1号)は、いずれも原案の通り可決いたしました。(拍手) 委員会報告書の作成につきましては、先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 明日は午前十時より開会し、昭和三十二年度総予算の討論採決を行うことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十三分散会 ――――◇―――――