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26回国会衆議院1957/03/05

予算委員会 第13号

発言数
102
登壇者
12
会派数
2
開催日
1957/03/05

会議録

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 これより会議を開きます。  昭和三十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。松本瀧藏君。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 最初に大蔵大臣に御質問したいと思います。  三十二年度の予算は国際収支のやや楽観的な見通しに立って編成されておることは、何回となくこの委員会でも説明された通りであります。しかるに最近外国の新聞あるいは雑誌に出てきております記事を見ながら、ひそかに心配しておるのでありますが、何かしら世界経済は変化を示し始めたのではないかという気がしてたまらないのであります。あるいはこれは一般に言われておる世界の長期的な経済拡大の傾向の大きな流れにおきましては、一時的な徴候であるということであるかもしれません。そうあってほしいと思うのでありますが、ただし非常に和気になりますことは、ただ単にこれが米国のみならず西欧主要国における野放しに楽観を許すことのできない記事がちょいちょい出ておることであります。たとえばアメリカの例をとってみましても、在任中アメリカの永遠の繁栄を叫んだフーヴァーが、一九二九年の暮れのウォール街の株式の暴落によりまして、アメリカにおいて未曾有の不況をもたらしましたそのときの徴候と同じだということを、最近元大統領フーヴァーが警告を発しておる。さらにアメリカの新聞、雑誌におきまして、不必要にインフレ論やあるいは不況論が出ておるのみならず、連邦銀行の金融引き締め政策に対するところの批判等が出ておるのであります。アメリカの景気バロメーターとも申します自動車の売れ行きも、あるいは貨物の輸送量あるいはさらに小売販売高等あたりも、何となく景気の中だるみを示しているかの観があります。英国は例のオースティリティ・ポリシイを堅実に守ってきたのでありますが、最近やはりやや動揺を来たしております。ドイツもそうであると同じように、フランスにおきましても景気の停滞傾向はいなめない事実であると報ぜられておるのでありますが、これに関しまして大蔵大臣の見解を承わりたいと思います。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 世界の景気の動向につきましては、各国いろいろ議論をされておるのであります。ちょうど昭和二十八年ごろにそういう議論がアメリカにおいてもございましたが、最近またそれが出てきたようでございます。アメリカにおきましては自動車の売れ行きあるいは住宅建設が従来のように伸びないという景気下降の数字も出ておりますが、片一方では貿易規模の拡大あるいは財政投資の増大等がインフレの原因ではないかという議論もあるのでございます。雑誌あるいは評論家あるいは経済学者のいろいろな集まりでの大体の見通しといたしましては、今年の上期が頂上であって、下期には横ばいあるいは少しくらいスロー・ダウンするのではないか、しかし一九五八年、来年になるとまた景気が出てくるというのが通説のような状況に相なっております。しかし連邦準備銀行といたしましては、三分の割引率を引き上げたままでずっとやっておるということを見たり、あるいはその他の状況を見まして、私は大体今年の上期はまだ上昇を保ち、下期にちょっとスロー・ダウンで、来年はまた上昇するのではないかというふうに私も見ておるのであります。イギリスあるいはドイツにおきましては、これまた昨年の金利の引き上げを中心として、景気論につきまして非常に議論がございましたが、最近イギリス並びに西ドイツが五分五厘の金利を五分に下げたことを見ますると、やはり今度は相当投資活動の方に向っていくのではないかという気持を持っております。またフランスは御承知の通り、一年間に五億ドル余りの外貨を減らしまして、経済上の危機と言われておる状態でございますが、これはいろいろアルジェリアの問題等がございまして、フランス経済としては非常にむずかしい立場になっておりますが、インフレ防止、経済回復に非常に努力をいたしておるようでございます。  これを通じてみますると、私が財政演説で申し上げましたように、大体の景気といたしましては、これは三カ月、六カ月の起伏はございましょうが、見通しといたしましては今の経済事情は悪くならない、ずっと長い目で見ていけば、一年、一年半を見ていけば、今の景気を続けていくと私は確信いたしておるのであります。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 ただいまの大蔵大臣の世界景気の解剖通りにすべて的確に運ぶことをわれわれ念じてやまないのでありますが、もう一つお伺いしたいことは、この世界の動向に呼応しておるかのごとく、わが国におきましてもやはり異常な徴候が現われておるのであります。たとえば最近の金詰まりが深刻になってきたこの傾向、あるいは財政で放出する金よりも、税金や輸入超過などで国庫へ吸い上げていく金の方がはるかに大きいことを新聞は報じております。その一方インフレ論議を裏づけるかのごとく、物価が今年になってじりじりと上る傾向をたどっております。ことに過去二カ月におきまして、生産財よりも消費財の値上げが大きいということであります。インフレは明日のデフレになるという言葉がありますように、やはり国民はこういう傾向に敏感で非常に心配しておりますので、大蔵大臣のこれに対するところの見解を承わりたいと思います。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 最近の金詰まりの状況は、従来から一−三月は非常に引き揚げ超過になるのが通例でございます。しかしてその通例に従いまして、今年も相当引き揚げ超過に財政はなっております。ことに自然増収が千億円と見込まれる状況になりますと、それが急に一−三月に出てくるのでございます。そうしてまた従来、すなわち昨年あるいは一昨年は国際収支が相当の黒字でありましたものが、昭和三十一年度はある程度赤字になる。しかもその赤字になる原因が、昨年の秋ごろから非常に輸入が旺盛になりましたために一−三月に輸入資金の繁忙ということが出て参りまして、金詰まりを来たしておるのでございます。しかしこういう状態にかんがみまして、私の方ではできるだけ財政資金を放出する、昨年の暮れに八十億円を出しまして、また一−三月の間に四百二十億円、合せて五百億円ばかりのマーケット・オペレーションをやって金融緩和に努めようとしておるのであります。この現象は一時的なものでありまして、四月になりますと通常散布超過になって参りますので、これは遠からず普通の状態に回復すると確信いたしております。  なお物価の問題、ことに消費物価の最近の値上りについて御心配のようでございますが、大体私は過去三、四年間の世界の物価の動きを見てみますと、卸売物価につきましては、昭和二十八年を基準にしますと、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスは大体六%から四%程度の増加をしておるのであります。アメリカも日本も二十八年を基準としますと、大体六%程度、イギリスが五%余り、こういうふうな状況でありまして、日本の卸売物価は外国に比べてそうひどいことはない。ことに昨年卸売物価が相当に上ったのでありますが、これは鉄鋼あるいは機械の異常な値上りに幸いされておりますので、一般の物価といたしましては、外国のそれに比べてそう上っておるとは思いません。しかし消費物資につきましては、昭和二十八年を基準にいたしまして、わが国の消費物資の上りようは非常に少かったのであります。ただ昨年の暮れいろいろな事情がございました。ことに正月用品の急激な値上り、あるいは天候の関係によりまする最近の野菜の値上り、あるいは木炭の関係等で今上っておりますが、これは私は一時的のものであると見ておるのであります。しかしいずれにいたしましても物価の動向につきましては、われわれは毎日それを見ておりまして、できるだけ物価の上らないようにいろいろな措置を講じていって、インフレの心配のないように努めておる次第でございます。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 インフレを防ぎつつ健全性の原則は断じて貫徹するという強い意見を大蔵大臣は述べて参られました。私どもはこの文句は、ただ単に通り一ぺんの文句に終らないことを念ずると同時に、ただ強気一本では国民のインフレに対するところの不安は一掃できないのであります。そこで政府に要望いたしたいことは、財政、金融、産業にわたるところの総合政策に十分なる留意を払い、健全なる経済政策を実施されんことをお願いしたいのであります。時間の制約もありますのと重複を避けるために、大蔵大臣に対する質問はこれで終ります。  次に防衛庁長官、内閣委員会の御都合があるそうでありますので、先にさしていただきたいと思いますが、長官は就任早々の記者会見のときに、PRに対する必要性を力説されました。もっともな御意見だと思います。その後における長官のPRに対する熱意のほどを一つ伺わせていただきたいと思います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 私就任早々でありましたけれども、現在の自衛隊というものは国民から信頼され、理解されなかったならば、なかなか任務達成も困難であろうと考えまして、私自身の解釈からすれば、このPRをやるということもほんとうに質的増強の一つの要素であるというように考えたわけであります。そして私の申しますPRというものは、ただ単に外部に対するのみならず——もちろん外部の方にわかってもらうことが大事でありますが、同時に隊内に対しましても、ほんとうに隊員がよく自分の任務を理解して、そして行き過ぎたことがあってはならないし、同時に自分の任務を十分に自覚しなければならない。それにはまず対内的には、隊の内部に対しましては、今「朝雲」というウイークリーを出しておりますが、やはり兵隊さんと申しますか、下の隊員に対しましては、視聴覚教育をしなければならぬ。ところが現在の予算というものは、広報関係は一千万円くらいしかありませんから、十分なことはできにくいかと思いますが、私が在任さしていただいております限りは、ぜひそうした面について格段の努力をして、ほんとうに隊内をよくしていく、同時に外に対しましても、従来映画であるとか防衛年鑑であるとか、隊内の事情を知らせ、また防衛の重要性を理解するように努力せられてきておるようでありますけれども、いろいろ予算等の制約がありまして十分なことが行い得なかったようであります。しかし今後私は特にこうした点を重要視していくことが、今の民主主義下における自衛隊にとっては最も重要なことだと考えますので、就任後議会の方が忙しくて十分まだ具体的な問題に入りかねておりますけれども、せっかく幹部の者を督励して、その方面の重要性を理解してもらい、今後議会の御協力を得まして、そうした面で防衛庁がもっとよく働き得るようにお願いいたしたいと考えております。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 ただいまの御答弁で非常に私失望するのですが、最初の意気込みというものは大へんなものであったということは一般世間の知っている通りであります。一体防衛庁ではPRに使える予算というものはどれくらいございましょうか、政府委員からでもけっこうであります。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 実は昨年度は募集、広報関係も含めまして、八百三十万円しかなく、また今年度は千五十万円程度のものでございまして、私も、予算ができました以後就任いたしましたので、その点は御指摘の通り失望いたしておるのでございます。ただいろいろやりくりをいたしまして、今までもいろいろ図書類とかあるいは映画関係とか、放送関係とかまたいろいろな講習会をやるとかいうようなことをいたしております。そこで私は御承知のように就任後も私自身から陣頭に立たなければならないと考えまして、放送とか映画とかいうような方面あるいは演説会のような方面も直接出かけて努力しておるのでありますが、これに対しましては、とかく役人仕事で部内で作ったようなものは一般に理解しにくい。そこでできるだけそうした専門的な人の作ったものを活用する、部内の者が作成するというようなことではなしに、よく防衛関係のことに興味を持った、映画関係とかラジオ関係とかいうような方面、あるいは言論機関の人という方々をぜひ、動員するというと失礼かもしれませんが、御協力を得まして、そうした方面の活動をしたいと思いますし、これはまだ最終的な決定をいたしたわけではございませんけれども、そういうふうな委員会と申しますか、そういう方々に集まっていただいて、お知恵をかりるというような組織も作りたい、いろいろな角度からいたしまして、この私が最初に申し述べました所信を貫きたいという意気込みで進んでおりますので、どうぞよろしく、そうした点は松本さんなども非常に専門の方でございますから、御指導を賜わらんことをお願いいたします。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 パブリック・リレーションの問題に関しまして、対外的並びに対内的にもこれを十分行わなければいかぬという長官の気持には敬服いたしますが、予算の関係からいたしましても、今までの経過の報告からいたしましても、いささか不十分であるということは非常に残念に思います。  そこで少し具体的にお伺いしたいのですが、防衛庁におきまして、たとえばこれはPRには非常に大切なことだと思うのですが、世界各国の防衛体制と申しますか、世界に独立国約九十ございますが、これらの国の中で、軍隊も自衛隊も持っていない国は幾つございますか、それらの国はどういう国でございましょうか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 詳細は係の局長に説明さしてもよろしいと思いますが、私もこれまで公開の場所で申しまするように、私の承知しておりますのでは、リヒテンシュタインであるとか、モナコとかいうような、国際的な地位から考えましても、大国の間にはさまって全然そういうことの必要のないところで、儀仗兵のようなものを置いておるだけであるが、その他の国、われわれの知っておる、名前が普通の人にわかるような国で、全然防衛費も使わないというような国は皆無であると言って差しつかえないと思うのであります。最近参りましたノルウェーの外務大臣も言っておりましたが、ノルウェーも実はイタリアと同じように、国民総所得の五%を防衛費に使っているのだということを申しておりまして、私はこの比率なんかは申しませんけれども、また私どもの方で関係しております防衛年鑑などにも、一応は説明いたしておりますが、こういう状況でありまして、今の御質問に対しましては、ほとんどそういう特殊な、地図にも載らないような国以外は、防衛を全然やらないという国はないというように御承知願いたいと思います。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 私の手元にありまする調べた資料、これは共同通信世界年鑑、最近の一九五六年版ですが、この中には、これはもちろん外国のワールド・オールマナックと後に照し合せまして少し修正の要があるというような感もいたすのですが、これによりますと、全然軍隊も自衛隊も持っていない国は、世界の九十カ国の中でわずか六つしかない。その第一は人口十五万四千人しかいないアイスランド、それから二万人しかいないモナコ、一万三千人のリヒテンシュタイン、一万三千五百人のサン・マリノ、一千人のローマ法王庁並びに五千二百人しか人口のないアンドラであります。ワールド・オールマナックによりますと、アイスランドはアメリカの撤退と同時に、一万人の軍隊を置くことになったということですが、さらにサン・マリノという国は、議席六十のうち三十五を共産党員がとったために、建軍九百人を置いております。こうなりますと、世界で軍隊も自衛隊も持っていない国は、九十カ国のうちで、わずか四カ国にしかならないのであります。さらに先般も欧米を回りまして、いろいろ現地で調べました結果によりましても、永世中立と目されるところの、たとえばスウェーデンという国、御承知のごとく東京の人口よりも少い、わずか七百二十万人しかおりませんが、徴兵制度をしきまして、十九才から四十七才までは兵役の義務を課せられております。陸軍は六十万、これにホーム・ガードと言っておりますが、おそらく国民兵でしょうが、十万ほどおります。空軍では、アメリカ、英国、ソ連に次ぎまして世界第四位である。これが従来の永世中立の国の姿であります。スイッツランドは、わずか四百八十万しか人口がございませんが、これも国民皆兵で、兵役の義務は十九才から六十才まで。防衛庁が今度求められた誘導兵器は、この永世中立を守ってきたスイッツランドのエリコンから求められたということを聞いております。ベルギーのごとき八百八十万しか人口のない国におきましても、徴兵制度をしきまして、十七才から志願制度というものを許しております。これらの国、裏を返しまするならば、九十カ国のうちでわずか四カ国だけが、自衛隊も軍隊も持っていない。全部軍隊を持っておる。しからばこれらの国は、一体どこを対象として軍隊を持っておるかというこの質問、この委員会におきます、日本の自衛隊というものは一体どこを対象として設置されておるのかという質問は、これらの八十六カ国にも発せられる同じ質問ではないかと思うのです。こういったことが自衛隊におきましても、防衛庁におきましても、十分PRが行き届いていないために、国民に一種の疑惑と誤解を招いておるのではないかと思うのですが、これに対する長官の所信を承わりたいと思います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 お説まことにごもっともでございまして、先ほど申しましたようにこれまでいろいろな制約がありますために、徹底しておらないかとも存じます。また私から申し上げましたように、ああいう防衛年鑑式の非常にかたいものでは、国民全体にわかっていただけない。そうした点をもっと砕けたものにして、今おっしゃいましたような点、私全く同感でありますので、そういう点について十分努力いたしたいと思います。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 さらに防衛分担金の問題につきましても、国民には理解のできない点があるのです。これもやはり防衛庁におけるところのPRが足らないきらいがあるからだと考えます。従来の日米協定によりまして、五百五十八億円の分担金がだんだん削減されまして、今年は参勤交代という言葉がありますが、そういったことをやる必要はない。一つの新しく設けられた方程式に当てはめれば、ちゃんと結論が出るような工合になっておる。昨年と同じように、三百億円弱というように軽減を見た。ところが巷間伝えられるところによりますと、一般の国民は、アメリカの軍隊の日本における駐留費というのは、全部日本政府がまかなっておるのだというような錯覚を起しておる。私どもはそうではないと思うのです。そこで一体この防衛分担金は、アメリカの駐留に要するところの経費の何%くらいになるのでしょうか、お示しを願いたい。大体のパーセンテージでけっこうでございます。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 アメリカ軍の日本における駐留に要する経費でございますが、被服、給与その他基幹的経費は、これはむろん米軍が自分で出しております。そのほかに日本におけるローカル・エクスペンスがあるわけでありますが、このローカル・エクスペンスだけをとって考えてみますると、日本が出しております金額よりも若干多い目の金額を米軍みずからが負担をいたしておるわけでございまして、ローカル・エクスペンスだけをとってみましても、日本国の分担額は二分の一には達しておりません。そういう状況でございます。被服、給与その他の基幹的経費をあわせて考えますと、これはずっと小さな割合になろうかと存じますが、その辺の金額のことはつまびらかにいたしておりません。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 こういったことを一般に公表することが、ややもすれば誤解によって摩擦を生ずる駐留軍との関係を、もっと改善するゆえんになるのではないかと私は思うのであります。従って私は最初に長官の、PRに非常に力を注いでやるという発言に意を得た感を抱いたのであります。何とぞ今後この点に十分留意されて、国民の啓発あたりに十分努力されんことを切望いたします。  さらに毎年防衛庁費の繰り越しがございますが、これは一体どういうことになっておるのでしょうか、どうして繰り越しを必要としておるのか、これを一つつまびらかにしていただきたいと思います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 これは年々相当の、二百億に余る繰り越しを出したということは遺憾でございますが、この内容を検討してみますと、大体繰り越しになる費目が三つあるのであります。一つは器材費、もう一つは施設の整備費、もう一つは艦船の建造費であります。  この器材費の方は、何分にも市場からあり合せのものを買うのでなしに新しい制式規格を要する、それの検討が予定よりもおくれるという場合があり、またものによりましては、技術研究所の方で試作をして調べてみなければならぬ、ところが必ずしも思った結果が出ないとやり直さなければならぬというようなこともありますし、いろいろ仕様書の作成とか、その準備に時間がかかるという場合もあります。また外国から輸入しなければならないものにつきましては、これは輸入の手続とか、輸出国の生産事情というようなことで、当然入るものと予定されておったものが入らないという場合があります。またある特定の器材については、一部分は米国側から供与されるものをくっつけなければならない場合に、向うから来るのがおそくなって、そのために実際の製作がおくれる、こういうような場合もこれまであったのであります。  さらにまた施設整備費につきましては、これは御承知のように、いろいろ現地と交渉いたしましても、なかなか補償費なんかでも話し合いができないという場合もありますし、またアメリカ側から日本側へ返還するということを相当確実なソースから公式に申して参りましても、いろいろの関係でそれが予定よりもおくれるために、せっかくその整備費は取ったけれども、その年に実行ができなくて翌年に繰り越すということもあったわけであります。  また艦船の建造費の方も、大体同様な関係でありまして、何分にも戦後空白期間があったために、普通の船舶と違った規格のものを作るので、それに非常に準備と申しますか、設計に思いがけない時間を要する場合、あるいはまた艦船にいたしましても、装備品は大体アメリカからもらっておりますので、それをつけるためには向うの方の品物が着かないと最終的の設計ができないというような関係もあり、またもう一つは、実はこれはいろいろ会計検査院の検査などで指摘されて遺憾な点もありましたので、できるだけ間違いのないようにしようといたしますと、一面ではどうしても最終的に決定するまで、たとえば業者の選択にいたしましても、問題を起してはいけないというので、部内で多少神経質になり過ぎておるというような点も、実は否定することのできない事実だろうと思います。  こういう関係で繰り越しが非常にこれまで多かったのでありますが、今年度、三十一年度末の方はどうなるかまだはっきりしたところは出ませんけれども、大体年々経費の額は上ってきますが、消化量から見まして、昨年よりは相当多くなっておって、繰り越しの額も前年よりは相当改善せられるだろうというように期待いたしております。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 この点に関しましても、やはり一般では防衛庁が不必要な予算をたくさんとって、使えないのだというような印象を受けておりますので、これまたPRを通じて一つ十分啓発されんことをお願いいたします。  最後にもう一言お尋ねしたいのですが、このごろは何でもかんでも、天気が悪くなっても防衛庁のせいだというほど、とにかくいろいろ不評があります。昨日鳥取県では自衛隊の輸送機が墜落いたしまして、乗客ら十七人が絶望だ、けさの九時のニュースでは死体が五つばかり上ったそうでありますが、これに関しまして、この機会に防衛長官から、一つ詳細御報告を願いたいと思います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 昨日午後立川を立ちましたC46輸送機が、美保の基地の近くでああいう事故を起しましたことは、まことに遺憾千万でございまして、私どもはこの点非常に恐縮いたしておる次第でございます。昨日は向うへ着いたのが六時過ぎでありますが、非常に雨も降っており風も相当あって、天候が悪かったのであります。大体美保の基地の方の風は、普通西風が多いので、当時GCAも大体そういう方向へ向けて装置してあったようでありますが、昨日は東風でありまして、普通の場合は美保の基地の東側から四回転して入って行くのを、昨日の場合におきましては、西側へ回りまして、中海の方から飛行場へ入って行かなければならぬということになったようであります。そこで、もちろんGCAによりましてガイドをしておりましたが、いよいよ近くに参りまして、非常に低空になりましては、結局その風の向きが変っておる関係もあり、肉眼による実測によって入るということをせざるを得ないことになったようであります。その際乗っておりました飛行士は、すでに戦前から経験のある人であり、グリーン・カードとホワイト・カードの二つある免許状のうち、特にいいグリーン・カードを持った、非常に経験の積んだ人でありましたけれども——そこで非常に天候が悪いために、まだ詳細はわかりませんけれども、あるいはそういう天候に災いされてこういう事故が起るようになったのではなかろうかというように、これまでのところの報告ではなっております。しかし詳細につきましては、昨晩すでに、防府にちょうど出張しておりました水町教育部長及び安全係の将校を、もう晩になりまして飛行機もございませんため、夜行で向うへ急行させまして、向うで詳細の点を調査させるように、その作業に取りかかられておるのでございます。同時にまた、これは国民の皆様にも非常に心配をかけ、また自衛隊に対していろいろ批判も出ることもありましょうから、十二分に調査させなければならないと考えまして、航空幕僚監部の秋山副長も本日向うへ急行させまして、航空事故調査委員会というものを現地で作って、十分その原因を検討し、こういうことの再発しないような措置をとるところの資料を作って、そうして十分事態を明白にいたしたい、こういうように考えておるのであります。  ただ、これにつきまして一書、これは質問の点からそれるかもしれませんが、申し上げておきたいのは、本日の新聞紙上でもいろいろ、C46古いために、あるいはまたあれは機種としておもしろくないために、こういう事故が起ったのではないかということを伝えております。私、今朝二時ごろまでも、いろいろ新聞の方に専門家の見解を申し述べまして、新聞の方では大多数が報じておりますけれども、私どもの見聞きしておりますところでは、なるほどこれまで一度C46のエンジンが焼けたことがあります。その際は、不幸にして新聞の方が乗っておられる際にそういう事故が起ったので、またあの飛行機かというように感じられたということは、私どもよく了解いたします。しかしながら、このC46というのは、米国でもまだ使っておりますし、また飛行機は、必ずしも飛行機の年数、古い、新しいによるのではなくて、部分品など十分整って、整備をしておけば、ただ年数が古いからそれで特に飛行機が悪いというようには即断できないのではなかろうかと考えております。ことに本件につきましては、飛行機の性能が悪くてこうなったかどうかということについて、私ども多少これまでの調査の結果によって疑問に考えますのは、当時、タワーにも人がおりました。また飛行機から、機体内に故障があるという信号は一つも受けていないのであります。従いまして今の段階においては、やはり天候に災いされてこういう不幸な事件が起ったのではないかというふうに考えられます。もちろん機種というようなことも、どういう種類のものを選ぶか、また新種を日本で作らなければならぬというようないろいろな問題がございますが、これは財政上のこともありますし、いずれ検討しなければならないところであります。現段階において、C46を使ったからこういう事件が起ったかに報ぜられるのは、多少早まった見解ではなかろうかと考えます。この点もつけ加えまして、今後十分この問題を調査して善処いたしたいということを申し上げる次第であります。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 先ほど申しましたごとく、ちょっとしたことでも防衛庁には非常に風当りが強くなっておりますので、十分一つPRの件も考慮されまして、国民の啓発に対してもよろしく努力されんことをお願いいたします。時間の御都合もおありのようですから、防衛庁官に対する質問はこれで打ち切ります。  最後に岸総理兼外務大臣に、簡潔に若干質問をいたしたいと思いますが、こまかいことにつきましては、政府委員より答弁をしていただいてけっこうでございます。  岸外相の外交方針の特徴は経済外交にあるということは、これは周知の事実であります。先般総理に御就任なさいまして、外国記者団との会見の際にも、このことを再確認されると同時に、東南アジアに対する関心を披瀝されました。私どもも、東南アジアは非常に大切だ、日本の活路を切り開く意味におきましても、東南アジアは無視できないという強い考えを持っておる一人であります。しかるに最近いろいろと、これまた新聞記事を通じてでありますが、たとえば日比賠償の実施がうまくいってないとか、あるいはインドネシア、南ヴェトナムの賠償、これが感情のもつれでうまくいってないとか、あるいはタイの特別円の問題等がございますが、私ども、まず最初にこの日比の問題に関して御質問をしたいと思います。  戦後十一年にして東南アジアとの経済提携の窓口とも目されるフィリピンとは、国交が正常化されました。そうして、日増しにフィリピン人の対日感情というものは好転して参ったのであります。ときどきえたいのわからない経済使節団などの雑音が入りまして、いざこざを起しておりますが、これはさておきまして、特に新聞に現われております、日比賠償の実施に際しては通商の方を主にして賠償を従にしておるとか、あるいは値段をつり上げておるとか、あるいは古い物を押しつけておるとかいうような記事、あるいは最近の具体的例といたしましては、電気通信局の発表といたしまして、五十年もたっておる電話装置を押しつける、しかも値段が高い、時代おくれであり、能率が非常に悪いというようなことがちょいちょい出ますので気になるのでありますが、これらの点に関しましてどういうことになっておるか御説明願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 日比賠償の問題は相当長い交渉の沿革を持ったのでありますが、昨年これが締結されまして、その実施計画は昨年の十一月三十日に賠償実施計画が作り上げられまして、十二月一日から東京に参っておりますフィリピン賠償使節団は賠償物資の調達を開始いたしまして、その以後は私どもの承知いたしておるところでは、きわめて迅速に調達が進行しておるようでございます。本年一月マグサイサイ大統領は、マニラにおいて新聞記者に対して、日本は賠償を忠実に履行しつつあると述べた経緯もございます。私は今日賠償問題は、フィリピンに関しましては実施が円滑にいっておるものと考えております。なお御指摘になりましたいろいろ小さい問題につきましては、その経緯を政府委員から御説明いたします。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川(融)政府委員 今の大臣のお答えを補足いたします。フィリピン賠償につきましての今の御質問でございますが、今御指摘がありましたような電話機械等につきましては、今のところまだ賠償の計画の中に繰り入れてはございません。従ってあるいは何かそういうコンプレイントがあったといたしましても、これは通常の商談でやっておる分でございます。なお賠償物資の値が少し上っておるというような不平がフィリピン等にあると新聞等にも出ておったことは事実でございますが、これも実際の状況は結局原材料、主として鉄鋼が値が上りましたために、自然一、二年前に考えておりました価格よりはどうしても値が上るというのが現状でございますが、この間の状況は賠償ミッションには詳細に説明いたしまして、十分了解しておるところでございます。フィリピン賠償は総理がただいま言われましたように、きわめて順調に進んでおる、またこの賠償使節団もその間の事情につきましては十分承知しておる、かようにわれわれは考えております。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 総理も御承知のごとく、フィリピン人、東南アジア一般の国民もそうですが、非常に情に厚い国民であります。こちらが一生懸命に協力いたしますると、百二十パーセントの協力をするというのが彼らの一つの特徴だと私は思うのであります。従って誠意を持ってほんとうに助けるというような気持でやりましたならば、私は東南アジアとの経済提携も促進されるのではないかということを痛切に感ずるものであります。  ついでに一つインドネシアの賠償の問題につきましてごく簡単に御説明を願いたいと思いますが、東南アジアにおきまして、大体日本と友好関係を結び得るという潜在的の要素を持っておるのは、私はインドネシアだと思うのであります。終戦後もう十二カ年になっておりますが、まだ国交正常化ができておりません。障害になっておるのは貿易のバランス、一億七千万ドルの焦げつき等だと聞いておりますが、若干そこには面子問題があるのではないかということも承知しております。政情が非常に不安定であるために、今インドネシアと賠償の交渉に手をつけるのは早過ぎるというような意見も聞いておりますが、新しい選挙もありまして、新しい議員が出ております。気持もだいぶ変っておるようでありますのと同時に、フィリピン並びにビルマは、曲りなりにも日本の賠償支払いによりまして、戦後の経済復興が活気づいておるのであります。ビルマ、フィリピンよりももっと日本の助けを求めており、またこれを必要としておるのは私はインドネシアだと思うのであります。従いましてこの問題とあわせて、一つ南ヴェトナムの賠償交渉の経緯につきまして、これも簡単でけっこうでございますから、一応御説明願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 御指摘のごとく、インドネシアの賠償問題が解決しておらないことは、彼我両国の間の国交を正常化し、経済関係を増進する上の非常な支障になっておることは御指摘の通りであります。私どもも、一日も早くこれを解決したいという考えのもとに、従来交渉を続けてきておるわけであります。過般アジア太平洋公館長会議で倭島公使も参りまして、向うの事情も詳細私どもも聞いておりますし、また当方におきまして関係庁の間でも打ち合せをいたしまして、従来より少し幅を持って向うの意向を打診し、交渉を継続するように指示いたして帰任いたしたのでありますが、その後におきまして数回向うの政府との間にも接触をいたしております。が、目下のところまだこれが進展する情勢にはなっておりません。なおヴェトナムの賠償問題につきましても、これまた長い経過を持っておるのでありますが、何分にも日本側の考えとヴェトナムの考えとの間には、非常な大きな開きがございまして最初はなかなか話にならなかったのでありますが、だんだん事情を両者が話し合って参りまして、ある程度日本側の考えも最初よりも少し幅を持って交渉をいたしておりますし、ヴェトナムの側におきましても最初の主張は相当緩和するような情勢にありますけれども、これまたなお両方の打診し合うような状況でございまして、まだ賠償が最後的にいくというのには今後相当な交渉を必要とするという状況であります。しかし私はこれらの問題を何とかして早く解決することが、東南アジアに対する経済外交を推進する上から申しましても必要であり、さらに東南アジア諸国に対する、今松本君の言われたように、国民性から申しましても、この両方の間に未解決になっておるこの問題が解決するならば、そうしてそれを誠意を持って日本が実施するというような事態になりますというと、非常にこれらの国々との関係、また国民感情も変って参ります。そういうことを考えて、ぜひできるだけ早く解決したいと思っておりますが、今申し上げましたような大体の経緯になっております。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 何とぞ一つ誠意を持って十分この問題に対処していただきたいと思いますが、タイ国との特別円の問題に関しましてもちょっと御説明願いたいと思うのですが、ピブン・ソンクラム総理大臣並びに外務大臣みずから日本に参りましていろいろこの問題を哀願しております。しかるにこの問題は解決の曙光を見ていないということを聞いておりますが、その経緯はどうなっておりますか、御説明願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 この問題につきましても過般の公館長会議に澁澤大使が参りまして、十分いろいろな打ち合せをいたして帰任さしております。内容の概要等につきましては、政府委員から御説明申し上げます。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川(融)政府委員 今の御指摘の問題につきましては、御承知のように日タイ間の協定によりますと、五十四億円分はポンドで現金を払う、あと九十六億円分を投資またはクレジットの形で、日本人の役務または生産物をタイに供与する、かようになっておるわけであります。五十四億円のポンド払いの方は順調に進んでおりまして、すでに半分以上支払いを了しております。しかしながら九十六億円の投資またはクレジットの分について、先方の解釈が意外にも、これは投資またはクレジットと書いてはあるけれども、もらったものであるというような解釈をとっておったということをあとで発見いたしまして、そのために、こちらの法律上、条約上の解釈と食い違いまして、非常にこれが問題となったのでありますが、その後先方も、やはり条約の規定上は、もらったものというのは法律上は無理であるということを漸次理解して参ったようでございます。日本側としては、条約の範囲内で、しかしながらできるだけ誠意をもって向うに便宜を供与したいということで、目下ある方式を考えまして、これについて現地で交渉しておるのでございますが、交渉は比較的順調に進んでおると考えております。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 大蔵大臣に対する質問はもうすでに終ったと申しましたが、まだおいでのようでございますから、はなはだ恐縮ですが、ちょっと一言お尋ねしたい。どうもこれらの問題を解決するためには、隘路はやはり大蔵省だということをちょいちょい耳にするのですが、従って、大蔵省が実質的には日本の外交を牛耳っているんだ、外務省の予算が十分とれなかったのも、そこにあるんだというようなことを言っておりますが、この点に関しまして、できましたならば、一言見解を聞かしていただきたいと思います。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 それは、大へんな誤解でございまして、私は、賠償問題を早く片づけることについて人後に落ちないのでございます。インドネシア、あるいは今の特別円の問題も、できるだけ早く解決するよう、実はしり押しをしておるような状況でございます。決して大蔵省はじゃましておるわけではございません。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 大蔵省におかれては、一つ十分外務省を援護して、これらの問題が早急に解決できるように御努力願いたいと思います。  先日、非常に私おもしろい書物を読んだのですが、ウィリアム・リースモッグという人の書いたイーデン伝ですが、これを読んでみますと、イーデンが外交手腕を発揮いたしまして認められた、一つの型破りの外交をやっておる、それによりまして、アラブ諸国等との関係も、非常にこの英国にとって好転した。そのときのイーデンのこれらの国に対するところのものの考え方は、第一に、小国や後進国を劣等視することなく、英国の外交を進めたのだ、第二には、これら小国の伝統と国民性を尊重した、第三は、同情と理解をもって臨んだ、これは英国の外交政策としてはきわめて異例なことであったのですが、これが非常に成功を博しまして、御承知のごとく、翌年わずか三十七才をもってして、イーデンは枢密顧問官に抜擢されております。  岸外務大臣は、非常に実力者だと世界でも認めてくるようになっております。従って、その実力をもちまして、十分この東南アジアその他の外交に対して国民は期待しておりますので、この点に関しまして、もう一度その所信を承わりたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 東南アジア諸国に対して、私は経済外交ということを申しておりますが、その根底は、これらの国国は、最近に政治的な独立を獲得いたしましたけれども、まだこれを裏づけるところの経済的な基盤ができておらない。これを経済開発計画なり、あるいは経済建設計画をそれぞれの国が立てて、これに向って進んでおるのでありますが、何分にもいろいろな技術の点において、あるいは資本力の点において、経営の点におきまして十分でない、こういう情勢にありますのに対して、日本は、これらの国々の真の独立を成就せしめるために、われわれの持っておる経済的な、技術力や経営力や、あるいは資本の力というものをもって協力して、そうしてその民族独立完成にわれわれが協力するということが、私の根本の考え方になっておるわけでございます。  しこうして、今イーデンの考えをお述べになりましたが、やはりこれらの国々に起っておる、その民族の念願しておる、長い間植民地的な立場に置かれておったのが独立を獲得して、これを完成しようという国々の熱意に対しては、われわれは満腔の敬意と同情とをもって協力するということが、その根底でなければならない。ややもすると、日本みずからが何かすぐれた力を持って、そして指導するというような考え方がいやしくもあるというと大へん間違うということを、せんだっての公館長会議におきましても、私の気持として申し述べておいたのでありますが、私は今のイーデンの考えのような気持でもって、経済的な基盤を作り上げることに日本は協力するということを、この東南アジア諸国に対する中心の考え方にしております。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 先ほどの、イーデンが外交に成功いたしましたときに採用いたしました時分の方策を今日なお守っておったならば、スエズ問題等あたりもそう激化しなかったであろうということをつけ加えて、後にこの本を批評しておる者があります。どうか、先ほど述べられました岸総理兼外務大臣の所信を完徹せられんことを切望いたします。  最後にお尋ねしたいのですが、完全独立という言葉がこの委員会におきましても何回となく品にされました。また日本も完全な独立を目ざして、とにかく経済の自立をはかるのだという議論も、今国会におきまして何回となく答弁の中にございましたが、ここで私、ちょっとはっきりしておきたいことは、今日の世界におきまして、果して国家がほんとの完全独立ということを達成し得るかどうかという問題です。  それはどういうことであるかと申しますと、世の中は非常に変りまして、今日の世界は、国際協力と集団安全保障の時代になってきておるのです。これを無視して完全な独立国としてやっていこうとしたならば、おそらく今のこの世界では、アメリカとソ連しかないだろうと思うのです。あとの八十何カ国というのは、完全な独立ということは僕はあり得ない、こう考えるのです。この完全に独立を把握し得る要素を持っているアメリカ、ソ連にいたしましても、やはり国際協力の問題、あるいは集団完全保障の問題を無視してはいないのであります。たとえば国連の問題にいたしましても、ユネスコ、ILO、世界銀行、あるいは、NATO、SEATOのごとき集団安全保障機構に加わっておるところの国々は、それぞれこれらの機構に対して一つのコミットメントと制約を持っておるのです。従って完全な独立ということは考えられない。ですから、この完全な独立という意味をもっと明白にする必要があるのではないかと私は思うのです。英国のごとき国にいたしましても、やはりアメリカの基地はあります。行政協定も結んでおります。フランスにおきましても、あるいはその他の国におきましても、ドイツにおいても、イタリアにおいもてしかりでありますが、いろいろと国際機構に大きなコミットメントと制約を持っております。外国の援助や各国との協力を期待することなく、日本が英国や西独やフランス等以上に完全な独立国になれるでしょうか。これに対するところの御所見を最後に承わりまして、私の質問を終りたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私どもが完全独立とか自主独立の立場を完成するということを申し上げるのは、あくまでも民族がどの国に依存するとか、あるいは自分たちの独立を他の一国もしくは数国に依存して自主独立の精神を失うということは、独立国として、また日本民族としてとうてい忍び得ないところであり、これを完成していかなければならないことを強調しているわけであります。しかし今日の国際情勢は、お話のごとく集団的安全保障や、その他国際的ないろいろな協定や協力関係によってでき上っておるものであって、いわゆるかつての主権は独立であるとか、あるいは主権は絶対であるとか、無制限なものであるとかいうような意味において、われわれが完全に独立して国際のどの協定にも入らないとか、あるいはどの制約も一切受けないというような立場を、われわれは言うのではないのであります。あくまでもそういう立場を——制約を受けるとか、あるいは協調するというのが、われわれの自主独立の判断によって、われわれみずからの考えによって、これがきめられるということが、われわれの独立を完成する上において必要な心がまえであり、またわれわれが完全独立を言っておるのであります。従ってわれわれは、今国際連合に加盟して、国際連合を中心として外交を進めたいということを私は強調いたしておりますが、国連に加盟する以上、国連のいろいろな制約もございます。また各国との協調によってわれわれみずからがある種の制限を受けるということも当然であります。しかしこれはあくまでもわれわれの独立した意思の判断によって、独立した民族的な気持から、われわれの自主独立の立場を堅持しつつ、他の国と対等な関係において協調し、協力し、また集団的な安全保障を完成して、世界の平和に資する、こういうことであろうと考えます。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 もう一問だけ質問さしていただきます。ガリオア、イロアの問題はどうなっておりましょうか。政府委員からでもよろしゅうございますから、ちょっと説明を願いたいと思います。

千葉皓外務事務官(欧米局長)

○千葉政府委員 お答え申し上げます。ガリオア債務の処理問題は、一昨昨年来話がとだえております。政府といたしましては、いろいろ対外債務、対外支払いを要する関係が多いものでございますから慎重を期している次第でございます。

松本瀧藏自由民主党

○松本(瀧)委員 それでは約束の時間が参りましたので、これをもちまして私の質問を打ち切ることにいたします。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 午後一時再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ————◇—————    午後四時三十八分開議

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。北山愛郎君。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私はまず最初に岸総理兼外務大臣に対しまして外交等の問題を二、三御質問いたします。  安保条約の改廃の問題が国民的な要望となっておるわけでありますが、これは今度アメリカに行かれようとする場合にも当然問題になろうかと思うのです。そこで安保条約を改廃する場合にどういう方法があるか、改廃の道、具体的な方法であります。私ども幾つかの方法を考えておりますが、その一つは自衛隊、俗に今までいわれておりました日本の自衛力を整備しまして、自分で守れるような体制にすることによって米軍を撤退させる、これが一つの道だということでありましたが、これは昨年重光外交の結果として、幾ら自衛力を増強しても、地上部隊は撤退をするけれども、海空軍はいつ撤退をするかわからぬということが明らかになったわけであります。従ってその方法はだめだという結果が出たと思うのです。その次に安保条約の解釈の問題でありますが、安保条約によって米軍が日本に駐留するのは、日本が希望するからだ。日本がこれを希望してアメリカがそれに応じて駐留するのであるという建前となっておる以上は、もしも希望しないということになれば、これは当然米軍の撤退を求めることができる。安保条約の改廃をそこでやることができるというふうに解釈されると思うのですが、この解釈について外務大臣はどのようにお考えですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 安保条約の問題につきましては、私もしばしば答弁をいたして参ったのでありますが、私ども日本が自力でもって日本の安全保障ができて、そうしてこういう条約や協定がなくなることを望むことは国民の一致した要望であり、またそういう念願である、私はこう考えておるのでありますが、前提となるものは何といっても日本の安全保障ができるということでなければならぬと思うのです。この安全保障の点につきましては、あるいはみずからの自衛力の増強の問題もございましょうし、あるいは極東における国際情勢の緩和の問題もございましょうし、世界情勢の変更の問題もありましょうし、あるいはまた国連による集団安全保障の道が確立されるということもございましょうし、いろいろな客観的の情勢をにらみ合せて、またそういうものを作り上げていって、そうしてこれをやめていくというのがやめるとかあるいは改めるというべきものであって、そういう前提が作られずに、ただ理論的に言って国がおれの方から必要がないといえばすぐやめられるじゃないかというふうな意味に、これを簡単に考えるわけにいかないのです。やはり政府としては日本の安全保障というものが国民が安心するような、納得するような安全保障の制度ができて、それで日本は安全であるという状態を国民的に考え得るようになれば、こういう日米共同安全保障というような機構は必要なくなるわけですし、そうすればこれがやめられるということになる、こういうふうに考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 今もお話にありましたが、他の方法という集団安全保障体制、これは安保条約にかわるものとして安保条約の中にも規定があるわけでありますが、そういう体制というのは、やはり今アメリカと韓国、あるいはアメリカとフィリピン等。あるいはまた東南アジアの集団安全保障の体制、そういうものにとられておるような相互防衛体制になるのではないか、こういうふうに思うのですが、そうなりますと、そういうものをさすとすればこれは相互的な防衛の責任を持つということになって結局日本が海外に派兵をする、西太平洋の防衛、安全保障にも責任をとるということになって、当然憲法がこれを許さない。従ってそういう形における安全保障体制に切りかえることによって安保条約をやめるということはできないのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、大臣はどのようにお考えですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私は地域的の安全保障体制の問題、これもこの委員会で論議されたのに対しまして、私は日本の憲法の関係もあり、そういうものに加盟する考えはないということを申し上げたのでありまして、あくまでも国連においてそういう世界の至るところにおける安全保障体制ができるということを、国連中心に私は考えて参りたい、こう思っておるのであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 岸さんの御意見は、そうすると今のような相互防衛の協定というような個別的な集団安全保障の体制ではなくて、国連を中心とするような安全あるいは平和を守る、維持する体制というようにお考えのようであります。そういたしますと、これは当然日本を中心とする主要なる国々が参加をしなければこのような平和と安全を守るような体制はできない。そうしますとこの当然の帰結としてお隣の中共というものが国連の中に入らなければそういう体制がとれないようなことになるのじゃないかと思うのですが、この中国の国連加盟について、もちろんこれは岸外務大臣としても、これは日本国民としても——日本の方が一足先に入ったのですが、こういう点から見ても、日本の安全保障のためにも、中国が国連の中に加盟することが好ましいと考えるのですが、外務大臣はどのようにお考えですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 中共の国連加盟問題につきましては、これは日本は御承知のように、日華条約によって中華民国政府を承認し、これとの間に国交関係を認めております。しこうしてこの中華民国が国連の重要なるメンバーの一つであるということも御承知の通りでございます。こういう情勢のもとにおいて、直ちに中共の国連加盟なり、こういうことが認められるかと申しますと、相当まだ国際情勢から申してそれに困難があると思います。従ってこれは一般中共に対する日本の立場、外交政策の基本として、私が申し上げましたように、今日の状況において、中共との間にまだこれを承認して、国交を正常化するという段階に達しておるものでないと自分は考えると申し上げましたような段階におきまして、今日の状況では、なお国連の加盟の問題もなかなか実現しない状態である、こう思っております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私のお伺いするのは、外務大臣は国連を中心とする日本の安全保障、あるいは極東の平和維持というために、やはり主要な関係国である中国が国連の中に入ることが好ましい。これは必要条件であると思うのですが、そういう意味からしても、この中国の国連加盟が好ましいと考えるか、それを希望するかということをお伺いしておるのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 国連が十具に世界の平和を維持するだけの組織として内容を持つためには、私は全部の国がこれに加盟することが望ましい状態であり、また現在あるこの集団安全保障に関する国連の機構なり制度というものが、より一そう強化されなければならぬ、かように思っております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 そういたしますと、国連の総会に中国の加盟問題が出ました場合に、外務大臣としてはこれに賛成するというふうな措置をおとりになるか、これを確かめておきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 中共の国連加盟、もしくは中共の代表権を認めるかどうかというような問題に関しましては、先ほど申しました中国に関して中華民国というものを、われわれは条約の相手国としてこれとの間に国交を正常化しており、従ってこの中華民国と中共との間の関係が調整されない限りにおいては、私は日本の立場として代表権を認めるとか、あるいはそれに積極的に賛成するというわけには、現在の状況ではいかないのじゃないか、かように考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 中国を承認をしなければ、国連の内部でその問題が出てきたときに、日本は賛成することができないという解釈でございますか。また日本がそういうようないろいろな準備なりというものが出ないうちにも、この中共の加盟問題が総会に出るかもしれない。過去においても何回も出たのですから、出てきた場合に、棄権をしたり反対をしたりするということになれば、これは日本が中国との国交回復について、少なくとも現在の岸内閣熱意を持たないということになると思うのですが、どうでしょう。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 国連の加入を認めるということと、その国を正式承認するということとは、理論的にいえば別だと思いますけれども、実際問題からいって、先ほど申しておるように、われわれは中華民国との間に正式の条約関係にあり、これを認めて、これとの間に友好関係をなにしておる、それと中共との間の問題が、御承知のように、調整されておらないという場合に、そういう事実を前提として、この代表権を認め、これに加盟するということを認めるということは、やはり私は結果としては中共の承認問題というものと不可分の関係になってくると思うのです。従って、私自身は永久に中共を承認しないとか、あるいは中共が大陸を支配しておる現実を全然無視するというような考えはございませんけれども、しかし現在の国際情勢からいいますと、今申したような関係を十分考慮して、日本の立場、態度をきめるということは、国際信義の上から申しましても、あるいは日本の国際的信用の上からいっても私は必要である、こういう考えに立っておるのであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 その中共の国連加盟のことを通じて見ましても、いろいろ中共との国交回復のことは言われますけれども、やはり日本は中国の問題についてもほんとうの自主性を持っておらない、岸内閣は非常に消極的だということを判断せざるを得ないのですが、この問題はいずれまたよその委員会でも論議されるでありましょうから、この程度にいたしておきます。  次に、中国の賠償問題であります。賠償問題は、フィリピンやビルマあるいはインドネシアというようなことで論議せられて、中国の賠償問題はないもののようにわれわれは忘れておるのですが、しかし戦争によって中国人民に与えた被害というものは、これはインドネシアやフィリピンあるいはビルマの比ではないのです。その数十倍の被害を中国の人民の生命、財産に与えておる。従って、普通の常識でいえば、フィリピンあるいはビルマに賠償を払う決定は、常に中国の賠償というものを念頭に置いてやらなければならなかったわけです。ところが、御承知のように、今まで中国においては、日本に賠償を要求してきておりません。私も中国に賠償を払えとか、そんなことを言うのではない。もちろん日本に賠償能力があれば、戦争によって被害を与えたすべての国々、その人民に対して十分な賠償をすべきでありましょうけれども、私は賠償能力がないと思っておる。神武景気で非常にもうかっておるというような人たちは、賠償を払うべきでありましょう。しかし、私は一般の日本国民大衆は神武以来の深刻な、しかも複雑な生活難にあえいでおると思うので、そういうような賠償能力はないと思う。しかし中国が、その政府もまたその人民も、日本に対して賠償を要求してないという事実をわれわれは決して忘れてはならぬと思う。このことについて、日本の政治責任者として岸総理はどのようにお考えですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 中国が日本に対して賠償を請求しておらないことは、今北山君の言われる通りであります。かしし、戦争から生じた被害は中国が一番大きいじゃないかということも、これも事実であります。しかしそれにもかかわらず、中国の政府または人民が日本に対して賠償を請求しておらないという事実に対しましては、私は決して無関心でおるわけではございませんで、やはり一面において、要求しておる国々に対してわれわれの賠償能力に応じて賠償の問題を解決すると同様に、積極的に放棄した国々に対しましては、積極的に感謝の意を表しておりますし、中国が今日そういうふうなことを要求しておらないということに対しては、日本国民としてだれもが中国の好意を感じておる、私はかように考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 これはただ政府が一つの外交的な政策としてという場合も、そういう問題ではよくあるわけですが、しかし、中国の人民としても、日本人から賠償をとれというようなことは言っておらないのです。これは私は十分日本人とし考えなければならぬと思う。それだけの胸の広い寛大な気持を持ち、過去は過去としてたな上げをして、今後平和的なつき合いをしようじゃないか、こういうふうに思っておるこの中国人と、あるいは中国の政府と、なぜ早く国交を開かないか、私はこのはかり知れないところの中国人民、その政府の好意にこたえる意味において、岸さんは進んで北京に行って国交回復の問題を話し合うべきだと思うのですが、そういう御意思はございませんか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 その問題はしばしばお答え申し上げましたように、現在のところ私がそうする意思はございません。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 ほかの問題がたくさんございますので、外交の点は以上で終ります。  この際総理大臣にお伺いしておきたいのは、行政機構、特に地方行政機構の問題であります。今地方制度調査会で府県制度の問題を審議を始めております。前の吉田総理大臣は、府県の知事が公選であるということは適当ではないというので、官選論を持っておられたようであります。それから道州制をとっておられたようであります。府県知事の官選、それから道州制等の問題について、岸総理はどのようにお考えですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 府県知事の公選を行いましてからすでに十年の日にちがたっておりまして、この制度は日本としては新しい制度でありましたために、いろいろこれに対する批判もあると思います。功罪ともにあると思いますが、これは言うまでもなく、憲法の規定にも関係のあることでありまして、私は現在のところ官選ということは考えておりません。ただ地方制度調査会等の審議なり研究等々と相待って、十分その制度についても検討は加えて参りたい、かように思っております。  それから道州制の問題につきましても、私としては今日直ちに道州制を採用するというような意見ではございませんが、交通運輸の関係もずいぶん昔と違って参っておりますし、いろいろな関係において、従来の府県のこの分界が適当であるかどうかということも、やはり検討を要する問題であろうと思います、最近御承知のように、市町村等においては合併が行われておりますが、府県について今までの境域をそのまま守ることが正しいかどうか、実情に適しているかどうかというような問題も、いろいろな点からやはり検討を要する問題である、いずれにしても、それは地方制度調査会において十分一つ審議してもらいたい、こう思っております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 そこで、この府県制度に関連いたしまして町村合併の問題であります。これは割合大きく体系的には取り上げられておりませんが、国内問題として私は非常に重大な問題だと思うのです。これは昭和二十八年から合併がどんどん進められまして、現在町村が約三分の一に減ってきておるのです。ところが御承知のように、全国至るところでいろいろ深刻な紛争事件が起きております。脅迫、暴行あるいは警察官が出てみたり、あるいは消防団、そういうふうな問題やら、いろいろな深刻な紛争が出ておりますが、現在でも分村、分町の問題が出ておるのは、二百数十件くらいあるわけであります。あとを引いておる。そういうふうな分村、分町が出ているばかりでなくて、一番注目をし、われわれが考えなければならぬのは、合併をした市町村の住民が合併に不満失望しておるということであります。これは昨年の総理府の世論調査にもはっきり出ておることでありまして、合併の当時には賛成であった、これが五五%、ところがそれが合併後において、合併してよかったというものは、三〇%に減っておる。ですから二五%というものは、初めは賛成だったがあとではこれに不満、失望あるいは少くとも疑問を持っておるというふうに意見が移ってきておるわけなんです。それからその世論調査にもいろいろございますが、税金が安くなるといって合併をさしたのです。ところが世論調査を見ると、税金が安くなったというのはたった六%くらいです。高くなったというのが五五%、圧倒的多数なんです。しかも建設計画というものを作ったのに、事業はさっぱり進まない、赤字はふえてくる、役場は遠くなるということで、現在おそらく合併したところで分村、分町問題が起きてないところでも、住民に聞いてみますと、合併してほんとうによかったと思うものはわずかだと思うのです。こういうような事態に対して、私は政府のお考えをお聞きしたいのです。  しかも合併の方は、ほとんど無理やりに天下りで奨励をし進めておきながら、町村合併促進法等にうたわれておる政府の方、国の方でやる約束の財政上の援助の方は、約束をさっぱり守っておらない。ことしの予算でも、自治庁は六十八億という新しい市町村の建設の予算を要求したのに対して、それを大蔵省は十四億六千万円にぶった切ってしまった。初めは全部切ってしまったのですが、やっとのことで自治庁が頭を下げたので、十四億六千万円を復活したわけなんです。こういうふうに国の方がやるべき約束の方はやらないということでは、これはいよいよもって合併した市町村の住民は失望してしまうばかりなんです。こういう点について、一体総理大臣は詳しいことは御存じないと思うのですが、しかしおそらく総理の郷里にもそういう問題があると思いますので、大体の事情は御承知だろうと思うのでありますが、この点についてどのようにお考えであるか、この際総理大臣にお伺いしておきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 詳しいことはそれぞれの大臣からお答えするようにしますが、私の接しておるところにおきましても、この市町村合併は一面においていいところもございますが、一面においてなお合併後における新しい市町村の育成といいますか、これの機能を十分に発揮せしめるような内容が十分に整ってないところもございまして、十分にいかないところもあるかと思いますが、政府としてはやり合併による便益、利益というものを住民に十分に感ぜしめるように、この新しくでき上った合併後の市町村の育成に力を入れていかなければならぬ、こう思っております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 あとの育成、財政措置がさっぱり約束の通り行われない。この新市町村建設促進法以前の町村合併促進法時代においてもそうだったのですが、十分な予算がつかない。国会の委員会で何べんも決議をしても、予算をつけてくれない、これはどういうわけでしょう。大蔵大臣からお伺いしたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 市町村の合併は政府の一大方針でございまして、画期的の事業が予想以上に円滑にいったことは非常に喜んでおるところであります。従いましてこれが裏づけとなりまする予算措置につきましても、われわれはできるだけのことをいたしたく、先ほどお話しの十四億六千万円も、実は前年度の二億四千万円に比べますと相当出したつもりでおります。また新市町村合併の問題で当然起って参ります小中学校の増築あるいは移転等に対しましても、昨年の三億円に対しまして倍余りの七億円程度を出しておるのであります。今後財政需要に応じましてできるだけのことはいたしたいと思いまするが、他面地方財政におきましても御承知の通り三十二年度におきましては相当の税の自然増収あるいは交付金の増もございまして、新市町村促進のための単独事業といたしまして大体十億円も組まれておるような状況でございます。今後実情に沿って将来十分考えていきたいと思っております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 問題は、今申し上げたように、政府から見れば、合併は町村の数は予定の通り減ったのだから成果は上った、ところが地方の住民の方から見れば、約束がさっぱり違っておるということなんです。これの方が私は大事だと思うのです。だから合併した市町村の住民がそういう不満を持ち非常に困っておる、少くとも疑問を持っておる、そういうときに、政府は今度はまだ合併をしない市町村に対して、半強制的な合併をしようとしておる。この三月の末までに府県知事の勧告をやり、その次に内閣総理大臣の勧告をやって、それでも合併をしない場合には、小さい町村であるがための財政上の援助はしないことがあるものとするというような、新市町村建設促進法の二十九条の脅迫的な規定を使って——これはおどしの規定です、そのようにして強制的な、脅迫的な合併をしようとしておる。合併をしたところがみんなよくなっているなら、いやがる子供でもお前らはいやだろうけれども、合併をすればあの通りよくなるのだからということでいいでしょう。しかし合併したところがまずくなっている、そのときにいろいろな事情で合併のできないむずかしいところを、このようにしゃにむに合併をさせようと、こういうふうに一体政府はなさるつもりですか。これは自治庁長官あるは総理大臣からもお伺いしたい。

田中伊三次自由民主党自治庁長官

○田中国務大臣 お答えをいたします。ただいままでに市町村合併は比較的順調に進みまして、三月末日の三十一年度の年度末が参りますと、約一万の町村が三千三百の町村に、三分の二を減じまして三分の一に数が減ぜられるという状況でございます。これはただいまお説のありました通り。ところがそこで現在どうしてもうまく参りませんところが一千町村ございます。この一千の問題も、ただいまのお話によりますと、知事の勧告を行わしめ、総理大臣の勧告を行わしめて、聞かざる場合においては財政的に冷遇する、これは何事かというお話でございますが、そういう考えは自治庁はこれをやる意思はないのであります。ほんとうにないのであります。一口だけ申し上げますと、知事の勧告を行いますことは、現在、御承知の通りに、府県に新市町村合併促進の審議会があるものでございますから、この審議会において計画を立てておりますものは、これは期限以内に計画を練り直しまして、計画の再検討を今加えておる最中でありますが、一たん作りました合併の計画を練り直しておるわけであります。練り面しましたものは、三月末日までにどうしても法規の命ずるところに従って知事が勧告をしなければならぬ、それで勧告をするものはするわけです。そこまではお説の通りに進んで参ります。勧告をいたしましたものを、住民の意向を聞きまして、住民の意向が大部分合併の方向に向っておる、あるいは反対をしておる、そういう住民の意向が明確なものは、必ずしも直ちに総理大臣の勧告などということになるのではないのでありまして、御承知の通り、法規できまった通り住民投票を行わしめ、そして住民投票で多数できまりました方向にこれを持っていくということが趣旨でございます。なお知事が勧告いたしまして四カ月経過をいたしまして、なおかつ勧告をいたした合併ができない場合は、内閣総理大臣の勧告ということに表はなっておりますが、その運営においては、例外なくどういう立場をとるかといいますと、たとえばほとんど全部合併の計画の通り賛成をしてくれる。ある一部落のみががんこな反対をする。しかもそのがんこな反対はどうも周囲の事情、実際の実情から見てあまり理由がない。それ一つしてくれれば合併が計画通りできるのに、いやというためにできない、そういう局部的、部分的な事情のある場合に限りまして、内閣総理大臣の手によって勧告を行う。ごく少数にとどまると存じますが、無理のないように、そういう特殊な、全体の利益のために合併計画を実現するための措置といたしまして、そういう処置を講ずる考えでございます。どれでもこれでも内閣総理大臣の勧告でもっていって、聞かざれば冷遇するのだというようなことは決してやらない考えであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 ただいまの自治庁長官のお答えで、新市町村建設促進法の二十九条の第二項は、これは実際には適用しないのだ、死文にひとしいように運営をするのだということでありますし、また知事の勧告したあとで、原則としては住民投票によると、こういう運用でございますが、さらに一体合併当初の府県の合併計画なるものが、実は非常に急いで作ったものであって、その地理的な事情、あるいは産業、文化というようないろいろなデータを科学的、合理的に検討してできたものではないのです。非常に拙速な計画なのです。お粗末な計画で、その妥当性がいろいろ問題になっている。そこに問題があるのでありまして、その計画に対する不満もある。従って私はその府県計画というものを全面的に中央において再検討する必要があろうと思う。あるいはまた今まで三カ年間の町村合併の実績にかんがみて、先ほど申し上げたように住民が必ずしも喜んでおらないとするならば、やはりわれわれ中央におる者としては、政府としても国会としても、この実績に基いて、これを検討し直すということが正しいのじゃないかと思うのですが、そういう御意向があるかどうか、これをお伺いしておきたい。

田中伊三次自由民主党自治庁長官

○田中国務大臣 御説の通り、府県の合併計画は大へんずさんだという言葉はどうかと存じますが、行き届かないものが相当数にわたってあったと思うのでございます。なお先ほど、現在一千の町村が残っておるということを申し上げましたが、この一千の町村の関係いたします合併計画の中に、実情に沿わぬといいますか、住民の気に入らぬといいますか、そういうものが比較的多いのであります。そこで現在合併計画を練り直しをさせておる、こういうことでございますが、もう一つ申し上げますと、練り直しをしてでき上りました再検討の上の合併計画というものを、扱いといたしましては、それを私のところへよこさせまして、そして私がこれを拝見いたしまして、自治庁の立場でさらにこれに対しては若干の調整を加える。一体どんな調整を加えておるかという問題でございますが、たとえて申し上げますと、いろいろ形はございますが、たとえば理事者がおのれの地位というものの立場を考えて合併に反対しておる、あるいはその町村の地方議会の構成メンバーである議員諸君が、いろいろな選挙の御事情等で反対をしておるといったようなものがある。しかるに住民は全体としては賛成しておる。またこの逆な場合もあるわけでございます。そういうものにつきましては、これは自治庁の立場で目の届くだけは、これに適当な調整を加えましたものをもって知事に勧告をなさしめる、こういうふうに時間をかけて苦心をしておるわけでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 町村合併はいろいろな問題がありますが、また別の機会にお伺いすることにいたしまして、次に地方財政です。地方財政の一番大きな問題は、自治庁当局も御承知の通り、地方債の元利償還が非常にふえて参っておるという問題です。これは昭和三十一年が六百二十四億、三十二年が七百七十八億、三十三年が八百二十七億というように、数字は多少違うようでありますが、どんどんふえて参る。そうしますと、ことしでもおそらく政府資金の償還分、政府資金関係で五百四十億くらい返すことになるでしょう。ところが普通会計で政府資金の方から借りる分が五百二十億であります。そうしますと地方団体は、政府資金として本年いろいろな事業のために借りる借金よりも、返す方の元利償還の方が多いというような事態になってきておる。各府県についてこれを見ましても、三十一年度の決算を見ると、府県の税金の収入の三〇%以上をこの元利償還が占めておるものが二十五県あります。最もひどいのは徳島県で、税金の七五%を借金の元利払いに充てておる。こういうような非常に地方財政の重圧になっておるわけでありますが、これに対して御承知のように、今度政府は中途半端な対策しか立てない、ことしの補正予算に出てきておる百億の交付税の中で、七十六億を来年度に繰り越してこれを元利補給の分として配分するというのであります。ところが今までのいろいろな政府の御答弁を聞きますと、自治庁長官はその点ははっきりと申されておりますが、大蔵大臣はその点がはっきりしておらないように思う。百億はこれは地方にやるのだ、交付税としてこれは当然交付税法の規定によって、三十一年度として特別会計に入るのだが、これをどういうふうにお使いになるかはこれは自治庁長官の所管であるというようなことで、七十六億来年度の地方団体の公債費として配分するという点について、はっきりと大蔵大臣は了解しておらないのじゃないかというふうな疑いがあるのですが、この七十六億を来年度に繰り越して、これを地方団体の元利償還の補てんに充てていくということについて、大蔵大臣としてははっきり了承をしておるのですかおらないのですか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 三十一年度の交付税の増額分百億につきまして、本年度限り使用の見込みが立ちませんものは、法律を設けまして、三十二年度に繰り越し、そうして従来の交付税に加算してやることになっております。この点は了解いたしております。しこうして三十二年度に繰り越した七十数億円かを、公債費の財源に充てるかどうかという問題につきましては、私は自治庁長官から、そういうふうになさるように聞いております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 それだから私お伺いするのですよ、なさるように聞いておるというだけで、大蔵省としてこれを了解しておるか、していないか、はっきりしておらぬ。やはり政府として統一ある決定あるいは答弁をしてもらいたい、片一方ははっきりと、七十六億はこれは交付税ではあるが、地方債の元利償還分として配分をすると言っているし、大蔵大臣はただそういうふうにやるということを聞いておるというだけじゃ、これは統一した答弁とは言えないでしょう。どうなんですか。大蔵大臣。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 繰り越しましたお金につきましては、別に単位費用に入れるという法律を出して、そして償還に充てることを認めることにいたしておるそうであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 そういたしますと、単位費用の中において、いわゆる公債費の分を認めるのですから、その法律については大蔵大臣も了承するということでありますから、結果としては、地方団体の公債費について三十二年度から不十分ではあるが、大蔵省としても地方債の元利償還について何らかの措置をするということは、これは了承になっていると了解するのです。そうすると、三十三年度以降は、より以上地方債の元利償還がふえるのですから、これはどうなさるのですか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 もともと公債費は地方団体の義務的経費といたしまして、交付税を算出するときに含んでおるわけでございます。従いまして三十三年度の予算編成のときにおきましては、三十三年度の公債の元利払いにつきましては交付税算出のもとに入ってくるわけであります。私はそのときには、従来通り交付税算出のときに公債費の元利償還に入ってくるものと考ております。従いまして三十三年度にはどうなるかという問題は、三十三年度の地方財政の全体を見なければ、今直ちにどうこうというわけには御返事できません。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 交付税の単位費用の中に従来から当然入っていると言われるのですが、入っているのは災害関係の分が入っておるので、やはり今度三十二年度からあらためてほかの分が入ってくるわけなのです。そうすると、その分がやはり三十三年度には入ってくるのですから、その分については少くとも三十三年度も交付税等で見られる、これは三十二年だけ見て、三十三年度は見ない、こういうことじゃないと思うのですが、どうでしょう。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 ただいま申し上げましたのは原則を言っておるのでございまして、地方債の元利償還の額は、交付税算出の場合におきまして財政需要のものとして入れて計算するわけでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 三十三年度のことを今論じてもしようがありませんから、この程度にしておきます。  なお、これは直接地方財政には関係ありませんが、通産大臣がお見えでありますから、この際伺っておきます。前にたしか井堀委員でありますか、自転車競技法のことが質問されまして、通産大臣から自転車競技法の何か改正法を出すというふうな御説明があったはずであります。これを出さないと、二十八年度以前の本法に返ってしまう。特例法がことしの三月末で切れますから、返ってしまって、売上金の百分の四というものは国庫に収入しなければならぬということになりますので、その法律を出されるようでありますが、これに関連をして、昭和二十八年以前に、たしか昭和二十六年、七年ですが、自転重工業の振興のために金を出しておられる。その出した中で金を貸している。銀行などに貸している金が十一億五千万円あるというふうに私聞いておるのですが、それは今どうなっておりますか。

水田三喜男自由民主党通商産業大臣

○水田国務大臣 昭和二十六年、七年度分の貸付金が七億五千万円、それから二十八年度に中小企業金融公庫出資金のうち、四億円の出資金がございますので、これを入れまして十一億五千万円、それからこの特例法がきまってから貸付をしたのが一億円、自転車産業に貸した分は現在で十二億五千万円あります。それから特例法ができてからは、ひとり自転車業に貸し付けるだけでなくて、一般産業の振興のために、一般機械産業に貸せることにいたしましたので、その方が現在で一億六千五百万、これだけのものが競輪法施行以来貸付金となっております。この貸付金は現在次々に回収され、また貸し付けるというふうになっておりまして、今までの実績を見ますと、昭和二十六、七年に貸した分は、大体一年平均五億三千八百万円程度に償還が行われておりますので、今後のその程度の償還が予想されるようになっております。それから今の十一億五千万円の中の四億円の方でございますが、これも同様に、四億のうち現在償還された額は二億八千二百万円、利子は約一億円入っておりますが、これも循環融資されて現在に至っておる、こういう状況になっております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私はその金のそういうふうな使い方、運用の仕方はどうかと思うのです。一体自転車競技法なりあるいは振興法、法律には何もそういうふうに金を貸すというこことは書いてない。その取扱い運営の規定がない。そうしておいてただ予算に貸付金とあって、しかも貸付金というのは、もちろん一般会計にもありますけれども、普通借り受ける相手方に一定の条件でかすのが普通だと思う。それを金融機関、一般の銀行に貸して、いつまでにこれを返すのか、どういう条件で利用者に運用するのか、そういうものは一向法律にも何も規定がなくて、一つのファンド、資金みたいに民間の銀行に預けておいて、それを運営するというようなやり方は、これは財政上これを禁ずるようなな規定はないようであるけれども、不適当でないかと思うのですが、その金は一体いつまでに国庫に回収になるのか、そういう運営の仕方でいいのか、これは大蔵大臣からもお伺いしたいと思う。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 お話のように、以前は競輪によりまする納付金は国庫の方で歳入とし、そうしてまた歳出としておったと記憶しております。しかるところ、昭和二十九年から別に競輪関係の方について特殊の法人を設けて、歳入歳出外として取り技う方が適当であるとせられまして、二十九年から予算にならないようになったと記憶いたしております。この問題につきましては、いろいろ議論の分れるところと思いますが、私はいずれにいたしましても、その運用が正確に適当にされるのならば、どちらでなければならないということでもないのじゃないかと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 そういうふうなお答えであれば財政制度なんかについても、財政法のいろいろな規定は要らないということになる。どんな制度であろうが、適当に運営されるならばそれでけっこうだというようなことでは困ると思うのです。やはり、間違いの起らない制度、確実に公正に行われる制度というので、財政法のいろいろな規定があり、制度があると思うのです。そういうふうに貸し付けて、貸付の相手方ではない銀行に金を預けておいてこれを適当に運転させる。その運転の仕方が何に基いているのだかわからない。国の金が十億近いものを銀行に預けて、三分五厘ですか、そうして七分五厘か何かで貸しておるらしいのですが、銀行に委託しておるような格好です。そういうような扱い方はどうなんですか。一体、国は、歳出歳入の収支の金を出したり入れたりするときだけのことをやかましく言って、債権債務のことは手が届いておらない。昨年ですか、債権の管理に関する法律というのができて、多少その点が是正されそうになっておるのですが、その際の審議を見ても、国の債権がどのくらいあるかわからない。そういうふうな事態なんです。だから、十億円をぽっと一般会計から落して銀行が預かってしまえば、あとはわからない。予算面では入ってくる利子だけがわかっているだけなんです。そういうような扱い方は一体いいのですか。制度として改むべきじゃないですか。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 先ほど来大蔵大臣からお答えいたしましたように、制度改正前におきましては、競輪によって収入の一部を歳入として収納いたしまして、法律の規定によりましてそれを自転車工業の振興のために使用する。その使用の仕方といたしまして、補助金でやりっ放すのも一つの方法でございますが、自転車産業の振興ないしは機械産業の振興の手段といたしましては、やりっ放しにしなくても、金融の面でめんどうを見ることによっても目的を達する面が相当あったわけでございます。財政当局といたしましては、やりっ放しの補助金よりも、資金が金融として貸し付けられて、その資金が回転することによって、補助金として交付した場合の何倍かに働くということがより正そう資金の効率を上げるゆえんというふうに考えまして、御指摘のように、この金を金融機関に三分の利子で十カ年期限で預託ないしは貸付いたしまして、十カ年間は金融機関の手元で回転いたしまして、何倍かの効率を上げて機械工業の振興の目的を達するようにという配慮から、こういう貸付が行われたわけでございます。これは、話にもございましたごとく、財政法ないしは会計法の規定から申しましても、何ら違反ではございませんし、かえって資金の効率を上げるゆえんと考えてやったことでございますが、ただ、債権の管理につきましては、ただいまお話のような点もございますので、債権管理法を制定いたしまして、およそこのような債権につきましても、いやしくもその管理をないがしろにしないようにという趣旨で、おそまきではございましたが、昨年以来債権管理法を実施いたしまして、管理の適正化を期しておる次第でございますので、御了承いただきたいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 これは大へん便宜的な解釈で、問題があろうかと私は思うのですが、いずれこれは別の委員会で詳細にやっていただくことにしまして、時間もありませんから、次に移ります。  きょうは消防のことをちょっとお伺いしたいのですが、国家公安委員長が御病気だということであります。この消防の問題はいろいろありますけれども、結局、国が消防に関して十分な財源措置をしておらないという点が一つの問題だと思う。ところが、国の消防予算というものは約五億です。そのうち地方に出す分が四億四千万、そんな小さい金でやっておる。地方団体が約二百億円ぐらいの予算を使い、二百万人の消防団員を使って仕事をしておるのですが、消防をほんとうに整備しようとするならば、やはり地方の消防でも常備に持っていく、そうして近代化をはかるということが一つと、もう一つは、建築というものを燃えやすくないようなもの切りかえていく、耐火性のあるものにしていくということが一点、この二つだろうと思うのです。それには金が要る。そこで、これは消防本部でもいろいろ苦心があると思うのですけれども、自治庁としても、地方の市町村のこういうような消防の強化のための財源として消防施設税というものを昨年考えました。ところが、大蔵省等の反対にあってこれがだめになった。損害保険協会、火災保険会社に保険料の一定率を税金として、消防施設税としてとって、これを市町村の消防費に配分をしようという考えでありますが、これに対して一体大蔵大臣はどのようにお考えです。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 損害保険会社から消防のための税金を徴収するということは、それが目的税であっても、税の本質に沿わないのではないかと私は思います。いろいろ議論はあると思いまするが、いわゆる火災保険の加入者がそれを負担するということに相なりますので、目的税という銘を打ちましても、ちょっと税としては私は不適当じゃないかと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 それはガソリン税を道路財源に使うと大体同じことなのですよ。しかも、あとで申し上げますが、消防と火災保険というのは不可分の関係がある。  この際お伺いしておきたいのですが、私どもは、どうも火災保険会社のやり方——これは大蔵大臣が監督をしておる。現在の保険業法の規定によって認可事業でありますし、また、保険会社の保険料率というものも、これは算定会できめたものを大蔵大臣が認可をして行う独占的な企業であり、料金としても独占カルテルでありますが、その保険会社のあり方、これに私どもはいろいろな疑問を持っておる。これは別としても、最近、非常に公共性の強い火災保険会社において不正事件が起きておる。日本火災保険会社において、擬装のクレームといいますか、書類だけで火災を起すといいますか、テーブル・ファイアということをやって、これでもって手数料の割り増しをしたり、あるいは契約者にリベートをやったり、その他に使っておる、これが告訴になって、検察庁も調べておるわけなのです。この事件について、大蔵省はもちろん監督者ですからお調べになっておると思うのですが、その経過をここで御説明を願いたい。私どもは被保険金ほしさに放火をするというような話は聞きましたけれども、保険会社が書類の上で事務室の中で火災を擬装して、そうして保険金をとってそれをよそに回すなどということは、前代未聞なんです。しかも、その金は、ある新聞によれば一億円くらいにも上るといわれておる。そうして、そのことが問題になりますと、ある業界紙の話でありますが、日本火災の前の、今やめた斉田という社長を大蔵省が呼んでただしたところが、おれだけが悪いのじゃないのだ、こんなことはよそでもやっておるのだということを言った、そこで、大蔵省はあわを食って、これはやはりこの騒ぎを大きくするということになれば監督上の責任があるから、不起訴にするほかない、そのためには斉田社長にやめてもらうことだというので、いろいろな圧力をかけたとも伝えられておる。その結果、斉田社長はこの二月の初めごろにやめたわけですけれども、検察庁は二月の二十何日かにその家宅捜索をしている。またこの事件に関連をして、大蔵省は昨年の秋に全国的に火災保険会社の実情を監査したはずでありますが、その結果をここで御説明願いたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 お話の通りに、日本火災保険株式会社におきましてテーブル・ファイアという事件があったと聞き及んでおります。しこうしてそういう問題が起りまして、大蔵省といたしましては、昨年の九月から十月にかけまして、損害保険会社全部につきまして厳重な調査をいたしました。しかるところ、テーブル・ファイアというふうなものはほかにはなかったそうでございます。いろいろな、ある程度の代理店に対するサービス等はあったようでございまするが、テーブル・ファイアというふうな、あんなひどいやり方は一件だけだったと聞いております。その後各保険会社に厳重に、保険業法を完全に守って施行するように戒告をいたしておるのであります。本年になりまして日本火災の社長は辞任をいたし、辞任後におきましては、従来の会社に特に関係のある人々が互選で社長を選んだと聞いております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 このことは先ほどお話したように、斉田社長は、おればかりがやったんじゃないんだと言うてがんばったわけですね。そして最近になって、やっといろいろな圧力によってやめたといわれておる。また消息通によりますと、こういうことは業界の常識であるというふうにも書いてあるのです。ある新聞なんかを見ると、この公然の秘密という白昼のお化けのごときテーブル・ファイアの悪習慣が連綿と続いてきたのは、監督官庁の監督の不行き届きである。監督官庁が黙認するということは、結果において公然に等しいことであって、実際問題として、競争会社が黙認のリベートを出しているのに、特定の一社だけが指をくわえて見ておられるものではないなどということをいっている。この問題は、いろいろな雑誌や、あるいはエコノミストとか、ダイヤモンドとか、経済雑誌、新聞、あるいは業界紙等にいろいろ報道をされておるのですが、どうもこういうやり方——テーブル・ファイアなんということ、あるいは超過手数料を出すというようなことは、業界の常識であるというように聞いているのですけれども、それらの点についての今までの監督、それから今のような新聞の記事について、一体大臣はどのようにお考えになっておりますか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 ただいまお答え申し上げましたように、日本火災でそういう事件の起りましたことはまことに遺憾に存じておるのでございます。さっそく各保険会社を調べまして、厳重検査の結果、テーブル・ファイアというような事例は、ほかには見当らなかったということでございます。またそれ以外のことで、たとえば代理店に対します割増金制度等、保険業法から考えてよくないというようなものにつきましては、厳重戒告を与えまして、将来誤まりのないように指示いたしておる次第でございます。今後も十分注意いたしまして施行の万全を期したいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 これは検察庁でも調べている問題でありますし、詳細に他の大蔵委員会等でも調べていただきたい重大な問題だと思うのです。というのは、保険会社というのは単なる金融機関でないのであって、火災保険、損害保険という大きな公共性を持っている。私がこの際大蔵大臣にお伺いしておきたいのは、保険会社というものを、その公共性というものを軽視して、金融機関として、資本蓄積の機関として重く見てきたのじゃないか。大臣もずっと前から大蔵大臣をやっておられましたから、この点はよくおわかりだと思うのですけれども、日本の火災保険会社のいろいろ問題になる点は、まず第一点は損害率が非常に低いということなんです。昭和二十六年から九年までの平均を見ると、損害率が一九%幾らである。要するに集まった保険料の二割足らずのものしか保険金として還元しておらない。五〇%、半分以上のものを経費に使っている。あとの分は積み立てか、あるいは利益金だ。こういうように保険料の二割くらいのものしか保険金として還元しておらないというような、損害率が非常に低いということは、これは自然発生のものじゃない。その料率はだれがきめたかと言えば、これは大蔵大臣が認可したのですよ。昭和二十九年の正味保険料は三百六十八億円、三百六十八億円を集めて、保険金は幾ら払ったかといえば、八十二億円しか払っておらぬ。これは保全経済会よりもっとひどい。イギリスやアメリカの損害率は四五%、経費の率も四十数パーセントぐらいでありますが、こういうものに比べて日本の火災保険会社の損害率が非常に低いということは、これは保険料が非常に高いということなんです。こういう点について一体大蔵大臣はどう考えますか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 損害保険料率につきましては、累年機会あるごとに低減いたして参ったのでございます。最近におきましても、お話のような点がございますので、保険料率を下げるように、ただいま検討をいたしております。またこれは損害保険に特に多いのでありますが、代理店の経費等、いろいろ費用のかさむ点がございますので、保険加入者の利益をはかることを第一義とし、また保険会社自体の公共性、永続性にかんがみまして、保険会社の経営等も考慮いたしまして、適当な保険料率を定めるべく、ただいま検討を加えている次第であります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 保険料率は今まで逐次下っていることは私どもよく知っている。ところが、その保険料率も、国会などで問題になったり、外部で問題になればやっと下げる。今度も日本火災のテーブル・ファイアがあるから一割下げるなんということを、あわてて言っているのです。外部の圧力がなければ知らぬ顔をしている。こういう保険料率とか、損害率とか、経費率とか、そういう問題はこれは専門的なことであって、外部では一般の人は知らない。大蔵省は監督者だからよく知っている。大蔵省が直さなければいけない。だから今までの損害率が二割しかないというような事態について、大蔵省というものは共同責任だと私は思う。認可事業で、しかも価額が認可される独占事業です。しかも非常な高度の公共性を持っておる。それがそのような低い、集めた保険料の二割しか支払いをしないというような事態を長い間続けておいて、その結果として、もう戦後の数年間、昭和二十四年以来今まで、二十の火災保険会社というものは約一千億の資産を持っておる。たまるわけなんですよ、一側しか返さないのですから。そんなに一体資産もため込む必要が火災保険会社はあるのですか。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 会社の経営につきましては各国区々でございまするが、日本の保険会社は、御承知の通り戦後におきまして非常に不安定な状態にあったのでございまするが、最近だんだん資産内容もよくなって参りました。しかしこれを外国のそれに比べますると、まだ十分ではないようでございます。外国に比べてもあまり遜色のない保険会社もございまするが、おしなべて、まだ資産内容が外国ほど十分でないとは言い得ると思います。これは徐徐に資産内容をよくすると同時に、ただいま申し上げましたように保険料率も、従来の実績を見ながらだんだん下げていくことに努めなければならぬと思います。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 北山君に申し上げます。お申し合せの時間がだいぶ過ぎております。結論を急いで下さい。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 問題は日本のことを聞いておるのですよ。外国の比率だとかそういうものは、ものによっては参考になるかもしれませんが、日本の火災の事態というものは全然外国と違うのですから、日本のこの状況下においてこれが適当なりやいなや。この積立金にしてもおそらく七百億あるでしょう。運用資産は一千億くらいあるでしょう。しかも火災保険会社のこの積み立てた金というものはコストのない金なんですよ。保険料の中には付加保険料として事務費、経費が入っておるのです。取る保険料の中にちゃんと経費を見込んで保険料を取っているのですから、持っておる資産の運用利益というものは全部プラスなんです。それが八十五億円も三十年度であるでしょう。もうけるようにばかりできておる。しかも一カ年の日本の火災損害というものは、全部合しても三百億くらいでしょう。二カ年分の日本の火災の全部の損害を払えるだけのそういう準備金、積み立てがどうしても必要ですか。それを聞いているのです。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 これは見方によっていろいろございまするが、どこまでいったらいいかという点が問題になるのでございます。従いまして税法の方におきましても、ある程度の積み立てにつきましては、租税措置法で相当軽減しておりましたが、今後はその軽減を非常に少くしよう、こういうことで行っております。現状が、どんな火災があっても大丈夫かということになりますと、これは見方の違いと思いまするが、私の見るところでは——まだ正確なところは申し上げられません、私の勘でございます。戦前におきまする、昭和十年−十五年程度の保険会社の内容と今の内容と比べてみて、そう不当に積立金が多いということもいえないのじゃないか。しこうしてもしそれが戦前に比べても不当に多いということならば、これは私は今度保険料率を改定いたしますときに十分考慮すべき問題だと思います。何分にも敗戦後から今日まで参りますときに、保険会社の内容をよくするために、相当税法上の恩典も与えたり、保険行政の完璧を期するためにいろいろ措置したのでございます。従いまして、最近の状況を外国と比べるということはあれでございますが、戦前に比較いたしまして、保険会社の内容がよくなって安心できると同時に、片方でまた保険料率の引き下げをはかっていって、保険行政の円滑な運営をやっていくことが必要だと考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 見方の相違といいますけれども、最近の大火というものを見てくればわかるのですが、鳥取や新潟、名瀬、能代、大館、魚津というような大火がありましたが、この損害は鳥取が百九十三億、新潟が六十九億、名瀬が十五億、能代が二十億、大館四十億、魚津四十七億、これは代表的な最近における大火です。この全部の大火に対して保険会社が払った保険金は三十億なんです。どう常識で考えたって、六百億などというような積立金は要らぬのですよ。しかもそれは戦争や天災の場合には保険金を払わぬでしょう。普通の日本の火災の状況から見て妥当とすべき積み立てを許すのが合理的であって、今の六百億、七百億というような積み立てを持ち、一千億の営業資産を持つということは、今までの政府のやり方が保険会社を資本蓄積の金融機関として扱った、しかもそれが独占的な、そういうように仕向けることが可能になるような料率をきめた、こう言われても弁解の余地がないじゃないか。どうなんです。  それともう一つあわせて伺っておきたいのは、保険会社と消防の関係なんです。昔イギリスでは、保険会社が消防隊を持って、自分の保険に加入したところの火を消して歩いた。そうすれば保険会社も保険金を払わぬで済むから、これは一挙両得なのです。それだけ消防と火災保険というものは関連がある。明治の初年に、日本の大蔵省の顧問をやっておったマイエトという人が火災保険の国営論を政府に進言したわけです。残念ながら明治政府はそれをいれなかった。そうして民営の体制で今まできたわけなのですが、それはやはり同じ趣旨なのです。消防が一生懸命になって、何百億も使って、二百万の消防団員が一万六千台のポンプを動かして警戒とか消防に当り、火災を防いで、あるいはその被害を最小限度に食いとめるという努力をすればするほど、火災保険会社はもうかるじゃないですか。それだけの関連性がある。だから私は火災保険会社の今のもうけというもの、積立金というものは、不当利得じゃないかと思う。人の働きによって、座っておってもうけが出てくるのですから、不当利得じゃないですか。今の資本主義の理論によっても、私はこれは不当利得じゃないかと思う。こういう独占的な料率によって、しかも認可企業によって、ほかの働きによって余りが出てきたような金は、果して民営の火災保険会社のものということが言えるか。これは公共のものじゃないか。そうするならば、その何百億の金も、少くとも百億なり二百億というものは、日本の消防のために、日本の建物を燃えないようなものにするために、使うべきじゃないか。これは頭のいい大蔵大臣としては当然なことだと思う。今度は生命保険から百億だけは出して住宅に回わすという措置をされるそうであります。なぜ一体消防施設税に大蔵大臣は反対なさるか。またこの保険会社の資金の中から、このような措置をされないのであるか、さような関係をお話し願いたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 最近の損害率は、三割をこえておるそうでございます。しかして異常の場合のことを考えますので、異常危険に備えまして準備金を積み立てております。これも戦前におきましては一五〇%でありましたが、ただいままだ一〇〇%程度にしか行っていないそうであります。しかしこれは議論のあるところでございまして、戦前の一五〇%は多かった、一〇〇%でいいのじゃないか、こういう議論があれば、今後保険料率の算定のときにおきまして、十分考慮いたしたいと思います。またおしかりを受けるかもわかりませんが、われわれは異常の場合についての積み立てば二〇〇ないし三〇〇に相なっておると聞いております。今後料率の問題につきましては、こういう点を十分加味して、適正な料率をきめなければならぬと思います。しかして保険会社が相当積立金を持つことは、異常の場合の準備である。それが必要以上である場合におきましては、まず第一は、私は保険料率を下げるのが筋だろうと思います。保険会社は火事が広がらなくてもうかった、これは不当利得であるとは、私は断定できないと思います。しかし常識的に、保険会社もある程度補助金と申しますか、醵出金をやっておるようでございます。先ほど申し上げましたように、税として徴収するということは、税本来の趣旨でない。保険会社が非常に経営がいいのならば、まず保険料率を下げていくのが第一である。しこうしてまた保険会社も、消防の方にはある程度の醵出金ということも考え得るのではないか。聞くところによりますと、年に七千万円程度消防機械の買い入れに協力していると聞いておるのであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 今のお話の損害率が逐次上ってきておることも、私知っておりますが、しかし日本火災のようなテーブル・ファイアーがあれば、損害率だって信用がおけないようになってくる。損害率を上げるために、テーブル・ファイアーをやるかもしれぬ。しかしこの問題はさらにほかで追及してもらいたいのですけれども、今醵出をやっているとかなんとか言いますけれども、地方財政のポンプの購入費だとか、そういうものに対して、約一千億の資産の中から幾ら出しておるかといえば、二億二千万くらいしか出していない。今度の消防会館なんかを作るのに一億円とかを寄付するそうでありますが、そんな役にも立たないものに寄付してもらうよりは、貸してもらえばいい。ちょうど生命保険と同じように、生命保険だって問題でしょうけれども、百億なり二百億を住宅を耐火性のものにするというために出してもらうならば、毎年々々出してくれるならば、これは一挙両得なのです。火災の危険率も減ってくるであろうし、保険料率もだんだん下ってくるでしょうし、日本の国はだんだんよくなる。循環していく。だから消防と火災保険というのは不可分の関係にある。それを今までの政府は損するようなことだけを政府が引き受けて、得をするようなことはみな民間にやらしておる。たとえば健康保険とか、あるいはいろいろな医療保護保険をやって、平均寿命が延びれば、生命保険の方はもうかっていく。消防に一生懸命力を注げば、火災保険がもうかっていく。労働者をどんどんこき使って、あとそのしりはいろいろな保険でこれをぬぐっていくというように、損することは政府が引き受けて、その結果として民間の企業がもうかっていくような態勢——私はこの火災保険事業というものの実態をどなたが見ても、大蔵大臣のようにお考えにはならぬと思う。もっと合理的な方法があると思う。このような事態、今までの政府がやっておるような事態を、もしも今の自由民主党の人たちが認めるとするならば、今の保守党の方方が認めるとするならば、これは国民政党ではなくて、やはり階級政党だ。社会党よりもっとひどい階級政党だ、こういうふうに言わざるを得ない。だから、もしも自由民主党がほんとうに国民政党であるとするならば、今のような独占金融資本を保護するような政策を改むべきだ、私はこのように思う。ほかにもいろいろ質問がありますが、労働大臣にもお待ちを願っておりますので、一点だけ技能者養成の問題についてお伺いしておきます。  技能者養成は、最近の産業方面の活況によりまして、非常に熟練工、技能者の不足が唱えられておるわけであります。これは申し上げるまでもなく、最近の新聞でもやかましい問題となっておるのですが、ことしの政府の予算書を見ますと、中小企業の技能者養成についていろいろ予算を探してみても、なかなか見当らない。中小企業関係にもないし、労働省の方を見るとめっかったわけですが、それがわずかに九百万円です。その説明書のところに、「産業の基盤並びにその規模、構造に見られる特殊事情にかんがみ、特にわが国の技能水準を国際的に高めるため中小企業における技能者の共同養成を積極的に援助育成する必要がある。」という説明書なのですが、その予算が九百万円です。このくらいの説明書をつけるならば、国際的に高めるというのですから、九億円なり、九十億円でなければならない。これは技術者養成審議会等でも再々答申案を出して、技能者養成の立法措置をして、そうしてこれを強化しなければならぬということを答申しているわけです。なぜ今年行わないか。しかも産業の基盤を育成するというのは、道路や港だけではないですよ。電力だけじゃない。労働者の技術を引き上げるということがやはり必要じゃないか。それをなぜ一体九百万円に落されたか、この点をお伺いしたい。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 お答えいたします。日本の中小企業における技能者の問題に対しましては、ちょうど過渡期における現状でありますから、非常に困難をきわめております。労働基準法ができましてからは、徒弟制度が廃されたものでありますから——大工も左官、石屋、かじ屋においても、あるいは旋盤工においても、その他すべての職業が、小学校及び高等小学を出てすぐ見習った、それは非常に非能率ではありましたが、相当名人芸に達する者が養成されたけれども、今日は十八才未満の者は、そういうことはできないものでありますから、その過渡期において、制度が変ったけれども、これを養成する施設が追いつかなかったことが、今日の一番大きな原因であると思います。従って御指摘のありました九百万円くらいのものでは、これを補うことはできないのです。今の技能者養成の結果は悪くありません。でありますから、一つ来年以降は財政当局の御協力も得て積極的にやっていきたいと思うのです。  それからもう一点は、もっと高度の技能問題については、これはやはり学校教育を変える必要があるのです。日本の産業がここまで進んできておるのに、今の就職難の問題は、学校を出てくる割合からいうと、八割三、四分に一割五、六分です。それで要求する方は逆なんです。八割の技術者を要求して、ペンを持ったり、そろばんを持ったりする者は、わずかに二割くらいしか要らない。そういう学校制度です。この学校制度の問題は、文部大臣とも相談しまして、この間も閣内に雇用関係閣僚懇談会を開きまして、文部大臣も入ってもらって、学校教育を文科中心主義から日本の加工貿易にふさわしい産業中心主義に変えていかなければならぬということについても、いろいろ御相談申し上げております。それからもう一点、さらに高度の技能問題に対しましては、優秀な大企業間における技術の公開だと思うのです。これは化学工業におきましても、精密工業におきましても、パテントではないけれども、その技術を公開しない。これが日本の産業を非常におくらせておって、世界経済に勝てない一つのゆえんであると思うのです。これら三つの問題を総合的に、私は自分の力の及ぶ限り努力をいたすつもりでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 お考えはそれぞれみな賛成ですけれども、問題は今年の予算が九百万円だということです。これはおそらく労働省も初めから九百万円を要求したのじゃなく、これに関係するものは、今まで技能者養成規程があって細々とやっている分だけを見ても、やはり数万という事業者がこれに関係し、大部分は中小企業なんです。それがわずかながらこれでやっておる。ところが、これではだめだというので労働省でも相当な予算を要求したはずなんです。それを大蔵省が削ってしまったのです。なぜ削ったのですか。一体、大きな企業は自分の力で学校を作ってでもどんどん工場内の技能者の養成ができるのです。中小企業はできない。だからこそ国が予算を出さなければならぬでしょう。それをなぜ削ったのです。その理由をお聞きしたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 いろいろ財政の事情もありますし、また、今後こういう問題を発展さす上におきまして、一度に金を盛るよりも徐々にふやしていった方が適当と考えたのであります。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 北山君、なるべく簡単に結論を出して下さい。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 簡単にもう一点お伺いしますけれども、今のお答えは事実に反するのです。前に千三百五十万の予算がついておった。それを今度は全部削ろうとした。やっと九百万復活したのです。だから、今のお答えとは違う。いいかげんな答弁をされては困る。もし逐次ふやすなら、今年あたり、こういう経済情勢から見ても、熟練工が必要だといういわゆる産業の基盤を作る意味から見ても、やはり相当思い切って予算をふやすのが大蔵省の政策でなければならぬはずです。しかも九百万とはあまりひどいじゃないですか。三万くらいの事業所があるのですが、それに九百万で、一体どうして使えるのですか。これは中小企業をまるきり軽視している。やはり大蔵大臣は昔とその点は変らないのじゃないかと思うのですが、一体、ことしは間違って九百万円に落してしまったが、将来は思い切ってふやすのだというような御答弁をいただけますか。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 中小企業の技能者共同養成の予算額は、御指摘のように九百万円でございますが、前年と同額になっております。従来、補助金整理に関連いたしまして、二十九年でございましたか、一度休止いたしたこともございましたのですが、技能者養成の緊要性を説かれまして、私どもといたしましてもこれを三十年度以来復活いたしまして今日に至っておるわけでございまして、特にこの経費を削減いたしたわけではございません。  なお、技能者養成につきましては、中小企業の面のほかに、各会社等におきましてもそれぞれの施設を持ちまして少年工の養成、技能者の養成をいたしておるわけでございますが、それと相待ちまして、こういう中小企業の方の技能養成をこの九百万円でやっておるわけでございまして、全体を通じて考えますと、相当の規模の企業に行われておるのではあるまいかと存じます。なお、来年度以降の問題につきましては、私どもといたしましても、御指摘の点は十分承わりまして、今後の検討の資に供したいと存じておりますので、御了承願います。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 ただいま主計局長からお答えした通りでございまして、実は、今思い出したのでございますが、これは通産省かあるいは労働省か、いろいろ問題があったようでございます。しかし、お話の通りに、技能者養成は中小企業のためにもまた国の産業のためにもぜひ必要でございますので、今後は御趣旨に沿いまして十分意を用いたいと考えます。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 明日は午前十時より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。   午後六時十五分散会

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