予算委員会 第11号
- 発言数
- 220 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/03/02
会議録
○山崎委員長 これより会議を開きます。 昭和三十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 質疑を続行いたします。井堀繁雄君。
○井堀委員 雇用の問題を中心にしてお尋ねをいたしたいと思います。政府は昭和三十二年度の予算編成並びに財政政策の基本的な要素として、雇用の問題を取り上げられたことは、きわめて適切なものだと思うのであります。ことにこの委員会で岸首相の所信表明の中にもこの点を強く述べられ、池田蔵相の財政演説の中で年々増大する労働人口に就職の機会を与え、完全雇用の目標に近づくための経済規模の拡大云々と述べられております。そこで問題になりますのは、完全雇用のこの言葉の持つ内容であります。私はここで議論をしようと思いませんが、完全雇用を目途として雇用の増大なり雇用の改善を行おうとするその具体的な問題が、予算を通じてきわめて不明確であるのみならず、ほんの気休めの数字しか拝見することができぬのを、われわれはまことに残念に思うわけです。そこでこの事実をできるだけ明らかにするためにお尋ねいたしたいと思います。 まず大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、この三十二年度の予算の中で、完全雇用を目途とする雇用の拡大ないし改善に払われた予算の実態について順次お尋ねしたいと思います。その前にあなたの目標にされております完全雇用というものに対するお考えを一つ伺っておきたい。完全雇用の問題はわが国では戦時中に経験をいたしました。しかしこれは全く自由のない完全雇用でありますから、こういうものはもちろん考えられる筋のものでないと思うのであります。そこで完全雇用というものは、すべての国民に就職の機会を与えるという抽象的なものではないはずだと思うのであります。これはわが国の法規の中にも、たとえば職業安定法の中にもありますように、本人の希望する、そして本人の持つそれぞれの資格に適合する職業を保障していくということにあることは言うまでもないわけでありますが、ここで言っておられます完全雇用とは一体どういう内容のものであるか、この点に対する大蔵大臣の見解を一応先にお尋ねしておきたいと思います。
○池田国務大臣 政治の目標が、国民生活の安定向上あるいは完全雇用あるいは社会保障制度の拡充であるということは、万人の肯定するところでございます。そしてお尋ねの完全雇用の問題につきましては、いろいろの考え方があると思います。わが国におきまして完全失業者、不完全失業者、こういうふうに二つに分けられておりますが、完全雇用とはいわゆる完全失業者の問題だけを意味するのか、あるいは潜在失業者の問題を意味しておるのか、いろいろとりようがございますが、いずれにいたしましてもお話の通り、おのおのその職場を持ってもらうということがわれわれの目標でございます。そして今回の予算につきまして、完全雇用に近づく方法としてどういうふうな具体的問題があるか、これはやはり予算規模を国民経済に合わして拡大いたしまして、産業基盤を拡充強化してあらゆる部面に仕事をふやしていく、こういうことで予算を作ってきておるのであります。一般会計はもちろん、特別会計におきましても運輸あるいは基幹産業につきまして相当のお金をふやしております。これはいわゆる完全雇用に近づく一つの方法であると考えております。
○井堀委員 私が大蔵大臣に完全雇用の意味をお尋ねいたしますのは、あるいは筋違いかもしれません。労働大臣にお尋ねするのがその筋であるかもしれませんが、私が特に大蔵大臣を名ざしでこのことをお尋ねいたしますのは、完全雇用に対する理解の問題であって、どのように理解しておるかということで、予算編成の際における大きな開きを生じてくると思いますから、お尋ねしておるわけです。あなたのお考えの完全雇用、すなわちそれは理想でありましょうが、一体どういうものを完全雇用とお考えになっておるかを簡単でけっこうでありますからお答え願いたい。
○池田国務大臣 ただいま申し上げましたように、国民各層にわたりましてできるだけ職場をふやしていく、こういうことでございます。
○井堀委員 私は言葉じりをどうこう申し上げるのではありませんが、すべての国民にただ仕事の機会を与えるということは、それは完全雇用でないことは今さら言うまでもないと思うのでありますが、そういうお考えで完全雇用という言葉をお使いになっているとするならば、そのつもりで順次お尋ねをしていきたいと思います。 そこで雇用の現況を政府がどのようにつかんでおるかということが、やはり雇用対策の前提になろうと思うのであります。一体現在雇用の増大をどういうふうにお考えになっておるかについて、政府の今まで明らかにされたものの中には三十二年度の経済計画の大綱が出ている。しかもその冒頭に、「政府に、わが国経済の安定的成長を図り完全雇用の達成と生活水準の向上を期することを目途とし、」とこう大前提を下しておるのでありますから、今度の政府の予算案編成の基礎ないしは経済の基本的な考え方がここにあることは間違いないと思うのであります。 そこで完全雇用を達成する、すなわち完全雇用を、理想でもいいのでありますが、それを達成することによって経済の安定を期するというのでありますから、雇用の政策が誤まってきますと、経済全体の安定もおのずから失敗するということになるわけであります。こういう意味で、私どもは雇用の問題についてはかなり政府のこういう考え方については、あらかじめ想像はできますけれども、もっと実態をよく把握していきたいという意味でここにお尋ねするわけであります。こういう書き出しで内容をずっと拝見し、今までの政府の所信を伺って参ったところによりますと、第一に雇用の実態を正確に把握していないのではないかという疑いが生まれてきたわけであります。そこで雇用の実態をどのように把握しておるかについて今まで明らかにされたところによりますと、第一に、ここでも言っておりますように、労働人口の増加率に対する見方がかなり甘いようであります。さらに新しく発生する労働人口に対する就職の機会を与えるということに対しても、回答が与えられないのみならず、現在の雇用の実態が、今大蔵大臣の解せられるような意味の雇用のあり方にいたしましても、非常に不十分なものがあることを私どもは統計を通じて知ることができるわけでありま。この点についてまず企画庁長官のお答えを伺いたいと思います。あなたの方では新しい雇用の増大を、ここではわずかに生産年令は行三十万、労働人口八十九万としか見込んでおいでにならぬのですが、一体この八十九万の労働人口の伸びはどういうところからこういう御判断をなさったのであるか、それから一体、ほんとうの労働人口の伸びというものとのかね合いについてこれからお伺いしたいと思いますが、ここにあなたの方で報告されておるものに対する一応の考え方を伺ってから次にお尋ねします。
○宇田国務大臣 労働力人口の伸び、計算の基本は生産年令人口の中で昭和三十年から三十五年までは年平均六十七万、昭和三十五年から四十年までが七十五万、昭和四十年から四十五年までは四十八万という数字が昭和四十年を境にして非常な変化が起る、すなわち雇用を必要とする対策を講じなければならない数字は、昭和四十年からは非常に低下する、こういうふうに見ております。それでただいま申されたように、昭和三十年から三十五年の数字は、雇用者数は千六百七十万、三十五年から四十年が二千六万になっております。新規投入量が三十年から三十五年までの間が四百九十三万人になっておって、それでリプレースに充当するものが百五十七万、雇用者純増加が三百三十六万、それを年に平均いたしますと、六十七万というふうな数字に抑えております。しかし三十二年度の労働力人口の増加は、ただいまお話のように八十九万人でありまして、それは後年度において消化し得る、こういうふうに思っております。
○井堀委員 第一労働人口の伸びに対する見方が甘いということを私が申し上げるのは、これは厚生省の人口調査所の統計から推計をいたしましても、また政府の唯一の統計機関であります総理府統計局の労働力調査の上から見ていきましても、こういう甘い数字は許されぬ。たとえば一審近い例をとりましても二十九年から三十年、三十年から三十一年のこの間をとってみましても、かなり大きな飛躍をしておるわけであります。この数字の上から結論を求めましても、たとえば二十九年の十二月と三十年の十二月のこの一年間の増加率を見ても、労働人口は二百十八万ふえておる、それから三十年の十二月から三十一年の十一月の増加率を見ましても二百三十三万という脅威的な増加率が見られるわけであります。もちろん人口の伸びはこれと逆比例してややのろいカーブをたどっておる。しかしこのように労働人口がふえてくるということは必至の大勢であるわけであります。でありますからこういう点から推計をして、いかに内輪を見ましても二百万以下に見るということは非常に無理な建て方だと思うのであります。よし二百万といたしましても、ここで八十九万しか見込んでおりませんので、ここにも新規雇用の問題が、この計画経済あるいは予算編成の基本的な条件の中に非常にあやまちがある、これは一般の傾向から見てもおわかりのように、今日中学、高等学校、専門学校、大学などを卒業される新しい就職者のきびしい就職の競争の実態を見ればよくわかるのであります。こういう点からいきましても、こういう甘い数富というものは、完全雇用あるは雇用を改善して日本の経済の立て直しをやろうとするお考え方としては、一体あまりにも乱暴な建て方ではないか。 そこでここにも違いがありますが、さらにもう一つ伺っておきたいと思うのは、新しいそういう労働人口を吸収することについても、かくのごとき私どもの検討からいたしますと甘い見方がある、さらに一体企画庁は雇用の実態をどのようにおつかみになっておるか、たとえば現在潜在失業という言葉で何回か論議してみましたが、前回のこの委員会で私は前の高碕長官にお尋ねをしたのでありますが、その当時統計のお持ち合せが十分でなかったので正確なお答えが得られなかった。今度は潜在失業に対するかなりうがった調査が行われて、その結果すでに発表されておる。この点について一つあなた御見解を伺っておきたいと思います。この報告によりますと、潜在失業を次のように表明しております。その一例をあげますと、潜在失業者として見るべきものがいろいろな角度から取り上げられておりますけれども、雇用全体の中で——この統計の言い方もおもしろいと思いますが、仕事がおもな者、あるいは仕事が従たる者、それから仕事をしていない者という言い表わし方をして、非常におもしろいと思うのです。言うまでもなく、仕事をおもにしている者ということになれば、これはよくわかる。そのおもな者はどんなものかということをしさいに分析を加えて、ここにも転職の希望者がかなりたくさんあげられております。あるいは短時間労働もあり、短時日の労働もある。だからここにも不完全労働があるわけです。さらに仕事を従たる者というのでありますから これはもう言うまでもなく、先ほどの大蔵大臣の言う意味での就職の機会ではあるかもしれませんが、これは雇用としては成り立つまいと思う。仕事のない者は言うまでもありません。この数字を見て参りますと、全産業のうち、非常に大きな比重を占めておる。三二・二%の高い比率を示しておる。あなたはお持ち合せがないかもしれませんから、私の方で数字を先に申し上げてみましょう。これで見ますと三二・二%で、数で言いますと九百八十二万人という多くのものがここに潜在失業と見られる数字です。そうすると、新しく起ってこようとする二百万近い労働人口と、さらに九百八十二万の潜在失業に対して、雇用を拡大する計画を一挙に立てることはできぬといたしましても、一体どの程度この中から新しい雇用もしくは雇用の機会を与えてあげることができるとこの経済計画の中でお考えでありましょうか、まずこの点から伺いたい。
○宇田国務大臣 第一点の、すでに就業しておる者の中から他に転ずるという傾向の者は、特に最近第一次産業部門から第二次産業部門に移行しようとする傾向が、昨年以来非常に顕著になって参っております。それは輸出及び国内におけるところの産業構造の変化、ないし輸出構造の質的変化に伴う結果というふうに思っております。そしてただいま第二点のお話の不完全就業者、そういう範囲内の人口が九百八十万余りある、こういう御指摘でありましたが、それは要するに中小企業あるいは農村等における家族労働者等の、家庭の主婦あるいは家族の者等が、日本のそういう中小企業ないし農村の特殊経済構成の中において従業しているものが非常に多いので、そういうものを含めての数でありまして、これを完全雇用の対象として、特別に一単位として就業させるべき潜在失業者であると見切れないもの、こういうふうに思っておるわけです。
○井堀委員 これは驚きいった御答弁で、もう少しよく統計を見ていって下さい。あなたのおっしゃられる数字は間違いなのです。ここであげておりますのは、農林、非農林全部を入れて、就職の数というものは別に考えられる。私が今あげたのは、この統計の中でいう雇用関係にある労働者だけをとっておる。これは私は申し上げなかったのですが、これを統計からあげますと、雇用関係を持つ労働者の中に九百八十二万人おるのです。あなたが言うように農林関係やその他の関係から言いますと、全体で六千二百三十二万人の中からいきますと、もっと大きな数字になる。これは省いたのです、雇用問題として私は取り上げたから、雇用関係を持っておるものの中から取り出した。なおこれで不十分であれば、次の統計資料でお尋ねしてもよいと思います。こういう大ざっぱな数字だけではなしに、まだ詳細に出ております。そのほかに転職を希望しております者が三百一万、それから追加就職を希望している者が百七十四万、さらにこれを給与の関係で見ていきますと、次々とおそるべき数字を紹介することができます、しかしあなたが今言うように、私の申し上げたことを否定なさることになれば、これは総理府の労働力臨時調査の報告が誤まりだということになるわけでありまして、もしそういうお考えなら、これから私お尋ねしてもむだになると思います。ちょっとお尋ねしておきますが、この労働力調査というものに対してあなたはどうお考えでございましょうか。
○宇田国務大臣 総理府の統計の中で私の手元で十分検討してないものがありますから、それをよく拝見いたしたいと存じます。
○井堀委員 よくごらんにならないことは何でしょうが、とにかくこれを否認されれば、何ぼ私がお尋ねしても意味がない。これは是認されていかれる以外にないと思いますが、そういたしますと、現在の統計から見ていきますと、どんなに内輪に見ていきましても、この不完全就業というものの中から潜在失業と思われるものの取り方——その取り方は、いろいろ時間がかかりますから詳しく申し上げません。あとで勉強していただきたい。見ていきますと、どうしても九百万から九百八十万の数字を減らすということはできまいと思う。あるいはふえるかもしれぬ。そのふえてくるであろうという見通しはこういうことからも言える。この統計の中で教えられるものは、転職希望者のほかに低額所得者がある。低額所得者が、生活ができぬものですから、よい機会を求めて転職したいという動きが、これは統計の把握の範囲が狭いのですから、実態はもっと多くなるというふうに見て差しつかえない。そういう関係から見ていきますと、所得別にいろいろなものを調査してみますと、月収四千円以下の収入で、これでは食っていけぬからということで転職をいたしたいという希望者がかなり大ぜいいるのです。そこで一体四千円以下の者がどれくらい雇用労働者の中で存在するかという統計を見ますと、この就職人口全体に対する割合からいきますと、かなり大きな比率をここであげております。四千円以下の者が百二十一万人、八千円以下の者になりますと、さらに驚くべき数字になるわけですが、六口十六万人を統計は示しているわけです。そうすると、論議になっておりました減税の対象をどこにおくか、たとえば税制調査会の答申を見てみますと、課税の最低限界というものを出しております。年間八万円以下の所得者に対して税をかけることは、応能課税の原則を破る、税を負担する能力なき者とみなすべきことが答申されております。そうすると、ここにあげられた月収八千円以下の所得者というものは、その対象になる部類なのです。税を納める能力それ自身が疑われる。それどころでなくして、生計費というものをどう抑えるかという統計が不十分でありますが、皆さん、社会通念としてお考えいただけばいい。この中には独身者もおりましょう。家族持ちもいると思いますが、その統計は不幸にして明確でありませんけれども、平均してみることができます。平均いたしますと、丁二くらいに見ていける。そうすると本人を入れて二人半で食っている。それで一体八千円で食っていけるかいけぬか。食っていけないということは、社会通念として否定できまいと思う。そういう人たちが六百十六万も三十一年度、しかもこれは池田大蔵大臣に言わせますと、近来まれに見る好景気、一般に言わせると神武以来の景気といいますか、こういう好況に恵まれた一番よい時期に——これは三十一年の三月の統計でありますから、一番いいところなのです。にもかかわらず、このような状態にあるわけであります。これに就職の機会を与える、これは私が今申し上げるまでもなく、日本の就業に対する基本的な考えは、職業安定法に明示されている文言が一番よくわかると思います。政府はこういう責任を国民に負っておるわけです。何人も公共の福祉に反しない限りにおいては職業を自由に選択することをまず明示している。そして第四条にこう書いてある。国民の労働力の需給関係を正確に把握して、求職者に対しては迅速にその能力に適切な職業につくことをあっせんすることを命じておるわけなのです。でありますから、当然このことを予算の中に盛り込んでこなければ、雇用の問題に対して口幅ったいことは言えないのじゃないか。一体大蔵大臣はこの事実に目をそむけて予算をお組みになったのであるか。その予算が、どこに一体そういうものに兄合うようなものがあるかをお尋ねいたしたい。
○池田国務大臣 国民各層の就職の問題につきましては、先ほどお答えしたように、今お話のような点がございますので、私といたしましては、産業基盤の強化、産業規模の拡大をはかろうといたしておるのであります。こういう雇用の問題につきましては、経済がよくなったからといって直ちにさっと全般に浸透するわけのものではございません。だからわれわれは完全雇用を目標といたしまして、それに近づこうといたしておると説明しておるのであります。
○井堀委員 経済の拡大によってこういう問題を解決しようという抽象的なお答えは是認するのです。しかし予算の中で、たとえばこの経済計画大綱の中で言っておりますが、雇用の一番増大するであろうという見込みとして中小企業の問題を取り上げたことは、一つの新しい見方だろうと思います。中小企業の面に労働の増大が顕著であることは、この統計の示すところであります。ところが、この傾向は残念ながら、今言った低額所得の統計をふやしていくにすぎぬのであります。しかしこれを高い収入を保障する事業として育成していこうというお考えだろうと思うのです。そういうお考えであるとするならば、今度の予算の範囲の中で、一体中小企業向けの予算が直ちに雇用に響くような内容というものを、私どもは残念ながら拝見できないのです。これはここで言っておりますと時間を多くとることでございますが、私の聞こうとすることは、むしろこういう状態を解決していくということは、一つには中小企業、零細企業、もしくは人を雇用しないで企業をやるといったようなものもありますが、そういった関係を解決しなければ、この問題は解決しないということは明らかなことです。だからその問題を解決するための措置として一体どういうことが考えられるかということが、この予算の中においてはっきりしなければいかぬ。ところが大手筋に対する一応の見通しはできると思いますが、そういう企業に対しては融資の道を開くといいながら、実際は中小企業には必要なときに必要な金額が渡りません。せっかく中小企業向けのいろいろな融資の道を開いておりますけれども、タンクに水を張ることができても、パイプが詰まって実際に中小企業の手元には流れてこない。流れてきたときには、大体高利借りかえのためにその金が使われたり、あるいは税金のために持っていかれたり、あるいは差し押え寸前の負債を決済するというようなことで、実際には企業に直接潤うような融資というものはきわめてまれであります。税の問題で苦しんでいることもなみなみでなかったわけでありますが、最近はことに新しい困難に逢着しております。それは熟練労働の問題であります。設備が比較的貧弱で競争に耐えようとする場合でありますから、どうしても労働の高い技術と能率に依存して競争に勝とうとする傾向が強くなっている。ところが熟練労働は、言うまでもなく労働条件のよいところに吸収されていきますから、零細企業にはだんだん悪い労働条件しか維持できないということになって、今日では融資の問題から税金の問題、さては熟練労働の問題に困難がしわ寄せされてきている。これが偽わらない実態です。こういうものに解決を与える予算は、残念ながら私どもは認めることができないのです。こういう点について一体今度の経済計画の中で新しいものはどこでございましょうか、一応お伺いいたします。
○宇田国務大臣 この労働力人口の中で一番われわれが数量的に多く解決を迫られているものは、やはり新規学校の卒業者でありますが、新規学校の卒業者の就職率を高めるためには、どうしても最近の産業構造あるいう貿易の質的内容から見まして、科学的な、技術的なものを新規労働者が十分に修得をして社会に出るということでなければならぬ、こういう関係にあります。従って各大学の講座、その他あらゆる中学校その他の高等学校等におきまして、新しい科学技術を修得し得るような方法を文部省等を通じて新たに予算の中に入れ、講座を設けるとかあるいは専門の教育者を配置するとか、そういうことを考えております。また中小企業につきましては、もちろんただいま企業の合理化のための技術が非常に不十分でありますから、それを十分にするためには、金融的な配慮以外に、科学的な、技術的なものの中小企業者へのバック・アップが必要でありますので、研究組合というふうなものを組織しまして、科学技術庁を通じて、そういうものについては特殊な新しい技術情報をすみやかに提供しなければならぬ、こう考えております。従って今回科学技術情報センターという法案を国会に提出いたしまして、政府は七千万円予算を組んで、民間の同額出資と合せて一億四千万円ばかりの経費で、新しい情報を中小企業者に研究組合を通じて流していきたい、そういうふうなことも考えております。それは要するに科学技術的なものを貿易ないし国内産業構造の中に入れていく。特に中小企業者のように下請の仕事の多い部面に対しては、そういうことを特別に考慮すべきであるという考えのもとに、そういうふうなことを工夫いたしております。
○井堀委員 技能養成、職業補導の問題は、労働省の所管にはなっておりますけれども、今言う熟練労働の欠乏していること、特に中小企業の問題は、やはり労働の資質を引き上げていくという政策が、非常に喫緊なものになっている。こういう点について労働省の予算を見ましても、職業補導や技能養成の問題については見るべきものはありませんし、ことにこういう事態に対応するものでないことも明らかであります。この点に対して大蔵大臣は、職業の再訓練あるいは新しい雇用にいたしましても、高い技術、特に今後——あなたはどういうふうにお考えになっているか知りませんが、日本経済の発展をはかろうとすれば、今までの神武以来の好景気だと言われたものについても、日本が国際競争で堂々と勝ったというのではなしに、一種の世界好況の余波を受けたり、あるいは欧米が産業の切りかえと申しますか、内に整備をいたすのに大わらわで、世界の市場開拓に対しては比較的力をさいておったというような間隙を縫って、日本の貿易が伸びたということは、あまりにも顕著な事実であります。しかし今後の日本経済が、国際市場で営々と正規の競争に打ち勝っていこうということになりますと、第一にあげなければならぬのは、輸出貿易の振興は何でやるかということ、資源の乏しい、設備の不十分なわが国においては、やはり加工貿易に依存せざるを得なくなる。加工貿易は、言うまでもなく、これは労働力のいかんにかかるわけであります。労働の質の問題になると思う。こういう問題に新しい予算を組まないでおいて、そしていかに雇用を増大すると言ったって、意味をなさぬことだと思うのです。まずこの点に対して労働大臣は、今度の予算編成に当って、こういうものを要求なさったのかどうか、また要求したものを予算に入れなかったか、この点に対して労働大臣と大蔵大臣に伺いたいと思います。
○松浦国務大臣 雇用増大、完全雇用の基本的要求についてのお尋ねでありますが、しばしば大蔵大臣から答弁されておりますように、財政投融資は今年六百七十億以上、約七百億増大いたしております。これらの問題は、今御指摘になりましたような中小企業の方面にも、約その三分の一強を回すことになっております。従って御指摘になりましたような日本の経済の使命とする加工貿易の線に対する設備の近代化、オートメーションあるいは科学化ということによって、良品廉価によって世界市場を圧倒するという行き方が、今年一年ではできませんけれども、われわれの計画が積極的に進んで参りましたならば、それは必ず完全雇用に達するものであるという確信の土に立って、本年がその第一年であって、その第一年の財政投融資は今申し上げた通りであります。また一般会計におきましても、一千億以上の増額をいたしております。これらと相見合って、国全体の経済の動向とともに雇用黄が増大されるものであるという確信を持っております。 同時に、もう一言申し上げておきたいのは、ただ完全雇用を達するために、経済の拡大のみをもってなすことはできないと思います。国民経済が拡大されて余裕ができて参りましたならば、これに見合って社会保障を拡充強化いたしまして、老年層の労働市場を圧倒するという数字をだんだん減していく、あるいは幼年工が職場に出るという数も減して参りまして、いわゆる社会保障と経済拡大と両方を見合って、国民の協力のもとに完全雇用をやっていかなければならぬ、かように思っております。
○井堀委員 職業教育の問題あるいは技能養成の問題について、新しい計画をなぜ出さなかったかということをお尋ねしておるのでありますが、あなたの抽象論は、私よくわかっております。雇用問題はもっと具体的でなければいかぬのです。ですから雇用の問題は、さっき言っていたように、大蔵大臣は産業規模を拡大すると言う。要するに経済の自然な経過の中で雇用を増大しようとおっしゃっておられる。しかしこれは、あなたがおっしゃられるように、経済規模の拡大という、そういう財政、産業、経済政策だけで雇用が増大していけるという考え方は、これはものの一方だけしか見ていない。これは具体的に積み上げていかなければいかぬわけです。だから私は具体的に聞いておるわけです。抽象論はわかっております。だから大蔵大臣、これはよほど教育しなければいけませんよ。問題はこういうことなのです。ここで今雇用の増大をはかり得る限界というものがあると思う。私どもは何も立場を変えたり、あるいは政策の基本的な相違の上からお尋ねしておるのじゃない。あなた方の立場に立って、すなわち保守党の政策の中でできることをなぜやらぬかということを聞いておる。それができぬというのは、なぜできぬかというと、——現在の状態で満足するということは、今の統計も示すようにできないでしょう。新しい雇用を増大することもできぬし、それから潜在失業を完全雇用に吸収するということも、なかなか重大なことでできぬ。その深刻な姿を認められたら、それをできるだけすみやかに解決するような道が、具体的に立てられなければならない。そのことを聞いておるのであって、それじゃもっと具体的にお尋ねしましょう。 労働時間をどうするかという問題もあると思う。ただどんどん商売を繁盛しさえすれば雇用は増大するというものじゃありません。労働時間の統計を見てみますと、この数字も、時間がかかりますから割愛しておるのでありますが、ほんとうはそちらからわれわれに示して予算の内容を説明すべきなのです。分科会で一、二お尋ねしてみたのでありますが、見れば見るほど、ボロが出る。それは労働時間の点を見てみましても、あるものはむやみに労働時間の延長をやっておる。基準法に違反しておる、深夜業を続けてやったりしておる。ある部分はまったく短時間。ここに驚くべき数字が見えますが、就業時間の点で見ていきますと、毎月就業日が一定しているものと、一定していないものがある。この問題なのです。労働時間が一定しないというようなものは雇用じゃありますん。雇用条件を備えていない。そういうものがかなりたくさんある。そこで就業口が一定しているものの中から見ていきますと、季節関係その他もいろいろありましょうけれども、三百六十五日のうちで百日以下の者が九十一万人ほどいる。それから百日から二百日以下の者が三百三万。もったいない話じゃありませんか。三百六十五日を二百日しか働けない、あるいは百日しか働けない、そういう者が三百四十万。二百日以上の者が五百八十七万でありますが、しかし二百日でいいわけではありません。もっと高い率ほどいい。さらにこれを労働時間で見ていきますと、一週十九時間以下の者が百二万人、一週二十時間から三十四時間の者が百八十二万人、三十五時間から四十八時間——すなわち四十八時間というのは、今の基準法のいう一口八時間、週四十八時間制度であります。三十五時間から四十八時間以下の者が九百三万人もおるわけです。そうかと思うと、六十五時間以上も働いておる者が三百四十八万もおる。こういうように全く労働時間、就業日というものから見ていきますと、日本の雇用というものは乱脈です。安定した雇用じゃありません。こういうものをほったらかしておいて、経済規模を拡大して商売が繁盛すればみな就職できるだろう、そういうものはなくなるだろうという考え方は、まことにこれはびっこな政治である。だからこういうものと見合った予算というものが出てこなければ、雇用問題などここにあげて国民を喜ばしてはいけません、罪なことをしちゃいけませんよ。だから問題は、こういう問題を解決するためには今後の予算案の中には最低限度のものとして、労働時間を平均してみればわかるように、日本の場合は一週四十八時間は長過ぎます。欧米では三十六時間をどんどん取り上げている。これを四十二時間くらいに縮めてやっていくような労働政策と、それに見合うような予算を組んできて、初めて新しい雇用問題が解決されると思う。あるいは最近は生産性向上の問題がいろいろ出てきておりますが、これなんかも何を見当づけているかわからない。労働強化になったり、あるいは一九三〇年当時の産業合理化や能率増進のような、資本家の搾取を援助するような生産性向上連動のような考え方、行き方をしておられる。非難があり、反対があるのは当然なのです。近代的な生産性向上運動というのは、資本と労働の関係に対する考え方が変っているのです。資本主義の国々においても、資本万能じゃないのです。資本が人間に優先するというのではなしに、人格がやはり資本の前に君臨していくという形に変ってきておる。ところがこの予算の組み方や政府の考え方は、全く転倒しておられるじゃありませんか。こういう統計から示されるように、労働時間が不均衡だ。それを均衡化していくということがやれるのじゃないですか。またやらなければならぬ。そのためには幾分でも予算をさくべきなのです。あるいは二部制、三部制の問題も出てくるわけであります。日本は今資本の蓄積をやかましく言いますけれども、日本の場合見当通いをしておる。資本の蓄積をしようといっても、血の出るような国民からの搾取をこれ以上やろうなんということは無理なのです。あるものをやはり有効に切りかえていくということが、最も必要なことじゃありませんか。今生産性の問題について、アメリカのように物の豊富な国でさえ、一台の機械を二交代、三交代にしてフルに使っておる。日本ではオートメーションを入れて、それを昼間だけ使って夜は遊ばせておく。高級なオート・マシンなんか入っておりますけれども、それが八時間労働のときには八時間しか使わないで、あとの三分の二は遊ばしておる。ところが日本よりもっと粗末な低級なマシン・ツールをアメリカでは使って、それを三交代で三倍に使っておる。こういうところにも問題があるのであって、そのためには結局具体的のものが必要になってくると思う。そこでお尋ねしますが、それをやろうとすれば、日本のようなところでは二部制、三部制は困難でしょう、通勤の事情が悪かったり、住宅が思うようでなかったりするでしょうから、そういうものを解決するために予算を組んでくるべきじゃないですか。それがちっとも新しいものが出てこないじゃないか。通産大臣にちょっとお尋しますが、現在の設備をフルに便っていくような方針をお持ちじゃありませんか。またそういうことをやろうとすれば、労働政策にも、あるいはそれを具体化するために予算の上にも影響があると思う。こういう点に対して何かお考えを持ったことがありますか。あなたのところは生産性向上運動の指導機関にかなり力を入れておられるようですが、この点について一つお尋ねいたします。
○水田国務大臣 私の方は今生産性向上運動に非常に力を入れてやっていますから視察団出し、向うから技術家を招聘するということで、技術の交流とかいうようなものは相当進んで、着々と効果を上げておりますが、今まで得たところだけでも、これを国内産業の設備改善に生かす方へもう少し力を入れたい。ただ年じゅう次々に視察しっ放しで成果が現われていないということでは困りますので、今度この運動のやり方を変えようと思っております。そうしてとりあえず設備の近代化というような、いわゆる生産性向上の方向へもっと積極的にやろうと思っていますが、これをやりますと、今御指摘のようないろいろな問題が出てきまして、雇用との関係が出てきますので、それをどうするかということですが、これによって実際に全体としての産業拡大ができれば、そこで雇用人口は吸収されますが、個々の合理化の問題からみますと、雇用量を実際には減らすという結果になりますので、これをもう少し計画的にことしはやろうという方針ですから、それによってそういう雇用が減るという事態がきたら、この設備を今言ったように二部交代で使うとかいうような方向へ指導するということが必要になってくるのじゃないかと考えております。
○井堀委員 それは何も考えてないことになってしまうのでありますが、実際もっと真剣に考えていただきたいと思うのです。二部制、三部制をしくということは日本にとっては非常に切実な問題だと思うのです。こういうことをお考えになってないということなのですが、今からでもおそくはないと思うのでありますけれども、労働時間をもっと合理的に調整することができれば、またやろうとすれば、それは結果において雇用が増大するのです。いたずらに貴重な熟練労働者の生命を磨滅するような長時間労働をやらせる必要はないし、また一方には働きたいといってあせりながらも三百六十五日を百日で過ごさなければならぬ、そして日々の生活に追われているというような、そんなばかなことはないのです。一方には生産の要求をどんどんされておるわけです。それは結局労働政策がないからです。ですからこの際当然あなた方の立場からお考えになることは、経営者にももうけさせなければいかぬでしょうから、もうけさしたらいいのです。片方も喜ぶのだし、雇用が増大するという道がころがっておるじゃないですから、そのためにはさっきの統計に示すようなこんな乱脈な状態を解決することです。この面においては無政府状態です。労働時間を八時間制にせいと基準法でいっていることは何も八時間以上働かせるときには届け出ろとかそういうやかましいことをいうのじゃなくて、やはり労働の機会を均等にして、むちゃのないようにしていこうということじゃないですか。簡単なことです。当然ここで取り上げていかなければならぬことで、私は犀川の問題を取り上げるということが出ているだろうと思って方々をついてみたが、一向に出ていない。すぐにやれることとして三交代制が困難なら二交代でもいいでしょう。二交代にするためには住宅が必要になってくる、あるいは交通機関をどうするかという問題が出てくるでしょう。そういうものをずっと総合的に取り上げていくのが私は経済企画庁の方針でなければならぬと思ったが、どこにもない。ないはずです。今の通産大臣の言うようなことで、生産性向上運動をあずかっているところで、視察に行ってその視察の結果がどうなるかというそんなところに気をとられているのではしようがない。視察なんというのは末梢的な問題です。冗談じゃない。それだから生産性向上のために莫大な国費を空費しているのだ。何を見に行くんです。まあ百聞は一見にしかずですから、見ることも大事ですが、もっと日本のこういう労働状態を改善していくことです。みんな働きたいというのです。働く能力を持ち、働く意思を持っている者に仕事をさせることができぬ。それで仕事は片方に山のようにあるじゃないですか。その解決ができぬというばかなことはないのです。そういう生産性向上運動の考え方では、もう世界の動きに追いつきませんよ。物のあるアメリカでさえ、一台の機械をフルに使うために工夫をされている。日本はありもせぬ金で高い機械を外国から買い込んで遊ばしている。一方労働者の方は仕事がしたくてもすることができない。今日よその国の生産性向上運動の眼目は、資本と労働の価値を逆に取りかえてきている。あり余っている労働力をむだに使いすぎることじゃないのです。その人格の上に依存して、しかも今日は組織の生産です。左甚五郎やあるいは特殊の熟練工を求めるのではなくして、組織労働全体として考えてこなければならぬ問題なのです。そこには技能養成の問題や職業補導の問題がただ単に労働行政の一翼としてあるのではなくして、国全体の問題としてこういう労働資質引き上げのための政策をこの際打ち出されてこなければ雇用対策ありと言えぬ。通産大臣に聞きますと大臣はとほうもない答弁をする、労働大臣に聞くと抽象論を述べる、大蔵大臣に聞いてみると、これはもう一般の経済規模の拡大が解決するという、それでは政府は要りませんよ。こういう点から私は雇用の問題というものがいかにずさんなものであるかを知ることができます。まだ二、三問きたいことがたくさんありますが、時間がありませんから残念ながらこの程度にいたしましてほかの質問に移ります。 もう一つ聞いておきたいことは、これは社会労働でちょっとお尋ねしたのでありますけれども、失業対策がないということです。私は積極的な雇用対策、拡大対策がいいと思うのでありますけれども、今のような状態でありますから、せめて失業対策ぐらい充実しなければいかぬ。そこで今度失業保険の改正案が出てきたから、やれやれと思って中を見たらがっかりしてしまった。何のことかわけがわからない。日雇い労働者の問題をちょこっといじって失業保険——さっき申し上げたような状態でありますから、一番失業保険の必要なところは五人未満の零細事業場なのです。それが今日の失業保険の中からはずされている。労働大臣はその必要をお認めになって、今鋭意調査中で来年は必ずやる、こうおっしゃっておりますが、これは労働大臣がやりたいと言ったところで予算の伴う問題でありますから、大蔵大臣、この五人未満の事業場の労働者が失業保険からはずされている、これをお入れになるぐらいの誠意はどうですか、予算の中でお考えでございますか。
○松浦国務大臣 先ほど労働政策が全然ないというおしかりでございますが、われわれの財政経済の許す範囲においてまず労働政策を行なっております。いろいろ御指摘になりますが、あなたの持っておられるその統計に現われておりますように、それもやはり推算なのです。今日本の三十人未満の企業は、企業数の八八%あります。そうしてその人口は労働人口の約四割五分を占めております。その統計がほとんどありません。それを今後三十人未満の毎月勤労統計をまず手に入れなければ、あらゆる労働政策というものは、今御指摘になったような政策を行うことができないのです。そこで大蔵大臣と協力いたしまして三十人未満の毎月勤労統計というものを把握して、そしてその上に立った労働政策を立てなければならぬというところに、今年新しく出しました労働政策の一環があります。しかしそれのみではありません。もう一点先ほどからいろいろお話があったのですが、労働人口の問題です。労働人口の問題について二百三十万というお説がありましたが、日本の人口が百三十万くらいあるいは百二十万くらいしかふえないのに、労働人口だけがそれだけふえるわけがない。われわれの見るのは、日本人口のふえる割合にどれだけの就労パーセントを日本民族が持っているかということをよく調べますと、大体六五%から七〇%くらい、ふえる人口に対して就労人口があります。それで今年のそろばんは百三十万人に対しまして大体六八%を計算いたしましたものが、先ほど宇田国務相が申されましたような八十九万人というところであります。その八十九万人が新しくふえる。そこに経済拡大その他によって日本経済が七・六ふえるとするならば、それもやはり八十九万ぐらいの就労人口を必要としますから、新しく生まれた、新しくふえてくる労働人口に対する日本企業の伸び方は大体同じような数字が現われておりますから、従って今年度完全失業の六十万というものはそのまま残っていきます。また御指摘になっておる潜在失業者の数も残って参りますから、それを今後の政府の積極政策あるいは先ほど申しました社会保障の政策によって救っていきたいということがわれわれの考え方であります。 それからもう一点、今最後に御指摘になりました失業の問題、失業の問題に対しましては今年の経済が拡大されるということによって、現在の三十一年の予算に失業対策事業として二十四万八千人くらいの予算を組んでおります。それが大体二十三万人くらいしか就労できないのです。でありますから、二十二万五千人を計上いたしましたことは当然であると思います。それから失業保険の五人未満のものに対して御要求がありましたが、この間も委員会において私は来年度からやりたいということを——今年からやろうと思っても、五人未満の職場における統計がないのです。それを今年とって、完全に把握いたしました上において来年度からやりたい、こういうことを申し上げたのであります。
○井堀委員 労働大臣と議論する気は一つもございません。あなたは労働統計がないなんというようなことをおくめんもなく言えるということを恥かしいと思いませんか。労働省設置法をごらんになって下さい。あなたの任務であるし、政府の任務なのです。それもやっていないということになる。やっていないから、ことしやるなんて、そういうことで失業保険の五人未満の事業場の施行がおくれたことの口実にするようなことは、これは誠意ある態度ではございません。私はそういう考え方が日本の労働行政をから回りさせると思うのです。これは保守党であればあるほど、労働行政に対してはもっと真剣であってほしい。だから何もここでそういう議論を試みようとするのでなしに、実態はあなたは何か統計の中で御不満があるようでありますが、御不満があれば、一つあなた自身が所管されております労働統計部の人にお聞きになったらいい。私もこれに対しては実に不愉快な感じでこれを読んでいる。こうでないことを願いながら見ておるのでありますが、事実はこれよりもっと深刻だということ。だからこういう問題の解決に対して——それは一挙にやってしまえと私は無理を言うのじゃありませんよ。しかし少くとも失業保険が五人未満の小さな事業場の労働者に適用ができないなんということは、これは統計がないからできませんなどということは、あまりにもこじつけたものだ。それよりもっとあっさり、そういうところに予算を出すことがいろいろな意味で困難だと言う方が正直なのです。零細企業の事業場においては雇い主の負担も困難でありましょう。従って保険料の徴収に保険経済の上で困難があることもわかるでしょう。むしろそう言う方がいいのです。こういう点に対してもっと真剣にお考えにならなければならぬと思いますが、これはあなたは今度ぜひやりたいという御熱意でありますから、ぜひ実行してもらいたいと思います。 大蔵大臣に、こういうものに対してことしきりで終りになるわけではありますまいし、またあと受け継ぎもなされると思いますが、この点だけちょっと御答弁いただいておきます。五人未満の零細事業場の失業保険を行う場合には国庫の負担が増大いたします。どのくらいになるかということは統計がありませんけれども大体私はわかる。多少の負担をしても五人未満の零細事業場の失業保険は、統計さえできれば労働大臣はやりたいと言っておる。私は統計でなくて財政上の問題だと思う。一つ大蔵大臣の御所見を伺いたいと思う。
○池田国務大臣 五人未満の使用人の場合における失業保険でございますが、これはいろいろなむずかしい点があるのであります。健康保険につきましても、五人未満の場合は職場での分はできません。これは実際行政上非常に困難な点がある。健康保険の方は国民健康保険でこれを受け入れていこうという考え方で進んでおります。これは一に行政上のむずかしさがあるからでございます。従って統計も、また財政負担の問題もございますが、やはり一番のネックは、それ以上に、五人未満のところは保険料の徴収その他につきまして、かなりの行政的困難がございますので、その点を十分検討いたしまして、われわれとしても失業保険の拡大ということは念願しておるところでございますから、十分そういう困難な点を打ち越えていきたいと、今研究いたしておるところでございます。
○井堀委員 いろいろ御注文申し上げ、お尋ねしたいこともありますが、他の問題がありますから……。 次の問題は、先ほど来のお話でおわかりのように、日本の経済の拡大は、国際的な諸条件を無視してはできまいと思う。ことに貿易の対象は、いずれにしても加工貿易に依存せざるを得ないのであります。そうすると、先ほど労働大臣は、安い物を作ってじゃんじゃん売り出すと言ったが、安かろう、悪かろうではいけません。これは私が講釈するまでもありませんが、わが国が学ぶべき国々は、ちょうど今三国の外務大臣が日本においでになっているスカンジナヴィア三国です。この国々は非常に疲弊困憊して国民生活も荒れ切っていたところから、今日では世界からうらやまれる楽園を築いているわけであります。私はその原因はいろいろあると思いますけれども、一つ学びたいのは、スイスもそうでありますが、一にも技術、二にも技術、三にも技術、すべて労働の資質の引き上げの上に社会福祉を建設しようとする、この意欲が成功したものと思っております。生産性向上運動もここに私はねらいがあるのじゃないかと思う。そこでそれをやろうとするためには、労働大臣が言うように、長い労働時間、そして労働強化をやって安い賃金で安い物を作って外国に売ろうといたしましても一、昔のように保護貿易はできぬはずです。やはり社会正義に基かなければ、決して自由な市場の開拓はできない。このために、諸外国の労働政策は国内的なものから国際的なものに非常に大きく移り変ってきている。たとえば日本も早くからILOに加盟して国際的な地位を高めるために道を開いておることは、御同慶にたえぬと思います。しかしこれに加盟しても、これを十分に活用するという道が欠けておるのじゃないか。私も二年ほど前ILOの金属部会の委員会に労働代表で参加したものでありますが、行って恥かしくなりました。日本の労使の代表、それに政府代表が加わるのでありますが、日本の政府代表というものは、駐在の外務省の領事が代行するというようなことをやっておるわけであります。各国の政府代表は非常に力を入れている。また日本の場合、労働代表と資本家代表がかみ合っている。ところが、共通の目標を高く掲げて、世界の市場に向ってそれぞれ真摯な態度で努力しておるのに対して頭が下った。こういう点からも言えるのでありますが、今後の国際市場の開拓をやろうとするためには、正義に基いた市場の開拓をやる。そのためには労働基準というものが絶えず問題になってきておるわけであります。ILOはそのことを規定している。今のような困乱したものは別として、日本だけ安い賃金でやろうとしても、できるわけのものではありません。ですから、それに歩調を合せていくということになりますならば、なおさら一段と先ほど申し上げた問題を速急に解決していかなければならぬ。だからできるだけ大ぜいの人に働いてもらって、そして無理のないような、十分物を考える時間、研究する時間、そのためのいろいろな処置を講じていくということが、国際市場においては重大な課題になってきていると思う。この点に対して外務大臣の御所見をお尋ねしておきたいと思います。 ILOに対する政府の方針と申しますか、これが今のところ外務省と労働省とに分れているようでありますが、ILOの勧告は、すでに私の申し上げたような状態を許さないことを証明するに十分である。こういう勧告に忠実であろうとすれば、労働行政に対する抜本的な改革をやらなくてはならぬ。幸いにして、あなたは外務大臣であり、総理大臣の地位にもおつきでありますから、これを通して日本の労働政策に対する新しい一つの行き方をおやりになろうというお考え方があるかどうか、ILOとも関連して一つお伺いいたしたいと思います。
○岸国務大臣 井堀君の御指摘になりましたように、今日の労働の問題は単に国内的だけではなしに、国際的な意義が非常に大きくなっていると思います。ILOにも参加し、われわれとしては、その考え方の基本は、あくまでも国際的な協調によってこの問題を処理していくということが必要であると思います。もちろん各国の労働事情につきましては、いろいろな沿革と特殊事情もございます。しかしわれわれが日本商品の海外市場を開拓する場合におきまして、私の痛感していることでありますが、ただ労働条件を低くしておいて、そして安い物を作って、どんどん市場が開拓できるという性質のものでは絶対ないのであります。やはり国際的に承認される一つの基準なり、正義の観念に基いて、われわれの技術を向上し、経営を合理化して、あくまでもいい品物を作っていくということに全力を上げなくてはならない。従ってこれに関連する労働の条件等につきまして、私はILOに参加している国として十分にその根本の精神を尊重するつもりであります。
○井堀委員 次に、具体的な点を一、二お尋ねいたそうと思うのでありますが、技術の交流をはかる必要に非常に迫られている。欧米の先進国の労働組合も今日ではやはり一方では分配問題で激しく戦うと同時に、他方においては福祉の問題は生産の向上にあることをかなり積極的に打ち出し、また行動に出ている。そういう意味で技術には国境がない。日本はすぐまねばかり考えるのでありますが、やはりそうではなく、それぞれ民族の持ち味を生かして創意工夫を育成していこう、たとえばオートメーションといえば、何か欧米の相当資本主義の発達した国だとお考えになるかもしれませんけれども、私は意外なものを発見した。ビールあるいはセメントの機械のような、ああいうオートメーションガデンマークで作られている。日本には秩父セメントにも入っておりますが、農業国だと思ったデンマークでオートメーョンが作られている。ワイヤー・ロープはスウェーデン、電話機械はスウェーデンが世界中のパテントを握り、その覇を争っている。造船技術やディーゼル・エンジンはノルウェーである。チョコレートや時計、工作機械がスイスであるという例はあまりにも有名であると思う。これは窮すれば通ずるといいますか、こういう国々はいずれも天然資源に恵まれない、しかも資本主義からいえば、非常に基盤の弱いところで、こういうものが考えられて実行に移されている。ところが日本には世界に誇るような新しいものが生まれてない。それは、やはり創意工夫を生かしていく道が開かれてないからだと思うのであります。こういう意味で、日本ほど世界と技術の交流の道を考えなければならない。それだけではありませんが、その他貿易にいたしましても、あるいは世界平和を実現していくためにも、世界の労働者の提携が提唱されておるときであります。こういうものが背景になって、各国が海外駐在者の中に労働専門家をどんどん派遣してきておる。アメリカ政府も、これは今AFLもCIOも一緒になりましたけれども、かつてAFLの中央役員が駐在官として日本にも来ておった。ソビエトは言うまでもありません。諸外国はそういうような動きをしておるのであります。日本もやはり今後経済外交、国民外交、民主的な外交をやろうとする場合にはそういう専門家を海外に駐在させていくお考えをお持ちであるかどうか、この点に対する御所見を一つ伺いたい。
○岸国務大臣 技術の交流ということは非常に必要なことであり、またそういう意味において専門家を海外に駐在せしめるということは、きわめて有効な一つの方法であると思います。現在在外公館のうちにそういう専門家を置いておるところは実はまだはなはだ少いのであります。しかしだんだんこれを拡張していきたい、こういうふうに考えております。
○山崎委員長 井堀君に申し上げますが、お持ち合せの時間がだいぶ超過いたしましたから、結論を急いでいただきたいと思います。
○井堀委員 大へん時間をとって恐縮に存じます。ごく簡単に次に伺いたいと思いますが、こういう労働事情がやはりいろいろ国内にも悪い形で反映しておるところに問題を取り上げてみたいと思います。 それは最近日本の犯罪統計を見ていますと、これまた驚くべき事態になりつつあると思う。予算の上ではいたずらに司法あるいは検察庁関係の予算をふやすことに大わらわの姿でありますが、これは何とか至急に解決しなければならぬ問題だと思います。ことにこの政府は石橋内閣当初にも言明いたしております政界、官界の粛正、そのためには信賞必罰ということを言っておりますが、そういう点にも深い関係が起ってくると思います。この傾向について法務大臣の見解を、ことにその対策をお尋ねしておきたいと思います。最近の犯罪の一番大きいのは、窃盗、強盗、あるいは傷害、詐欺、横領、恐喝、脅迫、賭博、住居侵害あるいは殺人が非常にふえてきております。こういうようなもののふえ方は加速度的であります。統計を見てみますと、一体こういうことでいいのだろうかということは、何人も首肯されると思いますが、大正の末期から昭和にかけての伸び方というものは、これは多少のでこぼこはありますが、大体人口に比例して犯罪もふえております。ところが昭和十二年ごろからちょうど戦争に入るまで、大束亜戦争に入ったころはもちろん犯罪はずっと減っております。しかし終戦後のふえ方というものはおそるべきものであります。これは時間がありませんから数字は省略いたしますけれども、昭和十九年から二十二年にかけて三倍にもなっておる。これは検察庁の統計年鑑でありますが、一千百四十万件というような件数が出ておる。私は世界のいろいろな統計を比較してみましたけれども、こういうような状態はちょっと考えられません。ことに先ほどスウェーデンやスイスやスカンジナヴィア三国の例をとりましたが、ここなんかは刑務所がからになっておる。検察庁の予算を見ても探さなければわからないというような福祉国原の姿をうらやましく思うのでありますが、福祉国家を志向しようとするならばこの問題から解決しなければならぬ。これは先ほど申し上げたように、食えぬ、生活に困るからということで発生することが非常に多いのじゃないかということを私は憂えるものであります。こういう事態を解消することのために、綱紀粛正をあげ、あるいは信賞必罰を厳にするということもこういうところにあると思います。悪いことをした者を縛りさえすればいいのではなしに、そういう温床を断つということが、福祉国家の面目を新たにする行き方ではないかと思いますが、これは法務行政の行き方にもあると思いますので、どうぞこの点について御所見をお漏らしいただきたい。 それからついででありますが、最近ギャンブル関係の犯罪が非常にふえてきておる。パチンコにつながるもの、あるいは競馬、競輪、オートレース、ボートレースにつながるものが多いが、そういうものについてお調べになったことがありますか。その点お知らせいただきたい。
○中村国務大臣 お答えいたします。ただいま犯罪の件数の非常に多いことについて御指摘がございましたが一千万件というのは、何か統計の間違いじゃないかと思います。私どもで調べましたところでは、昭和三十一年度中における全国の犯罪件数は大体三百万件でございます。人間にして三百万人になります。この増加傾向を見ますと、三十年に比しまして三十一年が約四十四万人ふえておるのでありますが、このうち一番多くふえておりますのは、交通関係でございまして、道路交通取締法関係の事案が二百一万名に達しておるのでありまして、約四十六万人ほど増加いたしております。その他の犯罪につきましても若干の増加傾向があり、あるいは減少したものもございます。食管法違反のごときは極度に減っておりますし、また覚醒剤関係のごときは近来徹底的な取締りをいたしました結果、犯罪件数ははなはだしく減ってきております。なお三十一年度におきまして犯罪が、件数として対象が増加いたしましたものについては、先ほどの交通関係として明確に現われております以外に、刑事事件として過失傷害事件が非常に多いのでありますが、これは主としてやはり交通関係から参りました過失傷害事件であると思うのです。そのほかに傷害事件、暴行事件というのが非常にふえておりますが、これは昨年来暴力取締りを強度に行いました結果、検挙件数がふえた、結局こういうことであろうと思います。これらの点は、一時増加いたしておりますけれども、厳重な検挙をいたし、取締りをいたして参りますによって次第に——覚醒剤のようなわけには参らないかもしれませんが、将来は相当減少の傾向をたどる可能性を持っておると思うのであります。凶悪犯罪がなるほど多いのでありますが、これも件数としてはさほど増加いたしておらないのであります。最近特にふえておりますのは、性関係の青年犯罪などが確かに顕著にふえておりますので、こういう点については、政府の施策全体を総合いたしまして、適切な対策を講じていかなければならぬ、かように考えております。
○井堀委員 時間がないようでありますのではなはだ残念ですが、一つだけお尋ねしておきたいと思うのです。これも犯罪につながる関係、あるいは先ほど来お尋ねしたことと一連の関係のあるものですけれども、こういう事態にあって、依然としてパチンコ、オートレース、ボートレース、競馬、競輪、こういう事柄についてぜひ至急に改める必要があるのではないかという声が方々に多いのでありますが、これはにわかに廃止することが困難な状態にまで発展してきておるということは、一面認めておるものでありますけれども、これは速急に解決をはかりたいという方々の強い声に対して、政府のお考えをちょっとお尋ねしてみたい。その前に現状についてちょっとお答えいただきたいと思います。 私の集めた資料によりますと、競馬、競輪、特に競輪が大きいのでありますが、今地方財政に欠くことのできない収入の一つになっている。自治庁長官としてはこの競輪、競馬から上ってくる収入を全国的に——府県、市町村の総額でけっこうでございます、どのくらいお見込みになっているか。それから手元に数字があるならば、競輪は昭和二十三年から始まったが、昭和二十三年から今日まで地方自治体のどれだけの収入になったか。国庫の収入はここに出ておりますが、数字がおわかりになればそのことをお聞きし、さらにそれがここで急に切りかわるとするとどういう結果になるか。その収入が学校やいろいろな施設に切りかわってきていると思う。そういうものが一応一段落したという見方もあるようでありますが、こういう点に対するお考えを一つかいつまんで、数字を入れてお答えをいただきたい。
○田中国務大臣 収入の大づかみの総額でございますが、手元に資料がございませんので、午後の機会にお答えを申し上げます。 それから切りかえの点につきましては、本年度はこれを具体的に切りかえる処置を考えてはいないのであります。
○井堀委員 数字をお示しになれぬそうでございますが、非常に大きな数字を占めているわけであります。 この機会に大蔵大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、私の手元にあります数字でいきますと、競輪関係だけでも昭和三十年で六億以上の金を国庫へ収納されております。これはどういうところに金が入っているのですか。それから毎年ずっとですが、今日まで累計してどのくらいになっているか、そしてその金がどこで運営されているか、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
○池田国務大臣 ただいま十分記憶しておりませんので、はっきりした数字を申し上げられませんが、多分その金は通産省関係の方に使われておるかと思います。
○井堀委員 通産大臣にお尋ねします。あなたの方の所管だそうでありますが、競輪とオートレースの収入はどのくらいお見込みになっておるか。これは二十三年から今まで見ますれば、全体でかなり大きな金額に上ると思いますが、その金はどうなっているか、伺います。
○水田国務大臣 御承知のように競輪から上ってきます金は、今までは国の収入でございましたが、二、三年前から面接国の収入にしないで、競輪の機関を通じて機械工業の振興費に充てることになっております。私どもが今までやってきましたのは、大体年頭六億円前後、これが機械工業の振興などのために使われている、こういう状況に相なっております。ことしも大体六億円くらいの金を予定しております。
○井堀委員 これは昭和二十三年からずっとやっているのですが、それを集めますとかなり大きな金額になると思うのです。それを全部貸し出しているとすれば、幾らくらいの利率で貸し出していられるのですか、それからそういう金に対する監督はあなたの方でなされているのですか、これはどういうことになっているでしょうか。
○水田国務大臣 通産省の監督になっております。今までの貸し出しの金額ははっきりしておりませんが、貸し出しと同時に大部分はやはり振興の補助費になっております。去年の補助費は大体三億円くらいだったと記憶しております。
○井堀委員 そうしますと貸し付けた金は回収されてくるでございましょうし、回収されたものをまた貸し付けることになるが、あなたは毎年三億ぐらいずつ経費に使うのですか。その辺の経理の関係は、国会に報告されないし、当然会計検査院の検査の対象にもならないと思うのですが、これはただ所管大臣である通産大臣が監督権を持っておるだけのものですか。しかし競輪法によりますと国庫収納金ということをちゃんとうたっている。実はさっき来言っているように非常に弊害のあることではあるけれども、地方財政の問題やあるいはそういう収入を当てにしなければならない日本の財政上の問題があるので、余儀なく認めておる金であります。そういう金がどうなっているかわからないというのでは何ですが——あなたは貸付について一々許可を与えたりあるいは監督なさっていると思うのですが、累計でどのくらいになっておりますか、そして貸付金利は幾らですか、そして貸付はどういう形にやっておられるのですか、簡単にお答え願います。
○水田国務大臣 こまかいことは今存じておりませんが、必要なら数字を全部調べて御報告いたします。 今申し上げましたように、そういう形でこういう金を使うことがいいか悪いかが今まで問題になっておりまして、現在の考えではこれをもっとはっきりして、監督を強化するためには——こういう仕事をするものはやはり特殊法人としてさせるのが一番適当だろうということで、特殊法人を作ってそういう仕事をさせようという構想で今競輪法の改正を私どもは考えておるのであります。
○井堀委員 特殊法人に対する考え方は別に伺っておりますし、また伺う機会があると思いますが、こういう金があいまいになっている感じを国民に与えることはよくないと思う。事務当局からでもけっこうですから、数字だけこの機会に発表していただきたい。それは、今まで国庫収納金として入ったトータル、それからその貸し付けているもののトータル、金利、それから貸し付けた結果がどうなっておるかということだけでもけっこうでありますから、この機会に明らかにしておいていただきたい。
○鈴木(義)政府委員 お答え申し上げます。競輪の振興費関係は昭和二十五年から二十八年までが約十九億、それから二十九年度と三十年度の合計が十二億、それから先ほど大臣から御説明申し上げました通り三十一年度は約六億ということになっております。これの内訳はここにございませんので、別に御報告さしていただきたいと思います。
○山崎委員長 井堀君、時間がありませんから結論を急いで下さい。
○井堀委員 この問題についてはあとで資料を数字で出していただきたい。私がこういうことをお尋ねしているのは、特殊法人をお作りになるようなお考えもあるようでありますが、いずれにいたしてもこういう問題はもっと明朗なものにしませんと一方には非常に社会悪が伴うもので、そこから上ってくる収入が自治体の方へ入ってくるものについてはある程度わかりますけれども、その頭をはねるような感じを与える金で——それは特殊法人になされるというのでありますけれども、どういうものをお作りになるかはよくわかりませんが、そういうものをお作りになってやることについては、ある意味においてはこれは大衆収奪ですから、しかもその収奪の方法がギャンブルを通じてやるわけであります。そういう金を多少でも国庫に入れる場合においては、やはり財政法による正規の手続を通じて入ってくる形をとるべきである。そうでなければそういう金に対しては全然手をつけないようにすべきではないかと思うわけです。こういう点に対して一般の関心が非常に高まってきておる折柄でありますので、そういうことのないように一応希望いたしておきます。
○田中国務大臣 ただいまの御質問の競輪でございますが、競輪は本年度は四十四億五千万円、来年度は四十五億円、それから競馬は今年度が七億円で来年度が同じく七億円、モーターボートは本年度が十億円で、来年度はややふえまして十億五千万円というようなことで、総額にいたしまして大体一億円前後にふえる見通しを持っておるのであります。それからこれを何に使っておるかという問題でございますが、これは御承知の通り個々の収益は一たん一般会計に納めまして、一般会計の経費として使用をいたしておりますので、よほど詳細にこれを抑えて調べませんと、どの方面にこれを使っておるかという使途の内訳については明確でないわけであります。
○井堀委員 それではその資料については数字の問題でありますから、もっと詳細に収入の全体と、それからそれの使途の内訳を至急御調査なさって、書画でけっこうでございますから御提出願いたい。
○山崎委員長 辻原弘市君。
○辻原委員 私は最初に岸総理に、あなたが先般来からわが党の淺沼書記長、さらにまた昨日の片山顧問の戦争責任に対する御質問に対してお答えになった、大東亜戦争に対するあなた個人としての責任をいかにお考えになっておるかという点について、お伺いをいたしたいと思います。 先般来からあなたのこの問題に対するお答えは、深刻に反省をしておる、そうして民主政治家として全力をふるって今日これに当っていきたい所存であるというのがそのお答えであったのであります。そこで私お伺いをいたすのでありますが、あなたが深刻に冷厳に反省せられているというその反省の結果、素朴な言い方でありますが、結論としてはどういうような結論に到達せられたか。非常に悪かったとお考えになっておるか。悪かったから具体的にこうしたいというような具体的な行動を今日お考えになっておられるかどうか、この点を最初に伺っておきたいと思います。
○岸国務大臣 私は日本の国があの戦争に巻き込まれたという情勢を、これはいろいろなことからきておると思いますが、その原因を十分に私自身も反省し、そういう情勢を再び作らないということ、すなわち日本が絶対的に戦争に巻き込まれないということの政治を作り上げることが必要である。われわれが戦争に突入せざるを得なくなったところの原因を詳細に私自身としては反省し、この間における、私の行動がそれをとどめることができなかったことにつきまして具体的に反省をいたしまして、そうして再びそういうことのない、すなわ、その結果として日本に完全なる明るい民主政治を打ち立てることのために、私は一切の今までの関係を超越して、そうして民主政治家としてあくまでも精進していくという決意に到達したわけであります。
○辻原委員 今お答えなさったようなことは、これは岸さんでなくともだれでも一応そういうことは言えると思うのであります。しかし問題は、身をもってその反省の結果に立った結論を実行する、具体的な行動に現わすということが、これがいわゆるほんとうの反省に立った戦争責任に対する責任のとり方である。そこで私はいま少し突っ込んでお伺いをいたしたいのでありますが、先般のあなたの党の総裁選挙に当って、あなたの党の代議士である山本勝市氏が公表せられた一文を、私はここにはからずも手に入れたのでありますが、その一文をお読みになりましたか。
○岸国務大臣 私その一文は読んでおりません。
○辻原委員 読んでいらっしゃらないということになりますと、全文を読むわけには参りませんが、その中の主たる部分を読んでみたいと思います。私はこの一文を読んで非常な感銘を覚えたのであります。同じ自由民主党の党員でありながら、実に正論をもって、しかもまた岸さんという相当な権力者を前にしても隠せず、この戦争責任を追及しておる点に非常に深い感銘を覚えたのであります。こう言っておるのであります。「今では誰もが知っているように。大東亜戦争は、もともと天皇の発意によるものではなかった。国民は宣戦の大詔に従って戦争に協力したのであるが、その大詔の布告を奏請したのは東条内閣である。輔弼の閣僚が一致して奏請する場合、憲法を遵守する天皇にはこれを拒む余地はなかった。終戦の際におけるがごとく、閣内に異論があって、天皇の裁断を仰いでいたとすれば、必ずや陛下は開戦に同意されなかったに相違ない。」その次が問題なのです。「されば、大詔に従って戦争に協力した国民の責任と、宣戦を奏請した内閣の責任とは、厳重に区別せらるべきものであって、日本を今日の悲運に陥れた責任は、あきらかに、一致して宣戦の布告を奏請した東条内閣の閣僚に帰すべきものである。」こう言っておるのであります。私はこの点について、岸さん個人の戦争責任に対する把握についてお伺いいたしたい。それはわれわれが、また国民が岸さんに対して戦争の責任があると論じておることは、ただ単にあなたがA級戦犯の容疑者として巣鴨につながれたこと、ただ単に戦時中の閣僚であったということ、それを中心の問題として責任を追及しようとしておるのではないということであります。山本氏が言っておるように、当時国内においても、また当時の指導者の間においても、戦争に対しては回避あるいは主戦論等々いろいろあった。しかしながら結果においては東条内閣がそれらの国論の趨勢を引きずってこれを開戦ということに決定して、大詔の奏請、大詔の布告ということに持っていったと思う。その戦争を起したという、国民をして戦争に引きずっていったという責任の追及をしておるのであります。そのときのあなたは閣僚である。昭和十六年に東条内閣が発足して、同時にあなたは商工大臣としてのいすを占められた。これに対する責任を言っておるのであります。さらにその末尾には、結論としてこういうふうに書いてある。「改めて総裁とし総理としてこれに国政を委ねることは、心ある国民の断じて許さざるところであろう。日本を史上最大の悲運に導いた戦争責任者であったということは、総裁候補としての岸君にとっては正に致命的な欠点である。」こういうふうに論断をして、一党の総裁としても不適格である、こう言っておるのであります。一党の総裁として不適格であるならば、当然私は総理としても不適格である。そういう意味合いにおいて、この戦争を起したという責任があなたにはあるのであります。この点についていかにお考えになりますか。
○岸国務大臣 お答いたします。私の戦争に対する責任は、御指摘のごとく当時私は東条内閣の閣僚でございました。従って従来私自身が反省をしており、また私自身の問題としておることは、当時一国民として私が戦争に云々ということじゃなくて、戦争そのものについて、当時の明治憲法によって、輔弼の全責任を持っておる閣僚の一員であったということに対する私は責任を反省しておるわけであります。
○辻原委員 さらに私が明らかにいたしたいのは、あなたが新聞紙上でこの問題についてお答えになった際に、いわゆる戦犯容疑者あるいは戦犯として今日の政治の枢要の地位にすわっておるのは私のみではない、重光さんもそうであるし、その他代議士の中にも相当数の人たちがいるではないか。すべてこれらは国民の審判を経て、それぞれ国会議員として当選をしてきたものであるから、何ら差しつかえないというような意味合いのことを言われておる。しかし今のあなたの言をもっていたしましても、私はそこにたとえば重光さんあるいは青木さんといったような方々との責任問題は、おのずから軽重が出てくると思う。これらの人は宣戦布告の後において、いわゆる大詔が布告になった後における閣僚であります。あなたはそれに対して布告をせしめた閣僚であります。そこはおのずから私は違うと思う。従って新聞に発表せられたことにおいては、われわれは釈然としないのであります。あなたは深刻に反省をせられておると言うが、その反省の度合いも、どうもそういう発表から見まして、ほんとうなものであるかどうかについてはなはだ疑うのであります。 さらにまた申し上げれば、今日巣鴨においては、まだBC級戦犯者が相当数残っておる。これらの人々はいまだに戦争の責任というものを追及せられて、牢獄につながれておるのであります。また日本国民の中には常に言われるごとく、今日に至るもその傷はきわめてなまなましいのであります。今政府与党で、あるいはまた野党のわれわれがその処遇について考えておる在外資産の補償の問題あるいは遺家族の問題、傷痍軍人の問題、さらに海外に抑留せられておる人々の問題等々、その他戦災者の犠牲あるいはあなたが直接おやりなすった、祖先伝来の家業を放擲せざるを得なかったあの企業整備によって、今日立ち上ることのできない人々、あげてみますと、その傷あとは全くなまなましいのであります。そういう傷あとがいえない問題に、あなたお一人が重大な責任を持ちながら、今日政治の枢要な地位に立って、そうして国政を左右するということについては、これは私一人のみならず、あなたの党においてすらそのことを申されておる。これら大多数の国民の心の奥底にきわめて釈然としない感情があるということをあなたはお気づきになっておられるかどうか、この点に対する御見解を承わりたいと思う。
○岸国務大臣 私自身新聞に云々ということがありましたけれども、それはいろいろな機会に、いろいろなことを新聞記者会見等でもちろん申しましたことはございますけれども、今お話しになったような意味において、私の責任は解除されているなどということはかつて申したことはございません。全く私自身はお話の通り開戦の当時の閣僚であって、そして当時の憲法から申しますと、われわれ内閣が全責任をもって輔弼しておった等のなにによって、全責任が当時の閣僚にはあるわけであります。私自身その当時のことを申しましては——私は他の人々に比較しておれがどうだというような気持はかつて持ったこともございません。私自身の問題としてすべて反省をいたしておるわけであります。従いましてもちろん国民の中におきまして、私のなにに対してはいろいろな批判もありましょう。また戦時中のいろいろな私のやりました行政上の処置等に関して、いろいろの犠牲を払わしたものがたくさんあることは、私よく承知いたしております。これらの問題というものは、要するに戦争という一つの問題——もちろん今申したように私は当時の責任者であります。そういうことを引き起したことから、こういう問題がすべて生じておるのである。従ってかくのごとき事態を絶対に起さしめない。また作り出すようなことはしないというためには、私みずからが民主政治家となって、全力を上げて民主政治というものを完成の一途に向って進めていくことが、せめても私がやった責任を償う唯一の道であるという決意に立って、私自身が民主政治家としてずっと以来行動しておるわけであります。
○辻原委員 私自身がその責任を感じておるから今日民主政治家として全力をふるってやりたい、しかしあなたが今おつきになっておる地位というものは、必ずしもあなたでなくてはならないということはない。問題は戦争責任というものがあまりに深く大きいのであります。あなたがやりたいという場合に、すでにあなた自身に、この責任から生ずる現在の地位に対する不適格性があるということを私は申し上げておる。あなたと同様戦犯の容疑者として牢獄につながれた多くの人々の中には、その身を持するに、その進退を決するについてこのような人もある。少くとも今日なまなましい戦争の惨害やまた直接的には同じように牢獄につながれて、いまだに釈放されない人々がある今日の段階で、自分の気持としてはいろいろはやるところもある、あるいはまた政界に立って、過去の犯したような罪を再び起すまいとして、やりたい意思はあるけれども、しかし自分の良心的立場はそれを許さない。すべての戦争の傷痕が解消して、初めて私は社会に復帰するのだといって今日社会の一偶で静かにこの世の中をながめておる人が相当あると思う。ものの考え方はいろいろあろうと思うけれども、しかし私は今日の国民の感情からもってすれば、少くともそういう謙虚な気持、そういう戦争に対する深刻な個人的な反省というものをより多く私は支持するであろうと思う。そういう意味合いにおいて、小くともあなた御自身が、自分の出所進退に対して、直ちにその地位を去るというようなことができない情勢にあるならば、せめて一体国民はどう考えておるであろうかということを世論に問うくらいのことは私はやってしかるべきだろうと思う。しかし過日の井上良二議員の質問に対しても、解散をやってその信を問うという意思のないことも明らかにされた。従って私は多くを申し上げませんけれども、少くとも今あなたが面接輔弼の責任から生じた戦争に対する責任というものを、具体的に感じられておるということをお述べになったのでありますから、それを的確に行動の上に現わさなければ、ただ通り一ぺんに反省しておるということだけでは、国民は許すまいということを深く感じていただきたいと思う。 同時にいま一つ申して御所見を承わっておきたいのでありますが、それは国会が終ればあなたはアメリカに行くということをたびたび議会におても明らかにされておるのでありますが、私は、それ以前にあなたがおやりになることがあると思う。と申すのは、戦争の痛手は、日本国民だけではございません。広くアジア諸地域の諸民族は、この大東亜戦争の惨害というものを求めずしてこうむって、その痛手も、今日今なお引き続いておるのであります。その痛手から生じたこれら民族の感情というものは、相当の年月を経た今日解消されつつあるとはいうものの、私は現地に参って深刻なものを覚えたのであります。そういう点から考えてみれば、あなたが外務大臣として、また総理大臣として、少くとも戦争に対する責任を日本国民に対してお考えになるならば、同時にこれらの諸民族に対してもその方途を考えなければならぬ。その具体的な道は何かといえば、まず海外に出られるには、アメリカよりも以前に、こういう東南アジア、あるいは中国等々の諸民族に対して、あなたの反省の色を示さるべきであろうと思う。こういう点について御用意があるかどうか、承わってみたい。
○岸国務大臣 私は、外務大臣の外交方針演説におきまして、特に東南アジア諸国を歴訪したいという意思を申したのであります。また総理大臣就任の後に、記者会見においてアメリカに行く意思があるかということを言われまして、訪米の意思のあることも申したのであります。しかしそのいずれを先にし、またいずれをあとにすべきか、またこれらの国々をたずねる場合において、いかなる問題として取り上げていくかという問題を主題につきましては、私自身準備中でございまして、今辻原君の言われるように、東南アジア諸国は、われわれと最も関係の深いアジア民族の国々であり、またそれが戦争によって、一面においては痛手をこうむり、また一面においては、多年の民族の希望であった独立をかち得たけれども、その独立がほんとうに名実ともの独立の完成までには、いろいろな困難があるという事情を十分に頭に置いて、私はこれらの国々に、その独立の完成に協力しようというつもりで参りたいと考えております。もちろん、私の申しておる戦争責任についての考えは、私自身の良心の問題であり、また同時に、私がこういう地位についておるといたしますならば、その責任がさらに重大になっておることでありますから、十分にそういう点も心に置いて歴訪したい、かように考えております。
○辻原委員 次の問題に移ります。行政管理庁長官、それと外務大臣兼総理の岸さんにはちょっと簡単に伺っておきたいと思います。前国会から継続審議になっている行政機構改革についての方針でありますが、新聞紙の報ずるところによりますと、最近、政府与党でも、新たなる内閣の施策として、あるいは自由民主党の最終的と申しますか、これらの取り扱いに関する方針として決定を見ておるようでありますので、この機会に岸内閣としての行政機構改革に対する方針を一つ承わっておきたい。まず岸さんにそれだけお伺いいたします。
○岸国務大臣 行政機構改革の問題につきましては、これは鳩山内閣以来、自由民主党内閣におきまして、一面においては行政の能率を上げるということ、二面におきましては、すべて責任制を明らかにして、官紀の振粛をはかる、いろいろな観点から、委員会を置いて研究をされまして一応得た結論がございます。それを国会に提案をいたしておりまして、継続審議になっておることは御承知の通りであります。私どももこれを引き続き継続御審議を願っておるわけでありますが、これらの諸問題に関しましては、その後審議中にもいろいろの御議論がございますし、また党におきましても、さらに一そうこれを研究しておるわけでございます。私は、今継続審議になっております案をさらによく御審議を願いまして、今申しましたような綱紀の粛正、さらに行政の能率化というような点から最も必要なものを、少くともこの国会を通じて実現していただきたい、こういう考えであります。
○辻原委員 前国会からの方針を踏襲するようなお答えでありますが、具体的に二、三伺いますが、今お話の行政の能率化、それから綱紀の粛正というようなことの意味合いから、あなたの方では、トップ・マネージメントの構想で、具体的に政務次官の数をふやす、あるいは現在の総理府に総務長官制を置く、等々の、いわゆるトップ・レベルにおける増員を考えられて提案をされておりますが、しかしこれについては、すでにこれら法案の論議の過程においても、わが党から指摘をいたしておりますように、複数の政務次官を置いたから、あるいは総理府に総務長官制度をしいたから、それによって行政が能率化されるというようなことは決してあり得ない。むしろそういう政務次官等の複数によって生まれる結果は、それぞれ複雑な党内事情等が反映をして、いたずらに上部における混乱を巻き起すのじゃないかということをわれわれは指摘をしておる。こういう点については検討せられておるか、また今の世論から考えましても、機構改革で能率化する場合には、あなた方の従来のお説によりますれば、機構改革即いわゆる定員の削減、こういうふうに論ぜられてきておるわけであります。そういう行き方から見ても、下部機構等については定員減をし、上部機構については増員をはかる。私は世論の手前からも、そういうことは受け入れられないと思うが、これは一体どういうふうに考えられているか双わりたい。
○岸国務大臣 今回のわれわれの考えております行政機構の改革の問題に関しましては、いわゆる従来の行政整理どいう観念、すなわち公務員の数を整理するという考え方は、実はとっておらないのであります。むしろ現在の公務員を最も有能に、かつ綱紀が振粛された形において公務に従事できるように機構を改正し、その意味において、むしろ下の部分よりも上の部分において方針がきまらず、あるいは各省の間の連携がうまくいかないために事務が渋滞しておるというようなことの多いのにかんがみて、むしろトップ・マネージメントの点において考えようじゃないかという考えでありまして、決して行政整理という観念をとっておらないのでございます。
○辻原委員 内政省の設置については、これが成立をはかる意思がないように聞いておるのでありますが、この点はどういうふうにお考えになっておりますか。
○岸国務大臣 内容の問題は一つ主管大臣の方から……。
○大久保国務大臣 内政省の問題でありますが、先ほど総理から説明の通り、鳩山内閣当時案を作りまして、目下本衆議院に継続審議中であります。しかし、内政省設置そのものについては、反対者もあります、賛成者もあります。私は、先ほど総理が申し上げました通り、衆議院において慎重の上にも慎重に調査せられるよう希望しております。
○辻原委員 抽象的なそういう言い分では、どうもはっきりいたさないのでありますが、今お話の内政省の設置については、われわれはむろん反対であります。また世論の中にも、これが内務省の復活ということと結びついて、非常に強い反対がある。あなたの党の中にも強い反対がある。そういう段階に、重要な国内の政治機構というものを無理押しされるようなことは、これはおそらくとらざるところであろうと思います。そういう点から、むしろこの際この法案については撤回せられた方が賢明ではないかと私は思いますが、そういうふうなことを検討されているか、そういう意思がありますかどうか、伺います。
○大久保国務大臣 さっき申しました通り、その案につきましても賛成の意見の方もありますし、反対の意見の方もあるのであります。衆議院に継続審議にかかっておるのを幸いとしまして、衆議院各位の良識ある判断によって適当な結論を出していただきたいと思います。
○辻原委員 人事院の廃止の問題でありますが、申し上げるまでもなく、国家公務員法が制定されたときに、人事院は中立機関として、公務員の保障制度としてこれが置かれたわけであります。言いかえてみるならば、労働三法にとってかわったものが人事院であると申し上げていいだろうと思う。ところが、今度の機構改革によって、この人事院が単なる内閣に属する一委員会として機構が改められようとしておる。そういたしますと、労働三法を剥奪された当時からの経過から考えてみても、そのとってかわった人事院が今日中立機関としての存在をなくするわけでありますから、公務員に対する労働保護政策の面における保障機関というものは、何らここに存在しないことになるのであります。このことは、私は労働大臣にも一言承わりたいのでありますが、あなたは絶えず、正常な労働運動の発展あるいは労使協調等々言われるのでありますが、これは、従来の自由党当時からの政策から考えましても、非常に大きな後退であります。われわれはむろん、人事院の今日の運営のあり方というものには非常な不満があるのであります。しかしそれは、本質的に人事院の機関そのものの性格を論ずる場合とは別の問題であります。不満はあるけれども、本来、人事院というものは中立機関であります。それをなくすならば、当然それにかわる中立機関なりあるいは労働権というものを公務員に与えなければならぬと思うが、そういうことについて進歩した構想を持っておるかどうか、これを伺っておきたい。
○松浦国務大臣 御指摘になりましたように、労働権を保護するものが、国家公務員その他三公社五現業等にはなければならぬことは当然でありますが、特に国家公務員に対する人事院の働きというものがありまして初めて均衡が保たれるものでございますから、もしこの人事院を廃止するということになるならば、国家人事委員会というようなものを作りたいのであります。そこで、その国家人事委員会というものは、従来人事院がやって参りましたような勧告あるいは職員の苦情処理、あるいは職員の団体に関する事務等、人事行政の公正な確保を行わせたいと思っております。従いまして、この委員になる人はやはり身分が十分保障されて、公正な労使の関係の上に立って公正な判断を下し得るだけの身分の保障を与えなければならぬと思っております。かくして、御質問になりましたように、私どもは、あくまでも労使の関係におきましては相互信頼の上に立って、国政の運営あるいは行政の運営が行われていかなければならぬ、三公社五現業に対しましては、従来通りの公企体等労働委員会にかけてこれを処理していきたいと考えております。
○辻原委員 時間がありませんので、あまりこまかい点には触れられませんが、今お答えになった国家人事委員会というのは、これは中止機関ではないでしょう。私が申し上げておるのは、人事院が持っておったと同じような、政府に所属するのでもなく、またその一部局でもない、完全なる中立機関のことを言っておる。そうでなければ、保障機関たるの生命というものが保ち得ないことは、これは常識であります。そういう意味から申して、あなたが今言われた国家人事委員会の構想などというものは、われわれはこれをもって中立機関であり、保障機関であるとは認めがたい。従って、私がお伺いいたしましたように、進歩さした形における中立機関を設ける意思がないかどうか、その点についていま一応お伺いいたしたい。
○松浦国務大臣 政府の方針といたしましては、かような考えのもとに継続審議になっておるの、でございますから、皆さんの良識によって審議検討せられることを要望いたすわけであります。
○辻原委員 きわめて熱意のないことだけがわかりました。そういうことでは、国家公務員のみならず、地方公務員を通じて年々歳々起る紛争を調整していくことはできない。完全な労働権が無理であれば、少くとも私は団体交渉権までは公務員に認めてしかるべきだ。さらにそれらを調停するためのいわゆる調停委員会というものを中立機関として存在せしむることが、今日の労使関係を調整する、保守党として最もとり得る良策ではないかと思う。そのぐらいのことをあなたがお考えにならないようなことでは、松浦労働行政も大したことはないという結論になります。 次に文部大臣にお伺いいたします。 本年度の文教予算を精細に検討いたしてみますと、一つの特徴は、スポーツ行政に画期的な力を入れられておることであります。予算面に表われている項目を見ても、従来以上にこのスポーツ振興、体育振興に深い配慮が払われている点は、私は敬意を表するのであります。また先般の当委員会において、川崎委員の質問に答えて、スポーツ審議会を作る構想も明らかにされております。あるいはまた、民間団体に対して初めて補助をやろうという心組みも発表せられておるのであります。等々、国際的にも国内的にも、このスポーツ、体育の振興というものは社会的に非常に深い意義があるということを、文部省が今日に至って強く感じられたという点は、敬意を表するのであります。しかしながら、それだけに今後の運営については特段の留意を払う点があるということを御指摘申し上げておきたい。それについて最初に伺っておきたい点は、一つは、予算の中に国際試合に対する選手の派遣費として四百五十万が組み込まれております。この内訳は、説明によれば、一つは、パリにおける学生スポーツ大会に約三百万、それからデ杯戦に百五十万、合せて四百五十万であります。ところが私の知る範囲においては、本年度国際的に行われる競技はパリともう一つある。それはモスクワにおける世界青年友好親善の国際的な大会である。パリにおけるのも、これは従来の運営から一歩前進をして、東西面陣営を網羅した画期的な国際試合であり、同時にモスクワにおけるそれもこれに劣らざる大会であるとわれわれは聞いておる。しかも国内におけるスポーツ関係においては、これに参加することに非常に大きな意義を考えておるのであります。ところがパリの力は補助を出して行かそうとしている。これはけっこうであります。なぜそうなれば、モスクワにおけるこの国際大会にも同様の措置をとられないかという点に非常に不審の念を私は映ずるの、であります。いかなる理由でこれに対して政府としては援助をしないのか、あるいは援助しないどころか、消極的にでもこれへの参加を政府の方では抑えておるのか、この点について文部大臣のお考えを承わりたい。
○灘尾国務大臣 お答えいたします。国際競技に選手が出かけますものについての予算の関係は、ただいまお話しになりました通りでございます。来年度の予算におきましては、デヴィス・カップの関係で出かけるものと、学生のパリにおける国際競技に出かけるものと、この二つに対して補助を組んでおるわけでございます。その内容といたしまするところは、出かけていく数もきわめて少数でございますが、その旅費、滞在費の一部を補助することに相なっておるのであります。従来この種の補助を続けて参っておりますので、来年度もその通りにいたしておるわけでございます。ただいまお話のございましたソ連における学生競技の大会でございますが、この方はソ連国境までの旅費はこちらで持ちますけれども、それから先は全部向うの方で負担していただくというようなことになっておる次第であります。私は予算編成当時の事情を詳細承知いたしませんけれども、さような点からこの補助のことについては計上しなかったものと考えておるのであります。
○辻原委員 私はその言い分はいささかおかしいと思う。金額の多少を問題にしているのではないのです。やはり金を出すということは、もちろんそれに要する経費の負担を軽減するという意味合いがありますけれども、それらの国際競技に対する積極的な政府の意思を表わすものだと思う。従ってそれぞれ費用のかかり方が違えば補助の出し方も異なることは私は当然しかるべきものだと思います。しかし片やかなりの金を出し、他の方には一銭も出さない、そこに私は非常に取扱い上不平等な点があるということを申し上げたい。しかも国内における経費はよし負担をしてくれても、そこに到着するまでの経費は持たなくてはならぬ、これにかなりの金がかかることははっきりしておるが、一銭もないというのは私は解せない。予算編成にあづかっておらぬから知らぬというのでは責任は済みません。ただ私があえてこういうことを申し上げるのは、従来の文部行政の中にそういうことがたぴたびあったからです。この間の宗谷の救出に当っても、オビ号に対してはきわめて連絡が政府の方では不十分であったということも指摘をされておる。片やアメリカの船、片やソビエトの船である。そういういわゆる東西両陣営に対する一つの政治的配慮のもとに、科学の問題なりスポーツの問題なり、また文化の交流が取り扱われるようなことは、これは許すべからざることである。文化やあるいはスポーツ、体育あるいは科学というものは国境のないものである。むしろそういう機会にこそどんどん交流をはかって、国際親善を高めることが本来の目的である。その目的を忘れて政治的な配慮のもとに、もしソ連への参加を暗に押えるがごとき施策をやったとするならば、これは糾弾をしなければならないと思うので、その点について大臣の見解を承わっておきたい。
○灘尾国務大臣 科学の世界あるいはスポーツ、文化の世界におきまして、私は政治的な配慮がなされるべきものではないと思います、先般の宗谷の救援につきましても、さようなことは全然ないものと確信をいたしております。ただいまお話の競技大会のモスクワに対しましても、別に政治的な意味をもって差別をしておらないものであると確信をいたしております。ただいま申しましたような事情によるものと思いますが、いずれにいたしましても、外国で行われます国際競技大会にいつでもどんどん出していく、またそれに対してどんどん補助していくというような考え方は、実は私はいたしておりません。やはり国の財政の関係もございますし、また個々の具体的な競技大会のあり方にもよりましょうし、今度の問題がそれであるというわけではございませんけれども、積極的にどしどし海外に派遣して、それに対して大いに補助するというところまでは実は私は考えておりません。
○辻原委員 具体的な今の問題には当らぬ答弁であります。それは国際的にいって、また国内におけるスポーツ関係者の考え、また一般のわれわれの考えから推してみて、国際競技としてのパリ、モスクワにおけるそれは、同一に論ぜられるものと見るのが常識であります。先ほども申しましたように、経費の多寡を問題にするのではありません。しかし何がしかそれらに対して平等な取扱いをすべきであるということを私は申し上げておる。従って個々についてあなたは検討されるというならば、このモスクワにおける大会等についても、まだあまり潔い事情はお知りにならないようですから、今一度十分検討して、その必要がありと認めたならば、何かの援助方法を講ぜられたいと私は思う。それについて簡単に一つお答えを願っておきたい。
○灘尾国務大臣 今後の問題といたしまして、十分に検討いたします。
○辻原委員 十分に検討してしかる後に善処せられるということでありますから、この問題はそれだけにいたしておきます。 次に同様スポーツ振興の一つの方法として、本年初めて民間団体に対して、しかもその中で体育協会に対するものとして、一千万円の補助金を要求いたしております。さらにそのために、国会にすでに社会教育法の改正案を提出せられておるのであります。私はそれ自体まことにけっこうであると思う。社会的に有意義である公益法人ないしは団体でありますならば、その発展のために政府が積極的に援助していくということは好ましいことであると思う。しなしながらこれは今回初めて試みられた一つの例であります、前例であります。ところが他にこれに類するたくさんの団体があります。そこで起ってくる問題は、陸続としてこれらの団体から同様に補助金の要請が来ると思う。将来、現在体育協会が持っておる目的あるいは性格、こういうものと照らし合せて同様種類のものであるならば、大臣としてはこれらに対しても何様の援助を与えていく、そういうお考えがおありになるかどうか。
○灘尾国務大臣 今回日本体育協会に補助金を出すように要求いたしております。それに関連をいたしまして、お話の通りに社会教育法の一部改正法律案を今御審議願っておるわけであります。その中にもございますように、目的とするところは今日の体育団体の状態にかんがみまして、全国的及び国際的な事業を主たる目的とする団体に対しまして補助の道を開く、こういうことにいたしておるのでありまして、さしあたって日本体育協会が予算として要求せられておるわけであります。従いましてこの条件に当てはまるものでありますならば、もちろん補助の対象とはなり得るわけでありますが、個々の場合にそれぞれ検討を加えまして、補助を出す必要がありと考えますならば、また予算をお願いしたいと思います。
○辻原委員 現在体育行政に属する公益法人は、文部省から提出された資料によりますと十九あります。いずれもが体育の振興を目的とした非営利法人であります。また民間団体でもあります。それらに対して今言ったような補助金を交付して援助していくという場合に、私が懸念される点が二つある。一つは何かと言えば、これは申すまでもなく、かつて戦時中に行われたごとく、いわゆる金を出してその団体をひもつきにする、自主的な民間の運営ということを阻害する心配はないかどうかという点が一点であります。この点については一体大臣はどういうふうに対処されていこうとするか、そういう行政上の誤まりを犯す危険はないかどうか、確かめておきたいと思います。
○灘尾国務大臣 公益法人であります場合におきましては、民法上の公益法人に対する監督、さような意味合いにおける法律によって認められておる監督は、これはやらなくちゃならぬと思いますけれども、御承知のような社会教育法の精神もございます。この精神にのっとりまして間違いのないようにやっていきたい思います。
○辻原委員 いま一つ私が懸念するのは、今の場合と全く逆な場合であります。というのは、当然これらの民間団体は補助を受ける資格が出て参ったのであります。ところが下手をすれば、補助を受けんがために一応体裁をつくろう、それに対してもし文部省の民法の規定による監督が不十分である場合には、これが悪用されるきらいがないかどうか。そこで私が思うのは、不当に関与してはいけないということと、正当に監督せよということはおのずから分明にして当っていただかなくちゃならぬ。今大臣もお答えになりましたが、その範囲においてやると言われますけれども、従来の文部省のこの正当なる監督ということについては、私はいささか疑義を持つ一人であります。従って、今後不当に関与をしないということ、これは明言せられた。しかし正当に監督をするということについて、ほんとうにそうおやりになる御意思があるかどうか、これをあらかじめ聞いておきたい。
○灘尾国務大臣 お答え申し上げます。さような団体に対する文部省の態度といたしましては、今お示しの通りに考えております。
○辻原委員 監督を正当に厳にするというお話でありますので、私はそれでは具体的にお伺いいたします。文部省の提出された資料によりますと、この中にちょっと私が目に触れて不可思議なものを発見いたしました。それは財団法人大日本相撲協会なるものであります。実は私は非常に相撲が好きでありまして、また私のみならず今日日本の国民だれもが相撲というものを非常に愛好しておると思います。そういう意味で非常な親しみを持っておる。ところが必ずしも今日の相撲のあり方自体に好感を寄せておるものばかりではないのであります、いろいろな不信、いろいろな疑義、またこうしてほしいという希望はもう長年にわたって世論その他にも聞かれる。そういう立場で私は、少し相撲協会の問題についての大臣の所見を承わってみたい。 まず第一は何かと言えば、あなたの御提出になりました資料、またさらに私が提出を求めて出していただいた「大日本相撲協会寄附行為」等を見ますと、まずその目的はどうなっているかといえば、かようになっております。「本邦固有ノ国技タル相撲道ノ深遠ナル研究ニ勉メ之ガ維持興隆ヲ期スルト共ニ武士道ノ精神ニ則リ質実剛健ナル国民ノ養成ト体育ノ向上トヲ図ル」ということが、今日この相撲協会の目的になっておる。ところが私の知る範囲では、教育基本法を初めとして学校教育法、社会教育法、いずれを見ても、少くとも新教育の理念というものは一致している。ところがこの相撲協会の目的がいわゆる君臣の関係をもととした武士道の精神の涵養ということを目的に置かれていることは、まことに奇怪しごくではありませんか。こういうものを今日文部省が認めて監督をいたしておりますなどということは……。一応目的というのは形式であるとはいえ、目的によって事業が運営されるのであります。目的が形式であるとするならば、寄付行為あるいは定款というものは要りません。目的の中におのずからその団体の性格が浮ばれ、その団体の運営が浮ばれるようなものでなければいけないのであります。またそうであるように指導しなければならないのであります。ところがこれを今日までこういうものを認めているということについて、大臣は就任早々でありますが、一体文部省はどうしたことか、その点について承わっておきたい。
○灘尾国務大臣 相撲協会に対する文部省の態度でございますが、もちろん先ほど申しましたように、正当な監督はしていかなくてはならぬと考えております。今後もそのつもりでやっていきたいと考えております。いずれにいたしましてもそれぞれの団体において自主的に自分を改めていくという努力がなされなければならないと思うのであります。あくまでも協会の自主的な改善の努力は、これを尊重しなければならないと思います。今お話のございました点でございますが、何さま古い、大正十四年ですか、その当時に設立した団体でございます。それが今日そのままになっているということにつきましては、あるいは御指摘の通りに遺憾な点があるかと思うのであります。これらの問題につきましても、協会といたしましても善処したいと申しておりますので、しばらくその改善の努力に待ちたいと考えておるのであります。
○辻原委員 時間がありませんので機会を改めて、私はもう少し精細にその問題について追及いたしたいと思うのでありますが、今にわかに気づいて、そうしてやるというような、そこに何というか神経の図太さがあるし、文部省の怠慢がある。しかも聞くところによればこれは占領当時すでに問題になっている。また、これは正確かどうかわかりませんが、協会からその定款の変更を申し出た。しかしながら文部省はそれを放置したという事実もある。この一事をもってしても、いかにこれらの公益法人に対する監督が不十分であったかということが立証されるのであります。しかしそれを追及することが私の主題ではありませんので、それはそれだけにとどめておきますが、こういうナンセンスなことは文部省の行政においてはないようにしていただきたい。その他講道館、弓道会等たくさん歴史の古いものがあるが、しかしそんなものは一つだってありません。そのことを一つよく御指導願いたい。 その次に伺っておきたいのは、この協会は大正十四年に認可せられておりまして、当時の経済事情その他の点から公益法人たるの資格が与えられたようであります。ところがその後、その公益法人の認可について、いろいろの団体が申し出ているということを私は聞いております。そこで伺いたいのは、一体文部省は法人を認可されるについての基準をどこに置かれているかということです。これを一ぺん伺っておきたい。
○灘尾国務大臣 公益法人の認可につきましては、その目的が公益に合致するということと、その目的遂行の事業がどういうものであるかということ、その事業を遂行するのに必要な人的あるいは財的用意ができておるかどうか、かような点を監査いたしまして、条件に合致すればこれを認可いたしておるのであります。
○辻原委員 先般新聞紙の報ずるところによれば、プロレス協会がその認可を申請せられた。ところが文部省はこれに対して許可を与えられなかったということを聞いておるのでありますが、その拒否をせられた理由を簡単に一つ承わっておきたい。
○灘尾国務大臣 まことに申しわけございませんが、私はその事情をつまびらかに存じておりませんので、政府委員がおりますからそれでよろしかったら……。
○福田政府委員 プロレスの問題でございますが、これは確かに相談に見えたことはごいざますが、実際に正式な申請書として文部省に提出せられたことはございません。その当時相談を受けた際に、プロレスの興行につきまして、その法人の事業計画の中にいろいろ問題がありましたので、それについて相談に応じたのでございますが、結局先方としましては正式な申請書は提出しなかったのであります。
○辻原委員 それでは少し立ち入って聞きますが、もしプロレスが正式に申請を提出したとするならば、この取扱いについてはどうされるか。なぜならば、私が申し上げるのは、当時新聞紙上等に発表された関係者ないしは評論家等の意見を見てみますと、こういう言い分です。それは、プロレスが興行的だというならば、相撲協会もそうではないか、一体どこに本質的な差異があるのだということについて了解に苦しむ、こう言っておるのであります。私もこう考えてみると、常識的には、国技といわれている相撲と最近のプロレスとは差異があるようにも思う。しかしまた厳密に考えていけば、両者差異がないのじゃないかということにも一議論があると思う。文部省は一体どう考えておりますか。
○福田政府委員 ただいまの点でございますが、これは前任者の当時に御相談があったように聞いております。具体的に私はその書類を見ておりませんけれども、もしそういう問題で正式に出ました場合には、十分内容を検討いたしまして善処いたしたいと思います。
○辻原委員 私がこの問題を提起した理由は、これは今申し上げたように、正式に書類が出てないからどうすることもできないと逃げておられるのでありますが、当時文部省の意向等をうかがってみるのに、これは興行的だから許可する条件には合致しないというが、それならば相撲だって同じじゃないかという片方の円い分がある、世論の中にもそれを肯定するものがある。私はこの問題が非常に重大だと思うのであります。相撲協会は、先刻申し上げたように、民法三十四条に基く認可せられた公益法人であります。また民法の規定によれば、申し上げるまでもなくこれは営利を目的としてはいかぬのであります。しかるに一般には、これは営利団体ではないかといって論議されておるのであります。だからこそ、プロレスだって、プロ野球だって同じじゃないかという議論が起きてくるのであります。そこで私は大臣に伺うのでありますが、この公益法人大日本相撲協会のいわゆる寄付行為の第三条に明記せられているごとく、その公益事業を主体として今日まで運営されてきたか、また現在その目的に向って運営されておるかどうか、あなたはいかなる判定をせられておるか、これを承わりたい。
○灘尾国務大臣 相撲協会の目的及び事業等、実際相撲協会のやっておることを比較して考えてみますと、私は遺憾な点があるように思います。ことに相撲を普及し、相撲を奨励するとか、その他事業としていろいろ掲げられておるものが十分に行われておらないという点は、私も十分に認めざるを得ないのであります。その点につきましては、文部省といたしましても、実はしばしば注意をいたしておるわけであります。昨年の秋にも、相撲協会の幹部を招致いたしまして、いろいろ相撲協会の改善について指導し、助言をしておる事実もございます。これに従って相撲協会が漸次改善せられることをわれわれは期待しておるわけであります。
○辻原委員 今大臣は率直に運営については遺憾であると認められたのでありますが、しかしながら、しばしばと言われたように、確かにしばしば文部省はこの問題を手がけられておる。ところがいつでも中途半端です。また改善を期待すると述べられておるけれども、私はこれは今の段階に立つ議論ではないと思う。今の段階に立つ議論は、この際いかにすべきかということです。そういう意味合いでさらに突っ込んでお伺いいたしたい。必要とあらば、多少時間をいただいて材料をお見せしてもよろしい。そこで伺いますが、第三条の規定によると、前条の目的を達するためのいわゆる公益事業というのは、一から四まで掲げられております。六に至って「其他本協会ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業」とある。どこにも現今行われているような興行を目的とするとは寄付行為に書いてないのであります。従って興行をわずかに寄付行為の範囲で許すとするならば、それは第三条の一項から五項までの具体的事業を推進せんがために、その附帯的事業として、第六項にいう「必要ナル事業」としてのみしか許されないと私は思う。あくまでも主体は一から五までのいわゆる公益事業に置かなければいかぬが、果してそうであるかという点については、大臣も今そうでないとおっしゃられた。ならば私は多くを申し上げる必要はないのでありますが、たとえて一、二の例をさらに御参考に申し上げておきましょう。しかしながら、相撲協会の今日の内容等については、なかなかこれは捕促しがたいうらみがある。一応形式的な決算書をもって例をあげれば、三十年度の決算においては総収入は二億七千万円になる。そのうち、一項から五項までに該当せられると考えられる主目的に使用せられているのは、パーセンテージにいたしまして二ないし三%。三十一年度の決算を見ますと、総収入三億一千万でありますが、同様約三%であります。主目的が全体のわずか三%、二%であって、それ以外の事柄が九六、七%に相当しているような団体、これがいわゆる営利事業の団体ではないと言えないのであって、そこに世論、あるいは先ほど申し上げましたようなその他の団体から、これと同じであるからおれの方も許可しろというような議論が起ってくるの、であります。この点について、そういうような内容を文部省は詳しく精査せられているか、これを承わっておきます。
○福田政府委員 お答え申し上げます。確かに決算書を拝見いたしますと、ただいま御指摘のような点はあるかと存じます。ただ第三条の「前条ノ目的ヲ達スル為メ」の事業でございますが、これは必ずしもここに掲げられております一から六まで全部というわけではございませんけれども、最近におきまして、相撲道場の設置だとか、あるいは相撲博物館の設置などにより、普及事業というような点はこの法人としてはやっておるのであります。それから力士の養成という問題でございますが、さっき御指摘のように、「其他本協会ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業」ということに関連もあるかも存じませんが、力士の養成ということに関しましても、相当そういった興行をやる問題はそこから出て参る、こういうように考えておるのであります。
○辻原委員 どうもあいまいですが、私は時間が限られている以上、逐一文部省のあれに反駁する余裕を持ちませんけれども、今お話のように、事業計画等に示されており、また最近非常に問題になってからいろいろとやりかけられている計画の内容を見ても、これは比率を申し上げるまでもなく、全体のいわゆる経理の総額から見てごくわずかの金額であるということは第一に指摘されると思う。それからもう一つは、やっている事業、たとえば相撲道場とか、あるいは博物館を作る、その他相撲に対する宣伝パンフレットをやっているとか、いろいろ並べられておるのであります。いずれもこの内容は一目瞭然であります。言葉で言わずに百聞は一見にしかず、見られるならばその内容はわかる。あるいは力士の養成と言われるが、これはあとで私は少しお伺いしたいけれども、一体力士の賛成、あるいは力士の待避について、これだけの収入で、これだけの大きな予算規模をもって運営している協会が、果して妥当な待遇をしておるか、妥当な保障をしておるか、この点についても私は重大な疑義があるのであります。事のついででありますから伺いますが、今あなたが触れたように、力士養成等にも金がかかるというが、いかほど力士に対しては待遇をしていますか。あるいは長年相撲道のために励んできた平年寄等に対しては、いかほどの処遇をしているか。それらの人々の老後が今日協会の手によって完全に守られておるかどうか。文部省には確かに資料があると思う。なければいかぬと思うが、発表していただきたい。
○福田政府委員 お答えいたします。力士の養成の点でございますが、これはすでに資料をお持ちのようでございますが、この決算の中を見ましても、力士の養成につきましては相当の金額は使っておるように考えます。また、力士の賛成自体につきましては、協会としてもいろいろ考えております。それからまた力士の待遇につきましては、かねてから文部省といたしましては、現状十分でないというように考えまして、その向上をはかるように、昨年の九月でございましたか、協会の責任者に対してそういう注意を喚起したわけでございます。従って協会としては、力士の待遇必ずしも現状で満足しているというようなことではないわけでございますが、そういった待遇の改善については、今後十分考えていきたいということを申しておるわけであります。
○辻原委員 そもそも今どきになってそういうことを言わなければならぬというところに根本的な誤まりがある。相撲はいわゆる力士、その他年寄等によって維持されておるのである。協会の諸役員によって維持されておるのではないのであります。その力士の処遇が、ようやく収益がたくさん上ってきたから、これからぼちぼち考えましょうでは、これは許されない。というのは、前提はあくまでも公益法人であります。利益を生む必要はないのであります。利益があれば、そういう本来の力士の養成等々に十全の金をつぎ込むのが当然である。つぎ込んでいなければ、その公益法人は公益法人でないということになる。たとえば三十一年度の決算を見ましても、これとてもいわゆる賃金制度その他が確立されておりませんので、非常にわかりにくい、一体幾ばくの金が力士の手取りになるのか、幾ばくのものが力士に保障されているのか、非常にわかりにくいのであります。一片の決算書ではわかりません。どんな精通した計理士でも、これではわかりません。文部省はもっと資料があるはずなのです。しかし時間がないから、私は一応その表面的なものだけでも申し上げてみよう。 たとえば、現在力士が八百十三名いる。三十一年度決算の中における力士に対する渡し金の総額、それを一人頭に計算いたしますと、一カ年六万七千円に該当する。その他いろいろな経費があるが、しかしそれらを合算してもさしたるものにはならないと思う。それに比較いたしまして、その他に使われている経費との比較を見ればこれら力士の処遇がいかに低いかということがわかっておるのであります。 そこでもう一つ私は文部省の見解を聞いておきたいと思うのでありますが、こういうような給与制度というものをこの際改めて、少くとも力士が安心していけるような最低の生活を保障する、そういう賃金体系をとらしむべきである。さらには、力士の社会には今日失業保険もなければ健康保険もないではありませんか。決算書に出ている健康保険諸掛の査定は雇用員に対するものであって、力士のためのものではありません。あれだけの激しい練習をやる、たびたびの興行等においてけが人が相当出ているはずであります。それを、お医者さんが部屋のひいきの客にあるからとか、地方に行けばだれかが見てくれるからとか、そういうような観念でやっていくから、相撲はひいき者がなければ成り立たぬということになる。力士本来の自主的な立場でどんどんやるためには、そうでなしに、社会的な保障の上に安心していける立場を作ってやらなければならないのであります。そういうような制度を、公益法人であるなれば当然とるべきであろうと私は思うが、文部省の見解はどうか。
○福田政府委員 ただいまの御質問でございますが、これは文部省といたしまして、そういった協会の内部のいろいろなことに立ち入る限度というものがあると思います。しかしながら文部省といたしましては、今御指摘のような給与制度確立あるいは待遇の改善等につきましては、従来しばしば協会に対して注意を与えております。現役におきましても、協会としては、そういった点を十分考えていきたいというようなことを申しております。 今の保険だとかあるいは養老年金だとかいうようなものにつきましては、確かに御指摘の通りに、この協会としては一般におくれていると私どもも存じております。ただ、必ずしも私どもがいろいろ注意しました結果ばかりではございませんけれども、そういった傷害保険等にかわるものとして医療施設を作るとか、そういったような決定をしておりまして、改善の徴候は、一部分ではございますが漸次見えていると私どもは考えております。
○辻原委員 確かに、計画書には、一千万円を投じて診療所を作るという計画がありますけれども、しかしそれは健康保険ではありません。また、問題になって初めてそういう問題が計画の中におそらく現われてきたのだろう、一つ一つ問題にされるたびに前進はしておりますが、しかしそういうことでなしに、積極的にそういう世論に先んじて手をつけるような形でなければ、これは公益法人とは言われない。そんなことは当りまえである。今日、企業会社の株式会社ですらそういうことはどんどんやっている。それに比較して、公益法人であるこの協会が今どきになってそれをぼちぼち手をつけるようなことでは、これはどだい考え方の根本が間違いである。しかし、時間の関係上それらはいずれあらためてもっと詳細に文部省の見解を承わりたいが、聞けば、どうも資料の入手が非常に不十分なようでありますが、そういうことでは私の質問に答えにくいと思いますから、あなたも十分資料を手に入れられたい。 そこで大臣にお伺いいたしますが、もう一つの大きな問題は相撲茶屋の存在であります。さらには、相撲茶屋のみならず、株式会社「すもう」、それと協会との関係、これは世間でもそう思っているが、私も一体であると思うが、大臣はどうお考えになりますか。
○灘尾国務大臣 辻原君は非常に詳細にお調べになっておりまして、私も非常に教えられるところが多いのでありまして、その点に感謝いたしております。 今の御指摘の株式会社「すもう」と、茶屋それから協会、この三者は本来別々のものであろうと考えるのでありますが、実際にはその間に明瞭でないものもあるかと存じますので、昨年の秋に相撲協会の幹部に対しましても、文部省の方から、その辺の関係を明瞭にするようにというような助言を与えている次第であります。
○辻原委員 昨年の秋という言葉がちょいちょい出ますが、昨年の秋にそれをやられて、改善されておりますか。私はその改善の跡が見られないと思う。根本的な改善策が見られないのであります、弁明書等によれば、何か、中で売っているくしカツの値段を少し下げたというような弁明はあったようでありますが、しかしながら、本質的にこの問題についての見解はない。私の問わんとするところは形式論ではありません。実質的にこの三者の間には関係があるじゃないかということを申し上げておるのであります。 ちなみにこれは参考に聞いておきますが、このくらいの調査は文部省でもされたでしょう。相撲茶屋は二十軒あるが、一体その経営者はどうなっておるか、相撲協会の理事諸公の中にこの相撲茶屋を事実上経営している人はないかどうか、この点について承わります。
○福田政府委員 一々名前は存じませんが、そういった人の関係は、連係はあるように私も考えております。
○辻原委員 そうならば、これは実質論ではありません。形式的にも——法務大臣もそこにいらっしゃいますが、私の乏しい法律的な見解をもってしても、事実上この本来のいわゆる公益法人たる協会の理事、役員が、その協会と利害相反する行為をやっている場合には、これはたしか民法の五十七条でありましたか、代理権を失う、言いかえてみますと、その行為を逆に禁止しているのであります。商法においてもそうでしょう。商法の二百六十四条を見れば、株式会社においても、そのようないわゆる会社法人と利害相反する行為を行おうとする場合には、株主総会の承認を得なければならないことになっておる。公益法人にはさらにより以上の強い制約があるはずである。そういたしますれば、明らかにこれは民法の精神にも商法の精神にも相反する行為といわなければならぬ。それ以前に、いわゆる公益法人たるものを利用して、そこに営利行為を営むということは道義的にも許されぬはずである。この点についての文部省の見解はどうですか。
○灘尾国務大臣 公益法人の理事者が、その公益法人に損害を与えるような行為に出るべきでないということは当然のことだと思うのであります。私は詳細は存じませんので間違いがあるかもしれませんけれども、御指摘の相撲茶屋でありますとか、そういうふうなものがやることにおいて批判の対象になるものがあるかもしれない。しかし、本来、相撲茶屋ができ、あるいは相撲協会ができたというそのこと自体は、必ずしも協会に損害を与えるとかいうような趣旨でできたものではないだろう、こういうふうに私は考えるのでありますが、そこは事実による問題でありますので、事実が常に協会に不利益を与えるような趣旨のものになっておるといたしますならば、この点は十分考えなければならぬと思います。
○辻原委員 あなたは、不利益を与えるものとなっておればという前提を言われておりますが、そうじゃないのです。たとえば二千に及ぶさじきがありましょう、このさじきを直後協会が一般に公開した場合——現実にそのさじきは茶屋を通して行われておる。私は、その茶屋を通して行われたさじき収入というものが、一体いかなる形においてどの程度入っておるかを明言できる確定した数字を持っておりません。おそらく皆さん方もその確定した数字をお知りにならぬと思う。しかし、事実そのことによって営業しておる。それがなければ、直営でやった場合にはそれだけの収入が増すのであります。これは明らかに利害は相反しておるのであります。そういう意味合いにおいて、一体こういう一つの形の一のはどうかと言っておる。しかしまだ十分検討せられておられないようでありますから、認識を新たにいたしましてこの点は御検討を願いたいと思います。のみならず、この相撲茶屋については、一つの営業であるということならばそれは問題にすべきでないと思うが、公益法人というものにおんぶして営業をやっているのですから、誤解のないようにしていただきたい。 それから、そのほかに、一般にいわれていることは、またわれわれも感じることは、相撲は少くとも大衆がなじんでおるものであるということです。ところが、事実において、ほんとうに大衆が自分の見たいというときに自由自在に見れるような一つの機構になっているかというと、必ずしもそうじゃないでしょう。特定の人がそのさじきを専有し、かなりの金を出さなければそのさじきは手に入らない。公表されているさじき料というものは、それはもう公表だけであって、実際にはそういう値段をだれも信用しておらぬ。これを大衆に開放して一般席としてやるなれば、どれほど相撲というものが大衆に接近するかわからない。そういうことについても十分改革の余地があると思う。 昔から芝居には茶屋がつきものだといわれた。その芝居においてすら、今日、茶屋制度はないのである。日本古来の芸術として認められている歌舞伎を見ても、すでに今日、猿之助氏の英断によってあのさじき制がとられ、茶屋制というものはなくなっておる。そしてりっぱに収益が上っておるのである。この歌舞伎すら、今日、公益法人じゃない。これは一営利会社です。公益法人であるならば、営利会社である歌舞伎よりも劣る営業をやっておるというところに問題がある。そういうことを十分検討していただかなくてはならぬ。さらには衛生的に考えても、さじきで砂をかぶって飲食するというようなことは、今日、あまり近代的ではありません。よろしくこういう制度は改むべきである。 さらに私が申し上げたいのは、さじきによってかなりの収益が上るのみならず、小物料とか、その他出方と称する一つの売方によって、かなりの物品がこの中で販売されておる。ところが、現実に行った人はすぐ気づくだろうと思いますが、それはちょっとやそっとではなかなか手が出しにくいような値段で、市価よりも二、三割方高いというのが今日の常識になっておる。しかもその収入がどこにいくか、協会にすっぽりはまるのであるか。ところがどう見ても、株式会社「すもう」というものがあって、茶屋の各人人がそれを経営しておる、その茶屋をながめてみれば、どうやら相撲協会の人も入っておる、ここに事実上一体だと一般にいわれておるところがある。だが一体こういうような収益が果して公益のために使用されておるかどうか。それが中間にある者によってその収益の大半が吸われておるというようなことであるならば、これは許しがたいと思う。そういうような意味合いにおいて、この相撲茶屋というものを、文部省はあれは管轄外でございますなどというようなばかげた考えをもってしては、これは相撲協会が本来の目的に沿って、相撲道が興隆するというようなことはあり得ない。おそらく文部省の施策に対して満天下の相撲愛好家は悲しむだろうと思う。そうでなくて、ほんとうにわれわれの言っておることは、相撲を大衆のものにしたいということである。ほんとうにいろいろな力士によって興隆しているというこの事実を裏づけたいということです。その念願にほかならない。そういう意味合いにおいて積極的な施策をこの際とるべきであるということを、私はあなたに強調しておるのでありますが、すでに私の持ち時間も過ぎておりますので、私はいずれあらためて文部省の精細な見解と従来の文部行政についてただしたいと思います。 最後に、今申し上げましたように、お伺いをいたしましても、まだまだあなた方が的確にこれらについての解明を行なっていないという点がうかがえる。従って今後文部省は詳細にわたってこれらの内容についてその資料を求め、これらの内容について検討をするお考えがあるかどうか。これも民法にちゃんと規定しております。主務官庁が、必要な場合には、その所管する公益法人については職権調査をすることができることになっております。そういう意味合いにおいて精細な調査をおやりになる決意があるかどうか。 それともう一つは、あいまいなことを言わず、あいまいな態度ではなくて、公益法人であるならば公益法人としての運営を行うべし、たとえば茶屋制度を廃止するにはいろいろな手続も要るし、いろいろ困難な問題があると思いますけれども、しかしながら一般に見せるためにはさじきを公開することも一つの方法でありましょう。そうして協会本来のあり方に引き戻すべし。それがとうてい不可能であるならば、これは公益法人たるの資格がないということになって、文部省は一大決心をしなければならない、そのいずれかを選ばなければならない、あいまいなことは今日許されない。そういう意味において大臣としても一つ積極的にこの問題については早急に結論をお持ちになることが必要であると思うが、私のこの点に対する質問に対していかにお考えになっておるか、御答弁を願いたいと思います。
○灘尾国務大臣 お答えをいたします。辻原君の私に対する御質問のお心持につきましては、私は全然違っておらないと思います。ただこの問題は近来始まったことでなく、協会のあり方等につきましては元来いろいろ論議せられておった問題だと思います。しかもなかなかこれが容易に改善せられておらないというところも、これも現実だろうと私は思うのであります。今お話しになりましたようなことを私どもの方におきましても十分頭に入れまして、相撲協会ないし国技館等のあり方につきましては検討をさせていただきたいと思います。決してあいまいなことを申し上げるつもりはありません、
○辻原委員 文部大臣に対してはそれだけにいたしまして、あと一つだけ、幸い国税庁長官がお見えになっておりますので若干聞いておきたいと思います。 私の調査によりますと、当該協会の法人事業税の納付は次のようになっております。昭和二十九年に六十五万三千百八十円、三十年六十四万四千四百四十円、三十一年百五十万七千円、こういうふうになっておるのでありますが、これは公益法人でありますがゆえに税法上保護されておると思います。これを一般の法人税として適用した場合においては幾ばくの税額が必要となるか、この点を承わっておきたいと、それからいま一つは先ほど私が指摘をいたしましたように、これら団体をめぐってかなりの収益が上っておる。その収益が上っている団体に対して、公益法人と認めた課税をやるということは、これは国税庁の方針であるのかどうか。私の考えによりますと、いわゆる税法上の保護を受けるのは、利益が出ないという建前において公益事業をやるがために、本来その事業に金が投ぜられるがために財団法人としての公益法人は税法上の保護を受けていると解するのであります。ところが現実に利益が上っているような場合においても、依然として税法上の保護を与えていくのであるかどうか、この点を伺いたい。
○渡邊政府委員 御承知のように、現行税法におきましては、公益法人であります場合におきましても、収益事業につきましては法人税を課税することになっております。相撲協会の点でございますが、私の方へ申告されておりますのは、二十六年の十二月から二十七年の十一月までの場合におきまして——これは収益事業だけのものでございますが、申告としまして、端数は落しますが、千百万円ちょっと、三十七年の十二月から二十八年の十一月までに六百二十力ちょっと、それから二十八年の十二月から二十九年の十一月に五百五十二万、二十九年十二月から三十年十一月に五百四十五万、三十年十二月から三十一年十一月までが千五百六十四万で、二十六年の十二月に始まる分と二十七年の十二月に始まる分は一応調査が完了されまして、これは申告が是認されております。しかしその後の三期につきましては、現在なお調査を続けております。先ほどの六十何万という数字は、私の方の実際の数字とちょっと違いますので、その意味で申し上げます。 それから公益法人である場合と一般法人である場合と税率がどう違うか、これは過去においていろいろ経過がございますが、現在で申し上げることで許していただきたいと思います。現在におきましては、公益法人の場合には所得金額に対する税率は三割、一般法人でありますれば所得金額五十万円以下の分について三割五分、それをこえる分について四割、こういうことになっております。従いましてどういう数字になりますか、先ほどの所得金額から計算して参りますと、一応の数字は出て参ると思っております。 それから御指摘になりましたように協会とそれから株式会社「すもう」それから相撲茶屋、こういうふうに一応三つの形に現われておりまして、経済的にはやはりその所得はそれぞれ別個に帰属しているものとわれわれは見ておりますし従いまして株式会社「すもう」につきましては、普通の法人としてわれわれの方では課税しております。それから相撲茶屋は個人経営になっております。従ってそれぞれの個人の事業の所得、こういう観点で課税をいたしております。
○辻原委員 その問題についても、今の通り一ぺんだけの御答弁では私は了解をいたしません。やはり公益法人であるならば正当な保護を加えるべし、さもなければ形式的なことをやらずに実質的な課税の対象とすべし、私はこういう議論でありますので、それらについて税務当局が今おやりになっていることが正当なものであるかどうか、私は決して不正当だとは申しませんが、本来の公益事業団体に対する取扱いをそのまま形式的に採用されているのではないかという面もありますので、また後刻十分税務当局の見解も承わることにいたしまして、本日はこの程度に私の質問をとどめておきます。
○山崎委員長 午後二時四十分より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。 午後一時四十六分休憩 ————◇————— 午後三時五分開議
○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。滝井義孝君。
○滝井委員 岸内閣は石橋内閣の政策と予算の一切を受け継いだ内閣でございます。従ってまず問題の出発は、一月八日日比谷の公会堂における石橋総理の演説から質問をしてみたいと思います。それは日比谷の公会堂における石橋総理の演説の中で、五つの誓いを立てられました。それは国会運営の正常化、政界、官界の綱紀粛正、雇用の増大、生産の増加、福祉国家の建設、世界平和の確立というこの五つの誓いでございました。特に石橋総理は声を大にして福祉国家の建設をうたわれたのでごごいます。また本会議における財政演説の中においても、同様の意味のことを池田大蔵大臣も言われております。岸さんもまたいよいよ首相に就任をせられてから本予算委員会で所信の簡単な表明がありました中にも、社会保障の充実を言われた。そこで私は岸内閣のもとにおける福祉国家の建設というこの構想、少くとも福祉国家の建設という大理想を掲げたからには、その建設の具体的な構想というものがなくてはならぬと思います。まずどういう構想をお持ちか、これを岸総理から御答弁を願いたい。
○岸国務大臣 福祉国家の建設については私は根本の考え方として二つの面からこれを考えておるのであります。一つは根本的に申しますと、日本の経済を拡大し繁栄せしめていくということであります。すなわちこの狭いところに多数の人口を持っておるのでありますから、その生活を安定し、向上せしめるためには何といっても経済の規模を拡大し、これを繁栄せしめるという政策を積極的にやる必要がある。第二の面はそういうふうに繁栄しても、それが国民のうちの二部にだけ繁栄がとどまっておって、他の部面にそれが及んでおらないというふうな不均衡があることは、福祉国家としていかないことでありますから、この繁栄を国民全般にあらゆる階層に行き渡るように考えていく、均衡をとっていくということ、均衡ある繁栄を期することが必要である。これがためには社会政策、いわゆる日の当らないような部面に対して、国家があたたかい手を差し伸べるいろいろな社会保障制度の拡充の問題があり、また分配問題に関してその公正を期するような諸政策をとらなければならぬ。この二つの面から考えておりまして、そうしてわれわれの理想としている福祉国家を作り上げる、かように考えております。
○滝井委員 岸総理はまず福祉国家の建設には日本経済の繁栄、そうしてその繁栄はすべての国民に平等に行き渡る姿を作っていく、こういうきわめて抽象的な御説明をいただきました。そこで一応岸総理の福祉国家の基本的なものの考え方は一応そこに置くとして、憲法二十五条と日本における福祉国家との関係というものをどういう工合にお考えになるか、この点を一つ具体的に御説明を願いたいと思います。
○岸国務大臣 私が福祉国家の建設と申しましたのは、先ほど申し上げたような意味において申しておるわけであります。憲法二十五条の、いわゆる国民が健康で文化的な生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面において、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。これは、私は福祉国家の目標からいうと、当然のわれわれの権利並びにわれわれがやらなければならない目標を示しておるものだと思います。
○滝井委員 憲法二十五条の中の三つの問題、すなわち社会福祉と社会保障と公衆衛生、いわば日本経済が繁栄をして、そうして国民の各層に具体的に現われていくものはこの三つの問題なんです。しからば岸内閣において、日本の経済というものは神武以来の繁栄をしておるが、福祉国家に向って大きく前進をしたといわれるようなものが、一体予算のどこの面に現われておるか。それを具体的に、これとこれとは前の鳩山内閣なりあるいはその前の吉田内閣とは煙ったものであるということを指摘できる点が予算の面にあれば、一つ池田大蔵大臣から御指摘を願いたい。
○池田国務大臣 社会保障制度の拡充、福祉国家の建設につきましては、われわれの最も念願といたしておるところでございます。従来社会保障関係の経費は年々相当ふえて参っておるのであります。しかし今回の予算におきましては、まず社会保障制度、福祉国家の第一である健康の問題につきまして、医療制度を全国民に及ぼそうと四年間の計画でスタートいたしまたのでございます。なおまた、従来やっておりまする国民病である結核対策につきましても、国あるいは地方で負担するものを相当思い切ってふやしましたし、また母子年金制度の調査にかかるとか、あるいは医療貸付金制度の創設とか、あるいは厚生年金、それから世帯更正資金の貸付金の増加等々、各般にわたって、今までよりも相当力を入れておるはずでございます。
○滝井委員 福祉国家の理想を掲げられたからには、やはり福祉国家に向って進む明確な方針というものがなくてはならぬ。憲法においても明らかに社会保障、社会福祉、公衆衛生と、明白に三つのものを出してきている。従って福祉国家をやろうとするならば、それらの三つのもので、どこかに重点がなくてはならぬと思う。ところが実際にことしの予算案を見てみますと、今池田大蔵大臣から具体的に羅列的に述べられました。まず私はそういう具体的に述べられたものを、ずっと福祉国家の理想に向っていくらしいと思われるものを拾ってみますと、あまりにも貧弱な、しかも重点のなさに実は驚くものなんです。今池田大蔵大臣から言われましたように、系列的に拾ってみますと、母子福祉貸付金及び母子加算、これは千円のものを五千円くらいやるようになった。世帯更正資金貸付三億円、医療費貸付金二億円、そのほかに結核予防の全額公費負担、国保法の普及——これはあとでいろいろ問題にしますが、これは去年より約三十三億増額しております。これが額としては一番増加をしておる。教科書無償交付一億九千万円、給食費の、いわゆる準要保護児童に対する給食費の補助があります。それからそのほかに福祉国家の建設に幾分役立つと思われるものに、たとえば公務員のベース・アップ、日雇いの二百八十二円の平均賃金を三百二円に引き上げる、それから生活保護の基準を六・五%引き上げる、こういう程度で、まあまあ一歩大きなものは約三十三億の国民保険です、あとは一億から二億、せいぜい三億どまりなんですね。ところが一方今度の減税の状態を見ると、これは至れり尽せり、すなわち芸者の花代からマージャンぱい、それからゴルフの税に至るまで、実に至れり尽せりの減税をやっておる。すなわち、遊びねえ、打ちねえ、飛ばしねえ、こういう格好に至れり尽せりの減税をやっておる。減税は手の届くようなところまでいっておるけれども、しからば福祉国家というものについて、何か明確な予算上の、これが福祉国家建設のために支柱となるものだというようなものを見てみると、きわめてその施策の貧弱なのに実は驚かざるを得ない状態なのです。こういう点、今年は内閣のできた初めであって、鳩山さんから石橋さんに受け継ぎ、石橋さんから岸さんに受け継いだので、時間的な余裕がなかったからもうこういうことでやむを得なかったといえるかもしれないが、何か一つ岸総理大臣としては、福祉国家の理想に向って今後はこういう施策を大きく打ち出していくのだというものがありますか。
○岸国務大臣 福祉国家の建設、国民の福祉を増進するということは、いろいろな面から、私は日本の現状から言うと、一つや二つの施策ではもちろん足りないのであって、各方面の施策を総合的にやる必要があると思います。しかしこれは石橋内閣以来のなにとして私自身も非常に重要に考えておるのは、医療に関する国民皆保険の制度をある一定の年限のうちに実現して、医療に関して国民がすべて健康保険制度によって医療されるということは、国民生活の福祉を増進する上からいうと、今おあげになりました社会保障及び公衆衛生その他の観点からいって最も重要である、かように考えております。しかしどうしてもこの問題はいろいろな点から総合的にやる必要がある、こう思っております。
○滝井委員 一つの重点として国民皆保険論を総理が賢明にも御言明になりましたが、イギリスのホブマンという人が「福祉国家」という書物を書いております。その書物の中で、福祉国家というものは、その福祉国家を渇望しておる人たちのあいた口の中に甘い蜜が天から落ちるように落ちてくるというのは間違いだ、それはむしろイギリス人の政治的な英知の実りで初めて福祉国家というものができていく、すなわちその福祉国家は、イギリス人の四半世紀以前から植えつけられた植物が発芽して、そうしてここに初めて福祉国家ができた、こういう工合にしてイギリスの福祉国家ができたのだと言っております。そうしてイギリスにおいては、福祉国家は大きく四つの柱から支えられておる。それは、いわゆる国民保健、すなわちナショナル・ヘルス・サービス・アクト、ヘルスの方の保健です。それから国民保険、これはインシュアランスの方です。いま一つは国家扶助と児童法、こういう四つのもので支えられて、イギリスの国家というものは福祉国家へだんだん進んでいっているのだということを言っておるようでございます。今総理は一つの柱として国民の皆保険ということを言われました。もちろんそのほかいろいろやらなければならぬが、一応ここに重点を置くということが考えられるということを申したのです。実は石橋さんが日比谷の公会堂で五つの誓いをされてから石橋ブームというものか起りました。これは私たち社会党は客観的に見て、あの十一月八日に行なった日比谷公会堂の——池田さんもそのときやられましたが、石橋総理、池田さん等の演説によって、確かに石橋内閣というものは一つの大きなブームを作ったと思います。それは私が個人的に客観的に見ますと、この五つの誓いの中に社会党の打ち出しておったと同じような三つの政策を具体的に打ち出してきたということです。それは、一つは一千億の減税です。一つは完全雇用です。一つは国民の皆保険です。この三つを石橋内閣が打ち出したところに石橋のブームというものが起ったのです。ところがそれからだんだん日にちがたつにつれて、新聞の論調あるいは新聞のいわゆる朝日なんかの声の投書欄、こういうところの世論をじっと観察してりおますと、だんだん人気が下火になって参りした。どういうところから下火になって参ったかと申しますと、一千億減税というものが大きく打ち出された後に、いわゆる米価の値上げというものが台頭して参りました。あるいは運賃の一割三分の値上げが台頭してきた。ガソリン税が台頭してくる、こういうことで、しかもその減税の実態というものが、主として同額所得者を中心とする減税らしいという国民的ないわゆる勘によって、肉体によって、国民は体識することができた。これによってまず減税問題に対する人気が急激に下火になって参りました。と同時に、社会党が強く主張しておる完全雇用を石橋さんが打ち出すことによって、これも大きく石橋の人気をあおる形になったのですが、その完全雇用も——いずれあとで触れますが、あるいは午前中に井堀君からも触れられたと思いますが、その雇用というものがきわめて不完全な、不安定な就業状態作っておるものであるということのために、これもやはり次第に完全雇用という実態がわかって参りました。今石橋内閣から岸内閣に受け継いで、そうして福祉国家の建設という点で、石橋内閣の人気をあるいは岸内閣の人気をわずかに支えているものは、国民皆保険論なんです。今また三つのうちの二つについては、すでに国民というものは大体その実態がわかったという感じが私はしてきました。ただわからないのは、国民皆保険がまだわかっておりません、そこで私は国民の気持になって——きょうはもうすぐ岸さんは終りますが、岸さんなりその他の諸大臣に尋ねてみたい、こう思うわけでございます。 そこで今津さんも国民の皆保険というものをやられると言いましたが、その国民皆保険の構想というものを一体どういう工合にやるのか。池田大蔵大臣のさいぜんの御説明では、四カ年間で全国民に医療組織を確立していくのだという御言明があった。具体的に四カ年間にどういう工合にしてこれを確立していくのか、これを一つ厚生大臣かまたはこの経済計画の大綱からいうと宇田企画庁長官にも関係があるようでございますが、構想を承わりたいと思います。
○宇田国務大臣 昨年の十一月に社会保障制度審議会からその勧告が行われております。従ってその冊子に基きまして国民皆保険制度の推進はいたしたいと考えておりますが、ただいま持っておる五カ年計画の中では、ただいま大蔵大臣から、お話がありましたように、昭和三十五年を目標として四年間に未適用の二千八百万人の全部にこれを油川するようにいたしたい。本年はそれに裏づけするために五百万人にこれを適用したいと考えておる、こういうわけでありますが、しかし勧告案によりますと、現在われわれの考えておる三十五年に終るこの計画では、どうしても不十分な点があるというふうに思われますので、新しく今年着手いたしますところの五カ年計商の中では、これを特に取り上げまして計画を立てたい、こう考えております。
○滝井委員 鳩山内閣が三十年の二月の総選挙に当りまして、国民に公約をした経済六カ年計画があります。これは経済自立と完全雇用を昭和三十五年までに達成する計画として発表せられたものでございます。その経済六カ年計画の中において社会厚生費として見積った金額は二千十億円でございました。ところが三十二年度の現在の歳出予算費目の重要なものをだんだん社会厚生費として集計をしていきまして、文官恩給費も住宅費も加えて社会厚生費は千五百十三億しかないのです。岸内閣は、鳩山内閣から石橋内閣、そして岸内閣へと同じ政党によって受け継がれた内閣です。経済の成長は神武以来画期的なものだといわれております。鳩山内閣が選挙のときに公約したこの公約というものは、当然岸内閣によって受け継がれておらなければならないものであるが、この計画が社会厚生費二千十億円が千五百十三億円と四百九十七億円も——神武以来の大景気といわれる現実において、しかも鳩山内閣の三十年二月の総選挙のときにおいては予測だにしなかったところの大きな経済の伸びを示したのにもかかわらず、一体その計画よりか四百九十七億円も減った具体的な理由は、どういうところにあると岸内閣総理大臣はお考えになりますか。
○岸国務大臣 今の数字は、鳩山内閣のときのいわゆる経済自立六カ年計画によって、その計画が完成したときの目標であろうと思うのです。従って今はちょうどそのときの状態から申しますと途中にあるわけでございまして、われわれは今日、あの当時国民に公約した経済自立六カ年計画では規模が適当でないという考えのもとに、さらにこれの立て直しについて検討中でございますが、そういう意味において、私自身の考えでは決して公約に反しておるとは実は思っておらないのであります。
○滝井委員 それは岸さんちょっと勘違いしておる。今私が申し上げました社会厚生費二千十億というのは、経済六カ年計画における三十二年度の財政計画なんであります。ところが鳩山内閣のときにはこんなに、昭和三十一年度で約一千億の自然増があり、三十二年度には二千億の自然増があるということは夢想だにしなかった。その当時でさえも、当時の経済の基盤から考えて三十二年度には社会厚生費は二千十億になるであろう、こういう観点に立っておった。ところが現実はそれよりか約五百億少い千五百十三億になっているというのは、一体これはどういうことなのかということです。一切のものはこの経済六カ年計画が間違った。六カ年計画が間違ったというのは、いろいろなものが間違っております。すべてのものが間違ったが、その間違ったものは少くなることで間違ったのではない。みな計画よりかずっと伸びていって間違ったのだ。ところがこの計画だけは計画よりか昭和三十二年度が下回っているということなんです。宇田さんこれは一体どういうことですか。
○宇田国務大臣 お答え申し上げます。ただいまお話しの経済自立六カ年計画に掲げてある数字は、実は項目が社会厚生、文教関係という項目で掲げてありまして、この中にはただいま仰せられるものとほかに教育関係も含まれておりますから、数字の内容は少し項目と違う点が含まれておるのであります。教育費を含めての場合でありますから、この面をのけますとそうならないと思います。
○滝井委員 教育費は別に千百七十億ある。教育費は含めておりません。いいですか。あなたの方はその経済六カ年計画における防衛賠償費は千八百億、こう計上しておった。ところがことしの防衛賠償費は旧軍人の恩給も加えるならば、二千四百十二億になって、六カ年計画よりも六百十二億もオーバーした。ところが社会厚生費というものは五百億も下回っておる。こういうことなんです。だからその当時の数字が全然でたらめで、もう今後に立たないというのならこれまた話はわかりますが、幾分でもその数字を基礎にしてものを考えていっておるというのならば、私は今の私の議論というものは成り立っていると思う。その点一つ宇田さんの方で明白になっておれば、社会厚生費というものは幾らになっておるか、それを一つ御説明になって下さい。
○大來政府委員 ただいま滝井先生からの御質問の中で、六年計画とございましたのですが、実は御承知のように、六年計画の案が経済審議会から政府に答申されまして、その後検討を加えて五年計画として発表されておりまして、六年計画というのは政府の計画の作業の途中の段階でございまして、最後に政府で公表いたしました計画は五カ年計画になっております。その中には、三十二年度の数字は作業の途中で一応はじいたことはございますが、最終的な案には三十二年度の数字がございませんで、三十一年から三十五年の社会厚生、文教関係合計して一兆七千二百九十四億、五カ年間でこれだけの数字になっておりまして、社会厚生と文教の内訳の正式の計画はございませんわけでございます。
○滝井委員 一兆七千億になるならば、五で割りましても一カ年に三千億円になるのですよ。
○大來政府委員 教育費を含めましてでございます。
○滝井委員 そうしますと私の数字と同じなんです。私は社会厚生費二千十億、文教費千百七十億、三千百八十億、合うのです。そうしますと今言ったように、五カ年計画では社会厚生費は二千十億とおきめになっておったのに、それが、しかも三十二年度のものなんですよ、ところが実際の三十二年度の予算というものは千五百十三億、五百億も少いというのに、あなた方の方は福祉剛家に大きく前進する、こう大きく出たのです。その大きく出た人たちが五百億も計画を下回らなければならぬとは理論的な根拠がわからない。しかも経済の伸びというものは神武以来の伸びを示しておるというときに、どうしてそんなに五百億も減らなければならぬかということなんです。
○大來政府委員 ただいまのお話の点は社会厚生関係の費目の分類の点にあるのじゃないかと存じますので、よく内容を承わりましてからまた資料を後に調製いたしたいと思いますが、前の五年計画の計画をはじくときには、経済規模に応じて、伸びに応じた社会厚生関係の支出をふやすことになっております。それがこの計画以上に経済規模が大きくなっておりますので、実際上これが減るはずは私はあり得ないと思いますのですが、どこか分類のところで食い違いがあるのじゃないかと存じますので、後ほどよく調べましてからお答えいたしたいと思います。
○森永政府委員 文教関係を含めて計算いたしますと、約三千六百億ぐらいになります。社会保障関係が千二百二十六億、恩給が九百六十一億、それから住宅が百二十四億、文教関係費が千三百四十七億合せて三千六百五十八億になります。なおこういう経費の分類に当りましては、いろいろな観点から分類の仕方が可能でございますから、そういう意味で食い違っておるかもしれませんが、ただいまおっしゃいました千五百億云々の数字の中にはおそらく文教関係費が入っていないのじゃないかと存じます。大体三千億をこえる金額になっておるというふうに存じております。
○滝井委員 私の申したのは、従って社会厚生費を中心にして申しておる。文教関係を見ますと、今年度の予算の文教費は千三百四十七億円です。従ってこれを入れても二千八百億にしかならない。従って経済が伸びておるにもかかわらず、福祉国家あるいは文化国家の建設をうたい、民主主義の徹底をはかるという内閣が、昭和三十年二月のときの経済規模で予定をしたものよりかはるかに少いものしか計上ができていないという、この実態は何と抗弁しようと間違っておる。だからそういうように予算が、今年度において具体的に実現するに当って減らなければならぬその理由というものが、私はわからないのです。どういう理由でこういう工合に経済規模が大きくなったにもかかわらず減らなければならなかったのかという説明は、一向にどの大臣からも承われない。 最後に岸さん、今実態を事務当局から御説明をいただいた通り、文教費を入れても減っておる。これで福祉国家だとかなんとかいうわけですが、これは一体実態はどういうことかというわけなんです。
○岸国務大臣 ちょっと滝井さんの御質問ですが、数字の点は今事務当局の申しておるのを私はわきで聞いておったのですが、費目その他の例示があって、どうも数字がはっきりしないと思いますが、とにかく私は、わが内閣において福祉国家を建設するという理想を掲げて、これを強力に押し進めようというわけですから、それで経済規模も大きくなっておりますから、決して最初の計画よりも本年度の予算が小さくなるということはあり得ない、こう思います。 なお数字の点、項目の点等につきましては、事務的にもう少し御納得のいくように資料をととのえることにしたいと思います。
○滝井委員 時間がありませんから、あとで数字をいただいてけっこうでございます。 次に、具体的に今度は少しく財政上の問題を尋ねてみたいと思いますが、今宇田さんから四カ年間で二千八百万の国民を医療組織の中に入れていく、本年度は五百万人を入れていくのだ、こういう御説明があったのでございます。一体そういうことが理論的に可能かどうかという点でございます。いろいろ入れ方があるかと思いますが、私はそう大きな理想をここ言おうとは思いません。まずこの医療の内容を基礎にしながら、また現在程度の保険料の負担を基礎にしながら問題を一応進めていってみたいと存じます。そこで私はこの脆弱な日本の経済の上に国民皆保険をやろうとするならば、まずやはり日本の姿そのものを見詰めていく必要があると思う。まず私たちが見詰めていかなければならぬ第一の点は、日本が非常に人口が多いという点です。しかもその日本の人口の多いところで多産多子という点です。これはわれわれが皆保険をやる場合に、どうしても見のがすことのできない一つの大きな点です。人口が非常に増加をして、その増加の割合に日本の経済の伸びがこれに伴わなかったということ、これは第一に私たちが皆保険をやる場合に日本経済の底を流れるものとして見詰めなければならぬと思うのです。次に生産年令人口というものが非常に飛躍的に増加をしてきておるということです。たとえば昭和三十年度のいわゆる国勢調査を基礎にしてものを言います。最近のはいろいろ統計が違いますから、三十年の十月一日付が一番確実ですから、三十年十月一日を基礎にしますと、大体十五才から五十九才までの生産年令人口は、五千二百万総人口の五九%を占めている。こういう生産年令人口というものが、非常に増加をしておるという状態があるということです。これは具体的に何を意味するかというと、雇用を非常に窮迫に追い込むということです。資源の少い、しかも仕事場の少い日本に労働人口がふえてくるということは、それだけ雇用市場に競争が激しくなって、雇用を非常に窮迫に追い込む。雇用を窮迫に追い込むということは、具体的にはどういうことかというと、保険料の基礎になるところの給料が低くなるということを意味してくる。なるほど完全雇用の姿はできているが、それは職業についているというだけであって、実際に食える賃金、あるいは保険料を払って医療組織の中に入る賃金にはほど遠い状態であるという、こういう状態が一つあります。 いま一つの私たちが見なければならない重要な点は、日本の雇用はふえておるけれども、その雇用のふえておるというのは、これは第一次産業部面と第三次産業部面にふえておるということです。第二次産業である鉱工業にはふえていません。これは大してふえていない。この失態というものを見失っちゃならぬ。しかも第一次と二次は潜在失業者の、いわゆるたまり場になっておるということです。潜在失業者という言葉が悪ければ、半就業者とでも申しますか、不安定就業者とでも申しますか、そういうもののたまり場になっておるということです。 まずこういう日本の人口構造なり、その人口構造から出てくるところの日本の産業構造のゆがみというものを見なければならぬ。すなわち第一次産業と第三次産業とがこう大きくふくれて、第二次産業の健全な給料の高いところがふくれていないということです。しかも第三次産業において、昭和三十年の就業者数は、昭和二十五年から約三百十万くらいふえた。ところが全就業者のうちの九〇%、三百六十万というものは、これはほとんど商業部門に流れ込んでいるということです。しかもそれが給料でいえば八千円以下、独立自営業者でいえば年収八万円以下、こういう層が飛躍的に増加をしておるということです。こういう日本の経済構造のゆがみ、人口構造の中で、一体宇田さんは、あるいは大蔵大臣は、具体的にいかにして——抽象的には二千八百万の国民を今年五百万人入れて、そして最終的には昭和三十五年に皆保険を実現をいたしますと言うが、一体こういう状態の中でどういう工合な財政的な裏打ちをもって実現をしていくか、その構想を一つ明白にしていただきたいと思うのです。
○宇田国務大臣 ただいまのお話の中で、第一次産業と第三次産業が、第二次の産業と比べて労働の吸収力が大きかった、こう言われるのですけれども、それは昭和三十年度の統計であって、三十一年度におきましては非常に内容が変ってきております。第一次産業がむしろ減少傾向をとって、これが第二次産業に流れていく傾向がある。そして第三次産業は、あなたの言われたように、やはり吸収力が強くなってきていると思います。昭和三十一年度の統計はそういうふうになっております。それで賃金も上昇カーブをとっております。 また第二次産業部面におきましては、オートメーションその他の合理化が行われて、第二次産業の中で主たる原料部門を受け持つところの企業は、生産能率を上げております。鉄鋼等は明確にそうなっております。そしてそれによって得たところの基礎資材が、その中におけるところの第二次製品部門、第三次製品部門の労働雇用力を非常に増大さしておりまして、それは中小企業がこの部門の大部分であります。従って第二次産業及び第三次産業部門におけるところの賃金の上昇率及び労働力の吸収能力というものは高くなってきたと思っております。もちろん最近の統計を見ますと、第一次産業部門から第三次産業部門に移動する傾向が多いと思っております。そういう統計になっております。
○滝井委員 大臣、その統計のもとにおいて幾分のそういう傾向は出ているかもしれません。しかしながらたとえば就業の状態を見ても、就業の一番増加をしておるところはどういうところが増加しておるかというと、週において一時間から十九時間働く層と、一週間六十時間以上働く層とがふえている。いわゆる労働基準法の、すなわち四十八時間層というものは、三%か四%しかふえていない。ふえているのは全部一週間に一時間から十九時間と、それから六十時間以上、こういうところでふえているということなのです。こういう実態というものは変らない。それから第三次産業というものが非常にふえ、しかも女子がふえているというのは変りません。これは労働省から出ておる最近の統計を見ても、日本の形態というものは諸外国の雇用の形態とは違っております。諸外国は経済がぐっと伸びて、そして生産が上昇をいたしますとどういうことになるかというと、だんだんと働く人が少くなってくるのです。ところが日本は反対なんです。経済が上昇をし、そして景気がよくなってくると雇用者がわんさふえてくる。それは一家に一人働いておったのでは日本の賃金では食えないということなんです。従って、あなた方はそういう経済の基盤の上に福祉国家の一大支柱である国民皆保険をそびえ立たそうとしておるのだから、具体的にどういう具合にしてそれをそびえ立たしていくのか、その構想を承わりたい、こういうことなのです。
○宇田国務大臣 ただいまの指摘された点は、確かにそういう傾向があります。それで第一次産業から第二次産業に移っていく移動の傾向を見ておりますと、確かに家族労働者の中から第二次産業部門に転向していくということは明らかとなってきております。従ってわれわれは第二次産業ないし第三次産業の合理化をはかって雇用量の増大を計画いたしたい、こう考えております。 それの基本線はどこに求めるかといいますと、やはり貿易の質的内容、国民の消費傾向の質的内容が変りつつある、それは科学的、技術的なもので解決していくということ、オートメーションを加えるということ等の一連の新しい世界的なレベルの必要さの中に、われわれも調和をはかっていかなければならぬ、こう思っております。従って質的内容をよくすること、それがためには特に中小企業に対してわれわれは技術的な研究組合を作る、そしてわれわれの新しい情報を的確にすみやかに伝達するとともに、技術者の養成をはかって、そして国全部の建前からいいますと、そういうふうな質的な向上をはかる方向に持っていくということが重要だと思っております。 それからただいま御指摘になったものの中で、長時間労働を必要とする面があるというのは、これは私はほんとうだろうと思います。というのはわれわれの持っておるところの熟練工は非常に少ないものでありますから、熟練工の少いことは、急激に拡張する部門におきましては、どうしても労働時間の延長を必要とすることが起りやすい、それはそういう傾向に現われてきておると思います。それはそれで、一時の非常な跛行的現象がそこに現われてきておるので、これはすみやかに訂正しなければならない、こういうふうに思っております。
○滝井委員 私は二千八百万人の国民を、今のような日本の経済構造と人口構造の中でどういう工合にして具体的に入れていくかということを質問しておるんですよ。いろいろ雇用の問題で議論はあると思いますが、とにかく日本の経済というものが非常にいびつなものであり、産業構造が外国と違うということがはっきりしておるのですから、その中で、あなたは二千八百万の者を四カ年で入れるのだとおっしゃった。これは池田大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、四カ年間でどうして入れていきますか、一つ具体的に大蔵当局としての構想を御説明願いたい。あなたの財政演説の中にも、福祉国家の理想に向って大きく前進をする、そしてさらに医療施策の面におきましても、遠からず、国民皆保険が達成されるよう、国民健康保険の普及を推進し云々、こういうことを言っておるが、その財政的な裏づけをどういう工合にして四カ年でやるのかという構想を一つ具体的に御説明願いたい。
○池田国務大臣 日本の産業界の現状、雇用関係につきましては、滝井さんのお話の点、われわれはよくわかるのでございます。しかし御承知の通り、今健康保険あるいは国民健康保険に入っていない人は、お話の通り、農民あるいは中小企業関係の人が多いのでございます。従って、こういう方々が国民健康保険を中心として医療の恩恵を受けるようにするためには、やはり中小企業等の生活あるいは所得を多くするよりほかに道がないのでございます。幸いに、最近の国民の努力によりまして、日本の経済力は伸びて参りました。五、六年前あるいは六、七年前は、国民一人当りの所得は三、四万円でございましたが、本年度並びに三十二年度におきましては、一人当りの国民所得は九万円程度になる。七、八年のうちに二倍をこえ、三倍近くの所得の増加であるのであります。私は、こういう所得の増加の傾向をこの上とも助長し、そうしてみんなが国民健康保険にはいれるようにやっていくために、今回の予算と積極財政を進めていこうといたしておるのであります。これは今の低額所得者の所得を増加することを主眼とする、そうしてそれにはやはり日本経済を伸ばしていく、これが国民皆保険へ進む一番有力な方法だと思います。
○滝井委員 どうも大臣の御答弁は少し抽象論の御説明のようでございますから、具体的に入って御答弁いただきたいと思います。まず私たちが将来の展望をする場合には、何といっても、やはり過去を振り返ってみる必要があろうと思います。われわれは過去の深い反省の中から、将来の大きな展望というものができると思います。そこで今まで日本の予算の中で、国民皆保険のためいわゆる核となったもの、ケルンとなった国の税金でまかなっておる経費というものは、一体幾らかということを見ていきたいと思う。そうしますと、これは国の予算の中の社会保険の経費を見ていけばいいと思う。これが核になって、そして日本の総医療費というものは増加をしていっている。そうしますと、昭和二十九年には社会保険の経費は百五億円だった。三十年度は行二十二億になりました。三十一年度には百六十億になりました。そして今年三十二年には社会保険の経費は二百一億でございます。しからば一体このように増加をしていった段階で、五百万人もの人が国民健康保険に入った例があるかどうかということです。これは厚生大臣から、あったかなかったか、御答弁を願いたい。
○神田国務大臣 お答えいたします。今までは五百万の実施がなかったのでありますが、今年は達成しよう、こういう考えであります。
○滝井委員 今まではなかったという明快な御答弁がございました。そうすると、五百万人を手品で入れることはできませんから、やはり入れるには入れるだけの道を作ってやらなければなりません。そこで一体五百万人を入れる道はどうして作るか、今までとにかく二百万以下しか入っておりません。二百万をこえたのは昨年、二百七万です。今年は推定が三百四十万くらいといわれておりますが、実質的にはおそらく三百万を割るのじゃないかと推定されるのです。そうすると五百万のものを入れた例がないのに、ことしは五百万を入れるというのです。一体これはどうして入れますか、だれが責任を持って入れるのですか。大蔵大臣どうですか。
○池田国務大臣 国民健康保険あるいは健康保険に対しまする施策は、年とともにだんだん補助その他の分をふやしておるのであります。五、六年前のことを考えますると、事務費につきましても全額補助をしておりませんが、だんだん全額補助に進んできております。また国民健康保険あるいは日雇い労務者の健康保険につきまして、国の方で医療給付の一部を負担するというふうに拡張して参っております。また事務費の点につきましても、今年は従来一人当り六十八円程度のものを八十五円に引き上げる等、国民健康保険を中心として伸ばす施策はとっておるのであります。われわれは今までの実績以上に、今後厚生省の御努力によりまして五百万人を期待いたしておるのであります。やはり国民が全部健康保険に入ろうという気持を沸かすような施策をやっていけば、できないことはないのではないか、それを目標にして努力すべきだと私は考えております。
○滝井委員 信念だけではものは解決いたしません。それはこの前社会労働委員会で厚生大臣がやはりそういう発言をしたから、私言いましたが、私たちは戦争中に必勝の信念ということで負けた。信念というものは、やはり理性のともしびによって導かれる信念、科学的な理性によって導かれる信念でなければならぬと思う。国民皆保険をやるのだということを、少くとも一つの政党に基盤を置く内閣が掲げたならば、その皆保険の理論的な、財政的な裏打ち、科学的な根拠を示さずして、ただ信念でやるのだということだけでは話は片づきません。 自治庁長官にお尋ねいたします。今大蔵大臣は五百万を国民保険に入れるのだとおっしゃっているが、運営の主体は地方自治体でございます。一体現在の赤字におののいている一なるほど七百億の自然増加があるといわれておる、あるいは交付税も三百億ぐらい増加してくれているようでございますが、今の地方自治体の状態のもとで五百万の国民を、何らの地方財政の犠牲もなくして、国民健康保険の中に順当に入れることができるという確信がありますか。
○田中国務大臣 ただいまのお尋ねでございますが、ここではありのままにお答えを申し上げる必要があろうと思います。そこで特に赤字再建団体、それから再建団体ではございませんが、自主的に再建計画を立ててやっております準再建団体、こういう団体におきましては、国民健康保険に対する損失を埋めるために、来年度におきましては少くとも四十億内外を一般会計から支出をいたしませんと、運営が困難であるという現状となっております。従ってこれが五百万に上る新たなる加入者を受けるということになりますと、この点におきましては、一般会計分の財源を相当程度圧縮することになってくることは、避けることのできない現状であるかと考えて、この点は大へん苦心をしておるところでございます。
○滝井委員 大蔵大臣、今お聞きの通りでございます。しかも自治庁次長の名で、各都道府県知事に対して、昭和三十一年五月二十五日に財政再建計画の策定に伴う国民健康保険事業に対する普通会計からの繰り入れについてという文書を出しておる。これは今、田中長官が言われた、いわゆる再建法の十二条適用の再建団体、あるいは準再建団体というようなものは、原則としてここ二年か三年に限って給付の財源の一部として、普通会計からの繰り出しやむを得ないと、こういうことで、幾分どうしてもやらなければならぬならやむを得ないが、そうでなければ原則としてはやるなという通達を出している。これが実情です。こういう実情の中で、五百万人をやるというのですから、明らかに自治庁長官は、これは四十億一般会計から繰り込まなければならぬ、五百万入れればさらにそれが上回わる、こういうことになる。五百万入れれば、おそらく百億以上一般会計から繰り込まなければならぬと思うのです。大蔵大臣にお尋ねいたしますが、第二次補正予算で、国民健康保険の赤字補てんのために大体幾らお金を出す所存でございますか。
○池田国務大臣 国民皆保険の問題につきまして、われわれは政府といたしまして、四、五年のうちに皆保険を実現しよう、そうして当初の三十二年度におきましては五百万人を予定しようというので、厚生大臣から申し入れがありました。われわれとしては、それは望ましいことだというので、三十数億円の、この問題についての予算を組んでおるのであります。五百万人になるか、あるいは四百万人になるか、あるいは六百万人というふうになるかもわかりませんが、こういうことにつきまして、私はいいことでございますから、内閣全体といたしまして、所期の目的を達成するよう努力いたしたいと思います。従いまして、国民皆保険の問題につきまして、三十一年度において補正予算でどうこうということはございませんししかし過去の問題につきまして、今第二次補正を検討いたしておりまするが、これにどれだけ入るかあるいは入らぬかということは、まだここで申し上げる段階に至っておりません。
○滝井委員 第二次補正で幾ら出すか、出さぬかわからぬと言うが、もう、大臣、地方財政は、決算は終ってしまっているのです。医療給付費の二割は義務費で負担しなければならぬことになっている。
○森永政府委員 第二次補正予算につきましては、目下鋭意検討中でございます、昭和三十年度の国民健康保険関係の補助金は、精算の結果、約十億不足する見込みでございます。この十億につきましては、第二次補正予算の際に追加計上方の御承認をいただきたいと存じております。まだ最終的な決裁は得ておりません。
○滝井委員 森永さん、第二次補正予算の、その十億の基礎を一つ御説明願したい。
○森永政府委員 昭和二十九年でございましたか、国民健康保険法が改正になりまして、従来は予算補助で参っておりました国民健康保険に対する補助は、精算払い、精算補助に変更になったわけであります。三十年度につきまして精算をいたしました結果、約十億くらいが不足するということになりまして、その分を追加計上をお願い申し上げるということでございます。なおその基礎になりました医療費等につきましては、ただいま資料を取り調べまして御報告申し上げたいと思います。
○滝井委員 それならば、厚生大臣でも自治庁長官でもいいですが、大体三十年度の赤字は、一体国民健康保険は幾らあるか、これを一つ御説明願いたい。
○田中国務大臣 三十年度は三十七億内外でございます。少し切れるかと存じます。三十七億でございます。
○滝井委員 その三十七億の赤字の中で、いわゆる医療給付費、いわゆる二割の補助金の対象になるものは大体幾らくらいになるのですか。
○田中国務大臣 御承知の通りに、医療総額に対する二割が純粋の国庫補助となっております。そこでその三十七億円内外のうちのどの程度がこれに該当するかという問題でございますが、この数字は今手元にございませんから、調べまして、あとで申し上げます。
○滝井委員 大蔵省としては十億を精算としてやるそうでございますが、いわゆる地方財政、地方自治体の一般会計から国民健康保険への繰り入れの実績というものは、相当の額に上っておることは、もう明白でございます。最近地方自治体が赤字のために一般会計から国民健康保険への繰り入れが非常に困難になって参りました。そうするとこれは困難なばかりでなくして、文書をもって通達をして、特に赤字団体というものは原則として入れない方がいいという通達を出してきておる。一体こういう実態の中で、政府は国民健康保険に五百万の者を入れようとするのですが、一体国民健康保険というものは社会保障なのかどうかということなのです。田は責任を持つつもりなのかどうか、これは一つ厚生大臣から、国が責任を持つものかどうか、地方自治体にまかせっぱなしなのか、その点一つ御説明願います。
○神田国務大臣 国民健康保険は社会保障の二部だと考えております。それから先ほどから三十二年度の五百万人の加入について非常に御心配になっておられるようでありますが、私どももちろん楽観しておるわけではございませんで、御承知のように、未加入の地域は——大体もう東北とか北陸とか農山村はすでに国民健康保険が実施されておる。残っておるのは、東京都並びに東海、関西というような大都市、中都市がが残っておる。残っておる事情は、今お述べになられたような財政上の問題もありますが、しかし医療水準が高いというような問題もあるわけでございます。政府といしましては、これらの都市が非常な熱意を最近持って参りまして、住民の希望に沿いたい、国民健康保険を実施したいというこの熱意に応じまして、四カ年計画をもって処していきたい、こういうような計画を立てておりまして、先般新聞等にも発表になっておる数字も、これらの当該市等から出て参りました希望を集計いたしまして、発表いたしておるような実情でございまして、もちろん簡単とは考えておりませんが、来年度においては所要の措置をいたしたい、さらに四カ年計画をもちまして完遂いたしたい、こういう考えでございます。
○滝井委員 考えはけっこうでございますから、その考えに対する財政的な裏づけというものを私は聞きたい。どの大臣からも財政上の裏づけを聞くことができません。これは一つ大蔵大臣に私お願いしたいのすでが、今自治庁長官からも御説明のありました通り、地方自治体というものは、とにかく四十億以上の一般会計からの繰り入れをやらなければだめだ、これ以上はもう出せないという限界にきておるのだということは大体明白になりました。そうしますと、保険料でまかなっていかなければならぬということになる。保険料というものはクッションがないのです。保険料というものは税金に対してとっていく。いわゆる資産割、所得割、それから人頭割、それから世帯割と、こういうように四つの線からとっていきます。現在保険料が住民税よりか多い地区が出てきておる。そうすると医療費というものはだんだん漸増していくものなんです。同時に病気というものも千変万化、変化していく。こういうものに対して保険料というものは比較的同定したものなんです。従ってそこにクッションがない。一体このクッションをだれがつけてやるかということなんです。このクッションは現在の自治体の一般会計から国民健康保険特別会計に金が繰り入れることができないとするならば、厚生大臣の言うように、社会保障であるとするならば、憲法二十五条によって国が責任を持たなければならぬ。いわんや岸内閣が大きく福祉国家の建設に向っておるとするならば、これは何らか国が責任を持つ必要が出てくる。大蔵大臣、一体現在日本のおもな地方団体に対する補助金の中で、五分の一補助なんというものがありますか。公共事業だって三分の一、簡易水道だって四分の一ですよ。ほとんど三分の一補助、あるいは少くとも四分の一補助が多い。国民皆保険をやることが福祉国家建設の一大支柱であるのにもってきて、わずかに五分の一の補助で、クッションのない保険料にまかしておいて五百万ができるかというと、これは絶対にできない。一つここは池田大蔵大臣の蠻勇をふるって、何らかの財政措置を講じなければ、石橋内閣から岸内閣へ衣鉢として受け継いだ、ほとんど石橋さんの遺言のような形で受け継いだ国民皆保険というものはできない。絵にかいたもちになる。すなわち一千億減税、完全雇用、そして第三の皆保険までが、羊頭を掲げて狗肉を売ると言われることは大へんだと思う。これは保守党の名誉のためにも、ここで蠻勇をふるって何らかの措置を国民健康保険にすることが、皆保険への道を大きく開く唯一の方法だと思うが、大臣の一つ誠意ある御答弁をいただきたいと思います。
○池田国務大臣 国民健康保険の問題につきまして、地方に赤字が出るということも私は聞いております。そしてお話の通りに、保険料を納める場合に弾力性があまりない、国民健康保険は普通の健康保険とは違って非常に弾力性が少いということも認めます。そこで赤字が出るゆえんのものは、医療給付の問題が主となってくると思うのであります。保険料と医療給付のアンバランス、この点は私は将来の医療費の問題と保険料の問題をかね合わして考えなきやならぬと思います。もちろん病人の方が半分を負担し、残りの半分は保険料であるのでありまするが、従来これに対し医療費の二割補助をやっておるのであります。こういう問題につきましては、医療給付の問題と保険料の問題につきまして再検討を加え、合理的な方法を見出さなければならぬと思います。しかし片一方におきまして二千八百万人のまだ保険に入っておられない方がおありになられるのでございますから、今の政府の負担の給付をふやすということよりも、入っておられない方々に早く入ってもらうという方向が進む道ではないか。全部の方がお入りになって、そうして国民皆保険の基盤の上に給付その他の問題を考えていくのが、われわれは筋ではないかと考えておるのであります。
○滝井委員 残りの二千八百万の国民に早く入ってもらうということになると、大蔵大臣はいわゆる国民健康保険の強制適用をお考えになりますか。
○池田国務大臣 強制適用のことは考えておりません。われわれはできるだけ御納得をいただいて、そうして社会福祉国家建設の一つの大きい柱であります皆保険を実現しようといたしておるのであります。
○滝井委員 そうすると、四カ年でやるというのは、まあ四カ年ぐらいに広げておけば、そのうち何年かたてばできるだろうという、四カ年でやりたいという単なる目標であって、四カ年にぜひ二千八百万の国民を入れたい、入れるためには財政上の措置をとるという積極的な意味じゃなくて、消極的にただやるという、こういうことなんでか。
○池田国務大臣 二千八百万人の方にすぐ入ってもらうことがいいにこしたことはございません。しかしなかなかこれを普及するのには、多年やっておるのに残っておるのでございますから、一概に三年とか四年とか、あるいは五年に区切るべき筋合いのものではない。ただ私は過去の経験から申しまして、初めが五百万人、次の年は六百万人あるいは七百万人、あるいは三年でぐーっと入ってくるかもしれませんが、それによりまする医療組付の二割補助とか事務費の補助につきまして財政負担をすることには、何らやぶさかではございません。
○滝井委員 大蔵大臣の今の御答弁を聞いてもわかるように、厚生大臣よく聞いておって下さい、今の通りでありますから、ぜひ四年間でやらなければならぬということではない。自発的に入ってくれば、それは四年間に第一年度で六百が入ってくる、それに二割出す、こういうきわめて積極性の欠けた皆保険論のようでございます。そこで大蔵大臣にお尋ねいたします。二千八百万人の中には、五人未満の事業所に使われておる労働者が相当おるわけです。厚生省の現在の調査によりますと、百三十四万人、家族が七十二、三万人、日雇い的なものを含めると二百四、五十万の者が、五人未満の事業所に関係をしておるようでございます。この取扱いは一体大蔵当局としてはどうお考えになりますか。健康保険に入れていくつもりであるか、地域の国民健康保険に入れていくつもりであるか、これは財政負担がずいぶん違ってくる。
○池田国務大臣 この問題はなかなかやっかいな問題でございまして、社会保障審議会におきましては、健康保険の第二次的なものを考えたらどうかという意見もあったようでございますが、事務的に保険料の徴収その他の行政手続が、健康保険のようなやり方で行きますと、かなり困難でございますので、私といたしましては、ただいまのところ、やはり地域的な国民健康保険に入っていただくのが適当ではないかと考えております。
○滝井委員 そうしますと、実はそれは午前中の井堀君の質問に労働大臣お答えであったかと思いますが、先日社会労働委員会で松浦労働大臣は、来年度五人未満の事業所に失業保険を適用したいということを言った。これは言明をわれわれは得ております。そうしますと、五人未満の事業所に来年度から失業保険を実施されるということになると、この事業所の者は、いわゆる雇用者に一貫してあるところの失業保険から、おそらく今度は厚生保険になる、国民健康保険だけはこれは地域の保険に入る、こういうアンバランスができてくる、こういう点については大蔵当局としてはどうお考えになりますか。
○池田国務大臣 五人未満の事業所の者につきましての失業保険の問題は、われわれも検討いたしております。従いまして本年の予算におきまして、調査費を四百万円ばかり組んで調査することにいたしておるのでございます。先ほど申しました国民健康保険あるいは健康保険の問題も、行政的、事務的に困難だという理由で、国民健康保険の方にお入りになった方がよいのではないかと申し上、げたのでございますが、もし失業保険等によりましてこれが事務的にうまく解決できるようならば、何も国民健康保険に特に限る必要はございません。適当にそこを処理すべきだと考えております。ただなかなか困難な問題でございますから、失業保険あるいはこの五人未満のものの健康保険につきましては、これは調査の上で判断すべきものだと考えております。
○滝井委員 これは大臣でなくても、事務当局でもけっこうでございますが、四年後に一応二千八百万の国民が皆保険になったとしたときに、現在の予算に社会保険として計上せられておる、こういう形式で計上した場合に、現在の納付水準でいった場合に、すなわち現行制度でいった場合に——二千八百万を国民健康保険でかまわぬと思いますが、とにかく入れた場合に、一体どの程度の国の財政負担になるとお考えになっておりますか。そういうことを検討したことはありませんか。四年後を目標とされておるのだから、どこか少しは調査して検討されておると思います。
○森永政府委員 現在政府が国民健康保険に補助いたしておりまする金額は、御承知の通り百二十一億でございます。これは約三千五百万を対象としておるわけでございます。四年後にこれが今後約二千五百万ぐらいふえることになるわけでありますが、そうしますと、正確な計算はいたしておりませんが、やはり毎年三、四十億ずつ増加して参りましてこの百二十一億の倍足らずの金額、二百億をちょっと上回るくらいの負担になるのではないか、大体さような見当をいたしております。
○滝井委員 内閣にできておる社会保障制度審議会が医療保障制度に関する勧告案というものを出しております。それによりますと、まず五人未満の事業所に第二種保険を作れということになっておりますが、これは一応第二種であろうと、いわゆる政府管掌の健康保険に入れようと、一応その計数の腰だめ的な財政上の基礎を把握する上においては一つの参考になると思いますが、五人未満の事業所の勤労者に第二種保険を適用した場合に、給付を現在の健康保険の八〇%にし、保険料を千分の六十五を六十ぐらいに下げて、しかも三百万人を入れたとして、やはりこれは事業主の所得も少いし、それから働いておる労働者の平均ベースが八千円ですから、従ってこれは給付を八割にして一年間七十五億くらい入れなければやっていけない。それから現在の政府管掌の健康保険は三十億入れておりますが、これはもう二十億ふやして五十億にしなければいかぬだろう。それから国民健康保険というものは現在残っておるのは非常に高度の医療を受けておるところの消費的な大都市か、非常に貧しいところの、地方財政の貧困をきわめておる地力の農村的な、特に九州、四国にやっていないところが多いのです。島に多いのです、そういうところがやっていない。従ってこれはもし国が相当財政負担をしなければ、当然一般会計から地方自治体がやらなければならぬということになる。そうしますと、社会保障制度審議会は三カ年間でやるならば、一年八十億を現在よりもふやす。五カ年でやれば六十億ふやすと言っている。そのほかに結核対策のために三百億ないし四百億を入れなければならないと言っております。私は一応結核対策というものは現状のままにしても、少くとも日本で一番権威のある、衆知を結集した社会保障審議会が、——これは内閣の諮問機関ですが、内閣に対して第二種保険に七十五億と、政府管掌に五十億と、国民健康保険に六十億ないし八十億入れる、五カ年計画であるとしても七十五億と五十億と六十億で百八十五億になる。今年度よりは百八十五億まず入れなさいということです。今森永さんの御説明では、最終年度完成したときに二百億、これでは現実に良心的な人たちが百八十五億を出している。しかも百八十五億というものは現在の日本経済の伸びから見て支出可能の額であると太鼓判を押しているのです。今森永さんは二百億と言われましたが、大蔵大臣は、これは私は答弁は要りませんが、一応考えてもらわなければならぬということなすです。 そこで私これで最後の結論に入ります。大臣も御存じようにもうすでに戦後十一年、もう戦後ではないと言われ始めました。そうしますと今まで私たちの税金の金というものは、戦災の復旧とかあるいは生産の回復あるいは自立経済の確立というような方面にうんと金を注ぎ込んできました。しかし今後は——一つこれは大臣の考え方を伺いたい、今後は国民所得のいわゆる純増加分、あるいは国家財政の規模の純増加分の中の相当のものはやはり一定の額を限って、一定割合で、たとえば国民健康保険でするならば、三十億とかというようなしみったれなことを言わず、一割とか二割という、こういう定率という意味であります。こういう一定の割合で、これは現在の経済の状態からいって所得の分配というものは、非常に不公平な状態で、健保の較差というものがだんだん拡大をしておる状態ですから、従ってこの所得の再分配の意味からも一定割合を、これらの社会保障の支柱をなす医療保障の計画のために、注ぎ込んでいくことが必要だと思う。そのためにはあなたの今年度の予算に組まれておるように、単にばらばらっと総花的に、福祉国家を作るというけれども、どこにも重点がないような組み方ではなくて、やはり長期国策の一環としてそこに何か金をきちっと持っていく、そうして安心をして五百万なり六百万の国民が年々入るという姿を作っていくことが、日本の保守党と革新政党の社会党がお互いに近寄って、そうして国会を共通の広場として論議する上に一番いい誘い水になると私は思うのです。一つ大蔵大臣どうですか。その点、そういう意思が、今年度は間に合わぬかもしれませんが、三十二年度の補正を組んだり三十三年度の新しい予算の計上に当って、そういう心がまえでいけるかどうか、一つ最後に御答弁を願いたい。
○池田国務大臣 社会保障制度の拡充、福祉国家の建設につきましては、私は人後に落ちない努力を払っていきたいと考えておるのであります。もちろん医療関係その他社会保障制度を拡充するのには、何と申しましても片一方では国民生活水準を向上し、経済の拡大をはかるとともにうらはらの問題と考えております。従来はまだ国民生活の水準も相当低かったのでございますが、急速度に上りつつありますから、これと見合って社会保障制度の拡充強化も急速度にやっていきたいという考えでおります。従いましてお話の点はよくわかりました。全く同感とお答えいたします。
○滝井委員 ありがとうございました。
○山崎委員長 上林山榮吉君。
○上林山委員 私は、まず大蔵大臣にお尋ねしておきたいのでございます。 戦後から三十一年度までやむを得ない事情によって、まことに緊縮財政その他で行き詰まるような予算であった。しかし三十二度は、しばらくぶりに積極的な予算を政府が組みまして、国民としてはある意味においてはほっとした明るい気持を持っておるだろう、こういうように了承するのであります。そういう点から問題点もありますけれども、私は二、三の点について大蔵大臣に簡単にお尋ねしておきたいのであります。 まず第一に、三十二年度の予算は、一部は、見ようによってはインフレの予算ではないか、こういうことを言っておりますけれども、われわれは与党ならずともそうは考えない。しかしながらインフレになる懸念は一部ある。あるいはまたそうしてはいけない何かの具体的な施策を持ななければならぬこともだんだんあると思いますが、私はその中で一つだけを摘出して申し上げたいのは、いわゆる三十二年度の貯蓄の目標をどの辺に置いておられるものかどうか、これはきわめて重大な問題であると思いますので、まずその目標を伺っておきたいと思います。
○池田国務大臣 今回の予算を施行し、そしてわれわれの所期いたしております経済の拡大と国民生活の安定向上には、これはお話の通り貯蓄が一番大事な問題であるのであります。従来政府におきましては三月末ぐらいに一応翌年度の貯蓄目標を考えて、昭和三十一年度におきましては九千四百億円くらいの貯蓄目標でございましたが、ただいまのところ昨年の十二月末で、すでに一兆円をこえております。三月末に私は九千四、五百億円の貯蓄目標を大体三千億近くこえるのではないか、すなわち一兆二千億余りになるのではないかと思っております。しこうして明年度の国民所得を八兆一千八百億円と見ております。しかしいろいろな点を考えまして、今正確なことは申し上げられませんが、今年の実績等から見まして、私は大体一兆三千億円をこえるのではないか、いましばらく各般の様子を見まして、三月末には貯蓄目標を考えるのでありますが、本年度が一兆二千億円をこえる状態であれば、来年度は一兆三千億をこえる目標にいたしたい、こう考えております。
○上林山委員 貯蓄目標の具体的な数字がわかったわけでありますが、ほっておいても、財政放出が大きいのでありますから、相当の増額になるだろうと想像されるのでありますけれども、政府は何かこれを促進し、その目標を達成するために具体的な考えを持っておられるかどうか。先般銀行預金の長期のものについて免税措置をとられた。これはその一つであろうと思うのであります。しかしその程度では私は不十分である、かように考えるのであります。そこで庶民大衆から貯金を集めておりますところの郵便貯金、ことに銀行預金に見合う長期のものに対して何らかの処置を考えておるかどうか、その他具体的にどういうものを考えておられるか。私は政府が国民運動を起して、この貯蓄目標の達成というものに、政府自身がそれぞれ具体的な処置を講ずると同時に、一面、一大国民運動を起していかなければならぬ、こういうように考えておるのでありますが、これに対して何か具体的な考えを持っておられるかどうか、承知したいのであります。
○池田国務大臣 貯蓄の増強につきましては、私は最も意を用いておるのでございますが、先般税制改正におきましても、税制調査会は、従来二年間免税にしておりました預金利子に対して、一律に一割課税するという答申でございます。しかし私は最近の状況を見まして、どうしてもこれは長期の預貯金につきましては、税制調査会の意見はあるけれども、免税にした方がいい、こういうので、一年以上の預貯金につきましては免税の措置をとったわけであります。また税制調査会の方では租税上の措置をできるだけやめるという考えのもとにいろいろなことをやっておられましたが、生命保険料の所得控除の問題も、私の発意によりまして、実は貯蓄奨励の意味から、一万五千円の最高の控除を、二万二千五百円まで上げ得ることにいたしまして、長期預貯金の吸収に意を用いたのであります。なお私は、簡易保険につきましても、最近相当加入者も多いし、あるいはまたもっと限度をふやしてくれという希望もあるようでございます。まだ最後の決定には至っておりませんが、今の最高限度の十五万円を二十万円ぐらいに引き上げるのもやむを得ぬじゃないか、こういうふうな気持を持っております。また郵便貯金の中の定期積金等につきましては、大体今の銀行預金の課税と見合いまして、特に優遇の措置をとらなくても権衡がとれるんじゃないかと思います。しかし貯蓄の増強につきましては、何と申しましても物価の安定ということが先であります。物価の安定は、貯蓄の増加、こういうことにまた基因するのでございます。私は貯蓄の増強をはかる前提として物価の安定に努め、そしてこのことは民間の銀行家も、あるいは政府も一体となっていろんな手を尽さなければならぬ。先進国のイギリスにおきましても、西ドイツにおきましても、貯蓄の増強ということには非常な力を入れているのでございます。私は今までの貯蓄増強の具体的方策を進めていくと同時に、新しい方法で貯蓄の増強を促進するようなことを、今日本銀行あるいは大蔵省で検討いたしているような状況でございまして、自分といたしましても、一つの大きい財政経済政策の一環として進めていきたいという考えを持っております。
○上林山委員 貯蓄の増強に対して熱意ある御答弁でありますが、そのうちで簡易保険の最高限度額の引き上げの予想を大蔵大臣が説明されたのでありますが、われわれもこの問題に対しては積極的に支持を惜しまないものでありますが、ただ一つ考えられる点は、民間の保険の無審査は三十万あるいは五十万程度になっておるかと思っております。無審査で入る者の限度が大体その辺にあったのじゃないかと思っておりますが、簡易保険もやはり国民大衆、ことに庶民層の人々を対象としておる保険でありますから、物価指数からいきますと多少の難点はあるようでありますが、しかしながら、そういう面から考えていきますと、三十万円程度に引き上げるのも、これは一つの見方である、こういう意見もある際でございますから、二十万円ということにとらわれずに再検討をお願いしたいという意味で、私は申し上げておきたいと思います。 次にお尋ねいたしておきたいことは、在外資産に対する補償の問題であります。この問題は、自由民主党におきましても、あるいは財政当局におきましても、厚生大臣においても、いろいろ熱心に御心配になっていることを私どもは承知しておりますが、御承知の通り、俗にこの人たちは千円の金を持って国に帰ってきた人たちでありまして、これに対する国家の処置としては、長い間放擲しておいたと言うと語弊がありますが、やむを得ず財政的の都合などによって、これがそういうふうに今日まで実現していない、こういうことになっておるわけであります。そこで、大蔵大臣は非常に積極的なお考えを持っておるようでありますが、しかし責任のある財政当局でもありますので、軽々に結論の出ないものを公表するわけにはいくまいけれども、相当要望に対して歩み寄るというくらいのお考えは持っていただいておかなければならぬ、こういうように考えるのでありますが、非常にむずかしい質問のようでございますけれども、一つ私は端的に大蔵大臣の所信を承わっておきたいと思います。 なおついででありますから厚生大臣にお伺いいたしておきますが、厚生大臣がこの問題について御心労のほどはよくわかっております。だが、いつごろこの問題が妥結されるものであるかどうか、またその中の規模といいますか、範囲といいますか、それはたとえば人頭割的にただ考えておられるのであるか、あるいは在外年数なども考慮に入れてお考えになっておるものであるか、そういう点等も承知をいたしておきたいのであります。また聞くところによりますと、高額所得者はこの場合除外をしなければならないというような風聞も聞くのでありますが、そういう問題についてどういうお考えを持っておるか、この点もあわせて御答弁願っておきたいと思います。
○池田国務大臣 引揚者の方々に対します処置といたしましては、すでに御承知の通り在外財産問題審議会を設けまして、各方面の方々の意見を徴したのでございます。われわれといたしましては、この答申案を尊重し、誠意をもってこれに当ることをきめております。しかしこの問題につきましては、内閣といたしましては厚生大臣にお願いいたしまして、厚生大臣が各般の意見を徴し、また引揚者の方々とお話しになっておるようでございまして、私のところへはまだ厚生大臣の最後の意見も出ておりません。非常に御検討を加えておられるようでございます。従いまして大蔵大臣といたしましては、誠意をもってこれに当って、できるだけのことはいたしたいとお答えするより、ただいまのところいたし方がございません。詳しくは厚生大臣がお答えいたすと思います。
○神田国務大臣 在外財産等に関する引揚者の処遇につきましては、ただいま大蔵大臣から答弁がありましたように、政府におきましては誠意をもってすみやかに解決いたしたい、こういう考えを持ちまして、なおこの方法といたしましては、在外財産等に関する審議会がございまして、この審議会の答申の線を尊重して参りたい。今大蔵大臣の答えられた通りでございます。そこで担当大臣といたしましては、引揚者の幹部の方々の意向も十分聴取いたしまして、まだ一方党の機関とも十分な連絡をとりまして、ただいま検討中でございます。先般新聞等に党側で折衝されました数学の発表がありましたことも御承知と思います。もちろん厚生省当局におきましても、この会談に参加しておりまして、十分協議した結果でございますが、今日の段階ではまだ妥結いたしておりません、誠意をもってすみやかに妥結したいと考えておりまするが、相手のあることでございまして、まだその段階ではございませんが、明日もまた早朝から引揚者の幹部の方とよく協議いたしたい、かように考えております。そこで方法の問題でございますが、今上林山君のお尋ねの在外年数に応じてやるのか、あるは一定額以上の高額所得者にはやらないようにするのかということでございますが、政府の今の考え方といたしましては、在外年数のみを基準として支給しようという考えは持っておりません。引き揚げの年令等を考慮いたしまして、社会保障的な点も加味いたしまして、きめて参りたい、かように考えております。高額所得者に対しましては、審議会の答申の線もございますので、どこかで線を引きまして、御遠慮願いたい、こういうような考えを持っております。
○上林山委員 両大臣から所見を承わったわけでありますが、この問題は長引きますといろいろな副作用も起るかと思いますので、財政当局としては最大限度の御奮発を願うとともに、厚生大臣の方におかれても、ある程度歩み寄って妥結していくというような含みを持って、最善の努力をせられるように私は要望を強く申し上げまして、この問題は打ち切っておきたいと思います。 その次に大蔵大臣並びに自治庁長官にお伺いいたしたいことは、今回政府が公務員のベース・アップをするわけでございますが、これに伴いまして、地力の公務員に対しても何かの手を政府としては打たなければならぬのではないか、こういうように考えるのであります。もちろん地力の公務員は、国家公務員に比して、待遇も幾らかいいようであるし、大都市方面におきましては、相当待遇もいいようでございます。しかしながら非常に複雑なむずかしい問題ではありますが、もし国家公務員のベース・アップに右へならえいたしまして、何らかの処置に地方団体が出てきた場合に、どういう考えをもってこれを処置せられるお考えであるか。この点はきわめて地方財政の立場から見ても大事な問題であると思いますので、私は深くはお尋ねいたしませんが、この点をこの機会に参考のために承わっておきたいと思います。
○池田国務大臣 今回公務員の給与につきまして、政府といたしましては、人事院の勧告の線に沿いまして、職階制を改正し、待遇を考慮しようといたしているのであります。ベース・アップという考えでは、ただいまのところない。各般の事情を考えまして、職階制を改正して、待遇の改善に資しようとしているのであります。地方の公務員につきましては、お話の通りに六大都市とかあるいは富裕な府県におきましては、国家公務員よりもよほど待遇のいいところもあると聞いております。また町村におきましては、国家公務員よりも下ということも聞いているのであります。こういう点につきましては、私は自治庁長官の方で十分御善処を願いたいと思っているのであります。
○田中国務大臣 国家公務員のベースの改訂に伴って地方公務員の給与の扱いをどうするかというお尋ねでございますが、地方公務員法の精神を尊重いたしまして、国家公務員についてベース改訂が行われました際は、地方百六十万の公務員につきましては、それに右へならえをして改訂する考えでございます。なお問題となりますのは臨時職員の扱いでございますが、この際は昭和二十九年一月一日以来今日までベースの改訂を行なっておりませんという現状にかんがみまして、地方公務員に若干抱えております臨時職員につきましても、右へならえをいたしまして、同様の手段で改訂を行う考えでございます。
○上林山委員 国家公務員の給与の改訂に準じて、あるいは右へならえをして、地力の公務員についてもこれを全部改訂をする所存である、こういうお話でありますが、これには相当財政的な裏づけと申しましょうか、そういう点についてすでに結論が出ているものでありましょうかどうか、これからもうしばらくたってから、そういう状態に置こうというお考えでありましようか、その点だけは承わっておきたいと思います。
○田中国務大臣 国家公務員に対する給与改訂の具体的な方針が決定次第、これに基いて減算をいたしまして数字を出して、この問題につきましては財政措置をやる考えでございます。
○上林山委員 私は、次に春季闘争の問題に関連をいたしまして、お尋ねをいたしてみたいのであります。御承知の通りいつものことながら本年もまた総評の春季闘争が始まったわけでありますが、しかしこれは軽々に見のがしてはならない警戒すべき状態ではないかということを私は考えるものであります。仄聞いしますに、炭労あるいは国鉄を中心といたしまして、さらにこれに公共企業体ないし官公労の肝が一体となりましてこの春季闘争を行なっておるわけでございますが、二十八日で第二波が終り、三月十一日ころから第三波の実力行使が行われるやに聞いておりますが、この内容を吟味してみますというと、国鉄の滞貨は現在二百七十万トンあると附いております。貯炭はどれだけあるかといいますと、人によっては、百二十五万トン、あるいはもう百二十万トンであろう、こういうように言われておりますが、もし伝えられるがごとく貨車が争議のために全体した、こういうことになった場合日本の産業というものは根本的に破壊をされる、こういうように見てくることができると思うのであります。そこで私は担当大胆にお伺いいたしたいのでありますが、総評の性格といいましょうか、総評の思想的背景はどういうところにあるか、どういう判断をしておられるか、この点をまずお伺いいたしておきたいのであります。
○松浦国務大臣 重要な問題でありますから、慎重にお答えいたしたいと思います。総評のとっている運動方針には、理論的にも賛成しがたいものがございます。また、実際活動の中におきましても、強く現われておりまする闘争第一主義的な傾向は容認しがたいのでございます。私といたしましては、総評が結成された当時掲げられた民主的労働組合の結集体として健全な労働組合活動を行う、この結成当時の考え方を貫いていただきたい。しかるに、ただいま申し上げましたような闘争第一主義、しかも階級闘争にその根を置いてやっておるこの姿については、賛成しがたいのであります。基本的態度を再認識して行動をとっていただきたい、これが総評に対するわれわれの考え方でございます。
○上林山委員 今担当大臣の御説明によりますと、担当大臣として総評に対する要望といいますか、希望といいますか、そういうようなお答えであったように思うのでございますが、私は、この際国務大臣としてこういう重要な問題についてはこの議場を通じて国民に知らせる必要があると思う。そういう意味において、もう少し勇気をふるってお答え願いたい、こういうように申し上げたいのであります。私がお尋ねしているのは、総評の性格はどこにあるか、これの思想的背景は、担当大臣としてはどういうふうにお考えになっておるかという点を聞いておるのであります。私どもが見たところでは、こういうやり方をするならば、産業や教育が根本的に破壊され、国民生活はそれによって非常なる犠牲をこうむるのです。しかも、官公労ないし公共企業体の労働組合の考え方を見ますというと、今までは人事院の勧告を守れという意味での闘争が行われてきたようでありますが、今川は、これは減税なども含めて考えますというと、大体人事院の勧告のベースにきておるのです。政府はこの人事院の勧告を守ろうとしておるわけなんです。それに対して争議が行われておるということは納得がいかない。さらには、公共企業体の関係の分については、現在調停にかかっているはずです。しかも、その調停は、労働組合から調停を申請しておるはずであります。自分たちが申請をしておきながら、これに圧力を加えるかのごとき行動を起すということは、これは経済的闘争の域を脱して、政治的闘争の色彩をいつまでも清算していないというよりも、今までよりもひどくなったんじゃないか、こういう見解を私は持っているのでありますが、この点について担当大臣としてはどうお考えになっておるか、明らかにしていただきたいのであります。
○松浦国務大臣 申し上げます。総評のスケジュール的な春季闘争に対しては、もとより私は遺憾に思っております。ただいま御指摘になりました、公共企業体が労働組合側の方から調停を持ち出しておる、調停期間中は争議すべきでないということも私は同感であります。また、官公労が法に反する行動をとるというような場合は、これは、この間閣議において春闘に対処すべき方法を決定いたしまして官房長官の名前をもって声明いたしました通り、断固たる処置をとるつもりであります。
○上林山委員 私の質問にまだ十分にお答えになっていないようでありますが、第一点は、総評の思想的背景をどうお考えになっておるか。これは共産主義的な思想の影響を受けているのではないか、こういうように私は考えているが、担当大臣としてはそういうふうにお考えになっていないかどうか、これを私は聞いているんです。これは非常に大事な点だと思いますので、これをお答え願いたい。 さらに、第二は、労働大臣は、この問題に対して、法に触れる者については断固たる処置をとると言っておられるが、昭和三十一年二月十一日に政府は国家公務員及び公共企業体の職員の争議行為に関係ある諸法規の公式解釈を公表したことは御承知の通りでありますが、この公式解釈が岸内閣においても生きておるものと、こういうように考えておりますが、この線に沿って処置を十分にとっておられるのかどうか、私はまだ不徹底のように考えるから、この点もあわせてお尋ねしておきたいのであります。
○松浦国務大臣 第一問の、思想的傾向ということを指摘せられましたが、私はこういうふうに見ております。総評の決議が、従来共産主義的な労働運動に反対する声明をしておられましたが、それを撤回された。同時に、今年の決議になりましてからは一そう強く階級闘争的な意思を打ち出しております。この二つの面から、総評の持っておる考えはどこにあるかということは自然おわかりのことと存じます。 もう一点は、昨年の二月十一日に出したものは岸内閣においてもこれを行うかどうかという御質疑でございましたが、この間官房長官の声明の場合におきましても、昨年の二月十一日に出しましたものを中心として取締りをするということを発表いたしました。従いまして、去る二十八日における争議におきましては、大体大蔵、労働両省に四十人の人々が参りましたが、事前にそのことを予知いたしまして、警察と連絡をとって、十分にこれを善処いたしたのであります。当時検挙された者が三名ございましたが、その内容については、こまかい点は係から御報告いたさせます。
○上林山委員 思想的背景についてはある程度承知ができましたけれども、もっと私は勇気を持って御発表になってもかまわぬと思うのであります。それはそれといたしまして、昭和三十一年二月十一日に政府がさっき申し上げた公式解釈を公表したわけでありますが、これが生きておるという御答弁でありますが、それによりますと、職員が適法な業務命令に従わないときは、たとい組合の指令快走に基くものであっても、解雇その他の処分の対象になるとしてあるわけであります。この方針でもちろんお進みになるものと承知をするのでありますが、いわゆる順法闘争あるいは休暇闘争、時間中の職場大会あるいは公務にじゃまになる場所のすわり込み、ことに日教組が声明しております授業の打ち切り、一斉早退、こうしたようなものは言うまでもなく違法の行為であるというように考えるのであります。三十一年二月十一日の政府の声明を承認せられたのでありますから、こういう具体的な問題についてもこういうふうに断じていいと思いますが、いかがでございましょう。
○松浦国務大臣 御指摘になりました三十一年二月十一日の問題に対しましては、ここにちゃんとその文書を持っておりますけれども、御指摘になりました点はいずれも違法であります。その違法に対しましては断呼たる処置をとるということを申し上げております。 もう一点申し上げておきたいことは、この十一日に私鉄十三社が、日曜以外の日にでも、十一日以降十五日までの間に争議を行うということを声明しております。このことは近く大学及び専門学校その他各学校の試験に非常な影響を来たすことでありますし、公益に大へんな影響を及ぼすことでありますから、これに対しましては、そういうことのないように十分努力をいたしたいと思っております。
○上林山委員 この問題はもう少し詳しく申し述べて意見も伺い、さらに処置を十分にしていただきたいと考えるのでありますが、時間的な関係もございますので、この程度でおきたいと思います。 次にお伺いをいたしておきたいことは、組合のやみ専従職員の問題でございます。この問題はなかなか調査が困難だろうということもお察しできます。しかし、私がある省の関係だけを調べてみますと、やみ専従の職員が最近発見せられたのが二十数名おります。だから、政府並びにその出先の管理者がそれこそ公正な立場からこういうことはいけないのだという意味で努力をされるならば、私はやみ専従職員というものはなくなるだろうと思う。しかし、これについては、そういうものを報告しなかったということで上司から同じ処分を受けるというようなことなども手伝いまして、この真相がやみからやみに葬られてしまうのであります。私は、これでは正常なる日本の労働運動あるいは正常なる行政の処置というものにはならないと思う。だから、便法としてとあえて私は申し上げますが、一時的にこの申告を中央、地方を通じて全国的に行わしめて、その処置についてはまた慎重に判断することといたしまして、管理者に対してもゆとりを持った態度でこの調査が十分できるような処置を何らか講ずる必要があると思うが、これに対してはどういうお考えを持っておるか、伺いたい。
○松浦国務大臣 御指摘のようなことは全然ないとは言われませんが、大体許可主義になっております、去年の二月十一日に出しました通牒によりまして、違法の者の首を切る、それがやみになって労働組合の専従者になっているというようなことであろうと思うのでありますが、これは許可主義になっておりますから、われわれの方としては、許可をしないものの専従者はないと思っておりますけれども、今お問いのようなことが万一でもありましたならば、各省に連絡をいたしまして、そういう者のないように努力をいたしたいと思っております。 それで、もう一点申し上げておきたいことは、公共企業体並びに国家公務員が公共の福祉に反したことを平気でやってのけるというようなことでは国家の秩序は保てませんから、できるだけわれわれはそういうことのないように、一方において峻厳に取り締っていきたいと同時に、他面において労働省といたしましてはやはり愛の手を勤労者に伸ばしてやらなければいけない、相互信頼の上でなければほんとうのものはでき上らないと思いますから、一方に峻厳な手を用いるとともに、他面に愛の手を伸ばしていきたいというのが私の考えでございます。
○上林山委員 一方に法に触れる者は峻厳に取り締り、一方に愛の手を伸ばして、そういうことのないように処置していきたいという労働大臣のお考えは私も全然賛成であります。しかし、調べようがないのだ、そういう者はないはずだと安易にしておることは、私は厳に慎しむべきであると考えます、私がさきに申し上げました通り具体的事実があるのです。私はあえてここでは公表いたしませんが、そういう事実がある。はんこをついて出てきたふりをして、組合の事務所に行って働く、こういう例もあるのです。しかし、これ以上私は申し上げませんが、前に私が言ったような便法を講じて、お互いになくしようとする努力と、反面に管理者に対して一時的にゆとりを持った方法でやらせるというような工面は、私はこの際どちら側に立つというのではなしに、すっきりしたものにするという意味で、どちらもやってもいいのじゃないか、こう考えますので、あえて私は注意を喚起したわけでございます。 そこで、これは運輸大臣に伺いますが、本年の二月十四日付で、国鉄の総裁に国鉄の労働組合から申し入れをいたしておりますが、その中で、先ほどの公共企業体がみずから裁定の申請をいたしておきながら、これに圧力をかけるような運動をしておるのと同じケースのものではなかろうかと思うのでございますが、その申入書を読んでみますと、こう書いてあります。最低賃金制を確立せよ、こういうことが書いてある。これはすでに労使間の問題ではないのじゃないかと思う。労使間以上の問題ではないか、政治闘争的色彩がこういうところにもちょこちょこ顔を出しているのじゃないか、これは私は労使間の問題ではないと、こう考えておりますが、これに対して運輸大臣としてどういう考えを持っておられますか、関連してお尋ねをしておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 お答えいたします、国鉄の労組は御承知の通りただいま調停中でありまして、不日その調停の案が出ると思っておりまするけれども、今日までの行動がその調停に圧力を加えるような点がありますことを非常に遺憾に思っております。また、国鉄労組全体といたしましても、本来の公共企業体の労組の使命を逸脱したような事柄が間々起りつつあります。これに関しましても、一方において警告を与えるとともに、一方においてはその組合の良識に待って、ことに国鉄の今日の日本産業経済の上における重大な使命にかんがみて、それらの人々の良識に訴えてできるだけ一つそういうようなことのないように指導をしていきたい、こういう考えで国鉄当局がいろいろと善処しております。私ども運輸省の立場といたしましても、終始国鉄からその報告を受け、またそれに対して善処方を要望しておるわけでありまして、ただいまのお話しのような市価が全く公共企業体の労組としての行動を逸脱して——申し入れだけでありますけれども、逸脱しないように指導もし、理解もせしむる、こういうふうにいたしたいと考えております。
○上林山委員 私は、少し角度も違いましょうが、関連した問題について文部大臣の所見をただしてみたいのであります。 それは、岡山県の問題をまずお尋ねしてみたいのでありますが、岡山県の教員組合が、一方に総評に加入して、また日本民主教育政治連盟支部、こういうものを別に作って、一体になって選挙運動などをする場合がある、こう言っておりますが、こういう事実があるのかないのか、そういう場合、文部省としてはどういう処置を、あるいはどういう指示をしておるものかどうか、この点をまず伺ってみたいのであります。
○灘尾国務大臣 お答え申し上げます。私は具体的にさような事実があったかなかったかということは現在承知いたしておりません、日教組の関係でございますので、さような事実もあり得ることと考えます。しかし、かようなことがあってはならぬことでありますので、もちろんかような事柄に対しましては都道府県の教育委員会においてそれぞれ善処しておることと思いまするし、また、さようなことを耳にいたしますれば、われわれといたしましては、必要に応じて都道府県の教育委員会にそれぞれ指導を行いたいと考えております。
○上林山委員 こういう事実があると責任のある発表が行われておりますから、御調査を願って善処せられたいと私は考えます。 さらに、愛媛県で起った問題でありますが、昇給昇格に関連いたしまして校長が評定をするわけですね。ところが、この評定をすることがいけないといって教員組合が抗議を申し込んでいるばかりでなく、ストを決行する決議をした、こういう話を、これも私は権威のある方面から聞いておるのでありますが、こういう事実があるのかないのか。これに関連して申し上げたいことは、高校、中学、小学校長、これらの学校の管理権、これは私は厳然としておるべきものであると思う。学校経営に対する責任者であり監督者です。これが抗議やストや一斉早退や授業の打ち切りなどによって学校長が精神的に打撃を受けるということになれば、私は学校の教育というものは十分に行なっていくことはできないと思っておりますが、あなたは文部大臣として非常に熱心にいろいろ文部行政をやっておられますが、こういう点についてどういう徹底したお考えを持っておるか。私は与党でありますけれども、この問題はまことに大事だと思いますので、気の毒にも思いますが、あなたに立場上聞いておるわけなんです。だから、この問題は私はもう少ししっかりお答え願わなければならぬと思う。
○灘尾国務大臣 愛媛県におきまして教員の勤務評定をめぐってかなりやかましいことになったということはよく承知いたしております。だんだんと関係者の努力によりまして大体において結論に到達したのではないかと思っておりますが、非常にこれはむずかしい問題だったというふうに考えております。今お尋ねの学校長の教員、学校管理の問題でございますが、学校の管理ということにつきましては、もちろん教育委員会において一般的な権限を持っておる、それの委任を受けまして校長がそれぞれ管理をいたしておるということはもちろんございますが、お尋ねの御趣旨は、教職員に対する監督というふうな点をあるいはお考えになったのではないかと思うのでありますが、私は、もちろん学校長といたしましては教職員に対しまして十分に指導監督する権能があると考えております。従いまして、いろいろな場合におきまして校長もむずかしい場面があろうと思うのでありますが、私どもといたしましては、昨年都道府県ないし市町村の教育委員会が改組せられたことでありますので、この新たに発足いたしましたところの教育委員会というものに対しましては、十分に一つ指導と助言を惜しまないつもりでございます。従ってまた、学校長も、その権能に属することにつきましては遠慮なく自信を持ってやってもらいたいと考えておりますので、この趣旨をもちまして、地方の教育委員会とは密接な連携をとって参りたいと考えております。
○上林山委員 私が繰り返して申し上げたい点は、学校の校長が学校の経営権を十分に確保できなければ、あるいはまた教員に対するいい意味での監督、あるいは先ほど申し上げました昇給昇格に対する内申書の評定、こうしたようなものがスムーズにできないということは、これは私はまことに残念だと思います。この点は、文部大臣としてもあるいは教育委員会としても真剣に考えてもらわなければならぬ点であろうと思う。これは大事な問題ですよ。私は、そういう意味において、ありきたりのお考えではいけないから、この問題については文部大臣として真剣にお考え願いたい、こう思います。 そこで、次に文部大臣にお聞きしたいことは、三月十一日に日教組が授業を打ち切る、あるいは一斉早退をする、補充授業を行わない、こうしたような行き方は、これは教育者も働く階級でありますから、その意味ではわれわれも了解するけれども、あまりにも逸脱した行為である、こう考えておりますが、法治国としてあるいは大事な教育を担当するものとして、この行き方がいいかどうか、これに対してはどういう手を打ったか、その反応はどういう程度に全国的に現われているか。入学あるいは卒業を控えておるこの大事な時期に、こういう問題が起るということは——心ある教員の諸君はこれに反対しているのです。しかしながらそういうことが行われておるということは、私はまことに遺憾であると思いますが、どういう処置をとっておられるか。なおついででございますから申し上げますが、こういう行き過ぎに対して全国的な傾向は、例を山口県にとってみてもわかりますが、山口県の日教組の傘下に集まる組合は約四千名と聞いております。ところがこれではいけないと考えた組合の方に四千五百名の別の組合ができておると聞いておりますが、こういう事実が実際あるのかどうか、あるいはそういう傾向がある程度盛り上っているのかどうか、いわゆるこの方面の展望と申しましょうか、それを率直に、これも私はあなたは信念に立っておられる人と思うから、一つ遠慮なくこういうところでお話し願いたいと思います。
○灘尾国務大臣 お答え申し上げます。三月十一日を期して午後二時から授業を打ち切り、一斉に早退するというような決定を日本教職員組合の方でしたというふうに伝え聞いておるわけであります。私どもといたしましては、この決定通り地方の教職員が午後二時を期して一斉に早退する、授業を打ち切ってしまうというようなことになりますと、これは教職員の職務に専念する義務を怠るものとも言えるわけでございますので、かようなことは断じて看過すべきことではない、そういう考えのもとに、先般地方の教育委員会に対しまして、詳細に指示をいたしまして、教職員があやまちを犯さないように、また教育委員会といたしましては、学校の管理に十分気をつけまして、さような団体の動きのために正常なる授業に支障を来たすということのないようにとくと留意してほしいということを通達いたしております。のみならず、また先般東京におきまして地方の教育長の会議が催されましたので、われわれといたしましてもこれに出席をいたしまして、さような趣旨につきましては十分徹底させたつもりでおります。 それからいま一つのお尋ねでございますが、今日日本教職員組合の行き方に対しましてあきたらない教職員の諸君も相当おるようであります。それが具体化しまして別の組合を結成するという動きも出ておるのであります。その最も著しいのがお話にもございました山口県でございます。これらの諸君がだんだんと他の方面の諸君とも連係をとりまして、今日各地に日教組と違った組合を作っていこうという動きが出ておることは事実でございます。
○上林山委員 この問題はこれ以上繰り返して申し上げませんが、最善の、しかも緊急なる御処置をさらにお願いいたしたいと思います。 次に申し上げたいことは、最近日教組の主催で行われました教育研究集会のことでございますが、これは、その大部分は左翼的な講師団といいましょうか、こういう人々を集めて、どちらかといいますと、政治的盛り上りを研究する、こうしたような方向に進んでおるようであります。これに出席した教員の心ある者は不平を言っております。こういう研究会は、これが建設的であり、あるいは具体的であり、しかも教育者としての自覚に立ってこういう研究をやることは、これは大いに奨励しなければならぬけれども、集まる者は左翼の講師団であって、しかもそこで吟味せられるものは、先ほど申し上げた通り、政治的な盛り上りを中心にした行き方である。これに対して文部大臣はどういう所見を持っておられるか、このままでいいものであろうかどうか、私はこれを伺いたいのであります。
○灘尾国務大臣 先般金沢で日教組主催の研究大会が開かれたのでありますが、その講師団は御指摘の通りに、われわれから申しますれば左がかった人たちが講師団として出席せられたことも、これも事実であろうと考えます。内容につきましては私ども詳細に現地を見ておりませんので、わかりませんけれども、その行き方というものは従前とはやや変ってきておるように思うのであります。従来はとかく政治的な闘争目標というようなものが大きく打ち出された、これについての論議が多かったようでございますけれども、本年の大会におきましては教育そのものについての検討が多くなされたように聞いております。その教育そのものに対する検討が行われるということ自体は、今お話もございましたけれども、私は決して排斥すべきことではないと思いますけれども、問題はいかなる内容によってこれが行われておるかというところにあろうかと思うのでありまして、この点につきましては私も重大な関心を寄せておるつもりでございます。今後その行き方につきましては、種々実情を把握することに努めまして、これに対処する方法を考えて参りたいと考えております。
○上林山委員 文部大臣から真剣なお答えがありましたので、この問題については重大な関心を持って——今のあなたの報告を聞くと、ある一部は当っておるけれども、大部分はどうも甘くこの研究会を見ておられるようにも、これに出席をした心ある人々の話を聞いて、私はそう思うわけですが、これ以上申し上げません。どうぞ一つもっと重大な関心を持っていただきたい。こういうふうに考えます。 そこで、それと関連して私は社会科の一つの問題を提起してみたいのであります。社会科の平和論という一つを取り上げてみましても、こういうことが言われておる。戦争とは資本主義国相互間で起きたし、また起るものである、従って平和を作るにはそのような社会の仕組みを変えなければならぬと説いてあります。そして引き続いてそれに対比して社会主義のいかにも平和的であることが説かれており、しかもまた、昨今においては一面教師がこういう行き方に対してハンガリー事件以来、非常なる衝撃を受けまして、ある者は反省をし、ある者は戸惑いをしている、こういうような事実がありますが、この社会科の平和論の説明の仕方で、これが偏向教育でないということが言えますかどうか、いろいろな事情で教科書法案は、灘尾文部大臣は、お出しにならないそうでありますが、(「まだわからぬよ」と呼ぶ者あり)まだわからぬという声もありますから、力強いわけでありますが、いずれにいたしましても一、もしそういうものを出さないということになりますと、行政処置である程度やっていけるというようなことも一部言うておるようでありますが、こういう問題がまだ残っておる。これは夢物語りじゃありません。こういう事実が残っているのでありますが、こういう問題に対して、私は決して俗に言う灘尾文政をしけと言うのじゃありません。教育は国民全体のものでありますから、そういう意味で申し上げているのじゃありません。ありませんがこういう事実があるのだが一体どういうふうにお考えになっているか。行政処置で十分いけましょうかどうか、多分に疑問が残るのであります。
○灘尾国務大臣 お答えいたします。ただいまお読みになりましたような内容につきましては私も感心いたしません。さような教科書はよろしくない。それにつきましても、検定の強化ということはぜひ実行しなければならぬことを考えております。 教科書法案についてのお話もございましたが、この問題につきましては、私どもなお検討を要するものがありますので、目下検討をいたしておりますが、法律を出すにいたしましても出さないにいたしましても、検定の強化ということにつきましては、あくまでも実施して参りたいと思っております。
○上林山委員 もっとこの問題についてお尋ねしたいのでありますが、時間の関係で遠慮いたしたいと思います。 次に運輸大臣にお尋ねしたいのであります。まず国鉄の一割三分の値上げは、いろいろな事情でやむを得ないものであることはわれわれは承知をいたしておりますが、しかし遠距離のものについては、ことに貨物の輸送については一割三分とおっしゃいますけれども、ものによっては一割八分ないし二割五分の値上りになるのです。これでは、大蔵大臣は物の値上りを抑えると言っておられますが、この方面に私は一つの穴があいてくると思う。だからたとえば九州とか北海道とかいうような遠距離の運賃に対しては、行政処置によって、あるいはものによって相当思い切った処置を一つとってもらわぬと——これを利用しているものは中小企業者が多いのです。そういう関係もありますから、この点についてはわれわれは根本的にはやむを得ず一割三分の値上げに賛成でありますが、そうした特に行き過ぎたものに対しては、政府においても運輸当局においても是正をしてもらいたい。このことについては運輸大臣は相当お考えのようでありますけれども、真剣に一つこの問題もお考え願わないといけない問題であると私は申し上げたいのであります。
○宮澤国務大臣 遠距離逓減の問題は、国鉄自体といたしますと、歴史的な関係で、押しつけられてずいぶん無理な点もありますけれども、ただいまお話の通り、物価に対する影響並びにその荷主が中小企業者であり、現在の経済情勢に変化を与えることがよろしくないというような点から、できるだけがまんをして、御趣旨に沿うような点で考慮いたした次第でございます。
○上林山委員 この問題については適切なる処置を要望することにいたしまして、国鉄が一側三分の値上げをいたしましたが、聞くところによりますと、運輸大臣は私鉄の値上げの申請があってもこれに応じない考えである、こういうようにも聞いているのでありますが、そういうふうに承知をしていいかどうか。 さらにもう一つ関連した問題で申し上げますが地方鉄道の経営は大体よろしい、こういうふうに言われているにかかわりませず、予算を見ますと、軌道整備補助というものが出ておりますが、具体的にいうと、こういう補助を受けなければならない会社はどういう会社であるか。固有名詞が言えるならば固有名詞を承わっておきたいと思いますが、こういうところで、私どもはいい意味でやっておるだろうとは思うが、世間の誤解を生んではならない、こういう配慮のもとにこれをお尋ねしておるわけであります。
○宮澤国務大臣 私鉄の運賃の問題につきましては、従来ともその経営の状態、地方の状況その他を勘案いたしまして、ごくやむを得ないものだけに許可をしてきたわけであります。このたび国鉄運賃の値上げをするから、それにならって私鉄一般の運賃を値上げするということはやらないと考えております。ただいまの私鉄も、全体としては経営のいいものと悪いものとありますが、経営が悪いから補助をするということはやっておりません。補助しておりますものは御承知の通りきわめて金額は少いのでありますが、もう経営の当局者もやれない、やめてしまいたいようなのがあるのですが、その地方の実情が一度敷いた鉄道をやめさすわけにはなかなかいかない、そういうやむを得ないものだけに限って補助をする、こういうので金額もわずか全体で二千百万円というようなきわめて軽微なものであります。そういう趣旨でありまして、私鉄の経営が悪いとか、単にどうであるとかいうことで補助はいたしておりません。そういう次第であります。
○上林山委員 その点は了承いたしました。 さらにお尋ねいたしておきたいことは、空港整備に関する問題であります。政府はこういう方面については相当今度の予算で増額をして処置をしておられるようであります。このうちで、ローカル線中の三十一年度に着工した稚内、高松、大村、熊本、鹿児島は三十二年度に完成をして、いつごろから飛行機が就航できるのかどうか、この点をまずお尋ねいたしたい。 さらに引き続いて便宜お尋ねをいたしますが、これに従事する飛行機は、ローカル線で大体十五、六機くらいだといわれております。これは今まであるローカル、あるいは三十一年度、三十二年度に着工する分も考えて今のところでは大体十五、六機、機種もまたそれぞれ複雑であります。こういう行き方では運輸の能力、それからもう一つは旅行の安全感——ローカルであるからといって、これをいいかげんに放置しておくわけにはいかぬと思うが、こういう方面の点についてどういうお考えを持っておられるか、お伺いいたしたいのであります。
○宮澤国務大臣 ただいまお話のありました通り、既設の三十一年度でやって参りましたものは三十二年度において稚内、高松、大村、熊本等は定期の運航をするようになっております。その飛行機の機種の安全性ということにつきましては、もちろんこれは安全でないものをさせるわけにはいきませんから、十分の注意を行いまして、それぞれの能力に従って、それで安全な運航のできるように指導をいたしております。またローカル空港の会社等も、最近合同その他によって内容の充実をはかり万遺憾なきを期していきたい、こういうように考えております。
○上林山委員 ローカル線に就航する機種は、大臣はあまり御研究になっていないようでございますが、これはほとんど古い飛行機なのです。古い型の飛行機で、外国でもそういう機種はもう製作をしない、そういうようなものが相当入っておるのです。なおオーバーホールするとある程度の安全盛は保障されるわけでありますけれども、簡単に安全に航行をいたしますということにはならないのです。これは事人命に関することでありますから、この点はもっと私は深く注意を払っていただきたいと思います。なお、極東と日ペリが合同いたしまして、どれだけの資本金になるかと言いますと六億になると用いておる。これぐらいのもので今あなたがおっしゃるように、これからローカル線はどんどん拡張されるわけでありますが、果してこれぐらいの資本金で、おっしゃるような安全な航空あるいは能率の強化、そうしたようなことができるでありましょうか、私は非常に疑いを持っておるのであります。御承知の日航にいたしましても、これは四年間ほど政府が毎年十億円ずつ出資をしておった。その他にも補助金を出しておりますが、そういうことについても、あるいは何か強力なる御指導あるいは融資その他いろいろと方法をお講じになれば、ローカル線の拡張に伴って健全な経営ができると思いますけれども、私はなお疑問を持っておりますが、この辺についてはどういうお考えを持っておるか。
○宮澤国務大臣 今お話の点はまことにごもっともだと思います。ローカル空港の設備も漸を追うてできていきます。それに対処いたしましては、やはり新たな構想を持って国内空港のことは考えていかなければいかぬ、こう思っておりますので、実情を調べて、何とか一つ新たな考えをしたいと思っております。今日のところはこの程度以上は申し上げられません。
○上林山委員 いろいろ新たなる構想を考えておられる、これは私は額面通り受け取りまして、これ以上この問題についてはお尋ねをいたしませんが、一つ真剣に考えておいていただきたいと思います。 なお引き続いてお尋ねいたしたいのは、そういうローカル線ができましてもりっぱなパイロットがいない、飛行士がいない。今航空大学で勉強している者を調べてみますと、本科で十名、専修科で二十五名ですか、その程度のパイロットの養成をしておる。外人が来てやっておるわけですが、給料の高いことで経営に非常なる悪影響を及ぼしておることは御承知の通り。だからこの点は一つ大蔵大臣もお考え願っておきたいのですが、どうしても早く外人パイロットに帰ってもらわなければならぬ。五、六名か十名程度の高い技術を持っておる者が指導役として残ることはいいと思う。まだ日本の航空はあと三年か五年しないと安心できない航空だと私は思っておりますから、そういう意味から考えまして、五人、六人、十人の外人パイロットの技術の確かな者が指導に残ることはよいとしても、三十何名ですか、そういうような大量の者がおる必要はないと思っております。それには今言うように航空大学あたりで日本人の優秀なパイロットを思い切って養成する。これに対しては大蔵大臣としても財政措置を惜しまない、こういうような考え方でやってもらわなければ、せっかくここにローカル線の強化拡張がなされても、これは経営に重大なる支障を来たすと思う。こういう意味合いにおいて、もう何年したら日本人のパイロットだけで日航及びローカル線の運航ができるか、そういう計画を持っておられるのかどうか、これをお尋ねして私の質問を終りたいと思います。
○宮澤国務大臣 御質問の点は、私どもも重大な関心を持っているところでありまして、ことにまたお話の趣旨の、できるだけ外国のパイロットにたよらないようにしたいということも、お話の通りに考えております。実は航空大学は今十名でありまして、三十二年度においてふやしたいと思いましたが、その運びに至りませんでしたので非常に残念でありますが、三十三年度から三十名ぐらいにふやしたいという計画で実施したいと思っております。大体その線でいきまして、推定によりますと、三十六年度ぐらいまでに現在の外人パイロットがなくても済むようにしたい。ただ、そのころになってジェット機が入ってきて非常に高級な技術を要する場合は、これまた別であります。現在二十九人おりますが、そういうような方向で進んで参りたいと思います。ことにパイロットの養成は非常に金もかかるし、年限もかかりますけれども、今日の内外の航空情勢から言えば、国内航空については先ほど申し上げた通りですが、国際航空についても、日本は新たな構想を持ってやらなければ、世界の情勢におくれていくことと思いますので、三十三年度からこの方面のパイロットの養成についても特別の措置を講じたい、こういうふうに準備をしている次第でございます。
○山崎委員長 明後四日は午前九時五十分より理事会、十時より委員会を開催することといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十八分散会