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26回国会衆議院1957/02/11

予算委員会 第5号

発言数
49
登壇者
6
会派数
3
開催日
1957/02/11

会議録

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 これより会議を開きます。  昭和三十二年度一般会計予算外二案を一括して議題といたします。  大蔵大臣より発言を求められております。この際これを許します。池田大蔵大臣。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 一昨日の当委員会におきまする私の発言から、審議の渋滞を来たしましたことは、まことに遺憾に存ずるところでございます。  なお十億円の問題につきましては、事務当局より御説明いたさせます。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 一昨日来問題になりました交付公債の利払いの予算の問題でございますが、予算の積算上問題になります要素は、交付公債を支給いたしますものの範囲がどうなるか、また、その金額がどうなるか、従って、交付公債の元本総額がどうなるか、次には、この交付公債に付せられる利率がいかにきめられるか、次にはこの交付公債がいつごろ交付せられるか、これは支給者の範囲にも関連いたしまして、調査内容がどうなるかということによりまして若干ずれることも考えられるわけでございまして、それらの点を勘案して大体の交付時期がどうなるか、従ってまた来年度内の利払いの期間がどうなるか、たとえば半年分の利子を計上するか一年分の利子を計上するか、そういったいろいろな点が問題になるわけでございますが、これらの点につきましては、遺憾ながら予算編成の当時も今日もまだ具体的には決定を見ていない次第でございます。しかし政府といたしましては、すでにこれを実施するという決心はいたしておったのでございまして、そこで予算上にも一応の金額として十億円を計上し、一方本件に関する具体案の早急な決定を待つことといたしましたような次第でございます。  そこで御参考までにこの程度の利払いの金額でどのくらいの元本の利払いが可能であるか、先ほど申し上げました諸点のうち、利率並びに利払いの期同を仮定いたしまして申し上げてみることといたしますと、まず利率を六分といたしました場合、これは二十七年度に遺族公債が発行せられたのでございますが、その利率は六分でございました。この例にならいまして六分とし、計算をしてみますと、利払いの期間を一年分といたしますれば約百六十七億円の元本の利払いが可能になります。利払いを半年分といたしますれば約三百三十三億円の元本の利払いが可能になります。次に利率を五分五厘と仮定いたしまして利払いの期間を一年かといたしますれば約百八十二億円、半年分といたしますれば約三百六十四億円、さらに利率を五分と仮定いたしまして計算してみますと、一年分といたしますれば二百億円、半年分といたしますれば四百億円のそれぞれ元本に相当する利払いが可能になる次第でございます。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 引揚者の方々に対し獣する処置といたしましては、在外財産審議会を設けまして、いろいろ調査を経てその答申を得たのであります。政府といたしましてはその答申に基きまして、各方面からの意向を今打診中でございます。今日も引揚者の代表と厚生大臣が会見せられまして、いろいろお気持を聞いておるような状況でございまして、一昨日お答え申し上げましたように、まだきまっておりません。しかし一応十億円でございますか、私、ことに政府といたしましては引揚者の実情を十分考えまして、一応十億円と計上しておりまするが、今後におきましても誠意をもって善処する覚悟でおります。(拍手)

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 井手君の質疑を継続いたします。井手以誠君。

井手以誠日本社会党

○井手委員 ただいま仮定の金額をお示しになりました。もちろんこれで満足するものではございません。この際次の二点を明らかにしていただきたいと思うのであります。私は政府の現在における苦衷について、これを察するにやぶさかでないのであります。しかし少くともこの予算の、審議中には、補償の具体的内容を決定してもらわなくてはならないと思うのであります。そうでなくては予算の審議を進めるわけには参らないと思うのであります。この三十二年度予算の審議中に具体案をお示しなさる御用意があるかどうか、この点を確かめておきたいと思うのであります。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 その計画で内閣の方では進んでおります。

井手以誠日本社会党

○井手委員 間違いなくこの予算審議中にお示しあらんことを重ねてお願いするものであります。次にお尋ねいたしたいのは、ただいま大蔵大臣は誠意をもって解決したい、こういう御答弁でございましたか、十億円の利子で不足する場合には、どのように予算的に御措置なさる御用意であるのか、予算審議中でありますならば原案修正も可能でありましょう。十億円の利子が不足する場合の措置についての御方針をこの際お示し願いたいと存じます。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 これは交付の額がきまり、先ほど申しましたような実体がきまらないと、なかなかそれに対する措置もむずかしいのでございます。それがきまりましてからお答えすることにいたしたいと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 いや、誠意をもって解決なさるならば、現在の段階でもお答えができると思う。原案を修正するのか、あるいは予備費をもって充当するのか、その二、三点の方法について、いずれを得られるかは大蔵大喜臣においてお答えができると思う。いま一回お答えを願いたい。

池田勇人自由民主党大蔵大臣

○池田国務大臣 誠意をもって善処いたしますが、額が、どのくらいになり、不足額を生ずるとすれば、どのくらいの不足額が出たかによって措置の仕方があると思います。従いましてこれに対しまするお考えは、そのときまでお待ちを願いたいと思います。

井手以誠日本社会党

○井手委員 一昨日以来の在外資産の補償をめぐる当局の御答弁に私は不満足であります。しかしただいま大蔵大臣から遺憾の意を表せられまして、誠意をもって解決するとお答えになったのであります。私も、現段階における政府の苦衷を察するにやぶさかでございません。不満足ではありまするけれども、政府の反省の跡を認め、また誠意の一端を認めまして、すみやかに在外資産補償の問題が解決されるようにお願いいたしたいのであります。それとともに、粒々辛苦して築き上げた在外資産、これが終戦のために無一文になって引き揚げられ、十一カ年に、わたって苦労をなされ、一月半ばごろからは各代表が東京に集まって運動をされておる引揚者同胞の苦しい立場なり、その熱望に対して、政府がすみやかにそれらの人々の熱望を尊重して解決されんことを私は期待をいたしまして、この問題の質問を打ち切る次第であります。  なお私は、ほかにも質問をする用意をたくさん持っておりますが、国会審議促進に協力する意味におきまして、私はこの辺で質疑を打ち切ります。(拍手)

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 川上貫一君。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 私は申し合せの時間がわずかに三十分でありますので、いろいろな点について質問ができません。主として岸首相代理に二、三の質問をいたしたいと思います。  首相代理は、この委員会でアメリカの原子部隊の日本への配置を承諾する意思はないということを言明されました。これは大へんけっこうだと思う。私はこの会議において敬意を表したい。なお岸さんの御答弁は委員会を通じて聞いておっても非常に積極的だ、これは意見の相違はいろいろありましょうけれども、この態度は私は進歩だと思う。私の質問に対してもさような態度でお答え願いたい。  そこで質問の第一点でありますが、、原子力部隊を入れないというこの言明は、日本の政府の一方的の見解であるのか、あるいはアメリカと何らかの交渉、打ち合せを経た上でのお答えであるのかという、これが第一点であります。  第二点は、原子力部隊を入れないというこの言明の中には、沖縄を含んでおるのか、含んでいないのか、この二点をまずお尋ねいたしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 お答えいたします。原子部隊を入れるか入れないかという問題につきましては、過日本会議でもお答え申し上げましたように、正式には何らのわれわれの方に話はございませんし、責任あるアメリカの当局はこれを否定しておる状況であります。しかしさらに突っ込んで、アメリカはもしも持ち込む場合には日本と相談すると  いうことを申しておるわけであります。それでさらに突っ込んで、もしもそういう相談があったらどうするというお問いでございましたので、私はこれを承認する意思はないということをはっきり申し上げたのであります。もとよりこれは日本独自に、われわれ内閣だけできめておることでありまして、アメリカに相談してきめたわけではございません。私どもは日本の防衛については、あくまでも自主的な立場から日本の意見をきめるという態度を堅持いたしております。従って相談がありますればわれわれは反対する、こういう立場を明確に申し上げたわけであります。その点は相談がありました場合におきましては、日本の領土である場合においては、どこであろうとも私どもの意見は同じであります。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 相談がありました場合には沖縄への原子部隊の配置についてもお断わりをする、こういう意味に解釈してよろしゅうございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 沖縄に持ってぐる場合に、アメリカが果して相談するかどうかは、私今までのなにから申しますと、明瞭でないと思います。この間のアメリカ側の発言といいますか、その点、もしも相談がありますれば、沖繩に対しましても私は日本国民の意思として、それに対しては反対するつもりであります。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 相談があれば沖縄に対してもお断わりをする意思であると言われたことは、これまた大へんけっこうたと思います。そこで続いてお聞きしたいのですが、これは重要な点だと思うのですが、安全保障条約にも行政協定にも、部隊の種類はきめてないのです。それから兵器の種類には制限がつけてないわけです。そこでアメリカがどういう部隊を配置しようとも、それはアメリカの自由であって、日本政府はこれを拒むという条約上の根拠はないと思う。そこでアメリカは日本に承諾を求めなければならぬという義務はないのでありますから、黙って配置する可能性が十分にある、こう私は思うのですが、この点はどうお考えになりますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 その点につきましては、原子兵器の問題については重光・アリソンの話し合いもございますし、今回原子部隊の日本への配置については日本側の意向を、日本側と打ち合せた上でやるというアメリカ側の言明もございますので、少くとも原子兵器や原子部隊の持ち込みについては、日本に相談があることは私は聞違いない、かように考えております。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 相談があるかないかという問題は、これは政治道徳の問題であって、条約上の問題ではないと思うのですが、相談があるまで黙っておるのではなくて、沖縄を含めて日本に原子部隊の配置をしてもらっては困るということを、相談があるのを待つのではなくて、自主的にと言われるのでありますから、積極的にアメリカへ申し出をするとか、日本の政府の考えを交渉をするとか、こういうお考えはありませんかどうか、これもあわせて聞いておきたいと思うのです。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 私は過日も申し上げたように、現在の状況で日本の方から積極的に——向うも責任ある当局は事実じゃないというように否認している際に、こちらからさらに積極的にそれに対して意見を言うのは適当でない、こういう考えを持っておるのであります。いやしくも相談があればわれわれの意思は表示をするけれども、そういうことがただ新聞に出たからといって、ただちに日本政府が向うに、風声鶴涙に驚いたような格好をするということは適当でない、こういう見地をとっております。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 この問題については日本と打ち合せをするからというアメリカの意思表示があったと言われたように聞いておりますが、これはあったのですか、どうでございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 そういうふうにアメリカ側の意思が表示されております。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 それなら、すぐ日本の政府は、相談が具体的にある以前に、そういうことをしてもろうては困るということが言えるはずだと思う。新聞に出ただけではない、そういうことがあるならば相談をするということを言うておるのならば、単に新聞報道ではなくて、アメリカの意思は伝わっておるのでありますから、それは日本としては困る、沖縄を含めてこの原子部隊を持ってきてもろうては承諾できないということを当然言われてよいと思うのでありますが、この点はどうですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 公式の話は重光・アリソンの話し合いでございまして、今この原子部隊が来るとか来ないとか、これを否認しておるとかいうことは、実はわれわれはいろいろな新聞その他において承知しておるので、公式にアメリカからわれわれは意思表示を受けておるわけではないのです。公式には今言っている重光・アリソンの話し合いがありますから、それは必ず相談あるものとしてわれわれは考えておるのであります。たまたまアメリカ側の新聞にああいう事実が伝えられたことを、さらにアメリカ側の当局が新聞その他を通じて否定し、またそういう場合には日本に相談するのだ、相談せずにわれわれが勝手に持ち込むようなことはないのだということが伝えられておるのが今の事実でありまして、私どもはやはり重光・アリソンの話し合いをもととして、日本の自主的な立場からそういう場合における意見というものをはっきりきめて、これに対処するということが一番適当である、こう考えておるわけであります。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 そういうことは前に鳩山さんも言われておる。話を聞いておるというと、やはりそれが公式であろうかどうであろうが、アメリカの何らかの意思表示があった以上は、交渉が始まる時分には、もうアメリカは持ってくる気になっておるのですから、むしろ困難なのであって、あらかじめそういう計画をしてもらっては困るということを、当然日本政府は言うべきだと思うのです。これはもう一ぺん質問しましても、今のお答えを繰り返されるだけだろうから、これ以上質問しませんけれど、それは政府がほんとにこの原子力部隊を日本に入れないという決心があるなら、今からすぐ手を打って、この問題についての意思を明らかにしておく必要があると思う。これをされませんと、国民は納得せぬと思うのです。  そこでこれに関連しますから承わりますが、鳩山さんもその通りのことを言われておるのです。アメリカが日本に原子爆弾その他の原子兵器を持ってくるときには、必ず日本政府と交渉をする、相談をするはずだ——これはいろいろ念を押したが、繰り返して言うておられる。黙って持ってくることはないのだ、こういうことを言うておられるのです。そこで私はお聞きするのですか、その後アメリカから原子兵器持ち込みのことで日本に相談があったことがあるかないか。原子力部隊の問題ではないのです。原子兵器持ち込みの問題です。この点をお伺いいたしたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 そういう相談を持ち込まれたことはございません。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 現にアメリカは原爆を持ってきておるのです。日本政府は相談を必ず受けると鳩山さん時分からはっきり言うておるのです。今度の岸首相代理の御答弁もそういう方向と同じことなんだ。ところか今の御答弁によると、相談を受けたことはない。ところがアメリカは現在原爆を持ってきておる、こう思うておるのでありますが、政府はどうお考えになっておりますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 そういう事実はないと確信しております。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 ことしの一月二十八日に、アメリカの第七艦隊の前の司令官のインガーソル中将は、沖縄で航空母艦の上での記者会見で発表しておる。こう言うておるのです。もちろん第七艦隊の基地は横須賀であります。第七艦隊は最新、最強の誘導兵器で整備されておって、数カ月にわたって原爆攻撃を行うことができる、こう言うておるのです。繰り返すように、第七艦隊の根拠地、基地は横須賀であります。明らかに第七艦隊は原子兵器、原爆攻撃をする原爆を持ってきておるということを言うておる。装備しておると言うておるのです。ところがこれは政府には何らの相談もないのみならず、首相代理はこんなことはないとおっしゃるのですが、そうするとインガーソルー中将は記者会見でうそを言うたということになるのでありますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 ちょっと私、聞きもらしましたが、司令官の言っている言葉をもう一度、一つはっきりおっしゃって下さい。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 それを正確に言いましょう。最新の高性能を持つジェット機と対空誘導兵器が戦闘力を大幅に強化するため第七艦隊に追加されつつある。第七艦隊を構成する百七隻の艦船は、今日世界最大の単一統合海軍力を作り上げている。第七艦隊は数カ月にわたって原爆の攻撃をすることができる。こういう内容だと報道されております。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 私はその内容ははっきり承知いたしませんけれども、しかし今お読みになっただけのなんであって、直ちに日本に原爆が持ち込まれておるという証拠にはならぬように私は思います。いずれにしても、われわれはそういう相談を受けておら−ないし、相談なくして日本に持ち込むことは絶対にないと私は確信しております。もちろんいろいろ進んだ兵器、誘導兵器であるとかジェット機であるとか、いろいろ一なものが来ておることは私もそうだろうと思いますけれども、事いやしくも原爆に関する限りそういうことはない、こう確信しております。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 原爆に関する限り、日本に相談をしなければ日本に持ってこられないという条約上の根拠がありますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 条約上の根拠ではなくして、先ほどから申しますように、重光・アリソンの会談によってきめられておる。これは忠実に日米間において守られておるというのが現状でございまして、将来もそうだ、こう確信しております。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 条約の上で何の根拠もないのに重光・アリソン会談、これはある意味で言えば私的会談ですが、この私的会談があるので、アメリカは相談をしなければ原爆を持ってごないのだ、こういうことを政府が国民に言われるのだが、これは無理じゃないか。条約の上でどうしても日本に相談をしなければならぬという根拠があるならば、当然これは言えると思いますけれども、条約の上に何の根拠もないのであって、アメリカはいかなる兵器を持ってこようとも自由にできるようになっているのが安保条約、行政協定なのです。それですから、道徳上の問題で、そんなことはないというようなことを言われておるから、鳩山さんもそれを言われましたから、現在アメリカの第七艦隊は原爆を装備しておるのです。これは日本・に相談しておらぬ。日本の国民はこれをおそれておるのです。実際持ってきておる。これを明らかに新聞記者会見で言うておる。ことしの一月二十九日、これで世界中に報道されておる。この記者会見をしたのは二十八日です。これは間違いとは言えない。私は岸総理が、ほんとうに日本に原子力部隊を持ってくることを拒絶し、また原爆を持ってきてもらいたくないという決心であるなら、今のような答弁ではなくして、やはり国民の前には正直に—— 安保条約、行政協定のもとにおいては黙って持ってくる可能性がある。実・際持ってきておるかもわからぬのです、相談をしないのだから。こういう危険があるということをはっきり言われることが、国民に対する政府の責任じゃないかと思うが、この点はどうでしょう。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 行政協定、安保条約にはそういう明文がないにしましても、これを実行する方から申しますと、いろいろな取りきめや話し合いというものが日米間には存在しておりまして、日米間の関係から言えばそういうことがやはり忠実に守られていっている、また守られなければならぬというのが両国の関係であって、今日までそういうことが話し合いなり取りきめされて、これが違反されているというような事実もありませんし、この問題はきわめて国民的な関心の強い問題でありますから、アメリカ側としても、この話上合いができましたことは十分尊重しておる、またわれわれは尊重させなければならぬ、かように思っておりまして、今までの事例からいっても御心配のような点はないと私は思います。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 心配はないと言われても、艦隊が原爆を持ってきておるのですから、これは国民は心配せずにはおれぬです。それはどうも答弁にならぬと私は思う。安保条約、行政協定ではきめてないけれども、徳義上そんなことはせぬというようなアメリカとは違うと思う。そうじゃないのです。たとえて言えば、相馬ケ原の射殺事件でも、事態は明らかなのにまだ犯人を引き渡しておらぬのです。安保条約、行政協定を結んだ時分には、原子兵器の発達が今日のようにまだ発達しておらなかった。そこでこの条約の中には、原子力部隊のこととか、原子核兵器の問題についてはきめてない。ところが事情は非常に変っておる。政・府がこの原子兵器や部隊を絶対に断わるというつもりであるならば、安保条約、行政協定は変える必要はない、こういう結論にはならぬと思う。やはり国と国との関係というものは、ただ単に徳義ずくでいくものじゃないのであります。どうしてもこういう問題には条約上の取りきめがなければならぬ。そこで鳩山さんも前に相談がある相談があると言われたが、相談なしに艦隊は原爆を持ってきておるのです。これが事実なんです。この方が事実なんです。今岸さんがおっしゃる方が事実じゃないのです。それで今の答弁は非常に詭弁だと思うけれども、安保条約や行政協定を改正しない、こういう考えのもとで原子力部隊や原爆を持ってきてもらわぬようにすることは絶対不可能だと思うのですが、もう一ぺんこの点について虚心に、一つ国民を安心させるように御答弁を願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 現在の安保条約、行政協定ができたときの事情と今日との間には、いろいろな兵器の発達その他の事情が変っておることも御指摘の通りだと思います。また安保条約及び行政協定も、永久にこのままで続けていくという問題でもないと思いますけれども、現在問題になっておる原子兵器の問題につきましては、安保条約や行政協定に明文はないかもしれませんけれども、これを実行する上において、両国の責任のある重光・アリソンの間に話し合いをしまして、自来それは右効に、またちゃんと守られておるという実情から見まして、特に現在のところ直ちに条約を改正しなければならない事態に来ておるとは私は考えないのであります。しかしあくまでもこの協定、両者の話し合い、取りきめというものは、これを忠実に実行する、また実行せしめるという考えで進んでいきたい、こう思っております。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 私は国会議員として、予算委員会の席上で、アメリカの艦隊が原爆を持っておりますということをはっきり言うた。首相代理の御答弁によると、持ってきておらぬはずだという。これは違うことになる。そうすると、政府としては、これは国会で私が明らかに言うておるのですから、アメリカの第七艦隊が原爆を持ってきておるかおらぬか、すぐアメリカに交渉なさいますか。またその結果について、アメリカに交渉の結果、第七艦隊は核兵器の装備はしておらぬということを国会に御報告なさるお考えがありますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 私自身としては、一々新聞に出たから直ちにどうするということは申し上げませんけれども、しかし一応事情を調べてみるということは、御質問があればやらなければならない、こう思っております。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 そうすればここで明らかにしておきたいのですが、一新聞に出ておるという問題以上に、私はここで第七艦隊が原爆を持ってきておるのではないかということを公けの席で議員として質問したのに対して、政府の方では持ってきておらぬと言われるのですが、この問題には食い違いがある。そうすると、この予算委員会の審議中にアメリカに交渉して、これが事実であるかないかということをこの予算委員会に報告をしてもらいたいのですが、この約束ができますか、どうでしょう。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 今申し上げましたように、私は新聞記事だけではなにしませんけれども、しかし一応事情だけは取り調べてみることは取り調べてみます。その上で御報告します。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 その報告をなさいますか。どういう格好か知らぬが、一応その状態を明らかにしてこの委員会に報告するという岸首相代理の御答弁だと思いますので、それを了承しておきますが、必ず報告していただきたい。(「私の質問はこれで終ります」と呼ぶ者あり)終りません。(笑声)  岸さんは安保条約、行政協定には手を触れぬ、今その必要がない、改廃をする必要はない、こういうことを本会議でも、この委員会でも言われておるのでありますが、これでは私は、すべての政府の自主独立といわれる政策ができないのじゃないか、これは抽象論じゃなしに、多少具体的な点で御質問したいのですが、昨年の十一月に、御承知のように、日米合同の演習をやっておる、日本の自衛隊がやっておる。この合同演習には蒋介石軍、李承晩軍が加わっておる。すなわちアメリカと李承晩軍と蒋介石軍と日本の自衛隊が合同の演習をやっておる。これは政府の答弁では訓練だと言っておられますけれども、これは相当大きい問題だと思う。このことはもう実質上にはアメリカが考えておるアジアの軍事同盟、これへの参加の第一歩を踏み出しておるのです。しかもこれを防衛庁長官が独断でやっておる、閣議は経ておらぬ、国防会議にもかかっておらぬ。事いやしくも日本の自衛隊が外国の軍隊と共同の行動をとるのに、その問題を防衛庁長官だけで独断でやっておる。このことは安保条約や行政協定でがんじがらめになっておるから、こんなむちゃなことをやらせられなければならぬと思う、これはむちゃだと思う。その結果は、これは社会主義国だけではありません、アジア・アフリカ諸国にも大きな反発を与えて、非常に信望を落しておると思う。また日米合同委員会がアメリカの言いなりになっておるという問題、これは今澄委員からもいろいろ質問もありました。国連ではこれまた御承知のように韓国と南ヴェトナムの単独加盟、これを日本は支持しておるのです。これは客観的に見ると、朝鮮、ヴェトナムの統一の妨害の役割を買うておるのです。あるいはまた日本が国連に加盟する場合には、台湾政府をいつまでも承認するという公約を与えておるといわれておる。これはやはりアジアの緊張を緩和する道ではない、首っ玉を抑えられておるから、こういうことになると思うのです。国内ではアメリカの基地がどんどん拡大されて、砂川のような事件が起っておりますし、自衛隊は増強する。今度誘導弾をまた持ってくる。私は時間がないからあまり・質問できませんか、誘導でも、原子弾頭をつけぬ誘導弾というものは今日の戦争じゃナンセンスだ。誘導弾のてっぺんには原子弾頭のつくものなんです。原子弾頭のつかぬような誘導弾というものをどんな時分に使う  そんなものはない。ただ弾頭を今つけるかっけぬかは別としまして、いざという時分を考えておるのが兵器なんです。いざという時分につけるということになれば、これは核兵器なのです。防衛だ防衛だと言うては通りゃせぬのです。この誘道冊弾をやはり持ってくる、こう言うておるのです、この委員会で。沖縄の原爆基地では原子砲が二台来ておる、原爆基地にもうなっておる。アメリカは発表しておるのです。あなたは沖縄はアメリカに返還を頼むつもりだとおっしゃった。その翌日にアメリカは何を言うた、アメリカは沖縄は返さぬとすぐしっぺい返しに言うてきておる。あなたが沖縄については返還を希望すると言われた翌日なんです。返しはせぬとはっきりアメリカは言うておる。すべてがサンフランシスコ条約、安保条約、行政協定に縛られてしまっておるから、中国との貿易もできやしません。だんだんココムを締められてきよる。防衛分担金の問題を一つ考えてみても、ここに大蔵大臣もおられますが、予算の自主性というものは、防衛分担金をめぐって事実上失われておる。これがきまらなければ予算編成はできやせぬのです。ここまできておる。このことごとくが、日本が安全保障条約、行政協定にぶら下って、首の根っこを押えられておる結果で、一事が万事こんなことになっておるのだと思う。このことを改めずに、反対にこの従属政策を積み重ねることはかりやっておるならば、アジア諸国を敵に回して、日本はアメリカのためにみなしごになることは明らかだ。同時に私は聞きたいのですが、こういうやり方を積み重ねておったら、防衛力をどの程度に増強したら安心だと思いますか。防衛というものは敵を作らぬことだと思う。日々アジアの敵を作っておいて、防衛力の増強、私は限度がないと思う。アメリカはいいでしょう、あれは社会主義国を向うに回して、原子戦争でもやるつもりの政策を持っておるのですから、これは別です。日本がこのしりにくっついて安保条約、行政協定にぶら下ってこの政策を続けておったら、私は今の政府のやり方の防衛力の増強はどこまで行ってもこれでよろしいという限度はないと思う。どこまで大きくしたらいい。この政策を積み電ねながら防衛力の限度、これは国民にとって大へんな問題だ、こういう点についてはどうお考えになるのでありましょう、この点もお聞きしておきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 川上君も御承知の通り、今の世界の情勢は一国だけで自分の国を防衛するということは、なかなかむずかしい状況にあることは御承知の通りであります。また世界の情勢が、国連等において軍縮その他の提議があるにかかわらず、大国の間にこの軍縮の問題も解決されないという状況であります。決して日本自体だけが国民に負担をかけて防衛をしようというわけではないのです。この世界の情勢が改まることを私どもは国連においてあらゆる機会において主張したいと思います。しかし現在の状況におきましてはやはり日本の祖国をわれわれの力で防衛するために必要な努力を続けていくということを、遺憾ながらせざるを得ない国際情勢であると思います。もちろんそういう意味において、一体どこまでやればいいのだということは、日本よりもアメリカやソ連に私は聞きたいのであります。どこで軍縮の限度がくるのか、あるいは軍備のなにがくるか、これがきまらない情勢にあります。日本の立場としてはとにかくある点まで日本が防衛力を増加するということはやむを得ない事態である、かように思います。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 それが私は自主独立が危ないと思うのです。世界中で国民に比べて一番兵隊を持っておらぬのはインドです。インドが一番危ないですか、危ないことはないです。世界中で国民に比べて一番たくさん兵隊を持っておるのは李承晩です。李承晩は強いですか、強くない。私の言うておるのは、日本の今の政治を、こういうやり方を次へ次へ積み重ねると、社会主義国——これだけ言うておるのではない、全アジアの諸国を敵に回しよるではないかと言うのです。合同演習なんかはっきりそれじゃないか。それを積み重ねておったら防衛力増強の限度はないじゃないか。まさか日本でソビエトや中国を向うに回して戦争でもしてやろうというほど防衛力を作る、こんなことはありますまい、これはできますまい。私はこの点を言うておるのです。時間が十分にありませんからいろいろ言えませんけれども、われわれはいたずらに反対のために反対をしておるのではありません。難くせのために難くせをつけておるのではないのです。こういうことはわれわれはしたくない。少くとも道理を明らかにして政府の考え方を聞きたい。たとい思想の上で違いがあろうとも、国の将来を思うということ、この道理について違いはないと思うのです。同じことなんです。私はこれについてはもっとたくさん聞きたいのでありますけれども、時間がないが、心むなしゅうしてほんとうに国の将来のためを考え、安保条約、行政協定、サンフランシスコ条約というようなもの、ここのところへ手をつけていかなければ、しょせん日本の自主独立はできぬじゃないかということを聞いておるのです。そうは思わぬというようなこの答弁では主観的な答弁を言いかわすだけなんです。私は条理を尽して聞いておると思うのです。もう一ぺん総理大臣は、安保条約行政協定を究極的に何とかしなければ、日本のほんとうの自主独立はできないという考えがあるのかないのか、行政協定、安保条約は、いつまであっても一向差しつかえはないとお考えになるのかどうか、この点をお聞きして私の質問を終りたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 私は安保条約や行政協定をいつまでも続けていく意思はございません。しかしこれを改正するには、先般来申し上げておるように、その前提としていろいろな各秘の環境を作っていかなければならぬ。たとえばわれわれの力でわれわれの防衛ができるような自衛力の増強も必要でありましょうし、またこれらはアメリカとの間の協定でありますから、アメリカとの間の話し合いをしてこれを改訂する、もしくはやめるというようないろいろな準備を必要とするものであって、今直ちにこれを改訂するとかいうのは、その時期でないということを申し上げておるだけで、これを永久に続けていこうという考えは毛頭持っておりません。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 時間がないそうでありますから…。

山崎巖自由民主党

○山崎委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後、零時十九分散会

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