予算委員会 第2号
- 発言数
- 109 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/02/07
会議録
○山崎委員長 これより会議を開きます。 昭和三十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)、以上五案を一括して議題といたします。 まず政府の提案理由の説明を求めます。大蔵大臣池田勇人君。 —————————————
○池田国務大臣 昭和三十二年度予算編成の方針及びその骨子につきましては、先日本会議において御説明いたしたところでありますが、予算委員会において本日から初審議をお願いするに当りまして、あらためて、その概要を御説明申し上げたいと存じます。 まず、財政規模について申し上げます。三十二年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも一兆一千三百七十四億円でありまして、三十一年度の当初予算に比べ、一千二十五億円の増加となっております。また、財政投融資につきましては、三千二百四十六億円で六百七十三億円の増加となっておりますが、経済規模の拡大と考え合せますならば、この程度の規模が適当であると存じます。 次に、一般会計について申し上げます。まず歳入のうち、主要なものは、申すまでもなく租税及び印紙収入でありまして、九千四百六十九億円を見込んでおり、歳入全体の約八三%に相当しております。税制改正につきましては、本会議において御説明いたしました通り最重点事項として取り上げ、国民貧担の軽減合理化をねらいとする大幅減税を行うこととしております。すなわち、所得税につきまして、低額所得者の負担の軽減に留意しつつ、税率の累進度の緩和に重点をおき、初年度一千九十億円、平年度一千二百五十億円の減税を実施することといたしております。同時に、特別減免措置の合理化による増徴、ガソリン税率の改訂を行う予定でございまして、これら税制改正案の詳細につきましては、別途政府委員をして説明いたさせます。 次に、専売納付金につきましては、たばこ売上数量の見込みに基きまして、三十一年度に比べ五十五億円を増額し、一千百八十二億円と予定しております。 次に、歳出のうちおもな経費につきまして、その概要を申し述べることといたします。 まず、社会保障関係費につきましては、特に重点をおき、三十一年度に比べ九十二億円を増額して一千二百二十六億円を計上し、医療施策、低所得者対策の両面にわたって、内容の充実に努めております。 生活保護費につきましては、予算額は、三百六十五億円で三十一年度に比べて二億円の増加にとどまりましたが、これは保護対象人員の最近の減少傾向を見込んだ上のことでありますので、内容を見ますと、生活保護基準の引き上げ、母子加算の拡充など、一段と施策の前進を織り込んでおります。 社会保険費につきましては、まず、遠からず国民がみな医療保険に加入することを目標として、国民健康保険の普及促進をはかり、その被保険者数が三十一年度に比べて五百万人増加して、三千五百万人に達するものと見込んでおります。また、政府管掌健康保険の事業の健全な発達をはかるため、三十一年度と同様三十億円を厚生保険特別会計の健康勘定へ繰り入れることとしております。 失業対策といたしましては、最近における雇用状況の好転、三十二年度における経済の活況並びに公共投資の増大に伴う雇用の増加を考慮し、その吸収人員は若干減少するものと見込み、ましたが、他方一般失業対策事業の賃金単価を、現行の二百八十二円から三百二円に引き上げてその改善をはかり、事業内容の充実に努めることとしております。これに、失業保険費を合せました予算額は、三十一年度に比べ四億円減の三百四十八億円となっております。 結核対策といたしましては、死亡率は、幸い、目立って低下して参りましたが、新規発病者は依然跡を断ちませんので、その予防に重点をおいております。すなわち、健康診断及び予防接種を全額公費負担とするほか、医療内容においてもその充実をはかり、三十一年度に比べ十四億円増の百四十八億円を計上いたしております。 以上のほか、社会保障関係の経費としましては、母子福祉貸付金及び世帯更生資金貸付金を増額し、医療費貸付補助金を新設する等の措置をも講じております。 次に、文教関係費でありますが、重要経費について見ますと、三十一年度に比べ、百二十二億円増加し、一千三百四十七億円となっております。 これにより、義務教育職員について給与改訂等に必要な負担金を確保いたしますとともに、小中学校の統合、二部授業の解消等を促進するため公立文教施設費を増額し、また国立学校の施設を充実し、教育、研究の経費につきましても相当に増額いたしております。 以上のほか、恵まれない児童生徒のための給食及び教科書の給付の対象を拡大いたしますとともに、文化、スポーツの振興につきましても特に配意いたしました。 また、科学技術の振興につきましては、例年に比べて特に重点を置き、三十一年度に比べ六十三億円を増額し、百七十九億円を計上いたしております。 特に原子力の平和利用に関しましては、原子力研究所の整備等について飛躍的に予算の増額をはかり、予算において六十億円、国庫債務負担行為において三十億円を計上しております。 恩給関係費につきましては、旧軍人遺族等恩給の受給見込み人員の増加、ベース改訂の平年度化等により約六十億円増加いたしました。また、文官等恩給につきましても、若干の増額をいたしました。これにより恩給関係費総体として、六十一億円増加して九百六十一億円に及ぶこととなります。 次に、防衛関係費につきましては、自衛力の質的増強に重点を置くことといたしております。防衛庁経費に関しましては、最近毎年相当の予算の繰越額を生じておりますことから、本年度は、予算計上額を切り詰め、三十一年度に比べ八億円増の千十億円を計上しております。従いまして、防衛分担金の減額と相待って、防衛関係費といたしましては、三十一年度とほぼ同程度の規模にとどめたのであります。 さらに、賠償等対外債務の処理につきましては、自立国家としての責務を果すため、百十五億円増額して、二百十五億円を計上しております。 公共事業関係費につきましては、産業基礎の整備、なかんずく輸送力の増強を最重点と考え、道路及び港湾整備の予算を大幅に増額いたしました。すなわち、急速に道路の整備を行うこととし、揮発油税を一キロリットル当り四千八百円引き上げて、道路整備事業の財源を充実することとし、一般財源の増額四十億円と合せて道路整備費の予算を三十一年度に比べ約二百億円増額して五百四十八億円といたしております。また、地方の道路整備費につきましても、地方道路税、軽油引取税の改訂によりその財源の充実に努めております。道路整備に次いで、港湾整備の予算を五割増加し、工業用水道、都市計画等の予算についても増額いたしました。これにより、重要鉱工業地帯の産業立地条件の整備を促進できると存じます。また、北海道、東北、離島等特定地域の開発につきましては、特に留意しております。 以上のほか、治山治水対策事業費、食糧増産対策事業費等につきましても、その充実に努めておりますが、新たに特定多目的ダム建設工事特別会計及び特定土地改良工事特別会計を設けまして、事業の促進、予算執行並びに工事施行の合理化をはかることといたしております。 以上を通じ三十二年度の公共事業関係費の計上額は、一千六百四十五億円となり、三十一年度に比べて二百二十五億円の増加となりました。これに失業者対策を兼ねて行われる特別失業対策事業及び臨時就労対策事業の予算計上額を合せますれば、公共事業関係費の総額は一千七百五十四億円に及ぶこととなります。 住宅対策につきましては、三十一年度におきましては、民間自力建設を含め約四十三万戸の住宅建設を計画しておりましたが、三十二年度におきましては一段とこれを強化することといたしております。すなわち、公営住宅、公庫住宅及び公団住宅等を合せて、財政資金で約二十万戸の建設を予定し、その際、住宅規模の適正化及び不燃化、高層化の促進等、質的向上にも努めることといたしております。これに要する資金といたしましては、公営住宅、住宅金融公庫及び日本住宅公団の総体につきまして七百三十七億円を予定し、三十一年度に比べて二百二十五億円を増額しております。 なお、三十二年度におきましては、上下水道等環境衛生施設の整備を促進することとしております。 以上の重要事項のほか、一々の事項についての説明は省略することといたしますが、さきに閣議決定いたしました予算編成方針にのっとり、特に中小企業の育成強化、貿易の振興、農林漁業の経営安定等につきまして、後に申し述べます財政投融資と相待って、所要の予算を重点的に計上することとしております。 特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、一般会計に準じ、経費の重点的、効率的使用をはかりまするとともに、事業の円滑な遂行を期することといたしまして、所要の予算を計上いたしております。ここでは、そのうち重要な二、三の点につきまして申し添えます。 まず食糧管理特別会計でありますが、価格体系、損失の処理等この会計の基本問題を処理するため、政府に特別調査会を設置し、その結論を待って、この会計の健全化の具体策を立てることといたしております。従いまして、三十二年度におきましては、現行管理制度を存続し、米の消費者価格は据え置くこととして予算を編成いたしました。 次に、国有鉄道につきましては、最近における産業の隘路を打開いたしますとともに、今後における経済の発展に伴う輸送量の増大に対処するため、三十二年度以降五カ年間に約六千億円、初年度一千六十九億円の工事を実施することといたしております。これによる建設工事の量は、三十一年度のほぼ二倍に達することになり、貨物の輸送の円滑化、旅客の混雑の緩和も、遠からず期待できるものと存じます。その財源といたしましては、三十一年度とほぼ同じく三百十五億円の外部資金を予定するほか、運輸収入の相当の増収を見込みますとともに、経費の面におきましても極力その節減に努めておりますが、なお、所要資金のすべてを満たすことができませんので、これを運賃値上げによる増収に待つこととし、貨客平均十三%の値上げを予定いたしております。 このほか特別会計といたしましては、さきに申し述べました特定多目的ダム建設工事特別会計及び特定土地改良工事特別会計のほか、国有財産特殊整理資金特別会計を新設し、官庁建物の高層化、集約化を進めるとともに、都市における住宅敷地にあてる等土地の効率的使用の一助といたすことにしております。 政府関係機関につきましては、北海道開発公庫において、東北地域の開発事業資金の融資をあわせ行うこととし、またかねて懸案となっておりました公営企業金融公庫を新設して、公営企業のためにする公募債の消化を答易ならしめることといたしました。 地方財政につきましては、ここ一両年、地方財政の立て直しのため、相当思い切った諸施設を講じて参りました結果、地方団体側の自主的な努力と相待ち、地方財政の現状は相当改善されておりますが、三十二年度におきましても、さらにその運営の健全合理化を推進することといたしております。 まず、地方交付税の算定基準である所得税、法人税、酒税に対する率を百分の二十五から百分の二十六に引き上げ、三十二年度予算としては一千八百六十八億円を計上いたしました。また地方税につきましても、国税に準じて、事業税等の減税を行うことといたしましたが、最近における地方税収の増加にかんがみ、交付税交付金の増額とあわせてみますと、地方財源は相当豊かになり、各種地方単独事業を増加するなど行政内容を充実してゆく道が開けるものと思われます。なお、地方団体間の財源編布の是正をはかるため、地方譲与税の配分方法を改訂いたしますほか、公債費の圧迫を緩和するため、できる限り普通債を削減する等、歳入構成の適正化をはかることに配意いたしております。 最後に財政投融資につきましては、幸い経済の好況に伴って増加いたしました原資を活用して、経済拡大に積極的に寄与し得るよう、重点的にその使用をはかることといたしております。その総額は前に申し述べました通り、三千二百四十六億円でありますが、運用面におきましては、電力等産業基盤の整備、住宅対策、中小企業対策の三つを重点事項として取り上げ、その他わが国経済において立ちおくれており、かつ、民間の力のみによっては十分な発展を期待し得ない分野に配分することといたしております。 終りに、昭和三十二年度予算と同時に提出いたしました昭和三十一年度補正予算につき一言申し添えます。 この補正は、産業投資特別会計への繰り入れ及び地方交付税の増加を内容とするものであります。産業投資特別会計への繰り入れ三百億円のうち百五十億円は、昭和三十二年度財政投融資の原資として使用することを予定しておりまして、三十二年度予算と密接に関連するものでございます。 以上、ごく概略を御説明申し上げましたが、なお詳細にわたりましては、政府委員をして補足して説明させることといたします。(拍手)
○柳田委員 この際議事進行について発言をお許し願いたいと思います。 ただいま大蔵大臣から、三十二年度予算案の御説明がございました。本来財政法によりましても、予算案は、その前年の十二月中にこれを出すことになっておることは大蔵大臣御存じの通りであります。ところがこの予算案が、与党内部のはなはだ複雑なる党内事情等を反映いたしまして、さらにまた政府の不手ぎわ等もそれに加わりまして、非常に提出が遅延されまして、遂に一月中にはこれを提出することができなかった。二月に入ってから提出されたということは、最近の国会においては見られぬことです。私たち社会党といたしましても、予算案審議には非常に協力いたします。協力いたしますが、このように提出がおくれましたことにつきましては、この審議に対して提出がおくれただけの責任は政府にあることだけは、われわれ社会党としては初めにはっきり申しておきます。同時に、従来予算案は通った、ところが予算案とうらはらの関係にある法律案が出てこないというようなことで肝心の予算案が通っても法律案が出てこない、法律案が出たときには、すでに予算案が通って、法律案の審議が無意味なものになってくるという例が多々あるのであります。昨年の予算委員会におきましても、私からとのことは政府に強く要望いたしました。ところが政府におきましては、二月中には予算に関係のある法律案は全部出しますという御答弁でありましたが、実際には、二月中には出てこなかったということであります。そういうことでありますから、これは、やはり予算と関係のある法律案は大体何件あって、その何件は大体いつまでに御提出ができるか、それを委員長から政府当局に確かめられて、一つ委員会において、冒頭に当ってはっきりとその点を明示されたいと思うのであります。この点を委員長においてお取り計らい願うように、御善処を望んでおきます。
○山崎委員長 ただいまお聞き及びの通りの柳田君の御発言でありますが、予算案に関係します法律案の提出がいつごろになりますか、それについて政府の御意見を御開陳願いたいと思います。
○池田国務大臣 予算の提出がおくれましたことは、まことに遺憾でございます。政府といたしましても、できるだけ努力はいたしたのでございます。 なおお話しの予算に関係いたします法律案につきましては、できるだけ早く出すように努めます。大体の目標につきましては、午後の機会に、取り調べまして御返事いたすことといたします。
○山崎委員長 次に、順次補足説明を求めます。主計局長森永貞一郎君。
○森永政府委員 お手元に昭和三十二年度予算の説明と題する印刷物がお配りしてございます。詳細な補足説明は、この印刷物にゆだねることといたしまして、ただいまからその印刷物につきまして、概略の補足説明を申し上げることといたしたいと存じます。 第一の総説でございますが、一ページでございます。この点につきましては、先般の大蔵大臣の財政演説と大体重複いたしますので、省略いたします。ただ二、三の計数にお目をとどめていただきたいと存じますが、二ページ目の左欄に、今回の予算の財源計算が示してございます。現行税法によりまする昭和三十二年度の増収見込み額は、租税及び印紙収入におきまして千九百二十二億円、専売納付金におきまして五十五億円、合計千九百七十七億円を予定されるのでございますが、一方税外歳入の減少額二百三十二億円がございますので、差引自然増収千七百四十五億円ということに相なります。この中から減税財源に充当いたしました金額が八百四十八億円。減税の内容は、所得税千九十二億円、法人税十五億円、地方租税特別措置の整理合理化等によりまして増収をはかりました金額が二百五十九億円ございますので、差引自然増収から減税財源に充当しました金額は八百四十八億円でございます。そういたしますと、自然増収のうち歳出増加に充てられるものは八百九十七億円ということに相なります。そのほかに、道路の整備を実施いたしますためにガソリン税の税率の改訂を予定いたしております。これによりまする増収が百二十八億ございまして、結局歳出増加充当財源は千二十五億と、前年度予算規模に比べまして本年度の予算規模は、一兆一千三百七十四億円ということに相なる次第ででございます。 この予算規模を例年の通り国民所得に比較してみますと、その下の表にございますように、三十二年度の国民所得は八兆一千八百億と予想されるので、これに対する予算の割合は一三・九%ということに相なっております。これに相当する三十一年度の割合は、当初予算におきまして一三・六%、今回提出いたしました補正を加えますと一四・一%という割合に相なっております。 4ページ以下に、来年度予算の骨格を示す計表が示してございます。まず一般会計でございますが、歳入の増加はただいま申し上げました千二十五億円、これを内訳で申し上げますと、租税及び印紙収入で千二百一億円、専売納付金で五十五億円、官業益金及び官業収入で約九億円、政府資産整理収入で約十億円、雑収入におきまして、減少六十一億円、前年度剰余金受け入れにおきまして、約百八十九億円の減少ということに相なっております。 租税及び印紙収入につきましては、後ほど主税局長より詳しく説明がございます。 専売納付金につきましては、この貸料の三十六ページ並びに四十八ページに詳しい資料がございますが、一言で申し上げますと、数量的には増勢の鈍化の傾向をまだ脱しておりません。しかし最近の経済界の活況に伴いまして、上中級品の売れ行きが比較的伸びております。その関係から、販売高は増加をいたしておるのでございます。他方、支出の面におきましても、極力切り詰めました結果、五十五億円の増加ということに相なった次第でございます。 官業益金及び官業収入の増加約九億円は、病院収入の増加によるものでございます。 政府資産整理収入の増加約十億円、これは諸般の政府の回収金収入の増加に伴うものでございます。 雑収入の減少六十一億円、これは三十一年度予算に、三十一年度限りの雑収入が計上してございましたことに伴うものでございます。大きなものは、旧発券銀行特別納付金三十五億円、金融機関調整勘定利益分配金二十五億円、このいずれも三十一年度限りでございましたので、こういう大口の減少がございまして、六十一億円の減少に相なっております。 前年度剰余金受け入れの減少百八十九億円は、決算上確定いたしました金額でございます。 次に、歳出の重要事項別の表がお示ししてございます。重要事項別の各項目につきましては、後に詳しく申し上げますが、ここではこの千二十五億円の歳出の増加がいかに配分せられておるか、ごく大観的にごらんいただく意味で申し上げることにいたしますと、まず社会保障関係費、小計のところをごらんいただきたいと思いますが、初年度に対しまして約九十二億円の増加に相なっております。それから文教関係費、これも小計でごらんいただきますと、約百二十二億円の増加に相なっております。科学技術振興費六十三億円の増加、国債費では約二十四億円の減少でございます。恩給関係では文官、旧軍人合せまして約六十一億円の増加、地方交付税交付金におきましては約二百四十億円の増加、防衛関係、これも小計をごらんいただきたいと思いますが、四億円の増加、賠償等特殊債務処理費におきましては百十五億円の増加。公共事業関係費におきましては二百三十五億円の増加。ここにカッコのある数字とない数字とございますが、カッコのある数字は、失業対策費中に含まれております特別失業対策事業費並びに臨時就労対策費を含めた数字でございまして、むしろ公共事業費の実態としては、この方をごらんいただく方がよろしいのでございまして、カッコ内の数字は二百三十億円の増加ということに相なっております。それから住宅及び環境衛生対策費では十一億円の増加、農業保険費では四億円の減少。外航船舶建造融資利子補給におきましては三十一億円の減少、全額削除いたしております。予備費は前年と同額でございます。 重要経費の総額におきましては八百七十四億円の増加、雑件は百五十一億円の増加、大体こういうような工合に千二十五億が割り振られておるわけであります。 次は、特別会計につきまして一覧表が示してございます。特別会計の数は三十九でございます。新たに設けました特別会計が三つございます。その一つは国有財産特殊整理資金、二は特定土地改良工事特別会計、三は特定多目的ダム建設工事、この三つを新たに設けることといたしております。説明は後ほどにいたします。 次は政府関係機関収支につきましても、一覧表が示してございます。政府関係機関の数は全部で十一ございます。新たに設けました機関が一つ、公営企業金融公庫がございます。これにつきましても、おもなものにつきまして後ほど詳しく申し上げます。 その次に、財政投融資資金関係がお示ししてございます。原資、運用とも三千二百四十六億、前年度に対しまして六百七十三億円の増加に相なっておりますが、これにつきましては、後ほど理財局長より評しく説明いたします。 第二の、一般会計の歳出に参りまして、重要事項別にごく概略を申し上げて参りたいと存じます。 社会保障関係費では、前年に対して九十二億増加しているということを先ほど申し上げましたが、そのうち、まず生活保護費でございます。計上額は三百六十五億円でございまして、前年度に対しましては約二億の増加ということに相なっております。増加額はわずかでございますが、反面、保護人員が減少することによりまして、十五億円あまり減少をいたしておる数字をのみ込んでおるわけでございまして、その点をあわせて考えますと、約十七億円の実質的な増加ということに相なっております。増加いたしましたのは、保護基準の改訂による増加約十二億円、母子加算の拡充によりますもの約五億円、その他事務費等ということに相なっておりますが、生活保護の人員は、最近の経済界の活況に伴いまして、だんだん減少いたして参っております。その実績を基礎にいたしまして三十一年度末の人員を推定し、それに対しまして来年度は一%の増加を見ておるわけでございますが、それでこのような人員の減少に相なります。単価につきましては、最近の実績を考慮いたしております。 保護基準の改訂は、昭和二十八年七月からずっと据え置かれておりました基準を、最近の物価の動向、家計支出の推移等を勘案いたして、六、五%改訂することといたしております。 このほかに母子対策を推進するために、その一環として、母子世帯中の低所得者世帯に対しまして、母子手当、たとえば東京都で申し上げますと、年額六千円でございますが、これを一万二千円に引き上げる、そういう措置を織り込んでおるわけでございまして、実質的には生活保護の相当の内容の充実をはかっておる次第でございます。 次に、児童保護その他社会福祉費でございます。計上額は九十三億でございまして、前年度に対しまして約十七億円の増加に相なっております。この増加の内訳を申し上げますと、児童保護費で約六億円、その他の社会福祉費で十一億円ということに相なっております。詳しい内訳は十二ページの表にございますが、児童保護質につきましては、収容児童数の増加並びに事務費もございますが、間食費その他収容児童の措置単価の引き上げを計上いたしておりまして、児童保護の内容の充実を期しております。 その他社会福祉対策といたしましては、低所得層対策として、母子福祉、貸付金、世帯更生資金の貸付、新たに設けました医療費貸付金、これらにつきまして相当金額を計上いたしております。なお補助率につきましても、従来ございました母子福祉貸付金、世帯更生資金貸付、いずれも二分の一でございましたが、これを三分の二に引き上げております。新たに計上いたしました医療費貸付補助も三分の二の補助といたしております。 また婦人保護費も大幅に増額いたしております。さらに広島長崎の原爆障害者に対しましても、国費による健康管理、治療の実施を織り込んでおります。また国立のろうあ者更生指導所及び精神薄弱児の養護児の養護院もそれぞれ一カ所ずつ建設をいたす計画をいたしておる次第でございます。 次は、遺族及び留守家族等援護費でございまして、計上額は約七十一億でございます。前年に対しまして約二十一億円増加いたしております。この増加いたしておりますもののうち約十七億円は、従来旧軍人恩給費に計上いたしておりました旧軍人の内縁の妻等の関係の遺族年金、これは遺族援護法によるものでありまして、従来は旧軍人等の恩給の方から移し変えて支出いたしておりましたが、今回は、本来の所管である厚生省にそれを計上いたすことにいたしました金額が十七億円ございます。 次は、社会保険費でございます。計上額は約二百二億円でございます。前年に対しまして約四十一億円増加いたしております。内訳は十三ページにございますが、この中で一番大きく増加いたしておりますのは、町民健康保険の助成費でございます。約三十三億円増加いたしております。これにつきましては、国民皆医療保険ということを目途といたしまして、その手段としては、国民健康保険の普及を推進するという観点から、三十一年度の三千万人の国民健康保険の被保険者数を三十二年度中に五百万人増加する、年度末には三千五百万人に増加するという計画のもとにこの積算をいたしております。この被保険者数の増加に伴う医療費の増加のほか、単価につきましても、最近の傾向を見込んで若干の引き上げをいたしております。 また事務費の補助でありますが、従来、現行制度では被保険者一人当り六十八円六十銭でございましたが、これを八十五円と大幅に引き上げまして、国民健康保険の普及に資することといたしました。さらに直営診療所の建設費の補助の増加、あるいは普及促進費の補助等を新たに計上いたしておる次第でございます。 政府管掌健康保険につきましては、昨年来その対策が問題となっておりまして、前国会に被保険者の一部負担、標準報酬の改訂等の対策を織り込んだ法律案が提出せられておるわけでございます。来年度予算の編成に当りましては、それらの点を提出法律案同様に見込みますとともに、国庫からの補助三十億円を計上いたしまして、本会計の運営の健全化に資しておる次第でございます。なお日雇い健康保険につきましては、この組合の経理の現状にもかんがみまして、従来の医療給付費の補助、国庫負黒割を一割五分に引き上げまして、内応の改善をはかることといたしております。 次は、失業対策費でございます。計上額は三百四十八億でございます。これは前年に対しまして三億七千五百万円の減少に相なっております。減少いたしましたのは、最近の雇用情勢がだいぶ好転して参りまして、また来年度の経済の拡大発展、公共投資の増大等を見込みまして、失業対策事業による吸収人員を三十一年度の二十四万八千人に比べ、約一割減の二十二万五千人といたしましたことによるものが多いわけでございます。他面失業対策事業の賃金単価につきましては、現行二百八十二円を三百二円に引き上げまして、事業内容の充実に努めておる次第でございます。なお二十二万五千人の対象人員のうち、失業者多発地域の対策といたしましては、約三千人を留保し、機動的にこれを活用する所存でございます。 失業保険につきましても、最近の失業情勢を反映いたしまして、給付は減少しつつあります。かかる情勢を反映いたしまして予算の積算をいたしました結果、失業対策事業と保険と合せまして、約四億円の減少と相なった次第でございます。 次は、結核対策費でございます。計上額は約百四十八億でございます。前年度に対しまして十四億円の増加ということに相なっております。結核対策の重点は、従来病床の整備ということに置かれて参りました。二十六万床の達成を目標として計画を進めて参りましたが、この二十六万床は三十二年度中には達成せられる見込みでございます。そこで来年度の予算の編成に当りましては、結核対策の重点を病床増設よりもむしろ予防対策の方に置くこととした次第でございまして、健康診断及び予防接種を全額公費で負担することとして、従来一部行われておりました実費徴収は行わないことにいたしました。また医療費の面でも、公費負担の対象範囲を拡大いたしまして、いわゆる三剤併用の道を開いた次第でございます。病床につきましては、重点とはいたしておりませんが、しかしなお地域的なアンバランスもございますので、三十二年度におきましても、なお千ベッドの増設は織り込んでおります。 次は、義務教育費国庫負担金でございます。八百四十七億円でございまして、前年度に対し約七十八億円の増加ということに相なっております。この増加のうちには、来年度増加いたしまする生徒児童数の増加に伴う職員数の増加もございますが、大部分は昇給原資並びに来年度を期して行うことといたしておりまする国家公務員の給与の改訂、これに伴いまして、義務教育職員につきましても所要の財源を見込むことといたしておる次第でございますが、それに伴うものが大部分でございます。なお、前国会を通過いたしました高学歴所有者に対する給与是正も織り込んでおります。 次は、国立学校運営費でございます。計上額は三百六十九億円、前年度に対しまして約三十六億円の増加ということに相なっております。その内訳は、二十三億円が給与改訂に伴うものでありまして、そのほかに教官研究費の増加、学生経費の増加、病院医療費の増加等々を織り込んでおります。 次は、文教施設費でございます。計上額は約八十九億でございます。前年度に対しまして約八億円の増加ということに相なっております。国立学校につきましては七億円の増加、公立文教施設につきましては二億円の増加ということに相なっております。もっともこの公立文教施設につきましては、戦災復旧事業が本年度限り終了いたしまして、大きく減少するということもございまして、五億三千万円減少いたしております。この減少をあわせ考慮に入れますと、実質的には約八億円の増加ということに相なります。重点を置きました点は、学校統合の促進、二部教授の解消等に必要なる施設の整備、この点に重点を置いて計上いたしております。 次は、育英卒業費でございます。計上額は約四十三億円でございます。前年に対しまして五千万円の増加ということに相なっております。しかし返還金額の増加等もございますので、貸付額といたしましては、約一億円の増加ということに相なっております。内容につきましても、高等学校、大学、大学院、それぞれ若干の改善をはかっておる次第であります。 次は、科学技術振興費。計上額は百七十九億円でございまして、前年対比六十三億円の増加ということに相なっております。この経費は、各省の試験研究機関の経費、原子力関係の経費、その他科学技術研究費等を一括して計上したものでございまして、所管もここにお示ししてございます。大きく増加いたしましたのは、原子力の平和利用関係の経費でございまして、前年度約十五億が六十億と大幅に増加いたしております。このほかに予算外契約の国庫債務負担行為といたしまして三十億円を計上いたしております。 原子力の平和利用の内容といたしましては、原子力研究所、燃料公社、それぞれ事業内容の充実をはかることといたしておりますが、そのほか新たに国立の機関として、放射線総合医学研究所を新設することといたしております。 原子力関係につきましては、このほかにも文部省関係に若干の経費を計上いたしております。十六ページの右の欄にございますが、国立学校、大学附置研究所、文教施設整備費等にわたりまして合計約六億円を計上し、原子力関係の基礎研究と技術者の養成、原子力に関する講座の増設等を計画をいたしておる次第でございます。 なお、目下予備観測が行われておりまする南極観測につきましては、来年度が本観測に当りますので、所要の経費を計上いたしております。 次は、国債費でございます。計上額は三百六十二億、本年度に対しまして約二十四億円の減少に相なっております。内訳といたしましては、国債償還が百三十七億、国債の利子が二百二十三億、こういう内訳になっております。なお、この利子の中には、在外財産問題審議会の答申にもかんがみまして、引揚者の現状に即して、その対策が実施される場合を考慮いたしまして、交付公債の利子といたしまして十億円を含ましめております。ほかに事務取扱費もございます。 次に恩給関係でございます。文官恩給は計上額百七十五億、前年度より二億足らずの増加でございます。この増加は、先般行われました二十三年六月三十日以前退職文官の恩給不均衡是正の平年度化に伴うものでございます。 旧軍人遺族等恩給費計上額は七百八十六億円でございます。増加額は約六十億円と相なっております。この増加いたしました内訳は、人員の増加によりまするものが約五十二億円、先年行われました号俸是正、いわゆるベース改訂に伴いまするもの——来年度において初めて平年度化するわけでありますが、その平年度化に伴いまするものが四十一億円、先般通過いたしました、内地における公務死の取扱いに関する恩給法の特例、これに要しまする金額が約十二億、以上のような増加がございます反面、既定計画に基く失権等による減少が約四十五億円でございまして、差引約六十億円の増加ということに相なっております。 次は、地方交付税交付金でございます。計上額は千八百六十八億、前年度に対しまして二百四十億円の増加ということに相なっております。交付税の基礎と相なっておりまする三税の収入見込みは、所得税二千三百億、法人税三千九十六億、酒税千八百十億、合計約七千二百七億で、ございまして、これに対しまして百分の二十六を計上いたしましたのが千八百七十三億、それから過年度分の調整額、過年度における交付のし過ぎが約六億ございますので、それを差し引きました金額が、予算計上額の千八百六十八億という計算に相なる次第でございます。この交付税の増加のほか、地方財政といたしましては相当大幅な地方税の増収が見込まれておりまして、来年度の地方財政の一般財源は著しく充実されるものと期待いたしております。地方税につきましても、この際国税の減税と合せて事業税の減税等を行う予定になっております。 また国におきまして揮発油税の税率を改訂いたしまして、道路費の充実をはかっておりますが、これに伴いまして、地方におきましても、地方道路税並びに軽油引取税の税率を若干引き上げる予定といたしております。 その他地方財政につきましては、地方財政の健全化をはかり、歳入構成の適正化をはかるという観点から、新規普通事業債を大幅に減額いたしております。また起債引き受け策といたしましても、政府資金債の割合を増加する、政府資金債の貸付利率の引き下げを考慮する等の健全化方策を検討いたしております。 以上のような諸施策の結果、地方財源は相当充実し、地方財政は相当例全化されるものと期待いたしておる次第でございます。地方行政水準につきましても相当向上を期待できるのではないかと考えておりますが、いずれ地方財政計画を提出いたしまして御検討をいただくということに相なると存じます。 なおもう一つ、地方財政関係で付言いたしますと、先ほどもちょっと触れましたが、地方公営企業債の低利消化をはかるために、公営企業金融公庫を政府関係機関として新設をいたす予定と相なっております。 次は防衛関係費でございます。防御関係費には、防衛支出金四百二億円、防衛庁経費千十億円、この両方がございますが、便宜防衛庁経費の方から申し上げます。 防衛庁経費は八億円を増加いたしまして、千十億円と相なっておりますが、防衛庁経費の査定に当りましては、従来毎年相当額の繰り越しが出て参っておりまして、予算執行上いろいろ御批判をいただいておった次第でございます。今回の防衛庁経費の予算も、査定に当りましては予算の消化能力を特に考慮に入れまして、計上額の適正化を期した次第でございます。前年度とほぼ同額と申してもいい程度の千十億円程度にとどめ得ましたのは、ただいま申し上げましたような観点からの査定の結果であります。千十億円の陸、海、空別の内訳は、陸が五百二億、海が二百十九億、空が二百五十六億、官房その他三十三億円ということに相なっております。 なお千十億円を現態勢の維持と増勢という観点から区分いたしますと、現態勢維持のためのものが八百九十四億円、増勢のためのものが百十六億円ということに相なっております。増勢の内容は、陸につきましては増勢をいたしておりません、海、空でございます。海につきましては、艦艇十一隻の約五千五百トンの建造を計画いたしておりまする外、アメリカから四隻、約四千八百トンの供与を受ける、また航空機百四機の供与を受ける、そういう前提で人員につきましては制服千四百三十人、一般職員五百七十一人を増員することといたしております。空につきましては米国から航空機九十四機の供与を受け、日本での調達二百三十機を予定いたしておるわけでございまして、これに伴いまして人員は制服五千四百九十一人、一般職員八百五十六人の増加を予定いたしております。官房その他におきましても若干人の増員を予定いたしております。 なおこの千十億円の予算のほかに、予算外国庫債務負担行為といたしまして二百億、継続費として新たに約三十七億円計上いたしております。その内訳は、国庫債務負担行為分は航空機購入のためのものが百二十五億、施設整備のためのものが二十三億、器材購入のためのものが約三十二億、艦船建造のためのものが二十億、継続費といたしましては甲型警備艦建造のため三カ年にわたる継続費を計上いたしております。 このように防衛庁費におきまして八億増加いたしましたので、防御分担金に関する日米間の協定になる一般方式に従いまして、防衛文出金のうちの合衆国軍交付金は四億円だけ減少を見ることと相なりまして、計上額は二百九十六億円と相なっております。施設提供等諸費、軍事顧問団経費等は前年度と同額でありまして、その結果防衛支出金の総額は四百一億六千五百万円、前年度対比四億円の減少という結果に相なっております。 次は賠償等特殊債務処理費であります。計上額は二百十五億円でございまして、百十五億円を増加いたしております。三十一年にはフィリピンとの間に賠償協定が成立いたしましたし、ビルマ等との賠償協定の実施もようやく軌道に乗って参りました。その他諸般の対外債務の処理状況にかんがみまして、前年度対比百十五億円増の二百十五億円と相なった次第でございます。 次は公共事業関係費でございます。計上額は千六百四十五億、カッコ内の数字では千七百五十四億、このカッコ内は先ほど申しましたところと同じでありますが、失業対策に含まれておる特別失業対策事業費並びに臨事就労対策事業費を含めた数字でありまして、カッコ内の数字で申し上げた方がよろしいかと存じますが、カッコ内で申しますと、前年度対比二百三十億円の増加ということに相なっております。公共事業費におきますこの印刷物の叙述はいささか詳細にわたり過ぎておりますので、詳細はこの印刷物をごらんいただくことといたしまして、ごく要点だけを申し上げることといたしますと、来年度の公共事業費予算の特色といたしましては、まず第一に産業基盤の整備、なかんずく道路その他の輸送隘路の打開努めたということでございます。その結果道路、海湾、工業用水、空港等の予算が相当増額をされております。第二には特定多目的、ダム建設工事並びに特定土地改良工事、この二つの特別会計を設けまして、これらの事業の促進をはかったということであります。さらにもう一点といたしましては、本年度から実行されました地方財政再建促進特別措置法に従いまして本年度施行の結果、必要なる補助率の引き上げ差額、これを来年度の予算に新たに計上いたしておる、この三点に特色がございます。 両特別会計のことは後に申し上げることといたしまして、道路の関係をまず申し上げますが、道路の現状にかんがみまして、道路整備を画期的に拡充するという目途のもとに、揮発油税の税率現行一万一千円を四千八百円引き上げまして、道路整備の財源の充実をはかっております。このほかに一般財源約四十億円を増額いたしまして、あわせて道路整備費の予算を三十一年度に比べ約二百億円、六割方増加することといたしております。この揮発油税の引き上げに伴いまして道路費財源の地方における問題の処理に資しまするために、地方道路税につきましては現行二千円を千七百円引き上げ、また軽油引取税につきましても約三千円の引ぎ上げを予定いたしておる次第でございます。これらの措置によりまして、国、地方を通じ道路整備費の財源が充実されるわけでございまして、従来の道路整備五カ年計画もこの際再検討いたしまして、新たなる観点からの長期計画を樹立する考え方をいたしております。 道路のほか、産業基盤の整備をはかるために、港湾、工業用水道、都市計画等につきましては、それぞれ相当増額をいたしまして、重要鉱工業地帯の産業立地条件の整備を促進することにいたしております。 さらに北海道、東北、離島等の特定地域の総合開発事業の拡充をはかることといたしまして、予算額を相当増額いたしております。この状況につきましては二十一ページの右欄の上にございますが、北海道について申し上げますと、前年百六十五億を二百六億円に、東北につきましては、これは重点事業のみでございますが、前年二十億円を五十七億円に、離島につきましては前年約九億円を十一億円に、また首都圏につきましては前年約十三億円を約二十三億円に、それぞれ事業の充実をはかっておる次第でございます。 災害復旧事業費につきましては約四十四億円を減少いたしておりますが、これは二十九年度以降三十一年度に至るまで、比較的災害の発生が少かったことに伴うものでございます。各年災別の災害復旧予定額は二十七ページにございますが、災害の最も大きかった二十八年災について申し上げますと、来年度末には八五%までは復旧を見ることができることと相なりました。失業者の吸収の観点からする特別失業対策事業並びに臨時就労対策事業につきましては、従来と同じ構想をとっておりまして、一日平均約三万八千人の吸収を予定いたしております。また国土総合開発事業調整費は前年と同額を計上いたしております。さらに先ほど申し上げました地方財政再建促進特別措置法の関係による補助率引き上げ差額は二十三億円を計上しておる次第でございます。二十一ページに公共事業費の全体にわたりましての業種別の内地、北海道別前年度対比の表がございますが、時間の関係もございますので説明を省略させていただきまたいと存じます。 次は二十七ぺ一ジに参りまして、住宅及び環境衛生対策費でございます。計上額は百二十四億円でございまして、前年度に対し十一億円の増加に相なっております。この中には住宅対策費と環境衛生対策費が含まれておりますが、住宅対策費は約百七億円でございまして、前年度より約三億円の増加に相なっております。一般会計に計上しております住宅対策費はいわゆる公営住宅費でございまして、その中には一種と二種とございますが、一種、二種を通じました建設戸数は四万六千戸、前年と同数でございますが、本年度はその中の第二種、低家賃住宅の数をふやしております。第二種住宅は第一種住宅よりも補助率が高い結果、金額としては三億円の増加という結果に相なっております。環境衛生対策費は計上額十七億円でございます。内訳はまず下水道終末処理施設並びに、屎尿消化槽施設費約七億円でございます。このほかに特別失業対策あるいは公共事業に含まれておる下水道があるわけでございますが、それを含めた数字はカッコ内の数字の十二億余りでございます。前年度よりも飛躍的に増強を見ておりますが、これは都市における屎尿処理問題の解決のために、特に東京湾、大阪湾における屎尿の海洋投棄を三年間でとめるという計画を採用し、その他の都市におきましても特に問題になっております環境衛生の向上をはかりますために、下水道終末処理施設及び屎尿消化槽の整備を促進するための経費を増額計上いたしました次第でございます。簡易水道は十億円でございまして、二億円足らず増額いたしております。また新たに蚊とはえ撲滅対策費三千三百万円を計上いたしました。 次は農業保険費でございます。計上額は百七億でございます。前年度より約四億円減少いたしております。減少いたしておりますのは農業共済事業の事務費の負担金を若干減少いたしましたのと、過年度における繰り入れ超過約三億円がございますので、その分を調整いたしました結果でございます。 次は、外航船舶建造融資利子補給でございます。全額削除いたしました。最近海運界は非常に活況を呈しておりますし、また一般金利もだいぶ下って参りましたので、こういう最近の実情に即しまして、全額辞退を期待いたしまして、ゼロといたした次第でございます。なお臨時船質等改善助成利子補給法に基きまする利子補給額、これは数百万円のわずかな金額でございますが、これは雑件の方に残してございます。 予備費は八十億円でございまして、前年度と同額でございます。 それから雑件でございますが、雑件の中には、たとえば新市町村建設促進費、農山漁村建設総合対策賢、いわゆる新農村建設費、あるいは寒冷地農業振興対策費、あるいは貿易振興費、中小企業対策費等、重要な経費が数少くないのでございますが、時間の関係もございますので、御説明は省略させていただきたいと思います。 一般会計の最後に、給与改訂の問題について簡単に申し上げます。昨年七月、人事院から勧告がございまして、三公社五現業の職員あるいは地方公務員に比べて一般職の公務員の給与は低いし、また現行給与制度にもいろいろ不合理な点が多いので、それらの点を改善すべしという勧告が行われた次第でございます。来年度の予算の編成に際しましては、この勧告の趣旨を尊重いたしまして、全面的に給与制度の改訂、合理化を実施することといたしております。 それに要しまする財源といたしましては、三十二ページにございますように、一般職員、義務教育職員、補助職員、すべて合せまして百五十六億円、そのうち俸給制度の改正に伴いまするものが百三十四億円、特別手当〇・一五月分の増額に伴いまするものが二十二億円、合計百五十六億円を計上いたしております。これによりまして具体的にいかに給与制度を改訂し合理化するか、それらの点につきましては目下せっかく具体案を検討中でございまして、いずれ法律案をもって国会の御審議をわずらわすことに相なるわけでございます。 今回の予算の積算の基礎といたしました改訂の要諦は三十二ページの上段に掲示してございますが、これらの点の詳細につきましては、いずれ検討の結果、確定後法律案をもって御審議を願いたいと存じます。 歳入でございますが、歳入の大宗をなす租税収入につきましては、主税局長から詳細説明がありますので、省略いたします。また、雑収入につきましては、冒頭に若干申し上げましたので、時間の関係もごいざまして、ここでは省略をさせていただきたいと思います。 三十八ページの特別会計に参りたいと思います。おもな特別会計がここに説明をしてあるわけでございますが、時間の関係もございますので、その中からさらに特に説明を要すると思われるものだけを申し上げることといたします。 まず、交付税及び譲与税配付金特別会計でございます。地方交付税につきましては、先ほど申し上げました通り、千八百六十八億円でございます。このほか入場税もこの会計から譲与税として配分せられるわけでございますが、入場譲与税は百七十七億円でございまして、約十五億円増加いたしております。地方道路税も当会計から地方道路譲与税として分配せられるわけでございますが、これにきましては、先ほども申し上げました通り、現行の税率二千円を千七百円引き上げることを予定いたしまして予算額を計上いたしております。また、新たに国税として特別とん税を設けまして、それをこの会計に受け入れ、特別とん譲与税譲与金として徴収地港の所在する市町村に譲与いたすことといたしております。 資金運用部特別会計、産業投資特別会計につきましては、財政投融資の説明の際に理財局長が触れると存じますので、省略をいたします。 賠償等特殊債務処理特別会計につきましても省略いたします。 国有財産特殊整理資金特別会計、これは来年度新たに設けられるものでございます。この目的といたしますところは、現在都心部その他に官庁庁舎が大きな面積を占めて建っておる例が少くないのでございますが、これを高層化し集約化することによりまして、官庁敷地をより適切なる用途に開放しよう、そういう目的のための特別会計でございまして、高層化、集約化によりまして不用になりました敷地を処分して、その代金で所要の営繕資金を調達し、あわせて土地の開放をはかろう、こういうわけでございます。来年度はもっぱら歳入だけを計上いたしておるわけであります。約九億円の歳入を計上いたしまして、これを資金として保留しておきまして、三十三年度以降高層化、集約化のための財源に充てる、これは一般会計に繰り入れて一般会計の歳出として支出をいたす、さような資金繰りを考えておるわけでございます。 厚生保険特別会計、船員保険特別会計につきましては省略をいたします。 食糧管理特別会計でございますが、この特別会計の予算編成の前提となりました事柄を若干申し上げたいと存じます。 まず、数量でございますが、国内産米につきましては前年度と同じように事前売り渡し申し込み制度を考えております。集荷予定は約二千七百万石と考えて予定いたしております。配給につきましては、現行の配給制度を踏襲いたしまして、準内地米を含めて三十二米穀年度は毎月二十日、三十三米穀年度は毎月十五日の配給を予定いたしております。麦につきましては大体本年度と同じ程度の買い入れを予定いたしております。米麦のほかに、テンサイ糖、農産物価格安定法に伴う澱粉、カンショなま切りぼしその他につきましては従来通り計上いたしております。 価格でございますが、米麦の買入価格につきましては、米は一万円、麦につきましてはパリティ指数の変化を織り込んで算定をいたしております。消費者価格につきましては、米については基本配給価格は現行の内地精米十キロ七百六十五円、希望配給十キロ八百二十五円の現行通りといたしまして予算を計上いたしました。麦につきましては、その価格体系を調整するために若干の引き下げを予定いたしております。 これらの前提をとりまする結果、当会計には赤字が起るわけでございますが、この赤字につきましては、管理費、事務費等を極力合理化いたしまして、支出の節減をはかっております。また、国庫余裕金の利用率を高めることによりまして、金利負担の軽減をはかっております。それらの工夫の結果なお残りまする損失が百四十二億円ということに相なっております。なお、三十一年度末における当会計の損失は、三十年度分三十四億円、三十一年度の分はまだ予測でございますが約百六十一億円でございまして、累計百九十五億円という見込みでございます。 これらの損失の処理をどうするか、価格体系をどうするかということにつきまして、食糧管理特別会計の基本的な問題を処理いたしまするために政府に特別の調査会を設けまして、早急に検討をしていただく、その結論を待ってこれらの問題を処理いたす、さような予定に相なっております。 開拓者資金融通特別会計、国有林野事業特別会計につきましては、説明を省略させていただきます。 四十四ページの特定土地改良工事特別会計でございます。この会計は、土地改良事業につきましてその効率的施行と資金調達の円滑化をはかり、事業の経済性を確保するために来年度新たに設けられるものでございます。対象といたします事業は、国営灌漑排水事業——ただし三十二年度新規着工分だけでございます。並びに国営干拓事業、またこれらに関連がある災害復旧事業もあわせてこの特別会計で処理いたします。従来これらの事業は全額国費で施行いたしまして、後に都道府県ないしは地元から負担額を徴収いたしておりましたが、今回の構想は、国費で施行いたしておりましたその分を全額特別会計に繰り入れまして、都道府県並びに地元の負担になりまする金額は、そのほかに資金運用部から借り入れて調達をすることにいたしまして、従って事業量は若干増額をいたすわけでございます。借り入れ資金とあわせて工事の経済的な速度による進行をはかりまして、工事完成後都道府県並びに地元から負担分を償還させる、さような考え方にのっとっております。予算額といたしましては、一般会計から受け入れます金額が約三十二億円、借入金が約九億ということでございます。 輸出保険特別会計、中小企業信用保険特別会計、郵政事業特別会計、簡易生命保険及郵便年金特別会計につきましては、説明を省略させていただきます。 最後に、特定多目的ダム建設工事特別会計でございます。これも土地改良の特別会計と大体同じような構想でございまして、従来国費で工事を施行し、地方負担分を地方債で償還を受けておりましたが、その国費分を特別会計に繰り入れまして、地方負担分はそのほかに資金運用部から借り入れて、工事規模を増大し、工事の施行の迅速化をはかる、そういう趣旨でございます。なお、この場合には、従来民間の電気事業の分を受託工事として歳入歳出外で処理いたしておりましたが、この分もあわせてこの特別会計で処理することといたし、予算の経理の明確化、事業の施行の円滑化を期しておる次第でございます。予算額は、一般会計から受け入れますのが四十六億円、借入金が約十億円、電気会社その他から受け入れますものが十一億円、さような規模に相なっております。 次は、政府関係機関でございます。 専売公社につきましては、先ほど一言いたしましたので、省略をさせていただきます。 国有鉄道について申し上げたいと思います。国有鉄道の最近の収支の状況を見ますと、だいぶ好転いたしておるのは事実でございます。しかしながら、国鉄の現状は、減価償却におきまして多額の償却不足を残しており、老朽資産が非常に多いのでございます。また、輸送の現状から考えましても、経済発展の降路になっておるわけで。ございまして、今後における経済の発展に伴う輸送量の増大に対処いたしますためには、電化、線増、車両増備等、相当大規模な建設改良を必要とする次第でございます。そこで、約六千億円の資金を五カ年間に投入することといたしまして、その財源といたしましては、三十一年度程度の外部資金に依存します一方、支出につきましては極力節減をはかることといたしましても、なお毎年三百六十ないし四百三十億円程度の不足が生ずることと相なる次第でございますので、この際最小必要限度のやむを得ざる運賃の値上げを実行いたすことといたしまして、十三%の値上げを予定して予算を編成いたしております。その結果、国鉄の損益勘定は収支とも大体六百五十億円程度前年度より膨張いたしております。この中から八百二十八億円を資本勘定へ繰り入れまして工事資金に充当する次第でございます。工事勘定は、四十九ページの下の方にございますが、合計一千六十九億円でございまして、内訳といたしましては、新線建設七十億円、通勤輸送の強化百十億円、幹線輸送九十七億円、幹線電化百二十三億円、電車化十五億円、ディーゼル化九十億円、車両増備百七億円、その他ということに相なってをります。 電信電話公社につきましては、最近の収支状況きわめて良好でございまして、損益勘定におきましては、収支それぞれ百八十億円程度規模を増大いたしております。建設勘定は約六百三十三億円でございまして、前年度より七十八億円増大いたしております。この来年度の建設勘定の予算をもちまして、公社が立てて参りました電信電話拡充整備五カ年計画は来年度中に完了いたす予定でございます。 国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫等につきましては、いずれ財政投融資の計画の説明の際に御説明があると存じますので、省略いたします。 北海道東北開発公庫、これは仮称でございます。昨年北海道開発公庫が設立されたのでございますが、来年度新たに東北における融資も担当をさせるという予定のもとに予算の編成に臨みました。北海道、東北合せまして、事業規模は五億円の出資と百六十四億円の融資ということに相なっております。 公営企業金融公庫、これは新設でございます。地方公営企業債の低利消化の促進というねらいからのものでございまして、事業規模といたしまして、産業投資特別会計からの出資五億円並びに債券発行七十億円ということに相なっております。 開銀並びに輸銀につきましては省略をさせていただきたいと存じます。 最後のページに昭和三十一年度予算補正(第1号)の説明というところがございます。今回のこの補正は、本年度以上に多額に上ると期待されております自然増収を活用いたしまして、そのうちから三百億円を産業投資特別会計の資金に繰り入れることといたしました点、その財源に関連いたしまして起って参ります地方交付税の交付金百億円、両者合せて四百億円ということに相なっております。歳入追加額四百億円の内訳は、所得税二百億円、法人税二百億円ということに相なっております。この補正を加えました結果、三十一年度の予算額は一兆七百四十九億円余りということに相なります。 なお、一般会計のこの補正に伴いまして、特別会計につきましても、交付税及び譲与税配付金特別会計に百億円を受け入れまして支出に充てる意味の補正をお願いいたしておる次第でございます。 以上、粗雑でありましたが、一応の御説明を終ります。
○山崎委員長 次に主税局長原純夫君の説明を求めます。
○原政府委員 税の関係の補足説明をさせていただきます。 政府は一昨年以来租税につきまして税を国民の負担にたえ得るようなものにするということを目途にしまして鋭意研究を続けて参りました。特に各界の有識者にお願いいたしまして臨時税制調査会というものを設けて、非常に広く深く御研究を願って、昨年の暮れその御答申を得て、その線を尊重し、かつ各方面の御意見を伺って、今回の税に関する案をきめたわけであります。 御説明を三段に分けまして、第一に、どういう改正をしようとするかということ、第二に、その税が数字的に大きく見てどういうふうな増減になるかということ、第三にこれらの改正を可能ならしめ、かつ積極財政をも可能ならしめた税の見積りの基礎につきまして申し上げるという段取りにいたしたいと思います。 第一の改正の内容でございますが、お手元に上っております昭和三十二年度租税及び印紙収入予算の説明という文書をお開きいただいて、三十一ページをごらん願いたいと思います。これに改正の要綱が出ております。たびたび伝えられておりますから、すでに御存じ寄りの点が多いと思いますので、ごく簡単に申し上げさせていただきます。 改正の一番中心的なものは、何と申しましても所得税の一般的な減税でございます。三十一ページから三十二ページにかけまして書いてございますが、この減税によります軽減額が、平年度計算で一千二百五十三億円、初年度昭和三二十二年度におきましては一千九十一億円という大きな減税額であります。これは、戦後インフレの割合に進んでおりました時期におきましては、二十五年、二十七年というような時期に千百億円台の平年度減税をいたしたことはありますが、そういう場合の減税は、御存じの通り名目減税が相当多く、実質的に今回のように消費者物価がほとんど横ばいであるという状態でのこれだけの減税というものは、戦後初めて、またいわば明治維新以来初めてだと言うてもよろしいと思います。 そこで、この改正の特徴でありますが、そこに税率の累進度の緩和に重点を置いてやったということがしたためてございます。つまり、改正に当りまして所得税の負担は控除をどうするか、またそれから控除したあとの所得に税率をどうかけるかということできまるわけでございますが、どうも控除の方と比べて税率の刻み方が非常に急であるということが、生計費の実態そのものから、また既往の負担との比較からきわめて顕著に出て参るような状態でありまするので、税率の累進度の緩和に重点を置いております。後ほど表でごらん願いますように、減税財源の約七割を税率の引き下げに充てるということになっております。もちろん低額所得者の負担の軽減にも十分留意いたしまして、軽減率は低額の方がやはり若干多い。しかし、中程度のところまでは相当の軽減が参るというような形になっております。基礎控除、扶養控除等につきましての改正の仕方、そこにしたためてございます。税率につきましても一々申し上げることはいたしませんが、非常に税率の刻みの幅が大きくなっているということは、税率の軽減が大きいということでございます。 その結果どういうふうに負担関係が変るか、軽くなるかということは、次の三十五ページ以下の表に出ております。詳しい御説明は略しますが、三十七ページに給与所得者、三十九ページに事業所得者の場合の負担の変遷が出ておりますが、三十八ページの横に区切っております段の下から三段目に、夫婦及び子三人という標準世帯の場合の軽減の割合が出ております。その下のページに給与の金額が横に入っておりますから、そこでごらんいただいて、三十万円のところで上にたどっていただいてごらんいただくと、給与所得者の場合は初年度五三%、平年分六五%軽減になります。それから、その一つおいて右の五十万円のところでは、初年度四〇・七%、それから平年分五〇・九%、もう一つおいて右の百万円のところへ行きますと、昭和三十二年は三五%、それから平年は四五%ということになっております。事業所得者の場合の数字は四十一ページのちょうどまん中くらいのところにございます。左に夫婦及び子三人というのが書いてありまして、それの一番下の段でございます。軽減割合三十万円のところでは、初年分二八・七、平年分三九・七、大体三割、四割というのが、五十万円のところでもまた百万円のところでもそういうふうになっております。事業所得者の場合は、このほかに社会保険に入っておられますとなお三%とか五%とかいう軽減の多い度合いになるような次第であります。入られない人が割合多いので、入らないものと前提して計算しておりますが、そういうような状態でございます。なお、給与所得者につきましては、一月、二月、三月は減税前の現行の税率で源泉徴収をされておりますから、四月から実施するということは、四月分の月給から源泉徴収は完全にフルに減税の影響が響いた、ただいま減税率を申しました下の方の割合、軽減率の多い方の割合で源泉徴収が減って参ります。ですから、四月分からフルに減税の影響を受けた月給袋の中身になる、こういうわけでございます。 なお次に、法人関係におきましても、中小企業の負担を軽減するという意味で、三十二ページのまん中ちょっと下のところに、第二、法人税とありますが、法人税は一般には四〇%の税率で取っております。ただし五十万円以下の所得部分については三割五分の軽減税率でやっておりますのを、五十万円を百万円に上げて、その分を三割五分で取るように改めるということになっております。 この二つが一般的に所得税、法人税についていわば一般的な広い減税と言えるものであります。その他の事項は、たとえば租税特別措置の整理合理化におきますように、経済の情勢が変ってきた、また税負担の公平の見地からも考え直さなければならぬというようなことから、この際整理して財源を生み出す、そしてそれを減税ないし歳出の財源に充てるという考え方で出しましたもの等でございます。 間接税の系統は、調査会の答申には相当基本的なウエートを間接税に移すという考え方がございましたが、自然増収の多いこの際、その必要はなかろうということで、例外的に印紙税、揮発油税というようなところで増徴いたしたいというふうにいたしております。 三十二ページの上の二のところ、貯蓄の奨励、利子所得、配当所得、それから生命保険料控除——生命保険料控除は整理するのでなくて、今回は控除を引き上げるようにいたします。引き上げ方はそこに書いてあるのをごらん願います。それから概算所得控除は廃止する。それから、一定額以上の所得がある場合に、配当所得、不動産所得等の資産所得の世帯員内の合算をしてかける。税負担の公平のためにこういたしたいと思います。五として、配当控除制度を合理化するために、配当控除率を百分の二十に下げる、一千万円をこえる部分の配当については百分の十に大幅に下げて参るということにいたしております。 法人税の二のところも、特別措置の関係で、貸倒準備金、価格変動準備金、渇水準備金等について、それぞれ適当なる、妥当なる限度に繰り入れる限度を下げる。それから、特別償却は、逆に拡充合理化を行なって、より機動的に経済の実態に合うようにやって参る。輸出所得特別控除は存続する。重要物産免税制度は、合理化して、妥当な範囲でこれを存続いたす。交際費は制限を強化して二年間存続する。増資配当免税等は廃止するというようなことがしたためてございます。 印紙税につきましては、手形に対する印紙税が、借用証書に対する印紙税の場合と違って、何億円の手形でも一枚十円の定額でありますのを、担税力を考えて、こらんの通りな階級の刻みに応じて税率を盛るようにいたしたいと思います。 揮発油税、地方道路税につきましては、合計現在一万三千円の税負担になっておりますが、これを双方合せて半分六千五百円引き上げ、うち増税分が四千八百円地方に参ります。地方道路税分が一千七百円という予定にいたしております。 自余の税はこまかいものでございますから、後ほどごらん置きを願います。 三十四ページに参りまして、八というところに中小企業の固定資産の再評価ということがしたためてございます。これは、二十八年、九年に第三次の再評価をやりまして、特に大きな企業についてはそれを最後としてもう強制までして片をつけたわけでございますが、中小企業が経理能力がない、あるいは当時景気が悪いというようなために再評価できないというものをこの際ごめんどうを見ようというわけで、簡単な基準でこの再評価を行いたいと考えております。 以上非常に簡単でございますが、何をやるかということをその程度にとどめまして、第二段の、それではそれらが全般としてどういう計数的な動きになるかということをごらんいただくために、三ページの二番という表をごらん願います。 昭和三十二年度租税及び印紙収入予算額という表がございます。この表は、左に各税の税目が書いてございます。一般会計というのが出ておりまして、下から五、六行目のところにその合計が出ております。その線の下は、交付税及び譲与税配付金特別会計、——国税として取りますが、地方に配る分であります。そこで、通常この一般会計のところが一応のまとまりとして考えられますので、そこをごらんになっていただきたい。つまり、下から一、二寸のところにある横線の上の数字を右にたどっていただきたいと思います。 まず昭和三十一年度予算額というのがありまして、その合計が八千二百六十七億、その右に参りますと、右は全部昭和三十二年度の分で、その最初に現行法による収入見込額、これはつまり自然増収があってこれだけになるという数字であります。そのなる数字が一兆百八十九億、この開きが千九百二十二億であります。自然増収千九百二十二億といいますのは、この二つの数字の差であります。どれが一番伸びているかといいますと、法人税が八百三十四億、これが一番の頭であります。次が所得税で六百二十八億増、うち源泉の分五百六十五億が圧倒的なウエートを占めております。次は酒税の百六十一億増、あと続きましては関税の八十七億、揮発油税の六十八億、それから物品税の五十五億、印紙収入の五十四億というようなところが大きな項目であります。 さて、こういうふうに自然増収を合せて一兆百八十九億のものを、その右の三欄で税制改正によってどういうふうに増減するかというのを掲げてございます。その最初の欄が所得税及び法人税の一般的減税、先ほど申しました所得税の分と法人税の三五%の税率を適用するという例の分であります。合計して一千百七億、うち所得税が一千九十一億、法人税が十五億ということに相なっております。その右にその他の改正(D)と書いてあります。これは先ほど申しました租税特別措置あるいは資産合算、配当控除の制限等、増のものもあり、減のものもございます。それらを税目別に差引計算をした純計を出して、その総体の締めが三百八十七億出ております。その内訳をプラス、マイナス各項目別にごらんになるために次の五ページの表が出ております。後ほどそれをごらんを願います。そこで、三百八十七億を引きますから、差引、この減税の純減税と申しますか、額は七百二十億一千八百万円というのが出ております。それで、これが現行法による収入見込額から差し引かれまして、その右に予算額九千四百六十九億一千五百万というものが出ておるわけであります。それの前年度に対する増は一千二百一億九千八百万であるというふうに出ております。そこで、この一千億減税というのに、純粋にはと言いますか、差引では七百二十億であるということを、中身をごらんいただくのが五ページの表であります。 五ページの表は、減税が影響します度合いが、初年度の影響と平年度の影響と違います。そこで大きく初年度と平年度と二つに分けてあります。そこで、左側に一般的な減税、特別ないろいろな措置とか、項目が並べてありまして、それが所得税でどう増減し、法人税でどう増減し、その他でどうということが書いてあります。 最初に所得税の一般的減税のところをごらんいただきます。これは、千九十一億のところを源泉と申告に分けて、かつ各種控除、税率のためにどれだけ財源が要るかということを示した表であります。平年度の数字でごらんいただきます。一番右側に千2百五十三億という合計があって、その内訳が基礎控除二百億、扶養控除百二十九億というふうに出ております。割合で申しますと、基礎控除に当る分が一六%、扶養控除に当る分が一〇%強、それから給与所得控除に当る分が五・五%、それから税率の引き下げに充てられる分が六八%強ということになっております。 その下は法人税の分、その三のところに、特別措置の整理合理化というのがございます。そうしてその計が初年度で二百億、それから平年度で右に行っていただいて三百五十五億となっております。これはごらんの通り三角のものとプラスの分とのネットでありますから、初年度は増の分が二百三十五億、減の分が三十五億、平年度は増が四百六億、減が五十一億。大きな項目は概算所得控除、貸し倒れ準備金、価格変動準備金、平年度へいきますと増資配当免税というようなもの、あるいは重要物産免税制度、あるいは交際費というようなものが割合で大きなウエートを占めるようになります。 四の間接税の増徴、これは先ほど申した通りのことで、手形印紙二十億と、揮発油税百二十八億。その他では、配当控除率、合算制度というようなことで三十八億。その合計が先ほどの表の三百八十七億になるわけであります。 特にこれをごらん願いましたのは、こういう意味もあるのであります。ただいま申しました一千九十一億円の減税に対して、いろいろ増税するからネットはこうという数字になるわけでありますが、この増税の方は、特別に優遇をしておったものに対して、事情も変ってきたから、また公平の見地から制限するというようなことで、特定の部面に影響がいくというものがほとんど全部であります。概算所得控除だけは一般に影響が参りますが、それ以外は特定の優遇を縮める、または廃止するということでありますので、千億減税の受ける感覚といいますか、受ける事実といいますものは、そのまま残るというふうに言うてよろしいと思います。 それで第二段のお話を終りまして、第三段の計数の見積りの基礎について申し上げたいと存じます。このパンフレットはその見積りを申し上げるつもりでできておるので、それが主たる部分でありますが、簡単に申し上げます。 まず、どういうような基準と申しますか、いろいろな経済の伸びをどういうような値において計算しておるかというのが、要約して一ページの終りのところから二ページのところに簡単に出ておりますから、これをちょっとごらんを願って、そして各税のうちおもなるものについて簡単に申し上げます。 一ページのおしまいから五、六行目に「見積りの前提となった経済諸要素の大要を説明する」と書いてございます。源泉所得税、これは雇用量がどうなるか、賃金水準がどうなるかというのが見積りの大きなファクターになります。賃金水準は三十一年度に比して約六%、それから雇用量は約二%ふえるという前提でやっております。配当所得は約三割ふえるというふうな見込みで、源泉をはじいております。 次のページに参りまして、申告所得税関係。これは個人企業における生産量、販売量等できまるもので、生産と物価というようなものからはじき出すわけでありますが、そこにありますように、営業所得では昭和三十一年に比べて八%程度所得が増加する、農業所得は平年作を前提ということはもちろんであります。 それから(C)の法人税のところでは、生産、物価を精細に見込んで月別に調べておるわけでありますが、その結果を概略申しますと、そこにありますように、昭和三十二年の上期、二月から七月までの事業年度の分でありますが、その申告所得額が昭和三十一年下期に比べて約八%ふえる、それからその次の半年、下期もそのレべルで続くということに大体なっております。 以下相続税、酒税、砂糖消費税等につきましては、最近の実績を見、それまでの実績の動いてきた動きを将来に予測を立てて計算しております。その場合、経済企画庁あるいは通産省等の計画数字というものは十分尊重し、それによってやっていることはもちろんであります。指標はそういう指標を使っております。 そこで、各税について一々は省略させていただくとして、七ページのところに所得税の見積りが書いてございます。続いて法人税が書いてございます。その辺のところをざっとごらんいただきたいと思います。 まず所得税、源泉所得税の関係でありますが、最初に現行法というのが書いてあります。九ページに改正法というのが書いてあります。つまり、現行法でいけば幾ら取れるだろう、先ほど申した自然増収を加えた数字になるいきさつがここに書いてございます。そのやり方は、したためてありますように、まず給与所得の分を出して、それからその他の配当あるいは退職所得等の分を別に出す。給与の分は昭和三十年の実績人員、実績支給金額というものがはっきり実績としてわかっております。それをもとにして三十一年、三十二年にかけてどれだけ賃金が上るか、また人員がふえるかということを、そこに書いてありますように、それぞれ十五・七%、それから人員では四%の増を見込むということにしましてやって、納税人員は何人になるかというのが下から四行目の九百十五万七千人、そしてそれらの給与額をただいまの伸びの指数でかけて、それから各種の控除をし、税率をかけて税額を出す、そしてまた税額から税額控除があるというようなことが次のページにかけてずっと書いてございます。その結果、八ページの下から三分の一くらいのところに参りまして、本年度の収入見込み額二千二百六十七億、これが給与から上る源泉徴収額の改正しない場合の見込みであります。そのほかに、Bのところに給与以外の分、配当、退職、社会保険診療等について、最近における実績を基礎として推計したものが三百四十三億、それらを合計し、還付額を引いて、右のページに参りまして二千五百六十一億というのが源泉所得の、先ほどごらんを願った自然増収を含めた現行法による収入見込み額の欄の数字になるわけであります。 そこで、大改正をやってどうなるかということが、改正法というところで九ページにずっとしたためてございますが、改正いたしますと、階級別に所得の状況を並べて、そしてそれらが控除がふえると失格者が出ます。それがまん中のところに失格となる者の人員見込み六十六万九千人と、こう出ております。そして納税人員が残りの八百四十八万八千人。それらの給与につきまする控除が変って参ります。変った控除を適用し、変った税率を適用し、変った税額控除を適用して、本年分の課税、それに基く収入というのが十ページのところに出て参っておりまして、まん中のBのすぐ上のところに本年度収入見込み額の千四百十七億、先ほど申した改正しなければ二千二百六十七億が、千四百十七億というふうに八百億ばかり減るわけであります。給与所得以外につきましても、税制改正の影響を加味したものを計算して、そして総合計が十ページの終りに千七百二十八億というふうに出ております。これが先ほどの本年度予算額に出ておる数字でございます。 申告所得税につきましては、現行法というところで、先ほどと同様現行法でいった場合の税収は、昭和三十年の課税実績というものが最近の確かなデータでありますので、それをもとにして、Bのところで、それに対して所得がふえる、ふえるのは生産がふえ、物価が上るというような要素をかけ合せまして、これも業種別にそれに妥当する指数をかけ合してやっております。そして推計しました金額から法人成りによる所得の減少を見込んで、次の十二ページに参りまして、人員から総所得金額、控除、税額というふうにずっとはじいて参ります。そして下から四つ目くらいのところで差引税額というのがありますが、これが課税額で六百七十五億一千一百万。それが幾ら徴収になるか、また翌年度への繰り越しがどうなるかというようなことを見ますと、十三ページの上から三分の一くらいのところに、本年度収入見込額五百六十九億というような数字が出て参ります。そしてそれからまた過年分所得に対する決定があったり、あるいは繰り越し滞納額の納入があったりしまして、最後の数字六百八十九億というのが改正しない場合の収入見込額であります。 改正いたしますと、同様なやり方で同様な表が次の二ページにわたって出ております。その最後十五ページの一番下に、昭和三十二年度予算額五百七十一億というのが出て参るわけであります。説明は先ほど申したようなところで、一応ごらんいただきたいと思います。 十六ページには所得税の増減税の要素別のものが書いてあります。先ほど大きな表で掲げてありますものをここに再掲したわけであります。 法人税につきましては、まず現行法による分、改正法による分と二つに分けるわけでありますが、現行法による分は、最近のデータである昭和三十年十二月から昭和三十一年十一月までの申告税額、これが一番近い一年分の申告税額であります。それをもとにして、その下にありますように、所得の増加割合を生産、物価から総合して一二七・九%三十二年度分はふえるというふうに見まして、三十二年度の申告見込みをとり、それからの収入を見、下から一寸くらいのところに、本年度収入見込額二千六百七十億一千九百万、加えて更正決定によって増差の分が二百四十八億、その次の紙へ行きまして、個人が法人になるという関係から法人所得がふえて、本年度四十七億二千万ふえる、それに繰り越し関係を調整いたしまして、Fのところで三十二年度収入見込額三千二十五億というのが現行法で出る。 改正法では、先ほど申しました一般減税十五億のほか、特別措置の整理等の増収、それらの純額が七十億の増となりますので、それを合計して三千九十五億七千九百万円の予算になるということでございます。 以下相続税、再評価税、酒税以下の間接各税がございますが、先ほど申し上げました通り、最近までの実績をもとにし、その実績の中から伸びを読んで、また伸びについては関係各庁の計画数字をいただいて、それによって見込んでおるということで、一々の説明は省略さしていただきます。 以上御説明を終るわけですが、最後に何らかの御参考のために、四十二ページ、四十三ページの、こうなると税は国民所得に対してどうなるかという数字が出ておりますから、それをごらんいただくようにお願いいたします。四十三ページの方に国民所得に対する租税負担率はどうかというのが出ております。三十一年度、これは予算ペースでやっておりますが、負担の割合は、右からごらんいただいて、国税のみで十三・八%、地方税も入れて一九・六%、それが、三十二年度は、国税のみで十三・四%、地方税も含めると一九・一%と減るということになりますが、三十一年度は予算ぺースでありますから、決算になると若干違って参ります。決算においては、国民所得もふえ、また税収もふえるということで、この割合は大体変らないと御承知いただいてけっこうでございます。それから、その左のページの直接税、間接税の区分でありますが、三十一年度は、ごらんの通り直接税が五一%、間接税その他を合せて四九%となっております。三十二年度は、現行法のままでおきますと、直接税が非常に伸びて五四・九%、五五%に近くなります。間接税その他は四五%程度になるわけであります。改正法では大幅に減税があり、特にそれが直接税で著しいということから、そのあとの結果は、直接税五〇・二%、間接税その他が四九・八%ということになります。御参考までに申し上げます。 以上で御説明を終ります。
○山崎委員長 次に理財局長河野通一君に説明を求めます。
○河野政府委員 三十二年度の財政投融資計画と国庫収支について御説明を申し上げます。 お手元にございます予算の説明書の九ページに財政投融資計画の表がございますから、これをごらんいただきたいと思います。非常にこまかい表でおわかりにくいかと思いますが、読み方だけを先に申し上げておきます。 左側に各財政投融資を受ける対象が縦に並んでおります。それから横に、一番上に各原資の別に、たとえば産業投資会計、資金運用部等があがっておるわけであります。各段の上の数字は三十一年度の計画、下の段が三十二年度の計画、こういうことに相なるわけであります。時間もございませんので、一々について申し上げることは省略させていただきまして、詳細は五十三ページ以下にございますから、お読みいただきたいと思います。 まず財政投融資の計画の原資でありますが、今お手元にあります九ページの上のところに、原資見込みというものが載っております。この点について先に申し上げます。 財政投融資に充てられる政府資金の原資は、一般の経済の状況を反映いたしまして、資金運用部にいたしましても、簡保資金にいたしましても、相当な増加をいたしております。原資の総計は、合計というところにございますように、三十一年度が二千五百七十二億でありましたが、これが三十二年度においては三千二百四十六億という数字を見込むことができる状態であります。差引六百七十三億の原資の増加、こういうことに相なる次第であります。 原資の中で一、二重要な点だけ申し上げておきますと、まず第一は産業投資特別会計であります。これは、先ほど主計局長から御説明申し上げました通り、本年度の補正予算といたしまして、一般会計から産業特別会計に三百億の繰り入れをいたすわけでありますが、このうちの百五十億を来年度の財政投融資の原資として使用いたすことにいたしております。その百五十億がこの中に入っておるわけであります。それから第二点は、これは消極的意味でありますが、三十一年度におきましては余剰農産物の受け入れによりまして、この関係の会計に百七十七億の原資を入れたのでありますが、三十二年度におきましては第三次余剰農産物の受け入れば予定をいたしておりません。従いましてこの点はゼロということに相なっておるわけであります。以上が原資につきましての概要の御説明であります。 次にこの原資をどういうふうな重点に従って配分をいたしましたかという点について、要点だけ申し上げたいと存じます。第一は、産業の発展の降路といわれておりますものを打開するというために、財政投融資に重点を置いたのであります。その第一は電力の開発の促進というために必要な資金の投入であります。この点は具体的にはお手元にあります表の一番上の開発銀行、その次の電源開発会社とこの二つのうちに現われて参るわけでありますが、その第一の開発銀行につきましては、これは御承知のように電力だけでなく、あらゆる資金をまかなっておるわけでありますが、この開発銀行の資金のうちで電力に向けられる資金が、三十二年度は二百五十億を予定いたしております。これが三十一年度は当初は百二十億の計画でありましたから、百三十億の増加、こういうことに相なるわけでございます。電源開発会社につきましては三十一年度と三十二年度につきましては、資金の使用額が増加六十三億、こういうことに相なりまして、この両者を合せますと、電力関係に政府の資金が投入されるものが、前年に比較いたしまして百九十三億の増加、こういうことに相なる次第であります。 次は輸送力の増強であります。財政投融資計画の中で取り上げられますものは、国鉄と帝都高速度交通営団、それから道路公団、そのほか地方債の中に交通の充実という点が入っておることはもちろんでありますが、この点は省略いたしたいと存じます。国鉄につきましては、先ほど主計局長から詳細な説明がありましたので省略いたしたいと思いますが、新規の政府資金の投入は三十二年度八十億、三十一年度は五十五億、差引二十五億の増加であります。これは資金の投入量としては割合少いのでありますが、御案内のように国鉄の料金の引き上げ等によりまして、自己資金とも称すべきものが、三十二年度におきましては相当多額に充実される見込みであります。これらを含めて考えますならば、三十二年度の建設改良工事というものに充てられる資金は、三十一年度に比して約倍額近くということに相なる予定であります。帝都高速度、道路公団等につきましても、詳細は説明を省略いたしますが、おのおの政府資金の投入を相当大幅に増額をいたしてある次第であります。 次に第二の重点といたしました点は、住宅建設の増強であります。これはこの表では九ページの上から三分の二くらいのところにございます。住宅金融公庫と住宅公団、この二つの中に現われております。両者の数字を一々御説明申し上げますのは煩雑でございますので、両者をひっくるめて申し上げますと、新しく政府資金の投入をいたしました額は、両者合せて三十一年度に比較いたしまして百七十五億の増であります。これによりまして両者合せて建設の予定戸数は、三十一年度十万戸に対しまして十二万三千戸、二万三千戸の戸数の増加を予定いたしておる次第でございます。なお財政投融資計画の中には今申し上げました住宅公団の二つ下に勤労者厚生というものがございます。これは勤労者厚生年金の還元融資といたすものでありますが、このうちの住宅分として昨年度に比べて相当増加された金額が見込まれる予定になっております。 第三は中小企業の金融を充実いたす点であります。これはお手元の表には、今申し上げました住宅関係のやや上のところに国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中央金庫、さらに不動産銀行、こういうふうに並んでおりますが、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中央金庫に対しまして三十一年度に比し三十二年度におきましては、政府資金の投入は合せて百六十五億の増加、こういうことに相なっております。これによりまして国民金融公庫と中小企業金融公庫だけをとってみますと、これらの両者の運用し得る総資金量は三十一年度に比較いたしまして三十二年度において両者合せて二百七十五億の増加、こういうことに相なるわけであります。なお商工中金につきましては十五億の出資をいたすことによりましてその資金コストの引き下げ、従って貸出金利の引き下げに寄与するように配慮をいたした次第であります。 次に要点の第四といたしましては、今般の財政投融資計画の組み立てに当りましては、できるだけ資金のコストを下げるように配慮をいたしたのであります。これは先ほど申し上げましたようなことで産業投資特別会計の原資が相当大幅に増額いたしましたので、これを重点的に資金コストの引き下げに充てて参りました。たとえば電源開発会社に対しましては百億の出資をいたすことにいたし、これによりまして対前年で七十億の出資増であります。農林漁業金融公庫につきましては七十億の出資をいたしました。これも対前年六十億の増であります。商工中金につきましては先ほど申し上げました通りでありまして、十五億を新たに出資をいたすことにいたしました。また住宅公団におきましても九十五億の出資をいたしまして、対前年で八十億の増加、こういうふうに相なっておる次第であります。 次に第五点といたしまして、三十二年度において新しく財政投融資計画の対象に組み入れたものが二、三でございますので、この点を申し上げておきたいと思います。第一は、九ページの表の下から四つ目にございます。公営企業金融公庫であります。これは先ほど主計局長から説明がありましたので、内容については省略をいたしますが、産業投資特別会計から五億の出資をしまして、政府保証のついておる債券の発行によって公営企業の関係の地方債の引き受けに充てるわけであります。債券の発行は大体七十億を予定いたしております。お手元の表の公営企業金融公庫の公募債借入金という欄にはゼロになっておるのでありますが、これは実は今申し上げました表の一番あとに地方債というのがございますが、地方債のうちの公募債借入金、このうちの七十億がこの金融公庫の引き受けた債券によって引き受けられるわけであります。従いまして、対民間との関係におきましては、この地方債の公募債と、公営企業金融公庫が出しまする債券とはダブるわけでありますから、これを便宜ここから落してある、こういうふうに御了解をいただきたいと思います。 それから新しく入りましたものといたしましては、十ページの、下から四つ目、五つ目あたりに特定土地改良工事特別会計、特定多目的ダム建設工事特別会計、この二つの新しい特別会計に対する投融資がございますが、この点も先ほど主計局長から説明がありましたから、詳細は省略させていただきます。 それから、新しい投融資の対象に組み入れられたものではありませんが、改組することになっておるものがございます。第一はお手元の表の上から六つ目になりますか、北海道東北開発公庫というのがございます。これは現在ありまする北海道開発公庫を改組、拡充いたしまして、東北における開発のための金融をもあわせて取り扱うことにいたしまして、北海道東北開発公庫、これは仮称でありますが、そういったものに改組の予定でありますが、これに昨年度に比べて相当大幅な財政投融資をいたしております。 その次はその下にありまする東北開発会社であります。これは従来の東北興業株式会社を改組いたしまして、東北開発株式会社ということに相なるわけであります。この新しい会社に対しましても、出資及び政府保証債の発行等におきまして資金の充実をはかって参ることに予定いたしております。 以上が政府資金による財政投融資の要点だけ申し上げたのでありますが、次に、三十一年度におきましていわゆる民間資金の活用ということで呼んで参りましたが、これをさらに具体的に申し上げますと、財政投融資の原資を民間資金に仰いだものが、どういうふうになっておるかという点について申し上げてみたいと思います。具体的には、今ちょっと申し上げましたように、この表の中の公募債借入金というところに、今申し上げまする系統の金額が上って参るわけであります。三十一年度におきましてはこのいわゆる民間資金の活用という点は大幅に増加いたして参ったのであります。三十二年度におきましては、先ほど来申し上げましたように、政府の資金が相当大幅に充実をいたした、豊富にありますという点が一つと、また今後の金融情勢の推移等も考えあわせまして、この公募債借入金につきましては、総額におきましては三十一年度当初の計画八百九十九億に対して八百四十五億、差引五十四億の減ということでこの計画が成り立っております。ただ総額においては減っておりますが、その中でも住宅公団でありますとか、北海道東北開発公庫でありますとか、道路公団でありますとか、こういったものにつきましては、重点的に大幅なこれらの民間資金の活用という点で増加をはかっております。 なお三十一年度におきまして、民間資金の活用ということを申しましたものの中には、開発銀行等の政府機関と協調して、民間金融機関によってまかなわれて参りました重点産業への融資、たとえば電気、造船、鉄といったようなものに対する融資があるわけでありますが、これは来年度三十二年度におきましては、三十一年度に比して相当大幅な増加が期待されているという点をつけ加えておきたいと思います。財政投融資計画につきましての御説明は、要点だけ以上で終りたいと思います。 次に国庫収支の見通しにつきまして申し上げます。お手元に参考資料として理財局関係というのがお配りしてあると思いますが、その一番最後の第三表をごらんいただきたいと思います。結論を申し上げますと、三十一年度の見込みは、千三百億の揚超であります。それが三十二年度の見込みといたしましては、一番下の総計というところがございますが、三百五十億の払超ということに相なるように見通されるわけであります。やや内訳について御説明申し上げますと、まず一番上の一般会計でありますが、一般会計におきましては、歳入歳出ともに一兆一千三百七十四億でありまして、これは収支均衡をいたしております。ただ歳入の中には三十年度中に生じました剰余金百九十一億円が財源として織り込まれておりますので、これは三十二年度の関します限りにおきましては、新たな対民間収入ではありませんから、これだけが散布超過の要因になる、こういうふうに計算されるわけであります。 それから特別会計の中では、食管会計におきましては、予算上食糧証券が年度内に四十七億円の増加ということに相なっておりますから、これがそれだけ散布要因と相なります。 それから産業投資特別会計におきましては、三十一年度に繰り入れられる見込みの、先ほど申し上げました三百億円のうち百五十億円、三十一年度中の収入の増加三十四億円の合計百八十四億円が、三十二年度中の投融資の財源に当てられるわけでありまして、これだけが、三十二年度だけを切り離して考えますと、散布要因に相なるわけであります。その他の特別会計等はすべて収支とんとんでありますから、特別会計等では二百三十一億円の散布超過が見込まれるわけであります。 以上大体外為資金を除きました財政資金の収支は、四百二十二億円の散布超過に相なるわけでありますが、この中には国庫から日本銀行への支払い超過額五十七億円を含んでおります。これはもちろん対民間におきましては支払いに立ちませんので、これを差し引きますと、三百六十五億円が外為資金を除いた財政資金の収支としての散布超過、こういうことに相なるわけであります。 次に外為資金でありますが、これは国際収支が大体とんとんというふうに見込まれております。従いまして別口外貨貸付の返済分十五億円だけが引き揚げの要因となって現われております。この両者をあわせて考えますと、その総計にございますように、三百五十億円の散布超過、こういうふうに見込まれます。ただこれは予算をそのままに実行された場合のことでありますし、今後の国際収支の状況や、あるいは米作の状況等によりまして、この数字には相当変動があることをあらかじめお断り申し上げておかなければならぬかと思います。 非常に雑駁でございましたが、私の説明をこれで終りたいと思います。
○山崎委員長 次に経済企画庁調整部長小出榮一君の説明を求めます。
○小出政府委員 簡単に昭和三十二年度経済計画の大綱につきまして、御説明を申し上げます。 御承知のように、年度別の経済計画は、三十年度から毎年策定いたしておるのでございまして、この年度別の経済計画の意味は、御承知のように、予算編成の前提となります各種の基礎的なデータを提供する生産、貿易、雇用等のそれぞれの指数につきまして分析をいたしまして、来年度の一応の見通しを立てまして、それを基礎にいたしまして予算を編成いたしますと同時に、編成されました予算に盛られております施策を実行いたしました結果、来年度の経済の姿がどういう見通しになるかという、いわば予算の前提であり、かつ結果であるというような性格を持っておるものでございまして、それが一つと、それからもう一つは、御承知のように経済企画庁におきまして、従来から長期の経済計画を策定いたしておりまして、三十一年度を初年度といたします経済自立五カ年計画を策定いたしておるのでございますが、この長期計画との関連につきましては、御承知のように、現在の五カ年計画は年平均の経済の成長率を五%と押えておりまして、これが実際の経済の伸びに比較いたしまして、やや実情に合わなくなっておるという現状でございますので、この長期計画をただいま改訂すべく、その準備をいたしております。従いまして、三十二年度の経済計画は、この現在改訂作業中の長期計画の一環ということになるわけでございますけれども、時期の関係上、年度計画の方を先に策定した、こういうふうな関係になっておるのでございます。 以下簡単に三十二年度経済計画の主要な経済指標の内容につきまして御説明を申し上げますが、お手元の資料の十ページに、主要経済指標が一覧表として出ております。この中で経済のいわゆる成長率という言葉で申しておりますのは、分配国民所得の当該年度の昨年度に対する伸び、何パーセントの伸びであるかということが、結局経済の成長率という意味を持っておるのでございまして、ごらんいただきますように、三十二年度の分配国民所得は八兆一千八百億と一応策定いたしました。三十一年度は七兆六千百億でございますので、これに対しまして七・五%の分配国民所得の伸び、つまり来年度の経済成長率を一応七・五%と見たのでございます。今年度三十一年度は、ここにありますように、昨年度に比べまして一二%の伸びでございますので、今年度の伸びに対しまして、やや成長率は鈍化するというふうに考えたのであります。この分配国民所得のそれぞれの内容につきましては、第一次、第二次、第三次の各産業の成長率を、生産、物価あるいは所得率の変化で計算いたしまして、これを産業所得の構成比率によって加重平均して算出したものでございます。この所得の伸びによりまして、先ほど主税局長から説明されましたような税収の見積りというようなものも計算されておるわけでございます。 以下指標の内容でございますが、この経済計画の目標は申すまでもなく長期経済計画の最終目標であります完全雇用の達成と国民生活水準の向上という二点にあるわけでございまして、その一環といたしまして、来年度の経済計画におきましても貯蓄と投資あるいは需要と供給とのバランスのとれた安定した成長というところに目標を置いておりますので、需要面と供給面とに分けて御説明を申し上げますと、まず需要面におきましては海外の需要、言いかえますならば輸出の面でございますが、輸出につきましてはここに書いてありますように来年度は為替べースにおきまして二十八億ドル、三十一年度は二十四億八千万ドルと考えられますので、これに対しまして約一四%の増加ということになるわけであります。これを通関ベースで見ますと約二十九億五千万ドル、月平均にいたしまして二億四千五百万ドルという数字になるわけでございます。商品別の内容につきましては詳細な説明を省略いたしますが、やはり機械関係あるいは繊維製品、化学工業製品等の伸びが相当期待されますし、地域別に見ますとやはり従来通りアメリカ、カナダ等の北米市場を中心といたしまして、リベリア等の地域に対する船舶輸出が相当に増加するものと期待されます。このようにいたしまして輸出は大体二十八億ドルと策定いたしましたが、もちろんこれには相当の輸出振興に関する努力を要するわけでありまして、過去二カ年の輸出の伸びは非常に著しいのでございまして、三十年度は約三一%の伸びを示し、今年度三十一年度におきましては一八%の伸びというふうに、世界全体の貿易の拡大率の平均比率よりも上回ります非常な伸びを示しておりますけれども、来年度につきましてはやはり国際競争の激化というような情勢のもとにおいて相当の努力を必要とする、かように考えております。 次は特需でございますが、特需は大体六億ドルでもって横ばいというふうに考えております。これは狭い意味の特需、いわゆる円セールの面におきましては相当減少するものと考えられますけれども、反面におきましてICAの買付等が相当大幅に増加するということも考えられますので、ここ数年来大体横ばいということで、三十一年度は六億一千万ドルでございますが、三十二年度は六億ドルというふうに考えたのであります。 以上が海外面からします外部的な需要でございますが、これに対しまして国内における需要面といたしましては、まず第一に民間の投資活動があるわけであります。投資の内容といたしましては、まず設備投資でございますが、これは三十二年度におきましては一五%の伸びというふうに一応考えました。三十一年度、本年度は御承知のように設備投資が異常な伸展を示しまして、約三八・五%の伸びを示しておりますが、来年度はややこの伸びが鈍化するというふうに考えております。それから在庫投資でございますが、在庫投資は今年度はこれもやはり原材料在庫の補充あるいは製品在庫、いずれも非常に伸びまして、四九・四%という伸びを示したのでありますが、これが大体一巡いたしまして、三十二年度におきましてはやや在庫投資は減少するというふうに考えました。それから個人住宅建設、これは先ほど御説明がありましたような五十万戸の建設ということを目標にいたしまして、三十二年度におきましては一五%の伸びというふうに考えております。従いまして、投資全体といたしまして、民間資本形成におきまして結局八・三%の増加、今年度は三九・三%の増加でございますので、伸びはやや鈍化いたしますけれども、民間資本形成全体としましては八・三%の増加というふうに策定いたしました。 次は民間の消費支出でございますが、これにつきましては個人所得の伸びが六・六%、今年度は一〇・六%でございますので、ややこれも鈍化いたしまするけれども、この個人所得の伸びに対しまして、一千億の減税がありましても、結局可処分所得の伸びはやや鈍化する、従いまして、全国の消費水準は結局六%の上昇にとどまるであろうというふうに考えます。これに人口あるいは物価というようなものを考え合せまして、結局個人消費支出は、全体といたしまして、本年度に比べまして来年度は七・五%の増加というふうに考えました。なお三十一年度は九・四%の増加であったのであります。かくして平均の消費性向でございまするが、これは今年度は大体八二・二というふうに押えましたが、来年度におきましては、これがやや低下いたしまして八二というような消費性向を示すのではないか、かように考えます。 以上が需要面でございまするが、これに見合いまする供給面でございます。供給面につきましては、まず第一に国内の生産でございまするが、鉱工業生産は昭和九年ないし十一年を一〇〇といたしまして、来年度は二五五・五という鉱工業生産指数を策定いたしました。従いまして、今年度に比べまして鉱工業生産は一二・五%の伸びになります。しかし今年度は昨年度に比べまして二一%の伸びでございまするからして、大体その伸び方は半分に鈍化するというふうに考えます。生産のおもなものの内容といたしましては、たとえば石炭は今年度よりも三百五十万トンの増産、全体で五千二百万トンというふうに考えます。普通鋼鋼材は九百十五万トン、セメントは千五百万トン、船舶は竣工ベースで二百二十万トン、電力は七百一億二千七百万キロワット・アワー、発電端において想定いたしております。 次に農林水産生産でございますが、これは農産につきましては、もちろん平年作ということを一応前提といたしまして考えざるを得ないのでありまして、従って昭和二十五年ないし二十七年を基準といたしますれば、一一八・一という指数になります。林産は一一〇・二、水産は一三五・四、従って全体を総合いたしますると、農林水産生産は一一九・三、大体今年度の横ばいというふうに考えております。 次に輸入でございますが、輸入はここにありまするように、為替ベースにおきまして三十二億ドル、これを通関ベースに改めますると、三十八億三千万ドル、大体月平均三億一千九百万ドルになるのでありまして、やはり輸出と同じように今年度に比べまして約一四%の増加というふうに考えております。この輸入につきましては、今年度中の鉱工業の原材料の輸入、これが大体二十四億四千万ドルというふうに押えました。これに来年度の生産上昇に見合いまする輸入の増加率、これが一三%くらいと考えまして、これに輸入単価の値上り要素を大体五%くらいというふうに評価いたしまして、これらを織り込みまして、そのほかに食糧の輸入あるいは資本財の輸入というようなものを加味いたしまして、全体としての必要輸入額を算定したのであります。かくいたしまして、結局国際収支といたしましては、先ほどもお話がありましたように、形式収支におきましてはとんとん、プラス・マイナス・ゼロというふうに策定いたしました。なお今年度は形式収支におきまして六千万ドルの黒字であります。これに対しまして、ユーザンスその他の調整項目を調整いたしました実質の収支といたしましては、約五千万ドルの赤字、今年度は八千万ドルの赤字でございますが、これが五千万ドルの実質収支におきましては赤字、かように考えております。 最後に雇用でございますが、雇用につきましては、総人口は大体〇・九%増加いたしまして、九千百万人、この中に十四歳以上のいわゆる生産年齢人口が占めまする数は六千四百二十三万人、今年度に比べまして生産年齢人口は百三十万人増加する、かように考えます。これに対しまして、生産年齢人口の中のいわゆる労働力人口、これは四千三百九十四万人というふうに、今年度よりは八十九万人増加するというふうに考えます。しかしながらこの八十九万人増加いたしまする労働力人口は、同じく就業者数におきまして四千三百三十四万人というふうに増加いたしまするので、大体これらの労働力人口の増加は就業者として吸収できる、従って雇用情勢につきましても、来年度においては大体今年度の情勢と引き続きまして好条件であろう、かように想定いたしたのであります。 大へん急いで申し上げましたけれども、三十二年度の経済計画の大綱につきまして、簡単でございますが、御説明を終ります。
○山崎委員長 以上をもちまして提案理由の説明は終りました。 —————————————
○山崎委員長 この際お諮りいたします。総予算につきましては、国会法第五十一条によりまして必ず公聴会を開かねばならぬことに相なっております。つきましては、昭和三十二年度総予算の公聴会開会承認要求の手続、その他開会に関する手続等は、先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 なお公聴会の日取りにつきましては、理事諸君と協議の結果、十八日、十九日の二日間開会する予定に相なっておりますので、さよう御了承をお願いいたします。 —————————————
○山崎委員長 次にお諮りいたします。昭和三十二年度一般会計予算外二案の審査のため、分科会を設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 なお分科会の区分、主査の選定及び分科員の配置につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 午後二時半より再開することといたしまして暫時休憩いたします。 午後一時二十七分休憩 ————◇————— 午後三時開議
○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 昭和三十二年度一般会計予算、同じく特別会計予算及び政府関係機関予算の三案を一括して議題といたします。 先ほどの柳田君の発言に関連して政府より発言を求められております。この際これを許します。石田内閣官房長官。
○石田(博)政府委員 柳田さんの御質問に対しましてお答えを申し上げます。今国会に提出いたす法律案につきましては、極力急がせておるのでありますが、とりわけ予算関係の法律案につきましては、優先審議をお願いしなければならぬ性質のものでありますので、でき得る限り早く提出して御審議を願いたいと存じておりますが、目途はどんなに遅くとも二月中には関係法案が全部提出できるようにいたしたいと存じております。 ただいま予定されておりまする予算関係法律案は六十件でございまして、これを各省別に申しますと、総理府関係が八件、法務省関係が二件、外務省関係が一件、大蔵省関係が二十件、それから厚生省関係が六件、農林省関係が八件、通商産業省関係が六件、それから運輸省関係が三件、労働省関係が一件、建設省関係が五件という工合になっております。 以上お答え申し上げます。
○山崎委員長 これより質疑に入ります。川崎秀二君。
○川崎(秀)委員 私は予算委員会の冒頭に当りまして、石橋新内閣の施政方針並びに岸外務大臣以下の本会議における演説に関連をいたしまして、自由民主党を代表し質問をいたすものであります。 まず非常に遺憾なことは、石橋総理大臣の病気欠席であります。これは本会議場でもしばしば質問者から述べられたことでありますが、近来内閣におきましては総理大臣の権限が非常に強まってきており、総理を欠いた内閣に対し質問をいたすことは、まことに歯が抜けたようであり、主なき家に鉄砲と書いた新聞もあるほどであります。私は与党質問でありますから多少角度は違いますけれども、それにいたしましても、国民の多くの気持を代表してここに質問をいたすに当りまして、まことに遺憾であります。 元来施政方針演説を臨時首相代理が代理するということについては、非常な疑義がある。しかし今回このことを提議をいたしました自由民主党の発議に対しまして、国会運営の正常化という見地からこれを受諾された社会党の態度については、その寛大さとフェアー・プレーに対し深き敬意を表するものであります。また臨時首相代理となり、一人二役という立場にある岸外務大臣の寧日なき御活躍と御苦労に対しましても、ここにまことにお役目御苦労と申し上げざるを得ないのであります。ところが私は、石橋内閣において岸首相代理であるがゆえに、一そう意義深いものを発見しておるのであります。それは何かというと、石橋内閣の施政方針演説の冒頭に、この国会の運営の正常化ということが打ち出され、真の民主主義確立のためには、一切の前提として国民代表の最高の国権の機関が正常化されなければならないということを打ち出されたことであります。そうしてこの一月の八日に石橋総理大臣が日比谷公会堂で演説をされた際に、五つの誓というものを申されておりますけれども、その中にもまことにわれわれが賛成の意を表せざるを得ないものが第一にあげてあるのであります。石橋首相は、御承知のように国会は国権の最高機関である、国会が健全であり正常でなれけば国の政治は円滑に運びません。しかるにわが国では大正十三年に、とにかくわれわれの先輩の努力により、政党が交互に政権を担当する民主主義政治の形ができたのでありますと言われまして、それ以後政党間のどろ試合、その結果軍部の台頭を許すに至った原因について、かなり深刻な表現を石橋首相は使っておられる。これは私は石橋首相の人格の発露がここに現われ、ことに東洋経済新報以来自由主義評論家として、一貫したる政治行動をなした石橋首相個人の考え方のニュアンスが出たものとは思いますけれども、それゆえにこれと相協力して、最も閣内において強力な立場を持ち、かつ今日臨時首相代理である岸さんの信念が、これと同一のものでなければならぬということを特に私はこの冒頭に当って痛感するものであります。国会運営の正常化の前提というのはまた何かといえば、まず議会政治に対する明快なる信念、しかして真摯な国会尊重、さらにこれを向上させようとする努力というものでなければならないと私は思う。これらの点に対して、私は岸臨時首相代理の議会政治の発展向上に対する今日ただいまの真率なる御信念のほどを承わりたいと思うのであります。
○岸国務大臣 お答えを申し上げます。川崎君のお述べになった通りに、わが石橋内閣といたしましては、国会の運営の正常化ということを施政方針の冒頭に掲げましたごとく、内閣をあげてこの問題の実現を期したい。もちろんその具体的方法につきましては、これは国会みずからがおきめになることが適当であり、またそれにまたなければなりませんけれども、いやしくも民主政治の本体は、国会に対する国民の信頼感と国民がこれに一切の国政をまかして安心しておるという、これが民主政治の根本である。従ってわれわれ政治に当りますものの信念といたしましては、これが何よりも一番大事な根底であると私どもも信じておるのであります。この点につきましては石橋総理大臣の考えと私どもの考えは全然同一であります。
○川崎(秀)委員 石橋首相の信念と岸臨時首相代理の御信念が全く同一であり、国会が国民から眺めて、一切をまかしておくべき機関であるというふうに受け取られる姿にしたいという御信念の吐露がありましたから、これはそれで承知をいたします。私は国会の運営が正常化されるためには、まず政党の内部が正常化されなければならぬ。しこうしてそのことは、他党に求める前にみずからの立場を清めていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。しこうして私はこの国会運営の正常化ということを今日持ち出さざるを得なかった理由を考えてみると、これは第二十四国会の国会運営の失敗であると私は思う。二大政党が初めて戦後対立をして、保守合同が完成し、それにさかのぼって社会党の統一が実現をして、ここに真に強力なる二大政党の対立により政策上の論戦が行われて、国会が真に国民の負託に値するものであることを国民が期待しておった。これが二十四国会前の状況であります。しかるにこの第二十四国会の終末はあのような乱闘に終った。これらのことについてはあえてこの際言及いたしません。しかしどの党に責任があるにしても、まずこれらの国会の運営を正常化するためには、いささかなりとも与党に権力主義的なにおいがあってはならない。私は先ごろの国会における小選挙区法案の提出の仕方、内容これらはわが党として大いに反省すべきものだと思っておるのであります。それは小選挙区法がかりに正しいものであったとしても——私も正しいものだと思っておる。しかし提出の仕方、国会における運営の方法、これらについては当時幹事長であったあなたに対しても非常に深く反省をされて、その上に立って今日こういう正常化の提案をされなければいけないと私は思う。そういう点について岸首相代理の御見解を承わっておきたいと思うのであります。
○岸国務大臣 国会運営の正常化につきましては、私は二大政党下における国会の運営ということについて当時幹事長の職にありまして、社会党の責任者としばしば話し合って、これの二大政党による正当なる国会運営のルールを樹立するように努力をいたしたのでございますけれども、私の微力、その願っているようには実現しなかったことは非常に遺憾であります。今回川崎君の指摘せられたごとく、このいかなかったことにつきましては、反対党たる社会党にわれわれは要求する前に、みずからの党として反省すべき点が多々あると思います。これはお互いの二大政党というものになった以上、二大政党ができるだけ話し合いの場を多くしてそうして国会の運営を正常化するということをお互いに努めなければならない。私自身にいたしましても、当時のことを回想して、今後の国会のあり方につきましては、党の幹事長初め首脳部として特に考えていただきたい、私自身もむろん反省をいたしております。
○川崎(秀)委員 最後に大へん率直なお話でありまして了承いたします。 次に国会運営の正常化のためには、ただいまちょうどお話がありましたように、平素から両党が話し合いをする、あるいは重要法案については十分に話し合いをして、もっともまとまらなければ仕方がありませんけれども、政党政治のことでもありますから、責任ある政党が提案をするということにはなりましようけれども、努めて共通の広場を確立するために努力をしなければならぬ、これは先般来の本会議でもお話があっておりますから、そのことについては私も賛成でございます。しかしこの共通の広場確立のためにはやはり具体的に政策というものが接近し合わなければならぬというふうに私は考えるのであります。イギリスの議会評論家の中に、日本の議会政治、ことに二大政党の姿を見て、果して戦前のようなあやまちを再び起すことはないであろうかということについては、最近かなり論評が出ておるものもあります。しかし今度こそは日本の議会政治は間違いなくいくであろうというふうに大体見通しをしてくれておりますけれども、それにはわれわれがまず近代保守党としての確立をめざし、立党の精神に応じて、政策は常に国民政党としてのはつらつたる進歩性を把持していかなければならぬ、こう私どもは考えます。そうして将来あるべき社会党との間隔を縮めて、いやしくも将来政権を交代し合うところにおいて、国民の間に、小安を生じ、あるいは国民の間にぬぐうべからざる迷惑をかけるという事態を惹起してはならぬ、かように私は考えるのでありますが、この意味において二大政党の今後のあり方、しこうしてわが党の進むべき道、これらについても、今後強力なる指導者の一人になられる岸さんにこの際御見解を承わっておきたいと思うのであります。
○岸国務大臣 民主政治は議会政治でございまして、従って二大政党ともこの議会政治を尊重するという念に私は徹せなければいかぬと思います。(「その通り」)これが徹して、お互いの政策はもちろんその主張において違うところもありましょうが、これは議政壇上において公正に論議を尽す、そして民主主議のルールによって、多数決によってきまったことに服従していくということのルールが確立されることが一番必要だ。もちろん保守党もその政策におきましては、国民の世論を十分取り入れて進歩的なものも持たなければなりませんが、また私は野党たる社会党も現実に即して、そして建設的な論議が行われるようになることを心から望んでおります。
○川崎(秀)委員 これは私も、また現在国会対策委員長の重責にあられる倉石君などの考え方も同じでありますが、一体国会運営の正常化ということをどういう点からはかっていきたいかということについては、内閣の方も最高首脳におかれては責任のある具体的なものをやはり党に出されて、そして懇談し合うことが必要だろうと思うのです。やはり重要法案などについては国会に入る前に、国会の開会される前に、与党は野党に対してこういう法案を出したい、協力を求める。内容について意見が合わなければ仕方がない、これは政党の責任をもって出すわけでありますから、これは分れる場合の話もありましょう。しかし話し合いをするという謙虚さというものがなければならぬ、進んで政策を出さなければならぬ、こう私は思う。ですから、国会が始まってから他党と懇談するとか幹部の話し合いをするのでなしに、むしろ休会中あるいは閉会中において、両党の幹部の問に常設的な懇談会というものを設けたらどうかというのも、私は一つの提案であろうと思うのであります。それから去年の例を引いて恐縮でありますけれども、国会に入って、しかも会期が半ばを過ぎて非常に大きな法案を出すということは、これは国会審議上いかがなものであるかというようなことについても、一つ具体的にお進めを願いたいし、私どもも考えたいと思うのであります。こういうような点についてやはり運営の正常化という以上は、正常化に対する具体的な方策というものを持たなければいけない、こう私は考えるのでありますが、それらの点についてお考えを承わり——国会運営の正常化の問題については一応これで終りたいと思うのでありますけれども、具体的なお考えがあるかということを一つお聞きしたいと思うのであります。
○岸国務大臣 国会運営の正常化の精神につきましては先ほど申し上げましたが、これを具体化する上においての具体的の方法については、私は両党の国会対策委員長なり、あるいは議運等において十分に努力研究していただきたいと思います。今お話になった重要法案の事前においてのある程度の話し合いということも必要でありましょう。あるいは国会法等の改正に関する問題もありましょう。これらは今申しますように、具体的に両党の国会対策の責任者やあるいは議運等において十分に一つ研究していただきたい、かように考えます。
○川崎(秀)委員 岸臨時代理に特に伺いたいいま一点の問題は、施政方針演説の末尾ではありますけれども、「わが国の将来をになう青年諸君が、自主独立の精神に燃え、世界平和の旗手として新日本を建設せんとする決意を深められるよう、切望いたしたいのでありす」と言われまして、青年の奮起ということを言われておる。有年に期待をするならば、やはり青年が住みよい国である、あるいは守るに値いする国である、このような感覚を持つような育て方をしなければならぬのじゃないか。ところが今度出てきた予算案には、これは財政とは直接深い関係というわけではありませんけれども、たとえば青年運動を起すとか、あるいは青年に新日本建設を期待するとかということであるならば、青年にレクリエーションの機会をより多く与えるとか、あるいはまた建設隊を組織するにしても、それに伴う各般の施策というものがなければならぬ。それにはやはり口としての財政的な裏づけというものもなければならぬのであります。これを一つの例で申し上げるならば、この二、三年非常に顕著な例でありますが、西ドイツでは、青年の海外進出あるいは青年のレクリエーション運動というものに対して相当な額を投じております。昨年の統計で八百諸団体が海外に出た。もとより日本とは違って、海外というよりは、大陸続きですから外国ということが確かな表現ではありましょうけれども、八百団体も出ておる。そうしてそれらに対する援助の費用というものは、十億マルク近い数字が計算をされておるそうであります。しかるに日本では、今度文部省から出そうとしたところの、レクリエーション拡充の施設であるとか、あるいは青年の娯楽に対する健全な施設の費用というものは軒並みに削られて、従って青年運動を起すとか青年に期待するとか言っても、それに対する何らの裏打ちのないことでは、これはいけないのではないかと私は思うのでありますが、これらの点について、内閣は今後どういうふうな手を打たれるか、また御所見を水わっておけばけっこうであります。
○岸国務大臣 青年に自主独立の精神を奮起せしめ、民族の将来の運命をになうという熱意を燃え上らせるという方向を掲げるのには、それは学校教育や社会教育においても考えていかなければなりませんが、今、御指摘になりましたように、生活環境を改善するということが非常に必要である。一方私は、やはり若い人々が、国際的な問題、目を国際的に開くような方向に持っていきたい。これは私の考えておる外交の問題にも関連をしておるのでありますが、さらに健全な娯楽というものを与えるということは非常に必要だと思います。特にスポーツ等を大いに盛んにし、これに関する施設をするということも必要であると思います。本年度の予算におきましても、十分じゃありませんけれども、これらの問題について一応私どもの考えを盛り込んでおりますが、なお将来これを増加していきたい、こう思っております。
○川崎(秀)委員 池田大蔵大臣に予算案そのものに関連をして種々お伺いをいたしたいと思います。 今回の予算は、一般的に千億減税、千億施策とうたわれて、非常にはなばなしい打ち出し方であります。現に予算審議を始める以前において、各界、財界等の評判も非常によろしいようでありまして、さらにまたその上に、唯一の直接インフレ懸念という問題であった例の米の値上げというものも、党内の意見が閣内に反映をしまして、そうしてともかく米の値上げが中止されて、政治問題になりかねまじき危機を回避することができたということは、まことに御同慶の至りでありまして、池田大蔵大臣もさぞかし胸をほっとなでおろしたことであろうと私は想像いたしておるのであります。しかしこの石橋内閣は成立の当初におきまして、石橋首相が組閣直後に発表されました談話、あるいは石橋内閣の施策ということは、完全雇用あるいは雇用力の増大、それに伴う積極的な生産振興ということがウエートがあったように考えております。しこうしてその後に、あなたが十二月の二十日ごろに記者団会見で相当詳細に積極的財政政策を述べられたときには、千億減税というものに重点があるよりは、むしろ蔵相は、住宅、港湾、あるいは道路、さらにはその他の設備の改善をして、そして積極的な生産振興にいくのだという、石橋首相の考え方を符節を合せた御発表があったように記憶をいたしておるのであります。十二月三十一日の晩でありますか、新聞の記事に池田蔵相千億踏み切るということが新たに報ぜられて、その後千億減税というものがテーマになり、それを実行したのが今度の予算であると思うのであります。現に一月八日の演説におかれても、決してうそは申しません、こういうことを言われて、そうして千億減税を貫かれたことについてはあえて敬意を表しますが、積極的生産振興政策というものに重点を置いたような印象を与えたものが、何ゆえ千億減税というものの構想に変ったものか、その点について詳細に承わりたいと思うのであります。
○池田国務大臣 お答え申し上げます。御承知の通り、わが国最近の経済の伸びというものは、ほとんど皆さんの想像なさっておられた以上のものでございます。税の増加につきましても、八、九月ごろには五、六百億円の増収、こう言っておりましたのが、九月決算期の法人の状況が現われまして、相当な増収になるということは十二月の末あるいは一月になってわかったような状況でございます。従いまして、千億減税ということはやりたいのでございますが、お話のように積極的のものとかね合せてどれだけできるかということにつきまして、はっきりした見通しがつかなかったのが実情でございます。十二月の租税収入並びに一月の当初の租税収入を見まして、これは大体所得税におきまして千億の減税ができる。そして他の方で相当の増収をはかり得る。それからまた歳出の面につきましても、最近の事情から申しましてどうしてもやはり千億円程度の歳出をしなければならぬ。よく検討してみますと、大体二千億円程度の自然増収がございますので、半分半分と申しますか、正確に申しますと、ガソリン税を増徴する分によりまして減税は七百三十億でございますが、所得税についての減税は千億を上回るようになったのであります。最近の経済の状況、見通し、そうしてまた租税収入の実績等を勘案いたしまして、まあ標語で言います正確な言葉ではございませんが、両方ともやり得たのでございます。これは一に国民各位の努力だと私は思っております。
○川崎(秀)委員 一千億減税と一千億施策というものが両方実施できたということでありますけれども、実情は一千億施策の方はずっと洗ってみると四百億、実際に質的に変化して前進をしたと思われる施策というものはそう大きなものではないようにわれわれは感ずるのであります。従って何といっても今度の予算の大きな柱というものは一千億減税にあると私は思う。そこで一千億減税というものは所得税の減税でありまして、今度の予算は一千億減税というものが特色であって、国民負担の軽減ということに重点があった、そこに大蔵大臣としての第一の主張、信念があるように私どもは感じておるのであります。しかし、国民負担の軽減が実際に貧窮大衆に及んでおるかというと、そうではないことは、これはもう今日、各界をあげての反税的な論争となって現われている。現に非常に軽減をされた者は月収二万円以上の者であって、それ以下の者は何ら恩典に浴しておらぬ。そういう点について、この予算というものは低額所得者に対してどういう積極的な施策を盛ったかという点が、やはり今後の予算委員会における論議の中心になってくると私は思うのであります。この点を御解明願いたいのと、もう一つは、この予算は、低額所得者に対しては、社会保障その他の施策の面で相当やっておるのだということで一つの弁解がついても、やはり高額所得者に非常に甘かったということは言えると思うのであります。今度の予算は、実際に最後の締めくくりは党がつけましたけれども、しかし何といっても、今度の予算編成の経緯を見ると、池田さん並びに大蔵官僚の作ったものであることは間違いない。その方面から流れてくる考え方は、これは高額所得者といわれるけれども、実際には日本の経済復興の度に応じて、新しい中産階級層を擁護せんとする政策であったのだということをいわれておるが、それらの問題について数字をあげて御説明を願いたいと思うのであります。
○池田国務大臣 いろいろの考え方があるようでございますが、減税について申し上げますと、敗戦後におきましてたびたび減税をいたしました昭和二十五年あるいは六年七年と大幅な減税をいたしましたが、当時のいわゆる物価高によりまして、実質的な減税はそう数字ほどにはなかったのでございます。しかし、その当時におきましても、国民生活の現況を見まして努めて低階級の方にまず減税をしていったのでございます。それは基礎控除あるいは扶養控除の引き上げを税率の引き下げよりもうんとやったわけであります。 御承知のように、昭和十五年に中央地方を通じての大税制改正をやりました。その当時における国民各層の負担を見てみますと、二万円前後の方々の昭和十五年の負担と今の負担とを比べますと、大体マッチいたしておりますが、三十万円、五十万円、八十万円の方を見ますと、当時の公平であったあの税の負担から見て非常にかけ離れておるのでございます。三十万万、五十万、八十万の中堅階層の人の負担は非常に重くなっておる。また外国の例から見ましても非常に強いのでありまして、あえて中産階級の保護とは申しませんが、ここをなだらかに、所得から生活状況全般を見まして、低所得階級の方々につきましてできるだけの減税をいたしますと同時に、中産階級の方面にも相当の減税をした方が公平の原理からいっていい、これがほんとの国民負担の階級別に——理想とは申しませんが——いい格好であるというのでこのようにやったのでございます。もちろん経済というものは国民全体のものでございますから、三十万円以上の方々の生活が減税によって相当に潤っていく、しかも減税によるものを生産復興に御協力いただけるならば、直接減税の恩典は受けられなくても、全般の景気が相当よくなってくれば、間接的にみんながよくなるのではないか、こういう考え方でございます。 なお、税制調査会におきましては原糸課税その他間接税の増徴がございましたが、相当の増収が見込まれますので、私は間接税の増徴は考えなかった。少くとも減税の恩典をこうむらない方たに新たなる負担をふやすということはよさなければならないというのでやめたのでございます。 なお、所得税のかからない方々に対しましても、給与の一般的引き上げによりまして相当の潤いが出てきております。また生活保護費の基準額を上げたり、あるいは日雇い労務者につきまして、一口二十円の引き上げ等、社会保障制度の拡充と相待ちまして、できるだけの注意は払っておるつもりでございます。
○川崎(秀)委員 以上が予算の骨格並びに中心の思想の問題であろうと思うのですけれども、今国民が、注目をし、あるいはまた昨日も野党の河野先生その他から御質疑があったのは、やはりインフレの危険がこれにないか、この予算はインフレ含みではないかということに重点がかかっておるような気がするのであります。それに対する池田大蔵大臣の本会議における答弁をずっと聞いてみますと、第一に予算の規模というものを国民所得の関係、これに非常に重点を置かれておるように、私どもは答弁の印象からは受け取っておるのであります。その他にも、超均衡財政であるとか、あるいは物価は横ばい状態であるとか、本年以降の見通しも非常にいいというようなことから、インフレの危険というものはないということを断言をされておる、非常に強気な考え方が出ておるわけでありますけれども、それならば、これを一つずつ分析をいたしますと、前途には油断のならぬ情勢もかなりあるのではないかというふうに私どもは憂えておるのであります。たとえばあなたが引例をされました予算の規模と国民所得の関係であります。なるほど三十二年度の一般会計歳出の総額は一兆千三百七十四億、それに対して国民所得の推定額が八兆一千八百億、こういうことになっておって、パーセンテージから見れば十三・九%、それに対して前年はどうだったかということを考えると——前年というのは本年でありますが、これに対して三十一年度の予算の規模は一兆三百四十九億、そういう当初予算に対して予算編成当時の国民所得というものの推定は正確に申して六兆九千七百十億です、そういうことでありますから、一四・八%であります。一四・八%に対する十三・九%だから、終戦以来の国民所得に対する予算の規模としては一番最小なんだということをあなたは言われておるわけであります。これから見ますとなるほどそうでありますけれども、しかしその後三十一年度の国民所得の推定の改訂は七兆六千百億ということになってきて、これでいけばすでに十三・六%という割合になりますから、むしろ本年度の予算の方が財政の規模は昨年より大きいということにもなるわけです。こういう点に対してどういうふうにお考えでありますか。
○池田国務大臣 インフレになるかならぬかという問題につきまして、いろいろの観点から見ていかなければなりません。あるいはインフレの問題は、まず財政が均衡であるかどうかということが一番先であります。私は均衡であると言い得ると思います。それから規模が国民経済に対しまして非常に大きくなったかどうかということも、これは内容面におきまして見なければなりませんが、一応のインフレになるかならぬかの目安だと思います。そうしてまた、規模もいい、均衡しているというときに、内容において政府あるいは政府関係機関が物資を非常にたくさん使っているかどうか、そういう物資面からの問題も考えなければなりません。それからまた、相当減税をいたしまして、規模は少くなったが、減税せられたお金が全部消費に向っていくようなことでもこれはまたいけない。そういうことのないような施策を講じなければならぬ、財政面から見ますとそうでございますが、今度は経済面から見ますと、とにかく八兆一千八百億円の国民所得におきまして、政府の使います一般会計は一兆何ぼでございますが、大部分を占める一般の経済面における支払いがどうかということを考えなければなりません。それだから私は財政演説のときにも、常に金融も健全でなければなりません、国民の資金蓄積以上に信用供与をしてはならない、これが肝心なことである、こういうので、日本銀行と常に連絡をして、金融の調整を考え、万般の政府あるいは金融機関のやり方を考えなければなりません。また国民の方々におかれましても、インフレの害は、国民ことに低所得階級の人が強く受けるわけでありますから、こういう方面の心がまえもお願いしなければなりません。そうして貯蓄の増強に励んでいただきたい、そうしてまた、国民が減税によって収入がよくなった、あるいは所得がふえた、こういう所得のふえた場合のいわゆる限界消費率あるいは一般の所得に対しての平均消費率、こういうものの傾向も見ていかなければならない。私は万般の事象を見ながら、国民各位とともにあくまでもインフレを押えていかなければいけない、われわれの今の施策としては、このままでいくならばインフレは起りません、こう結論だけ申し上げておるのであります。これにはやはり国民、政府一体となってインフレを防ぐことによほど努力しなければならぬことは当然のことであります。
○川崎(秀)委員 今相当長く御答弁をいただいたのですけれども、これはインフレにならないということの要因をあげられて総合的にお話しになった。私は単刀直入に、あなたが一番インフレにならないという一つの拠点にされておる、財政規模と国民所得の関係は、決して本年が一番少いのじゃないわけなんですということを申し上げておる、それに対してどうでしょう。
○池田国務大臣 当初予算通りでいきますと一三・九でございます。当初予算と国民所得の最近の実績等を申しますと十三・何ぼでありますが、補正予算を入れますと一四・一になるのであります。こういうのは数字のことで、大した問題ではない。全体の見通しといたしましては、昔は国民所得に対して一七%くらいでございました。しかしそれがだんだん一六%、一五%、一四%、一三%台にきたのであって、決して過度な規模の膨脹はいたしておりません。予算編成のときにも実はこういう議論があったのですが、予算規模というものを、そこまでにとらわれる必要はないと私は自分自身で思っておりますが、一般にわかりやすいものだから言っただけで、ほんとうの均衡財政かどうかということが主で、規模は大したことはない、ただつけたり程度と私は考えております。
○川崎(秀)委員 つけたり程度だと今お話がありましたが、きのうあたりの本会議での答弁、それから参議院も拝聴していた。そうするとやはりそこに非常に力点を置いているわけなんです。私は今池田さんが補正予算との関係をきっと入れてこられるだろうと思った。補正予算四百億を入れれば昨年のやつは一四・一%になるのですから、本年の方が十三・九で少いということは言えるのです。しかしことしは補正予算を組まない、もとより組まないとこの国会中がんばって言われていくであろうことは私も認めますし、党もその方針でありますけれども、しかしそうでないとは限らない。昨年のごとくあんなに補正予算を組まない、補正予算を組まない——鳩山内閣と石橋内閣とかわりましたから多少責任性も薄いけれども、そういう傾向も出てきておる。そうするとやはり今の論拠ははなはだ薄くなりはしないか。今後やはりいろいろな問題で財政上の議論が出ましょう。インフレ論の議論が出ましょうが、それはまさにつけたりの程度になったということで承知いたしてよろしゅうございますか。
○池田国務大臣 このインフレの問題で一番大事なことは予算の内容だと私は考えているのであります。そうしてもう一つは経済のあり方の問題を主にしております。どうしても必要であれば、ある程度従来のワクよりも比率がこえたからといったって、私はこれがインフレの原因にはならぬと思います。問題は予算の内容並びに一般経済界の資金の蓄積とさらに追加信用をするかしないか、これが主であります。片一方では国民のインフレ防止の心がまえが主であります。それでは十三・九というのはつけたりだという、これは一つの資料にはなるというのでありまして、これは軽んずるわけではございません。これは財政の理想といたしましては、この数字の小さくなることが政治の理想でございます。私はそう考える。しかし今回の問題において千二十五億円ふえたからさっそくインフレになるというような考え方につきまして、早わかりのする方法として言ったのでございます。昭和三十二年度において補正予算を組むか組まぬかとおっしゃれば、組まなくてもいいように当初からあらゆることを考えていろいろやっている次第でございます。
○川崎(秀)委員 今予算の内容が問題だということを言われました。それから国民が貯蓄する気がまえを助長することも一つの大きな問題だ、その他一、二言われたと思います。そこで私が伺いたいのは、それならば予算の内容において不生産的な要素というものもかなりふえておるのではないか。それは生産的なものもあるかわりには不生産的なものもある。だがらあまり強弁をされるとかなり危険性のものが出てきはしないか。たとえば防衛庁の経費は、岸外務大臣非常にお骨折りでありまして、また石橋さんもあなたも対米折衝をうまくやられて昨年並みに押えた。しかし賠償関係の費用を加えればこれは二百億ほどふえておる。やはり不生産的な費用というものがふえておるということを認めざるを得ない。しかも昨年度の防衛庁関係の費用は二百億ほど繰り越しになっておる。四百億という数字は相当なものです。だからそれならば予算の内容がすべて非常に積極的でよろしいかというと、そうでもないということも反省してみなければならぬのではないか、こういう点についていかがお考えになりますか、一つ明快なる反論を承わりたいと思います。
○池田国務大臣 防衛庁関係経費はお話の通りに繰り越しが毎年非常に多いものでありますから、これをなくするようにいたしまして、経営的の数字といたしましては四億ふえただけであります。これを不生産的な費用か生産的な費用かということにつきましては議論があると思いますが、私はやむを得ない費用だと考えております。賠償費におきましても三十年度におきましては繰り越しがありましたために百億円の計上でありました。今回は繰り越しがなくなりましたので百十五億円ふえて参りました。しかしこれも独立国家として、そして賠償の義務を背負いました以上は、これはさしむき積極的にどうこうといったことはございませんが、東南アジアとの将来の関係を向上し、日本の伸びていくためのやむを得ざる費用であると私は考えている次第でございます。
○川崎(秀)委員 この財政規模の比較についてはまだまだ議論しなければならぬ点があると思うのであります。財政規模の比較については、三十二年度の当初予算が一兆一千三百七十四億、三十一年度の当初予算が一兆三百四十九億、これと比較するのが当然でありますが、国民所得の比率については、私はやはりあくまでも三十一年度の分は確定したものと比較すべきであるという考え方を持っておる。その点で先ほど御注意を喚起したわけでございます。しこうして、インフレになるかならぬかという問題についてさらに掘り下げてみると、やはり財政投融資というものも含めて比較しなければならぬ。もとより財政投融資の今度の組み方は、党の政調会でも非常に苦労をされて積極的なものが多いと私は思う。ですが、そのワクを入れれば、その点にしぼってインフレ論争をするということになると、さらに国民所得との関係は差が広くなってきておる、昨年よりは広くなってきておるということが言えるのではないかと思うのであります。すなわち、三十二年度の財政投融資は四千百二十五億、こういうことであります。これに現在の一般会計の予算一兆一千三百七十四億を加えると一兆五千四百九十九億、こういう数字になる。これを、国民所得八兆一千八百億円に対する比率を見ると一八・九%です。前年度はどうかというと、三十一年度の財政投融資は三千四百九十二億でありますから、これに前年度の一兆三百四十九億の一般会計予算を加えると一兆三千八百四十一億ということになって、国民所得に対する比率は一六・八%なんです。ですから、今年が一八・九%で昨年は一六・八%だった。こういう数字の比較を見ると、インフレの要素というものはここにも出てきていないとは断言ができないのではないか。こういうことに対して、財政投融資というものはそういうものではないということに対する明快なる御所見を承わっておきたいと思うのであります。
○池田国務大臣 川崎さん御承知の通り、財政投融資のほとんど大部分は経済活動でございます。従いまして、私は過去の政府機関の蓄積、また昭和三十一年度に予想される特殊な蓄積をこの際経済活動としてやっていくことは、性質がよければ大いにやるべきだと考えております。これは民間の仕事で申しますると、民間の資金がどんどん集まってきて、しかもネック産業があるとき、経済規模の拡大を国民所得のふえる以上に経済活動をやっても——これは性質がよければ喜ばしい現象でインフレ現象とはいわれません。ただ、そこで考えなければなりませんのは、資金の蓄積があったからといって、生産の増強と見合わずにどんどんやっていくということは、これまた考えなければならないのでございますが、財政投融資というものは一つの経済活動でございますから、一般会計のそれのように考える必要はないと思っております。
○川崎(秀)委員 このインフレ問題を中心にして、ずっとその一つずつの問題をしぼり上げていきたいと思います。 次に重大な問題は、やはり物価が上れば文句なしにそういうインフレのおそれを惹起するわけでありますから、これが今一番経済界が心配をしておる問題だと思う。財界などの見解、ことに経団連あたりの、一昨日あたりみんな寄ってのお話などを見てみますと、やはり経済の現状は大体心惑的なものは少く一応健全だ、しかしまた発展期にある経済が、若干インフレ的なのはやむを得ないじゃないかということでありますけれども、たとえば経済学者や評論家のうちには、活発な設備投資というものを問題にしておる人がかなりある。きのうの朝日新聞の論説なども、かなり投資インフレのおそれがあるというようなことを言っておるのです。だれが書いたかと思うと土屋君が書いておるわけですから、かなりこれはこの論説などには耳を傾けざるを得ない点があるのではないか。しかし私どもの考え方は、やはり国際的な技術革新競争の中にある日本は、今日以後この激甚なる競争に打ち勝つために、少くともおくれをとらないように、設備更新を押えるよりは、むしろ設備の更新を進めながら物価を押える、そうして一そう盛んにするという考え方をとるべきではないかというふうに思います。しかし投資インフレの心配というものはないものかどうか、それから今私の述べた考え方に対して、池田大蔵大臣はどういうお考えを持っておられるか、明らかにしていただきたいと思います。
○池田国務大臣 川崎さんのお考え、全く同感でございます。一部には過剰投資ということにつきましての心配がございます。それは御承知の通り四千数百億円のオーバー・ローンが解消いたしまして、昨年の三、四月ごろから金利は下り金融は緩漫であったということも原因いたしまして、相当の設備合理化、近代化が行われました。しかしこのことは、外国との競争につきまして私はぜひやっていかなければならぬ。ただ設備の拡充につきましてもおよそ順序がある。これはやはり今のネック産業につきましてまず力を入れる。そうしてまた外国との競争につきまして、特に重要な部面では設備投資をやる。だから今、昨年の状況を見ますると、重要化学製品等への投資が相当進んでおるのでございます。私はこういうことは、やはり資金の範囲内におきまして重点的に考えていかなければならぬと思っております。
○川崎(秀)委員 その点で一つ数字にわたって論じてみたい点があるのです。それは卸売物価指数というものがやはり漸次高騰を続けておるということに注目しなければならぬ。経済企画庁調査部統計課から一月十六日に出された一番新しい資料を見てみますと、卸売物価は一九五二年を一〇〇として、昨年七月が一〇二、十二月には一 ○六という数字が出ておるわけです。生産財は三月末以来の高騰で十二月には一〇九——今までこういう数字はないのです。それから消費財も一〇三%ということになっておって、従来楽観材料の一つであったものは消えかかっておるということが指摘されるのじゃないか。それから週間の卸売物価も、一九五〇年の朝鮮事変当時の数字を一〇〇として、昨年十二月には一八三、これは伸び方がずっと高くなっておる。そうして消費財は一四九%をマークしておる。これは従来なかった高い数字です。従って物価が高騰ぎみだということは的確に指摘できるのではないか。現にデパートメント・ストアの雑貨物なども、相当に上ってきておる。ですから、非常に危険な様相がこの面からきておる。そういうことで、従来池田大蔵大臣の、物価は本年ずっと横ばいの形でいくのだという基礎がややくずれそうな感じを私はしておるのですが、これはどういうものでございましょうか。
○池田国務大臣 卸売物価と小売物価と分けて考えますと、基準のとりようによっていろいろございます。大体卸売物価もある程度の上昇が見られまするが、これはその率が主として鉄鋼、金属、機械類の異常な値上りがありましたために、率に響いておるものでありまして、総体の動きといたしましては、大体徐々な高騰といいましょうか、鉄鋼も一時九万円台を維持しておりましたものが、輸入その他で六万円台に下って参りましたので、私は今のところ卸売物価は横ばいがあるにしましても、ほとんど微々たるものだと思います。それから消費財物価につきましては、これはもうほとんどこの二、三年間横ばいでございます。このことがやはり国民生活に非常に影響すると同時に、このことがやはりインフレになるかならぬかの目安でございます。私はもちろん無条件に楽観はいたしておりません、常にわれわれとしてはそういうことは考えていかなければなりませんが、外国の事情その他をずっと勘案いたしまして、そう物価高でインフレということは起らない、また起してはならないと考えておるのであります。
○川崎(秀)委員 最後の御答弁では起してはならぬということでありますが、先ほど来言われておった数字は、私が申し上げておるのが新しい数字でございまして、もとより大蔵省にはこれらの数字については深い根拠もあると思いますが、どうやらこの十一月、十二月以来かなり卸売物価が上ってきておるということは非常に注目すべき現象ではないかということで、行き先を憂える声もだんだん出ておるということは、一つ注目をしていただきたいと思うのであります。 それからもう一つは自然増収の見積りであります。これはもう本会議でもかなり質問も出ておりましたけれども、一体千九百億の自然増収があるということの根拠、しこうしてどういう事情でそういうふうになってきたかということについても、御説明を賜わりたいと思うのであります。
○池田国務大臣 自然増収のおもなる根拠は経済活動の活発化によりまして、生産が非常に伸びたことでございます。農林水産の方は伸びておりませんが、鉱工業生産は非常な伸び方でございます。従いまして三十年度に比べまして、三十一年度は二割一分ふえておりますが、この上に持っていって一割二分五厘ふえる、こういう考え方でいっております。それからまたこれによりまして法人税の増収が非常にございます。また片一方個人の方につきましても雇用が二%くらいふえる、あるいは賃金が六%ぐらいふえる、こういうふうな計算の根拠に立っておるのでございます。販売業その他につきましても、消費者物価は動きませんが、昭和三十二年度が今の状態で横ばいするといたしますと、三十一年の一月から十二月までで二%ばかり上昇しておりますから、それを横ばいで続けていく、こういう計算でございます。きょう午前中に主税局長から詳しく説明いたしたのでございますが、各税にわたりまして、直接税、間接税等十分検討いたしまして、各税につきましての資料もおあげすることになっております。
○川崎(秀)委員 私はまだこの貯蓄奨励に対する具体的なあなたの考え方、あるいは最近各大銀行の貸し出しがことに本年一月中に人って非常にふえておるということ、これは驚異的な数字だと思う。あなたは常に預金をオーバーして貸し出しが行われることは厳に金融政策上慎しみたいということを言われておる。そういうような問題についてもお話を願いたいのでありますけれども——立ちぎわにお話願ってけっこうでありますけれども、参議院で呼ばれておるそうですから、あとの国際収支とかいうような問題については、後刻通産大臣ないしは経済企画庁長官に伺ってみたいと思うのですが、やはり国民の中にも自然増収というものが非常に大きな山ではないかということを注目しておるようです。あなたは、予算編成の技術は非常にタレントであるし、また自然増収の取り方についても長年御経験があることに対しては敬意を表しますが、一面、昭和二十五年のあの減税のお話をされたけれども、あのあとの一方における自然増収の取り方について、税のかけ方について非常な苛斂誅求があったということは、歴史の物語るところなのであります。当時代表質問に立った某君は、池田大蔵大臣というものは鶏三羽柿の木一本にも課税する、池田勇人は鬼よりこわい、にやっと笑って税を取ると演説しておるのであります。われわれは当時改進党で、国会対策委員長をしておって、これは昔語りだが、この手をまたやられたら大へんだというのは国民の偽わらざる感情だと思う。今は違って、この間日比谷の公会堂で、昔は悪いことをやったが、罪滅ぼしを今度はやるんだということを言はれておるから、非常にわれわれも信頼をして、石橋首相のよきパートナーであるあなたが、民情をほんとうに知られた財政政治家としての成長を祈っておるわけです。財政技術屋であってはならぬ、やはり財政の合理性を尊重するとともに、社会的な合理性を尊重する政治家になってもらわなければ困るのでありて、先般の値上げ問題における蹉跌も、そこにあるのではないかというふうに私は思っておるわけであります。 どうか健在であられるとともに、これらの予算執行の点については十分なる御配慮が望ましいことを要望しまして、大蔵大臣に対する質問はこれで一応とどめておきます。
○池田国務大臣 だんだんの御忠告まことにありがとうございます。(笑声) 貯蓄の問題でございまするが、今度の税制改正で一番私が苦労したのはごの貯蓄の増強の問題です。臨時税制調査会の答申もありますので、長期預貯金に対しまして、答申を破って免税ずるということにつきましては、かなりいろいろな方面から考えまして苦慮したのでございまするが、何と申しましても貯蓄の増強が絶対に必要だと考えまして、答申に反しまして一年以上の預貯金を免税にすることにいたしました。また生命保険の所得控除も大幅に増額したわけでございます。そういう税制面のみならず、やはり物価を安定して、貯蓄すればよくなるんだ、この気持で今後も国民の方々に協力していただくよう、これは渾身の努力を続けたいと思います。大蔵大臣として一番重要なことだと自分は考えておるのであります。 なおお話の一月におきまして貸し出しが非常にふえて参りました。御承知の通り、きょうも午前中説明いたしたと思うのでございまするが、昨年昭和三十年度におきましては政府収支の関係は二千七、八百億円の散超でございました。しかし今年は逆に千数百億の揚超になるのではないかと考えております。十二月までは散超一千億くらいでございまするが、一、二、三の揚超が相当大きくなる。これは税収入その他で参りますので、従いまして、納税資金その他の関係で、一月に相当揚超になりますので、その埋め合せに日本銀行の貸し出しがただいまでは千九百億円くらになります。昨年の今ごろに比べますと、一千億円以上ふえているということになるのであります。このために貸し出しが増加したのでございますが、原因がはっきりわかっておりますので、心配はいらないと思います。 最後に租税収入の問題でございますが、柿の木二本と鶏五羽というのは昭和二十二、三年ごろでございます。二十五年ごろにはそういうことはやめろと言ってやめさせまして、最近ではおかげさまで税の方のトラブルは以前に比べればよほど少くなったのであります。これは国民の御協力のたまものでございます。この上とも税制の円滑を期するよう努力したいと思います。
○川崎(秀)委員 大蔵大臣、けっこうでございます。 次に問題にしなければならぬのは国際収支の問題であります。私は質問に先だちまして、国際収支に関係する輸出入貿易の地域別見込み、ないしは品目別の見込みの資料、さらに外貨保有高及びその予算内容の提示を求めておいたのであります。もう四時間くらいたてばできるだろうからというので、昼求めておきましたがその資料はできたのでありましょうか。できておれば各委員に御配付を願いますとともに、今もし説明ができますれば、この際にしていただきたい。
○宇田国務大臣 ただいま資料を作っておりますから、できましたらあわせて説明をいたしたいと思います。
○川崎(秀)委員 それでは経済企画庁長官に根本的な問題を一つお尋ねしていきたいと思います。 三十二年度経済計画の策定に関し疑問の点を宇田企画庁長官にお尋ねするわけでありますが、その他に昨年の経済企画庁の立てた諸般の経済指標はことごとく今日画餅に帰してしまった、問題にならない、あなたのところの出す数字というものは信用に値しないのだということになったのであります。まあしかし責任大臣もかわられましたし、これはよい方へかわったわけですからおめでたいわけですから、あんまり文句も申しません。しかし本年からは一つがっちりした数字のもとに長期の計画を立ててもらいたい。今の日本の経済の伸張ぶりでは、今党の政調会で研究をされておる国民所得の倍増計画というものを一つの大きな目安にして、ほんとうに内容の充実した文化国家、福祉国家を目標にして進むべきではないか。その意味で長期経済計画、少くとも七年、十年という計画を立てて、ことに宇田さんの方でも最近御研究を始められたそうでありますが、人口であるとかあるいはエネルギーだとかいうような問題にまでさかのぼって、この際大計画を立ててもらいたいと思うのでありますが、そういう御用意があるかどうか、承わっておきたい。
○宇田国務大臣 お答えいたします。昨年の経済計画の食い違いの原因は、国際的に見て大体昭和二十年の末に計画を立てたときには、二十一年は国際の経済情勢は伸び悩み、むしろ鈍化をするであろうというのが、大体国際的な経済の見通しの基本であったわけですが、それが逆に国際的な非常な環境の変化があって、日本の貿易帳面じりでは一割二分五厘ばかりの、世界で一番にもなるような伸びになったということで、私たちは当初経済は国際的には伸び悩みで、鈍化するであろうと見ておった、そこに一つの見誤りがあった。国内的には、昭和三十年末から三十一年にかけての傾向では、おそらく国内の国民の投資傾向はむしろ鈍いであろう、こう見ておったのが、三十一年に入ってみると先ほど川崎委員から言われたように、非常な技術革新の波に乗って、国内における産業投資というものが非常な意欲の旺盛さを示して参りまして、国内的な投資活動が活発になった、そういう点が昨年における大きな見誤りの原因であった、こう考えております。従ってただいままでの経済自立六カ年計画というものは、わが国の経済の伸びには合わないものである。むしろわれわは石橋内閣で当初計画して申しましたような完全雇用の達成のためには、どうしても年々の成長率を考えるよりも、五年ないし十年の、ただいま仰せられたような長期にわたって国民所得の伸びを考えていかなければならない、石橋内閣の基本線は少くとも十年前後の時間をかけて雇用量の吸収化をはかりたい、それには労働力人口あるいは経済拡大を必要とするための基本線は、どうしても年に七分五厘程度の経済の伸び、拡大をはからなくてはならないと考えられます。それがためにはエネルギーの問題あるいは鉄鋼の問題、輸送等の緊急措置以外に、少くとも五年で区切るという計画でありますけれども、もう少し長期にわたって計画を立て直さなければならない、その新しい計画を立てますための作業はただいま準備を進めています。おそらくこの八月以後において昭和三十二年を基準とする五カ年計画の原案を作成し得るというふうに考えております。
○川崎(秀)委員 今長期計画の問題をお話しましたが、やはり年次計画もその中において大切だと私は思う。本年度の経済計画策定には、二つの見方があるわけですね。鈍化するというものと、もう一回り生産が大きくなるんじゃないか、それは勤労所得というものはだんだん増加して、そうして個人消費支出の伸びというものは若干大きくなるだろう、だから最近の投資の水準が、このごろの実勢からしまして当分落ちそうにもない、だから全体として総生産はもう一回り大きくなるんじゃないかという考え方も一方にあるわけです。これに対して三十二年度の投資はすでに現在一部産業に見られておるように設備投資の行き過ぎた傾向あるいは在庫投資の一巡からして、せいぜい三十一年度の横ばいの状態に入るだろうという見方から、三十二年度経済の成長率というものは、案外低いんじゃないか、こういう見方をあなた方の方はとっておられるんじゃないかと思うのですが、もう少しそういう点につい的確な経済企画庁としての御所見を承わっておきたいと思うものであります。
○宇田国務大臣 お答えいたします。三十二年度におけるところの国民の総所得は、八兆二千億という数字を持っております。従って前年度に比べて七分五厘の伸び、こういう考えであります。それで国民総生産については、三十一年定は九兆一千五百億という数字を打っておりますが、三十二年度におきましては九兆八千五百億であって、この伸びは七分六厘、こういうふうな数字であって、これは経済計画の大綱に発表いたしてあります。そういうふうなワクの伸びでありまして、昨年度の一割二分五厘に比べますと、七分五里程度の伸び、従って伸びの傾向はむしろ鈍化するという見通しであります。
○川崎(秀)委員 さっきの要求した数字は出ましたですか。
○宇田国務大臣 外貨の保有高についての御質問がありましたが、それは十二月三十一日現在では十四億三千五百万ドル、内訳を申し上げますとアメリカ・ドルで十億七千六百万ドル、ポンドで九千十二百万ドル、その他二億六千七百万ドルということになっております。
○川崎(秀)委員 さらに地域別、品目別のものはまだできませんか。
○宇田国務大臣 地域別と品種別の累計は、今すぐ出して参ります。その概要を申し上げましょうか。——地域別ではアメリカ関係の日本の貿易というものは来たる年度においては、現在よりも悪くはならないという見通しを持っております。東南アジア方面は、相手の国の外貨の保有量が非常に減っておりますから、この輸出は、来たる年度におきましては、本年度よりもよくなるという見通しがただいまのところないと思っております。その以外の地代における貿易は、大体本年と同様の程度で推移するのではないか、こう思っております。それから貿易の品種別の内容につきましては、輸出につきましても御承知のように新しい、たとえば昨年のように、船舶を中心とする機械のようなものは本年は相変らず受けておりますから、活発な推移をたどるだろうと思っております。そのほかに、たとえばセメントであるとか、その他化学繊維を中心とする新しい日本の輸出の昨年伸びておったものは、ほとんど同様に伸びるものと考えております。輸入の面におきましては、原材料では何といいましても石炭、鉄鋼、特にアメリカからスクラップを入れるというようなことも、原料の手当は、今年はかなり量がまとまるものと思っております。それから原材料以外に、新しい合理化のために必要な機械類の輸入も、かなりわれわれは見込んでおかなければならない、こういうふうに考えております。そのほかの点につきましては、本年度と来年度と特に変ったことはあるまい。詳細につきましては、あとからまたお届けいたします。
○川崎(秀)委員 まだ資料が全部出てきませんので、詳しい質問もできないわけですけれども、一応概念的にも伺っておきたいのは、やはり国際収支が本年は悪化するのではないか。とんとんにいくというようなことをあなたは言っておられるけれども、今年度の計画では、輸出が二十八億ドルで、輸入が三十二億ドル、それに特需があるからとんとんになるという考え方を持っておられますけれども、最近では、もっと輸人はふえるのではないかというような有力な見方がある。しかもその反面、輸出の二十八億ドルというのは、現在の月間一億ドル程度の輸出水準から見て、なかなか容易に達成することができないのではないかということになると、どうしても赤にならざるを得ない。赤になれば、私は今年の予算とそれから国民経済の状況から見て、非常に不安な状態が出てくるのではないか。池田大蔵大臣は、国際収支が赤字でも、生産資材が相当入ってきて、それがまた輸出に転化する見込みがあるから、少々の赤字は差しつかえないのだというようなことを言っておられるけれども、このことは、きのう河野密さんが言われたように、非常に危険な考え方だと思っておるのです。それは、昭和二十八年のときに同じような状態が起って、今日の国民経済の規模とは違いますけれども、やはりわれわれは苦い経験を打っておるので、そういう点で、あなたは今後の輸入輸出の見通しについて、確たる見通しがあるか、一つそれらの問題について御見解を承わりたいと思う。
○宇田国務大臣 お答えします。輸入対策の中で、昨年の秋から昨年末について特に異なった現象は、鉄鋼を中心とする、要するに隘路部面の原材料が騰貴をいたしまして、物価のアンバランスが騰貴の原因となっておりました。それで政府は、緊急輸入で少くとも四十万トンばかりの鋼材を入れたはずであります。それで輸入計画は、鋼材においては百二十万トンの輸入計画を前内閣の終りに立てて、それは手当をして、必要なものはそこから入って参って、従って金属を中心とする卸売物価は下っております。日本の現在の在庫の状況を見てみても、そういうふうな基本物資、基本原材料の在庫が比較的豊富であって、これが漸次生産にただいま回って、そうして新しい輸出材料として加工されつつあるのが実情であります。従って、物価はひどく上らないであろう。また本年の輸出に対する見通しについても、今後の輸入に対して、ただいま持っておる手持ちを調節することによって、われわれは輸人のバランスというものが悪化するおそれはない。従って、物価も非常なインフレ的な悪化の傾向をたどるということはなくて、むしろ横ばいを続けながら、現在の手持ちをうまく活用して、本年度の輸入というものは、まずわれわれの考えておる線に落ちつくもの、こういうふうに思っております。
○川崎(秀)委員 大へん知識は御豊富のようでありますけれども、私が今お尋ねしておるのは、最近の状況だけではなくして、これから先の十二ヵ月間、去年のような調子でいけるか、しこうして最近のこの月間の二億ドル程度のものでは、非常に危ないのじゃないか。もとよりシーズン、シーズンによって出る輸出品目も変ってくることですから、これは多きに見込むことはできるでしょうけれども、そういうことを知りたいわけなんです。そうして、もしもその赤字が大きく出るということになると、その波乱は昭和二十八年ほどではなくても、一つの危機を迎えてきやしないか。それに対して、多少赤字が出てもかまわぬのだというような考え方は危険ではないかということを、私はあなたにお尋ねしておるわけです。
○宇田国務大臣 お答えいたします。赤字が出ても差しつかえがないという考えに私は立っておるわけではありません。赤字は出ないものであるという見通しに徹しておるということでございます。それで、その理由はただいま申し上げましたようなことでございます。
○川崎(秀)委員 そうなると、今あなたが言われたのでは、もっと輸入を減らし、輸出を伸ばすような積極的な政策をとらなければならぬ。この輸出振興に対する具体的な政策というものが、何かありますか、通産大臣に承わります。
○水田国務大臣 今輸出入の問題を御質問でございましたが、どうしてもここで私どもは、二十八億ドル以上の輸出をことしやらなければならぬと思っています。さっき経済企番庁長官からお話がありましたように、ドル圏域へは今相当輸出が伸びている。ポンド圏域からは輸入が非常に伸びておる。そうしてそのほかの、特に東南アジアを中心とする国の貿易は、あまり伸びていないという現状でございますので、これを打開する積極的な方法をとらなければ、やはり来年の輸出を伸ばすということはできない。そのためには、一番先にやはり必要なのは外交的な問題でして、通商航海条約を至急作る、それから賠償問題を解決する、関税問題を解決する、それから現行の通商協定もここで改善しなければいかぬ、こういうような問題がやはり根本的に先の問題でして、これをまず私どもは、経済外交の強化ということで、まつ先にやろうと考えております。それから今各国別にいろいろ事情が違っております。たとえば豪州等の問題のようなのは日本の方が非常に輸入超過でいる。これはもっと輸出を伸ばすというためには、対日差別の撤廃をぜひ向うでしてもらわなければならぬ。この交渉に入っていますが、大体豪州は、この日本の申し出の原則を認めている。そうなると、今度は日本が何を買ってやるかという問題で、たとえば小麦を買うというような問題がきまれば、豪州との協定も非常に順調に進んで、これによって相当輸出を伸ばせる見込みが今ついております。それから、たとえばインドネシアというような国は、今日本の債権が焦げついておりますが、この打開方法は、賠償問題の解決とあわせて私どもはできると思っておりますので、これによっても、今以上に貿易を伸展させることはできるだろうと思います。それからフィリピンは、ああいうふうにせっかく賠償協定ができたのですから、もっと伸びてもいいはずですが、御承知のように、日本の輸入超過で、一方的な貿易になっております。これもやはり日本に対するいろいろな差別がございますので、これをやめてもらうという交渉を今いろいろやっておりますが、こういう問題が片づくことによってさらに伸びていくというふうに、一国別にいろいろ輸出をはばんでいる事情がございますので、この障害をとるということに集中的な力を注ぐよりほかにはないだろう、今そういうことで一生懸命にやっております。
○川崎(秀)委員 これから後は、時間も制約されておりますので、まくら言葉は除きまして、問題そのものに当りたいと思うのであります。 昨日春日一幸君その他から質問がありまして、中小企業問題が非常に強く論ぜられた。この中小企業の今後の対策として、中小企業の組織化に対する法案を通産省としては準備をされておる。新聞で見るところ、まだ何のことやら私どもにはわからない。協同組合的なものを組織するとか、あるいは法案についてはいろいろな構想がありましょう。今日まとまっておる考え方でけっこうでありますから、一つその構想を伺っておきたいと思います。
○水田国務大臣 中小企業の組織化とか、あるいは振興というものにつきまして、中小企業振興審議会というものが今できております。そこの答申がただいま政府に参っておりますので、大体その答申に基いて中小企業の安定をはかろうというので、いろいろの立法の準備を現在いたしておる最中であります。まずそのうちの一つは、中小企業の組織法と申しますか、団体法ともいうべき基本法を新たに作る、そうして従来の中小企業等協同組合法とか、あるいは中小企業安定法をやめてしまって、新法に統一しようというふうに考えております。中小企業の組織について、ただいま二つの法律が現行法としてあって、その下に組合が四つできております。事業協同組合、それから信用協同組合、企業組合、それから調整組合、こういうようなものがあるのですが、その組合が今のところ十分機能を発揮しておらないばかりでなくて、これは別々に、たとえば調整事業とそれから協同経済事業というものを一緒にはやれないということになっておりますが、事実は、組合がみなダブっておって、同一組合が名前を変えてそういう事業を別にしている。これは非常に不便だから、新たにこの二つの事業をやれるような新組合を作ってくれ、こういう要望もございますので、新たにそういう調整事業と協同経済事業のできる商工業組合を作って、その組織の強化をはかろう。そしてその組合に新しい権限を与えて、中小企業の組織を強化しようというようなことを中心とした構想で、今立法の準備をやっておりますが、この準備は非常に進んで、大体今月末には国会へ提出できるところまでいくのじゃないかと考えております。そのほか答申に基いた要望を申し上げますと、中小企業の振興助成法というようなものを作って、大企業が中企業の産業分野を侵すようなことを規制してもらいたいとか、あるいはきのう春日さんから御質問がありましたような、宜行事業の調達について、中小企業へ一定割合品の発注をしないかとかいうような、非常なむずかしい問題がありますが、こういう助成法によって考えろという答申が出ておりますし、従って今それを中心の法案の検討をやっております。 それからもう一つは、小売商の振興法というようなもので、やはり小売商が非常に困っている幾つかの問題を、その法律によって解決したらどうかという答申が出ておりますので、これもその答申の線に沿って今法案の検討中、こういうことになっております。
○川崎(秀)委員 非常に積極的な御意見でけっこうであります。 次に、農林大臣に伺います。米の値上げをやめまして、その結果食管特別会計に赤字が出た、それをそのままにして借入金でぬぐうたわけですけれども、補正予算に計上しなかったのはどういうわけですか。
○井出国務大臣 お答えいたします。これは、あるいは大蔵大臣からもお答えをすべきかと思います。予算編成の過程におきましては、ただいま御指摘になったような点も論議がございました。昭和三十年度の赤字は、大体確定的につかんでおりますが、三十一年度の数字が大よそ百六十億余りというような若干不確定要素もございましたので、これを一括いたしましてああいう組み方をしたわけであります。内閣にできまする調査会で十分に検討をしていただきまして、それを尊重して処理をいたしたいと考えます。財政全体といたしましては、大蔵大臣も申される通り、十分余力と弾力性を持っております。その点は御了承を願います。
○川崎(秀)委員 これは昨年でも赤字が予想されておったのですけれども、完全な損金ではなかった。今度は三十年度の赤字というものが確定して、三十一年度も百六十億というものが出ている。それをそのままにしていくというのは、幾ら特別調査会の結論を待つということでございましても、なかなか納得がいかないのじゃないですか。われわれはやむを得ず納得します。しますけれども、これは今後に非常な論争を残しておるのではなかろうかと思うので、健全財政の方針を貫いたとは言えない。そういう意味において、その点については、農林大臣としても相当御反省になってしかるべきではないかと私は思うのであります。それから食管会計の赤字をそのままにしておくというと、調査会の結論を待ってまた値上げをするのではないかという不安が国民の中にあるわけです。国民の中に不安を残しておくのは政治ではない。やはりもう値上げはしない。大衆生活の擁護において、よほどの大きな経済上の変化がこなければ、米の値段は上げないのだという考え方を持って——調査会でどうにもならなければ仕方がありませんけれども、そういう方針のもとに農林大臣は進んでもらいたいと私は思う。この間の予算編成における御態度も、そういう態度でなければならなかったと私は思う。世間は、あなたのひおどしのよろいに非常に同情しているわけです。同情はしているけれども、予算委員会はそれでは通らないですよ。だから、どうかそういう意味において、一つこの点をはっきりさして、その信念を持って進んでもらいたいと私は思う。そういう点で、あなたの御感想を承わっておきたい。
○井出国務大臣 御指摘の点は十分反省をいたす所存でございます。調査会の結論が出ますれば十分これを尊重いたしますことは、申すまでもありません。予算は御承知のように据え置きの形で組んでございます。この点は御了承いただきたいと思います。
○川崎(秀)委員 最近における農林行政は、ことにこの予算の面では、毎年後退をしてきている。予算編成期において土地改良その他農村に必要なる諸施策について、農村関係の職員の方々の熱心なる要事が繰り返されておるという状態であります。もとより財政上で農林予算を多く計上することのみが農林施策とは考えておらない。広川農林大臣のときには、日本の農村の景況もそうでありましたように、一千八百億に近い農村保護費というものが出た、それがだんだん後退をして、今年は一番初めは八百十何億だ、それを止したという程度でありまするけれども、その間においては昨年、一昨年の大きな豊作があった。これはお天気ばかりがいいのではなくして、やはり前農林大臣にのタイミングのよい政策、措置というものも相当大きな数果を上げておると私は思う。そのあとを受けて立ったるところのあなたは、一つ前農林大臣と途った味を出すなら出して、これから後もこの農林政策というものをどういう考え方で進めていくか、一つ素朴なる構想ほどけっこうでありますから、お話を願いたいと思います。
○井出国務大臣 農林予算の絶対経費が近年非常に減ってきた、こういう御指摘でございますが、確かに数字面を見ればそういうことは言えるでございましょう。よく昭和二十六、七年ごろの千七百億余りの農林予算が例に引き出されますが、これはしさいに分析をしてみますと、災害が非常に多くて、災害復旧あるいは農業保険、こういうふうなものが相当多かったようでございます。あるいはまた食糧の価格差補給金、こういうものがやはり農林予算として扱われておった、こういうふうに理解をいたしておりますが、これはあえて弁解はいたしません。本年度の八百九十四億余りのこの予算をもってして、いかに重点的あるいは効率的に仕事をするかということにあろうかと思うのであります。御承知のように現在の日本農業は国際農産物過剰状態が反映をいたしまして、非常に困難な事態に追い込まれておることは確かでございます。これはおよそ一国が近代化していく過程においては、原始産業でありまする農業がそういう形に追い込まれることは先進国の例に徹しても明らかなんでございますが、私としましては、いかにかして日本農業がこの国際農業の競争裏に立って抵抗力を増していく、こういうことに施策の重点を向けたいと思うのであります。当面は従来水田に非常に偏重だと言われておりました。これは私は水田の生産力というものはまだ高める余地があると考えております。しかし一方東北や北海道などの農業を考えますときには、ここにも反省する余地はあろうか、そういう意味で寒冷地振興対策、これを大きく打ち出しまして、従来の新農村計画などとも合せまして施策の万全を期したい、このように考えております。
○川崎(秀)委員 次は、けさの新聞によりますと、日ソ漁業交渉の再開に対して、ソ連側の考え方では日本の乱獲で非常にうんと魚をとったものだから、魚族が減ったというので、三人の学者が論文を発表しておるという、注目すべき記事が載っておって、この線に沿って日ソ漁業交渉が再び開かれることになると、相当な問題だと思う。私が聞きたいのは、日ソ漁業交渉はずいぶんおくれております。それから日本側の考え方も、昨年は六万五千トンですかで妥協したわけですが、本年は十八万トンとか、戦前のレベルまでにバツクしたいという考え方が出ておるようですけれども、そういう点について日ソ漁業交渉は近く確実に、再開されるのか。それから日本側の基本的な考え方というものについてお考えを明示してもらいたいと思う。
○井出国務大臣 お答えいたします。日ソ漁業交渉がいつ行われるのか、この点でございますが、一番最近着いた公電によりますと、ソ連の委員一行は、クータレフ次官以下九日にモスクワを出発する、そうしておそらくは十二月の夜到着するのではないか、こういうことでございますので、今月半ばには漁業交渉が開始される、こういうふうにお考えを願いたいと存じます。 そこで日本側の主張するサケ・マスの漁獲量でありますが、これは川崎さん、国際交渉で微妙な点もございますので、この数量を申し上げることは、一つ差し控えさしていただきたいと思います。こちらとしましては、科学的なデータの上に十分主張すべきことはいたす所存でございます。 それからソ連の学者が、日本の漁獲は、北洋鮭鱒資源に有害な影響を与えておる、こういう新聞発表を行なっておりますが、日本のサケ・マスのとり始めたのはしばらく中絶しておって、ここ一両年のことでございますので、ソ連の主張いたします論拠は、サケ・マスの成長年数などを考えますと、十分これを論駁し得る余地があるのでありまして、必ずしもあれをそのままに信じなくてよろしい、かように存ずるわけであります。
○川崎(秀)委員 とにかくひどくおくれておるわけであります。そうしてまだ二月の中旬というようなことではまたぞろ延びるのではないか、非常に不安があるわけですから、これを一つ農林大臣として大いにソ連側に外交機関を通じて極力再開の早からんことを切望する次第であります。 文部大臣に単刀直入に伺います。教科書法案は出すつもりでありますか。出さないつもりでありますか。
○灘尾国務大臣 教科書法案につきましては、これは昨年来の懸案でございます。私といたしましては、この懸案を解決いたしたいと考えております。
○川崎(秀)委員 私は、その点を憂えておるのは、やはり教科書問題は、これは意見が対立しておる。だから出せばやはり早い方がいい。出すならば少くとも二月中に出して、そうして堂々と国会において討議をすべきである。これをまた会期の末あたりにもんでようやく出すようでは非常に前途が憂えられるわけでありますから、その点については抜かりなく処置を願いたい、かように存ずるのであります。 次に伺いたいのは、新しい文部大臣は、スポーツの振興についても非常に力を人れられておる。あなたの談話あるいは方針というものが各方面に発表せられて、本年はスポーツ予算というものもかなり出ております。国立競技場なども完成に近い状態であることは御同慶にたえないわけでありますが、明年はアジアのオリンピックとも称するアジア大会というものがある。そうして国際オリンピックの諸君も来るわけです。それを見て東京の工合がよければ、あるいは一九六〇年のオリンピック大会も日本に来る可能性があるわけです。そういう国際的な水準の話もあれば、一方においては、国民全般に対する体育の普及という問題は、今日青年諸君の非常な関心事でありますが、こういう問題に対して、今まで文部省ではわずかに体育課という程度のものでしかスポーツの行政を見ておらなかったということは、間違いではないかというように私は考える。ですから、文部省に将来体育局なり、スポーツ局なりというものを置くということとともに、できればその前提として、内閣にスポーツ振興審議会というものを作ったらどうかということが、すでに体育関係者からあなたのところにも陳情があり、文部省においてもお考え願っておることだと思う。これらについて、明確な答弁を願いたいと思うのであります。
○灘尾国務大臣 お答えいたします。スポーツの奨励ということは、現内閣といたしましては十分に力を注いで参りたいと考えております。お話のいろいろの問題につきましても、全く同感に存ずるのであります。わが国のスポーツ界といたしましても、重要な問題をいろいろ控えております。のみならず、国民全般に今後大いにスポーツの振興をやっていこうということになりますと、そこに何らかの機関を必要とするのではないか、かように考えております。文部省の機構拡充という問題も今後検討して参りたいと存じますが、いろいろな重要な問題を審議していただきますために、私は内閣にスポーツ審議会とでも申しますか、さようなものを一つ作っていただきたい、こういう考え方をいたしております。近く閣議にも諮りまして、その結論を得たいと考えておりますから、さように御子承を願います。
○川崎(秀)委員 法務大臣に伺います。裁判が非常に渋滞をしておる。その迅速化ということで、あなたの方からも党の方に対して、本年は相当な経費を組んでくれということであります。大蔵大臣もこの点を重視されて、若干の経費が組まれたように私は思っておる。一体どううしてこうおくれるものか。ことにこの際注意を喚起いたしたいのは、昭和電工事件のごときは、十年の歳月を経てなお決着がつかない。こんなべらぼうな話はないです。もう二人、三人の政治家は、政治的生命を殺されておる。私は非常に遺憾なことであり——これは頼まれてやったわけじゃない。きょう自分で発意をして、これはぜひ聞いておきたいと思ってあなたに伺いたいと思うのであります。
○中村国務大臣 御指摘の通り、裁判がなかなか迅速に参りませんことについては、私どもも憂瞬いたしておるものでございますが、昭和電工の事件が大へん長くかかっております。私どもも実はその点どういう事情で長くかかっておるかを調べてみたのでありますが、この事件は審理の過程を見ますと、大体こういうようなことになっております。起訴が行われましたのが昭和二十三年の十二月でございます。一審判決が二十七年の十月にありましたが、第一審判決に至るまでの公判開廷回数が、総計して二百九十二回に及んでおります。なお、その間取り調べました証人の数が四百七十三人、第二審に移りましたのが昭和二十九年一月からで、現在に及んでおります。大体本年中には審理は完結される見込みでございます。現在までの開廷回数は、控訴になりましてから三百十一回でございます。なお、裁判所側からも本日出席しておると思いますから、詳細は一つ裁判所側の方からお答えを願うことにいたしたいと思います。
○山崎委員長 最高裁判所刑事局長より発言を求められております。これを許可するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なければ発言を許可いたします。最高裁判所刑事局長江里口清雄君。
○江里口最高裁判所説明員 裁判が非常におくれておるというお話でございますが、この点では、一般的に申しますと、それほどおくれておるわけではございません。第一審の裁判におきましは、九四%までは一年以内に判決があっておりまして、第二審では、九二%までは一年以内に判決があっており、それから最高の上告審におきましては、七二%までは一年以内に判決がなされておる状態で、ございまして、二年以上かかっておるという事件は、第一審におきましては一・九%、第二審におきましては一・七%、最高裁判所の上告審におきししては二・九%が二年以上かかっておるという状態でございまして、平均の審理期間は、簡易裁判所におきましては二・二カ月、地方裁判所におきましては五カ月、高等裁判所におきましは四・九カ月、最高裁判所におきましては九・四カ月というような状態に相なっておりまして、一般的に裁判がおくれておるということは言えないというふうに私たちは思っておるのであります。 それからただいまの昭和電工事件のお話でございますが、これは東京高等裁判所におきまして、昭和二十九年一月以来、二つの部が専門にこの事件を担当審理いたしておるわけでありまして、担当裁判官が良心に従ってやっておられる事件で、具体的な事件でございますので、お答えはいたしかねるわけでございます。
○川崎(秀)委員 大へん裁判所の中と世の中の空気が違うということをあなたはよく認識をして、時代を一つ調節して下さい。調節をして、そうしてとにかく法務大臣としては、今や原子力時代ですからな。そうして、裁判は慎重を要することとはいいながら、かくのごとき感覚で今日答弁をしておられる程度であるから、ぜひとも裁判の迅速化に対して御注意を願いたい。これは特に警告を発しておきたいと思うのであります。 次に厚生大臣に二、三。これは第一に国民健康保険の全国普及ということで、何といってもこれを主眼にし国民皆保険をやるということがあなたの政策の中心だろうと思うのです。ところが本年の予算を見ると、果してこの程度の措置で十分に進行していくかどうかということについては、憂えざるを得ないのであります。私があなたに今伺いたいのは、国民皆保険の理想やよし、それに到達するまでの年次計画、具体的にいえば、東京都とかあるいは大阪などの大都市が、国民健康保険にどういう状態で入ってくるかということについて、御答弁をわずらわしたいと思います。
○神田国務大臣 お答え申し上げます。国民健康保険の普及につきましては、今年度の予算におきまして、所要の経費を計上しておることは御承知の通りでございますが、政府は四カ年計画をもって実施の完了をいたしたい。そこで一番問題になりますのは、東京であるとか大阪であるとかいう大きな都市が、どういう状態になっておるかということを御心配のようでございますが、私どもの今までの連絡から申し上げますと、両都市とも三十三年度では皆保険を実施する、こういうふうに承知いたしております。
○川崎(秀)委員 今の年次計画はどうですか。来年はどのくらい人って、再来年はどのくらい入るかという大体の見通しは……。
○神田国務大臣 お答えいたします。今年度三十二年度が五百六十万人、それから三十三年度、二十四年度、三十五年度とも大体五百万がないし六百万を目標に進めております。
○川崎(秀)委員 この国民健康保険については、もとよりその普及、促進というものも大事なんですけれども、一方におきましては、現在の国民健康保険のうち、ところによりましてはやめるというような傾向を出しておるところもあるのです。それはやはり事業費の補助というものが足りない。医療給付費に対しても特別の措置というものが必要なのじゃないかということを私は考えるのです。そういう点で今後どういう特別の措置があるか、伺いたい。
○神田国務大臣 お答えいたします。国民健康保険の実施に伴いまして、地方財政が逼迫しておることは事実でございまして、政府におきましても事務費の全額補助を目途といたしまして昨年度までは一人当り六十七円でございましたが、この三十二年度からは八十五円に引き上げよう。なお今年五月以降、地方財政の決算を一つ厚生、大蔵両省におきまして調査いたしまして、この実績を一つ十分調べた上で、事務費の全額補助を実施して参りたい。それから今の給付費の問題でございますが、これもおくれておりますことは事実でございます。しかし三十年、三十一年の分につきましては、今年度の補正予算にこれを組み入れまして、地方財政の逼迫を緩和していこう。来年度におきましては相当額計上いたしております。今後三十二年度以降、逐次増額いたしまして、財政逼迫のないようにして皆保険の実施を貫撒いたしたい、かように考えております。
○川崎(秀)委員 まだ伺いたい問題はありますけれども、全部時間の都合で省かしてもらいます。 きょう、内閣委員会において非常な不祥なことが起っているように聞いております。その原因であったものは何かというと、これは群馬県の相馬ケ原で起ったもので、米兵が演習中であるか、演習が終って、そして休憩をしておった際であるか、日本の主婦たちが薬奏を集めに行った、それをいたずらをのておる間に射殺をしたという事件が起って、これはまことに被害者に対しての深甚な同情を禁じ得ないのであります。同時に本件は日米の国民感情の上からしましても、深刻な影響を与えますので、その取扱いというものは私は非常に、注意を要するのじゃないか。これはどうもずっと事件を見て見ると、問題は公務中に起ったものか、あるいはそうでないかということによって、非常に問題の取扱いが行政協定によって違ってくるわけであります。このことに対して、今、日本政府はまずどういう措置をとっておるか。やはり私はポイントとしてあげたいものは、米人の日本人に対する心がまえというもので、もはや占領をはずれて相当な期間もたち、あなたの施政が針の中にあったように、米国も日本もお互いの立場を知って行動しなければならぬ、こういう心がまえがまだ米兵に薄い点が、この問題を惹起した原因だと思う。従ってこの米兵の精神的状態というものをよくたださなければならぬ。しかし裁判権が、公務中だということになると問題が米側に残るというので非常にデリケートな問題で、これらに対して岸外務大臣はどういう情報を打たれ、どういうふうに処置をしようとしておられるか、承わりたいのであります。
○岸国務大臣 相馬ケ原の事件は、お話の通り私は非常に衷心から遺憾な事態であると思います。お話のごとく、かくのごとき事態が起ったということにつきましては、いろいろな事情もありましょうけれども、米軍の側において特に注意をしてもらわなければならぬ点が私はあると思うのです。ただこの具体的事件をいかに処置するかということにつきましては、お話の通り公務中であるかどうかということによって裁判権が違うことになっております。今、この事件に関しましては、米軍側及びわが警察当局の両方が共同して事実を調べ中でごごいます。十分事情をはっきりさせてこれに対処したい、こう思っております。
○川崎(秀)委員 いずれにしてもこの問題は非常に深刻な問題であって先ほど私が指摘したような事態であろうと思うのであります。従って将来の補償をいかにするかということについては、外務大臣としても深刻にお考えをいただいて対処していただきたいということを要望いたしたいと思います。 それから一つ伺っておきたいのは、施政方針演説の中で在外資産の問題にも今回は触れられました。これはもう毎年大きな運動がある。私はまあ在外次資産を会面的に補償せよということは、これは根本的に無理だ、今日の日本の財政状況において、運動せられておる人々の要求を貫徹するということはほとんど無理ではないかと思う。しかしその気持については、やはり外務大臣並びに関係大臣におかれては十分にお考えをいただいて、そしてすみやかに一つの対策はやはり立ててもらわなければならぬ。もう戦後十一年半も過ぎておるこの時代に、これらの問題が重なって、在外資産は要求する、恩給は出てくる、農地の補償の問題は出てくるということでは、今後の処理ということはなかなか困難であろうと思いますから、ぜひこの点について明確な御答弁を聞いておきたいと思うのであります。
○岸国務大臣 在外財産の問題に関しましては、御承知の通り相当長い沿革を持ち、政治的な意味を持って参っておる問題であります。以前から内閣にこの問題を審議する委員会ができておりましたが、昨年特にその委員会を強化いたしまして、在外財産問題審議会の答申も出て参っております。この答申の線に沿うて、政府としてはこの問題を処理する方針をきめて、具体的な問題を具体的に研究をいたしておるわけであります。
○川崎(秀)委員 私は外交方針の全般につきましても岸外相の見解を承わりたいのでありますけれども、すでに本会議でも要所々々御議論が出ておりますので、ただ一つ伺いたい点は、今後日本は東西のかけ橋としていく、アジアとアメリカのかけ橋としていく、もう少し大きく申せば、自由主義陣営と隣接のアジア諸国との協調をともに大事にされていくということが、演説の中にうたわれておるわけです。しかしこの両方の問題が常に国連において一致した利害関係であるかというと、そうではない。先般アイゼンハワー大統領の国連におけるところの発言というものが、一方においてスエズの問題では英仏の無法なる侵略に対して国際正義上の観点からこれを打った、一方においてソビエト・ロシアのハンガリー進駐の事態に対して民族自主の建前からハンガリーを擁護する態度をとったということで救われたけれども、将来ただアメリカとのみ歩調を合せていくということでは、日本の外交はほんとうの自主性を回復したとは私は言えないと思う。むしろ民族的に非常に共通な運命にある、利害関係をともにしておるアジアのおくれたる諸国家とわれらは大体の基本線において同調をし、こうして自由主義諸国とは、自由主義諸国がこれと同調する場合はいいけれども、問題によっては相分れなければならぬ場面もあるでしょう。ただ、ハンガリー事変のごとき、国民の自由が奪われる、基本的人権が奪われるというときには、これはアジア諸国が反対をしても、自由主義諸国と歩調をともにしていくという、こういう例外が認められるだけであって、元来アジアの孤児にならないように今後努めていくのがわが国の外交方針の新しい路線ではないかというふうに私は考えておるわけでありますが、そういうような矛盾が出てきた場合に、もちろんケース・バイ・ケースでありますけれども、一応あなたのお考えを承わっておきたいと思うのであります。
○岸国務大臣 お話のごとく、今国連を中心としての情勢を見ますと、一方においては自由主義国と共産主義国との対立がありますし、また一方においてはアジア・アフリカ・グループと西欧諸国との間の対立もございます。日本がこれに加盟しまして、日本があくまでも国連憲章の精神にのっとって、わが国は国際的正義の見地から日本の主張を積極的に建設的にやっていかなければならぬ。従って、アジア・アフリカの主張にして正しいことであるならば、あくまでもこれを支持して、いかに西欧諸国といえども、もしくは自由主義諸国といえども、われわれの主張を聞いてもらわなければならぬ。また、自由を奪い、もしくはわれわれの正当なる正義が認められないというような場合には、決然立って正義を唱えていくというのが、日本外交の中心でなければならぬと思います。この意味において、われわれはできるだけこういう国連内における対立を公正な立場から緩和していくということが、われわれの今後努力を傾けていかなければならぬことである、かように考えております。
○川崎(秀)委員 岸外相は一方において国連中心主義というものを非常に尊重しておられる。これは全く賛成であります。しかし、国連の中の動きも、近来は非常に微妙なものがあって、国連が創立をされた当初の、いわゆる大国中心主義というものからはずれて、漸次小国の発言権も強くなっておるとともに、すべて総会を中心にした動き方に変ってきておる。変らなければならぬと私は思うのです。そういう意味で、日本の今後国連の内部におけるところの発言のよって立つ立場というものも非常に重要ではないか、ことにアジア・アフリカ・グループとアメリカとの間においての発言が非常にデリケートではないかと私は思う。その意味で、国連総会主義というものをもっと日本としては打ち出していくことが今後いい政策ではないかというふうに考えます。 それから、もう一つこの際申し上げたいのは、東南アジアとアメリカとのかけ橋になるということは、言うべくしてなかなかできない。もっとやろうと思えば、具体的な手を打たなければいかぬ。私は、太平洋に臨む諸国との親善というものも、軍事的な意図などというものではなくして、もう少し平和的な、友好的な関係というものを結ばなければいかぬ、ひとり日本とカナダとの関係であるとか、日本とオーストラリアの関係であるとかいうようなことでなしに、汎太平洋諸国、アジア諸国との間のバンドを強くするという意味で、汎太平洋会議というものも日本があっせん役になるというような、少し積極的な外交を展開したらどうかというふうに思うのですけれども、これらについても山月外務大臣の御見解を承わっておきたいと思うのであります。
○岸国務大臣 理想として、今川崎君の言われることは私も同感であります。ただ、その前提として、まだ個々の国々と日本との問の親善なりあるいは貿易、通商の関係等が十分樹立されておらない現状でございますから、やはり個々の国々との間の親普及び通商等の問題を処理して、そうして今お話しのような理想をもって協調を考えるということが適当であろう、こういうふうに思います。
○川崎(秀)委員 外務省はしきりに、ことしは招待外交を実施しようとしておられる。招待外交の中にはメンジス・オーストラリア首相その他のメンバーがありますが、私は、もう一歩を進めて、岸外務大臣が東南アジアを歴訪される、あるいは石橋さんが将来アメリカをとわれることはもとよりですけれども、それよりも、アメリカの全き中心人物であるアイゼンハワー大統領をなぜ招待しないか。ダレスやニクソンはそれならアメリカの中心人物かというと、選挙や何かの傾向を見ても、大衆は決してこれらの人々についておるのではなくして、むしろ共和党をささえておるのはアイゼンハワーの個人的な人気だ。世界の平和を愛し、平和的武人としてのアイゼンハワーの新しい考え方に同調しておるのがアメリカ国民の今日の姿であろう。これが今日まで外国へ行ったかというと、中東方面に対しては先年行きました。ところが、その後病気にかかったが、今日ではもはや完全に快癒をされておる。ことしなどは、私は、招待外交をやるならば、アイゼンハワー大統領ないしはインドのネール等の有力なる人に日本に来ていただいて、日本の今日の経済復興の状態、そうして日本の考え方というものを強く訴える機会にしたらばいかがかと思うのでありますが、こういう考え方に対して、岸外務大臣は招待外交の内容というものをもう少し明確にしていただきたいと思うのであります。
○岸国務大臣 すでに豪州のメンジス首相に対しましてはわれわれの方から正式に招待を申し入れ、大体において首相はこれを承諾しておるのであります。その他東南アジア及び中南米諸国の元首または首相その他有力な人々に対して、それぞれ在外公館等を通じて正式に招待を発しております。しかし、また明確な返事が与えられておらないところもありますし、発表は両国で同時にしようというふうな申し出もありますので、今ここに具体的にどことどこということは申し上げかねるのであります。 また、アイゼンハワー大統領の招待の問題についての御構想もありました。私は、もちろんできるならいいと思いますが、今日のアメリカの事態を見ますと、アイゼンハワーの地位を考えますと、構想はよくても、実現することはまだなかなかすずかしかろうと思います。もちろん、そういうこともできるなら、むろんけっこうだと思います。
○川崎(秀)委員 私は、終末に当りまして石田官房長官にお尋ねいたしますことは、非常に恐縮な内容であります。しかし、予算委員会の審議というものと非常に関係のあることでありますから、ぜひ石橋首相の病状並びに回復の見通しについて伺いたいと思うのです。 きょう冒頭にも申し上げたのですが、本国会の劈頭に当って臨時首相代理を置いたことは非常に遺憾である。それにもかかわらず、野党側が非常に協力をしてくれていることについては、われわれとしても謝意を惜しむものではない。しかし、野党側から御負質問の出ない前に、一体そういう心配はないものかどうか。施政方針演説をかわりの者がやったということは、戦後にはもちろんない。戦前にも、帝国議会開設の当時に伊藤博文がやった。それから浜口雄幸さんが遭難して、あとでやられたけれども、浜口さんの場合は、これは御承知の通り、第一回の施政方針演説は、われわれの子供のときだから、ずいぶん古い記憶でありますけれども、とにかく一時間も施政方針演説をやって、そうして昭和の名宰相といわれた演説を残した。そのことのゆえに、ライオン首相というあだ名もその顔つきとともに生まれてきたという因縁も知っております。そういう施政が針演説の第一回に総理大臣が欠席するということは、これはどう見たってほめたことではありません。野党側がよく寛容な気持をもって今日対処してくれておるものだと私は思っておる。だから、これは非常にこの予算委員会の審議の進行状態と影響のあることであります。今日その詳細を承わって、そうして二十日に出てこられるものならば、これは非常によきことと思いますが、一つその実情を伺いたいと思うのであります。
○石田(博)政府委員 総理の病気のために予算の審議に非常に渋滞を来たし、かつ臨時代理を置きましたことは異例なことに属するにかかわらず、皆様に御協力をしていただいておることについての川崎君の御発言、全く同感でありまして、私も非常に恐縮に存じますとともに、感謝いたしておる次第でございます。 総理の病状でございますが、毎日、新聞紙上に発表いたしておりまする通りでございまして、本日午前の状態は、昨日の午後の発表と大体同じであります。本朝診断後、主治医でありまする村山、佐々両氏のお話によりますると、経過は良好でございまして、このまま進行いたしますならば、予定の通り二十日には登院できる見込みであるということでございます。 右御報告を申し上げます。
○川崎(秀)委員 これは質問ではありませんが、最後にあなたに忠言を申し上げておきたいと思うのであります。シナの古語にこういうことがある。「朝はもって政をきき、昼はもって訪問し、夕はもって令をおさめ、夜はもって身を安んず」—、左伝、こういうのであります。「済々たる多士ありて、文王もってやすし」—詩経、この二つの文字からわれわれが感ぜられることは、一たび総理大臣になり、責任の地位に立てば、その地位に応じての節度というものがなければならぬ、官房長官も私は同様だろうと思うのでありまして、内閣総理大臣のスケジュールが十二月末以来非常に過重であったということが今日の事態を引き起したことだと私は思うのです。しかし、これについては深く追及も何も申し上げません。ただ、たまたま伊藤博文がそうだ。伊藤博文が代理演説をやらした、浜口雄幸がそうだ。災いを転じて福とするということを目がけられるならば、どうか大正、明治における二大宰相であった人にあやかって、再起の上は堂々と予算審議に応ぜられて、積極かつ安定財政を御説明願って、そうして国民をして安んぜしめる政治を行わしめるのは、一にかかって石田博英その人の忠言によるものであるということを私は思うのであります。その意味をあなたに申し上げまして、本日の質問を終了する次第であります。
○山崎委員長 明日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十四分散会