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26回国会衆議院1957/03/09

本会議 第18号

発言数
16
登壇者
5
会派数
2
開催日
1957/03/09

会議録

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、昭和三十二年度一般会計予算、昭和三十二年度特別会計予算、昭和三十二年度政府関係機関予算、右三件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  昭和三十二年度一般会計予算、昭和三十二年度特別会計予算、昭和三十二年度政府関係機関予算、右三件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員長山崎巖君。     —————————————     〔山崎巖君登壇〕

山崎巖自由民主党

○山崎巖君 ただいま議題となりました昭和三十二年度一般会計予算外二案につきまして、予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本予算三案は、去る二月一日予算委員会に付託され、本九日討論、採決されたものであります。  御承知の通り、その間、石橋内閣より岸内閣への内閣の交代があったのでありますが、本委員会においても、後継岸内閣総理大臣より、前内閣の提出した予算三案は、石橋内閣の閣議において責任をもって決定したものであり、日本経済の現状にとり最も適切かつ有意義なものであるから、石橋内閣と同様な閣僚で組織いたしておる新内閣としても、これらをそのまま引き継ぐ旨の言明があったのであります。  これら予算三案の内容につきましては、本議場において、池田大蔵大臣より、当面する内外の経済情勢、財政政策の基本的方向、金融及び為替政策等、詳細な説明がありましたので、すでに十分御承知のことと思われます。従って、ここでは、重複を避けるため、主として予算三案をめぐって展開されました予算委員会における質疑を中心に御報告いたしたいと存じます。  まず、財政の規模について申し上げます。昭和三十二年度一般会計は、歳入歳出とも一兆一千三百七十四億円余でありまして、三十一年度当初予算に比べ、一千二十五億円余の増加となっております。次に、特別会計は、新設の特定多目的ダム建設工事、特定土地改良工事及び国有財産特殊整理資金の三特別会計を加え、総数三十九で、その総計は、歳入二兆三千二百五十八億円余で、歳出二兆二千二億円余であります。また、政府関係機関は、公営企業金融公庫を新設して総数十一でありまして、その総計は、収入一兆一千四百五十億円余、支出一兆百六十九億円余となっております。なおまた、財政投融資について申し上げますと、その金額は三千二百四十六億円余でありまして、前年度に比べて六百七十三億円余の増加であります。  一般会計の規模は、ただいま申し上げました通り、前年度の当初予算に比較いたしまして、一千二十五億円余増大いたしておりまするが、このような予算規模の増大にもかかわらず、他面において減税の施策が講ぜられており、その金額は、明年度において、所得税について一千九十一億円余と算定されております。これに租税特別措置の合理化等による増減収、揮発油税等の増収を加除するときは、純減税額は七百二十億円余となっておるのであります。しかして、積極的施策と減税を同時に可能ならしめました基礎は、制承知の通り、昨今の経済の異常な好況を反映した租税及び印紙収入のいわゆる自然増収にあるのでありまして、その金額は明年度一千九百二十二億円余と想定されておるのであります。  そこで、まず、かかる膨大な租税の自然増収の根拠いかんという点が問題にされたのであります。政府の説明によりますと、明年度の経済情勢は依然として好況を予測され、三十一年度に比べて、さらに鉱工業の生産水準において一二・五%、雇用で二%、賃金水準で六%の増を見込み得るから、二千億円近くの増収の見積りをしても決して過大でないというのであります。  明年度予算に織り込まれている重点的な施策は、政府の説明によりますと、次の通りであります。すなわち、まず第一に、産業発展の基礎をつちかい、特に経済の各部門間の不均衡を是正するための施策として、(イ)電源開発の促進、(ロ)道路、港湾、国鉄等、輸送部門の増強、(ハ)貿易の振興、海外投資、技術協力の積極化、(ニ)中小企業並びに農林漁業に対する諸施策、(ホ)国土総合開発の促進等であります。第二に、国民生活の不均衡を是正するため、減税のほか、(イ)生活保護その地の社会的救済措置の強化、(ロ)国民皆保険を目標とした国民健康保険の普及推進及び結核予防措置の全額公費負担、(ハ)引揚者に対する対策、住宅及び文教振興の諸対策。第三に、科学技術の振興、特に原子力平和利用の促進、質的増強に重点を置く自衛体制の整備、公務員給与の引き上げ及び地方財政の充実等があげられておるのであります。  次に、委員会における質疑応答の若干を御報告申し上げたいと存じます。  まず、予算審議の一つの焦点はインフレと国際収支の見通しいかんという問題に向けられたのであります。インフレに関する質疑を要約いたしますると、「経済活動が昨今のように活発化しているときには、財政はむしろ控え目な役割を演ずるのが本筋である。しかるに、国民所得との比率からしても、三十二年度の予算規模は過大であり、しかも財政投融資、公共事業その他の面から、民間の経済活動を刺激する要因がはなはだ強い。さらに、物価は三十一年度を通じて徐々に高騰しつつあるにかかわらず、政府の施策は、国鉄運賃の引き上げとか、揮発油税の引き上げとか、商品コストを上げるような方向にばかり働いており、物価抑制に対しては何らのきめ手を持っていない。これではインフレは必至と思われるが、どうか」というのでありました。これに対する政府の答弁は、「予算の規模は経済活動の拡大と見合っており、しかも収支の均衡を保っておるから健全である。健全財政と並んで金融も健全金融、すなわち貸し出しを資金の蓄積のワク内にとどめるという方針を堅持していきたい。従って貯蓄の増強等によって資本の蓄積をはかるとともに、資金の供給は経済発展に真に緊要な部門を優先的に扱うよう指導していきたい。設備投資の伸びも明年度においては若干鈍るであろうし、また物価も長期的に見れば大した上昇率は示していない。すなわち、卸売物価は、二十八年を基準とすれば四ないし六%の上昇で、英米とほほ同様の率であり、消費財物価は日本の方が上昇率が低い。最近の消費財の部分的値上りも一時的、季節的な現象にすぎず、生産財のうち最も懸念されるのは鉄鋼であるが、それも製品輸入の増加等によって価格騰貴を抑制していきたい。さらに、国鉄運賃の引き上げも一般的な物価騰貴を招来するおそれはなく、輸送施設の改善は、むしろ物資の需給を緩和し、ひいてはコスト引き下げに役立つともいえる。このような情勢から見てインフレは起らない。また起してはならないと考えてる。」以上のような答弁でありました。  インフレと関連して、国際収支の見通しについていろいろと論議せられたのでありますが、質疑の要旨は次のようなものでありました。すなわち、「政府の国際収支に関する見通しは甘過ぎる。国際的要因としては、米国及びヨーロッパそれぞれに景気の前途に対して警戒すべき徴候が現われ、しかも輸出競争はいよいよ激化する情勢である。また、国内的要因としては、経済規模の拡大と物価騰貴は原材料輸入の増大と輸出の停滞を招くおそれがある。このような対外的及び対内的な要因からして、輸出目標二十八億ドルは達成できず、他方輸入は予定の三十二億ドルを大幅に上回る結果になりはしないか」というのであります。これに対する政府の答弁は、「国際的な高原景気は明年度も続くものと見てよい。輸出競争は激化すると思われるが、未開発国の開発も進み、その生活水準も次第に上ってきておることを考えると、輸出目標は達成できると思う。また、原材料輸入は、手持ち在庫が比較的豊富であるため、今後そう増大するとも思わない。ただ、政府としては、これらが内需用に回るものをできるだけ押えて、輸出に向うよう施策を講じていきたい。輸出振興の方策としては、やはり通商航海条約の締結とか、賠償、関税問題の解決、あるいは現行の通商協定の改善というような経済外交の強化、推進が必要である。国際収支の前途に対しては決して安易な見通しは持っていないが、輸出の増強が経済発展の支柱である以上、いたずらに輸入を抑制することは得策ではない」というのでありました。  次に取り上げられましたのは、減税の性格と、いわゆる低額所得階層の人々に対する施策であります。「政府は一千億減税を誇示しているが、実際に減税の恩典を受けるのは中以上の所得階層に限られ、しかもそれは高額所得者ほど有利である。しかるに、低額所得階層の人々は、減税の恩恵に全然あずからないのみか、運賃の引き上げ並びに漸次起りつつある物価の高騰により、かえって生活を脅かされておる。政府はこれらの人々に対してどういう施策を講じていくのか」というのでありました。これに対して、政府は、「戦後の税制改正においては、基礎控除あるいは扶養控除の引き上げ等、低額所得者に対する減税を主眼としてきた。しこうして、その結果、国民各階層の租税負担を昭和十五年当時と比べてみると、年収三十万、五十万、八十万という中堅階層の人々の負担があまりにも重過ぎるので、これをならすために、今回の減税は税率の軽減を主体としている。これによって、もちろん低所得の人々も相当程度減税されるはずである。しかし、もともと免税点以下の人々に対しては減税のしょうがないが、少くとも、これらの人々に対しては、税負担をふやさないため、間接税の増徴はとりやめた。また、統計によれば、低所得者も一般的には所得水準の上昇が見られるが、政府の施策としては、日雇い労務者の賃金及び生活保護の基準額引き上げ、さらには母子福祉及び世帯更生の貸付資金の増額、医療費貸付金制度の創設等、各般の措置を講じておる」との答弁でございました。  これに関連して、社会保障の問題が取り上げられ、「政府は、社会保障制度の拡充強化に対し、いかなる具体的な計画を持っておるか。また、明年度においては、国民健康保険の普及をはかり、被保険者数を五百万人ふやす計画のようであるが、地方財政窮乏の現状から見て、これは困難であると思うが、いかん」との質疑が行われました。これに対する政府の答弁は、「社会保障制度の拡充強化は、経済の発展、国民生活水準の向上を基礎にして行われ得るものであるが、昨今のような経済情勢から見て、その速度を早めていきたい。今回の予算では、もとより地方財政関係その他種々困難はあるが、医療保険制度を全国民に及ぼそうと、四年間の計画でスタートしている。次に、結核対策は、早期発見、早期治療に重点を置き、健康診断、予防接種等は全額公費負担とする。さらに、国民年金制度については、三十二年度から二カ年間を調査期間とし、三十四年度から実施していきたい。しこうして、明年度は、とりあえず、暫定措置の意味で、生活保護の母子加算を一千円に引き上げることにした」というのでありました。  次に、雇用の問題に関しまして、「労働力人口の増加は、政府統計の上から見ても、年々百万人以上と推定し得るのであるが、三十二年度の経済計画では八十九万人しか見込んでいない。これは明らかに少な過ぎる。従ってここですでに二、三十万人の差が生ずるのであるが、この上に完全失業者六十万人、さらに潜在失業者ないしは不完全就業者が一千万人近くもある。しこうしてこれらの人々に対しては何らの雇用対策も示されていないにもかかわらず、政府は完全雇用を云々している。これは偽わりの看板を掲げるものではないか」との質疑がなされたのでありますが、政府は、「雇用に関しましては、十年ないし十五年というかなり長期的な計画を立てていく必要がある。労働力人口の伸びは昭和四十年を越すと急激に縮小するものと見られるから、国民総生産を今のように年々七ないし八%ずつ伸ばしていけば、大体十年余りで雇用対策の成果をあげ得るものである。完全雇用の目標に近づくためには、産業基盤の強化、生産性の向上、それに続く経済の拡大発展という一連の過程を推進する施策を講じている」とのことでありました。  次に、論議の焦点となった食糧管理特別会計における赤字処理の問題については、昨日の本議場においても討論せられたのでありますが、委員会における質疑応答の概略を申し上げます。  質疑の要旨は、「政府は昭和三十一年度における自然増収を産業投資特別会計等に繰り入れ、翌年度以降に使用することとし、一方、食管の前年度の赤字百六十一億円を補てんせずして後年度に繰り越さんとしているが、これは、財政法にいう年度独立の原則にも反するのみならず、健全財政をも裏切るものではないか。また、右百六十一億円の赤字の原因は、食管会計をしさいに分析することによって明白であるのに、食管会計の合理化に藉口し、食糧管理特別調査会を設けて、これが結論を待って処理せんとするのは、ことさらに解決を遷延し、責任を回避するものであって、ひっきょう政府は消費者米価を引き上げる底意を持っているものと認められるが、どうか」ということであります。これに対する政府の答弁の要旨は、「昭和三十一年度の損失額は、食糧管理特別会計法付則第二項により、その決算の確定を待って、一般会計より補てんすることを適当と認める。米価の値上げを前提として、かかる措置をとるものではない。政府は米価については、白紙である。食管会計の合理化については、政府において責任を持って決定するものであるが、同会計は種々複雑であるから、慎重検討する必要があるので、調査会に諮問することにいたした」というのであります。  次に、防衛問題に関する質疑応答について申し上げます。質疑の要旨は、「三十二年度の防衛庁予算の特色は質的充実にあるといわれているが、これははなはだ重大な問題を含んでいる。すなわち、政府は米国に七種類の誘導弾の貸与を申し入れているが、これらはいずれも原子弾頭をつけ得る兵器である。しかして、原子兵器優先主義に基く米国軍の再編成に伴い、日本国内においても、第一騎兵師団と交代に原子機動部隊が駐留し、日本が原水爆の基地となってくるのは必至ではないか。このような危険を回避するためにも、安全保障条約、行政協定の改廃が速急に必要ではないか」というのでありました。これに対して、政府の答弁は、「誘導弾は研究用として貸与を申し入れているが、これらはいずれも射程の短かい防御用のものである。また、原子兵器の持ち込み及び原子機動部隊の駐留に関しては、必ず事前に米国政府より相談があることになっているが、たとい相談があっても、これに応ずる意思はない。さらに、安全保障条約及び行政協定は、自衛力の漸増等漸次しかるべき環境を作った上で、日米両国で検討し、改廃の方向に進めていく方針である。」以上の通りでございました。  次いで、給与改訂の問題について申し上げます。質疑の第一は、「現在与野党で激しく対立し、しかも公務員の組合がこぞって反対している給与法案の取扱いについては、四者会談において、内閣委員会に小委員会を設置して検討を待つことになっておるが、政府は両党のこの話し合いをどう思うか。」第二に、「人事院の勧告は一年前の昨年三月の資料を基礎としており、また、昨年末、内閣委員会は、給与改訂をすみやかに実施するよう決議を行なったにもかかわらず、来年度に実施を持ち越した理由いかん」というのであります。これに対して政府は、「人事院勧告を尊重し、公正なる立場で検討し、提案をした。現在これに反対もあるが、賛成の声も聞いている。ただし、給与制度は重要なものであるから、内閣委員会で公正妥当な結論が出れば、これに応ずるにやぶさかではない。また、財政事情もあって提案がおくれたのは遺憾ではあるが、人事院の調査対象となった民間事業よりなお低い中小企業労働者が多いことや、公務員の恩給制度等の事情も考え合せなければならない」との答弁があり、なお、給与法改正の性格について明らかにせられました諸点は、「一、給与は平均六・二%の引き上げとなるが、今回の改正の重点は、給与体系の変更にあること。二、生活給と職務給の調和に十分努めたこと」等であります。また、「地域給に関しては廃止をしたいが、現在政府と与党で検討中である」とのことでございました。  最後に、地方行財政の問題について申し上げます。本問題に関する質疑は、「まず所得税の減税に伴う地方財政の減収をどうするのか。また、年々増大する公債の元利償還費に対してどう援助してやるか。さらに、市町村の合併は、実施後分村、分町の運動が絶えない等、住民の失望を買うような事例が多いが、その対策はどうか。特に財政上もっと優遇措置を講ずる必要があるのではないか」というのでありましたが、これに対する政府の答弁は、「国税の減税に伴う地方財政の減収については、地方財政全体の収支を総合的に勘案した結果、もっぱら交付税の税率引き上げによった。交付税の税率引き上げは一%であるが、交付税総額は、前年度の当初予算と比べて、約二百四十億円の増加である。なお、地方の財源としては、ほかに約七百億円近くの地方税の自然増収を見積ることができる。また、公債費の累増が地方財政を圧迫しておることに対しては、三十一年度の補正予算に計上しておる交付税の一部を明年度に繰り越され、明年度の交付税と合せて配付される場合に、その配付基準の中に公債費の一部を加えることとし、また三十三年度以降についても所要の措置を講ずるつもりである。さらに、町村合併がうまくいっていない個所は約一千町村あるが、これは町村の合併計画に行き届かない点が相当あったためである。従って、現在府県でもう一度練り直しをさせており、それに自治庁で適当な調整を加えた上で、知事に勧告させるという段取りになっている。また、予算上の助成措置としても、前年度の二億円を大幅に増額して十四億円にしている」との答弁がございました。  以上、予算案審議の過程における質疑応答のおもなる事項について御紹介申し上げましたが、なお、このほか、憲法改正問題を初め、外交、内政の各般にわたり、真摯活発なる質疑応答が行われたのであります。  次に、予算委員会におきましては、予算審議を慎重にするために、去る二月十八日、十九日の二日間公聴会を開き、朝日新聞論説委員土屋清君外七名の方々より、それぞれ専門の角度より公述をわずらわしたのでありまするが、これが内容は会議録に譲り、報告を省略いたします。  また、予算三案の内容を細目にわたって審議するために、分科会を四日間開きましたことをも、あわせて御報告いたします。  質疑は昨八日をもって終了し、本日討論、採決を行いました結果、昭和三十二年度予算三案は政府原案通り可決されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) これより討論に入ります。井手以誠君。     〔井手以誠君登壇〕

井手以誠日本社会党

○井手以誠君 私は、日本社会党を代表して、政府提出の昭和三十二年度予算三案に反対する討論を行い、あわせて社会党の立場を明らかにせんとするものであります。(拍手)  政府は、もはや戦後ではないと称し、神武以来の景気をうたっておりますが、国民生活の実態はどうでございましょう。なるほど、輸出の拡大に伴い、いわゆる投資ブームが現われておることは事実であります。しかし、この好況に恵まれておりますものは大企業に関係のある一部にしかすぎないのであります。(拍手)金融業を除いた東京証券取引所上場会社三百十六社の三十一年度における純益は二千百二十数億円を見込まれ、その純益額は三十年度の二倍に近いといわれておりますが、多くの国民には縁遠いものであります。その証拠には、同じ政府の厚生白書は、要保護者に近い低額所得者がかえつて増加しつつあることを警告し、経済企画庁の経済計画の大綱では、三十一年度の農業生産が前年度より三・四%低下し、労働省の統計では、八千円以下の低賃金の労働者が四百七十万人を数え、完全失業者は、若手ではありますが、毎月増加している、これらの事実が端的に証明するでございましょう。(拍手)  このような国民経済のもとに、政府は、世界の景況がなお高水準を続け、輸出は伸張するものと楽観し、拡大均衡と称して組んだ一般会計の予算は一兆一千三百七十四億円に上るのであります。これは本年度予算に比べ一千二十五億円の増加でありまして池田大蔵大臣は、国民所得との比率によって、その妥当性を強調しておりますが、所得に資産を加えたものでなければ公正な比率とは申されません。しかも、財政投融資は六百七十三億円を増加し、三十二年度に使用する産業投資などの二百二十六億円は、作為的に三十一年度補正で特別会計に繰り入れ、それに防衛庁を主とする債務負担行為の増加約百億円を加えますならば、財政規模の膨張は実に二千億円をこえるのであります。この急激、不当な膨張を追及された池田大蔵大臣は、一般会計だけを力説し、財政規模を努めて内輪に見せようと煙幕を張っておりますが、きのうまで財政金融の一本化を強調し、民間資金の動員まで行なった自民党内閣としては、場当りの態度豹変もはなはだしいといわねばなりません。(拍手)  この一兆五千億円をこえる膨大な財政規模自身がインフレ的性格を持ち、防衛費を初めとする多くの消費的支出、国鉄運賃、ガソリン税の値上げなどを含む政府原案には、インフレの危険が多いのであります。これは、土屋清、植村甲午郎、木村禧八郎の諸氏が、予算委員会の公聴会においてひとしく指摘されたところであります。植村公述人を初め、保守党のあなた方を支持する財界の多くの人が、最近国際収支に不安を持ち、インフレを懸念する談話の多い事実を、保守党の諸君は記憶すべきでありましょう。(拍手)現に、日銀の統計は、小売物価の高騰を伝え、金詰まりを報じ、経済企画庁は国際収支、金融情勢に注意信号を発し、池田大蔵大臣自身、きのうの委員会において、三月末における国際収支の赤字見込みを一億八千万ドルと発表したではございませんか。私どもは、このような不健全なインフレ予算には、断じて賛成することができないのであります。(拍手)  政府は、三十二年度予算案のうたい文句に、一千億減税、一千億施策を並べておりますが、まず所得税一千億減税の中身はどうでありましょう。もともと、減税は、明年度の見込みよりも、今日の高い税から幾ら減税されるかが、減税に対する納税者の実感といえましょう。その意味からは、所得税の減税額は、本年度予算額に比べて三百二十億円にすぎないのであります。これを譲って、政府の説明通りといたしましても、一千億円減税の恩典は、全国民の七割三分、六千五百余万人に上る非課税者、すなわち、所得税を納めない人には及ばないのであります。しかも、この低額所得者には四百億円前後の間接税を増徴することになっておりますので、この増税が高額所得者の減税に回されるという不合理が隠されておるのであります。(拍手)  さらに、国鉄運賃の引き上げ三百六十五億円、これに便乗する私鉄、バスの値上げ、安いたばこの品切れによる高級たばこの増収五十五億円を総合すれば、国民の多くは一千億減税の被害者であると言っても過言ではありません。(拍手)その上、委員会の論議では、食糧管理制度特別調査会の隠れみので危うく切り抜けた米の値上げは、その公算が多いと見なければなりませんので、国民大衆の被害は一そう大きくなるでありましょう。  しかも、減税の内容はきわめて不均衡であります。所得税納税者の九三%を占める年収五十万円以下の減税は三百億円、わずか七%にすぎない。年収五十万円をこえる人の減税は七百億円に上り、自民党の政策は、どこまでも上に厚く下に薄いといわねばなりません。(拍手)一方、大企業に数多くの減税の特典を与えておりまする租税特別措置は税制調査会の答申を無視して温存し、株式配当所得者、すなわち、家族五人の不労所得者には百四十九万円まで無税とし、利子の免税も一年以上は続けるというこの大減税は、自民党の諸君が異常の熱意をもって芸者の花代課税を半分に減らした態度とともに、縁故の深いものがあるかもしれませんけれども、全く不可解千万といわねばなりません。(拍手)このようにして、租税公平の生命は奪われ、国民の階層に上下の隔たりがますます広がり、ごく一部の富裕階級だけを優遇しようとする自民党内閣は、その本質を暴露したものでありまして、保守党こそ、階級政党、いな、超階級政党と断ぜざるを得ません。(拍手)  私は、ここで特に申し添えたい。国鉄は、毎日のようにその乱脈と汚職が発覚し、国鉄当局と外郭団体の粛正が強く要求されております今日、改革の案をあげてからの相談でなくては、運賃の値上げに国民は納得しないでありましょう。伏魔殿ともいわれる食糧庁もまた粛正を断行するとともに、国民食糧という高い立場から、独立採算のみを強調せず、再検討されるよう、御注意を申し上げる次第であります。(拍手)  次に、一千億施策について政府は完全雇用を金看板として掲げられました。鳩山内閣の友愛精神といい、石橋、岸両内閣の完全雇用といい、けつこうなお題目であります。宇田経済企画庁長官の説明によりますれば、明年度新たに加わる労働力約九十万人に対し、国民総生産七・六%の伸びによって、八十九万人を吸収するというのであります。かりに経済企画庁長官の見込みを百パーセント信用するといたしましても、現在六十万人の完全失業者、さらに一千万人に上る潜在失業者や、不完全就労者は全く救われないのでありまして、これでは完全雇用ではなく完全失業と申し上げたいのであります。(拍手)  五十万戸の住宅建設は、依然として、自力建設三十万戸に依存するという、いわゆる上げ底であり、希望に反して、庶民住宅が少く、高級住宅が多く計画されているのであります。政府は、おおむね五年間に住宅難を解消すると豪語しておりますが、当局の説明によりますれば、政府の施策に待たねばならない不足住宅百九十万戸に対し、毎年二十万戸建設するとしても、一方、滅失、損耗などの恒常需要二十万戸のうち、政府の施策に待たねばならない十四万戸を差し引きますれば、自民党の住宅難解消は、実に三十年の長年月を要するのであります。  政府は、予算編成に当り、特に農村と地方財政には冷淡であったといわれるのであります。拡大予算総額に対する農林予算の比率は一そう低下し、二百七十億円の食糧増産対策費では、かりに百十万石の増産を期待するといたしましても、農地の壊廃、人口増による増産必要量百五十万石に対し、逆に四十万石の後退であります。特に一万円の米価に予約米の格差と歩どまり加算を削り落している一事は、公約違反であり、全農民の断じて承服することができないところであります。(拍手)同時に、経済計画の大綱に農林生産の伸びをわずか〇・四%しか予定していない冷淡な事実も指摘しておきたいのであります。  池田大蔵大臣は、地方財政は明るくなったと述べております。しかし、それは、首切りと事業中止、それに増税という犠牲の上に再建されつつある実態を認識されるべきでありましょう。国は拡大均衡予算、地方は六百億円の借金予算の計画では、かたちんばの財政であり、過去の五千三百億円に上る公債費問題に解決の手をつけず、加えて所得税の減税に伴う欠陥は三分の一しか補てんしない態度には、地方はむしろ憤激を覚えておるのであります。(拍手)  それでは、おなじみの中小企業対策はどうでございましょう。四百億円に上る老朽設備の近代化を助成する予算は、わずか一億円の増加にすぎません。産業基盤の拡大に必要な中小企業の技能養成費を、九百万円に大なたをふるうようでは、池田さんの中小企業に対する罪滅ぼしとはならないでありましょう。(拍手)  間接税の増徴や運賃値上げの被害を受ける低額所得者に、桂会保障費の増額七十億円は、あまりに軽少であります。ふえる完全失業者に、失対事業の対象人員を二万五千人、生活保護者の標準をきびしくして十九万人を、ともに減らしたことは、冷酷に過ぎはしないでしょうか。  このように、一千億施策を検討いたしますれば、義務支出が増加したほか、全く行方不明のありさまで、ただ一つ、池田大蔵大臣がセメント過剰対策として発表された通り、セメントを使う道路整備事業が、ガソリン税の増徴によって増額されていることが注目されるのであります。従って、これら一千億施策もまた、私どものとうてい承認しがたいところであります。  再軍備は、陸上自衛隊一万名の増員を、世論に押されて一カ年見送ったかに見えますが、その実は、お隣の韓国並みに、アメリカの会計年度に合せたようなものであります。一方、海上、航空両自衛隊の使い切れなかった繰越金を加え、防衛費は二百数十億円の増額となり、保守党内閣のもとに、明後年以降の防衛費急増は必至でありましょう。原子部隊の極東駐留は、アメリカの新たなる戦略であります。防御用誘導兵器は戦力ではない、原爆保持は情勢次第などとは、危険千万な考え方といわなければなりません。(拍手)今や原水爆禁止は国民の悲願であることを知るべきでありましょう。軍事基地では、日本人同士が血を流し、たま拾いの婦人がアメリカ兵に射殺されるという悲劇が繰り返されております。今や、アメリカの軍事基地撤退は、国民大多数の悲願となりました。岸総理は、所信表明において、国民に民族の団結を求め、青年に奮起を促しましたが、その前に、国民に号令するようた態度を改めて、安保条約、行政協定の改廃がすでに政治的、思想的立場を越えた民族の声となった事実を直視さるべきでありましょう。(拍手)  私は、以上、三十二年度予算案の検討によって、保守党政治の本質と限界を知ることができました。また、国民大衆の生活をひとしく向上させることは困難なことがわかったのであります。もしわが社会党が政権移動のルールに従って政権を担当したならば、次のような三十二年度予算を編成するでありましょう。  すなわち、社会党は、経済五カ年計画によって昭和三十六年度には、今日に比べ、特需のない国際収支を三十六億ドルに拡大し、国民総生産を十三兆円に伸ばし、国民生活水準を今日より五割向上させるという、きわめて現実的な具体案を用意いたしておるのであります。従って、その第一年度の財政計画におきましては、財政の健全化と租税負担の公平化を期し、大企業の租税特別措置を改廃して、五百四十七億円の増収分その他をもって、五人世帯、年収三十二万円まで免税する、低額所得者中心の、所得税千二百億円の大減税を断行する確信を持っておるものであります。(拍手)  一方、自衛隊を民主的警備の組織に改め、うち十万人を国土総合開発事業に吸収し、防衛支出金は、アメリカとの交渉によってその漸減をはかり、これらの防衛費の節減を財源といたしまして、一万一千五百円の米価によって農民に再生産を保障し、消費者の価格を据え置くのであります。(拍手)  公務員には、人事院の勧告を尊重して、二千円のベース・アップを実行いたします。(拍手)  社会保障費は、四百三十四億円を増額して、とりあえず、七十才以上の老人に月千円の老齢年金、十八才未満の子女を持つ母子世帯に月三千円の母子年金、月二千円の身体障害者年金を支給し、国民年金制度の第一歩を踏み出すつもりであります。(拍手)  さらに、国民生活の安定のために、義務教育校舎の新増築、公営住宅の建設、産業の拡充のために、中小企業、沿岸漁業、農業の近代化などに、一般会計と財政投融資計画から必要額を優先的に計上し、雇用拡大のため、失業対策、公共事業、住宅建設などの事業量をふやし、雇用条件の向上に、最低賃金法と家内労働法を実施する準備に着手し、中小企業の従業者二百万人に医療保険の加入を勧め、地方財政に思い切った自主的財源を強化する計画でございます。(拍手)  この社会党の予算計画は、きわめて現実に即して、緻密に立案されたものであることを、重ねて強調いたす次第であります。(拍手)  ここにきわめて遺憾に存じますることは、自民党の諸君が、解散を避け、政権たらい回しによって、社会党に政権を渡そうとしないことであります。(拍手)そのために、この豊かな生活を築く政治がだんだんおくれることを残念に存じておるのであります。  私どもは、きのうまで、食管の赤字を三十一年度の補正ですべて補てんすべきことを強く要求して参りました。しかし、財政法に基く私どものこの正しい主張さえ、政府与党の諸君は耳をかさなかったのであります。(拍手)この社会党、野党の協力と好意を踏みにじる政府の予算案に対し、組みかえの動議で対決する方針を一擲し、ここに真正面から金持ち本位のインフレ的予算三案に反対し、民生安定を熱願する社会党の立場を明らかにいたしまして、討論を終る次第であります。(拍手)

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) 河野金昇君。     〔河野金昇君登壇〕

河野金昇自由民主党

○河野金昇君 私は、自由民主党を代表してただいま議題になっております昭和三十二年度一般会計予算外二案に対し、賛成の討論を行わんとするものであります。(拍手)  戦後十年にわたる国民のたゆまない努力と、われわれ保守党政権の時宜を得た財政金融政策により、日本経済はすばらしい発展を遂げました。特に、過去二カ年にわたる生産、貿易、雇用などの分野における拡大は、目をみはるものがあります。(拍手)昭和三十一年度の自然増収は最小一千億円、昭和三十二年度の自然増収は二千億円を予想される状況であります。昭和三十二年度予算は、かかる恵まれた環境のもとに、わが党の理想に近い予算を政府は編成したのであります。(拍手)  岸内閣は、前石橋内閣の予算その他を継承してきております。前石橋内閣は、予算編成に当り、政党内閣の当然の措置ではあるが、党と政府との連日にわたる連絡調整により、予算編成の基本方針を十五項目決定いたしておるのであります。その一々をここで列挙することはやめまして、速記録にとどめおくことにいたします。  今議題となっておる昭和三十二年度一般会計予算外二案は、この十五項目の基本方針を予算化したものでありますから、わが党の当然賛成するところであります。  今ここでその全部に触れることは時間の関係上遠慮して、三つの大きな柱、すなわち、大幅な減税、完全雇用を目途とする経済基盤の拡大、言葉をかえて言えば、一千億円減税と一千億円施策、いま一つは、社会的均衡を目途とする社会保障の充実にしぼって、触れてみたいと思うのであります。  まず、減税問題に触れてみたい。今回の、初年度一千九十億円、平年度一千二百五十億円に上る減税は、戦後最大の画期的なものであって、減税に浴する人々はもちろんのこと、公平な国民のひとしく喜ぶところであろうと思います。(拍手)  昭和二十五年の税制の大改正以来、毎年減税は行われてきたのでありますが、なお、その負担額は、戦前及び諸外国に比べると、かなり重いばかりか、負担の公平を欠くうらみもあったのであります。また、過去の減税措置は、ほとんど諸控除の引き上げがおもなもので、税率の引き下げにあまり触れておらなかったのであります。従って低額所得の納税者、すなわち、農家、中小企業、特に勤労者は、依然税金のために苦しみ、勤労意欲に悪影響を与えていたことは、否定することができません。今回の税制改正は、この弊害を率直に認め、改めたもので、適切な措置であるといわなければならぬと思います。(拍手)  社会党の諸君は、今度の減税は低額所得者には何らの恩恵を与えていないと非難されるが、ほんとうの低額所得者は、今日までの何回かの減税措置で、すでに免税になっているのであります。税金を一文も納めておらない人々の税金をまける方法はありません。(笑声)従って、これら税金を納めておらない低額所得者に対しては、でき得る限り社会保障の拡充によってその生活を守っていこうとしておるのであります。(拍手)  今回の減税の大部分は主として勤労階級に均霑するものでありまして、これを標準世帯について見るならば、年収二十五万円以下の者については一〇〇%、三十万円以下の者については平年度六五%、五十万円以下の者については平年度五一%、百万円以下の者については四六%の租税負担の軽減となり、しかも、納税者中、五十万円以下の所得者は、全体の八%であることに思いをいたすならば、低額所得者を対象としていないという社会党の論拠は全く当らざるものといわなければなりません。(拍手)  中小企業の税負担の軽減のため、法人税の三五%の軽減税率の適用範囲を拡張して、今まで五十万円以下であったものを、今回は百万円までの所得に適用したことは、これまた時宜を得たもので、地方税ではあるが、事業税の軽減とあわせ考えるとき、中小企業者の税金も相当緩和されることと思うのであります。(拍手)いずれにしても、物価はおおむね横ばい、通貨価値の安定しておる今日、一千億円に余る減税は、わが党内閣によって初めて実現したことで、国民の保守党政権に寄せる信頼は一そう高まるものと信じます。(拍手)  わが党の第二の柱である、完全雇用を目途とする産業基盤の拡大は、一般会計、財政投融資を通じて十分に満たされておると思うのであります。日本経済のすばらしい発展に伴い、かえって電力、輸送、鉄鋼など、基礎部門が経済拡大の一つの隘路となってきておる現実にかんがみ、経済施策の重点がここに注がれておるということは当然のことであります。  すなわち、電力については、最近の急激な需要増加にこたえるため、電力五カ年計画に即応して開発銀行の電力資金を、三十一年度の百二十億円に比べ百三十億円増額して二百五十億円とし、電源開発株式会社の資金を、三十一年度の三百七十一億八千万円に比べ七十四億二千万円増額して四百四十六億円とし、電源開発の一そうの促進をはかっておるのであります。  輸送力の増強については、道路、港湾、国鉄等の建設事業が、今度の予算措置によって飛躍的に増強することと思います。道路事業の予算額は、三十一年度に比し二百一億円増加して五百四十八億円となっており、これによって幹線道路の改良舗装は促進され、世界的に有名な悪道路の汚名の返上に向って大きく前進することと思います。(拍手)これと並行して道路公団の工事規模も二倍以上に増加し、多年の懸案であった関門トンネルの完成、名古屋——神戸間の高速自動車道路の着工のための予算を計上しておるということは、道路事業の一そうの推進をはかるものであり、時代の要求に応ずる適切な措置であるといわなければなりません。(拍手)  港湾の予算も昨年より五割ふえ、重要港湾の岸壁工事は促進され、京浜、四日市など主要石油輸入港においては、大型スーパー・タンカーが着岸できるのも目睫のことで、日本経済の拡大に大きな役割を演ずることであろうと思うのであります。(拍手)  また、輸送の大きなにない手である国鉄についても、建設工事の規模は前年度に比し約二倍に増加し、電化の促進、路線の増強、通勤対策の強化、車両の拡充等を見、輸送緩和に一大貢献をすることと思います。  これらの施策は、経済基盤の拡大を推進するため、きわめて緊要な措置であるのみならず、民間経済の活動のみによってはとうてい十分その実現を見ることのできないものでありまして、政府が、財政上の積極的機能を発揮することによって、初めてその進展がはかられるものであり、わが党の要望に政府が十分予算措置をしてこたえたものと思うのであります。(拍手)  わが党の三十二年度予算に期待する第三の柱は、社会的均衡を目途とする桂会保障の拡充でありますが、これにも政府はこたえておるのであります。  社会保障費の総額は、昨年より九十二億円増額して千二百二十六億円でありますが、生活保護基準の引き上げ、母子加算の拡充、失業対策事業の賃金単価の引き上げなど、好景気の影響、ベース・アップなどとにらみ合せて、当然の措置をとっておるのでありますが、ここで特に強調しなければならないことは、四カ年を目途として国民皆保険の実をあげるため、その第一歩を踏み出したことは、大きな意義を持つものと思うのであります。(拍手)三十二年度において、被保険者を五百万人ふやし、三千五百万人をその恩典に浴せしめようとしておることであります。療養給付費八十七億円、事務費補助は、一人当り単価六十八円六十銭を八十五円に引き上げ、三十億円を計上しておるのであります。結核対策も一歩前進し、その予防に重点を置いたこと、すなわち、健康診断及び予防接種を全額公費負担としたほか、医療内容の充実をはかるために、昨年より十四億増額して百四十八億円を計上しておることも、社会保障の大きな前進であります。(拍手)母子福祉貸付金、世帯更生資金貸付金を増額し、医療費貸付補助金を新設しておること及び老齢年金制度確立のための準備に着手したことも、注目に値する点であります。(拍手)  かくのごとく、社会保障体系の完成を目ざして、ささいな点に至るまで考慮を払ったことは、終局の目標を「ゆりかごから墓場まで」の理想実現の意欲に燃えた予算を組んだもので、われわれの最も喜びとするところであります。(拍手)  今度の予算審議が割合に平穏無事に終ろうとしておることは、石橋前総理が、自分の病気のために国会の正常な運営を妨げてはならないとの考慮から、きれいに辞任されたことが、大きな原因の一つであったと思うのであります。(拍手)石橋さんに大きな期待を寄せていた国民大衆は、議会史上長く残るであろう切々たる心境を披瀝した石橋さんの辞任の手紙を見て、いたく心を打たれたのであります。お互い議員の良識は、石橋さんのこの悲願にそむくことはできませんでした。私は、あらためて、国会運営の正常化に寄与された石橋さんの決意に対して心から感謝するとともに、よく議会運営に協力された野党の諸君にも、その点に対しては敬意を表するにやぶさかではありません。(拍手)  しかし、一方翻って、予算審議が、食糧管理特別会計の赤字処理問題以外白熱化しなかったということは、社会党の諸君が、今度の予算に対して内心ではほぼ賛成であり、あまり強い反対をする材料のない予算であるということを逆に認めておられたからではないでしょうか。(拍手)この三十二年度予算を、暫定予算を組むことなく、年度内に成立させよという新聞の論調などに現われた国民世論の前には、社会党の諸君も無理に引き延ばすわけにはいかなかったと思うのであります。(拍手)今までの社会党の諸君は、わが党及び政府の予算に対する反対の重点が、防衛費が大きく、社会保障費の計上が少い、いわゆる防衛予算なりというところにあったのでありますが、今回は、ほとんど防衛予算がふえておらないから、攻撃する目標を失って、戸惑っておられたのではなかろうかとも思うのであります。(拍手)政府が提出せんとしておる給与法には反対であるが、今回の予算で人事院勧告をのんだべース・アップの予算措置をしているから、公務員諸君は、内心は早くこの予算を通してもらい、減税とべース・アップの恩典に浴したいという要望が、社会党の行動をにぶらせたことにもなったとも思うのであります。(拍手)  食糧管理特別会計の赤字処理問題で、予算委員会はなかなかにぎやかであったのでありますが、これは本質的な問題ではなかったように思います。三十年度決算確定済みの三十四億の赤字は三十一年度第二次補正で組むことについては政府もわが党も異存はないが、未確定の三十一年度食管会計の赤字百六十一億円を、社会党は、三十一年度で、未確定のままでもよいから補正せよと主張しておられます。政府及びわが党は、決算確定後、一般会計から補てんするといっておるのでありまして五十歩百歩で、どちらにも言い分があり、前例もどちらにもあるのであります。従って、われわれが、食管会計の決算確定後、一般会計から補てんするというのも、違法でも何でもありません。こんなことで時間をとったということは、よくよく社会党も政府攻撃の材料に窮しておられたものと、同情せざるを得ません。(拍手)  われわれが最も残念に思うことは、二大政党対立の今日、本格的政策論議の場として、社会党の組みかえ案の提出を待って、わが党から、社会党の案がいかに非現実的なものであるかを決定的につくつもりであったが、その機会を失ったことは、返す返すも残念しごくであります。(拍手)しかし、社会党の諸君の抱いておられる考え方は、委員会の質疑や、先日発表された社会党の予算大綱でうかがうことができるわけであります。  社会党の諸君は、政府案の一般会計並びに財政投融資が相当去年よりふえている事実をとらえて、財政規模の膨張からインフレになるのではないかとの質疑を繰り返されました。社会党の予算大綱を見ると、先ほどの予算委員会の討論で、同僚小川半次君が指摘したごとく、歳入見積りの過大、歳出の大幅な計上を忘れた分等、ずいぶんずさんなものでありますが、それにしても、政府案よりわずか五十億円少いだけの一兆一千三百二十四億円の予算を組まれたということは、一体、委員会、本会議等のインフレ論議と、どういう関連があるか、承わりたいと思うくらいであります。  順法闘争とかをときどき指示される社会党が、条約、協定に基いて組まれておる防衛分担金を全額削除しておられることは、革命政府を樹立して、一方的に条約を破棄する以外にできないことで、ここに、はからずも、総評並びに左派の革命思想が露呈したものといわなければならないと思うのであります。(拍手)  予算大綱に示された防衛庁費は、繰越金を含めて三百五十億円計上しておられるだけであります。十二万五千人を残し、十万人を首切ることになっております。残した十二万五千人は警備組織に編成がえするにしても、警察官一人当りの費用四十六万七千円くらいは必要でしょう。それだけでも四百六十七億円は必要なのです。十万人の退職者の退職金は、一人四十万円としても四百億円は必要であるのに、一文も計上しておられません。(拍手)防衛分担金全額削除により生ずる駐留軍労務者十二万六千人の失業対策を、一体どうなさるのか。これも予算措置はしてありません。首切り反対を主張する社会党として、十万人首切って、退職金を一文も払わぬ。十二万六千人の駐留軍労務者の失業もあえて顧みないでは、社会党が政権をとったら大へんだと、かえって労働者諸君がよくその本質を見抜かれたと思うのであります。(拍手)  大減税の行われようとしておる今日、相変らず二千円のべース・アップを組まれておることは、総評を主軸とする春季闘争に院内から呼応しておられる総評屈服の予算大綱と申さなければなりません。しかし、ここで見のがすことのできないことは、三十一年度本予算組みかえのとき、社会党は、ベース・アップは今回と同じく二千円、生産者米価は一石一万二千円であったと私は記憶しておるのでありますが、今回の社会党の案を見ると、ベース・アップは二千円できておるが、米価は五百円下った一万一千五百円であるようであります。ベース・アップを二千円やるなら、米価もなぜ一万二千円にしないのですか。ここに、はからずも、社会党は、組織労働者の政党であるかもしれないが、農民はつけたりであるということを告白しておるのが、この予算大綱であろうと思うのであります。(拍手)  社会党のこの予算大綱を見るにつけましても、まだまだ社会党は現実政党ではない。われわれ自由民主党は、一そうの責任を感じて政権を維持し、国民全体の生活向上と幸福のために寄与しなければならないということを、つくづくと考えさせられるのであります。(拍手)  私は、ここに、再び、自由民主党を代表して、政府提案の昭和三十二年度一般会計予算外二案に対して賛成の意思を表明して、討論を終るものであります。(拍手)

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。  昭和三十二年度一般会計予算外二件を一括して採決いたします。この採決は記名投票をもって行います。三件の委員長の報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 三百八十七   可とする者(白票) 二百四十九     〔拍手〕   否とする者(青票)  百三十八     〔拍手〕

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) 右の結果、昭和三十二年度一般会計予算外二件は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)     —————————————  昭和三十二年度一般会計予算外二件を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名    阿佐見廣治君  相川 勝六君    逢澤  寛君  愛知 揆一君    青木  正君  赤木 宗徳君    赤澤 正道君  秋田 大助君    淺香 忠雄君  芦田  均君    荒舩清十郎君  有田 喜一君    有馬 英治君  安藤  覺君    五十嵐吉蔵君  井出一太郎君    伊東 岩男君  伊東 隆治君    伊藤 郷一君  生田 宏一君    池田 清志君  池田 勇人君    池田正之輔君  石井光次郎君    石坂  繁君  石田 博英君    一萬田尚登君  稻葉  修君    犬養  健君  今井  耕君    今松 治郎君  宇田 耕一君    宇都宮徳馬君  植木庚子郎君    植村 武一君  白井 荘市君    内田 常雄君  内海 安吉君    江崎 真澄君  遠藤 三郎君   小笠 公韶君  小笠原三九郎君    小川 半次君  小澤佐重喜君    越智  茂君  大石 武一君   大久保留次郎君  大倉 三郎君    大島 秀一君  大高  康君    大坪 保雄君  大野 伴睦君    大橋 武夫君  大平 正芳君    大村 清一君  大森 玉木君    太田 正孝君  岡崎 英城君    荻野 豊平君  奥村又十郎君    加藤 精三君  加藤 高藏君    加藤常太郎君  加藤鐐五郎君    鹿野 彦吉君  上林山榮吉君    神田  博君  亀山 孝一君    川崎末五郎君  川崎 秀二君    川島正次郎君  川野 芳滿君    川村善八郎君  菅  太郎君    簡牛 凡夫君  木崎 茂男君    木村 文男君  菊池 義郎君    岸  信介君  北 れい吉君    北澤 直吉君  北村徳太郎君    楠美 省吾君  倉石 忠雄君    小泉 純也君  小枝 一雄君    小金 義照君  小平 久雄君    小西 寅松君  小林かなえ君    河野 金昇君  河本 敏夫君    高村 坂彦君  纐纈 彌三君    佐々木秀世君  佐藤 榮作君    佐伯 宗義君  齋藤 憲三君    坂田 道太君  櫻内 義雄君    笹本 一雄君  薩摩 雄次君    志賀健次郎君  椎熊 三郎君    椎名  隆君  重政 誠之君    篠田 弘作君  島村 一郎君    正力松太郎君  白濱 仁吉君    周東 英雄君  須磨彌吉郎君    杉浦 武雄君  鈴木周次郎君    鈴木 善幸君  鈴木 直人君    薄田 美朝君  砂田 重政君    世耕 弘一君  瀬戸山三男君    關谷 勝利君  園田  直君    田口長治郎君  田子 一民君    田中伊三次君  田中 角榮君    田中 龍夫君  田中 正巳君    田村  元君  高岡 大輔君    高木 松吉君  高瀬  傳君    高橋 禎一君  高橋  等君    高見 三郎君  武内 俊吉君    竹尾  弌君  竹山祐太郎君    塚田十一郎君  塚原 俊郎君    辻  政信君  網島 正興君    徳田與吉郎君  徳安 實藏君    床次 徳二君  内藤 友明君    中垣 國男君  中川 俊思君    中島 茂喜君  中嶋 太郎君    中曽根康弘君  中村 梅吉君    中村三之丞君  中村 寅太君    中村庸一郎君  中山 榮一君    中山 マサ君  永田 亮一君    永山 忠則君  長井  源君    灘尾 弘吉君  夏堀源三郎君    並木 芳雄君  楢橋  渡君    南條 徳男君  丹羽 兵助君    西村 直己君  野沢 清人君    野田 卯一君  野田 武夫君    野依 秀市君  馬場 元治君   橋本登美三郎君  橋本 龍伍君    長谷川四郎君  畠山 鶴吉君    花村 四郎君  濱地 文平君    濱野 清吾君  早川  崇君    林  讓治君  林  唯義君    林   博君  原 健三郎君    原  捨思君  平塚常次郎君    平野 三郎君  廣川 弘禪君    廣瀬 正雄君  福井 順一君    福井 盛太君  福田 赳夫君    福田 篤泰君  福永 一臣君    福永 健司君  藤枝 泉介君    藤本 捨助君  淵上房太郎君    船田  中君  古井 喜實君    古川 丈吉君  古島 義英君    保利  茂君  保科善四郎君    坊  秀男君  堀内 一雄君    眞崎 勝次君  眞鍋 儀十君    前尾繁三郎君  前田 正男君    牧野 良三君  町村 金五君    松浦周太郎君  松浦 東介君    松岡 松平君  松澤 雄藏君    松野 頼三君  松村 謙三君    松本 俊一君  松本 瀧藏君    松山 義雄君  三浦 一雄君    三木 武夫君  三田村武夫君    水田三喜男君  南  好雄君    宮澤 胤勇君  村上  勇君    森   清君  森下 國雄君   八木 一郎君  山口喜久一郎君    山口 好一君  山崎  巖君    山下 春江君  山手 滿男君    山村新治郎君  山本 勝市君    山本 正一君  山本 猛夫君    山本 利壽君  山本 友一君    横井 太郎君  横川 重次君    吉田 軍延君  米田 吉盛君  早稻田柳右エ門君  渡邊 良夫君    亘  四郎君  否とする議員の氏名    阿部 五郎君  青野 武一君    赤路 友藏君  赤松  勇君   茜ケ久保重光君  淺沼稻次郎君    飛鳥田一雄君  有馬 輝武君    淡谷 悠藏君  井岡 大治君    井谷 正吉君  井手 以誠君    井上 良二君  井堀 繁雄君    伊瀬幸太郎君  伊藤卯四郎君    池田 禎治君  石橋 政嗣君    石村 英雄君  石山 權作君    稲富 稜人君  稻村 隆一君    今澄  勇君  受田 新吉君    小川 豊明君  大西 正道君    大矢 省三君  岡  良一君    岡本 隆一君  加賀田 進君    加藤 清二君  風見  章君    春日 一幸君  片島  港君    片山  哲君  勝間田清一君    上林與市郎君  神近 市子君    神田 大作君  川俣 清音君    川村 継義君  河上丈太郎君    木原津與志君  菊地養之輔君    北山 愛郎君  久保田鶴松君    栗原 俊夫君  小平  忠君    小牧 次生君  五島 虎雄君    河野  密君  佐々木更三君    佐々木良作君  佐竹 新市君    佐竹 晴記君  佐藤觀次郎君    坂本 泰良君  櫻井 奎夫君    志村 茂治君  島上善五郎君    下川儀太郎君  杉山元治郎君    鈴木茂三郎君  田中幾三郎君    田中織之進君  田中 武夫君    田中 利勝君  田中 稔男君    田万 廣文君  多賀谷真稔君    高津 正道君  滝井 義高君    竹谷源太郎君  楯 兼次郎君    辻原 弘市君  戸叶 里子君    堂森 芳夫君  中井徳次郎君    中居英太郎君  中島  巖君    中村 高一君  中村 英男君    永井勝次郎君  成田 知巳君    西尾 末廣君  西村 榮一君    西村 力弥君  野原  覺君    芳賀  貢君  長谷川 保君    原   茂君  原   彪君    日野 吉夫君  平岡忠次郎君    平田 ヒデ君  福田 昌子君    帆足  計君  穗積 七郎君    細迫 兼光君  細田 綱吉君    前田榮之助君  正木  清君    松井 政吉君  松尾トシ子君    松岡 駒吉君  松平 忠久君    松前 重義君  松本 七郎君    三鍋 義三君  三宅 正一君    水谷長三郎君  門司  亮君    森 三樹二君  森島 守人君    森本  靖君  八百板 正君    八木 一男君  八木  昇君    矢尾喜三郎君  安平 鹿一君    柳田 秀一君  山口丈太郎君    山崎 始男君  山下 榮二君    山田 長司君  山花 秀雄君    山本 幸一君  横銭 重吉君    横路 節雄君  横山 利秋君    吉川 兼光君  吉田 賢一君    和田 博雄君  石野 久男君    岡田 春夫君  久保田 豊君    志賀 義雄君  中原 健次君      ————◇—————

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩清十郎君 議事日程は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

益谷秀次自由民主党議長

○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十八分散会      ————◇—————

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