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26回国会衆議院1957/08/09

法務委員会 第36号

発言数
62
登壇者
11
会派数
2
開催日
1957/08/09

会議録

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 これより法務委員会を開会いたします。  本日はまず最高裁判所機構改革問題について調査を行います。  委員各位からの御質疑があると思いますから、本日はまず私から一、二点、原案提出者である法務当局並びに最高裁当局に御調査をお願いいたしておきたいと思います。  御承知の通り昨日の委員会で本問題に関する現地調査の報告が行われたのでありますが、その報告の中にもありますように、現地下級裁判所のご意見を伺いましても、なかなか結論が出てこないようであります。かたがた、当委員会といたしましては、本案が当委員会の継続審査に付されておる関係上、どうしても次の通常国会までには一応の成案を得る必要がありますので、委員会といたしましてもこの問題に努力を集中しておるのでございますが、法案審査のためになお必要な点が多々あるように思われるのであります。  その第一は、前回の委員会の際にもしばしば最高裁当局ないしは法務当局から御説明がありました通り、現行最高裁判所の制度は、米英法と申しますか、御説明の通りアメリカ最高裁判所がいわばモデルになっているような次第でございますが、同時に、御議論の中には、当法務委員会のいわゆる修正案に対して、旧大審院的な性格に戻るのだからこれはいけないというような御議論があったように記憶いたしております。ところが、アメリカにおいても、あるいはイギリスにおいても、さらに西独、イタリア、フランス、こういう各国における最高裁判所の機構、制度、運営、その最も重要な問題はいわゆる違憲審査にしぼられてくるようでありますが、それらの実情が実はよくわかっていないようでございます。提案者である法務当局の御説明を伺ってもまだ納得のいくまでわれわれは了承していないのであります。最高裁判所当局にお尋ねいたしましてもどうも納得がいかないというのが今までの審議の現実であります。でありますから、もしこの機会に御説明願えればけっこうでありますが、いずれまた来月の初めごろ、あるいはその前にでもこの委員会が開かれるかと思いますが、それまでに一つアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、これらの国々における最高裁判所の機構、特にその健常の実情、違憲審査のあり方などについて具体的な資料の御提出を願いたいのでございます。これは、何と申しましても、最高裁判所というものは、裁判、司法の頂点にある最重要機関でありますから、民主制度という秩序を強力たらしめるためにはぜひともわが国情に適合するりっぱな制度にしなければならぬということは申し上げるまでもないのであります。こういう意味合いから、当委員会においてもせっかく熱心にこの問題の審査に当っておるのでございますから、ぜひ一つ最高裁判所当局においても法務当局においても真摯なる態度で御協力を願いたいと思います。  特に、最近、ひとり日本の世論だけでなくて、おそらくは世界に大きな話題を提供いたしました例のジラード事件でございますが、これは、御承知の通り、この事案が発生いたしましたのは今年の一月三十日であります。そうして、これが日本側に裁判権ありという決定がなされたのは五月の十六日、日米合同委員会における両国間の協議の結果の決定であります。それが五月の十八日に前橋地検で公訴の提起となり、続いて、六月の四日でありましたか、アメリカ政府もジラード事件を日本側の裁判に付するということに同意する旨の声明が行われております。ところが、六月六日になって、ジラードの兄と称する人から、アメリカの連邦地方裁判所ですか、ここに人権保護令発動の提訴が行われまして、六月の十八日判決があった。これは、日本の裁判に付することはアメリカ憲法の保障する権利を侵すものである、従って身柄の引き渡しをしてはいけないという判決が行われたのであります。これは大へんな世論を巻き起しまして、日本だけでなくて世界はその動向を注視しておったのでございますが、アメリカ連邦政府による最高裁判所への異議の申し立てと申しますか、上告が行われまして、これが、御承知の通り、七月の八日、両当事者の口頭弁論が行われました。そして十一日に判決が行われたのでございます。しかも、この内容は、御承知の通り、国際法上の問題あり、また、アメリカといたしましては、国内法の関係から考えましても、軍刑法の関係があり、さらに当事者の提訴による人身保護令の関係があり、憲法の関係があり、その解釈、適用の及ぶところ、まことに広範囲だと思われますが、わずか三日間でこの判決がなされ、アメリカ政府もこれによって行動し、日本の政府もこれによって行動する、裁判権もこれによって応筋道が立った活動が行われることになったような次第でございます。これは、何と申しますか、さすがにアメリカの連邦裁判所だという感を深くしたのは、ひとり私だけではないと思います。  ところが、ちょうど時を同じゅうして大きく新聞紙上に報道されましたいわゆる八丈島事件なるものがあるのであります。これは東京都管内の八丈島で起った事件でありますが、この事件の起ったのは終戦直後であったように記憶いたします。予審請求の行われたのは昭和二十一年九月一日でありますから、だいぶ古い事件であります。第一番の判決が二十三年の一月二十六日に行われております。控訴審の判決は二十六年の六月二日、最高裁判所に来たのが二十六年六月二日であります。上告されたのが二日になっております。それから自来最高裁判所の審理に付されておったのでありますが、私の方で調査したところによりますと、第一回の公判、つまり口頭弁論が行われまして、結審と申しますか、一応審理の手続の終ったのは二十七年の四月十一日であります。三十年の一月三十日に弁論再開の決定になっておりますが、この間二年九カ月経過いたしております。それから、第二回の公判、すなわち、口頭弁論が行われましたのが三十年五月十七日でありまして、最終判決の下ったのが三十二年の七月十九日であります。この間二年二カ月、最高裁の手に渡りましてから六年一カ月を要しております。しかも判決の結果は無罪。第一審は、殺人事件でありますから、たしか死刑か無期か、刑は今私はここで正確には覚えておりませんが、とにかく重刑でありました。これが最高裁の審理の結果無罪の判決が下されたことは、法の権威のために、また被告の人権擁護のためにまことに慶賀の至りだと思います。しかしながら、その間六年一カ月を要しております。幸いにこの当事者の被告人は健在で生きておりましたが、もしそれその間に何らかの事故がありまして、せっかく最高裁判所で無罪の判決をいただいたが、しかし被告人はすでに殺人の罪名を着たままその生命を失っていることもあり得ないことではないのであります。人権の保護という点から見ますと、私は非常に重要だと思う。  われわれが司法裁判の最高の機関である最高裁利所の制度をどのようにするかということを真剣に論議しておる際、この一つのケースはまことに重要でありまして、最高裁判所の当局、法務当局からは、今の最高裁判所の制度機構はアメリカ的な制度機構を十分参酌して作ったものであって、旧大審院的な性格に戻ることは非常に間違いだというような御意見も伺ってきたのであります。それは御意見として十分拝聴いたしておりますが、しかしながら、現実に裁判所法というものは人民の基本的権利を守り法の秩序を守るためにあるといたしますならば、この二つの事件に示されたことは、われわれ当委員会といたしましては重大なる関心なきを得ないのであります。  そういう意味において、私はこの際最高裁判所当局に御要求をいたしておきたいのでございますが、具体的にここに現われて参りました八丈島事件は、どういう形でこれほど審理が長くなったのか。私も判決文を拝見いたしましたが、ずいぶん広範なものでありますが、ジラード事件の判決文はきわめて簡潔で、しかも全く要を得ており、すべての問題をこれは言い尽しておるように思われます。わが最高裁判所の判決文を拝見いたしまして、まことに丁寧ではありますが、きわめて広範であり、しかもその間に裁判長が三たびかわっております。どういうわけで一つの事件に対して裁判長を三べんもかえなければいけないのか、司法行政運用の面においても多少の疑義なきを得ないのであります。そういう点の事情も、せっかくりっぱな制度機構に改められるという熱意は、おそらくは最高裁判所御当局も、当委員会、国会の立場といたしても、その意見については同じであろうと思いますがゆえに、十分理解と納得のいく御説明を願いたい、こう思うのでございます。  それだけでなくて、実は前回にも申し上げて伺いたいと思ったのでありますが、従来、最高裁判所の判決を見ましても、たとえば昭和二十三年(れ)第一三九〇号、これは窃盗事件でありますが、原審は懲役が三年であります。ところが、最高裁判所に上告されまして、結局は四年八カ月拘禁されておる。昭和二十五年(れ)第二三五五号の事件は、これは詐欺未遂事件でありますが、原審懲役二年に対して、最高裁勾留期間が二年一カ月になっております。  こういう事例がたくさんあるように私は承知するのでありますが、歯にきぬを着せずに申し上げるならば、私は明らかにこれは憲法違反じゃないかと思う。原審の刑以上に最高裁判所の勾留期間が長いということは、最高裁判所の裁判それ自体が明らかに憲法違反じゃないかと思う。一体、こういう事案について、どこで、だれが救済をするのか、その基本的人権を侵された国民はどこにこの救済を訴えたらいいか、こういう問題をどうにも解決できない。まじめに、まともに考えれば考えるほど、私はこの判断に化しむのであります。こういう問題のないようにすることが機構改革の重要な点だと思われるのであります。田中長官は御熱心に最高裁判所の機構制度について御心配にもなり、御研究にもなっておるのでございますが、八月一日号の「ジュリスト」に論文を寄せておられます。この論文を拝見いたしますと、こういうことを言っておられる。これは田中長官の論文でありますが、「第一に裁判官として、法技術の末梢に拘泥せず、事件の本筋をつかむことにもっと努力したなら、時間と労力の徒費をもっと防止できるのではあるまいか。事実において裁判官は当事者が結局結果のみを知ろうと欲しているのに反し、あまりに多くの精力を判決理由の技術的面に用いすぎているのではなかろうか。判決の簡易化は久しく問題になっているが、これは速かに実行しなければならない。第二に相当数の裁判官の間には裁判の事実認定や法解釈の問題以外に、裁判の実務的能率的方面を十分意識せず、または意識することを欲しない傾向がありはしないか。裁判を芸術のように貴ぶ気持はそれ自体として美徳である。しかし同時に能率的考慮を欠いてはならない。遅延した裁判は裁判の拒否にひとしい。その被害者は国民全体なのである。実務的精神を強調することは裁判の本質を否定することにはならないのである。」、まことに適切な御意見だと思うのでありますが、この御意見のもとに統括され、運営されておる最高裁判所の実際の運営面を見ますと、今申し上げた一つの事件でありますが、八丈島事件に見ましたような事実があるのであります。はなはだ私は遺憾だと思うのでございます。ここで御答弁は求めませんが、この次の機会までに、せっかく当委員会においても国民にかわって日本の司法裁判制度を審議し、新しい機構制度に改めていきたいという熱意をもって努力しておるのでございますから、一つこれらの事件について、提案者であられる法務当局においても、当事者であられる最高裁判所においても、今私が申し上げた事実について何らかの具体的な御意見を伺いたいのでございます。今ここで御答弁、御意見は要求いたしませんが、今私が申しましたことに対して資料の提出に対する御所見だけを伺っておきます。

横川信夫自由民主党法務政務次官

○横川説明員 ただいま御要求のございました資料につきましては、できるだけ詳細に取り調べまして、すみやかに提出するように努力をいたします。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○五鬼上最高裁判所説明員 ただいま委員長の御指摘されたような事実は、全くそのような事実がございます。これに対していろいろな資料等は私どもも従来できるだけ私どもの手元にあるものは当委員会に提出申しあげておったわけでございますが、なお今後も資料を収集いたしまして、委員長の御要峯通りの資料は提出いたしたいと思います。ただ、何と申しましても、日本とアメリカとの比較において、上告事件の数が非常な違いがございまして、たとえば、一九五五年でも、日本では六千件の上告事件、アメリカでは上告事件としてわずかに三百件くらいを取り扱っておる、サーシオレライを入れても千二、三百件というようなところに、事件の遅延の原因もあるのだろうと思いますが、さような点は十分資料にもって提出いたします。  ただ、もう一言申しあげておきたいことは、私どもの方でいろいろの苦労をいたしまして資料を求めたのですか、裁判の合議に対する資料というものはなかなか得られないのでございます。これはどうしてもそれが実際にどう行われているかということを実際について御検討願わないと、資料としては提出し得られないのではないかと、かようなふうに考えております。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 了承いたしました。他に裁判所機構改革問題に対する御質疑はありませんか。——それでは、昨日の当委員会における現地調査の報告、これは速記録に残されておりますし、ただいま私から御要求いたしました最高裁判所当局、法務省当局の資料をいただいた上で、この問題の審議も進めていきたいと思います。さよう御了承を願います。     —————————————

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 次に法務行政の調査に入ります。  それでは質疑を継続いたします。猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 警視総監にお尋ねしたいと思います。この問題は、私が過ぐる二十六国会にも御質問申し上げまし布けれども、どうもはっきりした答弁を得られない。これは当局の怠慢であると思われない。被害者がはっきりしことを説明しないからだと思うので去りますが、その後も調査をしてくれるということを私は要求いたしておりましたので、あらためて本日またお尋ねいたしたいと思います。それは私ども今警視庁がやっておりまする暴力追放に対し、または現内閣の三悪追放の一つである暴力追放に関しまして心から協力申し上げたいからの質問でありまするがゆえに、その意味においてお答えいただきたいと思います。  それは、昨年の十二月の十四日、自民党の総裁公選の大会が産経ホールで催されましたとき、ある暴力団が何かビラまきをやった。それに対しまして自民党の院外団がそれを制止するあまりそこに乱闘が起った。ところが、それを口実にいたしまして、時の幹事長でありまする岸信介氏の宅に十二月十八日に数名をもって押しかけ面会を強要しております。しかし岸氏は面会したかった。ところが、玄関で非常にばりざんぼうして騒ぎました。それにおそれをなしてかどうか知りませんが、岸氏の秘書官である中村秘書官がこの暴力団に対しまして金五十万円を渡した、しかもその中村秘書官と暴力団金銭の授受のその席において猟銃が四丁あって、しかもその猟銃を茶わんに向って発射したという事実を聞いております。  そこで、かような事実を警視庁はお調べになっておるかどうか、それが私があれだけ要求しておりますについて調べができないとすれば、いかなる原因で捜査ができないのであるか、そういう点についてまず承わりたいと存じます。

川合壽人警視総監

○川合説明員 お答えいたします。ただいま猪俣委員がお述べになりましみような風説は私どもの方にも入りましたので、係をして引き続いて調査をさせているのでありますが、現在までのところでは、中村氏が五十万円を渡した、それから猟銃四丁でもって威嚇をしたという事実は私どもの方にまだ判明いたしておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これは実はほとんど警視庁出入りの新聞記者諸君でも半ば公然の事実になっておりまするし、あるいは警視庁の捜査の衝に当る者もそれを漏らしていると聞いているのであります。あなたの今の説明でははっきりいたしませんが、警視庁は相当捜査をしようとしているにかかわらず、岸さんの秘書をやっておった中村氏がどうも事を明らかにさせない、それがために非常に困っているということを警視庁の捜査官が漏らしたということも聞いております。  そこで、なお中村秘書に対して正式にこれを召喚して説明を求められたかどうか。聞くところによれば、岸総理がアメリカから帰ってきたならば、岸さんと打ち合せの上一切を明らかにするということを中村氏は言っているそうでありますが、岸さんもアメリカから帰ってこられたのであるし、正式に中村氏に対し一体警察は捜査を進められたかどうか、それを具体的に承わりたいと思います。

川合壽人警視総監

○川合説明員 事柄の真相につきまして中村氏を警視庁で喚問をいたしたことはありませんが、係を派していろいろな事情を聞きただすべく努力をいたしておるのであります。現在までのところでは、先ほど申し上げます通り、真相がつかめないので、引き続いて調査をいたしておる次第であります。なおまた、このような事柄につきましては、単に中村氏だけに限らず、現場に居合せた者あるいはその他の傍証につきましても慎重にただいま考究中であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 金を渡したのは中村君自身です。こんなものは一秒間あればわかるはずです。金を渡したかどうか、そんなことに長い間かかる必要はないじゃありませんか。あなた方が聞いたならば、イエスかノーか、渡した覚えがないというのか、渡したというのか、実に簡単明瞭なことなんだ。中村氏に聞いた、聞いたけれどもまだ捜査しているというのはどういうことなんです。一体、中村氏に聞いたら、渡したと言わぬのですか言ったのですか、それをお尋ねします。

川合壽人警視総監

○川合説明員 中村氏はまだ渡したということを言わないのであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、これほどほとんど公知の事実になっているそのこと自身を、中村氏は警視庁に言わない、われわれは不可解に存じます。そうすると、言わないということは、その事実があるかないかを言わないという意味であるか、渡した覚えがないという意味でありますか。

川合壽人警視総監

○川合説明員 中村氏は、このことにつきまして、渡した覚えはないと言っておるのであります。現在までのところ、私どもの調査ではそのような結果に相なっております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 私どもはまことに遺憾千万です。事実は相当明らかになっておる。彼らは、自分たちが恐喝して取ったことをカムフラージュする意味かどうか知らぬが、暮れに金のバックルを中村氏にお礼として贈ったという事実もわかっておる。しかるに、今日さような事実を秘しておる。これじゃ暴力追放はできません。五十万という金は大金であります。岸さんが知らぬ道理もない。それを否認する。さようなことをやっていて、三悪追放だなんて言ったって、できるはずはない。  私がこの前質問いたしましたる出版機関に対する暴力団の脅迫、新潮社その他の出版物に対し相当の脅迫をした事実が、ほとんど公知の事実になっておる。警視庁も相当これを捜査せられたようであるが、肝心の金を払った人間が否認するために、とうとうこれが検挙できない。これは捜査官が非常に遺憾に存じておるという表現があった。そこで、私どもははなはだ不都合だと思いましたが、何しろ相手は雑誌社である。そこにまた弱いところもあろうかとも考えられますけれども、三悪追放を三大政策の一つに掲げておるその総理自身に関することを明らかにしないのは、一体どういうことか。こういうことで暴力退治ができるかどうか、あなたの御所見を承わりたい、なお警察庁長官の御所見を承わりたい。

川合壽人警視総監

○川合説明員 日本の社会から暴力行為を排除するということにつきましては、警察全体の非常な目標でもありますし、念願でありまして、警察庁の指令を中心としまして私ども地方庁にある者は、それぞれ管内においていろいろな面から暴力を排除する、それが物理的な暴力であれ、知能的なものであれ、これを逐次排除していくということを目標としまして努力をいたしておるのでありますが、現在のわれわれの努力の段階におきましては、私どもの熱意、それから警察に対する信頼、たとえばお礼参りその他の後難をおそれると申しますか、そのような気分がずいぶん私はまだ被害者等と思われるところの団体、個人にあるのではないかというふうに考えておるのであります。しかし、これは、時を経るに従って社会全体が暴力を排除するということの熱意がほうはいとして高まり、それからまた私ども捜査官の技術も進み、なおまた警察に対する信頼も高まるという段階になりますれば、私は、今まで秘されておったところの被害事実が漸次明るみに出まして、私どもの捜査立件上、条件が具備してくるのではないかというふうに考えておるのであります。私ども捜査機関といたしましては、犯罪の構成要件がそろわなければ、ことに法廷維持ということができなければ、私どもの捜査を進めるということに参らない今の法制の規約でありますので、この点私どもとして相当心持ちの上において矛盾があるのでありますが、これは暫時時をかしていただくうちにおきまして必ず非合法な暴力というものは次第に私どもあるいは社会全体の力で排除できるものという信念を持ちまして決して努力を怠らず、また希望を捨てないで邁進しておるような事情であります。

石井榮三警察庁長官

○石井説明員 民主主義社会におきまして国民の権利と自由を侵害する暴力は絶対に排除しなければならぬことは言うまでもないところでございまして、私は、この点に思いをいたしまして、昨年来全国の警察第一線の諸君に対しまして、暴力の一掃ということについて特に懸命の努力を重ねるように要望をいたしたのであります。その結果、いわゆる町の単純な暴力につきましては相当取締りの成果をあげて参っているのでございます。いわゆる純織的、知能的暴力、こうしたものに対しましては、捜査技術上なかなか困難な点が多々あるのでございます。従いまして、そういう方面につきましては、まだ必ずしも十分な成果をあげ得ない面が多分にあるやに感じておるのでございまして、今後ともその点につきましては捜査技術の上においても十分研究、工夫をこらしまして、十分の成果をあげるように一段の努力を第一線の警察官諸君に要望いたしているような次第でございます。  ただいま御例示になりましたような問題につきましても、まさしくそういうことが言えるのであります。知能的暴力というものに対しましては捜査技術上なかなか困難な点がある。特に、先ほども警視総監からお答えいたしましたように、おおむね、この種の事案につきましては、被害者側がなかなか真相を十分に表明していただけないということが捜査上困難を来たすことがきわめて多いのでございます。これは、一つには、被害者が自分の名誉を考え、世間体が悪いというようなことを考えてあるいはいわゆる後難をおそれるといったような気持から真相をありのまま警察の捜査関係者に吐露していただけないという傾向が多分にあるようでございます。いわゆる被害者の方々が後難をおそれる、お礼参りというようなことに対しましては、警察としましても一半の責任があると思うのでございまして、被害者の方々あるいはその関係者の方々に対しましての事後の保護という点につきまして、警察がさらに一段と工夫をこらしまして、そうした懸念なく、被害を受けたときには勇気を持ってありのままを率直に述べていただけるようにしむけていくということにつきましては、警察側といたしましても一半の責任を感じておるのでございまして、今後被害者の保護という点につきましては十分考慮を払って参りたい、かように考えておるのでございます。国民全般が、自分たちの権利と自由を守るために、自分たちの権利と自由を侵害する暴力を憎み、これを断固一掃しようという強い勇気を持って、われわれ警察捜査関係者に十分御協力をいただきますならば、この種の事案の取締りというものは相当に成果をあげて参るもの、かように考えているのでございまして、今後とも国民各方面のこの問題に関する警察の努力に御協力をいただきますことを心から念願をいたしておるような次第でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 私は唐澤法務大臣にお尋ねしたいのでありますが、今政府機関でありまするところの警視総監あるいは警察庁長官の説明を聞いておりますと、とにかく暴力団の退治には被害者の協力が必要である、そうして被害者の協力を得られないのは後難をおそれるとかあるいは外聞をはばかるとかいうようなことであるということであります。私が今問題にいたしておりまするのは、今を時めく総理大臣それ自身に関する問題であります。その総理大臣が、しかも三悪追放の一つとして暴力追放を唱え——これは私ども反対党といえどもほんとうに賛成であります。しかして、この恐喝その他の暴力行為の、暴力団の根絶のできないゆえんのものは、今警察当局が申されましたように、被害者が実態を明らかにしないことであることは捜査官が一斉に考えていることであります。ゆえに、岸内閣において三悪追放を真に実行する意思があるならば、これは岸さん自身に関することでまありませんか。しかも後難をおそれる立場ではおりません。しかも、まさかそれから何かボロが出るという意味でもございますまい。もしそういうことがあったら大へんなことである。なおさら明らかにしてもらわなければならない。そういう意味において、これはほとんど公知の事実であります。このときに立ち会いましたるところの人物の暴力団の一人が自白しておる。一体警視庁はなぜそれを調べないのか。これも私は不可解なんです。この護国団にあきたらずして脱退いたしました一人が詳細に述べております。これをお調べになれば直ちに真相はわかるはずであります。これはどういうわけかそこを調べない。中村という渡した秘書官もこれを否認しておるという。かようなことでは、一般人の暴力追放に協力を求め、被害者が進んでその実情を明らかにすることを要望することは、できないじゃありませんか。私はその点につきまして捜索当局の御意見を承わりたかったのでありますが、皆さんの立場としてそう露骨なことも言われないと思いますから、それは了承いたします。しかし、法務大臣は閣僚の一人であります。あなたはそういうことに対する総責任者でありますがゆえに、どうぞ、閣議においてでもいいし、法務大臣として総理大臣に進言してもらいたい。さようなことでは暴力は絶滅できませんし、この民主政治下において無力をふるう、ことに政治家に対しましていろいろな難くせをつけて金をゆするということは、これは戦時中実におびただしくあったことだ。国体明徴に名をかりていろいろなことをやり、いかに良民を苦しめたか、あなただって御経験のはずだと思います。今や民主政治の今日において、反対党であろうが自党であろうが、かような不退なやからが暴力をほしいままにすることは許すことができません。ですから、私たちは岸内閣の暴力追放には協力する意思を持っておるものでありますが、その人自身がかようなことを不明にいたしておりましては、一般大衆に対して被害を遠慮なく届け出ろなんて言いましても、やれる道理がありません。私は遺憾千万に存じます。また、警視庁といたしましても、なぜ玉川という人間を調べないのですか。その人間はその授受に立ち会っておる一人であります。当時の最高幹部の一人なんだ。なぜこれを調べない。新聞記者が調べていることを警察が調べられない道理がないでしょう。なぜ玉川を調べないか。その点を警視総監に承わりたい。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 暴力を一掃すべきことは、これはもう私が申し上げる必要のないことでございまして、ことに岸内閣は三悪追放を大きな政策の一つとして掲げておる次第でございます。これに対しては猪俣委員からも御賛同を得ましてまことにありがたく存じます。ただいまお尋ねの件につきましても、これに関する風聞を耳にいたしましたびら、さっそく警視庁の方にも問い合せてみました。ところが、事実は、先ほど総監から述べておる通りでございまして、警視庁といたしましては本人の中村君に問いただしてみたようでございますが、その結果、警視庁としてさような事実は認められない。また、中村君本人ばかりでなく、ほかの関係者にも尋ねておるようでございますが、総合いたしまして、この事実を認めるところに参っておりません。それは先ほどお答えのあった通りでございます。法務当局、また警察当局といたしましては、今後におきましても暴力追放につきましては全力を尽してやるつもりでございます。この事件につきましては事実の判明する段階になっておりません。ただ風聞だけで人の自由を制限するわけにも参りませんから、この事実に基いて私ども判断を下しておるわけでございます。かような次第でございますから、どうぞ御了承を願いたいと思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 私どもは捜査当局に要望いたします。あなただっておわかりになっておりましょう。山梨県に玉川という人物がいる。それをなぜお調べなさらぬか。実はわからぬかったと言ったって、矛盾もはなはだしい。わかっておって調べないのは何のためであるか、それをお聞かせ願いたい。

川合壽人警視総監

○川合説明員 玉川という人物が読売新聞社に行きましていろいろな事情をぶちまけまして、読売でこれを掲載されましたことは、私どもよく承知いたしております。ただ、あの内容及び彼が読売新聞社にぶちまけました事情については、非常に複雑なものがあるようでありまして、現在まで私どもは側面的な事情を山梨県当局とともに次第についておるわけであります。玉川の言を全然虚構であるとするわけではございませんが、非常に複雑なものがあるようでありますので、今の猪俣委員のお説もありましたし、私ども、捜査の技術としてだんだん進めて参ろうと思っておりまして、今の御提言は十分に参考にいたしたいと考えます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 なおこれは法務大臣にお願いいたしますが、今度の岸内閣の改造と申しますか、新内閣の成立後、この新内閣の成立したのはおめでたいと称して、この暴力団が各大臣に寄付金をもらいに行ったということですが、唐澤大臣のところに行きましたか。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 私のところへはそれらしい者も参っておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 正力国務大臣のところへは五回も執拗に行っておる。最後は輪転機に砂をぶっかけてやると言って捨てぜりふを残して出た。正力さんは一銭も出さなかったそうでありますが、閣僚の中に明白に出した人がある。私はこれは名前を言いません。あなたは一つそれをよく調査して下さい。だれが一体こんな暴力団に寄付をしたのか。大臣になったのが幾らうれしいといっても、暴力団にまで寄付をする必要はなかろうと思う。こんなことをやっていたら、暴力の追放なんてできやしません。私は看板をおろしてもらいたいと思う。正力さんはさすがに断わった。しかし、ちゃんと出しておるのがいる。あなたのところは来なかったということだが、行った者があるのであります。閣議のときにそれを持ち出して、だれが一体寄付したか、——寄付したからといってすぐ犯罪にはなりますまいけれども、政治問題といたしましては、暴力追放を掲げている内閣としてはふさわしくないことだ。こういう寄付をする者があるから、いつまでもこういう団体が命脈をつないでいることに相なります。あなたは閣僚として閣議で十分警告を発していただきたい。  由来どうも保守党は暴力団に金をやっておるという風評がもっぱらなんです。それが彼らの命脈をつなぐ道である。そうして彼らが一たん警視庁の問題にでもなると、政治家どもがわんさともらい下げをやっておる。金をやったり、もらい下げをしたりしますから、彼らはいつまでたってもはびこっておって、根絶できない。私はこういう風評があるのははなはだ遺憾とするのでありますが、幸い岸内閣は暴力追放をやっておるから、着々こういうことを根絶してもらわなければならぬ。しかるに、おのれ自身が脅迫せられておることに対して、今日まで、私がこれだけ質問しておっても、それを明らかにしない。そんなことでどうしますか。なおまた、この閣僚の中に暴力団に寄付をした者がある。そんなことで一体暴力団を根絶できるでありましょうか。これは法務大臣として十二分に御考慮願いたい。あなたの御決意を承わりたいと存じます。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 その点も過般二、三の新聞に出ておりました。私も読みました。そこで、警視総監の方へも事務当局から問い合せてみましたところが、さような事実はないということでございます。ただ、組閣当時は、私どもはつき合いが狭うございますからあまり人は参りませんでしたけれども、つき合いの広い政治家には、まあ新聞関係者が中心でございましょうが、いろいろと大ぜい詰めかけてお祝いに来る。もうその際は、大臣になった人の家庭などは上を下へで、だれがどうやら一向わからないということはあるようでございます。しかし、新聞に出ました関係の人などに承わってみましても、さような脅迫されたというような事実はないようでございます。なお、雑談などでもそれが出たことはありますが、どうも私の感じでは、閣僚になった者で脅迫されて金を出したというような人はありそうにないのでございます。この暴力追放を大きな看板に掲げておる以上、さようなことがあってはならないのではないかという猪俣委員のお考え、これは全くその通りでございまして、十分他の閣僚にも伝えるつもりでございます。ただ、閣僚を私が一々問いただすというわけにも参りません。これは新聞にも出ておったことでございますから、警視庁の方からしかるべき筋を通じて事実を究明する、これよりほか仕方がないと思いますが、仰せの御趣旨だけはよくわかりますから、それは伝えるつもりでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 私は、この問題につきましては警視総監になおとくと捜査を進めていただきたい。相手が岸さんであります。事を不問にすると、この弊害が及ぼすところ甚大なものがある。暴力追放のせっかくの好題日が地に落ちはせぬかと私は思いますので、これは法務大臣からもお話していただく、皆さんは皆さんでまた関係を調べていただいて、かような行為をしたかどうか、たしか五十万円も二回渡しておるということであります。しかし、われわれはこれは的確な資料をつかんでおるのではありません。とにかくそういうことが一般に話されておる。火のないところ煙が立たずであります。これだけ多くの新聞記者がみな認めておることが、ゼロであったということは承知できません。そういう意味におきまして、調べれば幾らでも調べるルートはあると思います。ですから、どうぞ調査をなおこの上していただきたい。それ以上私はいたし方ありませんので、この問題はこれで打ち切ります。  次に、今度は新聞に載らなかったニュースでありますが、「国民の声」という雑誌が出ております。これを見ますと、日本火災海上保険株式会社のいわゆるテーブル・ファイア事件について、この会社から都下の有力な新聞社のある者が相当多額の供応を受けておる、そうして記事そのものはある程度抹殺してなかなか出さなかったというようなことが詳細に報ぜられております。私が第一にお聞きしたいことは、この事実そのものは東京地方検察庁の天野特捜部長から公けに発表されたものである。その発表せられました内容もここに詳細に書いてあります。てこで、こういう発表を天野さんがしたことがあるかどうか。これは年月日と被接待者と料亭、待合の名前と費消金額とを明らかにしたものであります。そうして、その被接待者の中に固有名詞が書いてありまして、毎とか読とか朝とか東京とかいう新聞社の頭文字がカッコして書いてある。これを見ふすと、こういう料亭で費消しました金額が二百八万円に達し、ある新聞社は七十回も供応を受けておる。これは今被疑者として調べられております。そうして、今日起訴されました日本火災海上の斉田という人が中心となりましたこういう接待、歓待の宴会の詳細が天野特捜部長から発表になったと聞くのでありますが、かような事実があったかなかったか、それを第一点としてお尋ねいたします。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 お答えを申し上げます。これはいわゆる日本火災のテーブル・ファイア事件とかいわれておる事件だそうでございまして、私が事務当局から聞いておりますところだけを申し上げますと、この日本火災に横領その他の被疑事件がございます。東京地検においてこれを捜査いたして参ったその過程におきまして、新聞側の人たちから、何か新聞社にごちそうをしたというようなことを書いたメモ様のものがあるのではないか、さようなことは私どもとしては迷惑千万だ、事実を究明したいから、どういうことがあるか教えてくれということで、再三再四せがまれたそうでございます。初めにさかのぼって申し上げますと、今猪俣委員のお持ちになっておる雑誌は私存じませんが、私の承わったところでは、アカハタにこれに関する詳細なる記事が載っておるそうでございます。それによると、天野特捜部長がみずから進んで公表したように書いてあるそうでございますが、真相は違っておるようでございまして、この日本火災の事件をいろいろと問いただされて参ります過程におきまして、新聞社側でもいろいろ迷惑をしておるから、そういうことがあるならば話してくれという再三の要求、希望がございまして、それではというので、少しずつせがまれて、何の社はこういうようなことが書かれておる、しかしそれはただそういうものが書かれておるというだけで、事実の真偽というものを調べてみたわけではない、ただそういうようなものの書きつけが出ておったということを、ぽつりぽつり話されておったということでございます。一般に公表したというようなわけではないそうでございます。ところが、これは非常に事実に相違しておるようでございまして、新聞社の側といたしましては、そういうようなものには何ら耳を傾ける必要がないというようなことであったでございましょう。それを証拠として取り上げてどうこうするというようなことはなかったのでございます。後に至って、日本火災の方からも、でたらめのものを書いたやつがお目にとまって、まことに申しわけなかったという謝罪が出ておるように聞いております。事実は全くその通りでございます。今もその事件は公判に係属中でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 大臣は下僚の説明を聞いて答弁なさっておると思うのですが、私どもの聞いておるところと、ちょっとその発表の動機が違っておる。これは、このメモを発表せられましたのは本年の五月十一日で、いわゆる本質的なテーブル・ファイア事件そのものを不起訴処分にした、ほかの罪名で斉田個人は起訴されたのであるが、テーブル・ファイア事件そのものは不起訴にした、その発表をした直後であります。そのときに、新聞記者が、何だ大山鳴動してネズミ一匹じゃないか、検察庁もちょっとおかしいじゃないかというようなことを言うた者がある。そうすると、お前たちはなまいきな口をさくけれども、新聞社自身はどうなんだ、ちゃんとえらいものを持っているぞというようなことから、これを発表するように相なった。そうして、公表したものではないと申しまするけれども、これは大臣も御存じのように、最高裁判所に司法記者クラブがある。そこの司法記者クラブのキャップ全部を呼びまして、——この人たちは全部わかっております。朝日の大塚君、毎日の佐々木君、読売の滝沢君、共同の井上君、東京の安高君、産経の前本君、日経の大谷君、この司法記者クラブのキャップ全部を呼びまして、これを見せた。これが公表したのじゃないということは、どうも成り立たぬと思う。各社の新聞記者のキャップを呼んで、こういうものがある、——これは私どもは常識上公表したのだろうと思う。とにかくかような人たちを集めまして発表をされた。それを私はここに持っておる。詳細に書いてある。こういうことを、動機は今問いますまいが、発表したということはお認めになっておると存ずるが、それはいかがでございますか。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 ただいま私がお誓えいたしました通りと存じております。しかし、私の聞き違いがあってはなりませんから、事実の有無につきましては刑事局長から一応御説明申し上げたいと存じます。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本説明員 先ほど大臣からお答え申し上げました通り、日本火災海上保険株式会社の事件につきまして東京地方検察庁で証拠物を整理しております際に、新聞社のある者に相当供応などが行われたという記載の文書が現われたことが、どういう経過かわかりませんが、各新聞社の方々に漏れまして、自分たちの方の部内の粛正その他にもいろいろ参考にしたいので、ぜひその内容を知らしてもらいたいということの強い御要求がたびたび東京地検の方にありまして、東京地検で特捜部長が、先ほど猪俣委員からお尋ねのように、新聞社のキャップの方々に、これは極秘で、各新聞社の方々が当該部分だけについて各社に参考に一つお知らせするのであるから、極秘にしてもらいたいという条件のもとに、ある程度漏らしたわけでございます。従って、東京地検といたしましては、これが新聞に記載されるというようなことは毛頭考えておらない、全く極秘扱いのものだというように私は聞いております。そうして、どのような経過かわかりませんが、ほかの新聞に載ったというようなことになりまして、日本火災海上保険の方からも、内容が非常に違っておるのに、かようなものが公表されてまことに申しわけなかったということで、謝罪をしておるというように聞いておりまするし、発表のやり方といいますか、お知らせのやり方が少しく当を失したということがありまして、さようなことが新聞に漏れてるという点は、まことに遺憾でございますけれども、東京地検の気持は、さような気持で、関係部分を関係の各社にお知らせしたということに尽きるというように考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 なお私がお尋ねしたいことは、今あなたの話にもあったように、会社では相当の新聞記者操縦費というものが決議になっておる。これは文書になっておる。それが何らかのことで発覚した。これが一千万円。それから弁護士に渡す金一千万円と、二千万円というものが計上されておる。私がお尋ねすることは、この二千万円は起訴状には斉田の横領にも背任にも関係がない金額として削除されておることであります。そうすると、一体、この犯罪金額を捜査する過程におきまして、こういう供応費なんというものについては検察庁は取り調べなければならぬはずである。少くとも二百八万円しか使わないものであるならば、あとの八百万円というものはどうしたのであるか。これは斉田がふところに入れたならば、斉田の横領あるいは背任の金額に加算されなければならぬはずである。しかるに、弁護士の費用一千万円、新聞操縦費一千万円というものは全部犯罪金額から除かれておるということであります。私はそれに対して不審がある。だから、この一千万円というものの、飲食費が二百八十万円であるが、残りの八百万円は一体どうしたのか、そういう金額を確定する意味において、こういう一覧表まで持っている、こういう事実までも特捜部長が持っているとするならば、この信憑性を、真偽をもっと調査しなければならない。犯罪金額に関することであるから、これを調査しなければなりますまい。一銭もこういう費用が出ていないならば、この金額は斉田がどうやったか、これも調査しなければならないはずである。しかるに、これを全然調査しないで、新聞記者に発表し、今日、あれはうそであった、あんまり正確なものじゃないと言うことは、一体どういうことになるのです。かような一億数千万円の金というものは妙な金なんだ。それをどういうふうに使ったか、お調べになったはずである。その結果、新聞社の記者操縦費が一千万円、弁護士費用が一千万円、こういうことになった。それは斉田がふところにのんだんじゃないと認められて、横領なり背任の金額から削除されておるとするならば、私は、犯罪金額計算のしにおいて、果してそれだけの供応費を使ったかどうか、検察庁は調べなければならぬと思うが、どうしてそれを調べなかったか。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本説明員 御承知の通り、テーブル・ファイア事件は、帳簿の整理の仕方といいますか、帳簿に正式に載せられないような、保険料を割り戻しをするとか、募集の特別の手当を払うということに出す金が正式に出せないものでありますから、机上で火災を起したということにして金を浮かして、その金がさような方面に使われたということで事件が始まったわけでございます。この会社の関係で、もちろん帳簿をずっと当該の検事が調べたわけでございますが、その結果、御承知の通り、元の社長であった斉田氏は、株券等の横領もしくは背任罪によりまして、現在起訴、公判中でございます。その調べの過程におきまして、使われた金が、会社の利益のために使われた金であるかどうかということは詳細取調べをいたしまして、その結果、斉田氏だけが刑責を負うべきもので、そのほかの面につきましては、他の法律に触れる部面もありますけれども、帳簿の整理の仕方が悪かったということで、別に刑法上の犯罪にはならないという結論に達しまして、斉田氏のみの起訴をいたしたわけでございます。お尋ねの弁護士の費用でありますとか供応費などにつきましても、会社の経理の整理上、会社の頼みました弁護士にある程度金を払ったり、あるいは会社の交際費などに供応の費用を払うということは当然許されておることでございまして、それとの関連がどの程度になりますか、その点をいろいろ検討いたしました結果、われわれの調べでは、別に犯罪にはならないということで、問題にしなかったのでございます。その総金額が、弁護士の費用が一千万円であるとか、あるいは新聞記者操縦費が一千万なりとかいうことは、だいぶ計数が違っておると私は考えるのでございますが、今その詳細の資料がここにございませんので、その詳細の計数につきましては、後刻また御報告いたしたいと考えます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 実は、この二千万円というものが犯罪の金額から除かれておる。そうすると、いわゆる犯罪に関係あるところの金というものの使途は詳しく聞かなければならぬ。だから、検察庁がこういう接待費の詳細をお調べになるということは当然だと思う。これは職責上やらなければならないはずである。だから、今になって、あんなものは大したものじゃないというようなことをおっしゃるのは不可解です。自信を持っておっしゃらなければならないと思う。決して犯罪に無関係じゃないと思うのです。こういうインチキの金を数億円横領するなり、背任行為なりにいたしましても、その使途は徹底的に究明するはずである。相手が新聞記者であろうが何であろうが、徹底的にやらなければならぬ。なおまた、弁護士の一千万円、これは佐藤弁護士に一千万円やったということになっておるそうでありますが、偉い弁護士はそのくらいの報酬をとるのか知りませんが、私も弁護士だけれども、しりもちをつくような金額であり、これが果して弁護料であろうかどうかということが相当疑われております。佐藤君は最近まで検事長をやっておった人物であります。そこへ一千万円の金が渡っておることが事実であるかどうか。事実であるとすれば、どうもあんまり金額が弁護料としては多過ぎる。着手金でありましょうが、私どもはその何百分の一ももらえない。そこで、一千万円が一体弁護料として支払われているかどうかということについて御調査になったかどうか。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本説明員 詳細のデータを持っておりませんが、弁護人は佐藤弁護士一人だけではなくて相当多数の方がついておられるように聞いております。従って、頭割りにいたしますれば、かりに一千万円金額が弁護士に支払われておっても、そう大きな金額とは考えていないのでございます。なお、この金額につきましては、そのまま現金で弁護士さんに渡された金額だけではなくて、いろいろ弁護士さんとの交渉の際に使われる会場の施設その他にもいろいろ使われておるやに聞いておりますので、全額そのまますっぽりと当該の弁護士さんに渡されたというふうには聞いておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 とにかく、こういう事件は不明朗な事件でありますがゆえに、この会社の一千万円の新聞社の操縦費というものの内容、それから、今おっしゃったように、一千万円が一人の弁護士でないとすれば、どういうふうに使われたか、もう少し検察庁としてもお調べになっていると思いますから、その詳細をもう少しお答え願って、世の疑惑を私は晴らしたいと思う。  そこで、すでにこういう各社のキャップを呼びまして、いわゆる新聞記者は天野メモと言っておりますが、こういうものが発表された以上は、これがうそ八百であるのか、あるいは正しいものであるか。これが非常に間違ったものであるとするならば、かような間違ったものを発表した天野氏はいかなる責任をとるか。また、これが真実のものであるとするなれば、なぜ今になって、あれはどうもあんまり、正しくないのだというようなことを言うのであろうか。私はこれは法務大臣からお聞きしたい。もしこれがはなはだ不確実なものであり、でたらめであるなら、——新聞社の労働組合が、事を明白にしろ、いやしくも新聞記者それ自身が疑われるようなことでは世の中はやみだ、若い前線の記者諸君が、自分たちも妙な目で見られちゃ困るから、事の真相を明らかにしてくれろということを各新聞労組が新聞社の経営者に迫っておる。ところが、新聞社の上の方の人たちは、あんなものはでたらめだ、うそばっかりだ、事実無根だ、こう言っておる。そうすると、事実無根のことを天野氏は公表されたのであるか。私どもははなはだ疑惑に思っておる。そうじゃない、これは相当の根拠があるのだというなら、そのように明らかにしていただきたい。もうすでに、今私が読み上げましたような、ほとんど東京のオール新聞記者、これを集めてこの通り詳細に発表なされた。多少の違いがあるでありましょう。あるいはある人間ばかりが数回出ていくと、どうも同じ名前ばかり書かれては困るから、料理屋に対して、きょうは前田と書いておけとか、あすは上野と書いておけとかいうことはあったろうと思いますが、しかし、ある新聞社の記者が何回そこへ出入りしたかというようなことは、これは料理屋の公給領収証その他で明らかになっているはずなんだ。それをまた点検されてこういうふうなメモができたと思う。それを、今になって、ああそんなものはうそなんだというようなことでは、下の第一線の記者がおさまりません。とにかく、警視庁から検察庁から法務省から——検察庁は違ったかな、法務省かな、裁判所まで、毎日の新聞に汚職が出てくる。たまったもんじゃありません。私はこれを見て、警察、あるいは自動車の輸入か何かは法務省だったか、今度は裁判所の競売係の書記官、そこへ持ってきて、平素こういうことを盛んにたたいている新聞記者がまたそうだ。一体国民はどういうことになりますか。もう国会議員なんというのはとうに信用を落している。これではどうもこうもならぬ。その意味で、せめて新聞記者でもしっかりしたいというのがほんとうの前線記者の熱意であります。だから、是は是とし非は非として、くさいものにふたをするようなことはせずして、徹底的に改革をやって、粛正をやらなければならぬ。これは政党でもそうです。私どもは、幾ら自分の党に属する者であっても、そんなくさいものにふたをするようなことは大きらいです。徹底的にやりなければならぬ。社会党は統制委員会でやりました。自民党もやってもらいたい。新聞社もそうです。内部がら粛正しなければならぬ。まず裁判所、警察、検察庁は申すまでもありません。これはもうさたの限りです。そういうところでこういうことをやっているということでは、国民は向うところを知らぬことになります。そういう意味で、今各社の純真な第一線の新聞記者諸君が奮起している際に、僕は検察庁は事の真相を明らかにする責任があると存じます。  そこで、唐津大臣にお願いいたしますが、天野さんはこういうことを発表された。これに対して全部これはでたらめというのであるか、二、三違うところがあるが大体はこうだというのであるか、それについての御所信を承わりたい。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 お答えいたします。天野検事の発表につきまして、もしその内容がでたらめなものであるならば、なぜそんなものを堂々と公表したか、もしその内容が事実と思うて発表したならば、その数字によってそれぞれの捜査をしなければならないじゃないかという仰せかと存じます。私の事務当局から承わっておるところによりますると、どういう関係からか、この捜査の過程におきまして、新聞社の側の人を接待したようなふうに思われるメモようのものが天野検事の手元にあるそうではないかということが漏れまして、そうして、この事件について新聞社がいろいろ尋ねます際に、いつもそのメモようのものがあるそうだが発表してくれ、また新聞社であらぬ疑いを受けても非常に困る、迷惑千万だ、だからしてぜひ教えてもらいたいということをせがまれたようでございます。そこで、天野検事といたしましては、やむを得ず、ついに、新聞社の方もずいぶん迷惑しておるだろうから、それぞれの社であるいは参考になるかもしれないという意味で、これが果して事実に合っておるとかあるいはでたらめであるとか、そういうような判定は下さずに、ただ一つの捜査の資料の物件としてそのメモようのものがある、その内容の一部分をそれぞれの新聞社に参考としてお話をしたということでございまして、これが確かな事実であるからというわけでもございませんし、また全くでたらめだ、こう言うて渡したわけでもなく、その価値判断をせずに、そういうメモようのものがあるというから、それの話をしてくれということで、したということに私は承わっております。  なお、最後に仰せのありました、最近新聞紙を開きますごとに、あるいは警察の関係者、法務の関係者、一言で申せば汚職とか暴力とかいうようなものの掃除をいたさなければならない側の者が、みずから法に触れて、そうして囹圄に引かれるというような記事が載っております。これは私もそういう新聞紙に接するごとに非常に心を痛めておりまするし、また国民に対して全く相済まないと深くおわびをいたしております。かような次第でありましては、猪俣委員の仰せのごとく、政府に対し、取締り官憲に対し、あるいはおよそ政党政治家というようなものに対する国民の信頼が薄らぐということは、これは当りまえのことでございまして、これは、何とか部内を戒めまして、今後かような事犯の起きないようにと思うて、いろいろと心配をして工夫をいたしておるところでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これは金額において二百八万円はかりになっておる。こういう疑いがなおあるのでございます。一千万円の金を計上しておる。二百八万円使っておるとすれば、そのあとの八百万円はどうしたか、あるものは現金でばらまかれておるのではないかといううわさをする者すらある。これは、私は、もし果してこの会社が自分たちの非行を公表されることをおそれ、新聞記者に飲ましたり、あるいは何か買収いたしまして、新聞記者がそれに応じて材料があるにかかわらず新聞に載せないということがあれば、これは新聞社から見ると一種の背任罪じゃないかと思う。他人の利益をはかるために新聞記者としての本旨にそむいた行動をやったことになる。そして、結局、それを新聞記事にしない場合には新聞社の損害であります。これは自己または第三者の利益をはかるために、かような本人に損害を与えるような行動をする者は背任罪の疑いがある。のみならず、今言ったように、天下の公器でありまする新聞記事に関することでありまするがゆえに、私は、検察庁が、こういう事実がある場合においてこれを公表するその勇気は実にほめていいと思う。天野さんはよくやった。へなちょこの検事はおそれてやりません。断固としてこれを発表したことは私はいいと思う。だから天野さんを一つも責める気はありませんが、発表した以上は、これをもっと真相を突きとめていただきたい。ヘビのなま殺しみたいなことは新聞記者に迷惑です。ここに出ている名前を一々読みませんけれども、固有名詞が全部出ておる。これは百名になんなんといたしております。かような発表をした以上におきましては、これに対してある程度の責任を負わなければならぬと思います。こういう事実は無根であるという名誉棄損の問題でも起ったらどういうことになりますか。全部これは固有名詞であります。新聞記者の名前が現われております。しかもこれは全部待合や料理店から出たものであろうと思われます。それならば、これを調べることはわけないはずだと思う。そうして、この中には全く誤まったものもあろうかと存じます。そういうのは、これは間違いだ、これは正しいのだということを明らかにしませんと、これを発表した以上、これは法務省に責任がある。今大臣が言われたように、いいとも悪いとも言わぬで発表したという。それは、弁護士から発表したとか、あるいはそれこそ情報屋が発表したとかいえばそれでいい。ほんとうだともうそだともいうことはない、こういうのがあるぞというて、まあ参考にしろと言うたということになりますけれども、現にテーブル・ファイア事件を調べておるその地検の責任者が、かような固有名詞をあげ金額をあげて、日時と場所まで指定したものを出しながら、それはほんとうともうそともない、ただ参考として出したのだということが一体言えるかどうか。それは間違っておる。大臣、これをごらんなさい。日時、固有名詞から、所属の新聞社の名前から、そうしてその料理屋の名前から、費消金額から、一万一千五百四十九円というような詳細な金額が出ている。これを全部新聞記者のキャップを集めて発表しながら、それはほんとうとでもうそとでもない、お前たちはいいかげんに解釈していいかげんに受け取れと言うた、こういう無責任きわまることはないじゃありませんか。大臣、そんな答弁をあなたがなさると、天野氏を全く無責任の人物に仕立てることになります。そうでしょう。ただばく然として、百人くらいの男が二、三百万円飲まされたそうだというなら、そんなものは大したことはないのだが、まあどう受け取ろうが受け取る方の勝手だということも相成り立ちましょうけれども、これはそういうものじゃありません。一々具体的に、——起訴するにもこれ以上の起訴状の書き方はありません。訴因が確定しているのだ。そういうものを発表しておいて、あれはいいかげんなものだったということは言ええない。もしそうだとするならば、天野さんの人格を疑わざるを得ない。大臣もそういうことではいかぬと思うのです。二、三違ったところがあるかしれぬが、大体検察庁の調査の結果現われたものであるということにならなければ、こういう詳細な具体的なものを出しておいて、それは私は無理だと思うのであります。もしきょう御答弁できなければ、それもやむを得ませんが、刑事局長もここにおられるのだ。あなたは練達たんのうの刑事局長です。こんなものを発表しておいて、あれはいいかげんなもので、お前たちの見方でどうでもいいやなんということで出したなんて、そんなばかなことで通りやしませんよ。そういうことは僕はいかぬと思う。これを出したことの勇気は私はほめます。大いにやってもらいたいんだ。それならそれだけ責任を持って、それはこうだ、新聞社がくさっておるという態度をとっていただきたい。新聞社の大頭から何か働きかけられると、いやあれはいいかげんなものを渡したんだというようなことでは、申しわけは立たない。それがために、下部の清廉潔白な記者に非常な動揺を起しております。テーブル・ファイアを調べている検察庁から出たことです。しかも具体的に全部明らかになっておる。それを今いいかげんなものだとおっしゃるということになれば、僕は検察庁の責任を問わなければならぬと思います。どうぞ、その意味において、きょう直ちに私は御答弁を要求しませんが、もっと具体的に大臣が責任を持って調査して、この次の法務委員会に報告していただく。そうして、ないならばけっこうなことであります。天野さんが、これはただこういうものがあったからこう言うただけだとおっしゃるならば、天野さんの責任は残りますけれども、新聞記者は介在しておらなかったということに相なりますが、しかし、ここに四つや五つや六つの誤まりがあったといたしましても、大体こういうことがあったとするならば、日本の新聞記者の腐敗もまたきわまれりと申さなければなりません。私どもは、これを、相手が新聞記者であろうが何であろうが、責任は追及しなければならぬと思います。そういう新聞記事を毎日読ませられては、われわれはたまったものではない。それでなくても産業新聞はどうもブルジョアの味方をするなんという見方が労組の方から出ている際に、こういうテーブル・ファイア、こういう日本の一流の保険会社の社長からうまく料理を出されて、そうして記事をゆがめたということになったら、実にこれは重大な問題。一新聞社の問題じゃない。これはどうでも明らかにしなければならぬ。幸いにして新聞社の第一線の労働組合の諸君が立ち上っておりますから、どこまでもこの点は僕は追及しなければならぬと思います。大臣の御所見を承わります。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 詳細はいま少しく事実について調べた上で次の委員会の機会にでも答えるようにというお話でございますから、さよういたします。ただ、今私の申し上げましたことがあるいは大野検事の人柄にも関係するかもしれないというような御心配がありましたので、その点だけ私の判断をまじえて私の考えたけを申しておきたいと思います。  このテーブル・ファイア事件捜査の過程におきまして、メモ様のものが出てきた、このことだけはこれは事実でございます。そのメモ様のものの中に、金額、日時、あるいは新聞社関係の人たちの氏名これらが記載されてあったようでございます。これらが犯罪とどういうふうな関係に立つか存じませんが、その一々を天野検事といえども全部調べてはおられないだろうと思います。参考にはされたでございましょうが、その一々の記事の真相を突きとめることが犯罪を捜査しあるいは起訴する上に必要でございますればやったんでございましょうが、おそらく一々の事実を突きとめておらないだろうと思います。でありますから、新聞の側から、何かそういうようなものがあるから社風刷新の上からも困るから参考に教えてくれないかということで、猪俣委員は公表というお言葉で申されますが、他人に示したのですから公表には違いありませんが、とにかく、事実は、せがまれて、そうしてやむを得ずそれではということで見せたということのように承わっております。その際に、一々の事実、何月何日たれそれに幾ら供応したという事実、それらを一々きわめておりますれば、おそらく、これは真実らしいぞ、これは調べてないからわからない、こういうことになるでしょうが、おそらく調べておらなかったから、まだ調べておりないということで、事実であるかあるいは単なるでたらめな記事か、そういうようなことについては何も言わずに、ただ、それはある、あるならば見せてくれと、こう言われて、参考になるかということで見せたのではないか、かように想像いたしております。もっとも、私は検察の実務に当ったことはございませんから、猪俣委員などからごらんになれば、私の推定、判断というものにあやまちがあるかもしれません。いずれは事務当局とよく力をあわせましてこの事実の真相をきわめまして、次の適当の機会にお答え申し上げたいと存じております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 大臣は就任早々であられますし、なお事の真相はおわかりになっておらぬと存じますから、私は他日をお約束したのでありますが、しかし、検察庁というものがこういう詳細なメモを出すということは、これは容易ならぬことであります。私ども長い間関係いたしておる者から見ますと、検察庁の現職の検事がこういうものを出す、これがあいまいなものだ、よく調査したものでもないがということで出すということは、無責任のそしりを免れない。私は天野検事は相当自信がおありだと思うのであります。天野検事がそういうでたらめなものを出したと私は思いません。と申しますのは、この日本火災のテーブル・ファイア事件というものはどういうものだか、私ども非常に早くからわかっておりまして、今これが新聞に出るかどうか、——そうして、しかも斉田という人物は非常に政治的の人物で、政治家と懇意の多い人であって、相当政治資金がここから出ておる。テーブル・ファイアとして浮かした金の大半は政治資金として流れておるということは、実にことしの二月か三月ごろ私ども耳に入っております。しかし、一切新聞に記事が出てこないので、不思議だなあと実は思っておった。大へんな事件が今ある、しかし新聞には一向出てこない、しかし、正式に起訴した人があり、告訴した人があり、その人が各社へもそれを連絡しているはずなんだが、その新聞社は書かない、不思議だ、これだけのニュース・ヴァリューのあることをどうして新聞社が各社とも書かないのだろうかと、私ども不思議に思っておりました。そうすると、こういう事件があるのでありますと、これをずばりと天野さんが明らかにしたことは、ほんとうに勇気があったと私は思う。新聞社の上の方はみな腐っていると思う。  さて、この一千万円だが、供応費は二百八万円だが、あとの八百万円はどう使われたかということも非常に疑問になっております。少くとも新聞労組あたりは疑問にいたしております。これは斉田なる社長の個人の犯罪といたしましても、彼がインチキをやって浮かした金の使途は検察庁は明白に追及しなければならぬ。それでありますから、こういう問題も検察庁としては調べたのだろうと思う。それだから発表なされたのだろうと思う。金の使途ですから、調べる道理です。しかも一千万円だの二百万円だのと相当多額の金でありますから、果してこれが使われておるかどうかという点について調べなければならぬはずだ。ことに、テーブル・ファイア事件は検察庁は不起訴になさっているが、こういうものをあまり調べないで不起訴になさったとすれば、なおそこに問題がある。あることで起訴になっておりますけれども、表面の事件は不起訴にされている。ここにいろいろの疑惑が出てきます。とにかく、今になってこれがあいまいな御答弁では困ると思いますので、重ねて明白なる調査報告をお願いしたい。今からでもおそくない。もしあいまいな個所がありましたならば調べていただきたい。これは背任に関係がある。唐澤法務大臣は非常に清潔な政治家として、私ども思想的立場のいかんを問わず尊敬をいたしております大臣でありますがゆえに、あなたの大臣就任中において、政治の清潔と、あらゆる万般の汚職を徹底的に追放するよう、どうか十分の御考慮をいただきたい。これはその一つの現われでありますから、これも御調査願いたいと思います。  まだありますが、私もくたびれてしまったので、このくらいにしておきます。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 午前中の会議はこの極度にとどめ、午後二時から再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      ————◇—————    午後二時五十二分開議

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  法務行政について調査を続行いたします。発言の通告がありますので、これを許します。神近市子君。

神近市子日本社会党

○神近委員 私は、きょうは過度飲酒に関するこの間からの裁定についてお尋ねするつもりで通告いたしておきましたけれども、一、二問だけ昨日の質問の続きをやらしていただきたいと思います。  御承知のように、きょうは自民党内の風紀衛生対策特別委員会の御結論が出るということが、きのうの公報に出ておりました。きょう午前中にその委員会が持たれまして、党三役との御懇談があったはずでございます。その結果が発表されております。法務大臣はおそらくこれはまだ御存じなかろうと思うのですけれど、私の想像だけでありましようか、ちょっとお伺いしておきます。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 今神近さんのお話のありましたことについては、私はまだ何も聞いておりません。

神近市子日本社会党

○神近委員 多分そうであろうと思いましたけれど、法務委員会は今日に限られておりますので、ちょっと御所見を伺いたいと思うのです。この懇談の了解事項として、きょう川崎委員長、周東委員から発表されました事項は、売春防止法実施を目途として予算と行政措置に全力を尽す、こういうことでございます。これは、一部の方々に、当りまえのことを当りまえの文字で言ったのだし、今まで風紀衛生対策特別委員会が長い間持っていた論議の裏が出ていないということで質問がありまして、その結果としてこういうことが明らかにされたのでございます。特別貸し出しのワクとして百三十五億を捻出するように政府に進言する、そうしてその運動を猛烈に行う、政府、与党内部等もありますけれど、この運動を猛烈に行うという出し合せだそうでございます。私ども、この売春防止法が成立しますとき、最初の原則として国家補償は一切しないということ、それから特別金融というようなこともやらない、ただ中小企業の融資の順位としてひどく落すというようなことはかわいそうではないか——これはきのうも吉田委員からるる申し上げましたように、過去の仕事はあまりよくない仕事であっても、やめて正業についたときには当りまえの国民の一人として扱ってあげなければならぬではないか、前歴のために中小企業金融公庫が順位を非常に落す傾きがあるのは不都合ではないかというのが私ども社会党の委員みんなの考え方で、やめたならばそのときから普通の順位に置くべきであるし、またそういう法律上のこまかいことは、多少は政治的考慮をもって、良心的な人ならば救助した方がよい、こういう考え方で、特別融資のワクを作るというのは国家補償とは違いますけれど、これは国民に対して大へん衝撃を与えることだと思うのです。今まであの人たちは非常にほめられる仕事をしていたわけではございません。そして、転業がむずかしいのは、非常にもうかったということ、たとえば女一人置けば五人家族が左うちわとまではいかないけれども相当の生活ができたという実態なんです。非常に楽に生活していたということが言えると思うのですけれど、それだからといって、その楽な生活をこの後も守ってやろうというのは行き過ぎだと思います。特に今日非常に金融の引き締めが行われ、あるいは貧富の差が開いて、子供をかかえて死ななければならない、首くくりがあるというような時勢に、百三十五億という巨額の金を前歴のゆえに与えてやるというようなことがあったならば大へんだと思うのです。この点、この申し合せの内容を聞きますと、労働、厚生、公安、法務関係の方々にこれから猛烈に働きかけ、そして御了承を得るということのようですけれど、この関係のお一人として法務大臣は、もしそれに賛成してくれというように申し出られたときはどういう御返答をなさるおつもりかを伺いたい。  もう一つ、この申し合せは非常に片手落ちでございまして、業者に対してこういう厚い待遇を決定しながら、婦人に対してはまことに無責任な言いっぱなしの決定をしているのでございます。従業婦の転業と更生とは行政措置にまかせる、こういうようなことです。これでは酷だと思う。二十二国会以来、三田村法務委員長を初めといたしまして、自由、民主両党は、婦人たちの救護がなっていないじゃないか、これにはそれを決定していないじゃないかということが、処罰法に対するその時分の御反対の一番根本だったのでございます。ところが、今日のこの申し合せには、従業婦のことは行政措置にまかせる、労働省だのあるいは厚生省だの法務省だのの予算がとれるように尽力するということにも触れないで、業者に対する百三十五億という決定だけが前面に打ち出されてきている。これは非常に困ったことだと存じます。これに対してはまだ党としての御意見もきまっていないことだろうと思うし、また法務大臣がこの問題を知らなかったとおっしゃるのは当然のことでございますけれど、もしこういうものがこの運動の対象として法務大臣が選ばれているという場合、実際にそういうことなんですから、そういう申し入れのときに、昨日の御返答と今日のこの御所懐、昨日の全面的にこれを推進したいというお考えから、これからこの問題をこういう方法によって推進する、あるいは実施するというようなことがあってはならないと私どもは考えるのですけれど、その点一つ法務大臣の御所見を承わっておきたいと思います。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 お答えを申し上げます。先ほども申し上げましたように、党の部会で決定されたそうでございますが、そのことについては何もまだ承わっておりません。ただいまのお言葉で判断しますると、部会で決定してそれから党三役に相談するというようなお話でございましたが、この問題と、私どもの主として関係をいたしております刑事規定、来年四月一日から実施という問題とは、全く別だろうと思います。昨日申し上げました通り、予定の通り来年の四月一日から刑事規定を実施していくという考えには少しも変りはございません。  なお、今の転業救済のような金ではないかと思うのですが、このことにつきましては、私まだ詳しくは聞いておりませんし、おそらくはこれは刑事規定を実施する前の準備的の段階における救済ではないかと思いますので、これは主として厚生省あるいは労働省等でお考えをいただいておることではないかと思うのでございます。いずれ適当の機会にこの問題についての私の考えも申し上げたいと思いますけれども、何分にも党の中の考えもまだきまっておらないようでございまするし、その部会の決定そのものをまだ私十分に理解できておりません。それから仕事も主として厚生省の関係ではないかと思いまするから、それらの大臣の考えも承わらずに先走って御返事申し上げるのもいかがかと思いますから、きょうは御遠慮をさしていただきたいと思っております。

神近市子日本社会党

○神近委員 大体私どもの期待いたします法務大臣の御返事のようでございまして、その点では間違いなかろうと思います。ただ、このことにからんで、御了承を願う一人として法務大臣の名前が出ておりますことは、結局、百三十五億なんて出ないから、これを延ばせというときに、大臣のところに話が行くんじゃないかと思います。そのお覚悟で、——このワクは絶対に出してはならない金で、国民が承知しないと思います。今日こんなに生活の詰ったときに、ずいぶんお金をもうけてきていると考えられている人たち、よい生活をしてきたと考えられる人たちに追銭として百三十五億やるということは、私は国民が絶対に、第一女が承知しないと思います。それから、もう一つは、こういう金がこういう形で少数の委員の手によって特別ワクが出るというようなことになりましたならば、これは与党内の汚職に必ず発展すると考えられなければなりません。私ども、国家補償はやってはならないという話があったときに、その点も十分考慮したつもりでございます。どうか、この金を出すということには反対だけれど、この法律の実施には賛成という線で御善処を願いたいと思います。  次いで私は別の問題に移りたいと思います。  問題は、過度の飲酒による犯罪についての昨今の態度の変化でございます。日本が飲酒天国、酒飲みの天国というような変な状態に置かれている。これは、この間京都で判決されたときに、その判事の宣言の中に、日本というものは酒飲みの天国だという嘆息と一緒に無罪の判決があった。そのすぐ次に、今度は台東区で起りましたあの例の酔っぱらい運転によって人を傷害したという事件があった。そのときにこういう判決が下ったのでございます。酔っぱらいを不問に付することはできない、酔っぱらったら自己を喪失するということを知っていて飲んだことに責任を間わなければならないということで、あれは二年何カ月かの判決があったのでございます。ところが、今度、アメリカ兵のことで、例のアドルフ・W・メーテンという一等兵の問題で横浜地裁で無罪の判決があったのでございます。これは、世間でも、一体酔っぱらいは日本ではこんなに大目に見ていいのかということの疑惑が起きて、二、三新聞の投書で、アメリカ兵だからあれは無罪にしたのかというようなことが出ておりました。それで、これは最終判決ではないのでございますけれど、地裁における判例で、こんなにほとんど同時的に違った判決をしたということに対しては、一体法務大臣はどういうふうにお考えになるかということ、これが一つ。  それから、このメーテンという兵隊の問題は、検察庁は八年の求刑をしておられます。私どもはこれは八年くらいが適当じゃないかと考える。これは何にも理由のない殺人でございます。何か酔っぱらいが感違いして撃った、それで殺されるというようなことは、日本という国が安全に生活のできないところになるというおそれを私どもは持ちます。特に相手は兵隊で武器を持っております。気違いに刃物ということわざがございますけれど、これこそまさしく気違いにピストルだったのでございます。こういうようなことが、アメリカと日本がせっかく協力して、あるいは仲よくやっていかなくちゃならぬというようなときに、非常に障害になる。それから、基地近くの飲み屋かいわいの安全というもの、あるいは安全感というものが非常に阻害される。私はこの判例がこんなにくるくる変っていくということについての責任というか、法務大臣の、どうしたらばよいかという——これはどっちに今大臣はウエートを置いて考えられますか。殺人罪というものと、それから刑法三十九条の心神喪失、この中には酔っぱらいが心神喪失になったという仮定のもとに判決が行われた。これはどっちにウエートを置くべきだとお考えになるかということを一点伺いたい。  それから、これは検事控訴が行われたというように新聞で報道されております。検察庁が八年の求刑をして、そうしてこういう無罪の判決をされたということについてどういうお考えを持っていらっしゃるか、検察庁の方がおいでになったらばそれを伺いたい。  もう一つは、これは、七年も戦争に行っていて、異国民に対して非常な恐怖感を持っていて、一種のノイローゼにかかっていた、こういうことがわかっているのに、それに凶器を持たせて——兵隊ですからピストルを持たせて、そしてこういうおっ放しの行動をさせているアメリカ軍に対する忠告、あるいは注意を喚起する必要はないか、この点をお伺いしたいと思います。  第一点は、判例のこういう急激な混乱に対する御意見、第二点は検察庁としてこの問題はどういうふうにお考えになっているかということ、それからもう一つは、法務大臣は、アメリカ軍に対して、こういう事件が起らないように、変な病気にかかっている者は早く兵籍を免除して本国に帰す方がいいのじゃないか、そういう御忠告なり、あるいは御勧告を発するお気持があるか、これを伺いたいと思います。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本説明員 ただいまお尋ねのうちの横浜の事件につきまして、ここに報告書がきておりますので、これに基きましてお答えいたしたいと思います。  関係の被告人は、アドルフ・W・メーテンという者でございまして、この者につきまして横浜地方検察庁が横浜地方裁判所横須賀支部に殺人罪として起訴いたしまして、ただいまお尋ねの通り八年の求刑をしておったわけでございます。この関係の審理中に、本人の精神に相当欠陥があるのではないかということが問題になりまして、鑑定がなされたわけであります。その鑑定は、東京医科大学の精神科の佐藤医師と、聖路加国際病院神経科の土居というお医者さん、この御両名によって鑑定がなされたわけでありますが、この鑑定書によりますと、昭和三十二年五月十八日付でいろいろ詳しく書いてございます。その要点を申し上げますと、この被告人はアルコール幻覚症である、そして被告人がときどき襲われる振顫譫妄にかなり類似しており、また、意識障害の点を除くならば、精神分裂症の妄想形成及びそれによる行動と同程度に見るべき病的精神状態である、そういうようなことが書いてございます。従って、この人間につきまして、犯行の当時刑法にいわゆる心神喪失であったのではないかという疑いが多分にあるわけでございます。横浜地方裁判所横須賀支部の担当の三人の判事さんは、この点を取り上げまして、結局心神喪失中の行為であるということで、本年の七月三十一日に無罪の判決をしたわけでございます。この裁判に対しましては八月の十四日までが控訴を提起し得る期間になっておりますので、現在横浜地方検察庁及び東京高等検察庁、最高検察庁並びに法務省の係官が、この鑑定書などにつきまして、この程度で正当の判決であるかどうかということについてただいま検討を加えておるわけでございます。この両医師の鑑定がそのまま公認され得るという状況でありますならば、あるいは法律的にはこの裁判がやむを得ないという考え方が出て参りますし、この鑑定自体が少しく行き過ぎである、法律的には心神喪失と認めるものでないということになりますと、さらにもう一度この問題につきましては控訴いたしまして、東京高等裁判所でいま一度裁判を仰がなければならないということになるのではないかと考えるわけでございます。  なお、立ちましたついでに、日本でアルコールを飲んで酔っぱらった場合に処罰する規定が、道路交通取締法の第七条と、自衛隊法百二十二条ですかなどにございます。一般的にはただ酒を飲んで酔っぱらったというだけでは処罰規定は別にございませんが、酒を飲んで意識を喪失したという程度になりますと、ただいまの外人の事件と同じような問題が起きてくるわけでございますが、非常にこれは希有な事件でございまして、時たま先ほどお尋ねのように問題になることもございます。この問題につきましては、ついででございますが、犯罪行為を犯しながらしかもそれが酒を飲んで酔っぱらったために無罪になるというような場合には、その犯した犯罪行為につきましては、それは心神喪失によって無罪の判決をしても、さような飲酒行為によって刑法犯的な行為を犯した者については、酔っぱらったということについて相当の刑事責任を問うべきではないかというのと、さらに、さような病的めいていをするような者は保安処分でもしなければいけないのではないかという考え方がありまして、それはただいま私どもの方でいろいろ検討しております。刑法改正準備会などで目下検討中でございまして、適当な成案がまとまれば何らかの改正手続をしなければいけないというようなことで、鋭意その研究を進めておるというような状況でございます。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 この事件に関連いたしまして、今のメーテンと申しますか、この米兵のような悪癖の持主、酒を飲むと深酔いをして心神喪失に近いような状況になって人を殺すというようなあやまちをしでかす、こういう者がおられては非常に迷惑だから、アメリカに対して注意を喚起してはどうだというお話でございました。まことにごもっともの御意見と思います。よく外務大臣と相談いたしまして善処いたしたいと思います。

神近市子日本社会党

○神近委員 過度の飲酒に対する軽犯罪法の規定は、私ども非常に足りないと思うのです。御存じのように、後進国であるとわれわれは考えていますけれども、ビルマでも、それからインドネシアでも、あるいはセイロンでも、インドの一部でも回教徒の国では、お祭の日以外にはほとんど飲酒を禁じておるんだそうであります。政治家が悪酒を飲むとかいうようなことは絶対にない。飲酒のために家庭が非常に乱れるということもない。そういうような事実。それから、あるフランス人は世界を旅行してみて、滅亡する民族が一番飲酒の害がひどいということを語っているのをこの間読んだことがございます。われわれの国も、飲酒の点では少しやはり行き過ぎをやっておる。こう言うと、お前は飲まないんだからそういうことを言うと、ここでは男の先生方がたくさんいらっしゃるから、大へんお気にさわるかもしれませんが、私は禁酒を主張するのじゃ決してございません。過度の飲酒ということが私どもの生活を非常に乱して、特に家庭の不幸、女の不幸を生んでおるということは事実でございます。それで、今御検討中ということは伺いました。私ども婦人議員が集まったときに、一つこの精神喪失するくらいの過度の泥酔を何とか禁止しなければ、文化国家としてみっともないじゃないか、婦人の立法としてどうしたものだろうかという、笑い話ではありましたけれども話題としたことがあります。だけれども、犯罪の形になってきたときに、今までほとんどこれを野放しにして処罰しなかった。これはまた私は片方の行き届かなさではないかと思います。飲んでもかまいません。ほがらかになり、愉快になる程度の飲み方はちっとも私は反対いたしませんが、自己喪失するまでの泥酔というものは、たとえば今の兵隊とか、これほどになる前にこれを注意することができれば、日本の法律だからと言って注意することができれば、こういう不幸が起らなかったと思うのです。起きてからこれを罰するとか罰しないとか言っても追いつかないのです。人命があまり無道作に見られたくないというのがきょりの質問の一つであります。日本人の人命が、たとえば飛行機事故によるあの問題であるとか、あるいは自分が今までかこっていた婦人を殺して逃げてしまうというようなことが幾らでも起っておりますから、特にこの問題が私は気になるのでございます。一つぜひ法務大臣にお願いしたいのは、この自己喪失までの過度泥酔というものを規制する法律をお作りいただくと、日本の家庭が非常にほがらかになる。夫だけの毎日の泥酔によって、妻子が飢餓にさらされるというような恥かしい事件も起らないで済むのじゃないかと思うのです。今せっかく御準備中でしたら、ぜひ文化国家並みに、飲み過ぎて道路に寝るとか、——運転手は運転手の法によって規制されておりますけれども、その日常行動の中に飲み過ぎて恥をさらすという民族の悪風を一つ是正するように、せっかく御努力を大臣に特にお願いしておきたいと思います。  私の質問はこれで終ります。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 古屋貞雄君。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 私はきのう大臣に総論的な御質問を申し上げましたが、きょうは各論に入ってお尋ねしたいと思うのです、きのうは、私は、日本の労働運動に対する捜査権の介入、この介入がもし誤まって参りますならば日本の産業界に重大な影響を及ぼすということを申し上げたのでございますが、その点について二、三お尋ねしたいと思うのです。  人を縛ったり権力によって国民から税金を取り立てるような立場の人の、その地位を利用した職権の乱用、汚職事件というものは、そのこと自体が、国民全体にとって、法治国の立場から、日本の政府に対する信頼の失墜、特にこの捜査処分が国民の納得いかないような結論が出ますならば、捜査機関並びに司法部に対する非常な不信が国民の中に高まって参ります。従って順法精神がなくなるということは、よってもって国の重大なる治安を乱す原因になる。そういうことはもう申し上げるまでもないことでありますが、そのことについて私が承わりたいことは、まず、ただいま申し上げたような汚職あるいは暴力、いずれにいたしましても、どなたが見ても常識的に社会悪であるこういうような問題に対する捜査、処罰の態度です。これは憲法三十八条によって保障された労働組合並びに国民の労働運動争議に対する捜査権の介入と根本的に相違があると私は思いまするが、いずれに法務大臣は重点を置いて御捜査あるいは処罰を加えるのか、この点を、当然のことでありますけれども、御決意のほどを承わりたいと思います。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 この点は昨日もお尋ねを受けましてちょっと触れてお答えをいたしたと思っておりますが、私どもといたしましては、汚職という関係において法を犯した者、あるいは暴力という関係において法を犯した者、また、今お話のありました職域におけるいろいろな争い、そういうことで法を犯した者、そういうようないろいろな種類についてどういうところに重点を置いているかというお話でございますか、法それぞれに踏み越えてはならない一線が画されてありまして、この線を踏み越えますれば、その社会悪の程度に応じまして、あるいは罰金とか体刑、それぞれの長短を付して規定しておるのでございまして、私どもといたしましては、法の命ずるところにより伏して、この法を逸脱した者だけを法の手続によって処置していくというふうに考えているわけでございまして、もとより、きのうお話のありました通り、法を犯した点においては同じでありましても、その動機、意図等において裁判の十でいろいろ考慮される場合もありましょう。しかしながら、ともかく法を犯す者がありました際には、法の命ずる手続によってこれを処置していかなければならぬと考えております。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 ただいまのお話は原則のお話でございまして、私もその点については同感であります。そこで、承わりたいのは、特に日教組の問題あるいは国鉄の問題という問題になって参りますと、日教組は、御承知の通り、次代をになう百年の教育の関係でございますから、日教組の指導的立場における教育の任務に当っております教職員そのものに対する処罰の発動をいたします場合においては、私は格段の考慮を必要とすると思います。ただ形式において規定に反するというようなことではなくて、相当慎重な捜査が必要だと思います。今回の佐賀県の五人の起訴内容を拝見いたしますと、公務員法に基く処罰らしいのですが、この点について、判決の結論を得なければどうこう申されませんけれども、少くとも従来同様なことをやって参りました。同じようなことを数年間慣行的にやって参りましたことが、今回はこれが処罰をされる。しかも、逃げも隠れもしないはっきりといたしました現実の事実に対して強制収容をしたという事実、こういうことは、私どもから考えますれば、何も逃げも隠れもしない、証拠隠滅の行なわれる事案ではない、行われた事案の判断をどう判断するかによってきまる事案だ。いわゆる多数の同職の者を扇動したというような事案らしいのですが、いずれにいたしましても、従来なされた同じことをやったことが、今回はこれを検挙し、しかもそれが証拠隠滅のおそれがないにもかかわらず強制収容したという点に行き過ぎがあるんではないか、こういう国民的な世論というものが相当盛り上りつつあるわけなんです。従って、私は、現実に佐賀県の問題について、今ここでこれがいい憩いということは申されませんけれども、こういうような問題については、非常に慎重な態度をもって臨んでいただきたい、かように考えるわけであります。ことに、新潟地本で行われた事案のごとき問題につきましては、捜査の過程において非常に無理な事実がございます。国鉄の労働争議が日本の産業界に及ぼす重大な影響から考えましても、実際これはどうするかという問題、ことに現在問題になっておりまする公社制度に対する問題、あるいは憲法で保障された罷業権を奪っております関係上、いろいろ本質的にも研究を必要とするのでありますが、この重要な関係を持つ国鉄労組の人々に対して、これは新潟県の三条署に起った事実なんです。この点を私は警察の方から具体的な責任ある御答弁をいただきたいと思っておりましたが、本日は出られないそうでございますが、刑事局長がいらっしゃいますから御答弁願いたいと思いますが、ここにおいて、労働争議から起きました捜査に当りまして、どうも警察が相当感情に走ったのかどうか知りませんけれども、十数時間にわたって病人を調べておるという事実があるわけです。三条の駅の勤務者の城丸という男でございますが、その男を三条署が調べまする場合に、一度卒倒したわけです。しかも、卒倒をしたばかりでなく、医者を呼んで医者に診察をしてもらい、治療をしてもらった。さもらいたいという要望をいたしましたけれども、引き続いて、これは本年の七月二十一日のことでありますが、二十一日から二十三日に至る三日間にわたってこの病人を呼び出して調べております。ついに警察から中蒲原郡の小須戸町というところの自分の家へ帰らずに警察署の前の旅館に三日も休養をしなければ帰れないという、さような病人を三日にわたって調べておるという事実、このことは非常に大きな反響を及ぼしまして、その後における新潟地本の処罰に対する強い反対闘争が、こういうところに非常に強い刺激を受けて、強い闘争に進展した、こういうような過程の事実があるわけです。それから、もう一人ございまして、これも三条署に調べられました国鉄の職員でございますが、これは堀という男です。この男も調べられました間に倒れまして、それから医師が診断をいたしますと、一週間の休養が必要だということを申し渡した。しかるに、これまた、この問題について警察が調べたばかりでなく、引き続いて検察庁で検事がまた呼んで調べる、こういう調べふりなんです。人を殺したとかあるいはどろぼうをしたとかいうような事件と違いまして、労働運動からくる多少の行き過ぎがあったかなかったかという問題、しかもこれは、参考人であるか証人であるかわからないような諸君の調べぶりを、こんなに厳重に調べなければならぬかということになると、これは考えさせられるわけです。基本的人権を非常に侵害しておるということによって、私どもは責任者の責任を追及しなければならぬことになるわけなんですが、警察の責任者がいらっしゃいませんから、具体的な御答弁を願えないかもしれませんが、幸いに刑事局長の方にそうしたこまかい報告がございますなら、御答弁を願いたいと思うのです。  こういうことを総活して考えまして、他の社会悪の最も憎むべき犯罪の捜査の場合と、一体、見方によって考え方によっては犯罪にもならない、考え方によっては犯罪になるというような非常にデリケートな労働争議への捜査権の介入というようなことは、これはよほど区別して慎重を要することと私どもは考えるのでありますが、そういう場合には十分慎重にやっていただけるのかどうか。  それから、ただいま質問を申し上げたような三つの具体的な事実、さように厳重にやらなければ真相が判明しない事案でもないと思うのです。そういうような人権侵害事件など、捜査について具体的にかような事実がないならないでけっこうでありますが、ありましたら、それに対してどういう理由でそういう無理な捜査をしたかということの御答弁をいただきたいと考えます。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本説明員 ただいまお尋ねの城丸、それから堀両氏の関係につきましては、検事の方も調べを多少やっておりますので、私の方に報告がある程度来ております。報告書に基づきまして大体の事情を御説明申し上げたいと存じます。  この関係の被疑事実でございますが、これは要するに踏切番が踏切を守る職務を放擲して公衆に危険をかもすのおそれある所為をしたということに帰一するわけでありますが、いま少しく詳しく申し上げますと、被疑者の北沢勝、田沢重助、佐藤調治及び遠藤明というこの四名がそれぞれ新潟地本支部分会の役員であって、その他被疑者は七名おりますが、それぞれ、弥彦線燕駅——東三条駅間にある七カ所の踏切に勤務する踏切警手でありますが、本年の七月十五百、西吉田支部におきまして処分反対闘争のための職場大会を北三条駅で開催するに当りまして、ただいま申し述べた北沢、田沢、佐藤及び遠藤の四人は共謀の上燕駅——東三条駅間の踏切警手七名に対しまして、全員職場を離脱して職場大会に参加すべきことを指示伝達して、同人らのあとに述べるような違反行為をなすべきことを教唆したというのが第一の事実、それから、自余の関係被疑者七名のうち、被疑者の田沢幸七、城丸清及び野口のりという三人の方々は、それぞれ、同日午前九時四十五分ごろから午前十時二十分ごろまでの間、それから被疑者堀正一、神田末三郎、大橋忠夫及び佐藤正一、この四人の方々は、それぞれ、同日午前九時四十五分ごろから午前十時四十分ごろまでの間と、同日午後一時四十分ごろから午後五時ごろまでの間の二回にわたりまして、いずれも、先ほど述べました職場大会参加のため、ほしいままに勤務先の職場を離脱してその職務を怠り、旅客または公衆に危害をかもすおそれある行為をしたものである、かような被疑事実について調べをしたわけでございます。  このうちで、ただいまお尋ねの城丸清という方につきましては、警察では七月二十三日に三条署で取調べを開始いたしましたが、本人が午前十一時過ぎに胸がむかむかするということを申し出ましたので、三条病院に来診を求めましたところが、ちょうど医師が不在でありましたが、同日午後一時半ごろ警察に参りまして診断の結果は、別に異状はなかったそうであります。この城丸という方は、医師が警察に来るまでの間取調室に横になって毛布、まくらを使用しておったそうであります。検察庁では二十三日に同人に出頭を求めましたところが、同人の都合によって取調べを二十七日まで延期いたしまして、同人の希望によってその自宅で地本の委員長、妻が立ち会って、午後の零時から約一時間取調べを行いましたが、当時被疑者は自宅に寝ておって、横臥のまま取調べをしたそうであります。  それから、被疑者の堀正一という方の関係でございますが、警察では本年の七月三十一日出頭を求めまして、午後三時二十分ごろから同六時ごろまで取調べをいたしましたが、別に異状はなかったそうであります。二十二日は熱があるために就寝しておるので呼び出しを取りやめまして、二十三日に出頭いたしましたので、午前八時に取調べを開始いたしまして、十二時十五分、昼食のために休憩し、午後一時からまた取調べを開始いたしまして、午後の四時に取調べを終了いたしたのであります。その間、午後の一時ごろに寒気がするということで、毛布二枚を貸し与え、午後五時二十分ごろ右足にけいれんを起したから自動車で送ってもらいたいという申し出がありましたので、署の車によって自宅べ送ったそうであります。検察庁では二十四日に出頭を求めておったのでありますが、担当検事は、かねて堀という方が傷痍軍人で半身不随であるということを聞いておりましたので、取調べに先だちまして、からだの状況を聞いたところが、半身が不自由であるが、別に異状はないということを申し述べましたので、三脚のいすを与えまして、楽な姿勢で供述を求めましたところが、同人はいすの上に足を伸ばし、または横臥して、午前九時ごろから午後一時ごろまで取調べを受けたのであります。その間、同人が用便のために調べ室から階下におりまして、組合員または同人の妻の姿を見ますと、いかにもからだが悪いような態度を見せましたので、直ちに宿直室に連れてきまして横臥させた上に、妻と組合員一人をつき添わせまして、本日の取調べはこれで中止するから帰宅してもよろしいということを荷三申し述べましたが、ぜひ本日続行してもらいたいという申し出がありましたので、前同様楽な姿勢で取調べを再開いたしましたが、その問別に異状は認めなかったという、これだけのことが報告になって来ております。  一般論として申し上げますと、事件は結局なるべくなまのうちに取調べをいたしませんと的確な事案の取調べができませんので、早い機会に取調べをすることの要請と、また、かような病人の方に対しましては、それぞれ病状などによってあまり無理もできないという事情がありますので、その間のかね合いが非常にむずかしいわけでございますが、本件につきましては、関係の係官は病人などにつきましては十分注意をしながら取調べをしておったというように私どもうかがわれるので、現在の状況では別に不当な処置があったというようには考えておりません。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 大臣の答弁を受ける前に、今の事実についてお伺いしたいのですが、一応三条署で城丸清は卒倒しておる事実がある。御報告にはないようでありますが、卒倒をしておる事実、これは、七月二十三日三条警察に任意出頭の命令を受け、午後五時十分ごろ三条市田島の踏切番所より同署のジープによって連行され、同署到着と同時に取調べを受け、九時ごろ目まいがしたが、引き続き取調べを受けたため九時三十分ごろ卒倒をした、こういう事実、それから、昼食はその日にとらせなかった、こういう事実、今のように、警察に連絡をしたけれども、医者がおらないためにそのまま数時間放置されて、そうして斎藤礼太という医師において診断をしてもらいましたところが、急性貧血症であるとい診断書が出されております。そういう事実はございませんか。そういうことになれば、卒倒をした者を数時間ほっておくということ自体が問題になってくる。それからまた、斎藤医師の方から診断をされて急性貧血症であるという病名まで明らかになっておる。事案の真相を知るためには早い方がいいというけれども、それをしいて調べなければならぬというような、——しかもこれは参考人である。被疑者ではない。だから、自宅で調べても調べができるはずだと私どもは思いますが、その結果、少くとも駅の前で三晩帰らずに静養加療をして帰ったという事実は、これは明らかな事実であります。そうなると、これはただ普通の正常な取調べの状態ではないと私どもには考えられますが、その点は御報告にございませんか。今のように、中途で卒倒をしたり、最初に警察医の方に診断を求めたが、警察医はとうとうおらないために数時間そのままになった、あとで斎藤という医師から診察を受けた、こういう本人の書いた報告が私のところに来ておる。そういうことはございませんか。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本説明員 先ほど申し上げましたように、私どもに対する報告では、卒倒をしたというようなことは何も記載してございません。二十三日の午前十一時ごろに胸がむかむかするというようなことを申したということがあります。なお、お医者さんは、私どもに対する報告では、池田医師という警察医が診察しておるようでございますが、斎藤というお医者さんの名前は載っておりません。なお、城丸清という方は、私どもの方の関係では、関係者参考人ではなくて、被疑者ということになっております。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 その点は十分事実のお調べを願いたいと思う。私のところに来ているのは本人の書いた手記です。  それから、堀さんの問題なんですが、これは、出頭をいたしましたときに、最後に検察庁に呼ばれたときは、病人だというわけで、水まくらを持って女房がついて行っているわけです。それで、つき添いに行ったところが、つき添いは拒否された。これは取調べの秘密を守る意味においてやむを得ませんけれども、少くとも氷まくらを持って、そうしてつき添いが行くくらいの病人なんです。これは身体障害者ですから、この調べはもちろん特別にお扱い願ったと思います。けれども、もうすでに帰るときに階段をおりることができないほど疲労してしまって、やっと階段をおりてきた、そしてその後五日ばかり欠勤をしておるという事実も、これは本人もそう言っておる。そういう状態であったということになると、どうも少し行き過ぎではないか、こう考えられますので、ほかの事件でも行き過ぎがあってもいいということは私は考えませんけれども、労働争議に関する、しかも介入捜査でありまするから、この点においては私は相当慎重にお進めを願っても——それからまた、逃げ隠れをするような犯罪ではありませんから、やはりこの点は慎重にやっていただくことが常識ではないか。ことに労働争議の当時は多数の人々が非常に感情が先鋭化しておりますので、これはよほど捜査に当る方たちが慎重に捜査していただかないと思わざる結果を引き起すのではないか、こういうことを私どもは非常におそれるわけであります。この点につきましては、さらにこまかいお取調べが警察の方には来てるかもしれませんので、警察の方から聞きたいと思ったのですが、相当警察の行き過ぎの行動があるように考えるわけです。  この点について私がくどいように御質問申し上げておりますのは、法務大臣に御質問申し上げたのは、こういう事案とほかの事案とはおのずから捜査に対する緩急の点、いわゆる急いで現ナマの間に事実を明らかにしなければならぬということはこれは捜査の原則でありまするけれども、どうしてもこういうような非常に大きな関係、しかも先鋭化された感情を持っていまするような問題に対して、片方では弾圧だとこう反対に考える、片方では刑罰の事実があるという考え方、見方の相違が非常に重要なポイントになると思います。こういう問題に対する捜査の方針並びに態度というものは非常にデリケートでありまするから、重大な関係を引き起すために、非常に慎重な態度をおとり願いたいと思うのです。ことに、ただいま申し上げたような行き過ぎの捜査が第一線でございますることは、非常にこれは問題になると思うのですが、こういう問題に対して他の犯罪と違ったお考えを持たれるかどうか、いわゆる捜査の態度として、事実の摘出をいたしまする場合におきまする法務大臣のお考えを一つこの点で聞かしていただきたいと思います。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 この点につきましては、だんだんと私の考えも申し上げておる通りでございまして、今御設例の労働争議たけなわな場合の法の手続の問題でございますが、私は、いかなる場合でありましても、法を犯す者がありましたならば、時を移さずこれに法の処置を講じて、そうしてそれがさらに他に伝染することのないような迅速の措置をとらなければならぬと考えております。争議の際は、なるほどお話の通り非常に感情に走っておりまするし、何分にも大勢の問題でございまするから、法の手続をとるにつきましては慎重のしに慎重を重ねなければなりません。それはお説の通りと思います。しかしながらまた、多衆の集まっておる場合でございまするから、もし間違いますとそれがどこまで拡大するかもわからぬというようなことを考えますれば、適宜の措置をとらなければならないような場合もあるかと考えられます。そういうように、その事案そのものの種類によりまして、これはゆるやかな手続でよろしいとか、これは迅速にやらなければならないとかいうことをあらかじめきめてかかることはいかがなものであろうか、要するに、すべて具体の場合に当りまして、慎重に考えて、ゆるやかにやってよろしい場合にはゆるやかに、迅速にやらなければならない場合には迅速にというような、いわゆる時宜に適して善処しなければならない、かように考えておるわけでございます。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 私がしつこく申し上げることは、そう申し上げては悪いんですけれども、警察の署長さんや巡査さんは労働法規に対して通暁しておらないはずです。それから、具体的事実についても、申し上げちゃ失礼だけれども研究されておりません。従って、上からの命令が参りますと、もうそのまま右へならえに飛び歩くことが往々にしてあるわけです。従いまして、今の御答弁のように事案の具体的事実に対して相当な考慮をしてやるというようなことは、これはちょっと労働運動に関する捜査権の介入という問題については私どもは相当慎重にしなければならぬと思うのです。従って、問題になりますのは、なぜ私がこういうような御質問をくどく申し上げるかと申しますと、これは少くとも憲法二十八条の解釈問題が重要な関係を持って参りましょうし、なお、本件の国鉄の問題、佐賀県の問題、公社制度に対する根本の問題も問題になりましょう。それから、なお、これらのものから一方において争議権を奪ってしまっておるということ、このこと自体がすでに問題になりましょう。それから、法の盲点もたくさんございましょう。けれども、私がおそれますことは、午前中上告制度の問題について委員長からお示しがありましたように、誤判事件が最近においては多いのです。その基礎をなすべきものは警察の基礎的捜査なのです。これが誤まられて参りますと結論が非常に誤まられてくるということが、これが私は一番のおそろしい問題だと思います。従いまして、普通のどろぼうをしたとか盗んだとか強盗をしたとか、あるいは人を切った張ったという問題に対する捜査については、日本の警察は長い経験がございます。しかしながら、労働争議に関する、その争議が行き過ぎであって、犯罪を犯したかどうかという問題については日本の歴史は浅いのでありますから、まことにこの点については経験がないはずなのです。従いまして、この警察の行動に対する、いわゆる労働争議に捜査権が介入する場合の問題については、非常にこれは大きな問題があると私は思う。今後も相当この問題は深刻になってくるでございましょう。その根本において誤まって参りますならば、現に起訴されました事件がどういう結果を来たしますか、これは未知数でありますけれども、無罪になった場合どうなるかという問題、無罪になりましたということになりますと、憲法で保障された正当行為である労働争議そのものに対して官憲が意識的にこれを妨害したということになる。そうなりますと、官憲自身、取締りをする人が法規をじゅうりんしたということに相なるわけです。これは私は非常におそろしい結果に相なると思います。ことに、私が申し上げたいのは、最近、石田労働大臣は、国鉄の問題については厳罰をするということを言っております。これはけっこうだと思います。でありますが、その厳罰にするという基礎となるべき日本の法律の解釈、具体的な事実に対する考え方が、もしも法の精神に反するような考え方で厳罰にするとかなんとかいうことを意識的に申されているということになると、これは大きな問題になると思います。労働大臣の悪口を言うのではありませんけれども、政府は労使双方の中間に立って最も妥当な解決をすることに努力すべきが当然なのです。処罰することによってこれは解決はしません。総評におきましても、この間の大会では、十月あるいは十二月にわたってこの問題について国鉄の処罰に対する反対運動というものを続けていくだろうということを明確に打ち出した。こういうことを前提といしておりますから、私は非常にこれをおそれるわけなのです。いずれがいいか悪いか別といたしまして、私ども法務に関係する委員といたしましては、これが適正に行われ、法務大臣のおっしゃるように——お言葉では簡単でございます。違反者は処罰する、これは当然です。ところが、違反の事実があったかないか、その過程におけるところの捜査の関係が無理があったかないか、こういうことが重大な司法の威信に関するともに、国民の治安に関係すると思う。ひいては産業生産に重大な関係を品持つと思う。でありますから、まことに簡単なように御答弁なさっておりますけれども、労働争議に関するところの捜査権の介入というものは非常に慎重に、重大な問題であるというお考えを持っていただきたい。これは、私、昨日からしばしば繰り返して申し上げていますが、法に違反する者は処罰する、これは簡単でございます。当然でございます。しかしながら、その法に違反したるやいなやという事案に対する考え方、片方は正当行為なりとして堂々とやっておる、片方はこれは違反行為であると言ってこれを処罰するということに相なって参りますと——どろぼうをした者に対しては正当行為ということはみじんもございません。人を切った、人をなぐった、どろぼうをやった、人殺しをしたという問題は、どなたが考えてもこれは正当理由には相ならぬわけです。労働争議には憲法で保障された二十八条の問題があります。労働三法の法規がございます。そういうような法規によって守られておる正当行為なりと信じてやられた労働運動というものに対して、それはいけない、法を犯しておるという見方をもって臨む場合は、おのずから、考え、態度が違うのではないか。捜査官の態度というものは、私は考えが相当違ってこなければならぬと思う。どうも法務大臣の御答弁では、千編一律に法に違反した者は処罰する、これは当然であります。従って、片方では正当なりと信じて数百万の人間が動いている、これを違反行為だと言って処罰する場合の考え方というものは、違反行為は処罰するという普通の簡単な原則論だけでは結論はつかない。そこに政治があると思う。法務大臣が御答弁されることについて、私は不服を申し上げるのじゃない。それは正当でありますが、実際の捜査権の発動に当りましては、そう簡単なものではない。複雑な事情がある。一方においては数百万の人間が正しいと信じて行動しておる。それを正しくないと処罰する場合の捜査の問題については、やはり慎重にしていただかなければならぬということを私どもは考える。その点の法務大臣のお答えを願いたいのです。  どうも最近の労働運動に参加しておりまする労働者諸君の声を聞きますると、政府は、岸内閣になってから、労働大臣の発言といい、国鉄に対する捜査といい、佐賀県における日教組の起訴といい、いろいろ政治的意図がこれに関連しておる、政治的意図を持って弾圧しておるのだという声が相当ございますが、さような労働大臣の発言——政府が、全体的に日本の労働争議は階級闘争的に強くなってきたのであるから、この際芽をつんでおかなければならぬというような政治的意図のもとに捜査権の発動が行われるというようなことは、私はあり得ないと考えますけれども、そういうことがあっては大へんだと私は思う。そういうことがあるかないかの法務大臣の御決意と、最近におけるところの労働運動に参加する人々の声は、岸内閣になってから官僚内閣になった、従って弾圧をもってわれわれに臨むのだ、われわれも考えなければならぬと言っておるというようなことを相当宣伝されておる立場から考えますと、私は労働争議に対する捜査権の介入の問題は非常に重要な問題だと思う。かように考えまして、涙務大臣の御所見をさらに拝聴いたしますと同時に、政治的意図を持ったり、あるいは感情によって労働争議に対する捜査権発動をやったり、閣議などでいろいろと宣伝をされておりまする宣伝の意図に乗ぜられて、多少でもそういう方面にさような動き方があるとすれば重大でございまして、そういうことの絶対にないように御要望を申し上げるとともに、最後に法務大臣の御決意を承わっておきたいと思います。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 お答えを申し上げます。  まず、労働争議に対する警察の介入というお話でございましたが、労働争議は非常に複雑である、多衆が関係しておる、これに対して警察が権力をもって臨むということはよほど慎重にやらなければいけない、ことに最近警察官がこの労働問題、労働法規等について十分なる知識を持っておらない、これが権力を振り回すことは非常に危険であるというお話でございます。これはあるいは私からお答えいたすことは場違いかもしれませんけれども、部外で聞いておりましても、警察の方面において、これは非常にむずかしい問題だということで、この方の知識を与えるための教養訓練はおさおさ怠りなくやっておられるようでございます。それでも、問題が問題でございますから、時に警察官等で判断を誤まる者がなきにしもあらずで、これを私どもは恐れておるわけでありまして、ただいま御注意のありましたように、私どもはこの点については考えなければならぬと存じております。  さらに、警察権あるいは司法権の介入ということでございますが、私どもといたしましては介入という言葉はいかがかと思うておるわけで、何か意図があって、そうして争議のあった際にそれに干渉して参るというような響きを持つのでございますが、法務当局といたしましても、警察もさようと思いますが、争議の際にあらかじめ一つの予断をもって中に介入していくというようなつもりは絶対ございません。佐賀の問題にいたしましても、また国鉄の争議にいたしましても、何か政治的の意図、政治的の指揮をしたのではないかというような疑いがあるやに今承わりましたけれども、さようなことは絶対ございません。事実について申し上げましても、私も就任まだ一月になりませんが、私といたしまして、一たびも検察当局に対してこれらの問題について指図がましいことをいたしたことはもちろんございません。ただ、あちらこちらでいろいろと問題を起しておりますから、それらの報告を受けておるという程度でございます。警察といたしましてもおそらくは同様であろうと思うのでございまして、私ども法律を預かっております者が、争議に対してあらかじめ色目をもって用意をしておるというようなことは、これはよろしくないと考えております。従いまして、政治的意図をもって介入するというようなことは絶対にいたしておらないということを申し上げたいと思うのでございます。  なお、これはよけいかもしれませんけれども、労働関係で働いておられる方々は、自分たちの主張が正しいということでそれの運動をなさる、その通りだろうと思うのでございます。しかしながら、国家生活におきまして 一定のらちを越えますれば、それはいけないということに法律がなっております。過去におきまして極端な例は、ちょうど私ども警察を預かっておりました当時、右翼運動というものが盛んでございました。これは非常に激しい。われわれの主張は法を踏み破っても進んでいく、正しい法以上の主張であるというようなことまで確信をして、そうして進んできた団体もあるようなわけでございます。その主張が右であろうと左であろうと、とにかく、国家秩序を乱すということになりますと、これは法を預かっておる者といたしましては法の処置をとらざるを得ないわけでございます。もしその主張において情状酌量すべき一点があれば、これが裁判手続になった際においてはそれが加味されるでございましょうが、とにかく、国鉄の問題といい、佐賀の教職員の問題といい、実に重大な問題でございまして先ほどお話がありました通り、生徒、児童の教育というものは国家百年の大計から見てきわめて大事なことでございます。これを預かっておる人たちに対する法的の処置でございますから、当局におきましても十分考慮しておったことと思います。教職員の方々のやられたことも、自分たちのやっておる仕事の大事であるということの自覚を持ちながらああいうことに出られたのでございますから、よほど慎重にやられたことと思います。これに対して、身柄を逮捕したり、起訴したり、こういう法的処置をとった場合におきましても、十分大事な仕事に関係しておる人たちに対する法的処置だということはよくわかって、その上で慎重考慮の結果この処置をとったことと思うのでございます。要は、われわれが共同生活をいたしておりまする以上、とにかく法で定めておる秩序だけはどこまでも守っていただきたい、しかし、法を預かっておる私どもといたしましては、いたずらに軽率な法の適用をして人権を踏みにじるようなことがあってはならない、こういうふうに考えて、その点は仰せの通り将来も慎しんでいきたいと考えております。

高橋禎一自由民主党

○高橋(禎)委員 法務委員会も当分開かれないようでありますから、この機会に神近委員の御質問に関連して二、三質問し、かつ私の要望も申し上げておきたいと思うのであります。  第一は、先ほど神近委員より質問のありました、そうして法務大臣もその趣旨に賛成をされました例の飲酒の問題についてでありますが、刑事局長のお示しになった現行法の中で、飲酒を禁止しておるものは、自動車運転手に関係の場合と、それから自衛隊法の関係でありますが、その中でも、特に自衛隊法の規定を見ますと、あるいは職務の怠慢があってはならない、そういう趣旨で規定してあったようですが、たとえば自衛隊の方とか、あるいは警察官とか、すなわち武器を持って職務の執行に当る国家公務員等に対しては、その職務執行中にはやはり酒を飲むということは禁止した方がいいという考えを持っておるわけであります。そういたしませんと、先ほど問題になりましたようないろいろの事件が発生いたします。また、一面公務員としての職務執行がいかにも誠実に行われておらないという印象を国民に与えて、その方面からも非常に弊害があると思うのです。この点については一つわれわれ党の方でも検討いたしますが、法務当局においても十分御研究を願いたいと思います。   それから、第二には、法務大臣がそういうことについて立法でもなさろうという御決意があった場合に、私ども過去の例からいたしますと、どうも法務省の法制審議会、あそこの事務の進捗のしぶりについて非常な疑問を持っておるわけです。あまりにも時間がかかるのではないかというような印象を受けておるわけであります。もちろん国会が立法機関であるからとは申しましても、今のような政党政治のもとにおいては、やはり政府が大法律については責任を持って立法するという建前、特に予算等が伴う場合においてはなおさらのことでありますが、そういうふうにしなければならない。ところが、法務省関係について見ましても、だんだん時世の変化に従って、社会の秩序維持のための基本的な法律、たとえば刑法とかあるいはこれに関連するいろいろの取締り法規、なお現在は裁判の遅延ということが至るところで問題になっておるわけです。その裁判の促進、適正化ということをはかりますのも、たとえば裁判所法の改正であるとか、刑事訴訟法の根本的な改正であるとか、こういったような問題がありまして、私は、法務省においてはそれこそ大へんなお仕事を背負い込んでおられる、そんなふうに考えられてならないのであります。ところが、こういうふうな重大法律を立案されるに当っては、やはり何と申しましても、今の建前では、そしてそれはまことにけっこうなことなのですが、法制審議会の一応の議を経られるということになるわけです。ところが、ここでえらい長い時間を費しますと、世の中も刻々変転をしておる、こういうわけでありまして、もう時世についていけないようなことになると思うのです。もちろん、時世に即応する法律を作るからといって、そう根本法を朝令暮改的にしょっちゅう改廃しておるというようなことは、私ども賛成はいたしませんけれども、もう世論はここだという結論が出ておるにもかかわらず、なお長い時を費さなければそれについての立法措置が講ぜられないということでは、とてもその法律のほんとうの使命を果すこともできないし、世論を尊重したゆえんでもないと思うのです。そこで、法制審議会の構成をどういうふうにするか、その運営をどのようにするかということ等を十分御研究下さいまして、——これはかつて当委員会においてもいろいろ問題になりまして、法務当局においてはいろいろ研究して善処するというお話もございましたけれども、一向その後変ったようなことも見受けられないわけでありますから、新しく法務大臣の重責につかれた唐澤法務大臣はこの点を一つ何とかして改めていただきたい、こう思うのであります。やはりここがどうも法務省の立法に関する仕事をなさる根本問題のように考えます。所見がございましたら承わっておきたいと思いますし、私特に要望申し上げる次第であります。  それから、第三には、これは昨日来神近委員及び吉田委員から質問のありました売春防止に関する問題であります。政府当局においても、またわが党においても、売春防止法についてはやはり完全実施しようという意思のあることは、これは争いないところなのであります。ところが、昨日来当委員会における一つの空気としては、何か自由民主党に風紀対策の特別委員会があって、あの委員会の模様等を見ると、いわゆる完全実施をする意図がわが党にないのじゃないかといったように誤解していらっしゃるような印象を受けたのでありますが、そういうことはないわけでありますし、特に、先ほど神近委員から言われたこの風紀対策の特別委員会の発表された御意見、これは私どもまだ十分存じておりませんですけれども、神近委員から発表されたあの趣旨から見ましても、やはり完全実施をしようという熱意の現われというふうに見なければならないわけであります。そこで、問題は、百数十億円の融資云々という問題であります。もちろん、業者に対して国家が補償をするというようなことは当委員会においても考てえいないと思います。ただ、正しい転業をする場合に、その転業資金等、そうしてそれはおそらく中小企業に転業される場合が多いと思うのですが、中小企業者としてのりっぱな仕事を育成していくという意味においてその融資をしよう、こういうことは私はけっこうなことだと思うのです。今中小企業家は金融に困っておることは、これはもう申し上げるまでもないところでありますが、政府は今それに対して十分の措置を講じようとしておられる。その方へ持って参りまして、なお新しく転業してくるいわゆる売春関係の業者に対して融資をするということは、中小企業全体に対する融資のワクを大きく広げるわけでありますから、これはまことにけっこうだと思います。売春防止法は日本からとにかく売春というものをなくしようというきわめて高い理想のもとに制定され、それが運用されようとしておるわけであります。決して、かつてその業に従事しておった人に対しての、一つの処罰的なと申しますか、あるいは報復的な手段としてできたものじゃないわけですから、いろいろの手を尽して、売春がなくなるようにしなければならない。その中の第一は、今の場合赤線区域等からの業者の転業ということが非常に大きな問題だと思うのであります。政府としてもそれを推進しなければなりません。もちろんその他現在いわゆる売春婦といわれる方々の婦女子の保護という点について十全の措置を講じなければなりませんから、ともかくやはり並行的にいかなければならないわけです。そういうことに考えを及ぼしますならば、私は融資の問題等も真剣に考える必要があると思う。なおまた、特に政府として、こういうふうな空気、特に若干世間で誤解しておるような人もないとも限りませんですから、そして誤解した人に煮え湯を飲ませるようなことはあってはなりませんですからくちょうど昨日も法務大臣おっしゃいましたような、いわゆる正式な関係閣僚懇談会ではないけれども、厚生大臣であるとか、あるいは通産大臣であるとか、あるいはまた内閣の総務長官とか、いろいろ御懇談をなさる場合には、そういう面についても一つ積極的な御意見を述べていただいて、そうして転業を堂々と政府も奨励しているんだ、その点についても十分指導をするんだというだけの態度をおとり願えれば幸いであると思うのであります。  以上申し上げまして、お考えがございましたらお伺いいたしまするし、まあ主として要望ということになります。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 承わっておけばそれでよろしいようにも存じられますが、一、二簡単に申し上げておきます。  お話は三つ、四つに分れるかと思いますが、まず第一の、特殊の公務員に対する禁酒的の立法のことでございまして、私まだそういう方の研究が積んでおりませんけれども、何かごもっともの意見のように存ぜられます。これにつきましては事務当局でも従来から必ずやだんだんと研究しておられると思いますから、よく事務当局について学びまして、私も考えをきめたいと思います。  法制審議会のことについても、よくわかりませんが、このことにつきましても、よく事務当局と相談いたしまして、今のような方向に進み得るならば進んでいきたいと考えております。  最後の売春防止の問題でございますが、今、党内の情勢に明るい高橋さんから、党内の動き、考え方、その他百数十億の予算の要求等につきましてだんだんと真相のお話がございまして、まことにありがとうございます。私もおそらくそういうことだろうと思っております。なお、世の中で多少行き先を疑って迷っておる者があるかもしれぬから、そういう者に迷いを起させないようにはっきりした態度で臨めというお考えも全く同感でございます。昨日この席上で経済閣僚懇談会ようのものでもやって相談をしたらどうかというお尋ねがございました。私はそれはその通りいたしますということをお約束申し上げました。きょうちょうど閣議がございましたから、大蔵大臣、厚生大臣、労働大臣——労働大臣はつい逸しまして申し上げませんでしたが、それから総務長官、この三人にはよく話をしまして、閣僚懇談会とか何とか大げさな名を打つか打たぬかは別といたしまして、いずれ近いうちに四人で集まってしっかりした相談をしたい、ことにこの予算は相当かかると思うから一つ大蔵大臣奮発して覚悟をきめてもらいたいということを厚生大臣と二人でお願いしたようなわけでございまして、近いうちに関係閣僚の相談会もいたしたいと思います。その際には今お話のような点も十分注意して参りたいと思っております。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会

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