P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
26回国会衆議院1957/08/08

法務委員会 第35号

発言数
120
登壇者
21
会派数
3
開催日
1957/08/08

会議録

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 これより法務委員会を開会いたします。  会議に入る前に、唐澤法務大臣、正力国務大臣、横川法務政務次官より発言の申し出がありますので、これを許します。なお、正力国務大臣は他の委員会の都合上少々時間がおくれるようでありますから、正力国務大臣の御発言は御出席の際にいたしまして、まず唐澤法務大臣の御発言を許します。唐澤法務大臣。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 唐津俊樹でございます。このたび法務大臣に任命せられました。ふつつかな者でございますから、いろいろと御指導にあずかることと思います。何とぞよろしくお願いを申し上げます。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 横川法務政務次官。

横川信夫自由民主党法務政務次官

○横川説明員 横川信一夫でございます。皆様方からいろいろお教えをいただきまして法務政務次官の職責を果して参りたいと考えます。何とぞよろしくお願いいたします。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 法務大臣、法務政務次官のごあいさつは終りました。正力国務大臣のごあいさつはあとにいたします。     —————————————

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 それでは、最高裁判所の機構改革問題、暴力問題及び売春問題につきまして先般委員派遣を行い調査を行いましたが、その結果をこの機会に各派遣委員より報告を聴取することといたします。なお、この調査に関する詳細な報告は報告書にいたしまして速記録に掲載いたしたいと存じます。  横井太郎君。

横井太郎自由民主党

○横井委員 それでは第二班の調査について御報告いたします。  この班は三田村委員長、小林、長井、横井、吉田、田中、神近の各委員に調査室から小木室長が加わって派遣されました。調査の個所は大阪高裁、同高検管内、名古屋高裁、同高検管内でありまして、六月五日午前及び午後にわたって大阪高裁会議室において、同六日午前は京都地検会議室において、同日午後は岐阜県笠松女囚刑務所において、七日は午前、午後名古屋高裁会議室においてそれぞれ調査を行いました。しかして、大阪高裁における現地側の出席者は石板高裁長官、万歳、大野高裁判事、稲田地裁所長、吉村地裁判事、今谷家裁所長、古川高裁事務局長、宮本高検検事長、米田高検次席検事、竹原地検検事正、飯田地検次席検事、在野法曹から柴田、大月、古野、藤原、毛利、阿部、川上、赤鹿、三島、千田の名弁護士、学界からは阪大の大阪谷教授、言論界からは朝日新聞社の鷹津論説委員、警察側からは大阪府警察本部関係者三名の出席がありました。名古屋高裁における会議には高木高裁長官、吉村上席判事、成田事務局長、深井地裁所長、浜田上席判事、羽田家裁所長、小久保上席判事、堀高検検事長、中條次席検事、熊沢地検検事正、子原次席検事、弁護士会から大畑、長尾、永井、野村、浦部、廣浜、高井、近藤の各弁護士、学界から名古屋大学の柏木教授、言論界から中部日本新聞社織田編集局次長が参加され、終日熱心に意見の交換、が行われました。  調査の内容は、当委員会の決定に従い、最高裁機構改革に関する現地各機関並びに学界、言論界の意見及び暴力事件の実態調査、売春防止法施行に伴う諸問題、その他法務行政一般に関する問題等であります。  以下簡潔に一括して調査の要点について御報告いたします。  第一、まず最高裁機構改革に関する意見であります。現状維持論もありましたが、改正するならばどのような案がよいかについては、本委員会の論議と同様いろいろな意見が出ました。その中からおもなる意見の要点を申し上げます。  一、現実問題として、裁判の促進、機構の合理化を意図するならば、裁判の技術家、すなわち訴訟裁判の事務に練達した専門家の裁判官をふやすこと、たとえば最高裁の判事を四十五人にふやし、五人の判事をもって構成する小法廷を九つ設ける、この小法廷の各部長九人をもって構成する大法廷を作り、小法廷では刑事、民事の各事件を専門に取り扱い、大法廷は憲法部として憲法上の審査事件及び重要な判例変更に関する事件を取り扱うこととするという意見であります。  二、憲法裁判は七人ないし九人の裁判官で構成し、この憲法裁判所はトップ・レベルの学識経験者をもって当てる、別に最高裁の中に国民審査を受けない専門家の判事で構成する上告部を設け審理の促進をはかる、これに対しては旧大審院のような性格になるからいけないというような意見もあるが、りっぱな審理、裁判ができるならば旧大審院のような性格であろうがあるいは現在の最高裁のような性格であろうがそんなことはこだわる必要はないと思うという趣旨の意見でありました。  三、現在の最高裁の審理、裁判がどのように行われているか、われわれ現地側の下級機関ではわからないが、専門家の立場から考えると、学問上の論議とか法文解釈上の論議などが必要以上に多過ぎるのではないか、判決の内容について見ても下級裁判所の判事もそれぞれ専門家だからもっと簡潔に法律解釈、法の適用について結論的な判決を示された方がよいではないかという意見がありました。この意見は裁判所側からだけでなく在野法曹の側からもかなり率直で辛らつな意見が述べられたのであります。  四、政府原案につきましては、原案賛成論も相当ありましたが、しかし、原案に賛成するけれども四審級にならないように工夫すること、制度と待遇の混同をしないこと、いわゆる中二階的な機構には反対だというような意見でありました。さらに、この政府案については在野法曹のある弁護士から、小法廷の異議申し立て、最高裁小法廷などの制度はいやな感じがする、商法に類似商号の禁止ということがあるが、この最高裁小法廷は商法にいう類似商号ではないか、実質的に最高裁でないものをあたかも最高裁であるがごとき錯覚を起させるいやな案である、これはいわば第二会社のようなもので半人半馬のケンタウルである、頭に最高裁という名称をかぶせても実質は下級裁判所だからすぐ足が出てくる、最高裁という最高の司法機関の改正をやるなら筋の通ったものにすべきだという意見が述べられたのであります。  五、いわゆるワン・フル・ベンチ論につきましては、これもまた賛成、反対の両論が出ましたが、学説や外国の制度にとらわれる必要はない、要は日本の司法裁判の最高機関としてどのように改正することがより合理的に国民の要望する審理、裁判の促進が可能かという点に重点を置くべきだという意見もありました。また、全員会議(増員した場合の)の可能不可能につきましても、不可能だという意見と可能だという意見と両方ありましたが、不可能だという意見は合議の性質上合議体が多数であればあるほど非能率的でどうしても審理が遅延するという意見と、可能だという意見の中には、合議のやり方を工夫改善すれば不可能ではない、合議体の数が多ければ多いほど民主的に社会的妥当性のある判決ができるという意見もありました。その他あらゆる角度から多くの意見が述べられ、大いに参考になりましたが、これらは省略いたします。  最後に、この二つの会議で、政府案に対する代案とでも申しますか、政府案といわゆる当委員会の修正案に対する妥協案とでも申しますか、要約すると二つの案が出ておりましたから、これを次に御紹介いたします。  それは経験の深い有力な数名の判事から述べられました意見の要約でありますが、その一つは、前にも申しましたごとく、最高裁の判事を四十五人に増員し、九つの部(小法廷)を作る、この九つの部の部長すなわち九人の裁判官で憲法部を構成する、全員必ずしも認証官とする必要はない、この場合各部で行う裁判は政府案の小法廷と同様とする、九人の憲法部で行う裁判は政府案の大法廷(最高裁判所)で取扱う事件と同様とする、ただし政府案のように小法廷を下級裁判所としないこと、政府案の小法廷はいわば商店の番頭、支配人のようなものだから、国民の側から言えば必ず主人を出せということになり、かえって事は繁雑になるおそれがあるから、このようなあいまいな機構は避けたがよいという意見でありました。  その二は、長官のほか十二名で構成する大法廷を置く、この大法廷で憲法問題の審判及び判例変更など重要法律問題を管掌する、別に最高裁の中に小法廷を置く、この小法廷に二十四人の専門の判事を置き六部を構成する、大法廷の判事は交互に交代して一人ずつこの小法廷に加わり裁判長となる、ただしその裁判長は判決を書かないこととする、いわば訴訟指揮官とする、小法廷の判事は認証官とすることを要しないという案であります。  以上をもって最高裁機構改革に関する分の報告を終ります。  第二、次には暴力事犯についての調査でありますが、この問題については現地機関の検察当局、警察当局いずれも非常に熱心に力を入れており、詳細資料の提出を受けましたから、本委員会の審査に活用されるものと考えるのであります。  まず大阪高検管内の状況について見ますと、昨年の八月一日以降同年木までを第一期としまして、暴力排除対策を推進し、暴力事犯一斉取締りを励行しました。その結果相当の成果をあげております。これを統計について見ますならば、昨年の八月から十二月までの検挙件数は九千九百十九件、人員にして一万二人でありまして、これを同年一月より七月の検挙数三千三百三十二件、人員にいたしまして三千十三人と比較しますと、実に三倍以上の検挙率を示しているのでございます。しかもこのうち大阪、兵庫が圧倒的に多く、大阪は三千七百五十三件、四千二百七十四人でありまして、兵庫は二千三百三十五件、二千四百二十七人であります。さらにこれを実体的に調べてみますると、いわゆる博徒は四十二団体であります。そしてその加盟者は五百四十三人、未加盟者が六百六人、合計千百四十九人であります。テキ屋は三十団体ございまして、加盟者が五日六十九人、未加盟者を加えますると六百人に達するのであります。青少年不良団の団体数は二十七団体ございます。加盟者は三百二十二人、未加盟者は二千三百八十五人、合計二千七百二人などがおもな内容となっておるのでございます。本年になってからの統計はまだ正確なものは出ておりませんけれども、昨年以上の検挙を示しておるように考えられるのでございます。  次に名古屋高検管内における状況を申し上げますると、三十年度の総検挙人員は四千九十六人でございまして、三十一年度は六千五百三人と増加いたしておるのでございます。ここでも博徒、テキ屋、青少年不良団の検挙率が非常に多くなっておって、注目すべき傾向にあるのでございます。  この暴力団、不良青少年などいわゆるグレン隊、暴力団に関しまして驚くべき事実をわれわれは知ったのでありますが、それは、京都の地検において事情調査を行なった際と、名古屋において主として警察当局から報告を受けたその内容に出てきた問題でありまして、それは婦女に対する暴行事件であります。すなわち、京都でも名古屋でもほとんど同じ内容の報告に接したのでありまするが、最近青少年不良団による輪姦事件が非常に多くなった事実であります。京都においても、一週に二、三件、名古屋においても週に二、三件ずつ事件は発生しておるのでございます。事件の内容は数名の不良団が婦女を捕えて輪姦する最も悪質なるものでございまして、現行刑法の建前が被害者の親告罪となっておる関係上、その悪質な事件は世間体をはばかる被害者の告訴不提出または告訴取り下げ等のためにやみからやみに葬られてしまうという状態であるのでございます。しかも、少年法との関係で、共犯者の中に成年と未成年が同時に加わっている場合の取扱いなどは全く厄介な問題であって、どうにも始末に困るという報告でごさいました。この点は検察側も認めており、また、個人法益を中心とした刑事法の関係などから、一般社会に警告的な措置ができないという点など、言論報道関係の人から意見が出ておったのでございます。これはまことに重大な問題だと思われ、当委員会におきましてもさらに十分の調査と対策を考える必要があることを痛感いたした次第であります。  暴力団事件の内容として、青少年犯罪、特に最近著しい傾向を示してきておりまするグレン隊、不良少年の問題は、暴力対策の重要な課題として重視すべき問題であろうと思われます。現地調査の結果に待つまでもなく、暴力事犯に対する対策は当委員会としても重要な問題であります。しこうしてこの問題は広範かつ深刻でありまして、当委員会だけで解決される性質のものではありませんが、今回の調査により立法対策上現地関係機構から示されたる意見の要点をここに特に申し上げておきたいと思います。  その一つは、いわゆる権利保釈(必要的保釈)の制限事由瀞拡大すること、たとえば暴力事犯の前歴のある者は保釈を許さないことができるような立法措置をすること、二、被害者である証人、参考人の検察側の取調べに特別の工夫をすること、並びに公判定における被告人(加害者)との体積取調べを避けるような工夫をすること、三、博徒結集罪、本質的に犯罪行為を内容とするような集団そのものを処罰の対象となし得る立法、四、いわゆる景品買いそのものを直接処罰し得る特別立法、五、業務妨害、暴力事犯に対する刑罰の加重規定などであります。  次に第三の売春問題について申し上げます。この問題は、実態調査が困難で、しかも動きが激しく、容易に正確な数字はつかめませんが、検察、警察両当局の調査したところによりますと、大阪高検管内におきましては、大阪府で赤線業者が九百二十九、従業婦三千九百名、青線業者二百三十五、従業婦六百六十名、散娼百七十三の五百名、合計五千六十名となっておるのであります。京都では赤線業者千四十一名、従業婦二千百五十九名、兵庫は三百九十四の千七百六十一名、ここでは赤線、散娼が多く、合計二千四百三十名でありまして、その他奈良、和歌山を加えますると、業者の総数は四千九百八十三、従業婦は一万四千百二十一名となっておるのでございます。次に名古屋管内においては、愛知県の赤線業者は七百二十九、従業婦三千二百七十一名、青線業者二百九十一、従業婦八百四十五、ここでは散娼が多く一千九百七十二名となっておるのであります。さらに三重、岐阜、福井、石川、富山の各県を加えて、業者の総数は五千六百九名、従業婦一万六千余名となっておるのであります。  次に検挙実況について申し上げますと、大阪高検管内は、昭和三十一年一月ないし三月の三カ月間に勅令第九号、職安法、児童福祉法、労基法、条例違反などで検挙したのは一千二百三十九件、本年同期における検挙数は一千八十五件となっております。名古屋高検管内においては、昭和三十年度検挙三千六十件、昭和三十一年度一千三百三十八件であります。  この売春問題については、売春防止法の一部が本年四月からすでに実施されてあり、来年四月からいよいよ刑事罰の適用を受けるごととなっておりますので、業者の転廃業の問題と、これに伴う今後の取締り並びに更生対策が重要な問題となっており、いずれの地方においてもそれぞれ施策ないしは研究が行われておりますが、大体においていずれの管内においても転廃業はいまだ遅々として進んでいない実情であります。これにはいろいろな原因、条件もあるようでありますが、要するに業者においてはこの商売をやめて先々どうしたらよいか見当がつかないといったような気持でありまして、従業婦について見ましても、一つの習性となっており、一面また食っていく道がない、どこにも働く場所がないといったような実情であります。また、法律はできたが政府の方針もはっきりしていないので、多くの業者はあるいは転業資金でも出してくれるようになるのではないか、あるいはまた刑事規定の実施が延期されることになるのではないかなどと希望的観測が行われておるありさまであります。一方政府の予算措置も十分でないところから保護更生施設もきわめて貧弱で、各関係者ともどうしたらよいか皆目わからないというのが実情のように感ぜられたのであります。  この問題は今や深刻な社会問題であると同時に、いずれにしましても解決の方途を見出さなければならない大きな政治問題ともなりつつあることを痛感したわけであります。ゆえに、当委員会においては、本法の審議に当たっ関係もあり、一そう精密に実情を調査して、あるいは政府に警告し、あるいは委員会独自の責任と立場において可及的すみやかに世論と国民の納得し得る方策を打ち出す必要があると考えられるのであります。この問題に関連して、六月六日岐阜県笠松の女囚刑務所を視察いたしましたが、この刑務所は婦人受刑者と民間産業機関と共同作業を行なっており、全く新しい試みのものでありますが、実施後すでに七年の経験を持っており、売春防止法の刑事規定施行後における保安処分のあり方などに関連して大いに参考になるべきものがあると看取いたして参りました。  いずれ、この問題につきましては、神近委員も特に婦人の立場から熱心に調査して来られましたから、当委員会における審議に当り同委員からも詳細に御報告ないしは御意見があることと期待するのでありまして、詳細の御報告は省略をいたします。  以上をもちまして調査の報告を終りたいと思います。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 高橋禎一君。

高橋禎一自由民主党

○高橋(禎)委員 私は中国、九州関係の国政調査の結果の報告をいたしたいと思います。  私どもの班に所属した委員は古屋貞雄君、坂本泰良君、それに私を加えて三人の委員のほかに、桜井調査員、それに法務省から一名、最高裁判所から一名の事務関係者がこれに加わって同行され、調査に協力をしました。六月十八日から六月二十日まで三日間にわたって広島、福岡、大分、別府を視察したのであります。各地において裁判所関係、検察庁の関係、それに在野法曹その他警察、地方公共団体の関係有、また場所によっては特にその問題に関係のある民間人も加わられまして、期間は短かかったのでありますか、最高裁判所の機構改革の問題、売春防止法施行に関する問題、暴力事犯収締りに関する問題、それに私どもは符に庁舎その他物的設備の改善に関する問題を調査いたしましたので、非常に広範にわたっております。ですから、これを詳細に報告するということになりますと相当時間も要しますので、先ほど委員長から申されました趣旨に従って、詳細は書面で提出いたしますから、速記録に掲載していただきたいと思います。調査の結果のほんの概要を御報告するにこの際はとどめたいと思うのであります。  まず庁舎その他物的設備に関する問題でありますが、これは、調査いたしました各地に所在する司法関係の機関、法務関係の機関等にはきわめて不完全な、ただちに新築をし、あるいは改修をしなければならない、その他物的な補修をしなければならないものが多々あります。これを促進するということについては、もう関係者一同異論はなかったわけであります。将来その筋を通して国会にも予算編成問題等に関連して申し出るということでございまして、従って、各党において予算問題を決定するに当っても、また国会において予算案の審議をするに当っても十分それらの点を考えてもらわなければならないという意見が非常に強かったということをここで特に御報告を申し上げておきたいのであります。  次に、最高裁の機構改革の問題につきましては、これは、広島においても、あるいは福岡におきましても、また大分におきましても各関係者の方々がいろいろ意見を述べられまして、しかし現行制度ではよろしくない、——いわゆる裁判の正確と促進をはかる意味から今の制度そのままがいいという意見はございません。これを何とか改革しなければ成らないという意見であります。ただし、意見といたしましては、裁判所側においても、検察庁側においても、いわゆる政府のこの前の国会に提出いたしましたあの改革案でよろしいという、政府原案に賛成するという意見もあり、またこれに反して政府原案には反対であるという意見がありました。在野法曹側としては、これは当委員会において日本弁護士連合会の意見というものが明確になっておりますが、やはりあの線に沿うて改革すべきであるという意見が強かったわけであります。ですから、裁判所、検察庁側では、その両者とも政府原案に賛成論もあり反対論もあり、在野法曹は、政府原案には反対であって、先ほど申し上げた弁護士連合会の意見が正しいという意見であったわけであります。これは意見を大別して申し上げたわけでありますが、しかし、その中でこまかく区別いたしますといろいろな問題が起りましたけれども、大体それらの考え方というものは、かつて当委員会においていろいろの方が論議されたところとまあほとんど大同小異ということになるわけでありまして、これは一つ後日報告書に基いて会議録に載せられて、それをごらん願いたいと思うのであります。  次に、売春防止法施行に伴う実態調査をいたしましたが、これは、視察いたしました場所のうち、特に私どもは別府が問題であると思いまして、やはりこの問題解決のためには別府のこれに関する実情を特に明らかにしたいと思うので、大分県の実情に重点を置いたわけであります。それについて御報告いたしますと、別府は御存じのように観光都市でありまして、この別府を中心に、大分県においては今年の二月現在で、いわゆる赤線業者といわれる者が三百五十四軒、その従業婦が千三百六十六名と見られております。このほかに、簡易宿泊所、間貸し、飲食店、バー等の接客業中、売春に従事する者と推定される者が、売春関係業者で三百八十二、推定売春従業婦が千百五十二名であります。また、これら売春等の周旋をなす者としてポン引き、輪タク屋、露店商等約九十名の存在が推定されるのであります。これは大分県全体についてでございますが、その県下の業者のうちで別府市にあるものを見ますと、貸席業者が百十九、その従業婦が五百二十、売春関係業者が百六十、推定売春従業婦が千二十五名でありまして、全県下の売春業者の四三%、それから従業者の六一%を占めておる状態であります。営業の規模におきましても、別府市は県下他の場所とは比較にならないほど、すなわち断然他を圧しておるというありさまであります。  業者及び従業婦の転廃業等の動向について見ますると、売春防止法施行後における貸席業者、すなわち赤線業者及び従業婦の転廃業はすこぶる消極的でありまして、格別進展を見たとは思えないのであります。昭和三十一年五月以降本年五月までの間に計三十三軒が転業いたしたにすぎません。これら転廃業の動機を見ますと、営業不振を理由としておるというものであります。そして、これら転廃業先の業態を調べてみますと、それが簡易宿泊所になったり、あるいは貸間業、料理飲食店、物品販売業、貸家業その他であり、中に若干不明のものもあるという状態であります。これら赤線の区域の従業婦は、前借金の状況により他に住みかえまたは廃業をした様子でありますが、詳細は不明であります。赤線以外の推定同業者の増減状況については実態を把握しがたい実情であります。  今申し上げましたごとく、一般に転廃業に対する態度は業者の利欲心等から消極的に見られるということであります。ことに、別府市における業者は、観光地としての特殊性を強調し、何らかの形で過去の実績を温存し得る妥当性を見出さんがために非常な努力をしておるように見受けられたのであります。売春婦の転廃業の状況も、現在までのところ、業者と同様、表面に立って顕著な動向はございませんが、これは今後の婦人相談事務の進捗徹底とともに漸次改まることが必ずしも不可能ではないというふうに推測されるのであります。  売春関係事犯の取締り並びにその処理の状況を申し上げますと、大分県警察本部における過去三カ年間の取締り状況によりますと、売春事犯による検挙件数は、昭和二十九年が百六十五件、三十年が二百四十六件、三十一年が三百二十七件となっており、特に昨年度は売春防止法の制定に伴い、取締り強化の結果前年度に比較して二四・一三%の上昇を示しております。地域別では別府署管内がトップを占めて、三百二十七件のうちで二百五十八件、七八・八%ということになっております。なお、別府市では昭和三十年十月風紀取締り条例を制定して運用しておりますが、昨年度に二百十六件の条例違反の検挙をしております。その内訳は、客引きが百七十五件、勧誘周旋行為が二十三件、場所の提供が十八件となっており、警察当局としては、明年四月以降施行される売春防止法の罰則規定による取締りによってこの四月を境にして断層ができることを避けるために、警察行政として行き過ぎのないように留意しつつ予防的措置を講じたいと考えておるようであります。  大分地方検察庁の報告によりますと、売春関係事犯の受理並びに処理状況は、昭和二十九年の受理が二百件、そのうち公判請求が八十七件、略式請求が十八件、昭和三十年の受理が二百十三件、うち公判請求が九十四件、略式請求が六件、昭和三十一年の受理は二百八十一件、うち公判請求が七十二件、略式請求が七十二件、罪名は、昭和三十一年度において、職業安定法違反が一百六十六件、児童福祉法違反が三十九件、勅令九号違反が三十九件、条例違反が二十九件、営利誘拐が八件。以上の数字でわかりますように、昨年度受理件数は二十九年度、三十年度に比較しまして三割ないし四割の増加であって、趨勢は今年に入りましても同様に続いておるというありさまであります。  売春防止法罰則規定施行に伴う準備態勢といたしまして、第一に、婦人相談所及び婦人相談員でありますが、現存県下では、売春防止法施行の本年四月一日、同法に基き、別府市朝見区の県立別府病院のあとに大分県婦人相談所を設置して、所長、これは元警察署長でありますが、以下六名の職員、うち男子が三名、女子が三名をもって、それぞれ担当地区において相談を受け、面接指導に当っておりますが、県婦人相談所は、現在までに関係官庁の通知、本人の申し出等により二十三件取り扱い、うち二十件はいずれも処理済みの模様であります。なお、収容施設として、一時保護のために、婦人相談所の建物内に食堂三筆、八畳間八室が準備せられ、常時収容三十五名の設備がありますが、まだ本県には法第十八条婦人保護施設の対象者収容の保護施設は現在設置されておらないのであります。一時保護施設には現在一名収容中であります。  最後に、この売春防止対策本部の設置であります。売春婦の保護更生については、検察、警察等取締り機関及び児童相談所等、その他行政機関が対象者を発見した場合は、県婦人相談所に通報する等により連絡を保ち、従業婦の更生指導に対し協力関係を緊密にし強化するため、本年四月以降県社会課が中心となってこれら関係機関の協議連絡機関として大分県売春防止対策本部を設置することにして、現在設置要綱も策定しておるので、近く発足の運びになると思われるのであります。  これが売春関係の報告でございますが、最後に暴力事犯取締りに関する調査であります。  これもかつて当委員会においていろいろ調査なり論議の行われました別府市における暴力事件に中心を置いて調査いたしました。この事件は、これは委員会においても大体明らかになっておるところでありますが、事件の概要を申し上げますと、昭和三十二年三月二十日から二カ月間の予定で別府市において別府市主催のもとに別府温泉観光産業大博覧会が開催され、その施設の利権等をめぐって市内のテキ屋の間に紛争が起り、これを起因として殺傷事件が相ついで発生したのであります。事件を大別しますと大体四つに分かれるのでありますが、その第一は、三月二十七日、井田組の子分田中昭郎が石井組の親分石井一郎に拳銃二発を発射してこれに重傷を負わせた事件、第二は、三月三十一日、井田組の子分富永昭二が、刃渡り約一尺の脇差しをもって別府市会議員堀泰次郎密刺殺した事件、第三の事件は、四月八日、井田組の親分井田与次郎が井田栄作方にいること密探知した石井組の子分秋山潔ほか八名が、井田宋作方になぐり込みをかけ、拳銃、猟銃等を発射した事件、第四は、四月十日、井田組に応援のため集まった十二、三名の者が、西日本新聞別府支局に殺到乱入し、支局長藤井青三に暴行を加えた事件、これを要するに、いわゆる別府暴力事件は、井田組、石井組の対立が今申し上げました事件を通じて表面化し、ことに第四の事件で新聞関係者を刺激したことによって非常に社会の注目を浴びることになり、いろいろと報道されるに至ったのであります。  この事件につきまして警察当局の措置並びに処分状況を見ますと、市内に不穏な気配を看取し、警察当局では、これが鎮圧処理方法について検討した結果、ついに刑法第百七条不解散罪の適用を決意いたしましたが、同法はその適用について種々の研究しなければならない問題がありますので、警察当局としては非常に慎重を期して、過誤のないようにということに努力をされた状況であります。四月十日午後、所轄別府警察署長は両派に対して口頭をもって第一回の解散通告を行い、さらに四月十一日文書による解散命令を発し、さらに同日夕刻文書で第三回の命令を通告し、もし聞かなければ検挙に着手するという態度を示したところ、石井、井田両派から、今示談が成立しかかっておる、すぐ解散するから少し猶予してほしいと申し入れをして参り、間もなく示談が成立、翌十二日手打ち式が行われ解散したということになるが、事実は、警察が解散命令を発し、断固たる態度を示したので、彼らは解散する気がまえになり、たまたまあっせんが行われたので、その機会をとらえて解散したというのが真相のようであります。示談によって紛争が解決されて解散されたとはいうものの、やはり警察当局の措置よろしきを得たためにその解散が早く行われたというふうに解釈するのが妥当であると思われるのであります。かくて、四月十三日には、各地よりの応援者も次第に引き揚げ、別府市民は全く平静に返った次第であります。  本件に関連して逮捕した被疑者は三十三名であって、殺人一名、殺人未遂九名、うち二名は井田組、七名は石井組、他は暴行、傷害等であり、全部検察庁に送致してあります。また、押収した凶器のうちおもなるものは、拳銃が十一、弾丸四十発、猟銃三、その弾丸が六十発、刀剣類三十、うち大刀九という状態であります。  これに対するまた検察庁の処置の状況を見ますと、大分地方検察庁におきましては、三月二十七日、田中昭郎の石井一郎に対する殺人未遂事件発生とともに、事件を重視いたしまして、次席検事その他の検事、事務官等を現地に派遣し捜査に当らせたのでありますが、本事犯の特質にかんがみて、これら直接行為者に対する捜査のほか、その背後にあると思量せられる者、その他共犯者に対する捜査や拳銃等凶器の捜査に力を注ぎ、この機会に暴力事犯の一掃絶滅を期すべく努力され、検察官も増員し、他管内の検事の応援を受けて捜査の徹底を期したのでありました。六月十一日までに両派の首領を起訴するまでにこぎつけることができ、その他被疑者に対してもそれぞれ適切なる処分が講じられたのであります。  暴力事犯の取締り法令についての意見を聴取いたしましたところ、本事件の取締りを通じて警察当局より、現行法適用上何が不便であったか、特別の暴力取締法の制定を必要とすることを考えたかどうかということについては、警察当局の意見としては、刑法第百七条がこのような場合に適用があるかどうか、同条にいう当該公務員の中に当然警察官が入るかどうか、また、三回以上解散の命令をするとあるが、その周知徹底方法について種々疑問があったので、同条の発動について非常に当局は慎重にやったが、もっと法律をこれらの疑問を除いて簡明なものにしたらとの意見もございました。それから、銃砲刀剣類等所持取締令の適用についても同様種々疑点があり、登録美術品所持の理由で責任をのがれるというような傾向も多々あるということでありました。次に、新しい暴力取締り立法が特に必要であるかどうかということにつきましては、今回の事件で各地から加勢と称して集まってくるものを乗船地、停車場その他の場所で押える上に現在適当な取締り規定がないので、この点は事犯を未然に防ぐという上から見て非常に苦心をし、それが非常に困難であるということであります。また、市民の協力をもっと積極的に得られるような法規上の手当は、できるものならばそれが必要と思われる、たとえば、証人尋問にしましても、お礼参りであるとか後のたたりをおそれるのあまり、陳述が消極的になるなど、非常に検挙がむずかしい、これらは刑事訴訟法第百五十七条以下の改正によって法廷外の証人尋問が簡単にできるようにすべきではなかろうか、こういうふうな意見も述べられました。最後に、大分県には公安条例が制定されていないが、東京都その他の府県にある公安条例による無届け集会禁止の規定が適用できたら、本事件のごときものの取締りについても非常に便利であるというふうな意見も出たのであります。  以上簡単でございますが御報告申し上げます。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 山口好一君。

山口好一自由民主党

○山口(好)委員 主として最高裁判所機構改革の世論を聞くということにおきまして、われわれは東北地方を調査いたしました。この東北班の委員は林博君、それから菊地養之助君、不肖山口好一の三名でありました。なおそのほかに事務局の方から調査員の花村君、裁判所側から井本刑事局長、法務省から貞家検事、大体以上のメンバーで、六月の二十日から三日間にわたりまして、最初に福島地方並びに家庭裁判所、次に仙台の高等裁判所、最後に山形地方裁判所、この三カ所につきまして懇談会を開催いたしました。この三カ所の懇談会に参加いたしましたのは、裁判所側としましては十名、検察庁側としましては七名、弁護士会の方からは十一名、大学教授一名、計二十九名に和なっております。こまかく申しますと、福島地方裁判所におきましては、裁判所側が二名、検察庁側が二名、弁護士会から二名、仙台の高裁におきましては、裁判所側が六名、検察庁側五名、弁護士君名、教授一名、山形地裁におきましては、裁判所側が二名、検察庁側二名、弁護士会から六名こういうような出席者がありまして、非常に熱心な意見の開陳が行われました。なお、われわれからも、裁判官として特に発言をするとか、検事として特に発言をするとかいうことでなしに、多年の経験及び観察から得たところの個人的な意見を一つ率直に発表していただきたいというような注文をいたしまして、各個人々々で相当活発な意見が提出いたされました。一々について申し上げたいのでありますが、これは非常に長い時間になりますので、この報告書は速記録にそのまま載せていただくことにいたしまして、ごく簡単に、概括的に申し上げて御報告をいたしたいと思います。  大体裁判所側の意見といたしますと、原案に賛成ということに相なるようであります。幾分の名称とかあるいは実際の取扱いについて、こうしてほしいというような、いろいろな注文がありますが、結局のところは、裁判所側としては原案に賛成、こういうふうに見られました。但し、非常に強調いたされましたことは、この最高裁判所に停滞しました事件がたくさんある、それを解決するためには最高裁判所の機構だけを改革すればいいというふうに考えておることは間違いではないか、やはり第一審の強化と相待って、この第一審の強化ということを忘れて、ただ最高裁判所の機構改革だけをするというのは非常な片手落ちである、ぜひこれは両方にらみ合せてやっていただかなければならない、そうして、この第一審の強化方法などにつきましても、この報告書に詳細ありますが、いろいろ注文が出され、意見が開陳いたされたのであります。われわれもこのことは非常に貴重な意見だと聞きましたので、ここに特に御報告を申し上げます。  検察庁側の方々の御意見は、これまた非常に自由な立場から、ある意味では、最高裁判所小法廷といいながら何ら最高裁判所とは関係がない、その下級裁判所であるというような点は非常なごまかしである、国民を欺補する改正であるというような強い非難をする方もございましたが、結局現在の憲法下においてはこの原案をとるよりほかはあるまいというようなことで、まあ不満ながら原案に賛成有するというような、全体の空気から見ましてそういうふうに結論づけられると思うのであります。  その他、東北大学の斎藤教授から他と異なりましたいろいろ深い研究に基く意見の開陳もありました。この方は原案には反対でありました。やはりアメリカの制度とドイツの制度の中間をいくべきではないか、これまた報告書にやや詳しく載せておきましたが、結論を申しまするとそういうようなことに相なります。  かように、大体簡単に申しますれば、裁判所側、検察庁側の御意見は原案に賛成ということであります。大学教授の一人の方は原案に反対でありました。さらに弁護士側の御意見は原案にすべてが反対でありました。しかし、現在の憲法下においていろいろ研究した結果、これよりいくことができないというような結論であるならば、弁護士会としても、早く機構改革をやって、そうして停滞したる事件の解決を促進していただきたいというような一、二の御意見もありましたが、大体弁護士会の方では、日本弁護士連合会からかねて提出いたされておりますような増員賛成、大体三十名くらいの人数にしまして、すべてを認証官にしてもけっこうである、国民審査もすべて受けるように相なってもやむを得ないというような御意見が多数であったように拝聴いたしました。  以上、最高裁判所の機構改革の問題につきましては、簡単ではございますが結論的に申しますとさようなことに相なりますので、詳細はまた報告書によりましてごらんおきを願いたいと思います。  それから、暴力行為の取締りの問題でありますが、東北地方において特別な形のものはないだろうかというような質問をいたしましたところが、取締り当局におきましては、最近都会のいわゆるヨタ者とか博徒とかそういうものがだんだん地方に流れてくるような傾向にある、これを子分注意して取り締らなければならない、もはや都会にはおられないというようなことで地方に流れておる、そこで傷害事件とか恐喝事件——これは提出いたされました統計によりますると、二十九年、三十年、三十一年とやや一割くらいずつ増加をいたしておるように見られるのであります。あるいはそれ以上になっておるものもございます。数字を申し上げますと、被疑者の受理人員、起訴人員について見ますると、傷害事件におきましては、昭和二十九年度の受理人員が九千百五十九人、起訴になりました者が四千七百七十九人、昭和三十年度におきましては、受理人員は一万百人、起訴になりました者が五千六百二十六人、昭和三十一年度におきましては、受理人員は一万一千九百三十六人、起訴人員が六千八百八人というようなことで、これはいささかふえておる傾向であります。恐喝事件についてみますると、昭和二十九年度の受理人員は七百九十八人、起訴になりました者が二百二人、昭和三十年度において受理された人員は千百三十三人、うち起訴になりました者が二百九十六人、三十一年度に至りますと、受理人員は千三百五十人、起訴になりました者は四百十二人ということに相なっております。これらの点について十分注意を払っていきたいということであります。  なお、最近、ある特別な新興宗教と申しましょうか、宗教団体が、他宗教を排撃するというその盲信的と申しましょうか狂信的な信仰の余りに、教会などに押しかけていって、そしてその教会の人々に信仰をしい、あるいはこれにがえんぜざる場合は暴力に及ぶというような事件が発生し、これが各地に波及するような傾向にもあるのであるが、これは普通の犯罪者とは事変りまして、非常に自分で確信を持って、気違いじみた信仰を持ってそういう行動に出るのであって、取締り上も非常にこれはむずかしい、これをいかに取り締っていくべきかということを今十分検討中でございますというような報告がございました。  なお、東北地方は御承知のように非常に経済状況は貧困であります。そこで、特にこの裁判所などにおいて強く呪われておりまする傾向は、現在の相続制度の平等相続の問題にからんで、農地の分割ということが非常に要求せられる。平等の相続権があるというので裁判所の調停に持ち込んで、そして土地を分けてもらう、農機具も分けてもらうということを主張する案件が非常に多くなったそうであります。それがともすればいわゆる親族が血で血を洗う争いになりまして、裁判所においても大声をあげてけんかをする、取っ組み合いが始まる、家に帰ったあとではまた刃傷ざたに及び殺人行為にまで発展するというような事件が非常に多いので、これは東北地方の各裁判所ともどこでも同じことを申しておりましたが、このいわゆる農業資産の相続に関する特例法というようなものをできるだけ早く作っていただかなければこりした事件がますます増加するであろう、裁判所としても非常に間に入って困ることで、これは国会においてもぜひ早急に検討解決を願いたいというよりな要望が強くございましたことを御報告申し上げます。  その他、売春禁止法の施行後の状況につきまして、主として仙台において調べたのでありますが、東北地方はともすれば貧困の余りに東京などに若い娘が売られてくる、前借のために身をペイするというような、その根拠地になっておるように思われますが、その土地々々の事態については数の上では今までとあまり大きな動きはないといり統計が出ております。しかし、売春禁止法が施行されて、さらに罰則が適用せられるというようなことになりました場合には、いわゆるその関係業者としても非常に困難である、今から準備をして何とかその善後策を講じなければならないという空気が強く動いておるそうであります。なお、この婦人の保護問題について、婦人保護所並びにその所員の活動は相当活発に行われておりまして、ここに載せておきましたが、いろいろな要望がなされました。特に予算の点において増額を希望するという声が強くございました。なお、実際実施はされましたけれども、まだいろいろこまかい法律が出ておらない面もあり、法令などの点について早くこれをきめていただきたいというような要望もございました。  以上、われわれ三名その他が東北地方を回りまして、いずれも裁判所その他そういう暴力行為の取締りなどに相当熱心に従事しておりますることを見て帰ったわけであります。以上簡単でございますが、報告書に他は譲りまして、これをもって終ります。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 これにて各般の調査報告は終りました。  調査案件中最高裁判所の機構改革に関する問題はあすの委員会で別個に取り上げることにいたしまして、本日は主として暴力問題、売春問題についての審査を進めていきたいと思いますが、この際正力国務大臣の発言を許します。

正力松太郎自由民主党国家公安委員会委員長・科学技術庁長官

○正力国務大臣 一言ごあいさつをまず申し上げたいと思います。このたび、はからずも公安委員長の重責を引き受けることになりましたので、何とぞ皆さんの御協力を切にお願いいたします。  ただ、ここに一言申し上げますのは、私は以前警察事務に関係しておりましたが、それから三十数年経ておるのであります。幸い、その後新聞報道に関係いたしましたので、国民がどういう警察を希望しておるか、またはどういう警察でいかなくちゃならぬかということを幾らか自分でも存じておる点があるのであります。ところが、今般就任いたしましてから数日にわたって事務当局から詳しく警察事情を聞きもし、また設備等を見もいたしました。そうして、私は、自分が三十数年前に関係しておった警察より隔世の感があるほど進歩しておる、つまり合理的捜査、科学的捜査という点について非常に進歩している、のみならず警察官の装備並びに通信網等に至っては驚くべき進歩であると思っておるのであります。しかし、私の感想といたしましては、まだまだ装備、ことに通信網に対してはもっと大いなる改革をしなくちゃならぬと思っております。そうしなければとても文明国の警察として、国民の警察として治安を維持するわけにいかぬと思いますので、事務当局に話しますと、事務当局の方でも、その点は同感である、どうしてもこの際装備、通信網については改善をしたいと思っておるということでありまして、全く私の考えと一致しておるのであります。これから皆さんの御協力によって、どうしてもこの警察官の装備もさることながら通信網というものを完備しなければならぬ、通信網を完備してわれわれはただ刑事つまり窃盗や詐欺の犯罪人を検挙するだけでなく、国民の治安関係のためにはどうしてもこの装備の完成と通信網の改善を大いにはかりたいと思いますから、何分ともよろしくお願いいたします。  簡単でありますが……。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 ただいまの現地調査の報告に関連して、志賀委員より発言の要求がありますから、これを許します。志賀義雄君。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 あとに多勢委員の諸君から質問があるようでございますから、私は簡単にちょっと正力国務大臣と唐津法務大臣とに伺いたいのでありますが、先ほど横井委員から法務委員会の休会甲の活動について近畿班として行かれた報告がありまして、大阪も非常に検察庁及び警察官の方で努力して治安が確立されておるというお話でありましたが、法務委員の調査のすぐあとに大へんな不祥事件が起きております。これは大阪府南河内郡南大阪町の西畑清輝という十六才の少年が、富田林市の羽曳山というところの花火大会に行った帰りに、自転車に乗って帰る途中、大阪府警機動隊員十五名に突き当ったというので、非常な暴行を受けております。  次に、同じく十一日には、大阪府北河内郡水本村の松下清嗣十九才、西岡正利十九才、この二人の少年が大阪府北区曽根崎署池田派出所の巡査によって暴行を受けております。しかもこの暴行を受けた少年は部落の人であります。これに対して特に曽根崎署の場合には差別的言辞を弄して暴行を加えております。曽根崎所長はとうとうびっくりして、穏便に済ますためというので二千円の見舞金を即時に出しておいたが、後に公安委員会で問題になりまして、曽根崎署の池田派出所の巡査二名は懲戒処分を受けております。富田林の事件については、これを処分に付さないということになっているのでありまけ。先ほど横井委員の方は非常に治安が保たれているということでありますが、その治安を保つという警察官がこういう暴行をするようでは——先ほど正力国務大臣の所見として、詐欺やどろぼうなんかは問題ではないんだ、治安が問題で、通信を確保しなければいけない、——これは新聞、放送、テレビ関係をやっておられるから特に痛感されるのでしょうが、こういうことは公安委員長のお耳に、その通信網によって入っておりますか。こういうことが行われるようでは非常に困るのであります。こういう点についてどういうふうに処置されるのか、署長は見舞金を出しておいて、あとで公安委員会の方で懲戒処分をしなければならず、ことに問題は、世界の文明国で日本のような部落問題というような不合理なものはないのであります。事もあろうに治安云々をいわれる警官が差別的言辞を弄して暴行までもやるということでは大へんな問題であります。人権問題でもあります。この点は唐澤法務大臣も人権擁護局を督励して十分に事の真相を調べて、次回の法務委員会において発表していただきたいと思うのであります。これが一つ。  それから、例の日本火災海上のテーブル・ファイア事件に関連してでありますが、これは事件の内容には入りません。天野東京地検特捜部長が新聞関係の名前を発表しておりますが、検事の処世訓としては、御承知と思いますが、俗に人を見たらどろぼうと思え、新聞記者を見たら何でも隠せというのが検事の処世訓だということであります。その天野部長がどんどん新聞記者に向って言って、これを打ち切っているのです。ここに「国民の声」という雑誌がありますが、こういうことを言っております。これは検察庁にとって重大問題ですが、「新聞買収をはかったほどの日本火災だから」——弁護士の名前は伏せますが、「ある弁護士を通じて検事買収を計画することもあり得ないことではない。検事買収は、もちろん刑法の贈収わい罪である。こんなにわかり切った犯罪容疑のある機密費の使途に全然手をつけないでおくというのは地検の手落ちである。」ということが書いてあります。これは一体どういうことなんです。天野特捜部長が発表して、その後検察庁ではどういうことをやっているのか、法務省ではこれをどういうふうに取り扱っているのか、これも次回までにはっきりしていただきたいと思うのであります。  それから、もう一つ、これは法務大臣御就任のときに特に調べていただきたいのは、菅生事件に小林彰という警部補が爆破した交番の現場の写真をとったのに、電灯線を入れる碍子が三つあります。これは内部でしかけをして外部からほうり込んだものではないという一つの証拠だと弁護団が言っておりますが、そのあとで検事が現場を写した写真です。これは昭和二十七年六月二日午前九時四十五分から午後十二時二十三分まで大分地方検察庁の鎌田亘検事が現場の実況検分をした際の写真の中に、同じ爆破されたところのいすはあるのに碍子の三つが消えておるのです。この間にだれかが細工をしんのか、検察庁が細工をしたのか、警察がやったのか、これは重大な問題であります。しかも、こういうことを仕組んだ小林末喜という当時の大分県警察本部の警備部長が、今新潟県の警察本部の警備部長をやって、この聞の国鉄の争議の弾圧をやっておる当事者である、こういうことを仕組むような者が検挙をして、あれをいいの悪いのと言ったって、これは問題なんです。元来あの事件というものは政府が出すというのを出さないから、食えないで起った争議でしょう。人が食えないときに何でもやる証拠には、西村金融で警察官がどういうことをしたか。  今の三つの事件を一つこの次の法務委員会までに十分調べていただきたい。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 志賀君、発言の制限をするのではありませんが、審議の都合がありますから、いずれ他の機会に十分御発言を願います。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 もう済んだから、いいでしょう。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 それでは、志賀委員は答弁を求められますか。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 ちょっとおつき合いを願ったのは、今度就任されて初めてで、こういう事件がありますが、お覚悟はいかがですかということを一言伺ったわけです。

正力松太郎自由民主党国家公安委員会委員長・科学技術庁長官

○正力国務大臣 法務委員会には初めて出席しまして、先ほどの売春の問題といい、あるいは暴力の問題といい、また警察官の問題をきびしく志賀委員から言われましたが、一々ごもっともと思います。この点については十分一つ調査して次回に御答弁申し上げたいと思います。  なお、私はこういうふうに警察官にいつも言い含めております。警察官は強く正しく明るく行かなければいけないということを私はモットーと考えておりますから、この強く明るく正しくという線に沿うて行きさえすれば皆さん方の御希望にも沿い得ると信じております。私は暗い警察官はきらいです。明るい警察で行きたい、こう思っておりますから、どうぞよろしくお願いいたします。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 ただいま正力国務大臣からお答えのありました通り、私の方におきましても十分に調査をいたしまして、次回にお答えいたします。  ただ、まん中でお話のありました日本火災のいわゆるテーブル・ファイア事件でございますが、これにつきましては、ある新聞紙に報道があったようでございます。(志賀(義)委員「私の方の新聞です」と呼ぶ)それは、法務省で調べてみましたところでは、事実と違っておるという認定を私どもはいたしております。(志賀(義)委員「ほんとうのところもずいぶんあるでしょう」と呼ぶ)このことにつきまして、今まで調べたところによりますると、こちらから進んで大っぴらに発表したものではございません。何か新聞社関係の資料があるとやらいうような風評があったので、新聞の側から当該検事がいろいろとせがまれたそうでございまして、そういうような風評のために新聞社の側でお困りになっておるような向きもあるというふうに判断いたしましたので、その内容の一、二について向うへお話をした、そういうふうに私どもは認定をいたしております。  その他のお尋ねの件につきましては十分調査をいたします。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 古屋貞雄君。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 唐沢法務大臣並びに正力国務大臣から御就任のごあいさつがありましたので、私は最近問題になっておりまする日本の国内の治安の大元締めといたしましての御決意、御方針だけを承わっておきたいと思います。  そのことは集約いたしまして三つになるわけでございますが、一つは、ただいま正力国務大臣からお話のごさいましたような、人権を尊重しながら社会悪をなくするためのお仕事をしておりまする司法警察官並びに検察官、その方面の方たちが職務に関して汚職をいたしておる事実がひんぴんとして最近あるわけであります。新聞を拝見いたしますと、西村金融事件に例を引きますならば、税務署の関係の方、その他汚職を調べる立場に立っておりまする警視庁の方、こういう方たちが次々に汚職を行なっておる事実が明らかになっておるわけなんであります。しかも、驚くべき問題は、裁判所の内部の書記官がこれに関係があるというようなことを新聞が報道をいたしておるわけであります。こういう問題につきまして、国民は捜査機関に対する重大な疑惑を持つわけであります。この問題が一つ。もう一つは、しばしば私どもがこの法務委員会でやかましく言っておりまするけれども、被疑者並びに参考人の取調べがどういうふうな苛酷な面にまで進んだかは別といたしまして、参考人や被疑者がその事実の真相が明らかになる前に自殺をしておる事件が次々に起っておるようであります。そういうような取調べを行なった人に対する処置でございます。もう一つは、最近問題になっておりまするところの、公労法関係から出て参りました佐賀県の教職員問題あるいは国鉄の職員の問題、この方たちが労働組合法に基く正当行為としての行動、それが行き過ぎがあったかどうかは別でありまするが、そういうような問題、しかもそれは、政府が一方においては団体交渉権なり団結権、罷業権を憲法で保障しておりながらそれを奪っておりまする関係上、人事院あるいは仲裁裁定に基く処置を尊重をし実践をしておらない。いわゆる人事院の勧告が行われますし、あるいは仲裁裁定が行われますけれども、大蔵省が一片の予算がないということだけでこれをけってしまっておる。従って、これらの諸君が生活に追い込まれ、与えられた責任を果すわけにいかない、生活不安に追い込まれておるということで、そういう意味からいろいろな行動が行われておる。その行き過ぎの事件に関する捜査、こういう問題。この三つを考えますときに、私どもは同じような考え方をされては国民の中から不平不満が非常に強くなって参ります。このことは、生活ができないように追い込んでおいてしかもその労働組合の諸君が集団であるというような見方をして、それに対して行き過ぎの捜査をする、あるいは行き過ぎでないかもしれません。たとえば、具体的に申し上げますが、佐賀県の教職員の幹部に対する検挙の問題、国鉄の新潟地本その他におけるところの検挙の問題、この問題は相当な慎重さをもってやっていただかなければ重大な結果が起ることは、これは御承知の通りである。こういう二つの大きな問題のその総元締をなさりまするお二人が、先入観と申しましょうか、その考え方が法の精神に基かないような考え方、あるいは基本的人権尊重の憲法の精神をはき違えておるような考え方をもって臨みまする場合においては、国内に重大な混乱が起るという結果を引き起すと確信をするのであります。従いまして、この佐賀県の問題あるいは新潟地本におけるところの問題、こういう問題に対する臨み方と、捜査の立場に立って職権をもって捜査をしておりまする人々が汚職をやったような場合、しかも捜査官は人権の尊重をしなければならぬ義務がありながら結果において自殺者を出す、こういうような三つの場合を想定いたしまして、これに対する根本的なお考えの方針を聞かしてもらいたい。具体的な問題については、明日から明後日におきましていずれ御質問申し上げたいと思いますが、お二人のこうした根本的な問題に対する施政方針の基本的考え方とでも申しましょうか、それをお聞かせ願いたいと思うのです。

正力松太郎自由民主党国家公安委員会委員長・科学技術庁長官

○正力国務大臣 警察官の汚職その他不正事件につきまして種々新聞紙上に現われておりますことは、まことに遺憾に存じます。これは全く相済まないことと思います。しかし、私どもの方針といたしましては、これも全く警察官の教養が足らぬことから起きた問題でありまして、教養の点について非常に今注意しておりまして、これは先ほど申し上げました通りであります。われわれ、三十年前から比べますると、今の警察庁においては警察官の教養ということについて非常に力を入れております。そうして、その趣意に反しておるのは厳重に処罰をする、そういう方針をとっております。なおまた、取調べの結果自殺者まで出たということははなはだ遺憾に思いますが、今警察庁といたしましては、先ほど申し上げました通りに、合理的捜査、科学的捜査をやっております。従って、昔のような見込み捜査とかはやっておりませんから、そういうようなことは前よりずっと減っておる、改善しておると思いますが、何としてもそういう事実が現われた以上、どこかに欠点があったと思いますから、その点はなお注意いたします。  また、佐賀県あるいは新潟県のことについていろいろ御質問がありましたが、これは私は就任日が浅くてまだ詳しいことは聞いておりませんが、いずれにしても、今日の警察官は、合理的、科学的捜査をやって人権の尊重をすべきことは十分心得ております。そうしてその教養に非常に力を入れておりますから、この点は一つ御安心を願いたいと思います。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 ただいま正力国務大臣から、お尋ねの三つの案件についてのお答えがございまして、大体私も同様に考えておりますから、御了承を願いたいと思います。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 私はそういう抽象的な御答弁をいただきたいとは思っていないのです。一体この三つは根本的に事案が違っておると思うのです。従いまして、御決意を聞きたいのです。一体この三つは同じように捜査すべきかどうか、どちらに重点を置くべきかどうか。それから、ことに労働組合法の盲点と申しましょうか、公労法に関する問題が重大な問題になってくるのですが、この点のはき違えをいたしますと、正当行為であるか、あるいはそれが不正行為であるか、社会悪か正義かという問題に重要な影響を及ぼしますので、お二人のこの労働組合に関するお考えの御決意を聞きたいのです。一体これは行き過ぎの問題ですか。もしかりにそれがあったといたしましても、初めから犯罪を犯すという意思のもとにやられたものでないことは明らかなんです。一方では生活を苦しめており、一方に法の盲点がある。政府は予算がないといって逃げてしまうのだけれども、一般給与関係においてはストップされてしまう。責任を完全に果すにはやはり生活の安定が前提になる。だから、責任を果したいから少くともきめられた仲裁裁定なり人事院勧告の金だけはほしい。ほしいために与えられた範囲において行動を開始した。しかしそれがいわゆる行き過ぎになって、犯罪を犯したと認定されたと思うのでありますが、そういう犯罪の本質と、それから、人を調べる立場にある人のやった犯罪の性質との区別をはっきりさせていただきたい。はっきりと皆さんは御決意を持ってやっておられると思うが、その捜査の方針がきまらなければいかぬので、その方針を承わりたい。

正力松太郎自由民主党国家公安委員会委員長・科学技術庁長官

○正力国務大臣 先ほど申し上げました通りに、決してわれわれは見込み的に先入主的にこれはいかぬときめて捜査をいたしません。よく調査をいたしまして、そうして法に触れた者は処断をするというだけであります。決して予断的にやりません。  それから、先ほどの、ことに国鉄問題、長崎県の問題については、私はまだ詳しく知りませんので、この点はよく調査して申し上げますが、いずれにしても、われわれは、人権を尊重し——これは抽象的とはいえ、その主意であります人権を尊重し、法に触れた者は処断する、そうしてそれは予断でやらない、必ず確固たる証拠をもって臨む、こういうのでありますから、私どもの答弁としてはこれ以上に申し上げることはできぬと思います。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 ただいま正力国務大臣からお答えのあったことで尽きているかと思いますが、私からも補足的に申し上げまするならば、たとえば、佐賀県の教職員の問題、また新潟地本の国鉄の問題、これらはそれぞれの立場において自分としては主張すべきことを主張しているというようなお考えであるかもしれません。ただ、いかに正しい主張がそこにあったといたしましても、これを主張する過程におきましてその手段が法を踏みはずすようなことになりますと、私ども法を守っておりまする立場からいたしますれば、しかるべき法の手続によって処断をしなければならないということになるのでございます。さような関係が非常にむずかしいのでございまして、その主張、動機において正しい点あるいは同情すべき点があるというような一面がありといたしまして、一方においては現に法が破られているという際に、いかなる処置をとるかということは、これはいわゆる良識によって判断しなければならぬのでございますけれども、ともかく、その手段において違法がありますれば、法を守る側としてはこれを一応取り締る、こういうことに行かなければならぬと考えております。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 法に違反した場合に取り締るということは異議がありません。これは当然であります。これは国民としては厳正にやってもらいたい。ただ、問題は、そういうような事案と、人を取り調べて処罰しなければならぬ立場にある人たちが汚職脅したという場合とは罪質が違うと思うのです。岸内閣は汚職の追放を国民に公約されておるが、両大臣の部下が汚職をした。しかも二重にも三重にも驚くべきほどです。最近の新聞を拝見いたしますと、どこが法治国かと考えられる。税務官吏がやり、それを取り調べた人間がまたやり、またそれを競売するとか何とかということで裁判所の書記官がやったということになりますと、国民はどこを信頼していいかということになりますから、その決意を聞きたいのです。いたずらに私が無理にお尋ねしておるわけではないのです。一方で行き過ぎの事件あるいは考え違いでやった事件と、はっきり国民がそれを根本的に徹底的に取り締らなければならぬという事案と区別されて、そして重点をいずれに置くか、その御決意を承わりたいというのが私の質問の要旨であります。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 その点につきましては、先ほどやはり正力国務大臣からお答えのありました通り、取締りの任に当る側の人間がいやしくも汚職の疑いを受けて拘引されるということは、まことに遺憾千万であるのみならず、痛心にたえないことでございまして、その側におりまする私どもといたしましては、世間に対してまことに恥かしいことと考えております。こういうような問題につきましては、十分部内を戒め、でき得るだけの処置をとりたいと考えておりまして、これを自分と同じ側の人間だから弁護して参ろうというような心持ちは絶対にございません。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 要望を申し上げたいのですが、どうか、岸内閣の標傍されておりまする汚職追放のためにも、いわゆる人を縛る立場における人、人を捜査する立場における人、人から強制的に金を取り上げる立場における人たちの職権乱用なり汚職というものは徹底的に重点を置いてお取り調べ願いたいということを要望しておきます。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 ただいま古屋君の御質問に対しまして、どうも十分なお答えができておらぬと思いますので、私から関連しましてなお所信を明らかにしておいてもらいたいと思います。  問題の要点の一つは、最近の風潮ともいうべき官吏の汚職問題、とりわけそれが捜査当局、司法行政官におきまして行われるということになれば、根本は司法権の独立が危うくなります。これは申し上げるまでもありません。そこで、法務大臣にしても、あるいは国警担当の大臣にいたしましても、司法権の独立を前提にしてあなた方らの職責、職務は全うし得るのであります。ところが、現実にこのような司法権の独立を疑い得るような実に不祥な事件が起っておるのであります。起っておる事実をつかまえて今質問しておるのであります。でありますので、あなた方らは、訓戒をするとか注意をするとかこういう決意でありますとか、そういったようなことでは答弁にならぬのであります。それ自体を徹底的に究明いたしまして、国民に納得させて、そうして司法権はほんとうに独立しておるのかおらぬのかということを明らかにしてもらわなければならぬのであります。これに対する決意を古屋委員は求めたものと私は思うのであります。よって、この点につきまして両大臣から所信を明確にしておいてもらいたい。

正力松太郎自由民主党国家公安委員会委員長・科学技術庁長官

○正力国務大臣 ただいまの御質問に対しては、すでに唐沢法務大臣から説明した通りであります。私、なお申し上げておきますが、あの不祥な事件が起ったことについてはまことに痛恨にたえません。従って、われわれとしては厳重な処置をとります。必ず厳重な処置をとります。また今までもとりつつあるつもりでありますが、なお、御注意もありましたから、十分にやりたいと思っております。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 ただいま正力国務大臣からお答えのあった通りでございまして、犯罪の容疑のある者はすでに収容されております。いずれ裁判によって罪が確定することだろうと思います。それ以外の者につきましても厳重に処置いたしたい、かように考えております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 これは、当該被疑者あるいは汚職の容疑者に対する処置のみならず、やはり事件の事実自体を明らかにするということと、よって来たる原因を究明するということと、今後に対する各般の防止の対策ということと、問題は多岐にわたるのであります。でありますから、あなた方は、一人、二人の世上伝えられる人間に対する処置を厳重にしますというような、そういう消極的な態度をもっては、この問題に対する態度としまして国民は納得し得ないのであります。とかく、いろいろな汚職事件というものは、たとえば大物が狙上に上らんとするというと消えてしまうということが、今日の国民の納得し得ない一つの疑惑なんであります。こういったものを一掃するということがそもそも司法権に対する国民の信頼のもとになろう、こう考えるのであります。非常に好個の、最近の不祥なできごとでありまするので、この機会に事態の真相を一そう明らかにして、今私が申し上げましたような諸般の点につきましても、これを含んで、当委員会にできるだけ近い機会に報告をもらうことを望んでおきます。お約束を願いたいのです。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 了承いたします。  この際委員長から特に唐沢法務大臣に一言お尋ねいたしておきたいと思います。いずれ委員各位から具体的な問題についての発言があり、質疑があることと思いますが、御承知のように、岸総理自身がいわゆる三悪追放というスローガンを掲げられまして、貧乏の追放は当委員会の所管でありませんが、暴力の追放と汚職の追放は、法務当局、検察当局の御所管であると同時に、国会においては当委員会の所管なんでございます。これについてはさきの通常国会においてもしばしば問題になり、この次の通常国会にはおそらくは相当立法的処置も講ぜられるであろうと推測いたしておるのございますが、先ほどの各現地調査班の御報告をお聞き及びの通り、今度の現地調査におきましても、暴力問題は特に重点を置いて調べて参ったのでございます。従いまして、世論の関心とでも申しますか、この暴力問題、汚職問題について政府及び国会がどのような具体的な態度をとっていくかということは、非常に重要な問題であろうと考えるのであります。今日以後明日、明後日も当委員会を開催する日程になっておりますが、その前に、現在法務当局で暴力問題処理のためのいわゆる立法的措置について具体的にどのような御準備がありますか、あるいは御決意がありますか、さらに、汚職追放という面に深い関連と職務上の責任をお持ちになっておられます。法務当局において、これまたいわゆるどのような立法的な考慮ないしは行政指導上の御考慮がありますか、具体的にその大体の方針をこの際お伺いいたしておきたいと思います。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 ただいま委員長からお尋ねのありました暴力立法並びに汚職立法につきましてお答えを申し上げます。  暴力事犯の取締りにつきましては、この種事犯が国民生活の秩序と平和を害するものであるばかりでなく、わが国の民主化、明朗化を妨げる原因の一つである点にかんがみまして、検察当局といたしましても、かねてから警察その他関係機関と緊密な連絡協力のもとにそれが掃滅に強力かつ恒久的な検挙処置をいたして参っておるのでございまして、この種事犯の検挙人員を見ましても、昨年中は八万二千七十四名の多数に上っておりまして、これを昭和三十年の五万五千七百八十三名に比較いたしますると四六%の増加でございまするし、また五年前すなわち昭和二十七年の二千四百五十名に比較いたしますると飛躍的な増加を示しておるのでございまして、現行法のもとにおいてもその取締りは一応見るべき成果をあげているものと認められるのでございます。従いまして、今後も現行法規のもとにおいて引き続き強力かつ継続した取締りを励行いたしまして、十分な効果をあげたいと考えております。  なお、この種事犯の取締りに関しまして、現行関係取締り法規に所要の改正を加えるなど、いわゆる暴力取締り立法を要するかいなかという問題につきましては、目下事務当局で鋭意検討をいたしておるところでございます。さしあたり、この種事犯の被告人に対する保釈条件、いわゆる権利保釈と申しますか、これの再検討、また、この種事犯にかかる証人、参考人などの身体、自由等の保護をはかるための特別立法が必要であるかどうかという点について、鋭意研究をいたしております。  次に、汚職の取締りでございまするが、現下、この種事犯の発生状況にかんがみまして、その有効適切な取締りが強く要請されております。検察当局においても、かねてから鋭意検挙、処理に努力いたしておるわけであります。今後も現行法規のもとにおいて取締りを励行する所存でございます。  なお、最近取締りを徹底させるという見地から、関係法規の改正、特にいわゆるあっせん収賄罪を新設することの可否についての論議があります。政府といたしましては、現在その必要性について慎重に検討いたしまするとともに、この種規定が刑罰法規として数多くの問題点を含んでおりまするそのことにかんがみまして、事務当局といたしましては、かつて社会党から提案されておりまする法律案、それから昭和十六年帝国議会当時に提案された法案などがございます。さらに改正刑法仮案などもございます。これらを参考といたしまして、今研究を進めておるところでございます。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後は二時から再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後一時十二分休憩      ————◇—————    午後二時四十一分開議

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 休憩前に引き続き法務委員会を再開いたします。  まず売春問題について調査を進めます。通告順に質疑を許します。神近市子君。

神近市子日本社会党

○神近委員 御新任の法務大臣にお尋ねしたいと思うのです。その問題は、牧野法務大臣のときに全会一致で通過いたしました売春防止法の問題でございます。  先ほどいろいろ調査事項について派遣委員の方から報告がございまして、それの中にずいぶん詳しく述べられておりましたように、各地の犯罪の急激な増加とか、あるいは京都方面では年少者の輪姦事件というようなことすら起って、まことにおそろしい事態になっていると思うのです。この中で一つだけ調査が落ちていると思いますのは、性病の蔓延の問題でございます。これは私どもがほとんど意識下に置いているようでございますけれども、そして売春防止法のときにもこの非常に深刻な問題はあんまり扱われなかったのでございますけれど、最近では売春が野放しになっていた結果日本の民族の血液が非常に濁ってきているということをおっしゃるお医者様があるわけで、売春の結果として起った性病は、新しい医薬の発見でほとんど内攻してしまってきている、だからちょっとした方法ではなかなか発見できない、血液検査よりほかにないくらい広がっていっている、ひょっとしたらこれは将来民族のガンになるというくらい、性病のことは考えなくちゃならぬと言う学者の方が多いのです。それで、犯罪あるいは青少年者の堕落、それから性病、もう少しいけばこれは汚職ともからまってくると私は思うのです。こういうことがどうして起ったかというと、これはやはりほとんど世界の歴史にないくらいわれわれが売春というものを野放しにしておった結果生まれてきた現象だと思うのです。  ところが、売春防止法がこの四月から一部発効して、あと七カ月で処罰規定が発効するという決定的なときにおきまして、非常に困ったうわきがあるのでございます。それは、昨今の新聞にずいぶん書かれておりますので、御承知のことと思いますが、私は何もその内容は深く申し上げません。政府与党の中に風紀衛生対策特別委員会というのがございまして、これは売春防止法の施行にプラスするという意味で作られたと私どもは信じたいのでございますけれど、それが逆作用をするような動きがある。そして、来年の四月に第二章の処罰規定が発効するというときに、ある情報によりますと、無期限に延期ということが考えられている、そういうようなうわさがあるものですから、この際一番問題にしなければならないところの業者の転廃業ということが非常に阻害されてきてしまったのでございます。この間名古屋に参りましたときに、高検の御報告の中に、名古屋の業者は、静岡、三重、愛知三県が組みまして東海性病予防連盟というのを作りまして、模範的な転業をしてみせよう、こういう決応を固めて着々その準備に入っていた。ところが、さっき申し上げました風紀衛生特別委員会というのがありまして、これでひょっとしたら延期になるというような考え方から、その廃業あるいは転業の準備を中断したという事例が起っているのでございます。これは名古屋だけのことでございません。私ども全国を歩きますと同じことを聞くのであります。こういう調査に載らない事項がございまして、どこに行っても、一体どうなるのでしょうというようなことが言われる。私どもは、これは岸総理大臣にも機会があればお伺いしたいと思いますけれど、主管大臣でございます法務大臣のこの問題に対しての御所信と、それから御決意がどこにあるかということをこの際はっきり伺わせていただきたいと思います。  今日の社会悪の大部分が、この問題とからんできて、女を軽べつし、母親を軽べつし、女の友だちを半分おもちゃに考えておる、そういうところのくずれから生まれてきている、私どもはこう考えているわけです。御新任の際でございますので、大臣の御方針というか、御所見というようなものをここではっきりと打ち出していただきたいと思います。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 お答えをいたします。売春防止の法律はすでに実施されております。ただその中の刑事規定の施行が延期されて来年の四月一日から施行されるということになっておることはお話の通りでございまして、法務省といたしましては、その方針のもとに今種々準備をいたしております。いろいろ反対のお考え方もあるようなお話でございましたが、法務大臣としては今日までまだ何もそういうような話を聞いたことはございません。法務省といたしましては、来年の四月一日から刑事規定が施行されるもの、こういう想定のもとに保安処分その他の立法等について着々準備をいたしておる次第でございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 ちょっとその御返事だけでは、——御新任であるからということは十分考慮いたしましても、私は御意見としてでも承わりたい。もしこれが延期されるということになりましたら、これは私は、全会一致で作った法律を、今度はまた全会一致にはおそらくならないと思うのですけれど、これは取り消しということになったならば、法の権威というものがもう地に落ちると考えます。ずいぶんこういう法律もございますけれど、特にこういう全国的な問題になって、そして民主主義の最後の仕上げだというのでこの法律ができたことは御承知の通りでございます。もしこれが延期ということになりましたら、法の権威というものは国民の前に失墜するということが一点、それから、今までに内閣の御調査でも八〇%というものが、この仕事は決していい仕事だとは思っていないと言っております。その人たちの中の良心的な人たちが自力で転業いたしまして、すでに転業を完了しているその人たちを一体どうしたらいいのか。これは極端でございますけれども、佐世保の業者なんかは、もし延期ということになったらおっ取り刀で東京に来て、だれを殺すのか知りませんが、やっつけてやるというようなことを公言しておる。これは私は端的に言っただけで、転業した人たちが非常な不満を持つということは私は明らかだと思うのです。その場合、じゃ補償をしてくれというような、中途半端でへっぴり腰でこういうことをしたからこういうことになったのたというようなことがあったときに、どうしたらいいかというような問題。それから、まだ初め禁止する前と、禁止を一ぺんしてみたけれども、これはまたやってもいいのだというふうにあと返りになったときには、私はその効果は非常に違うと思うのです。これでいいか悪いかと思って、悪いのじゃないかなと思っているところに禁止が来た、あるいは防止が来た、ああ、やはりこれはいけなかったと思っているときに、いや、まだいいのだ、やっぱりこれはやってもよかったのだというような印象を持たせる。これはあと返りすることは非常に悪い結果を生むと私は考えます。そういうようなことがございますから、御新任早早でございましてまだ御意見が調節されていないということはよくわかっていますけれども、私どもは、法務大臣としてその見識を持ってこれから法務行政にお当りになるお立場におられますから、個人の御意見でけっこうでございます。大臣御自身の見解を承わりたい、こう思っております。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 お答えを申し上げます。刑事規定の実施のことは、先ほどお答え申し上げました通り、来年の四月一日から実施されるものとして、法務省では立法その他諸事準備を進めております。のみならず、私といたしましては、来年の四月一日からの実施という既定方針は変更すべきではない、かように考えております。

神近市子日本社会党

○神近委員 それを承わって、多分、私だけでなく、この問題に関係してきた方々はずいぶん安心されたと思います。どうか今日のごの御所見を強力に遂行して、あらゆる障害に立ち向っていただきたいと思います。  それで私の御質疑は一転いたしますけれども、保安処分というものが残っております。この立法がさきの国会の末期に二度、三度売春対策審議会に出たのでございます。しかし、それが出されてもなかなか議論が紛糾して、これが引っ込めてしまわれた。どこでそんなに紛糾するのかといいますと、処罰規定に関して引っかかったのでございます。これは、独仏法の精神と英米法の精神というものが、——さっきもどなたか、最高裁の機構の問題でやはり同じような意見を地方で出されたということがあったのですけれども、私どもこの問題を法律の上の論議一点ばりで引き延ばされるということはとても困るということはずいぶん論議したのでございます。というのは、今おっしゃったように来年この処罰規定を発効させますならば、どうしても一部悪質常習者の人たちをどこかに収容して補導しなければならないということが起るのでございます。これは刑務所にぶち込むのはあまりにかわいそうではないか、これを何とか補導して更生させなければならないということになるのでございますけれども、今日まで五百年も続いていたこの制度をここでやりかえるのですから、これは日本に今までなかったということは事実でございます。この事実の上に立って物事を考えていただかなければ、必ずしも法律上のつじつまを合せるということに一生懸命におなりになっても、私はむだだと思います。それよりも、今日日本の民族全体としての大体の要望をいれてできた法律でございますから、その観点から、どうしたならば婦人たちを仕合せにできるか、どうしたならば社会の悪弊のもとを断つことができるか、こういう観点からもっとこれは政治的に考えていただいてよいと思うのです。法務委員会は非常になごやかな委員会でございまして、あまりけんかをしないのでございます。これはよい法律だと思えばみんなが協力して通していただけると考えるのでございますが、その点、今までの論議にとらわれないで、——拙速でも仕方ないのです。私どもはそう考えます。この間会期末にあれを出していただいて早く通していただいたならば、来年の実施までに——今補導院と仮称していらっしゃるそうですけれども、この補導院は建った。ところが、とうとう法律が間に合わなくて、そうして来年の実施期になって間に合うかどうかということが憂えられている。こういう状態ですから、一日も早くこの法律を提出していただいて、しかも、この法律をりっぱに仕上げるということばかりに夢中にならないで、どうしたならはこれが実施に間に合うかという点を考えていただきたい。この点で私は大臣の御所見を伺っておきたいと思います。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 ただいまお尋ねのありました点は、この制度を実施する上に一番大事な問題であり、しかも一番めんどうな問題のようでございます。私も就任まだ日の浅いことでございますけれども、今日までの経過、そしてこれから先どういうふうにこれに対処していくかということについて、事務当局の話もだんだん承わり、今相談いたしておるところでございます。これは私が申し上げる必要もございませんけれども、いかに法を実施いたしましても、習慣の久しきにわたっておるものでありますから、相当数法に触れる者は出はしないか、かように心配をされるのでございます。そこで、そういう婦女をどういうふうに扱ったらよいかという問題でございまして、いわゆる保安処分と申しますか、今法務省の方では、補導処分と言うかどうか、そのような言葉を使って研究いたしておりますけれども、一方におきましては、そういう婦女をある一定の場所に収容いたしまして、ある程度の保護を加え、教養補導を加えるのでございますけれども、この制度の全きを期しまするためには、ある程度のからだの制限をいたさなければならぬことになります。しかし、他面考えてみますと、人権を尊重しなければならないということは、これは新憲法下私の申すまでもないことでございまして、それらの人々の境涯を考え、過去における生活のありさまを考え、かつ人権を尊重する、こういう建前を考えながら、しかしこの防止法の精神を徹底実現しなければならないのでございますから、どうしても補導処分というものが必要になってくるのでございまして、そこで、今この補導処分、保安処分に関する法律の内容をせっかく検討中でございます。まだ成案を得ておりません。これからも鋭意研究を進めていくつもりでございます。ただいまお話のありました通り、この委員会は非常になごやかな委員会だというお話でございまして、まことに私もありがたく存じております。この問題につきましては、またわ出れわれの方で研究の結果なかなか結論のつかないようなこともございましょうから、立案の過程におきましてもだんだんと御意見などを承わっていきたいと考えております。

神近市子日本社会党

○神近委員 今補導機関ということが出ましたので、ちょっと要望なり私の所見を申し上げますので、お聞き取り置きを願いたいと思います。  この前の中村法務大臣が笠松の婦人刑務所に委員長その他とおいでになったという新聞記事を私は見たのでございます。その第二回の法務委員会の出張に私も参加いたしまして笠松を見せていただいたのでございます。そしてこれはこの前私どもがスイスの話だというて聞いている考え方にやや構想が似ている、私どもが長い間何とかこれはできないものかと考えていた構想に大へん近かったので、私どもは非常に喜んで希望を持って帰ったわけでございます。その笠松はぜひ法務大臣も一度ごらんになって、この補導院の構想の御参考にしていただきたいと思うのです。いろいろ隘路もございます。民間の事業がこれと共同して女の人を使っている。奴隷労働だとか、あるいは賃金が安いものですからそういうような同業者の非難も受けることがあるということも伺いましたし、また、時間の制限、あるいは賃金が低額であって、同時に国庫に入ってしまう、そういうようなことで、私どもはいろいろこれからまた法務省の方々とそういう点で御質問したり、御協議したりしたいということはございますけれどもあそこに会社としては朝日産業といいましたか、会社としては人員の不足に悩んでいるのでございます。仕事は採算が立っている、人手が足りない、生産品は非常に良質のものができている、今まで半開放的にして一度も間違いの起ったことはない、こういうようないろいろな観点から見ますと、ぜひこれは私どもも日本でともかく補導院というものを設置するならばその方式でやってみる方がいいのでないかということが、これはそのとき参りました法務委員のみんなが考えたことだったのでございます。それで、会社側でも非常にそれを希望しておりまして、すぐ近くに大きな地所がございまして、同じような事業形態を持つことができる、こういうようなことを聞きますと、これから御着手になるところの補導院というものをそういうような場所に作るということができるのではないかということをお考え願いたいとうこと。  それから、同じ構想で、やはり神戸の生田病院で、これは非常に熱心な院長先生と兵庫県の海老原進とおっしゃる、お二人とも非常にエキスパートでいらっしゃいます。特に性病で詳しい方です。せめて近畿ブロックのようなもので、あそこの生田病院など来年から完全施行になれば不要になる場所で、その地所も十分にあるので、一つそういう病気と補導と、それから多方面多様的な職業を選んでつかせるという訓練をしていきたいという構想を持っていらっしゃる。これは非常にりっぱなデータも持っておいでになるし、構想も持っておいでになりますから、ぜひ一度この意見をお聞きになつて、笠松の施設と、性病という点を加味してありますところの生田病院の構想と御比較していただいて、笠松に一つ、あるいは近畿ブロックで一つということを持てば、予算はそんなにたくさんかかりません。常習者を運んでそこに預けるとか、そういうふうなことが一つでも目安がつけば、全国の婦人たちが進んで協力してそういう人たちの救護に当るということは私は自信を持って申し上げることができると思うのです。あの法律ができるときに、これは文化立法であるからとあれだけ牧野前法務大臣がおっしゃって、新しい構想でやるんだということをお考えになっていたんですから、一つぜひ一歩前進して救護と補導とを兼ねたものを考えていただきたい、こう私は考えるのでございます。どうか、その点御賛成であるか、あるいは御研究いただくか、大臣の御所見を承わっておきたい。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 ただいまのお勧めに従いまして、私も笠松また神戸などへも参りまして研究をいたしたいと考えております。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 吉田君。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 まず法務大臣にお伺い申し上げます。大臣は、ただいまの神近委員の質疑に対しまして、売春防止法の残余の罰則規定等についても来年の四月から完全実施せられることを期待せられまして、何か各般の御用意を進められつつあるやに承わったのであります。ところで、すでに一部実施になりました本年度におきましても、私どもはあらゆる角度から見まして、なおあなたの方のお立場から相当御不満があったのでなければならぬと思うのであります。特に予算面においてそう思うのであります。従って、私はこの角度から少し伺ってみたいと思います。  完全実施を目ざしていかれますと、これはあらゆる罰則規定が実施されることになりまするので、ごとに地方条例も廃止になる等といたしますれば、法務省といたしましては、法務行政的な見地からいたしましても相当広範な御用意がなければなるまい、こう思います。一方、本年度から一部実施になりまして、これに対する予算要求は大半削られてしまった結果になっております。そうしてすでに数カ月予算実施、行政の実績をけみしておられるのであります。こういう点にかんがみまして、あなたの方ではどのような御準備をもって次の、つまり来年度予算を策定されつつあるのか。すでに八月に入っておりますから、本月から来月にかけましては予算説明も大蔵省においてされなければなるまいと思います。さすれば、大体はもうでき上っておるものとわれわれは想定するのであります。来日になってから予算の作成をするというようなことはちょっと考えられないのであります。でありますので、これらの、つまり本年度一部実施されておりますその実績にかんがみ、来年から完全実施を目ざしまして各般の予算要求、こういう点から見まして、どのような予算準備ができておるのか、これを一つ伺いたいのでございます。基本方針をまず伺いたい。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 お答えを申し上げます。いかにもごもっともなお尋ねでございまして、お言葉にもありましたように、昨年相当額の要求を大蔵省に向っていたしましたが、ほとんど削られておるような情勢でございます。ただ、昨年と本年とは事情が変って参りまして、昨年は準備の時代でございますが、本年の要求予算は、来年の四月一日から実施するという実施の予算に入るわけでございます。それで、昨年要求いたしました予算は、もう本年としては時期おくれで、性質上要求しないものもございます。また本年も続けて要求したいと考えておるものもございます。ただ、ありていに申し上げますと、すべての予算の基礎となります数字を把握するのに非常に難渋をいたしておる次第でございます。法律そのものはすでに実施されておりますからこの一年間の間に罰則の適用を待たずして転廃業をしてくれるものが多数出て参りますと、従いましてわれわれの方の手数も減るのでございまして、この数字をにらんでおるわけでございますが、これがなかなかしっかりした数字をつかまえることがむずかしいのでございます。集娼制のもとにおきますいわゆる赤線、青線というようなところの概数は計算できるといたしましても、散娼の計算はなかなか正確にはできません。そのうちでまた何パーセントばかりがこの一年間の間に転廃業するかということで、私どもの補導処分の対象になる人数がきまるわけでございます。これは、この段階になりまして私が包み隠しするわけでは絶対にございません。今事務当局とどういう数字を基礎にして、予算を要求したらよかろうか、——いずれは推定の数字になります。なりますけれども、少しでも信輝性のある数字を基礎にして予算の要求をしたいということで、せっかく研究中でございまして、詳しくは予算の担当の事務の方から御説明申し上げてもよろしいのでございますけれども、大よそのラウンド・ナンバーをつかむことすら今非常に困っておるようなわけでございます。しかし、予算要求の時期も差し迫って参っておりますから、いずれは決定をしたいと考えておりますが、ほんとうにまた確信を持った数字をつかみ得ないでおるような情勢でございます。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 この散娼の数が幾らあるか、潜在従業婦が幾らあるかというような、そういう問題もさることでありますけれども、たちまち表へ出ますたとえば業者の現在数字というものは、これは大体政府の方においては明らかなのでございます。そこで、現地の報告によれば、厚生省の本年六月三十日調べによれば、業者の転廃業の実情は、転業者はわずか六・四%である。そういたしますと、九三・六%というものは八カ月後に全部転廃業しなければならぬ運命にあるにかかわらす、今なお依然としてこれが継続されている実情であります。このような現、実にぶつかって、一体どう法務省としてはおつかみになるというのか。かりに完全実施となると、刑罰法規全部実施される来年の四月一日現在に、残りの九三・六%というものが依然として今日あるということであるならば、これは大へんな検挙数に上らなければならぬのであります。これは国の法律でありますから、いやおうないのであります。そういたしますと、そういうところまで突き詰めて数字というものはやはり持っていただきませんと、散娼の数が幾らあるかということの把握なんというような、そういう問題よりも、こんな現実の問題があるわけであります。あなたは、そういう場合のお考え方は、抽象的では許されないのであります。やはり具体的にあなたの御方針がないと、予算は組めません。こまかい数字の問題でないので、基本的な態度なんであります。さっき神近委員があなた方の方針が来年から全面的に罰則実施につきまして強い御決意があるかどうかをお聞きなさった理由も、私はそこにあると思うのであります。そこで、そういうことに対する法務当局の職域におきましてなさねばならぬ仕事、従ってこれが対象の人間、こういうものは、ある概数をつかんでおかなければなるまいと思います。国が税金をとるときにも、税金さえこまかい数字を予定してすべて予算を組んでいる。あなたの方におきましても、年々の実績において検挙数等から翌年の数字を策定されていく、——現にこういう生きた事実にぶつかっているのでありますから、さっぱりこういうものはつかめないというのでは、これは予算を組もうにも組みようがないの、がほんとうじゃないかと思うのです。そもそもそういうことに対するほんとうのあなたの考え方はどこにあるのか、これを一つはっきりしておいてもらわねば、事務上の数字のいじくりということでは解決できないのであります。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 お答えをいたします。全く仰せの通りでございまして、この数字をつかまないことには一歩も前進できないのでございます。私としても、この数字がつかめないからそのままにすると、こういう意味では絶対にございません。もうすでに大蔵省に対する予算措置は目睫の間に迫っておりますから、それまでにはどんなにおくれても一つの基礎数字をつかまなければならないのでございます。先ほどおあげになった数字もございます。私が申し上げましたのは集娼・散娼合せての数字、これすらがはっきりしないというばかりでなく、一番大きな問題は、今日まで何パーセントばかり転廃業しているか、それから今同じような様相を継続している人たちでも、来年の四月一日から刑罰法規が適用になるというのでそのときに切りかえるつもりでいるか、それに近寄った時期に切りかえるつもりでいるか、どういうふうにこれが切りかわっていくかということは、これが推定になるのでありまして、これもだんだんと調べをいたしております。この数字は的確なものをつかむことは非常にむずかしいかと思いますけれども、私たちといたしましては、でき得る限りの精密さをもってこの数字をつかまないことには、予算の要求かできませんから、その必要には迫られております。なお、数字のことは今まで事務当局でだんだん調べておりますから、事務当局の方から少し御説明申し上げたいと思います。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 ちょっとその御説明はお待ち下さい。  そこで、業者の対策の問題でありますが、業者に対しましては、これは高い観点から見れば、できるだけあたたかい親心をもって国の意のあるところを示して、そうして、すみやかに、みずからの力をもってもしくはできるだけ国の力も協力して転廃業させることをわれわれは心から望んでおります。それはそれといたしまして、あなたの方は法務行政の主管庁でありまするので、法務大臣といたしましては、来年の四月現在においてなお転廃業しない業者が存在するとなれば、これはもう仮借することなくふん縛っていくという御決意が一体あるのかないのか。それとも、過去において黙認された例もあるのであるから、あるいは黙認というような事態がやむを得ず発生するというようなことでも心の底に持っておられるのかどうか。そこを法務大臣の権威におきましてはっきりしておかなければ、やはり適従に迷う、こういうことになるのであります。でありますから、来年の四月一日現在でもし転廃業しない業者があるならば、法の命ずるところに従って全部検挙する、そのぐらいの決意を持っておられるかどうか、それは一つはっきりしておいてもらいたい。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 来年の四月一日が参りまして、刑事規定の実施が始まっても、なお転廃業しないような業者がありますれば、これもとより厳重に取り締まるつもりでおります。ただ、法に触れるような婦女の始末でございますが、われわれの方として補導処分、保安処分に付します際に、一方においては従来の生活態度を改めて正業につくようにあたたかくまた人権を尊重して抱いていかなければなりませんと同時に、寛大過ぎてこの法の精神が無視されても困るという、この点について非常に苦慮をいたしておる次第でございます。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 その点、もっともなことであります。もちろん転廃業が行えない反則者に対して厳とした態度をもって臨まれることは私ども了承いたしますと同時に、反面におきまして、その従業婦女子に対する問題は、これまた非常に重要な問題として、法務省は他の諸官庁と協力して、それぞれの分野におきまして積極的にあらゆる施策が打ち出されなければならぬ、こう思うのであります。そこで、あなたの方で最終的に固まっておるまいと思いますが、しかし、きょうは経理部長が見えておりますから、経理部長に伺いますが、予算作成上、たとえば今大臣が述べられた婦女子の処分の問題であります。あなたの方におきましてもやっぱり人権擁護局を持っております。人権侵害は、きょうの報告でもお聞きになったように、気の毒な婦女子が輪姦されておるというのがあるのであります。必ずしもこれらの従業者ではないのでありますけれども、一脈の関連におきまして非常に注目すべき重大な社会現象であります。従って、たとえば人権擁護局の活動という面におきましても、画期的な積極的な準備態勢がなければ、法務省としての受け入れ態勢はできないのであります。そこで、三十二年度の予算の要求の例をとってみれば、たとえば人権擁護局の関係におきまして、三千六百万円の要求をしてわずかに六十五万円余りしか予算がとれておらないのであります。こういう事情にもなっておるのでありまするが、そもそも三十三年度の予算要求の骨格はあなたの方としてはどういうふうに策定をされんとしておるのか、あなたにこれを求めるのが無理かわかりませんけれども、御無理であれば大臣から聞きます。

竹内寿平検事(経理部長)

○竹内説明員 大臣も先ほど申しましたように、ただいま予算の編成作業中でございまして、項目明細を申し上げる段階ではございません。今月末ごろにその数字はまとまると思っております。ただ、骨格、考え方でもというお話でございましたので、その考え方を申し上げますと、私どもは、売春対策につきまして、売春法がここで審議されております年でございますが、三十一年度に予備費要求によりまして売春法施行の前提となるべき予算の要求をいたしました。三十二年度におきましては、刑罰規定の発動前において、法務省として刑罰法規が円滑に、あまりぎらぎらしない形で刑罰法令の発動を見るような態勢に持っていこうという考え方で予算要求をいたしました。その結末は、ただいま御指摘のように、予備費の方も三十二年度の予算におきましてわずかに関係部局の合同経費が認められただけでございます。そこで、来年はどういうことになるかと申しますと、刑罰法規が発動になりますと、転廃業をがえんじないで残っておりますいわゆる潜在業者、潜在売春婦、また形の変ったものとしていろいろ新たなる業者、売春婦、こういうものを検察の対象に置かなければならないわけであります。そこで、これをば検察官が受理をいたしました場合に、ある場合には、検察官の手元で起訴猶予にいたすものもあります。これは保護関係の機関におきまして直接保護指導をするというやり方が一つあります。それから、起訴を見ました場合におきましては裁判にかけられるわけでございますが、裁判は執行猶予とともに保護観察に付するという処置がございます。あるいはまた、ただいまお話が出ましたように保安処分というような問題もそこに出てくるかと思うのでございます。それから、それらがすべてなくして実刑に処せられました場合には、これは刑務所に収容することになります。刑務所における処分、それから仮釈放の場合にはまた保護機関の手に移るのでございます。それらの業務を遂行する過程におきまして、この問題が人権の問題でありますので、人権擁護局といたしましては、売春についての思想の啓蒙浸透をはかりますとともに、それらの発動を通じまして、事件を検挙しつつもなお自発的な転向をはかるように指導をいたさなければならぬのでございます。なおまた、保護関係の保護観察所その他の機関におきましては、厚生省、労働省の関係機関とともに違反事件とは別個に指導、補導を進めていくというような考え方のもとに予算を編成いたしたいと思っております。問題は、数字がつかめないと先ほど大臣がおっしゃいましたのは、私どもは、三年前の、つまり三十年の状況におきましては、業者は大体において十万、売春婦は二十万という数字をつかんだのでございますが、来年の四月までには相当数が、ほとんど七割、八割というものが転向するであろうということを予想しておるのでございますけれども、先ほどの現地の御報告等によりますと、どうしてどうして、さような転廃業をした者はまだまだ少いんだということでございまして、この関係がどういうふうな数字になるかによりましては、検挙の対象となるべき人員数も違って参ります。従って基礎人員も違ってくる、収容の関係も違ってくるということで、計算の基礎がなかなかめんどうなことになるのでございますが、大体各検察庁は刑事局におきまして、収容関係におきましては矯正局におきまして、あるいは保護、人権局におきまして、それぞれ一定の考え方をだんだん歩み寄ってまとめておる状況でございます。今のような関係になりますので、主として検察庁の起訴を中心とした面に予算が集中すると思うのでございます。  なお、人権局のお話がございましたが、人権擁護局関係におきましては、昨年要求いたしました特設人権相談所というようなものも、去年は予算で査定落ちとなりましたけれども、また新たなる要求を続けていきたいというような考え方をしておるようでございます。  全般として、昨年要求しましたものは、大蔵省の査定結果は、結局準備的な相談といったような事務は厚生、労働の両省の方におまかせをしていこうという考え方に相なったわけでございまして、その趣旨と、その後の運用状況等と、両方伺いまして、そして法務省の考え方を予算に具体化して参りたいという考えでおります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 ちょっとこの中間で大蔵省の意見を聞いておかねばならぬと思うのですが、大蔵省は総務課長だけしか見えておらない。大臣も次官も局長も来ないのですが、この各省にわたる予算についても質問し、あるいは各省の施設についての質疑をするのに、大蔵省の総務課長で答弁ができると思わぬのであります。総務課長はどこにおられるのですか、いないのですか。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 すぐ呼びにやります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 閣僚として閣議の関係についてちょっと大臣に伺っておかねばならぬのですが、実は、売春問題につきまして、特に各般の行政事務あるいは施策等がずいぶんと輻湊いたしておりますが、これは当然各省庁に分れましてそれぞれの所管がなされるものと思います。たとえば売春対策といったものを推進する上におきましては、どこが最も重要な発言権を持っておるのであろうか、行政責任があるのであろうか、少くとも閣議ではだれがこれを発議しているのであろうか、法務大臣なのか、厚生大臣であろうか、それとも総理大臣であるのか、それぞれ自己の職務だけをそれぞれの割合で発言するということになるのであろうか。これは一体どうなるんですか。ここは一つはっきりしておいていただいた方がいいんじゃないか。これを尋ねるゆえんのものは、たとえば転廃業が遅々として進まないということにつきましては、ひいては行政的には内閣の重大な責任であると私は思うのであります。しかしながら、同時にまた、各省の関係から見るならば、お前の方がもっと広報宣伝をやるべきである、お前の方が啓蒙宣伝をやるべきである、お前の方が連絡が不十分だ、そういったようないろいろと職域々々におけるお互いの関係が、何か反発したり、人だよりしている面があるのではないだろうか。原因のいかんを問わず、結果が非常に悪いのでありますから、従って、行政的にはいま少し筋を通して、どこかに元締めがあるのが正しいのではないだろうか。あるいはほかの案件に関する経済閣僚会議があるがごとくに、この種の案件につきましても、何人かの閣僚がお互いに責任を持ってこれを推進するということになるのであるか。その辺は閣僚の立場から見てどういうふうにお考えになりますか。また、現在はっきりしないのならば、どういうふうにしたらいいだろうかということにつきまして、非常に過去に大きな豊富な御経験のある大臣でありますから、売春問題の具体的な経過については詳しくお知りにならなくとも、直ちにこの点はあなたの頭にぴんとくるところだろうと思いますので、一つはっきり御発言願っておきたい。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 ただいまの御意見は、まことにごもっともな御意見だと考えております。今日までの所管は、私が申し上げますまでもなく、売春防止の審議会は内閣に置いてございまして、今の制度で申しますれば、総務長官が担当することになりましょう。ただ、内容は、主として刑罰法規適用以前の処置というような点は厚生省の方が深い関係を持っておりまするし、法規の罰則処分前後になりますと法務省の所管になるわけでございまして、ただいまの御意見のように、主として厚生省並びに法務省で考えていかなければならない問題でございまして、その点で、総務長官が審議会を持っておる関係上、これらの関係者が集まって、一つ一貫した方針を相談しなければならないと考えております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 しかし、総務長官は大臣ではありませんから、やはり行政の責任としては閣議でありますから、閣議につきまして責任はそれぞれがお持ちになり、内閣総理大臣が全体としての責任をお持ちになるのだけれども、この種の問題につきましては、特に、今申したような統一的な意見をすみやかに一致せしめるような必要がしばしばあろうと思いますので、総務長官がその事務は担当しましても、行政責任は大臣にあるわけですから、大臣の行政責任の帰一するところ、あるいは中心点、それでなければ複合的に責任をお持ちになる、これらについての閣僚としてのあなたのお考えを伺っておきたいと思います。そうして、もしこれが十分整備されておらぬということを御認識下さるならば、私はやはり閣僚の立場で再検討をお願いしたいと思うのであります。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 この問題につきましては、実は過日も厚生大臣と会いまして、そうして、一度大蔵大臣を加えて、経済閣僚懇談会というような、ああいうふうに銘を打つかどうかは別といたしまして、総務長官から事務をとってもらって、われわれ三人集まってとくと相談しなければなるまい、こういうことは相談しておるところでございまして、大体今吉田さんの御意見に沿うような方向に向っておるところでございます。どうぞ御了承を願います。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そうしますと、たとえば法務大臣あり、法務行政あり、厚生行政あり、労働行政あり、警察行政あり、あるいは総理府所管事務あり等等、分れておると思う。従って、これらの最高の行政責任者は、適当な機会にそれぞれと御協議になって、できるだけ統一ある事務の推進をはかる、こういうふうにせられることに了承いたしてよろしゅうございましょうか。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 どうぞさよう御了解を願います。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そこで、もとへ戻りまして、法務省の予算関係でありまするが、今経理部長のお話で、来たる八月末ころに数字を大体まとめたいという御構想は、私はしごくけっこうなことと思います。ただ、しかし、よいかげんな数字をお出しになるという印象をもし受けたなら、また大蔵省との間に事実上昨年のような結果が生じやしないかと、私ども実は心配しております。一例をあげましたなら、去年あなたのところは婦人、少年院の関係におきまして、矯正関係として約九千六百万円の要求をしておられる。ところがこれは大蔵省の査定の結果ゼロになっております。全部削られてしまった。矯正関係の婦人、少中院の施設を拡充するというような要求に一顧も与えられない、そんな認識の足りない大蔵省の態度というものはとんでもない。私はこの売春対策に対する熱意が全くない態度だと思わざるを得ないのであります。  そこで、それはそうといたしまして、このような妙な成績であった結果にかんがみまして、今後の対策というものはよほどしっかりおやりにならないといくまいと思うのであります。昨年は二億七千万円要求なさって、わずか三百万円しか予算が通っておらないのであります。よろしゅうございますか、二億七千万円要求して三百万円しか通っておらない。こんなばかばかしいことがありますか。予算作成の権限は各省の大臣にある。これは財政法に明記してあります。法務大臣に法務省の予算の作成権があるわけです。大蔵大臣に何も作成権があるわけはないのです。大蔵大臣は査定するだけのことであります。ところが、法務大臣が作成した予算が二億七千万円要求して三百万円に削られてしまって安閑としておる、こんなことはあり得ません。私は面目にかけましても奮起してもらわなければいかぬと思います。そこで、来たる月末ごろに相当数字がまとまるようでありますから、せっかく一つ努力してもらいたいのだが、さて、たとえば問題の一つである保安処分につきましては、今なお議論が上下して、帰一するところがないらしく仄聞いたします。といたしますれば、またそんなところで停滞してしまって、その辺が予算なしということで進むのではないか。保安処分について何らかの策定なしに法務省が来年度の完全実施に臨むということになりましたならば、これは大へんなことであります。でありまするから、法律的、学問的完璧布期するというようなことも行政当局の良心的な立場からいたしましてもっともでありますけれども、やはり生きものでありますから、あなたの方は完璧を期するために十年かかって議論することも必要でありますが、ちょうど、判決の話じゃないけれども、ほんとうに完全無欠の判決を作りたいために三年も五年も机の中に原案をほったらかしておいたというようなことになると、実際的需要供給の関係から言ったら実に無にひとしいのであります。効果ゼロであります。こういうことも考えますので、時代は生きております。事態は生きております。刻々と変化しております。激変しつつある。しかも一人一人が命がけですよ。業者も命がけなら、従業員も命がけです。命がけで家族を養っている。あるいはまた放浪している。あるいはさいなまれている。いろいろ各般の百態の環境の人があるわけですから、そういう命がけの人に対処する施策ですから、その施策の裏づけである予算なんだから、その施策としての措置は法律案であるから国会が審議いたしますので、神様のような完全無欠を期待することはけっこうでありますけれども、やはり人間でありますから、その辺は適当にして案を立てるということにいかぬと、大臣、これはまた間に合わぬことになります。暑中休暇を返上して御努力になっておるやに伺いますので、労苦まことに多といたしますけれども、外の生きものは奈落の底に追い詰められるか、あるいはどうなるかわからぬという運命に彷徨するのが数十万です。これにまつわる家族がぎょうさんあるわけです。関係者はたくさんある。こういう関係もあるので、業者あるいは従業者という当事者だけの角度から見ましても、私はたとえば保安処分につきましてもすみやかにある結論を出してもらわなければならないと思います。もし法務省の所管でないというならば、法務省と厚生省と相談なさったらいいと思う。国の政治でありますから、事務じゃありません。事務は半面事務です。けれども、政策だから政治です。だから、事務だからというので事務的だけの頭で終始しては、時期がはずれてしまう。時期がはずれたって事務官は責任ないのですから、私は良心的な結果は得られないと思う。それは責任ないのですよ。だから、被害を受けるのは国民ですよ。及び、政府といたしましても、法律の完全実施が不可能になります。不可能になりますので、そういうこととまたにらみ合せなければ予算ができないわけでありますから、このところどういうように一体考えをまとめておられるかどうか、この点は大臣が指揮なさらなければいかぬと思うのです。やはり大臣は大臣として政治をやっていただくのであります。半面事務の統率者でありますけれども、閣僚として国の政治をやっていただくわけでありますから、だから、事務官と大臣の労苦は多といたしますけれども、やはり適当に予算が盛れるようなそういう一つの態勢を準備してもらわなければ、予算の裏づけができないわけです。この点についてどういうふうにお考えになっておりますかどうか。やはりこれは時期を失してしまうのであるかどうか。今は自信がないのかどうか。自信があるということであるならば、われわれはほんとうに刮目して期待するのであります。そうして法務省に対して多大の期待を持つてこの成果のあがることを待ち望むのであります。大臣としてこの点ははっきりしておいてもらいたい。これは前大臣以来最も苦心しておられるところであります。よくわかるわけであります。よくわかっておるだけ、難問であるたけ、私どもは切実な気持をもってこの成り行きを注目しておるのであります。どういうふうに御処理なさるおつもりでありますか、お考え等々につきまして大臣のはっきりした御所見を聞いておきたい。

唐澤俊樹自由民主党法務大臣

○唐澤国務大臣 ただいまのお尋ねのうち、保安処分の立法内容等もきまっておらないようだ、あるいは法務省所管かどうかというようなことについても疑いを持って他の省に譲るような考えがあるのではないかというような御心配かとも思いまするが、保安処分につきましては、これは完全に法務省の仕事だという自覚のもとに今せいぜい勉強をいたしております。ただ、その内容が、先ほど申し上げましたごとく、風俗の観点あるいは人権を尊重するというこの二つの大きな要求の間にはさまれておりまするから、その立法の技術もなかなかむずかしくて、いろいろと研究を重ねている状況でございます。重ねて申し上げますけれども、これは法務省において当然処置すべき問題だということは確信いたしております。  それから、もう一つ、数字の点でございます。これは、私の考えといたしましては、予算のことでございますから、大蔵省へ予算を要求するまでの間に基礎数字を作ればよろしい。それまでに慎重に、数字も疑いのないような数字ができるならばりっぱな数字を作ってくれ、それは大蔵省べ予算要求するそれを終期として命じておるようなわけでございまして、たまたまきょう予算のお尋ねがありしまたので、さような経過の途中でございますから、はっきりした数字を申し上げかねるわけでございますが、この数字も必ず把握して大蔵省へは予算の要求をしなければならぬと考えているのでございます。数字がどうも明瞭でないから、その関係からまた実施の問題に影響を持つとかいうようなことは絶対に考えておりません。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 吉田君、大蔵省から政務次官が今出席いたしました。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 先に厚生省に聞きますが、厚生省は安田局長だけですか。——局長に伺いますが、あなたの局で売春関係の厚生省の予算一切を扱っておる、こういうことになりますか。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 社会局の方で大体保護更生関係の予算がございまして、これは直接関係があるかどうかわかりませんが、性病関係の予算が若干公衆衛生局の方にあります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 そこで、三十三年度の予算編成の骨子は大体いつごろできるのか。今お聞き及びの通りに、法務省に伺ったのでありますが、ああいう類似の観点に立ちまして、あなたの方の三十三年度の、つまり言いかえますると、完全実施を目途としまして、もう八カ月後に迫っており、また予算折衝がすでに今月に入ってやらねばならぬ段階に来ておりますので、かなり具体的に相当の準備ができておらねばならぬと思うのでありますが、予算関係から見まして、どういうような構想で来年の完全実施にあなたの方は臨まんとしておるのか、それらについて一つ御説明を聞きたい。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 来年度の予算につきましては、先ほど法務省の方からもお話がございましたように、実は、厚生省としてまだ固まった案になっていないのでありまして、私どもが考えておる程度のことでございます。ただ、私どもの考えておりますのを申し上げますと、三十二年度の予算の施行についてもいろいろ問題かございますけれども、そういったような問題をもう少しにらみ合せまして、明年度は主として婦人の保護更生の施設というのに重点を置いていきたいと思っております。なおまた、大きな府県におきましては、婦人相談所が一カ所であるということが非常に不便であり、足りないような実情もございますので、そういうところの婦人相談所をもう一カ所ふやしたらどうかということも考えております。そのほかいろいろ、更生資金の貸付でありますとか、あるいは被服費等についての若干のめんどうを見るというこまかいこともございますけれども、そういうことも大体八月の終りごろに厚生省の予算として省議が開かれますので、そこで大体のことがきまると考えております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 大部分はあなたの社会局が主管局であるように思うのでありますが、局長会議等におきまして、省議等によりまして、だんだんと策定の準備が進められていると思うのでありますが、大体の構想はどういうところに重点があるのか。たとえて申しますると、今婦人相談員などの処遇も問題になっております。非常勤で九千円というようなものでとても実際の仕事はできないであろうというような批評すら出ております。数も少いし、予算がない、補助の割合が少い、むしろ国の責任において保護施設などをやるべきではないか、こういう意見すらあるわけでありますが、こういうような面につきましても、やはり根本的にお考え方を相当まとめておられるのであろうと思うのでありますが、大体の構想は厚生省として——まああなたが厚生省の全部の答弁をするわけにはいきませんけれども、あなたの方がおもな局だからお尋ねするのだが、大体の構想といたしましては何を重点に置かれるのであろうか。今お述べになったのは、ほんの端っこのこと一部でありますので、しかし全面実施ということになって参りますと、人間の数量におきましても、大量あなたの方はいろいろ引き受けていかなければならぬのであります。また、地方との関係におきましても、過去数カ月の実績にかんがみまして、地方は手をこまぬいて待っているところもあり、一生懸命努力しようとするけれども、本省の方が熱があるやらないやらわからぬ、指示が適切にこまかいところまで出ておらぬというような批判すら出ておる。予算の事づけが十分にない等々、数カ月で幾多の欠陥もすでに批判の対象になっておるのでありますから、今日までの実績にかんがみましても、来年は飛躍的に根本的に構想を変えるくらいな受け入れ態勢を整えていかなければ、厚生省のお仕事は全うできないのではないか、厚生省の厚生行政の職責が全うできないのではないかというほどにわれわれは心配しております。考えてみれば、やはり処罰対象になるべきものは法務省がありますけれども、しかし、そうでないものはおもに厚生省であるわけです。そういたしますと、厚生省が地方との連絡あるいはいろいろな関係を通じまして最も重要な行政の責任当局でありますから、これらの点について、今日までの経験と、今後の令面実施への受け入れ態勢の各般の準備、これらを合せまして、どういうふうな構想で一体臨んでいこうとするのか。そこで、あなたの方においても、ただ予算を見るというと六億二千万円要求せられて三億円しか三十二年は予算が成立しておらぬ、査定されておらぬのであります。言いかえますと、大蔵省で半分以上削られてしまっている。これまたまことに権威のない話で、一番の主管庁が厚生省であるというふうに、今法務大臣の御答弁によっても大体見当がつくのであります。ところが、その厚生省が六億二千万円も要求して三億円余り削られてしまうというほど、この画期的な重要法律の実施に当る予算がこういうふうに大蔵省にじゅうりんされておるのであります。こういうことにかんがみまして、一体これはあなたの方の要求が悪かったのか、あなたの方の要求が誤まっておったのか、査定が適切であったのか、こういうことすらわれわれとしてはいろいろと批判したくなる。こういうような三十二年度の予算における実績にもかんがみまして、あなたの方としてはどういうふうにして進んで行かれようとするのか。今月末までにちゃんと内容、骨子等すっかりと策定してしまって、予算の裏づけをしませんと、交渉が間に合わぬというように私ども考えるのです。なお、どのくらいの要求をせられようとしておられるのか、これらの点につきましても、事務当局としての御所信を聞いておきたい。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 保護更生につきましては、基本的な考え方は、売春防止法に規定がありますように、第一線といたしましては婦人相談員があります。それをいろいろ助ける者といたしましては、民生委員であるとか、あるいはさらに福祉事務所というようなものが第一線の機関になると思います。それから、府県におけるセンターといたしまして、婦人相談所、そしてまた婦人相談所の仕事をやります上に必要でありまする一時保護所というものを婦人相談所にくっつけていく、そしてまたそこでどうしてもさばき切れないものを収容保護施設に入れる、こういった構想で、私ども明年もやはり同じような構想でいきたいと思うのでありますけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、明年はいよいよ刑事処分の方も実施になる時期でございますので、そういったようなことも考えまして、収容保護施設というものにもう少し重点を入れなければ、そういった要求に応じられないじゃないか、こういった点に主眼を置いておるわけであります。もちろん、お話のように、現在婦人相談員でありますとかあるいは現在あります予算の消化等につきましても難点がございます。これらの点につきましても、近日全国の課長なりあるいは婦人相談所長等を集めまして、いろいろ現在までやっております点につきましての困難な点についてよく考えまして、そういった点も予算に織り込みたいと思っております。何分一年間の猶予期間、つまり今から来年の四月一日までの猶予期間がございますので、そういったような関係で、なかなか実施の上においてもいろいろ難点——難点と申しますか、いろいろむずかしい点もあるというようなことがありまして、なかなか数字をはっきりつかむということがむずかしいような状況でございます。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 だんだん時間がたちますので、少し簡略にいたします。  労働省に伺いますが、婦人少年局長ですね。あなたの方といたしましては、たとえば新しく職を求める従業員、この人に職を与えるということ、あるいはこれを補導するということ、従って、職は、単に手先の技術だけではなしに、おそらく健康とかあるいは性格といいますか、人間自体、そういうものも見て、それに適応するような変え方もしてやらなければ、おそらくはなかなか普通の職につけにくいような人々がずいぶんあろうと思いますので、従って、労働省関係におきましても、単にこの職業補導あるいは職業紹介といった角度から見ましても、私は相当大きな分野の仕事があるだろうと思いますので、これは私どものようなしろうとではなしに、あなたの方の長い御経験から策定の起案もできておるかと思いますが、昨年のあなたの方におきましての実績にかんがみまして、予算を中心といたしまして、どういうふうな御方針で大蔵省との折衝に入らんとしておられるのか、これも大体他省と同じような角度からいたしまして御答弁を願いたいと思います。

谷野せつ労働事務官

○谷野説明員 労働省におきましては、特に売春問題が婦人の人権の建前から、売春対策の推進につきまして特に啓蒙調査活動を実施いたして参りましたし、また、婦人問題の相談の第一線機関といたしまして、売春法を含めて相談にあずかって参りまして、昨年度はそのような仕事を含めまして予算を要求いたしたのでございますが、来年度におきましては特に売春防止法が施行されますので、方針をさらに進めまして、先生のおっしゃられましたように、就職につきまして、特に就職しにくい売春婦のために、使用者の理解を深める方法とか、あるいは特殊の職業補導施設について補導の仕方について考えましたり、また就職の場合の就職助成その他の支度資金あるいは技能修得資金の方法につきましても今検討をいたしているところでございます。ほかの省と同じように八月の終りになりませんとはっきりしたところがわからないのでございますが、今そのような方針で進めております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 坊大蔵省政務次官に伺いますが、あなたは御就任間がないのでどの程度にこれを御理解下さっているかわかりませんけれども、実は、三十二年度の予算要求を総理府、厚生省、労働省、警察庁、法務省最高裁判所等で十一億八千三百万円したものに対しまして、大蔵省は査定四億二千百万円で切っちゃった。しかも、われわれから考えてあまりに非常識だと思うようなことも多々あるわけです。そこで、一面にはこの法律が来年は事実上はもう実施しないのだというふうな風説があった。けれども、法務大臣も明らかにそれは否定せられ、完全に実施するという決意を明確にしていただいたわけです。そういたしますと、この法律は来年は完全に処罰の規定等々に至りますまで実施するということになります。なれば、大蔵省としましては根本的に一体この売春対策に対する予算にどういう態度をもって臨もうとするのか、一つこれをはっきりしてもらわなければ困るのであります。やはりあなたの大蔵省の政務次官のお立場からしましても、これは一つ明確に大蔵省の態度を明らかにしておいてもらいたいと思います。私どもは、大蔵省というところは何もよその予算を勝手に切ったりはずしたりする自由な権限はないと思っております。財政法の規定なり精神なりを見ましても大蔵省が予算を作成するのじゃない。法務行政の予算編成権は法務大臣だろうと思います。大蔵省はこれを適当に、何という言葉がありますか、査定という言葉か、ちょっと今忘れましたけれども、ともかく大蔵大臣が恣意にこれを切ったりはずしたりするということであれば、予算の編成権は大蔵大臣が持っているということになる。日本の制度はそういうことになっておりません。これはあまりに売春防止法の実施につきまして大蔵省の態度が予算面から見ると理解がないから申し上げておる。もしほんとうに理解しておられるなら、一々について私どもほんとうに検討したいと思う。われわれは何も物もらいのようにものを言うのじゃないのです。国のために、最も適切な予算作成をやることが政府の責任であります。各省大臣は主管大臣であります。閣僚としてのまた予算編成の権限と責任があるわけです。だから、大蔵大臣は大蔵大臣の責任があろうけれども、各省大臣には各省大臣の責任がある。予算が通らなければ行政は十分に全うできないという見地から予算の作成をしたに違いないのであります。ところが、もうずばりずばりと、あっちもこっちも切ってしまって、ことに法務省の女子少年院の拡充なんかは九千数百万円を要求したものをゼロにしてしまった。実にこういうことは、売春問題が何かということを全然知らないのであろうか、全く知らないものならけしからぬと思う。知らぬ人をどうして査定の事務に当らせたか、こういうことを批評したくなるのであります。ほかにもたくさんありますが、時間の関係があるから一々は申し上げませんけれども、よって私は、大蔵省は売春防止法の三十三年度予算に対してどういう態度をもって臨むことになっておるのか、これを一つはっきりしておいてもらいたい。あなたがもし言えなければ、大蔵大臣に言ってもらわなければならぬのです。しかし、きょうは大蔵省を代表してあなたは答弁に出ておられるものとわれわれは信じております。いかがですか。

坊秀男自由民主党大蔵政務次官

○坊説明員 吉田委員の御質問に対してお答えする前に、貴重なる時間を拝借いたしまして、ちょっとごあいさつを申し述べさせていただきたいと思います。  今般はからずも大蔵政務次官の重責を拝任いたしまして、一生懸命にやろうと思っておりますが、何しろ非常に不行き届きの人間でございまして、委員諸公に御指導御鞭撻を願わなければ、とうてい重責を果すことができないと思います。どうぞ、いろいろ不行き届きの点は御寛容いただきまして、今後とも一そうの御指導、御鞭撻をお願いする次第でございます。  ただいまの吉田委員の御質問は、三十三年度の売春防止法に伴う予算をどういうふうに考えているかという御質問だと思いますが、売春防止法実施ということはまことに重大なることでございまして、ぜひともこれは実質を伴ったような実行をやっていかなければなるまいということを私ども痛感いたしております。そこで、これに伴う予算をどうするかということでございまするが、ただいまのところ、大蔵省といたしましては、一般の予算編成方針もまだ政府において立てられていないような状態でございます。そこでこれらの閣議決定に基く予算編成方針にのっとるのと、それから、他面におきましては、来年度の歳入見積りといったようなもの、かつまた、三十二年度において実施せられました保護更生の面における諸般の施設、これらの予算の実行とにらみ合せまして、この売春防止法が実効を伴うような、また社会問題としてのいろいろな副作用を生じないように、万全な策を講じていきたい、かように考えている次第であります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 抽象的でありますが、具体的にはあなたと問答することはきょうは差し控えることにいたしておきます。  そこで、なお一つ聞いておかなければならぬのですが、その一つの問題は、業者の転廃業が遅々として進まないということ。これはさきに私が厚生省の調査表を指摘いたしまして申し上げた通りでありまして、去る六月末現在で業者の転業は五・四%という程度の実情なんです。この原因はいろいろありますが、一つの障害点といたしまして、これに対して正しい動機から転業せんとする者に対しましては、やはり国家は相当あたたかく協力するという態勢が必要であろうと私ども考えております。われわれとして個人々々にこれをどうやるということでなく、国としてそういう態度でなくてはならぬと思うのであります。さしあたっての問題といたしまして、たとえば中小企業者としてどう扱うのか。聞くところによると、これは中小企業者じゃないんだというような説が政府部内のどこかにあるとか聞くのであります。これはうそかどうか知りませんが、いずれにいたしましても、そういう考えがあるなら大へんであります。中小企業に対する中小企業金融公庫もあり、あるいは国民金融公庫、商工組合中央金庫等もありはいたします。これは、中小企業庁も見えておりますから、それはその方に聞きまするが、大蔵省といたしましても、やはりこの転業に対しまして可能な範囲でできるだけあたたかくこれに臨む融資等についても臨む、こういうような態度をもっていくことが、私は必要だろうと思うのです。さりとて、仮装転業するようなものに間違って貸すようなことがあっては、それは困りますけれども、正しく他の正業について、そして社会、国民のためにも貢献したいという者もあるわけなんです。たとえば九州の佐世保等におきましても、六十一軒が集団転業せんといたしまして、五千万円ばかりの資金を要求されておる方々等に、私どももお目にかかっていろいろと実情も聞いております。それは実に一つのすぐれた計画すら持っておる。ところが、冷たい目でこれを見て、全然融資もしないというような態度をもって臨みましたら、これは他に逆に引っぱる力がすぐに働きまして、そういう方面に対しましても政府の態度が一つの障害になるわけなんです。こういうことはずいぶんとあちらこちらにあるだろうと思います。いろいろと考えておるんだけれども、ほんとうに金が出るやらどうやらわからぬということもありますので、可能な範囲におきまして、政府としまして、大蔵省におきましては、財政的にこれらの人々に対してめんどうを見るというような態度を示した方が私はいいと思うのです。そこで、これに対する考えがありましたら、一つはっきりしておいてもらいたいと思います。この問題は今直面している重要な問題の一つでありますから、あなたはきょうお出になって、政府としましても相当考えがまとまっていると思います。一つはっきりしておいてもらいたいと思います。

坊秀男自由民主党大蔵政務次官

○坊説明員 正しく転業しようという業者に対しまして、これは中小企業じゃないんだというようなことは決して考えておりません。正しく転業しようという方々に対しましては、ほかの場合と同様に中小企業金融の対象といたしまして、そうして、これに対しましては、決して冷酷なる扱いをしようなどという行き方でなしに、普通の通りの転業と認めております。これに対しては一般の金融をつけていく、こういう考えでおります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 それならば、進んで積極的に、中小企業等に対する金融機関、財政資金をもってこれをまかなっておる、流しておる機関がございますから、そういうような政府関係の機関に向って、あなたの方は適当にこれに協力すべきだという指示ないしは措置をおとりになりますか。それはいかがですか。

坊秀男自由民主党大蔵政務次官

○坊説明員 普通の転業の場合に比べまして特に優遇ということはただいまのところ考えておりません。普通の転業の場合と同様に——それは変な転業というのでなしに、正しき転業をするという場合には、これは普通の転業と同じように取り扱っていく、こういう考えでおります。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 中小企業庁の今井振興部長見えておりますね。大蔵省は普通に扱うと政務次官が申しますけれども、やはり順位もあるとわれわれ聞いております。従って、事実上はなかなか困難だというふうになるのではないかといっております。でありますから、あなたは中小企業庁の振興部長のお立場からしまして、これはやはり積極的に何らかの手を打って協力してやる態勢を示すべき必要があるのではないか、こう思いますが、こういうことについて積極的な意図を持って協力する御意思はありますかどうか、その点を一つはっきりしてもらいたいと思います。

今井善衛通商産業事務官(中小企業庁振興部長)

○今井説明員 中小企業に融資いたします政府金融機関といたしまして、御承知のように三つございますが、一つは国民金融公庫、一つは中小企業金融公庫、もう一つは商工中金、この三つの機関がございまして、これは中小企業に対しまして融資有するわけでございますが、あらゆる中小企業に対して融資するわけではございませんで、たとえば、現に、旅館業にいたしましても、取扱い準則といたしまして、たとえば料理を主とするものとか、あるいは風俗営業をやっておるものとかいうものに対しては、融資しておりません。従いまして、業者の方が転廃築いたしました際に、その転廃業先の業種が非常に適当なものであるという場合におきましては、これは普通の中小企業と同じに扱うことになっております。先ほどちょっとお話がございました佐世保の問題につきましては、現に業界の方から祖業組合を作りまして、西海観光地帯というのですか、あそこに公衆浴場を作りたいというふうな話がございまして、その資金を商工中金の方から融資してほしいという話がございまして、私どもも商工中金とよく相談しまして協力するようにというふうに申しているほどでございますので、従いまして転業の計画、が非常にりっぱであって、この際やはり国の資金で協力した方が妥当だという場合におきましては、特に私どもも協力するようにいたしております。たとえば普通の物品販売業とか何かを営むという場合におきましては、これは普通の転業者に対する融資と同様の順位におきまして取扱いたいと存じております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 大蔵省に対してその点について重ねて聞いておきたいと思います。これはやはり相当窓口をはっきりしてやって、そうして幾つかの案件は適切に早く処理して、時期を失しないように処理をしてやりますと、あとへあとへほんとうに新しい計画を立てようとする者がくびすを接して出てくると思う。ところが、これがあと数カ月続ままして、年末になるというようなことになると、経済界の変動もどうなるかわからぬというときでありまするから、従って、あと数カ月ということになりますると、あるいはもぐって新しい白線地帯へ仮装転業をやるというような者がまただんだん出てくるおそれもあるわけです。あるいはまた、別な手を打ちまして、そうして政界に働きかけてきて夢のようなことを現実に思うて錯覚して金を使うようなばかなこともあるいは生じてくるわけであります。いずれからしましても、要するに、金融当局、また中小企業者を指導する当局、ないしは財政資金についての主管庁の大蔵省等におきまして、適切に早く道をつけてやり、解決をするように指導その他何か策定していきませんと、時期を失したらだめなんです。百害あって一利ありません。いっそないならないということになるとまた方法がある。なまじっか国の機関があるというから待っているわけなんです。待っているのだけれども、たとえば、運動資金が要る、五十万金を借りるのに金を五万円も使わなくちゃできないとか、あるいは一週間でできるものが数カ月かかるとか、あるいはひもつきでないと貸さないとか、選別融資とかいうような、いろいろな弊害を現実に聞くのであります。ましてや、現状は金融難であります。経済攪乱の結果、金融梗塞の実情にあります。こういうときでありますから、金を貸す者が王者であります。高利貸しがはびこっておるのであります。こういうときでありますから、そういうような世の指弾を受けるような業者が転業するというものに対しましては、特別な理解を持つという態度を持っておらぬと、なかなか事はうまく運ばぬのであります。こういうこともありますので、そういう障害になる要素はいろいろあります。こういうことをやっぱり積極的にあなたの方で適当に指示を与えて、そうして水が流れるようにしてやることが、私は大蔵省の責任だろうと思います。でありますから、いろいろと誤まった方へやらないようにするためにも必要でありますので、大蔵省といたしましては、今のような問題点につきまして積極的に指示策等々手を打っていかれることをぜひお願いしておきます。これは一つ十分に事務当局とも御相談下さって、大臣とも相談して下さって、画期的なこういう法律がまさに来年の四月に全面実施に至ろうとする段階でありますので、非常に重大問題化しつつあるということをお考え下さって、一つ善処してもらいたい。よろしゅうございますか。

小熊孝次大蔵事務官(主計局法規課長)

○小熊説明員 吉田委員の御意見、しごくごもっともだと思います。大蔵省といたしましても、業者が正しく転業をしていかれるということは、まことにこれを期待しておるところでございます。そこで、正しい転業の計画をお立てになって、そういったような場合の金融といったようなものにつきましては、できるだけの考慮をしていきたいと思っております。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 私はいろいろなお聞きたいことがありますが、まだほかの委員の御質問も残っておりますし、時間もだんだん経過しましたので、もう一つだけ厚生当局に伺って、きょうの質疑はまた別の機会に譲ることにいたしましょう。  安田局長に聞きますが、従業婦に対する対策といたしましては、いろいろな方途を積極的に手落ちなく講じてもらわなければいけませんが、保護更生について、特にさきにちょっと神近委員も御指摘になっておりました兵庫県の神戸市にある生田病院という病院の院長の考え方であります。やはり肉体的にも精神的にも一種の異常性格と申しまするか、常時性欲高進状態といいますか、そういったような人もずいぶんあるらしゅうございますので、従って、こういう人を、ただある婦人病の疾患を治療するとか、性病を治療するとか、その他の精神病の疾患を治療するとかいうだけでなしに、人そのものを普通人として回復するというような根本的な努力を婦人に対してするという施設、その施設は物の施設だけでなしに人間の設備、こういうようなものを積極的にやるということをいたしまして、言いかえますると、現在従事しておる人が肉体的に精神的に普通の社会人としてりっぱに更生していくところの資質を回復する、もしくは獲得する、そういうようなふうに私は大きな手を打って設備を作っていくということが必要であろうと考えるのであります。でありまするので、保護施設等にいたしましても、そこまでやはり深い考えをもちまして、いろいろと設備をしようというものはできるだけ伸ばすように、もしくは国が創意工夫いたしまして、そういうものを積極的に施設するときには、そのくらいな構想のもとに私は全国的に代表的なものを幾つかごしらえる、こういうようなところまでやはり考えをまとめていただきたい、こう思うのであります。そういうふうにいたしまして、現実のいろいろな需要に応ずるという半面、根本的な安心と信頼を持ってからだを託していけるような、そういうような設備を国は構想として持っていっていただきたい。厚生省といたしまして一つの重大な責任のある事柄でありますので、そこまで深く掘り下げてもらいたい、こう思うのでありますが、これはあなたの方の内部にはそういうことについての幾多の専門家もおられることでありますから、大胆な施策をやってもらいたい、こう思うのであります。一つその辺につきましてお考えがありましたら聞いておきたいと思います。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 今考えております婦人の保護更生寮、また現にやっております保護更生寮というものは、もちろん病気がありました場合にはそういったような病気を適当な医療機関に託して直すという考えでおりまして、中に入れまして必要な生活訓練、社会訓練をいたしますし、また必要に応じまして簡単な職業補導をするというような考えでおります。お話のような非常に特殊な場合、性格が非常に異常的であるというような場合には、自由を拘束するような措置を伴わなければおそらくうまくいかぬのじゃないか。生田病院の例は私はよく知りませんけれども、外へ勝手に出ていくという場合に、それを押える手段がないというふうな現在の私どものやっております社会福祉施設としての保護更生寮としてはそういうことができるかどうか多少疑念がありますけれども、今の生田病院のことにつきましては十分研究してみたいと思います。

吉田賢一日本社会党

○吉田(賢)委員 済みませんがもう一つだけ聞かしておいていただきたい。法務省の刑事局長に伺いますが、笠松の刑務所の問題であります。実は、私どもも、婦人をああして収容して、刑務所の中に繊維工場を作っておられます。この施設につきましては非常に興味を持って見ている一人なんでございますが、そこで、監獄法と受刑者との関係になりますので、この点は同時に保安処分との関連においてちょっと伺う次第であります。  もし、保安処分におきまして、何かの外部的な産業に従事せしめて、そして授産、職業補導をするというような、そういう設備をいろいろとしていきます場合に、今の監獄法によりますと賞与金として若干の金を供与するようになっております。あそこの笠松の場合に見ますと、最高が一カ月七十八円であります。これは三十二年の一月。最高一カ月の賞与金として所得が七十八円であります。ところが、工場が、つまりこの場合ならば東洋産業会社が支払っておる勤労に対する報酬は、多いのは一日が二百円、一カ月三十日と仮定して六千円払っております。一カ月六千円の業績をあげながら、実は七十八円しかもらっていない、こういうことになります。もっとも、それは性質が違う、産業会社からもらうのは即国庫の収入、従ってそれは個人である囚人に渡すべきではない、こういうような考え方に監獄法はなっておるけれども、実際から考えますと、やはりそこには個々人によってずっと大きな産業的成果はあがっておるのであります。ですから、今後この種の、一時どこかで一種の拘束状態に置くというような結果何かの産業に従事せしめるような場合におきましては、やはりもっと経済的に、たとえばある仕事を習う、今度外へ出てその仕事が自分の正業として就業していける、若干の資金がかせげるという見通しがついたら非常に明るい希望が持てるのであります。ところが、一カ月七十八円しかもらわない。事実は六千円の仕事をした。ちょっと想像もできぬような結果があるわけです。監獄法に書いてあるのだから仕方がないと言えばそれまででありますけれども、しかしながら、大臣は金額はどうとでもきめられるようになっておるはずであります。政令はそうなっておるはずであります。こういう点から考えまして、またそういう常識からも、不自然というものをなくすべきではないであろうか。もっと端的に言いますと、職業補導をするような場合に、これはできるだけその人の所得になるような方向へ持つていくという考え方を根本にしていろいろと考えていただくべきではないだろうか。もっとも、保安処分の内容と保護施設との関連等とは別個の問題でありますので、いささか話が違った要素を一つにまとめて御質問するようなことになるかもわかりませんが、一つの構想といたしまして笠松の刑務所の実情を何らか生かすようなことが考えられる際には、私はやはり考慮すべき一点ではないだろうかと思う。国家の所得があまりに大きく、個人の所得があまりに少い、その開きが少しふに落ちぬ、納得しがたい、こういう点が残りますので特に考慮してほしいと思うのでありますが、これについてはどうお考えになりますか。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本説明員 まことにごもっともなお尋ねでありまして、あげておる作業の成績が相当の賃金に値するわけでございますけれども、先ほどの吉田委員からのお尋ねの通り、国がまるがかりで一切の衣服、寝具、住居等までまかなって、しかも監護しておるわけでございます。さような点からいきますと、国の全体の経済かいきますとそれでもまだ赤字になるわけでございます。私、所管がちょっと違いますけれども、矯正局の方にもっと作業能率を上げろというようなことで大蔵省の方からときどきさようないろいろのお話があるそうでございます。元来懲役の執行でございますけれども、非常に行刑思想が進歩いたしまして、現在では、刑罰によって罪の償いをするという面もさることながら、本人の更生、保護というようなことに非常に力が注がれておりますような関係上、かような画期的な施設を試みておるものと考えられるのでございますけれども、今度考えられております保安処分——まだ仮称で、補導処分というようなことをわれわれは考えておるわけでございますけれども、さような際にとにかく懲役とは違って本人の保護、更生という面を大きく打ち出したいというように考えておりますので、吉田委員のお尋ねのもっと作業賞与金をやれるようにしたらどうだというようなことにつきましても、私ども細目をきめます際には十分に考慮に入れまして、できるだけ本人の意の立つようにやっていきたいというように考えております。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 この際委員長から政府に一言申し上げておきます。これは御答弁を必要といたしませんが、先ほど法務大臣が、売春防止法の施行に関して、法律の規定通り来年四月からこれを実施すると御言明になりましたが、さらに、実施期を控えて残存する業者があるならば、法律の規定に従って断固処分するという御言明もあった。これは吉田委員の御発言の通りきわめて重大な問題でありまして、行政上の責任がとれなかったとか、大蔵省で予算が削られたから何ともならぬとか、こういうことでは済まされない大きな社会問題となって参りますから、こういう点を十分御考慮の上、予算的措置、行政的措置の十分の御配慮をお願いしたいということを特にお願い申し上げておきます。  佐竹晴記君。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 水産庁長官に、ビキニの補償額決定のいきさつについて承わりたいと存じます。すなわち、いかなる機関との間にいかなる折衝が行われて、どのような解決をせられたか、その説明を承わりたいと思います。

岡井正男水産庁長官

○岡井説明員 お尋ねのビキニの被災事件に伴う損害補償の問題につきましては、米国政府と種々接衝を重ねました結果、昭和三十年一月四日に政府は米国から慰謝料といたしまして二百万ドル、日本金に直しまして七億二千万円を受諾することを閣議決定いたしまして、一月十一日ビキニ被災事件損害の補償措置に関する打合会、当時の官房長官を会長といたしましたものを設置いたしまして、関係各省担当官の十数回にわたる協議を経まして、公正かつ妥当な配分試案の作成を了したので、打合会といたしましての決定を見、次いで四月二十八日に配分額を閣議決定いたしまして、同時にこれが配分の実施は次のように各省において行うことに閣議決定を見たのでございます。  すなわち、治療費及び傷病手当金につきましては、厚生省関係といたしまして約三千万円、それから、商船関係の損害につきましては、運輸省関係でございまするが、百二十七万円、前二項以外につきましては、農林省関係でございますが、これが六億八千八百万円余でございます。以上のような決定に基きまして、農林省は、主としてその実務に当りましたのは水産庁でございまするが、これが適正かつ早急な配分を行うために関係業界の意見をもしんしゃくいたしまして交付の方法並びに配分額査定の基準などをきめまして、次の通りの配分額を決定したのでございます。いわゆるマグロ水産業関係分につきましては五億八千四百万円、ちょっと端数はありますが、主としておもなるものがこれでございまして、これが早急かつ適正な配分を行うため関係漁業団体の意見をしんしゃくいたしまして配分基準を定め、該当者別の配分額を査定の上、昭和三十年軒月二十八日該当者から代理受領の委任を受けて日本鰹鮪漁業協同組合連合会長横山登志丸に対しすでに内払いとして一般会計予算費から支出済みの三千六百万円を控除した残り、いわゆる五億四千八百万円を一括交付したのでございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 それでは、いかなる被災に対して補償をされることになったのでございますか。それを承わりたいと思います。私の聞くところによれば、第一が危険区域設定に伴う被害、第二が漁獲物の値下りの被害、第三が廃棄物に関する補償、農林省水産庁関係においてはこのような被災に対して補償をきれることにきまったということでございますが、その通りでございましょうか。

増田正一農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○増田説明員 主務課長でございますが、御説明いたします。ただいま先生から御質問がありました通りに、漁業者関係といたしましては、危険区域の迂回に要する経費、それから漁獲物の値下りに関する補償、それから漁獲物の廃棄に関する補償、この三点に相違ございません。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 それでは、補償される者はだれでございましょうか。すなわち、船主に対する被害補償に限られておったのでございましょうか、船員に対する被害の補償も包含したものでございましょうか。

増田正一農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○増田説明員 この慰謝料は、船主とともに乗組員の分も包含いたしております。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 各被害者に対する補償金額は、農林省水産庁関係においては、水産庁の責任において基礎的事実を調査せられてその金額を決定されたようでありますが、いかなる方法によってその補償額を決定されたのでございましょうか。

増田正一農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○増田説明員 まず漁獲物の値下りについてでございますが、この値下り分につきましては、各市場におきまして当該漁船がその市場で漁獲物を売った値段と、被害を受けなかった他の漁船が売った値段との差を基準にいたしまして、さらに当日その当該漁船が売った数量を乗じまして、その漁船の損害額に計算いたしております。従いまして、この漁獲物の値下り分につきましては個々の船舶の実績でございます。  次に漁獲物の廃棄でございますが、これは汚染マグロと申しますか、漁獲物のある一定の基準以上に汚染したと認められるものにつきましては、当時厚生省から廃棄命令が出ております。従って、その現実に廃棄いたしました漁獲物の価格及び廃棄に使用いたしましたその船舶の廃棄の経費、このものにつきまして補償の対象にいたしております。  第三点といたしましては危険区域の迂回の分でございますが、これは個々の船舶の迂回事実を航海日誌ないしは操業日誌、こういったものから積み上げておけば非常にいいのでありますけれども、全漁船につきましての航海日誌、操業日誌から損害額を計算することは非常に日数を要します。当時たまたまアメリカに日本政府として要求する時間的な関係もございましたので、この危険区域迂回に要します経費の要求につきましては、一応理論的な計算をいたしております。従いまして、対象漁船といたしましては、当時漁業許可を受有いたしておりました全漁船を対象にいたしております。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 私の承わるところによれば、各船ごとに、何年何月何日どこを出港して、どの海区で操業をしたのかしなかったのか、あるいはまた迂回したのかしなかったのか、また漁場を放棄したのかどうか、またどこを経ていっどこに帰り、どのような漁獲、があって、どのような魚をどれほどいかにして廃棄したかということを、一々荷受証明書その他証票のある分についてはできるだけ詳しい証票を添えて届け出をさせて、そうして水産庁としても責任を持って調査をして確認をなされたということでありますが、少くとも政府の金を——そうやって血の出るような命にかえた金でありますから、これを配分するについては少くともそれだけの手続はせなければならぬことが当然であると思いますが、これはおやりになったのでございましょうか。

増田正一農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○増田説明員 漁獲物の値下りに対しまする補償関係並びに漁獲物の廃棄に関する補償関係につきましては、ただいまお尋ねになりましたように、個々の実績を全部積み上げて計算しております。ただ、先ほども申しましたように、危険区域の迂回につきましては、時間的な関係もございましたので、理論的な計算をいたしております。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 それがどうしても私どもは理解ができないところであります。漁場を放棄したか迂回したかといったようなことは、これは理論的に推論のできることじゃございません。航海したものと推論しても、それは理論的推論じゃございません。それは課長の方では理論的に推理ができるとおっしゃるかもわかりませんが、これは単なる空想でございます。空想で損害額を決定することが許されよう道理はないと思います。私の聞くところによれば、たとえば高知県について考えてみますると、第三号明賀丸は、長期ドックに入っておりました。第八号大黒丸は、沈没してございません。第五号若丸は廃船となってドックに入っておりました。これら、航行もいたしておらなければ従業もいたしておりません。もちろん漁場の放棄もしなければ迂回もいたしておりません。しかし、それに補償金が与えられて、それらの人がまた黙ってもらっておるのです。こんなことが許されよう道理がない。水産庁当局といたしましては、これらは理論的推論によって理論的な結論を得たのだと申しますけれども、どういう航海をしたか、それから、どの漁場を放棄しにか、そういったことが理論的に推論のできるものじゃないのでございます。一体これは何を基本として、どこへ迂回し、よって漁場を放棄したという、そういう理論的結論を得られたのでごさいましょうか。いわゆる理論的ということはどうしても私どもには理解ができないのでございます。御説明願います。

増田正一農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○増田説明員 ただいまの点は、私理論的と単に一言で申し上げたからいけませんが、当時ビキニに設けられました危険区域を、内地の三崎港を一応基準にいたしまして危険区域を迂回して回るための距離と、直接漁場へ参ります距離との差を一応とりまして、——もちろんその距離の差は、各般の大きさあるいは速力によって、燃料の消費量あるいはその他の経費がかかるわけであります。これを業界の意見も聞きながら、船の大きさ別、船型別に区分けいたしまして、そうして当時許可を持っておりました漁船にその経費の比率をもって按分したわけでありますがただいま先生も言われましたように、理論的計算というのは、確かに私どもも実際は個々の船を積み上げ計算すればよかったのでありますけれども、対要求をするので、時間的に非常に急を要しましたので、一応理論計算をやっております。従って、配分の場合も、対米要求をいたしました要求の内容と同じような計算をいたして個々に配分いたしにわけであります。もちろん、この配分につきましては、関係の業界の意見をもしんしゃくしてやったのでございまして、ただいま先生の言われましたように、当時沈没しておった船があるということでありましたが、私どもが取り上げましたのは、当時の漁業許可台帳を基準にいたしましたので、そこにそういった差が出たかと思います。当時連合会が現実に補償金を配付いたした際も、連合会としてそういう事例のわかりました分につきましては慰謝料の配分を停止した経過があります。たまたま高知の例をあげて今御質問がごさいましたが、そういう沈没船がかりにあれば、当然法規的には水産庁に、沈没した、廃棄したということで許可の訂正をしなければいけないのでありますが、当時許可台帳にはそのまま載っておりましたので、水産庁としては個々に配分したわけであります。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 先ほど、いかなる被災に対して補償をしたのかという、その基本的な関係について、危険区域設定に伴う被害をお認めになりました。そうすれば、危険区域に行くことができないで、漁場を放棄し、あるいは他の方を迂回する、そうして、ただいまの御説明にあります通り、燃料の消費量等を計算いたしまして、その航行の状況などを推断できるという理論的な御説明でございます。ところが、頭からドックに入っておって一向就航してない、さらに沈没してもうない、あるいは廃船をして何ら使用しておりませんような船に、台帳に許可の登録があるからといって補償を交付する。ところが、他面漁獲物の値下りないしは漁獲物の廃棄等については、先ほど御説明の通り、個々の事実をお調べになりまして、そうして届出をさせ、あるいは市場における実情等を調査いたしまして、その調査の結果結論が出ておるのであります。しからば、こういった先ほどあげております高知の船等についても、長期にわたってドックにいるとか、あるいは沈没してしまってないとか、あるいは廃船になっているとかいったことは、高知へ電話をかければすぐわかることでもございますし、他の漁獲物の値下り、あるいは漁獲物の廃棄等について調査をするような手数のかかることではございません。電話一本ですぐわかることであります。ところが、その他のことは詳細な調査をし、証明書を添付させて届出を要求いたしておるにもかかわらず、ただいま御説明の一番大切な危険区域設定に伴う被害関係のみを、単に漁船として登録をしておったという一事実を基礎にいたしましてこの補償額を決定したということは、どうも理解のできないことである。もしこういったようなことでやっておきまするならば、他日また外国との間に折衝、交渉をするようなことがあるといたしましても、これは向うがなかなか容易に信頼しないことになりはしないか。将来に対する重大な問題ともなりますので、これはよほど御留意を願って、政府当局といたしましても、将来は確実な事実をつかまえてその補償をしなければ、他の関係者等の異議なども出て参りまして、まことに芳ばしからぬ結果を呈するようになりますので、これは特に一つ将来御注意を願わなければならぬことだと思います。  実は私はこれらについて徹底的に今少しくお尋ねをしたいと考えておりましたが、水産庁の方も御心配され、あるいは鰹鮪連合会の方におきましても誠意を示して問題の解決に熱意を持って当っておるので、関係者から本日の委員会においては政府の誠意のあるところを聞きおく程度にとどめてもらいたいという希望もありましたので、その分についてはその程度にとどめまして、将来について十分の御留意を願うことを私は希望いたしておきます。  次いでお尋ねをいたしたいのは、政府はその配分を日本鰹鮪漁業協同組合連合会に一括一任されたようでありまするが、これはどういう関係で一任されたのでごさいましょうか。

岡井正男水産庁長官

○岡井説明員 当時は、末端の企業者、いわゆる船主並びに迷惑をこうむった従業者の方へ一刻も早く金を渡すための一番近道はどうかというような点で、内部的にいろいろ事務的に検討したのでございますが、結局末端で一応受領をする船主から委任状を中央の団体である鰹鮪連合会の方で集めて、それが代理して受領するという形にするのが一番早いというようなこともありましたし、一々国が直接その船にやりましても、その船の数が非常に多いわけでありますので、その方がよいだろうという考え方で、あの際はそういうふうなことをやりましたが、しかし、自今将来におきまして、ああいうふうな多数の船があればまた検討を加えたいと思いますが、船数が少い場合には国が直接やるという方法もむしろよりいいのではあるまいかというような考え方をいたしております。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 ただいまの水産庁長官の説明によりましても、アメリカから取りました慰謝料については政府の責任において配分すべき金であり、これは当然政府の事務であると私は存じます。従いまして、これを鰹鮪連合会に一任いたしましても、それは政府の事務を代行しておるのにすぎないと私は考えられますが、いかがでございましょうか。

岡井正男水産庁長官

○岡井説明員 やはり政府がもらった分の配分の責任は政府で持つのは当然のことでございまして、その際は鰹鮪連合会の委任状が出ておりますので、鰹鮪連合会には十分われわれの意のあるところを直接あるいは文書をもって注意いたしまして、末端までの配分については間違いのないような指示をいたしたつもりでございまするが、しかし、なおその後相当期間がありまして、若干末端において流れていないような点、あるいはまた末端の船主と乗組員のいわゆる労務契約といいますか、そういうものが地方によりまた各船により若干ずれがあるような関係がありまして、非常にひまどったようなことがあります。そういう点は御指摘のようにわれわれも遺憾と存じておりますので、将来においてはこういうことのないように十分注意いたしまして、直接国が責任を持って当るようにしたいというような気持を持って——まあ今後ない方がいいわけですが、かりにありましても、そういうふうな方向で進みたいという考え方を持っております。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 日本鰹鮪連合会に配分方を水産庁から委託いたしまするや、連合会においては総額五億八千万円のうち四・六%というものを頭から天引きし、その残余を各府県の漁連に対し各府県ごとに配分するように一括一任をし、そうしてその各府県の漁連がさらにそのうちから二・三%天引きをいたしまして、船主に配分をしたということでありますが、その事実はお認めでございましょうか。

増田正一農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○増田説明員 ただいま御指摘になりました天引きという事実は連合会にはないと承知いたしております。と申しますのは、慰謝金を各府県の組合に配分する際は、一応全額配分いたしております。それと同時に、並行的に、当時かかりました経費の割当額を請求して、中央に送金させる、こういう方法をとったようでございます。従いまして、中央の連合会から各県の組合に行く場合には天引きという操作はないように報告を受けております。ただし、ただいま申し上げましたように、各県の組合ではすでに経費部分を東京に支払っておりますので、各県の組合から船主に行く段階におきましては、あるいは天引きという事実があったんじゃないか、かように承知しております。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 そういうことになると、これは私はお聞きしなければなりません。と同時に、この問題は、あなたはそういう解釈だといたしまするならば、これは法律上の手続によっても調べてもらわなくちゃならぬことになりますが、率直にお答えになったならばいかがでございますか。四・六%というものは頭から天引きしておるのです。二千七百万円近い金です。小さな金ではありません。しかもその二千七百万円の金というものの使途はどういうふうに使われておるか明確なんです。項目をあげて、これに使った、こう言うておる。おわかりにならなければ、お調べになりお答えになればよろしゅうございます。先ほど申し上げました通り、本日はあまりこの問題をそう問題視して質疑を申し上げるのでなくして、将来に対してこういったようなやり方をやってはいけない、こういう問題については虫のつきやすいものだから、あとで文句の起らないように、不正の起らないように、配分法に対する基準、あるいは何といいますか、配分方に関する法則と申しますかをこの際立てておく必要がある、その建設的な意見をお互いに一つ交換し合って、将来ともに船主、船員その他に対して誤解のないように、また配分もスムーズにいくように、政府の責任もりっぱに果すように、かようにいきたいものと念願をいたしまするために質疑を申し上げているのであります。従って、率直に、事実はお認めになるならばお認めになって、しかしその費目はこれこれこういう方面に使っているが、それはどうもおもしろくないからこの分は将来よしましょうと、こういったような御意見でありまするならば、私はこれを承服いたします。しかし、今申しておりまする通りに、四・六%天引きした事実がない、それから府県連合会において二・三%天引きした事実がない、結局七%に近い金額を天引きした事実はないということをおっしゃるならば、私はその事実があることをさらに参考人等を呼んでここでお調べを願わなければならぬことになりますが、いかがでございましょう。これは天引きしてこれこれの費目に使ったということを連合会がはっきりおっしゃっているのでありまするから、また増田課長は終始その監督の責任に当っておられたのでありまするから、それがどういう方向に使われているのか、それは御存じのはずであります。従って、その点に対する率直な御意見を私は聞かしてもらいたいと思う。

増田正一農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○増田説明員 ただいま私天引きという言葉で非常に気にかかりましてそういう御説明を申し上げましたが、御質問が出ましたように、四・六%という経費の微収は事実でございます。その方法について、あるいは天引きという考え方であるか、私は、並行的に、慰謝料を出したのと経費部分を徴収したのは実は同時に行われておると報告を受けておりますので、そのようなお答えをいたしたのでありますが、確かに金額といたしましては二千数百万円の経費部分が経費として徴収されていることは事実でございます。それから、なおこの経費の内容につきましては、当時私どもはまだ存じておりませんでしたが、たまたま昨年この問題につきまして衆議院の議運の方で調査がございましたので、そのときに連合会から提出されました資料によりまして内容的には現在は存じております。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 それじゃ私からお尋ねをいたしてみますが、私の言うところの日本鰹鮪連合会の天引きというのは、四・六%、それは五つの項目に分れております。一つが配分に要した費用、それから第二が弁護士顧問に対する報酬、第三が補償金獲得運動のために支出したる経費、第四が将来魚類販売ができるようにする将来の運動費、第五、原水爆反対運動のために経費を計上する、こういうのであります。これはいかがでございましょう。こういう費目のために四・六%を使ったという事実はお認めでございましょうか。

増田正一農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○増田説明員 項目としては非常に詳細の項目の報告を私ども受けておりますが、大きく分けますと、ただいま先生の言われたような内容であろうと存じます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 もし、政府の御答弁のごとく、これがいわゆる経費であって、経費を並行的に支出したものである、こういうことであるといたしますならば、経費を出す側の承認を得なければなりません。しこうして、水産庁長官の先ほどの御説明によれば、その慰謝料を受ける対象、受けるべき者は、船主及び船員であります。しかるに、この経費を四・六%差し引くということについては、船主だけに相談はいたしておりますが、船員には相談をいたしておりません。そこで、船員の側から、もしわれわれに相談の上に、われわれが承知の上に出した費用であるならば、それは文句はないけれども、われわれの承知なしに、いきなりわれわれにくれる金額のうちから差し引いてくれたのだから、これは天引きであり、われわれが承知をしたものではないと、こういう文句が出たのであります。もし船主の側において承知をした者があったといたしますならば、それは船主の側はその経費であることを承知の上に並行的に差し引いたという、その説明は当るかもしれません。けれども、少くとも船員の側に対しましては、全部その説明は当りません。そこで、神奈川県におきましては、結局二・三%というものは船主が負担することにいたしまして、船員の分からは天引きいたしておったけれども、船員から文句が出たために、その二・三%というものは船主の側から船員の側にこれを返しておる。ともかく、天引きして取っておった。取っておったところが、それならおれたちに相談すべきものじゃないか、一言のあいさつもしなければ、会議も開いたことはないじゃないかと船員が文句を言うと船主の方で、それでは私の方でそれは負担いたしますといって、二・三%に相当するものを船員の側に返して参りました。これは天引きと言うほかありません。そして、問題となるのは、連合会において四・六%というものをただいま言ったように経費として差し引いた、それで今度府県連合会へ行ったら、府県連合会は二・三%また経費が要ったといって差し引いた、今度はまた船員の側に参りますと船員組合の方でまた費用が要りましたといって差し引いたといたします。こういう工合に次から次へと経費なりとして差っ引いて、だんだん残るものを少くして、しかもそれは本人の意思によらずして差っ引いて、意に反して渡したといったようなことになると、これはもし法に照らして論ずる場合には、重大な責任問題が起って参ります。どうにもこういうことは政府のやるごとではありません。政府がやらなければならぬ仕事を連合会へ一任いたしましたところ、連合会はこれに乗じて今言ったような費用を天引きいたしまして、そうして、あとでお尋ね申し上げますが、その経費がまたいろいろと法の許さない方面に使われている。ただいま申し上げたところの五つの項目のみではなくて、まだほかにも使われている。こういう事態が起るということは、これは政府といたしまして配分手続に対する当を得たやり方ではない。政府としては将来こういうことはおやりにならぬ方がよかろう。本日は過去のことを責めようというのではありません。将来に対する関係を私はこの際法則として打ち立てて、あることはあるとして赤裸々に一切出して、いけないなら、このことはいけないとして、将来の法則を立てるというのでありましたならば、私はあえてこれ以上さらに参考人を呼んで事実を調査して追及しようという考えはありません。私の気持をよく御理解願いまして、率直に一つ御答弁をいただいて、これらの問題についてこの委員会を通じて、こういう配分に関する法則を一つ立てておきたいものと私は念願いたしております。  そこで、私はいま一つ言葉を重ねて申しますが、配分に要した実費でございますが、これは一体政府が配分すべきものであり、向うからもらった慰謝料はそのまま慰謝を受くべき人に渡すべきものであって、これに要する経費は国費をもって支弁すべきものであると私は考えますが、これはいかがでごさいましょう。

岡井正男水産庁長官

○岡井説明員 配分に要する経費のほんの一部ではありますが、慰謝料の中に入っている部分もございます。ただいま先生から御指摘があった事務的な経費については、国が見るべきのがほんとうじゃないかというお説は、一応ごもっとものように見えますが、今後将来についてはわれわれとしては大蔵当局へ十分に当りたいと思っておりますが、あの際におきましては、先生からも御指摘がありましたように、国の方がその経費全部を見るのは少し過ぎるのではあるまいかというような経費も含まれておるやに思われる節もございます。そこで、かのビキニに関しましては、国の方から支出した金も一億二千万円余に上っております。そういうような関係で、大蔵事務当局と折衝段階におきましても、かりに日本鰹鮪漁業協同組合連合会が世話するということであれば、配下の関係業者の世話をするのであるから、一般のやはり鰹鮪連合会が普通に下の者のめんどうを見るように、要するに会費あるいは経費の適当な配分で努力してもらうという態勢はどうかというような話し合いもございまして、連合会の方の経費を国で持つというようなことをせなかった。その他につきましては、大体佐竹先生の仰せのように、あのときには船数も多いし、また倉率の際にこれが一番早いし、いいだろう、また、末端の船主と労務関係も、契約履行をしておりますので、双方仲よく相談して積み上げてくるものだと期待したのですが、その通りに必ずしも行っていないという点は率直に認めると同時に、まことに遺憾でございます。従いまして、自今やる場合には、十分あのときに遺憾であったという点は修正をいたしまして、たとえば従業者などは一番賃金で細い収入で生活しているような人たちでございますので、そういう人たちに経費負担などはあまりかけることのないように十分注意して今後は措置したい、かように考えております。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 ただいま申し上げたましに配分に要する経費についてさえも疑問が起ります。しかし、長官といたしましてもこの分についてはなお将来検討を要するという御意見でありますので、了承いたしました。  その次に、弁護士を雇った顧問の費用、これは一体いかなる性質のものでありましょうか。日本がアメリカとの間に外交折衝をしておる際に、その顧問の弁護士にいろいろ配慮をしてもらったことに対する報酬、これが相当大きな金額になっておるようであります。国が別の国との間に折衝をしなければならぬような事態に対する報酬といったようなものは、個々人から出させるべき筋合いのものでないのではないかという疑問が起ります。また、補償金獲得運動の費用を差し引いたり、あるいは将来に向っての魚類販売のできるような運動対策の経費を被災補償金のうちから差し引いたり、あるいは将来の原水爆反対運動の経費をただいまの慰謝料の中から天引きするなどということについては、よほど考えなければならぬ問題である。ことに、承知をしておらぬ人から天引きしたということになると、これは重大なる問題になりはしないかと考えられます。この四・六%の経費の差引についての妥当性について、水産庁といたしましても十分御検討を願いまして、連合会に委任された事務の遂行上起った結果でありますから、将来への方策を確立いたしまするためにも、正常な道に立ち返っていただくことをお願いいたしたいと考えます。  次にお聞きをいたしておきたいことは、これは人の名前もわかつておりますけれども、先ほど申し上げました趣旨において特定人の名前をさすことを遠慮いたしますが、鰹鮪連合会の役員にいたしましても、あるいは各府県の連合会の役員にいたしましても、この補償金の中から数十万円という金を、賞与と称して、たとえば船員とかその他の者に相談なしに、いきなりこれを差し引いて賞与に充当いたしております。これは事実があるかないかということについてきょう検討しようというのではありませんから、もしも、私が名前を指摘しないでこういうことを言うたのはけしからぬ、役員のうちだれもそういうことがないということでありましたならば、私はそのときには具体的に事実を示すことにいたします。ともかく、日本鰹鮪の東京における連合会、各府県における連合会の役員が、それぞれ月給参をもらって、あるいは月給をもらわなければもらわぬなりに、たとえば名誉職なら名誉職で一切の費用をもらわないで義侠的にそこに努力をしておる、こういったような人々が、人の災害につけ込んで、その慰謝料をもらうに際してこれから天引きして報酬を受ける、賞与を受けるといったようなことがあるといたしまするならば、これはゆゆしき問題であると同時に、水産庁がそういう連合会その他に一任されました結果起った事柄でございますから、これについても私は適当な監督を願わなければならぬと存じますが、いかがでございましょう。

岡井正男水産庁長官

○岡井説明員 ごもっともでございます。他人の災害の慰謝料が入ったからというて、せわしく働くことは当然の職責であるにかかわらず、それに関連して特別賞与をそういうものからたらい回し的に取ったというようなことがありますれば、それはまことに遺憾と存じます。従いまして、われわれとしても、そういう団体の経理面をきびしく戒告したり、また自今におきましても再びそういうことの繰り返されないように十分注意をいたす所存でございますから、御了承願います。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 政府もまことに率直に誠意を披瀝されておりますから、あまり多くのことを聞こうとは思いません。いま一、二の点をお尋ねいたしまして終りたいと思います。  その一つは、日本鰹鮪連合会では慰謝料の中から百万円というものを支出いたしまして自家用自動車を買ったそうです。ところが、これが問題になりまして、結局連合会の方におきましては組合経費から出したことに振りかえをしたということでございます。現在振りかえをしたことによって正常になっておるといたしますならばけっこうでありますが、こういったようなときにつけ込んでえてしてありがちなそういう事実がかりにあるといたしますならば、将来こういう配分のことなんかを政府がそういう機関に委嘱した場合には十分の御監督を願いたいものと思います。  いま一つ、各府県の連合会でまだ配分されていないものが八百十五万円余になっておるようでありますが、その点すみやかに適当に処理をなさるように御監督を願いたいものと思いますが、いかがでございましょう。

岡井正男水産庁長官

○岡井説明員 前段の自動車の場合は、前の賞与と同じように、われわれとしては十分に戒告したい。なおかつ、自今につきましてその種のものが行われないように十分にわれわれも監督上の立場で厳重に一つ注意をするつもりでございます。  あとの、八百十五万円の未配分があるという分につきましては、われわれとしても一刻も早くこれが円満に末端まで配分されるように、また配分について船主と乗組員の間に適当な処置が円満に解決できるように、二つの方法を迅速にやらしめるように、これも注意いたしたいと考えております。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 最後にお尋ねをいたしたいのは、鰹鮪連合会において水産庁から配分万花委託されました五億八千万円の金を連合会の方においては貯金をいたしておったと見えまして、その金利が三百二十万円ほどできておるようであります。これは実はすみやかに配分すべきものであって、すみやかに配分すればこんな金利が生まれるわけはないのです。どっちかと言ったら、金利をこさえておいてその金利をうまいこと利用しょうとしておると言われても弁解の辞がないでしょう。だから、依嘱されました事務は、こういうときにはすみやかに処理をなさって、金利を作ってその金利を操作するといったようなことがないように、事務処理の促進方を十分御監督願わなければならぬものじゃないかと考えます。ところが、この金利について、船主の側がほかで金のやりくりをやっていて、その金利を大へんたくさん出さなければならぬようになっておった関係で、このできたところの三百数十万円の金利は自分たち船主の方の借金の金利のやりくりの方へ充当をさしてもらいたいということを念願しておったようであります。これも船員その他の側が反対いたしまして、その希望通りにはいかなかったようでありますが、いま一つ、その金利で、これは連合会でございますかあるいは船主の側でありますか、よくわかりませんが、会館を建てたいから、それに充てたいという議論も起きていたように承わります。何分にも何億何千万円といったような大枚の金を政府から一民間の団体に委託をいたしますような際には、えてしてこういうことが起りがちなものでございます。そこで、私が当初から特に強調いたしておりまするものは、これは政府の事務ではないか、その事務処理は政府の経費でやるべきじゃないか、政府自身がこれをやるべきであって、一任したことそれ自体が重大な問題ではないか、一任したことによっていろいろの問題がここに派生してくるということになれば、政府としても相当責任を負うべきじゃないか、私が言いたくなるのはこれであります。ただいま起っておりますその一番問題になっておりますのは、船員と船主との関係でございます。ところが、船主の側においては、この金は船主の側だけにもらったものだ、船員には関係がないんだというので大へんもめておりました。そこで、船員の側から、そんなばかなことはないというので文句が出て、争いになり、結局こういう委員会に出てくるような結果になっております。そうして支払いの金も相当に残っておるというような実情でありまして、船員たちは借金をしてずいぶん困っております。それに生活費に窮して外から借金をする。まだ未払いのものがあって、もらえるものはもらえぬ、一方借金には責めたてられておるといったような船員も多数あることであります。こういうことは当然政府が一手に配分の衝に当るべきじゃないかと思われる事案でございますから、すみやかに鰹鮪連合会を督励なさいまして、スムースに一切の事件が済みますように一つ御努力を願いたいと思います。それがきれいに済みますならば、この問題を私は問題にしようという気持は毛頭ございません。しかし、まだあとへ問題が残り、どこまでもいろいろとこれが火が消えないようなことだといたしますると、私どもはこれをまたいま一度公けの場所において論議をしなければならぬ場合が出てくるかもわかりませんから、その点はお含み願っておきたいと思います。ことに、本件問題は実は議運にかけられた。だれかが緊急質問か何かやろうとしたのではないかと思います。議運にかけるというと、それがどうだれと協議したか、うやむやに葬られてしまった。それでまた議員がつかまされたという風評、が立った。それで一切問題は解決しない。そこで、佐竹に言ったならば、佐竹は、何と圧迫が加わろうと、誘惑が来ようが、彼はやるだろうということで、結局私のところに持ってきた。ところが、果せるかな、私のところにくると、いろいろなところから働きかけをしてくる。けさも事務室で論争をやった。おれの発言を制限するとは何事かということで、けんか腰で別れたのであります。しかし、けさ別の方もおいでになって、その人に対し、私は、しいてこの問題をほじくるというような考えのもとに当委員会に持ち出したのではなくして、配分の基準を定め、将来に対する法則を建設しようという建設意見を述べるためにこの問題を取り上げているのだからということを説明してお別れをいたしましたようなわけであります。そういうことで、私どもは、これをそのままほっておきますと、また佐竹もつかまされた、また消えたじゃないかと言われるから、きょうはとにかく長官にも課長にもお越しを願ったようなわけであります。事理を明らかにいたしましたから、これで私も納得をいたします。納得いにしますが、先ほど課長の説明しておりまする、ない船に配当をやったというようなことは、実は承知するといっても承知しかねるという問題だと思います。そのような問題についてもこれは問題点があると思いますが、本日のところは、将来に対する建設的な関係を念願をいたしましての質問でございますから、この程度にとどめることにいたしますが、しかし、すべての関係がおさまりませんと、またこの問題が再燃をして参りますおそれがありますから、船員その他各方面に対して全部円満に話が解決いたしますように、どうぞ水産庁においても御配慮願えますように要望いたしまして、私の質問を打ち切ります。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 本日はこれにて散会いたします。  次会は公報をもってお知らせいたします。   午後五時三十七分散会      ————◇—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗