法務委員会 第4号
- 発言数
- 87 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1957/02/15
会議録
○三田村委員長 これより法務委員会を開会いたします。 本日は昨日に引き続き相馬ヶ原における農婦射殺事件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを順次許します。福井盛太君。
○福井(盛)委員 二、三お尋ねをいたしまして、事実を明瞭にしたいと存じます。 私は、去る二月九日の土曜日に、他の代議士数氏とともに現地調査に参ったのでありまするが、あいにく雨のため道路きわめて泥濘で、自動車が本件事件の起りました個所までは行くことができなかったのでありまするが、この一帯の場所をつぶさに見ることができたのであります。この相馬村の村長らの話によりますると、この全体の坪数は実に約二千三百町歩でありまして、明治四十年ごろから射撃場として使用され、その当時の高崎第十五連隊の使用地と相なっておったのでありまするが、終戦後は米軍演習地として使用されて参ったのであります。まれには日本の自衛隊においてもこれを使用することがあるそうであります。これを使用するについては、実弾射撃あるいは空砲演習もやるのでありまして、私はここにこの地図を持参しておるのでありまするが、現場は、立ち入り禁止の場所というものが明瞭に区画され、またその立ち入り禁止の内側に全く危険区域というものがありまして、その危険区域までも明瞭に区画されておる状態であります。そして、昨日も政府側からお話がありました通り、赤い立て札等もされておりまして、きわめて明瞭になっております。一見してよく立ち入り禁止地帯が判明しておるのであります。しかるに、何ゆえに本件のごとき不祥事が起ったかといえば、これは言うまでもなく立ち入り禁止区域内に立ち入ったということから発生しておるのであります。だからといいまして、立ち入った、不都合なことをしたといって、すぐ射撃してよいかどうかという問題は残るのでありますが、これは全くそうは言えないことは書を待たないで明らかな点であるのであります。従いまして、ここに種々法律問題も起るのでありまするので、二、三お尋ねをしたいのであります。 まず第一に、公務執行中なりやいなやという点につきましては、昨日来の質疑にありましたので、私はその点については質問はいたしませんが、ジラルドが坂井なかを射殺する意思をもって発砲したのか、あるいはただ単に傷害の意思をもって発砲したのであるか、これは実にむずかしい問題であるのでありまするが、とにかく、坂井なかはその場において即死しておるのは事実でありまするから、果して傷害致死、すなわち身体傷害によって人を死に至らしめたと断定すべき問題であるか、あるいはそうでなくして初めより坂井なかを殺害する意思をもって発砲したのであるか、さらにまた、進んで過失、すなわち誤まって坂井なかを傷害し、よってもって死に至らしめたのであるかという問題がここに起ってくるのであります。傷害致死というふうに考えられておるように新聞その他からも承わっておるのでありまするが、この間の認定というものはきわめて重大なる結果を招来するものでありまして、この事実の認定にはきわめて慎重なる態度を要することは申すまでもないことがあります。従いまして、私どもとしては、この重大なる結果を生ずるこの点におきまして、事実の調査についてはきわめて綿密なる御注意をお願いすると同時に、今日までの過程におきましては果してどういうふうに見ておられるかという点について、いささか所見を承わりたいのであります。
○井本政府委員 前橋地方検察庁におきましては、去る二月九日に本件事件の送致を受けまして、自来鋭意関係者の取調べその他証拠の収集に従事して参ったのでありますが、昨日並びに本日の両日にわたりまして、その調べました結果を東京にもたらしまして、またその関係部署といろいろ協議いたしました結果、本件は結局被疑者のジラルド・S・ウイリアムスが傷害の意思をもって発砲したという結論に達し、その結果本人が死亡したのであるということで、結局これは傷害致死罪ということの結論に達したわけでございます。この傷害致死罪の結論に達しますれば、ジラルド・S・ウイリアムスのやっております行為は、いわゆる行政協定の公務執行中の作為、不作為から生ずる罪ということにはなりませんので、この点につきましては、われわれの見解といたしましては、公務執行中のものではないということになったわけでございます。ただし、この結論に対しましては、アメリカ側は公務執行中の作為、不作為から生ずる罪であるという見解を持っておりますので、現在の状況では意見が合いませんから、この結論は結局日米合同委員会刑事裁判権分科委員会で討議いたしまして、その討議によって結論を出すということに相なったわけでございます。 以上、簡単でございまするが、一応われわれの結論を申し上げた次第でございます。
○福井(盛)委員 次に私のお伺いしたい点は、米兵は演習中に発砲するときには、本件の場所は発砲するところから約一里半も離れておるのでありまするが、その一里半くらい離れておるというその先に対して、人影が見えるときには必ず飛行機その他の方法をもってビラをまいて退去を促すそうです。それでもなおかつ危険が残っておるような場合におきましては、米兵は演習を中止するというふうに承わっておるのでありまするが、きわめて注意を払っておるのであります。さような次第で実際の演習が行われておるのでありまするが、その事実は当局としてお認めになっておったのでしょうか。
○井本政府委員 お話の通り、平素におきましては、人命尊重の点からと思いますけれども、非常に慎重にやっておるようでございます。この問題の起きた日にも、午前中実弾射撃をいたしまして演習をしておったのでございますが、たま拾い関係者などがその近くに参りまして非常に危険であるというようなことから、実弾射撃はやめて空砲の射撃演習に変ったということを聞いております。
○福井(盛)委員 さような注意を払って演習をされておるのでありますが、それでもなお立ち入り禁止区域内に演習のあるときには二、三百人も日本人がたま拾いに入るということでありますが、このことについては、平素米兵においても黙認し、日本側においても黙認しておったというようなことはございませんか。御意見を伺いたい。
○井本政府委員 具体的なことになりますと、いろいろそのときそのときによって違いますが、大体におきまして、アメリカ軍といたしましては、からの薬莢などを回収するつもりがあまりないように見受けるのであります。従いまして、演習に差しつかえない限度で地元の人が薬莢拾いをするということは、実際上は黙認しておったようでございます。ただし、このたま拾いのために非常に演習が困難になるような事情がありますので、アメリカ軍といたしましては、極力演習場に日本人が入ってこないように注意を与え、あるいは実力をもって退去せしめておったということをときどき開かされております。その当日も、原則といたしましては演習中は日本人は演習場内に入らぬように努めておったそうでございますけれども、この問題の坂井なかさんなどの一行は、事実上入ってきましてたま拾いをしておりまして、それにつきましては、黙認といいますか、しいてどうするというのではなくて、たま拾いをするのにまかせておったというふうに承わっております。
○福井(盛)委員 従来立ち入り禁止の区域に入ることが黙認されておったということからでもありましょうが、引き続いて立ち入り禁止区域内に入る人が多々あったのであります。本件のごときまさにその通りであったわけでありますが、従来、かくのごとき禁止区域内に入ったということに対しまして、日本側として、またアメリカ側としていかなる処置をとっておったのでございましょうか、承わりたいと思います。
○井本政府委員 演出に差しつかえになるような演習場内への立ち入りはやめてくれということを、地元の市町村を通じまして地元氏に通達いたしましたり、あるいは警察当局を通じまして、なるべくそういうことのないようにということを何回も注意しておったようでございますが、その注意がそう強硬なものではなくて、むしろ場合によりましては清掃ができて都合がいいというような考え方も一部にあったようで、実際上はたま拾いをすることを黙認をすることもやむを得ないというような状況になってきておったようでございます。
○福井(盛)委員 いま一、二点お尋ねしたいのは、私の承わるところによりますと、毎年春と秋に一週間の期間をもって立ち入り禁止区域内に入ることを許されておったそうですが、昨年の秋には何かの都合で許されていなかった、そこで、相談の結果、本年の一月二十七日、二十八日の両日立ち入り禁止区域内に入ることに対してはよろしいが、二十九、三十、三十一日は厳禁する——本件の起ったのは三十日でありますが、二十九、三十、三十一日は厳禁して、二月になって一日から六日まで許されることになったと承わっておりますが、それを地元民なりが常習犯のごとくここに入ってくる。これらの違反者に対しまして、いかなる方法をもってこれを知らしめておったでありましょうか、おわかりでございましたら伺いたい。
○井本政府委員 演習を開始いたします際にはビラなど配りまして、何時からこういう演習をやるから、かくかくの地区は危険であるというようなことで一般に周知するようにしておったようでございます。ことに、問題の三十日などは、演習場内に入ることを強く禁止しておったようでございますが、どういう関係か、問題の三十数名の、演習には五十人以上のたま拾いが入ってきてしまいまして、そのままずるずるとたま拾いをしておったというように聞いております。
○福井(盛)委員 なお、これは私が地元で聞いてきたのでありますが、事はきわめてデリケートな問題になりますけれども、たま拾いに入った日本人と米兵との間において、往々にして、あるいは酒をやったとか、そのために薬莢をたくさんもらったとかいうようないかがわしい話もあるかのように伝わってきたのですが、そういう事実の有無については御承知でございましょうか。
○井本政府委員 具体的にいつどこでさようなことがあったかというはっきりしたことは聞いておりませんが、かなりきわどい、いかがわしい話があったような風評もたびたび耳にいたしております。
○福井(盛)委員 立ち入り禁止区域内に入るということは悪い、また、悪いということも自認しておるようでございますが、演習がいつ、何時から時まであるということを知っておったかどうかということをお尋ねしたのはその点であります。ただ、何と申しましても、地元民、ことに坂井なかのごときは、一町五反歩のうち一町を取られて、わずかに五反歩を残して生活をしておるということで、他に何か職を求めて何か収入の通を講じてやらなければ、生活にも困るというような状況であったかのごとくに承わっております。さようなわけで、生命を賭けても生活のために苦しい仕事をしなければならぬということのように承わっておりまして、この点法律問題を離れた政治問題として大いに考慮をしなければならぬ問題と思いますこれらの点につきましては後に残る大きな問題であろうと思いますが、その点について当局としては何か御考慮になっておることでもございますか。
○井本政府委員 権威ある筋から聞いたではございませんが、補償の条件をきめます際に、補償の金があまり高くないような場合には、たま拾いをすればいいじゃないかというふうな論議も行われておるやに聞いておりますが、さようなことではまことに国民各位に対しまして申訳ない次第、でたま拾いをしなくてもいいような公正な補償がさらに考えられてしかるべきではないかというようなことを、われわれときどき話し合っておるのでありまして、関係の調達庁の方などにも機会を見てさようなことを申し上げておるわけでございます。
○福井(盛)委員 よくわかりました。この点につきましては、ひとり相馬ヶ原の問題のみならず、基地の至るところに考慮される大きな問題であると思いますので、ただいま言われた御趣旨に従いまして、とくと一つ御配慮のほどをお願いしたいのであります。それから、最後に一点お尋ねしておきたいと思う点は、昨日来井本部長さんからもいろいろお話があったのでありますが、私どもとしてちょっとまだふに落ちない点は、行政協定による刑事特別が適用にならない、その反対に、ラスク並びに岡崎交換公文というものはこれは効力があるのである、たとえば補足でなくてもそれは本件についてあるのであるというふうにお話も聞き、けさの新聞にも出ておるのでありますが、その間何となく割り切れないような、矛盾するように考えられておるのであります。刑事事件として、特に刑事特別法は適用にはならぬで一般法でやられるということでありますが、その間の法律関係をいま少し詳細に御説明下さったならば大へん幸いだと存じます。
○井本政府委員 相馬ヶ原の演習場につきましては、昨日も申し上げました通り、岡崎・ラスク交換公文によりまして、アメリカ軍が施設、区域として使っているわけでございます。この岡崎ラスク交換公文につきましては、昨日来何回も論議が戦かわされたわけでございますが、結局、これは、行政協定の締結に際しまして、行政協定の規定の適用に関する了解事項を確認するために両国政府の代表者間で交換された公文でありまして、行政協定を補足する外交文書というように申し上げて差しつかえないと思うのであります。行政協定というものは文句が非常にむずかしい文句になっておりますが、結局、安全保障条約第三条に、「アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件は、両政府間の行政協定で決定する」と書いてございます。この行政協定というのが、アドミニストラティヴ・アグリーメントというような言葉を使っておるので、実施に関する協定といいますか、簡単に訳して行政協定というように言っております。結局その大部分はいわゆる行政協定によりましてきめられておるわけでございますが、六法全書に載っております行政協定だけで全部が解決するわけではなくて、岡崎・ラスク交換公文によりまして、平和条約の効力発生とともに終了するはずの占領に基く徴発による施設及び区域の合衆国軍隊による使用を行政協定第二条で定める個々の施設及び区域に関する協定が行われるまで特に継続せしめることに関する合意を主たる内容とするものであるというように考えるのでございます。この交換公文自体には、これに基いて使用が許される施設及び区域の性質につきましては特に規定はございませんが、日米安全保障条約並びにこの交換公文の性質にかんがみまして、行政協定第二条に定める施設及び区域へのうちに、岡崎・ラスクの交換公文で認めました施設及び区域は当然包含されるものというように解釈することができると思うのでございます。従いまして、この問題の相馬ヶ原演習場は、原則といたしましては行政協定第二条の施設及び区域というように一応解釈はされるのでございますが、さて、それでは、これが全部の場合に例外なくその通りやってもいいかどうかということになりますと多少疑問があるわけでございます。これは福井先生御承知の通り、民事と刑事はいろいろ違います。同じ賠償問題などにつきましても、刑事裁判権の関係からいきますと、公務執行外ということになりますればこれは日本側がやりますが、民事の賠償問題になりますと、むしろ被害者側には公務執行中の行為であった方がはるかに賠償の条件もその支払いなども楽にできるのでありまして、刑事裁判権でわれわれがこれは公務執行外であるということを主張いたしますが、違った関係部署では、公務執行中と見た方が被害者に有利ではないかというように主張もなされるわけでございまして、本件につきましては、一応相馬ヶ原演習場は行政協定第二条の施設及び区域というように解釈いたしますが、厳重に類推規定を除しております罰則の関係につきましては、これが積極的なそのような解釈適用は慎しむべきものだということで、いわゆる刑特法第二条の侵入罪につきましては積極的な扱いをすべきものでないというように考えているわけでございます。
○福井(盛)委員 ただいまの件につきましてはわかりましたのでありますが、そうすると、例外的に適用になったというふうに承わってよろしゅうございますか。
○井本政府委員 ただいま申し上げましたように、罪刑法定主義と申しますか、あるいは刑事政策と申しますか、刑罰法規というものは厳重に、何らかの疑問の余地のない程度におきまして適用すべきものだというように私は考えておりますので、ほかの賠償関係その他におきましては相馬ヶ原の演習場をこの行政協定第二条の施設、区域として扱うことには何ら以存はありませんが、刑罰問題になりますと多少考えを異にしなければいかぬ。ただし、同じ刑罰法規下でも行政協定第三章の刑事手続きなどの関係におきましては、ほかに準用すべきものがありませんので、やはりほかの施設及び区域と同じように相馬ヶ原の問題も扱ってしかるべきであると考えております。
○福井(盛)委員 私はこれで質問を終ります。
○三田村委員長 高橋禎一君。
○高橋(禎)委員 ただいま福井委員から質問があったところでありますが、ちょうど私が昨日の委員会で質問いたしまして、その御答弁はきょうの委員会でというふうに了承いたしておりましたが、もう一度簡単に繰り返しますと、政府の力では、刑事特別法に規定してある施設または区域、すなわち米駐留軍の使用している施設、区域で行政協定に基かないものがあり得るのかどうか、そこのところを一つ御説明を願いたいと思います。
○井本政府委員 問題の相馬ヶ原に限定さしていただきませんと、ほかにも、岡崎・ラスク交換公文できめられ、そして昭和二十七年七月二十六日の外務大臣の告示に書いてあります施設、区域以外にも何かあるように聞いておりますので、ちょっと恐縮でございますが、相馬ヶ原問題に限ってお尋ねいただきますれば、明確なお答えができると考えます。
○高橋(禎)委員 そうすると、法務省で調査されたところでは、米駐留軍が使用しておる施設及び土地の区域等に関しては行政協定に基くものだけだ、そういうことは言えないというふうに承わっていいのですか。
○井本政府委員 こういうふうに申し上げたらおわかりいただけると思うのです。昭和二十七年の七月二十六日の外務大臣の告示第三十三号を見ますると、「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定第二条第一項に基き日本国がアメリカ合衆国に対して提供する施設及び区域に関して昭和二十七年七月二十六日両政府間に次の協定が署名され、同日効力を生じた。」、こう書いてございます。そのうちの附表に全国にわたりましていろいろな施設が記載されております。この記載されておりまする施設は、中には保留という字が書き加えられたものもございまするが、たとえば相馬ヶ原演習場のごときはそうでございますけれども、この告示に記載され市した附表に書いてありまする場所は、これは全部行政協定第二条の施設、区域もしくはそれと同じに扱うべきものであるというふうに考えております。
○高橋(禎)委員 米駐留軍が使用しておる土地なりその他施設が現在たくさんあるわけですね。それは日米安全保障条約に渕源し、行政協定に基いて定められたものだけを使用しておるものだというふうに一応われわれには考えられるのですが、そういうものでないものはあるのかないのか、そこをやっぱりはっきりとしておいていただくことが、将来いろいろこれに関連する法規を援用する場合に非常に重要な問題だと思うのです。それを一つ簡明にお答え願いたいと思います。
○井本政府委員 調達庁の方に伺いますと、現在米軍が使用しておりまする施設、区域は全部行政協定第二条一項の施設、区域もしくはそれと同じ扱いをしておる区域だそうでございます。
○高橋(禎)委員 それと同じ扱いというところにまだ明確を欠く点があるのですが、要するに、行政協定に基いて決定されたものだけを現在米軍が使用しておるのだ、そういうふうに了解していいでしょうね。
○中村国務大臣 こういうふうにお考え願うといいと思うのです。行政協定の第二条によりますと、行政協定の日までになお両国政府が合意に達しないときは、こうあるのです。その日までというのは、その日が入ることだと思うのです。そこで、その岡崎・ラスク交換公文というのはいつかといいますと、行政協定のできた日である一九五二年八月二十八日でございます。同日なんです。同日に交換公文ができて、その交換公文ではどういうことを書いてあるかといいますと、占領中占領軍が使用していた地域及び旅一段は継続して使用するに同意をする、こういう交換公文になっているようですね。そうすると、その交換公文は一九五二年八月二十八日に行われ、同日に行政協定が結ばれておるわけであります。でありますから、その日までにというのに交換公文は入れてあると思うのです。これを観念的に言いますと、占領軍が占領中使っていた施設及び区域は、一応全体を綱をかけてしまっておいて、それからいろいろ検討をしようということになりまして、検討した結果、昨日調達庁の方からも聞いてみますと、継続使用ですから、認めた施設、区域は五十一ヵ所もあるそうでありますが、そのうち十二ヵ所は解除をしてしまっておるわけです。二十ヵ所引き続き使用する地域として正式に指定をしておるわけですが、残りの二十二ヵ所を、単に指定した二十ヵ所と一緒に官報に載せてあるのですが、下の力で保留というカッコ書きをしておる、こういうのですね。ですから、二十ヵ所は正式に使用承認をした。二十三ヵ所についてはこれは一応綱をかけてしまって、はずすものははずして、正式にきめるものはさめて、それから残ったものは仮承認、こういう形になっておるのが実態だと私は思うのです。これら関係条文を参照しまして、昨日も省内で討議をしまして、大体この解釈で統一していってよかろう、こういうことに意見の統一を見ておるようなわけでございます。
○高橋(禎)委員 中村法務大臣の御答弁で大体わかったわけですが、私どもは、日本国内の土地なりその他の施設を米駐留軍が使用する場合には、これは日米安全保障条約に源を発して行政協定に基いて決定されたものでなければ使用すべきものでないのだという感じを持っておるわけです。そこで、今御説明になりました点は、やはりそれも行政協定に基くものであるという御趣旨の説明のように伺うわけなんです。ですから、御説明を聞いて、私どもの考えておりますところと見解は一致するわけです。そういうことになりますと、これは井本刑事局長にお尋ねするのですが、刑事特別法の第二章第二条に出てくる「施設又は区域」、こういうことについて、先ほど来の御説明のあったような趣旨で取り扱われることが一体正しいのか正しくないのか、非常に疑問がある。行政協定に基いて米軍が使用する施設区域であるということになれば、そこに何ら区別すべきものでないんじゃないか、こういう感じがするのですが、これは福井委員の質問に対しても御答弁がありましたけれども、そこのところはいま少しく研究される余地はあるものかどうか、それをこの際一つお伺いいたしておきます。
○井本政府委員 原則といたしましては、米軍の使っております施設、区域が行政協定二条二項の施設、区域であるというように見るという見方は当然成り立つと思いますし、それが正しいと思います。ただし、いろいろ法律の問題は異説がありまして、たとえば、岡崎・ラスクによりまして認められた施設、区域で、しかも告示の昭和二十七年七月二十六日の第三十三号などを見ますと、第二項には、行政協定第二条一項に基いてアメリカに提供する施設、区域は附表の通りだ、ただし保留中のものは除くということがちょっと書いてございます。ところが、第二項で、岡崎・ラスク会談によって認めた地域はアメリカ軍が使用することに同意することを確認するというような記載があるわけでございます。その第一項を問題にいたしますと、この告示にも明らかになっておりますが、保留中のものは除くと書いてあるじゃないか、そういうような点から、行政協定二条一項の施設、区域は違った扱いをすべきだという意見も出てくるわけでございます。さような異説があるような問題につきましては、先ほど申し上げたように、刑事罰は厳格に適用すべきものでありますから、類推解釈は禁じなければいかぬ、さような観点で、これは少し積極的な適用は慎しむべきじゃないかというようなことで、先ほどのようなお答えを申し上げたわけであります。
○高橋(禎)委員 もう少しお尋ねしたいのですが、今のところ、結局において、中村法務大臣の御答弁にあったように、そして私どもそれを了解するんですが、行政協定に基いて——ほかのものに基いてではないんですね、結局は行政協定に基いて米軍が使用する施設、区域である、こういうことになれば、そこにいろいろ道行きも一違うでしょうし、手続も違うでしょうし、従って、それを告示する場合の表現も異なるということは、これはあり得ると思うんです。ところが、その表現が異なっておるからというので、この刑事特別法の運用に当ってその取扱いが二、三になるということが、私どうも納得がいかないのです。これはもちろんいろいろ研究する過程においては説が分れるでありましょうけれども、どうも解釈が二つに分れるから、従って、刑事法規というのは非常に厳格なものでなけらねばならないからというので、研究がまだ十分足りないで疑問があるからというので、これは関係者といいますか被疑者といいますかに有利に取り扱うというのは、実に不徹底なやり方だ、こう思うので、いま少しそこは研究される余地があるんじゃないかという感じがするわけなんです。それについて、なお一そう研究してみる余地があるのか、あるいはもうその余地なくして、今まで刑事局長答弁されたような趣旨で法を運用されるか、それを一つお伺いしたい。
○井本政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、財政負担をどこがやるかというような問題になりますと、これは疑いもなく、行政協定第二条二項の適用があってしかるべきものだと思うのでございますが、何しろ、私も少しくがんこなんでございますが、刑罰法規というのは厳重に類推解釈は禁止しなければいかぬというようなところから考えますと、この問題につきまして、刑事特別法第二条だけの問題でございますが、そのほかの問題につきましては全部同じに扱っていいと思うのでございますが、多少の疑問があるというように思うのであります。しかしながら、この問題は、さらに立法当時の事情などもいま少しく研究いたしたいというように考えております。
○三田村委員長 志賀義雄君。
○志賀(義)委員 昨日井本局長が、相馬ヶ原に関することは行政協定の一部であるということで、岡崎・ラスク交換公文ということがありましたが、昨晩の研究の結果を中村法務大臣から言われたのでありますが、とにかく、一つの公文の中で相馬ヶ原なども認めると言いながら、そこにはまた保留ということも書いてある。一つの公文の中に矛盾したようなことがあります。そして、今お話を承わりますと、もうすでにその半数以上解除されているようでありますが、従って、五年間もこれをほったらかしておいたところから、今度のようなあいまいなことが生まれるわけです。それをただ罪刑法定主義の点からのみしぼらずに、これはあいまいなところからこういうことが起るから、これを解除するということが必要だろうと思うのですが、そこに行くまでに五年間もこういう保留というあいまいのままで日本の領土の一部をほったらかしておくということは重大問題です。その点については法務大臣はどういうふうにお考えでございましょう。
○中村国務大臣 これは、伺いますと、大体一応岡崎・ラスク会談で占領中の施設及び区域の五十一ヵ所について継続使用を政府代表の間で合意をいたしまして、それから後、この行政協定ができまして、その行政協定に基くいろいろの協議を続けてきたようであります。はずすものははずして解除をし、正式に指定するものは指定し、あとの残りのものがおそらく本質的に言えば——岡崎・ラスク交換公文というのは仮使用を承認したというものだと思います。仮使用の状態で置かれておるわけでありますが、仮使用の状態でなぜこう長年の間置いておるかという問題がただいまの御質問の御趣旨かと思うのでありますが、この点は、ほかの点については私よく存じませんが、相馬ヶ原の問題につきましては、昨日調達庁の人に聞きましたら、地元として一部この部分を解除してほしいという要望もございまして、日本政府側としては米軍側に対してその一部分の解除を要求して折衝を続けてきておるらしいのです。ところが、先方では一部解除は困るというようなことで、懸案になってしまいまして、そしてそのまま解除が保留になって仮使用のままで今日来ておる、こういうことのようであります。従いまして、本質的にはこの行政協定の、使用する施設、区域であることには間違いないと思うのですが、正式に指定したものとの間には若干の仮使用的の観念が含まれておる、これが本体だと私は思います。
○志賀(義)委員 そこは問題です。つまり、仮使用ということは——日本の政府側では一部解除してくれということを向うに言っておるわけです。そういう問題のあるところだから、こういうことが起ると非常に工合が悪いのです。地元でそういうふうに要望し、日本の国民全体もなるべく基地をすみやかに取りのけというように要望しておるのですが、罪刑法定主義の立場からというような、国民一般のわかりかねるようなことで法務省の立場を主張されるよりも、国民にわかりのよいように、仮使用でこういうふうに現在こちらから異議を申し立てておる、解除してくれ、そこへ国民の声も寄るようにして法務省としてやられた方がいいんじゃございませんか。その点について法務大臣はどういうお考えでございましょうか。
○中村国務大臣 先ほど刑事局長からも申し上げましたように、行政協定に基く合同委員会で本格的に正式指定をしたところと、全体を、一応の網をかけたいわゆる仮使用的の岡崎・ラスク交換公文の場所とは、若干本質が刑事政策上異なるのが当然ではないか、こういう観点に立っておるわけであります。 そこで、本件の場合について見ますと、刑事特別法というのは日本人が犯した場合の処罰規定でございまして、第二条の適用がされるのかされないのかということが先日来国会で問題になっておるわけですが、これは、日本人がその指定区域に立ち入ったならば処罰するぞというのが第二条の規定でございまして、従って、そういう観点から、今まで日本人が禁止区域に立ち入りましても処罰を差し控えておったというのでありまして、本件のなかさんを殺した事件とは直接関係はないわけでございますから……。
○志賀(義)委員 直接関係はないと言われますけれども、先ほど福井委員からも、一町五反歩のうち一町をとられた、そういう点を解除してもらいたい、こういう気持がありますから、地元の人としては当然の要求です。なぜ私がこの点を昨日から特にその場で御回答を求めずに御研究いただいたかと申しますと、去年の秋の砂川の問題でも、行政協定第二条二項によれば、日本国の方から異議を申し立てれば、そこで問題となることができるのです。この相馬ヶ原の例を見てもわかるように、地元民の切なる願いを、異議の申し立てをせずにおいて、ああいう流血の惨事にまでなったのです。もしここで政府がしっかりした態度をとるならば、日本における基地の問題は、行政協定第二条二項の規定によって異議を申し立てて、地元民の要求、国民の切なる願いを——元来不平等条約に基く行政協定であって、廃棄を要求しなければならないものであるが、それによってすら一歩前進することができる状態にあるのです。その点を今度新たに法務大臣になられたあなたが活用していただきたい。そうでないと、今度のような不祥事件が繰り返し起ります。公務中の問題であるかどうかという、奈良のMP事件が前にありましたね。これは法務大臣も御存じであろうかと思いますが、つまり、勤務中にアメリカのMPが日本の婦人に暴行を加えた問題があります。暴行を加えたことが公務かどうかということで、結局公務でないということになりました。そういう問題にも関連してきますので、ただ罪刑法定主義というような、——一般国民にさえ通りの悪いことです。それよりも、今のような態度でやられたらどうです。砂川の問題も、いずれまたその点問題になるでしょう。小牧、新潟、木更津、みんな問題になります。そういう点で政府がはっきりした態度をとられるのは、今度の相馬ヶ原の遺憾な事件について、仮使用の問題、これははっきり国民、地元民の切なる願いにこたえるような、態度をとっていただきたいが、その点で御覚悟がありますか。この問題についてはこれを最後に伺いたいと思います。
○中村国務大臣 志賀さんにも御了承願いたいと思いますが、私どもの所管いたしております法務省といたしましては、できております条約、それに関連する法律等を適正に解釈をいたしまして、適正に法の運用をするというのがわれわれの方の仕事でございまして、ただ、一部解除という話を聞きましたがそれはどの部分でございますか、坂井なかさんの家で持っていた地所の分であるか、他の山林地区であるか、あるいは河川か何かあって、それから外でというようなことでございますか、それらは私どもよく存じませんが、いずれにいたしましても、長年岡崎・ラスク交換公文のままでそういうふうに残っておる分は、いずれもきっとほかの場所も何か懸案があるところが残っておるのだと思いますが、懸案のままで残しておくということは好ましいことでありませんので、政府部内といたしまして、調達庁あるいは外務当局等、それらの仕事を担当いたしております所管の方面に向いまして、御趣旨の点はよく伝えておきたいと思います。
○志賀(義)委員 行政協定の一部であると昨日井本刑事局長は言われましたが、それは、行政協定の発効の当日までに懸案として解決しないものは第二十六条の規定によって別個に取りきめをする、こういう意味で井本刑事局長は言われたのだろうと思います。ところが、第二十六条によりますと、日米合同委員会の構成について、アメリカ側一名、日本側一名となっております。今度のようなことがありまして、またジラルド・S・ウイリアムスを日本に引き渡しを要求するという場合、また日本の刑務所に収容するというような場合、いれず日米合同委員会でも問題になりましょう。ここでは、刑事特別法に基き、あるいは一般刑法に基いて犯人引き渡しを要求する場合には、法務省の側からもこの日米合同委員会の一名のもとに職員団というようなことで出ている人があると思いますが、それは一体どなたでしょうか。日米合同委員会の日本側の委員、かつてこの名前は公表されたことはない。陰のものになってやっている、日本人の目から隠されている。この際これを公表されること、ことに法務省としては、だれがその一名の日本人の委員のもとに参加してこういう問題を取り扱っているか、この氏名を発表していただきたいと思います。
○中村国務大臣 合同委員会の日本側の代表と申しますか、一名責任者としておりますのは、欧米局長のようであります。それから、裁判の管轄権に関しましては、この合同委員会の中にいろいろ部門別の分科会がございまして、管轄権の分科会の日本側分科委員長は、法務省の秘書課長津田君が担当いたしております。
○志賀(義)委員 これは、秘書課長がかわられると、次の秘書課長が常になられるわけですか。
○中村国務大臣 そうではないと思います。津田秘書課長は前に刑事局刑事課長をしておりまして、そのころから刑事裁判権分科委員長をやっているわけでありますから、地位のためではないと思います。
○志賀(義)委員 その前の質問に、一般的に私の希望したような方針でやられるということでございますから、どうかその係の方に中村法務大臣からしっかりやるように言っておいていただきたいと思います。 次に死の行軍事件ですが、昨日お尋ねいたしましたが、実は朝日新聞の二月十四日号によると、広島発として、広島地検豊島検事は、十一百陸上自衛隊海田市部隊をたずね、死の行軍問題をめぐって、演習に参加した部隊幹部から行軍演習の方法や実態について事情を聞いた、これについて、岡本同地検検事正は、管内で起った事件なので一応事情を聞いただけで、事件捜査ではない、本省からの問い合せがあった場合の報告資料にすると話しているという。そうしますと、この事件の捜査じゃないと検事正の言われるのは、自衛隊に対して検察庁は捜査権を持たないという意味であるかどうか、この点をお答え願いたい。
○中村国務大臣 これは、広島の方からも実情を調べて報告するようにということは言っておりますが、なおこの事故を起しました部隊は神戸の部隊であります。神戸の地検からも一通りの資料をわれわれは取り寄せているのでございます。ただ、今御質問になりました検察当局は活動しないのか、捜査権を行使しないのか、また捜査権があるのか、こういうことであったようでありますが、もちろん検察当局は捜査権を持っております。ただ、御承知の通り、検察関係は捜査権はありますけれども、大体警察のような手足を持っておりませんので、一般事件にいたしましても、やはり司法警察員の資格を持っております警察関係が下捜査をいたしまして、それらの大体しぼられたものをもって、——こちらはそれを決してうのみにするわけではありませんので、本来の検察当局の権能に基いて捜査を行いまして、最終的な結論を得る、こういうのが常道でございます。本件の場合におきましても、自衛隊の中には警務官という制度もございまして、昔の憲兵と同じではないと思いますが、それに類するものであります。この警務官が発動いたしまして、現地に行ってすでに調査を開始しておるようでございます。従って、検察当局といたしましては、捜査権はもちろんありますが、こういう警務官とか、警察官というような司法警察員としての手足を直接の機構として持ちませんので、警務官の一応の捜査を待って検察当局の判断をいたしたい。警務官は、御承知の通り、一般警察官と同じように、司法警察員としての資格を持っておりまして、部内に起きました諸般の事件についての捜査権がございますので、その捜査の実情を見つつやりたいと思っております。しかしながら、それではまるっきり無関係でおってよろしいかというと、決してそうではありませんので、おそらく皆さんも、同じ自衛隊の中にできておる警務官ならば、やはり味方身びいきで幾らかひいきがあるんじゃないかという疑いを世間の人も持つ場合があると思います。従って、われわれの方といたしましては、現地の検察当局に連絡をいたしまして、できるだけ下捜査は警務官に行わせますけれども、こちらとしても一通りの見通しを持ち、検討をつけつつ、警務官の捜査と連絡をしていく、こういう方法でいきたいということを目下考えておる次第でございます。
○志賀(義)委員 今のお話の前半を見ますと、手足を持たないで、自衛隊の中の司法警察員として警務官というものがある、それがやっておる、こういうお話。あとのお話になりますと、何だかそれに捜査活動を行わせておるという。どうも二重にとれるのでございますが、一体司法警察員に対して検事は指揮することはできないのでしょうか、また、自衛隊の警務官に対しては特に指揮権に制限されたものがありますか、その点を……。
○中村国務大臣 刑事訴訟法の百九十二条によりまして、具体的の事件については指揮をする権能を持っております。
○志賀(義)委員 そこで、問題になりますのは、一昨日の東京新聞の夕刊でありますが、高橋防衛庁官房総務課長が、「刑事責任が追及されることは部外者に関係のある事件ではないので筋違いではないか。」、こういうふうに言っております。これは一体正しいことでしょうか。もしこういうことを言ったとすれば、そういう点についての御見解を、別に意地の悪い質問ではありませんから、率直に答えていただきたい。
○中村国務大臣 その真偽のほどは私はまだわかりませんが、私どもの見解から申しますならば、たといそれが自衛隊であろうが、農林省であろうが、何省であろうが、あるいは警察庁にいたしましても、あるいは検察部にいたしましても、事件がございますれば、検察当局は捜査に関する限りは決して部外者ではございません。検察権行使の立場に立っておりますから、その話はどうも適切でないように思います。
○志賀(義)委員 ところが、今度は毎月新聞ですが、こういうことを二月十三日に書いております。それは、自衛隊が調査と称して、自分らの行き過ぎと暴行を合理化するために隊内工作をしているというふうになっております。先日井本刑事局長のお話では、まだ調査もしていない、目下研究中という。ところが、隊内では、青竹でたたいたの、たたかないの、それを当の連隊の上官が調べているのですから、だんだんうやむやになってしまう、初めは、新聞によりますと、国会に喚問され、証人にも出るくらいな話が出ておりましたが、その点がだんだん怪しくなった。そして、法務当局では目下研究中と言っている間に、この事件は消されてしまいますよ。だれか殺したらしい、だれか死んだらしいが、真偽が確かでないというのならば、研究もけっこうでしょう。しかし、現に二人の人間が死んだということは、侵しがたい事実です。法務大臣も御記憶でありましよう。昨年の正月、弥彦神社で死人が出ました。その前には二重橋前で死人が出ました。こういう事件については時を移さず検察庁は捜査権を発動して、事件を過失致死罪の刑事事件として取り上げましたのに、なぜ今度の事件だけそういうふうに遠慮なさるのですか。研究中々々々と言って、何かそこに特殊の事情がありましたら御説明願いたい。
○中村国務大臣 弥彦神社の事件についてはつまびらかにいたしませんが、二重橋前の事件については、私も、ちょうどこの事件が起きましたので、これと関連をして連想をして、事務当局とも協議の際に話題にいたしましたが、この二重橋事件のときにも、皇宮警察のできごとでありましたので、——宮内庁には皇宮警察というものがありますので、皇宮警察が第一次的な捜査をいたしまして、最終決定にあたりまして検察当局が協議をし、またこれに再審査的な捜査を行いまして結論を出しましたようで、やはりあのときも第一次的な捜査は警察当局にやらせているという経過でございますから、御了承願いたいと思います。
○志賀(義)委員 それはそうでしょう。では、今度の伊丹基地の自衛隊の事件について、自衛隊の警務官が調査した結果それをすぐ報告すべしということを検察庁としては指示されましたかどうか。
○井本政府委員 調べの結果はそのつど関係部局に報告するようにやかましく言っております。
○志賀(義)委員 本省の方に来ているのでしょうか。
○井本政府委員 簡単な報告は来ております。またその他の検察庁にもある程度の報告は参っているようであります。
○志賀(義)委員 そうしますと、まだこの事件は相変らず研究中でしょうか。二人が殺されたということは動かしがたい事実ですが、どうされるつもりですか。
○井本政府委員 自衛隊におきましては、先ほど大臣が答弁されましたように、警務官が直接調べを始めているというふうに聞いております。
○志賀(義)委員 近ごろ自衛隊の問題がいろいろと出るのでありますが、今度は小月の自衛隊で、隊員に遺品袋を渡して、頭髪を切らすとか、つめを切らすとか、そういうような事件が起っております。その一番極端なのがこの広島の演習の事件であります。先ほども申しましたように、初めは青竹でたたいた、国会で喚問されれば証人にも立つと言っておったのが、だんだん怪しくなってきておる。ところが、あなたの方は、つまり自衛隊の中の警務官が目下調査中である、こういうふうに言われますが、昨日から私が繰り返して申します通りに、今に事件がわからなくなるんです。そうしますと、法務当局は、ここに厳然たる、過失致死罪か何が成立するか知りませんが、とにかく死人が出た問題をうやむやにしてしまうということになると、その結果はどうなるか。自衛隊においてはたとい隊員を上官が殺そうとも今後は大丈夫という一つの先例ができるわけです。きわめて重要な問題です。そこで、目下調査中であるなら、こういう重大な問題で新聞が残らず書き立てており、週刊雑誌も今度は書き出しましたしそのときに当って、あなた方は、向うのやるのを待っておられるのか、これは重大だから捜査をどんどん促進するか、そのどちらの態度をおとりになるのか。そこのところを法務大臣から伺っておきたいと思います。
○中村国務大臣 現地の検察当局で十分直接取調べの任に当ります警務官と連絡をしつつ進めるように、ただいま刑事局長が答弁いたしましたように連絡をいたしてございます。ただ、人間のことでありますから、できるだけ犯罪を隠蔽しようというような、証拠隠滅の方法は絶無とは言えないと思いますが、しかしながら、これはいかなる事件にもつきまとう事柄でありまして、幸い近ごろでは報道陣もいろいろ網を張っておりますから、結局のところ厳正な最終結論なり判断を下そうという中心の建前さえ堅持しておれば、真相は必ず真相として、もし青竹で事実なぐってまで歩かしたものであるとするなら、青竹ではなかったと言ってみたって、それは青竹であったという真相が必ず明確になると思うのであります。そういう点は、抜かりのないように現地の検察当局に警務官の取調べを見つつ連絡をしてやっていくように、こういうような態度でおりますから、大体間違いなく適正な捜査と結論が出し得るものであろうと考えております。
○志賀(義)委員 世論機関がそういうふうに報道して、あいまいなことを許さない、これは民主主義の一つの利点であり特長でありましょう。しかしながら、聞き方によりますと、隠蔽しようというような何があるという。——実際やった上官ばかりでなく。法務省としては、そういう何か報道機関がやいやい言うと法務省も検察庁も結局それに促されてやらざるを得ないという態度をとられるのか、むしろ報道機関に率先してでもやるという気がまえなのか、どちらなんでしょう。それを聞いておきたい。
○中村国務大臣 促されるとか鞭撻されるということでなしに、あくまで適正な結論を得るという態度だけは堅持して進めさせるようにいたしたいと思っております。
○志賀(義)委員 この問題については、当法務委員会の最初の会合に当って特に委員長から、事件は重大であると、こういうふうに言っておられます。ただいま、御方針の最後に進んでやるということでありますから、委員長の発言とただいまの法務大臣の発言とを考え合せまして、なおこの問題は懸案として法務省、検察庁はどういう態度をとられるか、この点を見ながら問題の発展につれてまた法務委員会で取り上げるようにしていただいて、私の質問はこれで一応終ります。
○三田村委員長 佐竹晴記君。
○佐竹(晴)委員 前の質問者がちょうど要点を質問いたしております際に、所用のため先ほど席をはずしましたものですから、重複をおそれまして、ほんの一、二点なお確かめておきたいと思うのであります。 昨日質問いたしました中の、相馬ヶ原の事件に関しまして、ラスク・岡崎交換公文の公的性質とその効力は一体どういうものであるか、これを一つ結論的にお示しを願いたいと思います。
○井本政府委員 行政協定の締結に際しまして、行政協定の規定の適用に関する了解事項を確認するため両国政府の代表者間に交換された公文で、行政協定を補足する外交文書というふうに解釈いたしたいと思うのでございます。
○佐竹(晴)委員 その交流公文の中かあるいは官報に告示してあります公文に、特に何か注意的に記載されたのかわかりませんが、「保留」とありますが、この「保留」という意味はどういう意味でございましょうか。
○井本政府委員 昭和二十七年七月二十六日の外務省告示第三十三号に書いてあります附属の表の中に「保留」と書いてありますものは、結局この告示にもあります通り、岡崎・ラスク交換公文で合衆国が引き続き継続して使用する施設または区域であることを確認はしているが、なおこの施設区域については引き続き両国に交渉が継続されるものであるという趣旨のことがここに現わされているというように考えます。
○佐竹(晴)委員 そうだとすると、その「保留」の趣旨はなお将来に向って継続的に何か折衝する案件であると見なければならぬと存じますが、その後の折衝の経過並びに結果はいかがでございましょうか。
○中村国務大臣 これは、御承知の通り、行政協定のできましたのが一九五二年二月二十八日でございまして、同日に岡崎・ラスク交換公文ができているわけであります。この交換公文は両国政府の合意ということであると思うのであります。行政協定の二条によりますと、この協定の効力発生の日までになお両国政府が合意に達していないものについては合同委員会できめるとあるのですが、なぜ同日にやったかということから考えますと、占領中に占領軍が使用しておりました地域及び施設を全部交換公文によって網をかけまして、そして継続使用を同意するというのが交換公文でありますが、継続使用に同意をして一応綱をかけるわけであります。その後審査をいたしまして、五十一ヵ所に綱がかかっておるようであります。占領軍が使用しておりましたのが五十一ヵ所ですが、五十一ヵ所全部継続使用を同意するというのが岡崎・ラスク交換公文でありますから、両国政府の合意がここに成立しておるわけであります。それをさらに合同委員会で審査をしまして、十二ヵ所を解除して、二十ヵ所を指定をして、二十三ヵ所は未指定といいますか保留になっておるわけであります。でありますから、大ざっぱに観念的に申しますと、十二ヵ所は正式に解除をした、二十ヵ所は正式に指定をした、あとの残りの二十三ヵ所は岡崎・ラスク交換公文によって綱がかかっておる、いわゆる仮使用の状態である、こう思うのであります。この仮使用をそれでは解除か指定かにはっきりきめないで何年間もほうっておいたのはどういうわけか、こういう問題が今の御質問の要旨だと思うのでありますが、残っておるのにはいろいろな種類があると思うのです。一部分この川から先は解除してくれ、いや解除は困るというようなことで懸案になっておるものもありましょうし、その他の懸案もおそらくあろうと思います。そこで、日本側としては、正式指定区域をふやすよりは、むしろ仮指定のままでおく方がいいという考え方もあるのではないかということが考え方として想像できるわけでございますが、二十三ヵ所がなぜ保留のまま、仮指定のままで今日も残っておるか、仮指定といいますか、岡崎・ラスク交換公文で継続使用承認の状態のままで残しておるかということにつきましては、先ほども御論議がございましたので、われわれとしては、法務当局の直接の担当でございませんので、それぞれ調達庁その他の関係方面に連絡をいたしましょうということであったような次第でありますから、この点御了承を願いたいと思います。
○佐竹(晴)委員 ただいまの御答弁で明らかになりましたのは、この相馬ヶ原使用の問題は、まだ未指定、保留の部分に入っておる。法務大臣の言われる仮指定のままに、つまりラスク・岡崎交換公文のままに仮指定状態で使用を継続しておるということ、これはわかりました。そこには何か経過があるはずですが、どういう経過でそういうことになっておるのでありましょうか。その交渉の経過並びに結果を承わりたいというのは、そういう趣旨なのでございます。
○福間説明員 お答え申し上げます。この問題が日米両国の間に合意が達せられない理由と申しますのは、戦争中に、陸軍の特別の承認によりまして、演習場内の国有地に食糧増産のために一部耕作をやっておりました部分がございます。これは面積にいたしまして十五町歩ございます。これにつきまして、実は講和条約以後、この問題を解決するために、その部分を削除してもらいたいということを再三軍側と交渉しておるのでございますが、軍といたしましては、同地区が演習をするための砲座として必要であるということで、どうしても合意に達しなかったわけなのであります。この点をめぐりまして、実は再三軍側と交渉を続けたのでございますが、現実において、その問題はあまり無理をして結論を出すよりも、そのままの形に置いておく方が、一応合意に達するまで現状のまま農耕ができますので、いいのじゃないかということで、アメリカ側に強く主張して、アメリカ側は聞かない、われわれは承知しないということで、強くその解除の折衝を現在も続けておるような次第でございます。これは、先ほど申しましたように、民有地ではございませんが、国有地の上に従来特に旧軍時代に認められた耕作地域をこの際依然として認めてもらって、そうして地元の繁栄をはかるということのために施設から除外してもらうということが、現在対軍折衝の主要な目的でございます。
○佐竹(晴)委員 ただいまの御答弁だといたしますと、先ほど法務大臣がお答えのように、こういった問題を未処理のまま、そのままにいたしておりますことは、これはまことに当を得ないことで、すみやかにどっちかに処理すべき案件だと思います。法務大臣はこれは所管外であるから所管の責任者にその旨を伝えて善処するというお話でありますから、その程度に承わっておくことにいたしましょう。 ついては、そのいわゆる保留をされている区域について刑市特別法第二条の適用を除外するという根本の理由、これをもう一つ明らかにお願いいたしたいと思います。
○井本政府委員 仮使用を許されておるところが相馬ヶ原の演習場でございますが、この相馬ヶ原の演習場が行政協定第二条第一項の米軍に使用を許すことに同意した施設並びに基地であるということの全般的な問題につきましては何ら問題はないのでありますけれども、この関係の、たとえば昭和三十七年七月二十六日付の外務省告示第三十三号を見ますと、アメリカ合衆国と日本政府との各代表者の協定の第一項には、行政協定第二条第一項に基き日本国がアメリカ合衆国に対して提供する施設及び区域は、附表のとおりとする。但し、附表中備考欄に「保留と明記されているものを除く」というような記載がございます。もっとも、この第二項を見ますると、岡崎・ラスク会談によりまして保留されておるものも、引き続き合衆国が使用を継続することを許されておる地域であることを確認して、この施設または区域については引き続き両国間で交渉を継続するというような記載がございます。たとえば、今申し上げた一項のように、行政協定二条一項の施設、区域からは保留の分を除くというような記載のある文書もございます。その他仮使用の地域でありまして、かようなものは刑事手続の面でありますれば準用でありますとかいうことで別にそう問題はないと思うのでありますけれども、厳格な類推規定を排除いたします刑罰法規の刑事特別法第二条の侵入罪だけにつきましては多少の異説がありますので、その規定を直ちに相馬ヶ原の演習場に適用していくということは疑問の余地があるのではないか、従って、それが積極的な適用は慎重であってしかるべきであるというような考えを持っているわけでございます。
○佐竹(晴)委員 そういう御解釈をなさいますと、結局元のラスク・岡崎交換公文の法的性質及び効力にさかのぼってまた考えなければならぬことになる。はなはだどうも首尾一貫しない御解釈としか受け取れません。これは、大臣も仰せのように、すみやかにこの事態を処理すべきであるのに、ほうっておきますから結局こうなるので、それを善処するというお話でございますから、もうこれ以上は多く申し上げませんが、しかし、そうなると、やはりこのことは、所管外だというただいまの法務大臣のお言葉にも少々抵触いたします。所管外になるかならぬかという重大問題でもありますから、この面においては、やはり所管大臣としてある程度責任を持ってこの問題を処理することに御配慮を願うことが法務大臣としての責任でもある、こういうふうにしか聞えないのでありまして、どうか善処されんことを望みまして、本日はこの程度にいたします。 —————————————
○三田村委員長 次に、昭和三十二年度法務省及び裁判所予算について質疑を行います。佐竹晴記君。
○佐竹(晴)委員 予算関係につきましては、きょうはもう時間もあまりございませんので、ごく簡潔に一、二お尋ねいたしたいのは、検察庁の庁舎あるいは裁判所の庁舎の建築などのことなのでございます。これははなはだどうも意に満ちませんし、結局今までの法務大臣の政治的なお力が少し足りなかったではないかとも言われるような面がたくさんありまして、まことに遺憾に存じております。これは建築をしかけてそれっきりにしてあるようなものもありますし、それから、敷地をすっかり作ってどうぞやって下さいといってお願いをしてあるのに、それっきり相手にしないといった面もたくさんあって、私も実はしばしば法務省へもあるいは最高裁判所へも伺いましていろいろお願いしている面もありますが、一向にはかどらぬようであります。本年度におけるそういう庁舎の建設状態、将来に対する方針等を承わることができれば幸いと存じます。
○竹内政府委員 佐竹委員から御指摘の通り、まことに予算措置が十分でございませんために、裁判所並びに検察庁、法務局等に促進を要望して下さっておる関係地方公共団体の方々、その他の熱心に御支援下さる方に御迷惑をかけておりますことは現実の姿であります。これは、私どもの予算説明その他折衝において欠くるところがあることを常に反省はしておりますが、何と申しましても、営繕費に与えられております予算が非常に少うございまして、その上、法務省は他の行政省と違いまして、いつも申し上げますように、三千六百の役所が全国にございます。そうして、坪数にしますと八十三万坪という膨大な施設になっておりますが、それに与えられます予算は、昭和二十八年以来四億、五億、六億という少数のものでございます。そのために、くずれかかっている、あるいは老朽廃の施設で補修をしなければならぬ、こういう建物に対するほんとうの手直し程度の——言葉が悪いかもしれませんが、損耗補充をするのに精一ぱいというのが予算の現金でございます。そうして、もう一つ問題がございますことは、営繕費につきましては、昨年もそれでとにかくこらえてきたのではないかということになりますと、本年はこらえられないのだという説明がなかなかしにくい経費であります。そこで、三十二年度におきましては、これらの隘路をどうかして打開したいと思いまして、いわゆる長期営繕計画というものを立てまして、もしもこの長期営繕計画を年々歳々実行に移して参りません暁においては一挙に数百億の営繕費を求めなければならぬという結果になることを強調いたしまして、るる説明をいたしました結果、全体といたしましては、法務省所管において約二億五千万円、建設省の計上分を入れまして約三億の前年度よりも増額の査定を受けているのでございます。それで、検察庁に関しましては大体前年度通りでございます。金額におきましては約七千万ふえておりますけれども、それは東京の総合検察庁舎が前年に比べまして約七千万ふえておりますので、結局その分で帳消しになりまして、全体といたしましては大体前年通りという結果になっております。 お尋ねの中途半端なことになっているのではなか、少し総花式に予算を配付し過ぎてはいないかというような御懸念もあろうかと思いますが、この点は、極力重点的にやりますことが効率的な運用でありまして、東京の検察庁を例にとりますれば、東京の検察庁を三年なり四年なりで解決してしまって次に移るというのが効率的なやり方でございます。大体そういう方針によりまして雨ざらしの鉄骨をそのまま長く置くというようなことは極力避ける方針をとりまして、そのために、三十二年度におきましても、東京を除きましたその他の庁については、支部、区検等は一年あるいはせいぜい二年で完成しますもののみを選んだようなわけでございます。 なお、現状を見ますといまだに戦前のままで裁判所との合同庁舎になっております本庁は十ヵ所くらいございます。それから、支部に至りましてはまだ大半が合同庁舎という状況になっております。それから、戦後建て直しをしました本庁は相当多数に上っておりまが、そのうちで鉄筋コンクリートによってほとんど永久建物というふうに考えておりますものは、これまた十ヵ所程度でございまして、その他の大半は二十二、三年から二十七、八年にかけて木造のいわばバラック建ての庁舎という現状でございます。いずれはこれらも鉄筋等の耐火建築に変えていかなければならぬ、こういうような状況でございますので、先ほど申しました長期営繕計画に基きまして着々と計画を実施して、一挙に多くの営繕費を求めるというようなことの起りませんように処置したいという考えでございます。
○佐竹(晴)委員 ここで一例をあげてお尋ねをしておきたいのは、たとえば、高知県に窪川簡易裁判所というものがございます。この地方では、皆さんの犠牲によりましてりっぱな敷地を作りまして、もう数年間遊ばせております。もしそこにお建てにならなければ、広い敷地をそのまま遊ばせておくわけにはいかぬ、何かに利用せよといったようなことで、他の面に転用したいというような運動すらも起るというありさまでありまして、そのりっぱな敷地に裁判所を建てていただきたいと熱望いたしております人々は、実は非常に心配をいたしております。なぜそこに早く建てていただけないのであろうか。一説によると、簡易裁判所を逐次減らしていく、どうも簡易裁判所の新設はこれを許さない方針だといったような風説さえも行われ、まして、せっかくそこに犠牲を払ってりっぱな敷地を作りましたそれらの人々、たとえば庁当局その他の人々が、もしもそんなことになるのであったならば大へんだ、せっかくこれだけの犠牲を払って、あれだけりっぱな敷地をこしらえて、そうしてここ数年の間に黙ってじっとしんぼうをしておるのに、しかもそれが将来果して建ててくれるのかどうかわからぬといったようなことではまことに困る、こういう切実な訴えがありまして、そのことを五鬼上事務総長のところに前後十回も私自身行って陳情をいたして参っております。しかし、一向、お聞き流しだけであって実行に移そうとはされませんので、地元においても非常に不安を感じておるようであります。簡易裁判所の問題等についてそういう風説も飛んでおります折柄でもございますし、果してそういう方針なのかどうか、方針でないとするならば、せっかく地元の庁当局等が多大の犠牲を払って敷地をこしらえて考えておるのでありますから、何とかそれを善用していただく道はないものであろうか。これは、ただにその問題だけではなく、日本全国にもそういう例が多々あることと存じますので、まずその一例に対する御方針を伺うことができますならば全体のことも知り得ると存じますので、まず窪川簡易裁判所の問題について一つ御説明をいただいておきたいと存じます。
○岸上最高裁判所説明員 ただいま御指摘の鶴川簡易裁判所の件でございますが、お話の通り、現在は古い元の農地委員会の事務所を借りております。これは木造二階建、四十六坪程度で、非常に狭くもあります。ここに裁判所と検察庁が一緒に執務しておるという現状であります。簡易裁判所の修繕につきましては、裁判所といたしましても毎年相当の個所の要求をいたしておるのでありますが、何分、現在のところで、簡易裁判所だけがあるというところ、つまり裁判所の本庁、支部所在地以外の簡易裁判所が全国で五百五十ほどございますが、そのうちで庁舎が整備できていないというところがなお八十ヵ所余りございます。それはいずれも旧来の建物を借りたりあるいは間借りしたりして執務しておりますので、裁判所の体裁をなしていないと育っても決して過言でないところばかりだと思います。窪川もそのうちの一つでございます。これらにつきましては、私どもの方といたしましては、裁判所が設置されておる以上、その建物を整備するということは当然と存じまして、整備したいのでございますが、結局は予算の問題になりまして、全部一度にやることが実際上不可能だというので、毎年数ヵ所ずつはやっております。ただし、その入り方が、終戦の直後簡易裁判所の制度が発足しました当時は百ヵ所以上入った年もありますが、最近はずっと減りまして数ヵ所程度しか入らないという状況でございます。結局、これは、簡易裁判所のほかに、先ほど法務省の方からお話がありましたと同様な事情が裁判所側にもございまして、全国的に見まして戦災後のバラック庁舎、それから木造で四十年以上たっているような老朽庁舎、それに戦後新しくできた独立簡易裁判所の庁舎の、整備、家庭裁判所の庁舎の整備という問題が戦後一度にたまりまして、結局それを少しずつやっておりますが、一度にはなかなかできない。ごく大ざっぱな概算をいたしましても、私どもの方では、今申しました戦災後のバラック庁舎でまだ本建築になっていないものが一万数千坪ございます。それから、四十年以上の老朽庁舎というのは約五万坪、それから、家庭裁判所の庁舎で地方裁判所等に同居できるのはいたしておりますが、できないのが二、三ヵ所、独立簡易裁判所の関係が、先ほど申しましました八十数カ所というものがございまして、こういうものを新築あるいは改築するということになりますと、今の予算単価ではじきましても百二、三十億になるという結果になります。ところが、予算は、先ほど法務省からもお話がありましたが、ごくわすかでございまして、三十一年度は六億程度、三十二年度が八億程度ということでございます。結局十数年を要するという状況でございますので、非常に苦慮しておるのでございます。三十二年度も独立簡易裁判所は二十ヵ所ばかり要求いたしましたが、結局そのうち七ヵ所だけ認められたということであります。柳川の問題につきましては、お話のように、土地を整備していつでも提供するというお申し出を受けておるということも承知しておりますので、建物が建たないという点はまことに心苦しく感じておるのでございますが、そういう状況でございますので、三十二年度も予算化するまでに至りませんでした。今後の問題といたしまして最善を尽したいというように考えておる次第でございます。
○佐竹(晴)委員 今申しました、簡易裁判所をだんだん整備するのだ、従って、敷地なんか作って提供するといってもそれはむだになりはしないかといったような懸念さえ行われておるのでございまして、地元民が非常に不安を感じておりますので、それに対する御所見を一つ承わっておきたいと思います。
○岸上最高裁判所説明員 簡易裁判所を整理するというような意見は一部の方面にそういう意見があることも事実でございます。しかし、最高裁判所といたしまして、ただいまのところ具体的に簡易裁判所をどうするということは全然きまっておりませんので、私どもといたしましては、裁判所がある以上、その庁舎の整備の予算化に努力をするということは従来と変りなく続けていきたいというふうに考えております。
○佐竹(晴)委員 簡易裁判所を整理するという説があるというのは、部内なんでございますか、また、それが一般的で、そうなるかもわからぬという気配があるのでございましょうか。窪川の問題だけではございません。そういう傾向があるのでございましょうか。それを一つ承わっておきたい。
○岸上最高裁判所説明員 意見と申しますのは、部内の一部の方にはそれがいいんじゃないかというふうな意見の方もあるやに承知しております。しかし、これは、裁判所といたしましては、もちろん法律改正を伴う問題でございますし、根本的な裁判所の組織に関する問題でありますので、慎重に検討しなければならない問題だと思います。ただいまのところは、今申し上げましたように、そいつを取り上げてどうこうするというふうな気配はないと私は考えております。
○佐竹(晴)委員 検察庁の庁舎にいたしましても、それから裁判所の庁舎にいたしましても、どうも司法部に関する限りはまことに貧弱で、恵まれぬようでございます。裁判所関係は法務大臣直接の御所管ではありませんけれども、予算については結局法務大臣のお手をわずらわさなければならぬことでもありますし、今回は幸い中村法務大臣は与党の中でもまことに主要なる任務に今日までつかれておられた方で、党内に重きをなされておられる方であって、この中村法務大臣を迎えることに相なりましたことは、まことに私ども力強く感ずる次第でありまして、できるならば、司法の権威のために、どうか一つ、法務省関係及び裁判所関係に関する予算獲得については、法務大臣におかれましても一段のお力を発揮せられますように熱望いたしますと同時に、先ほど私が具体的にお尋ねいたしました簡易裁判所の問題等についても、せっかく敷地までりっぱに作ってこれを提供しておるのに、一向それっきりでありまして、幾たび陳情に参りましても、今日なお実現せず、これを提供した地元町当局等さえも不安を感ずる状態にまで追い込んでおるということは、まことに遺憾のことであると存じますので、法務大臣におかれましても、また裁判所当局におかれまても、予算獲得に一つ一段の御努力を願いまして、こういう問題をすみやかに御解決願いますようお願いをいたしたいと存じます。私は、この点について、中村法務大臣はきっすいの法律専門家でもございますし、その道の方でもございますから、一つこの際御所見を承わることができるならば幸いと存じます。
○中村国務大臣 大へん御鞭撻をいただくありがたい御発言で感謝いたしております。実は、私どもといたしましても、各地とも裁判所、法務省関係の建物は非常に近来予算を圧縮されておりますので、腐朽いたしております現状をよく承知いたしておりますので、昭和三十二年度の予算査定に当りましても、できるだけ営繕関係の予算増額について微力を尽しましたような次第で、辛うじて法務省関係において三億余万円、裁判所関係において二億数千万円前年度よりは増額をしていただきましたようなわけであります。従来は裁判所、法務省とも六億円台でございましたが、それぞれ八億数千万円あるいは九億という線にまでようやく参りましたようなわけでございます。さようなわけで、各地とも、この程度の予算では不十分でございますので、御迷惑をかけておりますことは、私どもとしてまことに遺憾に存じております。ただ、この与えられた最小限度の予算でどういうふうな営繕を進めるかということになりますと、やはり当局は当局でそれぞれ腐朽の状態の順位等を平素から持っておりますので、そういう順位で非常に乏しい予算で進めて参りますので、御迷惑をかけておる部面が非常に多いと思うのでありますが、今後とも一つ、こういう現状でただ一時しのぎをして参りますと、先ほど経理局長から申し上げましたように、一挙に多額の予算がなければ処理がつかないという非常な困難な状態に逢着するおそれが多分にございますので、皆さんの御鞭撻を仰ぎつつ、私どもといたしましては最善を尽したいと思います。 具体的に御指摘をいただきました諸点につきましても、将来十分意を用いて努力いたしたい、かように存じております。
○三田村委員長 本日はこれにて散会いたします。 次会は公報をもってお知らせいたします。 午後一時十分散会