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26回国会衆議院1957/02/14

法務委員会 第3号

発言数
63
登壇者
8
会派数
3
開催日
1957/02/14

会議録

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 これより法務委員会を開会いたします。  この際お諮りいたします。すなわち、今国会の会期中、最高裁判所当局より発言の申し出がありました場合には、国会法第七十二条第二項の規定により、これを許可いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 御異議なければ、今後そのように取り計らいます。     ―――――――――――――

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 それでは、まず相馬ケ原における農婦射殺事件についての調査を進めます。  発言の通告がありますので、順次これを許します。池田清志君。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員 去る一月三十日午後一時五十分ごろ、群馬県下の米軍基地と称せられておりまする相馬ケ原演習場におきまして、農婦の坂井なかさんが米軍のジラード・S・ウイリアムス三等特務兵から射殺せられました事件は、これほど人権を侵害することのない最大なる人権侵害の事件でありまして、この凶報に接しまするや、国民の全部はその全頭髪をさか立てて憤怒に燃えておるのであります。国民に対しいたく衝撃を与えておりますることは中村法務大臣も御承知の通りであります。私は、この際、坂井なかさんの御冥福をお祈りいたしまするとともに、御遺族に対し衷心から哀悼の意を表するものであります。  われわれ法務委員会が、この事件の真相を究明いたしまして、その善後措置を講じ、今後再びかかる不祥事の起らないようにいたしたいということを念願いたしておりまするゆえんのものは、坂井なかさんのみたまを慰めるばかりでなく、人権尊重のゆえんをいよいよ明らかにいたし、日本の独立心を高揚し、また日米親善の上にも大いに資するところあらんとするものであると考えます。射殺の事実につきましては先日御説明がございましたが、私は、この際、法律的観点につきまして二、三のお尋ねをいたす次第であります。  その第一点は、この演習場は米軍の相馬ケ原演習場といたしまして米軍が使用しておるのでありますが、米軍が使用するに至りますまでの、日米両国間の行政協定なりあるいはまた日本の国内法によってこういうことになっておると思うのでありますが、これについて、それらの観点からの経過を一応お示しをいただきます。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 池田委員御指摘の相馬ケ原における坂井なかさんの射殺事件は、まことに遺憾きわまりないできごとでございまして、私どもも、ただいま池田委員御指摘のお言葉と全く同じような感じを持っておる次第でございます。  なお、本演習場の歴史及び経過等につきましては、私から申し上げますよりは、むしろ政府委員から申し上げた方が詳細であり、かつ的確を期することができると思いますので、政府委員からお答えをいたします。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 この問題の演習場は、アメリカではキャンプ・ウェアと呼んでおりますが、群馬郡相馬村にある演習場でございまして、平和条約発効前からアメリカ軍が使用しておりました演習場でございます。この演習場が平和条約発効後におきましても引き続きアメリカ側の使用にまかされておるというのは、昭和二十七年の二月二十八日の岡崎、ラスク交換公文というものによるのでございまして、この交換公文を援用いたしまして、昭和二十七年七月二十六日の外務大臣の告示が第三十三号として官報に載っております。その告示の附表の中に、「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定第二条により在日合衆国軍に提供する施設及び区域」といううちに、(一)として、「一般施設、無期限使用の部」というのがございまして、その群馬県の部に「キャンプ・ウェア、群馬郡相馬村」というのが表示されております。ただし、その下に「保留」という字が書いてございます。これが岡崎・ラスク交換公文によりましてアメリカ軍の演習場として、使用することを日本が同意したということになるわけでございまして、この問題につきましては、念のため申し上げますが、行政協定第二条一項の、アメリカ軍に使用することを許すことに同意した施設、区域に入るか入らぬかという問題につきましては、法律上多少の問題がございます。両説がありまして、この中に当然入るんだという説と、多少の疑問があるのだという説とありますが、いずれも相当の理由があるわけでございます。ただ、われわれといたしましては、このアメリカ軍に使用することを許すことに同意した施設、区域の中に二種類あるという説も成り立ち得るわけでございますが、刑事特別法第二条の刑事罰則におきまして、明確ならざるものは罪刑法定主義の原則によりまして含ませない方が適当ではないかということで、刑事特別法の第二条の施設、区域には入らないという見解をとっておりますが、これに対しましてはいろいろの反対説もあるわけでございます。  以上のような次第で、今日まで引き続きアメリカ軍がこの相馬ケ原演習場を演習地として使用しておるわけでございます。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員 今の御説明によりますと、相馬ケ原演習場そのものは平和条約発効前から米軍が使用しておった、そういうところからでありましょうか、なれなれと申しましょうか、ずるずるの間に米軍が今日まで使用しておる、こういうようなふうに伺うのでありまして、これについて、行政協定なりあるいは刑事特別法なり、そういうようなものによって的確なる法律上の地位が確定していない、こういうふうに拝承するのでありますが、そういうような大事な演習場について、人権を尊重されなければならないこの世の中に、最も人権を侵害するような事例の起りやすい状態の地域がそういう法律上不確定な状態にあるということは、これはまことに残念に思うところでありますが、これは一体日本の政府としてとるべき処置をとっていないのではないか、こう考えるのでありますけれども、この点はいかがでございましょうか。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 外務省告示の第三十三号、昭和二十七年七月二十六日付でございますが、この告示には、第二項に、「附表中備考欄に「保留」と明記した施設又は区域は、千九百五十二年二月二十八日東京で日本国国務大臣岡崎勝男氏と合衆国大統領特別代表ディーン・ラスク氏との間に交換された公文に基いて合衆国が使用の継続を許される施設又は区域であることを確認し、これらの施設又は区域については、引き続き両国間に交渉が継続されるものとする。」、かように書いてございます。すなわち、使用の継続を許される施設または区域であることを確認しておるわけでありまして、この交換公文並びに告示などを見ますと、とにかく、施設または区域として使用されるということは、日本国政府におきましてもはっきりこれを認めてきているので、うやむやのうちに使用が継続されたというのではないかと考えるわけでございます。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員 なお、この地域に起りますところの犯罪につきまして、刑事法規の中のいずれが適用されるかということについては、いまだ確定した解釈がないように拝承するのでありますが、これにつきましては、この際十分御研究をいただきまして、はっきりとした地域にしていただきたいと思います。  その演習場の地域の境界線でありますが、その状態はいかに管理されておるのでありましょうか。普通人が入ることができないように、しっかりと囲い等がしてあるものか、あるいはまた、入口等につきましては門衛等がおりまして出入者を監視するか、つまり自然の状態において自由に出入りができないように遮断されておるものかどうか、こういう点を事実についてお示しを願いたいと思います。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 この施設並びに区域の境界につきましては、主要な道路その他に十四カ所表示があって、一般の人にもわかるようになっておると報告を受けております。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員 演習地の中におきまして米軍が演習をいたすのでありますが、演習の際に生ずるところの薬莢とか、あるいはたまとか、そういうようなものが演習場内に落ちておるということは事実であり、想像にかたくないのであります。私がここでお尋ねをせんとするところは、その薬莢、弾丸というものが何人の所有に帰しておるものであるかということについて明らかにされたいと思います。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 アメリカ軍が発射いたしました弾丸並びに薬莢の所有権がどこにあるかということは、結局この薬莢並びに弾丸の管理をどこがしておるかということでわかると思うのでございますが、原則といたしましては、限られた施設並びに区域の中の演習でありまするし、アメリカ軍が発射いたしました弾丸、薬莢も、明示もしくは黙示の放棄の意思のない限り、これはアメリカ軍の所有物であるというふうに私どもは解釈をいたしております。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員 演習場に落ちておりまする薬莢、弾丸がアメリカ軍の所有である、こういうふうに明らかに解釈されるという答弁でありますが、それを前提といたしますと、アメリカ軍の許しがなく、アメリカ軍から贈与されることなくして、落ちております薬莢、弾丸等を取る、盗む者がありました際においては、これは明らかにアメリカの財産権を侵害したのでありますから、そこにアメリカに対して窃盗罪が成り立つわけだと思いますが、この点いかがでございましょうか。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 先ほど申し上げましたように、明示もしくは黙示の放棄の意思のない限りアメリカ軍のものであると申し上げたわけでありまして、アメリカ軍の方におきましてはっきりあの薬莢なり弾丸は放棄するということを表示しなくても、黙示のうちにさような意思表示があると考えられます場合には、この薬莢もしくは弾丸を拾い取りましても、それは別に犯罪にはならないと考えるのでございまして、問題の相馬ケ原などにおきましては、たま拾いが入ってきてたまを拾っているのに対しまして、一応アメリカといたしましては明示の意思でこれは放棄するとは言ってはおらぬようでありますけれども、事実上黙認しているというところから見ますと、かようなたま拾いの際に、その薬莢、弾丸は所有権を放棄したものである、ゆえに、これを持ち帰りましても一応窃盗罪にはならないのであるというように私は考えますが、将来はっきりこの弾丸、薬莢などを拾ってはならぬということで立ち入りを厳重に禁止するというような状態になりますと、今までと同じように解釈していいかどうかは相当疑問があるというように考えております。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員 今の御説明によりまして、相馬ケ原演習場だけでなく、全国のあちこちにあります同様なる演習場における薬莢、弾丸の問題について同じような問題が起りますが、この際、私は、政府におかれまして、それらの問題の起るもとであります薬莢、弾丸等を持ち帰りましても犯罪にならないようなふうに、日米間の取りきめと申しますか、そういうことがなさるべきであると思うのであります。政府におかれましてはいかにお考えか、中村法務大臣のお考えをお尋ねいたします。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 お説の通り、だんだんと掘り下げて参りますと、そういう不明確な点が確かにあるように思います。また、聞くところによりますと、その演習場の地元の警察及び検察庁あたりでは、たまを撃っているそばまで行って拾うということの危険を考えまして、何とかたま拾いを阻止したいということで、一時は窃盗罪で処罰でもしたらそれが阻止できるのじゃないかというようなことで研究したことがあるようでございます。窃盗罪としての起訴をするためには被害者がなければなりませんので、被害の関係を、現地の方で米軍側に、被害届を出すようにという相談をいたしましたところが、自分の方では別段被害を受けているとは思わないから被害届は出さないということになりまして、それも始末をつけて窃盗罪としてそういう演習地にたま拾いに入ることを阻止することのできなかった経過もあるそうでございます。(「富士演習場では今窃盗でやっていますよ」と呼ぶ者あり)従って、所により、解釈なり考え方――演習の済んだあとの薬莢についての現地部隊の考え方いかんによってそういうようなことにもなって参りますので、これらの点については、こういうような事件が起きました際に、もっと根本的な掘り下げをして解決の道を開いておく必要があるということについては、お話の通りに考えます。できれば、一番いい方法は、地元の府県町村等に御尽力を願いまして、米軍側としても演習の済んだ薬莢は放棄してそのまま帰ってしまうのであるならば、演習場の清掃なら清掃をどういう方法かで話し合いまして、組織的に清掃する道を講ずることが一番妥当だと思います。私どもといたしましても、これを契機として、関係方面とそういうような措置を――なかなかこれも現地のたま拾いとの関係がありますから困難かとも思いますが、できるだけそういう方向について努力をしていきたい、かように考えておる次第であります。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員 ただいまの中村法務大臣の御答弁によりまして、法律上未確定な問題をこの際明らかにして、そういうことがもとになって犯罪等にならないように進めていきたい、なおかつ、演習場に残っておりまする薬莢、弾丸等の処理につきましては、地元の方々やあるいはこれを拾っておられまする方々等ともよく相談して、人命についての、あるいはからだについての被害がないようにいたし、薬莢等を拾われる方々の身の上に今回のような不祥事が起らないようにすることもこの際取り上げて進めて参りたい、こういう大臣のお考えは全く同感そのものでありまして、私はぜひそういう処置を早くおとりを願いたいと思うのであります。  中村法務大臣からもたま拾いの姿についてのお話がありましたが、私の伺うところによりましても、たまを拾う方々は、ボロボロの衣服をまとわれまして、リュックサックを負ったりあるいは袋をぶら下げたりいたしまして、演習のある日には軍に従って入り、発射されますと、落ちるところの薬莢を競うて拾い集めるという姿であります。さらにまた、着弾地に近いところにタコつぼを掘りまして、そのタコつぼの中に身をひそめて、着弾したたまの位置をあらかじめ頭の中に描いておいて、演習が終りますと、タコつぼから一斉に飛び出して、先を競うてそのたまを拾い集めるという話であります。こういうような姿は、日本国民といたしましてまことに残念に思うのであります。国連加盟もできまして、国際場裏の一独立国として、ほかの独立国と同様に国際平和のために努力せんとするこの日本国民にしてそういうような方々があるということは、まことに残念なことであります。そういうような方々を、あるいは米軍におきましては軽視し、蔑視し、卑下する傾向に至らんとも限らないのであります。こういうことは独立国日本といたしましてもまことに許すべきことではないと思うのであります。これにつきましても、政府におきましてそういうようなみすぼらしい姿を米軍の前にさらけ出すことがないように一つお計らいをいただきたいと思うのでありますが、政府といたされましてはいかなる御所見でありましょうか。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 全く御指摘の通り同感でございます。従いまして、こういうような事件の起きましたのを機会として、何とかこれが組織的に解決できるような最善を尽してみたい、かように考えております。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員 たま給いに従事されております方々が三、四百名にも上ろうかという話を伺っております。そういう方々が、どうして、そういう姿をして米軍から蔑視されながら、これに追随して、落ちるところの弾丸、薬莢を拾わなければならないのか。つき詰めて申しますと、貧しいからそうなのか、あるいは好奇心から追随をするのか、生活のためにやるのか、それともまたこれが生業であるのか、政府におきまして調査をされたと思いますが、その大要をお話し願います。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 全般的な調査は済んでおりませんが、少くともこの被害者の坂井なかさんの家族におきましては、この演習場に自分の田畑の約三分の二を提供をしておるのでございましてさような観点から、この坂井なかさんの家族における収入が相当減っておるということは、これは見やすい道理でございます。しかも、この演習場におけるたま拾いは、一日働きますと約二千円以上にもなるそうでございまして、そのほかの農事の手伝いなどにおきましては一日せいぜい三、四百円どまりということになりますると、非常に収入が多いということでかようなたま拾いを進んでやるということになったように私どもは聞いております。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員 ウイリアムスが坂井なかさんを殺害をしたという事実は厳存をいたしておるわけであり、これについて本人の自白その他参考人の証言もとってありますが、すなわち、米兵が日本人を殺したということは明らかなることであります。この事件は日米間の殺害事件でございますから、いわゆる国際的な事件であるわけであります。つきましては、この事件の解決についておのずから裁判所の管轄権の問題が明らかにされなければならないと思うのでありますが、この事件についての裁判管轄権についての政府のお考えをお示しいただきたい。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 行政協定十七条によりまして、アメリカ人が日本人を殺害いたしました事件は一応日本側に第一次の裁判権があることになっております。ただし、アメリカ側におきまして、その犯罪が公務執行中の作為もしくは不作為に基く犯罪であるという場合には、アメリカ側が第一次の裁判権を持つということになっております。従いまして、本件につきましては、このジラード・S・ウイリアムスの行為が公務執行中の作為もしくは不作為による犯罪であるかどうかということがはっきりいたしますれば、どちらが裁判権を行使するかがきまるということになりますので、その点をただいま鋭意捜査中でございます。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員 警察当局におきましてはこの事件を傷害致死ということで送検をしておられるわけでありますが、私、考えまするに、ウイリアムスが公務執行中であったか非公務中であったかの解決は別にいたしましても、その者が坂井さんを殺したのであります。つまり、その殺し方につきましては、大体十メートルくらいのところからたまを撃てば当る。その当ったたまが人を傷害するもとになるということは、普通の常識ある者ならわかることなんです。しかも、選ばれたところの軍人でありますから、そういう常識は普通人よりも多いことであると思うのです。そういたしますと、そのウイリアムスは、坂井なかさんを殺さんとして発射した、こう私は考えてよろしいと思うのです。さすれば、殺人罪として送検すべきであると思うのでありますが、警察当局において傷害致死として送検されておることについての御説明をお願いいたします。

中川董治警視長(警察庁刑事部長)

○中川(董)政府委員 本件事件が発生いたしましてから、群馬県警察におきましては、米軍捜査当局とも十分なる相互協力のもとに事案の真相の究明に努力いたしたのであります。目撃者の供述はもちろんのこと、あらゆる角度から資料の収集に努力いたしたのであります。何と申しましても、本件は早く解決し、御案内のように第一次裁判権をいずれが行使するかという問題等もございますので、早く送致する必要もございますので、大へん急いだのでありますが、急いだにいたしましても、あらゆる角度から資料を検計いたしまして、資料を検討いたしました結果の結論を一応出す、これは当然でございます。その場合に、お説によれば、被疑者が殺意があってしかも殺人を犯す行為をやったと思量するに足る資料があったかどうか、こういうことになろうかと思うのであります。そういった点につきましても十分なる検討を群馬県警察におきまして講じたのでありますが、送致の段階までに得ました資料に基きましては、被疑者が坂井なかさんを殺害する意思を持ってそれを実行したということを証明するに足る資料が得られなかったのであります。ところが、当時の資料に基きますと、傷害する認識を持っておったと認められる資料等につきましては相当得られましたので、傷害する意思をもってこれを実行し、よって死に至らしめた、こう思量されましたので、お話もございましたように傷害致死の被疑事件として送致いたしたのであります。殺意があったかどうか、それを実行する行為が認められたかどうかという点につきましては、当時の資料であらゆる角度から検討いたしたのでありますけれど、殺意の点について立証するに足る十分な証拠がなかった、こう思量されましたので、傷害致死被疑事件として送致いたした次第でございます。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員 本件はただいま検察当局並びに警察当局において厳重なる捜査中であるわけであります。ところが、肝心の米兵の身柄そのものが米軍の手によって拘置せられておりますので、米兵そのものの犯意の究明なり、その他この事件の解決に重要なる捜査を遂げることが困難であると私は考えます。そこで、私思いまするに、検察当局は公訴を提起すべきである、公訴を提起した後においてはその米兵の身柄を日本側に引き渡しを要求することができるのである、引き渡しを受けまして、その米兵そのものについての厳重なる捜査をいたすべきであると思いますが、検察当局はいかがにお考えでしょうか。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 日本側に第一次の裁判権がある場合の事件におきましても、アメリカ側が被疑者の身柄を拘束しておる場合には、公訴の提起まではアメリカ側において引き続きやるということが行政協定第十七条五項の(C)に書いてございます。従いまして、公訴の提起前におきましては、本人の身柄はアメリカ側が拘束しておりますので、こちらに引き取って拘束するというわけには参らないのでございます。しかしながら、かような、第一次裁判権が日本側にある事件の前例に徴しますると、アメリカ側も非常に好意的で、こちらの必要に応じて取調べをさせるということになってきております。本件につきましても、送致を受けた二月九日以降におきまして、前橋地方検察庁は本人を検察庁に出頭させて取調べをしておるようでございます。なお、公訴の提起を早くしてこちらへ身柄を引き取ってはどうかというお話でございますが、第一次裁判権が日本側にあるかアメリカ側にあるかということが、いまだお互いの間ではっきりきまっておりません。日本側に第一次裁判権があるということについてアメリカ側が了承いたしますれば、問題なく日本側で起訴できるわけでございますが、まだその段階にまで至っていないわけでございます。従いまして、かような段階において公訴を提起するというわけには、行政協定上参らないのでございます。  なお、付言して申し上げますが、日本側に第一次裁判権があるような事件につきましても、大体調べが終った後に起訴しております。逃亡とか証拠隠滅のおそれのない場合が多いので、日本側でわざわざ金をかけてかような米兵を引き取って日本側の拘置所に拘置したまま事件を進めたという例はほとんどありません。ただし、判決が確定すれば直ちに日本側へ引き取りまして、日本側の刑務所で刑の執行をいたしております。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員 私見といたしまして、検察当局は公訴を提起して米兵の身柄の引き渡しを受けて、米兵そのものについての自白その他重大なる捜査を遂ぐべきである、こう私は申したわけであります。そうしてその後に日本の裁判所に起訴すべきである。さよういたしますると、本件は日本の裁判所に係属することになるわけであります。日本の裁判所はみずから事件についてその裁判管轄権を審理決定する権能があるのでありますから、この裁判管轄権が日本に存するかアメリカに存するかということについても裁判所はみずから決定することができると思うのです。私見といたしましては、日本の裁判所で管轄すべきものであるという結論になろうかと思うのでありますが、もしそれ、私の考えのように日本の裁判所において判決されるということになりませんと、日本の国民は承知をしないと思うのであります。えてしてこういう事件が日本の合法的な活動を妨げるというか押えることによってうやむやになってしまうことが多いのを私は遺憾に思っておるのであります。人権は尊重しなければならないのに、この事件について、たまたまその加害者が米兵であったがために、日本の裁判機関による裁判がなくして、アメリカの軍当局の裁判によっていいかげんの裁判をされるということにでもなりますと、これこそ日本の国民といたしましては承知することができないと思うのです。されば、私は、日本の法律によって合法的に進めていって、日本の裁判所にこれが管轄されるようにして、日本の裁判所において厳粛なる裁判をいたすべきであるという考え方を持っておるものであります。  次に、ほかの事柄でありますが、坂井なかさんの遺族の方々は、坂井なかさんが死亡されたことによって悲嘆に暮れておられると思います。その御家庭の経済状態や生活状態がどうであるか、私は存じません。しかしながら、坂井なかさんが米兵によって殺害された事実そのものは厳然として存在するのでありますから、その御家族の貧富、そういうようなことにかかわりなく、日本の国といたしましては、その遺家族に対し丁重なる国家補償をいたすべきであると思いますが、政府におかれましてはいかなる御所見でありますか、お尋ねいたします。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 私の所管外でございますが、行政協定第十八条によりまして、特別調達庁がこの補償の方を担当しておるわけでございます。非公式に調達庁の方々の意見を聞いておりますと、すみやかに事情を調査いたしまして、調達庁の規定の許す限り厚い補償をいたしたいと申しておったのでございます。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員 坂井さんの御家族に対しまして政府が御丁重なる国家補償の道を早く講ぜられんことを熱望いたします。  これに対しまして、日本国の政府はいかにせられたでありましょうか。私の考えるところによりますと、こういう事件を起した以上、このことについてアメリカ側の陳謝を求めるばかりでなく、今後再びこういう事件が起ることについてアメリカ側に対し厳重な抗議をいたすべきであると思うのでありますが、政府におきましてはいかなる所見でおられますか。中村法務大臣にお尋ねいたします。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 この点につきまして、法務省の関係としては、合同委員会に刑事裁判権分科委員会というものがございまして、日本側の分科委員会の委員長は法務省の役人がいたしております。そこで 日本側の委員長からアメリカ側の委員長に対して、この問題についてのいろいろな打ち合せと同時に、このようなできごとが二度と起らないように善処方の要望をいたし、同時に、日本側の合同委員会の代表からもアメリカの代表に対して――日本側の代表は外務省の欧米局長が当っておるようでありますが、日本側の代表からアメリカ側の合同委員会の代表に対して同様な趣旨の申し入れをいたしました。それに対して、先方から、代理大使が岸外相に、このことについて遺憾の意を表明するため会見を求めたい、こういうことで、今御指摘のありましたような会見が行われ、代理大使から岸外相に対して遺憾の意を表明する文書が渡されたのであります。その機会にさらに外務大人からも同様のことをアメリカの代理大使に話してもらうように下打ち合せをいたしておきました。後刻聞きましたら、外務大臣はその旨を十分話をしておいた。しかし、具体的なことはそういうレベルの話し合いでは出ませんので、ただ、今後二度と起らないようにというだけではなりませんので、起らないようにするのにはどうすればいいかということについては、具体的になおこちらも研究し、双方で協議いたしまして最善を尽したいと考えている次第であります。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 佐竹晴記君。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 私からもただいまの案件について少々お尋ねいたします。  相馬ケ原もしくはその他の軍事基地ないしは演習場等において、これに類似した殺傷事件等が過去において起った事例はないでしょうか。この点をお伺いいたします。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 全国的に取調べをしておるわけではございませんが、昨年の九月に東富士演習場において、これとやや似た事案が一件起きております。その事件につきましては、ただいまなお結論を得ずに調査を続けておるようなわけでございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 私が本件について非常に感ずることは、この問題は、当国会において問題が提起されて重大となりました結果、当局においても捨ておかれずに慎重なるお取調べを進めた結果今日の段階になっておるではないかと思われます。ただいま御答弁の東富士の問題についても、ほとんど類似の事件でありながらも、今日なお捜査中であるとの御答弁であります。われわれがここに問題を提起し、声を大にしなければ放任しておくがごとき印象を国民に与えることは、まことに遺憾のきわみであります。こうした問題については、国会において取り上げてわれわれが声を大にするといなとにかかわらず、国民の人権を尊重し、これを擁護する建前として、法務当局ないし警察としては、すみやかにそれを捜査し、適切なる方策を講ずべきであると考えまするが、過去において非常に抜かっておりはしなかったか。語をきわめて言いまするならば、米国に対して気がねをし、米軍に対して気がねをし、わが国民が殺傷せられてもあいまいのうちにこれを葬り去るがごとき因循姑息なる態度が過去においてあったのではないかという疑いをすらも、国民の一部は持っておるのであります。これでは独立日本としてまことに遺憾のきわみでありまして、過去における東富士の事件も、ほとんど類似の事件でありながら、捜査中でそのままほっておくがごときことはとんでもないことであります。今回の事件等も、われわれ同僚が国会において声を大にして叫んだためにこうした結果になったではないかという印象を国民に与えておるのであります。当局としてはこれに対しいかなるお考えを持っておるか。少くとも法務大臣として国民に対して法務当局の態度を宜明せられる必要があると存じます。御答弁を願いたいと存じます。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 佐竹委員の御説、まことにごもっともでございます。おそらくこの事件以外に殺害されたという事件はないと思いますが、傷害程度の事件は東富士の問題のみならず他にもあるのではないだろうか。この点は、たま拾いに行く人たち自身も、自分たちがそういう立ち入り禁止区域に入り込んでたまを拾うことがよくないことだということは一つの自覚を持っておるということから、ある程度の事故があっても被害者自身が内済を希望するということから、現地の警察では事件を掘り下げて推し進めて捜査をするということをしない場合が多分あり得るのではないか。ちょうど東富士の事件もそのようなことで、相馬ケ原事件に関連して東富士でもこういうことがあったのではないかということが、どなたが最初聞き込んでいらっしゃったかわかりませんが、現われて参りましたので、その事実を法務当局としての立場では確かめましたが、法務当局の方まで耳に入らないうちに消えてしまった事件になっておったようであります。果してこれが消えたままでよいのか悪いのか、だんだん聞きますと、被害者がこの程度で済んだことだからということで内済を希望した結果そのようになったと、今のところ聞いておるのであります。そうだとすると、ほかにもやはり傷害程度のことではあり得るのではないだろうかということを実は私心配をいたしましてこの点は、法務省としては直接調べる機関がないので、警察及び基地関係を管理しておる調達庁の方で、一つこの機会に全国の演習場等についてどういうことがあったかなかったか、もう一ぺん念のため調べてくれろということを実は申しておるような次第でございます。従いまして、的確なことはわかりませんが、だんだん考えて参りますと、お話のように、そういったようなことが絶無ではない、あったのではないだろうかということが考えられますので、さような注意を喚起し、努力をいたしておるような次第でございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 私の承わるところによれば、東富士の問題のみならず他に数件あることを耳にいたしております。ただいま当局としては東富士の問題についてお認めになりましたので、争いない点を基本といたしましてただいま御質疑いたしたのでありますが、私の耳に入っておるところでも、あちらこちらにずいぶん類似のことがある。しかるに、こちらはそれに対して撃たれ損、今回の事件でいえば殺され損といったような印象すらも与えるような結果になっていて、いかにも独立日本国民ではない、はなはだしく卑屈な態度であるということが一般に批評せられるに至っておることは、まことに残念だと考えますので、ぜひともこの機会に独立日本としての態度を十分示されんことを熱望いたします。  次いでお尋ねいたしたいのは、この演習場使用に関する点でありますが、先ほど刑事局長の御答弁によりますと、うやむやに使用されているのではない、ラスク・岡崎交換公文によって使用することを認められたのである、こう言われておりますが、そのことが日米行政協定に基く法的権限を与えたという根拠になるものでございましょうか、いま一度承わっておきたいと思います。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 岡崎・ラスク両氏の間で交換公文が交換されたわけでございまして、私は、これは条約の一種であると考えております。従いまして、行政協定の中に記載されておりまする二条一項の施設、区域を使用することを許す、日本国がアメリカ国に対しまして安保条約一条の目的達成のために使用することを許すことに同意するという、その同意するうちに入るか入らぬか多少問題はあるのでございますが、とにかく条約の一種ともいうべき交換公文で使用を許しておるのでありまして、うやむやに許したのではないというように考えております。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 私のお尋ねいたしたいのは、条約の一種とそれを解することができるかという問題です。それは何に根拠を置いてそのことが言えるか。なるほど岡崎さんも外務大臣でございましたが、外務大臣であれば、条約の一種に属するものを自由にやっていいというわけではございません。大臣にやはり条約の一種に属するところの約定をする権限が与えられておらなければなりません。その根拠はどこにあるかということを承わっておるのであります。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 ちょっと、私、言い足りない点がございましたので、訂正させていただきます。安保条約に基く行政協定の補足といいまするか、行政協定の一種として岡崎・ラスクの交換公文ができたのでございまして、条約の一種と申し上げましたのは、ちょっと私の思い違いでございまして、行政協定の付属の交換公文である、行政協定の一部であるというようにお考え願いたいと存じます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 この点はいま少しく検討を要すると考えます。私もいま少しく大急ぎで検討いたしました上で、さらにお尋ね申し上げるかもしれません。留保いたしておきます。  次いで先ほど地田委員からの、たま拾いをしたそのたまの所有権はどこにあるかという質問に対して、刑事局長は、管理者がだれであるかということによって決定される、そうして、管理者の管理しておる地域内に存在する以上、アメリカの所有でありと解する、こういう答弁でございました。ところが、他面また、言葉をかえまして、それはしからば窃盗になりはしないかという質問に対し、明示、黙示の意思表示があった場合においては、そのたまの所有権を放棄したものと認めることができる、つまり、たま拾いの事実上の慣習があり、事実上黙認されてきた、従ってアメリカにおいてはそのたまを放棄したものと認められる、よって窃盗は成立しないという御答弁でございました。この二つの御答弁は非常に矛盾しておると考えまするが、どうでありましょうか。すなわち、アメリカの管理いたしておりまする地域内にありまする以上アメリカのものであるということならば、これはその論を貫きまするならば明らかに窃盗が成立いたします。しかし、事実上そのたま拾いが黙認されておって、放棄したものである、従って窃盗は認められないということになれば、地域内にあってもなお放棄の事実を肯定されております。従って、地域内にあるからこれはアメリカの所有に属するものと認めるという――たまの所有権いかんという質問に対して、アメリカのものであるという御答弁をなさいました。それは地域内にあるから、管理者のふところの中にあるからであるという御答弁と、たとい地域内にあっても、これを放棄したものと認められるということを肯定なさって、窃盗は認められないという御答弁との間には、はなはだ食い違うものがあると考えまするが、その矛盾はいかがでございましょうか。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 私の言葉が足らなくて恐縮でございますが、アメリカ軍が発射いたしました薬莢とかたまは、アメリカ軍の管理のもとにあると認められた場合には、なお所有権はアメリカ側にあるというように考えておるわけでございます。地域内に薬莢もしくはたまがあるから、当然管理が認められておるというようには考えられていないのでありまして、ほかの条件によりましてなおアメリカ軍の管理のもとにたまや薬莢があるというように考えられます場合には、それはなお所有権がアメリカ側にあるというように考えておるわけでございます。ただし、先ほども申しましたように、自分の所有物でもこれは放棄ができるわけでございますから、アメリカ側が放棄いたしますれば、あるいは譲渡いたしますれば、他にその所有権が移ることは当然でございまして、その放棄の意思が、明示の意思ではっきり放棄すると言わなくても、先ほど申し上げたように、たま拾いに来た者に黙認しておるということによって所有権の放棄の意思が黙示のもとに示されたという場合には、それは別に窃盗罪にはならぬというように考えておる次第でございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 軍隊に行っておった方でございますならばよくわかることでありますが、日本の軍隊では、あの薬莢といえども厳重にその始末を命ぜられたものであります。たまを撃ちます、何発撃って、それにふさわしい薬莢がここに何個残っていたということをすっかり調査いたしまして、その薬莢は軍の方へ返さなければならぬ。身体検査までやっておりましたことは、これはよくわかるのであります。ところが、米軍の場合においては、撃ちますと、それをぽんと捨ててある。この捨てるということは、明確なる明示の放棄ではないかと私は思うのであります。先ほど局長が明示、黙示の放棄をお認めになり、最小限度少くとも事実上そういうことが黙認されておって放棄の事実が認められるとおっしゃったのでありますが、しからばいつから放棄されたかという問題になりますると、やはりそれは米軍当局のとっている態度による。あれを一たん撃ったならば、自分の手元へ回収してみたり、自分の手元に何発撃って、何発薬莢が残っておってそれを軍に返さなければならぬといったような計らいはいたしておりません。米軍においては、撃ったら撃ちっぱなしで、その薬莢は放棄してある。これが明示の放棄ではないかと私は思うのであります。しからば、その地域的においても、これを放棄いたしております以上は、ただ、その立ち入り禁止の場所へ入っていくことの当否は別といたしまして、放棄されたものは所有権は明らかに無所有でありまして、アメリカの所有であるという先ほどの御答弁は根底を失っていると同時に、そうして、あとの御答弁の、常に放棄せられたものであるから、これに対する窃盗は成り立たぬというその立論をなさいまして初めてそこに終始一貫するものと考えます。アメリカのやっております態度というものは、弾丸を撃って薬莢をほうりっぱなしにする。これは放棄と見ることができないものでございましょうか。当局といたしましてはいかなるお考えでございましょうか。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 佐竹さんのおっしゃるような見方も当然立ち得ると考えるのでありますが、私は、日本の軍隊のことなども思い出しましてかような薬莢、弾丸などが直ちに放棄されたものであるというようにはちょっと認めがたいのであります。それは、一つの実例といたしましても、奈良の地方裁判所で判決をした事案が一つございますが、撃ちました弾丸がたまぶくろに集っておったのを掘り出して売ったという者が、弾丸の窃盗罪であるということで裁判が確定しておる事件もございます。この判決は資料としてたしかきのうあたりお手元の方にお送りしたと考えておりますが、さようなことで、アメリカ軍が非常に物量が豊富だから撃ったものは全部放棄したものだと一律に認めることにちょっとちゅうちょを感ぜざるを得ないので、やはり管理が続いておると見得る場合には、これは放棄がなされていないと見るのが相当ではないかというように考えております。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 それは占有の問題であって所有権の問題ではない。所有権の問題と占有の問題を混同されておるではないかと私は思う。かりに所有権の問題は別といたしましても、占有権を侵せば窃盗罪になりますことは、これは判例の認めるところであって、もちろんその通りであります。資料としていただきましたものについては窃盗を肯定いたしておりまする事例がありますので、この面は解釈を統一し、一面においては、先ほど御答弁のごとく、放棄と認めて窃盗罪を否定し、他の裁判所はさように解釈し、他の裁判所においては窃盗罪で罰せられるといった事態のありますことははなはだ遺憾でございますので、この辺は法務当局といたしましても、裁判所といたしましても十分に御検討を願いまして、日本の法律に解釈の二つはないわけでありましょうから、一面では窃盗は認められない、問題にされない、一面では窃盗が成り立つのだといって、これを引っぱられるといったようなことのありますことは、国民の法律に対する信頼感を失わしめるゆえんとなるものと思いますので、この点はとくと御検討願いたいものと存じます。  次いで、今回の事案は傷害致死として扱う旨の意向が決定された旨報道されております。そうして、職務上の行為とは見られない、職務外の行為と認められるという見解に一致したような報道が行われておりますが、これはいかがでございましょう。特に、池田委員よりのお尋ねに対しまして、管轄の面について質問されましたときに、必然的にこの職務上の問題に触れて答弁せられなければなりませんが、職務上の問題にお触れになりませんでした。従って、私は、これが職務上の行為であるかどうかということについて当局といたしましてはいかなる御見解を持たれておりまするかを一つ明らかに願いたいと存じます。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 事件が発生いたしましてから相当期間がたっておりますので、もう事実の確定ができたのではないか、確定すべきであるということになると存じます。その点につきましては、いまだに確定ができませんので、まことに申しわけなく思っておりますが、近い将来に――もう調べも大体済ましたので、事実がどの辺にあるかということをはっきり確定さしたいというように考えておるわけでございます。なぜさようにしますかと申しますと、結局事実がどのように固まるかによりまして職務執行中の作為、不作為から生ずる罪であるかないかということがはっきりわかることになるわけでありまして、伝えられるように、何か犬かネコでもだまし撃ちをするように、たまをまいて、寄ってきたものを狙撃したというようなことになりますれば、さようなことが職務執行中の作為、不作為から生ずる罪でないことは当然でございます。また、伝えられるように、被疑者が弁解しております威嚇のために空に向って発砲した、その発砲も何か上官から命令を受けてやった、それが誤って被害者に当ったというようなことになりますれば、これは職務執行中の作為、不作為から生ずる罪にだいぶ近寄ってくる、そういうふうな疑いを持つことがあり得ることになるのでございましてどの辺に真相があるかということがきまりますれば、その問題は直ちに私どもといたしましては結論に達するというように考えるわけでございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 この問題はきわめて明確な問題であり、法律家といたしましては一ぺんに解決しなければならぬ問題だと思うのです。これは、冒頭私が言うておる通り、米軍に対しては気がねをし、何かしらん卑屈な態度に終始しておるんじゃないかとさえも疑われる節があると言われても弁解の辞がないと考えます。一体職務上の行為といったならば、それは職務上そうしなければならぬいかなる職務があったのでございましょうか。まずま正面から一つお聴きいたします。演習場でありますから、一定の射撃場でたまを撃つ、これは職務上の行為でございましょう。人を撃つという職務がありましょうか。どこが職務行為でありましょうか。ま正面から私は承わりたい。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 ねらって人を撃つというような、そんな職務があるはずはございません。そこで、さっき申し上げましたようなお答えをしたわけでございます。ただ、被疑者が弁解をしておるところによりますと、上官の命令を受けて、演習場内に入った日本人をおどかして外に出せということでたまを発射したかのごとく弁解しております。さような弁解が通るものかどうか、今少しく検討を加えませんと最後的な結論に達しませんので、そこで、さように今申し上げたわけでございます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 おどかして場外に出すということは職務なんでございましょうか。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 私は、それは、上官が演習場のじゃまになる日本人を外に退去せしめるということは、これは職務に入ると考えます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 私はまことにそれは意外だと思う。退去せしむるには方法があります。米国というところは、一体、何ですか、空砲を撃ったり、おどしたりして場外に出ろなどということを職務と考えているのでございましょうか。ほんとうにそれがそうだったら、米国がそういう態度をとるならば、われわれ日本国民としては承知なりません。米国は、職務として、そういう区域へ入ったならば、あるいは空砲を撃ち、あるいはおどしをかけて出すということが職務だと考えているのですか。また、上官がそう考えて、それは正しいと思ってやったことであり、法務当局としてもそれは正しいとごらんになるでしょうか。一つこれを承わっておきたい。

井本臺吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 場合々々によって検討いたしませんと、一律一体には言い切れませんが、さようなことが職務であるということがあり得ると私は考えます。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 私ははなはだ意外だと思う。民主主義をもって誇っているアメリカではありませんか。入れないところへ入ったならば、出ていけと言ったらいい。出ていくだけの方法をとればいい。あなた方は多年にわたって法律をみずから実施する役目を背負ってこられた。正当防衛の場合にどうでしょう。あるいは緊急避難の場合にどうでしょう。少しでも常識を逸し、方法を誤まったならば、過剰防衛であるとかなんとかいって、当然正当防衛になる事件でもあなた方は検挙し、裁判所はこれを罰してきた。われわれ弁護人が口をすっぱくしていかに論じても、容易にそれは許されない。これが実情であります。およそ、ものには常識があります。常道というものがあります。アメリカというところは、入れぬところへ入ったならば、空砲を発し、日本国民をおとして、そして軍の権威を保ち、自分の職務を遂行しようとする、そんな非民主的な国でありましょうか。これは、米国当局の上の人に聞いたならば、とんでもございません、私らはそうは考えておりませんとおそらく言うでありましょう。  ここにおいて私は大臣にお伺いいたしたい。こういったことは単なる法理の問題ではございません。職務上の問題だということになれば、アメリカというところは、入れぬところに入ってきた、それで空砲を発してみたり、日本国民をおどして職務を遂行しようとするようなことを職務と考えているような、そういった態度で日本に臨んでいるかどうかということは、大臣として外務当局を通じて向うさんにも十分御意向を確かめておいていただきたいと思う。そうでないと、単なる法理論として、あるいは刑事局長、また向うさんの上官との間における意見の食い違い等の問題をここでいろいろ論じてもしようがありません。アメリカという国はそんな非民主的な国ではないと私は信じている。そんな常識をはずれた国ではないと思っている。入れぬところへ入ってきたからといって、空砲をもっておどし、日本人を犬ネコなどのように考えているというようなことがもしありといたしますならば、これはとんでもないことであり、日本国民といたしまして私どもはそれは承知なりません。大臣といたしまして、これはいかがでありましょうか。そういった非常識な、非民主的なことが職務行為として肯定されましょうか。法務大臣としての常識を私は伺いたい。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 お説の通り、人を殺害し、あるいは傷害する、こういうようなことが職務でないことはもちろん当然だと思うのでございます。ただ、問題は、私どもといたしましては、公務中に属するかいなかの、裁判権の問題の基本的な点として、裁判権が公務中としてアメリカ軍側にあるか、非公務中として日本側にあるか、これが問題の焦点であったわけでありますが、それには最高裁判所の判例もすでに出ておりまして、公務執行の過程において起った事故が公務中である、こういう判断を最高裁判所はいたしておるのであります。従来管轄について争いなり意見の相違が起きた事柄は、聞いてみますとしばしばあるそうでありますが、意見は相違いたしましても、結論としては、話し合い、こちらが主張すべきことは主張いたしまして、正当な証拠を示しますと、アメリカ側は譲歩して、向うの主張を引っ込める、こういうようなかっこうで、今までは衝突のしっぱなしという事件はないように聞いております。ただ一件、パトロール中に起きました事件についてアメリカ側は公務中であると主張し、わが方は公務中にあらずと主張して、結局、アメリカの軍当局は、それでは日本側の主張が正しいように思うから自分の主張は引っ込めるといって引込めて、日本側が裁判にかけたのでありますが、被告自身がこれは公務中のことであるということで、争いをいたしまして、一審から二審、さらに上告して最高裁判所まで参りまして、結局、最高裁判所は、たとい勤務中のできごとであっても、公務執行の過程において起きた事故でない限りは公務にあらざるものと判断すべきである、こういうことで最高裁判所の最終決定があって、この事件も最終的結末がついたわけであります。あくまで私どもはこの線に沿いまして、本件の場合におきましても、果して公務執行の過程において起ったかどうかということが重点である。かように考えます。  警察当局といたしましても、すでに一応の取調べをいたしまして、事件を前橋の地検に送付いたしましたから、一応警察当局の結論というものが一つの結論になって、この結論は、今佐竹さんのお話のような結論が出ておるというように聞いております。ただ、検察当局としては、警察で調べたままをまるのみ込みにするわけに参りませんので、検察当局は検察当局としての立場であらゆる角度から捜査をし、証拠固めをしておる、こういう段階に現在はあるわけでございます。本件の具体的の事例としては、とにかく部隊としては休憩中であったに間違いない。ただ、その上司であった何とかいう少尉が、機関銃を守れとか、あるいは日本人を区域外に出せとかいうことを言ったというのですが、それがかりに言ったということがあれば、若干そういう公務を帯びておる時間中でありますから、公務中ではないかという疑義が一応伴い得ることではありますけれども、しかし、その上司の命じたことは決して日本人を傷つけろとか撃てとかいう指図はしておるはずはありませんので、またそういうような事実も現われてきていないように開いておりますから、従って、結局この事件を目下厳重かつ慎重に捜査は続けておる段階でございます。私どもとしては、あくまで公務の執行の過程において起った事件か、しからざるものかということを基本的な観念として結論を適正に出したい、またそういうように関係機関をして行わしめたい、かように考えております。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 時間がないそうでありますから一、二御質問いたしまして、きょうはその程度にいたしましょう。  ただいま大臣のお答えの通り、公務執行の過程におけるものでなければ問題にはなりません。ところが、場外へ出ていけといって空砲を発してみたり、おとしてみたりすることは、これは公務執行そのものではありません。また、公務執行の過程ではありません。従って、これはほとんど問題にならないと思うのに、それがいろいろと論議され、そのために今日なおちゅうちょせられておるかに見られますので、私はこの問題は明確ではないかとお尋ねをいたしておるのであります。  いま一つ、かように明らかであるにかかわらず、なおこれを、過失の問題を持ち出しまして、過失案件ではないかというような工合に当初扱っておりましたので、最初の見解から逐次お尋ねいたしますならばよく当局の御意向もわかるのでありましたけれども、私は短兵急に結論的にお尋いたしましたので、過失の問題についてはきょうは触れぬことにいたします。  ただ、一言お尋ねをいたしたいことは、先ほど池田委員から、坂井なかさんその他とにかくたま拾いをする人々がみすぼらしい姿でたまを拾っておる、そこで向うさんの方でもこれを蔑視し軽視するのあまりこういうようなことになったのではないかと思われるのは遺憾であるというふうな質問がありましたときに、中村大臣は、まことに同感であると答えられました。このお言葉は、いかにも日本人を蔑視し軽視するのあまり本事案が起きたかのごとき印象を私どもに与えました。日本人を犬ネコを追っ払うごときおどかしをかける気持からこういった事案を起したものといたしますならば、われわれは大いに考えなければならぬ点があります。当局といたしましてこれを肯定なさっておるのかどうか。先ほど刑事局長から、坂井なかさんが田畑三分の二を提供して、収入も非常に減っておるだろうし、このときにたま拾いをすると約二千円以上の収入になるといったようなことで、坂井なかさんが進んでそういう危険の中に飛び込んでいったものだからそういう結果になったのであろう、こういうふうに推察できるような御答弁がありました。私はまだその真偽を十分確かめ得ませんが、大臣は先ほど、池田委員の質問に対して、御同感であったと答えられたのですが、本事案が、日本人のたま拾いがみすぼらしい姿であって、これを軽視し蔑視するのあまりそういう結果になったのではなかろうかというふうに当局としとはお考えになっているかどうか、この点を一つ承わっておきたいと思います。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 この点言葉が簡単でありましたので詳解かあるといけませんからお答えを申し上げます。私は、先ほど池田委員のいろいろ述べられましたお言葉をせんじつめて、こういうたま拾いのようなことは非常に恥かしいことじゃないかという御趣意のように聞きましたので、同感の意を表したのでございますが、米兵が日本人を蔑視しあるいは軽視して、そのために発砲したというようには必ずしも考えておりません。これは相手方の人の意思でありますから、こちらが軽々にそんたくして勝手な判断を下すべきではないと考えております。ただできごとから見まして、その他にもたま拾いが各演習場にありますという現状を嘆かれました池田委員のお説に対して、まことに国家の面目、民族の面目の上からも残念なことであるという趣旨で同感の意を表したのでございます。従いましてこの機会にこういうことを改善できるものならする方向に最善を尽していきたい、こういう趣旨を申し述べたのでございますから、どうぞ一つそのように御了承願いたいと思います。

佐竹晴記日本社会党

○佐竹(晴)委員 本日は時間がないようでございますし、この問題はなお当局といたしましても十分結論を得られていないようでありますから、すみやかに結論を出されまするように要望いたしますと同時に、さらに質問がありますが、これを留保いたしまして、本日はこれをもって打ち切ります。

高橋禎一自由民主党

○高橋(禎)委員 私は二点ほど関連質問いたしたいと思います。  まず第一点のやさしい方から申し上げます。問題はただいま最後に佐竹委員から御質問があった点に関連をするわけでありますが、私どもは、相馬ケ原演習場におけるこのたびの事件の処理に関しまして、米駐留軍の犯罪行為から日本国民を守るというところに要点があるように思うのであります。特に日本も国際連合に加盟して完全独立国となっているわけでありまして、その後に大きい渉外的な事件としては初めて起った問題であります。もちろん、日本国民だけではなく、諸外国の人たちも、この事件の処置については非常に関心を持っておる。法律上の解釈にしても、運用にしても、捜査の事実認定にしても、文化水準の高い日本国であるということを世界に示すくらいの意気込みでもってこの事件の処理を堂々とやっていただきたい。世間が騒ぐのももっともでありますし、騒いでいるからというのでえらく上ずったり、足が地につかないということでもって事件の処理に当られることはよろしくないというように考えております。そこで、捜査上のことについて私のお伺いしたいのは、この事件の動機と申しますか原因と申しますか、そういう点について検察当局は十分の調査をなさったのであるか、検察当局はその方面に力を入れて調査をしておられるか、こういう点なんです。この刑罰法規の運用については、いわゆる刑事政策的な高い理想のもとに行われなければならないわけであります。ところが、本件のような渉外事件の場合においては、日本国内の従来の事件の取扱い、それの処理というものよりはさらにむずかしい問題があると思うのであります。ですから、いわゆる渉外的な意味における刑事政策を一体どういうふうに考えていくべきかということが問題だ。たとえば、演習場でたま拾いをすることは、出入を禁じてあるところでやるんだから侵入罪になる、あるいは、たまを拾えばそれは窃盗罪になる、こういう者に対して米軍は、正当防衛とか、立ちのきを命ずるために相当この種の暴力的な非合法的な手段によってもやられるのだというように簡単にそう考えておる、こういうように思うのです。と申しますのは、アメリカの人が日本に駐留しておる、日本が土地その他の施設を提供しているということは、日本の国民感情からいたしますと、とにかく向うさんが借りて使っておるのだという感じを持っておる。そうして、土地を提供された人たち、もとの所有権者または現に所有しておられる人たちは、自分の土地だという感じがある。そこへたまのくずが落ちたから入って拾うということを、普通の侵入罪であり窃盗罪であるというような観念を入れられない面がある。それを、ここに入ってきたからといって簡単に追っ払うような処置をとられるということになると、問題が非常にむずかしいことになる。こういうことも含めてこの種の事件の処理をやっていただかなければならぬ。私はこう思うわけです。そこで、私がお尋ねした動機の問題を十分に調査していかないと、せっかく外交交渉をやっても、向うが遺憾の意を表し、こちらが将来そういうことがないようにと言っただけでは、これはごく儀礼的なものであって、問題の解決がつかないと思う。本件はこういう動機によって犯された事件であるから、米国側においてもこの点を注意してこういうふうに解決せよという具体的な申し入れをしないと、向うでもやりようがないと思うのであります。私は、あるいは日本人を蔑視するの考えから起った事件かもしらぬと実は疑っておる。そうかもしらぬし、そうでないかもしれません。ですから、そこのところをよく調べていただいて、蔑視でやったものなら蔑視でやったということをはっきりすべきである。そうでなく、他にいろいろ原因、事情があるならば、その事情を明らかにしてもらいたい。その点についてお調べがあったかどうか。すなわち、原因について十分調査なさいますかどうか、また現に調査しておられて、それがわかっておれば、それを明らかにしていただきたい。それから、法務大臣には、そういうふうに原因がわかったならば、それらの点について政府を通じてアメリカ側に強く申し入れられて、かかる事態が起らないようになさるお考えがあるのかどうか、その点をお伺いいたします。

中川董治警視長(警察庁刑事部長)

○中川(董)政府委員 まず、警察関係でやりました心がまえその他要点についてお答え申し上げます。お説の通り、ほかの純正に外国人の関係していない事件も同様なんですけれども、本件のごときは外国人の関係している事件でございますので、いろいろな角度から捜査をする、ことに、お説のごとく、被疑者の動機、そういった点を含めていろいろ検討を加える、こういう態度は、最初から群馬県当局においてやっております。さらに進んでは、この犯罪動機とまでは言えぬかもしれませんが、全体の環境と申しますか、あの住民の方々が日ごろどういうふうにして施設に関連していろいろなことを行なっているか、どういううわさがあるか、こういうことも含めて、あの施設の実態と申しますか、そういった点は刑事事件に直接関係ないかもしれませんが、その刑事事件を取り巻く環境という点もありますので、そういった角度も警察としては――結果において刑事事件そのものに参考にならぬこともあろうかと思いますけれども、むだではございませんので、本事件に直接従事する者以外にも活用いたそうと思いまして、そういう点も調査いたしたのであります。事件そのものについてはいろいろ確定しなければなりません点もありますし、いろいろ周密なこともやっておりますので、動機がこうこうこういうことでやっておるという点を少くとも警察の段階で明確にここで申し上げるということはまだいかがかと思います。ことに、検察庁の捜査もただいま続行中でありますので、そういった点は検察庁の捜査が終ってからいろいろ御検討なさる問題だと思っております。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 御指摘のように、当面の事件の処理は処理といたしまして根本的な問題につきましては、関係当局とも協議いたしまして、できるだけ具体的に善処の道を考究いたしたいと考えております。

高橋禎一自由民主党

○高橋(禎)委員 本会議の予鈴も鳴ったので、時間がありませんから、この次にお聞きしたいと思いますが、それまでに政府の方でこの点を御研究願っておきたい。今すぐ一口でお答えできればお答え願っておきたいと思うのですが、先ほど井本刑事局長のおっしゃった刑事特別法の第二章第二条の「施設又は区域」云々という問題について、政府としては一体意見がまとまっておるのかどうか。何だか政府の中で二説あるのじゃないかという感じがいたしますから、その点、そういうふうなことではこれはなかなか容易ならざる問題だという感じがいたします。そうして、政府としては、また法務当局としては、行政協定に基かないものでアメリカ駐留軍が演習場その他に使用しておるものがあるのかないのか、その点についてどういうふうにお考えになっておるか、すなわち、行政協定に基かないで現にアメリカ駐留軍に施設もしくはその他土地等の提供をしているものがあるという考えであるかどうか。その点を一つお尋ねしておきますが、即答を求めるわけではありません。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 委員長から申し上げますが、問題はなかなか複雑であり、重要であるようですから、政府の方において十分御検討の上、次回に御答弁願いたいと思います。  志賀委員。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 時間がありませんから、この次までに――明日ですが、よく調べていただきたい。  井本刑事局長に伺いたい。先ほどあなたは、佐竹委員ですか池田委員ですかの質問に対して、行政協定の一部ということを言われましたね。ラスク・岡崎交換公文、これは間違いじゃありませんか。というのは、昭和二十七年二月二十八日に行政協定ができております。その口に同時にこの交換公文が発表されているのですよ。それに基いてやっておるのではない。全然別のことなんです。行政協定よりほかのことなんです。もう一度よく調べてから答弁なさらぬと、後日とんでもないことになります。というのは、この相馬ケ原だけです。ほかに五年間もこういう特別扱いをされておる所はないのですよ、行政協定によっても。これをほったらかしておいたのは政府の大失態なんです。だから、あなたの今言われた答弁で正しいのか、思い違いか、あるいは政府がほったらかしておいたのをごまかそうとするのか。今度の事件でもこれは重大な問題になってきますから、きょうここで即答は求めませんが、この次までに調べておいてもらいたい。重大ですよ。これはあなたの発言として。これが一点。  それから、次に明日までにお調べ願いたいことは、例の広島の死の行軍事件ですが、これについて中村法務大臣は、当委員会では人権問題の観点から法務省として答弁したい、こういうふうに言われましたが、しかし、これは人権問題というよりは一般刑事事件の一つであるべきはずです。というのは、憲法第七十六条第二項に、「特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。」という規定があります。そうだとすれば、自衛隊の中で起った刑事事件もすべて裁判所なり検察庁でやらなければならない。ところが、防衛庁の方では、部内で起った事件だから部外で問題にすることはいけないというような軍法会議時代の考え方ですが、それに対して法務大臣はどうお考えになるか。それでよろしいかどうか。それから、この次までに、死亡者の診断書があったらこれも提出していただきたい。というのは、今まごまごしておって部内でやっておりますね。青竹でぶったたいたとかなんとかいう事件、これを研究中とかなんとか井本刑事局長は言っておるが、これで部内の人間を黙らせて、一般刑事事件と同じように証人としてここへでも呼べるし法廷へでも呼べる人間を呼べないようにしておくと、何のことはない、法務省が証拠隠滅に協力しておることになると思う。だから、死亡診断書と、今の点をはっきりしていただきたい。  この点についてはこの次に質問します。

三田村武夫自由民主党

○三田村委員長 本日は本会議の関係上この程度にとどめ、これにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。    午後一時散会

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