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26回国会衆議院1957/04/10

文教委員会 第17号

発言数
101
登壇者
13
会派数
2
開催日
1957/04/10

会議録

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 これより会議を開きます。  まず市町村立学校職員給与負担法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案及び公立学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を一括議題とし、それぞれ提供者より提案の趣旨説明を聴取いたします。平田ヒデ君。

平田ヒデ日本社会党

○平田委員 ただいま議題となりました市町村立学校職員給与負担法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。  幼稚園教育は幼児の心身の発達を助長せしめ、小学校入学前の教育として重要な役割を果すとともに大きな効果を上げていることはすでに実証されているところであり、幼稚園教育の重要性が認識されるにつれて幼稚園に入園する希望者は年々増加しているのでございます。このように幼稚園教育の必要性が大きく叫ばれておりますが、公立幼稚園におきましては、施設が少いため、大体希望者の三分の一しか収容されておらず、その競争率は二倍から二十倍の狭き門となり、その結果公立幼稚園に収容されなかった幼児の中で経済的に恵まれた家庭の幼児は私立幼稚園へと入園していきますが大多数の幼児はほうり出されている現状である次第でございます。  さらにまた、幼稚園に入園してみましても、現に設置されている幼稚園は希望する幼児を最大限まで収容しているため、文部省で定めた施設一人当りの暫定最低基準(幼児一人当り〇・九坪)を確保していない幼稚園は、総数の七三・八%にも上り、著しい例は幼児一人当り〇・三六坪のところもあるのでございます。またさらに、危険校舎は全保有坪数の九・九%もあり、二部保育、日曜保育、巡回保育等も跡を断たず、設備についても設置基準以下のところが七三%に上り、このような不正常な状態の中で教育が行われております現状なのでございます。  次に教員の給与についてでございますが、国立の幼稚園の教員については、給与法において義務教育の学校の教員とひとしい給与を認められているのでありますが、市町村の場合にあっては、市町村の財政規模の大小により、同一県内の同一学歴者の幼稚園の教員相互においても異なり、また一般的に義務教育の学校と比較いたしました場合、初任給において二号低く、昇給昇格も不完全であるため、その差は年数を経るに従いましてさらに大きくなり、はなはだしいところでは日給のところさえあるのでございます。そしてまた、このように低い給与の中で生活権を脅かされながらも一生懸命幼児教育に専念している教員の中には戦争未亡人も非常に多くの数を占めているのでございます。  もともと幼稚園は学校教育体系の一環として学校教育法に明記され、教育職員免許法においても義務教育の教員と同様な資格を要請されているにもかかわらず、国は幼稚園の教員の給与に対して何らの補助等を行うこともなく、また市町村立学校職員給与負担法も適用されてはおらないのであります。  そこで、教育の機会均等の立場より見ても、また教員の待遇の点においても、現在年々幼稚園が普及している現状から見て、幼稚園教育の振興をはかるためには、公立の幼稚園の教員の給与などについて、義務教育の学校の教員と同じような措置を講ずる必要があると存ずるのでございます。すなわち幼稚園の教員の給与についても全額都道府県の負担とし、それについてまた国が見てやることとすることが望まれているのでございます。しかし幼稚園は義務教育でないため、それを実現するためには、相当の瞬間を必要とすると考えられますので、その実現のための最初の段階として、この法律案におきましては、幼稚園の教員の給与の半額を都道府県が負担することといたした次第でございます。これにより市町村立の幼稚園の設置を促し、父兄の負担を軽減しますとともに、教員の給与の改善をはかり、さらにその任免権者を都道府県の教育委員会として、人事の交流を円滑にし、もってわが国の幼稚園教育の振興をはかりたいと存ずる次第でございます。  次に、ただいま申し上げました市町村立幼稚園の教員の給与の半額を都道府県の負担とする場合、並びに現在都道府県で負担することとなっている市町村立の定時制の高等学校の教員の給与に関しまして、地方自治法第二百五十二条の十九の指定都市につきましては、その行財政の規模から見て、これらの給与は、当該指定都市の負担とすることが適当であると考えられますので、所要の改正を行おうとするのでございますが、その趣旨について御説明申し上げます。  その第一点は、指定都市の設置する定時制高等学校についてでございます。  市町村立学校職員給与負担法第二条の規定によりまして、現在全国の市町村立高等学校定時制教員の給与はすべて都道府県の負担になっておるのでございますが、これはそれまで不安定な状態にあった市町村立定時制教員の身分の保障と給与の改善を目ざしたものでございました。  ところが、指定都市のごとく、府県と同程度の行政規模を持っている自治体におきましては、他の市町村と趣きを異にしておりまして、本法の施行によって同一の市立定時制高校と全日制高校教員との間に、定員、給与、退職金等に格差を生ずる結果となったのでございます。  たとえば、定員の点をとって申し上げますと、高等校学職員の定員基準は、高等校学設置基準に明らかなのでございますが、今日地方財政の窮之に伴って甲号表の適用はもちろん乙号表の適用すら困難な状態に立ち至っているのが現状でございます。しかし、指定都市立の高等学校の全日制におきましては、その財政能力も豊かであり、また都市における高等学校教育の重要性を認識している結果、大体、乙号基準は確保しているのが現状でございます。しかし定時制の場合は、実質的に府県で定員が決定される状態でございますので、全日制と定時制の間に定員の不均衡が生じている場合が多いのでございます。  また給与の点につきましても、指定都市の公務員の給与は、現在まで他の地方公務員と比較しますと、ある程度優遇されているのでございます。従いまして指定都市の設置する高等学校全日制教員に比較して、府県費による定時制教員は給与が低く、また退職金、退隠料等についても格差が生じているために、校舎を同じくする全日制、定時制教員の間で、夜間勤務という勤務条件の悪い定時制教員の待遇がかえって悪いという状態が起っておりまして、非常な不満が出ていると同時に、人事の交流や、新規採用にも悪影響を与えているのでございます。  以上の点から指定都市の設置する定時制高等学校においては、他の市町村と一応これを区別し、教員の給与を設置者たる市において支弁することが適切であろうと考えられるのでございます。そしてそれがひいては商工業都市としての働く青少年を対象とする定時制教育を振興させるものであると考えるのでございます。  次に指定都市の設置する幼稚園についてでございます。現在指定都市におきましては、幼稚園の設置が市の構成により清々と整備されている現状でございますので、この教員の給与に関しましても他の市町村とは異なり、都道府県に負担させる必要はないと考えられますので、指定都市は除くこととした次第でございます。  以上、簡単でございますが、提案理由を申し上げた次第でございます。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あられるようお願い申し上げます。

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 次に、ただいまの趣旨説明に対する補足説明を聴取いたします。木下哲君。

木下哲日本社会党

○木下委員 ただいま提案理由の説明のありました市町村立学校職員給与負担法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、若干の補足説明をいたさせていただきます。  この法律案は二カ条に分れておりまして、第一条におきましては、市町村立学校職員給与負担法の一部改正について規定し、第二条におきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律案の改正について規定いたしております。  一、まず市町村立学校職員給与負担法第二条の改正規定について御説明申し上げますと、同法二条より市(地方自治法第二百五十二条の十九第二項の指定都市)を除くことを規定いたしたものでございます。これは指定都市の定時制の高等学校の教員の給与は当該指定都市の負担とすることに改める規定でございます。  次に新たに新設いたしました。第二条の二といたしまして、市町村立の幼稚園の園長、教諭、助教諭の給与の二分の一を都道府県の負担とすることを規定いたしましたものでございます。  また同法三条の改正でございますが、新たに二条の二を新設することにより、幼稚園の教員につきましても死亡一時金、旅費、公務災害補償費につきまして、二分の一を都道府県負担といたすものでございます。  二、次に第二条の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正について御説明申し上げます。  三十七条の改正規定は、市町村立の幼稚園の教員の任免権者を他の市町村立学校職員給与負担法の規定により、都道府県で給与を負担しているものと同じく、都道府県教育委員会とするものでございます。  同法三十九条の改正規定は、他の県費負担職員の場合と同じように、任免権者は、都道府県の教育委員会でございますが、市町村立の幼稚園の園長は所属教職員の進退に関して設置者たる市町村の教育委員会に申し出ることとするものでございます。  その他の改正規定は、字句の整理でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 次に櫻井奎夫君。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 ただいま議題となりました公立学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案について、その提案理由を説明いたします。  日本国憲法第二十六条は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」と規定しており、さらに教育基本法は、日本国憲法の「理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」と教育の使命の重要性を明確に打ち出しております。現行法においては義務教育はおおむね地方公共団体が設置、運営しているのでありますが、義務教育の重要性とともに地方財政の窮之をあわせ考え、市町村立学校職員給与法、義務教育費国庫負担法、公立学校施設費国庫負担法等々が定められたわけであります。しかしながら人口の増加や移動によって、既設の教室で間に合わず二部授業やすし詰め教室がしばしば続出している状態であります。  文部省の統計、三十年度公立学校施設の実態調査によれば、最低基準に不足するもの、小学校で一万四千二百十校、不足坪数百四十九万五千六百三十六坪、中学校で一万一千四校、二百三十八万四千.五百五十四坪、盲、ろう養護学校で百三校、一万二千六百三十坪となっております。これらはすみやかに解消されなければなりません。  小学校には不正常授業解消促進臨時措置法がありますが、これは同じ義務教育の建前を考え合せると、当然中学校にも適用されるべきものであります。また、この不正常授業解消促進臨時措置法は三分の一以内の国庫補助と規定しているため、今日まことに窮迫せる地方財政のうちから残りの三分の二を支出することが大へん困難であり、これがために事態の解決をさらにおくらせているのであります。かかる不正常授業は当然国の責任において解消さるべきものであり、従来義務教育年限延長に伴う公立学校の施設の不足による不正常授業が公立学校施設費国庫負担法に基いて解決せられていること等を考え合せ、ここに公立学校施設費国庫負担法を改正し、すべて公立学校の義務教育における不正常授業を二分の一の国庫負担により同法において解消することが適当と考え、今回提案する運びに至った次第であります。  以下逐条にわたって説明いたしたいと存じます。  まず第一条の「義務教育年限の延長に伴う公立学校」を「不正常授業の解消のための公立義務教育諸学校」に改めました。これは、すでに申し上げました通り、中学校にも不正常授業の解消措置をとらなければならない点を考え、公立学校不正常授業解消促進臨時措置法を廃止して、これらの必要規定をこの法律に加えたものであり、以下同趣旨に基いて整理したのであります。  次に従来不正常授業の規定が複雑である点を考え、これを整理し、第二条に加え規定したのであります。また付則第三項を特に改めたのは、本法において、当然のこととして最低基準坪数を必要とすると規定いたしましたが、予算面等諸般の事情を考慮して、当分の間この最低基準を下回ることもやむを得ないと考えたわけでありまして、でき得る限り近い将来において、この付則第三項が除かれることを提案者として特に願うものであります。  次に本案施行に要する経費は、現状の不正常授業が五カ年間に解消せられるものとして平年度約六億円程度の増加見込みであります。  以上がこの法案を提出いたしました理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、御賛成下さるようお願い申し上げます。

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 両案に対する質疑は追って行うことといたします。     —————————————

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 次に文教行政に関する質疑に入ります。高村坂彦君。

高村坂彦自由民主党

○高村委員 文部大臣にお尋ねをいたしたいと思います。実は新聞等で報道されておりますが、佐賀県の教員諸君が、二月の十四日、五日、六日の三日間にわたりまして、三割、四割と一斉職務放棄をしておるということにつきまして、その実情等について、文部省の方にはいろいろ情報等もお集まりかと思います、あるいは大臣でなくてもよろしゅうございますが、まずその状況をお知らせをいただきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 状況につきましては政府委員よりお答えいたさせます。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 本件は佐賀県が再建団体でございますので、二百五十九人の整理をするということに端を発しまして、お話しのように二月の十四日以後に、三、三、四の割合で一斉賜暇を行なったわけであります。それは大体八五%が参加いたしまして、しかし大部分の者が、これははっきりと業務命令が出ておりますので、総数で申しますと、教職員の総数が五千九百二十九名、休暇願を提出し、承認を得て大会に参加した者がわずかに十一名でございます。休暇願を提出したが、未承認のまま休んで大会に参加した者が五千百七十一名、休暇願が承認されないので、願いを撤回し、かつ休んで大会に参加した者三十一名、無断で大会に参加した者二十六名、以上でございまして、学校はほとんど授業を停止したという事態でございます。これに対しまして父兄特にPTAの強い反対がありまして、ところによってはPTAの解散決議も出され、また校長のうちで組合を離脱した者も相当数に上っておると聞いておるのであります。

高村坂彦自由民主党

○高村委員 今の初等中等局長の御説明はきわめて簡単でございまして、十分情勢が把握できませんが、この再建整備計画に基いて二百五十九名を整理するということについては、教育委員会として、その後どういうふうな対策をとって県と交渉しておったのか、それらの事情がおわかりでございましたら、一つお知らせ願いたいと思います。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 佐賀県の計画は、二百五十九名という決定に対しまして多少無理があったようでございます。そこで再建計画の修正について、県の当局、特に鍋島知事と教育委員会が話し合って三十一年度は——これは自治庁も承認したのでございますが、三十一年度の整理については、ともかく財政的には無理だということが自治庁もわかりまして、三十一年度は財源的には落さなかったということでございます。そして三十二年度につきましてはどういう処置をするかということをただいま佐賀県当局と自治庁が検討しておりまして、それに私どももいろいろと無理な再建計画のないように自治庁にも希望し、また申し入れもいたしておるのでありますが、自治庁といたしましては、佐賀県当局の知事と教育委員会の一致した見解に基いて提出されるならば、再建計画を再検討いたしましょう、こういうことを言明しておるのであります。まだ具体的には、知事の方から再建計画変更の承認願が出ていないという段階でございます。

高村坂彦自由民主党

○高村委員 ただいまの御説明によりますと、再建計画に基く教員の整理というものが具体的にきまって、それの実施の段階にはまだ入っておらない、さらに教育委員会なり県当局が折衝して、今その善後措置について対策が進行中だ、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 結果的にはそういうことになると思います。と申しますのは、一応再建計画というものはきまっておるわけでございますけれども、三十一年度は実施ができなかった、この点は自治庁も承認いたしまして、財源措置を修正したのであります。三十二年度以降につきましては、ただいま自治庁と県当局との間で交渉もし、また文部省もこれに協力いたしまして、修正方を交渉しておる最中でございます。

高村坂彦自由民主党

○高村委員 そうした最後的な決定がまだ来ないときに、佐賀県の教員組合の方であえて実力行使をするといったような状況になった経過について、何か詳しい御報告でもとっていらっしゃいますか。とっていらっしゃいましたら、お示し願いたいと思います。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 相当詳細な経過が出ておりますが、ただいまのお話は、県教育委員会が、一月の十日から二月の十日までの間において、希望退職者を募集することとして、その目標を老齢教職員、期限付採用教員、臨時職員、養護教員に置くとともに、期間内の希望退職者には退職金を普通退職の一・三倍とする、こういうことで県の方は——整理計画というものはある意味で新陣代謝の意味もございますので、希望退職者を募ったわけであります。  これに対して教組は、一月の二十三日に、教育予算の確保、首司り反対、昇給昇格の完全実施等を春闘の基本方針とした。また、二月の五日に、十四日前後から三、三、四割の休暇闘争を含む実力闘争に入る旨を再確認して、二月十日の臨時大会で一般投票によってきめた。そして二月十日の臨時大会において、要求貫徹のため、十四日から三日間、三、三、四割の休暇による第一波闘争指令を決定した。うち、賛成が四千三百二十九票、反対が一千二百二十票、こういうことでこの指令が決定したわけであります。  この間、県教育委員会は、県立高校長、市町村教委連絡協議会、中小学校長協会、PTAと緊密な連絡をとり、学校運営の正常化確保のために、休暇闘争を阻止させるべく、二月五日以降連日全力を傾けて努力した。一方、市町村の教育委員会、学校長、PTA側は、当初教職員の現員確保、昇給昇格の完全実施を要望して参ったが、教職員の休暇闘争には反対の態度を堅持し、県教育委員会に全面的に協力しました。  二月十一日県教育委員会は緊急委員会を開催いたしまして、休暇闘争を中止させるよう市町村教委連合会、中小学校長協会に勧告し、これらはそれぞれ同日及び十二日に教組に対し休暇闘争をやめるよう申し入れたが、十三日教組はこれを拒否し、同日実力行使突入指令を各支部に流した。そして年次有給休暇申請書が校長に提出されたが、ほとんど拒否されておる。  なお、同十三日に市町村教委連合会緊急総会は、二月十四日朝校長を通じて業務命令を出すこと、休暇に許可を与えてはならないことをきめたのであります。また県教育委員会、市町村教委連合会、中小学校長協会、PTAは十四日以降も休暇闘争の阻止に全力を傾けたが、ついにこれを阻止することができずに、遺憾ながら休暇闘争に突入した、こういう状況でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 高村委員にちょっと申し上げますが、井上外務政務次官の時間の都合がありますので、大へん恐縮ですが、井上政府委員に対する質疑に入りたいと存じます。そのあとで質疑を続行していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。——それでは野原覧者。

野原覺日本社会党

○野原委員 井上政務次官にお尋ねします。先週の文教委員会で都留教授の喚問の問題を取り上げまして、外務省当局の見解もお伺いしたのでありますが、その際、日本の公務員をアメリカの国家機関が日本政府に対して何らの連絡すらもとらないで喚問をする、こういうことについてはきわめて遺憾ではないかと言ったら、まことにそれは同感であるという御意思があなたから表明されたのであります。その後新聞の報道等を通じて、私どもは、外務省がアメリカにある日本大使館を通じて、アメリカの国務省に遺憾の抗議を発したというようなことも知っておるわけでありますけれども、本日はこの文教委員会で取り上げました教育公務員都留教授のことでもありますから、当委員会において外務当局はどういう手順でアメリカに抗議を発せられたか、及びその抗議の内容はどういうことになっておるのか、お知らせ願いたいのであります。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 お答えを申し上けます。一橋大学教授都留重人君のアメリカ上院法務委員会の国内治安分科委員会におきます証言の問題に関しましては、先般申し上げました通り、今回のような形で同教授が喚問されましたことは、国際議礼上まことに遺憾であり、必ずしもそれは妥当な措置でなく、まことに遺憾である。と同時に、今後渡米いたします同種の日本人に対しましても不安の念を与えますわけでございますし、今後の日米文化交流という点から見ましても好ましからざる影響を与えるというふうに考えられますので、今後同様なことが発生しないように、善処方を、在米大使館を通じまして国務省に対しまして厳粛に申し入れをいたしたわけであります。それが本月の三日でございます。その後国務省当局からは、当方の申し入れの趣旨を十分に了承した、今後はわが国の申し入れの趣旨に沿って措置をするということを申して参ってきております。これが先般お答え申し上げました以後におきます事情でございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 その申し入れ並びに国務当局の回答は、これはもとより文書によってなされたと思いますが、その辺はどうなんでありますか。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 これは公使がみずから参りまして向うに口頭をもって申し上げております。

野原覺日本社会党

○野原委員 私はそれはきわめて奇異なお答えだと思う。日本の公務員が無断で召喚をされることは重大であるから、外務当局として相当厳重な抗議をするやにあなたは御答弁をされておった、こういうようなことが国際儀礼上きわめて遺憾だという、その国際間の抗議ないしは国際間の回答というものが単なる口頭でなされて、炉辺閑話みたような言葉のやりとりでは、これは今後何の保障にもならぬじゃないですか。こういうものは当然文書で申し入れをし、文書で回答を受けくべきものであると思うが、その辺の御見解はどうでしょうか。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 これはいろいろ形式はございますけれども、口頭によって申し入れをしたわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 そういうことでは、今後アメリカに渡航をした日本の公務員が、無断で召喚されないという保障には私は断じてならぬと思うのであります。断じてならない。そこで重ねてお尋ねをいたしますが、国務省は口頭で遺憾の意を表してきた、こういいますが、それではその遺憾の意を表されてきたことによって、今後日本の公務員がアメリカの国家機関において召喚あるいは喚問される場合には、無断でされないという保障がなされたものとあなた方は受け取っておりますか、お尋ねします。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 このたびのわが方の申し入れに対して、その趣旨を了として今後十分わが方の申し入れの趣旨を尊重するということを申し出てきております以上は、このたびのように出先大使館に連絡なくやる、あるいは本国の政府に連絡なくしてやる、召喚をするというようなことは私はないものと思う、私はアメリカは私どもの申し入れを尊重して今後やってくれるものと信じております。

野原覺日本社会党

○野原委員 アメリカ国務省は、国際儀礼上きわめて遺憾だと言われたけれども、問題はアメリカの国会だ、アメリカの上院の国内治安分科委員会だ、そうなると、国務省と国会というものは、行政府と立法府の別個の機関だ、従ってアメリカの国務省が日本政府に対して、外務省に対して遺憾の意を表されたときには、当然国会に対してもアメリカの政府から、このような措置はきわめて遺憾である、今後こういうことのないようにという注意の勧告くらいはされた上で、外務省に対して遺憾の忍を表されなければ、今あなた方の受け取っておるような安全の保障にはならない、その辺はどう解釈されておりますか。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 アメリカの国務省と国会との関係はアメリカ内部の問題でございまして、私どもが外交上の相手方としていろいろ折衝をいたしますのは国務省でありますので、国務省の申し出によって私どもはアメリカの今後の措置を信じて参りたい、かように考えております。

野原覺日本社会党

○野原委員 そのことはよくわかります。これは日本政府から国会に対して申し入れることもできないと思う。国際的な場合なかなかできない。日本の国会からアメリカの国会に対して申し入れることの可否については検討を要するでしょうけれども、これはできない。それは当然国務省に対して抗議を発する以外にその方法はないと思います。けれども事の内容というものは、アメリカの国会が引き起したことであるから、国務省から遺憾の意が表されてきたときに、もう一つだめを押さなければならない。あなた方はアメリカの国会に対して注意を喚起してくれたのか。行政府だから行政府は監督権がないでしょうが、国会がそういうことをされては国際儀礼上困るということの注意の喚起をなさったかどうかというだめ押しくらいは、当然された上の遺憾の表明でなければ、私どもはこれを遺憾の意の表明と受け取ることはできない。その辺はどうなんですか。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 私どもは国務省の回答をもってアメリカの意思の伝達を受けたものであると了解しております。

野原覺日本社会党

○野原委員 それでは保障になりません。保障になると思いますか。単なる国務省のそれだけの回答でアメリカの国会から無断で喚問をされない保障がとられたとあなたは受け取っておるのか、外務省はそういう見解をとっておるのか、これは重ねてお尋ねいたします。もう一ぺん念のために申し上げますが、アメリカの国会は国務省と何ら連絡なしに喚問、召喚をやりますよ。国務省側だけから遺憾の意の表明をとって、国務省に対して国会その他との連絡について注意を喚起していないような遺憾の意の表明で保障がとれたと解釈しておるのかどうか、お尋ねいたします。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 今般の都留教授の召喚の問題は、国際的に相当波紋を投げかけた問題でございます。アメリカの国内においても相当問題になった事件でございます。わが方の申し入れに対してアメリカの国務省から回答して参りました件について、これを国会と連絡したかどうかということは、私どもは念を押しておりませんが、アメリカ国内においてわが方に対する回答については十分念を入れて打ち合せの上、また各般の連絡をした上でなされたもので、従ってアメリカの意思として私どもは受け取っておるわけでありまして、今後は私どもの申し入れた趣旨に沿ってアメリカが措置するであろうということを私は信じておるわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 そうなりますと、国会も遺憾の意を表明しておるのだ、このように受け取っておると申されるわけですね、あなたはそう解釈しておるけれどもそれは甘い。だから私は重ねてアメリカの国務省に対して、国会に対しても、一つあなたの力から注意を喚起し、このようなことがないようにしてもらいたいということをなさったかどうかという御質問くらいはされてもいいじゃないか。それをしなければ何ら抗議の意味になりませんよ。ただ日本の会議、日本の国民をごまかすといえばおかしいですけれども、通り一ぺんの抗議ですよ。今後の保障を求めるという抗議にはなっていないのですよ。だから私はアメリカの国務省に対して、国会に対しても注意を喚起すべきだ。だから国会からも遺憾の意思をとった上で、日本の外務省に対しては遺憾の表明ということの、たとい口頭による回答といえどもとるべきだ。これをあなたはとってはいかぬとおっしゃるのですか。私の言うことがだめだという御見解なのか、重ねてお伺いいたします。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 日本の外務省がアメリカの国会に対して、本件について申し入れをするということは私は筋違いではないか、かように考えております。なおまたアメリカ国務省に対して、アメリカ国内における機関の相互の問題に対しまして念を押すということも、従来の外交交渉上まことに非礼なことであろうと私どもは考えるわけであります。アメリカの国務省の回答をもって、先ほども申しました通りアメリカの回答として受け取って差しつかえない、かように考えます。

野原覺日本社会党

○野原委員 私は何のために抗議をされたのかということをお聞きしたい。あなたは非礼と言うけれども、向うが非礼なことをやった、その非礼は向うの国会に原因があるのです。だからアメリカ国務省に対して、国会に対して注意の喚起、国会もそういう意向なのかどうかという意思の表明をとらなければ、あなた方の抗議に対するアメリカの回答は、まだなされていないと私どもは解釈、する。アメリカ国会はやりますよ。新聞で御承知のようにこの治安小委員会はどんどんやると言っておる、何だ日本がそんなことを言ったってやる。当然の権限でやるのだ。幾ら国務省が遺憾の意思を表明しても、国務省と別個の国家機関が、どんどんこのようなことをやられれば、何ら意味がないじゃないか。だから国会に対して日本政府から申し入れることはできませんから、国務省を通じて国会に対しても、どうかこういうことがないようにということくらいは申し入れても、しかるべきじゃないか。しかも第一には口頭でやっておるのです。この種の抗議は当然文書による回答、それでなければ今後の保障になりませんよ、口の先でやったんでは……。何という公使が言ったのか知りませんけれども、公使がべらべらしゃべって、向うがきわめて遺憾だ、さようでございますか、こういうことで、あなた方が考えておるような保障になるとは思わぬ。だからこれは公文書でもって重ねて国会に対しても、アメリカの国務省を道じて、このようなことが将来ないように申し入れるところの必要を私は感する。これはいかがでしょう。あなたが御答弁できなければ、岸外務大臣に来ていただいて、私は岸外務大臣から意思の表明を受けたいと思う。こんなでたらめな、いいかげんな抗議はないのです。新聞には、日本の政府はあたかも独立の意思でもって堂々と抗議をしたかのような発表をされておる。聞いてみれば、何もやっておらぬ。どうですか、もう一ぺん、あなたの御所見を承わりたい。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 申し入れの形式の問題についていろいろ御意見があったわけでありますが、口頭による申し入れといえども、あるいは交替による申し入れと同じ効果を持つものだと私は考えるわけであります。このたびの事件に関しまして、下田公使も三日、アメリカ国務省に正式な申し入れをいたしておるわけであります。外交の手段といたしましては、これは正当と申しますか、正しき措置をとっておるものと、私どもは確信をいたしておる次第でございます。

野原覺日本社会党

○野原委員 その点はあなたと全く見解を異にします。だから、これは今後の問題に残したいと思う。  そこで私はお尋ねしますしこれは参議院の文教委員会でも問題になったようでございますが、今度の都留証言の根幹になっておるのは、都留さんの手紙と、「科学と社会」という雑誌の寄稿論文。覚書、そういうものが証拠として、向うに取り上げられて、いろいろ尋問に入ったように新聞は報じでおります。そこで一体都留さんの手紙——これは信書ですが、都留教授信書がどういうわけで向うの国会に入手されたのか、入手の経路をあなた方は、調べておると思う、これを御説明願いたい。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 都留教授の国会における証人喚問の根拠となった信書は、一体どうして国会の手に入ったかという御質問でありますが、事実問題につきまして、私どもは今はっきりとお答え申し上げる根拠は持っておりませんが、戦争が始まりますときに、都留教授がアメリカから交換船で帰ったわけでありまして、そのときに下宿に残してきたものであるというふうに私どもは了解をいたしております。その信書がどうしてアメリカの国会の手に入ったかということでございますが、これは戦争中アメリカに施行されました敵産管理法によりまして、アメリカの政府か、あるいはどこでございますか、そこでこの信書を押収したものだと私は考えております。なおまたアメリカ国会が証人を喚問し、また証拠物件として信書等の提出を命じます権限は、一九四六年にできました立法再組織法によりまして、国会はさような権限をアメリカ国内では持っております。

野原覺日本社会党

○野原委員 もとより、アメリカの国内法が適用になることでありますから、日本の法律に規定されている信書の秘密伝々ということは、この際問題にはならぬと私も思う。しかしながら手紙というものは、単なる敵産の財産ではないと思うのです。敵産管理と申しましても、手紙は財産とは別個だと私は思う。だから、こういうような日本人の手紙が、敵性国家の国民であったからということの理由で、財産として取り上げられて、どんどん調査をされるということについては、相当問題があると私は思う。だから、この手紙がどうして入手されたのかということについては、まだあなたも自信がないような御答弁です。これは大使館等を通じてもう少しお調べいただきたい。他日適当な機会に私どもは御発表を願います。これは重要な問題です。日本人の信書の秘密がアメリカの国家機関でどしどし暴露されていくということは、国家機密にも属してくる重大な問題もはらんでおると思う。だから、この種の問題については、外務省としてはもう少し念入りに御調査を願いたい。  それから次にお尋ねしたいことは、都留さんがアメリカの国会で証言をする前に宣誓をしておりますか、しておりませんか。これをお聞きします。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 アメリカの国会におきまして証人が証言をいたします場合には、みな宣誓をいたしております。従って都留教授も宣誓をいたしまして証言をいたしております。

野原覺日本社会党

○野原委員 そこで、これは本日のお尋ねとしては最後になりますけれども、あなたの方から私どもに英語の証言書が出されたわけです、これは当文教委員会で要求して参考文として出されたものでありましょう。だから、これは翻訳の間違いを正す意味からも、一応原語で出されたことについては、敬意を表します。しかしこれは当然日本文でも出されなければならない。国会は日本語で審議するところです。だから、英語で出しっぱなしでこられたのじゃ困る。これは英語系統の国会ではありません。自由主義国家群の一つか知りませんけれども、私どもの国会は、日本語で問題を審議するのでありますから、こういう書類を要求した場合には、英語とともに、日本文の外務省の翻訳——新聞記者の翻訳ではいけません。外務省の翻訳をつけて出すべきであろうと思う。いかがですか。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 資料の提供について非常にお急ぎでございましたために、英文をとりあえず、昼夜兼行で打たせまして、お手元に差し上げたわけでございます。これを翻訳するということになりますと、タイプが百数十ページにわたりますので、なかなか時間がかかりますことと、もう一つは翻訳のテキストと申しますか、確定版を作りますために、なかなか手数と時間要するわけでございます。なおまたこうした問題につきましては、非常に微妙な言い現わし方等も非常にございますので、かえって日本語のものをお出ししましたことよにって、あるいはまた確定版の翻訳を作るということは、実は外務省としてもなかなか翻訳すること自体において責任を負わなければならぬようなことになりまして、これは相当な時間と手数を要しますので、できるならば原文そのままでもって一つ御了承願いたい。御説明を申し上げます点については、またこうではないかというような点であるいは御説明申し上げます機会がありましたらそうしたことで一つ御了解を願い、翻訳の確定版というものはこの際一つお許しを願いたい、かように考えます。

野原覺日本社会党

○野原委員 あなたのおっしゃることはわからぬでもありません。それはなかなか翻訳というものはいろいろありますから、直訳、意訳、訳し方によってはそれぞれ受け取り方も違うわけだから、それはわからぬでもありませんが、これは私は悪例を残すと思うのです。これは単なる参考文にしましても、日本の国会に行政府の提出するものが原文で出しっぱなしということは、悪例になります。先般もフィリピンのマグサイサイ大統領がなくなられたときに、日本の国会は決議をあげた。日本文であげたのです。しかしフィリピンに送るときには英語で出したのです。だから私どもは、私は議会運営におりますけれども、両方要求した。日本文で日本の議会は審議をし決議をするけれども、向うに出すところの英語はどうなんだと、二つを議会運営としては問題にして検討し、これなら問題がないということにした。だから日本の国会が審議するのは、単なる参考文であっても、日本語で出さなければなりません。それはお手数まことに御苦労ですけれども、これは他日、外務省にはいろいろ専門家がおるわけですから、外務省の翻訳でけっこうなんです。翻訳したものを出してもらいたい。出せないわけはありません。国会に英語で審議させるなんというばかなことはない。このことについてもう一ぺん、あなたは出すと言うでしょう。これは一つ出してもらいたい。

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 この点は委員長から申し上げます。やはりこれはこれに添えて邦訳文を出してもらいたいと思いますから、外務当局においてすみやかに翻訳せられてお出しになるように希望いたします。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 定訳となりますと、先ほども申し上げましたような事情がございますので、御参考までの訳ということでございますれば、相当時間がかかるかもしれませんが、一つ研究さしていただきまして、できるだけ早い機会にもしできれば出すようにいたしたいと考えます。

野原覺日本社会党

○野原委員 それは参考の訳でけっこうですから出してもらいたい。今、出すということですから、すみやかにお願いいたしておきます。  それからなお、日本の公務員が証言喚問の点については何ら保障が得られたと私どもは観釈するわけにいかぬし口頭でなされて、私ははっきり言えばいいかげんな抗議だと思う。いいかげんの抗議でないというならば、いいかげんでないということを示してもらいたい。だから相当これは問題を残します。だからこのことは決して私はあなたの本日の答弁で納得しておりません。単なる国務省の遺憾の意の表明であっても、それが向うの国会と何ら連絡なしに、国務省からなされておる、国務省は今度また問題が起ってあなた方が抗議しても国会は別個の機関です、こう逃げられたら何もならぬのですしだからこの際国会に直接でなくても、国務省を通じて、これは国会の意思に働きかけた上の遺憾の表明をとる、こういう努力をされなければならぬ、だからこれは問題があります。私どもは承知していない。これはなお今後外務当局としても検討をされて、問題があると思考されるならば、すみやかにこの補完をしていただくとともに、このままで放擲されるならば、日本人は安んじてアメリカに旅行するわけにもいかぬ。日本の国会議員は公務員だ、これはいつ喚問されるかわからぬ。この夏にも何名かの者が行くんだが、ちょっと来いと呼ばれて、大へんな問題が起るのだ。だから私どもはこういう状態では安心まかりなからぬ、そういう弱腰の外務省では私どもは信頼するわけにいかぬ、だから私ははっきりここで政務次官に申しておきますが、あなたは誠意をもって御答弁になって、敬意を表しますけれども、そういう点については、私どもは責任のある外務大臣に来ていただいて、この私どもの心配の点を申し上げて、重ねてこれを問題にするということだけ申しておきます。これは一つお考え願いたい、以上で私は終ります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 関連して。井上政務次官にちょっとお尋ねしますが、この問題は先週からもうすでに一週間、衆参両院の文教委員会、また外務委員会で問題になりましたが、これは外務省では今まで翻訳も何もされていないのですか。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 特別な翻訳というものはやっておりません。必要ある関係には、原文のままで資料として配付をいたしております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 御承知のように、内容が問題になると思うのです。今の翻訳の解釈によってもいろいろ問題がありますが、これだけ国内の新聞でも非常に問題になっていますから、外務省の解釈の翻訳でいいから、われわれは早くいただきたいと思うのです。これは問題でありますので、できるだけ至急一つ……。今委員長からもお話がありましたが、翻訳をされておると思うのですが、まだされていないのですか。この点ちょっとあいまいなところがある。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 今現在までのところは翻訳はいたしておりません。将来一つ研究したいと思います。

高津正道日本社会党

○高津委員 関連して、この問題はなかなか重大であると思います、アメリカの上院国内治安委員会が日本の著名の士をあのように喚問して、二十年前のこと、あるいは昭和四、五年ごろのことまで、反帝同盟のことまで、根掘り葉掘り聞いておるのでありますが、その意図は反共思想、反共対策を強化しようという意図があることは、われわれには見てとれるのであります。それをやればどういうことになるかといえば、軍事予算にあのように、反共ノイローゼで六割五分もそれ以上も、国家予算をきいておるというようなやり方であります。それだからこそ日本の公務員でも、日本が怒って、ますます反米思想が起るような結果をもたらすことにも思い及ばずに、こういうような都留教授を引っぱって、賓客を引っぱって、非礼千万な尋問をやったのであります。私はこの今回の都留尋問ということは、カナダのエジプトに駐在するノーマン大使を陥れより、彼のアメリカとは違った政策、世界政策に立っておるところの行動を牽制しようというねらいがあったに間違いないと私は思います。第二には日本のインテリは、総合雑誌にどうも反米的な、アメリカの世界政策を批判するようなことだけ書いておる。一つやり玉に上げて、日本の教授あるいは評論家、そういう進歩派学者に冷水を浴びせてやろう、こういう意図があると思います。それからまたアメリカの進歩的な一番最後の牙城のように見られるハーバード大学に、こういう元共産党員を呼び出してきて、これを赤だ赤だということを明らかにして、ハーバード大学を牽制しよう、こういうような意図も入っておると思うのでありますが、外務省におかれては、この意図は本来どこにあるのか、どういうような認識を持っておられるか、その点を承わりたいと思います。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 国内治安小委会におきまする都留教授の召喚についてのアメリカの意図につきましては、私ども、これまでのいろいろな経過なりあるいはまた都留教授の証言の内容その他によりまして、いろいろ推測はできますけれど、このために実際やったのだということは私どもとしては言い切れないと思います。  また先ほどもお話がございましたように、ノーマン大使との関係でございますが、直接関係のあった問題ではない、私はさように信じておる次第でございます。なお、アメリカの治安小委員会におきます調査は何を意図しておるかということにつきましては、これは漠然とアメリカ国内の治安のためにやっているのだということを私どもは申し上げるほかはない、かように思います。

高津正道日本社会党

○高津委員 世界の二大強国の一つであるアメリカが、大金持ちであって、分病気にかかっておる。どのような病気かといえば、共産主義がこわい、ソ連がこわい、反共ノイローゼの状態を呈しておる、その一つの現われが都留の問題を引き起した、もう一つは予算でも現われておる。どんなに軍備をやっても安心ができない。そうすればソ連もやる。世界の平和はこの軍備拡張の対立によって乱されているので、それに日本が巻き込まれては困るし、しばしばとばっちりを食っておるのであるが、いよいよ巻き込もうとしておるのである。私はもらった資料の仮訳を早くいただいて十分に検討してみたいと思います。これにはまだ秘密部分がそのほかにありますが、その秘密部分は日本政府にはもらえるのでしょうか、もらえないのでしょうか。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 公聴会の秘密会におきましての証言は、これは秘密会の性質から申しまして、外部に出されません。従って日本政府としても手に入れることができません。

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 以上で本日の井上外務政務次官に対する質疑を終ることとし、先ほどに引き続き、高村委員の質疑を続行いたします。高村坂彦君。

高村坂彦自由民主党

○高村委員 政府委員の御説明で、大体今回の佐賀県の問題の内容が明らかになったと思うのでありますが、私ども知りました範囲におきましても、またただいまのお話を伺いましても、これは非常に遺憾な事件です。実は県の教育委員会としても、教組の要求等についてその妥当な部分については、肝胆を砕いて誠意をもって県とも折衝し、なお今後努力せんとしているときである、そのときに、私どもから言えば、先生としてあるまじきああした態度に出たということは、まことに遺憾であります。そうした事態にかんがみて、教委は教員組合の方と、今お話があったようにいろいろやっているわけです。そして十四日には声明書を発しておる。その声明書によりますと、こういうことが書いてあります。「今回の佐教組の実力行使は、本県教育史上はじめての事件で本委員会のもっとも遺憾とするところである。佐教組の要求目標は、教職員の現員確保と昇給昇格の前年度実績額の獲得等である。教職員の定員については、二五九名の削減による教育低下を最少限度に防止するためには、県として今後も最善の努力を逝けることにしているし、昇給昇格については前年度額実績をはるかに上まわる額を得ている。このような現段階において、佐教組が実力行使の挙に出て、教職員としての服務の義務を放棄し、学校教育の正常な運営を阻害して、本県教育を破局に導かんとすることは、まことに深憂にたえない。教職員各位は、この際猛省して教育委員会の指示と学校長の指導監督に従って全員速かにその職務に専念して、県民の期待にこたえられんことを切望するものである。」こういうことを声明いたしております。私どもはこの声明の内容を見ましても、今回の教員組合のとった態度というものはまことに遺憾千万でございますが、こうした気配が児えました際に、文部省としては地方の教育委員会なりのいろいろな動きに対して指導等もされ得るわけでありますが、実は昨年の十二月五日の全国的な一斉早退並ひに本年度の春季闘争の一斉早退といった問題もございましたが、こうした具体的な問題につきましては、文部大臣として何らかの指導等をされる方針でございましようか。また今回の佐賀県の問題につきまして文部省が具体的に何か御指導をなされた事実がございますならば、その点を伺ってみたいと存じます。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 ただいま佐賀県の県教委の声明をお読みになりましたが、その声明の内容につきましては、佐賀県の場合においては全幅の賛意を表したいと思うのであります。学校の教職員の諸君が団体を作ってその身上のことについていろいろ努力をせられることは当然であると思います。法規でも認めているところであります。法令の範囲内において行動せられることは何ら異存はないし、差しつかえないと思うのでありますが、その行動が法規を逸脱する、法令に違反するということはあってはならぬことだと思います。その意味におきましては、私は就任以来その方針をもって地方の諸君にも話し、また下僚に対しましてもそういう気持でよくその趣旨の徹底するようにということを申しているわけでございます。先般の三月十一日のいわゆる春季闘争に際しましても、私といたしましては教員の諸君が法令に違反することのないように、それだけを念願といたしまして、新聞では警告というような言葉も使っておりましたが、新聞にも談話を発表しましたような次第でございます。ぜひともその点は教職員の諸君に守っていただきたい、かように考えて終始この方針をもって臨みたいと思っている次第でございます。佐賀県の問題につきましては、佐賀県の教委の諸君と文部省の職員の間にいろいろ連絡もあったことと思うのでありますが、終始その意味をもって佐賀県の教委を指導して参ったことと存じております。

高村坂彦自由民主党

○高村委員 大臣のお考えはよくわかりましたが、今回の事件について佐賀県の教育委員会が措置をとっております。十一名の者に対しまして懲戒処分をいたしておりますが、最高六ヵ月の停職から一ヵ月の停職を行なっているわけであります。法に違反した行為をやったのでございますし、しかもそれまでには県教委としてもできるだけの手段を尽して説得にも努め、また警告も発し、業務命令も発しているようであります。しかもこの一斉休暇というものが学校運営上にいろいろな支障を起しております。私どもが承わったところによりましても、授業計画を変更せざるを得なかった、あるいは学校の行事の延期または縮小をしたり、臨時休業をした、自習に休暇闘争による不足分を補わなければならなかった、午後の授業を打ち切った、同学年の特別学級を編成したが、教室はすし詰めで講演式授業になってしまった。授業を映写会に切りかえたところもある。また授業を学芸会の練習に切りかえたところもある。三日間のうち二日間は映写会をした。プリントによる自習をさせた。課外学習は知能の低い子供には無理である。自習は管理が主となり、効果は上らなかった。学習指導はおざなりになり、進展もおくれた。教科の体育が完全に行われなかった。合同体育も管理が主で指導効果は上らなかった。給食に支障があった。流感の予後措置が十分にできなかった。教員室の雰囲気がじめじめした寂莫感に陥り、明朗性と積極性を失なって児童管理上不安であった。児童生徒の安定感が阻害された。こういったいろいろな学校の業務の運営上に支障を来たしておるのであります。のみならずこのことが私は教育の上において一般生徒に与えた影響というものは、はかり知るべからざるものがあると思うのであります。そこでこうしたことに対して県教委で、ただいま申しましたような措置をとっているわけでございますが、この措置に対して文部省当局は、その措置は妥当である、こういうようにお考えでございましょうか。あるいはその他のお考えがございますか。一つ大臣の御所感を伺たいと存じます。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 この件に関しましては先ほど来質疑応答がございましたように、いろいろな努力がなされてきたわけでございます。さような努力にもかかわらず、今回のような結果になりましたことにつきましては、私はまことに遺憾に存じております。願わくはさようなことのないようにという私どもの念願が裏切られたような気持ちがいたしておるのであります。まことに残念に存じておりますが、事さような状態になりました以上、私は今回の事態につきまして、佐賀県教委がとりました行政処分の処置はやむを得ない、かように考えておる次第であります。

高村坂彦自由民主党

○高村委員 われわれも教職員の間からこうした懲戒処分をしなければならぬような人が出るということはまことに残念でございます。できることならばそういうことはないにこしたことはないと思いますが、しかし今文部大臣もやむを得ない措置だ、こういうお考えである。ところが現地におきましてこうした措置が行われた後において、教組の諸君あるいは他県からもいろいろ乗り込んで、こうした措置に対して撤回要求をするといったような動きがあるやに聞いておりますが、こういうことに対して何か文部当局は具体的な情報でも得ておられますかどうか、その点をお聞きいたしたい。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 お話のように、その後日教組の本部なり、あるいは九州地区の日教組関係あるいは総評関係、こういうものが地元佐賀県に参りまして、佐賀県教組と共同歩調をとりまして、撤回要求をしておるということは聞いております。

高村坂彦自由民主党

○高村委員 私はそうした教育委員会というものは、御承知のように五名ないし七名の委員から成っておって、そう筋金の入ったという人もなかろうと思う。そういうところへ衆外からもいろいろ入ってきて非常な圧力を加えるということになると、万が一こうしたやむを得ない措置に対するいろいろな圧力によって、その措置に対して動揺がくるというふうなことがあれば私は大へんなことだと思うのです。そういうことに対して文部省として、そうしたやむを得ない措置はやはりある程度やむを得ないとして、これを堅持していくと言いますか、そういうような指導——これは指導かどうかわかりませんが、そういうことに対していろいろな相談もあろうかと思うのですが、そういう場合にどういうお気持で対処されますかお聞きしておきたいと思うのです。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 かような問題につきまして、文部省の方でさしずがましいことをいろいろするということはいかがであろうかと考えております。しかし問題が問題でございますし、佐賀県教委といたしましても、十分に考えた末にやむを得ない措置としてこれをやったことと思うのでございます。佐賀県教委がぐらぐらするとか、ふらふらするというふうなことは私はあり得ないことと考えるのであります。かような場合におきましては、もちろん県教委といたしましてはきぜんたる態度をもって事に処してもらいたい、そういうふうに考えております。

高村坂彦自由民主党

○高村委員 これは一般のことでありますが、実は私は去年の十二月五日の一斉早退、また春季闘争の場合、こういう場合に対して事前に文部大臣の方で指導の措置をとられた。これは私は非常にけっこうだと思うのでありますが、文部省としてそうした事前の措置をとられましたにもかかわらず、そういうことが行われた場合に、地方教育委員会としてはそういうものに対して、よほどひどい場合でもなかなか措置をしない場合もあろうかと思います。そうして法律の趣旨が実現できないという場合がありました場合に、私は具体的な事案に対して文部省はいわゆる指導助言と申しますか、そういうことをなしてもよいじゃないかと思いますが、それらについて文部大臣はどういうようなお考えでございましょうか。これは今後のこともありますから何っておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 行政処分をするとか何とかというふうな性質の事柄につきまして、文部省の方からこうしろ、ああしろというようなさしずがましいことは私は控えたいと思います。それはその県教委の自主性にまって、その良識によってやっていただきたい、こういうふうに一般的には考えております。しかし手柄いかんによりましては、具体の問題によりましては黙っておれないという場合もあるかと思います。ある場合におきましては私に許されている範囲のことをやって参りたいと思います。

高村坂彦自由民主党

○高村委員 今度の事案は具体的内容をよく調べてみなければわかりませんが、私は過般の年末闘争の場合にも前の清瀬文部大臣にただしたのですが、その当事大臣もそういう答弁をされたわけですが、単に行政処分だけでなしに、内容いかんによっては公労法違反として司法処分もなし得るというふうなことになっているわけです。これは文部大臣の所管ではございませんが、そういったような刑罰法令にも触れるような事態を起したという場合に、地力の教育委員会等がそれでも行政処分もしないというふうなことでは、法令の実施という面から申しましても私は遺憾の点があると思うのですが、そういうふうな場合に、これは私どもは法律の解釈上いろいろな問題があろうかと思いますが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第五十二条に、文部大臣の措置要求ということがございます。この措置要求というのは、これはやる、やらないは別として、法律の解釈としては、そういう場合にもなし得ると御解釈になっておられますかどうですか。やれる、やれないは別として、法律解釈としてお聞きしておきたいと思います。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 ただいま御指摘の五十二条によりますと、「著しく適正を欠き、かつ、教育の本来の目的達成を阻害しているものがあると認めるときは、」という条件がついておりますので、この条件に該当している場合には文部大臣の措置要求が可能であると思います。

高村坂彦自由民主党

○高村委員 これで終りますが、こうした教職員組合の動きに対して、私は実は法律上非常に疑問な点が一つあるのです。これはあるいは十分御研究になっておられるかどうかわかりませんが、組合の専従者というものがあるわけですね。今度処分された者を見ましても、ほとんどがそういう人でございます。こういう組合専従者というものは、一体何の根拠によって今教育関係の専従者と、なっておるのでございましょうか。私は法律をいろいろ見ますけれども、どうもその根拠がわからない。もしおわかりになっておられるならばお示し願いたい。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 当初労働組合が発足いたしましたときに、労働組合の発達を育成するという見地から、専従職員という制度を認めたわけでございまして、法的にはこの点が非常に不明確になっております。ただその組合の要務のために職務専念の義務が免除される、こういうふうにも解釈されるところがあるわけでございまして、ただいまのところ人事院規則で、これは給与を受けないで職務専念義務を免除されておる、こういう制度になっております。

高村坂彦自由民主党

○高村委員 私の了解するところでは、教員組合の専従職員は本俸はもらっておるというふうに承知しておりますが、それは違いますか。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 組合の専従職員であれば給与は受けないということになっております。もし受けておるとすればそれは違法であると思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 関連して高津正道君。

高津正道日本社会党

○高津委員 佐賀県の教組が、今一々御指摘になったように、二、三日の間教育に混乱を巻き起したといわれるのでありますが、事は雇用条件と申しますか、主として待遇問題から起っておるのであります。そして人事院が勧告を出しても、政府がなかなかにこれを取り上げない。こういうインフレ行進曲の時代に、全き給与がそれに伴わない場合は、みんな生活に困るのでありまして、そのために起ったことであります。この動機について理解がなかったならば、真実もわからないし、事を誤まると思うのであります。私は読んだ本の中で覚えておるのでありますが、大よそ飢え死には二種類ある。一つは、食料がなくて、そのために死ぬという突然の死亡、もう一つは、栄養不良がずっと続いて、五十七才まで働ける人間が、五十二才くらいになって弱ってとうとう死んでしまう、これを漸次的飢死というそうでありますが、なるほど飢死に二種類あるなあと感心したのであります。三日の混乱は生ずるかもしらぬが、それらの全国的な運動によって待遇が改善される結果をもたらすならば、それで初めて安心して教育が行えるという気持になり、職場は明朗になって、能率の上る、非難されない教育を続けていかれるのであります。ただ三日の波乱に対して、佐賀県の教育委員会においては、本県教育を破局に導こうとするという強い表現をしておるし、私の尊敬する高村委員のごときは、一般生徒に与えたる悪影響ははかり知ることができないというような強い表現で、三日間のたちまち起った小さい現象を——小さいという言葉が強過ぎるならば、三日間のその現象だけをとらえて大騒ぎをしておられるが、三日間のそれだけで教育はどうにもなるものではない。いい影響か悪い影響かといえば、学童に対しては悪い影響であろうけれども、教育を破局に導こうとしたり、はかり知ることのできない悪影響だというようなそれほど大きなことではないと私は思いますし、それから職場のじめじめした空気が、これではやっていけない、神武景気たというが、われわれはどうなるのだというこの長い期間にわたるそういう悪影響や、事ここに至らしめた原因を考察しないことの方が、はるかに大きいということを、文教委員会においては静かに把握して、その議論を進めていかなければならぬと思います。三日間の部分が大きく見えてしょうがないのであろうか、見えざる大きなものがどうして目に映らないのであろうか、このように考える委員がここにおるのでありますが、文部大臣の御見解を承わりたい。事は根本的なんです。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 高津君のお話もずいぶん大きなお話でございます。佐賀県の教職員の諸君が何を求めておるかということがわからない人はいないと思います。それはやはり務めの上から出てきた問題でありまして、苦しいからこそいろいろなことを言っておられるということはこれもわかるのであります。わかる話でありますが、そのためにとった処置あるいは行動というものが適当であったかどうかということに私は問題があると思います。そういうことについて何ら発言をする機会を与えられておらぬわけではない、それぞれその道は設けられておるわけでありますが、私どもといたしましては、すべて許された範囲内の行動をとってもらいたい、そうでないと、教育の場が乱れてくる、あるいは行政の秩序が保てぬということになるわけであります。ことに私どもは、先生のことでありますだけに、その行動についてはよほど気をつけてやっていただきたいと思っております。その影響やはかるべからずという言葉も大きいかもしれませんが、私は確かにそういうことはあると思います。そういう意味におきまして、わずかに三日間と仰せられましたけれども、その三日間の行動は明らかに私は法規に違反しておると思うのであります。そういう法規に違反した行動は避けてもらいたいというのが私の気持であります。

高津正道日本社会党

○高津委員 憲法を改正するためには、小選挙区制というもので改正反対論者をしぼればいいということが保守党政府の常識になっておるけれども、容易にそれがなせないという事情もあるのです。労働運動の専従者というものをとれば、労働運動というものは相当鎮静するであろう、これがまた保守的政治家の常識になっておろうかと思うのでありますが、もしそれそこに触れて、文教委員会からライオンの毛を引き抜くようなことを起して、国会のこの常任委員会からこれを取り上げて、それが各委員会、本会議の問題でそれを持ち出すということになれば、労働運動はそれこそ坂田委員の最もおそれられる混乱が、三日や一ヵ月で済むものではないので、これはよほど労働法を研究し、労働三法を研究し、人事院規則で認めている既得権でありますから、こういうことで軽々しく論議をされては非常に困ると思う。教組を刺激して刺激して、文教委員会のこれが総意のように思われたら困るのでありまして、私はこういう意思表示を一応して、速語録にとどめておきたいと思います。私はこれで質問は終りました。

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 小牧次生君。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 文部大臣にこの機会にお伺いしておきたいと思います。先般米軍極東軍司令官レムニッツアーの招請によりまして、国会議員、財界人等が沖繩の現地を視察いたしました。その際各般にわたり慕情を調査し、また陳情を聞いて帰って来られたのであります。その後国会におきましてそれぞれの委員会でそれぞれの方々から、この調査の結果に基いたいろいろな問題について政府に質問がなされておるのであります。そこで私は、文教委員会でございますので、教育問題について若干文部大臣にお伺いをいたしておきたい、かように存ずるのであります。教育問題については、先般参議院におきましても吉田法晴君が質問をいたしまして、文部大臣も答弁をしておられるようでございますが、私衆議院におきましてあらためて御質問をいたしたい、こういうわけであります。  そこで質問に入る前に、まず沖繩の根本的な問題について若干御意見をお伺いしたい。それは施政権返還の問題であります。この施政権返還の問題が現在大きく取り上げられておるということは、すでに大臣も御承知であろうと存じます。沖繩が祖国日本と分離されまして、アメリカの支配下に入りましてから、十一年以上を経過いたしておりますが、沖繩県民は祖国復帰を念願いたし、これを悲願といたしております。しかしながら講和条約第三条の関係とかあるいはまたアメリカの軍事基地の問題等、いろいろな関係でこの実現は容易でございません。私たちはいろいろな努力を試みて、祖国復帰を実現して、名実ともに従前の沖繩に返るようにいたしたい、こういうふうに希望いたしておるのでありますが、この点について文部大臣は国務大臣としてどのように考えておられるか、簡単にお伺いをいたしたいのであります。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 沖繩が元のような状態に返ってくるということを念願しない者はおそらく一人もいないと私は思います。私といたしましても、その意味におきましては皆さんと同様な考え方をいたしております。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 数日前のたしか四月三日でありましたか、朝日新聞を見ますと、与党の沖繩を視察された高岡議員——団長として行かれたと思いますが、高岡議員が現地調査の報告を朝日新聞に発表されております。私どもこれを全部肯定できないといたしましても、中には同感の御意見も多々あるように思うのであります。すなわち高岡議員はこういうことを述べておられます。「教育、警察など日常生活に関する行政は、軍人がいかに愛情と理解をこめてやるよりも文官が適任であろう。だが根本的には異民族による統治は、住民にとってはとどのつまり満足されるものでないばかりか、現代ではもはや不可能になりつつある。」こういう言葉を与党の高岡団長が申し述べておられます。この点については私もきわめて同感であります。現在沖繩は民政府はございますが、実質は軍政下にあるわけでありまして、そういう点を高岡議員も見て、今私が述べたような言葉を発表されたのであろう、こういうふうに私は解釈をいたしておるのであります。さらにまた高岡議員はこう言っておられる。「軍事は日米共同で、行政は日本単独で、その責任をとることが沖繩問題を解決するゆえんであろう。」初めの軍事は日米共同、こういう点については私どもは見解を異にいたしておりますが、少くともあとの段で、行政は日本単独で責任をとる、このことが沖繩問題を解決するゆえんであると言っておられますが、全く私も同感であります。そこでこれに関連いたしまして国会においてはいろいろ予算委員会なり外務委員会等におきまして質疑が展開されておりますが、岸総理大臣は、三月一日の衆議院の予算委員会におきまして、わが党委員の質問に答えて、沖繩施政権の一括返還がむずかしければ、部分的に返還してもらうという手もある、こう答弁しておられるのであります。この岸総理の答弁、それから与党の沖繩派遣団長の高岡議員の新聞に発表された報告、こういったものをいろいろ総合して考えてみまするときに、私は沖繩施政権の一括返還がむずかしいとするならば、部分的に返還してもらうという手もあるというこのような岸総理の見解、こういったものは教育行政を返還してもらう、こういう考え方に発展し、また連なるものであろう、こう考えて私は同感でございますが、この点について文部大臣はどのようなお考えをお持ちでございますか、お伺いをいたします。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 沖繩の施政権を返還してもらうということが、われわれの究極の念願であります。ただしこれが一括して一時に返還してもらうことが困難であれば、部分的にでも一つ返還してもらったらどうかという考え方も、これは実際問題として納得できる考え方だろうと思うのです。そういう意味におきまして岸総理が先般の予算委員会で発言されたことであろうと私は想像するのであります。私といたしましても、できるものからでも一つ返還してもらえれば非常に仕合せではないか、こういうような考え方をいたしております。その場合に一体何から返還してもらうのが適当かということはいろいろ議論もありましょう。同時に現在のわれわれといたしまして、今これを一つ返還してもらうというようなことを申し上げる段階には至っておらぬと思うのであります。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 国会が終りましたならば、岸総理がいろいろな問題をひっ下げて渡米する、こういうことで、いろいろな委員会においてその目的なりいろいろな問題を政府に質問をいたしております。しかし岸総理は、明確な答弁はしておられないようでございます。また今文部大臣も明確な答弁はされなかったようでございますが、少くとも高岡議員が言われたように、教育なり警察なり、こういった住民の日常生活に関する行政は、軍人がいかに愛情と理解を込めてやっても、根本的にはだめである。文官が適任であろう、こういうことも言っておられるし、根本的には異民族による統治は、住民にとってとどのつまり満足されるものではない。そればかりか、現代ではもはや不可能だ、こういって断言をしておられる。こういうことを考え合せてみるときに、渡米に先立って閣議を開いて、いろいろな問題が論議されるだろうと思いますが、まず部分的な返還という内容は教育行政が第一であるというような観点から、灘尾文部大臣は閣議においてそういう問題を取り上げて意見をお述べになるお考えがございますかどうか、お伺いいたします。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 今回の総理の渡米によって、どういうふうなことが話されるのであるか、あるいはまた総理が何を具体的に話そうと思っておるかというようなことにつきましては、まだわれわれの間におきましても、的確な話し合いというものは行われておりません。いずれ総理がお出かけになる前には、いろいろな話し合いが出てくることであろうと私も考えている次第でございますが、まだそこまでは至っておりません、それから総理が行かれる場合に、沖繩施政権の返還に関して、教育行政に関する方面を一つ第一に返還してもらう、これは非常に望ましいことと私は考えております。望ましいと考えておりますが、今そうするとかこうするとかいうことを申し上げる段階ではないと思いますので、御了承願いたいと思います。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 いずれまたその点については、適当な時期に大臣の御意見もお伺いいたしたい。そこで具体的な問題について若干お伺いしたいと思いますが、御承知の通り、沖繩の行政はアメリカの支配下にありますので、具体的にはわからない点もございますし、あるいはまた言いにくい点もあろうかと存じますが、現地からいろいろな陳情が出て参っておる、私たちは母国の国会議員として、当然これらの問題を取り上げて、その解決に全力を上げなければならぬ、そういう義務があると私どもは考えておるわけでございますので、そういう立場から、若干現在の具体的な問題をお伺いしてみたい、こう考えるわけであります。  まず第一は、沖繩におきましては、家庭や学校に母国の国旗の掲揚ができない、これを国旗を掲揚できるようにしてもらいたい、こういう切々たる母国を思う住民の願いが強く訴えられて参っておるのでありますが、これについて文部大臣はどのようなお考えでございますか、お伺いいたします。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 沖繩における国旗の掲揚に関しましては、現在公けの施設でありますとか、公けの集会におきましては、民政府長官の許可を受けなければならぬことになっておるようでございます。現地側において、特に学校等におきまして、お話の通りに自由に国旗を掲揚することを希望しておるわけでございます。その心持はまことに無理からぬものがあると、私どもも深くその気持を察するのでございます。しかしながら申すまでもなく、沖繩の施政権が向うに現在あるわけでございます。思うにまかせないのでありますが、この問題につきましては、今どうするこうするということを申し上げる段階にございませんけれども、私どもといたしましては、その心持については十分な同情をもって、理解をもって、これは善処しなければならぬ、かように考えておる次第であります。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 なるほど同情をもってやらなければならぬという気持はわかりますが、沖繩人は元来御承知の通り日本人でございます。遠く本土から離れて、また日本の政治から切り離された沖繩住民たちが、祖国の日の丸に対する愛着というものは、高岡議員の報告を読んでみましても、非常に異常な熱烈なものがある、アメリカもこれを認識すべきである、こういう言葉を新聞に発表しておられるのでございますが、私も全く同感でありまして、日本の国旗が掲揚できる自由を沖繩の人たちにすみやかに与えるように、政府もわれわれ国会も大いに努力しなければならぬ、こういう立場から、同情ということはよくわかるわけでございますが、やはり何といっても日本政府として、また文部大臣として、学校等には国旗が掲揚できるように、直接アメリカに交渉をし、その解決に努力をするということがなければならぬのではないか。ただ同情ではどうにも問題は解決できないわけである、こう考えますが、今後そういった問題についていろいろアメリカ側に交渉される熱意があるかどうかお伺いいたします。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 言葉の言い回し方が、あるいは不適当であったかと思いますが、私は私の申しましたような言葉が一つおくみ取りを願いたいと思っておったわけでございます。私は今この問題をどうするこうするということは申し上げにくいのでありますけれども、問題の本質については十分わきまえておるつもりでございます。従いまして、外務省その他と協議をいたしまして、私のできる範囲のことはやって参りたいと考えております。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 次の問題に入りますが、現在沖繩におきましては、沖繩の教育免許状を全国的に通用するものにしてもらいたいという強い要望がございます。御承知の通りに、現在沖繩の外には通用しないことになっております。元来戦前は本土と同じ教科書を使っており、また同じ免許状の教員が教育をやってこられた。ところが現在は教科書は本国と同じ教科書を使っておる、こういった実情であるようでございます。しかるに教員免許状は沖繩と本国のものと全国的に同様なものとしては通用しない。これについてはどのようにお考えでございますか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 琉球沖繩における学校制度とか、教員免許の制度は、形の上におきましては、大体日本内地の制度に準じたものが行われておるようでございます。沖繩における免許状をもって直ちに内地の方に通用させるということを望む気持もわからぬではございませんが、しかし琉球と内地とは、残念ながら現在におきましては行政権を異にいたしております。そういうふうな関係上、向うの方で取得いたしました教員の資格をそのまま日本内地に通用させるということには無理があろうかと思いますので、この問題はなお検討さしていただきたいと思うのであります。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 どういう点に無理があるのでございますか。その点を一つ……。

内藤誉三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤政府委員 御承知の通り六・三・三まではこちらも向うも同じなのでございます。しかし大学の方は必ずしも四年でないのでございまして、その内容についても、いろいろ問題がありますし、特に大学については日本の大学とは根本的に違うわけでございますので、それを日本に通用させることは、少し困難かと思います。ただ私どもはできるだけ沖繩の教育がよい教育、符に日本と一体になるような教育を進めておるのでございまして、毎年五十人くらいずつ、向うの教職員のうらから特に選抜されたものが内地へ来て、そして半年ぐらいこちらで手当を支給いたしまして、日本の内地の教育研究を積まれて現地へ帰られておる。この数が三百人あるいは三百人を越して、総数で七千人ぐらいでありますから、もうそろそろ五%近くなるわけでございます。こういうような面で、実質的には内地と同じようにいたしたいと考えておりますが、免許制度は今申しましたように、養成制度が違いますので、これを通用させることがちょっと困難であるのであります。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 それでは、大学は別といたしまして、六・三・三という義務制のところ、高等学校まではできないものか、いかがですか。

斎藤正文部事務官(大臣官房総務参事官)

○斎藤説明員 教職員免許のことでございますが、現在でも現行の教育職員免許法の十八条という規定がございまして、外国において授与されに教育職員に関する免許状を有する者、あるいは外国の学校を卒業し、あるいは修了した者で、相当の学力を持っておる者に対しましては、免許状を付与する権限のあるもの、具体的に申しますれば都道府県の教育委員会あるいは私立学校であれば知事でありますが一このものがその個々の人の学力等を検定いたしまして、それ相当の免許状を出すことはできるのでございます。でございますから、沖繩で各教科の免許状を取得した先生方が事情で内地へ参りましても、道が閉ざされているというわけではないのであります。その点は御了承願います。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 もう一つ、今斎藤さんの方から具体的な説明がありましたが、そういう点は一つ十分御研究いただきまして、支障がなければそういう便宜をはかっていただく、そういう点だけでも沖繩と本土の関係が非常に密接になる、こういうことになりますので、今後の御善処をお願いを申し上げておきます。  それから同じように教員の待遇を本国扱いにしてもらいたいとか、家族手当やその他の手当がないので、給与を本土並みにしてもらいたいというような希望、それから社会保障もない、社会保険もない、従って将来きわめて不安である、こういうような訴えが強く出て参っておりますが、まことにもっともなことでありますし、私も何とか本国と沖繩の方と差別がないように、同じ日本人として同等な取扱いができるようにしてあげたいものであるということを考ておるわけでありますが、その点についての大臣のお考えをお伺いしたい。  さらに共済組合について、教育関係の共済組合宿泊所を那覇市に設けてもらいたい、こういうことも強く要望をいたしております。これらの点について大臣のお考えをお伺いいたしておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 沖繩におられる諸君のそういう希望というものにつきましては、これまた先ほど来申しますように無理からぬものがあると思うのでありますけれども、いかんせん今日向うの政府とこちらの政府とは違っておるのであります。この点に問題があるわけであります。さような建前のもとになっておりますので、思うようなことはなかなか実行が困難ではないか。今後の問題としてお互いに検討をして、なるべくすみやかに日本に施政権が返るように努力すべきではないかと思うのでございまして、違った建前のもとにあります以上、公務員の扱い等にいたしましても、向うの政府の方針に従ってやらざるを得ないということは、これまたいたし方のないことだと私は思うのであります。残念ではございますけれども、今の問題といたしましては、沖繩の諸君の希望に日本政府として応ずるということは、なかなか困難な問題が多いのじゃないかと思います。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 そういう点はよくわかりますが、しかしながらある程度部分的には文部省としても今までいろいろな措置を講じてきておられるのは、大臣自身が御承知の通りである。たとえば留日琉球学生給与あるいは本土派遣研究員、こういったものについてはすでに前から——昭和二十八年ころでございますか、いろいろ措置が講ぜられまして、琉球学生の給与費については本年度は一千三百万円くらい予算が計上されて通過しておる、あるいはまた本土派遣研究員の費用については二百二十七万三千円、こういう費用が計上されておる、こういったものについても現地の方ではできるだけこれらの予算金額を増額をしてもらいたいという強い熱望がございます。特に本土派遣の研究員については生活費も不十分である、また送金ということも非常に困難であるから、できるだけそういう点について本国政府の方でめんどう見てもらいたい。十分とはいわなくとも、今申し上げた通りすでに本国の国会の予算にこれが計上されて、部分的には逐次いろいろなものが実現されていっておる実情であります。従ってできるだけその範囲を広げて、あるいはまたその費目の金額を増額をして、現地の方方の希望を少しでも満たしてあげていくということが私はこの際必要であろう、こういうふうに考えますが、今申し上げた琉球学生の給与費なり、あるいはまた本土派遣の研究員の襲用の増額なり、増員なり、そういったことを今後おやりになる御意思をお持ちになっておられますかお伺いします。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 われわれといたしましても、差しつかえない限り、できるだけの協力、援助はしたいと思っているわけであります。そういう意味において、今日まである程度のことをやってきておるわけであります。今お話になりましたようなことにつきましては、われわれとしても決して十分とも思っておりませんし、金額等におきましても、さらに増額というような問題については努力して参りたいと考えております。また人数等のことにつきましても、できるだけ増員をするように、これまた努力して参りたいと思います。そういうふうな事柄につきましては、私どもとしては極力沖繩の諸君に援助と協力をいたしたい、こういう心持でおります。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 できるだけそういう措置を講じたいということはよくわかりますが、こういった問題はやろうと思えば相当程度できるのではないか、私はこういうふうに考えておる一人であります。現在各都道府県には交付税が配付されておる。この基準からいくと、沖繩には毎年たしか二十五、六億の交付税が交付されなければならぬということを聞いておるのでありますが、遺憾ながらこれは交付をされておらない。二十数億の金ということを考えてみると、その範囲内においてできるだけのことを本国としてはめんどうをみてやらなければならぬ、こういうことが言えると思うのでございます。先般、三十二年度の第二次補正予算においては、対象は違いますけれども、講和発効前の土地の補償の問題について、私どもの党においても、また与党におかれましても、いろいろ検討をしました結果、十億円の予算が計上され、これが成立をいたしたことは御承知の通りである。なるほどこれは土地問題であり、対象は違いますが、このようにある程度お互いに研究し考えて、やろうと思えば全然できないことはない。十億円という金額が出されることになったのでございますから、教育費の面についても、これを出してはいけないというようなことはないのじゃないか。本来交付税を交付しなければならぬところであるが、現在は行政の建前が違うから出しておらないという。その振りかわりという意味も考えて、そういう親心をもってめんどうをみていくということを積極的に今後考えていただきたい。  それからもう一つは、恩給の問題でありますが、これも御承知の通り、戦後の若い教員には適用してもらっておらない。行政の分離以前の教員には日本政府がこれを出すということで問題は解決された。従って戦後の若い教員についても恩給の点を適用してもらいたいという要望をしております。  それから教科書の問題でございますが、これも、政府からでもよろしい、あるいは援護団からでもよろしい、無償で配給してもらいたいという強い熱望がございます。  さらに、日本の地図に沖繩を加えてもらいたい、そしてまた教科書の中に沖繩を教材として取り上げてもらいたい。将来沖繩の児童が、沖繩は日本であるということに疑問を持つようになっては困る、あくまでもわれわれの祖国は日本であるということを考えさせるようにする意味からも、沖繩を日本の地図に加えたり、教材の中に沖繩を加えてもらいたい、そういう気持は私は全くもっともなことだと考えるわけでありますが、こういう点について、大臣はどういうお考えでございますか、お伺いいたします。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 教員の恩給についてのお話でございましたが、仰せの通りに米国の管理下に入りましてから後に新規に採用された琉球政府の公務員につきましては、現在の場合といたしましては恩給を支給するということは困難ではないかと思います。しかしこういうふうな問題は、将来沖繩がこちらに返ってくるというようなときには、十分考えなければならぬ問題であろうかと考えるのであります。なおまた教科書の問題につきましても、今日向うの政府との話し合いによりまして、日本の方から教科書を供給いたしております。あるいはまた教科書における地図の問題、あるいは教材の問題等、私どもといたしましてもよく検討いたしまして、なるべく御趣旨に沿うようにいたしたいと考えます。  先ほども申しましたように、やりたいと思いましても、なかなか今の建前上困難なこともございますし、また事情が許せばどんどんやって差しつかえないこともあるわけでございます。根本的には何と申しましても、同じ政府のもとに入ってもらうということが何よりも大事なことでありますけれども、それまでの措置といたしまして、われわれとしましては、事情の許す限りできるだけの協力援助を惜しまないつもりでございますので、ただいま御激励の言葉をいただいたような気持がいたすのでありますが、できるだけ御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 この間高岡議員が沖繩から帰ってこられて、記者団に発表しておられるところを、私、横で聞いておりましたが、今日まで日本はアメリカに対していろいろな点について遠慮をして、言うべきことも言っておらなかったのではないかということを記者団に発表しておられたし現地に行ってみて、いろいろ質問をしたりあるいは希望を述べたりしたら、簡単にああそうですかということで、いろいろ話がわかってもらえた問題が多々あったということを強く述べておられました。また私自身も時折米国の極東軍司令部に参りまして、いろいろ交渉をしている問題もあるわけでございますが、そういう際にも、今高岡議員の言われたようなところを私も具体的に感ずる場合があるわけであります。こういうことを考える場合に、今まで私が申し上げたような、いろいろ具体的な現地の陳情、要望等につきましては、遠慮なくこちら側の希望をアメリカ側にも申し入れをする。そうして当っていただくならば、案外今申し上げたような問題の中でたやすく解決のできる問題も出てくるのではないかと考えるのであります。  そこで最後に大臣に伺いたいのは、現在わが国の国連加入は実現をいたしました。その際平和条約第三条による信託統治の問題、これは私の意見では、平和条約第三条は国連憲章の第七十六条、七十七条、百三条等から見まして、当然無効ではないかということを考えているのでありますが、アメリカ自身もまたそのような信託統治の意思のないことを、公式ではございませんが、非公式に明らかにしているようであります。この際このような現段階におきまして実情を考えて、文部大臣も国務大臣の一人として積極的に沖繩の問題を検討していただきたい。まず施政権の返還は教育行政の返還からという、この目標の実現のために全力をあげて努力をしていただきまして、沖繩住民の悲願を達成していただきたいということを要望いたしたいのでありますが、これについて大臣の御見解を求めて私の質問を終りたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 御質問の御趣旨は十分了承いたしました。私の基本的な考え方と何ら差異はないと考えておりまして、さような方角に向いまして皆さんとともに努力して参りたいと思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川委員長 本日はこの程度とし、明日は午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会いたします。  これにて散会いたします。    午後一時二分散会

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