文教委員会 第12号
- 発言数
- 104 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/03/27
会議録
○長谷川委員長 これより会議を開きます。 まず文教行政に関する質疑を行います。質疑の通告があります。順次これを許します。野原覺君。
○野原委員 大臣が来なければ困ります。
○長谷川委員長 野原君に申し上げますが、大臣は十一時ごろに大体皇后陛下の御接待が終るそうでございます。どうも出席が大へんおくれて遺憾でありますけれども、差しつかえないところをお始め願いたいと思います。
○野原委員 文教委員会は週にたった二回しかない。特に水曜日は定例日だ。文部大臣はいろいろな用件があるにしろ、何よりも国会を最も尊重する、そういう考え方でなければならぬと思いますが、本日の文教委員会に来てみますと、政務次官の出席すらもない。きわめて遺憾にたえないのであります。 それからなお委員長に要望いたしますが、私も委員会の出席がいろいろな関係で十分ではございませんけれども、きょうは十時から招集しておる。それが十一時になっても開会できない原因は一体どこにあるか。文部省は課長が一人来ておっただけで局長もお見えにならない。あなた方文部当局は公報はごらんになられていらっしゃると思いますが、一体どういう考えでそういうような態度に出られたか。十時から文教委員会を開くというならば、議員が来なくても、文部当局は十時にそこに着席しておるべきだ。それを議員は一時間もここで待っておって、のこのこと出てくるというふまじめな態度に対しては了解できない。これは文教委員会を軽視する、国会を無視しておるやり方じゃないかと僕は思う。まずこの点について私は大臣から所見を聞きたいのですけれども、大臣がいらっしゃらないからどなたでもよろしい、文部当局を代表できる方から、私のこの所見が間違っておるか間違っていないのかお述べ願いたい。
○長谷川委員長 野原君に申し上げますが、この点についてはまことに遺憾しごくだと思うのでありまして、私も大臣が出席いたしました上で、今野原委員によって発言せられました、おそらく委員諸君全体の御意見でありますこれについて、申し入れをするつもりであります。それにて御了承いただけますならば、大臣出席の上でそれをいたしたいと思いますが、いかがでありましょうか。
○野原委員 そのお取り計らいをしていただくということであれば、私はこれ以上この問題については申し上げません。自今十時から委員会が開かれるならば、文部当局は所管の責任者の相当の方が定刻に来て着席されることを要求しておきます。それができないということであれば、私どもは国会の大問題にするつもりであります。そういう態度で行政府が議会に臨むということは許しがたいと思う。だからこの点もあわせて委員長から文部大臣に御要望いただけますか。委員長にお伺いいたします。
○長谷川委員長 委員長の方から文部大臣出席の上ただいまの御要望に対しましては申し入れをいたします。
○野原委員 私は各種学校に対する課税問題についてお尋ねをしたいと思います。聞くところによれば、文部当局と大蔵省の間でいろいろ交渉がなされておるように承わるのでございます。まず文部当局にお尋ねをいたしますが、各種学校に税金をかけることについてはどのような交渉を大蔵省となさっていらしゃったのか、またなさっておるのか、その点をお尋ねします。
○斎藤説明員 お話の各種学校等に関する収益事業の範囲の拡大の問題につきましては、大蔵省から御連絡がございまして、私どもといたしましても種種検討もいたし、大蔵省の主税局とも折衝いたしました。文部省の考えといたしましては、学校教育あるいは各種学校教育として、本来教育として行われておる事業に対して課税をされることにつきましては困りますので、その点を申し上げて折衝をしておったような次第であります。
○野原委員 それでは大蔵当局に質問いたしますが、御承知のように各種学校というのは、これはほとんど公益法人になっております。公益法人である各種学校は学校であるとお考えなのか、ないのか。各種学校というのは一体これは何なのか。大蔵省はどういうような見解をお持ちになっておるのかお尋ねします。
○塩崎説明員 お答え申し上げます。先ほど斎藤説明員から御説明がありました通り、私どもといたしましては法人税法の今回の改正に当りまして収益事業の範囲を拡張する考え方を持っております。そういうような見地から法人税法の施行規則を改正いたしまして、いわゆる技芸教授業というものを収益事業と見て課税することはどうか、こういう点につきまして文部省に御連絡申し上げておった次第であります。 なぜこういうことが起りましたかと申し上げますと、御承知の通りに昭和二十五年から公益法人につきましてはその収益事業から生ずる所得については課税するけれども、それ以外の所得につきましては課税いたさない、こういう法制上の制度があるわけでございます。現行法によりますれば、学校教育法第一条の学校法人、それから私立学校法第六十四条第四項の規定によって設立しました——これは各種学校でありますが、法人につきましては収益事業から生ずる所得だけについて課税する、こういうことになっております。現行収益事業の範囲によりますれば、物品販売業その他合計二十九の業種が指定されております。そのうちには今の技芸教授業につきましては収益事業と見ておりませんので、各種学校がいわば洋裁それから料理等これらの事業を行いまして、その対価といたしまして収入するところの授業料、入学金、それらにつきましては、現在のところ法人税法の益金に算入してないわけでございます。ところが一方各種学校は大体六千七百あると私どもは聞いております。そのうち、五千五百は大体個人企業でございます。個人につきましては各種学校でありましても法人になっておらない関係上、これはすべて所得税がかかっております。これらの関係から見まして、単に法人になったからといって全然法人税がかからないというのはどうであろうか。いわば一つの剰余が生じまして、所得が生ずるわけでございますが、それに課税しないで果して権衡上どうであろうか、こういうことが問題になりました第一点でございます。 第二点は、御承知の通りにそういう関係がございますので、個人形態から切りかえまして各種学校法人、準学校法人あるいは学校法人になるというようなものが相当出て参りましたし、その中には相当営利企業的な色彩を持って行われたものもございますし、また単純な財産保全的な意味におきまして法人になったものもございます。これらの事実がございまして、各方面からこういう課税上のアンバランスはどうかという非難が相当出てきたわけでございます。ある新聞にはそういう点につきまして非難がましいようなことも出ておったようなわけでございます。そういう点を考えまして、私どもといたしましては個人企業とのバランスあるいは競争企業とのバランスを考えまして、なるべく公平に課税したいという見地から、技芸教授業というものを取り上げまして収益事業に加えようと考えたわけでございます。 そこで私どもそういう見地から文部省と御交渉申し上げたわけでございますが、現行の学校制度の建前から申し上げますれば、各種学校も一つの学校であり、法人形態に一応なりますれば個人と切り離して学校自体が運営される、運用は別といたしまして財産も個人と全く別のものになる、こういう建前になっておるわけであります。そういう建前になっております関係上、法人税を学校全体について収益事業とみなして課税すること自体はどうか。もう一点教育目的として行うものについてその対価でありますところの授業料、入学金あるいは試験検定料、これらにつきまして課税すること自体は教育制度と矛盾するではないか、こういうようなお話がございました。私どもといたしましても、実際の運用面をも多々改善する点はあると思いますけれども、現在の状況におきましては、学校教育法第一条の、学校法人が各種学校を併置いたしまして行いますところの技芸教授、それからまた学校教育法第八十三条の規定によりまして、各種学校を設置いたしておりますところのいわゆる準学校法人につきまして、教育目的として行いますところの事業は収益事業と見ない、こういう考えで現在のところ考えております。ただ政令でございますので、まだ最終の結論は得ておりませんので、決定はまだ公布になっておりませんが、そのような考え方で現在進んでおります。従いまして今のような考え方によりますれば、教育の対価でございますところの授業料、それから入学金、試験検定料は法人税法上の益金にならない、かようになるわけでございます。ただそれ以外の事業を行っておれば、これは技芸教授に伴いまして免許料とか、それからたとえばファッション・ショーをやるというような場合に収入が上りますれば、これは技芸教授本来の教育目的からはずれておるということになりますれば、その部分につきましては、法人税法上の益金になる、こんな考え方で現在政令案を立案中でございます。
○野原委員 大体の大蔵省の考え方は、ただいま課長の御答弁でわかったわけでごさいますが、そういたしますと、この技芸教授業というのを法人税法の施行規則の中に挿入する、法人税法の施行規則は、これは御承知のように法人税法の第五条から出てくるものだろうと思うのです。法人税法の第五条を読んで見ますと「左に掲げる法人の所得で収益事業から生じた所得以外の所得に対しては、各事業年度の所得に対する法人税は、これを課さない。」つまり収益事業から生じた所得ならば法人税をかける。そこで一体収益事業とは何かというので、法人税法の施行規則は物品販売業から遊覧所業まで二十九の事業が記載されております。その二十九の遊覧所業の次に技芸教授業、こういうものを設けて、そうして法人の美名のもとに収益を上げてなお税金を納めない、こういうものから税金を取るのだ、こういうお考え方のように承わったわけであります。そこで念のためにお尋ねいたしておきますが、技芸教授業というふうにうたいますと、各種学校の教育本来の業が技芸教授でありますから、たとえば理髪学校というものは理髪の技芸を教授する、パーマの学校はパーマの技芸を教授する、茶道でしたら茶道の技芸を教授する。だから技芸教授業といううたい方をされますと、教育本来の事業とそれから収益事業との区別がつかなくなる。あなたの御答弁によりますと、それは区別していくのだ、こういうことでありますが、しかしこれが法文にただ技芸教授業ということになると、実は収益事業であるのか——各種学校では技芸教授が教育本来の事業でございますから、各種学校では技芸教授を除いたら何もないわけですね。だから技芸教授業といううたい方にすると、それが広く解釈をされて、各種学校の教育本来の事業にまで税金がかけられると解されるおそれがあるわけです。この点をどのように御理解になっておるか承わりたい。
○塩崎説明員 お答え申し上げます。技芸教授業と書けば本来の教育事業まで入ってきて全体が課税されるという心配はないか、こういう御質問だと思いますが、現在の建前におきましても各種学校は収益事業を営めば課税されることになっております。従いまして御承知の通りに収益事業を営んでおる各種学校も相当ございます。物品販売業もやっておりますし、あるいは洋裁の仕立ても、外部から発注を受けまして仕立てを受けておるというようなところもあるかと思いますが、そうなると、そういうものは私は、本来請負事業といたしまして学校経理と区分いたしまして、その部分だけは課税になると考えております。現在の法人税法の五条の二項におきましては、収益事業とそれ以外の事業とは区分経理しなければならぬ、かようになっております。従いましてそこははっきりいたすわけでございますし、先ほど申し上げましたように、各種学校が本来の教育として行いますところの事業を除くといたしますれば、それは収益事業以外の所得となりますから、法人税法の五条の二項によりまして区分経理していただきまして、いわゆる試験検定料、授業料、それらにつきましては別途経理していただく。その部分につきましては法人税法上の益金に算入いたしませんで、法人税を課税されない。その他の部分につきましては法人税法の益金に入れまして、収益事業外の所得から生ずる所得として課税になる、こういうふうになりますし、そういうことを政令上明文にはっきりうたいたいと、かように考えております。
○野原委員 そうなると、政令の第一条三の収益事業の範囲の中に、技芸教授業と入れるけれども、それはカッコをするかなんかわかりませんが、教育本来の事業を除くんだ、こういうふに明文ではっきりしたい、こういうわけですか。
○塩崎説明員 さようでございます。
○野原委員 私それで大体やむを得ない措置であろうかということは了解できるのでございますが、疑問に思いますのは、法人税法の施行規則第一条の三、一から二十九までのこの業種で、今日の各種学校の収益事業の判定が私は不可能ではないと思う。ことさらに技芸教授業というものを三十として掲げる必要が果してあるのかないのか、私はこの点非常に疑問に思っておるのです。たとえば理髪学校を例にとりますと、施行規則の二十五に、理容業というのがあります。だから理容業というところでパーマもみんないけるじゃないか。収益事業としての理容という点で、教育本来の理容業じゃありませんよ。それから割烹の学校でございましたならば、料理店業といいうのが十五にちゃんと書かれてある。茶道の場合なんかでも、茶のけいこだといってたくさん婦人団体その他を集めて、そうしてうんと金を取って、一つの収益事業をやった、こういうのも、これは一つの料理店業というようなことを広義に解釈すればできないことはなかろうと思うのですが、これを特に技芸教授業と特別にうたわなければならぬその理由があれば、お聞かせ願いたいのであります。
○塩崎説明員 お答え申し上げます。学校教育法第一条の学校法人、また学校教育法第八十三条の規定によりまして、各種学校を設置いたします学校法人の教育そのものとして行いますところの事業につきましては、今申し上げましたように、技芸教授業から除外いたしまするけれども、その他の法人につきましては、技芸教授全体が課税になるというのがもう一つのねらいでございます。民法三十四条の法人でございましても、各種学校の要件に合致しなくて、教育としてやってないものもあるかと思います。そういうものは個人教授とのバランス上、課税するということになるのが第一点の実益でございます。 第二点は、現行列記いたしますところの二十九と申されましたが、一つ二十二が削除になっておりますので、全体は二十八でございますけれども、それで全体の収益事業をつかめるかと申しますと、なかなか現行法ではつかめない場合が多いわけでございます。たとえば教材費あたりで、教材費と申しまして、たとえば単純な出版物を売るというようなものが、果して出版業に該当するかどうか、非常に疑義がございます。まあ税法でございますので、解釈上あまり無理もできませんので、そういう点はほとんど課税になかなかこの面からではなれない点もございます。それからまた、免許料というような形で、いろんな収入を上げている点がございます。いなかの方にある学校を、公認というような名前で、学校を作りますその際には、公認料とか、あるいは免許料とかいうような形で、そのもとの学校の方に払っているような例がございます。これあたりは本来教育としての対価でありますかどうか、疑問でございます。そういうようなものもある程度含めて課税しないと、これは一つの免許権の販売みたいな感じでございますが、そういう点も相当ございますので、やはり技芸教授業としての規定も必要ではないかという二つの見地から、私どもはぜひ明文化する必要があるのではないか、かように考えております。
○野原委員 そうなりますと、まただんだん、私質問をやめようと思いながら疑問が出てくるのですが、技芸教授業ということにしておって、学校教育法の第一条の学校が、その技芸教授をやって収益を上げた場合には、税金がどういうことになりますか。
○塩崎説明員 学校教育法の第一条の学校法人では、これは国立、公立では別でございますけれども、私立学校法の私立学校でございますれば、収益事業を営みますれば、これは課税になることはもちろんでございます。
○野原委員 それは私立学校法の第二十六条に、私立学校は、収益事業を営むことができると、こういう規定が明確にうたわれております。その収益事業に対しては、七割ですか、収益事業の七割に課税をする、——これは私の記憶違いかわかりませんが、何割か忘れましたが、とにかく収益事業にかける、こういうことになっておることは私も知っておるのです。国立、公立の学校が、たとえばPTAなんかが——PTAは学校と別になりますけれども、学校がいろんな事業をやる、バザーをやる、そういって一つの収益を上げる、その場合にはこれは税金の取り立てはないものですか、どうなるのですか。
○塩崎説明員 お答え申し上げます。私立学校法の学校法人が、今申し上げましたようなバザー等を営めば、収益事業に一応なりますけれども、現在バザー等につきましては継続的な事業といえるかどうか疑問でございますので、私どもの解釈では、収益事業といたさないことにいたしております。そういう方じゃなくて、たとえば学用品を、継続的に売店を設けまして売るというような場合が適当かと存じますが、そういう売店を設けまして学用品を売り、そこで所得が上りますと、その所得に対しまして法人税がかかるわけでございます。それから学校につぎ込みましたものは、公益事業に回ったと見まして、三割を控除いたしまして、七割に対しまして三〇%の税率で課税いたしております。現にそういう課税の実績はたくさんございます。ただ技芸教授業が学校法人になりますと、なかなか収益事業でつかめない点もあるかとも存じますが、一般的にそういうことはやってないんだという話もありますけれども、現行法の建前では、今度の技芸教授業で把握するというのでなくて、今申し上げました物品販売を営んでおれば、今申しましたような課税方式で課税になる、こういうように私どもはいたしております。
○野原委員 ちょっと文部省にお尋ねします。各種学校は、私学振興会法の恩典に浴しておるのか、浴していないのか、どうなっておるのですか。
○斎藤説明員 振興会の貸付金を受けておりません。
○野原委員 そうなりますと、重ねて文部当局にお尋ねいたしますが、私学振興会の適用も受けてない。そうなると、各種学校というものは、全く学校法人だけが校舎の建築その他についても負担しなければならぬ。学校経営というものは相当金が要るわけなんです、各種学校というものは、一体金もうけをするために建てるという学校は、文部省は学校法人として認可なさらないはずです。やはり各種学校は、これは学校じゃないかと思う。各種学校が学校ならばトンボ、チョウチョウも鳥のうちだ、そういう考え方であなた方は認可はしていないと私は思うのですが、その辺どういう見解、考え方を持っていらっしゃるか、お伺いしたい。
○斎藤説明員 学校教育法で各種学校を認めておりますのは、やはり第一条に掲げております幼稚園から大学までのような組織的な教育に対しまして、社会的にいろいろあるいは先ほど来問題になっております技芸の教授とか、あるいは単一の課目の教授であるとかいうようなものでありまして、そうして、これは営利として行われないで、低廉な授業料等によりまして、公衆を稗益する、こういう制度でありますので、学校教育法八十三条では特にこの制度を認めておるわけでございます。従いまして、この各種学校の教育に対しても国なり、それから公共団体というものは、いいものについては助成をするということがいいことであることは、建前としては何ら第一条の学校と変らないのではないかと思います。また団体によりましては、各種学校のあるものについて助成をしておるところがあるように聞いております。これは予算なり財政の都合上、どちらを優先するかという問題だろうと存じております。
○野原委員 どうもただいまの御答弁では満足できないのです。各種学校というものは、これは学校教育法の第一条に規定された、そういう意味の学校ではない。これは法律上からいえば幼稚園や、小、中、高、大学という、この学校教育法第一条の学校ではないけれども、その学校教育法第一条の学校で教育できない面があるわけです。教育しきれない、盲点を補完するための改正教育を担当しておるのだと、私はこう考えるしたとえば理髪学校というものが今日あります。これは法律によって理髪学校を一年習得しなければ散髪屋になれない、どうしても理髪学校に行かなければならぬことになっておる。もちろん通信教育もありますよ。ところが、その通信教育に対しても今度は税金をかけるようだ。これはあとでお尋ねいたしますが、そうなると、職業教育としてのいわゆる改正教育という面は、やはり国の文化水準向上の面を担当しておるしそれが何らの助成も事実上受けない。そうして、ただ、やれやれということで文部省の方は法人として認可したものを、私学振興会の恩恵にも浴さない、こういうことになって参りますと、各種学校というものは必要でありながら、実は各種学校の経営というものは維持できなくなるじゃないかというところから、各種学校が勢い財政上の足らないのを補うためにいろんな事業をやはりやっていくのです、経営が成り立たぬために。授業料というものは、そう高くは取れやしないのだから、そう三千円も五千円も取るわけにいかぬのですから、そう取られては、職業教育を受け、ようというのは勤労大衆の子弟ですから、これは負担できない、だから限界がある、そういうわけで、どうしても事業をやらざるを得ない、ところがその事業に対しては今度税金で縛ってしまうということになれば、各種学校は壊滅しろ、こんなものは要らぬ。要らぬなら要らぬで認可しなければいい。つぶす法律を出せばいいしところが、つぶしもしないでおって、事実上は各種学校を壊滅させるような方向になるのじゃないかと思うが、文部当局のこれに対する見解をまず聞きたい。
○小林(行)政府委員 私おくれて参りましたので、あるいはお答えが十分にできないかと思いますが、ただいま野原先生からお尋ねのありましたように、私どもといたしましても、各種学校は新しい学制のもとで、新しい学制についてやや不足していると思われる職能教育の面を担当しております。非常に大きな意味があると思っておるわけでございます。これについて文部省としても、できるだけやはりこの各種学校の教育が振興されて、円満に行われていくように努めていかなければならぬと思っておるわけでございますが、ただ終戦後この各種学校の教育が非常に振興されましたと同時に、一面では、きわめて一部のものでございますが、やや本質的な教育の仕事を離れて、営利的な方面だけに重点を置いておったようなものもあるやに見受けられるわけでございます。こういった方面についていろいろ批判があったわけでございまして、もちろん本質的な教育事業そのものは、文部省としても大いに振興していかなければならぬと思いますが、なお営利的なそういった面については、これはある程度規制をする必要があるものというふうに考えておるわけでございます。ただしかし、そうかといって付帯的な事業について、これをすべて規制しまして、そのために各種学校の事業が衰退をするというようなことにはならぬように、文部省としても十分注意を加えていきたいと思っておるわけでございます。昨年、これは多年の懸案でございました各種学校に関する規定を文部省で作りまして、批判のあった営利的な傾向については規制を加える、それ以外については、できるだけ良心的な教育的な運営がされるように指導をしていくということで、新しい規定を作ったわけでございまして、今後は文部省としてはできるだけその線に沿って指導をして参りたいと、かように考えておる次第でございます。
○野原委員 管理局長の御答弁は、営利的な面の規制はやむを得ない、こういうことでありますが、営利的な面の規制が強くなりますと、各種学校の経営というものが今日では成り立たない。授業料というものはそう高くとれないのですから、一体校舎の建築費をどこからひねり出しますか。それからたとえば先生でも、教授陣というものを充実してもらいたいというのが文部当局の要請だろうけれども、安い月給じゃいい先生は雇えない。だから営利的な面の規制が強くなりますと、今日の実情のもとでは、各種学校の経営が成り立たぬのじゃないか、こういう心配があるのですけれども、小林さんの方で何か妙案でもお考えがあればお聞かせ願いたい。
○小林(行)政府委員 今回の法人税の収益事業の範囲の拡大の問題につきましても、ただいまお答え申し上げましたような線で、私どもといたしましては税務御当局といろいろ話合いをいたしまして、各種学校について、教育の事業として行われるものについては税を課さないというような大体の意見を一応きめていただいているようなことでございます。そういった面で、かなり各種学校としても救われる面があると思っております。大体成規に収益事業を営んでおりますものについては、税法できめられている通りの税金がかかるわけでございますが、その税金以外の収益は当然学校法人を応援するための財源として使われるわけでございまして、こういった面が確保されればそう各種学校が壊滅するというような方向にはいかないであろうし、また文部省としてもできるだけそういった面の努力を続けて参りたいと思います。
○野原委員 大体の考え方がわかりましたから、ここら辺で質問を終りたいと思いますけれども、最後に大蔵当局に要望いたしたいことは、私がただいま申し上げましたように、各種学校というものの経営が実に容易でない。従ってあなた方がどういうお考えで技芸教授業というものを法人税の施行規則の中にお持ちになられたかは、これは先ほどの御答弁で私も大体了解できるのです。これは不当な営業を学校法人の名のもとにやっておって、そして税金が取れないということは許しがたい。これはその通りだろうと思う。学校法人だから不当なもうけをしていいというものではない。そこでそういう不当な営利で、そういった不当な収益事業——不当という言葉が当らないかどうかわかりませんが、そういった営利的な収益事業に対して税金をかけるんだということで、これが教育本来の各種学校の事業に支障を来たさないような親心というものを持って臨んでいただかなければならぬと私は思うのです。たとえばちょっとした事業をやって金が入った。それまた税金だ税金だ、こういうことになると、各種学校はあなたがお聞きのように何らの規制を受けていないのです。六千五百あるかどうか知りませんが、それだけの学校というものは、全く自力でやっておる。起債もこれは受けておらない。それから私学振興会法で何十億円という莫大な金を五カ年計画で出して、ほかの私立学校には金を貸すけれども、各種学校には貸さぬのだ。実にひどい状態に置かれておる。それを今度あなたの方では、税金だ税金だとしぼり取るような方向にいきますと、これが成り立たなくなると思う。そういった不当な莫大な収益事業と見られたものに対しては税金をかけるけれども、各種学校というものがやはり職能教育の上から見て必要でございまするから、各種学校を壊滅させる、殺してしまうようなことにならないようなお考え方を持っていただきたい。これに対する所見を最後に承わっておきたいのであります。
○塩崎説明員 野原委員のおっしゃる点、十分私どもも了解いたしております。ただ私どもが課税を今度考えておりますのは、先ほどから申し上げます通り、不当な利得とかそういうことではなくて、競争企業との課税のバランス、それあたりからきておるわけでございます。それからまた先ほども申し上げましたように、六千七百のうちの六千五百の個人企業は、すでにその全部の収入につきまして、個人所得税といたしまして課税されております。従いまして私どもといたしましては、課税の公平の見地からこういう改正案を考えておりますが、なお先ほど来申します通りに、普通の法人でありますれば、洋裁店でありますれば、法人税は三五%から四〇%までかかりますけれども、この公益法人の収益事業でございますれば三〇%の税率でございます。先ほどから公益事業と申されますが、学校法人の企業を維持するために、教育を維持するために収益事業をやるんだ、こういう点もございますので、三割のいわゆる寄付金控除の制度もございます。それからまたもう一つ、今申しましたように、本来の教育の対価としての授業料、それらをはずしますれば、課税の面では、今申されました不当と申しますか、学校の本来の事業を離れました収益事業の部分について主として課税されることになりますので、私どもも野原委員のおっしゃる点は十分頭におきまして、今後の改正、あるいは税務の運営をはかっていきたい、かように考えております。
○野原委員 なお、収益事業の判定はだれが下すことになりますか。各種学校の場合は、教育本来の事業と収益事業との区別が非常にむずかしい。たとえば理髪学校の場合非常にむずかしい。理髪の実習をやはりしなくちゃならぬ。三十円か五十円取っておるかどうか知りませんが、安い金でやはり実費だけはまかなってもらわなければならぬ。そういう収益事業の判定は、現在の法規のもとでは、これはだれがやるのかということをまずお伺いいたします。
○塩崎説明員 現在の法人税法の施行規則によりますと、収益事業の範囲が、先ほど来申しております通り、二十八ございます。そういう場合の課税対象につきましては、二十五年以来いろんな判例、あるいは解釈通達が出ておりまして、それによりまして、これに属しますところの収入金というものはどういうものか、あるいは経費というものはどういうものか、こういう点が大体明らかになっておりますし、今後また、たとえば技芸教授業が追加されますれば、技芸教授業に伴いまするところの収入金はどういうものだという解釈通達と申しますか、これは裁判によりまして変れば別でありますけれども、国税庁から現地の方に流すことになっております。その際には文部省と十分協議いたしまして、こういうものは技芸教授業の収入になる、こういうものは技芸教授業の収入にならない、かように打ち合せていきたいと考えております。今申しました教育本来の事業は、収益事業から除外されますので、その教育の対価でございますところの授業料、入学金、実習費、それから宿舎費等につきましては、収益事業の対価にはならないというような私どもの解釈を現地の方に出しまして、差益を待つまでもなく、はっきりと指導目標を与えまして、納税者との間にトラブルのないようにいたしたい。現在のところはさように考えております。
○野原委員 どうもはっきりわからないのですが、各種学校の場合は、教育本来の事業と収益事業の区別が非常にむずかしい。ただいま言ったように、授業料、入学金、あるいは宿舎費とか、あるいは実習費というものは、明らかに教育本来の事業になっていきますが、私は一々ここで具体的に例を申し上げにくいのですけれども、これはむずかしい面が出てくるに違いない。そういう場合に各種学校の監督官庁は、私立学校法によれば、これは都道府県知事なんだ。監督官庁が、これは教育本来の事業だ、これは収益事業だと判定をするのか、それとも国税庁が判定をするのか、それはどうなっておりますか。問題が起ったときにだれがやるか。
○塩崎説明員 税法の解釈は、私どもといたしましては、今のところ国税庁、あるいは国税局、税務署の系列によりまして、国税庁から統一的な解釈通達をやっております。もちろんその際に監督官庁の意見は十分承わりまして、こういうものは課税対象になる、こういうものは課税対象外になるというようなことを、今まで全体の公益法人のみならず、たとえば運輸業の収入金の中に、こういうものはどうだというような扱いがございますれば、そういう扱いを出す際には、所轄の主管官庁と十分打ち合せましてやっておるような状況でございますので、非常にむずかしい点は私どもも、新しい課税の問題になりますので、今後ますます連絡をいたしまして、やりたいと思います。先ほどおっしゃられましたように、都道府県知事が監督ということになりますれば、文部省もおそらくその点につきまして相当な資料もお持ちでございましょうから、文部省と打合せ、のみならず、なおまた都道府県の意見も十分承わりまして、解釈通達を出したい、かように考えております。
○野原委員 それは法的な権限はだれにあるか明らかでないわけですね。税金を取る場合に、あなたは収益事業とこう言っても、文部省に話したら、これは収益事業でありません、ということになるかもしれぬ。文部省は、それは教育本来の事業です、こういうことになったら、収益事業というものを判定する法的な権限を持つものは、今の法規の上ではないじゃないかという気が私もするのです。これについて小林さんの御所見を聞きたい。
○小林(行)政府委員 法律上の収益事業と申しますと、私立学校法に規定がございまして、たとえば各種学校につきましては、私立学校審議会が各府県にございますが、この審議会の意見を聞いて、所轄庁である都道府県知事がこの範囲をきめる。個々の税を徴収するかどうかというようなことについては、国税庁の方で御判定をなさるのだと思います。収益事業の範囲そのものについては、私立学校審議会の意見を聞いて都道府県知事がきめる、こういうことになると思います。
○塩崎説明員 ただいまの私の答弁に補足いたしましてちょっと申し述べさせていただきたいと思います。現在の法人税法は、所得税法もそうでございますが、一応申告納税の建前になりまして、ただいま申し上げましたような収益事業の政令が出ますればその政令、あるいは省令を納税者に読んでいただきまして、どういうものが収益事業の範囲に入るかということを判断していただきますが、なかなか政令、省令で書き切れぬ点がございますので、先ほど申しましたような収入金の範囲というものはどういうふうなものであるかということを国税庁から一応——一応と申しますか、私どもの一つの考えといたしまして出すわけでございます。納税者が根本的にそれに御異議がございますれば、申告額は少くてもいいわけでございます。税務署長は税法の規定によりまして、それを更正決定することができることになっております。その際に税務署長の目安となりますのは、今申し上げましたような法律、政令、省令、それからまた国税庁の解釈通達、これらが一つの目安となりまして行われる。ただ、今の目安となります解釈通達の作成につきましては、所管官庁並びに地方都道府県と十分打ち合せて作りたい、かように考えておる次第でございます。
○野原委員 これは管理局長が御答弁になったように、大蔵当局がよく考えてもらいたいのです。私立学校法第二十六条の二項には、前項の事業の種類、つまり収益事業の種類については、私立学校審議会の意見を聞いて所轄庁が定める。各種学校の場合は、都道府県知事が所轄庁ですから、都道府県知事が定めることになる。そして「所轄庁は、その事業の種類を公告しなければならない。」とあるわけです。あなたの方で税金をとりたいのは私もよくわかる。これは税金をとるためにできておるのですからね。税金がなければ国は成り立っていかぬのですから、よくわかりますけれども、ただ税金をとることにだけやっきになって、私立学校法第二十六条なんか忘れてしまって、国税庁だ、大蔵省の命令だ、通達だ、そんなものでやられたんじゃたまったものじゃないのです。だから都道府県知事が、この学校ではこれが収益事業なんだと公告された範囲の中で、あなた方が額の判定、それから課税金額その他を考えて税金をかける、こういうことになるのじゃないかと僕は思う。この点はどうなんですか。
○塩崎説明員 これは、私どもの考えておりますところの税法上の収益事業と、私立学校法の収益事業の範囲が合致いたしますかどうか、税法は、先ほど来申し上げておりますように課税公平の見地から、この際技芸教授業というようなものを加えようとしておるわけでございまして、果して私立学校法によりますところの収益事業の範囲と合致するかどうか。私どもは、必ずしも合致しなくてもいいのじゃないか、税法は税法自体の目的で運用されてもいいのではなかろうか、かように考えております。ただ先ほど来申し上げております通りに、その技芸教授業なるものの範囲につきまして、これは所轄官庁との打ち合せば十分必要だと思いますけれども、収益事業の解釈につきましては必ずしも各種の法律が完全に一致しておるというわけにはならないのではないか。たとえば事業税法上の事業と法人税法上の収益事業と違った面がございますけれども、おのおの税法あるいはまたその他の法律の目的が違いますので、そういう関係はやむを得ない、なるべく一致さすのが理想でございましょうけれども、そういう関係が各法律の目的によって出てくることはやむを得ないのではないか、そんなふうに考えております。
○野原委員 これは十分研究して下さい。あなたの御答弁では、第二十六条の私立学校の収益事業に対する解釈は成り立たぬと思う。各種学校は私立学校ですから、各種学校の収益事業というものは私立学校法で規定しておるのですから、これをやはり大蔵省は考えていただかなければならぬ。これはやはり一般の収益事業と区別して考えなければならぬために第二十六条が生まれておるのですから、これを通り越して、あなた方は税法上だけで考えていくんだといっても、この法律がある以上はこの法律は守らなければなりませんよ。私立学校の収益事業に関しては第二十六条が規制するわけですから、これはどうしても考えてもらわなければならぬと思う。こうなると、都道府県知事が、これが収益事業だと定めて公告をしたもののみについて、あなた方は税金をかけることが可能なんです。だから、法人税法の施行規則の中に収益事業とうたって、本来の教育事業を除くと注を書いておる、これは私も了解します。その必要もあるでしょう。しかしながらその収益事業、各種学校の法人にかける収益事業というものは、やはり都道府県知事が定めたものの中からあなた方は税金をかけていくのだ、そういう意味で都道府県知事の意見を聞くのだということならわかるのですけれども、さらにこれは別だ、税法は税法でやるのだということは私はどうしてもわからない。これはどうなんですか。私立学校法第二十六条を、あなたはどういうふうに解釈されますか。
○小林(行)政府委員 私立学校法第二十六条に規定をいたしておりますところの収益事業、これは税法上のものと私立学校法のものとはっきり一致しておるのでございまして、学校の寄付行為にはっきり記載をして認可を受けるということになっております。従ってこれについては成規の税金がかかってくるわけでございまして、ただいま問題になっておりますのはこれとは別に、寄付行為の変更なり認可を受けずに、事実上本来の教育事業とは別に収益事業をやっております場合に、これをどう処理するかということでございまして、私立学校法第二十六条の収益事業の範囲と法人税法上の範囲とははっきり一致いたしておるわけでございます。
○野原委員 小林さん、これは問題は、都道府県知事が収益事業ではないんだ、教育本来の事業なんだ、こう言っても大蔵省は税金をかけてくるんです。そういう場合は一体どうするのです。
○小林(行)政府委員 都道府県知事が私立学校法第二十六条に規定する収益事業と判定をしまして認可をしておれば、それは当然法人税法の対象になって成規の税がかかるわけでございます。これについては別に税務当局といさかいが起るようなことはないと思っております。
○野原委員 その場合はないのですが、収益事業ではないのだというものに税金をかけた場合にいさかいが起る。都道府県知事が収益事業と認めない、そういうものに対して大蔵省が、収益事業と認める、こう言って税金をかけてくるとこれは問題なんです。そこで、そういう場合の争いを解決するきめ手というものは、私は、あなたがただいま言った三十条の寄付行為なり二十六条の条文じゃないかと思うのです。これは、私立学校の場合には都道府県知事だろうと思うのです。これは大蔵省の言い分が通るというようなことは法律上あってはならぬと私は思う。文部省はこれをどう解釈しますか。
○小林(行)政府委員 本来の教育事業であるかあるいは事実上の収益事業であるかということにつきましては、やはり所轄庁である知事が認可をいたします際に各種学校の規定を十分研究いたしまして判定すべきものであると思っております。これがたとえば時間数からいたしましても教育組織からいたしましても、当然学校の本来の教育事業であると認められるものについては、法人税を課すべきでないと私どもは思っております。
○野原委員 そのことはどうですか大蔵省。今管理局長がああいう所見を持っておるのですが、やはり都道府県知事が判定したものに対してあなたの方は税金をかけるんだ、それを了解しますか。
○塩崎説明員 前の御答弁を繰り返すようなことになるかもしれませんが、私はまた税法自体の収益事業とその他の法律で規定します収益事業は違ってもいいのじゃないかという考えを持っております。ただいまの小林局長のお話の通り、教育本来の事業というものはこういうものをいうのだ、その他のものが収益事業だということにはっきりいたしますれば、その点はまあトラブルはないと思います。その点が果して都道府県でやっていただけるかどうか、そういう際に税務当局の見解と一致いたしまするかどうか、ここらあたりは私どもは別途の解釈、通達を持つ場合もあり得るのではないか、こういう気がいたします。現実にどういうものをその他の収益事業と見ますか、私もつまびらかにいたしませんし、私立学校法の二十六条を見てみましても、収益事業というものはどういうものかという点ははっきりいたしておりません。法人税法の施行規則でいう収益事業は、先ほど来申し上げておりますように、二十九列挙いたしております、こういうものに該当するかどうか、また今回加えますところの技芸教授業に該当するかどうか、これは私立学校法ができ上りました問題でもありますので、このあたりどういうふうに判定していただけるか、これはなお研究してみたい、かように考えております。
○野原委員 これはぜひ研究して下さい。あなたの御意見に拘泥をなさらない方がよかろうと思う。あなたの方も自信がない。寄付行為の定められた第八号に「収益を目的とする事業を行う場合には、その事業の種類その他その事業に関する規定」ということがうたわれておる。この寄付行為の収益事業ということであれば、これはお説のように問題ない。ところが第二十六条で特に収益事業を判定するという場合には、寄付行為に書かれた以外の収益事業というものがやはり飛び出してくる心配がある。各種学校、私立学校の場合は寄付行為にこれこれとうたっておるのですから明らかなんです。それを認可したのですから、寄付行為以外の収益事業が飛び出してくるおそれがあるから、特に収益事業という条文を設けたのはこの二十六条なんです。その場合には都道府県知事一個の判断ではむずかしいから、私立学校審議会の意見を聞くとあるわけです。だからあなたの方が税金をかけるときには、寄付行為の収益事業、その次には第二十六条の収益事業、つまり都道府県知事が私立学校審議会の意見を聞いてこれが収益事業だと公告をするわけだから、寄付行為に書いてない収益事業に税金をかけなさい。あなたの方が勝手に判断をされて税金をかけることは、大蔵省は私立学校法をじゅうりんし、無視したということになりますから、これはだれよりも法律をやかましく言う大蔵省の税務当局としては考えなくちゃならぬ、そういう意味の研究を私は要望しておきます。
○竹尾委員 関連して。ちょっぴりお尋ねをいたしますが、お答えのいかんによっては、問題が相当大きくなるだろうと思います。 これは管理局長にお尋ねいたします。ただいま各種学校に対する私学振興会ですか、あれの補助金を出しておる例もある、こういうお答えのようでしたが、それは具体的にはどういう学校でございましょうか。
○小林(行)政府委員 現在私立学校振興会の貸付金は各種学校には出ておりません。
○竹尾委員 それでは今出ておる特例があるというような御答弁でしたが、それは間違いですか。
○小林(行)政府委員 府県によりましては、その府県内の各種学校の意義を認めて県が補助金を出している事例はございますけれども、私立学校振興会の貸付金は現在のところ各種学校には出ておりません。
○竹尾委員 そうおっしゃってくれればわかるのです。そこで、これは振興会の方で出してはならぬという規定はないわけですね
○小林(行)政府委員 現在では私立学校振興会法の規定に、学校法人に対して必要な貸付をするというふうになっております。私立学校の設置を目的とするものは、御承知の通り準学校法人でございますので、法律上これに現在のところでは出していない。将来改正すれば別でございますが、現在のところでは学校法人だけに限られております。
○竹尾委員 その解釈は、もちろん準学校法人と学校法人は違いますが、しかしこれも解釈のいかんによっては何とか拡張解釈ができるのではないかとも思われますが、これは法律に縛られてそういうことはできませんか。
○小林(行)政府委員 私立学校関係の法規では、御承知の通り学校法人と準学校法人をはっきり区別をいたしておりますので、学校法人とはっきりうたっております場合には、それは困難であろうと思います。将来改正をすれば別でございますが、現在のところ法律の字句の上からむずかしいのではないかと思います。
○竹尾委員 困難であろうという、あろうなんだ。そして字句の上からちょっとむずかしい、こういうことなんですが、しかし今振興会の貸し出し状況を見ますると、——これは私あまり知らぬでもいいことを知っているのだが、そんなわけで、あまり変な御答弁をされると私少しおこるかもしれぬが、そこでこれは拡張解釈いかんによってはできないということもいえないので、あろうと思いますと、こうい言うような御答弁では、ちょっとできないこともないのではないか、こう考えられますがん、その点はどうですか。
○小林(行)政府委員 各種学校の中には、ご承知のように準学校法人が設置しておるものと、学校法人があわせて設置しておるものとあります。でございますから、もちろん現在までは厳密に解釈をいたしまして、各種学校には貸付をいたしておりませんけれども、学校法人の字句からいいまして、学校法人の設立している各種学校には法律上からいっても絶対に出してはならぬということにはならぬと思います。
○竹尾委員 そういうことになるから私はお尋ねしたのです。これは絶対にできないというような解釈も成り立たぬので、そういう点は、これは私らも各種の各種学校からいろいろな要求をつけられておりますので、そういう点は十分一つ御考慮願いたいのですが、併置された場合は十分貸し出しの範囲になると思うのですが、その辺はどうですか。
○小林(行)政府委員 学校法人が各種学校を設立しておれば一応対象になりますが、ただ「その設置する私立学校」といって、学校教育法の第一条の学校を一応指定しておりますので、いろいろ検討すべき問題があると思います。文部省としてもそういった点について今後さらに十分研究いたしたいと思います。
○竹尾委員 研究されるということは、大いにそういうことを考慮する、こういうふうに解釈していいわけですね。きょうはあとの質問者もあるようですから、私はこれでやめておきますが、貸し出しについては、塩崎さんは税制の方で、私学振興会法に対しては御関係ないかもしれませんが、いずれまた場合によってはお尋ねする機会があろうかと思います。そこで、大臣どうですか、こういう点については大いにやるつもりありますか。
○灘尾国務大臣 十分承わっておきます。
○長谷川委員長 この際委員長より文部大臣に対し政府委員の出席状況について要望いたしたいと存じます。本日の委員会の開会冒頭において、野原委員より、本委員会に対する大臣及び政府委員の出席が、開会予定時刻より相当おくれ、そのため委員会における審議にも支障を来たしていることは遺憾にたえないので、今後十分注意されたい旨の発言がありました。これは野原委員のみならず、全委員の御意向であると存じます。委員長といたしましても、野原委員の発言はしごくもっともなことと存じます。文部当局としましては、この点今後遺憾のないよう注意されたいと存じます。文部大臣より、政府委員の出席状況について、この際釈明を求めたいと存じます。
○灘尾国務大臣 本日は私やむを得ない用事のためにほかに出ておりまして、出席がおくれまして、まことに申しわけございません。なお、政府委員の出席状況がはなはだ悪くて、皆様方の御審議に御迷惑をおかけした模様でございますが、この点は私の不行き届きのいたすところでございますので、将来十分注意いたします。
○長谷川委員長 なお、委員長より申し上げますが、御承知のように私が本委員会の委員長となりまして始めるに当りましては、時間の励行ということを申し合せてございます。この関係も御考慮いただきまして、関係政府委員におかれましては、定刻までに出席下さるようにお願いをいたしておきます。 高津正道君。
○高津委員 小さいように見えるが、私の主観だけでなく、確実に大きな問題と思えるに違いない問題について質問いたします。 わが国は、昨年ユネスコの国際版権同盟に加入したのでありますが、その加入直後に、日本で著作権を無視するグメリン複製事件なるものが起ったのであります。これはドイツの七十九巻あるグメリンの無機化学全書、定価百八十五万円のものを複製いたしまして、三十三万円で売ると大きい予約募集をして問題になった事件であります。すると、大きな問題になったので、昨年八月の半ばにユネスコや国際化学連合の総長ストール氏より、同連合日本代表水島三一郎氏に電報があり、また日本学術会議化学研究連絡委員会委員長亀山直人氏に手紙があり、グメリンの無許可出版を取りやめるよう、また国際化学連合理事会での説明に必要な材料を提供するよう連絡があった、こういうように、ユネスコや国際化学連合の理事会でも議題に上るまでに発展したのであります。これは一例にすぎませんで、アメリカの自然科学書、特に工業関係書の不正版が非常に多いのであります。現在はまさに洋書の海賊版の横行時代ともいえる時代であります。本年の二月には、大阪天王寺の一出版元がドイツのウルマンの複製をして、西ドイツの総領事から告訴されるという事件も起こっておりますし私思うのに、日本で外国の著作権をこのように無視することは非常に大きな問題であって、三つの弊害が考えられると思うのであります。文明諸国の著作家たちが日本を蔑視し、日本に反感を持つことになる。第二には、これは日本の名誉に関する全く国辱的な行為であって、対外信用を低下させるし、むろん外交にも貿易にも響く。第三には、これらの被害国の中には、日本が新刊書を輸入しようとしても、最近その輸出をストップしている国さえ出ている、こういう弊害さえも現われておるのでありまして、これも日本の学術を進める上において非常な弊害であると思います。一部の日本の業者がこのような著作権侵害をしている実情に対し、文部大臣はどのようにお考えでありましょうか。
○灘尾国務大臣 ただいまお述べになりましたような事柄につきましては、私もまことに遺憾なことと存じております。この問題につきましては、まだ事情を十分につまびらかにいたしておりませんので、文部省の主管局長からお答えをいたさせます。
○福田政府委員 高津先生のお話の点は、海賊版の問題だと存じますが、これは二、三年前にも同様の問題がいろいろ出ておったように承知しております。もちろん著作権保護の立場から、こういった海賊版の出ますことは非常に困る問題でありまして、私どもとしてはそういった海賊版の出ますことを極力排除していきたい、こういうように考えるのであります。しかしながら一方御承知のように、実情におきましては、非常に原書が高いということも一つの理由でございまして、学界あるいは学校等におきまして、こういった非常に手軽に入ります安い海賊版を利用するというような事柄が終戦後特に行われております。こういうことにつきましては、文部省といたしまして、講習会その他機会のありますごとに、海賊版を利用しないように注意をいたしております。この著作権保護の問題につきまして根本的に法的な措置も相当要るかと存じますけれども、現状ではそういった法的な問題になるまでに至っておりません。最近におきましては、外国の出版元と日本におきますところの会社と契約いたしまして、写真版等による非常に廉価な普及版が出つつありますので、こういうものが学術書にだんだん普及して参りますと、今いったような海賊版の横行を防ぎ得るのじゃないか、こういうことを考えております。私どもといたしましては、できるだけそういった写真版等による廉価な学術書が日本におきまして出版され、普及されることを希望しておるわけでございます。
○高津委員 丸善やその他の、海外洋書輸入同業会なる四十幾社が集まった団体があって、それから文部省に幾たびも、たとえば去年もことしも陳情しておるというのでありますが、その陳情について実情を調査になったのでしようか。
○福田政府委員 関係の業者の方から話があったことは私も聞いておりますが、これが実情調査と申しましても、こういう問題は、いろいろ先生御承知と思いますけれども、非常に小さい所在の不明なものでやっているのが通例でございます。しかもそのやっている場所を、場合によりましては点々と変えるというような状態でございまして、はなはだ調査がしにくいというのが現状でございます。私どもとしましては、できるだけ調査はするつもりでございますけれども、実際にはなはだ困難な事情が非常に多いということを申し上げたいと思います。
○高津委員 不正版を利用しないように注意しておる、こういうお言葉がありましたが、どんな方法で注意をしておるのですか。
○福田政府委員 文部省といたしましては、社会教育局におきまして、著作権保護の立場、あるいは著作権思想の普及ということから、毎年そういった講習会等を開いておりまして、そういう講習会等におきまして、機会あるごとに、そういう関係方面に、安くてもそういう海賊版は利用しないようにということは常に注意を促しておるわけであります。
○高津委員 日本が国際著作権同盟に加入して、その後にこういう大きな問題が起きた、西ドイツの領事から告訴されたとか、そういうような問題が起きても、いつもやっておる年中行事の分をやっておるのか、その事件があって以来特別に何か打った手があるのか、その点を承わっておきます。
○福田政府委員 これはもう常々やることでありますけれども、そういう大きな問題があれば、そういう問題につきましても、私どもは注意を喚起しております。
○高津委員 著作権法は戦前のものであって、そのような場合に課せられる罰金はわずかに二千円であります。そうしてまたこれは親告罪になっておるから、外国の出版元や著者が問題にしなければ、法律の上ではそのままに済む関係になっておると思います。そのような二千円というのでは問題にならないので、三百六十倍にすれば七十二万円になるのでありますが、そんなあれどもなきがごとき法規でいい、こう考えておられることになるのですよ、あなたの答弁によれば。著作権法は、このような場合には時代に合うように、ことにそういう洋書の海賊版がはんらんしておるような場合には、この法律の改正を考えるべきであろうと思う。私は東大の水島教授をたずねて、これもそうです、これもそうですとたくさん見せられたのを見たし、そしてそういうカタログがたくさんそこに来ているのを見て、そんなにはんらんしておるのかと驚いたような次第でありますが、やはりこのような場合には、著作権法を改正して、少し罰則を強めるとか、何らかの手を打つべきではあるまいかと考えますが、あなたの考え並びに文部大臣のお考えを聞きたいと思います。
○福田政府委員 ただいまお話がございましたように、この問題は非常に遺憾な問題でございますが、御承知のように、現在の著作権法の罰則では二千円以下ということになっております。外国の立法例を見ますと、体刑をつけたような立法例もあるようであります。しかしそういうことは別にいたしまして、何と申しましても、この海賊版の絶無を期する上から、何らかの措置が要るのではないかというように私ども考えておりまして、御承知のようにこの著作権法の改正の問題はここ二、三年来いろいろ必要に迫られておりまして、著作権制度審議会におきましても、著作権法の全面的改正を取り上げてやっております。従ってそういった著作権法の全面的な改正を行うような際におきまして、こういう問題も同時に改正をするならするというように、はっきり方向をきめまして、将来の改正の場合に十分検討しながらやりたいと考えております。
○高津委員 そのような非合法的な海賊版の横行に対して、極力排除しようと努めておると言われるのでありますが、そしてまた洋書、原書が非常に高いからだと、こういうこともお答えの中にありましたが、わが国の多くの研究所や図書館が、図書購入費が非常に少くて、財政的に困っておる、そういうところへ国がうんと補助金をやれば、これらのところもそういうものを買い入れなくても済むということになるのではあるまいかと私は考えますが、この点に関する大臣の御所見を承わりたいと思います。
○灘尾国務大臣 御説の通りだと考えます、本が高い、買う金が少いという関係で、この問題が起ってくることと思いますので、御趣旨につきましては全くその通りだと考えるのであります。図書館その他で書物を購入する経費を充実することももとより必要だと考えます。財政の許す限り、かような点につきましても考究して参りたいと存じます。
○高津委員 この際お尋ねをしておきますが、文部省あるいは文部大臣に対して、大小さまざまの陳情があるのですが、これは一体どのようにさばいているのでしょうか。しかるべき方から御答弁を聞いておきたいと思います。
○灘尾国務大臣 陳情につきましては、十分これを注意して見なければならぬと思うのであります。私も就任以来各方面からの陳情につきましては、よくその内容に立ち入って検討するようにということを申しておるのでございます。私のところへ参りました陳情につきましては、もちろん関係の局長にこれを渡しまして、私の考えがあればその考えも申しますし、またその内容をそれぞれに応じてよく十分に検討するように始終言っておるわけであります。
○長谷川委員長 河野正君。
○河野(正)委員 先週来、御承知のように、就学困難な児童のための教科用図書の給付あるいはまた給食に関しまする国の補助等々の法案が通過いたしたわけでございますけれども、しかし根本的な立場から検討して参りますると、これはやはり憲法二十六条の規定でございます義務教育無償、の原則という建前から考えて参りまするならば、なお私は大きな問題が残されておるというふうに考えておるわけでございます。学校教育法第六条の中には、国立または公立小中学校は授業料をとってはならないということがございますけれども、しかしながら基本的には、やはり憲法二十六条の精神というものは、義務教育というものは完全に無償で実施しろということが基本的な精神だというふうに私は理解するわけでございます。以下いろいろ具体的に御質問申し上げたいと思いますので、まず義務教育無償の原則に対しまする当局の基本的な態度、考え方につきまして、まず大臣から御所見を承わって参りたいと思います。
○灘尾国務大臣 義務教育無償の原則は憲法に規定せられておるところでございます。従いましてこの原則についてはどこまでも尊重して参らなければならぬと、かように考えております。
○河野(正)委員 文部大臣から御答弁いただきましたように、尊重していかなければならぬということでございますけれども、しかしながら尊重の尺度と申しますか、具体的にどう尊重していくかということが今後非常に大きな問題となるものと私ども考えておるわけでございます。と申しますのは、私は今日の義務教育の現状を見て参りますると、やはり義務教育に要しまする父兄の負担が非常に多いというような観点から、ただいま申しますような基本的な文部省当局の態度を承わったわけでございますが、御承知のように、文部省が昨年御調査いただきました十七都道府県の小中高等学校、あるいは盲学校児童等に対しまする父兄の負担額に関する調査がございますが、この調査を見て参りましても、非常に大きな負担を今日父兄がしょわされておるという事実を私どもは明確に認めて参らなければならぬと思うのでございます。御承知だと思いますけれども、大体父兄一人当りが九千円から、非常に多いところでは二万七千円に上りまするところの負担をしておるわけでございます。しかも問題でございますのは、この九千円から二万七千円に上ります父兄の負担が前年度に比べまして五・一考から一四・六%というふうに昨年よりも増加しておるというこの事実でございます。このように教育予算と申しますか、そういった公費よりも、ただいま私が具体的に申し上げましたように父兄の負担額というものがむしろ年々増加しつつあるというこの現象というものは、大臣が仰せられましたように義務教育無償の原則というものを尊重していかなければならぬということでございますが、現実の問題といたしましては、かえって逆行しておる事実を認めなければならぬということは、全く遺憾であるというふうに考えなければならぬことでございます。このようにして公費よりも父兄負担額が年々増加しつつあるというこの現象に対しまして、当局はどのようにお考えになっておりますか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
○内藤政府委員 父兄の負担をなるべく軽くし、同時に公費支弁の原則を確立するように努力いたしまして、本年度地方財政計画及びそれに基く基準財政需要額の算定に当りましては、市町村の教育費について約三十億ほどの増額をいたしたのでございます。今後ともこれを増額いたしまして、PTAの負担その他特殊な父兄の負担についてはできるだけ軽減して参りたいと考えております。
○河野(正)委員 そこでただいま局長からもお話がございましたように、そういった父兄の負担を軽減するということに御努力されるということでございますが、その点は今後に期待しなければならぬわけでございます。そこで私がさらに一点お尋ね申し上げたいと考えておりますことは、もちろんそれがすべてのファクターだというふうには考えませんけれども、しかしながらこういった父兄の負担が重くなる、あるいはまた逆に、別な観点から申し上げますと、父兄の生活の貧困といったことが学力の差になって現われてくるという傾向があるのではないかというような危惧も一面持っているわけでございます。これは具体的な事実もございます。と申し上げますのは、今度の調査によりましても、大都市の父兄の負担額というものは、大体年間小学校で一万七千円という調査の結果が出ておるようでございます。ところが非常に文化に恵まれませんところの辺地におきましては、四千三百六十円という数字が出ておるようでございます。このように同じ義務教育の父兄でございますけれども、大都市と辺地におきましては父兄の負担額というものが、先ほど具体的数字を申し上げましたように非常に大きな差が出ております。約四分の一というような金額が、辺地におきましては出ておるわけでございます。ところがこういった父兄の負担額と、これまた文部省の昨年の統計でございますが、学級差とを比較して参りますと、小学校は全国の調査をなさいました平均点数が三五・三だそうでございます。ところが大、中都市の学童たちの水準というものは、四六・四点、それから山村僻地におきましては三一・九点、こういったように、文部省の昨年の調査によりましても学級差というものが非常にはなはだしく出ておる。一方におきましてはさっき申し上げましたように、父兄の負担額におきましても大都市と辺地におきましては非常にたくさん差が出ておる。そこで父兄の負担額が即学級差ということではないと思いますけれども、しかしながらその差のファクターの一部をなすであろうということは、これは私どもが考えて参りましても明らかに想像されるような気がいたすわけでございますが、この点に対しまして、文部省がどういった御所見を持っておられるのか、あるいはまたこういった事実に対しまして、これは文部省が調査されたわけでございますから、そういった調査に基いて当局がどういった措置をとられて参るだろうか、この点を一つ明らかにしていただきたいと思うのでございます。
○内藤政府委員 父兄負担と学級の学習効果との直接の関係は、私はないのではなかろうかと思っております。と申しますのは都会地ですといろいろな生活その他の関係で父兄が特に支出する面が多いかと思うのであります。ただ別の面で僻地における学力差ということがあるということも事実でございまして、これは御指摘の通りでございます。この僻地における学力差の原因もいろいろあると思います。一つは僻地によい教員がなかなか赴任しない点も一つあります。そこで僻地手当も相当増額いたしまして、僻地の手当は今までは定額でございましたのを定率支給に改めまして、大幅な増額をしたわけでございます。そうしていい先生が僻地にも喜んで行っていただけるようにしたわけであります。第二点は、教材とかあるいは設備状況の問題もあると思います。この設備状況につきましては教材費の負担金はできるだけ僻地の方によけいにいくように生徒一人あたりの単価をふやしておるわけでございます。一般の都会地よりも僻地の方に、もちろん十分ではございませんけれども、都会地に比べて余分にいくように配分計画を立てておるのであります。その他僻地におきましては皆さん方の御努力によりまして、集会室の設備とかいろいろと努力をいたしております。なお教育の内容の面につきましては、大体僻地では単級学校あるいは複式でやっております。こういう点について問題がありますので、単級、複式の手当を出すようにするとか、あるいは単級、複式の教育法をどうするかというので、いろいろと単級の場合、複式の場合の教授方法についての指導書も本年出したわけであります。こういうような点で僻地の学力水準を上げるように努力いたしております。なお今年度の三十二年度予算におきましては、特に視聴覚関係にこれは多いのでございますけれども、ラジオとかその他のスライドとか、そういう視聴覚教材が十分活用できないので、この場合には自家発電の装置を本年度約一千万円ほど予算に計上したのであります。こういう点で視聴覚教材による学習教材の向上をねらっておる、私どもも僻地における学力差というものは十分認めておりますので、今後とも僻地の学力水準を向上するように努力して参りたい、かように考えております。
○河野(正)委員 ただいま内藤局長より御答弁をいただいたわけでございますけれども、その答弁まことに不満足であります。と申し上げますのは、もちろん私は父兄の負担額と学級差との関係が百パーセントだとは申しません。しかし私は少くともその一つの要素を形づくっておるということを否定することはできぬだろうと思います。ただいまの局長の話では関係がないという前提でお話でしたけれども、私はすべてではないと申しましても、一部の関係があるというようなことは、次のような事実をもってしても明かだと思うのであります。と申しますのは、先ほど私が文部省に調査していただきました父兄の負担額のいろいろな数字を申し上げましたが、そういった負担額がふえておる、そのふえております比重の中で、特にPTA会費というものが非常に大きな比重を占めておるというこの事実でございます。そういたしますとやはりPTAの会費の負担がふえておりますことは、さっき申し上げましたようないろいろな面で学校の先生方のめんどうを見ておる、あるいは教材費のめんどうを見ておる。後ほどPTAのあり方につきましては重ねて御質問申し上げたいと思いますけれども、いろいろな面でPTAの会費というものが学校教育について非常に大きなファクターを持っておる、そういうことは否定することはできぬと思います。そういうことになりますと、そういった負担ができないということが教育上の面においていろいろマイナスが出てくるということは明らかに想像されることなのです。そういった立場から考えて参りますと、父兄の負担額と学級差というものは、全然関係ないということでありますけれども、私は百パーセントとは申しませんけれども、やはりそういう学級差の出て参りました一部の要素というのは、当然生じてくるというふうな意味から、ただいまの内藤局長の御答弁は満足ができないということであります。そこで私は、そういったように父兄の負担額が大都市と辺地において非常に相違をしてきておる。相違をしてきておるというよりも、僻地におきましては負担ができないということだと思うのでございますが、そういったように父兄の負担額のでこぼこ、不均衡によって学級差ができてくるというようなことになりますならば、義務教育に対しましては、当局では相当慎重な考えをもって臨んでいただかなきゃならぬということでございます。ところがまことに残念なことでございますが、先ほど大臣からも義務教育無償の原則は尊重していきたいということでございますけれども、今度の予算から見て参りましても、義務教育国庫負担、あるいは各種振興によります教材費の国庫補助というものが、いろいろ合計いたしますると、大体一〇%くらい減っておるということなんです。もちろん人件費、恩給費等は上っておりますけれども、教材費の国庫補助というものは、昨年よりも減少しているというのが事実なんです。私が言わんとするところは、父兄の負担能力が大都市と辺地とは非常に違ってきておる。それがために学級差ができてくるということになります。と、子供たちに非常に大きな不幸でございますから、そういう欠陥を除いていくためには、やはり教材費等につきましては、文部省が相当力こぶを入れて、善処していただかなければならぬということになるわけでございますが、まことに残念でございますけれども、予算の数字から見てみますると、そういった欠陥がございますが、その点いかがですか。
○内藤政府委員 先ほど河野委員からおっしゃったことに私は反対したわけではございませんので、直接関係ないと申し上げたわけであります。もちろん父兄の負担というものが間接的には影響していることは、私も認めているわけなんです。この点は御了承いただきたいと思います。それから今のお話の教材費が減ったということでありますが、そういう事実はございません。三十二年度におきましては、予算的に減った事実はございません。
○河野(正)委員 減っておらないということでございますけれども、これは新聞でも書いておりますし、広報の数字を見て参りましても明らかでございます。減っておるわけであります。これはもう少し数字を勉強していただきたいと思います。いずれ御勉強願って、お考え方を改めてもらいたいと思うわけであります。 さらに私は、父兄の教育に対しまする負担と関連いたしまして、今日のPTAのあり方につきまして、若干御質問いたしまして、御所見を承わって参りたいと思うのでございます。それはただいまも質問の中で若干申し述べたわけでございますが、PTAというものは、元来先生と父兄が協力をいたしまして校外指導、あるいは子供の環境整備、改善というものをやっていくのが本来の目的であるわけでございます。ところがPTAの支出を見て参りますと、その支出の六〇%というものが教材、施設、あるいはさっき僻地の問題を申し上げましたが、学校の先生の研究費に使われておりまして、校外指導とか子供たちの環境整備、改善というようなことでなくて、実質的には学校の財政後援会というふうなあり方であるのが今日の実情でございます。ところがこういった考え方というものは、私は本来のPTAの精神から申し上げますと、わき道にそれた行き方ではないかというふうに考えるわけでございます。不幸にいたしまして、今日教育予算というものが貧困であるということが原因となりまして、このようにPTAの会費あるいは寄付金で教育を守っていこうということが、現実に行われておるわけでございます。これは御承知の通りであります。こういったPTAのあり方について、一体どういうふうにお考えになっておりますのか、これも父兄の負担の問題と関係がございますので、その点の御所感を承わっておきたいと思います。
○内藤政府委員 PTAが設立されましたのは、お説の通り先生と家庭が子供の教育を守るという意味で設立されたわけでございまして、今御指摘の通り学校後援会のように堕することははなはだ遺憾でありまして、私どもはできるだけ地方財政を充実いたしまして、PTAの寄付金に頼らないように、学校の自主性を発揮できるように努力しているのであります。
○河野(正)委員 いろいろ御努力するという言葉を承るわけでありますけれども、現実の面におきましては、地方の実情なりあるいは父兄の実情というものは、なかなか困難な実情にある。一例でございますけれども、予算の面から申し上げますと、国の予算の中で教育費の占める割合は約一二%だそうでございますが、地方においては約二七%を越しているというようなことがいろいろな点において指摘されているのでございます。そのゆえに国や地方自治体の財政のしわが——地方財政の困難と申しますか、困窮と申しますか、財政の赤字が教育費の方にしわ寄せされまして、それがために父兄の負担がだんだんかさばっていくのではないか。さっきも数字を申し上げましたように、昨年よりも今年の方がとにかく五%から、多い家庭になりますと一四・六%もふえている。この事実は、地方財政なら地方財政のしわが家庭にしわ寄せされていく。それがために五%から一四%も父兄の負担が多くなるのではないかというふうな考え方を私ども強く持って参るわけでありますが、その点に対しましての御所感を承っておきたい。
○内藤政府委員 お話の通り地方財政のしわが父兄の負担になっている分もあると思います。そういう意味で、本年度基準財政需要額をきめるときに、市町村の教育費は、生徒の減少もありましたけれども、ともかく三十億の増額をいたしたのであります。これによって来年度以降年次計画を立てて、父兄の負担を軽減するように今後一そう努力をいたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。 それから先ほどちょっと質問がございました教材費の減でございますけれども、これは生徒数の減少に伴う分でございまして、単価の減じゃないのでございます。生徒数が、中学校の方が減りましたので、三百万の減になっておりますけれども、単価は変っておりません。
○河野(正)委員 そこでそれに関連いたしまして一点お尋ねしておきたいと思うのですが、こういった地方財政の赤字がだんだん教育予算にしわ寄せされるんではないかということで、実は昨年の国会におきまして審議されました新教育委員会法につきましても、私ども非常に大きな心配を持ってあの法案に反対したわけです。ところが御存じのように新教育委員会法は成立をいたしましたところが地方財政の現情というものはますます赤字を生み出しているというような状態であることは、否定できぬと思います。そこで私どもは、そういった事態が起ってくると、どうしても結局教育予算というものは圧迫されるというようなことで心配したわけですけれども、今日教育委員会法の新法が施行されまして、一そうそういった地方財政の赤字が、原案送付権というものがなくなったわけですから、それがために教育予算にしわ寄せされたというような事実があるのかないのか。この点は前国会との関連もございますから、一つその後の経過について若干の御報告をお願いしたいと思います。
○内藤政府委員 三十二年度の地方予算の全貌が明らかになっておりませんので、詳細にお答えすることはしばらく待っていただきたいと思いますが、ただ府県の教育費を見てみますと、北海道が未報告でございますが、その他の四十五府県の集計によりますと、昨年度よりも人員が約三千名ほど増になっておりまして、今のところ私どもはこの委員会法の改正によって非常に教育予算にしわ寄せが来たとは考えておりません。それから来年度の見通しは、地方財政の方は約一千億くらいの自然増収と交付税の増額で、多少本年よりは改善されるだろうという見通しを持っておるのでございまして、基準財政需要額の算定の場合にも、どこの府県にも必ずいくように地方財政計画はもとより、基準財政需要額の中でも教育費は都道府県と市町村合せて約二百億ほどの増額をいたしましたので、来年度は本年よりは比較的改善されるという見通しを持っておるのであります。
○河野(正)委員 その点につきましては、いずれ今後具体的な資料が出ましたならば、その資料に基きまして検討させていただきたい、かように考えるわけでございます。 そこで時間もございませんから、最後に一つ、この点は大臣から御所見を承わっておきたいと思うのでございますが、いろいろ今日まで、先週におきましても就学困難な子供たちに対する教科書の無償給与あるいは給食に対する国の補助というような法案が出て参ったのでございますが、しかしながら現実の面におきましては地方財政の貧困というようなことで、なかなか父兄の負担額を軽減していくというようなところには相ならぬ、これはもちろん物価の値上り等もあると思いますが、現実の問題といたしましてはなかなか父兄の負担額を軽減するような方向は困難だというふうに私ども考えるわけでございます。そこでこの義務教育を名実ともに無償にする、そのためには今のようなこそく的なことではそういった理想を達成するということはなかなか困難でございますから、この際私はこういった教育行財政の全体に再検討を加える必要があるのではないかというふうな考え方も強く持つわけでございますが、この点は基本的な問題でございますから、大臣の御所感を承わっておきたいと思います。
○灘尾国務大臣 先ほど来の御指摘の点は、私も非常に傾聴したのであります。義務教育無償の原則、これは日本の国といたしましても大きな理想だと考えるのであります。現実の問題といたしましては、今日授業料をただでやるというところに線を引いておるようであります。どこまでを一体やるべきであるかということになりますと、これはいろいろ考え方もあろうと思うのでございますが、私どもといたしましては、父兄の負担の関係等で教育に非常な差等を生ずるというようなことを極力避けて参らなければならぬと考えております。今日までもその趣旨のもとに、給食の問題でありますとか、あるいは教科書の問題でありますとか、あるいは僻地教育でありますとか、いわゆる教育の機会均等というような言葉をもちましていろいろなことがなされてきておるわけであります。これまた決して十分にいっているとは私も申し上げるわけには参らない。できるだけそういう方面のことについても充実して参らなければらぬ、かように考える次第であります。 なおまたPTAの問題でございますが、これも設立の趣旨はまことにけっこうだと思うのでありますけれども、現実はお話の通りに学校の関係の財政を後援しておるというような姿になってるものもたくさんあるように思います。その関係からしてPTA本来の目的と違ったような形になってしまった、あるいはPTAの内部にいろいろまた問題があるというふうなことも聞くのであります。まことに残念であります。そういう意味合いから申しましても、やはりPTAの方々にあまり大きな負担をかけるということはもちろん避けなければならない、そのために公費の負担というものを充実して参らなければならぬ、これまた当然なことだと思うのです。何やかやがみな足らないような状況でありまして、まことに残念でありますけれども、われわれ教育に携わる者といたしましては、国の財政にいたしましても、地方の財政にいたしましても、教育を尊重し、教育施設を充実するという方角に極力努力すべきこと、これは当然でございます。できるだけその方角に向って参りたいと思います。また制度の上におきましてなおさような面からして改善を要する点がありますれば改善するにやぶさかではありません。できるだけ検討してやって参りたい、こういうふうに考えております。
○竹尾委員 関連して私は大臣に対して皮肉を申し上げるわけではないのですが、大臣はちょっとあの当時のことはあるいは御存じないかもしれませんが、例の義務教育半額国庫負担法、あれはここに張本人の局長がおられますが、(笑声)そのときに、制定の主要な目的ではもちろんなかったけれども、PTAの負担を軽くする、これが一つの目的であったわけです。このままではPTAのあり方が乱れてきている、これを当時の庶務課長であったあなたが大いに強調をした。これは記憶にあるだろうと思います。そこで当時五十億円出せばPTAの負担も軽くなるであろう、こういうことであったと思います。そうだったね。
○内藤政府委員 そうです。
○竹尾委員 そこでその後その五十億円の国費を教材費等の形において支出するということであったのが、五十億円はおろか、今年度も非常に少いでしょう。そこでこれも約束を守らなかった。そういうわけで大蔵当局にもこれは責任がある。そこで今大臣がPTAのあり方について御説明されまし出たけれども、このままではいけない。いけないということは、あそこに負担をかけ過ぎておる。あの当時と今と数字なんかはどんなことになっているか、総体の集計か何かありませんか。PTAの費用のここが問題なんだ。
○内藤政府委員 お説の通り義務教育国庫負担法の中に教材費の負担を入れましたのは、PTAの負担を軽減するという趣旨であったわけでございます。そこで当初予算で約二十億ほど負担金を確保したのですが、その後教材費の中から理科と図書館がはずれましたので、大体今のところ国の負担金は理科、図書館等を入れますとほぼ二十億程度でございます。一方PTAの方の寄付金は一時は減りましたけれども、最近はまたふえておるような状況でありまして、あまり変化がないのでございます。一つは、教材費の面が寄付金の大きな面であると同時に、もう一つの面はやはり需要費の面が相当あるだろうと思います。たとえばストーブ代、こういうものは市町村の方で見ておりません。そういう薪炭、ストーブ、そういうものの経費も出ておるように思いますので、何としても地方財政のうちの地方教育費を充実することが先決であると考えまして、先ほど申しましたように、交付税の基準財政需要額をふやしたわけでございます。今後もそれをふやしまして、PTAの過重な負担を軽減するようにいたしたい、かように考えております。
○竹尾委員 大体そういう説明になるのだけれども(笑声)しかしそれは少しおかしいのだ。と申しますのは、理科と図書館の方でふえておるから二十億くらいになっておるだろう、これが大体おかしいのであって、理科や図書館はあの教材費の中から出す性質のものではない。それをいいかげんにあそこで出しておるからそういう苦しい答弁になるので、この理科と図書館は別ワクでどうしても来年度からとってもらわなければいけない、これは大いに主張しなければならぬ。そうなるとその教材費プロパーの金は、最初五十億要求して、あのときは当時の池田大蔵大臣で非常に頑強にがんばられてしまって二十億しかとれなかったけれども、その後幾らかふえなければならぬのにふえていはしない。それからPTAの費用もお話の通りほとんどふえていはしない。こういうところにまた非常な隘路がありますから、そういう点も大臣にお願いして十分一つ善処していただきたい。大臣いかがでありますかとお尋ねすれば善処いたしますという答えしか得られないので、大臣には私はお尋ねいたしませんが、とにかくそういうことで一つやっていただきいと思います。ちょっと考えつきました点をお尋ね申し上げたわけでありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○長谷川委員長 本日の委員会はこの程度とし、委員会散会後理事会を開会いたします。次会は、明二十八日午前十時より開会いたします。 これにて散会いたします。 午後一時一分散会