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26回国会衆議院1957/02/14

内閣委員会 第5号

発言数
174
登壇者
14
会派数
2
開催日
1957/02/14

会議録

相川勝六自由民主党

○相川委員長 これより会議を開きます。  この際政府側に一言御注意申し上げておきますが、委員会開会予定時刻を相当経過いたしましても、政府側の出席がそろわないために、委員会審査のため非常に支障を来たしますから、以後時間を励行なさって、委員会の審議に御協力下さることをお願いいたします。  国の防衛に関する件のうち、特に誘導兵器問題について質疑を続行いたします。石橋政嗣君。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 一昨日に引き続きまして、誘導弾受け入れの問題を中心にいろいろとお伺いをいたしたいと思います。  一昨日の質疑応答の中からもうかがえるわけでございますが、どうも防衛庁のやり方というものが秘密主義に貫かれておるような気がしてならないわけであります。国民の目と皆さん方との間にベールがかぶさっておるような気がいたします。これを払いのける意味においても私は明快に一つ御説明を願いたいと思うわけであります。先日申し上げましたように、とにかく近代兵器というものに対しまして大きな関心を持つと同時にやはり不安を持っておるわけでございますから、不安を一掃するということは、皆さん方の当然の責務であろうかと思うわけであります。誘導兵器の供与の問題につきましても、ワシントン発の通信によって、初めて国民は知るというようなことで、まことに私は遺憾に思うわけであります。一体防衛庁は何を考えているのか。いろいろ物騒なことを考えておるんじゃないか、陰でそういうことをやっておるんじゃないか、そういう疑問が当然私は国民の中にあると思う。だからこそこの誘導兵器の問題にこれほど大きな関心が払われておるのだ、このように思う次第です。一応先日七つの誘導弾の供与を申請したという御説明がございました。大まかな性能についても御説明がございましたが、このほかにも何かアメリカから供与してもらおうというような考えがあるんじゃないか、あるとすれば一体それはどういうものか、また国内において物騒なものを研究したりしておるんじゃないだろうか。もしそれもあるとするならば、どういうものをどういう角度から研究しているんだということをまず御説明願いたいわけであります。昨年の九月ごろの報道にもあったわけですが、たとえば特殊なものとして日本の自衛隊の偉力を非常に増進させるところの巡洋艦の要請などもしておられるようです。巡洋艦一万トン級一隻、あるいは駆逐艦千四、五百トン級のものを二、三隻、そういうふうな供与も要請なさったということを聞いておるわけでございますが、事実しておるのかどうか、果してこれが供与されるものかどうか、そのほか電波兵器あるいは最新鋭の戦車、あるいはF86Dジェット戦闘機、こういうものについても供与を申請しておるというようなことを聞いておりますが、それが事実かどうか、それから先ほど申し上げたように、毒ガスとか細菌とかいったようなものについての研究をどういう角度から、どういうものをどういうふうに進められておるのか、そういうものをまず説明願いたい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 本日はおくれて参りましてまことに申しわけございません。今後十分注意いたしましてこういうことのないようにいたしますから、お許しを願いたいと存じます。  ただいまの御質問、考え方としては私も同様でありまして、できるだけ皆様に理解していただいて、皆様の支持のもとに自衛隊をりっぱなものに作り上げたいと存じます。その意味でも、この前も、いろいろ新聞に報じられておりますので、新しい兵器の種類を申し上げたのでございます。ただしかし外国との話し合いのときには、向うとのはっきりした話し合いがない際には、まだできるかできないかわからぬものを、その最初の段階からすべて全部を持ち出すことのできない場合もありますので、その点は御了承願いたいと存じます。しかし御承知のように、いわゆるMSA協定に基く米国側からの武器、艦船の提供というものは行われておりますので、それらにつきましてもただいまから装備局長に今御要求のような点を説明させたいと存じます。

小山雄二防衛庁参事官(装備局長)

○小山政府委員 誘導弾につきまして先方に要請いたしておりますのは、この間申し上げました七種のものでございまして、それ以外に要請をいたしておるものは具体的にございません。  なお防衛庁といたしましてどういう方針でどういう程度に研究を進めておるかという問題でございますが、昨年度と本年度にわたりまして予算をお認め願いまして、スイスのエリコン誘導弾を購入することにいたしております。それを中心にいたしまして、防衛力整備計画の一応終了いたします三十五年度を目標として、空対空の誘導弾としてはスパロー級程度のものを作ってみる程度のところまでいきたい。それから地対空の誘導弾としてはナイキ級のものをこれまた試作してみるという程度のところまでいきたいという目標をもちまして、いろいろ研究を進めておるわけでございます。その研究をやります過程におきまして、今申しましたエリコンを購入して実物についていろいろ研究開発をするということとともに、要請をいたしました誘導弾が供与されるということになりますと、その誘導の方式とか追随装置の方式とか、いろいろ違った型のものが現実について研究できると思いますので、これらを総合して最良のいいものを取り合ってなおいいものができる、研究のスピードも早くなる、こういう関係になろうかと思います。航空機につきましては、この間新聞にもちょっと出ておったようであります。F86Fというものを現在米国と共同の形で、援助を受けまして国産化いたしておりますが、これは昼間の要撃戦闘機でございます。これに対しましてF86Dというものがありまして、これは全天候の要撃戦闘機でありますので、F86Dの部隊も持ちたいという考え方からいたしまして、これも一九五八会計年度の分として要請をいたしております。しかしこれもはっきり供与をされるかどうかということは、目下のところはまだ不明でございまして、きまっておりません。機数等は新聞に書いてございますのは実際とは相当差がございますが、要請をいたしておることは事実であります。それから戦車につきましても、現在供与を受けました戦車は、中型のM4という戦車と軽戦車M24という二種類の戦車がございますが、ことに小型の戦車の方は、性能、攻撃力その他でやや不十分な点があるとわれわれも考えておりますので、これをもう一段進歩したものを供与してもらいたいということをかねて要請いたしておる次第でございます。これも供与を受けられるものかどうか、まだはっきりいたしておりません。なお中型戦車の方は将来だんだん国産化して参りたいという意味におきまして、これは試作の予算を認められまして、現在二台試作いたしまして、大体受け取るという段階に至っておるわけであります。  以上御指摘になりましたことについて一応の御説明を申し上げます。

増原恵吉防衛庁次長

○増原政府委員 ちょっと補足をいたします。軍艦の関係でありますが、軍艦の関係は口頭をもちまして駆逐艦あるいは軽巡というふうなものを供与してもらいたいということを言うております。これは今までもらっております五十隻の上陸支援艇というものが、だんだん古くなりまして艦令に達するとともに、防衛力として十分でない点もありますので、これは逐次米国側に返す、それとともに防衛力がトン数の点において相当に減りますことを埋め合せるというような意味もありまして駆逐艦もしくは軽巡というふうなものの貸与を口頭で要請しておりまするが、そのうち駆逐艦二隻については、これも非公式に、供与について好意的に考え得るという返事を得ましたので、三十二年度予算にこれを受け取って使うための予算を計上して、ただいま御審議を願っているという段階でございます。その他のものについてはまだ非公式にも話がない段階でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 軍艦、戦車あるいは誘導弾といったようなものにつきまして、アメリカに供与を申請しておるもの、あるいは目下自衛隊において試作製造の段階に進んでおるもの、そういうものの説明は一応あったようでございますが、後段に申し上げました毒ガス、細菌の研究といったようなものについての答弁がないようでございますので、これをどこで、どういう規模でどういう種類のものを研究しておるのか、この点についても御説明を願いたいと思います。

都村新次郎防衛庁参事官(教育局長事務取扱)

○都村政府委員 ただいま御質問のありました化学教育につきましては、富士に化学教育隊がございまして、そこで必要な教育訓練を行っております。化学教育隊におきましては、万一化学兵器が使われました場合に、これに対処するという意味合いにおきまして、化学兵器が使われました場合に汚染された地域の識別、それから除去、あるいは応急手当、こういったことにつきまして教育訓練いたします。また必要な化学装備品につきましての整備補給などにつきまして必要な教育を行なっておるわけでございます。ただ化学教育隊といたしましては、実験あるいは訓練というような規模のものが十分に行われないのでありまして、ただいまのところではフィルムだとかチャートーあるいは模型といったようなものを中心とする教育も相当な部分を占めておるのであります。お話のありましたガスなどにつきましては、化学教育隊といたしましては、ガスの分析器あるいは自動化学実験装置、こういったものを持っております。しかしながらこれらの装置につきましてはその取扱い方法について訓練をいたしておるのでありまして、ガスは持っておりませんので、ガスと同じような効果を発揮しておりますガソリンだとかあるいはアンモニアこういったものを使って訓練いたしておるわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 毒ガスは持っておらないということでごさいますが、研究訓練をする場合に、全然毒ガスを持たずにそれに類似のガソリンなどを使ってやる、これは間違いございませんか。アメリカあたりから供与を受けて、そうしてやっているというようなことは絶対ございませんか。

都村新次郎防衛庁参事官(教育局長事務取扱)

○都村政府委員 そのようなことはございません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そこから本題に入るわけですけれども、その前にちょっと関連いたしまして、今増原次長から駆逐艦の二隻の供与が大体可能のようだというお話がございました。これに関連いたしまして調達の方式がやはり問題になっておるようでございます。大体希望といたしまして域外調達ということを同時に申し入れられておったのではないかと思うのでございますが、この面の承諾が得られておるものであるかどうか、そうしてまたそれが得られておるとするならば、その調達方式におきまして従来のように米軍が直接調達をやるのか、それともあなた方が御希望なさっておるように防衛庁の調達ということが行われる可能性があるのかどうか、この点についての御説明をあわせてお願いいたしておきたいと思います。

増原恵吉防衛庁次長

○増原政府委員 ただいまお述べになりました分は先ほど申し上げました二隻とは別でございます。先ほどお答え申し上げましたのはでき上っておるものを二隻もらいたい、その可能性について好意的に考えるということで、予算を計上してお願いをしておる。ただいまお述べになりました分は、米国側で日本で新しい駆逐艦、わが方の警備艦でありますが、駆逐艦を作って供与する。これは日本に供与する用意があるという申し出を受けまして、一応これを受け入れるという原則について閣議の了解をいただいておる段階でございます。これについては今細部を話し合い中でございまして、まだ細部については決定をいたしませんが、われわれの希望をその線に沿って話し合いをしておりまするのは、われわれが設計をいたしまして、われわれが使うのに最も適当な形のものを作る。そうして少くとも実質的にはわが方で契約をし、わが方で監督をするという形において作る。しかし金はもちろん米国から払ってもらうという方向で話をしておりまするが、細部の法律的な点についてはいろいろと向うにも関係のことがございまして、なかなかこまかい点ではむずかしいことがありまして、まだ話し合いがつかない状況でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 その点の話し合いがつけば、本国会にでも防衛庁設置法の一部改正案を上程する意思があるのかどうか、この点をお尋ねいたしておきます。

増原恵吉防衛庁次長

○増原政府委員 法規関係も、ただいまそうした供与を域外調達の実際のいきさつとからみまして研究中でございまするが、見通しとしては少くとも基本的な問題について国会の御了承を得るという手続になると考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 これは非常に大切な問題でございまして、防衛庁の立場からいいますと、今後の艦船建造業者の保護育成というようなものと関連するやに承わっておるわけでございます。現在防衛庁はそういった業者の育成をはかるために随意契約制度をとっておる。もし米軍が面接調達に乗り出してくるようなことになると、従来の特需に見られるような赤字契約、赤字受注というようなものがこの面にまで及んできて、非常に防衛庁の基本方針とそれるようなことになるということが懸念されておるわけでございますが、そこのところの関連性を一つ中心に御説明を願いたいと思います。

増原恵吉防衛庁次長

○増原政府委員 契約につきましては、申し上げたようにまだ方式が決定をいたしておりませんが、私どもの希望をその線に沿って話をしておりまするのは、米国側から、法律的にはどういうことになりますか、委任を受けるといいまするか、代理という形になるかはわかりませんが、実質的には防衛庁が船会社と契約をするという実質を貫きたい。従って適正な値段で、もとより米国側としては不当に高くあってはならぬということは厳重に申しておりますが、適正な値段でいく、赤字でたたくというようなことはしないで、しかしむやみに利潤を高くとらせることもできません。適正な価格、適正な利潤で契約をするという方向で向うと話したいと考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 本題に戻りますが、先ほどお伺いいたしましたところでわかったわけでございますけれども、防衛庁といたしましては、日本の防衛計画というものを確立していく面において、量の時代から質の時代に変ったこの世界の趨勢に対応して、日本でもそういうことで進もうという意欲が非常にあるようでございますその現われといたしまして、上陸支援艇のうちにほとんどこれ、が艦齢に達しておるものを返して、新しい巡洋艦をほしい、あるいは駆逐艦をほしいとかいうような考えも出てきておるのでありましょうし、誘導弾をほしいというのもここに原因しておるわけでありましょうし、また来年度の陸上自衛隊の一万人の増員をやめるということもこれに関連してきておる、このように思うわけでございますが、そういう面からいきまして従来発表されておりました防衛六カ年計画というものが修正されつつあるんじゃないかということを懸念いたすわけでございます。もともと作られて内示されておるこの防衛六カ年計画というものに準拠して、この一連の計画が進められておるのかどうか、それとも今後近い機会にこれが修正を必要とされるような段階になっていくんじゃなかろうか、この点のところを一つわかるように御説明が願いたいと思います。これは大臣からお願いいたします。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 この防衛計画として、防衛庁限りの案を持っておりましたことは、御承知の通りでございます。いよいよ国防会議もできましたし、新内閣といたしましても、こうした点は十分国防会議の方で審議していただいて、これを決定いたしたいという希望を持っておるのであります。ただ組閣早々でありますので、十分の準備ができておらないため、まだこの国防会議にはかけておりませんけれども、できるだけ早くかけて決定するという取り運びにいたしたいと存じますが、今の艦船の充実等は、現在の程度のものでは不十分であるというところで、これを御指摘のようにできるだけ質的に増強しようという考えで行なっておるものでありまして、もちろん今よりもふやさなければならないという原則は変りませんが、それがちょうどこの基本的な何年計画というものと直接関係があるわけではなく、またその計画を立てましたといたしましても、それを去ることまだ相当距離のあることでありまして、今八万トン余りしかないわけでありますから、これを整備するということは、それが確立するとしないとにかかわらず必要であるという考えのもとに、進んでおる次第でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 どうもはっきりしないわけでございますが、たとえば地上兵力一万人の増員の問題でございます。これは防衛庁としては、ぜひ三十二年度にアメリカとの従来の行きがかりもあるのでやりたいという意向であったというふうに、私は聞いておるのです。ところがこれが自民党の与党の方の、量ばかりふやしたってだめだ、質をよくしなければだめだという意向からやむなく延ばされて、来年度は増員をやらないということになったというふうに私どもは聞いておるわけです。そういたしますと、確かにこの防衛六カ年計画というものは、国防会議にもかかっておりません、政府の正式な計画ということもできないかもしれませんけれども、とにかく防衛庁で作られて、米国側にも説明をされておるし、国会においても一応説明されておるものなんです。防衛庁がいろいろ考えておったのは、あなた方が作られたこの防衛六カ年計画試案なるものであろうと思う。その中で現に一万人増員というのはくずされて、そうしてそれよりも質だ、こういうふうに党の圧力によって変更を余儀なくされておる、こういう面からあなたは、全然あなたたちの考えておる防衛六カ年計画に変更がないということは、この面からだけでもあり得ないのではないかと思うのです。そこのところを、どういう関連があるのか、今後の見通しをわかるように、一つ説明していただきたい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 私どもはもちろん陸の方もまだ増強する必要があると考えております。防衛庁限りといたしましては、御存じのような大体の長期的な計画を持っておるわけでありますから、陸の方もさらにもう少し増強する必要があるという考えを持っておりまするけれども、これは時期の問題もありまするし、予算全体の編成方針ということもございまするので、本年度においては特に質的増強と申しまするか、空、海の方に重点を置いてその増強に主力を注いだという次第でありまして、決して一万人の増強を放棄したわけではございません。またおそらく与党におきましても、それを根本的にやめてしまって、そうしてただ海、空だけの増強をはかるという考えではなくして、なるべく今年度の防衛庁の予算というものは昨年程度にとどめよう、その範囲内において、三十二年度においてはどこに重点を置いて進むかということで、陸の方の増強ということは行わないということになりましたけれども、私どもの希望といたしましてはなるべく早い機会に一万名の増強をはかりたい、こういうように考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私は一万名の増員の問題に中心を置いて質問しているわけではないわけです。あなた方は防衛六カ年計画というものを防衛庁で作って、それに基いていろいろな、量をふやすことも質を強化することも考えておられたわけです。三十二年度においては質の強化ももちろん考えておられただろうと思うけれども、一万人の陸上自衛隊の増員ということも考えておられた。その面で防衛庁としては一応蹉跌を来しているわけです。そして三十二年度には陸上自衛隊をふやす必要はない、質の強化をはかれるということが最終的な政府の意向として決定しているわけです。ですから私は、今後の六カ年計画に影響がないということはあり得ないと思う。二万人の増員ということは、先において、三十三年度において行われるかもしれませんけれども、少くとも三十二年度においてふやすはずだったものをやめにして質の強化の面に金が振り回された。しかしこれは今後、再来年は兵隊の方だけをふやして、質の問題をおろそかにするという問題ではない。当然質の強化というものは今後とも押し進められていくだろうと思う。そうしますと、三十二年度の計画においてそれほど大切な量質の関係が置きかえられたということは、今後の六カ年計画におそらく大きな影響を持ってくると私は考えるわけなんです。そういう面で六カ年計画に全然影響はない、防衛庁はおととし作ったこの六カ年計画をまだ固執していくのだ、そういう考え方はおそらく通らないのでないかと思うのですが、そこのところの影響が六カ年計画の長期計画にあるかないかということをお伺いしているわけです。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 御指摘のようなはっりきとした六カ年計画というものがあるわけではございませんので、私どもの方の事務当局といたしましては、第体今までの試案ともにらみ合せて増強をはかっていくつもりであります。もちろん近代的な防衛におきましては、質的な強化をすることが非常に必要でございますから、その点ももちろん今後心がけて参りますが、同時に量的に見ましても、御承知のようにきわめて微々たるものであって、われわれといたしましてはこれをできるだけ質的に漸増して、米軍にも早く撤退してもらうような基礎を作ろう、こういう考え方でございますので、一方をやるから一方を全然放棄するというような考えではなく、こうしたわれわれの基本的な考え方から進んでおる次第でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私は今、三十二年度の陸上自衛隊二万人の増員の問題からいっても、当然変更があり得るはずだというわけです。現に財政的な面からこれを推測してみましても、大体防衛六カ年計画というものを作った根本のものは何かというと、昭和三十五年度の国民所得の総額を大体八兆円と見た、そしてそれの大体二%強のものを国防費に充当できるものと考えて防衛六カ年計画を作ったのだ、こういう説明が昨年船田長官からあったわけなんです。この面からいっても私はやはり変更がありそうな気がしてしようがない。なぜかといえば、御承知の通り神武以来の景気とやらで、去年からことし、来年にかけましてえらく景気がいいように言われております。現に政府の予算案にもそれがはっきり現われまして、池田蔵相は一億減税もやるし、一億円の財政規模の拡大もやるということを言っておられる。これは国民所得というものが急激にふえるという前提の上に立ってなされておるわけなんです。一体どの程度の国民所得の増加を考えておるのかといいますと、大体来年度には八兆一千八百億くらいだ、こういうことなんです。そうすると三十五年度に八兆くらいだろうといっておったのがもう来年度にその三十五年度の予想された国民所得というものを日本の国民は持つことになる、そうしますと、この勢いで三十五年までいきますと、国民所得というものはまだまだふえていくんじゃないか。大体去年考えられた増加率というのは毎年二%というふうなことを防衛庁では考えておったようでございます。ところがその程度のものじゃない。現に去年から来年にかけてこれほど大きな国民所得の増加が見込まれておる現状にあって、国防費が国民所得の二%強というところに目安が置かれてくるならば、勢いこの面からいってももっともっと金のかかる、質の強化ということを考えている防衛六カ年計画というものが、修正されてくるのではないか、このようにも思うわけなんです。その点からも一つ納得のいくように説明宿していただきたい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 前長官が国民所得との比率を申されたというお話でございまするが、もちろんわれわれは防衛力を考えまするときに、自分の国の国力、国情というものを勘案してやらなければならないことは当然でありますから、そういう見当をもっておられたのかもしれませんが、しかしこの国民所得との比率が必ずしもすべての要素でないことはもう御承知の通りであります。よその国では、たとえばイタリアでも国民所得の六%とか、あるいはドイツとかイギリスなんかも九%なんというところになっている。しかし日本は最少限度の防衛力で、そして万一の場合があればやはり共同防衛的な立場でそれを補うという考え方で進んでおるのでありますから、できるだけ国民経済を圧迫しない最小限度のものにしようというので二%というようなパーセンテージが出たかもしれません。しかし、それでは国民所得が十兆円になるからそれに比例して二%にして、特にまた防衛費を拡大していこうというように単純に考えておるのではございません。国際情勢もございましょうし、国内的にも考えなければならないいろいろな要素もありまするので、そういう点も考え合せなければならぬ。またこれまでの五カ年計画とか六カ年計画とかいうものが、これが絶対に最終的な防衛庁の案で動かすべからざるものという次第のものでもございませんので、これは一にかかって国防会議でいかに決定せられるかというのでありますが、私はこの国民所得が意想外に伸びたから、それだからといって直ちに防衛計画をそのファクターのみによって増大していこうというような考えは持っておらないのでありまして、そういう考え方で今後進んでいくつもりでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そういうことになりますと、私は前長官とあなたの間にやはり考えの違いというものがあると思う。御承知の通り国防会議では決定されておりません。しかし防衛庁では明らかに六カ年計画案なるものを持っておられる。これに基いて年次計画が進められておる。アメリカに対しても供与申請が行われており、それぞれ国内において施策が行われ、研究が行われておるものと私は考えます。計画もなしに行き当りばったり毎年々々やっているものとは私は考えません。その根幹になっておる防衛六カ年計画なるものの年次計画は説明されておらないけれども、昭和三十五年度において地上兵力が十八万、海上の艦艇トン数が十二万四千トン、対潜哨戒機が百八十機、航空機千三百機とということをはっきり言っておられる。そこで船田さんに、あなたはこういうものをはじき出したが、これは何を根拠にはじき出したのかということをお伺いしたら、それはほかのファクターもあります、それはあるけれども、一番根本になるのは、先ほど私が言ったように昭和三十五年度の国民所得を大体八兆円と見て、そうしてこれに対して二・二%、二%強というところに大体の目安を置いたのですとこう言っている。それで当時の鳩山前総理も船田君の言う通りだ、こういう答弁をしておられる。やはりこれが一番中心になっておると思う。それがあなたはこれには大して重きを置かないということになると、非常にこれは重大になってくるのでございますが、そこのところ間違いございませんか。これはあなた個人の意見を聞いているのではない。防衛庁が作った防衛六カ年計画は主として根拠をここに求めておるという説明があったから私はお伺いしている。もう一度お答えを願いたい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 私は日本の経済力というものが重要なファクターであることを否定するものではございません。それはもちろん国力という際には、その経済力というものが最も大きな要素であることは知っておりますけれども、ただそれだけでもってきめられるべきものではない。もちろんその方がふえれば、あるいはより増強し得る余地が出てくるかもしれません。その点の検討も必要でありましょうが、それがすべてではないということを申し上げたにすぎませんので、さよう御承知を願います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それではお伺いしましょう。現在の防衛庁が作っている防衛六カ年計画の出てきた根拠を、あなたはどういうふうにお受け取りになっているのか、その点を御説明願いたい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 これは先ほど申しましたように、日本の国情、また防衛の必要程度、その限度が、どこまで置いたら第一次的な自衛ができるかというような点、あらゆる点を考慮して、最小限度の計画として作られておるというように承知いたしております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そういうごまかしの答弁はおよしなさい。ここに前長官もおられるから対決していただいてけっこうでございます。何だったら船田さんにかわって質問してもらいたいくらいだ。一体陸上自衛隊が三十五年度に十八万でなくちゃならぬ、海上が十二万四千トンの保有艦船と百八十機の対潜哨戒機を持ち、航空機が千三百機だという、こういう計画が出てくるからには、何か国民に対して説明のつくような——こういうわけでこれだけのものができるのです、ほんとうはもっとほしいのですけれども、こういうわけでこの程度のものしかできぬのですという説明がなされなくて、そういう抽象的な言葉ではだれも納得しませんよ。私は船田さんの前長官の説明なら説明なりに納得した。もっと作りたい、しかし国民所得というものを考えないといかぬ、国民のふところ工合も考えていかなければならぬ、だからこの程度でしんぼうしているのだという説明なら、これは納得いく。あなたが、国民のふところ工合がもっとよくなってもこれ以上絶対に増強しない、これ以上ふやさないというならば、私はそれなりに理解いたしますよ。しかしそういう固定したものでもないという。動く可能性はある。そうすると一体今あなた方のやっていることのすべての根拠になっているこの防衛六カ年計画というものはどこから出てきたか、もっと納得いくように、それでは説明して下さい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 基本的な考え方はただいま申し上げた通りでございますが、さらに多少分析的に申しますならば、日本は日本だけで防衛を全うすることはできないのでありまして、でき得れば国際連合の集団安全保障の機構が最も望ましいのでありますがそれもまだ完成していないという現段階におきましては、安保条約というものを活用いたしまして、これと相待って外国から容易に日本の本土侵略を受けないようにしよう、そのために必要な限度のものにするということがまず第一点であります。  なお、この計画を遂行した後における大体の目標といたしましては、陸上部隊は、敵の上陸が一つの方面において行われた場合にある程度の期間これを自給する、これを押えることが可能であるという限度のものが必要であるというところで十八万というものを査定したわけであります。また海上部隊につきましては、外航内航の船舶を護衛する必要があり、また掃海をする必要がございます。また主要港湾あるいは海峡等を警備しなければならぬ。こういうような必要が全部もちろんその十二万四千トンの艦艇でできるわけじゃございませんが、それを相当程度一応持ちこたえるようにしておくということが必要でありまして、こういう船舶の護衛を外国がすべてしてくれるわけではないのであって、それに必要な最小限度のものを、もちろん掃海にいたしましても、十分なことをしようとすればもっと大きな船艦が要でありましょうが、それをある程度の距離内においてこれを行うということを目途といたしたものでありますし、航空部隊については、もちろん日本で制空権を保持するというようなことは困難でありまするが、敵の航空機が勝手にすぐにでも入ってこれるという状態では非常に危険でありますので、外国の飛行機が急に飛んでくるというようなことのないように、その侵略を困難ならしめるという程度のものを目標といたして、千三百機という数字は割り出されたものと私は了解いたしております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 あなたのおっしゃったのが防衛庁の考え方だとするならば、この原子戦を予想される、極度にすべての軍備が近代化されようとしておるときに、日本の防衛庁だけは依然として古色蒼然たる考えを持っておるというふうにしかとれません。その程度のもので今後起るであろうところの戦争、侵略というものに備える、ある程度の期間なりともささえるというふうな甘い考えを持っておられるとするならば、私はナンセンスだと思う。しかしあなたがそうおっしゃるならその点は一応そういうふうに受け取っておきましょう。しからば国民が今後どんどんかせいでふところ工合がよくなっても、国民の負担能力があるのだから、国民所得がこんなにもあるのだからというふうなことで、防衛計画が修正されるようなことはない。とにかく昭和三十五年に、この程度のものを持っておれば一応格好がつくのだから、決してふところ工合がいいから、もっと防衛費に金を回せというような考えはあなた方は持ってないというお約束ができるならば、それなら私は納得します。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 私は決してこれまでできておりました昭和三十五年度を目標とする一応の防衛庁限りの案が最終的なものだというようには考えおりません。もちろん国民所得も考えなければならない。そして今申しましたような目的達成に、いろいろ近代兵器の発達があれば、それも勘案しなければならない。国際情勢がどういうように動くか、それもよく考えなければならない。いろいろの点を考慮いたしまして、国防会議でよく御審議を願って、これらの最終的な案を立てたい、こういうように考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 最終的に国防会議で決定することは当然なんです。しかしながら、ここに案を出す責任は防衛庁にあるわけなんです。国防会議できめてもらうのだからということで、あなた方がお粗末な案を作っていいということにはならぬと思う。従ってそんなに固執されなくて、現に党との対立というような形も出てきておる。世界の近代化の勢いというものは大した勢いを示しておる。そういうものに対応していくためにも、やはりあなた方が作られた防衛六カ年計画というものが少し古くなってきたんじゃないかという気がするから聞いておるので、早急に検討する時期がくると考えられるのか、そこだけ率直にお答えを願います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 今申しましたように、かつて作られました案が最終的なものではなく、私からもあなたに申し上げました通り、近代兵器の発達あるいは国際情勢というようなものも考えまして、この一応の基礎が終りますれば、さらによくこれを検討いたしまして十分納得のいくような案を作りたいというので、目下検討を続けておる次第であります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 とにかく三十二年度には誘導弾というものに非常に重点を置かれるようでございます。そのために地上兵力一万人の増員というものも一応犠牲にするというような形で出てきておると思う。この誘導弾重点というような考え方、これはしからば今の六カ年計画の中に盛られておった考え方であるかどうか、ここのところを御説明願いたいと思います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 誘導弾のために他を犠牲にするというような御発言のように私承わりましたが、誘導弾は今後研究開発していこうというのでありまして、今の研究費というものも、それがために他が圧迫されるというほどの多額のものでないことは、皆様予算書で御承知の通りでございます。今おっしゃいましたこれまでのいわゆる六カ年計画の中にこうした研究のことが盛られておったかというと、その意向は盛られておったのでありまして、別に急にこういう研究を始めるというのではなく、すでに昭和二十九年から、そういうサンプルをもらうというような程度にはいかないけれども、これを検討しようというので技術者も養成いたしておる次第でありますから、もちろんそれも考慮の中に入っておった計画であるというふうに御承知願いたいと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私は三十二年度の計画の中で誘導弾というものは非常に大きなウエートを占めておるような気がするわけです。それじゃ誘導弾の研究開発、その他これに関連してどの程度のものが盛られておるか、予算の面から一つ御説明を願いたいと思う。少くとも航空関係と誘導弾の点には相当重点を置いておるような気がするわけです。

小山雄二防衛庁参事官(装備局長)

○小山政府委員 申すまでもなく研究には研究員がおりまして、それが研究費を持ちまして、研究の機械器具がありまして、なお必要な施設がある。こういう関係にあるわけでございます。予算的に申しますと、人と研究費の方は一括して入っておりますので、これはちょっとはっきりいたしませんが、それ以外の経費、すなわち研究用機械器具、それから研究用の施設それから試作をしましたり、調査をしましたりする費用、そういうものを含めまして、三十二年度では誘導弾とロケットの関係を含めまして、総額四億千七百万になっております。そのうちで施設と機械器具は固定したものでございまして、これを除きますと、実際に試作をしましたりあるいは調査をいたしましたりする費用といたしましては、総額三億七千五百万程度であります。もっともその中にはスイスからエリコンという誘導弾を買います費用の前年度の残りが一億七千八百万円ばかり入っておりますので、純粋の試作研究等の費用は一億九千七百万でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 おととい一応のお答えは願っておるわけでございますが、再度今後の質問を進めるために必要でございますので伺いますが、今申請いたしております七つの種類にわたる誘導弾、これを受け入れるためには、さしあたって現在の秘密保護の措置を強化する必要はないのかどうか、その点御説明願いたい。

増原恵吉防衛庁次長

○増原政府委員 この問題は何と申しますか、供与をしてくれるという米国側の見解もあるわけでございまして、現在御承知のように、防衛秘密保護法がありまして、相互援助協定によって受けまする装備品、その情報等は保護できるようになっておるわけであります。こういう形で米国としても保護措置が十分であるというふうに考えてくれればよろしいわけです。ただ研究開発ということを目標にしておりますので、現在の法規では、研究開発をして——、われわれもそれを希望するわけですが、一段とすぐれたものができた場合には、その一段とすぐれたものは、保護される道がないというふうなことがあるわけであります。そういう点を米国側としても非公式な話し合いの場合には懸念をしておるということはあるわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 従来記者会見等で各関係大臣が述べておるところを見ましても、現在申請中のものを受け入れるについては、別に秘密保護の強化をはかる必要はないというふうに聞いておるわけです。ところが今次長のお話によりますと、これを研究開発した結果さらに進んだものができるというようなときには、当然強化が必要だ、こういうことでございますが、一体現在の秘密保護法でカバーできないところのもの——一体どの程度のものができれば今のものでカバーできないのか、さらに進んだものというのは一体どういうものを意味するのか、私にはわからないわけでございますが、そこのところを一つわかるように御説明願いたい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 これを受け入れても全然今の法制で足りるというような発言があったかに今おっしゃいましたが、それはどなたの発言か存じませんけれども、あるいは種類によっては、また使い方によっては、そういう新しい保護の必要はないかもしれませんが、これを研究開発用に使うということになれば、もちろんその兵器の種類にもよるでありましょうけれども、大体今の秘密保護法では不十分であるというように私は考えております。そういう趣旨をこれまでも申し上げたつもりでございます。今までの秘密保護法は、アメリカから受け取った秘密な装備品の部分、あるいは秘密な情報というものは保護されるということになっておる。ただその規定については、あるいは保護の程度が不十分であるというような見解もありますけれども、とにかく一応保護されておりますが、しかしこれを研究開発用に使うということになれば、それをもとにして何かプラス・アルファをくっつけたものが新しくできますと、そしてそれが日本で作られるということになるのを前提としておりますと、その際にこちらで作られたものが全然保護されないというようなことでは、米国側としては安心してこちらへ提供するわけにはいかないという気持があることは当然だろうと思います。従いまして、私はこの受け入れをするのには、まだ具体的な話は十分進んでおりませんけれども、いよいよ受け入れるということになれば、そうした措置をとる必要があると考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そうしますと、アメリカからたとえばこの七つのものが供与される、これと同じものしか日本でできない、一歩も進んだものを作る能力がなかったとしても、かりにそれと同じものを日本で作った場合には、秘密保護の措置はいらない、こういうことでございますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 先ほどもちょっと申しましたように、今の秘密保護法というもので果して完全に高度の秘密が保持できるかどうかということに対しては、これを提供する側においては疑いを持っておる点もあるかもしれません。そうなりますと、普通のジェット機であるとか、あるいは戦車とか、これまで提供を受けたものについては、今の保護法の程度でやろうという気持になってきたわけでありますが、さらに高度の秘密については、これは結局向うが承知をしなければ提供を受けることはできないわけでありますから、先方でこれでは不十分である、特にこういう種類のものについては、かりに日本で別なものを作らぬまでも、提供するそのことについて逡巡することもあり得ると考えます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それでは、今の秘密保護法を改正しない限り、申請はしたけれども七つの誘導弾が全部が全部来るとは限らぬ、ひょっとしたら、アメリカの考えようによっては、今のままでは秘密の保護が完全じゃないからということで、供与がなされないこともあり得る、こういうような御見解を持っておられるのかどうか。どうも新聞報道によりますと、この七つのものは今の程度の法律でもかまわぬというふうに伝えられておるようでございますが、そこのところを一つお聞かせ願いたいと思います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 大体お説の通りでございます。ある特定のものについては、現在の法制程度でよかろうというのが提供するかもしれませんが、その辺はまだはっきりわかりません。しかし概括的に申しまするならば、現在の保護法においては、種類にもよるだろうけれども、これの提供を受けることはむずかしいというように了解して差しつかえないと思っております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それでようやくわかって参りました。この間私の質問に答えられまして、現在の憲法下において何でもかんでも近代兵器をそろえる、自衛隊が保持するということには制限があるのかないのかという質問に答えて、制限があるというお答えをなさっております。一体それじゃどういう兵器を持ってはいかぬと考えているのかという質問に対しては、攻撃的な性格を持った兵器はよろしくない、こういうお答えがあったかとも思う。それで私の考えは、大体兵器そのものを、防御用の兵器とか攻撃用の兵器とかいうようなことで分類すること自体、これは無理じゃないか、このような見解を持っているわけです。小さなピストルでも、防御にも使えれば、あるいは押し込み強盗にも使える。使った結果に基いて、あれは防御用として使ったのか、あるいはそれじゃなしに使ったのかということが判断できても、武器そのものを見て、これは防衛用だとか侵略用だとか攻撃用だとかいう分類は、非常にむずかしいのじゃないか、こういうふうに考えているわけです。しかしあなたの方ではこの分類が明確にできるらしいので、私は一つ品物について、これは防御用だ、現行憲法でも所持を許される防御用の兵器である、これは許されない攻撃的な兵器であるという明快な分類をやっていただきたい。これをここであげてみますと——誘導弾に限りましょう。今回申請した誘導弾、それからこの申請した中でも、ボマークとかマタドールとかいったものは、どちらかといえば、無線誘導によって進むところの無人飛行機というように私どもは考えておりますが、こういうボマーク、マタドールといったようなもの、それからこれらのGMが原子弾頭をつけた場合、原子弾頭をつけた誘導弾、それから誘導弾の中でスナーク、ナヴァーホといったような原爆搭載を目的としており、しかも戦略的に使用されるもの、どちらかというと中距離誘導弾と言われておるような性格のもの、それからICBM、アトラスのような大陸間誘導弾といったようなもの、それから原子兵器、オネスト・ジョンが原子弾頭をつけた場合、あるいは原子爆弾その他原子砲といったようなもの、こういう私が今並べました中で、現行憲法で自衛隊が持つことを許されるとあなたがお考えになる防御兵器はどれどれか、これは攻撃的な兵器だから持てないというものはどれどれか、今私があげました種類の中で一つ分類していただきたい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 この前も申し上げましたように、攻撃的な兵器は持たないという考えであります。攻撃的と申しますると、その目的がたとえば大陸へ飛んでいくようなもの、他国に非常に脅威を与えるというようなものはこれを持たない。しかし近代戦における防衛に必要な武器というものは持ち得るという考えでありまして、今いろいろ誘導弾の名前をおあげになりましたが、これはもちろんそのときの兵器の発達の程度、いろいろな状況によっても判断されるものと思いますが、私がこの前申し上げましたようなもの、その中にはマタドールなどは入っておりませんが、この前申し上げましたような地から空に向って撃つものとか、あるいは防空用に使う空対空の、そしてその射程距離も少いもの、これは防御用のものである、こういうように考えておるのでございまして、その私の申し上げました原則で御判断を願いたいと存じます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 御判断ができないから私はお尋ねをしておるわけです。私が今あげました兵器というものは何も架空のものではない、将来できるであろうといったようなものではない。現にもうできておる、アメリカもソ連も持っておる兵器なのである、あなた方の方にこれを貸して上げましょう、供与して上げましょうということを言ってこないとも限らない兵器なのである。そういう場合これを受け入れることができるかできないかというくらいの見解があなたたちになくして、防御用の兵器はよろしい、攻撃的兵器はよろしくない、そういうことを言うのはちょっとあなたの方が抽象的に過ぎると思う。  それでは私はもっとこれをせんじ詰めてお尋ねをいたしましょう。少くとも原子兵器という名前のつくもの、普通の誘導弾でも原子弾頭をつけるといったようなもの、原水爆、原子兵器というものは攻撃的兵器に入るのか、防御的兵器の中にもあるのか、そこのところからまずお尋ねいたしたい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 原水爆とか原子弾頭を日本には持ち込まないということは、これまでも申し上げた通りでございます。そうして先ほども申し上げましたように、わが方が希望しておるものは、そういうものを本来つけるべきものではなくして、普通の爆弾を発射するという性質のものでありますので、それを防御用というように解釈いたしておるのであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 どうも質問の要点をそらしておられるようでありますが、憲法第九条の規定に基いて、日本の国内におけるかりに自衛隊であろうと何であろうと、防衛を目的としたものであろうとこれはそういう面で制約を受けると私は思うのです。あなたも現にそれを認めておられる、攻撃的なものはいけないと言っておられる。しからば、向うから持ってきても断わるとおっしゃっておりますけれども、それは何も憲法上の制約があるから断わるのではないのだということも言い得るわけなのである。しからば政府が、現在原子兵器、それに類するものはすべて持ち込みを断わるという閣議の決定をされたその内容というものは、国民感情があるから断わる、国民感情が納得しさえすればいいのだ、そういう建前の上に立って断わるのか、それともどうも日本には憲法がございまして、この第九条の関係がございますので、断らざるを得ないというふうに考えて断るのか、これは違いますよ。あなたがその答弁をし切らないなら、私は岸さんに来てもらったときにお答え願いますが、そのくらいなことは担当大臣としてお答え願えると思いますのでお伺いする。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 あなたのお話によりますと、すべての私どもが防衛のための武器と考えておるものも、見方によっては全部攻撃的なものにも解釈できるということにも受け取れるのでありますが、原子弾頭とかあるいは原水爆というものは——これは場合によっては防衛的に使われる場合もあるでしょう、それを防衛に使えばより大きな効果を発揮することができまするから、その場合においては防衛のためのものであるということも言えるでありましょう。しかしこれはわれわれの通念において攻撃的なものであります。そうして日本としては、御承知のように、水爆については非常に苦い経験を経ておるので、国民感情にも合わない、また同時にこれは主として攻撃用のものであるから、すなわち憲法の立場からいってもこういうものは、攻撃用のものである限り日本としては持つべきでない、こういう考え方で先ほど申し上げたような方針をとっておるわけであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 わかりました。原子兵器とこれに類するものは攻撃的兵器である、現憲法の制約を受けるのでわれわれは受け入れられないのだ、こういうことだと理解してようございますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 原子兵器とおっしゃる言葉は多少誤りであります。ある装置をつければ原子弾頭もつくかもしれない、しかしそれでもって直ちにそれが私の言う意味の原子兵器と申しますか、原子弾頭とか原水爆を持ち込まないというようなこととは必ずしも一致しないわけでありますが、私はこういう意味で原水爆、原子弾頭というようなものを持ち込むことはやらないという考えを述べておるのでありまして、そして最初の議論に返るならば、攻撃的な性格を非常に大きく持っておるものはこれを排除したい、こういう考え方でございます。もちろんそのときの情勢による場合もありましょうが、今私どもの考えておりますのは、そういう意味において攻撃的な武器としては持ち込まない、それは持たないという考え方でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私の理解力がないのかもわかりませんが、どうも明快な答弁のように受け取れない。それじゃ今度言葉を変えてお尋ねいたしましょう、原子弾頭をつけようと、それが防御という面で使用されるならば今の憲法で制約を受けないのだ、原子という名前がついておる兵器であろうと、防御の目的のために使うならば憲法上の制約はないのだ、こういうお考えでございますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 それは厳格にいえば、あくまである事態においてそれが防御用に必要であるという国際情勢が展開して、国民が非常な危険にさらされるというときは、そういう装置を持つことも必要なことがあるかもしれませんが、私どもは今そういうことを考えている次第じゃございません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 今の考えを推し進めていくと、結局、国際情勢の進展の工合によっては原水爆まで持ったって憲法違反じゃないという考え方になると思うのです。そうしますと現行憲法の面において制約を受けるとあなたのおっしゃったことと食い違ってくるわけじゃありませんか。いかがですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 私は食い違っておるとは考えません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 食い違っておるわけではないというならば、原子兵器が防御のために使われようとも、現行憲法のもとでは自衛隊が持つことは許されぬ、そういうことですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 現在の事態においては、先ほど申した通り原水を持ち込むというようなことはいたさないのでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 逃げないで一つ答弁をしてもらいたいのです。政府が持ち込みを断わるということはわかります。もう御説明願わなくてもわかっている。自衛隊が持つことはもちろん、アメリカ軍が持ち込むことすらお断わりするという態度を、閣議で決定しておるということはよくわかっておりますから、再び言っていただく必要はありません。その点をお尋ねしているわけじゃない。向うが持ってくることを断わるということは、憲法の制約があるからほしくてももらえないのだ、自分たち自衛隊が持つことはできないのだ、こういう考えかどうかということを聞いているのです。そうじゃない、国民感情を刺激するから、だからいやだということだけなのか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 もちろん政府といたしましては、あらゆる施策をいたします上に憲法の規定というものは十分尊重し、それに従わなければなりませんから、憲法の規定というものもわれわれの考慮の中には始終置かれてあるというように御承知願います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 なぜ私が望むような答弁ができないのでございますか。原子兵器を自衛隊が持つことは現行憲法の制約があるからできないのだ、そういう考えがあるかないか、それだけ答えて下さい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 憲法の規定というものは常に頭に置いてあらゆる措置をとっておりまして、今御指摘のような場合でも、憲法の規定というものは当然その考え方のうしろにあるというように御承知願います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それではもう一つ程度を下げましょう。いわゆる大陸間誘導弾といわれておるもの、これなどは明らかにわれわれは攻撃的な兵器だというように考えておりますが、これは制約を受けますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 私の考えでは、そういう攻撃的なものはもちろん持ってはならない、憲法の上から見ても持ってはならないというように考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 昨年やはり本委員会におきまして、鳩山総理並びに船田防衛庁長官が、私の質問に対しまして文書で答えた問題がございます。思い出していただくために、ちょっと部分的に読んでみますと、「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ」「他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。」こういう答弁がなされました。これは飛行機で行って爆撃するということが可能なだけであって、こちらから誘導弾によって反撃するというようなことは可能でないのかどうか、そのお答えを願います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 われわれはなるべく制限された武器を持ちたい。しかしこういう近代武器が進んだので、それに即応したものを持たなければならないという考えを持っているのでありますから、そういうような場合に、他に有効な措置がない、有効な措置をとらなかったならば日本が非常な危殆に瀕するというような場合には、そういう措置もとらざるを得ないと考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そうしますと、こういった場合に使われる武器というものは、明らかに攻撃的な武器でなければ間に合わない。射程距離の長いそういうものでなければ誘導弾でも間に合わないわけでございますが、先ほど攻撃的な誘導弾は持てないというお答えをなさっておる、その答えと今のお答えとの間には矛盾があるのではないかと思いますが、その点いかがですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 私はそういう危機が迫ったときの御質問だと思ってお答えしたのでありまするが、そういう場合には理論的にはそういうことをなし得る、日本は自衛の固有の権利がある、どこの国でも固有の権利があるから、そういう際にはやむを得ない措置としてやらなければならぬだろうという理論を申し上げた次第であります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そうしますと、原水爆といったようなもので攻撃されてきた場合には一体どうするのですか。こちらは原水爆は絶体使わない、こういうことなんですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 日本としてそういうものを使おうという意思を持っていないことはすでに申し上げた通りであります。私は国連の集団安全保障の機構の確立あるいはさらに平和外交の推進によりまして、また各国の空気がよくなる、そういうことを切望するものでありまして、そういうことを私は今想像しておりません。またかりに戦争がありましても、主戦場がどこであるか、いろいろの立場で、他の地域ではそういうものが使われても、それが果して日本を焦土に化すような措置がとられるかどうか、しかし万一そういうことがある場合には備えなければならないので、検討しなければなりませんけれども、原爆がかりに来た場合、日本の自衛隊がみずから原爆で報復するというようなことは考えておらないのであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 おそらくそうお答えになるだろうと思いました。昨年船田さんもそういうふうに答えておられた。その場合にこそアメリカさんがおるのだ、こういう話だったわけです。しからば、この日本が守ってもらおうとしておるアメリカ軍は、敵から原水爆の攻撃を受けた場合に、原水爆を使わないというようなことがあるでございましょうか。現在大統領が発表しております第二次ニュールック政策の根幹をなしておるものは何であるかということは、私が今さら申し上げる必要もない。すべてを原子兵器によって装備していく。局地戦にもこの原子兵器を使用するということがアメリカの戦術、戦略の根幹になってきておる。従って日本に対してであろうと、外国から原水爆の原子兵器による攻撃を受けてくるということになったら、アメリカは当然に原子兵器によってこれに対抗するだろうと私は思う。この考えについてどうお考えになるか。私は少くとも敵が原子兵器を使ってくればアメリカも原子兵器を使って防衛するだろう、そう思う。そうしますと、あなた方は、日本には原子兵器を持ってきてはいけない、持ってきては困る、沖繩にも持ってきたいという相談があれば断わる。第七艦隊の基地が横須賀にあるが、そんなものは持っていないはずだ、デマだ、こうおっしゃいますが、ソ連の方だって、どうかつであろうと何であろうと、日本に原子基地を設ければ原子力をもって攻撃すると言っている。スエズに事件が起きたときにも、われわれは偉大なる誘導弾を持っているのだということを言っておる。侵略する、攻撃してくるという場合には、私は当然原子兵器を使ってくると思う。これに対応してアメリカが防御する場合には、これまた当然に原子兵器というものを使うだろうと思う。そうしますと、守ってくれ、日米安全保障条約によって守ってやろう、そう言うが、原子兵器が、日本の基地にあるいは沖繩の基地にあるいは第七艦隊に、装備されておらなければ守ってやれないじゃないかというこの議論に対しては、いかなる御説明をなさるおつもりか、お答え願いたい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 アメリカはアメリカにおける作戦計画があるかもしれませんが、少くとも日本に関する限りは、先ほどから何べんも申し上げました通り、そういう場合には必ず相談を受ける、しかもその際にはこれを断わるということになっておりますので、日本でそういう準備をせられるということはないものと考えます。しかしいざそういう危機が参りました際にどういう措置をとるか、われわれは日本が焦土化すようなことがあってもただ黙って見ているというわけにはいかないので、それはその際のいろいろな状況を判断して考えられなければならない問題であろうと考えます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私はアメリカを代弁して今お話したわけです。原子兵器を持ってきては困る困ると日本政府はおっしゃるが、敵さんが原子兵器をもって攻撃してきたら当然原子兵器をもってこれに対応しなければならぬじゃないか、一体そのときはあなたたちは手を上げるつもりですか、こう言われたときに、あなたたちは何とお答えされるか、おそらく今までにそれくらいの質問はされておるだろう。そういう場合に何とお答えになったか、これは私たち国民の一番知りたいところなんです。だからそこのところをわかるように一つ説明してもらいたい、こういうことなんです。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 先ほど申し上げました通りでございます。ただ平時においての考え方といたしましては、ここには軍事専門家もいらっしゃるようでありまして、私が申し上げるのもいかがかと思いますが、この原子戦というようなものをかりに仮定いたしますならば、その際に奇襲の対象になるようなところを作っておいても、それに対する報復力の十分でないものはかえってそれが危険になるというような理論もあるようでありまして、私は日本なんかの場合はそういうカテゴリーに入るのではないかというような、私はしろうとでありますけれども、考えを持っているのでありまして、そういう意味においても、平時においてそういう非常な緊迫した状態が続き、情勢が非常に緊迫してきたという場合はいざ知らず、現在日本でそういうことをするということは、かえって防衛上もおもしろくないのではないかという、これは私個人の考えでありますけれども、そういう考え方を持っております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 どうもわかりません。結局今はそういう緊迫した状態でないから、だから持ってこなくてもいいのだ、もし緊迫してきたら、しからばアメリカが原子兵器を日本に持ち込もうと、沖繩に持ってこようと、第七艦隊が搭載しようとそれはやむを得ないのだ、こういうお考えですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 そのときの情勢によることでありまするから、今は何とも申し上げかねます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それでは何のことやら国民は納得できませんよ。安心できませんよ。原子攻撃を受けたらお手上げするわけにいかぬから、アメリカから、そのときには原子兵器をもって対抗してもらうのだ、こういうお考えになるじゃありませんか。そういうことで国民が安心しておれますか。緊迫してくれば、どうも向うから原子兵器を持ってしかけられそうな気配になれば、日本に原子兵器を持ってこられることもやむを得ませんというお考えですか。そこのところをそれでは御説明願いたい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 すでに申し上げた通りでございまして、そういう事態についてはその際に考えなければならない。国民としても大問題だろうと思います。ただ手を上げて待つというわけにもいかないでありましょうから、そういうことがありました際に考慮される、こういうふうに考えます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 あなたは少くとも日本防衛の責任者ですよ。莫大な国費を使って、国民の税金を使って、日本を守ってやるからといって、いろいろなことを考え、いろいろな武器を持っている、その自衛隊、防衛庁の責任者ですよ。そのお方が、どうして守ってやるのだということを国民に説明できなくて、任務を全うすることができますか。架空のことだ、仮想の問題だ、仮定の問題だとおっしゃいますが、原子兵器というものが仮定の問題ですか。これからの戦争がこの原子力、原子兵器というものを中心に動いていくことは常識じゃありませんか。われわれしろうとの常識で、皆さん方のような専門家にとってはなおさらの常識だろうと思う。少くともどうかつであろうと何であろうと、米ソ相互に原子兵器を、戦術的にも、局地戦にも使うぞというようなことを再々口にしておるような情勢下にあって、原子兵器による攻撃というものが何で仮定の問題でありますか。少くとも日本に対して原子攻撃、原子兵器による攻撃というものが行われた場合には、日本を守るためにはやむを得ないから、アメリカがこれまた原子兵器をもって対抗してもらうこともやむを得ないのだ、そういうお考えかどうか、そういうお考えであるならば、今緊迫しているから持ち込むぞと言われたときに、依然として現在の政府の態度を持ち続けて断わるというようなことはできないじゃありませんか。もっと国民が安心できるように説明して下さい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 そういう事態が起りました際には、もちろん新しい集団安全保障の機構ができていない限り、日米の共同防備という立場で、行政協定にもありますように、相互に協議して、実際措置を考えるということになるものと考えます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 これは非常に重大です。私どもは絶対に日本の土地の中には——沖繩にはもちろん、日本の横須賀に根拠地を持っている第七艦隊にも、絶対に原子兵器なんというものを持ち込んでもらっては困る。これはどんなことがあっても困るのだという絶対的な信念の上に立って、政府が持ち込み反対の決議をされたかと思っておった。そうしたら、どうもそうじゃないようだ。緊迫してくればやむを得ないのだ、そういうお考えのようでございます。これは私は非常に重大な問題だと思いますので、さらに岸臨時総理代理にも来ていただいて、この点について、内閣の現在における最高責任者として、どういう考えの上に立ってあの決定をなされたのか、さらに追及いたしたいと思います。従って長官に対する質問は、一応ここで保留いたします。

相川勝六自由民主党

○相川委員長 それでは午後一時に再開することといたしまして、これにて休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ————◇—————    午後一時四十八分開議

相川勝六自由民主党

○相川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国の防衛に関する件につき、特に誘導兵器問題等について質疑を続行いたします。稻村隆一君。

稻村隆一日本社会党

○稻村委員 私が今から御質問申し上げたいことは、実は前の防衛庁長官のときから、一度防衛庁の当局者に念を押したい、こう思っていたのであります。そのことは、自衛隊が創設されてからなお日が非常に浅い。それにもかかわらずいろいろな犯罪、それから政治上の問題を惹起している。こういうことは実に憂慮にたえない。武力を持つものがこういう問題を起すことに対して、私はこれは政治全体の責任である、単に防衛庁だけの責任ではないと思う。だからして私はこれから自衛隊の犯罪並びに政治関与に対しまして、当局の率直な御意見を伺いたいと思います。これは非常に重大な問題でありますから、当局におきましても率直にお答えを願いたいと思います。具体的な問題に対しては、あとで同僚淡谷委員からいろいろ御質問があると思いますから、私は一般的な問題に対して、簡単に御質問したい、こう思うのであります。これは繰り返すようでありますが、自衛隊は軍隊でないと言っているのであるが、軍隊であろうと、自衛隊であろうと、武力を持つ者の集団の統制を誤まるときは国を滅ぼすことは、殷鑑遠からず、この間までのわが国の現状であったわけです。東西古今を問わず、軍の統制ということは、政治における最も重大なる課題であることは、これはもう明瞭であります。かような例を賢明な皆さんの前に申し上げるまでもないけれども、たとえばラテン・アメリカの一部、そういう国においては、りっぱな人民主権の憲法ができているのに、常に軍のクーデターがあって、人民が非常に苦しんでおる。アジアの一部においてもそういう軍の独裁政治が現に行われておる。それからまた第一次大戦後のドイツのワイマール憲法は、世界における最も完備した憲法であるといわれたところにおいて、国防軍が陰に陽に策動いたしまして、そうしてヒットラーの独裁政治を招来したことは事実であります。それからまた、あのイギリスにおいてすら、ロイド・ジョージの第一次大戦回顧録を要ると、軍のクーデターがまさに行われようとした。それはあの改造社から翻訳出版され、私が戦争中に北先生におすすめして、北さんが当時それを藤原軍需大臣や東条総理に読むことをすすめたというのでありますが、これにも、あの民主主義のイギリス国においてすら、もう少しで軍のクーデターが行われようとした事実があるのです。それから第二次大戦においては、フランスがドイツとの戦争の緒戦において危機に際会したときに、ペダン元帥のクーデターが行われて、フランスを根本から誤まった、こういうふうなことがあるときにおいて、わが国においても、いかに軍の統制が困難であるか——旧軍隊というものは、統帥権の問題からいうならば、実によくできておったはずなんです。そしてまた日露戦争までは、軍紀が保たれておったはずであるにかかわらず、いろいろの軍の行動というものが、ついに政治を引きずった。そればかりじゃない。政治家のうちには、かえって軍を逆用して自分の政治的な野心を遂げようとする者等が出て参りまして、それが非常に日本の運命を悲劇に陥れたということは、どなたでもおわかりだと思うのです。だから、私はそういうことを心配するから、特にこの問題に対してやかましく申し上げなければならぬと思うのです。自衛隊法案が十九国会に提案されたときと思いますが、そのときに、むろんわが社会党はこれに反対した。きょうは欠席しておりますが、辻議員が、これはわれわれと立場は違うけれども、これに反対された。そのときに辻議員は、元軍人だから、自己の体験から言われたと思うのであるが、自衛隊法案の百十九条の罰則を見ると、非常に罰則が軽いというのです。自衛隊員が多数共同して、上官の職務の命令に反抗し、または指揮権を有しない者が、上官の命令に違反し、勝手に部隊を指揮した場合においても、三年以下の懲役または禁固という、きわめて軽い刑罰を課しておるのであります。こういうことは、実に自衛隊の何かの場合に、クーデターの危険性を招来するものであって、実にこれは危険きわまる、こういうことを言っておるのでありますが、私も実際そうだと思うので、軍隊の武器を持つ者のいろいろな逸脱した行為に対しては、これは厳罰をもって臨まなければ、おそるべき結果になる。それはもうおわかりと思う。それにかかわらず、かような軽い罰則によって規制されているだけでありまして、これは非常に危険です。  そこで私は、まず長官並びに増原次長にお伺いしたいのであるが、岸総理代理もおいでになるそうでありますから、これは私は岸さんの意見も聞きたいと思うのでありますが、一体自衛隊員が外で犯罪を犯したときは、これは警察が簡単に処理できるが、自衛隊内の犯罪は警察で取締ることはなかなか私は困難と思うのであるが、一体自衛隊内の取締りは現状でいいのかどうか、自衛隊内の犯罪ができた場合において取締りが今のままでいいのであるかどうか、こういうことを長官並びに——長官はこのごろなられたばかりですから、増原次長にもぜひこれはお聞きしたいと思うのでございますが、その点いかがでございましょうか。

相川勝六自由民主党

○相川委員長 ちょっと稻村委員に御注意申し上げますが、ただいまは誘導兵器問題について調査を進めております。今の御質問、御発言は、誘導兵器の今の問題の範囲を逸脱しているように思われますが、自衛隊規律の問題は別の機会に……。

稻村隆一日本社会党

○稻村委員 関連がありますよ。

相川勝六自由民主党

○相川委員長 それじゃそういうおつもりで、現在誘導兵器の問題をやっておりますから、関連問題だけとして……。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 詳細は次長から説明すると思いますが、私は大局的に見まして、今自衛隊には御承知のように警務隊を配しておりまして、各管区に一個中隊をもって、それがこうした取締りの任に当っておるのでありまして、制度そのものからいたしましては、これをよく運用することによって目的を達成することができるであろうと考えます。しかしさっきから御指摘のように、これはただ出たものを取締るというのではなしに、基本的に規律を厳正にする、そうしてそういう間違いを起さないような根本的な精神的な面もありますし、そうした点につきましては特に世間から非難を受けるようなことのないような、りっぱな部隊に育成するようにせっかく努力をいたしたいと考えます。

稻村隆一日本社会党

○稻村委員 そのような答弁だけでは実は私ども安心できないんですよ。このように罰則が軽い。それでいて二・二六事件とか、かりにああいうふうな不祥事件が起った場合において取締りができるかどうか、これは増原次長、どうです。あなたは、それは大丈夫ですとお言いになるかもしれませんけれども、僕はとてもできないと思います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 ただいま御引用になりましたのは自衛隊に関する特殊な罰則でありまして、自衛隊に所属している者も、内乱に関するような罪を犯した場合は、内乱罪によって取締ることができるのでありまして、一般の刑法によって取締られるのでありますから、特にその罰則を改正するという考えは持っておらない次第であります。

稻村隆一日本社会党

○稻村委員 一般犯罪のときは大した心配はないと思うのです。ところが政治的犯罪——私は自衛隊等の者が政治に関与するのは政治的犯罪と言いたい。そういう場合に一体どうするかというのです。そういう場合には、過去の経験からいってこれはよほど気をつけていただきたいのは、これは私の記憶ですけれども、その日にちははっきりは忘れましたけれども、たとえば満州事変の前も、参謀本部の連中がクーデターを、やろうとして桜会を結成して、橋本欣五郎以下が検束されました。ああいう事件があった。私の聞いておるところでは、三月事件、大川周明氏、橋本欣五郎氏を中心とする軍のクーデターですが、これは明らかに犯罪なんです。当時の秦憲兵司令官が死刑を主張したのです。これは私はっきり知っているのです。ところが安達内務大臣等が間に入ってこれを穏便に済ました。若槻内閣のときです。それがそもそもの始まりだったのです。軍の上層部あるいは安達内相が軟論でこれを二葉のうちに刈りとらなかった。これが五・一五事件や二・二六事件の原因となった。そうして軍が国内の政治に干渉してどうにもならない。そこで軍を統制するために、軍首脳部は対外強硬政策をとらざるを得なかったでしょう。これは私には決してここであなた方のあげ足をとろうとか三百代言的なことを言おうというのではない。まじめに考究しなければならぬ重大問題だからこの機会に私は申し上げる。こういう軍隊のおそるべき政治的犯罪がいかに日本の国を侵してきたかということです。軍隊も民衆の団体だから、どうしたって国民生活あるいは社会状態というものが反映せざるを得ないのです。そこに軍が政治犯罪を犯す原因がある。そういう場合にはとうてい警察力ではどうにもできないのです。憲兵ですらどうにもできなかった。私は軍がある以上は憲兵があることは差しつかえないと思う。ただし憲兵が軍だけの犯罪を取り締らずして、ほかのことまで干渉したからそこに大きな弊害が起きた。そこで私は今日自衛隊を統制するために何か監察隊というようなものを必要とするように思う。過去の事実から見て軍隊だけの犯罪、特に政治的犯罪は重大だから、それを統制するところの監察隊のようなものが必要ではないか。そうして罰則を強化して未然に防止すれば一番いいが、一たび政治に関与するような者がもしあったとするならば、断固たる処置をとらないととんだことになりますよ。これはあなた方当局だけの責任ではない。政治全体の責任だからもう少しあなた方の誠意ある御見解を承わりたいのです。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 お説の点は全く同感でございまして、そういうような傾向のないように、まず基本的に注意をしなければなりませんが、万一そういうものがございましたならば、今御指摘のような罰則をもっと厳正に適用いたしまして、そういうことのないような取締りに当りたいと考えております。

稻村隆一日本社会党

○稻村委員 現在それでは自衛隊にはそういうふうな政治的な動きは全然ありませんか。政治関与をすることは政治的犯罪ですよ。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 自衛隊内において、とかく選挙などに対する考え方について認識が十分でなかったために、世間に誤解を起すような事件も一、二あったと承知いたしておりまするが、全体の傾向としては、政治に関与するというふうな考え方を持っておる者はきわめてまれであって、今申しましたような一、二のおもしろくないと見られるような案件につきましては十分取り調べまして、そういうことが再発いたさないように努力いたしたいと考えております。

稻村隆一日本社会党

○稻村委員 岸さんがおいでになりましたから、ほかの方の質問の関係もありますので、私は簡単に一言だけ御質疑を申し上げたいのでありますが、それは自衛隊内において政治的動きがあるということです。これは私は経験しておる。去年の夏でしたか、私は船田防衛庁長官に用事があって、自衛隊の軍艦「ゆきかぜ」号が竣工したときに行ったのでありますが、ところが私はこれは自衛隊の方から招待されているのだと思っておったところ招待されておらなかった。誤解しておったのです。この問題は片づいた問題ですから私はここで追及はいたしません。官房長がわざわざこれは自分の方の手抜かりだったと言ってこられたので、この問題をここで追及しようとは思いません。けれども私が船田長官に会って話をして、そうして当時自民党の人々がそこに呼ばれてきておったので、私もそれを見たいと言ったところが、事務当局は私の下船を要求したのです。私は内閣委員ですよ。今度新しいものができたので、秘密じゃないのだから見せてもらいたいと言ったのに、下船を要求した。実に倣慢無礼な態度ですよ。私がそこで知ったことは、この「ゆきかぜ」号の竣工式か何かの招待に、社会党を呼んでいないで自民党だけを呼んでおる。これがそもそも政治的な動きですよ。現にある部隊のごときは、社会党は再軍備に反対だから自衛隊を見せてくれと育ってもお断わりするということをはっきり言っておる。大体自衛隊当局、官吏というものは政治できめたことを守るということが絶対に必要である。それを犯すものは断固として処置するのは当然です。しかし再軍備反対、賛成というような政策の問題に立ち入るべきものではないのですよ。そういうことを言っておる事実があるのです。そういう片鱗が現に現われておるのです。そのときは秘密でも何でもないのに、たくさんの自民党の人が呼ばれておるにもかかわらず、社会党の人を呼んでいない。そういうことがそもそも政治的な動きの第一歩と見なければならぬと思うのです。そういうことから大きな破綻がくるのです。あとで同僚淡谷委員からも質問がありますが、この間の青森県の大湊町長選挙において自衛隊の者が関与している事実がある。これはもう新聞にも出ており確固たる証拠がある。そういう不都合なことに対して、これをかばうようなことをやったらとんでもないことになる。そういう者があるならば今の法規に照らして断固として隊長を免職をして——いわゆる町長選挙に、あの男は共産主義者だから絶対にやってはいけない、君たちはあの男と反対の人が当選するように家庭に向って運動すべきであるというような隊長がもしあるとするならば、それはすぐ免職すべきである。かばうようなことをやるからいかぬのだ。ちょうど安達内務大臣が、秦憲兵司令官があの三月事件の首謀者を死刑にすると主張したのに対して、変な測隠の情を出して助けるから、そこでだんだん二・二六事件や五・一五事件のようなものに発展してきたのだ。そうして日本を崩壊させたんですよ。だからあなた方から見れば、部下をかばうことは当然のことですけれども、大局の前にはそんなことをやってはいけません。さようなものは断固として免職して、そうして法規に照らして、今の法規でも罰則があるのだから、これを起訴すべきである、告訴すべきである、こう私は考えるのでありますが、長官並びに増原次長のお二人の御意見を承わりたいのであります。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 例としてただいま御指摘になりました点は、あとで淡谷さんが御質問になるとすればそのときに申し上げますけれども、これはわれわれの方でもどういう事実があったかよく調査いたしまして、そうしてそれが罰則に触れるような行為であれば十分よく調査の上、厳正に罰則を適用いたしたいと考えております。今の政治に関与させてはならないという御説はまことにごもっともでございますので、もちろん私もそういう気持で今後進んでいきたいと考えております。

稻村隆一日本社会党

○稻村委員 私はこれで質問をやめますが、増原さんどうですか、あなたは防衛庁に長くおるのだから……。

増原恵吉防衛庁次長

○増原政府委員 長官からお答えをしましたところで、私から特につけ加えることはありませんので、御答弁に立たなかったわけでありますが、防衛庁自衛隊の隊員なり職員なりがいやしくも政治関与というふうなことをしてはならないことは、お話の通りでございまして、法規にもその趣旨が明瞭に現われておるわけでございまするから、われわれとしてもそういうことのないように十分注意をいたしておるところでございます。若干そういうことについて疑念を抱かれたような事件がなかったわけではございませんが、そのたびによく調査をいたしまして、政治関与というふうな事態のものであるかどうかは明瞭に取り調べをして、さようなことの絶対にないようにという趣旨を十分に貫いて参ったつもりでございます。将来もその点は十分間違いなくやって参る所存でございます。

稻村隆一日本社会党

○稻村委員 それでは事実そういうものがあったなら厳罰に処しますか。

増原恵吉防衛庁次長

○増原政府委員 事実に従いましてその処置を長官に申し上げるつもりでございます。

相川勝六自由民主党

○相川委員長 岸総理大臣臨時代理がお見えになりましたので、国の防衛に関する件のうち、誘導兵器問題並びに相馬ケ原演習場事件についての質疑を許します。茜ケ久保重光君。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 岸内閣総理大臣臨時代理、並びに外務大臣はすでに御存じと思いますが、先月三十日群馬県相馬ケ原の米軍基地において起りました一米兵の日本婦人射殺事件に対しまして二、三点に限り、簡明率直に、総理大臣代理並びに外務大臣としてお答えを願いたいと思うのであります。事件の内容についてはすでに御存じと思いますし、内外の非常に大きな注目を浴びまして、今や国際的な問題にまで発展しておりますが、私はこの事件はただ単に一日本婦人が生命を絶ったというだけでなくて、その中にひそむ日米関係の重大な二、三の点を感じるのであります。  そこで第一にお伺いいたしたいのは、岸臨時総理大臣代理並びに外務大臣は、去る施政演説において、声を大にして自主独立外交を強調されました。さらにわが党の鈴木委員長の質問に答えても重ねてその点を御主張になったのであります。まことにけっこうでございます。しかし今回の事件に現われましたアメリカ並びにアメリカ人の日本に対する態度、あるいはその根底に流れる思想というものを考えますときに、私は遺憾ながら岸外務大臣の自主独立外交の実態というものが具体的な事実の上において根底からくつがえされたのではないかという点を非常に心配するのであります。と申しますのは、わが国に六百カ所に余る軍事基地がある、四億一千万坪の広大な土地が占有されておるということもさることながら、その中におけるあらゆる行為が、今回の一米兵の射殺という一つの具体的な事実に現われました内容を見ますときに、アメリカ人の考え方と申しますか、アメリカの日本に対する態度と申しますか、いわゆる講和条約ないしは日米安全保障条約、行政協定といったようなもので、いかにも表面的には日本並びに日本人を、アメリカは非常な好意的な態度で防衛の任に当ってくれるという表看板ではありますけれども、私どもが従来指摘して参りましたように、それはただ単にアメリカ防衛の一方便にしかすぎないといって指摘して参りましたが、政府当局者はそれに対して、常にアメリカは日本に対して好意的な防衛とあらゆる援助の手を持っておるということをおっしゃって参りました。今回の一米兵が日本婦人を射殺しました事件を、私は具体的に現地において調査いたしますと、これは明らかに、アメリカ並びにアメリカ人は、日本人に対して人間的な処遇をしていないのじゃないかという点を私は重大に考えておりますと申しますのは、御承知のように、あの事件の発端というものは、もちろん立ち入り禁止区域でございますし、日本人が入ることは当然いけないことにはなっておりますけれども、もう数年間このことは公然の事実としてアメリカ軍もこれを了解しておる、そういった中で、当然日本婦人が弾薬を拾いにきたということを知っている米兵が、その弱みにつけ込んで、自分の持っているから薬莢を投げ与えて、これを拾いに来い、拾っても大丈夫、だといってゼスチュアたっぷり拾いに来さしておいて、来た瞬間にどなりつけて、そうして追い返す、逃げるものをうしろから、しかも実弾を込めて人間を撃つ意思によって撃ったなら、私はまだ人間として扱ってもいるというように了解しますが、から薬莢を詰めてそうして撃つという、このこと自体の中に、私はアメリカ兵の日本人に対する態度がはっきり現われていると思う。これは私は、先ほど申しました一婦人が死んだということでなくて、アメリカ並びにアメリカ人の中に、日本人に対する根本的な態度がそこにはっきり出ていると思うのであります。まことに残念と申しますか、切歯扼腕するような気持が今でもあります。さらにそれから引き続いて、その事件を中心に日米当局がこの捜査、調査に当っている態度を見ますと、日本政府当局は共同捜査、共同調査とおっしゃっているけれども、具体的にはアメリカ兵はアメリカの官憲によってこれが確保されている。日本官憲はただ相手にお伺いを立てて、そうしてこれを非常に消極的な取り扱いしかできないという態度、こういったことは私は、岸外務大臣のおっしゃる自主独立外交という姿と全くうらはらな、逆な面が出ている。私のところにもたくさんの投書が参っております。いわゆるアメリカ兵の暴行に対する憤慨、これに対する今までの日本政府のとってきた態度の煮え切らないことに対する憤慨した手紙が多数参らております。全国民は全くこの事件に対して、むしろ私に言わせますと、あの流血の惨を起した砂川の事件よりも変った国民的感情が大きく出ていると感じているのであります。これはあなたが何とおっしゃろうとも、国民自身はやはりアメリカの支配下にある日本の実態を、日本民族の血によって感じている証拠であると私は思うのであります。こういった事件に直面されまして、総理大臣代理として日本の政治の責任を負っていらっしゃるそういう立場から、さらに自主独立外交を主張される岸外務大臣の率直簡明な、しかも国民にこういった疑惑を払拭し得るにたる御答弁をお願いしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 相馬ケ原の事件は日本国民ひとしくきわめて遺憾に考えている次第でありまして、これの処理あるいは将来の問題につきましては十分慎重に考えて、日本が自主的の立場から、われわれの当然主張し、当然処置すべき事柄につきましては、われわれが処置していくという態度をとらなければならぬと考えております。今御指摘のありましたように、アメリカの駐留軍の一部におきまして、日本に駐留している高義等がまだ十分徹底しておらない向きのあることも——これはおそらく今回の事件に現われたような、十分その意義のわかっておらない面もあろうかと思います。これらにつきましては、今後事件を徹底的に明らかにすることによって、かつアメリカ駐留軍に対しましてもそのことを要罪しておるのでありますが、アメリカ駐留軍としても将来かかることのないように十分な警告とそうして措置をとってもらわなければならぬと思います。またわが方の態度としましては、これは私の外交演説あるいは施政方針等において明らかにしましたことは、われわれの中に占領下の気持から脱却して、真の自主独立という考えに達しておらない向きも従来ややもするとあり得るのでありまして、従ってそのことにつきましても私どもはこの際十分に反省して、真に自主独立の立場からものを考えるということにしなければならぬと思います。従って今後の捜査またこれの処分等につきましても、そういう意味において事実をまず明瞭にして、わが方の主張をはっきりとしたい、かように考えておるわけであります。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 アメリカの駐留軍の兵士の中に、駐留するそのこと自身の内容を知らないでいる者もありましょうし、またいろんな感じもありましょうが、私が指摘しましたように、非常に遺憾に思うことは、正面ではいかにも日米親善を説き、日本とアメリカが非常に友好的な立場でものごとを進めていきたいということを言っておるけれども、こういった事態に直面いたしますと、アメリカなりアメリカ人の心の底流として、ちょうど今方々で問題になっております、アメリカ人が同じアメリカ国民である黒人に対して行うあらゆる人種的な圧迫のあの常習的な考え方が、対日本人の場合にもあるのであろうということを残念ながら考えるのであります。そうなりますと、いかに日本政府がアメリカ当局に厳重な警告をなさろうとも、またアメリカ軍隊がいわゆる兵士諸君に日本人に対してそういったことがないようにという注意をいたしましょうとも、こういった問題は今後も起るであろうし、また過去において幾たびか起っておる占領地の事犯については、あらためて法案等の準備もいたしておりますが、それはあらためて取り上げます。こういった過去において起ったこれに類する事犯が、一方的にアメリカの思うような結論が出される。そういうことを犯した兵士諸君が、ほとんど何らの処罰も受けないでそのまま看過されておる、こういう事実からも私はそういう結論を出さざるを得ないのであります。従いまして岸総理大臣代理は、こういう国民的な、人種的な屈辱を受ける日本の国民に対して、今度の事件を中心にして——今後こういう事犯が起らぬようにすることは、もちろん当然でありますけれども、アメリカがおそらく現状においては相当長い期間まだ日本に駐留するであろうことも、残念ながら事実上これは否定できません。こういう中において、今この問題を中心に全国民が民族的な怒りと申しますか、非常な悲憤の涙を流しておる現状に際して、やはり今後絶対にそういうことをさせないために、日本政府は日本国民の代表者として、国民に対してはっきりした確信を持たせるだけの決意をここにはっきりしていただくことがよろしいかと思う。重ねてその点に対してだけ岸総理大臣代理の御決意のほどを承わりたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 われわれ民族としてほとんど耐え忍ぶことのできないようないろいろな案件も過去においても出てきております。今回の事件もその一つであると思いますが、われわれはあらゆる方法によってかくのごときことをなくしなければなりません。もちろん根本的に申しますと、アメリカ軍に日本内地の駐留をやめてもらうということに一番のなにが出てくるでしょう。しかしこの問題につきましては、日本自身の防衛の問題があり、また国際的な環境の緊張の緩和の問題等、いろいろ大きな問題が関連をしておりますから、遺憾ながらある期間はアメリカ軍の駐留を認めざるを得ない。そうしますと、これは安保条約や行政協定に従って、向うはいろいろな施設を利用し、またここにおいて行動をし、日本はそれを認めていくということになるわけでありまして、従いましてその範囲内においてわれわれがいかにしてかくのごときことをさせないかということにつきましては、私はやはり二つの点を考えなければならぬと思うのです。一つは日本国民の心がまえ及び日本国政府の施策というものが非常に重要な問題になります。一つはアメリカ側においてこういうことの起らないように、あらゆる手段方法を十分に講じてもらう。こういう二つの点において私どもは考えて参ります。日本政府及び日本国民の問題につきましては、われわれの問題であって、われわれが責任を持ってなにします。またアメリカ側に対しては、やはり自主的な日本の国民の意思、またそれを代表している政府の考えというものをアメリカの方に明確に言ってやって、そうしてアメリカの協力を求め、アメリカ側が将来こういう事件を発生しないような責任のある措置をとってもらう、こういうことにしたいと思います。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 この事件に関しましては、岸総理大臣代理、しかも外務大臣をしていらっしゃるあなたの御答弁に期待いたしますが、問題は今後であります。この結果いかんが今あなたのおっしゃったことの具体的な証明になるのではなかろうかということを考えます。従って全国民もまたひとしくこの問題の終末をほんとうに重大な関心を持って見ております。私はその終末いかんによっては、さらにあなたに所信のほどをお伺いすることがございましょうが、この点は保留しておきます。  第二段といたしまして、今岸外務大臣もお触れになりましたが、行政協定並びに安保条約あるいは講和条約、こういった私どもの言葉で言う不平等条約、これに対しましても去る施政演説並びに外交方針演説に対するわが党鈴木委員長の質問に対して、岸さんははっきりと、現在この不平等条約の改廃をする意思はないということをおっしゃっておられます。その決意のほどは多といたしますけれども、こういった具体的な事犯が起りましたことは、今あなたも御指摘のように、アメリカ駐留軍が日本にいるということから起る問題であります。アメリカ駐留軍がおるということは、とりもなおさず日米安保条約、行政協定によっております。そこで私どもも、従来この条約並びに協定の破棄を主張しておることは当然でありますけれども、破棄ができませんにしても、こういった具体的な事犯が起ったことを契機に、やはりこの日米安保条約並びに行政協定施行以来、もはや数年を出ております、数年を出ている今日——きのう川崎秀二君が予算委員会の分科会で何か指摘されたようですが、日本の自衛隊の増強云云は別としても、数年を出た今日、この不平等条約の内容の改廃について、政府としては当然重大な考慮を払い、しかも私は真剣な検討をして、こういった事犯が起るようなこと、たとえば行政協定に基く刑事特別法のごとき、日本の内地において日本人が、しかも日本人の目の前で殺されるというような、こういう具体的な事犯ですら、日本の官憲がこれをどうにもならぬというようなことは、これは私は先ほど来申しますように、何としても相許せないことであります。それすら今の条約においては、日本の官憲は手が出ない。しかも公務上か公務でないかということを論争している間に、事件はだんだん進んで参ります。日本人が日本の内地で、たといその場所が基地内であろうとなかろうと、アメリカ兵が現実に人を殺しているという事態をすら、日本の官憲がどうにもならぬということは、まことに私は残念であるし、岸総理大臣代理もおそらくこれに対しては非常な不満の点があろうと思います。これは一つの例でありますが、このようにたくさん、あの不平等条約には内容的にわれわれがまずどうしてもこの点だけはさしあたり改廃する必要があるというのがございます。数日前の施政方針のときの御答弁では、まだ事態はそこまでいっておりませんので、総理大臣代理ははっきり不平等条約の改廃の必要はないとおっしゃいましたけれども、こういった問題が具体的に発生し、こういう状態になった今日、なおあなたは日本の政治の責任者として、この日本国民がひとしく心の底では泣くような思いをし、民族的な良心と民族的な血潮によって反発しているこういった不平等条約の改廃を、なお全然やる必要はないというお考えであるか、あるいはこういったことを契機に、やはり両方でもって誠意ある検討をして、ものによっては改廃をすべきであるというお考えであるか、この点を私はお伺いしたいと思っている。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 先ほども申し上げましたごとく、こういう条約のもとに共同防衛の立場にあり、また相当多数のアメリカ軍の駐留によって、日本の安全を保障しなければならぬということは、われわれ日本の独立の完成を目ざしている日本民族としては、できるだけ早くそういう事態のないようにしなければならぬと思います。これにつきましては、私先ほど申しましたように、根本的にいえば日本みずからの、われわれの手による防衛の強化や、あるいは日本を取り巻く国際情勢の緊張緩和、その他さらに日米共同防衛よりも一そう効果的なる集団安全保障の道等を作り上げなければならぬことは、言うを待たないのであります。そういうことを私どもはやはりわれわれの理想なり目標としては考えなければならぬ。私は安保条約や行政協定をいつまでもこのままにしておこうという考え方はもちろん持っておらないのでありまして、これを終了して、今申しましたような事態を作り上げなければならぬと思います。しかしそれには相当な時日と段階を要することでありますが、しからばその間はこのままこの規定を一字一句動かさないでいいかということになりますと、これを作った両方の間に、これを協定した当時と国際的情勢も変っておりますし、日本及びアメリカの両国の国内情勢にも相当な変化もありますし、またこれを実施した、実施の結果に基きまして、このまま続けていくことがかえって日米両国の永遠の友好関係を増進する上から見て望ましくないというような点も、私は経験上出てきておると思うのです。これらの点につきましては十分一つ検討し、またそういうものを合理的にかつ日米の友好関係をより一そう強力ならしめる見地から、是正していくというような点について、日米両国の間で話し合いをしていくというような環境を作っていくことがこの際必要であって、今直ちに安保条約を改訂するのだとか、あるいはこれをやめるのだということを呼号するよりも、むしろこれに必要な各種の事態を作り上げていくというのが私の根本的の考えでございます。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 施政演説の質問に対する答弁と比較するとだいぶ岸臨時総理大臣代理の御答弁は、私どもの立場からすれば進歩したと思うのです。あのときはあなたは全然その意思はないとおっしゃった、今は改廃するとはおっしゃらぬけれども、とにかく検討の余地があるということをおっしゃった。  私は、先ほども申しましたように、社会党の質問としては遠慮した質問をしております。と申しますのは、ここで私は岸臨時総理大臣代理に、これをやめろということを言いたいのでありますが、しかしそうでなくて、こんな問題の起ったことを契機に、一つの例にあげて、このようなこともあるのであるから、一つ内容のいかんによってはその悪いところから一つ一つ改廃するように、アメリカ当局と御協議になる意思はないかという質問をしたのでありますが、それに対して非常に抽象的ではありますが、一応私は施政演説の質問に対する御答弁よりも進歩した御答弁を聞いたと思うのであります。どうかその意味において誠意ある、国民の期待する方向への努力を外務大臣としてぜひなさっていただきたい。国民は岸外務大臣のこれに対する御答弁に期待しております。従って国民の期待するような方向への努力を——私はそこをこうしなさいとは申しません。申しませんが、国民の期待する方向への努力、しかもアメリカ相手に努力をなさる決意をもう一回簡単にお願いしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 今申しましたように、国民の期待しておる方向に向って私は努力をする決意でおります。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 もう一点、岸外務大臣にお伺いいたします。それは外交上と申しましょうか、条約上と申しましょうか、非常に私は重大な点であろうと思うのでありますが、本会議で一婦人射殺事件を契機にわかりましたことは、あの相馬ケ原の米軍演習場が行政協定上の措置がしてないということであります。これは具体的には、アメリカが従前占領中から使っておった基地並びに新しく使用を申し込んだ区域あるいは施設に対して、行政協定第二条第一項の規定によって日本政府はそれを指定する任務があるし、また当然指定をしております。昭和二十七年七月二十六日官報の号外によってこの指定がなされておるのでありますけれども、その当時約四十四カ所ほどの保留地がございます。保留にした地域については、別に当時の岡崎外務大臣とラスク国務次官補との交換文書において、一応、行政協定第二条第一項の指定がないにもかかわらず、使用の了解はついております。そしてさらにこれは準備作業班並びに日米合同委員会において逐次指定をするようになっておりますが、この相馬ケ原の演習場はいまだに指定がございません。行政協定発効以来もう五年であります。五年間もこのように放置され、しかも今まで当然の結果のように、同演習場内において起りました事犯に対して、日本政府並びにアメリカ軍当局は、行政協定のあらゆる条項を適用して参っております。これは私はまことに不可解千万と思うのであります。あるいは岡崎・ラスク交換文書によって、当然行政協定に基くいろいろな措置が有効という解釈によってなさったのか、あるいは保留中のものはまた逆に、当然これは行政協定第二条第一項の措置がなされたものと考えてかような措置をなされたのか、これは私は日本国民としてはまことに迷惑千万な話であります。このようなことが今日まで放置されました責任は、政府として重大であろうと思うのであります。この相馬ケ原演習場が、今日なお行政協定第二条第一項の指定をしてないということは、いかなる根拠と、どのような見解においてこうなっておるのか、外務大臣としての岸さんの御答弁をお願いいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 御指摘になりましたように、いわゆる指定のうちに、留保の形において告示されておる場所が相当数あります。これについては、いろいろな点からそれぞれの機関において調査しておるのでありますが、これを指定するについて、いろいろまだ解決しなければならぬ困難な問題等がからまっておるのでありまして、いまだ指定をされておりませんけれども、この岡崎・ラスク協定によりまして、これらの留保の地域については、そういう正式の指定があるまで、これをやはり引き続いて使用することができることになっております。その関係においては、やはり行政協定の第二条一項の施設と見て、これを扱っていくという法律解釈をいたしておるわけでございます。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 岡崎・ラスク交換文書による、米軍が占領中から引き続いて使用し得るということは、私ども一応認めるのであります。ただしかし、五年という長い間放置してある、しかも最近の機会に、相馬ケ原演習場が、いわゆる成規の手続、行政協定第二条第一項の規定による指定をするという作業が私は全然なされてないと思う。これは私は問題だと思う。いろいろな問題があったのならば、当然その問題を解決する努力をして、相馬ケ原演習場が正規の米軍の演習地となるべき必然性を持たなくちゃならぬ。もし指定をする必要のない演習場ならば——あなたもあるいは録音等でお聞きになったでしょう。毎日数百人の人が、食うのに追われて、たま拾い脅しておる。危険を冒し、ときには自分の死さえ考えずに飛び込む状態は、日本人の悲劇であります。ああいうところでアメリカ人の撃ったたまを拾って歩く状態は、日本人の一つの悲劇でありますが、こういうことをする根本である相馬ケ原演習場、もしこれを五年も放置しておくならば、当然これを解除して、付近の農民にあの莫大な土地を農地として解放すべきだ。どうしても演習場が必要なら、当然私はあらゆる努力をして行政協定の規定に従って指定すべきであるし、そうでなかったら、当然これはもとの所有者である付近の農民に解放すべきであると思う。五年間も放置したその責任を私はお問いしている。単にむずかしいからというんじゃ済まないのであります。むずかしいことがあったら、当然むずかしいだけの原因を除去する努力が必要であります。そういった責任は一体だれがとるのか。これは政府としては国民の二百何十万坪という、いわゆる私有地を接収しているのであります。こういったものが、ただ単なる交換文書でいつまでも使われっぱなしで、しかも付近の農民が食うに事欠いて、こじきのように、命を的にたま拾いをしなくちゃならぬようなところに追い込んでおいて、この責任をだれもとらぬということは、一体あり得ないと思う。当然政府の責任においていずれかにはっきりすべきであったと思うのであります。それが遺憾ながらなされていなかった。この責任はだれがどのようにとるのか。当然今の外務大臣である岸さん、あなたが何らかの形においてこの責任をおとりになる必要がある。もちろんおやめなさいとは申しません。付近の住民に対してあるいは行政上の措置をするなり、こういった責任をとるべくどのようなことをなさって、あなたはこの放置された相馬ケ原演習場に対する結末をおつけになる考えであるかということをお伺いするのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 御質問の点につきましては、指定するか、あるいは必要がないならばこれを解放すべきじゃないかというお考え、ごもっともだと思います。しかし今一応の私どもの考え方は、もちろんこの岡崎・ラスク協定で継続して使用を認められているものは、行政協定の二条一項のやはり施設の一部と考えてあらゆる関係を処置していくべきものである。これが、それならなぜ指定ということにきまらないかということにつきましては、われわれはなるべくこれを解放して、そういう制限を受けない形に持っていきたいというのが、私どもの希望であり、そういう心持であります。しかしそれがアメリカ側の、軍の方の考え方がまだ十分その意向によるように、解放するという段階になっておらぬのであります。指定というのは、どうもやむを得なければ指定するけれども、できれば解放したいというのが、私どもの全体的の考えであろうと思います。そのためにこういう岡崎・ラスク協定というものによって、行政協定で指定したよりは、形から申しますと一種の弱いような形において、一時継続して使用しているという状況を作っているわけであります。これらのうち不必要といいますか、米軍の方で使用の必要のないものに対しては、できるだけこれを解放せしめるという方向に今後とも努力いたしていきたいものである、こう思っております。なおなぜおくれたかという詳しい事情につきましては、調達庁長官から答弁があろうかと思います。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 調達庁長官の答弁される前に、私はただいまの岸外務大臣の御答弁はまことに心外であります。今まで私は、本会議、その他の会議における岸さんの御答弁に対しては、一応内心敬服しておりました。率直で、しかもはっきり物事をおっしゃる。今の御答弁はただその場当りの答弁であります。と申しますのは、指定をしなかったのは、なるたけ早く解放したいから指定をしなかったのだ、またあらゆる施設を一日も早く解放したいという念願であるということであります。あなたは政府の委員からどういうふうな答弁の材料をおもらいになったか知りませんが、日本の軍事基地は六百数十カ所ございます。その中で昭和二十七年七月二十六日に指定を保留にしたのは四十四件でございます。その中で今日指定のしてないのは相馬ケ原演習場一つであります。これは調達庁の連絡調査官が電話ではっきり私たちに対して報告しております。そういたしますと、四十四件保留した中で一つしか保留が残ってない。その一つの相馬ケ原は早く解放したいから指定をしなかったのだという御答弁は、私は絶対承服できません。それこそ、その場あたりのいいかげんな答弁であります。もっと誠意のある、はっきりした御答弁を承わりたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 ちょっと事情が違っておるようですから、調達庁長官から返事をいたさせます。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 それは違います。私は岸さんの答弁に対して言っておる。事情はまたあとから承わりますから……。私が調達庁を調べたところによりますと、現在保留になっておるのは一つであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 ちょっと私の聞いている事実と事実が違っておりますから、事実を調達庁長官に説明いたさせます。

今井久調達庁長官

○今井政府委員 ただいまの御質問に対して、私からお答え申し上げます。相馬ヶ原の演習場が行政協定第二条によります合同委員会の手続を経て適用されたものではなくて、その前の占領時代からの引き続きのものをいたしまして、岡崎・ラスクの交換文書によって継続使用を認められておるということは、御指摘の通りであります。五年も歳月がたっておるにかかわらず、またこれができないということについて、先ほど御質問があったのでございます。この相馬ヶ原の演習場につきましては、従来もいろいろ折衝いたしたのであります。相馬ヶ原の演習場の農地の一部について解除してもらいたいという話もございまして、それらの点を折衝いたしておったのでございます。米軍としてその点は認められないというようなことでございまして、それらの点をさらに十分打ち合せて妥結いたしまして、正式なものにしたいというようなことも、今日までおくれて参った原因でございます。なお占領軍から引き移しました講和発効当時におきまして、ただいま御指摘のあった件数は大体五十一件ございました。そのうちでその後返還されましたのは十二件ございました。さらに保留施設が解除されまして、正式の行政協定第二条による施設となりましたものが二十件ございました。ただいままで二十三件残っておりましたのは建物が多いのでございますが、演習場としては、先ほど御指摘のありました相馬ヶ原、そのほか日本原の演習場、青野原の演習場等がある次第でございます。これらのうちにも、ただいま極力折衝いたしまして、近く正式の行政協定の提供地域として認めるというふうに話し合いのつくものも数件ある次第でございます。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 ただいまの今井調達庁長官の補足説明を聞いておりましても、やはり先ほど津外務大臣がお答えになった解放したいということは逆であります。さらに折衝を続けられて指定するような方向にいっております。先ほど私がちょっと言葉を強く申しましたのは、岸外務大臣の御答弁とも受けとれぬようなお答えがありましたので、申したのでありますが、解放するために保留しているという御答弁は、これはけっこうでありますが、事態はそうではないのであります。今、今井長官の御答弁のように、おそらく指定する方向へいく努力がなされる、そういった方向へいくことが考えられます。そこで私は指定されるかしないかは別として、岸外務大臣としてはもう少し冒頭に御答弁されたように、真剣に、しかも誠意のある御答弁を期待しておったのであります。従ってもう一ぺんこの件に対する外務大臣としての御答弁をしていただきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 私は終始誠意をもって答えているつもりでありますが、今の相馬ヶ原の問題に関連して留保されている問題につきましては、今調達庁長官が申しましたように、いろいろ折衝をしております。そのうちすでに解放されたものもあるのであります。私どもの希望としては、これは基地全体の問題にも関連しますけれども、できるだけ解放してもらいたいということは、私は一貫しております。私だけではなしに、おそらく日本国民の希望であろうと思います。必要やむを得ないものは指定しなければならぬことは言うを待ちません。しかしそれが果して必要であるかどうかということを十分に検討するということは、私はやはりできればこれはみな解放してもらうということを念願して、いろいろ研究もし、折衝もするのであって、これは決してその場限りのいいかげんのことを言っているわけではないので、その考え方はやはりわが方の一貫している考え方だと思います。しかしいずれにしても、こういう岡崎・ラスク協定というような形において継続使用されているという状態は、これはできるだけ早くなくして、必要やむを得ないものは米軍において使用するものを指定し、またできるだけ多くのものを米国をして解放せしめるというのが、われわれとしてとらなければならぬ道であると思います。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 先ほど岸さんもお触れになりましたが、岡崎・ラスク交換文書による使用の効力は、私どももこれを認めるにやぶさかではございません。しかし行政協定第二条第一項による指定のない地域における、いろいろな事犯というものは、これは行政協定の規定に基く刑事特別法が当然効力を有しないものと考えます。従って具体的に今度の事犯をとってみますならば、私どもは残念ながらこの事案の勃発当時に承知していなかったので、公務上か、公務外か、あるいは裁判権の日本にあるなしについて論争いたしましたが、行政協定第二条第一項による指定のない地域ということがはっきりして参りますと、これは公務上であろうとなかろうと、この地域におけるアメリカ軍の事犯というものは、当然日本において処置すべきものだと私は解釈しております。もう少しくだいて申しますと、この件に対して法務省は、私と同じ見解をとっているやに伺います。外務当局は反対にいわゆる岡崎・ラスク交換文書による地域であるけれども、やはり行政協定に基く刑事特別法の適用を受けるという見解をとっているやに聞いておりますが、これは明らかに閣内の意見の不統一であげます。私は少くとも今度の事犯は、当然日本において裁判権はもちろん、あらゆる取扱いの点が日本側にあると確信をいたしますが、外務大臣岸さんは、この件をどのように御承知でありますか。これはもうイエスかノーでいいですから、はっきり御答弁をお願い申し上げます。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 刑事特別法の適用の問題になりますれば、これは純然たる法律問題でありますから、法務大臣からお答えすることにいたします。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 条約適用の問題でございますから、今度の直接事犯の裁判権が日本にあるかないかは別といたしまして、これは条約上の解釈でありますから、一応基本的なことは外務大臣も当然御答弁なさる責務があると思います。今度の事犯に対することについては後ほど中村法務大臣にお尋ねする予定でありますけれども、いわゆる相馬ヶ原演習場内における取扱いが行政協定の規定によってなすものかなさぬものか、これに対する答弁は、やはり外務大臣に要求いたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 行政協定の上から申しますと、それで規定しているところと岡崎・ラスク協定と区別すべきものではないと思っております。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 ただいま声が少し聞こえなかったのですが、岡崎・ラスク協定であっても行政協定の規定した地域と同じであるという御答弁であったのでございますか。——そうしますと何のために行政協定が締結されたのか、もし岡崎・ラスク交換文書によって当然行政協定の効力があるならば、あの当時相当問題になりましたように、行政協定は国会の承認を経ておりません。国会の承認も経ないような、いわゆる国民の前に目を覆うような協定、まるで内緒事のようにして作った行政協定、それほど無理押しして作った協定であります。もしこの事案が行政協定の適用を受けるならば、何も岡崎・ラスク会談もやる必要はないし、また行政協定も作る必要はないと私は思う。行政協定の第二条第一項において、規定するということが明記してある以上は、私はこの行政協定の第二条第一項に規定しない地域は、行政協定によるあらゆる効力を発揮しないと思うのです。それを岸外務大臣はどのような根拠において、いわゆる岡崎・ラスク協定が行政協定と同じであるという確信をお持ちになるのか、その根拠をお示し願いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 行政協定は国会の批准を経ておらないことは御指摘の通りであります。同時に岡崎・ラスクの間に交換文書によって約束されたことも、両国の間の一つの話し合いでありまして、この岡崎・ラスク協定ができ上ったことは、やはり行政協定の一種の附属的なものとみるべきものだと私は考えております。従って先ほど来いろいろ議論がございまして、相当長い期間を経ておりますけれども、一種の経過的な措置であって、これが究極にきまる時期はあるのでありますけれども、その間において岡崎・ラスク交換文書できめておる場所につきましては、やはり行政協定の一部として考えて差しつかえない、またそう考えるべきものである、こう思っております。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 私はまことに不可解な御答弁だと思う。行政協定も岡崎・ラスクの交換文書も、ともに国会の承認を受けていないから同じだという御答弁のようであります。行政協定は、いわゆる日米安保条約の第三条によって生まれてきたのでありますが、これがあくまでも主であります。それでその第二条第一項で規定するのが当然であります。その規定ができないところに問題がある。できないからそれを補うために使用ということだけを中心に岡崎・ラスク協定はできておる。これはちゃんとはっきりしておる。そうしますと使用することだけは認めるけれども、それがそのまま行政協定のすべての規定を押し進めるならば、何も保留したり、いわゆる準備作業班が生まれ、日米合同委員会が生まれて、これをあらためて第二条第一項の規定によって規定する必要はなかろうと思う。そうした以上は、岡崎・ラスク協定というものは、日米行政協定のらち外であって、あくまでも区分されたものであって、従って日米行政協定のあらゆる条項は、適用できないと解釈するのが当然だと私は思う。重ねて御答弁を願いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 この点は先ほども申しましたように、保留した地域におきましては、行政協定を締結し、規定する当時にまだ未解決の問題が残っておりまして、従って区域等をはっきりときめることの困難のあるものが保留になっておるわけであります。しかしそれに対してはこれを確定する方法をきめておりまして、その方法によってこれはきめる。きめた場合には当然この中に入ってくるのでありますが、そのきめるまでの暫定的な処置として、継続してその地域を使用せしむる以上は、やはりその使用から生ずるいろんな関係は、行政協定の今の岡崎・ラスク協定というものが形式的に申しましても——批准の問題を私が言いましたのは、もしも批准しておるということになると、批准しないもので批准しておるものの一部であるということは、非常に形式的な効力の問題もありましょう。しかし形式的な効力としては、今申したように差しつかえないのであって、しかも内容的に言えば行政協定の内容をその当時決定することのできない事情があったために、やはりこういう暫定的な処置をとったわけであって内容としては私は行政協定の一部である、こう解釈することが適当であると思っております。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 中村法務大臣にお尋ねいたします。井本刑事局長の見解は私は直接に聞いておりませんが、私の部屋である人の電話を聞いたのであります。これに対して明らかに井本刑事局長は、この案件に対しては行政協定の特別刑事法は適用できないと御答弁をなさっておられるのですが、中村法務大臣のこれに対する見解を一つ明確に御説明願いたい。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 これは結論的には外務大臣が申したことと同一なことになるのでありますが、ただ私は各条文を今の御質問に応じて参照して検討しておったのですが、外交文書はもちろん外務省が解釈するのが一番適切だと思いますけれども、私の見るところによりますと、この行政協定ができました日と岡崎・ラスク会談の交換文書の日とは同時でございます。すなわち一九五二年二月二十八日であります。そこでこの行政協定の文書を見ますと、第二条にこう書いてあります。「この協定の効力発生の日までになお両政府が合意に達していないときは、この協定の第二十六条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。」ですから同日になぜ交換文書をやったかといいますと、おそらくこの行政協定の日までになお両国政府の合意に達しないものということでありまして、この日に合意に達したものはもう合同委員会であらためてやらなくてもいい建前になっておると思うのです。というのは、大きく分析して大ざっぱにいいますと、こういうことになると思うのです。占領中にアメリカ軍は日本の軍事基地あるいはこういう演習場を各所使用しておりまして、これに対して一九五二年二月二十八日に一括して網をかけたのだと思うのです。そしてこの岡崎・ラスク交換公文というのは占領中に使っておったものは継続して使用を承諾するという意味の交換公文でありますから、その日に一括して網をかけておいて、なお両国で検討して解除をすべきもの、継続使用をすべきもの、こう仕分けをしていこうというような、今私条文を参照して判断しまして、おそらくそういう見解に立っておったと思うのです。そこで今調達庁から御説明のように、五十一ヵ所のうち十二ヵ所は解除になった、それから二十ヵ所は指定になった、二十三ヵ所が残りになって保留になっておるというのですが、この保留とは何ぞやということになりますが、この二十三ヵ所については、おそらく地区的にこの部分を解除してくれとか、あるいはしないとか、あるいは全体をどうするとかいう疑問なり懸案がそこにありまして、この二十三ヵ所は最終決定を保留しておるという形になっておるので、従って指定したものと解除したものと保留してあるものと三種類に分れておるものだと思うのです。従ってその保留とは何ぞやということになりますと、一九五二年二月二十八日に、占領中使用しておったところを、この岡崎・ラスク交換公文で両国政府の意見一致ということで一括して網をかけてしまった、こういう形になっておりますから、今外務大臣がお答え申し上げましたように、その後行政協定で指定をしたところと、それから正式に指定をしないが保留してあるところとは、行政協定に基く地域及び施設の使用としては同一本質を持っておるものと判断をするのが正しいと私は思うのです。ただそこで問題は、刑事特別法第二条の、立ち入った者は処罰をするぞという規定を刑事政策上適用するかどうか、こういうことになります。この場合に、私は本質論としては適用してもよろしいのだと思いますが、刑罰法規というのは罪刑法定主義をとっているわが国におきましては、やはり厳格に解釈をして、できるだけ縮小解釈をするのが罪刑法定主義の精神であると思いますから、従ってこの相馬ヶ原のような保留になっておる、その中間の色に塗られておるところは、立ち入っても立ち入った人間をつかまえて行政協定に基く刑事特別法の第二条を適用して、この地域に入った者を刑罰に処するぞという刑罰権の行使は差し控えた方がいいんじゃないか、慎重を期することが検察当局としての刑罰法規運用上の正しい行き方ではないだろうか、こう実は考えておる次第でございます。おそらく井本刑事局長もそういう精神において、この地域に立ち入ったら処罰するぞという刑事特別法第二条の適用からはずすべきものだろうと言われたのだろうと思います。なお私ども非常に重要な法律関係の点でございますから、引き続き専門家とも打ち合せをいたしまして、この点は明確にいたしたい、かように考えております。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 中村法務大臣は法務大臣になられて日も浅いし、私も法律にはしろうとでありますが、法務大臣もそう詳しくはないと思いますから、これ以上責めません。しかしこういった重大な案件を、答弁に参られたその席で条文を比較参照してごらんになるというのでは、これは不勉強もまことにはなはだしいと思う。この案件が起ってからずいぶん日がたちますから、こういうものは政府で十二分に検討して、政府の態度がちゃんと明白に出ておるのが当然であります。今あなたの御答弁を聞いておると、まことにひねくりまわして答弁をなさっています。私は承服できません。けれども今ここであなたにこれ以上幾ら申しても答弁の内容は大体わかっておりますからくどく聞きません。一つ早急に御研究なさって、あと長く尾を引くのでありますから、何か検察庁の態度もややきまりつつあるわけでありますが、これは最後まで関連して参ります。  同僚の諸君が質問を待っておりますから私は終りますが、最後に岸さんに、これは一つ総理大臣代理として御答弁願いたいと思いますが、群馬県の警察本部では米兵を殺人で起訴すると発表しております。これはまだ公式発表ではございませんが、刑事部長その他の新聞あるいはラジオ報道者に対する説明は、終始一貫殺人で送検をするということを言っておりました。従って朝日、毎日、読売あるいはNHK等一部の新聞においては、すでに殺人による送検ということを書いたところもございます。少くともNHKとかあるいは朝日、毎日、読売、産経その他の大新聞が、少くともこの重大な案件に対して、一つの重大な内容を書く場合には、これは想像やあるいは単なるうわさではいたしません。やはり責任者がはっきりそういったことを意思表示したところにこのことが起ったと私は思う。ところが不思議なことには、その日のお昼前に自民党の調査団が参りました。これは床次徳二君が団長であったと思います。現地の福田君、中曽根君、その他もおったのでありますが、その諸君がお昼前に警察の首脳部と秘密会談を行なっております。これは新聞記者も全部締め出して秘密会談を行いまして、そして秘密会談が終った直後に発表されましたことは傷害致死ということであります。私は自民党の調査団の示唆によって変ったのかあるいはまた何らかほかのことによって変ったのか知るよしもございませんけれども、少くとも自民党の調査団、しかも石橋内閣総理大臣の香奠までも持って参りましたこの自民党の公式調査団と、群馬県の警察本部の首脳部とが秘密会談をした直後になって、それまで殺人として送検するということを発表しておったその事態が急変して、傷害致死ということで送検をされる、こういう事態に直面しましてまことに残念に思いますことは、これが自民党の諸君の示唆によって変ったのなら大きな問題であるし、また一歩翻って先ほど指摘しましたように、アメリカの示唆によってこういうことが変ったとしますならば、私はやはり岸外務大臣、あるいは石橋内閣の施政方針にある自主独立外交を根底からくつがえすものであると思うのであります。どちらにいたしましても、私は、事はなかなか容易ならぬものであると思うのでありますが、この点に対する岸総理大臣臨時代理の御見解を承わって私の最後の質問としたいのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 私は、どういう事情でそうなったか、またそう変更されたかどうかのことは、一切承知いたしておりませんが、いずれにしましてもこれは検察当局が事実の捜査に基いて、その確信によって送検するものであって、これは私どもが示唆したりあるいは他の勢力によって影響を受けてやるものではありません。これこそ日本の自主独立ではなくして、検察当局が自主独立の判断を下してきめるべきものだと思います。

中村梅吉自由民主党法務大臣

○中村国務大臣 私は誤解を生ずるといけませんから、私の所信を申し上げておきますが、とにかく事件は死んだ人があり、殺した人間が明確になったのでありますから、捜査をする者としては、一応殺人容疑として調べるのが至当ではないかと思います。殺人であると捜査当局が発表したかどうかは知りません。そういうことは確信をつかまないうちに発表すべき事項でございませんから、もしそういうことが世間に流布されたとするならば、それはおそらく捜査当局の県警察部が発表したことではないと思うのでありますが、いずれにいたしましても捜査に当る者としては、死んだ人があり殺した者がある以上は、一応殺人容疑として捜査を進めるのが当然であろうと思うのです。しかしながら捜査の結果、殺人にはおのずから殺意というものがなければなりませんし、また殺人をするのには常に、国内法における一般殺人罪にいたしましても、人を殺すということは重大なことでございますから、その動機というものが非常に重きをなすのでありまして、動機不十分の者は、どうも殺す気で殺したのだと思われる場合でありましても、判決の結果も傷害致死ということになっている事実もたくさんございますしいたしますので、おそらく県警察当局が検察庁に送検をするときに傷害致死という送検をしましたのは、そういうような点を十分に検討の結果、その結論を得たものと思うのであります。ただしかしながら検察当局としましては、県警察部がこういう結論を出したからというので、まるのみ込みにすべきでありません。引き続きその後前橋地検を中心に検察当局は慎重な捜査を続行中でございまして、慎重にして適切な結論を出したい、かように進めておるような次第でございます。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保委員 最後に一つ、岸総理大臣代理、中村法務大臣に御要望を申し上げます。冒頭にも申し上げましたが、この事案は簡単なようで根の深いものであります。どうか一つ全国民の納得するような結論をお出しになるように御努力を願うし、また誠意ある御処置を願わなくちゃならぬと思います。後ほどまた小滝調達庁担当国務大臣には、賠償その他の点について御質問申し上げますが、本日は両大臣に対する質問を以上で終る次第であります。

相川勝六自由民主党

○相川委員長 石橋政嗣君。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 岸内閣総理大臣代理に御質問を申し上げます。時間も限られておるようでございますので、二つの問題に限ってお尋ねをいたしたいと思います。  その一つは、先ほど茜ケ久保委員からお話がございましたように、石橋内閣発足以来自主外交ということを高らかに掲げておられます。対米関係の調整というようなこともあわせて言われておるわけでございます。これには私どもも大いに期待をいたしておったわけでございますが、今度の原子力機動部隊の配置問題というものに関連をいたしまして、一応政府が明快な態度を表明せられたことには私敬意を表したいと思います。岸総理代理は、絶対に米軍が日本に原子爆弾や原子兵器を持ち込むことをお断わりする、沖繩に持ち込むことについても相談があれば断わる。第七艦隊が来ておるということも否定されておられました。こういう一連の御答弁に私満足をするわけでございます。しかしながら先ほど小滝長官に質問をいたしておりますときに、どうも将来の問題で不安を一掃することができなかったのであります。御承知の通り、世界におきまして直接原子爆弾の被害を受けておるのはわれわれ日本民族だけであります。それだけにこの問題には非常に大きな関心と不安を持っておるのが国民の姿なんです。それにこたえて明快な態度を示されたわけでございますが、これはさしあたって国民感情をおもんぱかってそういうように政府が決定したものか、私どもはそうは思いたくない。少くともこの日本の国土の中に、あるいは近接する地域の日本の主権の及ぶところにこういう物騒千万なものを持ってきてもらっては困るということは、われわれの悲願であり、国民の悲願であります。その悲願にこたえるために政府がそういう明快な態度をとるのだ、このように思いたいわけなんです。ところが現在は確かに持ってきては困るという態度をとっておるけれども、未来のことについてはわからぬということでは、私は不安を一掃することはできないと思います。この点について岸総理代理は一体どのような考えをもってあのような明快な態度を持たれたのか。未来永劫われわれは国民の不安を除くためにこの態度を堅持するのだというようなお考えの上に立っておられるのかどうか。この点を最初に御答弁を願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 原子爆弾の問題につきましては、これは今もお話がありました通り、私は、日本が二回にわたってこれの悲しむべき体験をしておるということからかんがみまして、あらゆる機会にこれの使用禁止なり、あるいは実験中止ということを強く要望し、それぞれの国にもこれを強く申し入れをしておるわけでありまして、あらゆる機会にこういう国際的の世論を作り上げようと考えております。これは国民の強い熱望であり、また国民の意思がそこに強くあるということを私どもは考えるのであります。国会におきましても数回それの決議も出ております。こういうことでありますから、政府としましてはこれらの国民の意思を代表して、これを実現するということに努力すべきことは当然でありまして、その意味におきましてそういうことについてのアメリカ側からの相談を受けるならば、日本の主権の及ぶ範囲内におきましては、われわれははっきりとこれを断わるということは、今日の状況がそうだというのじゃなしに、将来にわたっても同じような私は国民の意思であると思いますので、そういうことはお断わりする、こういう考えであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 その御答弁で納得がいきました。ただいろいろとそういう態度を堅持していきます場合に、矛盾を生じてきやしないかという一縷の危惧を持っておるわけであります。私どもは日本の国土に米軍の基地を設けるからそういう矛盾が出てくるのだ、このように思っております。少くとも米軍が日本の国内に存在しなければ、この原子兵器についての見解も、今表明されましたような態度で一貫していかれるのじゃないかと思いますけれども、しかし米軍が日本の国内におり、共同して防衛の態勢をとるという態度を堅持していきます限り、この態度との間に矛盾が出てくると思う。それはどういうことかと申しますると、日本に対しまして原子兵器による攻撃が加えられてくる、こういう場合であります。そういった場合にどうするかという私の質問に答えて、かつて鳩山総理、船田長官も、そういう場合は日本の自衛隊では手に負えないから、それこそ米軍にその点はカバーしてもらうのだ、こういうお話でございましたし、先ほど小滝長官も同様な答弁をなさっておられるわけです。そういたしますと、外国から原子兵器による攻撃を受けた場合、アメリカに何とかしてくれということであれば、アメリカは当然これに対処するに原子兵器をもってするだろう。現にアメリカのいわゆるニュー・ルック政策、今回のは第二次といわれておりますが、このニュー・ルック政策によりましても、すべてが原子兵器の装備というものに重点が置かれておる。またアメリカにいたしましてもソ連にいたしましても、事ごとに、局地戦争において戦術的にもこの原子兵器を使用するかのごとく、どうかつであろうと何であろうと、再三言明しておる。そううい時期におきまして、かりに日本に対して原子兵器の攻撃があったとするならば、アメリカもこれに対応するに原子兵器をもってするだろう、私はこう考える。そこであなた方がお断わりするというときにも必ず言ってくると思う。それではお前たちは守ってくれ、おれたちも一緒に守ろう、もし敵が原子兵器をもって向ってきたときにはお手あげするのか、われわれは当然この原子兵器をもって対処せなければならぬが、日本に持ってきてもらっては困る、沖繩にも持ってきてもらっては困る、第七艦隊にも装備しては困るというようなことであれば、対処できないが、どうだというようなことを詰問的に持ってくるだろう。私はここから矛盾が発生してきやしないかと思う。当然そういうことになるからこそ、われわれは米軍の駐留は一日も早く断わるべきだ、そうしなければこの矛盾は解決できないと思うのでございますが、石橋内閣の立場においてこの矛盾をいかように解決されるつもりであるか、お答えを願いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 一体世界の将来において原子戦争があるかないかという問題、またこれをわれわれはあらゆる角度からとめなければいかぬというわれわれの努力なり、世界のそういう世論をだんだん巻き起してこれをやめなければいかぬ。私は本来人類の全体の幸福の上からいいまして、戦争そのものに反対であるばかりでなく、特に原子戦争というものが勃発するならば人類の滅亡を意味するものである、いかなることがあってもこれはわれわれは防止しなければいかぬ、こう根本において考えております。しかし現実の問題から見ますと、相対しておるところの二つの大国が、原子兵器の研究をどんどん進めており、また原爆の実験等も行なっておるというこの国際情勢のもとにあって、いかにして日本の究極の安全を保障するかという問題は、非常な重大な問題であると思うのです。今後の日本に対して加えられる侵害がどういう形で来て、どういうふうにこれに処置すべきかということは、いろいろな点からその方の専門家において真剣に研究されなければならない問題でありますが、いろいろなことを仮定してあらゆる場合に対しての回答を求めるということは、実は非常に困難である。従って具体的の問題についてはいろいろな見解もあろうかと思いますが、要は日本の安全を保障するために、また世界の人類の福祉のために、原子戦争をなくするという方向にあらゆる努力を集中すべきものである、こう思っております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それでは一応第一点の質問を終りまして、次の質問に移りたいと思います。これもやはり日本の自主性という問題に関連があるわけでございます。誘導弾その他の兵器の問題について、一昨日来私質問をいたしておるわけでございますが、その中でいろいろと御答弁を願った中でも、現在の憲法第九条の制約を受けて、兵器などを所持する場合でもおのずから制限があるということを、明確に小滝長官は申しておられます。ところが私どもは根本的に自衛隊そのものも現行憲法では持つことができない、自衛隊違憲論を持っておるわけでございますが、一応その点は伺いますまい。とにかく制限があることをお認めになっておられますが、この点については同様の見解を持っておられるかどうか。それから石橋内閣といたしまして、憲法に対する態度というものがいまだ明確になっておらないわけでございますけれども、第九条の関連の上からも憲法を改正しなければならぬという立場をとるつもりでおられるのかどうか。それから先日アメリカの対外援助調査団長のフェアレス氏一行がやってきましたときに、総理大臣代理その他小滝長官あたりもお会いになっておるようでございます。そのときに、一体憲法改正はいつごろできるのかというようなことを彼が言っておる。これに対して小滝長官は答弁をしておる。私はフェアレス氏というのは私人でないと考えておる。これは対外援助に関係して調査をして、その結果に基いて大統領に勧告する、責任ある権能を持った公人であると考えておる。そういうアメリカの責任ある機関の代表者が、日本の大臣に対して、憲法改正はいつやるのか、こういう問いを発すること自体が不見識だと思いますし、これに対してとやかく答弁されることも不見識に過ぎはしないか。昨年の六月でしたか、参議院選挙のさなかにおきまして、下院の委員会においてやはり日本の憲法改正論議がなされておる。ロバートソン国務次官補の放言が非常に国民の感情を刺激したことは、御記憶に新ただと思う。こういう点でアメリカの政府、こういった要人が一体日本をどういうように見ておるかという点で、まことに私は不満でございます。石橋内閣は自主性を大いに発揮されると言っておられるけれども、現実にこういう態度で臨んできておられる。それに対して反駁することなく、便々と説明するような態度はどうも納得ができません。これは一種の内政干渉だと思いますが、そうお思いにならないかどうか、この点をあわせて御答弁を願いたいと思います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 ただいまのお話は、私直接関係があることでございますので、私からまず事実を申し上げます。こういうことは私が実は新聞社に対しても申したことであります。というのは、フェアレス氏が問うたわけでも何でもございません。ここに列席した者もおりますが、お前はいつ選挙に出たかというような話のあとで、実は昨年の選挙に出た。そのときには憲法の問題が問題になったそうだがと言うので、一応の話が済んだあとの茶話に出たことで、私は率直に、それはなるべく自衛隊あるいは防衛庁が新聞の諸君からも協力を得て、あまりものを包み隠すようなことなしに行こうという私の就任以来の方針もありますので、こういう話も出たということを申したのでございまして、これは決して公式にフェアレス氏との話し合いの間に出たのではなくて、一応話が済んだあとで、私個人の問題が出たときに、憲法改正の問題が問題になったというので、それでは一体いつだろうかというようなことで、そのときに、われわれは参議院においては三分の二をとれなかったのだというような説明をしたのでありまして、決して公式の話し合いに出たわけではございませんので、この点はその事実に基いてお考えを願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 日本の自衛力の増強につきましては、私ども今度の予算の方針において明らかにしておるように、われわれは量よりも質に重きを置いて漸増主義をとりたいということを言っております。この意味から申しますと、当然われわれは、ただ自衛隊の隊員の数をふやすということよりも、むしろ装備であるとか、その背後におけるところの軍需生産の確立の問題であるとか、防衛政策の問題であるとか、いろいろなことが問題になると思います。御承知のように、最近の防衛におきましては科学的な非常な進歩がございますので、こういう新しい科学的の進歩についても十分研究をし、またこれに対応する処置を考えていかなければならないことは言うを待たないのであります。こういう意味におきまして、いろいろな新しい兵器等の研究もいたしますが、言うまでもなく日本がこの自衛隊を持っておるのはあくまでも日本の自衛が目的でございまして、自衛という範囲を出ない性質上、自然その持つ武器につきましても一つの制限が出てくるだろう、これは当然のことであると思っております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 もう一つ御質問いたしたわけですが、憲法改正についての態度というものを明確に御説明願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○岸国務大臣 石橋内閣も自由民主党の内閣でございまして、自由民主党としては憲法改正をしたいという考えを持っておりますし、これを表示しております。従いましてその考えをやはり石橋内閣としても持っておるわけでございます。ただ憲法調査会法というものがすでに二十四国会で成立をいたしまして、まだそれの実際の組織ができ上っておりません。これは必ずしも改正するということを前提として作られたものでないことは御承知の通りでありますが、やはりわれわれは改正を目途としておりますが、その改正の可否、また改正するとすればどういう点だということについては、広く有識者の意見を聞いて結論を出すべきだ、こういうふうに思っております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 憲法改正の問題は非常に大切なわけです。昨年の参議院選挙におきまして、憲法改正是か否かという大きな旗じるしを掲げて両党相まみえた、その結果三分の一の革新勢力の進出によってこれが阻止されておる。これはやはり国民が憲法を現在において改正すべきではないということを選挙で表明したものと私どもは考えておるわけであります。そういう国民の意思を尊重するということ、それから岸総理代理もしょっちゅう言われておりますが、国会の運営を円満にやる、そういう面からいきましても、両党が共通の広場を持つ、そういうことでなくてはならぬ。その共通の広場になるものは何かといえば、やはり一番大きな中心になるものは現行日本国憲法である。そういう面におきまして共通の広場を持つ、国会の運営を円満にやるという意味からも、この憲法は大切にするという精神が根本になければならぬ、このようにも考えております。この二つの面から軽々に、ただまっしぐらに憲法を改正しなければならぬといったような態度で進まないように要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。

相川勝六自由民主党

○相川委員長 淡谷悠藏君。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 自衛隊は憲法違反ではないかといった疑いを持たれながらも、もうすでに二十万に達しようとしておる今日、特に先日来各委員からいろいろと究明されておりますように、原子兵器さえ持つのではないか。こんな強力な武器を持った自衛隊が政治的な活動をやりまして、かつての二・二六や五・一五のような極端な行動に出るならば、まさに新しい日本の政治の敵である。これは先ほど稻村委員から重々言われた点であります。私はこれについて具体的に自衛隊が政治活動をしております実態を申し上げまして、小滝長官の慎重な御考慮を促すと同時に率直な御意見を伺いたいと思います。  事は青森県下に起ったことでございまして、一月の二十五日に行われました同県下北郡の大湊の町長選挙に関してであります。大湊には大湊自衛隊基地がございまして、選挙の当日に警防隊司令の梅津修という二佐が部下の隊員百五十名を集めて、今度町長選挙に立候補しておる二人の候補者のうち浜谷一梅という候補の名をはっきりあげまして、この男は左翼系であり、共産党員であるから、十分に注意してよく考えて投票せよといって、暗に反対候補の佐々木由吉という前町長でございますが、この候補を支援するような言動を漏らしたのであります。当日は列を作って一種のデモンストレーションを行いながら投票場におもむいたということが報ぜられております。その結果浜谷候補は六十一票の僅少の差でこの選挙では敗れております。このことが町民の知るところとなり、また隊の内部でも非常な反対、混乱が起りまして、田名部警察署の耳にも入り、悪質な選挙違反ではないかというので、すでに捜査が始まっております。初め自衛隊の内部ではそういう事実がないということではっきり否定しておりましたが、次第に前言を翻しまして、ただいまでは上層幹部が二尉、三尉の士官級を通じてほとんど全隊内的にこの投票を強制した疑いがはっきりして参ったのであります。しかも当の梅津修司令も、自分は総監部から指令をもらって、その指令に基いて浜谷一梅候補は左翼系の男だと部下の補給長小岩協という三等海尉に話をした。その小岩三尉は、確かに司令の説明で浜谷氏は左翼系であるからといって隊員に話して、そして投票におもむかした、こういうことを言っておるのであります。しかも総監部の当局は、隊員は選挙の候補者の予備知識が全くないので、参考までに浜谷候補を左翼とし、佐々木候補を保守としてその経歴を説明したということをはっきり言っておる。これに対して選挙管理委員会は、二人ながら無所属の候補者で、保守であるとか左翼であるとかは答えていない、こうはっきりこの事実の誤まりを指摘しておるのであります。しかもその司令から出ました訓示が末端に至りましては、浜谷候補には絶対に投票してはならない、佐々木候補は自衛隊を誘致した当時の町長であるから、この男を落選させてはならないといったような非常に露骨な選挙運動になって、家族全体にまで広がっていった傾向が明らかなのであります。現在では選挙管理委員会にこの選挙の無効が提訴されてあり、同時に警察署等でも捜査を始めまして、大きな波紋を描いておりますが、長官は一体こういう事実をこれまでお聞きになったかどうかはっきり御答弁を願いたいと思います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 そのような事実の報告は受けております。私といたしましては、先ほど稻村さんにも申し上げましたように、いやしくも自衛隊員が政治活動をするというようなことがあってはならない、そういう点については十分注意し、もしそういう事実があったならば厳重にそれを処置しなければならない、こういうように考えておるのであります。ただしかしただいま御指摘の案件に関しまして、私どもの調査いたしましたところは、いささか淡谷さんのおっしゃるのと異なっております。ただしかしこの大湊の選挙の際に自衛隊の方でも多少慎重を欠いたような行動があったのではないか、私は自衛隊の関係であるから無理弁護するという気持で申すのではございませんが、また詳細は必要に応じまして人事局長から説明いたさせますが、何分にも他地方から来た人も相当隊内におりますので、定例の会合の際に、今度の選挙にはこういう二人の候補が出るということを説明いたしたようでございます。その際に、今御指摘の通り、正式には無所属だったのだそうでありますが、当時東奥日報社というのですか、これなんかの記事に一方は保守系、一方は革新系というようなことが出ておったのを見まして、それが正しい報道かと考えてそのことが話の間に出たようでございます。今のこういう町長なんかの選挙におきましては、選挙公報を発行するということは随意であって義務的になっておりません。他地方から参りました隊員が、一体今度はどういう候補が出ているか、どういう経歴の人かわからないで困っているからその点を知らせるという、その考え方としては決して政治に干渉するとかいうような気持ではなかったのでありまして、この司令部において話し合いをいたしました際も、投票に当っては各人が自由意思で行わなければならないというような点も十分注意いたしているようでございますから、こういうような誤解を受けたのははなはだ遺憾でありますけれども、当事者の考え方としては、あるいは末端へいってそれが誤解されたかもしれませんが、非常に意識的に政治の問題についてある特定の方向へ隊員を引っぱっていこうというような点から出たものではないことは御了承願いたいと思います。なお、いさいにつきましては人事局長から説明いたさせます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 上層の幹部が公平でやったつもりのいろいろの訓辞でも、階級性が非常にきびしい自衛隊の中では案外な効果を上げることは各地に例を見ます。これは単に青森県だけの事例ではございません。北海道の真駒内、千歳等には約二万五千人ほど自衛隊がおりますが、この人たちの選挙は自衛隊の隊内で投票が行われた。しかもこの隊内の投票所に管理人、立会人として臨みますのは幹部であり、かつての将校である。しかも職業軍人が多い。そういう人たちが管理人になり立会人になって、投票する隊員が不動の姿勢をとって挙手の礼を施して、それから投票するという段取りになっておりますが、こうなりましたら、それはその個人の持っておりまするふだんの訓辞の形があるいは町のうわさと称して流されることがあり、非常に強い心理的な影響を与えると思いますが、この事件でもあるいは今回の大湊の事件でも何気なしにやっていると申しておりまするが、その点非常に軽率であり、かつ遺憾な結果をもたらしたということはお認めになりますかどうかお伺いいたします。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 先ほど申しましたように、もし末端において誤解が出て、そういう影響を与えるような点があったらばなはだ遺憾であると存じます。しかしこれは取り調べられているようでありますから、それに応じまして必要の際には適正なる措置をいたしたいと思うのであります。なお真駒内あたりのことも実は私就任早々でありまして、詳細は存じませんけれども、そういうやり方でいたしましたならば、御指摘のように、私ども選挙に出た者はよく承知している通り、あるいは間違った考え方をする者があるかもしれませんから、よく庁内でも調査いたしまして、そういうやり方につきましては改正する必要があるところは大いに改正して、そういうことのないようにいたさせたいと考えております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 今の事例が単なる偶然でないということは、豊平町におきましても近く町長の選挙が行われます場合に、町長から自衛隊の宿舎費として六十万円を献金してこれが採納されている。選挙を前にして自衛隊に六十万円の献金をしてそれが採納されるということは、これが何を意味するかということは明瞭だと思う。私は防衛庁は北海道の町長から六十万円の献金を受けなければ宿舎費が取れないというほど困難な予算を組んでいるとは思っておりません。こういう事実は知っておられるかどうかお伺いしたい。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 そういう事実は承知しておりませんが、もしかりにそういう寄付を受けるということがあればあるいは共済団体であったかもしれませんが、そういう点は今承わりましたのでさっそく調査をいたしたいと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは早急にお調べを願いたいと思いますが、たとい共済会であろうが何であろうが、選挙直前の町長からお金をもらったならば、これは何を意味するかはっきりするだろうと思う。それも偶然であるとは私は言わせません。特に大湊等の事例につきましては、私も現地で十分調べて参りました。しかもこの現地の自衛隊の幹部諸君がすでにこの事実をはっきり認めている。証人に立つ人もあります。しかし隊内で証人に立ったならばおそらく首になるだろう、長官が身分保障してくれるならば、私は喜んで国会の証人でも何でも立ちます、ということを隊内から言ってきている。名前もはっきりしております。ふだんからこの町は非常に政争の激しい町で、今田名部町との間に合併問題も起っておりまして、合併賛成派、合併反対派がしのぎを削って争っている。そういう場合に軽々しい上司の訓示なり態度なりがこの隊内に意外な波紋を起しまして、はっきり特定の候補を支持するような形になったならば、意識するとせざるとにかかわらず明らかにこれは選挙妨害であり、公務員法に対する違反であり、一つの犯罪行為を構成すると思いますが、その点に対する御所感はいかがでございますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 先ほどから申し上げております通り、そういうことのないように必要な事前の措置もとらなければなりませんし、またそういう事犯がありとすれば、十分厳重に調査して適切な措置を講じたいと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 ところが末端の幹部は長官のように明確な意識を持っていない。この問題が盛んに新聞紙上に現われまして追究された場合に、海上自衛隊の大湊の総監部太田原総務課長がどういう言葉で弁明しているかと申しますと、うちの自衛隊では転勤で交代する隊員がかなりいるので町の事情をよく知らない者が多い、今回の選挙で幹部会議を開いて、候補者の経歴や支持政党を隊員に流すことになり、浜谷氏の場合は町でうわさが左翼となっていたので、この旨を伝えた。幹部会議を開いて経歴を流そうというのに、選挙管理委員会がはっきり無所属といっているのを、町にうわさが立ったから浜谷は左翼である、こんなずさんなうわさを流されては隊員の訓練はたまったものではありません。しかし管下の上層幹部に選挙資料を流したことは認めるが、浜谷候補を不利にしようとした意図はない、こんなでたらめなうわさを流しておいて、それが特定の候補者を不利にするものではないといったようなとんでもない考えを持った幹部が上におって、へたに政治関与をやられましたら——これは知らせないのがほんとうだろう。もしほんとうに経歴を流すなら、なぜ選挙管理委員会なりあるいは当の候補者なりに、その履歴や何かを求めなかったか。この大湊の問題は、明らかに自衛隊が佐々木町長を助けるために少数幹部が意識的にやったということを確認して参りました。はっきり申し上げますが、この調査に当りまして、いろいろな人が非常にこの態度を憤慨しまして、私たちがみずから証人に立ってもいいから、この問題は徹底的にやってもらいたいと、くれぐれもいってよこしました。しかも幹部諸君がこのことに対しまして、棄権をしてはならない、この候補者に対してはよく注意をして投票しなさいという言葉をつけることは、明らかに別な方の候補者を支持し、これに応援する意味にとれるのであります。それに対して国家公務員法の第九十八条「職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」第百二条「職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。」と規定されていて、しかも「政治的」という定義としましては「法第百二条第一項の規定する政治的行為とは、次に掲げるものをいう。一 政治的目的のために職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること。」とはっきりいわれている。あるいは「八 政治的目的をもって、第五項第一号に定める選挙、同項第二号に定める国民審査の投票又は同項第八号に定める解散若しくは解職の投票において、投票するように又はしないように勧誘運動をすること。」とありますがどの条項に照らしてみましてもはっきりした違反が行われている。それを一向本人たちは平気で、わからなかったのかわかっておったのか知りませんが、少くとも自衛隊という一つの集団的な、しかも武装した公務員がこういうふうな軽々しい政治行動をするならば、さっき稲村委員が言ったように、日本の将来の政治が、過去の軍部時代の政治、場合によってはクーデターを断行するような政治になるという危険をはらんでおると思っておりますが、その点はいかがですか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 御指摘のような行為があるということは、もしそういう行為がありましたならば非常に危険性がある、その萌芽であるとも解されますから、この点は私も淡谷さんと全く同感であります。これは十分調査いたしまして、本件につきましてもさらに詳しく取り調べまして、ほんとうに政治的目的でやったかどうか、この点は非常に重要なところでありますから、手落ちは手落ちとして、さらにもっと究明いたしまして処置をいたした、と考えております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 最後に一点伺っておきますが、これは一月二十五日に行われた選挙である。しかもこの経歴その他の発表誘導はその日に行われておる。それからもうすでに十七、八日、二十日近くたっておりますので、ほんとうに調べるならば、もうすでに調べがついておると思う。もし人事係官の方でその事実をお調べになっておりましたならば、この席上ではっきりあかしておいてもらいたい。違っておる点は私から申し上げます。

加藤陽三防衛庁参事官(人事局長)

○加藤(陽)政府委員 大体のお話は、ただいま長官がお答えなさいましたと同様でありますが、一月二十五日に行われました大湊の町長選挙におきまして、大湊の地方隊がその前日の一月二十四日の午前に総監部における定例会議——これは特に招集した会議ではありません。定例に開いておる会議の席上——この会議に参集をいたします者は、警防隊司令及び総監部の部課長であります。その席上で明日に迫った選挙の話が出ました。その際に、隊員に棄権をしないように言おうじゃないか。それから自由な意思で投票するように言おうじゃないか。また二人の候補者が出ておられましたけれども、これはいずれも無所属でございました。これは無所属であるけれどもどういう傾向の人であるかということを隊員は聞きたがるであろう。ただ地方選挙でありまして、先ほども長官のお話にありましたように、この場合におきまして選挙に公報が発行されていなかったのであります。そこでいろいろ話が出ました際に、東奥日報等の報ずるところによりますと、佐々木候補は保守系であり、浜谷候補は革新系であるということの話が出たのであります。その会議に集まりました者が、ということをそれぞれの部課及び警防隊に帰りまして、これはいつも定例会議の後には、上で相談しましたことを下に伝えるような仕組みになっておるようであります。だんだん下に行きます際に、そういうような趣旨の話をしておるようであります。ただし今お話になりましたように、私の方で調査したところでは、特に注意してやれというようなことは聞いておりません。ただ二人の候補者がありまして、片方は保守系であり、片方は革新系であるというような話をしておるように私の方は承知をしております。  それから先ほどの投票立会人の件でありますが、私の方は部隊の方から申請がありましたときに、なるべく投票立会人などは部隊の自衛官はしないようにという方針でやっておるのでありますが、町村の方から吏員の数が少いし、自衛隊の隊員の有権者が多いために、ぜひ自衛隊の中に投票所を設けて、自衛隊の方から立会人を選んでくれという強い御希望がありました。こちらの方から積極的に、そういうふうになれということはしておらないのであります。極力ならないようにという指示はしておりますが、町村役場の方から頼まれまして、やむを得ず引き受けたということであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 ただいまの話で、政治的な経歴の非常に強い小滝長官には、もうぴんと来ただろうと思うのです。大体幹部が会議を開いて候補者の経歴を発表する場合に、町のうわさや新聞紙の報道によってのみこれをきめるというのは、選挙においては非常にずさんな危険なことだ。新聞にはそれぞれ色がついております。青森県に発行されております新聞にも、ここに集めてきましたものを見ますと、それぞれ両候補者の経歴については違った報道をしておる。もしも善意に出たとしましても、その資料があやまったならば、その隊員に対する責任をどうとります。私ははっきり調べて参りました。浜谷一梅というものは前に共産党員であった。しかしその地区の責任者である布施祥一という現在の町会議員の共産党員と、共産党員同士が激しく対立しまして、脱党したのが浜谷一梅でありまして、保守系と見られておりますこの佐々木由吉候補を応援しておるのは、現在の共産党のその郡の委員長である布施祥一なんです。前共産党員が左翼であって現在の共産党員に応援されておる町長が左翼じゃない、一体どう判断されますか。そんなずさんなことが上の方から職階制をもって流されたならば、この与える心理的影響というものは明らかに選挙運動です。私はそういうふうに軽々しく、軽率に行われておるところに非常に大きな害毒が流れ、あるいは軽々しく行なったようなふうにしながら上層部がむしろ意識して、全然事情にうとい隊員に一種の暗示を与え、示唆を与えて特定の候補者を選挙で有利にしたということが明らかになるだろうと思います。これは事実をもっと徹底的にお調べになって、こうした事例を全国的に波及させないために、また大きな政治的な失敗を招かないために、小滝長官の断固たる処置を要望いたしまして私は質問を終ります。

相川勝六自由民主党

○相川委員長 受田委員より関連質疑の申し出があります。これを許します。受田君。

受田新吉日本社会党

○受田委員 この問題に関連し、あわせて重大な防衛庁の意思を御確認したい事件がございますので、一言だけお尋ねしたいと思います。  ただいまの事件は自衛隊法の第六十一条に書いてあります政治的行為の制限規定と、自衛隊法施行令八十六条と八十七条に書いてありまする政治的目的の定義と政治的行為の定義とを比較検討いたしますると、重大な違反者であることはきわめて明瞭でございます。ところがかくのごとき明瞭な違反事犯に匹敵するようなものが自衛隊には各所において行われておる。しかも自衛隊の最高幹部の間においても、特定の政党を支持する目的をもって政治的行為を冒すおそれさえある方があるのでございます。それは昨年船田防衛庁長官の場合に、ヘリコプターによる選挙区への選挙運動のごとき例を引きましたけれども、実は二月十一日の紀元節奉祝国民大会と銘を打ったその大会の会長は、保安庁長官であった木村篤太郎氏である。この木村篤太郎氏が軍国調の軍歌高らかに紀元節奉祝大会をやる目的をもって日比谷に多数の人を集めたのでございまするが、あのときに大会次第として会員にばらまかれたビラを見ると、陸海自衛隊の軍楽隊が先頭に立って市中行進をされるという文句が入っておる。実際はその後遠慮してこの実行はやめたようでありまするが、その式次第のビラには明瞭に自衛隊の音楽隊がこれに参加するように書いてあるのでございまして、自衛隊という天下の公器を、特に反動的国民団体としての保安庁長官であった木村篤太郎氏を会長とするこの大会において、協力を要請されるような動きがあったということは、いろいろな方面でこれは確認せざるを得ない。しかも末端においても、防衛庁の傘下にある各地方の自衛隊に対して、地方の反動団体が自衛隊をいろいろな角度で利用しようとしておる。油断をしていると特定の政党の、あるいは特定の団体の政治的目的のために自衛隊が利用されようとする危険が多分にあるのです。こういう問題について自衛隊の最高責任者である防衛庁長官は、いかなる見解を持っておられるか御信念を吐露願いたいのであります。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 私は自衛隊が国民に親しまれるところの自衛隊にならなければならないという信念を持っているのでありまして、就任早々ではありましたけれども、記者会見の際はまず私はPR活動、みんなにわかっていただく活動が一番大事であるということを、陰のことでなしに、ほんとうに皆さんに理解していただいて、支持していただくようにしなければならない。それには自衛隊というものはみずからりっぱな行動をとらなければならない。今まではとかくの問題も出てきたようでありまするが、ぜひこういうことを確立しなければならない。根拠のない宣伝というものは役に立たない。まず身を持することかたくして、そうしてみんなによくわかっていただく努力をしなければならない、こういう考えを披瀝したものでございますが、私のこの信念は今も変っておりません。軍楽隊、この楽隊が向うへ出まするのは、やはり自衛隊が皆さんに親しんでいただく上に役立つと存じまするので、こういう要求があればでき得る限り実際の業務に差しつかえない限り出ていかして、そうして大衆と一緒になるという気持になれば、皆さんにも理解していただけるし、また自衛隊員も皆さんの気持をわかることになりますから、そういう努力は今後も続けていきたいと考えるのであります。ただし今御指摘のような、特定の団体、しかも政治的目的を持ったところに利用されるというようなことになれば、せっかくよく皆様から親しまれ、理解していただこうとする努力が、かえって逆になるわけでありまするから、そういう悪い影響の出ることのないようにいたしたい。そのためには今木村さんがビラがまかれたというような話がありましたが、そういうふうなところにかかわるというと、かえって誤解を受けるかもしれないという考えもあって、これはとめたのでありまするが、しかし大体何も特定の団体でなくて、受田さんのところからでも御要求がありますれば、できるだけ出動させるようにいたしたい、かように考えております。

受田新吉日本社会党

○受田委員 はなはだ寛大なお気持を披瀝していただいて、まことに感銘深いものがあるのでありまするが、しかし自衛隊が私が主催するその特定の政党の政治目的のためにある行為をしようという場合に、自衛隊のバンドを差し向けていただけますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 私の申し上げました言葉の中にも出たはずでありまするが、特定の政治目的のために利用されるようなことでは困る。しかしできるだけ大衆に接する、そういう特定な政治目的に関与したものじゃないような場合には、これは余興の場合といえども、これは考え方の違った方もあるでありましょう、これまで軍隊におられたような人はおもしろくないとお考えになるかもしれませんが、少くとも私が長官をしております限りは、そういう昔の軍人さん的な考え方でなしに、そういう余興の場合でも出ていってよろしい。ただ政治的なことは絶対に関与すべきではない、こういう考えでございます。

受田新吉日本社会党

○受田委員 私はもう一つこれに関連した重大な問題を防衛庁では考えておられることを思うのです。それはたとえば今度の広島で起った例の自衛隊の死の行進のごときにおきまして、自衛隊の士気の鼓舞の立場から、隊員が国会へ証人に出たり、あるいは指揮官であった責任者を告発したりすることは、これはよろしくない、こういうことでは士気に影響するからというので、これを押えるようにしておる。おとといの本会議のあなたの御答弁におきましても、明瞭にできるだけ国会に出ないように私ども十分調査するというお言葉があったのでございまするが、隊員の声は録音にまでとってここへ持ってきたいという、非常に深刻な段階に来ていることは、長官御存じの通りです。こういう場合に大衆に親しまれる自衛隊にしたいと今あなたはおっしゃった、国民に親しまれる自衛隊にするために、自衛隊の隊員がこの自衛隊法の六十一条にも、またその施行令の八十六条、八十七条にも抵触しない範囲内で、基本的人権としての自由権を尊重して、責任者の告発とか、国会の証人喚問があれば進んで来たい、あるいはこちらから進んで出たいという熱情を持っている、このことに対して基本的人権を奪うようなやり方になると、これまたある程度の政治的目的をもってその発言を押えるということになるおそれがあるのであって、この点におきましては自衛隊そのものの大衆に親しまれる立場から、人権を尊重する立場から、その自由権を尊重する立場から、進んでそういう発言をしたい人々に対しては、これを押えることなく、諸君の自由にまかせるというような態度をなぜおとりにならないか、この点について長官の明確なる御答弁を願いたいと思います。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 私は証言する必要がある場合に、証言をするなというような指令を出したこともないし、私がこの前にも申し上げましたことは、そういう趣旨ではございません。政治優先と申しますか、私もいやしくも責任を持って防衛庁、自衛隊を指揮監督する立場におります以上、政治的な責任は私がとって、私を補佐する外局の課長とか部長も相当おりますので、調査の結果は詳細防衛庁の本庁の方に通報させまして、皆様の御満足のいくような答弁をいたしたい。そうすれば、自然政治優先というこの原則にも沿うわけでありますし、いろいろな自衛隊の業務にも差しつかえなくてよろしいので、そういう努力をいたしたい、こういうことを申し上げた次第であります。

受田新吉日本社会党

○受田委員 そうすると、長官はなるべく政治優先の原則で処理したいと思うが、その責任者同士の発言の内容に署しい食い違いがあり、国会自身もこれを重大な問題として双方から見解をたださなければならない段階に立ち至ったと確認される場合には、ちゅうちょなく自衛隊の隊員が国会に証人に出ることに、異議なく賛成されるという態度でございますか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 先ほど申しましたように、私どもの方で最善の努力をいたしまして、いろいろ食い違った点を食い違いのないように取調べをいたしまして、皆様の御満足のいくような情報を提供いたしたいと思うのでありますから、制服の諸君が出てくる必要のないようにする、こういう趣旨でございます。しかし、国会の最高の機関がおやりになることについてどうこう言うわけではございませんが、私どもの気持は今申したようなところにあるということを御了承願いたいと存じます。

受田新吉日本社会党

○受田委員 これで質問を終りますが、あなたの御発言では、なるべくというお気持があるようでございます。しかし、もうなるべくの段階でない、きわめて明瞭に責任者同士の双方の見解が食い違っておるという段階において、これを士気の鼓舞に影響するということであえて押えようとするならば、上官に対して昇進その他の点で気がねもあるというところで、自然に弱い立場に立つのが一般隊員です。その一般隊員は、言うべきこともついに言い得ずして、抱懐するところの大きな不満をむなしく押えつけられる危険があるわけです。そこを、長官として隊員の基本的人権を尊重するという一線だけははっきり確保しておかないと、自衛隊が国民の疑惑の中にいろいな事件を引き起して、それを暗黙のうちに抹殺し去ろうとする大きな政治的意図を持って、時の防衛庁長官がある行為を強行しようとしたならば、何でもできるというおそれがある。民主主義の基盤に立つ自衛隊の立場から、こういうときに、もし隊員で自分の信ずるところを述べたいという者があれば、進んで国会に出てそれを申し述べてもよいという幅を持って、あなたは堂々たる態度でお臨みになることができないものか。私は自衛隊の将来に非常に大きな危険を包蔵する点が心配にたえませんので、この問題に対する証人喚問等に関するあなたの最終的な、重大な御発言を願いたいのであります。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 先ほどから申し上げておる通りでございます。この民主主義下における軍隊において、基本的人権の尊重ということは、もちろん第一義的に最も重要なことでありますので、そういうものに対して制限を加えるような意図は毛頭持っておりません。

受田新吉日本社会党

○受田委員 その場合に、隊員がここに出て証人となって発言をした、そのために、ほかの隊員に対する士気の影響力を考えて、これに制裁を加えるようなことを夢にも考えておられませんか。

小滝彬自由民主党防衛庁長官

○小滝国務大臣 もちろん、そういう常識はずれたことは絶対に考えておるものではございません。

相川勝六自由民主党

○相川委員長 本日はこの程度とどめ、次会は明十五日午前十時より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会

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