内閣委員会 第3号
- 発言数
- 77 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/02/08
会議録
○相川委員長 これより会議を開きます。 前会に引き続き国の防衛に関する件のうち、特に相馬ケ原演習場事件について調査を進めます。前回の委員会におきましては、事務当局に質疑を行なったのでありますが、本日は関係国務大臣が御出席されておりますので、関係国務大臣に質疑を願いたいと存じます。 それではこれより質疑を許します。茜ケ久保重光君。
○茜ケ久保委員 私は質問に入る前に一言委員長に御要望があります。と申しますのは、きのう委員会運営の正常化に関しましていろいろ問題があったのでありますが、その際まことに遺憾なことには、自民党の国会対策委員長並びに議院運営委員長その他責任ある諸君から、——ニュース・カメラマン等を委員会に入れないのは、一昨六日の委員会において茜ケ久保委員が発言するに際して、多数の傍聴人を地元から連れて参り、しかも最後に、閉会後白はち巻、白たすきの諸君をして廊下で万歳を三唱せしめた、こういうことを公式の席上で発表し、さらに倉石国会対策委員長は平河クラブに行ってこの事実を発表し、さらに、本日も十数台のバスに傍聴人を連れてきておる、かような次第であるから委員会にニュースその他の諸君を入れることは相ならぬということを理由にして、いわゆる委員会運営の正常化ということに籍口して個人の何ら事実にないことをでっち上げて、自民党の責任ある地位にある諸君がさようなことを公表するということは、私はまことに遺憾にたえません。こういうこと自身が私は委員会運営の正常化を阻害することと思うのであります。私は委員諸君も御承知のように、一昨日の質問に際してそのような事実はもちろんありませんし、昨日もなかった。このことは私の政治的な一つの責任上、委員長が委員長としてそういった事実のなかったことをここで御釈明願いたいと思うのでありますが、よろしくお願いいたします。
○相川委員長 ただいまの要望に対してお答えいたします。 倉石対策委員長のお話は私の関知するところではございません。私としては今言ったような茜ケ久保君が多数の者を引き連れてきたということは存じておりません、御了承願います。
○茜ケ久保委員 質問をいたします。大久保国家公安委員長並びに中村法務大臣、お二人おいででありますが、今回群馬県相馬ケ原において起りました事件については、つぶさに御報告をお聞きと存じます。従いまして私は事件の内容の御説明は申しません。本日私は、でき得れば岸外務大臣兼臨時首相代理の出席を得て、政府の政治的な責任についてお尋ねしたいと思ったのでありますが、予算委員会の関係で岸外務大臣兼臨時首相代理の御出席がありませんので、担当は違いましょうけれども、一応内閣の国務大臣として、私は大久保、中村両大臣の政府としての責任ある御答弁と、さらに責任あるこの問題に対する御処置を強く要望するものであります。 まず最初に、この事件の御説明を受け取られた大久保国家公安委員長は、この事件に対して国家公安委員長としてどのような感じ方をされ、どのような責任を感じ、そしていち早くこの案件に対する処置をどうされたか、端的に一つ国家公安委員長としてとられた処置に対して御説明を願いたいと思います。
○大久保国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたします。今回群馬県下に起りました日本婦人に対する米兵の射殺事件は、まことに遺憾と思っております。一婦人の射殺でありますけれども、日本人としての婦人の射殺であります。また一方はアメリカの一軍人としての行為であり、ここに国民感情が沸いてくると存じます。私どもはこの事件に処して厳正な態度をとるというのが、一言にして尽きる言葉であると信じます。けれども数日前より事務当局から説明がありました通り、まだ真実をつかまえていないのであります。公務であるか公務でないかという問題もまだ不明瞭であります。せっかく警察の当局と米軍の当局が共同捜査をして、真相の把握に努めておる段階であります。この段階が確定した後は、厳正にして妥当なる態度をとりたいと存じます。なお必要に応じましては、外務省を経由してアメリカ軍の方に適当な措置もとりたいという所存を持っております。
○茜ケ久保委員 中村法務大臣に同じことを、一つ法務大臣の立場からお答えを願います。
○中村国務大臣 かような事態の起きましたことを、まことに遺憾しごくに存じます。これは日米両国の親善関係の上にも障害になるような、国民感情の伴う問題でありますので、今大久保国務大臣が述べましたように、事態の究明を十分にいたしまして、厳正適切な処置を講じたい、かように存じております。
○茜ケ久保委員 大久保国務大臣並びに中村法務大臣は一応遺憾の意を表され、さらに厳正公正な処置をするとおっしゃっております。けっこうであります。しかし私は大久保国務大臣に申し上げたいのは、事件の起りましたのは先月の三十日であります。今日はもうすでに二月八日であります。その間に十日間の時日を要しております。問題はしごく明瞭であります。何回も申しますように、アメリカ兵が、演習中であったが、休憩中に——演習とは何ら関係ないのであります。演習は休憩中でありましても、その演習が休憩してさらに次の演習に移る演習施行上の事柄に関連して起った問題ならば、あるいは大久保国務大臣がおっしゃるように、相当内容の検討に時日を要することもありましょう。しかしたびたび申し上げますように、事柄は、休憩中に、一兵士の個人的な作為によって彼らは日本人が薬莢ないしはたま拾いに来ておることをよく知っておる、従ってその日本人の弱点を握って、自分が持っておったからの薬莢英投げ与えて拾わしておいて、これをまた追い返しながら、うしろからねらい撃ちをしている、事件としてはまことに簡単であり明瞭であります。それがいまだに共同捜査によって事態の真相が判明しないということは、これは私は、アメリカの強い一つの力によって、日本官憲の捜査ないしは事案の決定的な結論を下すことのできない実態であると思う。先般の施政方計演説で岸外務大臣並びに臨時首相代理は何とおっしゃった。自主外交、独立外交とおっしゃった。決してアメリカに追随するのではないとおっしゃった。そういう施政方針演説をなさった影響がまだ残っておるときにこんな事態が起って、その事態に対して日本政府はただ共同捜査をするとおっしゃっておる。そういう事態に直面して、大久保国務大臣や中村法務大臣の厳正かつ公正な結果を出すということは、言葉だけのあやであって、そういった誠意あるいはそういった実際の力もないんじゃないかということを日本人はおそれておる、私もおそれる。何か参議院のきのうの質問に対して、今週中には結論を出すという御答弁があったそうでありますが、今週中と申しますと終りがあしたであります。私はそういった非常に国民的な疑心と不安がありますので、大久保国務大臣から、では明らかに今週中に結論を出すだけの確信と準備ができておるのか、ただ単に厳正公正とかいう言葉のあやでなくて、具体的な一つの事実としてここに表明してもらいたい。
○大久保国務大臣 米兵のだれがやったかという犯人の発見は——事件が起りましたのが一月の三十日であります。被疑者の発見が二月一日であります。というのは一日に日本の警察官が、そのときに横におりました日本人の五名の者を連れて熊谷の騎兵連隊に行って、当時演習に行きました三十名の米兵を全部出してもらいまして、一々首実検をした結果、これが被疑者であるということを日本人が指摘した。それが二月の一日であります。直ちに本人は自白しなかったのでありますが、アメリカの官憲も共同して調べた結果、四日になって本人が自白したという経過であります。きょうは八日でありますから、まだ二、三日前であります。相当に順調に進んでいると思っている。決してあなたのような御心配はない。従来のアメリカ軍のやり方から見ましても、日本の官憲に対しては好意を持って解決しております。おそらくこの事件も好意を持って解決し得ると存じております。昨日今週中云々という話を私も聞いております。その線に沿うて進みたいと存じます。こういうできごとでありますから、ことに関係が外国の関係でありますから、必ず一週間以内にやれということは断言はできませんけれども、その線に沿うて進みたいと存じております。
○茜ケ久保委員 今週中に解決することはけっこうであります。またそうなくちゃなりません。その解決の方法であります。解決の方法がいかような結論が出るか。アメリカがどのように申しましょうとも、日本官憲が責任を持って捜査取調べを施行する場合に、すでに日本については今週中に結論が出るならば、私はその解決の結論が出ておると思う。これに対して私がまことに残念に思うことは、昨日発表しましたアメリカ軍当局の声明であります。これは群馬県知事にも手交しておる。その中でわれわれ国民から考えるとまことに言語道断というか、あのアメリカ兵の射殺事件を、非常に強い言葉で、責任は日本にあり、しかも空中に向って撃ったたまが当ったと言っております。こういうことを一方的に発表さしておる。事務当局の責任者が日米合同捜査を進め、責任を持って共同の捜査に当っておると言いながら、ああいう一方的なしかもこちらを無視した声明が出されておる。こういうことは今度の事件に対しましても、その他の多くの事件に対しても、私はまことに遺憾千万だと思う。共同捜査、共同の責任において捜査を進めておるということと、一方的にアメリカ軍がああいう発表をすることとは、どのようにわれわれが解釈したらいいのか、大久保国家公安委員長は、この点に対してどのように解釈をされておるか。
○大久保国務大臣 声明の問題でありますが、私は公式の声明とは信じておりません。私どもに対しては何ら通牒があったことを聞いておりません。これはおそらく米兵が自白した一部の経過を非公式に発表したものと存じます。米兵は取調官に対してあれに類似のことを言っているようであります。けれども米軍の当局、憲兵隊は、その全部が真実とは信じておりません。現に憲兵隊長は自分から群馬県の警察に出頭して打ち合せております。そういうところから見ても、まだ捜査は最終の段階にいっていないのです。今真実の把握中ですから、把握中に公式の声明を出すはずはないと信じます。
○茜ケ久保委員 群馬県知事に文書として手交しておる。群馬県知事に公文番として手交しておる文書が公式でないと大久保国務大臣はおっしゃるのですか。これは群馬県知事が発表している。
○大久保国務大臣 それは今申しました通り、被疑者たる米兵が陳述した一部を参考のために出したにすぎないと思うのです。公式の声明と思いません。
○茜ケ久保委員 私はそこに問題があると思う。事務当局の責任者は、責任を持ってアメリカと共同捜査をしておるとおっしゃる。日本政府もそのことを了解して発表されたのですか。この点をお聞きしたい。
○大久保国務大臣 決して私の方に相談あって発表したものではございません。今申した経過に従って、被疑者たる米兵がこういうことを陳述しておるということを参考までに言ったにすぎないと思います。
○茜ケ久保委員 私は、大久保国務大臣まことに無責任な答弁だと思う。なぜ共同捜査しておる。責任を持ってアメリカと共同捜査をしておるとおっしゃっている。どこに責任がある。あんなことを言われて、日本の官憲は何を今まで動き回っておったのか。たとい本人が言ったことであっても、発表するならば、共同の責任において捜査するならば当然日本にこういうことを発表するといって相談があっていいと思う。でなかったら共同捜査でない。
○大久保国務大臣 前に申した通り、私は公式の発表とは存じておりません。日本の警察側においても途中においてある程度の経過を発表しておるのです。それも声明といえば声明ですけれども、そうやかましく解釈するから議論になってくるので、私はその程度のものだったら公式の声明ではないと解釈しておる、非公式のものであると思う。そういうものは日本の警察側も発表しております。アメリカばかりではない。
○茜ケ久保委員 事柄は重大であります。狙撃したものと空中に向って撃ったものとは違います。明らかに狙撃したものとわかっておる、目撃者も言っておる。狙撃したことと空中に撃ったこととは違いますよ。これがもしアメリカがそれを固執していった場合にこの事犯はどうなるのです。国民はすでに日本の婦人を狙撃して殺した事実をみな知っておる、日本人の血によって、日本人的な良識によって。そういう発表をされながら、日本の公安委員長である大久保国務大臣が非公式声明だ、そうでなかったで済みますか。この事件を何と考えているか。——まだ発言中です。何です、その態度は。私はこれは笑いごとではないと思う。日本全国民がこの問題にどんな関心を持っておるか、日本の政府の責任はどうなっておるのか。私の方にも群馬県から多数の投書が来ておる。私はここに手紙を持っております。先般大久保国務大臣がラジオによって発表した談話について、非常な憤激を訴えた手紙を持っておる。大久保国務大臣のあのラジオ談話を言語道断だと言っておる。今も見ておると、あなたは始終この事件について笑っておるが、その不謹慎は何です。一婦人が死んだということに対して、私はたびたび言うけれども、これはいわゆるアメリカの日本占領継続中の一つの現われだと思う。もしこれを大久保国務大臣が笑って済まそうとするならば、絶対に承服できません。何です、その態度は。 私は重ねて尋ねますが、この事件を、あなたは国家公安委員長として今あのように軽く、しかもアメリカの一方的ないわゆる推進力によってこれに屈服する気なのか。ある場合にはあなたは国務大臣という地位をなげうっても、この問題の真相をほんとうに国民の前にはっきりさせるだけの決意があるかどうか、一つはっきりおっしゃって下さい。
○大久保国務大臣 今言われましたことはさきにしばしば申し上げました通り、被疑者たるアメリカの兵士が自白した一部のところでありまして、決してその事柄をもって私どもは満足をいたしておりません。さきに申しました通り、日本の警察もアメリカ軍憲兵隊もさらにもう少し傍証を固めようと思って骨折っておる最中でありますから、空砲を撃ったのはほんとうに撃ったのか、あるいは故意にやったのか過失によってやったのか、あるいは公務中であるかないかという判断がまだ断定にいっていないのであります。その真実をつかむのが今日の苦労の種になっているのです。これをつかんでから論争したいと思います。過程の事柄を、一つの手柄をもつかまえて論じようとすると私は誤まるもとになると存じます。この点をおくみ置きを願いたいと思います。同時に私は冒頭において申し上げました通り、この事件においては厳正なる態度をとります。重ねて申し上げます。
○茜ケ久保委員 しろうとであるわれわれが現地に行って調査をし、すでに目撃者並びに参考人を呼んで聞いており、その結果判明している。空砲の上に薬莢を詰めてねらって撃っておることを知っておる、警察もわかっておる、これくらいはっきりした事実はないと思う。しかも一発でなくて二発撃っておる、一発撃って当らぬのでさらにまた詰め直してまた撃っておる、こういう事実が明々白々になっておるのであります。それでもなお何を調査するのか、これはアメリカの一方的な狙撃でないということを事実づけるために、それを証拠づけるいろいろな理屈や事柄を集めるために時間を費しているに違いないと思う。そこで私どもたびたび言うことは、日本の政府は何をしておる、これははっきりした事実だ、従って私は大久保国務大臣にこれ以上このことについて言っても結論は同じであります。今中村法務大臣は私と大久保国務大臣の質疑応答をお聞きになったのでありますが、あなたは日本の治安の全責任を持っていらっしゃる法務大臣として、今の事柄をどのように解釈していらっしゃるか、どのようにこれを処置なさる気であるか、一つ法務大臣の明確な御答弁をお願いします。
○中村国務大臣 昨日の新聞に出ておりました記事は、日本の政府並びに政府機関に連絡の上で発表したものでないことは事実でございます。ただそれが報道機関が探訪したのに対して言うたものか、あるいは新聞の記事を見ますと、新聞によってはアメリカ軍の現地部隊の責任者が声明を出したかのようにとれる部分も、確かに私ども新聞を読んで感じたのでございます。いずれの過程を経ておるか明白でございませんが、私どもの方といたしましては、とにかくまだ双方とも捜査の過程でございまして、ただいま大久保国務大臣が申し述べましたように、その発射したものが被疑者の言っておる通りただおどかしのために空に向けて撃った、こういうようなものであるか、あるいはそうでないか、腰だめで撃ったものか、ねらい撃ちしたものか、そういうような点も十分にこちらとしても調べ、米軍側にもその捜査を協力してもらっておる次第で、そういう捜査の過程において、被疑者が言ったおどかしのために空へ向けて撃ったのだといったようなことを、そのまま米軍側の一方だけが発表するにしてもあるいは漏らすにしても、これはあまりわれわれの方としては喜ばしいことではありません、非常に迷惑なことであります。そこで私といたしましては、一昨日、日米行政協定に関する日米合同委員会の中に、刑事裁判権の分科委員会ができておりますので、日本側の委員長をアメリカ側の委員長のところへ訪問をさせまして、そのときには、そちらの方でも何らわかっておりませんでしたが、昨日とにかくいずれにせよ、そういうことは困るから、捜査過程で部分的な公表をされることは捜査上支障がありますし、適切でない、こういうことをこちらの委員長を通じて米軍側の委員長に申し入れをさせました。なおそうしたところが、その米軍側の委員長は十分御趣意はわかった。しかし自分としては十分心得て現地にもそのことを伝えるつもりだが、なお日米両国の合同委員会の首席がおるわけだからその代表を通して、代表と代表との間でも話をしておいてもらいたい、こういうことであったそうでございます。日本側の合同委員会の代表は外務省の欧米局長ですかがやっておるようでありますので、そちらへ私の方からも連絡をさせまして、日本側の合同委員会の代表からアメリカ側の代表に対してこれまた同様の申し入れをいたしましたような次第でございます。お説の通り私の方にはその後どういうことでああいう記事が出たか原因がまだ十分にわかっておりませんけれども、とにかく感心したことではありませんので、十分抗議の意味における申し入れをいたしておきましたような次第でございます。
○茜ケ久保委員 中村法務大臣のお答えでやや納得する点がありますが、私どもは事の取扱いに対する見解の相違があります。しかし少くとも先般来事務当局が共同の責任において共同捜査をし、共同の調査をしたとおっしゃっておる。しからば共同ということは、私はやはり事柄の発表にしても取調べにしてもお互いに責任を持ち合ってやるところにその意味があると思う。しかも事件の内容の最も重要な点であります。狙撃をしたか空中に撃ったか、このことは同じ死亡という結論か出ましても重大な内容であります。そのことに対して共同捜査を進める過程において一方的にいかにもこの案件は日本人だけが悪いんだ。不法侵入をしたことが悪いのだということで射殺したことをおのずから理由づけようとするなにがあったと私は思う。そうなりますと残念ながら現在の日本とアメリカの力関係においてはこれは結論はわかっております。ところが現地におけるあらゆる調査の結果は、これは疑問の余地がないのであります。ただ警察当局並びに日本の当局だけがどういう理由か知りませんけれども、今も中村法務大臣がおっしゃっておるが調査中とおっしゃっておる。もちろん調査中もけっこうでありましょうけれども、具体的には日本婦人が、理由がないとは言いませんけれども、たとい不法侵入したといえども、白昼公然と、私の言葉で言わせれば全く犬ネコ同然の殺し方をされておる。この隠し切れない事態に直面して私はやはり日本の政府としてただ単なる一個人の殺人事件じゃないと思うのです。このことがいわゆる国民の世論のこうした盛り上りになってきておるし、あるいはきのうはイギリスのロイター通信等から照会が来ている。いわゆる人権尊重をその基本とするアメリカがこういうことをしたということに対しては世界の世論が問題にしておる。そういう際においてこの案件がアメリカが作為しているように一方的に空中へ撃ったんだというようなことでもし片づけられますならば、私どもは日本には政府もなければ国会もないという具体的な結論が出るのであります。私どもがここで取り上げたのは決して一婦人が殺されたということではございません。アメリカが日本の国内に膨大な軍事基地を持って日本人立ち入るべからず、まことに残念であります。そうしておいてその中で隣り近所の同胞の目の前で犬ネコを殺すように殺された。この訴えは私は国会議員としてまた日本人としてこれは許すべからざる事実と思うのであります。しかも口に人権尊重を唱え、いかにも民主的なことを言うアメリカであります。そういう事態の中で、今私が指摘しておる空中に撃ったのか、ねらって撃ったのかということはまことに事件の核心であります。これに対してアメリカ当局は、一方的に空中に向って撃ったんだ。しかも退去を命令したのだと言っておる。この事実は、法務大臣、全然退去の指示もしておりません。当日ははっきりしております。退去の指示をした事実も、命令をした事実もありませんし、何ら手を打っておらない。これは私ははっきり申し上げておく、しかもその上に薬莢を与えるといっておびき寄せておいて撃つというのは、どんなに弁解しても私は弁解の余地がないと思う。こういうことに対して、大久保国務大臣はどういう顔の造作のかげんか知りませんがにやにや笑いながら聞き、答弁するということは、私はいかぬと思う。それは人間ですから笑うことはありましょう。笑うこともありましょうけれども、この事実の前で全国民に聞いてもらいたい。政府の代表者国務大臣が、しかも責任者であるのに、こういう事案に対して笑いながら答弁するということは、私は許しません。こういう人に私は日本の治安の責任はとてもとってもらえぬと思う。従ってもう一ぺん最後に法務大臣に申し上げる。そういったことが、ただ単に政府に連絡なかったから一方的な発表を聞くのでは済まぬと思う。この事案に対しては即刻政府の責任においてアメリカ軍当局に重大な抗議をなさって、少くともあの発表の取り消しを私は要求してもらいたいと思う。でなければ、これは容易ならぬ結果を生ずると思います。直ちにあの発表に対する重大なる抗議と、あの事実を発表したことに対する取り消しの要求をなさる決意があるかどうか教えていただきたい。
○中村国務大臣 双方の捜査が最終段階に来ておるわけでございませんから——新聞の記事を見ましても、あの発表の責任者も、だれが発表したとも明確にはなっていないようでございますが、捜査が最終段階に来たのではありませんから、おそらくあれはどう見ましても被疑者が自己の有利に供述したことをそのまま発表したものとしか受け取れません。おそらく米軍側としても、あの本人の供述がそのまま事実であると信じておるはずはないと思うのです。もとよりわが方といたしましては、今茜ケ久保さんのおっしゃいましたように、この坂井なかさんという御婦人が死亡した事実、これは間違いない現実であって、その死亡が果して故意の射撃によって起きたものか、本人が自己の有利に弁明するようなできごとであったかということは一番核心をなすものだと思いますので、当方側としてはその目撃者、あるいは周囲の実情等目下綿密に捜査中でございます。アメリカ側とこれは協力してその真相を確かめるために目下努力中なのでございますから、そういう意味において御了承を願いたいと思います。
○茜ケ久保委員 まだいろいろ質問したい点もありますが、この事案は私はまだ結論が出ておらないので、結論が出るまで真相の究明に当委員会として当るべきだと思います。ほかに同僚諸君の質問もあるかと思いますからそちらに譲りますが、先ほど理事会で現地調査並びに参考人の喚問を問題にしましたら、政府側とわれわれの意見に食い違いがないから、現地調査の必要はないということであったのであります。今御答弁を聞いておると、私は重大な食い違いがあると思う。私どもはこれは狙撃による殺人と一応見通しております。政府側はそのいずれともおっしゃらずに、ただアメリカの一方的な、いわゆる示唆によって事が運ばれておる現実がある。そうなりますと、この事案の最も核心である狙撃か、空中に撃ったのかという重大な問題のかぎを持っておると思うのでありますから、それを現地において目撃者その他によって、しかも場所は数メートルしか離れていない、そういう現場である。現場に行って当時の実情を、そばにいて自分も狙撃されて逃げた青年から、あるいはその他の者から聞けばはっきりするのであります。私はやはり一応この段階においては、早急に当委員会としてはこの事態の究明をするために、現地調査、ないしはいわゆる関係者を参考人として召喚して、そうして私は事実をはっきりする必要があると思いますので、重ねて現地調査並びに証人喚問の件をここで出して、委員長の善処方を御要望申し上げ、一応私の本日の質問は同僚に譲ります。
○相川委員長 保科善四郎君。
○保科委員 私はただいまの茜ケ久保委員の質問に関連をいたしまして、両大臣に御質問をし、また私も所信を一つ申し上げたい思います この前からずっと茜ケ久保委員と事務当局並びに今日の責任大臣との間の質問応答を見ましてまた私の過去の経験から申しまして、この問題はきわめて明瞭であると思うのです。ほんとうに米軍当局が虚心たんかいに事の真相を解決するという誠意があれば、これはきわめて明瞭に解決できる問題だと私は考えておる。私もこういうことには長く関係しておった関係上から、私ははっきりそれが言えると思います。そこで私が特に申し上げたいと思うことは、これはきわめて明瞭なできごとでありますので、しかも遺憾なるできごとでありますので、こういう問題をいたずらに遷延をさして、そうして必要以外に両国の国民感情に憤りを起させるようなことに持っていくことは、これは世界平和の上から見てもきわめてまずい処置であって、私はその意味において、この問題をもっとすみやかに、率直に、むしろ事務当局、捜査当局の共同捜査と並行いたしまして、そうしてもっとハイ・レベルにおいて、こういう問題をすみやかに解決するように進まれるのが当然だと思うのです。そういうことに対する両大臣の考えをまず伺いたいと思います。
○大久保国務大臣 ただいまの御質問に全く同感であります。今日の閣議においてもその問題が出まして、私ども、法務省及び外務省とも連絡をとって、そういう線に進もうじゃないかという話も出ておる次第であります。この点は御了承を願いたいと思います。
○中村国務大臣 私もただいまの御説、全く同感でございます。ただ問題は、基礎的な事実関係がある程度固まることが、やはり一つの前提でもありますから、その上に立ちまして、そういう点を十分考慮して進んでいきたい、こう考えます。ただ、先刻大久保国務大臣から申し述べられましたように、三十日のできごとでございますが、首実検等をいたし、さらに被疑者である本人が自白をするまでに数日手間取りまして、遷延しておると申せば遷延しておるかもしれませんが、目下のところでは、現地のそれぞれの調査は順調に進んでおると思いますので、ごく近々のうちに、その基礎的な事実の固めがつこうかと思いますから、それらとにらみ合せまして十分考慮いたしたいと思います。
○保科委員 私は、ただいま申し上げましたように、現地の軍当局の、なるべく自分の部下をかばいたいという気持はわかりますけれども、これはそれを超越して、もっと現地の軍当局が率直なる気持でもってこの問題に当れば、これは常識問題なんですから、そんなに十日も二十日もかかるというような問題ではございません。私の良識から考えますれば、こういうことをやるのは気違いとしか思われない。どこの国にもそういうのがあるのです。それですから、そういうある特殊な者のために、両国の国交なり、あるいはわれわれの気持なり、さらに悪い感情に拍車をかけるようなことは、どうしても避けさせなければならぬ。これはどうしても私はアメリカの軍当局の反省を求めなければいかぬと思う。少くとも第一回には、まず、これは遺憾なできごとであったといって県当局なり何なりに陳謝をしてきたかどうかということを私は伺いたいと思います。これは警察庁長官に伺います。
○石井(榮)政府委員 米軍当局の関係者が群馬県知事に遺憾の意を表して参ったことは承知いたしております。
○保科委員 次にもう一つ伺いたいのでありますが、この問題はやはり私は一つの基地問題にからんでスエズ問題化しつつあると思います。この基地問題は根が非常に深いと思います。これはやはり現在の東西両陣営の戦略的対立にその根を張っておるのでありまして不慮のできごとをそういう問題に転化するようなきっかけを作ることは非常に遺憾である。私はそう思うておるのであります。そういう観点からして、こういう問題を将来絶対に起させてはいかぬと思います。私は軍当局がほんとうに注意をもってこういうことをやれば、これは起る問題ではないのです。同時にまたそういう治安の責めに任じておる警察当局も向うに協力をいたしまして、そういうことの起らぬように、やはりもっと真剣に協力すべきだと思う。そういう点において非常な抜かりがあることは、私は見なくてもわかります。非常に抜かりがあります。こういうようなことは絶対にないように私は注意をしていただきたいと思います。ことに、聞けば狙撃者は二十一才の青年だということでありますが、遠く両親のもとを離れ、故国を離れて、日本に来て、いずれにしても安保条約によって日本の防衛に協力をしておる人間でありますから、これに対してはわれわれ国民は大いに感謝の念を表すべきでありますけれども、しかしこういうような事件が起ると、その感謝は怒りに変ってしまう。これはまことに遺憾なることであると思いますので、どうぞそういうようなことが将来絶対起らぬように、各取締り当局が十分に協力をされることを私は要望いたしたいと思うのであります。同時に、私は先ほど来の質問応答を通じて感じておることは、どうもこういう問題に対する真剣さが——やっているつもりかしれませんが、私は聞いておって、真剣さが足らぬと思う。もっとこの問題に真剣に取り組まなければいかぬと思います。これは非常に重大なる結果を及ぼすのですから、ことに人道問題に結びつけられておるのですから、もっと真剣に、すみやかに事の真相を一決して、アメリカ当局に対しても事を歪曲するような寸分のすきも与えないようにすることが絶対必要であると私は思いますので、その点を特に私は政府当局に警告を与えておきたいと思います。終り。
○相川委員長 坂本泰良君。
○坂本委員 私は両大臣に対しまして二、三要点だけをお聞きしたいと思います。第一にお聞きしたいのは、本件のごとき捜査においては、警察当局も、それから検察庁当局も、ともに捜査を進めなければならない、こう思っておるのでありますが、本件に対しましては警察庁においてはどういう捜査を進められておるか、検察庁においてはどういう調査を進められておるか、また双方の連絡関係はどういうふうにして、本件の捜査に当っておられるか、この点を両大臣にお聞きしたいと思います。
○大久保国務大臣 この事件の発端を探知いたしましたのは高崎の警察でありまして、警察署及び県の警察部と連絡をとりまして捜査に着手しておる次第であります。なおこういう事件になりますと、当然検察庁と連絡をとって調査を進めておる次第であります。従って大体の見当がつきますれば、この事件が犯罪になろうがなるまいが、あるいは有罪になろうがなるまいが、起訴されようがされまいが、書類は一応検察庁の方へ回します。そういうことになっております。
○中村国務大臣 法務省側といたしましては、常時現地の検事正を中心に連絡をとりまして、捜査の過程等もできるだけ聞きつつ、重要なポイントと思われる点をさらに警察を指揮するといいますか警察と協力をいたしまして、明確にするように指示をいたしております。たとえば先ほどの撃った人間もわかっておりますが、その撃ったことが本人の弁明の通りであるか、あるいは弁明は全くうそであって、そうでない、ねらい撃ちをしたものか、どういうかまえ方で発射したものか、また同時に、本人がかりに否認しようがどうしようが、そういうように空包のたまを詰めて、銃の頭の内側に薬莢を当てかって撃った場合に、そのたまは一体まっすぐ行く認識を持っておったか、あるいはどの程度の距離が危険区域になるという認識を持っていたか、またそういうようなことを、人を目当てでないにしても、その部隊が従来やっておったようなことがあるのかどうか、そういうようなことも事実調査をし、また現にその薬莢を銃身の先へ詰めて空砲を撃って実験をするとか、こういうような点を抜かりのないように、警察と協力して捜査するようにということを、一々連絡をいたしております。かようにいたしまして、このようなまことに遺憾な重大なできごとでございますから、一致協力して捜査を遂行しておるような次第でございます。
○坂本委員 これは双方で捜査されておるという点はまことにけっこうです。そこでお聞きいたしたいのは、先ほど茜ケ久保委員からもただされましたが、二月七日の新聞に、米第一騎兵師団当局声明を発表というのが出ております。その三番目の最後の方に、「一群の一般市民に警告のため、空中に向けて射ったものらしい」という声明も出ておるのであります。それから私たちが去る五日に現地を調査いたしまして、目撃者の言うところによりますると、事件が起きて死人をリヤカーで村の者が持っていったあとで、その将校らしい者が時計を見せて、午前十時半というところをさして、これじゃないか、というのは、この事件は時計の十時半ごろ事故が起きたのではないか、こういうことを盛んに言いました。そうするとそうじゃない、午後の二時半だと私たちははっきり答えました。またそのことは警察の調べでも申し上げております。どうしてそういうことを主張するかと申しますと、午前中は実砲射撃をやっておる、実砲射撃の際は赤旗を立ててやっておりました。たま拾いはその先へは一人も入らなかった、午後は陣地攻撃の演習に切りかえた、空砲の演習に切りかえた、ですから空砲でやっておるから、たま拾いもそのうしろでやっておった、そうしてその空包を投げて拾いに来てもいいというようなことを言うものだから、二人でそれを拾いに行ったら、こらっとしかりつけて、先へ出た男の小野関英治の足元をぽんとやったが、たまがはずれて、二人目の女をわずか十メートル内外でねらい撃ちで撃って当った、そういうことでありました。これは私は決してうそを言っていない、こういうふうに聞いたわけであります。 そこでわれわれが第一に心配いたしますことは、犯行が行われた当時にすでに空砲射撃のときの流れたたまで死んだのじゃないか、新聞も三十日にはそういうふうに発表しておりました。そういうふうな証拠隠滅をやり、さらに七日になっても、これは警告のために空中に向けて撃った、こういうふうな発表をしておるのをみますと、これはやはりあとで聞きたい点ですが、公務中の行為であってそれでたまに当って死んだ、そうして犯人に有利な解決に持って行こうということがこの二つの事実からもうかがわれるのであります。 ことにもう一つ御質問申し上げたいのは、けさの東京新聞の第一面に国際法学者の横田喜三郎氏の論説が載っておる、そうしてこれは重過失なんです。横田さんは国際法には詳しいかもわかりませんが、刑事問題、刑法、刑事訴訟法ではゼロで、普通人と変りがない人だと思うわけです、こういう人が法学博士横田喜三郎などといって発表して、すでに重過失というようなことを言っておる、われわれが心配するのはそこなんです。空砲でねらい撃ちをして殺したのを過失致死などに持って行かれたならば、これこそ日本の従属的立場であって、日本国民としては断じて許すことができない問題であります。しかるに日本の学者というのはこういうような論文を堂々と新聞の第一面に発表する、これはかように向う側から発表をどんどんやって、そういうのを基礎にするからかような間違いが出てくると思うのであります。でありますからお聞きしたいのはこの捜査にあたっては、これはもちろんアメリカ軍の部隊に入ってしまったから、部隊で逮捕しているとおっしゃいますが、はたして逮捕されておりますかどうか、われわれは非常に疑問に思います。こういうのは犯人の引き渡しを要求して、そうして日本の捜査当局において令状の執行もできますから——公務中か公務外かを問わず、これは日本の捜査機関において令状の執行もできますから、この重大犯人に対して令状を出して、そうしてそこに調べられた上の結果ならば、日本人は納得すると思うのです。しかしながら、共同捜査の名のもとにおいて向うにおいて調べられたのでは、結論は同じのがかりに出たといたしましても、国民感情というものはこれを承服しないと思います。でありますから、法務大臣にお聞きしたいのは、こういうような事件に対してもっと率直に、早く犯人の引き渡しを要求してこれは外交折衝にもよると思うのでありまするが、その外交折衝を開始されて、そうしてわが捜査機関の手によってどうして捜査をされなかったか、これが第一点です。 それから第二点は、両大臣にお聞きしたいのは、向う側でああして次々に声明みたいなものを新聞に発表いたしておるのであります。それならば、やはり結論がきまらないならば、向う側の発表だけでは、非常に殺人を疑うような発表であるから、わが方で捜査をしている段階でもいいから、やはりそれに対応するような声明なり発表なりをなぜやられなかったか、それをやらないから、日本はやはりアメリカに従属して、アメリカの言いなりほうだいにもなるという誤解を招くと思うのであります。だからこういうような考え方にも立って、この二つの点についてお聞きいたしたいと思います。
○中村国務大臣 被疑者は米軍側で逮捕しておるようでございます。その場合については、行政協定の第十七条に、先方が被疑者を逮捕しております場合には、日本側としては公訴を提起するまで、公式の犯人引き渡しはできないようになっておるようでございます。この行政協定は、日米の行政協定だけでなく、北太平洋条約の方もみなそういう方式になって、その一般方式にならってこの行政協定もできておるわけでございますが、しかしながら実際問題といたしましては、従来の事件等の取扱いにおきましても、アメリカ側は、日本側の検察並びに警察当局が捜査上必要のある場合には、身柄を便宜渡して取調べをさしておる。こういうことはあまり衝突なしにきておるようであります。本件につきましては、犯人が首実検の結果、被疑者が明瞭になりましたので、直ちに事柄の重大性にかんがみて、県の警察部長がじきじきに本人の仮渡しを受けまして取調べをいたしておるようでございます。それからなお私どもとしましては、いろいろ坂本さんから御意見がございましたが、昨日のような新聞記事等を見て、まことに遺憾に思っておるのでございますが、こちらとしては、たといどういうニュースが流れようが、あるいはどういう学者の論説が出ようが、日本側の検察並びに警察当局としては、あくまでこれは事態を究明をいたしまして、事実の真相をつかんで、そしてわが方の主張すべきはあくまで主張していく。もし万一それが両国間に意見の食い違いを生じました場合には、これは行政協定の規定によりましても、合同委員会の刑事裁判権分科委員会というのがございまして、この委員会で討議して最終決定をすることになっておりますから、もし万一不幸にして意見の食い違いを生じた場合には、その委員会に持ち込んででも、わが方としては、わが方の是なりと信ずる、正しいと信ずる正論は主張いたしまして、そして国民の納得のいくような解決の道をはかりたい、かように考えております。
○大久保国務大臣 声明の問題ですが、これは先ほども私はお答えしておきましたのですが、声明といえば非常に四角張った問題になりますけれども、声明という公式なものでなく、おそらく談話じゃないか、新聞記者からの質問を受けて、それに対する談話じゃないか、こう思われるのであります。当方も二、三日来警察本部長もその点新聞記者にある程度の真相を発表しておりますから、こちらも全然発表しないというわけじゃございません。ある程度やっております。
○坂本委員 この点でもう一点だけ法務大臣に聞きたいのは、行政協定の十七条のどういう条文か、事務当局から一つその点を教えてもらいたい。
○井本政府委員 十七条の五項のCでございます。読み上げましょうか。「日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行うものとする。」こう書いてございます。
○坂本委員 これはこの条文の不備にもよるかと思いますが、日本国において公訴を提起した後に身柄を引き受けるというのでは、もうすでに捜査は固まってしまっているわけである。その捜査の結果によって公訴を提起するかどうかをきめる。従って先ほど法務大臣が身柄を借りてというのは、向うのキャンプの中に行ってそうして調べたと思うのですが、その際やはりわれわれが一番心配なのは、そのキャンプの中に行って調べるのは、これは独自性がない。ことにこの重大犯人はやはりわが捜査当局においての令状の執行によって調べなければならぬ。ことに否認をしている事件については、これはやはりわが方の逮捕令状、それから勾留令状によってそうして調べないことには、私はほんとうの取調べはできないんじゃないかということを心配するわけです。この点について群馬県警察本部長がじきじきに行って取調べたということは、それはいつですか。私が五日に行ったまでは、きょう初めて向うに刑事部長をして聞きにやらせておりますというので、調べるんじゃなくて、向うに聞きに行っているというようなことを私は直接本部長から聞いたのですが、その後本部長自身が行って取調べをしているかどうか、そうして果して日本人の傍証固めその他によって、射撃したのである、殺人行為である、そういう基礎の上に立って調べを進めておるかどうか——調べの内容については聞きませんが、調べておるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
○中村国務大臣 ちょっと訂正しておきます。先ほど私が県の警察部長と申しましたのは、県警察部の刑事部長の間違いでございますから、訂正いたしておきます。
○坂本委員 それじゃその刑事部長がやはりすでに日本人の目撃者その他関係者、当時の状況等も実地検証するし、そうしてこれは何といっても、さっき私が申しましたように、うしろから射撃した——射撃するというのは、殺意がある、殺人に間違いないと思うのですが、やはり群馬県の刑事部長はそういう固い基礎を固めて、そうして否認しておる犯人に対してほんとうのことを述べさせるべく取り調べを進めているかどうか、その点をお伺いいたします。
○石井(榮)政府委員 先ほど法務大臣からお答えがありましたように、二月一日に、今回の事件の発生しました当日、演習に参加しました米兵三十数名を集めまして、それに日本側の当時の目撃者五人の方に御足労を願いまして、いわゆる首実検をしていただいたわけでございます。そうして今回の問題の被疑者を割り出すことに成功いたしたのでありますが、二月一日のその首実検の結果直後に、先ほど法務大臣からお答えのありましたように、群馬県警察本部の刑事部長と捜査第一課長の二人が直接被疑者と目されるその人物に当ったわけでございまして、約二時間になんなんとする時間、直接捜査をいたしたのであります。ただしそのときは本人はあくまで否認をいたしまして、目的が十分達せられなかったのでございますけれども、捜査に当りました刑事部長並びに捜査第一課長の直感からいたしまして、これはまさに犯人であるし、また目撃者等からすでにその前に供述をいただいております点等から見て、事実相違ないという直感は十分に持ったのでございます。それ以後は米軍捜査当局に依頼をいたしまして、直接被疑者に当っての捜査をやっていただいております。日本側捜査当局はそれ以外のいろいろ必要なる捜査を続行いたしておる、こういう状況でございますが、今後も必要に応じまして身柄を日本側に借りまして、直接被疑者に当るということも考えておるのでございます。 私ども捜査当局といたしましては、本人の自白が唯一最高の証拠ではないのでございます。むしろそれよりももっと広い、あらゆる角度から真実を発見するということに最善を尽さなければならぬのでありまして、たとえば今日まで本人の自白によりますと、上に向けて撃ったということを言っておりますが、果してそういうことで被害者がああいう死ななければならぬという結果になるかどうかというようなことは科学的に証明し得ると思うのであります。そういう意味におきまして銃器による実験もいたすことにいたしております。距離もわかっております。この地点からこの地点へこういう角度で撃った場合にどういう結果になるか。被害者の解剖もいたしてありますので、射入口からどういう角度で薬莢が入ったかということもわかっております。そうした点は科学的に立証し得る方法がありますので、本人の自供がどうであろうともそういうことには何ら重きを置く必要はないということも言えるわけでございます。しかしながらできるだけ傍証と同時に、本人の自供もこれと一致するということであるならばなお一そう確信を持ち得る。こういう意味におきまして、被疑者本人の自供というものをある程度私どもは尊重いたしておるのでございます。本人の自供を唯一最高の証拠にするという考え方はとってはおらないのでございます。
○坂本委員 内容が大体判明いたしましたが、現段階では冬はり本人の自供調書ではまだ確定していないということがありましたが、やはり今長官が言われたような科学的の捜査を進められると同時に、自供調書についてはこれはやはり今後の、将来の問題がありますから、はっきりしたところの調書を日本側においてやっておくべきだ。行政協定十七条がいかに日本のために屈辱的なものであり、日本の人権を無視しておるかということは、この事犯によって日本国民が新たに認識したと思うのであります。こういう屈辱的な行政協定によっても、やはり日本の捜査当局は、独立国としてきぜんとして公明な厳正な捜査を遂行したという点をぜひ固持してもらいたいと思います。 それでもう一点だけお聞きしたいのは、公務中の行為か公務外の行為かということについて非常に疑問があるわけであります。横田喜三郎氏なんかはどういうことで言ったか——あの人は親米派ですからアメリカのために言ったかもわからないのですが、公務中だというようなことを言っているのです。ところが法務当局は御存じと思いますが、舞鶴の事件で、これは憲兵がパトロール中に一軒家に入りまして、夫婦寝ておるのにピストルを突きつけて細君のしりぺたにかみついて、そうして強姦をしようとした。いわゆる家宅侵入、住居侵入、強姦致傷事件として第一審で懲役二年五カ月になった。大阪高等裁判所に控訴をして、さらに最高裁判所に上告をいたしまして、公務中であるということを被告は盛んに主張いたしましてやったのでありますが、昭和三十年の三月三日の第一小法廷の判決で棄却をされまして、そうして判決が確定しておるのでありますが、それによりますと、日米安全保障条約第三条に基く行政協定第十七条3(a)(ii)にいう公務執行中とは公務執行の過程におけるという意味であって、勤務時間中と解すべきではない、こういうはっきりした判例も出ておるわけであります。従ってこの舞鶴の事件は、犯人はパトロール中であるから、職務の執行中であるからこれは公務中であるとして無罪を主張したのであります。しかしながら日本の裁判所はこれを排斥いたしまして、今のように公務執行の過程における行為である、こういう判決を下しておるわけであります。最高裁刊所までこの解釈を支持しておるわけあります。従って本件について考えますると、演習中であっても、演習中休憩をして三十分間もたって、そうして休憩しておるところに、先の方に日本の十四、五人のたま拾いがおるから、投げて呼びつけて、いたずらみたようなことをやって、茜ケ久保君の言をもってしますと、日本人を人間として扱わず、犬ネコ同様にしておいでおいでをして、こらといって、そうして逃げるのをうしろから射撃をする、こういう非人道的なことをやっているのであります。従って演習中であっても、かような行為は断じて公務中とはいえないと思うのであります。でありますから、やはりかたい信念を持って、これは日本に裁判権があるのだ、従って日本が裁判権を行使する以上は、やはり捜査当局はその起訴をして、それが立証できるような証拠を固めておかなければならないと思うのであります。そういう意味においても、われわれがこの犯人の引き渡しを要求して、日本の捜査当局による令状によって執行したいというのはここにあるわけでありますが、この点についてはこういう判例もありますから、本件については公務執行中でない、公務執行外の行為であり、日本に裁判権があり、そうしてこれは殺人である、刑法百九十九条の事犯である、こういう確信を持っておられるかどうか、警察当局と検察当局の考え方、両大臣の考え方、さらに政府の考え方を承わりたいと思います。
○中村国務大臣 ただいま坂本さんの御指摘になりました事例は、私もこの重大な事件が起きましたのでいろいろ先例等を調べた結果、今までは存じませんでしたが、パトロール中に起きました事件についてもようやく知ったのでございますが、そのときにはまさしく日本側としましては公務執行中にあらざるものとして最後まで争いまして、最高裁判所まで参りまして、最高裁判所で、今坂本さんお読み上げの通り、勤務時間中がすなわち当然公務ではない。公務執行の過程におけるものが公務なんだ、こういう最高裁判所の判決が出まして、この事件の最終解決がついたようでありますが、本件につきましても今どう確信を持っておるかというお尋ねもあったようでありますが、今の段階ではまだ私どもいろいろな資料を収集して、基礎的な調査をいたしておる段階でございますから、今どう考えておるかということは明言いたしかねます。しかしながら今後われわれとしては、十分日本側としての見解をあらゆる資料に基いて打ち立てまして、その日本側として出た結論は、先ほど申し上げましたように、あくまで主張をして貫く努力をし最善を期したい、かように考えております。
○坂本委員 質問はこれで終りますが、やはりさっき茜ケ久保委員が申しましたように、これは国会においても重要な問題でありますから、実地の調べと参考人の調べについて、これは捜査当局とは別にやはり考える必要があると思うのであります。さらに私は本来は法務委員ですが、こっちにかわって来ているわけですが、法務委員長の方にも話をいたしまして、これは重大なる人権問題でありますから、あるいは法務委員会と内閣委員会との相互のお話し合いができましたならば共同でこれを調査する、こういう点も考えておるわけであります。ぜひとも参考人の調べ、さらに現地の調査は国会みずからやっていただくことを要望いたしまして私の質問を打ち切ります。
○相川委員長 中村高一君。
○中村(高)委員 簡単に二、三のことをお尋ねしておきたいのでありますが、私はどうも従来政府の米軍関係に対するすべての態度が、非常に弱いことを遺憾に思っておりますけれども、たとえば今度の事件につきましても、社会党で調査に出かけたり、あるいは大きく問題を取り上げましたので、政府もその後本腰を入れたのではないかと思われるような経過なんです。これがもし農民だけにこの問題が終ってしまったならば、私はここまで問題が大きく取り上げられなかったと思う。元来アメリカに対する態度も弱いし、人権尊重などというけれども、私はそれほど政府に誠意があるとは今まで思えないのです。たとえば同じ事件が東富士で昨年の夏起ったのですが、全然政府で調査も何もしていないじゃないですか。一昨六日に何か調査をするように現地の調達庁の支所かなんかに命令をした。そんな一体ばかなことがありますか。昨年起った事件を、しかもこういう事件があるのに、全然だれも騒がなければほったらかしておいて、この問題が出てきて初めて一昨六日になってようやく調査をさせるというような、そんなばかなことがありますか。これは演習中の事故とは違いますけれども 自動車のスピード違反でひき殺されたりなんかする事件はざらですよ。基地の付近におる者は危なくていられはしないですよ。あれは殺人的スピードというんですね。警察では全然取締りも何もやっておらぬじゃないですか。ひき殺されたり何かしているのはのべつですよ。あの横田の基地で昨年の暮れに起った事件ですけれども、ものすごいスピードでうしろからぶつけてきて二十七メートルも引きずっておるんですよ。とにかく十五、六貫もある人間を二十七メートルも引きずっていったのですから、いかにスピードがものすごかったかということがこれでもわかる。これだって全然だれも言わなければ問題にもなっていない。アメリカはスピードが出るのは仕方がないのだというような調子で何もしていはしないですよ。あの付近の人は来たなと思って逃げるだけですよ。米軍の自動車だと言って逃げるだけです。ところが逃げていく方面にまたぶつけてくるのですから、往来から畑の中にでも逃げておらなければほんとうに人命は助けられない。これは故意に来るのではないのかもしれませんが、そんな事件がざらにあるのに今まで何もやっておらないのです。こういうことについて大久保国務大臣は、日本の警察に対して米軍関係についての人命保護のために一体どのような注意を日ごろさせておりますか。東富士の問題などはきのう調査させて全然調査の報告も何もないのでありますけれども、国務大臣として日本の警察に米軍に対するどのような取締りをさせておりますか。あなたは今度の問題だけについて非常に慎重にやっておるようなことを言っておるけれども、日ごろは慎重に何もやっていないのであります。警察に一体どのような注意をしておりますか御答弁願いたいのであります。
○大久保国務大臣 日本はとにもかくにも独立国になったのであります。独立国の体面を維持する上においても、法規の命ずるところに従って警察官はまっすぐに取り締っておると存じます。またそうなければならないと存じます。今富士の問題がちょっと出ましたが、これは調達庁の所管と存じますが、あのときの結論は公務中という解釈になっておりますので、この点も御了承願います。
○中村(高)委員 公務中という解釈になったかもしれませんけれども、この問題について政府は重要な人命の問題だとして、たとえば今度の問題のように扱ったかどうか。これも公務中だ、日本人はたまに当って死んだのだから仕方がないというようなことで事実を扱われてきてしまっておるのであります。これは一つ引き続いて調査をしてもらって報告をしてもらいたいのでありますが、ひんぴんと起るあの自動車のものすごいスピードによる事故、これは厳重にあなたの方から言うてもらわなければならぬ。日本のような道路はアメリカ人の考えでやられたのではだめだということはおわかりになると思います。こんな狭い道路をものすごいスピードでぶっ飛ばすというようなことは、アメリカにおいては許されることかもしれませんが、日本においては全然許されないのです。こういうことに対しては、独立国だからやっておるというようなことを言っておりますけれども、全然これはやっていないのです。また、言うことを聞かないのかもしれませんけれども、あの事実から見ましても、米軍が今度陳謝に来られたというようなことを警察庁長官は答弁しておりますけれども、今度の問題についても腹から日本人を殺したことに対して相済まないというような気持になっておるかどうかということは、あの声明書を見ても、ほんとうにそういう気持で日本に対処しておるなどとは思われないのでありますからして、厳重に今後の問題についても対処していただきたいのであります。ただ一つ演習場に対する取締りについて、今後政府ではどうなさるのかを私はここで確かめておきたいのでありますが、どうも現地の農民諸君の気持としては、あんまりまたこの問題を取り上げて厳重にされて立ち入りが禁止をされるような事態になって、たま拾いができなくなると困るというような、全く何と言うていいのか、敗戦国の一つの悲劇だと私は思うのでありまするけれども、たまを拾うということ自体も、日本の国民の名誉のためにも、自尊心の意味からいうても全く情ない気持がするのであります。私は何とかしてこういうことがやめられないものかということを考えるのでありまして特にまだたまを撃っているところまでも飛び込んでたま拾いをする、まだ熱いうちにたまを拾わなければ人に取られるということで、手袋をはめてたまの落ちたところに突進するというような事実を聞いただけで、全く日本国民として、こういう事実が世界の各国に知れたときにも情ないことだと思うし、日本人というものの全体のレベルを国際的にも疑われるような気がして、全く人ごととは思えないのであります。しかし現実はなかなか深刻でありまして、われわれの方でこの問題を現地で取り上げて大会を開こうという気持ちがあったのに対して、きょうの新聞を見ると、あまり大きくしてもらいたくない、たま拾いがとめられたんでは困るから、引き続いてたまを拾いたいというこの事実を見たときに私は日本の農民の生活というものが、特に土地を奪われた農民があの山間地においていかに悲惨な生活をしておるかということを、むしろ涙なくしては聞けないような現実の事実であります。しかしだからというてこのまま放任をして第二、第三のこういう事件を起して一体よろしいかどうかということを思い合せますると、やはりこれは人命保護というような立場から何か手を打たなければならないのだ。現実にまだ演習場があり、広い演習場で一々これを監視して取り締るということは事実不可能であります。広い演習場を全部立ち入りをさせることを禁止するなどということは、警察の力でもできない。そうするならば一体警察では、一方においては人命を尊重する、しかしまた農民の生活もどうかしてやらなければならないというこの間にはさまって、今後の演習場の取締りについて大久保国務大臣は何か考慮をされておるところがあるかどうか。あまり行き過ぎをされても困りまするし、それかというてこれを禁止するということも現状においてはなかなか困難だと思います。国務大臣でなくても警察当局でも事務当局でも、そういうことについて何らかの御協議でもありましたら、この際お尋ねしておきたいと思うのであります。
○大久保国務大臣 ただいま適切な御質問であります。そういう考えのもとに群馬県庁におきましては、米軍の当局を集めて、適切妥当な方法を講じようとして会議を催す計画をしております。しかしこれはただ群馬県だけの問題ではございません。私どもも法務省及び外務省と連絡をとって、アメリカの大使館あるいは司令官に連絡をとって、そういう線に進みたいと思っております。
○中村(高)委員 時間がありませんから、きょうはほかの諸君にお譲りをいたします。
○相川委員長 淡谷悠藏君。
○淡谷委員 各委員からいろいろ質疑がなされまして、それに対する大臣の答弁も承わりました。ただ私この問題は突発的な事件に似て非常に根が深いと思う。かつ捜査するに当りましてもさまざまな今中村委員からも申されました複雑微妙な関係がございますので、あるいは日本側の正しい捜査の方法がくらまされるのではないかといったような非常な危惧を感じます。アメリカの国防省関係の声明、これは大久保国務大臣は公式のものではないと言っておりまするが、この声明では空中に発砲したのであるということ、日本人が立ち入り禁止地域内に立ち入っているということの強調、さらにたま拾いのために演習ができなくなっている、当日も実包射撃を中止するに至ったという重大な発表がされている。そこには何らか、もしこの問題を大きく取り上げるならば、もはやたまは拾わしてやらないぞといったどうかつのにおいがいたします。この点は慎重にお考えおきを願いたいと思います。一体地元の人がたまを拾わなければ生活ができないようにはだれがさしたのか。あの広範な演習場の面積が開放されれば、今度死んだなかさんという御婦人も初めの通り一町五反歩の耕作面積があれば、何も命がけでたまなど拾わなくてもよかったと思う。その点で私先日調達庁に対してこの相馬ケ原の演習場の歴史を調べてもらうようお願いしておきましたが、本日出されました資料は、ただ現在の演習場の標ぐいその他の表札などが出されているばかりで、補償その他の関係に対する点は一つも出されておりませんが、その点を一つ調達庁の長官からあらためてお伺いしたい。
○松木政府委員 お答えいたします。氏公有の土地を借り上げます借上料と、そのほかにいろいろの補償料がございますが、民公有の坪数は全体で三百九十四万七千坪余りでございます。国有地が二百九十二万二千坪。それは借料の方では地目によりまして借料が違いますが、農地と山林と原野とございますが、農地の方では二千坪、借料か六千七百八十円。山林の方では純民有が百六十五万五千坪、月借料三十二万円、町村有山林六十三万六千坪、借料六万六千八百円、県有百六十三万九千坪、借料十六万五百円。原野民有だけ一万三千坪、月千三百二十円ということになっております。今までの政府の補償でございますが、中間補償といたしまして立木の関係で六百十八万円宗支払いしておりますし、それから林野、雑産物の方で九百七十万円ほど、それからさらに粗菜の採取不能に基く補償は今算定中でございます。道路の改修等の費用のことでございますが、これは二十七年から三十一年までで一億四千四百二十五万円ほど支出いたしまして、補償をしております。それからあそこの地区に特有な用水、排水、水源、護岸、そういいましたものの維持改修に要しました費用が、合計いたしまして一億三千七百七十五万二千円余でございます。これも支出済みでございます。それで来年度の要求予算といたしましても、やはりあそこの射撃等の関係で地域が相当荒れますので、従いまして周囲に及ぼす影響もございまするから、やはり来年度も予算の要求をいたしておりますが、今まで事務的に相談ができておりまするところは、来年度調達庁所要分で一億二千七百万円、農林省所管で千五百万円が予定せられておるわけでざいます。 以上でございます。
○淡谷委員 その材料はなるべく詳しく書類にして各委員に配っていただきたいと思うのであります。 次に法務大臣に一つお聞きいたしたい。今お話がございました通り、かなり広い面積を占めておりますのがこの演習地であります。この六百万坪以上にわたるという広い演習地の中に立ち入り禁止の標ぐいが何本打たれているかと申しますと、わずか十四本であります。六百万坪の広い山の中に十四本ぐらいの標ぐいを打ったのでは、どこからどこまで立ち入り禁止の区域か実際にはわかりません。地図の上でははっきりしております。しかもこの標くいに掲げられたこの制札は非常に簡単なものであります。「此の先は実弾射撃地域に付き立入禁止。小泉キャンプ・ドリュー司令官、特別調達庁」というのであります。物別調達庁というのが現在ありますか。役所は、はっきり調達庁に変っているんです。まだ数年前の特別調達庁といった札をかけっぱなしにしておいて、生活に困った地元民が自由に立ち入って、危険を冒してたまを拾っておる。これは少しも現在まで親切かつ周到な警告も与えられなかったし、何らの批判もされなかったという有力な証拠であります。私は戦後の基地の中には、このような状態が大へんに多いと思う。配付されました占領期間中における進駐軍による事故のため被害を受けた者に対する見舞金に関する資料、これはもう古いもので、二十八年までのものである。この中に見ましても、初めは死亡した人に対してわずか五百円より見舞金が支給されておりません。一人の生命に対して五百円、これは終戦後の物価の安いときにしましても、かなりひどい見舞金であります。それを内閣の調査室のパンフレットが非常な義憤をもって書いておるように、これじゃかわいそうだ、アメリカのすべての兵士が必ずしも冷静に、紳士的態度で日本国民に接したものではなかった、こういうふうな立場をもってだんだんせり上げて、やっと今日まできておりますけれども、それでもまだ十分にこれが予算化されていない。しかもその件数たるや、昭和二十一年から二十八年までの間の死亡件数でも、二十一年度の件数は二十件、これは問題にされなかったものが多かったんでしょう。二十二年度は三百二十四件、二十三年度は百四十四件、二十四年度は二百十二件、二十五年度は二百九十件、二十六年度は二百七十五件、二十七年度に至りまして千百四十五件を数えられております。二十八年度は千九百十五件が数えられております。死亡事件だけでこうである。これは調査が十分になったのかあるいはこういう事件がふえたのか知りませんが、まさに人命に対する危険がこれくらいの率をもって増進している際に非常に冷淡な態度が私はこの演習地としてはとられておったと思う。しかも問題が起りますと、あのアメリカ側の非公式の声明というものでございますが、この中においても明らかに基地外でなければこういう行動はしないだろうと言っている。基地外と同じような行動をさせておいて、しかもこれは公務執行中の問題であるとか、あるいは空砲を撃ったのだとか言いのがれをして騒いだり、たま拾いも禁止するぞといったような、どうかつをもって日本の世論を抑えようとするような態度が露骨に見えております。この事件のわかりました経過を見ましても、最初は単なる流弾として、過失として放任せられようとしておったのです。たまたま現地の茜ケ久保議員がその話を聞いて、飛び込んで真相をつかまえようとしましたが、現地ではだれも乗ってこない。もしここで騒がれるとたま拾いができなくなるからというわけで、非常に悲壮な気持であります。現在でも深く相談しようとすると、この点を非常に懸念されておる。さっき保科委員から、この問題は基地問題にまで発展さすべきものでないという御忠告がありましたが、私は日本の基地問題がこういう悲劇の種をまいておると思う。その意味でこの基地の補償に対しましても、あるいはこの後の住民の生活の配慮にしましても、はっきりした態度をすみやかに表明しなければ、日本人によって日本人に加えられた犯罪を隠すような民族の悲劇が現われてくると思う。そういう点の配慮に対して、私は大久保国務相並びに中村法務大臣からはっきりした御所信を承りたいのであります。
○眞子政府委員 ただいま淡谷先生からお話がございました演習場に関しまする立ち入り禁止の知らせ方が適当でない、不満足だということでございましたが、実は先生のところに差し上げました資料はほんの一部でございまして、この演習場に関しましては、かねてから米軍より知事に対して、一週間前に演習することを知らせるから演習場には立ち入らないように地元の方へ注意してくれという要求がありまして、それに基きまして軍の方では一週間前に必ずいつ幾日何時から何時まで演習をするということを知らせるのでございます。そういたしますと知事の方では、地元の関係町村に向ってそのことと同様のことを通知して、地元民に周知徹底方をはかるのでありまして、その際には各地元で、役場の前その他の掲示場に何月何日から何月何日までの何時より何時まで演習するから立ち入りを禁止するという趣旨のビラを出したのでございまして、相馬ケ原ではこういうものを使っておるのであります。これを読みますと、「立入禁止、於相馬ケ原、実弾射撃実施、自何月何日至何月何日、午前何時より何時まで(ただし日曜日を除く)相馬村」こういうものがございます。なおただいま淡谷先生からお話のこの掲示は、実は申しわけない点もございます。特別調達庁という文字の間違っておる点もございますが、この演習場は、ただいま不動産部長から御説明申し上げましたが、広い面積がございます。もともとここは、その約半分は明治四十年から日本軍が使っておったところであり、その後逐次拡張してきまして、広大な面積になっておりますが、米軍は占領中からこれを使っておりましたので、その当時、面積の広いところでありますが、演習場に入っていける道路の入口と思われるところに、こういったお話のございましたような立て札を立てております。これも文句は直さなくちゃなりませんが、ほかの演習場でもこういう事実がございますので、直しておる途中でございます。なお事前通告に関しましては、この事故の起りました場合も、一週間前に軍からの通知があり、また知事から地元町村長に通知があり、地元町村ではただいま申し上げましたこの掲示をいたしております。掲示方法は以上申し上げましたような次第でございます。
○淡谷委員 なお両大臣の御答弁を伺う前に、その点についてもう一つ私は伺いたいのです。これは、海面等の使用に関しましては、漁をする時間が非常に大きな問題になっております。つまり、演習中は漁船が出せない、演習のないときには漁船を出す、こういうふうな話し合いが補償その他の演習場契約に対しましては非常に大きな要因になっております。この場合に、出漁時間中に、急に演習時間が変ったといって、引き揚げを待たないで、欠航を待たないで、出ておる漁船に向って——まあ、やるわけではないでしょうが、出漁している漁船がいる間にたまを撃って、あわてて命がけで逃げてきた例がたくさんあるのであります。こっちの方はそうはいきますまいが、拡張した地域には、こもを編むカヤもたくさんあったそうでありまして、草もあった。その材料がとれないので、こもを編むかわりに仕方なしに、演習場の実包射撃のない間は、行って弾を拾って辛うじて暮しているのだろうと思います。その場合、この演習時間などが補償の要項に組み込まれておるかどうか。実弾演習をしない間は、立ち入りして残った草を刈ったり、あるいはこもを編むカヤを刈ったりするような自由は、契約する場合に、許されておったかどうか。許されなかったならば、この契約の形はどうなっておるか。こういう点を、実は時間をとりますので、書類で出すように要求してありましたが、ありません。こういう点もわかっておるだけ一つ承わりたい。
○松木政府委員 演習場内の草をとりますとか、こもを編むための材料をとりますとかいうことは、演習をやらない場合に限って許される原則でございまして、それから一週間一ぺん一日、年度のうちで七日間という別の定めもございまして、そういうときには立ち入ってとることができるようになっております。従いまして、年百年じゅうずっととれるというわけではありませんので、さようなとれるべきものがとれない人々に対しましては、それぞれの権利者に補償の形で政府が償いをつけておるわけでございます。
○淡谷委員 以上、私の質問したことに対しまする当局の答弁に関連して、米軍の方で声明をしております、立ち入り禁止地域内に入ったとか、あるいは射撃のじゃまになるとかいうことは、この事件をもみ消すための口実にすぎないと私は思う。これは地元民の非常に弱い経済力、地元民の複雑微妙な心理につけ込んだたちの悪い米軍のどうかつにすぎないと思う。こういう点にくらまされずに、確固たる方策をもってこの事件に当るかどうか、両大臣のはっきりした御意見を伺いたいと思います。
○大久保国務大臣 演習地における付近の住民のたま拾いのことでございますが、皆さんからお話の通り非常に微妙な関係を持っております。これをやかましく取り締まれば村民の利益を奪うことになりますし、ほうっておけば今のような事件を起すというので、実に困難であります。たまには警察官がこれを検挙することもありますけれども、情状を酌量して起訴される場合が少いような現況でございます。しかし今申しましたように事件が起るのは事実であります。ことにこういう事件が発生しましたのはまことに遺憾なことでありまして、これを機会に、一面には米国の官憲に対して注意を促し、その態度に欠けるところのないようにすると同時に、他面においては、日本内地におきまして、あるいは府県なり、あるいは中央官庁なりが連絡をとって、かかることの起きませんように方策を立てたいと存じます。
○中村国務大臣 ただいま大久保国務大臣が申し述べたと同様に考えております。
○淡谷委員 最後に一言確かめておきたいと思いますが、二十八年後におけるこういうできごとの調査資料をすみやかに出していただきたい。それからもしも、米軍が演習中に立ち入り禁止区域内に入ることをとめるわけじゃなくて、演習していない休みの間にでも入ることを禁止するという態度に出た場合、住民の生活を十分保障してやるようなはっきりした確言が私はほしい。もしもたま拾いが国辱であり、たま拾いが危険であるということがはっきりした場合には、これをとめても優に地元民が生活に困らないような保障措置を講じてもらえるかどうか。この保障がなければ今後の捜査に非常に大きな手違いがくると思う。この点をはっきり隔意なく端的に御答弁願いたいと思います。
○今井政府委員 今の御質問にお答え申し上げます。先ほど来お話のございました通りに、今回の事件につきましていろいろ調べてみますと、先ほど来のお話のございましたたま拾いの問題等、いろいろむずかしい問題があるのでございます。しかもこの点につきまして先ほど御質問がございましたようですが、これを全面的に禁止するというようなことになりますと、非常に地元民に対する影響も多いのでございまして、これはただに今回の相馬ケ原だけではなく全国にこういう問題がございます。私どもの方ではもう従来、これらの点について円滑にいたす方法について私どもの一方の所管事務といたしましても、いろいろ検討を重ねておる次第でございます。今後これらのことにつきましてさらに関係各庁とも十分折衝いたしまして、そうして成案を得ました場合には、私どもの方の所管といたしましての補償等については、十分尽力いたしたいと考えております。
○淡谷委員 私は十分な考慮というおざなりな答弁では満足できないのであります。少くとも現在は徹底した警告が発せられていない。また演習場に入り込んでたまを拾うことも草を刈ることもある意味で許されてきた。それをどうしても危険だからとめるというような場合には、地元民の既定権利としてこれを十分に補償するような確固たる決意があるかどうか、これをはっきり言わなければ、地元民は安心して事実を言えません。捜査上に非常に影響がある。片一方ではアメリカ軍が、たま拾いはいかぬとか、立ち入り禁止区域内に入ることはいかぬとかいって、盛んにどうかつ的にブレーキをかけておる。こっちの方が黙っておったのでは、地元民は非常に不安にかられて、事実の捜査に協力しない。その点について、従来受けてきた利益は既存の権利として、もし取り上げる場合でも十分なる補償をするというような確言がほしいのであります。この点はいかがでありましょうか。
○今井政府委員 先ほど不動産部長から御説明申し上げた通りでございますが、この相馬ケ原の演習場につきましても、この演習に差しつかえない程度におきまして採算、採木等を地元の人たちがやることは認められておる次第でございます。今回問題になりました薬莢拾いということは認められておらないのでございます。従いましてこの採草、採木等につきまして、先ほど不動産部長が申しました通りに、これらの補償をする考えで従来仕事を進めておる次第でございますから、それらの点につきましてさらに相馬ケ原の実情を十分調査いたしまして、これに対処する考えでおります。
○淡谷委員 もう一点、私、長官にはっきり御認識願いたいと思うのは、末端の調達庁のやり方は、必ずしも長官が考えているようなそんな筋道の通ったものではない。補償価格等において折衝しました場合に、出す補償には満足ができないだろうけれども、演習などでもあればたま拾いあるいは薬莢拾いができて相当収入もできるのだし、この辺で満足しないかというような折衝が行われておる。いわば補償が十分じゃないから、黙認したたま拾い、薬莢拾いでこれを補ってよろしいといったようなことがいわれているのであります。それをただ形式一ぺんで、立木、草をおとりになれば、これは実際とは違っていると思う。その点で、補償に対しても十分なる考慮を払われて、せめてこの捜査が終る間だけでもかまいませんが、地元民が安心してこの不祥事件の事実を捜査するに協力し得るような確言をしてほしい。もう今までの補償が不足で、たま拾いをしなければ食えないならば、補償を増してやってでも生活には困らぬようにするという、はっきりした確言ができないのですか。
○今井政府委員 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたごとく、採草、採木ということが認められておりますから、これが十分できない場合にはどういう損得が生ずるかというような点も十分調査いたしまして、それに対する補償をするようにしたいと思います。 —————————————
○相川委員長 それでは相馬ケ原演習場事件に関する調査は、本日はこの程度にとどめまして、次に、防衛庁長官より就任あいさつのため発言を求められております。これを許します。小滝国務大臣。
○小滝国務大臣 私、今度はからずも防衛庁の仕事を担当することになりましたので、特にこの委員会ではお世話になることと思いますが、何分浅学非才でございますので、委員の皆様方の御同情、御協力をひとえにお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。(拍手) —————————————
○石橋(政)委員 委員会の運営についてちょっとお尋ねしておきたいのですが、先ほど与党の理事の方に内閣委員長談話を印刷したものを配付しておられたようでございますが、これは一体どういうものであるか、ちょっと最初に御説明願います。
○相川委員長 お答えします。それは私、委員長個人として本事件についての気持を申し上げたわけであります。それで委員長からもう一つ政府に要望しまして、十分なる対策を講じてもらいたいと思います。
○石橋(政)委員 委員長の談話として出すということが、私、今までそういう例も聞いておりませんので、よくわからないのであります。幸いにも中身を見まして、私たちから考えてもそう問題のあるような点がないからいいようなものでございますが、それにいたしましてもこういう問題は、少くとも現在の内閣委員会全般の意向であろうかと思う。何も委員長個人が談話として出す必要はない。こういうものを出すとするならば、委員会の決議として、もっと強いものとして政府に突きつけるべきだと私は考えます。 なお、内閣委員長として談話を発表するからには、相川個人の見解というものでないはずだと私は思う。少くとも委員会の意向をくんだ上で、内閣委員長談話というものが出てこなければならない。内閣委員長の談話でなしに、相川勝六議員個人の意見ということであるならば、何もあらためて内閣委員長の意見というものをつけていただかなくてもよいのではないかと思う。こういう点できのう、きょうの議事運営の点について遺憾な点がたくさんあると思う。全般的に今後の問題として大切だと思いますから、お尋ねしておきたいと思いますが、今言った内閣委員長談話にいたしましても、私の考えとしてみれば何も委員長個人が出す必要はない、出すならば委員会の決議としてもっと強いものとして政府に出すべきである。内閣委員長として出すならば、少くとも理事会くらいには相談してからやられてしかるべきだと思う。それを与党の理事だけに配って、与党の人にさえ了解を取りつけておけばいいというようなそういう考えで、もし今後の運営をやられるとすれば円満にいきようがありませんよ。委員長というものは、何も委員会から浮び上った存在に権威があるのじゃないということを十に認識していただきたいと私は思う。何ぼでも言いたいところがある。もっと理事会あたりで相談して、理事のわれわれは委員の意見をくんで意見を述べておるわけでありますから、委員長はそのつもりで言動してもらいたい、このように考えております。そうしなければ委員会の運営なんか円満にいきません。現に与党だけに了解をしてもらえばいいというような態度は、これは決して委員会の運営を円満にやろうという態度ではありませんよ。多数で押し切っていこうという態度ではありませんか。私はここにあなたの運営に対する根本的な考え方があると思う。これは非常に大切だと思う。そういう考え方でもし今後の委員会の運営をやろうとするならば、あなたか望まれるような、口にするような円満な運営ということはありません。私に言わせれば、ニュース・カメラマンの問題なんというのは末梢的な問題です。今まで少くとも内閣委員会でニュース・カメラマンの行動で議事の運営に支障を来たしたということは一度もないと思っておる。そういう末梢的な問題にこだわって、野党ともよく話し合って運営しようというような根本的な問題をないがしろにするような委員長のもとでは、私は決して円満な運営はあり得ないと思う。帝国憲法下の特権官僚のような意識は捨てなさい。ニュース・カメラマンの問題でもそうですよ。おとといやったような形でやるならば、われわれは了解しておる。きのうあなたが独断でああいう態度をとったために、貴重な一日を空費しておるじゃありませんか。この間に一度だって理事会を開いて、こうしたいと思うという相談をされたことがありますか。私は、今この談話なるものを発表しようとするその方法かおかしいということと、ニュース・カメラマンの締め出しをはかったこととの間に密接な関係があると考えております。私はニュース・カメラマンの問題は非常に大切だと思う。これは単なるレンズじゃないと思う。国民の目だと思う。このように考えていけばもう少し慎重に取り扱えると思う。この国民の目をあなたがつぶすというならば、次に目をもふさぐというようなことをやらぬとも限らぬと思う。そういう根本的なものが委員会の運営に支障を来たしてくるのであって、カメラマンが右に行き左に行くことによって支障を来たすというような問題じゃないと思う。 もう一つあります。傍聴者の問題です。先ほど受田委員が傍聴者を紹介したら、あなたは拒否しました。五枚しか出しておらない。私はうしろを振り向いて見たら、傍聴者はたくさんおる。一体あの傍聴者は、しからば委員長の許可を得て入ったのかどうか。委員が紹介して傍聴したいというものは拒否して、ほかの人はたくさん入って傍聴しておるが、これはどういうことなんですか。一体、傍聴者が多くて委員会の運営に支障を来たしたというようなことがあるのですか。私は、そういう点について、根本的に今後どういうような態度でこの委員会を運営しようとするのか。傍聴者の問題についても、ニュース・カメラマンの問題についても、明確に答弁してもらいたい。
○相川委員長 お答えします。きょうの委員長の談話は、実は与党委員にも相談しておりません。私、全く委員長個人として、本件に対する委員長の気持、政府に対する要望を言っただけであります。ただ配付が、社会党の方には漏れておったということは相済みません。これはやるなら全部やらなければなりませんが、何も他意はありません。 それからあとの要望は何でしたか……。(「カメラマンの問題」と呼ぶ者あり)カメラマンの問題、これは御承知の通り常任委員長会議において、皆様方に御報告したような申し合せがあったのです。それを私は原則としてということがあったので、最初の日はまああの程度でよかろうと思って、一応やってごらんなさい、悪ければまた提言しますということでやった。ところが、はっきり申し上げると党の方で、いやそういう意味じゃないのだということになって、それじゃ一つその通り、申し合せの事項がそうならばと思ってやってみたのです。ところがどうもきのうまた懇談しまして、結局私が最初良識をもってやった程度に落ちついたという状態でありまして、私の本来の考えは、できるだけ皆様方の審議も能率を上げてみっちりやってもらう、それから報道陣にも十分取材はしてもらう、その調節をよくはかっていきたいという考えでおります。幸いに報道陣も私の気持をよく御了察下さって、……(「さっきから衛視が盛んに干渉しておったよ」と呼ぶ者あり)ちょっとお待ち下さい。申し上げます。それは、最初カメラマンの問題が問題になったのは、大きな明りをぱっとすると、ここから見ておりますとまぶしくて非常に工合が悪いのです。しかしこれは必要ですから、やる以上は常時……(発言する者あり)はっきり申し上げます。常時あの明りをつけないで、撮影するに必要な最少時間において一つしてもらいたい。これは委員長として申し上げます。そうしなければ、ここで審議できません。 それから……(「それから傍聴券だ」と呼ぶ者あり)傍聴券の問題は、委員長の立場において、その状態において何枚にするか、委員長がこれを決定いたします。
○石橋(政)委員 みんな私は納得しませんよ。他意はないと言う。しかし現に、それじゃ事務局は、委員長は全部に配れと言ったのに与党だけに配ったのか。そういうことはないと思う。あなたが必ず与党だけに配れと言っているから配ったと思う。他意がないなんて今ごろ言ったって私は納得できませんよ。それから委員長は与党にも相談しなかったと言うけれども、それで言いのがれはできません。そんならあなたは相川勝六個人の見解として述べればいい。内閣委員長として出すからには、やはり一応相談があってしかるべきですよ。その点についての釈明がない。私は配付の問題についても納得いたしません。 それからニュース・カメラの問題も、おとといは自分の良識に基いてやった、ところがきのうは党の方からあれじゃいかぬと言われた、そんな申し合せじゃなかった、こう言う。あなたは自分で委員長会議に出席されて、そうしてどういう申し合せをしたのですか。あなたが常任委員長なんでしょう。あなたが申し合せをされたお一人なんですよ。そうして、こういう申し合せがされたのだからこうすればいいと思ってやったはずなんです。それを党のだれが言ったか知らぬが、倉石さんが言ったか知らぬが、申し合せばそうじゃなかったと注意されなければ、どんな申し合せをされたかもわからないのですか、あなたは。私は相川委員長という大物委員長が出てきて、それは倉石さんがどんな人か知らぬが、国会対策委員長にああじゃなかった、こうじゃなかったと言われてそれに左右されるような、そんなつまらない人とは考えたくない。少くともあなたが良識をもって正しいと思った運営に対して、やり方に対して、国会対策委員長であろうと何であろうとむちゃなことを言ってきたら、なぜ断固としてきぜんたる態度を示さないのですか。おとといは良識をもってやったが、党の圧力に屈してきのうは良識に反するようなことをやったなんていうことは、これは弁解になりませんよ。私はこの点についても納得がいきません。 傍聴者の問題についても、委員長の裁量でやるとおっしゃいますが、それはけっこうです。しかし、それじゃ本日はなぜ五人に限定されましたか。五人しか入れないとお考えになりましたか。うしろを見たらたくさん傍聴者はおったのです。二十人も三十人も入っているのです。それなのに、あなたの許可を得たかどうかもわからぬような人たちがぞろぞろ入っているのに、委員が紹介して傍聴させようというものはなぜ拒否するのですか。私はそんな裁量まであなたに与えたくないと思う。筋の通らない裁量は、われわれは服する必要がないと思うのだ。あなたの新聞報道を見ますと、どうも傍聴者がうしろにおると、妙なことで委員が張り切って発言するからというようなことを言っておられるようです。あるいはニュースやカメラ、あるいは報道陣がおると、またいたけだかになって元気を出してやるから、こういうことを言っておられるようですが、幾ら私たちが元気を出して言ったって、筋が通らぬことを言えば、テレビも報道しませんし、あるいは記者の諸君だってつまらぬことを記事にもいたしますまい。そんなことは報道陣の良識にまかせればいい。あなたがそんなことまで心配して、ニュース・カメラの問題や傍聴者の制限の問題を取り上げる必要はないと思う。委員をばかにし過ぎておりますよ。傍聴者の問題についても、あなたの裁量でやるならばもっとわれわれが納得のいくようなやり方でやって下さい。
○相川委員長 わかりました。傍聴者を何名にするかは私の職権でございまするから、議員の方の要望がありましても、場合によってはそれをその通り承認するわけにいかない場合もございますので御了承を願います。本日の傍聴人はやっぱり五名でございます。あとは新聞記者であります。今事務局の方から通告がありました。なお、将来はこちらが許した傍聴人だけにすることにいたします。 それでは本日はこれをもって散会します。 午後一時二十九分散会