逓信委員会 第14号
- 発言数
- 58 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/03/20
会議録
○松井委員長 これより会議を開きます。 郵政事業に関する件、郵政監察に関する件、電気通信に関する件、電波融理及び放送に関する件について調査を進めます。発言の申し出がありますので順次これを許します。橋本登美三郎君。
○橋本(登)委員 資料をもらいましたが、そのうち「有線放送設備の設置及び使用状況調書」、その中の項目の四のところに「放送通話兼用設備」となっておりますが、そのうちスピーカーの欄ですが、総計で二十万一千八百八(六万九百)こうなっておるのですが、これはどういう数字か、ちょっと御説明願います。
○松田政府委員 御説明申し上げます。二十万一千八百八となっておりますのは、有線放送として使っている場合に、スピーカーがついておりますが、そのスピーカーの数を勘定いたしますと二十万一千八百八というわけでございまして、その全部が通話を一緒にやっているわけのものでもございませんので、その中で電話がついて電話としても使われているものがカッコの中の六万九百、こういうことになっています。
○橋本(登)委員 そうしますと一般の有線放送設備で、スピーカーが十八万六千二百九、これとの関係がわからないのですが、そうしますと、ある一つの設備においてスピーカーの数と電話の数が違うという実情があるのですか。
○松田政府委員 前の方の欄の一般有線放送設備と申しますのは、電話機がぶら下っておりませんで、有線放送だけに使っている施設の数と、それからそれにぶら下っているスピーカーの数というものを言っておるわけであります。あとの放送通話兼用設備というのは、設備としては有線放送と電話と両方が一緒になっている設備、その中でスピーカーだけでやられている面もございまして、電話がつながっていないというものも、やはり中にはあるわけであります。そういうものの方が、やはりこの数字の結果から見れば多いということになりますが、電話機のぶら下っているものの数が六万九百だ、こ ういうことであります。
○橋本(登)委員 それでは最近、たとえば昭和三十一年、もしくは三十年、この一両年の間における有線放送設備の実態は、放送通話兼用のものがどのくらいのパーセンテージを占めているか、一般有線放送の設備として行われるものはどのくらいの数を示しておるか、その点、昭和三十年もしくは三十一年という新しいところの統計はありませんか。
○松田政府委員 現在手元にその資料はございませんが、今までずっときております報告というものを詳細に分析すれば、ある程度御要望に近いものが作れるのではないかと思います。
○橋本(登)委員 大体におきまして最近できるものは放送通話兼用のものがほとんど八〇%ないし九〇労という数字を占めておるだろうと思うのです。そういう仮定のもとでは変な議論になりますが、一応われわれが調査いたしました実態から見ましても、最近のものは放送、通話兼用である、こういうように解釈ができるかと思うのであります。そこでこういうように通話と兼用の有線放送設備をやりたい、かつまた施設が行われつつあるというのは、一つにはそういう放送だけでなくして、電話の施設のないところにおいてはその電話を利用する希望が非常に大であるということと、もう一つは、機械が従来は簡単にできなかったものが、最近では非常に簡単といいますか、割合技術的に進んだものが、比較的安い値段で放送兼通話用の機械ができるようになった、この二つの理由からきておると思う。そこでいわゆる放送兼通話ですか、こういうようなことの考え方は、現在の電電公社の公衆電気通信法の中にはないのでありますけれども、もし現在のこの公衆電気通信法の改正を行うことができるならば、従来考えられておらなかった地域PBXというものが考えられてくるのじゃなかろうか、従来の解釈を少し拡大することにはなりますけれども、団体といいますか、あるいは地域といいますか、そういうものにもPBXの施設を認める、こういう解釈もその必要によっては成り立つ、こういう工合に考えるのですが、政府当局においては、いわゆる地域PBXというか、短絡電話を、何らかの形で有線放送と通話を兼ねたものの施設を公衆電気通信法の中に取り入れる考え方、そういう考え方があるかどうか、逓信または電電公社当局の御説明を願いたいと思います。
○松田政府委員 ただいまお示しの問題につきましては、私どもも有線放送利用の通話とか電話というものが、現在何と申しますか事実上できておるわけでありますけれども、これを将来日本全体の電話政策と関連いたさせました場合に、そういった問題が当然公社としても、やはり検討すべき問題として出て参ることを想像しておりまして、公社の方にもかねがね検討を命じておったわけでございますが、まだその結論を承知しておりませんので、その経過については公社の方から説明をしていただけばけっこうであります。
○靱説明員 有線放送の設備は、当初におきましてはもちろん放送を、ことに受信機を一々持たない、あるいは電灯線の関係等から共同して聴取する、こういうことで北海道等を中心にして発達して参りましたが、これはおのずからスピーカーをつけて伝達あるいは相互の通報なりというものができるようになりましたので、さらに技術の進歩と申しますか、そういうものも加えましてだんだんと電話にも使うというような、自然的に要望に合致しまして非常に発展しておるように私は考えております。公社といたしましては、もちろん農村におきまする電話の整備というものにつきましてもいろいろと施設して参ったのでございますが、御案内のように、なかなか全般的な電話の需要に対しましても大体三割程度しか応じていないというような、五カ年計画におきましてもそういう実績をたどっております。そこで先般来あるいは無電話部落というものの解消、農村電話の充実というような意味合いにおきまして、前から十共同加入のような電話によりまして、農村にできるだけ安い電話も提供いたしたいということで現にやっております。さらに本年度から来年度にかけましては、群集電話と申しますか、簡単な交換機によりまして自働的に相互の通話もできるし、人もほとんど使わないでできるような方法も考えておりますが、今回郵政省から出されました有線放送兼電話の法律案に関連いたしまして、さらにもう少し構想を改めなければならぬではないかというようなことで、先般来公社におきましてもせっかく検討中でございます。今橋本委員の御指摘のように、現に都会等大きなビルディングにおきましては、昔の構内という観念が拡大されまして、PBXが必ずしも同じ会社の人だけでなく利用されるというような態勢になっております。私どもとしましては、農村地域におきまして多数共同加入という観念と、地域的なそういうふうに団体あるいはPBX的な観念、これを合したもので考えてみたらどうかということで、現在検討いたしておるような次第であります。その際に、もちろん現在発達しておりますのは電話といいますか、やはりそこに有線放送の機能を持っておるというような意味合いで発達して茂りますので、現在の公衆通信法の建前、あるいは公社法の建前からいいますと、公社自体が放送業務を営むことができないことは、——まず付帯業務としても困難であることは大体そう考えておりますが、そういう施設を提供するということは必ずしも両者の法律に抵触するものでもないと考えておりますし、現に諸外国におきましても——諸外国といえば語弊がありますが、非常に電波の伝播状況の悪い山国、スイスあたりにおきましては、郵電省において電話も聞けると同時に、五つくらいの有線放送も聞けるというようなサービスを提供しておるのであります。従いまして農村のそういうような需要、要求というものを考まして、ただいま考えておるような施設におきましては、同時にあるいは放送も聴取できるような施設も当然技術的には考えられる。経費の問題も必ずしもそう高額にならぬじゃないかというような観点と、PBXというような観念、多数共同というような観念によりますと、当然公衆通信系の一つとして考えていかなければなりませんから、それらの技術的基準、あるいは他の単独電話からかかった場合におきます通信の秘密あるいは接続等、非常にサービスが悪いというようないろいろな点も考えまして、ここに精度あるいはこれに対する料金というものをできるだけ低廉にしなければ目的を達しません。そこいらの点が今検討の対象になっておりまして、今御指摘のような一つの観念で、目下せっかく検討中でございます。
○橋本(登)委員 当局で研究中だそうでありますが、私はこれを施設として公社が提供するという考え方のみにとらわれないで、PBX同様に公社が提供し得る場合もあるし、あるいはまた自営でこれを施設することもできる。どちらかといえば、実際問題としては公社がこれを提供するということになれば、予算の面から見てもなかなか困難ではないか。従って実際上は、自営によってそういうような地域PBXを認めていくという考え方の方がより妥当的で、かつまたある程度普及せしめるのではないか。というのは、現在有線設備として行われております既設の設備におきましても、関係当局、関係者からはぜひこれを公衆電気通信につなぐようにというような陳情が多々あるようであります。実際問題として、技術的に見て現在のままにおいてこれを公衆電気通信につなぐということは、技術的にも非常に困難なところがあろうと思います。従ってこの問題の解決は、直ちに現状の施設をもってこれをつなぐことができるかどうかということは、われわれ多少この方面に関係ある者から見ると非常に困難な事態がありはしないか。しかしながら公社が一つの部落あるいは地域的なPBXということの考え方から出発して、そうして市外に行くことは、これはもちろんPBXですから行くことになるわけでありますが、そういうことが法的にも明らかになって参りますれば、既設のものにつきましてもこの公社がきめた基準に合致し、かつまた試験の上において通話可能なものについてはつなぐことができる、こういうことにもなってくるのであろうと思うのです。従って現在の放送兼用の電話問題というものは、公社がどういう方針をとるかということでもって、かなり問題が変ってきます。ことに公衆電気通信施設というものをある程度保護し、かつまた公衆電気通信を円満に運行するためにはかなり大問題がありますので、その点当局としては——単に施設を提供するという考え方は私はあまり考えておらないのですが、逆に言えば、運用的にある程度の監督と指導性を持つ必要性はあろうと思う。かつまた施設の技術基準というものをはっきりきめて、公衆電気通信に悪影響を与えないようにしていく、こういう考え方がまず中心でなければ、現在の公衆電気通信に悪影響を来たしはしないか、こういう点から今の問題をお聞きしたのですが、以上の点についての当局の御意見を承わりたい。
○靱説明員 ただいま御指摘のように、施設の提供という言葉が少し強く響いたかと思いますが、それは有線放送と電話の共用の場合の公社法あるいは公衆電気通信法の建前から御説明しましたために、そういうふうにお感じ取りになられたと思いますが、今御指摘のように、そこに多数共同電話以外にPBXの観念を加えてくると申し上げましたのは、率直に申しますれば、自営というものを考えていこうということでありまして、公社が一切直営はしないかどうかという問題につきましては、私ども共同PBXのように、実際の法文の改正としましては、ほとんど自営という態勢かと思いますが、必ずしも公社が直営はしないのではないのだというふうに考えておりまして、今御指摘の御趣旨は、私ども全く同じようにごもっともな御意見たと考えております。
○橋本(登)委員 時間がありませんから最後に一点だけお聞きいたしますが、以上のような工合に、この資料によってもおわかりになるように、非常に膨大な数字が最近増加しつつあります。こういう時期でありますから、根本的に公社なり政府当局の方針が固まりませんと、ただ漫然とこれらが全国に普及されてきまして、これの扱い方について非常な困難を来たすという結果を招来することを考えざるを得ないのでございます。以上の点について政府としては急速に研究を進められておるというお話でありまするが、もし成案ができますれば今国会に提案するだけのお考えのもとに研究を進められているどかうか、その対策を講じておられるかどうか、その点の見通しについて一つ御見解を伺いたい。
○伊東政府委員 ただいまのお話のごとくそれは大へん重大な問題で、それの対策をどうするかということについては、いわゆる有線電話法といったようなものを提出したらどうかという考えのもとに、今電電公社と政府当局との間で研究を重ねておりまするので、結論を得れば出したいと思いますけれども、まだ結論の段階まで行っておりません。
○松井委員長 森本靖君。
○森本委員 今の有線放送の件でありますが、今やっておる有線放送というのは、この有線放送業務の運用の規正に関する法律に基いてやっておるわけですね。
○松田政府委員 仰せの通りでございます。ただ有線放送というものの規律につきましては、有線放送業務の運用の規正に関する法律のあの単行法のほか、有線電気通信法の中に、主として技術的部分、設備に関する部分でございますが、規定がございまして、その意味でもやはり届出制があったり技術基準の制約を受けたりというふうな関連はございます。
○森本委員 これはずっと前に橋本委員の方からも質問があったように思いましたが、もう一回念のために質問をしておきたいと思います。今日の有線放送は、初めのうちの有線放送という考え方からかなり逸脱して通話を行なっておる、交換事務も行なっておる。これは公衆電気通信法並びに公社法の一体どれに違反になるのか、この際はっきりしておいてもらいたいと思います。
○松田政府委員 まず第一に現在の有線電気通信法の第四条の規定で、「有線電気通信設備は、二人以上の者が共同して設置してはならない。但し、左に掲げる場合は、この限りでない。」という例外規定がございまして、この中に、「有線放送業務の運用の規正に関する法律第二条に規定する有線放送の業務を行うための有線電気通信設備を設置するとき。」という規定がございまして、純粋に有線放送という範囲をどういうふうに考えるかという問題と関連しては参りますが、それが有線放送業務の範囲外であるということになりますと、この第二号による規定の例外に当てはまらないことになってしまいますので、ここで一つ問題が生じますし、それからもう一つは同じく有線電気通信法の第十条のところに「有線電気通信設備を設置した者は、業としてその設備を用いて他人の通信を媒介し、その他その設備を他人の通信の用に供してはならない。但し、左に掲げる場合は、この限りでない。」というようにして、やはり例外規定を設けまして、その中で第十号に、「有線放送業務の運用の規正に関する法律第二条に規定する有線放送を行うとき。」という規定がございまして、これもやはり有線放送という観念の中に入るか入らないかという問題と関連するのでありますが、入らないということになりますとやはりこのただし書きにも当てはまらない、従って四条と十条の両方から問題が生ずるということになります。
○森本委員 この有線放送業務の運用の規正に関する法律において、有線放送とはということが第二条にはっきり載っているわけです。そうすると通話ということは、この有線放送というものの業務の範囲外というふうに、この法律においては解釈ができるわけでしょう。
○松田政府委員 大体おっしやる通りです。
○森本委員 そうすると今日行なっている有線放送業務というものは明らかに法律違反である、こういうことが言えるわけですね。
○松田政府委員 この点は実はこの委員会で前に御質問がございまして、私ども非常に苦しい立場に立ったわけでございますが、当時法律の制定のときにはそういう事態を予想していなかったという点から、確かにそういう観念は有線放送の中には入っていないということは申し上げられるのではないかと思います。ただ事実上そういう事態ができて参りましたので、これに対してある程度それに付帯しているものならいいのではないかということの程度まで私でもは考えましたけれども、現状の利用のようにもっぱら使われているというのは、やはり当然違法というふうに考えざるを得ないと思います。
○森本委員 そんなくだくだしい答弁は要らぬので、今日有線放送設備でやっているところの通話は、有線放送業務の運用の規正に関する法律並びに公衆電気通信法の違反である、こういうことははっきり政府としては言えるわけですね。その点が大事ですから聞いているわけです。それはどうだこうだという解釈をしても、この有線放送の今の通話をやっていることは、明らかにこの法律違反であるということは言えるわけでしょう。
○松田政府委員 ただいまイエスかノーか、こういうふうな問い詰め方をされましたけれども、何分やはり当時予想しておらなかった事態でございまして、これを実際運用して参る者の立場から申し上げますと、ある程度新しい事態が生じました場合には、それに対してその趣旨からある程度含まれるところのものまでは、まあまあそごの限界に入れて考えていいのじゃないか、しかしそれがそうでないような動きをすれば、それはやはりその法律の範囲を逸脱してくるというふうに考えざるを得ませんので、現在の私どもの考えとしては、ある程度のところまでは有線放送の運用に当然付帯して起ってくるものであれば、これは一応やむを得ないというふうに考えていたした次第であります。
○森本委員 はっきり答弁を願いたいのですが、これは私は郵政省を責めておるわけじやないのですが、あなた方がそういう言明をやったら、またさらに追及していきたいところがたくさんあるので、ここで言明を得ておきたいと思うのですが、この有線放送の運用に関する法律の第二条から言うならば、今日の、通話を行なって、しかも交換業務まで行なっておるということは、この法律を逸脱しておる、こういうことは言えるわけですね、今日の段階においては。
○松田政府委員 現状の動き方というものについて、私どもも、この動きが届出制になっておりますために、私ども人手もあまりないために、なかなか的確につかめていない状況があるので、まことに申しわけない次第でありますが、その動きが、非常に個人的な通話ばかりに使われておるというような状況になれば、これは非常に違反の疑いが強いと言わざるを得ないと思います。
○森本委員 届出制になっておるからわからぬと言いますが、あなたは私と一緒に千葉県に有線放送の設備を視察に行って十分に一緒に見たはずです。それではこの間視察に行ったところの千葉県におけるああいう電話の交換の状態は、法律違反の疑いがあるか、あるいはまたそうではないと考えますか、どうですか。
○松田政府委員 あの事態は非常にむずかしい事態でありまして、非常に検討を要する事態であると思います。
○森本委員 この問題はあとにいたしまして、大臣が来られましたので先に大臣に質問をしたいと思います。春闘問題が岸・鈴木両党首会談において一応解決を見たと新聞で報道されておりますが、それは国鉄、電通は一応解決がついた、それから専売が解決がついたと報道されております。ところが全逓を初め五現業は、解決がつかずにいまだ闘争を続けておる、こういうことがいわれておりますが、これは現在どうなっておるか、その状況について、これは大臣からでなくてもけっこうですが、一つ先にその状況を説明を願いたいと思います。
○大塚説明員 ただいまの御質問に対しましてお答えを申し上げます。全逓の方では現在両党首会談のあと五項目にわたって要求を出しております。一つは仲裁裁定が出た場合の取扱いに関する問題、次が四月昇給の取扱いの問題、その次が勤務時等に関する協約の締結の問題、次が処分の撤回に関する問題、最後が年度末手当の要求、こういう五つの項目を要求して参っておるわけでございます。それに対しまして省側から最後的な誠意ある回答をいたしておるわけでございますが、組合側におきましては、これを不満としてなお闘争を続けておる状況でございます。
○森本委員 この中で、最初の仲裁裁定の分はなぜけんかになっておるのですか。その他の分は全部一応妥結を見ておるようでありますが、なぜ全逓だけが取り残されてけんかをしなければならぬことになっておるわけですか。
○大塚説明員 仲裁裁定の取扱いにつきましては、御承知のように岸総理と鈴木社会党委員長との会談におきまして、仲裁裁定があった場合は誠意をもってこれを尊重するということになっておるというふうに、われわれ連絡を受けておるわけでございます。従ってその線に沿いましてわれわれとしましても、仲裁裁定が出た場合は誠意をもってこれを尊重し、その実施に努力をするということをはっきり組合に申しておるわけでございます。ところが組合の方では、尊重しその実施に努力するでは不満足だ、はっきり実施をするということを明言せよということを要求されておるわけでありますが、われわれといたしましては当時者能力を越えた約束をするわけにいかぬ。と申しますのは、裁定が予算上、資金上支出不可能という場合におきましては、御承知のように政府はこれを国会に提出して、その承認を受けなければならぬということになっておるわけであります。そういう裁定が出た場合にも、なおかつわれわれに完全実施をやれといわれてもこれは無理でございまして、われわれの能力を越えることでありますので、それらにつきましては実施に努力をするという以外に、われわれといたしましては言うこともできませんし、やることもできないという状況でございます。その点でまだ問題の話し合いがついていないという状況でございます。
○森本委員 それでは国鉄の方はどうなっておるかお聞きですか、労働担当官として。
○大塚説明員 国鉄の方では仲裁裁定は実施をするという約束をしたというふうに聞いております。
○森本委員 国鉄の方郵政省の方とどうしてそう違うのですか。
○大塚説明員 国鉄の方で実施をすると言い切った点は、私は当事者能力を越えた約束でなかろうかと考えております。国鉄ではどういう意図をもってなされたのかわかりませんが、客観的に見ますと、これは当事者能力を越えた約束だというふうに考えておるわけでございます。
○森本委員 それでは国鉄の協定はけしからぬ、こういう意味ですか。
○大塚説明員 文面を見ただけでそれがどうかということはわかりかねるのでありまして、その裏にどういう話し合いなり約束なりがついておるかわかりませんので、直ちにここでけしからぬというふうにも申し上げかねますが、ただ協約面だけを見た場合には、どうも当事者能力を越えておるのじやなかろうかというふうに考える次第でございます。
○森本委員 これは当事者能力を越えておるというふうに私には解釈できないわけです。国鉄の総裁としては完全に実施をするという考え方によって予算の要求をし、それから国会に出すわけでありますので、それを実際に出してどうしても国会なり政府の方で承認しないということになれば、その調印した本人がはっきり責任をとるべきであって、何も当事者能力を越えた調印ではないと私は考えておるわけですが、あなたの方は、国鉄は総裁が当事者能力を越えてやったのだから非常に越権であるという考え方なんですか。
○大塚説明員 先ほど申しましたように、文面だけを見るとそういう印象を受けるわけでございます。それからわれわれの方で完全に実施をすると言い切れないのは、国鉄は公社ですが、われわれの方の郵政大臣は政府の一員として国務大臣でもあるから、事業庁の長官として約束したとはいうものの、事実問題として、国務大臣としての郵政大臣と人格を分けるわけにはいきませんので、そこに国鉄総裁の場合と違う面が出てくるのじやなかろうかと考えておるからであります。
○森本委員 そこで大臣にお聞きしますが、大臣だから協定ができない、総裁だから協定ができるということについて、もっと具体的に御説明願いたいのですが……。
○平井国務大臣 仲裁裁定が出た場合これを尊重し——われわれはこの尊重という言葉を、十分実施に努力するというように解釈しておるのでございまして、この問題については十八日以来全逓と交渉いたしております。 そこで、御質問以外の話にわたるかもわかりませんが、お話し申し上げた方がその間の事情がよくわかると思いますので申し上げます。国鉄においては、仲裁裁定が出て、これを実施するという書面の取りかわしをした、だから郵政省においても大臣がそれと同じ言葉をもって書面を取りかわさないか、そうしなければわれわれの方としては今回の闘争をやめない、こういう組合側の申し入れでございました。そこで私は、私の立場は郵政大臣であり国務大臣である、仲裁裁定が出た場合には、岸・鈴木会談にもあるごとく、これを十分尊重して実施の方向に努力する、しかしながら、仲裁裁定を確実に実施するという言葉を書面で表わすことは、国務大臣として国会の審議権を無視した態度であるという建前に立って——今回の仲裁裁定が出た場合、予算措置その他の問題から生まれてくる国会審議は当然のことでございます。従いまして、国会の審議を無視した書面の取りかわしはできない、われわれは岸・鈴木会談の精神を尊重し、また国鉄が完全に実施するという言葉の裏も十分に了解しておるのだから、われわれの立場もよくお考え下さって、まだ国会の審議という過程を踏んでいない事柄について、お互いに十分な理解をもって、円満な解決をするということに御了承願えないかということを申し上げ、今日まだ折衡の段階にあるのでございます。私といたしましては、国務大臣の立場において現在の態度をとっております。そこで、では国鉄はなぜそういう文面を取りかわしたかという問題でございますが、国鉄総裁の気持は私にはよくわかりません。しかし公社という建前においておやりになったのであろうと存じます。
○森本委員 その論旨は非常におかしい。それなら国鉄の総裁は国会の審議権を無視して協定を結んでもいいという逆説も出てくるわけであって、そういうことではないのです。これは運輸大臣から一応書簡が出ておるのです。私も運輸委員会におって、運輸大臣の方も言明しており、はっきりしておるわけです。そうして国鉄総裁としてははっきり結んでおるわけなんです。だからあなたの方は一応郵政大臣が書簡を出して、郵政大臣が結んだらそれでいいわけなんです。これは簡単な話だと思う。そんなことでわんわんもむ必要はない。そういう論議をしておったところで始まらぬわけです。とにかく春闘という問題は岸・鈴木会談によって、国鉄、電通というおもなものについては一応解決がついた。さらに専売も解決がついた。ところが現業官庁が全部残ってしまった。こういうことでは、政府としてはなはだぶざまな格好だと思うのです。要するに今日一番問題の先頭に立っているのは、当委員会所管にかかる全逓だろうと思う。だから担当の大臣としては十分考えて、早急に解決をつけなければならぬと思いますが、今の全逓の労働情勢はどうなっておるのですか。これは事務当局からでもかまいませんが……。
○大塚説明員 現在全逓の状況は、私どもが承知いたしておるところでは、この仲裁裁定の扱いの問題もありますが、先ほど申し上げました四項目の問題もありまして、それが貫徹されないならば明後日、二十二日、二十三日において勤務時間内に食い込む職場大会を各地の総括局程度のところでやるというような計画を組んでおるというふうに聞いております。
○森本委員 これは郵政大臣としてはどうお考えになっているか知りませんが、われわれこういう方面における専門家はこの闘争を見てみて、実際これは容易ならざる状態であるというように考えているわけです。国鉄の場合は影響が人命にも及ぶこともあるので世論が非常に大きく取り上げておりますが、この全逓の戦いも一般国民にかなり大きな支障を与えることが十分考えられる。そこで大臣としても、この内容について、組合側の言うこと全部が全部通るとは私にも考えられませんが、しかし少くともその他の組合に行なっていると同様なものはやってやらなければ、おそらく引込みがつかぬだろうと考えます。だからそういう面について郵政大臣としては、組合ともう少し虚心たんかいに折衝して、二十二日からの闘争は極力回避するよう、ぜひともきょうからあすにかけて積極的に努力を願いたい、こう考えるわけですが、どうですか。
○平井国務大臣 郵政大臣といたしましては、現在の段階を非常に憂慮いたしております。そこで私といたしましても誠心誠意、この問題に対して一日も早く解決をいたし、国民の福利増進をはかり、皆さんの御迷惑を一日も早くのけたいという気持は、人には負けない決意でございます。また私の組合に対する態度は、私が大臣就任当初組合幹部と会見したときにおいて、どうか郵政省における労使は、相ともに手を携えて、相互に理解を持って十分に問題を解決するというお互いの立場に立って、今後は平和にものを解決していこうではないか、今まで郵政大臣も数あったごとではあるが、どの大臣にも負けないあなた方に対する理解ある大臣として自分は自信を持っておる、かような談話もその当時私は申し上げたのでございます。私の気持としましては、どうしてもこの問題はともにお互いの立場を理解し合って、現在の国民に対する御迷惑をかけないという態度で、熱意をもって進まなければ相ならぬ、かように考えております。御指摘のような一日も早く解決をせよということは、申すまでもなく私は今後誠意と熱意を持ってこの問題に当りたい、かように存じます。 ただいま仲裁裁定の問題がまた問題になるのでございますが、ただ組合側は書面の上で実施ということを明記せよということでございます。しかし郵政大臣、国務大臣の立場の私としては、あとに残る国会審議という重大な問題がございまするので、これらとも関連いたした態度で臨まないと都合が悪いので、この点一つ何かいい文面でも考えることができて、お互いに理解ができますなれば、この問題の解決も早いかと存じ、なお本日ただいまからでもこの問題について十分事務当局とも検討をいたし、御希望のような解決に向って熱意を示したいと存じます。
○森本委員 大臣は労使を安定させていきたいという気持は十分持っておるということでありますが、そういう気持を十分持っておっても、実際的に両方が納得して解決をつけなければ何もならぬことであります。それから労働問題ということについては、一つのことを集中的に考えておったのでは絶対に片がつきません。だから何か重要な問題がくると、非常に失礼な言い方でありますが、一つのことが頭に残ると、そのことばかりで頭がくるくるとなって、俗にいうそのことばかり考えてやっておったのではちっとも解決がつかぬ。だから全般を見てどういうふうにやればどう解決がっく、どこをやればどういくかということをもう少し大臣としては真剣に検討する余地があると今の答弁では考えられます。このこまかい問題についてここでいろいろやってもいいけれども、そういうことをやっても何もなりませんので、私はそのことをはっきりと大臣に言っておきたいと思うのですが、いま少し全般的に視野を広げて、そうしてこの問題の本質がどこにあるかということをもっと虚心たんかいに話し合いをして、具体的にそれならどう解決をつけたらいいか、そこまで真剣に取り組んでやっていかなければならない。一つのことをくるくる頭に考えておってもなかなか解決のつくものではないということを十分念頭に置いて、今大臣が言われたように誠心誠意を持って話し合いをすることによって、早急に解決をつけるようにやってもらわなければ困ると思う。今のことをよく頭の中に入れておいてもらいたいと思います。
○佐々木(更)委員 ただいまの問題に関連して大臣にお尋ねいたします。御承知の通り春季闘争の賃上げ問題は、国鉄を初めとして——たしかここには電電公社の副総裁もお見えになるようでありますが、たしか電電公社もすでに解決したといわれておるわけであります。そうして最後に今なお自主交渉をもって解決が困難なのは平井さんの郵政省なのです。これは当然平井さんも責任を痛感されておることだろう。善悪のいかんは別として、こう闘争が長引いて国民に迷惑をかけるということは、何といっても郵政大臣の重大なる責任であります。そういう責任から、郵政大臣がこれを一日も早く解決をしようという御意見を持っておることと私も信じます。そこでいっどういう状況のもとに解決をするかということが、われわれ逓信委員にとっても国民にとっても至大な関心事であるわけであります。今大臣が御説明なさったように、このままで参りましたならば、二十二日、二十三日の両日、いわゆる半日職場大会が行われるという、非常に憂慮すべき状態がここに現われておるわけでありまして、あなたの方もすでにこれを組合側から通告されて十分御存じのはずでございます。そこであなたは解決しようとする目標を、この二十二、二十三の両日の職場大会を回避することに重点を置かれておることと信ずるのでございますが、いかがでございますか。二十二、二十三日以前において解決をする、こういう御決心とそれだけの見通しがございますかどうか。この点についてお伺いをいたします。
○平井国務大臣 私の考えといたしましては二十二、二十三日を待たずして、今日ただいまでも解決いたしたいという熱意に燃えております。そこでこれは相手のあることでございまして、またわれわれの立場は立場としていろいろ問題もございますので、私の方もできるだけの熱意と誠意を持って組合と交渉いたすという覚悟でございます。また組合側がただもう全面的に壁にぶつかるように、これ以上は一歩も譲らぬのだという態度で出てこられても、そこにはおのずから限度というか、むずかしい問題もございますので、要するに今後は私も熱意を持ってぶつかっていく。だから、客観情勢もいろいろ御判断下さって、組合側も譲るところは譲っていただく。たとえば今仲裁裁定の問題で、裁定が出た場合には実施することを断言する書面を取るということは、これはあなた方が私の立場になってもおそらくできないことだと考える。なぜできないか。これは国会の審議権という重要な問題が控えておる。これまでも無視して私がそういうことに踏み切っていくことは不可能だと思う。そういう点を十分御考慮下さいまして、お互いの立場を尊重するということでこの問題の解決をはかりたいと存じます。
○佐々木(更)委員 きょうあすにも解決をしたい、こう大臣はおっしやるのでありますが、その以前において仲裁裁定の結果が出ないことは明白であります。解決の焦点は、仲裁裁定が出たならばどうするかということが、今の大臣と全逓労組との間の交渉の焦点だろうと思います。だから組合側としては、やがて仲裁裁定が出たならば、その結論をあなたが責任を持って実施するかどうか、こういうことだろうと思うのであります。そこであなたは、もし仲裁裁定の結論がここで出されたならば、その結果に対して責任を持って実行する考えでおるかどうか、これがあなたに考えがないということであったら、おべんちやらで幾らしゃべってもだめですよ、解決する腹はないのだから。あなたがあす、あさってのうちに解決しようとするならば、仲裁裁定が出たらその結果を実施するかしないか、ここで明瞭にしていただきたいと思います。
○平井国務大臣 裁定が出たら確実に実施するかどうか、この委員会ではっきりと明言せよというお言葉であります。この委員会はやはり公けの委員でございます。(「あなたの考えを言え」と呼ぶ者あり)私の考えを申し上げておるのであります。そこで私の考えといたしましては、やはりまだあとに残る議会の審議というものがございまするから、私は岸・鈴木会談のあの精神、仲裁裁定が出たなれば確実に実施する方向に努力するという熱意と決心を持って、これに臨みたいと考えております。しかしこれを確実に実施するという断言は、この委員会ではちょっと申しにくいのでございます。それは何となれば、やはり国会審議を私が無視することによってでき得ないと私は存じます。
○佐々木(更)委員 どうもあなたは逃げることばかり考えている。責任を持つことを考えておらない。ここにわが党の淺稻書記長もきょうは委員交代で来ておられますから、あとで岸・鈴木会談の内容についておそらくあなたの御説明があることと思いまするが、しかし淺沼書記長があなたに御説明なさらないまでも、岸・鈴木会談において岸総理が誠意を持ってその実現に努力をするということは、むろんこれは尊重して実現するということだろうと思う。このことについては、岸総理は単に国鉄ばかりでなくて、三公社五現業に対してそれぞれこの方針で解決をしろということを、あなた方にすでに指示してあるはずであります。指示していないとすれば、これは岸総理が鈴木・岸会談の協約を無視したことになるのでありますが、私の知っている範囲では、すでにあなたの方に指示してあるはずであります。この指示に従って、しかもあなたと同じ資格を有する、すなわち国務大臣の資格を有する宮澤運輸大臣は、わざわざ国鉄の総裁に対して、裁定が出たなればその結論は尊重する、これを実現するということを明示しておるわけであります。こういう形において国鉄はすでに解決しておるわけであります。従って岸・鈴木会談の精神にのっとって、あなた方は国鉄の解決と同様な解決を持つことが政府としての責任なのであります。あなたはそういう逃げ口上を言わないで、やはり仲裁裁定が出たならば、当然その結論に対しては尊重して実施する、こういうことをあなたが明言しなければ、これは全逓と幾ら交渉したって、一体何を中心にしてあなたは協定なさらんとするか。あなたはいまだ何ら結論を持っていないじやありませんか。結論を持っていないで、ただ今にも解決いたしますということは、それはおべんちやらで口の先だけだ、こういうことになるのであります。これはここで議論してもしようがありませんが、あなたはやはり誠意を持ってこの実現に努力する、こういう決心を固めなければいけません。そこで、そういうような協定をこれからあなたはあす、あさってのうちに組合と交渉なさるのだが、かりにあなたの言うことを組合が信用してここで協定が成り立ったならば、その双方の協定を立証する何らかの形式がとられるはずだと思う。その形式は要するに書面によってなされるはずだと思うのでありますが、あなたはそういうように全逓の組合とあなた方がこの条件について、相互了解に達して妥結をした場合には、むろん当然書類でこの協定の形式を整えるだろうと思うのですが、いかがですか。
○平井国務大臣 そういうような事態が生まれましたなれば、いろいろ組合側とそうした形式は相談して解決をはかりたい、かように存じております。
○佐々木(更)委員 相談して解決するのは当然の話でございますが、相談して解決した場合、その協定の形式をどうするか。それは当然こういうふうにしましょう、何はどうしましょうということで書類の形式はとることと思うが、むろんあなたの方もそうするでございましょうねということを私は聞いているのでありますが、どうでしょう。
○平井国務大臣 それはまだこれからいろいろ協議をいたしまして、そこで組合側にも組合側の立場もございまするので、話し合いでお互いに信用すれば、またそれでもできることでございます。また書面の上でぜひ必要だということに相なりますれば、そのときの状況とかそのときのお互いの態度によって、そういうものは自然に問題が解決すべき問題だ、かように考えております。
○佐々木(更)委員 そこでもう結論は出ているじゃありませんか、相談がお互いできて、妥結すればこれは書類でもやろうというのだから。そこであなたに聞きたいのだが、組合と相互に協議して解決した、解決の形式を書面にする場合の署名人は当然郵政大臣たるあなたがなすべきでしょう。あなたは国務大臣という肩書きに少しこだわり過ぎているようでありますが、国務大臣という肩書きにおいて国会審議との関係で署名できるかできないかは別といたしまして、あなたは国務大臣と同時に、郵政省という所管大臣である、郵政という長官なんですよ。だから国務大臣として署名できなくたって、当然自分の所管事項である行政大臣としての郵政大臣として、署名できないことはないではありませんか。あまりつべこべ言わないで、——かえってつべこべ言うと大臣の値打を落しますよ。そんなことはあなた、おっしゃらないで、国務大臣としてはできなくても、当然郵政大臣として署名すべきだ。あまり誠意のないことを言わないで、あまり問題の解決を長引かさないで、——国民に迷惑をかけることをおよしなさいよ。これはやはり当然書面を取りかわすことになるでありましょうから、そういう国務大臣であるから、どうであるからということは弁解にならない。それから国会審議の関係でありますが、当然それは解決をして、自信を持ってその原案を国会に提出するのはあなたでしょう。あなたが出すのでしょう。こういうふうに解決したから、こう実施したいから国会は協賛して下さいと言うのはあなたではありませんか。あなたは解決して国会の審議を無視することになりますか、少しも無視しないではありませんか。あなは何かのらりくらりと逃げて、よいあんばいにしようという不誠意な態度が現われております。しかし解決しようとすることは、職責上あなたも考えられていると思うから、書面に署名できるかできないかという、そういう枝葉末節のことはおっしゃらないで、あなたが問題を解決して相互に妥協するならば、書類を交換してやはり円満に妥結することを私はお勧めいたします。
○松井委員長 本日はこの程度にいたしまして散会をいたします。次会は公報をもってお知らせいたします。 午後零時三十九分散会