地方行政委員会 第27号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/05/07
会議録
○門司委員長 これより会議を開きます。 地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。質疑の通告がございますので、これを許します。北山愛郎君。
○北山委員 大臣がお見えでございますから、この前の問題をお伺いしたいと思うのですが、実は例の福岡県の歳計現金の保管の問題であります。この点については、この前、大臣は、各府県の歳計現金の保管の状況についてよく調査をする、そして対策を考える、こういうようなお話だったわけであります。その結果も承わりたいのですが、なおその後の福岡県のあの問題の発展の状況を見ますと、検察側の取調べによって、土屋知事が、あとで穴埋めに福岡相互銀行ですか、ああいうものを通じて預託をした一億円、この決裁をやっておるというようなことが報道されておるわけであります。そういたしますと、しかも前の一億円の中で、八千万円はやはり第一相互に焦げついておる、こういう事実も明らかになっておるようでありますが、一つその後の自治庁としてのあの問題についての調査の状況を伺いたいと思います。なおあわせて各府県の歳計現金保管についての調査ができておれば、その結果も承わりたいと思います。
○小林(與)政府委員 私よりちょっと御報告申し上げたいと思います。歳計現金の調査は実は大体まとまっておりまして、ちょっときょう手元に持っておりませんが、県別に金庫銀行以外のどういう金融機関にどの程度やっておるか、そういうものを大分けにした資料を作っておりますから、これは午後でもお配りいたしたいと思います。全部の集計がちょっと足りませんが、大体の概況はわかると思います。この問題につきましては、参議院側におきましてもいろいろ論議がございまして、基本的に金庫銀行以外の金融機関に一体そういう道を開いてある政令の制度に問題があるのじゃないかという議論も、一番突き進んだ議論として一つございます。しかしながらこれにつきましては、逆の論議も成り立つのでございまして、実察団体のいろいろな行政施策の関係から考えて、全然それ以外の預託を認めることをやめていいのかどうか、これも疑問があろうと思います。そうすると、相手の金融機関の種類に問題があるのじゃないか、こういう問題も実はございまして、われわれといたしましては、府県だけの問題でなしに、市町村の問題もございますので、どうしても市町村の問題をもう一ぺん広範に調べてみる必要がありはしないか。制度をどうするかという問題につきましては、そういう意味で市町村の実情も調べたい、そういうことによって、最後に制度的な扱いを研究しなくてはいくまい、こういうふうに考えておるわけでございます。府県の調査のできました分につきましては、すぐに資料をお配りいたしまして概況を御説明申し上げたいと思います。 それから福岡事件そのものにつきまして、その後の一おそらく福岡相互銀行と四日本相互銀行に対する預託の問題を仰せになったのだろうと思いますが、その正確な資料をここに持っておりませんが、記憶だけを申し上げますと、これは確かに三月に入りまして福岡相互銀行と西日本相互銀行に預託になっておるのは事実でございます。それはいずれも三カ月の期間になっております。これは従来からもその両相互銀行に対しましては預託が行われておるのでございまして、三月末の税の時期でもあるというようなために、中小企業金融を主として考えるという前提で、融資が行われておるのが事実でございます。これにつきましては、県の方でも県の内規の定めるところによって成規の手続をとりまして、知事もおそらく正式に決裁をしておるに違いない、これは私もそういうふうに考えております。この金につきましては、こげつきさえとれればいつでも引き揚げるということになっておりまして、この点の始末は心配要らないだろうと私は思っております。ただ、その両方の銀行から第一相互に対してさらに資金が流れておるじゃないかということでございますが、これも事実のようでございます。ただしその資金にどういう牽連があるか、いろいろ議論がありますが、福岡県の力ではそういうことは考えていないということでわれわれも説明を聞いておりまして、当然定期の期間が来れば吸い上げる——というのはおかしいが、当然回収されるものと心得ております。県の方でも当然回収するという趣旨のことをわれわれにも言明をいたしておるのでございまして、われわれといたしましてはその言明を信用いたしておるのでございます。その関係は大体そういう状況でございます。
○北山委員 私は新聞で見て、検察庁側の調査で、そのあとの埋め合せというか、一億円の預託について知事も全然知らぬわけじゃなくて、書類に判こを押しておるわけです。従って、結果としては、第一相互に対して預託をした金の八千万円というのはやはりこげついておる。もしもこれが取れなくなったという場合に、それは一体だれの責任になるのですか、出納長の責任ですか、決裁を与えた知事の責任はどうなるのですか。
○小林(與)政府委員 これがもしも取れなくなったときの御心配でございますが、福岡相互も西日本相互も、そんな信用力のない金融機関じゃないようでございまして、取れなくなったらという前提でここで議論するのは、私はいかがかと思うのでございます。六月に期間が切れるはずでございまして、当然に取れるものだと存じております。
○北山委員 前提でといっても、この問題のいろいろな事項を総合的に判断してみた場合に、やはり第一相互に相当こげつきが出てくるのじゃないかと思われる。またこの問題を離れてもよろしい。ああいう事態において、もしも二千万でも三千万でも県の公金に損害が出たという場合にはどうなるのか、これは出納長の責任か、それに判こを押した知事はどうなるのか、弁償責任はどうなるのか、こういうことを聞いておきたいのです。
○小林(與)政府委員 それじゃお答え申し上げます。今の福岡相互と西日本相互が前提になっているというと、銀行相互間の信用問題もありましていかがかと思ったのでありますが、それとかかわりなく、かりに金融機関に預託が行われた場合に、その預託金の引き揚げが困った、そういう場合にどうなるか、そういう一般論としてとなりますと、当然御答弁申し上げる筋合いでありますから、お答え申し上げますが、これは現行法の建前ではともかくも第一次的に出納長の責任だと思います。現金の出納、保管につきましては出納長は全責任を負っておりまして、その責任を全うせなかったならば、自治法に出納長の保管についての賠償責任の規定がございまして、賠償責任の規定に該当すれば、当然にそれによって賠償の責任を問わざるを得ない。またその責任を負って出納長が金融機関の選定とか、事実上の預託の限度とか、そういうものを当然にきめるべきものだと心得るのでございます。ただ、それにつきまして知事が相談を受けまして、そうして承認を与えている、これは法律上の手続でありませんが、自治庁の行政指導からもそういうことをやっておりまして、これは知事といたしまして会計監督の責任が当然にございますから、知事としてその会計監督の責任を果すのに十分であったかなかったか、そういう判断の問題でございまして、その監督上の責任に欠くるところがあれば、その監督上の責任はもちろん負うべきものと考えるのでございます。これにつきましては、知事は法律上当然に賠償責任という問題はございませんが、監督をやらなかった行政上の責任は負わざるを得まい、こういうふうに考えております。
○北山委員 しかし私はいろいろ疑問があると思う。その預託というものが、単なる公金の保管の方法だけの問題というような純粋な意味であれば、それは今の建前では出納長限りでもできるわけですから、知事の判こがあろうがなかろうが、それは問題外であって、一般的に知事が決裁をしておらなくても、知事としては監督上の責任があるわけです。この問題については、やはり一定の金融機関なり何なりに預託をするという内容の決裁を知事から受けるということは、やはり一つの収支命令と同じようなものであって、特定の金融機関に預けるということを、知事もこれは責任を負って決定したものだ、こういうふうに考えられる。だから単なる監督上の責任でなくて、ちょうど指定の金庫に預かっていると同じような例外的な措置を知事から認められている、こういう結果が出てくるんじゃないか、そういう意味においては、このケースは実態をよく見なければなりませんけれども、しかしいずれのケースにおいてもただ監督上の責任というわけに参らないんじゃないかと私は思う。どうですか。
○小林(與)政府委員 具体的の責任問題になりますと、具体的の事件は別問題といたしまして、私は一般的な法律の制度論を申し上げているのでございます。その点でお許しを願いたいと思うのでございます。そういたしますと、要するに現金の出納、保管というものは、法律上出納長の絶対権限になっておりまして、これは知事といえども侵すことはできません。それでありますから、御承知の通りわざわざ出納長という特別の制度を作ってあるのでございまして、収支に対して審査権もちゃんと持っております。かりに知事の命令で支払い命令があっても、法令に根拠がないようなものは拒否すべき責任と義務が出納長にあるわけでありまして、その命令によってやったからといって出納長の責任が解除されるかといえば、私は解除されるべきものでない、そういうふうに考えているのでございます。その場合にそれは出納長自体の第一次の責任でございます。もう一つは、今度は事実上相談を受けた——受けたことは、法律上制度的にあろうがなかろうが、知事、市町村長として会計監督の責任にある者が、その監督の責任を誤まった、こういうことになれば、当然にこれは監督を誤まった責任だけは、やったものが負うべきことだろうと思うのでございます。それで特に今お話しの問題は、預託の場合に行政上の目的が加味されておるという場合に、行政上の目的は当然長が判断をする問題だろうと思いますが、その目的に誤まりがあるとか、あるいは目的通りうまく預託が行われぬとか、その趣旨通りに預託の制度が実現しておらぬというようなことになれば、これも第一次は出納長の責任だと思いますが、そういうことについての影響力というか、及ぼした知事、市町村長においても行政上の責任は免れまい、こういうふうに考えておるのでございます。ただその場合に行政上の責任の中には一体どういう制裁を受けて、具体的にどういうことをせんならぬかということになれば、これは政治行政上の責任ですから、それは知事、市町村長の責任を議会が明らかにするなり、彼みずからがその責任の始末についてどうすべきかという問題になりまして、自分で当然金を埋めなければならぬとか、埋めなくてもいいとかいうような金銭上の責任は第二次的な問題として考えられるのじゃないか、こういうふうに考えておるのでございます。
○北山委員 この問題についてもう一つの点は、たとえば信用組合、福岡県の信用組合なり、あるいは住宅協会なり、こういうものの役員がほとんど県の職員なんです。副知事であるとか各課長であるとか、そういう者が役員になった組合を外郭団体みたいに作って、そして金を流すというような行き方が、これはよその県にもあるのじゃないかと思いますが、こういう形態がどうかという問題がある。一応別個の団体のようになっておりながら、信用組合にしてみたところで、この福岡県の信用組合というのは、顧問、副知事、出納長、商工部長、理事というのが、ただ一人池田という人だけが別であって、あとは土木級長であるとか、児童課長であるとか、営繕課長であるとか、みな県の職員なんです。これが理事になっておる。これは住宅協会もたしか同じようになっておる。そういうものを作って、そこへ県の公金を預ける、こういう行き方は一体どうなんです。これと関連していろいろ外郭団体を作っては、県の部長であるとか副知事であるとか、そういうものが役員になるというようなことがこのごろあちらこちらに盛んになってきたようですが、こういうことについて大臣としてはどのようにお考えになり、どういう処置をされるつもりであるか、これは汚職、疑獄の一つの制度上の欠陥だと思うが、どうなんですか。
○小林(與)政府委員 あとから大臣から御答弁願うことにいたしまして、信用組合につきましては、私いろいろ判断の議論はあろうと思いますが、今の具体の問題を離れまして、信用組合は、県庁の職員の相互扶助という建前でできておると心得ておるのでございます。それで各部、各課の人たちがみな参加いたしまして共同運営をやろう、そういうことでございますから、県庁の職員はみな参加して県庁の職員が役員になる、これは制度上当然だろうと思うのであります。そこでそういうものにつきまして県の公金を預託した方がいいのか悪いのかという問題になりますと、私はこれはあまり窮屈に考えすぎてもいかぬのじゃないか、やはり職員の厚生施設として一つの役割を演じておるのでございますから、その厚生目的を達する限度で、しかも県としての公金の管理保管上支障がないという限度ならば、ある程度の、たとえば盆暮れあたりの金融の梗塞しておるときに、少しばかりの金を預託するというようなことは、考えられてもいいのじゃないか。それでございますから、そういう信用組合に対する預託の限度とか方針というものは考えなくちゃいかぬが、直ちに県庁の職員が役員だから、それに預託するのは当然けしからぬということまでいっちゃ、やはり実際の行政上そこは窮屈になり過ぎて私はいかがかと存ずるのでございます。 もう一つ住宅協会の問題も、御案内の通り、これは県の職員がみなやっております。これは福岡県のやり方がいいか悪いかという問題になりますが、これも住宅政策を遂行するために県自体が公営住宅をやる場合もあるし、それから民間に対して住宅金融公庫の資金をあっせんする場合もあるし、それだけでは足らず、民間の場合に頭金がどうしても要るから、頭金の始末のできない人のために、公庫から金を借り、一部県からも融資をして住宅政策を総合的にやっていく。これは一つのやり方の問題でございまして、そのやり方自体は私は一つの方法だろうと思うのでございます。そういう場合に、その住宅協会の行政の目的を円滑に運用するために、かりに県の公金管理上支障がない限度ならば、ある程度預託が行われてもいいのじゃないか。それをしいてすぐにとめるということのために角をためて牛を殺すということにもなりかねないのじゃないか。そういうふうに一般的に考えるのでございます。ただ、いわゆる外郭団体で、ほんとうに個人が私的な利益だけでやっておるものについて公金が流れていくというような形ならば、これはどう考えても適当とは言えない。そこらの問題がございまして、それぞれ団体の性格なり、中身なり、それからそれに対する県市町村の金のつながりの関係なりを、やはりある程度具体的に検討をして判断を下すのが筋じゃないか。私は一般的にそういうふうに考えているのでございます。あとは大臣から御答弁をお願いいたします。
○田中国務大臣 今のお尋ねでございますが、この問題は制度の面において反省すべき点もあろうかと存じます。と申しますのは、今回のできごとは、職員の相互扶助を目的にして作った信用組合に金を預けたことがよかったか悪かったかという問題よりは、もう一段進みまして、預託をいたしましたその金が、預託という名義のもとに実は第三の金融機関に流れることを目的に預託をしたんではなかろうか、まだはっきりいたしませんが、そういう節があるところの問題ではなかろうか、こう思うのであります。そういたしますと、こういうけしからぬできごとを将来根絶するために、制度を、また運用をいかにすべきか、こういう物の見方で真剣にこれと取り組んで考えてみる必要がある。全国にわたって歳計現金の扱い、運営に関しまして実態調査をしておるのは、そこにねらいがあるわけでございますが、そういう点から申しますと、ただいま部長もちょっと触れましたように、どうしてもそういう職員の相互扶助を目的とするところの信用組合に金を預けるということ自体を禁ずるということよりは、預ける限度の問題、どの限度において金を預けることが必要か、それからその預けました金の運営いかん、こういう限度、運用という問題について、いささか反省の資料としてここに検討を加える必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。従って先ほどから何度も御熱心に御質問をいただいております趣旨を総合してこれを見ますと、やはりこの問題はこういう金融機関に金を預託をするという制度を禁ずることは行き過ぎではなかろうか、こう考えるわけであります。限度、運営に関しては何らかの形において自後類似したようなこういう行為を根絶するような方法を、具体的に考えなくてはなるまいということが、ただいまの考え方の結論でございます。
○北山委員 この問題はいろいろな角度からお尋ねをしましたが、私の納得のいかないのは、福岡県の公金の保管にまつわって——いろいろ結果がはっきりしないうちは話にならぬかもしれませんが、やはり大臣がおっしゃったように意図的にその金を別な金融機関に導入する目的で預託したという疑いが非常に濃厚なわけです。そういう問題を検察庁側の調査だけにゆだねて、自治庁としては何もしないでおるというような感じがする。しかもいろいろお尋ねをすると、福岡県の当局のやり方は、まあ知っておる限りにおいては違法でもないといったように聞えるのですよ。もう少し積極的に自治庁としては福岡県の問題を、検察庁は検察庁でしょうが、別途に調査をする、そうしてはっきりとした措置をするというようなお考えはないものかどうか。これは私どもは反対した規定でありますが、自治法の中にも、例の二百四十六条の二という規定があって、適正な事務処理の確保措置というものが政府にあるわけです。この規定がいいか悪いかは別としてですよ。ああいう問題が一つの適当なケースじゃなかろうか。そういう問題をほったらかしておいて、検察庁が調査しているのをただ傍観しているというような格好にしか見えない。これは重大問題なんです。ああいう公金、これは県民の金であり、ある部分は国の金でもある。こういう公金がいろいろな目的のためによそへ流されて、もし万一にも損害を来たしたということがあれば、単に知事や副知事あたりの責任を追及してみたところでしょうがないのです。損害は損害で、これは県民の損害になってしまう。そういうことが起るおそれがあるのに、その問題を自治庁がほったらかしておいて、今のような御答弁では私はおかしいのじゃないかと思う。もう少し積極的に調査をされ、的確な事実をつかんで、もう今ごろは、検察庁の調査は別として、大体の全貌をこちらに出していただかなければならぬわけです。何となく消極的なんです。さわらない方がいいというように見える。しかも解釈上はどうもああいう公金の保管のやり方もやむを得ないというような御答弁しか言っておらぬ。それはまことに納得がいかぬのです。どうなんでしょうか。福岡県のああいうケースというものを、地方自治、しかも地方の団体の財産というものを安全に確保するという見地から、もう少し積極的に調査を進めるというようなお考えはないのですか、どうなんですか。
○田中国務大臣 お説はまことにごもっともで、そうしたいと考える心は自治庁の立場におきましても全く同様なのです。それをいいかげんに逃げようとか、ごまかしていこうとか、消極的でいこうという態度はほんとうにないのです。ないのですが、建前がこの程度より法律上いけない。それはそうじゃないと仰せになる点がございますと、それを承わりますれば反省もいたします。建前がこれ以上はいけないのです。どれだけの金が何月何日どういう目的のもとにこういう性質の組合に流れた、流れた金がまた同様にこういうふうに流れておるという、金の流れておる道程について一々その動機を調べながら押えていくということ以外にはいけない。これは一体初めからそういう意図があったんだろう、また逆に裏金利といわれるところのものが来ておるじゃないか、それは一体何に使ったんだ、お前はそういう意図を持ってやったんだろうというようなことは、これは自治庁の力じゃやれない。やること自体がどうかと思えることもございましょう。ことにこの問題が、ただ不都合であるというだけの問題にとどまらずして、同時にこの不都合であるという問題が刑事事犯の問題として発生をして、検察庁が逮捕、監禁をして取調べをいたし、必要なる一類は一から十までことごとくトラックに積んで、これを引き上げて行って押収しておる。こういう事件がけしからぬという事件のほかに、こういう具体的な検察の動きというものが同時にある事件でございます。こういう事件に当面をして参りますと、書類を調べることはできぬ。要路の者はことごとく拘禁されて刑務所に行っておる。こういう事態につきましては、行き過ぎないようにいろいろ苦心をして調査もなさしめておるわけでございますが、現在の行き方以上に、現在の法令なり立場の上からこれをやるということはいかがなものか、こう考えるわけでございまして、熱意のほどはあなたの仰せになる通りのことを、実は胸の中には考えておるわけでございますが、これ以上の調査というものは時を得ないとできない。いかにも消極的に見えるわけでございますが、これは自治庁の行政指導なり自治庁のあり方というものにつきましても、本件の事案を契機といたしまして、一つ御検討いただかなければなるまい、また私どももそういう面におきまして大いに検討して御相談を申し上げたい、こういうようにまで考えておるわけでございます。
○北山委員 しかし自治庁は、たとえばほかの財政再建団体なんかには、お前のところは少し職員の数が多過ぎるんだというようなことを、出先の調査官あたりが発表したりしている。そういうことはどんどんおやりになっているのに、こういう問題についてはまことに消極的なんです。しかも今までお伺いした程度の範囲内でも、自治庁として考えらるべき問題点が私はあると思う。たとえば先ほど財政部長が言われましたけれども、県の公金を住宅金融のために使うのも、また一つの方法だというようなことを言われておる。これはもう明らかに政策金融ですよ。単なる公金の保管の技術的な問題じゃない。住宅政策のために県の公金を使うというんですから、少くともそういう問題については県議会の議決を経るのが——公金の運用ですよ。そういう範囲については県会の議決を経るべきであるという現在の自治法の解釈からも私はそう思うので、そのくらいは検討した結論を得べきだと私は思う。そうでないと、県が金を預けておれば、それを住宅金融なりいろいろな政策面に、あれもいいだろう、これもいいだろうといって、それを出納長限りであっちへ預けたりこっちへ預けたりしてもいい——預けるということは実質的に言えば貸付と同じなんです。そうしてもいいという道を認めていることになって、まことにルーズなんです。私は自治庁の考えとしては、まことにその点は納得がいかないんですよ。やはりけじめをつけて、そうして政策金融なら政策金融、純粋な公金の保管の技術的な範囲なら技術的な範囲というふうにやってこそ、初めていろいろな汚職とかこういういろいろな間違いが防止されるんです。すでにそういう制度上の問題もある。今までお聞きをした範囲内においてもそういうことが問題になってくると思う。何も検察庁と同じようなことをやれと私は言っているんじゃない。それはそれで別途の考え方からお調べになるでしょう。しかし問題は、だれを監獄へぶち込んでみたところで、もしも地方団体の金が損害を受けるということになれば、これはみな県民の大きな損害なんです。地方自治の大きな間違いなんですね。こういうことを未然に防止するということを当然自治庁長官としては考えられなければならぬ。それをさっぱり考えないで、そうして何だかもたもたしているような感じがするんです。そしろ政治的な意図であの問題には触れないでおった方がいいんだというふうに何か邪推もされのです。地方団体の歳計現金の保管方法についてのはっきりとした確固たるお考えがあってもしかるべきだと私は思う。今の政策金融の問題なんかどうなんです。そんなことを地方団体がどんどんやってもいいんですか。
○小林(與)政府委員 われわれといたしましては、保管の問題は一審気になるものでございますから、調べるだけは調べて——福岡だけの問題ではない、先ほど申した通り全地方団体の保管、預託の制度に関連しますから、全体の状況を調べまして基本的な考をきめたいと申し上げているのでございまして、これは福岡県につきまして特別にごまかすとかぼんやりしておるというわけではいささかもございません。その点は御安心願いたいと思います。そこで今の福岡の事例でも適当でない部面がわれわれでも相当あると思います。これは県の方にも言っております。たとえば今申しました基本的には住宅金融に貸すという趣旨で預託しながらその通りに預託されておらぬ、その点などはもうけしからぬことは明瞭でございまして、そういうようなことが今後許さるべきでないことも、これもきわめて明瞭でございます。それからさらに住宅協会に対して従来いろいろ預託をやっておる預託のやり方にも、私は相当検討すべき問題があろうと思います。これは県の方でも検討を進めております。今度の場合はそれは住宅公庫からのつなぎ資金のために一応やったのでございますが、その前からも土地の購入資金にやりましたり、場合によっては土地の購入資金にしたものをそれからまた県が買い上げて、いわば県の予算で当然執行すべき事業を県の予算が都合がつかなかったから住宅協会で一応仕事をやって、そうしてあとから予算がついたときに県に買い上げるというふうなことも過去においてやっております。そういう事実もわれわれの方でつかんでおります。こんなことは当然行き過ぎでありまして、当然県の予算措置をとって、正当な手続でやるべきものだと私は考えております。これはもちろん県もそのつもりで今後やるわけであります。先ほど旧しましたのは、住宅協会そのものがいいか悪いかということになれば、これは私は一つの考え方だろうということを申し上げただけでございます。それからもう一つの政策金融というものは、全面的に今北山委員のおっしゃいました通り、当然事前において予測されるものならば福岡県自身も、相当予算に載せて預託制度をとっておるのでございまして、ある程度恒常的に予定されるものは、予算に載せてやるのが当りまえじゃないか、私はそういうふうに考えております。それ以外の、それならば一々全部議会の議決を経るようにするか、あるいはその手続をどうするか、やめてしまうか、金融機関を限定するか、こういう問題は全国的な問題として制度的に考えぬといけない問題でございまして、そこを今調査研究いたしておるのでございまして、そこまでわれわれとしては結論が出ていないのでございます。あるいはつまり県があらかじめ予算でというか、議決した範囲内において預託するようにする。その場合に金額をきめたり目的をきめたり時期をきめたり、そういうようなことをある程度統一的にやるということを、制度的に考えたらどうかとか、あるいは制度そのもので参議院側ではもっと強い意見がございまして、金庫銀行以外に預託を認めているのはけしからぬ、それはやめるべきだという強い意見もございます。それまではいかぬが、銀行ならいいが、信用組合というような信用のないものに預金するからいかぬ、そこを区切るべきだ、こういうふうな意見もございます。そういうようなわけでございまして、これは今おっしやいましたようなことは、全体のやり方をどうするか、こういう問題に関連いたしますので、そこは今すぐに結論がいっておりませんが、何としても重要な問題でございますから、至急実情を考えて実際に即するように、しかもあまり窮屈になって動きがつかぬようでも困るし、そこらの点のからみ合いでもう少し検討して適切な方策を考えたい、こういう所存でございますので御了承願いたいと思います。
○北山委員 ただいまの御答弁を聞いておりますと、要するに福岡県のような場合に出納長限りで、住宅政策のための金融というような措置をするということは適当でない。住宅に限らずそういうような公金の運用をさせる道を開いておくということは適当でないというふうな点は、明らかになっていると思うのですけれども、もう一点、やはり公金の保管方法については、いろいろな角度からさらに検討して、近いうちに結論を出す、こういうふうに了承していいですか。
○田中国務大臣 先ほど部長からお答えをいたしましたように、資料も全部ではございませんが、大体全国的な資料が集まっておるわけでございます。これは近くお目にかけることになっております。そこで先ほどからも申し上げましたように、検察々々ということを申しますが、事実を申し上げておるのでありまして、もうこの段階におきましては大体の見通しも、金のことも、その意図というものについても大体見通しがついておることでございますから、これにつきまして歳計現金の預託の方法及びその預託されたものの運用というような問題についていよいよここで決意をしなければならぬ時期がもう来ておる、こういうふうに資料の全体を総合いたしまして考えるわけでございます。かかることを未然に防止するという目的から、そういう行政指導的措置をこの際具体的に取りきめまして、これを全国に達しをする必要がある、こう考えまして、あまり長くならない近い機会に、それを結論を得まして御報告を申し上げたいと存じております。 それからもう一つの申し上げてよろしいと思います重要な方針は、御承知の通りに、歳計現金に関しましては、当該の地方自治団体において自主的に検査を行うことができるように自治法上きめてあることはごらんの通りでございます。そこでこの検査が非常に徹底をしておりまして、例月検査をいたしますことのほかに、当該年度間においては少くとも三回にわたりまして、予定をしない抜き打ち検査もできるように、抜き打ちということはございませんが、臨時検査が行えるように規定があるわけでございます。それには当該団体の選びました議員、県会議員でございますが、その議員が県会を代表して、区会を代表して立ち会う、こういうことで厳格な例月検査、臨時検査を行わなければならないように法律は規定ができておるのでございます。しかるにかかわらず今回の場合のごときはこういう検査を行う、自主的検査を許しておるにかかわらず、これを十分に行なっていないのではなかろうか。機能の問題につきましても反省をすべき点が幾多出ておるごとくに思いますので、この自主的に認められております例月検査並びに臨時検査というもののやり方につきましても、具体的な資料を示しまして、やり方を示しまして、行政指導をすみやかに行いたい。これは大急ぎで同時にこれをやりたいと考えておるわけでございます。お言葉のように何にしてもだれの責任はどうということは別論にいたしましても、地方の公金であり、一部は国の公金であるという大事なことでありますから、未然防止が制度の運用によってこれをやれる限りは徹底をして、これを行政指導の方針で達しをしたい、こういうふうに決意をしておる次第でございます。
○北山委員 今の各府県等の公金保管状況の調査、これは会期中に出されるのですか。
○小林(與)政府委員 それはできます。
○北山委員 それではその資料をいただいて検討したいと思いますが、やはりこの問題はいわば合法的に行われたというか、一つの今の歳計現金の保管についての穴をねらったというか、穴を抜けて出た問題なんで、私はほかの団体においても起り得るケースだろうと思うのですが、残念ながら今の制度ではこの保管についての規定というか、そういうようなものが少からず不備じゃないか、収支のことだけを問題にして金の出し入れのことだけを問題にしている。あとの債権の形になったものとか、預ったものとか、そういうものについての管理保管ということについては抜けておる。これは国の財政の場合も同じです。国の債権についてもおそらくどのくらいの債権を国が持っておるかという実態がわかっておらぬだろうと思うのですよ。国の財政法を見ても収支だけを問題にしている、一たん出してしまえば、貸した金でもあとはその金がどこへ行ったか、よほど担当のところが注意をしていなければわからないというような格好になっているのです。ですから、この公金の管理上の制度が不備である。その点を突いて行われた一つの代表的なケースだ、こういうふうに考えるものですから、福岡県の問題ももう少し積極的に調査を進めてくれたらいいと思う。なお他の府県の調査とあわせて大至急資料をお出し願うと同時に、こういうことが制度上起らないように十分な工夫をしてもらいたいと私は思う。これはやはり自治庁としての責任だと思うのです。 次にお伺いしたいのは、実はせんだって徳島県と佐賀県の知事さんに来ていただいて、ここで両県の財政状況をお伺いしたわけなんです。残念ながら自治庁長官は関西の方へ御旅行になっていて、重要なる参考人の話を大臣のお耳に入れ得なかったということはまことに残念に思っております。ところがその佐賀県の報告をいろいろ聞いてみますと、今度の教職員の整理の問題にしても、根本にあるものは県財政の窮迫だということを鍋島知事もはっきり言っておる。彼の報告書を見ましても、教職員の人員整理についても六百七名の整理の計画をしておる。そうしてこれが本年になってから教育関係者あるいは県議会における重大問題となって、そして三十一年度の整理を必要とする二百五十九名、これをめぐって大きな騒動が起きたわけであります。ところがそのことについて内容的に検討すると、「本県においては従来他県に例を見ない事務職員、養護教員の数が多く、また結核による休職者が他県に比して多い等のこのことが職員数の多い原因となっているのでありまして、これらの職員を一挙に整理減員することは本県の実情よりいたしまして非常に無理があるように思われます。」こう言っております。知事自身が無理であるという教職員の整理を強行しようとした。そしてそれがああいうふうな未曽有の不祥事みたいな格好になって現われておる。従って佐賀県の県財政の窮迫を救うということについては、自治庁は十分考慮しなければならぬと思うのです。特に佐賀県の県議会において、その県の財政を縛っておるワク、いわゆる再建計画というものを変更してもらわなければいけないということで、これは県議会の与党も野党もというか、超党派で、全会一致で再建計画の変更決議というものをやっておるのです。そのワクを取り去らなければ行政水準の低下は避けられない、こういうことでこれは県会一致の要望であり、また挙県一致でもってこの再建計画の変更をしてもらおう、こういう運動をやり始めようとしておる、それにあの事件が発生したわけなんです。そこで一体佐賀県のこういうような実情について、自治庁長官はどういう措置をおとりになろうというのか、また再建計画の変更というものは具体的にどういう形で現われてきておるか、これをどうしようというのか、これは一つ長官及び財政部長からもお答え願いたいと思います。
○田中国務大臣 佐賀県の事件の起りました原因が、再建計画を推し進めようとしたことが一つの原因になっておるというお説でございますが、これは必ずしも否定のできないものではなかろうか、私はそういうふうに考えておる。それが全体の原因であるとも考えられませんが、原因の一部になっておるようなきらいがあるということは、一応考えてもいいんではないか、こう思うわけでございます。そこでしからばこの再建計画の変更を決議までしておるのだから、変更を許してはどうかということになるわけでございますが、地元からはまだ再建計画の変更の具体的なものが、公式にも非公式にも出てきておりません。そういうことでございますから、再建計画の変更がいずれ出てくるものと予定をしておりますので、それが出て参りました上で諸般の事情を考えまして、これを一つ慎重に検討をしてみたい、この慎重という意味は、いたずらにこれをゆるめるという意味よりは、実情に合うように一つ検討をしてみたい、時の情勢の変化もあるわけでございますし、また税収等にも一段の変化の出てきておるときでございますから、これは全国的にも検討すべき時期が来ておるのでありまして、今後再建計画の検討に対しましては、十分慎重にその地方の実情に合いますように、検討をさせたい、こういうふうに考えております。詳細は部長から御説明をいたします。
○小林(與)政府委員 今大臣から御答弁がありました通りでありまして、われわれも今のままでは困る、教員数につきましてももう少しふやす必要があるのではないかということを聞いております。それにつきましておっつけ資料を具して相談に来るということになっておりまして、それを待っております。おそらくは佐賀県といたしましては今の計画全体の変更の問題は、一つにはその教育職員の員数の問題もございますが、つまりベース改訂がまずきまって、それが職員全体の給与費にどう影響するか、これも大きな問題でございます。それからさらに今の指定事業、公共事業等の分量がどうなる、それに対する指定事業の制度の運用がどうなるかという問題の見通しをつけなければいくまい、そういう問題の見通しがつけば当然計画変更ということが問題になるのでありまして、計画変更がとりもなおさず従来の計画のワクをふやすことであることも、これはまた私は明瞭だと思います。そういう見通しがついて計画を持ってくるだろうと思いまして、われわれといたしましては当然今大臣が申しました通り実情に合うような変更措置はとらざるを得まい、こういうふうに考えております。
○中井委員 関連して。佐賀県と徳島県の話が今出ておりますが、先般の参考人の意見聴取の際には、私は欠席しまして詳しい内容は存じません。しかしながら実は三週間ほど前に他の用件がありまして佐賀県庁に参りまして、いろいろ鍋島知事と二十分ほど懇談をいたしました。その中で具体的な個々の事例ではございませんが、たとえば教職員の整理の問題にいたしましても、七千人に余る人を四千八百人程度に減らすというような一計でございます。あるいはまた税収は十億以内でありまして、そうして今や地方債の利払い及び償還は毎年々々増加をいたして参りまして、ほとんど税収ととんとんになるような状態でございます。徳島におきまする状況は、承わりますと、県税収入よりも公債の償還の方が上回っておる。こういうことになりますと、田中大臣は、最近大臣におなりになったわけでありますが、非常にかねと太鼓でもって宣伝をいたしました地方財政再建整備法案というものの根本的な建前は、まあせいぜい節約もする、せいぜい増収もする、しかしながら一定の地方自治体には行政水準というものがあるのであるから、それをめちゃめちゃに削ってまではやれない、従って地方財政再建整備法案の根本的な建前は、節約するにしても、増徴をするにいたしましても、プラス・マイナス二〇%の範囲内でとどめる。すなわち増収が一割であるならば、節約は一割、節約を一割五分やるならば、増収は五分というふうな、二〇%前後の修正でもってやるのである。これは地方財政再建整備法案の根本的な建前であったろうと思うのであります。その建前が佐賀県及び徳島県、他にも私は二、三あると思うが、その自治体においては、その建前でさえやれなくなっておるということじゃないかと私は思うのであります。従いまして、今の御答弁で、県当局から案が出て参りましたらできるだけ実情に沿っておやりになる、けっこうと思います。けっこうであるが、これをほんとうにまじめに扱って、行政水準の一定水準を保つということになれば、どうしても今の地方財政再建整備法案に多少の例外を設けていく、あるいはまた交付税の配分方法について今のようなやり方ではやっていけない、率を上げることももちろん必要であるし、今自社両党において検討中でございまするが、それだけではいけないというような根本的な問題が出てくるのじゃないか。またこれをやらない限りには救われないのじゃないか。もうそれでもっていくというならば、むしろ今地方制度調査会で御検討願っているように、人口百万足らずの府県では、もう府県行政というものが行われないのだ、ここまで追い詰められておるような感じがいたしました。その気持で帰ってきたのであります。従って今の御答弁は御答弁といたしまして、私どもはもっと基本的な立場で政府当局は温情を持って一つ考えていただかぬことには、これは当面の糊塗策では解決しない、こう思っておりますが、この点について大臣の率直な意見を私は聞かせていただきたいと思います。
○田中国務大臣 御趣旨ごもっともと存じます。再建計画の立場もよくくずさないように頭に置きまして、同時に変更の点につきましても十分にこれを考えて参りたいと存じます。本年以降は御存じの通りの情勢にございますので、再建計画を根本的にくつがえさない限度において、変更の許可を与えるという努力は比較的にやりやすい情勢に漸次来ておるものと考えますので、御意向に沿いますように極力考えて努力をして参りたいと思います。
○中井委員 そういうふうな御答弁になるだろうとは思いまするが、実情はほんとうに気の毒というか、あきれるというか、まことに深刻であります。しかもその原因の一半は、考えてみますると、単に放漫をやっておるとか、あるいは赤字々々でどんどん毎年やっていったというのじゃなくて、やはり公債費の問題に帰ってくる。過去四、五年の間、やっていけないならどんどん公債費を許すという形であって、公債費を許すという面においては、自治庁に責任の大半があるべきものだと思う。過去四、五年の間に、たとえば京都府は非常に赤字であったとか、兵庫県は非常に赤字であったとかいわれますが、それは何といいましても形式的な赤字、もちろん実質も赤字でありまするが、形式的に地方財政法上の赤字である。その地方財政法上の建前からいいますると、起債を認められて穴を埋めたものは赤字になっておりません。これが毎年々々非常にたまっていった、こういうことだと思うのであります。政府としても非常な責任——今の大臣に責任があるわけじゃありませんが、五、六年の間の保守政党のやり方という点に、私は戻ってくるように思います。従いまして今の御答弁以上には出ないと思うが、かなり大胆なる自治庁の態度というものを期待するのでありますが、この点を重ねて私は申し上げておきたいと思います。
○北山委員 先ほど申し上げた職員の整理の問題ですが、再建計画が今後数年間にわたって教職員の六百七名を切る、これは非常に無理があるということを知事が言っておるのです。こういうことを一体変更されますか。知事もこれを変更してもらいたいということなんだろうと思う。そういうところから一ぺんに二百五十九名も首を切るというわけで、先生方が休暇闘争を始めたわけなんです。その上に単に首切りばかりじゃなくて、昇給昇格というものが、三十年には不完全実施をやっておりますが、以後七四にわたってずっとストップをしておる。県の中でも佐賀県のようなところはほかに類がないのです。青森県、それから福島県等が相当昇給のストップ、延伸をやっておりますが、佐賀県が最もひどい。これは昇給も昇格もストップしておいて、そしてさらに数百名の首切りをするということから、問題が発生しておると私は思う。これでは踏んだりけったりです。それともう一つは、教育水準の低下になるじゃないか。やはり教育水準を維持する上において、先生方の定数は幾ら、一個学級当り生徒数は幾ら、こういうふうな数字があると思う。たしか地方財政計画の上では四十五人に一人というふうな格好になっておると私は思う。ところが佐賀県の場合には、私の聞いているところでは、五十五人ないし六十人というのが一個学級当りの児童生徒の数だ。こういうことになれば、やはり教育水準はふだんからずっと低下するという実態にあるのじゃないか。単に先生方が休暇闘争をやったから、その分だけ教育水準が下るというよりも、もっと先にそういう先生の定数というものをどんどん減らして、そして無理な教育をするというところに、大きな教育の一般的な低下というものがあるのじゃないか。そういうものを含めた再建計画の人員整理の年次計画なんです。そういう点を考えるならば、六百七名の整理計画というものは変更さるべきじゃないか、こういうふうに考えるのですが、自治庁はどういうふうにお考えになっておりますか。
○小林(與)政府委員 ちょっと具体的の数字は私も記憶いたしておりませんが、今いろいろお話にあります通り、佐賀県にしろ徳島県にしろ、再建計画は非常に無理をして苦労して作っておるというのは、私は事実だろうと思います。これは両県のその当時の実情からすれば、そうする以外には計画の立てようがない、こういうせっぱ詰まった立場で立てたのであります。その計画だって中身を見ると、仰せの通りいろいろ各方面に無理をいたしておりまして、そういうままで今後十年も十二、三年もいけるかといえば、とうていいけっこないだろう、率直に申しまして私もそう思っております。しかしながら当然それに伴いまして、国全体の税の増収の問題もあれば、交付税の増の問題もありまして、そのままの状態で推移することはありようがないのでございまして、そういう県の財政力自体が豊かになるに伴いまして、計画自体も実情に合うように調整されてしかるべきものと私は考えておるのでございます。具体的な数字をどうするかということは私も申し上げることはできませんが、それは生徒児童数の増加の状況などもどうなるかという問題も考えなければいけませんし、いずれにいたしましても、計画自体をくずすわけには参りません。計画自体をともかくも達成するという基本線は確保しながら、実際に合うように財政力のゆとりというものを、妥当な措置でいろいろな経費の増に充てていくということは、私は当然に考えていいだろうと思っております。
○北山委員 佐賀県の財政再建債ですが、佐賀県の赤字に対してどの程度の財政再建債を配付したかという問題です。三十一年度の計画赤字、実質の決算の赤字が十億九千三百万円、三十一年度中で四千八百万円の赤字減少となったというておるのですが、これに対して財政再建債の方はどの程度に配当したか、こういう問題があると思う。どうなんですか。
○小林(與)政府委員 ちょっと今手元に資料がございませんが、佐賀県の再建債の許可額は七億七千万でございます。
○北山委員 決算の赤字と比べてみて再建債が非常に少いということは、どういうことなんですか。そうすると、あとの再建債を借りられない分については、自力で年々なしくずしに赤字をなくしていかなければならぬ。そこに無理な節減計画が生まれてくる。こういうような徳島とか佐賀とか、そういうところの赤字については、できるだけ満額を再建債で一応たな上げすれば、そう無理な計画をしなくても済むのじゃないかと思うのですが、なぜ十一億ばかりの赤字に対して、七億七千万ぐらいの再建債の配当しかしなかったか、あとの分はどうしたのか、これをお伺いしたい。
○小林(與)政府委員 これは実は財政再建法、法律の問題でございまして、御承知の通りこの法律は、二十九年度における歳入の不足に充てるために再建債を起す、こういう建前になっておりますので、この法律上許される範囲のものは全部拾ってあるのでございます。これは厘毫も値切っておるわけではございません。これに該当しない赤字が残った、要するに昭和三十年度に新しくできた赤字が、この法律の建前上、再建債の対象になっていない、そこに今仰せられましたような数字のそごが出て参ったのでございます。
○北山委員 三十年度の新規にできた赤字は、佐賀県の場合には幾らなんですか。
○小林(與)政府委員 ちょっと今資料を持っておりませんので知りませんが、おそらく仰せの三十年の赤字額との差額がそれになるだろうと思います。
○北山委員 問題は、二十九年度の赤字を基礎にしていく、三十年度の赤字は考えないというところにも一つの問題がある。しかし借りかえ債等の制度もあったのですから、そういうもので補てんすれば、できないこともなかったのじゃないかと思うのですが、借りかえ債は佐賀県にはどのくらいつけたのですか。
○小林(與)政府委員 ちょっと今その資料は持っておりませんから、あとからお知らせ申し上げたいと思います。三十年度の赤字につきましては、ほかの県、団体におきましてもそういう問題があります。この法律の建前は、ともかくも法律ができる新しい年度からは単年度の赤字は作らぬ、そういう財政運営を前提にして考えなければ、ずるずると締まりがないんじゃないか、こういうことで、おそらく法律御決定のときも、二十九年度ということで縛って御決定になったのでございまして、その後新しい赤字を作っている団体もないわけじゃございません。それは事実でございますが、こういう始末をどうするかという問題は一つ問題としてはあるだろうと思いますが、これにつきましても、最近の財政の全般的な好転によって、われわれといたしましては、大体において問題が始末できるんじゃないか、これはつまり再建法の改正の問題点の一つでございまして、今まで本委員会でも御議論になった問題だろうと思います。私はこれらの問題につきましては、今度の税の増収なり交付税の増額等を見まして、本年度の実況を見て、どうしてもということになれば、なお検討すべき問題があるだろう、今年一年の実情はぜひ検討して、この次、必要ならば御相談申し上げなければなるまい、こういうふうに考えているわけでございます。
○北山委員 数字がわからぬというので困りますが、次の機会に、佐賀県の今の再建債とか、三十年度に出てきた赤字とか、あるいは借りかえ債の数字等を御説明願いたいと思います。 それからなお、大臣は、たしか、この赤字団体についても、昇給とか、そういう問題はやはり認めさせるというように、この委員会では答弁されていると思う。ところが佐賀県の場合を見ますと、今申し上げたように、七回にわたって昇給のストップ、延伸をやっている。三十年の四月二十日現在で、その前二回は不完全実施をやり、その後三十年十月末現在までで七回も昇給をストップしている、こういうふうな事態については一体自治庁はどうなんですか。この委員会では、赤字団体についてもやはり昇給は認めていくのだというふうに言っているのですが、それは一四や二回はその団体の都合でできないこともあるということはわかりますけれども、ずっと引き続き昇給昇格をストップして、さらに思い切った人員の整理をするというような再建計画は一体どうなんですか。
○小林(與)政府委員 これは過去の昇給ストップの事例も入っているのだろうと思いますが、私もそれは遺憾だと思います。おそらくは何ともはやそうでもしなければ計画の立ちようがなかった、こういうことでできているんだろうと思います。しかしながら、どうせ職員の給与はそう抑えつけておくべきものではないのでございまして、今度あたりのようにベース改訂があれば、当然給与改訂もしなくちゃならぬことは当然のことだろうと思います。でございますから、一般の財政状況の好転を待ってそういう点も緩和していくのは、当りまえの話だと私は考えております。
○北山委員 佐賀県の再建計画の年次計画というものを見ると、まるでむちゃくちゃなんです。今人件費の問題を申し上げましたが、それ以外の公共事業等についても、投資的な経費というものは、昭和三十年度は二十五億六千七百万円、これが三十二年度には九億九千百万円というふうに、三分の一ぐらいに切り下っている。ずっとその程度で抑えられていく。そういうふうに思い切った事業の切り下げをやっていく、人は大量に首切っていくというようなことで、これでは佐賀県としても、私は県当局も情ないと思う。自治体の体をなしていないということになる。これを縛っているのが再建計画なんだ。その結果起きたのが今度の事件だ。この前鍋島知事もはっきりそういうことを言っているのです。この事件の遠因は地方財政の窮迫によるのだということを言っているのであって、こういう特殊な、徳島なりあるいは佐賀なんという特にひどいところは、普通の百姓法だけでは間に合わないので、一つ方法としては、三十年度に生じた赤字についてどうするかという問題、それから借りかえ債の問題がありますが、今年は借りかえ債がない。だからこれに当るようなものを考えなければならぬ。三十年度に生じた赤字というものについて、特にこういうようなひどい行政水準の切り下げをしなければならぬという団体に対して、一体自治庁長官はどういうふうにして措置するつもりですか。
○田中国務大臣 ちょっと部長から先にお答えを申し上げまして、私があとから答弁いたします。
○小林(與)政府委員 お話の通りその計画は、計画の形式から見ましても非常に無理があって、このままの形でやれっこない。そういう計画は、率直に申して私は佐賀県だけじゃないだろうと思う。ほかの県にもあり得るし、ほかの市町村にもあり得ることだろうと私は思うのでございます。これは全くその計画を作りましたときの市町村の経済の実情を基礎にして作りまして、やむを得ずそうなったものでございまして、そういうものは逐次改善をせざるを得ない。またそういうことをするためには、結局一般財源の増強というものが基本でございまして、幸いにして今年は相当改善ができる、計画自体の調整が相当できるものだと私は心得ておるのでございます。しかしこれも調整してみた結果を見なければ、してもなおかつ動きが全くつきょうがないじゃないか、こういうことは私はあり得ると思うのでございまして、そういうときにはどうしてもまた別途の措置を何か考えざるを得ない、そういうことになり得ると思うのでございます。それで本年度におきましても、再建法の改正につきましては、われわれもいろいろ検討すべき問題があるんじゃないかといって研究を進めたのでございますが、今すぐやるのはまだその時期ではあるまい。本年度幸いに好転したこの状況を見て、そしてその結果によって検討してしかるべきだろう、こういう結論に達したのでございまして、われわれといたしましては本年度の美甘を見て考えたい。現にまだ再建団体になっておらぬ赤字団体もやはり押えまして、これも自主的な再建方策でさばきがつくだろうとは思いますが、やはりどうにもつけようがないというものもあり得るかもしれぬのでございまして、そういうふうな問題につきましても、実態をよく調査して検討を進めたい、そういうふうに存じておるのでございます。
○北山委員 なおこの際借りかえ債は一体どうなりました。三十一年度全部配当済みですか。
○小林(與)政府委員 借りかえ債は、考えておった数字は、もう割り当てておるはずでございます。
○北山委員 その借りかえ債の中の三十一年度分ですが、佐賀県に対する分、そういうものもあわせて、佐賀県の先ほど来お伺いをした点についての数字を伺って、そしてまたお伺いをしたいと思うのですが、とにかく徳島とか佐賀とかいうふうな、特に今までの普通の再建計画、再建方針、あの法律による措置だけでは問題は解決しないということは財政部長が言われておった。その事実を認めておるのですから、これは黙って見のがしていくわけにはいかぬと私は思うのです。今年度の状況によって好転するかもしれぬからというお話ですが、しかし佐賀県のような場合、徳島県のような場合においては、税の自然増収というのはあまりないのです。またあったとしてもそれはもうはっきりと出てくる数字なんです。それから今度の三十二年度の地方交付税法等の措置によって、一体どの程度の交付税がふえるものか、その見当も私は承っておきたい。そうでないと、国会が終ってしまえばまたずるずると行って、そのまま次に持ち越しということになる。その点せっかく両県の知事を呼んで、われわれはいろいろ財政事情を伺ったのですから、これに対する赤字財政の解決の方途というものも大体与える必要があるのじゃないか、こういうふうに考えますので、それらの点をもう少し詳しく数字をいただいて、それからこういうふうにすれば今年度はこの程度に立ち直るのだという具体的な自治庁の御方針も、この委員会にはっきりさしていただくようにしてもらいたい。 なお、時間もありませんが、町村合併の問題について、最近自治庁としてはあとに残った合併を一〇〇%を目標にして促進するという御方針で、地方に指示をされたようであります。ところがこれと関連をして、現在地方制度調査会では府県制度を中心として、地方制度の検討をしておるわけです。府県制度を中心とするのですが、当然これは町村合併の問題も関連してくるし、大都市の問題も関連してくるのです。そういうものもあわせて検討するということで、現在地方制度調査会はやっておるわけなんです。そうしますと、その結論によっては、町村合併の結果できた新市町村の今後のあり方というものに私は関連を持ってくると弔う。あるいはやる事務をどうするかという問題も出てくると思う。そういう際に、地方制度調査会等の結果を待たないで、残った町村のめんどうくさい合併を促進されるということはいかがなものかと思うのです。私どもの考え方からすれば、地方制度調査会において府県制度を中心とする新しい地方制度のプランができ得るならば、その結果を待って、残った町村の問題を考えたらいいのじゃないか、これは常識的には私は当然の結論だと思うのですが、その辺は自治庁としてはどのようにお考えになっておりますか。
○加藤(精)政府委員 北山先生の御質問でございますが、これは町村合併促進法から新市町村建設促進法まで一貫した法律に従って手続したものを、途中からやめるということは、どういたしましても政府としてはできないので、そんなことをやれば法律を作った国会に対して悪いことになると思うのであります。
○北山委員 しかし法律は法律だけれども、その法律の条項を見れば、政府の運用という面がずいぶんあるのですよ。町村合併促進法でも、何もあの十には三カ年の合併計画というものはなかったのです。どこを探してもない。それを政府の方が三カ年でどんどんやってしまおうということで基本計画を作って進めた。それは法律じゃなくて、法律の運用なんです。今度の建設促進法にしてみたところが同じだと思う。やはり政府としてそれらの点を考えて、未合併町村の合併も考慮して運用していくべきじゃないか、こういうことを私は申し上げているので、法律を無視してやれというように言っておるのじゃないのです。その辺の考慮は十分されるつもりかどうか。たとえば地方制度調査会でもこういう問題が出ている。府県制度を処理するという場合に、一体今府県がやっておるどういう仕事を新市町村におろすことができるか、保健所はどうだとか、いろいろな事務移譲の問題が出ておる。そうするとかりに保健所をおろすにしても、現在の合併後の新市町村の規模において果してこれがやれるかどうか、そういう問題が関連して出てくるのです。そういうものの結論が出たあとで、残った町村の合併を進めた方が、一ぺんに問題が解決するのじゃないかというふうに考られるので、それらの運用のことを私はお聞きしておるわけで、これは当然政府として考えるべき問題だと思うのです。それでなかったら、何も地方制度調査会に府県制度なんかを諮問する必要はないのですから、諮問している以上はそれと関連のある市町村のあり方、こういうことも当然影響を受けるのですから、そういうことも念頭に置いて建設促進法の運用をはかる考え方を持っておるかどうか。これをお聞きするのです。
○加藤(精)政府委員 北山先生のおっしゃいますのは、現在手をつけて関係町村も県も手続を進めて、そして自治庁の方で中央審議会にかけたりいたしております分についてまでおっしゃるのじゃないかと思いますが、それ以外の分につきましては、もはや法律上新しく処置ができないことになりましたので、問題はなくなった。そうなりますと、現在手続進行中のものになるわけでございまして、その場合府県の統合その他で状況が変る場合に、再び行政区域、自治団体区域等について不合理是正をしなければならぬことになるという御配慮で、それらを未決定にしておいた方がいいのじゃないかという御意見のように承わったのでございますが、それは必要なる害悪ということにどうしてもなるのじゃないか。はなはだどうもお気に召さない回答だろうと思いますけれども、(笑声)ネセサリー・イーブルというように考えていただくのが、ほんとうじゃないかという気がいたしますので、現在としては……。
○門司委員長 それでは本日の会議はこの程度にいたしまして、次会は明八日午前十時三十分より開会することといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十二分散会