大蔵委員会商工委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 19 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/04/17
会議録
○山本委員長 これより大蔵委員会、商工委員会の連合審査会を開催いたします。私がこの連合審査会の委員長の職責を行いますから、御了承いただきたいと存じます。 中企業の資産再評価の特例に関する法律案を議題といたします。
○山本委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。内田常雄君。
○内田委員 本日は政府から提案にかかります中小企業の資産再評価の特例に関する法律案につきまして、特に大蔵委員長のおはからいで、われわれ商工委員会におります委員をして審査に参画せしめていただきましたことをまずお礼を申します。 この法律案は、中小企業の経営に貢献せしめることを目的といたしておると考えられますと同時に、税の問題なども含んでおりまして、私ども商工委員といたしましては非常な関心を持っておるものでありますし、また一般の中小企業者におきましても、非常な多くの関心を持ちまして、商工委員会に対しましても趣旨の説明や、いろいろの要望がありますので、私は主として中小企業者の立場を代表いたして、政府当局に御質問をいたしたいと思います。 まずこの法律の目的でありますが、これはこの法律案の第一条に、中小企業法人または個人に対して資産再評価の機会をさらに与えて、中小企業の経営の合理化をはかるということが書いてあるのでありますけれども、その反面、今中小企業界で一番問題にいたしておりますところは、資産再評価をぜひやりたい、そうして毎事業年度における減価償却を適正にして事業の正常なる運営をはかる。また資本の回収、蓄積をもはかりたいということでありますけれども、これについてくる税金がこわいということが一番大きな関心でありますが、政府当局におかれましては、この法律は徴税をされることが目的か、それともこの法律案の一条に書いてありますように、中小企業経理を健全化して、中小企業の育成をはかるということが目的か、その二つにつきましてまず趣旨の御説明を願いたいと思います。
○原政府委員 今回の再評価は、再評価が目的でございます。再評価が何のために必要かというようなことは、今さら申し上げる必要はないと思います。わが国は世界の各国の中で、かなり再評価については行き届いた制度を持ち、しかもそれを一回ならず三回やったわけでありますが、なおそれでも中小企業で再評価ができてないというものがあって、非常に御要望がございますので、さらにそのために機会を設けようというのが、今回の法律案をお願い申しました趣旨であります。そこで、再評価税が目的か、中小企業を救うのが目的かという形でのお尋ねでありますが、再評価税を納めていただくことになっておりますが、これは、要するにそういう再評価の当然の一環であるというふうに考えてお願いいたしております。再評価税については、年来いろいろ議論があるわけでございますが、各般の再評価との権衡の問題、それからその前にさかのぼります税体系全般における権衡の問題というようなことを考えて再評価税を納めていただく。それも通常の権衡論でいきますれば、もう少しお納めいただかなければならないわけでありますが、中小企業であるというようなことで、かなりにその辺の調整はいたしているわけでございます。従いましてこれは再評価をいたします当然の一環としてお納め願う。これは、中小企業を救うに対立する税をとるということでは全然ありませんので、税の方は、相当な税をとりましても、再評価をいたしますれば、しない場合に比べれば税を失うということになるわけであります。そこで、再評価税をとる、それは他の場合との権衡論があり、また今まで累次行われました各段階の再評価との権衡論があり、また再評価があまりに水増になりますと非常に困るというような問題があり、それに対する一種の安全弁というような意味もあるということで、決してこれは再評価に対立するものじゃなくて、再評価の当然の一環として案の中に入れてお願いしてあるということを、くどくどしゅうございますが、御説明申し上げた次第でございます。
○内田委員 ただいまの政府の御説明を伺いまして、一応は安心するのでありますが、私は質疑の冗長を避けまして、最も懸念のあります点につきましてずばりずばりと御質問をいたします。税が目的ではないということでありますが、現実には、この法律案によりますと、再評価をいたします中小企業者は、再評価差益に対して二%の税金をとられることになっております。世上中小企業者は、この二%は高い、もっと負けてくれ、一%かあるいは非課税にしてくれ、こういう要求があるのでありますが、一面主税局長の言われますように、これを課税しないということになりますと、天井知らずの水増しの資産再評価をいたして、それを毎事業年度にどんどん償却をしていくということになりますと、法人税もあるいは所得税もとれないということになりますから、その点は一応もっともの点もあるかと思います。ところが今権衡論というお話もありましたが、御承知のように昭和二十八年、九年にいたしました第三次の資産再評価におきましては、資本金五千万円以上の会社、また再評価限度制が一億円以上に上りますところの資本金三千万円以上の法人につきましては、強制再評価ではあるかわりに、資産再評価差益に対する税金は非常に安かった。これは私から申すまでもなく、政府当局の方が御承知でありましょうが、強制再評価をやった法人、または大法人でなくとも、ある程度以上の再評価をやりました法人につきましては、再評価差益のある部分につきましては、全然税金を課さない。ある部分につきましては税金を課するけれども、三%であるということで、平均をいたしますと、つまり無税の分と三%の分を平均いたしますると一・九五%、あるいはまた最も状況の悪いものにつきましても、二・四%というような税率になるのでありまして、大法人に対しましてすでに一・九五%という税率が出ました以上は、今川中小企業に対しまして再評価の機会をもう一ぺん与えるけれども、税金は二%取るということになりますと必ずしも中小企業者の利益を特にはかったということにはならぬようにも考えられますが、これはどういう御説明をなさいますか。
○原政府委員 お話しの通り、第三次再評価で一〇〇%再評価をしたという場合におきましては、第一次ベースまでの分について六%の半分の三%、それをこえる部分は再評価税を取らないということでありますから、極限の場合において一・九五%で済んだということは、お話しの通りであります。ただしそれが若干でも欠けてきますと、じき二%あるいはそれ以上になるということになります。なお第三次には強制という要素が入っておりましたが、今回は中小企業でありますので、強制ということもいかがかというので、強制はしないということにいたしております。また第三次だけの権衡ということを考えるかどうかということになりますと、これは第三次にできなかったからどうということよりも、中小企業は、今までこういうものに気が配り切れないというような意味で、一次、二次、三次の一連のものに乗りおくれたというようなことがございますから、比較する場合にも、単に第三次の場合だけを御比較になるというのはいかがというふうに考えます。一次から三次までを通じましての減価償却資産についての再評価税の実効税率を調べてみますと、三・三%というようなことになっております。いろいろ見方はございますが、総じて考えまして、二%という税率は、私どもといたしましては、おっしゃるような観点も十分検討して、中小企業なるがゆえになるべく温和な税率でという気持で御提案いたしたようなわけで、これは立案の経過におけるいろいろなニュース等をごらんいただいて御了解いただいておるとは思いますが、中小企業に極力やりやすくするようにというような気持を入れて、二%という税率をお願いいたした次第でございます。
○内田委員 せっかくの御説明でありますけれども、まだ必ずしも納得ができない点もございます。実は、私は与党の委員といたしまして、この法律案が国会に上程せられるに先だちまして、政府の原案は税率三%ということであったのでありますけれども、それを私どもが極力引き下げるようにということで、二まで下った経緯があるのであります。今主税局長は、昭和二十五年に行なった第一次から、昭和三十九年に行われた第三次までの資産再評価の場合の税率を平均してみると、三%以上になるというふうなお話でありますけれども、ただここで考えなければならないのは、なぜ中小企業というものが、せっかく昭和二十五年から行われた資産再評価というものに乗ってこなかったか。おそらく今度の法律というものは、中小企業者にもう一ぺん資産再評価の機会を与えて、中小企業者の経営を適正にし、これを育成しょうということでありましょうけれども、とにかく今まで中小企業者は、一次、二次、三次に乗ってこなかった。乗ってこなかったということは、なかなか乗れなかったという面があるのでありまして、元来中小企業者は非常に利益が少い、あるいは欠損であるというようなことでありまして、うっかり資産再評価をいたしましても、償却ができない。償却をすれば、会社が欠損になってしまう。またさらに再評価税を取られるということでありますので、乗りたくとも乗れなかったということのために、今日までおくれてきたことを考えますと、ここで中小企業者にもう一ぺんせっかくの機会を与えようという政府の親心がありますならば、過去は過去として、中小企業者を乗せるために、乗せやすい制度を考えてやらなければ、今度の法律がまた死文に終ってしまう。とうとう中小企業者というものは永久に資産再評価ができなかった、そして企業経営の適正というものが得られなかったということになっては何にもなりませんので、ここで政府がせっかくこの法律案まで出そうとするならば、ある程度まで思い切って税率を下げてこそ、いい政府、国民のための政府とほめられることにもなると思います。そこで私がお尋ねいたしましたように、またお答えがありましたが、この法律が税金を取るということを目的としないというのであるならば、もう一度御研究になって、二%というものを、さらに一%に引き下げるとか、あるいは一%ができなければ一・五%にすることがいいかどうかということについて、私は与党委員ですから、これ以上は申しませんけれども、これは一つさらに御研究願いたいと思うのであります。 次にお尋ねしたいことは、この税率が二%でありますために、これを納める納期というものを二カ年にして、一年に一%ずつ納めさせるということで、これはいかにものみやすくなっておるようでありますが、過去の例を調べてみますと、第三次の強制再評価の場合には、納期限が五ヵ年の分納になっておりました。また昭和二十五年の第一次の再評価につきましても、納期限は三年間の分納ということになっておったのでありまして、これを今回は二ヵ年ということで、三年ないし一年短縮をしておるのであります。おそらく政府は、税率が二%だから、一%づつ納めれば世話はない、こういうふうな見解でありましょうけれども、今日の中小企業者の経営の内容というものは、なかなか机の上の数字で割り切れたものではないのでありまして、毎年分わけて納めるにいたしましても、一%よりも〇・五%にした方がまだ納めやすい、ぜひそう願いたい、こういう希望も多くあるのでありまして、この点、二年を三年とか五年とか延ばす方が適当ではないとも考えますが、これに対する政府の御見解はいかがですか。
○原政府委員 お話しの通り、第一次、第二次においては、三年または五年というような期間を設けておりますが、今回二年でお納めいただくようにというように考えましたのは、再評価自体としては一応終っておる、今回やるのは中小企業であって、そのために税率も軽くする、それから手続もなるべく簡単にしたい、税務の方におきましても、相当やはり手数があるわけであります、手数をなるべく少くする、納税者側も税務の側も少くするということにいたさざるを得ないのではないかというふうに考えましたわけであります。翻って中小企業が再評価いたします場合の税の関係を考えましても、中小企業でありますから、あまり長い年数の資産をよけい持っているということが、大企業の場合に比べると少いように思います。せいぜい十五年とか二十年とか、そのくらいの平均だろうと思いますが、そのくらいのところであれば、税金の負かり方が非常に大きいのであります。二十年の資産にいたしましても、定率法ですと一割の償却ができますから、再評価で百万円ふやしましても十万円償却がふえる。それに対して一%、百万円の一%を一年で納めるというと、一万円の税でありますが、法人税が軽くなると、その十万円の四割方は軽くなるわけで、そういうような意味で、簡単にやるために、二年で一%ずつお納めいただくということをお願いしても差しつかえないじゃないかというふうに考えたわけであります。いろんな年数の資産を持っておる場合があるとは思いますが、概して申し上げまして、ただいまあげました例というものは、平均の耐用年数として短か過ぎるというよりも、むしろ若干長いのではないかというような感じもいたしますし、仕事をなるべく簡単に片をつけて参るというようなことから申しましても、二年でお納め願ってよろしいのではないかというふうに考えて御提案申し上げておるような次第でございます。
○内田委員 資産再評価を中小企業にさせまして、償却を多くして法人税を安くするということは、実は恩恵ではないと私は考えます。今日、中小企業の減価償却資産の薄価というものは非常に低い、一千万円の資産を持っておっても、簿価は百万円にしかなっていないというところでありますから、それに対する償却というものは、今までの建前でやれば、幾ら償却をいたしましても一千万円の現実資本の回収というものはできなくなりますから、これの回収を可能ならしめるために資産再評価というものをやらせるのでありますが、償却が多くなれば税金が安くなるのは当然でありまして、そっちで利益があるから再評価差益税の方を取ってもいいのではないかということは、これはのめないのであります。幾ら税金でありましょうが、一方において減る分があるから一方において高くする、差引きして減る方が多いということはわかり切ったことでありますけれども、この二つは比較してみることができない性質のものではないかと思います。またたとい幾らの再評価差益税でありましても、二年で納めるよりも、中小企業者としては三年なり五年なりで納めた方が楽でありまして、またぜひそうしてもらわなければならないような実情の企業も多うございますから、この点も、私は当委員会の今後の審査における課題として申し上げておきますので、さらに政府におきましても十分御研究の上で、大企業その他の企業につきまして一たん許されたところの延納の年限の三年、五年というものがありました以上、ここで単に税金徴収の便宜から二年に縮めるというようなことをなさることがいいか悪いか、かなり問題があるようであります。仏作って魂を入れずといいますか、せっかくいいことをしながら、その政府のいい施策が中小企業者全体から理解されないようなことをなされない方が、政府のためにも、またわが自由民主党のためにも一番いいと私は考えるものであります。 次に進みます。その次にお伺いいたしたいのは、従来の資産再評価の場合におきましては、再評価の結果減価償却が多くなる、もちろん減価償却が多くなると税金が減ってありがたいことでありますけれども、減価償却が多くなります結果、会社が利益が一つも出ない、場合によっては欠損になるというようなことも、今の中小企業の苦しい状態においてはいろいろあるのであります。さような場合においては、計算上は再評価差益が出ますけれども、これに対して政府原案によりますと、二%の税金というものをすぐ取るのも酷のようにも思うのでありまして、従来の例にありますように、さような場合には、再評価税の徴収というものは延期してやるということを考えてもいいのじゃないか。従来の第一次から第三次までの例によりますと、大へんむずかしい計算をして、会社が利益が出ることは出る、税金は減ることは減るけれども、その税金の減り方と別に納める再評価税との額を比べまして、そして再評価税の額が多くなる部分だけを後年度に繰り越すというようなことをやっておられたわけでありまして、それは私は大へんめんどうだと思います。中小企業にとりましても、めんどう過ぎて必ずしもありがたいこととは思いませんし、その通りやってくれとは申すのではない、再評価の結果、会社に法人所得が出ない、あるいは欠損になるというような場合には、税法上利益が出ていないのに再評価税だけは毎年取るということはどうかと思いますので、前の通りでなくてよろしいから、私が今申し上げたような考え方のもとに、さような場合には延納の制度を認めるということが考えられるべきだと思いますが、政府はいかにお考えでございますか。
○原政府委員 その点も考えたのでありますが、事柄を簡素に早く片をつけるということをまず考えましたことと、税率もごく低率であるというから、お話しのような延納の規定を入れて処理する必要はないだろうと考えて御提案申しているような次第であります。 お話しのような企業が、二十八年、二十九年にもチャンスがあって、二十八年はまだまだですが、二十九年はかなりディスインフレーション政策で経済界も沈んだときでありますから、当時は利益が出なかった。また三年たって、今は非常に景気がいいときでありますが、それでも利益の出ないところがあると思います。あると思いますが、大体において当時も出ない、今も出ないというようなところがお話しのケースに当ると思うのであります。そういうケースになると、実は無理して再評価をしていただく場合に、税務の側としてはかなり心配があるのでございます。資産の再評価法では、あまりそういうだめな資産については、フルに再評価されると、実際は値打がないいわゆる陳腐化という形で——むしろ税務署が陳腐化を判定して頭を押えることができるような制度がずっと再評価の系列に入っておりますが、そういうような問題にもなって参ります。まあ前後二回と申しますか、二十八年、二十九年、三十二年と、すべてにマイナスだという企業でないとお話しのようなことが起らぬというようなこともあり、また税率も、先ほど来申しましたように、当初の六%から比べますとずっと軽くいたしております。そういうようなわけで、すべてを簡素に手っとり早く済ましてしまうような配慮をからめまして、実はこういう案をお願いいたしている次第なんでございます。
○内田委員 少し話が違うように思うのであります。過去三回の資産再評価の際は、経済界は不況であって、中小企業などは、今までのような法律を出されておりましても、なかなか再評価に飛びつけない。しかしお話しのように、昨年くらいから中小企業もだんだんよくなってきているところもあります。さればこそ、今度こういう法律を出しますと、利益も出てきたから、再評価をして償却額を多くして、そして中小企業永久の使命を保つために減価償却も多くしようということが出てくるだろうと思いますから、私は、やり方によりましては、この法律のままではどうか知りませんが、適当な修正をなさるとか、また政府が運営よろしきを得ますならば、再評価をしようという中小企業者も出てくるだろうと思います。しかし再評価をしますと、言うまでもなく減価償却が多くなりますから、法人所得というものはやっぱり出てこないものが出てくるのじゃないか。これは今お話しのように、昭和二十五年以来、昭和二十九年にも事業内容が悪かった、今のような好況に向っているときにおいてもなお利益が出ないというような中小企業の法人は、はしにも棒にもかからぬというようなことではなしに、中小企業に対して政府もいろいろ施策をやっている、中小企業金融のめんどうも見れば、一般的に法人税や所得税の減税のなさっておられる、いいこともいろいろやっておられる。また国内の経済動向も、当分は高原景気が続いて、だんだん中小企業にもそれが回ってくることを私は期待している。さればこそ、こういう時期にもう一度再評価の機会を与えて、そして減価償却を多くせしむるということは大へんいいことだと思うのであります。それをやった結果、帳簿上やはり法人所得が出ないという際に、これは減価償却でありますから、償却分は社内留保となって銭は会社にある、あるいは会社の資産がそれだけ他の形において充実するということではありましょうけれども名目上法人所得が出ないという場合も考えられますので、その場合に、銭はあるのであります、減価償却を高くすることによって蓄積はできるだろうから、税金だけは先にいただきますということは、どうも税法上、所得のないところから再評価税というものを取るということにもなりますから、これは後年度に繰り延べてやっても、徴税当局がそれによって遂に税金を取る機会がなかったということにはならない。またそのような機会を作るようなことを政府がやってはだめでありまして、国民経済の実態というものは、これは御承知のように、中小企業者からでき上っておるのでありますから、中小企業者が食えるようにしない限り、今日の八千億、九千億というような税金はとうてい取れないのでありますから、政府の施策よろしきを得て、今は減価償却をこの法律の成立によって多くして、再評価税は繰り延べますけれども、それは必ず再評価後においても中小企業法人が利益を出して、りっぱに再評価税を納められるというような政策をやっていただかなければならぬし、またわれわれ議員もそれをやろうとしておるのでありますから、その点はもう一度反省になって、さような法人利益が出ない場合には、再評価税の徴収を後年度に繰り延べるということにつきましてお考えをいただきたいと思います。さらにまた、これは同じような形でもありますけれども、再評価後の法人が再評価差益というものを積み立てる、ところがその後いろいろな事情で会社の借り方に欠損が出て、再評価積立金を取りくずしてその欠損を埋めなければならぬといったような場合には、これは一時は再評価税を課せられるような形になりましても、その分は再評価税を免除するというような取り扱いがあってしかるべきじゃないかと思う。これは、従前の例におきましてもそういう法制になっておったと思います。大法人に寛にして中小企業法人に酷だということでは、今日の政治はできないのでありますから、この点は大蔵大臣がおられれば、大蔵大臣も、昔の大蔵大臣とはずいぶん変って成長されておるのでありまして、中小企業を代表する大蔵大臣のようにもなっておると聞いておりますから、きっといい答弁をされると思いますが、その池田大蔵大臣に率いられる政府委員の諸君におきましても、この点もあわせ考えられ、また委員長においても、かような問題を私が提起をしたごとを銘記していただきたいと思います。 次の問題は地方税であります。固定資産税の問題であります。資産再評価をいたしますと、当然その会社の資産の簿価は引き上げられます。今日の地方税法によりますと、固定資産税というものは薄価主義になっておったはずでありまして、そこで資産再評価をした結果、一方では法人所得税は助かるけれども、他方において固定資産税が大幅に課せられるということになったのでは何にもならないのであります。もしそういうことになるならば、こういう法律を作りましても、中小企業者は寄ってこれません。うっかりこれをやると、法人税は安くなるけれども、法人税で高く取られるということになりますと何にもならないのでありますから、この固定資産税につきましては、これは一時に多くを取られないというような、そこに何らかの緩和規定があってしかるべきだと思います。現に第三次までの資産再評価の場合には、さような規定があったと記憶いたします。固定資産税の課税標準につきましては、これはその後の税制の改正や進歩によりまして、いろいろ今後も変るのでありましようけれども、これは変るか変らぬか、変ってみなければわからぬし、また全部変るまでの間は、今後変るだろうというような想像では、やはり中小企業者はそちらの税、固定資産税が引き上げになることをおそれてなかなかこの再評価法の恩典に浴せないということになるのであ売りますが、その点はどうお考えでありますか。なぜ従来の一段的な資産再評価の際にあった固定資産税課税の特例に関する条項を、今回はこの法律案の中に盛り込んでいないのか、この点の御説明をいただきたいと思います。
○原政府委員 ただいまの点は、先日来いろいろ話が出ておりますので、実情を調べてみました。調べてみましたところが——近辺で調べましたので、全国どんなところでもというわけに参りませんけれども、固定資産税の評価におきまして、償却資産の評価がどうなっているかということを調べてみますと、時価で評価するという原則にかなり忠実に従っておられるようであります。つまり再評価ベースを十分とっている。むしろそれよりも場合によって高い場合も若干はあるというような例もありまして、ずっと取得価格をそのまま記載している場合の薄価によっているというような例は、私ども調べたところではむしろ少いような実情であります。そうなりますと、むしろそのベースでやっているといたしますれば、再評価した場合に、それが固定資産税の負担に何らか非常に大きな増額をもたらすようなことはないのではないかというふうなところが、実はただいま調べました限りのところでは出ているのです。実は、もう少し広く調べなければいかぬ問題でございますが、そういうようなことでございますので、これは、実は主管が自治庁でありますが、自治庁の方も御提案申している線でお願いできぬものであろうか。前回のは強制というようなことがありましたために、ああいう規定が入って、たしか三年間でございましたか、据え置くというようなことになっておりますが、その後一切の一定資産税の基本裸視標準の、評価がそうなっていることでもありますので、また強制の場合に比べましても、今回のはおくれてそれと歩調を合せる、ちょうど時期的に歩調が合うということになりますので、なお研究はいたしてみたいと思いますが、一応ただいまそんなような感じでおる次第であります。
○内田委員 ただいま御説明のように、全国における公共団体の固定資産税の課税標準が、薄価ではなしに時価主義によっているということでありますならば、お話の通りでありましょうが、これは、おそらく各種地方公共団体によってまちまちであろうと思います。今までは簿価またはそれに近い課税標準で固定資産税を取られておったが、今度資産再評価をした結果は、固定資産税が非常に高くなるというようなところもあるのではないかということを私どもは心配をいたします。もしかりに主税局長の御説明のように、現在においても、固定資産税というものは再評価後の資産価額と同じ課税標準において取られているということであれば、それはけっこうであります。今私が申し述べましたような再評価後における中小企業法人が、その固定資産税の納付については従前の税金の額を最高限とするというような規定を置きましても、決して害にはならないのでありますから、この辺は、今お話しのように、もう少し御研究の上、害もなければ安心をさせた方がいいのであります。この法律の趣旨が、何べんも申しますように、せっかく中小企業に対して最後の資産再評価の機会を与えて、経営の健全化を期そうということでありますから、なるべく多くの中小企業者、なるべくではない、ほんとうに百パーセントの中小企業者がこの法律の適用を受けられるようにぜひしたいものと考えますので、御研究願いたいと思います。 次にお尋ねしたいことは、今回の中小企業に対する資産再評価の特例法におきましては、再評価の対象というものを減価償却資産だけに限っているようであります。機械でありますとか、あるいは家屋でありますとかということになっているのでありまして、いわゆる事業用資産といいますか、土地でありますとか、あるいは立木でありますとか、そういうものにつきましては、たとい時価と非常にかけ離れた薄価になっておりましても、それは再評価をすることが許されないようになっていると思います。会社というものは、これは事業用資産で仕事をしているのであって、減価償却資産だけでは仕事ができない。何百町歩、何百坪の土地を持っておりましても、今日はこれが一坪当り三万円、五万円するところでも、会社の薄価は五百円か千円にしかなっていない、従って中小企業者の資本構成というものが現実に合っていない、資本金も非常に小さく評価されている、銀行に金を借りにいきましても、お前のところは資本金が小さい、資本金が八十万円しかない、八十万円の資本金の会社に三百万円の金が貸せるかということで、け飛ばされるということも間々あるようでありますから、私は自分で考えますのには、やはり減価償却資産とあわせて他の事業用資産につきましても、時価と薄価が著しくかけ離れているものについては、再評価させたらいいんじゃないか。現に昭和二十五年にできました資産再評価法におきましては、土地などについても再評価ができるようになっていると思いますけれども、今度のこの特例法におきましては、そういう橋がかけてないように思います。むろんこれは税率の問題はありましょう。土地を再評価した場合には、私の記憶では、今まで過去三回におきましては、税率は六%ということであって、決して非課税とか、あるいは三%というような部分はなかったように思いますので、今度はこれは強制ではありません、選択でありますから、税率は六%であっても、これは六%よりも五%あるいは四%の方がなおいいですけれども、中小企業者の選択によって、土地、立木などについても資産再評価ができるような規定を置いてやる方が親切ではないか。ことに土地等を、中小企業者が事業拡張資金等の必要に迫られて一部を転売するような場合には、このままですと、非常にたくさんの譲渡所得税を取られてしまうようなことになりまして、動きがとれないということになるのでありますが、もしこれが資産再評価を認められておりますならば、譲渡所得というものはほとんど出ない、その方の税金は軽くて済む。主税局長のお話しのように、ごくわずかな再評価税を納めておれば済むということになるのでありますが、この点、今度の法律案は不親切なようにも思います。それについて御答弁願います。
○原政府委員 実はこの案を用意いたします場合、部内でも非常に討論した点でございます。非常に位置づけがむずかしい、いろいろな問題をはらんだ問題でありまして、いろいろ研究したのでありますが、その結果、こういう考え方で今は取り入れないということにいたしました。 その一つは、今回の趣旨が、すべてそういう昔の価値を修正するということよりも、中小企業の経営状態をよくしよう、そうして資本の回収をきちんとやらせるようにしよう、この考え方は、やはり何といっても減価償却資産について出て参ります。土地あるいは立木というようなものですと、そういう面と違うので、それを事業用資産として持っておられるところは、二十八年、九年のときにやっておられるはずじゃないか。個人ですと、これは御案内のように、みなす再評価が働きますから、その辺はもう処置が済んでおるというようなことを考えて、今回特に取り上げるまでのことはないのではないかと思ったようなわけであります。 ところが第二段として、ただいまお話し申したところでもうすでにお感じであろうと思いますが、やはりそこに問題が残っております。事業が、自分の資産を持ってずっとやって参るという場合と違って、むしろ資産を処分してしまう、不動産会社あるいは山林会社の場合以外でこういうものを処分するということは、大体その会社において手じまいをする、あるいはそこは手じまいをして他に移るというような場合でありましょうが、そういうことは事業の本来の意味からいうと、もうきわめて希有なことで、そういうことを予想してやるというようなことではないように思います。ただそういう場合のことでありますから、端的に申しますれば、大企業であっても、そういうものについて再評価してしまうかどうかということについて、再評価税もあるし、考えてしまうような問題でもあろうと思います。まあそれは、つまり資本を充実しておくというような観点からでなくて、貨幣価値が違ってきた、そのために譲渡に際して、個人の場合でも法人の場合でも非常に所得が出るが、個人の場合は処置が済んでいる、法人の場合どうするかという意味での問題があると私ども思っております。この点は、今後なお十分検討いたしまして、しかるべき結論を得たいと思っておりますけれども、今回はなおそこまでの結論は出なかった。御案内の通り、この問題はわれわれ作業の末期において起りましたものですから、そこまでの結論が出にくかったというような点もございます。ただいまお話しの六%税率との関係もございます。それらを含めてなお十分研究させていただいて、しかるべく善処いたしたいというふうに考えておる次第であります。
○内田委員 御研究になるということでありますから、けっこうであります。ただ主税局長の御説明の中にたびたび出てきますが、今まで第三次までの資産再評価をやったのだから、中小企業者であっても、やりたいものはすでにやったはずだ。今回はおまけの、追加的な機会なんだから、いろいろ従来認められた特典や恩恵は与えなくても済んでることだ、やりたいものは先にやったからよかろうじゃないかというお言葉が出るのでありますが、中小企業の実態を知らないからさようなことをおっしゃるので私は、中小企業の顧問やら相談役もいろいろいたしておるのでありますけれども、やりたくてもできない、これは今までの簿価による償却どころではなしに、全く資本を食って従業員を養っておるというようなことが現実でありまして、今までのような税率や、また今までのようなやり方のもとではできなかったのであります。再々申しましたように、今度とても、ただ機会を与えただけでは——神武景気なんていいますけれども、中小企業には決して神武景気はきていないのでありますから、今度はできるはずなんということを考えると、この法律は死文になるのでありますから、今度ほんとうにこれをやらせるならば、前の特例、恩典はむろんのこと、さらにそれに差等をつけた、これならばやれるはずだということになさらないと、せっかく政府当局も苦労をされたり、われわれ議員もこれを審査して通しましても、何にもならないということになりますから、一つ政府当局も、これは政治家ばかりでなしに、官僚の皆様方も政治家になったつもりで、しかも、今日の日本の経済というものは中小企業で成り立っておるものだということを大局からよくごらんになってやっていただきたい。これは、大した税金を損するわけでもございません。私の承知しておるところによりますと、資産再評価をやらせまして、この法律案の原案通りの税金を取りましても、全部で四、五億ほどのことであろうと考えております。みんな失っても四、五億でありまして、四、五億を犠牲にいたしましても、それによって得るところの国民経済の成長とか、民生の安定とかいうものは、何千億にもかえられないということを十分達観されて、さらに一つ審査を進められんことを、私は希望として付するものであります。他の委員の御質問もありますから、私は要点のみにとどめて、これで質疑を終ります。
○山本委員長 中崎敏君。
○中崎委員 実は見渡しましたところ、こういうふうに委員の数も少うございますし、この問題は、中小企業に対する私たちの考え方から申しますと、重要な問題だと考えております。こういう状況下においての審査はどうかと思いますし、ことに中小企業に関する問題は、単にこうした一法律案だけでこの問題の解決がつくとも思わないのでありまして、相当広範な角度から中小企業に関する政府の考え方などもあわせてただしてみたいという気持で、先ほど委員長を通じて、大蔵大臣なりあるいは政務次官の出席を要求したのでありますが、大蔵大臣は、今参議院の委員会かどこかへ出ておる、政務次官は、何だか行方がはっきりしないというようなこともありまして、私としては、こうした重要な問題に取り組むにおいては、いかにも態勢が整っていないというふうにも考えられますし、もう一つは、現在商工委員会においてまた別の問題を審議中でもございまして、商工委員の方の態勢も十分でない点もありますから、いずれ日をあらためて、商工委員長の方とも御連絡を願って、次に質問の機会を与えてもらうように私から要求しておく次第であります。
○山本委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○山本委員長 速記を始めて。 本日はこの程度で散会いたします。 午後三時四十二分散会