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26回国会衆議院1957/04/23

大蔵委員会 第31号

発言数
91
登壇者
7
会派数
2
開催日
1957/04/23

会議録

山本幸一日本社会党

○山本委員長 これより会議を開きます。  関税法の一部を女正する法律案及び国の特定の支払金に係る返還金債権の管理の特例等に関する法律案の両法律案を一括議題といたします。  この際お諮りいたします。両法律案につきましては、別段質疑及び討論の通告がありませんので、直ちに採決に入ることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本幸一日本社会党

○山本委員長 御異議ないものと認めます。よってさように決しました。  お諮りをいたします。両法律案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本幸一日本社会党

○山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。両法律案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  お諮りをいたします。ただいま可決いたしました両法律案に対する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、先例によって委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本幸一日本社会党

○山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————

山本幸一日本社会党

○山本委員長 次に、去る三日、当委員会に審査を付託されました内閣提出にかかる準備預金制度に関する法律案及び預金等に係る不当契約の取締に関する法律案並びに昨二十二日付託されました預金保障基金法案及び金融機関の経営保全等のための特別措置に関する法律案の四法律案を一括議題として審査に入ります。ます政府側より順次提案理由の説明を聴取いたします。足立大蔵政務次官。

足立篤郎自由民主党大蔵政務次官

○足立政府委員 ただいま議題となりました準備預金制度に関する法律外三法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  最初に準備預金制度に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  わが国における通貨調節手段としては、現在公定歩合政策及び公開市場操作があるわけでありますが、これらに加えて、この法律により新たに準備預金制度を創設して通貨の調節のための手段を完備し、わが国の金融制度の整備をはかろうとするものであります。  本制度は、昨年七月発足いたしました金融制度調査会において、半年にわたる慎重な検討の結果、去る二月二十一日に大蔵大臣に答申された準備預金制度に関する答申の内容を尊重して立法化いたしたものであり、その骨子は、金融機関に、預金の一定割合の現金を日本銀行に預入させ、この割合を変更することによって通貨量の調節をはかろうとするものであります。  以下、簡単に法律案の内容を申し上げます。  第一に、本制度の対象となる金融機関は、銀行法による免許を受けた銀行並びに長期信用銀行、外国為替銀行、相互銀行、信用金庫、信用金庫連合会、農林中央金庫及び商工組合中央金庫のうち政令で定めるものでありますが、さしあたりは、銀行法で免許を受けた銀行、長期信用銀行及び外国為替銀行程度とすることを予定しております。なお、外国銀行の本邦内における営業所も、銀行法の免許を受けた銀行のうちに含まれることになります。  第二に、対象とする預金につきましては、総預金をとることにし、外貨預金などは、実情に応じて除き得ることにいたしております。  第三に、準備の内容は、日本銀行預け金であります。  第四に、銀行は、この法律の定めるところにより、その預金額に応じて日本銀行に預け金をすることを義務づけられますが、その割合の最高は一〇%とし、最低は定めず、経済の実情に沿った運用がはかられるようにいたしております。  また、この割合は、必要に応じて定期性預金とその他の預金について、あるいは金融機関別に区分し得るようにいたしております。  第五に、金融機関の預金及び日本銀行に対する預け金の算定方法につきましては、一カ月間を計算の単位としてその毎日の平均残高をとることにし、預金と預け金の計算期間は、若干ずらすことにいたしております。  このほか、金融機関の日本銀行頂け金の額が法定準備預金額に達しない場合には、その金融機関は、不足額につき、日本銀行の商業手形についての割引歩合に日歩一銭を加えた歩合により計算した金額を日本銀行に納付しなければならないことといたしております。  次に、預金等に係る不当契約の取締に関する法律案につきまして御説明いたします。  最近金融機関におきまして、いわゆる導入預金と称する特殊な預金の受け入れが行われ、このため金融機関の経営が破綻に瀕した事例も見受けられるのであります。  この法案で取締りの対象といたしますものは、いわゆる導入預金の典型的なものでありまして、これは、預金契約に当って預金者が特別の利益を得る目的をもって、あるいは預金の媒介を行う者、すなわちいわゆるブローカーが、預金者に特別の利益を得させる目的をもって、その預金を担保とすることなく、金融機関をして特定の第三者に対して資金の融通をさせるものでありますが、このようなことは、預金契約の本旨に反し、ひいては金融秩序を乱すものであるといわざるを得ないのであります。  反面、金融機関がこのような申し入れに応じて特定の信用供与を行うことは、金融機関の業務の公共性に顧みて不当なものであるばかりでなく、健全経営の見地からも厳に慎しむべきものであると考えられるのであります。  しかるに現行法規のもとでは、このような性質を持った預金を有効に取り締る規定がありませんので、金融秩序を維持するために新たり取締法規を設ける必要があるものと認められます。  これがこの預金等に係る不当契約の取締に関する法律案を提案する理由であります。  なお、過般の金融制度調査会におきましても、この取締り法規を設けることを適当とする旨の答申を行なっております。  次に、この法律案のおもな内容についてその概要を御説明いたします。  第一に、金融機関に預金等をする者が、その預金等に関し、特別の金銭上の利益を得る目的で、特定の第三者と通じ、金融機関を相手方として、預金等を担保として提供することなく、その指定する特定の第三者に対し資金の融通等をすべき旨の契約をすることを禁止しております。  第二に、金融機関に預金等の媒介をする者が、預金等に関し、その預金等をする者に特別の金銭上の利益を得させる目的で、特定の第三者と通じ、または自己のために、前述の契約をすることを禁止しております。  第三に、金融機関が預金等をする者またはその媒介をする者を相手方として、第一、第二に述べた内容の契約をすることを禁止しております。  第四に、以上に述べた各禁止規定に違反した者及び脱法行為をした者に対し刑事罰を科するとともに所要の両罰規定を設けることにしております。  次に、預金保障基金法案について御説明申し上げます。  この法律案は、預金保障基金の制度を確立し、これに経営が困難に陥った金融機関に対して再建資金を供給する等の業務を行わせることにより、預金者の保護をはかることを目的としているものであります。  金融機関が経営困難に陥った場合、預金者保護のためには、再建の見込みがある限り、再建資金を供給する等によって、その再建をはかることが金融機関の信用維持のため適当てある場合が生ずると考えられ、現に、相互銀行の相互保障協定、信用金庫の振興預金制度など、自主的にこの種の制度を設けている業界もあるのでありますが、たまたま最近これを発動した一、二の例についてみましても、これが決して満足なものとは言いがたい現状でありまして、再建資金の供給等のための適切な制度を整備確立することが必要であると考えられるのであります。  このような理由によりまして、先般来金融制度調査会に諮りまして制度の成案を得、ここに法律案として御審議を願う運びとなったのであります。  以下この法律案につき、簡単にその内容を申し上げます。  第一に、基金は、金融機関の種類別に、大蔵大臣の認可を受けて設立されることとなっておりますが、大蔵大臣は、この基金が預金者等の保護をはかるのに十分な適格性を有すると認められるときに限り、これを認可することとしております。  第二に、基金に対しては、加入金融機関が、その資金量の千分の一以下で政令で定める一定割合に相当する金額を出損することとなっております。なお、この基金の公共的性格にかんがみまして、基金に対し政府が資金の貸付、債務の保証等の財政的援助をすることを考慮しております。  第三に、基金の業務は、経営が困難ではあるが、再建の可能な金融機関に対し、再建のために必要な資金の貸付及び債務保証をすることとなっております。なお、基金が信用秩序を維持するため、必要であると判断した場合においては、支払いを停止した加入金融機関にかわって、その預金を弁済するともできることとなっております。  第四に、基金の運営には、理事及び監事が当ることとなっておりますが、加入金融機関の意向をも尊重する建前から、加入金融機関集会を設けることができることとし、役員の選任、定款の変更、会計の決算等につき、加入金融機関の同意または承認を要するものとするとともに、これらの事項は、定款により、この加入金融機関集会にかけることとしております。  第五に、基金に対しては、法人税、事業税等につき免税措置を講ずることとしております。  最後に、金融機関の経営保全等のための特別措置に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、経営が困難に陥り、再建のための特別の措置を要する金融機関について、経営の管理その他の経常保全のための制度を整備し、その再建の促進をはかり、もって預金者の保護に資することを目的とするものであります。  民間金融機関に対する現行の監督法規は、いかにして金融機関の健全経営を維持せしめるかという点に主眼を置き、一たん金融機関が経営困難に陥った場合については、業務停止を命ずる等の最後的手段のみを規定しているにとどまっておりまして、こうした手段は、金融機関を倒産に追いやる公算が多いため、実際問題としては容易に発動しがたいというのが実情であります。従って、最近一、二の金融機関につきまして、一部経営者の業務運営が当を得なかった等のため、経営困難を招来した事例等にもかんがみまして、この際、経営困難に陥った金融機関について何らかの方法によって経営保全の措置を講じ得るような制度を整備することが適当であると考えられるに至ったのであります。  このような理由によりまして、先般金融制度調査会に諮りまして、制度の成案を得、ここに法律案として御審議を願う運びとなったのであります。  この法律案の内容とするところは、直接には金融機関自体の経営保全を目的としておりますが、その趣旨は、あくまでこれによって預金者の保護をはかるということにあるわけでありまして、その意味から、適用範囲は国民大衆の預金と密接な関係のある普通銀行、相互銀行及び信用金庫といたしました。また、この制度はもっぱら経営困難に陥った金融機関を対象として考えられているものであり、適用範囲内にある金融機関一般に対する適用を考えているものではありません。従って法律の形式としましては、一般監督法規の改正の形をとることなく、特別法といたしたのであります。  以下この法律案の内容について御説明申し上げます。  第一に、業務または財産の状況が著しく不良であって、放置すれば預金者に損害を与えるおそれのある金融機関等について、大蔵大臣の選任する経営管理人による経営管理の制度を設けることとし、これにより当該金融機関の経営保全の実をあげ得るよう所要の規定を整備いたしました。  第二に、金融機関の経営は、多くその経営者の適否によって左右される実情にかんがみ、業務または財産の状況が著しく不良であり、放置すれば預金者に損害を与えるおそれのある金融機関について、大蔵大臣がその役員の改任を命じ得ることといたしました。  なお、これに関連して、改任を命ぜられた金融機関の役員の就職制限の規定を設けるとともに、金融機関の役員の責任追及について、訴訟手続上の特例を設けることといたしております。  第三に、経営困難に陥った金融機関を合併、営業譲渡等の方法によって処理することが適当な場合において、これを円滑に推進するため、大蔵大臣が合併等に関して必要な措置をとり得ることといたしました。  第四に、以上に述べました諸制度の運用について慎重を期するため、大蔵大臣の諮問機関として、少数の民間有識者委員からなる金融機関管理審議会を設けることといたしました。  以上、準備順金制度に関する法律案外三法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を申しあげた次第でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成を賜わらんことをお願いいたします。

山本幸一日本社会党

○山本委員長 以上をもちまして提案の理由の説明を終りました。これら四法律案につきましての質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————

山本幸一日本社会党

○山本委員長 次に、中小企業の資産再評価の特例に関する法律案を議題として質疑を続行いたします。中崎敏君。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 近年におけるところの日本経済の傾向を見ますと、大資本の力というものが非常に増大して参りまして、また一面、中小企業がそれだけ圧迫を受けておるというふうな傾向が見受けられるのであります。いわゆる神武景気といわれながら、最近においてしばしば経営難のために中小企業者が一家心中などをやるような例も多々ありますし、最近におけるところの不渡り等の状況を見ましても、明らかに中小企業者が相当に困難に陥っておるという実情を証明するに余りがあると思うのであります。そういう事態に対して、政務次官はどういうふうな観測をしておられるか、あわせて将来の見通しについてお話しを願いたいと思うのであります。  と申しますのは、この法案は、中小企業者の資産再評価に関する特例として打ち出されておるのでありますが、こうした問題は、単なる個々の税法上の特例扱いのみによって解決するものではなくして、さらに根本的に、中小企業者に対してどういうふうな見方をして、分析をして、どういうふうな措置を講ずるかというところの広範な国策といいますか、大きな施策が伴ってこそ、初めてこの目的を達成し得るものと考えますので、そうした基本的な立場に立って現状を考えつつ、将来に対してどういうふうな考え方を持っておられるかをお尋ねしたいのであります。

足立篤郎自由民主党大蔵政務次官

○足立政府委員 現在の情勢下におきまして、中小企業が非常に苦しい立場に立っておるという認識につきましては、中崎委員御指摘の通り私どもも考えております。従いまして今国会におきましても、ただいま御審議を願っております中小企業団体法等の提案をいたしておるわけでございますが、私ども大蔵省で直接関係いたします面といたしましても、本日御審議を願っております資産再評価の特例につきましても、私どもできるだけ中小企業対策というものに重点を置きまして考えて参ったような次第でございます。またすでに国会を通過成立いたしました所得税に対する減税措置、法人税の低減、税率の適用範囲の問題、事業税の税率の引き上げ等につきましても、一貫した考え方で中小企業対策に少しでも資したいというつもりで、私どもとしては誠意をもってこれに対処して参ったつもりでございます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 最近に大企業が非常な勢いをもって伸びて参りましたのは、一つには世界経済の動向の流れと見ることもできるのでありますが、ことに日本のように中小企業を中心として、しかもこれが非常に重要な部分の要素として占めておるような国柄においては、中小企業に関するところの問題を、もう少し実情に即した取り上げ方をすべきだと思うのであります。従いまして、大資本がそういうふうな勢いにおいてどんどん大きくなっていくということは、単なる資本の力、組織の力というふうなものだけでなく、これに大きなるところの国家的な施策というものが裏づけをしておるものだというふうに考えるのであります。言いかえますと、まず第一に大資本に対しましては、この大きなるところの国家資金の融通、これは多くの場合において長期、低金利を伴うものでありますが、こうした大きなるハンディキャップがあると同時に、税法の面においては、こうした大企業には、あらゆる面において特別の恩恵的措置が施されておるというふうなこと、あるいは助成金等についても、同じような意味において、大企業を中心にいろいろな助成がされておる。さらにまた、こうした大資本というものが一つのカルテル行為的な力によって、これがまたある法律の、独禁法の特例等を開くという方法等によって、独占的に近いような形をもって大衆から利益を取り上げておる。こうした一連のことが原因となって、そうしてこの大きなる勢力を増大しつつあり、やがてはまた財閥的な形態というものが非常な勢いをもって伸びてきておる。あるいは単独な資本にしても、独占的な資本というものがますます強化されると同時に、さらには独占的でない形をとる場合においても、他の追随を許さないような、事実上独占的な形をとるような、こういう資本形態となって現われてきておるのでありますが、こういうふうなやり方に対して、中小企業に対してもう少し思いやりのあるといいますか、あるいは当然あるべき、こういうものを救い上げて、そうして健全な保護助成策を講ずるんだというふうな施策が、大企業に関する保護の万分の一でもいいが、その片りんが現われるよう、今後積極的に表現していくというふうな考え方を持っておられるかどうかをお尋ねしたいのであります。

足立篤郎自由民主党大蔵政務次官

○足立政府委員 ただいま私が御答弁申し上げました通り、大蔵省といたしましても、大蔵省の所管いたします範囲内におきまして、やはり政府の一貫した中小企業対策、その一貫した考え方で、できるだけの処置をとって参っておるわけでございます。まだこれが足りないからといっておしかりを受けると思いますが、私どもとしては、そういう基本的な考え方でできるだけの処置をとっていくということで考えて参っておるわけでございます。なおただいまの御質問の中に、税に関する具体的のお話もございましたが、税の具体的な問題につきましては、必要があれば、主税局長からお答えいたしたいと思います。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 たとえば技術なんというものは、近代産業の面において非常に重要な要素を占めるものであります。ところが実際において、中小企業者の場合を考えてみますと、ある技術を自分の工場へ持ち込むだけの技術者もなければ、そういう知識を与えてもらうような何ものも持っていない。もちろん設備をするのは相当の金が要るのだが、その金もなかなか銀行からも出してもらえない。たまに無理をして借りると、月一割というような高利で借りてきて、ほんの行き当りばったりのことをやらなければならぬというような状態になっておるのでありまして、中小企業の技術振興の上においてたとえば中小企業庁で相当予算の面においてもいろいろ新しい要求をしておるのでありますが、これが、やはり結局最後的には大蔵省で大幅に切られてしまう。あるいはまた技術ばかりでなく、中小企業の経営指導、経営解剖などの面においても、相当積極的な方策を立ててこれをやっていこうと思っても、予算を削られてしまう。あるいは技術導入にいたしましても、大資本は外国からどんどん技術を導入するのでありますけれども、中小企業者として外国から技術を導入するということは、ほとんど例を見たことがないというわけであって、あらゆる面について、中小企業者はうだつの上らないような情勢下に置かれておる。これを国家的に何らか積極的に助成指導していくという考え方が持たれないものかどうかということをお尋ねしたいのであります。

足立篤郎自由民主党大蔵政務次官

○足立政府委員 ただいま中小企業の機械、技術導入等の問題につきまして御指摘がございましたが、すでに中崎委員御承知の通り、中小企業に対する機械の合理化資金の貸付等も行なっておるわけでございます。しかしながら、まだこれが十分徹底いたしませんために、おしかりを受けます点もあろりかと思いますが、私どもとしては、やはり大企業並みに、中小企業の機械、技術の向上ということにつきましては、金融その他の措置によりまして、できるだけ向上発展をはかっていきたいという考えには変りはございまセんので、将来ともできるだけ善処していきたいと思っております。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 たとえば中小企業者の数はどからいいますというと、そうしてまた生産などにおいて担当する分野等からいいましても、相当のウエートを占めるにかかわらず、たとえば中小企業の機械の近代化資金のごときは、年間わずか三億か五億というような程度であるのに、大企業については一口何百億というような金が一つの企業に貸し付けられる、政府資金も投資あるいは融資される。これを全部大資本に投資されると何千億という金額に上る。こういうことを考えてみたときに、そり金額から見て、中小企業に対して微々たるものじゃないか、ただかけ声だけでなく、実際において中小企業者り幾らの部分がその恩典に浴するかということを考えてみたときに、いかにもその差別待遇がはなはだしいのでははいかという感じを持つのでありますが、こうした面において、まず壁の面においても相当の考え方をすべきである、質の点においても、さらに突っ込んだ指導なりあるいは国家的な助成等をやって、そうして中小企業が少くとも現代的レベルまで上ってくるところり、そういう国家的な施策をあわせてやるべきものだというふうに考えるのでありますが、この点について今後予算等を通じても、一体政務次官は、大蔵大臣についてもあるいは主税局長等についても、どういうふうに指示をされるような考え方を持っておられるかをお尋ねしたいのであります。

足立篤郎自由民主党大蔵政務次官

○足立政府委員 中小企業に対する金融の問題、予算の問題等につきましての御指摘でございますが、おっしゃる通り、機械の合理化等につきましては、私どももできるだけの処置をとりたいと思ってやっております。まだまだ軌道に乗っていない面もあると思いますが、すでに中小企業金融公庫、あるいは商工中金等の融資は、大体私ども軌道に乗ってきていると思います。これらの金は、設備資金として出ますものは、相当部分が今御指摘の工場の合理化という面に使われておるものと考えております。なお開発銀行でも、たしか十五億くらいな資金のワクもこれに予定しておるような次第でございまして、今後こういう面につきましてはさらに力を入れていきたいと考えておる次第でございます。予算につきましては、私今具体的に申し上げる自由を持っておりませんが、御指摘の点、十分尊重して参りたいと思っております。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 何ゆえに大資本というものがあらゆる面において非常に尊重されて、そうしてある特別以上の利益を受けて、そうして中小企業者がなぜ十分に考慮されないかという一つの理由といたしましては、まず政治力の点において差異があるということも言えるのであります。一面においては、やはりその反面に幾多の汚職に関するような問題がその裏をはっているのではないかというふうな見方もされるわけであります。そこで、政治は清潔でなくちゃならぬというのが私たちの主張なんでありますけれども、こうした面についてほんとうに国家を思い、この中小企業者が正しいところを得るという考え方の上に立つならば、こうした問題がさらに真剣に、しかもまじめに考えられなければならぬと思うのでありますが、その点について、政務次官はどういうふうにお考えになるか。ほんとうは、これは大蔵大臣に直接私はお聞きしたい問題であると思いまして、実はきょう出席を要求したのでありますが、何か補正予算などの審議の関係上出てこられないというので、時間の関係もあるので政務次官にお尋ねするのでありますが、ことに私が申し上げようとするのは、たとえば最近においても、合成ゴム工業の問題が取り上げられておるのであります。この問題は、国策的に見ても、あるいは衆議院においても、合成ゴム工業育成のための決議案も満場一致でされておる過去の例があるのでありますが、そうした上に立って予算の支出なども一応考慮のうちにあり、そうして一つの方針として進んでおるのにかかわらず、何らか他の系統の会社からの低利の金を貸してもらいたいというふうなことをも含めて、相当今困難に逢着しておるというようなことをいわれておる。そんなことは一例にすぎないのでありますけれども、いずれにしても、こうしたような重要な国策さえも、いろいろなあれやこれやの問題で難航を来たしておるというふうなことを考えてみてもわかる通りに、やはり幾多の問題が次から次へと大きな資本とのなれ合いといいますか、結びつきにおいてあるべき姿が行われないということもあるのであります。なるほど中小企業者が冷飯を食わされるのは理由があるのだということも、一応うなずかれるわけでありますが、こうした面において、まず清潔なる政治ということがあらゆる面において重要だというように考えるのであります。その点について、一体どうお考えになるかをお尋ねしたい。

足立篤郎自由民主党大蔵政務次官

○足立政府委員 御指摘の点につきましては、私ども全く御趣旨の通りと考えるわけでありまして、ただいまの中崎委員の御質問の内容は、あまり抽象的でちょっとつかみにくかったわけですが、大企業等を政府が援護して、これらの金融その他については汚職の疑いがあるのじゃないかというふうな御発言に聞いたのですが、さように聞き取ってよろしいのですか。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 そうです。

足立篤郎自由民主党大蔵政務次官

○足立政府委員 さような疑いがあるとすれば、これはゆゆしい問題でありまして、私どもとしては厳にこれを慎しんでいかなければならぬと思っております。そういうふうな疑いから、中小企業に対しては冷淡になるのだろうというようなひがみを持たれたら、これは政治をゆがめるものでございまして、大へんな問題だと思います。私どもは、中小企業に対しましても、やはりそれなりの役割を十分果し得るように、今後の合理化その他につきましては、融資あるいは助成等の措置をとらなければならぬと考えておる次第でございます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 次に、今度はいよいよ法案の審査に入るのでありますが、これは、大体今まで大蔵委員会単独で、あるいは連合審査に際して自民党の内田君から質問があった点等もありまして、あるいは重複する面があるかと思いますが、一つには、私たちはまだこの審査の内容を知らないうちに進行しておったということが一つと、一つには、内田君の場合には大体私も聞いておったのでありますが、やはり重要な問題点というものは、大体ああしたようなところにあるということにもなっておりますので、そうした問題について、場合によれば重複しておるようなきらいもあるかもしれませんが、その点を含んだ上で御答弁をお願いしたいと思うのでございます。  さて、この法律案は、中小企業者の資産再評価に関する特例というふうになっておるのでありますが、今度の場合には、中小企業者だけがこの恩典に浴するものであるのか、あるいはその第三次再評価以後において、その一部のものは必ずしも中小企業者でなくても、この恩典といいますか、この特例の適用を受けるものであるのかどうかをお尋ねしたいのであります。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 資産再評価ということは、御存じの通り非常に特例といいますか、特殊な場合に行うものでございます。世界各国においてもあまりに例がないことでございますが、日本はかなり徹底した再評価をやっております。それも一次、二次、三次とやって参ったわけでありますが、なおその間、中小企業はいわばそういうことにアップ・ツー・デートでないというようなこともあり、景気もよろしくなかったというようなこともあり、十分できていない。それをやらせろというような御要望が強かったので、税務の手数というような見地からいいますと、非常に大きな犠牲が払われるわけでありますが、中小企業を大事に育て、その資本の充実をはかるという見地から今回やろうといたしましたので、従いまして、前回で限度額の八割以上をやっておるというものにつきましては今回除く。また減価償却資産だけに限ってやるというような線を置いて、今回の法律案を書き上げたような次第でございます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 私がお尋ねしますのは、この今回の法律の適用を受けるものは、いわゆる中小企業者だけであるのか、あるいは大企業であっても、前回の場合において八〇%以下の再評価をしておるものについては、その適用を又けるということになるとするならば、大資本家でもある部分においてはこの適用を受けると思うが、それはどうかということをお尋ねしておるのであります。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 大企業は前回強制をされておりますので、もう適用を受けません。その境目は、資本金五千万以上の大企業でございますと、まあ完全に強制されている、三千万から五千万りところの部分は、減価償却資産の再評価限度額が一億円以上であると強制されておるわけです。ですから、五千万円以上のものは文句なし、それから二千万円と五千万円の間のものでありましても、減価償却資産が相当多いというものはすでに強制されておる、これはもう全部済んでおります。従いまして、そういうものについては、今回の再評価は適用がございません。それ以下のものにつきまして適用がある。以下のものの中でも、八割以上やっておればそれでよろしいじゃないかというだけのことでございます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 中小企業者の定義をこの際一つ伺いたい。今度一体どういう基準のもとにおいて考えておられるのかをお尋ねしたいと思うのであります。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 中小企業というものをどこで境を引くかというのは、いろいろ問題で、他の場合に資本金千万円とか、使用人が何百人というようなことでしておる例があることは承知しておりますが、今回はただいま申しましたように、第三次までで十分やり足らないというものを救おうということを考えますと、五千万以上あるいは三千万以上の相当部分というものは、強制までしてやってしまっておる。そうすると、それに満たないものについては、そのうち中小企業は、さらに資本金が千万だとか五百万以下だとかいうふうに切るか、あるいはそれくらいまでのところは全部やるかというようなところの感覚でございますが、私どもとしては、中小企業というてもいろいろな広がりがございますし、それをあえて千万なりあるいは二千万なり、あるいは五百万で切るということはないのではないかというふうに考えまして、三千万または五千万に満たない資本金のものについては、やはり一様にこの恩典を与えるべきではないかというふうに考えた次第でございます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 この法律の適用を受ける範囲は、資本の制限で、比較的少いと思いますけれども、いわゆる中小企業の範崎に属さないものといえども、この法律の適用を受けるものがあると解釈していいかどうかをお尋ねしたいのであります。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 中小企業かどうかというのは、いわゆる境目が光から影に移るという場合の濃淡のある分野でございますから、どこではっきり線を引くかというのはなかなかむずかしいと思います。私どもは、これは総体として中小企業に対する対策だというふうにお考えいただいていいのではないか、その中にある出資が二千万とか三千万とかいうものは、中小企業でないからはずせというまでのことではない、全体として、それ以上のものが大であることはもちろんでありますが、それ以下のもののうち、一部を特にはずすということなく、全体として措置をするということが、いわゆる中小企業対策というものの腰がまえから申しましても、それがよろしいのではなかろうかという感じで、きわめてぼうばくとしたお答えで恐縮でありますが、今回の法律案を作り上げた次第であります。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 私が申しますのは、こうした一つの計数を扱って、その計数が直ちに一つの税法上の対象として展開せられていくという場合に、どういうふうなものを中小企業者として、また一体どういうふうなものを課税の対象としてやるかという場合において、まず題目のつけ方が、今度の場合に限っていわゆる中小企業の再評価というような言葉をつけるにふさわしいのかどうかということが一つ。それから、何だか前後の事情を考えてみたときに、あまり数が多くなるということは、税法の手続上あまり好ましくないというようなことも見受けられるように考えられるので、下の線の引き方なども考えながら、一体どういうことをほんとうに考えておられるのかを、この委員会を通じて明らかにしてもらいたいのが私の質問の要旨なのでありますから、そういう点を含めて、もう一度お尋ねしてみたいと思います。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 中崎先生のような御専門の中小企業御研究の見地で、中小企業という言葉に実務的な意味をもっていろいろお考えの場合に、今回のこの題名としました「中小企業の」という言葉は、必ずしもぴったりそれに合うということをあえて申せるというものでもないと思います。先ほど申しましたようにニュアンスのあるものを、あるところで切って、そうして全体を中小企業と呼んだということでありますから、そういう意味では、かなりにばくとした面が若干入って参ると思います。しかしながら大企業は、強制までされて、強制であるからというので、税率もかなりに安くしてもらって、前回再評価をやっておる。それ以外の企業、その中には、狭い意味でいう中小企業と、そうでないものがあるかもしれないけれども、それ以外の企業についてものを考えるという場合には、それ全体として考えてよろしくはないか、税法の手数の問題もございます。しかし、やはり何としてもほんとうの中小企業の方が数は多いし、私どもとしても、そういうものが考えの中心ではありまするが、二千万、三千万の出資の企業であっても、近ごろはだいぶ貨幣価値も昔と違って参っておりますから、これが質的に反対的なものだというまでのことをいわないで、前回強制されていない、従って十分できていないというものには、この際機会を与えようという気持で、若干言葉の使い方は、おっしゃる通り通常の使い方よりも広い使い方をしておりますが、そういう気持でやっておりますので、御了承いただきたいと思います。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 第三次資産の再評価のときと、今回の場合、この適用を受けて、そうして資産を再評価するその時期との間に、標準価格の面においてそう大きなる変化がないのであるか、あるいはどの程度の変化があるというふうにお考えになっておるのか。その標準額の見方について、ざっとしたあらましの考え方をお尋ねしておきたい。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 あの当時、三次再評価以後、物価はさして動いておりません。従いまして、今回お願いいたしておりますこの法律案におきましては、物価の水準は、三次の再評価の水準そのままで再評価をするということになっております。ただし、その後三、四年たっておりますから、その間償却すべき額として落したもので再評価の限度額とするというふうなことで、この法案の付表の倍率が定められたということでございます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 そうした標準価格にさしたる変化のないのに、しかも第三次の法律といえども、中小企業者がやってはならぬという法律は前にあったことはないはずだと思うのですが、それだのにかかわらず、ここにまたあらためて第四次をやらなければならぬというその根拠は、一体どこにあるのか、お尋ねしたい。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 それが、つまり中小企業ですと、いろいろな経理能力が大企業になかなか及ばない、やはり再評価の制度というのは、特に従来のやり方では、かなり複雑なんでございます。世界各国でも、この問題には戦前戦後を通じて同様な問題に直面しながら、なかなかすぱっとやり切った国がない。日本は、その意味ではかなり理論的な線を、相当複雑ではありますが、やってきたわけです。中小企業には若干複雑過ぎるというような面もあったかと思います。それともう一つは、前回の二十八年九年の時分は、二十八年はまだ景気はよろしゅうございましたが、三十九年は例の経済健全化政策で、いわゆるデフレーション的なことになってきたというようなことで、両面から、やはり中小企業の再評価が十分にいっていないという声がございまして、中小企業方面から、ぜひこの際やらしてほしいという声が強く出てきたわけであります。われわれも、こういう措置は、もう一度やったらすっぱりやり切って、あとから何度もということは、手数も相当何でございますから、税務行政の能率という意味からいいますと、相当困難であるわけでありますが、そういうせっかくの御要望が強いということにこたえて、政府としてもこれをやっていくということになったようなわけでございます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 この法案によりますと、法人の場合には、三十二年の事業年度の開始のとき、それから個人の場合には、三十一年度末ということになっておるのでございますが、そうしますと、準備期間というものはもう幾らもないのであります。この短かい期間において周知徹底させて、ほんとうにこの法案で考えておるような指導をやって、それだけの効果といいますか、この法の期待しておるところの——これは、何も大してそうやらない方がいいというならば別問題でありますけれども、少くともこの法の表向きに現われた精神というものは、それに値するものはできるだけ広く適用をやらせてこの姿で進んでいきたいというのが趣旨だろうと思うのでありますが、そういうことができるかどうかをお尋ねしたいのであります。そうして、また、もしそれならば、今までにとにかくやっておいたならば、こんなことをまたやらずに済んだのかどうか、そこらを一つお尋ねしたいと思います。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 最初の点でございますが、個人の場合は、来年の一月十六日から三月十五日までの間に、再評価の申告書を出しなさいということになっております。まだ相当期間がございますから、これは周知徹底をはかって、いろいろ御相談に応ずるのに十分時間があると思います。それから法人の場合は、三十二年中に開始する事業年度の法人税申告のときまでにということになっておりますから、一番早くやれる時期は、一月から六月までの六カ月間の事業年度の法人が、その年度でやりたいという場合に、八月三十一日に申告を出すということになります。そのときにやろうといたしますと、この法律案がいつ成立いたしますか、間もなく御賛成願えると思うのでありますが、四月でございますから、五、六、七、八と四カ月ぐらいあるということになります。もっともこの場合は、その法人はそのときしかできないかといいますと、そのチャンスをのがしても、七月から十二月までの次の事業年度でまたやれるのでございます。そのいずれかでやれるのでございます。そうすれば、来年の二月でよろしいということになりますので、よく勉強され、また早くやろうという向きは、八月にもできる会社がある。それから来年の五月三十一日までに、しかるべき時期にできるということになりますので、一番急いでやるとしても、四カ月ある。それはそのときぜひやらなければならぬという時期ではないというようなことから、実際には、半年以上の余裕があるというように申して差しつかえなかろうと思います。そういうような意味で、時間的な余裕は十分ある。その間、おっしゃる通りの周知徹底をはかる、いろいろ御相談に応ずるというような面で、私どもとして十分努力いたさなければいけないと思います。そういうふうにいたしますれば、今回御要望の趣旨にはかなりおこたえできるのではなかろうか。一次、二次、三次、いずれもそういう問題があったわけで、ただいまお尋ねのような意味でお尋ねいただきますと、こういう法案を出している今といたしますと、あるいは不十分であったかと思いますが、この際簡単な第四次の再評価ということで、中小企業にもわかりやすいような、そして税率なども有利なようなものをやって、これで全部を片づけたい、周知徹底については鋭意努力いたしまして、遺憾ないようにいたしたいと思っております。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 中小企業の本来の姿として、法律が今どういうふうに通過したのか、その内容がどうなのか、その施行の細則まで含んでどうなのか、これはなかなか実際には手が回らないのじゃないかと思うのであります。特に東京あたりでは、税理士とか計理士とか、いろいろなものを含めて、いろいろ指導を受ける機会もあり得ると思うのでありますが、ことに地方なんということになると、なかなかそういうこともできない。こういうことがあるということに気がついたときにはおそかったという場合もあると思うので、この指導啓蒙については、十分に、今までよりもはるかに徹底してやられる必要があると同時に、やはりこれでは、期間が少し短かいのじゃないか、ことに中小企業者であるだけに、広範な大衆を対象としておるだけに、もう少しこの点についてゆとりのあるような考え方をしても、別に政府がこれで損するということもないのだから、これを考えてみたらどうかという私の希望を込めてのことなんです。  さて、今度はこうしたことによって、今後の指導啓蒙の徹底にもよるのでしょうけれども、大体どの程度の範囲のものがこの適用をみずから進んでやるということになるような見通しであるのか。それで、これは再評価税が二%という税率になるのでありますが、一体それをどういうふうに見込んでおられるのか、それをお尋ねしたいのであります。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 先にどの程度の税額を見込んでおるかというのを申し上げます。法人の分と個人の分とあるわけでありますが、二%の再評価税で、総額で四億六千万円というふうに見込んでおります。これが、御案内の通り二年で納められますから、一年分が二億三千万円、三十二年度は、先ほど申しましたように、最初やるのが八月でございまして、だんだんおくれて、まる一年入って参りませんから、三十二年度分としては、八千万弱という程度の見込みをいたしております。一方で、法人税の方でだんだん減って参る。再評価によって、法人税で、平年度では六億くらい減って参るというふうな見込みをつけております。そこで、件数でございますが、この辺になりますと、一次、二次、三次の落ちこぼれが今回行われるわけなのでございまして、見込みもごく大ざっぱなものでございますが、法人も個人も、それぞれ一万前後くらいのところではなかろうかというふうな、ごくばくとした見当をいたしております。概略お尋ねの点をお答え申し上げました。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 今回の場合には、再評価を強制されなかったという理由は、どこにありますか。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 再評価の強制の問題は、シャウプが参りましてやった第一次のときからあったのでございますが、非常にきつい再評価の議論としては強制すべしということであるわけですけれども、企業のいろんな個別の事情があるし、とても強制は無理だというので、最初から強制はいたしておらないのであります。ただ第三次に至りまして、いわば再評価に全体の締めくくりをつけるといいますか、もうこれでおしまいだというような線をはっきり出してある程度やってしまうというような考えが出たものでございますから、第三次の二十九年に強制をいたした、いわば、あのときの強制が再評価全体のシステムを表現しているのじゃなくて、手じまい的な、手じまいをするには、やはり少くとも中心的な大企業については、しっかりやらしてしまおうというような気分でやったわけです。そのときも、中小企業については、お話しのような経理能力、また個別事情が特にいろいろ多いというようなことから強制しなかった。それで、今回も強制という議論もあり得るわけですけれども、中小企業にはいろいろ千差万別な実情があろう、経理の能力その他の実情からいうても、強制よりも実際のお世話で、なるべく漏れのないように、また実情でやりたくない、やれないというのがあれば仕方がないじゃないかという気持で、決してよけいやるなという気持では毛頭ないのででざいますが、中小企業の実態から考えて強制はしないと考えた次第でございます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 第三次の強制について、失敗だ、行き過ぎだったというような実情がある。そして第三次の場合には、これで締めくくりだから強制したんだということでありますが、そういう考え方もわかる。あらゆる機械設備などの不均衡、非常に違っておるものを、一応一つの近代的な水準で評価し、測定し直そうという考え方ですから、これはわかる。そういう考え方なら、今度、あるものはまだ残っているし、あまり価格変動もないんだから、大体ここで一応のレベルに持っていくために、その延長としてやるべきが筋だと思う。私はものの筋を言うておるのであって、この場合絶対やらなければならぬというよりも、物事の筋としてそう考えるがどうかということなのです。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 筋としては、強制論は一番すっぱりした議論だと思います。中小企業者というもの全部を一律でやらすという線はあると思います。それをとりませんでしたのは、先ほど申し上げたような実情から、またその筋で一律に理論的にやろうとしますと、いわゆる陳腐化的なものについては、役所側も、はっきりとこれは何割陳腐化しているというのを判定して、ぴしっとやらなければならぬということになりまして、実際問題として、なかなかやりにくいという便宜論も入って今回のような結論になった次第であります。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 どうもその理論は、あまりすっきりしませんが、これは一応この程度にします。  さて税率の問題でありますが、ただいまの原主税局長の答弁によりますと、四億六千万円程度見込まれると言われております。なるほど国家の金でありますから、一銭一毛といえども大事には違いないけれども、中小企業者には税金を払うことも容易でない者がある。中には相当な者もあるかもしれぬが、相当な者にとってもやはり負担である、こういうのが、その実力の面から見て言えることだと思うのであります。  そこで前回の六%、この六%が、実質的には三・三%に当るんだとか、低いのは一・九五%に当るんだとか、いろいろなとり方はあるにいたしましても、いずれにしても、中小企業者なるがゆえにという考えが特に今回は頭の中にあって取り上げられておると思う。そうした経済力の実態等から見て、しかも国家的には強制しないにしても、大体において一国の設備を中心とするところの評価資産を基準とするものが一つのレベルにあって、大体これの経済というものは、一つの見方の指導、施策の上における大きな役割を果すということも含めて、この際税金を取らないという考え方がいいんじゃないか。言いかえますと、実際において少々といいますか、再評価を現在のある価格に引き上げてやってみたら、実質的には何ら利益を受けていない、いわゆる公称の、表向きのノミナルな唱え方がそこにある。これは、場合によれば間接的に銀行からある程度の信用を受ける材料になることもあり得るかもしれぬ。もっとも銀行は、資産の内容を相当調べて評価をやるんだから、必ずしもそうではないけれども、まあ第三者へのある程度の信憑力が、資本あるいは内部の充実等が数字の上に出てくるから恩恵を受けるという程度のことである。大資本には租税負担の力があるから、そういう意味において、税率をある程度高くしても、また税金を取ってもいいけれども、中小企業者には、今回の特例に限ってそういうものを免除するんだという考え方もあり得るんじゃないかと思いますが、この点いかがでしょうか。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 確かにそういう議論もかなりございます。また私どもずっとこの法案を用意します間、いろいろとそういう御発言がございまして、それらを含んで、結論として二%ということにいたしたわけでございます。  なぜ二%でも取らなければならぬのかということは、大きくまとめて申しますと、一つには、やはり権衡論がございます。もう一つには、再評価で水増しをやられますと、税の方がめちゃくちゃになってしまうという問題がございます。権衡論といいますのは、一次、二次、三次と再評価をやる、第一次、第二次は御案内の通り六%、三次に至りまして、強制が入ったのでだいぶ軽減いたしました。そうこういたしまして、一次、二次、三次を含めまして計算いたしますと、法人の場合は、全体で減価償却資産の税率の平均は三・三%というようなことになっております。それとの権衡がある。もっと古く言いますと、二十五年に再評価を始めましたときには、昔からの金銭、債権とのバランス、あるいはその前における譲渡所得課税とのバランスというようなものもあったわけです。やはりこれは、二十五年以来の一連の再評価の最後の一環でありますから、それらの関係も含めての権衡論が一つあるわけでございます。  もう一つの水増し再評価を防ぐといいますのは、資産の価格を自由に——自由と言うとなにでございますが、十倍にしてもよろしい、百倍にしてもよろしいといいますと、これは先生、御案内の通り償却額がずぼっとふえていくわけです。   〔委員長退席、平岡委員長代理着席〕  これが再評価のようにきっちりした基準でやるという場合には、それはそれで理屈があるわけでありますけれども、何分数の多い企業が再評価をする、その中には、実際に取得価格が一万円だったものを、十万円だったと言われる向きがないとも限らないわけです。そういうふうにいたしますと、今後の償却額が不当にふえてしまう。これはもう非常にうまく合法的な格好をとった、将来にわたる長い期間の脱税をやられる。その辺は税務としても、十分再評価の申告書を拝見して、正確にチェックしなければならないわけですけれども、何せ非常に数の多い企業で、しかも一つの企業が一つの機械だけだというのならばまだなにですが、何十も持っている場合によっては、一大企業だったら何百、何千と持っている企業もあるわけでございます。そういうものについては、やはり再評価税というものがある程度の自動的な安全弁になるという面が、当初の再評価のときからいわれてとられているわけであります。  その二つの点を主にいたしまして、今回は中小企業であるから、先ほど申しましたように、今までの平均にすると三・三だというようなことになるけれども、私ども実は御案内の通り原案は三%、あるいはもうちょっとかなあという議論もあったわけであります。法案作成の経過におきまして、ただいま中崎委員のおっしゃったような議論がいろいろ出て、それらを全体調整いたしまして、二%という税率でお願いいたしているわけであります。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 今局長が言われました例の水増し説でありますが、それでは、たとえばこの法律が実施される場合においても、水増しということが心配されないで——ただの税金を取るということだけを除いてそれでやる場合に、水増しだけがあるということになりますと、そこの実際がどうもわからないのであります。たとえば法律を変えて、片方は勝手に水増しをやれ、やらすという制度ではない、内容はこれでいい税金だけを取るということにした場合に、税務署が見ないということになれば別問題ですが、将来これでは水増しになっちゃって、今度は償却の場合において、国家が逆にそれだけ脱税されれば将来の欠陥になるというならば、十分に監視、監督をして、そういうことのないようにする。それがまた、われわれが国税庁を離れて、政府の方へ期待する唯一の願いといいますか、要求なのでありますが、そういうふうにやっていけば、今の問題は関係ないんじゃないかと思うのでありますが、どうでしょう。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 二%税を取れば、水増しは全然ないかというお話になりますこ、その危険はやはりあると思います。ただ、それだからどっちでも同じしゃないかというて、やめろと言われますと、一番水増しがひどいということになるわけで、どの程度かというのは、なかなかちょっとお答えのしようもないのですが、やはり再評価の際に自動的な安全弁としてこういうものをやるというのは、外国の例に見ましても、そういうような例がございます。わが国としても、第一次以来そういう思想も含めてやっておりますので、それは、やはりそういう見地からもお考えいただく必要があるんじゃないか。先ほど申したように、当初からの分を加えますと、何十万という企業が再評価をやっているということになると思います。しかもその再評価資産は、それにまた何十倍あるいは何百倍するというような非常に数の多い資産であります。それを税務官吏が一々チェックしてやるというのはなかなかできない。やっぱりサンプル的なチェックになります。一方で安全弁はとりたいという気持は、お考えいただきたいと思う次第であります。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 そうしたようなものの考え方からいいますと、たとえば将来の償却については、こうして税金を取ってやる場合には、相当償却率を高めていくというのでありますが、一定の正当な価格に評価されるということは、国の全体から見て一応これはあり得る。そうすれば、それに対し将来の償却は、その現実の資産に対して正当な償却をやらせればいいのであって、必ずしも償却率を、この法律で考えておると同じような率でなくちゃならぬとも考えないのであります。これは一次、二次、三次についても同じことが言えるのではないかと思うのでありますが、そうしたような考え方を含めて税率の問題を——ことに中小企業者の場合でございます。実際担税力のあるものが非常に少い一般的な中小企業者の例から考えてみても、むしろそういうふうな措置が望ましいのではないかと思うのでありますが、いかがでありましょうか。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 そういう御意見もあると思います。ただその点につきましては、先ほど申しました公平論——公平論も第一段に再評価第一次、二次、三次、四次とあるその間の公平論でありますが、その前に実態的な公平論としては、戦前からのいろんな資産を持っているもののうち、御案内の通り金銭債権なんというのは一番ひどい目に会ったわけであります。インフレーションで何百分の一になっちゃった。しかもそれが切り捨てられるというような場面も出て参っております。実物資本を持っておった企業、これが再評価をして、貨幣価値の変動による損を税の面でも救ってもらえるというのは、非常に大きな恩典なんでございます。ただいま両極端を申しましたが、その間にいろんな種類の資産が入って、大きな目で見ますと、かなりそこに問題があるわけであります。二十五年当時、これは御案内の通り、戦後のインフレーションの狂欄怒濤がやっと二十五年でおさまった、日本経済がやっと安定したかどうかというときで、そういう戦争の間、戦後を通じての貨幣価値の動揺についての各般の財産に対する扱いが、現在よりもはるかにいわば神経が鋭敏だった時代でありまして、やはりそういう他の財産との権衡を考え、またそのときまでのいろんな法人、個人の譲渡所得は、古い取得価格と新しい値上りした価格との差額を全部譲渡所得として加えておったわけです。そういうものとの権衡も議論されまして、これはやはりある程度納めなければならぬというような議論があったわけであります。お話しのような、時価で償却するのは当然だから、時価に評価するものについて税を取るのはいかぬという議論もあると思いますが、ただいま申した実態論から、そう申しております。非常になにでございますが、ただいまの御議論自体についても、税制本来の議論としては、私どもはその議論をいわれますと、今後税制は非常にやりにくいと思います。時価償却というのは、税でもあるのです。あるのですが、やはりその場合、現在の税制の建前は、評価増されれば、評価した分は、まずそのときに税を納めていただいて、あとそのかわり償却はさせるということになるわけです。これを、やはり税を納めずに時価償却ということにいたしますと、おそらく税務は、もうこんとんとして収拾すべからざるようなことになるんじゃ、ないかというような感じもいたします。理屈としてはりっぱにあり得るのです。しかし、それは税ではなかなかとり得ないというような点——少し余分なおしゃべりをして恐縮でありますが、考えとしてはりっぱであるが、なかなかできない。その上にこの再評価については、先ほど申した、戦前戦後を通じてのそういう面での公平論というものが強くそこにあるということを申し上げて、御了承をいただきたいと思います。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 それではお尋ねしますが、税金をお取りになる場合、法人税でも個人所得税でもでありますが、資産の査定をされる場合において、その査定の基準は、評価資産については、一体どういうふうにおとりになっておるか。ただ企業の帳簿に載っているそのままの姿をお認めになっておるのか、あるいは時価主義というのか、時価を一つの基準になさっておるのか、あるいは時価主義をある要素として取り上げておられるのか、そこらの…の、税法上の今日までとってこられた建前を伺いたい。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 お話は減価償却のことでございますから、それに限って申し上げますと、減価償却する資産につきましては、所得税、法人税の所得を計算いたします場合に、最初に、取得価格というものが幾らということで、企業が帳簿に載っけるわけでありますが、それをもとにして、定額法または定率法で償却して参るということになります。実際問題として評価夢をするということはありません。実際に処分して値が出たという場合以外は、増は実現しないと思います。評価減ということは、その資産が陳腐化したというような事由によって評価減する場合には、特別な承認を受ければ、その承認によってこれを認めるというような制度はありますが、原則としては、取得価格を定率法または定額法で償却して参るということになっております。企業の任意というわけには参らないと思います。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 これは、あるいはちょっと余談になるかもわかりませんが、たとえば有価証券の売買業とか取扱業とかいうふうな場合には、その取得価格が原価になって査定されるものかどうか、これを伺います。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 有価証券売買業、証券業の場合の有価証券は、ただいま申し上げました減価償却資産ではなくて、いわば証券業にとっては商品なのであります。たなおろし資産的なものであります。従いまして、たなおろし資産の評価方法というもので処理をいたすことになっております。これにつきましては、あと入れ先出しですとか、あるいは平均の取得価格だとかいうふうな、いろいろな方法を二十五年以来設けて、それによれる。また取得価格だけでなくて、時価というものも基準とするというやり方があるというようなことになっております。かつ、それについては、御案内の価格変動準備金というようなものがからまって、かなりに複雑な制度になっております。しかし、それぞれ納税者の実情に合った制度が選択し得るような幅の広い制度になっておるような次第であります。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 評価資産については、大体取得時の価格を一応基準にするということでありますし、そしてまた、商品とかあるいは有価証券などを取り扱う業においては、この前には、例外はあっても、大体時価主義が一応標準としてとられるものだというふうに考えられるのであります。そうしますと、前者の場合にはなかなか評価がしにくい。大きな工場があって、一々これは何ぼだ、これは何ぼだというふうな実態調査などがしにくい点等もあって、いわば帳簿価格が埴準になる。その帳簿価格といえども、取得価格といえども、場合によればいろいろなからくりがある場合もあり得る。でありますから、これは絶対のものであるとも考えられないのでありますが、そうしたようなことからいいますと、必ずしもどういうものでなくちゃならぬというのではなくて、取扱い上比較的やりいいからそうやるんだということになるのではないかと考えるのであります。従いまして、今度は一体どういうふうにするかということは、中小企業者の実態なども考えてやっていただきたい。これは一つの希望として言いたいのであります。  もう一つは、固定資産税の場合において、この前の法律においては、二カ年か三カ年か知りませんが、現状の再評価前の価格において課税されるという特例があったようでありますが、今回の場合においてはこれが除外されておる。それは一体どういうわけかというと、説明によると、時価で換算されておるものが多いという。今度は、先ほど在税局長が言われたように、評価資産については帳簿価格でいくんだという。国家さえも帳簿価格でいくのに、地方は一々そういうふうな複雑な工場の実情などを調べて、そうして特価でいくものかどうか。もしいくとすれば、どういうふうなことをやっておるのか。これはあなたの所管とは違うかもしれないけれども、少くともこの前には、税法の中にそういう問題が配慮してあって、明らかに取り上げられておった。今回においてはこれがないわけであります。そうした点において、観念上の一つの食い違いがあるのではないかと思うのでありまりすが、この点の説明をお願いしたいと思います。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 固定資産税では、固定資産の時価を課税標準にして税率を適用するということになっております。従いまして、再評価資産につきましても、どこまでできておるかという問題はありますが、建前は時価でやっておるという建前になっております。それで前回強制のときは、三年間は据え置くという特例が設けられておりましたが、今度はその三年が切れるのであります。三十三年の一月一日は、固定資産税の新しい評価時期であります。そこでそろえて評価するというようなことでもあるので、そしてまた、今度の再評価は一−三次の補完だから、三十三年の一月にベースがそろえば、それで一つの公平なベースになるではないかというような考えから、今回の再評価については据え置きのことを入れてないというわけであります。それは、冒頭に申しました時価でやっているとすれば、そのはずがないという問題と若干矛盾するのでありますが、実際に地方団体によって、時価でやってないようなものがある場合に、そういうような問題が起ってくるわけです。その問題、つまり固定資産税の課税標準を時価ベースで見るという建前と、減価償却資産の価格は取得価格で見るという建前とは矛盾するじゃないかというお話でありますが、これは考えようでいろいろあるかと思います。ただ、先ほど申しましたように、減価償却の場合におきましては時価償却、これは理論としてはありますけれども、それを税務の上で認めて、ほんとうに公平な結果になるということについては、私どもとても自信がございません。世界各国でも、そういうことをやっている国はないように承知いたしております。まあ、矛盾と言われますと、確かに矛盾でありますし、やり方が違うと言われますと、確かに違いますが、固定資産税の方は、また別にそれぞれ各地方団体が評価をするというような前提も入れておりますので、にわかにそれが矛盾かどうか、税の性質によって違うやり方があり得るのじゃないかというふうに私ども考える次第であります。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 私は先ほど政務次官にお尋ねしたのでありますが、中小企業者に対しては、大企業に対するよりも、あらゆる面において冷飯を食わせ過ぎる、この面においてもそうなんです。いわゆる大資本を大体目的とするところの第三次再評価までの場合においては、固定資産税は、再評価で上っても、上らない前の基準において、固定資産税の税率をかけるのだ、据え置くのだ、こういうことがはっきりしておる。今度の場合には、いわゆる中小企業者の再評価としてうたっておるが、今度の場合に限ってそれをはずしてしまって、高いところの固定資産税をかけるという結果なるのだが、これでもなおかつ中小企業者に対しては冷淡でないと言われるのかどうかということをお尋ねしたいのであります。

足立篤郎自由民主党大蔵政務次官

○足立政府委員 固定資産税の取扱い方につきましては、ただいま主税局長がお答え申しあげた通りでございますが、一次、二次、あるいは三次再評価をやりました実際上の地方自治体の扱い方が、建前は時価となっておりましても、画一的に統一されてなかったという面が見られたのでございましてこれを救うためにああいう特例を設けたというふうに承知いたしておりますが、最近は、主税局長からもお答え申し上げた通り、この固定資産税の評価の仕方がだいぶ統一されてきた、従って、前にやりましたああいう特例措置をとることによって、それほどの恩恵的な扱いにはならないというふうに私は承知いたしておるのでございます。従いまして、政府でこの法案を作り上げます際にも、この点につきましてはいろいろ議議があったのでございますが、前回は、御存知の通り、強制をいたしたものでございますし、今回は任意の処置としてやるという建前になっておりますので、その点も兼ね合せまして、また実情も考えまして、固定資産税についての特例は設けないということで原案を作成したような経過になっております。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 政務次官は、先ほど中小企業者の立場を特に考慮して、その利益などの恩典をよくすることも含んで、この法律案を出されておると、こういうことである。ところが今のお話によって、今度の再評価では、中小企業者にそう恩典にならぬのだということになると、何だか初めの話と食い違いがあるのじゃないかと思います。  それからまたお尋ねしたいのでありますが、第一次、第二次の場合においては、再評価が強制されてなかったのだが、その場合においては、固定資産税は引き上げられたままに新しい基準に基いてかけられたのかどうなのか、そこを一つお尋ねしたいのであります。

足立篤郎自由民主党大蔵政務次官

○足立政府委員 私が今御答弁申し上げた言葉が悪かったので、ちょっと誤解をされておるようですから、もう一ペんあらためて申し上げますが、私の申し上げた点は、今度の資産再評価の法案が中小企業のためにならないのだというつもりではないので、大いになるつもりでこの法案の御審議をお願いしておるわけであります。ただ私が申し上げたのは、前のときに固定資産税に対する特例的な扱いをしたわけなんですが、その場合と、今度そういう特例的な扱いをするとした場合、この企業体が資産再評価によって受ける利益、これが実は前のときほど恩恵的でない、実情がそうだというふうに私は聞いているわけなんです。この点に誤まりがあれば考えなければならぬ点だと思っておりますが、その後地方自治体におきましても、固定資産税の徴収方法がだいぶ徹底して参りまして、ほとんど時価ベースということに歩調が合ってきているので、ここで特別な扱いをしましても、それほど変りがないんではないか。つまり資産再評価の場合の扱い方と固定資産税の計算の基礎になります扱い方が違いますので、固定資産税の方は時価ということでありますが、これが統一されておれば、帳簿価格とほとんど関係なしに固定資産税はかけられるということでありますから、前のときほど恩恵的でないという意味で申し上げたのでございます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 今回の場合が前のときほど恩恵的でないということは、中小企業者に対する場合においては、やはり十分の配慮が払われないということに通ずるんじゃないかということで私は申し上げたのでありますが、この点は本質の問題でないから、それ以上突っ込んだ議論をしなくてもいいと思いまます。  ところで現在地方庁の場合においては、ほとんど方針が徹底して、大体時価主義でやっていると言われておるのでありますが、私たちが受け取っておろこととは、その点にだいぶん食い違いがあるように思われるのであります。言いかえますと、ある部分については、時価主義といっても、非常に単純な、ひょっと見てもこれは時価主義とわかるようなところ、企業としても、個人もしくは法人としても、まるっきり裏長屋みたいな、表から裏まですかされるようなもにが時価主義でやられている。そして中小企業といっても相当大きい、なかなかわかりにくいようなもの、そういうような場合には、やっぱり帳簿価格か基準にされているという事例をたくさん知っている。であるから、もしそうであるならば、一つあなたの方から資料を出していただきたい。ほんとうを言えば、もうそういう資料は十分に調査していなければならぬはずだ。前とは違った重要な権利義務、利益に附する大きな問題を扱うというんだから、その後におい、一体どういうふうな運用になっておるのかということを、統計的にも一つこの際はっきり示してもらえば、納得がいくものは納得がいくわけでありますので、その点を一つ明らかにしていただきたいと思います。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 お話しのようなケースもまだあるかとも思います。私ども東京都と神奈川県とにつきまして若干の調べをいたしてみました。その結果は、減価償却資産の再評価税の対象としての評価は、全部最近の時価ベースになっておる。しかもその時価ベースは、第三次の再評価限度額よりもむしろ若干高いくらいの時価ベースになっているということを発見しております。東京、神奈川の例だけで全国を憶測するのは危険でありますが、御案内の通り、東京、神奈川は市町村財政も割合に豊かなところで、貧しいところにいきますと、固定資産税についても、評価を一ぱいにやるだけでは足りなくて、税率についても、標準をこえた税率をとるところがあるというような事態でございますから、お話しのようなケースはまだあるとは思いますけれども、そう多くはないだろう、特に  一次、二次の時分に比べるとだいぶん変っているだろうということを今政務次官は言われたわけでございます。大へん資料が局限されたものでございますけれども、一応そういうデータが上っているような次第でございます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 私の見た目では、これは国税庁の機関を通じて直接にお調べになったあるほんの部分的な、また都合のいいといいますか、そういうものだけをこの統計としてお出しになったのではないかという気もするのであります。むしろ自治庁では、全国各市町村の資料を入念にとっておるんだ。大体において、どういう基準でどういうふうになっておるのかということを、いわば許可を得るといいますか、一つの基準はあるのでありますが、それについても実際の統計的なものは、僕は地方自治庁の方が直接持っておるんではないかと思うのでありますが、そうすれば全国的な一つの公平な、われわれが信頼し得る資料が出るんじゃないかと思っておりますが、そういう調査をされたかどうかをお聞きしておるわけでございます。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 実はただいま申し上げました数字は、自治庁にもお話しのようなぴったりした資料がございませんので、私どもだけでなくて、むしろ自治庁に御相談して、自治庁が中心になって東京、神奈川のある市、町というようなところを調べたわけでございます。もう少し勉強しておかなければならぬという意味では、大へん資料が不十分で恐縮なんでございますけれども、この資料は、自治庁中心で調べられた資料であります。自治庁としても、今この問題を判定いたしますための資料としては、これ以上凱切なものがないというような状態で、自治庁は時価で評価をしなさいという通達を出しておられますので、全体それでやっているだろうというふうに前々から言っておられたわけですが、近くを調べてみると、その通りになっておる。遠いところといいますか、いなかの方は、むしろ固定資産税も標準超過課税までやるというようなところもあるくらいだから、全国的にもそう大きくこの状態から変っているところはないだろうというようなことを、これは私どもだけではなくて、共同で調査いたしまして、そういう一応の考え方、判断に立っておるような次第であります。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 私の知った例では、やっぱり帳簿価格を基準にして、東京都あるいは神奈川地区においても固定資産税を取っておる。だから、自治庁がどういうふうなところを資料としたのか、むしろ全国的な、そうした一つの意図を持たないで集めた資料があるんじゃないか、今そういうものを出すべきではないか。というのは、自治庁は、できるだけ高く評価して地方財政の役に立たせたいという考え方もあるので、むしろ冷静に公平に、そうした意図を持たないで出されるような資料、信頼されるような資料を集めて、それでやるならばいいのだけれども、時価主義でやっておるんだから、それでこれは前回の話とは変っている。この時価主義というのは、二十九年以降のことでなしに、前からも時価主義でやるところはやっておる、ある部分は、またそれよりも進んだ、多少ふやした時価主義ということも採用されておるところもあるかもしれぬが、依然として帳簿価格を基準にして、たとえば国の税法、いわゆる法人税とかいう類のものを基準にして一応出したところのバランスが、これが土台になって課税されておるというのが実情だと私は思っておる。そういう意味において、私たちが現実に見ておるところとだいぶ認識の相違があるので、この点はさらに調査して、この法律案の最後的な態度を決定する上においても、政府としてもう少し信頼できるというか、ああなるほどこれならばわれわれ納得がいくというような資料を出してもらわない限りは、これだけで簡単にそうですがといって、中小企業者に対する不利益な、思いやりのない特例の措置には、なかなか賛成できないという考えでおるのでありますが、この点を一つ要望しておきたいと思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員長代理 中崎さんいいですか。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 まだいろいろ問題もありますし、今の問題も含めて、理事会などにおいてもいろいろ話し合いをすることもあるので、打ち切りでなしに、私としては一応留保しておきます。     —————————————

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員長代理 次に、金融に関する件について横錢委員より発言を求められておりますので、これを許します。横錢委員。

横錢重吉日本社会党

○横錢委員 銀行局長に若干御質問したいと思います。銀行局は、直接各銀行に対して経営上のいろいろな問題について指示を与え、あるいはまた国会等からの要望の起った問題に対してこの処理を扱ったり、いろいろな町での指導監督、こういう面を行なっていると思うのでありますが、その指導監督がときに適切でなかったり、あるいはまた行き過ぎを起したりする可能性はなきにしもあらずではないか。今までの質問等においては、しばしば銀行局長の監督不行き届き、銀行局の監督が不十分なばかりに各種の問題が起った、そのために預金者に迷惑をかけたり、あるいはまた銀行の信用を失墜したりということで、銀行局長の監督怠慢の面についての質疑が多く行われてきたと思うのです。きょうはまた少し角度を変えて、銀行局長の少し行き過ぎの面といいますか、監督指導に熱意を持つの余り、権限を逸脱してやったんではなかろうかと推察される、そういうような問題について若干これから承わりたいと思うのです。  そこで第一の点では、銀行の中にはよく内紛が起ることがある。これは通常の経営者だけの場合において内紛が起ることもあれば、あるいはまた大蔵省や日銀寺の古手が銀行の頭取やあるいは専務、常務等に入って、そこに従来おった者との間に感情上あるいは権限上、そういうような問題をめぐって内紛が起ってきている。これは各所においてしばしば見られる例である。こういうふうな内紛が起った場合には、一体どういうような指導理念をもってこれに処してきておりますか、この点一つ承わりたい。

東條猛猪大蔵事務官(銀行局長)

○東條政府委員 一般の金融機関に対する指導監督というものに行き過ぎがあってもなりませんし、また怠慢があってもならないということはお話の通りでございまして、はなはだ微力でございますけれども、そういう考え方で仕事をいたしておるつもりでございます。なお今後とも努力をいたさなければならないと考えております。  内紛があったときに、どういう一般的な理念で仕事をするかというお話でございます。はなはだ抽象的なことを申し上げまして恐縮でございますが、申し上げるまでもなく、金融機関はきわめて公共性の高い企業体でありますし、信用の支持、双方の面においてこの公共性ということが十分自覚せられますとともに、経営の健全性ということを同時に充実して参らなければならないわけであります。従いましてこの内紛の個々の事態々々に応じまして、公正かつ厳正な、また今申し上げましたような金融機関の公共性ないしは健全経営というものをあげていくためにはどうあるべきかという考え方でもって、個々の場合に処していくほかなかろう、こう考えております。

横錢重吉日本社会党

○横錢委員 きわめてりっぱな、かくあらねばならぬというお答えをいただいたわけですが、それでは具体的な問題に一つ入っていきたいと思います。九州の福岡銀行に、重役間の内紛及び従業員と重役陣との間をめぐって労働問題が現在発生しておるわけでありますが、福岡銀行におけるところの頭取と、それからまたその他の従来の常務等との間に相当の見解の相違が出てきておる、しかも、これは従来の頭取がやめて、日銀からこれが入っていった、そこに原因を発して、また労働問題が入り込んでごたごたが起ってきておる、この間については、今局長のりっぱな答弁があったので、そういうようなりっぱな答弁ならば、これはみごとに解決するであろうということを信ずるので、その点についてはしばらく事態を見ることにしまして、次の労働問題について若干伺っていきたいと思うのです。  銀行局としては、銀行の中に労働問題が発生した場合、一体どういうような考え方を持ってこれに臨んでおるのか。その点銀行の経営者に対して、労働組合をぶっつぶしてやれというようなきわめて強硬な手段をもって指示を与えておるのか、あるいはまたそこに発生してきたところの労働問題というものは、銀行の自主性において解決すべきものである、ただそこに善意の法規上の問題とか、あるいはまた銀行としての一般的な体面上の問題とか、そういう点に対して示唆を与える程度にとどめておるのか、その辺のところを一つ少し詳しく御見解を承わりたい。

東條猛猪大蔵事務官(銀行局長)

○東條政府委員 銀行は、申し上げるまでもなく信用というものを看板と申しますか、生命と申しますか、非常に大切に考えなければならない企業体でございますので、私の立場を率直に申し上げますと、あまり個々の特定の名前をあげて御説明することは、なるべく差し控えさせていただきたい、こう思いますので、横錢委員におかれましても、どうかその辺のところは御了承賜わりたいと存じます。  そこで、銀行につきまして労使双方の間が円満に行かないというような事態が起りました場合におきまして、大蔵省が、先ほどお言葉のございましたように、組合運動に対する無理解な一方的な態度をもって臨むというようなことはもちろんございません。やはりこれは、銀行経営に当っておる責任者の自主的な判断に基きまして、そのときそのときの労使双方に起っておりまする問題をどういうふうに解決することが適当であるかという、正確または責任のある判断のもとに、問題のお柄につきましては、労使双方の問でどこまでも自主的に話し合いが行われ、解決すべきである、こう思います。ただ先ほども申し上げましたように、金融機関の公共性、あるいは経営の健全性という一つの要請がございますので、さような解決の話し合いを自主的に進める場合に当りましては、そういう金融機関の特殊性ということを労使双方において十分認識の上で話し合いが行われるということを、銀行局といたしまして要請をいたす、これは当然の立場であろうと存じます。

横錢重吉日本社会党

○横錢委員 今の公共性、健全性を認識してこれを行うということは、これは当然なことであろうと思うのであります。またそうでなかったならば、監督者としての責任を果し得ないし、銀行事業としての信頼感というものも高まってこない、こう考えるのであります。その限りにおいてはその通りなのだが、その公共性、健全性ということに名をかりて、それ以上に突っ込んでいくというようなことはなさらないか。表面は一応公共性である、あるいは健全性である、まあきわめていい看板を出しておいて、個々の内面においては、お前のところはこんなことをやっておるからだめじゃないか、こんなことでベース・アップをやっておってはだめじゃないかとか、かなり露骨なことはやっておりませんか。

東條猛猪大蔵事務官(銀行局長)

○東條政府委員 どうも私どもちょっとお話に理解に苦しむ点がありまするが、たとえば銀行の経理の問題でございますと、全体的には経営の収支率という一つの目安というものがあるわけでございます。またいろいろな金融機関を比較いたしました場合に、当然その銀行の資金コストという問題があるわけであります。そういう場合において、何も労使の間に問題が起ったというのではありませんで、そういう場合に限定するわけでありませんが、指導監督に当るわれわれといたしましては、お前のところの経営収支率は、目標に比べてまだ高いじゃないか、あるいはほかの金融機関に比べて、資金コストの面において遺憾な点があるじゃないか、その原因がこういうところにあるじゃないかというような、具体的な数字にわたっての指導はいたすわけでありまするけれども、労使間の紛争が起りましたときに、そういうベース・アップは絶対やってはならぬとか、給与の引き上げはまかりならぬとか、そういう突っ込み方というか、そういう角度からのものの言い方はしていない。しかし前段申しました経理の問題は、具体的な計数の問題でありますから、そういう指導は、収支率の問題であるとか、経営の問題であるとか、人件費のコストの問題であるとか、そういう計数にわたっての指導監督は、常日ごろ私どもの方は注意しておるということを申し上げたいと思います。

横錢重吉日本社会党

○横錢委員 今の福岡銀行でもめている点は御存じだと思いますが、これは、大体期末手当を一〇〇%、要求しておる。それから家族手当その他についての若干の引き上げというようなことが中心になっておる。期末手当の一〇〇%に対しては八〇%の銀行側の回答があった、組合はこれに対してなお不満である。それに対して銀行側では、パーセントではなく約一千万円を出す、これは率でいくと大体九六、七%になるようでありますが、この一千万円を最後に出すのに当って、銀行側ではこういうようなことを述べておる、大蔵省の了解を得たものではなく、今後その了解を付てから実行可能となるものであります、こういうようなことを言っておるわけです。これは、単に銀行側、経営者の独断で大蔵省というものを持ち出したものであるか、あるいはまた事前に、そういうような一千万円なんという金は出してはいけぬということで、強くあなたの方で押えておったものか、どちらであるか、判断のつきかねる点があるわけです。そこで、この辺の具体的な事情について少し述べていただきたいと思います。

東條猛猪大蔵事務官(銀行局長)

○東條政府委員 福岡銀行は、御承知のように、地方銀行の中でも、資金量からいたしますと、きわめて上位に位しておる銀行でございますが、同じ程度の資金量を持っておるならば、経営の収支率でも、あるいは経費のコストでも、改善の余地が相当あるのではなかろうかというように実は見受けられるような実情でございますので、それらの経営の収支率、あるいは資金のコストの改善、引き下げという点に努力をしてもらうように、かねがね要望いたしておる次第であります。何も最近特に銀行側に対しましてそういう要請を強くしておるということではございません。そういうことでございますので、経営者側において話し合いをいたしまして、一つの案を得ました場合に、当然収支率ないし経費コストに影響のある問題でございますので、かねて大蔵省からそれらの改善には注意をいたしておる点もありますので、増高を来たす面については了解を得たいという趣旨であったろうと私は想像いたします。

横錢重吉日本社会党

○横錢委員 それは、福岡銀行の内容は、大体預金量も五百億を上回っておる。しかしながら、県下に相当の中小炭鉱地帯をかかえておるので、それらの点が、いわゆる第四分類に属するものが若干程度あるということは、局長が知っておられる通りなんです。その面に関する限りはそうなのだが、しかし、これは地方銀行としてはきわめて大銀行である。銀行の中でも上位にあるところのこの銀行において、この程度の賃金やこの程度の待遇問題というのは、そう経営の基盤をゆるがすような大問題でもなかろうと一般的には考えられるわけなんです。そこで、局長の方では、コスト引き下げについての要望をかねがねやっておるということは、これは善意の指示として当然であろうと思うのです。しかし、それは具体的にこういうような資金の要望に応ずべきか、あるいは応じてはならないのか、そういうふうな点での話し合いは受けなかったか、いわゆる今の一千万円を支出するということについて、これは出してはいけないということをあなたの方で強く具体的な数字で言ったことはないのかどうか、この点についてもう一回……。

東條猛猪大蔵事務官(銀行局長)

○東條政府委員 先ほど来申し上げておりますように、この銀行につきましては、資金量は膨大でありまするが、経費のコストの面におきまして、相当改善の余地があるという見解のもとに、注意をいたして参っておるわけであります。つまり横錢委員の仰せのように、資金量あるいは貸出内容の問題とは別に、コストの問題が一つの問題であるという点を、ちょっと念のために申し上げておきたいと思います。  そこで経世者と職員側との間で話し合いが一応ついたという結果に基きまして、経営在任者が上京して参りました。そこで話し合いの結果、一千万円を一時金として出したいというお話で、ありましたので、それは、経営の全責任を負っておる頭取が、組合との話し合いの結果ぜひそうしたいということであるならば、適当であろうという趣旨の返事をいたしました。

横錢重吉日本社会党

○横錢委員 それでは、このときには、もうすでに大威省の方としては了解を与えておったわけですね。

東條猛猪大蔵事務官(銀行局長)

○東條政府委員 このときはという御趣旨がわかりませんが、組合と大体こういうことに話がつきそうだ、ついては、コストに相当の影響はあるけれども、頭取としては出したい、こういうお話でありましたので、経営の全責任を持っておる頭取がそういう御見解であるならばけっこうであろう、こう申したのです。

横錢重吉日本社会党

○横錢委員 この条件のときに、あなたの方では、それでは一千万円は出してもいいだろう。しかし、それならば従業員組合が闘争態勢を組んでおるからして、その闘争委員会を解散しろ、それからその間に会合を持った場合には、賃金カットを実施しろ、そういうような二点、賃金カットをすることと闘争委員会の解散というその二つを条件として支給をしろというふうな条件をつけたことはありますか。

東條猛猪大蔵事務官(銀行局長)

○東條政府委員 私が頭取から聞きましたのは、一千万円を出せば経営者と組合との間で完全に話がつく、つまり経営者の出しておる条件は、全部組合側で充足してもらうということが話の内容でございましたので、その通りに実は了解いたしております。従って一千万円出せば、これは経営者側と組合との間で問題も完全に話し合いもついて解決する、そういうことを確信いたしまして、けっこうだろう、こう申したわけでございます。

横錢重吉日本社会党

○横錢委員 さらに伺いますが、組合がもしもその問題で解決がつかずにストライキに入った場合、銀行はその対策として、現在の福岡銀行は解散をする、そこで第二銀行を設立する。その第二銀行を設立するに当っては、組合の好ましからざる幹部はこれを首切ってしまう、そうして第二銀行でやっていくんだ、それは大蔵省とも分打ち合せてある、こういうふうにとれる発言をしておるのですが、この点に関しては、あなたの方で御相談にあずかっておりますか。

東條猛猪大蔵事務官(銀行局長)

○東條政府委員 私は、むしろ横錢委員にお願いしたいのでありまするが、とにかく現にりっぱに営業をいたしております金融機関でありまして、それが何か解散をするとか、あるいはどうとかいうようなことは、実はわれわれ全然予想もせず、そういうことを口にすることだに、私どもは金融機関の信用に影響するのではなかろうかというふうに——あるいは憶病とお笑いになるかもしれませんが、そういうような考え方を実はこの金融機関の問題についてはいたしております。従いまして、今の仰せのごときは、実は私といたしましてはほんとうに意外に存じます。

横錢重吉日本社会党

○横錢委員 それでは、今の点は、冗談であったというように私ども承わっておきたいと思います。  そこで問題は、こういうような点でこじれておりますが、当局が監督をされる場合には、労働問題に関しては、労働省があることですし、おのずからそれ以上に対しては入ってはならないという一線についてやはり十分研究をすべきであろう。それからまた経営者が、必要以上に、大蔵省がこう言うんだ——あなたを悪い者にするということは、銀行の経営者にとってはきわめて便宜的かもしれないが、あなた自身だって、そう悪い顔ばかりに使われるのもよくないだろうと思う。そういう意味において、こういうふうに使われていることに対しては、やはり一応現実になっておるのだから、この点についてやはり何らか考慮される必要があろう。またこの問題に関しては、単に労使間の問題だけでなしに、重役間に相当のあつれきがある。その問題と同時に、また労使問題が起っておる。これでは大銀行といえどもなかなかうまくいかないであろうというふうに、遠くからもまた見ることができるのです。従って、あまりこの銀行に対して銀行局長が干渉することは好ましくないが、こういうような事態の場合には適当な示唆を与えて解決を促進させる必要があるのではないか。こういうふうに考えるのだが、この点についていかがですか。

東條猛猪大蔵事務官(銀行局長)

○東條政府委員 冒頭に申し上げましたように、金融機関の公共性、それから健全経営という観点を十分尊重しつつ、しかし私どもは、そういう問題につきましては、経営者の自主的な判断、責任において労使双方の話し合いが円満に行われて解決せられますように指導いたして参りたいと思います。はなはだ行き届かない点がございましたり、またあるいは行き過ぎでないかというようなおしかりをちょうだいいたしておりますが、今後とも御注意のような線に沿いまして努力いたして参りたいと思います。

横錢重吉日本社会党

○横錢委員 今の点を御要望申し上げまして、善処をお願いしておきます。     —————————————

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員長代理 次に、臨時受託調達特別会計法案を議題として質疑を続行いたします。質疑はありませんか。——別に質疑もないようでありますから、これにて質疑を終了いたしますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員長代理 御異議なしと認めます。よって本法律案に対する質疑は終了いたしました。  討論の通告がありますので、これを許します。横錢君。

横錢重吉日本社会党

○横錢委員 臨時受託調達特別会計法案に対し、私は日本社会党を代表して反対の討論をいたさんとするものであります。  そもそも本法案は、アメリカの資金によって二隻の駆逐艦を作り、竣工後これをもらい受けることによって海上自衛力の強化と、域外発注によって防衛産案の発達をはかろうとする二つの点に重点があるわけであります。今日われわれは、軍備を持つことが日本の憲法に違反する明確なる事実であることをこれまで機会あるごとに指摘して参りました。政府は、アメリカと結んだ平和条約、行政協定、MSA等に縛られ、自衛力であって戦力ではないと強弁し、逐年増強をはかって軍備再現をはかっているのであります。もしほんとうに言うがごとく、自衛のために武装するのであるならば、それは日本の財政をもって行うべきであって、アメリカの財政をもって日本を守ろうとすることは、植民地思想に毒された考え方であり、このこと自体ナンセンスであります。それは日本の自衛ではなくして、アメリカの極東権益を守るためのものであり、日本の独立を抑圧制限するところの政策の一環に使われるものとしか考えられません。アメリカの考え方、極東政策が軍事対策重点主義であり、その遂行はきわめて冷酷なものがあることは、砂川を初めとする軍事基地問題、ないしは沖繩における人道を無視した軍政が伝えられており、日本の自由と独立、平和のためにはなはだしくゆがめられているとしか考えられません。この駆逐艦建造は、さらにこれに拍車をかけるものであり、アメリカの金による自衛力増強をねらったこの法案に対しては、反対をする次第であります。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員長代理 これにて討論は終了いたしました。  これより本法律案について採決いたします。本法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員長代理 起立多数。よって、本法律案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続きにつきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  本日はこの程度にとどめ、明日は午前十時より理事会を開き、理事会散会後委員会を開会いたすこととし、これにて散会いたします。    午後一時九分散会      ————◇—————

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