大蔵委員会 第27号
- 発言数
- 68 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/04/12
会議録
○山本委員長 これより会議を開きます。 連合審査会開会の件についてお諮りをいたしますが、当委員会において審査中の中小企業の資産再評価の特例に関する法律案につきまして、商工委員会より連合審査会を開会いたしたいとの申し出がありますので、これを受諾して開会するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。なお開会の日時は、委員長間の協議によって決定いたしますが、大体来たる十七日午後一時から開会する予定でありますので、御了承いただきたいと思います。 —————————————
○山本委員長 次に、去る九日当委員会に審査を付託されました、内閣提出にかかわる国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件、及び同日予備付託となりました日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の両案件を一括議題として審査に入ります。まず政府側より提案理由の説明を聴取いたします。足立政務次官。
○足立政府委員 ただいま議題となりました国有財産法第十三条の規定に基き、国会の議決を求めるの件につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 まず第一は、皇居仮宮殿の改装工事であります。諸外国の大公使等の謁見、接伴等に利用しております仮宮殿は、宮内庁庁舎の三階を改装したもので、宮殿としては不完全な点がありますので、その一部に修繕、模様がえ等を行なって整備しようとするものであります。 第二は、仮宮殿前広場の舗装工事であります。仮宮殿車寄せ前の広場の路面は、現在砂利敷となっておりますが、この地域を舗装しようとするものであります。 第三は、皇居平川橋の改修工事であります。平川橋は、大正十五年改修以来三十年を経過し、木部の腐朽損傷はなはだしく、危険でありますとともに、文化的見地からも復元する必要がありますので、これを改修しようとするものであります。 最後は、京都御所内の小御所の復元工事であります。小御所は、昭和二十九年八月十六日不慮の火災により焼失したものでありますが、御承知の通り、この建物は、由緒あるものでありますので、その復元のため、昭和二十九年度よりその計画を進めて参った次第でありますが、いよいよ昭和三十二年度より工事着工しようとするものであります。 以上御説明申し上げました四件は、いずれもこれを皇室用財産として取得する必要があるわけでありますが、そのためには、国有財産法第十三条第二項の規定により国会の議決を経る必要がありますので、ここに本案を提案した次第であります。 次に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明いたします。 日本輸出入銀行は、昭和二十五年十二月に設立されまして以来、わが国の外国貿易の振興に大きな役割を果して参ったのでありますが、その間経済情勢の推移に応じた業務運営のために、数回にわたりその業務範囲の拡張等が行われて今日に至った次第であります。さて最近の内外の情勢にかんがみまするとき、わが国の海外投資をさらに推進する必要があると認められるのでありますが、このためには、日本輸出入銀行の機能をさらに拡充し、その効果的な運営をはかることが適当であると考えられるのであります。ここに提出いたしました日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案は、このような趣旨に基きまして、日本輸出入銀行の業務の範囲を海外投資金融を中心として大幅に拡張いたしますとともに、これに伴う同行の業務の運営を円滑かつ効率的ならしめるため所要の改正を加えることといたしているのであります。 次に、今回の改正の要点を申し上げますれば、まず第一に技術の提供のために必要な資金を融資の対象に加えたことであります。現行法におきましては、海外への技術の提供に対する金融につきましては、わが国から設備等の輸出が行われる場合に、これに伴ってなされる技術提供のみを融資対象といたしておったのであります。しかしながら設備等の輸出と直接関連のない単独の技術提供でも、支払いが長期延べ払いとなるために金融の必要があるものも相当生じている実情でありますので、技術の提供が海外輸出入市場の開拓確保または外国との経済交流の促進に寄与すると認められる限り、設備等輸出に直接関連のないものでもこれを融資の対象に加えることといたしたのであります。 第二に、海外投資金融及び海外事業金融に関する業務の範囲の拡張であります。現行法では、原則として設備等の輸出が直接伴うような海外投資及び海外事業のみを融資の対象としていたのでありますが、設備等の輸出が直接に伴わない場合であっても、海外輸入市場の開拓確保または外国との経済交流の促進に寄与すると認められるものは、広く貸付の対象に含めることが適当と考えられますので、この点法律に規定する融資目的を拡張することといたしたのであります。これとともに融資の対象となる海外投資の形態、海外事業の範囲、資金の使途等についてもこれを大幅に拡張することといたしました。わが国の外国貿易その他対外取引の規模を拡大し、経済の発展をはかるためには、海外投資あるいは海外事業を通じて外国との経済交流を促進することが、きわめて有効適切な方法であることは申すまでもないところであり、日本輸出入銀行の海外投資金融及び海外事業金融に関する業務の範囲の拡張に関する要望はかねてより高まっていたところでありまして、今回の改正によって海外投資及び海外事業の促進に署しく寄与するものと確信している次第であります。 第三は、外国政府等に対する開発資金を融資の対象に加えたことであります。わが国の輸出入市場の開拓確保または外国との経済交流の促進のためには、これらの目的に寄与するような外国政府等の開発事業に対して必要な開発資金を融資することによって外国との経済協力の効果をあげることもきわめて重要であると考えられます。現行法では、わが国からの設備等の輸入資金以外にはこのような開発資金を広く融資することは認められておりませんので、今回の改正では、このような外国政府等の行う開発事業に必要な資金を日本輸出入銀行の融資の対象に加えることといたしました。なおこれらの資金を外国政府等が公債発行の形式で調達することも考えられますので、日本輸出入銀行はこれを収得することにより資金を供給することもできることといたしました。 第四は、償還期限についての制限を緩和したことであります。最近の輸出入金融及び海外投資金融は相当長期にわたる必要のあるものも生じている実情でありますが、現行法では特別の事由がある場合でも輸出入金融は十年、海外投資金融等は十五年が限度となっており、このような実情に対処するに十分でありません。今回の改正案では、原則は現行通り輸出入金融五年、その他十年でありますが、特別な事由のある場合については法律上の制限を設けないこととし、実情に応じて弾力的な運用を行い得ることといたしました。 第五は、借入金及び債務保証の限度を改めたことであります。最近における日本輸出入銀行の業務の実績及び今回の改正による業務範囲の拡張により予想される業務量の増大を考慮いたしますと、現行法における借入金と債務保証の合計額は自己資本額以内とするという制限は、これを緩和する必要があると考えられます。改正案におきましては、借入金の限度を自己資本の二倍とし、貸付と債務保証の合計額は、自己資本と借入金の限度額の合計額をこえないことといたしているのであります。 第六に、以上の業務範囲の拡充に伴い、日本輸出入銀行の目的その他につき所要の改正を加えたほか、理事の定員を二名増員することといたしました。 以上が今回の改正の要点であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
○山本委員長 以上をもちまして提案理由の説明は終りました。 両案件に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
○山本委員長 次に、国家公務員等退職手当暫定措置法等の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。 この際お諮りをいたしますが、本法律案につきましては、質疑及び討論の通告がございませんので、直ちに採決したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議ないものと認めます。よってさように決しました。 これより採決いたします。本法律案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案は全会一致をもって原案の通り可決をいたしました。 お諮りをいたします。ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、先例によって委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。 —————————————
○山本委員長 次に、金融に関する件について、春日委員より発言を求められておりますので、これを許します。春日一幸君。
○春日委員 本日は損害保険行政を中心といたしまして、当面しております重要なる諸問題について質問をいたします。 まず第一にお伺いをいたしたいことは、わが国における火災保険の普及率、それは今どの程度のものになっておるか。同時にまた米国、英国、フランス、イタリア、西ドイツ、こういうな経済状態がわが国と相当近似しております諸外国における普及率は、どういうことになっておるか、まず最初にこの点からお伺いいたしたい。 〔山本委員長退席、平岡委員長代理着席〕
○東條政府委員 最近のわが国における火災保険の普及率でございますが、三十年度の実績で申し上げますと、全国で三二・九%ということに相なっております。これは損害保険の契約件数を全国の世帯数をもって割りましたもののパーセンテージで表わしておるのでありますが、全国では三二・九%に相なっております。全国的にはさようなことに相なっておりまするが、これを東京都だけについて申し上げてみますると、八六・三%というような計数を示しております。 次に仰せになりました諸外国との比較の問題でございますが、はなはだ恐縮でございまするが、今手元に米国あるいは英国、西独という各国におきます損害保険の普及率の具体的な数字を持ち合せておりません。大へん恐縮でございまするが、達観して申し上げますると、日本におきまする普及率は、まだこれらの諸国に比べまして及ばないというのが実情であります。
○春日委員 私どもの調査したところによりますと、私自体もまた欧米諸外国における普及率の的確なる資料を今日持ってはおりませんけれども、その記憶によりますると、少くともこれらの諸外国においては、一〇〇%をこえておるものが相当ある、フランス、イタリア等の国々におきましても、一たん事故が発生いたしました場合、自力更正のための保険措置というものが相当の普及がなされておると記憶いたしておるのであります。なお本日あなたの方からちょうだいをいたしました戦前との比較によりましても、昭和九ー十一年度におきましては、当時すでに四一・四%の普及を見ておったのであります。今日わが国の経済が相当発展をいたしまして、こういうような危険に備えるための保険措置というものは当然戦前に比べて相当飛躍的に増大をしておらなければならぬ。なお諸外国の実例等に徴しても、その比率に比べてわが国の普及率がはなはだ低い、これは一体原因は何であるとお考えになっておるか。こういうような低い普及率でもってわが国の保険行政は完全なものであると考えられておるか、ごの点についてお伺いをいたします。すなわち、普及し得ざるところの理由、障害は何であるか、政府が検討されたところがありますれば、それについて一つ虚心たんかいにお答えを願いたいと思います。
○東條政府委員 ただいま仰せのございましたごとく、まだ昭和九ー十一年の平均に比べましても現在の普及率が及んでおらない、また諸外国に比べましても遜色があるということは、決して満足すべき状態ではありませんので、これの改善につきましては、業界はもとより、私どもといたしましても努力を重ねて参らなければならないことであると存じます。原因についてのお話でございますが、一つには、わが経済が正常化いたしたとはいうものの、日本の戦後の経済の正常化ということが完全に行われたとはまだ申しがたいのではなかろうかという一般的なこと、それから第二には、いわゆる保険思想の普及と申しますか、そういう点においてまだ欠ける点がある、この保険思想の普及という点につきましても、もとより今後努力をいたして参らなければならないと存じます。それから第三には、この損害保険の料率の問題があると思います。料率につきましては、御承知の通りいろいろ実績等を調べまして、でき得る限り引き下げの方向で逐次引き下げを実施いたして参っておりまするが、私どもも、今後ともでき得る限り合理的な計算基礎に基きまして、引き下げの方向に持って参らなければならぬと思います。この料率において、なお戦前と比較いたしますると割高の傾向にあるという料率の問題が第三点であろうと思います。その他保険の加入の手続を簡素化するというような事務手続の面におきましても、事業の運営の面におきましても、なお合理化、改善の余地があるというように考えております。いろいろウエートは違うと思いまするが、以上申し上げました四つばかりの点が原因ではなかろうか、かように存じております。
○春日委員 ただいまの銀行局長の御答弁によりますと、わが国における普及率がはなはだ低いことの理由をあげて、第一には、経済が正常化していない、第二には、保険思想が普及していない、ようやく第三に至って、保険料率が高きに失すること、第四に至りまして、事業経営が適切でないというようなことがあげられておりますが、私はそういうような解剖分析をしておられることは、実情に沿わないと思います。たとえばわが国が戦後十三カ年を経過いたしまして、巷間すでに戦後ではないとすらいわれておりますし、鉱工業の生産指数、その他いろいろな経済の回復を示すところの統計資料等では、もう戦前に比べて相当の域にまで回復が行われたことを示しております。さらにまた保険思想の普及の点についてでありますが、少くとも昭和九ー十一年度においてすでに四二%の普及率を示しておったのに、それからかれこれ二十カ年を経過いたしまして、これらの事業が永続的に行われており、その思想の普及というもの、PR活動というものは、それぞれこの二十カ年間さらにその上に累積されておるものと見なければならない。それだのに、戦前の基準年度における普及率を下回っておるということは、これは保険思想の普及していない結果であるというふうにだけ断ずることはできない。二十年前よりも下回っておるということは、この二十カ年間、それぞれの損保活動が何ら宣伝をしていないはずはない、だから今あげられた第一、第二、第三の順位が、単に説明的な便宜的な言葉のあやで第一、第二、第三の順位を示したのであればいたし方がないとしても、第一の原因が、経済の回復等に関係する問題だとか、第二に、保険思想の普及に関する問題だとか、ようやく第三、第四に至って、保険経営の本体に関する問題に欠陥があるとかいうようなことでは、私は監督の責任者として問題を正確に把握していないと思う。あなたのおっしゃったのは、果して正しい順位を示すものであるか、ただ説明の便宜としてそういうふうな表現を用いられたものであるか、この点、私は重大な内容を含んでおると思いますので、あらためて御答弁を願いたい。
○東條政府委員 先ほどお答え申し上げましたのは、ちょっと言葉が足りなかったかと思いますが、ウエートを示すものではないと申し上げましたのは、必ずしも重大性の順位を示すものではないというつもりで申し上げたわけでございまして、私といたしましても、春日委員の仰せと同じように、やはり保険料率というものが、現実の問題としては相当重要度を占めておる、しかし戦前に比べて及ばないという点は、まだ百パーセント経済の正常化がいっていないという点にも原因があるのではなかろうかということで、いろいろの原因を申し上げたのでありますが、料率の問題、あるいは事業経営の実態の方の問題ということがおもなる原因でありますことは、御同感でございます。
○春日委員 今日火災保険というこの公益性の高い事業が、各種の法律によって保護されて経営しているにもかかわらず、現実にかくのごとくに普及し得ないという理由の中において、その事業経営の方法がわが国経済の実情に合わないものがあるとか、あるいは保険料率が高きに失するとかというふうな理由を指摘されておるとするならば、監督官庁として、これらの事柄について当然これを適切に是正するための措置を講ずる責任があると思うが、こういう問題に対して、今までどういう処置をとったか、その経過についてこの際明らかにしていただきたい。
○東條政府委員 第一の問題は、火災保険の料率の引下げの問題に相なって参るわけでございますが、これにつきましては、業界においても経営の合理化に努めまして、料率の引き下げに絶えず努力をいたしておると思います。また私どもといたしましても、監督官庁として、その経営の合理化を行い、その料率の引き下げをでき得る限り行うようにという指導をいたして参っておるわけでございまして、昭和二十四年、五年、六年、七年、また昭和二十八年、九年、三十年、三十一年というふうに、こまかい内容を申し上げれば相当多くありますが、累次この料率の引き下げに努力いたして参っておるわけであります。ごく最近におきましても、この三十二年の三月の中旬、火災保険料率の平均約一割の引き下げの実施が行われましたような次第でございます。なおこの料率の問題につきましては、今後もいろいろの角度から検討いたしまして、適当な機会が得られまするならば、引き下げに業界といたしましても努力をいたす方針でおりまするし、私どもも、そういう方向で指導監督に当って参りたいと思います。 次に、手続の何と申しますか、合理化というようなことでありまするが、右に申し上げましたような経営の合理化とともに、保険の加入者が比較的ラフなと申しますか、簡素化せられた手続でもって火災保険契約が結ばれるという道はなかろうかということも、かねて研究をいたしておるわけでございまして、これは目下の研究問題でございまするが、比較的小口の火災保険につきましては、何とか現在の加入の手続を簡素化いたすような仕組みができないかということを研究いたしておりまして、これも、できますればなるべく早く実施に移りたいと考えております。 なお引き下げのところで申し上げましたので、これまた順序を失するわけでございまするが、もちろん基本になりますることは、保険会社の経営が、いろいろの面におきまして十分合理化せられなければならぬということは当然のことでありまして、すべての問題の基礎をなしまするのは、火災保険会社の経営が堅実に、しかも合理化せられた経営でなければならぬ、この点につきましても、業界におきましても努力いたしておる次第でありまするが、私どもといたしましても、随時そういり方向で、合理化、健全化という点にりきましてはでき得る限りの努力をいたしておるような次第でございます。
○春日委員 保険事業が堅実に行わるべき問題、保険料率の引き下げられなければならないような問題については、これから質問を進めて参りまして、後ほどこれらを重点に置いてお伺いすることがあると思いますので、その程度にとどめまして質問を先へ進めます。次は、代理店問題についてお伺いをいたしたいのであります。損害保険事業の運営を堅実ならしめるためには、何といっても、この保険募集の第一線で活動いたします代理店の事業活動が重要なる要素に相なると思うのであります。そこで損保会社の代理店の種類、それからその数、一体これは今どのくらいあるのであるか、そして政府は、保険募集の取締に関する法律等によってこれら代理店の事業活動をも監督検査を行う任にあるものと思うが、一体政府は、この責任者として今まで現実にどういうような方式によってその責任を果して参ったのであるか。言うならば、今までどの程度検査をしてきたか、検査官の数、検査の規模と方式及びその検査結果、こういうものをこの際一つお述べ願いたいと思います。
○東條政府委員 御承知の通りに、損害保険会社の代理店は三つに分れておりまして、特、甲、乙、こういうふうに分れておるわけでございます。特と申しますのは、専門の代理店でございまして、業務の能力から見ましても、また取扱い量が多いという点から考えましても、第一級のもの、しかも専門の代理店を特代理店ということで整理をいたしておるわけでございます。それから一番下の乙でありますが、これは、単に損害保険契約を紹介をするという程度にとどまりまするものの代理店でありまして、これを乙と呼んでおります。それで甲は、このいわば特と乙との中間に位するものでございまして、その業務の取扱い、処理能力、あるいは取扱い量におきましては、特に比べますと劣ってはおりますが、実際は、紹介というよりは実際の業務を取り扱っておるというのが甲代理店でございます。全体の特、甲、乙を通じましての代理店の数でありますが、約十万に上っております。 それから次に検査の問題でありまするが、この代理店に対しましては、主として全国の財務局が検査に当っておりまして、検査の具体的内容はあとで申し上げまするが、保険代理店の検査には相当努力を重ねまして、代理店を検査いたしました結果適当でない事項、あるいは違反事項等がわかりましたならば、その結果を出先の代理店に通告をいたしまして、是正を求めることはもとよりのこと、私どもの本省の方から本店の方にも、代理店においてこういう事実があるということを通知をいたしまして、これに対する是正措置を求め、事後の報告をとる、かようなことをいたしておるわけでございます。
○松本説明員 代理店の検査についてお答え申し上げます。手元に資料がございませんので恐縮でございますが、全国の財務局に保険係員が三十一名ございまして、損害保険、生命保険の両方の検査監督に当っておるわけでございますが、損害保険につきましては、支社並びに代理店を中心に常時検査をいたしておりまして、実績といたしましては、人員が少い関係もございまして、三年ないし五年に一回代理店を回るという程度の検査をやっておるという実情でございます。
○奧村委員 関連して。代理店の検査の権限は、法律のどういう条項に基いておるのですか。
○東條政府委員 保険募集の取締に関する法に根拠規定がございまして、それに基いて検査をしております。
○春日委員 私どもの申し上げたいことは、昨年の募れ以来、火災保険事業というものが乱脈を露呈いたしたものは一再ではありません。こういう意味から、各種の法律の保護によって、特別の規定によって行わておるこの公益性高き事業が、当局によってその法律通り執行さるべく検査監督がされておるかどうか、このことは私は重大なことだと思う。私が今申し上げたいことは、三十年の三月末では、その代理店の総数が、各等級を含めて十二万何がし、三十一年は十三万六千四百八と数えられておるのであります。こういう膨大な代理店活動が保険募集の取締に関する法律に準拠して公正かつ厳格に行われておるかどうかを監督するのに、全国を通じて三十一名、これで果してあなた方は責任を果し得るとお考えになるか。確信をもってこの国民が法律によってあなた方に信託しておるその職責を——この三十一名でもって、十三万というものを対象にして、法律に違反をしないで事業が行われておるかどうか。これは責任を持って監督できますかどうか、過去の経験にかんがみ、かつはその実情に徴して一つありのままを御答弁を願いたい。やれないならばやれない、やれるならばやれる。やれないなら法律の改正なり人員の拡充なり、国はその必要な措置を講じなければならぬ。ただこういう形になっておるからということで、三年に一ぺんぷらっと行ってお茶とコーヒーを飲んで帰ってくるくらいのことでは、大へんなことになると思う。だからこそ、大へんなテーブル・ファィア事件が起る。だから私はお伺いいたしたいんだが、現在こういう膨大な代理店は、この保険募集の取締に関する法律という特別立法であるが、これであなた方は厳粛にその責任を負わされておる。だからやれるのかやれないのか、その確信のあるところを一つお伺いをいたしたい。
○東條政府委員 これは、代理店というものに対する保険会社の本社なり、あるいは支社というものの、いわゆる内部監査なり内部統制というものがどの程度行われて、また有効に行われておるかということが、今春日委員の仰せの中の一つの点であろうと思います。それから第二には、その十万をこえる代理店の業務の運営の大部分がいわば適正に行われておる、そうしてごく少数例外的に違法の事件が行われておるというのが実態であるか、あるいは相当数の代理店に違反が行われておるか、つまりそういう業務運営の実際というものが適正なものかどうかということでも、考え方が私どもは違ってくると思います。今までの考え方は、損害保険会社は、もとより良識のある、法律に従った業務の運営をなすべきでありますし、またなして参っておる、従って、その監督に服する支社あるいは代理店というものも、法律を順守しまして、適法に業務の運営を行なっておるという建前のもとに、私どもの検査は、これを調べるにいたしましても、いわば補完的と申しますが、補充的と申しますか、そういうことにとどめて保険行政上差しつかえなかろうということで参っておると思います。もしこの十万をこえる代理店におきまして、順法精神に欠け、しかも違反件数が非常に多いというようなことでございますれば、御指摘の通りに、この三十一、二名の財務局の人員をもってしては、監督指導の実を上げることはとうてい困難であると私は思うわけでありますが、ただいままでのところは、今申し上げましたような基本的な前提と申しますか、考え方に基きまして検査に当って参ったというのが実情でございます。
○春日委員 これは、はなはだ異様な御答弁をなさるわけであります。と申しますのは、たとえば殺人をするとか、火つけ強盗をするとかいうようなことは、これはきわめて少数異例のことに属すると思うが、この保険募集の取締に関する法律の十六条第四項では、特に保険契約に対して特別の利益の提供を約したり、保険料の割戻しや割引をしただけでも、このことが公益をはなはだ害する、こういう意味一で一年以下の懲役または一万円以下の罰金に処するというような厳粛な刑罰規定をもこの法律はきめておるのです。このことは、保険契約の事業が非常に競争が激しい、こういう現実の上に立って代理店が新しい募集を相競う、こういうことであれば、この契約する対象に対して特別の利益の提供を約す、たとえばうちの保険に入ってもらったら、会社から金を貸し与えるようにしますからとか、あるいはひそやかなる割引、代理店手数料をそちらに賦与するとか、特別の割引をするとか、こういうような事柄は、火つけ強盗、殺人、強姦とは違って、きわめて少数の異常の例ではない。常識的に考えて、経済活動というものが自由競争の立場に立っております限り、これは容易になし得ることであり、何人もやりたいという傾向を持つ事柄なんです。だから、それをやってはならぬからこそ特別の法律を設けて、それを刑罰に処するための厳粛なる規制が行われておるのです。だから、あなたのおっしゃるところによると、そんなことはだれもやらないんだ、だれもやらないんだから、三十人が特別の異例のものまで監督できぬということが真相でございますか。たとえば今回のテーブル・ファイア事件なんかも、あなたの方の摘発検査によって明らかになったものではない。すなわち社内からの告発によってこれが露呈したものであるというところに特別の意義がある。だから私は申し上げたいんだが、この三十一名の担当検査官をもって、十二万を対象にして何人も容易になしたいと思うような傾向にあるその規制事項を監督することができるかどうかということを、客観的に、かつ公正に述べてもらいたい。われわれは立法の府にあるんだから、そういうようなできないことを法律できめてもだめだし、やらなければならぬとするならば、人員を増加するための予算措置、法的措置も講じ得られないことはない。だから、ほんとうのことを言ってもらわなければだめだ。われわれは、何もここで言あげして問題をどうこうしようというのではない。こういう公益性高き事業が、現実に公正に運営されるためにはいかにあるべきか、この立場において論じておるのでありまするから、そういう立場から一つ御答弁を願わなければならぬのであります。 その点について御答弁を願いますが、あわせてお伺いをいたしますが、過去において検査されたわけです。たとえば年に一回でも三年に一回でも、ひやかし半分か名目にとどまるか、とにかく検査をされたのだから、いずれにしても、三十一名の諸君がろくをはんで検査をされたからには、何かの成果が上っているであろうと思う。私が最も関心の深いことは、こういうような何人もなしたいという傾向にある事柄を規制されているのだから、検査をすれば相当の違反が出てきておってしかるべきだと思う。検査の結果、こういうような法律に違反をしたような事柄がそれによって摘発されたことがあるかどうか、ないならばないと、またあるならば、その件数とその内容についてこの際御答弁を伺います。
○東條政府委員 第一の点でございますが、それは先ほども申し上げましたように、会社内部でも、十分に法律を守らなければならないという考え方のもとに、内部的な監査指導ということも行われておりまするし、また、これまたあまり大ぜいの人数ではありませんが、やはり業界の内部でも、自発的な監査制度というものも行われているわけであります。さようなことでありまして、大部分の代理店において、今春日委員の仰せのような法律違反の事実が、経済的な自然的な傾向としてたくさんあるので、それを大蔵省なりあるいは大蔵省の出先機関ですべて調査しなければならぬということであるといたしまするならば、これはもう三十一、二名の人数では、手が回らないことは当然でありますが、私どもといたしましては、いやしくも法律となっております以上、業界あるいは会社としては、あるいは代理店としては、この法律に従ってやらなければならないし、また多くの場合にはこの法律が守られているという、そういう考え方のもとにただいままで監督指導の任に当って参っているわけであります。現実の問題としては、先ほど保険課長からも申し上げましたように、三十二名の数では、二年、はなはだしい場合には三年に一回しか検査ができないということは、はなはだ手不足とは思いまするが、いろいろの観点から、ただいまではそういうことをやって参ったというのが実情でございます。あと、検査の件数につきましては……。
○春日委員 そこで、ちょっとあなたに聞く必要があるのだが、大体あなたは、たとえば検査官が、そういうような保険契約に対して特別の利益を提供するような行為だとか、あるいは保険料の割引、割り戻しとか、そういうようなことをやっているかどうかということを検査しなければならぬとすれば、やれない、こういうことを言っているが、一体検査官の検査内容というものは、何が対象になるのですか。この法律によりますと、締結または募集に関する禁止行為の中の、少くともこれは眼目ともなるべき条項であると思うのです。こういうやってはならないことをやっているかどうかを検査することなくして、一体何を対象に検査するのですか。検査をするからには、こういうような違反事項を募集する場合においてやってはならない、禁止行為をやっているかやっていないか調べてこい、こういうことをあなたは命令しないのですか、職務権限の中にそういうことは含まれていないのですか、伺います。
○東條政府委員 いや、もう当然そういうことを検査にいくわけでございます。私の申し上げたかった趣旨は、検査官がそういう十三万の代理店すべてについてそういうことを漏れなくやらなければいけないということであるならば、三十一、二名の人数ではとうてい足りないが、自己の会社内部の自己監査ということもあるし、業界でも監査制というものを持っているので、そういう内部的な監査ということにも、私どもとしては信頼を置いてやって参っております。こういう趣旨を申し上げたのであります。
○春日委員 これは重大な内容を含むので、虚心たんかいに御答弁を願わなければならぬのです。私は、何も政府の怠慢を追及しようとかなんとかいうのではない。保険行政を、今回の事件を契機として公正かつ堅実なものにして、足らざるところがあれば、これを補完の措置を行い、法律が実情に沿わなければ法律の改正を行わなければならぬという、こういう立場から論じておるのですよ。私があなたにお伺いいたしたいことは、保険検査官というものは、少くともこの保険募集の取締に関する法律に基いてその事業をやっておるかどうかを検査されなければならぬ。そこで違反があるならば、それを告発すれば罰金、懲役になる。ところがそれを告発せざる場合といえども、あなたの方はあなたの方自体として、行政管理者としての行政処分がなし得ることになっている。その行政処分を通じて、その事業が法律に違反しないで運営できるように、そういう検査、監督を通じてその責任を果していかなければならぬのじゃありませんか。言うなれば代理店の取り消しとか、登録の取り消しができるとか、いろいろな行政措置が講じ得る道が開いてある。従いまして、あなたの方はこの検査官が三十一名でもって十三万を対象としておる以上、三年に一ぺんや四年に一ぺん、五年に一ぺん行ったって効果が上らないのではないかと私は案ずるのだし、なお昨年来、新聞でも社会の大きな問題となっているテーブル・ファイアの諸事件、それから発生してきておるところのいろいろな法律違反不正事件、こういうものから関連して推測すれば、私はこの監督方式、検査機構の中に重大なる行政的、法的欠陥があると思われるのだが、この点いかに考えられておるか、それをお聞きしたい。足りなければ足りないとか、これは相当ふやさなければいかぬとか、いろいろな御答弁があってしかるべきだと思う。それから今あなたは、会社内部において、みずからの代理店に対して自主的な監査が行われておるから、そういう方向によって問題の解決がはかられておる面もあると言われておるけれども、これは、少くとも実情ではそういうことはなし得ないのではないかと私は今非常に憂える。というのは、現在会社が自分らの代理店をより多く作ろうとか、それから代理店活動によってみずからの契約をふやそうとして、やはりうちの代理店にどうぞなって下さいといって頼み込んで代理店になったものの方が、私を代理店にして下さいといって代理店になったものの数よりも私は多いと思う。従って、会社の方が頼み込んで代理店になっていただいたその相手に対して、これはけしからぬ、あれはどうだというようなことは言えないのじゃないか。言うなれば、代理店に対して会社の頭がなかなか低いのじゃないか、頭が上らないのじゃないか、そういうような実際的ないろいろの結合の経過等から考えてみて、私は、自主監査というものについては、なかなかこの法律通りの執行が期しがたいと思う。従って、この保険募集の取締に関する法律にしろ、この保険に関する関係立法というものは、私は非常に無理があると思う。独禁法や、自由にして公正なる競争の原則や、いろいろなものを適用除外して、この法律の構成がなっておるのだから、要するに人間がやりたいと思う、あるいは経済活動の中において、行動に対する可能性の非常に多いことをやってはいかぬといって禁止しておるのであるから、従って、この監督機構というものは、行政的にも立法的にも、こういうようなあり方では現実に即するものではないのではないか、こういうように考えるのだが、いかがでありますか。
○東條政府委員 十三万の代理店に対しまして、現在の検査機構では不十分ではないかという点でありますが、これは、私は率直に申し上げますと、官庁の機構でもって、法律の特に第十八条の違反関係を取り調べよということは、人数の関係からいって、それは無理だと思います。しかし、先ほど来申し上げておりますように、これは、言いわけめいて聞えまして恐縮でありますけれども、やはり会社側といたしましても、私どもも反省を十分求めておりますし、法律は守るべきであるということは、彼らも自覚をいたしておりますし、またそういう手不足で、また限定せられた範囲でありますけれども、違法行為が行われましたような場合におきましては、その違反事実を、現実にこういう違反の事実があるということを出先にも本店にも通知をいたしまして、これが是正を求めるということをやっておりますので、今日までのところでは、そういうことで法律に定められました監督をやって参ったわけであります。しかし、それでお前は責任をもって大丈夫だと言えるのかといいますると、これは率直に申し上げますれば、三十一人の人員をもっては、私は全国十三万の代理店を遺憾なく監督できるということは申し上げられません。
○春日委員 これは、こういうことになりはしませんか。たとえば、あなたが前段で御答弁になったようなことを現実に当てはめますと、この十六条、締結または募集に関する禁止行為をやった者は、違反が生じてその事犯が明らかになれば、刑事罰をかけられるのだ、それで問題の処理ができていく、こういう形になれば、大蔵省の監督なんというものは全然必要がない、これは裁判所が処理するという形になる。ちょうどほかの殺人、強盗と同じように、そういうことをやった者は刑法によって処分される。ただ問題は、私が申し上げたいことは、保険募集の取締に関する法律の中には、それぞれの行政罰がある、登録を取り消すことができるとか、いろいろな行政罰があるのです。その行政罰を通じて、刑事罰に至らざる前にこの事業の運営の公正を期していく、これは当然のことじゃありませんか。だからそういうことがやれないならば、やれるような態勢を講じなければ、この法律が死んでしまう、有名無実だ。こういう法律ができているということで、法律を掲げて実際は何も監督しないでおいて、そして野放図放漫な経営をさしておいて、たまたま内部から告発が出て、初めて世人の前、社会の前へ、こういう問題が現実に行われておるということがわかる、こんなばかなことでは、大蔵省はあってもなくても同じことじゃないか、悪く言えば、保険業界と大蔵省との結託によって、こういう法律を掲げておって、実はこの法律を執行しないで彼らのやりたいままにやらしておる、こういうふうに言っても過言ではないと思う。どうですか。しかし、その問題はそれとしまして、そこで私がお伺いしたいことは、とにかく三十一名の諸君が、過去数年間にわたって検査をしたことは事実でありましょう。その結果、この十六条に違反する事件を発見したとするならば、その件数は何件くらいあったか、そのほかに、これとは関係なくて検査の結果、自己代理店とか保険料未収契約というような、法律でいろいろと禁止しておる代理店ですね、こういう件数が一体どのくらいあったのか、さらにはまた保険料を別の事業に流用しておった者もあるであろうし、また精算をしていないようなものもいろいろあるだろうと思いますが、いずれにしても、三十一名の諸君が五カ年にわたってこの法律に基いていろいろやってきたのだから、その検査の結果何件くらいこれが摘発されたか、そして行政措置を講ぜられたものがどのくらいあるか、一ぺんその実績をお伺いいたします。
○東條政府委員 過去五年間にわたる全体的な統計を実はただいま持ち合せてございませんので、また別途の機会に御説明申し上げることで御了承いただきたいと思いますが、昨年十月に全国の財務局で取り調べた結果は、今手元にございますので、これを一応御参考までに申し上げてみたいと思います。このときに六十三カ店につきまして検査をいたしたわけでございますが、この際はなはだ遺憾なことでありまするが、違法の事実があるということで、はっきりわれわれの方で断定をいたしました件数は四十六件でございます。これは、いわゆる手数料の過払いでありまするとかいうような事実でございまして、なおこの四十六件のほかに、多少とも疑わしい事実がありはしないかといって再調を必要とする、つまり第一の検査におきましては必ずしも断定ができなかったというものが約三十七件ある、かような実績でございます。全体的な資料につきましては、はなはだ恐縮でありまするが、本日用意いたしておりませんので、別途の機会にお許しを願いたいと思います。
○春日委員 ただいまの御答弁によりますと、六十三軒を調査して、違法が四十六件、違法の疑いありとするもの三十七件、まるでこれでは、現実の問題として一〇〇%じゃありませんか。今の御答弁によりますと、自主監査が行われておるし、違法はないとのお話があったけれども、現実にあのテーブル・ファイアの事件を発端にして、いまさらながらびっくりして、あなた方が調査をされたその結果、果せるかな六十三軒調査したものについて四六件は不正行為だ、違反行為である。パーセンテージにすれば実に七五%だ。さらにその疑わしきもの三七件を加えれば、疑うまでもなく一〇〇%ことごとく違反をしておるじゃないか。こういうような執行は、私は重大なことだと思う。このような百人が百人とも違反を犯すような法律だったら、このようなものは法律としてどこに権威がありますか、どこに意義があるか、またそういうような執行指導を通じて、あなたの方は何をやっておったかということになる。これは国民の前に全くざんきにたえないとは思われないか。私は、この問題は特に後日に譲るといたしまして、重大なる事柄であると思う。あの単独の法律によりまして、代理店に対する規制、これは保険活動の第一線であるのだから、従って、これはかくあるべしということをずっと制限列挙して、厳粛に規定しておる。刑事罰すら課しておる。調べてみると、全部違反である。そういうような状態でほっておいたのでは、これはあなた方が職責を尽したとは言いがたい。これは後ほど問題にするといたしまして、時間の関係で質問を先に進めます。 次は、損害保険料率算出団体に関する法律につして一つお伺いをいたしたいと思うのであります。現在の保険料は、独禁法適用除外の法律により、統制料金であると思うのでありますが、保険事業の特殊性にかんがみまして、この事業が過当競争に陥って、その経営が担保能力、保険能力を欠くようになってはならぬから、そういうことを防止する、こういうことは私はわかると思う。しっかりとはいえ、公正にして適正なる競争の余地を残しておくということは、この事業が営利事業として経営を許されておりまする限り、これは必要にして、私はむしろ欠くべからざる事柄ではないかと思うのです。そこで、損害保険料率算出団体に関する法律は、事業の安定をはかることに没頭することのあまり、この団体にあまりに過大な統制力を付与し過ぎてはいないかどうか。かくてわが国の経済憲章でありまする独禁法というもの、その自由にして公正なる競争の原則というものは根本的にじゅうりんされてしまって、そうしてこの権力統制によってほしいままに利潤確保の事業が行われておる結果に陥っておるきらいなしとしない。現実に、あなたの方は、この保険料率算出に関するやり方ですね、これは私が勉強したところによると、過去数年間にわたって三回も四回も改正されてきておる。そのつどそのつど実情に即して、かつはまた足らざるを補って改正されて今日に至っておると思うが、現段階においてのいろいろ火災保険事業界における数数の不正事件等にかんがみて、こういうような民間団体に強大な統制権限を付与するということは、当を失しておるものだとは考えないか、この点について一つお伺いいたしておきます。
○東條政府委員 先ほどもお話しがございましたように、公正な保険料率を算出するためという目的をもちまして、料率算定会が設置せられておるわけでありますが、私どもは、この料率算定会の過去のいろいろの実績の算定、これは合理的に行われておる、また実際、料率算定会におきばしても、計算の結果を、さらに学識経験者等を入れまして公正に検討いたしておるわけであります。また大蔵省といたしましても、料率算定会から報告、あるいはいろいろの調査の出て参りました場合におきましては、十分その内容を検討すべき点は検討いたしまして、料率の認可に当っておるという実際の運営のいたし方をいたしておりますので、現在までのところでは、この法律の趣旨に従いまして料率算定会の運営というものは行われておる、現在までの実績から見ますと、適当な運営が行われておる、かように存じております。
○春日委員 私は、それはありのままの公正な御答弁にはならぬと思うのです。と申しますのは、われわれがいろいろと検討したところによりますと、こういうものがあるのです。損害保険会社の最近数年間の業績推移のいろいろな統計によりますと、その損害率がずっと上っております。二十五年においては三二・九%、二十六年においては二四・八%、二十七年は二三・八%、二十八年は二四・九%、二十九年は二八・四%、三十年に至っては三二・四%、こういうような工合に、あるときには三〇%をうんとこえ、あるときには二三%という低率な損害率である。損害率というものは、保険料等と密接不可分のものなんです。そこで、こういう逆算が成り立つのではないか、損害率の計数から逆算をいたしますと、これは検算的なものになるのでありますが、すなわち算出団体がいろいろと広範な資料によって、専門的な知識とさらに多年の経験を累積いたしまして、そこで保険料律を算出していく。その場合には、異常災害の予測等も含めておるわけでありましょうが、いずれにしても、その要素があまりに複雑多岐であり過ぎる。従って、しょせんはその測定というものが主観的に陥りやすくなるのではないか、特に団体構成たるものが、直接利害関係を持つ者が半数以上入っておるのではありませんか、要するに高くなればそれだけたくさんもうかるのだという関係の立場にある者が、十六人のうち業者が八名入っておる、学識経験者はわずかに三人、算定会の役員が五人でありますから、結局これは八人と五人とを加えれば十三人、学識経験者として比較的公正な理論を述べ得る立場にある者はわずかに三人でしかない、こういうような団体が算出してくるものは、結局は客観的に言うならば、要素が多過ぎるから、従って複雑多岐の要素に立つものは、正鵠なる結論は得られないであろうし、さらに主観的には、利害関係にある者が多過ぎるから、合理的な結論を得られないような結果になる気配なしとしないと思う。こういうわけでありまするから、この算出団体の算出した保険料率なるものは、相当の必然性を持ち得るということは私は認める。けれども、これは決定的な、または絶対的なものではあり得ないと思う。従いまして、私は、火災保険会社がこの団体の算出した料率を適当に割増しをし、あるいはまたこれを適当に割引をする、こういうような事業経営上において実態に即したアローアンスを持たせるということは、私はむしろ現実問題として必要なことではないかと思うのです。今申し上げたように、過去六カ年間の統計によりましても、その危険率というものは、多いときは三二%もあるし、小さいときは二三%だということなら、その保険料率というものは、過去の実態に即してそんなに公正なものではない、一〇%も上り下りするということだとすると、逆算的に言えば、その算定したところの料率は、異常危険等が不測に発生をしたり、要素があまりに多いから、結論というものは正鵠を期しがたい。 〔平岡委員長代理退席、委員長着席〕 だから、そういう正鵠を期しがたいバロメーターによって、これをあまりにきびしく、これ以外の料率で保険契約を結んではならぬという形になれば、結局その間においてやみ取引ができたり、テーブル・ファイアができたり、あるいはまた、どこの会社ももうかってしまっているが、これは料率が高過ぎるので、最初にお伺いをいたしたように、火災保険の普及率が依然として諸外国に比べてはなはだ低い、こういう結果を招くのではないか、こういうように考えるがいかがですか。
○東條政府委員 罹災率、損害率と申しますか、これの料率の算定までは、私は何らそういう主観的な意図を交えずに、各社から持ち寄りました膨大な計数を基礎にいたしまして、この罹災率というものは客観的に出ておることを確信しております。もちろん年々によりまして、お話しのように異常災害と申しますか、災害が異常に大きい場合におきましては、この罹災率が大きくなる、また平常の場合におきましては、それほどに達しないという若干の波を打つということは、年々によってあるわけであります。そこで過去の実績を出しまして、過去五カ年の、そういう意味において平均値をとりまして、それを新しい角度から検討して見直してみるということでやっておりますので、過去五カ年をとるという意味は、ただいまお話しの異常に高かったとか、あるいは発生率が低かったというようなことが一応ここでお互いに相殺せられておるということで、過去五カ年の平均をとるというところに意味がある、かように存じます。もちろん膨大な資料でありまするし、相当算定までに日数を要するということは事実でありまして、私どもこの実績の算定には、相当督励いたしておるというような実情でございますが、逆に申しますと、それだけに、主観的な意図を加えてこの罹災率の数字が出る、かようなことはない、かように存じております。
○春日委員 これは、あなた方お役人は、ともすれば現状のものが完璧なものであると、こう考えやすいのです。ただ申し上げたいことは、現在のこの法律といえども、これが過去の実績を——あなたは御承知のことであろうと思うが、ここ数カ年間にわたって三回、四回くらい、各種の改正が行われておる。今あなたは、主観的にはそういうような算出はされない、要するに不合理な不公正な算出はされない、こういうものであると考えると言われるけれども、主観的にはあるいはそうであるかもしれぬ、そうしましょう。しかし、私はそれはうなずきがたいところでありますよ。というのは、その算出されたところの料率によって、高ければたくさんもうかるし、低ければこれがもうからないのですから、営利事業である限り、より高きを欲するのは人情の常だ。そこへもってきて、この団体の構成はほかの機関と違いまして、ほかの機関ならば、必ず消費者団体の代表が入っておりますよ。そして、この過去の罹災率等においても、利害関係者の意見というものは、あまり支配的にその団体の結論の中に影響力を与えない、そういう配慮が加えられておる。ところがこの団体においては、学識経験者わずか三名であって、十六名中八名が会社であって、そうしてこの算出するところの事務系統の者が五人も入っておるのだから、十三対三です。こういうような団体構成から出たところの結論というものは、特に主婦的な判断に流れやすいということは、これは率直に認めなければならぬ。けれども、それは今この際論じないといたしましても、客観的には証明の立つことは、過去六カ年間におけるこの危険率が、少くとも二六、七%と三〇%との間、二、三%程度しか違わないとするならば、すなわちこの団体の算出したところのこの料率というものは、比較的公正なものであって、この推測をあやまたなかったというこれは証拠になると思う。けれども、この六カ年間の推移の実績を見ると、これは違っておる、今申し上げたように、数字が二十七年においては二三%であった、ところが三十年度においては三二・四%であった、かれこれ一〇%も違う、こういうようなものは、言うなれば荒唐無稽ですよ、はなはだしく違っておる、断層があまりに大き過ぎる。だから、私はこれは公正なものじゃない。ということはなぜであるかというと、あなたは管理者だからよく御承知ではあろうけれども、こういうような基準は、建物、家財、機械設備、原材料、商品、その他その地区における水利の関係、消防施設、地勢・気象、その他不測の大火災、あまりに要素が複雑多岐なんです。一つ二つの前提条件ですらなかなか結論というものは正鵠を期しがたいのに、十も二十もの要素の上に立って、そして結論を得ようとすれば、その一つの条件が予測したものと変ってくれば、その結論というものは全体的に変ってくる。だから、これは多くの経験者の膨大な資料によって結論を得たものであるから、それはある程度の必然性は私もまた認める。けれども、それは決定的な権威を持つものではない、絶対的な権威を持つものではない。 そ、たとすれば、こういうような理論的な根拠の上に立つとすれば、この算出団体が算出したところの料率は、一つの基準とはなり得るけれども、それをそのまま全部の会社に統制的な強制力を持たせるということは誤まっておるものではないか。すなわち、なるほどその法律の中には、特定の場合は会社が大臣に申請をして許可を求めて、割増しをすることも割引をすることもできると書いであるけれども、特殊の場合ではなくしてある程度の、二〇%程度のアローアンスを設けて、営利事業である限り競争の場を設けて、自由競争の余地をあらしめて、そして各会社の自主的な判断ということは、会社によっては特に東京に重点を置くとか、あるいは特に何々地方に重点を置くとかいうようなことがあって、その地方の事情についてまた特殊の資料を持ち、あるいは特殊の確信を持っていろいろな判断ができるというものもあるだろうから、アローアンスを持たしめて、ただ大蔵着はそれを届け出をさせて、その料率を把握しておることによって、この保険事業というものが営利事業である限りは、自由にして公正なる競争の場をここに残しておく、こういうことが私は望ましいと考えるがどうでありますか。
○東條政府委員 お話しの前段の点でございますが、そういうように非常に波を打つのを五カ年間に平均いたしまして、過去においては、大観いたしまして損害率、罹災率というものは下ってきておりますので、先ほど申し上げましたように、逐次機会あるごとにそういう実績を検討して、引き下げが行われて参ったのが実情でございます。しかし、この点は御質問の重点ではございませんことは、承知いたしております。 そこで、私どもは算定会で計数的に出しました実績は、客観的に公正なものであるということを信じておるわけでありますが、それはそれとして、そういうものを中心にしてアローアンスを設けることはどういうものであろうかというお尋ねの点でございますが、現在の火災保険業というものを考えてみました場合、やはりこれは、現状におきましては、公正な保険料率というものを定めまして、それを基準にして、特別の場合を除く以外はそれによって料率がきまって参るということが、まだわが国の現状においては、損害保険料のあり方として正しい、かように思うわけであります。しかし、このことは、決して今春日委員が仰せになりました、一定の基準率を作って、ある程度の合理的な幅の限度内において自由競争を認めるという考え方、理論的に絶対に将来もそういう考え方をとるべきでないとまでは私は申し上げませんけれども、少くともわが国の現状におきましては、まだまだ現行法の命ずるような仕組みで料率が定まって参るというのが、実情に即しておる、こう考えております。
○春日委員 官僚は、ともすれば現実至上主義でありまして、現状というものに合わしていろいろな判断を下す。これでは前進しません。欠陥を補完することもできないのです。だから、私はありのままのことをおっしゃっていただくことを、そこから公正なる国会の判断が生まれるので、一つお願いをしなければならぬと思う。 そこで、私はお伺いをいたしますが、この算出団体の法律によりますと、特別の事情がある場合は、料金の割引、割増しができることになっておる。大蔵大臣に申請すれば、その許可がとれることになっておる。今日までこの法律に基いて許可を与えたことがありますか、こういうような申請があったことがありますか。
○東條政府委員 ただいままでのところはございません。
○春日委員 それです。結局、これは法律がこういうような形で自由競争の場を残し得るのだ、こういうような擬装的というか、法律じかけで、結局独占禁止法の精神を全面的にじゅうりんしておる。そうして非常に高い率でもって保険会社の利潤追求がほしいままに行われるという法体系が、ここに捏造されておるというと語弊がありますが、そういう法体系が十重二十重にめぐらされておるということは、十分に検討に値する事柄であると思います。 この問題は後日に譲りまして、そこでこの際お伺いいたしますが、保険料率が改訂される場合の条件、これをお伺いいたします。同時に、二十五年以降今日まで何回料率の改訂を行なったか、その経過とてんまつをお伺いします。
○松本説明員 お答えいたします。二十五年以降現在までに二十回料率の改訂をしております。それには全般的な改訂もございますし、部分的な一地区、一都市の改訂も入っております。料率改訂の際に目安としておりますところは、損害率がおおむね四〇%に近づくことを目途にやっておるわけでございます。
○春日委員 そういたしますと、今日の損害率は三二・四%であります。四〇%に近づくことが理想であるという立場をとるとするならば、さらにこれは改訂を必要とすると考えるが、最近政府は、料率改訂のためにいかなる勧告、指令を出されたか、お伺いいたします。
○東條政府委員 ちょっとお手元の資料と食い違うのでございますが、私どもの資料で普通物件について申し上げますと、昭和三十年度につきましては、四一・〇二という罹災率に相なっておるわけであります。今回一割の引き下げを行いますと、過去五カ年の平均をとりまして、やはりおおむね四〇%になるということが現実の数字に相なっております。
○春日委員 三十年度における保険料収入は六百二十七億五千五百万円、保険金が二百三億一千四百万円、従いまして保険料を保険金で割れば、これは三二・四%にしかなりません。どういうわけでありますか、もし違っておれば御説明願います。
○松本説明員 お答えいたします。春日委員のお持ちになっております資料は、ある一年間に支払われました保険料と、その年間に支払われました保険金との比率を損害率としておると思うのでありますが、それは、現実にはある年の損害と申しますと、かりにことしの二月に入りますれば、来年の二月まで保険契約がございまして、未経過分というのがございますから、そこまで待って出した統計がわれわれの持っておる統計で、保険料と保険金の期間のとり方によって、数字の誤差というものが出て参るわけでございます。
○春日委員 私は、この問題は国民生活に重大なる関係を持つ事柄と考えまして、特に時間をかけていろいろな資料を公正にとっております。今のようなとり方でなく、その年度内におきまする保険料収入額、それから保険金支払額、これを的確に総合修正いたしますると、これは三二・四%にしかなりせん。いろいろな操作的なやり方によって一〇%も開いてくるというはずはありません。もう一ぺん御検討願いまして、いれずが正しいか、これは後刻の検討に譲ることといたします。 そこでお伺いいたしますが、わが党の調査によれば・最近六カ年間における業績数字によりますと、保険料の収入が相当増大しておる。二十五年が二百四十五億五千九百万円、三十年度は六百二十七億五千五百万円、著しく増大しておる。かくて事業費率が、これはおおむね横ばいになっておるわけであります。これは二十五年が四一・三%で、三十年度が四〇・六%、事業費率が、かくのごとくに保険料の著しき増大にもかかわらず横ばい状態であるということは、この公益性高き事業の事業経費の節減のための企業努力が全然払われていない感じが深いのであります。この事業の特殊性と、特に強調したいことは公益的性格、従いまして、これはもっと事業費を節減して、保険料率の低減の方向に努力を払わしめるための指導というか、監督というか、適切な措置が監督官庁によって行われなければならぬと考える。たとえば三十年においては、事業費は五百四十五億八千五百万円、実に膨大なものである。こういうような計数は十分検討されなければならぬが、今まで業界に対してどういうような指導監督を行なったか、事業費節減のための当局の指導方針の実績についお伺いいたします。
○東條政府委員 保険会社の経費を節減いたしまして、経営の合理化をはからなければならないとう後趣旨は、まことにごもっともでありまして、私どもも絶えずそういう方向に従いまして、あるいは通牒を出し、あるいは経営者の団体の集会等におきましては、さような趣旨を強調いたしまして、業界の努力を要請いたしておるわけであります。お話しのごとく、大体保険料の構成の比率といたしましては、五〇%というのが経費率の一応のただいまの構成になっておりますが、これは戦前は約四〇%、あるいは四〇%を若干下回っておるという情勢に比較いたしますと、まだまだこの経費の節減につきましては、業界といたしましても努力をしてもらわなければなりませず、私どもといたしましても、そういう方向で監督指導をいたきなければならないと思いますので、今後ともこの点については努力をいたしたいと存じます。
○春日委員 さまざまな法律じかけで、たとえば料率算出団体の法律だとか、募集の取締りの法律だとか、いろいろな法律で、この事業はうんともうかる、現実にもうかっておる。この事業経費を全くむちゃに使っておるのではないかと、この資料の中からはそういう非難が生まれざるを得ない。私は、すべからくこういうような公益性ある事業は、事業費の節減に努めて、そうしてそこから生まれてくるところのいろいろプラスを、料率低下の資金源として活用すべきものと考える。当局の監督指導よろしきを得ていないと思われるので、この点大いに注意を喚起しておきたいと思うのであります。 もう一つこの際伺っておきたいのであります。損害保険会社の純資産を今調べてみますると、三十年度における二十社の総額は、流動資産が八百五十四億五千八百万円、動産その他未収勘定、いろいろなものを加えると九百七十四億という膨大なものになっておる。一体これらの資産は、どういう経過を経て発生したものであるか、これを一つお伺いをいたしたい。
○東條政府委員 お話しのごとく、現在損害保険会社の資産は相当大きな数字に上っております。それは、どういうプロセスで出てきたかというお話でありますが、これは負債科目を見ますと、一番大きいものはやはり保険契約の準備金であります。それからその次に大きいのは、資本金または基金という科目が非常に大きいわけであります。それから利益準備金でありますとか、あるいは各種の積立金でありますとか、そういうような準備金の金額が相当大きい、こういう構成に相なっております。従いまして、ただいまの御質問に的確にお答えいたすことになっているかどうか危ぶむわけでありますが、相当大きな部分がいわゆる支払いのための準備金である、そうして相当大きな部分が、各種の内部の準備金に相なっておる、かようなことであろうと存ずるわけであります。
○春日委員 これは、戦時補償特別措置法ですか、あれで戦前の一切の火災保険事業というものが全部債権債務とも切り捨てられてしまって、戦後新しく再出発をいたしたわけなのであります。その再出発後、この十一、二カ年の間にこれだけの資産を発生したものでありますか、これをちょっとお伺いをいたします。
○東條政府委員 たとえば責任準備金の数字で申し上げてみますと、二十年度におきましては、七億二千八百万が責任準備金である。それが三十年度におきましては、五百七十億七千九百万であるということでございますので、もちろんこの責任準備金には、異常準備金が入っておりますが、そういうことでございますので、ほとんどその圧倒的大部分は戦争後発生した、かような数字でございます。
○春日委員 そういたしますと、問題が二つあると思うのです。もとより責任準備金の戦前の積立率は一五〇%ですが、現在は一〇〇%になお足らない。けれども、戦前のこの率は、火災保険事業を数十年間、とにかく日本が躍進の過程においてそれが累積され、積み立てられてきたわけですね。ところが戦後わずか十カ年かれこれでもって、とにかくそのパーセンテージとしては一〇〇%近くになってきてはおりますが、いずれにしても五百七十億という大きな積み立てをし得たということは、すなわちその料率がはなはだ高きに失したのではないか。要するに長い間の保険金支払い、保険料の収入等のこれは残されたものが累積したものに相違ないわけなんだが、その点どうお考えになりますか。これはもっと長い期間を経て、長期計画でこういうようなテンポをたどるべきものではないかと私は考えておるが、そういうような点はどうです。
○東條政府委員 私どもも基本的には、保険料率を合理的な限度におきまして引き下げて参るということが、損害保険の場合においては、これは損害保険といういわゆる天下の公器である建前から、当然のことである、そういうことで実は努力をいたしておりますし、業界も、そういうつもりでおるわけであります。しかしまた同時に、責任準備金ということになって参りますと、やはりそういう天下の公器でありますだけに、異常災害が発生いたしましたような場合におきましても、保険金の支払いには事欠かない、大丈夫であるという態勢が整えられることが、やはり一日も早く達成せられるという要請も、私は保険経営というものの一つの要請であろうかと存じます。要は、その二つの要請をどういう程度にかみ合せまして調和点を求めるかということが、保険料率の決定の基本的な考え方ではないかと思います。必ずしも、片一方の立場を立てて、料率の引き下げにあまり急であって、責任準備金の積み立てが遅々としてはかどらないということにも参りませず、また責任準備金の積み立てに急であって、料率の引き下げということをおろそかにするということ、これもとより許されないことでありまして、両方の立場をどの程度に調和していくかという点が問題であろうかと思うのでありますが、ただいまのところでは、保険金の料率の構成比率といたしまして、原則的には保険金のロス・レシオが約四〇%、異常危険の引き当ての部分が約五%、経費が五〇%、というような構成割合が、現状においては適当でなかろうかということで参っているのが実情でございます。
○春日委員 それは意見の存するところでありまして、これはいろいろ見解の基礎もありましょうし、それは後日に譲ることといたしまして、そこでこの際お伺いをいたしておきたいが、この支払備金、それから利益準備金、その他各種の積立金があります。評価益とか、いろいろなものがずっとあるわけですね。少くともこの責任準備金というものの帰属、最終的な所有権者、これはだれでありますか。
○東條政府委員 法律形式論的には会社のもの、しかし最終的な、いわば道義的な帰属はだれかといえば、これは私は契約者に帰属するというふうに道義的には考うべきものだと考えております。
○春日委員 形式的ということはどういうことですか。要するにその所有権者、たとえば具体的に言うならば、本日会社が解散する、その場合、会社に責任準備金が百億なら百億あったとする、それは、解散する場合には株主に配当してよろしいか、その場合には実質的に会社に帰属したものであろうと思う。責任準備金というものは、会社の所有に帰属せしむべきものでないと私は考える、いかがでありますか。
○東條政府委員 そういう事態はないわけでありますが、今日ただいま解散いたしました場合には、これは契約者に配当せらるべきものである、こういうことになると思います。
○春日委員 そういたしますと、それではいろいろと問題がここから発展してくると思うのでありますが、その問題は問題といたしまして、こういうような各種の流動資本、管理資産、こういうものを運用いたしまして会社が相当の資産利益をあげております。たとえばある損害保険会社の総合純益金を二十八年、二十九年、三十年と見ますと、事業利益が二十八年は二十六億五千万円、二十九年は二十億、三十年は十四億、これに比較して、資産利益というものは、三十年度においては三十一億七千九百万円という膨大な額に上っている。これらはことごとく責任準備金、退職引当金、貸倒準備金、支払備金、その他そういうような管理資産を運用してあげた利潤です。この利潤を会社の経費に使わせてはいかぬと思うのですが、どうですか。
○東條政府委員 先ほどお答え申し上げましたのは、ちょっと不正確でございましたので、訂正申し上げますが、今日ただいま解散いたしました場合には、契約者に保険料に当る部分は払い戻すべきである。配当と申し上げましたのは間違っております。なお残余がございました場合には、これは株主に返すべきものである、こういうふうに訂正させていただきます。あとの点につきましては、保険課長から申し上げます。
○春日委員 そうすると、解散をした場合には、その保険料は、受け取っただけを契約者に払い戻して、残余の金は株主に配当してしまっていいのですか。その点明確ですか。
○東條政府委員 仰せの通りでございます。
○松本説明員 お答えいたします。お説のように、資産運用によります利益が最近二、三年間毎年上っておりますことは事実でございます。それにつきましては、法人税の課税対象にもなっておりますし、またわれわれが料率引き下げを勧奨する場合にも、そういう要素もあるのだから、引き下げるべきだということを強く要請しておりまして、損害率の低下と並んで、料率引き下げのときの要因にも相なっております。
○春日委員 最終的な所有権者は、解散に至ります場合、これが株主に帰属するという点については、法律的にはそういう扱いになっておるかもしれませんけれども、実質的には、私は相当疑義の存する問題であろうと思う。これは、現実に株主の利益としての所得ではありませんから、従って、それを株主に全部帰属せしめるということについては疑義があると思いまするが、これは、法律論として別個の検討を必要とするでありましょうが、その資産運用益というものは、やっぱり積立金の質から考えて、当然これはその契約者を対象としたもの、あるいはそういうことが事実上できないとするならば、具体的には保険料率引き下げのための一つの要素として、これが重点的に活用されてしかるべきものだと考えております。私は、むしろそういう方向へこれを矯正していくべきものだと考えておりますが、現実的にはこの問題に触れて、業界との間にどういう御指導が行われておるか、あらためてお伺いをいたします。
○東條政府委員 先ほど準備金の積み立ての金額、あるいは速度の問題について申し上げましたように、今日までは、戦前に比べまして、準備金の積み方にいたしましても、必ずしも十分でないという観点もございまして、今お話しの運用益の問題にいたしましても、御指摘のようなことに相なっているわけでございまするが、私は、やはり損害保険会社の経営、あるいは経営の内容というものが堅実になりまして、もう大丈夫だというような事態になりますような場合におきましては、今お話しのごとく、各種の運用益というものは、基本的な方向としては、料率引き下げということに資金源として逐次向けていくという考え方は、正しい考え方であろうと考えております。
○春日委員 実は、これから本論に入るわけであります。今までは本論の前提の前提をお伺いしたのであって、これから現実の問題といたしまして、具体的の事件について質問をいたしたい。申し上げたいことは、日本火災海上保険会社の不正事件についての質問がこれからずっとあるわけでありますが、本会議も一時に開かれるということでありますから、次の機会にいたしたいと思います。
○山本委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十六日午前十時三十分から開会することとして、これをもって散会いたします。 午後零時五十五分散会 ————◇—————