大蔵委員会 第13号
- 発言数
- 142 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/03/14
会議録
○山本委員長 これより会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案外十一法律案を一括議題として、質疑を続行いたします。奧村又十郎君。
○奧村委員 私は前日に引き続きまして、利子所得に対する地方の住民税の課税問題について、質疑を続行いたしたいと存じます。質疑の多い当委員会において、この問題で非常に時間を使用いたしましてまことに恐縮に存じますが、しかしなぜ私がこの問題をしつこくお尋ねするかという趣旨をまず簡単に申し上げて、委員長初め委員各位、また政府委員の皆さんに御了解を得て、そのつもりで御答弁を賜わりたい、かように存ずるのであります。 それは、今回の税制改正論議の中心議題に関連しておると私は思うのであります。なぜならば、近ごろ国民の納税道義が今までになく非常に低下したということ、これは、もう当委員会で問題になっておる臨時税制調査会の答申にもそれがはっきり出ておるし、また給与所得者とその以外の所得者と、その所得税の課税において非常な不公平がある。その不公平があるために、今回の税率の改正というものも問題になってきておるのであります。そこで、この納税道義の低下というものは一体どういう原因でこうなったか。これをわれわれはまず検討しておかなければならぬのであります。この納税道義の低下というのは、何も納税者のみの責任じゃないということをまず反省しなければならぬと思うのであります。今日までの歴代の政府、税務御当局、またわれわれ税法審議に携わる国会議員にも重大なあやまちがあり、また責任があるということを反省しなければならぬ。そうしてもって、このあやまちを改めて、国民に納税協力を訴えなければならぬと思うのであります。なぜならば終戦後十年余り、振り返ってみますと、シャウプ勧告による税制などを中心にして、毎年税の制度を根本から大幅に建て直してみたり、くずしてみたり、まるっきり朝令暮改です。これは終戦後の占領下の特殊事情もあったとはいえ、このように税法をなぶりものにしたのでは、納税者の方々は税法を真に理解できるわけがない、ここに、われわれまず反省をしなければならぬと思うのであります。そのように毎年いじくりまわしてきた税法でありますから、国税も地方税もまことに複雑煩瑣でわかりにくいことおびただしいのです。毎年声を大にして税法の簡素合理化が叫ばれておりまするけれども、今回政府提案の税法案を見ても、むしろ簡素合理化よりも複雑さがふえておる。実は私は過去ずっと税法審議に携わっております。今回の審議について、この政府御提案の法律案を、せめて全部一通りでも目を通したいと思って努力したのです。十日間ほどというものは、雑務を一切避けてこの税法案を研究してみましたけれども、私の頭が悪いのかもわかりませんが、一ぺんや二へん税法を読んでも、とても頭に入らない。従ってきょうまで努力してきたが、実はこの審議の法律案全部を読み切ることはできない。このようなことで、もう近いうちにこの税法案を衆議院を通過させようということは、これは国民に対してまことに申しわけのないことに思うのであります。特に戦前の賦課課税の制度なら、これは政府だけの責任といえましょうが、今度は申告納税制度をもって、むしろ納税を理解し、みずから納税するという申告納税制度になった以上は、国民全般が税法をよく理解して、みずから進んで納税するという制度であります。このような煩瑣な、またむずかしい、ややこしい税法を作っておって、申告納税が成功するか、このような税法で国民に納税道義の低下を責めても、これはまことに無理な話であろうと思うのであります。その上に、申告納税とはいいながら、政府御当局のきょうまでの御態度は、残念ながら私に言わせますならば、税法の立案も解釈も執行も政府の一方的な独断と申しましょうか、そういうふうなきらいがかなり多いと思います。たとえば先日来本委員会において人格なき社団、財団についての質疑、あるいは名義貸し、証券会社の問題、資産所得の合算課税の問題、これらの委員会における主税当局との質疑応答の中にも、税法の解釈や執行がほとんど政府の一方的な御都合主義できめられておるような節が多いと思うので、いずれこれらの問題はまた後刻よく質疑をさせていただきたいと思います。 さて、そこでこの複雑難解な法律であり、また一方的な解釈で行われておると思われるこの日本の税法の欠陥を、具体的に典型的に現わしたと思うのが、この利子所得課税の問題であります。その意味合いにおきましてこの問題を究明したい。住民税において利子所得がかかるのか、かからぬのか、この全国民に深い影響のある大きな問題が、日本で最高の、最も専門の権威ある衆議院大蔵委員会で、このように連日議論しなければ利子所得が課税されるのか、されぬのか、法律案を読んでもわからぬ。そんなことで国民諸君に納税の協力を頼めると思えますか。こういう意味において、私はこの問題をはっきりとしていただきたい、かように存ずるのでありまするから、これは時間がかかりまして恐縮ですが、審議を進めさしていただきたいと思うのであります。 さて、そこで私の質問、これはごく簡単であります。利子所得につきましては、所得税法の規定で所得税がかかることになっております。しかし一方、ただいま審議中の租税特別措置法によって、一年以上の長期預金に限って二年間に限って免税しようとしておるのであります。ところが地方税法においては、市町村民税を課税する場合に、第一種方式によるならば、これは前年の所得税額が基準であるから、その所得税額そのものは、すでに租税特別措置法で免税になっておるから、これは課税しないということは明らかであります。しかし第一種方式によりますと、所得税法第九条の規定によって計算した総所得金額によるとなっておるのであります。そこで所得税法第九条の規定は、利子所得を含んでおるのでありますから、第二種方式の場合は、当然市町村民税所得割が利子所得に課税されると解されるのでありますが、その通りでありますかどうか。これはまず自治庁の税務部長、それから内閣法制局長官の御両人の御答弁をわずらわしたいと思います。
○林(修)政府委員 ただいまその前提としてお話のございました、税法が非常に複雑で難解であるということは、実は私どももさように考えておる次第でございます。私も終戦後、今の新しい税法の立法にはずっと参画してきておるわけでございますが、私どもといたしましても、この税法をなるべくわかりやすいようにしたいという努力は、実は年々やってきておるつもりでございます。ただし、この制度が非常に複雑であるために、その目的が容易に達せられない部面も現在のところございます。今後ともなるべくそういうことはわかりやすい、だれでも納税者が見てわかるような税法にしたいということは、関係当局と協力して、私ども及ばずながらそういうことにやっていきたいと思っております。特にいろいろ解釈の通達というものがたくさん出ておる税法でございますから、そういうものがなるべくなしで済ませるようにしたいということは、私ども理想として考えておるわけでございます。 ただいまお尋ねの地方税法の解釈でございますが、これもあるいは多少立法技術の関係でおわかりにくい点もあるかもわかりませんが、これは私ども実はこう考えておるわけでございます。この地方税法の第二百九十二条の今おっしゃった点は、第一号の解釈の問題に尽きると思うのであります。つまり住民税の第二種課税方式は、課税所得金額を対象としております。従って、そのもとになる総所得金額は何かということが基礎になる。この総所得金額の定義を、所得税法の第九条の規定によって計算した総所得金額云々としておる点に御疑問の生じた点があると思うのでありますが、所得税法第九条の規定によりというところに、特に御疑問の中心があると思うのであります。そこでこの所得税法第九条を私ども見てみますと、所得税の課税標準となる所得の計算のやり方を規定しておる規定でございます。従いまして、ここでいっておりますのは、課税される所得というものの計算は、利子所得についてはどういうふうにとる、給与所得についてはどういうふうにとる、山林所得についてはどういう方式で計算する、こういうことを言っておるわけでございます。今お話しの利子所得が租税特別措置法で一部免税される、あるいは非課税となる、こういうふうにそもそも課税されない所得がある、こういう部分は、この第九条でいっておる部面に入ってこない、さように考えるわけでございます。つまり第九条は、課税される所得の計算方式でございまして、所得税法の中でも御理解ができますように、実は第九条自身では、ある所得を課税するとか、ある所得を非課税とするとはいっておりません。非課税関係のことは、所得税法第六条に書いてございます。従いまして、第九条自身では、ある所得を課税する、ある所得を課税しないという規定をいっているわけではないのです。ここは課税される所得の計算方法をいっておるのだ、私どもはこう考えるわけであります。従いまして、今御疑問の租税特別措置法等によるある種の所得、特に利子所得の非課税あるいは免税の問題は、第九条をここで引いたからといって、それが当然にここでは課税所得の中に入ってくる、こういうことにはならないのじゃないかと私どもは思います。すでに非課税あるいは免税となっているものは、この総所得金額に当然入ってこない。ここでいっておりますのは、要するに入ってきた所得の計算方法、こういうものだというように考えるわけであります。今おっしゃった点に関する限りは、地方税法の二百九十二条の第一号の解釈は、そう解釈して間違いないものだろうと私は思うわけであります。しかし初めにも申し上げましたけれども、地方税法を含めまして、各種の税法があまりに技術的で、非常に難解であるという御指摘は、私ども同感の点が多いわけでございますので、そういう点は今後なるべくわかりやすい税法にしていくように努力したいと思っております。
○奧村委員 ただいまの御答弁によりますと、所得税法第九条は計算の方法であって、課税対象そのものを規定したものではない、課税対象そのものを規定したものは、所得税法第六条なんだ、こういうことです。所得税法第六条を読むと、利子所得の中で免税になるものは、一項の四号の郵便貯金の利子、郵便振替貯金の利子など、ごくわずかなものです。そうすれば、これ以外には、所得税法のどこを読んでも、課税対象に関する規定というものは見当らないように思う。ところが租税特別措置法を読みますと、租税特別措置法で免税規定というものは、やはり所得税法第九条に基いて免税規定というものが出ている。所得税法第九条が計算の方法だけなら、租税特別措置法の第三条のこの文句を読んでごらんなさい。所得税法「第九条第一項及び第十三条の規定にかかわらず、」つまり課税の方法だけじゃない、課税の対象を書いてある。そうしたら、租税特別措置法というものはどういう意味を表わしますか。
○林(修)政府委員 ただいま御指摘になりましたように、所得税法は、所得税法としての非課税所得は六条に書いてあるわけでありまして、所得税法に関する限りは六条で大体網羅しておるわけでございます。しかしながら、この所得税の免税、非課税の関係は、実は所得税法だけに書いてあるわけではございません。今御指摘の租税特別措置法、あるいはそのほかの法律にも、所得税の非課税あるいは免税関係の規定があるわけでございます。そういうものを受けまして、この所得税法第九条は、そういうもので課税される所得金額の計算方式を書いたものである、かように考えるわけであります。従いまして、この租税特別措置法でいっております利子所得に対する所得税の免税の規定、こういうものは、利子所得としては計算しないのだ、免税するという規定は、当然九条の規定によって計算したものの範囲外になる、さように解釈すべきものであろうと私は思います。
○奧村委員 免税の規定が所得税法第六条であるならば、利子所得を免税しようとする租税特別措置法の規定は、当然所得税法第六条に対する免税規定でしょう。それなら租税特別措置法はそういう書き方をしなければならぬ。この点大蔵省の主税局長のお考えをお尋ねしておきます。
○原政府委員 措置法で長期預金等の利子について非課税にしておりますが、それはそれでよろしいのではないかと思っております。お話しのように、それが一つの法律を見ただけでは見切れない点は、冒頭お話しの問題もありますが、それは一向さしつかえないのじゃないかと思います。
○奧村委員 それでは逆にお尋ねしますが、もしかりに地方の市町村役場当局が、間違って利子所得に住民税をかけたとする。そうすると、その住民が、つまり納税者が、これは間違ってかけたというので、裁判所あるいは税務当局に抗議を申し込む、その抗議を申し込むための根拠法規はどこにありますか。
○林(修)政府委員 結局その住民税が違法に賦課されたという場合、当然非課税となるべきものを所得金額に加えて課税したという場合の、それに対する救済方法でございますが、これは地方税法の中で、異議申し立てあるいは審査請求という規定を置いております。それから裁判所にももちろん訴えられるわけです。その場合の根拠法規とおっしゃる意味でありますが、地方税法の今の二百九十二条の一号の解釈として、ここにいう所得税法第九条の規定による所得というものは何をいうかということが、結局今おっしゃった場合の抗議を申し込むといいますか、異議の申し立てをする場合の根拠になる。ここでいっている通りに、これは第九条の規定による所得といっているのであるから、この租税特別措置法の二条の二でございますか、ここでいっている利子所得は入らない、そういうことが根拠として言えるのだ。これは免税とする、あるいは非課税とすると書いてある。当然に入らない、そう言えるだろうと私は思います。 〔委員長退席、平岡委員長代理着席〕
○奧村委員 これは地方の役場の、第二種方式で課税をしているところのいわゆる納税申告書、その書類の裏面を読めば、もう問題は一番はっきりしているけれども、今その書類を取り寄せてお尋ねすることはできぬけれども、その裏面に、課税標準の算出方法が出ているわけです。その算出方法は、所得税法第九条によると書いてある。その以外には何も書いてない。そうすると、この租税特別措置法で免税になっているということは、法律的にどの系統でわかってくるのですか。
○林(修)政府委員 その点、確かに今おっしゃったようなところだけ見ますと、おわかりにくい点があるだろうと思うのでありまして、これは申告の指導等についても、相当心得なければならぬところだと思います。あるいは税法の書き方にもいろいろ問題があるかもしれません。と申しますのは、結局先ほど申しました通りに、所得税法第九条のところをごらんになりましても、実は利子所得というものは収入金額によって課税するのだとしか書いてない。その利子所得とは何をいうのかということは、一応書いてございますが、その利子所得のどの部分が非課税であり、どの部分が課税されるということは、第九条自身には書いてない。つまり所得税法の中でも、第六条にある種の利子所得は非課税となるということが書いてあります。それからただいま申しましたように、租税特別措置法の規定により、ある部分の利子所得は非課税となる、あるいは免税となる、こういうことが書いてある。そういうものを受けまして、この利子所得の計算方法が、第九条で出てくるわけです。課税される利子所得につきましては、収入金額によるということになってくるわけです。従いまして、第九条だけでは、実は今の所得税法第六条の方の非課税所得についても、申告の書き方が不親切であるとおっしゃるようなそしりはあると思うのであります。それと同じように、租税特別措置法につきましても、ある所得を免税とし、ある所得を非課税としているものは、当然にそこで計算すべき利子所得に入ってこない、こういうことになります。そういうところにつきましては、申告書の書き方によって、これこれの所得は非課税であり、これの所得は免税であるということを一々書いたら、それは非常にわかりやすいと思います。そういう点は、あるいは大いに国税庁、市町村当局も心がけるべきところかとも思いますが、何分にも今はいろいろの所得の非課税、免税の規定は、所得税法だけでないのであります。租税特別措置法にもたくさんございますし、そのほかにも例をあげれば、たとえば国家公務員共済組合法にもございますし、いろいろな法律に実はたくさん所得税の非課税の規定が入っている、そういうものを実はみんな見ませんと、自分のある所得が非課税であり免税であることがわからない。そういう点におっしゃるようなわかりにくさがあるのかもしれませんが、実はそういうものを全部含めて見なければならぬわけであります。
○奧村委員 それでは、お尋ねの方法をまた変えまして、昭和三十年産米あるいは昭和三十一年産米穀についての所得税の臨時特例法というもの、これは租税特別措置法とは別な単独立法で、所得税に対する特別措置がありますが、これはやはりこの法律の住民税に適用されるのですか、税務部長にお尋ねいたします。
○奥野政府委員 そのように考えております。
○奧村委員 この間も申し上げましたが、自治庁の税務部から、第一種課税方式では所得税を課税標準にするから、国の所得税の課税対象は全部かかって、はずれるものは全部はずれる。しかし第三種課税方式では、国の政策的な免税規定を受けないということをみずから表明しておるのですが、もうみずから表明してお書きになった問題点を、税務部長みずから否定していかれる。これはこの間も問題にしましたので、これ以上言うたって水かけ論ですから、やめておきましょう。 そういたしますと、結論から言いますと、住民税を納税する納税者として、米に税がかかるのか、あるいは利子所得に税がかかるのかというような課税標準は、みずからの所得を申告するのに、あらゆる法律を読まなければ申告できぬことになるのですか。
○奥野政府委員 地方税法の問題につきまして、一つには、所得計算が国の場合と地方の場合とにおいて二途にできれば、国民が迷惑するじゃないだろうか、こういう一大原則を考えているわけでございます。もう一つは、税金額を見ます場合に、国がいろいろな政策上の考慮をいたして参ります、その政策の結果をそのまま地方に押しつけることも適当ではないだろう、こういう一つの考え方も基本に持っているわけでございまして、そういう意味から、政策的な配慮をいたします場合にも、所得の計算そのものを変更しないで、なるべくならば税額から特殊な部分は控除するというような書き方をしてもらいたい、こういうことで、国税庁との間では常に協議を重ねておるわけでございますので、その点については御了解を得ておきたいと思うのであります。 もう一つ非課税所得の問題は、たとえば納税貯蓄組合法を読みますと「納税貯蓄組合預金の利子については、所得税を課さない。」と書いてあります。あるいは当せん金附証票法では「当せん金附証票の当せん金品については、所得税を課さない。」と書いております。こういういろいろな単独の法律があるわけでございますが、いずれも所得税が課されませんので、その総所得金額に入ってこないという考えを持っているわけであります。しかし一昨日奧村さんから、二百九十二条の一号の規定につきまして御意見がございました。私たち御意見にももっともなところがあると考えておるわけでございまして、そういう疑義のあるような規定につきましては、その表現について適当な修正を加えるべきだという考え方を持っておりますので、適当な機会に善処いたしたいと存じております。
○奧村委員 それでは住民税の方は、所得割第二種方式、第三種方式の場合は、利子所得には全然住民税がかからないというわけですか。
○奥野政府委員 所得税を非課税とされております利子所得、これは第二種方式、第三種方式の場合におきましても、総所得金額には入ってこない、かように考えているわけでございます。
○奧村委員 これは、もう一ぺん資料を取って調べねばいかぬと思いますから、税務部長に資料の要求を申し上げたいと思います。それは、たとえばただいま所得税は確定申告をやっておりますが、国の所得税確定申告などは、御承知の通り確定申告の用紙なりその説明書に、非常にこまかく、こういう所得はこういうふうにかかる、こういうふうに計算しなさい、あるいはこういう控除があります——近ごろまことに親切丁寧に申告書を配っていただいて、あれさえ一日見ればすぐ自分の所得が計算できるようになっている。これは、奥野さんも自分で申告なされてわかることと思います。そうすると、これと同じように、住民税はそういう申告書や、賦課する場合の指導、納税者に対する説明といいますか、そういうことをやっておられますか。特に第一種方式、第二種方式、第三種方式と専門家であってもなかなかわからぬ。第二種方式のただし書き、第三種方式のただし書きと、とても複雑で、それぞれに課税の方式、計算方法が違う。したならば、納税者がその説明書を見れば自分の所得の申告だけはできる、またどういうわけでこういう課税がされるかということがわかるという親切な説明書を出しておられるのですか、また役場が出せるようなそういう基準とか説明を出しておられますか。
○奥野政府委員 市町村民税の申告につきましては、従来当然申告しなければならない規定になっておりますのを、申告させることができる、条例できめればできる、こういうように直したわけでございます。言いかえれば、税務署について調査をすればわかることならば、なるべく二重に申告をさせないで済ませたいという配慮に基いているわけでございます。同時に、また申告書を徴します場合におきましても、その準則的なものを示しているわけでございますが、その場合におきましても、国の税務署について申告した結果だけをそれに書かせるというような方向で指導して参っているわけでございます。
○奧村委員 御承知の通り、税務署の申告はおのずから申告が違っているはずです。と申しますのは、第二種方式のただし書きによりますと、扶養控除とか、あるいは概算控除とかいういろいろな控除は、所得税では認めてあるが、地方税では認めていない。ただ単に基礎控除だけであります。そうすると、扶養控除その他いろいろな控除を考えますと、所得税は申告しなくてもいいけれども、住民税は課税されるというのがずいぶんたくさんある。むしろそういうのが数において多い。税務署で指導なさる所得税の申告をなさった方は今の御答弁でよろしいが、それじゃそれ以外のものにはどういうふうな御指導をなさっておられますか。
○奥野政府委員 私の申し上げておりますのは、必要な経費でありますとか、あるいは総収入金額でありますとか、そういうものにつきましては、国の税務署に提出いたしました金額を書かせるようにいたしまして、その場合に、その内訳ということになりますと、国税の場合でも同じことでありますが、膨大な分量になろうと思います。また国の所得につきましても、農業所得等の場合においては、市町村もずいぶん協力して、むしろ納税者に対しましていろいろ力を貸しているという場合も多いだろうと思うのでございます。なるたけ今申し上げましたように、簡素な扱いをしていきたいというふうな考え方から、申告書の様式に当りましても、できる限り国にとられているものは、それによりまして二重の手続をかけさせないようなやり方をしてみたい、こういう配慮をしているわけでございます。
○奧村委員 それでは、今の御答弁によると、必ずしも申告納税でないから、そういう親切な手配をしていないということです。それならば、市町村長が賦課する場合のその賦課の所得調査の基準、方法、そういうものは、市町村長には指導しておられるはずですが、その指導の何か通達とか、あるいはひな型とか、あるいはいろいろな説明とか、そういうものは出しておられるのですか。
○奥野政府委員 地方税法の建前が、前年の所得について適用せらるべき所得税法の規定に基いて算定をするということになっておりますので、それで国についてとられている方針をそのまま地方についても示しておるわけでございます。なおいろいろ御疑問の点もおありかと思いますので、関連いたします事項を御連絡いたしたいと思います。
○奧村委員 先ほども申し上げましたように、所得税の納税者だけに限るのじゃなしに、第二種方式によりますと、所得税はかからぬでも住民税はかかる、つまり年収二十万円以下でもかかるわけです。基礎控除だけを認めておる、あとの扶養控除を認めておらぬ、あるいは医療控除その他のいろいろな控除がある、それを住民税は認めておらぬでしょう。そうしたならば、そういう所得税は納めない。市町村の役場だけで住民の納税者の所得を調査することが多い。その調査の方法、課税標準、その他せめて役場に基準になるような説明書きは送っておられるのですか。
○奥野政府委員 先ほども申し上げましたように、申告をさせます場合の様式につきましては、総理府令で示しておるわけでございます。その中には、もとより控除すべき額として、基礎控除とか扶養控除とかいうような種類のものも出て参るわけでございます。もとより所得決定につきましては、所得税法の第九条の計算方式、これが基本になっておるわけでございまして、税務署で計算されます場合にも、計算した総所得から諸控除を引いた結果失格になってくる、やはり失格者についての調査も一応あるわけでございますので、両者で相互に協力をし合いながら、できる限り資料は利用することにいたしておるわけであります。申告に当りましては、所得税法第九条のあの計算の仕方にのっとった申告を出させるということになろうと思います。実際上の問題といたしましては、税務署で調査した結果控除失格になっている、そういうものにつきまして、さらに市町村民税が課税できる場合には、そのものについて市町村が課税をする。しかしいずれにいたしましても、両者につきましては、税務署と市町村との間で。十分に力を貸し合っていくという態勢は、強化するように努力もいたしてきておるわけでございます。
○奧村委員 つまり課税の調査の方法など、税務署で納税者に説明を出すように、せめて市町村長あたりまで自治庁から説明書きくらいは出しておいてくれれば、それを資料にこの委員会に出して下されば、それをもとに審議すれば、この問題は何でもないのです。ところが今の御答弁によると、そういう親切な指導もしておられない、ただ頭から所得税法第九条によって計算しろとあなたは指導しておられるのでしょう。そうすれば、所得税法第九条は、まず利子所得にかかるということになっているのでしょう。そんな指導を受けて、納税者にとって、あるいは市町村長にとってどうして仕事ができますか。これは議論になりますが、そういう問題を究明する資料はございますか。
○奥野政府委員 いろいろな通達がございますから、御参考に御連絡いたしたいと思います。
○奧村委員 税務部長に伺いますが、地方税法三百十五条、同じく三百十六条、これによりますと、税務署の所得税の決定が少な過ぎたりあるいは間違いがあったり、あるいは申告書を出さなかったり、そういう場合には、市町村長みずから納税者の所得を決定する、あるいは場合によっては、税務署の決定が不当である場合には、全部税務署の決定を否定して、市町村長みずから所得を決定する、こういう規定がある。そうして税務署の決定が間違っておった、市町村長の決定が正しかった、こういうふうなことが現に全国にあるのです。御承知の通り、給与所得と給与以外の所得と、これは大へんなアンバランスということは全国でわかっているし、現に臨時税制調査会では、これをこまかく書いてある。そこで市町村長は、税務署の調査はなまぬるい、非常に不公平だというので、税務署の決定を参考にしないで、市町村長みずから決定しているのがたくさんある。これは一つ大蔵省もよく聞いておいてもらいたい。もう税務署の決定そのものがあまり信頼されておらぬ。どこに行っても市長さんとか助役さんとか、月給取りの方の住民税が多くて、給与所得以外の人はかなりはでな豊かな暮しをしながら税金が少い。明らかに税務署の決定に手落ちがある。これは全国の世論であります。従って、市町村長は税務署のそういう調査を当てにしないで、市町村長みずから決定する。そういう規定が三百十五条、三百十六条にある。その場合には、その調査決定したことを、今度は親切に税務署長に知らしてあげる、こういうことになっているのだが、そういう事例は今自治庁の方へたくさん上っているはずですが、どういうことになっておりますか。
○奥野政府委員 税務署の管轄区域全体につきまして、負担の均衡を欠いているというような場合には、三百十六条の規定に従いまして、市町村長が全面的に計算をし直すということになっているわけであります。この場合には、自治庁長官の許可を得るわけでございますので、どういう町村においてそういう処置をとったかということがよくわかるわけでございます。これは三百十六条の規定による場合でございます。これは、昭和二十五、六年あるいは七年ごろまで数町村ずつございましたが、最近は全然ございません。三百十五条による場合は若干あろうかと思いますが、むしろ表面立ってこういう規定を適用するというよりも、事前に相互協力し合って適正課税に持っていっているのじゃないかと存じているわけでございます。従いまして、三百十七条の規定によって、正式な通知をしてきたという事例につきましては、最近私の方では、別に報告を取っておりませんので承知しておりません。
○奧村委員 それじゃただいまの二つの規定に基いて、税務署の調査によらずに、市町村長みずから納税者の所得を調査決定する方法は、どの法律に基いて調査決定するのか。それは、私の解釈では、地方税法二百九十七条に書いてある。これは、前年の所得について適用されるべき所得税法の規定に基いて計算したもの、これは包括的な規定であります。せめてこの包括的な規定の中へ、なぜ租税特別措置法を含むと書いてないか。書いてなければ所得税法だけでしょう。これは法制局長官どうですか。
○林(修)政府委員 先ほど申し上げました通りに、今の二百九十二条の総所得金額——非課税所得というものは、当然課税されるべき総所得金額から抜けてくるわけであります。その点は、実は問題ないと思うのでありますが、今御指摘の二百九十七条、これは所得税法の規定により計算したということになっておりますが、今申しましたように、課税標準の計算方法は、もうすでに租税特別措置法がそこに入り込んで計算される場面が多いと思います。従いまして、課税所得の計算方法は所得税法に乗っかって、大体それでいくのじゃないかと思うわけであります。ここの規定の書き方としては、そういう意味で、租税特別措置法が内容的に当然含まれてくるものだと思うわけでありますが、しかし、御指摘のように、租税特別措置法が書いてないということは、一般には多少わかりにくい点があると思います。こういう点は、将来の法律改正のときにもっとわかりやすくした方がいいと思います。内容的に検討していけば、租税特別措置法は当然この中に入り込んでくる、かように考えております。
○奧村委員 きょうじゅうにこの問題を明確にすることはおそらくできないと思いますが、衆議院の法制局の方もおられるはずですから、これは衆議院の方でも御研究を願いたい。いずれまた適当な機会に、衆議院の法制局の解釈を聞かしていただきたいと思います。 と申しますのは、所得税法第九条には、はっきりと所得計算の方法が書いてある。これを読めば、利子所得がかかることになっておる。ところがかからぬという規定はどこを探してもない。ただ第九条に対する租税特別措置法はあるが、これは所得税を適用する住民税については何にも書いてない。そういうふうな御答弁にしなければ、政府の立場は立たぬのでしょうが、これは明らかに政府のミスだから、もっとすなおに法律を改正して、納税者が申告を書くのでも、あるいは賦課されてでも、読んで簡単にわかるような税法にしてくれなければ、この大事な問題は何日かかっても議論が尽きぬと思う。だから納税に協力を願っても、それは無理だということになる。この点、政府当局にも反省していただかなければならぬし、われわれ国会議員も、こういうことをもう少し反省せねばならぬと思いまして、まことに執拗な質問で恐縮でありましたが、質問を申し上げた次第であります。 ただいまの法制局長官の御答弁は、私は納得できません。課税対象は所得税法第六条できめて、計算方法は所得税法第九条できめる、そういう解釈ですが、それならば、租税特別措置法での免税規定は、やはり非課税の規定である所得税法第六条に規定してなければならぬ。ただ課税の方法だけ規定してあるでしょう。その点はもう少し研究して、また別の角度からお尋ねしたいと思いますが、きょうはお二人とも非常にお急ぎのようでありますから、この程度にいたしておきたいと思います。 私は、続いて主税局長並びに国税庁長官にお尋ねしたいと思います。近ごろ税法がかなり公平性を欠いておる、それから税法の執行もかなり乱れておるということを心から私は遺憾に思うておりますので、この根本改正の際に、何とかわれわれも反省し、また御当局も一つ反省を願いたい、こういう立場からかなり深刻な質問を申し上げますけれども、この点は一つ御了承を願いたいと思います。 先日来石村委員初め、名義貸しの問題について御質問がありました。なかなか適当な御質問で、私も実はそのとき関連してお尋ねしたいと思いましたが、時間の都合上今日まで延びましたが、石村君とは多少別の角度でお尋ねいたしたいと思います。三月八日の朝日新聞の「声」という欄に、吉井一夫さんという税務署員の投書が出ております。これは、私はししとして末端の税務官署で徴税に努力しておるまじめな税務署員の痛切な声であろうと思う。ちょっと簡単に申し上げます。「税務に携わる者としていささか恥かしいが、先日の本紙朝刊を見て、わが目を疑った。「問題化した名義貸し」の記事である。これによると大口投資家が大量に株を買う場合、証券会社に頼んで名義人になってもらう。総合課税を免れ、元金の出所を税務署に追及されずに済んでいたそうである。周知の通り所得税法に実質課税の原則(所得税法第三条の二)が定められており、名義のいかんにかかわらず実質所得者には課税しなければならない。そのために収税官吏には質問権が与えられている。われわれは所得税法の規定に従って、住み込み店員の食費や学生アルバイトの賃金まで課税すべきものには、情を抑えて課税の手続をとり、法は普遍であり、税務は公平であると高言してきたが、この記事を見て思わず冷汗をかいた。「乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂う」というが、血税を納めてきた国民は黙っていないだろう。われわれは納税者の方々をだましていたことになる。おそろしいことだ。まさに法治国以前である。国会では直ちに政府当局を糾弾すべきであり、国税庁はその実情を公表して、直ちに課税措置をとらなければならない。これまで国の租税債権が無為に放棄されていたことを指摘できなかった会計検査院もその責めを免れないと思う。」これはおそらく税務に携わっておる全国六万の税務職員の痛切な声であろうと思う。公平な税を執行しておると思えばこそ、薄給でがまんして努力しておられる。ところがわれわれこの税法をそのような気持で立法しておるか、また上の方々がそういう御指導をしておられるか、この点を一つ反省してみたいと思うので、その気持をもってお尋ねをしてみたいと思うのであります。 まず問題になっておる証券会社の名義貸しの大体の総株数、総金額、それからその扱う配当金額、年間総額はどのくらいなものですか。
○原政府委員 先日もそのお尋ねがありまして、御返事に困ったのですが、わかりません。わかりますればほうっておくはずはないものであるのですが、ただいまの質問検査権の範囲ではわからない。大へん遺憾でありますが、ここにこの改正をお願いいたしてはっきりするようにいたしたいと思っているわけであります。
○奧村委員 それはわからぬのですか、調べようとしないのですか、その点私は突きとめてみたいのです。
○渡邊政府委員 全体で幾らになるかというのは、正直言いましてわからないと申し上げた方が適切だと思います。結局証券会社におきましては、名義貸しの分は、自分の本来の帳簿から一切別にしております。それで、現在御承知のように法人の受け取りました配当は、益金に算入しないという制度になっておりますために、これが益金に算入するという制度であった昔でありますと、たとえば税務署の方へ集まってくる資料と法人が計上しているものと突き合せて、その差額というものを探究していく手もないではございませんが、この場合におきましても、全部が全部これが出るというわけのものでもございません。そういったこともございまして、現状におきましては、証券会社が自分で本来持っている株の分、これだけはもちろん資産に計上し、それから上ってくる配当は収益に入れておりますが、名義貸しの方は、公然別個の帳簿にしているようでございまして、わかりません。しいて推定すれば、資料の方で出てきた数字とそれとの差額ということになるわけですが、その資料の集計というものも相当手数がかかり、全国的にこれをすることも困難な実情でありますので、現状におきましては、遺憾ながらわかっておりません。
○奧村委員 新聞によりますと、これは、その記事の出所は明らかでありませんけれども、東京だけで時価にして三、四百億円もあると言われておるというので、新聞ですらそういう見当をつけておるのでありますが、大ざっぱなところで見当はつきませんか。
○渡邊政府委員 われわれ新聞がどういう根拠に基きましてそういう推定をしたか、ちょっと根拠を聞いておりませんし、私の方で数字を申し上げるとなりますと、相当責任も感ずるわけでございますし、今言った程度の材料では、ちょっと推計もいたしかねると思っております。
○奧村委員 もう一つの新聞によりますと、時価大体四、五百億、それで配当金が年約三十億円くらい、こういうことも言うておる。それじゃおわかりにならぬのですか、言いたくないのですか、どちらですか。
○渡邊政府委員 言いたくないのではありませんが、正直言いましてわかりません。
○奧村委員 所得税法第六十一条によりますと、配当金を支払う会社は、支払調書を出しておる、これはその通りやっておりますか。
○渡邊政府委員 その制度は遵守されております。
○奧村委員 その支払調書からその証券会社を全部調べていけば、少くとも配当金の支払い総額は、証券会社ごとにつかめるはずですが、そういうふうになりませんか。
○渡邊政府委員 先ほども申し上げましたように、その甲なら甲という証券会社の資料を集めまして、それから乙なら乙という会社に一応載っております収入金額、配当の金額を調べまして、その差額を算出すれば、一応の数字は出てくるべきものだとは思います。ただ御承知のように、こまかい金額でありますが、一万円以下の資料は入ってこないという点が一つございます。推計だから、そんなものは要らぬということで推計すれば出ないとは思いませんが、しかし現状におきましてそうした資料を全部集計し、同時に数ある証券会社のトータルを集めるということは、いまだやっておりません。
○奧村委員 今の実質課税の規定によって、そういう配当を証券会社を通してやみで受け取るということは、二重、三重の脱税であります。また税務当局も、実質課税の原則によって、そういう悪質な脱税は取り締らなければならぬ。その方法がちゃんと所得税法第六十一条で規定されており、配当を払う会社から税務署へ調査の資料がいっておる。それを全部調べれば、それで証券会社に対する配当金の支払い金額がわかるでしょう。やろうと思えば何でもないじゃありませんか。また大蔵省にやらなければならぬ義務があるのでしょう。どうしてそれをおやりにならぬのですか。
○渡邊政府委員 今お話しになりました点で出て参りますのは、結局証券会社の収入になっていません。しかし、一応証券会社の受取金額というものは出てくるわけでございます。しかし問題は、そこではまだいわばとば口でございまして、それが一体だれのものかというところに問題がかかってくるわけでございまして、そこをきわめませんと、問題は進展しないわけでございます。その点につきましては、一応税法は質問検査権というものをわれわれに与えて下すっております。従いまして、われわれの質問検査権によってこれはできるわけでございます。しかし相手が質問に応じなかった場合、これにつきましては一応刑法の罰則がございます。しかし、それ以上問題が発展しませんもんですから、今までのところにおきましては、質問に応じないといった格好、応じないというよりは、のらりくらりとしたような態度に出られた場合——はっきり質問に応じないという格好が出た場合はいいですけれども、応じるがごとく応じないかのごとくだらだらしているといったような事実があるのでございまして、われわれもある意味において非常に遺憾に思う。いわばてこずらされる。従いまして、こういったようなことを続けていたならば、なかなか一つ一つの証券会社をいわばシラミつぶしにやっていかなければならぬわけでございまして、特定の証券会社をやるだけなら、相当の人数をかければできないことはございませんが、それだけでは問題が解決しないわけでございます。どうしても今改正をお願いしているような意味において、証券会社の方から進んでその調書を出すということをやっていただく必要があるんじゃないか、かように考えております。
○奧村委員 その証券会社の名義の株に対して、事業会社が証券会社へ配当金を送る、この場合には、法人から法人へ配当金が渡るわけですから、源泉徴収はするのですか、しないのですか。
○渡邊政府委員 源泉徴収はしております。
○奧村委員 そこで、証券会社の法人税の課税について調査をしておられると思うが、そうすると、名義貸しの株式は、証券会社の資産に上っておるのですか、上っておらないのですか。
○渡邊政府委員 先ほども申しましたように、証券会社の名義貸しの分は、証券会社の資産には上っておりません。
○奧村委員 そうすると、先ほど申し上げましたように、その配当を支払った事業会社が、配当支払調書を税務署へ出してくる。そうすると、莫大な配当金が証券会社へ支払われておる、その配当金の受け入れは、証券会社の収入には上らぬわけですか。
○渡邊政府委員 先ほども申しましたように、証券会社の方では、名義貸しの分につきましては、資産にも上げておりませんし、それから受け取りました配当を自己の収入にも上げておりません。
○奧村委員 そうすると、実態はどうなりましょうか。その配当はやみからやみへ流れていくということになりますが、まさか証券会社も無手数ではやっておらない、手数をとっておるとすれば、その手数がまた証券会社の帳簿に上ってこなければならぬ、その点からいっても、証券会社の法人税の課税が少し手ぬかりじゃないのでしょうか。
○渡邊政府委員 手数料は証券会社が収入に上げております。それから源泉の控除の分ですね。先ほどの法人が法人から配当を受けた場合に源泉徴収するのか、これは源泉徴収します。同時に、その会社が持っていた株式の所有株、そういうものに応じまして、それは御承知のように、法人税から控除する制度になっております。これはもうよく御承知の通りであります。それで証券会社の課税に当りましては、証券会社としましては、自分の本来の株式の分について、源泉徴収された税額だけを控除してもらっております。そういう関係になっておりますから、証券会社の課税そのものについては、これはもう個々の証券会社、いろいろありますけれども、それは税務署の方で間違いがあれば、更正決定もしておるわけでして、その点は特別な問題もないと思います。問題は、証券会社の帳簿から全部はずしている名義貸しです。で、われわれの方としましては、証券会社の方へ支払ったという配当の支払調書と証券会社の帳簿に載っております配当金が合っておりませんから、従ってこれはおかしいじゃないかというところから探求していきますと、名義貸しがあるのだ、そこまでは出てくるわけです。で、お話しのように、その支払調書を全部集めまして、そうして全部集計してみると、大体の概数はわかるわけですが、今までのところ、数ある中ですから、まだ集計ができていない。結局問題は、その突き合っていない分が一体どういうふうになって違っておるか、これはもう証券会社について調べる以外にちょっと手だてがないわけなんでして、その点について、先ほど申しましたように質問検査権がわれわれの方にあるのですが、なかなかそれに対して証券会社が明らかにしてくれない。で、質問に応じなければ——まあぼかす点もありますけれども、応ずるがごとく応じないがごとくちょっとぼかされるというと、われわれの方も、はっきりそこまでいきかねるというのが現在までの状況であります。
○奧村委員 それなら国税庁の方で配当の支払調書を集めて、証券会社ごとに支払い金額をまとめて、そうしてその行き先を突きとめようとすれば、これは私はできると思いますが、それはいろいろ事情がおありでしょうから、これ以上私は追及をここではちょっと差し控えますけれども、しかし末端の税務職員になりますと、わずかな弁当代やほんのちょっとした金をびしびし取り立てさせられておって、そうして証券会社には手をつけるな、こういうことを上の方から御指導になるのでは、税務職員の士気、能力というものはまさに地に落ちる、私はそこを一番悲しむので、今回こういうことをおやりになろうということはまことにけっこうでありますが、問題はその政令の内容であります。うわさによりますと、百万円以上報告させるというようなことを陳情しておるという話でありますが、もってのほかのことで、そんなことをするなら、法律を作らぬ方がまことにすっきりしているが、幾らにするか。この間の石村君の質問によりますと、一万円プラス・アルファというような御答弁でありますが、そういう点についても、もう少し確たる態度を示されたらいかがですか。私は、むしろこれは政令できめるよりも、国会で法律にすべきものだと思う。ここまで御当局が腹をきめてやられるなら、これは国会できめるべきだ。なぜ政令できめなければならぬか。政令できめるというのは、法律よりももっと簡単に政府独断できめていく、あるいはきめ直そう。しかしそういうことをやると、現に政府が、非常な不公平な現在までの処置でしょう、それをまた今度不公平な限度を作ったら意味がなくなる。そういう意味において、私は法律できめるべきだ、こういうふうにも思います。ですから、やろうと思えば、今までの名義貸しの脱税、これは何でもない、やれるのです。従ってやっていただかなければならぬ。私の個人の意見としては、この法律を審議するについては、この際今までのその問題をどうやられるか。あるいはわれわれ委員会としても、ただ法律を作るだけでは意味がないし、またその法律の執行をよく研究していかなければならぬ。こういう意味において、名義貸しの実態を国税庁がつかんでおられぬなら、一つ当委員会において国政調査でその実態をつかみ、その結論に基いて政令をきめる、われわれの意見をとって政令をきめる、これなら話がわかる。それは、そのくらいに国会をもう少し尊重して考えてもらわぬと、なまやさしい御答弁ではわれわれは満足ができません。しかし、これはほかの同僚諸君の御意見もありますから、あまり行き過ぎるとあとからしかられますので、この程度にしておきます。 さて同じく所得税法第六十一条の支払調書について、今度は銀行その他金融機関の預貯金などの利子の支払い、これは法律がこういうふうになっておりますが、実際は今支払調書を出させておりますか。
○原政府委員 ただいま利子は非課税になっておりますので、調書はとっておりません。
○奧村委員 調書はとらない——私も実はこまかく研究したのですが、六十一条に基いて、施行規則の六十四条、施行細則の二十五条、三十六条をずっと研究してみますと、全部とっておられる。支払いは、五千円以上は全部とっておられるように読み取れまして、これは先ほどのお話で、どこへどんな法律が隠されているかわかりませんので、どこかにそういうとらぬでもいいという法律があるなら、どこへ隠されているのか、一つ私に教えていただきたい。
○原政府委員 租税特別措置法の現在の分の第三条の二の二項というのに、非課税の利子所得の支払いを受ける者及び支払いをなす者については所得税法六十一条第一項中利子所得についての規定は適用しないと、法律ではっきり支払調書をとるというのをはずしておるわけでございます。
○奧村委員 今度の改正法案もそれを受けていくおつもりですか。
○原政府委員 改正法案におきましても、第三条の第四項におきまして、非課税になる分については適用しないということを規定いたしております。
○奧村委員 無記名の預金は税法上認めておりますか。
○原政府委員 これは税法上認めておるという制度ではございません。実際の慣行でやっておるわけであります。
○奧村委員 もし必要があって税務官吏が調査した場合、無記名預金ということになると調べる方法がないというのですが、これは検査調査の点から見てどういう関係になりますか。
○渡邊政府委員 調査の問題ですから、私からお答えした方がいいと思いますが、従来こういうやり方でやってきております。無記名預金を、たとえば私の方で銀行に行きまして、君のところの無記名預金の帳簿を全部出してくれと言って、その分の無記名預金の預金者の名前を調べる云々といったようなことは、われわれの方としましては、ちょっと行き過ぎではないかという考え方で、これはやっておりません。しかし査察などの場合におきまして、他のいろいろな取引銀行がわかり、その取引銀行に当該問題の人の無記名貯金があると大体の確信が持てますと、令状をもらう場合、あるいはもらわぬ場合もありますが、原則として令状をもらっておりますが、その場合におきましては、銀行に行きまして、何の何がしの無記名預金があるかということは聞いております。あるいはその場合におきまして、査察の過程において、会社の方から無記名預金についてどういう印鑑を使っているかといったような点などもわかる場合が多うございます。従いまして、そういったような過程におきまして、査察の場合は、そういう過程から一応の端緒をつかみ、それを裏づけ、あるいはさらに場合によっては調査も発展する場合もありますが、そういう過程におきまして、無記名預金を調査するということはやっております。 〔平岡委員長代理退席、横錢委員長代理着席〕
○奧村委員 それではお知らせの制度についてお尋ねをいたしたいと思います。この間の本委員会において、お知らせの制度は来年度から廃止するという言明をなさったようでありますが、もしその通りであるとすれば、それ以後の税務行政において、どういう方法をもって所得を把握していかれるか、税務行政のお知らせの制度にかわる御方針を承わっておきたい。
○渡邊政府委員 その点につきましては、われわれの方としましても、さらに国税局の意見などもよく聞きまして、第一線の意見も聞いた上で、結論を出したいと思っておりますが、大体私が一応国税庁の中でこういう方向でいったらいいじゃないかと考えている大きな線、それをこの際としてはお答えしていきたいと思います。 御承知のように、税務署といたしましては、納税者の申告を待つと並行しまして、各納税者につきまして、所得額の調査をしております。その場合におきまして、青色の申告納税者の場合と白色の申告納税者の場合では、われわれの方としては違った調査のやり方をやっております。青色申告の場合におきましては、一応調査といいましても、どちらかといえば、随時納税者のところに伺いまして、帳簿の記帳の状況その他を見せていただく、そして納税者から自発的に申告を出していただきまして、事後の調査においてその申告が正しいか正しくないか、これは現在でもやっております。その場合においては、いわゆるお知らせの制度はやっておりません。従いまして、その分につきましては、お知らせをやめる、やめないの問題は、新しい問題として出てくるとは思っておりません。問題になりますのは、従来お知らせをやっておりました白色の申告の方だと思います。この場合におきましては、従来のやり方は、税務署におきまして、今の三月十五日の場合でありますれば、三十一年分の所得額を一応調査します。そうして税務署で調査したところによると、一応あなたの所得額はこの程度でございますということをお知らせしていたわけです。これは納税者にいろいろな意味において心理的な圧迫を加えるとか、弊害もある、本来の申告納税の制度と違うじゃないかという御批判もございまして、これは来年からやめよう、しかしわれわれの方としましては一応調査は続けて、一応税務署としては調査を持つつもりであります。それで、お知らせの制度につきましては、いい面、悪い面があり、悪い面が多いから、悪い面はやめようと思いますが、決して全部が全部悪い面ばかりとは思っておりません。われわれの方の耳に入りますところでも、白色申告者の中には、帳簿でも何でもあまりはっきりしないために、自分でも自分の所得が必ずしもはっきりわからぬ、税務署は一体いくらくらい調査額を持っておるだろう、こういったようなことを聞きたいという人もあるようでございます。従いましてわれわれの方としましては、明年以降としては、三月十五日前に、一応納税相談は相変らずやっていきたい。その場合において、申告書の記載とか、そういうことについて御相談に応ずること、あるいは所得の計算などについて御疑問があればそれに応ずること、これはもちろんでありますが、同時に進んで、納税者の方から参考に、私のところは帳簿も何もなくてわからないのだが、一体税務署では幾らくらいの調査額になっておりますかという御照会があれば、税務署は、何でもいいからまあとにかく申告してごらんなさい、それからわれわれの調査を始めますというのも、実はどうかと私は思っております。従って、お知らせがどうもいかぬという本委員会の御批判も、税務署の方から、君のところの所得は何百何十万だ、あるいは何十万だということを初めからいってやるのはひどいじゃないか、こういうふうな点にあると思ますから、われわれの方で一応調査額は持ちまして、納税者の方から知らせてほしいという方があれば、これをわれわれの方でしいてお知らせしないのもどうか、それは知らせていいじゃないか。しかしこっちの方で進んでお知らせするということは、この際お知らせをやらない限りはやらぬ、これを一つ考えております。それから現在は、三月十五日の申告時期を非常に重要視しておりまして、これまでの間に、大体税務署と納税者との間で納得のいった所得額による申告書をそろえるということを一応の目標にしております。従いまして、現在盛んにそんなような話し合いが続けられておるわけですが、お知らせをやめますと、私はむしろ三月十五日前においては、それをそう熱心にやってはおかしいのじゃないか。従って一応三月十五日においては、とにかく申告を出していただくということを中心に、その納税相談をやっていったらどうだろうか。そうしますと、おそらく現状に比べまして、税務署の調査額とかなり開きの出る申告を出す方が相当多いのじゃないかというふうに思います。それで税務署としましては、その場合におきまして、調査額と違ったことがあれば、更正決定という点はあるわけですが、しかしすぐに更正決定にいくのも、これも現状としておもしろくないのじゃないか。従いまして、私は三月十五日後において、一応税務署の調査額と納税者の申告とが食い違っている方につきましては、おいで願うなり、こちらから伺うなり、いろいろあろうと思いますが、一応私どもとしては話し合って、税務署の調査額が正しいという自信のあるものについては、修正申告を出していただくように、いろいろ手だてを尽したらどうだろうか。税務署の調査額が間違っているというものは、これはもちろん問題はありません。そうしてこれに相当の時間をかけたらどうだろうか。どうしても修正申告が出していただけない、同時に税務署の調査額は自信がある、納税者の申告額はそれを下回っておる、こういう場合におきまして、その分を最後にしぼりまして、やむを得ず更正決定をやる、こういうことを考えたらどうだろうか。同時に、そういうふうにいたしますと、現状においては、三月十五日において全部を片づけるということを考えておりますために、実は調査がかなり急いでやられているきらいがあります。正直にいいまして、十二月末までの所得を一月一ぱいか二月の初めには一応締め切ってしまわなければならぬということもありますが、今言ったような方法に転換しますと、相手によっては調査をもう少しゆっくりやるということも——ちょうど青色申告と同じような傾向になると思いますが、しかし時間をかけるという手も残っておるのじゃないだろうか。もちろんそうかといって、ずるずると調査を遅らせまして、納税者にいたずらなる不安を抱かせるようなことは避けなければなりませんし、三月十五日というデッド・ラインが今まで非常に厳格に考えられておりましたために、不十分だった点もありますから、その点は少しタイム・テーブルをずらすといいますか、組みかえて参りますれば、調査の方もそのことによってプラスになる面もあるんじゃないか。従いまして、従来賦課課税制度から出発いたしまして、にわかに申告納税制度に法律は移り変りましたが、納税者の気持、税務署の気持の切りかえが十分できてなかった。その過程にお知らせ制度があったのじゃないかと思います。しかし、それは何年かたちまして、青色申告の数がふえて参りましたし、だいぶ気持も変ってきましたから、今申したような程度のことをやって参りますれば、そう大きな支障もなしにやっていけるんじゃないだろうか、私は今のところ自分の頭の中ではそう考えて、国税庁の関係のものには、大体こんな考えでどうだということで、一応それでやれるのじゃないかという意見を聞いておりますが、しかしまだ明年の話でもございますし、相当時間もございますから、その間国税庁あるいは税務署の第一線の人たちの意見も十分聞きまして、お知らせ制度はやめるけれども、しかし新しい制度において従来よりもよりいい効果が上げ得るような——それはひとり公正なる課税をするだけでなく、納税者の方にも納得していただいて公正なる課税ができるといった意味合いで、より効果を上げ得るようなやり方をするにはどうしたらいいか、とくと研究して参りたいと思います。現状において考えているのは以上のようなことであります。
○奧村委員 賦課課税の制度から、昭和二十三年ですか、申告納税制度に変えて、まだ十分納税道義も高まっていない当時の納税者に対して、いかにして申告納税になれさせて、うまく申告納税を成功させるかという国税庁の特に重要な方法の一つとして、お知らせという制度をおとりになったように思います。従って、私どもこの大蔵委員会においても、毎年の国政調査などで各地方の税務行政を見せていただくにつれて、主としてお知らせの制度のいかんということを十分に研究して参った次第であります。そこで、これに対しては、この委員会でもかつてたびたびいろんな意見があって、私も実はある種の考え方を持っておるのであります。ただいまの御答弁によりますと、お知らせとして納税者の方へ直接文書を突きつけるというようなことはしないけれども、聞きにくれば言うてあげるし、相談もするし、要するにお知らせの手紙を出さぬというだけで、税務署内部の調査などを進める方法においては、たとえば標準率などを作ってやっていく。つまりいろんな標準率をやっておられますが、こういう方式は従来通りやっていく。税務署内部の仕事としては、やはり課税標準率などをもって所得の把握を高めていく、こういう御方針でありますか。
○渡邊政府委員 調査のその点につきましては、私は順次さらに改善して参りたいとは思いますが、お知らせ制度をやめるやめないで、その点を急速に転換するということは考えておりません。もちろん標準率などによる推定課税は、これはどこまでも推定課税なんですから、これが本来の趣旨であってはおかしいわけで、その点は青色申告を納税者の方にできるだけ多くしていただく。この点につきましても、実は正直にいいまして、ここ数年いささか急速にふえたものでありますから、私は本年は青色申告の人をふやすよりも、むしろ現在青色申告になっている方がほんとうの意味で青色申告になっていただくように努力しようという方に重点を置いておりますが、しかしこれもいわば質の向上、ごく簡単にいえばその方に努めておりますが、同時に質の向上がある程度いけば今度量の方をふやす、そういうふうに、質と量とを見合いながら順次青色申告をふやしていくことによって、いわゆる推定課税の方法によらなくても済むようにやっていきたいと考えております。しかし必ずしも帳簿がいろいろな方によって完備していない場合において、われわれの方として、一応推定によって調査をすることもやむを得ないと思います。その場合において、標準率というものがある程度使われるということもやむを得ないことじゃないかと思います。
○奧村委員 私は、このお知らせの制度は、簡単に申しますと、納税者に対しては親切なやり方だと思うのであります。と申しますのは、お話しのように、正確な帳簿をつけてない納税者がかなり多い。従って税務署の方からお知らせを出してあげるということは、むしろ親切なやり方であって、納税者としては喜ぶべきことであると私は思う。しかし果してそれで正確な所得の把握ができるかというと、私は、これはかなり欠陥があると思うのであります。特に高橋国税庁長官がお知らせを初めて創設されたと思うのですが、その当時やられたことは、お知らせをして、お知らせ通り、あるいはお知らせによって話し合いができて申告した場合には、それを是認する、それから後は更正決定はしない、こういうことを高橋長官は言明された。それでは私は所得の把握が十分でないと思う。と申しますのは、納税者の方に立ってみますと、ずるく考えまして、お知らせのくるまで待っていて、自分の腹づもりよりもほぼ安くきたら、うまうまとそれを受けてやる。それから腹づもりよりも高くきたら、それは正確な所得ということで自分の帳簿で出す。そうすると、完全あるいはほぼ完全に把握できたお知らせならそれで所得が把握できるでしょうが、たくさんなことですから、中には把握のまずいのもあるでしょう。その把握のまずいのによってお知らせを出したのは、納税者が承知する。それから正確と申しますか、少し多目のお知らせが行ったら、これは困るとやられるから、結局少い所得把握になる。そこで私は、お知らせ制度というものは、納税者には親切であるが、税務署の調査能力がよほどしっかりしていなければ、所得の把握は不十分になるから、そう簡単に賛成できない、その成り行きをよく注視していきたいと思って、過去何年か見ておった。ところがその後の結果を見ますと、この間主税当局からお出しになった資料を見ましても、農業所得、それから給与所得、それからその他の所得、いわゆるお知らせ制度によって申告されるその他の所得の把握状況を見ると、これは問題にならぬでしょう。パーセントは私から申し上げるまでもなく、給与所得と比べると、お知らせの方は非常に悪い。そうすると、この所得の把握の低下は、お知らせ制度というものがやはり悪かったということに結論としてはなるのじゃないかと思うが、長官はどうお考えですか。
○渡邊政府委員 お知らせの制度というのは、お話しのように税務署の手のうちを先に見せるわけです。従って納税者の方のふところに応じて、自分の腹づもりより少いと、これならいいだろうとか、そういった意味において、確かにおっしゃる面が一つあるとは思います。しかし問題は、そこだけではなくて、むしろ基本的には、税務署の調査が正確にできるかできないかということにあるんじゃないかと思います。たとえばお知らせ制度でなくて、納税者の方から自発的に申告を出す場合においても、税務署の調査能力がしっかりしていれば、あとで文句を言ったりせずに、まじめに出していただけましょうが、税務署の調査能力が見くびられていれば、やはり下回った申告を出す。あとで過小申告加算税とか、いろいろな問題はありますけれども、その危険を冒しても、自分の腹づもりが百万円の場合、九十万円とか八十万円とか、その辺で出しておいた方がいいんじゃないか、こういうようなお気持の納税者がないとは言い切れないと思います。やはり問題は、われわれの方の調査能力をいかにして充実していくか。私どもは限られた人員でやっておりますし、納税者の数が非常に多いものですから、納税道義の高揚といっても、これは口頭禅じゃないか。当委員会に提案されております改正案が通過いたしますれば、税率が相当安くなります。従来の基礎控除、扶養控除だけの場合に比べますと、これは別の角度から御批判はあろうと思いますけれども、中位あるいは相当高額の人もかなり税負担が安くなるわけであります。そういたしますれば、われわれの方で調査能力を充実していくという努力と相待って、申告の正確さも確保でき得るのじゃないだろうか。そういったことがからみ合って、だんだん納税に対する観念も上っていくのじゃないだろうか。いろいろ考えて参りますと、今提案されております減税が実施されるというのは、一つのいい機会なんですから、この際お知らせ制度という従来のやり方をやめて、先ほど申し上げましたようなことを中心としたやり方に切りかえていく一つの時期じゃないだろうか。われわれも、どちらかといいますと、ここ数年お知らせ制度でやって参りました。私もちょうど東京の国税局長をやっておりまして、お知らせ制度についても、私なりに利害得失を相当考えてやってきたつもりでございますが、いい面と悪い画と両方あります。従って、いろいろ御論議になっておる申告納税の本来の制度からいったらおかしいじゃないかといえば、これはまさにその通りなのであります。従ってわれわれの方としては、来年度からはお知らせ制度をやめ、先ほど申しましたような構想でやっていけば、そう大きな支障はないだろう、同時に奧村委員の御関心の的になっております、どうも把握がおかしいじゃないか、調査がおかしいじゃないかという点は、われわれの方の調査をさらにより合理的、科学的なものに持っていく、あるいはそれと並行して、税率が下ることによって税負担そのものがそう無理でなくなってくれば、納税者の方においてもいやな思いをしながら、あるいは過小申告加算税というようなことを言われながら、無理な偽わりの申告をなさることも漸次なくなってくるんじゃないか。そういった意味において、明年度からはお知らせ制度をやめたいと考えているわけであります。
○奧村委員 給与所得とその他の所得の把握のアンバランスが今度の税制改正の大きな問題であって、それがために税率を大幅に軽減するとか、いろいろ今度の改正が企図されている。そうすると、今の長官のお話のように、法律改正をして、特に所得税中心に大減税をするが、そのかわりに、所得の把握をうんと向上して正確を期するということが当然不可分の問題で、われわれとしては、この法案を通す場合に、国税庁長官から、この法律が通った場合は、このように申告所得の把握は完全を期すという確たる御確信のあるところを聞き出さなければ、この法律は通せぬというところですから、もう少し聞きたいのですが、時間の関係もありますから、また午後にでもいたしたいと思います。
○石村委員 本会議も定刻に始まるそうですから、ごく簡単に名義貸しの件について、関連的にこの前の質問を補足したいと思います。 ただいま渡邊長官の御説明ですと、証券会社は帳簿を別にしているということですが、証券会社として、名義を貸しているのだからというので配当金を受領して、証券会社の収入をあげるわけにはいかぬでしょうが、これは企業経理上は、当然仮受け金くらいにはしなければならぬはずのものだと思う。これを別個の帳簿で内緒で書いておくのは、いわゆる二重帳簿の一種で、証券会社が意識して、犯意があって共同で脱税をやっているということになるのではないかと思うのですが、いかがですか。
○渡邊政府委員 石村さんの御質問のねらいがちょっとわかりませんが、仮受け金にしましても、結局証券会社自身の所得には関係ないわけです。従いまして、証券会社の法人税を免れるとか免れないという問題には関係ないわけです。要するに別帳簿にしていることによって、いわゆる名義を借りている人の脱税の共犯じゃないかということだと思いますが、その点は仮受け金にしておいても同じでありまして、問題はわれわれの方の質問検査権による質問に対して、相手方が答える答えないといった問題が中心ではないかと思います。仮受け金にしておきましても、結局これは人の物だというだけで、経理のやり方としては、その方が会計原則から見て正確ではないか、証券会社だって、一応それを預かり金にしておきながら、それがたとえば亡失したらどうなるとか、いろいろな責任問題があるでしょうから、どちらが企業原則からいってより正しいか、これは議論があると思いますが、私の方の法人課税という関係からいたしますると、結局仮受け金に整理して、それに見合う預金か何かを両建て計上にしておきましても、全然それを同じにしておきましても、法人所得の計算には影響がないわけです。その意味において、問題はやはり別帳簿にしているのが云々というのでなくて、名義貸しをした、それじゃだれに名義貸しをしているかということについて、証券会社が言を左右にしてなかなかはっきりさせてくれない。それが一体脱税の共犯になるかならぬかという問題になるのじゃないかと思います。
○石村委員 私の言っているのは、これは本来帳簿が二冊も三冊もある問題じゃなくて、それは経理がたくさんあれば、一冊の帳簿には含まれぬでしょうが、そういう意味でなしに、証券会社としての正式な帳簿に載せないで、いわば隠すための仮受け金の別帳簿を使っておる。仮受け金なら別帳簿で、全然当りまえの経理に載せなくともかまわないというなら、ほかの会社でも、何でも仮受け金だ、仮受け金だと処理せられたら、税務署としては処理できなくなるだろう、これは帳簿にちゃんと載せておかないとわからなくなると思うのです。それをわざわざ正式な帳簿に載せないで、心覚えというか何か知らぬが、そんな帳簿に載せて経理しておるということは、真実の株主の脱税と援助するために、税務署をごまかすために、そういう帳簿を使っておる、こう判断されるのじゃないかという意味で聞いたのです。
○渡邊政府委員 全然ほかに資料が出なくて、そしてお話しのように、本来なら仮受け金としておくべきものを仮受け金にしない、こういう話ですと、かなり石村委員のおっしゃった議論がずばりと私の方にも感ずるのですが、片方に配当の支払い調書がありまして、そしてそれと突き合せると、これは一応すぐわかるわけですから、証券業者としましても、配当の支払調書から調べられれば、少くとも自分のところで真実会社プロパーの配当金として受け取っておる金と支払調書に出ているものとは合わないのだということは、これはわかっておるわけです。従いまして、われわれとしましても、とにかく金額は遺憾ながらはっきりしませんが、名義貸しがあるということはわかっておる。従いまして、その意味で、仮受け金にしたしないということが私は問題の中心じゃないと思います。
○石村委員 その点はおきまして、原主税局長に申し上げておくのでありますが、せんだってこの限度を幾らにお置きになるかとお聞きしたときに、例の事業会社の配当金の支払いの報告の限度が一万円である、あるいは資産所得の合算の場合のことだと思うのですが、五万円の話をなさって、それとの均衡というようなことをおっしゃったのですが、一万円の問題も、私はあのときあとで申し上げましたように、そのねらい、趣旨は、手続きの煩雑さを省くためにあるんだろうと思うということ。合算した所得の問題は、これは考え方が違う問題じゃないかと思う。今名義貸しを問題にしておるのは、その正当な個人の所得は幾らあるかという所得の把握の問題でございます。それから合算所得の問題は、全然別個の観念から生まれたあの規定であるのですから、この五万円を今度の名義貸しの所得を把握するために報告させるということとは、全然性質の違ったものなのですから、この五万円との均衡問題は起らないと思うのです。従って、私の考えを言えば、一万円の均衡、あるいは五万円の均衡という問題は全然起らないという考えを持っておるわけですが、先ほど奧村委員からも、これは国会でもっと限度を幾らにおくかということを審議したいとおっしゃったし、私も政令に対する腹案がきまったら国会に示していただきたい。政令で定めるといっても、白紙委任ではないのですから、これをやっていただきたいということを申し上げ、これは大体原さんも御了承なさったと思うのですが、ただその腹案をおきめになる場合に、私の考え方は、一万円、五万円は均衡として考えるものではない、相手方が性質の全然違うものだという考え方を申し述べて、関連質問はこれで打ち切ります。
○原政府委員 御趣旨はわかりましたが、ちょっと私どもの気持をもう少し申し上げておきたいと思うのです。先般も申しました通り、名義貸しは、相当脱税問題につながるという問題もあると思いますけれども、非常に証券の民主化、大衆化が行き渡って、そうしてあの制度を利用している人に、かなりこまかい何もあるんじゃないかと思うのです。そういうふうに私どもも聞いております。そういう場合に、例の一万円の資料限度というものとやはりすぐ関係が出てくるわけです。自分でそういう証券会社の勘定を通さずにやる場合と、通した場合と、何もそう手続の簡素化という角度から区別する必要はないじゃないかということが出てくるわけです。そこでこの間特に申し上げましたのは、資料限度一万円は、一銘柄会社の方で一万円払う、あるいは会社の方で一万円以上のものを出すということになりますから、株をやっている人の方から言いますと、甲の会社の株だけやっているんじゃない、幾つかやっているというようなことがあるだろう。そうすると、名義貸しの中で、そういう手続の簡素化の見地から考えてもいいというグループについては、一人の人が何銘柄やっているかというような点も考えて、その辺のバランスは考えるべきじゃないかというふうに考えておるわけであります。御趣旨はわかりましたが、私どもの気持をなおつけ加えて申し上げた次第でございます。
○石村委員 これでやめますが、ただいまの原さんのお考えにはいささか不満があるわけです。手続の簡素化とかいうような問題は、証券会社の場合にはまずないと私は考えておるわけです。この問題は、またあとでいずれ政令の腹案をお出しになるでしょうから、あるいは国会で本法でこれを規定するとかいうことにもなるでしょうから、後刻に譲りたいと思います。
○横錢委員長代理 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後は本会議散会後に直ちに再開することとして、暫時休憩いたします。 午後零時四十九分休憩 ————◇————— 午後三時十八分開議
○山本委員長 それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。 所得税の一部を改正する法律案外十一法律案を一括議題として質疑を続行いたします。石村英雄君。
○石村委員 まず今度の家族の合算問題についてお尋ねいたしますが、これは横山君がかなり詳しくお尋ねしたのですが、私そばで聞いておって、大蔵省の考え方はあるいはこうではないかというように理解したのです。横山君は、実質課税の原則と家族合算制度との関係を論じておりましたが、しかし私がこの法律を理解するところでは、実質課税の原則というものと家族合算制度の創設、この二つは別の範疇に属する問題ではないかと思う。家族合算制度がいい悪いは別として、つまり実質課税の原則というものは、その個人の所得を把握するという問題である、一個の人に実質的に所得が幾らあるかということを追及し捕捉するというために実質課税の原則がうたわれておるのであって、家族合算制度というのは、その個人の所得を追及し、捕捉するという問題ではなくて、日本の一般的な家族生活の実情から見て、生計を一にする家族に所得がある場合、所得そのものはあくまで家族のものであって、実質課税の原財によっての、一戸の家長のようなものに帰属するというものでない場合に、同一の世帯で生計を営んでおるから、家族の所得を含めた所得に対して税率をかげんすると言ったらいいですか、普通の税率を適用しないでやっていく、だから全然別個の範疇の問題が扱われておる、こう理解していいんじゃないかと思うのです。家族合算制度にちょっと似たのは——制度が似たというのではありませんが、税率適用の考え方の似ておるのは、たとえば山林所得について五分五乗の税額をはじき出すという考え方に幾らか似ておるやり方を、家族合算という形で、同一の生計を営んでおる家庭においての所得に対して税率を適用する、そういう違った範疇の考え方のもので作られておるというのではないか、こう理解したわけですが、その通りでございますか。
○原政府委員 その通りでございます。
○石村委員 そうすると、家族合算制度そのものに対する疑問は、さらにあとで検討してみたいと思うのですが、次に、これもやはり横山君が問題にして詳しく聞いております人格なき社団の問題ですが、なるべく重複を避けたいと思って、横山君の聞いた速記録が来ておればと思って調べてみましたが、まだ私の手元へ会議録が回っておりませんので、あるいは重複するかと思うのですが、まず法文でお尋ねするのですが、五条の三項に「前二項の規定は、人格のない社団等について、これを準用する。」こうあるのですが、前二項、つまり一項と二項を準用する、こういうのですが、二項の準用はわかりますが、一項の準用はどういうことを準用するというのでございますか。
○原政府委員 前二項の規定の第一項といいますのは五条の一項の初めに「左に掲げる法人の所得で収益事業から生じた所得以外の所得に対しては、各事業年度の所得に対する法人税は、これを課さない。」これを準用しておるわけでございます。
○石村委員 そうすると、この準用は、法人の所得で収益事業から生じた所得以外の所得に対しては課さないということを準用しておる。この五条には、そのことは日本赤十字社とかなんとか法人を決定しておるわけですね。これら規定された特殊な法人の所得で、収益事業から生じた所得以外の所得に対しては法人税を課さない、こういうことになるので、これを人格なきものに適用するということになると、それはそういう解釈もできるかもしれませんが、日本赤十字社とか、法人が決定されている。そういう問題を、ここに左に掲げるというような書き方でなしに、収益事業から生じた所得以外というように、単にそのように書いてあれば、法人において準用ができるかと思うのです。ところが左に掲げる法人、この条文ではあくまで決定されているのですが、準用は、やはり収益事業から生じた所得以外には適用しないということだけに限るわけですか。
○原政府委員 その通りでございます。
○石村委員 そうすると、人格のない社団または財団というものは、これは公益法人と限ったわけじゃないのですが、この五条三項で前二項を準用するということから、当然収益事業でなければ、法人税を課さないということになるのは、この準用関係から生まれてくるわけなんですね。
○原政府委員 その通りでございます。
○石村委員 この収益事業ということは、さっき資料もいただきましたが、税法上、普通どのように定義づけられているのですか。
○原政府委員 法人税法の施行規則第一条の三に、五条一項の法人について収益事業の定義を掲げております。それによりますと、収益事業とは左に掲げる事業をいうとして、若干ただし書きがありますが、一号から二十九号まで、一つ削除がありますので、数は二十八ございます。おもなものを読みますと、製造業、運送業、出版業、旅館業、料理店業、物品販売業その他二十八業種が規定されております。
○石村委員 収益事業がこの施行規則できまっておるのですが、この施行規則は、この関係で今度何か改廃されるお考えがありますか。
○原政府委員 今回の人格なき社団等に対する課税に関しまして、けさほど資料をお手元に差し上げてございます。今回の改正に伴いまして、この収益事業の範囲について、そこにありますように、継続的に事業場を設けて行う事業、ただいま申しました二十八業種というふうにいたしたい。なお特定の資格要件を有するものを会員とする団体が、主として会員に出版物を配付している場合は、出版業に該当しないということにいたしたいというふうに申しております。 なお二十八あります事業について、最近の事情にかんがみて若干補充をしなければならぬという問題もございますが、それはこの五条一項の法人と共通の問題として、それが改まれば、それも入って参るということに相なる次第でございます。
○石村委員 けさそうしたことに対する簡単な資料をちょうだいいたしましたが、この資料だけでは、やはり疑問が相当浮んでくるようでございます。そこで政令案ですね。これは大体できておるのではないかと思うのですが、少くともほかにも政令がたくさん関係があるわけなんですが、この人格のない社団に対する今の収益事業の範囲等の政令に当るものを、明日でも出していただけないでしょうか。
○原政府委員 この資料の1の(1)に書いてありますことが政令の要綱案に当るものでありますから、これでお読みいただきたいと思って出したわけでありますが……。
○石村委員 そこで、この人格のない社団あるいは財団、これを今度課税するという考え方ですが、これはどういう考え方から出発したのかといろいろ私も考えてみたのですが、結局大蔵省の考え方は、この人格のない社団または財団が現在実存しておるということ、これはだれも争わない問題だと思います。そしてこの社団または財団で収益があったとする。その収益が個々の会員と申しますか、何かにすぐ帰属すれば、これは実質課税の原則か、あるいは何らかの方法で個人の所得として、対象として課税ができる。ところがこういう経済行為をする団体が、配当という形か何らかの形でやらずに、保留して事業の継続をやっておると、現行のままでは、個人の所得税にもならない、法人税にもならないということから、その一つの経済行為をする団体の保留した利益については課税の方法がないということが主たる原因で、こういうことをお考えになったのであろうかと私は判断したのですが、特にこうしたものを新たにお入れになった理由はどこにあるのですか。
○原政府委員 大体お話しの通りの気持から、こういうふうな改正を行いたいと思うわけであります。ただいま利益を保留する、また分配するというお話がございましたが、人格のない社団等で、今の段階で利益の配当をするというようなものは、実際にもほとんどございませんし、そういう問題のまだ出ない段階として保留しているからどうということでなくて、要するにそれによる所得については課税しなくてはいけないという考え方でお願いしているのでございます。
○石村委員 ただ単に、それならこれは結局個人に帰属していくと思うのですが、利益にしろ何にしろ、何か出てきたら、その個人に帰属するものを実質課税の原則か何かでやっていけば、あるいは実質課税の原則を引っぱり出さなくったって、直接所得になったというときに捕捉すればいいのではないか。ただ私は、問題は分配せずに、一つの法人でもない個人でもないものが保留して経済行為をやっていることに対する課税ということが、やはり問題になってくるんじゃないか、こういうように理解するのですが、そういうことは大した問題ではなくて課税するということになると、やはり相当問題になってくるじゃないかと思います。
○原政府委員 場合を、全部分けてしまうという場合と全部保留する場合と、分けてお考えになっているかどうか、ちょっとお尋ねの何がわかりませんが、いろいろな場合があると思います。先ほど申しましたように、今の段階では、ほんとうに人格のない社団であるというものの分配は大体ないだろうと思いますが、かりに一部保留して、若干分配しているという場合でも、その分配分は別だというのではなくて、その全部を所得として考える、そして課税するというつもりであります。なお全部が個人に分配されるという場合に、おっしゃるように、実質課税で個人課税だといえる場合が相当多いとは思いますけれども、理屈で考えますれば、人格なき社団がやはりあって、そうして分配される場合もあろうかと思います。実際にはまだそういうケースはないと思っておりまするが、そういう場合も観念的にはあり得ると思っております。
○石村委員 そういうお考えは、結局法人ではないが、事実上法人と同様な経済行為をしておるんだ、個人に分配する前に、その一つの財団あるいは社団としての利益に、ちょうど法人税をかけるようにかけなければならないという事実の問題、そういう社団あるいは財団というものが現存して、法人同様の経済行為をしておるということから、他の法人との関係上、当然かけなくてはならぬ、分配されようがされまいが。分配した場合には一つの配当所得として、さらにその次の段階で課税するのだということもありましょうが、とにかく法人格はないが、他の法人と同様の機能を営んでおる一つの団体だ、そういう見地から法人とみなすということになった、こう理解していいわけですか。
○原政府委員 大体それでよろしいと申し上げていいと思います。ただ分配の場合にすぐ配当とみなすかどうかという点については、先ほど申しましたように、まだそういう実体がある段階になっていない。そういう実体があります場合、それを見て、それの法律構成といいますか、税法上の扱いというものはなお明確にいたしたい、ただいまのところは、それをはっきり配当とは割り切っておりませんが、かける趣旨はお話しのような趣旨でございます。
○石村委員 私は、この問題をあまり深く検討もしていないし、実際のことも存じません。昨日公聴会があって、何とかいう方がいろいろ御意見をお述べになったが、所用があって十分御意見を聞くことができなかったので、また後日よく調べてさらにお尋ねしたいと思います。 次に、ちょっと簡単なことですが、今度配当控除を二〇%になさった。この二〇%を決定された理由はどこにあるのでございますか。
○原政府委員 配当控除につきましては、今までは御承知の通り本法で二割五分の控除、それに措置法で五分の控除、合計三割ということになっております。今回措置法の五分のをやめて、さらに本法の二割五分を二割に切ったわけでございます。その考え方でありますが、これはまず現在の税法の規定が、よくいわれます法人擬制説ということで、法人税は個人の所得税の前払いだというような考え方に一応立って、その基礎でこの配当控除という制度ができているのでありますが、その場合に、完全に法人税を控除するという完全な擬制説という方式をとるか、あるいは何か別途の考慮を入れるかということについていろいろ問題があるわけでございます。それをもとにさかのぼりますれば、擬制説をとるか、実在説をとるかという形でも議論され得る問題でありますが、この問題につきまして、擬制説というものは、一応それなりに理論の通る説ではありますけれども、実際上の観点から言いますと、それを完全にやるということがいいのかどうかということは、非常に問題がございます。各国の例を見ましても、イギリス、ドイツ、アメリカというような国々が擬制説的な考え方を多かれ少かれとっております。だいぶ近ごろはそういうふうな方面への動きが多いようでありますが、その各国でも、法人税を完全に返すという国はどこもございません。イギリスが一番擬制説的な考え方に忠実だといいますか、近いといわれておりますが、その場合でも、法人税のうち返されるのは、その四三%程度にしかなりません。ドイツですと——ドイツのは、税法の考え方をそういう面で割り切るかどうかの問題がありますが、かりにそう考えたとしても、三分の一しか法人税は返してない。アメリカの場合は、所得階級によって率が違ってくるようなことになっておりますが、せいぜい法人税の一四、五%しか戻さない。これはよく言われますように、擬制説的な考え方を一方で持つにしても、実際にその株というものは、投資家の立場から見て、そして投資家の受ける所得というものから見ると、あんまり完全にいくというのはどうも行き過ぎだというようなことがある結果、そういう国々においても、率にすれば、いずれも五割しか返さないということになっているわけです。そういう意味で、現在の法律の建前も、必ずしも擬制説に突っ切ってない中間的なものとして、現在の三割というものは、実情にかんがみてやはり多過ぎるというふうに思いまして、これを減らして参ろう。なぜ二十にしたということをぴたり御名算で出せと言われますと、非常にそこは議論のあるところで、二十が十五でもいいじゃないかという議論もあるし、まあ二十五にしておけという議論もございますが、その辺のところは、あんまり急激にもいきかねるし、また最終目標をどこにするかという問題についても、相当議論の余地のあるところであります。今回の所得税減税の度合いその他を考えて、二十五を二十にしたと申し上げる以外にないのであります。配当だけ持っている場合は、現在では百二十二万まで所得税がかからないものが、今回の改正で百四十九万になるということで、そこは今申したのと若干逆なような感じを持たれるかもしれませんが、所得の額からいいますとそうでありますけれども、税額でいいますと、百二十二万の人は三割ですから、三十六万六千円の税金が、配当以外の所得だったらかかるものがかからない。今回の場合は百四十九万の二割ですから、そういう意味では、五十万円弱というようなことになるわけです。くどくど申し上げましたが、全体として法人についての考え方についても、やはり実情に即して、従来のあまりに多い控除をだんだん調整していかなければならぬという考えが一つそこにあるわけです。そしてそれを所得税の改正度合い等を考えて、漸進的にいこうというような考え方で、とりあえず二十にしたというふうに申し上げたらよろしいと思います。
○石村委員 二割にしたということが、幾らか法人擬制説を薄めたというか、実情に合うようにしたというか、われわれのような実在説を主張する者からいえば、幾らかその方へ前進してもらえた、こうとれると思うのです。しかし私は、これはそうではないと思う。決してあなた方が前進されて二割になさったのじゃない、こう判断せざるを得ない。それはなぜかというと、現在の三割というのは、五分の特別追加の分は、この三月末でたしか切れると思うんですが、二割五分が本法の控除額ですが、これをきめたときの算出方法、つまり最高税率とそれから法人税率、そうしてそれを引いたもの幾らという一元一次の方程式で出してくると、大体二割五分に以前はなるはずです。今度の税率でやってみると、ぴったり二割になるので、考え方はちっとも前進してはいない。そろばん上二〇%、以前の二五%のときと同じように方程式を解いた結果が三十になったので、考え方が前進したんじゃない。ただ考え方が前進した、こう好意的にとれば、一千万以上を今度一割にしたということは前進ととれるんじゃないか、こう考えるんですが、二割が前進だと言われると、そういう文句をつけたくなるわけですが、どうですか。
○原政府委員 お話しの、二十五年に最初この制度ができましたときの二割五分の計算は、最高税率とその次の税率との間くらいの辺にこれが当ったわけであります。ほぼ最高税率に近い、その通りの方式でやりますと、実は二割にならないです。むしろ一割に若干切れるくらいでございます。二割になるのは大体千万円前後のところです。ですから千万というところで、その上の一割にしてるから、そこで二割でいいという御判断でおっしゃってるんだろうと思いますが、もう一つの言い方をすれば、最高税率のところは一割なんだから、下までそれでやれという議論もあり得るんです。その辺のところは、実はあの当時のきめ方にしても、最高税率のところでやるべきなんだというまでの割り切った考え方でない。当時は三十万円というところで最高税率になったわけです。ところがだんだん経済情勢も変って参り、税法も変って参って、税率区分の幅が非常に大きくなってきているというように考えますと、最高税率に合わすという方式自体がどうかという問題があります。そこで今回は千万までの分は二割、こえる分は一割ということにいたしましたので、これは必ずしも最高税率ベースでやるという方式にとらわれないで、結果としてこの程度がよろしいかどうかというような見方で、われわれやったつもりなんでございますが、確かに千万をこえる分を一割にしましたのは、相当これはそのクラスの所得層にとっては、大減税にかかわらず、相当の増税になるということで打撃であると思いますが、これはやはり私どもも相当大きな改善ではないかというふうに思ってるような次第でございます。
○石村委員 二割を算出せられた基礎なんというものをあまり厳密に言ったってしょうがないと思うんですが、まあ一千万円以上一割にせられたということは、大へん前進ですが、これは結局法人擬制説というものが、大蔵大臣のおっしゃるように、理論上正しいなどということはもう言えなくなったということを示しておるのじゃないか、こうわれわれは考えるのです。この前池田大蔵大臣が見えているときに、擬制説に立って計算してみると、資産税所得の者でも、少いものほどよけい税金を納めることになるのだということを申し上げたところが、お前の言うことは数字を検討してみなければ何んとも言えないというような御答弁があったのです。これは大蔵大臣からの御答弁を求めてもいいと思うのですが、どっちかといえば議論を好むようなことになるおそれがあるから、主税局長の御答弁で済ませますが、あの問題はどうなっておるのですか。
○原政府委員 擬制説的な考え方で非常に厳密にいきますれば、一率に何パーセントということでなしに、取った法人税をはっきり源泉徴収として返すということになるわけですけれども、ただいまも申しましたように、この擬制説で完全に貫くのが実態に即していいか悪いかという問題は、必ずしもよくないというふうに考えて、これを調整しよう、します場合に、率を変えるという問題もありますけれども、これは大体各国ともなかなか——全部返さないにしても、精密にやるというようなやり方をしているのは必ずしも多いというのではない。一率の控除ということでよろしいのではないか。配当所得層というものはどの程度おるかというような問題もございますが、その辺も頭に置きつつ、擬制説と実在説との間で妥当な控除の率をきめて、それ一本でいくのが簡素であり、便宜であるという考え方でやっておるわけです。あまり上の方で、二割なら二割、三割ならなおさらでありますが、返し過ぎになるようなことになってはいけないから、それは頭を切るというようなことで、一つの税法としてあまりに微細に計算するということをしないでやるという型の一つであり、またその底には、制度の根本の考え方が必ずしも擬制説で割り切らない、両者の中間で実態を見つつ妥当な線をきめるというようなことが考えられておるということと対応するものと考えております。
○石村委員 もちろん配当控除というものを正確に擬制説に立ってやろうとすれば、それぞれの所得階層別に実効税率を出して、そして控除を一々きめていかないとこれはできないと思うのです。ところが実際問題としてそんなことはできないから、勢い今のような二割にして、あるいは千万円以上を一割とするか、零にするか、五分にするかというやり方をとらざるを得ないと思う。法人擬制説に立脚する以上、私が申し上げる少額の資産所得ほど税額は重いという結論は当然出てきて、しようのない問題だと思う。それは一々実効税率によって控除率をきめ、取り過ぎの分は一々返していくということをやれば、そんな問題は起りません。しかし二割控除とか、あるいは幾ら以上は五分にするとかなんとかいうやり方をすれば、どうしても計算上少額の資産所得者が高額所得者よりも税金をよけい負担するという結論が生まれてこざるを得ないと思う。私はそういう点からも、もう法人擬制説というものはすっぱり思い切られた方がいいのではないか。これをとっておられる以上、いつまでたったって野党の攻撃材料は残る。そして大蔵大臣は、片方が正しいが、正しくない方へ進んでいきますというような気違いみたいな答弁をしなければならなくなるということになる。もういいかげんに擬制説なんというものはあきらめて、実在説でおやりになるべきだ。人格なき社団も、結局一種の実在説だと思う。これは個人の集合であって、そんなものは存在しないんだというのなら、人格なき社団というものを新たに出して税金なんか取ろうと考えなくたっていいはずなんです。やはり擬制説というものは成り立たないものであって、これはよくいわれる、木を見て森を見ざる者というのと同じ議論だと思う。森というものは現存することは争えない事実だと思う。個々に分解すれば、それは単なる樹木にすぎないかもしれませんが、それが集まって一つの森という概念が生まれてくるのは、人間社会において当然のことである。この法人も、個人の集まりだ、そんなものはないんだなんというような擬制説というものは、現実の社会に当てはまらない考え方だろうと思う。理論的にも、おやりになる以上、こんなそろばんをはじけばおかしな結果というものが幾らでも出てくるということになるわけですから、できればこの改正を改められ、擬制説をすっぱり思い切って、正しい実在説の方へどんどん進んでいくということにしていただきたいと思うが、いかがですか。
○原政府委員 これは所得税、法人税両方にまたがる非常に大きな問題でございます。どちらかといえば、おっしゃるような気分のかまえでおりますが、擬制説でなく、実在説でいくんだというまでにはっきり割り切っておりません。先日申しましたように、法人の中にもいろいろ法人があり、非常に株が普遍化した法人と、同族的な法人と、その辺でもこの両説の適用についてニュアンスをつけるべきだというような考え方もございまするし、また全体として擬制説を全部捨ててしまうのがいいかどうかということになりますと、必ずしもすぱっとここで申し上げ切れぬのは残念でありますけれども、どちらかといえば、かまえはおっしゃったような向きではなかろうか、ここで私の個人的な感じとして申し上げるのをお許しいただきたいと思うのでありますが、そんな気持でただいまおります。いわば税法全般を通ずる非常に大きな問題でございますから、なお十分研究したいと思います。
○石村委員 この問題は、主税局長をあまり追及しても、同じような御答弁になると思いますのでやめます。 次に、重要物産の免税点について、従来の簡単な法律が今度は相当長い条文に改められておりますが、この変更の主要点を御説明願いたい。
○原政府委員 法人税法の第六条をごらんいただきたいと思いますが、改正の主要点は三点であります。 第一にこの対象となります品目について「国民経済上重要と認められる新規産業に係る物産で、その製造若しくは採掘の技術が確立されていないため又は需要の見とおしが困難である等のためその製造又は採掘の事業の開始に当り採算について著しく不安があるもの」だということをきめたことであります。 第二は、今までは物産の指定について期限を切っておりませんが、これに期限を付することにいたしたことであります。その規定は改正第六条第一項の初めに、「命令で定める期間内に」云々と書いてございます。これが改正の第二点でございます。 第三点は、今までは事業開始または増設の場合に、それが動き出してから、その年度とあとの三年間の所得については全部免税することにしておりましたのを、あまり所得がたくさん出るところまで免税する必要はない、それに頭を打とうということであります。そのことが第六条第一項のただし書きに書いてございます。「ただし、当該事業年度においてその免除されるべき所得の金額の合計額が、当該事業年度終了の日現在において当該重要物産の製造又は採掘の用に供されている固定資産でその償却額が各事業年度の所得の計算上損金に算入されるもの」つまり減価償却資産であります。「の取得価額の合計額の百分の四十に相当する金額をこえるときは、そのこえる金額については、」免税しない。この百分の四十を適用する場合には、最初の年度とあと三年間だんだん免税された額を累積していきまして、そのときどきの累計減価償却固定資産の額の四割になるかならぬかを見て、それをこえる部分は免税しないということであります。 改正の要点はこの三点であります。これらについて若干敷衍して申し上げたいと思います。 まず第一点でありますが、今までは現行法の第六条で、指定する重要物産を一切命令に譲っているのでありますけれども、それと第二点の期間の指定がないということのために、実際問題として、指定されております物産の種類について非常に疑問が出てきている。やはりこういう手厚い優遇をする以上は、先ほど申しました第一点のような趣旨が必要なのであろう。本来そういう趣旨で始まったものであるわけでありますけれども、期限がないということともあわせて、一度指定されると切れないということもございましたせいもありますが、性格的に割り切って説明するのがむずかしいという状態になっておりましたのを、ここではっきりと条件を規定する。つまり国民経済上重要と認められる新規産業でなくちゃならぬ、しかも採算について著しく不安があるとして認められるものでなくちゃならぬということであります。 第二の期限の指定は、ただいまも申しました通り、毎年法人税法を御審議願い、成立施行になりますと、あわせてこれを指定します命令の規定の方も全体の改正案として出るわけでありますけれども、実際には——通例三月末でありますが、三月末までにどれを切りどれを残すかということが、非常な紛争の種になるわけであります。率直に申しますれば、担当の主管官庁もなかなか踏み切りがつかぬような場合も多い。かたがたこういう優遇を与えるについては、国民経済としてそういう産業設備を持たなければならぬということがまず大前提になっているわけですから、それについて特定の期間を考えるのは当然のことであろうということと考えあわせてこの期間を置く、これはものによって三年ないし五年というようなことをわれわれ考えております。 それから第三点には、要するに現在ではえらくもうかりましても免税になる。もうかればもう免税になるものがないのは、この制度の前からの問題と申しますか、そういう制度なのであります。四割という法人税を全部負けてもらうということについては、やはりある程度のところまでの所得について免税をしてもらうということで十分ではなかろうかということを考えまして、それを固定償却資産の四割ということに切ったわけであります。 なぜ四割に切ったかという問題でありますが、私どもいろいろ調べてみますと、結論から申しますれば、通常の事業の総資本に対する利益率が、いいときが六%、近年の例では、悪い年で四%台というようなことになっております。大体それらを見合いまして、総資本に対する利益率がそうならば、固定資産に対してはどうだということを見ますと、総資本に対するものを六と見れば、固定資産に対しては十だ。ですから四と見れば七くらいというようなことになります。それらを考えて三年、若干の年数をそれにかけ合せるというような計算をいたしまして、大体その程度免税になれば普通にいく場合の収益が免税になる。それをこえたらば税を納めるということで十分ではなかろうかというような気持から、この点に抑えを打ったということでございます。大略重要物産免税の改正の要点を説明いたしました。
○石村委員 社会党のわれわれは、こういう重要物産の免税を認めないという立場に立っておりますが、それはただいま主税局長もおっしゃったように、もうかるものへ一種の恩典を与えるのであって、もうからなければ何のありがたみもない、危険なことをかりに企業がやっても、それがうまくいかないで、二年たっても三年たっても赤字だというものには何ら恩典はない。最初やるときは危険だったか知らぬが、実際やってみれば大へんもうかったというようなものだけがこういう免税という大きな恩典を受けるということは、実におかしい。もしそういう制度を考えるならば、反対に一定の利益が生まれるまで補助金を出すとかいうやり方の方がほんとうじゃないかというような考えで、否定する立場に立っております。しかしこういう制度を認めるという点からは、今度の改正は大へんけっこうなことだと思います。 そこでせんだって横錢君が、例の東京通信のトランジスター・ラジオのことですが、あれが今まで苦労してやって、今度松下か何かがもうかりそうになったからやれば、また免税になるというようなことが新聞に出ておるといって御質問いたしたようですが、今度の二項の追加で、また一項の期限の関係もあるのですが、その方でそういうことは今度は起らないと考えていいのですか。つまり二項の方で言えば、東京通信の例で言えば、トランジスター・ラジオが新規産業であって、当時はどこもやろうとするものはいなかった、それをあえてあの会社がやって技術を確立した今ごろになって、ほかの財閥や大会社が、うまくいったから、とにかく重要産業だ、それをやろうということは、この二項の関係——まあ一項の期限の関係もありましょうが、その関係で防げることになる、こう理解していいのですか。
○原政府委員 先日お話しがありましたので、勉強せなければならぬと思っておりますが、実はまだ所管の省の方から正式なお申し入れがないので、私ども十分結論に達するまで至っておりません。そこで二項によって、新規でないということでいけるかどうかということでありますが、これは実情をよく聞いてみた上で何したいと思います。新規という解釈を、一社でもあれば新規でないとするかどうかということは、やはり実情に即してみなければいかぬのではないかと思っております。所管の省から十分説明を聞きまして、その上で善処いたしたいと思っております。
○石村委員 それで、これは勉強の意味で聞くのですが、トランジスター・ラジオの話が出ましたから、施行規則を調べてみましたのですが、われわれの科学知識では、どれがトランジスターをやるに当って免税を受ける重要物産の範囲に入るか入らないか、これを見るとさっぱりわからないのですが、これのどれによって入っておるのですか。
○原政府委員 ただいまは入っておりません。ないのであります。それをあの記事によりますと、これを今度入れてくれという趣旨の運動があるように承知いたします。
○石村委員 これもかなり重要な問題ですから、政令も現在の施行規則の第二条を取りかえるのが当然のことですが、これも一つ早く委員会にお示し願いたいと思います。 それでは私はこれで終ります。
○原政府委員 主管省の話を聞きまして、できるだけ早い機会にお目にかけるようにいたしたいと思います。
○山本委員長 横錢君。
○横錢委員 おそくなりましたので、一、二点一つ伺っておきたいと思います。国税庁長官にお聞きいたします。 二月二十二日に広島の東税務署が火災によって全焼した。これによって徴税期を迎えて相当程度重要書類が焼けてしまったので、徴税困難を来たすのではないか、こういうふうに見られるのですが、どういうふうな事情になっておりますか。
○渡邊政府委員 お話しのように、二月二十二日に広島の東税務署の中から出火いたしまして、税務署が焼けた。国の貴重な財産を焼失させたことを非常に遺憾に思っております。当時の実情をごく簡単に御説明申しますと、二十二日の午前一時二十分に発火いたしまして、二時四十分に鎮火いたしました。焼けました部分は、本館二階建全部、事務室と自転車置場でございます。事務室五百六十三坪四合、自転車置場五坪、この庁舎には別に耐火書庫——これはコンクリートで作られております。その耐火書庫及び自動車、自動車の車庫、これは焼失を免れました。それから金庫も——これは木造の中にあった分も、その中身は焼失を免れております。当時宿直が二人おりまして、大体夜間は十七時半、それから二十時、二十三時三十分、一時半、三時、五時の六回にわたりまして一応宿直が庁内を巡回することになっておりますが、二十三時三十分に巡回しましたときにおいては異常はなかった。それがその直後に発火したといったような関係になっていると報告を受けております。当時の職員の服務の状況は、所得税の係員が一名六時半まで残業はしておりました。あとの者はおおむね五時半ごろに退庁していた。火気はそのとき全部落しまして、一人残っておりました者がおりましたが、まあそう長く居残っておったわけでもございませんでしたから、全部を落したということを言ってきております。そんなわけでございまして、どうも出火の原因が非常にわかりかねております。原因につきましては、目下広島の西の警察署でもって調査中でございますが、現在までのところまだ判明しておりません。 そういうようなわけでございまして、庁舎の方は全部焼けましてございますが、主要の帳簿は耐火書庫に入れることになっておりまして、また事実大部分は入っておりました。従いまして、主要簿書も全部が助かったというのもいかがかと思いますが、大部分は助かりました。同時に助かりました簿書を利用することによりまして、大体全部の簿書が相当新しく調製できるのじゃないか。もちろんものによりましてある程度納税者の方に伺うとか、行って補充する面もあろうかと思いますが、現在鋭意その方向を進めまして、差しあたりましての仕事におきましては、大体順調な復旧ができておるというふうに聞いております。
○横錢委員 当日二十三時三十分に宿直員が巡回したというのは、何かそれを確認できるような証拠が残されているのかどうか。また原因についても、出火であるか、あるいは放火であるか、漏電であるか、全然見当がつかないということは、実に奇妙な火事であります。従ってこの火災の原因というものがわからないというと、当日における職員の責任と申しますか、これが当直職員の不注意であったか、あるいは不注意でなかったか、そういう点におけるところの処分ということも非常に考えなければならない問題でございます。従ってこういう問題もあわせて考えておられるのですか。この辺の見解はどうですか。
○渡邊政府委員 巡回に当りましては、巡回時計を使用しておるようにたしか聞いております。ちょっと今記憶が正確でありませんから、もし間違っておったらあとで訂正したいと思いますが、先日局長が来たときの話として、巡回時計を使用しておるような話を聞いておりました。その巡回時計は多分残っておるのではないかというふうに思います。巡回時計が残っておれば、一応巡回はなされたと思います。その時間ですが、今私が申しましたように、一応の報告は、一時二十分に発火したといって、片方は一時三十分に巡回ということになっております。ちょっとその時間が食い違っておりますが、とにかく発火直後に巡回したといっております。巡回時計が残っておりますれば、その巡回した事実は、一応確認していいのではないかというふうに思っております。 それから、出火の原因を究明することにつきましては、御説のように、われわれが責任者をどういうふうに処置するかという問題とも非常に密接な関係にあるわけでございます。この点につきましては、もちろんわれわれの方もいろいろ調査はしておりますが、御承知のように、主として警察が専門的にその方の調査を、これはどの出火の場合においてもなすって下さっております。われわれの方といたしましては、その点につきましては、一応警察の調査の方に最終的な結論はお願いいたしまして、その調査の結果を伺うべく目下待っているわけですが、まだかまだかといったような調子で、ときどき催促と言っては語弊があるかもしれませんが、その後の状況はどうだという点を照会しておりますが、現在までのところでは、目下調査中でまだ結論が出ない、こういうような回答しか出ておりません。
○横錢委員 その原因がわからないうちは、職員等あるいは責任者等に対する処罰ということは見合せるべきではないか。ということは、たとえば漏電によって起っておる、あるいは放火によって起っておるという場合と、純然たる失火によった場合とでは、処分の仕方というものが根本的に違ってくるだろう、こう思うのであります。この件に関して今答弁がなかったのですが、この点はどうお考えになりますか。
○渡邊政府委員 調査の結果を待ちまして——果して原因がはっきり究明できるかどうか、これも私、従来の例をちょっと聞いてみたのですが、いわば原因が不明のままで終ってしまうこともないではないようであります。しかし、この場合がそれに該当するという意味ではございません。従いましてわれわれの方としましては、責任者を処置するにつきましては、ある程度その辺の点を十分見きわめまして、できれば原因の点がはっきりした上で措置すべきものなら措置する。やはりよほど慎重に考えていきたいという気持は持っております。
○横錢委員 焼失して、仮事務所において事務は行われておると思うのですが、徴税時期も迫っておりますし、あるいはまた大切な税務署でもありますので、これは早急に新庁舎を建てなければならないだろうというふうに考えておりますが、新庁舎の建設についてはどういうふうな考え方を持っておるか。
○渡邊政府委員 さしあたりの問題といたしましては、すぐに仮の庁舎に入りまして仕事を始めましてございますが、机、いす等は、近隣の税務署の余っているものを入れるとか、局の予備品を入れるとか、そういったことをいたしております。同時に、経費の点につきましても、一応庁の方から差し繰りまして、当面の必要の経費は、さしあたってはまかなわしております。お話しの新庁舎の関係でございますが、現在主計局と折衝して、大体事務的にはほぼ了解を得たと思います。そして三十二年度の予備金でもって、今度は大体鉄筋の建物にしていただきたいと思っておりますが、それを建てていただくということをわれわれの方としましては主計局へ要求し、かなり折衝が進んでおります。
○横錢委員 それでは次の点について伺います。所得税の改正に伴って、勤労控除も額が若干上っておるわけですが、この勤労控除の中には一体どういうふうなものが含まれているのか、この控除を行うについての考え方、あるいは要素、これを一つ承わっておきたい。
○原政府委員 勤労控除の性質、存在理由につきましては、いろんな考え方がございます。その大体を申し上げますと、一つには、事業所得者の場合には経費が収入から差し引かれる、勤労所得についてもそういう経費的なものを考えるという考え方があるであろうという、経費的なものを除く意味を持たせるという考え方が一つであります。 それからもう一つは、勤労所得というものは根が弱い。つまり事業所得なら事業設備というものがあって、設備と、それから勤労なりあるいは企業的な活動なりの結合によって所得が生まれる。ところが勤労者の所得というものは、からだがだめになればだめだ、死んでしまえばそれまでだというようなことと、また事業自体としても、人に雇われるということで、その人——その人と申すと何ですが、独立の活動ではないという意味から、やはり担税力が弱いという見方が一つございます。 それから第三には、実際問題として、給与所得の方は課税がかなりフルにできる。ところが他の所得にありましては、所得計算自体が収入から経費を引く。引きます経費にもいろいろニュアンスのあるものがありますから、そういう意味で、技術的にもきちっと所得額を正確にはじき出すということに困難がある上に、特に日本の現状におきましては、実際にはだいぶ抜けておるのが多いじゃないかというような考え方、それをよく把握控除だ、把握が違うという意味での控除というような言い方をしますが、そういう考え方。 それから第四には、先日もお話に出ました、勤労者の分は源泉徴収を受けておる、事業所得の方は年三回ですが、やはり時期が平均しておくれるというような意味で、一々金利の計算をするというこまかい考え方でなくても、そういう金利的な考え方もあるじゃないか。 おもに考えられる理由はそういうようなもので、それらをどういうふうにウエートをつけて考えるかというような問題になりますと、これはなかなかウエートをはっきりつけにくいもので、私どもは、やはりそれらのものが理由になってこの制度があるというように考えておる次第でございます。
○横錢委員 今の局長の答弁の中には、勤労者の必要な経費ということに触れているが、直接なものについては御説明がなかった。そこで直接の経費の中で、しかも人によって違うもの、あるいは人によって全然ないものとあるもの、しかも明瞭なもの、中には通勤の定期代がある。勤労控除のみならず、社会保険料とか生命保険料とか、あるいは各種にわたっての控除が行われておるわけで、この控除は、それぞれ必要があって控除が行われているわけだが、勤労者の場合、経費等から見たならば、当然通勤の定期代というものは必要経費として控除されるべきものと考えるわけですが、これをなぜ今度の場合にも入れていないのか。
○原政府委員 それは勤労控除でまかなっているという考え方であります。一方で、通勤の定期代について、現物給与の一つとして、ある程度までそれを経費として認める——経費としてというよりは、それを受ける勤労者の所得に数えないでいくということをいたしておりますが、それは要するに、現物でやっておるというものをこまかく一々数えて課税するというのはどうかという見地から出ているのでありまして、建前としては、一般には給与所得控除でそういうものを見るという建前で、現物給与の方は、あまり現物の方でこまかいことは拾わないというような考え方でやっておるわけであります。
○横錢委員 局長のさっきの答弁と今の答弁とは違うと思うのです。勤労控除という場合は、これは勤労者層に一定率をもって、だれにでも通用するところの理由がなければならないと思う。ただ通勤の定期代というものは、かかるものとかからないものとがある。またその額も違う。しかも定期代を出したことによって、本人はこれは相互関係においては給与の一部とは認められない。従って、この場合には当然通勤定期代に対するところの控除というものを一項作るべきだ、そう考えるがいかがですか。
○原政府委員 その問題は、給与所得控除に含めて考えるべきだという考えを先ほど申しましたのですが、やはりそれはそうだと思います。特別に通勤費を取り出して、それを別の控除にするということになりますと、それじゃ住いの費用でも、これは働くための費用が一部入っているというような見方もできる。その人の消費しますあらゆる物財、あるいはサービスについて、勤労のために消費しているという面があるわけでございますね、これは観念的な何があるかもしれませんが、現に通勤費で言えば、遠くからくる人は通勤費は高い、しかし近い都心の人は家賃の方は高い、遠くの方は家賃が安いというような問題になって参りまして、それらを一々こまかく計算して、しかも個人の消費のうちどれが勤労部分のコストだということになりますと、これはとても手に負えない問題であります。世界各国そういうことはやっていない。もちろん観念的には、それは考え得ることでありますが、とてもできない。そこで給与所得控除という制度が、そういうことも一つの大きな理由になってあるということでありますから、もろもろのそういう給与所得を得るための経費というものは、これに含まれておるという考え方でおるわけであります。別途通勤費の幾らまでは所得に合算しないということは、先ほど申しました通り、現物給与というものがいろいろある、それをどこまでもこまかく追うていくということはいかぬという考え方からやっておるだけのことでありまして、これは経費として別に認めるという考え方でないことを重ねて申し上げたいと思います。
○横錢委員 これを現物給与の一種と見ておるわけですが、現物給与の一種に違いないか知れないが、これによっては個人によってみな差がある。しかも内容から言うならば、定期代のうんとかかるものは住宅が安い、こういうふうなことが比較にいつも出るのですが、これはそうばかりは限らないので、いなかの方から東京に通うばかりではない。逆に東京からいなかに通うものもあるわけです。この場合には、通勤定期も住宅も両方高くなる。従って定期代の場合には、定期代だけを抽出して考えてみても、他のものにそれほどの悪影響とか悪関連性とかを持つものではないと思う。従って、この場合には当然現物給与としての考え方からしても、これを全額少くも非課税で認めていく考え方、もし定期代が控除として認められないとしても、全額を非課税として認めるというくらいのことは当然とるべきではないか、こう考えるのですが、この点はいかがですか。
○原政府委員 私は、やはり給与所得を得るために経費的なものがある、それを一々精密に計算してやるということはとてもできないと思います。これは単に給与所得だけの問題でなくて、そういう理論を押し広げて考えれば、基礎控除にしても、あるいは扶養控除にしても、地域によって違うとか、あるいは同じ地域の中でも生活環境で違ってくる、千差万別であります。それらにやはり実際論としては、この千差万別のものを一々チェックするということはとてもできないのでありまして、やはり一本の率でいく、また基礎控除等も一本の額でいくというのが世界各国の通例になっております。それから別に通勤費については、現物給与の扱いの際に金額をはずせというお話でありますけれども、先ほど申しましたように、それは経費だから控除するのだという考え方でないのでありますから、そういう意味で、どうしてそれを所得に加えないかという意味を考えますれば、たとえばほかの例でいえば、被服を何したり給食をしたりというようなものは、一々こまかいものまで何することはないじゃないかという扱いでやっているのでありますから、そういう見地からいいますと、やはり一々こまかいものまでということではいけないのであります。そこでやはり限度を切るということにならざるを得ない。こういうものは全額いくんだということは、理屈をつければ、それは経費だからということ以外になかろうと思いますが、そういたしますれば、これはまたそれじゃ通勤費だけじゃない、被服費も出す、あるいは食費にも出すという場合に経費性を云々するということになりますと、先ほど申した給与所得控除を一率にやることが必要なんだということが、また逆に個々にチェックするという問題になって参りますし、またそういう場合にはおそらく大企業は、そういうアコモデーションがいいという場合には給与を分解して、あらゆる給与を現物に持っていくというような方向になって、これは課税上も非常に不公平きわまるものになると思います。やはりこまかいものは追わないのが常識だろうという線でやっているのでありますから、一定限度で切るという現在のやり方で御承認いただく以外にないと思うのであります。
○横錢委員 現在の一定の限度額というのは五百円だと思いますが、これでもしも四月一日から運賃値上げが行われた場合には、この限度額を運賃値上げに相応して当然やはり措置を講ずべきだと考えますが、この点についてはどう対処されますか。
○原政府委員 そういう考え方もあるかと思いますが、やはり今申した趣旨からいって、これは経費だというのでないのでありますから、まあ全般の物価が非常に変ってきて——今これは六百円になっているそうでありますが、物価が非常に変ってきて、六百円というのは今どきになると何だということになれば別でありますが、まだ今のところ、こういう面を規律しますCPIの動きは現実に横ばいである状態でありますから、運賃が上ったからというてすぐに変えるということには、にわかにならないのではなかろうかと私は考えます。
○横錢委員 取る方では少しでも余計取ろう、あるいは多少の剰余金が出てもこれを緩和しまいというふうに考えるのが通常だと思うのです。しかし現実にこれだけの、一割三分からの値上げが行われるとしたならば、この限度額についても、今六百円ならばこれを七百円とか八百円とか、こういうふうな措置をとるのは、徴税当局としても当然考えるべき措置ではないか、こう思うのですが、この点長官に一つ伺っておきたい。
○渡邊政府委員 今の限度の問題につきましては、国税庁の関係のことでございますから、私の方の考え方を申し上げたいと思います。 現在六百円になっております。それは、昨年だと思いましたが、各都市が市電の値上げをしまして——東京がたしか最後だったと思いますが、市電の値上げをして、従ってそれによって定期が上ったわけです。そんな関係がありまして、五百円を六百円にしたと思います。大体定期を考えます場合に、国鉄のようなものをどの程度頭に置き、市電のようなものをどの程度頭に置くか、いろいろな考え方があるわけですが、国鉄の値上げのあと私鉄などが一体どういうようになるのか、全体をもう少し見合いまして、われわれとしては考えてみたい。国鉄は上るけれども、ほかのものは全部上らないということになれば、むしろわれわれの方といたしましては——都電などの値上りの時期に国鉄は上っていなかったけれども、一応去年上げたという経緯もありましたけれども、必ずしも上げる必要はないかもしれない。そのあとどんなことになるのか、その辺を見合いながら考えてみたい。基本的には主税局長が言われた通りですけれども、ただ、実情に合うようにどういうように考えていったらいいかという点については、単純に国鉄だけの問題として取り上げるのもいかがかと、このように考えております。
○横錢委員 国鉄の一割三分の値上げというのは、国鉄だけにとどまらないわけです。このあとには私鉄がある。それからバスがある。関係のものがやはり全部値上げになってくる。従って、これによって勤労者、通勤者は相当の支出を余儀なくされるだろう。この支出を余儀なくされる場合に、税務当局の方では現物給与の定期代に対して幾らまで認めるか、六百円まで認めれば六百円までの支出を認める、七百円まで認めれば七百円まで支出を認める、こういうふうなことに各銀行、会社等も従ってくるだろうと思う。また現実にそういう情勢だろうと思うのです。従って、減税による恩典にも浴さないような低所得の層が、減税の恩典には浴さない、それでいて今度運賃の値上げでは逆に攻撃を受ける。こういうことになっては、善政の第一歩として行なった減税というものはその意味をなさないだろうと思う。減税というのが広い意味での減税であるならば、当然こういうような人々も対象として、少くと徴税技術として簡単に行ない得るところのこれらの問題は、率先してやるべきではないか、現在が六百円であるならば、少くともこれを七百円程度まで認めるということは当然緊急の措置としてとるべきではないか、こう思うのですが、この点さらにお伺いいたしたいと思います。
○渡邊政府委員 結局、先ほど申し上げたことを繰り返すことになりまして恐縮なんでございますが、五百円を六百円に上げたときの経緯を考えてみますと、当時市電などを中心にしまして運賃値上げをなされたという時期が、ちょうどその時期に当っております。従いまして、国鉄の値上げがどの程度に一般化してくるかという問題ですが、やはりそういったものを見きわめた上で結論は出すべきではなかろうかと思います。この前上げましたときには、市電が上ったのだから、通勤定期券のそうした限度を考えるときには、やはり市電を中心に考えるべきだというふうな御意見があり、われわれも定期の実際などを見まして、やはり都電のそうしたものがかなり中心として考えられるべきじゃないかという御意見に賛成して上げたわけなんでありまして、今度都電が据え置かれて国鉄が上った、あるいは私鉄も場合によっては上るかもしれませんが、市電は相変らず従来通りといったような姿になるかもしれませんし、そういう場合に、今度は国鉄を中心にということもいかがだろうかというふうな、そんな感じもいささかしておりますから、われわれの方としては、運賃値上げの結果を見まして考えるべき点があれば考えていきたい、かように考えております。
○横錢委員 だいぶ含みのある答弁になってきましたが、この問題はこの法案の審議とも関係がありますので、国鉄の運賃値上げ等がもしも四月から予定通り実施をされたということになれば、当然各私鉄、バス等全部に及んできて、通勤者のこの方面の負担というものは増大するわけですから、当局としてこの点しっかりとお考えいただいて、この限度額の引き上げということについて善処を要望したい、こういうことを申し上げて一応質疑を打ち切ります。
○山本委員長 この程度で本日の質疑は打ち切ります。 —————————————
○山本委員長 この際お諮りいたしますが、連合審査会開会の件についてでありますけれども、御承知の通り、当委員会において審査中の特定多目的ダム建設工事特別会計法案につきまして、商工委員会より連合審査会を開会いたしたいとの申し入れがございました。そこで、これを受諾することとし、また建設委員会において審査中の特定多目的ダム法案につきましては、同委員会に連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、これについて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議がないと認めて、さよう決しました。 なお、連合審査会開会の日時等につきましては、当該委員長間の協議によって決定することになりますから、追って公報をもってお知らせいたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後四時四十七分散会