商工委員会重化学工業に関する小委員会 第1号
- 発言数
- 46 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/05/22
会議録
○小平委員長 これより会議を開きます。 鉄鋼業に関する問題について調査を進めます。まず政府当局より最近における鉄鋼の需給及び価格安定対策について説明を聴取することにいたしたいと存じますが、特に第二十六国会の初頭において政府より提出を予定されておりました鉄鋼の需給及び価格の安定法案が、種々の状況から提案が見合された旨承知いたしておるのでありますが、これらの経緯並びに今後の処置等について御説明を願いたいと存じます。重工業局次長大堀弘君。
○大堀説明員 昨年、御承知のように機械及び鉄鋼建築物の需要が非常な勢いで伸びまして、年間を通じて見ますると、年度当初に比べて年末には約五割程度の生産指数の伸びを示したわけでございます。従いまして鉄鋼の生産につきましても、御承知のように約二割の増産をやったわけでございますが、昨年の九月におきましては、鉄鋼需要が非常に強いのに対して、鉄鋼の生産の方がそれに追いつかないために、われわれといたしましては輸入政策によりまして鋼材、銑鉄の輸入を相当大幅に促進をいたしましたにかかわらず、九月におきまして実は鉄鋼の需給がやや破綻のような状況になりまして、市中価格は暴騰をいたしまして、八幡、富士、鋼管の鉄鋼三社の建値に比べて市中価格はものによっては倍近い価格まで現出した、こういう遺憾な事態になったのでございますが、その後増産対策及び輸入対策によりまして、市中価格もだんだんと落ちつきを取り戻しまして、最近におきましては、三社の建値に比べて市中価格は相当低下して参りました。しかしながら現在でもなおまだ相当な開きがあるわけでございます。 私どもの基本的な考えといたしまして、鉄鋼自身が基礎産業であり、日本の全体の産業に対する影響等も考慮いたしまして、鉄鋼の価格をやはり長期に安定させなければいかぬという考え方に立ちまして、実は本国会に鉄鋼の需給安定法案を提出して御審議をいただく準備を半年以上継続して検討して参ったわけでございますが、その方法につきまして、現在の独占禁止法との法体系の関係から満足する結論が得られませんために、やむを得ず本国会提出は一応見送りまして、今後の検討に待つことといたした次第でございますが、私どもとしましては、法案の提出、不提出にかかわらず、やはり行政上におきましても鉄鋼価格の安定ということは非常に大事であるというふうに考えまして、現在その方向におきまして市中価格をできるだけ引き下げていく——本来鉄鋼の価格というのは一本であるべきであると私どもは考えております。しかしながら現状におきましては、需給関係からそういった相場も出ておりますし、また三社とその他の各社との間のコストの面から見まして、一挙に一本の価格に持って参るということは、現実の問題として非常な困難があるかと考えられますので、できるだけこの幅を縮小し、だんだん一本化の方向へ持っていくという考え方に立ちまして、現在行政指導によりまして各社にいろいろと話し合いをいたしている段階でございます。まだ最終的な結論を得ておりませんが、その方向に目下努力を重ねている次第でございます。 ただいま概略申し上げましたが、これは少し古い資料でございますが、お手元にお配りしてございます資料で、第一ページの鉄鋼国内価格の推移という表がございます。これはただいま申し上げましたところを数字において表示してございますが、品種ごとに上段と下段と分け、上段が建値でございます。下段の市価はそれに対する現在の市中で取引されております価格でございます。九月のところをごらんいただきます。これが大体最近におきます市中価格が一番最高に達しているときでございます。丸鋼でごらん願いますと、建値が四万六千円に対して、市中価格は九万七千円、厚板でございますと、五万二千円に対しまして十二万二千円、薄板が〇・二九で六万四千円に対して九万七千円。これが本年の二月まで出ておりますが、二月におきまして比較をしていただきますと、丸鋼が建値が四万九千円に対して六万六千円になっております。これが現在におきましては市中価格は約五万八、九千円に下っております。厚板について見ますと、五万六千円が市中価格は九万二千円になっております。現在の市価は今日現在では七万五千円に下っております。薄板につきましては市中価格は七万三千円に下っておりますが、これは大体この程度で横ばいをいたしております。薄板は〇・二九でございます。これで見ますと、二月が七万三千円、九月が九万七千円までいっておったのでありますが、これは大体横ばい状態で、建値に対して相当接近してきている、こういう数字でございます。
○菅小委員 最近の丸鋼は幾らですか。
○大堀説明員 丸鋼は五万八千円ないし九千円程度であります。 第二ページは各国との比較をとっておるわけでございます。これは日本の大体三社の建値が国際価格から見てどの程度であるか、私どもは三社の建値につきまして、法律上別に権限はございませんけれども、従来の慣例といたしまして、三社が値段をきめます場合に政府の意向を伺いに参るわけでございまして、私どもの立場からいたしますと、基礎産業でございますので、採算ベースから見ましてその建値が高過ぎるかどうか、コスト上からやむを得ないかどうかという問題と、同時に国際比価から見て高過ぎやしないかどうかという大体二つの大きな見地から判断いたしまして、建値の引き上げなり変更について見解を申し述べまして、それによって三社は建値を動かしておるわけでございますが、現在のところイギリスあるいはアメリカ、西独、これはイギリスは特殊な政策をとっておりますし、またアメリカあたりにおきましては、大量生産の関係で非常に安い品物もございます。こういった特別に安いところは、比較といたしましても、それと同等までということはなかなか困難だと思いますけれども、ベルギーでありますとか、フランスでありますとか、そういった国と比較いたしまして、まず大体それに近い線で三社の建値がいっております限りにおいては、機械化産業その他の国際競争力において日本が非常に不利になるという考え方もございませんので、現在までのところ、まず日本の三社の建値は、ベルギーないしフランスの水準にあるとお考えいただいてけっこうかと思います。第二表にその数字の比較が出ております。品種ごとに多少各国の特殊事情がございますから、品種ごとに一律には申し上げられませんが、大体におきましてベルギー、フランス並みの価格にある、かように考えていただいてけっこうかと思います。三ページは注釈であります。 四ページに移りまして、これは各国の鉄鋼国内価格の推移をグラフで示しておるわけでございます。これはマル公について比較をとっておりますが、このグラフで御一覧願いますように、各国とも多少ずつ最近上昇いたしております。日本の建値もそういったカーブを示しております。ただ日本の場合は、市中価格というものが異常に暴騰いたしておりまして、これは国際比価にとると非常に高いものになるので、私どもの考え方は、建値の基準でありますれば、国際比価から見てもさように高いとは考えられない。ただ市中価格は国内の需給関係から出ました異常な価格でございますので、これをふやしていくということが根本の当面の一番大事な問題ではないか、かような考え方から、現在輸入政策その他によりまして、また関税の減免を本国会で御承認いただきまして、さらに輸入をしやすくして、その面で市中価格をだんだん下げるという政策をとって参っております。その結果、今日先ほど申し上げましたように、市中価格がだんだん建値に接近をいたしておりますので、さらにこれを引き下げて安定の方向に持っていきたいというのが基本的な考え方でございます。 それから最後に参りまして、その次のページに生産の数字が出てございますが、銑鉄と鋼塊、普通鋼熱間圧延鋼材、特殊鋼その他鋳物でございますが、三十年、三十一年と比較いたしますと、銑鉄におきましては、ここにございますように、三十年が五百四十四万トン、三十一年が六百十九万トン、三十二年度は計画といたしまして約八十万トン程度増加に相なるわけでございまして、七百七万トンに三十二年度は持っていくという計画を立てております。これはお手元の資料の3でございますが、グラフの次のページ、インゴットにつきましては、ここにございますように平炉、転炉、電気炉合せまして、三十年度が九百七十九万トン、三十一年度が千百六十二万トン、これに対しまして三十二年度が千二百九十二万トン、このように上げていきたいと思っております。これを圧延いたしますと、下の欄にございますが、普通鋼熱間圧延鋼材で三十年が六百八十九万トン、三十一年が八百十七万トン、これに対しまして三十二年度は九百九万トン、特殊鋼の伸び率といたしましては、普通鋼より多少大きい伸びを示して、三十一年が五十二万トン、三十二年が六十四万トン程度まで圧延鋼材としまして特殊鋼は増産をしていく。これに必要な原料といたしましては、先ほど申し上げました銑鉄の増産、このために必要な鉄鉱石につきましては、すでに手配ができておりますので、銑鉄の生産につきましては、高炉の建設、運転開始の状況から見まして、これだけの増産は絶対確実にできるという見通しを持っております。さらにスクラップの問題につきましては、先般私もワシントンに参りましたのですが、アメリカ政府との交渉におきまして、全体の量は制限いたされておりません。またヘビーメルティング・スクラップという品質のいいスクラップにつきまして、需給関係から多少問題があったのでございますが、最近だんだんとわが方の満足できますような話し合いに近づいておりますので、大体本年度の計画を達成いたしますにつきまして、十分のスクラップが確保でき、るという見通しを持っておりますので、ここに掲げております三十二年度の計画は現在のところ達成が可能である、かように考えております。 次の表は、一貫三社とその他と、それをさらに細分いたしました表でございます。少しこまかくなりますので、省略さしていただきまして、最後の第五の最近の鉄鉱輸入状況という表がございますので、これにつきまして説明をいたしたいと思いますが、ここにございますように、銑鉄は実は三十年度まではほとんど輸入しなかった。一万九千トン程度輸入しておりますが、実際は入れてないと同じでございます。むしろその前年は非常に不況でございまして、アルゼンチンあたりに銑鉄を輸出したという時代があったわけであります。三十一年度は御承知のように非常に需給が逼迫いたしましたので、私どもも銑鉄の輸入を行いましたのですが、結局三月までに入りましたものが、これは二月の数字でございまして、かれこれ三月までに五十万トン近い銑鉄の輸入が行われたわけでございます。数字が多少変っておりますが、三十二年度は約七十万トン程度銑鉄を輸入いたしたい、かように考えております。普通鋼鋼材につきましては、半成品及び鋼塊を含めまして、ここにございますのが、三十一年度の輸入が両方で二十万トンと出ておりますが、大体三月末までに実質的に入りましたものが四十万トン程度あるわけでございます。本年度は百十万トン輸入する予定でございまして、上期に六十九万トンの外貨の割当をいたす予定で発表してございます。現在までに六十九万トンのうち四十九万トンの外貨を終っておりまして、現在二十万トンまだ残っておりますが、現在鉄鋼市況も非常に弱くなっておりますので、申請は昨年のように非常に殺到するという形でなく、輸入する人も非常に慎重に考えて、必要なものを入れるという態度になっておりますので、申請は殺到するという状態ではございません。これはあけておきましても、適当に輸入が行われるのじゃないか、かように考えております。本年度は年間といたしましては大体百十万トン輸入をする予定を組んでおるわけでございます。国際市況はどっちかといいますと多少軟化しておりますので、また関税を減税いたしておりますので、本年度は昨年度よりも現物の入手は容易ではないか。従いまして契約いたしましたものはスムーズに入ってくるであろう、かように考えておるわけでございます。 概略の御説明でございますが、当面の問題について御説明しましたが、あと御質問によりましてお答え申し上げます。
○小平小委員長 これより質疑に入ります。齋藤憲三君。
○齋藤小委員 この最後のフェロアロイ、それから特殊鋼鋼材ですが、特殊鋼鋼材が千八百二十二トン、フェロアロイが三百二十一トン、これは価格はトン当りどのくらいに予定されておりますか。特殊鋼材といっても何種類くらいありますか。
○大堀説明員 内容は品種別に非常に詳細に分れております。またフェロアロイにつきましても、品種のバラエティが非常に多いわけでありまして、ただいま資料を持って参りませんでしたので後ほど調べましてお答え申し上げます。
○齋藤小委員 これは大体日本の実情のグラフでございますが、新聞によりますと日本の特殊鋼関係は業者間では三十二年度に九十五万トンの生産規模を持っておる、それを通産省では七十五万トンに押えて、その二十万トンは行政指導によって需給のバランスをとる、こういう記事があったように考えるのですが、日本の特殊鋼の三十二年度における大体の生産の見込み状況を御説明願いたいと思います。
○大堀説明員 特殊鋼につきましては、粗鉱、インゴットで三十一年度の生産実績は、これはトータルでございますが七十八万四千トンでございます。圧延鋼材といたしましては五十二万トンに相なっております。三十二年度の計画といたしましては、粗鉱で九十一万トン、圧延鋼材といたしまして六十四万トンという予定を組んでおるわけでございます。これは前年度に対しまして二割以上の増産に相なっておりますが、私どもの見方といたしましては普通鋼の伸びよりもここ当分の間は特殊鋼の伸び率が大きいであろう、かように考えております。また日本の特殊鋼の復興が戦後非常におくれたおりまして、設備もかなり老朽化いたしておるという関係もございますので、この特殊鋼の設備の改善につきましても財政資金その他において特別に優先的に考えて、今度の拡充計画も組んでおる次第でございます。これは伸ばし方といたしまして一挙にあまり大きな伸びができますかどうか、これは電気の関係その他設備等もございますので、問題があろうかと思いますが、考え方といたしましては特殊鋼は普通鋼より大きな伸びがあってしかるべきであるという見地に立ちまして、われわれといたしましては特殊鋼の増産対策を考えておる次第でございます。
○齋藤小委員 先ほどお願いをいたしました輸入の特殊鋼鋼材及びフェロアロイの品種並びに価格をお知らせ願うと同時に、国内産の特殊鋼の品種及び価格の資料を出していただきたいと思います。 もう一つお伺いいたしておきたいのは、ただいま御説明のように、普通鋼材の伸びよりも特殊鋼材の伸びが日本では将来性がある、これは私の考えといたしましては、世界的に普通鋼材の時代でなくしてオール・ステンレス・スチールの時代に移行しておるのではないか、こう考えられるわけであります。ところで今日本の製鉄状態とそれから海外の状態をこの表によって拝見いたしますと、英国はほとんど安い。その次にアメリカが安い。日本は非常に高い。これを世界的な建値に接近せしめる日本の方策についてはいろいろ考えられる。しかし原則として原鉱石及び石炭それからその他の事情によってなかなか建値を世界的に接近せしめるということは今後大きな努力が必要だと思うのですが、そうでなくて特殊鋼という立場からいきますと、あるいは日本は世界の建値を下回る良品質の特殊鋼というのは作り得るのではないか、そういうふうにも考えられるのですが、この点に対して当局はどういう研究とそれから希望を持って現在やっておられますか、それを一つ伺いたい。
○大堀説明員 ただいま齋藤先生から御指摘の通り、私どもも普通鋼につきましては今後高炉、転炉を建設いたしまして、鉱石なり石炭の運搬について専用船を計画するとかあるいは荷役の合理化によりましてフレートを下げてできるだけ国際競争力を強化するという意味でコストを下げる必要があると思います。その意味で原料の輸送の合理化によって相当大きなコストの引き下げをはかっていかなければならぬ。むろん技術の面の合理化あるいは技術の改善によりまして、全体としてコストを下げていかなければなりませんが、何といたしましても原料の大部分を海外に依存しておりますし、原料の賦存地が相当離れておりますので、アメリカあるいはヨーロッパの立地条件と比べますと、多少不利な関係になるわけでございます。私どもといたしましてはこれにつきましては最大限度そういった方法でコストを近づける。多少国内的なコストの要因がございますし、またマーケットを見ましても東南アジアという日本にとって多少有利な条件がございます。それらを勘案して、やはり鉄鋼は将来輸出産業として大いに東南アジアに輸出していかなければならぬ、かように考えておりますので、その見地からも普通鋼につきましてはそういった専用船なり輸送の合理化によってコストを下げていきたい、かような見地に立ちまして近く各国に専用船中心の運営状況を調査のために海運界、鉄鋼業界、運輸省、通産省一緒になりまして技術調査団を派遣して調べて今後の対策に資したいと考えておる次第でございます。 特殊鋼につきましては先生の御指摘のように、多少普通鋼よりもやりようによりましては独自のコストといいますか独自の競争力を持つ、普通鋼におきまするよりも各国の特殊鋼と比べて日本が相当有利な立場に立ち得るという要素があるのじゃないか、かように考えております。遺憾ながら今日まで国内の需要があまりに低かったために、特殊鋼工業全体といたしまして立ちおくれた感じがごごいますので、今後技術の面におきましても設備の面におきましても、あるいは原料の面におきましてもさらに重点を置きましてこれの飛躍的発展を期したいと考えております。ことに転炉等につきましては、今後さらに大型化の方向、また製造技術については技術導入をいたしましたり、国内の面にさらに重点を置いて進めて参りたいと考えております。
○齋藤小委員 普通鋼ですと、どうしても外国から輸入してきた原材料でもって高炉銑をやる。それから平炉転炉でもって鋼を作っていく。しかし各種の鉱石、各種のスクラップをもって良質の鋼材を作っていくということは、理論的にいっても無理だと思うのです。ですから日本の鋼材というものは自立ができない。いろいろな鋼材が出てきている。これが自動車工業なんかを一番大きく阻害してきている。日本では規格のある鋼材というものはなかなかできにくい。だから一々それを検査して使うということになる。またこれを格づけすることは日本の現状においては非常にむずかしい。しかし特殊鋼は、また別な日本的な立場から言うと、たとえて言えば、東北地区で二億五千万トンの埋蔵量のある砂鉄がFe五七に上げて六十万トン採取できるということであれば、この五七のFe含有の砂鉄をもって特殊鋼を作れば、日本の機械産業というものはそのために非常にレベルが上る。だから機械を輸出できるということにもなるのではないか。普通鋼材というのは原材料に押えられた高炉法によってやるのであるから並み並みのものである。しかしスエーデンのチャーコール・アイアンみたいに世界的な水準の特殊鋼を作るという考えからいけば、その特殊鋼によって機械の中心部を保っていく上において日本の機械がいいという名声を博すこともできると思う。そういうことから日本の製鉄機械の将来における輸出面の打開をはかっていかなければならぬと考えるのです。 そこで一つ当局にお伺いいたしたいのですが、四貫目俵にして一億四千万俵の木炭を、年々家庭の消費その他においてなくしてしまうという日本の現状は、チャーコール・アイアンに振りかえるために、粗悪炭というか褐炭とか亜炭の採掘を大きくやって、コーライトその他にして年々対策を立てていく。一億匹千万俵全部をチャーコール・アイアンに持っていかなくても、その半分なら半分を還元材に持っていって特殊鋼を作り、あるいはまた原材料を使用ガスで還元さして特殊鋼に持っていくとか、あるいは天然ガスの大開発をやって、天然ガスによる発電計画を行い、電気炉を増築して特殊鋼を作っていくという対策が日本の製鉄になかったならば、いつまでたっても建値は追っつかないし、品質は悪いし、日本の機械工業の中心部というものは常に外国依存でなければならぬということになってしまって、うだつが上らぬのじゃないか。そういう点に対し、通産当局は、どういう構想を持って将来日本の鉄の品質を上げ、機械の品質を上げ、輸出を可能ならしめるという計画を立てておられるのですか、お伺いしたい。
○大堀説明員 大へんごもっとな御見解でございますが、私ども現在多少腹案もあるわけでございます。近く産業合理化審議会の中に特殊鋼のための特別委員会を作りまして、特殊鋼の総合的、飛躍的な発展のための対策を、官民、学識経験者を呼びまして検討いたしたい、かように考えまして打ち合せ中でございます。先ほど申し上げましたように、現在のところ多少特殊鋼の対策が手おくれになっているというふうに考えておりますので、特に各方面の御意見を伺いまして将来の基本的な対策を打ち立てたい、かように考えておる次第でございます。
○齋藤小委員 ぜひ早く特殊鋼の対策を立てていただきたいと思うのです。私のずさんな調査でございますが、石灰窒素系統のカーバイド工業の使用ガスは大体七十億か八十億立米出るのです。そうしますと、製鉄還元の方法をもっていくと、五十万トンくらいの特殊鋼は使用ガスの還元ということでもってやっていけるではないか。これは記憶違いかわかりませんが、そういう計算をやったことがあるのです。石灰窒素を取るためのカーバイド工業、それから化学繊維を作るためのカーバイド工業のガスはほとんど今空気中に逸散している。そういうガスと木炭とは同じですから、チャーコール・アイアンを木炭をもって作るという貴重な製鉄方法が世の中にあるのです。使用ガスは全部空気中に逃がしておくというような総合統一性のない対策は私はないと思うのです。ですから、そういう点検討を加えて、せめて特殊鋼だけでも品質が世界の水準よりよくて、価格の安いものを見出していただきたい。砂鉄が日本にございますが、砂鉄というものは、考えようによってはあれだけの品質のものをクラッシュしてあるのです。私の考え方からいくと、鉄鉱石は固まっているだけという概念である。従って、高炉法は強粘結炭でなければいけない。片方からいくと、砂鉄というものはクラッシュされて品質が統一化された優秀な鉱石だと考えられるから、これを利用して特殊鋼を作ることはぜひとも日本でやらなければならない仕事である。やらなければならない仕事を今までどうして放擲されておったか。あまりにこれは他力本願に過ぎた。いわゆるアメリカのスクラップ依存製鉄方法であったわけです。それではどうしても日本の機械工業は伸びないと思うのです。そういう点から、日本の砂鉄を生かしてこれを原料として特殊鋼を作るような態勢に対して、三十二年度に予算的措置はできておりますか。
○大堀説明員 御指摘のように、特に砂鉄につきましては私ども重点を置いておりまして、本年度の開発銀行の資金計画におきましても、優先的にこの面に設備資金を投入していくという具体案についてすでに相談中でございます。砂鉄製錬につきましては、東北地区、さらに千葉県あたりでも現在具体的に話が進んでおりまして、現在は昨年の生産に比べて倍以上になり、五カ年計画でも五十万トン近い線まで砂鉄の生産を上げていきたいという対策を持っているわけであります。一番の問題点は、東北地区で、特に電気の関係が非常に問題でございまして八戸地区に火力発電設備を東北電力で設置することになっております。電気の面の対策をもあわせて講じておるわけであります。また、ことに先ほどお話のように、機械工業の伸びが——われわれとしましても、機械工業の製品の輸出ということに重点を置いていかなければならないと考えておりますし、この意味から参りまして、特殊鋼の需要が質的にも量的にも非常に伸びなければならない、かように考えておりますから、御指摘の通りの御趣旨に沿いまして努力いたしたいと考えております。
○齋藤小委員 もう一言だけ御質問申し上げておきたいと思いますが、砂鉄鉱業は結局チタンの含有が今まで問題になったものが、今度はチタンというものの利用が非常に金属界においては優秀な機能を持つようになったために、チタンが非常に珍重され始めて、結局砂鉄製錬のねらいは、ある意味においてはチタンスラグをとるという、ことですから、この点に対しましてはどうか一つ特殊鋼の対策審議会でも熱心に御協力いただいて、日本のチタン鉱業の育成という点からも、砂鉄製錬の特殊性を一つ十分助成していただくようにお願いいたしたいと思うのであります。 もう一つは、東北地区だけでの調査でございますが、昨年度の天然ガスの調査結果が出ております。これを見ますと、天然ガスの埋蔵量は東北地区だけでも有望でございます。まして全国に及びますと、天然ガスは非常なものであると思います。今エネルギー源が非常にやかましくいわれているので、私もある県庁へ行って天然ガスの電力化というものを調べてもらったのですが、ある意味においては、天然ガスをもって電気を出す方が、水力電気よりも、火力発電よりも安くいって、良質の電気が出る。たとえばその地区において一日に三万立米なら三万立米の供給確保かできるとすれば これを電力化すると一番良質の電気ができる。ですからもしそういうものが安くできる土地においては、特に炭鉱地帯とかそういう地帯においては、そういうことが将来予想される。ですから当局としては、単にいろいろな観点からイージーゴーイング的に外国の鉱石にたよるということでなくて、日本なんかまだ磁硫鉄鉱の開発すべき地区は非常にたくさんあると思う。一時、磁硫鉄鉱を調査して、磁硫鉄鉱の開発計画を立てようという声を聞いたのですが、最近この声がなくなってきた。ですから、磁硫鉄鉱の調査といのものは一体どうなっているか。これは話に聞くと、群馬あたりのあの辺の未開発地域に磁硫鉄鉱がたくさんある。おそらく全国的に磁硫鉄鉱の調査をやると、うんと磁硫鉄鉱があると思う。従来は磁硫鉄鉱が使えなかったけれども、今度は使えるようになったので、この磁硫鉄鉱の調査をやって鉄鉱資源及び硫酸資源をとる。そういうことが盛んにいわれておったのがこのごろちっとも聞えなくなった。これは一体どういうふうになっておるのか、もし御承知ならお答え願いたい。
○大堀説明員 具体的にお答えできないと思いますが、特殊鋼の問題といたしましては先ほどから申し上げた通りでありますけれども、普通鋼につきましては、全体の量が非常に伸びが早いものでございますから、とかく御批判のように外国の鉱石に依存していくことになりまして、量的にまとまったものを手っとり早くとりたいということから、国内の方に手が回らなかったといいますか、熱が入らなかっという面があったかと思います。御指摘の点もごもっともでございますので、調査いたしたい思います。なお現在鉱山局で埋蔵量調査を始めておりますので、鉱山局、また先ほどの天然ガスの問題につきましては鉱山局ないし軽工業局と十分打ち合せて検討いたしたいと思います。
○齋藤小委員 次の小委員会には、ぜひ鉱山局、地質調査所、そういうところを呼んでいただきたいと思います。
○小平小委員長 承知しました。
○多賀谷小委員 ブラジルのミナス製鉄所の建設計画についてその経過を聞きたいと思います。
○大堀説明員 ミナス製鉄所建設の問題につきましては、御質問でございますから、最初からその経過を申し上げます。昨年の五月にブラジル政府の招聘を受けて八幡製鉄所の湯川技師長が先方に参りまして、日伯合弁で製鉄所を作りたい——当初はサンパウロ寄りのパウリスタというところに製鉄所を作ろうかというお話でおいでになったのでございますが、パウリスタはすでにドイツが二十万トン程度の製鉄所を作ろうということで話し合いが具体化してしまったものでありますから、ミナスの地域内に日伯合弁で製鉄所を作りたい、こういうことでミナス地区を双方で調査いたしたのであります。それが具体的な話の始まりでございまして、昨年の七月から八月にかけまして、先方の政府が任命しているこの関係の官民の調査団を日本に招聘して、そこで打ち合せをいたしました。その後話がだんだん具体化いたしまして、十月に日本側から現地調査団を編成して先方に参りました。私も実は政府側の代表として一緒に参加いたしまして、約一カ月にわたって現地の調査を行なったわけでございます。結局私どもが現地で見ましたところだけでも、鉄鉱石は六九%以上の非常に高品位の山がミナス州だけで数億トンあった。そのまわりに低品位のものが取り巻いておりまして、これは埋蔵量がほとんど調査できない。埋蔵量全体でミナス州内で百五十億トンくらいあるだろうと思います。六九%以上の露頭が山になって出ておりまして、現在ほとんど掘っておりません。現在掘っておりますのは、イタビラというところの鉱山をアメリカの製鉄所が買っておるわけてございまして、これを鉄道でヴィトリア港という西の方に送り二百万トン出しております。それ以外はほとんどタヌキ掘り程度の企業のまま放置されているわけであります。実はブラジルにはあまり高品位の石炭がございません。南方のサンタ・カタリーナというところに、低品位でアッシュが相当多いのでございますが、現在あそこの国立製鉄所が使っているものがございます。ここの石炭も多少使えるのでございますが、向うは相当輸入しなければならぬ。これをどういうふうに考えるかということでございますが、鉄鉱石をアメリカ、ヨーロッパに出しておりますので、アメリカに出しておる鉄鉱石の返り船を使いまして、アメリカから強粘結炭を入れまして、同時にヴイトリア港でこれを揚げまして、鉄道も逆輸送をいたしまして、鉱石の輸出の帰り車を使いまして石炭を運ぶ。それによって運賃が相当下げられるという計算が出てきたわけでございまして、これによってミナス州内の鉱石を使い、石炭を輸入いたしまして、石灰石は良品位のものがございます。鉱石につきましては、大体粉鉱でございますと、工場渡しで三ドル程度のものが手に入る。非常に安いわけでございます。従いまして、計画としては十分成り立つということになったわけでございます。これは相当日本の権威者に行っていただきまして、経理的にも、技術的にも、検討いたしまして、経済的にも成り立つであろう、大体規模はどのくらいになりますかというと、これは合理的な計画とすればせいぜい百万トンくらいはやはりやっていかないと、経済ベースからいいますと十分でないかと思うのでありますが、これは資金的な問題もございまして、日伯合弁でございますから、ブラジル側も相当金を集めますが、日本側でも相当金を出さなければならぬ。資本的にも出しますし、また同時に向うへ製鉄所を作ります機械は、日本が主として作りまして、これを輸出入銀行の延べ払いによりまして向うへ長期の貸し付けをしていく、こういう考え方で機械メーカーも同時に参っておりますが、現在のところ、大体の大筋の話ができまして、五十万トン計画で高炉は二基立てますが、一挙にあまり大きなものでいきましてもなんですから、七百五十トン高炉をとりあえず二基作って、ストリップ及び厚板を中心にしまして、工場を建設しょう。資金計画につきましても、ブラジル側は大体固まっておりますし、日本側も先般閣議了解を得まして輸出入銀行から本計画に対する出資金についても融資を与え、同時に日本側から出します機械については、輸出入銀行のプラント輸出の融資によりまして長期ローンを与えていこう、こういうことで大体話は具体化しまして、現在民間側の代表が五名向うへ出張いたしまして、向うの政府と最後的な話し合いをいたしております。大体昨日も民間側との相談をいたしたのでございますが、この際決意をして了解に到達しようということで訓令を出しております。かような次第で近く最終的な版調印といいますか、これができる段階になると思うのであります。
○多賀谷小委員 日本とブラジルの資本の割合はどのくらいですか。
○大堀説明員 資本金は四十億クルゼイロということでありまして、全体の総資金が約百億かかるわけです。一クルゼイロは現在の相場で五円と押えていただけばけっこうであります。従いまして、資本金が約二百億円、全体の事業計画としては五百億の計画になるわけでございます。その資本金のうち日本側が四割負担をいたしまして、六割はブラジル側が出資をする。会社の経営につきましては、大体その出資の比率に応じて重役その他を出す、こういうことに相なると思います。 なお詳細の運営につきましては、生産の面、あるいは技術の面、建設の面、重要な仕事につきましては、日本側に頼むという話し合いになっておりますので、実際上は相当内容、経営及び建設について日本側がリーダーシップをとって進めていかなければならぬと考えます。
○多賀谷小委員 では次に質問いたしますが、政府がこの前考えておられた鉄鋼需給安定法の構想は依然としてお持ちですか。さらにまたその経済的な必要性が今後ともあるのかどうか。そういう点についてお聞かせ願いたい。
○大堀説明員 私どもといたしましては、安定法のやり方につきましてさらに研究を進めまして、現在これは放棄したという形じゃございません。今後研究を進めて、さらに結論を得ました上は御審議をいただきたい、かように考えて現在検討を続けておるわけでありまして、基本的に参りまして、やはり鉄鋼価格を長期に安定するということは、日本経済から見て非常に大事なことじゃないかという考え方を現在でも持っております。この場合にアメリカのことを例に引いて恐縮なのでございますけれども、アメリカの鉄鋼業あたりのあり方として、自由経済ではございますけれども、需要が伸びれば全体が増産をするし、需要が落ちた場合には、別にカルテルがあるわけじゃございませんけれども、USスチールが、来年度は自動車の需要が本年より落ちるということでありますと、本年度の鉄鋼の生産は大体八八%くらいになるだろうというと、大体その線にまで操業を落しまして、そうしてベスレヘムやインランド・スチールが大体それに歩調を合せて需給を安定させていく、従って価格は相当長期に安定していく、従って建設計画もすべてが安定した線で行われていく、需要が伸びた場合はさらに操業を上げていく、こういうことが自由経済でありますが非常に上手に行われておる。日本の場合でございますと、どうも逆に、好況のときは非常に価格が暴騰し、不況になれば今度は逆にみんなが増産をして、ますます需給のバランスがくずれてくる。価格がマストを割って、鉄鋼業はそのときには危殆に瀕する、非常に混乱をするというような形にとかくなりがちでございまして、こういうことでは、やはり経済全体から見ましても、また将来の発展から見ましてもおもしろくない。長期に安定するという考え方は、どうしても必要ではないか。ただその方法を、日本の場合は、どうもカルテルの弊害もございますけれども、さらに大きな競争の弊害を防ぐ意味におきまして、何らかの形でカルテルができるようにする必要があるんではないかというのが需給安定法の考え方でございまして、そういう意味で独禁法との法律体系の問題がございますが、さらにその辺を十分に検討いたしまして案をまとめたいと考えております。
○多賀谷小委員 最近における三社並びに関西のメーカーの建値の引き上げ、この問題について、どういうような状態であるかお聞かせ願いたい。
○大堀説明員 これは現在研究中でございまして、まだ実は最終結論は得ておりませんので、私から結論は申し上げる段階にないわけでありますが、大体の方向といたしましては、市中価格が、御承知のように昨年の九月以来非常に暴騰いたしまして、その以前の状態におきましては、三社以外の関西四社と言っておりますが、関西の相当大どころの住友、あるいは神戸製鋼、川崎製鉄、こういようなところが三社の建値に大体同調しまして、多少高いのですが、同じような線でそれまでは動いて参ったわけでございますが、昨年の九月に市中価格があまり暴騰したものですから、この価格はくずれてしまいまして、高い方に引きずられてしまって、それが今日まで続いておるわけでございます。これは異常な状態でありますので、私どもは三社の建値だけでなく、やはり鉄鋼全体の価格を安定いたしますためには、さらに三社以外の関西四社なり、さらにそれ以上十八社、主要なところ全体が安定した価格へこなければならぬ。従いまして今日市中価格等も相当落ちついて参りましたし、この際思い切って三社の建値の線にもっと接近をして、従来のような形に関西四社なり十八社の価格が歩調をそろえて下げてもらいたい。こういうことを一方に要請しておるわけでございます。それから一方三社の立場から言いますと、どうもわれわれのコストも、多少石炭価格が上ったりして上ってきておる。にもかかわらず、われわれだけが抑えられて、ほかの連中はどんどん高く売っておるじゃないか、これじゃいつまでもがまんし切れぬから、これを上げてもらわなければ困る。もし上げてくれないというならば、われわれはどうもこの戦列から脱落するというふうな事態があるわけでございまして、そういうようなことになりますと、非常な混乱になりまして、現在以上に混乱を招来するということになりますので、私どもとしましては、三社の建値はできるだけ自粛をしてもらいまして、現在の価格を維持してもらいたいわけでございますが、一方その他の各社の値段を引き下げて、三社の建値に相当合理的な較差まで引き下げてもらう。そうしますとお互いの間では較差の問題が非常に問題に相なるわけでありまして、上の方は一万円も高く売れるものをがまんしろということに相なります。下の方はもっと売りたいのだけれども、もう押えろということに相なるわけでございまして、その間各社間においても、お互いに協力をしなければならぬという気持から、だんだん歩み寄って参りまして、現在の情勢における業界の立場からいいまして、ほぼ結論に近いところへ参っておるわけであります。建値について、コストは若干上っておりますから、あるいは若干程度上るかどうか、その市中四社の値段を相当思い切って下げてもらう、それをどこまで下げられるか、この辺のあり方につきまして、今最終的な話し合いをいたしております。近いうちに結論が出ると思いますが、そういう方向で検討しておるということで御了承いただきたいと思います。
○多賀谷小委員 一応業界の方でも妥協案ができたというようなお話ですが、関西高炉メーカーの販売価格は鉄鋼三社の建値よりも四千円上回るものとするというような妥協案ができたよむに新聞は報じておるのですが、やはりそういうコストにおける差を当局は認めざるを得ない、こういう事情にあるわけですか。
○大堀説明員 私どもは現在自由経済の建前からいいまして、建値でコストで全部違ってしかるべしという結論は出しかねるわけでありまして、本来価格は一本であるべきである、かように考えるわけでございますが、現実の問題としまして、三社に関する限りは、市中でもっと高く売れば売れるものを、全体の産業に対する影響を考えまして、コスト・ベースの建値で今日まで自粛をしてもらってきておる。それ以外は市中相場で相当売っている。その状態を直すために、三社以外の各社に対して思い切って下げてもらいたい、自粛をしてもらいたいということで、それに協力してもらうわけでございますが、一足飛びに三社の建値まで下げるということになりますと、現実問題として非常に無理がありますので、過渡的措置としては多少差があってもやむを得ないのではないかということで、結論としましては多少の差が出るであろうと思います。しかしこれは将来はいずれの時期かには一本化するという方向で考えて参りたいと思っております。
○多賀谷小委員 建値というものの性格はどういうものですか。大体鉄鋼業界における歴史的なものがあるわけですか。
○大堀説明員 これは八幡とか富士とかいう大きなところでございますと、やはり前月圧延計画すなわちロール・プランを組むわけでございます。その場合の品種、規格の関係から一応建値をきめて、そして注文をとってロール・プランを組んで圧延をするということになりますので、これは会社の必要から見ましてやはり建値制というものをああいう大きなところは従来もとっておりますし、今後もとっていく考え方であるようでございます。役所の立場から見ますと、そういうものがありますので、その値段についてたまたま慣例的に、やはり基礎産業でもあるし一般に対する影響もありますので、政府の考え方というものを聞いて参りますから、それに対する政府の見解を、従来これに対して高過ぎるとかあるいはこれくらいならやむを得ぬだろうということを、コストの面なりあるいは国際市価等とにらみ合せまして、われわれの見解を申し述べているわけでございます。鉄鋼業界としても大体われわれの見解を入れて、高過ぎるといえば下てげいく、こういうのが現状でございます。法律上何も根拠はございませんけれども、そういうふうなやり方が慣例的に行われております。こういうことでございます。
○多賀谷小委員 この建値というのは標準価格とは違うわけですね。むしろ注文をする価格といいますか、そういう形になっているのですか、三社については。
○大堀説明員 はい。
○多賀谷小委員 それから建値で売買されているのが、鉄鋼の生産量のどの程度であるのか。さらに三社においては全部が建値であるのか、あるいは三社のうちでも市中価格でいっておるのがどのくらい占めているのか、こういう点ちょっとお尋ねしたい。
○大堀説明員 三社の販売量は大体現在五割ちょっと欠けるかと思います。そして三社のものにつきましては全部建値で売られておるわけであります。
○多賀谷小委員 標準価格かどうか。
○大堀説明員 建値といいますのは標準価格ではございませんで、三社の最終販売価格になっております。需要者渡しの価格で、問屋の口銭を込んだ一定の置場渡しの価格になっております。 〔小委員長退席、多賀谷小委員長代理着席〕
○小平(久)小委員 今建値の話が出ましたが、実はこの間プライベートの関係でいろいろ話が出たのですが、せっかく建値というものがあっても、建値の守られるものは、今の次長のお話のように、全生産量から言うと半分弱、それくらいで、その他のものは市中価格というので、非常に高く売られておる。そうすると、元来この建値の意義というものは、鉄鋼全体から見れば実際問題としてそう意義がないのではないか、大きい三社から言えば、ほかの会社と比べてそう特別な恩恵を今受けておるわけではない。もともとの生い立ちから言えばこれは恩恵を受けておったという経歴はあるかもしれぬが、現実にはほかの会社と別に異なった取扱いを受けているわけでもない。原料にしても委員会のようなもので割当をしておる。あるいは融資等の点も、この三社が特に優遇されておるわけではない。そういう面から、三社の側にもそういういわば一つの不満があるだろう、むしろそういった現実にあまり意義のない建値というものは撤廃してしまった方がいいのではないかという話も、雑談的であるが出たのですが、今これを撤廃しては非常に困るというような何か根拠がありますか。
○大堀説明員 かりに御質問のようなことで建値を撤廃するといいますか、現在のやり方をやめるという場合には、三社の価格はおそらく市中価格になると思います。市中価格で売れるわけでございます。その結果として多少市中価格が下ってくるということもあるかと思いますが、とにかく現在の市中の価格と建値の中間の相当高いところへいく、こういう結果に相なりますと、現在の機械工業なり何なりの国際競争力というものが非常に困難な状態に追い込まれるのではないか。もちろん法律があるわけでございませんから、三社を縛るという権限はございませんけれども、やはり鉄鋼が基礎産業でもございますし、通産省に相談がきました場合に、これくらいにしてやれば全体の経済から見ても妥当であろうという判断をする。それがただ鉄鋼業に非常な出血を強制するということでありますと、これは行き過ぎでもありますから、一応この採算でやっていけるという線でありますれば、やはり建値制を維持して安定した価格でいく。現在は理想通り行われておりませんが、市中が非常に混乱しておりますので、問題がございますけれども、市中相場が落ちついて参りました場合は、やはり建値制で安定した水準を保っていくということが、経済政策から見て妥当ではないかと考えておるわけであります。
○小平(久)小委員 建値というものをかりに今のような趣旨から維持していくということであるならば、少くとも全体の鉄鋼の七割あるいは八割くらいまでは建値でいくというようなところまでは当然やるべきじゃないか、私はそういう気がするのです。そこで先ほど話が出ましたが、三社以外の関西の四社ですか、これも建値というのかしらぬが、四千円上に置く、こういうお話です。四千円上に置くのは今までのいきさつでただそういうことなんだという御説明のようだった。従って別段これはコストの関係ではないのだというふうに私は聞いたのですが、かりにそういうことにすると、他社の分は現在よりもどういうことになるのですか。引き下げられるのかどうか。三社の分がかりに二千円上げても、鉄鋼全体として見れば従来よりも下るということなのか。また四千円三社より高くしておくことによって関西側のものはそれで従来と変りないのだということならば、三社の分を上げるだけ鉄鋼全体が上ることになる。その辺のところはどうなのか。それからさっきも言ったように、三社と他社との建値の幅をもう少し狭めて、できれば一本にして、七割なり八割なりを建値でいくことができないのかどうか。
○大堀説明員 先ほど申し上げた点でございますが、三社は若干上げまして、四社その他を引き下げてくる、それで幅をどの程度にするか、これは品種によってもちろん差があるわけでございますが、全体として三社も納得できるし、四社もがまんできる最大限度まで上の方を下げてくる、こういうことになるわけでございまして、現実には今度下るであろう価格は現在売られている価格に比べて数千円以上の安い価格になるわけであります。従って消費者から申しますと、人によって違うわけでありますが、全体としては引き下げの方が相当大きくなる、こういうことは言えると思います。それからさっきはコストと関係ないということを申し上げたのではなく、やはりコスト面から見れば、一貫メーカーである三社と、四社も一貫ではありますが、必ずしもそれほど合理化されていない立場もありますし、コスト的にももちろん差があるという主張がございますが、私の方も多少差はあると思います。本来価格は一本であるべきだという立場から差をつけるのはいかがかと思いますけれども、現実の情勢から見て差しあたりはやむを得ないのじゃないかと考えております。
○小平(久)小委員 建値を二本にして、むしろ品質のいいのが安くて、悪いのが高い。これは法的には何らの規制もないのだ、当局にも権限はないのだということですが、事実は事実として存在しているわけで、非常に矛盾しているような気がするのですが、まあそれはそのくらいにしておきましょう。 それから外国との比較ですが、先ほども御説明があったように、大体日本はフランス、あるいはベルギー並みだということですが、英国の場合には非常に物が安い、ものによっては日本の半値に近いようなものがあるようだが、一体これはどういうところに原因しているのですか。英国でこれほど安くできるならば、何かいいところがあれば日本でも大いに取り入れたらいいと思うのですが、これは取り入れられないものもあるとは思いますが、その辺ちょっと常識的に説明してもらえませんか。
○大堀説明員 これはイギリスの場合はビスコと言っておりますが、一種の公的な機関で価格を長期的にもプールをしましてやっております。同時に石炭等につきましては、あそこは国営といいますか、国管的な歴史がございまして、相当価格も安くいたしているというような原料面の関係もございまして、イギリスの価格はわれわれから見ますと、非常に低い数字が出ている、かように考えているわけでございまして、別に補助金を出しているという形ではございません。また鋼材を輸出したり、輸入したりする場合も、価格平衡資金と申しますか、そういう制度でそれぞれ価格を調整するといった一種の統制方式をとっているわけでございますが、大体石炭あたりの値段がかなり違っているのではないか、イギリスの価格が特に安いのは、こういったいきさつに基いているのではないかと思います。
○小平(久)小委員 常識的に考えてもそんなことではないかという気もしますが、これは非常に重要なことです。日本の建値というものもとにかくあるし、これが高いとか安いとか当局も言っているのだから、高い安いと言う以上は、押えるところが何かあるだろうと思う。英国の値段というものは、日本からいうと、石炭が安いということも言えるかもしれませんが、それだけではなかろうと思うのです。何らかその他の施策もあってこんなふうになっているのではないか。プールしてやっているといいますが、いつでも採算割れのプールはできないだろうし、一つコストの計算なんかの資料を作っていただきたいと思います。
○大堀説明員 実はこのことについては前から少し立ち入った調査もしておりますので、資料がまとまりましたら、御説明申し上げることにいたしたいと思います。 〔多賀谷小委員長代理退席、小委員長着席〕
○小平小委員長 本日はこの程度で散会いたします。次会は追って公報をもってお知らせいたします。 午後零時十一分散会