商工委員会 第19号
- 発言数
- 80 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/03/27
会議録
○福田委員長 これより会議を開きます。 まず昨二十六日本委員会に付託せられました内閣提出、自転車競技法の一部を改正する法律案及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし審査を進めます。まず両案について趣旨の説明を求めます。長谷川政務次官。
○長谷川政府委員 自転車競技法の一部を改正する法律案につきまして御説明を申し上げます。御承知のように現行の自転車競技法は、自転車産業の振興と地方公共団体の財政に寄与することを目的として昭和二十三年第二国会において成立を見たものでありますが、その後数度の改正を経、ついで昭和二十九年第十九国会におきまして、補助金等の臨時特例等に関する法律の成立に伴いまして、従来自転車競技法に基いて行われておりました国庫納付、国家予算計上の制度が停止されることとなりました。 その結果自転車競技法の成立以来引き続き行なって参りました自転車産業の振興のための施策の実施に支障を来たすこととなりましたので、それによって生ずる混乱を防ぐため、同国今において自転車競技法等の臨時特例に関する法律が一カ年の限時法として成立いたしたのでありますが、昭和三十年第二十二国会におきまして、同法の有効期間が昭和三十二年三月三十一日まで二カ年間延長されまして、現在に至った次第でございます。 右に申し述べました有効期間の延長に関する改正法律の成立に際しまして、参議院商工委員会において付せられました付帯決議の御趣旨に基きまして、政府といたしましては、競輪の運営につき不断の改善をはかって参りますとともに、通商産業大臣の諮問機関として設置されております競輪運営審議会に競輪の改廃に関し諮りました上、その答申に基き、競輪の弊害を最小限度にとどめてこれを健全化する方針のもとに、競輪制度に改善を加えますとともに、自転車その他の機械産業振興費の取扱いに関する制度に改正を加えました上、自転車競技法の一部を改正する法律案を立案いたしまして、ここに提案申し上げまして御審議をお願いすることといたしました次第でございます。 次に改正点の概要を申し上げます。まず改正の骨子でございますが、これは、競輪が社会に与える悪影響を縮減し、その内容を健全化するために、政府の監督を強化すること及び自転車その他の機械産業振興のための経費の取扱いに関する制度に改正を加えることであります。 改正点の第一といたしましては、競輪施行の目的に機械の改良及び輸出の振興並びに機械工業の合理化に寄与することを加えたことであります。機械産業の振興をはかることは自転車競技法等の臨時特例に関する法律に規定されてありますが、これを自転車競技法に規定いたす趣旨でございます。 改正点の第二といたしましては、競輪施行者としての指定を受けた市町村が、一年以上引き続き競輪を開催しなかったときは、その指定を取り消すことができることといたしたことでございます。 改正点の第三といたしましては、競輪場及び場外車券売場の設置を許可いたします場合に、その許可に期限または条件を付することができることとするほか、競輪場及び場外車券売場の設置者が、これらの施設を引き続き一年以上競輪の用に供しなかったとき、またはこれらの者が業務停止命令等に違反した場合には、設置の許可を取り消すことができることといたしましたことでございます。 改正点の第四といたしましては、競輪をより公正に運営いたしますために、車券購入等の禁止範囲を拡大するとともに、明確にいたしたことでございます。 改正点の第五といたしましては、賭博性を希薄にするための規定を設けた一ことでございます。すなわち一つには払い戻し金の最高限度額を定めることができることといたしましたことでございます。二つには車券の投票方法に工夫を加えまして、的中の確率を大きくするような新しい投票方法を採用できるように投票無効に関する規定を整備いたしたことでございます。なおこれらを実施いたします場合には、他の同種の競技と歩調を合せて行うことといたしたい所存でございます。 改正点の第六といたしましては、競輪施行者が競輪の実施を都道府県自転車振興会に委任しました場合に、自転車振興会に対し交付いたします金額は、従来車券売上金の額の百分の三以内となっておりますが、これを委任業務の範囲及び車券売上金の額に応じ定めることとし、交付金額の算定方法を合理的に改めることといたしております。 改正点の第七といたしましては、政府の監督が十分に行き届くようにするため、都道府県自転車振興会に対する規制を強めますとともに、改正後の自転車競技法に基く法人として日本自転車振興会を設立いたすことでございます。 まず、都道府県自転車振興会につきましては、その役員の選任及び解任並びに事業計画及び収支予算は、通商産業大臣の認可を要するものとし、かつ毎事業年度の決算書類の提出義務を課することといたしております。 次に、中央の組織といたしましては、政府が十分に監督できる体制を整えるため及び自転車その他の機械産業振興のための経費の取扱いに関する制度を改めることといたしました。これに伴い、改正後の自転車競技法に基く法人として日本自転車振興会を設立いたしまして、この法人が、競輪の公正かつ円滑な実施をはかるために必要な業務及び自転車その他の機械産業振興費の受け入れ並びに支出に関する業務を行うことといたしております。 競輪施行者は、日本自転車振興会に対して自転車その他の機械産業振興費及び同会の競輪に関する業務に必要な経費を交付することといたしておりますほか、日本自転車振興会は、小型自動車競走施行者から小型自動車その他の機械産業振興費をも受け入れることといたしております。なお日本自転車振興会の成立のときに、自転車振興会連合会は解散することといたしております。 日本自転車振興会は、改正後の自転車競技法に基きまして設立される法人でありますので、政府の十分な監督を受けるものでありますが、同会が競輪に関する業務を公正かつ円滑に行うことを確保いたしますために、日本自転車振興会のうちに、競輪に関し学識経験のある者をもって構成する運営委員会を設けまして、日本自転車振興会の会長が運営委員会の意見を聞かなければならない事項を規定いたしております。 他方自転車その他の機械産業振興費に関しては、通商産業大臣の諮問機関として、従来の機械工業振興協議会にかえ、自転車等機械関係事業振興資金協議会を設置いたしまして、振興費の運用につき遺憾のないようにいたしたい所存でございます。 なお自転車その他の機械産業振興費に関する事項につきましては、規定の効力を三年間の限時的なものといたしまして、その後の措置は、別に法律で定めるところによるものとすることといたしております。 改正点の第八といたしましては、競輪の公正かつ安全な運営を確保いたしますため、競輪場及び場外車券売場の設置者に、これらの施設を許可基準に適合するよう維持すべき義務を課することでございます。 以上が自転車競技法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。何とぞ御審議の上、御可決下さいますようお願い申し上げます。 次に小型自動車競走法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 御承知のように、現行の小型自動車競走法は、小型自動車産業の振興と地方財政の改善をはかることを目的として、昭和二十五年第七国会において成立を見たものでございますが、その後数度の改正を経、次いで昭和二十九年第十九国会におきまして、補助金等の臨時特例等に関する法律の成立に伴い、従来の国庫納付金制度が停止されることになりましたので、臨時的措置として、同国会に自転車競技法等の臨時特例に関する法律が提案され、一カ年の限時法として成立したのでありますが、昭和三十年第二十二国会におきまして、その有効期間が昭和三十二年三月三十一日まで延長されまして現在に至った次第でございます。 今回の改正の骨子について申し上げますと、小型自動車競走が社会に与える悪影響を縮減し、その内容を健全化するために、政府の監督を強化すること及び小型自動車その他の機械産業の振興のための経費の取扱いに関する制度に改正を加えることでありますが、小型自動車競走の実情を勘案いたしつつ、競輪の場合に準じて改正を加えた次第でございます。 次に、改正点の概要を申し上げます。改正点の第一といたしましては、法律の趣旨に、機械の改良及び輸出の振興並びに機械工業の合理化に寄与することを加えたことであります。 機械産業の振興をはかることは、自転車競技法等の臨時特例に関する法律に規定されてありますが、これを小型自動車競走法に規定いたす趣旨であります。 改正点の第二といたしましては、小型自動車競走施行者が小型自動車競走を行おうとするときは、通商産業大臣に届け出なければならないことといたしたことであります。この点につきましては、従来、省令で規定しておりましたが、このたび、法律によって規定することといたした次第でございます。 改正点の第三といたしましては、小型自動車競走場の設置を許可制にいたしますとともに、許可に期限または条件を付することができること及び小型自動車競走場の設置者が、引き続き一年以上その競走場を小型自動車競走の用に供しなかったときまたは業務停止命令等に違反したときは、設置の許可を取り消すことができることといたしたことであります。従来小型自動車競走場の設置につきましては、全国小型自動車競走会連合会への登録制をとっておりましたが、これを競輪の場合と同じく許可制といたしますほか、小型自動車競走に対する規制を強めることといたした次第でございます。 改正点の第四といたしましては、小型自動車競走の審判員を登録の対象に加え、審判の公平並びに厳正を期したことでございます。 改正点の第五といたしましては、小型自動車競走をより公正に運営いたしますために、車券購入等の禁止範囲を拡大するとともに、明確にいたしたことでございます。 改正点の第六といたしましては、賭博性を薄めるために、払い戻し金の最高限度額を定めることができることとするとともに、的中の確率を大きくするような新しい投票方法を採用できるように、投票無効に関する規定を整備いたしたことであります 改正点の第七といたしましては、小型自動車競走施行者が、競走の実施を小型自動車競走会に委任しました場合に交付すべき金額の算定方法を合理的に改めることといたしたことでございます。 改正点の第八といたしましては、都道府県小型自動車競走会及び全国小型自動車競走会連合会の運営並びに経理につきましてその厳正を期しますために、これらに対する監督を強化いたしましたことでございます。 改正点の第九といたしましては、小型自動車競走施行者が、小型自動車その他の機械産業の振興のための経費を改正後の自転車競技法に基き設立される日本自転車振興会に交付することといたしたことでございます。これは、小型自動車競走による小型自動車その他の機械産業振興費の額が、競輪等に比べまして少額でありますので、日本自転車振興会に対して交付させ、日本自転車振興会にこの振興費を取り扱わせるのが適切であると考えるからであります。 なおこの点に関する規定につきましては、三年間の限時的なものといたしまして、その後の措置は別に法律で定めるところによるものとすることといたしております。 改正点の第十といたしましては、小型自動車競走が公正かつ安全に行われることを確保いたしますために、小型自動車競走施行者及び小型自動車競走会に、競走場内の秩序維持義務等を課するとともに、小型自動車競走場の設置者に、施設を許可基準に適合するよう維持すべき義務を課することでございます。改正点の第十一といたしましては、小型自動車競走場内の秩序維持、競走の公正または安全の確保その他改正後の小型自動車競走法の施行の確保等のため必要があるときは、通商産業大臣は、小型自動車競走施行者、小型自動車競走会、全国小型自動車競走会連合会または小型自動車競走場の設置者に対し、必要な命令をすることができることとしまして、小型自動車競走に対する規制を強めることといたしております。 改正点の第十二といたしましては、通商産業大臣は小型自動車競走施行者、小型自動車競走会、全国小型自動車競走会連合会及び小型自動車競走場の設置者から報告を求めまたはその職員にこれらの者の事務所もしくは競走場内に立ち入り検査をきせることができることとしたことでございます。 以上が小型自動車競走法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。 何とぞ、御審議の上、御可決下さらんことをお願い申し上げます。
○福田委員長 この際自転車競技法等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案もあわせて一括議題とし、審査を進めることにいたします。 この際松平忠久君より発言を求められております。これを許します。松平忠久君。
○松平委員 私は日本社会党を代表して一言発言の機会を得たいと存じます。 ただいま上程されました自転車競技法の一部を改正する法律案及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案ともう一つの自転車競技法等の臨時特例に関する法律というものは本来非常に密接な関係にあるものであります。従ってこの実体法であるところの前二者の法律案の内容というものを相当深く検討すべきことが臨特については前提となっておるのでありますけれども、臨特は半年間の暫定的な措置でもあるし、また時間の関係上これを延長するということは真にやむを得ないことではないかと存ずるのでありますが、しかしあわせてこの実体法はきわめて重大でありますので、われわれはこの実体法について十分な審議を尽して、そうして自由な態度をもってこの実体法については臨みたいと存じますので、念のためわれわれの態度をこの際明らかにしておきたいと思うのであります。
○福田委員長 自転車競技法等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案については、ほかに御発言もないようでありますので、直ちに採決に入るに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田委員長 御異議なしと認めます。 自転車競技法等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○福田委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。 この際午後一時まで休憩いたします。 午前十一時四分休憩 ――――◇――――― 午後一時二十九分開議
○福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 これより日ソ貿易等に関する問題について、御出席の参考人各位より御意見を伺うことにいたします。御出席の参考人は、国際貿易促進協会常任委員鈴木不二男君、日ソ東欧貿易会専務理事田辺稔君、東邦物産株式会社取締役近藤秀一君、日ソ親善協会常任理事南信四郎君、以上四名の方々であります。 参考人の方々には御多用中のところ本委員会に御出席下さいまして、厚く御礼申し上げます。御承知の通り先般の日ソ国交回復を機として、対共産圏貿易はその前途に明るい見通しを持たれております。しかしこの問題は現在未知数の段階にあり、関係各界の見方も悲観論楽観論等複雑ではありますが、今後の通商協定交渉等と相待って、漁業問題とも関連し、慎重考慮すべき時期に来ているものと考えます。世上伝えられているシベリア開発計画の実施等は十分注目に値するところでありますが、一方為替決済等政治的経済的に多くの問題点があるものと存じます。この機会に本問題に御造詣の深い参考人各位の率直な御意見を承わり、今後の委員会の調査の参考といたしたいと考えている次第であります。御意見御開陳の時間はお一人おおむね二十分程度とし、その順序は勝手ながら委員長におまかせ願いたいと存じます。なお御意見御発表の後委員の側から種々質疑もあろうかと存じますので、お含みの上お願いいたします。 それでは最初に鈴木参考人よりお願いいたします。次に田辺参考人よりお願いいたします。では鈴木参考人。
○鈴木参考人 ただいま御紹介にあずかりました国際貿易促進協会の常任委員をしております鈴木でございます。日ソの国交回復と貿易協定という問題はもう皆様非常にお考えになっておることでありまするので、私は時間を節約するために結論から入ってお話申し上げたいと思っております。 私は、端的に申しますると、国交回復の今日、貿易協定の締結を促進すべきものであるという論者であります。一刻も早く締結してもらいたいと思います。その理由の一として申し述べますると、日本の国は今日こういう狭いところに約一億の人口が住み込まれている。そして資源も豊富でないこの国において、わが国の立国は貿易立国であるかあるいは漁業立国であるか、産業立国でなければならないという立場になっていると思います。これは好むと好まざるとにかかわらず、今日においてはわが国の宿命であると私は存じております。こういう見地から、貿易を盛んにする協定は早く作ってもらいたいというのが私の第一の論点であります。 第二の論点といいますものは、わが国は、日本海に面しておる側から見ますると、日本海のようなものはむしろわが国の琵琶湖と思うくらいな活用をすべきものであると思うのであります。これは中にたくさんありまする漁業にしても、それから対岸諸国との間における貿易にしても、これを進めることが最も大切なことである。先ほど申しました通り、日本の国は非常に人口が過剰であると言うておりながら、比較的まだ北海道とか東北とかというところは開発せられておらない。それを開くということがまた一つの大きな道であるとするならば、日本海に面しておる国との貿易を特に進めるということは、日本の未開発地域の開発ということから非常に必要なことだと思います。すでに日本海の対岸諸国におきましてはそういう機運はほうはいとして起っておりまして、しかも昔の関係からそれらの地域におのおのヒンターランドがあり、そして港湾施設を持っておる。対岸と貿易をしてそれを受け入れる施設というものをおのおの備えておる。それを今日活用するということは当然なことだと思います。対岸諸国と申せば、朝鮮、中共、ソ連ということになりまするが、朝鮮問題は非常に複雑な関係がありましょうし、中共問題はまだ国交を回復するという段階にいっていない。ソ連とは国交が回復したという段階でありますならば、その国とまず一刻も早く協定を結び、貿易の振興をはかるべきものであると思っておるのであります。 第三点は、今月の二十五日にローマで調印されました欧州の共同市場協定を考えてみますと、あれによりまして日本の国の貿易の将来はまた非常に競争力のある相手ができたということを言わなくちゃならぬ。単に欧州との貿易の分量が日本全体の貿易の分量の五%しかないということだけではなくして、共同体が持ってくる競争力が、アフリカなり、近東なりあるいは東南アジアなりに日本の競争者として現われることを考えると、日本はもう晏如とした貿易政策をやっているわけにいかない。そしてどこでもかまわない、適当なマーケットがあるならば、それを獲得することが日本の当面の最も必要なことであると思うのであります。これが私の促進論の第三点であります。 第四点といたしましては、ソ連の貿易とか中共の貿易というものは、相手が国家貿易機関から、全体の国の統制の上から割り出されてきますために、比較的その貿易が安定しておるということであります。これが自由諸国の貿易みたいになりますと、根本はやはり合理化という点でありまして、安ければどこからでも物を買うというふうになりまして、市場が非常に安定しないのでありますけれども、ソ連もしくは中共のような国と貿易をすると、一応貿易協定で縛られたものは、それで市場が安定するという見地から、このマーケットを大事にすべきであるということが私の第四点であります。 ソ連と貿易をいたしますれば、ソ連は非常に一方的の国であるから、勝手なことをしてどうもしようがない、だからよほど慎重にしなければならぬという論はしばしば聞かれるのでございます。もちろん非常に不用意にとか軽率にということはいけないことでございますが、私に関する限りにおいて、ソ連という国はそう一方的な国であるということは考えておりません。現に私は国際商事仲裁という仕事をやっておりますが、この国際商事仲裁という仕事は、貿易上の紛争をどうして公平妥当に片づけるかということを研究する機関でありまして、通産省の外郭団体のようになっております。これは藤山愛一郎さんが会長になって、私が専務理事としてやっておるのでありますが、昨年の四月三十日にソ連の商工会議所の会頭との間におきまして、貿易上のクレームは一切互恵平等の原則に従って解決しようじやないか、そしてソ連でクレームが起きた場合には、ソ連の商工会議所の方で解決する、日本でクレームが起きた場合には日本の方で解決する、そういう協定を作り上げました。しかもそれはまだ国交回復以前でありまして、これを作りますのに一カ年の時日を要しておりまするが、決して向うはこれが平等互恵だからこういうふうにしてくれ――以前には全部輸出も輸入もソ連でクレームは片づけるということになっておりましたのを、そう直してくれたのでありまして、そういう点から見てソ連が必ずしも常に一方的なことばかり言うとは考えられない。むしろ原則として掲げておるものは平等互恵であるし、貿易というものはほんとうに平等互恵の上に成り立つのであるから、この見地からソ連との貿易を早く促進することが必要だと思うのであります。これが私の主張の第六点であります。 貿易契約を締結する場合に、これは非常に技術的な問題になりますけれども、ただ注意しなければならぬ問題は、自由諸国との貿易協定とは多少違ったものがあると思います。それはなぜ違ったのがあるかと申しますると、たとえば英米なんかとの貿易協定では、私の考えるところによりますと、英米の側も日本の側もばらばらであります。ところが共産圏の国との貿易協定においては片っ方の国は国家統制をして一つにまとまっております。従いまして政府間の協定になりました場合でも、わが政府の貿易協定というものはできるだけ一般の契約条件というものがそろってやるということが、貿易協定を作る上の一つの方針でなければならないと思います。そうでないと相手が一本であるために各個撃破されるという懸念があります。そういう点は外務省御当局もすでにそのようにやっておられるように承知しておりまするので、私どもは非常にけっこうなことだと思っております。貿易協定をいたしますときに、非常に慎重を期するのあまりにおそくなるというよりは、むしろとにかく早く協定をして、そして悪いものはあとでぼつぼつ直していくということでも差しつかえない問題だと思います。もとより非常に拙速であるためにまずいものを作る必要はありませんが、適当なところでもってできたならば、それで推進していくということがわが政府の貿易協定上の方針であってほしいと思います。 以上が私の申し述べたいと思う点であります。
○福田委員長 次に田辺参考人にお願いいたします。
○田辺参考人 日ソ東欧貿易会の専務理事、田辺稔であります。本日、当会会員五十六商社の代表といたしまして日ソ貿易の現況の一端と、私ども業界の要望を申し上げまして、本委員会における参考意見としてその責めを果したいと存ずるわけであります。 昨今日ソ貿易はどうやら共産圏貿易の中でも中共貿易と相並びまして国民各層の関心を高めて参ったわけでありますが、その日ソ貿易に対します関心の変化の一端をまず申し上げてみたいと思うわけでございます。 わが国経済を自立、発展、促進し、民生と福祉を増進するためには、各国との貿易を伸張することをおいてほかにないということも過言ではございません。なおかつ北海道を初めといたしまして、日本海沿岸都市の復興と繁栄が対岸貿易の伸張、なかんづく今や日ソ貿易の発展と正常化に期待がかけられておりますことも、昨今の日本海沿岸諸都市の自治体や、地方議会、あるいは地方産業界の一致した要望と行動とにおいても明らかでございます。昨年十月十日石川県七尾市におきまして対岸貿易漁業促進連絡協議会という組織が発足いたしました。これは北海道の稚内を初めといたしまして、南は長崎に至りますまで日本海に面しました地方自治体、地方議会の代表、七十六都市を代表するところの者によって組織されこれに地方産業界が協力するという形で、日本海を一衣帯水とした対岸諸国すなわちソ連、中共あるいは朝鮮、こういう諸国との貿易及び漁業の促進をはかりたいという要望が結集された組織が発足したわけでございます。この組織が発足するに至りますまで、その数カ月前の七月には小樽市、秋田市、新潟市、富山市、七尾市、高岡市、敦賀市、舞鶴市の各市長を初めとし、それぞれの地方議会の議長を発起招請人といたしまして、その母体が作られ、十月にはこの組織が発足し、まさに対岸貿易に対する日本海沿岸都市住民の生活の存亡にまでかかわっておる問題であるというふうに、この組織の結成を通じて考えられたわけでございます。過日ソ連のチフヴィンスキー公使が、当時は臨時大使でありましたが、ハンガルジャン通商代表とともに北陸諸都市を訪問されましたが、この北陸諸都市を訪問された際にも各都市で、ソ連領事館ないしは通商代表部の出先事務所の設置であるとか、あるいはナホトカと日本海沿岸諸都市港湾との定期航路の開設であるとか、そういう具体的な要望を通じて、まさにそれを実現することがそれぞれの港湾の復興にもつながり、またその港湾に関係のある広範な住民の生活の繁栄にもつながっておるということを具体的に要望しておったというような点でも明らかでございます。この主張を先頭とする対岸貿易連絡促進協議会は本年は小樽においてこの大会を開き、あるいは対岸の諸都市とも最も関係の深いナホトカの市長であるとか、あるいは旧豊原・現在のユジノサハリンスクの市長らを招請し、日ソ貿易を通じて経済交流の促進と友好親善を深めたいという要望が出されておるという一端にもうかがわれるわけでございます。これと同様に日本の商工業界におきましても従来にないほど日ソ貿易に対する関心は高まって参りました。かかる業界の意向に従いまして私どもと友誼的な関係にございます日本国際貿易促進協会は昨年の夏以来、もし日ソ国交を回復された後政府が一定の条件を提供してくれるならば、どのくらい貿易を拡大することができるだろうかという民間のトレード・プランを試算いたしました。この試算の作業に参加しましたのは中央の各種産業、工業団体及び需要家団体四十八の参加を得るとともに、これには日本鉄鋼連盟を初めとする基本的な産業に関係する産業団体が含まれておるのでありますが、地方的には関西及び東海地方の業界の意向をもくみ入れて作成されたことは御承知の通りでございます。しかもこの産業各団体との共同によって試算いたしましたその作業結果によりまするならば、日ソ国交を回復し、通商航海条約ないしは貿易協定が締結され、合理的な貿易協定か締結されたその第一年度においては、少くとも片道七千五百万米ドルあるいは五年後の将来においては片道一億六千万米ドルの取引の実現も可能であるということを業界の自主的な作業を通じて明らかにしたものでございます。すなわち従来共産圏貿易と申せば、もっぱら中国貿易がその代表的なものであったにもかかわらず、日ソ貿易という分野におきまして、日本の広範な商工業界は自主的に受け入れる用意のあること、及びその積極的な態度をも示していることであります。また手前どもの日ソ東欧貿易会と申します民間の業者団体でございますが、これは一昨年の四月発足いたしましたが、発足当初は日本の一流商社を含めまして、約実勢力二十数社というところが、実際の会員商社数でございました。ところが昨年末、また本年三月二十日現在の状況におきましても、日本の一流商社を含めまして、中国貿易のヴェテラン、専門商社を中核といたしまして、ソ連貿易専門商社すべてを含めまして、五十六商社を数えるに至っております。こういうような業界のソ連貿易に対する関心そのものは、日ソ貿易が従来日陰者の存在であった、日本の総合的な貿易の分野におきましても、その数量はほとんど取るに足りない数量ではございましたが、まさに将来の可能性として、将来の展望の中で、日本の経済自立、経済繁栄というものに大きく貢献するその根拠を持っておるということを、業界自身の直観によって、またその具体的な作業によって明らかにしたものであろうということを思うわけでございます。これに対しまして、またこういう業界の一つの集約といたしまして、本年の二月二十七日には、日ソ貿易協定締結促進全国会議というのを中央で開催したわけでございますが、これには自民党、社会党初め各政界の各位、日本の中央の商工業界、貿易経済団体、地方自治体、地方議会、三十都道府県、三十五都市、百九団体、及び業者代表の百五十六名が参加いたしまして、具体的な貿易協定の締結促進に対する要望を表明したわけでございます。こういう状況と相待ちまして、ソ連側の状況といたしましても、対日経済交流、なかんずく具体的な貿易問題の発展拡大ということにつきましては、積極的な意欲をうかがうことができるわけでございます。本年東京において国際見本市が開かれるわけでございますが、これには準備の関係から、ソ連は参加することができませんでしたが、来年の大阪の国際見本市にはぜひ参加したい、その内定をされた意向も聞いておりますし、もし時間的な余裕があったならば、本年の東京の国際見本市にも参加したい。また日本の業界の要望の一つといたしまして、来年開かれる北海道の博覧会にもソ連館を設置して、そうして経済交流の促進と友好親善を高めたいという要望もあげられており、こういうことがソ連側に提案されておる。またソ連側はこうしたものを検討しようという具体的な意思表示もあるということからうかがいましても、単にその一端ではございますが、ソ連側の対日経済交流に対する意向の一端がうかがえようかと思うわけであります。さらに具体的には、戦後の日ソ貿易はわずか年間一千万ドルにも達しないような、きわめて少額なものでございましたが、これはひとえに両国の国交が回復していなかった事情によるものでございます。しかるに日ソ国交交渉の第二次モスクワ会談におきましては、当時のシェピーロフ全権が、日本側の全権に行いました提案によりましても、ソ連といたしましては、今後膨大な対日需要を考慮していることが明らかになりました。かつ昨年春のソ連共産党第二十回党大会におきまして決定された東部ソ連、すなわちシベリア、極東沿海州地方の開発によりまして、両国間の取引の増大にも大きな期待がかけられておるという状況でございます。こういう状況と相待ちまして、幸い日本政府御当局の積極的な御努力によりまして、またソ連側政府の積極的な努力によりまして、日ソの国交は回復されました。かつ通商の拡大発展に関する議定書も効力を見るに至りましたことは、何と申しましても、日ソ貿易の拡大と発展を願望しております日本の実業界、日本海沿岸諸都市を先頭とする広範な日本の国民にとりましては、大いなる喜びといわざるを得ないわけでございます。 しかしながら第三番目に、こういう状況ではございますが、当面やはり問題点があるわけでございまして、この点について一言触れたいと思うわけでございます。日ソ国交回復による重要な政治的前提条件が整えられましたとは申せ、これを具体的にビジネス化する諸措置は依然講ぜられておりません。従って具体的な貿易の取引方法は旧来の共産圏貿易に適用されておりました方法、個別パーター方式ということが原則でございますために、日ソ貿易は国交回復前とさしたる発展を示していないというのが現状でございます。日本の経済自立と発展に大きく貢献し、日本海沿岸諸都市の復興と繁栄をもたらすであろうと確信しております日ソ貿易の発展と正常化は、今や全く日ソ復交の共同宣言第七項に規定され、あわせて両国の通商発展と拡大に関する議定書の精神にのっとった日ソ通商航海条約ないしは通商協定の締結こそが緊急の課題となってきているわけでございます。過日本通常国会外務委員会におきまして、当時の岸臨時首相代理より日ソ通商協定を早期に締結したいという御答弁がございました。また先般水田通産大臣がテヴォシャン大使との会談におきましても、同様の発言がなされました。これはひとえにわれわれ業界の要望を端的に表現し、かつその実現することは、日本海沿岸諸都市住民の切実なる願いにも一致する問題であり、まさにこれは広範な日本国民の要望と一致するものであるということを申し上げたいわけでございます。 時間の関係もございますので、あと若干二、三の点に触れて結びといたしたいわけでございますが、このようにいたしまして、日ソ貿易に関する正常化と拡大に関する諸条件は整えられつつあるわけでございます。今日ここに至りますまではもちろんのこと、今日におきましても、なおかつ日ソ貿易に対する相当の誤解や疑問が出されておることも事実でございます。国会及び政府御当局において、今後日ソ貿易問題をお取り上げいただき、その正常化と拡大に御努力いただきます一つの参考といたしまして、二、三の問題について参考意見を申し述べてみたいと思います。 その第一の点でございますが、日ソ貿易をやればとかく損するではないかというような疑問もございます。あるいはソ連貿易におけるところのソ連側の提案は非常に割高ではないかというような問題もございます。しかしながら、民間貿易になりましてからの実際の貿易の経過はそのような事実はなかったということを具体的に示しておるわけでございまして、たとえばソ連側から買いましたマンガンにしろ、クロームにしろ、また現在商談中のものを除きましても、ともかく今まで成約し、取引が行われました商品をうかがいましても、当時の国内需要価格、あるいは国際価格に比べても、これが決して業界にとって不利ではなかったという事実を申し上げることができようかと思います。またしばしばソ連からは買う商品がないではないか、こういう疑問もよく出されたものでございますが、昨今の樺太炭の引き合い、あるいは新しく沿海州の石炭を出そうじゃないかというソ連側の提案にうかがいます状況、あるいはわれわれが、本年度の国交回復後のクローム鉱の取引はこのくらいだろうと試算いたしまして数字が一万五千トンでございましたが、その実績がすでにもう本年の二月下旬に一万五千トンを上回る成約高で、三方五千トンにもなるという状況であります。またわれわれ業界の一般的な希望商品であった塩化カリ、日本の肥料になくてはならない塩化カリを新しく出してもよいというような提案であるとか、あるいは木材に対するソ連側の輸出数量の増量というふうな問題を考えましても、また今引き合いせられておりますいろいろな諸商品の中からも、ソ連から輸入する商品が少いのじゃないかという点は必ずしも当を得ておらぬじゃないか、むしろ今後具体的な貿易協定を締結する話し合いの中で、日本の業界の要望、あるいは日本政府御当局の要望として具体的に要求し、提案する中から、もっともっと探し出せるのではないかというふうな感じも持っておるわけでございます。またしばしばソ連側の貿易態度に対する疑問も出されておりました。これは従来の貿易経験の中からは、日ソ貿易をはばむ一つの材料としてまさにソ連側の商談態度にあったことも事実でございます。モスクワの公団に商談の引き合いをいたしますと、シー・メイルの返事をよこすとか、あるいは先方から商品を出されても、それに具体的なスペシフィケーションがついておらないとか、間々ビジネス・ベースをはずれたやり方であるとかというふうないろいろな問題もございました。あるいは特定の商社だけとしか取引をしないのではないかと思われるような商談のやり方もございました。しかしながら昨今こういうふうな問題は逐次改善されつつあるということが業界の意見でもございます。またソ連側の公式の代表者も明瞭に従来の態度を反省いたしまして、こうした点を改善し、日ソ貿易の拡大に努力するということを言明しておる点からも、ソ連側の商談態度の問題に関しては、今後業界並びにわれわれの努力によってこれは改善されるということを申し上げることができるのではないかと思うわけでございます。 最後に、日ソ貿易の将来性並びに発展の展望という問題を述べて終りたいと思うわけでございます。日ソ貿易の問題が提出されますときに、戦前の実績あるいは戦後の実績のささやかな数字が取り上げられまして、将来ともこれは動かないのではないかという問題がしばしば提出されたわけでございます。しかしながらソ連は明らかに建国四十年をけみしまして、この四十年たった今日のソ連の実情の中からこそ、日ソ貿易が発展するかしないかという問題も取り上げられるのではないか。確かに北鉄接収時代には、それにふさわしい商品が購入されたし、ソ連政権が国際的に認められない不安定な時代にありましては、あるいは利権を日本側に与える。たとえば北カラフトの採掘権を利権として与えるというような問題もございました。また戦後の政府間貿易あるいは民間貿易の中からの数字からもその一端はうかがうことができます。今日新しくソ連がその国内建設の方針を決定し、その方針に基き、ソ連側の要路の人々が対日経済交流に言及いたしております点をうかがうならば、今日のソ連の実情の中からこそ、日ソ貿易の将来性はくみとれるのではないか。その重点がシベリア開発あるいは東部ソ連の開発にあるとするならば、その経済的な合理主義の面からも、日ソ貿易の立場というものには大きな地位を占めてくるのではなかろうかと思うわけでございます。それにつきましては、後ほど南参考人より詳細に報告されると思いますので、私は省略いたしますが、ソ連側の国内事情からいっても、新しい経済開発の中での日本との経済交流を望むというソ連自体の要望があり、また日本が一衣帯水の対岸諸国との貿易を促進することが、日本の経済自立にも貢献するといったならば、これはまさに合理的ではないかと思うわけでございます。しかも昨今のソ連側と日本商社との間における取引の経緯を見ましても、ヨーロッパ・ロシヤと日本との取引という観点よりも、アジア・ロシヤと日本との取引をするという傾向が出ております。たとえば戦前マンガンはわざわざヨーロッパの黒海から積み出されて参りました。クローム鉱は明らかにソビエトのナホトカから積み出され、また塩化カリも、おそらくヨーロッパ産であると想像されるにもかかわらず、ソ連側はナホトカより積み出しを提案してきておるというような問題を考えましても、今後の日ソ貿易はまさにアジア・ロシヤと日本との経済的な結びつきであるという点を申し上げられようかと思うわけでございます。 以上いろいろ申し上げ御参考に供したわけでございますが、結びといたしまして、重ねて強調しておきたいことがございます。日ソ貿易の正常化と拡大はまさにわが国の経済自立発展を促進するものであり、かっこの要望は北海道を初めとする日本海沿岸諸都市住民の郷土の繁栄と固く結びついているものである、その願望に一致するものであるということを思うわけでございます。私どもはこの要望の実現のためには、しばしば政府御当局にも要望申し上げ、御相談申し上げてこの早期実現に努力いたしております。幸いにその要望は政府御当局の着実なるお計らいによって実現の方向に進んでいることも業界として喜んでおる次第でございます。どうかこの要望を一日も早く具体的に実現いたしますように、日ソ関係当局に対しまして、われわれは日本政府のみならずソ連側に対しましても、われわれの要望を日本父の立場から、日本人業者の立場からへ日本人の業者団体の立場から披瀝し、そうしてこの実現に努力いたしたいと思うわけでございます。私どもの具体的な要望は、通商貿易協定が一日も早く結ばれるようその話し合いを開始していただきたいということ、そうしてそれが締結されるまでの間は、過渡的にはぜひ便宜的な措置として業界の要望である、たとえば決済の面において現金決済であるとか、貿易の方法において片道決済ができるとかいう方法をぜひ講じていただきたい。またソ連側の国営貿易の建前上どうしても通商代表部の確立が必要であり、そこと日本側業者との話し合いが必要である。通商代表部の確立の問題につきましても、政府御当局の格別のお計らいをいただきたい、こういう一連の具体的な御要望を最後に申し上げまして、日ソ貿易の現況とそれに関連するわれわれの要望、問題点の二、三を申し上げ、本日の本委員会における参考意見といたす次第でございます。
○福田委員長 次に近藤参考人にお願いいたします。
○近藤参考人 私は東邦物産の取締役、業務部長をいたしております近藤であります。過去数年間ソ連貿易に携わって参りました体験と申しますか、そういった身をもって経験して参りました点につきまして、御参考になると思われる節をここで申し述べたいと思います。 私の会社は、戦後日ソ間の国交が回復せず、従って通商協定も何もないという非常な悪条件のもとでやって参りました。私らの会社と国じような会社がやはりほかにも二、三ございまして、非常な苦労をしながらやって参ったわけでありますが、そういう悪条件下でございましたために、貿易の額も片道が、年間多いときでもせいぜい五百万ドルぐらい、木材と石炭といったようなものが入っておりまして、出ていくものは船の修理だとかあるいは銅線、ワイヤー・ロープというようなものが出ておりました。品目もごくわずかなものでございました。それで、こういった貿易実績は日本全体の経済や輸出入から見ますと、まことにささいなものであって、ソ連貿易なんか将来の可能生も全く心細いものだというような一般の観測になっておりました。しかしながら、私たちはいずれ日ソ間の国交も正式に回復し、通商協定も結ばれるだろう、そうすればこの一衣帯水の東ロシヤという地理的に非常に有利な条件をバックボーンとして、日本とソ連との貿易は必ず飛躍的に増大するに違いないというような一つの確信を持っておりました。それでうまずたゆまずソ連通商代表と接触を保ち、非常なむだだまのような電信を絶えず交換し、手紙を書きしてやって参ったのであります。ところが今こうやっていよいよ国交が回復いたしまして、遠からず通商協定も結ばれる状態になったのでございますが、私たちはやはりこの際できるだけ早く通商協定が結ばれて、日ソ間の貿易がもっともっとふえるという事態をこいねがっている次第でございます。現在行われております貿易の決済におきましては、いわゆるバック・ツー・バック方式または先に輸入しておいてあとで輸出するとか、あるいは先に輸出しておいてその見返りをあとで輸入するといったような、ともかく輸出入が見合った形でないと許可されない状態であります。この原則によりますと、ある商社は輸出と輸入両方を行わなければなりませんので、かりに輸出だけについて何か話がすぐにまとまる、しかしながらその見返りの輸入についてはその商社が不得手であるとか、あるいはさしあたってそれを実行するように日本当局の方で許可がおりないという場合には、結局輸出輸入ともに成立しないという、非常に窮屈な交易を遂行しておるわけでございます。それでこれを何とかして早く改善していただくためには、やはり通商協定によりまして支払いの面をもっと円滑にできるようにしていただきたい、こういう要望を持っておる次第であります。 私の会社は一昨年ソ連の石油の輸入を計画いたしまして、その見送りにディーゼル・エンジンの輸出をかみ合したバーター・トレードを契約いたしました。ところが石油の輸入が不可抗力によって実行不可能になりました。それがためにせっかく契約ができていたディーゼル・エンジンの商売もだめになった、こういう実例がございます。こういう実例は各商社とも多数にあるわけでございます。それでソ連側では、現在できることならいわゆるオープン・アカウント方式によってもっとフリーな輸出ができるようにしてもらいたいということをよく言っております。これはこちらにおります通商代表などからもわれわれたびたび聞いたことでございます。しかしながら日本当局の意向といたしましては、オープン・アカウントという方式は漸次廃止していかれる、それで現金決済の方式による方を希望するという御意向のように見受けております。それにつきましてはソ連側としましては、それならそれでもいいんだということを言っております。しかしながらオープン・アカウント協定によりましても、その差額を現金で仕切って金またはフリー・ダラーで払えばいいじゃないか、それでもソ連側としては応ずる用意があるというように漏らしております。こういった決済方式は国としてのいろいろな方策もございますので、われわれ商社からそう、こうしていただきたい、ああしていただきたいという希望を出しましても、早急には決定できないかとも思いますが、いずれにせよ現在のような輸出入をかみ合したバーター・トレードでなければソ連との貿易ができないという状態を打開するためには、やはりこのオープン・アカウントなり現金決済なりどちらかにしていただいて、早くフリーなトレードができるようにしていただきたい、こういう要望を持っております。 それから現在の貿易実績で考えますと、ソ連からの輸入にしましてもこちらから輸出するにしましても、まだ非常に少量しか予想できないのですが、これは貿易協定ができまして、ソ連側は日本からこういうものが買えるとか、日本はこれだけのものを買ってくれるという大まかながらも予想が立ちますと、ソ連側としてはああいう計画経済の国ですから、いろいろな面で貿易拡大に向って手を打ったことができるだろうと思うのです。たとえば北樺太の石炭の積み出し能力あるいは沿海州の木材の積み出し能力、そういうものでも、日本がどれだけ買ってくれるかわからないから、それに合った予想をもって金をつぎ込んでいけば、うまくいけば日本がちょうどそのつぎ込んだ金を償うに足るだけの買付をしてくれるかもしれないが、日本の都合でそれがだめになった場合はむだな投資をしたことになる。それがためにこれまで十分な荷役設備、積み出し設備を準備することができなかったということをよく申しております。こういう点につきましては、やはり貿易協定を結びますれば、ソ連側としましても計画経済のうちにその貿易を織り込みまして、それを遂行できるに必要な諸設備に投資を実行するだろうと思われるのであります。その一例といたしまして、今東京に駐在しておりますソ連の木材輸出公団のガルシェチニコフという担当官が最近私に漏らしたことでありますが、今木材の取引が、ことしは二十万立方メートルの契約ができました。しかしながら日本はもっと木材が要ることも知っている、この数量をかりに二倍、三倍にしてくれるならば、ソ連はそれに対して十分なる積み出し能力あるいは伐採能力等も準備をするだろう、そして今積み出しは北樺太の対岸に当ります沿海州の二つの港から出ておりますが、それがために非常に積み出し能力が制限され、日本に供給する能力もおのずから制限されるわけであります。ところが日本がその二倍、三倍と買ってくれるならば、ウラジオのちょっと北にあります、例の有名なナホトカ、あそこの港を利用して積み出し準備をしよう、さすればもっと融通のきく供給ができるのだ、こういうことを言っております。それでそういう計画経済の実行に当りましては、ソ連はおそらく伐採のためにはそこに道路を完備し、また新たに作り、港湾も木材の荷役に適したようないろいろな設備をしなければなりませんが、そういった手を打ちますのには、計画経済の国ですから、今言ってすぐにできないと思うのでありまして、少くとも来年のそういう貿易に関するいろいろな施策は本年の夏ごろまでにはおそらく確定していなくちゃならないだろうと思うのです。そうしますと、やはり貿易協定というものが早く取りきめられないと、来年度のソ連の計画経済に織り込まれない、従っていろいろな日本に対する供給面の準備も非常にむずかしくなるのではないか、こういうふうにわれわれは懸念している次第であります。 それから従来われわれがソ連と取引しております品目は、大体輸入の面におきましては北樺太の石炭、沿海州の木材、最近はウラル方面からナホトカを経由して供給されておりますクローム鉱石、そういうものがあります。それでこちらから出す方は、先ほど申しましたように船、最近ソ連からいろいろ引き合ってきておりますものに機械類、それからセメントとかあるいはベルトとかいったようなものがございますが、貿易協定におきましては、私はもっとその品目の範囲を広げていただいて、日本の軽工業の製品がソ連に行くような工合にしむけていっていただきたいと思うのであります。あまりに少数な品目で、ぎごちないかたいものばかりの貿易ではあまりにもあやがない、やはり両国間の友好を促進するためには、そういった日本の特徴とするいろいろな繊維製品だとか、あるいは手先の巧みさを利用した日本の特殊な輸出品、そういうようなものまでもソ連が買うように仕向けていって、そして日ソ間の貿易が広い面にわたって潤いのあるものであるようにしていきたい。それがためにはナホトカと日本の間の定航路というようなものも必要でございましょう。現在のところでは、ナホトカ、ウラジオは不凍港でございますが、木材の積み出し港であります沿海州の二つの港とか、あるいは石炭の積み出し港の樺太の港なんかは冬期結氷いたしますので、荷動きが非常に限られた期間になって参ります。五月から始まって九月ころに終ってしまう、おそくとも十月ごろには氷で閉ざされるといった状態でありますので、不凍港と日本との間の定航路、そういうものを設けることによって、もっと品目の変化の多い、また常住不断の貿易が行われるようにならなければならぬと考えております。 それから通商の機関でございますが、今東京におります通商代表はメンバーがわずか二人でございます。一人は船舶の輸入公団の代表がおります、一人は木材輸出公団の代表がおります。その人たちが木材と船舶だけでなしに、あらゆるものを取り扱っておりますので、人手不足のために仕事がうまく進まない。戦前には在日通商代表は十七、八名の陣容があったと聞いております。そうして東京のみならず、はるかに京城までも出店を置き、大阪、函館、それから先ほどお話がありました七尾なんかに出張所があったと聞いております。今のところでは正式には通商代表部というものが設置されていない状態でございます。しかもいる向うの公団の人はわずか四名という貧弱なことでございますが、それがためにいろいろな支障が起きて参りまして、重要なその人たちの専門外のことは、自分できめられないとか、大使に相談をしなくちゃならないこともございますし、あるいはモスクワに電報を打って返事を要求しなければならぬというふうな場合も多いのでございます。それがために仕事がスムーズにいっていない。通商代表部というものがやはり認められまして、そして日本に関係の深い公団の人たちが、ここに通商代表として駐在するというような格好がやはり望ましいわけでございます。 なお先ほどちょっと言及しましたガルシェチニコフという木材輸出公団の人物が言っておりますのには、もしも日本と木材の貿易が恒常的なものとなり、かつ規模が拡大されるならば、その公団の出店をたとえばナホトカとかあるいはウラジオ等に置いて、東京にいないまでも、もっと大きい権限を持った機構をそこに作って、そして日本との取引にもっと活発な行動ができるのじゃないということも漏らしておりました。 以上のような事情でございますが、通商協定ができました後のソ連貿易の見通しと申しますか、そういったものにつきましては、ただいま田辺さんからいろいろお話がございましたし、蛇足をつけるようでございますので、あまり呶々する必要もないかと思いますが、ともかく最近半年の間に――国交を回復しまして半年でございますが、概算約八百万米ドルの輸入商売が日本全体としてできておると私は見ております。これは当然現在の決済方式によりまして見返りの輸出が予想されるものですから、その見返りの輸出も早晩契約されるとしますと、輸出入合計で千六百万米ドルの商売が一応はできる可能性があるというわけでございます。 なお、われわれのような従来ソ連貿易をやって参りました商社以外に、最近は有力な第一流の商社も直接、間接にこのソ連貿易に乗り出して参りまして、ソ連貿易の将来の有望な面を如実に示しておると思います。 ともかくソ連が、ことに極東ロシヤは、地理的な条件で日本に非常に有利ではないか。石炭にしましても、今後可能性のあります鉄鉱石の輸入にいたしましても、遠いインドやあるいはアメリカから買うよりも、安い運賃で近くから持ってこれるというような有利な点がございますことと、それからソ連がシベリア開発ということに非常に力を入れておる模様でありまして、これによって日本の重工業の製品も相当に需要が起るだろうということ、またシベリアが持っております潜在的な資源が大きいこと、それからまたソ連が持っております科学あるいは技術面における非常に優位な――英米に比しても優位なものを持っておるようにも思います。そういうものをこのソ連貿易を通じて日本に入れるというようなことも今後考えられまして、ソ連貿易の将来は、私はそういう面で、日本にとっても非常に重要であり、日本の経済発展のために非常に大きな意義を持つものであると確信する次第でございます。
○福田委員長 次に、南参考人にお願いいたします。
○南参考人 ソ連経済を研究しておる者の立場から、シベリア開発と日ソ貿易ということについて参考意見を述べさしていただきます。 一九五三年の三月に、御存じのようにスターリンがなくなりまして、そのあとにマレンコフ政府が成立いたしました。そのマレンコフ政府のもとで、同年の八月にソ連最高会議が行われましたが、この会議で二つの重要な事件が発表されたわけであります。その一つは、いわゆるマレンコフ政府の水爆声明であります。もう一つはマレンコフ政府の消費物資増産政策であります。しかしながら、このときの水爆声明というものが、あまりにもショッキングな影響を全世界に与えましたので、経済政策の方では十分にその意義がつかまれず、またこれが書き立てられなかった状況でございました。しかしそのときちょうどロンドンの「エコノミスト」が、水爆声明以上にこの消費物資増産政策というものは重要であるという論文を発表したのであります。今考えてみますれば、これは非常にすぐれた見解でありまして、スターリン時代の経済建設方式に対する実質的な批判と是正というものが、この消費物資増産政策に発していたと考えることができるのであります。これはフィンランドに次いでイギリスが現在対ソ貿易について第二位を占めておるということと関係なしとしない見解であります。それからまた昨年の二月にソ連共産党第二十回大会が行われましたが、そのときまたまた世界を驚かすようなスターリン批判ということが起きました。全世界がこのスターリン批判で騒いでおるときに、ソ連の各新聞は何を論じていたかといいますと、この二十回党大会において取り上げられた第六次五カ年計画、そうしてその主要な内容をなすところの東部地域の開発、これが連日ソ連の新聞で論じられていたのであります。しかしながらスターリン批判の旋風があまりにも激しいために、この東部地域の開発ということの意義が日本で十分に伝えられたとは考えられないのでありますが、これを一番先に日本の経済との関連において重視したのは、日ソ貿易に関心を持つ業者並びにその団体であったということは、前の例と考えまして非常に興味深い事実だと思うのであります。私がこの例をあげたのはなぜかといいますと、ソ連の経済政策を経済政策として実務的に、現実的に見る必要がある、そういう段階に来たからであります。つまり、われわれはこれまでの既成概念を捨てて、そういう経済政策なら経済政策を見るということであります。この既成概念というものがいかにおそろしいものであるかという一例を、ちょっとお話をいたします。 最近ソ連でロシヤ共和国の最高会議が行われました。そのときにカムチャッカの代表が、その会議の席上で次のような発言をしているのであります。それは最近ツェントロ・サユーズ、つまりソ連の消費組合中央本部のようなところですが、このツェントロ・サユーズがカムチャッカで犬をふやす政策をきめたというのであります。これに関連してこのカムチャッカ代表が次のように発言しているわけです。こういうばかげた政策をモスクワの中央できめてもらってはわれわれは困る、つまり現地のカムチャッカでは、犬はすでに交通機関ではない、犬が交通機関であったのはずいぶん昔の話である、われわれは今近代的な交通機関を持っている、犬はむしろ、これをソ連式に言うと縮小生産させる段階に来ておる。なぜならば、カムチャッカの犬は貴重なるサケ、マスをあまりに食い過ぎるからである、こういうふうに言っておるのであります。つまりソビエトの中ですらシベリア、カムチャッカについてはきわめておくれた、古い、いわゆる既成概念を持っている。でありますれば、日本の中でシベリアの現況ということを論ずる場合に、既成概念がないのはむしろ不思議な状態なのであります。 そういう既成概念を離れまして、シベリア開発の現状ということに入るわけでありますが、これをどういう角度から取り上げるかということが、またここで一つの問題になります。というのは、日本の一部にもシベリア開発というのは、帝政時代からロシヤがとっているところの東漸政策、すなわち東へ東へ進む政策の単なる延長にすぎない、それが少し大きくなったにすぎないというような考え方、あるいは極東においてソビエトは大きな建設をやるわけがない、なぜならば、極東は日本と近接し、また日本を通じてアメリカと近接している、いざという場合には占領されるおそれがあるかもしれないからだ、そういう見解もあります。またソ連の従来の建設を見ますれば、自給自足で何でもやってきている、だからシベリア建設については外国の経済力を必要としない、こういう見解もあります。それはそれなりの理屈を持っていましたが、これを一つ一つ批判する余裕がありませんので、私は一応これらの考え方が出てきたところの、ソ連のシベリア開発の歴史というものを振り返ってみる必要があると思うのであります。この歴史を振り返ることによって、今日のシベリア開発の行き方、その根本精神というものを理解するのに役に立つと私は思うからであります。 まず最初に革命前のロシヤにおいて、シベリアの経済的地位はどういうものであったかということです。それは一言で言うときわめてみじめな状態であります。全くないと言っていいのであります。たとえば製造工業についてみますると、その生産高は全ロシヤの三・五%、金属加工は〇・九%、化学工業は〇・五%、全くこれは無にひとしいという状態であります。つまり一言で言うと、近代的な工業は全くなかったということであります。しからば、この革命以後においてはどうであるかということを考えますと、私はこのシベリア開発について四つの段階を設けたいと思うのであります。 その第一は、革命間もなく、一九二〇年の第九回党大会において、有名な全ロシヤ電化計画、ゴエルロ計画というものが採用されました。これは当時ソ連が初めて唱えたところの単一の経済計画というものを実現するための一つの手段でもありまして、この単一の経済計画の必要が強調されたわけであります。しかしながら、当時はそれだけの計画を実現する物的条件もありませんので、単にその必要が強調されたにとどまります。しかしながらこの単一の経済計画というものは、明らかにウラル以東の地を目標にして考えられていたということであります。 それから第二の段階は、一九三〇年ウラルの鉄鉱とシベリアのクズネツの石炭を結びつける、ウラル・クズネツ総合工業地帯というものが設立されました。御存じのように、シベリアのクズネツという炭田は、その石炭の埋蔵量が、一九三八年の調査でありますが四千五百億トン、ソ連が誇るところのドンバスの石炭の埋蔵量は九百億トン、つまり五倍持っているのであります。そしてこのウラルとクズネツを二千キロの遠距離にわたって結びつけて、そこに工業地帯を作るという計画、これは当時ソ連では、社会主義のみでこそできるのだと言って、大いにこれを世界に宣伝したのであります。この二千キロの距離ということがどういう意味を持つかということは、あとからまたお話しいたします。 第三の段階、これは私はシベリア開発の段階として、一応本格的な段階ではないかと思うのでありますが、それは一九三九年第十八回党大会で、第三次五カ年計画が採択せられたときであります。この三次五カ年計画においては、ソ連の主要経済地区の総合的発展ということが考えられました。しかしながらこの大会は、その半年前に、ヨーロッパでは有名なミュンヘンの会議があります。半年後にはドイツがポーランドに侵入している。そういう国際的な緊張の中でこの計画が練られたために、このときに取り上げられた東部地方――当時はヴォルガ、ウラルをおもに指していたのでありますが、東部地方の開発というものは、あくまでもそれは軍事的な要求から出発したものであると私は見ておるのであります。どういう開発の政策がとられたかといいますと、その一つとして、たとえばモスクワ、レニングラード、ハリコフ、キエフ、ロストフ、ゴーリキー、スヴェルドロフ、こういうようなヨーロッパに近い、あるいはヨーロッパにあるところの、こういう重要な地帯には、新しく工場を建設することを禁止したのであります。といいますと、現在でも、第二十回党大会後、これらのヨーロッパの重要工業地帯には、燃料を多量に要するところの工場の建設が禁止され、これが東部に移されるようになっております。しかしながら、同じ禁止であっても、当時の禁止の内容と今日の禁止を要求というものは、全く別だということを皆さんお考えになっていただきたいと思うのであります。また重工業の部門についてどういうような政策がとられたかということ、ウラル、ヴォルガに総合的な企業を作る。総合的というといかにも科学的のように聞えますけれども、いざという場合に備えて、原料がこないというような場合、部品がこないというような場合でも、とにかくその企業で何でも作る、もう未完成品から半製品まで一貫して全部作るという方針がとられたわけであります。これは当時の状況として見れば、きわめて現実的な要求から出発したわけでありますが、現在こういうやり方というものは、ソ連で強く批判されております。そしてそのかわり出てきているのが、企業が専門化されなければならない、そして専門化された企業が相互に協業化されなければならない、こういう立場でいっているのであります。また当時の東部開発の一つの特徴としまして、とにかくりっぱな工場よりも、中小の規模を持った工場を急ピッチにたくさん作るという方針がとられました。ですから、これがどういう技術内容を持ち、どういう設備を持つかということは、皆さん想像のできるところであると思うのであります。こうして戦時中の東部のヴォルガ、ウラル方面に対する投資というものは、たとえば一九四三年をとってみますと、全国総投資の六一・五%に達しているのであります。 このように一九三九年までの東部開発というものは進んできたわけでありますが、いよいよ第四段階として私が取り上げるのは、一九五六年、すなわち昨年の第二十回党大会であります。この党大会の決議を見ますと、工業生産量をより一そう増大させるために、新しい原料、燃料、電力産地を経済循環に引き入れるということ、そしてまず第一に東部地域の莫大な天然資源を動員しなければならない、こう決議の中にうたわれているのであります。 以上の四段階を要約しますれば、次のように言うことができると思うのであります。すなわち第一は、帝政ロシヤ時代の生産力配置はきわめて西部に片寄っていたということ、すなわち経済的に非常に不合理な状態になっていたということ、そして第二として、社会主義に入りましたソ連が、計画経済、経済のバランスある発展ということをやろうとした場合に、この不合理な生産力配置によってそれが妨げられたということ、しかもこれを合理化するにはソ連の生産力は当時においてはあまりにも低かったということであります。もう一つソ連の経済建設に重要な性格を与えたものは、ソ連の工業建設というものは、いわゆる資本主義に囲まれた条件の中で、重工業建設という超重点主義で行われております。しかもこの戦前戦時の急速な東部の工業化ということは軍事的要求によるものであって、それが軍事的性格を非常に色濃く持っていたということであります。すなわちそういう状況でありますから、ソ連が経済的合理主義というものを計画の中で生かそうとしても生かすことができなかった。今日のスターリンの経済建設指導に対するいろいろな非難、是正の方針というものがこういうところから発しているということは、大体今の定説になっているようであります。 こうして見ますると、第二十回党大会によって決定された東部開発というものは従来のものとは全く違った条件のもとで行われているという結論を出すことができると思います。それはどういうように違っておるかといいますと、もはや言うまでもなく、第一としまして、ソ連は一国のみで経済を建設しているのではないということ、すなわち現在社会主義圏が確立しているということ、それから第二に、ソ連は二十回党大会においてはっきり言いましたけれども、大きな世界戦争は今後起るまいという見通し、従ってまた長期の平和共存という条件、そしてまたこの平和条件を裏づけるところの東西貿易の拡大、こういういわゆる客観的条件をこのように彼らは見ております。第二にソ連自体の生産力が非常に増大しているということ、事実この生産力をもとにしましてソ連経済の総合的発展ということが、従来かけ声であったところのものが、今や現実にこれをやり得る力を持つに至ったということであります。そしてまたこれをやり得るために、従来スターリン時代にとられておりましたところの、そして内外の情勢からそのように余儀なくされていたところの過度の中央集権的な経済指導というものを是正していく、そして地方のイニシアチブを十分に発揮していく、各地の特色を生かしていく、これは世界的にいえば世界各国の特色を生かして、その力を建設に利用していくという考え方であります。一言にして言いますれば、ソ連のこの建設というものが、今日の段階に至りまして、やっと経済を合理的に運営するという段階に達したと私は考えるのであります。 こういう条件の中で行われているのが今日のシベリア開発であります。つまりシベリア開発というものは従来の、つまり先ほど言いましたように戦前のシベリア開発の単なる延長ではないということであります。それでは現在シベリアの開発の現状はどうかということをまず天然資源という点に見ますと、御存じのようにシベリアの天然資源は膨大である膨大であると各新聞も書き立てておるので、今さら私から言うまでもないと思いますが、シベリアの面積というのは大体全ソの半ばでありまして、水力、木材がそれぞれ全ソの八〇%を持っておる、石炭の埋蔵量は七五%である、そしてまた鉄鉱が二十億トン、非鉄金属あるいは希少金属というものが大部分シベリアに集中しているということ、もう一つ言いたいことは、こういう調査は、たとえば鉄鉱の調査などにしても長いこと調査されなかったが、一九四六年、四七年に再調査されて、現在ソ連で地質学者がシベリアの各地に行って調査をしているということですから、決定的なことは現在の段階ではまだ言い得ないわけでありますが、とにかく石油にしろ、石炭にしろ、その埋蔵量が世界一あるいは世界第二位を誇るところのソ連が、そのシベリアにおいてそれが八〇%あるいは七〇%集中されている。その天然資源というものはいかに莫大であるかということがわかると思います。 しかしこれらの天然資源が地下に単に眠っているという状況でありますればこれは困ったことでありまして、これが現在経済的にどのくらい利用されているかといいますと、これを一九五三年の統計で見ますれば、シベリアの工業生産高は全ソ工業生産高の三分の一、鉄鋼、鋼材、石油は二分の一以上、石炭は二分の一以上、電力は四〇%という状況であります。しからばこの第六次五カ年計画の最終であるところの一九六〇年にはどうなるかというと、まず第六次五カ年計画で全投資の半ば以上はシベリアに投下されるということ、そうしてまた石炭の生産が二億八千万トン、石油は一億トン以上、つまり石油について見ると、全ソの七五%ですから、石油は、バクーが世界一ということは古い常識となっておるのであります。ことに電力の点について有名なアンガラ川のブラーツク水力発電所が出力三百二十万キロワット、エニセイ川のクラスノヤルスクの水力発電所、これも三百二十万キロ、つまりつい二、三年前まではクイブシェフ、スターリングラードの水力発電所が世界一を誇っていたわけでありますが、この二つを合せたような水力発電所がブラーツクあるいはクラスノヤルスクに作られるということ、これらの天然資源動力というものが結合されまして、近々十年ないし十五年の間に年産千五百万あるいは二千万トンの銑鉄を生産する第三の冶金基地がシベリアに作られることになっております このように資源の点を羅列しましても切りがありませんから、一応ソ連のシベリア開発ということがソ連全体の国土計画の中でどういうような考え方で行われようとしているかという一つの参考としまして申し上げますと、ソ連は先ほどの歴史的経過の中で述べましたように、経済的に見ますれば西部と東部に分れておりました、つまりその当時の東部というのは大体ウラル、ヴォルガ、そういうことになっておりますが、やはりソ連の経済建設は大きくいって三つのグループに分けられます。それはまず第一に西部グループであり、第二はウラル、ヴォルガグループであり、第三が東部グループであります。この東部グループというのは、いわゆる東部開発というのでありまして、西シベリア、東シベリア、極東、中央アジア、カザクスタン、こういう地帯を含んでおるのであります。そしてこの東部グループはさらにこまかく分けられまして、その拠点としまして重工業地区がイルクーツク州、クラスノヤルスク地方、クラスノヤルスク南部、ザバイカル、アルタイ地方、こういう地方に作られる可能性があります。 私はソ連のシベリア開発が着々進み、景気のいい点を述べたのでありますが、しかしソ連にも大きな悩みがありまして、最近の文献によりますとシベリア開発で一番困っておるのは労働力が不足しておるということを書いております。これははっきり述べております。同時にソ連の建設計画を進めるに当ってやたらにこれを急ぎ過ぎるというような観点がありまして、これが昨年の十二月共産党中央委員会の決定によりまして、あまり膨大な計画を立てて、そして投資の効率がさっぱり上らない、そこでもう少し有効に投資する、そしてまた計画をぐっと下げてやりやすくしていく、こういうように着実な観点に立ってきたようであります。ということは、ソ連にはおもしろい人がいるもので、こういうように建設をどんどんやっていく過程においては、未完成の、たとえば十年でできるものは十二年になる、そういう未完成の建造物がふえるのは当然の傾向であって、未完成建設増大の理論などということを言った人があるらしいので、それがこてんこてんに最近たたかれておりますが、とにかく建設に伴ういろいろなぎくしゃくというものが十二月党の中央委員会の決定によって今後是正されていくということが考えられると思うのであります。 次にこのシベリア開発が日本経済とどういう関連があるかという点は、先ほども参考人が述べられましたので、私はこれ以上加える必要がないと思いますが、とにかくシベリアの東部開発が発表され推進されるとともに、ソ連が国際的な経済協力、そうしてまた国際的な分業、これを非常に大きく主張し出しているということ、そうしてまたこれを実際に諸国との関係において実現しようと努力しているということ、またシベリア開発において常にイニシアチブをとってきたフルシチョフ氏みずからも東部開発というものは日本の経済力というものと密接な関係を将来持つであろうというようなことを言明しているということ、また最近のごく新しい経済の諸問題というソ連の理論雑誌を見ますと、シベリア開発について述べた最後に、シベリア開発はアジア諸国との貿易拡大の見通しを考慮して行われなければならない、こういうふうに述べております。従来ソ連ではこういう国内問題を論ずるときに、外国貿易とからませて論ずるというようなことはあまりしない国でありましたが、今この経済の諸問題という理論雑誌がこれをはっきりと言うようになっているということ、これはすなわちソ連が新しい経済方針、経済的な精神で建設を進めようと考えている一つの証拠と見ることができるのであります。そうしてまた同時に大きく言いますると、シベリア開発というのは、日本を含めたアジア諸国が世界の経済あるいは政治において比重を高めれば高めるほどソ連はシベリアの開発ということに熱意を示し、一そうこれを精力的に推進していくであろう、こういうように私は言えるのではないかと思います。 私の考えはこれだけにいたします。
○福田委員長 以上で参考人各位の御意見の開陳は終りました。 質疑に入ります。田中武夫君。
○田中(武)委員 参考人に御質問する前に、政府委員にちょっとお尋ねしておきたいのですが、先ほど鈴木参考人は、とにもかくにも早く日ソ通商協定を結ぶべきである、こう申されており、田辺参考人は、ソ連との貿易の拡大と正常化は日本経済にとって大きな問題である、こういうように言われております。各参考人の御意見を総合いたしましても、日ソの間に国交が回復し、議定書が効力を発した今日、一日も早く通商協定を結ぶべきである、こういう意見でございます。そこで松尾通商局長にお伺いいたしますが、先ほど来の参考人の御意見では、とにもかくにも早く通商協定を結べ、むしろ遅巧よりも拙速をとうとぶといいますか、ともかく早くしろと言われておりますが、政府の日ソ通商協定に関する考え方はどうであるか。 また、これも鈴木参考人だったと思いますが、相手は社会主義国であるので、今までのいわゆる自由諸国との貿易とは異なって、向うは国家統制一本でくる、そうするならば各個撃破をせられるおそれもあるので、この点を考えるべきである、こう言っておられますが、通商に当ってこれに対処するにはどのように考えられるか。 また田辺参考人の御意見では、日ソ通商協定が結ばれたならば、第一年度で少くとも片道七千五百万米ドル、合計して一億五千万米ドルの通商は可能である、こういうように言われておるが、通商局としてはその程度のものは可能であると考えておられますか。 最後に佐藤経済局次長にお伺いするのですが、ソ連と日本との貿易の問題について、通産省と外務省あたりで意見が食い違っておるのではないか、このようにも考えられる。と申しますのは、外務省があるいはアメリカ側の意向をおそれておられると申しますか、そういうようなことから積極的でないために通商協定の問題等も行き悩んでおるのではないかと思うのですが、そのようなことがあるのかどうか。また日ソ通商協定の問題について、今どの程度の話し合いが進んでおるか、あるいは進めようとしておられるのか、経過を御説明願いたいと思います。
○松尾(泰)政府委員 お尋ねの第一点は、日ソ通商協定を拙速でもいいから早くやることについてのお尋ねかと思いますが、目下関係各省においていろいろ準備、協議をしておる際でありますが、私たち通商局の立場としては、貿易を拡大するというのが本来の仕事でございますので、通商協定の成立が貿易の拡大になるということであるならば、できるだけ早くやった方がよかろうというふうに考えておるのであります。 第二点のお尋ねは、相手が国家貿易の国であるので、各個撃破になるおそれがあるが、それに対する対策はいかがかというふうなお尋ねかと思いましたが、お説の通りであります。従ってこの通商協定も従来の自由国家を相手とするような通商協定でいけますかどうか。その辺のところはわれわれとして研究をしておる段階でありまして、ただ抽象的な文言の通商協定であるのか、あるいは、いわば貿易計画をつけたような通商協定になるのかという辺のところは一番むずかしい点かと思うのであります。いろいろお話にありましたように、具体的な品目別の数量を盛り込むということになりますと、政府が数量上の仮契約をしたということにもなりかねないのでありまして、そこまでいく方がいいのか、あるいはそれらは業界にまかせておいた方がいいのかという問題もありますし、また数量をきめる場合には、これも価格がきまりませんと問題にならぬのであります。それらの点をずっと推し進めていくと、わが方は自由貿易体制であって、国が貿易を直営するということになっておりませんが、あまり深入りをいたしますと、協定によって国がそこまでも入るようなことにならぬとも限らぬわけであります。各個撃破をされないということでありますならば、国が品目、数量、価格までもきめていって、実務だけを業界にやっていただくというようなことも考えられるわけでありますし、また、通常業界の窓口を一本にするということもよく言われるのでありますが、自由貿易体制下において、窓口を一本にするために輸出入組合を作るようなことも考えられるわけであります。現に中共については日中輸出入組合ができておりますが、これもいろいろの協議の場にはなっておりまするが、この輸出入取引をほんとうに各個撃破にならぬようにやられておるかというと非常に疑問があるのであります。従いまして協定の進め方、内容あるいは今後の貿易機構等におきましても、自由諸国を相手にするのとかなり考え方を変えて考えなければならぬ点もあるのであります。取引を上手にやるということからいきますと、各個撃破にならぬようにやりたいわけでありますが、それらの点いろいろ研究をいたしておりますし、今ここでどうした方がいいかという結論を申し上げる段階ではございませんが、ともかく非常に問題がむずかしいために、今調査なり研究なりが若干ひまどっておるということを御了承願いたいと思うのであります。 それから第三点の今後の日ソ貿易の見通しでございますが、先ほどは田辺さんから通商協定ができれば、初年度片道七千五百万ドルにもなるというふうなお話がありましたが、これは見届しでありまするので・われわれもこれが全然達成をできないとも申し上げにくいのでありますが、過去の中共貿易の発展の工合、それからまたここ最近の日ソの貿易の工合から見まして、率直に申しますと、七千五百万ドル第一年度片道というのはかなり過大ではなかろうかというふうに考えております。われわれの方も希望的な観測も入れて、第一年度は一千万ドルくらいじゃなかろうかというふうな見方もありますし、また第一年度はいろいろな準備もかかるので、あるいは一千万ドルにも達しないのじゃないかというような見通しもあります。まだはっきりと少くとも第一年度の見通しというものはつけてはおりませんが、われわれの立場としてはできるだけ多く輸出入ができることを希望しております。
○佐藤(健)政府委員 お答え申し上げます。私に対する御質問の第一番目は、通産省と外務省との間に日ソ貿易について意見の相違はないかということだったと承知いたしますが、この点につきましては通産省、外務省、大蔵省ともに絶えず連絡をとり、意見の交換をしておりますので、そういう事実はございません。 また第二点は、第三国からの影響を受けて、外務省が日ソ貿易についてあまり積極的ではないのではないか、こういう御質問だと承知いたしますが、この事実も決してない次第でございまして、でき得る限りすみやかにソ連との間には貿易協定を結びたい、こういう考えでおるわけでございます。 第三点のそれでは日ソ貿易協定締結に関して、いかなることをやっておるかという御質問だったと承知いたしますが、この点につきましては、先般門脇大使が赴任されます際にある程度のお話を申し上げ、それをもとにいたしまして、赴任されたならば至急にソ連の首脳部と意見の交換をしていただくように御依頼してあるわけでございますが、その内容に至りましては、詳細ここで申し上げることは避けたい、こう考えております。
○田中(武)委員 それでは現実に日ソの間に通商協定が結ばれるのは大体いつごろの見通しでしょう。
○佐藤(健)政府委員 お答え申し上げます。実は先ほど通商局長からもお話があったと思いますが、具体的に話を進めますにはまだ根本問題につきまして多少こちらの準備も必要でございますし、また向うの制度等についても、もちろん先ほどお話がございましたように、慎重というよりも拙速ということがございましたが、十全ということまでにはいかないまでも、ある程度やはり向うの状況もわかる必要がございますので、今ここではっきりと何月ごろそれができるということは私申し上げられませんが、でき得るだけ早く向うとも折衝し、基本的な点がわかれば早く話を進めたい、こう考えております。
○田中(武)委員 ただいまの外務省の経済局次長の御答弁は具体的ではなかったと思う。しかしこれはあらためて聞く機会もあると思いますので、参考人にお伺いしたいのですが、先ほど松尾通商局長のお話では、通商協定が結ばれれば、第一年度はせいぜい片道一千万程度ではないか、田辺参考人の御意見によると七千五百万ドルは十分じゃないか、こういうふうに言っておられますが、これは積極的に日ソの貿易を希望し、促進しようとする立場をとられる方と、そうまでも考えておられないのではないかと思われる立場との相違と思うのですが、この点どうなんでしょう。田辺参考人の先ほどのお話によると、相当綿密な作業の上に立った確信のある数字のようでありますが、もう一度その確信のほど――全部をいえば大へん多くなると思いますが、日本から向うに出るであろう、向うが求むるであろうおもな品目、及び日本がソビエトからどういうようなものを輸入できるか、これらの点について簡単でけっこうですか、重要なものだけ一つ……。
○田辺参考人 ただいまの御質問の点でございますが、民間業界団体といたしまして、貿易団体事務局がこれを作り上げるというより、むしろ業界がどう考えておるかという点に力点を置きまして、先ほど申し上げましたように、四十八の産業、工業団体の協力を得まして、試算いたしました。特に輸出プランにつきましては、われわれの片道七千五百万ドルを上回りまして、三億ドルからに上りました。これは輸出したいという積極的な希望の現われかと思うわけでございます。と申しますのは日本の産業界がいわゆるソ連市場に新しく着目いたしまして、輸出市場としてソ連に市場転換してもよいという一つの決意のほどかと思うわけでございます。そういう点をできるだけ業界の意向を尊重した数字といたしまして、しかしトレイド・プランである以上輸出入のアンバランスを是正する、若干調整するという意味合いにおきまして、また配船その他政府当局の外貨割当等の事情ございましょうが、一応業界としては、もし政府が一定の措置をとってくれるならば、これだけ貿易をやれる確信があるのだという数字を、実は業界団体の意向として御披露申し上げたわけでございます。従ってその可能性云々という点はともかく、一定の措置をとってやらしてみてもらいたいという点が業界団体の意向でございまして、政府御当局の一千万ドル云々が過小であるというふうに私どもとしては批判をいたす気持はござません。ただし、やらしてみて、一定の措置を与えられた上でそれがどうであったかという点に立って、次に一つ御批判をいただければ非常に幸いではないかと思うわけででございます。 この際あわせて御参考までに申し上げますが、われわれの試算いたしました輸出入プランの品目表でございますが、これは政府御当局にいろいろ要望として再三提出いたしております。まず輸入商品では大分類を含めまして、今までの実績商品を含め――われわれの一方的な希望商品もございますが、二十三分類に上っております。それから輸出商品におきましては大分類、中分類を含めまして、やはり輸入よりも上回った三十五商品に上っております。そのおもな商品を申し上げますと、輸入するものは何と申しましても木材でございます。それから石炭あるいはクローム鉱、マンガン鉱、塩化カリあるいは基本的産業の鉄関係産業で御要望になっている石炭、鉄、C重油というものが基本的商品となっております。出す方は船舶を中心といたしまして、ディーゼル・エンジンとかディーゼル機関車、発電機及び発電関係のプラント、工作機械等を含めまして今申しました三十五商品、また一定の基本的な取引が進む段階においては消費文化財、軽工業商品もという点はソ連側がしばしば言明しておる点でもございます。
○田中(武)委員 片道一千万米ドル七千五百万米ドルとでは相当違いが大き過ぎると思うので、ここで一つ対決してもらって質問をすれば、おもしろい結果が出ると思いますが、そういう時間もないので次にいきたいと思います。 そこで、もう一つソ連との貿易で考えなければならない点は、決済の方法だと思うのです。物価が高いとも言われておるし、また実際において物価をはかる尺度がソビエトと日本あるいは自由国とは違うのじゃないか。すなわちソビエトにおいてはいわゆる国家統制のもとにそういう統制上の物価というものがあるのじゃないかと思いますので、実際貿易に当って決済の方法はどういうふうなことにすればいいのでしょう。これは田辺さんまたは南参考人からお伺いしたいと同時に、政府ではどう考えているかもあわせてお伺いしたいと思います。
○近藤参考人 今決済の問題について御質問がございましたが、私先ほどこれに少し言及いたしておりますので、意見を述べさしていただきます。今のところでは決済は要するに、バック・ツー・バックまたは現在実際に行なっております私たちの商売では、輸入先行のいわゆる逆トーマスという組織になっております。バック・ツー・バックの場合は、双方が同時に信用状を開設いたしまして、たとえば百万ドルの木材を輸入するならば、百万ドルだけのものを日本から輸出する。それが双方が同時に信用状を開き合うという形でございます。それで完全な決済がつくわけでございます。それから今やっております木材の輸入の場合は、実は輸入止行、逆トーマンといわれるものでございまして、まず木材を輸入いたしまして、その輸入後ある期間を限りまして、その期間内に必ずソ連側は日本からその見返りの輸入をするというギャランティをいたすことによってまず輸入が行われる。そして見返り用の輸出はソ連側の保証によって必ず行われるものだというギャランティがあるわけでございます。それで今は決済できないが、何カ月の間に必ず決済がつくといった式で行われている次第でございます。いわばこれも引き渡しの時期を異にした一つのパーターでございます。従って先ほど私が申しましたように、やはり非常に窮屈な決済の方式になっておりまして、従ってそれが貿易の融通性と申しますが円滑を妨げる一つの原因となっておるわけでございます。
○田中(武)委員 決済の方法じゃなしに――それも聞いたのですが、物価が違うのですよ。たとえば日本の万年筆一本とたばこと比べた場合に万年筆一本にたばこ百個だ、こういう割合と、ソ連に行って万筆一本とたばこの数が同じ割合かというと違うのじゃないかと思う。それは統制経済の上に立った計画的な物価の上に立っている、そういうふうな場合の決済方法をどういうふうにするのか、こういうことです。
○田辺参考人 日ソ貿易における商品の建値の問題でございますが、これはソ連側の従来の主張を申し上げますと、国内小売価格と輸出価格とは全然関係がない。輸出価格はソ連はすでに国際価格を標準としてやっておるというふうに言っておるわけでございます。従って今御質問のございました一ルーブルが九十円に換算されますので、非常に物価高と申しますかインフレ傾向にあるじやないか、従ってソ連商品は割高ではないか、その割高な商品を日ソ貿易では押しつけられるのではないか、こういう質問にも関連しておると思いますが、そういう点ではそういう事実は今まではなかったと申し上げてよろしいかと思います。たとえば、国内小売価格と輸出価格で違う一番端的な理由は、私一昨年モスクワに参りましたときに、関係図書で外国貿易史というのがございますが、これをソ連のモスクワの本屋で買いますと四ルーブルでございます。すなわち三百六十円でございます。これを日ソ貿易のルートで日本のナウカ株式会社が一手に輸入をいたしておりますが、ここを通じて買いますと日本円七十円で購入することができます。従ってソ連の国内小売価格と対外輸出価格というふうなものは全然関係がない。そういう関係では樺太炭なんかの建値が中共の開らん炭と関連して幾らである、アメリカ炭はCIFで幾らという点を考慮いたしましてソ連では建値をしてきておるというふうな点は申し上げられるかと思います。
○田中(武)委員 通商局長の御意見を伺います。
○松尾政府委員 先ほど日ソ貿易の見通しにつきまして一千万ドルということを申し上げたわけですが、これはちょっと私の言葉が足りなかったと思います。協定ができます場合を予想しますと、協定の内容にもよりますのでまだ推測は非常にむずかしいわけでございます。従いまして私の申しました片道一千万ドル、計二千万ドルと申しますのは、現在の態勢で見た場合のことを申し上げたわけでありまして、若干言葉が悪かったと思いますのでその点訂正しておきます。 それからただいまお尋ねの決済方式なり価格の差の問題でありますが、これは御存じのように、国際取引というものは国際価格を基準にして行わるべきものでありますので、日本の為替は一ドル三百六十円、これは問題ないにいたしましても、先方の為替レートのために、今御指摘になっておりましたように割高になる場合もまあ予想できるわけでありますが、割高であれば要するに日本側は買い得ないということになるだけで、向うといたしましては貿易をしようということになれば国際価格に合してくるのではないか、こう思いますし、またああいう国営貿易の国でございますので、その点は比較的自由諸国よりも価格の調整はやさしいのではないかと考えます。要はお互いにその価格がのめるかどうかということで商売は成り立つのではないか、こういうふうに思うわけであります。 それから通商協定をやります場合にどういう決済方式をとるかという問題につきましては、いろいろ研究をいたしておりまして、まだ結論はありませんが、まあ現金決済というか、そういう方向になる可能性が多いのではないかと私は考えております。ただ先ほど来の業界の皆様の御説明によれば、現在の決済の方式が非常に商売を遅滞せしめておるように言われたのでありますが、あるいは私の聞き方が間違っておるのかもしれませんが、御存じのように現在のところはいわゆるバーターの現金決済――決済自身は現金でございますが、取引方式としてバーターをやっていただいておるということでありますが、これは何も貿易というものは輸入するだけが本旨じゃないのでありまして、どっちかといえばわれわれは輸出を伸ばしたい、そのために輸入をする、特にこういう新市場につきましては輸出を伸ばして、輸入もまたふやす、こういうことでなければならぬと思うのであります。ところが、輸入の話は、非常に現金決済にしろという要求をして参るのでありますが、それならばわが方の輸出について現金で買ってくれるかというと、そういう話は一向に聞いたことはない。現金決済で輸出するというやり方は大いに歓迎するやり方であり、今も政府としては何らチェックしていないのであります。そこでまあロシヤという新市場でもありますので、買うだけが能ではない、あわせて輸出もさしていただきたいということでバーターということになっておりますが、それも現在は輸入を急がれる必要のある場合には輸入を先にいたしまして、輸入いたしましてから九カ月間のうちに輸出をさしていただけばいいという、いわゆる逆トーマス方式と申しておりますが、そういう方式も採用しておるわけでありまして、従って双方が売るしまた買うしという熱意があるならば、私は現行方式下においてもかなり取引はできるのではないかと思っておるわけであります。ただ売るだけでドルをとって逃げるのだという観点に立てば、そういう方式は非常に窮屈だということは言えるかと思いますが、両方が貿易を伸ばすという関係から言いますれば、現行のこういうバーター方式も、何も同時に輸出入を交換するわけじゃありませんので、今申しますように、九カ月間の期間もあるわけでありますので、十分にその取引はできるのじゃないかと思います。また一人の人が輸出も輸入も同時にやらなければいかぬじゃないかということでありますが、これも輸出業者と輸入業者は別であってもかまわないという方式に実はなっておるのであります。従いまして両方が熱意があり合致するならば、現行のトーマス方式ないし逆トーマス方式というものはさして支障はないのじゃないかと公平にわれわれは考えておるわけであります。しかし新しい通商協定ができるということになりますと、これはいわゆる現金決済方式から見ますると、ともかくバーターということは若干の制限であることには違いないわけであります。従いましてそういう協定ができますれば当然バーター方式は修正さるべきであるというふうに考えております。
○田中(武)委員 あとにもだいぶ質問者があるようですから、私も簡単にお伺いしたいと思いますので簡単に御答弁願いたいと思います。先ほど来の参考人、ことに田辺参考人、南参考人の御意見によると、シベリア開発に大きな期待を持っておられるようですが、ソビエトとしてはこのシベリア開発について日本に対してどの程度の協力というか、これを希望しているか、あるいは日本の投資等についてもソビエトは希望しておるのでしょうか、また希望しているとして日本の財界というか、日本の資本家が果してソビエトに投資するだろうか、そういうようなことについてはどういうような見通しなんでしょうか。
○田辺参考人 実はソ連の代弁人でございませんので、その問題についてぜひ政府当局がソ連側と公式に話し合いをして御答弁をいただきたいというふうに考えているわけであります。
○田中(武)委員 政府の見通しはどうですか。
○佐藤(健)政府委員 お答え申し上げます。非常にむずかしい、かつデリケートな御質問でございますが、おそらくそういうソ連に対して投資するということは起らないのではないか、これはあたかもアメリカに対して投資するというようなことと同じでございまして、世界の二大強国にまで日本が投資する余力はまだないのではないか、従いまして今ソ連側に正式に意向を聞くということも時期尚早ではないかと思います。
○田中(武)委員 ついでに佐藤次長にお伺いいたしますが、先ほどの南参考人のお話によると、シベリア開発についてソ連といえども大いに不足しているものがある、何かといえば労働力だ、こういうことなんです。日本は現在失業者があって労働力が余っているわけですが、もし希望があるならば、こちらからシベリアの方に移民を許可するような気持があるのかどうか。
○佐藤(健)政府委員 私実は移民関係の直接の担当ではありませんので、私的な意見というふうにお受け取り願いたいのでございますが、ソ連の労働者の生活状態、いろいろな点を考えてみましても、まだ日本の労働者を向うに移民することは多少気の毒じゃないか、こういうふうに考えております。
○田中(武)委員 時間がありませんから、まとめて御質問して御答弁をいただきたいと思います。 先ほどの田辺参考人のお話だったと思いますが、ことし東京に開かれる国際見本市にソビエトは種々の関係で参加ができないけれども、来年の大阪には参加するだろう、こういうことでございましたが、ことし東京の見本市に参加できない種々の都合というのは何か支障でもあったのでしょうか。 またこれは通産省にお伺いするのですが、国交回復いたしました最初の年でございますので、できるならば国際見本市にソビエトも参加することが望ましいのではないかと思うのです。そういうことについて、極力努力してみるような気持があるかどうか、それをお伺いいたします。 続けて御質問します。もしソビエトとの間に通商協定を結ばれ、どんどん貿易が行われるとすれば、どうしても港の関係も、現在の横浜とか神戸とかいったところでなく、日本海の方に移るのではないかと思うのですが、参考人のどなたでもけっこうですが、そういう点からどこがいいだろうとお考えになっているか、また政府の方ではそういうことに対して、港湾改修、その他の準備も必要かと思うのです。これは係りが違うかもしれませんが、その用意があるのかどうかお伺いいたします。
○田辺参考人 東京国際見本市にソ連が不参加の件は、これは全くソ連側の事情によるものでございまして、ソ連が参加することにつきましては国交回復以前に政府当局の御賛成をいただきまして、そのいろいろな準備から民間団体としてもソ連側に連絡したわけでございますが、ソ連側として独立館を建てて参加するという条件になりましたために、ソ連が参加する意思表示をしたときには屋内館がすでに一ぱいであった、そういう状況でありましたので、今度の大阪ではそういう前車の轍を踏みませんように昨今、この一週間ほど前から大阪見本市のゼネラル・レギュレーションもできましたので、これを紹介し、準備をしておるわけでございます。 それから日本海諸港のうちいずれが適格港であるかという問題でございますが、これはそれぞれの港湾都市が、中継港として背後地にどこを持っておるか、またそれぞれの港湾都市自体が工業生産都市であるかあるいは観光都市であるかというような問題に関連して参りますので、今一がいに日本海岸としてどこというふうに申し上げるわけに参りませんが、実績といたしましては小樽、新潟それから伏木あたりが一応日本海岸としては実績を持っておるわけでございます。
○松尾(泰)政府委員 国際見本市に対しますソ連の参加の問題でありますが、ただいま田辺さんから言われたような事情と承知をしておるのであります。東京都の方の見本市事務局からは招待状を出したようでございますが、いろいろな都合でロシヤ側の方でお断わりになったことと了承しております。見本市は御存じのように五月早々に開かれますし、会館も一ぱいになっておるようでありますので、もう今さら政府はあっせんをするという時期ではないのではないかと思っております。来年は大阪で国際見本市が行われますので、そのときには一つぜひ参加していただいたらどうかというふうに考えます。
○福田委員長 小平久雄君。
○小平(久)委員 これはどなたでもけっこうですが、ソ連の経済全体にとりまして貿易が現在どんな地位を占めているか、特にそれは対共産圏との関係、あるいは対自由主義諸国との関係これを分けてお教え願いたい。
○田辺参考人 小中先生の御質問に対しては的確にお答えできないのが残念でございますが、ともかく従来は国内建設で、対外貿易、要するに国際経済協力というふうなことはなくても自分のところはやっていけるんだ、スターリン時代には、おれのところにないのはココアだけだというふうな言い方もあったわけでございますが、先ほど南参考人の御報告の全体を通じてもわれわれ理解しておりますように、今後はソ連の国内建設、経済建設自体の要求としてやはり対外貿易、国際経済協力というふうな問題は相当な力点を持ってくるんではないか、それがやはりソ連の国内建設に一つの比重を占めてくるんではないかというふうに理解しております。今、共産圏諸国との貿易の場合の、また自由主義諸国との貿易の場合の的確な数字を申し上げれば一番けっこうかと思いますが、今手元に持ち合せがないので御了承願いたいと思います。
○小平(久)委員 これは大体のことはわかりませんか。私がこれを尋ねるのは、先ほどの御説明によると、逐次この経済協力という面を強く出しておる、あるいは平和共存ということをうたっておる、こういうことであるが、一体具体的にどんな形に現われておるか、一つ承わりたいと思うのです。
○佐藤(健)政府委員 お答え申し上げます。実はソ連の方は外国の貿易統計を発表しておりませんので、ソ連側からの数字はよくわかりませんが、いろいろの統計で調べましたところでは、ソ連が自由諸国へ輸出しております額が一九五五年には六億四千三百八十万ドル、五四年には、ちょっと端数が出ますが五億五千万ドル、こういうふうになっております。また、自由諸国がソ連に輸出しました額は一九五五年には五億七千万ドル、五四年も大体同じく五億七千万ドル、こういうふうになっております。またアメリカ方面で調べられました数字によりますと、ソ連の貿易は、その全体の二〇%が自由諸国との貿易であり、八〇%が圏内貿易、こういうふうに承知しております。
○小平(久)委員 そこで、どなたにお尋ねしていいのかちょっとわからないのですが、どなたでもけっこうですが、日ソ貿易を促進するということはわれわれも大いにけっこうだと思うのですけれども、ここに配付されたソ連の通商決済問題に関する資料集に載っているソ連の貿易協定一覧を拝見しますと、これには米英などとの協定が載っておりませんが、これはないのですか。
○田辺参考人 イギリスは、戦後一九四七年に結ばれましたのがそのままでございまして、あと一九五三年以降実務契約を中心にやっております。米ソの貿易協定はございません。
○小平(久)委員 それで実際の取引はどうなっておりますか、米英とソ連との……。あなた方ではわかりませんか。先例になると思うからお尋ねしておるのです。
○田辺参考人 ソ連とイギリスとの場合でございますが、一九五三年が六億一千九百九十万ルーブル、これを四分の一にするとドルになります。それから一九五四年は七億三千四百八十万ルーブルでございます。
○小平(久)委員 この日ソの貿易が、協定までいけばなおけっこうですが、まだ早過ぎるかと思いますが、この協定の例をここにあげてあるものを見ますと、大体輸出及び輸入を同額の協定をしておるのですね。中に若干輸出の方が多い、あるいは輸入の方が多いのもありますし、特殊の場合もあるようですが、かりに日ソ貿易が協定もできて順調になる、こういうことを想定した場合においても、日ソ間の貿易というものはやはり輸出入同額、そういうものがあくまでソ連の方針になりましょうか。あなた方はソ連の代弁者じゃないというお話がありましたが、あなた方はどういうことを想像していますか。先ほどの通商局長の話からしても、わが国の事情からしても、特に輸出を伸ばしていきたい、そのためにやむを得ない輸入をしていくということが大体の筋道だろうと思うのです。協定の例などから見ると大体は輸出入同額ということで各国ともやっておるようですが、その辺のソ連の意向はわからぬかもしらぬが、あなた方のお見通しを一つ承わりたいと思います。
○田辺参考人 やはり従来からのソ連の諸外国との方式と同じような輸出入バランスのとれた問題を提案してくるのではないかという予想がございます。その方式としては、長期のオープン・アカウントということも一つの方法じゃないかというふうな気もいたします。そしてそれを三年ないしは五年に、たとえば輸出超過の場合、あるいは帳じりだけを現金決済にしていくというふうな方法を提案してくることも考えられるのじゃないか、それじゃそれだけを固執してくるかと申しました場合に、先ほど通商局長の御説明に全く同感でございますが、日本側が買う商品を片道現金決済した場合に、当然日本から出す商品も片道現金決済にしてくれということで協定が締結されましたならば、やはりソ連としては計画貿易ということを考えました場合に、そうアンバランスな、要するに日本から一方的に買い付けるだけではなく、やはり輸入と見合うものをその場合でも考えるのではなかろうか、要するに協定の話し合いとしては同額、バランスを考えた点を提案してくるのではなかろうかという気がいたします。
○小平(久)委員 今の問題で南さんどうでしょう。特にシベリア開発などという問題と関連した場合に、ソ連側が輸入超過になってもなおかつ日本側の協力をシベリア開発に求めるというような傾向というか見通しというか、そういうことが感じられませんか。
○南参考人 ソビエトの建設が日本の経済協力を求めるということは、ソビエトが求めなければ建設をやっていくことができないというような状態の求め方ではないのでありまして、ソビエトが求めるというのはソビエトが求めることによって、最も経済的合理主義を生かしてやっていけるという見通しがあるからそう言うのであります。そういう主張に対して日本側が、よしそれじゃおれたちもこたえてやろうというような態度を示すかどうかということが重要なことでありまして、日本側が協力しないでそっぽを向けばソ連の建設ががちゃんとなる。そういうような建前でやっているのではない、答弁になったかならないか知りませんけれども、私はそう考えるのであります。
○小平(久)委員 ソ連側が考えて日本から輸入することが合理的である、そう考えられる限度においては、日本からの輸入というものが多くなる、ソ連の輸出を超過するということもあり得るわけですね。現に経済的合理主義という立場から考えた場合に、そういうところが予想されるかどうかということをお尋ねしているわけです。
○田辺参考人 それはあると思います。英国の場合には必要なものを買い付けるために金を延べ棒の売却をするという実例もございますし、それから決して片道現金決済も拒否していない、そうして一方的にソ連側も現金支払いということを拒否していない。またオープン・アカウントの帳じり決済を現金でやるという建前からしましても、その点彼らの必要とする経済合理主義の範囲において日本からの輸入、これが若干のアンバラランスになってもやろうという見通しは考えられると思います。
○小平(久)委員 今の御答弁とも関連するのですが、先ほど決済方式の話が出ましたけれども、言うまでもなくソ連は一大産金国で相当金を持っておられるというふうにわれわれは聞いております。その金による決済ということについて、あなた方は今まで業者の立場においても何かあちらの方の意向なども探られたのじゃないかと思いますが、その辺いかがですか。日本の場合にそういう望みがございますかどうか。
○近藤参考人 ただいまの御質問につきましては、私もさっきちょっと申し述べたことでございますが、最初日本に駐在しておりました通商代表はオープン・アカウントが非常に工合がいいんだということをよく私たちに言っておりました。オープン・アカウントにしました場合に、その当時私たちの考えでは、日本の方が輸出がどんどん伸びていって、君の方から買うものが非常に限定されておるので、日本としては出超になって決済に困るのではないかということを言ったわけであります。そうしましたら、その場合はその差額をわれわれは金をフリー・ダラーで支払う、それは可能だ、こういうふうな発言をしておったことがございます。もちろんその人個人の御意見でございまして、モスクワの当局の意見でもございませんし、責任のある発言ではないと思いますけれども、そういうことを言ったことがございます。 それからもう一つ最近私たちが感じておりますのは、ソ連が日本に売るものにつきまして最近現金決済という条件を強くつけて参ります。それは日本の今認められた決済方式としてはできないんだ、少くともバック・ツー・バックにしないで逆トーマスの決済をしなければならぬが、それで承知してくれないかと言ったのです。それに対してノーと言って参ります。これは私たち想像しておりますのは、日本側がオープン・アカウントはいやだ、現金決済の方がいいんだということを主張するというふうに向うは感得しまして、日本に自分たちの売るのも現金決済の条件にしようじやないかというふうに出てきておるのではないかと思われる節が最近よくあるのです。
○小平(久)委員 最後にもう一点承わりたいのです。ソ連側は最近の例の漁業交渉と貿易問題とをからまして考えておるというふうに伝えられておるのですが、この漁業協定の進展と日ソ貿易というもののからみ合いはどういうふうに理解したらよろしいのですか。
○田辺参考人 全く関係はないものと思います。一昨日でございましたか、ソ連の大使館も公式に記者会見でその点を話したと思いますが、その前にモスクワからのいろいろな報道によりましてからみ合いがあるのじゃないかということで水産関係からもお問い合せをいただきました。われわれ話し合っておりまましたことは、かりにそういうことがあったとしたらわれわれはからみ合せて通商協定問題を延ばしていくということには反対であるということをわれわれとしては話したのであります。現在ソ連側としては全くそういう関係を持たしてやってきておるようなことはないというふうに考えております。
○永井委員 南さんにお尋ねをいたしたいと思います。モスクワに国際分業経済相互援助会議というものがあって各国の計画経済の調整をやっておるようでありますが、この会議の運営、それからこの会議には経済計画関係の各国が参加しておるのかどうか、そしてその討議の過程を通してどういうふうに各国間の利害なりあるいは経済計画というものがどのような方式によって調整されておるのか、この点を一つ伺いたいと思います。 それからスターリンの中央集権から地方分散に漸次変ってきておる、このことはわかるわけでありますが、その地方分散の性格が、中央に一つの拠点を持ってきて、そうしてその線から地域開発をやっていって、それをずっと中央に総合するという行き方なのか、あるいは中央の集権を是正するという意味において、それぞれの、たとえば先ほどお話のあった三つの大きな地域、そういうようなところにそれぞれの中心を置かせるように中央集権を分散していくというような是正が行われているのか。地方分散の性格を第二点として伺いたいと思います。 それから各国の経済計画の調整の問題ですが、生産の分担は漸次専門化していく、こういうような傾向を持っておるのでありますが、それから生産の共同化、こういう問題もあるわけです。そこで、生産の分担をどういうふうに各国の間に専門化そうとしておるのか、その基本的な考え方、それから共同化の考え方、そして、こういう一つの作業の中で、これは全くコマーシャル・ベースの限界で行われるのか、あるいは、当面戦争はない、平和の状態が続く、こういうような展望に立つといたしましても、やはり強大な資本主義の国に取り囲まれておる現在の段階では、軍事的な考慮というものを全然払わないで、純経済なベースでものが考えられるということはないのではないか、こう思うのでありますが、この生産の分担なり生産の共同化という性格が、コマーシャル・ベースの限界だけではなくて、これがやはり軍事的な性格を潜在しておるのではないか、そういう角度から、生産の分担、共同化が推進されているのではないか、こういうふうに考え、そういう心配を持つわけでありますが、そういう事柄は一体どうなっておるのか。それからもう一つは、適地適材主義の分業ということを推進するということでありますが、適地適材主義の分業というものの規定がどういうふうな性格で行われているのか。これらの諸点について、一つお知らせを願いたいと思います。
○南参考人 今言われました経済協力会議というのは、いわわゆる東欧諸国、ソ連を含めた共産圏における経済協力会議でありますが、これがたしか四九年にできまして、その後向うの文献を見ますれば、技術の交流、文献の交流といったような範囲に限られていたようでありまして、その運営については、われわれ、残念ながら、ソ連の文献からはうかがい知ることができなかったのであります。最近の一連の事件が起きまして――その前にこの協力会議はそれぞれの各国のそういう専門家が集まってこれを協議しておるわけでありますが、最近の文献でも、これがほとんど出てこないという状態であります。ですから、この内容がどういうふうな形で行われているかという点について詳細に知ることができないのでありますが、たまたま二、三日前私が受け取った向うの新聞によりますと、共産圏の諸国の経済協力をもっと発展させるというような相当長い論文が載っておりました。これに何か目新しいものがあるのではないかと思って見たのでありますが、それによりますと、従来の経済協力会議においては、技術の交流あるいは経験の交流というように限られておりましたけれども、今度一九五六年ないし五七年から一斉に発足するところの東欧諸国の経済五カ年計画、そういう長期の計画というものが、単なる技術の交流にとどまらず、長期の計画をいかにかみ合せていくか、そして相互に連絡をとってうまく推進していくかというような抽象的な言葉しか述べられていないのであります。従って、この経済協力会議については、今のところ前のものとはもっと規模の違う、そして各国の生産面、生産の協力というような方向にいっておるのではないかと、大体想像できるわけであります。 それからもう一つ生産の分担の問題でありますけれども、この協力会議の内容が明らかにならないために、この生産の分担についても具体的に今お話しするわけにいかないのでありますが、向うの文献を二、三見ておりますと、たとえば最近見ました共産圏の経済関係の論文の中にこういうのがありました。それはウクライナ共和国の新聞に出ておったのでありますけれども、それによりますと、ポーランドが、重工業の発展、推進というような意味から、自動車工場を三つ作った。しかしポーランドの現状からいって、自動車工場三つというのは必要がないのである、そういうふうに書いております。しからばそれではこのポーランドの自動車というのはどういうことになるかというと、それは当然、たとえばソビエトの自動車を使うというようなことになるだろうと思いますが、そういうように東欧諸国がその実力以上のものを計画し、しかもそれが重工業重点というような、国情に合わない、生産力の段階に合わないような計画を立てていた、これが是正されてくるということになれば、当然それぞれの国の生産力に合ったところの計画が立案されていく。それがいわゆる適地適材主義というような言葉で表現できるかもしれません。そしてまたこれらの協力関係がコマーシャル・ベースによるものであるか、そうでないのか。この場合に向うの文献をよく気をつけて読んで見ますと、ソ連は、共産圏同士の経済関係につきましては常に経済協力という言葉を用いているわけであります。また、いわゆる後進国、植民地国に対しては、これが経済援助というような形をとっておる。そしてまた一般資本主義国に対しては、互恵平等による通商の拡大、こういう微妙な言葉の使い分けをしておりまして、従いまして経済協力という言葉は、当然コマーシャル・ベースにのっとったやり方もありましょうし、それ以外の考慮も払われる、こういうことが予想されるわけであります。その場合にこれが軍事的性格を持つものであるかどうかといいますと、この軍事的性格というのは解釈がどのようにでもなるものでありまして、きわめてむずかしいのであります。たとえば中国への禁止問題と見ましても、軍事的と思われないものが軍事的というような性格をつけられるというようなこともありますし、この判断は非常にむずかしいのでありますが、少くともソ連がこの経済協力会議において、前のスターリン時代のやり方というものはどういうものであったかといいますと、これは明らかに、ソ連の方が何と言おうとも、これは多分にソ連圏を守る、しかもソ連圏の中のソ連の国防――ソ連の国防イコール東欧諸国の国防であるというような建前から、それに相当軍事的な考慮が払われていたと私は感ずるのであります。しかしながらこういう考慮のもとに立てられた、いわゆる協力関係というものが、昨年の暮れのいろいろな事件によって反省を迫られまして、ここに新たな精神でやるという場合には、これが当然修正された形でいくのではないか。全然なくなるということは私は言いませんし、また全然なくなったとかあるとかいう解釈は、いろいろな見方によってつけられるものでありますから、そういうようなことは私はここで言うことはできませんけれども、従来のやり方がそういう性格を濃く持っていたとすれば、その批判の上に立ったやり方というものは、当然適地適材、しかもそれが経済的合理主義というものを生かす方法でやっていくのではないか、私はそう考えておるわけであります。 それからもう一つ、地方分権のことでありますが、この地方分権ということが非常に強く叫ばれましたことは、これはソ連の用語に従いますと、過度の中央集権の是正であるということでありまして、中央集権というものをなくするというのではありません。これはユーゴの場合と全然行き方を異にしておるのでありまして、ソ連の場合はあくまでも過度の中央集権というので、この地方分権の言葉が出てきましてから、ソ連の新聞では最近にわかに、非常にこれにブレーキをかけるがごとく、中央集権を唱えてきております。その中央集権の言葉の上に民主主義的中央集権、こう唱えておりまして、この社会主義の計画経済という建前から言いますれば、民主主義的中央集権主義ということは、あくまでも生かされるのでありますが、これを実際の地方の具体的な実情に応じていかに適応していくか、この適応の方法にいろいろな問題がありまして、それがたとえば経済指導の是正――経済指導のやり方に非常なまずさがあったということであります。たとえばコルホーズの立案一つを見ましても、従来はモスクワで立案をしましてそれがコルホーズに行っているのであります。すると全国どこのコルホーズも同じような計画を受け取るというような格好になっておるわけであります。それから各企業の実態ということが十分調査されずして中央から指令が流されていく、それに従って生産をやるというようなことがありましたが、今度の五カ年計画の立案過程を見ましても各企業のその計画がほんとうに自分たちの実力、あるいは企業の力、将来というものから、やり得るものであるかということを十分検討した上で、それが交互に交流し合い、そして最終的に中央で決定されるというような形をとっているのであります。ですから地方分権というものは中央集権主義を否定するものではなく中央集権主義というものは地方分権、地方の総意というものを否定するものではない、その間のかね合いということがなかなかむずかしい問題でありまして、ソ連の新聞を見ましても雑誌を見ましても連日これが論じられているというような状況であります。
○永井委員 第六次計画で東部地方、シベリア開発、こう言われておりますが、これはもとの流刑地であった中部シベリア地区が現在第六次計画としてなされておりまして、極東のシベリアではないと思います。現在の第六次計画の中部シベリアの開発に対して、日本がこの開発計画にどの程度の協力をすることのできる限界があるか、あるいは交通の上からいえば、東西は一本の鉄道よりない、相当長距離である、南北は川で連絡しておるというような現在の交通事情からいいまして、現在の段階ではあまりそう強力な期待ができないのではないか、こういうふうに考えるのでございますが、この点はどうでありますか、これが一つ。もう一つは、極東のシベリア開発というものは、第七次、あるいは第八次計画に伸びてくるのではないか、その場合現在アムール川流域の開発が前提となるいろいろな調査、こういうものは中共と共同調査をやっておるというように、地域的に相当中共と接触をしてくる。こういうような段階におきましては、第七次計画以降に計画されるでありましょう極東シベリア開発計画というものは、相当ソ連と中共というものが、軍事的にも経済的にも地理的に密接な接触を持ってくるということで、中共のウエートが高くなってくるのではないか、かように考えるわけでありますが、そうした場合における日本の貿易回における期待というものは、どの限度において展望しあるいはこれを予期して、こちらが準備態勢に入ったらよろしいのかというような見通しについて伺いたいと思います。これは南さんに一つ……。
○南参考人 第一の質問ですが、それは今のソ連でいっているシベリア開発というのは西部に限られている問題ではないか、しかもそれがかつての囚人地帯であった極東にくるのはずっとあとの問題ではないかという話でありますが、ソ連では実際にシベリア開発という言葉はあまり使われていないのでありまして、第二回党大会で使われている言葉というのは、東部地域開発という言葉であります。大体向うの文献を見ますと、東部地域としてカッコしてウラル、西シベリア、東シベリア、極東、カザックスタン、こういうふうに述べておるのであります。でありますからもちろんどこに重点を注ぐかということはそういうように一括して論じておりまして、またソ連の文献を見ましても第七次、第八次に極東に移っていくということを書いたものは実際にありません。しかしながら既存の生産力を生かし、そうしてこれをもっと有利な格好で建設していくということになれば、どうしても西シベリアあるいは東シベリアというのは、既存の設備もあるいは拠点もありますから、そちらの方が整備されていくということは当然あろうと思いますけれども、どちらに重点を置いて――極東は第七次だ、第八次だというようなことは言っていないようであります。中国との共同調査ということは中国の比重を高めるのではないかということでありますが、まあ比重を高めるということよりも、これによって中国の生産力あるいは経済力が向上する、そういうように考えた方がいいのではないかと思うのであります。それから貿易面に対する期待でありますが、これは先ほども私ちょっと触れましたけれども、こういうような建設を昔のような一国社会主義で何でもかんでも自分でやるというような建前を捨てまして、実際スムーズに建設を続けていくということになりますれば当然、先ほど適地適材主義といわれましたが、そういうすぐれた国の経験技術、そういうものを活用して生産力を利用していくということが考えられるわけであります。これが現在どの程度まで期待できるかということは、先ほども田辺さんと東欧協会の方との間に七千万ドルと一千万ドルの相違が出てきまして期待にそれだけの差があるわけでありまして、私も直接どちらの方をとるというようなことは断言できないので、この領域は田辺さんに入るのではないかと思うのでありますが……。
○永井委員 次に田辺さん、あるいは鈴木さん、近藤さんからお答えを願いたいと思いますが、日ソ貿易に対する背景の問題、これは政府が実際に現在どのような態度をとっておるか、それから経済界といっても財界の大きなところがどういう態度をとっておるか、それから実際にアメリカ等からの圧力がないかどうか、この三つの点についてお尋ねしたいと思うのでありますが、先ほどの話を聞いても、政府当局は非常に熱意を持ってやる、こう言っておるのです。言葉だけは熱意という用語を使っているだけで、ほんとうの言葉全体の表現からいうとちっとも熱意がなくて、何かあまり拡大してもらっちゃいろいろアメリカの方との接触が多くなってやっかいなことになるのだがというような迷惑そうな答弁であるようにニュアンすとしてわれわれは受け取っておるわけであります。でありますからこの際政府当局を前にして業界の人がいろいろ、現在のような管理貿易の中において正直な発言をするということはあるいは困難かもしれませんが、遠慮なく――こういう質疑をして話し合いをして、それを恨みに思うようなことがあっては、民主主義の上からいって何でありますし、ここにおられる局長さんはそういう気持はないと思いますから、現在政府がブレーキになっているならこういう点がブレーキになっているのだということも率直に話していただきたい。政府の態度のこういう点が是正されればもっとやりやすくなるのだがという点があれば一つその点を述べてもらいたい。それから特にアメリカとの貿易に大きなウエートを持っておるような財界人は共産圏貿易についてはひより見だ。こういう言葉もあるということをわれわれは聞いたのですが、ちょうど障害物競争の綱をくぐるようなものだ。先に行く者は必ずこれにひっかかる。二番目、三番目に行けば綱にひっかからずに行けるのだ。こういうので、一生懸命で共産圏との貿易に力をいたしておるのは、アメリカにそれほど圧力を受けない中小業者で、もう血みどろになって、政府からもよく思われない、一般からもよく思われない、法律でもいろいろななにがある、経済的にもあるいは決済の問題だ、貿易方式の問題だという点で、いろいろな障害の中を突き破ってようやく道を開くと、今度は大きな方で都合がよくなったというので乗り込んできて取っていく。こういう条件があると思うので、経済界の大どころは今どのような状態にあるか、ほんとうの気持はどうか、あなた方よくおわかりだろうと思うから、率直にそういう点聞かしていただきたい。それからアメリカの方に関係のある業者の人で、実際ソ連の方へ手を伸ばしてやろうとすると、そっちの方へ行くのならそっちの方でやりなさい、おれの方はお前の方を締め出すぞ、あるいはアメリカへ行くと言ったってヴィザもやらぬぞというような、外務省、通産省その他から、政治的にも、またアメリカのにらみからも、こういう圧力が来るのではないかというふうにわれわれは現在の段階では動きを見ておるのでありますが、その点について、これは日ソ貿易の今後道を開いていく、拡大していくという上において大きな要素となる条件でありますから、これは一つ的確に、正直に述べていただきたい。これが第一点。それから第二点は、やはりよかれあしかれいろいろな問題があると思うのです。日ソ貿易の上における問題点はあるし、困難性もある。しかし何といってもアジアとしての地区において、これは非常に拡大していかなければならぬし、現在シベリアの木材というようなものはどうしても大きく発展さしていかなければいかぬし、港湾その他の問題があるならば、そういう問題も処理しながら、長期の計画でやっていかなければいけない。それはなぜかといえば、国内における木材資源が足りない。そしてここ二、三年パルプその他の施設というものが三割以上伸びた。そしてアラスカその他の木材に触手を伸ばしているけれども、これは相当遠距離であって、当面の実際の力にならない。そうすればシベリアの木材資源というものは国際価格で入手できれば、これをとってパルプなりあるいは繊維なり、いろいろな木材加工業の高度の利用によって、これは相当に伸ばしていくことができる。その間国内における林力を蓄積して、そうして国内における産業の上からも、国土保全の上からも、これはどうしてもシベリアの木材資源というものを大きく期待するような方向に問題を持っていかなければならないとわれわれは考えているわけでありますから、その点において急ピッチで伸ばしていけば、大体今年はどのくらい期待できるか、来年はどのくらい期待できるか、再来年はどのくらい期待できるか、ここ三、四年の輸入増強のできる条件というものがどういうふうになっておるか、これをお聞きしたいと思うのであります。それからシベリア開発はやはり工業開発であり、農業開発であると思います。農業開発が相当進めば、やはり肥料とかその他の問題が期待ができるのではないかと思いますし、そういう工業開発が出てくればシベリア地区は何といっても、食糧の上からいってソ連の現在の国内の生産状況からいって肉資源が足りない、脂肪の資源が足りない、あるいはくだもの、野菜、そういった資源が足りない。そういった消費面もシベリアの地区において相当期待できる条件が出てくるのじゃないかと思うのでありますが、そういう点はいかがでありましょうか、この点について伺いたいと思います。
○近藤参考人 ただいま御質問のありました米国関係を顧慮したいろいろな問題ですが、この点につきまして、まず商社の間の雰囲気といったものを率直に申し上げますと、国交回復いたしますまでは、先ほど申しましたように、ごく限られた商社しかやっておりません。しかも中小と呼ばれる規模の商社だけでありまして、最近国交回復につれまして、大きい商社が直接または間接に乗り出してくるようになりました。大きい商社では、米国と非常に関係が深いところは、やはり直接名前を出すことをはばかりまして、いろいろなその傘下の小さい商社が窓口になってやっているところがございます。米国との関係を顧慮して、ソ連との貿易を断念したという会社もかってはございました。しかしまあ今後はそういうことがなくて、むしろ大きい商社もシベリア開発ということをバック・ボーンにしましたソ連貿易の大きい将来性にやはり大きい期待を持っているように私は思います。それからソ連貿易に対する政府当局のいろいろな方策でございますが、そういう点につきましては、最近、先ほど私が申し上げました決済の面で、バック・ツー・バックで非常にきびしく縛られていました従来の貿易が、輸入先行逆トーマスを許されるようになりまして、百尺竿頭一歩を進めまして、非常に容易になったということは事実でございます。この点は松尾局長が先ほどお話しになりました通りでございまして、たとえば木材の輸入、石炭の輸入というような点につきましても、この輸入先行逆トーマスという方式が非常に貿易を円滑ならしめ発展さすことに大きい力があったことは事実でございます。こういうものは、以前はやはりバック・ツー・バックで縛られて、なかなかむずかしかったのですが、やはり国交回復とそのほかこれらの資材の日本にとっての重要性ということを通産省当局がお認めになりまして、輸入のスムーズになるようにはかっていただいている次第であります。そういう点につきまして、われわれ商社としまして、通産省のそういうようなお計らいが、以前とは違ってソ連貿易の促進をやはり志向しているものというふうに解釈いたしております。 それから次に、食糧とかくだものとか食肉、そういったものがシベリアにも要るのではないだろうかという御質問がございましたが、これはシベリアが、先ほどから田辺氏や南氏のお話のごとく開発されるとすれば、おのずからそこに多数の人口が移植せられ、そうしてそこには大きい消費生活が起きてくる。ことに工業が進むにつれて生活も向上するでしょうし、消費面の物資が多数に要るようになる。従って日本から食糧や、あるいは繊維品、そういったような消費物資が行くようになることも当然だろうと考えるのであります。昨年はソ連はナホトカ揚げでカナダ小麦を二十万トン買いました。これは明らかにシベリア方面にそういった大きい食糧の需要があることを示すものではないかと私は思っておるのでありますが、今後はやはり日本もそういった面に着目して、ソ連向けの輸出にそういう新しい分野を開拓するように考えなければなりませんし、また通商協定を結ばれる際にも、そういった方面についてソ連側に当ってみますれば、案外そういう消費物資なんかも日本から買うという意向をはっきり示してくるんじゃないかというふうに考える次第であります。 なお、くだものというお話がございましたが、従来ソ連はシベリアのああいう土地ですからビタミンCが非常に欠乏するということを聞いておりまして、ミカンを非常に買いたがったこともございまして、ミカンのカン詰が引き合いに上ったこともございます。ですから、そういった面の需要も必ずあるものだと私は見通しております。
○田辺参考人 補足させていただきます。経済界の日ソ貿易に参加している現在の度合いでございまするが、当会を中心に申し上げますと、一昨年日ソ貿易会として発足いたしました当時の会員商社は実勢力二十社そこそこでございましたが、本年の三月二十日現在で五十六商社、従来の日ソ貿易の実績商社は基本的商品を扱う商社として四、五社でございますし、文化財を入れて十社に満たなかった。それに対しまして、今のようないわゆる当会を中心に考えました業界の参加度合いから考えますと、確かに関心は増大しておる。しかもその会員の中には東京の三井さん、三菱さんあるいは第一物産というふうな総合商社は中国貿易にもまだ直接参加なさっておられませんが、中国貿易に参加しておられる一流商社はやはり当会にもこぞって参加しておるという実情でございます。 それからなおもっと視野を広くいたしまして、日本の経済界全般としてたとえば日本商工会議所とかあるいは経団連が日ソ貿易についてどうかというふうに申されました場合には、まだそれらのほんとうの財界主流の諸団体が正面切って日ソ貿易の問題を取り上げるというふうな態勢ではないように判断いたしております。 それから永井先生の今後の伸びる度合いに関する諸問題でございますが、これはわれわれとして四十八に上る産業団体、工業団体の参加を得て試算いたしました第一次トレードなんかは、現在の商談の動き工合から見て、先ほど近藤参考人から申されましたように、すでに千六百万ドルの契約を予想されるんじゃないかというふうな点から――実はある商品については相当控え目に、あまりにも手がた過ぎた試算をしたんじゃないかというふうな点から、片道七千六百万ドル、総体の数字はそう動かないといたしましても、商品によっては試算し直しをしなければならなぬというふうな態勢を考えておるわけでございます。 それから将来の見通しにつきましては、二年、三年後あるいは合理的な総合的な貿易協定、通商航海条約等が結ばれました暁、その保障のもとにおいてならば業界団体が試算いたしました片道一億六千万ドル、往復三億二千万ドルというふうな数字も決して根拠のない、現実離れした数字でないんじゃないか、そうした期待を持ってもいいんじゃないかというふうに考えておる、この点は依然としてわれわれの主張は変っておりません。それからまた軽工業商品あるいは食料商品等に対する対ソ輸出の見通し、期待につきましては、永井先生の見解と全く同感でございまして、これが実現のために、ただいま近藤参考人からも申されましたように、具体的な通商協定の中で――通商協定の内容について先ほど政府御当局から二つの御意見が出ましたが、こまかく商品の数字をあげた協定にするか、あるいはそうでなく、大ざっぱなものにするという御意見も出ましたが、われわれ業界といたしましては、商品もできるだけこまかく、そうして日本海沿岸都市の諸商品、郷士産品、あるいは北海道のたまねぎ等のたぐいに至りますまでその商品リストの中にぜひ織り込んで協定していただきたいというのが民間業界の要望で、この要望の実現のために国会の各位あるいは政府当局に対しましても協力を仰いでこの実現を期したいというのが業界団体の切望であるということを付言しておきたいと思います。
○松平委員 簡単に重複を避けて質問したいと思うのですが、南さんにお伺いしたいと思います。 ポーランドとハンガリーのあの民主化といいますか、ああいうことがあって、ソ連の計画経済というものもある程度マレンコフよりもまたさらに軽工業を重点的にしなければならぬという実情があるのではないか、従って去年第二十回共産党大会における五カ年計画後において、重工業偏重ということをある程度改めていかなくちゃならぬじゃないか、そうすると、そこに重工業資材というものもよそから仰ぐ部分がよけいに出てくるんじゃないか、またその結果ソビエトから中国の五カ年計画に対する援助、北鮮に対する援助というものも従って数字が変ってくるのではないか、こういうふうに見ておるのであります。最近の文献にそれを裏づけるようなものがあるかどうかということをまず第一にお伺いしたいと思います。 次に鈴木さんにお伺いしたいのですが、従ってそういう場合におきまして日本のソビエトに対する貿易というものは、中国に対する貿易と非常に深い関係がある、こういうふうに思われるわけであります。特に昨年日本から大量のセメントが中国に出ましたけれども、統計によると中国のセメントがシベリアへ非常に出ておるのであります。こういうことは何を物語っておるかというと、やはり両国の計画経済というものに非常に密接な関係があると同時に、その資材が非常に払底をしてきておって、何らかの形でむしろ中国を通じて直接ソビエトへ行く、日本のものが行かないにしても中国の同じものが行くということがあり得るように最近の傾向では見ておるのでありますが、こういうことに対して国際貿促あたりではこの三国を通ずるところの貿易方式と申しまするか、その可能性というようなことについて御検討がなされたかどうか、まずこの二点をお二方にお伺いししたいと思います。
○南参考人 ポーランドとハンガリーの事件後ソ連のそういう事件の原因から考えまして、重工業偏重の政策を改めていくのではないか。これは重工業偏重という言葉をどう解釈するかによってきまるのでありますけれども、ソビエトでは依然として重工業偏重とは言っておりませんで、重工業の優先的発展、こう言っております。そうしてこれは社会主義の再生理論からいって当然であるという立場をとっております。そうして最近の、昨年十二月の党中央委員会の決定に基きましてこの二月にとられました計画、本年度、一九五七年度の発展テンポを見ますと、重工業は七%、軽工業の方は五%ということに差別がついております。この偏重という言葉は何ですが、これはマレンコフのときには、重工業消費物資の増産のために重工業の企業を軽工業の企業に転換しておりましたから、これは重工業偏重是正というような言葉で表現できるかもしれませんが、ソ連がとっておるところの生産手段の優先的発展ということは今後も変らないのであります。ただしこの発展テンポが低められ、そうして過重な計画というものがやわらげられて、そして最もなし得るものをなしていくということは、結局長年の重工業一点張りというような計画で、いろいろな方面で、たとえば国民生活の引き上げというような点で無理が生じておる、これを是正していくということにあると思います。それで最近のソ連のきまり文句のようにして言われることは、生産手段の優先的発展をもとにし、農業及び軽工業、食料品工業を発展させ、国民経済を向上させ、そうして最も進んだ資本主義国に歴史的に短い時間で追いつく、こういうような表現方法をとっているわけであります。そして生産財でもしもかりに是正されるということになれば、こういう方針でいくと中国あるいは朝鮮に対する生産財輸出は変るのではないかという話でありますけれども、実際の話、まだ文献上ではそういう点が明確に出ていないのであります。
○鈴木参考人 御質問の多角貿易の問題でございますが、この問題は非常に複雑な貿易形態でありまして、実現するのになかなか困難な要素を多分に持っております。現に二、三年前にもロシヤのスパンダリアンという東方局長が見えたときに、三角貿易で貿易をふやそうじゃないか、それは大いに検討しよう、しかし今は日ソ間でダイレクトな貿易をふやそうということを考えている段階であるから、それはまだ早いのじゃないかという話が二、三年前にありました。それから一昨年雷任民の一行が見えましたときに、日中貿易協定を作りましたが、そのときにいかなる方法でさらに日中間の貿易をふやすという一つのテーマに、やはり三角貿易を開いたらいいじゃないかということが話題の中にありましたけれども、これは、日中間の貿易をどうして取り上げるかということに当時まだむずかしさがあった際でありますから、なかなか具体的にどういうようにしようということまではやらないで、研究しておこうということになっておりました。しかしながら自来二カ年たちまして、現実にただいまおっしゃいました通り、セメントが中国にたくさん流れていく、逆にまたいろいろなものがたくさん流れてくる。あるいは中国は米をよそから入れても、日本に出すというようなこともやっていく段階でございますので、日本がいつまでもダイレクトな取引というものにかじりついておっていい事態ではありません。現在は着々それを研究する段階に至っております。ことに東欧諸国との貿易が、チェコ並びにポーランドとの国交回復によって今どんどん行われるようになって参りました。特にこの国との貿易については、この国の需要のみならず、これを通ずる東欧諸国との貿易が今日重要なものであるということは事実であります。
○松平委員 近藤さんにお伺いしたいのですが、日本が民間貿易によりまして一九五二年以後、ソビエトからは船舶の受注であるとか、あるいは繊維製品それから先ほどあなたが言われましたように、ミカンのカン詰というようなこともあった、そういう工合にかなり日本に対して先方からはいろいろなアプローチがあったようなことを聞いておるのであります。ところが、たとえば船舶については漁船のようなものしか日本は出さぬとかなんとかいうことで、結局受注が実現をしなかった、こういうふうにわれわれ聞いておるわけでありますけれども、今まで日ソ間の貿易について向うが日本へいろいろなものを発注してきてそれが実現しなかったというのは、どういうところに欠陥があってできなかったのか。すなわちそれは価格の問題であるか、あるいは日本の政府がそういうことをやりたがらない、たとえば船舶のようなものは受け付けない、こういうことであったのか。あるいはまたココムがあってその影響があったというのか、そのできなかった原因はいろいろでありましょうけれども、それを一つかいつまんでお話し願いたい。
○近藤参考人 ただいまの御質問のうちに船舶のお話がございました。日本が従来ソ連向けに輸出引き合いをしてきました中で、一番重要なものはやはり船舶でございます。ソ連も日本の造船能力に非常な目をつけまして、かねてから船についてのアプローチを盛んにしてきておりました。それは小さい漁船であるとか、引き船であるとかいうものから始まりまして、極東地域にソ連が運営しております貨物船の修理ということなりまして、それがさらに最近は新造船というような話にまで進んで参っております。このソ連の船の引き合いについて、小型船はもちろん問題なくこれまで大体まとまっておりますが、ココムの制限上、やはりスピードであるとかなんとかいう問題もございまして、大型の貨物船でスピードの速いものはやはりいけないというように私は了解いたしております。それでそういう点でまとまらなかったこともあると思います。これはココムの制限の関係ですが、そのほかに日本の造船業が、ことに最近は非常に大きい注文を世界各国から受けておりますし、ソ連の船の引き合いが、何と申しますか非常にスローでございますので、そんな手間のかかるところはあまり応じたくない、もっとてきぱきと早くきめてくれる自由諸国の方にやはり造船業者が目を向けるというようなことも、これは当然の趨勢だろうと思います。なお価格の点についてましてもやはり問題がないとは申しません。ただいまソ連はニシン漁業の母船を日本に注文しようと思いまして、それについては日立造船がその引き合いに当っております。このことはすでに新聞にもよく書かれておりますが、皆さん御存じと思いますが、これもやはり値段の点でなかなかソ連側が日本の値段は高いということを言いましてもんでおりまして、きまっておりません。船で考えますと、ココムの制限、それからソ連側の引き合いぶりがどうも日本の造船業者に気に食わない、あるいはまた実際そういう引き合いぶりでは、日本の造船業が応じていけないというようなこともあったと思います。それから値段の点について問題があったこともあるでしょうし、また現に問題がある、こういうような状態でございます。 そのほかのものにつきましては、たとえば銅線の輸出が過去にありましたか、これはココム制限で銅の素材は全然共産圏へは出せないことになっておりまして、素材に近い銅線、たとえば太い荒吹き銅線というものは出せないわけでございます。非常に加工度の高い細い銅線なら出してもいいということもあります。これまで出ましたもので問題になっておるのはそれくらいのものだと思っております。私の方の会社の引き合いの品目に入ってこないもので、あるいはココムの制限上出なかったものもあるだろうと思います。なお、最近国交を回復しましてから、ソ連側がわれわれの会社に引き合いを寄せてくるものの中には、ずいぶんバラエティがふえて参りまして、たとえばナホトカあたりで使われると思うような浮きクレーン、フローティング・クレーン、そういうものの引き合いもありました。しかしそういう場合、やはりメーカーによりましてはソ連との引き合いをいろいろな点で、アメリカに対する関係で気がねするという点がございます。たとえばアメリカのあるメーカーと技術的な協定をいたしておりまして、そのパテントを使わなければできないような機械というようなものになりますと、これはやはりアメリカに気がねして出さない。アメリカの方もそういうような商売をすれば抗議をするだろと思いますし、それはやはりその会社とアメリカとの特殊な提携の関係上できない、こういうこともあり得るわけでございます。今のところでは私らの会社が経験しましたのは、そういうような今申しました程度でございます。 そのほかに今向うがいろいろの問題を提起してきておりますが、そういうものにはメーカーが進んで応じております。たとえばボール・ベアリングがございます。これは最近ソ連側から相当大きい照会をしてきておりますが、日本の当局といたしましては、ココムの制限上一年間にある金額以上は出せない。たしか七十万ドルと了解しておりますが、それ以上は出せないという一つのワクがあるそうでございます。ソ連側はそれをこえてもっとたくさん買いたいという気持を持っておるようですが、現在のところそういう制限があるのと、また国内需要が非常に強いために、メーカーがまず国内のお客様の需要を満足させなければいけないから、ソ連側に対しては今のところは出す余裕がないというようなことから、ソ連側の要求する大きい数量はオファーできない、こういう事情もございます。
○松平委員 私は両方に不信感といいますか、若干そういうものがあると思うのです。これがなかなかうまくいかぬというのは、今まで不信の念がお互いにあったんだろう。それをいかに取り除いていくかということで、クレーム等につきましても、鈴木さんとドムニツキーとの間に話ができたということも聞いておるわけですが、そこで日本の商社、官側等を一緒にしてシベリアに一つ行ってみようというようなことが新聞にも出ておるわけでありますけれども、そういうふうに現地調査をこっちでもするし、向うからも来てもらってやるということを同時に進めていかなければならぬと思うのですが、その御計画はございますかどうですか。田辺さんでもいいのですが、それがもしおわかりになっておるならば……。こっちから行ったり向うから来たりするということです。
○田辺参考人 官民合同のシベリア経済事情の視察団という点は、われわれも新聞紙上で政府の御計画であるやに伺っておるわけでございますが、先方にも日本のいろいろな産業施設を見せ、われわれも行くということは、双方の理解を深め、経済交流を促進していく上に大いに役立つと思いますし、この計画には当会としては全面的に賛成でございますし、もし政府御当局に御計画があるならば、ぜひ推進していただきたいと思うわけでございます。ただし先ほど私申しおくれたのでございますが、政府当局への要望という点を委員各位から御質問を受けたわけでありますが、それならば通商協定の準備のために視察に行くということよりも、むしろそれは独自の問題として相互の理解を深めるために進めると一緒に、やはり経済交流の問題につきましては、それができなければ通商協定の話し合いを始めるというのではなく、通商協定の話し合いというふうな諸問題については、現状の可能な限りにおいても早急に話し合いを進めていき、一方に官民合同の派遣団も出すということがきわめて適切ではないかということを感ずるわけでございます。なおこれに関連して政府御当局からわれわれとしても御意見を伺いたいと思っておるわけであります。
○松平委員 今の問題については政府からも意見を伺いたいのですが、最後にあわせまして政府側に伺いたいと思います。日ソ貿易には基本政策というものを確立して、それを推進していく、こういうことに尽きると思うのです。そこで岸総理大臣もそういう発言をして、その気持になっているのではなかろうかと思います。しかしどうもこれがうまくいかぬ、なかなかはかばかしくいかぬということはどういうわけであるか、私もよくわかりませんが、先ほどの答弁を聞いておっても、非常に松尾君その他が何と申しますか、もし必要であるならばというような言葉使いから察しても、あまり熱意がないのではないかというふうに思われる。ことに日ソ間の国交回復もしたときに、何か新聞記者のとった松尾君の談話が出ておったけれども、大して望みはないんだということが新聞にもあなたの談話として出ておるし、それから外務省に至っては二つの意見があって、あの議定書を作るときに、貿易の拡大並びに通商に関する議定書というあれを翻訳するときに、貿易の拡大という字を故意に落して、貿易と通商というふうにしたというので、松本全権が非常に憤慨して、何だ君らはというわけで事務当局をしかりつけたということもあるわけでございます。そういう雰囲気が事務当局の間にあるわけなんです。従ってこれは、政府がそういうことを考えておっても、官僚の一部にそれを阻害しようという考え方を持っている者があるのではないかということが私たちは察せられるのであります。従ってこれは何としても早くしなければならぬわけでありますが、作業にも時間がかかる。しかし先ほどどなたかからの話によりましても、やはり日ソの貿易というものには時期があるのだ、その時期をはずすと一年待たなければならぬということにもなるわけであります。従ってその時期をはずさぬようにしなければならぬけれども、かりにいろいろ作業があって時期がおくれてしまうということであるならば、暫定的な措置をこの際とる必要があるのではないか。暫定的措置によって貿易の拡大をはかっていくということが、日本の自立経済の達成にきわめて必要なのであります。そこでこの暫定的な措置として、先ほども御意見がありましたけれども、政府においては片道決済の貿易方式を一つとってもらいたい。同時にこの通商の場が、東京における話し合いというものが今までも一番成功しておるように思うのであります。従って通商代表部というもののフアンクションというものを認めなければならぬ。これは国交が回復しておるのだから認めなければならぬ。これを認めると同時に、わが方の通商関係の外交官ももう少し充実して、そうしてすみやかに暫定的にもせよそのフアンクションを行わしていかなければならぬ。こういうふうに私たちは考えておるのだけれども、この片道決済に関する考え方について大蔵省の当局はどういうふうに考えておるかということ、それから通商代表部のフアンクションを早くやらせなければならぬが、それに対しては今どういうように動いておるかということを外務省の佐藤経済局次長にお伺いしたいと思います。
○大島説明員 ただいま暫定的な決済方式を考えたらどうかという御趣旨の御質問でございます。先ほど通産省松尾政府委員が御答弁申し上げたような現状並びに考え方でございまして、目下関係各省との間で種々検討中でございます。若干重複いたしますが、従来は個々のバック・ツー・バックの個別バーターだけであったわけでありますが、最近におきましてはトーマスあるいは逆トーマスというようなものも必要な場合においては認めるというようなところも出てきたわけでございます。さらに先方その他各般の事情をよくつぶさに研究いたしまして、漸進的に考えていきたい、このように思っております。目下のところ、暫定的にこうすればよろしいというところまでは行っていない状況でございます。しかしたびたび外務省、通産省からもお答え申し上げましたように、十分研究を進めておるということは、私ども大蔵省の事務当局といたしましても申し上げられると思うわけでございます。
○佐藤(健)政府委員 お答え申し上げます。ソ連の通商代表部につきましては、近々向うから東京に派遣されて来るというふうに聞いております。また日本のモスクワにおります大使館には、門脇大使と一緒に経済局からも人員が派遣されております。ただ日本側の人員が今の人員で足りるかどうかという点につきましては、多少今後のことに関連して問題がございますので、もし不足な場合にはまた増員ということも考えなければならないものと思っております。
○松平委員 委員長に一つ要望したいと思うんだけれども、一度、岸総理大臣と通産大臣を呼んで、この問題についての質疑応答の機会を作っていただきたい。それによってなおこれを推進していきたいと思いますので、一つ委員長においてよろしくお取り計らい願いたいと思います。
○福田委員長 承わっておきます。
○鈴木参考人 先ほど田中先生からお話がありました際に、貿易協定の形式の話が出ましたので、いささか自分の考えを申し述べてみたいと思います。通商局長からソ連と貿易協定をやる場合には、相手が一国にまとまっておるだけに、自由諸国とやるのとは形が変るということが考えられる、そのときに非常にこまかいところまで立ち入るようになるかどうかということについては深く考えなくちやならないというお話があったように了解いたしますが、それは当然だと思います。たとえば数量とか引き渡しの時期とか値段とか品目をきめることは非常にむずかしい問題ですから、きめるとすれば慎重に、しかも非常に大まかなところできめておくよりほか方法はないと思いますが、きめられて得るところが少いと思います。ただ、取引条件中のゼネラル・ターム、一般条件というのがございますが、たとえば仲裁の条項を書き入れるとか、検査の条項を書き入れるとか、決済の方式を書き入れるというようなことは一般的にした方がよろしい。やはり向うに各個撃破をされるおそれのあるものはすぐ書き入れるというふうな方針をとっていただきたいと思います。これは長く議論をする必要がないことだと思います。 もう一つ、貿易協定をする場合の大体の精神でございますが、先ほどどなたかからお話のございました自由諸国とやる場合平等互恵を原則とする建前と同じで、やはり日本との貿易協定の第一条に平等互恵の原則でこの条約を結ぶということをうたっておく必要があると思います。そうして、やはりいろいろなことが起きた場合に、その原則を参照し得ると日本が有利だと思いますから、ちょっと御参考までに申し上げておきます。
○加藤(清)委員 私も質問はありますけれども、もう五時でございますからきょうはこの程度にして、ぜひこの次岸総理大臣兼外務大臣、企画庁長官を呼んでいただいて核心に触れたところを調べてみたいと思うので、それを委員長に要望して質問を保留しておきます、
○福田委員長 承わっておきます。 ほかに御質疑はありませんか。――参考人各位には御多用中のところ長時間にわたりまして種々御意見を承わり、本問題の調査に多大の参考となりましたことをここに厚く御礼申し上げます。 本日はこの程度にとどめます。次会は来たる二十九日午前十時より開会することといたします。なお、明二十八日は午前十時より技術士法案について科学技術振興対策特別委員会との連合審査会を開会する予定でありますから、御報告いたしておきます。 これにて散会いたします。 午後四時四十五分散会 ――――◇―――――