商工委員会 第8号
- 発言数
- 98 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/03/01
会議録
○福田委員長 これより会議を開きます。 まず、さきに本委員会に付託せられました、内閣提出特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案及び臨時石炭鉱害復旧法の一部改正する法律案を一括議題とし、審査に入ります。 まずその趣旨の説明を求めます。水田通商産業大臣。
○水田国務大臣 ただいま議題となりました特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 特別鉱害復旧臨時措置法は、太平洋戦争中の強行出炭による特別鉱害を急速かつ計画的に復旧することによって、民生の安定、国土の有効利用をはかり、あわせて石炭鉱業の健全な発達を期せんとするものでありまして、昭和二十五年に法律の施行以来着々その成果を上げて参った次第であります。すなわち、昭和三十一年度末までに百億円に上る復旧工事が完了することとなり、これをもちまして、河川、道路、鉄道、水道、学校等公共施設関係の復旧工事は、すべて終了するわけであります。 しかしながら復旧促進のため尽してきたあらゆる努力にもかかわらず、はなはだ遺憾なことではありますが、農地および家屋の一部につきましては、その復旧工事の一部について法律の有効期限であります本年の五月十一日にわいて未完了のものが残る見通しであります。これは家屋につきましては、その復旧費が炭鉱からの納付金のみによってまかなわれるとともに、その納付期日が法律の有効期限以後にならざるを得ないという理由によるものであり、農地関係につきましては、主として現地の工事能力からくる制約に基いているものであります。農地の復旧には、大量の土が必要となりますが、河川の浚渫による土量を計画通りに使用できなかったり、あるいは土取場が次第に遠隔となり、工事能力の低下を来たした等の事情によって、いかにしても法律の有効期限以後に残らざるを得ないことになったおけであります。 ここに提案いたしました改正案は、以上に御説明申し上げた状況にかんがみ、残工事の適正な施工を確保するため、法律の有効期限を昭和三十三年三月末日まで延長することを内容とするものであります。 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 臨時石炭鉱害復旧法は、鉱害復旧事業団を中心として鉱害を計画的に復旧することにより、国土の有効利用及び民生の安定をはかり、あわせて石炭鉱業及び亜炭鉱業の健全な発達を期せんとするものでありまして、昭和二十七年に法律の施行以来、着々その成果を上げてきたところであります。すなわち、昭和三十一年度末までに、農地関係十三億、河川、道路、水道等の公共施設関係十四億、合計二十七億に上る復旧工事が完了することとなり、特別鉱害の復旧と相待ちまして、鉱害地の状況は、大幅に改善されつつある次第であります。 本改正案は、家屋を本法により復旧することができるようにして、その復旧を促進し、民生の安定をはかるとともに、農地及び公共施設関係の復旧工事とあわせて、総合復旧の実をあげんとするものでありまして、次に各改正事項につき、その概略を御説明申し上げます。 改正の第一点は、家屋等、すなわち、住宅、店舗、倉庫等の建物及びこれらの建物の用に供される土地等を復旧基本計画の対象に加え、その復旧工事費のうち、地盤の復旧費及びこれに起因する家屋等の補修費の半額に相当する額の補助金を国及び都道府県から交付することといたしたことであります。このため、国庫からの補助金として七千万円を三十二年度予算に計上し、さしあたり約一千戸の家屋復旧を計画しておりますが、民生の安定および鉱害の総合的な復旧に資することきわめて大なるものがあると確信いたしておる次第であります。 改正の第二点は、家屋等の復旧に際しまして、その復旧費のうち、賠償義務者たる炭鉱が、負担すべき部分を負担する資力を有せず、またはその所在がわからない場合には、国、都道府県及び鉱害復旧事業団の三者が、当該炭鉱が負担すべき部分を負担して復旧することといたしたことであります。 改正の第三点は、家屋等を復旧することができるように改めることに伴いまして、家屋等の復旧工事に関する協議及び裁定に関する規定を削除したことであります。すなわち、現行法におきましては、家屋等が復旧工事の対象から除外されておりますために、その復旧促進の一助といたしまして、家屋等の復旧につき通商産業局長が当事者間の協議のあっせんを行い、または裁定をすることができる制度を設けておりますが、家屋等を復旧することができるように改めることにかんがみまして、本制度を廃止することとし、今後は、このような問題につきましては、家屋のみならず、農地その他の関係をも含めまして、広く、鉱業法による和解の仲介制度を活用していく所存であります。 以上ななはだ簡単でありますが、改正案につきまして概略御説明申し上げた次第であります。 本改正案は、現地における被害者の方々を初め、関係者各位の熱心な御協力によりまして、初めて国会に提案できる運びに至ったわけでありまして、この法案が制定されることとなりました暁には、法律の円滑な実施に努め、鉱害復旧の促進に一そう努力する所存であります。 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○福田委員長 以上両案に対する質疑は後日にこれを行うことにいたします。 —————————————
○福田委員長 次に同じく本委員会に付託せられました、内閣提出商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案及び信用保証協会法の一部を改正する法律案を一括議題とし、審査に入ります。まずその趣旨の説明を求めます。水田通商産業大臣。
○水田国務大臣 ただいま提案になりました商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。まず提案の理由について御説明申し上げます。 商工組合中央金庫は、中小企業等協同組合の系統金融機関でありますが、最近の情勢にかんがみますとき同金庫の果す役割はいよいよ重要となってきておりますので、この際商工組合中央金庫法の一部を改正してその機能の強化、充実をはかり、もって中小企業の組織化の推進、その一そうの振興に資することといたしたいと考える次第であります。これが本法律案を提案する理由であります。 次に、本法律案の概要を御説明申し上げます。第一は、政府の商工組合中央金庫に対する出資金を増加することであります。商工組合中央金庫は、戦前、政府、民間それぞれ同額の出資をもって発足したのでありますが、その後数々の経緯を経て、現在では政府出資十二億四千二百十万円、組合出資十五億九千七百九十万円、合計二十八億四千万円の資本金となっているのであります。 御承知の通り、商工組合中央金庫の貸出金利は、最近における数次の引き下げにもかかわらず、なお割高であり、一そうの引き下げをはかることが当面重要な問題の一つとなっております。そのためにはもとより同金庫自身の経営の合理化、並びに所属組合の協力に期待することが大きいのでありますが、政府といたしましても、極力これを援助するため、昭和三十二年度におきまして十五億円を出資し、その貸出金利の引き下げに資せしめようとするものであります。 第二は、内国為替業務に関する制限を撤廃することであります。現在、商工組合中央金庫が行うことのできる内国為替業務の範囲は、所属組合またはその構成員のために行うものだけに制限されておりますが、同金庫が他の金融機関と為替取引契約を締結した場合、その金融機関としては、個々の為替取引が所属組合またはその構成員のためにするものであるかどうかを確認することが困難でありますために、事実上かような為替取引契約を締結することができない実情となっておりますので、この際この制限を除くことによってこのような実務上の支障を解消し、もって為替業務の円滑化をはかろうとするものであります。 第三は、商工組合中央金庫が金融機関等の貸付業務を代理したときは、員外者のためにも債務の保証をすることができることとすることであります。これは同金庫が中小企業金融公庫の貸付業務を代理した場合、必要に応じ員外者にも貸付を行うことができる道を開いたものでありまして、商工組合中央金庫の機能を十分活用しようとする趣旨によるものであります。 第四は、商工組合中央金庫がその余裕金を運用できる範囲を拡張することであります。同金庫の余裕金の運用の範囲につきましては、国債等の証券の買い入れ、銀行への預金または郵便貯金、銀行その他の金融機関に対する短期貸付のほか、中小企業等協同組合に対する短期貸付に限られておりますが、新たに中小企業等協同組合またはその構成員の事業の発達をはかるため必要な施設を行う法人に対して短期貸付をすることができることとし、余裕金の効率的な運用をはかろうとするものであります。 以上が本法律案の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申し上げる次第であります。 次に信用保証協会法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。 信用保証協会は、中小企業の信用力を補完する機関でありまして、昭和十二年東京において公益法人として設立されて以来、おおむね都道府県を区域として相次いで設立され、現在全国でその数は五十二となっておりますが、昭和二十八年における信用保証協会法の施行以後は、同法による特殊法人として、債務保証を通じて中小企業に対する金融円滑化のために重大な役割を果して参ったのであります。すなわち創立以来の債務保証承諾額の累計は、昭和三十一年十二月末現在において、約三千五百億円に上っているのでありますが、その経営の基礎は、おおむね地方公共団体の財政援助に依存して参ったのであります。しかるに中小企業特に零細企業に対する金融を疎通せしめ、もってその経営基盤の強化をはかるため、同協会の保証機能をますます拡充強化しなければならないのでありますが、同協会に対する資金的援助を、今後なお地方公共団体のみにゆだねて参りますことは、最近の地方財政の実情から見ますと困難と思われますので、ここに同協会に対して低利資金の融通による国の財政援助を行う必至を生じたのであります。このため政府といたしましては、昭和三十二年度におきまして、中小企業信用保険特別会計を通じて十億円を同協会に融資することにより、信用補完機能の拡充強化に資するとともに、これが健全な発展を期待することとした次第でありまして、これが本法律案を提案する理由であります。 次に本法律案の概要を御説明申し上げます。第一は、政府は、信用保証協会に対して、保証能力の拡充のために必要な資金を融通できることとすることであります。 第二は、この貸付金の利率を年三分五厘以内とすることであります。 第三は、この貸付を行うに当りまして、主務大臣は、この融資制度の目的を達成するために必要があるときは、条件を付するものとすることであります。 第四は、融資業務は、通商産業大臣が大蔵大臣と協議して実行することであります。 何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申し上げる次第であります。
○福田委員長 以上両案に対する質疑は後日にこれを行うことにいたします。
○福田委員長 この際、日本経済の総合的基本施策並びに私的独占の禁止及び公正取引に関し質疑を行います。
○内田委員 議事進行について……。ただいま通産大臣から御説明がありました四法律案のらち、最後に御説明がありました信用保証協会法の一部を改正する法律案につきましては、御説明の内容にありましたように、これは今同中小企業信用保険特別会計という大蔵省所管の特別会計の中に貸付基金という新しい制度を設けまして、それの操作によってこの信用保証協会に十億円の金を出す。またその会計が、ただいま大臣から説明がありましたように、三分五厘以内の利息を取るということになっておるはずでありまして、これはどうしても今回改正になりますところの中小企業信用保険特別会計の改正案の内容につきまして、別に大蔵委員会等と連合審査といろ必要はありませんが、何らかの方法をもって通商産業大臣なりあるいは政府委員からこの法律案の説明とあわせて一応御説明を承わり、なお若干の必要な資料をお出し願いたい。そういたしませんと、これは正直のところこの信用保証協会法の改正だけでは全くたての一面だけでありまして、チンプンカンプンになるおそれがありますので、委員長、さようなお取り計らいを適当な方法で適当な時期にお願いいたします。
○福田委員長 了承いたしました。小平久雄君。
○小平(久)委員 私は通産大臣に対しまして主として鉄鋼関係の問題について若干伺いたいと思います。 現在わが国の各種産業は非常に勃興して参りましたが、その中で鉄鋼の関係、電力の問題、それから輸送の問題、これら三つが非常な隘路になっておるということが盛んに強調されておるおわけであります。しかしこれら三者とも、もちろん重要に違いありませんが、考えようによりますと、鉄鋼問題以を今後どう処理していくかということは、いわば基礎問題である中のさらに基本的な問題じゃないかというふうに考えるわけです。そこで大臣の先般行われました重点施策についての御説明でも、この点が数個所出ておるわけでありますが、また従来からこの鉄鋼に関しまして、あるいは五カ年計画とか六カ年計画とか、ときどき当局からお示しもあったわけでありまするが、どうも諸般の情勢の変化の関係もありましょうが、常に動揺いたしておりまして、なかなかはっきりした見通しが実はないんじゃないかという気がするのであります。そこで昨年来のこの鉄鋼の逼迫に対しましても、一時的輸入等によって若干緩和されたことは事実でありますが、一体長期の計画として鉄鋼の生産関係をどういうふうに具体的に計画されておるのか、その点からまず承わりたいと思います。
○松尾(金)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、鉄鋼の最近の対策は、当面の緊急対策を中心に次々と手を打っておる状態でありますが、もちろん基本的には、御指摘のように長期対策を立てなければならないわけであります。計数等につきましては、また御必要がございますれば別に資料を整備してお届けをいたしたいと思いますが、概略から申しまして、まず第一には、やはり鉄鋼の増産態勢を基本的に大きくしなければならないことは当然でございます。こういう意味で、高炉及び転炉を中心といたしまして、設備の拡充をはかることがまず第一の策であります。ただ御承知のように、日本の現在の状況では、また将来を見通しましても、くず鉄の不足が相当大きい隘路になっておりますので、高炉を作ると同時に、転炉を中心とした設備の拡充策を行うということにいたして参りたいと思います。 次に、設備の拡充を行いますには、同時に原料の確保が問題であるわけでありますが、原料関係につきましては、東南アジア、インド、中南米等におきまして、鉄鉱石の鉱山につきまして、従来に引き続きましてさらに設備投資を行いまして、長期的に原料鉱石の確保をはかるということが第二の長期対策と相なるわけであります。また同時に、これら遠隔の地に鉄鋼の原料を求める関係から申しまして、やはりその鉄鋼のコストに大きな内容を占めます鉄鉱石の輸送につきましても、鉄鉱石の専用船を建造することを早急にはからなければならないわけでありますが、これらによりまして鉄鉱石の運賃の節約をはかりまして、国際競争の力を強化するということにやって参りたいと思っております。 なお鉄鋼の鉄源といたしまして、ただいま申しましたように、遠く海外に鉄鋼の鉄源を求めなければならないことはやむを得ないのでありますが、しかし国内的に見ましても、若干まだ未利用の鉄資源がある。御承知のように砂鉄でございますとか磁硫鉄鉱の関係は、従来技術的にもだんだんとその利用の方法が出て参りまして、今後これらの活用をはかって参りたいというふうに考えております。 ただいま申しましたような設備と原料の確保、それに伴う輸送設備というようなことを中心といたしまして長期の安定をはかっていかなければならなというふうに考えております。
○小平(久)委員 私の承わりたいのは、今御説明があったようなことはここ数年来聞いておるので、わが国の鉄鋼の生産について、たとえば三十五年なら三十五年というものを目標にして、一体今御説明になったような施策が現実にどういう方途で進められておるのか、そういう点を承わりたいのです。今御説明になったようなことは、ここ数年来同じようなことを何回も何回も承わっているので、大体われわれは承知しておるところなんです。それにもかかわらず若干生産が増加していることは承知しておりますが、依然として鉄鋼は足らぬ。そのときどきに輸入等によって何とかお茶を濁しておる。こういう状態なので、もう少し根本的な目標を立て、また施策を現実に推進していくというところにもう行かなければならぬ段階じゃないかと思うんです。局長が来ていないようだが、何らか大臣から決意だけでもとりあえず承わってみたいと思います。
○水田国務大臣 今官房長から説明がありましたように、国内の増産計画は計画として立っております。それによって増産をしていくというためには鉄鉱石の確保というものがまず一番必要でありますので、現在七百十万トン鉄鉱石を輸入しておりますが、今の計画によると年々百万トンずつ鉄鉱石の輸入をふやさなければならぬ、こういう計算になりますので、この百万トンの輸入をどうふやすかというためのフィリピン、マレー、インド等の開発計画を立てておりまして、これに設備投資を行なっていくということが一つ。 それから今御説明しましたように、中南米という遠いところからも鉄鉱石を持ってこなければならぬということになりますと、距離が遠い、運賃が高くなってコストが高くなるということから、鉄鉱石専用の船を作るという計画によって、遠いところからも持ってくる。そうして当面近場の開発をやって年々百万トンずつの鉄鉱石を確保していく。そうしていけば今のように鉄くず依存の態勢というものは緩和される。今米国に鉄くずの交渉に参っていますが、年々日本はこういう調子でくず鉄に依存するのじゃないんだ。この四、五年間が辛いので、だんだんにこの依存度が減っていく。こういう増産計画に日本はなっているんだということで、こちらの計画を全部持っていって向うにも説明して、日本の状態を訴えるということをやっておりますので、もしそういう計画のこまかい数学がお入り用でしたら、あとから整理してお配りしますが、一応そういう計画を立てて、くず鉄だけに依存しない態勢に持っていく。そこでそのために必要な鉄源の開発は年々百万トンくらいの計画で進めていく、こういうのが大体の計画であります。
○松平委員 ちょっと関連して御質問申し上げたいのですが、昨年の今ごろでありましたか、やはり日本で、エカフェにおいて地域内における鉄鉱資源の積極的開発を慫慂するという提案をしておるわけですが、その後それがどういうようになったのか。 それからそれと同じとき、マレー、英領ボルネオの代表が、日本の技術援助によって鉱物資源の開発をやりたいという提案をしておるのですが、その具体的な提案についてあとどういうふうにそれが進展しておるのであるかということ。 それから現在フィリピン、ゴア等でやっておりますが、それらの鉱物、鉄鉱石の開発について日本側から経済協力と申しますか、そういうことをやっておるところはどことどこくらいであるかということをこの際お聞きしたいと思います。
○松尾(金)政府委員 ただいまの御質問非常に具体的な御質問でありますので、まことに申しわけありませんが、今すぐ重工業局長が参りますから、ちょっとお待ち下さい。
○小平(久)委員 大体の方向だけは御説明によってわかりますが、今御説明のあったうち、原料関係がだんだん遠くなる、だからいわゆる鉄鉱専用船を作るんだ。こういう話もこれまた数年来われわれ聞かされておるわけなんですが、それが具体的に実現したということをあまり聞かぬ。これが具体的にどうなっているのか、これも実際聞きたいところですが、それと同時に私はどうも最近の鉄鋼施策をわきから見ておりますと、願望ばかりいつまでもやっておって、具体的に運ぶということは一向に進まぬ。何か行政的にも欠陥があるのじゃないかと思う。船の問題は、もちろん直接的には運輸省の関係でありましょう。船を用意しても今度は港湾の方がだめだ、こういう関係も起ってくるのじゃないかと思う。何か行政的にもう少し各関係省が一致してこれを具体化するという方途を一つこの際大臣には考えていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
○水田国務大臣 それをやろうと思って、今やっているところですから、今度はなるべく言ったことは実現させるようにしたいと思います。
○小平(久)委員 それではぜひ具体的に進めてもらう態勢を整えていただくことを希望しておきます。 次に鉄鋼価格の問題ですが、今わが国の鉄鋼の価格は、外国に比べると非常に高い。アメリカあたりに比べると七、八割も高いのじゃないか。最近船賃が高いから、輸入すれば、内地の価格よりも外国のものの方が高いということになりますが、CIF価格で比べれば外国のものの方がはるかに安い。こういうことでは、さきにも申しました通り、わが国の今後の輸出という点からしても非常に大問題だと思うのであります。大臣の重点施策の説明の中にも、今後は重化学工業方面に輸出の重点を持っていくんだと言われておりますが、重化学工業の最も基本である鉄鋼の価格が、外国に比べると七、八割も高いということでは、これまた単なる願望に終ってしまって、実際外国と競争していくことができないことになるのではないかと思うのです。そこでこの価格の問題を今後どういう目標で、どういう施策で外国と太刀打ちできるようにしようとなさっておるのか、この点も一つ承わっておきたいと思います。
○鈴木(義)政府委員 御質問は、日本の鉄鋼価格が外国に比べて割高ではないか、それに対して今後どういう手を打つかということですが、確かにわれわれ見ておりますと、現在の鉄鋼三社の建値は従来大体ヨーロッパの中庸並みと考えておりますが、それについてどちらが先に上るかという状況の場合、日本の方が現在のところちょっと悪くなっておるのではないかという感じが若干しますが、ヨーロッパのベルギーの価格くらいと見ております。そんなふうに従来見てきておりますが、今後の問題は何といっても鉄鋼企業の合理化であろうと思う。従来この方面につきましては、昭和二十六、七年来第一次鉄鋼合理化計画で千億以上の投資をいたし、新鋭圧延設備あるいは平炉の大型化とか、鉱石の事前処理、そういうようなことで日本の鉄鋼業の合理化をする、コークス・レーショも相当よくなった。今後さような観点からさらに合理化を進める。同時に、結局鉄の問題は資源の問題でございますので、海外の鉄鉱石の確保あるいは高炉、転炉の増設、さような問題と同時に、従来からの企業合理化あるいは技術の向上、こういうこととあわせてコストの低下をはかって、国際的に負けないような鉄鋼を作ることを目ざしていかなければならないと考えております。
○小平(久)委員 重工業局長が参りましたから若干もとへ戻りますが、先ほど来申していることは、鉄鋼政策というものはここ数年来大体同じようなことが唱えられておって一向具体化しない、一口に言えばそういうことじゃないかと思うのです。それで今お話にありました通りに、わが国における鉄鋼業の問題というものは、原鉱の関係から申しましてもほとんど海外に依存している、従ってそれと関連して輸送の問題あるいは港湾の問題等々、なかなか通産省だけでは解決できない問題が非常に多いわけです。そこで、局長が一生懸命やっておられることは承知しておりますが、関係各省庁の間でほんとうに一致して強力に進める——機構上の欠陥も実はあるのじゃないかと思うのです。何かいつも同じことを聞かされておって具体化しない、こういう気がするのですが、しからば一体三十二年度において今までに比べてどういうことがとりあえず実現される見込みなのか、どういう点で今年は一歩出られるのか、そこを一つ聞かせてくれませんか。
○鈴木(義)政府委員 御質問の点でございますが、従来何もやっていなかったとおっしゃいますけれども、われわれとしては全力をあげて鉄鋼業界と協力してやってきております。たとえば合理化設備でも、いろいろな圧延設備、たとえば厚板の設備、ストリップ・ミル、さような設備がどんどんでき上ってコストが安くなり増産も上る、かようなことになっております。 それから本年の問題としましては、前にも大臣からお話があったと思いますが、価格安定対策として今われわれとしては鉄鋼需給安定法の立案準備ということでやっております。従来の各省との連絡も実はわれわれとして常時いたしております。そのほかに、やはり何らか鉄鋼についての政策の中枢機関というものの必要を感じておりまして、今度の安定法の中にも鉄鋼政策審議会というものの構想も考えておるわけであります。 それから来年度どんなことをするかということでございますが、価格の問題につきましては、さっき申し上げました通り需給安定法を予想しておりますが、そのほかやはり業界の設備投資を大いに促進する、問題は何と申しましても鉄源の問題でございますから、高炉、転炉を中心とする将来に備えての増産計画を大いに推進する、それに伴ってやはり圧延関係の設備合理化を推進したい、かように考えております。現在資金は御承知の通りいろいろ問題がございます。業界の全部を集めまして、本年度の鉄鋼関係の資金需要は相当多額に上るという状況でございますが、これらの問題もできるだけ全力をあげて解決していくように努力したいと考えております。
○小平(久)委員 長年われわれが聞かされておる問題の一つとして、たとえば鉄鉱石の専用船、この問題は今度はどういうふうになるのですか。
○鈴木(義)政府委員 鉱石船はいろいろいつも先生から御指摘を受けておりますように、なかなかうまく進んでおらない状況でもございますが、実は従来は鉱石につきましては準専用船を年々一、二はいずつ作ってきております。昨年春業界では、今後年々三隻、五カ年間で十二、三隻作ろうという一応の計画を立てましたが、その後これは各鉄鋼会社あるいは海運会社との相談によってそれぞれ進めるという形が現在とられております。今後の大きな問題は、やはり何としても港湾関係それから新しく資源を開発する地域、そういったものとにらみ合せて研究しなければならない、かようなことになっておりまして、実はそういう関係の海外の専用船を調査するために近く関係の者が参りますので、その結果を待って本格的な努力をやろうということで、本格的な対策はその方に譲っております。ただ当面の対策としては、鉄鋼業界と海運業界が連絡しつつ、それぞれとりあえず専用船の対策をとっていく、かようなことになっております。
○小平(久)委員 いずれにいたしましても、当局の考えておる鉄鋼の需給計画等について一つ資料をお出し願いたいと思います。 それから次に配給の問題ですが、今鉄鋼需給安定法をお作りになろうとしておられる。それのいろいろな問題がありましょうが、それはしばらくおきまして、ともかく根本的には安定法も必要かもしれないが、日本の鉄鋼需要という点から考えれば、とにかく生産の増強を早くはかるということがより根本じゃないかと考えておるわけであります。しかしただいまの鉄鋼価格の高騰という面から、必ずしもこの各社の建値では市中に流れぬ、しかも場合によると、非常に大口の需要であってさえ、なかなか建値でとれないという、これは現実に行われておる配給組織、これにも相当問題があるのではないかと思う。聞くところによると、現在建値でとれるというか、問屋を通さずに直接とれるのは国鉄くらいであって、その他電源開発会社であろうがあるいは公共の住宅関係であろうが、そういうものはみんな問屋を通して三%からの口銭をとられておる。国家資金を相当投じてやっておるものが、それが問屋に頭をはねられておる。こういうようなことはわれわれから見ればはなはだどうもむしろけしからぬとさえ考えられる。こういうものは一つ大臣からでも話をしてもらって是正してもらいたいと思いますが、これはどういうものでしょうか。
○鈴木(義)政府委員 かわりましてお答えいたします。今御指摘の建値と建値でないもの、これは確かにございますが、従来これは鉄鋼三社が一応建値で問屋を使っておりますが、内口銭ということになってやっておるわけであります。これは日本の鉄鋼の全体の量の半分が大体それでいっております。それ以外は、前にもよく御説明したと思いますが、一番高いのは市中相場が出ておるところでございます。さようなことで従来きております。最近は御承知かと思いますが、昨年の九月ころの非常に高かった状況からいきましても、相当程度落ちついてきておる。もちろん今後の状況がどうなるか、これは予測を許さない面がありますが、一応落ちついてきておる、かような状況でございます。しかし問屋の問題はこれは商取引の慣習がございますので、にわかに問屋をどうするかということもなかなかむずかしいのではないか、かように考えております。
○小平(久)委員 それはなるほど建値でとって、内口銭かもしれませんが、とにかく国家の資金を相当投じてやるという仕事に使う鉄鋼についても、その内口銭を払わなければならぬということは、私はいかに自由経済であってもこれはどうも変なやり方じゃないかと思う。それは今までの鉄鋼メーカーと問屋とのいろいろ複雑な関係があるでしょう。それはわからないわけではありませんが、いずれにしてもそういった公共的なものに対してまでも、一般と同じようなことでやるやり方というものは、これは是正されてしかるべきだと思います。この点は一つ善処を希望申し上げておきます。鉄鋼の問題は非常に広範にわたる問題でもありまして、ここで短かい時間で細部にわたる質問をやるのもどうかと思いますし、小委員会もあることですから、いずれ小委員会でお尋ねいたします。 経済企画庁の方は出ておられますか。——経済企画庁の方に教えてもらいたいのですが、政府も今のいろいろな経済施策を、完全雇用ということを目標にしているわけです。一体完全雇用ということは、どういう条件が伴えば完全雇用と解しておられるのですか、それをまず承わりたい。
○小出政府委員 完全雇用の問題につきましては、御承知のように現在の長期の経済計画の最終目標といたしまして、完全雇用の達成と国民の生活水準の向上、この二つを対象といたしまして経済に対処していきたいと思います。ただいま策定をしておりまする新しい長期計画におきましても、完全雇用の達成ということを目標にしております。そこで完全雇用とは何かということは絶えず問題になるわけでございまするが、私どもの一応の考え方といたしましては、先般小笠先生の御質問に対しましてもお答えいたしましたように、現在指標の面におきましては完全失業者という指標がございまするけれども、これは御承知のように労働省の統計におきまして、毎月の月末の一週間をとりまして、その間に一定の時間以上の勤務をしなかった者というふうな定義になっておりまして、ある意味においては、完全失業者という名前をつけるのは非常に誤解を生ずるような定義になっております。従いまして、全体として現在非常に広範に存在しておりまする潜在失業者あるいは不完全失業者、これは先般お答え申し上げましたように一番少い数字をとってみましても二百二十万人、大きな統計で見ますと六百数十万人というふうないろいろな調査がございまするが、いずれにいたしましても二百万人以上のいわゆるまだ本格的な職業に就業困難な不完全失業者があるというのが現状でございます。これらの潜在的な失業人口というものを、労働力人口といたしまして実際の本格的な職業に吸収するような経済機構に持っていきたいというような抽象的な表現でございまするが、一応概念としてはそのように完全雇用達成の目標ということを考えております。
○小平(久)委員 そうしますと、完全雇用というのは現実の失業者のみならず、不完全就業者、要するにそれまでも就業させるということを目標にしているのだ、こういうことに解してよろしいのですね。
○小出政府委員 大体そういうことでございまして、現在の完全失業者と申しますのは、御承知のように統計上は、六十万人という数字になっておりまして、これだけを対象にしたものが完全雇用ではないわけでありまして、潜在的に存在しておりまする不完全な就業者、そういうものも本格的な雇用の対象にしていきたい、こういうふうに考えております。
○小平(久)委員 その際における給与の関係はどういうふうに解釈するのですか。たとえば社会党さんの方では最低賃金制というようなことで主張されていますね。なるほど職にはついたかもしれぬが、何といいますか食らには足らぬ、こういう場合も常識的に考えて、あるわけです。それは食うに足る、一応生活するに足る収入があるところまで目標とするわけですか。
○小出政府委員 先般お答えいたしました不完全失業者というものの内容につきましていろいろ定義があるわけでありまするが、たとえば六百数十万人というふうな総理府統計局の調査におきまする定義におきましては、所得が一定標準以下の者、それから所得が標準以上でありましても収入に比べまして非常に労働時間が過度でありまして、その労働時間が過度であることに対して不満を持っておる者、こういうものの平均ということになります。しかし私ども経済企画庁におきまして、昨年の三月末に一応調査いたしました二百二十万人という場合における不完失業者ないし潜在失業者の定義と申しますのは、家族従業者等でありまして、本格的な職業に就業困難な者というような定義をとっております。従いまして今御指摘の実際問題として給与が一体どれくらいの水準以上であれば、それがいわゆる完全雇用と言えるかどうかということにつきましては、そのときの、将来の経済情勢なり生活水準等、いろいろ勘案いたしまして判断しなければならぬと思いますが、抽象的に言えますことは、やはり通常の生活を、最低生活を保障し得るだけの所得を得られるような雇用態勢になっているもの、こういうことに考えておるのであります。
○小平(久)委員 それではその点はそれぐらいにしまして、具体的にちょっと承わりたいのですが、ちょうだいした三十二年度の経済計画の大綱、これの十ページに主要経済指標というのがあります。これを見ますと、就業者数の欄で三十年度と三十一年度を比べますと一〇一・五ということになっておる。それから次に三十一年度と三十二年度を比べますと一〇二・一、こういうふうになっております。そこで私が不思議に思うのは、経済一般の、ことに鉱工業生産等の伸びの率は三十年度と三十一年度と比べた際は低くなる、つまり伸びが若干鈍化する、こう言っているわけですね。ところが就業者の数の方は、むしろ伸び率が三十二年度の方が多くなる。この指標からいえばそう解すべきだと思うのだが、これはどういう関係でこういうことになるのですか。
○小出政府委員 鉱工業生産の生産指数の伸びに対しまする就業者の伸びの相関関係につきましては、必ずしも鉱工業生産指数の伸びに比例して就業者数が伸びるというような実態を従来も示してはおりませんで、もちろん来年度は、本三十一年度の昨年度に対する鉱工業生産の伸びに対して生産の伸びが鈍化する、一二・五%というふうに約半分に鈍化するというように一応試算いたしましたけれども、しかしそれは現在の非常に高い水準の鉱工業生産の水準からさらにそれだけ伸びるということでありまして、水準それ自体は高いのでございます。ただその伸び率が幾らか鈍化する、こういうふうに考えております。従いましてその就業の内容につきましても、御承知のように三十一年度におきまして、大きく分けて農林業と非農林業に分けて考えますと、農林業においては漸次就業者数が減少し、農林業以外の非農林業において相当就業者の伸びが多いというような、つまり雇用の形態が非常に変ってきております。就業の内容が相当改善されつつある。従って特に製造業を中心といたしまして、また中小企業等の関係あるいは第三次産業の間におきまして相当就業者の増加が見られる、こういった関係でございまして、必ずしも鉱工業生産指数の伸び自体から判断できないと考えております。従いまして来年度の就業者数の伸びにつきましては、具体的にわれわれの方では業種別に農林業と非農林業と、そして非農林業の中には製造業でありますとか、商業でありますとか、あるいはサービス業とか、それぞれの部門につきまして一応業種別に積み上げ計算をいたしまして、こういうふうな数字になったわけであります。
○小平(久)委員 今の御説明、私にはよく納得いかぬのですが、農林業の方ではむしろ減る、鉱工業の方はだんだんふえていくのだ、鉱工業の伸び方が鈍化しているんだというのに、就業者数だけがさらに伸びるというのは私には納得いかぬのです。 時間がないようですからその点はそれだけにいたしまして、それともう一点だけ承わりたいのは、この同じ表の就業者数ですが、三十一年度の実績見込みと三十二年度の見通しを比べますと八十九万ふえる。これくらいは今年就業できるだろう、こういう見通しのようですが、そうなるとまた他面労働人口と就業者数とを比較した場合に、三十一年度においては労働力人口と就業者数との差が六十万、これはいわゆる完全失業者という立場だろうと思う。ところが三十二年度の見通しにおいても、労働力人口と就業者数の差というものはやはり依然として六十万。ところが結論的に言うと、労働力人口が新たにふえる分だけ三十二年度においては吸収するのだ、完全失業者というものは依然として六十万なんだ、こう解するのが普通じゃないかと思うのです。そうすると、さらにこれを言いかえると、三十二年度においてはいわゆる完全雇用ということを目標にしてやっているが、この完全雇用の方向に向っては一歩も踏み出せないのだ、三十一年度と三十年度は同じなんだ、どうもこの表だけを見ているとそういうふうにしか私には解釈できないのですが、そう解釈してよろしいですか。
○小出政府委員 今小平先生御指摘のように、就業者数、それから労働力人口、これを差し引きましたものが結局従来の完全失業者数ということになるわけでございまして、これは今年度計画におきましても六十万人、それから来年度におきましてこれを産し引きますとやはり六十万人ということで、完全失業者数におきましては一応横ばいでございますが、先ほど申し上げましたように、この完全失業者数という統計がいろいろな面におきまして非常に不十分と申しますか、失業者の数を表わします指標としてはやや誤解を生ずるおそれのある表でございますので、三十一年度の経済計画におきましては、主要経済指標の中に完全失業者数という欄を設けておったのでありますが、今度の三十二年度の経済計画におきましては、御承知のようにここにございますように、完全失業者数という表は実は用いなかったわけでございます。と申しますのは、先ほど申しましたように、指標としては完全失業者数だけを対象にしておるわけではございませんで、全体としての潜在的なものも含めまして全般的な関連において完全雇用を達成したい、こういうものでございます。従いまして完全失業者数だけを見ますと、ただいま御指摘のように六十万の数字で、横ばいということで、完全失業者数は少しも減少していないという格好になるわけでございますが、全体としまして、潜在失業者数も含めまして、雇用の内容なり就業状態というものは漸次改善されていく、こういうふうに考えるわけでございます。
○小平(久)委員 せっかくこういう表を公けにしながら、これはならないものはならないで仕方がない、むしろ正直ということになるのかもしれませんが、どうもわれわれ与党で変な立場ですが、完全雇用を目標にしてやるんだ、やるんだ、失業者が減るんだ、減るんだ、こう言っていながら、どうも一向この表から見るとそういうことにならぬというふうにとらざるを得ないのではないか、ただ完全雇用の定義が若干どうだとか、あるいは完全就業者が就業する見込みだとか、口頭であなたがそう答弁されても、公けのこういう表から見て一向そうならぬのでは、そう言っては失礼かもしれないが、あまり権威のないものになってしまって、われわれには納得がいかないのですが、一体こういう状態で、この五カ年計画なども逐次修正すると言うが、実質的に失業者が減るというのはいつごろからそうなる見込みですか。
○小出政府委員 現在経済長期五カ年計画の改訂作業に入っておりまするが、御承知のように現在の経済自立五カ年計画におきましては、年々の経済の成長率を年五%という年率で計算をしたのです。これは御承知のように、二十九年度当時の計画を策定いたしました時期が、非常にデフレの時期でございまして、五%でも非常に高いというような意見がむしろ多数意見だったような状態であります。それをむしろ経済が拡大する政策でもってその辺まで引っぱっていくということで、五%の成長率というようなことで、現在の長期計画は組み立てられているのでございますが、実際は三十年度の伸びというものが非常に大きかったのに引き続きまして、三十一年度は一二%の伸びということでございまして、実際の実情に合わないということで現在改訂作業に入っておりますが、新しい長期経済計画の年々の成長率の試算といたしましては、一応七%ないし八%という成長率で、その辺の七%、八%の間におきまして、どの辺の成長率におさまるか、これからの計算でございますけれども、一応七、八%の成長率ということを目標にいたしまして、現在の長期計画に入っております。これによりますと、先ほど申しました経済企画庁で一応考えております二百二十万人というような転用可能の潜在失業者数を吸収するのには少くとも十年以上はかかる、こういうふうな見通しでございます。
○福田委員長 松平忠久君。
○松平委員 私は主として水田通産大臣にお伺いしたいと思うのですが、昭和三十二年度における通産省の重点施策について過般所信の説明がありました。この内容は大体対外施策と対内施策に分れているのですが、対外施策の分についてまずお伺いしたいと思います。 日本の貿易の主眼点が依然として対米重点主義というか、そういう工合になっているわけです。私どもの考えから言うと、漸次対米依存度というものを軽減していって、そうして他の地域への貿易の発展ということが目標でなければならぬ、こういうふうに思っておるのでございまして、一昨年等の貿易を見ますと、漸次その傾向になってきたように思ったのですが、昨年あたりはまたちょっと逆転し、また今度の計画においても東南アジア地域における外貨の不足というようなこともあって、なかなか伸びないというようなことに客観的情勢はあるようであります。ところが岸総理大臣は、総理大臣代理の時代におきましても、やはり日本の対外経済発展というものは相当東南アジアにも重きを置かなければならぬ、それには国連を通じてその方面の発展をはかりたいということをしばしば予算委員会等においても御答弁をなさっておいでになる、そこで国連を通じてやるということも確かに民族主義の非常に旺盛な東南アジア地域においては一つの方法であろうと思います。ところで貿易という面から見まして、国連等を通じて東南アジア地域にどういうやり方で発展をしていったらよいかということになりますと、なかなか国連も動かぬのであります。そこで私はお尋ねしたいのは、通産省としまして、大臣はこの国連のどういうような機関をどういうふうに利用して通商産業をあの地域に発展していったらよいかということについて、何か具体的なお考えがあるかどうかということをまずお伺いしたいのであります。
○水田国務大臣 総理大臣が国連を通じてといったのは、もっぱら通商政策の中でもいわゆる経済協力という部門について言ったことと思っておりますが、日本が国際連盟に加入した以上、日本単独の開発協力というようなものについて、いろいろ政治的にむずかしい問題があるという場合には、国連の諸国との提携によって、後進国の開発、経済提携という方向に向うことが適切であるといういろいろな部面も多かろう、そういう場合にはそういう形で日本の海外協力というものを推進したい、物を売ったり買ったりする商売上の問題でなくて、後進国、特に東南アジアの開発問題に関してそういう形でいきたいということを総理大臣が言ったものだろうと私どもは解釈いたしております。
○松平委員 私もおそらく経済協力、経済開発というようなことがおもなる目的で、それを国連を通じてやった方がいいだろうということを岸さんも言われたのだろう、それは私もそう思います。そこで東南アジアにおける経済協力は、すなわちあそこの貿易を発展させるには、外貨がないのですから、もう不離不可分の問題であると私どもは考えているのです。ですからどうしてもどこからか相当な援助をして、そして購買力をつけてやって、産業の開発を助けてやって、それと同時にあわせて貿易の発展を考えるということは、だれもそう考えておられるだろうと思うのです。そこでこの経済協力のことになりますが、経済協力ということになりますと、通産省は所管外の事項になりますか、大蔵省の専管であって、通産省は全然タッチしないということになりますか。
○松尾(泰)政府委員 ちょっとかわりましてお答え申し上げます。経済協力の問題につきましては、もちろん通産省も重要な役所だと考えております。現に通商局に経済協力課というものがありまして、主として総括事務を担当しております。そのほかもちろん外務省、大蔵省、それから業種によりまして運輸省もございますれば農林省等もございます。密接に連絡をしてやっております。
○松平委員 そうであるとすれば、通産省も相当の発言権を持ってこれを推進していくという立場にあるわけでありまして、この問題に関してしからば具体的にどういうようなお考えを持って国連を通じてやるのか、言いかえれば、世界銀行というようなものを改組して、もっと日本の発言権を増すということも考えられましょうし、また現に日本の持ち分である世界銀行における日本の出資金が相当余っているはずであると私は思うのです。この余っている金の中には円である金が相当あるわけでありまして、こういう円で余っている金を日本側から東南アジアに供与してやって、そして日本から機械設備なりその他を買わせる、こういうふうなことも一つの行き方ではなかろうかと思うし、またTABの技術援助に関して日本はドルで約九万ドル程度の出資をしております。東南アジア地域におきましては、いずれもTABに関しましては相当各国に対して出資をよけいしてくれということを言っておるのでありまして、いつの会議にもそれが出ているようでございます。従って日本としてはできるだけこういうドルが余っているところで出資して、そういうことを通じて東南アジアの技術援助に向っていくべきではないか、こういうふうに思うのでありますが、この世界銀行の余っている円をそういう方面にお使いになるような気持が政府部内にあるのかどうかということをこの際お聞きしたいのであります。
○松尾(泰)政府委員 世界銀行につきましては、率直に申しまして大蔵省が主として日本側の政府では担当しておりまして、若干私の方は間接でありますので、詳細は存じないのでありますが、今お話のありました世界銀行の資金を通じてという問題につきましては、かなり実現をしていると承知しているわけでございます。先般も、日本が世界銀行に円で出資したものがございますが、最近の例ではタイ国といま一つ中南米のチリでありましたかペルーでありましたか、ちょっと国の名前は忘れましたが、その二国から、日本が世界銀行に出資しております円を借りて日本のものを買いたいという申し入れがありまして、これは実現したのでございます。もちろん借りた相手国はあとで円を返すわけですが、その円を調達するときにドルなりポンドなりが日本に入ってくる、こういうかっこうになる。いわゆるドル輸出といいますかポンド輸出の形態にいずれは現われてくるのを、さしあたり円で世界銀行を通じてファイナンスした格好になるかと思います。 それからTABの方につきましても、各国に技術援助の資金を割り当てておるわけです。御存じのように今東南アジアの諸国から日本の技術を研修のためにたくさんの人が参っております。それらは大部分国連の技術援助の資金がそれらの国に割り当てられた金でこちらへ研修に来ておる。そういう意味におきましては、日本ももちろん金の一部を出しております。それが回り回って効果を上げておると見ていいのじゃないかと思います。
○松平委員 円で出資しておる分については確かにあちこちに出ております。出ておりますが、これはもうほんの一部で、私の調べたところによりますと、たしか十七億円くらいしか今日まで世界銀行の金は出ておりません。あと百何億というものは、まだ日本に余っておる、こういう状態なんであります。私は通商産業大臣としてこれをちょっとお考えになったらどうかと思うのです。これをもう少し有効に活用するということを東南アジア地域に一つ何というか、アプローチしてみるということがいいのじゃないか。大蔵省にまかしておくと、そういう観点は比較的薄いのじゃないか、こう思います。少し世界銀行のことを御勉強願って、この金を少し東南アジア方面に円で出すということを考えてみたらどうか、こう思うのです。その点は特に要望を申し上げておきます。 それからTABに関しましては、ただいま御答弁があったけれども実は日本の出しておる出資分より日本の受けておる分がずっと多いのです。去年にいたしましても九万ドル出して日本は十四万ドル受けておる、こういう状態なんであって、日本は受け取り分が多い、こういうわけであります。ですから日本がもっと出して、東南アジアの方へこれを技術援助として回してやるような政策をとるべきじゃなかろうか。日本はその中におって自分が出した分よりもよけいとってくるというようなことは、この東南アジアの技術援助というエカフェの下にあるものといたしまして、私はちょっとどうかというふうに思うのです。従ってこれらの点も大蔵省とよく打ち合せを願って、もっと技術援助の金を日本が出して、向うへ進出していくということを考える必要がある。これは大臣就任早々でありますけれども、これらの点については岸構想もありますので、通商政策としていかにこれをうまく利用する九ということを具体的に御研究願いたいということを特に御要望申し上げて次に移りたいと思います。 これはこの前どこかの委員会であるいは問題になったことかと思うのですが、東南アジアに関してやはりうまくいかぬというのは、債権の焦げつきということにあるのだろうと思う。これは東南アジアだけではなくて、韓国だとかアルゼンチンというところにもかなりの焦げつきがある。この焦げつきは大体現在の日本の外貨の手持ちの中でどの程度ありますか、その点を一つお伺いしたいと思います。
○松尾(泰)政府委員 インドネシアの焦げつき債権は約一億七千万ドル、それから韓国は約四千万ドルでございます。日本の現在の総外貨保有は十四億内外です。最近ちょっと減りまして、今申しました焦げつきも入れまして十四億前後でございます。具体的な数字を持ち合せておりませんが、またあとで……。
○松平委員 その中で、これは外交上の機微の問題もあるけれども、私はある程度やはりインドネシア等については腹をきめなければならぬ段階に来ているだろう、こういうふうに思うのですが、この点については通産大臣としてある程度のことはお考えになっておることであろうと思いますが、この点についてお伺いしたい。
○水田国務大臣 まず一番先にさっきの御要望の件ですが、そういう問題は今通商政策として根本的に考える時期に来ていると思います。私が前に申ましたように、こういう政策を実行するのになかなか通産省一省だけで解決できない問題が山積しているので、これは関係省で根本的な方針をきめて促進するのでなかったら立ちおくれになるということを考えまして、きょうも私は大蔵大臣に、そういう問題を中心にして、また同時に東南アジアに単独に、日本がさっきの問題を離れても、単独の経済提携をどういうふうに進めていくかということになりますというと、国内の機関の問題になってきまして、輸出入銀行法とかあるいは開発銀行法というものと関連させなくてそれがやれるかどうかというような問題もここで解決するために、関係閣僚会議を至急開きたいと、きょうも予算委員会の席で大蔵大臣に私の方から話したような工合でございますので、この点は至急政府として今後こういう方針で行くんだというしっかりしたものを関係省の間に立てたいと思っております。今の焦げつき問題も、近く日韓交渉は開かれるところへ来ましたから、この会談と関連してこの解決策も考える。同時にインドネシアの問題も、賠償交渉は現に始まっておるんですから、やはりそれらとの関連において解決する策もあろうというようなことで、今政府部内でこの問題は検討中でございますので、これは何らかの形でこの焦げつき問題も私は解決できると思っております。
○松平委員 次にお伺いしたい点は、東西貿易のことでありますが、最近政府は、与党の諸君も含めてですが、日本は東西のかけ橋になるんだという言葉で、そういう表現を用いておるのであります。社会党は前からそういうことを言っておったけれども、社会党の言う看板をとられたような格好になりまして、最近は政府が日本は東西のかけ橋になるんだということを言われておるわけでありますが、体貿易上あるいは通商政策上、東西のかけ橋になるという政策はどういうことをしようという考えであるのか、どんなことを事実考えておるのか、このかけ橋ですね、これを一つ解明をしてもらいたいと思います。
○水田国務大臣 一応観念的にはかけ橋の意味はある程度わかるような気がしますが、またこの間言論界のいろいろな批評もございましたが、一体日本の現在の国際的地位で、日本が世界の二つの国のかけ橋になるというような大それた考えを持って、どらそれをやるつもりだ、これは非常に問題だという批評も出たくらいでございまして、私自身もこのかけ橋という意味が今のところはっきりわかりませんので、これは一つあとで総理大臣に御質問願いたいと思います。(笑声)
○松平委員 私も、そのかけ橋などということをむやみに言うべきでない、こういう考えがあるので、全く同感です。少し大それているではないか、こういうふうに思うんです。そこで、かけ橋の議論は抜きにいたしまして、そういう考え方をもってやるということになりますと、これは一種の多角貿易のような形態もしくは多角決済というような形態をとるということが一つのかけ橋の内容になろうかと思うのであります。たとえば昨年でありましたか、七百万ドルのセメントが中共へ出た。ところが中ソの貿易を見ておりますと、中共のセメントがどんどんとソ連へ入っておる、こういう実情なんです。私どもはソ連が中共からセメントを買うなどということはほとんど想像もしていなかった。ところが実際は、あの貿易の統計を見ましても、どんどんとソ連が中共からセメントを買っておる。その穴埋めに日本からどんどんセメントを中共へやる、こういう実情なんです。こういうことはかけ橋になろうかと思っているのですが、これは別といたしましても、この問題に関連して、また東南アジアに戻りますけれども、東南アジア諸地域におけるところの貿易協議といいますか、地域内における貿易に関する協議会を作ろう、また貿易関係の地域内の一つの特別な機構を作りたい、こういう考え方がインドその他にかなりあるように思われるのであります。またこの考え方は、確かに中共及びソビエトもこれに賛成しているのではなかろうか、こういうふうに思われます。ところが日本の態度はきわめてあいまいもことしてわからない。東南アジア地区における一つの共通の基盤といいますか共通の利害関係を協議するところの、やや常設的な貿易の審議機構を作りたいという意向がインドネシア、ビルマその他の国にかなりある。ところがこれに反対しておるものはイギリスでありアメリカであるというふうに思われるのです。そこで日本がその中に立って非常に困っておる、こういう態度ではなかろうかと私は思うんですが、そういった東南アジアに新たに彼らが提唱しつつあるところの常設の貿易関係の協議機構というものを作ることに対して、大臣はどういう考えを持っておられるか、それをちょっと伺いたいのです。
○水田国務大臣 一昨年でしたか香港でそういう会議が持たれたときの結論は、アジア各国の現在の貿易構造から見て、まだそういうところまで行くことは時期尚早だ、そういうものを持っても現在は解決にはならないというのが結論だったと私どもは聞いておりまして、私自身は現在でもそうだと思っておりますが、そのときの理由とかいうようなものは局長から御説明願うことにいたします。
○松尾(泰)政府委員 アジア諸国だけのそういう通商に関係する一つのボディを設定した。御存じのように、今エカフェという一つの組織があるわけであります。御指摘のように、これは大部分はアジアの諸国でありますが、そのほかにイギリス、アメリカなど東南アジアに非常に利害関係の深い国も入っておるのであります。その意味において純粋に東南アジアを中心とするボディではないということも言えるかもしれませんが、しかし議論される議題は全部東南アジアに関することなんで昨年の十月にも東京でエカフェの貿易委員会が開催されており、実は私もその日本側の代表代理を仰せつかったわけであります、現在のエカフェのそういう機構は、率直に申しましてかなりうまく私は動いておると思うのです。今先生の御指摘にありました東南アジア諸国だけのボディということは、率直に言って私どういう内容のものかはっきり存じませんが、もちろんそういう必要があるものならば、そういう団体を作ることもけっこうかと思うのでありますが、さしあたりわれわれとしては国連下にあるエカフェという機構で大体十分ではないかというように考えております。 ただいま大臣がちょっと言われたことは、実は日本でもよくいわれている構想でございますが、アジア諸国内の貿易決済機構を作れないかということが一昨年の香港でのエカフェの委員会において議題になったのであります。もちろん賛成の国もあり、反対の国もあったのでありまするが、要するに、現在の東南アジア諸国の貿易構造から見て、なかなか決済基金というか、決済的なことをするにも貿易構造があまりにも複雑で、一口に申しますと、債務が累積をするような状況になっておるわけであります。いわゆるアジア圏外との貿易を考慮に入れますと、圏内だけの貿易を決済するにしても非常に債務が累増するような格好になる。従いまして圏外の強力な第三国がかなり大きな経済援助というか、そういうことをしてくれるならばあるいは成立するかと思いますが、なかなかそういう国を発見することはさしあたり困難であるということで、将来の課題として研究しようということになりまして、そのときの議題は一応たな上げになって今日に至っているのが現状であります。多分先生の言われました東南アジアを中心とした団体の結成も、そういうふうな決済機構等を頭にお描きになってのことと思いますが、先ほど大臣から説明のあったような結論で今日まで至っておりまして、事実問題として貿易構造上急にそういうところまではいきにくいというのが今日の結論でございます。当時、一昨年の会議においてはインドが実は一番消極的な態度を表明したということでございます。
○松平委員 欧州共同体というか、こういうようなことがやはり相当実現の可能性ができてきて、それで私どもの想像以上に早くこれが実現するという方向にあるようであります。従ってこれに対する日本の考え方も、ただ単にあそこに域外の通商を平等にしようとか何とかいったところで始まらないのであって、そういう傾向からいたしまして、やはり東南アジアというものがだんだん一つの広域経済的な方向へいくのじゃなかろうか、また欧州共同体というものはそういうものを非常にアクセラレートする性質のものではなかろうか、こういうふうに私たちは見ておるのであります。去年、おととしくらいに意見がまとまらなかったということは事実でありますが、これはやはり一つの方向へだんだん持っていくとうら努力を日本はする必要があるのじゃなかろうか。ところが日本ではなるべくその問題には触れたがらないという態度が今までの政府の態度であります。私はそれではいけないのであって、もう少し東南アジアの地域の中に入り込んで、その中で説得をする場合には説得も買って出るというようなことでもなければ、なかなか日本の発言権も確立できない。こういう工合に私は思うのであって、最近の状態では一歩踏み込んで東南アジアの貿易のいろいろな不便、つまり規則とか慣行とかあるいは国内的法律的な措置とかいうものがあった場合において、それを緩和するためのやや常設的な機関ということが、私が先ほど申した機関でありますが、これは実はあなたの答弁とは違った報告を得ている。インドがこれを欲しておるのです。ところがタイとかフィリピンというのがこれを欲していないということで、インドは極力これを推進しておる、こういう状況であります。従ってもう少し中へ入り込んで、どっちつかずの態度をとらず、もうそろそろ行くべき段階ではなかろうかと思うのです。たとえばサンフェドの問題にしても、この間予算委員会で問題になって、西村榮一君の質問に対して岸さんが答弁に立ったんですけれども、こまかい問題だったのでわからなかったというわけですが、あの問題についてのサンフェドは東南アジアの国でどこの国も賛成していない国はない、ぜひこれはやってもらいたい、そうして東南アジアの開発をやってもらいたいという希望であります。ところが日本はやはりどっちつかずの態度をとっておりまして、ことしはまあどうかと思うというようなことで、アメリカとかいイギリスとかの顔をうかがいながら、これに水をかけるように、来年まで延ばすというような提案を日本の代表はしておる。そういうやり方ではだめであって、ここまで来たらもう少し踏み出していくべき時代ではなかろうか。これは通産省がそれらの点についてもう少ししっかりしてもらって、ほんとうに実情を把握して取っ組んでもらいたいと思う。他人まかせ、外務省まかせだというようなことではいかぬのじゃないか。サンフェドの問題もどこの国も要望しているのであるから、あれの機関を作って、東南アジアの投資をしていく。最近聞くところによると、アラビア・グループが寄りまして、自己資金を得て、それを国連に持ち込んでアメリカその他の援助を得てアラビア開発銀行を作るという動きが相当活発になってきております。そうすると、東南アジアにおいても何らかの機関を作って、東南アジア開発投資機関というようなものを作る必要があるのではなかろうか。世界銀行とかあるいは昨年できましたIFCですか、IFCは世界全般的なもので後進国ということになっておるとは思いますけれども、しかし広域経済という立場からいくならば、そこに日本が出ていって、東南アジア開発のために援助してやる、これだけ働いてやっているんだ、こういう態度があってほしい。今までのようにちょうど東西貿易のまん中に立っておるような格好で、どっちつかずでふらふらしているから、どこにでも飽きられてしまう。こういうことを二、三年来繰り返してきたのが日本の態度であります。これでは私はだめだと思う。もうここまで来たらそろそろ日本は東南アジアに身をもって中へ入り込んでいくという決心を政府自体がきめられる必要があるのではなかろうか、こういう印象を最近深く持っているのです。それは先ほど申した欧州共同体と、それからアラビア・グループの行わんとするところのアラビア開発銀行、こういうものと関連しましてその感を深くしておるのですが、これに対する大臣の所見を一つ伺いたい。
○水田国務大臣 考え方は私は全く同感でございまして、これは一つ研究させていただきます。
○福田委員長 加藤清二君。
○加藤(清)委員 時間がだいぶたっておりまするので、私は簡単にただしたいと思いますから、お答えの方も簡単に一つお願いいたします。 第一番に承わりたいことは、岸内閣はこれを受け継ぎ、これを実行すると言うて、石橋財政を継承することをお約束されたわけでございまするが、本年度の通産行政の内容を瞥見いたしますると、やはりそのことはうかがわれるようでございます。そこでお尋ねしたいことは、石橋さんはかってここの大臣でいらっしゃったときに、常に拡大均衡ということを言うておられたのでございますが、今度の大臣はやはり拡大均衡の政策を受け継がれる意思がありますかありませんか。
○水田国務大臣 受け継ぐ意思でございます。
○加藤(清)委員 しからばその拡大均衡を貿易面にとりましたならば、それは一体どの国の方向に向ってどのような拡大均衡をとられようとするか、そのウェートを置いていらっしゃるところだけ一つ……。
○水田国務大臣 結局どこの国とも貿易を拡大するつもりですが、特に入超になっている国に対して積極的に貿易を拡大するという方針をとりたいと思っております。
○加藤(清)委員 私もその入超になっているところのバランスをとるという大臣の御意見には賛成でございます。そこでお尋ねしたいことは、入超の一番の親玉は何といってもアメリカでございます。すでに五億ドルの赤字というのが慢性的になっておりまして、去年、おととしの努力によりましてやや輸出が伸びたとはいうものの、並行して輸入も伸びておじまして、通産省の統計によりましても、去年度なお二億ドル以上の赤字でございます。これを一体どうやってバランスをとろうとなさいまするのか、要点だけを一つ……。
○松尾(泰)政府委員 お話でございますが、実はいろいろな努力の結果、対米貿易におきましても、均衡というところまでいくにはまだ相当の年月を要するかと思いまするが、だいぶん拡大しつつ均衡の方向に近づいてきたというふうに実は見ておるわけであります。たとえば五四年におきましては輸出入一対三であったわけであります。今日のところは大体一対二よりもまだもっと改善をされておると思うのです。四対六くらいなところまで来ているのじゃないか、こういうふうに考えるのでございます。何分日本の経済規模の拡大に伴いまして、いろいろ原材料の輸入が非常にふえて参っております関係もありますし、特にアメリカから輸入しているものにつきましては、いずれも重要物資でありまして、輸入を押えるというようなことは事実問題としてできないような商品ばかりであります。従いまして結局はやはり輸出を伸ばすということで考えなければいかぬわけでございます。先生十分御存じのように、一昨年以来綿製品の問題が実は起りまして、いろいろ紆余曲折の結果、本年初めに話がまとまりまして、輸出調整をいたすことになったわけでございますが、もしかりにああいうことがなかりせばどうだったかということになれば、こういう調整をしなかったよりもより以上の悪影響があったかもしれぬわけであります。これはあとで繊維局長からも御説明があろうかと思いますが、数量的には確かに綿織物、綿製品につきましてはかなり減って参りますが、率直に申しまして、金額的にはさほどの影響はないのではないかというふうに考えておる次第であります。その他の品目につきましては、何分人口一億六千万でありますし、生活水準も日本の大体十倍の国であります。購買力は非常に旺盛でありますし、また東南アジア諸国と違いまして、為替管理とかあるいは輸入制限というようなことをやっておらぬ国でありますので、日本の売り方次第ではまだまだ輸出は伸びるのではないかと私は思うのであります。ここ一、二年に対米輸出は実に倍にふえていることは先生も御存じの通りでありますが、綿製品のようなものにつきましては、かなり急激に短日月の間に特定商品に集中をしましたために、アメリカの中小企業との衝突の結果、ああいうような問題が起ったわけでございますので、今後できるだけあまり一品目に集中することを避け、いわば品目を多様化しつつ進み、またああいう自由な国でございますから、調査、宣伝活動を活発にし、もちろんあわせて経済外交を強力に展開して参り、PR活動を積極化いたしますならば、まだまだ輸出は伸びるのではないかと思うのであります。三十二年度におきましても、大体これは事務的な目標ではございますが、七億ドル程度の輸出を対米において確保したいということで進んでおる次第であります。
○加藤(清)委員 通商局や繊維局の日夜を分たぬところの御努力に対しては、私は常に敬意を表しております。ところが問題は、もう日米間の輸出を伸ばすということは、事務当局だけの手では届かないところにたくさんの難点があるわけであります。その障害は大臣かないしは総理大臣の腕でなければとうてい届かないところにあるわけであります。そこで岸さんも、きのうの発表によれば、ぜひ一つこのたびは米国に行って貿易の問題の諸障害を除去しよら、こういうことを言うておられるわけでございます。そこで大臣は日米通商航海条約、これを改廃する気持があるかないか。ちょうど大臣が安保条約や行政協定の改廃の時期にきている、その準備段階にきている、こういうことを言うて、その準備のためにも渡航しようと言うておられますが、大臣、あなたは輸出を伸ばそうという場合に、日米通商航海条約の改廃について、どのようにお考えでございますか。
○水田国務大臣 私は、通商航海条約自体には現在のところ大きい障害はない、その障害によって輸出の抑制傾向ができているとかいう問題じゃないと思いますので、この条約は変えなくてもいいのじゃないか。今おっしゃられたような、もっと外交的な問題、いろいろなところで今後輸出を伸ばす手を打つ余地は十分ございますが、この航海条約自身は非常に当時としても日本として満足した条約でございまして、今それによる支障というものは特別現われていないと思っております。
○加藤(清)委員 そうおっしゃって逃げられるだろうと思うてお尋ねしたわけなんです。実は満足したものだ、こうおっしゃって見えまするが、日米友好通商航海条約に両国の人命、商品も、同等の待遇を受けるということになっておる。ところが日本の綿製品はサウス・カロライナにおいて果して同等の待遇を受けたか受けなかったかは、あなたの方がよう御存じだ。これに対して向うの言い分は、これは州の法律によることであるからやむを得ないと考えると言うておる。日本国に対しては同等の待遇を要求し、日本国はまた同等の待遇を与えて、今や蓄積円等によって日本の会社の株までが自由に取得されることになっておる。同等どころじゃないのですよ。日本において経済活動をするところの経済人は、日本人よりも税金が安くされておるじゃないか。それをあなたは御存じのはずなのですよ。それをあなた、満足した——冗談言っちゃいかぬですよ。それであなた日本人といったら、とんでもない話なんだ。アメリカの出張員であればそういう答えもけっこうでございましょうけれども、この綿製品の制限の折に、こういう法律がありながらもなおああいうことが行われておる。ということは、つまり言えばこの法律は無視されておるということなのです。この法律は欠陥があるということなんです。それをあなたはほおかぶりしておって、どうして向うに輸出を伸ばすことができますか。ところがそういうふうにおっしゃるならば、御承知の通り絹は火がつくからもう買いません、こう言っておる。明治以来盛んに向うでは愛用された。それに従って、こちらの工業過程までがそのようにしむけられてきた。そのものが今になったらもう火がつくから買いません、綿製品は安過ぎるから買いません、こら言う。サケ、マス、タラのカン詰めについてはけちをつけて関税を上げるという。陶器の方も、バンブー・チャイナその他の問題でもこれまたけちをつけて、そうしてこれも買いません。いやどうしてもよけい出したいというなら、おれは関税の方でひっかけて反抗するぞ、まるで桂馬を張られて飛車角どちらかをよこせというと同じだ。それをあなたはこれで満足している、御存じなくておっしゃるのならばいざ知らず、保守党の政調会長を長年お勤めなされたあなたが御存じないはずはない。ここで答弁しにくいからやむなくそうおっしゃっておられるんでしょうが、しにくいということはやがて貿易の面にも、内政の面にも、かの国から干渉があるということを如実に示したものといわざるを得ない。一体この点について、あなたはどうお考えになられますか。
○松尾(泰)政府委員 ちょっとかわりまして通商航海条約について……。
○加藤(清)委員 大臣に聞いているのだ。
○水田国務大臣 今言ったのが通商航海条約自身の欠点であるかどうかは、これは別でございますので、その間の一事情を局長から答弁させます。
○加藤(清)委員 私は完全でないということを言うておる。アメリカの国は御承知の通り州の法律によって、州はそれぞれ独立した経済活動が営めるようになっておる。ところがこの法律は合衆国との間の協定なんです、条約なんです。従って州が独立して個々にいろいろな経済行為を行い、その結果日本商品なり日本の経済が不利をこうむった場合には、決して同等な待遇とは言えないはずなんです。それが現に行われたのだ。だから欠陥があるとこう言う。法律にその欠陥があるというならば、あなたたちはなぜ、労働法をすぐにぽんぽんと修正し直すよらな勢いと元気をもって、これに対してお臨みになりませんかと言いたい。
○小室政府委員 州法の問題を取り上げての御質問でありますが……。
○加藤(清)委員 いや私は大臣に聞いているのだ。
○水田国務大臣 その欠陥があれば改正することに骨を折りますが、現在のところは、その欠陥にぶつかった欠陥ではないと考えます。
○加藤(清)委員 称してそういうのを、はっても黒豆とこう言う。時間がないようでございますから水かけ論をやってもいけませんが、片一方で日本の輸出品に対してはかように不当な行為を受け、決して同等の待遇でない。今度は輸入される物資について、先ほど松尾通商局長はいずれ劣らぬ重要品でありまして、これを削減することはできませんと言う。ごもっともである、その通りなんです。しかし私が見ましたところによりますると、必ずしもそうでないというものも、なお無理に輸入されようとしている事実がたくさんある。一例を申し上げまするとフレキシボード、これは世論によって事なきを得ました。ところがパインのミシンンの問題においては、通産大臣はそのようなものは入れないと御答弁あそばさったにもかかわらず、なおそれが生きて今日堂々と市販されるようになっておるのでございます。また映画のフイルムのごときは、少しこれの外貨を削減しようといたしますると、すぐにジョンストン何がしというおえらい方が、大使の資格をもってお乗り込みあそばされましてそういうことは相ならぬというわけで、パーティなり何だりをお開きあそばされるとこれがもともと通りになってしまう。もともと通りとは河かといえば、これはマッカーサーが占領政策の折に、教育の目的をも兼ね合せて大量にアメリカ映画を日本へ導入する基を築いていかれた。それが年々歳々ふえる一方なんです。実績割当。他の国のフイルムについては、これはボーナスその他の制度もありますけれども、実際はふえないようにできている。映画館がふえる、この映画がふえるたびにアメリカのフイルムがどんどんふえるようになってきた。ここだけはアメリカのマッカーサーの占領時代そのままが行われている、こういう状況でございます。次にあなたの御存じの余剰農産物もまたしかりと言いたいところでございますが、これはまた別の機会に論ずるといたしまして、一例をあげてみればかくのごとく、日本ではもうこれ以上要りませんというものでも、なお何かほかの目的をも兼ね合せられての御好意かもしれませんが、どんどん内地へ内地へと入るようになっておるのでございます。時計の輸入のごときについてもそういう点がなきにしもあらずでございますが、あまり大臣に対する質問としてはこまかくなりますから、一を聞いて十を知っていただける大臣のことでございますから、ここをもって日本人的な判断をして、日本人的な御答弁をわずらわしたいのでございます。
○水田国務大臣 そういう御指摘の問題はあろうかと思いますが、これはひとりドル地域だけの問題ではなくて、現在各国との協定でもそういう問題がほとんど全部つきまとった問題でございまして、今度の日英協定を見ましても、日本の貿易をふやすためには、日本でこれは必要ないと思うものも買うことによって、貿易がふえるという問題が現実にあるのですから、そういう意味で各国とも不必要なものはもう日本で一切締め出すのだという政策一点張りではいけない。むしろそういうものを必要によっては若干日本が犠牲を払って入れることによって、日本のものを今度輸出するのに役立っているのですから、方針としましてはなるたけそういうものは入れないという方針をとっておりますが、この方針通りには現在あらゆる地域との貿易に対してもいっておりません。先ほどのお話でございますが、なるたけアメリカとの貿易は均衡させるという方針で、この二、三年来非常な努力によって日本の輸出をふやして、バランスはよくなってきております。そこで私どもはなるたけこのバランスをよくするために、ドル地域からあまり物を買わないで、なるたけ輸入をポンド地域へ振りかえようという政策をこの一、二年とったのですが、その結果日本の外貨状況から見まして、ポンドは非常に足らなくなっているというところに今ぶつかっておりますから、ただこの収支を合わせるというだけで貿易政策をやっていけない面も今年度は出て参りましたので、また都合によってポンド地域から買うものを無理しないでドル地域から買うように、私どもは方針を変えなければならないかもしれないというようなところにぶつかっておりますから、輸入国、特に輸入超過国について、私どもは積極的に輸出を伸ばすという方針ではやりますが、そういうような事情のために、実際面において、またバランスを少し悪くするという方向にならぬとも限らないと思いますが、これは日本の貿易政策全体から見てとる態度ですから、ここで必ず今度は去年よりもっと多い改善ができるというふうなことは言い切れないのではないかと思っております。
○加藤(清)委員 大臣のおっしゃることもわかるのです。売るためには買わなければならないし、よらば大樹の陰で、私は何もアメリカとの貿易をやめなさいとか、買うことをやめなさいということを言うておるのではないのです。ところがあなたが赤字を解消するという大前提に立ちまして、この意見に賛成して私は論を進めておるわけでございます。つまりいやだ、きらいだ、買いたくないというものはなるべく買わないようにした方がいいじゃないか。それから別に相手国に対して不利だとか、あるいは害を及ぼすような行為は避けなければならないけれども、そうでなくてほんとうにこの品物ならば世界じゅうどこへ出しても恥かしくない、りっぱなものだ、やがてこれは相手国の国民に恩恵を与える結果を生ずるものである、こういう商品に対してはまだまだ伸ばすべきではないか。そうしなければあなたのおっしゃった赤字、特に二億余に及ぶところの赤字は解消しないと思う。またこの解消も何も全部が上り坂ではなくても、商売でございますから、ときに上ったり、下ったりもあるでしょう。それはわかります。しかしあなたが大臣に就任なさいまして、その赤字を解消するとおっしゃいまするならば、かりに一時は縮んでも、やがて伸びるところの基礎がなければならないわけなんです。それは一体どう行われているか。私は、少くともアメリカ国に対して、日本のどえらい機械とかあるいは原子力の品物を買ってもらいたいというような、大それたことは考えておりません。日本の国ででき得るもので、世界じゅうどこでも喜んでもらえるもの、繊維が幾らでもあるではございませんか。私はこの綿製品のごときはまだまだ伸ばしてしかるべきだ、この際制限すべき時期ではない、こう考えております。なぜかならば、輸入されます原綿の量と輸出されました綿製品の量とを比較いたしてみますると、少いときは輸入総数量、歩どまりをぐっと低く見ましてもなお百分の一、去年のように二億スクェア以上伸びましてもなお二十五分の一程度のものでございますよ。あなたはそのくらいのことは御存じでしょう。それから次に加工される過程をながめてみますと、電機もまた向うのパテントが多いのだ。ワンダラー・ブラウスを作る工業用のミシンはシンガーなんです。これはやはりアメリカのものなんです。日本で加わったものは何かといえば、労力と技術と英知だけなんです。わずか紡績資本が入っているだけなんです。いわば向うとのあいのこなんです。しかもその結果は、安くて品物がよろしいといって、向うの国民も喜んでくれた。喜んでくれたからこそ伸びたんです。それを何がゆえにそんなにしなければならないのか、百万表以上の原綿の買付、加うるに余剰農産物を入れますると、アメリカの使う綿製品の三分の一以上は日本から買える。何も遠慮する必要はないじゃないか、何がゆえにそんなに遠慮しなければならないのか。そのおかげでこちらは十九品目から何からずっと輸出管理令を変えてまでも手かげんを加え、なおかつ設備の制限までして、絹においては自主調整までやらして、せっかく大事な機械をスクラップ・ダウンまでさせて縮小々々をやらせようとしておる。こんな悲しい現状がありますか。少くとも日本人として考えた場合に、もそっとここは何とか手を打ってしかるべきじゃないか。 そこで大臣にお尋ねしたいことは、せっかく総理大臣が経済その他の用務を帯びて外国特にアメリカヘお行きになるということでございまするから、大臣としてはほんとうに経済のわかるところの経済大臣を一緒に行かせるように御努力をなさっていらっしゃいますか。いらっしゃいませんか。またそういう気はありませんか。総理大臣と同行する経済大臣をアメリカに派遣して、このでこぼこを改正する意思ありやいなや、こういうことです。
○水田国務大臣 岸外務大臣が前に言ったのは、東南アジアへ行くというお話でございました。そのときは東南アジアのいろいろな貿易問題がございますから、一緒に行こうというので同行するつもりでしたが、急に方向が変って、今度は米国行きということになって、それについてのいろいろの相談はまだしておりませんが、必要とあらば私も行って今おっしゃられたような方向への交渉はしたいと思っております。
○加藤(清)委員 この問題についてはいずれ他の機会にもっと詳細にわたってお尋ねしたいと思いますが、時間の関係上次の方へ参ります。 東南アジア貿易については、ただいま同僚委員から質問がございましたので、これはしばらくおくといたしまして、私は次に中国の問題についてお尋ねしたいと存じます。中国貿易もやはり大臣のおっしゃいましたように、これは輸入超過の部類に属するようでございます。伸びた伸びたといいましても、これは遅々として進んでいないという方が正しいようでございます。輸入八千万ドル、輸出三千万ドルからやや伸びまして、双方合せて一億五千程度に伸びてはおりますけれども、その内訳は輸入の方が多いようでございます。ところでここの輸出の伸びない原因は、決して日本の商品が悪いわけではございません。悪かったのは見本市における何がしの問題だけでございました。中国の方もほしいと言う、日本も出したいと言う、ところがこれが人為的障害によって阻害されているわけでございます。もともと輸出超過の国であった中国が、戦後において輸入超過であるということは、まことに奇現象でございます。その奇現象の原因が人為的障害—その人為的障害はいろいろございますが、最たるものが一にかかって大臣の腹いかんにあるわけでございます。第一がココム緩和でございます。第二は日本政府の態度でございます。特に特認のごときは政府がその権限を握っていらっしゃるわ でございます。日本政府で中国との貿易で一番障害になっているのは通産省ではなくして、外務省のようでございます。ブレーキをかけるどころでなくて、むしろストップ令までもかけていらっしゃるようでございます。第三の人為的障害は日本の商社それ自体にあるようでございます。この解消は総理大臣の演説にも、あるいはきのうの外国記者との会見の発表にも含まれておりましたが、通産大臣はどうお考えで、どこをどう打開しようとおっしゃいますのか、この点を伺いたい。
○水田国務大臣 ココムの制限緩和につきましては引き続き努力するという方針でございます。それから今この障害となっているのは外務省と言われていますが、そういう事実はございません。結局商社の問題もこれは向うが国営貿易ですから、こちらもできるだけ窓口を一本化す方向へ指導する。問題は、やはり現状のままでは伸びないという問題がたくさんございますので、この障害を取ることがさしずめ必要と思います。決済方法に関すること、それから貿易方式に関する問題、この二つを今度の第四次協定のときに改善するということによって相当貿易の事態が変ってくるのじゃないか。それからさらに、今そのために問題になっている代表の交換というものについての障害を除くようなことをやれば貿易が相当軌道に乗ってくる、こういうふうに思いますので、その方面に今度は特段の努力をしたいと考えております。
○加藤(清)委員 だんだんの御説明けっこうでございますが、外務省は制限していない、そういうことはないとおっしゃったのは、これはあくまで抗弁で、もしあなたがそうおっしゃるなら、私は具体的実例をたくさん持っておりますから、ここにそれを提示してもけっこうでございます。現にやっているのでございます。このココムの原因がどこにあるかはよく御存じでございましょうが、アメリカ国は、日本商品をアメリカ国へより多く伸ばすということについてはときどきブレーキをかけておきながら、中国に対してもブレーキをかけるようでございます。中国へ渡ろうとすると、アメリカ大使館がちょっと来い、こういうわけで、何しに行くんじゃということで、時折サウンドなさるようでございますが、そういうことをされますと、よほど気の強い人でないと縮み上って、もうあきらめてしまうことが多いのです。かてて加えて外務省のお役人さんがそれに輪をかけて、別な面で損するぞよというようなことを言われますと、それではやめておきましょうか、こういうことになってしまうのじゃないか。私がなぜこういうことを申し上げるかと申しますと、これはすでに日中議連におきましてもあるいは国際貿促におきましても、あるいは輸出入組合におきましてもだんだんの話し合いが着々進んでおる状況でございますが、要点を言えば、今にして中国の貿易を伸ばさなければ悔いを千載に残すおそれが十分にあるということでございます。なぜかなれば、御承知のように中国の五カ年計画というものは四年で完成いたしました。すでに第二次計画に入っておるのもあります。これが第一次五カ年計画の完成の跡、あるいはまさに完成されようとしておる跡をながめてみますと、その工場、その設備は一体どこで作られたものかと調べてみますと、それが何と、メイド・イン・USAであり、メイド・イン・ジャーマニーであり、メイド・イン・イングランドである、こういうことでございます。その他、その他もありまするけれども……。第二次五カ年計画がもし行われて、そのまた設備がそのような状況で進んでいったといたしますると、やがて日本が何の障害もなく貿易ができるころには市場が向うの機械で一ぱいに埋まってしまって、こちらの割り込む余地が全然ない。スペアの注文を受け取っても、そのスペアは外国製品のスペアなるがゆえにコスト高になってしまって、スペアもなお受けることができない、こういう状況になることを非常におそれるからでございます。目下でありますならば、電気通信器材あるいは繊維等々にしましても、日本のスタイル、日本のタイプで行われておるものがまだ数多くあります。従って向うも今の時期にスペアがほしいし、同じケースのものの追加がほしい。でき得れば同じケースのものでなお高度の機械がほしい、こういう状況でございます。それが全部他の国のものに置きかえられた後においては、死んだ子の年を数えるような結果に相なるのではないか。従ってココムの制限の緩和は目下の急務である、こう考えるのでございます。 そこで今年度一体ココム緩和の努力と、それから政府が握っておりまする特認の権限、これによってどの程度のものを許そうとなさいまするか。あるいはその程度が言えなければ金額でもけっこうでございます。輸出の総金額はどの程度に押えようとなさっていらっしゃいますか、この点を一つ。
○松尾(泰)政府委員 三十二年度の対中共輸出の見通しでございますが、御存じのように近く中共との間に通商交渉が民間で開始をされまするので、それとの関連もございまするので、数字等を申し上げるのはいかがかと思いますが、協定をされる額等は別に考えますると、今の趨勢を伸ばしていくならば、九千万か一億ドル程度のものはいくのではないか、これは一応の推測にすぎません。従って別段協定がその額でやられるだろうとかなんとかいうことは全然無関係に、一応今のままで推移するならその程度になるんじゃないかというふうに考えます。
○加藤(清)委員 今のままでのお答えは私もそうだと思います。そこで総理大臣も緩和したい、それから通産大臣も緩和したい、こうおっしゃるんですから、何らかのめどがあったに違いないと思うのです。めどなしに、ただ標語でございましょうか。緩和したい、伸ばしたいということは、これは標語でございますか。めどだけでもけっこうです。
○水田国務大臣 その手を打つつもりで、いろいろ準備をしているということでございます。
○加藤(清)委員 その場合にもう一つ考えなければならぬことは、輸出阻害あるいは輸入の場合のあまたのトラブルなり何なりは商社の内部に原因があると思う。本委員会におきまして中国に関する輸出入組合法を制定して、発足して以来約一年ちょっとけみしておりますが、この商社それ自体を強化すると申しましょうか、改善すると申しましょうか、向うの国は窓口が一本で、こちらは大ぜいががたがた行く。特に商社のみならず、地方の参観見聞に行かれた方までがオファーをもらってくる等々のことで、いろいろなトラブルが起きておるのでございます。ところが目下の輸出入組合の状態では、とうていこれを円満に収拾することは不可能のようでございまするが、これに対して日本の方も、窓口を一本化するとかあるいはもっと統一されたりつぱなものを作るとか、そういうお考えはございませんか。
○水田国務大臣 結局そういう事態を改善するのには、私はやはり民間の貿易の代表団というものが駐在し合うことによって、その点が相当改善されると思います。と同時に、こちらとしましてはやはり現在の輸出入組合を強化して、これがその統制に当るということにするのが一番いいと考えますので、この組合の強化をどういう形でやったらいいかということを、ただいま検討している最中でございます。
○加藤(清)委員 民間駐在員の交換でございますが、それはごもっともでございます。それじゃお尋ねしますが、この民間駐在員を交換するに当りましても、障害ほどうやら目下のところではこちら側にのみ多いようでございます。そこで詳細にこれを聞きたいのですが、それはちょっと答弁がしにくくなる点もあるでありましょうから聞きませんが、ただ時期だけを承わりたい。民間の代表部が本年度のいつの時期に設置されるであろうか。これはやがて今年行われまする両国の見本市にも大きな関係を持ちまするので、ぜひその民間代表部設置の時期くらいはめどがあると思いまするから、それを承わりたい。
○水田国務大臣 それほまだきまっておりません。
○加藤(清)委員 それはやはり海のものとも山のものともわからぬ、標語程度でございますか。事実民間代表部を設置しようという努力は続けていただけますか。せめてそれだけなりとも……。
○水田国務大臣 努力じゃなくて、これを設置する方がいいという意見は、大体政府でもきまっております。
○加藤(清)委員 いいということだけならば、それはきめる必要のないことでして、その努力をどうなさるか、その努力はいつの時期に実を結ぶかが問題ですが、それは答えにくいことでございましょうから、それでは遠慮しましょう。 それに関連いたしまして、それではもう一つだけ具体的にお尋ねいたしますが、私は中国の貿易を伸展させることはやがて先ほど大臣のお答えになりました東南アジアの貿易を伸展させる大きな基礎になると思うのでございます。なぜかならば、御承知の通り東南アジア諸国の経済の実権を握っているのは何と申しましても華僑でございます。この華僑は今やいずれの国へ参観交代し、いずれの母国へ参っているかはすでに御承知の通りでございまして、これと相呼応するごとく、周総理がその地区を先般つぶさに回られて、友好親善の実を進められたことはあなたもよく御存じの通りでございます。そこで日本としては、今まで民間人がずいぶん向うへ行きましたが、向うの言い分でも、悲しいことには政府の直接の担当者はいまだかつて来られたこともなし、また当方から行こうとしても、そのような受け入れ態勢ができていない、これは貿易を伸展させる上において非常な障害の一つである、こういうことでございました。そこで大臣は、アメリカその他の国へ総理大臣が訪問なさると同時に、同様な意味をもって中国へ訪問なさる意思はありますか、ありませんか。
○水田国務大臣 今のところはございません。
○加藤(清)委員 要人の行き来なしで見本市を開き貿易を伸ばそうということは非常に困難である、貿易を伸ばすにはその国の要人が話し合わなければならないということは、淺沼書記長の参勤交代かという質問に対して総理大臣がはっきりとお答えになったところでございます。従ってその必要性は大臣も認めていらっしゃるでございましょう。そこでもしあなたないしはあなたの使命を帯びた人が行くという気がないならば、相手国のそれ相当な方、たとえば周総理であるとか南漢宸であるとか、こういう人を迎える用意はありますか、ありませんか。
○水田国務大臣 御承知のようにまだ日本と中共とは国交が回復しておりません。従ってこういう純経済的な問題においても、まだ政府同士の話をできる仲になっておりませんので、民間ベースでいろいろ交渉するという段階でございますので、そういう政治的な問題となりやすい向うのたとえば周総理の訪問を受けるとか、こちらから同様岸総理が向うへ行くというような関係は、現在最も不適当な段階にあるというふうに思いますので、そういうことを現在こちらでも考えておりません。
○加藤(清)委員 国交が回復されないから、政府の要人その他は訪問をしない、訪問も受けない、こういうお言葉はおそれながらそのまま受け取るわけにはいきかねるのでございます。なぜかならば、日ソの国交が回復する以前に、河野さんを初め要人があちらへ行かれたことはよく御存じの通りでございまするし、ここにいらっしゃる西村さんもすでにその卒業生でございます。そこで、純経済的な目的をもって行われる場合は別にさまで大した影響はないと心得ます。もしその障害が日本国にありとするならば、一体どういうところにあるのでしょうか。
○水田国務大臣 河野さんがソビエトへ行ったのは、国交を回復しようという目的で行ったのですから、今の場合とは全然別だろうと思います。日ソの国交問題は、御承知の通り日本だけで解決できる問題じゃない。国際的な政治問題となっておるものでございまして、中国に対する国連の立場も変っておりますし、国連に加入した日本が単独にそういう政治問題に対して動くことは、日本の外交そのほかに非常に大きい影響を持つわけでございますので、軽々しく行動できないという考慮から、そういう問題は考えていないわけでございます。
○加藤(清)委員 同じ国連に加盟しているイギリスは、オールドパ一卿を北京に駐在させております。イギリスの通商産業大臣が二十数名の経済関係の人を連れてかの地を訪問されたのはすでに二年昔のことでございます。同じように国連に加盟しておる国であるにもかかわらず、日本にそれができないということは、それ以外に何か原因があると思うのですが、それもここで言いにくければあえて大臣を責めようとはいたしません。 時間がないようでございますからあと二点だけお尋ねしますが、北京と東京とを結ぶ航空路の問題がございます。この原因その他は言いませんが、そういう用意があるかないか。見本市が開かれます場合に政府は六千万円の補助金を出すということを仰せられますけれども、これはかの地の見本市に対する補助金のようでございます。去年と同じように名古屋と福岡で中国の見本市が開かれることになっておりますが、これに対して政府はどのようにされますか。さわらぬ神にたたりなしで、冷たい態度でございますか、それともあなたのおっしゃったように、貿易を伸展させるため何らか具体的な援助をなさろうとしていらっしゃるのか、とお尋ねするのは、日本の商品見本市を北京、上海で開くに当りまして、経費その他の問題で、向うの会場費や輸送費をごく少額に軽減してもらった例が実はこの間あったからでございます。
○松尾(泰)政府委員 名古屋、福岡に中共の方の見本市が開かれるということは、話を伺っておるのでありますが、これは実は関係地方庁から別段予算的なめんどうをみてくれというふうな御依頼が全然ございませんし、また話もつい最近のことでありまして、大体予算編成が済んだあとでございますので、今のところわれわれの方は予算的に御援助する余地がないのでございます。しかし、実際問題といたしまして、物を持ってお入りになりますので、その場合の為替の許可なりあるいは販売の許可というふうな手続きが要るわけでございますが、そういうような面ではできるだけお手伝い申し上げたい。財政的には今のところ全然考えておりません。
○加藤(清)委員 時間がないようですからもうこれでおしまいにいたします。実は繊維産業の問題、その他ジェトロの問題、市場競争力の強化からくる価格の安定策とか、外貨割当の問題とかいろいろお尋ねしたいことがありますけれども、この問題は他日法案審議と兼ね合せてお許し願えますれば本日はもうこれで皆さんに協力したいと思います。
○福田委員長 次会は来たる三月五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時十七分散会