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26回国会衆議院1957/02/26

商工委員会 第7号

発言数
29
登壇者
6
会派数
2
開催日
1957/02/26

会議録

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 これより会議を開きます。前会に引き続き通商産業、日本経済の基本施策並びに私的独占の禁止及び公正取引に関し、質疑を継続いたします。中崎敏君。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 実は私、質問をやりますについて、大体きのうまでの内閣と今日とはまたかわっておるわけであります。従って通産大臣は、人間は同じでも、新しい内閣によって生まれた通産大臣でありますので、前の考え方と方針のしについて何らかの変りがあるのかないのか。実は質問を前の内閣の通産大臣としての用意をしておったのでありますが、何らか新しい変化などがあるのかないのか、それをあわせて一つここで所信の表明を願いたい。それから質問をしていきたいと思います。

水田三喜男自由民主党通商産業大臣

○水田国務大臣 昨日岸内閣の通商産業大臣に任命されることになりましたが、初閣議におきまして、新内閣は一切前石橋内閣の政策を踏襲するということを決定いたしました。従って前内閣の政策に基いて現在国会に提出している諸法案も全部新内閣で引き継ぎをして、国会に対して継続審議をお願いするということを、きのう国会に申し出ました。同時に前内閣の政策の上に立っている予算案も、一切これを引き継いで変更を加えない。従って国会でも継続審議をお願いしたい。こういう申し入れをきのう国会にいたしましたし、またきょうその線に沿った新総理の所信の表明が本会議において行われることになっております。政策も予算も一切踏襲する、こういう方針をきめましたので、私も従って今まで通りの考え方でやっていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと存じます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 宇田経済企画庁長官も同じような立場においてやっておられるのかどうかも、あわせて所信の表明をお願いいたします。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田国務大臣 ただいま通産大臣の言われた通りでございます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 この委員会におきましては、現在通産行政並びに経済企画庁の行政全般に関する一般質問を継続しておるのであります。数回にわたりましてそうした質疑が行われているのでありますが、何しろ経済の大きな転換期に当っての問題でもありまして、いろいろ質疑もあるのでありますが、先般の理事会において委員長などの要請もあって、大体きょう一日をもって一般質問を終るように協力してくれということでもありますので、社会党としてもその線に沿うて協力するということになっております。私どもといたしましても相当広範な質疑をすべき問題があるのでありますが、できる限り時間を切り詰めて質問をしたいと思います。きょうのところは主として電気事業に関する問題にしぼって質疑をしてみたいと思うのであります。そのほかの問題についてはいずれ今後の諸法案の審議の過程において、折に触れ、時に触れて質疑をしたいと思います。この点も理事会において一応確認されておる点でありますから、その線に沿うて質疑をしていきたいと思うのであります。  まず電気事業に関する諸問題についてでありますが、よく電気事業は公益事業だと言われておるのであります。ところで公益事業というものの範囲、限界というようなものを掘り下げて考えてみると、非常に問題があるのではないかと思うのでありますが、まず公益事業というものは一体どういうふうなものを公益事業というのか、これを一つ具体的に例を示して、そうしてその意義と、さらにこれに対する行政の面においての取扱い方についてざっと説明を願いたいと思うのであります。

岩武照彦通商産業事務官(公益事業局長)

○岩武政府委員 公益事業という概念は、日本では比較的新しい概念かと思っております。戦後の公益事令というポツダム勅令で初めて実体法上の名前になったわけでございますが、行政法あるいは経済企業関係の泰西の学問の方では前からあったようであります。どうも日本では熟しておりませんが、アメリカのパブリック・ユーティリティズの略のようであります。ドイツの方ではそういう言葉もないようでありますので、多分アメリカの直訳だろうと思っております。何が公益事業かということははっきりいたしませんが、一応学者の言っておるところによりますれば、直接大衆の日常生活に必要不可欠なサービスを提供する事業で、具体的に言いますれば鉄道でありますとか軌道とかその他の陸上輸送業、それから電信電話等の通信業それから定期の内国航路あるいは空路、こういったものも入るのであります。それから電気、ガス、水道といったものも入るようであります。それから郵便、こういうものが一応公益事業の中に入るものだというふうに概念的には規定されているようであります。そういうものは結局今申し上げたような直接大衆の日常生活に不可欠なサービスを提供するものでありますから、従ってこれに対します国の政策も、一般の私企業に対する政策とは違っておるということは当然であります。それらの事業が直接公益に深い関係があるということがこの行政の要点だろうと思っております。それで、中には直接国営で行なっております郵便のようなもの、これは各国とも大体国営が多いのであります。あるいは鉄道のごとき、陸上輸送事業のごとき、国によっては直接国営であり、あるいは公共企業体でやっておるものがあり、中には私企業でやっておるが特殊の監督を加えておるという形もあります。日本でもおそらくそういうふうな、概念としては、ひとり公共事業令に入っておりました電気、ガスだけでなくて、今申し上げたようなものも、一応公益事業という概念で、ある種の統一的な施策の対象になるのであろうと思っております。一応との辺がいわゆる公益事業というものの内容であり、かつ国のこれに対する態度であろうと思います。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 大体こうしたような事業は公益に深い関係があるということ、大衆の日常生活の上において、しかもサービスの面において、相当深い関係があるというふうな意義と解釈するのでありますが、それでは憲法第二十二条にいうところの「公共の福祉」に関すること、それから十三条にもやはり同じように「公共の福祉に反しない限り」云々とありますが、そういうふうないわゆる公共の福祉と公益事業というものとは一体どういうふうな関連性があると解釈しておるのか、お伺いいたしたい。

岩武照彦通商産業事務官(公益事業局長)

○岩武政府委員 憲法の規定は、基本的な人権を公共の福祉に優先せしめるかどうかという調整の問題だと思っております。公共の福祉という概念といわゆる公益事業の理念というものとどういうふうな関係にありますか、なかなかきまった説もないようでありますが、公共の福祉といいますのは一応範囲がやや狭いように思います。公共の福祉と公共の便益というものを区別する立場がありまして、むしろ公共の福祉というよりも公共の便益に奉仕しておる、また奉仕すべき事業だという目地から、特殊の監督、統一的施策等が行われる企業かと思っております。従って憲法の規定よりも、むしろ関係がやや違っているのじゃないかと思っております。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 私の言わんとするところは、まず第一に、こうした公共の福祉と深い関係があるものであるから、ことに電気事業などは、たとえば電源の開発というところに現在の時局において相当重要な意義を持つものが、個人の所有権等によって公共的な使命がなかなか果せぬ場合があり得る。少々補償を出してもらってもなかなか放さない、あるいはべらぼうに高い補償金でなければ土地を譲り渡さないというような問題等もあって、なかなか国家の方で計画しておっても思うように進まないというのが現実の姿だと思う。そういうような場合に一体憲法の解釈などもあわせて考えてみたときに、現在のまま、その重要なるところの課題を、じんぜん日を過ごすような形に置いていいのかどうか、これに対して何らか法的な関係において適当な措置を講ずることがよいのかどうか。たとえば戦争前においては公用徴収法なんというものがあって、必要な場合においては、個人の私有財産所有権もある範囲において制限を加える、こういうふうなこともあるし、あるいは逆にまた九電力会社のごとき、大きな電力資本の上に立ち、しかも独占的な形を持っておるのでありますが、そうした独占の名前に隠れて、ややともすれば先ほど公益事業局長が言ったような公共の便宜のために必要だとするサービスをせず、傍若無人自分一人えらくなったようなそういう感じのところが非常に多いのです。そういう権利の乱用ともいうような、また公共の福祉に反するようなあり方というものは果してよいのか悪いのか、こういうふうな面を憲法の条章などに照らし、さらに今政府の方で公益事業法案などを出すと言うておるのだが、そうした面においてもさらに検討を加えて、もう少し高い角度からこうした問題と取っ組んだらどうかというようなことも言いたいのであります。そうした考え方の上に立って、この公共の福祉の問題との関連性について一つ何らか今後の方針を示す方向において意見が聞きたいのでありますが、この点については通産大臣にお尋ねしたいと思います。

水田三喜男自由民主党通商産業大臣

○水田国務大臣 具体的にはどういうことなんでございますか。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 憲法第十二条には「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。」それから第十二条には「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」こういう規定もあるわけなんです。従いまして、今公益事業だというふうな銘を打って、そうしてその本来り姿からいろいろ法的にもあるいは行政的にも一つの特別の立場と権利、利益を確保されておる点があるわけです。そうした特別の立場を持ちながら、それが権利の乱用に陥るとか、あるいは個人の場合においても、私有財産が絶対に不可侵だというふうな古い観念にとらわれて、せっかく国家的に公共の福祉増進のために必要であるということで電源開発などを計画しても、わずか三十戸だとか五十戸の土地の買い上げさえもなかなかがえんじないで、容易に解決がつかない。たとえば御母衣ダムのごとき、何年たってもなかなか進行しない。それほど土地の買収の点に非常に困難性がある。ほかのダムの開発についてもこらした問題がたくさんあるので、一体こういうふうな場合において、いつでも二年でも、三年でも、五年でも、十年でも相手が満足するまでその問題をじんぜんと日を延ばしておっていいかどうか、そのような問題は、この際何らか法律的に、たとえば戦争前の土地収用法のごときもので、国家的に必要な場合、ことに公共の福祉に直接関係の深い場合においては、その土地についても、適正な機関などの諮問なり協議を経て過当な手続をとった後においては、これを強制的に買い取っていいものかどうか。またそういう法律を作るのがいいかどうかという諸般の問題を考える段階にきているのではないかと実はお尋ねしたいのであります。

岩武照彦通商産業事務官(公益事業局長)

○岩武政府委員 補償関係の立法をする必要はないかという点がお尋ねの趣旨だろうと思っております。先ほど申し上げましたように、公共の便益と個人の生命財産という基本的な憲法の条章の問題がございまして、結局その計画あるいは事業の企画が公共の便益に大きく寄与いたしまして、ある範囲の個人の財産もそのために犠牲になることが望ましいというようなことがいろいろあるだろうと思っております。そういう趣旨で公共の利害に関係の深い特定の事業につきまして土地の収用を認めているのであります。電源開発の関係も土地収用法の事業の対象になっておりまして、過去におきましても一、二回土地収用法を適用して問題を解決した例もございます。たとえば田子倉の補償のごときはそれでございます。結果から申しますと、ぎりぎりのところまでいってどうしても話がまとまらない場合にはそういう強制的手段に訴えることもやむを得ないと思っておりますが、できればお互いの話し合いでというのかどの場合においても一応妥当なことだと考えております。御母衣の問題も約半数は補償条件が一応解決の方向に向っておりますが、残りの半数のものはなおいわゆる条件闘争というふうな段階に入っております。しかし、これも大体ダムの建設の方の技術的問題が片づきましたので、比較的早く補償の問題も片づくと思っておりますが、最悪の場合は土地収用法というような問題も考えてみなければならぬと思います。しかし、できるだけそういうことを避けて、両方の話し合いで円満にというのが私の方の指導方針でございます。  それから新しく補償立法の問題がございますが、実は御承知のように、昭和二十九年でありましたか八年でありましたかの閣議決定の補償要綱の申し合せがございます。現在多くの場合これを補償処理の基準といたしておりますが、実はこの基準自身も不明確というよりもむしろ抽象的でございまして、すべての場合それで割り切ることはなかなかむずかしいようでございます。新しく立法するということもいろいろ検討いたしてみましたが、今御指摘のありました憲法の条章との調整の問題があり、法律で書きますればあらゆる場合を想定して、しかもそれが基本的人権を侵さないという保障も要るわけでありまして、これは立法技術としましても非常にむずかしくなります。やはりこれは法律問題ではなく、実際のやり方の問題ではないか。それで一挙にそういうふうな法律で白か黒か割り切るよりも、むしろ両方の話し合いで進めた方が結局あとにしこりを残さないで、かつ円満に早く解決がいくではないか。また金額等も、若干はふえるかもしれませんが、そうむやみやたらに要求者の方が大きなものをぶっかけることもなく、最後においてはある程度のところで大体話がつくというのが今までの経過でございますから、閣議決定の要綱等も基準にいたしまして、双方の話し合いで事を円満に運び、なおかつ、どうしてもおくれたような場合に、あるいは土地収用法による解決に訴えるということも一番最後の手段として残しておくというのが今までの態度でございます。今後ともそういう方向が結局において円満かつすみやかに話が進む方法じゃないかと思っております。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 現行公共事業令によりますと、これに電気の独占的な立場を認めた趣旨に出ておるのであります。政府の方において今この公共事業令の改正法律案を検討中であるということも伝えられておるのでありますが、そうした角度から独占的な形態のものをある程度緩和するというか、こういう考え方があるのかどうか。たとえばまず一番はっきりしておるのはいわゆる電力、電気の小売は独占的に、排他的に行われておるのでありますが、現在の九電力会社の運営などを見ても相当に独占的、排他的なるがゆえに、非常にサービスの面においても横暴をきわめておる。あらゆる面においてこれが行われておるのでありまして、この前の国会においても私は具体的にそうした事例を示して、行き過ぎに陥るような法律そのもののあり方を検討する必要があると同時に、その運営において電力会社の考え方というものをもう少し改めるべく、まず監督行政の面において最大の努力をもって善処さるべきものであるということを主張したのでありますが、依然としてこの傾向は改まらないのであります。そこでまず公益事業法案の今度新しい立法の際において、そうしたような面を兼ねて、独占的に小売をやるというふうなことについて、たとえば現在県営の電気があるような場合において、その必要に応じて小売というようなものをやるようなことを認めるのかどうなのか、あるいはまた個人の自家発電などという場合もある、これは元来自分自身でやるのが本来の使命であるのだが、何らかの事情でそれが余っておるような場合、あるいはそれを必要としないようなことが起った場合において一—というのは全部じゃなしにある部分ということになるでしょうが、そういうような場合においても一体どうするか。さらにまた電力の開発の点についても、必ずしも九電力会社あるいは電源開発会社などをほとんど主体とするような行き方で、公営電気などというものを原則的には押えていくのだというふうな行き方についても方針を一体どういうふうにするのかというふうな問題などを含めて、そうして新しい法案のあり方というものを検討すべきじゃないか。ただ先日委員会において問題となった九電力の復元の問題についてこれをどうするかという問題と、新しいそうした電力の独占の方向をある程度緩和するという問題と関連さして私は考えるわけであります。それはそれとして、別個切り離して復元をやるかどうかということは別の角度から検討すべきであって、この問題は必然的に九電力を復元すべきものであるというふうな考え方ではないのでありますから、それは切り離して考えていただきたいのであります。いずれにしても今のような考えから、電気事業の全体のあり方は、現在の国家的要請から言うと、電力をどんどん開発するということが大きな至上命令であるから、それをやるために降路となっているような問題はできるだけ切り開いて、新しい分野に向って進んでいく、そうして電力事業はややもすれば独占的な法律の陰に隠れて、時に権力と結びついて、時には自分自身の経済的並びに社会的の大きな力にたより過ぎて、そうして傍若無人な行き方、運営があるが、それを一体どう改めるか、そうして国家的にはもう少し公益事業という考え方の上に立って監督を強化して、全体として真に公共のサービス機関であるという上に立って、また国の経済、国民生活の上に大きなる役割を果す使命を持っておるのだということをあらためてさらに再確認をして、その上に立って、公共事業令の今後のあり方というものを再検討する考え方があるかどうかをお尋ねしたいのであります。

岩武照彦通商産業事務官(公益事業局長)

○岩武政府委員 第一点は供給区域の法的独占をどういうふうに扱うかという御質問でございます。御承知のように、供給区域は戦前にありましては重複いたしておりました。極端な例を申しますと、東京の品川あたりでは、玄関の電気は東京電力で、二階の電気は別の、当時は何電力でありましたか、名前は忘れましたが、そういうふうに極端な競争をしておりました。これは結局供給独占ということが法的に認められなくて、重複設定をいたしました結果そうなったのでありまして、その結果非常なむだが起ったことは御存じの通りであります。それで国管時代を過ぎて九電力ができましたときに、現在の規定にありますように供給区域を重複設定しないということが法律上はっきりうたわれておるのであります。そういうふうないきさつのある問題でございまして、現在も九電力のほかに地域を限っては一般供給電気事業者がたしか十ばかりあります。いずれもきわめて小さい島等でございますが、そういうところで今度の事業法案に際しましても供給区域を重複設定するということは、これはお互いに国家経済的に見てむだでございます。従ってむだにならないようなところであれば、あるいは新しく供給区域を設定してもいいじゃないかというふうな議論もありますが、その辺は法文上の問題というよりも、むしろ実際上の運用で処していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。  それから県営の電気の問題でございますが、この問題につきましては、実はいろいろ考え方もございますが、これは戦後現在に至るまで電気の供給不足という事態が慢性的に起っております。従って開発の主体はこれはひとり九電力のみでなくて県等の公共団体であれ、あるいは私企業であれ、自家発業者であれ、とにかく電気が足らぬのだから使ったらどうかということでやっておるわけであります。電源開発会社の設立もまたその趣旨なのであります。これは発電しました電気を供給区域を持っておりまする電力業者に卸売するということで両方の体制が矛盾なくいけるわけでございます。そういう意味で、私の方も県営電気事業について電気の直接供給、小売というお話もございましたが、小売は認めない方針でございます。これはいろいろいきさつがございまして、御承知のように県営の電気は戦後の建設でございます。従って資産価格が相当割高でございますので、できます電力料金の原価も相当高いわけであります。九電力でありましても、新しい発電所の原価は高うございますが、戦前からある古い償却が相当進んでおる発電所の料金の原価と組み合せれば相当安くできる。しかるに新設のみの県営ではなかなかそうは参らない。これは自家発電でも同様だと思っております。従ってそういう原価を持っておりまする電気の供給はいかがかと思っております。  もう一つは、これはもう御案内のように、最近の電気事業といいますのは、大きな貯水池と火力発電とを並用しておりませんと安定した電気の供給はできません。御承知のように流れ込み式の水力でありますれば、冬は供給力が大体三分の一になってしまう。そうしますと夏と冬との差が出て参りますので、結局夏は電気が余り冬は電気が不足になるというふうな供給状態ではとても安定した電気事業になりませんので、従って県営等の電気は、原価からいいましてもあるいはその性質からいいましても、やはり一般供給ないし特定供給を行わずに、一般供給をやっております業者に卸売するということが一番適切な処理の方法だろうと思っております。  しかしそうは言いましても、別段県営電気の開発を押えるという方針はとっておりませんで、先日申し上げましたように、多目的のダムに付帯しました電気事業でありますとか、あるいは総合開発の一環をになっております電気事業であるとか、あるいは既設の県営の発電所の下流、上流等にあるいわゆる第二次地点というようなものにつきましては、これは県営でやることが適当であろうかと思っております。従ってその実情に合いますように、地方債の起債についてもわれわれの方も応援し、またいろいろ技術上の監督あるいは完成後の事業の監督等につきましても十分な注意をいたしたいと思っております。  そうなりますと結局話が前に戻りまして、今地域的な独占を行なっておる九電力の体制が十分に公益事業の趣旨に合ってないじゃないかというお話になるわけでございますが、これは前々国会以来いろいろ御指摘のあった点もございまして、われわれももう少しそういう大衆面に即しましたサービスの面についての監督に力を入れてやりたいと思っております。機会あるごとに、あるいは個々の場合の現実の監査ということもやっておりますが、監査面を通じまして示達もし、改良の方針も授け、場合によっては相当強硬に行き過ぎなりあるいは足らぬところを是正させておるわけであります。なおいろいろ足りませんところは一つ御指摘をいただきまして、できるだけ是正して参りたいと思っております。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 この電気事業は大衆の日常生活のサービスの上に非常に重要な意義を持っておるものだという点から見ても、場合によっては法的独占によるところの体制でなしに、ある分野においてはむしろ競争させる、それが真に自由の姿において最もよいサービスを提供するものであると私は考えておる。ただ資材の重複であるということのみによってこれを徹底的根本的に独占的な事業に持っていくというところに——戦争中においてはどうか知らない。あらゆる資材が非常に重要である、であるからこういう重要な資金なり資材なりを使う面においてはなるべく重複を避けて、そして一本にしていくという場合があったかもしれない。しかし戦後におけるあり方というものは、むしろ真の意味におけるサービスか主であって、あまり資材をむだにすることはいけないでしょうけれども、それかといってほんとうにサービスを本質として真に公共的使命を果す必要な範囲においては、ある程度の緩和の考え方があっていいんじゃないか、であるから法的独占のあり方についても、今後ある意味における修正というか変更ということがあっていいんじゃないかということを大体眼目に置いて申し述べたのでありますが、この点についてはさらに両大臣の方でも検討を加えられて、そうして現在における電力のあり方をもう少しよく調査をなさったならば、いかに国民が怨嗟の声を放っているかということもよくわかるのだから、その辺のことをよく何して、場合によればある程度の競争もさせて、あまり勝手ほうだいなことをやればこういう手もあるのだよということで、ほんとうのサービスをやらすということもするべきではないかということも考えられますので、この点は今後の検討を要望してやまない次第です。  次に料金の問題でありますが、これは非常にサービスを越えた重要な意義を持つものであります。国民の生活、国の経済力と深い関係のあるところの問題でありますので、この点についてはもちろん両大臣においても慎重に検討されていると思うのでありますが、ただここでお尋ねしたいのは、先般のこの委員会において笹本君の質問に対して、通産大臣は大体こういうように答えている。私としては三月で切れる頭打ち制をもう一年だけ続け、実質的な料金値上げを押えたいと思っておるが、電力会社の免税措置が来年度から廃止されることになった、この際頭打ち制を続けることは反対も多いのでもう少し検討したい、こういうふうに言うておられるのであります。言いかえますと、もう一年は現状のままでいきたいと思っておったところが、免税措置が——要するに電力会社について免税がされなくなるから、それらを考えて今度は料金の値上げというようなここをもあわせて考えていかなければならない段階に来ているというように解釈するのでありますが、そういうふうに解釈していいものであるかどうか、もう一度通産大臣から答弁を願いたいと思います。

水田三喜男自由民主党通商産業大臣

○水田国務大臣 御承知のように冬料金と夏料金を一本化するときに、電灯料が特に上るということを避けるために、三割で頭打ちするという措置をあのときの事情としてとって、それを二年続けて今日に及んでおるのです。この間お答えいたしました通り、実態調査を今私どもはやっておりますが、この実態調査をやった結果によりますと、一般の中流家庭以下の電灯にはその措置をしても事実上は響かない。旅館とか大きい料理屋とかそういうところへは響くのですが、一般の家庭にはほとんど響いていないといういろいろな調査がございますので、そういたしますと、ここで政府が料金規程に反して特にそういう措置をいつまで続けることがいいかどうかということは一応問題になろうと思います。従来は政府としては免税措置によって、頭打ちによってこうむる電力会社の二十億円前後の損はカバーするからというようなことを理由に押えておったのですが、そういう理由が今度はなくなる、一方これが需用家にどういう迷惑をかけるかといいますと、当時一般の家庭に迷惑をかけないようにという趣旨から行われた今の措置が、実際には一般家庭に迷惑をかけていないとするならば、この取扱いをどうするかということを今検討中だと申し上げたのですが、これはこの間と同じようにただいま検討中でございます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 当時の事情については、当時の通産大臣であった石橋さんが、本会議なり委員会において答弁されたりあるいは考えておられたことと、今通産大臣が受け取っておられることとちょっと食い違いがある。と申しますのは、あの当時の夏冬料金一本化によってむしろ一応合理化したとはいいながら、実際には値上げであったわけです。電気料の値上げは国民大衆の生活に大きな関係があるし、国の経済にも深い関係があるので賛成できない、当時この商工委員会においては圧倒的にそういう強い空気だった。そこで結局閣議においても決定されたはずでありますが、それを代弁して当時の通産大臣が述べられて言うのには、一応値上げはするのだけれども、将来は逆に今度は電気料金を値下げするのだ、それにはまず第一に減税の措置も講ずるし、金利の引き下げの措置も講ずる、そして企業家自身に、電力会社にあらゆる角度から合理化をやらして、その企業努力によって原価を引き下げて、それから出てきたものをもってさらに料金を引き下げるのだ、一時上げはするのだけれども、もとに近いような状態に返すのだ、こういう言明であって、われわれ了として不承々々であるけれども、一時的にやむを得ない措置として認めた。ところがあなたの今言われるような、そうしたあらゆる努力が払われて、最近における電力会社の利益というものは御承知の通りなんです、もうここ一、二年以来の電力会社は——神武以来の景気で、ほかの事業でなく、電力会社に非常に大きなブームがきている。豊水の問題も同時に大きなプラスになっておると思うのでありますが、そればかりでない。あらゆる意味において電力会社の成績が非常にいい。だから全国各地において逆に電力料金を値下げしろという声がほうはいとして起っている。ある県の町村議長会などでは、ある電力会社に対して一割五分値下げしろという意思表示までされているところもあるわけです。そういう際において、ただ二十億円かどうか知りませんが、この程度の免税措置がなくなってくるからといって、これだけですぐに料金の値上げをするという方向に考えを持っていくということは明らかに間違っている、誤まりであると思っております。言いかえれば、電力会社の内容が非常にいい、相当大きな政治献金などもされている、そういうときに、しかも逆に料金を値上げするというような方向に通産大臣がただそれだけで考えられるということは、従前のいきさつをもう少し御検討願って、そしてこの大きなる料金の値上げの問題と取っ組んでもらいたい。たとえばインフレが起りやしないかということを社会党の方でも非常に心配している。それはこうした公共的事業、国家的事業の上にどんどん突破口が開かれて、そして次から次へとインフレになる大きな原因を作っている、こういうことをあわせて考えてみたときに、電気料金の値上げということも、そう簡単に割り切ってもらうということはわれわれには賛成できない。逆に反対にむしろ値下げをいかにしてやっていこうかという方向に努力するのだ、そういうことを考えているのだということをこの際通産大臣なり、あるいは経済企画庁長官の口から一つ言ってもらいたい、そういう点について一体どうお考えになっておりますか、お尋ねしたい。

水田三喜男自由民主党通商産業大臣

○水田国務大臣 電力については、私どもの理想は豊富低廉ということでしたが、じゃ、豊富にまずする過程においてどうかというと、これは開発をどんどん進めなければいかぬ。開発を進めれば、ただいまの関係から見てコスト高に当然なっていく。だから豊富にする過程においてはある程度電力料金の値上りということはやむを得ない。やむを得ないことを押し切って、とにかく開発することが先だ。そうして開発して、豊富になって初めて低廉という方向へ向えるんだ、私どもはそういう考えで、電力を急速に起そうという過程において電力料金の値上げは一時やむを得ないという方針で今までやってきました。そうしてその通りにいって、需給関係がよくなれば、これから電灯料金は下げるという方向へ持っていける、こういう一つの考え方で今日まで来ましたが、計画によった開発をやっておる最中に、この開発計画はまだ小さいんだ、もっと開発計画を強化しなければいけないというので、この変更を昨年あたりからやるというような情勢でございまして、まだ豊富低廉という段階にはなかなかいかないので、今後まだ電力を開発するということで、この何年間、四、五年計画でやらなければいけないという今情勢になっております。そうしますと、電力のコストというものはいろいろ国家が擁護の措置をとっても、これは電力料金を下げるという方向へなかなかいけない。ことに東北とか北陸というようなところは、開発が進むに従って資本費の増高でコストが上って、むしろ値上げをしてくれなければというくらいに電力会社の経理内容が今悪化しておるという状況になっておりますので、これはなるたけ将来下げるという方向へ持っていきたいということは政府の方針で間違いございませんが、この開発計画をやっておる四、五年の間は、むしろ電力会社の業績は悪くなって、上げてくれという要求が強くなってきておる状態でございますので、これを押えて、なるたけ電力料金は上げないというところで努力するあたりが精一ぱいじゃないかと私自身は考えております。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)委員 関連して。今の通産大臣のお話によりますと、電気料金の根本的な考え方につきまして、需給が逼迫すれば高くなってもやむを得ぬ。需給が緩和してくれば安くすることも考えられるというふうに聞えたのですけれども、この前私が質問しました際に、電気料金の決定の仕方は、そういう電力の需給状況、つまり需用と供給の関係によって値段はきまるべきじゃない。従って現実に原価主義がとられておる。その原価主義がとられておるその原価に対しても私は問題があるけれども、原価主義がとられておる。従って電力の需用供給の関係と料金とは一応無関係に考えてもらいたい、大体通産大臣はそう言われたと思うのですけれども、そうじゃなかったのでしょうか。

水田三喜男自由民主党通商産業大臣

○水田国務大臣 いや、需給関係で電力料金をきめるとは言わないのであります。原価主義でやっておることは事実ですが、開発中は当然今言ったように原価が上るんだから、電力料金を下げるという方向は不可能で、上げることをとめるという努力が精一ぱいじゃないかと言ったわけです。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 通産大臣の答弁でありますが、まずその後における情勢の変化としては、金利の相当大幅な低下がある。これは開銀などを通じての政府の貸金もそうでありましょうし、同時に民間のいわゆる九電力会社が調達しておる大部分の資金は一、二年来非常に金利が下っておる。最近は多少締りぎみであります。そうかといって相当大幅な金利の引き上げは考えられない。大体において七分三厘見当の長期の金の調達が電力会社はやすやすできるという実情である。三年前の状態から見れば非常に大きな変化です。それと同時に企業の合理化も相当に行われておるはずです。ありとあらゆるものがそうでありますが、電力についてもまず送電ロスの研究を初めとして相当各方面における合理化が行われておる。それによるところの逆に、料金値下げの理論は、大きなところの電力の開発については、大体国家資金を投じて電源開発会社が中心に何十億の金を投資しておるというような実情で、コストが上る、上るといっても要は無利息に近いような金をつぎ込んでやるんだから、なるほど単価計算してみればそうでありましょうけれども、これが必ずしも必然的に電力の値上げとなるというようなことも考えられない。これらの点をあわせ考えてみたときに、そう電気料金をどんどん上げなければならぬという新しい点は少い。ことに最近においては多目的ダムなどが盛んに言われておるのだが、ただ電源だけにややもすればふえていくところのコストをぶっかけていいのかという問題も考えてみたときに、必ずしも今大臣が言われるように必然的に電気料金の値上げを来たすものであるというふうに考えるのは、私は少し早計だと思う。そういう意味において、もう少し電気料金の問題あるいは電力行政全般に関する問題というものを一つ総合的な角度から検討してもらいたいということを申し上げます。結局においてあらゆる努力をしたが、実際において料金をある程度上げなければならぬのかというようなことも検討される必要があるのだが、全般的に見て、もっと値下げしなければならない地方もたくさんあるのだということもよく検討を願って、それで一体これをどうするかということを考えるべきである。ただ今の免税措置が今度なくなったから、それで電気料金を値上げしなければならぬというふうな安易な考え方をもって臨まれることは、私は適当でないというふうに考えますが、この点について重要な問題であるだけにもう一度お尋ねしておきたいと思います。

水田三喜男自由民主党通商産業大臣

○水田国務大臣 免税措置による減税額なんというものは、電灯料金を決定する要素から見たらごくわずかなもので、その措置がなくなったからどうこうと申したのではございません。電灯料の三割頭打ちの問題に関して申しただけで、今までの政府がそういう措置を講ずるからがまんせいというふうに押えておるのがいきさつだった。ところが政府側でやったそういうものが今度は全部なくなるというときだから、そういうものをあわせ考慮する必要もあるので検討中だという、その問題に関してだけ申したわけで、全体の税金と電力料金との関係というものは非常にわずかなものですから、今度こういう措置をとったから、当然電灯料金を上げていいのだということは考えておりません。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 次にお尋ねしたいのでありますが、現在拡大強化の段階にある日本経済の一番大きな悩みは、鉄鋼、電力、輸送に隘路があるのだというふうに言われておるのでありまして、その点について私たち何ら疑義を持つものではないのであります。そこで電力開発についても、昨年の暮れに政府の方でも急遽大幅な電力開発計画などの改訂をされて、それが実現に進んでおられるのでありますが、それと同時に鉄鋼についても相当増産計画を立てられておるようにも見受けられるのであります。いずれにしても一つの計画と方針に基いて進められておる。輸送についても同じようなわけで、その管轄は直接通産省ではないにしても、これも相当重要な角度で進められておるということについては当然のことだと思うのでございます。そこでその輸送の一つであるところの鉄道の開発についても、これは当然軽視すべきものではないのではないのであります。鉄道は当然高く評価すべきものだと考えております。そこで電源開発を急ぐのあまりに、鉄道の開発そのものをおろそかにするというようなことがあることは誤まりであるというふうに私は考えておるのであります。この問題について具体的に問題となっているのは、通産大臣がかつて鉄道建設審議会の小委員長をやっておられた時分にあったところの三江線の開発に関する問題なのでありますが、この三江線は、中国地区において広島県と島根県とを結ぶところの最短距離の鉄道であり、長年これらの関係県民がこの鉄道の開発を念願して今日まで六十数年の長い間の念願がようやくここ両三年の間に実現して、この鉄道が貫通するという段階に至っておったのであります。しかしこの電源開発が先であるというような考え方から、三江線の問題が最近になって何だか立ち消えになるのではないかというような懸念が地方の人たちの間に相当大きな問題となっておるのであります。たとえば島根県におきましても、電源開発はいいのでありますが、その結果二つの村がほとんど廃村に近いような状態になり、八百戸の民家が水没するというのでありますが、実際はあるいは千戸に及ぶのではないか。ことに学校そのほかの公共施設なども相当たくさんあるようでありまして、これによって二つの村がほとんど廃村にも近いような状態になってしまうということになり、影響する範囲がさらに相当広範な範囲に及ぶのであります。相当大きな問題でもありますので、関係村の村長を初めとして郡の町村会長、県議会、県知事の側においても、これをたな上げにでもして、電源開発の急なあまりにその犠牲となることについては賛成できないというので、強い反対の行われているのはすでに御承知の通りと思うのでありますが、一体この問題について通産大臣はどういうようにお考えになっているか、お尋ねいたしたいのであります。あわせて企画庁長官にもこの問題についてお尋ねをしておきたいと思います。

水田三喜男自由民主党通商産業大臣

○水田国務大臣 中国地方の電力状態から申しまして、将来江川の開発をする以外に大容量地点はないので、従ってあそこの電力開発はどうしても必要だというのが今大体の意見でございまして、この開発は私どもはどうしてもやりたいと思っております。そういたしますと、今言われましたように鉄道との問題が起るのですが、この鉄道を決定したときはたしか昭和二十八年だったと思いますけれども、このときにすでにこの電源開発の問題が当時の委員会には出ておりました。通産省側からこの地点はこういう予定を持っているという話は出ておったのですが、実際はそういう事情を無視して鉄道の方を先にきめたというのが当時の実際でございまして、あのとき私がきめる責任者であって、当時の事情を知っておりますが、長い間あの鉄道を地方民が要望しておりましたし、ちょうどおじいさんの代からみなやっていて五十年もかかっているというようないろいろな土地の実情を聞きまして、これはとにかくやることにきめよう、だがこの電源開発との問題はあとからまた調整は適当にとれるだろうと思って、あのときに鉄道の方を先にきめてしまった。で、電源開発の具体的ないろいろな計画の方がおくれてあとからきまったというようなことで、今日問題が起っているのでございまして、私どもも当時電源問題があるということは承知しておったが、これはあとで何とかなるだろうくらいの考えで、鉄道をきめる方を急いでしまったという責任もございますので、今となりましては、電源も開発するし、鉄道もとにかく予定通りかける、これを両立させる方法を研究する以外にはなかろう、こう考えまして、今関係省の間でいかにして両立させるかということを中心にいろいろな具体的な折衝をやっている、こういうことでございます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 率直のところ私たちの見た目から言いますと、江川の電源開発は、一つの電力ソースの調査の点からいいましても、一応国として開発計画の線に乗っておった。ただ調査が遅々として進まないで、ようやく最近になってあわてて多少調査が進んでおるというのが実情である。特にそれを急いだのは、一つには政治的な理由が多くあろうと思うのでありますが、これは一応あまり強調しないとして、電力が全般として非常に少くなって、あわてて開発しなければならぬという昨年末におけるところの実情が、江川の開発を急がしめておる一つの原因だと思う。従いまして二十八年当時に水田さんが鉄道の問題と取り組んでおられた時分よりも、情勢が非常に変って、最近になってクローズ・アップされているということだけは言えると思う。しかし二十八年の前において、戦争中においてあの三江線というものは途中までどんどん行っておったが、戦争が最後の突貫戦になり、突撃戦になるがゆえにというので一時あれはやめた。従って路盤なども相当できておったのを、やむを得ず涙をのんで、あの開発が一時とめられた。ところが昭和二十八年になって、そして水田さんが新しい実情に即してあの鉄道の開発が必要であるということをお認めになって、正式の機関を通じて、運輸省においてもその後において年々予算を計上して、そうして現在においても建設工事は相当進んでおり、もう少しのところで山陽と山陰の両面の連絡がとれるというところまで進んでいた。それが急に新しく起ってきた問題で、鉄道が犠牲になり、いわゆる朝令暮改になって、国の計画を変更し、国の大きなるところの資金を烏有にしてしまう、こういうようなことは何といっても私たちは忍ぶことができないばかりでなく、この地方民の六十年間の長い曽おじいさんの時代からほんとうに念願してやまないものがようやくここでつくのだというその希望、さらに地方の木材などの開発を初めとして非常に取り残されたところの後進地域の文化の向上、経済の向上の上における大きなる役割を、これによって断ち切ってしまうということになれば、これは非常に大きなゆゆしい問題だと思う。でありまするから、電源の開発をわれわれは反対するものでもなければ、否認するものでもありませんが、しかし鉄道の開発ということを犠牲にしての電源の開発ということは、どうしてもわれわれ忍びないところでありますから、その両立ということは一つ十分に検討願っていいのでありますが、しかし鉄道の開発はいかなる場合においても犠牲にしないのだ。これで取りやめになるようなことでは、あるいは迂回線だというようなことでは、これはただ口頭禅に終ってしまう。実際にはなかなかできるものではありませんが、こういうようなことを含めて、鉄道の開発は犠牲にしないのだ、こういうことだけは通産大臣としてはっきり言えるのかどうか、あるいは経済企画庁長官においてもこの問題には関係があるのでありますが、一体どういうふうに考えておられるのであるか、この際一つはっきりとここで言明してもらいたいと思うのであります。

宇田耕一自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○宇田国務大臣 通産大臣の言われたように、中国地方の電力の問題を、江川で非常に有利に電源を開発することによって展開できるというのは、われわれとしては十分考えておかなければならぬ問題だと思っております。ただ、鉄道に関する予算を見てみますると、ただいまの予算では三十億で予定線を完成し得る、こういうことを言っておりますが、電源開発が実行に移される場合には約七十億の予算を必要とする、こういうことを申されております。従って、われわれは運輸省の原案と通産省の原案とうまく調節をして、技術的に可能な点があればこれは速急に両方ともやるべきだ、こういうふうに思っております。電源開発がどうなろうとも、三江線の敷設開通を早急に行うということを後退さすということはない、こういうふうに運輸大臣は申されております。三江線そのものが取りやめになるかもしれないというおそれは、この際われわれは考える必要はない。ただ、九万キロの電源をいかにうまくこれに付随させて開発していくか、そうしてなおあわせてただいまあなたが申されたように、付近の八百戸に近い水没の予定されるものについて、技術的にまた社会保障的にどういうふうな対策を講ずるかという一連の重要な問題をどう解決するかということを各省でもって遺漏のないように打ち合せをしたい、こういうことであります。しかし鉄道の敷設をやめるということはあり得ない。これは運輸大臣も明言いたしております。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 大体わかりましたから、あまりこれ以上今日の段階において深入りするのは遠慮しますが、実際において八百戸の水没家屋と九万キロ、これは下流の下流増を加えて約十万九千キロというのでありますが、それだけにこれだけの水没家屋を考えられて、実際にここ数年間にほんとうにうまくできるのかどうかということを私たちは非常に懸念しておる。一説によると、あれにはいろいろの地方の協力があるとか、賛成が非常に多いとか言われるのでありますが、これは莫大な補償金額というようなことを頭に考えての希望的な観測もあるので、そこで一体政府の方でなかなか思い切って金々出せるのかというような問題もあるのでありますが、これは一応十分検討願って、これでいけるというような考え方であるならば、私たちは喜んで両立させるということについては賛成したいと思いますので、との点は一応この程度にして、ただもう一つ関連してお聞きしておきたいのは、島根県は御承知のように非常に後進の県でありまして、経済的にも恵まれていない。せめて電源の開発というふうな問題もあわせて取り上げられておるのでありますが、その中においても、たとえば周布川が浜田を中心として一万九千キロの電源開発を考えられておる、そうして出羽川においてもその程度の規模の電源開発が県営などによって考えられておるのでありますが、電力がほんとうに不足しておるという実情において、しかもこれら関係の県やあるいは市において積極的に開発したいという熱意を持っておる限りにおいて、この問題も一つなるべくその期待に沿うように、大局的意味において電力の確保をするのだ、こういう上に立って検討さるべきではないかと思うのでありますが、たとえばその地方における電力会社の意向のみをあまりに重視し過ぎて、肝心のなすべきことを国においてなさないということについては、私は検討を要するのではないかと思いますので、これらの点も経済企画庁においても、通産大臣においても、さらに高い角度から検討願って、これを一体どうするかということを、早く一つ何らか態度を決定してもらうことを要望しまして私の質問は終ることにいたします。

福田篤泰自由民主党

○福田委員長 次会は明二十七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時一分散会

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