社会労働委員会 第57号
- 発言数
- 140 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/07/30
会議録
○藤本委員長 これより会議を開きます。 社会保障制度、医療、公衆衛生、婦人・児童福祉及び人口問題に関する件につきまして調査を進めます。発言の通告がありますのでこれを許します。滝井義高君。
○滝井委員 午前中は閣議の都合があって大臣が来れないそうでありますので、厚生行政一般に対する質問は、午後大臣の厚生行政に対する所信をお聞きしてからやらしていただきたいと思います。とりあえず午前中は、今まで二十六国会で与野党非常な努力をして審議をした健康保険に関連する二、三の問題について、事務当局の御意見をお伺いしておきたいと思います。 そのまず第一は、健康保険法の改正の大きな原動力となったものは、健康保険の財政が非常な赤字であったということにあったことは、二十六国会ないしそれ以前の国会を通じての論議の中心的な議題でありました。もちろん政府は健康保険制度自体の改革ということで、健康保険法の改正を出したということもいわれておりましたが、われわれの見るところでは、主たる理由は健康保険財政にあったと見ておるのでございます。従って当面私たちは健康保険改正の後における日本の健康保険財政がどういう状態になっておるか、これを一つ詳細にお知らせを願いたいと思います。御存じのように、神武以来の好景気を謳歌しておった日本経済というものが、日本政府自身が出した経済白書において反省をしておるように、必ずしも楽観を許さざる情勢が出て参ったわけです。従ってこの際、昭和二十九年までの健康保険財政については一応前に御説明をお聞かせを願って、同時に健康保険の審議の過程を通じて、昭和三十年度の財政についてもお聞かせを願います。三十年は四億二千六百五十八万六千円の黒字であるというのが、当時保険当局からわれわれに説明をしてくれた数字でございました。しからば一体昭和三十一年度の保険財政というものはどういう工合になっておるか、巷間三十億をこえる黒字が出たというようなことも言われております。三十一年度の保健財政の状態を、できれば刷りものを要求しておきましたが、刷りものを一つ御配付願って御説明を願いたいと思います。
○高田(正)説明員 刷りものの準備をいたしておりませんので、口頭で御説明を申し上げたいと存じます。 三十一年度の政府管掌の健康保険の収支の決算が大体まとまりつつありますので、大体のところを申し上げますと、歳入の方で予算と比較をいたしまして二十二億円程度の歳入増になっております。この原因は、一つには好況のためと存じますが、被保険者の増加が、私どもが予想をいたしましたものよりは非常に大幅に実績が狂いまして、三十年度末と三十一年度末では大体約七十万の被保険者の増加に相なっております。被保険者の増加ということによりまして、保険料を納める者がふえたということと、いま一つこれも財政好況の影響かと存じまするが、収納率が若干上って参りました。さような関係で二十億円余りの収入増ということになっております。 それから歳出の方におきましては、保険給付費で八億円の減になっております。ただしこの中身を申し上げてみますると、医療給付費におきましては八億円余りの支出増でございましたが、現金給付費におきまして非常に大幅に支出減になりまして、十六億円程度の支出減になります。従って差引八億円弱の支出減ということに相なったわけでございます。それでこの中身を若干分析をいたしてみますと、医療給付費の方は総額におきましては八億円余りの増になっております。一人当りの医療費という観点からみますると、先ほど申しましたように、被保険者が年度末と年度初めと比べますと、年間で七十一万程度も増加をいたしておるのでありまするから一人当りの医療費で考えてみますると、増加傾向が著しく鈍化をいたしております。さようなわけで非常に人数がふえたけれども、総額においてはこの程度の支出増でとどまったということでございます。この増加傾向の鈍化の理由といたしましてはいろいろあると思いますが、最大の理由は新規に加入をいたしました者の受診率が、従来の被保険者と比較をいたしまして非常に低いということであります。学校を卒業した若い人を採用したとかあるいはその採用の際にはそれぞれ身体検査等もするというふうな関係とか、いろいろ事情があると思いますが、ともかく新規の加入者の受診率が非常に低い、従ってそれを全体の被保険者にならしてみますと、一人当りの医療費の増加傾向が鈍化している、こういうことでございます。なお現金給付費の支出減は、これも好況の影響と考えられます。かような財政状況でございましたので、計上をいたしました十七億数千万円の予備費は使わないで済んだということになります。 以上、収入の方で二十億円余りの増、支出の方で保険給付費において八億円弱の減、それから予備金がまるまる余った、こういうことで差引四十数億円の黒——もちろんこの中には政府から年度の終りになって受け入れました三十億円の国庫補助金も含んでおりますが、これを含んで差引四十数億円の黒、こういうことに見通しをつけております。
○滝井委員 三十一年度の健保財政の収支決算の概要は四十七、八億程度の黒だ、こういうことであります。健康保険法の改正を待たずして保険経済が黒になったということは慶賀の至りであります。従って、健康保険法の改正が発効するのは実質的には七月一日以降になるわけでありますが、それを待たずして黒になったということは、いかに保険当局が保険財政の見通しにおいて大きな誤まりを犯したかという一つの証左にもなる。というのは、われわれに二十五国会当時から、健康保険法の一部を改正する法律案に関する参考資料として、政府が後生大事に説明してくれた資料を見てみますと、当初の見込みとして六十六億の赤字が出る、それからいよいよいろいろの改正をやったあとの赤字は四十七億だ、こういうような見通しだった。この黒字になったものと赤字になる見通しのものを合算してみると、百億の見通しの誤まりがあるということなのであります。こういう見通しの誤まりを犯すということになりますと、保険当局はあまり信頼できぬことに実はなる可能性もあるのですが、まあ過去の功罪は問わず、ともかく四十億をこえる黒字が出たということは慶賀の至りであります。 そこでその黒字の出たいろいろの原因については、これは供給の側、すなわち保険料の収入が非常に順当に行った、すなわちその原因というものは結局、推定するにおそらく標準報酬というものがある程度上っている、同時に雇用量もふえている。こういうようなものがいわゆる供給の増となって表われたものだと推定をされます。それから需要の側、すなわち歳出の側では受診率が鈍化をしておる、こういうことで今の御説明はまさに的確な分析をやっていただいたものだ、こう思うのです。 とにかく今までわれわれが保険当局から聞いた説明とは打って変った結果が出ておるということなんです。これは川崎厚生大臣、それから現在の堀木大臣に至るまでの間に——堀木大臣になってからまだ健康保険の説明は聞きませんが、神田大臣に至るまで、いろいろ御説明をなさったときには、保険当局からこういうことは片りんだに御説明をいただかなかった。しかしこういう結果が現在出ております。 そこでいろいろこまかいことを聞くことはいずれ機会を改めまして、好況のために現金給付の支出減があったということは、どうもこれは理論的に筋が通らないと思うのです。これは結局患者の治療日数が短縮したということを意味するんじゃないですか。すなわち傷病手当金というものは三日間の待期がある。従って四日にならなければ傷病手当金というものはもらわない。そうすると、現金給付というものは——医療費払いは非常に厳重に締めておりますので、そうこれが増減に影響を及ぼすことはないわけです。そうしますと現金給付が減ったということは、結局本人の治療日数が、すなわち医者にかかる日数というものが、減ったことを意味するのじゃないかと思うんだが、その現金給付が十億程度ですか減ったという、その理由はどういうところにあるか、これを一つ御説明願いたい。
○高田(正)説明員 現金給付の減りました理由はいろいろあるであろうけれども、好況も非常に影響しているであろうということを御説明したわけなんですが、私がさように申しましたのは、御存じのように傷病手当金というものは賃金をくれなくなると、くれなくなってから三日の待期で出てくるわけなんです。従って会社の方で賃金を払ってくれれば傷病手当金というのは発動しない、こういう格好になりますので、その意味で的確にどの程度がどうということではございませんけれども、相当な影響があったんじゃあるまいかという私の推察を申し上げただけでございます。 なお御質問の傷病手当金の支給平均日数の問題でございますが、支給日数はこれは若干減っております。大した動きはございませんが、若干減っております。その支給日数が減ったことをどう見るかという問題でございますが、治療日数が減ったという見方もあるいはできましょうし、今私が申し上げたように好況の影響で賃金を比較的出してくれた、こういう見方もできるかと思います。しかしこの辺の分析に実際に詳細に当って調査をして分析をしてみませんと、正確なことは申せないかと存じます。
○滝井委員 実は今支給日数が減っておるということには治療日数が減ったということと賃金が比較的事業主によって支払ってもらえた、こういう二つの部面が考えられるということでございますが、一つそこらの分析を——これは十億円ということはちょっと大きい。で、保険給付の中の現金給付の占める額は三十一年度の当初の見込みでは九十六億、それから改正の後における見込みは九十九億ということになっておる。そうしますと、十億というと一割をこえる。従って一割の割合で好況のゆえに全部の保険に影響してくれば、これだけで六十億というものが影響を及ぼしてくることになる。従って現金給付が減ったというこの分析というものは、今後われわれが保険経済を考える上にこれは表われておるものは現金給付でございますけれども、その背後には必然的に医療給付の面と不可分に結びついている面が非常に多い、従ってこの面の分析というものを今のようにあいまいなことでなくして、わかっていなければ次の機会までに一つもう少し突っ込んだ分析をやってもらいたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
○高田(正)説明員 見通しの食い違いということにつきましては、確かに先生御指摘のように結果的に食い違っておるわけでございます。ただ十億円という数字は、支給平均日数が一日減りますと、十億円くらいの違いになるのでございます。従って支給平均日数というものが、どういうことで減っていったかということの分析になるわけでございますが、これはなかなか机上で分析をいたしましても、ああであろうこうであろうということでございまして、結局は実態調査をいたしませんと、正確な、ある程度自信のある分析はいたしかねるかと思いますので、もう少し私どももいろいろ考えてみたいと思いますが、実態調査をするということになれば相当な日数もかかりますし、費用もかかりますので、私どもで机上でいろいろ考えられる要素をもう少し検討いたしてみたい、かように考えておるわけでございます。
○滝井委員 その点はぜひそらしていただきたいと思います。 次に一人当りの医療費が非常に減ってきておるということなんでございますが、そのことは同時に受診率の増加が鈍化をしたという点も考えられる要素ではないかと思うのであります。私はかつてここで、小さな酒屋さんが集まって、そうして優秀な新制中学を卒業した人たちをたくさん募集をして、酒屋さんが連合して試験官になって、大会社の社長と同じように質のいい労働者諸君を採用したというようなことを、いつか質問したことがある 従っていわば政府管掌の健康保険の中においても、労働者の質が非常によくなって、大企業と同じような状態で採用試験も堂々とやれる形が出てきておるというようなことを言ったことがあるのですが、それが当っておったかどらかは知りませんが、一人当りの医療費の増加が鈍化傾向にあるということは、一体何に基因をしておるかということです。この点私の指摘するような質のいい勤労者諸君が、中小企業の事業場にもどんどん入っていく姿が出てきたという分析だけで足るのか、それとも何かもっと大きな要素でも、好況のために、たとえば賃金が増加している、従って栄養が十分に足るというように、何と申しますか、風が吹けば眼医者がもうかるというような堂々の理論になるのか、そこらあたりの分析というものは、今後のわれわれが医療のいろいろの計画を立てる上に非常に大事なことなのです。今までこういうことは、あなた方はおくびにもわれわれには説明しなかったのです。きょうは突如としてそういう説明が行われる結果になったのでありますが、これはやはり、どうしてそういうことになったのか、三十年度までに夢想だにしなかったことが出てきておるわけなのです。今までとにかく受診率がどんどん上る、だからこの受診率の増加ということが、日本の保険経済の赤字の原因だということはずいぶんいわれてきた。同時に制度審議会等は、赤字の原因というものは行政面の通常が悪いからだというようなこともいわれてきた。ところが今度は、一つの大きな原因として、傷病手当金が支給の状態において減り始める、同時に一人当りの医療費が減り始めた、こういうことは、今までわれわれが考えなかった、夢想だにしなかった要素が出てきているということです。この分析というものは、わからなければ次会でけっこうですが、きょうわかっておればわかっている程度で一つ御説明願いたい。
○高田(正)説明員 確かに私ども三十年度中に立てました三十一年度の財政の見通しというものは、先生御指摘の通り、非常な大きな狂いをしたわけでございます。国会でいいますれば、二十四国会の当時の見通しでございます。その狂いの一番大きな原因は、先ほど申し上げましたように、年度当初と最後で七十万円程度の被保険者がふえた、これが一番大きな見通しの狂い、そのようなふえ方は、過去に一回も例はございません。二十八年度に相当ふえておりますが、三十年度等はたしか六、七万程度のふえ方であった。それでその点が見通しの誤まりでございます。それがあらゆるところに一番大きく響いておると思う。 それでただいま滝井先生の御指摘でございますと、こういうふうな財政状態の好転が、突如として出てきたという仰せでございますが、実は先生方よく御存じのように、二十六国会におきましては、すでに三十年度の決算も大体出ております。その数字も御説明は申し上げましたし、さらに三十一年度の年間の見通しにつきまして、相当に財政状態は好転をいたしつつあるということは、二十六国会の御審議のときにはしばしば申し上げておったようなわけでございます。しかしいずれにいたしましても、相当な見通しの狂いがあったということは事実でございまして、これらにつきまして、私ども将来保険を運営いたしていきます上において、十分注意をし、研究をも重ねていかなければならぬかと思うのであります。 ただいまの一人当りの医療費の上昇傾向の鈍化の理由は、一体何と思われるかとい御質問でございますが、私今手元に詳細に分析した資料を持っておりませんけれども、大体この一件当りの医療費は、大体横ばいの状態をとっておりますので、主として受診率の伸びの鈍化でございます。それでその受診率の伸びがなぜ鈍化したかと申しますと、先ほど御説明をいたしましたように、新しい被保険者の受診率を、調べてみましたところが、従来の被保険者よりは医者にかかる方が非常に少いという格好になっておりますので、それが一番大きな原因であろう。しからばなぜそういうことになったのであるかというさらに突っ込んだ分析でございますが、滝井先生が今おあげになりましたように、政府管掌の事業場といえども、ある程度身体検査等をいたしまして採用するものができたということ、あるいは新規採用者の中には新制中学あるいは高等学校の新しい卒業生というものも相当入っているわけでございますので、そういうふうな若い元気な人たちが多数入ってきた。その辺が一番大きな事情であろうと私どもは考えております。さらにそれ以上にいろいろ好況のために、あるいは食糧事情の好転のため等によって全般的に医者にかかる率が少くなるというふうな大局的な理由もあるいは考えられると思いますけれども、これらにつきましては非常にばくとした問題でございまして、それ以上の分析をいたしかねているようなわけでございます。かようなわけでございますので、私どもとしましては三十一年度の財政事情の好転というものがかりに受診率の増加傾向の鈍化ということで大きく作用されていると思いますが、しかもそれが新しい採用者の受診率が低いということによってかような結果を来たしていると思いますが、三十二年度以降につきましては、その面が逆に作用いたしますので、いろいろ心配をいたしておるのでございます。さようなことに将来の見通しといたしましてはその要素が影響して参ると思いますけれども、今の点は、先生御指摘のような分析ということが、私どもも大体そういうふうに考えているところでございます。
○滝井委員 三十一年度の財政の概況については一応わかりました。いずれ詳細な分析については一つごめんどうでしょうが当委員会に何か刷りもので出していただきたいと思います。 そこで今局長さんの方から三十二年度以降については新しく入った元気、優秀な被保険者の諸君が今度は受診率増加の要員に転換しやしないかというおそれがあることを述べられました。そこで問題が三十二年度に移りましたので、三十二年度の見通しについてお聞きしたいのですが、いよいよ厚生省は三十三年度の予算編成期にかかっていると思われます。そうしますと三十三年度の予算を立てる場合には当然三十二年度あるいは三十一年度の保険経済の実績というものを勘案しながら昭和三十三年度の予算は当然組み立てられると思います。従ってまず昭和三十三年度の予算編成の基本的な方針についてはいずれ午後大臣がおいでになってから大臣からお開かせを願いたいと思いますが、まず保険当局にお聞きしたいのは、現実の昭和三十二年度の保険経済の見通しというものはどういう見通しをお立てになっているのか、以前昭和三十一年度のような好況を謳歌した保険財政で見ていいのか、それともすでに財政引き締めのために繊維企業を中心として中小企業の倒産が始まり、あるいは不渡手形の続出があるという事態を考えられるときには、保険経済というものは非常に楽観を許さない状態になるのか、そこらあたり、すでに昭和三十二年度も三月からもう始まって三、四、五、六、七とすでに五カ月歩んでいるわけであります。大体もう三月分の請求書も審査も終って支払いも終っているし、四月、五月までは一応傾向がわかっていると思うのです。全国的な流感が起って非常な支払いの増を来たしたことは事実でございます。が一応保険経済の見通しというものを持たなければ三十三年度の見通しというものは立たないと思う。従って、三十一年度の見通し、概況というものを今お聞かせ願いましたが、局長の御説明になりました三十二年度以降には、逆にいい面が今度は悪く作用するというものを考慮しながら、三十二年度保険経済の見通しについていかなる見通しをお持ちなのか、それを一つ御説明を願いたいと思います。
○高田(正)説明員 三十二年度は目下進行中でございますが、ただいま私どもの手元にわかっておりますのは、まだ三十二年度中の二カ月分程度の支出の状況でございまして、これをもって、実績を基礎にしての三十二年度の見通しというものは、ただいまのところではなかなか立てがたいと存じます。一番問題になりますところは、御存じのように標準報酬等につきましては十月に定時改訂をいたしますので、この定時改訂の結果が判明いたしませんと——実は収入の方の見通しにつきましては非常に大きな要素がかかっておるのです。ただいま三十二年度の財政収支の見通しにつきまして、ある程度確実性のある見通しを申し述べることは非常に困難なことでございます。しかし、客観的にものを見ました場合に、いろいろな要素をあげてみますると、先ほど申し上げましたように、新しい被保険者の受診率が従来の一般の被保険者並みになってくるというマイナスの要素は確かに考えていかなければならぬと思います。しかし、三十二年度中にまた三十一年度中のように、さらに新規の加入者が非常に膨大にふえてくるということでありますれば、その点はある程度相殺をされて参るかと思います。ただ私どもの感じでは、三十一年度ほど三十二年度は新規被保険者の増というものが期待されないのではあるまいか、こういうような見方をいたしております。それで収入の方におきましては、ただいま御指摘のような経済界の動き等もございまして、三十一年度中非常に好転いたしました収納率が私の見当ではまた下って参り、三十年度程度に落ちてくるのではないか、こういうふうな見方をいたしております。標準報酬もこれは三十二年度中の新規加入者の数にもよりますけれども、標準報酬の伸びというものが三十一年度程度になるのは相当骨が折れるのではあるまいか、こういうふうな見方をいたしておるわけでございます。しかしいずれにいたしましても三十二年度中には国庫補助のみならず、先般御審議をいただきました法律改正の効果も出て参りますので、三十二年度の大まかな見通しといたしましては、まずまず収支の均衡を保つことはできるのではあるまいか、こういう客観的な見方をいたしております。最初に申し上げましたように、何しろまだ実績が非常に少うございますし、定時改訂というふうな大きな要素を今後に控えておりますので、ごく荒けずりなお話しかできませんことを御了承いただきたいと存じます。
○滝井委員 一つの大きな要素として健康保険法の改正が保険経済にいかなる影響を及ぼすかというこの点でございます。被保険者の新規加入が増加をするとか、あるいは標準報酬がいろいろ経済界の浮沈によって影響を受けるというようなことは当然考えられるところだと思います。しかし昭和三十年度あるいは昭和三十一年度、二つともこれは黒字なんです。そういう両年度になかった新しい要素である健康保険法の改正という一つのファクターが加わったということです。このファクターの評価というものをどういう工合に見積るか、経済の自然な流れというファクターというものは、これはなかなか見にくいものがあると思います。しかし、一応今までなかった百円以内の一部負担というものが被保険者には課されてくるし、それから同時に標準報酬も、今までと違って五万二千円というように引き上げられてくる、こういう形が出てくるわけなんです。そうしますと、これは二十五国会以来われわれが論議した当時の仮想的な論議と違って、もうきわめて現実性のある理論が、現在の経済の中から健康保険法の改正というものを結びつけていくと、ある程度の見通しが出てくるのじゃないかと私は思うのです。従って、法律改正による財政効果の評価というものをやはりこの際やらなければ、あなた方は昭和三十三年度の予算というものは組むことができないと思うのです。自然的な経済の流れ、経済自身が経済自身の論理によって動くということのほかに、今度は新しく政治的な要素としての健康保険の改正という問題が加わってきておるのであります。その改正によって果してどういう工合になるか、鈍化しつつある受診率というものが百円の一部負担を課することによってさらにこれが鈍化に拍車を加えられる要素はないのかという、健康保険の改正によって出てくるいろいろのファクターというものが、経済の自然の論理の流れと別個に一つの大きな要素として考えられると思うのです。従って、すでにもう七月から発足しているわけなんですが、そういうものについてどういう工合にお考えになるのか。昭和三十一年度には健康保険を改正するという声が高く上ったために、まさかこの水鳥の羽音に驚いて受診率が鈍化したわけでもなかろうと思うのです。そういうことがあるとするならば、健康保険の改正が現実化して、水鳥の羽音ではなくて堂々と戦車の音の聞える中ならばもっと受診率が鈍化するかもしれません。だから、相当日本経済が悪化しているけれども、その悪化の中においても、法律改正のファクターというものは相当高く評価しなければならぬ保険経済黒字転化へのてこになっていると思うのですが、この点あなた方はどういう工合に現存お見込みになっておりますか。
○高田(正)説明員 滝井先生も十分御承知の上で御質問になっていると思いますが、三十一年度にも法律改正の効果は三十億円は発生しているわけです。それから三十二年度の——私が最初申し上げましたが、大体いろいろ見方ができるけれども、収支の均衡が保ち得るだろうと私は大まかな感じを申し上げました、その収支の均衡の中には、法律改正をいたしまして、標準報酬の等級改訂の区分で約八億、継続給付の関係で二億五千、それから一部負担で六億八千、国庫負担の三十億というもの、いわゆる法律改正の結果財政に及ぼす影響というものを収支の中に織り込みまして、その上に立って大体収支の均衡がとれるだろう、こういうことを申し上げておるのであります。その点は滝井先生も十分御承知の上で御質問になっていると思いますが、今先生の御質問の、一部負担をやったから受診率が下るだろうとか、あるいはまた健康保険を改正するぞ改正するぞといっておったから、それが影響して三十一年度は受診率が鈍化を来たしたかもしれない、これが三十二年度にも影響がどうなるかというふうな、そろばんに置けない理外の理という分の影響というものか一体どうか、どういうふうに考えておるかという御質問であろうかと存じますが、これは私どもといたしましては、まず一部負担の点につきましては、たびたび二十四国会あるいは二十六国会で申しましたように、受診率に大きく響くような一部負担、これはやるべきじゃない。この程度の一部負担であるならば、いわゆる受診率には響かないという建前といいますか、そういう考え方で物事を考えておりますので、まずそういうふうな理外の理の部分につきましては、もう少し物事の動きというものををよくながめまして、一部負担も七月一日から始まったわけでございますので、まだ今日これをどうこうと推定をいたすことは、これはとても無理かと存じます。さような要素はあまり頭に置きませんで、私どもといたしましては、三十二年度の先ほど申し上げました法律改正のために当然収支に異同を来たし、結局プラス四十七億程度の財政効果でございますが、それを織り込んだ上で大体収支の均衡を得るであろう、こういう考え方をいたしておるわけでございます。
○滝井委員 法律改正による財政効果も見込んで収支の均衡がとれるというお見通しでございまして、そういう御説明でございますが、一応日本の経済というものが昭和三十一年度と同じような好況を続けていくという仮定に立つならば、算術計算で見ていくと、三十億は今御説明の通り昭和三十一年度にも財政効果として入っておるわけであります。そうしますと、健康保険の改正のファクターというものは、その国庫補助金の三十億をのけたあとの十六、七億というものが——三十一年度と同じ経済状況を保つとすれば、保険経済というものは四十数億の黒字にプラス新しく健康保険の改正でプラスになるであろうと推定をせられる十七、八億というものが加わっても実はいいことになるわけです。算術計算でいくとそうなる。健康保険の改正をしなくても、四十数億の黒字が出た。ところが今度一部負担とか標準報酬を引き上げるとかいうふうな、前年度三十一年度の法律改正の要素が加わってくるのですから、その点は算術的なきわめて平板なものの考え方でいけば、四十数億プラス十六、七億を加えてもいいことに、実は算術計算的にはなるわけです。しかしこの日本の保険経済に非常に大きな影響を及ぼす標準報酬の問題は賃金率なんです。この賃金率というものは、昭和三十二年三月まではあまり増加していないのです。非常に増加をして来始めたのは昭和三十二年の三月三十一日以降、これは経済学者の分析でもそうなっております。そうすると、その標準報酬として賃金の上昇が結果として現われてくるのは、いわゆる三十一年度の労働白書の分析にもあるように、実質賃金においても名目賃金においても、一割だけ増加をしたという、こういう結果が具体的に現われてくるのは、あなた方がやられる十月の標準報酬の改訂のときに具体的にこれが現われてくる。いわゆる賃金の上昇率というものは、幾分景気変動におくれて出てくるので、これが具体的に今度は保険経済に反映する標準報酬として現われるときは、むしろ景気が下降をたどろうとするときに前のやつが出てくるわけです。従って保険経済にはむしろ昭和三十一年度よりか三十二年度経済に賃金率の上昇というものが反映するということが、私は理論的には筋が通ると思う。そういう点から考えると、これはあなた方が今言った理論ではなくて——私の理論が間違っておれば撤回して御修正を願いますが、私は実はこういう感じを持っているのです。私はいろいろ読むものも読んでみましたが、そういうことを書いておる学者もおるのですね。私はそういう感じを持っておるのですが、そうしますと、保険経済の収入面のファクターになるものは賃金とそしてそこの労働者、被保険者の増加なんです。これが一番大きな要素です。そうしますと、賃金率というものが具体的に好況を反映して、今後の十月の標準報酬の改訂に現われてくるということになれば、保険経済というものはそう心配が要らぬことになるのではないかと思うのです。これは今後われわれがこまかく医師待遇改善の問題とか何かを論議する場合に、保険経済がわからなくては話にならぬので、従って私は、きょうは各論に入る前に総論的な意味でここらあたりをはっきりさせておく必要がある。しかも問題は、昭和三十二年度を契機としながら、三十三年度に医師待遇改善の問題その他持ち込まれておる。従って三十一年度の状態はわかったが、三十二年度の分析をはっきりやっておかぬと、いよいよ秋になってほんとうに問題と取り組むときになって、保険経済は三月ごろにならなければわかりませんとあなた方に逃げられたのでは元も子もなくなってしまう。先に言質をとるわけではありませんけれども、ここらあたりで問題をすっきりして数理してやっておかぬと、先になって混乱が起る。あなた方が三十三年度の予算を立てるのには、三十二年度の見通しがなければ、一年先の予算というものはわかりはしないのです。従ってそこらあたり今言った保険経済の収入面にどういう工合に影響があるか、標準報酬の問題を中心にして御説明願いたい。
○高田(正)説明員 大へんむずかしい御質問で、いろいろな考え方ができると思いますが、今先生が御指摘になりました三十一年度中に上った賃金の上昇というものは、むしろ三十二年度の十月の定時改訂に出てくるのではないかということは、一部はそういうことになります。しかし三十一年度の定時改訂までに上った賃金は、すでに三十一年度の定時改訂に出てくるわけであります。三十一年度の定時改訂以降の賃金の上昇というものがありますれば、それが極端に上りました場合には随時改訂をやりますけれども、あまり極端に上らなければそれは三十二年度の定時改訂に出てくる。その意味では先生の御指摘の通りでございます。賃金の方の標準報酬に響くかね合いはそういうことでございますが、景気、不景気ということが一番響いてきますのは、やはり被保険者の数とそれから収納率、ことに当該年度の収納率にてきめんに響いて参ります。それで収納率の方を考えてみますると、これは景気が下降をいたしますれば、もう今の標準報酬とは異なりまして、直ちに三十二年度の当初から響いてくる、こういう理屈になるわけでございます。それから被保険者の数の方は、これも非常にむずかしい問題でございますが、いろいろな響き方をいたすと思いますが、これも年度当初からの響きになって参ると思います。さようなわけでいろいろな見方ができるかと思いますが、しかしいずれにしましても、三十二年度の見通しというものは、やはり半年くらいの実績をつかみ、しかも定時改訂の実績をつかまないと、実はなかなか三十二年度の見通しはできないのでございます。それじゃ三十三年度の予算の要求はできないじゃないかという仰せでございますが、ごもっともでございまして、私どもの予算の要求のやり方は、ただいま編成をいたしておりますけれども、この要求というものは実は十二月押し詰まりまして、いろいろな実績を織り込んで要求書を差しかえるというやり方をいたしております。そういうふうなやり方を例年いたしておりますのも、結局は当該年度の保険収支の見通しというものはやはり年度を相当経過いたしませんと、晩秋になって参りませんとなかなか見通しがつかない、こういうことの一つの証左にもなるかと思います。
○滝井委員 時間がだいぶ過ぎまして、あとまだ問題が一、二ありますので、これはこれ以上はやめます。とにかく三十一年度の保険財政というものが、もちろん国庫補助三十億を加えて四十億をこえる黒字が出た。三十二年度の保険財政の見通しは収支均衡を保つことができる、これで大体保険経済は安泰であるという結論になるわけであります。安泰であるが、三十二年度の見通しは、赤字々々と言っておった昭和三十年度と三十一年度が四億、四十億をこえる黒字になった。従って、三十二年度は収支とんとんと言っておるのだから、赤字と言っておったって四億なり、四十億の黒字を出した、収支とんとんのときならばもっと大幅な黒字が出るであろうということも推計をする事由はあるわけなんです。そういうことで保険経済というものは大体悪くない、健康保険法の改正をしたために、さらに、何と申しますか収支均衡が確実な足取りになった、こういう結論を下しても大体間違いないようでございます。 一応そういう結論を私としては下しておいて、次に、文部省の方、それから大蔵省の文部省担当の方いらっしゃっていますか。
○藤本委員長 大学課長は来ております。
○滝井委員 では大学課長さんに……。どうもお暑いところ恐縮でございましたが、御存じの通り今回健康保険法の改正が行われまして、その四十三条の三項一号で、一般の健康保険の被保険者なりあるいはその家族を診療する病院、診療所、薬局というものは、一応知事の指定する保険医療機関にならなければならないことになったわけです。大学には多くの付属病院がございます。この付属病院は文部省としてはどういう形態でいく方針なのか、ということは健康保険法の改正で申しますと、知事の指定をする保険医療機関、それから特定の保険者の管掌する被保険者のための診療または調剤を行う病院もしくは診療所、薬局にして保険者の定めたもの、こういうものと、それから健康保険組合たる保険者の開設する病院もしくは診療所または薬局、こういうように知事の指定するもの、それから事業主病院のようなもの、それから健康保険組合の直営診療所のようなもの、こう三つに分けられることになったのですが、今後大学は、この健康保険法の改正によって病院が三つの範疇に分けられる第一の範疇に属する知事の指定をする保険医療機関になられるのか、それとも全然自由な立場でわが道を行くということに相なるのか、そこらあたり一つ文部省のお考えをお聞きしたい。
○春山説明員 お答えいたします。大学病院は、従来保険者との契約によって診療を行なってきたわけでございます。今回健康保険法が改正になりましたので、その健康保険法のただいま御指摘になりました保険医療機関として知事の指定のもとに診療機関となる見込みで、目下各大学が手続中でございます。
○滝井委員 文部省としては、四十三条の三項一号の保険医療機関となる、こういう基本方針を腹でおきめになったということでございます。そうしますと、今まで大学の病院というものは、非常に特殊性のある医療機関として保険者と契約を結んでおられたと思うのです。ところが今度の健康保険法の改正によって、特殊の医療機関としては取り扱われなくなった、一般の私的医療機関となる、あるいは公的医療機関と同じような状態になることになる。その場合に、大学病院は医学教育とそれから医学の研究、こういう使命を持っておるわけですが、この使命は一体どこで果すことになるのかということですね。これは今後の日本の医学教育上きわめて重大な影響を及ぼす問題でございますので、一つ慎重に御答弁を願いたいと思います。 それから委員長にお願いしますが、これは予算にも関係しますので、ぜひ一つ大蔵省の主計局に出てもらうように委員長から御要求していただきたいと思います。
○春山説明員 大学病院は、ただいまお話しのように教育機関でありますと同時に研究機関でありまして、その教育、研究の方法として病人を病院において診療しておるわけでございます。大学病院における患者は、大学によっていろいろ違いがございますが、現在まで相当数の保険患者を診療しております。おりますが、今までの診療におきましては、保険者と大学の契約によりまして大学の慣行料金によっている大学もございました。従いまして、大学の診療方針のもとに診療をやっておりましたので、ただいま御指摘の大学の特殊性を相当生かしながら診療が続けられていたわけでございます。今度健康保険による診療が全面的に実施されますと、教育、研究の面において懸念されるところがございますが、大学には御承知のように学用患者という制度もございますし、また健康保険の患者と申しましても非常に特殊な患者、たとえば重症の患者とかあるいは非常に特殊な病気を持った患者が大学病院には非常に多いのでございます。この点につきましては、健康保険におきましても非常に特殊な場合として見ていただくような方法がとられますれば、大学の教育、研究ははなはだしく支障を来たすことではないと考えるのでございますが、ただ、程度によりますと健康保険の患者の診療に当って非常に制限されることになりまして大学におきまして制限された範囲しか考えられないようになりますと、いろいろ大学としては教育上あるいは研究上若干の支障が出るような憂いもないわけじゃないと感じておるわけでございます。
○滝井委員 今の大学課長さんの御答弁の中に非常な苦悩が現われておるわけですね。健康保険の範囲で特殊の疾病の治療ができぬということになれば大学の教育あるいは学術の研究に支障を来たす杞憂があるという意味の御答弁があったわけです。実は大阪の大学病院と大阪府知事との間にかわした契約の一端を見てみますとこういうのがある。「特殊の装置、特殊の技術を要するもの、または特に複雑困難な手術、処置、検査については病院の取扱令に準ずる額を支払う。」と、一般には認められていない治療を行なってもよいという取りきめを行なっておる。それから「知事は大学病院の特殊性について十分考慮を払う」と、特殊性が認められておる。ところが今度はその特殊性というものはないですね。特殊性があるのは、あとでまた保険局の方にお聞きしますが、総合病院というのがあって——総合病院がいかなるところか質問しなければわかりませんが、そこだけは、内科に行って外科に行きますと初診料を内科と外科でとることができる。このくらいの特殊性しかないように健康保険法の改正を通読してみて感じられないわけであります。そうすると今の特殊性が御破算になってやることになりますと、当然病院の経営自体に非常な影響を及ぼしてくるわけであります。従って病院の経営を今後どういうようにやっていくかということをお聞きする前に、今までの大学病院、東京大学でも京都大学、どこでも御存じのところ一つでいいですが、収支の状態は一般患者がどのくらいでどのくらい収入があり、保険患者がどのくらいでどのくらいの収入があり、それから今言った学用患者で文部省の予算としてあるいは大学の予算として国が出して、そして無料でやっているのがどのくらいということがおわかりだと思うのでありますが、それを一つ御説明願いたいと思います。
○春山説明員 詳しい資料を持って参りませんので全体のことを申し上げますと、保険患者の診療による収入は、大学病院の全体の収入のうち入院患者については七〇%、それから外来患者については六一%でございます。そして三十一年度の収入額は、入院によるものが二十五億八千九百万、外来によるものが十億五千百万でございます。合計して三十六億五千万が保険患者による収入の総額になっております。
○滝井委員 いろいろ大学経理のこまかいことは一つ委員部の方に資料としてお出しを願いたいと思います。今御説明になったような、できれば代表的な大学、東京大学、東北大学、北海道大学、それから京都、九州、こういう昔の帝国大学系統のもの、それからできれば昔の単科医科大学今の地方的な医科大学、そういうものの三つ、四つ、それから総括した全国のものを、保険経済と自由診療、さいぜん申しました文部省が国の予算で出しておられるものを出していただきたいと思います。今の大学課長さんの御説明で、大学病院の収入の少くとも六割ないし七割は保険患者の収入によってまかなわれているということなんです。従って、これが保険医療機関に指定せられて一般の医療機関と同列に取り扱われるということになりますと、今までの収入の状態はがらりという言葉は極端かもしれませんが、まずがらりと変ってくると見て差しつかえないと思うのです。従って、当然大学の方を担当せられておる大学学術局としては、何らかこの穴埋めの対策と申しますかそれを講じなければならぬと思うのです。そうしなければ病院経理はうまくいかないのじゃないかと思う。どうして申すかというと、まず第一に事務が非常に複雑になってきます。今までの事務員の機構ではやれない。いずれこれは保険局長の方に詳細に事務の問題については一貫した問題で質問をする所存でございますが、今まで大学の出しているような簡単な、備考欄も書かぬような事務では全部削られてしまいます。従って非常に複雑な事務をやらなければならぬ。おそらく現在大学が使っておる事務職員を倍にしなければならぬだろうと思います。それだけの事務が必要になる。備考欄に懇切丁寧に書かなければ大学のような特殊治療をやるところは全部削られてしまいます。それだけのことをやるためには、おそらく事務人件費が飛躍的に増加する、倍になるだろうと私は推定をしております。生活保護の事務の複雑化とともにこれはおそらく倍になるだろう。だから、そういう予算を、健康保険法を通した大蔵省なりが明白にこれは文部省に約束をしてもらわなければならぬ。そこでこれは当然主計局に来てもらっておかなければいかぬ。事務が複雑になることによって当然人件費がふえてくる。人件費のふえるばかりでなくして同時に今度は今言った保険患者を普通の患者、普通の診療機関と同じような形で扱うということのために、特殊治療は別個の形で大学は研究費として出してもらわなければならぬ。この経費は当然大学病院に与えられなければならぬということになる。今までは大学病院は削減されることはおそらく大してたかったと思う。その状態はどうですか。
○春山説明員 少かったように思います。ただいまのお話、確かに事務量がふえるのじゃないかということは大学も非常に鋭敏に考えております。それからお話のように、ただいま大阪の場合をあげられてお話しでございましたが、そういう事例もあって大学の担当料金でできないために収入が減っていくだろう、若干減るだろう。どのくらい減るかというのはなかなか見当がつかないわけですが、今後綿密にこの点は調査したいと思っております。来年の予算の編成期でもありますから、十分調査してみたいと思っております。しかし若干の収入減があるのじゃないかということを考えております。
○滝井委員 それからもう一つ、今まで大学が請求書を出しても、それはおそらく削減をされずにそのまま来ておったのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
○春山説明員 それはやはり大学についても相当指摘はされておったようではございますが、大学の要求は相当良心的には要求しておりますので、この良心的な要求を認めていただいておったようでございます。
○滝井委員 おそらくその言葉は削減をされていなかった、こういうことだろうと思う。良心的である。そうしますと今後は一々備考欄を書かないと、治療が複雑であればあるほど作文がたくさん要る。作文がたくさん要るということは、だれが作文を書くかといえば事務官が書いてはだめだ、医者が書かなければならない。そうしますと今後は大学は全部、大学の助手として働いておる医師諸君というものは保険医の登録をしなければならぬことになる。これは全部登録をおやりになるつもりだろうと思う。そうしなければ保険治療はできないことになるわけです。そうしますとその医師諸君が、今度は自分の担当した医療については請求書を書かなければならぬことになるわけであります。今までのように縁もゆかりもない事務当局にそれを書かせるわけにはいかない、この面の事務がまたふえてくる。そうしますと医者が保険医になって登録したからには、今までのようにそう安い、無料に近いような給料で使うわけにはいかない。すなわち保険医として登録をされた人が見たものによって大学は収入を得るのですから、これは正当な保険医としての賃金、給料というものが支払われてこなければならぬ。そうしますとここに大学の機構改革が問題になってくる。なぜならば、今度はその書いた保険医というものは責任を負う。もしこの保険医の書き方が悪ければ、濃厚診療のような書き方をしておれば保険医は即座に保険医をやめさせられます。ということは、即保険医が今度はやめさせられますが、大学として、同時に指定医療機関としての指定の取り消しの責めを受けなければならぬ、こういう形になってくる。従って大学自身のあり方についても、根本的に考え直さなければならない契機になってきている。おそらく大学は十月三十一日までで、十一月から正規にそういう格好になるのじゃなかろうかと思うのですが、その点はどうですか。
○春山説明員 大学病院も八月一日から実施になります。
○滝井委員 八月一日からだそうでございます。そうしますと、八月一日からというと大学の機構は当然そういう点で変ってこなければならぬのですが、一体どういう工合にお変えになる所存なのか、その構想を一つお聞かせ願いたいと思うのです。これはもう診療をやった医者の一人々々の責任になってくる。それは保険医療機関とそれから保険医の二重指定になっていますから、ただ一方に悪ければ一方によい、一方によければ一方に悪いという、こういう相関関係にある。もちろん相関関係を断ち切って、一方だけにしても問題がある。そうしますと研究のために残っている医者というものが保険医の取り消しを受ければ、その医者の一生に一つの罪悪としてついて回る。あの者は昭和何年何月何大学におったときに保険医の指定の取り消しを受けた医者だということが履歴書について回る。そうしますとその医者が大学を出て開業をしたり、病院を開いて保険医の登録をする場合にも、これは影響を受ける。従ってこういうことは、今までの大学のように安く使って大学の収入というわけにいかない。そこで働く医師諸君は当然そうなるのですから、正当な俸給をもらっておらなければ大へんなことなのですよ。従って当然大学の今までのような給与形態というものは問題が出てくると思う。それだけの責任ができてくる。責任のある者には責任を負うだけの俸給というものが与えられなければならぬ。だからこういう点は当然健康保険法の改正をし、そしてその改正に政府として一致の意見を持って国会を通したからには、それだけの対策と方針とが大学になければならぬ。もう八月一日といえばあさってですよ。これこそ重大問題ですよ。一体これを大学はどうするおつもりなのか、それから請求書の書き方その他についても、だれとだれが請求書をどういう工合にして書くのだということがおきまりになっておるのか、その事務機構もはっきりさせておかなければこれは大へんなことになる。
○春山説明員 ただいまの御質問は、大学は指定医療機関としての手続をやっていると申しましたが、保険医の登録を同時にやっております。それで支障のないようにいたしておるわけでございますが、手続についてはいろいろ急に変えられない事情もありまして、従来の方法をしばらくの間やるように話し合いをしております。
○滝井委員 保険当局にお尋ねしたいのですが、法律がきまって従来の方法をやるということはどういうことなのですか。
○高田(正)説明員 新しい制度に従って、大学病院でも請求書を従来の特別な契約をしておった通りという意味ではないようでございます。請求書は請求書として内容も書いて御請求を願うということになっているはずでございますが、ただいまの御答弁は、おそらく研究のために残っている医師に俸給を出すとかなんとかいうふうな関係については従来のようなことでいく、こういうふうな御趣旨であろうと存じます。
○滝井委員 いやいや、それは従来の通りといってもそういうことは許されぬと思うのです。いいですか、今までならば研究だけしておいて、大学という機関とそして保険者とが関係を結べばそれでよかったわけです。今度はそうじゃないのです。すなわちそこに働く一個の歯車というものがきわめて重要な役割を演ずるのです。保険医の指定とそして医療機関の登録という二本がなければ、保険治療というものはできない。保険医がなければできないのですよ。歯車がなければ機関は動かない。歯車が動いて総合されたものが療養の給付となって患者に与えられ、そうして機関が療養の給付を基金に請求するのです。こういう形になっている。従ってそういう歯車に、研究だからといって今まで通りやるということはできない。責任ができてきている。請求書を書かなければならぬ。書いたものについて間違っていればだれとだれが責任者だ。保険医の責任になる。保険医は一刀両断のもとに断ち切られてしまう。大学をおっぽり出されてしまう。もし間違っておればそういうことになる。お家断絶になる。だから、それを私は一応極端な表現をしたのですが、よらば大樹のもとといっても、大樹でも今度は許されない。小さな木のもとにおろうと大学のような大きな木のもとにおろうと許されない。しかも研究の自由が阻害されてくる。こういうことになればこの対策を大学学術局としては当然とらなければならぬ。一体いかなる方法でとるかということなんです。しかもそれはそういう制度を作った保険当局自体大学と密接な連絡をとってその隘路を断ち切っておいてあげなければならぬと思う。ところが実施をあすに控えておる段階におってまだそれはここで打ち合せをしなければわからぬということでは困る。こういうことではこの健康保険法というものはまだ周知徹底していない。私は言おうと思ったのですが、患者さんに私は聞いてみた。患者が一部負担を幾ら払うか。知っている人は一人もいない。一応どういう工合にあなた方は一部負担を支払うか。一人も知っていない。あなた方は医師には医療者講習会というものをやったかもしれないが、患者、被保険者には何もやっていない。こういう事態でこういう重大な保険法をやるということは大へんです。今は学識の最高の経験者である大学自体でさえも十分連絡がとれていない。しかも大学はあすから全部が保険医になるのだ。保険医は従来の通りだと言っても責任が生ずる。大学の医者の一人々々に聞いてごらんなさい。そんな保険医なら私は保険医になりませんと言いますよ。そうしますと大学の機能はとまるのですよ。だから大学の機能をとめるような法律を一つの内閣が、文部大臣なり厚生大臣が十分連絡をとった上で私はこの国会を通したと認識している。ところがそれが今になって、あすになってやる段階になってから従来の通りにやってもらうのでございますと言ったって、これは大学の先生方は詳しく知らぬからそれでいいかもしれません。しかしみんな一人々々がこの法律の内容を御存じになってごらんなさい。これは大へんなことですよ。そうなれば責任ある仕事をやらせるのですから責任の持てるだけの給料を払わなければならない。こういう点について今までみたようなインターンとか何とかということだけで許されぬことになってくるのですよ。従って当然保険医の登録をすればそれだけの責任が生じてくる。責任があるところにはそれだけの給料を支払わなければなりません。従って大学はそれだけの予算は大蔵省に要求してもらわなければならぬことになる。それから保険経済に依存しておった率が健康保険法の指定医療機関になることによってどういう減り方をしてくるか、事務がどういう工合に今後過大になってその事務費がどういう工合になるのかという、これはさっそく八月一日からということになるのですから、そういう点をもう少し明白にしていただきたいと思います。八日に薬価に関する小委員会を開くことになっておりますから、もう一度そこに来ていただいて、きょう御答弁できなければ一つ御答弁をしていただきたいと思うのですがいかがですか。
○春山説明員 ただいま申し上げましたように、大学は指定医療機関としての手続をとって進行しております。それから大学における保険医の登録もいたしまして健康保険の実施に支障のないような準備はいたしております。従来の通りと私が申したのは、保険医なり医療機関としての業務は少しもやめないで継続していくという意味で申し上げたわけで、手続その他については新しい法律に従ってやるのは当然でございます。つまり中断をするようなことはないということを申し上げたのでございます。
○滝井委員 中断したら大へんでございます。従って、大学としては必要な予算をどしどし御要求になって、保険医療機関は保険医療機関としてのあり方の正しい道をお歩みになる。同時に研究機関としては、保険でどうしてもやれないというところは堂々と予算を要求してもらって、そして万全を期していただきたい。具体的な大学のとっては、あるいはとるであろう措置については、今後どういう措置をとるという詳細な点については、いずれ八日にもう一回小委員会を開くつもりでおりますので、そのときに来て御説明を願いたいと思います。 次にお尋ねをしたい点は、今度の指定医療機関の中に保健所が入っておるということです。これは一体どういうことなのか。一つ保険局の御説明を願いたいと思います。
○小澤(龍)説明員 事務的な問題でございますので、私からお答えいたします。私ども四十三条の保険医療機関以外に特に保険医療機関としての類型を考えておりません。従いまして私どもは、健康保険法の審議のときに申し上げましたように、あくまでも医療法に基く病院、診療所をもとにしてそれらを指定する、しない、こういうことを考えておるわけでございます。従いまして、保健所といえども医療法に基いて届出を出してある医療法上の診療所であれば、当然それは機関指定申請の権利もありますし、またわれわれの方もそれが妥当であれば指定をする、こういうわけであります。
○滝井委員 しゃくし定木でいけばその通りだと思います。しかし医療というものは人間の生命に関係する問題で、そうしゃくし定木にはいかない。実はこれは医務局長さんの所管にも関係する応招の義務ですね。健康保険の保健所に夜急病になってかかったという場合に、当然保健所には今後医師が常時宿直しなければならぬという事態が起ってくる。保険医療機関になったのでありますから、何ら一般の保険機関、診療所と変るところはない。そうしますとここにもまた新しく予算要求をしなければならぬ問題が出てくる。保健所は性病と結核治療だけではなくなってくる。一般の私的医療機関と同じように当然応招の義務も出てくるし、常時患者を見ることになるわけです。被保険者がそこへ行けば、もう断わることはできません。一体そういうことが現在の日本の七百有余の保健所にあるかということなのです。医師の充足率は七割そこそこ、しかも全国の保健所の二割か三割か知りませんが、たった一人しか医師がいないというようなところが一体保険医療機関になって今後健康保険をやることになれば、どういうことになるのか。日本の予防行政との関係はどうなるのか。保険局は保険局としてのわが道を行っても、しかし本来保健所設立の目的であるメディカル・センターとしての役割は一体どうなるかということです。ここが治療に忙殺されることになれば、何もできません。こういう点まで考えて保険医療機関の指定をされたのか。単にしゃくし一片に、法律ができたから法律に従えば保健所はこういう範疇に入れる以外にありませんからこうやったというのか。これは日本の医療行政の根幹をゆるがす問題なのですよ。この点は応招の義務とも関連いたしますが、医務局長さんの所見はどうです。
○小澤(龍)説明員 医師に対する応招の義務は医師法によりまして一般の医師に対する義務となっておるのでございます。従いまして医師として医療に従事する者は正当な理由なくして診療を拒絶できないのであります。従って保健所が保健所独自の設立目的によって建てられ、しかも与えられた業務の範囲がきまっておれば、その範囲内におきまして診療を拒否することができない、かように解釈する次第でございます。
○滝井委員 どうも通り一ぺんの答弁ですが、医師である限りにおいては応招の義務があります。しかしだれが医師であるかということはわれわれはわからない。少くとも保険医療機関と保健所がレッテルをはられたからには、保健所のお医者さんには常時応招の義務が出てくるのです。問題はここなんです。しかも保健所に今度はどんどん普通の患者も行きますよ。今までのように性病とか結核というわけにはいかないのです。医療機関である限りにおいては一般疾病も行くわけです。そうしますと医者が一人しかいないような保健所の機能というものは一体どうなるかということなんです。これは公衆衛生局長がおらぬと、医務局長さんなんかに文句を言ってもしようがないのですが、保険局長さんそういうことをお考えになっての上でしょうね。今後保健所が保険医療機関になれば、保健所にはやはり医者を二人や三人置いておかぬことには、さあ伝染病が出た、防疫に所長さん行きなさい、ところが死ぬような病人がそこにおってどうにもならぬというときには一体どっちを選びますか。それは大へんなことになりますよ。
○高田(正)説明員 私はどうも滝井先比のお話がよくわからないのでございますが、応招の義務というのは保険医療機関になろうとなるまいとそれは関係のないことで、これは医師法でございましたか、それに基いたものでございます。それから保険医療機関になったからといってどんな患者でも見なければならぬというわけのものではございません。たとえば歯科も一般の保険医療機関でございますが、歯医者に行ってあれを見てくれといってもこれは困るのです。あるいは単科の外科へ行って内科を見てくれといってみたところがこれはできない。保険医療機関になったから必ずどういう患者でも見なければならぬのだということではないと思います。従いましてむしろ滝井先生の御質問の御趣旨というのは、保険所が治療をやるとかなんとかということが実体的に保健所の運営方針として妥当であるかどうかというふうなそちらの方の問題になれば、いろいろ論議もあろうかと思いますが、保険医療機関になったから、あるいは応招の義務云々というそういう問題ではないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
○滝井委員 あなたはどうもその問題を抽象論で言うからいけないのです。医療というものはきわめて現実的でなければならぬ。こういう抽象論だけではいかぬのですよ。なるほど歯科だから普通の患者は行かぬ、これはわれわれの方が行きません。しかし少くとも天下の保健所と銘打って、そこも一般医療機関で保健所へ何でも持ってきなさい、保健所は見ますぞ、保健医療機関になっているということはこういうことなんです。保健所がわれわれの方は性病と結核しか見ませんということを言ってくれれば別ですよ。しかし乳幼児の検診もやっているから赤ちゃんも行きます。乳幼児の検診に行った、病気だ、保健所で見てもらいましょう、こういうことになるわけです。そうするとこれは見るわけです。私はそういう常識論で言っている。そうしますと重くなれば必ず往診も頼まなければならぬということになる。保険証を預かったからには他の医療機関に行くわけにはいかぬのです。患者というものは一枚の保険証しかなくて、よそにかかるときにはその保険証をもらわなければ行けないのです。だから保健所に保険証を預けたからにはそこで今度は見てもらうことになる。急病になった、当然保健所に電話をかけて往診してもらわなければならぬことになる。これは常識論です。歯科に小児科の子供を連れて行って見ろなんということは大衆の方がやりません。だから常識論として、保健所が保険医療機関になって保険証を預かったからには応招の義務がある。往診なんかも頼んで来てもらわなければならぬ、こういうことなんです。その場合に、保健所は結核と性病以外は扱いません、こういうただし書きがあれば別ですよ。しかし一応われわれが見たところではそういうただし書きは見当らない。あなたの方がそういうつもりならばそうするつもりだ、こうおっしゃれば話はわかりますけれども、一応われわれが平板的に見るとそういうことはわからない。そうしますと、私は今から防疫の方に行かなければならぬからあなたの方へは行けないと言えば、本来の業務じゃないのですからね。ところが今度は新しく本来の業務として保険医療機関という看板をかけた。保健所が保険医療機関という看板をかけると、これはもはやそれが本来の業務であるといっても差しつかえないことになる。今までは保健所というものは保健所の看板しかかけていない。普通のいわゆる診療所という看板は大衆は認識してない。ところが今度保険医療機関ということになれば何でもどんどん見るということと同じなんです。それだけ大衆の認識を新たにしなければならぬ問題が一つ加わってきた。それは今でもいろいろ見てくれますよ、しかし今度は大学が特殊性があったのを一般に引き下げると同じように、保健所も大学と同じ形になってくるわけです。だからこういう点は私が今一つの問題として指摘しておりますが、あなた方これを平気に考えておるけれども、そう平気に考えることはできない。私は今から予言しておいてもいい、必ず問題が出てくる。問題が出てきたときに、どうもそういうことは当時気づきませんでしたいうのではおそいから、私はころばぬ先のつえで注意しておきます。必ず出てきます。乳幼児検診その他で保健所に行って病気であれば治療を受ける、それで帰ってきた、さあけいれんを起した、電話したけれども、私の方は往診はできません、必ず保健所が言いますよ。その場合にその子供が死にでもしてごらんなさい、それは大へんな社会問題が起きてくる。だからそういう点をおそらく十分勘案しての保険医療機関の指定であろうと私は非常に広義に善意に解釈して見ておりますけれども、今のあなたの木で鼻をくくったような答弁ではどうも納得ができない。応招の義務は医者ならだれでもある、それは私よく知っております。まさか歯医者だって保険医療機関だからというような、そういう何か顧みて他を言うような答弁ではこの問題は解決できないのですよ。だからそこらあたりもう少し私どもの納得のいく答弁をお願いしたい。
○高田(正)説明員 どうも私極端な例を申し上げまして申しわけございませんでしたが、保健所も先ほど健康保険課長から申しましたが、限られた性病とかなんとかいうものについての治療はやっておるわけです。それで従来もそういうことをやっておるところは保険者の指定する者ということに実はなっておったわけです。従って保険者の指定する者というものは、しかも一般公衆に開放されるものは全部医療機関ということにいたしましたから、それで従来そういうふうに保険者の指定する者というものになっておった保健所につきましては、従来と同じように保険医療機関ということにしたわけです。それで保険医療機関という看板を掲げる以上はどういう患者でも見なければならぬじゃないか、そうしないと応招の義務に反するじゃないかという御趣旨のようにとれる御質問がございましたので、いやそうじゃございません、歯科の例はまずいかもしれませんが、眼科が耳鼻科を見ろといっても、私は眼科だからということであれするのはいいわけです。従って保健所には保健所本来の使命がございます。保健所本来の使命のかたわらでそういう限られた治療を従来やっておるわけでございますから、その保健所の運営方針がいいか悪いかということは、これは私がとやかく言う筋のものじゃないと思うのですが、そういう保健所本来の使命のかたわらでやっておる限定された治療というものは、今回は保険医療機関というものにしませんと全然保険でかかれないということになります。従来の保険者の指定する者ということでやっておったのを保険医療機関ということにしませんと保険証ではかかれないということになったので、そういうことをやったわけです。従いまして実体としましては何ら従来と変らないのでございますというお答えを申し上げておるわけでございます。
○滝井委員 もう時間がないのでやめますが、保険者の指定するものというもので今までやっておった。従って今まである程度乳幼児その他保健に関係する問題等もそういうもので取り扱っておったのだから、名前を変えただけで従来と同じだ、こういう御答弁でございます。僕もそう解釈したいのです。ところがこれはだんだんものの量が多くなってくると、質が変ってくる、質が変ると量にも変化を与えるという相関関係があるように、もはや日本の医療機関の考え方というのは、この健康保険を契機として非常に変ってきつつあるということなんです。これはあなたは首を傾けておられますが、変ってきつつある。そうしますと、その影響を受けて、保健所に対するものの考え方ががらり違ってくるのです。それはわれわれ医者だって、外に出て働くよりか、家でゆっくり診察した方がいいという観念が出てくる。保険医療機関になれば、これはいろいろの者を見ることになる。見れば予防行政というものはお留守になって、治療行政というものにだんだん重点が置かれることになる。すなわち法律の改正によって、保険医療機関は保健所が指定されるということは、今までの保険者の指定するものと形は同じような感じがするけれども、だんだん長い目で見ていくと、これは保健所の性格に大きな変化を来たす前ぶれになる可能性があることを、十分私は予告しておきます。これは厚生当局がいいというならば、おそらくいいと言った責任を負わなければならぬ時期が私は来ると思います。だからそれだけの日本の予防行政に変化を与える契機をはらんでおるということを、私は見通しております。私は断言してはばからぬ。だから、そういう点でいいかということなんです。なるほど今まで保険者の指定するものであったのを保険医療機関にすれば、あなた方の責めは終るかもしれません。しかし日本の予防行政というものは、これによって非常に多くの制肘を受けなければならぬということなんです。この点は十分考えておいていただきたい。私今から予言をしておきます。 最後に、時間がありませんから一点だけお尋ねしますが、総合病院とは何かということです。今回の健康保険法の四十三条の八の四項で「歯科診療及歯科診療以外ノ診療ヲ併セ行フ保険医療機関並ニ二以上ノ診療科名ヲ有スル保険医療機関ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ歯科診療及歯科診療以外ノ診療又ハ診療科名ヲ異ニスル診療ニ付夫々別個ノ保険医療機関ト看做ス」こういうことになっております。その場合に、われわれは、普通の病院でも各科があれば、これは別個の保険医療機関として、初診料はそれぞれ別個に請求し得るものだ、こう考えておりました。法律審議のときにもそう考えておった。ところが質問で、多分総合病院がこれに当るんだということを言っておられましたが、この総合病院とは一体何かということなんです。総合病院の定義は、医療法にはなかったと記憶しております。だから、これはあなた方が新しく作られたものだと思うのです。どういうものなのか。こういうことをあんまり厳格に解釈していると、大へんなことになる。私はこういうものはできるだけわかり安く、平板にやっていかなければいかぬという考え方なんです。たとえば私が歯科医師であり医師であるとするならば、私の家に来た内科の患者と歯科の患者と、両方とも初診料がおそらく私は取れるだろうと思う。この条文の書き方からいけば。ところが私が内科の医者で、別に婦人科の医者と、AならAという診療所に二人おったとしますと、これはこの条文では取れないという解釈なんです。総合病院ならば取れて、そういうものでは取れないという本質的な違いは、一体どこにあるかということなんです。同じ医者であって、総合病院におる医者ならば、科が違えば初診療をそれぞれ取れる。ところが一つの診療所で二人おってもだめだということは、納得がいかないのです。おそらくこの解釈は、総合病院でなければだめだという答弁が私はあったように記憶しておるのです。ところがそれは論理的におかしい。当時もそういうことを言ったのですが、実施の段階になってやはりそういうことをやられておるようでありますが、幸い医務局長さんおいでになっておるので、総合病院とは何かということを簡単に要領よく御答弁願いたい。
○小澤(龍)説明員 総合病院は実は医療法に規定がございます。医療法の第四条で、患者百人以上の収容施設を持つということが一つの条件です。それから「その診療科名中に、内科、外科、産婦人科、眼科及び耳鼻いんこう科を含み、且つ、第二十二条各号に規定する施設を有するもの」とありまして、二十二条各号と申しますのは、たとえば化学、細菌及び病理の検査施設、病理解剖室、研究室等がなければならぬという施設の規定であります。これは病院の方で都道府県知事に申請いたしまして、その指定を受ければ総合病院と称することができるのであります。従来とも総合病院として指定を受けたものはあったのであります。
○滝井委員 これは保険局長さんにちょっとお尋ねしたいと思うのですが、たしかこの、「診療科名ヲ異ニスル診療ニ付夫々別個ノ保険医療機関ト看做ス」これは総合病院でなければだめだという答弁があったように記憶しておりますが、そうでございましたでしょうか。
○高田(正)説明員 私もはっきりした記憶は持っておりませんけれども、たしかそういうふうなものを命令に定めるつもりでございますというような答弁は、申し上げたような気がするのでございますが、はっきりした記憶はございません。
○滝井委員 命令はどういう定めをされておりますか。
○小澤(龍)説明員 ただいまの滝井先生がお読みになりました四十六条の命令は、厚生省令でございます。法律改正のときには実は保険局長から、初診料の請求を現在許しておる場合と大体合わす予定でおります。初診料の請求を許しておるのは総合病院でございます、それは各科でそれぞれ初診料の請求を許す、その他の機関については初診料の請求は一括して、一回の初診とみなして許していませんので、従って初診料の請求は一部負担の徴収と大体合わすつもりで命令をきめたいと思います。こういうふうに御答弁申し上げたつもりでございます。ただ従来初診料を許しておった取扱いについては、実は総合病院だけでございませんで、これに準ずるような、百ベッド以上の施設ということで、通牒で初診料の請求を許しております。ところが省令を、今度一部負担をそれぞれ別個の保険医療機関と見合わせまして取扱いをどこで線を引くかということをわれわれ検討いたしましたときに、やはりそうしたあいまいなことにしておきますと、準ずるものというのをどこでどういうふうに認定するか、これはとうていできませんので、従ってはっきりした線を総合病院というものによって用いた、こういうことになっております。この点につきましては、医療担当者側とも十分打ち合わせて規定した次第でございます。
○滝井委員 答弁は長かったが、結論は総合病院だけしか初診料を取ることができない、こういうことです。総合病院とは百人以上のベッドがあり、しかも内科、外科、産婦人科、死体解剖から、病理までの検査室を持っておる。こういうことになると、一体全国でこういうものが幾らありますか。りょうりょうたるものだと思う。そもそもこういう考え方が間違っておる。一体それじゃ総合病院の医者と普通の医者と、どこが違うかということです。同じ各科を持っておる病院が、内科から今度は外科に行って見てもらった場合に、それぞれの医者がそれぞれの自分の技術料をとるということは当然のことなんです。それを総合病院でなければ許すことはまかりならぬという理論は一体どこから出てくるのか。同じ医者で甲乙、上下があるはずはないと思う。その理論はどこから出てきますか。
○高田(正)説明員 そういう理屈でございませんで、従来とも初診料の請求を許しておったのと、許していないのとの取扱いの区別があったわけでございます。それでそれを今回従来の制度を大体その通りに持っていくということで、いろいろ検討いたしました結果、従来の制度には非常に不明確な部分があるので、大体一致する総合病院という制度が医療法上にございますので、そういうところではっきりと線を引いた。そういたしませんと、被保険者が百円払うか、二百円払うかということになるわけであります。それから医療機関の方でも、百円一回きりか、二回とれるかということで、実際問題としては非常に区別がありますので、ぼやっとしたところで線を引いては非常に混淆を来たすから、はっきりした線を引く。大体従来の扱いと同じ程度のところで線を引く、こういうことなのでございます。従いまして総合病院の医者と、それからそうでない、たとえば死体解剖室を持っておらぬ医療機関の医者と、一体どれだけ違うか。そういう理屈からいったものではございませんで、さような従来の取扱いをもとにして明確な線を引いた、こういうだけのことでございます。
○滝井委員 従来の取扱いをそのままにして明確な線を引いた、こういうことでございますが、健康保険法という抜本的な改革をやろうとする場合に、そういう明確な線とおっしゃるけれども、ちっとも明確でないのです。百ベッド以上あって、そうして内科とかいろいろの科を持っておる、それから病理検査室を持っておる。病理検査室があるのとないのとの違いは、その病院の中に行かなければわからないのです。だからちっとも明確でない。それならばいっそのこと総合病院もとらぬ方がいいのです。総合病院も普通の病院と一緒にした方がいい。これくらい明確なことはない。これくらい事務が簡素化することはない。むしろ従来のままでいくならば、健康保険法は改正する必要はなかった。ものごとをよりよくしようとするならば、明確な線でいこうとするならば、総合病院というのはおそらく各県に一つあるかないかでしょう。おそらく総合病院に当るのは、解剖室を持ち病理検査室を持っておるところでしょうが、これは大都市で一つあるかないか、そうたくさんはないはずなんです。これに当る総合病院の数は幾らあるか、あとで聞いてみますが、それだったらやらない方がいい。今局長さんのおっしゃることで、明確な線をきちっと引いてわかりやすくするというなら、あの入院の一部負担のわかりにくいことはどうですか。入院の一部負担について、ここで局長さんに説明してごらんなさいと言っても説明できないでしょう。入院の一部負担をわれわれ患者はどういう工合にして払ったらいいか、局長さんわかったらやってごらんなさい。これくらい不明確なことはない。そういうことは平気でおやりになって、こういうものだけは従来の通り明確な線を引いたというのは受け取れない。これは同じ一部負担ですよ。百円の一部負担を払うか払わないかという問題なんです。ですからこういうことで明確にされたというなら、むしろあの一部負担を明確にしなければならない。一年の間に一回被保険者が入院したならば、一回は一カ月について一日払えばいいのだと言ってくれた方が、どのくらい明確でわかりやすいかわからない。私は何回読んでもわからない。おそらく全国の医者で、わかっている人は指折り数えるほどしかおらぬでしょう。日本医師会の幹部に入院の一部負担を全部説明して下さいといっても、わかるのは保険担当の理事くらいじゃないでしょうか。保険局の人でも、おそらくここにいる人で患者の一部負担を説明してごらんなさいといっても、館林さんが説明できるかできぬかくらいだと思います。あるいは保険課長もできるかもしれないが、指折り数えるくらいしかおらない。日本の九千万国民の中でですよ。それがあなた方のいう明確な線なんです。それで自分たちのやることは最上のものだと考えているところに、いつも保険行政の行き詰まる道があるのです。だから私はきょうは最後に悪たれをついておりますが、これは反省をしてもらわなければならぬ。私はくどいことを言うようでありますが、これは一部負担を改正しなければだめだ。あんな書き方では患者もわからないし、医者もわからない。患者が入院した場合に、どういう方式で一部負担を払っておるのかわかりません。私はいろいろ窓口で聞いてみたのだが、わかりません。健康保険が改正されたことは聞いておりますけれども、一部負担をどういう工合に払っていいかわかりません。わかっている人は一人もいない。これが実態です。従ってこれは同じ一部負担でも、総合病院と個人病院を区別する根拠はどこにもない。ただあなたが言われた通りに、従来そうであったからということだ。だから従来の悪いことは、この際思い切って総合病院にも払わないことにすれば、これくらいきちっとした線はない。だからその点を一つ御考慮願っておきたい。 それから総合病院でこれに当てはまるものは全国に幾らあるのか、それだけ参考のためにお考え願いたい。
○小澤(龍)説明員 これは知事の承認事項になっておりますので、ただいま全部の数字が私どもにはわかっておりませんが、帰って調べてみないとお答えできません。できるだけ早く調べてみたいと思います。
○滝井委員 そうするとこれは保険局の方にはおわかりになっておるはずだと思いますがね。どの病院とどの病院が初診料を各科でとってよろしいかということはわかっておらなければ大へんなんです。保険局長はおわかりになっておるはずでしょう。
○高田(正)説明員 そういう制度はあれしておりますけれども、それの制度にはまる病院が幾つあるかというのは、やはり調べてみないとわかりません。数はどの程度か、これは御必要があれば、医務局と同じように調べて出したいと思います。
○滝井委員 どうも私はふに落ちないのです。今局長の御答弁は、従来もやっておったから従来の通りでございますとこういうことなんです。従来やっておったのなら従来どれとどれをやっておったということはわかるはずです。では、全国はむずかしいでしょうが、東京はどことどこです。それもおわかりにならぬですか。
○小澤(龍)説明員 いや、私の方は、実は総合病院の数がどれくらいで、あるいはまた初診料請求を許しておる施設がどれくらいあるかということよりも、そういう意味で初診の件数が一体どれくらいあるかということを考えまして、そして一部負担の財政効果をはじいたわけでございます。従いまして初診の際百円までの一部負担というものが、どの程度の財政効果があるかという基礎計算としては、たとえばそれを、百円の一部負担が起ってくる初診が計数としてどれくらいあるかというトータルについて調べておいてあるわけでございます。各病院別には調べてないわけでございます。
○滝井委員 どうも驚き入りました。あなた方は法律をお書きになっているのですよ。四十三条の八の四項というものは、あなた方がお書きになっている法律です。そのお書きになっている法律の「夫々別個の保険医療機関ト肴倣ス」というその別個の保険医療機関というものは、総合病院だとおっしゃっているわけですね。各科請求が初診料を請求するのは総合病院だ。そうするとその総合病院というものは一体幾らあるのか、どういうのがそれに当るのかということになると、それはどうも私の方じゃわかりません、こういうことになったんでは、これは一体どこでわかるのです。たとえば審査の請求書が出た場合に、一人の患者について二度の初診料請求をしてもいいということを見分けなければならぬから、わかってくるはずです。出されたらみんな認めるということになれば、何もこんなワクをつける必要はない。だから、それはどこかがわかっておらなければならぬと思うのだが、医務局もどうもはっきりしない、保険当局もはっきりしないというなら、大体どこではっきりしますか。これは昼からお尋ねしますが……。
○小澤(龍)説明員 レセプトの請求が出て参りますと、レセプトの欄の中に、御承知の通り一部負担の金額の欄がございます。これは総合病院の各医療機関が、医療機関別に請求を各基金に出すことになっておりますので、基金では総合病院の承認を得たということがはっきりいたして、請求があれば、私どもの方は下の医療機関が書き入れました一部負担金の額で考えていくだけでございまして、それで少しも支障がないわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、私の方は総合病院でございますとこういう工合に請求書に書いて出すわけですね。そうしますと、その書いて出すについては、どこか裏打ちをしてくれるところがなくちゃならないわけです。その裏打ちはおそらく知事か何かがやるわけですね。そうすると、知事が裏打ちをやるためにはそれぞれの病院に行って、病理検査室があるか、解剖室があるかときちんと調べて、これは間違いございませんと裏打ちしなければならぬ、こういうことになるわけです。そうしますと、今までやっていてどことどこがそういうことがあったということが、法律を書くときにはわかった上でなければならぬ。法律というものは実体をもって抽象化された文章で書かれたものであります。それが実体が全然わからぬで、従来通りきちっと一線線を引くということは、全然ナンセンスですよ。だから保険当局は、四十三条の八の四項を書くときには、実態を調査してみてこれを書かなければならぬ。今のを聞いてみると、実態はわからぬ、基金でそう書いてくるから私の方はそれをそのまま計算すればいい、こういうことらしい。しかしもうそれ以上言いません。 そこで、全国の総合病院が一体各県でどういう分布状態になっているのかを御提出願いたいと思います。それによってまた一部負担の問題を事務の簡素化の問題と関連して質問いたします。どうも大へん長く……。
○藤本委員長 午後二時まで休憩いたします。 午後零時五十三分休憩 ————◇————— 午後二時二十八分開議
○藤本委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。 この際堀木厚生大臣より発言を求められておりますのでこれを許します。堀木厚生大臣。
○堀木国務大臣 今回岸内閣の改造に当りまして厚生大臣の重任を負うこととなりましたが、何分にも経験に乏しく浅学非才の身でございまして、内心危懼の念を禁じがたいものがございます。幸いに、各位の御指導御鞭撻を得て、その任を果したいものと考えております。 さて、昭和三十二年度におきましては、第二十六回国会において、当委員会に御審議を願いました諸法律、予算等につきまして、御審議の過程を通じて明らかになりました各位の御意見を十分尊重し、誠実に実行いたす考えでおりますとともに、昭和三十三年度において具体化すべき厚生行政の重要施策につきましては、法律面及び予算面の各般の角度から目下鋭意検討中でありますが、何分にも広範、かつ、多岐にわたっておりますので、遺憾ながらいまだ御批判を仰ぐ段階に立ち至っていない次第でございます。しかしながら、内閣の改造に当りまして、総理がいわゆる三悪追放を掲げ、社会保障体制を整備し、福祉国家を建設いたしたい考えを表明いたしておりますので、私もまた、あらゆる障害を克服して、社会保障その他厚生行政の前進をはかり、もって国民生活の安定と国民の福祉の増進とに寄与いたしたいと存ずる次第でございます。 微衷をおくみ取りの上、重ねて御鞭撻のほどをお願い申し上げます。 なお、この機会に、七月二十五日九州地方に発生いたしました豪雨による災害について一言申し上げたいと存じます。御承知の通り、今回の災害は長崎県を初めとして、相当甚大な被害を生じ、特に目下判明いたしておりますだけでも一千六百名をこえる死者、行方不明者を生じておりますことは、まことに痛ましい出来事でございまして遺憾にたえないところでございます。 現地におきましては直ちに災害救助法を発動して応急救助に万全を期しているのでありますが、政府といたしましては、係官を現地に派遣いたしまして対策に当らせますとともに、すでに去る二十七日中央災害対策協議会を開いて、関係各省、関係団体等の連携のもとに全般的な救助対策の確立を急いでいるのであります。私も一日も早く適切な救助措置の万全を期したいと存じ、一昨二十八日岸総理とともに、とりあえず、現地を視察して参りまして、被害の現状と災害対策を主として見て参りました。災害の実情に対しまして、当省のとりました措置につきましては、別紙お手元に配付してあるものにより御了解を願いたいと存じます。 以上をもって簡単でございますがごあいさつといたします。(拍手)
○藤本委員長 次に、米田厚生政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。米田厚生政務次官。
○米田説明員 このたび私は厚生政務次官に就任することになりました。大臣の今のごあいさつにございましたように、福祉国家建設の途上にあります厚生行政は、非常に重要なものであると自覚いたしております。微力な者ではございますが、誠心誠意、職責を全うするために努力いたしたいと思っております。委員の皆さんの多大の御鞭撻をお願いいたしたいと存じます。 一言就任に当りましてごあいさつを申し上げる次第であります。(拍手) —————————————
○藤本委員長 次に、社会保障制度、医療、公衆衛生、婦人・児童福祉及び人口問題に関する件についての質疑を続行いたします。八木一男君。
○八木(一男)委員 まず最初に堀木さんと米田さんが大臣と政務次官に御就任になりましたことについて、お祝いを申し上げたいと思います。 これからただいま厚生大臣が拘負をお述べになりましたのを伺いました立場におきまして、いろいろと厚生行政に対するお考えを伺って参りたいと思うわけでございます。 まず第一に、堀木先生は参議院におきまして常にこういう問題に、また属される政党におきまして社会保障の推進に非常に努められてこられたことは、私ども存じ上げておりまして、ほんとうによい大臣が御就任になったと思うのでございますが、どうか社会保障の推進の御熱意を今度こそはほんとうに生かしていただいて、強力にこれが前進するようにしていただきたいと思うわけでございます。その観点に立ちまして今度の社会保障の諸問題についてどのように御推進になるお気持かを伺いたいわけでございますが、まず第一に国民皆保険、福祉国家建設の一つの大きな部門といたしまして国民皆保険というものが前の石橋内閣、また引き続きまして岸内閣において唱えられているわけでございますが、それらはどのような方法で、どのように具体的に御実現なさろうというお考えかを承わりたいと思うのでございます。
○堀木国務大臣 八木委員の御質問に付しましてお答え申し上げます。国民皆保険ということは、今もおっしゃいますように、前内閣から党におきましても方針として持ち、内閣としても持っておりまして、四カ年計画で皆保険を実施したいということの方針を示しておるわけでございますが、今おっしゃいましたように、何としても二千数百万人に及ぶ未加入者がおりますということは、われわれとしても放置することができないということを十分考えているのでございます。しかしながらただいま御指摘のように、いかにしてやるか、いかなる具体的方策を持っているかということが一番問題だと思うのでございます。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、何としてもこの事柄を実現いたしたいという方向で進んでおりますが、具体的方策は大体八月一ぱいくらいに終りたいという考えでおりますので、目下鋭意検討中でございますが、多分質問のうちにお含みのような、要するに結核問題をどうするか、無医村地区をどうするか、医療報酬をどうするかというふうな基礎的条件を解決しなければならない重大な場面に到着いたしております。これらに向いましても私どもとしては何とか目鼻をつけなければならぬというところでございますが、ここで具体的方策を皆さんの前に御披瀝する段階、御批判をちょうだいする段階に達しておりませんので、しばらくこれらの点について猶予をかしていただきたい、こう考えているような次第でございます。
○八木(一男)委員 御就任早々でございますから、そういう御答弁になられるかと思いますが、ごく細部に至った点は別にいたしまして、大筋においてこのような方法で実行していきたいというような線は、当然新大臣として考えておられるはずであろうと思いますし、またおられるだろうと信ずるものでございますが、それについて一つ伺わせていただきたいと思います。
○堀木国務大臣 御質問の点はごもっともでございますが、大体御承知の通りに、いろいろな審議会あるいは調査会等がございます。さらに私どもとしては、日本医師会その他民間団体とも目下協議を進めておるところでございまして、それらが実際に現われて参りませんと、ここで責任あるお話が私はできにくい状態である、こういう委員会が開かれましてそういう御答弁をするのはまことに遺憾でございますが、もう少し時日をかしていただいたら、何とか当委員会において論議されました点を十分織り込んで具体案を作りたいものである、そう考えておるような次第でございます。
○八木(一男)委員 先ほど大臣のごあいさつにありましたように、「第二十六回国会において、当委員会に御審議を願いました諸法律、予算等につきまして、御審議の過程を通じて明らかになりました各位の御意見を十分尊重し、誠実に実行いたす考えでおります」ということをおっしゃっておられるわけでございます。それとともにその当時その審議の過程において、岸内閣の厚生大臣であるとか大蔵大臣、また総理大臣自体が御答弁になりました趣旨は、これは当然内閣としても、厚生大臣としても実現なさるお気持であろうと思うわけでございますが、それについてはいかがでございますか。
○堀木国務大臣 ただいまごあいさつに述べましたことは、誠実に実行することをあらためて表明いたしたいと思って申し上げましたような次第でございます。
○八木(一男)委員 今の御発言で、私の質問の通りのお気持であるというふうに理解いたしますが、それでよろしゅうございますか。
○堀木国務大臣 むろん最初の就任に当ってごあいさつする以上は、それについて自分自身が誠意を傾けるつもりであるからこそ表明いたしたというお考えであいさつをおとり下すってけっこうだと思います。
○八木(一男)委員 いろいろと同僚の方々が質問を用意しておられますし、たくさん申し上げたいこともございますが、そういう状況にもありますので、おもだった問題をずばりとこれからお伺いをいたしたいと思います。 国民皆保険の問題の中に、健康保険でやっていくか国民健康保険でやっていくかという大きな問題がございます。またその健康保険や国民健康保険をどうやっていくかという問題も大きな問題でございますが、その一つの焦点といたしまして、五人未満の事業所の従業員につきましては、前の神田厚生大臣は、これは健康保険でやっていきたいというようなお気持を発表しておられるわけでございます。またいろいろの点から見て、当然これは健康保険の範疇に属すべきものだと私ども考えておりますし、また識者もそう申しております。練達な厚生大臣に詳しく申し上げる必要はございませんけれども、私ども考えている点を二点ほど申し上げますと、当然労働者でございますから、五人以上の事業所の労働者と、五人未満の事業所の労働者とは同じ立場にある。むしろそれ以上に零細企業で賃金その他も少いというようなところから見まして、それ以上に健康保険の適用が必要であるという状態にあると考えております。特に雇用主の半額負担という条件は、労働者にとって絶対的なものであると考えておりますとともに、傷病手当金の問題が非常に大きな問題であろうかと思います。御承知の通り、傷病手当金につきましては、国民健康保険にも全部必要であろうと私どもは思います。その方向までどんどんと進めていただかなければならないと思いますけれども、それが一挙にしてできない場合には、少くとも労働者には特に必要である。たとえば零細企業者のときには、御主人が病気でも、奥さんが、苦労ではありますけれども何とかかわりをして幾分の収入を商店では上げ得る。また農村の場合でも、気の毒ではありますけれども何とか収入の道をつなげるという状態がございまするけれども、労働者の場合で、主人が病気で賃金がとまった場合には、奥さんなりその家族が即時就職をいたすということはできませんし、農地や店舗というようなものを持っておりませんから、どうしてもこの傷病手当金がなければ生活ができない。また主人の方は、傷病手当金を受けない場合には療養に専心することができないで、みずからの健康を削ってでも働きに出なければならないということがありまして、健康保険にとっての根本的な趣旨を誤まるような結果になるわけであります。今まで、このような五人未満の零細事業所の労働者諸君に健康保険がなかった点は非常に遺憾でございまして、今までなかったから、傷病手当金がなくても医療給付だけがあればいいのじゃないかというような妥協的な考え方は大いに間違いでございまして、労働者の場合は、当然このような二点から健康保険でやるべきものだと私どもは考えております。そうしてまた、社会保障、医療保障関係の識者もそういう御意見が大半でございますし、厚生省でもそうお考えになっておられたように私は伺っております。ところがこの問題につきまして仄聞するところによりますと、大蔵省あたりで財政上から抵抗があるというようなうわさを聞くわけてございますが、どうか厚生大臣におかれては、そのような医療保障とか社会保障というようなものの重大性を考えられまして、大蔵省の方の、ただ金を締めればいいという、金を生かして使うということを考えないような立場に押されないで、強力にそれを進めていただきたいと思うわけでございますが、その点についての御所信を伺いたいと思います。
○堀木国務大臣 五人未満の事業所の従業員といえどもこれは労働者である、そうしてそういう者が傷病にかかったときに、健保の恩恵と申しますか、健保の制度の適用として、その家族に対して救済の手が差し伸べられる制度というものがいいのじゃないか、理屈の上からと、実際の社会保障としての保険制度の性質から当然そうあるべきだという御議論でございましたが、私どもも納得できるわけでございます。しかし同時に、国民健康保険の方の給付の内容につきましても、今のままでいいのかという問題も十分検討しなければならない。むろん私ども、大蔵省の事務当局の何でも制限すればいいという考え方というものに追従するつもりはございません。およそ社会保障の前進をはからなければならぬとすれば、むろん見方によってはそういう金を使うことこそ国家、社会のためであるということも十分わかっておるのでございますが、事、具体的になりますと、被保険者の負担の問題も考えなければならないし、それから保険財政の面も考えなければならぬという点から、今実はそれらの点について、もうほうっておくわけにいかぬじゃないか、国民皆保険を叫びながらその問題が未解決のままにあることは、われわれとしては非常に遺憾だということで、実はしきりに省内を督励しつつ私も研究いたしておるという段階でございます。この問題は非常に長い間の懸案でございますから、何とか目鼻をつけていきたいという考えで、今努力をいたしておるような次第でございます。それらにつきましても、なおしばらく時日をかしていただきたいと思います。
○八木(一男)委員 懇切にお話を伺いましたが、言い回しが非常に婉曲に申されましたので、はっきりとしておかなければならないと思うわけでございますが、五人未満の零細企業の従業員に対して健康保険を適用するという方針のもとに進んでおられるのかどうか、一つ明確にお答えを願いたいと思います。
○堀木国務大臣 理論的には、私は健康保険の方向で努力をするのがいいんだという考え方は持っておりますが、それだけでものを解決するわけにいかない。と申しますのは、これはよく御承知だと思うのでありますが、日雇い保険の場合も、社会党の方でお考えになりましたときに、まずともかくも給付内容は別として、ああいう日雇い労務者自身が残されているのは困るじゃないかとおっしゃって、私も党におりますときにも実はそれに賛成いたしたような次第でございます。そうすると問題は健保にするのか国保にするのか、あるいは二千六百万人に及ぶ未加入者をほっておくのか、あるいはそれに少しでも入り得るような制度の拡充をはかるのかというふうな問題について具体的に今検討しておる段階でございます。健保でいくのだあるいは国保でいくのだとここでお答えすることが御希望かと思うのですが、はなはだ申しわけないが、そこまでお答えする段階に至っていない、こういうことでございます。
○八木(一男)委員 国民皆保険ということを打ち出されておりますから、最低限国保を全部急速に当然やられるという前提のもとに立っておるわけです。ですから国保の問題については後ほどまたお伺いをいたしますけれども、最低限それはもうある。その次に零細企業の場合に、それを国保でやられるか健保でやられるかという問題を伺っているわけでございます。当然医療保障が適用されるということは、岸内閣がほんとうに具体的に早く実行されるかどうかは別といたしまして、そういうお約束をなさったはずですので、その点で言っておるわけでございまして、ですから医療保障は適用される。そのほか傷病手当金のついた健康保険制度で適用されるかどうかという問題を今申し上げておるわけです。大臣は、趣旨としては賛成だ、しかしいろいろの問題があると言われました。その中で財政的の点もおっしゃいましたけれども、財政の問題はこまかく調べなければきっちりした数字は出て参りませんし、また調べてもほんとうにやってみたらどういう数字になるか、なかなかむずかしい問題でありますが、しかし一番大きな要素として、健康保険の場合には雇用主の半額負担という問題がございます。ですからこの問題は大きな要素でございまして、そういう問題がありましたときに、財政見地からこの零細企業に国民健康保険を適用できないということは言えないはずだと思う。雇用主負担がある、雇用主負担を出させるのは気の毒だというような意見がある。しかしこれは六人のところでは雇用主負担を出している。五人のところでは出している。四人のところが出せないというような理屈はないし、また労働者を四人働かしている雇用主が、ほかの雇用主と同じようにその労働者に対する保険料を半額負担するという立場は、当然なくてはならないはずでございます。財政的見地で、健康保険の問題は趣旨はいいけれどもまだ考えなければ同等がすぐできないとおっしゃるのは、これは筋がはずれているので、この問題につきましては、五人未満の捕捉ができにくいというようなことを前から厚生当局で言っております。これは大きな政治の怠慢であろうかと思います。捕捉ができないというのは、これはほんとうに公務員の人の怠慢なのであって、しようと思えばできる。人数が足りないといえば、人数を足りさせるだけの整備をするだけの案を立てて、それでやらなければいけないと思う。全体的に捕捉ができないということをよくいいますけれども、こういう問題は利益になる問題でありますから、制度ができればその医療保障の適用を受けたいという人は、当然われわれもそういう立場にあるのに、なぜ事務上の手続ができていないのだろうか、なぜ厚生省の出先の機関から連絡が来ないのだろうかということを、その該当者から言ってくるわけであります。税金の場合であれば、言ってこなければそうっとしておこうというようなことがあるかもしれませんが、自分たちの当然の権利で大事なことを推進してもらっているときには、向うからも捕捉に強力な協力がある。だから捕捉というような問題はほんとうは問題ではない。それが捕捉が困難であるといっていることは、今までの厚生行政の怠慢である。たとえば労働省関係におきましては、失業保険の五人未満の適用を考えておられる、石田労働大臣がお約束なさいました。労働省でできることが厚生省でできないことはありません。ですからそういう問題は捕捉の問題ということの隘路はないはずだろうと思います。ほんとうに社会保障に熱心な堀木大臣は、そういうような障害は、多少今まで困難があろうとも、乗り越えておやりになる御決心があろうかと思うわけでございます。こう私の申し上げた点だけでございますが、堀木大臣から言われました財政、それから私が想像で申し上げました捕捉の困難、この両方の問題は当然克服さるべきものであり、また福祉国家建設という公約を掲げられた内閣としては、これは公約を掲げられなくても、この大事な問題は当然推進しなければならない問題でございまするが、特に公約を掲げてこられた内閣としては、当然これは急速に実現されなければならないことだと思うわけでございます。いろいろの点で研究してからというお立場で御返答になっておられますけれども、こういう社会保障という党の公約をほんとうに実現しようという線に沿った保険でありますから、勇敢にそれをやるのだという御返事を今いただきたいと思うのです。
○堀木国務大臣 何といいますか、つべこべ言わないで、やるのかやらないのか言えというお話で、御趣旨はよくわかるのであります。しかしこれは八木委員もいろいろな問題を含んでおることはよく御承知と思う。もうそんなに長いこと考えているつもりはございませんが、もう少しかすに時日をもってしていただきたいということを特にお願いを申し上げます。
○八木(一男)委員 同じことを言ってもしようがありませんので、いろいろと研究、相談をなさるということであろうと思いますけれども、健康保険に入れるという線で強力に推される、ほんとうに厚生大臣になったらこのことをやるというつもりで推される、そういう御意思の御表明をぜひお願いしたいと思います。
○堀木国務大臣 ただ気持だけを申し上げましてもしようがないと思いますが、むろん八木委員の言われますことは多くの真理を含んでおるということを考えつつ具体案を作りたい、こう考えております。
○八木(一男)委員 お気持はけっこうなんですけれども、御答弁は非常に不満足なんです。しかしそれを実現するために強力に邁進されるというお気持を伺って、この問題については一応打ち切り、ほかの問題に移ることにいたします。 次に国民健康保険についてでございます。これも四カ年で全部推進するということを考えておられますけれども、国民健康保険が今までも法律がありながら、これが全国に全部でき上らなかったという理由はいろいろとございます。申し上げるまでもなくおわかりでございますけれども、第一に魅力が少い。健康保険の対象者になった場合でも半額しか負担してくれないということがございます。それで極端に申しますると、非常に零細な生活をやっておられる方が保険料をかけている。そして国民健康保険の被保険者の中で裕福な部類に属する方は、大きな病気、長い病気になったとき半額負担に耐え得る、ですから保険金を受けて、半額を自分が出して医療をすることができる。ところが非常に貧困な人は、保険料はかけながら、そういうふうな半額負担に耐えないためにそれを放擲してしまって、そういう人がかけ捨てになるというような点もございます。また制限診療とか、診療内容が非常に十分でないという点もございます。また全般的に財政困難で行き当っておるという保険自体の方の問題がございます。こういう問題を詳しく申し上げなくても、そういう問題を解決することが一番だ。ただ不十分なままに、お上が言うんだからしゃにむにやれと言ってやることは——それでも入ることは前進でございます。しかしあとで保険財政が破綻したり、そういう不満が出たりしたのでは、それはそんなにいい方法だとは言えません。ほんとうに国民健康保険はよいものだという魅力ができて、そしてそれを運営する財政その他が破綻なくいけるような見通しができて、そして強力な施策で急速に国民皆保険が全国に行きわたることが一番よいことでなくてはなりません。ところが政府の方は、ただ昔の方針通りやる、いわゆる二割国庫負担のままで適用して、国民健康保険組合ができてやるところの数を想定して、その予算を出しただけである。ほんとうに国民健康保険の内容をよくして、みんなが入ろうという要件を作っていない。そういうような条件でできたときの金だけを用意している。こういうことでは国民皆保険を唱えても、大はったりで、内容がないものといわなければならない。そういう点で当然国民健康保険の内容をよくするために、結核の医療費の全額の公費負担をして、その分を健康保険、国民健康保険の会計からはずすべきである。そうなれば内容が非常によくなるという問題がある。そういう根本的に考えることのほかに、ごくみみっちい考えでございまするが、二割を三割にして、それで国民健康保険の問題をよくしろということが定説になっています。ところが、みみっちいというようないささか品のない言葉を使いましたけれども、そのようなことすら今まではっきりとやろうとしておられない。内閣も落ちついたわけですし、堀木さんも大臣になられたわけですから、この私が品の悪い言葉で批評しましたみみっちい程度のことは即座にやられるべきだと思いますが、そういうようなことを、国民健康保険の要件をよくして、そして急速に皆保険をやられるという御決意があるかどうか。それからもう一つ、国庫負担の増額、増率を次の予算から実行される御決意があるかどうか承わりたいと思います。
○堀木国務大臣 国保の問題につきましていろいろ御意見を拝聴いたしましたのですが、私どもとしても八木委員の言われる方向に——社会保障に関しましてはわれわれとして考えておりまする理想については、私はそうはなはだしい隔たりはないと思うのでございます。ただ実際に実施いたしますために、現状をいろいろ勘案しなければならないというところに幾分の問題点が出て参ります。今みみっちいお話だと言われました国庫負担の増額の問題にいたしましても、確かに二割を三割にしろという問題は前からございます。結核に対しては社会保障制度審議会においても、当委員会においてもいろいろの御意見が出ておるわけでございます。ただそのどれ一つをとりましても、その問題だけとして解決がしにくい問題がたくさんあることは、八木委員の御承知の通りでございます。私どもとしては、そういう問題について、あくまでも国民負担は少くて、そうして医療内容がよくて、入る人が魅力を十分感じるということが必要であることは御承知の通りだと思うのであります。しかしこれは私から申し上げるまでもないが、二割をいたしますときにも相当問題があった。従来いろいろ懸案になっておりましたそれらの問題をすべてひっくるめて今度解決しようとするのが私どもの責任でなかろうか、こういうふうに考えております。しかし、具体的には先ほども申し上げましたように、もう少し時日をかしていただきたい。私が参りまして、長い間の懸案が、いかにおほめをちょうだいしても短かい期間にそううまく解決するとは私も思わないし、私がよほどの渾身の勇をふるってもどこまでいくかというのは、いろいろな条件を作り上げなければならぬという前提に立っておりますので、今日の段階に確信を持ってこういたしますと言う状態にはなっておりません。方向はできるだけそういう方向に向いたいと思いつつ督励し、自分もどうしたらいいかということを日夜研究しておるという状態でございます。
○八木(一男)委員 私どもは、健康保険には即時に二割の国庫貧打をするべきである、国民健康保険には即時三割の国庫負担をするべきである、日雇労働者健康保険には五割の国庫負担をするべきである。それのみでなく結核の治療費の全額公費負担をして、それだけの分を保険財政からはずすべきである。ですから実質的に諸保険は四割、五割、六割くらいの負担にすべきであって、そうして被保険者に対しては、国民健康保険の被保険者あるいは健康保険の家族の給付率を高めるべきであるという考え方を持っているわけです。その問題につきまして、先ほど堀木大臣がいろいろ苦衷を述べておいでになりましたけれども、困難という問題は全部金の問題にかかって参ります。技術的に困難と言うのは怠慢にすぎません。国費の支出の問題にかかっているわけです。国費の支出の問題で、これはどこへ出しても同じでございますが、一応いろいろの識者が主張し、また社会保障制度審議会が長い間かかって熱心に討議した結論も、結核の治療費の全額公費負担をし、それを保険支出の中からはずすべきであるという線が出ております。この問題につきまして、岸内閣総理大臣、その当時は臨時代理でございましたが、と厚生大臣その他に伺いましたときに、内閣の審議会の勧告はこれを重視する、即刻至急に実現することに努めたいということを今の内閣総理大臣の岸さんが明確に御答弁なさっておられるわけです。そこでこの三十二年度の予算に盛られておらない点について強力に指摘したわけでございますが、ことしのものには間に合わなかったけれども、次年度以降において大いに考えたいと言っておられるわけであります。ここで今、次の三十三年度の予算の編成期で、厚生省からいろいろの予算要求を出される時期に達しております。このような内閣総理大臣の言明を基礎といたされまして強力に打ち出していただきたい。金の問題が全部の解決のもとでございます。そういうことでございますから、結核の治療費の国庫負担の問題についても強力に御推進になっていただく考えがおありになろうと思いますが、それについて御答弁を願いたいと思います。
○堀木国務大臣 今おっしゃいましたことはむろん私どもも——実は数日前でございましたが、社会党の皆さんから、社会党の政策としてわれわれはこう考える、だから厚生当局としてはこの実現に努力すべしという御鞭撻を受けて、私どもも了承いたしておるのでございます。さらに社会保障制度審議会なり、岸総理大臣なり、神田前厚相の御答弁につきましても、われわれ自身もむろん国会に向って表明しましたことはできるだけ実現をすみやかに期したい、こういう考え方で三十三年度の予算を編成いたしたいという考え方のもとにやっております。しかし今おっしゃいましたが、実はまだ八月中にきめなくても八月中か九月中にきめれば予算に間に合うことは八木委員がよく御承知の通りであります。われわれは予算編成を目途にいたしまして——しかし何も予算だけで政策が制約されるはずのものでございません。また見方を変えれば、予算の編成の費額につきましても非常に比重がかかって参るということを考えておりますので、予算にはむろん間に合わしますが、予算前に大体の方向は打ち出したい、こういうふうに考えて実は毎日鋭意やっておるわけでございます。できますならこの委員会が開かれますきょう、幾分でも御批判を仰げるような案を作りたいと思っておりましたが、何を申しても時日が足りませんので、まことに申しわけないと思う次第でございます。依然として同じことを繰り返しまして申しわけございませんが、今おっしゃったような問題にはもう少し時日をかしていただきたい、特にお願いを申し上げる次第でございます。
○八木(一男)委員 結核問題につきましてはほんとうに私どもは厚生大臣に、決死の覚悟といいますと時代錯誤の言葉でございますが、それくらいの勢いでやっていただきたいと思うのです。社会保障制度審議会の勧告でございますが、あれにつきましては、もちろん委員としてその当時の各省の人も参画しておられるはずでございます。大蔵省も大蔵事務次官が完全に委員の一名になっているはずでございます。与野党ともに出て、それで各団体ともに出られまして、そこで——もちろんあそこの審議会の審議のまとめ方は御承知の通り異論がありましてもまとまった最大公約数のものをまとめております。でございますから、私どもはあの勧告に対しまして大いにまた異議があるわけでございますが、しかし与党の方も参画され、そして政府の代表も参画されて、当然こうあるべきだとされたものについては、それだけのことが権威をもって実行されなければならないと思いますし、それから公式の衆議院の社会労働委員会において総理大臣からそれを尊重すると言われた以上は、これはほんとうに実現されなければいけないものだと思う。たとい一萬田大蔵大臣が何と言われようと、大蔵省の主計局が何と抵抗しようと、これは押し切っていただかなければ内閣のほんとうの使命が果されないと思う。また今の政党内閣が一部の大蔵省の公務員の方に支配されるような結果になっては政治上大きな、ゆゆしき問題だと思うわけでございます。ところが、堀木さんもこれを貫いていただける決心だと思いますけれども、事はなかなか、今までの経験から見ると容易なものではございません。大蔵省の一主計官の抵抗によって厚生省の一局自体が振り回されているようなことが今まで往々にしてございました。ですからほんとうに、いわば横暴きわまる大蔵省の抵抗を排除するには相当厚生省全体が決意をもってやっていただかなければならないと思うわけでございます。その点でほんとうにがんばっていただきたい。大蔵省が財政上何とか言おうとも、この結核の治療の問題については財政論を逆に巻き返していただきたいと思う。結核の治療法は今完全に完成しております。ところが、それで日本中の結核患者が完全に根治することができないのは金の問題からである。個人財政の問題であり、府県財政の問題である。それを国の金をつぎ込んで根絶しなければならない時期でございます。今、完成したときにそうしなければ、たとえば抵抗菌の繁殖その他の問題によりましてまたその時期を逸する。国家全体の衛生の非常な重大な問題でございます。大ぜいの患者とその何百万人という関係者はもちろんでございますが、将来における全国民の問題、それを大蔵省が国民負担の問題で負担がふえるからというようなことに藉口して逃げることは許されるべき問題ではございません。大蔵省は何と言おうとも、今この五年か十年で絶滅をすれば後の財政支出が減るんだ、大蔵省は目先のことだけを考えないで、財政計画は日本全体の将来にわたる財政計画で考えるべきであるという立場、非常になまいきな態度で申し上げましたが、そのくらいの立場で大蔵省を完全に指導して、ほかの問題は予算上の問題が一切どうであろうとも、この問題だけはワクを先にやる、そしてそのほかの問題は残りのワク内でやるというくらいの勢いをもって押しまくっていただきたいと思います。そして、堀木厚生大臣がほんとうに全力を上げてやられてもまだ抵抗が強いとお感じになりますときは、公約をなさった総理自体をそこに引っ張り出して大蔵省の抵抗を押しつぶす役割りをしていただかなければならぬと思っております。大へん気負った口調で申し上げて非常に恐縮でありますが、その方針でやっていただくことによって健康保険あるいは国民健康保険のすべての医療保険財政の問題が片づき、そしてほかの病気の治療を十分にする、そして医療給付を高める、いろいろなことがすべて完成するわけでございます。どうかその意味で強力にやっていただきたいと思いまするが、あらためて強力な御決意の御披瀝を願いたいと思います。
○堀木国務大臣 実情から見ますと、まことにごもっともなお話だと思うのであります。しかし、大蔵大臣だけの内閣じゃございません、それから今おっしゃったように視野を大きく見ると、かえって国民の幸福を増しながらしかも本来の日本の国民所得がふえ繁栄の基礎を築くことができるという観点に立っておりますから、視野を狭くしてただその年度の予算だけつじつまが合えばいいというふうな考えに対しては全力をあげて戦うつもりでおります。なお実際の政治力によりまして、今おっしゃった総理大臣を引っ張り出したりいろいろするか、そのときの情勢によってでございますが、あるいはまた八木さんの御鞭撻も願わなければならぬかもしれない、しかし、それらについてはともかくも私自身が厚生大臣の任を受けておりまして、広い視野から問題の解決をはかりたいということだけの決心は十分皆さんの前に申し上げることができると思います。
○八木(一男)委員 そこで、まだその問題について質問を申し上げたいのですが、時間がありませんので、ぜひ大臣にお願いしたいことがあるわけでございますが、ここに厚生省の厚生行政に練達な局長さんその他全部おられます。そして非常に熱心な方で練達な方でございます。その日ごろの御努力に対しては敬意を表しているわけでございますが、しかし今までの厚生行政が財政関係から押えられてきた、それをはねのける厚生大臣の今までの努力が非常に良的なものだという立場に立って、そういう立場を守るためにいろいろと厚生省の各部局の担当者の方が、全部とは言いませんけれども、相当力を尽してこられた方もあるし、そうじゃない立場でやられるとしても、これだけいっても今までの厚生省の抑えられた立場でははね上りでつぶされるだけだから、一歩前進という形でこれだけにしておこうという消極的な態度が厚生省全体にある。これはその方々の責任とは言いません、今まで厚生省自体が大蔵省に押えられ、内閣自体が社会保障の大事な問題を軽視しておるところから遠因しているわけでございますが、今後そのような御決意で大臣になられてやられますときに、その大臣の御決意を、いろいろと精密に案を立てるときに、今までの風習だ、今までのやり方で大臣の決意を引っ張るようなことにならないように、大臣の御決意を厚生省全体の練達の士が押し上げ、大臣がぼやぼやしていたらたたき上げるというふうに各局長も考えていただきたい。また大臣は、厚生省の各練達の力が、一つ一つの問題については今のところ大臣よりも精密でおられるかもしれませんが、やり方の御決意は今までと違ってやるのだというふうに御鞭撻をぜひ願いたいと思うわけでございます。
○堀木国務大臣 厚生官僚がとかく消極的になりがちだ。それはどうも従来の大臣にも責任があるとおっしゃるわけでございますが、私は厚生省の受け持っております仕事は理想はなるべく高く持って、そしてそれに対して努力するのが君らの役じゃないか。それは事務官僚としての限度はあります。しかし理想を高く持って現実との調和をはかる。理想だけでから倒れになりましても困りますが、しかし理想はどこまでも高く持つ。そして現実問題として一歩々々その理想に近づくということが私の考えておることで、この間も厚生官僚のおもなる者にわれわれはこういうアンビションを持っている、ぜひそういう問題について助けてもらいたいということを言いましたばかりで、実は内輪話をこういうところでして申しわけございませんが、あくまでも今おっしゃるような方向に指導いたしますつもりでございます。
○八木(一男)委員 その問題は御決意を承わりましたし、また厚生省の局長さん方もこれはそういうつもりで積極的にやっていただけると思いますので、その問題はこれだけにいたしまして、次にやや具体的な問題になりまするが、日雇労働者健康保険の問題について伺いたいと思います。 この日雇い労働者健康保険の内容が非常に不十分であることは御承知の通りでございます。いろいろと直さなければならないことがございまするが、当面問題になっておりまするのはまず傷病手当金制度を作るという問題、その次に受給期間の短かいのを延ばすという点、この二点におもにしぼられると思うわけでございます。その傷病手当金の問題につきましては、この前の神田厚生大臣からはっきりと御言明がございました。私どもは、もちろん実現していただけることは確信をしているわけでございまするが、その実現が、内容があまり乏しくてはあまり前進にはならぬ。実現される場合に、巷間伝えられる去年あたり伺ったような微温的な小さな額でなしに、短かい期間でなしに、相当有効な期間のものをぜひ新大臣の手で即刻次の予算で実現をしていただきたい。もっと希望を申し上げれば、臨時国会にでもこの傷病手当金の問題を出して、年度の途中からでもこれを実現して、少しでも今それを要望する人が助かるように急速にやっていただきたいと考えるわけであります。その内容と、それから臨時国会でやっていただくという問題についてのお考えを一つ承わらせていただきたいと思います。
○堀木国務大臣 日雇い労務者の健康保険の問題は、実は八木さんの方が経過的にもよく御承知なのです。私も党におりまして、あの問題のときにタッチいたしました。しかしその後の情勢につきましては、まだ説明を聞いたばかりでございます。事実初めからあの保険は相当いろいろな問題を包蔵しておったことは、これは八木さんも御承知の通りであります。今おっしゃったような具体的な問題については、やはりすべての健保、国保、日雇い、船員というものの関係を全部総洗いにしたいというのが私の考え方であります。それらを総合勘案してなるべく——それはもうむろんああいう保険会計にいたしました以上、なるべく給付内容をよくしたいというのは事実ですが、同時にこれは、すぐ大蔵省との関係とおっしゃってお前は大蔵省の前に弱いと言われるかもしれませんが、やはり保険財政というものも責任者として一応考えなければならぬ、そういう点も勘案いたしまして考えてみたい、こう考えております。
○八木(一男)委員 非常に何といいますか、堀木大臣の慎重な御性格で全部同じような御答弁になっておられるわけでございますが、はっきり申し上げておきたいことは、日雇い労働者の傷病手当金は二十六国会の本会議の質問におきまして完全に、はっきりと約束をされておるわけであります。これをやらなければ少くとも内閣の重大責任になります。その次に、それを即刻やるという場合に、通常国会ではなしに臨時国会でやれるものは早くやるというのは当然でございます。この点につきましてもいろいろ御相談の期間はありましょうが、臨時国会はいつ開かれるか私存じませんけれども、もし一週間後というようなときに開かれない限りは、臨時国会に間に合わすということも、ほんとうにおやりになる気があれば可能であろうと思います。その点も一つ御推進を願いたいと思います。また傷病手当金以外に給付期間の延長ということも当然考えていただかなければならぬことでございます。また同様の日雇い状態にある山林の労働者その他それに類似の人たちをこの中に包含する、またほかの保険で入れる——健康保険じゃなしに、ほかの労働者の健康保険に入れることができればこれはかまいませんけれども、いろいろな業態の実態上入れることができなければ、少くともそういうところに当然即時入れるという御方針を打ち出していただきたいと思うわけでございます。さらにこの問題につきまして、この前の神田厚生大臣はこの日雇い健康保険の事務手続が非常に複雑で、被保険者が非常に困難をしているという問題につきまして即刻解決するということを公約なさいました。そしてその後厚生省でもそういう準備が進んでおられるように承わってもおりまするし、また準備がなかなかゆっくりであるというふうにも伺っております。これは即時やっていただかなければならない問題だと思います。行政上の行政措置の問題でございまするから、ほんとうに厚生省の決意があれば即時実現ができるわけであります。この点につきましてどのように進んでおりまするかということを伺いたいのと、大臣がどのように即時進めようという御決意であるかということを伺いたいと思います。
○堀木国務大臣 日雇い労務者の傷病手当制度については、おっしゃる通りに一日も早くしたいということで、実施の手続について調査研究中であることは事実でございます。しかしそれを臨時国会開催と同時に出すか、やはり三十三年度の予算とあわせて実施するかについては、まだ何とも実は考えておりません。おっしゃいましたことは十分に参考にいたしますが、やはり三十三年度の予算とともに考える方がいいのじゃなかろうかという気はありますが、しかし今度は、日雇い労務者の方からは一日も早くという問題も勘案しなければならないと思うのであります。それから手続の簡素化は、むろん検討しているという報告は受けておるのでありますが、実情につきましては説明員から答弁させていただきたいと思います。
○高田(正)説明員 日雇い健康保険の受給手続の簡素化はずっと前からやっております。それにつきまして日雇い労務の実態というものから現在の受給手続というものが出ておりますので、それをどういうふうに直したならば被保険者の方の便宜になり、しかもまた日雇い労務者の労務の実態から申しても、手っとり早く言えば煩にわたらないかというふうな、その具体的な方法を実はいろいろ検討いたしております。それで私ども一、二案実は持っておるわけでございますが、それらにつきまして、もう少し日雇い労働者の代表の方等ともよくお話し合いをしてみたい。向うも若干の案を持っております。具体的に、ごくこれは事務的に話を今進めておる最中であります。適当な案ができ上りましたらそれをやりたいと思っております。その際に法令の改正にまで及ぶかあるいはそういうことなくやれるか、その辺のところは案のまとまり方によってきまって参る。目下研究中であり、しかも具体的に進行いたしております。その成否のほどはまだ申し上げるまでに至っておりません。
○八木(一男)委員 堀木大臣のさっきの臨時国会の問題ですが、臨時国会に間に合せることがほんとうに当該者の国民のためになる。通常国会の方は役所間のいろいろな関係とか、政党間でそういう例が今まで少いとかそういうようなことの関係でございますが、どうか国民のために臨時国会にやっていただくようにぜひ強くそのことを要求しておきたいと思います。 今の手続の簡素化につきましては、大臣は就任早々でございますが、即刻関心を持ってやっていただきたいと思います。今高田さんの方から御答弁がありまして、進んでいるそうでございまするが、もうしかしこの問題が起りましてから相当の日月がたっております。至急にやっていただきたい。そうして関係団体とのお話し合いもちろんけっこうでございます。そこでお話し合いで私どもはこの問題は総体的に関係団体の言う通りにして間違いはない問題だと思う。お話し合いで時期がずれているということについては、そんたくいたしますると、厚生省側で、悪意の被保険者なり悪意の何とかというものに何かそういうような手続を簡素化することによって乗ぜられるといけないというような御心配から、意見の一致を見ていないのではないかと思うわけですが、その問題については、被保険者なり関係者は全部善意の者と前提してかかるべきものだと思う。何万分の一、何百万分の一の悪意の者のために善意の多くの者が不便をする。手続をするために何回も電車に乗って賃金の乏しい人が電車賃を消費する。仕事ができない。また子供を見ることができないので高い金を渡してほかの人に預かってもらって手続に来る。そういうときにあくまでも善意の、そうしてそれを必要とする被保険者の国民の立場で問題を考える。お役所側に幾分の危惧があろうとも、それの数百万倍の被保険者の利益を考えて、そういう諸団体側の要求を入れた案で即刻解決をしていただきたいということを、大臣にもまた高田さんにもぜひ要望しておきたいと思うわけです。同僚委員の御質問がございますから、もっともっと申し上げたいことはあるわけでございまするが、あと一点にとどめるわけでございます。 国民年金の問題についてでございまするが、国民年金については厚生省は今どのようにお考えになり、またどのようにお運びになっておられるかお伺いしたい。
○堀木国務大臣 国民年金につきましては、御承知の通り、これは八木委員の方が御承知だと思いますが、国民年金委員を設けまして審議を開始した状態でございます。まだ準備段階でございますが、われわれとしてもこれらについて事務的な準備研究を目下やっている最中であります。そう申し上げるのが一番現段階に合っている御報告だと思いますが、われわれとしては国民年金制度の創設の準備を急いで、できるだけ年金制度の実施に向いたいものだというように考えております。
○八木(一男)委員 国民年金が必要なことは申すまでもございません。老齢人口が非常にふえてくる。そうして家族の中の経済的関係もだいぶ変ってきておるというようなことで、当然こういう問題が早く進められなければならない。拠出年金の場合は、何十年かたたなければ実効が現われないということであれば一日も早くやらなければならない問題です。そういう点で非常に大きな問題でございますから相当研究期間のかかることは確かでございますけれども、しかしそれを一日も早く推進するという立場でやっていただきたいと思うわけです。 そこでその問題について具体的なことを一つ申し上げたいのは、私の私見でございますけれども、国民年金制度をどのようなスケールでやるかによっていろいろ問題が違って参りますけれども、当然その年金制度が確立するまでにおいて、現在の老齢の人、またすぐ老齢になる人の問題を考えなければならないことは、どの審議会やどの委員会やどの学識経験者が考えても明らかな問題だと思う。将来の大きな全体の制度についてはじっくりとかまえなければなりませんけれども、現在の老人また現在の老齢年金以外に、たとえば未亡人の家庭であるとか、また身体障害者の家庭であるとか、そういうようなところに年金の必要なことは、どの観点から考えてもわかる。そうしますと総合的な年金の構想ができましても、そういうことは過渡的に出てくる。そうなればその問題は年金の構成で確実にまとまるまで待つ必要はない。そのような観点から日本社会党では母子年金法案、あるいは慰老年金法案を衆議院及び参議院において上程したわけでございますが、自由民主党がこれに即刻御賛同されずに、まだ継続審議になっておるものもあり、そのままになっておるという点は非常に遺憾でございますが、過去のことはとにかくといたしまして、社会保障を熱心に推進なさる堀木さんが御就任になった以上は、そして岸内閣が貧乏の追放を叫んでおられる以上は、そのような形式的な将来の問題を検討中であるということでなしに、現在直ちに必要であり、将来の構想はきまっても、そういう別なものを考えなければならない問題について、即時かかる必要があると思う。そのような考えから社会党は法案を出しておる、また出す予定でおりますけれども、政府自体としても、そういう問題と即刻取り組まれまして、来年度の予算に組まれる必要がある。年金の構想が終ってからということでは間に合いません。今老齢の人が助かりません。今未亡人の人、今身体障害の人が助かりません。そういう問題について推進されるお気持があるかどうか、その点について伺いたい。
○堀木国務大臣 今御指摘の老齢年金、廃疾年金、それから未亡人と申しますか、母子年金というふうなものが早く先に取り上げられなければならぬというお説に対しては同感でございます。自由民主党としても、この問題については決しておろそかにしていないのでありまして、社会保障制度の一環としてこれらについて非常な研究を進めておられます。私ども自身もその情勢に即応してこの問題の解決に向いたい、こう考えております。
○八木(一男)委員 今考えられております必要な年金、これが無拠出であるのは当然の結論であろうかと思います。そうなりますと、制度の問題は簡単でございます。ただ金を出す決心があるかどうか。自民党が貧乏をほんとうに追放する気持があるかどうか。また社会保障をほんとうに推進する気持があるかどうかという問題なのであります。ですからこれをなさなければ、貧乏追放なり社会保障なり福祉国家の看板をおろされるということになる。これをやられればその看板の中の百分の一くらいを実現されたということになる。そういうことで、ほかの問題の年金制度全体の調査審議を進められるとともに、この問題を具体的に来年度の予算から組まれる御決心でやっていただきたい。もし組まれない場合には、その看板を即刻おろしていただくということで猛烈な攻撃を展開することをあらかじめ申し上げておきます。
○藤本委員長 滝井義高君。
○滝井委員 ただいま同僚八木委員からいろいろ御質問がありましたが、大臣の御答弁を聞きますと、検討中、もうしばらく時間をかしてくれ、なかなかどうも慎重のかまえでございます。私たちは昨日青年大臣と言われる石田労働大臣の所見を伺いました。石田大臣は、自分は大臣に就任することによって何を考え何をなさんとするかということを率直にお述べになりました。その述べた事項はまだ閣議の了解も得ていなければ党との間に意見の一致を見ていないものでございました。しかし少くとも自分が労働大臣に就任したからにはこれだけのことは石田博英としてはぜひやりたい、それを率直にお述べになったのです。きょう私はここでじっと客観的な立場で石田労働大臣の言と厚生大臣堀木さんの言とを聞いてみて、二人の性格の違うのをまのあたりに見ることができたのでございます。堀木さんは石橋をたたいて渡るというかその慎重さは敬服の至りでございます。しかし厚生省は長いものでございます。ずいぶん長く続く省であろうと思います。しかし堀木厚生大臣の命というものは長くないのです。これはわれわれが歴史を振り返ってみればすぐわかる。私は今ここに来てずっと最近の大臣の寿命をながめてみました。まずこれははっきり申し上げます。参考のために申し上げておかなければ大臣を誤まらしてはいかぬと思う。あんまり昔にさかのぼるとわかりませんので、最近のものを見ていきますと、まず昭和二十八年五月二十一日には吉田内閣が成立をいたしておりますが、そのときの厚生大臣は山縣勝見先生、草葉隆圓先生の二人がなったのでございます。この内閣が一番最後の吉田内閣ですが、鳩山内閣に昭和二十九年十二月十日にはかわっております。すなわち最後の吉田内閣ができて鳩山内閣になるまで約二十カ月で、この間に二人の厚生大臣がおられたということです。平均してみますと十カ月です。次に厚生大臣になったのは鶴見祐輔先生でございます。ところがこの内閣はさっそく三十年の三月十九日にかわりまして、今度は川崎厚生大臣になりました。鶴見先生は四カ月でございます。川崎さんが厚生大臣に就任し、中で一時三木先生が臨時代理をやられました。これが今度は三十年の十一月二十二日、第三次鳩山内閣という形になりました。すなわち川崎さんの生命は九カ月でございました。三十年の十一月二十二日に小林さんが新しく厚生大臣に迎えられまして、三十一年の多分十二月二十三日だったと思いますが、石橋内閣が生誕をいたしました。すなわち小林さんの寿命は長くて一年であったのでございます。そして次に石橋内閣になって神田厚生大臣になり、七月の十日第二次岸内閣成立とともに神田さんは去って行ったのでございます。すなわち神田さんは七カ月であったのでございます。このようにここ四、五代の内閣の厚生大臣の寿命を見ますと一年以下でございます。われわれは遠き将来の歴史を考える場合には、過去の歴史を振り返ってみなければなりません。まず厚生大臣に就任をせられたならば、厚生大臣の寿命というものは一体幾らなのかということを見ることが一番大事な点なんです。賢明な慎重な大臣でございますので、おそらく十分ごらんになって腹におさめられておられると思いますが、長くて一年でございます。しからば大体一年の寿命の厚生大臣がいかなることをなしたかというと、まず第一に草葉さんを見てみますと、草葉さんはたった一つのことをなしてくれました。非常に大きな歴史的なことをなしました。それは医薬分業のための法律を苦心惨たんして国会を通したということでございます。次に大臣になりました鶴見さんは大して何もしませんでした。次に大臣になった川崎さんは厚生行政というものを天下に宣伝をしてくれたのでございます。大して大きな業績はなかったけれども、厚生行政というものを大きく日刊紙その他ジャーナリズムを通じて全国に浸透せしめた功績は、これは若い厚生大臣川崎君の偉大な功績であったと思うのです。次に厚生大臣になった小林さんは苦労の連続でございました。すなわち健康保険を維持するために苦労に苦労を重ねたのでございます。いわば苦労の連続をやったというのが小林厚生大臣、しかもその苦労はやがて次の厚生大臣である神田さんで実を結びました。第三次健康保険法は現在の政府管掌の健康保険に大きく黒字を打ち立てるところの基盤を苦労によって作ってやったということです。この点で小林さんの功績は没することができない。小林さんの跡を受けた神田さんは第三次健康保険を通したということです。しからば一体命の短かい歴代の厚生大臣の業績を見てみますと、その中に何か大きな歴史的な仕事は一つあるかないかということです。一体厚生大臣に就任をした堀木鎌三さんは何をなさんとするか、自分が就任をしたならばこのことだけは絶対になさなければならぬというものがあるはずだ。それであればこそ厚生大臣を買って出たと思う。伴食大臣ではないはずだ。しからばあなたは何をなさんとするか、これを一つここで言ってもらいたい。これは研究も何も要らない、ここで研究なさると言うのならば、私は一年間のうちに堀木厚生大臣というものは何もせずに終らなければならぬということを断言しておかなければならぬ。ここでなったからには何をなさるか、あなたの命をかけて、堀木鎌三男でござると言ってなさんとする一つのことをここで言ってもらいたい。これが私のまず第一の質問でございます。
○堀木国務大臣 滝井委員がおっしゃる通り、厚生大臣の過去の在任期間というのは非常に短かいのでございます。私も厚生省に乗り込むと同時に、おれの命は短かいんだからその短かい期間に急いでやらなくてはならぬということは、実は事務を督励する一つの手段としてもやはりやっておる次第でございます。われわれとしては国民皆保険を目ざしてその基礎的条件を整備することである、こういうふうに考えております。すなわち国民健康保険を考えますに当っても、健康保険その他のすべての基礎的条件を整備するということが私の第一の使命であろうと考えております。
○滝井委員 非常によくわかりました。国民皆保険を遂行するための基礎的条件を整備する、きわめて抽象的なようでございますが、これくらい具体的なはっきり取り組む目標をお示し願ったことに私は敬意を表したいと思います。そこでこの国民皆保険の基礎的な条件を整備するという大臣のいわゆるただ一つの目標に向って今から質問をさせていただきたいと思うのでございます。 そこでまず石橋内閣から岸内閣に政権が移動をいたしました。しかし岸内閣は一切の石橋内閣の政策と予算とを受け継いで発足をしたことは、すでに国会で岸総理みずからが御言明をせられておる通りでございます。従って石橋内閣が五つの誓いを立てまして、その五つの誓いの中で四番目に福祉国家の建設をうたったのでございます。その福祉国家の建設ということは、岸内閣においては三悪追放の中の貧乏を追放するということで具体的に現われてきておると思うのでございます。そうしますとその厚生行政を整備をする、国民皆保険のための基礎的な条件を整備していくということは、同時に大きな目標としては貧乏追放ということになる。ところがこの一年間であろうと予想をせられる厚生大臣の任期中に死命をかけてやるものは、すなわち皆保険といういわゆる貧乏追放の一つの手段であり、有力なてこの基礎を作る、こういうことに理論的にはなってこようかと思うのです。そこでその基礎的な条件を整備せられていくためにはやはりいろいろ難関があろうと思います。難関があってもこれはやっていっていただかなければならぬが、基礎的な条件を整備していくためには、これは私は大きいことから一応考えてみる必要があろうかと思います。そこで具体的に堀木さんに御質問をするのですが、堀木さんは基礎的条件を整備せられる前提として、日本の国民所得の中からどの程度のものを国民皆保険のための基礎的条件を整備する経費として出し得ると達観せられるかということです。これは研究しなくともおよそわかっておられるところだと思います。大体国民所得の中からどの程度のものを出せば皆保険のための基礎的条件の整備ができるかということです。
○堀木国務大臣 今御質問になりましたことは、理論の立て方によっていろいろと考えられるのであります。私どもとしては今御指摘の点につきましては、やはり私自身が考え方をまとめたいというので、実は今私自身の考えを定める段階にある、こうお考えを願っていいと思うのであります。これは、研究しなくていいとおっしゃいますが、やはり研究すべき一つの大きな問題である、こういうふうに私は考えております。
○滝井委員 ちょっと私の舌足らずでございましたが、これは大いに研究をしていただかなければなりません。そこで研究をせられるについては、過去において大体国民所得の中からどの程度のものが、日本の現実に行われておる皆保険の中につぎ込まれておるかということは、大臣御認識になっておるだろうと思うのです。過去においてどの程度のものが皆保険のためにつぎ込まれたかということをお考えになれば、将来も大体そのくらいのものは出るという確信が出てくるわけです。それに大臣の政治力、国民的な世論というものを背景にしながら、それにプラス・アルファと申しますか、それ以上のものが出てくる、こういうことになる。それから先は堀木さんの腕次第ということになるわけです。従って大臣がわからなければ、事務当局にここで御説明願いたいのですが、皆保険のために大体過去においてどの程度のものが国民所得の中から出されておったかということなんです。これを一つ御説明願いたいと思うのです。これは就任して三十日になる大臣が、渾身の力を打ち込んでやることが国民皆保険の基礎的な整備であるというならば、まず大臣にこれを教えることが事務当局の当然の努めでなくちゃならぬと思うのですが、大臣、過去のものがどういう状態であったかということをお開きになっていますか。
○堀木国務大臣 実は数字は今幾らだか、正確に私としては答えられません。一度研究しただけでございます。しかし今おっしゃったほかに諸外国でどういうふうにそれができておるかという問題もあわせて考えなければならぬということになります。それでなければ、過去の実績だけにとらわれておっては、社会保障の前進はあり得ないというふうに私自身は考えて数字を見ておることを御了承願いたいと思います。正確な数字は、政府委員から過去の実績については答弁させていただきたいと思います。
○太宰説明員 ただいま手持ちの資料は昭和三十年度まででございますが、厚生省の調査いたしました推計によりますと、大体国民総医療費が二千七百十五億、当時の国民の分配所得が六兆八千億見当でございます。大体比率は四%ほどになるかと存じます。もちろん国民総医療費として推計いたしておりますので、この中にはいわゆる自由診療の分とか、あるいは医療に直接かかった経費のほかに、つき添いの費用とかいうものも若干含めております。まずまずこの辺から大体見当をつけて参ることができるかと存じますが、以上お答え申し上げます。
○滝井委員 そうしますと、今太宰さんから御説明のありましたように、国民所得の四%というものが三十年度で出ておるわけなんです。大臣御存じのように、今年は予算面においては、国民所得推計八兆一千八百億の四%と見ますと、三千二百億になるわけです。三千二百億だけの金は一応出し得るという形、もし三十年度の実績を基礎にするならば、そういうことが考えられるわけです。それが正しいか正しくないかは、一応検討の余地があります。大臣が言われるように研究をしていただかなければなりません。しかし昭和二十六年以来日本の国民所得と総医療費との関係の歩み来ったところの状態というものを、私たちが考えてみまして、そうとっぴな計数というものが、ここで堀木さんが大臣になったからといって出るものではないと思う。問題はこの統計のとり方、国民所得のとり方はそう間違っていないと思う、問題は総医療費のとり方が正確であるかどうかという検討をすれば、大体よかろうと思います。外国では三・五%程度であるけれども、日本には貧しい階層が多いので、これが四%あるいはそれをこえる、こういう状態だと思うんです。もちろん国民総医療費の中にいろいろ問題がありますが、これは専門的になりますから、きょうはやりません。しかしとにかく三十二年度においては三千二百億をちょっとこえる程度の医療費が出し得る、こういうことなんです。三千二百億というものがあれば、これは相当いけるという結論が出てくる。なぜならば、二千七百十五億というのが三十年度ですから、五百億ふえる。日本が過去において社会保険という予算の面に国が出しておる状態を、失業保険を含めて見てみますと、どういうことになっておるかというと、百億も飛躍的に増加しておる例はない。昭和二十五年から三十一年までの、失業保険も含めて、いわゆる社会保険、事務費も含めて、国の出した予算の状態を見ますと、昨年から今年という、つまり一年の開きで百億も予算が増加したという例はないです。これは出典を明らかにしておきますが、大阪大学の近藤文二先生の資料によっております。私もちょっとやってみましたが、大体間違っていないようであります。昭和二十五年が、端数を切りのけて、百十二億、二十六年が百三十一億、二十七年が百七十二億、二十八年が二百五十四億、二十九年が二百九十八億、三十年が三百十六億、三十一年が三百二十五億、そうしますと、失業保険をのけて社会保険だけをとってみますと、昨年は百六十億、今年は二百一億、昭和三十一年から三十二年に四十億しかふえておりません。失業保険をのけて純粋の社会保険関係は、四十億しかふえておりません。この数字をごらんになってもわかるように、百億をこえて増加したということは一回もない。一番飛躍的に予算が増加したのは、昭和二十七年から二十八年の増加でございます。すなわち百七十二億から二百五十四億、約八十億程度増加した。これが最高です。私はきわめて論理的に大臣に言うわけです。総医療費は国民所得の四%程度、こう押えられた。大体これを五%に上げるということは、保険局次長の小山さんの説ではないけれども、保守党の政府ではまず三・五%から四%、社会党ならば四・五までいけるかもしれぬということを個人的に小山さんが一応議論したことがある。そうしますともう大体保守党の限界がきている。そうして過去の社会保険の実績は百億以下だ、こういうことなんです。一体こういう予算の実績の中で、大臣は、大臣就任によって皆保険の基礎的条件を整備するという。その基礎的条件の整備をやるための具体策として、まず第一に何を置くかということです。これは今きわめて抽象的な、あるいは反面具体的な説明を私は言いましたが、その基礎的条件を整備する、これが大臣が第一にやらなければならぬことだ。大臣が第一にやらなければならぬものは基礎的条件の整備なんだが、その基礎的条件の整備の中で、まず第一に大臣が打ち込んでいかなければならぬくさびは何か、これを一つ御明示願いたい。
○堀木国務大臣 滝井委員が数字をあげてお示しになって、いろいろ教えていただいたわけでございます。むろん私どもとしても社会保険関係の経費というものが今の予算上において適当な地位を占めておるかどうかという問題は、全体として十分考慮すべき問題であると思うのであります。しかし、今医療費と予算との問題を御指摘になりましたが、これは直接にそのままの姿において予算に入ってくる数字ではないというふうに私どもも考えます。予算上占むる問題につきましては、私は今後予算のときに非常に大きな問題になり得る問題だということを考えておるのでございますが、それらについて今後の研究にまかしていただきたい。しかし基礎的条件とは何だということで、非常に私の答弁を要求されますが、この点につきましておそらく滝井さん自身もいろいろお考えになっているものが具体的にあるだろうと思うのです。それらについてお話を願えれば、もっとその点についての私どもの考え方を明らかにして参りたい、こういうふうに考えております。
○滝井委員 大臣が全身全霊を打ち込んでおやりになる点は、皆保険の基礎的条件を整備することだ、こうおっしゃった。従って、基礎的条件はたくさんあります。現在の日本の社会保険は非常に複雑怪奇で、ちぐはぐだらけの社会保険でございます。従って皆保険を実施する場合には、多くの隘路と障害があることは事実です。しかし大臣に就任になられて、基礎的条件を整備するのだというからには、まず第一に何から手がけていくのだということをはっきりさせて、基礎的条件の整備というものについての複雑な、もつれておる糸をときほごす糸口を見つけなければならぬ。その大臣がまず切り込んでいく糸口はどれなのか。それは滝井義高の糸口を示せと言われれば、滝井義高の糸口は示します。しかし私は厚生大臣ではありません。従ってまず第一に、私は厚生大臣の糸口をどこに求めるかということをお聞きしたい。それを大臣がお示しになれば、それは賛成だ、反対だという意思表示はいたします。大臣がそれはお前の方から示せと言われれば、私は参考程度のものなら示しますけれども、まず大臣の方から示してもらわなければ、命を打ち込んでやるものをどこからやっていいかわからぬじゃ話になりません。これで大臣をとっちめるというわけではありませんで協力するのですから、お示しいただきたい。
○堀木国務大臣 基礎的諸条件ということは、滝井さんがよく御承知だと思います。これは会社保障制度審議会におきましてもはっきりいたしております。それから厚生省が出しました厚生白書にもはっきりしておると思うのであります。それは言うまでもなく医療報酬の問題、それから医療機関の地域的分布の問題、それから結核に対して政府がどうするか、今後の施策はどこに重点を置いていくかという点が、私が基礎的諸条件と申し上げたうちに入っております。基礎的諸条件につきましては、どれ一つも切り離して取り扱うべき問題じゃなかろう、こう考えておるのであります。これらを総合的に解決しなければ国民皆保険は進んで参りませんという考え方に立っております。
○滝井委員 非常によくわかりました。賛成でございます。明白に申し上げます。賛成でございます。基礎的条件を整備するためにはまず医療の報酬を適正化しなければならぬ、それから医療機関の地域的な分布を調整しなければならぬ、結核対策を推進しなければならぬ、まさにその通りで、賛成でございます。 そこで、実は自民党の社会保障新政策というものを手に入れました。これは今大臣の言われたことをそのままこの自民党の社会保障新政策には書いておるようでございます。この新政策をわれわれが読んでみて気づく点、これは非常に新しい面を打ち出しておるなと思われる点が三つございます。一つは、「医療行政を一元化し、公私医療機関につき機会均等の原則の下にその重複競合等の是正とこれが体系的整備を図る。」これがおそらく大臣の言われた地域的再配分に当るだろうと思う。それからいま一つ国民皆保険の基礎的条件の整備というものの五に当る部分に、「医療保障の達成は、医療担当者の全面的協力を必要とするものであるから、医療報酬の改正、課税、金融の特別措置等により医療担当者の処遇改善を図る。」というのが、大臣のいわゆる医療報酬の問題に当るだろうと思います。そして国民皆保険の基礎的条件の設備という項とは別個に、結核問題の解決というのが、大きな一、二、三の三になって出ております。しかしこれは結核問題が特に重要だから、自民党の方も別個に大きな項目の三として出されたものであろうと、善意に解釈をしたいと思う。そうしますと、堀木大臣就任によって男でござるということになるためにやる政策は大体わかって参りました。具体的には医療報酬の問題と、地域的の再配分の問題と、結核対策、これだけ三つのことがわかれば、これから先はもう簡単でございます。結論がこれで出たようなものだと思うのです。 そこで私はまず第一の医療報酬の問題について大臣にお尋ねしたいと思うのですが、大臣も御存じのように石橋内閣から岸内閣へは、一切の政策と予算とを引き継いで参りました。従って石橋内閣の政策として、医師の診療報酬を改訂するということは、国会において岸総理はもちろんのこと、担当大臣である神田厚生大臣も公約をしたところでございます。そうしてしかもその結論は秋までには必ず出すという言明は得ております。厚生当局も八月の上旬までには——おそらく八日程度に開かれますが、八日までには当該委員会の小委員会に持ってくることになっております。それを持って来なければ、そこにおられる保険局長が更迭を要求されるという羽目まで来ているわけでございます。従って大臣は就任以来まだ二十日でございますが、その問題に対する腹がまえはもうすでにできているだろうと思います。政治は連続でございます。保守党の政策は連続的に受け継がれているものだと考えております。従って大臣が渾身の力を打ち込んでやられる基礎的条件の整備を第一にあげた診療報酬の結論というものは、神田厚生大臣と同じように秋までには出されて、そうして少くとも国会には八月の上旬にこの概要はお示しいただけるものだと考えているわけです。そう理解して差しつかえないか。岸内閣は公約を守る内閣だと承わっております。そこでその公約を前大臣の通り実現をしていくという御公約ができるかできないか、これを一つ御言明をいただきたいと思いますす。
○堀木国務大臣 国民皆保険を進めますに当って、医療担当者の積極的な協力を得ることが何よりも大切である。それには実は医療担当者である人間がものをどう考えるかということも考えなければいけない。ひとり官僚が物事を考えるわけにもいかないんだ。また従来の審議会の経過について、具体的に実施ができる程度までお示しになったものは少いのであります。私は今言ったような観点から、厚生大臣になりますと同時に、従来の経過を調べますと同時に、日本医師会その他に対しまして、民間の積極的な協力を得るために、どういう意見を持っておるかということをただすのが当然の責任だと思いまして、これらの関係者にその旨を伝え、私みずからも責任者に会いまして、ぜひそういう案を早く作ってくれないか——今八月八日までに示さないと保険局長の首が飛ぶという点までは私存じませんでしたが、しかし早くしなければならぬことは当然でございます。でありまするから、何とか早く間に合うように全部を考えてくれないか、そういうものの提出の準備を急いでやって、そうしてわれわれとして一日も早く方向をきめたい、こういうふうに考えております。
○滝井委員 そうしますと、大臣としては審議機関、すなわち厚生省の諮問機関なりあるいは療養担当者の団体から意見が出るまではきめられない、こうおっしゃるわけなんですか。
○堀木国務大臣 私の判断をするのには、そういう意見がぜひ必要だ、しかしながら便々といつまでも待っているわけに行かない。ですから少くとも八月中までには出してもらいたい、それでないと来年度の予算編成に当りまして私の心がまえをすることができませんので、時期を示して提出を急いでおります。
○滝井委員 そうしますとだいぶまた話が違って参りまして、八月中ということになります。初めは七月中ぐらいという話であったが、今度は八月中。実はそこにおられる保険局長が参議院で、医療費体系はいつできるんだ、夏には結論が出ます。こう言っちゃった。初めは春までということだった。参議院末期の健康保険法がぎりぎりのときには、春までには出るでしょうと答弁した。だんだんいったら夏まで、こういうことになった。夏にはほんとうに出るかというと、いや夏にしておりますけれどもあるいは秋ごろに……。秋ごろになれば冬。冬来たりなば春遠からじ(笑声)。そういうことで今まで便々やってきちゃった。だから私たちはだまされないというんです。大臣、臨時医療保険審議会というものがありますが、これは大体いつできて、どういう経過をたどってきたかということをお聞きになってみるといい。昭和二十七年にできて二十九年までに十六回開いちゃった。だらだらと十六回開いてぽつんとやめてしまった。そうして私が計算をいろいろして十円八十六銭というのをぽんと出した。そうしたらあわてて五月から開き始めて、五月の初めに結論を出すようにやり始めたが、まだ結論が出ませんよ。第三次今井メモというものが出ておりますけれども、これは具体的には何でもない。診療報酬というものにはこういう要素がある、こういう要素があると至れり尽せり、千万言を尽しておる。しかしあれからは何も出てこないということなんです。それならあんな今井メモを作るよりは、今井先生に作ってもらった方が早い。今井先生を私は今井大明神と言うのですが、昭和二十六年に紛糾したときに今井大明神がぽかっと案を示した。これによってぴしゃっとやった。医薬分業のときに医療費体系をどうするかというときに、今井大明神が所定案を示した。そうして今度はいわゆるマル単というものを臨時医療保険審議会にまたぽかっとやったら、今井大明神が第三次今井メモというものを出して、それがぴしっと納まった。それだから今井先生に出してもらった方がほんとうは早い、そういうことです。 しからば今度もう一つ、正式の法律に基く審議会である中央社会保険医療協議会は一体何をしておる。夏には医療費体系の結論を出しますと言ったのです。でありますから、出るならぜひ出して見せてもらいたい。医療費体系の結論はどうなっておるか、一つ説明してもらいたいと思うのです。点数と単価が日本の診療報酬を決定するものならば、単価はわれわれがやりましょう。一つ点数を示して下さい。今大臣は示すことができますか。参議院の速記録をお読みになると、局長は大臣にかわって言明をされておる。一体いつ点数は出るのですか。
○堀木国務大臣 まことにおくれておる点については申しわけないと思っております。しかし実は内々で今滝井さんがおっしゃったようなことを私は厚生当局には言っているのです。点数と単価の問題を早く出せ。そういう問題につきましてせっかく今審議中で、私らの考え方をまとめたい。それから、私はそういう問題について広く意見を聞く方がいい、できるならば医療担当者の方から案を出してもらいたいのです。医療担当者の方も、日本医師会と、しては相当研究を進めておられるようであります。それらの点から見ますと、秋まで待って下さいと言わなくていいのじゃなかろうか。しかしこれは滝井さんもよく御承知だと思うのですが、私は今井メモも見ました。なるほどおっしゃる通りで、問題点をくまなく網羅してあるだけであります。今井君にも実はこの間来てもらって聞いたのでありますが、着々準備段階は進めておるのでありますが、結論的なことはもう少し待っていただきたい、こう考えております。
○滝井委員 大臣、実はあつものにこりてなますを吹くわけではないけれども、待った、待った、待ったというて五年待った。私は代議士に出て五年になりますが、私は出た初めから単価問題をやっておる。そうして待ってくれ、持ってくれと言った大臣は、草葉さんが待ってくれと言った。川崎さんが待ってくれと言った。小林さんが待ってくれと言った。神田さんが待ってくれと言った。あなたがまた待ってくれと言う。みんな待ってくれと言う。今まで待ってきた。今まで待って結局結論が出ない。一体医療報酬の適正なものを出すと言ったのは、一体だれが言うたか、政府が言うた。政府がどこで言ったか、国会で言った。従って国会は国権の最高の機関であるから、言ったことを実行するのは、政府がやらなければ、国家がやる以外にないということです。しかも審議機関では結論を出し切れない。今言ったように、ここで医療費体系の点数を必ず八月中に出せるという言明ができれば私は了承します。しかし絶対にそれはできない。そうすると今言ったように、報酬というものは待った持ったで来て出ないのですから、従ってもし大臣が今御言明のように、療養担当者が案を示せばその案をのみますというならば私は待ちます。しかしそうじゃない、出たものをまた厚生省が検討して、予算その他を見合い、私が言ったような過去の歴史的な事実——歴史的な現実というものは無視できませんよ。国民所得の四%程度が総医療費である、そして百億以下しか予算の現実はふえていないということ、この現実を無視することはできないのです。従って問題は一応その範囲で論議しておいて、それからさきはあなたの政治力です。それからさきどのくらい上るかはあなたの政治力です。だからその範囲で論議するとすれば、すでに日月は六年の歳月を経過しているのだから、その点は厚生省の多くの資料で計算することができる。だから待った待ったと言う必要はない。だから、医療行政を担当する厚生省でありますから、あるべき医療報酬を厚生省はどう考えるのだということを出してごらんなさい。そうすればそれを受けて響くがごとく療養担当者は、われわれのあるべき姿はこうだと出します。国会はすでに曲りなりにもわれわれの案を出して、それを厚生省が補正してくれて、もう一つの案が出ている。私はいずれまた、厚生省が補正してくれたものの補正案を出すつもりです。こういういろいろな案が出てくればわかってくる。だから、われわれも出す。療養担当者にも出してもらうから、行政の責任当局が、あるべき姿はここらあたりが妥当だろうというものを出してごらんなさい。それは神でないから、従ってこれが最上のものであるという認定を下せるか下せないかは検討した上だと思います。それをじんぜん日を延ばして出さないところに問題がある。それを出し切らないような保険局長であり厚生大臣であれば、われわれは不信任だということになる。だから私たちはそんなに待てないということなんです。従って私はあらためて大臣に要求しますが、八月八日の小委員会までには、これはこの前の委員会でも厚生省の案を作って出しますと約束しているのです。何もそんなに二カ月も三カ月もかかる必要はない。一週間も作業をやればできる。一カ月もかからない。基礎的な資料の整備は昭和二十七年三月のもの以外にはないのですから、そうかかるものではない。私はあらためて確認しますが、療養担当者の案が出ればそのままのむと言われれば、これは私は了承します。ところが療養担当者の出した案というものをのむものではない。参考にする程度だと思うのです。そうなればまず厚生省の案を出しておってもちっとも支障はないということです。何も厚生省の案が至上のものではないのです。さらに国会でもみ、それらの諮問機関でもんだ結果、どこに落ちつくかは今井大明神にでも決定してもらってかまわないと思う。だから。その点もう少し、こういう国民医療に関係するものは秘密でやる必要はない。ガラス張りの中でおやりなさい。ガラス張りの中で療養担当者も納得するし、保険者も納得するしそれから被保険者大衆も納得するという線でなければならない。ところが厚生省は今まで秘密にしてきた。だから私はそれじゃいかぬというので、薬価の小委員会でも、秘密会ではない、新聞記者の前で、傍聴も許しているところで堂々とやっているわけです。 従って、あらためて私は大臣に要求しますが、八月八日までには厚生省が是なりと信ずる案を出してもらいたい。それができてから先は、財政でそれが実行できるかできぬかはゆっくり検討して、党なり国会なりが決定していけばいいということです。あるいは政府自身が厚生省の案を少し高いからこれくらいにしようということでしょう。どうせ最終的にはそのままの案が実行できるものとは考えられません。ある程度政治的ニュアンスが加わることは当然です。従って神田厚生大臣の当時に約束した通りに、八月八日までにできるかできぬか、もう一ぺんくどいようですが、ここで言ってもらいたいと思います。
○堀木国務大臣 大体の考え方は滝井さんのお考えに近いのです。そう日にちをかける必要はない。だから早く出して批判を仰ぎ、批判を仰ぐことによって、国民のこの制度に対する関心が高まる。またいかに全知全能でもこの複雑な医療関係についてほんとうの点数が公平にきまるということはずいぶんむずかしいことです。簡単に言えばわずか七百種類ですから、おっしゃるように割合早くきめようと思えばきめられる、そういうふうな考え方に立っておりますので、何も私は関係の協議会とか、あるいは日本医師会その他の関係団体の意見だけによってものがきまるとも思いません。しかし八月八日とおっしゃると、むろんなるべく早くきまる方がよくて、論議の対象になる期間が長い方が私はいいと思います。そして予算に入る方がいいと思いますが、八月八日ということについて今お約束することは私としてはちゅうちょいたしたい。しかし、滝井さんのおっしゃるようにもう六年待ってきたとおっしゃることも事実ですが、もうほうっておけないような状態になったことも事実なんです。でありますから、私の在任期間が短かくても、この問題の解決には問に合うように努力いたしたい、こう考えております。
○滝井委員 大臣、私はふしぎに思うのです。八月八日までになぜ出せないか。何か出せない大きな障害があるならば承わりたいと思います。事務当局は委員会で八日には出せますという言明をしたのですよ。それを今になって出せぬということはおかしい。そういうことになれば、社会党としては保険局長は今後一切委員会に出てもらいません。これは私ははっきりしますよ。もし、どうして大臣が八日に出せないのか、われわれの納得する理由があるならば述べて下さい。厚生省は私の案を綿密に詳細に補正して下さい。昭和二十七年三月以外の資料は絶対にありません。だからその資料を使えばすでにできるはずです。その方式も稼動点数で医者の支出を割るということを保険局長が言明している。それ以外にはない。相当考えている。それ以外に何があるか。あとはただ計数をはじくだけです。だからあなたの方で大臣になったばかりだから知らぬというならば、今まで継続している保険局長を更迭してもらって、だれか別の新しい局長にして、八月中にしてもらう。そうでなければ保険局長には今後一切質問をしません。われわれは拒否する。男は二言あってはならぬ、出すといったものを出さぬ、そういうことがあってはならぬ、政治というものが絶えず変動し、虚偽の答弁が国会で行われ、何とか国会だけ過ごせばそれでいいというものではない。こういうことは人命に関することでございますから大臣がかわっても事務当局というものは連続しているのであって、継承している政策というものは保守党内閣であるから変っていない。前の大臣が出すと言ったものは出さなければいかぬ、もし今あなたが言われるように、療養担当者が出すものをそのままのむか、のまないであくまで参考にするだけだったら厚生省が先に出しておってもちっともかまわない。あとから出てきたら修正したらいい。だからそれを出せない理由があれば承わって、納得すれば私の前言を取り消してあなたの言う通りに従います。しかし今のあなたの答弁では納得できません。これは社会党ははっきりしていますよ。われわれは八月上旬ということでわざわざ申し入れをしておる。内閣にも申し入れ、大蔵省にも申し入れておる。かみしもを着て社会党はこの前の言明を信頼しておる。政治が信頼を裏切ることがあればもはや国会というものは必要ありません。だから国会で言明したものはそのまま実行してもらわなければなりません。事務の簡素化をやるといって事務の簡素化をしない。社会局長はおられませんが、現在の健康保険の怨嗟の的は社会保険です。事務の簡素化をするといった大臣の威令がちっとも行われない。いずれ八日には徹底的に社会局をやります。大臣の言明したことを事務当局が実行しないならば、政党内閣はやめた方がいい。だから一応事務当局が八日には出せますと言ったものを、今になって八月中持てというならば、秋まで待てということになって、秋まで待つということになれば、冬が来て春が来るということになるんです。だからそれは私は納得できません。あなたが八日に出せると言わなければわれわれは個人的には保険局長には非常にお気の毒ですが、しかしわれわれは公けの立場で保険局の局長の責任を追及します。高田さんじゃない。その局長の更迭を正式に要求します。八日にできるかできないか、できないならば、われわれは保険局長には委員会に出ても一切の答弁は求めません。
○堀木国務大臣 大へんおしかりをいただいておるのですが、われわれの方の研究をまとめて、こうあるべきだという姿を発表するということは、前の大臣から一貫してわれわれが考えているところでございます。ただ滝井委員もよくおわかりになると思いますが、八月の八日という日にちは、事務的な問題は別といたしまして、内閣が改造され、私も新しく大臣になったのですから、私自身が今点数問題、単価問題等を研究いたしておりますが、私自身としては一応、——むろん何もそれを最終案として私が公表するつもりはありません。しかし私自身も検討した上で、それでもって世論を聞こうじゃないかという確信ができなければ困る状態である、困るということは、これは滝井委員からも御同情願えると思うのです。ですから早くいたします。間に合っていたします。で、そんなに今研究中だとかもう少し待ってくれとか言って間に合わぬような状態にはいたさないことは、これは政治的にお約束できると思いますが、そう八月八日に固執をなさらなくても、その点はごかんべん願えるのではなかろうか。保険局長自身に対しましても、私としてはできるだけ督励をいたして責任を負って参りたい、こう考えております。
○滝井委員 私は大臣が検討せられるということはいいと思うが、発表して検討せられてもちっとも差しつかえないじゃないかと思う。何も厚生省が神ではないのです。厚生省の案がそのまま通ったというためしはないのです。今まで厚生省は国民健康保険で二割、三割国庫負担を要求していますが、三割で通りますか、通りゃしないじゃないですか。しかし三割というものを言い出している。あるいは市町村に強制してやりたいのだというのが厚生省の気持ですが、強制はできやしないじゃありませんか。そのように、厚生省が出してもその通りにいかないというのが今の日本の政治の姿なのです。ですからあるべき姿で厚生省はこう考えると出してもちっとも差しつかえないじゃないか。それからのちに大臣が検討してもいい。厚生省事務当局案として出してもいいじゃないか。何か出したら、それをそのまま実行しなければならぬということはないのです。厚生省が出したものをこれこれ実行しなければならぬという大臣のお考えならば、国民健康保険にしても何にしても、前の国会に出てこなければいかね。ところが大蔵省とか自治庁が反対をしてそうはいかないのです。単価だってそうなのです。出しても今度予算の編成の過程でどうなるかわからないのです。しかしこれがあるべき姿で、これが適正な単価だということは、一つの神のような気持で出さなければならぬものなのです。その神のような気持で出さなければならぬものを、何かあなたが納得して、政治的に検討しなければいかぬということがおかしいのです。何もあなたがいなくても、厚生省はそれができる、堀木さんが大臣で、今欠員になっておったって、厚生省はできるものなのですよ。あるべき姿というものは、何もあなたが一々筆をとって、計算機でやるべきものではない。計算機というものは、厚生省の下の方の役人がやってくれるのです。だからそれを検討するのに、二十日も一週間もかからない。二、三日聞いたらすぐわかるのですよ。しかし詳しい数字に当った政調におられた堀木さんですから、事務の仕事じゃないのです。鉄道の弘済会や何かに当ってやられている、鉄道負の社会保障の数字にも当ってこられているあなただから、いわんや医師の待遇改善だという局部局な数字を扱うのに、そう一カ月なんていわれなくても——八日ということは八日間あるのです。もう厚生省ではみんなできていますよ。ですから神のような気持で事務当局の出した案を出してくれというのです。それから先は政治的に日本医師会の案を聞き、あるいは労働組合の案を聞き、自民党の案を聞き、社会党の案を聞いて、それらのものを十分勘案しながら、あなたの考えで、そのことに責任をもって断を下したらいいのです。それが民主的な政治です。あなたが一度検討して出したものが最上のものであって、今度これでいかなければならぬということになれば、自民党は多数をもってそれを押し切るから、今度はわれわれ労働組合なり社会党が不満を持ってこれに協力しないということになる。ですからこういう問題は、少くとも思想的な、イデオロギーの問題ではないのです。だからあるべき姿を出すということは、ゾルレンの姿を出すということは、神のような気持で出してくれればいいのです。私はそれが八日にできないということはないと思う。この前の委員会で、きょうよりも僕はもっとやかましく言ったのです。その結果、四日と言っていたのですが、それが小島君の都合があって八日ということになったのです。八日には厚生省がほんとうに神のような気持で出してくる、そうしたらわれわれも神のような気持でその案をじっくり検討してみようということで準備をしているし、私たちの出した案に対する厚生省の補正をしたものについて、補正をしなければならぬということで、われわれは勉強もやっている。その勉強の際も、何もわれわれは一カ月も二カ月もかかっているのじゃない。いろいろな仕事をしながら、合い間合い間にやって、もう補正ができ上っているのです。いわんや厚生省は商売でやっているのですから、それがもしできないというのならば、保険局長を更迭してもらうよりしようがない。資料はあるのですよ。それを一週間か十日で、純粋な神のような気持でそれを組み立てる保険局長にかわってもらわなければ困るのです。われわれはだまされ続けてきた。この上またあなたからだまされたら大へんだという気持です。大臣を私は信用します。信用しますからこれは大臣の息のかかった案ではなくてけっこうです。最終的な案は別に出る。しかし一応厚生省の考えたものはこいうところにあるべき筋じゃないかという暫定案でもけっこうです。そうしなければわれわれがほんとうに今度は厚生省の気持がどういう気持かという厚生省の数学を基礎にした検討ができない。ところがあなたが手の内を示さないから——なぜ私はこういうようにしつこく言うかと言うと、今おりませんが曾田さんと私が論争したことがある。そうしたら最後に曾田さんがこういうことを言ってくれたことがある。滝井さん、なるほどあなたの出したいろいろの数字というものは、これは正しいかもしれぬ。しかし滝井義高の出した数字と、厚生省の医務局長の曾田の出した数字とを世間に出した場合に、世間は一体どっちを信用するかと言えば、社会は曾田の出した案を信用しますよ、こう言ったことがある。問題はここである。政府当局の出した案というものは非常にごう然としてみんなが血眼になって検討する価値のあるものなのです。そういう長いものに巻かれろというか、官尊民卑というか、そういう思想がまだ根強く残っている。これは是正しなければならないが、現実ではそうだ、そうであるならば一応厚生省が第一次案と銘打ってもよろしい、最終案でなくてもよろしいから、少くとも八日にたたき台だけでもお出しなさい。最終的な決定はできるとは考えておりません。そこまで私は下ってきて、たたき台を厚生省案として、われわれは出したのですから今度は厚生省が出ず番になっている。だからたたき台をお出しなさいと言うのです。これならばできるでしょう。
○堀木国務大臣 お説はよくわかります。私はさっきも御答弁で申し上げたように、私がある程度見なくてはいけないということを申し上げましたが、と同時に広く批判を求めて変更のあるべきことを予定していいのじゃないか。もっと実は極端なことを言いますと、一応試案でもまとまったものができればみんなの批判の対象になるものが出るじゃないか、だから私は批判を受けることは避けるべきじゃない、こういう問題については広く批判を受けるべきだということを言っているのであります。しかし大臣は見なくてもいいのだというお話もあることは、私として納得できないと思います。もっと極端なことを言いますと、あれは滝井さんのように記録を早く出せとおっしゃる方だと七百種類くらいでございますから、単価は別にいたしまして……。
○滝井委員 単価の問題を今言っているのですよ。
○堀木国務大臣 すべて医療内容について困難な問題はない。しかし滝井さんのおっしゃるように単価と点数という両方から医療の価値がきまって参ることも御承知の通りでございます。それらについてだます。だますとおっしゃいますが、決してだましゃいたしません。ただ八月八日に出せないとお前はだましたことになるのだということだけは御容赦願いたい。間に合って出します。少くともそうおそい期間でないことを私は言い得ると思います。
○滝井委員 大臣は今七百種類といいますが、点数と単価と一緒に出すという意味ですか。私はそういう議論をしているのではないのですよ。今単価を言っている。点数というものは中央社会保険医療協議会で結論が出るのは夏には出します。こういうことを高田さんが参議院で言った。ところがもう夏になったんだが出ない。出せますか、こう言ったのだがこれは答弁がないのです。なるほど診療報酬は点数と単価をかけたものですが、現段階では問題の焦点は点数でなくて単価に集約されている。従って単価というものは適正単価というものをいつ出すかということなんですよ。大臣は今突如として問題を論議されて、どうも点数と単価を混同して議論されておりますが、われわれは継続してきている、ずっと足かけ六年というものはこの問題ばかりやっている。毎日々々委員会のたびにこの問題を言っている。そして出します、出します。検討します。検討します……館林さんなんか折りに触れて検討するという言葉を言っているのです。折りに触れて思い出したたびごとに検討されている。だから検討されているものが、大臣が新しくなったといって、そしてまた今から新しく検討するということはないはずなんです。事務当局は同じです。われわれが代議士に出たときには久下さんだった、高田さんとこの六年に二代しか続いておらぬ。高田さんはベテランです。ですから高田さんが案を作ってあなたにお見せすればいい。あなたは鉛筆を取って患者の数はどのくらい増加をしたということはやらなくてもいいはずなんです。そうすると出てきたのは結論だけです。あなたのごらんに入れるところはエッセンスのところだけを御説明して、こういう状態になっているということを御説明すればいい。だから厚生省がかみしもを着て、公式にあるべきものはこういうところだということを第一段でいいから出してくれということなんです。それが大臣が言うようにできないということは、私が今突如としてこういう問題を論議するならばこれは無理ですが、ところが、あなたの下の事務当局というものは、えんえん過去から今まで続いてきておる。厚生省始まって以来続いてきておるものですから、出せないはずはないと思うのです。あなたにかわったから今度は出せぬということはおかしいと思う。あなたが見なければならぬものが一カ月もかかるはずがない。ここにわれわれが作った案があるし、厚生省がわれわれにくれておる案もある。厚生省が出した一つの単価の案がありますよ。ところが厚生省は公式には、昭和三十年三月における一般診療所の経営費と点数の推計試算という、こういう数字に基いていろいろやって、昭和三十年三月は十一円七十一銭、昭和二十七年三月ならば十二円三十一銭という単価を出している。これも一つの厚生省の案です。しかしこれは委員会に資料として配った程度であって、あるべき姿はこの程度のものならばという公式の表明がないのです。こういう計算方法もあります。こういう方法もありますという形で出してきておる。それでは政治にならないのです。方法は百でも二百でもあるわけです。しかし厚生省としてはまずここらあたりが妥当な計算方法であり、あるべき姿ではないかと思いますという、神のような気持で出したものがほしいということなんです。それがなければ論議が進まないのです。それを新任の大臣のあなたの方に見せて説明するのには一カ月もかからぬだろう、こういうことなんです。だからきょうから一週間以上ありますから、八日にはそういう固まった案でなくてもいいから、少くとも厚生省はこういう方式で計算をするのだ、こういう方式でいけば大体腰だめ的にこれくらいのものは出るでしょうという案ぐらいは示すだけの親切と誠意がなければならぬということです。これは六カ年間われわれが待っている気持なんです。それを今になってまた八月まで待てということは待てないということです。だからそういうことを言うなら、委員会で今までえんえんと約束してきた社会保険局長——社会党としては、大臣は新しいからやむを得ぬが、保険局長としては、高田さん個人はお気の毒だが、保険局長という公けのポストについてわれわれは異議あり、こういうことなんです。これは私はだれが聞いても筋が通っておると思う。おそらく委員部の諸君や、今までずっと五年来の私がこの委員会でやってきた言論の流れというものを聞いてきた諸君は、滝井さんの主張は無理はないと思うでしょう。今脅迫だと局長はおっしゃるけれども、脅迫でも何でもない。今まで一貫して私はやってきておる。情熱を持ってやってきておる。厚生行政の進展を願い、日本の医療を守るために私は悪戦苦闘をしてきておるのです。それを脅迫だなんていうことは、これはますますこの言を撤回できません。それを大臣が八日までに言明できないとするならば、私はかみしもを着て党に帰って、党の正式な機関にかけて、今後社会党としては大臣の答弁は求めない、こういうことを決定してきますから、大臣からかりの案でも出せるかどうかということを一つお聞きしたい。
○堀木国務大臣 私は、滝井委員の今言っておられることについて少しも誤解していないのです。おっしゃることももっともだと思います。ただ、八月八日の問題は、私としていつまでに出せるか見当をつけておらないものですから、八月八日にはできますということを言う決心がつかないのです。しかし今おっしゃった経過にかんがみて、趣旨に沿うように——私が滝井さんをだますということはないし、滝井さんがだまされるということもないと私は思いますが、八日ということは、方針ではなくて事務的な手続だということで、その点については政治的な信義を失うではないかという御追究をもう少しゆるめていただけないだろうか、こういうふうに考えております。
○滝井委員 大臣にも面目がございますように、われわれにもやはりわれわれの面目というものがあるわけです。従ってこれは、大臣の政治的な誠意を信頼して、私は八日という日には必ずしもこだわりません。しかし、まあまあ大臣の誠意を信頼して、やはり八日とそうかけ隔てないところで作業をしてもらいたい、それが最終案でなくてもよろしいから、少くとも国民的な批判の対象と申しますか、国民的な単価問題を論議する一つのたたき台として、公式の厚生省の案として出せるものを出してもらいたい、こういうことです。私は八月の終りということにはなかなか了承できかねるが、八日という日にちをぴしっと切ることについては一応御遠慮申し上げておきたいと思うのです。それから先は大臣の誠意を信頼いたしまして、まだ実はたくさんあるのですが、ここらで一つきょうはやめて、いずれ次会に譲らせていただきます。暴言あしからず御了承願います。
○藤本委員長 井堀君。
○井堀委員 大へん時間もおそくなっておりますので、ごく簡単に私どもの立場からこの機会に厚生大臣の所見を明確にいたしておきたいと思います。 先ほど厚生大臣は就任のあいさつで述べられておるのでありますが、岸総理大臣はさきに記者会見で、社会党と対決するというきわめて明確な態度を公けになさっておいでになっております。もちろんこれは政策を中心にしての対決であろうことは想像にかたくございません。しかも政策の基本となるべき事柄については、あなたもお述べになっておりまするように、三悪追放という、貧乏、暴力、汚職の追放をひっさげております。しかし、もうすでに社会党と岸内閣との間には対決が毎日展開されておることは疑う余地のないところであります。昨日も労働大臣にそのことをただしたのでありますが、本来でありますならば、議会政治を理解いたし、民主政治を理想としますならば、こういう新しい基本的な政策で政党か対決しようという場合には、当然の道として、主権者である国民の意思を問うべきが建前であるのでありますが、しかし何がゆえかそのことをなさらないのでありまして、これが私どもの了解できない点であります。このことは一応別の問題といたしましても、こういう状態の中において内閣が更迭されて、厚生大臣にあなたが就任をなさったわけでありますが、特に三悪追放がどのように具体的に政策の上に盛り込まれてくるかはわれわれのまだ予期せざるところであります。労働政策については自民党の特別委員会案なるものが公表されているが、この労働政策と、いわゆる厚生省の行政的な大目標にあげられる基本政策とは、この三悪追放の基本的な問題をなすと私は思うのであります。これは昨日も申し上げたのでありますが、暴力、汚職というものは、貧乏を追放することに成功すれば自然に姿を消すものであると私は信じている。従って、三悪とはいいながら、貧乏追放に集約することができる。そうすると、今日の日本の行政機構からいたしますならば、労働省と厚生省の任務というものはきわめて重大であるといわなければなりません。ことに厚生行政はその一線にあって行政を処理されているところでありますことは、今さら厚生省設置法の内容を説くまでもないところだと思うのであります。 あなたは先ほど滝井委員の質問に対して、最もあなたとして熱意を注ぎたい点を国民保険にあげられたのでありますが、しごくけっこうなことだと思うのであります。しかし私は角度を変えて、岸内閣が社会党と少くも政策をもって対決しようなどというからには、厚生行政については相当明確な政策というものを打ち出して——社会党はすでに天下にその政策を明確にいたしております。その大半は厚生行政に直接間接関係を持つものが多いのでございます。これにこたえなくして、これに対決しないで社会党に対決するなどということは、ほらの吹きっぱなしになるわけでありまして、岸内閣としてとらぬところであります。厚生大臣をお引き受けになるからには、この岸総理の言明されたことについて御共鳴もしくはそのもとにあってその責任をお果しになるというお考えであることには、私どもは何ら疑いを持っておりません。それだけに私はこの機会に、こういう簡単なるごあいさつでもし大臣が責任をとったといたしますならば、すでにわれわれは院の外においては対決して、国民の前にお互いに切磋琢磨をいたしておるところであります。でありますから、そういう意味でお尋ねをいたすのであります。もしあなたがここに書いてあるものがすべてだ——すべてだとは言えないまでも、あなたの就任のあいさつがただ一片のあいさつであるということで確認をなさるなら、私どもは声を大にして岸内閣の社会党に迫る態度は虚偽であることを究明していかなければならぬ。こういう意味であなたの立場を明確にしていただきたいと思うのであります。多くを申し上げなくても、あなたのあいさつの中でこくのあるものと思われますのは、「私もまた」と言っておるところからだと思います。すなわち岸さんが「三悪追放を掲げ、社会保障体制を整備し、福祉国家を建設いたしたい考えを表明いたしております」、これだけはっきり言っておられる。これは国民の前に公表しておられる。これは抽象的でいいと思う。「私もまた」と、あなたはここであなたの態度を明らかにして、「あらゆる障害を克服して」と、なかなかその言い出しは勇ましいが、「社会保障その他厚生行政の前進をはかり」ということだけであいさつを終っておるのであります。終りに水害の当面の問題について述べられておりますが、これは当然の問題であります。このほかに見るべきものはございません。これだけでよろしいとはあなたはおっしゃらぬと私は思う。滝井さんに対しては、国民皆保険の問題に対する熱意のほどを述べられたが、もちろん国民皆保険は重要であります。しかし厚生行政全般の問題の中にはまだもっと問題があると思う。第一に、三十三年度の予算についてあなたはここに言及されております。第一には、全体の行政庁の関係からいいますならば、厚生省であるとか労働省の予算について画期的なものが現われてこなければ、これはから念仏だ。きっと画期的なものを出すであろうと国民も期待し、われわれも対決というからにはここに大きな望みをかけておるわけであります。あなたはすでにその作業をお始めになっている厚生省の長におつきになったのでありますから、ここらへんについてもっと具体的なお話があってしかるべきじゃないか。きょう委員長にせがんでこの委員会を開会してもらった理由もそこにあるわけであります。この点について、昨日は労働大臣の所見を伺いました。きょうはそういう意味であなたの所見を述べていただく機会を作ったのであります。大胆率直に一つ述べていただきたい。
○堀木国務大臣 井堀委員からの、ごもっともなお話だと思うのであります。私先ほどから申し上げておりますように、この委員会が開かれます以上は、私もこの委員会にいろいろ所信を具体的に申し述べることができて、御批判を受ければ非常に仕合せだと思って、日夜努力をいたしたのでありますが、何しろ就任日の浅いことだものでございますから、まことに残念だが、そういう点について間に合って御披露申し上げることができなかったことはまことに遺憾だと思います。実はその点はその簡単なごあいさつで責任が終ったとは考えておりません。具体的な問題を皆さんの前にひっさげて御批判を受けるときに初めていろいろな問題が起る、こういうふうに考えておるのであります。しかし今お読みになりましたように、岸総理が三悪追放と言っている以上は、少くとも私は民生を安定し、そして国民生活の健康と幸福を守る行政を画期的に推進しなければならぬと思っております。お説のように、その問題は三十三年度の予算においていかに現われるか、その問題が現実にはそこで批判される問題だ、こういうふうには考えておりますが、実はまだ予算に間に合うとしても、今の段階では事務的にはおそくはない、しかし広く御批判を仰ぐためには、諸般の問題を一日も早く決定いたしまして、そうして国民の批判の対象になるということをいたしたい、こういうふうに者えておるような次第でございます。
○井堀委員 はなはだ失礼な言い方でございますが、時間を節約する意味で率直に申し上げます。政党内閣である以上におきましては、その政党の政策というものは保守党にもある。私もその刷りものをちょうだいして拝見しております。その中には厚生行政に対してはかなり広範に言及されております。その党の政策とさらにここに岸総理が新たに三悪というものを抜き出しておるが、特に私は貧乏の追放については強い関心を持っている。ひとり私だけではないと思うのであります。国民のすべてがこれには魅せられておると思うのです。こういう政策とこういう主張をしておるときに、政党内閣の閣僚にあなたが入られる場合に、用意なくしてそういう重要なポストをお引き受けにならぬと思う。これが官僚内閣やあるいは戦前の翼賛議会のもとにおける天皇輔弼の閣僚でありまするならば、またこれは別でございます。民主議会の上に立っておる政党政治の上に立つ内閣であります。しかもその内閣は先ほど申し上げるように、国民の批判を受けないで新しい政策を発表するからにおいては、私ども社会党も同様の意味で重い荷をしょうことになる。われわれはほんとうをいうと、国民の意思を問うて、そうして新しい行政を始められるということであれば、われわれはおのずから民意をくんで討論をし、また政府の鞭撻もやれば叱責もいたすのであります。そうでないのです。でありますから、今回の場合は、私は貧乏追放のための具体的な詳細な法律案の要綱とかあるいは予算の各項目に触れての金額を示せというようなことを問うのではないのです。こういう方法で貧乏追放が行えるのだということは、厚生行政の中ではすぐ答えられなければなりません。私時間がありますならば、それを逐次掲げてあなたにお尋ねをすれば答えは明確だと思いますが、時間を節約する意味で——政党内閣の閣僚で、しかもあなたも議席を持っておいでになる、こういうもので、この暑いさなかに委員会を招集して、それでさよなら、ごめんでは済みませんよ。こういう意味でもっとしかるべき——まだ昨日の方が手がいいのです。しろうとはしろうとなりでも言及されております。あなたはちょっとずる過ぎます。こういう点を私は個人ではなくて公人としてあなたを追及する責任がある。このことを一つはっきり聞きたい。これであなたがよろしいというならば、われわれは岸内閣の正体を暴露する。
○堀木国務大臣 まことに申しわけございません。党としての一貫した——もちろん政党内閣でございますから、私どもは自由民主党の掲ぐる政策というものを基本的には踏襲いたしておる、そうして社会保障政策に関しましては、すでに党として発表しておるものがあるわけでございます。しかし今井堀委員が言われましたように、これをどう具現するかという問題は、御承知の通りにまず予算できっかりきめませんでも、予算要求としてのある程度具体化したものができませんと、御批判の対象にならないということで、それを急いでいるわけでございます。私ども自由民主党が社会保障新政策として打ちましたものにつきましては、その方向によって政策を推進いたしたいとは思いますが、やはり今度はそれを推進する当の責任者としては、今あたなも御指摘のように、少くとも予算にこの程度は要求するという考えがなくちゃならぬ、と同時にこれは井堀委員も御承知の通りに、社会保障制度につきましては、多くの技術的な、事務的な要素が伴いませんと、ただ政策を掲げましても、実際は絵にかいたもちになりがちであります。それらについて見通しをつけたいというのが私の考えでございます。きょうのごあいさつとしてははなはだ申しわけないとは思いましたが、今申し上げましたような観点に立って、せっかく具体策を急いでいるということを御了承願いたいと思います。
○井堀委員 今のあなたの答弁じゃどうも了解ができませんが、しかしさっきの話じゃないが、脅迫するわけには参りません。ただ大事なことは、さっきも申し上げておりまするように、昨日はやや具体的な発表がありました。それは党も具体的なものを新しく発表したという点もあるでありましょう。労働政策の中では貧乏の根絶の基本的なものに触れる長期的なものが多いと私は思うのです。しかし厚生行政というものは、貧乏に悩んでいる者を今すぐに救済し、あるいは防貧の行政措置をあずかっておる役所である、待てもしばしもないのです。労働行政についてもかなりインチキ性があると私はきのう感じました。まゆつばものだと思う点がかなりあります。しかし、ありますけれども、一応曲りなりにも格好だけは出てきているが、これはまるで格好がついていない。これははなはだ失礼な言い方ですが、政党政治ではありません、政党内閣じゃありませんよ。だからあなたが申しわけないとおっしゃっておりますのを追及したってもしようがない。これは一つ国民の前に岸内閣の正体を暴露する必要がある。私は陰でやるのはきらいですから……。厚生大臣はこのように述べられております、そういう意味であなたの十分な発言の機会を私はこの委員会が与えたものだと申し上げておるのです。あなたを非難しておるものではちっともありません。ただ岸内閣の厚生行政というものがどのようなものであるか、ぜひ国民の前に私どもは紹介していかなければならない義務がある。そんなことでは、国民は貧乏追放どころではありません。貧乏製造ですよ。第一、厚生行政の中でいわなければならないことはたくさんあるじゃありませんか。水害の問題もちろんでありましょう。一々あげて聞いていきますと切りがありませんが、五島委員が質問する予定のものを都合でお帰りになりましたから、ここに一つぶら下ってきておる汚職の問題でありますが、しかもこの汚職は大阪の一つの事実をある新聞が報道しております。これは厚生省も御存じだろうと思いますけれども、問題は浴場組合と審議会、それにどうも厚生省が一枚加わっておるような書きぶりであります。もしそうでなければ事実をそちらから説明されればいいと思いますが、浴場の設置に対する許可、認可の問題あるいは料金の問題は、厚生行政にとっては、特に低額所得者、一般の勤労大衆にとっては、公衆衛生の見地からいきましても、日常生活の問題からいたしましても、きわめて切実な問題だと思うのであります。こういう問題も起っておるのです。それからまた生活保護法の問題については、最近どうも窓口がきびし過ぎます。私の調査した事実もたくさんありますが、時間がありませんので、もう少し次会に時間を作ってもらって私はお聞きしようと思う。とにかく当然法律によって保護を受けるべきものを行政的な手心で——もちろん予算でしぼられておりますから、この説明を聞けば無理からぬと思いますが、当然法の精神からいえば生活保護法の適用を受けなければならぬものを、予算の関係でしぼっておる。私はこういうことは、貧乏追放などというなまいきなことを言う内閣に対しては一番先に責任を追及しなければならぬ。きょうあなたに答弁させようと思ったが、その答弁はできそうもありません。とりあえずお湯屋のことについて、お聞きになっておられるだろうと思いますが、厚生省の見解を一つ聞いておきます。
○尾村説明員 今の大阪府で起りました浴場の許可に基く汚職事件でございますが、最近そういう報知を受けまして大阪府について詳しく報告を求めました。浴場の認可は、浴場法に基きまして府県知事がすべて認可するようになります。その場合に、府県知事が条例を設けまして、公衆浴場に関する限りは一定の配置の距離を制限いたしまして許可するというふうになっておりますが、人口の稠密度とかそういうようなものを勘案しまして、若干の余裕を持って幅を動かしてやるようになっております。それは全部府県知事の許可権に法律でなっておりますが、大阪府外数県が、知事みずから自分で判断するための諮問機関として、今の新聞記事の審議会というのは多分それかと思いますが、浴場審議会あるいは浴場の距離制限の審査をする審議会とかいろいろ名前があると思います。適当にこれを条例で府県がつけておるのがあります。ちょうど大阪では、その審議会の構成員である審議会委員が府会議員あるいは業界の代表、学識経験者、消費者代表というもので構成しておるそうでございますが、今のところわれわれの方で調査しておりますところでは、たしか十五名の構成員である、こういう報告を受けております。その構成しておる委員の六名が、その許可を審査するに当って、何か収賄をしたということで、それがどういう方法からか警察の知るところとなって検挙された。なお審議会委員のほかにもこの事件に関係して府会議員外七名かが検挙されております。こういうことであります。 それからなお府庁ではそれに対してどういう権限を持っているかということでございますが、要するにこの審査会委員を選択するのがその任である。ただしこの審議には府庁は直接関与しておりません。従って府庁側の職員には、もとより権限がないのでございますから、何らこれに関連がない、そういうことで今事件が進行中である、こういうことでありますから、われわれの方ではそういう事実を了知いたしましたので、いやしくも浴場法の施行についてそういうふうな府知事の権限を行使するのに、かえって民主的なつもりで審議会を作ったのが、全国四十六都道府県のうちでは数県で、感心な県だと思っていたのでございますが、むしろそれあるがためにそういうような事故が起って傷つく者を出した、あるいは公正を欠いたということは非常に遺憾であるから、今後のこういう認許可の施行に当っては、権限を行使するに当って十分注意してもらいたいということを警告をいたしております。なお事件の内容が判明するに従って私どもの方としてこの法律に関連いたしまして注意すべき、あるいはほかの県にももし起ると大へんでございますが、類似のおそれのある県には十分警告を発したい、かように存じておるわけでございます。
○井堀委員 大へんお聞きのような経過。ここで問題は、業者が新しく経営をいたしたい場合の設置の認可を知事にしてもらおうというようなものと、もう一つは料金の引き上げなんです。浴場がたくさんふえるということは消費者にとっては喜ばしい傾向になるかもしれません。しかし料金が引き上げられるということは必ずしもこれは賛成できない。こういう関係の問題は、さっきのお話によりますと民主的なものにするために設けられた機関がかえってそういう涜職の温床になったという、まことに残念なことではあります。 私は、時間がありませんから言葉少なで失礼でありますけれども、やはり厚生行政の、要するに簡単に言えば、上行うことがよろしくなければ下こういうことになりがちのものなのです。上下ということは民主主義の時代にはあり得ぬかもしれないが、しかし厚生行政の親元がしっかりしておらぬと、しかもこれは大阪府です。東京とか大阪府とかいうようなところは、厚生省との間に最も緊密な連絡がとれる、またとらなければならぬ役所なのです。そういうところでこういう事態が発生している。しかもそれが直ちにお湯屋の料金の値上げになるようなことになりますことは、これは貧乏の追放ではなくて、貧乏を追加することである。こういう一例でありますけれども、大臣としてはこれに関連して——あなたとしてはすぐにあれもしたい、これもしたいことはもっとある。もちろんそれはさっき言った国民皆保険のように大がかりな努力の必要ある件については、それはあなたの言うように調査を十分にし——しかし、これも神田さんは去年はあっさりできるように言っていましたよ。あなたもやすやすと引き受けたなんというふうに言われないようにした方がいい。ちゃんと国会における神田厚生大臣の答弁は載っかっております。これはなかなかえらいことをあなたは引き受けた。さっき滝井さんにお話したようなことでは済みそうもございませんよ。この国会が召集されたら、予算でよほどはっきりしたものでなければ……。それは国民皆保険の問題はすぐ問題になる。 ためしに聞いてみましょう。今のお湯屋の問題と関係いたしますが、国民健康保険の問題が話題になっております。局長が首になりそうな事態にあるわけです。私は健康保険の仕事をしておる人に対してはある意味においては敬意と御同情を申し上げておる。特に政府管掌の健康保険が非常に困難な事態に当面したということは、一つにはやはり保険財政の基礎をなす保険料、すなわち保険料の基礎をなす報酬実額というものが非常に低い。それが物価とマッチしない。賃金と物価の跛行であります。これは厚生大臣、ここのところよく考えなければいけませんよ。もし貧乏追放などという言葉を使うときには、簡単なことです。やる方は少くて取り上げる方が多かったら貧乏はするにきまっておる。ですから、賃金が安くても給料が安くても、物価が安く諸掛りが安ければ貧乏はしません。与えるものが少くて取り上げるものが大きいから、その現われがこの保険に出てきたところであります。一例をあげれば、組合管掌と政府管掌の点を見ればわかる。いずれも困難であるとはいいながらも、保険組合の現状は、六十億か七十億の赤を出して、要するに保険がのるかそるかの危機になったときでも、一応保険組合は健全を誇っておったわけです。これは何でもない、賃金格差だ 今のところでいえば。急所をつかねばいけませんよ。こういう問題が出てきたのですから、解決案として一応考えられるのは、保険組合と政府管掌と分けたときには理由があったと思うが、今日の場合は統合する必要がそういうところから出てきている。厚生大臣としてはここら辺はすぐ考えなければならぬ問題だと思う。一例ですが、これについて一つあなたの所見をお伺いしましょう。
○堀木国務大臣 まずふろ屋の問題は、事実をつまびらかに知っておりませんで、説明員から答弁させましたが、今後こういう問題については十分気をつけて参りたいと思います。 今のお話の政府管掌の健康保険と組合管掌の健康保険の実態的な問題がどこから起るかというふうな問題は、要するに、むろんおっしゃるようにこの保険の問題が単純に保険だけの問題ではない、そういう社会的な諸条件によってはいろいろ変り得るのだということは私も考えます。現に赤字が騒がれました健保で、その財政状態が急激によくなったということは、皆さんの御努力によって赤字が一般会計から補給されたほかに労働者自身の賃金が上っておるということも私は一つだと思う。でありますから、これらの問題を解決するときに、より基底的な、社会的な諸条件に対するわれわれの政策が適切でなければならぬとおっしゃることは私としてもよくわかるのであります。日本の経済の諸条件——全体の幸福、全体のレベルが上っていくようにすることによってよほど保険自身も変って参る。私どもが先ほどから理想は高く持って現実的に諸問題を一歩々々解決して進めて参りたいということを申し上げましたのは、それらの点を勘案して申し上げたような次第でございます。ただ国民の間に非常にアンバランスのあることも私はよく存じております。お前は健康保険、健康保険というが、もっと生活保護の問題、あるいはいわゆるボーダー・ライン層の問題等にも気をつけなければいけないとおっしゃることも、私またよくわかるのであります。それらは決しておろそかにするつもりではございません。先ほど滝井さんに対して保険そのものの基礎的な諸条件を申し上げたが、さらに社会的な諸条件についても十分考えなければならぬことは当然のことでなかろうか、こう考えてせっかく努力いたすつもりではおります。
○井堀委員 時間の関係がございますのでまことに残念でありますが私の質問をこれで終ろうと思います。あなたももっともっと言いたいところがあるだろうと思っております。しかし、今あなたのおっしゃられるようにどこを重点的にやるかということも大事でありますけれども、あなたのポストは、もっと全面的に大きな荷がかかっておるということを考えるべきだと思います。それで、私が今一例をあげてお尋ねしたように、健康保険の問題は言うまでもなく報酬実額すなわち労働者の賃金の問題がちっとも研究されてないのです。医療費が高くなったからとか病人がふえたからとかそういうことで、それが医療の乱用のようなことを言って逆に医療を制限するような、まるで本末を転倒する結果が出てきている。医者をどろぼう扱いしなければならぬようなことになってくる。もちろんそれは、裁判所の関係では例外というものはあると思う。しかし例外を出して論議することはいけないと思う。たとえば昭和三十二年に、会計検査院が保険の点についていろいろ指摘しております。当然納めなければならぬ保険料を一億六千万円もごまかしている。あるいは賃金の届け出しを怠っておった。それから二重帳簿まで作って御丁寧にごまかしておる。それから中には、うかつに法律をよく理解しなかったために、とんでもない迷惑を保険にかけておった。あるいは賃金が上ったけれどもほったらかしておったというような、当然被保険者の資格を持っておるにかかわらず、その手続をしなかったとかいうような事例をたくさんあげて、保険財源の枯渇をする理由の一つにあげております。これは厚生省には手痛い報告だと思う。こういう点を、すぐ法律を作って手かせ足かせをはめればうまくいくという考え方が——やはり古い学問の影響かもしれませんが、新しい時代においては相手の人格を尊重していくという大方針の上に立って、政策というものが盛られてこなければならない。厚生行政なんか特にそうだと思う。こういう点に画期的なものが出てきませんと、私は予算さえむやみにふやせば貧乏は解決するなどとは考えておりません。今までの歴代の内閣がやるように、特に保守党の考え方の中には右で与えて、左で奪うやり方があると思われる。奪う方が大きければ何にもならぬわけでありますから、僕はこういうところに厚生行政の妙味というものがあると思う。こういう点でやはり少くとも就任されたときには、はっきりとしたものを発表されるだろうと本日は期待しておったわけであります。これはよけいでありますが、一応冗談は冗談といたしまして、私はどの内閣が政権を担当しようとも今日ほど厚生行政の急なるものはない、切なるものはない、国民から要請されているものはない。何を取り上げてみても厚生行政に響いてくる。こういう点で、もっと積極的な意欲に燃えた政策をおとりにならぬと、岸さんの言うことを多少誇張しているくらいならいいのですけれども、まるでから宣伝ではあまりにも日本の国政のために不明朗だと思う。今日の政治は国内的だけではありません。国際的視野においてわれわれは判断をしていかなければなりませんから、与野党のきびしい対決だけではなくて、国際的な関係の中において保守党の欠陥の許せないものがある。その点を厚生行政の中に私は特に思いたい。そういう意味で私はお尋ねをいたし、またあなたからも十分意見を述べていただこうと思ったのですが、遺憾ながら時間がございません。ぜひこの機会に申し上げておきたい。昭和三十三年度の予算は、もうすでに今日あなたの方では明確なものが出ているはずだと思う。ないということならば早く事態に即応するような案を組んで、社会党との対決もけっこうであります。政策上の論議ができるようにしていただきたい。どうもあなたの方に中身がなければ、反対々々と言うよりしようがない。世間が見ていると、反対のための反対としか思えない。容体が出てきません。そういう点では、厚生行政に対しては今までのような抽象論ではなくて、何らか政策に骨組みあるものを保守党として出してもらいたい。われわれの方としても明確なものを出したい。本日は時間の関係で、私の質問はこの程度にしておきます。次回はぜひ一つ、もう少し明確な具体的なもので質疑できるようにお願いいたします。
○藤本委員長 委員諸君におかれましては、二日にわたり炎暑のみぎり、まことに御審議ありがとうございました。また堀木厚生大臣ほか厚生当局の皆さんにおかれましては、きょうの審議を通しまして社会保障のいろいろな問題について積極的に、具体的に、早急に決定せねばならぬという関頭に立っておりますので、何とぞ御自愛の上、御尽力を賜わりたいと思っております。 本日はこれで散会いたします。 午後五時二十六分散会