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26回国会衆議院1957/05/16

社会労働委員会 第52号

発言数
189
登壇者
23
会派数
2
開催日
1957/05/16

会議録

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 これより会議を開きます。  閉会中審査の件についてお諮りいたします。当委員会といたしましては、閉会中も委員会の審査の必要があると存じますので、その活動の円滑を期するため、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、その手続等に関しましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なお、ただいま申し出ることに決しました閉会中の審査事項が当委員会に付託されましたならば、現在当委員会に設置されております診療報酬及び薬価に関する小委員会を閉会中もなお引き続き設置することとし、あわせて閉会中同小委員に欠員を生じました場合における補欠選任及び本委員会の調査のため参考人を招致する必要を生じました場合には、その決定、人選及び手続等につきましては、あらかじめすべて委員長に御一任願っておきたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 次に委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。ただいまの閉会中審査事項が当委員会に付託になりました後、調査の必要上現地に委員を派遣し、その実情を調査する必要を生じました場合には、その申請について、すべて委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 次に、医師国家試験予備試験および歯科医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律案を議題とし、審査に入ります。  まず提出者より趣旨の説明を聴取いたします。野沢清人君。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 ただいま議題となりました医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律案の提案理由を御説明申し上げます。  現在医師または歯科医師になるためには、国家試験に合格しなければならないことは申すまでもないことでありますが、終戦前に朝鮮、満州、台湾、樺太等の地においてその地の制度によって免許を得て開業していた者に対しましては、医師法または歯科医師法の附則等により選考または特例試験により内地の免許を得る措置が講ぜられ、また別に国家試験の予備試験を受験する資格が与えられておったのであります。しかるに選考及び特例試験の制度は、昭和二十八年三月以降の引揚者を除きましては、すでに期限が切れており、また予備試験受験の制度も昨年末をもってその期限が切れておるのであります。  また終戦前満州方面向けの医師の養成を目的として内地に設けられた医学校を卒業した者等につきましても、従来国家試験予備試験の受験資格が与えられておりましたがこれまた昨年末をもってその期限が切れておるのであります。  従いまして、これらの制度によってなお資格を得ることができなかった者に対しましては、現在医師または歯科医師となる道が閉ざされてしまっておるのでありますが、これに該当する者がなお相当数あるのであります。よって、今回さらに昭和三十四年十二月三十一日まで予備試験を受験し得ることといたしまして、これらの人々の将来に希望を持たせることが適当と存じまして本法律案を提出いたした次第でございます。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 以上で説明を終りました。  次に質疑に入るのでありますが、質疑の通告もありませんし、討論の通告もありませんので、直ちに採決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 御異議なしと認め、それでは採決いたします。  本案を原案の通り可決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 御異議なしと認め、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 次に、病理細菌検査技師法案を議題とし、審査に入ります。まず提出者より趣旨の説明を聴取いたします。八田貞義君。

八田貞義自由民主党

○八田委員 ただいま議題となりました病理細菌検査技師法案につきまして、提案の理由とその要旨を御説明申し上げます。  現在のわが国におきまして、医師の診断業務のためにも、保健衛生上の危害防止のためにも、重要な基礎資料を提供するものは、病理細菌検査の技術者でありまして、近時、その需要が年ごとに増加し、その役割が重要性を加えつつありますことは、あらためて申すまでもないところであります。  しかるに、これらの技術者につきましては、現在何らの身分上の法的規制が加えられておらず、正規の職業教育を経た者も少数でありまして、その資質の向上は心ある識者によって強く要望されております。  このような状態にかんがみ、病理細菌検査技師の資格を定めることにより、その資質を向上させ、もって公衆衛生の向上に寄与しようとするのがこの法案を提案いたした理由であります。  次にその要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、この法案では、病理細菌検査技師とは、都道府県知事の免許を受け、病理細菌検査技師の名称を用い、医師の指導監督のもとに、細菌学的検査、血清学的検査、血液学的検査、病理組織学的検査、原虫・寄生虫学的検査その他の政令で定める検査を行うことを業とする者をいうことといたしております。  第二に、病理細菌検査技師の免許は、厚生大臣の行う試験に合格した者等につき、都道府県知事が与えられることといたしております。  第三に、病理細菌検査技師の試験は、大学に入学することができる者であって厚生大臣の指定した養成所等において二年以上病理細菌検査技師として必要な知識及び技能を修得したもの等につき、厚生大臣が毎年少くとも一回行うことといたしております。  以上が、この法案を提案いたしました理由及びそのおもな要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 以上で説明を終りました。なお本案についての質疑その他は後日に譲ります。     —————————————

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 次に社会保障制度、医療、公衆衛生、婦人・児童福祉及び人口問題に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますので、これを許します。八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 日雇労働者健康保険法の問題について質問をいたしたいと思います。  日雇健保は、できましたときには非常に内容も悪かったわけでございまして、それが内容を充実することが必要であるということは、制定当時から衆議院及び参議院の両委員会でそのことが認められておりまして、即刻至急に早くどんどんと内容を充実させることが必要であるということが確認された附帯決議がついておったわけでございます。その後政府の方におかれましてもその問題を深く認識されまして、徐々に内容をよくしてきておられるわけでございます。三回でございますかにわたって改正がございまして、受給期間が最初の三カ月から六カ月、それから一年に変りました。いろいろとその他の内容もよくなって参ったわけでございまするが、現在の健康保険に比べますと、その内容はまだ非常にレベルか低いのでございまして、急速によくする必要があるわけでございます。その点につきましてはいろいろな点があるわけでございまするが、一番現在として問題であろうかと思われますのは傷病手当金とか、あるいはその他類似の出産手当金あるいは哺育手当金あるいは配偶者哺育手当金というような継続的現金給付がないことでございます。この点につきまして、厚生省の方でも傷病手当金を入れようと考えて御労力になったそうでございまするが、いろいろと予算の関係上、それが現実を見ていないということは非常に残念なことでございます。この傷病手当金につきまして、本年の最初の本会議における総括の質問で、厚生大臣は至急に来年度において傷病手当金を実現するということを本会議でお答えになり、また池田大蔵大臣もそれについて、厚生大臣と協議して実現したいというような御返事をなさったわけでございます。その点は非常によいのでございまするけれども、その問題に対する御返答の、何といいますかスピードが非常に鈍いし、内容も私どもとしてはあるいは不十分じゃないかと思う。その点について内容の十分なものを至急に、たとえば来年ではなしに本年度において補正予算を組むことができる情勢になった場合に、その問題一つでも組むような推進をしていただきたいのでございまするけれども、そういうときに実現される御意思があるかどうか、まず最初に厚生大臣にお伺いしたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 ただいま八木委員のお尋ねになりました日雇い労働者の給付の増額の問題につきましては、私もいろいろ八木委員から御指摘もございましたように全く同意見でございまして、この実現を早急にはかりたい、できれば本年度からいたしたい、実はこういうようなかたい決意をもちまして財政当局と十分な交渉をして参ったのでございますが、両者のいろいろ折衝の過程におきまして相当今年度準備が要るじゃないか、いきなりやるということがむずかしいというような事務的な見通しでございまして、それならば三十二年度においては十分これらの見通しを立てろ、十分な検討を加えましてそして三十三年度からは実施いたしたい、こういうような実はいきさつに相なっておりまして、今八木委員からもっと急速にやったらどうか、できるならば将来臨時国会等があって、何らかの予算措置というようなことも一つ考えてみたらどうかというような御意見でございましたが、私も機会がありますれば決してちゅうちょするものではございません。いずれにいたしましても最善の努力をいたしまして、この問題をすみやかに解決いたしたい、こういう考えでございますので御了承願いたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 総括的には厚生大臣の御答弁はある程度満足できる、また御熱意もうかがえる御答弁でございます。今までこの傷病手当金の問題につきまして何回も関係者が陳情された、それから私ども国会で政府の所信をただしました中で、神田さんの御答弁が一番、何といいますか積極的であり、良心的だということは、私ども認めるのにやぶさかじゃないのでございますが、その良心的な積極的なお気持を実現していただかないと、これは何にもならないわけです。それでことしの本予算を組むときに実現できないということは非常に残念でございますが、今厚生大臣の御答弁によりますと、事務的な準備が大きな要因になっているようであります。その点につきましては、おもに事務的な準備は厚生省側にあるべきでございますから、即刻準備を完了する、もう準備をしておられるわけでございますから完了するようなことをなさいまして、そしてそういう機会に準備がまだできていないから、できないということにならないようにしていただきたいと思う。その御準備の方は、どのように進んでいるかお伺いをしたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 ただいま八木委員の要望につきましては全く私どももその考えでありますが、先ほどお答え申し上げた通りでございますので、最善の努力をいたしまして来年度には必ず実現いたしたい、こういう考えでございます。なおこの準備の段階がどの程度かということにつきましては、高田政府委員からお答えさせるようにいたしたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 結局これは八木先生よく御存じのように、日雇い労働者というものの就業の実態から申しまして、傷病手当金という制度を設けた場合、具体的にそれをやろうとする場合に、何と申しますかいろいろな問題が伏在していることはよく御承知のことだろうと思います。それをどういうふうに処理していくかということになりますと、現在の事務態勢では非常に不安がある。その問題が一つと、それからさらに日雇い労働者の労働の実態から申しまして、万全とはいかないまでも、ある程度はちょうど健康保険なり何なりの普通の被用者保険の従業員等が、病気のために就労をしなかったということを事業主等によって確かめるわけですね。それをだれが病気のために就労をしなかったのだということを見きわめるか、確認をする役割をだれがするかというふうな問題、これは失対事業等につきましては、職安の窓口を通るものにつきましては、ある程度職安がやってくれれば保険給付の要件を満たしておるかどうかということを確認する目安にはなるのであります。しかしながらその他のものにつきましては、果してそれが保険給付の要件に該当するかどうかということを保険官署の方で見定める方法がない。その辺が非常にこの問題のむずかしいところなんであります。しかしそれは今申しましたように、全部の人についてはできないにいたしましても、ある部分の人につきましては労働省の協力を得ることによってそういうことができるわけでございます。それで労働省等とも話し合いを進めております。そういうことをやる場合には、労働省の方でどれだけの事務的な負担になるかというふうなこととか、なお私どもの方で、さような実態でございますので、給付の適正を期そうとすればどの程度の事務体制の整備を要するかというふうな点を目下研究いたしつつある段階でございます。それで、大臣が仰せになりましたように、私どもは今年度からでも実はやりたいという気持を強く持っておったわけです。財政当局といたしましても、必ずしもそれに基本的に反対だという態度じゃなかったのです。それで、そういう事柄の実態から、これをうまく運営していくにはどうしたらいいかということをお互いが研究し合って、どうもまだ確信が持てないというところが一番大きな原因である。さらにそれに加えて、今の給付の条件のままであっても財政的に非常な赤が出ておりますから、今の給付条件を守っていくことについてもさらに財政的に、御存じのように国庫の負担を一割から一割五分に増額しなければならぬというふうな情勢もございましたし、それらが関連をいたしまして今年度実現をしなかったわけでございますが、大臣がお答えになりましたように、来年度からは何とかして一つ必ず実現したい、こういうかたい決意を持って私ども事務当局といたしましてもこの問題に取り組んでおるわけでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 準備につきまして今高田保険局長から御答弁があったわけでございますが、当局としては事務の点についていろいろと苦心して研究をしておられるらしいのですが、その点はいつかは解決しなければならない問題です。そうしなければ推進できませんから、必ず至急にそれを乗り越えてやられるという心がまえで、たとえば本年の秋に臨時国会を開いて補正予算を組むときに、財政当局は金を出してもいいというときに、厚生省が事務的に間に合わないからということで問題が停滞しないように至急に御準備を願いたいと思う。  それから後段で言われました、たとえば病気で休んでいるかどうか確認することが、一般の健康保険よりも非常にむずかしいという要件、それはあると思います。あるけれども、これはそういう状態ですから、どうしても乗り越えてやっていかなければならない。当局のお心がまえとして私どもの要望したいことは、ほんとうに善意で、ほんとうに病気で休んでいる人が大部分であるが、病気でなくても傷病手当金をもらう人があるという点を御心配になっておられるように伺ったわけですけれども、すべてこういう法律のやり方や行政のやり方は、善意で、そしてやっている人がめんどうな手続なしにいろいろなものがもらえるという方向で考えていただきたい。何万人に一人ぐらいそれを逆用する人があっても、残りの大部分の何万人の人がそういうものの給付金を簡単に受け取れる、また気がねをしないで受け取れるというふうな状態を作っていただきませんと、非常にまずいことになるのじゃないかと思いますので、そういうお心がまえで事務的な御研究をぜひ願いたいと思うわけであります。その問題について保険局長でも、厚生大臣でももちろんけっこうですが、一応御返事をいただきたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 御指摘のような心づもりでものを考えて参りたい、かように考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 厚生大臣のさっきの御答弁に関連してでございますが、さいぜんの御答弁で申されましたように、事務当局もそういうふうに御推進になる決意に燃えておられますし、また準備もすでに進行していることでございますから、本年度の補正予算の機会がございますときに、ぜひ厚生大臣の方から大蔵省に話をつけて、御答弁によれば大蔵省の方でも必ずしも財政的の理由でどうしても反対するという状況でないようでございますから、臨時国会が開かれて補正予算が組まれるという場合に実現する最大の御努力を願いたいと思うわけでございます。それについて御答弁を願いたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 十分努力いたしたいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 その問題につきまして、ただ傷病手当金という言葉で申しましたけれども、それにはもちろん出産手当金、哺育手当金、配偶者哺育手当金というような同種類の現金給付までつくことを前提として私も御質問を申し上げ、また厚生大臣も保険局長もそのつもりでお答えになっておったと認識するわけでございます。もし違いましたら御訂正願いたいと思いますが、そういう意味で御推進を願いたい。  次にその傷病手当金の内容でございますが、傷病手当金は短かい期間の傷病手当金であるとかあるいは少い金額の傷病手当金でありましたらその効果は少いわけであります。一応芽を出しておいてだんだんふやすというお考えもございましょうけれども、最初の芽が大きくなければ早く育たないわけでありますから、巷間伝えられる厚生省と大蔵省の交渉の程度よりももっとよく、少くとも健康保険に相当近寄った程度で芽を出していただきたいと思うのであります。それについてのお答えをいただきたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 内容の点になりますといろいろ考え方がございますが、私ども今考えております点は、金額の点でいきますれば、大体失業保険の支給額と同程度というようなことを一応考えております。  それから支給の期間でございますが、これはもちろん長ければ長い方がいいわけであります。傷病手当金を実施するために要する財源とその財政的な手当とのかね合いの問題で、長ければ長いほどいいことは申すまでもないことでありますが、その辺のかね合いから決定いたすべきものである、かように考ております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 私どもは少くとも半年の傷病手当金を即時支給すべきだと思いまして、私どものこの法案に対する改正案についても準備を進めているわけでございますが、それに近いような、たとえば最初の芽としても最低三カ月ぐらいのものをぜひお考えを願いたい、これは強く要望をしておくわけでございます。  大蔵省の主計官来ておられますか。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 今呼んでおります。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 至急に呼んで下さい。それでないと質問をダブってしなければなりませんから……。  そういうことでそういう問題に対処していただきたい。  傷病手当金については厚生大臣は十分に御承知であろうと思いますけれども、日雇労働者健康保険法の被保険者に関しましては、傷病手当金は一般の健康保険の被保険者よりもさらに必要なものでございます。病気になれば収入がなくなるという現況でございます。それで傷病手当金がなければ家族の生活が持てないから、医者に診断をしてもらって、安静を命ぜられておっても、家族の生活をささえるために医者の安静の指令を守らないで、それで病気がなおらない、悪化する、あるいは死に至るということもあるわけでございます。ですから傷病手当金があるとないとでは、大いに違うわけでございます。傷病手当金がないことによって、せっかくできているこの医療給付の方も実効を表わさないということが起るわけでございます。この問題につきましては、厚生大臣も保険局長も十分お覚悟を持っておられると思いまするけれども、ぜひ一つそのような十分な、豊富な内容を持ったものを、来年といわずことしの補正予算から実現されるようにしていただきたいと思うわけでございます。大蔵省の方でいろいろ財政問題ということでむずかしいというようなお話がおそらくあると思います。たとえば厚生省の原案のように長い期間、そうして即時やることはむずかしい。それを値切って幾分短かい期間であればというような話があると思いますけれども、その問題について大蔵省はいかに研究されておっても、この日雇労働者健康保険法の被保険者の実態を厚生省以上に知っているものではありません。でございますから、厚生省の担当者たる厚生大臣、また厚生省のいろいろの方々は、ほんとうに強固なる意思を持ってこれに当っていただきたい。大蔵省は値切る役でございますけれども、値切るのも理由を知らないで一括値切るようなことをしますから、そうじゃなしにどうしても必要なんだと、今までの経緯を説明されて強くやっていただきたいのであります。その点で大蔵省の関係者が一緒におられる席で申し上げたかったわけでありますが、おられないことは残念でございますけれども、来られてからまたこの点について申し上げることにいたしたいと思います。  傷病手当金のことはそれだけにいたしまして、次に保険給付期間の延長の問題がございます。三カ月から六カ月、一年と延びましたけれども、普通の健康保険に比べましたらまだはるかに少い。特に結核等の長期疾病にかかりました場合には、一年ではどうにもなりません。そこで一年の後は、たとえばそういう該当する事項があれば、生活保護法の医療扶助を受ければいいじゃないかというお考えもあるかもしれませんけれども、その問題も手続上うまくいかないし、とにかくそういうことで保険の給付期間の延長も非常に重大問題であります。その問題につきましては、いつごろこの延長を実現される御意思であるか、この点につきまして厚生大臣のはっきりとしたお考えを伺っておきたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 日雇い労務者の健康保険の疾病手当その他今お述べになられました手当の支給の増額の問題については、私は今八木委員の述べられたような趣旨で考えております。そこでこれはできるだけ早く実施いたしたい、こういうことで折衝をいたして参っていることは御承知の通りでございますが、先ほど述べたような事情で一年になったということでございまして、今現にいろいろ作業をしておるのでございますから、近い将来において補正予算でこの問題が取り上げられるような時期が参りますれば、私どもちゅうちょせずそういう機会を選びたい、こう考えております。しかしこれは仮定のことでございますので、また厚生省の関係だけで補正予算というわけにも参らないと思いますが、もしそういう機会がないといたしますれば、三十三年度においてはこれはどうしても解決したい。この点については大蔵省においても、三十二年度予算の編成の際に両省で十分な話し合いができておりますので、私は確信を持ってやる。御趣旨全く同感でございますので、ぜひとも一つこれは実施いたしまして、多くの日雇い労働者が安心して働ける、また家族の方々が意を安んじておることができるように持っていきたい、こういう考えでおりますので、御了承願いたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 受給期間の延長についてお答えがございませんでしたけれども、それは再度お答え願いたいと思います。  それで今神田厚生大臣の御決意を伺って、これは非常にけっこうでございますが、どうか一つこの問題で補正予算を組む臨時国会を開くというようなつもりでやっていただきたい。そうでなければなかなかそういうことはむずかしい。またこの問題で補正予算を組み、臨時国会を開くということをやったならば、それは非常によいことになると思う。今までのようにいいかげんにして来年ということでなく、来年かことしの補正予算でというようなことをすれば、また臨時国会を開かなければならないということになりますから、どうしても大蔵省の方も真剣に考えて、本予算のときにそれを全部片をつける、すべきことは早く実現するという腹がまえになると思いますので、本年度に関する限りは、ほかの案件がなくてもこの問題で補正予算を組むために臨時国会を開くということを閣内で強硬に御主張になり、また厚生省の局長その他の方々は、そういう意味で大蔵省に御折衝願いたいと思う。  もう一つ今昨年の話し合いがあったからと言われましたけれども、話し合いの内容の傷病手当金の内容は私どもの希望するような十分なものではないと思う。それを十分なものにして強力に交渉していただくということをぜひお願いをしたいと思うわけでございます。  それからもう一つ、先ほど申し上げました給付期間の延長につきまして、今直ちにそれでは来年するということは言えなくても、来年するために最大の努力をするとか、再来年は確実にやるとかいうようなことを一つ御返答願いたいと思うわけでございます。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 お気持は十分わかるのでございますが、臨時国会を開くとか開かぬとかいうことは大きな政治問題でございまして、それ自体に問題があることは、八木委員もよく御承知だと思います。政府あるいはまた与党といたしましても、これは非常に大きな基本的な考え方できまることでございますから、私の一立場から、厚生省だけの関係から臨時国会を開くのだというようなことでは、かえってこの問題の解決のためになるかどうかということについて、私はこれを考えなければならぬと思うのです。ということは、どうしたら問題が早く解決するか、早く解決したいということについては、八木委員のお述べになった通り、私もこれに全く同感でございまして、それについては、一日も早くやれといったお気持も、私もやりたいということですから、わかっておりますが、しかし臨時国会をそのために開くというようなことまでになりますと、これはなかなか政治的な問題がございまして、ここで私からお答えすることはできないと思います。そういう機会がありましたら、とにかくそこで作業が十分できておって、うまく述べるということならそれは私ども最善の努力をいたしますが、開いてまでやるということについてのお答えをここで申し上げることは少し私として行き過ぎではないか、こういうふうに考えます。しかし気持はお互い通じておりますから、最善の努力をいたしたい。最悪のときでも来年度は一つ解決したい、こういうことをお答えしておるのでございますので御了承願いたいと思います。なおその際にできるだけよい給付の状態に置こうということについても同感でございます。  それからただいま御要望のありました受給期間の延長という問題についても、これは将来の問題でございますが、私も同意見でございますから、十分研究いたしましてやって参りたい、しかしいろいろ相手のあることでございますから、とにかく考え方としては私は同感だというふうに一つ御了承願いたいと思います。なお詳細なことは局長から答弁させることにいたしたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 今のお答えでは了承しがたいところでございますが、その裏に含まれている最善の努力ということを期待して、その問題に関してはこれで終りたいと思います。傷病手当金の内容の問題で、先ほど申しましたように、私どもは、現在、巷間伝えられておるような内容では非常に不十分だと思いますので、厚生省の一番最初の要求原案よりももっとよいものを作って大蔵省に交渉されることをぜひお願いしたいと思います。それから一年間の給付期間の問題はやはり即刻、延ばすように厚生省の原案を作られ、大蔵省に御交渉願いたいということを強く要望しておくわけでございます。  次に受給資格要件の問題でございますが、現在二カ月二十八日、六カ月七十八日の要件に相なっております。この六カ月の要件を作る場合に非常に論議が重ねられまして、私どもは六カ月六十日という要件であるべきだと主張いたしておりました。与党の方々も、全部ではございませんが、六カ月の要件を設けること、六カ月の要件を一月平均十四日よりもはるかに下げることにだいぶ御同調なさいました。そして六カ月七十二日という案にほとんどまとまりかかっておったわけでございますが、はっきり申しますと、その当時厚生省側の抵抗によりまして逆戻りし、八十四日に変り、最終的にはまた議会側の強力な主張によって、結局七十八日に落ちついたわけでございます。そのときの厚生省側の反対運動と申しますのは——厚生省としては六カ月の要件を設け、それを低くすることは、ほんとうの気持としては賛成であったはずだ。ところが大蔵省の方に予算の関係で約束したので、議会の方で修正になってそれが少くなるといろいろの予算上の問題が起る。それで大蔵省にばつが悪くなるというと変かもしれませんが、大蔵省と厚生省の約束違反になって、ほかの問題で大蔵省に文句を言われる。だから、腹の中は賛成だけれども、そんなに下げてもらっちゃ困るというような御意向、御態度であったように推察をいたします。過去のことを批判申し上げるわけではありませんけれども、議会側がそういう態度になったときに、厚生省としては当然受給要件を六カ月に下げていいということは考えられなければならないところでございますので、もっと強硬になっていただくべきであったわけでございます。そういう経過があって、議会側でも七十二日ということはほとんど与野党ともに——当時の自由党、民主党、左右両社会党、みんなそういうことになっておりましたので、今でも七十二日ということには議会においては御賛成が非常に多いのであります。今、七十二日という改正案を出すことは時間的にむずかしい状況にございますが、議会側でそういう改正案を出すよりも、政府の方で厚生省、大蔵省の意見が一致し、閣議で決定して出される方が非常によいと思いますので、ぜひとも最近の機会において至急六カ月七十八日の要件を下げることを実現していただきたいと思うのです。厚生大臣はこの点、十分おわかりと思いますけれども、二カ月二十八日の要件を下げる方が被保険者にとっては非常によいのでございます。しかし、二カ月の要件をあまり下げますと逆選択のおそれがございますので、そういう点を配慮いたしまして、六カ月の要件を下げることによって被保険者の要望、そして被保険者の健康をこの健康保険法を通じてほんとうに守るという正しい立場を推進しようということになったわけであります。その点について強く御認識といっては失礼でございますが、御認識いただきまして、次回の改正のときに実現させるよう厚生省からしてもらいたいと思うわけでございます。この点についてお答えを願いたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 今の六カ月、七十八日となりました当時の事情については私存じませんので、これは今先生お述べになったようなことであるかどうか承知いたしませんが、先生もよく御承知のように、日雇労働者の健康保険金につきましてはあれもこれもやりたいことがたくさんあるのでございます。この切手の枚数の問題につきましては、私これをどうすべきかということをまだ十分突き詰めて研究いたしたことはございませんけれども、いろいろやりたいことがあるわけであります。御指摘になりました受給期間の問題にいたしましても、傷病手当金の問題にいたしましても、その他にもいろいろあるわけであります。ところが、一時に全部やるということは非常に骨が折れる。御存じのように、二十九年に施行されましてからほとんど毎国会法律改正をやっておりまして、ことに三十年におきましては給付期間の六カ月を一年に延長いたしましたり、歯科の補綴を入れたりしたことによりまして、三十一年度は実は支払いの方の繰り越しを四億二、三千万円やっているわけであります。そういう状態でございますので、何もかも一時にやるということは非常に骨が折れる。それで、私どもといたしましては、まず一番大きな問題として、要望されております傷病手当金に主眼を置いていろいろ考えている。しかし、その他の問題につきましても改善いたしたい点がいろいろあるわけであります。それらにつきましては、いつやるということは申せませんけれども、徐々に財政状態、財政的な手当等兼ね合いで物事を運んで参りたい。何としても当面は傷病手当金の問題が一番ではあるまいか、かような基本的な態度で進みたいというふうに私は考えておるわけでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 この問題はもっと申し上げたいのですけれども、省略をいたしまして、主計官が来られましたので主計官に一言申し上げたい。今途中で聞かれたのでおわかりのように、日雇労働者健康保険法につきましては、傷病手当金、出産手当金と同種類のものを至急に作らなければならないという状態でございますが、そのほかに給付期間を延長しなければならないという問題もあるし、また受給資格要件を緩和しなければならぬとか、その他問題がたくさんございます。そういう点につきまして、大蔵省の方でこの日雇健康保険の実態をもっと深く認識されまして、いろいろの要件がいれられるように、もちろんこの保険の性質上国庫負担を必要とするものでございますから、その点で厚生省側の非常につつまし過ぎる要求も値切っておられるような状況でございますが、今後ややつつましいくらいな要求を出していただくようにお願いをしてございますから、ややつつましい要求は断じて削らないように、主計官一人ではっきりとした御答弁はお立場上できないと思いますので、これは別の機会に大蔵大臣なり主計局長に申し上げますが、その点十分お聞き取り置きを願いたいと思うわけであります。その点についてそれだけ申し上げましてもぴんと来ないと思いますので一、二分申しますと、日雇労働者というものは御承知のような労働条件でございまして、病気になりますと直ちに給料がなくなる。そういうときに傷病手当金がなければ生活が困るために、医者の方でこの病気は安静にしなければならない、十分休まなければならないといっても、賃金がとれないために病気が悪くなるのを知りながら、無理をして家族を養うために働かなければならない、そうしなければ生活が持てない、それは傷病手当金がないことがその原因になっておるわけです。そういうことによってなおるべき病気が重くなったり、そしてまた保険会計自体が財政的に苦しくなるもとを作るわけです。また盲腸が急に悪化して死ぬというようなこと、あるいは無理して結核のなおりがたい状態になってしまうというような状態になるわけであります。そういう点を十分により深く認識していただきまして、厚生省側の日雇労働者健康保険法に対するつつまし過ぎる要求に対しまして、断じて斧鉞を入れないようにお考えを願いたい。どうか聞き流しじゃなしに、主計局長にも大蔵大臣にもこの点をお伝えを願って、そしてまた主計官御自体でも御検討を願いたいと思うわけであります。  それではこの問題はこの程度にいたしまして、次に日雇労働者健康保険法の別な問題でございまするが、この保険の適用を受けたい、現在適用を受けている人と同じような状態にある人がたくさんございます。たとえば山林に働いている山林労働者、あるいは港湾労働者、あるいは病院で働いておりますつき添い婦、その他鼻緒工とか、いろいろと状態が同じ日雇いの状態で、健康保険がぜひとも必要で、それを熱望している状態の人がございます。それにつきましてぜひとも法律改正をもちましてこういう人たちが——何といいましょうかごくつつましい内容の法律案でございまするが、このつつましい内容の法律案をぜひとも適用を受けたいと渇望している状態でございまして、国民皆保険をやるといっておられる神田さんは、せめてそういう一番つつましい熱望をいれる努力をされる、実現される責任があると思うのです。国民皆保険の実現の仕方については国民健康保険であるとかいろいろの考え方がございますけれども、少くとも労働者の場合には、傷病手当金がなければその保険の意味をなさないという点、それからもう一つは健康保険という種類の社会保険には雇用主の半額負担があるので、そういう点がありますから労働者という名のつくものは健康保険の範疇に入れないとその人たちが救えないし、また非常に不利になるわけでございます。それを健康保険ですればいいというような間違った考え方を深く考え直されまして、この日雇労働者健康保険法の今の被保険者と同様な状態にある人を、法規の改正によってこれを逐次全部この適用を受けられるようにしていただきたい。これはぜひともそれぞれ御研究になって次の法律改正で間に合わせていただきたいと思うわけでございまするが、その点についての御所信を伺いたいと思う。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 大部分は大蔵省の方のお尋ねのようでございましたが、後半私の方の主管のこともあるようでございますので、その分だけお答えいたしたいと思います。ただいま八木さんのお述べになられましたように、政府は国民皆保険医療を一つの大きな旗じるしとしておることはしばしばの機会に申し上げておきました。   〔委員長退席、野澤委員長代理着席〕 また大方の非常な共鳴を得ておることも事実でございます。そこで給付内容をよくしょう、そのために最善の手を打て、こういうようなふうに了承できるのでございますが、われわれといたしましてもそれらのことも十分考えて進めて参る方針でございます。ただ何といいましょうか、国民保険を実施した場合の、例の五人未満の労務者の問題等につきましては、今お述べになられたような事情がございますので、十分一つ検討いたしまして、できるだけ均衡のとれるような方向を見出したい、こういう意図を持ちましてせっかく今慎重に検討しておるわけでございます。いろいろの都合で広範にわたる調査でございますので、詳細お答えできる材料がないことを遺憾としておるような事情でございます。御了承願いたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 今委員部から連絡がありまして、ちょっと厚生大臣の御答弁を聞き漏らしたところがあって大へん恐縮でございましたけれども、その御答弁を推測して次の質問を申し上げるわけでございますが、健康保険、国民皆保険について、労働者については健康保険でやるという本則をあらゆる点でぜひ突き抜いていただかなければならないと思うわけでございます。五人未満の点につきましてはこれを必ず健康保険で解決するということ、それから今の日雇労働者健康保険法の問題でございますが、日雇労働者の健康保険の問題も別な方法で何らかいい方法を考え出されまして、健康保険に統合する、そうして今の日雇労働者の有利な条件をそのままにして健康保険に統合する道を考えていただくということをしていただきたいわけでございますが、それが即刻に間に合わない状態におきましては、日雇労働者健康保険法を健康保険の給付内容のように十分にどんどんと高めていく、そうしてそれと同じような状態にある労働者をそこに吸収していくということが厚生省の考えていただくべき筋合いではないかと思うわけでございます。その点で先ほど申しました山林労働者とか、港湾労働者とか、つき添い婦とか、鼻緒工とか、そういう人を入れる法律改正をぜひ考えていただきたい。それから法律改正ができない場合、まだ間に合わない場合——必ずしていただかなければなりませんけれども、間に合わない場合におきまして、現在行われております擬制適用の方法を十分に活用されまして、それをやっていただきたいと考えるわけでございます。法律改正の方法につきましては、厚生省御自体として十分な考えでこういう人たちを入れる方策を考えていただけると思うわけでございますが、その方法につきましては、日本社会党の提出いたしております認可による被保険者というあの条項を御参照願っても、ほかの方法が見つからない場合にはあれで解決できると思う。すべての人たちを適用させることができると思いますし、またそこまでいかない場合においても、労働者供給事業をやっている団体に対してできるという方法もあるかと思います。そういう方法はまだごく微温的なものでございます。少くとも社会党の考えております、本院に提出しております健康保険法の内容その地も御参照願いましてよりよいものであったらけっこうでございますが、より悪いものにならないようなやり方によりまして、ぜひこの人たちが適用されるように考えていただきたいと思うわけでございます。その件につきまして前段申し上げましたそれの間に合うまでの擬制適用の活用の点につきまして、ぜひ厚生大臣から積極的な御答弁を願いたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 国民皆医療保険ということを掲げておりますのでございますから、方面といたしましては、今八木先生がお述べになりましたような方向でものを考えていくということにつきましては、これはもう御指摘の通り全く同感でございますが、ただ被用者保険ということになりますと、やはり使用、被使用の関係が明確でございませんと被用者保険の中に包括をしていくということは非常にむずかしい問題になっております。さような点が結局要点になって参るわけでございますが、今先生がおあげになりましたような社会党御提案のそういうふうなものも十分参考にいたしまして、私どもといたしましてもできるだけ国民皆保険の線に沿うように今後検討を進めて参りたい、かように考えておるわけでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 今まで間に合わなかった人たちにそういう擬制適用でやっていける部分を活用して、そうしてそういう人たちの現在の健康を守る道を積極的に考えていただきたいと思うわけでございます。これについて御努力賜わるものと思うわけでございますが、厚生大臣の御答弁を願いたいと存じます。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 非常に専門的な問題でございますので、私からお答えさしていただきたいと思います。  擬制適用は、八木先生も十分御承知のように、現在の法律では工合の悪い、法律で予定してないようなものも、実際の必要からああいうふうな便宜の措置をとっているわけで、これを広げるということは、方向としましては、建前として私はあまり適当ではないんじゃないか、かように考えておるわけです。しかし何か現在そういう便宜の措置をとっておるような方々と比べてみて、具体的の問題としてそれらとちっとも変らない、むしろそれ以上にこの網の中に便宜入れていっても差しつかえがない、弊害もない。しかも入れてあげるべきだというふうなものがございました場合には、具体々々の問題で、一つそういうふうな観点から検討をして参りたい。方向として擬制適用をどんどん広げていくかということを御質問いただきますと、これはさようなわけには参りませんとお答えをせざるを得ない、こう考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 まあそれでけっこうでございます。保険局長が言われるように、擬制適用じゃなしに、法律的な根拠で強制適用をするのが一番いいので、先ほど申し上げたことを厚生大臣は大いに大所高所から御推進になり、保険局長はどんどんと事務的な準備を進めて推進力になっていただきたいと思います。それが間に合わないときにおきまして、先ほど御答弁になりましたように、そういう人たちの健康の現状を考えられまして、擬制適用をそういうふうな配慮で、あたたかい心がけをもって配慮していただくということをお願いしたいと思うわけでございます。  最後に、日雇い労働者の健康保険法の問題でございます。現在不十分な日雇労働者健康保険法でございまするが、法律上の内容が不十分であるだけでなしに、いろいろ行政上の問題で非常に受診制限というような結果になるような手続がされておるわけでありますが、手続を簡素化することは厚生大臣なり保険局長が決意をされましたら即時にできる問題です。これは今の日雇労働者健康保険法は内容が悪い、それからまた手続についても法律上も非常に複雑であるという状態を緩和するために、行政上は現在の状態において最大の努力を迅速にしていただく必要があると思うのです。それはしょうと思ったらできるのです。その点についてぜひ実行していただきたいと思うわけでございます。たとえば現在日雇い労働者が病気になりまして、そういう保険を受けたいというときには、保険出張所とか委託を受けた市町村とかに被保険者手帳を持ちまして受給資格証明書交付申請をやりにいかなければなりません。申請をやって受け取って、そうしてお医者にかかる。そのときにこの申請書にはいろいろと病状を書くことになる。腹痛で申請をして交付を受けますと、翌日に歯が痛くてうんうんうなっていても、またそれをとりにいかなければならないということは非常に不合理であります。日雇い労働者が毎日働いているときにそういうところに行く時間は大体ございません。時間は大体九時から五時までしか受付をいたしませんが、休んで行かなければならないということになる。また保険の出張所やあるいは市町村のそういう機関が非常に遠いところでありますゆえ、時間がかかるし、電車賃がかかる、汽車賃やバス賃がかかるということになります。そうしてその家族にかわりに行かしたらいいじゃないかということを言われるけれども、家族はおそらく子供がたくさんで、そうして子供を人に預けていくと、その預け料を人に渡すということもできないような大へんな人たちばかりであります。また内職をしておって、そういうふうなことで出ていけば内職の収入に響くというようなことがあるわけでございまして、何回もそこに汽車賃をかけて出ていくということが非常に困難な状態でございます。これによりまして、このくらいの病気だからがまんしてしまおうということで、しろうと判断で、そのときやればすぐなおる病気が重くなって、非常に苦しむとか、そうして保険支出が多くなって、日雇い労働者健康保険勘定自体も収支が悪くなる原因を作るとか、いろいろの悪いことが起ってくる。この手続の煩瑣が今非常に問題になっておるわけです。この点について、こういうようなことをする必要はない、普通の健康保険の場合と同じように、保険証だけ持っていけば見てもらえるようにすればいいわけです。それをなぜこう繁雑な手続にするか、非常に不可解であり、それは不人情であると思うわけでありますが、この点についてぜひ即刻被保険考証だけですぐかかれるように事務手続を直していただきたいと思いますが、それについて厚生大臣の御答弁を願いたいと思います。厚生大臣は今ちょっと委員長と話をしておって大事なところを聞いておられなかったと思いますのでもう一回言いますが、これを聞いていましたら、厚生大臣から最初御答弁願いたい。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 聞いておったんでございますが、どうも内容が手続問題に関することが多いようでございまして、私よりも練達堪能の高田政府委員の答弁の方がよろしいと考えて実は政府委員にお願いしょうと思ったのであります。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 ですから特に申し上げたのです。手続関係で、こまかい、どういうようにしていただきたいということは保険局長に申し上げますし、保険局長でけっこうでありますけれども、その手続関係が、日雇労働者健康保険法を、ある意味において、死文とはいわないけれども、運用ができないようにしておるわけです。ですから、手続を直すという根本方針を厚生大臣が意思をきめてやっていただきたい。手続をどう直すかという問題は保険局長が考えていただいてけっこうなんですけれども、手続でこの法律が一部死文化しておる。この保険で見てもらえる資格のある人が病気になって見てもらおうとするときには、こういう変なものを持って申請をするために遠くまで行かなければならない。社会保険の出張所とか、委託をした市町村の事務所まで行かなければならない。遠くまで行くには、そういうところは遠いところですから、場合によっては二時間も三時間もかかる。特に汽車賃が百五十円も二百円もかかるという状態です。日雇い労働者の収入状態は厚生大臣御承知の通りですが、その人たちがそのためにそれだけの金をかけること自体が問題であるし、また仕事を休んで二時間も三時間もかけて行くということは非常に問題である。そうしてかわりに行くような家族のいる場合といない場合がある。いる場合でも病気の場合があり、健康の場合でも内職をしておる人がおる。そしてその病気を冒していかなければならない。おそらく子供がたくさんあって、子供を置いていくと自動車にひかれるような危険性もある。そういうようなことで、手続の非常に複雑だということで非常に困難な問題が起るために、被保険者が病気になっても、このくらいはがまんしてしまうということが起る。しろうと判断でがまんすると、普通の腹痛だと思っていたところが盲腸になって死んでしまうことがある。死なないまでも腹膜炎を起して長いこと療養しなければならない。それが日雇い労働者健康保険の保険勧定の赤をふやすことになって、保険自体について非常に問題なんです。これは人道上の問題としても非常に問題だし、当然権利を持っている人がそういう事務的なことで診療を受けられないと、健康保険の本義がそこでくずれてくる。そういう問題が手続の問題からある。この手続の問題は厚生大臣が決心し、そうして保険局長が熱心にやる気持になれば即時変えることができるわけです。国会におけるそういうような法律改正の手続を要しない。その点について即時やっていただきたい。それをやるには、この被保険考証を持っていけばお医者にかかれるというように変えればそれで簡単なんです。それを持っておるにかかわらず、病気になったときには遠いところまで電車賃をかけて行って、複雑な受給資格証明交付申請書というものをもらわなければならない。その中には字のわからない人もいるし、役所のお役人を見ればこわくておどおどする人もいる。そういう人たちにむずかしい手続をあえて説明してくれない。そうして書きそこになったからもう一回出てこいということになる。そういうことですから、被保険考証だけをもってすぐ見てもらえるようにすれば一ぺんに片づく、被保険者証も健康保険と違って、受給資格がわからないということをおそらく最初に言われるでしょうけれども、この被保険者証には受給資格がわかるように印紙の添付がある。前二ヵ月二十八枚、前六ヵ月に七十八枚の印紙が張ってあれば完全に受給資格がある、そのくらいのことを社会保険を取り扱うお医者さんがわからないはずはない。数だけ勘定すればいいのですから、それに委託すればいい。それをわぎわぎ遠くまで引っぱり出し、仕事を休ませて、痛いのをこらえさせ、苦しみを味わわせて、金を使わして、そういう無慈悲な事務が行われておる。それを即時変えていただきたいという根本方針——法律的の何月何日までにどういうことをやめてどうするということは保険局長でけっこうですけれども、そういうことをやめて日雇労働者健康保険法が実効あるように、労働者の健康が守られるように、そして健康保険勘定自体の病状悪化による赤が少くなる、こういう大所高所を考えられまして即時直すという意思表示をしてもらいたいと思うわけでございます。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 官庁事務が非常に複雑のために民間人が非常に不便、支障を受けている例はたくさんあるようでございます。ことに今御指摘になった日雇い労働者の問題とか、あるいは要保護者等に関する点についてどうも手続か煩瑣だ、もう少し簡略にしてもらいたいという声は私ずいぶん耳にいたしておりまして、この席上においても、国会のこうしたせわしさが抜けましたなら一つ思い切った簡素化をはかろうということも、たびたびお約束申し上げておるわけでございまして ただいまお述べになりましたこともおそらくその中の一つであろうかと思いますが、しかし内容によりますと、あまり簡便化してしまったら、かえって弊害を伴うというような例もまたあるようでございまして、国費になっても、これは国民の税金でございますから困るだけでございまして、その辺のことがないような措置をとるようにして、今お述べになったようにできるだけ簡素化して国民全体が能率を上げる、むだな労力を使わない、こういうことが大きい国家経済につながる問題でございますので、そういう観点に立って、これのみならず厚生行政全般について簡素化したい、こういうように私考えております。これもお述べになられたのでございますから、十分一つ対象として検討する、こういうことで一つ御了承願いたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 今の厚生大臣の御答弁の趣旨は非常にけっこうなんです。厚生大臣は非常にりっぱな厚生大臣で、熱心な厚生大臣ですけれども、この点についてははっきり言うと実にたよりない。何か弊害があるようでしたら——さっき僕がおわかりにならないだろうと思ってちゃんと言っている。その点でも事務当局、事務当局と逃げられようとするけれども、ほんとうの根本の問題はさっきの僕の説明を聞いていただければわかるはずです。ほかの問題も手続を簡素化してもらわなければ困るけれども、今これを言っておるのだから、ほかの問題と一緒にといわず、この問題は即刻やっていただきたいし、この問題はすぐやるという返事をしてもらいたい。厚生省事務当局に言わせればこれをインチキに使うものがあるとかなんとかいうことなんです。そういう法網をくぐってというようなことはどんなものだってあるわけですが、ほかのものについてはそんな複雑な手続はないのです。保険のことにだけついては非常に複雑なんです。ところが保険のことは、ほかのことと違って複雑ではいけないのです。即刻命がどうなるという問題が起るのです。複雑にすることによって貴重な人命をそこなうとか、家族に非常な不幸をかけるということが起るわけです。だから厚生省は、健康の問題や何かについては、ほかの警察の手続とか、遺失物を受け取る手続とか、そんな妙なもののようなことを考えてはいけないんだけれども、それ以上に複雑なんです。しかもそれはちゃんと保険料を納入して、印紙が張ってあり、割印が押してあって、はっきりしているのに、わざわざ引っぱり出して、仕事を休ませて、苦しいのをこらえさせて、金を払わさせられている、こういうめちゃくちゃな行政が行われている。それを直すには事務当局に聞かなければわからないとか、何か弊害があるよううだから——そういうことは大間違いだ。保険全体で弊害がある、悪用するとか、インチキがあるとかいうようなことならば、健康保険の問題のときも言われたけれども、法律はすべて善意の被保険者と善意の医療担当者を対象にされるということで行政をやらなければ、何万人の中に一人くらいインチキをする人があったからといって、全部の人を右へならえして、複雑な手続をやらせて、金を使わせ非常に迷惑をかける。はっきり言えば、どろぼうをつかまえることはいいことだから張り込むことはいいことだといって、新婚家庭に毎日刑事が張り込んでそばで聞いていられたらたまったものではない、ということと同じようなことだ。だからすべて全部が善意だという建前で行政をやらなければいけない。そういうことでそれは即刻変えていただかなければならない。ちゃんと保険料を払って資格を持っておる者が、被保険考証があり、印紙を張って割印を押してある、それを一々遠くまで行かなければ見てくれない、そんなばかな話はない。被保険者証で即時見ていただくように即刻変えるということを断言していただきたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 お述べになっておりまする御趣旨は全く私どもも同感であるわけでございます。ただ保険というものは、やはり保険事項を確認し、そして受給資格を確認して保険給付が行われていく。それで普通の健保の場合には、御存じのようにずっと継続して使用されるわけでございます。それで被保険者証を持っておるということは、やはりその人間が資格も持ち、そして受給資格を持っておるということが一応想定できるわけです。従って健保の方では受給資格があるかないかということ、被保険者の資格の確認ということを医療担当者にお願いしておるわけです。医療担当者にそれを確認していただいて給付していただくという格好になっておるわけです。ところが日雇い労働者の使用関係は御存じのように断続するわけです。従って先ほど御指摘のような六カ月に七十八枚とか、二カ月に二十八枚とかいうような受給資格要件というものが出てくるわけです。それを確認するのを医療担当者に被保険者証を持っていけばすぐ見てもらえるようにしろとおっしゃることは、医療担当者に確認ということをやっていただくということになって、万一間違って受給資格がなかったという場合には、その責任は確認した者にぶっかかっていくわけですね。そういうめんどうなことが起るわけです。従って、受給資格の確認をしないで保険給付をするということはできませんから、それを確認するとすれば、これは医療担当者にさような責任をぶっかぶせるよりは、保険者がやるべきだ、こういう建前で、今御指摘のような手続が出てきておるわけです。それで大臣がいろいろ手続はできるだけ簡素化したいというお気持をるる述べておられます。私どももできるだけそういうことをしたいということを考えておるわけでございますが、この問題は、そういう日雇い労働者の労働の実態というものと関連のある本質的な問題につながっておるわけです。従ってその確認の仕事をやらなければならないし、もう少し平たく言えば、これにかわるべきいい方法があるならば、私どもとしてもその方法をとりたい。そういう意味でいろいろ研究はしておるわけでございます。しかし今これにかわるべき、こういう方法でやればいいということが、私どもまだ確信を持っておりません。従って今日直ちにこの受給資格証明書というものを廃止するというまでには、それをこの席でお答えいたすまでには立ち至っておりません。しかし将来の問題としては、お述べになりましたお気持は十分わかるわけでございますから、十分一つ検討を加えて参りたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今るる高田保険局長から御説明がありましたが、現在健康保険法なり日雇労働者健康保険法が改正されて新たに実施されようという千載の好機なんですね。従って現在現実の患者の立場から、あるいは現実に受給資格証明書で取り扱う医療担当者の立場から申しますと、日雇い労働者の諸君は朝早く出ていきます。残った家族が病気になりますとこれがないのです。そうしますとその出ておる主人なり奥さんを呼び戻してこれを取りにいってもらわなければ見てやれないのですよ。きょうは時間がありませんからいずれ機会をあらためて医務局長に受診券があった場合に拒否できるかどうかその問題を尋ねますが、今八木さんが言われたように受給資格証明書というものをこれと一緒にやったらいいのです。こういう手帳を持っているのですが、とにかく毎日仕事があれば安定所に面着に行くわけですから、面着に行った安定所が毎日これにぽんと判を押しておきさえすればこの人は資格があるのだという判の欄を作っておいて、これを持っていけばいいということにすればいいのです。一々役場なりこれを発行する場所に取りに行くのは大へんです。もう手おくれになる。これは現実に療養を担当しておればすぐわかる。それからこれはこの前大臣にお願いをして、大臣も明らかに健康保険の改正のときに生活保護の問題も健康保険も事務を簡素化する、こうおっしゃった。ところが今回生活保護の事務というものが、新たに医療においても生活保護法による保護の基準等の第十四次改訂が行われることになりました。この十四次改訂の内容についてはまたいずれ時間があるときに御質問さしていただきますが、この改訂に伴って同時に医療扶助実施適正化を指示するものが社会局主任者会議で示されておる。この前大臣はこの席上で明らかに医療扶助の事務は非常に複雑である、これは改革しなければならぬ、こうおっしゃったが、これを見ますとちょっとも改革されていない。新しく示されたものは昔よりかまたむずかしくなってきている。同時に健康保険の改正もやりましょう、こういうことだった。ところが健康保険を見るとちっとも改正されておりません。しかも様式が全部変ったんです。変った内容を見ると一つも変りばえがしていない。こういうことになりますと、請求書なり診療録を現実に作っている医者は大へんな損失です。診療録も何もかも変っている。しかも診療録は症状や原因を書く欄が少くなっている。審査を受けるときに症状や原因の書き方が少いとこれはけしからぬといって怒るのです。ところが今度保険局で出した診療録の欄を見ると、自分たちの方の事務に都合のいいように診療の事実のところだけはうまく場所をとっておるけれども、医者の書かなければならぬ症状の欄は非常に少くなっておる。医者が症状を書きその原因を探求するのが診療録なんです。ところが金を取る請求のところだけ書かせるなんというそんなばかなことはないのです。こういうように診療録というものはまるっきり改正になっていない。それから健康保険の請求書を見てみると今度二号様式なんです。これは初診の場合の点数というものは、初診のときに必ず百円までのものは百円取らなければならぬ、こういうことになっておるから、第一日目の診療内容というものが必ず明白にならなければならない、これは必ず医師会等と話し合ってやりますと言ったのに、出てきたものを見ると何ら変っていない、同じものが出ている。こういうように大臣が国会で答弁したことを、生活保護にしても健康保険にしても事務当局が全く実施しておらない。こういうことなら大臣の不信任案を出さなければならぬことになる。事務当局に大臣の威令が行われていない。国会で大臣が言ったことを事務当局がきちっと誠実に実行するのが政治なんですよ。今八木さんが言ったことだって同じなんです。こんなめんどうなものを持たして、これを今度はまた社会保険出張所に医者がつけて出さなければならぬ。こんな小さなものはなくなってしまうのです。しかも薄っぺらなたくさん紙をとじたものにこれを一々今度つけて出す。一体こんなめんどうくさいことをだれのためにやらせるかというと、社会保険出張所の事務のためにやらせる。高田さんは、今ここに八田さんが言っておったが、社会保障というものは深山幽谷だとおっしゃるそうだが、深山幽谷なんという認識を持っておることはけしからぬ。深山幽谷であってはならぬ。社会保障というものはもうだれでも上れる山でなければならぬのです。深山幽谷でやるような事務をわれわれにやらせるからこういうことになるのです。だからこういう点については早くやらなければ、これは貧しい者が一番困るのですよ。子供をうちにほっておいて奥さんが仕事に出ておる、子供が病気になった、近所の者が子供を医者にかかえ込んだがこれがない、仕事に行っておる奥さんを呼び帰してまた走らせる、それでなければ医者は見ることはできない。またこの見ることのできるかできないかの問題はいずれ医務局長にお聞きしますが、医療券がなければ生活保護の患者は見ることができないことになっておる。そうするとこの人は生活保護者で医療券を持ってこれるということがわかっておるのに、社会局は医療券を持ってこなければならぬと言う。医師法による応招の義務はどうなるかということです。人間の生命よりか保険局なりあるいは社会局の事務を中心に問題が論議されておるところにこういう間違いが起ってくる。従って私は今の八木さんと同じように、日雇い労働者の健康保険の手帳にこういうくだらない一枚の紙きれを出すならばこれで信頼しておやりなさい、そうしなければ事務が渋滞してその責任はだれにかかってくるかということです。しかも傷病名を書くのにしろとがやるのです。だから腹が痛いと言ってきたときに腹痛と書いておる。ところが子供の腹の痛いなんというのは頭が痛くても何でも腹が痛いと言うのです。来てみるとへんとう腺がはれていて腹痛でも何でもない。ここに書いてある病名と診断する病名が違ってくるのです。私に言わしむるならば、そんなばかな行政をやるところに日本の保険行政が進まない原因がある。もっと医者を信頼して、これでおやりになっていいのですよ、即刻これでやってもらいたいと思う。私は療養担当者の立場も知っております。患者も自分でやって知っておる。これで何回か患者を役場まで走らせたかわかりません。取ってこなければ役場から怒られる。だからこう二つに分ける必要はない。日雇い労働者であろうと健康保険の患者であろうとみんな同じ人間です。従って役所が二十八日なり七十八日の資格ができたら、毎日面着しておるからぽんと判を押してくれさえすればこれでいい。子供が病気になろうと自分が病気になろうとこれを持っていけばいい。ところが今は本人が病気になればわざわざ病気のつえをつきながらこれを取りに行かなければかかれないのですよ。この前も私は医療券について言いました。医療券だって奥さんが病気になったらその小さい子供は取りに来られない。そうすると医療券がこないから医者は見なくてもよろしいと保険局は言っておるのです。医師法の応招の義務はどういう関係になるかということ、そういうむずかしい問題が医療というものにはからまっておるので、事務というものは社会保険出張所やあるいは社会局中心のものの考え方ではなくして患者中心のものの考え方をしてもらいたい、こういうことです。それができないならばこれは厚生大臣不信任です。この前大臣は生活保護については改正をすると言明をしておる。しているのに今回のこの通達を見てごらんなさい、社会局は一つだって改善されていない。保険局だって同じだ、一つだってやられていないのです。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 その点について私からお答えいたします。今の健康保険関係の問題につきましてはできるだけ事務を簡素化したい、こういうことは大臣も御答弁になりましたし私どもも考えておるところでございます。それで今回の法律が成立をいたしまして、その施行関係の命令を定めまするのに御存じのように一カ月しかございません。しかもその間相談をいたすべき一つの団体の幹部が交代をしたりいたしまして、その間全部の期間をこれに投入することはできません。しかも五月一日から適用ということに相なっておりますので、できるだけ早い機会に政令等を出さなければならぬ、こういう事態に追い込まれて、さような事務の簡素化ということを検討をいたしまするだけの余裕がございませんでした。従ってこれは一応現在のまま出しておいて将来の問題としてお互いに研究していこう、こういう話し合いになっております。それから具体的に御指摘の初診の際の問題につきましては、一部負担に関連した問題でございますが、それにつきましては七月一日までにその様式は改正しようという話し合いで診療担当者の団体ともお話し合いをいたしておるわけでございます。さようなわけで健康保険の方の関係といたしましては、さような事務の簡素化というふうな大筋の問題は、支払い方式とも関連をいたしますので、将来の問題として一つ検討いたしたいということに相なっておるわけでございます。  なお日雇い労働者の受給資格証明書の問題は、先ほど八木先生にお答えしましたように、これにかわるべき何かいい方法があれば——今滝井先生が一つの点を示唆されたわけでありますが、何らかいい方法があれば私ども今のやり方を固執するものではない、かように考えておるのでございます。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 先ほど八木委員の御質問にもお答えしたのでございますが、重ねて滝井委員からお尋ねのようでございまして、厚生省のいろいろな事務の簡素化、特に医療関係を対象とする事務の簡素化についてはしばしば御指摘も受け、私も責任を持って一つ簡素化しようということをお答え申し上げておりました。その旨事務当局に十分指示してございますが、何といたしましても年度の切りかえの際でございますのと、それから今高田政府委員が述べましたように、交渉の相手方が当時はっきりしておらなかったというような事情等もございまして、とりあえず出ておると私ども考えております。根本的な問題は漸を追うてそれぞれの機関と納得ずくの上で十分簡素化して参りたい。私も簡素化については皆さん方から申されるまでもなく従来から非常に熱心な一人でございますので、述べられることは私全く同感なんです。ほんとうに同感でございまして、御示唆等も受けたようでありますから、それらも参考にいたしまして、なお一そう御支援願いたいという気持でございます。よく一つ検討いたしまして簡素化の実施をすみやかにする、こういう考え方でございますから、御指摘については大いに私尊重して検討いたします。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 関連質問で気の毒でございますが、実はすでに生活保護の医療扶助の実施の適正化の通達は四月の多分十一日に行われております。私が大臣に言った後に行われて、今よりか今度は事務ももっと複雑になっているし、詳細なことを療養担当者はやらなければならないことになっている。この点健康保険の診療録などは私たち今のと変える必要はちっともないと思う。診療録なんていうものは療養担当者に長年なじんできたものを変えれば、たくさん作っている人たちはそれだけ印刷料を損をします。しかも規定の診療録をやっておらなければ怒られるのですから。こういうものを朝令暮改、しょっちゅう変えていくことは、なるほどそれだけ役人がふえてけっこうかもしれません。しかしこれは実際の事務をやっている人はかないません。年寄りなんかこれを覚えるだけで大へんです。毎月々々指針なんか変っていく。結核の治療指針が変ったために生活保護が変る。進歩のためには変らなければならぬでしょうが、それは複雑な方向に変るべきでないと思う。変ったら絶えずそれを簡素化していくということです。だから私は今の大臣のお言葉を信頼して、ある程度の時日を待ちます。そうして神田さんの誠意を一つ見たいと思うのでこれ以上追及いたしません。  それから様式二号の診療報酬請求明細書についてもちっとも簡素化が行われていない。今まで通りです。従って健康保険の新しい法令集が出た場合に、それがもとのままのものを出して、療養担当者の団体ができなかったからそれと交渉ができぬので七月まで延ばすということは、私はやはり誠意がないと思う。これだけの法律ができるだけの準備があれば、初診のときにきめるくらいは一時間も話し合いはかかりませんよ。これはあなた方に誠意がない証拠です。それで、こういうものをわれわれの方に配付されておりますが、その内容を見ると、今までとちっとも変りない。あなた方は、自分たちが必要なときには、二回でも三回でも流れた法律でもしゃにむに通そうとするのです。それと同じです。自分の身をつねって痛かったときには、人の身をつねっても痛いだろうということを考えなければならぬ。大臣がここで言明したことは、けんけん服膺してやるのが、政党政治のもとにおける事務当局の態度です。それが大臣がしろうとだからといって、何とかかんとか理屈をつけて延ばせばお終いです。政党政治をやめた方がいい、官僚政治です。それでは政党政治の権威もない。自由民主党の権威も地に落ちる。反対党の権威が地に落ちることは、われわれ社会党の権威も地に落ちることを意味しますから言うわけです。従って私は、一つ健康保険と生活保護と日雇い労働者の受給資格証明書というものは廃止して、事務を簡素化することを期待して、ある程度時日を待ちたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 今、同僚の滝井委員の言われたことで大体尽きておるわけでございますが、大臣に一つ御注意を申し上げたいことは、保険局長にいやみを言うわけではないのですけれども、保険局長は、ここで資格要件を確認するためにそういう手続が必要だった、それは直すのにやぶさかでない、いい方法があったら聞くと言われるが、そう言われた言葉は誠意があると受け取っておきますけれども、そうじゃないのです。受給資格は今言われましたように、腹痛で行ったり、また歯痛で取りに行かなければならない。そんなことは保険のいろいろな法規上一つも必要ない。受給資格が前に確認されて、翌日また歯痛で取りに行かなければならない。こんなのはむちゃくちゃです。保険局長は、こういう法規上のことを確認しなければならないから、手続が今まで複雑になっておった、直すのにやぶさかでないが、仕方がなかったと言われるが、腹痛で受給資格を受け取った人が、翌日受給資格が変るわけがない。それをまた翌日歯痛で取りに行かなければならない。一番わかりやすいから申し上げるのですが、そういう複雑なことをやっておる。受給資格だけ見れば、法律上は何にもないでしょう。腹痛だけ見る、歯痛だけ見るということは、法律に一つも書いてない。それをそういうことをやっておる。そういうことをやっておるから、事務当局がいかにいろいろな関係があるのでこういう手続はしようがないと言われても、そうじゃない点がたくさんある。また、もっと国民全部を善意の人として見て、そして保険をよくするという意味だったら、断じてそれをすぐこのままでやらなければならない。責任をお医者さんにかけるのは気の毒だと言っておりますけれども、お医者さんもそのくらいのことは、二十八枚数えるくらいの能力のないお医者さんは日本中に一人もいないと思う。また、責任を持たせるのが気の毒だったら、それは被保険者にかぶせればよい。責任は被保険者にして、手続はお医者さんに、二十八枚以上数えてもらえば、すぐ被保険者手帳はできる。そういうことについて研究したいと言えばいくらでも私は飛んでいきます。ですから事務当局が何と言われても、ほかの点は事務当局は権威者で、苦労しており、熱心だけれども、手続に関する限りは、ともかく事務当局は複雑なのが好きです。ところが法律を生かすには手続を簡素化しなければならない。大臣は簡素化しようとしておられる。ところが簡素化したいというと、この点はいけませんとチェックを受ける。チェックを受けるようでは、大臣のほかの点の功績が全部だめになってしまう。だから大臣は、厚生大臣になられたことを国民のためにほんとうに意義あらしめるためには、こういうことを即時やっていただきたいということなんです。ほかの質問事項もありますし、同僚各位が待っておられますので、非常に残念ですが、日雇い労働者健康保険のことはこれで終りたいと思いますけれども、これは大臣、保険局長、それから特に大蔵主計官に聞いておいていただきたいのです。日雇労働者健康保険法は内容が悪い。急速によくしなければならない状況で、両院でもそういう附帯決議が何回もついている。そういうことが急速に実現されておらないことは非常に残念でございますので、厚生省は大臣も局長も猛烈に推進する、そして大蔵省はそういう立場に立ってそれに斧鉞を入れない。大蔵省の立場から考えても、そういうふうにやっていくことによって、いろいろな手続の点もあるそうですけれども、たとえば傷病手当金ができて早く診断を受ける、そして病状が悪化しないということによってほんとうの意味の保険経済の赤を出さない、黒を出すということになるのですから、そういう点で財政当局としてもほんとうの意味の財政方針というものを考えていただいて、厚生省のややささやかな——普通のささやかなくらいの要求は出せるのでございますから、われわれはもっとささやかでない要求を出すことを要求しておるのでありますけれども、それにおのを入れないというふうにぜひしていただきたいと思うのでございます。この点について大蔵省側の御答弁を一つ伺いたい。

小熊孝次大蔵事務官(主計官)

○小熊説明員 ただいまの御趣旨よくわかります。その点につきまして厚生省の方も今年度におきまして傷病手当金を中心にいたしまして、それに重点を置きまして種々検討をなされるという話も伺っております。われわれもできるだけ日雇い労務者の特殊事情を考えまして、財政の許す範囲内におきまして努力いたしたい、かように考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 日雇い健保につきましてはまだ申し上げたいわけでございますので、後の機会がございましたら重ねてそのときに質問させていただくことをお許し願いまして、ほかの問題に移りたいと思います。  次に結核の問題でございますが、時間がありませんので簡単に端折って申します。まず第一に、結核の問題につきましては、社会保障制度審議会の勧告につきまして岸総理大臣にも御答弁を願い、また厚生大臣からも御答弁を願ったわけでございますが、結核問題は直ちに撲滅対策に邁進しなければならない時期であることは、世論もそうでございます。そして政府も認められているはずでございます。それにつきまして社会保障制度審議会で長い間かかって慎重に討議しました勧告が出ましたので、それを尊重して急速にやりたいということは総理大臣みずから言明になったわけでございます。本年度の結核対策が予防面で幾分前進々見せまして、治療面でごくかすかに——わずかに結核予防法の方で出ましたけれども、そういうような勧告の趣旨を通されることははなはだ大きいものがあります。結核を撲滅するということを岸内閣は、前の石橋内閣から宣伝しておられますけれども、予防を重点にやっておられるようでございます。予防ももちろん大事でございますけれども、予防を完全にするためにも治療の対策が立てられなければならない問題でございますし、   〔野澤委員長代理退席、委員長着   席〕 社会保障の立場から申しましたならば、予防よりも、現在苦しんでおる患者に対する完全な治療と財政的裏づけが根本義だと思うわけでございます。ところが、治療については金がかかるが、予防は少しで済むということで、少しの方へすりかえて結核撲滅というようなことをしておられるわけでございますが、その一点からして公約なり宣伝が、から宣伝になり、から公約にならない意味におきまして、していただいては困るのです。本年度の予算は済んでしまいましたけれども、来年度において、ちびったものでない、社会保障制度審議会の勧告のように、たとえば一年間にほかの社会保険の国庫負担を除いて四百億くらいの予算を計上するというような原案を厚生省でも作らなければならないし、それについて大蔵省としては財政的な配慮を、おのを加えずにしていただきたいと思うわけでございますが、それについて厚生大臣の御所信を伺いたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 結核の撲滅の問題につきましては、厚生省としましても、しばしばお答え申し上げておりますように、今後十カ年間において、一つ結核と取っ組んでこれを撲滅するだけの努力を払いたいということを省議としても決定いたしまして、それに基いた諸般の施策を打ち出しておるわけでありまして、八木委員が結核撲滅対策についてなお一そう努力せいということについては、これはわれわれ激励をちょうだいしたというような気持をもちまして今後最善の努力をして参りたい。特に予防はなお一そうやりますが、撲滅についてもさらに大きな努力をする、こういうふうに御理解を願いたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 それについて一点だけ具体的に伺いますが、撲滅対策の一番のポイントは、社会保険でやられておる人はいいですけれども、とにかく全国の国民に全額国費なり公費の負担でそういうものの治療に当れるということでかからなければ、撲滅対策はできないわけでございますが、それについての厚生省の御意見を伺います。

小澤龍厚生事務官(医務局長)

○小澤政府委員 公衆衛生局長がおりませんので私がかわってお答え申し上げます。ただいまの御質問の御趣旨は、無差別平等で、できたら結核医療費は全額国庫負担にするような考えがあるかというお尋ねだったと存じます。公衆衛生局におきましては、その点かねがね研究しておったようでございます。しかし国の財政等の関係からいたしまして、本年度はやはり前年度同様の補助率で、相当部分の自己負担等も残ったわけでございますが、今後ともこの方面に前進していくような努力を続けておると私はさように承知しております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 全額国庫負担ということが絶対に必要です。現在行政上では一部公費負担ということを考えておられますけれども、公費負担は、府県その他では今の結核予防法は義務制になっていないので、全然役に立っていないということです。公費負担を残されるなら義務制にし、それに対しては地方財政の裏づけをしなければ意味をなしません。全額国庫負担か、何らかの形で一部公費負担をなさなければならないなら、それは義務制にして、財政的の裏づけを、必ず交付税その他の方法によってとるということで方針を進めていただきたいと思うわけでありまして、今厚生省の方では財政的な理由がありますからということで非常に遠慮しておられますけれども、そういうことではいけない。財政的な考慮というのは大蔵省の考えることで、厚生省としては結核撲滅についてこれだけ必要であるということであれば、そういうことじゃなしにやられなければならない。推進しなければならない。推進することによってそれが必要であるということになって、そこで大蔵省で財政の配慮をするのであって、厚生省で財政の配慮まで心配する必要はありません。あくまで理想的な形において要求を出されるという決意をもってやらなければいけない。厚生大臣、一つそういう御決意で願いたい。社会保障制度審議会の勧告については内閣総理大臣が尊重するということを言明しておられる。ですからこれは内閣の方針です。内閣の方針を具体化して法案を出すのは厚生省の責任です。大蔵省が何と言っても内閣自体の責任である。内閣自体の方針であるものを立てるために、財政的な配慮なんという遠慮がちのことを言わないで、厚生省として理想的な案を立てられる方針で強力にやっていただきたいと思う。  それについて財政当局に申し上げたいのでございますが、結核の問題については非常に大きな問題であるということは財政当局おわかりの通りでございます。こういうことによる日本の労働力の消耗、経済的な損失は非常に大きい。だから日本のすべての国家計画から考えると、一年に五百億を五年出したところで、十年出したところで、それが根本的に撲滅できれば決して損なことではないということは、財政当局が大きな見地から考えられれば御理解いただけるわけです。特に要点として申し上げたいのは、ほかのものと違いまして現在結核を撲滅するだけの医療的な進歩はできておるわけです。それができないのは金の問題です。結局療養の期間、それから支出が多いということで個人負担にたえられない、家族の半額負担にたえられない。生活保護は締めつけられて十分に適用を受けられていないということで、なおる人までなおらない。働きたくても働けない。家族の心配が絶えない。それで命も失うことになる。ところが金をかけていけば撲滅できる。五年なり十年なりで撲滅できれば新しい患者が出なくなる。その患者は療養できるし、将来何年かのことを考えれば、ずるずるべったりに二十億、三十億出すのでなく、一ぺんに五百億を出すことによって将来結核に対する財政支出がなくなる。大きな財政計画の見地から考えれば、当然結核撲滅対策にそういう面で財政当局としても強力に取り組まれてしかるべき問題であると思うわけです。そういう点で厚生省の方が財政当局の意見があるからといって遠慮がちな意見を出されることは、厚生当局としての責任を果しておらないわけでございます。大蔵省としても厚生省が熱心に話されればわかるはずです。その方が長い目で見て財政的な意味でも儉約になるということはわかるはずです。ほんとうに本腰になってやられれば大蔵省の方だって人情がある方だし、財政計画をそういう面で考えられるならわかるはずでありますから、勇敢に迅速に理想的な案を出していただきたい。大きな国の政策という意味で、内閣が方針を打ち出したことを実行するという意味で、財政当局もそこにおのを入れない立場で考えていただきたいと思う。この点について厚生省と大蔵省から総括的な御答弁を願いたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 結核撲滅につきましては先ほど来お答え申し上げている通りでありまして、政府として、また特に厚生省の担当大臣といたしまして、昨年の暮れからことしの春にかけて審議会の答申を十分尊重いたしまして、非常に膨大だといわれる予算の要求をしたことは事実であります。今八木さんのお話をお聞きいたしますと、どうも熱心が足らなかったのではないかというおしかりのようでありますが、最善の努力をいたしまして先般通過した予算の程度であったわけでありまして、今後におきましてもより以上の努力を傾注してこの問題と取り組んでいきたいという考えでございますので、御了承願いたいと思います。

小熊孝次大蔵事務官(主計官)

○小熊説明員 お答えいたします。結核対策費につきましては三十一年度に対しまして、八木先生から御指摘を受けましたように微々たる増加しかやっておらなかったという状況であります。見方によってはいろいろあろうと思いますが、われわれといたしますれば、国家財政全般の見地から見まして、社会保障というか、その中でも医療保険の対策というものを重点的に取り上げてやるというような方針によりまして、結核の医療保険でできるものにつきましてはなるべくそちらでやっていただく。医療面については三剤併用を適用するということによりまして、落ちておりました麻酔薬とかいったものを公費負担の範囲に入れまして、結核に対する一般的な医療水準としては相当高い段階になったと思います。要はあと対象人員をどれだけふやしていくかということが問題になると思いますが、これにつきましても、国民皆医療という線が漸次進んで参りますればそちらに吸収される面が相当多くなるのではないか。また国民皆医療と申しましても国庫については半額負担ということがつきまとうわけでありまして、そういう面につきましても医療費貸付等今年度初めてやったというようなものもあります。そういういろいろな処置を講じてやっております。結核対策だけではなしに、財政全般の面からいいまして社会保障制度全般につきましては大蔵省としても大いに意を注ぐということにつきましては、これは異論のあるわけではありません。その辺のところは一つ御了承願いたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 厚生大臣の御答弁の中における莫大な要求を出したと言われる点です、これは問題なんです。厚生大臣の出したのは莫大ではなくて、ごくちびっとです。とにかく五百億くらいの要求は出していただかなければ困ると思います。こんなちびっとしたものを出して莫大だというような精神だからできない。今の大蔵省の説明では、今の程度で何かやったように思っておられるけれども、ことしやられた内容を全部私は知っておりますが、三剤併用はてんで問題にならない。それの十倍くらいのものを出してもらわなければならぬ。あなたはほんとうにこの問題については専門ではないからそれでもいいのですけれども、そういうようなことでは困る。厚生省から社会保険全部をのけた結核だけで五百億くらいの要求をしていただかなければならない。それに大蔵省はおのを入れないで財政計画を立てるという熱意を持っていただかなければならぬ。三剤併用の対象がどうというような小さな問題ではない。生意気なことを申したようでありますけれども、何らかの機会に御説明申し上げますが、厚生省からもお聞き願って、社会保障制度審議会の勧告もお聞き願って、五百億くらいはすぐ出さなければならぬ問題であるということを御認識願って、これと大きく取り組んでいただき、国家財政計画にも取り入れていただくということをお願いするわけであります。  それから次に空床の問題について申し上げたいわけでございますが、時間がありませんから希望だけを申し上げます。今療養所でいろいろ空床がございます。これは何回も申し上げましたけれども、入院したい人がたくさんある。そうしてしかも病院に空床があるという非常に矛盾した形をなしておる。病床はふやさなければならない状態にあるのに、病床があいておるというのは、結局生活保護法の締めつけであるとか、結核予防法が動かないとか、そういう問題が関係しておるわけです。そういう問題を片づけて、どんどんと今世の中に充満しておる入院希望者が安心して入れるようにする。わざわざ退院している人があることは知っておりますけれども、財政的に締めつけるからそうなっておる。そうでなくて、どんどん入れて、どんどんなおって、働く者として更生できるという道を考えていただきたい。空床があるから病床はふやさなくてもいいのだというようなことは考えておられないと思いますけれども、そんなことは断じて考えてもらってはいけない。どんどん片一方でふやし、空床はそういうように結核予防法なり生活保護法の修正をすれば即座につまります。それから中の医療施設をよくするとか医療の内容をよくするとかすれば即座につまります。それは申し上げなくてもわかるわけですから、空床をどんどんふやすようにし、どんどんなおるようにしていただきたいということをお願いして、この問題は時間がありませんから後の機会に譲ることにいたしまして、本日の一番具体的な問題といたしまして、国立病院や国立療養所のまかない費の問題をお伺いをいたしたいと思います。  今国立病院では、一日のまかない費が九十四円十銭、国立療養所では九十六円十銭ということでまかないを組んでおられるわけでございますが、非常にこれは乏しい不十分なものでありまするが、これにつきまして医務局長なり療養所課長なり病院課長なりの御答弁を願いたいと思います。

小澤龍厚生事務官(医務局長)

○小澤政府委員 御指摘のごとく、東京の近辺では国立以外の施設がこの二、三年来かなりまかない費を上げて参りました。それに対しまして国立病院、療養所は数年来単価を上げて参りませせんので、それと比較いたしますと、相対的に低くなっておるということは御指摘の通りでございます。これにつきましては、しばしばまかない費を増額するような御指摘、御勧告を受けておりまして、私どももその方面に向って今後とも努力しなければならないと思っております。また半面、実は国立病院、療養所におけるまかないのやり方、態度等において、欠くるところがあるのでございまして、その結果残飯等もたくさん出ておる現状でございますので、現在のまかない費の範囲内において効率を上げるためのいろいろな施策を講じております。まかない材料の買い方であるとか、あるいは炊事場の改造、機械設備、そういうことによりまして能率を向上させまして、従来一品料理であったものを、二品その品種を指定して希望のものを与える、あるいは温食を給食する等々の方法で努力しておるのであります。二、三年前に比べますと、患者の喫食率と申しますか、食事を食べる率がかなり向上して参りました。従前二割以上の残飯が出ておりましたものが、大体最近は平均して一割程度になってきております。この方面の努力をもさらに進めていきたい。かたがた将来まかない材料費の予算上の増額ということも努力していきたい、かように考えておる次第でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 非常におとなしい御答弁でございますが、ききに聞きましたのは、もう来年から百三十円くらいに上げるという御答弁をなさると思って、こちらは何も言わないできたのですが、九十四円とか九十六円ということはとんでもない話です。御承知の通り今結核の療養所や病院では、患者が自分で栄養物が少いから補食をしているという状態にございます。補食をしているという状態になっているわけでございますが、やはり生活保護の人や何かだったら、補食をするという金もございません。補食のできる余地も非常に乏しいわけでございます。そういうことで、なおるべき患者が早くなおらない、とまっている患が悪くなるというようなことになるわけです。今結核の患者のいろいろの容態の統計を見ますると、生活保護の患者が一番治癒率が少い。ほかのものの平均が一〇・四%ということになっているのに、生活保護の人は六・八%、死亡の率は平均が七・一%であるのに二〇・九%である。これはパーセントかどうか、厚生省の調査ですけれども、数の単位をちょっと忘れましたけれども、そういうふうな比率で、生活保護の人が死亡率が普通の人の三倍もあり、それでなおる率は半分くらいしかない。これは生活保護の人でもほかの人でも、医療は同じようなものをやられておるわけです。それが少いというのは、やはりそういうような栄養という面がその中の大きな要素を占めておる。ほんとうに給食が患者のそのときの療養なり、よくなるために役立つものであれば、補食の必要はないし、また役に立つものであれば、そういう差ができてくるはずがない。ところが現在全患者が補食しておる。ところが金の少い人は補食の質も悪いし量も少いということで、こういう差が出てきている。ですからまかない費が少いということによってこういうふうになる。まかない費が十分であれば、少くとも生活保護の人がほかの人と同じように、補食を込めてそれだけの栄養をとれば、死亡率が三倍だということでなくて、三分の一になることもできるし、治癒率も倍くらいになることができる。ほかの患者にしてもそうです。ほかの患者にしても、もっとまかない費がよければ、自分で補食をしなくて済む。また補食をしてさらに栄養をよくすれば、もっとよくなれるわけです。そういう点は非常に乏しいものであって、けしからぬわけでございまするが、こういう点について即刻改訂をして、少くとも百三十円くらいに直されなければならないと思うわけでございます。その点につきまして厚生大臣の御答弁を願います。——厚生大臣、聞いていてもらわなければ困りますよ。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 結核患者の食事の問題につきましては、いろいろ御指摘のような御意見をたびたび承わっておりまして、これはできるだけ一つ十分なカロリーをとるようにという建前でございまして——聞いておりますか八木さん、大丈夫ですか。(笑声)十分なカロリーをとることにいたしまして、早く丈夫になっていただく、これは大事なことでございますので、お説ごもっともでございます。厚生省といたしましても非常に憂慮いたしておりまして、私も国立療養所等におきまして食事等もよくできるだけ見て、一つこの方面の認識を深めまして、十分な対策を立てていきたい、こういうふうに考えております。詳細なことにつきましては、医務局長から答弁させることにいたしたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 けっこうです。今厚生大臣がこの点について十二分に実現していきたいと言われたということは非常にいいのですけれども、これから厚生大臣にはもちろんいていただきまするけれども、おもに医務局長にお話しますけれども、どうかその内容をよく聞いていただいて、今の九十四円、九十六円というのはあらゆる観点からめちゃくちゃなものであるということを御認識いただいて、即時変えることを厚生大臣としてお約束を願いたいと思うわけでございます。医務局長にお伺いしたいことは、今たとえばいろいろと温食をとらせるとか、二重の献立を作るとかいうことを言われましたけれども、これをやられることはけっこうであります。非常にいいことでございますけれども、一部にやられても、全部にやられておらないというのでは十分でございません。やられてないのには、その設備がない、ガス炊さんができないということもございます。やれといわれてもやられてないところがあることは明らかでありますから、そういうことをやられることはけっこうでございますが、全部にできるようにしていただかなければ困ることと、そういうふうに温食をとらせるとか、あるいはまた二重の献立を作るのはいいですけれども、いかにそういうことをやりましても、九十四円、九十六円のワクでは、そっちの方でいかにやったって、カロリーなり蛋白なりそういうものが十分じゃない。厚生省の調べられた栄養の所要量に対しまして達しておらないわけです。厚生省の公衆衛生局の栄養課の出されました結核患者栄養所要量基準というものがございますけれども、カロリーにおきましても、蛋白におきましても、脂肪におきましても、これははるかに達しておらない。厚生省の出されたものでございまして、そこでそれだけのカロリー、蛋白、脂肪が必要であるというのに、同じ厚生省のやっておられる国立療養所なり病院のそういうものがそれに達してない。そういう間違ったことはない。そういうことで、十分にそういうカロリーに達することができるように、一つ金の方を上にしなければならない。そういうことについて、医務局長は即時変えられる用意があるかどうか、そういうことを伺いたい。

小澤龍厚生事務官(医務局長)

○小澤政府委員 御指摘のごとくに、施設によりましては給食関係が非常によくなってきた施設もございます。また旧態依然たるところもございます。そこで私どもは、非常によくなった施設をモデルといたしまして、全国的にいい給食を出すことに目下努力しておるのでございます。たとえば患者の温食の点について御指摘がございましたけれども、給食がよくなったところでは、ほとんど買い食いはしないで済むに近い状態に改善してきております。また給食改善が十分でないところにおきましては、比較的に補食をしなければならないという状態が起っております。私どもは努力いたしまして、全国一律に、この補食がなくて済むような患者の給食状態に持ち上げていきたいと考えております。また続いて御指摘の公衆衛生局で出しました結核患者の栄養必要量でございますが、実はこれにつきましては、私どもも国立療養所におきましてはこれに比べてどうであるかということを検討したことがございます。少し古いのでありますが、昭和三十一年三月三十一日の食事につきまして検討いたしました。この公衆衛生局の基準というのは、絶対安静の患者であれば何カロリー、あるいは蛋白何グラム必要であるか、中位の患者ならばどのくらい、どんどん出歩くような患者ならばどのくらいというように、各別々に基準ができておりますので、結核療養所に入院しております患者をこの患者区分に分類いたしましてそれぞれ計算いたしました結果は、所要量の平均は公衆衛生局の基準によりますと、二千二百九十五カロリーということになっておりますが、国立病院、療養所は、二千三百八十九カロリーで、カロリーにおいてはややまさっておるのであります。ただ、蛋白と脂肪においてやや不足しておるという現状でございます。これは、先ほども申し上げましたように、給食をよくする一面におきまして、将来ともに予算を増額するということに努力していきたいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 端的に申し上げますが、来年度の予算が組まれるときに、給食費を大幅に引き上げられる御用意があるかどうか。

小澤龍厚生事務官(医務局長)

○小澤政府委員 大幅といえばどの程度の幅でありますか、これも研究しなければなりませんけれども、来年度におきましては、私どもは現在よりか増額して要求したいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 その点について、厚生大臣、それを実現させていだだけるかどうか、はっきりとお約束を願います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 今小澤政府委員のお答えの通りでございまして、増額したいということは厚生省の考え方でございます。これは今端的に述べられたわけでございますが、約束しろということでございますと、相手のあることでございますので、私は十分貫徹に努力いたしますが、どうも相手のあることでございまするから、約束を申し上げてしまうということはかえって実現を困難にするおそれのある場合もございますので、これは慎重にやって参りたいと思います。十分努力いたしまして、御期待に沿うようにいたしたい、こういう考えでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 時間がありませんので非常に残念でございますが、この給食につきましては、これは小熊さんも厚生大臣も聞いておいていただきたいのですけれども、実は私立病院では百三十八円でやっておる。ところが九十四円、九十六円というものは非常に乏しいものです。今設備をして補食が少くなっているというような議会答弁をなさっておられるけれども、そうでなしに、カロリーのいろいろな答弁をされましたけれども、こんなものでは足りないことは、明らかに厚生省としても認められておられるわけです。それで私立病院では百三十八円というような状況をとっておるが、百三十八円だって足りない。栄養物が多ければ多いほど患者は早くなおるし、そしてほかの医療費が減るし、そしてそれだけ国民の不幸も少くなって幸福がふえる、こういうことなんです。だからこういうことは勇敢にやっていただいて、来年度に厚生省としてはぜひともまかない費をふやすということをしていただきたいと思う。特に、これは数年間まかない費はストップのままです。その間に点数がふえている。点数がふえているのにまかない費がストップされている。こんなインチキな話はないわけです。そういう点もありますので、小熊さんもよく聞いていただきたいと思いますが、点数をふやして取るものはふえているのに、厚生省の方では出す方のものをふやさない。こんなインチキな話はない。療養所や病院が商売みたいにもうけようと思ってやっていると言えるわけでございますが、そういう変な工合になっておりますので、来年度には必ずふやしていただくということを、厚生省はやっていただく、大蔵省はこれについて値切ったりなんかしないということにしていただきたい。大蔵省のお考えを伺いたいと思います。

小熊孝次大蔵事務官(主計官)

○小熊説明員 国立結核療養所の材料費の単価でございますが、これにつきましては話も十分伺ったわけでございますが、厚生省の方からそういう要求がありました場合は、慎重に検討いたしまして……。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 その、慎重に検討いたしましてのあとが聞えなかったのですが、もう一ぺん……。

小熊孝次大蔵事務官(主計官)

○小熊説明員 慎重に検討いたしたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 そのあとちょっとおっしゃったでしょう。

小熊孝次大蔵事務官(主計官)

○小熊説明員 十分検討したいということでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 慎重に検討いたしまして、あとを善処とか実現に努力というようなことを言われたらしいのに、聞えないで聞き直したら、慎重に検討に戻った。これは非常に困るのです。慎重に検討されることは、これは財政当局として必要でございましょう。しかし慎重に検討して、正しいことで、しなければならぬことで、おくれていることであれば、財政当局としてもそういうことを財政計画に入れられなければならない。慎重に検討してという言葉が入っているのだから、慎重に検討して、よいものであったら実現するというようなことを、これは局長がおられなくても、大臣が言われなくても、はっきりと御答弁になっていいと思います。もう一回御答弁願いたいと思います。

小熊孝次大蔵事務官(主計官)

○小熊説明員 ただいま慎重に検討してと申し上げましたのは、これは病院にしても療養所にいたしましても、材料費だけの問題でカロリー、栄養の問題を見るかどうかというような点につきましては、私どもの方も十分検討しておりませんので、そういう点を、たとえば労務費、いろいろな管理費でございますね、給食設備とか、そういうような全般の問題、それらとあわせて検討しなければならぬ問題だと思います。それで普通の私立の病院ともそういう面で全般的に比較する必要があるのでございます。それでしかも非常に悪いのだというのであれば、これは財政の許す範囲内において予算化するということに努力いたしたい、このように考えております。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 委員諸君及び政府当局に申し上げます。時間の都合がありますから、委員諸君並びに政府御当局の質疑及び御答弁、ともに簡潔に願います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 そういうことで厚生省はこの民間の方が百三十八円、それから四年間も点数が上りながら上げなかった、それから厚生省自体の統計による栄養所要量に達しておらない、それから現状として貧しい人が補食に苦しんでやっている、そういうことでとにかく金のない、補食の少いながらもほかの人より、より少い人が死亡率が多い、治癒率が少いという現況からして、厚生省の責任上直ちに給食費を上げることを強力に推進していただくということを御了解になったとして、この問題を考えていただきたいと思いまするが、その点について厚生大臣はよろしゅうございますね。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 その通りでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 もう一つ最後に特に国立病院のことを申し上げたいのですけれども、国立療養所のいろいろの割引の問題とか、いろいろの問題がございまするが、国立病院が九十六円、国立療養所が九十四円というのはとんでもないことですね。ぴんはねと断言してもいいような状況だと思う。国立病院の方の課長もおられるらしいですけれども、九十四円ということは実にけしからぬ問題でございまして、即時変えることに——今までけしからぬ状態を続けておられたのですから、療養所課長とともに一生懸命になられることをお願いして、なられない場合はわれわれは断じて承知はできないということを申し上げておきます。御答弁は要りません。非常に残念でございましたけれども、この問題について後刻さらに機会があったら取り上げさしていただきますが、今厚生大臣が言われましたように即時これの引き上げを実行していただくということで、一応この問題は打ち切りたいと思います。  この問題を離れまして、次に国立病院なり療養所なりの看護婦さんの産前産後の休暇に関しますかわりの要員の問題であります。簡単に申し上げまするけれども、今産前産後の看護婦さんの要員の定員が非常に少い。そういうことで看護婦さんの結婚された方が、産前産後の休みをほとんどとっておられないというような状況でございます。看護婦さんは非常に衛生知識がある人でございまするから、変な、間違った生活態度をして異常な出産をするというようなことはないはずなのに、一般に比して看護婦さんの異常出産は猛烈に数が多いのです。それというのは、自分で衛生知識がありながらも過酷な、そういうような条件で休みがとれない、無理やりに働かされるというところから来ているわけでございます。非常に大きな人道問題でございまして、そういう問題を解決するために、産前産後のときに十分に休み得るように産休の要員を別に作る必要がある。この点につきまして、厚生大臣並びに関係の局長の方々はぜひこれを実現していただきたいと思いまするが、その点についての御答弁を願いたい。

小澤龍厚生事務官(医務局長)

○小澤政府委員 病院勤務看護婦の出産というのは、従来は数が少くてほとんど問題にならなかったのでありますけれども、この一両年来急速に増加いたしました。私どもといたしましても捨ておくことはできない、産前産後の休みを与えて母子ともに健康にしてやらなければならぬと考えております。そこで今年度はとりあえずの措置といたしまして、出張所ごとに出産代替要員に必要な予算を流しまして、冬病院の申請に基きまして必要な度合いに応じて予算を流して、かわりの人その他を、休んでいる間は雇ってもらうという措置をとることにいたしました。今年度の実績を見ましてなお今後必要があるならば、こういう考えあるいは別の方法等を考えていきたい、かように考えておる次第であります。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 そういう考えをとっておられますけれども、そういう要員を流すとその要員のワクがあって十分でないということで、ほんとうは法制化していただかなければならぬと思う。学校の御婦人の教職員の問題で、産休の代替の要員の問題がこの前通りました。学校の方ももちろん必要でございますが、看護婦さんの異常出産は学校の人よりも多いという現状からして、厚生省の方は特に看護婦さんのことを考えられて、そういうような弥縫的な方法でなしに法制化して、代替要員を確保するようにぜひ来年度していただきたいと思います。その点につきまして、局長の御答弁でけっこうでありますが、最後に厚生大臣、お二人から御答弁を願います。

小澤龍厚生事務官(医務局長)

○小澤政府委員 看護婦だけにつきまして代替要員を確保するために、法制化するということは現在考えておりません。これは行政の運用によりまして、もしも予算が足りなければ必要な予算をとりまして、代替要員を運用によって確保していきたい。現在のところではさように考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 現在はそうですけれども、厚生大臣にお願いしたい。実は看護婦さんの異常出産がほかの人よりずっと多い。この前産休要員の法律が通った学校の先生たちより多い。自分に衛生知識を持ちながら多いというのは、非常に過酷な労働条件で無理やりに働かされる、そういうことでその人たちがそういうことになる。そういうことになるので逆に結婚をしちゃいけない、結婚したら首切るとか、そういうような実際的な圧迫もある。そういうことは非常な人道問題なので、厚生大臣としては産休要員の定員を確保して、その人たちに安心してお産できるように、また結婚したら首切るとかいうような圧力にならないようにしていただきたいと思うのでありまして、産休要員の法律を出すこと、それから不当な圧迫を行わないように、現在の厚生省の厚生行政を十分に気をつけて運用されるということについての総括的な御答弁をいただきたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 看護婦のお産の要員について大へん御心配のようでございますが、ただいま国立病院あるいは療養所等におきまして、お産をする場合に特別の措置と申しましょうか、首切りあるいは昇給を停止するとか、そういったような不人情のことを考えており、あるいはこれを実施したというような例は聞いておりません。そういうことは本省といたしましても、また療養所、病院等といたしましても断じてそういうことがないように指示しておりますので、これは御安心願ってけっこうじゃないかと思っております。そういうことでございますので、法制化をしようということについては、目下のところ考えておりません。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 厚生大臣、そうじゃないのです。そういうことが実際に行われている。行われておりませんというのは局長から聞かれてそう御答弁になった。方々で行われておる事態を持って参りますから、そういうことが行われないようにする、そうして異常出産が多いような状況でございますから法制化をしていただきたい。現在考えていないことは仕方ありませんけれども、これからすぐ考えて法制化の努力をしていただきたいということをお願いしておるのです。ですから法制化の努力をするということを——努力でいいです、努力をするということと、それからそういうことは圧迫がないようにしていると言われておるけれども、なお調査をして圧迫がないようにするとか、そういう声を聞いて即時調べてもとへ戻す、そういう悪い監督者を直させるようにするということだけの御答弁をしていただかなければならぬと思います。そういうことぐらいは、当然りっぱな厚生大臣である神田さんは御答弁できると思いますから、即時御答弁を願いたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 今私がないということは、また将来ともさようなことがあってはならないことでございますので、十分な注意をしろ、監督をしろということにつきまして例があるということでございますので、なお一そう監督の最善を期したい。御了承願いたいと思います。  そこで今の法制化の問題でございますが、実はこれは私、はなはだ恐縮でありますが、今初めてその法制化の問題を承わったわけでございまして、十分検討いたしまして、その必要があればまた十分御審議をお願いするような段階になろうかと思いますが、ただいますぐその答弁をせよ、こういうことでございましたものですから、唐突なことでございまして、その考えは持っておらぬ、こういうことを申し上げるのでございます。御了承願いたいと思います。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 この問題につきまして、私も関連してお願いしておきたいと思います。ここには産婦人科の先生はいらっしゃらないようでございますから何でございますが、私が聞いているところによりますと、妊娠中に激しい勤務につかされますと、羊水過多症というものに陥るのでございます。羊水過多症でございますれば、これは必ず異常児が生まれております。私もその実際の例を知っております。二子ではないかと思うようなおなかになりましてお産をした人がありまして、それが羊水過多症でありましたために、その生まれました子供は腸閉塞になっておりまして、そうして生まれたらすぐ子供が排出いたします便が出ませんので、浣腸してみましたところが、それでもってかっと悪くなりまして、すぐになくなったケースを私も聞いております。男の先生方はほんとうはそういうことはあまりお耳に入らない、厚生大臣もやはりお耳に入らないのじゃないかと思いますが、私ども現実に看護婦さんたちにお目にかかりまして、いろいろな陳情を伺いますと、こういうこともやはりある。それでとにかくその時期に近づいたら休養させてもらおうと思うけれども、人員が不足で完全看護ということから何人かの患者を受け持たなければならぬということで、どうしても人手が足りないということを私はしきりに陳情を受けているわけでございます。そういうわけでございますので、どうぞ一つそういう職業にある人は、結局主人の収入が少いためにアベックの生活計画を立てなければならないから、こういうふうな場合に追い込まれておると思いますので、どうかこの方面についてもだんだんと厚生行政がよくなっておりますから、もう一段とその弱い立場に立っておる女性のために一つ善政をしいていただきますように、できましたならば今八木先生もおっしゃいましたように、やはり何かよりどころを作っておきませんと、どうしてもその現場においては、こういうふうなことが起ってくるのは、私ども現場を見ておりましても明らかでありますので、どうぞ一つ御当局はこういう面をお考え下さいまして、できるだけの善政をこういう人たちのためにおしき下さいますようにお願いいたします。

小澤龍厚生事務官(医務局長)

○小澤政府委員 看護婦等の出産につきましては、その出産の実態を調べまして、今後は今御指摘のようなことがないようにいたしたいと考えております。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 受田君。

受田新吉日本社会党

○受田委員 私は国民医療行政上の問題点について、不言だけごく簡単でけっこうですから、大臣に所信を表明していただきたいと思います。おととしの二十二国会で、団民医療上に影響のあるあん摩師、はり師、きゅう師、柔道整復師等のいわゆる医業類似行為の関係者に対する法案の改正がされたのでございますが、その中には昭和五年の警視庁令の取締規則で認められた、いわゆる医業類似行為の中の指圧とか、電気、光線あるいは温熱、刺激等の業務に従事しておる人々が、当時八年間延長された業務をもう二年延ばすという規定が定められました。ところがその規定を定める際に、国会でいろいろ論議されたのでございますが、現に国家が認めておる仕事を長年にわたってやっておられる、しかもまじめに国民保健上に害がないと認められているものに対しては、これは三年の期間のうちに何とかその措置をとって、あんま師になることのできないような立場の人に対しても、道を開くべきでないかということになりまして、この法案通過の際に、附帯決議として「医業類似行為に関しては、政府は引き続きその業態を把握、検討の上左記事項に関し適当なる措置を講ずべきである。」その附帯決議の第一項は、「第十九条第一項の規定による届出をしたる既存業者」すなわち先ほど申し上げました医業類似行為者の中で、正規の手続を経て長年にわたって社会的に業務を続けておる人で、「本法に認められない者については猶予期間中に充分な指導を行い、国民保健上弊害のない者については、その業務の継続ができるよう適切な措置を速かに講ずること。第二が、「あん摩師等のうち身体障害者については、本法運営上その業態に支障なからしむるよう万全の措置を講ずること。」第三は、「無免許あん摩その他これに類する者に対する取締を厳にし、その根絶を糊すること。」という附帯決議を付して、国会はこの法案を通過せしめたのでございます。当時の情勢は、長期にわたって国家が認めた、社会的に有害でない立場で認められている人人、それを国法で禁止するというのは、憲法上の業権の剥奪であり、生存権の剥奪であるという意味から、この法案を通す立場上政府の顔は一応立てるが、実際の取扱いにおいては附帯決議の趣旨を十分考慮して措置をすべしという、全会一致自由民主党、社会党あげてこれに賛意を表して附帯決議を付したのでございます。この国会の附帯決議によるところの「第十九条第一項の規定による届出をしたる既存業者」、まじめに業務を長期にわたってやっているのを国が認めておるその業者で、期限がきてやめなければならぬという立場の人に対して、「本法に認められない者については」ということは、本法で認められない、たとえば年をとって試験を受けることもできない、あん摩師に転換することは自分の信念としてできないというようなまじめな人に対しては、猶予期間中に適切な指導を行い、国民保健上弊害のないものについて、その業務の継続ができるよう適切な措置をせよと国会で意思決定をしたのでございますが、この意思決定に対して、大臣はこれを十分尊重する方針をもって今臨んでおられますかどうですか。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 今受田委員のお尋ねになりましたことは、きわめてこれは重要なことでございまして、同時に、この対策を政府が今日までとっておらなかったということについて、私も実は率直に申し上げましてはなはだ遺憾に存ずる次第でございます。そこで今までのことはいたし方ないといたしまして、今後の対策に対する所見を述べろということでございますが、厚生省といたしましては、この附帯決議は十分尊重いたしまして、その趣旨に沿うような配慮をいたしたい。すなわちもっと具体的に申し上げますと、今までいろいろな事情でその附帯決議の趣旨が一つも実行されておらないようでございますから、これから一つ実行をはかる、またそのやり方によりましては、あるいはもう一ぺん法案の改正等もお願いしなければならないというような事態もあろうかと思います。いずれにいたしましても至急この附帯決議の趣旨に沿うような対策を立てまして善処いたして参りたい、かように考えております。これははっきりと一つお答え申し上げまして、そういう方向を早く打ち出して、附帯決議の趣旨に沿う、こういうことでございますので、御了承願いたいと思います。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 関連して。今、重ねて法律の改正もしなければならぬという意味は、ただその猶予期間を延ばすような改正の意味なんですか、それとも療術行為の実態に即して、既存の業者の既得権を認めようというお考えなんですか、この一点をお聞かせ願いたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 その両方とも考えなければならぬのじゃないかと思っております。延長しなくても解決できるようなら延長する必要はございません。相当議論もあるようでございますし、私は率直に申し上げましてあの附帯決議は真に尊重しなければならない、こういう考え方でございますので、その最善を期したい、そういう意味におきましてはっきりお答え申し上げておいた方がいいのではないか、こういう意味でございますので、両方の意味を合せて考えておる、こういうふうに考えていただきたいと思います。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 簡単ですからもう一点。なおあんまの試験を受けなければならないということで、各府県の状況を見ますと、実は講習をやるについても二十万も二十五万も金がかかるのですが、その費用の出場所が全然ないのです。これに対して厚生省はおそらく予算を請求して成立しなかったと思うのですが、全くこれは厚生省の手落ちだと思うのです。これらの点に関しましても至急対策を講ずるなり、あるいはまた予算もとれてない、講習もやってない、試験も受けてない、だから法律の内容を変えてもよろしいのだ、こういう進歩的な考え方で既存の業者のめんどうを見ようというお考えならばそれでけっこうでありますが、いずれにしましても予算措置というものは厳重に大臣の方から監督すべきじゃないか、こういう感じがいたします。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 ただいまのお説の通りでございまして、そういうものすべて含めて最善を期したい所存でございます。

受田新吉日本社会党

○受田委員 これは昨年の暮れの北国新聞に出ていた記事でございますが、「“生業が絶たれる”」と首つり二人の娘を抱えた女電気治療師という見出しで、この法律の猶予期間中に転業しなければならぬという不安を持って、長期にわたって、娘二人をかかえてまじめにやっていた電気治療師がついに夫の死後に首つりをしたという事件があるわけであります。こうした不幸な事件が起っていることを考えまして、長期にわたってまじめに業務を続けた人々に対して、政府がその業務の継続について誠意を持って積極約に努力されることを今お約束いただいたわけでありますが、大臣におかれましては、どうか具体的にこの附帯決議の線を実施に移すことに御努力をいただくことをお願い申し上げておきます。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 午後三時まで休憩いたします。    午後一時二十三分休憩      ————◇—————    午後三時十五分開議

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。  角膜移植に関する法律案を議題とし、審査に入ります。まず提出者より趣旨の説明を聴取いたします。中山マサ委員。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 ただいま議題となりました角膜移植に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  現在、わが国には二十万をこえる視力障害者がおりますが、このうち相当数のものは、角膜の移植を受けることにより視力を回復する可能性を有しているのであります。  しかるに、現行法制下においては、死体から角膜を摘出することは、死体損壊罪との関係から問題があり、ために角膜を移植することが困難な状況にあります。  このような状態にかんがみ、視力障害者の視力の回復をはかるため角膜移植術を行う必要があるときは、医師は、適法に死体から眼球を摘出することができることとし、視力障害者の視力の回復に寄与しようとするのがこの法律案を提案いたしました理由であります。  本法案のおもなる内容といたしましては、特に死体に対する国民感情を尊重する趣旨から、死体から眼球を摘出することができるのは、角膜移植術を行う必要のある患者が特定している場合に限り、かつ、その際死体に対する礼意保持について特に規定を設けており、また、角膜移植による疾病伝染等の危害防止の見地から伝染性疾患に上り死亡した死体等からは眼球摘出を禁止しているほか、眼球の取扱い、使用しなかった部分の眼球の処理等について規定を設けておるのでございます。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに可決されるようお願いいたします。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 以上で説明は終りました。  なお本案についての質疑その他につきましては、後日に譲ることといたします。     —————————————

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 次に労使関係、労働基準及び失業対策に関する件について調査を進めます。  発言の通告がありますので、これを許します。井堀君。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 労働基準法の施行の実情と、労働者保護行政について、労働省当局の所見をただしたいと思います。言うまでもなく、労働基準法が労働条件の具体的最低基準を定めたものであることは明らかでありますが、この法律は言うまでもなくわが国の国作りの目標であります文化国家、民主国家を急速に成長発展せしめるか、あるいはそれを阻害するような結果をもたらすかの基礎的な一つの働きをするものであると私は考えておるのであります。きわめて重視をしておるわけであります。従いましてこの基準法の運営が厳正かつ完全に実施されているかということを、具体的な事例を一、二あげてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  そこでこの基準法の最も重要な点として、労働時間、労働賃金の問題は労働条件の中でもきわめて重要なことは今さら申し上げるまでもありませんが、ことに労働時間の点については国際的な一つの基準が設定されておりますことも、われわれにとっては重大な関心事の一つでありまして、たとえば四十八時間制あるいは時間外労働の禁止、また週給制や年次有給休暇制のごときものは、一つの国際的な最低基準がありますことも申すまでもないのであります。こういう国際的な最低基準というものを犯して今後日本が国際市場に進出しようということがもう全く許されぬことは、あまりにも明確な事柄であって、こういう点から考えましても労働基準法が厳正かつ完全に実施されるかいなかということは、日本の経済発展の上にも国民福祉の基礎をつちかう上にもまた公正な世界の自由競争の中に進出する上からいっても大切なことであることは申すまでもないのであります。こういう基準法の持つ使命の中で労働時間の点について、またこれはもう基準法を待つまでもなく支払われた労働に対する賃金の未払いや遅配があってはならぬことは申すまでもないのであります。しかしこういう事実があとを断たないということも事実であります。このために労働行政というものがいかに重要な地位に立たされておるかということを私はこの機会に強調いたしたいのであります。  この点についてまず具体的な事例として、労働省の方にも提出されておると聞いておりますが、去る五月七日付になる全国繊維産業労働組合同盟が労働基準法違反の摘発をいたしております。一部はすでに告発をいたしておるわけであります。この内容を拝見いたしまして、私はむしろ以上申し上げた労働基準法というものが厳正かつ公正に適用されていない一つの現われでないかとすら思われるのであります。この点について労働省の所見を一つ承わっておきたいと思います。

百田正弘労働事務官(労働基準局長)

○百田政府委員 ただいま御質問のありました全繊同盟が先般四月の初旬——全国と申しましても浜松、愛知、大阪、石川、福岡、この五ヵ所、百六十三の工場につきましていわゆる摘発と申しますかこれをやりました。その結果に基きまして約二十二か三の工場、現在少し減っております。現在直接監督署に告発されてきたものもございますし、また告発準備中のものもあるようであります。これらにつきましては基準局といたしまして当然一般の司法処分の手続に従いまして、裏づけ捜査をいたしまして司法処分にすべきものは司法処分にするということで、現在受け取ったところにおいてはすでに準備を進めておるような次第でございますが、ただいま一般的にお話にございました労働基準法の施行状況につきまして、お話の通り基準法施行以来十カ年ということになりますが、いまだに相当多数の違反が担当官によって摘発されておるわけであります。特に御指摘のように労働時間の関係あるいは休日の関係という面におきまして非常に多い。特にまた中小企業面におきましてそれが非常に多いということも事実でございます。われわれといたしましては限りある能力ではございますけれども、できるだけこれらの是正に全力をあげて努めておりますが、依然として違反の件数が相当発見されるということはきわめて遺憾に存じております。従いまして従来のように単に違反を発見して直せと戒告する、あるいはまたそれをしかる、怒るといったようなことだけやっておったのでは、またそれが一定の年月後にはずるずるとあと戻りをしておるというようなのが現実の状態でありますので、いかにしてこれを現在特に中小企業面における違反が多いということも遺憾ながら事実として認めざるを得ませんので、いかにしてこの状態を法の水準まで近づけるかということに非常に苦心をいたしておる次第でございまして、これがためにはわれわれといたしまして単に事業場に臨んで違反の事実をただ発見した、だからチェックしておるのだというようなことでなく、その違反の内容並びに程度、それからそのよって来たる原因というものを掘り下げて、これを監督することによりまして、これに対していかにしたら是正できるかということを現在慎重に研究いたしまして、それによって適切なる措置をとり、非常に悪質なものはどんどん司法処分に付していく、こういうふうな態度で現在参っております。  簡単でございますが、これが現在の施行状況でございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 こういう労働基準法違反の疑いのあるもの、全く違反の事実が指摘されておるというようなことは、こういう組織労働者の場合で初めてできるのであるが、基準法第二条は言うまでもなく労使対等の立場における労働条件をうたっておるのであります。他の労働法の関係を関連判断すればわかる。労使対等とは、労働者側が組織されて初めて対等の地位が生まれてくることは明確なのです。この摘発されておる事業場はおおむね組織がないのであります。しかもその雇用されておる労働者の構成を見ると女子労働者、年少労働者が非常に多い。こういうものは言うまでもなく基準法で最も峻厳に適法化されて、違反の事実は仮借なく摘発されてそういう措置が行われるということが一方にあって——あなたは今そういう事態を未然に防ごうという御主張をなさいましたが、そういう労働行政は私も賛成であります。しかしそれは一方に法が厳重に実施されて初めてそういうようなことが可能になってくるのであります。今日私は全国の監督行政の機能が十分だとは言いません。もっと充実強化すべきものであると考えるのであるが、しかし現在の機能をもってしてこういうものが摘発できないということは私はないはずだと思う。この点は非常に重要なことだと思うのであります。しかも監督局長は全面的な責任を一身にになうておられる立場であります。もしこういうものが労働組合の力によって、すなわち他の組織労働者の力によって摘発されなければならないということが当りまえだというふうに行政庁が考えてくるようになりましたならば、私は法治国としての存在価値が疑われると思うのです。非常に重大なことだと思いまするので、お尋ねいたしまするのに非常に前提が多かったのでありますが申し上げたのであります。  この点については順次具体的にお尋ねをいたすのでありますが、労働大臣他の御都合もあるようでありますから先に労働大臣の御所見を伺って、それから基準監督局長、婦人少年局長のそれぞれの立場からいろいろお伺いをいたしたいと思います。  労働大臣今おいでになりましたが、あなたがおいでになる前に申し上げたのですが、労働基準法についてはいろいろな説はあろうと思いますが、一番私どもの基準法に期待をかけているのは、日本の労働者の中でも組織の非常におくれておる労働者、よし組織があっても少年、婦人のような社会的にまだいろいろな悪条件の中に拘束を受けている人々のための特別の保護というものが、労働行政の中に非常に深いウエートを占めておると思う。本日はそういう関係に集約してお尋ねをいたしておるわけです。そこで労働行政の一般については、今国会開会当初に所見を伺ったのでありますが、ここに記録を持ち合しておりませんけれども、私の記憶が間違っていないとするならば、労働行政については温威というごときマホメットの例証まであげて御主張があった。いいところがある。そこでこの基準法の運用の中でこの精神を生かしていただきたいと思う。私は労働基準法の当面の行政庁の責任のある事柄をあげて今お尋ねした。時間の関係で詳しいことは労働大臣に申し上げにくいから、あとで局長から報告を受けて善処されることになると思いますが、基本的な考え方だけをこの際一、二伺っておきたい。  労働基準法の求められている一般的なものは、冒頭にも申し上げたように、日本の新しい国作りの一つの基礎、言いかえますならば、民主主義は万人の人格の尊重から出発していることはいまさら言うまでもありません。そういう意味で、今日経済的に劣勢な立場に置かれておる人々のために労働法は考えられている。労働立法の中における基準法の地位は、特に憲法二十七条の第二項を受けて設けられた法律であることはあまりにも明確であります。しかも賃金、就業時間、休息その他労働条件について憲法の命じておりますことは、他の条章に比べて比較的具体的なものであります。それが労働組合法や労働関係調整法やその他の労働法と違います点は、国の保護が直接加えられなければならぬということを規定しておる点であります。この点では他の行政と異なっておる。労働行政に対して具体的な義務を国の意思である憲法が命じておる点を私は強調いたしたいのであります。こういう立場から、もしこの法が軽視されたり、あるいはその運営が誤まるようなことになりますと、私は法治国の基礎はくずれてくると思う。だから、この基本的精神は動かしてはならない。  こういう点で、ここに私が具体的例をもってお尋ねしておりますことは、先ほど基準局長から御報告がありましたように、この全繊同盟によりますと、直接自分の組織ではない労働者のために払われた非常な努力の跡がよく表われておる。しかも日本の代表的な地域を五つにわけて、百六十六事業場について熱心な調査が行われて、その過程において摘発に値するようなものを漸次具体的に報告され、最も悪質だと思われる二十三のものだけをあげて告発した。こういう報告をしております。しかもこれを見ますと、一々当該労働者や、これを目撃した人、あるいは近所に住居しておる人たち、非常に信憑力のある参考人の調書が添えられておる点が注目すべきだと思う。こういうような違反の事実があげられてきた以上は、もうこれはちゅうちょするまでもなく、直ちに労働行政、特に監督行政の点で峻厳に法を発動すべきものと信ずるのであります。しかし国会開会中のことでもありますので、一応労働大臣の所見を伺い、またその結果を私どもも見守っていきたいと思います。この点は他のことと違いまして、法律で明示せられた、きわめて明確なことでありますから、この際労働大臣の所見をただして、政府の所見として承知をいたしたいと思います。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 御指摘になりましたように、労働基準法は労働諸法律の基本法律となるべきものでありまして、いわば労働憲法ともいえると思います。その基本的精神はどこまでも守り通して、よき労使の慣行を作っていかなければならぬ、かように思っております。労働基準法のあり方について、これは井堀さんもよく御存じでありますが、終戦後にできた労働基準法は日本のあらゆる階層の労働者全体に、一律にこの法律を守るということが今日できておらぬ実情にありますから、各所にこの法律に照らすならば、特に中小企業、零細産業においては、ほとんど違反の中にあると思っております。そこにたまたま二十三件というものが摘発されたということでありますが、今回の全繊同盟から告発されたものについては、法の定めるところに従って厳正に処置しなければならぬと思うのでございますけれども、今日のように一律一体に、一つの労働基準法によってやることがいいかどうかということは疑問だと思うのであります。でありますから、以前から臨時労働基準法調査会というものを設けて、そこで検討しておりますが、まだはっきりした調書が完成いたしません。しかし完成しないからとて法律を犯す者がたくさんあっては困るのでございますから、労働省といたしましては、ただ単に摘発主義をとらないで、自然に指導誘掖していく。そうしてあやまちのないように順次合理的にやっていく。同時に政府の政策といたしましても、中小企業を育成強化いたしまして、最低賃金並びに労働基準法を完全に守り通すことのできるような体制に持っていかなければならないということで、今鋭意その方面に努力をいたしております。今後労働基準局といたしましても、この中小企業の中にも労働基準法を守ることのできないような数が何十万とあると思うのです。あるいは働く人の中の一千数百万の者がそういう中にいるのではないかと思っておりますから、御指摘になりましたような違反行為は至るところにあると思います。しかしこれを全部摘発することができるかというと、なかなかできないものでありますから、今仰せになりましたような悪質のものについては、これはあくまでも摘発しまして反省させ、よき慣行の中に染ませなければならぬと思うのでごさいますが、日本の中小企業というものは、朝、夜が明けたならば眠るまで働いている。そういう営業をすることが中小企業の何百年の伝統の中にできている。それが二十一年の年から労働基準法ができたということで、急に全部がそれに従うことのできないということも日本の社会情勢としてやむを得ないと思うのです。しかしながら放任しておいてはだめでありますから、中小企業が八時間労働で営業ができるように改善していくと同時に、そういうことのないように摘発主義をとらないで、順次指導誘液していく一方、他方においてこの法律の改善については一律一体の基準法がいいか、あるいは特例を設けて、これを二十の法律なり二十五の法律なり、それぞれの業種によって時間の短縮あるいは時間の延長等、いろいろあると思いますから、そういう調査が完成しましたならば、引き続き順次改善していくことがいいのじゃないか。たとえば運送法なんかにつきましても、イギリスなどでは別の基準法によっているともいわれております。なお私は今度あっちへ参りますから、そういう点を十分調べまして、現在調査をいたしておりますところの臨時労働基準法調査会の審議の促進を一方においてはかっていきたい。両々相待って御指摘になりましたような、法治国として、法を犯しても摘発することができないようなことでは法治国ということはできないのでありますから、そういう点を合理的に、両方から歩み寄ってよき労使の慣行を作っていきたい。時間の関係におきましても、また最低賃金におきましても、労働懇談会の答申によって、一時地方的にあるいは業種別の協定賃金を作って、社会通念あるいはまたそういうことをすることによって順次現在あなた方の提案しておられるようなところまでいけるであろう、こう思って、一挙にはできぬけれども、順次一つ一つ基準法の方向に向っていきたい、かように思っておる次第であります。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 関連して伺いたいのでございますが、その摘発された件数は、いわゆる超過勤務的な報酬をもらってそれが行われたものでしょうか、それともきまった時間以外には何の料金も出されないでいわゆる違反をしたものでございましょうか、その点を伺っておきたいと思います。

百田正弘労働事務官(労働基準局長)

○百田政府委員 具体的な事実につきましては、五割の割増し賃金を払っていなかったかどうか——摘発されたものは要するに深夜業に関係しておるというのが大部分であります。それで五割の割増し賃金を払っておったかどうか、払っておるものもあるし、あるいはおらぬものもあるかもしれませんが、現在捜査をさせておる最中でありますので、具体的な事実につきましては、捜査の結果を待って……。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 それではぜひ一つ早急に、その摘発事件が、今お尋ね申し上げました点にいかなる処置をしておったかということを御調査下さいまして、また何かの機会に御報告を願いたいと思うのでございます。  ここでもう一つ、私、谷野婦人少年局長にお尋ねしたいのでございますが、こういう場合、おたくの関係でお調べになりましたときに、そういう婦人達が違反であるというようなことを言うだけの勇気を持って職業についておるかどうか、もし万一そういうふうな抵抗をすれば何か不利な立場に追い込まれるのではなかろうか、なまいきだとかなんとかいうことで、もしほかにかわりの人があればかえられるかもしれないというので、自分の安全をはかるという立場からあえてこういう違法にも何の声も上げないで、そういう状態にやむを得ず従っておったのか、そういうお調べがこれまでおありになるかどうか、もしおありでありましたら、一つお願いしたい。

谷野せつ労働事務官(婦人少年局長)

○谷野政府委員 基準法には、労働者が基準法の問題につきまして申告をして参ります権利を持っておるわけでございますが、私の方の婦人少年局といたしましては監督を直接いたしませんで、年々地方の婦人少年室、あるいは本省で婦人労働者、とりわけ組織を持っております婦人労働者との集まりを催しまして、現在どんな問題が婦人労働者として一番悩んでおる問題かということを絶えず伺うことに努めているわけでございます。それからまた、実際に室に、婦人労働者が法律上のこういう問題について困っているから何とかして下さいということを頼みにいらっしゃる方もあるわけでございます。それが全体の中でどれくらいかという数字でお話を申し上げることは、ちょっと私どもの資料として整っておりませんが、婦人労働者が話しに参ります事柄につきましては、常時問題別に大体私の方で整理いたしまして、問題の事柄によりましてはこれを労働基準局の方に移して再調査をしてもらいます。  それからその再調査の結果について、まだ私の方で納得が参りません場合には、私どもの職員が直接調査に参りまして、使用者と話をして問題の解決をつけてやるということに努力をいたしておるわけでございます。数字で申し上げることができませんが、そのように扱っております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 今の労働大臣の御答弁については、私はいろいろふに落ちない点が多いのでありますけれども、時間の都合もあるようでありますから、多く申し上げることはどうかと思いますが、端的にそれでは伺っておきたいと思います。  今労働大臣のお話の中で労働基準法の改正を用意しておられるというようなことについては、これは今初めて伺ったわけでありますが、たとえば基準法改正のためのいろいろな準備をするとか、あるいは臨時調査会に諮問するとかいうことについては、これはきよう私がここでお尋ねする対象のものではないので、私が今お尋ねしておるのは、現行の基準法というものをどう運営していくかという点を聞いておる。というのは、同じ労働法でも公企労法については政府の態度は世間にきわめて明らかにされておる。労働組合側はあげて悪法であると言っておる。また日本の組織労働者の一方の大きな組織を持っておる総評も団体の意思によってそう言っておる。しかしそういう事実にもかかわらず、政府は、やはり悪法であっても法律は守るべきだという世論の上に力を得て、かなり大胆な方針を打ち出しております。私はそのことのよしあしはここで批判しようとは思いません。法の前に峻厳であるということは、私はある意味では一つのやり方だと思います。しかし同じ労働法の中でもウエートにおいて非常に違いのあることも私はさっきから述べておる。あなたは、たまたま労使のよき慣行を作るという答弁をされておりましたが、ここには労使の慣行を云々する条項は一つも言っていない。私の言っておるのは、憲法二十七条の第二項によって、労働賃金、就業時間、休息その他の労働条件については法律をもって保護規定を定めさせるというこの精神を受けて立ったのが基準法だ、しかも基準法の労働条件の最低の基準を示したものであるにもかかわらず、それは国際的な社会労義の上に照らして考えられたものであるということが立法の精神にうたわれておる。こういう点からもわれわれは判断をいたしまして、他の労働保護法と異なって、あるいは労働立法と異なって、労働基準法についてはきわめて明確な罰則規定がある。でありますから、こうお尋ねすれば労働大臣は明確な答弁をしていただけると思うが、基準法の第十三章百十七条以下きわめて明確な文章になっておる。労働大臣はおひまがなくてお読みになっていないと思いますから、私が読み上げますが、第百十七条は「第五条の規定に違反した者は、これを一年以上十年以下の懲役又は二千円以上三万円以下の罰金に処する。」第百十八条は「第六条、第四十八条、第五十六条又は第六十四条の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。」第百十九条は「左の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。」として、第三条以下列記してあるわけであります。これらのことはあとで局長から伺いますとわかりますが、今言う三カ条のそれぞれどれかに該当する違反をした場合は処罰するということを指摘しているわけであります。これが違反になるかならぬかは、裁判所が最後に決定して処罰することではありますけれども、こういう規定があるものを、これをどうするかということを実はこれからお尋ねしていくわけであります。こういう点について、労働大臣は法律を実施する責任の地位についているわけであります。それを今法律を改正するかもしれぬ、よくなるかどうかそれはわかりません。しかしそれは国の意思で別に変ってくると思いますが、この法規について労働大臣の考え方を卒直に述べなければなりません。それを私、今お尋ねしている。これだけについてあなたの所見をはっきりお答え願いたいと思います。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 先ほど申しましたのですけれども、いろいろなことを全部言ったものですからはっきりしなかったのですが、今回の全繊同盟から告発されたもの、二十三件ですか、件数はよくわかりませんけれどもそれについてはやはり厳正に法の定めに従って処置しなければならぬと思っております。  そこで私が言いたいことは、中小企業は大体間違っているのですよ。それを全部厳正に摘発したら一千万人以上の者が路頭に迷うことになる、そこを僕は言っているのです。だからそれは一つの基準法で全部一律一体に一本にできないのではないか、それじゃやっぱりいかぬから、それらの人も立ち、労働者も立つという別な面があっていいのじゃないか、こういうことを私は言っているわけであります。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 これは重大な発言です。あなたにすぐ帰っていただこうと思ったのですが、もっとはっきりしなければならぬ。私はあなたはいい人だと思っている、この国会を通じての質疑応答で正直な方だという感じを受けている。その意味では非常に好感を持っている。思うまますぱすぱおっしゃって、いいことだと思います。しかし今の発言は、ただ単にいい人だからということで受け取れるわけにいかない。あなたのおっしゃる意味は私にも理解はできますよ、今日、基準法を峻厳に実施したら、中小企業、零細企業の中から違反者が相当出るだろうということは私も認める。それはこの法律に限ったことではありません。もしそういうことで労働法を行政解釈の中でゆがめるということが、あなたの労働行政、この内閣の労働行政であるということになりますと、他に問題が波及いたす、そういう大胆な発言を大臣の地位にある人から今まで聞いたことがない。私はまだ経験が非常に浅いのでありますが、第十六国会以来、社会労働委員会になってから、ずっとこの問題について他の案件で聞いているのですが、あなたほどすぱすぱものをはっきり言っていただいた人はない、その意味では好感が持てる。しかしこれは国会の公式の質疑応答をやっているわけです、速記に残ってきます。私が意地悪く言うならば、それだけで質問はやめておきますよ。あなたの責任の追及を別な方法でいたすことができるわけであります。しかし私はそんな足をすくうような議論をしたくないから、もっとまじめな意味で——そういうことがあるから、この法律を改正するという考え方が起ってくるかもしれません。しかしそれは今の労働大臣や政府が言われることではない、新しい法律を提案されたときに、そういう意思があるということは大きによいかもしれない。しかしこれは内閣総理大臣に聞かなければいけません。もし私が総理大臣に別な機会に聞くとすれば——あなたは基準法を改正する意思がある、結局改正する。しかも今おっしゃった意味で、この一本の保護法では実情にそぐわない、ことに中小企業、零細企業の保護の立場からこの法律は物足らぬということになると、改正することになる。そうするとまたそれに対する反対意見が出てくる。これは大きな問題になってくると思う。私はここで議論をしようとは思いません。私は中小企業、零細企業はこの労働者保護法によって非常な圧迫感を受けるという傾向は承認するのであります。しかしそれは、この法律を改正すべきものであるか、あるいは中小企業それ自身の問題を他の改正によって解決すべきであるかということは、政治問題として大きな問題になってくると思うのです。これを自民党が党の政策で打ち出してくれば勇敢です。新聞では、今度新しい政策を出すようになっているようですけれども、中小企業、零細企業は、低賃金、長労働時間等、労働者の犠牲において存続すべきものだ、日本の労働者は、中小企業と大企業とによって保護立法が二つにかわっていいなんという労働政策を自民党が大胆に出してきてからならば、私はあなたの今の主張を黙って聞いてほかの機会に争うのでありますけれども、私の今承知している自民党の政策の中には、そういう傾向すら見られない。あまりあなたは正直に自分の気持を言われたものですから、言質をとろうとするならば、私はむしろここで質問をやめた方がりっぱなんだ。あなたがどう考えようと、基準法それ自身は天下の国法として生きている。これがある間はこれに従っていかなければならぬことは言うまでもない。あなたがそういう考え方を持っているとするならば、基準局長は行動ができません。私はどちらでもけっこうですけれども、あなたは今言ったことをお取り消しになって——取り消すという言葉が悪ければ、うまく言い回しをすればいいと思う。私は言質をとろうとするのではありません。目的はそういうところにあるのではありません。もっとまじめに労働基準法を考えていきたい、その立場でお尋ねをしているのであります。いま一度あなたの発言の機会を私は認めて、もう一度質問をいたしたいと思います。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 私は終始一貫ここでも答弁しましたし、参議院でも答弁して参ったのですが、基準法の扱いについてはただ単に摘発主義をとらないで、これを指導誘掖して、それに従わしめるようにしていかなければならぬということが、基本的な、今までずっと答弁してきた私どもの考えであります。私はさっきから言っておりますように全繊同盟のこの問題については、二十七件ありますか二十八件ありますかわかりませんけれども、これは悪質なんですから、法に照らして厳重に処罰するのですよ。私がさっきから言っているのは、中小企業の現状において、一律一体の一本の基準法でいくべきであるかどうかということは大いに研究しなければならぬと言っているのです。おっしゃるように基準法に従うことのできるような、諸種の法律をもって中小余業なり零細企業を伸ばしていって、それに従わしめたらいいのじゃないかというお話であるが、そうできぬのがあるのです。小さい宿屋さんなどはどう考えてもできない、基準法がありながら今の基準法には従えない。だから運送業あるいは宿屋業、サービス業というようなものについては、よその国でもやっぱり変えてやっているのです。だから日本の国が一律一体に全部一つに従わせようということがいい政治かどうかということを、私は大いに研究しなければならぬと思っております。それを検討したいということを言っているのです。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 いや、もう追及しようとは思いません。しかしあなたの今の御答弁によりますと、今、私が具体的に問題にしている全繊関係の批判事項については、法に照らして峻厳にその処置をする、しかし一般労働行政の中で、基準法の考え方についてはというふうに二つに分けて言ったのだ、言ったのはその後段に属することだというふうに今あなたはおっしゃったようにとっております。それにしても問題はある。ありますが、きょうはそういう趣旨のことをお尋ねしておるのではありません。なるほどあなたのような考え方は自民党の中にもある。また閣僚にもそういうお考えがある。そういう人を労働大臣にしておるということもこの内閣の性格を現わしたものです。これは別の機会に私はよい意見を聞かせていただきたいと思う。ほんとうのことはなかなか言わぬものですが、あなたはそこをずばずば言ってのけられたから、そういう意味で善意に理解して、別の機会にこの問題は重要なことでありますから論議を進めていきたい。  前段の回答についてもう一度、大事なところですから、あと基準局長、婦人少年局長にお尋ねする都合がありますから、念のためはっきりお尋ねしておきます。今ここで私の取り上げておりますのは、繊維関係を主とするものだが、中小企業もありましょうし、あるいは大きいところもありましょうが、基準法の違反事項については法に照らして厳に措置を講ずる、こういうお考えであるかどうか。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 先ほど申し上げました通りに、摘発されている悪質なものは、法に照らして厳正なる処置をとるべきものだと考えております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 労働大臣はお急ぎのようでありますからけっこうであります。今労働大臣が明確に御答弁なさいましたように、私が具体的に提起いたしております全繊同盟の調査、並びに摘発しております労働基準法違反事項については、今日の基準法に照らして峻厳なる措置をおとりになるという御答弁でありますから、この内閣のこれに対する考え方は明確になったと思う。   〔委員長退席、大坪委員長代理着   席〕  そこでこの機会に具体的な点を少しお尋ねいたしたいと思います。その前に、きょうわざわざ婦人少年局長においでをいただきましたのは、この関係が主としてそういうところにあるというだけではありません。従来機会があればと思っておりましたが、機会がありませんので、たまたまよい機会だと思いましたから、しかも具体的に御答弁をいただく材料がありますので、おいでを願ったのであります。  婦人少年局の存在が、労働省の重要なポストだと私は考えておるにもかかわらず、また問題がたくさんあるにもかかわらず、ややもすればその存在が非常に薄い。はなはだ失礼な言い方でありますが、影をだんだんひそめつつあるということは、私は日本の労働保護行政として非常に残念なことだと思っている。実際は逆であって、むしろこのポストが積極的な行動を起す事態がだんだん多くなってきている。私は世界の中でも日本くらい婦人少年局の活動を期待している、客観的な情勢の成熟しているところはないとすら考えている。それは一方には近代国家としての発達が政治的にも文化的にもあり、特に経済的な条件においては先進国と後進国とが雁行状態でいく中でその中間に位して、大正末期から昭和の繁栄を誇ってきた日本の過去の歴史からいっても、それから今の日本の経済的再建を試みようとする位置からいきましても、決して後進国のあとについていたのでは一億に手の届こうとする人口を養っていく経済力は生まれてこない。さりとて先進国の仲間入りをしようとするにはあまりにも障害がある。こういう問題をまじめに考えてくると、過剰人口で悩むこの災いを切りかえていかねばならぬ。石橋内閣はこのことを言っておるのであります。完全雇用という言い方は少し私はおかしいと思うけれども、その言おうとすることはわかるのであります。すなわち過剰人口、労働人口の不合理な状態を解決していこうという考え方は、立場こそ違え大事なことだと思う。どこから向っていっても結論はここにくると思う。ですから日本の今の不完全な就業状態あるいは潜在失業の形において、労働市場の面から言いますと需要供給の関係を非常に荒しておる。でありますから、一方に労働組合が労働条件を守るための熾烈な運動を起しても、そういう条件が一方にある以上はくずれて参る。また労働保護法の上からいきましても、せっかく保護を実施していこうとしても、こういう悪い条件の中ですから非常な困難があるわけであります。であるからこそ労働保護政策というものが高く掲げられなければならない。何も自民党は労働者を敵に回すというようなやぼなことをやる政党ではない。また社会党は何でもかんでも資本家をつぶしてしまうほどのそういうはっきりした階級政党でものを言っておるのではないのであります。特に現状に処する政策の中で必要なものはということになると、こういう問題を取り上げてくる以外にない。先ほどの労働大臣と私との質問応答であなた方はいろいろなことを受け取られておると思うのでありますが、これは別の機会に批判するといたしましても、こういう状態から言って一番大事なのは何かと言ったら、これは材料をあげればすぐわかるのです。婦人の労働と少年の労働の保護は、遺憾ながら労働組合法や労調法の中で保護することは不可能なことであります。でありますから、労働基準法の第二条の、労働条件は労使対等の立場において処理するということは、さっきも言ったように労働者が組織されておる場合における状態である。だから今日の婦人や少年労働者はその組織すらできないんですよ。そのためにあなたのところがあるのじゃないですか。婦人少年局がそういう問題を積極的に取り上げていく必要があると思う。それが予算の関係や人の関係で思うようにいかないというならば予算を要求してくればよいと思います。こういう意味でここに現われた事実というものはあまりにも皮肉だと思います。こういう事実がありますので、婦人少年局は、婦人、少年の労働条件というものがあまりにも後退しておるということに目をおおうことは許されないだろう。きっとあなたは切歯扼腕されておるだろうと思いますが、こういう機会に発言していただくことは——もう本年度の予算ではやむを得ませんが、次の予算の要求の際にはきっと考え直してもらいたい。やはり一方には根本的な対策を立て、他方にはこういう違反の摘発は、労働組合の手によるよりは婦人少年局がこういうところに手を回して、労働基準局とタイ・アップしていくことが必要だと思います。私は労働省設置法の中で労働基準局と婦人少年局との関係をそういうふうに理解しておるのでありますが、これに対するお考えを婦人少年局長よりお伺いいたします。

谷野せつ労働事務官(婦人少年局長)

○谷野政府委員 日本の婦人の労働者は年々増加しておりますし、婦人労働者の果しております役割が日本の産業再建にとりまして非常に重要なものであるということは、ただいま先生のおっしゃいました通りでございます。私ども婦人の保護を預かっております者にとりまして、働く婦人の問題につきましては、このように婦人労働者がふえて参りますと同時に、婦人の保護ということは母性とも関連しておりまして、将来の私どもの次代の国民のためにも非常に影響を与える問題でございます。特にこの婦人の保護につきましては、先生のお話のように、労働組合が自分で労働条件の向上のために努力されるということは原則だと思うのでありますが、婦人や子供につきましては、労働組合を組織いたしましてもなかなか組織の中での問題も男と同じようなわけには参りませんので、よけい私どもの労働保護に対する使命は大きいと思っておるのでございます。婦人少年局におきましては、先ほどお話し申し上げましたように、労働保護につきまして特に監督を実施いたしておりませんが、年々婦人労働者の状態につきまして、特に職業上の問題、あるいは労働保護の問題につきまして調査を実施いたしまして、その調査から現われて参りました問題につきましては、労働保護について問題がありますつど、あるいはそのほかの行政官庁と連絡をとりまして、改善のためにお話し合いをして、その方向づけの御援助をしておるわけでございますし、またその調査の結果に基きまして問題が出て参りますと、それを今度啓蒙資料を作成いたしまして、使用者の皆様、労働者の皆様あるいは社会一般の御協力をいただきまして、婦人の労働保護のための皆様の関心と御援助をお願いしておるわけでございます。特に最近では婦人の自覚も進んで参りましたけれども、経済生活もなかなかきびしくなって参りましたので、婦人の保護の問題と同時に、その婦人労働者が働きやすい条件を作りますために、将来におきましても、なお予算の上につきましてあるいは皆様の御援助をいただく上につきましても、私どもはもっと努力を重ねて参りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 次にお尋ねいたしますが、さっき申し上げております全繊同盟の提供した具体的資料——ごらんになったかどうかわかりませんが、ごらんになっていないならあとでごらんになっていただきたいと思いますが、この資料の中に出ておりますように、一、二の例をあげてみましょうか、石川県の丸三織布あるいは石川織物あるいは越路織物というような工場が出ておりますが、それを見てみますと、従業員の構成が、丸三の場合には男三十名に対し女が百四十名、それから石川織物の場合は男二十九名に対し女が三百十名、それから越路の場合は男三十一名に女が百六十八名、圧倒的に婦人の職場です。しかも年令を見てみますと、二十才未満の者が圧倒的なのです。ようやく就労年令に達した、年令の上でも違反の事実がある。こう婦人が多いところはお認めのように労働組合がないのです。作れないのです。こういうことは私は婦人少年局の指導要項の中でも最も高いものでなければなりません。もしそこに労働組合ができておれば、ここまで悲惨な基準法違反の疑いの事実のあるこの悪条件の中にさらされないで済むのじゃないか。基準法の方をそっちの方に合わせていくという考えを持っておいでになる方もあるようですが、これはめちゃくちゃなんです。暴論に近いものです。でありますから、こういう問題を私は婦人少年局が具体的に取り上げて、あなたの方が基準監督署のネジを巻くという役割をすべきものではないかとすら私どもは期待しておったわけです。そういう点に対するあなたの所見を一つ伺っておきたい。

谷野せつ労働事務官(婦人少年局長)

○谷野政府委員 ただいま先生のおっしゃられましたように、特に組織のない労働者の問題につきましては、また婦人年少者の問題といたしましてほんとうに大事なことだと思っております。婦人少年局の年少労働課におきましては、ことしも特に中小企業に働く労働者の労働条件につきまして、工業部門と非工業部門に分けて調査を実施いたしております。その結果に基きまして、問題がございますような場合には、労働基準局に申し入れをいたしまして、基準局から十分監督をしていただくように私どもは監視をいたしておりますし、なお基準局が監督をして下さいました結果について、私どもが満足がいかないような場合には、さらに私どもが調査を重ねまして、何度も同じようなことをやって参りたいと思っております。労働者の保護をはかるように努力して参りたいと存じております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 ぜひその意気でやっていただきたいと思います。さっき労働大臣は法を峻厳にと言っていましたが、あの労働大臣が今ここで答弁したことがすべてだとは思いません。大体わかります。輪郭が出ておる。基準法はこういうものに対してきびしすぎるから、法律は変えたいという考え方するら述べておられる。あなた方労働大臣の指揮監督のもとに行政を行われるのでありましょう。しかし命令に従うばかりが能じゃない。法律によってこうあらなければならぬという主張をしていただかなければならぬ。そういう立場から私は今までお尋ねしたわけであります。こういう組織のない労働者の事実が出てきた。しかもか弱い婦人です。あとで一々質問いたしますからお聞きいただけばわかりますけれども、こういうような悲惨な事実というものは——さっき中山先生の質問にあなたはお答えになっていた中に、労働組合との連絡、けっこうなことです。しかし今日労働組合を作っておられるところでは、一応曲りなりにも基準法の違反を排除するくらいの力は持ってきた。そいつをやっつけることには今なかなか勢いがいい。それに倍して、こういうものに保護を加えていかなければ労働者の敵だといったら、どこから一体答弁ができますか。労働省は取り締り当局に変ってきたといわれたときにどう言います。一方にこういう機能が活発に動いておるからこういう元気なことが言える。これはひとり保守党や現内閣の当事者の出放題な発言として聞くわけにはいかない。国会はこれについておる。われわれもその責任を持たなければならぬ。この処分のいかんについては、あたの方としても非常な関心をお持ちになっておると思う。その結果を私はあとで求めるつもりでおりますけれども、次の機会、いつくるかわかりませんが、そういうように意見を聞こうとすれば私どもも議員として開くことがありましょう。こういう点についてあなにの方の立場は、私どもにかわってそういうことをしていただける立場だと思う。この点の考え方を一点伺っておきたいと思います。

谷野せつ労働事務官(婦人少年局長)

○谷野政府委員 繊維労働者の違反事件につきましては、とりわけ婦人労働者の労働条件の基本的なものでございますので、婦人の労働保護の上から、私ども非常に気にいたしております。基準局がしまつをして下さるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような手続をとりますと同時に、婦人少年局の持っておりますさまざまな機能を生かしまして、たとえば懇談会あるいは啓蒙資料などの方法によりまして、基準局がさらに法律の施行のしやすい地盤を作るために、大きく努力をして参りたいと思っております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 ぜひお骨折り願いたいと思う。それから基準監督局長にお尋ねいたしますが、最近基準監督の結果報告を見ておるのでありますが、労働大臣の発言の中にちょっとうかがえたのですが、最近違反についてはどうも見送る態度が強い。その結果がこういうところに出てきておると言っても返す言葉はないと思う。法はやはり公正に行うということになれば、こういうような形で出てくることは私はよくないと思う。行政全体の中で均衡がとれて、違反があれば違反をあげてくる。その手心というものはありましょう。それが要するに摘発主義よりは指導的な方が結果において効果があるという見方をしきりにしておるようであります。そのよしあしは論議しようとはしません。その結果を聞きたいのです。一体指導的役割をとってどういういい影響が出たか。逆ではないか。これに対する基準監督のこの報告の中で、違反の事実は少くなったから摘発の傾向が少くなったというのか。統計の上でですから言えると思う。その点の見解を一つ。できるならば数字を説明して下さい。

百田正弘労働事務官(労働基準局長)

○百田政府委員 最近の違反の状況を申し上げます。昨年度におきまして監督を実施いたしました事業所数が約二十六万五千、そのうちに何らかの違反が発見されました事業所が十一万六千、それから一つの事業所に数件の違反がございます。そうした延べ件数にいたしますと三十一万五千件というような状態になっております。それで御指摘の通り、われわれの方の監督官の数にも限りがございますから、私はこれが全貌だとは考えませんが、依然としてこういうふうに滅ってこない。われわれの手だけでもこれだけ摘発いたしておるわけでございますからして、減ってこないということは非常に遺憾なことでございます。そのゆえに、実はなぜ守られないのかという点につきまして、もっと掘り下げて実態を突きとめる必要があるということで、最近の監督においては、特にその点を突っ込んでやらしておるような状況でございます。法の施行当初におきましては、よく監督官がささいなことばかり言っておったということで、たんつぼ監督官とかいうような悪口を言われたことがございますが、近ごろは実質に突っ込んでやっておるわけでございます。その内容について見ますと、法を知らなかったというもの、あるいはまたよく割増し賃金等の違反にございますが、そういう賃金を割増し賃金の計算の基礎の中に入れるのを知らなかったというようなものにつきましては、それを詳細に教えることによってすぐ是正されるといったようなものもございます。  それから監督で実は一番監督官が困りますのは、一ぺんに全部の事業所というわけにも参りませんので、なぜおれのところばかりやるのだというような反撃を食らうわけでございます。どこもここもみな違反しておるじゃないか、この程度の違反をやっておるじゃないか、全部守るならおれのところも守るといったような態度を持つ。従って、それだけで、たとえば違法処分にするというようなことが非常に不均衡になるといったところで、あとのを調べないでおくわけにも参りません。そういった現実の悩みがございます。従いまして、そういうものについては、集団的に共通的な違反につきまして警告を発するといったような方法をとっておるわけでございます。それからその違反自身についても、ある努力をすれば、あるいはまたちょっと考え方を変える、あるいはまた労務管理の改善をすれば、あるいはまたちょっとした設備の改善をすれば、すぐ法定基準に到達するという場合もございます。そういったことについて監督官自身が始終助言しました結果、たとえば年少者の時間外労働その他につきまして、その時間外労働をやらないで、法定通りの労働時間によって、ちょっとした施設の改善でそうしたところがちゃんと守られるようになったばかりでなく、能率も上るようになったという報告もあるわけでございます。そういうふうに、目的はその法を守らせる。法の基準に従わせるということでございますが、その原因、事情によって私はいろいろなやりようもあろうかと存じます。ただいま御指摘になりました非常に悪質と認められるものにつきましては、断固として厳重な処置をしていくといういき方とあわせてとっていくというような方法で現在やっておるわけでございます。決してそれがために、たとえば手心をしているといったようなことが、もしそういうことをさせるのであるとするならば、いわゆる世間で言う手心、全然見て見のがすというのじゃない。一日も早くその法定の基準を守らせるような、守り得るような状態にしむけていくということでございますので、その点御了解願いたいと思います。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 いろいろお尋ねいたしたいのでありますが、時間が割合に少いのでありますが、最近の傾向ですけれども、私はずっと前から、基準法の中でも未払い賃金の問題について何回かその措置を政府に迫って、かつて前々内閣ですか前内閣ですか、牧野法務大臣のときには、やはり立法措置を講じないと、現在の基準監督行政だけではこの問題の解決が困難だ、またさらに支障もあるというので約束したけれども、いつまでたっても立法措置を講じてきよらぬ。要するにでたらめを言う内閣だと思っておりますけれども、事が労働者の、しかも一番弱い労働者です。抵抗力のない労働者、いわば民主主義の恩典からはずされておる人々です。政治が一番厚く重く、行政が一番保護を加えなきゃならぬ者が一番残酷に扱われて、その上に行政はさっき言ったように見当違いの手心を加える。私は何も基準法違反をようじでますのすみをつつくように摘発するという主張には賛成しないのでありまして、一方にはそのよって起る原因も知りながら、適正な監督と摘発をやっていくべきだという点ついては、私は何も機械的な完全摘発をやれというのではないのでありまして、そういうところへ来てないから言う。というのは、私は一つはあなた方の責任もあると思う。今の労働大臣の答弁を聞いておわかりのように、上司に対するあなた方の報告や意見が通じてないのか、あるいは無視しているのか、どっちかでありまして、通じてないとすればあなた方の責任なんです。無視するなら、この内閣の労働行政はゼロだと思う。反動的だということをみずから証拠立てるものになる。これほどはっきりしたものはないと思う。ですから、この内閣が労働法を法律通りやる、公労法などでああいうことをやるのは、何をばかげたことだということをよく証明していくものなのです。一方で基準法のようなものをびしびし適用して、組織の力で行き過ぎがあるならば押えるのもけっこうですが、未組織でいるようなものに対して労働行政が死んでいたら何になります。私はあなた方の責任だと思う。そのためには、こういうものを突きつけられたら面目がありはしない。その傾向を私は聞きましょう。具体的なことを一々聞きたいのですが、時間の関係もありますので傾向を言いましょう。最近の傾向を見て下さい。全体的に労働時間がどうなっていますか。賃金問題は、統計資料に出ているように、金額の上では、あるいは件数の上では上り下りはしておりますけれども、これは私に言わせますと、規模別の状態を見ていきますと、私はこれは言いたいところでありますけれども、たとえば、三百人以上の事業場においては、全体の未払い賃金の百分比でいくと〇・七、二百九十九から百までは二・一%、九十九から十までは二八・四%、九から一までは六八・八%というように、企業の規模別に見ると企業の規模の小さいものほど——これは雇用労働者の数で言い現わしておるのですが、そういうものほど要するに摘発件数が多い。私はそういうものを心がけて回っておりますけれども、中小企業の経営者にも多くの知人を持っておりますが、必ずしも公正にやっちゃおらぬのですよ。基準署が。これは上が上だから下が眠っちゃって今一番悪い姿に基準監督がいっている。抵抗の弱い労働者のためにやらなければならぬ仕事をやらないでおいて、そうしてそれが統計の上に出てきたものだから格好だけつける。摘発が一番やさしいのは小さな一人か二人しか使っていないで親方も一緒になって働いている、そういうようなところは摘発がしやすい。そういうところにのさばり返って基準監督署は目の上のこぶになっている。権力をかさに着ていやにいばりちらす。大きいところはあがりゃしない。この中で大きいところをあなた方は知らぬはずはない。最も悪い例を言いましょう。私は二、三見つけて知っている。基準監督署が行く前に電話をかけて行くなんというばかなことがあるものか。それは今から行くから違反になるようなところは隠しておけという電話をかけたんじゃないでしょう。これから監督官が行きますからなんという電話をかけたら隠すにきまっている。今の基準監督署は腐り切っている。これはあなたの責任ですよ。ああいう大臣をいただいているからあなたはやりにくいでしょう。こういう点は私は今こそ立場々々で守るべきものがあると思う。いただいている人が適当であるとかないとかいうようなことは、これはおのずから別でしょう。だれでもやれるようなことをこの法律がしてある。監督については非常にでこぼこが出てきました、最近指導という言葉を言い始めたもんですから。大きなところには指導をやっている。大きなところに指導なんか要るもんですか。大きなところには権力を持っているのですからびしびしやっつけたらいい。ところがだんだん姿が悪くなってきている。これが出てきたのはたまたまほかのことで行って見つかったので、未払い賃金のあげ方だけ見てみても私はこのやり方は改善する必要があると思う。それから労働時間の問題については、この人はもうこの点では全く基準法はから回りです。こうあげられておりまする基準法違反の事実はおおむね労働時間の問題です。すなわち四十八時間制がくずれている。それから休日の問題はもうほんの形式に流れている。特に女子労働については、私は生理休暇ということがいいことか悪いことかいろいろ批判はあるにいたしましても、こういうような特別保護は日本の婦人の弱さというものを端的に現わしたものだと思うのであります。こういうものはもう全く眠っちゃっているんです。その事実がこれにずうっと出てきているのです。これはそういうふうにごらんになりませんか。もう年次有給休暇なんというものはあってなきがごとく、週休制度の問題でありますとか四十八時間制という問題は、さっきから言っておるように賃金のような問題になりますと、これはもう未払い賃金で食えなくなりますから少しはしんぼうしていても二カ月も三カ月ももらえなくなると、これは背に腹はかえられぬから窮鼠かえってネコを食むというような工合で、首になるかもしれぬけれども食いつかなければならないという姿がこの報告書に出てきている。だからある意味において豺狼相食むというか、自分の責任だけではなくて政治政策のやり方や社会の風潮の関係から余儀なく経営ができなくなってきたという例もありましょう。それから大企業の収奪にあってやっていけなくなったという原因もあるかもしれない。しかしそういう人たちはもうなけなしなんですよ。自分の家族を養うためにへそくっているやつをよこせという、奪い合いをするような問題が始終起きている。そういうところにはなかなか監督が行き届く。これはよほど考えなければいけませんよ。労働時間の問題になりますと、貸金のようにすぐ明日の米を買うのじゃないですから、逆に一緒になって、これは基準法違反で監督署に見つかったら大へんだということで労働者も一緒になって違法をやっているのじゃないかと言ったら、いや、これはもう違反ではありません、私の方でお願いしてやっているんだから、というような情ない訴えをするような実情なんですよ。こういうものを保護法を変えてやろうということなら零細企業の労働者は飢え死にしてもいいということになる。労働者は労働組合を作れぬじゃありませんか。あなた方の仕事じゃないですか。こういう点が私は一番大事な状態に来ているのじゃないかと思う。特に私は労働時間の問題はやかましく言ってもらいたい。やりにくいところかもしれない。もし指導行政があるというならこういう点に対してどういう指導をなさっておいでになるか。一体監督官が労働者と取締りの対象になる業者に対して指導とはどういう具体的な指導をおやりになっているか、またこういうものに対してどう解決しているか、ちょっと伺ってみたい。

百田正弘労働事務官(労働基準局長)

○百田政府委員 ただいま井堀先生からのいろいろお話の点は私も気持としては同感であります。従いまして気持としては、今いろいろお話がございましたが、監督署が腐り切っているとか、事業所に監督に行く前に電話をかけて行くとか、そういった事態がもしありといたしますれば、私は絶対にそういうことは相ならぬことだと存じますので、これは私の責任といたしまして処理いたして参りたいというように存じているわけでございます。さらに監督の問題でございますが、大企業はさっぱりやっていないのじゃないか、中小企業、小さいのばかりほじくり出しているというお話でございますが、気持といたしましては、限りある監督官でございますので全部が全部というわけにも参りませんので、計画的にさらにまた重点的にやっているわけでございまして、特に問題の発生しやすいような産業ないし事項につきまして重点的に監督を実施いたしているわけでございます。従いましてただいま御指摘になりました女子、年少者の時間等につきましては、女子、年少者を多数雇用いたしておりますところの紡績業等のような非常に多いもの、これは規模のいかんにかかわらずその点に重点を置いて監督を実施いたしているところであります。最近におきましてもあるいは愛知県の知多におきまして、あるいはその他大阪の泉南におきまして、相当の大企業につきまして大阪においては二件すでに本年の二月も送検いたしましたし、現在四件について送達手続を進めているというような状況でございまして、その点につきましては十分に配慮いたしているつもりでございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 私は時間がないものだから抽象的に聞いているんだけれども、具体的に言いますと、あなた方の検査はもう政府統計の上に出てきている。これは一つには他の政策もありましょうけれども、内閣統計局の労働力調査報告で平均週間就業時間の点で見ていきますと、これはもっと分析していくと出てくると思う。ほんとうはあなた方にそういうところの報告をいただこうと思っておった。一例を見てみますと、最近製造業の場合でいきますと、平均週間労働時間というものが昨年四三・七時間、それが四五・四にまたことし伸びている。これは熟練労働者が足りないという点で男子労働者が所定外労働が多い、労働時間がふえたという傾向は、ある程度相当のウエートを占めていると私は思う。しかし女子の場合は別なんです。女子は減っていくべきなんです。それがふえている。これは監督が眠っておる。これは返す言葉がない。労働者の数でいきましょう。最もおそるべきは、四十八時間制がくずれておるのです。特に婦人少年局長は、この点は気をつけて下さい。一番大事な一週四十八時間制がくずれておる。四十九時間以上の労働者の数がどうなっているか。この統計でいきますと、昨年は二百七十万だ。それがことしは二百四十二万にふえておるじゃないか。おそるべき傾向ですよ。これがその一つの現われです。  もう時間がございませんので、私はこういう点について一つ基準局長に注文を申し上げておきたい。このことを私がやかましく言うているのは——ここだけ摘発された、運が悪い。運の悪いところだけやり上げるというのは、気の毒だという感じがせぬでもありません。これと同じようなのはたくさんあるだろう。全繊の五地区を選んだのだが、しかし全繊に余力があるなら全部やってもらいたかった。せっかくやってもらったんだから、それをほごにしてはいけません。しかし足らぬところは基準監督署がやるべきですよ。全国にこういう例がある、お前のところも探してみろという通牒を出すべです。そういう意思があるかないか。しかしこの事実については、さっき約束があったから、追及する必要はないでしょう。その結果を私は最も近い機会に求めたいと思う。国会も休会に入りますから、特に注文をいたしておきます。これも小委員会あるいは休会中に他の法案審議の機会があろうかと思いますから、そのときに報告していただくか、できるならば——これは個人的で恐縮でありますが、国会議員井堀繁雄に報告していただければそれでもけっこうだと思う。非常にこれに関心を持っておる。と同時に、今言うように、これに類似のものがあるはずですから、そういうものに対して、やはり画一的な、全国的な一つの基準行政というもののいき方があるはずです。そういうところに対する考えはどうか。時間の問題、特に私は未払い賃金の問題は前から言っているように、私自身も立法措置を講じなければならぬだろう、行政措置だけでは労働者のこの権利を完全に保護することはむずかしいのじゃないかと思っている。しかしそれにもまた要求がある。これは労働者の意思が未組織でも出てくるわけです。労働時間の方は逆になるという傾向がありますだけに、特段の注意を要すべきものではないか。基準局長はこの点に対するお約束ができるかどうか。

百田正弘労働事務官(労働基準局長)

○百田政府委員 第一の、全繊の摘発した五地区以外も、一つ探してやれ、こういうふうなことで通牒を出す意思はないか、ということでございますが、特に繊維関係等につきましては、女子年少者の労働時間の問題が実は一番問題でございまして、ものによっては工場以前の状態というのがあるわけでございます。これは実は従来の監督の結果に徴しまして、おそらく全繊もそういうことを御存じなんで、この五地区を選ばれたと思いますが、ほかにもいろいろ、多少状態は違いますけれども、相当あるわけでございます。そういったものにつきましては、実はもうすでに各基準局長に指示いたしまして、計画的な監督をするようにいたしておるわけでございます。御趣旨の点もございましたから、近く監督課長会議も開きますので、その席において指示したい、こういうふうに考えております。  それから第二の、今度の全繊の摘発の結果の報告でございます。これは処理がつきましたら御報告申し上げます。  第三の時間の問題、特に統計で一般的に長くなっておりますのは、基準法三十六条の協定の範囲内においてはできるということになっております関係上、これは違法な形ではないわけでございますから、統計の上で出てきておると思います。女子につきましては——むろん成年女子については制限があるわけでありますが、われわれといたしましても、女子年少者の労働時間というものは、時間の問題では一番重視いたしておるわけでございます。この点につきましては、いろいろ御意見もございましたし、十分参考にいたしまして、重点的に処理していきたい、こういうふうに考えます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 統計の上で女子労働者の労働時間が延びておるのは三十六条の規定だと言いますけれども、そうだとすれば問題なんです。これはちょっと伺っておきたいと思う。三十六条の制限規定というのは、ぎりぎりまでやれという趣旨ではない。やむを得ない事情のあるときに許される行為であって、そういう傾向がふえてくるということはいいことでしょうか。私はいい傾向じゃないと思う。しかし、それにしてもこういう数字にはなりません。私はそうじゃないかと思って、時間があれば、こういう点でもっと、あなたの方も材料を出し私の方からも材料を出して、やりたいと思っておったのですが、このあと次の法律の審議があるそうでございまして、予定の時間に入ってしまいましたから、残念ながらできません。  それではこの機会に、能率的に討議を進める意味で注文をいたしておきましょう。これは女子に限ったところでもけっこうですが、労働時間が延長されてきた、これは計算して割ってみればわかるでしょう。この統計でいきますと、雇用労働者の数と、もっと詳細なるものが統計に出ておるから、これをずっと見ていったら、どうしても違法でなければ出てこないのです。出ないというなら、あなた、統計をよく納得のいくように——この調査がまずければまずいでいいでしょう、これの責任になりますから、私はそうずさんなものではないと思います。三十六条以外のものがあると思う。そういう点に対して、一つ数字的に検討した結果を私の方でちょうだいいたしたい。それによって次にまたお尋ねをする機会があろうと思います。きょうのところはまことに残念ですけれども、時間がございませんので、特にこれは峻厳な取締りをするという労働大臣の特別な発言もございましたし、あなた方もやりよいと思いますから、そういう点を十分下部に流されて、とかくの非難を受けておるときでありますから、積極的な監督行政を進められるように、私からも要望いたしておきます。  それから特に婦人少年局長に、くどいようでありますが、お願いしなければならない点は、組織労働者の間では認められておるけれども、未組織労働者——その組織化については、これは三百人、四百人もいるところが組織できておりませんから、あなたの方の特別のお仕事じゃないかと思うので、そういう点に対してよりいい計画をお立てになって、積極的な婦人少年の保護が労働行政の上に現われてくるように、お骨折りを願いたい。  以上、希望を申し上げまして、あなた方の御決意を伺って、私の質問を終りたいと思います。

百田正弘労働事務官(労働基準局長)

○百田政府委員 ただいまの点につきましては、われわれの方におきましても数字的に検討いたしまして、いずれ御報告いたします。

谷野せつ労働事務官(婦人少年局長)

○谷野政府委員 ただいまの未組織の婦人少年労働者の保護につきましては、今後婦人少年行政の上に現われるようできるだけの努力をいたしたいと思います。     —————————————

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長代理 この際申し上げます。診療報酬及び薬価に関する小委員会において、委員の移動に伴う欠員が生じておりますが、この補欠選任につきましては、委員長に御一任願っておりますので、再び委員に選任された岡本隆一君を小委員に指名いたします。     —————————————

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長代理 それでは、労使関係、労働基準及び失業対策に関する件についての質疑を続行いたします。岡本隆一君。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 最近の新聞を見ておりますと、アメリカの極東軍司令部がこの七月一日にハワイに引き揚げまして、さらにまた第一騎兵師団を中心とした地上部隊も大量に引き揚げるということであります。調達庁の方からお答え願いたいのでございますが、あらかじめ事前の通告があったことであろうと思いますので——また伊丹の航空基地とか仙台の苦竹キャンプというようなところでも、年内に引き揚げが行われるというようなこともうわさに出ているのでございますが、それの真偽、さらにそういうふうなところの施設がなくなりますと、そこに働いている駐留軍労務者がどれほど整理されるかということですが、そういう見通しについてお述べ願いたいと思います。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 お答え申し上げます。本年の七月一日からアメリカの新会計年度が始まるのでありまするが、その機会にアメリカの極東軍の再編成が行われ、極東軍司令部がハワイに引き上げるとかあるいは第一騎兵師団が撤退をするような報道が新聞紙等で伝えられておるのであります。駐留軍が撤退をいたしまするとそこに働いておりまする駐留軍の労務者が解雇になるということで、調達庁の労務部といたしましてもできるだけ早期に、またできるだけ詳しい情報を軍の方から得たいということで、この七月一日を期して行われまするアメリカ軍の再編成の問題については、機会あるごとに情報の提供方を申し入れておるのであります。ところが新聞報道等ではいろいろなことが書かれておりまするが、アメリカ軍の正式の発表として調達庁の方に十月一日からはこういう編成になる、ここの部隊が撤退するというようなことで、全体的な計画を示してきたことは今までまだないのであります。ただ私どもも新聞報道等によりましてできるだけ詳しい情報を早期に得たいということで努力をしておるのでありまするが、ただいま御指摘のございました伊丹の飛行場それから宮城県の苦竹キャンプの二カ所につきましては、軍が撤退しその施設を返還をするという報告に接しております。そのほかの全体的な計画等につきましては詳しく承知をいたしておりません。従いまして今年度内に駐留軍の労務者——現在約十八万弱おりまするが、この駐留軍労務者がどれだけ減少するかということにつきましても、はっきり私どもは情報をつかんでおらないのであります。ただ従来毎年約一万ないし二万の労務者が軍の撤退その他の理由によりまして、人員整理によって解雇になっております。従いまして今年度はそういう軍の再編成等が行われる予想がございまするので、例年よりも変動が多く、例年よりも人員整理の数が多いんじゃないかということが一応予想されるわけであります。今年度中に二万人前後の労務者が解雇になるものというふうに考えております。  そこで問題になりまするのは、この解雇になりました人たちの行く末、失業問題、就職問題でございます。その前に伊丹と宮城県の苦竹の基地撤退に伴う労務者の人員整理でございまするが、これも軍の方からはっきり何月何日に何名解雇をするということではございませんが、伊丹の方では私どもの管轄しております間接労務者、一般にLSO労務者と言っておりますが、これが千二百名ばかり、そのほかに軍で直接使っております直用労務者というのがありますが、これを合せまして千八百名ばかりが解雇になる予定になっております。それから宮城県の苦竹では、これも直用労務者と私どもの管轄しておりますいわゆる間接雇用の駐留軍労務者とを合せまして、二千数百名が基地の返還によりまして人員が整理されることになっております。その時期でございますけれども、はっきり何月何日ということは申し上げられせんが、大体伊丹の方は来年度にまたがって解雇が漸次行われるというふうに承知しております。それから宮城の苦竹の方は、今年の秋ごろまでに漸次解雇をするというふうに私どもは考えております。そこでこの失業します駐留軍の労務者失業対策の問題でございますが、この問題につきましては、御承知のように駐留軍労務者としてすでに数年ないし十年近くも軍に働いておる人たちが相当たくさんございまして、この人たちがアメリカ軍の撤退によって職を失う、そしてこれを就職させるという問題は、年令その他の点から非常に困難な問題でございます。この困難な問題を解決する一つの方法といたしまして、御承知のように昨年閣議の了解事項等もなされまして、特需等の減少に伴う失業対策ということで、関係各省が内閣で一緒になってこの問題を研究討議する、また具体的な方策を立てるということで進んでおるわけでございます。たびたびこの会議等も開きまして、一般問題あるいは具体的にある地域に相当多数の労務者が短期間にわたって出るというところについては、特別な措置を関係各省のそれぞれの分野において講じていただくということで、できるだけ失業者を救済するということで今日まで努力しておるのでございます。ただ先ほど申しましたようにいろいろなむずかしい問題がございます。離職をしました失業者を全部それぞれの分野に救済をするということも、なかなか困難なような状態になっております。大体以上のようでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 仙台とそれから伊丹の基地については通告があった、しかし極東軍司令部や第一騎兵師団等については何らの通告がないというふうに承わりました。昨年のただいまお話の閣議了解事項では、駐留軍の減少のために出てくる失業者をできるだけ計画的に、円滑にその処理をしていくためには、どうしても事前に通告をもらわなければそれができない。だからその事前通告というものを従来は三十日という約束だったが、それを四十五日にしてもらう、そしてそれをさらにもっと早く知らしてもらうようにできるだけの努力をするということが、昨年の閣議了解事項として申し合わされたように承わっておるのであります。ところで今のお話を聞きますと、小さい方の施設についてはちゃんと通告してきた、しかし膨大な失業群が予想されるところのものに対していまだに何ら通告はないということですね。それは軍の機密の問題があるかもしれない。しかしながら、これは戦時中ならいざ知らず、今は一応そういうふうな火花が散るということが予想されないときには、すでにジャーナリズムの方ではちゃんとキャッチしているのです。もうスクープされているのです。だから今知らしたからどうということはないのです。それを米軍から通知をよこしてこないというのはなめきっているように思われるのです。あまり日本の政府がなめられていると思うのです。だからそういうふうなことが新聞に発表されたら、えらいことが出おったがこれはほんまかいなというふうなことでなしに、あなた方は、こんなことが新聞にスクープされたがこれはほんとうか、これはゆゆしき問題だ、これならこれでおれの方は至急それに対する対策を講じなければならないというので、急遽問い合せさるべきものだと思うのです。そうして事前通告をするという約束をたてに、強硬にその真偽を明らかにされて、そして明らかにされたところの事実に基いて着々と準備を進めていくということでなくちゃ困ると思うのです。今の私の質問に対して、いや確かにそういうふうなことは聞いておる、向うから言うてこなかったにしても、つかんできた、だからこういうふうなことを考えておるというふうなことをお答え願える、それくらいの責任と誠実は持っていただいている、こう思ってお尋ねしたのに、聞いているけれども、ほんとうかどうかわからない、こんなたよりないことじゃ困ると思うのです。それで一体そういうふうな事前通告ということの話し合いが米軍との間に、昨年の二月三日以後に果して行われたのか。行われたとしたらどういうふうな申し合せが成立しているのか、そういうふうなことについて一応御説明願いたいと思います。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 駐留軍労務者の人員整理をやります場合には、アメリカ軍と日本政府との間の契約によりまして、少くとも人員整理が発効する四十五日前までには必ず通告をしてくるというとりきめになっております。従いまして一般的な場合には四十五日前に通告があり、四十五日たってから解雇が発効するということになるわけでございます。ただ例外的に解雇予告手当を金で払えば期間が短縮できるというような例外措置もございますが、一般的にはほとんど従来このとりきめによりまして、四十五日前に日本側に言ってくるというようになっております。従いまして突然人員整理が行われるというようなことは従来ほとんどございません。全体的な計画について日本政府が知っているべきだという御指摘、まさにその通りでございますが、軍の方といたしましては撤退計画なりその他軍の縮小計画が、先ほど申しました伊丹でありますとかあるいは苦竹でありますとか、はっきりいたしましたところから四十五日以前、先ほども伊丹の方は来年にわたって、また苦竹の方はこの秋ごろということを申しましたが、四十五日前、ずっと余裕を置いて日本政府に通知をしてきているわけでございます。もちろん新聞等で軍の撤退計画等が報道されました場合には、私どもとしても極力詳細な軍の計画を知りたいということで正式に折衝もいたしておりますが、軍の方としては新聞報道のようにはっきりきまっていない部面もあり、あの報道の通りではないというようなことで、軍の計画が決定次第日本政府には通知をするということで今日まできているわけでございまして、閣議の了解の線に沿いまして私どもとしてはできるだけ、四十五日と言わず、その前に計画を知るようにあらゆる努力を払っているのが実情でございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 四十五日前というと、七月一日から逆算しますと奇しくもあすが四十五日前になるのです。従ってきょうは通告がないとしても申し合せはそれでいいかもしれませんが、明日にはこれは通告がなくてはならないことですね。それでそういうふうなことがあなたの方からすでに米軍との間にはっきり約束されているのか、あるいはこっちから言うていったが、聞いておく、たぶん向うは言うてくるじゃろう、こういうふうな程度なのか、その辺のところをもう一度はっきりお答え願いたいと思います。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 四十五日前に通告してくるということは、はっきりアメリカとの契約でそういうようになっております。従って七月一日に解雇しようと思えばその四十五日前に通告してくる。従って四十五日前に通告してこなければ七月一日以後になる、こういうことであります。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 それでは七月一日以後になるかもしれないが、しかしながらあなたの方からお尋ねになりました新聞の発表通りではないが、ある程度の撤退はある模様である、そしてそれははっきりきまり次第知らす、こういうふうな回答を得ている模様でありますが、かりに極東軍司令部が廃止され、そして第一騎兵師団が撤退していくということになりますと、およそどれくらいの駐留軍労務者が失業状態になるのか、その数字を知らしていただきたい。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 極東軍司令部が引き揚げ、また第一騎兵師団が撤退するということで、かりにそれが実現をいたしたにいたしましても、そのあとがどうなるか、騎兵師団としては引き揚げたけれども、そのあとをどうするかということがはっきりいたしませんと、そこに使っている労務者を果して解雇するのかどうかということがはっきりいたしません。従ってその撤退に伴ってどのくらい人員整理が出るかという予想はちょっと立ちかねます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 それじゃこの部隊は帰るがかわりが出てくるので、ある程度あるいは相当またそこへ収容されるかもしれぬ、こういうような御意向ですね。  そこでそれじゃもう一つお伺いしますが、伊丹が今度返還される。そうしますと、あれは新たに日本の使う空港になるだろう。その空港にはまた相当の要員が要ると思う。また伊丹で働いていた人たちは、直接飛行機には触れなくても、いろいろな仕事をやっていたでしょう。あそこは現在飛行場として使われているのだから、あそこに使われている人は、そういう空港というような形の仕事には、似たような面で役に立つと思うのです。従って、伊丹で駐留軍の労務者としては要らなくなっても、新たに空港が開かれれば、そこにある程度の人はどうしても必要になる。そこで軍から放出されるところの労務者を、今度は新しい施設に採用されるように、今からあなたの方で交渉なり、あるいは何らかの方針を立てて努力をしていただいているのか。あるいはそれはそれで次にやる人なり機関なりがきめることだから、これはしようがないという方針でいらっしゃるのか、その辺のところを一つ承わりたい。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 伊丹の問題でございますが、軍が日本に返還をいたしまして、そのあとどうなるかということにつきましては、私詳しくは存じておりませんが、かりに空港として使うということになりました場合に、同じ飛行機に関係をした仕事をしておった駐留軍労務者をその方に使うということについては、これはもちろん一番似たような仕事でございますので、そういう方面にできるだけ使っていただくように、調達庁としても望み、また現地の兵庫県等においても、伊丹の空港がどうなるかということによって、一人でも多く駐留軍労務者を関連のあるところに採用してもらうようにということで努力をしつつございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 そこで一般的な駐留軍労務者の失業対策として職業安定局長にお尋ねしたいのですが、とにもかくにも極東軍が帰るとすれば、ことし二万は予想される。新たにほかの部隊が来るということは日本国としては望ましいことじゃないのです。帰ったらもうフェアウェルで、あっさりあとのおかわりはちょうだいせぬ方がいいわけです。だからそういうふうな意味でわれわれは対策を立てておかぬと、あなたらが行ってしまったら失業者が出て困るのだから、どうぞ行かないで下さいと言わなければならぬのでは、独立国としてきわめて情ないと思う。だからそれには、行ってくれ、おれの方は失業者を出ないようにするから心配要らぬというような、きぜんたる態度をとらなければならぬと思うのです。これはもうニュー・ルック政策でもって、質においては威力をどんどん増しても量においては減るというのが必然的なこれからの傾向です。だから年々相当な数が減っていくし、また国としても減らさなければならぬという状態に置かれているときに、恒久的な対策として今何を考えておられるのか、どういう方針を持っておられるか、一つ承わりたい。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 駐留軍労務者の失業対策の基本的なことについての御質問でございます。日本の現状からいたしまして、失業者が一時にたくさん発生するということは、非常に私ども率直に申し上げて困難な事態に直面するわけでございます。そこで私どもの考えとしましては、駐留軍労務者が失業した方に対しては、できるだけ早い機会に一般の産業の方に転換していただくということが、どうしても基本的な考え方になるわけでございます。経済の伸び、あるいは年度々々の予算の規模等にも影響されますけれども、私どもとしては今後長い目で経済の伸張ということを考えていく。反面、これらの伸びました産業に対しまして、駐留軍労務者を定職につけていくという方向に考えていかなければならぬと思っておりますが、実はそう申し上げましても、さしあたりの対策としましては、なかなか右から左に配置転換ということはむずかしいのでございます。そこで先生も御承知の通り、一昨年政府に特需等対策連絡会議を設置いたしまして、この連絡会議がまだ活動いたしております。そこでさしあたりの措置といたしましては、この連絡会議におきまして、相当多数の失業者が出たという場合には、出るおそれのあるという場合も含めまして、当面の措置を考えていくということにいたしております。そこで、それじゃどういう対策を考えておるのかということでございますが、これも前に申し上げたかと思いますけれども、もちろん冒頭に申し上げましたような他の一般産業に配置転換させるということが、まず第一に私どもとしては安定所の手を通じてやることでございます。それから次に考えておりますのは、技能的に不足している人たちに対する対策といたしましては、職業補導をできるだけ活発に行なって、技能を身につけさせて産業に送り込む、こういう考え方をとっております。これにつきましては、三十年度、三十一年度におきましても、相当な国費も出しまして補導所を設置して若干の効果を上げております。まだまだこれから私ども十分努力しなければならない点が残っておりますけれども、今後そういう方面で一般産業への復帰ということを考えていきたいと思っております。   〔大坪委員長代理退席、委員長着席〕  それから第二番目といたしましては、他人に雇用されるという面だけでなくして、自営業のあっせんということが考えられなくてはならぬと思います。これにつきましても、昨年の閣議了解におきまして企業組合の育成という建前になっておりますし、これに基きまして実は私どもも関係者と若干話し合いもしております。まだそう目に見えて大きな効果は上げておりませんが、逐次今後この効果が上がるように努力をいたしたいと考えております。融資等につきましても同じようなことであろうと思います。なおこれらの措置を考えましても、一般的に離職者が多数出ました場合に直ちに就職あっせんは困難な場合がございますので、その場合には、私どもはやはり公共事業なり失業対策事業というものをその地区地区に起しまして、そうして一時的に生活のめんどうを見てあげるということを考えておるわけでございます。実は先ほどお話に出ました仙台地区でございますが、先般連絡会議を開きまして、大体仙台地区についてはある程度離職見込みもはっきりいたしておりましたので、約干名程度を対象にいたしまして、事業量といたしまして八億ばかりの事業を行うということにいたしております。内容といたしましては公共事業、失対事業それぞれ含んでおります。なおそのほか鳥取の美保ち区、広島の呉地区、福岡の小倉地区等におきましても、それぞれこれらの当面さしあたっての救済事業を興すことにいたしております。私どもは、今後この事業が順次軌道に乗って、当面の失業者の生活のかてになるということを期待いたしておる、こういうことであります。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 対策協議会を設けてやりたいと思っているという、その対策協議会というのはどういうものですか。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 先ほど申し上げました対策協議会は、内閣に設置をいたしております特需等対策連絡会議、こういう名前で呼んでおるものでございます。もちろん、各府県にも多数の離職者が発生するおそれがある場合におきましては、その地方々々に、関係官庁からなります協議会を設置するという方針にいたしております。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 そうすると、先ほど調達庁の労務部長は連絡会議をやってせっせと努力しているというふうなお話で、あなたは、それは事実上まだ動いておらないが、やっていきたいと思うというようなお言葉のお話だったと思いますが、そこに食い違いがあると思いますが……。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 いや、私の言葉が足りなかったのかもしれませんが、すでに特需等対策連絡会議というのが政府部内に先年来設置されております。この協議会が今までも相当回数開いておりますので、今後起るべき新たな問題を逐次この協議会に乗せて対策を考えていく、こういうことでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 そこで、駐留軍労務者の特徴といいますか、特質というものを考えなければいかぬと思うのです。駐留軍労務者は、よく御承知のように年令層が高い。そして、自動車の特技のある人は別としまして、その他の人は特技がなくて、それから戦時中の転廃業者が多いというのが実情なんですね。そこで、今一度にそういう人たちがぽっと失業群として出された場合に、事業を経営している人の側としては、とるのを非常にきらうのです。ことに年令的に高いということと、もう一つは扶養家族が多いから、やはり相当高給を出さないことには生活ができないから、長続きしなかったり、あるいはいろいろな問題が出てくるのです。その点、高給を出さなければならぬ、年令が高いというふうなことで、ともすれば拒否する。だから、ただ単なる行政措置で、一つとってやってくれ、とるようにしてくれ、こういうふうなことでは、これからどんどん出てくる駐留軍労務者の失業対策というものはきわめて暗いものとしか考えられないと思う。  そこで、どうしても考えなければならないことは、これはやはりある程度の立法措置といいますか、何か法的な制約を加える、私は専門家でないから可能か可能でないか知りませんが、そういうことも考えていただかなければならぬのじゃないかと思うのです。よく、たとえば身体障害者を一定の率において採用しなければならないというふうな立法をせよということが強く叫ばれております。そういうことももちろん考えてもらわななければならぬと思うのですが、しかしながら、ある程度基盤のしっかりした事業体であれば、一部に小数の身体障害者をかかえても成り立っていくでしょうし、同時にまた、そこへ新規採用する場合には、一%とか二%の、あるいは五%の、そういう中年で失業した人を収容しろということを法的に制約を加えることも、私は一つの方法だと思うのです。一番重要なことは、中年の失業者にとって一番悲惨なことは、家族をかかえて路頭に迷わなければならないということです。大勢の家族では人の世話にもなれない。身軽な二十、二十五くらいの人であれば、自分一人がどうにかやればいい、どうにか口すすぎができる仕事を見出せばよい、また、そういう人は住み込みであるとかいろいろの悪条件にも耐え得るが、ところが、家族持ちの中年で失業した人は、雇用されるための条件が非常に悪いところへ、また、いろいろな劣悪な条件というものに非常に耐えがたい。だから、そういうふうな中年の失業者への特別な考え方というものは、これは人道的な見地からなされなくてはならぬと思うのです。さらにまた、そういう人たちの持つところの生活不安というものが社会不安の大きな原因にもなるとも思うのです。そうして、ともすれば、どうにもこうにもならないから、意思の弱い人やあるいは生活力の弱い人は、一家心中を考えるというような人も出てくる。しかし、たくましい人はつい心得違いをするというようなこともなきにしもあらずだと思うのであります。だから、そういうふうないろいろの意味から、そういう立法措置というものがあってもいいのじゃないかというふうに考えるのですが、江下さんのお考えはどうでしょうか。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 お話の通り、駐留軍労務者は比較的俸給も高いし、インテリ層も入っておりますので、現実の就職あっせんをいたします際には非常に困難が伴うのであります。そこで、特にこれらの人につきましては、現在におきまして、公共職業安定所が就職あっせんをします場合には、他に優先してこれを扱うようにという通牒を出しております。従って、現在の段階におきましては、一つこれによって今後とも私どもは処理をしたいと思います。なお、お話の点につきましては今後十分検討をいたしたいと思います。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 これは単に駐留軍労務者の問題でなくて、中年の世帯盛りで職を失った人に対する人道的な心やりというふうな意味で、局長さんの方で真剣に一つ検討していただくことをお願いしたいと思います。  なお、これらの対策としていろいろのことが申し合わされているのが一向徹底しておらない。なるほど調達庁やあるいは江下さんの方ではそういうことがきまっているから、ある程度、敷かれたレールはあとは汽車が動くだけだというふうにお考えの模様でありますが、全然これはから手形に終っているようですね。それについて、いやそんなことはない、やっていますよ、この通りやっていますよというような事例をお持ちでしたら一つ出してみていただきたいと思うのです。それで小里労務部長にお尋ねしますが、直接自分らの方から吐き出されていった人が、自分らが敷いた閣議了解事項のレールに果して乗ってみながうまく進んでおるかどうかということですね、これをどうお考えになりますか。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 せっかくの閣議の了解事項がから手形に終っているのじゃないかというようなお尋ねでございますが、私どもはそういうふうには考えておりません。一般的な問題として下部機関に通達をいたしまするとともに、具体的な問題等につきましても、この閣議の了解の線に沿って、先ほど来お話のございました特需等対策連絡会議というところで討議をいたしまして、それぞれその線に沿って実際に行われておる例もございます。一番いい例は、例の広島県の呉から国連軍が全部撤退いたしましたときに、その一般の基準あるいは具体的な方針等について特需会議で取り上げまして、その線に沿って実際に行われておると承知しております。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 呉の場合も、あなたは閣議了解事項でというふうなお考えのようでありますが、あれはこの前の国会が取り上げてやかましく言うたからようやくできたので、閣議了解事項の成果として自発的に政府がやったもののようには私は受け取っておらないのです。もしもそのようにレールの上を車がすべっておるなら、駐留軍から離れたところの失業者から、大きな、ごうごうたる不満の声は出てこないと思うのです。現実に、たとえば今安定局長は、自営者をうまくやってやろうというふうなことを言われましたが、それでは失業者が寄り集まって作ったところの企業組合は、どこに、幾つできましたか。  それからもう一つ、金融の融資の面だって、そういうふうな団体が融資を受けに行っても、いろいろな公庫とか、そういうところで一向うまく話に乗ってくれないというふうな不満が、たくさんわれわれのところに来ているのです。おそらくあなたの方でもそういう不満が耳に入っていると思いますが、そういうふうな点について、果してあなたの方から抗議を申し込んでいただいたことがあるでしょうか。あるいは抗議を申し込む必要がないほど、それらの人は、それから後、そういう企業なんかで順調にやって成功しているとお考えなんでしょうか。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 全国で企業組合ができましたのは、ちょっとはっきりした数字を持ち合せておりませんが、私の記憶しておりますところでは、たしか四十幾つできておると思います。  それから金融その他が、果してあのレールに乗ってうまくいっているかどうかということでございますが、もちろん私どもは、先ほど来いろいろお話に出ましたように、駐留軍労務者の特殊性というようなことから申しまして、なかなか私どもの望んでおりますような工合にいっておるとは考えておりません。金融面等につきましても、調達庁としましては、それぞれ担当の官庁を通じまして、できるだけ駐留軍の労務者が自力で営業を始め、事業を行いたいというような場合には、優先的にそしてまた便宜的に計らっていただくようにということで折衡をいたしております。そういうことで全国的にある程度の成果は見ておると思いますが、お話のように、全般的に非常にスムーズにいっておるというふうには遺憾ながら考えてはおりません。ただ、私どもといたしましては、今後、特に今年度はアメリカ軍の再編成等もございますので、今まで以上に特需会議等を活用いたしまして、その実効を上げるようにして参りたい、かように考えております。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 四十九組合がそういうふうにうまくいっているというお話を聞いて、私は一面非常にうれしく思うのですが、しかしながら、一面、私の身辺ではそういうふうないろいろな企てが行われても一つも成功しないのです。これはあるいは私の周囲にそういう不仕合せな人ばかりが集まっておるのかもしれませんが、それが非常にうまくいっておるようには思えないのです。あなたの方でこういふうな組合がうまくいっておりますというのならば、その名前を、これはお手柄の方ですが、参考のために資料として一つ委員会に出していただきたいと思います。  なおその一つの事例として、昨年も委員会で調達庁の方にも、運輸省の方にも来ていただいて、いろいろ融資の問題、あるいは営業の免許の問題などについてお願いして、一つせいぜいいい工合にやりましよう、こういうようにお約束をいただいた。ところが一年たった今だってそれが実行できないのです。その一つの例は、京都の駐留軍の失業者がみな退職金を出し合って自動車の企業組合をやるのに、何べんも会合をやって、ずいぶん分厚な書類を作って、やっと段取りをつけて、陸運局へ許可をもらいに行ったのです。ところが大阪の陸運局の局長の返事は、企業組合では許可できないから、これをほかの形に切りかえてこい、こういうことです。それで今度は株式会社に組織がえをして、やっと五月十日ですか、許可を願い出たという次第です。  安定局長のお話では、企業組合の育成をやる、失業した人はうまくやってやる、ちゃんと横の連絡がついておるのだということで、安心して、これはよい話になったから君たちでやれよと言って企業組合を作らせて持っていかせたら、今度は企業組合ではいかぬと言う。これでは言うことがとんちんかんで、こっちは一体だれの言うことを信用していいのやらわからぬ。一体政府部内にそういうふうな横の連絡がついておるのかどうか、実にキツネにつままれたような話になってくるわけです。  そこで一体、企業組合では自動車の営業というものは許可できないのかどうかということが一点と、それから駐留軍労務者がみずからの再起のために組合なり会社なりを作って立ち上ろうとしたときには、その車の数に制限があるとかなんとかいうふうな一般的な原則というものはあると思うが、こういう閣議了解事項もできておるのだから、そこは特別のワクとして特に許可を出してやろう、こういうふうなことになっておるのか、なっておらないのか。これは一般業者と同一並みにやるのか、特別にめんどうを見てやるのか、その辺のところをお伺いいたしたい。

国友弘康運輸事務官(自動車局業務部長)

○国友説明員 企業組合に自動車の運送事業の免許をするかどうかという第一点のお話でございますが、これにつきましては、大体タクシー事業とか区域のトラック事業というものは陸運局で免許しておりますので、陸運局の処理としてお答えをしたのだと考えますが、この閣議了解の線とは別にいたしまして、大体陸運局としての考え方といたしましては、組合によることは株式会社によるよりはいろいろ経理面とかその他で錯雑したことも起るので、できるだけ会社運営の企業体としてすっきりした形の株式会社がいいという一般的な指導方針を持っておる。そういうところから企業組合については云々ということを申したのだと考えますが、全然企業組合に自動車運送業の免許ができないのかという御質問でございましたら、これは企業組合にも免許いたしておりまして、これは全部の資料を私の方でとっておりませんのですが、ちょうど駐留軍関係の労務者の離職者の集まった横浜運送企業組合というのがトラック運送の申請をいたしたのでありますが、これに対しましては東京陸運局で許可をいたしております。全然企業組合に対して許可をいたさないわけではありませんが、できるだけ経理状態その他がはっきりする株式会社であってほしいという考え方を持っておるわけであります。  それから駐留軍労務者の離職者の対策として特別に考慮するのかどうかというお話につきましては、これは閣議了解の線でわれわれといたしましても陸運局に通牒をし、その線に沿ってやるようにということは手配をいたしておるわけであります。ただ道路運送法の第六条に自動車運送事業につきましては免許基準がございましてそれで閣議了解の線とその道路運送法第六条の免許基準の線と両々相待って考えまして免許するかいなかということを決するわけでございまして、従来こういう申請がございました場合に、免許になっておる例と却下になっておる例とございます。まず第一に私どもの方といたしまして運送事業関係の離職者につきましては、就職あっせんをやれということを申しておりまして、離職者に対しましては既存の運送事業者が就職をさせる、既存の運送事業に吸収させるという方法をとっておりまして、これはその方針でやっております。  それから例といたしましてはあまりないのでありますが、先ほどの横浜運送企業組合とそれから山形県の山形市に山形タクシーというのを免許した事例がございます。これは株式会社でございます。これは免許いたしました。しかし横須賀の武山の基地の離職者が富士タクシーというのを出願いたしました例につきましては東京陸運局で却下いたしまして、これは先ほど報告がございましたが、再申請をしておるということでございます。これは一応第一次的には却下ということにいたしたのでございまして、閣議了解の線と道路運送法第六条の免許基準——これは免許事業でございますから、免許基準の線と両方を考えて措置をする、こういう形になっております。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 免許基準というのは、たとえば自動車の数が何ぼ以上でなくちゃならないとか、そういうふうなことなんでしょうか。

国友弘康運輸事務官(自動車局業務部長)

○国友説明員 数の点は免許基準には書いてございません。ただ当該事業の遂行上適切な計画を有するものであることとか、輸送の需給状態がどうなっておるかとかいうようなこと、それから事業を的確にみずから遂行する能力があるかどうか、こういうような、基準といたしましては抽象的な基準でやっておりまして、何両以上でなければ免許しないというような方針はとっておりません。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 今のお話でありますと免許基準というものが非常に抽象的で、ことに交通事情がどうかという点ですね、業者とかいろいろな人でもって作られている諮問機関があって、その諮問機関によって車をふやしてもいいかどうかというようなことをきめられる、そういうことも参考にして指定をするかしないかをきめるという模様のように承わるのです。なるほど東京のように車をめちゃくちゃにふやせば交通事故もふえるし、また実際上自動車に乗るより歩く方が早いというニューヨークの話もあることですから、そういうことを避ける必要もあろうと思うのです。しかしながらある場合それがまたうまく既存業者に使われておるという事実も私は見のがせないと思うのです。あの審議会にかけてやりますと、新しい業者の許可をするときには必ず同時に古い既存業者の車の台数をふやしているのです。それで既存業者がなんぼでも大きくなっていくので、新設業者が食い込む余地がないのです。結局大資本の業者が新設業者がふえるたびに大きくなっていき、新たに事業を営みたいと思う者は既存業者の車がふえるのに圧迫されて進出ができない、こういうことも見のがせない事実なのです。それはわれわれが言うよりもあなた方の方がよく御存じであろうと思う。今おっしゃる基準というものは、省の方針なりあなた方のほんとうにやるかやらないかという気持でもってどうにでもなる問題だと思うのです。またかりに、今出しておるこの申請は——京都に千四百台あるのですね、そこに二十五台持ってやっていきたいからというところの申請なのです。こういうふうに千四百台あるところに二十五台ふえたところで、これは駐留軍のなにだから別ワクでぜひ一つ了解してもらいたいという話し合いを業者になされば、役所に対してきわめて弱いのが業者なのです。だからほんとうにやってやる気でもっておやりになれば、私はあんなことはできない問題でないと思うのです。しかも一年前に計画して、これがうまくいかぬで一年ばかりで一生懸命やっているのだから、そういう点あなたの方も、駐留軍労務者の中年の失業者群がこうして自力でもって生きていくという強い決意を持って立ち上ろうとしているときには特別の配慮をするようにと、各陸運局にもう一度通達を出していただくということはしていただけないものかどうか、最後にそれだけお願いして質問を終りたいと思います。

国友弘康運輸事務官(自動車局業務部長)

○国友説明員 京都の場合には自動車運送協議会というものが陸運局にございます。これには学識経験者、関係官庁の代表者、業者代表者が入りまして九名でやっております。この自動車運送協議会に大阪市とか京都市とか神戸の近郊とかいうのは大体現在の両数でいいかどうかというようなことを諮問して、その答申を得て措置をする形に従来ずっと運営して参りました。京都の場合もそれに入りますので、現在神戸の近所を自動車運送協議会に諮問してやっておりますが、京都の方はこれからになると思うのでありますが、この自動車運送協議会の答申によりましてわれわれとしては何両ふやすか措置するという形をとっておりますので、この際それを破って、特に二十五台なら二十五台だけ免許するようにというような形の通達は、ちょっとこの際制度的に申しましても無理じゃないかと考えるのでございますが、大体私どもの方といたしましては、閣議了解の線に沿ってやるようにということの通牒はいたしておりますので、陸運局といたしましては、これらを考慮して行政措置をするということになると考えます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 私が申しましたのも、それは京都の問題だけ特例にどうしろという通達は出せないと思います。もちろんそんなことを私はお願いしているのではない。駐留軍の労務者がこういう企てをする場合には閣議の了解事項もあることだから、十分その辺を考慮してやるようにというふうな点をお願いしておきたいと思います。  なおもう一つついでだから私はお願いしておくのですが、これは今の問題と離れますが、都市の中心部には非常に車があふれているのです。ところが都市の周辺部へ行くと非常に車が不自由なんです。みなまん中に寄っちゃって、そうして周辺部のターミナルに駐車したり、あるいは周辺部に車を置いて客に備えるということがないのです。従って町にはあふれて、周辺部では非常に車が不自由だということがありますので、その辺のことはあなたの方はよくそういう交通事情も御調査願いまして、これは私が日ごろ痛切に感じていることでありますので、たとえば新たに許可をする場合には、比較的周辺部を中心に何するというふうなタクシーもふやしていただくこともまたお願いしておきたいと思います。これで質問を終ります。     —————————————

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 次に旅館業法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今回旅館業法の一部を改正する法律が出ておりますが、まず第一に私がお尋ねをしたいのは、立法の形式についてでございます。今回この法律の改正に当って、今まで旅館というのは、公衆衛生上の見地から、いろいろの取締りの規制を受けておったわけなんですが、今度それを風俗的な見地も加味した規制を加える必要が出てきたということで、この法律の改正が行われておるわけなんです。風俗的な見地ということの中で、特に学校の敷地の周囲から百メートル以内の区域には旅館を設けてはいかぬというようなことが一応原則的に書かれておるわけなんです。私はこの旅館業法の中に、文部省の所管である学校関係のことをなぜとってつけてきたような工合に持ってきたかということなんです。こういうことが必要であるならば、これはむしろ私は学校教育法とか何か文部省関係の法律の中に一括をして、そういうものを入れるべきじゃなかったかと思うのです。こういう点、どうして旅館業法の中に入れなければならなかったのか、その理由を一つ御説明願いたいと思います。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 御指摘の通り、旅館業法は従来公衆衛生立法といたしまして、公衆衛生の立場からいろいろな取締りなり規制を加えてきたわけでございます。ところが先般大臣から御説明申し上げましたように、提案理由として申し上げました中にも、最近は一部の地域におきまして、教育上からも旅館について種々批判が下されるというような事例も出て参りました。そういう問題を何らかの形で規制を加える必要があるのではないかということが考えられたわけでございます。そこでただいま滝井先生から御指摘のように、教育関係の法律においてそういうことを規制すべきではないかというような御意見も出ておったのでございますが、しかしながら現在のところやはり問題になりますのが旅館の施設なり、あるいは旅館の営業方針と申しますか、利用方法というような問題に密接に関係がございますので、現在旅館について法的に特別に規制を加えておりますこの旅館業法の中に、従来の公衆衛生面からの取締り、規制だけでなしに、さらに別の意味からも条文を加えまして、風俗的な問題についての規制を加えようというようにしたのでございまして、御指摘のような点は、本法改正の立案途中にもいろいろ議論が出たところでございますが、ただいま御説明申し上げましたような観点から、この旅館業法においてこれを取り上げるというようなことに落ちついたわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも今の説明では、旅館業法の中に、特に学校の施設の付近のことを何かわざわざ竹に木をついだように入れなければならぬという理由が明白にならないのですが、最近いろいろの方面から旅館に対する批判が下されるようになった。従って何らかの規制を加える必要がある、こういうことなんですね。そうしますと、食品衛生関係のもので、これは食品衛生関係は厚生省所管ですが、料理屋とか、待合とか、カフエーというようなものがあるわけですね。これは旅館と紙一重ですね。こういうようなものについてはどういうことになるのかということです。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 御指摘のような業種につきましては、食品衛生法の適用と同時に、風俗営業取締法関係の規制と両方が加わっているわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、学校の運動場から百メートル以内のところに、料理屋やらカフエを作ってはいかぬという法律はないと思うのでございますが、そういう改正をやられるのですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 ただいま御指摘の業種は、これは風俗営業でございまして、風俗営業につきましては、すでに他の法令におきましてこの地域指定ができておりまして、今回学校等につきましても、建築基準法の立場からかような風俗営業は許可できないことになっております。従いまして、その点の矛盾はないものと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 この旅館業法の一部改正で見てみますと、明白に三条の二項に「周囲おおむね百メートルの区域内にある場合において、その設置によって当該学校の清純な教育環境が著しく害されるおそれがあると認めるときも、同様とする。」こういうように百メートルとはっきり区切ってきておるわけです。他の風俗営業取締法の中にそういう明白な規定がありますか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 建築基準法その他の規制ははるかに幅を持っておりまして、もっと広い範囲でやろうと思えばできる仕組みになっております。従いまして、むしろ旅館の方がその点では百メートルと区切っただけ甘いとも言えるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 寡聞にして建築基準法のそういう制限規定をちょっと知らないのですが、ちょっと条文を読んでみてくれませんか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 第五十二条を失礼ですが、読んでみます。「建設大臣は、都市計画上必要があると認める場合においては、都市計画法の定める手続によって、都市計画の施設として、用途地域内に、特別工業地区、文教地区その他政令で定める特別用途地区を指定することができる。」として、指定されますと、その条文を受けて参りまして、四十九条に住居地域内においては、かような風俗営業的なものを禁止することができるようになっております。また一般住居地域内のほかに定めた場所につきましても料理店等は制限し得られるようになっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、文教地区という一応認定を受けなければならぬことになると思うのです。勝手に学校があるからといってそこを文教地区だ、こういうわけにはいかぬと思うのですが、文教地区というのは一体どういう工合にしてきめるのかということです。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 これは建設省の問題でございますが、この法案の制定の途中におきましてたまたま代々木地区の鳩森小学校の問題が大きく取り上げられまして、その問題をも加味して検討いたしましたところ、その結果、建設省においては今後建築基準法の立場からこれらの問題については一つ十分なる善処をするということで、すでにその指定が終ったかに私は聞いております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 いや、指定が終ったというのは、鳩森小学校の地区は終ったかもしれないけれども、全国的に見て文教地区というものを指定をしておらなければ、これはどうにもならないのです。学校がぼっんとたんぼの中に一つあった、その横に百メートル以内のところにカフエーができた。これは禁止することができぬと思うのです。その場合に旅館を禁止することはできないですよ。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 御指摘のように、全国的に学校を一応建築基準法の適用によって指定したわけではございませんけれども、今後問題が起きそうなところ、あるいは必要なところは逐時指定を了していくという建設当局の言明があった次第でございます。  なおこの際一言申し上げたい点は、風俗営業につきましては、この場所の制限が条例で可能なことになっておりまして、すでに東京都におきましても、その他多くの府県におきましても条例をもちまして風俗営業は必要なる設置規制ができる仕組みになっておるわけでございます。従いまして、この点からも風俗営業については処置ができると私どもは考えたからでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 風俗営業は厚生省の所管ではないわけです。これは公安委員会の所管に属するわけです。従って私は昨日水の汚濁行政について申しましたが、やはり同じようなことがここで言えると思うのです。こういうものはやはり一元化しておかないと、旅館なら旅館というものは百メートル以内に建てることはまかりならぬと、こうなると、もし他の官庁で、建築基準法を所管しておる建設省でもよろしいが、これは文教地区として指定しなければ、そこはカフエーやバーを建ててもいい、パチンコ屋を建ててもいいことになってしまう。それからもう一つある。興行場法に規定する興行場営業です。いわゆる映画館や芝居です。こういうようなものは旅館よりかはるかに学校の百メートル以内のところに立っておったら大へんですよ。ところがそういうものについては何もないんです。従ってこれはあなたの方は、それは旅館の方の取締りで何とかしますと、こう言うかもしれません。そうなると、いわゆる風俗営業に重大な関係のある旅館、それから風俗営業取締りの対象になるものは、今ちょっと調べたら、風俗営業取締法の一条の一「待合、料理店、カフエーその他客席で客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」、それから二、「キャバレー、ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせる営業」、それから三番目「まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業」、これだけたくさんある。それからこれに今興行場法に規定する興行場営業というものを考えてきますと、これは大事なところが抜けておる。旅館だけが網にひっかかっていることになるのです。従ってこれはやられるとするならば、少くともこれら風俗営業の取締りの対象になるもの、映画館とか芝居、それから旅館、これはおそらく来年から売春禁止法等の実施が行われる、ほんとうにその業者に対して行われることになるのだからそういう関係も考えたんでしょうが、これは今岡本君が頭隠してしり隠さずと言ったが、そういう点があるのです。だから立法論としては、旅館の中に木に竹を継いだように学校の関係を持ってくると、こういう大きな抜けたところが出てくる可能性がある。それならもういっそのこと学校教育法か何かにそういう点をはっきりと書いて、これらのものを一括して、そうしてあなたの方と共管にやるということの方が、どうもしろうとの私が考えても少し筋が通っておる感じがするのです。じゃ映画館なんかは学校の清純な教育環境という点で旅館と比較してどうだということになる。そうすると、これはしろうとが考えてみて、パチンコ屋やダンスホールよりか旅館の方がいい、こうなると私は思うのです。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 ただいまお話の興行場につきましては、これは建築基準法の方で規制ができるわけです。風俗営業取締法におきましては規制ができません。なお、旅館と風俗営業並びに興行場との相違は、旅館は必ずしも学校の近くに作って悪いという性質のものじゃないと思うのです。たまたま悪い旅館を作っちゃいかぬというだけのことでありまして、そこが私は風俗営業と興行場と違うところだと思うのです。従いまして建築基準法あるいは風俗営業取締法の規制等で行いますれば、そこは全然建てられない地域になりますが、しかしながら旅館等につきましては、いい旅館が学校の隣にあったところで支障のないものじゃないか、性質が違うのじゃないかという判断から、もちろん研究の過程におきましては御承知のようにいろいろ問題がございましたけれども、そのように私どもは最後的に決定をいたしたわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 旅館は、いい旅館ならば、教育委員会や学校長等の意見も聞いて、作っていいということになるだろうと思うのです。しかしこういうものが法律的に出ていきますと、何と申しますか、好んで学校のそばに旅館を建てれば、やっぱりいろいろ監視も激しくなるだろうししますから、遠慮するということになる。商売人ですから……。そうしますと、そういういい旅館は建ててもいいんですが、いい待合やら料理屋やらダンス・ホールをやってもいいということにもなりかねないので、風俗営業と旅館とは非常に違うけれども、旅館も風俗営業の取締りの対象になるような工合に今度法律が改正されてきておるわけです。そうしますと、風俗営業取締法の対象になるものと旅館とが非常に近寄ってきておることは事実なんです。今まで公衆衛生の見地からばかりやっておったものを、清潔ないい旅館にしなければならぬというような意味で風俗営業的な取締りの面を加味してきておるのですから、そういう点においてはやはりこれはほとんど似ていますよ。料理屋だってやはり保健所のあれを受けるんですからね。そうすると公衆衛生上の監督というものは、料理屋やらカフェーと旅館とがどういう工合に違うかというと、ただ取締りの面において幾分違うというだけで、そう大して違わないのですね。こういう点に私、どうも立法する上においても幾分やっぱり問題があるような感じがするのです。  それならばむしろ学校教育関係の法律にそれらのものを一括して打ち出しておく方がいいんじゃないか。それは昨日も汚濁防止のときに申しましたように、あまり汚濁防止に関する法律が多いために、みなやらないのじゃないか。各省しり込みして、通産省が大本だから通産省がやってくれるだろう、いや農林省がやるだろう、厚生省がやるだろう、河川局がやるだろうという工合で、みなしり込みしている。こういうように法律がまちまちになっておると、やはりそういう点が出てくると私は思うんです。こういう点、これは別にこの法律に反対という意味じゃなくて、頭の悪いわれわれが読む上において、待て待て、これと同じようなものがありはしないかといって風俗営業の取締法を持ってきて読んでみる、それから建築基準法を持ってきて読んでみる、それから今度は興行場法ですか、これを持ってきて、映画館なんかも調べてみる、なるほどこの三つのものは、学校付近はいかぬわい、これじゃやっぱり問題がなかなか複雑になる。学校教育法か何か一つ持ってきてみると、学校の付近にはこういうものはだめだということが一目瞭然大衆にわかる、そういう立法の仕方というものを、法律が複雑になっておりますから、やる方がいいんじゃないか。それの方があなたの方の取締りも便利になるし、法律を読む大衆の方もわかりやすいし、学校関係でも、説明する場合に、学校教育法のここをごらんなさい、そうするとここには、旅館やカフェーを作ってはいけませんぞ、こういうことで、お互いにわかりやすいということなんです。民主主義の法律、人民のための法律というものはわかりやすい方がいいということで言っているわけです。それで私はできれば旅館業法の中に学校のことを入れずに、何か学校教育関係の法律の方に入れてもらう方がいいと思うのですが、そういう考えはどうですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 私ども立法論の問題になりますと、現在御指摘のように法律の数が多いので、——何でも千以上あるとか聞かされております。従いましてこれらの問題をどう整理していくかということはやはり将来は考えなければならぬ問題かと存じます。従いましてただいま先生が御指摘のような考え方もむしろ当然かと存じますが、しかしすでに多くの法律があり、それぞれの立場もございます。従ってこれらを重複して規定するということもまたおかしなことになとますので、さような技術上の問題も関連いたしまして、——現在各省の法律がそれぞれきわめて複雑になって参っていることは私もよく承知いたしております。これらをどうするかという問題につきましては、今後私どもとしても研究をいたします。しかしこれはむしろ大きな立法論の問題でございまして、十分に私どもも研究をさしていただきたい、かように考えている次第でございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 ちょっと今のに関連して聞きたいのですが、旅館を学校の近所に作ってはいけないというのは、およそ旅館というものはすべて学校の近所に作るべきものでないという考え方ですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 さような考え方は持っておりませんので、ただたまたま問題を起すような旅館は学校の側は遠慮してくれ、かようなことでございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうしますと厚生当局は、旅館には学校のそばに作ってもいい旅館と学校のそばに作ってはいかぬという旅館と、はっきり二通りあるということをお認めになるわけですか。

楠本正康厚生技官(公衆衛生局環境衛生部長)

○楠本政府委員 この学校の周囲百メートル——生活環境をどこも同じような程度に清純の状態を保つことが私どもは確かに正しいものと存じます。しかしこれもなかなか困難でございますので、特に学校の周囲に限っては、たとえば一般の盛り場等よりは清純な状態を保ちたいという趣旨にほかならないわけでございます。従いまして旅館に二通りあってよろしいということを認めているということにはならぬと存じます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 これは非常に重要な問題で、厚生当局は旅館業法の旅館には学校のそばに作っていい旅館と学校のそばに作ってはいかぬ旅館と二通りあるのだとさっきおっしゃっておられたわけなんです。一体厚生省が旅館についてそういう二通りの旅館を今後といえども残しておこうという考えでこの旅館業法を運用していかれるのであるか、それとも旅館というものは一通りのものだ、いい旅館と悪い旅館と二通りあるのではない、いずれにしてもいい旅館を希望するが、一般的に悪く利用される場合もある、従ってできるだけ学校のそばに作りたくないのだ、こういう意味で運用されていくのか、そこのところをはっきりしておいていただきたい。このことをなぜやかましく言うかというと、悪い旅館というものは当然あっていいものである、今後といえどもそれはあるべきものだというような考えを厚生当局が旅館についてお持ちになっているということになると、そのこと自身、風教上非常な問題じゃないかという気もいたしますので、特に伺ったわけです。この問題は今お答えにならなくても、この次でよろしゅございますから、よく御研究の上お答え願いたいと思います。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 ただいま大橋先生から御指摘の点、私ども決して旅館に二通りあっていいという考えではございません。今回の法律の中にも、旅館を許可いたします場合には、主として施設の面から、一般の旅館についても政令で施設を定めますが、特に教育環境の上から特別な施設をしなければならぬというような点を加味いたしまして、学校周辺の旅館にはこういうふうな施設をしなければいかぬというようなことを規定したいというふうに考えているわけでございます。それでその際に、その基準に合っていれば当然許可するわけでございますが、あとでその施設がまた不十分になりましたり、あるいは利用方法の基準も一応考えておりますが、その利用方法等の基準に合わなくなるというような際には、営業停止をするとか、許可を取り消すというような方法でいきたいというふうに考えているわけでございます。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 次会は、明十七日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十一分散会      ————◇—————

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