社会労働委員会 第50号
- 発言数
- 237 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/05/14
会議録
○藤本委員長 これより会議を開きます。 この際、御報告いたします。昨十三日付の公報に掲載されております通り、昨日内閣総理大臣から衆議院議長に、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求むるの件、国鉄労働組合関係議決第二号、同じく日本国有鉄道機関車労働組合関係議決第三号、同じく全国電気通信労働組合関係議決第四号、同じく全逓信従業員組合関係議決第五号、同じく全国特定局従業員組合関係議決第六号、同じく全専売労働組合関係議決第七号、以上六件については、昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第1号)及び昭和三十二年度特別会計予算補正(特第2号)が成立し、それぞれの裁定を実施し得る見込みが明らかになった旨の通知がありましたので、以上の結果六件はいずれも自然消滅となりましたので、御報告いたします。 —————————————
○藤本委員長 次に公共企業等の労使関係に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。横路節雄君。
○横路委員 最初に労働大臣にお尋ねしますが、五月十日の朝日新聞の夕刊に、こういう記事が記載されているのであります。それは「政府は十日の閣議で春闘処分と、これに伴う野党攻勢に対処するための態度を協議した。」「同日の閣議で石田官房長官は奮闘処分に対する経過を説明、これに引き続いて松浦労相から、春闘処分に対する政府の見解を統一しておきたい旨を要望し、処分の範囲や内容が企業体間で不均衡であると見られるのは公社、現業当局が独自の方針を取ったものであり政府がワクをはめたものではない。しかし、国鉄以外の公社、現業でも公労法違反の事実があればさらに追及する方針で調査中である。」こういうように新聞には発表になっております。この点は新聞のことでありますけれども、しかし労働大臣としてはこういう見解を述べられたのかどうか、この点をお尋ねしておきたいと思う。
○松浦国務大臣 ただいまのお問いに対しましては、準備かそれぞれできたという報告を受けたのでありますから、われわれは政府の方からこれだけのことをこうしなければならぬということは申し上げておりません。それぞれ法に照らして処罰をする方針で、企業体みずからがおやりになることでありますから、こちらの方からはこういうふうにしなければならぬという指図はいたしておりません。
○横路委員 私が労働大臣にお尋ねをしたいのは、それは七日の閣僚懇談会において処分に対する協議をされた後において、八日ないし九日に処分が発表になって、十日に閣議において春闘処分に対する政府の見解を統一しておきたい、国鉄以外の公社現業でも公労法違反の事実があればさらに追及する方針で調査中である、こういうように閣議で述べられているのだが、労働大臣はこういうお考えなのかどうか、この点をお尋ねしている。
○松浦国務大臣 ただいまのお問いの点に対しては、先ほど申しましたように、各企業体からこれこれのことをするという報告は受けたのでありますが、こちらからは統一するとかなんとかいうことを申し上げてはおりません。
○横路委員 労働大臣にお尋ねしますが、国鉄ではかつて解雇されました現在の国鉄労組副委員長の土門君以下五名を再び解雇している。これはどういう理由に基くものですか、どういう法律的な根拠に基いてやったものですか。
○松浦国務大臣 それも私どもの方からやったことじゃなくて、国鉄みずからおやりになったことであって、しかも解雇していないんじゃないかと思うんですよ。新聞にはそう出ているけれども、二十三人はやったのでありましょうが、前に解雇した人ですから再びやるなんていうことはないと思うんです。そのことは私ども全然関知しておりません。
○横路委員 私が今労働大臣にお尋ねしておるのは、公共企業体等労働関係法についてはあなたの担当なのですから、それで私は聞いておるわけです。宮澤運輸大臣どうなのですか。今労働大臣のお話によると、土門君以下は前に解雇されていなかったのだ、だから今度解雇したのだろうというのですが、その点はどうなのですか。
○宮澤国務大臣 その五人は解雇手続をとってはおらない思います。再び解雇するということはないからそうだと思います。私はそんなことはないだろうと了解しております。
○横路委員 委員長、それではこれは質問の途中ですけれども、国鉄の総裁あるいは副総裁を急いで呼んでもらいたいと思います。
○藤本委員長 了承しました。
○横路委員 運輸大臣にお尋ねしますが、その前に労働大臣にお尋ねします。労働大臣は五月三日の名古屋の旅先で、国鉄の処分について、三月二十三日のいわゆる世間でいう抜き打ちストについては公社当局の方といいますか、政府の方といいますか、それにも責任があるので、これは今回の処分の対象にはならないであろう、こういうような談話を発表されておったと思う。この点は今でもそう思いますか。
○松浦国務大臣 それはこの前参議院の予算委員会でもよく内容を申し上げたのでありますが、いつかここでも滝井さんとの間にお話し合いをしたと思いますが、三月二十三日のことはどうするかという記者の問いに対しまして、二十三日の問題だけではなしに十一日、十二日もやるのだ、こういうように言ったのです。ところがあとでいろいろなことが書き加えられておりますが、それは私はそのように言ってはおりません。
○横路委員 宮澤運輸大臣にお尋ねしたいのですが、三月二十三日のいわゆる業績手当支払いにからんで、ずいぶん問題がごたごたしまして、そこで世間でいうような抜き打ちストという印象を与えるような状態になったのだが、この点は一体今回の処分の対象になっているのかいないのか。あなたは当該の運輸大臣としてこの点はどうなっているのですか。
○宮澤国務大臣 二十三日も、それから前の十一日、十二日もあわせて対象になっておると思っております。
○横路委員 この点は今委員長の方から、総裁か副総裁に来ていただくように手続をしてあるわけですかから……。われわれの聞き及ぶところでは三月二十三日については、公社当局も責任を感じて、この問題が終りましてから小柳委員長とそれから小倉国鉄副総裁との間には、今回の二十三日の件は処分の対象にならない、こういう点を確約している、こう言われておられる。この点はあとで明確にいたしたいと思います。 次に私は官房長官にお尋ねをしたい。官房長官はよく社会党の議員に、まず第一の条件としては、政府が仲裁裁定を完全に実施する、自分たちはやろうと思っている、そうなれば組合はいわゆる職場大会、ストはやらない、こういうことを約束してほしい、第三点は、総評の闘争スケジュールが組まれても、言葉の表現はいろいろありましょうが、国鉄労組はその中に入らないようにしてもらいたい、総評のスケジュール闘争のワクから出てもらいたい、第三点は、これは法外組合のことですが、これらのことを組合の方へ十分約束してくれれば、今度行われる——もうすでに行われたのですが、あの当時はまだ行われていない処分については、政府は責任をもって一つ考慮する、考慮するということはまあしないということなんです。官房長官、これは間違いございませんね。
○石田(博)政府委員 大へん間違っております。まず明確にしておきたいことは、私のところへ社会党の所属の議員で、いわゆる国鉄顧問団とでも言いますか、国鉄労働組合出身の諸君が、今回の争議の処分を寛大にしてもらいたい、こういうお申し出がございました。先ほどからしきりにおっしゃっている通り、この争議についての処分を行うというのは公社及び現業でありまして、これに対して政府が政治的干渉をしてはいけないとおっしゃっておる社会党の議員の諸君が、政府の側である私のところに寛大にしてもらいたいという申し入れをなさるということ自体が、私は非常にこっけいであると思うのでありますが、せっかくしばしばおいでになりますので、それでは政府の基本的な方針は、政府としては仲裁裁定を少くとも岸内閣が続く限りは誠意をもって実施するのだ、従ってそれを前提としていい労働慣行を作り上げるという誠意が組合側にも見られるならば、それは政府として公社と組合との間のあっせんの労を惜しむものではないのだ、それからそういういい慣行が将来にわたって作り上げられるという保証、あるいは作り上げられる見込みが立つならば、世論もまた緩和されるであろう、こういうことを申し上げました。しかし国鉄の組合自体として、そういう方向に単独で進んでいこうとしても、国鉄は総評に加盟されておるのであるから、総評のスケジュール闘争との関連もそれに合せて明確にしてもらわなければならないと思います。言いかえますと、国鉄は政府が仲裁裁定を尊重する限りにおいては、不法な実力行使等は、今まではやったけれども、今後やらないという約束をしたけれども、しかし総評の指令だからやむを得ないのだという逃げ口上を使われたのでは何にもならないから、その点は明確にしてもらいたいと言ったのであって、従わないでもらいたいとか、あるいは総評の指導下から離れてもらいたいというような差し出がましいことを申した覚えはございません。
○横路委員 今の官房長官のお話は、だいぶ事実と相違するわけです。実は今労働大臣にお尋ねしても、運輸大臣にお尋ねしても、これは公社当局がやったのであって、政府は何ら介入していないとこう言うが、官房長官は、今まで私どもとの間の会見において、今お話のようなことではなしに、仲裁裁定を完全に実施した場合においては、これは一つ従来のようなああいう形のストはやらないでもらいたい、総評のいわゆるスケジュール闘争からは出てもらいたい、そういう問題が明確になれば、それは自分の方としても処分については一つ考えましょう、こう言っておるのです。考えましようということは、政府が公社当局に対して政治的に、どうだお前の方は一つ考えてやったらいいじゃないが、こういうふうにやはり最終的には政府がそういうふうにやる用意がある旨を幾度も話をされて、あなたたちも私に一体国鉄顧問団で私の方に持ってまたその返事がないのだがどうだ、こういうことをあなたは何べんも言われているのです。これは実際に立ち会った諸君からもお話があろうと思います。 そこで労働大臣にお尋ねしますが、労働大臣、あなたは公共企業体等労働関係法についての直接の労働大臣です。今回国鉄については、この公共企業体等労働関係法の第十七条、第十八条で処分をしておる。全逓その他については国家公務員法の第八十二条でやっておる、この点はどうなんです。労働大臣としての見解はどうなんです。同じにやはり公共企業体等労働関係法の適用を受けておる組合なんです。一方は公共企業体等労働関係法でやる、一方は国家公務員法で処罰している、これはどうなんですか。
○松浦国務大臣 それはそれぞれの企業体がそれぞれの法律でやったと私は思っておりますが、私は、公労法の適用を受けるものと今御指摘になりましたような法律は別になっておりますけれども、それはその適用を受ける企業体がそれぞれの法律に照らして処分したものであると思っております。
○横路委員 労働大臣にお尋ねしますが、そうすると、これから全逓とか何とかという現業官庁は、これはどういう争議行為かあっても、どういう怠業行為があっても、罷業行為があっても、それは国家公務員法でやるわけですね。この法律の適用は受けないのですね。それはどうなんです。
○松浦国務大臣 それは労働法を適用する場合もあります。
○横路委員 ですから私はあなたにお伺いしている、あなたは今それぞれの官庁がそれぞれの法律によってやったろうと言うから、そこで私はあなたに聞いておる。公共企業体等労働関係法で国鉄は処分されたのですよ、だから解雇ということなんです。全逓その他についてはこれは適用になるのかならないのか、なる場合もあるのか、ならないのか、その点をはっきりして下さい。
○松浦国務大臣 懲戒に該当するものは国家公務員法でやると思います。しかし公労法に関係する十七条の適用を受ける者、いわゆる解職される者は十八条によってされると思います。懲戒的にやるものはそれぞれ国家公務員法もあり、また国鉄の場合においては国有鉄道法によってやるというような場合もあります。
○横路委員 労働大臣にお尋ねしますが、この公共企業体等労働関係法の十七条に「職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。又職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。」そうして第十八条にその罰則の規定があるのです。一体あなたは関係の労働大臣なんですからあなたにお尋ねしたいんだか、全逓の諸君の一斎休暇というのはあれは何に当るのですか。
○松浦国務大臣 法律解釈でありますから局長の方から答弁いたします。
○横路委員 局長に伺うのではありませんよ。労働大臣にお尋ねします。この処分についてはあなたは直接関係のある労働大臣でしょう。公共企業体等労働関係法の担当者じゃないですか。だからあなたに法律解釈を聞いているのです。一局長に聞いているのではないのですよ。私はきょうは何も局長に答弁してもらうために総理大臣以下に来てもらったのではないのです。あなたの解釈を聞いているのです。
○松浦国務大臣 先ほどからお答えしているように、それぞれの企業が処分するのであって、労働大臣が直接するのではございません。しかし法律の解釈の問題につきましては、局長から答弁いたさせます。
○横路委員 労働大臣にはまたあとで聞くとして、総理大臣にお尋ねしますが、この処分の問題は、これはなるほど公社には公社の立場はありましょう。それから現業官庁には現業官庁の立場もありましょう。しかし最終的にはやはり十日の閣議において、労働大臣から発言があったと新聞に出ている。やはり春闘処分についての政府の見解は統一されていなければなならぬ。いかがでしょうか。いやそれは国鉄総裁が勝手にやったんだ、片一方は郵政大臣が勝手にやったのでおれは知らない、そういうことが言えましょうか。この公共企業体等労働関係法の直接の担当者である労働大臣は、少くとも処分についての見解だけは統一しておかなければならぬのじゃないですか。あいつらが勝手にやったんだからおれは知らない、こういうことが言えましょうか、総理大臣いかがでしょう。
○岸国務大臣 具体的な処分はしばしば関係大臣や私も答弁を申し上げておりますように、今回の春闘の処分はそれぞれの企業当局においてこれを行なっているわけであります。しかし根本の考え方として、今度の春闘に対する処置というものは、政府として、これは公共の利益にも非常に関係するところが大きいし、国民の世論もこれに対していろいろな批判を加えておりますから、政府としてはあくまでも慎重な態度をとって臨まなければならない。そこで今横路君の御質問になっている政府の根本の考え方については、やはり統一した考え方を持たなければならぬ。しかし個々具体的の処分の問題になれば、これは公企業体その他企業当局にまかして、その方針の範囲においてやるべきものである、かように考えております。従って具体的の処分の内容につきましては、今いろいろ御質疑がありますように、また答弁をいたしておりますように、各公企業体におきましてその事実を検討した上で、あるいは事業法の違反の問題として懲戒に処するとか、あるいは今の公労法十七条の事実があったとしてこれを解雇するというふうなことになったと思います。従って根本的の考え方については、やはり政府の見解を統一しておく必要は御質問の通りあると思います。
○横路委員 そこで労働大臣にお尋ねするのです、あなたが担当の大臣なんですから。一方においてはこの公労法の第十七条が適用され、それで十八条の罰則が適用され、一方においては国家公務員法の八十二条でやっている。こういう点についてのあなたの見解はどうなのか、労働大臣に聞いている。
○松浦国務大臣 先ほどからしばしば答弁しておりますように、それぞれ適用する法律はそれぞれの公共企業体においてわかっているはずでありますから、法を犯した者は身をもって償いをしてくれということは統一的に政府は考えているが、そのそれぞれの事犯についての法律の適用については公共企業体が直接の責任者でありますから、それがやるべきである、私はこう考えております。
○横路委員 委員長、実は平井国務大臣に出てもらわないと、この問題のあれができないわけで、これはぜひお願いします。 そこで私はこの問題の経過について総理にちょっと申し上げて御質問いたしたいと思うのですが、実は春闘処分の問題が発表になりましてから、私ども社会党で総理にこの処分については撤回をしてもらいたい、こういう申し入れをいたしましたときに、総理は、その言葉の端は私も忘れましたが、国民感情が納得する立場で、こういうお話だったと思う。そこで国民感情はどういうことであるかといいますと、確かに三月二十三日の国鉄労働組合のとられた措置については、国民がいろいろな感情を持っていることは私たちも認めるわけです。しかしその前の三月十一日、三月十二日のいわゆる世間でいう第三波の問題のその三月十一日の際に、私どもは総理に朝から夜おそくまでお会いをいたしまして、ぜひ明日の第三波は中止するようにわれわれもいたしたい、政府もぜひ努力してもらいたい、ついては組合は調停案を受諾すると公式に発表しておるのであるから、この際政府の方でも調停案を受講していただけないか、こういうお話をしたのです。この点は三月十一日の晩おそく、総理からも調停案を受諾することはできない、しかし明日の第三波が回避できないことは非常に遺憾だ、こういうことになりまして、三月十二日は組合の方は予定の職場大会を行なったわけです。三月十一日に私どもは総理に、予想されている三月十九日の第四波と称するものは絶対に避けるように努力いたしたい、こういうので、総理からも十二日中に仲裁裁定を申請するようにしよう、こういうお話がありましたのが、いろいろ政府の事情もあったでございましょうが、その後われわれが官房長官に会って受けた感じからすれば、どうも三月十八日の夕刻でなければこの仲裁裁定の申請はしないようだ、こういう点が明らかになりまして、さらに私ども総理大臣にお会いをし、そうして十九日を組合の方でも中止しようと思うのに、どうも政府の方は十八日一ぱいでは、これは仲裁裁定については非常におくれて困る。そこで三月十六日に組合は十九日のものを繰り上げて予定した。そこで三月十五日私たちと官房長官並びに総理との間で話し合いをいたしまして、実際は仲裁裁定の完全実施だが、しかし公けに対する言葉としては、仲裁裁定を尊重するということしかいえない、こういうことになりまして、夜の十二時半に私も総理とお会いをいたしまして、そのときに問題は、今の仲裁裁定を尊重するという点と、第二点は当時問題になっておりました国家公務員の給与法改正については具体的修正をやる。その場合に私たちの党の委員長からこの処分の問題について出たわけです。この点は先般淺沼書記長の本会議における総理に対する質問で、総理から自分はそういうことを言わなかった、こういうお話でございましたけれども、しかしこの点は、やはりあとで淺沼書記長並びに官房長官のお二人によるところの公式発表の中でも、処分については慎重に考慮するとなっておる。この点は間違いないし、現に私もその当時の新聞、三月十六日——十五日の晩の会談ですから、十六日の新聞を調べてみましても、あやまちのない発表をするためにも書記長、官房長官立ち会ってしたわけです。そこでそのときに、私は官房長官からよく言われます、それは事前にだれだれ君が来てこういう話があったとか、取りつけがあったとかなんとか、それはあったらあったで何ら差しつかえないので、これは官房長官がここで言われても何ら差しつかえない。しかしやはり最終的に発表になったものは、これはお互いに両党間で信義を守ってやるべきものだと思うのです。そうでなければ、公式に発表になったものを、あれは違うんだ、あれはうしろにこういうことがあったんだということは、いささか私はおかしいと思う。これは淺沼書記長に対する本会議における答弁に、総理は全然そういうことはなかった、総理もあのときはちょっと興奮されておったようで、だいぶ顔を赤らめてお話がございました。しかし実際の発表はそうではない。 そこで総理の言うところの国民感情が納得するというそれは、三月二十三日の問題、しかしこれは小柳委員長と小倉副総裁との間には処分の対象にはしないと言っている。この三月二十三日の国民感情、しかし実態は処分の対象にしない。これを三月十一日、十二日の問題にあわせてやったというところに、私は少くともやはり三月十五日における私たちの党の鈴木委員長とそれから岸総理との間の会談、両党の党首における信義というものにそれはもとると思う。少くともわれわれもこの問題については、こういう大量処分があるとは夢にも思わなかった。これは官房長官からも、実際何べんも会談しているのですから、たとえば先ほど国鉄顧問団に対する話でも、この三つについての返答があれば——官房長官はだいぶ腹を見せまして、そしてそのときにはこれは処分しなくてもいいのだ、これくらいまではっきり言い切っている。そこで私は少くともこの問題については、そういう意味で三月十五日の両党首会談の信義にもとるのではないか、総理自身もこういう大量の処分が発表になるとはお思いにならなかったのではないかと思う。この点は一体いかがでございましょう。
○石田(博)政府委員 私の名前をしばしばお出しになって、事実とはなはだしく相反したことをおっしゃいますから、違っておる点をこの際明確にしておかなければいかぬ。それは第一、調停が出まして、調停を組合側がのんだときに、社会党の各位がおいでになりまして、組合側が調停をのんだのであるから、政府もこれをのむようにというようなお話がございました。その際に、これは一貫して非常に矛盾をしておるのでありますが、都合のいいことになると、公社独自でやれ、政府に干渉してはならぬと言い、また都合の悪いときになると、政府はよろしくやれと言い、時々刻々公社と政府との関係についての社会党のお申し入れの態度が変るので、私ははなはだ戸惑いをいたすのでありますが、この際は調停について政府にのむようにしろというお話でありましたが、あの調停案をそのままのめば、二百数十億円の支出増になる。そういうものを半日や一日で軽々に政府は態度を決するわけに参らない。従って調停がのめるものかのめないものかどうかということを検討する時日がほしいということを申しました。そうして調停がのめないということになったら、できるだけすみやかに仲裁を申請するということを申しまして、調停がすぐのめないという事情については、私のところへおいでになった方々は、横路君もその一人でありますが、十分のめない、今すぐというのは無理だということをおっしゃってお帰りになった。それから、私とお目にかかっておる途中において、仲裁申請が十八日になりそうだということを勝手に御判断なさるのは御自由でございますが、私はそういうことを申し上げた事実もなければ、そういう判断をあなたに与えるように心がけた事実もございません。でき得るだけすみやかに仲裁申請をするつもりだということをしばしば申し上げたのであります。 それから十五日の会談の際に、処分問題について社会党の淺沼書記長と私とが一緒に発表いたしました。その際には私は、鈴木委員長からそういうお話がございましたが、私どもは十分承わりおきますと返事をいたしましたと私は申し上げました。そのあとで、それは慎重に考慮するということなんだよということを淺沼氏がおっしゃったのでありまして、さらに言うなれば、この会談の中で鈴木委員長からそのお話がありましたときに、十分承わりましたと総理も申し上げ、私もそれに引き続いて承わりましたと、こう申しましたところが、いや承わるのでない、慎重に考慮するということくらいには発表さしてくれよというお話で、それに対して私どもの方は黙っておっただけのことでございますから、社会党の方かおっしゃったことについて私ども準責任を持つわけには参らない。黙っておったのは承認したということでなく、慎重に考慮と十分承わりますということとは、言葉のニュアンスの問題で、目かしら立てて議論をし合うほどのことではございません。それから反対党の領袖がわざわざおいでになりましたことで、しかもものをまとめようというときでありますから、その程度の言葉のニュアンスに目がしら立てることは、おとなげないことですから黙っておっただけであります。以上事実を明確にいたしておきます。
○岸国務大臣 今回の春闘特に国鉄のいわゆる実力行使という問題が十一日前に発表せられまして、今回のこの春闘につきまして、過去の実例から見ましても、私はこれが必ず労使だけじゃなしに、その迷惑の及ぶところのものは国民であり、国民経済が非常な損失を受けるということを考えまして、何とかしてこの春闘、特に国民に非常な影響の多い公企業体においては、これを事前に防止したいという気持を強く持ちまして、その考えに基いて、政府関係の所管大臣、また官房長官等にも命じまして、十分に労使ともに反省をし、そういうことのないようにということを事前にも私は注意を促して参ったのであります。しこうして十一日に、今の調停の問題でありますが、それは官房長官の申しましたように、私ども政府の立場からあれを無条件にのむということは、予算の建前からいっても、資金面から見ましても、非常に重大な問題である。しかし内容を十分に検討して——公企業体にストライキ権が制限されておる、それにかわるものとして調停仲裁裁定の制度ができておるのだから、この法律の規定に基いて、一方ストライキが何ゆえに禁止されておるかといえば、言うまでもなくこれか公共の福祉に非常な影響があるということからそういう制限がされておる。しかも労働者の立場を考えてみると、これにかわるべき一つの制度が立てられておって、それが第三者の判断によって忠実に行われる、政府はそれを行う義務がある。こういう立場において、これが公企業体の労使関係というものによい労働慣行を作る基礎になっておる。この見地から申しまして、私は調停ができましたのに対しては、至急に、最もできるだけ早くこれをのめるかのめないかをきめろ、検討しろ。それがどうしてもできないということであれば、仲裁裁定を求めて、そうして政府としては、今横路君の言われたように、誠意をもってこれを完全に実施しよう、あらゆるその努力をすべきものであるということを申したのであります。それと同時に、従来この種のいわゆる実力行使が国民にいろいろな迷惑をかけ、国民から非常な批判を受けておる。従ってそれはやはり、これらの労務者はいかなる場合においても法規を順守し、そうして国民経済や国民に迷惑を及ぼさないという十分な自制をしてもらいたい。それがもしも不幸にしてそれに違反するようなことがあれば、これはやはり法規に照らして処分して、そうして将来そういうことのないようにするのだ。国民もそういうことはないというはっきりした観念を持ち、公企業体のあり方について信頼を持って、これに対して十分な信頼を持ち得るというふうな基礎を作るのには、どうしてもある法規はこれを順守するという態度をとらなければならないという考えで初めからずっと一貫して参っておったのであります。従って十五日の鈴木委員長との会談におきましても、社会党もできるだけ今後実力行使の発展を防止して、春闘の問題を解決しようという誠意を示されており、われわれもまた先ほど申しましたように、政府としては当然でありますけれども、そういう気持で今度の春闘に臨んでおりますので、鈴木委員長ともお会いをして、その際今お話しになった点が話し合いになったわけであります。しかし私が淺沼書記長に対しましても少し興奮して答弁したということをおっしゃいましたが、私としては非常に私自身が不満であり、また不可解であり、また同時に淺沼君の御質問に対しましても私も興奮せざるを得なかった点は、私が不信である。鈴木委員長と私どもが会見して、もの時期においてこれをいかにして解決するかというほんとうの誠意から話し合ったことに対して、私がもしも信義を裏切るというふうな言葉で言われたことに対しては、私は大へん一種の興奮を覚えざるを得なかった。私には断じて信義を裏切るというような何はなかったのみならず、今官房長官が申し上げましたようないきさつでありましで、私は初めから今申したように、一方政府はこの調停なりあるいは調停では不満足である場合には仲裁裁定というものを求めてこれを完全に実施する。これはどんな困難があってもするという決意で初めから立っておりますと同時に、法規に違反した人はやはり処分して将来にそういうことをなくし、国民が迷惑をこうむるようなこともなくし、国民が公企業体の経営に対して信頼をするというふうにしなければならぬということを強く考えておりまして、あの際処分は寛大にしろとか処分しないようにしてもらいたいという強い御要望のあったことは私もよく承知しております。しかし、このことに対しては私の方でどうしろということは申し上げません。そういう御要望のあったことはとくと承わっておきますと言うたことが私の全部であって、従ってこれは私が信義を破り何かそこに不信の行為があったというように私が非難されるということは事実に反しており、また私の今回の春闘に対する全体の考えを非常に誤解せしめるものだと私は考えますので、その点だけを明らかにいたしておきます。
○横路委員 今総理からお答えございましたが、総理自身は今も両党百会談の信義を裏切ったと言われたことに対して非常に心外であるというのでああいう答弁をしたというのですが、今度の問題の今までの経過並びにその背景については総理も十分御承知だと思うのです。今まで四回にわたり国鉄の仲裁裁定については一度も完全実施をしておりません。二回の協定についてもこれも全部違約しているわけです。だから今度の問題のそもそもの大きなる誤解というものは、国鉄の組合が公社当局を全く信頼していないということです。そこから起きたことなんです。これは私どもも非常に不幸なことだと思うのです。まず今日において、労働組合か相手方を信頼しない一番の例は国鉄労働組合と公社当局だと思う。その背景にあるのは政府なんです。実は協定に判を押した。そうして実施をしている。最後には大蔵大臣かその点について承認をしない。こういうことなんで、従って私か総理にとくと一つお考えをいただきたいのは、たびたび官房長官の談話で、自分たちは組合の方に対しては仲裁裁定は尊重するのだということを言うたにかかわらず組合の方はとんと言うことを聞かないでこの争議行為をやっているのだ、こう言うのですけれども、実際には三月十一日を前にして、十日、官房長官にお会いしたいと思って私は総理官邸にも行ったのですがお会いできなかった。三月十二日は何とかして中止をしたいと思ってお話しを総理にもいたしましたが、そのとき官房長官がそばにおられて、総理も御記憶あっただろうと思うが、やはり今日の段階においては調停案が出されたということ、その経緯を尊重するということ以外に言えない。だから私はあのときに総理にぜひ一つ調停案を受諾するというように言ってもらいたい。調停案と仲裁裁定とは同じ結果になるであろうということはみんなが考えたところなんです。そのことが総理からもはっきりしたお言葉かなくて三月十二日は不幸にしてああいう職場大会か行われたが、しかし、その以降計画していた三月十六日の件並びに三月二十一日からの件、こういうものは少くとも両党首会談による仲裁裁定を尊重する、完全実施をするという総理の気持が反映をして、組合自体がその中止をしたわけです。ですからそういう意味で、そういういきさつ、そういう今度の問題の背景は、組合が公社当局を信頼しない、公社の六回にわたる裏切りなのです。ですから、やるぞといってもなかなか納得できないものを、この際私たちとしても政党かこの問題に介入することはどうかと思いましたけれども、しかし国民に大きな迷惑をかける問題については、やはり両党間で収拾できるものならばした方がよいという態度で実は臨んだのであります。そういう意味で、この三月十五日の問題については官房長官からはいろいろお話がありましたが、しかしこの際処分については慎重に考慮するということのその気持は、よもやこういう大量処分であろうなどとはだれ一人考えた者はないのであります。これは私たち総理の心の中をそんたくする仕方が間違っていたのかもしれませんが、そういう今までの組合の経緯、しかも今度の三月十五日の経過を見て、そして十六日のあの今回の職場大会、そして十九日以降の職場大会が中止になったという経過から見れば、よもやこういう大量処分が行われるとは思わない。それは淺沼書記長から、両党首会談における信義にもとるものではないですか、こう言うのは、私はわれわれの立場からすれば当然だと思うのです。この点は、総理といえども私は従前の経過はよく御存じであったと思う。これは官房長官からこの際みな言うというから、私の方からも全部総理に申し上げたい。こういう問題は洗いざらい言った方がよいのです。これは宮澤運輸大臣も、何とかこの争議を中止する方向にいってもらえないか。総理はおそらく完全実施とは言えないだろう。そこでそれを一つ運輸大臣の責任において、国鉄の総裁に対して完全実施をする、そういう言葉と相待って、組合が自主的に中止をした。だから、そういう立場においてはだれもがよもやこういう処分があろうとは思わなかった。これは宮澤運輸大臣どうですか。あなたはこういう大量処分があって、これはまことにけっこうなことだ、喜ばしいことだ、当然だとお思いになっておるのか、どうもあなた御自身の意思とはやや反しておるようだ。もう少しこの処分が少く終らなかったものであろうかということは、いろいろな新聞を見ておると、あなたがそういう心境を漏らしたようになっておるが、委員会へ来ると当然なことだ、当然なこととはまさか喜ばしいとは言えないでしょう。あなたの今までこの問題に触れてきた立場、あなたの心境から言えば、よもやこういう大量処分かあろうなどとは、あなたは運輸大臣としてもお考えにならなかったし、この点はやや心外ではなかったでしょうか。これは官房長官に直接聞いたのなら、あなたはそう言えないかもしれませんか、公社当局かやったのだから、こういう点からすれば、こういう処分については、あなたの心境があるはずなのです。こういう点はどうですか。
○宮澤国務大臣 かくのごとき処分を出さざるを得ない事態に立ち至ったことは非常に残念に思っております。
○横路委員 今、宮澤運輸大臣は、非常に簡潔な言葉の中ですが、これはおそらくだいぶ心の中では涙もあると思う。実は今回の処分ですが、これは読売新聞に出て、総理もお読みになったかもしれませんが「春闘処分をめぐって」というので国民経済研究協会をやっている稲葉秀三氏がこういうことを言っておる。根本的な立場から私の考え方を提起したいという中に、どうも、政府並びに与党——と言っている、政府並びに与党には血もないし、涙もないのじゃないか、こういうことを言っておるのです。ですからそういう意味で、総理は、少くとも三月十五日の心境というものは、よもやこういう大量処分をするとは思わなかった。あなたの立場からすれば幾分か処分をなさるというお考えはあったであろうか、この公共企業体等労働関係法が施行されて以来のかかる大量の処分というものが、三月十五日の両党首会談からあろうなどとは、全くわれわれはそういう印象を受けなかった。その後心境の変化がおありになったのではないですか。その点はどうなんですか。
○岸国務大臣 私は十五日にお目にかかったときにも、別に何人処分するとか、あるいはどういう範囲でどうするというような考え方はありませんから、その後心境か変ったということもございません。今いろいろお話がありましたが、私自身鈴木委員長とお会いしたときに、仲裁裁定を誠意をもって尊重する、表面的にはそれ以上は政府のなにとしては言えないが、しかし私はこれを完全実施するつもりだということの意向をあの当時も私は述べたのであります。その後宮澤運輸相との間におきましても、なかなかこれは財政的に見まして、財務当局に事前にそれを完全実施すると——どういうものが出るかわからぬが、大体調停を中心としての仲裁裁定か出るとして、それを完全実施するということを串間に言わせることは非常に困難である、しかし僕はそのつもりであり、どんな困難があってもやるから、一つそのつもりですべてのこれから起るべき闘争のなにについてはそれを守るようにしてもらいたいということを、宮澤運輸相ともお話いたしました。また鈴木委員長にも私の真意はその当時申し上げた。しかし処分の内容につきましては、実は私はどのくらいの範囲であるのか、また具体的にどういうなにがあるかということは承知いたしておりませんから、当時何人くらいはやるだろう、何人くらいはどうだというような予想をもってお話を申し上げたような気持はあの時は全然なかったのです。従って私としては、ただそれぞれの監督官庁や、あるいは企業当局から最後にこういうことを聞きまして、ずいぶん多くなったものだと思いましたが、いろいろ内容を聞いてみると、なるほど私どもは東京を中心としてのなにがどうしても口に触れ、耳に入っておりますけれども、全国にわたってああいう実力行使か及んだという結果から見まして、企業当局としては十分に事実を調査した上で、検討した上でこういう結論が出たのだということでありまして、別に私が特にその後において心境が変って、強くやれというような気になったわけでもございませんし、私としては終始一貫同じような気持でこの問題に対しておるわけであります。
○横路委員 今の総理のお言葉ですが、私は三月十五日のときの総理の心境はそうでなかったと思うのです。これはなぜならば三月十一、十二日の職場大会というものに対する国民の感情というものは三月二十三日のときの状態とは全く違うのです。だから総理自身も、三月十五日には処分については慎重に考慮するというお考えであったと思う。しかし実際には、その後三月二十三日の件が出て、そうして総理自身も、あなたが今御答弁なさったように、ずいぶん大きくなった。ずいぶん大きくなったというのは、三月二十三日におけるそれぞれの国鉄地方本部における問題が広がってこういう状態になった。この三月二十三日の問題については——小倉副総裁はいるのですか。
○藤本委員長 おります。
○横路委員 どなたですか。——わかりました。私は少くとも国鉄の小柳委員長ら国鉄の組合の諸君は、三月二十三日の点については、確かに公社当局にも責任がある、従って両者の間で、に口頭ではっきりと、これは処分の対象はしないと言っている。だから私は、三月十五日の言からいけば、淺沼書記長が言ったように、結果的に見てこの大量処分は両党首会談の信義にもとるものだ。その後の総理のお考えは、三月二十三日の各地方におけるあの問題が大きかったから、これは仕方がなかったのだなというように、時間的に変ってきている。一番問題は、小倉副総裁、あなたの方ですよ。きょうは国鉄の組合の諸君は来ていないが、あなたの答弁のいかんによっては、あらためてあなたと国鉄の委員長とをここに呼んで、両方から聞かなければならぬが、われわれが関係者から聞いているところでは、三月二十三日については公社側にも責任かある。そうでしょう。俸給袋に業績手当か入っているのを、それを渡さないのだから、そこでこの問題については、この問題の始末が終えたあとに、あなたと小柳委員長とが、きょうは処分の対象にはならぬぞ、しないということを確約しているというのだが、その点はどうなんです。
○小倉説明員 三月二十三日のことにつきまして、日は忘れましたが、参議院の運輸委員会ではっきり私は御答弁申し上げております。しかし実はそれは私にとっても、あるいはまた国鉄労組にとってもあまり名誉なことでもないと思ったものですから、あまり大方には申し上げなかったのでございますが、そういう突き詰めたお話でありますれば、当日のことを少し申し上げます。それは二十三日には、前々も申し上げました通りに、関係当局か非常に苦心をして、ことに運輸大臣の骨折りであるから、必ず出るからしばらく時間をかすようにということは、再三私か労組に申し入れをいたしまして、私自身国労の本部に二度まで行っております。こちらから行って説得に努めましたが、私の説得力かなくて、結局列車が、ひどいところになりますと、午前中から乱れて参りまして、昼ごろからはもう急行も各所でとまるというようなことになって参りました。ところで三時四十分に支払いが可能になりましたので、そこでさっそく私から労組の幹部に支払いをするからさっそく実力行使中止の指令を出すようにと通告いたしました。そうしますと、すぐこれから団交を持ちたい、こういうようなお話でありましたので、けっこうだということで、団交を開きましたのは四時のことであります。それで多少のやりとりはございましたか、業績手当は現在支払いつつあるということで、団交の主題点は解決したのでありますか、最後にもう一ぺん労組の方から、本日の処分はしないようにしてくれ、こういうような申し入れがございました。私は、これほど国家国民に御迷惑をかけて処分をしないというわけにはいかぬと申しましたが、どうしても聞き入れられない。そこで私は、それじゃ慎重に考慮しよう——いろいろそういうときに申します言葉でありますが、慎重に考慮しよう、こう申しましたが聞き入れませんで、本日の争議に限ってするということは差し控えてほしいということでありました。それで私は、もちろん春闘を通じて処分はする、しかし本日のことを抜き出してこれのみを対象にはしない——私がそのときにお話したのは、春闘というのは総評傘下の二つのスケジュールでやったのであるから、これは春闘全体を通じて処分する、こういう点につきましては労組の方も明確に承知しております。 それで、先ほどもお話がございましたが、十六日といえども——十六日と申しますのは三・五波でございますが、これも三波よりももっとひどい闘争をいたしております。これで、今回の春季のスケジュールによりました闘争を見ますと、大体旅客が二百七、八十本消えております。私どもの方では、争議の実力行使の度合いは旅客列車の運休が一つの標準になります。と申しますのは、貨物でございますとこれはあとから回復することもできますが、中、長距離の旅客というものは、そのときの障害は取り返しがつきません。それで従来とも旅客列車を一つの標準にいたしておりましたが、スケジュール闘争で二百七十本くらい消えております。二十八年の十八人のときには、旅客列車は十二本しか消えておりません。電車は別といたしまして十二、三本くらいのものであります。それから今回の遅延時分は、春季のスケジュール闘争に基きましたもので二万分以上のおくれを出しております。それでありますから、今回の春季闘争というのは従来にない大規模な計画のもとに行われ、その実害も今までにない大きなものでありました。それで今回の処分につきましては、私は春季闘争の全部を見ていたした次第であります。
○横路委員 総理の時間もありませんし、私のあとの方もありますから、小倉副総裁にお尋ねします、私たちの了解している点は、午後三時四十がですか、小柳委員長とあなたの間で業績手当は支払う、本日の闘争については処分はしないということで妥結をした、これは明確であると言っている。これは最後にたとえば法廷闘争になって、法廷で問題が争われる場合に非常に大事な問題なんです。しかしここで今あなたと質疑応答を長々繰り返しても、総理の時間の方が食われますから……。私どもはそう聞いている。そのことをあなたが来る前にちょっとお尋ねしておきたいと思ったが、いなかったのですが、副委員長の土門君は今度解雇したんですね。この点はどうなんですか。簡単に一つ、解雇したらしたとだけ言ってもらいたい。したんですね。
○小倉説明員 解雇は、もうすでに解雇済みでありますから、これ以上解雇する対象にはならない。そういうことはできません。
○横路委員 そうすると、これはすでに解雇してあるのだから今回の解雇の対象ではない、こういうことですね。わかりました。 次に平井さんにちょっとお尋ねしたいのですが、あなたの方で国家公務員法の第八十二条を適用して処罰をされたその理由、根拠はどういう点ですか。
○平井国務大臣 これは私の方といたしましては、いろいろ国家公務員法に該当する者が出ましたので、事務当局その他に十分調査をさせまして、郵政大臣といたしましても、政府の圧力とか政府の考慮によっていろいろやったものではあくまでなく、郵政大臣独自の判断のもとに立ちまして、事務的にその法の命ずるままに今回の処分をいたしたのでございます。
○横路委員 郵政大臣から政府の圧力でないと言われたけれども、あなたもその閣僚なんだから、あなたのおっしゃることはちょっとわれわれにはふに落ちませんが、そうするとあなたは郵政大臣として、全逓のとられたいわゆる一斎賜暇休暇というああいうやり方については、これは公共企業体等労働関係法による第十七条の怠業等の中には入らぬわけですな。
○平井国務大臣 私の判断といたしましては、現在は国家公務員法で処分をいたしておりますが、違反者かあれば公労法その他の法のきめられている範囲内において十分処断をいたそうと目下こう考えております。
○横路委員 この間の仲裁裁定実施に伴う問題ですが、仲裁裁定の実施というのは政府側からいえばきのうだ、それ以前の問題についてはあなたは公労法違反の事実はない——わからなかったけれども、とりあえず国家公務員法で処分しておいて、これから調査してまたやるのだ、こういうのですか。そうじゃないでしょうな。
○平井国務大臣 私の見解は目下まだ検討をさしているので、これからそういう事実がございますれば、今後も処分をいたす場合があるかもしれないということです。
○横路委員 そうするとあなたはあれですか、この前のいわゆる仲裁裁定実施までに至るその間の職場大会、一斎賜暇については、わからぬが何とはなしに国家公務員法の第八十二条で処分したのだ、なおよく調査をしてさらに事実があれば公共企業体等労働関係法でまたやるというのですか。そういうことがありますかれ。
○平井国務大臣 あなたのお話の通りでございます。今後もしもそういう公労法違反の事実が現われた場合には、十分考慮をいたして考えなければ相ならぬ、かように考えております。
○横路委員 郵政大臣、そうするとどうもその点はっきりしないのですが、とりあえず八十二条でやったのですか。それともよく調べて八十二条——郵政大臣、その者が停職処分を受けるとかあるいは減俸になるとかいうことは、それぞれの当事者からすれば重大問題ですよ。それをあなたはとりあえずやったのだ、とりあえずやって、また事実を調べる、そんな疎漏なやり方をしたのですか。
○平井国務大臣 決して疎漏な態度ではない、慎重にやっておるのでございます。慎重にやっておる結果こういう結果が生まれておるのでございまして、今後公労法違反がもしあったなれば十分考慮しましてこれは処分しなければ相ならぬと私は考えております。
○横路委員 郵政大臣にお尋ねしたいのは、私どもも、あなたが言うようにこれからあとにその公労法違反があれば、それはあなたがそういう立場でやるのはいいけれども、今までのことはあなたは確信をもって慎重に考慮して国家公務員法の第八十二条でおやりになったのでしょう。それは確信がおありなんでしょうね。
○平井国務大臣 現在発表いたしておるのは現在調査済みのものでございまして、これは確信をもってやったのでございます。これはまだ引き続いて公労法違反が出れば処分するのは当然のことでございます。
○横路委員 郵政大臣の今の話でよくわかりましたのは、今まで個々に受けている個人の処分はそれで終ったわけですね。そのほか、あるいはまだ調べて、今までのところ処分されてない、ほかの甲とか乙とか丙とか丁とかいう人間について、それは公労法違反の事実があればやる、しかし今まで確定をした者は、停職処分だ、何だというものは、とりあえずやったんだから、もう一ぺん調べてこの者にまた公労法でやるんだということはないですな。
○平井国務大臣 とりあえずという言葉は当てはまらないかもしれませんが、この問題は非常に公平を要する問題でございまして、処分のいかに重大であるかということは、郵政大臣よく存じております。そこで、今回の郵政大臣としての処分は国家公務員法でやったのでございまするが、もしも公労法違反があるとすれば、目下まだ調査中でございますがそういう事実が出たならば、遺憾ながらやはりその線に沿うて考えなければ相ならぬ、かように考えておるのでございます。
○横路委員 やはりそれはとりあえず処分したのですよ、今のことから言えば。国家公務員を処罰するのに、それはとりあえず処罰をしてさらにまた慎重に考慮してやるなんて、あなた、主務大臣としてそういう態度はないでしょう。あなたはまさか、これから運輸大臣におつき合いなさるわけではないでしょう。あなたにお尋ねしているのは、今までそれぞれの人について停職だ、減俸だ、こうやったものについては、それは確定しておやりになったのでしょうね、そのことを聞いているのですよ。ですから、そのほかに甲とか乙とか内とかいう、いまだ確定をしていない人にそういう事実があるならば、あなたの方でおやりになる、こういうのであれば私どもはまだ話は受け取れないわけではないが、個人の横路なら横路という記者について停職一年とやっておいて、これはとりあえずやったんだ、もう一ぺん調べてあるいは公労法違反でやるかもしれない、こういうことはないでしょうね。
○平井国務大臣 そういう点につきましても目下十分検討して——将来再びこういうことのないように反省もしていただくという意味合いにおいて、十分検討をいたしておるのでございます。従いまして公労法の許さない事柄の起きました場合には、やむを得ず十二分の考慮を払わなければ相ならぬ、かように考えております。
○横路委員 私は総理の時間等の関係もありますから……。 今郵政大臣のお言葉はどうもわれわれおかしいと思う。そんな軽々しく処分について発表すべきものではないのでありまして、どう考えても今のようにとりあえずという印象しか受けないのであります。この点は郵政大臣の方で運輸大臣の方におつき合いなさるということはよもやないと思いますか、この点は一つ、初めから公社それぞれが自主的にやっているんだという建前からいってもおかしいのですが…。 最後に私はもう一点、総理に質問して終りたいと思います。 どうも私は先ほどから聞いておりまして、小倉副総裁の話は私たちの受けた感じとは違うのです。私どもは三月二十三日は処分の対象にならぬというふうに小倉副総裁が約束をしたと思うのですか、その点はそうではないと答弁されておる。その点はいずれ当事者の人々をこの委員会に呼んでもう一ぺんお尋ねしたいと思いますが、やはり総理は、三月十五日のときにお考えになられていたのは——その前のいわゆる職場大会等の国民に与えた影響と二十三日の件とは違う。二十三日の件が私は国民感情を相当ゆすぶっておると思う。ですから、総理自身のお考えも、三月十五日の党首会談においてはよもやこういうようなものではないのじゃないかという配慮もあって、総理から慎重に考慮するということがあったと思うので、それは総理自身の考えの中にも、三月二十三日があったのだから、あのときの党首会談ではああいう答弁をしたが、実態はどうもそうではない、だからこの処分はどうもやむを得ぬのじゃないかというふうに総理自身の考えが三月十五日からあとの事態と三月十五日の党首会談できめられたこととでは変っていると思うのですが、その点を最後にお尋ねしておきたいと思う。
○岸国務大臣 私は、処分の問題を、お目にかかりましたけれども、十五日以前のものに限るのだという気持は初めから毛頭持っておらなかった。要するに春闘を処理しこれを落ちつけるために、さっき申しましたように一方においては政府としてやるべきことが過去においては十分でなかったということも私も承知しております。従って、私としては責任を持ってこう言うけれどもこれは完全実施する意図であるということまで腹を打ち明けて申し上げたということもそこにあるわけであります。同時に、春闘がおさまるまでの全体として、もし違反の事実かあれば違反の事実に対しては遺憾ながらやはり処分して将来を戒めるべきものであるという考えであって、その範囲等につきまして私はほんとうに十五日にどのくらいだとかいうような腹づもりを全然持っておらなかったのであります。従って、私の考えが十五日とその以後二十三日があったので変っただろというお話でありますが、私としては少くとも主観的にそうして気持はなかったのであります。初めから全体を通じて違反があったらそれに対しては処分するというのであって、その当時少しでも範囲を予定しておったらあるいは変ったとか何とかいうことがありますが、私は最初からその範囲等については考えておらなかったのであります。
○横路委員 私はもっとこの問題について御質問したい点もありますが、総理とのお約束の時間もありまして、さらにあとの赤松委員から質問がございますので、はなはだ不本意ですが私の質問をこれで終ります。
○藤本委員長 残余の質疑をなさる委員各位に申し上げますが、時間の都合がありますのでできるだけ簡潔にして要を尽されんことを望みます。赤松君。
○赤松委員 従来の問題につきましてはあとの委員諸君がそれぞれの立場から十分なる質問をいたしまするので私は将来の問題につきまして、時間がありませんから四点ばかりこの際総理大臣の御所見を承わっておきたいと思います。 まず第一点でございますけれども、公労法が制定されましたいきさつにつきましては総理十分御承知だと思いますが、公労法が制定をされまして、団体交渉から調停委員会、調停委員会から仲裁裁定にいく、仲裁裁定が出たならば国会にその議決を求める。予算上資金上不可能な場合奪いろいろな条件がありますけれども国会の承認を求める。それで、手続といたしましては当然裁定に関する議法を求める手続が最初に国会において行われる、従ってこの裁定か国会の意思で確定をされた場合に初めてそれに伴う補正予算が提出をされるのではなかろうか。ところが今回の手続を見ますと、裁定は衆議院の段階でストップをしておるのに、補正予算の方は多数の力で参議院を通過してしまった。これは少くとも公労法の精神から申しまして変則的な手続じゃないかと私は考えるのですけれども、その点につきましては、総理、いかがでございましょう。
○岸国務大臣 こまかい法律論としては別でありますが、公労法の趣旨からいうと、一方において、こういう公企業体に属しておるところの人は、罷業権その他争議についてのなにが制約されておる。そこで団交をやり、団交でまとまらなければ調停をやり、最後は仲裁裁定になっていく。仲裁裁定が出れば、とにかく政府や企業体はこれに服して完全に実施するというのが趣旨であろうと思うのです。しかしながら、ほかの企業と違うものですから、国家予算の関係資金の関係上できないという場合においては、今言う議決を求めなければならない。しかし、本来団交できまるべきものが、そういう手続があるからには、仲裁裁定そのものを完全に実施するということがこの公労法の趣旨である。従って、むしろ国会に出して議決を求めるというのが実は変則であって、趣旨から言えば仲裁裁定を実施するというところに私は主眼があるのだと思っております。
○赤松委員 非常に明快な答弁をしてもらいましたが、私もその通りだと思うのです。本来公労法の十六条というものはつけ足しであって、公労法の精神というものは仲裁裁定を完全に実施するということであり、もしできれば団体交渉の段階あるいは調停の段階で問題を処理していくということになれば、今度のような問題は起きないと思います。 そこで、今度のこの仲裁裁定の内容につきまして、政府は完全に実施したと言うし、われわれは不完全だと言っているわけでありますけれども、その内容は別としまして、総理の今の御答弁から受け取れることは、公労法の精神は仲裁裁定を完全に実施することだ——そこで私は、当然この仲裁裁定というものは今回限りでなく、今後しばしば出てくると思うのでございますけれども、これを完全に実施するという精神においては変りございませんか。いかがでございましょう。
○岸国務大臣 私は、最初からそういう信念を持っておりまして、今後といえどもそれは続ける。これをするという慣行を作ることが、将来これらのよき労働慣行を作る前提になると思っております。
○赤松委員 そこで私は、一つ重大な問題を総理に提示しておきたいと思います。きのうの朝日新聞を見ますと、今度は公労法を変えるとか、労働法規の改悪か改正かわかりませんけれども、とにかくそういうものに手をつけるということが報道されておりますが、今度の公労法に基く解雇の問題、これについてぜひ一つ総理に考えていただきたいのは、労働者が職場から追っ払われるということ、つまり解雇されるということは死刑の宣告なんです。これは厳粛に考えていただきたいことなんです。しかも公労法は、一方において争議権をしばり、仲裁裁定等給与の問題に関するそれはあるのですけれども、首を切られた場合、これを救済する手段というものは今のところないわけなんです。結局違法であるかないか、つまり公労法違反であるかないかということは——政府が行政上一方的に解釈することは不当だと思う。あるいは国鉄公社が一方的に行政的に解釈するということは間違いだと思うのです。それは最終的にはどこできめらるべきかというと、裁判所できまるわけです。ところが、電産の争議等でしばしば見られましたように、電産争議で首切りをやられた人が裁判所に訴えた。そうすると、裁判で無罪の判決が下った、違法でなかった。ところがそれに対する救済の手段というものが全然ないわけなんです。今度の場合、これが違法であるかないかということは、おそらく法廷闘争に持ち込まれて法廷で戦われると思うのですけれども、かりに違法でなかったという判決が出た場合、一体その労働者はどうなるかということ、それからその判決が出るまでもう四年も五年もかかるのです。ずいぶん長くかかるのですが、その間首を切られた労働者というものは生活の手段がないのです。奪われてしまっているわけです。こういう点について、やむを得ないから、たとえば組合員が組合費を出し合って救済するというような本来なし得ざることをやって救済の方法を考えてやっているのですが、これは正常ではないと思うのです。とにかく首を切られたことが違法であるかどうかということの最終決定は裁判所がする、この行政上の解雇が不法であるかどうかということは裁判所がきめるから、それまでの救済方法というようなことについて総理はどのようにお考えになっているか。これはこの社会労働委員会で今までしばしば問題になってきたのです。ですから、私の言おうとしていることは、国鉄公社か都合が悪くて不当だと思ってどんどん首を切っていけば幾らで切れる。これでは労働者の解雇に対する対抗策というものは全然ないのです。ストライキをやろうと思ってもストライキ権は奪われてしまっている。これについてどうですか。
○岸国務大臣 これは一方から言うと、先ほど私が申し上げたように、ストライキ権が制限されていることに対して調停とか仲裁裁定とかいう制度が設けられておりますから、これを完全に実施するということが道である。なるほど解雇ということは労働者にとって非常に重大な——これはおそらく経営者側におきましてもその重大であることをよく承知していると思うのでありまして、従って、その処分は最も慎重を要するものであることは言うを待ちませんけれども、しかし、業務の公共性から考え、また業務の運営の上からいって、公労法に設けられておるところの規定により、条件に当る、こう確信した場合においては経営者がこれを解雇するという処分ができるように法律でなっておるわけでありますから、その適用をすることは、これは経営者として私は当然であろうと思う。そうして今お話の点は、そういう場合に解雇されたものは非常に困るではないか、あるいはその最後の決定は、これももし不服のものがあれば裁判所に提訴して裁判の判決を求める、そういうことができることになっているのは当然であります。しかし、その間非常に困るからそれに対して救済の方法を考えろというお話でありますが、これは非常にむずかしいことです。情においてはお話の点も理解できないわけではありませんけれども、やはり法規に——経営者が事業の重大性にかんがみて、これを経営していく上から見て法規違反ということに該当するという確信を持った場合において、これを処分して秩序を保ち、そうして事業の運営をりっぱにやっていくというために与えられている権限でありますから、これをむしろ制限するようなことばもちろん私はできないと思います。従って今お話のように今までのなにを救済しろというお話でありますけれども、それに対して今そうしなければならぬという結論をどうも私としては持ち得ないのであります。
○中川委員 関連して、私は政府にお尋ねいたしたい。先ほど来横路君並びに引き続いて行われております赤松君の質問の内容を伺っておりますと、まるで政府は今回の春季闘争に対して義理も人情もない、冷酷無情の仕打ちをやったごとく私どもの耳に入る。しかもあまつさえ不法行為まであえてしたように一般に伝えられている。先ほど来の質問を伺っておるとそういう印象を受ける。(「その通り」)しかし私がここで申し上げるまでもなく、国鉄であるとか全逓であるとか専売とかいうようないわゆる公共企業体におきましては、公共の福祉に反するような違法行為があるならば、公労法なりその他国家公務員法なりいろいろな法に照らして断固たる処断に出られることは私は当然だと思う。われわれ一般民間人がわずかな軽犯罪を犯しても、あるいはわずかな列車の運行を阻害しても直ちに法の処罰の対象になるのでしょう。そういうときにあれだけ大きなストライキをやって、あれだけ全国民に大きな迷惑をかけ、しかも三月の二十三日でしたか抜き打ちストをやって、あれだけ大きな公共の福祉に反するような違法行為をやっておって、政府が今回発表されました処罰の内容というものに対して、国民は果して満足しておるかどうかということに対して、多大の疑念を抱かざるを得ない。われわれはもっと処罰が広範囲に行れるだろうということを期待もし、また国民と同様にそういうように考えておった。ところがふたをあけてみたら大山鳴動ネズミ一匹。実質的に申しまするならば処罰されましたのはわずかに二十三人です。しかもただいま承わっておりますと、赤松君は解雇された者は路頭に迷うようなことを言っておられまするが、とんでもないことです。解雇されましたる者は国鉄の労組から三百万、五百万という退職金までもらう。路頭に迷うどころか、われわれからすればこれらは労働貴族なんだ。こういう者に対して国民は断固たる処断を要望しておる。しかも国鉄総裁、よく聞いておいてもらいたい。今の貨物の停滞状態は一体何ですか。国民にこれだけ重大な迷惑をかけておいて、日本のすべての産業経済の発展にこれだけ迷惑をかけておいて、これに対して国鉄はさらにこれらの者に対してどういう処分をしようと考えておられるのか。また先ほど来の政府の答弁を聞いておると、実になまぬるい感じがする。政府は違法行為でも何でもないからなぜもっと堂々と政府の向うところを国民に明示して、こういうようなばかげたことをする者に対しては、断固たる処断をするのだという熱意をお示しにならないか。政府は今のこの貨物の重大状態に対してはどういう対策を引き続いて行われようとしておられるか、私はこの際政府の所信を承わっておきたいのであります。
○岸国務大臣 今回の春闘の処置につきましては、先ほど来私は政府の所信を明らかにいたしております。一方においては政府もしくは公共企業体におきましては、当局においてなすべきことはこれを十分に実現する。先ほども赤松君に答弁いたしましたように、特に公労法でストライキ権が制限されており、従って最後のなにとしては仲裁裁定の内容を完全に実施する。同時にすべて経営者の人と、また労使ともに法規を守って、そうして国民がこの公共企業体のなにについて迷惑をこうむらない、のみならずこれに信頼を持つというふうに持っていかなければならぬというのが根本の考えでありまして、この処分の実態につきましては、各企業当局において先ほど来御答弁がありましたように、まことに慎重に検討し、事実に基いてやられたものでありまして、批評からいえばあるいはこれが処置は非常に大き過ぎて、これは意外であったというふうな御批評もありますし、また中川君のようにこれは小さ過ぎる、もう少しあれだけ迷惑をかけたことを考えてみろというふうな御議論もありますが、その間に立って企業当局が十分に事実を明鮮にして、そうして将来そういうことを発生せしめないような十分な考慮のもとに行われたものであると私は信じております。
○藤本委員 滝井君。 〔中川委員「国鉄総裁は争議行為に対してどういう態度をとっておられるか、答弁を求める。国鉄総裁は答弁に立っておるのだから、答弁を許したらいいじゃないか」「不規則発言はやめろ」と呼びその他発言する者多し〕
○藤本委員長 今のは総理大臣が代表して御答弁願いましたから必要ありません。滝井君。
○滝井委員 本会議の関係がありますので、一つ関係閣僚、簡単に要領よく御答弁をお願いいたしたいと思います。 まず第一にお尋ねをいたしたい点は、今回相当多くの処分者が出ました。政府としても、岸総理のさいぜんの御答弁をお聞きしておっても、やはり見解を統一する必要があるという御答弁があったのでございます。しかし統一する必要があるということは、やはり一応そういう話が行われておることだと思うのでございます。従って今回の処分に当って、政府としてはそれぞれ公社なり関係のところにおまかせはしておられるでしょう。しかし一定の処分をやる基準というものがなくちゃならぬと思うのです。一体どういう基準をお作りになったのか、まず労働大臣にお尋ねをいたしたい。簡単に一つ答えて下さい。
○松浦国務大臣 それぞれの法規に違反したものを企業体がおやりになったことと思います。
○滝井委員 そういうばく然たることではわからない。大体そこにまず基準を示さなければならぬと思うのです。あなた方は関係閣僚懇談会というものを開いておるはずなのです。従ってその法規に違反するについては、今回は全国的に非常に広範にわたっている。従ってそれについてはやはり処罰する基準がなくてはならないと思うのです。それは法律であるけれども、法律というものはきわめて抽象的に書いてある。従って閣議としては、あるいは監督の立場にある関係閣僚としては何ら基準なくして、一切それぞれの公社当局なり関係者の方におまかせしたこういうことなのですか。
○石田(博)政府委員 閣僚懇談会を私が幹事役をいたしましたので、閣僚懇談会の話し合いの要点を申し上げます。 基準は二つであります。一は、法規に反するものについては法規に従って厳重にやってもらいたい、それからその処断の具体的な事実の検討は公社にまかせて政府は政治的干渉をしない……。 〔発言する者多し〕
○藤本委員長 静粛に願います。
○石田(博)政府委員 政府は政治的干渉をしないということと、法規に反したものはすべて法規に従ってやるということを申し合わしたに過ぎません。
○滝井委員 二つの基準によってやったことが明白になって参りました。従って具体的な処分というものは、それぞれその法律に従って公社におまかせしておる、こういうことです。そこでさいぜん横路さんから御質問のあったところを少し掘り下げてみたいと思うのです。まず今回の春闘に対する処分は、大体大きく分けると三つに分類をせられるようでございます。まず第一は公労法のいわゆる十七条、十八条関係によって処分をせられておるものが一つ、いま一つのグループは、公社法なりあるいは国家公務員法によって処罰せられておるものが一つ、いま一つはどういう法律に基いておるか知りませんけれども、訓戒という程度のものがある、こういう三つのグループ分にれております。 そこでまず運輸大臣にお尋ねをいたします。運輸大臣の監督のもとにおける国鉄においては、二十三人の解雇者が出ております。これについては明らかに公労法の十八条によって解雇せられた、こういうことになっておる。そうしますと、他の停職、減給、戒告というこれらのものはどれによってやったか、おそらく公社法だろうと思うのですが、その通りでございますか。
○宮澤国務大臣 その通りでございます。
○滝井委員 そうしますと、公社法のたとえば日鉄法でいくならば、三十一条を見ますと、停職の上にもう一つ重い処分の免職というものがあります。この免職と公労法の十七条のいわゆる解雇との関係がどうなるかということです。同じ公労法に違反をした人たちに対して、あの二十三人のグループについてはいわゆる公労法の十七条を適用いたしました。そして残りの人たちには、公社法なり国家公務員法を適用したということなんです。国家公務員法にも八十二条には免職というものがある。一体この関係はどういう工合にしてセレクションしてこういう区別をつけたのか、これを明らかにしてもらいたい。
○宮澤国務大臣 その点は国鉄副総裁から説明いたします。
○小倉説明員 お説の通り公労法と日本国有鉄道法と両方ございます。それで両方に該当するものにつきましてはどちらを適用しても差しつかえないということになっています。ただし公労法につきましては解職以外の道がございませんので、それは日鉄法による、こういうふうな解釈になっております。
○滝井委員 いいですか。公労法における解雇というものは、これは昔でいえば切腹なんです。いわゆる名誉ある刑罰なんです。これは破廉恥罪ではない。ところがこの公社法なり国家公務員法にいくものはこれは刑事罰的な性格を持っておる。公労法の立法の精神から考えると、そういうものなんです。そうしますと、こういう点についてはこれはおかしい。(「そんなことはない」と呼び、その他発言する者多し)
○藤本委員長 静粛に願います。
○滝井委員 そういう点に対する国鉄当局の見解はどういうことになっておるか。どうして免職というものをとらずに解雇という方法をとったのか。残りの者にはそれ以下のものを適用していっている。どちらでも自由だというならば、何も法律でこういう二つのものをやる必要はない。公社法だけでよろしいはずなんだ。ところが公労法において解雇というものを作ったということは、いわゆる免職というものと争議に対する罰則の適用について違うということを国会は意思表示をしてこの法律を作っておるはずなんです。もし免職であろうと、あるいは公労法の十七条の解雇であろうと同じだというならば、それは法律の罰則を統一するために免職とすべきであったはずなんです。それをなぜ解雇としたかということです。どちらでも選択が自由だから片方は十七条をもっていきました、これはおかしいと思うのです。労働大臣のこの公労法の解釈上の見解を聞いておきたい。
○松浦国務大臣 どちらも同じだと思います。
○滝井委員 免職と解雇というものは字も違いますよ。まず字が違う。名は体を現わす。こういう点から見ても、大臣はそう言うけれども、これが同じだとするならばこれは大へんですよ。法制局長官もわざわざおいでておるようでございますので、一つ法制局の御見解を伺います。
○林(修)政府委員 公労法の解雇という言葉と日本国有鉄道法の免職という言葉は、効果は同じでございまして、雇用関係かなくなるということでございます。ただ国鉄当局の方はいわゆる懲戒処分としては国有鉄道法でいき、公労法の方は、広い意味では懲戒処分といえるかもしれませんが、狭義の懲戒処分ではございません。懲戒処分でなくして、公労法違反の行為をした者は当然解雇ができる、こういうことを規定したわけでございます。おのおの並立して成立し得る規定だと私は思うわけでございます。公社当局かどちらを御適用になるか、これはおのおのその事態の判断によっておきめになるべきものだと考えます。
○滝井委員 結果は同じでも立法の精神が違っておるのです。従ってそういう点は、時間がありませんのでいずれまた機会を改めて質問しますが、最後に一点だけ国鉄当局と運輸大臣にお尋ねしておきたいのですが、今後国鉄は法外組合になるのかどうか。労働組合法の二条との関係は一体どうなるのか。
○宮澤国務大臣 法外組合になるかならないかは、その組合のあり方によって変ると思います。
○滝井委員 過去においても解雇者が組合幹部になっております。現実においてもそういう形をとっておりますが、一体これはどういうことになるのか。
○宮澤国務大臣 国鉄職員にあらざる者が役長になれば法外組合になると思いますが、それらの点は国鉄副総裁からお答えいたさせます。
○小倉説明員 その点につきましては、法律上も、実際上も、いろいろむずかしい点がございますので、目下慎重に検討中でございます。
○滝井委員 いわゆる解雇者が組合の幹部になっておっても、なお検討中で、これは明白な結論が出ていない、こう理解して差しつかえありませんね、国鉄当局の立場は。
○小倉説明員 従来そういう例がありましたので申し上げましたのですが、今後につきましては、そのときにおいて研究もし決定しなければならぬと思います。
○藤本委員長 有馬君。
○有馬(輝)委員 時間がありませんので私も簡単に質問いたしますから簡単に御答弁をいただきたいと思います。総理と官房長官にお伺いいたしますが、先ほどから総理は、企業当局が今回の処分については十分な調査をいたし慎重に処理したという御答弁でありましたか、もし間違った処分をしておった場合に企業当局の責任はどうなるのか、政府の責任はどうなるのか、この点を簡単にお伺いしたいと思います。
○岸国務大臣 今の御質問でありますが、これはきわめて重大な問題であるから、初めから慎重に十分検討さして、また責任を持ってやらしておるのであります。従って今お話のように事実に反し、それが間違っておるということがあろうとも実は頭に考えておりませんが、理屈からいえば、もしもそういうものが間違っておったならばどうするかということになれば、それは是正する方法をとらなければならぬと思いますが、私は今回のものについてはそういうことはない、こう思っております。
○石田(博)政府委員 総理の御答弁と全く同様でございます。
○有馬(輝)委員 是正する方途と言われるが、間違った通告をして——先ほどから論議をされておりますように、死刑の宣告にもひとしい状態に置かれておって、是正の措置と言って具体的にはどのような企業当局の責任を問われようとするのですか、その点をお伺いしておきたいのです。
○石田(博)政府委員 間違った処置がないと確信をいたしておりますので、間違った措置があった場合のことは、先ほどのように理論的にはそういう是正の措置を講じなければなりませんが、具体的に考える必要はないと考えております。
○有馬(輝)委員 官房長官えらくみえを切られましたが、今みえを切られた総理や官房長官の責任がもしあったらどうします。
○石田(博)政府委員 もしあったらもしあったらというような場合を考えて一々やるというわけには参らないのでありまして、われわれとしては間違いないという信念と、それからそれだけの準備をして公社当局がやってきたと思います。従って私どもは公社当局のやったことを信じておりまして、具体的な事実についてわれわれは指摘をした覚えはございませんが、その具体的な事実についても公社当局は約一カ月余り、一カ月以上、四十日あるいは四十五日間にわたって十分事実の調査をなさったのでありますから、そういうことはあり得ないと思うわけであります。
○有馬(輝)委員 一カ月余り、四十余日間にわたって十分な信念と十分な調査をもって、岸内閣の監督しておられる公社なり現業なりは間違いを起しておられる。 仮定の問題については官房長官答えられないと言われましたから、具体的に申し上げましょう。全林野の前橋地本、ここで館直保君という者に対しまして処分の通告をいたしております。ところがこの館直保君は、昨年以来病気で休んでおりまして、委員長をよしていることはもちろん、春闘にも参加いたしておりません。そのような間違いを犯して、総理も官房長官も今みたいなみえを切られるのですか。人を解雇処分なり訓告処分なりに処しておいて、事を処理します、仮定の問題については答えられません、それで内閣の責任が勤まりますか、その点をお伺いします。
○石田(博)政府委員 その事態はどういう工合にして起ったか、いずれそれはその問題を取り扱いました現業当局にお聞きをいただきたいと存じますが、それは当然是正の措置をとられたものと思います。従って先ほどもし間違っておったらというお話でありますが、間違いの仕方、内容、あるいはその後の処置一切を含めまして考慮しなければならぬことは当然でありますが、その間の事情は現業の担当者にお聞きをいただきたいと思います。
○有馬(輝)委員 事、人の身分に関する問題なんですよ。あなたが先ほど大みえを切られたような態度であるとするならば、切る前にもう少し慎重な準備と調査があってしかるべきだし、それに対して、少くとも現業にまかせるということじゃなしに、内閣は責任をもってしかるべきだと思うのです。その監督については、十分なる監督をして、間違いを起させないようにするのが私は内閣の責任ではないかと思う。ただ単に是正すればいいんだということで、各公社の現業の責任者の処置がそれで終れりとするならば、岸総理がこの前の予算委員会でも言われたほんとうの意味の今後の労使慣行の確立ということがどうしてできますか。この点について総理の御見解を伺いたいと思います。
○岸国務大臣 先ほども申し上げておおるように、この問題については、処分をするのは政府がするのではございませんで、あくまでも各現業それぞれの企業当局においてやるが、しかし重大な問題として十分慎重に検討して、そうして将来にこういうことを起さしめないように、違法の行為に対してはそれぞれ処分する。しかしあくまでも事実については慎重に調査した上においてこれをなすべきことは当然でございまして、その注意は十分促しておりますが、今の具体的の事件につきましては、先ほど官房長官もお答えいたしておるように、私は事実は初めて承知いたしたわけでありまして、その事実を確かめて、先ほど私が申し上げましたように、その是正についての適当な処置をとる、こういうことをいたしたいと思います。またそれを生じました過程において、企業当局において何らかの過失があり、もしくは非常な疎漏の点があるというようなことであれば、それに対する責任を明らかにすることも当然だと思います。
○有馬(輝)委員 時間がありませんので、小倉副総裁に簡単にお伺いいたします。日鉄法の第三十三条の第三号、読みますから。——十分御承知ですか。勤務時間外に勤務させることのできる条項です。これの第三号の「列車が遅延したとき。」こういう工合になっておりますが、事前に業務命令もなくて、非番にある者を勤務させることができるのかどうか。この点をお伺いいたしたいと思います。
○小倉説明員 そういう場合には第三号でなくい第二号で「災害の発生か予想される場合において、警戒を必要とするとき。」こういうことで処置いたしております
○有馬(輝)委員 災害の内容がどういうものであるかというような論争にわたりますと、時間を経過いたしますので、具体的にお尋ねいたします。 東鉄監理局からは公社に対して赤羽駅で起きた事件について報告がございましたでしょうね。あったか、なかったかということだけを簡単に…。
○小倉説明員 何日でございましょうか。こちから質問を申し上げるのは恐縮でございますが……、
○有馬(輝)委員 今月の十二日の問題であります。
○小倉説明員 その詳しい具体的事実は承知しておりません。
○有馬(輝)委員 まず第一に、私は昨日の午前十時までにこの詳しい内容を国鉄に知らせておくように鉄道監理局の施設部次長の伊地知堅一君へそれから赤羽駅長の室伏隆治君、上野駐在運輸長付の橋本康直君に強く要望しておきました。日曜日でありますから公社に帰っておられるかもしれぬが、月曜日の社会労働委員会が開かれる午前十時半ごろまでには知らせておいてほしい、承知いたしましたと言っておるにもかかわらず、あなたの部下はそのような怠慢をしております。そういう怠慢をしておるから次のようなあやまちを犯すのであります。 それを具体的に申し上げますと、この次長は業務命令もなくして、十一日の午前八時半ごろから非番の者を旅館に軟禁いたしまして、それを朝十一時半に食事を与えたきり夜の八時半までお茶の一ぱいも飲ませないで監禁しております。しかもどういう形で何に基いて業務命令を出したのか、業務命令によったのかというと、業務命令によったものではない。非番の者を労働基準法に違反して、しかも十一日、十二日については三・六協定は破棄されておる、その状態の中で今のようなことをやってよろしいのかどうか。
○小倉説明員 そういう点につきましては帰りましてから委細調査をいたしますが、国鉄といたしましては列車の運行をできるだけ確保したい、こういう義務と責任があるので、それに基いて善処したことと思います。
○有馬(輝)委員 時間がありませんので結論だけ申し上げますが、協定に違反し、業務命令にも基かないで、しかもただ上司の権威をもって労働基準法を犯してこのようなことをやっておいて、一方では責任などありもしないような首を切る、この政府の責任については後日また十分に意見を御承わりたいと思います。 時間がありませんから私の質問を終りますが、今の点については国鉄労組とあなたの方で責任の所在を十分明確にするお運びになろうかと思いますから、その点は小倉さんの方でもこの報告をしなかったこれらの諸君の責任を追及するとともに、十分対策を講じていただきたいと思います。私の質問はこれで終ります。
○藤本委員長 横山君。
○横山委員 時間がありませんから、ごく簡単に二点お尋ねいたします。 一つは、先ほど横路委員の質問に小倉副総裁から二十三日の問題については労使間で今回は処分しない、こういう約束をした、こういう報告がありました。その点について岸総理大臣は労使の約束に責任を持たれるかどうか、責任といいますか、尊重されるかどうか、その一点をお伺いいたします。
○岸国務大臣 先ほど私もここで聞いておったのでありますが、横路委員の御質問は、労使の間にそういう約束があったのだということをはっきり断定されまして質問されたのに対して、小倉副総裁の答弁はそういう断定的な話はしていないということを答弁されておりまして、その事実は、両者の間の解釈が違っているように思います。 これは言うまでもなく、常に私の心がけていることは、労使間においてよき労働関係ができるというふうに念願しておりますから、正当に、正しくでき上ったところの話し合いというものは尊重すべきであることは当然である、しかし具体的に今御指摘の問題について話し合いがあったかどうか、そういうはっきりした申し合せになっておったかどうかということにつきましては、私は先ほどここで承わった範囲内におき出してはそういう事実がないように小倉副総裁はお答えしておると思います。
○横山委員 それは私も聞いておりましたが、それでは小倉さんに簡潔に伺いますが、先ほど小倉さんの話は、詳しく言えばいろいろ経緯があったけれども、二十三日は処分をしない、けれども春闘全体については処分をする、こういうふうにあなたは結ばれたと思いましたが、違いましたか。
○小倉説明員 先ほどは端折りましたので意を尽せませんでしたが、結論といたしましては二十三日の分だけを抽出することはいたさないけれども、春闘全体として処分はいたします、こういう意味でございます。
○横山委員 つまり二十三日の問題についてだけを目標にして処分はしない、春闘全体について処分をする、これはあとで裁判で非常に問題になるところだと思うのです。今岸総理がおっしゃったように、労使の間でよかれあしかれ、とにかく話し合いがついたものについては政府としては尊重する、この気持については変りはございませんか。
○岸国務大臣 先ほども申し上げましたように、これは話し合いがついたといっても、もちろんそれは公労法やその他の法規に準拠しなければならぬことは言うまでもないわけでありますから、そういう意味において両者の間によき労働慣行として話し合いができたことは尊重する、こういうことを申し上げておきます。
○横山委員 もう一点、これは労使の問題もわれわれ政治家との側についても同じようなことでありますが、最後に与野党が話し合いがついた。こういう点は、多少客観的に見ておかしい場合があっても、話がついたということで両方とも了解していくことが多いのでありますね。それと同じように労働問題もやはりある意味で客観的に見ておかしい場合があっても、労使がそれでやむを得ないという腹をきめた問題については両方がこれを尊重する建前になっておる。その点を一つ御理解を願っておかなければならぬ。 もう一点だけお伺いしますが、これからどうするのかということであります。今政府でも、組合側でも、やればやる、やればまたやるということで、世論は泥沼を非常におそれておる。組合側が首を切られた立場に立ってみれば、これは先ほどからもいろいろな話があったように何とか同志を救わなければならぬという気持になる。政府側がこの態度に対してどういうふうに出るか、この間も労働大臣に私はお尋ねいたしましたが、向うがやればこっちもやる、またやればまたやる、こういった答弁に終始しておる。私が岸さんにお伺いしたいのは、岸さんもやはりそうかということなんであります。やればやる、またやればやる、それをずっとまた続けるのか、こういう点についてあなたの率直な気持を一つ聞かせてもらいたいのであります。政府としては、大筋に立ってどのような解決の方法を見出そうとするのか、この点について総理大臣としての春闘に対する最終的な心がまえを明示される必要があるのじゃないか。労働大臣のおっしゃったように、やれば幾らでもやってやるのだということだけが政府の心がまえと見てよろしいのか。
○岸国務大臣 春闘の問題につきましては、私は先ほど来申し上げておるように終始一貫して、これが国民経済や国民生活に及ぼす影響が非常に大きいからこういう実力行使とかあるいは処分とかいうような問題がなくなり、正常に公社の業務が遂行され、労使の間によき労働慣行ができるということが念願であります。しかしながら、私の終始一貫考えている根本の問題は、正しいよい労働関係というものは、お互いが法規を守る、これは民主義の根本であって、法規を無視するということはどこにも許せないのだ、従って、法の命じておるところ、法が念願しておるところのことは、それが政府の義務である場合においては、政府はそれを誠意を持って実現するし、また経営者の側におきましてもその趣旨を十分に尊重してこれに従っていくし、労務者側におきましてもこれは鉄則として守るということがすべてのよき労働慣行の基礎になる。民主主義というものはそういうものだと思いますから、法規に違反しているものを、私がおだやかにおさめたいためには法規に違反しても仕方がないというようなことは政府としては申すことはできないと思うのです。しかし私はこういうことが繰り返されるということは、国民の厳正なる批判もありますし、お互いにすべてが十分に反省してそういう繰り返されるようなことのないことをひたすら念願しておるものであります。
○横山委員 あなたのお話に対して一点だけ希望申し上げておきたい。岸さんがこの間貧乏と汚職と暴力をなくしたいと言った言葉は世論に非常に好影響を与えている。しかし、この貧乏と汚職と暴力を排することはおまわりさんをふやすことではないと思うのであります。そうでありましょう。あなたの意図せられるところは、貧乏のない、汚職のない、暴力のない環境を作るということでなくてはならぬと思うのです。その意味におきまして、今この法規に反するか反しないかということの以前に、あなたが所期せられております法規に反することをしないような環境が必要であろうと思う。国鉄が例に出ておりますから国鉄を例に言いますけれども、国鉄の遅延一分においてもこれを処分だとか事故だとかいうような、そんなそれほどの重要なところでそれほどの待遇がされておるかということについて一ぺん考えてみる必要があるのじゃないか。今あなたの口をきわめておっしゃる法規に違反しないようにということは、もう一歩進めて総理大臣として法規に違反することのないような環境、その環境に心を注ぐのが一番大事なことではないか、それを希望申し上げまして、私の質問を終ります。
○藤本委員長 これにて公共企業体等の労使関係に関する件についての国務大臣に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○藤本委員長 小委員会設置の件についてお諮りいたします。本委員会に付託されております請願の審査を期するため、小委員五名よりなる請願審査小委員会を設置することとし、小委員及び小委員長の選任に関しましては委員長より指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤本委員長 御異議なしと認め、 植村 武一君 野澤 清人君 中山 マサ君 五島 虎雄君 山口シヅエ君以上五名を小委員に、野澤清人君を小委員長に指名いたします。 暫時休憩いたします。 午後零時五十二分休憩 ————◇————— 午後三時二十八分開議
○藤本委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。 水道法案を議題とし審査を進めます。質疑を続行いたします。八田貞義君。
○八田委員 それでは事務的な問題を二、三質問させていただきます。 この水道法案が国会に提出せられるまでには第一次水道法案、第二次、第三次となって参りまして、今度の水道法案は第三次法案でございますが、第二章第六条で水道事業に対して認可制をとっておるわけでありますが、これが第一次並びに第二次法案では届出制になっております。その届出制をどうして認可制に変えたか、その点について御説明願いたいと思います。 〔委員長退席、大橋(武)委員長代理着席〕
○田辺説明員 お答え申し上げます。前の第一次案、第二次案におきましては、お話のございましたように届出制をとっておったのでございますが、これは、水道行政が当時は厚生、建設両省の共管でございまして、そのために認可の事務がとかく停滞がちでございまして、地方公共団体が受けます不利不便に大きなものがあったのでございます。これを救済するために、特別の措置としまして届出制がとられたのでございます。しかしながらことしの一月十八日の閣議におきまして、水道行政の所管が簡素化されまして、上水道の行政は厚生省の専管ということになりまして、今後は認可の事務の停滞は十分避けることができることと相なったのでございます。従いまして、今回の第三次の案におきましては、他の法律との均衡も考え合せまして、現行の水道条例と同様に認可制をとった次第でございます。
○八田委員 そこで認可制をとられた理由はわかったのでありますが、ただ問題は、認可不認可の行政処分を、事務渋滞がないようすみやかに行うようにするというような配慮、また一定の期限内に行うということを明文化する必要があると考えられるのですが、この点につきましては、ただ事業の認可として第六条に規定してあるところによりますと、認可不認可の行政処分をすみやかに行うということ、あるいはまた一定の期限内に行うということについては、何ら触れておらぬわけでありますが、これらについてはどのような配慮を持っておられるか。この点、事務渋滞を避けるために認可制にしたのか。厚生省専管になったのだから、今後は事務渋滞は全然ない、そういう懸念もないというような御答弁でありますが、それならば、やはりはっきりと一定の期限内において認可不認可の行政処分をすみやかにやるような配慮がなければならぬと思うのであります。明文化しなかったかわりにどのような配慮を持っておられるか、その点について御答弁願いたいと思います。
○楠本政府委員 お答えを申し上げます。従来ややもいたしますと、申請から認可までの期間が長かったきらいもございますが、これはただいま田辺課長からもお答えを申し上げましたように、建設省との共管等の関係もございまして、意外に手間取った例もございました。今後はできるだけかようなことかないようにできる態勢も整いましたので、少くとも事務の進捗をはかりまして、特に問題のあるものは一応別といたしまして、大体普通の問題のないものは、一カ月以内程度にすべてを認可処分ができるようにいたしたい所存であります。この点は全くごもっともでございまして、今後十分意を用いて参りたいと存じます。 なお一点、先ほど質疑の中に、なぜ認可制にしたかという点でございますが、水道事業というものは、一つの公企業の特許事業でございます。従って、さような性格からも、当然特許事業としての認可というものが必要だというふうに私どもは考えている次第であります。 —————————————
○大橋(武)委員長代理 ただいま水道法案の審査中でありますが、この際旅館業法の一部を改正する法律案を議題とし審査に入りたいと思います。まず趣旨の説明を聴取いたします。神田厚生大臣。 —————————————
○神田国務大臣 ただいま議題となりました旅館業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 近年健全なレクリエーションの普及、観光事業の振興等に伴い、旅館業は、とみにその重要性を加えて参りました、ところが旅館業に対する規制は、従来単に施設面についてのみ、しかも主として公衆衛生上の見地から行なってきたのでありますが、旅館業本来の性格から考え、このような観点のみからする規制では必ずしも十分とは言い得ないものがあるのでありまして、特に、最近は、一部の地域において、教育上からも、種々批判されるような事例も生じ、かたがた家庭の延長としての利用者の静穏な宿泊をはかる上からはもとより、快適な生活環境を造成する上からも、旅館業に対しては、風俗的見地をも加味した規制を加える必要が生じて参りました。このような社会情勢に対処するため、政府におきましては、かねてから旅館業の経営方法の健全化について慎重に検討を重ねてきたのでありますが、今回、営業施設の水準の向上を期するとともに、しかも風紀面をも考慮し、真に健全な旅館業の育成指導をはかることにつきまして、その成案を得ましたので、ここに本法案を提出いたした次第であります。次に本法案の内容につきましてその概要を申し上げますと、第一点は、公衆衛生的見地以外に、旅館業によって善良の風俗が害されることのないように、これに必要な規制をあわせて行い得るよう法目的を改めたことであります。 第二点は、従来施設の構造設備の基準は、地方の実情を考慮して、都道府県において適宜設けることとなっておりましたが、今般全国的に水準の向上をはかる意味において、これを政令で規定することに改めたことであります。 第三点は、新たに旅館業について、施設の使用方法、広告方法等その利用方法の基準を政令で定めることとし、これによって営業の健全化を期したことであります。 第四点は、従来物的施設面のみを営業許可の基準といたしておりましたが、さらに旅館業法に違反した場合は、一定の期間許可を与えないことができるよう人的要件を加え、営業者の質的向上をはかることといたしたことであります。 第五点は、営業者が刑法等風紀関係の法令に違反したときは、営業許可の取り消し、停止等の行政処分を行い得るようにしたことであります。 第六点は、学校の敷地の周囲おおむね百メートルの区域内では、旅館が設けられることによってその教育環境が著しく害されるおそれがあると認められるときは、許可を与えないことができるようにするとともに、特にこの場合は、都道府県の教育委員会等の意見を求めるなど、この区域においては、教育機関の意向が十分反映されるようにして、教育環境の清浄化を確保するよう措置いたしました。 以上が政府が本法案を提出いたしましたおもな理由でありますが、参議院におきまして若干修正がございました。その修正案の内容を申し上げますと。第一点は、「宿泊」の定義を明確化して宿泊者が寝具を持参する場合も含まれることといたした点であり、第二点は、当該吏員が営業施設に立ち入り検査を行う場合、検査することのできる書類の範囲を明確化した点であります。 以上が本法案を提出いたしました理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
○大橋(武)委員長代理 以上で説明は終りました。なお本案についての質疑その他は後日に譲ることといたします。 —————————————
○大橋(武)委員長代理 それでは水道法案の質疑を就行いたします。八田貞
○八田委員 第二条の水源保護の問題でございますが、今度の第二条は、前にも質問しておいたのでありますが、訓示規定になったわけでありますが、第二次の法案におきましては、水源保護の規定をはっきりと打ち出しておったわけでございます。第二次の水道法案でどのような水源保護の規定を行なっておられたか、それについてちょっとお知らせ願いたいと思います。
○楠本政府委員 第二次案におきましては、他の法案等との関係もございましたが、一応水をよごす施設、たとえば工場廃液であるとかあるいは土砂の廃液であるとか、いろいろなものを取り上げまして、水源地保護の観点からこれを規制をいたした次第でございます。しかし実質的には第二次案におきましても、他の既存の法律たとえば河川法あるいは鉱山保安法あるいは鉱業法というような、すでに規定されております法律の権限はそのまま排除されております関係で、実質的にはほとんどなきにひとしい結果に終っておったのでございます。しかも一方たとえば工場廃液等につきまして規制をいたします場合には、現在の憲法の範囲におきましては、当然補償をしなければならぬことが出て参ります。かれこれ考えまして、今回はこの程度にとどめまして、先般もお答えを申し上げましたように、他日また水質汚濁防止の問題としてこれを総合的に検討いたしまして、総合対策をもって水質保全問題を考えたい、かような趣旨であります。なるほど御指摘のように前回の法律におきましては、いろいろこまかい水源保護規定がございました。実質的にはしかし、ただし書きをもちまして他の法案の関連事項を排除をしておりました関係で、そう大した期待すべきものがなかった、かような観点から省いたのでございます。
○八田委員 ただいまの御説明によりますると、水源保護規定の制度の問題につきましては、他に河川法とか砂防法、鉱山保安法などがあって、これらの法律によって許可を受けた行為については適用ができないというような点があったので、水源保護規定の制度については今度は見合したのだという問題が御説明になりました。しかし一方において、これは総合的な見地から十分に考えていかなければらなぬ、そのためには公共水の汚濁防止というような問題から検討していくのだという御趣旨の説明がありました。まことにそうでございます。もちろん総合的な観点と申しましても、私は少くとも水源保護という制度の中には次のような問題が十分に検討されなければならぬと思います。水資源の総合利用という問題であります。さらに国土開発との関係、産業と衛生ないし国の産業政策と保健衛生の確保、天然の美観保持との調整など、すべての行政分野を総合して、その価値判断のもとに、いずれを優先せしむべきかの国家的決定のもとに施工しなければならぬ大きな問題であります。どうか一つこれらの重大な問題でございまするから、この委員会において質疑申し上げている点を十分に関係各省の間において協議をまとめられて、水源保護のあり方についてすみやかに制度をお立てになるように切望いたしておく次第でございます。 もう一つ、十二条と十九条の規定によりまして、水道技術者の規定が設けられております。ところが第一次、第二次法案では責任技術者という名称を用いておったように聞いておりますが、今度責任という言葉をとって、水道技術者というような名前に置きかえられたのは、どういうようなお考えから責任という文字を省かれたか、この点について御説明願いたいと思います。
○楠本政府委員 十二条及び十九条の趣旨は、責任という字がなくても、これは責任をとらなければならぬ立場にあることは、十二条及び十九条の内容から当然でございますので、特に責任という字を省いたわけでございます。なおこれに関しましては、同様の規定が食品衛生法の改正案にございます。食品衛生法とも歩調を合せまして、あえて責任という字をとらなかったのでもります。しかしながらその業務の範囲は法律において明らかに規定されておりますから、この辺は言葉の問題で支障はなかろう、かような判断でございます。
○八田委員 責任というものは行政上の責任として当然あるべき問題であるから、特に責任という名称を使わなくても責任はつきまとうものである、こういうような御答弁があったように伺いました。そこで水道の管理についての技術上の業務を担当する技術者は、一人限りその名称が水道技術管理者となった。これは十九条の第一項でそういうふうになったのでありまするが、技術士の業務を担当する技術者は一人ということの限定ですね、これはどういうことでしょうか。
○楠本政府委員 この点は、責任の所在を明らかにいたしますためには、やはりその責任者は一人なければならぬと存じます。しかしながら、この責任技術者のほかに、それぞれの水道の規模によりまして、多数の技術者がその管理に当ることは申すまでもない次第でございます。
○八田委員 十九条の第三項におきまして、資格要件は政令にゆだねることになったわけでありまするが、資格要件というものは第十九条の第三項、それから第十二条の第二項、全部政令にゆだねられておるわけでありまするが、どのような資格要件をお考えになっているか。
○楠本政府委員 第十二条並びに第十九条の資格要件は、大体同程度のものを考えており、目下政令の内容として考えております点を申し上げますと、まず第一に、学校教育法による大学におきまして衛生工学もしくは水道工学に関する学科を修了した者、または旧大学令におきまして土木工学またはこれに相当する課程をおさめまして卒業した後二年以上水道の技術的事務に従事しておった経験を有する者、第二は大学におきまして土木工学またはこれに相当する課程におきまして衛生工学あるいは水道工学の学科目以外をおさめまして卒業した後三年以上水道の技術の実務に従事していた者、第三は学校教育法によります短期大学または旧専門学校令によります家校におきまして、土木科またはこれに相当する課程を終えまして卒業した後五年以上水道事業に関しまする技術上の実務に従事していた者、第四には高等学校または旧中学校におまして土木科あるいはこれに相当する課程をおさめまして、その後七年以上水道に関する技術士の実務に従事しておった者、第五といたしましてはそのほか任意の技能を有する者として厚生省令で特に定めました者はその資格を有する者といたしました。これは主として従来の経験年数並びにその勤務いたしました実務の内容、その成績等から判断いたしまして政令で定めて参りたい、かように考えております。
○八田委員 今政令の内容をお示し願ったわけでありまするが、問題が国民の保健に重大な関係を持つものでございますから、管理者の資格は十分過ぎるほど厳格にすべきだと思うのであります。今の内容を聞きますると学歴によって定めていくような状態でございますが、私は現在の衛生工学の内容を見まして、やはりある程度実務に三年とか五年とかと規定してございまするからその懸念はないものと思うのでありますが、将来これを実施されてみて試験を課すというようなお考えがあるかどうか、一定の国家試験をもって許可を与えるというようなことをお考えになっておるかどうか。
○楠本政府委員 最近は大学に衛生工学専門の学科科目等も逐次取り上げられてきておる状況でございます。今後おそらく衛生工学そのものの教育的な面はかなり拡張されていくものと考えております。従いまして私どもは目下はかような教育内容の充実をむしろ願っております。そうなりますと勢い試験制度というものは今直ちに考えたくない、かような考え方でございます。
○八田委員 小熊主計官も見えましたので、補助問題に入りますが、小熊主計官も御存じのようにこの法案は第三次法案なんです。ところがこの簡易水道の取扱いにつきまして第二次法案は簡易水道の規定の仕方が違っておったわけでございます。今度は五千人以下というふうにしておるのでありまするが、第二次法案において簡易水道として規定された文面を一応楠本部長の方からお示し願いまして、それからちょっと質問申し上げたいと思います。
○楠本政府委員 第二次案におきましては簡易水道の定義といたしまして、五千人以下の小規模水道のほかに特に浄水設備等を要さずそのまま滅菌だけで給水できる水道におきましては、二万人以下適当に政令で定められる給水人口を有するものをも簡易水道といたしておったわけでございます。この点はなぜ今回改めたかと申しますと、この当時は建設省との共管でありました関係上、その中で簡易水道だけは厚生省の専管であった関係から特に専管事項を多くした方が便宜ではなかろうかという趣旨からかような定義を下したわけでございます。従いまして現在の簡易水道の定義よりもはるかに拡大されておるのであります。もう一つは、この当時はすでに町村合併等が進んでおった関係もございまして、できるだけ簡易水道の範囲を町村の規模に持っていくことか正しいのではなかろうかというような考え方もあったわけでございます。
○八田委員 町村合併の規模というお話があったのですが、その町村合併の規模は八千人以上を一つの目標にしておるわけでございます。そうしますと五千人以下ということになりますと実態とそぐわないように考えるのですが、この点につきましてはどういうふうなお考えをお持ちでしょうか。
○楠本政府委員 実際問題といたしましては連担地区というものがおおむね部落の集落等を形成いたしますので、なるほど町村合併が促進いたしまして八計、一万というような町村ができましても、連担地域の広さから申しますと大体五千人以下で合理的な簡易水道がしけるという関係から今回は従前通り五千にとどめたわけでございす。
○八田委員 大蔵当局に質問いたしますが、この第三次水道法案というものが出るまでには水道条例があったわけですが、その水道条例が六十七年という長い寿命を持ってきたわけです。今度新しく出た水道法案というものは二つの性格が織り込んである。一つは公益事業規制法としての面、もう一つは衛生警察法としての面、この二つの性格を持っておるわけであります。二つの面の規範法規といたしましてはかなり行き届いた用意がうかがわれておりまして、この面においては何ら言うことがないのであります。ただ問題は第一条において事業の保護育成をはっきりとうたっているわけでございますが、その裏づけとなる用意がきわめて少い。ことに保護育成の中心ともいうべき水道の国庫補助につきましては、簡易水道についてのみ補助を規定しておることは理解に苦しむところであります。申すまでもなく水道というのは公衆衝生の基本的施設でございまして、国としてこれが保護育成をはかることがすべての衛生行政施策に先行すべきものであるといっても過言ではございません。このような観点からいたしますると、国は、地方公共団体の経営しようとする水道に対して全面的に国庫補助の道を開くべきではなかったかと考えまするか、この点につきまして大蔵当局の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○小熊説明員 水道は、ただいま先生のおっしゃいましたように、国民の生活上非常に重要な施設であることは申すまでもないのでございます。この水道事業の保護育成ということにつきましては、従来から国として予算的な措置をもち、あるいは起債の面においていろいろ配慮して参ったところでございますが、水道事業は原則が収益事業でございますので、特に給水人口が少く、従ってコストも高くなるようなところについて国として財政的な面で配慮していくというのが妥当ではないか。従来からも、給水人口五千人未満の簡易水道について国庫補助をして参ったわけでありますが、今回の水道法案においては、単なる予算補助ではなしに、国庫補助その他起債の面についての配慮等も規定いたしまして、これによって水道事業の発展を確保していくのが妥当であろうと考えておるわけであります。全面的に国庫補助をすべきであるというのも一つの御見解かもしれませんが、水道事業は本質的には収益事業であるという建前から申しますと、やはり零細なものについて補助していくというのが妥当ではないか。現在の水道の普及率から見ましても、簡易水道につきましては約二割程度しか普及しておりませんが、上水道の方は大体五割程度までいっておると伺っております。そういう面からしても、ここ当分は簡易水道に重点を置いて財政援助をしていくことが妥当ではないかと考えておるわけであります。
○八田委員 ただいまの説明にもあったのですが、現行水道条例の規定にこそありませんでしたが、明治二十三年の水道条例制定以来ずっと一般水道に対する補助はしてきたわけでございます。それが昭和三十年から、零細補助だ、少額補助だ、非常にききめがないということで打ち切られてしまったわけでございますが、どうして零細補助になったのか、原因があるはずなんです。はっきりと、一般水道に対する補助は四分の一ということになっておったのですが、結果においてはあまりききめが現われぬということで昭和三十年以来すぽっと切られてしまった。どのようなことから効果の上らない零細補助になったかということについての御反省があろうと思うが、それについて一つお伺いいたしたいと思います。
○小熊説明員 上水道につきまして国庫補助が行われて参ったわけでありますが、これか零細化したというのはいろいろな見方があると思います。私もその当時の事情はよく存じませんが、実績を見ますと非常に零細化されているわけであります。そのうちの一部をとって補助対象事業とする場合も考えられますが、総事業費に対しましてわずか数%程度の補助金しか出していないという実績も出ている。また補助対象の分に対して一割とかあるいは一割をちょっと出る程度の補助しかしていなかったという実績も出て参る。しかし、それはやはり裏に起債という裏づけがあって初めて水道事業というものができているわけでございますので、補助金という以上は、それがある程度財政的にも援助がないとなかなか普及しない、こういうものであればよろしゅうございますが、総事業費についてわずか一%か二%では果して補助金という名に値するかどうかという問題になると、われわれとしてはなかなか苦しむのであります。それはやり起債によって水道事業が相当発達しているということを立証しているにほかならない。そういうような見地から、いわば一つの看板的になった補助金というものを三十年度以降におきまして整備したものと考えているわけであります。従いまして、水道事業が重要なことをわれわれ何ら否定するものではない。しかしどの程度のものに補助金行政でやるべきかということにつきましてはやはり慎重に考慮しなければならないのではないか。そういう意味で簡易水道は非常に少い人口を対象としておりまして、そういうところは大がい貧乏なところであろうと思うのであります。そういうところに対して重点的に補助金を交付して水道事業を発展せしめ、そうして衛生上もあるいは生活上も改良をはかっていくということが必要ではないか、このように考えておる次第であります。
○八田委員 重点的とおっしゃいますが、簡易水道だけ重点的にしぼって保健衛生事業をやっていくことについていろいろ議論があろうと思います。ところで、一般水道に対する補助の実態を御参考までに申し上げてみたいと思うのでありますか、名目的には四分の一ということになっておったわけです。ところが、補助金額から逆算して補助対象額を定めて参っておったのです。ですから、実際工事費に対する補助率を見ますと、十分の一くらいの状態になったのがこれが零細補助になった実態でございます。そこで、補助事業というふうに言われておりますから、事務的にもいろいろめんどうな書類手続や報告も必要であります。竣工検査、会計検査なども受けなければなりません。それらの諸経費は多額に上る。補助交付金と差引すれば何ほどのこともないというのが今までの実態であったわけです。水道新設ということは戦後の非常に大きな一つの動きであります。ところが、大蔵省から認められた予算の範囲内でということで補助額が全然伸びてこない。補助額が伸びてこないのにまんべんなく新設水道にばらまく、こういうことになったために零細補助という格好になってきたわけであります。ですから戦前通り四分の一の補助率を確立しておいて、単年度補助でなく、事業費総額を定めて継続事業を認めるということにするならば、当然予算の増額もはかっていかなければならぬわけであります。そういうようなことをやっていけば、初めて効果的な補助事業となってくるわけであります。ところが今までのあり方は、補助予算の増額は認められない、そうしてその結果零細補助化が起ってきて、零細補助であるから効果か上らないということでは、これは逆なことでございます。大蔵当局でも、小熊主計官もよく御存じのように、この水道の補助制度というものの最初の出発は三府五港です。そしてだんだんと補助が拡大されて参りまして、中都市まで及んできたわけであります。ところが現在水道未設地の地方は、小都市と郡部に限られておるのでありまして、これらの地区は、ほとんどが経済的にも恵まれない地方でございます。国庫補助の必要なのはむしろこの分野にあるといわなければならない。そのときに、簡易水道を除く一般水道の補助が打ち切られたということは、むしろ時代逆行ではないかというふうにも考えられるわけであります。この点につきまして、今非常に困っておるのが小都市と郡部です。そしてこの補助の支出が防疫対策の奨励的な意味を持っておる。そういう国民保健という見地に立つならば、経済的にも困っておるところの郡部、小都市に水道布設に対する補助が打ち切られたということは、どうも納得ができないわけであります。というのは、一方において工業用水道には補助が認められて参りました。この点につきましてどうも考えが一貫していないようにも考えられるのですが重ねて大蔵当局の御見解をお漏らし願いたいと思います。
○小熊説明員 お答えいたします。水道につきまして従来の補助が二十九年度限りで打ち切られまして、それまでに大都市は補助を受けて水道を布設いたしましたが、小都市と申しますか、そういうところまでに行き波らないうちに補助金が打ち切られた、これは適当じゃないじゃないかというお話、それから工業用水に補助金を出すというような場合のバランスの問題、大体二点であろうかと存じます。 まず第一の問題でございますが、これはなるほど歴史的に申しますと、確かに先生のおっしゃるように、終始一貫して最後までやるというのがいいことであったかもしれないのでございますが、先ほど先生のお話がございましたように、財政の関係もございまして、またその執行上の問題、すなわち零細化の問題にもからみまして、その程度の零細な補助をやるのであれば、これは収益事業でありますから、起債で全部まかなっていく、そのかわり簡易水道の方を重点的にやっていく。簡易水道につきましては、最近五カ年間について見ましても、相当額ずつ増加いたしておりまして、二十七年が一億二千五百万円程度でありましたのが、昨年度におきましては八億四千万円、本年度おきましては十億円の補助金を組んでおるわけでございまして、簡易水道につききましては、政府としても重点を置いて漸次充実策をとっておるということが言えるのではないか、このように考える次第でございます。また小都市という地方団体単位に考えますと、先ほど先生のおっしゃいましたようなことも言えるかと思うのでありますが、簡易水道につきましては、一応地方団体ごとと申しますか、給水人口の分布を見まして、一つの部落単位と申しますか、集落単位で認めるものでございますから、中都市においても必ずしも上水道でなければいかぬということでなく、小都市の中である部落がありまして、それが五千人未満である、最近町村合併などによりまして市などにおいても相当部落的な存在のところも多々あるのではないかと考えられるのでございますが、そういうところにつきましても簡易水道は布設できるのでございますので、少くとも五千人未満の給水人口のところでは簡易水道で処理できる、このように考えております。 なお工業用水につきましては、これはあくまでも原則は地盤沈下による災害防止的な建前から補助する。これは法律補助ではございませんで、国家補助でございますが、災害防止的な立場から補助するものでございまして、本年度初めて北九州の方に立地条件的な意味での補助金がつけられたわけでございますが、これも北九州の水が徹底的に不足しているという特殊な事情に基いて与えられたものでございまして、この補助条件その他についても上水道とのバランスがくずれないようにいろいろ検討を——私の担当ではございませんが、担当主計官の方ではしておるように承知しております。相当利益か出たら転換させる、そういうようなことも考えられるのではないか、このように伺っております。いずれにしても北九州は一つの例外として認めたのであって、工業用水については地盤沈下の防止、これをあくまでも本筋として考えておる次第でございます。
○八田委員 厚生省の方にお聞きしますが、上水道の布設は人口幾ら以上を考えているんですか。
○楠本政府委員 従来は給水人口一万人以下のものは都道府県知事限りで認可をいたして、一万人以上のものについては国が直接認可いたしております。そんな関係から、はっきりした定義はございませんけれども、上水道とは大体国の認可する一万人以上の水道というような概念が生まれておりました。しかしながら簡易水道が五千人となってはっきりいたしましてからは、五千人と一万人との間をも上水道扱いで進んで参っております。従って起債その他の配分等については上水道並みにこれを扱っておる、かように考えております。
○八田委員 そうすると、五千人から一万人くらいの間は上水道として水道事業認可の方針だ、起債でいくんだというのですが、ところが今までのこういった五千人から一万人の間というのはその小都市の間に入ってくるわけですが、これは経済的に非非に弱いんです。それに起債すると申しましても、今までのあり方は補助があって初めて起債が許されるという状態になってきている、しかも起債のワクが今度相当広げられて二百五億円ということになって参りましたが、これではまだまだ小都市方面の水道要望にこたえるわけにはいかない。そこで大域当局として五千人から一万人の間を一体どのようにして今後水道布設を助長されていくのか、これは五千人から一万人の間というものは財政面から見て経済的に非常に規模が小さい。とうていこの地区住民の要望にこたえるようなわけにはいかないわけです。これらのものにつきまして、どういうふうにして要望にこたえて、そして保健衛生、公衆衛生の大切な面を補っていくかということにつきまして、一つお答え願いたいと思います。
○小熊説明員 五千人以上一万人未満の給水人口のある水道でございますが、これにつきましてはただいま環境衛生部長からお話がもりましたように、起債で処理することになるわけでありますが、起債につきましては、先生も御承知のごとく、昨年度よりも今年度はだいぶふえているわけでございます。資金運用部の方といたしましても、収益事業、特に水道事業につきましては、その行政効来と申しますか、そういう面を相当重視しておられると思うのでありますが、そういう面でわれわれといたしましても資金運用部の方へ話をいたしまして、それで水道事業の起債が進み、早く水道の恩恵を受けない人がないように努力したい、このように考えておるわけであります。その際五千人未満の問題につきましても、やはりそれは個々の事業につきまして一定の手続に従って起債を認めていくということになると思います。私は厚生省の方からのまた聞きで恐縮でございますが、従来その小さい方の部門が比較的おろそかになったということも聞いておりますが、そういうことのないように、資金運用部の方にもよく申し上げてお願いしたい、このように考えております。
○八田委員 起債の面についでも特段の考慮を払うということでございますが、今度の二百億の起債のワクは継続事業年度に対して重点を及ぼしていくということでございます。ですから未設置の小都市、郡部に対する起債の割当というのは、今度の起債ワク五カ年計画の中に入ってないのです。この点に特段の配慮をされるという御答弁でありまするか、私非常にその点不安を覚えるのですね。この点、どうでしょう。
○小熊説明員 私、直接資金運用部の方の担当でございませんので、その辺の事情はよくわかりません。まあ全体のワクとの関連におきましていろいろ問題があるかと思いますが、その点につきましては資金運用部の方の御意見もあると思いますので、その辺のことは資金運用部の方にお話しいたしまして、適正に処理できるように努力いたしたい、このように思います。
○八田委員 工業用水の補助の問題ですが、これはもちろん地盤沈下対策という災害救済的な理由から出発したことは、今の御答弁と同じでございます。ただしかし事実は地盤沈下と離れまして、産業政策的な低料金工業用水の供給という面に重点が転化しつつある状態にあるのであります。しかも工業用水ということで補助が与えられましても、実際は、川崎市の水道の例なんか見ますと、工業用水としての銘は打たれてないのですね。しかも一般水道の中に八割も食い込んできている。こういうところにも問題がございます。さらにまた工業用水の一トンの料金、これについても今いろいろと問題が起きておるわけです。これらの問題につきましては、大蔵当局に御質問申し上げるのは時間もございませんので深く追及いたしませんが、工業用水に対しまして、産業振興政策という面から、今年度からはその補助範囲を拡張しまして、単に、工業の立地条件整備のための工業用水に対しても、四分の一の国庫補助の道が開けるというふうに聞いております。この点につきまして小熊主計官は、工業用水に対するところの今度の補助範囲の拡張と、それから実際に一般水道に食い込んでおる工業川の水、これらの点をお考えになると——やはり私は一般水道が占める比重という観点から考えてみますると、補助をもってその比重に誤解を受けるようなことになってははなはだ出題かあると思う。実際に一般水道に食い込んでおる工業川の水というものは、現状からいうと三割以上です。はなはだしいところは八割も食い込んでおるということであります。こういうことから考えますと、工業用水に対するところの補助規定かできたにかかわらず、一般水道に対するところの補助が打ち切られたということは、どうも納得がいかないわけなんです。しかも現状からいいますと、むしろ産業政策的な低料金工業用水の供給という面に重点が転化しつつあるという状態であります。こういったことにつきまして大蔵当局は十分にお考え願いたいと思うのであります。 〔大橋(武)委員長代理退席、野澤委員長代理着席〕 そこで時間がございませんからもう一点お尋ねいたしておきますが、今度の水道法の四十五条には、災害復旧に対する資金の融通のあっせんという規定かございまするが、この水道施設の災害復旧に対しましては、従来から災害発生のたびごとに国庫補助をいたしてきたのでございますが、なぜにこの四十五条に災害復旧の国庫補助を規定しなかったか。政府は今後災害の復旧には国庫補助をしないという意味かどうか。四十四条には、はっきりと国庫補助を規定しておって、簡易水道の新設ということになっております。ところが四十五条の方は、災害復旧に対しては必要な資金の融通またはそのあっせんに努めるということが書いてあるのであります。しかも現在までずっと災害復旧のたびに補助というものが与えられてきたわけです。なぜ四十五条にこの国庫補助の規定を設けなかったか。こういうことになりますと、あるいは今後は国庫補助というものは災害復旧の場合には与えられないのではないだろうかという心配も起ってくるわけです。この点につきまして大蔵当局の御説明をお願いいたします。
○小熊説明員 災害復旧の場合の補助でございますが、ただいま先生がおっしゃいましたように、従来予算補助でやっておったのですか、今後もこれを補助するということにつきましては、大蔵省としては異論のないところであります。なぜ一法律に書かなかったかという問題につきましては、これは実は災害の場合は、水道だけでなしに、全般的に災害を受けるわけであります。その場合は、当然予備費なりあるいは予算措置を講じまして補助するというようなことが、各省全般にわたって起って参るわけであります。そういう場合に、どの程度の基準のものについて与えていくかということにつきまして、そのときどきの災害の規模なり、いろいろな条件を加味してやっていくということでありまして、普通の小さい災害の場合であればそうではなくても、地方団体から見れば災害の規模の大きいときには非常に財政能力が逼迫しておるというならば、こういうような問題も出て参りますので、その都度基準をきめて災害の復旧に遺憾なからしめる方が現実に即しておるのではないか、われわれはそのように考えました。法律に書きますと一々政令手続とかいろいろなことを書かなければなりませんので、それよりはむしろその方が現実に即しておるのではないか。そのような意味で法律には特に規定いたしませんでしたが、しかし災害復旧の場合におきまして、従来通り補助するというようなことにつきましては大蔵省としては異議のないところでありますので、その点御了承願います。
○野澤委員長代理 滝井君。
○滝井委員 水道の一般的なことは八田さんから三日間にわたってだいぶん質問がございましたので、私はこの水道法に関連をする一般的な問題については、あす関係各省のおいでを願って汚濁水の関係から質問をしてみたいと思います。従って本日は各論的な、この条文を追って幾分私の疑問に思う点を、なるべく八田さんと重複しないように時間を倹約して質問をしたいと思います。 まず、三条第二項で「給水人口が百人以下である水道によるものを除く。」となっておりますが、給水人口が百人以下の水道というものは一体一般の水道事業でないとするならば簡易水道に入るのか、それともどういう種類の水道にこれはなるのか、一つ御説明願いたい。
○楠本政府委員 簡易水道におきましてもこの第二項の規定からいたしまして百人以下は除外されることになります。従いましてこの法律の扱いとしてはいつの場合にも百人以上が対象となっておるわけであります。そこで一体百人以下の水道をどうするかという問題でございますが、従来はこれらのきわめて小規模水道は、それぞれ地方が条例によってこれを規定いたしておりました。そこでこの地方条例を調べてみますと、おおむね百人以上でございまして、百人以下までも条例によってこれを規制し、いるものはほとんどないのでございます。しかしながら一方百人未満ならば危険はないかということになるのでございますが、これらの点については今後も行政指導を徹底いたしまして、行政上の措置としてこれらの間違いなきを期していきたいと存じます。それならばそれはおかしいじゃないかという議論も出ますけれども、たとえば相当多人数に給水しておるような井戸は何ら法律の規制を受けておりません。これらはもっぱら行政指導で間違いなきを期しております。さようなことをかれこれ考えあわせまして一応百人以下はこの法律の対象とせず、むしろ法律を用いずして行政指導で間違いなきを期していきたい、かような考え方でおります。
○滝井委員 問題はそういうところにあると思うのです。百人以下の水道を行政指導でやっていくとするならば、その行政指導の基準となるものがなくてはならぬと思うのですが、何か百人以下の水道に対して行政指導をやるような基準でもお持ちですか。しかも具体的にそういう指導は厚生省の下部機構である保健所がこれに当ることになるだろうと思うのですが、一体どういう基準で保健所がその行政指導をやることになるのですか。
○楠本政府委員 飲料水の衛生といたしまして従来もたとえば井戸の改善あるいは百人以下で条例の対象ともなっていない水道等につきましては、随時水質の検査の依頼に応ずるなりあるいは管理の徹底をはかるなり、また井戸をも含めた施設の改善というようなものをそれぞれ保健所を通じて指導をいたしております。またこれらのものは井戸を含めてきわめて数の多い関係もございますので、市町村の衛生職員等の講習をいたしまして、これらの町村の衛生当局も保健所の講習に従いましてこれらの点を十分に指導いたしておる次第でございます。
○滝井委員 水道を作る場合には、大は厚生大臣から小は都道府県知事の認可というか許可を受けなければならぬことになっておる。こういういわゆる百人以下の小規模水道を布設するときには一体どういうことになるのか。
○楠本政府委員 これらの点についてはるる御説明を申し上げておりますように、行政指導によりまして、たとえば水質を検査してやるとか、施設の構造の方法というようなものについても保健所がそれぞれ相談に応じて指導をいたしておるのが現状でございます。
○滝井委員 現状で保健所が実際に、百人以下の水道をやる場合にそういうことをやっておりますか。
○楠本政府委員 私どもは、水の衛生というものはきわめて重要でございますので、非常に水の悪いところにおいては濾過等もいたしております。また井戸等にもきわめて不衛生なものもございます。従いまして水の衛生といたしましてこれらのものをできる限り間違いのないように指導をいたしておる次第でございます。しかしながら何分にも人手の関係等もございまして、十分な指導ができておるかどうかという点につきますと——これはおしかりを受ける点になりますけれども、しかしただいまも申し上げますように、市町村の衛生吏員等にもその趣旨をよく徹底させ、講習等をしばしば講じて間違いなきを期しておる次第でございます。
○滝井委員 百人以下の技術に対しては今回水道法は一応除外しております。いわばこれは一つの盲点になるべき点だと思うのです。行政指導は口の上では行われますが、実際的に百人以下に具体的な行政指導が及ぶとはなかなか考えられない。従って今後この水道法が実施をせられる段階がきましたならば、百人以下の水道は全国でどのくらいあるか知りませんが、私の質問の中に、あとでこれと関連した問題が出てくるわけですが、これの指導については十分留意をしてやってもらいたいと思うのです。 そこで三条の七項で水道施設というものが「建築物に設けられたものを除く。」こうなっておるのですね。この建築物に設けられたものとは一体、どういうものなのか、これを一つお教え願いたい。
○楠本政府委員 この建築物に設けられたものは専用水道でございまして、たとえば今後公団住宅その他大きなアパート等が建設されます。この場合に水道施設の専用水道のうちの配水施設、つまり配水管については、工事の実態により建築工事と同時に施工されていくのが通例でございます。従いましてこれらの点につきましてはそれぞれ専門技術者も当ることでございますので、一応専用水道のうち特に配水施設については、これはこの法律の対象としなかったわけでございます。しからばどこに規制があるかと申しますと、これは建築基準法にその規制がごいまして、建築工事と総合してこれらの規制をいたしておる次第でございます。
○滝井委員 そうしますと一般の水道においては配水施設というものが入るけれども、専用水道の場合で特別な公団住宅等はすでにその建築の過程において配水施設というものを建築物の中で作ってしまうので、従って厚生省としては監督が行き届かない、むしろそれは建築基準法の規制のもとに置く方が行政上いいから建築物に設けられるものを除く、こういうことですね。
○楠本政府委員 その辺りでございます。しかし浄水施設等につきましては、これはきわめて重要な部分でございますので、専用水道といえども、あるいは建築物に付随いたしておりましても、この水道法によって規制を受けるわけでございます。
○滝井委員 どうも私水道の専門家でないので、それぞれの用語の使い方がよくわからないのですが、給水の施設とあるわけですね。この給水の施設というものはどういうものなんですか。
○楠本政府委員 給水施設とは道路の下をもぐりまして、配水管は市町村寺水道事業者がこれを引くのが通例でございます。しかしながら道路の下の配水管から次に家庭に引き込みまする引込線は、これは特に給水装置の名のもとに、この法律に規制をいたしておる次第でございます。と申しますのは、家庭への引込線につきましてはいろいろ家庭の好みもあり、そのときの事情もあり、いろいろな点がございますので、これらは特に給水装置として別に考えておる次第でございます。
○滝井委員 そうしますと、道路の下に敷設しておる鉄管か給水施設になるわけですね。この給水施設から給水装置ということですね。その次の第八項では「給水装置とは、需要者に水を供給するために水道事業者の施設した配水管から分岐して設けられた給水管及びこれに直結する給水用具をいう。」こういうことにたっておる。従って道路の下をずっと通っておるものについてはこれは給水施設、それから今度はこの給水施設から具体的に各家庭なり水道を必要とする場所に持っていかれるその管と、それから直結する給水の用具が給水装置、こういう工合になるのですか。それとも給水施設というものの中には給水用具及び給水装置まで含まれるものなのですか。
○楠本政府委員 あるいは言葉が誤まっておったかもしれませんけれども、水道事業者が道路の下等をその責において配管いたしますのは配水管でございまして、配水施設でございます。そこから今度は分岐いたしまして家庭給水をいたしますものが給水装置でございまして、給水装置のうちにはきわめて細い管とそれからカランその他の給水用具が含まれておるわけございます。
○滝井委員 どうもちょっとわからぬようになりましたが、水道施設というものの中には給水装置というものは入らないわけですね。
○楠本政府委員 御指摘の通りでございます。
○滝井委員 大きいところだけわかっておけばいいのです。 六条の力から先にいきたいと思いますが、六条の二項を見てみますと「市町村以外の者は、給水しようとする区域をその区域に含む市町村の同意を得なければ、前項の認可を受けることができない。」こうなっておるわけです。また六条の一項では「水道事業を経営しようとする者は、厚生大臣の認可を受けなければならない。」わけです。そこでこれは非常に具体的な問題になりますが、現在炭田地帯においてはいわゆる鉱害水道というものがあるわけです。この鉱害水道というものを石炭の合理化法にかかって炭鉱がやめます。そうしますとその鉱害水道というものは、炭鉱が合理化にかかってやめるということによって水が出ないとするならば一応残さなければならぬことになるだろうと思います。その場合にこれはこういうことになるかというと、通産省の見解では、鉱害復旧事業団がその事業を引き継ぐことになるわけです。通産省の見解は一応そういうことになっておる。合理化にかかった場合もそういうことになるでしょう。廃坑になった場合はどうなるか、これはおそらくその鉱業権者が見なければならぬことになる、だろうと思うのです。そういう場合これは具体的にいうとなかなかむずかしいケースになるのですが、水道事業の認可権を持ておられる厚生大臣の態度というものは、そういう場合には一体、どういう工合な態度で出てくることになるか。
○楠本政府委員 第六条の二項の規定は、これはいわゆる公営優先主義をとっている一つの現われでございます。従いましてその市町村の同意かなければ市町村以外のものが経営はできないことになっておるわけであります。ところでただいま御指摘のように現在すでに市町村以外の、たとえば炭鉱経営者の行なっておる一部区域に給水している水道があるというような場合には、これは今お話のありましたように、場合によりまして水道事東国というものを設けてこれでカバーしていく、この場合には国の助成金が出ることになっております。一方当然これは市町村以外のものでも、当初始めるときには認可を受けた水道でございます。そのときには必ず認可の条件といたしましては、みだりに自分勝手に給水をやるとか、その事業をやるということはできないという条件が加わっております。そこでさらに一方買収規定等も、現行法にもあるいはこの今回の法律にもございます。これらの場合にはそれぞれ話し合いによりまして、その条件に基きまして買収なら買収、あるいはさらに事業団を作る、あるいは他に別個の事業体を作るのだというような方法によりまして、現在の給水を受けている住民に迷惑をかけぬようにいたすわけでございます。従来ともこれらの問題はそのように取り扱っております、今後も支障はないものと考えております。
○滝井委員 言葉の上ではそういうことが言えるかと思います。しかし炭鉱かやめる場合が一番端的にこういう問題の説明を具体的にしてくれると思いますので、炭鉱が廃坑になった、こういう場合を考えてみますと、炭鉱が廃鉱になるという事態か起ってくるとどういうことになるかというと、その地帯はカンコ鳥の鳴く状態になって、だれも人かいなくなってしまう。残るものは鉱害を受けたその部落なり村なり町が残っていくわけです。そうすると、いわゆる鉱業権者はどこかへ行っていなくなってしまう。今まで受けておりた給水というものはやってくれ手かいなくなる。そうしますと、これはこの法律の十一条によって「水道事業者は、給水を開始した後においては、厚生大臣の許可を受けなければ、その事業の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。」こうなっておるわけです。これは炭鉱がやめて、いわば鉱業権者が没落してしまうわけですね。そういう場合に厚生省が待ったと言ったところでどうにもならぬのじゃないかと思うのですが、こういう場合に何か具体的にとめる方法があるのかどうかということ、具体的に、住民に水道をやれといっても、水道をやらせるためにはそれだけの経費が要る。ところが実際に経費といっても何もありません。こういうような場合にはその水道というものは一体どうなるのかということです。
○楠本政府委員 現在私どもは市町村以外のものが経営して、いろいろな不安その他の構造上の問題等があります場合には、できるだけ買収を市町村側がすることを奨励をいたしております。現にその場合買収に対する経費は優先的に資金を見ておる次第でございます。従いましてただいまの御指摘のような場合がありまして、一部町村民に炭鉱が休止したために迷惑をかける場合には、われわれの方は率先いたしましてこれに資金を与え、そして買収の交渉をさせたい、かように考えておる次第でございます。現に今までも炭鉱地帯等で買収を奨励し、そのように実施したものもございます。なお大規模のものにつきましては他の炭鉱水道との均衡もございますので、これを事業団を設立さしていきたいということでございます。
○滝井委員 ちょっと前段を聞き落しましたが、そういう廃鉱になったような鉱害水道給水地帯に対しては、できるだけ市町村をして買収せしめるように慫慂をするのですか。
○楠本政府委員 その通りでございます。
○滝井委員 そういたしますと、これはなかなか市町村財政等が貧困な現在、全部その金を国が見てくれるということならこれは問題ないと思う。いずれこれは起債になるだろうと思うのです。それからそういう買収の場合に、この法律における簡易水道の補助金というものがつくことになるのかどうか。
○楠本政府委員 従来買収の場合には全額の融資をあっせんいたしております。従いまして融資でございますから、極端に疲弊した町村等では確かに迷惑もかかろうかと存じますが、従来は大体これで話が済んでおります。なおこの炭鉱の要員だけに給水いたしておりますいわゆる専用水道につきましては、おそらくこれは廃鉱と同時にそれらの職員もいなくなりますので、これはまあ問題がないのじゃないか、かように考えます。
○滝井委員 問題はその専用水道ならば問題はないと思うのです。ところがその専用水道というものを同時に鉱害地にも配水しておるわけなのです。そうしますと、その場合にその鉱害水道というものは一体この水道法の名称からいって、水道事業になるのか、簡易水道になるのか、それとも水道用水供給事業になるのか、あるいは専用水道になるのか、一体どれに属することになるのですか。
○楠本政府委員 専用水道として炭鉱が布設をいたしましたものが、だんだん炭鉱要員以外にも人口が増してきまして、一部他の者が給水を受けるというような事例は、御指摘のようにたくさんございます。この場合には一体どちらの水道になるのかということでございますが、これは実情で判断する以外にないのでございまして、きわめて一部の者が炭鉱関係者以外の者として給水を受けているというような場合には、従来通りこれは専用水道として扱っております。しかしたとえば大牟田の一部等には、かなり一般市民に水道を供給している水道事業もございますが、これらはかつては専用水道のものが、現在ではこれはりっぱな水道事業者となっておるのでおりまして、これはそれぞれの実情に応じて判断すべきものだと存じます。
○滝井委員 こういう特殊の住民に供給する目的で当初作ったその専用水道というものが、後には鉱害地の住民に同時にその水を分たなければならない、鉱害地に分つ水の量と、それから専用水道として当初作ったときの人口に対する給水重というものがほとんど同じになってしまった、こういうような場合に、一体その水道というものがこの法律における水道事業に属するのか、簡易水道に属するのか、あるいは専用水道に属するのかというこの認定の仕方は、これは水道事業の経営に非常に重大な影響を及ぼしてくるわけです。と申しますのは、施設の基準とか、あるいはもしこれが水道事業であるならば、厚生大臣の認可を必要とするし、専用水道ならば都道府県知事の確認でいい、こういうふうに違ってくるわけですね。従って何かそこに、そういう水道というものは現実にあるのですから、この法律が出たならばすぐにそれらのものは、やはり経過規定もあるでしょうが、体制を整えなければならぬと思うのです。そういう場合に、やはり具体的にこういう基準をもって水道の格づけをやるのだという一応の基準を示してもらわないと、これはなかなか困ることだと思う。ケース・バイ・ケースで、そのときどきで行きますといっても、なかなか工合が悪いところがあると思う。そういう何か基準らしきものがあれば、御説明願っておきたい。
○楠本政府委員 まことにごもっともな点でございます。と申しますのは、現行の水道条例におきましては、専用水道の規格は何らございません。従って一般行政指導でこれを実施しているというような状況でございます。従ってこれらがしばしば問題を惹起する原因ともなりましたので、今回は特に専用水道というものを設けまして、しかも確認の措置をとってその間近いなきを期していきたいと存じます。そこで問題となります従来専用水道として始めたものが、だんだん町が発展し、一般水道の形式を得てきたというようなものには、当然これは水道事業者としての認可を得なければならぬわけでございます。また現在できております専用水道も、当然この法律による専用水道の規制を受けることになる、まあ経過規定は別でございます。その場合一体どういう水道になるかというわけでございますが、もちろんこれは一般水道事業として人口が五千人以上の場合にはこれは一般水道の規制を受ける、それから五千人以下でありますれば、これは簡易水道として扱っていくことになるわけでございます。ただどの程度まで一般住民に給水したらこれが専用水道から一般水道の水道事業になるかという御質疑でございますが、この点は基準を定めるというよりは、やはり私どもとしてはその実態からながめまして、今後もだんだん一般給水者がふえるというような見通しがあれば、きわめて少数であってもこれは直ちに一般水道の規制を受けるのか当然だと思います。また一部炭鉱関係者以外の者か受けておりましても、もうここらが限度だろうと思って、しかもその施設構造等を見ましてこれなら間違いないというようなときには、そのまま専用水道で参りたいと思います。人口の配分で基準化することはむしろ実情に合わない場合が出てくるのではないか、かように考えておる次第でございます。
○滝井委員 問題は、今専用水道でいろいろ御説明がございましたが、専用水道の範囲というものをどういうところで線を引くかということなんです。「この法律において「専用水道」とは、宙宿舎、社宅、療養所等における自家用の水道その他水道事業の用に供する水道以外の水道であって、百人をこえる者にその居住に必要な水を供給するものをいう。」こうなっておるわけです。まずはっきりしてくることは、寄宿舎とか社宅とか、これは今言った炭鉱の社宅なんかの例か出てきますが、「療養所等における自家用の水道」、そうしますと、最近公営住宅、あるいは住宅公団等がたくさんのアパート式住宅を建てているわけです。そうしますと、大金持ちが土地を持っておると、そういうものを誘致して、私の方で水道をつけてやりましょう、こういうことで地主の方から水道をつけて、そうしてそこらの公営住宅や公団住宅、公庫住宅に水を引いてやった、こういうような場合にはこれは専用水道にはならぬですね。そうするとそういう事業は一体何になるのですか。人口はおそらく五千人以下です。そうすると、これは簡易水道になるかというと簡易水道でもないような感じがするのです。そういうように一体専用水道というものの範囲といいますか——今炭鉱の例を申しましたが、具体的にそういうものがだんだん私の郷里で出てくる可能性があるから聞いてみたのですが、どうも明白でないので、今のようなことが、今度は都市の方の例で言っておるわけなんです。
○楠本政府委員 くどいようでございますが、水道事業とは、一般の需要に応じて水を供給する事業でございまして、そのうちに市町村営の公営のものと、それから個人営というか、民間営のものとがあるわけでございます。一方専用水道とは、これはもっぱら自家用が目的でございまして、自家用以外のものは専用水道には入りません。そこで御指摘のように、最近よく土地会社等におきまして土地を開発する場合に、まず水道を引いて、そうして一般の住宅その他アパート等を建てていくという点がございますが、それは御指摘の通りであります。この場合はあくまで一般需要に応ずるのが目的でございますから、これは水道事業でございまして、専用水道ではございません。その場合当然先ほども第六条の規定によりまして、土地会社がかようなことをやろうという場合には、その区域の市町村長の許可を受けなければならぬわけでございます。同意を得なければならぬわけでございます。そうして同意を得て実施をいたしますれば、これが民営の水道となるわけでございます。その場合民営の水道といえどもやはり百人以上でありますから、それが五千人以下の給水を目途としておれば簡易水道、それ以上であればそれ以外の水道ということになります。ただこの場合は、五千人以下の場合でありましても、民営のものにつきましては補助金等が支出されないというだけのことでございます。
○滝井委員 それならば、この前簡易水道法を審議するときに、生活協同組合の問題が一応出ましたが、生活協同組合が自分の組合員に対して水を供給するために水道事業をやった、これは専用水道になるのですか。
○楠本政府委員 現在生協あるいは農協等がかなり水道事業をいたしておりますが、これらは私どもはむしろ一般水道である水道事業であるというふうに考えております。専用水道ではない、というのはそこに住んでおります一般の需要に応じて水を供給するという建前からそのように考えておる次第であります。
○滝井委員 一般の需要に応じてということでなくて、ちょうど生活協同組合が自分の組合員に安い物資を提供するように、低廉豊富な水を供給する、こういうことになると、これはアウトサイダーにやるわけではないのですから、組合員だけにやるのですから、これは専用水道にならぬのですか。
○楠本政府委員 専用水道とは、先ほども申しました自家用の趣旨でございます。そこで農協あるいは全協等が行なっております水道事業は、自家用というよりもやはり一般の需要に応ずる、たまたまその一般の需要が組合員であったというだけのことでございまして、私どもの扱いとしては一般事業の扱いをすることが正しいのではないかという見解を持っております。
○滝井委員 どうも生活協同組合がその組合員だけに供給する水というものが一般の需要に応ずるということになると、その理論を推し進めていくと、組合員とアウトサイダーの関係というものが他の物資においては、明らかに 組合員には安くやっている。従って生活協同組合のものとして法人税その他特別の待遇を受ける。水については豊富低廉な水を組合員に供給することが一般水道だということになると、どうも生活協同組合あたりを規定する理論的な筋というものか合わない感じがするのです。水だけ違うというのはおかしいと思う。
○楠本政府委員 この点は私どもはかように考えております。生協、農協等が水道を作ります場合には、おそらく出資金というものがあろうかと思います。従ってその出資をした方々に対しては、もちろん豊富低廉に一般に安く水道が供給されるものと思います。しかしその個々の人たちはあくまでその地域に住む一般の対象でございます。ところがその後またそこのアウトサイダーと申しましょうか、出資をしない人たちがぜひ一つ水を引いてくれというときには、水道料金において差等をつけるのが水道料金の当然とるべき格好じゃないか、かように考えておる次第であります。
○滝井委員 員外者に水を供給する場合には、その水道料金を高くとればよいということでございますが、そうしますと、これはまたあとで料金のところで質問したいと思いますが、そうするとこれは一般の需要というものに段階があることになる、差別待遇ができるわけです。そうすると、ますます水道事業というものは、一般の需要において少くとも料金というものを公営にして供給することが建前だと思うのです。ある特定の人には水を高く売り、ある特定の人には安く売るということは、それは距離その他の関係があるならば別であるが、一つの地区の住民に料金に甲乙をつけて供給してもよろしいということになると、これはやはり問題が出てくるのではないでしょうか。
○楠本政府委員 生協、農協等の私営水道につきましては、これは出資するかしないかによって料金に差等が出てくるのは当然かと思います。なおそのような私営の水道につきましては、水道料金はいつの場合にも認可制をとっておりますので、著しくその地方の方々の生活を脅かすような料金は出てこないものと確信をいたしております。 〔野澤委員長代理退席、委員長着席〕
○滝井委員 大して実益のない議論ですから、専用水道の範囲については一応そのくらいにしておきます。 八条の一項の二号を見ますと、「当該水道事業の計画が確実かつ合理的であること。」こういうきわめて抽象的な表現か用いられておるのです。いやしくも水道事業をやるからには、当然専門の技術者が設計をしてやっておるのだろうと思うのですが、こういう「確実かつ合理的であること」というようなことはどういうことになるのですか。
○楠本政府委員 今回の御審議いただいております水道法案は、単に工事が完全であれば差しつかえないというような警察許可的の事業ではございませんで、これは水道事業そのものとしてのいわゆる公企業を意味しておるわけでございます。従いまして、この計画が確実かつ合理化というような意味の中には、水道料金というようなものの範囲で果して将来りっぱに運営していけるかどうか、そういう計画性を持っておるかどうか、あるいは水の合理的な利用から考えてこれが最も合理的な給水計画あるいは地域の設定であるかどうかというようなことを見るわけでございます。さらにまたこまかい点になりますが、水利権との問題あるいは水量、水質あるいはその構造、設備というふうに、従来警察許可的に考えておりました点も当然含まれるわけでございます。
○滝井委員 どうも少し今の御答弁ではわかりかねますが、八条の一項の六号をごらんになると「地方公共団体以外の者の申請に係る水道事業にあっては、当該事業を遂行するに足りる経理的基礎があること。」こうなっておるのです。実はさきに私は炭鉱のことを持ち出しましたが、これは小さな炭鉱が、いわゆる租鉱権者というものが簡易水道をやる。当然これは許可を受けなければならぬ。その場合に、その計画が確実かつ合理的であるということは、今あなたの御説明にもありましたように、単なる警察許可的なものじゃない。設備のりっぱであるというだけでなくして、そこに水道料金なり——鉱害の場合は無料なんですが、水道料金なりあるいは給水計画というものを十分考えなければならぬ、こういうことになる。ところが炭鉱地帯における鉱害水道なんというものは、まず第一に炭鉱の経済的な基礎というものが確実でないならば、炭鉱を経営するものの資力がなければ炭鉱の施業案というものは許可にならぬというものじゃない。これは鉱区を持って、そうして施業案というものが出てくれば通産局は許可してしまう。そうすると、経済的な基礎というものはまるきり何でもないのです。ところが炭を掘った、鉱害が起った、住民の不平が出る、簡易水道を作る、こういう形は経済的な基礎がまず全くありません。経済的な基礎がないばかりでなくて、給水の計画なんというものは、たんぼのまん中に井戸みたいなのを掘って地下水をくみ上げるだけなんです。こういう姿というものは、この八条の認可の基準からいえば、全く計画は合理的でもなければ、経済的な基礎もないというものなんですよ。ところがこれは経済的な基礎があろうとなかろうと、合理的であろうとなかろうと、とにかく水が出さえすれば、その水をくみ上げて住民に供給しなければ、そこらあたりに水はないのですから処置がない、こういうことなんです。そうしますと、これはこの八条の認可基準からいえばその水道の許可はできない、こういうことになる。こういう矛盾が実は起ってくるんです。そこで私がさいぜん言ったのは、そういうことが最も端的に現われるのが、まず百人以下くらいのところでそういうことがほとんど無政府状態で行われていく、しかしそういう段階を少し引き上げて簡易水道というような形を考えても、今言った炭鉱地帯にはこの八条の認可基準の重要な経済的基礎とか、あるいは水道事業の基本的な計画という点について大きな欠陥のあるものが出てくる可能性が十分ある。そういう場合の認可の基準というものは一体どういうことになるのですか。
○楠本政府委員 ここに書いてあります第六号は、いわば市町村以外のものが経営するいわゆる水道会社という趣旨でございます。従いまして、市町村はつぶれたりなんかする心配はございませんけれども、会社の場合にはえてつぶれるというような心配もございますので、経理的基礎ということを特にここにうたったわけでございます。そこで、そのきわめて特殊な例といたしまして、今御指摘のような炭鉱の場合が出て参ります。なるほど炭鉱が専用水道兼一般にも給水するというような場合にはそういう場合がございます。なるほどこれは炭鉱事業そのものがどれだけの経理的基礎を持っておるかということには疑問のある場合もございます。従って私どもは従前からかような場合にはぜひ炭鉱同士が地元とも協力をして事業団を作って、そうして確実な水道経営をやるように指導をいたしております。指導ばかりではなく、これに対しては相当な国の補助も現在私の手元で出しておるわけでございまして、今後はできるだけこれは地元が協力いたしまして、水道事業団の形をとって進んで参りたい、かように考えておる次第であります。
○滝井委員 そうしますと、そういう経済的な基礎が薄弱であり、合理的な計画というものがないというような場合には、地元というのは市町村なんですね、市町村と、その炭鉱ならば炭鉱という特定の水道事業を経営するものが一緒になって事業団をやる。これも私は一つ考え得る点だと思います。しかし実際問題として、鉱害水道なんというものに市町村が一枚加わって金を出すなどということは絶対やらないのです。それは市町村というものは、これはいずれあす御質問いたしますが、鉱害によって非常に多くの財政支出をやっておる。もちろん鉱産税その他があがって市町村の財政というものは相当潤いますが、しかし実質的な鉱害による財政支出というものも、また鉱害税の歳入をときには上回るという状態さえあり得るわけです。それは失業その他生活保護関係が炭鉱の不況のためにたくさん出てくる場合がある。従って事業団を作るのも私の質問に対する一つの御答弁ではあり得るわけですしかしそれは非常に珍しいケースであって、一般的の場合としてはそうではない。そういうような場合に、一体経済的基礎というものの確認をどういう工合にやり、そうして合理的な計画というようなものをどういう工合に見ていくのか。それがよし確実に把握できても、そういう場合に許可しないというわけにはいかない。そうしますと、この水道法案であなた方が期待しておる技術や水準というものより下回った水道というものをやむなく認めなければならぬという事態が起るということなんです。そういう水道の取扱いを何か考慮する方法があるのかないのかということなんです。
○楠本政府委員 その場合きわめて小さな鉱害の範囲でございまして、その給水人口が百人にも満たないという場合がかりにあったとすれば、御指摘のようなものができないということは、これは行政指導でございますから断言できません。しかし実際問題として鉱害地帯にわずか百人で住むというものは御承知の通り現実的にはございません。そこで百人以上のものを勝手に作ることは違法でございまして、これは後ほど罰則も出て参りますのでできないことになっております。従いまして従来はかような点が明らかでなかったためにいろいろ問題かあったかに聞いておりますけれども、これからはこれで水道事業団の事業もおそらく進むだろうと存じます。一方水道事業団を作ります場合に地元と協力する。地元は金を出さなければならない。それならばこそその場合に国から補助金も支出いたしますし、なおまた市町村の持ち分に対しましては全額国から融資をするというような方法をとって進んでおるわけでございます。
○滝井委員 百人以下の場合は大して問題はないでしょう。問題はやはり百人以上の場合に、今私が述べるようにとにかくこの水道法の基準に当てはまらないものが出てくるということなのです。簡単な質問に要約すればその場合に許可するかしないかということなのです。
○楠本政府委員 百人以上の水道でございまして、この水道法案の基準に合わないものは認可にはなりません。
○滝井委員 認可にならないということになると、その地区の住民に水を供給することができないという一つの矛盾が出てくるわけです。これを一体どう処置するか。今楠本部長は簡単に認可いたしませんとおっしゃった。じゃ今北九州の炭田地帯における簡易水道を一つごらんになってみればいい。炭鉱が作っておる。今からだんだん田植えどきになります。付近は一面水田ですが、その水田のまん中に大きな井戸を握っておるのです。そこから水を上げて住民に供給しておる。住民にも供給するが、同時に炭鉱自体の社宅の炭鉱労働者諸君にも供給しておるわけなのです。すなわち専用水道であるが同時に鉱害水道である。こういうものはざらです。そうするとこの基準によってまず経済的な基礎を見ていくと、これは実にあわれな、合理化法に今からかけようかかけまいかというような炭鉱です。今石炭のブームに乗っておるからちょっと息をついておりますが、こういうものが多いのです。同時に今度はその計画なんというものも、そういうことを言ってはなんですが、鉄管なんかも坑内の排水に使うものを代用しておるというような全くここにいう水道施設、給水装置というような定義をつけていくほどのものでも何でもないのです。そうしますと今言ったように許可にならぬということになると、そこの住民はどうにもならぬ。従ってそういうものについては許可はしてはいけないけれども、しかし現実にそういうものがあるという段階において、それをどうするかということなのです。
○楠本政府委員 現在北九州等における炭鉱地帯におきます水道につきましては御指摘の通りのでございます。と申しますのは現在これらはすべて専用水道から発達したものでございます。ところが現行法におきましては専用水道は全く何ら規制する方法がなかったためにかような結果になった次第でございます。それが発達して一部の住民にも給水するような段階になっております。これは明らかに現行法の欠陥だと存じております。そこで今回はこれらの点を整然とさせるために、あらためて水道法案というものの御審議を願っている趣旨だと存じておりますが、その場合現に水道を使用している者がこの水道法の公布ともに使えなくなるかという御質疑でありますが、この点にはついては経過規定がございまして、その経過規定の範囲内におきましてこれを改善する。あるいはさらにこの改善命令その他いろいろなものが出ておりますので、この点は今後はだいぶ話が違ってくるのではないかと思います。なおこの場合に、私どもとしては、できるだけ実情に応じまして市町村の買収あるいは水道事業団の設立等を今後この水道法の公布と同時に指導して参りたいと思っております。なお一方資料も差し上げてございますけれども、従来水道でいろいろ伝染病の発生、流行等の事故を起しているものもございます。これらはすべてただいま御指摘のような専用水道から発達した炭鉱地帯の水道等にほとんど限られているといっても過言ではありませんので、それらの点は、今後一そう意を新たにして水道法の公布とともに十分な指導をいたして参りたいと考えております。
○滝井委員 今御質問いたしました点はなお氷解いしませんが、問題の起ったときに個人的に御質問申し上げることにして、次の第十四条四項における料金の問題に移ります。「厚生大臣は、前項の認可の申請が次の各号に適合していると認めるときは、その認可を与えなければならない。一 料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。二 料金が、定率又は定額をもって明確に定められていること。」こうなっているわけです。いわば原価方式をとっているわけです。大臣が認可を与えるときには料金のきめ方について調査することになるわけですが、一体どういう基準によって水道の料金が決定をせられるのか、これを一つお示し願いたい。
○楠本政府委員 水道料金は維持管理の経費と投下資金に対する還元の二つから考えられます。これはきわめて機械的に計算のできる数字であります。その場合営利事業でありませんので、これらの原価から計算いたしまして著しく妥当を欠くと思われるようなものは、認可をしないことになりますが、逆にいえば妥当のは認可をする。一方きわめて高いと思われるものにつきましては、おそらくその計画に何らか合理的な内容を欠くところがございますので、それらの点は計画全体を合理化するように指導しなければならぬと考えております。
○滝井委員 実は現在非常に工業の発展している地域は、地下水のくみ上げ、上流の森林地帯の伐採等のために全然水がない。従って給水源をはるかかなたに求めなければならぬということになりますと、導水管と申しますか、途中の鉄管の配置、こういうものが非常に長くなる。そうして同時に水源地帯から水をもらうについて水利権者との間に非常に複雑な関係がふって莫大な金を要した。工業が発展をすればするほど工業地帯は水利権との複雑な関係が出て莫大な金を払っておったわけだ。そうすると能率的な経営ではなくなるわけです。これは原価計算でいくことになるわけでしょうが、相当高い水道料金にならざるを得ないでしょう。さいぜん炭鉱地帯のことを言いましたが、小熊氏の説明でこれは特に北九州の水不足を考慮して工業用水に補助金を出したのだ、いわばテスト・ケースであるということをおっしゃった。これはテスト・ケースにならなければならぬほど北九州は水がないのですね。従って、これは投下した資本から見れば適正なものかもしれぬが、水道事業そのものの経営から見れば、これはきわめて非能率的な、採算に合わない経営をしなければならぬことになるわけなのですよ。なぜならば、住民から莫大な金を取り上げるのでは住民が負担にたえ得ない。従って国の補助を受けて水道の布設なり拡張をやらなければならぬ、こういうことになってくるわけです。従って、この「料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし」というような、これは文句にしてはなかなかうまい文句だと思うのですが、この料金の決定というものは、今あなたは維持管理的な経費と投下資本とから機械的に出てくるとおっしゃっていたけれども、私はそうそう簡単にいかぬのじゃないかという気がするのですが、そう簡単にいくものなのですか。
○楠本政府委員 御指摘のように、最近水資源がきわめて複雑になっております。そのために水源をかなり遠くにとらなければならぬというような事例もございます。かような場合には、合理的と申しますのはおそらくその最後の村に到達するまでにいろいろな部落集団等がありまして、その間を導水管が通ってくる結果になろうかと存じます。従ってさような場合には、特定な部落にだけ給水せずに総合的な給水計画を立てて、つまり給水人口をできるだけ多くして水道事業を計画することがその場合は合理的だと私は考えます。 なおこれを極端に申し上げますと、さらに広い視野から水資源を利用するという考え方から、今回の法律におきましては一般の水道事業者のほかに特に水道用水供給事業というものを規定いたしまして、これらはりっぱな水源から相当な金をかけて原水、水道用水だけを供給するというような制度を設けましたのも、ただいま御指摘のような点がだんだんはなはだしくなってくるからにほかならぬわけでございます。
○滝井委員 その問題については水利権との関係がありますので、あすもう少し掘り下げた質問をさせていただきたいと思います。 そこで次に移りますが、さいぜんなり、前々回ごろから八田さんが水道技術者の問題あるいは水道技術管理者の問題等を御質問になっておりました。その点についてここで一、二点お聞かせ願いたいと思うのでございます。 水道の技術関係は、布設工事の監督ということで十二条関係にちょっと用語が出ております。それから十九条には水道技術管理者という形で出ておるわけでございますが、この資格要件ということを政令できめることになっておるのですけれどもこれはさいぜん八田さんの御質問に対する説明で両者はほとんどその資格要件は同じだという御説明がありました。その場合に、十九条をごらんになると、この水道事業者というものが水道技術管理者になることができるわけなんです。同時にまたこの水道技術管理者は水道の布設工事の監督をやる水道技術者でもあり得るわけですね。そうすると、三つの人格を一人の人間が同時に備え得るのかどうかということです。
○楠本政府委員 これらはその実態によって違って参りましたが、ある市にかような政令できめる資格を持った水道技術責任者がおった場合に、その人は常時の管理責任者にもなれますが、同時にその水道をさらに拡張工肝でもしようというときには工事の監督者にもなり得るわけであります。一向差しつかえなかろうかと存じております。
○滝井委員 そうしますと、出でては技術者となり入っては管理者となる、また総括的なその事業の責任者である水道事業者ともなる、こう理解して差しつかえありませんか。
○楠本政府委員 ちょっと訂正をいたします。同じ資格でございますが、医学、薬学その他を終えましてある一定の年限、経験を持った者は管理者になれますが、政令の内容から見まして、かような管理者は管理者にはなれるが、工事の監督者にはなれない、ただ土木関係あるいは衛生関係等の出身の管理軒は監督者にもなれる、こういうふうに訂正をさせ、いただきます。
○滝井委員 私さいぜん八田さんに対する御説明を聞いておってどうも少しおかしいなと思ったので実は今の質問をしたのです。どうも医学や衛生工学ですかそういうものとはちょっと違う感じがしたので御質問、したわけですが、よくわかりました。 そこで問題は、小規模水道は都道府県知事の確認制をとっておるわけですがそうしますと、現在人口十万くらいの市でも水道技術の専門家というのは一人おるかおらぬというところなんですね。県においても水道技術の専用家と今御説明になりました工学をやりあるいは衛生工学、土木工学ですか、そういうものをやった人はきわめて少い。そうしますと、今後この法律ができて殺到してくるのはおそらくやはり小規模水道ですね。大規模水道はなかなか莫大な資本を要しますし、これは市町村がそうそうやれるものではありません。とすると、現在の市町村の今後建設せられるであろう小規模水道の増加の傾向にかんがみて、都道府県の予算や機構あるいは人的整備の状態、こういうものが何かこの法律によって促進される形を作らないと、水道法というこのりっぱな法律ができても画龍点睛を欠くきらいができるのじゃないか。たとえば科学技術庁というものができた。ところが科学技術庁というものは手足を持たない。従ってレントゲンというものを科学技術庁の所管にしたいのは山々であるけれども、保健所のような機構を下に持たないので手も足も出ないという実態がある。それと同じような形で水道法というものができたけれども、そして今後小規模水道が増加する趨勢にあるけれども、実質的にその水道事業の布設の設計その他の十分な監督というものができるだけの、さいぜん申しますように予算上や府県の機構あるいは人的な整備、こういうようなものができておるかどうかということです。
○楠本政府委員 この点は全くごもっともな御指摘でございまして、現在各府県におきましても、この種の技術要員というものはきわめて技術的にも貧困でございます。また数の上からも乏しいのでございます。従って私どもといたしましては、かねて教科書を作るなりあるいは基準を明らかに設けていくなり、あるいはたびたび講習会等を中央地方等で行うというようなさまざまのことをして、技術の向上をはかっておる次第でございます。なお一方現在保健所の職員の数を増すということはきわめて困難な実情でもございますので、部内のやりくり等を行いしまして、できるだけ他の職員の適任者をもって水道の技術者として養成するよう地方を指導しておるわけでございます。しかしこれは何分にも現在の予算の範囲内あるいは現在の職員数の範囲内でございます。今後私どもとしては、一層これらの技術力の向上、要員の確保に努めて参りたいと考えております。
○滝井委員 この水道の認可の申請、認可の基準、こういうところを見てみますと、どこにも具体的な設計を詳しく出さなければならぬというようなことはないようでありますね。七条の三項に「第一項の工業設計書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。」こうは書いておりますが、いわゆる純技術的な面ですね、水道の布設工事にかかわる純技術的な面のことは認可の中には何も入っていないようである。これはこの前も多分八田君からも質問があって、あなたは行政指導でそういうものは今後やるのだという御答弁をされておったようです。そうしますと、今小規模水道というものは今後みんな府県に出ていくのですよ。そうすると技術を指導する専門の水道技術者というものが府県にいない段階で、設計、調査というようなものを技術指導するといったって、一人や二人では、特許庁と同じですよ。特許を願い出ても、特許を審査する技術官がいないので、何年分と山と積まっている。こういう事態が人間の生命に関係する重要な水の問題で起るとするならば、事態は重大だと思うのです。従って私はこの法律は、修正するといってもなかなか間に合わぬと思うのですが、やはり都道府県における水道技術者なりその機構を作るような法律上の措置というものをこの法律によって作ってやっておく必要があると思うのです。そうしなければ都道府県はやりませんよ。特にこれは公衆衛生局の所管に今後属するものなんで、いわば予防医学の面なんですよ。そうすると予防医学というものは、殷鑑遠からず、保健所を見たらわかる。保健所における技術的な職員の充足率は六割か七割程度という情ない状態です。そうしますと私は、ほんとうにあなた方が水道法案を出して水道事業を推進せられるとするなら、まずあなた方の足をしっかり大地に踏みしめる姿を作る以外にこれは頭でっかちになりますよ。幽霊になってしまう。そうしますと水道事業というものは、もうすでに補助金が簡易水道だけだと区切られた段階が来ると、ますますその感を深くするのです。私はあなたの決意も聞いておきたいのですが、今度はやむを得ません。しかしやがて次の国会くらいには、水道法の修正案として、政府みずから都道府県における水道行政の機構確立のための何か案文を考えて、修正を出すべきだと私は思うのですが、その点はどうですか。
○楠本政府委員 これは全く御指摘の通りでございまして、実は当初法案の研究過程におきましては、ぜひさような職制と申しましょうか、都道府県の技術力を確立する方法を法文上明らかにいたしたいと存じましたが、予算その他の関係でこれができなかったことはまことに残念でございます。しかし今後水道に限らず、屎尿処理につきましても、特に最近はその技術性が高度化されて参っておりますので、これらのものを含めまして、衛生工学の面の技術的の確立につきましては、十分意を用いて参りたいと存じます。もちろん私どもは、法律改正その他予算的な措置等に今後十分な努力をして、新しい分野である衛生工学の面を確立して参りたいと存じます。 なお第一点の御指摘の、申請書にはこまかい技術的な内容がないではないかというお話でございますが、別にこれは第四条あるいは第五条等で施設基準及び水質基準が定めてございます。これは省令等も含めますと、かなり具体的なものになる見込みでございます。これらの基準に合うか合わないかということを申請書の上で明らかにすることは当然でございます。
○滝井委員 われわれが建築をする場合でも、まず優秀な建築技師に設計というものをしてもらいます。この設計に金を出し惜しんでおりますと、これはとんだビルディングができちゃうのです。従ってやはり設計というものに金をかけさせなければいけない。その設計をやらせるためには優秀な技術者というものを見つけなければならぬわけです。ところがこれはいなかの市町村に行くと、そう水道の優秀な技術者はいません。いいかげんの人がいいかげんな設計をやるといっては語弊がありますが、優秀な者がいないということが現実なんです。そこでりっぱな水道を作るためにはまず調査設計というものが大前提です。従ってそういう者が市町村にいないとするならば、あなた方の行政の少くとも重要な末端をなす府県にやはりあなた方の目の届く職員というものを配置する必要がある。最近あなた方の厚生行政の中にも、社会的福祉関係で今度の予算にもありましたが、たとえば指導課なんかには明かに国の金で職員を配置したわけですね。ああいう形でこの水道のそういう専門的な技術設計について十分指導し、そして勧告なりを与え得るような技術者を、国の金であなた方の手足として二人、三人各都道府県に配置することが私は必要だと思う。そういうことでなければ府県はやりません。それだけの熱意を持ち得るかどうかということなんですね。
○楠本政府委員 これは全く御指摘の通りでございます。従って私どもは昭和三十三年度の予算編成を通じまして、ぜひただいま御指摘のあった点を解決すべく努力をいたしまして、さらにその成立した予算を基礎といたしまして水道法の一部を再び改正していく決心でおります。特に水道に限らず、屎尿処理あるいは塵芥処理等につきましてもなお基本的技術の研究が大切であることは身をもって痛感しておりまして、今後もぜひ一つ新しい事業のために御支援をいただきたいと存ずる次第でございます。
○滝井委員 六時になるそうでございますので、速記にも御迷惑をかけ過ぎるようでございますから、あとはあすさせていただくことにして、きょうはこれでやめます。
○藤本委員長 次会は明十五日午前十時より開会することといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十二分散会