社会労働委員会 第49号
- 発言数
- 39 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1957/05/08
会議録
○藤本委員長 これより会議を開きます。 水道法案を議題とし、審査を進めます。質疑を続行いたします。八田貞義君。
○八田委員 昨日の委員会におきまして水源保護の規定問題につきまして、今度の水道法第二条では単なる訓示規定として消極的な規定にとどまった、このような状態で果して水源の保護が適切にやっていけるかどうか、こういう心配を申し述べたのでありますが、その際水源保護の問題と関連しまして、水質汚濁防止法や河川の治水利水調整法など有効に水源保護をし得られるような立法措置を講ずる必要があるということを申し述べたのでございます。そこで政府当局の方から、これらの問題につきましては目下検討して対策を講じているというようなお話があったのでありますが、わが国の水源保護の問題につきましてWHOのC・Wクラッセン氏が日本の水源状態全部を視察いたしました。そしてその調査結果をWHOにはかってわが政府に勧告をしたはずでございます。それほどさようにわが国としましてはこの公共水の汚濁防止ということは喫緊の問題となっておるわけでございます。C・W・クラッセン氏は日本の公共水汚濁状況を視察した結果を昨年の八月三十日虎ノ門の共済会館における水質汚濁防止連絡協議会において講演されておりますが、この講演の要旨を拝見いたしますと、わが国の今後の水源保護という問題につきまして、汚濁防止法の制定と水質汚濁防止庁の設置ということが非常に大切な問題であるということがわかるのであります。参考までにその講演の要旨を申し述べてみたいと思うのであります。 まずクラッセン氏は八項目にわたって講演をいたしておりますが、その大要を申し述べてみますと、まず第一に日本では水質汚濁が起っているとあらゆる面で言うことができる、今すぐ手を打たねはならぬもの、成長しているもの、あるいは今後問題になるものなど、たとえば魚類から見ると遠賀川と洞海湾はこれらの棲息を許さないほどになっている。農林省の調べによると山口、広島、宮崎などはカキの養殖もできないところも起っている、水産統計で見ると二十七年に二百九十六件、六千五百万円、二十八年三百三十三作、一億四百万円、二十九年七百六件、三億七百万円と件数にして一三%、一一〇・九%、金額にして六〇%、二九%と被害を増していることを証明しておる。農林省の農地の調べによると工業廃液での被害は昭和二十七年度で七が二千四百二十四ヘクタールに達している、上水道の被害は上流で流し下流でこれの浄化に困っているのが随所に見られた、また二つの大きな炭鉱を調査いたしておりますが、洗炭廃水が単に沈澱させただけで遠賀川に放流されていて、データによって調べてみると泥が一年間に五万七千二百トン投棄されていることになる、この数字は控え目と見られ、かりに信用するとしてもひどい数字である、こういうことを第一点としてあげております。 第二点としては、日本の水質汚濁防止の法律が不適当である、これに近い法律、条例はあるが、何ら実際的に防止の効果をあげていないし、施設や処理でも同じである、河川法の十九条に河川の清浄の順もあるが、同じである、従って、国家で水質汚濁防止法を制定すべきだという声を各地で聞いた、こういうことをクラッセン氏は述べております。 さらに日本の工業都市は成長しているので、今まで見たあらゆることを考慮したところ、日本の水質汚濁はますます増大する可能性があり、このままでは国本の水資源を滅ぼしてしまうであろうということが痛感される。 さらに、日本の行政機構の上において、水質汚濁防止については各省の活動が重複して、よけいな金をかけて不必要なことをやって全然効果を上げていない。厚生省は衛生保護だけ、通産省は産業だけ、農林省は魚類、灌漑だけとセクショナリズムだけを固く守っていることをはっきりと感じた。これについては産業界は高い税金が不注意に使われている点に注意を払うべきだと考える。 五番目といたしまして、日本には公共水に関する基本資料がほとんど欠けている。すなわち公共水の水量、水質資料で信頼し得るものが少く、学者よりも民間で作ったものにいいものが多かった。また大学の先生のやるようなアカデミックで不必要なものに力が入れられ、実用的な基本データの防止の研究、保護処理などの公共的データ、必要な研究は至ってなされていない。今後の下水道なども日本では汚水まで処理施設に入れねばならぬ合流式ではなく、汚濁防止の意味からも分流式ではどうかと考えられるし、研究される必要を感じる。 また北海道の石狩川は浅くて急流なので曝気性を多分に持っている点など、実際的で技術的に調べらるべきものである。 以上のような日本の実情からして政府が水資源の有効な活用のために統合された水質汚濁防止法を制定する必要を痛感するのだということをクラッセン氏は述べているのであります。 そこで、さらにクラッセン氏は、かりに水質汚濁防止法を作る場合には、ある程度小さい問題は府県にまかせることも考えられる。しかし県の処置、対策が不完全でなかったなら政府がくちばしを入れる余地を残しておく必要があるように考えられる。法を安全に施行する機関として、各省に属しない、いわば総理府に直属する独自の水質汚濁防止庁を設ける必要がある。そうあった方が実際的だと考える。 最後の結論といたしまして、日本は協力してすみやかに水質汚濁防止法を制定し、水質汚濁防止庁を設けなければならない。そのために各省はセクショナリズムを捨てて水資源のよりよき利用のために協力すべきである。日本の現状ではどれだけ汚染されるかを傍観することは愚の骨頂である、一口も早く実施に移すことが肝要だ、こういうことを昨年の八月三十日の虎ノ門の共済会館において講演いたしておるわけであります。この講演をWHOに持っていって、そうしてわが政府の方にこの公共水の汚濁問題について勧告が来ているはずであります。この点につきまして、いつごろWHOから勧告があって、そして現在どういうふうに処置されておるか、その点についてちょっとお伺いいたしたいと思います。
○楠本政府委員 ただいまお話のございましたような内容が勧告の形で日本政府に参っておることは事実でございまして、来た時期は昨年の暮れと記憶をいたしております。 なおこの問題に関しましては、政府におきましても、先般来るる申し上げておりますように、いろいろな問題を含んでおりますので、私どもの方といたしましては、関係各行の中心となって、いろいろこの勧告に基く処理を進めつつ現在に参っております。目下いろいろ各省の間におきまして話し合いを進めておりますが、大体最近経済企画庁の中に一つ委員会を設けまして、これによってまず各省の意見の調整をはかって出発しようということに相なっております。なおクラッセン氏の勧告にもございましたように、資料の不足の点につきましては、目下関係各省がそれぞれの立場で資料の整理をいたしておる次第でございまして、何分にも広く関係各省にわたりますために、しかもそれぞれの立場が違っておりますために、いろいろ複雑な問題を含んでおりまして、今直ちにこの問題を本格的に解決するという段階には至っておりませんが、ただ厚生省といたしましては、昨日も申し上げましたように、これら水資源保護の一つの有力な中心機関となって、これを推進していきたい、かように現在も考えておる次第であります。
○八田委員 委員長にも申し上げておきますが、先ほど申し上げましたように、水源保護というのは非常に重大な問題でございます。しかもまたWHOからもこの勧告が参っておるのでございまして、ただいま当局の説明によりますると、委員会結成までもまだ至っていない状態でございます。やろうというような計画がある段階でございまして、これは今後日本の水道の普及、産業の発展を考えますると、どうしてもこの委員会において決議一項としても水源法に関する問題を取り上げるべぎだと私は考えるものであります。委員長においてもしかるべく善処されんことを希望するものであります。 それからこの法文の中で十二条の問題でございます。第十二条は、布設工事についての技術者の資格規定を書いてあるわけでありまするが、ここでは条文を拝見しますると、布設工事の監督業務だけが取り上げられておりまして、その基盤となる設計については全く触れられておりません。申し上げるまでもなく、水道の布設に当って一番重大な問題は、基本となる調査と実地設計でございます。学識と経験の豊かなその道のたんのう者でなければその任にたえ得ないのがこの仕事であります。しかるにそのことについてはノー・タッチで、重要ではありまするが、技術的には第二義的な意味しかなく、従来でも多く二、三流の技術者によって行われている工事施行上の監督、多くは現場監督です。これだけを法定したことは本末を転倒しているような盛をまぬがれないのでありますが、この点につきまして厚生当局の御見解をお伺いいたしたと安います。
○楠本政府委員 まことにごともな御指摘でございまして、私どもも工事の現場監督よりもむしろ総合的な調査並びにそれに基く設計ということがきわめて重大だと存じております。しかも現在まで必ずしもこれらの点が十分実施されておらぬことも事実でございます。しかしこの問題につきましては、工事の現場監督よりもさらに一層面皮の技術を必要とする関係から、私どもといたしましては一層高い能力を持った技術者にこれらの設計、調査等に従事してもらいたいのでございまして、従ってこれをこの法律に書きますことは、かえって現状から申しまして高度の技術性が縛られる結果にもなりますので、私どもはこの点は法律にはよらず、もっと指導によりまして、きわめて優秀な高い技術性を持った技術者によって調査、設計が進められますように今後も強力に指導して参りたいと存じます。 なお私どもは一応この法律によりましても、今後も認可あるいは確認の制度をとっております。従ってその間にも十分これらの総合的な設計、調査については指導もできますし、また改むべきは改める機会もございます。また私どもに申請いたします認可書類あるいは確認書類等につきましては、調査、設計の責任者の名称あるいは資格等を十分に書かせることに、これは省令の段階できめて参りたいと思っておりまして、つまり責任者を明らかにして認可あるいは確認の申請をさせる方法をとりたい、これは省令の段階でさような措置を講じたいと、かように考えております。
○八田委員 ただいま、こういった事務を行う者は、政令で定める資格を有する者でなければならぬということで政令でもって定めていくのだという御答弁のようでありますし、さらにまた水道事業というものは認可制であるから、設計内容等を十分に検討して、不適当なものは修正させるから、設計についての設計者の拘束は不必要だ、こういうような意味合いにとれるわけでありまするが、ただ問題は、政令で定めるということになっておりまするが、この点について厚生省の当局でどのようにお考えになっているかお伺いしたいのであります。というのは、時間がありませんから問題をしぼりますが、技術者の資格認定の登録制という問題でございます。水道布設というのは全部といってよいほど直営工事方式がとられておったのでありまするが、戦後の新しい傾向は、多くの技術者を擁する大都市においてさえ相当多くの工事量が請負に付せられております。中小都市の工事に至っては、請負工事が主体となっているような観さえあるのであります。特に数の点では圧倒的に多い簡易水道は、その全部が請負工事でございます。しかも簡易水道建設の場合には、事業主側に現場監督にたえ得る程度の技術者すら持たないのが通例でございます。また一方、工事者には水道の専門技術者を持たない請負業者が少くありません。この態勢において安心できる工事が果して可能であろうかということが心配になってくるのであります。御承知のように流末工事といわれる屋内の給水装置工事またビル内の暖冷房工事をなす衛生工事業者は、それらの工事が建築物の付帯工事として取り扱われ、建築士の下積みとされている現状を打破するため、政府に設備士立法を要望しておるのであります、ところが政府に設備士立法ということについてあまり熱意がないということで、衛生工業協会では設備士の資格認定と資格試験の実施を計画し、すでに一部資格検査を開始して登録準備を進めておるということでございます。流末工事においてさえその必要が痛感されているのに、本体の力の工事において技術上の責任制が全く放任されていてよいはずはありません。国民の保健衛生の安全を守り、不良工事を排撃するため技術者登録制度を確立する必要をお考えになりませんかどうか。
○楠本政府委員 これもまたきわめてごもっともな御指摘でございまして、なるほど現在高度の技術を要する工事であるにもかかわらず技術性の乏しい工事施行者が工事に当っておるという現状が多いのでございます。私どももこれらの点に関しましてはかねていろいろと注意をいたしておりますが、ただ事が請負に関係いたしますために、その辺はきわめて慎重な態度で臨んでおるわけでございます。そこで今後政府といたしましてはこれらの工事施行者の資格については、できるだけ機会をとらえて明らかにして参りたいと思っておりますが、差し当っては補助執行の一つの条件としての基準としてこれら工事施行者の資格をそれぞれ定めて参りたいと考えております。たとえば専門技術者が何人以上なければならない、あるいはこれこれの専門技術者を持っていなければならないというような条件をもってしぼって、これを補助執行の条件としてこれらの間違いなきを期してやっていきたいと思っております。しかし御指摘のように根本的にはやはりこれら衛生工事に関する施工者の資格を明らかにすることが当然必要でございますが、これらの点につきましては今後十分研究いたしたいと存じます。
○亀山委員 関連質問。私は特に八田委員のお許しを得て簡単に当局に御質問申し上げたいと思いますが、今度水道に関する権限が厚生省に一元になって、今度の水道法案が出まして拝見しますと、まことに私どもはけっこうな案であると思います。ただ一点私は遺憾に思っていることがありますのでその点をお伺いしたい。この法案の四十四条の補助規定で二点私が疑問に思いますことは、これは簡易水道事業についてのみの補助を考えておられるようでありますけれども、この法案にあるように簡易水道は五千人以下という給水人口になっております関係上、実情においては、一町村において三千、四千、四千というような三つの部落等でやる、ともに給水源がない、これを共同にするというような場合に、たまたま総人口が五千をこえるという場合には残念ながら補助できないというようなことで非常に不便があるので、私はむしろ簡易水道ということに限定せず、これは予算の範囲内で、しかも政令の範囲において補助をきめるのでありますから、その点できれば、今のような場合、また従来の上水道、簡易水道以外の水道に対しても予算、政令の範囲内においては補助できるというように法文の上はしておかれて、しかる後に予算の折衝において大蔵当局と政令の範囲等については御審議になった方がよいのではないかと思うのですが、それのないことを私どもは非常に遺憾に思うのです。 いま一つは四十四条にはただ「水道の新設に要する費用」とだけあります。ところが四十五条には災害の復旧に要する費用とあります。これは新設だけに限っておられますが、あとの四十五条には災害復旧とありますから、新設または災害復旧としておかれて、ほとんど新設にひとしい災害復旧の場合はやはり補助を出し得るようにされることが穏当だと思う。私ども、これはいろいろ対大蔵省との関係もあるということでありますから、先ほど申し上げたようにいろいろ考えなければならぬが、画龍点睛を欠くのは四十四条だと思う。この二点について当局の御意見を伺いたい。
○楠本政府委員 御指摘のように第四十四条にあります国の補助は、簡易水道に限っております。つまり五千人以下の給水人口に限っております。しかし実情はお申し出の通り五千をこえても補助を必要とするところがございます。現に昭和二十九年三では明治二十一年以来これら五千人以上の水道についても国庫補助が事実上行われておりました。この点が削除となりましてから今に至っております。しかしながら実際川旭としては五千人以上は大体起債財源としてみてやれば、あとは償還が可能であろうという考え方で出発をいたしております。ところがただい左御指摘のようにきわめて小さい部落が寄っておるような場合、これらはたとい全体としては簡易水道の規模を越えても、実情は簡易水道と何ら違いませんので、国庫補助の対象とすることが実情に即した方法だと存じます。この点は私ども大蔵省ともいろいろ折衝を重ねました結果、大蔵省の方ではこれらの点については十分理解を持ち、好意を持って予算執行をする。つまり五千人以上の場合も、特に必要な場合には認めてもよいというような考えで今まで進んで参っております。なお、災害復旧については、従来別に水道条例には補助規定がございませんでしたが、実際上予算措置として二分の一程度の国庫補助を支出して参っております。今後も特に規定しなくても事実上予算措置として災害復旧のための経費を支出していけばよいじゃないかということで大蔵省と話し合いをつけたわけでございます。しかし、どうせやるならば法律で規定してもよいじゃないかという御議論もあろうかと存じますが、一応は財務当局とはさような観点からかような規定になったわけでございます。
○亀山委員 今伺いますと大蔵当局との了解も、簡易水道、いわゆる五千人以下に限定するという場合のみでなく、それ以上のところも考えられるという了解もあるということ、災害復旧についても適当に補助ができるということでありますれば、これこそ明瞭に書いてもらった方がよいと思う。これは水道事業は申すまでもなく、この際私は最も促進すべき問題だと思う。そういう重要な問題であるのに遠慮されて、いかにも簡易水道という法律で限定した範囲内、あるいは災害復旧はそのときの予算の都合によってやるというのじゃなく、はっきりと明示されたらいい。それから水道事業に対しては、地方財政関係等もあって起債という考えもあります。しかしながらやはり気持というのは、この水道中業に対しては国が幾らでも見てやるということ、ことに財務当局の取扱いは、補助がなければ起債というのはなかなかぐずぐず言うのですから、そういう布設者の気持を考えると、ここに明文を持っておられる方が私はいいと思う。同時に将来財政の余裕がつけば、簡易水道に限らず、適当なかりに一万、二万というようなところの給水人口あるいは財政上どうかと思うようなところに対しても補助ができるようにし、この範囲を拡張してもらいたい。そういうようにかりにわれわれが今後国会で皆さんの御了解を得て修正を出したときに、厚生当局はお困りですかどうですか、その点を伺います。
○楠本政府委員 当局といたしましては、むしろ大蔵省との内々の話し合いで参りますよりも、はっきり法律の上に明示された方がより望ましいことは申すまでもございません。ただしかし、この法案を制定するに当りましていろいろ大蔵省とも相談をいたしました結果、一応実際問題として何とか補助金が出せるような取扱いをする、五千人以上の場合でも、特に必要な場合には相談に乗るということになっております。また一方災害復旧につきましては、これは従来通り事実上、予算措置として経典を支出したいということで一応話し合いがまとまっておりますので、私どもとしては、かような四十四条の規定のみをもって満足をいたしたわけでございます。この点はしかしいろいろ御批判のあるところと存じますので、いずれ何なりと御批判をいただきたい、かように考えておる次第であります。
○亀山委員 水道に対しての問題は、私はこれは一つの重要な点だと思います。ことに例をあげれば、今ここにおられます大橋委員の非常な御努力で、離島振興法にも簡易水道等に対しては格別の補助率を考えておられるほど、私は水道というものは重要だと思う。特に五千以下の簡易水道には補助をはっきりしているが、それ以上の水道に対しては、法文の上からいえば全然できぬようだ。こういう点はやはり範囲を広くして、事情によっては、大蔵省との交渉ができれば補助できるような規定こそ、私はこの水道法に最も望ましいことだと思う。先ほど御質問申し上げたのは、厚生当局にお話しするのは少し無理だとも思いますけれども、そういう点をわれわれが考えておるということだけを御参考に申し上げて、要は簡易水道に限らず予算の余裕がつけば補助できる、しかも五千以上の人口のところであっても、事情によっては補助できる、災害復旧に対しても同様に補助できる、こういう規定を、この際政府の修正はむずかしいでしょうから、われわれの方で修正したいという気持だけ申し上げまして私の質問を終ります。
○八田委員 亀山委員から御質問があったことは実は私からも質問するつもりでおったのですが、この補助問題につきましては大蔵省の事務官が見えられてからさらに質問をやることにいたします。 それでさらに条文に入って参りますが、第十九条の問題でございます。第十九条は水道の運営について事実上の管理をさせる技術者の必置規定でございます。この十九条の目的は、集団赤痢の発生とか機械操作の無能から来る事故発生とか、従来の日本水道で最大の欠陥とされている技術操作のまずさを解消させるのがそのねらいであろうと思うのであります。ところがそのことにはあまり多く触れず、その職務として列挙されているうちには、たとえば一号の「水道施設が第五条の規定による施設基準に適合しているかどうかの検査」というような、第十二条の技術者に担当さすべきような義務を規定してございます。また第五号の健康診断に関する規定のごとき、事務管理者が負うべき義務があげられたりしているのは、この法文を見まして、何かしら観念の混淆がありはしないかというふうな感じがいたすのでございます。どうして十九条の中に、今申し上げましたような一号、五号を入れられたか、この点につきまして御説明願いたいと思うのです。
○楠本政府委員 この水道技術管理者は、いわば水道業務運営の上の技術士の責任者であるという考え方でございまして、この技術者だけによって水道の技術が管理されるものではございませんから、要は業務上の技術上の責任者であるという考え方でございます。従いましてただいま御指摘の第一号の施設基準に適合しているかどうかという点は、いろいろ長い時間の間に維持管理上、施設基準に沿わなくなる場合もございます。たとえば水源の水の変異あるいは給水人口の増加に伴いまする施設の変化というようなことから、しばしば施設基準が果して永久に適合しているものでもございません。従いまして当初水道を設計し、工事をいたした直後までをいわゆる施工者の責任とし、以後維持管理上の施設基準というものはこれらの技術担当者の責任といたすという考えでございます。なお五号の健康診断につきましては、これはもちろん医師の行う健康診断でございますが、それらの健康診断が的確に行われているかどうか、あるいは記録が十分に保存されているかどうかというような責任を、この維持管理の責任者に担当させたいという趣旨でございます。
○八田委員 ただいまの御説明の中で十二条と十九条は、この法の建前としては、事務上の管理とそれから技術上の管理と分けているわけなのですね。私が今申し上げました一号と五号というのは事務上の管理で十分にできるもの、他のものはもちろん技術上の管理、こういうふうに分けて考えているのですが、法文を組み立てていく場合に、やはり事務管理と技術士の管理というものを明らかにしておくのが、私は正しいのではないかというふうな感がいたすのでございます。もちろんただいまの御説明では十分納得がいかないのでありますが、これらの点につきましては、水道法ができれば水道法に対するところの解説を出されるわけでしょうが、今申し上げました点について誤解がないように一つ十分解説されるように希望をしておきたいのであります。 それから、水道事業という文句がこの法文に始終出て参りますが、この水道事業には簡易水道事業というものは含まれていないわけでございますね。
○楠本政府委員 水道事業のうちには当然簡易水道事業も含まれております。
○八田委員 そうしますと、これをずっと見て参りますと、簡易水道というものと水道事業というものと分けて説明されているように思うのです。私は水道事業というのは簡易水道事業を含まないようにずっと条文を拝見しているのですが、この点あとでまた当局の方において明らかにしていただきたいと思うのです。 そこで問題は簡易水道なんですが、簡易水道という名前がどうも誤解を招きやすいのであります。そこで、第二十五条の簡易水道事業に関する特例という条文がございます。これを見ますと「簡易水道事業については、当該水道が、消毒設備以外の浄水施設を必要とせず、かつ、自然流下のみによって給水することができるものであるときは、第十九条第三項の規定を適用しない。」こう書いてございますが、ただこれを簡単に沈み流して参りますと、消毒設備があって、そして消毒設備があればいいのであって、浄水施設とかこういうものはほとんど必要ないんだ、自然流下のみによって給水することができるような簡単なものなんだ、従って金がかからぬのだ、こういうような誤解を招きやすいのであります。そこでここで部長との間に、簡易水道とは一体いかなるものか、こういう言葉は非常に誤解を招きやすいのだが、一体どういうふうなことを意味するのが正しいのであって、実際は簡易水道というものはこういう名曲で表現されるのが正しいのである、こういうようなことについて、まだ時間がちょっとありますから、一問一答式でお答え願いたいと思うのです。
○楠本政府委員 御指摘のように簡易水道というのは一つの名称でございまして、これをたとえば小規模水道とか他の名称にしても別に支障のあるものではございません。しかしながら、すでに簡易水道として一般に親しまれた言葉にもなっておりますし、行政上簡易水道というものは他の法律にも規定がございますので、この際特に従来の親しみから簡易水道という名称を用いたわけでございます。 なお第二点の簡易水道とはどういうものかと申しますと、これは五千人以下の小規模水道でございまして、しかも原則としてはできるだけ浄水設備、濾過浄水等を行わずに適当な水源をとって滅菌装置だけで給水ができることが簡易水道の一つの特徴ではないかと考えております。しかしながら、これは原則でありまして、地域の実情等によって必ずしも一律には申されませんけれども、かような施設構造の点が一つの特徴ではないか、かように考えます。
○八田委員 法文にははっきりと簡易水道とはという概念規定がありませんものですからお尋ねしているのですが、厚生省令の第六十八号の簡易水道布設助成規則第二条によりまして、「この規則で「簡易水道」とは、市町村の区域の一部において五千人以下の人口を対象として、原則として飲用に適する原水を滅菌のうえ、配水管等によって供給する施設をいう。」こういうふうに書いてあります。あるいはまた県条例などによりますと、水道条例によらない特定多数の者に飲料水を供給する施設である、こういうふうにも書いてあるわけです。そこでこれをこのまま読んで参りますと、いろいろと誤解を招きやすいのでありますが、今楠本部長さんは簡易水道というのは小規模水道だ、あるいは給水人口の少い水道だ、こういう意味合いのものを簡易水道というのだ、こういう御説明がありました。もちろんそれで当然でございます、りっぱでございます。ただこの簡易という言葉が、非常に簡単な施設、そんなふうに誤解されてくる点が多いわけです。しかし、今の御説明にありましたように、簡易ということは水質とは関係のないことだ、また簡易ということは値段が安く施設ができるということではないのだ、こういうことが今の御説明の中から十分に受け取ることができるのでありますが、ただ問題は、二十五条の中の浄水施設を必要としない、あるいはまた厚生省令第六十八号に浄水施設について何らの規定がない、これが非常に誤解を招きやすい点なんでございます。というのは、浄化設備を必要とするとか必要としないとかいうことは、人口の多い少いとは必ずしも一致しないわけですね。この点なんです。私は、簡易水道というものの規定に対しても今の御答弁の中からは当然誤まりなく自分ではつかむことができるのですが、こういった簡易とかいう言葉によると簡単、しかもそれが二十五条の規定によると浄水施設を必要としない、こういうことになってくるわけであります。しかし、小規模水道あるいは給水人口の少い、人口五千人以下の水道を簡易水道というということになって参りますと、全然浄水設備なくして井戸水とかわき水を使っておる大都会の水道が相当あるわけです。たとえばわが国におきましても鹿児島とか姫路とかあるいは福井なんかは全く浄水設備を持ってなくて都会に給水しておる。すなわち井戸水とかわいてくる水を使っておるわけです。さらにまた米国なんかではニューヨークとかあるいはロサンゼルス、シカゴなんかでも原水をそのまま給水しておるのであります。これはいずれも大都会ですから、こういうことを考えていきますと、浄化浄水施設を必要としないという文句に引っ張られて誤解が生まれてきやせぬか、こういう不安を持ったものですから、簡易水道というものは決して施設費が安くつくのだというものではないのだ、水質とは関係なく施設というものが講ぜられていかなければならぬものだ、簡易ということは決して簡単な施設じゃないのだ、こういうことを明らかにしたいので申し上げたのであります。 そこでもう一つ。今五千人以下を簡易水道の対象にするのだというのでありますが、給水人口の限界点をどこできめるのが水道衛生上妥当であるかという問題です。五千人以下にしたのはどういう理由に基いてされたのか、単なる行政上の区別と解釈してよろしいか、それをお教え願いたい。
○楠本政府委員 簡易水道が予算的に認められましたのは昭和二十七年度からでございます。その当時われわれは水道の規模をどこに置くかという点をいろいろ検討いたしましたが、その当時は町村合併等が進んでおりませんでしたために、町村規模は大体人口五千ということでございましたので、当時の町村規模に基いて五千人という数字をとったわけでございます。 なお簡易という言葉は決して施設が簡易という意味ではございません。従来はなるほどその点に誤解がございましたが、今回簡易水道についてもこの水道法案によります施設基準の適用を受けますので、かような誤解はなくなるものと考えております。
○八田委員 五千人という限界点は今までの慣習とかあるいは行政上の規模に従ったという御説明があったのですが、行政上の規模に従ってこの限界点をつけたというならば、市町村の合併によって行政的な規模は変ってきたわけなのですが、五千人で今後ずっと縛っていかれることに対して、現状とそぐわない感じを持つのですが、今後ともこの五千人という数字をずっと堅持していかれるお考えかどうか。
○楠本政府委員 部落の集落状況から見ますと五千人までとってあれば、連担地区としては部落の集落としてこれで支障がないものと思っております。ただ問題は町村合併等の関係からむしろ数部落を一緒にした方がいい、その方がはるかに地勢の関係からも経済的であるというような場合も出て参ります。さような場合には、今後は町村であっても簡易水道とせずに一般水道の範疇でこれを規制して参りたいと思っております。従いまして簡易水道としてはやはり部落単位、連担地区の集落単位という点から一応五千人というもので考えて参りたいと存じております。
○八田委員 そうしますとたとえば数個の部落の集落がある、それぞれの集落は独立して簡易水道の補助対象になることができる資格があるわけでありますが、水源をそれぞれの集落で求めることができないために、これらの集落が共同の水源を水源とする一個の水道として施設しなければならないような場合がありますが、そういう水道に対する補助は第四十四条の補助規定ではできないように考えられる。この点につきましては、今亀山委員からも質問があったのですが、たとえば一つの水源がある。そうして今いろいろな部落がある。全部一つの水源にたよってこれらの部落が給水しなければならぬというときには当然五千人以上になってくる。その人口全部合計すると一万人近くになる場合は補助の対象にならないというようなことも四十四条の規定から見ますと起りかねないのですが、この点についてどのようにやっていかれるのですか。
○楠本政府委員 まことにごもっともな御指摘でございして、個々の部落は簡易水道の対象として補助を受ける。しかしより合理的にこれを一つの水道とした場合には人口いかんによっては補助の対象にならない、かような矛盾が出て参ります。この点は先ほど亀山先生にもお答えを申し上げましたように、大蔵省とはいろいろ事務的に折衝をいたしました結果、さような特殊性のある場合には、たとい人口が五千人をこえる、あるいは二万人になっても何らか補助のできるような専務のやり方を一つ考えたい、かようなことで大蔵省と話がついている次第でございます。
○八田委員 農村では家がばらばらで集落を作っているために一戸当りの配水管の延長が大都市よりもかえって長くなる、また全体の水量が少いので建設費がかえって高くつく、こういう点は簡易水道の面において十分に認識しておかなければならぬ大切な点でございます。大体日本では給水人口の目標を十年先というふうに見て計画していくのですが、実際は簡易という言葉を安価と思い違いして、十年と持たぬような安い粗悪な材料を使った。道路の側溝の中に管をぶら下げたり、ちょっと道を掘ればすぐに管が飛び出してしまうほど浅く埋管したり、あるいはそのことに十分の知識がないために請負人にまかせきりで材料や工事をごまかざれたり、維持管理を十分にしなかったために集団伝染病を発生したり、そういうことのないよう簡易水道の面においては注意していかなければならぬ。果してこのような注意規定の条文がこの法律の中にあるかどうか。簡易水道施設に対する監督指導という面についてこの法文の第何条にありますか。
○楠本政府委員 簡易水道につきましても特例としてはずされますものは、技術者とか消防用消火せんの設置義務だけでありまして、他はすべてこの法律の規定によって縛られているわけでございます。従ってこの法律にございます施設基準あるいは水質基準、これらはすべて簡易水道に適用されるわけであります。従って一般大水道と同様の施設基準、同様の水質基準によって今後は規制されて参りますので、危険は絶対ないものと考えておる次第でございます。
○八田委員 第五条の施設基準のところで、第四項に「水道施設に関して必要な技術的基準は、厚生省令で定める。」ということが書いてありますのと、それからもう一つ、十三条の第二項に「水道事業者は、前項の規定による水質検査及び施設検査を行ったときは、これに関する記録を作成し、その検査を行った日から起算して五年間、これを保存しなければならない。」こういう規定があるのでありまするけれども、こういった簡易水道というものは、ふだん水質検査は一体どういうふうにしてやられておるのでしょうか。これは保健所が担当してやっておるのでしょうが、実際に私簡易水道の水質検査をやっておる保健所をあまり見ておらぬのです。手が回らぬということで……。今まで簡易水道がずっと普及して参ったのですが、簡易水道によって集団的な伝染病が発生しなかったということは、あり得なかったと思うのです。今までにやはりそういった例はあるのですから、今後それが絶対にないようにするため、どのような方途を考えておられるか一つお聞かせ願いたい。
○楠本政府委員 簡易水道につきまして水質検査等を行いますことは、従来も行政指導によりまして十分指導をして参っておりますが、町村の規模等の関係から、必ずしも徹底しておらぬうらみがございます。今後この法律によりまして、当然規定されました水質検査を行わなければならぬことになるわけでございます。そこで御指摘のように、そんならば町村でだれがこれをするかということでございますが、できればかような水質検査を行う職員が望ましいのでございますが、小さい町村として、個々にかようなものを置くことはきわて困難な実情もございますので、以下申し上げます二つの方途をもちましてこれらの維持管理の徹底を期して参りたいと存じます。 第一は、簡易水道が将来たくさんできて参りますから、町村で一つ連合、共同して技術上の責任者を設けることが一つ考えられます。今後はこれら町村の連合として共同の職員を置いて維持管理の徹底を期していくという考え方が一つでございます。第二点は、かようなこともきわめて困難であれば、これはやはり保健所のサービスとして、保健所がこれらの点について十分な検査をして参りたい。この場合経費については、保健所は元来かような委託検査の場合には料金を実費程度に徴収することができることになっておりますので、保健所の職員等をその実費の徴収によって増すなりあるいは旅費を支出する等の方法によりまして、十分なサービスをいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○藤本委員長 八田さん、厚生大臣は他に時間の御都合もありますので、もし大臣に対する御質疑がございましたら、この際お願いできませんか。それで、政府委員のは保留していただきたいと思います。滝非さんもどうぞ一つ……。
○八田委員 大臣がお見えになったので、大臣に御質問いたしたいのです。水道法の出題を審議しているわけでございますが、水道法は、大臣も御承知の通りに、今まで水道条例がずっと続おいてりました。六十年くらいの生命を持ってきたものでございます。今度新しく水道法ができつつあるわけでありますが、この性格一は、大ざっぱに言って二つの性格を持っている。一つは公益事業規制法としての面、一つは衛生警察法としての面を持っている、こういうことだと思います。ただ問題は、この法律によって水道事業は安泰であり得るか、あるいは進展していくかどうか、こういった点においていろいろと不安な面もあるわけであります。特に第一条の目的に、「水道事業を保護育成」という文句がはっきりうたわれておりますが、それを裏づける用意というものはきわめて少い。わずかに簡易水道に対する補助規定があるばかりである。というのは、今まで条例にこそ規定されておりませんでしたが、水道条例制定以来連綿として続けられてきたところの一般水道に対する補助が打ち切られている。これは大臣も御承知のように、昭和三十年までは一般水道に対する補助がなされてきておったのであります。ところが昭和三十一年から一般水道に対する補助が打ち切られて、そのままずっと今日にきてしまったのであります。この法案でも、単に簡易水道だけを取り上げて、しかも予算の範囲内において補助することができるのだというようなことになっているわけであります。さらにまた現行の水道条例にありますところの国有財産の無償使用規定というものも、この水道法案にはない。さらにまた水道用地に対する非課税規定というものも、この水道法案にはないのです。ですから、保護育成ということがはっきりうたわれておりますけれども、ただ国庫補助は簡易水道だけだということになっておりまして、保護育成に対する積極的な意欲が、あまり少いのじゃないか、むしろ、かえって現行条例から一歩後退しているのじゃないか、というような印象を受けるわけであります。 こういう一つの問題点がありますのと、それからもう一つは、われわれが水道法案に大きな期待をかけておったのは、水源の保護の規定であったのであります。ところが、大臣も御承知のように、この第二条に書いてございますが、わずかに訓示規定として、修飾的な姿だけにとどまってしまった。これではわが国の水源というものが保養されていくかどうかということは——今日のわが国産業界の発展を見ますと、水源保護という問題が非常に重大な問題となってきておるのであります。先ほども申し上げましたが、WHOの顧問をやっているC・W・クラッセンという人が昨年わが国の水質、水資源の状況をずっと北海道から北九州にわたって視察して参りまして、日本の公共水の汚濁についてももう等閑に付することができない、焦眉の急だ、だから公共水の汚濁防止法というものを作れ。さらに今日わが国においては水道行政というものが行政指導は厚生省でやっておる、技術指導は建設省でやっておる、起債の許可というものは自治庁でやっておる、融資は大蔵省だ、工業用水は通産省でやる、こういうふうにばらばらになっておったのです。従って水源保護の問題について各省にわたってやられてきているために、非常に問題点があって、あるいはセクト主義じゃないか、こういうふうにまで言われておるのがクラッセン氏の講演の内容の一部でありまするが、クラッセン氏は特に公共用水の汚濁防止法というものを作れ、そしてしかもこの法律を完全に施行する機関として各省に属さない、いわば総理府に直属する独自の水質汚濁防止庁を作るべきだということを言っておるのであります。さらにまたWHOからもそういった勧告がわが国になされておるわけであります。今まで申し上げたことについて今後水道行政、特に一番必要な水源保護の問題について大臣の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
○神田国務大臣 ただいま八田委員のお尋ねになった水道法のいろいろな問題は基本的な問題でございまして、水道法の審議に当って私ども非常に研究をいたし、またまだ未解決の点もありまするが、いろいろそれらの点も考慮しながらこの法案の提案に至ったような次第でございます。第一に、この法案の目的に水道事業を保護育成するということがあるが、保護育成の問題はどうもあまり具体的に考えられておらないじゃないか、たとえば簡易水道以外には国庫の助成というものも考えておらないし、さらにまた国有地の使用とかあるいは非課税等の問題についても考慮されておらないようだということでございますが、これはお説一応ごもっともでございますが、われわれとしては水道事業の希望と申しましょうか、各市町村における熱烈な要望がございまして、これに対応して参りたいということで、できれば国庫補助も従来以上に考慮いたしたい、こういう考えであったのでございますが、いろいろな事情で、水道事業は公共団体の財政規模や今日のいろいろな関係からいってみて、一つの事業的色彩を持った、独立採算制を持った企業体にして育成すべきものじゃないだろうか、こういうような考え方があるのでございます。もちろんこれは当該市町村の財政が非常に貧弱だというのでございますれば、これは交付金等によって考えなければならぬことでございまするが、水道はやはり独立企業としてある程度考えていくことが当然なんじゃないかというようなこと。さらにそれだけではもちろんいかない面があることは今御指摘の通りでございますので、政府としては国庫補助の問題は将来においては考えるが、今日の国の財政上からいってみて簡易水道のような部落給水といいましょうか、非常に採算のとれないような面については助成をしていくが、そうでない集団経営のものは独占事業だからむしろ融資というような面を考えていった方がよいのじゃないか。非常に希望が強いものでございますから、特に補助までして行うということはどうであろうか、こういうような考え方でございまして、補助をやめてしまったという意味でなく、今の事情ではそこまでいかなくても相当やっていける、むしろ押えるのに苦労するというような点が考慮されているのじゃないか、こういうふうに御了解願いたいと思います。 それから今の国有地の使用とか非課税の問題は、実は他の法律にあるものですから、特にここに載せなくても当然そういうことが適用されている、こういうように考えているわけでございます。 なお水源保護についての十分な配慮をしてないじゃないかということでございますが、水源地の保護につきましてはたとえば森林法その他河川法もあると思いますが、保安林というようなものも当然考慮すべきものであると考えております。さらにまた今日やかましい問題になっております水の汚染問題ということにつきましては、これは今水の汚染防止法を一つ作ったらどうかというようなことは別途検討を加えて参りたい、こういう考えがございまして、一応長い歴史を持った水道条例をこうした水道法に改廃していきたい、こういう趣旨で行なった次第でございます。
○八田委員 大臣の保護育成の問題については大体了承できるんですが、地方の事情としては国が補助を出さなければ、やはり起債が非常に窮屈になってくるという事情にあるのであります。だからあとで補助、起債の問題について触れて参りますが、ただこの水源保護の問題は、WHOから政府に勧告が来ているんです。実際にわが国は選炭水——炭鉱あたりの流れてくる水が非常によごれている、あるいはまたパルプの廃液、こういったものによって非常によごれて参りまして、公共用水の汚濁は限度に来たんだ、これをこのままほうっておいたんではわが国の水源というものは保護されない、重大な問題であるということがWHOから勧告が来ているくらいです。しかもWHOの勧告は公共水汚濁防止庁というか、内閣の中にそういった専門の庁を置けというくらいの強い勧告をしておるのです。こういった勧告に対して大臣はこれを誠意をもっておやりになるお考えかどうか、それをお尋ねしておきます。
○神田国務大臣 今御指摘のわが国における水の汚染問題は、御指摘の通り、もはや放置できない段階だと私も思っております。パルプの汚水の問題とか選炭水の問題とか、私先般岐阜県等を回って、前々から事情も聞いておったのでございますが、陶器等でドロマイトをいじる関係がございますので、汚染の問題がございますが、とにかく工場の設置に伴い、また工場の誘致等に関連して水の汚染の問題が全国至るところ重大問題化していることは御指摘の通りでございますので、御指摘のようなWHOの勧告の点もございまするし、厚生省といたしましてもできるだけすみやかに汚染の問題を取り上げて、何とか一つ除害立法をいたしたい、こういうふうな考えをもちましていろいろ資料を集めて準備いたしておりますが、工場との調整とかいろいろ問題がございまして、関係省との打ち合せ等もございますので、十分連絡をとりましてすみやかに御要望に沿いたい、こういう気持で今検討いたしておりますから、この点御了承願いたいと思います。
○八田委員 ここで大臣に四十四条の規定に関連いたしましてもう一点お伺いしたいことがあるのです。これは簡易水道事業だけに補助することになっておるのですが、これを簡易という名前を取ってしまって、一般水道事業に、たとえば新設とかあるいは災害復旧、そういった場合に国として補助できるのだというような規定に直すのがほんとうの意味の保護育成という面から考えるならば正しいのだと思う。実際に今日災害復旧事業には補助を出しておるわけなんです。それを法規にはっきり書いていないところを見ますと、何か大蔵省あたりとの交渉の間において影をひそめたのではないかというような考えを持つのですが、実際に水道の保護育成ということを考えるならば、簡易という群集はなくしちゃって、一般水道事業全般にわたって新設または災害復旧事業に対して国庫補助ができるのだという条文に直すべきじゃないか、こういうふうな考えを持っているのであります。もちろん当委員会におきましてもただいま亀山委員からも御発言がありましたように、そうあるのが正しいのであるから、国会としては決議においてもこれをはっきりすべきだということを言っておられるのであります。そこで補助の問題でございますが、一般水道に対する補助は明治以来からずっと続けられてきたわけなんです。先ほども申し上げましたように昭和三十年度まではこの補助が続けられてきたのでありますが、三十一年度からは効果の少い零細補助打ち切りの一般方針というものがありまして、これによって零細補助というものが切られてしまった。それからずっと出てこないわけなんです。ところが今までの水道に対する補助というものの実態について考えてみますと、名目的には四分の一補助というふうになっております。しかし名目的には四分の一補助するのだといいながら、補助支給額から逆算しまして補助対象額を止めておるわけなんです。補助支給額から通算して補助対象額をきめておりますから、実際工事費に対する補助率というのは十分の一にも足りないというのが今日までの実態なんです。それが零細補助だ、こういうことになってきているのです。ところが補助事業というふうになっておりますから、事務的にはいろいろとめんどうな書類の手続、あるいは報告も必要であります。竣工検査、会計監査なども受けなければならない、それらの諸経費は相当の額に上って参ります。補助交付額を差引すれば何ほどのこともないというのが今日までの零細補助の実態です。こういうような状態で零細補助となって参りますから、起債のワクも小さくなってくる。従って工事がずっと延びてきたというのが今日までの補助のあり方なんです。これらにつきまして予算の範囲内においてというような文句は、今日までの補助のあり方の実態をそのまま引き伸ばしていきやすい。実際は四分の一ということを言いながら補助支給額から逆算して補助対象額をきめておる、こういうやり方に対して私非常に不安を持つのであります。四十四条の簡易水道という条文でございますが、予算の範囲内において補助できるのだ、こういうようになっておりますが、水道のすみやかな普及をはかるためには、補助に関する規定をはっきりといたしておく必要があると思うのです。この点について大臣のお考えを承わりたい。
○神田国務大臣 第一点の四十四条の簡易水道事業といういわゆる従来から使っておる言葉でございますが、簡易水道という用語がどうもおもしろくない、簡易というのは取って水道事業にしてはどうだという御説でございました。この点は私どもも従来ある言葉をそのまま引き継いだような形になったわけでございまして、他によい言葉がありますればこれはこだわることもございませんが、市町村あるいはその区域の二部というような大じかけな工事でないようなものとの区別をこの言葉でして、そうして独立採算制のない一部のわずかの方々で、費用が持てないというような方面についての水道に補助しよう、それには名目も単に水道事業でははっきりいたしませんから、簡易水道事業というような名称を使って区別したわけでございまして、全部の水道事業に補助をやるということになりますると、都市によっては独立採算制がりっぱにやっていけるものも出て参りますから、それとの問題もございますので独立採算制でりっぱにやっていくものには補助がなくてもいいじゃないか、むしろそういった独立採算制によってやっていけない、しかし水質が悪くて伝染病その他、むしろ高くつくのだが水道の布設の急を要するものがある、こういう面については助成をしてもそうした悪環境を一つなくしていきたい、こういう考えでこれは立法したわけでございます。将来だんだんあとに参りましてどうしても独立採算制ではできない、水道がみな市町村にできたのだが非常に高くつくためにできないというような特殊なケースが残った場合、相当補助をして、そうしてすみやかに水道事業の普及をはかり、当該市町村民の環境衛生がよくなるようにするということは当然なことではないか、今の段階においてはとりあえずそうでない方からやっていこうということでございまして、それは必ずしもいいとは考えておりませんが、財政上の問題でしばらくがまんしていただく、こういう考え方のように一つ御了承願いたいと思います。しかし政府といたしましては、できるだけ採算の合うように起債等の心配をいたしますが、特に今年度からは厚生年金の還元融資も水道には一つワクを拡張しようというようなことで、これは大蔵省とも相談ができまして今年からその方に還元したいと思っております。これは御承知の通りこの道を開きますれば今後相当巨額の金を水道事業に出していくことができるのではないか。そういうことをまずできる面からやって参りまして、それでもなつおかできないところについては、今八田委員のお述べになったような、水道事業一般について国庫補助をする問題については、補助がなくては経営困難なほど巨費を要するものであって、つまり単価が高くつくものについては助成の必要はあるが、個々のケースについて考えていく時代がくるのではないか、今日の段階では非常に希望が多いものですから採算性のあるものを取り上げていこう、それから市町村の一部あるいは市町村の全部等、小規模のものであって、しかも水の便が悪い、あるいは水質の悪いものについては助成をして早く普及していきたい、こういう考えでございます。 そこで、もう一つ国庫補助の積算の問題でございますが、非常に要望がたくさんございまして、そしてそれをできるだけ一つやっていただこうということになりますと、つい今お述べになりましたような例が出るのでございまして、二割五分、四分の一を補助しろということがそうしたようなことになりがちで、今年度も特にこれは非常な御要望でございまして、予算も十五億というような、十億台に初めて乗ったわけでございますが、まだまだ私どもこれではとうてい十分どころではない。またどうもそういう今御指摘のようなことがあるんじゃないかということをおそれております。いずれにいたしましても簡易水道を早く普及したいということ、それにはやはり予算をもっとうんと計上しなければならぬという問題が残ると思います。いろいろ財政の都合もあるわけでございますが、できるだけ今後とも一そう努力いたしまして、今お述べになられたようなことのないように、二割五分を補助するというならば二割五分を補助していこう、予算の定める範囲内でというようなことで実際は延べてしまって一市町村当りでは一割とか一割五分になってしまうというようなことのないように努力いたしたいと思っております。
○八田委員 大臣、こういうことがあるのです。簡易水道の補助は私はぜひとも必要だと思うのですが、工業用水道にも今度は補助をやることになっていますね。こうなりますと、工業用水道と簡易水道だけに補助を与えて、そして一般水道には与えないというのはどうも私には納得ができないのです。しかも工業用水道の補助というのは地盤沈下対策という災害救済的な理由から出発してきたものなんです。ところが現実は地盤沈下とは離れまして、産業政策的な低料金工業用水の供給という面に重点が転化しつつあるのでございます。この点が私、一般水道に対してどうして補助を打ち切ったのだ、こういうことの疑問が出てくるわけであります。大臣も御承知のように、水道に対する補助という問題は、最初の出発は三府五港、これから出発しておるのです。それからだんだんに順次中都市以下にも拡大されて今日に至っておるわけであります。こういうふうになって参りますと、小都市だけが残されてきておるというのが現実でございます。ところが今残されておる水道未設置都市は、財政的な理由のみから水道がほしくてもできなかったのであります。防疫対策上の奨励的な補助の必要があることは簡易水道の場合と何ら選ぶところがないわけでございます。この点がどうも水道行政を進めていく場合の補助政策として、何か一貫性を持たないように考えられているわけでございます。しかも一般水道事業に対するところの補助が打ち切られたのは、零細補助になったということで打ち切られてしまったのでありますが、こういうふうに零細補助になったというのは、先ほども大臣からお話がございましたが、戦後の旺盛な水道新設もくろみに対しまして補助額が全然伸びていなかった。大蔵省から認められた予算の範囲内でまんべんなく新設水道にばらまくというようなことが零細補助ということになって参ったのであります。そこで今後補助規定をはっきりとするためには次のようなことも大臣の御考慮の中に入れていただきたいのであります。というのは、戦前通り四分の一補助率というものを確立すべきだ、しかも単年度補助でなく事業費総額を定めて継続事業を認める、こういうことにすれば、当然予算の増額をはかっていかなければなりませんし、また効果的な補助事業というふうになってくるわけでございます。ところが補助予算の増額は認めない、その結果零細補助になったから、もう零細補助では効果がないから打ち切るということになっては、今までのいろいろな水道を布設したいという意欲を押え切ってしまう。しかもわが国の水道普及というものは大体三二%でございますがイギリスあたりから比べてみると半分以下の普及率です。どうか大臣、この補助の問題につきましては、起債の問題と関連いたしますので、今後とも工業用水とか簡易水道を認めるならば、一般の水道についても補助を認めるべきだということになってくるわけでございます。大臣の御考慮をわずらわしたいと思います。
○神田国務大臣 ただいま八田委員のお述べになりました、工業用水道あるいは簡易水道が国の助成によっているのに一般水道が国の助成の対象の外にあるのは均衡がとれていないじゃないかということは、全く同感でございまして、私どもの力といたしましても、その点につきましてはその均衡を保つといいましょうか、当然考えなければならないことでございます。ただしかし、工業用水道につきましては、これはどこでも工業用水道を作るということにはなっておらないようでございまして、港という一つの特定の施設を対象としてそこに日本の産業規模の必要とする産業を一つ誘致育成していこうという問題、それから現にある工場が地下水をくみ上げたために陥没するという二つの面を水の補給によって補っていく。そういうことになってくれば、一は国土保全の問題であり、一は産業立国の面から考えて、誘致工場がある程度の採算の見通しというものが、やはり工業用水の単価がどの程度になるかということと関連するものでございますから、そこで産業政策上あるいは国土保全上、ある一定の工業用水の単価まで、その差額を国が建設費等によって補助してやろう、こういったような考え方のようでございます。簡易水道は、先ほど申し上げましたように、小町村あるいは市町村の一部落等の給水に対しまして、その負担能力以上に高くなる。そこでそれに対してそれをカバーしてやろう、これが補助の対象になっておるのでありまして、一般市町村が水道事業をやる場合においては、大体これは独立採算制でやっていくということが建前になっておりますので、特殊の事情のあるもの以外は採算の見合ったものに先にやらせる、こういうような考え方でございます。御承知のように水道の普及といいましょうか、戦後——戦前は水道を市町村が布設いたしましても利用度が低かったのでございますが、戦後利用率が非常に高くなって参りまして、水道が独立探算として企業としての十分な適格性を持ってきたというような事情もございまして、そこで補助が打ち切られた。前は水道事業を市町村が計画して実施いたしましても給水申し込みが非常に少かった、それが採算の合わない大きな原因でございまして、どうしても助成ということをやったのでございますが、戦後は市町村民の衛生の自覚と申しましょうか、非常に普及率が高度になって参りまして、大体独立採算制ができる、こういうような事情で、少額であるから打ち切ったというのではなく、大体補助をしなくとも当該市町村においては水道事業が経営できるというような見方も強かったようでございます。しかしこれは一般論でありまして、水源地が遠いとか、あるいは非常に集団性が欠けておりますけれども、水道を引く熱意もあり、また引かなければならない事情があるというような場合、特に高い水道料金になるような市町村についての特例と申しましょうか、特別なケースが相当あると思います。こういうものは国の助成をしないと、相当長期にわたって必要とするものが実施されないというようなこともあろうかと思いますので、そういう市町村を十分調査しまして、そういう市町村に対する普及は別個のケースで助成をしよう、こういうことを私ども考えております。この点につきましては、よく調査いたしまして、財政当局とも十分打ち合せの上で、八田委員のお述べになりましたことは全く私は同感でございますので、十分今後において善処して参りたい、こういうふうに思っております。
○八田委員 先ほど大臣から厚生年金の還元融資の問題について、水道事業にも融資をするのだというような朗報をいただきまして、満足するものでございますが、ただ水道事業に対する補助というのは、防疫対策上の奨励的な補助という意味合いを持っておるものでございます。そうしますと、私いろいろ考えてみまして、財源の問題がいつでも非常に問題になってくるわけでありますが、国で水道事業をこれから普及率を高めていくための財源をどこに求めるかと申しますと、水道によって起る伝染病というもの、人間の排泄物によって集団的な病気が起ってくる、これの源は結局人間の排泄物であります。簡単に言うならば、消化器系伝染病というものが水道によってばらまかれていくのでありますが、これは簡単に言うとくそ食らい伝染病ということであります、このくそ食らい伝染病を防止するために、国としてどれくらいの予算を組んでおるかと申しますと、これは地方自治体のこういった伝染病に対する予防費なんかをひっくるめてみますと、二十九、三十年度においても予防費として百億くらいの金を使っておるわけです。この金を金利と考えて一大公債を発行して、日本から国恥病といわれておる赤痢、チフスという消化器系の伝染病を一掃すべきじゃないか、こういうことを考えておるのであります。このまま財源がないからということでずっと引き延ばしていったら、日本からこのくそ食らい伝染病というものをなくすことはできない。それをなくすためには、水道事業というものを拡張していくべきだ、そのための財源は一体どこにあるかというと、今まで使っておるものが百億になんなんとしておる。各地方公共団体のその予算を総計してみますと百億になっておる。その百億を金利と考えて一大公債を発行した場合、水道なんかさっとすぐできてしまう。これは私のとっぴな発言のようでございますが、これはやはり一応考えてみるべきだ。これをこのままにして、ただ予防費をつぎ込んでおったならば、いつまでたってもこの改革はできません。年々使っておる金を金利と考えて一大公債を発行するような構想というものを、あながちとっぴな考え方であるといって一笑に付すべき問題ではないと思うのでありますが、この点についても大臣十分お考え下さいまして、財源面など特段の努力をされんことをお願いいたしまして、私の質問を終ります。
○藤本委員長 暫時休憩いたします。 午後三時三十六分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかった〕