社会労働委員会 第38号
- 発言数
- 30 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/04/12
会議録
○藤本委員長 これより会議を開きます。 児童福祉法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑を続行いたします。滝井義高君。
○滝井委員 昨日、児童福祉に関する行政機構の系譜と申しますか、系列と申しますか、そういうものについていろいろ御質問をいたしたのですが、その結果、日本の児童福祉行政というものが、きわめて貧弱であり、日の当らない行政になっておることがわかったので、今後その推進に、政府当局の非常な努力をお願いしなければならぬと思います。 次にお尋ねいたしますが、この児童福祉行政の対象になるのは、主として要保護児童ということになるわけなんです、そうしますと、現在一千万のボーダー・ライン層がおるわけなんですが、そのボーダー・ライン層の中に含まれている準要保護児童、これはやはり要保護児童と同じように家庭環境の悪いことはもちろんでございますが、同時に身体的性格的な欠陥あるいは障害というものが、要保護児童と比較してそう大差ない程度に現われていることも当然だと思うのです。一体児童局としては、この準要保護児童の問題をどういうように考えておるのか、この点を一つお伺いしてみたいと思います。
○高田(浩)政府委員 児童福祉法は、制度的にもあるいは運用上も、従来必ずしも生活保護と同じレベルにおいていろいろの措置をするというふうにはなっていないわけでございます。従って、この際としては、生活保護以上のボーダー・ライン・クラスにつきましても児童福祉法のいろいろな施策が相当かぶさってきているということが言えるのではないかと思うのでございます。そこで、児童福祉法によりまして、肢体不自由児の問題でありますとか、養護を要する児童の問題でありますとか、それらについて施設収容ないしあらゆる施策を講じてやっているのでございます。なお、一般の家庭におるものにつきましては、特に労働または疾病等で親が養護できない、そういった児童については、保育所に入れて保育をやるというふうな建前にいたしているのであります。それらの児童福祉法に基きます精神薄弱あるいは盲人あるいは肢体不自由児等々のいろいろな施策については、滝井委員も十分御存じと思いますので、個々の問題についてはあえて申し上げませんけれども、大体そういうふうな仕方になっておるのでございます。
○滝井委員 行政機構がきわめて脆弱であるために要保護児の措置も必ずしも完全でない。その中で準要保護児の問題を一緒に論議することは木によって魚を求むる類になる可能性があるのですが、自分の家の子供だけよくなればよその子はどうなろうとかまわぬというようなきわめて利己的な家庭教育の傾向が日本にはあるのです。従って、要保護児の問題が地域社会の子供に非常に大きな影響を与えるということでその問題を論議すれば、同時にやはり準要保護児の問題も並行的に、あるいはそれに劣らずに取り上げていく必要が出てくるわけです。そうしますと、今あなたが御説明になったようにいろいろのことをおそらくやっておると思います。けれども、たとえば学校教育その他の面から見ても、むしろ現実にわれわれに強く問題の解決を迫ってくるのは要保護児童よりか準要保護児の問題の方が多い。給食の問題にしても教科書の問題にしても多い。もちろんそういうために、今度の予算を見ましても、文部省の予算の中で準要保護児童生徒対策費として三十一年度一億八千万くらいのものが三十二年度二億九千四十七万七千円という工合に、教科書の無償配付と給食費のおそらく補助だろうと思いますが、ふえたわけです。こういう点から見まして、生活保護の対象になっておる家庭の子供すなわち要保護児童は、補助が来るから教科書も買えるし、給食費も出してもらえるから未納にはならない。ところが準要保護世帯の家庭の子供は教科書もない。給食費も払えない。こういうことから、結局その金はPTAが出して、学校は準要保護児については極秘に出してやらなければならぬ。それがいつの間にか学校中にわかって、準要保護児の方が生活保護児よりか肩身の狭い思いをしなければならぬという事態が起ってきている。それから、あとで私保育所の問題で出しますが、いろいろの施設に入るについても、これらの子供が入る場合にはそこに負担金がかかってくる。あるいは医療扶助を受ける場合でも、それらの子供の場合は医療券というものが切れない。このようにボーダー・ライン層にあるがゆえにいろいろ施策が行き届かない。いわゆる経済政策も同時に教育政策も行き届かない日の当らないところの子供たちだ。いわゆる忘れられたる子供だ。むしろ保護の対象になる児童は忘れられていない。ただ潤いは少いけれども、問題にはされている。ところが準要保護児童は忘れられている子供なのです。そういう点で、今後児童行政を推進する上においては、一千万のボーダー・ライン層の中に含まれておるこれらの準要保護児童の対策は非常に大事だと思うところがおそらくこれらのものは文部省の所管下でやられている。あるいはこれらの子供は保育所に行けずに幼稚園に行かなければならぬ。ところが幼稚園に行くためには月に八百円も九百円も莫大な授業料がかかって、行けない。従ってこれは忘れられている状態なのです。あなたの方としてこれを文部省にある程度まかすことはいいが、文部省の所管では学校だけなのです。学校に行って教科書をもらうか給食費を補助してもらう以外には何もない。そうしますと、これらの子供は学校と家庭と地域社会が一体になってやらなければならない。地域社会でこれらの子供を救うものは一体だれだというと、ここにあなたの行政の中の児童相談所における技術面を担当している児童福祉司の役割が出てくる。同時に、その児童福祉司とともに相提携をしていくところの社会福祉主事なり児童委員の役割が起きてくる。ところが児童委員は民生委員とうらはらであるために生活保護の問題に追われて子供までに手が及ばない。こういう状態の中で児童行政を推進するということはなかなかむずかしいと思うのだが、一体どういう工合にしてやっていくのか、もっと具体的にこういう問題について確信のあるところをお述べいただきたいと思います。
○高田(浩)政府委員 現在児童福祉法によって行なっております児童の保護の相当多くの部分はいわゆる収容保養でございまして、たとえば養護でありますとか肢体不自由児施設であるとかあるいは盲ろうあ児施設であるとかそのほかのそういった収容施設の分につきましては、一応これは生活保護世帯であるかないかということとは直接の関連はなしに行なっておるわけでありまして、その点は今お話のポイントからすれば特別の問題は生じない。ただむしろこういった収容施設、精神薄弱児を収容する施設、肢体不自由児を収容する施設にしても、収容力寡少、そういったものが少いために、収容しなければならないものが相当そのまま放置されている、この問題をどうするかということになるかと思うのでございまして、むしろお話の問題は、家庭にありまして、たとえば保育のためにあるいは肢体の不自由のために通うという場合に多くの問題を生ずるのではないかと思うのであります。そこで通う場合を考えますと、一つは保育の問題だし、一つは今法案に提出いたしております精神薄弱児の通園の問題でありますし、さらには肢体不自由児の育成医療の問題であろうかと思います。あとの二者につきましては、問題も限定せられておりますし、今お話のような趣旨からすれば広範なひっかかりはないと思いますが、一番お話の線で関係が生じてくるのは、やはり保育所の運営の問題であろうかと思うのであります。これにつきましては、もちろん児童福祉法の趣旨によりまして、生活保護世帯であるかないかということは一応抜きにして、労働、疾病のために保育に欠ける児童を収容する、そういうようなしかけにいたしているのでありまして、費用の徴収の問題とかそういう面でお話の点とからみ合ってくるかと思うのでありますけれども、いわば違ったべースで行なっているわけでございます。現在保育所は約八千六百ありまして、相当急速にふえましたけれども、すべての要保育児童を吸収をするためにはなお不十分でありますので、これは今後配置の適正等を考慮しながら普及をはかって参りたいと思うのでございます。 それからそういう施設に収容するとかあるいは施設に通わせるというようなことでなく、いわゆる児童を健全に育てるというようなことも、お話の点に関連するかと思うのでございます。私ども一般的に、児童の健全なる育成の問題として取り上げているのであります。これはやはり地域的に、子供会でありますとかあるいは母親クラブでありますとか、そういった地域的な組織を作らせまして、それを通じて指導をしていくというような態勢を現在とっているのでありますが、率直に申しまして、この健全育成の部面は、やはりこれからの児童行政の面で一つの大きな分野として考えなければならないところであると考えまして、先年来予算その他の場合に努力をいたしているのでございますけれども、今後に残された分野が非常に多いということも、私ども率直に認めるわけでございます。 それからなお、そういった要保護児童なり要保育児童の発見、指導につきましては、先ほどお話のありましたような児童福祉司あるいは児童委員等の協力をわずらわさなければならぬことは言うまでもないのであります。そのほかの一般的なボーダー・ライン対策としては、御承知の世帯更生の問題でありますとかあるいは母子福祉の問題でありますとか、そういった関連において、経済的その他の援助をしているような次第でございます。
○滝井委員 私が今準要保護児の問題を持ち出したのは、今あなたが後段において御答弁になった点を私は実は問題にしたいと思ったのです。施設に対する収容保護の問題、これも要保護児童にはもちろんだが、準安保護児もそういうわけで問題になると思います。それよりかやはり金がかからずに、いろいろ指導する面というものが考えられなければならぬ。その場合に一番問題になるのは、児童福祉行政と社会教育との関係なんです。地域社会に参りますと、社会教育のいろいろの会が行われております。それはたとえば公民館を中心に行われて参ります。それから同時にあなたの方の下部機構である福祉事務所を中心に、たとえば非行青年とか虞犯青年といいますか、そういうものを中心にした会が行われておる。これは警察も加ってくる。ところがその間の公民館なり社会教育の行うところの運動と、あなたの方の下部の行う運動とが何ら有機的な連絡がない、同じことをしょっちゅう別々にやる。警察がやったり、社会教育がやったり、公民館がやったり、おたくの方の福祉事務所がやったり、全く有機的な連絡がない。まあ中央においては青少年問題協議会というようなものがあるようでございます。しかしこれらのものが一貫して下までいって、予算その他も十分調整してやっているかといえば、やっていない、ばらばらなんです。こういう点が私は非常に問題じゃないか、先般売春問題についても私はそれを指摘した。厚生省の所管のものと、労働省の所管のものとがあって、そうしてどちらもちょっぴり予算を計上しておって全くそこに有機的な連絡がない。出先の県の段階に行った場合には、みなわずかの予算がやられておる、こういう形。そういう形が行政面に、あなたの方にも現われておる。それから保健所なんかに典型的に現われておる。厚生省の中の各局がばらばらに予算をとって、そうしてそれが末端の保健所に流れたときには、その金というものは実に千円以下のものが多い。従って保健所というものは一つの局から流れてきたもので仕事をしようとしたって何もできぬから、そういうわずかの金というものは全く事業に使われずに、いつの間にか事務費か何かに消えてしまう、こういう次第です。だから私は、問題はその地域社会における、さいぜん申しましたよべに児童委員、それから福祉主事、それらのものと今度は社会教育との関係。社会教育の問題を無視して児童福祉の推進というものはできないのです。行政だけではどうにもならない。従ってこういう点を実はきょう文部省の社会教育の方を呼んでほんとうは聞きたいところなんです。どういう工合に、大体社会教育と児童福祉行政とは表裏一体の関係を持ってやっておるのか、それとも何かばらばらに勝手なことをやっておるのか、そこらあたりの関係というものを、おそらくこの委員会で社会教育なんか持ち出して聞いた人はないだろうと思いますけれども、大体どういう工合になっておるか伺っておきたい。
○高田(浩)政府委員 今お話のように、いわば児童を健全に育てるための積極的な施策というものが全般的に、これは私の方もそうでございますし、文部省の方も十二分ではないという現状は、大へん遺憾に存じておる次第でございます。私の方としましても、健全育成の部面については、実は目ぼしい予算と称するものはないようなのが現状であります。これらの点は今後伸展をするように努力をしなければならない最たるものだと考えておるのであります。そこで社会教育と児童福祉の面でございますが、形式的にはお話にありましたように、中央においては青少年問題協議会、地方においては各県におきます同じような組織によって調整をはかるしかけになっておるのでございます。実際問題としては、まだこれらの問題が、その辺の推進を組織的に、両方の行政というものを仕組んでいく段階まではまだいっていないのが現状じゃないかと思うのでございます。従って結局中央の施策よりも、その地方におきまする児童委員の方々、その他の関係の方々の熱意に待っている。そのおかげで、その面が多少行われているのが実情じゃないかと思うのであります。理屈としては社会教育の面と児童福祉の面はおのおの違うわけでございますから、それぞれの活動分野を分担してやることは当然でございますが、実際問題としては、今申し上げましたように、それぞれ一つ大いに熱意を傾けて、行けるところまで行こうじゃないか、そういうようなむしろ段階であって、積極的にコントロールするところまで実は行ってないのが実情じゃないか、かように考えておるのでございます。今後一般の要保護児童の対策の問題と並行して、この面の施策を強化すると同時に、それらの面もさらに地方において問題を生ずる点がありますれば、十分気をつけて調整をはかって参りたい、かように考えております。
○滝井委員 理屈になりますが、あなたの方の行政が公衆衛生局の行政とともに、厚生行政からいえば、いわば予防行政になるわけです。大きな厚生行政というワクの中における予防行政というものが非常に軽視されている。こういうが、私は昨日問題にしたのです。きょうはあなたの行政の中における予防的な行政である、健全育成と申しますかそれが結局無視されているということを私は実は指摘したかったのです、あなたそれをお認めになった。大きな日本の厚生行政の中で予防的な行政である公衆衛生と児童行政というものが無視されている。しかも児童行政の中においては、今度は要保護児の問題のみに追われて、しかもその要保護児の前提となる健全育成というものが忘れられている。それが手が届いていない。こういうことです。結局循環してきているのです。やはり問題のポイントというものは、私はそこに落ちていくと思う。健全育成をするためには、児童行政に社会教育を協力せしめる以外にはないです。もう少い予算を最大の能率を上げて使うというためには、地域社会の教育的な協力、社会教育の協力以外にはない。この面が忘れられているところに、結局児童行政が伸びない根本の原因があると思う。そうすると、地域社会でPTAとか公民館の活動というものが、児童行政の健全化が必要だという認識が出れば、期せずして国民世論となって厚生行政に反映してくる。そうすると日の当らない児童行政なり厚生行政というものに新たな金をつぎ込まなければならぬことになってくる。そういう世論が起らないところに、政府なり大蔵当局がこれらのものに金を入れない、政治家もこれを無視していく。そういうところに悪循環があるのではないかと思う。だからこの点は顧みて他を言う前に、まずみずから脚下照顧をする必要がある、みずからの足元を固める必要があるのではないか。だから私はあなたの行政が今後児童福祉のために、非常な悲惨な状態にある要保護児童のために充実した予算をとるとともに、同時に社会教育をいま一歩、やはりあなた方は文部省と提携をして考えていく必要がある、こういうことを私は指摘しておきたい。 次に、そういう面とともに、最近何か母子衛生地域組織というようなものができつつあるということを何かで読んだことがあるのですが、その母子衛生地域組織は、おそらく保健所を中心に作るものだと思うのです。そうするとこれは要保護児童というものに限定すべきでなくて、精神的にも肉体的にもどこか欠陥がある者ということが、やはり一つの条件にもなってきているわけなんですから、この母子衛生の地域組織は、社会教育的な面から同時に取り上げて、あなたの行政に精力的に協力せしめていく必要があると思うのですが、こういうものをあなた方はどうお考えになっているか。
○高田(浩)政府委員 母子衛生地域組織の当初のねらいは、いわゆる妊産婦、それから乳幼児の保健指導、これは役所としましては保健所がタッチするわけでございますが、それのグループ・ワークを目ざしたものであります。もちろんその地域をつかまえてみれば、そういった問題のほかに一般児童の問題、いろいろありますけれども、やはり具体的な問題から入っていって、それが漸次組織の強固化と伴ってほかの問題にも及んでいく、そういうふうなやり方をすることが適当ではないかというような考え方をとっております。従ってこの母子衛生地域組織の問題につきましては、そういった観点から妊産婦、乳幼児の保健指導、それから衛生知識の向上、それから児童福祉の向上、結果的にはそういうふうになっていくと思いますけれども、出発点としましては、今申し上げましたようなことで参るように従来もやって参りましたし、大体今後もその方向でいくべきではないだろうかと考えております。
○滝井委員 この母子衛生地域組織と児童福祉司との関係、あるいは児童相談所との関係というものは、児童相談所の方から何か保健所のそういうところに具体的にやはり協力したり、連絡したりしているのでしょうか。
○高田(浩)政府委員 母子衛生地域組織は、今申し上げましたいわば衛生面の方の指導の地域的な単位として組織されたものでございますから、従って当然衛生的な関係者との関係が深く、その他の今お話のような一般的な児童福祉の方との関係は少いのが現状でございまして、漸次その組織の地盤が固まりまして、そのほかの方の一般の衛生以外の面にも力を注ぎ、手を伸ばしていくという段階になれば、当然それはそういう関係が生じてくると思いますけれども、現実にはなかなかそこまでいっていない、保健指導の面で相当のエネルギーを注いでいるのが偽わらざる実情であろうと思います。
○滝井委員 時間がないようですから少し急ぎましょう。 次に保育所のことですが、現在保育所の経費は市町村長が一応出すことになっているわけですね。そして同時にいま一方市町村長の方から支出するほかに、保護者の方から負担能力に応じて曲用を負担させるわけです。そうしますと、その市町村長の出したものをAとし、保護者の出したものをBとすると、AからBを引いたXというものが出れば、そのXの八割を国が見て、それから残りの二割のうちの一割を県が見るのですか、一側を市町村が見る、こういう形になっているわけです。その場合の保育所に行っている子供の保護者が負担する基準なんです。これが非常に段階があるのです。三十円か五十円しか払っていないのと、七百円も八百円も払っているのがあるわけです。これは市民税か財産か何か調べて出しておるのでしょう。一体そういう基準というものは、どういう基準をもってやっておられるか、これを御説明願いたいと思います。
○高田(浩)政府委員 児童福祉法の建前が収入に応じて要用を徴収するというふうなことになっておりますので、費用を徴収いたします場合におきましては、結局そこの収入というものを見て、その収入の程度に応じて費用を徴収するということにしているわけでございます。それで一番最低の額が百円、それから最高の額は、これは地域によりまして違いますけれども、大体千円前後というふうにお考えいただいてけっこうだと思います。その間に地域により、あるいは家族の状況により、一つの標準をこしらえて、それを具体的に各家庭に当てはめて徴収をしていくということになっております。
○滝井委員 今の神説明では、最低百円から最高千円くらいだ、そしてそれぞれその地域の事情や収入に応じて徴収する、こういうことなんですね。この保育所を建てる場合に、その地域、たとえばある町なら町というものは、その町だけの金ではなかなか建てることができないのです。だからそのできる地域の受益者負担というわけではないけれども、地域に保育所ができるんだから、町が大部分経費を出す。これは国と県がそれぞれ補助金を出すことになっておるのですが、出す。そうして地域もある程度役務やあるいは寄付その他でサービスをしてくれということで、作るのです。全国的に見ると、そういうことで作るのが多いのです。あなたの方が全部作る予算をやらないものですから……。そういうことでできますと、今度はその地域の父兄たちは、今度保育所ができるから自分のうちの子供は行けるだろうと期待して、みんな一生懸命に作るのですね。そうしますと、でき上ってしまって、いよいよその保育所へ行く段階がきますと、どういうことが起るかといいますと、今言ったように、千円取られる、八百円取られる。そうしてその保育所を建てることに対して協力しなかったいわゆる措置児の要保護の児童を持つ世帯、こういうところの者がざっと行くということになる。そうしますと、あれは定員五十人ならどのくらいの施設、百人ならどのくらいの施設ということがぴしゃっときまっておる。従って措置児だけで一ぱいになってしまう。そうしてその地域の人は、建設には協力したけれども、自分たちの子弟が行けるだろうと期待しておったけれども行けない。それで今度は幼稚園へ行くことになってしまう。幼稚園に行ってみると、月謝は五百円でよろしい、もちろん給食はないが、五百円でよろしい。それを保育所は今言ったように、給食はあるが、おやつなんかもらえますが、給食があって千円だというので、みんなびっくりしてしまって、われわれが建設に協力した保育所へ行くと、千円取られる。幼稚園だったら五百円だ、こんなばかなことはないといって、地域社会に非常に不満が起る状態が出てきておる。こういう点は、こういうものを作るようになった経過から考えてみるならば、これは措置児が優先的でなければならぬと思う。ところがやはり地域社会の状態を考えると、その措置児以外はだめだ、入るならば高い月謝になるんだ、こういうことになると、保育所ができたために、その地域社会に非常にトラブルが起り、不和になるという状態が至るところにできてきつつある。そしてしかもみんな幼稚園に行ってしまう。作るときは協力したけれども、できてみたらその保育所には行けなかったという、こういう事態が全国至るところにあるが、こういう点はあなた方の耳にも入っておると思うが、どういう工合にそういう点をお考えになりますか。
○高田(浩)政府委員 保育所の運営、建設の問題については、今お話になりましたような点もその一つでありますが、実はその他非常に問題が多いのであります。これはそういう関係で、予算の場合にはいつも問題になる性質のものでございます。それで、この保育所の問題を根本的にひつくり返して、児童福祉法が現在定めているのと違った線でこれを持っていくという意見もあり得ると思いますけれども、これらの問題は結局国から出す費用の問題とからみ合って考えなければならぬ問題でありますし、私どもとしましては一応この問題の多い、しかもある意味においては非常に動揺しておる保育所については一応とにかく児童福祉法の線に沿った、かちっとした運営の仕方をして、それで将来どう持っていくかという問題については費用の問題とからめてこれを考えなければならぬ問題ではなかろうか、かように考えておるのです。今幼稚園と比較してお話がありましたけれども、幼稚園については御承知のように建設費についても、経常費につきましても国の補助というものはいわばない格好になっておるわけです。それで幼稚園と保育所とでは運営の状況がやはり違うんで、保育所の方はいわゆる給食でもありますし、保育の時間も長いし、そういったいろいろな関係で、それは幼稚園よりも多少経費がかかる点はあり得ると思いますけれども、しかし、国の方の補助といった関係から見ますと両者の取扱いも非常に違っておる。これは十分御承知の通りであろうと思いますが……。そういうことになっておるわけであります。
○滝井委員 従って、建設をするときには地域の社会は協力をするわけなんです。できてみたら自分たちの子弟が行けなかったということになりましたら、地域社会は今度は保育所の運営に協力しない事態が出てくる、そして、村営のものなり、町営、市営のものなんですから、市なり町なり村なりでやろうとする、地域社会の協力は得られない、こういう形の保育所ではうまい保育というものはできない。やはり地域社会に渾然一体になった保育所こそ初めてうまい保育所になる。だから、私は保育所というものはやはり学校と同じだと思うのです。やっぱり学校の前段階ですね。これは文部省所管ではない、厚生省所管であるという違いはあるけれども、そういう形がある。だから、少くともこれはある程度地域社会の母親なりあるいは父親なりの子供の教育に対する文化のセンターでなければならぬのですよ。学校とともにそういう関係が出てこなければならないけれども、何せ保護児だけを収容して、しかも段階をつけていくという形、しかも段階をつけて入れればいいんだが、入れない。あれは非常に厳重なんです。それでちょっとでも多く入れていたら、あなた方の方の監査委が来て監査をして文句を言われるということで、市町村長はびくびくしている。ところが、建てるときには部落に協力を求めなければ建てられない。非常に矛盾をした面が出てきておる。その結果矛盾をしたことをそのまま押し切ってきておると、保育所というものは渾然と地域社会に溶け込まないで児童の健全な育成をはばんでおる、こういう事態が起ってきておるということを私は一応指摘しておきます。 そこで次に、保育所の全国的な適正配置の基準というものを大体あなた方は考えたことがあるかどうかということです。ただ、作ってくれ、作ってくれと陳情があったら、金のうんとあるところだけ作ってやろうかというのか、それとも保育所というものは何か適正な基準をもって作っておられるかどうか、その点を一つ御説明願いたい。
○高田(浩)政府委員 前段は御注意でございますが、ちょっと申し上げさしていただきたいと思いますのは、実は滝井先生の今おっしゃったのとそれから児童福祉法で規定しております保育所とは、その規定の趣旨と比べてみますと、その間違っているわけでございます。それで結局、そのどっちの方向に保育所を持っていくかということが根本問題としてあり得るんじゃないかと思うのであります。これが、先ほど申し上げました費用の問題ともからみ合せて考えなくちゃならぬ問題であると同時に、実際の要保育児童の保育なり保護なりに万全を期するということがやはり一つの根本的な命題でありますので、その命題を満足させるためにはどうするかということとも関連をして、この問題は今後とも一つ十分検討させていただきたいと存じます。 それから、今お話の配置の問題でございますが、実は非常に短かい期間に四倍にも五倍にもふえたという格好で、現在約八千六百ヵ所ということになっております。ところが、私ども見ましても実は県ごとをとりましても非常に不均衡になっておる状況でございます。人口千人当りに対しまして、保育所に入る児童の定員が幾らになっているかということを見ますと、多い県では千人対二十七、八人になっておるところもありますし、少い県におきましては千人対二人前後というところもありますから、その間非常に実は乱ぐいのような格好になっておるわけであります。そこで、第一段階としては、急速にはこれの調整はむずかしいと思いますけれども、これの少いところをできるだけ急速に伸ばして、そのためには、伸びているところは多少足踏みをしてもらうのもやむを得ない、補助金の配分等につきましては、そういうような心組みで調整をはかっておるわけでございます。
○滝井委員 時間がないから先に急ぎます。適正配置の問題は十分科学的にやってもらうことをお願いしておいて、次に盲ろうあ児施設と盲ろうあ学校との関係ですが、盲ろうあ児施設の方は県の段階でいけば民生部の所管になっております。盲ろうあ学校は文部省の所管になっておる。ところが、学校に盲ろうあ施設が併置されておるところが多いのです。そうすると、盲ろうあ児施設の長の教育の方針とその学校の校長の教育の方針とが食い迷う場合が出てくる。あなたの方で、この盲ろうあ児施設と盲ろうあ学校との調整の問題は考えたことがあるかどうか。
○高田(浩)政府委員 盲ろうあ児施設というのは、これはそれ自体目的を持った施設でございますから、単純なる学校の寄宿舎然たるものでは困るということで指導をしているわけでございまして、盲ろうあ児施設といたしましては、生活指導なり学習指導をすることが目的であります。学校におきましては、これらの児童のいわゆる普通の教育をするということでございますので、その間特別にどうこうということはあり得ないはずでございますけれども、ところによりましては寄宿舎から発進したようなところもなきにしもあらずでありますので、お話のような心づかいがあろうかと思いますけれども、考え方といたしましては、これはやはり特別の目的を狩った施設として運営をされ指導されるようにいたしております。
○滝井委員 そのように、盲ろうあ児施設というものが学校の寄宿舎の形態から発展をしたものであるということのために——(高田(浩)政府委員「ものもある」と呼ぶ)そういう形態が相当あるのです、まだ。貧弱な県に行けば行くほど盲ろうあ学校と一緒になって学校の中にある。そうしますと、校長の教育方針と民生部の県の職員であるところの寮長の教育の方針とは必ずしもこれは一致するとは限らないのですよ。従って、そこにトラブルが起る、私今全国でどのくらいあるか調べておりませんが、盲ろうあ学校に併置されておる盲ろうあ児施設が相当あるのじゃないかと思うし私福岡県におりました、渥美さんも知っておられると思 いますが、現実にあるのです。そしてまた教育方針が違って困っておるところもある。それはあなた方が気づいておるはずだという声がうしろでございますが、現実にそういうことで困っておるところがあるのです。だからあなたの方のいろいろの方針と文部省の方針というものは絶えず連絡をしておらなければいけない。ところがその連絡が行われておらないのですよ、県の教育長と民生部長とがこの問題についてざっくばらんに話し合ったことがあるかどうか、私は寡聞にしてそういうことを聞かない。あなたが初等中等教育局長といういう問題を話し合ったということはおそらくないでしょう。そういう点でなかなかこれは問題のところなんです。これはそれ以上言いませんが、注意をしてもらいたい。 それからいま一つ、最近結核児童療養施設というものが東北の盛岡か何かにできつつあるのです、そうしますと結核児童療養施設というようなものは児童福祉施設に入るのか入らないのか。
○高田(浩)政府委員 結核の治療を目的とするものは現在児童福祉施設にはないわけでございます。結核の子供の問題につきましては、これは結核対策の問題とも関連するところが多いので、ここまで進んで参りました結核対策としてこれらの問題について十分慎重に検討しなければならぬ問題だと考えております。
○滝井委員 そうしますと七条の児童福祉施設には入らぬという見解ですね。そこで少し問題がある。結核児童療養施設、これは虚弱児であることは間違いない。しかも子供の結核というものは脳膜炎が多いのです。いわゆる結核性の脳膜炎です。従ってこれはやはり精神薄弱的な要素が出てくるわけなんです。そうしますとこれはやはりこの施設のどれかに——もしそれが財団法人とか何とかの形で大して利益を目的とせずにやるものならば、たとえば虚弱児の施設かどこかに入れる方がいいのじゃないかと思うのです。なければ私の方としては、この結核児童療養施設というものをここに加えたいという意見を持っておるのです。
○高田(浩)政府委員 虚弱児施設は直接的には結核の治癒を目的としたものではありませんけれども、虚弱児というからには結核性に基くものもありますし、その他の身体的な状況に基くものもあります。従って虚弱児施設という本質的な制約はありますけれども、お話のように結核的な虚弱児というものが入っておることは事実であります。その限りにおいては当然そういった施設は認めていくつもりであります。
○滝井委員 ちょっと確認しておきたいのですが、そうしますと今中しました結核児童療養施設というようなものは虚弱児の施設に入れても差しつかえないと解釈してよろしいのですか。
○高田(浩)政府委員 結核性に基く虚弱の児童を収容しておりますものにつきましては、これは虚弱児施設としてのいろいろな制約がございますが、規模の問題でありますとかあるいは運営の問題でありますとか、その限りにおいては当然これは考えていくつもりであります。
○滝井委員 そう考えてもらえばけっこうです。 以上で終ります。
○藤本委員長 他に御質疑はございませんか。——質疑もないようでございますので、本案についての質疑は終了したものと認めます。 次に討論に入るのでありますが、通告もありませんので、直ちに採決するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。 〔総員起立〕
○藤本委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すきべものと決しました。(拍手) なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十六分散会 ————◇————— 〔参照〕 児童福祉法の一部を改正する法律案 (内閣提出)に関する報告書 〔別冊附録に掲載〕