社会労働委員会 第37号
- 発言数
- 33 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/04/11
会議録
○藤本委員長 これより会議を開きます。 児童福祉法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。滝井義高君。
○滝井委員 児童福祉法の一部を改正する法律案に関連して一、二の点をお尋ねしてみたいと思います。まず、児童福祉行政の行政機構は、現在厚生省の児童局からどういう系統で末端の福祉法の対象になる児童に及んでいく姿ができておるのか、それをシステマチックに御説明を願いたいと思います。
○高田(浩)政府委員 今お話しの児童行政の機構と申しますか系列と申しますか、それについて申し上げますと、中央におきましては児童局の職員が六十名でございます。それから地方に参りますと、民生部の独立しておりますところは民生部、あるいは厚生部でありますとか民生衛生部でありますとか、そういうふうに最近機構の改革によって部としては民生関係が独立をし、あるいは衛生部と一緒になったりしておりますが、いずれにしてもそういった部のもとに大部分の府県においては児童課あるいは母子福祉課あるいは婦人児童課といったような、要するに児童ないし母子福祉の問題あるいは婦人の問題に対する独立の課がございます。それから一般の児童福祉行政としましては、御承知の生活保護等も一緒にやっております社会福祉事務所がございます。それから別の系統として児童相談所というものがございます。これが全国で約百二十カ所でございますが、児童相談所の主たる任務は、いろいろ児童の問題について相談に応じたりあるいは判定を下したりあるいは施設等に入れる場合に措置をしたり、そういったことをやるわけでございまして、どちらかといえば児童に関しまする専門的な、技術的な、科学的な部面を担当しているわけでございます。すなわち相談所と福祉事務所とは、福祉事務所の方が行政部面、相談所の方が技術部面、非常に大ざっぱな申し上げ方をすればそういう格好になるわけでございます。それから児童に関しまするものは、一般の福祉関係のほかに衛生関係の仕事が相当ございます。たとえば肢体不自由児の問題でありますとかあるいは母子衛生の問題でありますとか、そういった関係がございますので、その辺は保健所を通じてこれや行うということになっておるわけでございます。 役所としては以上申し上げた通りでございますが、民生委員に相当いたすものといたしましてはいわゆる児童委員、これは民生委員とうらはらになりますから、全国で十二万五千ということになります。それから、児童委員は今申し上げましたようないわゆる民間に相当するわけでありますが、役人として特殊な職名を持って児童福祉法の中にも書いてあるものとしましては児童福祉司というのがございます。約九百名ございます。相談所等に勤務いたしまして、児童の問題についてケース・ワーク等の仕事をやっておるわけであります。そのほかに社会福祉事務所におきまする社会福祉主事が仕事をいたしますのは当然でございます。大体そういうような系統になっているわけであります。
○滝井委員 今少し系統的に児童局の方から説明がなされましたが、府県の民生部、それから行政面が社会福祉事務所、技術面が児童相談所、衛生面保健所、それからそれらの間に民間には民生委員とうらはらの児童委員、役所関係では福祉事務所に社会福祉主事、児童福祉司、これらの人たちが働いて児童の福祉に万遺憾なきを期してやっておる、こういうことになっておるようです。その系統的な行政機構とその中に働いておる人たちの大ざっぱな御説明をいただいたのですが、まず私がお尋ねをいたしたい第一点は、府県の行政機構の民生部の中における児童課とか母子福祉課、婦人児童課、こういうような児童福祉を独立の課として担当をしているものが、全国のすべての都道府県にわたってあるかないかということです。
○高田(浩)政府委員 今お話の県の中におきまする児童福祉の関係の専門の課、これは結局児童福祉法が施行されましてからほとんど全部の県に置かれておりましたが、最近いろいろ県におきまする行政機構の改革に伴いまして、多少独立の課でなくて一般の社会福祉と同じ課、たとえば厚生課でありますとか社会課でありますとか、そういったところで扱っているところがございます。しかし全体といたしましては、そういった独立でなくなっているところは数県にすぎない程度でございます。他は全部先ほど申し上げましたような独立の課でやっているような状況でございます。
○滝井委員 全国大部分の県が児童福祉を専門に扱う課を持っているにもかかわらず、数県でも独立をして児童福祉を専門に担当する課がなくなったというのは、行政機構の改革でそういうことになったのだそうでございますが、その理由は一体どういうところにあるのですか。
○高田(浩)政府委員 この行政機構の問題は、もちろん児童福祉の仕事が新しいものであるだけに、これを強力に進めていくためには、どうしてもそれ専門の課を置いてやることが必要であるし、私どもとしましては、各県ともその独立の課を置いて責任を持って児童福祉を推進してもらうという態勢にあることを希望をし、またそのつど要望をしておったのでございますけれども、たとえば衛生部と民生部の合併であるとか、そういった意味の一般の行政機構改革の考え方に基くものと思うのでございます。数県にしましてもそういった状態になったことは、私ども非常に残念に思っている次第でございます。 なお御質問とはちょっとはずれるかとも思いますけれども、こういった児童行政について、中央、地方の結びつきと申しますか、その辺のところをさらに一そう強化する意味合いを持ちまして、三十二年度の予算におきましては、百八名の全額国庫負担の職員を置くように決定をいたしているのでございまして、今その準備を進めているわけでございます。大体幹部職員をそれに充てさせるつもりで考えているのでございます。
○滝井委員 どうも千丈の堤もアリの一穴から破れるように、おそらく全国の大部分の県が児童福祉の専門の課を置いておるにもかかわらず、数府県がそれを置かなくなったということは、これはやはり日本の児童福祉行政に対して、すでに熱意を欠くという点が出てきたことを示すわけなのです。その出てきた理由は一体どこにあるのか。地方財政が窮迫になったために民生部と衛生部とが一緒になって、そして民生衛生部というようなものになった。すなわち厚生行政の中における民生関係と衛生関係が一つになったというそのことが、同時に一つのしわ寄せとして、県の機構の中でも一番弱い、しかもわれわれの人間の成長過程でも一番弱点である児童期、そういうような児童の問題を取り扱う児童課にしわが寄ってきている、あるいは母子福祉課というか、母親と子供の問題を取り扱う課にしわが寄ってくる、あるいは婦人と子供の問題を取り扱う課にしわが寄ってきて、それらのものがだんだんなくなされていくということは、これは地方財政の赤字ということに籍口されて、児童福祉の問題というものが軽視をきれる傾向が出てきておるのじゃないかと私は思うのです。こういう傾向に対して、一体厚生省は何らか具体的な対策を打ったのかどうかということなのです。これは川崎君が厚生大臣のときに、衛生部が廃止をされる県が出てきたのですね。そういう点、私は一応警告を発した。しかしきょうは、これは衛生部の問題が同時に民生部にまで、すでに及んできているということなのです。そして衛生部、民生部が一緒にされる。一緒にされた衛生部の中から何か削られる課ができてくる、民生部でも何か削られる課ができてくることは、末端の民生行政と衛生行政というものが、地方財政の赤字のために非常な追い詰められた形が出てきている。その追い詰められた形を何か挽回をし、あるいはそれを押し返すだけの対策というものを厚生省はとったことがあれば、どういうような方策をとったか、今後とるつもりがあれば、どういう方策をとってそれを阻止するつもりなのか、こういう点を御説明願いたい。
○高田(浩)政府委員 今お話の点につきましては、実は表立った話になりますと県は県、国は国ということになりまして、非常にかた苦しいことになるわけでございます。その意味からああした、こうしたということをこういう公けの席上で申し上げることもいかがかと思うのでございます。しかし今お話のように専門の課がなくなるということは、これは児童福祉行政上最も大きな問題の一つでございますので、私どもとしましては許され得る範囲において、また講じ得られる手段において、それが独立を保持し得るように工夫をいたして参ったのでございます。大体地方におきまする機構の問題も、現状においては一段落したような感じにとられるのでございます。今後とも、このなくなりました県につきましては、これに独立の課が置かれるように私たち熱意を傾けて参りたいと思うのであります。なお去年の自治法の改正によりまして、いわゆる五大都市がいわば府県のランクにおいて仕事をする部面が出て参りましたので、その機会に五大市におきましては全部児童課が置かれるように話し合いをいたしまして、そうなったような事情をつけ加えて申し上げておきたいと思います。
○滝井委員 具体的に、どうも地方財政が窮乏化して、そのためにそのしわが一番弱い行政を担当する民生部、衛生部に及ぶ。しかも特に民生部の中でも児童関係に及んできておる。その防止策については、今どうも抽象的でなかなか明白な御答弁を得られなかったのですが、この点は大臣が参りましてから大臣からも一つ所見をお伺いすることにして、一応局長さんの御答弁はその程度にしておきたいと思います。 そこで次に、今県の民生部段階の児童課の問題が出ましたが、その次の段階にある社会福祉事務所と児童相談所と保健所であります。これらのものは、それぞれいわば児童問題を担当している末端における重要な機関なんです。一体これらの三者の関係というものは、どういう関係になっておるかということなんです。なるほど抽象的には、社会福祉事務所は行政面を担当する、児童相談所は技術面、それから保健所は衛生方面を担当するということになれば、一応頭の中では分つことができる。しかし一個の幼き人間である児童、人間児童というものを扱う場合には、これらの三つの官庁がばらばらであってはならないと思う。これらの三つの官庁は絶えず有機的な連絡のもとに、血の通った行政が行われなければならぬと思うのだが、一体福祉事務所と児童相談所と保健所とは、有機的にどんな関係を持ってやられておるかということなんです。
○高田(浩)政府委員 率直に申し上げまして社会福祉事務所、これはいわばほんとうの第一線の機関になるわけで、これが十二分に児童福祉の仕事に打ち込んでもらうことが最も必要なことでございますが、実情としましては生活保護の仕事に非常に追われておりまして、従って児童福祉の部面にさき得る力というものが必ずしも十分ではない状態でありまして、この点は非常に残念なことでございますし、将来改善を要する一つのポイントであろうと思います。それから児童相談所、この目的は先ほど申し上げましたようなものでありますが、これが全国で約百二十カ所であり、しかもそれがA、B、C、D、各段階に分れておりまして、上の方の段階が実は非常に少いので、いわば相当多くの部分がその設備において、あるいは人的仕組みにおいて十分とは言えない、そういう状態でございまして、これの完全充実ということがやはりまた一つの大きな課題になっておるわけであります。それでこの第一線の社会福祉事務所におきましては保護を要する児童の発見、世話等をつかさどるし、それからまた、たとえば精神薄弱児でありますとか、あるいは不良の児童でありますとか、そういったものにつきましては児童相談所の判定なりあるいは指導にかけてそれぞれの措置有する、そういう仕組みになっておるのでございますが、今申し上げましたいわゆる現実の姿からしまして、その辺の機能が十分に発揮されるところまでは行ってないのが実情でございます。従って私どもとしましては、児童行政を今後健全に進めていくためには、滝井先生の御趣旨もそこにあろうかと思いますけれども、行政の系統を確立し、そしてこれを充実をしていくことが根本にならなければならないという趣旨から努力をいたしておりまして、さしあたり三十二年度におきましては、県段階における措置が、人員の問題につきましては一応この予算に計上されたような次第でございまして、この相談所の問題等もいろいろ考えておることはございますけれども、これは今後また十分努力して参りたいと思います。 それから保健所におきましては、たとえば肢体不自由児の発見でありますとか、あるいは措置でありますとか、それから妊産婦、乳幼児の保健指導でありますとか、そういった面を担当いたしておるわけでございまして、いわばほかの相談所あるいは社会福祉事務所とのからみ合いは割合に少いわけでございますし、それから保健所は割合に歴史も古いし、機能的にはほかの面よりも充実していることは言うまでもございませんが、しかしこれにしても先般来いろいろ本委員会において御議論がありますように、それはそれとしていろいろむずかしい問題、弱点をはらんでおるような次第でございまして、その辺いわば率直に申し上げまして、足は二つか三つありましても、いずれも十分とは申しかねるというのが実情でございまして、今後これらの問題については、直接の児童保護の仕事と並んで、こういった行政面の充実を大いにはかっていかなければならないと考えております。
○滝井委員 どうも今の御答弁を聞いてみると、たよりないことおびただしいと思うのです。これはやはり児童局長さん自身が、行政の末端について何と申しますか、その行政機構の脆弱性を十分認めて慨嘆をされておるというのが今の御答弁なんです。これでは児童憲章ができ、児童福祉が強調されておるが、全く絵に描いたもちで、末端の行政というものは真に児童行政を推進するに足るものでないことが私ははっきりわかった。実は私も今行政機構をまず冒頭に持ってきたのは、日本の児童行政の機構というものを厚生当局がほんとうに頭に入れてよく考えてみたことがあるかどうかということを、一つ系統的に聞いてみようということで聞いてみたのです。ところがどうも福祉事務所においても児童行政というものがほとんどやられていない。あなたのお認めの通り、生活保護で追われて、児童行政をやっておりません。また児童相談所も――児童相談所は技術面の担当なんですが、専門家がいない。児童の心理等を担当する者がいない。それからこれは当然そういう社会心理的なものを見るとともに、児童の人間心理を見る人、がいなければならぬ。そういう医師その他が相当充実されていなければならぬが、これがいないのです。とにかく府県の末端にある児童相談所にはそういうものはいません。ほとんど事務官がやっておる。これはあとで具体的に触れていきますが、同時に今度は県の中央児童相談所とでも申しますか、比較的建物はりっぱです。しかし中身は専門家がいなくて十分に動けないという状態なんです。そうしますと、保健所は今あなたが言ったように伝統があるけれども、これは主として肢体不自由児の発見とか、妊産婦、乳幼児を取り扱うというと、児童福祉行政の本流ではないのです。むしろこれはアシスタント的な役割を演ずる補助的なものなんですね。そうするとやはりその三本の柱の中のささえる二本の柱というものは福祉事務所と児童相談所、これでなければならぬと思うのです。行政面と技術面が非常に有機的な密接な連絡がとられなければならぬが、今の御説明を聞いてみると、それら二つの役所の有機的な連絡というものはないのですね。ほとんどないと言っていい。こういう点は十分考慮しなければならぬが、一体今後それらのものをどういう工合にやっていくかということなんです。特に市においては福祉事務所が市独自のものとして運営されていっておる。そうしますと郡部の方の福祉事務所は、県の地方事務所と申しますか、県の出張所が扱っておるから、県の所管の児童相談所とは割合に連絡がとられておる。ところが市の福祉事務所は一つの独立の機関となってやっておる関係上、県の所管にある児童相談所との連絡は必ずしも郡の場合ほど密着をしていない。こういう点あなた方はお考えになったことがあるかどうか知りませんけれども、福祉事務所と児童相談所が並列的な関係になって、有機的な連絡をとりながら児童福祉の行政を推進していこうとするならば、まず福祉事務所と児童相談所との有機的な連繋、特に福祉事務所の中でも市の所管による福祉事務所と県の所管下の児童相談所というものをどういう工合に結びつけていくか、これは私は今後の行政における非常に重要な点ではないかと思う。そういう点が反省をされ検討をされていかれたことがあるかどうか。いかれたことがなければ、今後どういう工合にやっていくのか。
○高田(浩)政府委員 今お話のありました通りに実は私ども残念ながら感じておるのでございまして、これは弁解がましいことを申し上げるわけではございませんが、児童行政が、いわば戦後の混乱時期に発足をいたしまして、その当時緊急に処理をしなければならない児童をたくさんかかえており、その後も児童行政の面で実際に措置をしなければならない児童の問題をたくさんかかえておりました。従ってそちらの直接的な事業の面に非常に追われておりまして、行政面の充実が、歴史的に見れば多少立ちおくれておったというふうに解釈せられない点もないではないと考えられるのでございます。しかし今後児童行政がここまで参りますと、やはり児童行政を今後支えていき、これを充実さしていくためには、どうしても今お話のありました行政の系列をはっきりし、そうしてこれを充実していくということをやらなければ、結局花が咲きっぱなしになって、あとは細々と幹をつないでいくというような格好のものになりまして、将来大へん心細いようなことになるわけでございますので、この点私児童局に参りまして、ほかの皆さん方の御意見も承わり、この点を何とかしなければということで実は苦心をいたしておるのでございます。そこでこの福祉事務所と相談所との関係について、両者の関係ということの前に、たとえば相談所について見ますと、これはやはり一般の事務の者がやるのではなしに、あるいは精神衛生なり、あるいは心理なり、あるいは教育なり、そういった面の専門家を集めて、いわゆる専門的な技術的な仕事を遂行するその前提としては、そういった仕事についての医学的な、あるいは心理学的な、教育学的な、そういった学問に裏づけされたいわゆる技術の体系というものが確立されて、その上にそういう専門家をそろえて、この相談所というものがそれらの中心になっていくという態勢にしなければならないし、また当初の考え方もそうであったと思うのでございますが、現実には全体の数が少い上に一つ一つの相談所をつかまえてみますと、そういったあるべき姿からすれば非常に遠い実情にあるのでございます。これらの数の問題は一応将来の問題として、A、B、C、D、この四段階くらいに分けてその規模がなっておるのでありますが、Aクラスのものというのは非常に僅少でございまして、従ってそれ以下のものを何とか上の方に引き上げる、そのための設備面あるいは人的面の充実をはかっていくということがやはりこの相談所の問題については第一に着手すべきことではないかというようなことで、三十一年度の予算編成、三十二年度の予算編成の場合におきまして、それらの点を十分努力をいたしたのでございますけれども、まだ実が結んでいないということが現実でございます。 社会福祉事務所の問題につきましては、これは生活保護との関係において、従って逆から言えば、社会福祉事務所の人的な力と申しますか、そういったものと相対をいたしまして児童福祉なりあるいは身体障害者の福祉の問題なり、そういった問題について十分力を出すだけの状態になってないのでありまして、その点は人の問題とそれから事務運営のやり方の問題、あるいはそれに関連する経費の問題、さしあたっての解決策としてそういった問題について考えなければならないと思っておるのでございます。多少経費の面等につきましては三十一年度の予算等において手当をいたしましたけれども、それらの点を今後考えていきたいと思います。今お話のように、根本的にはこの辺の問題はいろいろ考えれば切りのない問題でございますが、さしあたって現実に即応した着実な改善方策というものを打ち立てて進んで参りたい考えで努力して参りましたし、今後もそのようなことで進んで参りまして、将来の根本的にどうするかという問題は、その上でさらにまた現実に即して考えを立てなければならぬ、そういうように考えておるのであります。
○滝井委員 今の御説明の中で、事業面に非常に力を入れた、その充実に追われて行政面が立ちおくれたということでございますが、事業が非常に順当に行われ、しかもその行う事業というものが最小の労力をもって最大の効果を上げていくということは、やはり行政が系列化し、整っておらなければ能率は上らないと思うのです。そういう点で、やはり事業の充実と行政の面の充実というものは車の両輪のようなもので、私はある程度並行していくべきものだと思うのです。ところがどうも今の御説明でも理解がいくように、福祉事務所なり児童相談所というものは全く充実をしていない。局長さん自身がお認めになるようにきわめて心細い限りである。これは大臣が来てから聞きたいと思いますが、私は現在の厚生省の行政をじっと見てみますと、保険局や社会局の行政というものは非常にはなばなしいし、充実してきている。ところがそれよりかもっと先に考えなければならないこの公衆衛生、すなわち予防面と児童福祉、おとなになる前の段階というものが一番大事なんですが、こういう予防面と子供の段階というものが一番弱いのです。私はこれは今後厚生行政で一つの力を入れなければならない重点だろうと思うのですよ。これは大臣が来てからその意見を伺いますが、どうもあなた方の局というものは厚生省の中でもいわば日の当らない局になっている。こういう点は山口さんとともに手を携えてがんばってもらわなければならぬと思うのです。こういうものは金を食います。金を食うけれども、その金は永久に食うものじゃない。やはり一時金を入れればそれから先は何とか車が回り、社会環境その他が児童問題が解決するにつれてよくなってくれば、今度はその子供が成長し、おとなになるにつれて金がかからないようになる。いわゆる国家百年の大計というものを今の自民党の政策は忘れておる。そういう点は一つあなた方が大臣を通じて政府、与党に警告を発するような形をとらなければいかぬと思う。これは今ここに与党の諸君もお聞きになっておる通りですが、全く自信がない。あなたのような日本一の児童問題の権威者が担当されても自身がないんですから、これは大へんなことです。私はそういう点を大臣が来てからもう一ぺん繰り返します。 そこで役所というものは、末端の役所というものが、行政面においても、技術面においても、衛生関係においてもきわめて心細いということがわかりました。今度は役所の中の働いておる人間の方はどうかということです。まず人間の関係を見てみますと、生活保護の機構というものは社会局が中央で充実しておるように非常に充実してきておるのです。まず膨大な生活保護費なり医療扶助費を削るためにも充実してきておるようでありますが、とにかく充実してきておる。これに反して児童福祉機構というものは実に見劣りがするのです。これは今具体的に児童相談所なり福祉事務所で指摘してはっきりわかってきた。そうすると、今度はそこに働いておる人間の関係、すなわちこれらの二つの事務所で働く中心は何かというと社会福祉主事です。それからあなたの方の児童相談所は児童福祉司でしょう。一体児童福祉司というものは定員が充足されておるのか、いないのか、お聞きしたい。
○高田(浩)政府委員 児童行政は確かに社会保障の部門の中におきましては、あるいは予防的な、あるいは早期発見、早期治療的な役割を果すべき部面であるし、従って今後社会保障の部面の行政が充実をしていくに従ってこれを効率的に運営をするために、やはりそういった面を充実することによって、本人の問題もさることながら、社会的な負担もそれに応じて適正にやっていく、そういうふうなことがこの社会保障の行政を進めていく上において考えなければならない最も重要な点であると私どもも確信をいたしておりますし、また厚生省がこの社会保障の仕事を進めていく上においてもそういう点を十分考慮していくようにお互いに気をつけておるのでございます。 それから行政の面あるいは事業の面については、御指摘のようにいろいろ難点がございますし、弱点があることは言うまでもないのでございますけれども、何しろ終戦後やっと誕生をして、ことしで児童福祉法が制定せられてから十年、児童局が誕生いたしましてから満十年というようなことで、ほかの行政部門に比べますと歴史が非常に浅い。その浅い歴史の中において四苦八苦してきたのがこれは偽わらざる現状であろうと思いますし、従って現状は現状として将来われわれが努力をし、また拡充をしていかなければならない部面があることを十分認識をして、それらの現在の持っているところの欠陥なり弱点を如実に認めてこれを是正していく、そういう意味に考えているのでございまして、将来に非常な不安を持って自信なくふらふらしている、そういう意味ではないことを念のために御了承いただきたいと思います。 今の児童福祉司は、定員は約千名近くでございますが、そのうち充足されておりますのが約七百名でございます。
○滝井委員 定員千名のところで七割の充足率なんですね。機構的にもしいたげられておるし、しかも人間的にもしいたげられておるということになれば、日本の児童行政はもうこれ劣悪きわまれりといわなければならぬと思うのです。これは大臣が来てからそういうところも大臣に十分私の方から質問をして、認識を新たにしてもらわなければならぬと思う。最初私は勘で、あなたの方と予防面の公衆衛生局というものは最も金を入れなければならぬところだ――金を入れさえすれば病人なんかなくなります。それから生活保護なんかになる者も、子供のときからの訓育いかんによって、より多くの者がおとなになってからやはり生活保護を受けなくていい立場になる可能性が出てくる。これは予防行政と児童行政が相待てば、そういう形が出てくる。あなた自身が御説明になったように――予防行政というものは、早期発見、早期治療が大事なんです。予防行政と全く軌を一にしているものです。ところがそこの千人必要なものが七百人ということになれば、予防行政をやる保健所と同じです。保健所はやはりことし予算を一ぱいもらったにしても七割の充足しかできない。医者のごときは六割そこそこだというこういうあわれな状態なんですね。これは予防的な面が日本の行政では全く日の当らないところになっているということです。やはり私たちは物事のものを考えなければならぬ。昔から言っているように、上流をたださずして下流の水が清くなるということはない。百年河清を待つという言葉がありますが、上流をそのままほっておいて下流がきれいになるということはない。これはもう少しがんばってもらわなければだめだ。 そうしますと、一体児童福祉司と社会福祉主事との関係ですね、社会福祉主事は生活保護と身体不自由者の援護を中心に仕事をしておると思う。余暇があれば児童問題もちょっとやっておるかもしれません。一体この関係は末端の行政の場ではどういう工合になっておるのか。
○高田(浩)政府委員 いわゆる社会福祉主事というのは、社会福祉事務所を中心として児童福祉あるいは身体障害者の福祉あるいは生活保護等一般的な社会福祉をやっております関係上、むしろ一般的に児童の福祉の問題をにらんでおる。それから児童福祉司は、どちらかといえばそれよりももう少し専門的といいますか、個別的といいますか、そういった観点で児童の福祉をにらんでおる、そういうような関係でございまして、いわば一般と特別との関係でございますから、具体問題になればどちらでどうというふうにはっきり分けられない面もあるかと思いますけれども、両方相互に連絡をし合って、その辺協力をしてやっておるような次第でございます。
○滝井委員 児童福祉司の方は、特別な関係、特に専門的に個別的にやる、それから社会福祉主事の方は一般的にやる、こういうことなんですが、今度改正されます法の十一条をごらんになると、「児童福祉司は、政令の定めるところにより児童相談所長が定める担当区域により、前項の職務を行い、担当区域内の市町村長に協力を求めることができる。」こうなっているわけです。問題はこの「市町村長に協力を求めることができる。」という点が、私が今指摘をした児童福祉司と社会福祉主事の関係になってくるのです。市町村長に協力を求めるといったって、実際には、市でいえば市町村長という者は、そこの行政の児童福祉のすみからすみまで精通しているわけではない。当然市の所管の福祉事務所、これに行ってそこの専門にやっておる社会福祉主事との関係でやはり協力が得られることになる。町村の場合は、少し性質が違ってきますけれども、一応市の場合に例をとればそういうことになる。従って社会福祉主事と児童福祉司との関係というものをある程度明白に把握しておかないと、うまく行政はいかない。特に児童福祉司が相談所長の定める担当区域を持つということになると、ますますその感を深くする。なぜならば、この社会福祉主事もみんな担当区域を持っているのです。担当区域を持って、生活保護の家庭を、たとえば数は今ちょっと忘れましたが、百軒なら百軒、二百軒なら二百軒という担当区域を持っているわけです。その福祉主事の担当区域よりも、もっと広い範囲のものを児童福祉司は持っている。なぜならば、社会福祉主事というものは、全国で見ると多分八千くらいだったと記憶しております。そうするとその十分の一の八百人か七百人そこそこだ、定員は千人だが実際は七百人くらいしかいないんだから、社会福祉主事十人に対して一人の割合で児童福祉司がある、こういう関係になる。従って行政面で一般的な面を推進をしていっておる社会福祉主事と、その中で専門的に、個別的に心理学まで心得て当っていく児童福祉司との関係というものは、密接でなければ児童行政というものはうまくいかない。だから私は、役所と役所との関係がうまくいくかどうかということは、その十対一の関係がうまくいくかいかないかにかかるのです。だからその間のあなたの方の児童局が、厚生大臣の大脳から末端の末梢に至るその児童福祉司に、いわゆる電気がびびっと通ずるような形に行政の系列ができておれば問題はない。ところがその二つの役所の関係が必ずしも明白でない。従って役所の関係が明白でないことは、おそらく末端の人間の関係も明白でないだろうと思って、人間関係まで今問題をおろしてきたわけですが、こういう関係はどういう指導をして具体的にどういうことになっておるのか。
○高田(浩)政府委員 児童福祉司は、今お話しのように、全国的に見ますときわめて数が少い格好になりまして、くまなく網を張って直接自分がタッチするということには人的な実力というものが伴っていないのが実情でございますので、いわばきわめて少数の人間で非常に広い範囲のものを持ちまして、それを自分がかけずり回って処置をすることが、ほんとうはしなければならないのでございますけれども、そこまでいっていない。従って一面において、ここに書いてありますように、市町村の協力を求めることは言うまでもありませんが、第一線の社会福祉事務所に勤務しておりまする社会福祉主事の協力によりまして問題の点を把握して、その上で児童福祉司の手にかかってくるものが選択をされるというのが実情でございます。本来からいえばこれはそれぞれ職分が違っているわけでございますし、児童福祉司は児童福祉司として独自の活動分野を持ち、東奔西走しなければならないことは言うまでもありませんけれども、実情は今さようになっておるのであります。これらをすっきりした形にするというにつきましては、その辺の第一線の実情の改善とにらみ合せてやらなければならないというふうに考えておるのであります。
○滝井委員 児童福祉法の七条で取り扱うこれらの児童福祉施設に入っていく子供というものは、やはり肉体的に見ても精神的に見ても何らかの形で異常があると思う。少くとも要保護児というのは、家庭環境に何か恵まれない欠陥がある子供、あるいは身体的に見ても精神的に見てもあるいはその性情から見ても何かそこに欠陥障害がある、こういう子供が保護の対象になるわけなんです。そうしますとこれは単なる社会福祉主事だけが見てやるのではなくして、当然専門的な技術的な見解を持っておる児童福祉司のふるいにかかっていかなければならぬと思うのです。その末端の両者の間に緊密な連絡がとられなければ、児童行政の的確性というものは欠如することになるのです。それにもう一枚保健所が加わっていけばこれは非常にいいことになる。ところがなかなかかなえの三本の柱が動くような工合にはいかないのですよ。二本でさえも、福祉事務所と児童相談所がうまくいかないというところに保健所を加えることは無理なんですから、まず二本だけは先にやってその次に保健所がやる。そうしてその中で働いておる社会福祉主事と児童福祉司と保健所の保健婦なりあるいは助産婦なりあるいはそこの医師なりというものがさらにこれに協力をしていくという形になれば、行政機構の人的な充実ができていないにしても、まずその三者がうまくさえいっておれば、何とか人間不足というものはカバーできてくるのです。それをやっていないから至るところに弱点を暴露して、児童行政というものが全く日の当らない行政であるということを白日にさらすことに今なってきておるのです。そういう点はもう少し考えてもらわなければならぬ。 大臣が来ましたから、もう一つだけあなたにお尋ねして次に入りますが、それらの役所の中の人間的な関係の中にいま一つ入ってくるのが民生委員、児童委員なんです。現在十二万五千の民生委員と児童委員がある、こういうことになっておるわけなんですが、この民生委員としての役割は私は高く評価していいと思う。あたかも福祉行政における社会福司主事の働きが非常に目ざましいように、民生委員の働きも目ざましい。ところがそのうらはらの児童委員の働きは一体どういうことになっておるかということなんです。しかもその児童委員と今言った社会福祉主事と児童福祉司との関係ですね。これらのものが大体有機的にやっているかどうかということなんです。この点あなたの所見を一つ伺っておきたいと思います。
○高田(浩)政府委員 いわゆる役所側とそれから児童委員との連携というものが緊密にならなければ十分成果を上げ得ないことはお話の通りでございまして、各地方とも定期的な児童委員の連絡の会合等には児童福祉司等が出席をいたしましてお互いに連絡し合うというふうなしかけにいたしておるのでございます。それから民生委員と児童委員の活動でございますが、民生委員と児童委員といわばうらはらになっておりますし、両方それぞれ仕事があるわけでございますが、実際問題としましてはいわゆる方面委員時代からその方面の仕事がずっと主流をなしてきた関係上、当初におきましてはいわゆる児童委員としての仕事が十分活発でなかったのではないかと疑われる節ももちろんこれはなきにしもあらずと思いますが近時児童の問題でありますとか、あるいは母子福祉の問題でありますとか、あるいは母子衛生の問題でありますとか、そういった方面における児童委員としての活動は従前に比べますと相当活発になってきておるように私どもは承知をいたしておるのでざいます。それから私どもとしましても児童委員としての仕事は非常に広範でありますから、これをのべつまくなしにやるというのでは、その成績を上げるという点からもどうかと思われるので、三十年度、三十一年度等におきましてはどちらかといえば主としてこういう点を一つやっていただきたいというふうな意味において、たとえば長期欠席児童の問題でありますとか、あるいはヒロポンの撲滅の問題でありますとか、あるいはまた里親の発見の問題でありますとか、あるいは人身売買の防止でありますとか、そういった数個の主要な活動の目標を特に強調いたしまして、それを活動の重点としていただくように指導をいたしておる次第でございます。
○滝井委員 今度の法律の十三条あたりを見ても、市町村長は児童福祉司に必要な援助を求め、児童委員に必要な指示をすることができるし、同時に児童相談所長はその管轄区域内の児童委員に必要な調査を委嘱することができるというふうに、法律の上では児童相談所、それから市町村長と一番関係のある社会福祉主事、社会福祉事務所、こういうものと児童委員、民生委員というものが密接な関係にあるということが明確に出ておるのです。ところが今度はそれが有機的に動いているかということになりますと、どうも有機性というものが欠けてくる。こういう形が出ておる。 大臣がおいでになりましたので、だんだん前の問題に返って大臣にお尋ねしていきたいと思います。実は大臣、児童福祉行政の系列は今どうなっておるかと申しますと、さいぜん局長の御答弁によれば、まず厚生省に大臣がおって、その次に児童局があって局長がいらっしゃる。その次には今度は県知事のところに行きますと知事のもとに民生部がある。あるいは厚生部、衛生部というような少し名前が変っておるが、とにかく代表的なものは民生部、その下にいきますと福祉事務所、これは市と郡単位で郡の福祉事務所、市ならば市の福祉事務所がある。県の所管の児童相談所がある。それから県の所管の保健所があるわけです。これらの三つの場所で児童問題を取り扱っている。福祉事務所は行政部面を取り扱い、児童相談所は技術的な面を取り扱い、それから保健所は衛生部面を取り扱っている。それで今度はそれらの機関に人間として入ってくる者は、福祉事務所では社会福祉主事が入ってくる、児童相談所では児童福祉司が入ってくる、保健所では保健婦や医師その他いろいろ専門家が入ってきておる。そしてさらに民間のものとして民生委員とうらはらの関係にある児童委員が入ってきておるわけなんです。そうしますと、まず県の段階で最近は民生部のどこにでも児童福祉の問題を専門に取り扱う独立の課があるものだと私たちは心得ておったわけなんです。ところが最近全国の都道府県全部に独立の課というものがないということがわかってきた。すなわち廃止するところが出てき始めた。これは川崎君が厚生大臣のときに衛星部を廃止する県が出てきた。それは厚生行政にとっては非常なマイナスじゃないか。一体なぜ衛生部が廃止される段階になってきたか、その理由を探求していくと、地方財政が赤字だということになってきた。衛生部を廃止した結果、民生部と衛生部を一本にして民生衛生部というものが出てきた。そうすると必ず衛生部の中で一課か二課は削りとられてほかの課に合併される。それはあに衛生部だけにそういう結果が出てくるのではなくて、民生部にも出てきた。民生部ではどういうところにそういう結果が出てきたかというと、児童課を中心に出てきている。児童課の課長というのは、県でも婦人の課長さんがある。他の課は婦人の課長さんはないが、児童課はまれに婦人の課長さんがある。福岡県でも、今はありませんが、私が県会議員のときに、ありました。こういうふうにして児童福祉行政というものはそれまで独立の課を置いておったのが、民政部においても衛生部においても地方財政の赤字でこういう問題が出始めてきておる。すなわち厚生省の分身であるそれらの課がどんどん削られる形勢が出てきた。このような児童福祉行政というものが地方財政の赤子によって削減されるという状態というものを一体厚生省は具体的に何か防ぐ手を持っておるのかどうか。大臣は日なお浅いので、おそらくまだお気づきになっていなかったかとも思いますが、これは認識をしてもらわなければならぬ点なんですが、こういう点大臣今後どういう工合にお考えになるのか。これは一つ大臣として御答弁願いたい。今局長さんからいろいろ御答弁を願いましたが、なかなか局長さんとしては自信がない御答弁なんですね。それで大臣にきてもらって児童行政を知っておいてもらわなければならぬ。そして閣議その他で主張すべきところは主張してもらわないといかぬのじゃないかということで、その具体的なところからまず第一にお尋ねしておきます。
○神田国務大臣 ただいま滝井委員から地方の財政逼迫によるいわゆる行財政の整理と申しましょうか、そういう関係でわれわれの方の厚生関係の系統的な組織的な部局というものが縮小あいるは統合されようとしておる、厚生省としてこれに対して対策を考えておるかというようなお尋ねに承わったのでございますが、地方財政が非常に逼迫して参っておることはお述べの通りでございます。そこでこれはどこの都道府県においても行政機構の改革をおやりになる。特に厚生省関係だけを締めたわけではないのでございまして、全体を見て調和をとって一つの機構の整備をした、こういうふうに私どもは承知いたしておるわけでございますが、たまたま厚生省の関係でございます、今例にとられた児童福祉の点につきまして直接管掌する課が全国どの都道府県にもないであろうということにつきましては、これはお述べになられた通り、全くゆるがせにできないことと私も考えております。御指摘のように、就任後日も浅いのでございますが、厚生省関係の地方配付予算がどういうように消化されておるか、それから三十二年度の予算等においてどういうような実施計画を立てておるかということと関連いたしまして、地方庁のいろいろな国の予算の扱い方、また行政の扱い方等につきまして今調査いたしておる次第でございます。 そこでこれは一般的にたとえば滝井委員のお述べになられたように、閣議等を通じて特にひどいものについては何らかの通牒あいるは訓示等の形式によって注意を喚起して、それらの復活をはかることに努力することはもとよりでございまするが、私は各府県、これはいろいろ事情があってそういうことになったろうと考えておりますので、そういう全般的なことを考えるとともに、都道府県によってはこの点は一つ置いてもらわなければ困るという事例が他の面にもあるようでございまして、たとえば母子福祉の貸付金等についても全然計上しておらない県もあるようでございますので、厚生行政が地方公共団体との関連において総合的に行われておらないというようなことについては個別的に各知事に御上京願って御懇談したい、そしていろいろ各県の対象を調べてくれないか、あるいはまた私どもの視察等の適当な機会を得まして、そうして懇談して、今お述べになりましたことのないような処置をすみやかにしていただく、こういうことをいたしたいという考えを持ちまして、先般の厚生省のそうした会議においてもお打ち合せいたしまして、今もっぱら資料を集めているような段階でございます。御趣旨は同感でございますので、そういった点で充実するようにいたしたいと努力しております。
○中山(マ)委員 関連して局長にお尋ねいたしますが、かつてお尋ねいたしました点で、母子福祉資金の貸付について国は予算をとっておるけれども、予算をとっていない県があるということを私は聞き込みましてお尋ねいたしましたら、その通りであるというお話でございます。それで中央青少年問題協議会がございましたときに、私が聞き込みました県の母子福祉課長が来ておりましたので、私は個人的にこれを尋ねたのでございます。そういたしましたら、こういうふうな報告書を私によこされたのでございまするが、これははっきり申し上げますると、静岡県は国の予算はとってあるけれども、県の方ではないということを尋ねましたら、二十九年からずっとこうしてとっているんだという報告書を送ってくれております。私はこの静岡県を考えておりましたけれども、局長がそういう県があるとおっしゃったのはこの静岡県でございましょうか。それともほかのどこかの県か。私はこの県だけだと思っておりましたが、もし局長がほかにあるということでしたら、その県をおっしゃっていただけませんか。もし私の言った県と局長が考えておった県が同じであるといたしましたら、これは厚生省が実際を把握しそこなったのか、あるいは向うがいいかげんな、こういうような報告書を私にくれたのか、どっちかと私は迷うわけでございますが、その点はどうなんでございましょうか。
○高田(浩)政府委員 いつかお話がありましたときの状況におきましては、今お話の県でございます。それで、これは二十八年、九年、三十年は国から補助をいたしております。三十一年においてはなかったわけでございます。その後三十二年度においてこの前お目にかかりましてから大臣初め御努力をいただきまして計上する手はずにあるいはなったかと思いますけれども、これはまた調べて御返事申し上げます。
○中山(マ)委員 そういうわけでございまして、何と申しましても大臣の出身県でございますので、これがもしもいいかげんなことを私に報告いたしておるといたしますれば――これを差し上げますけれども、どこの県によらず、せっかく国がそれだけの予算をとってくれまして、今度もまたこれを三分の二まで引き上げていただいておりますのに、その県の母子家庭がその恩典にあずからなかったといたしますれば、これはずいぶん重大なことであり、厚生省としても非常な手ぬかりではなかろうか。今局長は、児童局はまだ十年にしかならないのだからというお話でございますけれども、御承知の通り子供の問題が非常にやかましくなりましたのは終戦後でございます。「忘れられた子供たち」というような本も石田官房長官がずっと前に書いていらっしゃるようなことでございまして、いろいろな面へ落ちていた。これは日本だけではございません。ヨーロッパの子供たちの問題も映画にまでなりまして、いろいろと子供の問題は相当水平線上に上ってきたということを考えておるのでございますが、ことに子供というものは、おとなのようにみずから声を上げて陳情のできる人たちでもないのでございまするから、私は特にそういう問題については厚生省が懸命に力をお入れ下さるべきであろうと思います。地方においては赤字があるので、相当なことができないのを残念に思うという、今の滝井議員の御質問に対しての大臣の御発言もあったようでありますが、一つどうぞこれを機会に全国をシラミつぶしに調べていただいて、陳情もし得ないところのこの人たちのために特に力をお入れ願いたいと思うのでございます。 もう一点は、私がこの間岐阜県に参ったときでございましたが、向うのいわゆる福祉司の人の話を聞いたのでございまするが、妊娠中ある一定の病気をすれば必ず生まれてくる子は精神薄弱児である。私はちょっとその手紙を持ってくるのを忘れたのでございますが、そういう面は把握していらっしゃるのでございますか。これは先ほども滝井議員から予防の点から考えていかなければならぬというお話がございましたが、私はまことに同感でございまして、生まれてくる子が必ず精薄であるというような子供をこの世の中に連れ出すということは、親にとりましても、自分が生きている間は何とか世話するでしょうが、自分が死んでしまったときにこの子がどういう生活をしていくであろうかというようなことを思いますれば、私も母親の立場から非常な心配になるだろうと思います。優生の方でもとにかくいろいろな病気のある人は処理ができるという面もあったと私は記憶しておりますが、そういう病気は御把握になっていらっしゃいますか。
○高田(浩)政府委員 確かに今お話のありましたように、妊娠中の一定の病気なり呼吸麻痺等によって、生まれてくる子供が精神薄弱児になる。すなわちそういう因果関係というものはありますが、精神薄弱児のうち何パーセントがいかなる原因に基いてそういう状態になったかという数字は現実にはございませんが、そういう意味におきまして不可避的なものはやむを得ないといたしまして、妊娠中の指導と申しますか、保健指導と申しますか、そういった面を児童行政の一環としてやっておるわけでございます。これも十分徹底しない面はあろうと思いますけれども、やはりお話のように禍因を原因のうちに防ぐということがすべての行政の根本でなければならぬと思いますので、そういった意味で母子あるいは児童の保健福祉に力を尽して参りたいと思います。
○中山(マ)委員 婦人が懐妊いたしますると保健所で母子手帳をもらう。そういうこともございますので、その母子手帳を渡しますときに、こういうこともぜひ一つ徹底して保健所で究明していただきたい。普通の家庭の裕福なものは婦人科にかかって予防の点も十分手入れができるかとも思うのでございまするが、貧困な家庭では生活に追われてそこまで私はやれないと思う。それでぜひ保健所をしっかり建て直していただいて――医者のいないような保健所もあるとかいうようなことを聞き込んでおるのでございますが、これはどうなんでございましょうか。 私は関連質問でございますから、すぐやめさせていただきますけれども、大臣に、これは単に児童局の問題だけでなく、おとなの精神衛生に関係することでございますが、昨日の新聞の天声人語的なところに、テレビや放送なんかで今やかましく申しております精神病者、昼はまじめに勤めておって、家に帰ると全然反対の面が出てくる精神分裂症の問題がやかましく取り上げられております。きのう書いてありますのにつきまして、こういう人が二十五万人おる。それについて野放図に厚生省というか政府がしておる。そうしてこういう残虐行為が行われてから騒ぐ。その子供は中学校に入るばかりになっておったのでございましょう。それがずたずたに切り裂かれてビン詰になっておったというのがきのうやかましい問題になっておりました、私が厚生省で政務次官をいたしておりましたときに、思い出しますれば、そういうふうな精神病のおとなを何とかして徹底的に調査すべきではないかという問題が出ておりました。しかし、これは、デリケートな問題であるから、家庭々々をシラミつぶしに調べていくことも困難であるというので、そのままになったように私は考えておるのでありますが、こういう問題が出て参りますと、精神薄弱児に関連していわゆるおとなの精神病者がこうして健全な児童に及ぼすところのおそろしい影響を考えましてりつ然といたしたわけでございます。大臣に伺いますが、ベッドが少いので精神病者を十分に何することにいかぬと言われるのですが、私が厚生省におりましたときにらいの問題が起りまして、これを徹底的に調べて、強制的に入院させる、そしてその家庭の人たちには生活保護をごく秘密で支給するというところまでいったことを記憶いたしております。らいはなるほど伝染病でおそろしいのでございますけれども、しかしこの精神病というものは、社会に悪影響を及ぼすことを考えますと、いわゆる精神病患者に対しての厚生省の今日のお考えはいかがでございましょうか。これが取りやめになりましたのは二十八年度だと記憶いたしておりますが、これは新聞がいわゆる世の良識をきのう書き立てておるのでありますが、それはその通りだと思う。安心して子供を外へ遊びに出すことができない。これは世の母親が非常におそれておることだろうと思いますので、厚生省はこういう精神病患者に対する対策について、ベッド数が少いならば、今後どうなさるかということをお尋ねしておきたいと思います。
○神田国務大臣 ただいま中山委員の御指摘になりました、昨日の朝刊等によって報じておりました変質者のあの残虐行為については、実は私もこれは驚愕したようなわけでございまして、ことにああいう変質者とまでいっておるかどうか、これはいろいろ見方があると思いますが、全国に相当多数の精神病者といいましょうか、変質者といいましょうか、しかも成年で放置されたままになっておるということを知りまして、これは実に困ったことである、一つ大胆な手を、しかも至急に打たないと、すべての国民が不安にかられることでございまして、何か考えなければならない、とこういう考えを持ったようなわけでございます。ただ昨年度の予算の編成に当りましても、結核病床と精神病床の増加のことをだいぶ検討いたしたのでございます。結核病床は御承知のように最近だいぶ飽和状態というか、非常に治療が進んで参りまして法律的には助成することを一応見合せようじゃないかという段階まできたわけでございますが、精神病者の方はむしろふえるのじゃないだろうか、今後精神病者の方に相当病床の増加を急激に行う必要があるのではないかというような議論も出まして、若干そういう考えで計上したわけでございますが、何しろ全国に散在しておりますのと、だいぶ最近では国も県もまた診療機関の方も病床の増加は主として精神病床の方に変ってきておるのでございます。しかし昭和二十九年に調べた精神分裂、あるいは憂うつ病とか、てんかんとか、梅毒性障害等のいわゆる精神病者の数が当時約百三十万と推定されておるようでございますが、非常にたくさんな数でありますから、抜本的な処置には苦労しておるというようなわけでございます。しかしああした事件を契機といたしまして、中山委員の今お述べになられたように私ども一つ急速に、医学の進歩によって今までは根治できないといったようなものがなおるということもいわれておるときでございますから、できるだけ一つ精神病床の整備をはかりたい、こういう考えでございます。ことしは三千三百床増そうということで実は例年に比べて非常にふやしたのでございますが、全体の数からいうと非常に少いということになるわけなのでございます。十分一つ注意いたしまして計画を立てて参りたい、かように考えております。
○中山(マ)委員 厚生省は大臣がにらみをおきかせになる面が非常に多いのでありまして、まるで人生百貨店みたいなところでございますが、ぜひ一つ児童局長に私はくれぐれもこれはお願いしておきたいと思うのです。子供たちを守る省でございますので、大臣に再々お迫り下さいまして、この問題は、結局犠牲になるのは抵抗力のない年少者だと思いますので、どうぞ児童局の一つの柱として、この大人の精神薄弱なる者に対する処置を子供に対する施策としてぜひお取り上げになりますよう、くれぐれもお願いいたしまして、関連質問を終ります。
○滝井委員 最初に大臣の御答弁でできるだけ努力するというお話がございましたが、実は現実にもうすでに府県においては、地方財政の貧困のために児童福祉の専門の独立した課というものがなくなっておる県が、たぶん私の調べたところでは四県か五県ぐらいはそういうところが現実に出てきておるわけなんです。これは単に末端の府県の行政でそういう形が出てきておるばかりではなくて、厚生省の今の各局の状態を見ても、今厚生行政で非常にはなばなしく充実をしてやられているなと、日本の国の財政から見てまあまあ充実してやられているなと思うものは、保険行政と社会局行政なんです。そして厚生省の中で一番目の当っていないところというと児童行政と公衆衛生行政なんです。今も中山先生からも御指摘のあったように児童行政というものは病気の予防と同じだということを私はさいぜん申したのですが、やはり早期発見早期治療なんです。子供のころに、たとえば小児麻痺になった子供を早く見つけて、そしてその肢体不自由な状態を矯正していくというのはやはりこれは子供の時代だと思うのです。また精神薄弱な子供をよりよき方向に導いていくのもやはり子供の段階だと思うのです。精神病は固まってしまったらこれは処置ないのです。そういうことから考えると、公衆衛生の予防行政と児童行政というものはこれは非常によく似ているのです。しかもその二つのものが現在の日本の厚生行政においては一番目の当らないところに置かれている。厚生省自身でもそういう日の当らないところに置かれておるがゆえに、公選の知事なんというものは、やはりこれはみんなにアピールするところに金をつぎ込んでいく、そうすると厚生省でもそでにされておるような局の所管の末端の行政というものは、やはりそでにされてくるのです。だから一番先に課を減らすといえばどこを減らすかというと、いわゆる衛生部関係のものとか、民生部の関係、しかもその中でも児童とか婦人というようなか弱いところが一番先に切られていくのです。もうすでにそれは具体的に現われてきたわけなのです。厚生省自身にも、大臣自身の足元にもそういう傾向が現われてきておる。厚生行政というものは病気になった人になおす金をつぎ込む前に予防行政に金をつぎ込むべきじゃないかと思うのです。それは厚生行政にどう具体面に現われておるかというと、そこに働いておる定員の充足率を見てみるとよくわかるのです。予防行政を扱う保健所が、この前私が大臣に御質問申し上げたように七割の充足率しかなかった。児童福祉司も同じです。全国の定員が九百八十九名、約千人なのですが七百人しか充足していない。児童行政は大事だ、やらなければならぬといわれております。私はきょうは時間がないから次にしますが、保育所というものは、全国の代議士諸君はおれの県に保育所を作ってくれといってわんさわんさ児童課あるいは児童局にお願いに行く。ところが実際にお願いに行った人たちが、児童相談所なり福祉事務所を通じて一番関係のある保育所の行政面のことについては、もう保育所ができたらあとは野となれ山となれということなのです。いずれ保育所の運営や内部問題を質問しますが、そういう形なのです。こういう点はわれわれ政治家も反省をしなければならぬが、行政の衝をあずかる最高責任者としての大臣も考えてもらわなければならぬ。現実にもうすでに国は、ことしの予算を見ても保健所でいえばわずか七割の金しか大蔵省は組んでいませんよ。ことし百パーセント人間の増加をさせようとしたら予算は足りない。大蔵省は充足率を七割しか見ていない。国がそういう姿ですから知事なんかは、国が七割しか組まぬものをわれわれが何で組むかということになって、国以下の予算しか組まないという結果が出てくるのです。これは大臣、保険局の行政も社会局の行政も大事だけれども、それに劣らぬ、少くともそれと同じ程度にまで公衆衛生行政と児童局の行政を引き上げていく心がまえをこの際持ってもらわなければ、こういうところは永久に日が当らない。日が当らないと府県はそれに右にならえをする。その傾向がもうすでに出てきておるということなのです。こういう点に対する、まず大臣自身の足もとの問題を御答弁願いたい。
○神田国務大臣 今の滝井委員のお述べになられましたことは全く私も同感でございまして、三十二年度予算編成に当りましてもこれは非常に強く主張いたしたのでございます。これはいろいろ他の機会にも私の考えを申し述べたのでございますが、今年度におきましてはいろいろな事情でそういう面がむしろ財政当局の逆攻勢を受けて、それを原状回復するのに非常な努力を要する。さらにそれにプラス・アルファが出たわけでございますが、これはきわめて重大なことでございまして、ことに予防行政の問題はもう秘も全く同感でございますので、今後機会あるごとに政府部内におきましても、また地方庁に対しましても十分な連絡をとりまして、その関心を高めまして、所期の目的を達成いたしたい、かように考えておりますので御了承願いたいと思います。これでやめますが、実は日本の現状というものは、こういう福祉とか公衆衛生という面について、金をつぎ込むことに非常に消極的なのは日本の官庁ばかりではない、日本の民間の事業場、会社なんかもみなそうなのです。そういう傾向がある。われわれは学生の時代に、とにかく病院長とかあるいはそれを所管している人に、そういう福祉行政や病院行政に金をつぎ込む措置をとりなさいと言ってもだめなのです。こういう福祉行政や衛生行政の教育は、まずその社長なり、大臣なり、総理大臣、いわゆるおやじ教育というものをやらなければならぬということをよく言ってきたのだが、日本の行政は現実がまさにそうなんです。これは厚生大臣に教育するわけではありませんけれども、厚生大臣から各閣僚なり大蔵大臣に教育をしてもらって、こういうことに金をつぎ込む方が、結局長い目で見た国家百年の大計で、金が要らぬようになるのだということを教えてもらう方がいいと思う。目先ばかりを見て、そして病人が出たから百の金をつぎ込むよりも、病人の予防のために三十か五十の、半分の金をつぎ込んだ方がもっと有効なのです。そういう点を大臣はぜひ他の閣僚を教育していただいて、大蔵当局なり閣議でこういうひよわい予算が削られないように御努力をお願いして、午前中の質問を終ります。まだ午後はやります。
○藤本委員長 暫時休憩いたします。 午後零時二十二分休憩 ――――◇――――― 〔休憩後は開会に至らなかった〕