社会労働委員会 第35号
- 発言数
- 31 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/04/05
会議録
○藤本委員長 これより会議を開きます。 衛生検査技師法案を議題とし審査を進めます。 まず提出者より趣旨の説明を聴取いたします。福田昌子君。
○福田(昌)委員 衛生検査技師法案の提案の理由を説明いたします。 本法案は公衆衛生の向上に寄与するため新たに衛生検査技師の資格を定めるとともに、衛生検査の業務が適正に運用されるように規律する必要があります。これが、この法律案を提出する理由であります。 この法案の概略の内容を御説明申し上げます。この法案は、衛生検査に携わる者の資格を定めまして、その資質を向上し、もって疾病の予防、診断及び治療の適正をはかり、公衆衛生の向上に寄与することを目的といたしております。 ここにいう衛生検査とは、公衆衛生上必要な細菌学的検査、血清学的検査、血液学的検査あるいは寄生虫、原虫学的検査、生化学的検査等衛生に関する諸検査をいいます。 衛生検査技師になるためには、衛生検査技師試験に合格しなければなりません。この衛生検査技師試験に合格いたした者には厚生大臣の免許が与えられまして、この者が初めて衛生検査技師ということになるのでございます。衛生検査技師試験は高等学校またはこれに準ずる学校を卒業いたしまして、さらに文部大臣または厚生大臣の指定する養成所を二年以上勉強した者でなければこの衛生検査技師試験を受けることができないように規定してあります。この衛生検査技師でないと今後は衛生検査の業務を行なってはならないことを規定いたしてありまして、ただし医師、歯科医師、薬剤師、あるいは獣医師などはそれぞれの所属する法律の範囲内において衛生検査の業務に携わっても差しつかえないということを規定いたしております。 これが大体この法律のおもな内容でありますが、なお附則におきまして、この法律は発効後六十日をたって施行されるということになっておりますが、その後はこの法律の施行前三年間衛生検査の業務に携わっておりました者は、昭和三十七年十二月三十一日までの間に厚生大臣に届出をしなければならない、その届出をした人に対しましては厚生大臣が随時試験をいたしまして、その試験の結果、この試験に合格いたした者に対しては別に衛生検査技師の資格を与えるというような経過規定をきめました。またさらにこの法律の施行前七年以上にわたりまして衛生検査の業務に携わっておりました者に対しましては、これは厚生大臣がその技術において適当と認めました者につきましては衛生検査の技師の資格を与えるということをきめてあるのでございます。 以上がこの法律の概要でございますが、どうか慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
○藤本委員長 以上で説明は終りました。 なお本案についての質疑その他につきましては後日に譲ることにいたします。 十二時半まで休憩いたします。 午前十一時三分休憩 ————◇————— 午後一時三十七分開議
○藤本委員長 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。 引揚者給付金等支給法案を議題とし、審査を進めます。質疑を続行いたします。堂森委員。
○堂森委員 前回の委員会で、ただいま上程されております引揚者給付金等支給法案につきまして厚生大臣に質問いたしましたところ、このたび提案されましたこの法案の意味は、かつて海外で生活根拠を持っておった人たちの財産に対する国家の補償であるか、あるいはは戦争という大きな国の犠牲において生活の根拠を失った、いわば何といいますか社会保障的な意味合いからこの法案が出されたのか、こういう質問をいたしました。そうしますと厚生大臣は、非常に答弁をぼかされまして、いろいろな意味合いからこのたびの法案が提案されたのである、こういうようなことでございますが、大蔵大臣は、このたび出されましたこの法案の五百億というこの大切な、しかも末端の三百万の人たちにはきわめて少額しか支給されないような財源を国で出すのは、これは財産に対する国家の補償であるか、あるいは一つの社会保障的な意味合いから出したのか、こういうことについてまず大蔵大臣のお考えを聞きたいと思います。
○池田国務大臣 敗戦によりまして海外から引き揚げられました方々に対しましてはまことにお気の毒でございます。従いまして、これが対策につきましては、御承知の通り在外財産問題審議会を設けまして、いろいろ御研究を願ったのでございます。政府はその答申に基きまして今回の措置をいたしたのでございます。その答申は、政府に敗戦によりまして失われた財産を補償する義務があるとは言えない。しかしやはり多年にわたる生活の本拠を全部なくされたのでございますから、これに対して適当な措置をとるべきだ、こういう答申であるのでございます。われわれはその答申を尊重いたしまして今回の措置をいたしたのでございます。財産の補償とは言い切れません。また全然社会保障制度の気持がないかといったら、そうとも言い得ない。実情に即するように国としてこういう措置をとりたいというのが主張であります。
○堂森委員 どうも大蔵大臣の答弁了解しかねます。どういう意味でしょうか、財産の補償でもないし、また社会保障的な意味でもない、適当な趣旨である、こういうふうな答弁のようでございますが、一体これは何でございますか、もう一度御答弁願いたい。
○池田国務大臣 財産の補償ではございません、しかし社会保障制度であるとも言えない、こう言っておるのであります。その中間ではございますが、そういうふうな気持ちでやっております。社会保障制度という考えを全然なくしてやっておるのではない、そういう点もある程度加わっておりましょう。しかし財産の補償という立場からいっておるのではない。それは案から申しましても、いかに財産家であろうが、あるいは財産があまりない方であろうが、画一に取り扱っているところから見ても財産の補償でないということは言い得る。そうしてまた、社会保障制度というものを全然なくしたものでもない。それは多額の所得者に対しましては給付しないということが、社会保障制度がある程度考えられておる証左であると思います。
○堂森委員 どうもごまかしの答弁で逃げておりますが、それではこのたび出されました法案の内容というものは、外国から引き揚げてきた引揚者に対するお見舞金でございますか。
○池田国務大臣 長い間外国におられまして生活の本拠を持っておられた、それが敗戦によりましてなくなった、お気の毒でございますから、お見舞という言葉は法律上なかなかむずかしいことでございまするが、まあ先ほど申し上げたような意味でございます。
○堂森委員 大蔵大臣は財産の補償でもないし、また社会保障的な意味もあるがそうでもない。私がお見舞金かといったら、そういうことは言えないがお見舞らしい、こういうふうにお認めになったようでございますが、とにかく一昨年の第二十二回国会だと思いますが、これは満場一致本会議で、外国におって戦争によって引き揚げた人たちの財産に対しては、法律上、財産上必要な措置を講じなければいかぬ、こういう決議案が確かに通ったと記憶いたしております。まあ審議会の答申に基いてこういう法律を作った、こういう話でございますが、各界の意思もそういうところにあったわけですが、そうしますると、このたび外国から引き揚げた人たちあるいは戦犯の人も含まれると思いますが、そういう人たちに対して、大蔵大臣の言うように見舞金のような金が出る、こういうことになりますと、戦争によって受けた犠牲というものは他にも相当あると思います。たとえば農地、このごろ盛んに言われておりますところの農地改革による土地取り上げに対して一反歩十万円補償しろというような運動も起きておるようであります。また与党内においても真剣にそういうことをやっておられる人があるというふうにも聞いておりまするが、大蔵大臣はこういうような戦争による犠牲といいますか、あるいは大きな改革といいますか、そういうものによって、戦争を転機として大きな犠牲、財産上の損害を受けたような人たちに対して、こういうような処置を今後もとっていくような考え方があるかないか、、お聞きしたいと思います。
○池田国務大臣 戦争によります犠牲は、直接の犠牲、間接の犠牲、いろいろあると思うのでございます。今までにおきましても、軍人、遺家族の方々あるいは未帰還者の方々、等々いろいろな措置をいたして参っているのであります。今回の引揚者の方々に対しましての措置も、その一環でございますが、私の見るところでは、大体この程度で打ち切れるのではないかと考えております。戦争の犠牲ということを申しますと、間接的に申しますれば、今までお話のような点も戦争の犠牲かもわかりませんが、これは終戦後に起った処置でございますから、私はこの引揚者のそれとは別の取扱いにしなければならぬと思う。もし農地改革によって取り上げられたということになるならば、あの九五%のほとんど没収的な財産税の法律によるものも戦争の犠牲者といって言えないことはない。その他、ああいう開闢以来の敗戦でございますから、いろいろな犠牲があると思いますが、大体戦争によります直接の犠牲は、この程度で一応私は済むのじゃないか、済ましたいという気持を持っております。
○堂森委員 大蔵大臣に重ねてお尋ねしておきますが、大蔵大臣として、戦争による大きな変革といいますか、そういうものによるいろいろな犠牲に対しては、今後そうした補償の問題はこれでない、こういうふうにはっきり御答弁になったと解釈してようございますか。もう一度御答弁願いたい。
○池田国務大臣 これで全部済ましてしまって、今後は何も出さぬとは申しませんが、もう何もないものと心得たい、こういう考え方でございます。
○藤本委員長 滝井君。
○堂森委員 今の続きで質問さしていただきたいと思いますが、戦争犠牲者のいろいろの国家的な補償の問題は、この程度で済ましたいと思うということでございます。まだまだ戦争の犠牲者は他にたくさん残っているわけなのですが、先日ここで厚生大臣にも申し上げたのですが、たとえば動員学徒、徴用工、報道班員などの援護の措置、軍人恩給と文官恩給の不均衡の是正、それから金鶏勲章年金復活、——農地の補償は今大臣やらないというような意味の御答弁があったようでありますが、三月四日でございましたか、日比谷公園で全国の代表六千人が集まって、農地解放犠牲者の即時救済を要求する決議文を国会その他関係方面に出したということが新聞に出ておったわけですが、農地補償の問題がある、それから郵便年金、簡易保険の戦前に積んだ掛金を現在の物価に調整すること、占領軍の土地買収に対する補償、戦時中の沈没船舶の補償、ちょっとあげただけで七つぐらいあることになっているわけです。まだほかにいろいろ探してみたらたくさんあると思うのですが、一応戦争犠牲者の手当は、この引揚者給付金等支給法案で政府としてはやらない、こういう考え方を了承いたしますと、今まで行われた戦争犠牲者対策に対して、いろいろな凹凸があるわけですが、こういう凹凸の是正というものはある程度必要ではないかという感じがするのですが、そういう点について大蔵大臣としてはどういうお考えを持っておられるか。
○池田国務大臣 今まで戦争犠牲者としてのカテゴリーに入った方々につきましての凹凸の問題はございます。今お話になりましたような点がそれでございます。従いまして、今までのカテゴリーのものに対しましての是正ということは、わが党におきましても今後研究していこうと言っておりますので、そういうことは自分も考えておるのであります。ことに私の最もお気の毒に思っているのは、傷痍軍人の方々でございますが、こういう点は私も進んで考えたいと思いますが、凹凸の問題はなかなかやっかいな問題でございます。十分調査会その他で検討を加えていきたい。それからなお間接的の戦争犠牲者につきましても、社会保障制度その他いろいろな手を尽しましてできるだけのことはいたしていきたいと思いますが、戦争犠牲者としてのカテゴリーは大体これでお済ませ願いたいという気持を持っております。
○滝井委員 大体政府並びにそれを代表する大蔵大臣の意向は、凹凸があるものについての是正は今後も考えていく、そのほかいろいろ残っている問題のあるものについては、社会保障を基本として考えていく、こう了承して差しつかえないわけですね。——さよう了承いたしたいと思います。 そこで、現在なお社会保障でやっていく、こういう基本的な方針になってきますと、恩給制度というものが非常に問題になってくると思うのです。現在の予算の中で約八分四、五厘程度は恩給的なものが食っていっておる。軍人恩給その他合せますと、多分九百七、八十億くらいになるかと思うのです。そうしますと、凹凸の是正という点で今傷痍軍人等が出ましたが、軍人恩給と文官恩給の不均衡の是正なんかも自民党の方で問題にしているようでありますが、こういうものの凹凸が是正されていきますと——もちろん死亡その他あるいは子供が成人に達するということで減る分もありますが、やはり増加分がありまして、それに凹凸の是正その他を講ずると、一千億をこえる段階が目瞭に迫っていると思うのです。国の予算の一割以上を恩給で食っていくということになると、非常な問題が出てくると思うのです。そこでこの際内閣としては恩給制度というものを国民年金というようなものに切りかえて、いわゆる本来の社会保障というものに切りかえて、全国民に年金を及ぼすというような姿でいくと、これは遺族の方々には幾分お気の毒な点もあるかもしれませんけれども、大局的な国の政治の面から見て、社会保障を揺籃から墓場まで全国民に均等に与えていくという立場になりますと、この際やはり恩給制度というものを検討して——大臣も御存じのように恩給的なものは七つか八つくらい制度があってばらばらなんです。これがまた不均衡なんです。そういうものを、ある程度凹凸を是正するという高い見地から国民年金的なものに切りかえていく必要があるのじゃないか、それは前に述べましたように、恩給制度そのものが日本の財政の負担からいっても一つの限界点につきているという点から考えても、国民年金制度というものをこの際大蔵大臣としても内閣としても考えなければならぬ段階がきているという感じがするのですが、そういう点については大蔵大臣はどういうお考えを持っているか、この際承わっておきたいと思います。
○池田国務大臣 なかなかむずかしい問題で、こういう問題は閣議で十分議論していかなければならぬ点だと思います。ただこれは私の私見で、大蔵大臣としての答えでなしにお聞き願いたいのであります。速記はとめませんが、大蔵大臣としてでなしに……。 お話のように恩給が非常にふえるということは、これは喜ばしいことじゃございません。しかし敗戦後におきまする財政のうち、ことに敗戦国でなくとも戦勝国でも、戦争の結果当然ふえる恩給、年金というものはある程度覚悟しなければならぬ。日本が今一千億足らずで、今度一千億よりふえるかもわからないということもありますが、外国のそれに比べますと、必ずしも、それは多過ぎるというわけのものでもない。それから本国会で、引揚者に対しまして国債でこれを処理する。日本の国債はと申しますと、これは外国に比べても非常に少い、喜ばしい状態でございます。普通の国は、アメリカにいたしましても国民所得に匹敵するような国債、イギリス、フランスは国民所得を相当こえる国債がある。日本は外債を入れても、また将来起るべき賠償等を考えましても、国民所得の一割前後、長期国債でございますね、一割ちょっとくらいで比較にならない。こういう点もやはりあなたが恩給というものが財政上に占むる地位をおっしゃるならば、今度は恩給をもらっておる人は、いや、国債でまかなっていっておるんだし、国債が非常に少いじゃないか、外国に比べたら問題にならぬ、こういう議論も起るかもしれません。しかし社会の進歩につれまして、この恩給制度というものと年金制度というものとはおのずから一脈通ずるものがあるのであります。従いまして、私らは今後養老年金あるいは母子年金等を中心といたしまして、社会保障制度を画期的に拡充しようという段階におきましては、一つのアイテムとして研究しなければならぬ問題だと思うのであります。社会保障制度を画期的に持っていくためには、恩給の問題が年金等の問題と関連して参ります。また医療保険等におきましても国民健康保険と組合管掌の健康保険、ことに問題は政府管掌でない組合管掌の方の問題と、政府管掌との問題等々、社会保障制度の今後の問題にはいろいろな問題が残されておりますので、そういう点を新しいわれわれ保守党の政策として十分取っ組んでいきたいと考えております。 これからは大蔵大臣としての答弁でありますが、お話の点はいろいろ問題がございますので、今後十分研究していきたいと思います。
○滝井委員 今私見としてお述べになりました点で、問題が二つあると思うのです。一つは、養老年金や母子年金、これは今大蔵大臣なりあるいは厚生当局で考えておるのは、無醸出の年金なんですね。今九百七、八十億ある恩給というものの中には、これは恩給的な性格あるいは遺族扶助料も広い意味のそういうものに含めて、遺族扶助料というものがほとんど大部分なんですね。これは形からいうと、いわゆる無醸出的なものです。そうすると、そういうものと、今度は醸出をするところの、たとえば厚生年金あるいは職業軍人にやっておる恩給、それから文官の恩給というものは、これは自分がある程度掛金をかけておった恩給ですね。これは、こういうように明らかに分けて考えなければならぬ段階に来ておると思うのですね。今大臣なり私の前段の質疑というものは、一応その無醸出、醸出というものを十ぱ一からげにして恩給という形で出してみたいのです。大臣は養老年金や母子年金については確立したい、それは厚生省のことしの予算の中においては千七十万二千円という国民年金制度の調査を準備する金というものは出ている。おそらくこれは全国の未亡人や何かの調査をやるのですから、無譲出のものが主として中心に考えられているわけです。そうしますと、無醸出のものについては一応これは国の税金でまかなわれていくということで、問題の重点をここに置くとすれば強く社会保障で出ていく形になる。いわゆる社会保障の本流を歩むものになっていくだろうと思う。ところが無譲出のものをそう無制限にやることは——われわれもいろいろ検討してみました。たとえば日本の六十歳とか六十五歳以上の老齢者に月二、三千円ずつやったとしても何百億という膨大な財政負担が国の財政にかかってくるわけです。これは限界があって、とうていできない。そうしますとこれは当然当面を弥縫するような形になってくるわけです。そうすると根本的な醸出制度というものを中心とした国民年金あるいは恩給というものを考えていくということになりますと、これはやはり日本経済全般を相当検討していかなければならない。おそらく厚生省はそういう意味で、無譲出の年金とともに醸出の能力が日本の現在の国民経済の中で、個々の国民世帯の中からあるかどうかということを考えるためにやっておるだろうとは思います。しかし一応大蔵省としては二つに分けた場合にどういう考え方を持っておられるのか、もう少し具体的に大臣の私見でもかまわないと思いますが、伺いたい。
○池田国務大臣 なかなかむずかしい問題でございます。これは醸出の養老年金、母子年金にした場合におきまして、やはり金額の問題がございます。現状が社会保障制度で生活保障費を出さなければならないような範囲も相当あるのでございます。醸出年金、無醸出年金をいつどういうふうな格好で支給するかなかなか困難な問題で、これは個人としてもちょっと答えにくいからもうしばらく研究きせていただきたいと思います。
○滝井委員 日本における社会保障の医療保障と国民年金というものは当面福祉国家を建設する二大支柱だと思いますので、この際保守党としても一つ御研究をお願いしたいと思います。この二つの問題に対する大蔵大臣の理解が少いことは、福祉国家を口にするだけで絵にかいたもちになる可能性がありますので、来年度予算の編成期ごろまでには一つ保守党としての構想を固めていただくことを一応お願いしておきます。 次に今度引揚者の給付金等の支給法でそれぞれ国債が引揚者に与えられることになるわけですが、その交付国債を与えられた場合に、これを担保として国民金融公庫から金をいろいろ借りることになるわけです。国民金融公庫は、予算の説明では六十一億資金運用の中に入っておって、その中の二十億くらいが国債を担保に金を貸すことになっておるのですが、個人にはどういう資格、条件と申しますか、一体どの程度のものを貸してくれることになるのですか、これを御説明願いたいと思います。
○池田国務大臣 法案が通りましていよいよ具体的な問題になりますと、今回は零細と申しては語弊がございますが、最高二万八千円、それ以下でございますから、一家族で三万とか五万ということになってくると思います。これをどういうふうに使われるかわれわれは注意しておるのでございますが、最近耳にするところでは引揚者がいろいろ団体をおこしらえになって、二、三万、四、五万では意味をなきぬから、寄り集まって一つの資本団体を作ろうという機運もある。これは私は非常にいいことだと思います。いろいろな工夫をおこらしになって、引揚者の方々がよくなると同時に国全体がよくなる方に向っていくことを念願しておるのであります。従いましてそういうことのない場合に、その日の生活にお困りの方々に対しましては、先ほど来申しておりますように国民金融公庫から国債を担保に融通していこうということにいたしておるのであります。ただ私は巷間伝うるがごとくこれが高利貸その他に安く出ていくというふうなことがあっては大へんなことだと思っておるのでありますが、情勢を見まして、有効に政府のほんとうの気持が実現されるような方向に仕向けていきたいと思っております。
○滝井委員 少し具体的に聞いておきたいのですが、今の大臣の前段の御答弁にありました引揚者が集まって一つの資本団体を作るという点は、ぜひ厚生省なり大蔵省でそういう方向に指導する必要があるだろうと思います。たとえば一家族二万八千円もらった、子供が一人おって七千円もらったけれども、実際にこれが有効に使われることはなかなかないと思います。へまをしておると証券ブローカーみたいな高利貸のえじきになってしまうおそれがある。従ってそこにほんとうの意味の国がやると同じ程度の社会保障的の方向に集まって使われることになれば、五百億の金があれば医療保障の問題なんか一挙に片づく。そうするとこれは単に三百万引揚者諸君が恩典に浴するだけでなく全国九千万国民がみな恩典に浴する。そういう意味で一つの資本的な団体を作って、それが今度は有効に全引揚者に及ぶような形にしてもらって、さらにそれが引揚者を越えて国民にまで余沢が及ぶという形に指導してもらえば非常にいいことだと思います。そういう点でまだ具体的なプランといってもないでしょうが、できるだけそういう方向に御指導してもらいたいと思いますが、きて二万八平なら二万八千の国債を持っていった場合に、国民金融公庫は幾ら金を貸してくれるかということです。具体的にどの程度の金をお貸しになるつもりで二十億のワクをおとりになっておりますか。
○池田国務大臣 国民金融公庫の貸しております利率と貸し出しの期間、この公債が六分でございますからそういうところからおのずから限度が出てくると考えます。
○滝井委員 その期間、利率六分ということから大蔵省としては大よそどの程度の金を貸すお考えでありますか。
○池田国務大臣 御承知の通り国民金融公庫は無担保で生業資金を出しておるのでございますから、金利の差と期間で一応担保力はきまると思うのであります。今個々に計算すればよろしゅうございますが、それと大体同程度のものは貸し得ると考えております。
○滝井委員 大体同程度のものを貸していただけるそうでございまして、よくわかりました。 次に六月一日に国債を発行していただく。そうしますと今度は償還計画と申しますか、利子なんかは均等に償還していくわけでしょう。そうするとその償還計画というものはどういう工合になっておるか伺いたい。
○池田国務大臣 これは軍人遺家族に対しまして九百億円くらいだと思います。これを出した事例があります。それから漁業関係の補償に百九十億円ばかり出した例もあります。また軍人遺家族の分が十年計画で年に九十億ばかり出しております。漁業証券の方は済んでおります。これが加わりまして十カ年でございますから、軍人遺家族合せて百四十は円くらい、こういうものは大体今までの経過から申しますと、前年度剰余金の半額で大体まかなっていけると思います。余裕があれば——先ほど申し上げましたように国債の方は内国債はそうたくさんはございません。それから外債の方も相当計画的にやっておりまして、十年間で出しまするから、大体軍人の一時金の場合等と同じような方法でいけるのじゃないか、余裕があれば買い入れ償却ということも考えられる、私はこれは今までの例によってやっていきたいと思います。ただ問題は、六月一日から発行するというお話でございましたが、われわれもなるべく急いでおりまするが、それまでにできますか、建前は六月一日からになっておるようでありますが、それまでに十分調査ができ得るかどうか、調査ができなければその後に発行することもあり得ると思います。
○滝井委員 大体これで終りました。ありがとうございました。
○藤本委員長 大蔵大臣に対する質疑これで終了いたしました。 次会は来たる九日火曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時十二分散会