社会労働委員会 第34号
- 発言数
- 78 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/04/04
会議録
○藤本委員長 これより会議を開きます。 最低賃金法案及び家内労働法案を一括して議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。大橋武夫君。
○大橋(武)委員 今回社会党から最低賃金法案が提案せられるに至りましたが、最低賃金の問題につきましては、終戦以来今日までいろいろな機会に問題として取り上げられておりましたにもかかわりませず、今日まで現実にその実施を見るに至らなかったことは、まことに遺憾に存じておる次第でございます。この際において、最低賃金問題が国会に取り上げられるということはまことに時宜を得ておると思うのでございますが、私はこの質疑に入るに先立ちまして、今日まで労働省におかれまして最低賃金の問題について、いかなる努力を進めてこられたかということについて伺いたいと思うのでございます。なるほど今年度の予算案を見ますると、最低賃金制実施のための調査費というものが掲げられてあるのであります。昭和二十二年に現在の労働基準法ができまして、「行政官庁は、必要であると認める場合においては、一定の事業又は職業に従事する労働者について最低賃金を定めることができる。」という規定をいたしておったのございますが、自来今日まで十年間、現実に何ら最低賃金の実施を見るに至っておらぬということは、まことに一面から申しますと奇怪千万であるとさえ言い得ると思うのでございます。いかなる事情によってかように最低賃金の実施が延期せられておったのであるか、そうしてまたこの十年間において労働当局がいかなる努力をなしてこられたかということにつきまして、労働省としての一通りの御説明を承わりたいと存じます。
○松浦国務大臣 御指摘のように労働基準法の中に最低賃金制を設くべしという項目がございまして、それを実現するためには中央賃金審議会というものをこしらえまして、その答申を待ってやることになっておるわけであります。昭和二十九年にその答申ができましたので、これを一応取り上げたのでありますが、その当時はとりあえず人絹織物、家具建具、玉糸座繰生糸、手すき和紙、この四業種に対しまして最低賃金を実施せよという答申があったのであります。その後これに対しましていろいろ審議を重ねて参りましたが、四業種とも、中小企業の経営の状態は必ずしもよい状況ではなかったのでありまして、各企業の賃金の格差がはなはだしくあったのであります。そこで最低賃金の実施を可能にするために、金融あるいは免税、減税その他の助成方法によって最低賃金に耐え得るような中小企業の現状にしなければならないというようなことになりまして、この四業種に対しましては、優先的にその方法を講ずるということが困難になって参りました。さらにまたその当時の賃金、物価の情勢は必ずしも安定していなかったので、最低賃金の金額の設定につきましても、慎重に検討する必要があったのであります。でありますから今日、その四業種が最低賃金の話題にならなかったのでありまして、そのままに立ち消えのような状態になっております。最近におきまして、昨年労働問題懇談会にこの最低賃金の問題が話題になりまして、それでそこの答申が今年の二月十六日にあったのであります。その二月十六日の答申の内容は、業種別の協定賃金をとりあえず作って、それを中央賃金審議会の答申を求めたらいいだろう、こういうような答申があったのであります。同時にそれと並行して、この最低賃金制の法制化についても政府は努力せよ、こういう答申があったものでございますから、とりあえずこの四月中に、中央賃金審議会も開店休業の状況でございますから、これに審議委員の推薦をいたしましてこれを発足させて、一方の協定賃金の答申がありましたならばそれを議題として決定いたしたい、かように思っておる次第でございます。
○大橋(武)委員 ただいまの大臣のお答えを承わりますと、さきに中央賃金審議会におきまして四業種を優先的に取り上げて、最低賃金を実施するようにという意見であります。しかしながらこれらの業種は非常に賃金の格差が多く、ことに支払能力のない事業が多いから、そこでこの最低賃金を実施するためには減税、免税あるいは金融の措置をしなければならぬというので、立ち消えになったということでございます。そこで承わりたいのでございますが、これらの支払い能力なき業種に対する最低賃金を実施するための前提として考えられた減税、免税あるいは金融というような措置は、一体いかなるものでございましたでしょうか。
○松浦国務大臣 政府委員から答弁させます。
○百田政府委員 お答えいたします。一般的な事項といたしまして、これらのものに対して資金源の拡大優先入手、中小企業信用保険法の改正によって付保期間を短かくする、あるいは減税あるいは免税の措置を講ずる、こういう最低賃金の業種につきまして協同組合の強化育成、家内工業における加工賃について何らかの行政的な調整を講ずる、海外市場の開拓をはかる絹人絹等についてはその設備の増設、新設の制限をはかる、その他各業種につきまして金融その他それぞれの対策を考慮する等であります。
○大橋(武)委員 ただいまお述べになりました個々の項目について、労働省において具体的にとられました措置並びにその経過、結果について、一々の項目について一応御努力の跡を拝見したいと思いますので、御説明願いたいと思います。
○百田政府委員 これらの四業種につきましてのただいま申し上げました実行性ある措置の実現を期するために、労働省当局といたしましては、関係官庁、たとえば中小企業庁、農林省蚕糸川、通産省では軽工業局、繊維局、工業技術院あるいは大蔵省主税局、これらと連絡をして、これらの実現につきまして折衝を重ねて参ったのでございますが、一般的にはそれぞれにつきまして中小企業対策として実施された部面もございました。たとえば、第一に申し上げました資金源の拡大、優先融資等につきましては、中小企業金融公電あるいは国民金融公庫の貸し出し資金源が二十九年四月等と三十年九月等と比べまして、それぞれたとえば中小企業金融公庫においては二百三十億から三十年九月においては四百九十億、国民金融公庫におきましては二十九年が三百億から三十年が四百十七億になる、こういうふうに増加して参ったのではございますが、しかしながら四業種に対して優先措置の実現は遺憾ながらこれだけを優先的な取扱いをすることは賛成を得られなかったのでございます。 次に、中小企業の信用保険の付保期間の短縮の問題につきましては、三十年七月以降従来の六カ月が三カ月に改正され、減免税措置等につきましては、法人税率が所得別に三十年六月以前と七月以降で、は約五十万円未満で七%、五十万円以上で二%の軽減を見たわけであります。その他協同組合に対する助成金等につきましてもそれぞれの措置を見ております。しかしながらこれは一般的な中小企業対策として行われたのでございまして、これが一部はもちろんそういう実効性ある措置の一部として役立つものであることは考えられますけれども、しかしながらこれらの四業種というものがきわめて低賃金産業であり、従って特別の措置をとらなければ困難であるというような当時の御答申ではございましたけれども、一般的に四業種のみにつきまして助成金、特別措置を優先的に講ずるということにつきましては遺憾ながら賛成は得られなかったのでございます。
○大橋(武)委員 そうしますると、まずこの資金源の問題でございまするが、四業種に対して優先的に資金の融通をしようということになりますと、一体その四業種の各企業のいかなる資金需要に対する優先的な資金供給ということを労働省としてはお考えになったのでございますか。
○百田政府委員 私も実はその当時の事情を詳しく存じませんが、あるいは設備の合理化その他の資金措置というふうに考えております。
○大橋(武)委員 当時設備の合理化の資金措置として三十年——二十九年に答申になりましたから、おそらく三十年度の資金において問題になったと思うのですが、三十年度の資金需要としてこの四業種についてどのくらいの金額が要求されましたか。
○百田政府委員 ただいま資料を持っておりません。
○大橋(武)委員 それでは次の減免税については、三十年度においてこの四業種に対する減免措置で具体的にどういう案を労働省は御要求になりましたか。
○百田政府委員 当時の要求としては、一般的であったと思います。
○大橋(武)委員 一般的な要求をしておきながら、四業種についての特別の取扱いがなかったから最低賃金はできぬ、こういう説明では、労働省は当初から最低賃金という熱意がなかったのじゃないかという点を疑わざるを得ないと思うのでございますが、この資金の問題、減税等の問題についておそらく労働省としては当時具体的な調査をなさり、具体的にいかなる資金をいつの時期に幾ら融通すべきかというようなことの調査もほとんどなすってはいないんじゃないですか。調査がないから、ただ中央賃金審議会でもってこういう要求があったから、ぜひ何か特別の取扱いをしてくれろ、こういうふうな抽象的な雑駁な要求を幾ら金融機関に持っていったって、それに対していい返事がないのは、これは当然のことといわざるを得ないのです。もしほんとうに労働省が熱意を持って、こういう資金が必要である、こういう資金を貸してもらえばこの事業の経営が改善せられ、確かに利潤が増大する、これによって最低賃金の支払い能力をどうするのだというはっきりしためどがあれば、どうせどこかに貸さなければならぬ金でありますから、確実に利潤を上げ得る事業であったならば、当然金融機関としては、何も建前上この四業種を特別に取り扱うぞなどと言わないでも、個々の企業に対して必ずそういう金融ができたに違いないと思う。そこで、この問題についての今までの労働省のお考え方というものが、具体的にこういう原則を適用しようとすることでなく、ただ抽象論として四業種に最低賃金をやる以上は、資金上あるいは税法上特別な取扱いを必要とするんだというような抽象論を振り回し回しておったんじゃないか、こういう抽象論では何年振り回したところがおそらく効果を上げ得ない。だからこそあなたも今言われる通り、どうもいろいろ努力したけれどもだめだった、こういうことになるんじゃないかと思う。私は租税の問題であるとか、あるいは金融であるとかいう問題について特別の取り扱いをしなければ最低賃金が実施できないのだというような労働省並びにその影響下にある中央賃金審議会また今回の労使懇談会等の申し合せに現われておる意見というものについては根本的に疑問を持っておるのであります。何となれば、最低賃金制度というものは、これは一般的な賃金水準から見て不当に低い賃金を廃止していこうというのがまず最初のねらいでなければならぬ。その場合において、その前提として、資金上あるいは税法上の優先的措置をそれらの事業に与えるんだということになりますと、これはそういう特別な取扱いをしてもらわない間は最低賃金は採用にならぬのだということになるので、従って最低賃金をいつまでもやっているということが、税法上及び金融上の優先権の主張を維持する前提になる。これではつまり悪いやつが大きな顔をするというような結果にならざるを得ない。こういうようなやり方で果して最低賃金制度というものを普及することができるでしょうか。私はこの点についての労働大臣のお考えを特に承わりたいと思うのであります。これらの経過については松浦労働大臣はほとんど関与してこられなかったと思うのでございますが、大臣の新鮮なお考え方からいたしまして、今までのように、何か税法とかあるいは金融の面において特別の優越をしない限りは最低賃金は実施できないものであるというような考え方をこの上とも続けることが果して労働政策として適当であるかどうか、この点についての大臣のお考えを承わりたいと思います。
○松浦国務大臣 御指摘のように、非常に熱意が足りなかったということは認めざるを得ないことでございます。しかしさりとて昭和二十九年に答申されたものでありますから、その後今のようなことをやって参りまして、その結果これが直ちに行えないということになったものでありますから、労働問題懇談会に諮問いたしまして、その諮問にこたえて今再出発しようと考えておるのでありますが、御指摘のように、金融、減免税をしなければ最低賃金が話題に上らぬというようなことでは私はいけないと思うのです。でありますから、これはまずその出発は業者間における協定をいたしまして、その業者間における協定というものは労務団体のものが入ってないですから、でき得れば、労務関係の意見も参照いたしまして、それでそこに生まれてきたものが最低賃金として業者間に実行できるというようにすることが私は一番いい方法であると思うのです。それがだんだんと各業種に及んでいくということが私は一番望ましい方法である、かように思います。 それからもう一点は、今御指摘になりましたように、非常に安い二千円とか二千五百円とかいう賃金がある、これをなくするということにすると、六千円なら六千円ということにしましたら、その企業は成り立たない。従ってその企業が卸小売の関係においてあるいは製造工程の歩どまり、あるいは製造経費、そういうものを賃金の方に置きかえることのできるような——製造面において歩どまりをよくするために機械を直していく、あるいは機械を近代化していく、あるいは金利その他の交渉を上手にやって経費を少くしていくというようなことが賃金に置きかえられる時間が必要であると同時に、中小企業の振興対策が国全体として行われていかなければならないと思うのです。それは御指摘になりましたように、特殊のものにこれだけは最低賃金を行わせる、この部分だけを特別にしてやれということは他の関係があってなかなかむずかしいと思うのです。でありますから、今後近代産業国家の日本としては、最低賃金をぜひやらなければ貿易の面におきましても、低賃金、タンピングという札を張られて関係をかけられるというようなことになりますから、これはどうしても早く持っていかなければならぬが、それにはやはり今日まで政府がとって参っておりますような財政の投融資の面で一般的にこれを画していく、あるいは減免税におきましても今までやってきましたようなふうに直していくというふうなことで、中小企業の関係が、その組織化におきましても大企業との間に共同防衛が完全にできて、搾取されないように持っていくというような総合的な中小企業の振興対策と伴ってでなければ完全に私は最低賃金制度はできないと思うのです。しかしながらそこまで待っているわけにはいきませんから、業種別に相談し合ったところから持っていく、こういうことが私は望ましいと思っております。
○大橋(武)委員 そうすると、ただいまの大臣のお答えによりますと、昭和二十九年の中央賃金審議会の考えた方針というものは、今日の労働省としては必ずしもこれに拘束されない、従って労働省としては今年の労働問題懇談会の意見によって着々実行に移りたいという御意見であることがわかりましたが、しかしもう一点考えなければならぬ点は、二十九年の中央賃金審議会においては金融の面であるとか、あるいは税法の面において最低賃金を実施させるためには特別の措置をしろということになっている。そこで政府は一般的問題としてある程度特別の措置をしたばかりでなく、賃金の拡大においては個々の企業ごとに必要な資金の貸付をしている。そうなると、あの中央賃金審議会の思想を延長させて参りますならば、労働省といたしましては、少くとも公けの機関から金を借りる産業については最低賃金の実施を金を借りる前提条件にさせるということが考えられるんじゃなかったろうかと思うのであります。つまり特別に金を貸してやるから最低賃金をやれ、最低賃金をやるには特別に金を貸してくれなければならぬというのが二十九年の考え方であるならば、その逆に、金を貸す以上は最低賃金をぜひやれ、やらぬものには貸さぬ、このくらいのところまで労働省として考えられなければ、ほんとうにあの決議を実行に移す熱意ある態度とはいえなかったろうと思う。不幸にしてそれだけの熱意がなかったことはただいま大臣もお認めになりましたから私は承わっておきます。 そこで、今度のこの最低賃金の労使問題懇談会の意見によりますと、業種ごとの協定によって最低賃金を実行していこうということであります。そこで承わりたいのは、業種ごとの協定というのは、これは使用者団体の協定でありますか、あるいは使用者と労働者と含めた業種ごとの団体協定でありますか、どういう解釈でありますか。
○松浦国務大臣 使用者側だけの協定に一応なっておりますが、私の考えといたしましては、この種の中小企業は労働団体を持っていないのです。しかしできれば参考意見としてこの関係のある労務者の意見を開くということはいいことだと思います。一応表面は使用者の協定ということに答申がなっておると思います。 〔委員長退席、大坪委員長代理着席〕
○大橋(武)委員 そこでこの業種ごとの協定というのは、一応使用者側の協定ということでわかりましたが、そういう協定を実施される産業の範囲については、どういうお考えをお持ちでございましょうか。
○松浦国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。
○堀説明員 業者間協定の実施につきましては、新年度早々その援助に着手いたしたいと思っておる次第でありますが、しからばいかなる産業がその対象になるかと申しますと、これはいろいろな条件があると思います。さしあたり実施可能な要件といたしましては、たとえば同じような業種が同じ地域に固まっておるということ、それからその企業間の規模あるいはいろいろな経済力等の格差があまり隔たっておらないということ、それから同業者間に共通の目的があること、たとえば輸出というような共通の目的があるということ、こういうような条件が備わっております産業が、さしあたりまず最も実施容易な業種体ではないか、かように考えております。
○大橋(武)委員 私の承わりたいのは、実施する順序とか、あるいは実施の難易等を承わりたいと思っておったのではなくて、一体業種間の協定による最低賃金制度の実現ということを労働省はどういうふうに考えられておるか。それは特殊な中小企業のようなものについてだけそれを考えておられるのであるか、あるいは大工場、大企業をも含む全産業についてそれを考えられておるのか、この点を承わりたかったのであります。
○堀説明員 まず最も最低賃金の実益があります中小企業、特殊の業種につきまして、そのような協定が実施されることを期待しておるわけでございます。
○大橋(武)委員 そうすると、中小企業というのにも、二通りあると思うのです。たとえば修繕業であるとか、あるいは部品の下請業であるとか、そういうふうな中小企業以外には類似の事業がないというものもあります。しかしある種の機械工業などのように、大企業としても成り立つが、しかし中小企業も相当多いというものもあります。そういう二通りの中小企業つまり大企業としても成り立つが、中小企業として相当存在しておる、そういうものをも含めて各業種間の協定を実施されるのでありますか、それとも中小企業だけの協定を実施されるのでありますか。
○堀説明員 中小企業にもいろいろの種類があることは御指摘の通りでございます。そこでわれわれの方の考えといたしましては、もとより大企業においては全然そのような業態がないというようなものだけを対象にするものではございません。大企業においても、そのような業態があるというものももちろん対象になり得ると考えておるわけでございます。ただ同じ地域におきまして非常に大きな大企業があり、それから同じような業態の中小企業があるような場合におきましては、たとえばその協定による賃金率が定められても、大企業において相当高い賃金を現にその大全美の労働者がとっておるというようなところにおきましては、中小企業並みの低いような賃金が協定されましても、これはあまり意味がないことじゃないか。従いまして、われわれがさしあたり実施容易な場合と考えておりまするのは、やはりそういうような規模別の格差があまりない、それで同じような地域に比較的似たような企業がたくさんそろっておるというようなところが、さしあたり最も実施容易な産業である、かように考えている次第でございます。
○大橋(武)委員 そうすると、お話によりますと、たとえば行田の裁縫工業であるとか、あるいは川口の鋳物工業であるとか、そういうふうなものだけを考えておられるのであって、一般的に製鉄労働者であるとか、あるいは炭鉱とか、そういうものは考えておられないのですか。
○堀説明員 業者間協定の対象といたしましては、ただいまお話のありました初めの業態を予想しておるわけでございます。しかし大企業におきましては、労働組合も発達しておりまするし、労使間の団体交渉その他によりまして、労使が双方自由なる協定をいたしまして、その上において賃金を決定するわけでございますが、その中におきまして最低賃金率的な考えが漸次取り入れられていく、これはもとよりけっこうなことだと考えている次第でございますが、われわれが今考えておりまする業者問協定は、今御指摘になりました初めのような業態、要するに中小企業が同地域において併存しておるというような業態をさしあたり対象にして参りたいと考えております。
○大橋(武)委員 そこで今の業者間協定と労働基準法の最低賃金との関係を伺いたい。
○堀説明員 業者間協定はもとより法制に基く最低賃金ではございません。従いましてこれは事実上そのような業態について最低賃金的なものが締結されたという問題でございます。事実上の問題であります。それから労働基準法の問題は、労働基準法は、御承知のごとく業種別に最低賃金をきめるという考えを基本にしておるわけでございまするが、このような協定が業種別に結ばれていくという地盤ができますると、将来、たとえば労働基準法等に基きまして、業種別に最低賃金が実施されるような場合に、その法律実施の基盤となる社会的、経済的基盤がすでに事実上相当固まっていることになるのでありまして、法律実施の際に混乱と摩擦が生ずることが最小限度に防げるのではないか、かように考えております。
○大橋(武)委員 そういたしますと、昭和二十九年の中央賃金審議会の答申は、融資の面とか、あるいは減免税をやってくれなければだめだというおかしな考え方でしたが、今度の考え方も、最低賃金を実施するがごとくにして、実は最低賃金を実施しない結果に終るのではないか。すなわち最低賃金というものは、労働基準法の規定に従って法律上きまったものでございます。それで順守については罰則があり、決定の方式については一定の手続がきめてある。ところがあなたの方で最低賃金に関する労働問題懇談会の意見として発表されてあるものは、これは最低賃金ではない。ただ業者間の協定でもって、お互いにあまりひどいこともできないが、そうかといってあまり賃金を高く払ってもやりきれない。だからこのくらいのところでいきましょうという業者の単なる申し合せだ。こういうもので一体労働者は最低賃金として満足されるつもりなのか。もしこれが最低賃金であるというのならば、一体労働基準法の最低賃金というものはどうなるのであるか、こういう点から考えますと、私は、この最低賃金に関する労働問題懇談会の意見は、最低賃金を実施するための意見にあらずして、いかにして最低賃金の実施をおくらせ、そうして労働基準法の規定を無効にするかというための意見であると言わざるを得ないと思うのですが、それについてはいかにお考えになっていますか。
○松浦国務大臣 大へん重大な御発言でありますから私から答弁いたします。お手元にあります意見書は、まさに労働問題懇談会の答申であります。従いまして、このことは最低賃金そのものではありませんが、協定賃金であることは間違いない。生活を考えて協定賃金がここにできた。それが各業種にできていって、社会通念が、最低賃金というものはやらなければならぬということが業界、経済界に起ってくることが一点です。 もう一つは、私は、先ほどから申し上げておるように、一つの業種に融資及び特別な税の減免によって、それで最低賃金ができるというようなことは望ましくないのです。やはり全業種に及ぶことが必要であると思うのです。そのためには、日本の現在は大企業においては大体最低賃金の線の近くにあると思うのです。初任給が社会党さんの方で最低賃金といわれている六千円の近くにあると思うのです。ところが中小企業の方は、先ほどからの御指摘のようにピンからキリまでありまして、むしろ中以下の中小企業、ここに最低賃金の実施の非常な困難さがあると思うのです。従って、日本の保守党の政策にこの中小企業の振興対策が十分にできまして、そして最低賃金に応ずる態勢ができるのでなければ、行えないと思うのです。その政策の浸透するまでの間暫定措置として協定賃金制をしいたらどうか、それの答申があるならば中央賃金審議会において決定して、一応これより下を払わない、必ずこれより上を払うという協定をさせることが、この最低賃金制を日本にしく前提として必要ではないか、こういうふうに考えております。
○大橋(武)委員 最低賃金制というものの根本は、それ以下の賃金の支払いを禁止するという点にあると思うのであります。しかるに協定賃金においては、それを禁止する有効なる手段というものは何ら考えられておらない。最低賃金においては罰則をもって強制することができるけれども、協定賃金というものは何ら罰則をつけるものではない。またいかに罰則をつけようとも、違反者が、そういう罰則を食うのなら僕は協定から抜けますと言えば、それでおしまいなのです。問題は強制力がある最低賃金の額をきめるという点が、最低賃金制度のねらいなのでありますから、そういう意味からいいまして、この最低賃金に関する労働問題懇談会の意見というものは、これは大体いつごろまでに法律上の最低賃金を実施するのだという目標が具体的に示されざる限り、これは最低賃金制度の実施を無期延期するにひとしい考え方であるといわざるを得ないと思うのでございますが、もう一度大臣の御意見を……。
○松浦国務大臣 そういう考えでなしに、段階を追うて近づけていくという考え方なのです。もう一つは、最低賃金というものは、それより安い賃金を払っちゃいけないという禁止条項ですね。おっしゃる通りに……。その禁止条項を一律一体に日本の現在の経済にしいたら、必ずこれは中以下の中小企業というものはほとんど倒れちゃうと思うのです。非常に失業者も、まあ経営者も失業者になって現われてくると思うのです。だからこの問題は、私は今の禁止条項というものを簡単につけられないと思う。それに応ずることのできる、つまり経営内容、コストの内容が、今まで賃金が二〇%であったものならば四〇%の賃金を払っても、他の六〇%の歩どまりあるいは取扱いその他の経費の合理的な縮減によって、耐えることができるような態勢に持っていってからでなければ、これはできないと思うのですよ。もしここで一律一体の六千なり八千円という賃金制をしき、違反した者はどんどん摘発主義でいくといったならば、私は非常な経済上の混乱を招き、経営者も失業者になる、こう思っております。
○大橋(武)委員 ただいまの労働大臣のお話は、私は非常に重大なお言葉であると思うのでございます。労働大臣の御意向によりまするというと、最低賃金制度というものを実施することは悪いのだということになる。労働基準法においてすでに最低賃金制度というものは法律上採用されておるのでありまして、労働大臣はこの基準法実施の責任者である。その責任者が、最低賃金をきめて罰を食わせたら大へんだなどということも言われたんでは、これはどうもまことに困った現象であるといわざるを得ないと思うのでございます。おそらく大臣の御真意は、そういうわけではなかったかと思います。 そこで私は特に大臣にお考えいただきたいことは、大臣はこの協定賃金というものは、法律上の強制力ある最低賃金に段階を追うて進めていく一段階であるということを一方において言われておる。そのことは、段階を追うて一日も早く法律上の罰則の適用のある最低賃金をきめたいというお考えに基づいておられるのだろうと思うのでありまして、ただ現状は、一挙にそこへいくことはむずかしい。そのことを極端に言われた関係上、まあ先ほどのお言葉であったと思うのでございますが、私はそういう意味で深くとがめるというつもりはございませんが、しからばこの協定賃金というものを最低賃金の段階的な処置として取り上げます以上は大体労働省としても一つのスケジュールというものを持ち、まずどういう事業について協定賃金をいつごろまでに実行する、そしていつごろまでにどれどれの範囲の協定賃金を終る、そして協定賃金の普及がどの程度になった場合は、どういう事業から法律上の最低賃金を取り上げていく、というようなスケジュールというものがなければならぬと思う。スケジュールなしに、ただ最低賃金は今だめだ、だめだと言うのは、これは最低賃金制度の無期延期になるおそれがある。私はそれを心配いたしている。現に先ほど承わりましたように、昭和二十二年以来十年間の労働省の努力というものは、ほとんど語るべき何ものもないことは、先ほどの御答弁によっても明らかです。こういう人たちが、続いてこの最低賃金の問題を取り扱っているというようなことになりますと、その結果は、結局法律に十年前からちゃんと書いてあるこの最低賃金が、またあと五年も十年も引き延ばされるという結果になるのじゃないかということを心配せざるを得ないのであります。そこで私はそのスケジュールというものについてどの程度までお考えになっておられるか、またさらに、今のところそのスケジュールというものがないならば、この労働問題懇談会の諸君をお呼び出しになって、こういう意見を立てた君らは、どういうスケジュールに基いてこういう意見を立てたのであるかということを、お問いただしになるおつもりがあるか、伺いたいと思います。
○松浦国務大臣 労働大臣として、労働基準法を守ったならばいけないと言うことは、間違っているのじゃないかという御指摘でありましたが、労働基準法を完全に行う手段として、この協定賃金というものをまず考える段階だという考えであります。私は労働大臣ではありますけれども、中小企業の中以下の人々に、今の社会党さんの方でいわれているような賃金をやったならば、全企業がつぶれると思うのですよ。それを知りながら守る、その法律を作って規制することが労働大臣の努めであるとするならば、産業経済を無視したことで、労働行政というものはあり得ないと思うのですよ。それだからそう申し上げたのです。いろいろ御注意の点は十分わかりますけれども、私はそういう考えを持っているのです。それでなければ日本の産業経済は成り立たないと思うのですよ。その産業の基礎ができて、その上にりっぱな賃金の払えるようにすることが、私は今のわれわれのやるべき任務だと思っているのです。 それから労働問題懇談会の答申の問題でありますが、これも二月十六日に答申を受けたばかりでございまして、まだ中央賃金審議会も再発足をいたしておりません。今月中には発足させるつもりでございます。従いましてスケジュール等も、この協定賃金の範囲をこれから労働問題懇談会の方に再諮問をいたしまして、労働省としても特にスケジュールを立てて、その後に協定賃金制を協定するような機会を各所に与えたい。先ほど説明員の方で説明いたしましたような、同じような業種で固まっているところは、地域別にそれを勧奨していきたい、かように考えております。
○大橋(武)委員 大臣は、私の質問に関連してちょっとほかのことを言われたような気がしました。というのは、私は社会党案の八千円の最低賃金をどう思うかということを大臣に御質問申し上げたのではなくして、労働基準法において最低賃金という制度がある。そしてそれは労働大臣が主管大臣である。八千円が悪ければ六千円なり五千円なり、それは労働大臣が適当におきめになるべき権限を持たれている。でありますから、この際労働大臣として八千円がけしからぬから、だから基準法の最低賃金はきめられないのだ、こういうようなお答えは、少しどうもお門違いじゃないかと思います。 それからもう一点伺いたいのですが、労働大臣は最低賃金に関する労働問題懇談会の意見、すなわち協定賃金を逐次進めていくに当って、その前提として中央賃金審議会を再発足させるというふうにお考えになっておられますが、この中央賃金審議会というものはこれは最低賃金のための機関であって、協定賃金の機関でないということをまず一つ御承知いただきたいと思う。協定賃金を実施されるに当っては、果して中央賃金審議会のごときものが適当かどうか、これはいろいろ疑問だと思います。むろんそれが適当であるということならばそれにいろいろ手伝ってもらうことは事実上けっこうだと思いますが、中央賃金審議会を再開するという以上は、賃金協定の実施状況をこの賃金審議会に報告し、その意見を聞いて法制による最低賃金は早くやるようにするために中央賃金審議会を再開しろ、こう労働問題懇談会の意見にもおしまいの方に書いてございますから、当分の間賃金協定でもってごまかしておればここでまた三年なり五年なりかせげるのだというようなお考えでなく、中央賃金審議会をお開きになる場合には、少くとも今明年ぐらいの間には現実の最低賃金が実施されるような心組みで再開されることが必要であると思いますがいかがでございましょうか。
○松浦国務大臣 御指摘の通りであると思います。なるたけ早い機会に協定賃金制を設けるとともに法制的にも準備に努力せよ、こういうことも前提になっておりますから、それはその方向にいかなければなりませんけれども、先ほどから、いろいろ応答がありますように、私は現在の状況においては日本の最低賃金をきめるという場合のあり方は相当慎重にしなければならぬと思うのです。でありますから、まず業者間の協定賃金から出発いたしまして、これを賃金審議会にかけて、それでこれが適当に法制化されるかどうかということは、一業種だけの答申だけでは私はいけないと思うのです。当分の間は各業種相談し合って、それである一定の社会通念のようなものが賃金の中に生まれてきたときに初めてそれを取り上げて法制化すべきであって、私は一年や一年半で完全な賃金に仕上るとは思いません。今日の日本の経済、中小企業の現状から見て、安い方ならきまると思うのです。けれどもあんまり安い最低賃金、最低生活の保障にもならない賃金ということになると、それは私はおかしいことになりはせぬかと思うのです。でございますから、先ほどから申しますように、経営の内容が今まで二〇%払っておったものが四〇%の賃金を払ってもコストの内容において耐えられるというところまで中小企業の振興がいくのでなければ、これはむずかしいのじゃないかと私は考えております。
○大橋(武)委員 私は大臣がちゃんとしたスケジュールをお持ちになりまして、現在二〇%の労働賃金を払っておる事業が、何年先には必ず四〇%の労金を払ってもやれるのだというはっきりしためどがあるならば、お説のようにその時期まで待つということは意味があると思うのです。しかし一体労働大臣は中小企業の現状から見て、現在二〇%の賃金でもふうふう言っておる、それが四〇%の賃金をゆうゆうと払える時期が一体いつになるかということについての確実な見通しを果してお持ちになっておるのでございましょうか。もしお持ちになっておられないのに、そういう時期がこなければ最低賃金は実行できないのだということを言われるのであるといたしまするならば、それは法律にきめてある最低賃金というものを全く無視した暴論であるといわざるを得ないと思うのです。この点について承わりたいと思います。
○松浦国務大臣 この点はやはり今後立てらるべき日本の経済計画によってでなければ、私の方だけではこれを申し上げることはできないのでありまして、今後立てられる経済五カ年計画というものが三十三年から新しく出発するようでありますが、その機会にそこまでやはり掘り下げて日本の経済を打ち立つべきであると思うのです。そうでなければ、一年後にしきますとかあるいは一年半後に最低賃金をりっぱに法制化しますということは私は言えないと思う。今無責任じゃないかということがありましたが、私は今手元に持っていない、手元に持っていないけれども、それだけのものを政府は用意してそれからでなければ、うっかり禁止制度のついた最低賃金制度を一律一体にやりましたならば、安ければ問題ないが、安ければ片方の労務者の方の生活が安定しません。そういうものを法制化することはおかしなことになる。また高ければ今の中小企業というものは立ち行かないということになりますから、これは当分の間やはり業者間の協定賃金をやりまして、その間に日本の経済計画というものを完全に立てて、今度立てる経済計画には今の最低賃金を何年後に実行することができるというところまで掘り下げて作り上げるべきものである、こういうように考えております。
○大橋(武)委員 いよいよどうも大臣のお答えがわかりかねるのです。初めは大臣は最低賃金のような法律に罰則のついたものをいきなりやるのは無理だから、そこで協定賃金でだんだんにやっていく、こういうふうに伺った。私はおそらくその協定賃金の額は大体最低賃金に見合った程度のものでないかと思っておる。ところが協定賃金というのはそういうものではなくて、現在業者が楽に出せるところの最低賃金以下の非常に低い賃金で、労働者の生活を保障するに足りない賃金が協定賃金として当分の間出てくるような可能性が大臣のただいまのお言葉から伺われるのですけれども、一体労働省は協定賃金の金額について抽象的にどういうお考えを持っておられますか、それは労働者の生活を保障しようという程度の賃金なのであるか、それとも労働者の生活を保障するには足りない賃金なのであるか、これを伺いたいと思います。
○松浦国務大臣 これは労働省の方としては今幾らが適当かということは言いかねます。つまり業者間の協定によるものでありますから、その業者間においてそれぞれ自分の企業も成り立つし、自分の使っておる勤労者も生活ができるというような線を検討してきめられるものであろうと思いますので、われわれの方では幾らにするということを今考えておりません。
○大橋(武)委員 労働省の方ではどんな協定賃金が出てくるかわからないというのが現状であるといわざるを得ない。一体どんなものになるかわからない、業者が適当にきめるだろう、そのことは結局労働者の生活保障とは違った全く安い賃金が出てくる可能性もある。そういうものが果して労働基準法による最低賃金制の実施の地ならし的な効果を発揮し得るのでしょうか。
○松浦国務大臣 私は、労働省の方で幾ら以下のものをきめちゃいかぬというようなことを言うならば、これはもう法律を作った方がいいのであって、協定賃金ですから業者間で協定する、その協定の場合に自分の使っておるところの従業員が生活のできないようなことを考えるのもおかしいと思うのです。でありますから、私は大体この最低生活の保障の線において考えられるのではないか、こういうように思いますが、しかし、しからば幾らにしようということは言いかねるのであります。つまりその支払い能力であるとかあるいは一方において勤労者の生活が維持できるかどうかというようなことが同業者間において検討されてきめられるであろう、かように思っておるので、幾らを基準にしてきめろということは、われわれの方から指示する考えは持っておりません。
○大橋(武)委員 大臣は私の申し上げておらない事柄について、いかにも私の質問の中にそれがあったかのごとく前提されてお答えになっておるようであります。私は賃金を幾らにするかということは先ほどから一度も伺っておりません。具体的な金額を問題にしているのではないのであります。ただこの協定賃金を労働省が指導されるに当っては、その協定賃金というものが労働者の生活を保障するに足りるものであるという趣旨のもとに協定されるように指導されるのであるかどうか。それとも、ただやみくもに幾らでもよろしい、とにかく協定さえできればそれでよろしいという趣旨で指導されるのかということを承わっておるだけなんであります。つまり指導の方針なんであって、金額を伺っているのではないのです。
○松浦国務大臣 先ほどもちょっと答えたのですが、支払い能力あるいは生活の維持または同業種の賃金との均衡というような点において資料の提供その他は十分努力するつもりでございます。
○大橋(武)委員 そうしますと、きめられた協定賃金というものが、果して法律上の最低賃金を実施するための地ならしになり得るのでありましょうか。なり得るとすればその根拠を承わりたいと思います。
○松浦国務大臣 私どもはなり得ると考えて、これがやはり一つの段階だ、かように考えております。
○大橋(武)委員 私はちょっと最低賃金についての労働省のお考えに疑問を持っておる。それは、どうも大臣の先ほどからのお答えを聞きますと、労働省が最低賃金をきめるとなると、少くともこの社会党の提案された最低賃法にあるような八千円とか六千円とか、こういう金額のものをきめなければ最低賃金でないようなお考えを労働省はお持ちになっておるのではないかというふうに私は感じておる。いろいろ承わっておりますと、そういうものを最低賃金としてきめることは今時期でない。そこでそれに似たようなものを協定賃金としてきめるのだ。この協定賃金をきめておいて、だんだんとそれを最低賃金にする、こうなるのです。そうなると今度金額を聞きたいのですが、一体この協定賃金について労働省はやはり八千円、六千円というような、そういうあなた方が最低賃金として考えておられる金額になるたけ一致したような金額が協定賃金として出てくることを期待しておられるのですか。
○堀説明員 ただいま大臣からお答えのありましたように、これはあくまでも業者間の協定でございまするから、建前といたしましては業者がその産業の支払い能力それからその地方における最低生活を維持するために、どの程度の金額が必要であるか、あるいはその地方あるいは同種業態の賃金がどの程度になっておるか、こういうものを勘案しておきめになるものと思います。そこで労働省の力としてはそれついてのなるべく正確な資料を、これは官庁のことでありますから手に持っておりますから、これをその地方その地方におきまして提供いたしまして、なるべく積極的に援助をして参りたいと考えておるわけでございます。
○大橋(武)委員 政府委員に伺いますが、労働省のお考えになっておる協定賃金というものは、あなた方の頭の中にある最低賃金というものより高いのか安いのかどうなんですか。
○堀説明員 これはその業種それからその地域におきまして高いものも出るだろうと思いますし、安いものも出るだろうと思います。
○大橋(武)委員 そうすると多少の高低はあっても将来最低賃金としてあなた方がお考えになっておられるような金額が協定賃金として自然に出てくるだろう。すなわち将来法制化する可能性のある最低賃金の金額が協定賃金として出てくるだろう、こういうことをお考えになっておられるのですか。
○堀説明員 そのようなことを期待しております。
○大橋(武)委員 そうなりますと、先ほど来大臣の言っておられた説明が、全く狂ってくる。つまり今のところ最低賃金を法律でやったら中小企業がつぶれてしまうから、法律でやらぬのだ、そこで地ならしという意味で協定賃金をやらせるのだ、こういうことを言ってこられた。もしそういうことであるならば、協定賃金というものは、現在の中小企業の耐え得る相当安い金額が自然に出てくるのではないかと私は考えておったのであります。この安い金額を最低生活を保障する最低賃金だといって法律上強制するのはちょっと恥かしいから、それでこれは政府が陰に隠れて、業者間が勝手におきめになった協定賃金です、こういうことで当分やっていくというふうな印象を今まで私は受けておる。ところがそうではなくして、協定賃金ということに名前さえ変えれば最低賃金と同じ程度の賃金が自然にでき上るのだ、こういう御説明なのです。そうするとその賃金は中小企業が十分支払いに耐え得るものなのだ。そうだとすると今日直ちに最低賃金制度を実施すると中小企業がひっくり返ると言われたさっきの大臣の御説明は間違いじゃないかということに印象を受けました。
○松浦国務大臣 それは私は前提があるのです。一律に八千円とか六千円というものにするならば危ない、つぶれると言った、けれども支払いにも耐えられる、また自分の従業員の生活も保障できるというような点において賃金協定が行われたならば、それはやはり一つの地ならしであって、段階が一歩進んでいく、そういうことが各業種において行われましたならば、自然に摩擦なく法律が後にしけるようになる、こういうことを先ほど申し上げておるので、説明員の説明の仕方も私はあまり変っていないと思っております。
○大橋(武)委員 それではただいまの大臣及び説明員の説明が最後的に正しい、こういうことで質問を進めます。そういたしますと、そういう協定賃金ができ上ると、労働者としては協定賃金を基準法の手続に従って、その金額そのままに最低賃金に直せる程度のものを期待しておられる。だから協定賃金がある程度普及し、それの実施についてある程度習熟すれば、なるべくすみやかにこれを法律上の最低賃金に置きかえるということは可能でなければならぬと思う。だからこそ私はさきに申し上げました通り、その程度のことならば、せっかく協定賃金がきまった以上は、せいぜい一年か二年の間に最低賃金ができなければならぬじゃないか、こういうことを申し上げたのですが、私は今の御説明を伺いまして、私の考え方が一そう正しいような気がいたすのでございますが、果して労働省はどうお考えでございましょうか。
○堀説明員 先ほどの大臣の御答弁にありましたように、早々中央賃金審議会を再会することになっております。そこで中央賃金審議会において、このような協定の実施状況ともにらみ合せて、基準法による法制の実施のための御審議を進めていただくことを期待しておるわけであります。
○大橋(武)委員 そうすると先ほど大臣の、一年とか二年とかいう短期間に最低賃金を実施することになったらば中小企業がひっくり返るというお言葉はお取り消しになりますか。私はお取り消しをいただいて、そうしてできるだけすみやかに協定賃金の地ならしをやり、そして次の段階としてできるだけすみやかに最低賃金の法制化ということに進むのだというお答えを期待いたすのでありますが、いかがでありますか。
○松浦国務大臣 後半に申し上げたことだけお取り上げになっているようですが、私がさっき申し上げましたのは、今言われているような八千円とか六千円とかいうものを一律にやるならばという前提がありますから、そうでなければ私は業者間にこしらえ上げて、それで勤労者もあるいは経営者も両方とも耐えられるという協定賃金ができまして、それが各業種ともあまり離れないものが各業種ごとにできてきたというのであるならば、やはりそれは法制化する一段階だと思っておる次第であります。
○大橋(武)委員 大臣のそういうお考えをぜひ強力に推進していただきたいと思います。またいろいろ伺っていくうちに答弁の変らないようにこの程度で大臣へのお尋ねは済ませます。 それで提案者各位に承わらしていただきます。御承知のようにこの最低賃金制度というものは、労働基準法によりますると、事業別、職業別に定めるということになっておるのであります。この法律に基きましてただいま労働省の考え方といたしましても、まず事業別、職業別に業者協定に基いて最低賃金類似の協定賃金をさして、そして地ならしの済んだところで、これを法律上の最低賃金に引き直していく、こういう考え方を政府としてはいたしておるようであります。しかるに今度御提案になりました最低賃金法によりますると、全国一律に全産業を通じて法律でもって八千円、六千円という金額を最低賃金としてきめておるのでございますが、事業別、職業別、地域別をやめて法律で画一的に決定されようというお考え方の理由をまず伺いたいと思います。
○多賀谷委員 条文といたしましては基準法に一応載っておりますけれども、基準法の二十八条は改正をいたしまして、そうしてわれわれといたしましては一律に全国全産業について画一的に実施したい、かように考えておるわけであります。その理由といたしましては全国的な全産業の一律の法定賃金というのは何人も否定はしておらないのであります。これはリチャードソンの最低賃金の古典といわれます最低賃金論にも明確に書いてありますが、その段階を設けるかどうかということが、やはり議論になると思います。おそらく大橋委員も段階的に、一律にしないで前の段階が必要ではないか、こういう御意見かとも思うのでありますが、これは非常に議論のあるところでございますが、日本におきましては産業別賃金分布というのが、なるほど非常に格差はございます。しかしよく検討してみますと、産業別の賃金格差は、ほとんど企業別賃金格差に結局集約されておるのであります。あるいはもう一つは婦人労働者の関係で、たとえば大企業でありましても繊維関係は非常に賃金が安うございますが、これは男女別賃金格差がそうしからしめておる、かように考えております。そこで日本の場合は外国の場合と違いまして、あるいはクラフト・ユニオン、あるいはまた産業別の労働組合というものが発達してなくて、企業別労働組合という基盤の上に立っておるのであります。でありますから、外国におきましては産業別労働組合あるいは職種別労働組合から漏れたその産業あるいは業種、こういうものが非常に低賃金に置かれておる、こういうふうになるわけでありますが、日本においては、各産業におきまして規模が小さいということで非常に低賃金の層があるわけでございます。必ずしも外国のように職業別、産業別あるいは職種別、こういうような賃金体系そのものができておりませんと同時に、分布状態がそういうふうになっておる、われわれはこういうふうに判断をしておるものでございます。従いましてわれわれといたしましては職種別あるいは業種別にきめるよりも、この際やはり一律にきめた方がいいのではなかろうか、こういうことで一律にきめたわけであります。
○大橋(武)委員 最低賃金のねらいというものは、私は何よりも先に低賃金の廃止ということであろうと思うのであります。このためにはやはり低賃金が現実に廃止されるという結果を招来するような、実現性のある有効な措置を考える必要があると思うのでございます。そういう点から申しまして事業別、職業別に進めていくという基準法の現行のやり方を推進するという方が、かえって最低賃金の実現を容易にするのではないか、こういうふうに考える一人なのでございますが、その点について重ねて御説明をいただきたいと思います。
○和田博雄君 政府のいうようにまず業種別に地ならしをしていって、それから実行するという考え方も私は成り立つと思うのですが、今労働大臣の話を聞いていれば、業種別の協定というのは、使用者の協定なんですね。実際は労働協約じゃないわけです。言いかえると賃金に関するカルテルを認めるような結果になっておるわけです。これではあなたのお説のようにほんとうの最低賃金の地ならしにならぬと思うのです。むしろこの地ならしそのものが、労働組合とそれから中小企業の間の団体協約、賃金交渉による結果であるということであれば、これは一応地ならしになると私は思うのですが、そういう点で今の政府のやり方は非常に欠陥があると思うのです。われわれとしましては今多賀谷君の説明しましたように、日本の業態による労働の状態、いろいろなものを勘案しまして、一応最低賃金というのは結局根本の考えは、やはり憲法にある最低生活を保障するという賃金だろうと思うのです。そういう意味において、地域別、業種別に作るよりも、最低賃金という格好であるがゆえに、一応一律にわれわれは低いものを上に上げていくという考えを強く出しまして、そうして全国一律の最低賃金法というものを実は出したわけです。しかし実際はもちろん御承知のように、中小企業が一番これについて影響があるわけです。中小企業は労働組合の方からいいましても、実際のところ労働組合はあまり発達しておりません。従いまして今言いましたように地ならしをしてやっていくという方法が、実はなかなかとりにくいわけであります。そこで具体的には一律な法律をきめるけれども、われわれとしてはそこに非常な考慮を払いまして、実施の面におきまして実態もよく調査するし、それから最初は八千円ということでなくて、六千円という格好で、現実にそれが実現できるような手段を講じたわけです。もっともそのほか中小企業に対するいろいろな方策はありますけれども、基本的な考えとしては、私たちはそういう観点に立って最低賃金法というものをやはり法制化して、そして最低の労働者の生活というものはこれは保護していくという考えをもって、あなたのおっしゃるような業種別、地域別というものを考えずに一律にやった、こういう考えに立っておるわけであります。
○大橋(武)委員 意見はありますけれども、質問でありますから先に進みます。 それから今回の法案を拝見いたしますと、従来の基準法におきましては、最低賃金の決定というものは行政的な手続でこれを決定するようになっております。しかるに今回の法案は立法的手段によって最低賃金の金額まで決定するということに相なっておりますが、この賃金水準というものが始終景気の変動あるいは産業界の実情、ことに最近の日本のごときは、国内市場が狭隘になりました結果、外国の景気に支配されやすい、そういうことの結果、昔から見ますと賃金、物価等が非常に変動しております。こういう際に労働者の賃金を保障する最低賃金というものを、非常にむずかしい立法的手続によって決定していくことが真に最低賃金をきめる趣旨からいって果して適当であるとかどうか。むしろやはり行政的手続によって、そのときどきの情勢に応じた迅速な改正ができるようにしておくことがいいのではないか、こういうふうにも考えますが、これらの点についての御意見を承わりたいと存じます。
○井堀委員 基準法にも行政的な手続を期待してあることは御存じの通りでありますが、実績の上から見まして、これは当分の間私どもは可能性を認めがたいという事実が一つあるわけです。もう一つの事実は、先ほど来お話がありましたように、行政的にきめるということになりますと、中央賃金審議会のような性格のもので協議してきめるということで、これはすでに中央賃金審議会が昭和二十五年の十一月に発足して、二十九年の五月に答申をしたのでありますが、この間の記録を詳細に見ていきますと、大体二十六年の七月には基本的な条件がこの総会で議決されておる。でありますから、もうこのときに答申されてしかるべきなのが二十九年まで長引いた。その過程を見ましても、この委員会で結論を出すということも至難な実情が明白に出ております。こういう点はどこに基因するかということが第一問で、あなたがお尋ねになりました問題と関連をいたすのでありますが、それは一つには最低賃金を必要とする部分が、中小企業、零細企業の部分にある。それが業種別でなくて規模別な状態において賃金格差が顕著なものであるということは、統計が明確に説明しているのであります。その原因はいろいろありましょうけれども、大きな理由の一つにあげなければならぬのは、これらの労働者が未組織である、それから公正なる賃金協定のできる——すなわち対等の立場に労働者が置かれていないということが前提になるのであります。これに保護を加えるということは当然のことであって、こういうものの一般に行われます、先ほど来協定賃金問題が出ておりましたように、協定賃金というものはILOの第十一回、第三十四回総会の条約や勧告の中にも明確になっておりますように、これは十分に組織化されて、その上に立って労働協約の賃金協定が行われるということは、もう世界の共通した理念になっておるわけです。こういう点から考えまして、基準法を貫く精神もそこにあるわけです。これが実施できないというのは、一つには未組織労働のままに放任されて組織化がなかなかできない、こういう状態を解決するためには、やはり立法措置を講ずる以外にないという事実上の問題に今当面しておるのであります。いま一つの問題は先ほども議論になりましたが、そういうことをやると支払い能力のない低い企業能力である中小企業、零細企業に圧力が加わるのではないかという問題が出てきておるのでありますが、これは逆である。すなわち競争の基準というものが、何を言っても生産原価の中で一番大きなウエートを占めるのは賃金であります。この賃金に何らの基準が置かれてないということは、無制限な競争を許すということであって、それは不公正な競争へ追い込む、この現実を解決することが——これはひとり最低賃金問題だけではないと思うのであります。中小企業対策の中でも中小企業の組織化が絶えず出てくるということは、こういうところに結果を求めておるのでありますから、こういうものと共通して判断していきますと、いずれの点から取り上げてきましても、法制化による以外にこの不合理を解決する道は今日の場合にないのではないか、こういう意味でわれわれは法律をもって一つの金額を規定すべきではないかという考え方に到達したわけであります。 それからスライドの問題についても、そういう考え方の上に立って、今の行政関係では、スライドの問題については行政機関の協力を求めてやっていくことができるのでありますけれども、最初のスタートは立法的な措置による以外にない、こういうふうにわれわれは考えて立案したのであります。
○大橋(武)委員 この立法的手続でやるということについて、私はいろいろな考え方があろうと思います。お話のように労働基準法ができてから十年にもなるのにまだ最低賃金が実施されておらぬということは、われわれも非常に遺憾なことに考えておる、もっともこの十年間の中でも昭和二十六、七年ごろまでの状況は、御承知のような非常なインフレの時代でございまして、こういうときに一定の金額で表示する最低賃金というものは幾らやってみたところで無意味ですから、その当時に最低賃金ができなかったということは、これはさしてやかましく論ずる問題でもないと思います。しかし少くとも二十八、九年以降、ことに二十九年に中央賃金審議会である種の答申が出ておるにもかかわらず、その答申の実施についてもほとんどまじめな努力が払われておらなかったという点は、われわれもまことに遺憾に考えておるわけであります。今後は労働省としても、真剣にこの問題に取り組んでもらわなければならぬと思うのでありますが、そういうふうに行政的な措置を促進する方法としては、法律で最低賃金をきめるのに、それは金額まできめてやれば一番手っとり早いことは申すまでもないのですが、金額まできめなくとも、少くともいつまでに政府は金額をきめろ、こういう立法も可能だと思うのであります。果して社会党の諸君のお考え方は、そういう意味で今まで実際実行がおくれておったからそこで今度は法律でとにかくきめてしまうんだというお考えなのか、それならば私は今のように政府に責任をもって決定する期限を法律で指定することも一案だと思う。それともこの最低賃金の金額というもの自体が非常に大事なものであって、これは行政機関にまかせるわけにはいかぬ、どうしてもこれは国会で慎重に審議の上きめなければならぬという、それほどのお考えで提案しておられるのであるか、その点をさらに掘り下げてお答えをいただきたいと思います。
○和田博雄君 お話のようにいろいろな最低賃金法実施を法律できめるにしても、きめ方はあると私は思う。それからなぜわれわれが最低賃金法を出したかといえば、これは御承知のように日本の経済が、あなたのお触れになったように、インフレとデフレの不安定なときにはなかなか最低賃金というものは実現ができにくいと私は思う。しかし少くともこの二、三年来日本の経済は相当成長をしたし、安定度という点になれば、それはまだ私どもの考えているような安定度ではないかもしれませんが、昔に比べれば——戦後十年に満たないころの安定度と比べれば、今日は一応経済も正常化したと言えると思う。そうするとやはり労働基準法の中にある最低賃金の制度を一日も早く作ることがわれわれは必要であると、こう思いまして提案したわけであるし、同時に金額までもきめましたのは、やはり国会でほんとうに討議を尽し、審議を尽して、そして権威のあるものとして御規定を願うことが私は最善の道ではないかと思うのです。行政的にやります場合ももちろん考えられる一つの道でありますけれども、こういう重要な問題については、やはり国会で政府が責任を持って法案を出し、あるいは議員立法でわれわれの意向を審議願って、そしてきめていくというふうにしていく方がいいのじゃないか、こういうつもりで私たちは提出しているわけです。
○大橋(武)委員 御承知の通り、法律改正にはむずかしい手続を必要といたします。ことに国会の開会が必要でございますので、時期的にも、すぐに必要な時期に改正するということは非常に困難であります。国会の開会を待たなければならないということもある、そういう意味で必要なときに直ちに改めるというのはやはり行政措置に限るように思うのでございますが、この点についてはどうお考えでございますか。
○井堀委員 それは先ほどお答えいたしましたように、スライドについては物価や経済事情の変動に伴いまして賃金審議会の諮問を経て行政庁が措置できるような手続を考えている。しかし今あなたがおっしゃられたように国会は一年に一回必ず常会を持たれることになりますが、大体一年ないし半年の間に大きな変化があっても国会で審議を願うということには差しつかえはないようにわれわれは考えております。しかし今問題は、われわれは最初幾らにきめるかということが一番重要なのでありまして、当初定める金額については先ほど和田さんからも御答弁がありましたように、今日の賃金額を定めることは、ひとり労働保護法等の立場からだけものを判断することが困難な事情があるものですから、全体の政策とやはりからみ合せて判断をしていくべきだというような点からいたしましても、こういう国会のような機関において十分討議をして、権威のある金額が規定されるということが最も望ましい姿ではないか、特に二大政党を志向する現段階にあっては、こういう重要な基本政策については同党の間に共通の広場を求めて、十分討議をし合って、金額についてもわれわれの案に対して具体的な御批判をいただいて正確な結論を得ることが一番いい方法ではないか、格好な問題ではないかというふうに考えているわけであります。
○大橋(武)委員 この第七条を拝見いたしますると、中央賃金審議会が、毎年少くとも一回、最低賃金額が適当であるかどうかについて、労働大臣に報告する。そうして最低質全額を決定する諸事情の変化から見て、五%以上増減の必要があると認めるときは、適当な勧告をするということになっております。それを受けまして、労働大臣は、勧告に対しては必要な措置を講ずると書いてありますが、この条項は一体どういうお考えでお書きになったものでございますか。
○多賀谷委員 それは公務員の給与等にもございますように、人事院が勧告をする、こういうことになって、その手続を経て、政府としましては給与法の改正をやる、こういうように公務員の方にはなっておると思いますが、それとあまり違わないのでありまして、この勧告を受けたときの必要な措置と申しますのは、やはり立法措置を考えておるわけであります。
○大橋(武)委員 そうすると、労働大臣は、必要な措置を講ずるというのは、立法措置を講ずるということでございますね。
○多賀谷委員 そうです。
○大橋(武)委員 そうしますと、立法というものは国会の権限であり、法案の提出は、これは内閣の権限でありますからして、労働大臣には処置できないことなんです。せっかく勧告を受けましても労働大臣は権限がないからどうしようもないのです。法律案を出すなら、これは内閣の権限で出すのですからして、労働大臣にはできない。従って、私はこういう報告等につきましては、国会及び内閣に報告なり勧告なりを出すというやり方にすべきものだと思うのですが、いかがなものでございましょう。
○和田博雄君 やはり法律論でいえばあなたのおっしゃるようになると思います。私は、実は政府と思っておって、そういう意味で解釈しておりました。労働大臣は政府を代表するものとして、ここはこういう書き方をしたものと思います。おそらく政府がやはりやるべきことであると思います。
○多賀谷委員 大橋委員の御指摘のように、やはり人事院通り国会及び内閣に勧告しなければならぬと書いた方が適当ではないかと思います。
○大橋(武)委員 ただいまのお答えによりまして、この労働大臣と書いてあるのは、政府または国会、こういうことの間違いであるようですね。そこでこの点間違っておるならば、一つ社会党提案者として、成規の手続を経て訂正をしていただきたいと思います。それまで私の質問は留保いたします。
○大坪委員長代理 暫時休憩いたします。 午後零時二十八分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかった〕