P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
26回国会衆議院1957/03/25

社会労働委員会 第29号

発言数
157
登壇者
13
会派数
2
開催日
1957/03/25

会議録

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 都合により委員長が不在でありますため、私が委員長の職を勤めます。  これより会議を開きます。  この際小委員会設置の件についてお諮りいたします。本委員会に付託されてあります環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律案の審査を託するため、小委員十名よりなる環境衛生関係営業に関する小委員会を設置することとし、小委員及び小委員長の選任に関しましては、委員長より御指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 御異議なしと認め    植村 武一君  亀山 孝一君    西村 直己君  八田 貞義君    野澤 清人君  古川 丈吉君    赤松  勇君  滝井 義高君    八木 一男君  吉川 兼光君以上十名を小委員に、植村武一君を小委員長に指名いたします。     —————————————

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 引揚者給付金支給法案及びただいま付託になりました水道法案を一括して議題とし、審査に入ります。趣旨の説明を聴取いたします。神田厚生大臣。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 ただいま議題となりました引揚者給付金等支給法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  過般の大戦の終結により、きわめて多数の同胞がその生活の本拠とする外地からほとんど無一物になって引き揚げ、地縁、人縁の乏しい内地で生活の再建をはからねばならなかったのでありまして、内地の戦災者等に比較いたしましても、その再起更生にさらに大きな障害があったことは、ここにあらためて申し上げるまでもないところであります。  政府は、これら引揚者に対しましては、その実情にかんがみ、応急的な援護を行うとともに、住宅の供与、更生資金の貸付等の援護更生施策を実施いたして参ったのでありますが、多年の懸案であった在外財産問題につきましては、昨年六月、内閣総理大臣から在外財産問題審議会に対し在外財産問題処理のための引揚者に関する措置方針について諮問がなされたのであります。同審議会においては、きわめて慎重、かつ、熱心にその本質及び実態の究明を行い、昨年十二月に至り、内閣総理大臣に対し、右の諮問に対する答申が提出されたのであります。  政府といたしましては、右の答申の趣旨にのっとり、引揚者に対する施策を実施するという基本方針を定め、その実施方法等につきましては、できる限り、引揚者の要望に即することを旨として種々考慮いたして参ったのでありますが、ようやく先般、諸般の調整を終り、ここに引揚者給付金等支給法案として提案する運びに至った次第であります。  以下この法案の概要について御説明いたしたいと存じます。  先づ第一に、終戦時、外地に六カ月以上生活の本拠を有していた者等所定の要件を満たしている者を本法にいう引揚者とし、これら引揚者に対しましては、終戦時の年令の区分により、五十歳以上の者に二万八千円、三十歳以上五十歳未満の者に二万円、十八歳以上三十歳未満の者に一万五千円、十八歳未満の者に七千円の引揚者給付金を支給することにいたしたことであります。なお、外地に長く残留することを余儀なくされ、講和条約発効後引き揚げた者は、その実情にかんがみ、外地に生活の本拠がなかった場合においても、引揚者給付金の支給対象とし、さらにそのうち、いわゆる戦争受刑者につきましては、年齢にかかわらずすべて二万八千円を支給することにいたしました。  第二に、ソ連の参戦または終戦に伴って引き揚げねばならなくなった者あるいは外地に残留することを余儀なくされていた者が外地において死亡した場合及び引き揚げ後二十五歳以上で死亡した場合は、それぞれその遺族に対し、遺族給付金を支給することとし、その額は、外地で死亡した者の遺族につきましては、死亡した者の終戦時の年齢の区分により、十八歳以上であった場合は、二万八千円、十八歳未満であった場合は、一万五千円とし、引き揚げ後死亡した者の遺族につきましては、引揚者給付金の額に見合う額といたしたことであります。  第三に、一定金額以上の所得のある者等、現に生活基盤の再建をなし得た者には給付金を支給しない趣旨のもとに、その所得税額が八万八千二百円をこえる者及びその配偶者には、引揚者給付金及び遺族給付金を支給しないことといたしたのであります。  第四に、引揚者給付金及び遺族給付金は、記名国債で交付することにし、その利率は年六分、償還期限は十年以内、発行期日は昭和三十二年六月一日にいたしたことであります。  その他、不服申立、国債元利金の免税、実施機関等所要の事項を規定いたしておりますが、この法律により引揚者給付金及び遺族給付金の支給件数は約三百四十万、国債発行総額は五百億円に達するものと見込んでおります。  なお、以上申し述べましたこの法案による措置にあわせて、政府は、引揚者に対する生業資金の貸付、住宅の貸与の援護施策につきましても、その拡充に努力いたす所存であります。  以上がこの法案を提出いたしました理由であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。  ただいま議題となりました水道法案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。  水道は、広く国民の日常生活に直結した公衆衛生上の基本的施設であるばかりでなく、生活環境の改善による国民生活の合理化、生活水準の向上等のため、まことに不可欠な要素であるとともに、産業の発達等近代国家の整備の上からも重要施設であります。近年水道布設に対する要望は、都市農村を問わずほうはいとして起りつつありますのもまことにゆえなしといたしません。  政府におきましても、従来水道の普及には特に意を用い、その所要資金の確保、維持管理の徹底、国庫補助金の支出等をはかって、この国民の要望にこたえてきたのでありますが、これを規制する水道条例は古く明治二十三年に制定されたもので、その規定もはなはだしく簡単であり、その規模が著しく拡大され、技術的にも高度化されて参りました現在の水道を律するにつきましては、種々実情に沿わない点があるのであります。  政府といたしましては、かねてからこの水道条例の根本的な改正について慎重に検討を重ねて参ったのでありますが、このたびようやく成案を得て、ここに本法案を提出いたしました次第であります。  本法案の策定にあたりましては、水道施設が国民生活に不可欠の要素であるにかんがみ、まず、国民の利便とこれによる生活の合理化とを念願しつつ、その積極的な育成をはかり、かつ、市町村の公営を基本といたしますとともに、他方水資源の総合的合理的利用の促進、近代技術力の確保等を意図した次第であります。  次に、本法案の内容についてその概要を申し上げますと、まず第一は、水道を大別して、一般国民を対象とする水道事業と、特定個人を対象とする専用水道とに分け、それぞれにつきまして、水質基準、施設基準、技術者による布設及び管理、水質検査、従業員の健康診断等の規定を設け、良好な水の確保とその管理の適正を期したことであります。  第二は、市町村等の水道事業の経営者に対し、給水の義務、供給規定設定の義務、消火せん設置の義務等を課し、住民の利便に資するとともにその公共性の確定を期したことであります。  第三は、各戸への給水装置の基準を設け、あるいは需要者の求めによる水質、給水装置の検査等を規定する等需要者の保護をはかるとともに、水道水の汚染防止を意図したことであります。  第四は、市町村等の水道事業経営者に対して、浄水を供給する事業を規制し、また、水道事業の合理化のための勧告、市町村による買収の規定を設ける等極力水道事業の総合的な発展と水利用の合理化とをはかったことであります。  第五は、水道事業の認可、その取り消し、専用水道の布設工事の確認、水道施設の改善命令、給水停止命令その他の監督規定を設けたことであります。  第六は、給水人口五千人未満の簡易水道に対する国庫補助、その他水道事業に対する助成の規定を設けたことであります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 以上で説明は終りました。なお両案についての質疑その他につきましては後日に渡ることといたします。     —————————————

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 原子爆弾被爆者の医療等に関する法律案を議題とし審査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。木原津與志君。

木原津與志日本社会党

○木原委員 原爆被爆者の医療に関する法律案に関して二、三大臣その他の関係の方にお伺いをいたしたいと思います。原子爆弾が広島と長崎に落されてからちょうど今年で満十二年をけみしておるのであります。この被害者は全国に約二十九万人おると言われておるのでありますが、今日までこの生存被爆者に対して国家は何ら適切な措置を講じておらないので、われわれ地元の関係者は長い間にわたってこれの医療補償の措置の問題を取り上げて、政府に適切な措置を要望して参ったのでございますが、吉田内閣、鳩山内閣においては、いずれもこれを取り上げるに至らなかったのであります。ところが、今度の政府においてこの問題を取り上げて、とりあえず原子爆弾被爆者の医療費全額国庫補償を内容とする法律案が日の目を見るに至りましたことについては、私ども地元議員としてまことに感謝にたえない次第であります。政府のこの問題に対する深い御熱意と御理解に対して、厚くお礼を申し上げたいと思うのであります。  そこで私が一点だけただしたいことは、なるほどこの全国に散在する二十数万の被爆者に対し、現に治療を要する者、あるいは将来治療を予想せられる者等に対する健康管理あるいは治療等について、これが全額国庫の負担をもって任ずるということを内容としておるのでございますが、私どもはこの治療の全額国庫負担あるいは健康管理ということをお願いするとともに、ただ被爆者のみの治療、健康管理を国家がその費用を負担してやるということになりましても、今日の被爆者の生活の実態からすれば、その本人の完全な治療を求めるためには、どうしてもその生活を負担しておる家族、そういったものが非常に生活に困窮しておる今日、そのためにせっかく治療を受けたいと思っても、家族の生活を考えるときに安んじて治療を受けることができないというのが、大多数の原爆被害者の実態であるのでございます。従ってこの不慮の被害を受け、十一年間もそのまま放置されておった人たちに対して、今日せっかく国家のあたたかい手で医療をやってやろうというためには、あわせてこの治療中における家族の生活の保障を国家がやってやらなければ、その治療の万全を期することができないという意味におきまして、過ぐる二十五国会における与野党一致の原爆障害者治療に関する決議案の上程の際におきましても、特にこの治療とともに治療に伴う生活資金についても格段の考慮を払うということが決議案においてうたわれたのでございます。ところが今回政府提出に相なったこの法案によりますれば、治療の国庫負担は規定されておりますけれども、この治療中における家族の生活扶助というような点について全然考慮がなされておらない。これではせっかくの治療も画竜点睛を欠くものではないかと思うのでございますが、この点についての大臣の御所見をまずお伺いしたい。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 ただいま木原委員の御心配になられましたようなこと、実は私どももよく了承できるのでございまして、この措置をとります際に実はいろいろ議論をして参ったのでございますが、直接そうした資金を得ることが実はいろいろな事情でできなかったのでございます。これははなはだ残念でございまして、そのときのいきさつといたしまして、低所得階層の今お述べになられましたような事情におられる方々につきましては、世帯更生資金のワク内で一つごめんどう見ていこうじゃないか。これは要保護者の場合はむろん生活扶助で参りますから当然でございますが、低所得階層については今申し上げたように、世帯更生資金のワク内操作で一つごめんどうを見ていこう、こういうことになっております。これは他の戦争犠牲者等との関係もございまして、すぐ見るということができなかったことはまことに残念でございますが、将来の一つの懸案として残っているわけでございます。しかし今申し上げるように、世帯更生資金の方で一つ出していきたい、こういう方針なのでございまして、運用によって、将来の問題としてまたよく考えて参りたい、こう考えております。

木原津與志日本社会党

○木原委員 この法案が出る前に、私ども社会党と自民党と共同いたしまして、議員立法でこれをやろうじゃないかというので、寄り寄り協議を遂げました。そうして大体与野党一致した原案として原爆障害者援護法というものを作りました。この作った法律の第六条によって、原爆障害の医療を受けることによって生計が困難となったと認められる者に対して医療手当を支給することができる、こういった規定が当時設けられたのでございます。そしてこれを大体議員立法として今国会に提出するという段階になりました際に、当時厚生省と折衝いたしましたところが、厚生省の方で、これは実は政府提案で考えておるから、あなた方の方の議員立法はやめてもらいたい、できるだけあなた方の趣旨に沿うような法律を目下立案中であるからということであったのであります。そこで私どもといたしましても、この医療保障とともに、第六条のその医療を受けることによって生計が困難となったものと認められる者に対して医療手当を支給するということが、必ずこの法案の中に出てくるものだということを期待しておった。またこれがなければ医療の万全を期待するということはもう不可能な実態なのですから、これを私どもは非常に多く期待しておったのでございますが、せっかくの法案でこの点が削られたことを非常に遺憾といたしますし、また全国二十九万の被爆者も大いにがっかりしておるところだろうと思うのでございます。おそらくこれはあなた方は法文の中に書いておかれたのを大蔵省で削られたのだろうと思いますが、その削られたいきさつについて、なおこの医療手当が将来どうなるか、さらにこれが将来において復活する見込みがあるかどうか、この点を一つ大臣から承わりたい。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 木原委員のお述べになられたこと、気持は私同感でございますが、いきさつ等につきましては政府委員から一つ答弁させたいと思います。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 ただいま御質問の生活資金と申しますか、医療手当と申しますか、この問題は、この法案の原案を私どもの方で作成いたします際、あるいは三十二年度の予算の原案をいろいろ作ります際にも、ただいま大臣からもお答えがございましたように、当然考えなければならない問題として取り上げ、また先生方の方からもいろいろ御指摘がございましたので、私どもの方は真剣にいろいろ検討してみたわけでございます。  結論的に申し上げますと、先ほど大臣からお答えがございましたように、この医療を受けることによって、その間に生活に困られるという方々につきましては、世帯更生資金の貸付金の方でまかなうことになったのでございますが、これを医療手当として出すか出さないかということを最初にいろいろ検討いたしたのでございます。生活に困られるから医療手当を出すというようなことになって参りますと、これは議論の途中でございますが、医療費そのものについても、生活に困られ、医療費に困られる方だけを見たらどうだというような議論も出てきたわけでございます。そうなりますと、せっかくの趣旨が生きてこないというようなこともございます。しかしながら、せっかく国が国の意思として医療をしてあげたいと思っても、生活に困られるためにその意思が徹底しない、それが行われ得ないということになっては、せっかくの国として考えなければならないことが行われ得ないということになりますので、何らかの裏づけをしなければならないということで、その間に生活に困られる方は——これは将来お返しになれないような方は仕方がございませんが、たとえば整形手術なんかをして、あとで返していただけるというような方に対しては、返していただけるような貸付金ということでいったらどうだろう、そういう考えで厚生省としても予算要求を財政当局といろいろ折衝したわけでございます。  しかしながら、その過程におきまして、先ほど大臣のお述べになりましたように、これは厚生省といたしましては社会局関係の予算に入っておりますが、世帯更生資金の貸付金という制度が設けられまして、医療を受ける医療費の貸付金は別にございますが、その医療を受けている間に生活に困られるような方に対しては、生活資金を貸し付けるという制度が設けられるようになりましたので、私どもの方で社会局の方と話し合いまして、そうしてこの世帯更生資金の貸付金のワク内で実際に医療を受けられるために生活に困られる方々には、生活資金を貸し付けるということでやっていきたいということに落ちついたわけでございます。  以上がこの法案作成並びに予算折衝の過程におきまする経過でございます。

木原津與志日本社会党

○木原委員 よくわかりました。それならば将来はどうなりますか。来年度でも、再来年度でも、将来において医療手当を実施される御意思を持っておられますか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 この問題につきましては、先ほど大臣からも将来の問題として考えるというお答えがございましたが、もしこの法案を可決していただきましたならば、その予算の運用ということにつきましては非常にむずかしい、新しい問題でございますので、現在私どもが予測しております以上にいろいろな問題が起ってくるだろうと思うのでございます。そういう点も全部からみ合せまして、将来この法律が適正に運用され、また予算が適正に使われまして、この法の趣旨が生きていくように考えていかなければならないというふうに存じております。

木原津與志日本社会党

○木原委員 生計が困難になったと認められるものに対しては、世帯更正資金貸付補助金でまかなうというお答えでございましたが、本年度の予算を見てみますと、大体これは前年度よりも一億増加になって三億円ということになっておるようでございますが、この世帯更生資金貸付補助金を受ける対象になる人たちは、おもに今までの経験ではどういう人たちでございましたでしょうか、その点明らかにしていただきたいと思います。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 現在までこの予算の運用につきましては、社会局で所管いたしておりまして、その考え方につきましては社会局からお答え申し上げるのが正しいかと存じますが、私たちはいわゆるボーダー・ラインの階層の人たちに対して貸し付けるということをいたしておったわけでありますが、なお詳細につきましては所管の社会局の方からお答え申し上げる方がよろしいかと思います。

木原津與志日本社会党

○木原委員 そうすると、これが大体本年度三億でありますが、もちろん三分の二でございますから、実質的に運用される金額は四億五千万ということになりますね。四億五千万だということになれば、原爆の治療を受ける人たちでこの貸付金を受けなければならぬ状態にある人たちが、これはどれくらいになるかわかりませんが、もし予想よりも非常に多いということになりますれば、その間の操作はどうされるお見込みでありますか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 その点につきましても社会局長からお答え申し上げるのがいいかと存じますが、先ほど御指摘になりましたように、前年度の予算額は一億で、補助率が二分の一でございますから、実際の使われる額は二億であります。先ほど木原先生も御指摘になりましたように、ことしは三億で、それが三分の二の補助率でございますから、四億五千万で、昨年より倍以上になっておるわけであります。私ども先ほども、この原爆の被爆者の医療等に関する法律案を施行して参りますのにつきまして、実際に予測のつかない点があるというふうに申し上げたわけでありますが、現在、これは昭和三十年度から研究的の治療をいたしておりますその際に、どれほど生活に困られる方があるかという資料がなかなか的確につかみ得ないような事情でございまして、その数字をつかむことはなかなかむずかしいのでございます。先ほど予算折衝の経過を申し上げましたが、その際に私どもの方でこの法律に基いての貸付金というようなことを考えました際にも、一応の仮の数字はそれほど大きな数字にはならなかったわけでございます。ただしこれは資料が十分的確でございませんので、これがどういうふうに変化いたしますか、なかなかはっきりわかりにくいわけであります。

木原津與志日本社会党

○木原委員 この貸付金の最高と最低、それから貸付の条件、その点について明らかにしていただきたいと思います。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 これも社会局長からお答え申し上げるのがほんとうと思いますが、月平均三千円と考えております。

木原津與志日本社会党

○木原委員 一世帯月三千円の貸付金ではこれはどうにもなるまいかと思うのです。家族何人あるか知りませんが、大家族の人が非常に多かろうと思うのですが、月に三千円の貸付金では焼け石に水で、これは何の補助にもなるまいと思いますが、この点もう少し何とか増額して、完全な治療をやるための万全な措置は現在の財政状態とにらみ合せてできないとおっしゃるかもしれませんが、月三千円ではどうにもなるまいと思うのですが、その点何かお考えがあればお示し願いたい。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 今の木原委員の御要望の趣旨まことにごもっともで、私も同感でございます。つきましては一つこの原爆の関係だけでもそのワクを広げて、治療に困らないような措置をとるような手配のできるように至急検討いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと存じます。

木原津與志日本社会党

○木原委員 今政府でお見込みになっている原爆治療者の中で、この資金を受ける世帯を大体何千世帯くらいに見ておられますか。その点、予想の数字がわかっておれば明らかにしていただきたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 これはもとから申し上げないとなかなかおわかりにくいかと存じますが、先ほど申し上げましたように私ども予算折衝の過程で、一応先ほどお述べになりましたように当時の被爆者が二十九万何がしというふうに推定される。これは昭和二十五年の国政調査でございますが、その後の死亡率をかけますと現在推定されますのが二十七万あまりになるわけでございます。それを健康診断それから医療というふうにやっていくわけでございますが、健康診断も初年度でございますので全部にやるというような建前ではございません。これは特に申請に基いてやるということで、事情によっては隠されたい方もございますので、無理にこちらから網をかけるというようなことはしないようにしたいと思っておるのでございます。そういうこととか、これからこういう趣旨が徹底されてだんだん運用していくというようなことをいろんな点から考えまして、二十七万人のうちで広島、長崎で今までに健康診断をやりましたのが年に七、八千人ずつありますが、今度は広島、長崎全部、それからそのほかもまぜまして大体七万数千人の健康診断を実施したいということでございます。そのうちで従来の実績から考えまして医療を受けられる方がどれくらいあるかということで、医療を受けられる方の人数を推定いたしております。そうするとまた人数が少くなって参りまして、医療を受けられる方が三千三百五十五人というような推定になって参ります。そのうちでまた、生活保護法の方は別としてボーダー・ラインの方がどれくらいあるかというような推定をしなければならぬわけでございますが、これは先ほど申し上げましたように、現在的確な資料がございませんので、一応そのうちで入院しなければならぬ方が三割くらい、またその入院されるうちで今度は世帯主が入院される方がその三割ぐらいじゃないかというようなことから計算して参りますと、実際に私どもが推定いたしました生活資金を貸し付けなければならないという方々の数は何日というような単位になってくるわけでございます。従いまして大体三、四百人というようなところを推定いたしているわけでございます。

木原津與志日本社会党

○木原委員 こまかいことを聞くようですが、この貸付資金の返還に関する条件というのはどういうふうになっておりますか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 私ども大体のことは承知して折衝いたしておりますが、もし間違ったお答えをするとほかに差し響いて参りますから、所管の局長が参りましてからお答え申し上げたいと思います。

木原津與志日本社会党

○木原委員 いま一点お尋ねいたしますが、この治療について温泉治療というようなことがあるのです。というのは、これは私個人的に相談を受けたのですが、私の知った人で長崎で原爆の被害を受けて非常に悪かったのですが、松山の子供さんのところに行ってあそこの道後温泉で長く入っておったところがなおったというわけです。一体温泉と放射能の原爆病とどういう関係があるのかわからぬけれども、とにかくあの温泉に入っておったらなおった、こういうことなんです。そうすると将来温泉治療というようなことも厚生省で考えられると思うのですが、そういった温泉治療がどういう原理に基くものか私どもはわかりませんが、温泉でも治療ができる、またそれが実際にきくというような場合に、その温泉治療について、今度の医療に関する法律で温泉治療をやっておる者についての救済の規定がございますかどうか、ちょっとその点をお伺いしたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 医療の内容につきましては、御審議をお願いいたしております第七条の二項にございますが、そういう医療がいいか悪いかというような点につきましては、これはこの原爆症というものが非常に医学的にもむずかい疾病でございますので、御審議をお願いいたしております法律の中にもございますが原子爆弾被爆者医療審議会、これは専門家の方々に集まっていただいて審議会を構成して、そしてその方々の御意見を伺って、医療の内容等も決して一律にいくものではない、おそらくいいというものが次から次へと出てくると思いますので、そういう方の御意見を聞いてきめて参りたいと思います。いいということなれば当然その対象になり得ると思うのであります。

木原津與志日本社会党

○木原委員 この第七条の二の医療給付の範囲の三の「医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術」とありますが、この温泉治療なんかはその他の治療及び施術の中に当然含まれると解釈していいのじゃないか、その点厚生省の御見解をお伺いしたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 その他の治療並びに施術の中に含めて考えていいと思います。

木原津與志日本社会党

○木原委員 そうするとその場合の医療給付の方法はどういうふうな方法になりますか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 診療方針と診療報酬、これは十一条に規定がございますが、全般的には健康保険の診療方針並びに診療報酬の例によるわけでございますが、ただいま申し上げましたように非常にむずかしい病気でございますので、新しいいろんな問題も起ってくると思います。健康保険の診療方針、診療報酬の例によることができない場合が出てくると思います。そういう場合には審議会でやはりきめていただいて適用するようにしていきたいと思っております。

木原津與志日本社会党

○木原委員 最後に大臣にお伺いいたしますが、本法案は、原爆の被害者の治療といってもこれは過ぐる昭和二十年の広島、長崎における原子爆弾の被害者だけでございます。ところが御承知のようにアメリカ、ソ連それから今回また英国クリスマス島やビキニでこの原爆、水爆の実験をやっておりますが、この実験の結果、当然日本がこの水爆実験の被害を受ける。私ども専門家じゃございませんから詳しいことはわかりませんが、この実験の結果ストロンチウム90の被害を日本民族が受ける。この実験が長期にわたって続くならば日本人の人体許容量は今後十年しかない。十年たてば、われわれ民族が全滅の危機にさえ瀕するというようなことさえ言われており、おそろしい予言だと私どもは恐怖に陥っておるような次第でございますが、こういうような実験の結果、今後日本の国民の中に十年前の原爆の被害者と同じように放射能の被害を受けるかわいそうな人が多数起るであろうことを予想するのでありますが、政府はこれに対してどういうような治療と補償の措置を考えておられるか、これに関連して大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 原爆、水爆等のわれわれ人類に及ぼす影響ということについておそるべきもののあることは、今木原委員のお述べになられた通りでありまして、政府といたしましては、たとえば今回のイギリスの水爆実験等につきましても厳重な抗議を重ねておる。さらにまた人を派遣して、そして中止の交渉をするというような非常に強い意向を持って外交交渉をいたしておるのでございます。しかしそれでもなおかつ相手方がそういうような暴挙をあえてする結果、そこでわれわれ民族が人体に非常な被害をこうむる、こういう際にはこれは政府といたしましては相手国に対しまして、ビキニの例等もございますので、十分な補償を要求することは私は当然のことと思います。同時にまた相手国の補償があるまで放置する、そういうことは人道上断じてできないところでございまして、十分な考慮を払うと同時に、万一そういう被害がございましたならば最善の措置をとっていく。一方また強い決意を持って外交交渉によってその措置等については話し合いを進めて措置をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

木原津與志日本社会党

○木原委員 この被害の補償を外国に強力に求めるという大臣のお答えでございますが、これはもうぜひ一つ強固な申し入れによって万全な被害措置を講じていただきたいと思うのでございますが、治療に関する特別な立法措置でも政府において何か考慮しておられるか、用意されておられるか、その点をお尋ねいたしたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 これはさようなことのあろうことを予想して立法措置を整えておくことはどうであろうかというような気もいたしますので、今の段階におきましては政府といたしまして立法措置を考えておりません。しかしどうしても立法措置をしなければ治療の成果を上げることができないというようへ面が将来出て参りますれば、そのときは十分検討いたしまして、あらゆる方法を講じて除外をして、治療の完璧をはからなければならない、これは申すまでもないことであろうかと考えております。

木原津與志日本社会党

○木原委員 終ります。

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 佐竹新市君。

佐竹新市日本社会党

○佐竹(新)委員 私の質問の大体の要点は、ただいま木原委員が質問された点に集約できると思いますが、まず本法案が衆参両院で決議され、政府がみずから進んで提案をされたことに対しては厚く感謝をいたします。この法案を審議していきますにつきまして、私が特に大臣に考えていただきたいと思います点は、ただいま木原委員が質問いたしましたように、わが国は非常に不幸な運命の立場に立っておる。クリマス島におきましても、国をあげての悲願である水素爆弾の実験の禁止も、向うでなかなか聞かぬ状態にありますことは御承知の通りであります。ビキニあるいはさらにソ連の国内においても実験されておる、こういう放射能の灰をわが日本の民族はかぶらなければならないという非常な苦しい運命に陥っておるのであります。そういうときに当りまして、この法案を審議いたしますことは、これはただに広島、長崎という昭和二十年に投下された原子爆弾ということのみでなく、将来における日本のそういう悲運な立場に置かれておるそれを予防管理するというところの大きな範囲を含めた法律案であると、かように考えております。そういう観点から考えますと、私はこの法案が今日国会に上程されて審議されるにつきまして、特に考えていただかなければならない点は、広島におきまして原子爆弾が投下されてすでに十何年になっておりますが、この原子爆弾によりまして、一家の財産はなくしかてて加えてなお今日いつ病気が発生いたしまして死ぬかわからない。こういう人がだんだん、だんだんとあるのであります。野らにおいて牛を追って百姓をしておった。これが突然目まいがして、白血球が二十万単位も出てきまして、即座に死んでしまうというような、健康な人が突如として死ぬといったような状態にあるのでございます。こういうような場合におきましてどういたしましても、これら原子爆弾で被害を受けた人に対しましては、予防管理をする、やはりこの法律案の内容を見ますと、健康診断をするということに主眼が置かれておりますけれども、この健康診断を行いまして病気の予防管理をする、こういうようにいたしていただくということになりますなれば、どういたしましても、こういう人は生活の苦しい人が多いのでございます。従いましてこれらの人が進んで健康診断を受けるというようなことになりますれば、一日の仕事を休まねばならぬということに実際上なるのであります。こういう人がきわめて多いのであります。そこでせっかくこういうりっぱな法律を作っていただきましたけれども、これに伴って健康診断を受けるために一日仕事を休まねばならぬ人が、その生活に困るということで受けられないということでは、これは仏作って魂を入れないという結果になるのであります。そこで私は木原君からるる質問をされましたけれども、今ちょうど社会局長もおいでになった。だがこの際あとから社会局長にお尋ねするといたしまして、厚生大臣にお尋ねしたい点は、将来をどうするということでなしに、現実にもうそういう重大な問題が差し迫っておるのでございまするから、それには何といたしましても、この国会におきまして法案の一部を政府の方においても修正をして、またあるいはこの委員会におきまして修正をして、そうしてただこの世帯の更生資金、こういうものから横すべりして借りるということでなしに、この法律の中に予算的な処置をする、それは私はそう大きな問題ではないというこういうように考えるのでございますが、大臣はどのようにお考えになりますか。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 佐竹委員の今のお考え方も、これは非常に重要な、人道的なお考え方でございまして、私どもといたしまして同感の点が多々あるのでございますが、ただ情勢上と申しましょうか、従来の扱い方から考えまして、ここで法案を直してまた予算に影響があるというようなことになりますると、いろいろ差しさわりの点が出てくるようでございます。政府といたしましては、今佐竹委員のお述べになられましたようなことをも十分に考慮いたしまして、そして今年度は初年度でもございまするから、先ほど来木原委員にもお答えいたしたような方法等によりまして、一つこの運用の完璧をはかっていきたい。しかしそれではなかなかこの成果をあげることがむずかしい、そういうような実際のケースが出て参りまして、どうしても立法的にも一つ重点的に規定する必要があるとか、あるいはまたそれが支障を生ずるから増額等の措置を十分講じなければならないとかいうような事情がはっきりいたしますれば、これはお述べになられましたような措置をいたしたい、こういう考えでございまして、ただいまのところではそこまで参らなくとも、情勢上やっていけるのじゃないか、こりいうような実は大蔵省との関係も一応のめどをつけまして御審議をお願いしているわけでございます。安田政府委員も参っておりまするし、詳細またその方からこの実施上いろいろ想定されること等も一つあわせて答えることにいたしまして御了承願いたいと思います。

佐竹新市日本社会党

○佐竹(新)委員 さっき局長の方から大体診断を受ける者あるいは治療を受ける人の既往における数字をお示しになりましたけれども、これらは今まででございまして、今度あらためて法律に基いて国が全額負担をして治療をするということになりまするなれば、その数はうんとふえてくると私は考えるのであります。といいますのは、今までは少々悪くても、働かなければ食えないから無理をしておる。この無理がだんだんと重なって、広島あたりで出てくるのは、いわゆる貧乏からそういう放射能症が出ておる。それは無理をして仕事に行く、食べ物はよくないというようなことから出てくるわけであります。そういうようになりますと、せっかく国の方で負担をして、国庫が出して見てやろうということになりますれば、私はこの数字がずっと多くなってくるとこういうように反対に考えておるのであります。そういたしますると、もうこの予算が通りましたならば、本年度からこれを実施するということになりまするならば、たちまち問題はそこに突き当ってくるのでございまするが、今のような世帯更正資金の横すべりでやろうということになりますると、なかなか手続等の問題で、また実際にそういうことはあってなきがごとき状態だ。これは非常に御親切にやっていただきますることはありがたいのでございまするが、せっかくこういう法律ができるのでありますから、だから私はこれまでの国会のいろいろな関係の法案におきましても、むしろこういうもの、これは人の命の問題であります。しかも何も罪もとがもない者が、戦争によってアメリカから原子爆弾を投げられてこういう悲惨な目にあっておる。これは国が見るのが当然であります。従いましてそのようなものでなくても、法律の一部の改正をされ、修正をされまして、予算を伴うものが国会を通過した前例は幾らもあるのであります。この問題は、さっきも申しましたように、水爆等の実験を通じまして日本の民族がこうむらなければならない運命なのです。こういう前提的な法律であるということになりまするならば、厚生大臣も思い切って一つ与党の方とも話し合われて、われわれ社会党も率先してこれには賛成いたします。だから修正をされて、今からでもおそくない、大蔵大臣もがんこだか知らないが、大蔵大臣と一つかけ合って、修正をして、これに法的な裏づけをして予算をきめるということになるならば——これは長崎、広島のみでなく、さっきも申しましたように、将来大きな使命を持った法律でございまするから、もう一度大臣の御検討を願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 佐竹委員のお説まことにごもっともでございまして、私といたしましても原爆法案の提案者といたしまして全く共鳴を感ずるわけでございますが、事修正等になりますると、与党の議員の方もおられますので、その辺のところは一つよろしくというところで御期待に沿わせていただきます。

佐竹新市日本社会党

○佐竹(新)委員 もう少し基本的なことを言っておきたいのです。そうしませんと、これはいつもあることですが、将来ということでずっとでぼやけてしまう可能性がある。そこでこの機会にもう一度くどいようでありますが大臣に質問しておきたいと思うのでありまするが、今私がるる申し上げましたように、もうこれは本年度この予算が通って実施しなければならないことになり、すでにその治療を待ち受けておる人もおろうと思う。しかしながらそういう生活の苦しい人は治療が受けられないということになる。そういうことになりますと、実際この法律を作っても、その重要な点が抜けておるということになりまするので、大臣の御答弁等を聞きましても、修正、またそれに予算ということになれば、この段階に至ってはちょっと苦しいような、状態でございまするから、私はこれ以上は申し上げませんが、しからば来年度におきましては、今年の経験にかんがみてこれを修正して、大蔵省と強く交渉されて予算の裏づけをされるような御意思があるのであるかないのであるか、この点を一つ伺っておきます。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 本法を実施いたしまして、ただいま佐竹委員のお述べになられたような事情が将来になって出て参りまして、その要があるということに相なりまするならば、これはもう本法の完全実施を政府は望んでおるわけでございまするし、またこれは国民としても、また議会の皆様方が政府を鞭撻しておやりになったことでございまするから、今お述べになりましたようなことは当然のことと考えております。予算編成期までの実施の経過等十分一つ検討を加えまして、その必要があるということになりますれば、お述べになられましたような処置を十分とって、本法の施行を十分に一つ成果をあげていくようにしたい、こういう考えでございます。

佐竹新市日本社会党

○佐竹(新)委員 衆参両議院の決議もあってこの法案が生れておるような状態でございますから、特段の御配慮を願いまして、本年度はこれでやっていただいて、来年度におきましてはぜひとも予算の裏づけをするような一部改正をやっていただきまして、やれるような、厚生当局の特段の御努力をお願いいたします。  それから社会局長がおいでになりましたから、木原委員が質問いたしましたのと同様に、関連してお尋ねいたしまするが、この更生貸付資金の中で、今広島の原爆の障害者の手当と申しまするか、生活の補助をするということについての貸し付けられる額は総額で大体どのくらいの局と局との話し合いができておりまするか、その点を一つ。

安田巌厚生事務官(社会局長)

○安田(巌)政府委員 この法律で原爆被爆者が医療を受けております場合に、その中で低額所得者に対して生活費を貸しつけるということを世帯更生資金の内訳で考えておるわけでございますが、これはいろいろ、数字をどういうふうにとるかということで変ってくると思いますけれども、大体二百万円から二百五十万円くらいをその県の世帯更生資金を割り当てるときに考慮したいと思っております。実は全体の世帯更生資金が、昨年が一億でありましたものが本年は三億になっておりますから、それが三分の二の補助になりますというと四億五千万円の原資として各府県で働くことになる、そのうちから各府県へ割り当てるのでありますから、各府県におきまして地元負担の裏づけができるならば、相当その点はゆっくり考慮できるんではないかというふうに考えておる次第でございます。

佐竹新市日本社会党

○佐竹(新)委員 そうしますと二百万円というのは広島、長崎県の場合でしょう。広島、長崎の場合ということになれば、そんなことではとても問題にならない。大体この法案をわれわれが最初に議員立法として出そうというときには、予算的には政府の方に対して三千万円ぐらいというような話があった。それを今二百万円、両県で四百万円というようなことでは果してこれだけのなにができるかどうかということは、これは非常に問題なんです。そうすると一世帯当りどのくらいになるのですか。

安田巌厚生事務官(社会局長)

○安田(巌)政府委員 生活費の貸付は世帯主が千円でございます。それから世帯員が五百円で先ほど公衆衛生局の方からも御説明申し上げたと思いますけれども、三千円というのを一応の限度にいたしておるわけでございます。そういたしますると原爆の受療者数というのは大体三千三百五十五名というような数字が現在あるようでございますけれども、それに対しまして世帯主がどのくらいであるか、それからまたそれに対して入院と通院とを分けていくわけであります。そうすると入院と通院は医療を受ける期間も違って参ります。そうしてさらにそれに対して低所得階層のその数字はどのくらいであるかという計数をかけますと、私が今申しましたような数字になる。しかしそれは実際にそういったようなものがあります場合には、もし府県で御希望がありますならば若干ふやすことは私どもは用意いたしておりますが、これは府県の方で三分の一は負担をしなければならぬので、そういう点もよく両県と御相談申し上げたいと思っております。

佐竹新市日本社会党

○佐竹(新)委員 私はこの問題がどういう構想になっておりまするか、何か広島市の方で、原爆障害者の大会がありましたときに、市長の方から報告をしておりましたのを聞いてみますると、これは市長並びに厚生省当局との間の交渉の過程は私は知りません。しかし今の世帯厚生資金の方で千五百万円ぐらい神田厚生大臣との間に話し合いをされて、大体その程度のものを別ワクで一つやろう、こういうようなお話し合いがあったように聞いておりますが、今の社会局長のお話しになりますと、これはもう純然たる世帯更生貸付資金の操作によってやられるということになれば、何らこれには別にそういうことの政治的折衝がなくても差しつかえないということになるのですが、私が聞いておる範囲ではそういうような関係にはいかなくて、この原爆の障害者の治療の手当というようなために別ワクに千五百万円というものを切り離して出す、こういうように聞いておるのであります。これは厚生大臣にお聞きした方がいいのでありますが、何かそういうことをお聞かせ願えれば幸いだと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 この原爆の治療によって、生計で大事な人の関係上、家族に収入がなくなった。このいわゆる入院とか治療中の生計費を相当額含める要求はなかなか根強く広島、長崎から御要望がございまして、政府といたしましてもこれは仏使って魂入れないというようなことがあっては困りますので、実は十分検討を加えたのであります。加えました結果、先ほどからいろいろお答えを申し上げておるようなわけで、ことしは世帯更生の資金が昨年より倍ちょっとになっておる関係もございまして、初年度であるからこの操作で一応やってみようじゃないか。それでどうしてもいけないということであれば、その結果を見て、どの程度必要かは考えていこうじゃないか。とにかくその治療費は全部抱き込むのでございますから、そういうりっぱな制度を打ち立てておりながら、生計に困りながらその恩恵に浴さないということでは、これは全く本法の趣旨を失うから、このことをよく政府も実は銘記しておりまして、地元の方の御要望に沿うことには、われわれはそのつもりで考えておるのだが、一応世帯更生の方の増額のとき、その方で見ようという打ち合せになっておるようでありますから、実施の結果今佐竹委員の言われるように、それは無理かもしれない、あるいはだめかもしれないということでございましたらこれは十分検討いたしまして考慮いたしたいと思います。   〔野澤委員長代理退席、中川委員長代理着席〕 特に今社会局長から、一般の生計費の貸付のように、あのワク内の範囲でやれないということがはっきりして参りますれば、これはワクを広げることは、私どもとしてはそうむずかしいことではないと思っております。よく検討をいたしまして御趣旨に沿いたい、こういう気持でありますので、その点は御了承を願いたいと思います。

佐竹新市日本社会党

○佐竹(新)委員 最後に、るる質問して参りますと、どうも私らの考えていた点より社会局長の今の答弁によりますと、ちょっとぼける点がありますので、そういうことになって参りますと、これは実際にこの法案が通過いたしまして治療をやるということになりますと、一番問題はその点で行き詰まってしまうわけであります。従いましていろいろありましょうが、今二百万円程度という御答弁をちょっと聞きましたが、これは両県で四百万円程度のことでは、とてもこれはほんとうに仏作って魂を入れないもはなはだしいことになりますから、そこで今大臣が御答弁下さいましたように、これを一応やってみて、それでどうしてもいけないということになりますれば、何とかワクを広げていただいて、せっかくできまする法律でございますから、十分なる治療をやらして、みんなが喜ぶようにしていきたいということを私は切に希望いたしまして、私の質問を終ります。

中川俊思自由民主党

○中川委員長代理 滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今の生活資金のことで、最後にもう一つ聞いておきたいのですが、この生活資金は多分利子を払わなければならぬということになっておったと思うのです。しかも生活資金だったら、三年以内に払わなければならぬというワクがあったと思いますが、その点はどういう工合の支払方法になるのですか。

安田巌厚生事務官(社会局長)

○安田(巌)政府委員 お話しの通りでございまして、年三分の利子がつきます。それから償還期限もお話の通りでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大臣お聞きのように、利子が三分ついて、三年以内にこれを払わなければならぬことになるわけですね、今、佐竹さんからも、木原さんからも、仏使って眼を入れておらぬという話があったのですが、この法律の中で、生活をするための資金の措置が講じられていないということが一番の欠点です。それからいま一つは、税法上の措置が落ちておるということです。これはあとで厚生省でお気づきになって修正案で出すそうですから、その質問はいたしませんが、こういう点はぜひ一つ将来考えていただきたいと思います。  そこで、私は少し技術的な、こまかい点を事務当局にお尋ねしたいのですが、その間に一、二大臣にもお尋ねしたい点がありますので、そのときは大臣のお答えを得たいと思います。それは、まず、二条の一項の二号です。「原子爆弾が投下された時から起算して政令で定める期間内」にという、この「政令で定める期間内」を一体どういう工合に定めるかということをまず御説明願いたいと思います。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 これは私ども一応専門家の方々の御意見を聞いて、政令案を今作りつつあるわけでございますが、おおむね投下後二週間というふうに考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、広島あるいは長崎に原子爆弾が落ちてから、投下後で二週間以内、こういうことになるわけですね。そうしますと、その二条の三号との関係で、三号に「前二号に掲げる者のほか、原子爆弾が投下された際又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」と、こうあるわけです。従って、この法律は、佐竹さんからもいろいろ御質問になっておりましたように、長崎あるいは広島に投下された原子爆弾の被爆者ばかりでなくして、二条の三号によって、いわゆるソビエトなり、あるいはアメリカなり、イギリスなりの原爆、水爆の実験による放射能の影響を受けた者、並びに日本国内における宇治とか、あるいは茨城県の東海村等において放射能の影響を受けた者、こういう者についても、これは適用されることになるのかどうか、お伺いいたします。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 それは第一条にこの法律の目的がございまして、それにはっきり「広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者が」云々となっておりますので、ただいま滝井先生が御指摘のような広島、長崎の昭和二十年八月六日及び九日の原子爆弾の投下、あの事件以外のことは考えておりません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、二条の三号の文章をお読みになってごらんなさい。「その後において、原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」となっております。そうしますと、放射能の影響というものは、あなたの今おっしゃったように、政令で定める期間というものは、投下後二週間ときまっておるわけです。それは長崎で明らかに落ちた原子爆弾の放射能の影響を受けておるわけです。ところが「その後において」ということは、これはその投下された際とか、あるいはその後残っておる放射能の影響を受ける、こういうことなんですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 この法律を適用されます被爆者と申しますのが一、二、三、四に該当するものでございまして、第一は、投下されたそのときに、広島市、長崎市または政令で定める区域——これは爆心地から大体五キロくらいの区域を考えておるわけでございます。  それから第二は、その爆弾が投下されたときには、この広島市、長崎市にはおりませんでしたけれども、今、二週間と申し上げましたが、二週間の期間の間に入ってきて、そうして遺骨を掘り出したとか、あるいは見舞にあっちこっち探して回ったとかいうような人を考えております。その際には、爆心地から二キロくらいというふうに考えております。これも専門家の意見を聞いて、大体そういうふうに考えておるわけでございます。  第三は、その一にも二にも入りませんが、たとえば投下されたときに、爆心地から五キロ以上離れた海上で、やはり輻射を受けたというような人も、あとでいわゆる原子病を起してきております。そういう人を救わなければならないということ、それからずっと離れたところで死体の処理に当った看護婦あるいは作業員が、その後においていろいろ仕事をして、つまり二の方は二キロ以内でございますが、それよりもっと離れたところで死体の処理をして、原子病を起してきたというような人がありますので、それを救うという意味で三を入れたわけでございます。  それから第四は胎児でございます。  そういうふうなことで、ただいま滝井先生のおっしゃるように、「その後において」というのを無限大に考えてということでございませんので、やはり広島、長崎の原子爆弾投下と直接関連を持たして解釈しておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうもこの法律からは、そういうことが私は読み取れないと思うのです。今あなたは五キロ以上離わた地点というようなことをおっしゃったけれども、それは三号にはそういうことを書いていない。法律そのものをずばり読んでいけば、「前二号に掲げる者のほか、原子爆弾が投下された際又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」、こういう書き方で、この法文だけを卒然として読んでいくと、これはその後の者も入るような感じがする。しかも今、日本の国内においては、東海村においても、あるいは京都の宇治においても、もはや放射能の問題というものが国論を沸騰さしておる段階なんです。そこにこの法案が出てきている。従って、もしあなた方がこの法律を広島、長崎だけに限るという法案であるとするなら、この法案というものは時代おくれです。もはや広島、長崎は十二年たって、現在日本の国内においては、原子力の問題が大きく国論を沸騰させる問題となっておるときに、その問題を、せっかく十二年後に作る法案ですから、当然この法案の中に入れるべきだと思うのです。それを、もし入れていなくて、ただ広島、長崎だけを対象にするということになれば、日本の放射能の問題というものは非常に重大になってくる。救済の方法がないということになるのです。これは、あとの私の質問とも重大に関係してくるから、私は前もってわざとお聞きしておるのです。一応あなた方が、その後をお考えにならない、広島、長崎に限るのだということになれば、その次の質問を続けていきたいと思います。  その次は、健康手帳を交付する判定の方法と申しますか、これを一つ御説明してしただきいと思います。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 健康手帳の交付を受けようとする者は、申請に基いて交付するわけでございますが、その申請する際に、申請書のほかに当時の被爆者であったかどうかということを証明するに足る書類を添付することになっているわけでございます。それが現実の問題としていろいろ検討してみますと、なかなかむずかしいわけでございます。いろいろな書類が焼失したり、紛失したりしておりまして、なかなかむずかしいので、厳重にこれを申しますとなかなかはっきりきめにくいという問題も起って参ります。しかしながら、できるだけ当時の被爆者という方方をこれで救っていきたいという考えから、一応私どもの現在考えております案は、だれかその当時広島、長崎に住んでいた方であるという、第二条に該当する方であるということを二人の方に証明していただいて、そしてそれでもって都道府県知事に認定してもらおうというふうに考えているわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そういうことがなかなかむずかしいのです。実は私いま一つそういう問題を持っている。たとえば、長崎のある造船会社の職工であった。ところがたまたまある建物の修理にその造船会社から派遣されて行っておった。ところが原子爆弾のために修理をしに行っておった人がみんな死んでしまった。そのためにその人がいわゆる健康保険なり厚生年金の被保険者であったかどうかということはわからない。現に長崎で死んでおることは確実なんです。ところが、その人はその派遣された工場の厚生年金の被保険者であったか、あるいは健康保険の被保険者であったかどうかわからない。だから今言ったように、だれか二人の人が証明してくれればいいというけれども、たまたまそこにおった人が全部死んでおったら、証明する方法がないのです。たまたま一人だけ生きておったというようなときは証明の方法がないのです。いわんや今申しましたように、その二条の三項のごとき、五キロもその上も離れておったところに、一里以上も離れたところに一人でおったというようなときは、全然手がかりがないのです。そうしますと、やはりこういう場合は、私が言うように何らかの形で、そこに科学的に健康診断をして証明をする、白血球の数とか何とかで、証明をする方法を医学的に講じてやらなければ、これは健康手帳をもらう方法がない、申請をしよう、あるいは証人を二人つけるといったって、なかなかこれはむずかしくなってくる。その信憑性というものが、二人というなら、ではだれでも二人したら信用するかといったら、おそらくこれは生活資金も貸そう、医療も無料でしてやろうというのだから、なかなかそうはいかぬと思う。そうしますと、その査定というものが今度はきわめて厳重になってくる。そうするとほんとうの被爆者が切り落されて、そうでない者が受けるということになる。これは長崎と広島だけに現在原子爆弾の洗礼を受けた人がいらっしゃるならばいい。ところがこれはあなた方の統計でも、日本全国に散らばっておる。私はさいぜん東海村の問題あるいは京都の伏見の問題も出しました。それはここにあなた方の資料でごらんになる通り、茨城県でもすでに広島の被爆者が三百六十、それから長崎が四十一、従って茨城県に四百一人おるのです。それから京都を見ると、京都は広島が八百二十一、長崎が二百六十二、合計千八十三人おるのです。そうしますと、もし伏見なりあるいは茨城県の東海村の近所にその人が住んでおったとするならば、その人は東海村で放射能の影響を受けたものなのか、あるいは長崎で受けたものなのか、広島で受けたものなのかわからないでしょう。だから私は、この三項というものはそういうことも考えて、おそらくその後のものをも善意にこれはしてくれたな、この法案はなかなかかゆいところに手が届いているなと善意に解釈したのです。ところがあなたの今の説明ではそうではありません。広島、長崎だけに限るのだということになると、この辺の認定というものはほとんど不可能になってくる。いわんや現在のように、米とか茶とか飲料水とか野菜というようなものに、ソビエトからアメリカから、あるいはイギリスのクリスマス島における実験というものが、日本というこの二つの山の谷間に放射能の雨を降らせるという事態になってくると、一体われわれのこの肉体に及ぼす放射能の影響というものが、長崎で受けたのか広島で受けたのかということは、全くわかりませんよ。その認定はどうするかということは科学的に困難です。従って、これはあなた方も広島と長崎に限りますということでやっておるけれども、現にこの法律が進行していく過程においては、その放射能の影響というものは、ほんというに広島で受けたのか、長崎で受けたのか、それとも全く別個のものであるかという判定は一体どうしてやるかということです。不可能です、これは。不可能だとするならば、当然この法律はすべてのものを含むものにする必要があるということなんです。それをしたところで、そんなに何千人というものがこれによって精密検査を受け、治療を受ける形は出てこない。やはり法律というものを広島と長崎の放射能の影響を受けた者に及ぼすなら、日本の現在置かれておる客観的な情勢から、その後における日本の原子力の研究その他の発展、あるいはアメリカその他の原水爆実験の状態から考えて、やはり考慮する段階に来ておると思うのですがね。この点は大臣、私の言うことが論理が通っていると思うが、大臣のお考えはどうですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 先ほど私の申し上げましたことについていろいろお話がございましたので、私から先にお答えいたします。滝井先生のお考えは、単に広島、長崎で投下された原子爆弾による影響のものを救うということだけでなしに、現在世界じゅうにびまんしようとしておる放射能の影響のものを全部これでやれというような御意見のように伺いますが、私どもはそこまで参りますのには、なかなか一ぺんには参らぬと、そういうふうな考えで、昨年の衆議院における御決議も広島、長崎で被爆した人に対する健康管理並びに医療を考えろというような決議でございましたので、その線に沿って今回の法律案なり予算措置をとっておるわけでございますが、ただいま御指摘のように、科学的に証明しろというふうなことになりますと、これこそよけいむずかしくなるのではないかというふうに考えるわけでございます。ただいまほとんど不可能に近いのじゃないかというお話でございましたが、私もごもっともだと存じます。そこで私どもは何らかの形で——それは必ずしも二人証明する人がいつもきまって出てくるとは限らないと思うのでございますけれども、何らかの形で、当時広島、長崎で被爆した人であるということを証明してもらって、そうしてその人たちを対象としてやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。全然この人たちがつかめないというわけではございませんで、広島、長崎に現在在住しておる人は、もうすでに対象としてつかめておりますし、また昭和二十五年に国勢調査をやりまして、その付帯調査をいたしました際にも、国勢調査の特別な調査票を使ってやりましたところが、広島、長崎以外の県で約六万人近くの人が申請されて出てきて、つかめたわけでございますので、決してつかめないとは思わないのでございまして、むしろかえって科学的にやって参りますと、現在のその後の実験によって放射能物質が世界に広がってそれの影響を受けておる人たちとの区別ができない、区別する必要はないじゃないかという御意見のようでございますけれども、私どもはこれだけに限りたいというものでございますから、科学的にやってはかえって区別できないという建前で、先ほどのような証明方法をとったわけでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 同僚委員の質問の途中で関連質問で恐縮でございますが、今滝井委員から御質問のあったことに対する政府側の答弁は、滝井委員は大いに不満であろうと思いまするし、私どもも非常に不満でございます。滝井委員の言われたように、いろいろの範囲を広げるとか、手続を簡単に、実際に即したようにやるという方法と、それともう一つ今の科学的なやつも併用をして、両方の要件どっちか一つでいいということにすれば、完全に救い得る道があるわけでございます。そういうことについて積極的にお考えをいただきたいと思うわけでございまして、私の質問いたしたいのは小さな問題でございまするが、本人にとっては非常に大事な問題でございます。というのは今度のこの法律では胎児が該当者に含まれておりまするけれども、その胎児は広島在住当時に受胎した胎児に限られているのか、その後その時期を過ぎてから受胎した胎児がその対象者に含まれているかという点につきまして、政府委員にこれを質問をしますると、その後に受胎したものは含まれておらないように聞いているわけでございまするが、その点についてはどうでございましょうか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 御指摘のように、この第二条の第四号では、被爆した当時すでに受胎したもののみを含むということになっておりまして、その後に受胎したものは一応考えていないわけでございます。これは遺伝の問題ともからんで参りますので、遺伝学的に放射能の影響がどうあるかということについては、現在の学界でもいろいろ問題になっておりまして、国際遺伝学会も近く開かれてその問題が議せられるということを聞いているわけでございますが、今までのところは、むしろ第二代目については消極的な意見が割合よけい出ておりましたために、私どもはただいま八木先生御指摘の被爆後に受胎したものについては、考えていないわけでございます。しかしこれは遺伝学的にいろいろ今後検討されまして、そういうものも当然考えなければならないということになって参りますれば、当然対象の中に入れていかなければならない。これは今後の学界、特に遺伝の専門家の方々の御意見の推移を見守っていきたいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 現にその後に受胎した胎児で、白血病になって非常に苦しんで死亡した実例を私どもは知っております。学説というものは、ほんとうに定説になるまでに時間がかかりますけれども、病気で苦しみ死んでいく人たちはそういう時間の余裕がございません。政治というものは社会生活の中に生きているものでございます。ある学説がほんとうに完全な定説になるまでの間に、どんどん死亡する被爆後に受胎した胎児がいるわけでございますから、その点は学説のみの根拠じゃなしに、政治を担当し、行政を担当しておられる省で、そういう態度で、それが含まれるようにしていただかなければいけないと思うのです。その点でこの法案は非常に手ぬるい。私どもはほんとうの現実の例を知っております。それを調べたいとおっしゃるならその方に調べていただける連絡もできます。でございまするので、どうかそれを入れる必要があると思うわけでございまするが、この法案は今は間に合いませんので、次年度において即時そういうことを考えていただきたい。それからまたいろいろの保護はもとにさかのぼって保護を与えるようなことを積極的に考えていただきたいと思います。それに関連をいたしまして、いろいろの学説その他の話も出ましたけれども、原爆症、放射線傷害に対するいろいろの研究がまだ非常に足りないのではないか、研究に対する国家的の援助が足りないのではないかと考えるわけでございます。現在この法律ができまして金は出ましても、本人は金を出してもらうことはありがたいけれども、それ以上に原爆症をなおしてもらって一人前の人間となって、人間としての仕合せを得るということの方が、本人にとって一番大切なことでございます。金が出ても、ただ入院してじりじりと悪くなっていくということよりも、なおるということになったら、ほんとうに不幸な人の不幸が大いに減ってくるわけでございます。それをなおすためには、現在の医療を進歩さして、原爆症に対してどういう療法があるかということの画期的な進歩を急速にやらなければその人たちは助かりません。そこで国家のそういう研究その他についての援助が少い場合には、急速にいく問題ではございません。今同僚委員の関連質問中で時間がございませんので、もし私の言っていることに間違いがあったら指摘していただきたいと思いまするけれども、この医療に対する国家的の援助はこの大問題に対しては非常に少いと思うわけでございますが、それを急速にふやす措置をしなければならない。公衆衛生局としても厚生省としても、それを積極的に推進をしていただかなければいけないと思うのです。大蔵省などはこういうことに対して非常に無理解ですけれども、その無理解を説得して、そういう原案を出していただかなければならないと思うわけでございます。そういうことについて厚生大臣の御決意を伺っておきたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 原子力のいろいろな被害等に対する国の施策、治療方針というものをもっと広げたらどうかという御意見につきましては、私も同感でございます。ただこの法律のねらいが、御承知のように広島、長崎を対象として、院議によって政府が鞭撻をされ、その精神をくんでこれは立案して御審議願っている法案でございまして、そこまで手の及ばなかったことは御指摘の通りでございます。しかし将来の問題として、これはだんだん外国の影響も受けるであろうと同時に、日本の国情も、原子力と取っ組んでこれを産業的に活用しようという時代を迎えようとしておりますから、そういうことをも一つ念頭に入れまして、全体をどうするかということはもう少し検討を加えまして、また御相談申し上げる時期があろうかと存じます。御趣旨まことにけっこうでございますが、この法案は今申し上げたような事情でございますので、御了承願いたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 厚生大臣の今の御答弁は非常に不満でございます。この間からかなり満足な答弁をいただいておりますけれども、きょうのは非常に不満であります。原爆症で何キロという制限にはずれておっても、明らかに白血病になってほんとうに苦しんで死んでいく人がある。そのときの胎児でなくても、あとからできた胎児で死んでいく人もある。そういうことは厚生大臣が何と言われても現にある。それに対して国家的な保護を加えなければならぬことも厳然たる事実です。それを検討を加えましてということでなしに、それをやると言い切っていただかなければならぬと思う。  もう一つ、医療の方法にしても、これは私が野党であるからでなしに、ほんとうに日本人の発言であって、どうしてもその医療の急速な進歩をはからせるための国家的な援助が絶対必要なことです。それを今後検討を加えましてというようななまぬるい御返事ではいけない。  時間がありませんから、もう一点だけ申し上げますが、医療の方法とともに、その放射線による障害の研究も急速に進めなければならぬ。原水爆禁止運動が世界中に広まっておりますが、それに対して水爆で自分の国の威力を誇示しようという一部の国々のためにする学説を発表して、原水爆禁止運動の効果を少くしようという状態が見られるのでございます。それに対して厚生大臣は、そういうためにする間違った理論立てをする御用学者、そういう不愉快なけしからぬ国の中に御用学者がいますので、それを爆砕するために、いろいろ放射線による障害の研究をもっとたくさんして、その謬論を爆砕する基本を作らなければならぬ。それが日本のためばかりでなく、世界中の人類のために必要でございます。ほかの国々もやらなければならないけれども、原爆の影響をこうむった日本において一番その点の意識が発達しておるのでございますから、世界中の人間を救う意味で、そうして大蔵省のようなけちな考え方でなしに、ほんとうの大きな考え方で、その原爆障害に対する研究を促進する。ぐずぐずしておったら間に合いません。即時たくさんな画期的な予算化をするような御決意をぜひしていただきたい。その一点だけ積極的な御返事がいただけませんことには私は満足しませんから、その点でぜひ積極的な厚生大臣の御返事をいただきたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 ただいまの八木さんの御趣旨私は全く同感でございます。これは将来人類の盛衰に関する問題でございますから、特にわが国のようにこういった谷間をなしておる地形からいって、一日もゆるがせにできないと考えております。そこで政府におきましても放射線の医学的な総合的な研究を一つ急速にまとめたい、こういうような趣旨で三十二年度の予算にも計上されております。ただこの点が厚生省の関係でなく、科学技術庁の方に予算をとっておるのでございますが、しかし科学技術庁の方でその予算をとりましても、やはり厚生省の医療担当技術者が参加しなければ十分こういった病原を確かめ、治療の成果を望むことはできないわけでございまして、厚生省といたしましても最善の方法をとりまして、また私担当大臣といたしましても重大な決心をもって処して参りたいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 今の御答弁大体満足でございまするが、とにかく科学技術庁の関係で処理されることにつきまして、これはほんとうに同じ日本の府政だからいいというようなものの、非常な危険を私予感をいたします。科学技術庁関係では原子力の平和利用といういわゆる積極面をおもに考える傾向がございます。ところがこの重大な問題で、ただ平和利用でいろいろアイソトープがどうのこうの、原子力発電がどうのこうのという問題で推進しまして、人体に及ぼす影響をもし軽視いたしましたならば、その原子力利用によって幸福を得るべき人間自体が滅びてしまったら何にもならないわけです。そういう点で科学技術庁に疑義がありますので、厚生省はしっかりしていただいて、人体を守る、人類を守るという立場で、強力にそういう立場を明らかにして、ほかの省のやり方が間違っておったらそれを直していただくということをぜひ強力にお願いをしたいということを申し上げまして、私の関連質問を終らしていただきます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 放射線の医学総合研究所の問題はあとでまた質問いたします。  次は第四条で、「都道府県知事は、被爆者に対し、毎年、厚生省令で定めるところにより、健康診断を行うものとする。」こうなっておりますね。一体全国の都道府県知事はどういう方法で健康診断を被爆者に行うかということなのです。これは広島と長崎のように非常に多くの人がおるところと、少いところは百人ちょっとこえるというようなところとあるのです。しかもそれが全県的に散らばっておる、こういう健康診断というものはどういう方法で厚生省令で定めてやるのか、これは他のたとえば結核予防等における健康診断との関係は一体どうなのか。実は私はどうしてそう言うかというと、どの法律でもみんなこういう健康診断を必要とするものは健康診断を知事がやるやるとこう書くのです。ところが知事はやりはせぬのです。金を少ししか出きぬで何もかもみんな知事がやれやれと言ったって、地方財政は大へんです。現在、社会党の知事のあるところの長野県で、わずか六千万円の金を社会党の、知事だからというので自治庁長官が詳しく資料を求めて、自民党の諸君が今度県会に修正案を出すというので非常にもめている。自治庁長官の不信任案を社会党が出さねばならぬという問題になって、わずか六千万円の金でごたごた言っている。何もかも、こういうことまで一つ一つの法律でやれやれと言われたって大へんなのです。実はけい肺法ができたときにもやはりこういう形だった。そこで私はけい肺法で、事業場がそれぞれ労働基準法で健康診断をやらなければならぬようになっておるから、それを一緒に、けい肺法の健序診断に肩がわりさしてやったらどうだ、結核予防法の健康診断をやるときにレントゲンをとるのだから、そのときにけい肺法のけい肺も一緒に見なきいということで法律を修正させて、そういうようにしちゃった。あなたの方もこれはやはり健康診断をやられるとするならば、そのときに当然広島、長崎に在住しておった者については特に健康診断をするときに申し出さしてやるという形をとると非常に楽になる、私はこういうことをした方が知事さんの方の金もかからないし、あなたの方のこの法律の実施も適性確実に行われると思うのです。一体どういう方法でやられるのか、私はそういう方法がいいと思う。私の意見を先に述べておきますが、あなたの方はどういうことをやられるのですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 健康診断は、一応一般的な一般検査と精密検査の二通りに考えております。それでただ滝井先生御専門でいらっしゃいますので申し上げるまでもないと思いますが、この原爆症に対する健康診断は、やはり血液検査とかあるいは尿の検査とかあるいは精密検査になって参りますれば、肝臓機能検査、それから目の特別な検査というようなことをいたさなければなりませんので、一般の結核予防法における健康診断と必ずしも一致しない、むしろ特別な項目について健康診断しなければならない、そういうふうに考えるわけでございます。しかし実際にやります場合には、ただいま滝井先生の御指摘のように、なるべく重復を避けてやるようにしたいというように考えております。また結核の健康診断、一般健康診断は保健所等でできますが、さらに精細になって参りますと、特殊の診療機関に参らなければできないことも考えられますので、そういう点も考慮しなければならないと存じますが、御指摘のように重複を避けるというような点は十分注意してやりたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 全国に散らばっておる広島、長崎の被爆者というものは、おそらくそう生活の裕福な人ばかりというわけにはいかぬと思うのです。やはり働いておる人が多いだろうと思う。そうしますと一年に二度、三度身体検査に呼び出されては大へんです。従って結核予防法の身体検査をやるときに、特にそのときに保健所に行かせるとかあるいは保健所の職員にそこに来ていただいて、そうして血液や尿の検査も同時にやるというような親心的な配慮というものが私は必要だと思うのです。ぜひそうしていただくことを私は一応お願いをしておきます。  次は一般検査あるいは精密検査をやるについて、その検査の費用の見積りを一般検査は二百十九円四十銭、すなわち十九点、精密検査は九百七十円二十銭すなわち百三点から十九点を引いたものとこうなっておるのです。この算定の基礎というものはどういうことにして出しているのか。それから保険局の小沢さん、あなたの方の保険局では一般検査十九点と精密検査百三点マイナス十九点というものは、社会保険診療報酬で請求されることになる、当然これは審査なしにぱっと認めてくれるだろうと思うのだが、その間のあなたの方と公衆衛生局当局との打ち合せは一体どうなっておるかということです。これは医療課長の方ですか。まず先に公衆衛生局長の見積りの根拠を言ってもらって、それから医療課長の方を。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 お答え申し上げますが、一般検査の十九点は、一応の積算基礎といたしまして初診料四点、血沈が五点、血球検査、これは赤血球と白血球の検査でございますが、これが五点、白色素量検査が二点、それから尿検査、これは肝臓機能検査の指標としてのウロビリノーゲンの検査ですが、これが一点、それから一応糞便の検査もしたいということで二点ということに考えまして、合計が十九点ということでございます。  それから精密検査の方は初診料が四点、白色素量検査が二点、血球計算が五点、血沈が五点、尿検査が六点、肝臓機能検査が十点、骨髄検査が十一点、胸部エキス線が六十点合計百三点です。一応積算基礎はそういうふうにやっておりますが、しかしこれは対象者によりましてどっちかにまた重きを置かなければならぬというようなことも考えられますので、一応これを基準といたしましてその間の出入りは起り得るものだというふうに考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これは医療課長さんの所管になると思うのでありますが、普通の健康保険では、疑いがあったり、それから病気という認定ができないものを、こういう検査をやったのでは認めてくれないのが建前なのです。そうしますと、広島、長崎あるいは全国に散らばっている原爆の洗礼を受けた皆さんに対しては、この法律によって当然医療というものは認められることになるわけです。その場合に当然あなたの方も審査をする場合に、広島、長崎関係のこの精密検査、一般検査というものを認めてくれなければならぬということになると思うのですが、そういう形になるのですか。それとも一般検査、精密検査をやれば、これは必ずその次に続くものは、治療が続く場合と、治療が続かない場合と二つあるわけですが、治療の続かない場合は一体どういう処置をするのか、どういう金の支払いをするのか。治療が続いた場合はどういう金の支払いになるのか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 健康診断に要します費用は全額国費で、都道府県の知事に交付金として国から交付することになります。県が直接やりますので、支払基金とは関係がないわけでございます。これに引き続いて医療が行われました場合には、その医療費につきましては、その審査は基金に委託してやるということになりますが、健康診断については県が直接やる、その費用は全部国費でやるということになっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まずこの患者が原爆の洗礼を受けておるものであるかどうかということの明白な認定は、一般検査で大体、はっきりしてくるわけです。さらにそれをもっと確実にするためには、精密検査でやって、非常に白血球が減っておる、肝臓機能が低下しておるので治療を要する、こういうことになると、そういうことを明白に手帳に記入することになるだろうと思います。それをあなたは治療機関においでなさいといって、指定の医療機関に行くわけです。ところが指定の医療機関は今度また一般検査、精密検査をやることになるのです。それは他の医療機関が普通の身体検査にやったものを、そのまま信頼してやるわけにいかない。やはり治療を適切にするためには、今度は自分が患者として受け取ったときからまた一般検査、精密検査とやって治療にかかるのが常識なのです。よそで梅毒の検査をして、これは梅毒でございます、血液型の検査をやって、これはA型でございますといっても、これはそのままA型だと思ってやると人を殺す場合があるのです。そうなると医者の責任になる。A型でやるかB型でやるか、はっきり検査するのが常識なのです。そうなるとその患者についてまた一般検査、精密検査をやって、今度は治療に入るときに、これは明らかに十一条だったと思いますが、あとで触れますが、「指定医療機関の診療方針及び診療報酬は、健康保険の診療方針及び診療報酬の例による。」こうなっておる。従って当然そういうものも認めてくれなければならぬことになるのですが、そういうものを認めるかどうかということなんです。

小沢辰男厚生事務官(保険局健康保険課長)

○小沢説明員 ただいまの御質問は、この健康診断が終りまして、その結果治療を要するということで指定医療機関に渡ったという場合に、その指定の医療機関が治療をやるために必要な検査の請求を認めるかどうかというお尋ねだと思います。それは当然十一条の指定医療機関の診療方針及び診療報酬は健康保険の例によるということになっておりますから、もし健康保険で認められるような範囲のものであれば、それは当然請求できるわけです。ところが特殊疾病でございますので、十一条の二項はわざわざこの例外を置きまして、できないようなときに、あるいはこれによることを適当としないようなときの治療方針というものは、厚生大臣が審議会の意見を聞いて定める、こういうように例外措置がございますが、私どもとしましては、一応私どもで健康保険の診療方針としてきめておりますような例にならって請求をしていただいて、それでどうしても済まない場合に、おそらく二項の発動になるのじゃないかと思うのでございますけれども、保険の方としては、先生のおっしゃったようなものは、十一条の一項で解決する、それがこちらの治療方針をはみ出るようなものについては、われわれとしては十一条の二項というものがあるのじゃないか、そういうように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 この法律は、もし四月一日から実施されるとしますと、現場ですぐに問題になってくる法律なんです。五月からすぐ請求書が出る可能性があるものなんです。そうしますと、今言ったように、十一条二項で一々原子爆弾の被爆者医療審議会の意見を聞いてからきめるということになれば、現場は大へんです。従って当然今公衆衛生局が言った少くとも精密検査というものをやらなければこの実態がつかめないからこそ、こういう精密検査というものを認めて、百三点というものを確立されておるわけです。従ってこういう今言った赤沈検査から肝臓の機能からレントゲンの検査までも含めたものを、当然あなたの方もこの段階でお認めになっておかぬと、そのときになってやったわ、請求したわ、削られたということになれば大へんでしょう。一々そのときになって意見を聞いてやりますといっても、すでにこの法律が通るときには、こういうものを精密検査でやらなければならぬということははっきりしておって、もう予算まで組んでおるものです。そうすると、当然医療機関としては具体的に治療に入る場合にはやはり精密検査をやってみなければならぬ。これは科学者の立場としては、よその医療機関なり、よその者がやってくれたものをそっくりそのままとって信用するわけにいかないでしょう。今公衆衛生局でお認めになったものは保険局でもお認めになるという言明をいただいておかなければ工合が悪い。今公衆衛生局長の言われた以外のことで不明の場合があるときは、原子爆弾の被爆者医療審議会におかけになることはよろしいと思う。その点ちょっとここで明白にしておいてもらわぬと、すぐ一二カ月のうちに問題になってくると思うのです。

小沢辰男厚生事務官(保険局健康保険課長)

○小沢説明員 滝井先生の御意見では、この法律が施行になったら現場でこの問題が起ってくるが、健康保険でも治療方針としてそういうものも認めてやるように定める必要があるのじゃないか、その用意をしておけというお話だろうと思うのですが、私の方からいたしますと、十一条の二項をできるだけ早くお定め願って支障のないようにしていただくという方が、この法律による治療でございますのでより妥当ではないかと考える次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それならば公衆衛生局長の方は、精密検査なり一般検査の方式というものはわかりました。そうすると、これは当然今保険局の方から御説明のあったように健康保険の「前項に規定する診療方針及び診療報酬の例によることができない」という場合になるわけです。今の常識ではこんなたくさんの検査というのは認められませんよ。普通の治療では認められない。   〔中川委員長代理退席野澤委員長代理着席〕 だからわれわれの常識ではこの「例によることができないとき」になるのです。だからあなたの方で、今小沢さんがおっしゃるように、早く原子爆弾の被爆者医療審議会の意見を聞いてきめてくれということなんです。一体あなたの方はいっそういう形できめることになるのか。今度は逆の質問になるわけです。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 健康診断の方は省令を準備しておりますから、これは間に合うようにいたしたいと思っておりますが、医療の範囲につきましては告示で出す予定にいたしておりますので、それを間に合うようにして、その医療の中にこれをはっきり入れて出しておけば、間違いなく行われるのじゃないか、そういうふうに考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 原爆の医療の中に出すことで保険局も了承をして、その通りに審査の方針を決定させることができますね。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 ただいま公衆衛生局の方から御説明のありました普通検査並びに精密検査は、おそらくは主として原爆症の存在を発見するための検査であろうと思いますが、ただいま滝井委員からお話のございました、疾病が発見されて指定機関において治療を受ける際の各種検査基準というものは、今日まだ必ずしも確立してないわけであります。それぞれの省令に従って、必要限度、あるものはかなり精密に、あるものはただいまお話のありました精密検査の一部を参考とする程度でさしつかえない場合もございましょうし、個々の例によって定めるべきものになるわけでございまして、おおむねの事例においてこれが医療上必要でありますれば、当然健康保険の医療給付の診療方針の範囲内に属するものと思う次第でございまして、従来の考え方の範囲を越えるものは、現在のところあまり想像できないのでございますが、なお特に特例的なものがございますれば、ただいまお話のありました十一条の第二項の方で今後定めていくということになるわけでございまして、さしあたっては、おそらくは治療上特に別個に定めるような必要のある事例はあまり考えられない、かように思う次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それはあなたが認識不足なんです。大体この法律で見ると、医療の対象になる者は二万八千六百三十七人もおるのですよ。しかもその中に、治療実施率一八%、三千三百五十五人おる。それだけの予算を組んでおる。三千三百人もおるということになれば、これはすぐことし中に問題になることです。そうすると、これらの人は一般検査をやり、精密検査をやってなおこれはその中の一八%の相当重い者なんです。だからこれは当然、今度は指定医療機関に来た場合、医療機関もやはりこれは肝臓機能、血液、レントゲンからやらなければ、治療方針が立ちません。そうすると、ここで公衆衛生局の方で、これだけの者は精密検査が絶対に必要だという認定をされて百三点を請求されておるのだから、あなたの方が治療をやる場合には、もっと精密にやらなければ、珍しい病気だから、治療方針は立たない。それをあなたの方で認めるについて言を左右されるということになれば、医療機関というものは、あまり精密検査をやらずに治療に入るでしょう。そういうことになれば、根本的な治療方針というものは立たぬ。いいかげんな治療になる可能性がある。だから私たちは、治療に入る前には、その前提であるその病気の正体というものを明確に把握することが必要である。そのためには、最小限、保険においても精密検査程度のものはやってもよろしいということを一応認めておかないと、やったあとに、今度それが健康保険で請求してよろしいものであるかどうかということは、原子爆弾の被爆者医療審議会の意見を聞いてからしますということになれば、これはだれもやりませんよ。やらないで損をするのはだれかというと、その原子爆弾の洗礼を受けた病人の諸君が損をする。そういう点はもう少しあなた方はやるときに話し合っておるはずですが、ここにきて鳩首協議をするのじゃ困る。もっとはっきり——法律というものはすぐに具体的になっていくのだから、デスク・プランでは、世の中にいったときに必ず問題が起る。たまたま私はこういう実地の経験があるから、こういう問題を提起する。知らなかったら——ぼっとしてこの法律が通れば、現場にいってすぐ問題になるところである。あなた方は今明白に御答弁ができぬようであるから、もうちょっとそこら辺はお打ち合せになって、あしたの朝でもけっこうですから、こういう方針でここのところは参りますということを一つ鮮明にしていただくことを一応要望しておきます。  次に、その治療を必要とする者が一割八分から二割あるというお見通しをお立てになっているわけですが、大体その見通しを立てる何か根拠でもおありになったかどうかということです。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 これは昭和三十年度から広島、長崎両市において、研究治療という名目のもとに健康診断をやって、その結果、一部の人に対して治療を実施いたしているわけでありますが、その実績からこういう数字を出しておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 過去の実績からお出しになったそうでございますから、そのまま信頼をしておきたいと思います。  次にこの医療のための医療費が一億七十八万二千円計上されているわけです。一体この費用というものは、どういう工合な事務的の手続によって基金に払い込まれてそうして基金が指定医療機関に支払うことになるのか、ちょっとそこらあたりが、私この法律を一生懸命に読んでみるけれども、どうもわからない。どういうことになって基金に入れられるのですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 基金と厚生大臣とが契約をいたしまして、そうして基金から請求が厚生省に参りまして、厚生省から基金に支払う、そういうふうな経路をたどるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そういたしますと、やはり一件当り何ぼという事務費なんかも、国が当然それにつれて基金に払い込む、こういう形になるわけですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 審査をいたしました場合のその費用と、それから支払いの委託の費用、これは両方とも一件について六円五十銭ずつ予算計上いたしております。従いまして、一件について十三円基金に支払うということになります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今基金の事務費は一件当り十二円でなかったですか。

小沢辰男厚生事務官(保険局健康保険課長)

○小沢説明員 ただいまは十二円でございますが、四月からは、実は健康保険法の改正によりまして審査委員の増強をするということで、予算としては十三円で組んであるわけでございます。ところが健康保険の方は御承知のような修正がございましたので、現状通り推移することになりましたので、十二円になるわけでございます。これは健康保険法の修正の結果でございますので、それぞれの生活保護法、結核予防法あるいはこの法律の施行、そういうものの審査並びに支払いに要する基金の事務費は、現行通り十二円ということになるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ここで一円金が余ることになるわけですが、そういたしますと、修正されたので十二円になったそうでございますから、そう了承いたしておきます。基金法の質問をする時間がなくて、していなかったので、こういうわれわれの認識不足のところが出てきたわけです。  次にはこの交付金ですが、「国は、政令の定めるところにより、この法律又はこの法律に基く命令の規定により都道府県知事が行う事務に要する費用を都道府県に交付する。」ことになっているわけなんですね。大体この交付金というのは、交付税交付金で交付することになるのか、それともなまのままで交付することになるのか、一体その予算上の措置はどういう工合になっているのか、それを説明願いたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 これは交付税交付金でなしに、全部なまのままで国から都道府県に対して交付するということになります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、この予算面からいえば七千九十四万五千円の健康診断費というものが行くことになるだろうと思うのですが、そうですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 健康診断に要します費用は、七千九十四万五千円でございます。その中にいろいろな事務費も入っておりますから、それが都道府県に参ることになります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、その交付の具体的な方法は一体どういう基準でこれを交付することになるのですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 交付の方法につきましては政令で定めたい、そういうふうに考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 二十条は政令にゆだねていないのですね。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 「政令の定めるところにより」というふうになっておりますので、それに基いてやることになります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 灯台もと暗しで、どうも失礼いたしました。  次は、前に戻りますが、七条で「医療の給付の範囲は」となっておるわけですね。これは健康保険法と同じなんですけれども、ずっと一から六までは健康保険法の立て方と同じ立て方になっております。これは医療の給付というし、健康保険法では療養の給付ということになるのですが、これはこまかいことだけれども、ここらあたりの法律の用語の使い方ですね。これは療養の給付、医療の給付、こういう範囲はほとんど同じことを書いておるのですが、ここらの使い方は何か立法技術上の特別な関係でもあって、こういう使い方をするのですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 特に医療と療養というふうに分けましたために、内容的に区別させるという意味はないのでございまして、最近では医療の給付という文字を使う方が多くなってきているようでございますので、最近の例に従って医療の給付という文字を使ったわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 実はこれは大事なところなんです。この医療を担当するのは医療機関が担当するのです。そうすると健康保険法の立て方からいうと、——健康保険の立て方をなぜ私が言うかというと、健康保険の治療指針によるから、あるいは診療報酬の支払い方式によるからです。そうしますと、基金に出す請求書はみな同じなんです。そうすると医療機関というものは療養の給付をやっておったのです。医療に従事するのは、そこに従事しておるところの保険医や保険薬剤師がやっておったのです。従ってこれは観念の混乱を来たす。個々の医療に従事するものは医師なんです。しかし療養の給付を担当するものはだれかというと、医師じゃない、医療機関です。しかも療養の給付の結果を請求するものは、個々の保険医ではない。医療機関なんです。そうすると、この立て方は保険医が請求することにはならないのです。医師が請求することにはならない。全部、保険医療機関が指定されているのですから、医療機関が請求することになる。そうすると、この健康保険法の療養の給付と同じ内容のものが、この原爆の法律においては医療となり、しかも健康保険の請求書と同じ中に入ってくるのですよ。片一方は療養の給付になっているのです。しかも療養の給付は、医療機関が担当するのです。だからこれは観念の混乱を来たしておるのですよ。どうもそういう感じがするのです。だから、やるのならば健康保険と同じように療養の給付と書いたらいい。医療というものを担当するのは保険医、保険薬剤師が担当するのです。今までそういう立て方になつてきたのです。この前ここでいろいろ議論した結果、そういう明確な高田保険局長あたりの答弁が出てきているわけなんです。ところが、これはみんな請求書というものは基金に出すのですから、健康保険の請求書の方式をやっても、点数はみなそれによるのです。そこらあたりの関係は、やはりこういう法律を作るときには——あとでまた触れていきますが、当然保険局とあなたの方と打ち合してやっておかぬと、同じ請求書が基金に出ていって、そしてそれが中身は同じでも、違った概念みたいになるのです。こういう点において、おそらく弘法も筆の誤まりだったろうと思うけれども、私これを読んでみて、そういう感じがするのです。そこらあたり、あなた方どうもお感じにならないのかどうか。

小沢辰男厚生事務官(保険局健康保険課長)

○小沢説明員 健康保険法の改正案では、この前御審議いただきましたように、実は療養の給付は保険医療機関でやる。それから個々の保険医たる医師は診療という言葉を使っております、診療に従事する、あるいは診療云々。従って療養の給付を担当するのは保険医でなくて、保険医療機関である。ここでは、第七条の三項を見ますと、医療の給付は、指定医療機関に委託して行うことになっておりますので、医療の給付を保険医でやるとかやらぬとかいう問題ではない。要するに指定医療機関というものは、ここできめられた医療の給付を担当する機関である、こういうことでございます。たまたま言葉が医療の給付、療養の給付ということに分れますので、その点が先生の御指摘になる点じゃないかと思いますが、しいて感じといいますか、そういうものを出した理由を私どもの方の法律との関係でいいますと、私の方では四十三条に「被保険者ノ疾病又ハ負傷二関シテハ左二掲ゲル療養ノ給付ヲ為ス」とございます。こちらの方は、第七条の一行、二行目にありますように「現に医療を要する状態にある被爆者に対し、必要な医療の給付を行う。」ということをたまたま二項の第六の「移送」とか、そういうものが入っておりますために、若干のあれがあるかもしれませんけれども、そういうようなニュアンスが強かったのじゃなかろうか、かように考えているわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 実はわれわれが医療機関の指定の問題を論じたときに、医療機関の指定というものは他にもたくさんあります。生活保護法や結核予防法もみな医療機関になっておりますから、健康保険も医療機関にしてよろしゅうございます、こういう説明をされたわけですね。そうしますと、同じ医療機関が——もちろん健康保険では保険医療機関といいますが、しかししろうとわかりする言葉では、医療機関といえば、概念的には同じでなくちゃならぬ。ところで七条で「医療の給付」ということを二項に書いておられる。今度は十条をお読みになると、十条では「指定医療機関は、厚生大臣の定めるところにより、医療を担当しなければならない。」こうなっているわけですね。これは健康保険では療養を担当する、こうなっているのですよ。医療とか診療とかいうようなものは保険医がやることであって、療養の給付というものは機関がやるんだということをあなた方が今まで説明してきた。しかもそれは省議を決定して、政府の一貫した方針として出てきているものが、今度こういうところになると、こういうように各局ばらばらというのではおかしいですね。それはこれ以上追及しませんが、こういうものを作るときは、よく打ち合せてやらなければいかぬということなんですね。  それから医療機関の指定の基準ですね。九条で「厚生大臣は、その開設者の同意を得て、第七条の規定による医療を担当させる病院若しくは診療所又は薬局を指定する。」とある。一体医療機関の指定の基準というものをどこに置くかということですね。私をして言わしめれば、今後の医者にみな放射線の障害に対する勉強をさせるためにも、むしろ全国どこでも医者を全部指定したらいい。全部申し出たものは指定します、このくらいのことをやるべきだと思うのです。何か特殊なものだけをやっていると、問題が出てくる。だから日本の医者というものはさいぜんも申しましたように、二つの山の間の暗い谷間におるわけなんです。従って暗い谷間には、いつでもどこでも、放射能というものが充満する可能性がある。従って放射能に対する見識なり識見をどの医者にも持たせることが必要だから、まず結核予防法と同じように、申し出た者は一応やってやろう、こういう姿をとることの方がいいと思う。そして一ぺん行ってみて、いろいろのことができないとするならば、これは特殊な病院に送ればいいのであって、何か特殊なところだけを指定するということは、いろいろ問題が出てくると思うんです。私はそういう意見だが、あなた方は医療機関の指定基準というものをどこに置いておるかということです。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 医療機関を指定いたします場合には、審議会の意見を聞き取るということに九条の五でなっておりますが、しかし一応私どもの現在考えております考え方は、ただいま滝井先生が御指摘になりました線と、これはおしかりを受けるかもしれませんが、むしろ逆のような考え方でございまして、ただいま御指摘になりましたように、放射能障害ということは日本だけでなしに、これは世界どこへ参りましても、医療を担当する者として当然心得て、そういうものを取り扱っていかなければならないということにつきましては、今後原子力の平和利用ということが盛んになって参りますから考えなければならないと思いますが、現段階におきましては、まだそこまでだれでもかれでも指定するというのでは少し行き過ぎではないかというふうに考えられます。特殊な治療をしなければなりませんし、その診断もなかなかむずかしいわけでございますから、できるだけしぼりたいというのが、現在の考え方でございます。しかし将来これはだんだん広げていかなければならないということは、当然考えられるわけでございます。結核予防法におきましても、最初はむしろしぼっておきましてだんだん広げてきたわけでございまして、そういう考え方でいきたい。具体的な基準をどこに置くかということについては、まだはっきり申し上げる段階になっておりません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 実は私は、具体的な基準をお聞きしたいところなんです。それがきまっていないということですが、常識的に言えることは、一般検査と精密検査をやるわけなんですから、それができる程度の病院ならば、どこでも指定していいことになると思うんです。大体そう考えていいんですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 検査だけでなしに、治療の方法等につきましても、普通一般の方々というよりも、むしろ総合的に検査し、また治療を行なっていかなければならないというふうに考えられますので、そういう総合的な機能を持っているところを指定したいというふうに考えておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 またここでも一つ、特権的なものを作ろうとする傾向が出て参りました。こういうものの考え方で、こういう法律を作っていけば、零細企業というものはつぶれてしまいますよ。法律を作って特殊なところだけしかやることができないような形を作ってしまう。そうでなくて、まず一般にやらせるようにして、そして脱落する者はやむを得ないという形をとる方がいいんですよ。そうしないで、初めから大きなところだけしかできないんだという形をとれば、今の日本の零細な企業は全部除外されてしまう。そうすると広島、長崎の零細な医者というものは、もはや食っていけません。だからそういうものの考え方を逆にして、まず一回網の中に入れていこう、そして網の中に入れたものの中から競争さしたらいい。選択は患者の自由なんですから。医薬分業と同じですよ。患者さんが薬剤師を選ぼうと、医者を選ぼうと自由です。これが初めから特殊な病院だということになれば、国立病院あるいは公的医療機関以外はだめだということになってしまう。どうしてかというと、これはあとで触れますが、こういう治療というものは、健康保険でできません。そうすると東京なら東京第一病院、日赤、そういう特殊なところになってしまう。そうしますとだれが困るかというと、患者が困る。全国にばらばらと散らばっている患者が、特殊な、指定されたところしか行けないということになれば、身体検査を受けてさあ行こうと思うと、あなた方が今言ったように、一カ月三千円しか生活費をくれない。それで家族はそこに置いておいて、はるばると東京まで上っていかなければ原爆の治療が受けられないということになっては、この法律はあってもなきごがごときものになってしまう。だからどこでも一応できる形をとらして、その上で患者がこれはいかぬと考えるかどうか、それは患者の自由選択にさしたらいい。こういう特権的な法律を作ろうとするから、厚生官僚は日本医師会からにらまれて、厚生行政はにっちもさっちもいかぬじゃないですか。これらはやはりあなた方がいけませんよ。特殊な医療機関なんというものを指定したら、いなかの患者さんはとても都会まで出られませんよ。すると広島、長崎の原爆患者は治療を受けられない。そこで予算が余ってしまう。そうすると、この原爆治療というものが先細りになることは目に見えている。結核の対策にしても全国の開業医の協力を得てやらなければ何もできぬじゃないですか。毎年何億という金を取っておるけれども、その金が余ってきているじゃないですか。だからこういうものの考え方がいけないのです。わずかにこの法律でいいところは、医療機関の指定といりものが、健康保険よりはるかに民主的になっておる。同じ省の中で、健康保険を主管する保険局と公衆衛生局とはこれだけ違うということがわかる。いかに保険局がファッショ的で、公衆衛生局が民主的であるかということが、この法律の条文の上に出てきている。同じ省の中で省議を開いてきめた法律が、同じ医療機関の指定をやるについて、これだけの違いが出てきている。これは十三条あたりを小沢さんなどよく読んで薬にする必要がある。そういう点、医療機関の指定について、あなた方は考え直す必要がある。患者は全国に散らばっている。それをあなた方の言うように、総合的に検査ができ、総合的に治療ができるところでなければだめだというなら、いなかにはそういう病院はありませんよ。そうすると、非常な辺陬地に住んでいる住民なんというものは、この恩典を受けられぬ。だからこれはやはり一応、どこでも申請をしてくる者は許してやろう、そういう形をとってくれば、いなかの医者でも、それでは一つこの患者を扱ってみるために、レントゲンを買ってみようかというようなことも出てくるかもしれません。今あなたの御説明で、一般検査はどういうもの、精密検査はどういうものをやるということはきまっているんだから、そういう点、基準というものを一つ具体的にしてこなければ——まだきまっていないというのはおかしい。指定の基準がきまっておらぬで、一切を審議会におまかせいたしますということでは、四月一日から実施できますか。あと一週間しかないですよ。一週間したらこの法律が施行される。その点もう少し明白にしておかなければいかぬと思います。  次にはこの予算の組み方を見ると、すでに、治療のためには内科が四万円、外科が二万五千円、眼科が一万五千円ときまってる。保険局はこういう点についてどういう理解をされているんですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 保険局へのお尋ねでございますが、医療機関の指定の問題でございますが、これは先ほどお答えいたしましたように、最初はしぼっていきたいという考え方でございます。御指摘のように、地方に散らばってる方にはいろいろ不便がございますので、そういう点も考慮しながら指定をしていきたいという考えでございます。決して先ほど御指摘のように、私どもはこの法律の扱いと申しますか機関の指定を、特権的な考えでやっているものではないのでありまして、この法律が制定されました趣旨から考えましても、原爆被爆者の現わして参ります症状あるいはそれに対する治療法というものは、非常に特殊なもので、特殊な施設それから経験いろいろな点を必要とするという考えから、これが特別扱いになっているわけでございますので、患者の受けられる人の便、不便も当然考えていかなければなりませんが、それよりも、一般の開業医の方が正しい治療をなさらないという意味ではないのでございますが、ただこの疾病が特殊な疾病でございますので、総合的にいろいろ検討して治療を進めていっていただかなければならないということから、総合的にやれる病院だけをまず最初に指定したいというのが私どもの考えでございます。現実にやっていって不便が起って参ります場合には、それに応じて考えていかなければならないと思います。いずれにいたしましても、滝井先生の先ほどの御意見とはちょうど逆になりますので、あるいはおしかりがあるかもしれませんが、私どもはそういう考えでこの疾病を特殊なものと考えて、それの取扱いを特別にいろいろ考えたいということで進んで参ったわけでございます。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 この予算の算定基礎になりました内科四万円、外科二万五千円、眼科一万五千円というような程度の医療を、保険医療の立場からどう考えるかという滝井委員のお尋ねでございますが、現在私どもの方に原爆患者の治療の保険としての基礎の数字がございませんので、どの程度を必要とするようになりますか、正確なことは申し上げかねるわけでございますが、この数字はおそらく今までに多数の患者を治療いたしました際に必要といたしました経費を基準にして算定いたしておるものと思うわけでございまして、それらの医療が保険の立場から容認できる範囲のものでございますれば、当然私どもとしても保険の点数に応じて算定せられた総計の医療費を支払う必要があるわけであります。そのような見方からしますれば、当然この程度の医療費が必要であるというような理屈になるわけでございますが、私どもとしては正確なことは申し上げかねるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ここが一番大事なところですがね。放射能の障害に対する治療方針というものは今きまっていないのです。たとえば最近はヤクルトのようなものを飲んだらいいのだというようなことが言われ始めましたね。それから今木原さんのお話では、温泉もいいのだということが言われ始めておるわけで、定見がないのです。ビキニの患者を治療したときに、一カ月に二十万円もかけたけれども久保山さんは死んでしまった。まだそのほかのビキニの患者さんは後遺障害があって、見なければならぬということでしょう。そうしますとこれは今後精密検査をやり、いよいよ治療しなければならぬという認定をあなたがした場合には、最高の治療をやらなければ患者は来ませんよ。いいかげんに見て、ブドウ糖でも打ってビタミンCでも注射してくれたって、患者は長続きして来れません。一日仕事を休んで来て、それが遠いいなかから都会に出てこなければ、総合的な検査と治療のできるところはないのですから、一日かかって出て来たわ、ブドウ糖やビタミンCの治療くらいしかできなかった。帰ってヤクルトを飲めと言われた。そんなことでは来やしませんよ。それならばあなたの方では四万円、二万五千円かかるという認定をしたならば、あなたの方で打ち合せをして、これだけ治療をやるから法律でこういう算定の基礎を作ったという了承の上でこういうものができてきたものだと私は思った。なぜならばわざわざ一般検査は十九点かかりますという点数まで出してきているから、あなたの方で了承の上で出してきたものだと思ったが、まるっきりこれは了承がないじゃありませんか。しかもその治療というのは、社会保険と同じ治療方針に従う、同じ診療報酬支払い方針に従う。そうすると全部診療報酬を受けることになりますでしょう。あなたは私の方はきまっておりません、知りませんということになったら、一体どうなるのです。こんなことでは医療機関はだれもやりませんよ。特殊な治療の型もきまっていない治療をやったら、みな削られてしまいます。しかも病名は、これは原爆症だなんということは出やしない、白血病だとかなんとかいうことで、普通の病気と同じ形で出てくるのでしょう。だからこのあたりを明確にしなければ通せませんよ。これはやったって、現場にいった場合実施ができない。だからもうちょっとそこらあたりを明白にして下さい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 この算定基礎の四万円、二万五千円、一万五千円は、先ほど保険局の医療深長がお答え申し上げましたように、過去二年現地で実施いたしましたその実績をもとにしてこういう計算をしているわけでございまして、健康保険の診療方針あるいは診療報酬の例によれない場合が先ほど御説明いたしましたように十一条の二項になっておるわけでございますが、私どもといたしましては、審議会の正式の発足はまだこの法律が成立いたしませんとできませんが、先般おもな方方にお集まりいただいて、どういうふうにしたらいいかというような、ごく非公式な準備的なこともいたしておりますので、十一条の二項をできるだけ早くきめて、現実の医療に支障ないように発足しなければならぬというふうに考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 一番大事なところが底が抜けているように思います。これはやっぱり底をはめなければいかぬと思うのです。  次は、この精密検査の結果、患者が入院したとします。そうしますと、その患者が健康保険の被保険者であった場合に、傷病手当金というものはどうなるのですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 本法と健康保険法との関係は、本法で申しますと先ほど御指摘がございましたが医療の給付、それから健康保険法で申しますと療養の給付で、その点がダブりまして、本法が優先いたしますので、そのあとの点については健康保険法が適用される、そういうふうに考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、傷病手当金は健康保険から支払ってくれる、医療は本法が優先をするので、医療だけは本法で受けていく、こういう形に理解して差しつかえありませんね。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 その通りでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、国民健康保険との関係はどうなりますか。国民健康保険にかかっておっても、この医療を受ける限りは、国民健康保険は一文も負担しなくて全部これで見てくれる、共済組合もそういう形になる、こういう形と理解して差しつかえありませんね。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 その通りでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 次は療養費払いの問題です。私は今原爆治療の問題について、健康保険にこういう問題を入れるということに実は問題があるということは、ビキニ以来指摘をしておった。その指摘にもかかわらず、この法案も健康保険に持ってきている。むしろ私はこういうものは療養費払いでいくべきだと思うのです。実費だけは特殊の医療機関に払わなければ、医療機関は一生懸命やらぬでしょう。だから療養費払いの制度があるので、これを健康保険の事務に委託して、事務費なんか払わずに、それを療養費払いにして、そして生命に対して非常な不安を持っておる広島と長崎の諸君に安心感を与えてやる必要がある。医療機関が未知の分野でございますから、健康保険では研究的なことができないのですよ。だから思い切って療養費払いでやらせる。十四条に療養費払い医療費の支払いの制度があるのですから、私はむしろこれでいくべきだと思うのです。健康保険の御迷惑にならず、そしてその間に傷病手当金だけを健康保険でもらえる。国民健康保険についても共済組合についても同じです。この点はどうお考えになりますか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 御指摘の点ごもっともだと存じますが、私どもは十四条の療養費払い医療費の支給ということは、緊急やむを得ないというような場合にだけそれを使いまして、あとは健康保険の例によっていきたい、ただしたびたび御意見が出ておりますように特別な疾病でございますので、先ほども申し上げましたように十一条の二項をできるだけフレキシブルに考えまして審議会の方にもそういう御意見を出していただいて、先ほど滝井先生が御心配のような医療機関が医療を渋るというようなことのないように持っていきたい、そういうふうに考えているわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 療養費払いをやることによってこの医療を遂行する上に支障があるかどうかということなんですね。全額は国が持つんですよ。これははっきり確立している。それをわざわざ健康保険という治療指針もきまっており、療養担当規程もきまっておるものの中にこれを入れなければならぬという理由はない。結局これを入れなければならぬ理由というのは、あなた方ができるだけけちな医療で原爆障害の患者に対する国民の要望にこたえるためにお茶を濁そうと考えている、邪推をすればそういうことしか考えられない。もしあなた方がほんとうに広島、長崎の被爆者の諸君にあたたかい恩典を浴させようとするならば療養費払いをさせた方がいい、確実です。それならば思い切った治療ができる。これを健康保険のワクの中に入れていこうとすると健康保険法自体にも必ず大きな混乱を起す。だからこれはもっと原爆治療指針が確立してから健康保険に入れることならばよろしい。今まだ未知でしょう。未知の段階でこれを入れられるということはいろいろこれは問題が起るのです。だから私はそういうことの方がいいのではないかと思うのです。それから療養費払いの具体的な請求の仕方、手続、だれがどこで払ってくれるのか、こういう点一つ御説明願いたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 具体的には支払いを知事に委任したい、そういうふうに考えておりますので、知事に請求して知事から受け取っていただくというふうにしたいと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますとその手続なんかが非常に問題になってくると思いますが、知事に委任をするといったってこの条文だけではどうもはっきりしないのですが、どういう工合にして知事に委任をしますか。知事というのは金を扱わないんですよ。事務に要する費用と健康診断しか金は知事にはいっていない。療養費払いを知事がやるとすれば、予算面で知事の経費の中になんぼかつかみ金でも各知事にやっておかなければそういうことはできない。請求があったわ、そうして知事が払ってくれるということになったら、いつ知事は国から金をもらうかわからない。医療機関もいつもらうかわからないのです。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 これは第二十一条に権限の委任の規定がございます。「政令の定めるところにより都道府県知事に委任することができる」という条文がございますが、これを適用して知事に委任をしたい、そういうふうに考えております。そのやり方につきましては政令で定めたいと考えておりますが、予算的にはあらかじめ知事に金を渡しておくという措置をとって参りたいと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも口で言うことはやさしいけれども、これが具体的な問題になると、いいですか、全国で百人か百五、六十人しかいないところがあるんですね。そうするとその請求書がどこにいくか知りません。私は県のどの部局にその請求書を出すか知りませんけれども、そうしていってそれが今度どの部局か知事が指定をした部局からあなたの方にくるでしょう。そうするとこの金の支払いというのは、そういう形ならおそらく半年以上かかりますよ。こういうことになるともう医療機関はやりませんよ。これは少い金ではない。入院させてやる金というのは一カ月四万円以上かかるのですよ。そういう患者を特殊な医療機関でやるのですから、四人も五人も受け持ってごらんなさい。広島あたりでは四人じゃない。十人も受け持ったら月に四十万、五十万という金が重なってくる。そういう金は健康保険から支払うのかもしれませんが、辺陬地ではこれは大へんです。結核医療が進展をしないというのはそのためなんだ。実際病院は結核患者を入れられたら高いパス、マイシンを使う、その借金がたまって、その金がこないからみんな断わってしまうんです。これだってそういう事態が起るんです。そうすると治療内容が、金がこないから、掛だから結局いい治療はできないということになる。従ってこれは療養費払いというものを例外にせずに、むしろ療養費払いというものを本則にして全部やるべきだ。それで一年、二年やってみて原爆治療の基本的な方針が固まったなら、その上で健康保険に移していく、これが私は筋だと思う。健康保険も乱さないでいいのです。そういう点、事務的に——どうもこういう点も私は今の御答弁では自信を持てませんね。あなたの答弁も、どうも薄氷を踏む思いの答弁のように思う。もっと確信のある答弁をお願いしておかぬと、こういうことになると弱い患者さんが一番これはばかを見る。それは医療機関だって人間ですから、そんなにふんだんにもうけておる医療機関はありはしない。赤字ですから、赤字のところにまたこういう医療を持ってきて、そうしてしかもそこに入ってくる人は生活の補給もないというようなことになっておる患者が四人も五人もそこに入ってきて、その支払いがだんだんおくれてくるということになったら大へんなことになるだろうと思う。しかも保険の支払いだって、すぐにはこういうことはいかぬ。仕方もめんどうくさくなるし、一々審議会にかけてやるということは大へんなことになるのです。翌々月末までには支払えぬということになる。だからそういう点むしろ療養費払いをやって、各県で病人はおよそわかるのですから、そして四万五千円の割合でやっていけばいい。足らないときに追加予算を要求する、そのくらいに、やはりある程度あなたの言うように弾力を持った、ゆとりを持った治療方針を確立しておかぬと、こういう未知の分野の治療を保険診療でやらせるような体裁をとると——ブドー糖とビタミンですよ、これは。ブドー糖とビタミン以外に抗生物質や何かをやっておったら四万円では上りません。一カ月四万円かかっちゃう。入院だけで二十七点でしょう。患者に完全看護、完全給食をやって入院だけで一日二十七点要りますよ。そうすると一カ月四万円ぐらいかかってしまいますよ。そうすると、われわれが常識で考えて一カ月くらいの入院ではこの患者がなおるということは絶対にないのですよ。そうするとこれは長期療養ですよ。これはここに出てくる、あなた方の言う一般検査及び精密検査をやって、そうして出てくる一万八千六百三十七人の一割八分の三千三百五十五人というものは一人四万円そこそこでは絶対できないということです。あなたは原子爆弾の洗礼を受けて放射能の影響がありますぞと言われたら、もうその患者は病院を離れませんよ。そうすると一カ月四万円かかっちゃう。医者はまた腕によりをかけて、あらゆるものをこれに持っていって自分の研究的な態度からやることは当然です。それを研究的な態度でやらずにブドー糖とビタミンCくらいでお茶を濁させるなら四万円でいきます。しかしそれでは患者はかわいそうです。だからこれはあなた方が予算を倹約するために健康保険のワクの中にはめて保険局のふんどしで相撲を取るような考え方をやめなければならぬ。保険局もまたこういうものを受け入れる態度をやめなければならぬ。だからあなた方拒否しなさい。保険ではこういうものは引き受けません、療養費払いでやって、治療指針が確立したら受け取りましょう、こういう態度をとるべきです。どうですか、保険局はこれを受け入れて自信がありますか。

小沢辰男厚生事務官(保険局健康保険課長)

○小沢説明員 十一条で診療方針その他については健康保険の例によるという原則があるだけで、これは先ほども局長から御答弁がありましたように、とにかくこの患者の医療の給付については本法が優先するものでございますから、医療給付は健康保険にくるべきじゃない、その点もし私の方が誤解しておりましたら、またあらためて御質疑願いたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大体放射能の障害なんかを健康保険の例によってやることができますか。そういうものが今まで日本にあるのですか。それは白血病という形ならあります。白血病という形で現われておるけれども、いろいろなところに障害が出てきておるから、なかなか健康保険の例だけではできないということは、すでにビキニの患者が示してくれておる。それならば、ここにビキニの患者の治療をやったあれを名前は隠していいから持っていらっしゃい。幾らかかっているか見たらわかる。だからそれは健康保険ではできない。しかもあなた方は十一条の二でやりますとおっしゃるけれども、それは例外の場合だといっても全部例外です。三千何百人という患者は全部例外の患者ですよ。その例外に当る者を、もはや予算を組んで例外でないようにしてやろうというのだから、わざわざ二項をおかなくても、そういうものはやりますということを二項の中に書いた方がいい。何とか審議会の意見を聞くとかなんとかいう必要はない。これは許可条項です。そういうことをやる気持があるならもっと太っ腹な気持を出してみたらいい。奥歯にもののはさまったような制限規定を二項につけて、一切をこの審議会に責任を負わせるという形はよくない。どうしてもこの患者を国の責任でやってやらなければならぬという気持なら、療養費払いでやったらいい。何も健康保険に持ってきてワクをはめる必要はない。しかもその逆説を言って、この審議会にかけたら全部認めますというのなら、療養費払いと同じでしょう。だから、この二項はあくまでも例外の場合なんです。常識論は放射能の障害というものは治療指針によることができないというのが原則なんです。できない原則を例外の中に押し込んでしまえば、三千何百人というのは結局健康保険の治療になってその場でお茶を濁すだけということになると、この法律は死んでしまうというのが私の意見です。だからあなた方に親心があるならば、健康保険なんというけちなことを言わずに療養費払いでいきましょうと太っ腹においでなさいというのです。本人が保険でやってくれと希望するならば健康保険でよろしい。今日本の健康保険治療が大衆から非常に支持を受けて、これでなければ病気はなおらないということなら健康保険を第一に持ってきてもよろしい。特に患者が健康保険を希望するならば健康保険でやりましょう、そのときには治療指針でやります、特に例外の場合は原子爆弾の被爆者審議会にかけてやりましょう、しかし原則は療養費払いでございます、これの方が立て方がすっきりしている。しかも広島、長崎の諸君はその方が幸福です。医療機関でもやりいい。だからそれを逆にしてもらいたいというのが私の希望です。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 健康保険の例によってやるということのために非常に医療費を出し惜しみするのではないかというような御意見でございますが、この立法の趣旨あるいは予算折衝の過程から考えまして、私ども決してそういうことは考えておりません。四万円、二万五千円、一万五千円、これも現に広島、長崎で実施された実績からこういう数字を算定いたしたのでございます。最初は四万円よりもっと低かったのでございますが、現地の実績から考えてこういうように上げてきているわけでございます。これは平均でございますので、人によってはもっとこれ以上かかるのも出て参りましょう。たとえば先ほど滝井先生が御指摘になりましたように、長期入院のものなんかはそれがふえてくるのでありますが、一応内科的疾患についてはこのくらい、外科的疾患についてはこのくらい、眼科はこれくらいという平均で計算しているわけであります。  それから十一条の一と二との関係でございますが、原爆障害者の治療というのが一から十まで健康保険の方針と基準ではできないということは、私はないと思います。たとえば白内障の手術にいたしましても、これはちゃんときまっております。そのほか外科的な手術もございましょうが、ただそういう既存の方針あるいは基準でまかなえない部分が相当あるということは考えられます。それで十一条の二を置いてその部面を補なっていきたい、そして十一条の一と二とを合せまして、現物給付をやっていきたいという考えでございますので、そんなめんどうくさいことをせずに全部医療費払いをやったらどうだという御意見は御意見として今後検討してみなければならないと存じます。こういう形のためにこの医療が行えないというようなことにはならないようにしなければなりませんし、先ほど手続の問題なんかで非常に時間がかかるというような御指摘がありましたが、この点は特殊な患者で数も広島、長崎は多いのでありますが、ほかの県は少いのでありますから、特別な取り計らいをして、できるだけ患者にも、あるいは医療機関にも迷惑をかけないように十分注意してやっていきたいと思っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今白内障の問題が出ましたが、普通の白内障とこれから来る白内障とは違います。普通の白内障なら目だけ見ればいい。ところが放射能の障害によってきたところの白内障はやはり全身の状態を見てからでなければそう気安く白内障の手術をするわけにはいかぬ。従って眼科の医者が白内障の手術をやる場合には、内科の意見というものを十分に聞いてやらないと、普通の白内障と取扱いが違ってくる。そうしますと、眼科で白内障と書いているけれども、その請求書には当然内科的なものもどんどん出てくることになるので、こういう請求書というものは基金においても十ぱ一からげで普通の請求書と同じ取扱いで審査をしてはいけない。だからこの原爆症によるものについては別個の取扱いを保険局はやらなければならぬことになるのだが、まあ百歩譲るなら、そういうことがやれるのかどうかということです。

小沢辰男厚生事務官(保険局健康保険課長)

○小沢説明員 今保険局でやれるかやれないか、あるいは保険で引き受けるか引き受けないかの議論を盛んに拝聴いたすのでございますが、先ほど来申し上げておりますように、本法にいいます医療給付は全く本法によってすべてを行うものでございまして、健康保険とは何ら関係がないわけでございます。ただたまたま十一条で本来ならば本法の医療給付の診療方針なり、あるいは診療報酬のいろいろな定めをこまかくしなければいかぬのですが、そのうち使える部分はできるだけ健康保険の例による、こういうことで使いまして、使えないもの、この範囲を越えるものは当然原爆の被爆者の治療でありますので、いろいろあろうかと思いますが、そういうことをこの二項できめているのではないかと思うのでございまして、先生の方で今お話の、たとえば支払基金でいろいろ審査をやる場合に、当然今までのような診療報酬の支出はできないではないか、それをお前の方でどうするのだ、こういうことでありますが、この審査につきましても、その審査をやるに当っての基準になりますのは、本法の十一条にきめられたことによると思いますので、もちろん先生のおっしゃったように、十一条の二項というのは具体的にいろいろな問題を処理する場合に当って困る問題が起るのじゃないかということにつきましては、それはあるいはこのきまり方の時期なり、あるいはその内容なりによっていろいろ変ってくるかもしれませんけれども、健康保険の治療方針で審査委員会が審査をするということではなしに、むしろ本法の医療給付の基準をいろいろときめられるこの十一条全体の規定によって審査をされまするので、その点ちょっと先生誤解があるのじゃないかと思いますので、御了承願いたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 あなたが健康保険と関係がないという議論を言うことは、それは木を見て森を見ていない議論ですよ。あなたは一健康保険課長さんだからそういうことを言うのですが、医療という立場は健康保険であろうと原爆の医療であろうと何ら変りはない。だから健康保険と本法とは全然無関係だという、そういう考え方は全然間違いなんです。われわれは少くとも健康保険の治療というものは日本の治療の一番代表的なものだと見ておるのです。それだけの尊敬と敬意を持っておるから、この問題をこれだけ熱心に論議しておるのです。何もこれが優先するものじゃない。健康保険でも原爆の治療ができる姿を作らなければ日本の健康保険というものはだめなんです。だからあなたは木だけを見て森を見ていない。これは明らかに健康保険の診療の方針なり、あるいは診療報酬の支払いの例によってやりますということが十一条の一項でぴしゃっと原則できめておる。そして例によらない場合は審議会にかけるということを例外にしておる。これはあくまでも健康保険治療というものを非常に高く評価をし、信頼をしておる書き方でしょう。従って健康保険の治療と原爆のこれとは別で、これはこの法律でやりますから私の方とは関係がございませんなんということは間違いです。木だけを見て森を見ていない。私たちは、少くとも健康保険治療というものは日本の代表的な治療だ、従って今後はこの健康保険で放射能の者もできるようにしなければならぬと思う。そういう立場でこれを入れてくるならば、少くとも現在の健康保険治療の中でも、一般検査なり精密検査というものも健康保険をお認めなさいというのが私の初めからの主張なんです。ところがあなたの方はどうもそれは認められぬということを言うから、それならば、認められぬのならば、今の健康保険にはそれだけの方針が確立されていないから、その確立されていないときにそれを持っていくことは無理だから療養費払いにしなさい、そうして一、二年実施をしてみて、それから健康保険にきちっと入れて——そんな何とか審議会とかなんとかいう隠れみのを作って、そこで一切のものを処理するという責任回避の態度をとらずに、堂々と健康保険が放射能の治療もやりますということを確立することが急務なんです。今後健康保険の中に放射能治療をどんどんやらなければならぬ事態が出てくるのです。そこらの腹がまえを作るためには、今からこの広島、長崎の法律の中から同時に作っておくということが必要だということを私は言っておる。あなたの方は健康保険と本法とは無関係だから、向うがやったのだから私の方は下請をちょっぴりやるだけだ、こういうような態度ではいけないと言うのです。そんなことでは皆保険はできませんよ。日本の社会保険の一大支柱として健康保険は発足すると言っておるのでしょう。それなら撤回しなさい。撤回するならわかるけれども、日本の保険の一大支柱でありますと大きくみえを切って、今度はわずかに二十万かそこらの広島とか長崎の患者をやるときには、私たちは無関係でございますと言って回避する態度はいけない。日本の放射能障害というものは今後の日本の医療の重要なテーマですよ。小沢保険課長たるものそういう態度では困ります。まあ不信任案は出しませんけれども、(笑声)そういうことで明らかに公衆衛生局と保険局とは連絡を欠いております。医療機関の立て方においても、あるいは医療給付、療養給付の面においても、もうちょっと連絡をとって、省議をきめるときにはそれぞれの法律の一貫性というもの、法律の立て方の用語その他については十分注意をしてやってもらうことが必要であると思います。  そこで次にこの放射線医学総合研究所との関係ですが、これは現在日本では予防も治療もわかっていない。予防も治療もわかっていないので、科学技術庁に四十人の定員をもって放射線医学総合研究所というものができておる。一体この機関とあなた方の指定する医療機関との関係をどうするかということです。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 ただいま御指摘の放射線医学総合研究所は研究機関でございますが、これはもう申し上げるまでもないことでございますが、この指定機関との関係はどういうふうに考えておるかという御質問でございますが、先ほど大臣も八木先生の御質問にお答えいたしましたように、放射線医学総合研究におきましては応用面はもちろんのこと、その障害防止というようなことについても、むしろそちらの方に重点が置かれていろいろ研究が行われていくと思うのでございます。科学技術庁に設置されますけれども、同じ政府部内でございますので、厚生省とは覚書も取りかわしまして、こちらから積極的に協力する。この放射線医学総合研究所の設置されます経過につきましては、むしろ厚生省に応用面だけを研究する研究所を設けたいというようなことを考えておったのでございますが、国全体として、基礎と応用と両方合せて総合的なものを設置するということになって、現在のような形になっておるわけでございますが、あそこで研究されましたもの、内容をこれの方に応用するということは当然でございます。またこの法律を施行して参りますについて予算的な措置が講ぜられておりますが、それにつきましても、先ほど八木先生から御指摘がありましたように、額はわずかでありますが、研究費が計上されておりますので、こちらでは主として治療方法の研究にその研究費を使っていきたい。医学総合研究所の方では応用面とか障害防止というような点についての研究が行われる、そういうふうに考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これはあなたの認識不足だ。放射線医学総合研究所も予防治療をやるのです。それは科学技術庁設置法を読んでごらんなさい。そうなっておる。私は実は科学技術庁設置法案を審議したときに質問をした。四十人でもって——厚生省の公衆衛生院もやはり同じようなことをやるところがある、一体この関係はどうなっておるのかということを聞いたが、みなはっきりした答弁ができない。ばらばらです。しかも医学総合研究所というのは、四十人の構成員です。守衛も入れて四十人です。ところがそのうちで、技術者というのは二十人しかいない。しかもそれが六部に分れる。生物研究部や物理研究部や管理部というように六部に分れる。二十人の技術者が六部に分れると一つの部に四人か三人しかいかない。そこで私が言いたいのは、あなたのところで百八十万円研究費をとっておる。そうすると、これは原爆被災者医療審議会が十五条によって重要事項を審議するから、それにこの百八十万円を使うのだろうと思いますが、そうではないのですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 この百八十万円は審議会に使うわけではございません。現在たとえばケロイドの治療とか白内障の治療、白血病の治療、これはなかなかむずかしい問題でございますが、そういうことを研究しておられる研究機関に渡して研究してもらいたい、そういうふうに考えておるわけでございます。  それから放射線医学総合研究所で、先ほど滝井先生から御指摘を受けたのでございますが、私が申し落したのでございますが、やはり治療の研究もいたします。ただ現在三十二年度におきましては四十人で出発しますが、これは構想といたしましては相当大きなものを将来育てていくというような考えでやっておるのでありまして、ただ公衆衛生院、予防衛生研究所あるいは衛生試験所というような厚生省関係のところにおきましては、直接、たとえば予防衛生研究所においては予防衛生研究所においての研究に必要な放射能関係の仕事をいたします。また先般放射線障害防止法案が実施されます際に、一般の国民大衆に対します障害防止ということについては厚生省が担当することになっておりますので、それに必要な研究も厚生省の直轄機関においてある程度やっていかなければならないというふうに考えておりますから、国全体の中心は、将来大きくなって参れば、放射線医学総合研究所になると思いますが、やはりそれぞれの分野において責任を果すための研究はやっていかなければならないという建前で現在進んでいるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そういう根本的な問題は私、あなたの意見と少し違うところもありますがきょうは述べません。  そうしますと、原子爆弾の被爆者医療審議会というのは、十一条によると、健康保険の診療方針及び診療報酬の例によることができないとき、大臣が意見を聞くと書いてあるわけなんですから、相当の権威者が集まらなければならないことになる。そうしますと、現在の日本においては放射線の障害に対する治療の定見というものはないから、科学技術庁に放射線医学総合研究所を作っているわけなんですね。そうするとここの委員というのは二十人で、費用は一体どこから出してくるか、これは予算面上どうもはっきりしないのですが、費用は一体どこから出してきて、どういう人を任命するつもりなんですか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 予算は九十二万四千円、これは審議会の運営に必要な費用でございます。  それから二十人はどういう構成かという御質問でございますが、現在放射能の障害の治療あるいは診断というようなことについての権威者は、日本にはそうたくさんはおられないのでありまして、従来厚生省の予防衛生研究所に原爆対策協議会というものがございましたが、それをビキニの事件を契機といたしましてさらに大きくいたしまして、各省関係の人に集まってもらって、その中に医学部会、環境衛生部会、食品衛生部会、広島・長崎部会というふうに部会を作って、専門家の方に集まっていただいていろんなことを御相談いただいておったわけでございます。それらに御列席いただいている専門家の方々に入っていただきたい、それを大体二十名というふうに考えているわけでございます。  治療指針につきましては、現在はっきり確立されたものはございません。しかしながらただいま申し上げました原爆被害対策連絡協議会で、広島、長崎で被爆された方の治療について現在わかっている範囲内でどうすればいいか、診断と治療についての指針を一応作っていただいてございます。今回出発いたしますにつきましても、とりあえずそれを利用してやらなければならないと思います。しかしながらこの疾病の性質上次から次と新しいことが出て参りますから、この指針は刻々と改訂しなければならないと思いますけれども、現在そういうものがかりに作ってございますので、全然暗中模索でやるというわけではございません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと一応の治療指針と申しますか、原爆被害対策連絡協議会の意見の一致を見ているその治療の指針的なものを、全国の指定医療機関にも周知徹底さした上でやる、こういうことになるわけですね。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 そういうふうに取り計らいたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、今の通りならば十一条の二項というのは必要なくなるわけですね。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 次から次に新しいことが起って参ります。現在考えられている中に健康保険の例によれない場合も出て参っておりますので、そういうのを実施に移します場合には十一条の二項というものが必要になってくると思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これで終ります。今までの質疑応答を通じてみて、これを具体的に実施する場合に、患者なり医療機関なりに、この法律だけでは明確を欠く点が非常に多くあることが大体私はわかったような感じがいたします。これは広島、長崎で原爆の洗礼を受けた諸君に恩典を与える法律として与野党一致して作った法律でございますから、それが事務的にいろいろ障害を受けるためにこの恩典が半減することのないようにぜひ御努力を願うことをお願いして私の質問は終りたいと思います。  最後に大臣のかわりに政務次官よりそれらの点に対して所信をお伺いしておきたいと思います。

中垣國男自由民主党厚生政務次官

○中垣政府委員 滝井さんにお答えいたします。先ほど来滝井委員からいろいろ御指摘をばいただきました点につきましては、私どももこの法案が超党派的に生まれてきたというような点から考えて参りましても、この法律の運営面につきましては、この法律の趣旨が十分に徹底して、広島、長崎の原爆患者に対して行われるようにしなければならないと考えておるのでありまして、それが法律になりましてから行政の運営の欠点によりましてこの法律の趣旨が十分に行われないようなことのないように、十分に政府は注意をして参りたいと考えております。

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。——なければ本案についての質疑は終了したものと認めるに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 御異議はないようですから、本案についての質疑は終了したものと認めます。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 速記を始めて下さい。  ただいま委員長の手元に自民、社会両派共同提案による本案に対する修正案が提出されております。まず提出者より趣旨の説明を聴取いたします。田中正巳君。

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員 私は本案に対して、自由民主党及び日本社会党の共同提案にかかる、皆様のお手元に配付してある次の修正案について、その趣旨の説明をいたしたいと存じます。  本修正案は、本法案の附則に第五項として一項を加えんとするものでありますが、その内容は、地方税法における法人の事業税の課税標準の算定方法に関する第七十二条の十四の規定を改め、本法案に基く医療につき、支払いを受けた金額は、総益金に算入せず、またその医療にかかる経費は、総損金に算入しないこととすること、及び個人事業税の課税標準の算定に関する第七十二条の十七の規定を改め、本法案に基く医療につき支払いを受けた金額は、総収入金額に算入せず、また医療にかかる経費は必要な経費に算入しないことといたそうとするものであります。  何とぞ満場の皆さんの御賛同あらんことをお願いいたす次第であります。(拍手)

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 以上で説明は終りました。  次に修正案についての質疑はありませんか——なければ原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の通告がありませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 御異議なしと認め、これより採決いたします。  まず両派共同提案にかかる修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 起立総員。よって両派共同提案にかかる本案に対する修正案は可決いたしました。(拍手)  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 起立総員。よって修正部分を除く原案は、原案の通り可決せられ、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律案は修正議決すべきものと決しました。(拍手)  次に、ただいま議決いたしました本案に関し発言を求められておりますので、これを許します。佐竹新市君。

佐竹新市日本社会党

○佐竹(新)委員 私は、自由民主党、社会党の意見の一致を見ました本案に対しまして、ここに附帯決議を付すべしとの動議を提出するものであります。  まずその決議文を朗読いたします。    附帯決議  一、政府は、原爆被災者の更生のため必要あるときは、低所得階層対策費の世帯更生資金貸付を行わしむることとし、その予算的措置についても遺憾なきを期せられたい。  二、政府は、第二条の被爆者に関する政令の制定に当つては、現実の要治療者を逸しないように配意するとともに被爆時の胎児以外の被爆者の子についても罹病の有無を急速に調査の上、適切なる処置を講ぜられたい。  三、政府は、原子爆弾その他に因る放射能障害についての研究及び之に対する治療法の進歩を図るため、積極的施策を講ぜられたい。  以上であります。何とぞ御賛成あらんことをお願いいたします。

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 ただいま佐竹委員より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されましたが、本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 起立総員。よって本動議は可決され、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律案に対し附帯決議を付すべきものと決しました。(拍手)  なお、ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 この際お諮りいたします。先ほど設置いたしました環境衛生関係営業に関する小委員会におきまして、委員の異動に伴い小委員に欠員が生じました場合における小委員の補欠選任につきましては、委員長より指名することに御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野澤清人自由民主党

○野澤委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時八分散会      ————◇—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗