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26回国会衆議院1957/03/13

社会労働委員会 第23号

発言数
31
登壇者
7
会派数
2
開催日
1957/03/13

会議録

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 これより会議を開きます。  この際一言申し上げます。私は委員長就任以来及ばずながら当委員会におきまして、正常な議事の運営と高度な審議を進めますために、鋭意努力して参っておるのでありますが、事志とたがい一昨日のような事態を招致いたしましたことはまことに遺憾に存じております。今後なお一そう留意いたしまして、両党委員相携え、互いに信義を尊重しまして正常な議事の運営と、高度な審議を進めることに精進いたしたいと存じておりますから、何とぞ各位におかれましてもよろしく御協力のほどをお願い申し上げます。(拍手)  この際内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案に関して発言を求められております。順次これを許します。滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今回政府与党の諸君から提出されましたる健康保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案を見てみますと、福祉国家を建設するというスローガンを掲げて大きく船出をしたその内閣の悪法を、良識のある自民党の皆さんが相当多くの修正をしてくれるであろうことを実は期待をして、この法案が先月十八日当委員会にかかって以来ずいぶんわれわれ社会党は多くの矛盾点を指摘したのです。ところが修正案を見てみますと健康保険法そのものの修正というものは一指だに触れ得ていないということです。単に健康保険法等の一部を改正する法律の中の二条を削る、こうなっておりますが、この二条というのは実際には健康保険法をそのものではない、基金法の改正なんです。いわば付属法的なものなんです。そうすると健康保険法そのものについては一指だに加えられていない、わずかに健康保険等の一部を改正する法律の実施が、政府原案では昭和三十二年の一月一日になっておる。それをもうすでに現在は三月の半ばを越えておるので、当然一月一日というものは直さなければいけない。その直さなければならない点だけを、施行期日を中心にして修正を加えたという程度で、実質的な修正というものは健康保険法そのものについては何もないということなのです。これはまず第一にお尋ねをいたしましたいのは、そういう状態でございますが、一体修正者はこういうことでほんとうに健康保険の健全なる発達をはかることができるのか、今までの二十二日間にわたる審議の経過から見て、明らかに政府の答弁というものは納得のいかない点が与党の諸君にもあったと思うのだが、第二条だけを削ることによって多くの矛盾点が解決ができるとお考えになっておるのかどうか、この点をまず御説明願いたい。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 ただいま滝井委員の御質問がありましたことは、すでに二十二日間の御審議の経過によりまして、あなた方の指摘された条項等についても、十分われわれも拝聴いたしました。従って今回の健康保険法等の一部を改正する法律案につきましては、各重要な点についての御意見も、また御指摘された点についても十分検討を加えたわけであります。従って修正部分としては第二条を全面削除するという修正点をいたしましたことは、実は保険の基金の問題につきまして審査の能率を上げるという政府の意図から、今度の審査委員会あるいは協議会というような二段がまえの改正案が出たのでありますけれども、これもあなた方の御意見によって、医療担当者に不安を与え、また将来の見通しとしても、果して専任の委員を置いて完全に皆様の御期待になるような——かえって不安を増すような結果になっては困る、こういうことから党といたしましてもいろいろ協議もし、また政府の方とも打ち合せをいたしまして、その第二条を全面削除という態度をきめたわけであります。従ってこの問題については今後十分検討いたしまして、りっぱな案があるならば皆様の御心配の点を除く意味において、また医療担当者が安心する点において将来の問題としてこれは残しておきたい、こういうことで全面削除いたしたわけであります。  なお二十二日間に論議されました問題点の中で、患者の一部負担とか、あるいは機関の二重指定、監査の問題とかありましたが、そのうち特に今回の改正案について委員会全体を通じて御心配の点は、この法律を実施した際に最極端の事例を想定しますとこういう不安が起るまた、こうした場合にはこういう不結果が起るという、一つの仮設といいますか、想定のもとにかなり深刻な御心配が生じたようでありますので、われわれとしましては、その修正と同時に附帯決議をつけまして、その附帯決議も従来のように形式的なものでなしに、実際の行政面において十分指導もでき監督もできる。同時にまた政府の関係者も呼びまして、どこまで誠意を示すかということも念を押して二重機関指定等につきましては具体的にこの行政措置の内容にまで立ち至って話し合いを進めたわけであります。従って機関指定の問題に関しましては、この附帯決議の第一項にありますように、詳しく、将来の運営面について、いわゆる個人開業医等については特別に更新手続等を簡素化する、こういうことに配意をしてもらうようにいたしたわけをあります。また政府の国庫負担制度の問題等につきましても、附帯決議に載せてありますので、こうした点からやむを得ず附帯決議に織り込んだいう状態でありますので御了承を願いたいと存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 るる修正案の提出者から御説明がございました。  そこで政府の方にお尋ねいたしたいと思いますが、政府もこの与党の修正案というものについては全面的に異議がない、こういうことでお受け入れになったと思います。一体この修正案というものは予算の上にいろいろ影響を及ぼすのではないかと思いますが、経費のことについては予算には何も影響がないらしく、つけておりません。これは政府にお尋ねいたしますが、予算的に見まして、この修正案では何も影響をこうむらないものとお考えになっているのか、その点を一つ明白にしていただきたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 予算につきましては、基金の関係で医療費の中に一件当りの審査手数料というものを見込んで予算が組んでございます。基金の審査等の改正でそれが一円増加するものという予定で医療費の中の見積りの中に、そのことをも配慮して見積りがしてあるわけでございます。それが現行通りということになりますと、おのずから手数料も現行通りということに相なろうかと存じますので、その意味で医療費総額の中で五千万円程度その金が要らなくなるという計算になるわけであります。しかしながらこれは医療費全体の見積りの中でございまして、数百億の医療費の見積りの中でその程度のものが節約になる、こういうことに相なるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まず第一に、この法律の修正によって五千万円程度基金の方の分で金が浮いてくる、こういうことが一つ出て参りました。  次にお尋ねをいたしたい点は、今までのこの政府の原案においては、三十二年一月一日という実施の期日をきめておった。起点を明白にしておりました。従って今度はこの法律が通過した場合の経過的なもろもろの措置についても、起点が明白であったために、今度経過的にいろいろ処置をする問題の起点も、実施の期日も明白であったわけなんです。ところが今度の修正案においては、まず起点というものがいわゆる何月何日とは書かれていません。「公布の日」とこう書かれておるわけです。従ってこれは審議の現段階においてはいつからやるのか未定でございます。不確定要素を基礎にして問題が進行していきます。しかしこの修正案を見てみますと、七十条ノ三はこれは公布の日からやることになっております。一応これはあとで問題にするとして、ところが今度はその他のものについては一応二カ月を越えない範囲、こういう二カ月という土俵をきめておるわけです。そうしますと、まず文字通りにこれを読んでいきますと、一番実施のおくれる段階というものを問題にして答弁を求めたいと思います。  そうすると、まず現在の客観情勢から見て、三月三十一日までにこの法律が成立するということが一番最短距離だと見なければなりません。そうしますと、この法律が実施され各条項が発動していくところの最終は五月の末で、いよいよその最終の実施をしなければならぬ期限が切れるわけです。そうすると、大体健康保険法というものは日々に現金のやり取りが行われる法律です。従って五月十日とか十五日とかにこれを実施していくことは大体常識で言ってむずかしい、そうしますと、六月一日ということになってくるわけです。そうしますと、これはあなた方のお組みになっておるように、一切の法律処置をしなかった場合における三十二年度の赤字は五十四億でございます。そうしてこれは四月一日からこの法律を全面的に実施することを見込んで五十四億の赤子が消えるというのがあなた方の今年度予算の組み方です。従ってまず私たちは現段階では六月一日実施を考えていくことが常識論です。従って法律案においても修正者は二カ月を越えない範囲ときわめてシビアな土俵のきめ方をしていると思う。一体そうなった場合に一月、二月で三億二千万円の赤字が出ます。それが今度は三月、四月、五月、三カ月です。そうしますと、これで約五億の赤字が出てくる、そうすると八億の赤字を一体政府はどうやって埋めるかということです。この修正案を通すに当って、なるほど予算の影響というものは一応この修正案だけでは平面的には出てきません。しかしそれを実質的に検討していくと、あなた方の見積り通りに見積っても八億の赤字が出る。一体この八億の赤字というものを政府はどうして埋めていくかということなんです。二十四国会において、与党の皆さん方が健康保険法の修正案を通したときに、やはり五億ないし六億の赤字が出た、あのときはあなた方は行政努力によってこれを埋めるかということを言ったら、もう現段階では行政努力というものではできない。あなた方は出し得る財源の一切を出しての法律提案だと思う。そうすると大体八億の赤字を一体どうするかということです。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 三十二年度の方から申し上げてみますと、三十二年度はわれわれの予定では三月の初めから三十二年度の財政上の効果があるつもりで予定をいたしておったわけでございます。それで、それがどういうことになるか、不確定要素でございますが、かりに今先生がおあげになりましたような仮定で申しますと、三月中にこの法律案が成立をいたしたという仮定をとってみますと、この際には国庫補助の一方は三十一年度で入って参ります。三十二年度は当然これは問題がなくなる、あとの標準報酬の等級改訂区分とか、一部負担とか、継続給付とかこういうものが問題になると思いますが、これは二カ月を越えない範囲で政令で定めるということに修正案がなっております。さような際に私どもの心組みといたしましては、三月中に法律が成立いたしたとすれば、一部負担とか継続給付というものは五月一日から実施をいたしたいと考えております。標準報酬等級改訂の方は、できますれば四月から実施いたしたいという希望を持っておりますが、あるいはこれも五月一日ということにならざるを得ないかもしれない。これはいろいろな準備等もございますので、あるいはそういうことになるかもしれませんが、いずれにしましても五月の初めからは施行できるのではないか。標準報酬の等級改訂については四月から施行することが可能になるかもしれないと考えておるわけでありますが、かりに等級改訂を四月一日から実施いたしまして、一部負担、継続給付というものを五月一日からやったということになりますと、収入減の方が七千六百万円程度、それから支出増の方が二億八千五百万円程度ということになりまして、結局三億六千二百万円程度の金が予定より収入減の支出増ということになるわけであります。この金を一体どうするつもりであるかという御質問になると思いますが、今申しましたように収入の減といたしましては七千六百万円程度、支出の方の増が二億八千五百万円程度でございますので、この程度のものでありますれば大体六百億見当の合計でございますから、いろいろな努力によりまして何とかつじつまを合せていき得るもの、かように私どもは考えておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 六百億の会計だから、三億六千万円くらい何でもないというなら、いっそのこと十二億をこういう修正をやる前に削ってもらえば無修正で通ってしまったのです。どうも答弁が一貫性を欠く感じがいたすのであります。  次にお尋ねいたしたいのは、この法律案は修正案では公布の日からということになっております。一体提案者は大体いつごろ公布されるというお見通しを立ててやっておられるのか。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 一番事情をよく御存じの滝井さんの御質問ですが、大体私ども三月中ということを基本にして修正いたしました。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 三月中を基本にされておるというのでございますが、私は何回もこの委員会で申しておりますように、この法案が三月中に参議院を通ってしまうということは実際問題としてほとんど不可能な情勢に現在あるわけです。そうしますと自民党さんも政府の方も、三十一年度の三十億については八分がたあきらめたというような症状が出ておる。病気になるといろいろ症状が先に出てくるのですが、その症状がどうも修正案に出ておるような感じがするのです。これ以上追究いたしませんが、そういう感じが非常にするのです。  その次にいきます。基金法を削除することによって五千万円程度の金が浮くことになる。先日この委員会で日本医師会の丸山副会長がいろいろと参考意見を述べられたが、その中では、現在の基金の状態を見ると、基金の審査委員は大体百九十六人が保険者側の審査委員として専任審査の形で出ているということでございます。そうしますと現在百五十人くらいしかいないので四十人くらいは欠員になっているというのは事実ですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 審査委員というのは、法律上二十七名以内ということに各府県ともなっております。そこでこれが御存じの三者構成になっているわけであります。ところが大府県におきましては審査の件数が非常に多うございますので、二十七人の審査委員では審査の円滑が期しがたいというわけで審査補助員というようなものを置いているわけでございます。そうして審査の手伝いをさせているという態勢でございますが、そういうことではどうも工合が悪いということで私どもは改正案を考えたわけでございます。与党で御修正になりましたので、その御方針に沿って従来のごとき行き方でこの問題を処理して参りたい、審査機構の根本的な検討をいたしたい、こういうつもりでいるわけであります。今先生が御指摘の分はその審査補助員の問題であろうかと存じます。それが現在の定員なりあるいは今欠員云々というお話でございましたが、それらの詳細な資料を私今ここに持ち合せておりません。しかし若干の欠員があるかもしれませんけれども、大体それが埋まりまして審査の補助をいたしているわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 あなた方が企図しておったものは、現在の百九十六人の審査補助員と申しますか、そういうものを二百五十人に増員して八時間勤務にする、それから現在嘱託の審査員千五十人を五百七、八十人程度にして四時間にする、こういうことですが、そうするとこれを全部元通りのものに戻すと、それで浮いてくる金は五千万円どころではなく、もっと多くの金が基金の中から浮いてくる勘定になる。この点は後日お聞きすることにして大臣がお見えになりましたので、大臣にお尋ねいたします。  与党で附帯決意をつけております。この附帯決議は四つになっております。大体この四つの点について簡単にお尋ねしたいのですが、まず第一は、この機関指定や保険医の登録に当って個人開業医のそういう事務を簡素化することになっておりますが、一体どういう工合に事務を簡素化するのですか。  第二番目は、国庫負担と国庫補助の理念であります。こういうものをやはり国が責任を持てということを附帯決議は言っている。大臣はこの前ここで加藤さんに御答弁になっておりましたが、どうもわれわれとしてはあいまいもこな感じがしておる。現実に附帯決議が明白になってきましたから、法律を改正して、事務費と同じように負担とするか、あるいは船員保険と同じように補助とするのか、この点具体的に御答弁をお願いいたします。  第三点は、単価問題は大蔵省と鳩首協議をするというところまでやってきましたが、健康保険法が通るということになれば、来年度の予算編成のときまでに研究してそれを具体化していく自信があるのかどうか。  それから第四番目には、これらの療養担当者の諸団体のあり方を基本的にどうするか。現在は公益法人か社団法人のような形ですが、一体それを政府は具体的にどうするのか。これは今に始まった問題ではない。二十四国会にも附帯決議がついておる。七人委員会の報告にもある。この四点に対する政府の基本的な考え方を明白にしておいていただきたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 ただいま滝井委員から、健康保険法の一部改正に附帯決議のつきました点を政府がどういうふうに考えているか、所信を明らかにしろということでございます。これは、私が当委員会においてしばしば言明しましたことがここに附帯決議となって現われておるように考えております。  第一の、個人開業の保険医療機関及び保険薬局の指定行使の手続を極力簡易にせよという問題、これは具体的に言うとどういうことかというお尋ねでございましたが、私どもとしてはできるだけ簡素化しようということでありまして、それをどこまでやるか、名案でもありましたらむしろ滝井さんからも承わって、できるだけ御迷惑をかけないでこの趣旨を貫くと申しましょうか、様式、手続について許される最小限度までおりていきたいと考えております。  それから第二点は、国庫負担制度のあり方について一体助成していくのか、あるいは一定の率でいくのかということであろうかと思いますが、これもしばしばお答え申し上げておるように、三十一年度の予算については御了承の通り、三十二年度については、本法案を一応通したあとで、大蔵大臣とよく協議をして根本的なことを考えよう、三十三年度の予算に一つ根本的なものを出そうじゃないかということを申し合せておりますので、十分根本理念を明確にしていきたい、国庫負担の道も、単なる助成金というようなことでなく、基準をきめて参りたい。これは先般総理からも、こういう助成については、医療保障を厚くしていくという政府の一貫した考えから言って、将来増額しようという考えを持っていることを明確に答弁されておりますので、その線に沿ってできるだけ早い機会にそういう線を打ち出していきたい、かように考えております。  第三点の単価の問題でございます。なおまた診療報酬の支払い方式が非常に複雑であるということは、先般滝井委員から事例をあげての御質疑でございまして、私も実は単価、点数の改訂をしなければならぬ時期がきていると思いますと同時に、様式主義が複雑多岐であることはこの際思い切って改むべきものである、こういうふうに考えておりますので、これは三十二年度中には解決いたして——法令の伴うもの、あるいは、予算の伴うものはまた別といたしまして、厚生省あるいは政府部内でできるものはできるだけ調査を急がせて、検討した結果に基きまして、なおまたいつも申し上げておりますように官僚独善というようなことにならないように、民間の声もよく開きまして必ず善処いたしたい。予算措置等が伴いますならば三十三年度では当然措置いたしたい、また三十三年度を待たずに追加あるいは補正等の機会がございますればそのときまたこれは御相談の問題が出てくると思います。そういうようなことがあろうかと思っておりますが、いずれにいたしましても、実際の作業がまだ今後の問題になっておりますので、この点は一つさように御了承願いたいと思います。  それから第四の医師会、歯科医師会あるいは薬剤師会等の三団体、これは御承知の通り民法上の社団法人として発足されているわけでありまして、これらの団体の特別の法制化ということは滝井委員がお述べになりましたように長い間の懸案のようでございます。私どもこの立法化については省内で作業を命じてございます。これも官僚独善というようなことのないように、この方々の御意見、あるいはまたこれは非常に大きな面を持っておりますので、適当な学識経験者の方々の御意見を十分拝聴いたしまして、将来厚生行政の先駆となり、あるいはまたあと押しになるよう両者形影相伴ってわが国の医療制度の向上を期する、こういう方向に向いていくような考えをもって、りっぱな団体が新発足できるよう一つ衆知を集めてやっていきたい、こういう決心でございます。この附帯決議案には一昨日もこの席上で政府の意見を述べたのでございますが、政府といたしましては、この附帯決議を尊重いたしまして、実施すべきものはすみやかに実施に移すようにいたしたい、こういう所存でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今るる大臣からりっぱな御答弁がございました。実は前の二十四国会においても附帯決議をつけましたが、少しも実行されなかった。定率負担というものはそのときも出ておったが、やはり補助金になった。従って、口頭禅に終らないように、今度はほんとうに——われわれは反対のものは反対しますが、よいものはあえて与党野党を越えて神田行政のために一臂の努力をすることにやぶさかではございませんので、どうか大臣も今述べられました決心をよく肝に銘じられて御実行あらんことを要望して私の質問を終ります。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 今度の健康保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案並びに同趣旨の船員保険法その他の修正案につきまして、提案者並びに関連して政府に御質問をいたしたいと思います。この修正案はごくわずかいいところもございまするけれども、この希代の悪法と言われる現在の政府案を直すものとしては、ほんとうに取るに足らない、悪法と同様内容のものであるということが言えると私どもは考えるわけでございます。なぜもっと積極的によくする努力をせられなかったか。社会保険診療報酬支払基金法の一部を改正する部分を削除したことはけっこうでございます。しかしもっともっと修正する部分があったはずであります。たとえば附帯決議が四つついておりまするが、その第一、第二は修正案に盛り込み得るものでございます。第一の指定制度の件について附帯決議をしておられまするが、こういうことを認めておられるなら、与党の諸君もこういうことで非常に危倶を示しておられるなら、この法律自体を変えたらいい。附帯決議というものが非常に弱いものであることは御承知の通りだ。法律自体を変えた方がずっといい。なぜ第一項を変えられなかったか。また第二項につきましても、国庫負担ということに変えればいい。たとえば組合管掌の方を変えたならばいろいろこの法律に要する財政負担、予算が狂うというお考えであっても、そういうことは幾らでもやる方法がある。たとえば国庫負担をうたう、そうして政府管掌も組合管掌も原則的にうたっておく、ただ当分の間は政府管掌にするというようなことを考えれば、幾らでも考えられる。そしてまた負担という言葉に当然かえなければならない、こういう御意思がありながら、このような弱い附帯決議にして、そしてこういうようにほんとうに修正案に盛り込まない。与党が修正案に盛り込めば今度は通ります。それだけ前進をするのです。前進をするのにさせないでとめておかれるというところに、与党の非常に社会保障に熱心な提案者の方々でございますれけども、その熱心の程度が政府の意地っぱりだとかあるいはまた大蔵省の圧力だとかいろいろなことで誠意が伸び切らない状態にあるのじゃないかと思う。そういうことじゃなしに、与党の社会保障に熱心な方々がもっと勇気を出して、こんな附帯決議じゃなしに、修正案の中にちゃんと盛り込んで出されるのが当然であると思うわけでございます。それには私どもの見解がいけないのであってどうしてもできなかった明確な事情があるのかどうか、それについて伺いたい。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 たびたび論議を尽された問題でありますので、今さらよいとか悪いとかという問題ではなくして、今度の機関指定の問題についても、自民党としてはあくまでも筋を通す、それから心配される不安の面というものは最悪の事態を想定しての不安でありますから、そういう問題については行政措置で必ずめんどうを見させる、今大臣から説明がありました通り、特に個人開業医については手続の簡素化もするし、三年目ごとの更新の際にも必ずこれは簡便な法をとらせる、こういうことで担当の局長、課長等とも相談の上で附帯決議に強くその意思表示をいたしました。原則としては、かなり誤解の点もありますので、この政府原案そのままを認めまして附帯決議に盛り込んだということであります。  それから第二に指摘されましたいわゆる国庫補助あるいは国庫負担という問題につきましては、この改正案にも政府の予算の許す限りということで出ておりますが、この問題についても党自体としては今日まで理念の確立ということを実際に怠っておりました。いわゆる助成金なのかあるいは負担金なのか、補助金なのか、こういう基本的な問題についてすみやかに党の態度も決定すべきだ、同時に三十二年度自体としてはすでに予算も組まれておることでありますから、少くとも三十二三年度には新たな構想と申しますか理念を確立した上でしっかりした態度で皆様の御期待に沿いたい、こういう考えでありますので、決して附帯決議が弱いのだということでなしに、これを決議する以上は、委員会としましても、党といたしましても、大臣の方に強くこれを要請すると同時に、行政措置で十分こたえ得るようにいたしたい、かような考えであります。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 第一項についての御答弁は、今の政府案についての悪い点は認めるけれども、基本はそのまま残しておきたいという考えのように承わりました。この二重指定が非常に悪いということはずいぶんと追及されまして、社会保障に熱心な野澤先生は十分御承知のはずであります。これは一部悪いところを認めたから附帯決議に書いたということですが、附帯決議では弱い。こういうことをされるのは、ほんとうに悪いことを認めながらも政府案を出した建前上、それをくずすわけにいかない、そういうことはほんとうに法律をよくしようという建前じゃなしに、いろいろ今までのいきさつで、少し何とか努力しよう、そういうような程度にしか受け取られないのであります。もっと与党の委員の方は勇敢に政府に圧力をかけて、そうして悪いことはどんどんぴしぴしと直していくというような修正案を出していただきたかったと思うわけでございますが、これについてはもう御答弁は必要ございません。次に第二の問題でも、与党の専門の皆さんがほんとうにやろうと思うならば、二、三日かかれば根本理念を明確にすることができる。それが明確になればすぐ修正することができる。それをまだそれについて相談するからということは、政府なら怠慢だと怒りますけれども、与党の同僚議員ですから、これは言えませんが、ほんとうに先生方は勇気を出されたのではなしに、やはりこれも政府の圧力で勇気を出したいけれども、この程度でとどめたというふうにしか見えない。それでは大自民党が泣きますよ。大自民党はいいと思ったらどんなに政府が前にきめてもはね飛ばしてちゃんと修正案の中に入れるという態度をとっていただきたいということを、非常に失礼でありますけれども、心から希望するわけでございますが、こういうふうになってしまいましたので、至急に参議院あたりでまたこういう私どもの考え方もお考えになって、勇敢な自民党の態度を示されるということを期待申し上げておくわけでございます。  次に時間がございませんのでどんどんと移りますが、これは二つをいじくり、附帯決議を四つつけた。そのうち二つの問題は伺いましたけれども、残りの三、四の問題はけっこうでございます。けっこうでございますけれども、これを政府がちゃんとやるかどうか非常に疑わしい。そのために特にここに厚生大臣に来ていただいたのですが、与党がこういう附帯快議をつけられたのですから、もし厚生大臣がそれを早く実行されなければ、与党自体でたちまち厚生大臣を引きずりおろす、大蔵大臣が文句を言うなら大蔵大臣も引きずりおろす、総理大臣がうんと言わなければ総裁をかえるというくらいの勇気を持っていただかないと、こういうことは口頭禅になります。それをぜひやっていただきたいと思うわけでございます。  次にほかの問題に移りまして、大体今医療担当者の関係が非常に不十分で、実効のないことでございますが、これについてちょっと修正意見を出されました。しかしこれだけで医療担当者が満足すると思ったら大間違いでございます。医療担当者の最も正当なる主張が全然与党のこれでは考えられておらない。これはほかの監査や何かの点もそうでございますが、一部負担の問題、さらに被保険者全体の問題になると、まだまだ大した問題がございます。それについて一つも考えておられない。医療担当者のことも不十分でございますけれども、被保険者のことについて一つも修正意見を出しておられない。この点に論議があり、欠点のあることは、与党の諸君も御存じのはずでございます。ところが被保険者の方はほうっておいて、医療担当者だけ百分の一とちょっとなでよう、そういうことでは天下の自民党としてはいけないと思う。医療担当者の方か、はっきりいえば選挙に皆様方に近いか何か知りませんけれども、自由民主党は選挙民の自由民主党でなくて国民の自由民主党であるはずでございます。でございますから、たといいかに近い団体であろうと階層であろうと、そういうことはなしにして、国民の政党として被保険者の立場、労働者の立場、患者の立場から考えていかなければならないのに、これはこういうことを申し上げて失礼かもしれませんが、より近くの団体だとあなた方が思っておられるであろうと推測される団体の方だけ考えて、片一方の方を考えておられないというふうにわれわれは感ずるわけであります。これでは修正案を作られる態度としては非常に不公平であり、また弱いと思うのです。これは言葉が過ぎましたら、この点は恐縮でございまするが、私の推察を申し上げておるわけでございまするが、その推察は当っておるんじゃないかと私ども思うわけでがざいます。これについてどうでございましょうか。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 るる申されましたが、被保険者の立場、医療担当者の立場、また保険者の立場等は十分この委員会においても論議された問題でありまして、与党議員としてはきわめて勇気がないという御指摘でありますが、あなたほど勇気がないだけでありまして、良識ある勇気は十分持ち合せております。従ってこの改正に関しましては、きわめて公平を期する、と同時にまたこの健康保険法が実際に国民に親しまれ、医療担当者とも仲よくできるような修正をいたしたつもりでございますから、この辺のところは勇気のあるあなたの御良識によって、どうぞ曲げた御解釈をされないように御協力を願いたいと存じます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 私のことを勇気があるとおっしゃいましたけれども、野津さんは良識のある勇気をお持ちになる。そうすると私は良識のない勇気を持っているということになるわけであります。そういうところに根本的な間違いがございまして、たとえば私の申し上げたいのは一部負担をなぜ減らす処置をとらなかったかということを申し上げたい。私は一部負担を減らすべしという意見が良識があると思うのです。というのはこのような社会保障とか社会保険の根本理念からいえば、早期診断、早期治療がこの医療保障の目的である立場からいえば、一部負担というものは最もいけないものであることは明らかでございます。それを直すことが必要である。直すべしという努力をするのがほんとうの良識でありまして、それに勇敢でない皆さんの勇気は良識のない勇気であると私は思うわけであります。それで一部負担をなぜいじくらないか。先ほども申し上げましたが、厚生大臣もよく聞いておいていただきたい。一部負担をふやすような案の政府案、これが根本的に大騒ぎのもとです。厚生省がこれを悪いものにされたのはいけないけれども、与党の諸君もそれを与党の立場から考えて、少しでも直そうとしなかったことは非常にこれは勇敢さが少ないという問題じゃない、はっきりいえば憶病である、努力が足りない、また誠意がないということもいえると思うのです。一部負担の問題につきましては、この前の案は、あのような財政事情を厚生省が強調いたしまして、そうして三十億国で出し、あとはいろいろ努力をしなければならない、そのうち患者の一部負担二十三億を持ってもらいたいというのがこの前の案でございます。ところがそれから後にこの十一月の政府案を作るときに二十位から減っておる。そうして修正案を作られるときには三十一億減っておる。一部負担が二十三億の財政効果をあげるのなら、政府自体そういうものを、この前の案の観点に立てば、はずして出してこられるのが当然だ。三十一億減ったことが厚生省の計算でもわかっている現状においては、与党としてはなおさらそれを減らしてこられなければならない。それを減らせない理由は去年の経過から見てないわけでございます。減らさないところに社会保険に対する御認識が少い。御認識があっても、いろいろな圧力をはねのけて、正道に持っていかれようという努力が少いということがいえると思う。なぜ一部負担を少くする——なくすることがわれわれの主張でごさいますが、なぜ少くする努力をされなかったか、その点について提案者の御見解を伺いたいと思います。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 だんだんとおしかりをこうむりましたが、決して一部負担を少くするという政策を打ち立てて自民党がやってきたわけではありません。表現の仕方が、私、口下手なものですから、御満足がいかないのかと思いますけれども、社会保障の医療というものを満足なものに育て上げるためには、一部負担の原則というものは打ち立てるべきだというのがわが党の一応の施策でありします。従って少くする努力は皆さんと同じように一生懸命やって参りました。二十四国会から今日まで実際に努力して参りました。決して少くすることについて皆さんの努力と比較いたしまして熱意がないというわけではありません、十分努力はいたしましたが、この程度はやむを得ないものと信じまして、全然手をつけなかったわけであります。この点は審議の過程において政府の立場を皆さんよくお聞きになられ、同時にまた大臣としてもたびたび御説明を申し上げた通りでありますので、まげてこの点は御了承を願いたいと存ずるわけであります。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 そういたしますと、去年のときも提案者は御関係になっておった。去年も一部負担をふやすという立場をとられたのでございましょうか。一部負担を減らす努力をされるならば、去年のあの財政の状態においてもああいう程度、ことしの府県財政のことから考えれば、減らすお気持があれば、全部なくすこともできる。大蔵省がぎゃあぎゃあ言っても、少くとも野澤先生の政治力をもってすれば、こんなものをぐんと減らすぐらいのことはできるはずだ。それをしないところに、野津先生が非常にうまく言い回しておられますけれども、圧力が強過ぎるのか、野澤先生はほんとうにおやりになる気がないのか、どっちかだと思いますが、そこの点いかがですか。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 少くとも私個人としても党人としましても、他から圧力を加えられたという事実は毛頭ございません。国会の良識ある信用の上に、私どもは今回の改正案に対する修正を出しましたのでございますから、従ってあなたの御意見はつつしんで拝聴いたしますけれども、そうした一部負担の問題について上げようと努力したのではなしに、一部負担は決して好ましからざる現象ではあるが、将来の保険医療体系を確立する上においてはやむを得ない処置であった、こういうことで、決して増額を計画したわけではありません。またなろうことなら少くしたいという考えもありましたけれども、あの審議の過程において、あなたも御承知のように、これ以上いかんともしがたいということで、やむを得ず将来の体系を確立する上において、われわれとしては忍んだのであります。その他の御異論のありますことは、つつしんで拝聴いたしておきたいと存じます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 時間もありませんし、同僚の議員にあまり失礼なことを申し上げてもどうかと思いますので、あれですけれども、下げようと努力した、下げる条件はそろっている、それを出されないところに、私どもはほんとうにがっかりするのです。自民党は大政党です。そうして先生方は社会保障に熱心なはずだから、その実をあげていただかなければならぬ。その実をあげて、ほんとうに実行で示していただきませんと、いろいろな看板が全部うそだということになりますから、一つその点を申し上げておきたいと思います。  それで厚生大臣に関連して伺いたいのでございますが、自民党の修正案はそれでございますが、とにかく今の一部負担の問題につきまして、今度の改正案はほんとうにけしからぬ改正案でございます。この前厚生省で出された案は、さっき提案者の野澤さんに申し上げた通り、一部負担はやめることができる。できるのになぜ一部負担を入れた改正案を出されたか、そういうことは実に社会保障を後退させるものだ。この皆さんの御苦心御苦労になっている案は、鳩山内閣の時代に出した案でございますが、神田厚生大臣が今度の内閣の閣議でこんなものをやめようといえば、いくらでもやめられたものだ。それをなぜそう勇敢でなく、社会保障の後退する、看板にはずれるようなことをなさるのか、こういう点について伺いたい。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 八木委員のお述べになりましたことは、もうこの委員会で私がしばしばと申しますか、数十回にわたってお答え申し上げた通りでございまして、政府といたしましては、将来の健康保険の合理化、健康保険財政の健全化という点から考えてこのあり方が正しい、こういう信念で実は鳩山内閣の提案をそのまま継続して御審議をお願いしておるようなわけでございまして、いろいろ承わっておりますとどうもその辺が、意見の相違と申しましょうか、非常な見解の相違になってくるようにうかがえるのでございます。あとは議論になりますし、簡単にということでございますので、以上申し上げてお答えを終ることにいたします。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 今の政府の見解で、こういう次第だからと言いのがれをしておられるのですけれども、ほんとうに政府の方は悪い案を作って、そしてほかにはなるたけ聞かせないで推し進めようとする。この間論議になりましたように、社会保障制度審議会に諮問をしなかったというのもそれである。法律論で逃げようとしているけれども、逃がすわけにはいかない。なぜそういうことを、わかっていながら、われわれが注意したのをやったかというのは、そういうところで尋問されて悪い点を指摘されることをおそれて、ほおかぶりして通したいということを保険局が考えているからである。そして厚生大臣がそういう保険局に乗っかっている。だからほんとうに勇気を出せば、そんな改正案をつぶすことはわけない。こちらの方で御努力なさったけれども、この程度しかと野澤さんはおっしゃった。そういうところにも、政府の今までの態度とかそういうことがかかってきているように思う。そういうことを打開するのは厚生大臣の責任ですよ。厚生大臣は政党から出た大臣であり、そしていろいろの世論を聞いているはずなんです。だから、今までいかにそういうふうになっていても、悪いことは悪いとして食いとめる努力をされねばならない。ぬけぬけと答弁して、このくらいで健康保険財政を将来合理化するというような理屈は通りませんよ。相互扶助の精神に反し、早期診断、早期治療に反する。そういうことをやって、社会保険や社会保障を語る資格はないのですよ。政府の方は福祉国家を建設するという公約を掲げているはずだ。その公約を実行するつもりだったら、厚生大臣はもっと勇敢にならなければならない。またここにおられないけれども、労働大臣もけしからぬ。被保険者の立場を一つも擁護しておらない。厚生大臣から労働大臣に十分この私の意見を伝えておいてほしい。そういうことで、もっと考え直して、途中でも、参議院の段階でも、いろいろと考えて、そして悪いと思ったらやる方法があるわけです。そういうことを十分に考えていただかなければならないと思うことをつけ加えておきたいと思います。  それから野澤提案者にさらにお伺いしたいのでございまするけれども、継続給付要件を強化されたこと、家族の締めつけをされたこと、それから標準報酬の最低額を上げられたこと、こういうことが政府の改正案に載っております。これも非常に論議のあったことは先生御承知の通り。それでその内容は、実に何と申しますかむごたらしいものでございます。最も不幸な人にしわ寄せをする。たとえば家族の締めつけ、三等親内に限ろうとする。たとえば、いとこのみなしごを養っている人に対して健康保険の給付がないようにする。今まで適用があったからいいけれども、その子供が病気すると半額の給付が受けられないということになれば、世の中の苦しい人情で、いろいろその子供につらく当ることもあるでしょう。つらく当らない気持があってもそういうことが起ってくる。またそういうことを考えると、そういうみなしごを預かったりしなくなってくる。世の中で一番不幸な、親に離れ身寄りのない人を、貧乏の中でも養っておこうという人、そういう人が苦しむか、またはそういう人が少くなって、そして子供たちがほうり出されるか、そういうことになってくる。合理化だとかなんとか言って、世の中で最も不幸な者がさらに不幸になるようなことを考える。これは政治家としてやる道ではありません。もう一つ継続給付要件の強化、これは失業した人、今まで就職をした人が今度首を切られた、今職業を離れて重い病気にかかっている、こんな気の毒な人に今度は保険給付をやらないようにする、そんなむごたらしい政治がありますか。財政公課額はちょっとしかない、そういうことは十分論議されている、そういうものを政府が改正案に盛ってくる。与党の方は国民のことを考えると言いながらそれを修正する意向を出していない、そういうことはほんとうに国民の政治であると言うことはできないと思うのですが、この点の提案者の意見を聞きたい。

野澤清人自由民主党

○野澤委員 継続給付その他についての御意見でありますが、私の方でこれを修正して現行法にしたというのではなくて、政府原案にただ賛成したわけであります。しかもあなたの方では健康保険の合理化ということはけしからぬのだという御見解でありますけれども、こうした問題については見解の相違という立場もありますし、少くとも健康保険の制度そのものを一応整理しまして、しっかりした基盤の上にこれを育成助長せしめる、こういう方針で出ておりますので、政府原案がきわめて妥当であるという考え方で出発いたしたものでありますから、議論の余地は見解の相違で相当あるとは思いますが、どうかそうした意味合いで、自民党が修正案を出して継続給付その他を修正したというのではございませんで、政府原案はきわめて適切であると考えてこれに賛意を表したわけでありますから、誤解のないようにしていただきたいと存じます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 大へんうまい言い回しでお答えになりましたけれども、とにかく一番不幸な人をむごたらしい目にあわせる結果になることは当然でございますので、厚生大臣はこの案の悪いことを十分にしみじみと今晩帰って考えて下さい。そうして自分のやろうとすることによって及ぼす影響、それによってどういう人がどういうふうに不幸になるかということをしみじみと考えて、その点についてそういうことにならないように考え直していただきたい、与党の方々も勇気を出してそういうことにならないようにしていただきたいと思います。  さらに一つだけ時間がなくて言い落しましたけれども、船員保険の一部負担はこの健康保険の一部負担より以上に不合理でございます。これは一部負担の金の問題でなくて、首の問題につながっていることはこの前申した通り。これについて修正をいたされなかったことは非常に遺憾でございます。今度修正案を出されたが、非常に内容の乏しい問題にならない修正案を出された自民党の方々の態度、それからさらに悪い改正案を出された政府の態度は、ほんとうに政府なり与党なりが福祉国家を作ると言われ、社会保障を促進させると言われているけれども、その気持がないことを明らかにされたことだと私どもは考えるわけでございます。そのことをはっきり申し上げまして私の質問を終ることにいたします。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 岡本隆一君。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております健康保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案その他関係法案の改正案に反対し、さらにまた一昨日提出されました自民党の修正案に対しても同様に反対の態度を申し述べたいと思うのであります。  昭和二十六年以来健康保険は累積する赤字に悩み、昭和三十年度に至ってはついにその額百億をこえんとし、わが国社会保障制度の根幹をなす健康保険制度もまさに崩壊の危機に見舞われるに至りました。従って健康保険の改正の問題は第二十四国会以来社会労働委員会におきましても懸案となっているところであります。今般政府の提案いたしました改正案も、政府は名を制度の根本的な改革にかりていますが、実は第二十四国会に赤字対策として提出されましたものとその内容において本質的に何ら異なるところはございません。神田厚生大臣は三方一両損の議論をもって政府も三十億を負担しよう、そのかわりに被保険者も一部負担の増加をがまんしてもらいたい、医療担当者も、事業主もいろいろの犠牲を払ってもらいたい、みんなが持ち寄りで赤字を克服し、健康保険の健全な発進をはかろうではないか。まことにけっこうな論法をもって、政府の負うべき責任を他に転嫁せられんとしておられます。最近厚生省は以前のうすぎたない外観を美しく塗りかえられましたが、裏へ回ってみますと、相変らず墨を塗りたくった戦時中の姿そのままであります。頭隠してしり隠さず、健保改正案もまさに厚生省のその姿そのままであります。  由来、本改正案はその提案の理由がきわめてあまいであります。初め赤字対策として持ち出されましたものが、内容はそのままでいつの間にかレッテルだけが張りかえられて、国民皆保険に変って、国民皆保険に備えるための制度の根本的改革ということになっております。もしもこれを赤字対策というなれば、神武以来の好況の余波を受けて、健保財政も大きな制度の改革を必要としないことになっております。厚生省の提出いたしました本改正案の参考資料を見ましても、三十一年度赤字見込みは、当初見込みが六十六億六千万円であったものが、十一月現在をもって四十七億と減少し、その中に含まれておる予備費の十七億、それに三十億の国庫支出を加えるとするなれば、被保険者の一部負担を財源に充てることを必要としないで、本年度の赤字は完全に解消することができることになっております。これをもってすれば、赤字対策としては被保険者にも、医療担当者にもものすごい反対のあるところの本案を強行突破するようなことは、その必要がないところであります。さらに、これを制度の根本的改革であると称するなれば、これほど的のはずれた考え方はありません。本改正案に盛られている内容というものは、健保財政の健全化の根本的原因には一指も触れることなく、いたずらに被保険者を泣かしめ、医療担当者を苦しめるのみであって、まさに希代の改悪といわなければなりません。(「その通り」)  さきに政府は積年の赤字の検討をするために、七人委員会なるものを設けました。政府の資料に基く政府の御用機関である七人委員会ですら、赤字の原因は、健保の財政収入に見合わぬ支出の増加にありと結論して、その理由の最も大きなものとして受診率の増大、結核医療費の増高、医療内容の著しい向上等をあげております。厚生大臣、あなたの態度はふまじめですよ。反対党の代表の討論を……、(「討論じゃないよ」と呼ぶ者あり)そんな態度で、聞いていないじゃないですか。(神田国務大臣「いや、聞いています。と呼ぶ)健康保険を、被保険者による相互扶助制度と考えて、その社会保障的意義を没却するときは、収支のバランスは強調せらるべきでありましょう。被保険者の受ける給付の内容が向上すれば、これに伴う経済的負担の増加もまたやむを得ないという議論も成り立つかもしれません。しかしながら、健康保険は社会保障制度の根幹であると政府もうたっております。社会保障と呼ばれる以上は、その財政については最終的に政府が責任を持つのは当然であります。  貧困であるとかあるいは疾病、失業等は、個人の責任によって発生するものではありません。結核が社会病であるといわれ、諸種の伝染病や流行病が個人の責任に基いて発生するものではないことは明らかであります。従って、人生の最も不幸な疾病、失業等の事態に逢着したとき、これを社会が、また国が、その責任においてその不幸を緩和し、解決せんとするのが、社会保障制度のよって立つところの根本的な態度であります。しかるに政府が、口に社会保障の拡充強化、福祉国家の建設を唱えながら、わずかに三十億の国庫の負担をもってその責任をのがれんとするがごときは、国民を愚弄するものはなはだしいものといわれなければなりません。  また政府は国策として結核撲滅を取り上げ、結核予防法を施行いたしました。従ってこれに伴う財政的支出は、当然政府においてそれを負担すべきであります。結核医療費が健康保険の医療費の三分の一以上を占め、それがはなはだしく健康保険財政を圧迫していることは、すでに万人の認めるところであります。政府は国策としてどんどん予防検診を行います。発見された患者が療養を命ぜられますが、これに対する医療費は、昭和三十二年度の予算に見ましてもわずかに十六億、スズメの涙ほどしかありません。患者を隔離する病室もどんどん。増築されて参りました。しかしこれに要する入院料については、国は全く知らぬ顔の半兵衛をきめ込んでおります。従ってこれらはすべて健康保険財政の負担となって、すでに健保のガンともいうべき存在となっております。  かくのごとき国策としての結核予防法への国の財政的裏づけの欠如は、健康保険を今日のはなはだしい財政的窮乏へ追いやりました。かくのごとく健康保険の赤字の根本的原因は、医療の近代化に伴う医療内容の向上、及び結核予防法の普及に伴う結核医療費の増高によるものといわなければなりません。しかるに政府はこれに対して何らの対策を講ずることなく、みずからはわずかに三十億の国庫負担をもってその責任を糊塗し、被保険者には一部負担の増大、標準報酬の引き上げ、保険給付資格の制限強化等をもってその犠牲を強要し、医療機関には機関の二重指定、監査機構の強化、診療報酬審査の官僚化等をもって威嚇し、その人権をじゅうりんせんとしております。被保険者の一部負担として入院料の一日三十円の負担、初診の際の医療費百円の負担は、今日の物価からすればきわめて少額で、問題とするに足らないではないか、むしろ当然であると厚生大臣は豪語しております。温顔にして人情あふるるがごとく見ゆる神田さんが、このような暴言を吐くとはまさに言語道断であります。内心如夜叉とはこれをさして言うのかもしれません。わずかな収入をもって、ようやくその日の生活をささえている勤労者にとっては、これは聞き捨てにならない言葉であります。政府管掌健康保険の被保険者の平均月収は一万一千六百円であります。その被保険者が入院した場合には、その六割が傷病手当金として支給され、その中で家族の生活をささえ、療養費その他療養に伴う費用を支弁しなければなりません。しかもなお入院料の一部負担は、たといそれが九百円であろうとも、病床にある患者にとっては身を切らるる思いの九百円であって、この負担の増加は、大きな責苦となって、苦痛にあえぐ患者の心を一そう強く締めつけるでありましょう。このような施策によって生じる財政的効果は、わずかに十二億、まさに池田大蔵大臣の言うところのつまみ金の程度であります。世は神武以来の好景気、政府は今税収の二千億増収、一千億減税、一千億施策をもってわが世の春をうたうがごときとき、そして自民党さんは芸者の花代までまけることにしまして、どうして病床に呻吟する患者からわずか十二億をしぼり立てねばならないのか。被保険者は病床にあって、はげしい憤りを感じていることであろうと思います。(拍手)  医療機関に対する二重指定の問題のごとき、個人医療機関に関する限り、およそナンセンスというべきであります。監査機構の強化は、人権じゅうりん規定と呼ぶべきであります。もちろん医療担当者にして不正、不当の行為あれば、これは当然取り締るべきであり、処罰すべきでありましょうが、これはすでに現行法で十分に行われておるところであります。あえてここに罰則を強化し、監査機構を峻厳化せんとするがごときは、医療担当者にだんびらを突きつけてこれを威圧せんとするもの以外の何ものでもありません。先般当委員会において参考人より意見を聞くことをいたしました。その節、丸山参考人は、被保険者の記憶について、注目すべき調査の結果を発表しました。昨年の冬東京都医師会で行なった調査によりますと、被保険者の受診に対する記憶はきわめてあいまいである。日赤中央病院といえば、厚生省もきわめて信頼しておられると思うのでありますが、その日赤中央病院で、受診した患者について、三カ月後に、その受診の内容について患者の記憶と病院の診療録とを照合いたしましたところ、受診回数について正確に答えられた者が約半数、受診の内容についてはその八〇%が不正確であったというのでありますが、患者の申し立てというものは、そのようにたよりにならないものであります。そのようなあいまいな事情調査に基いて監査を行う場合に、虚偽の申し立てをした場合には、被保険者については一万円以下の罰金であるとか、あるいは医療担当者に対しては指定の取り消しをするなどの罰則をもって臨むことは、まさに威嚇政治であるといわなければなりません。国民皆保険の前提としての本改正案であります。国民皆保険のもとにあって、保険医の指定の取り消しは生きる道を断つことであります。監査に応じなくても指定の取り消しである。また虚偽の申し立てをしても指定の取り消し、不正があればもちろん指定の取り消し、このように、常に極刑をもって威嚇されつつ診療に従事しなければならない医師の立場というものは、まさに往年の奴隷の労働そのままというべきでありましょう。教養あり、自尊心を持つ医師にして、かかる屈辱的なる法のもとに生きることは、耐えがたいところであります。今日全国数万の医師、歯科医師の諸君が猛然立って反対していることは、まさに当然といわなければなりません。  さらにまた基金の改正案にあるごとく、専任審査委員のみによって診療報酬請求書の審査が行われることになった場合には、厚生省の一方的な方針によって審査が行われるようになることは必至であります。かくて医療は官僚的制肘によってその内容が著しく低下せしめられ、医療は健康保険の財政的事情に完全に従属するに至りまして、今後は保険医療は著しく萎縮し、被保険者の福祉ははなはだしく阻害されることは必至であります。  かくのごとく今次の健康保険改正案は、制度の根本的欠陥に何ら触るることなく、真実に目をおおい、犠牲を弱い被保険者と医療担当者に強要して、政府はみずからの責任を回避せんとする、きわめて卑怯な、かつ非人道的な改悪案といわなければなりません。  一昨日、自民党より本改正案に対する修正案が提出されました。しかしながら、その内容とするところは、基金法の改正を思いとどまって、診療報酬の審査の官僚化を断念したのみで、他は全く原案の通りであります。いわばもっそうめしにごま塩を振りかけてそのくささをごまかさんとするがごとき修正案であって、われわれの断じて同意できるところではありません。しかも現行健康保険制度において五人未満の事業場に働く被用者は、貧困にして何らの医療保障を受けることなく、これが健康保険制度への加入は焦眉の問題として解決を迫られております。しかるに政府は、これに対しては、将来国民保険に加入せしめるとの方針を持って、今次改正案においては何らの対策を講じておりません。弱小企業に働く勤労者こそ、より一そう社会保障を必要とするのは申すまでもありません。同じ被保険者にして、同じ被用者にして、零細企業に働くのゆえをもって、傷病手当金よりしめ出されて、療養中の生活の保障なく、またその給付内容もきわめて劣悪な保険制度をもって差別するがごときは、われわれの耐えるところではありません。今日では自家用のキャデラックを病院へ乗りつけた社長さんも健康保険の被保険考証を提出いたします。自家用車を持っている豪勢な自民党の代議士さん諸君ですら、衆議院で健康保険を作ろうじゃないか、こういうふうな話の出ておる今日であります。しかるに零細企業の従業員が医療保障の網の目から漏れているのをそのまま見過ごしていこうとする政府提案は、貧者に対して氷のごとく冷たい自民党の心をそのまま映しているものといわなければなりません。(拍手)  日本社会党はそれゆえにこれらの矛盾を解決せんとして、独自の健康保険法の改正案を提出いたしました。社会党提案の内容とするところは、まず第一に、何らの医療保障なき五人未満の零細企業の被用者を、直ちに現行の健康保険制度の中にあたたかく抱きとろうとするものであります。  第二に、健康保険の赤字が当然国の負うべき財政的負担の欠除に基くものである以上、医療費の定率国庫負担は当然国のなすべき義務といわなければなりません。日本社会党は二割の国庫負担を主張して健保財政の健全化をはからんといたしております。  第三に、弱小企業の事業主負担を軽減するために事業主負担の半額を国庫で負担することを規定して、零細企業が進んで医療保障制度に参加することを容易ならしめ、社会保障の拡充強化に資せんといたしております。しこうしてこれらの種々の対策に必要とする経費は本年度百四十五億、平年度百八十五億でありまして、本年度自然増収の一割に満たない金額であります。  健康保険法の改正問題は数年にわたる国会の懸案でありました。自民党は社会保障の拡充強化をその重要な政策として大きく打ち出しております。しかも従来の政策のすべては羊頭狗肉でありました。今次の健康保険の改悪問題につきましても、全国の被保険者はあげて反対いたしております。療養中の患者は白衣をもって国会に反対の陳情に参りました。全国七万の医師、歯科医師も総決起して反対運動を展開いたしております。自民党の諸君にして一片の温情あれば、一昨日の委員会においてあき巣ねらいのごとき形をもって(拍手)かかる破壊的改悪案を押し切らんとしたみずからの行動を深く反省し、(「その通り」)さらに全国民があげて反対しておるところのかかる冷酷無情なる健康保険の改悪に反対し、日本社会党提案の温情あふるる改正案に欣然として賛同されんことを切望いたしまして私の討論を終ります。(拍手)

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 ただいまの岡本委員の発言中不穏当なる部分がありましたならば速記録を取調べの上適当な処置をとりたいと存じますから以上御了承願います。  これにて内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案外二案に関する発言は終了いたしました。  なおこの際申し上げます。一昨十一日の本委員において、内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案外二案並びにこれら三案に対する修正案の採決に際し、起立総員と宣告いたしましたのは、社会党委員が退場された結果そのように宣告いたしたのでありまして、先刻よりの御発言によりまして社会党の委員諸君は反対であることが明らかになりましたので、事実は多数の賛成で決したものであることを明確にいたしておく次第であります。  暫時休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった〕

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